• ホーム
  • SPN JOURNAL Online
  • 連載コラム
  • FSB「気候変動の金融安定に対するインプリケーション」(金融庁)/職場における新型コロナ感染症への感染予防及び健康管理について(厚労省)/スタートアップの取引慣行に関する実態調査(公取委)

危機管理トピックス

FSB「気候変動の金融安定に対するインプリケーション」(金融庁)/職場における新型コロナ感染症への感染予防及び健康管理について(厚労省)/スタートアップの取引慣行に関する実態調査(公取委)

2020.11.30
印刷

更新日:2020年11月30日 新着21記事

タイトルイメージ図

【新着トピックス】

~NEW~
金融庁 監査法人及び公認会計士の懲戒処分等について
  • 監査法人
    • 処分の対象者
      • 監査法人大手門会計事務所(法人番号9010005003922)(所在地:東京都千代田区)(注)当監査法人は、令和2年10月27日をもって解散し、清算法人に移行している。
    • 処分の内容
      • 業務停止5月(清算業務を除く。)(令和2年11月30日から令和3年4月29日まで)
    • 処分理由
      • 監査法人大手門会計事務所(以下「当監査法人」という。)の社員である下記2名の公認会計士が、日本フォームサービス株式会社(以下「日本フォーム」という。)の平成29年9月期及び平成30年9月期における財務書類の監査において、故意により、虚偽のある財務書類を虚偽のないものとして証明し、また、相当の注意を怠り、重大な虚偽のある財務書類を重大な虚偽のないものとして証明した。(根拠条文:公認会計士法(昭和23年法律第103号)(以下「法」という。)第34条の21第2項第1号、第2号)
      • 当監査法人の運営が著しく不当と認められた。(根拠条文:法第34条の21第2項第3号)
  • 事案の概要
    • 日本フォームの財務書類に対する虚偽証明
      • 当監査法人が実施した日本フォームの監査において、当監査法人は、被監査会社との関係を良好に保つため、職業的懐疑心を発揮せず、日本フォームの説明等に対して批判的な観点からの検証を行わなかった。
      • また、当監査法人は、十分かつ適切な監査証拠が入手できなかったとしても、監査報告書の提出期限内に無限定適正意見を表明することを最優先と考え、職業的専門家としての正当な注意を払っておらず、監査法人として社会から期待された役割と責任を果たす意識が不足していた。
      • こうした背景事情を原因として、下記ア.からオ.までに記載する事実が認められた。
        1. 当監査法人の平成29年9月期監査を行った筆頭業務執行社員は、日本フォームに対する監査手続の実施に関し、その大半を他の業務執行社員に委ねていた。当監査法人は、平成29年9月期監査において、買掛金残高が大幅に減少していることを認識していた中、その理由を確認するため、日本フォームから資料を入手しようとしたが、システムが故障したとの説明を受けたため、当該残高の減少理由を質問したところ、「在庫調整を行った結果」との説明を受けたほか、残高確認、請求書綴り等の確認を行った。
          • 当監査法人は、買掛金に対する監査手続及びその結果に特段問題はないと判断し、システムが故障したとの説明を裏付ける十分な証拠を入手せず、また、買掛金残高が大幅に減少した理由を十分に確認することなく、買掛金に対する監査を終了させた。更に、当監査法人は、日本フォーム監査役とコミュニケーションがとれていないことについて、不正リスクの観点での検討を行わなかった。
        2. 平成30年9月期監査を行った筆頭業務執行社員は、平成29年9月期監査同様、日本フォームに対する監査手続の実施に関し、その大半を他の業務執行社員に委ねていた。当監査法人は、平成30年9月期監査において、買掛金残高が更に減少していることを認識し、理由を質問したところ、日本フォームから、当期期首に行った工場のレイアウト変更工事等の処理を漏らしていたとの説明を受け、当該工事等の実在性を確認できる証憑の提出を依頼すると共に、実在性がない場合には損失処理するよう伝達した。その後、当監査法人は、日本フォームから上記証憑が提出されなかったこと等から、日本フォームが主張する当該工事は実在しないと認識していたにもかかわらず、全額損失処理することを優先し、当該資産の計上を容認した。
          • また、当監査法人は、当期の買掛金の監査において、前期と同様に日本フォームからシステムが故障したとの説明を受け、資料が提出されず、十分かつ適切な監査証拠を入手できていないことに加え、これらの内容を監査調書に何ら記録していなかった。
        3. 日本フォームは、平成29年9月期の固定資産の減損処理の検討において、主要資産グループに市場価額を著しく下落した資産があることから減損兆候ありと判定したが、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を上回ることから、減損処理は不要と判断した。
          • 業務執行社員は、これを踏まえ、平成29年9月期監査において、割引前将来キャッシュ・フローを算定し直し、減損処理は不要と判断したが、検討結果等を監査調書へ記録しなかった。
          • 当監査法人は、当該業務執行社員が行った監査手続の内容を把握していないほか、減損兆候判定において、当該グループの営業損益が継続して減少傾向にあり、平成29年9月期は赤字であること等を踏まえた検討を十分に行わなかった。
        4. 当監査法人は、平成29年9月期及び平成30年9月期監査において、実地棚卸の立会において棚卸表を基にシステムのデータと突合等を実施していたが、棚卸表の確定版と実地棚卸の立会で入手した棚卸表との差異について確認を行わず、また、棚卸資産について分析的手続を実施していない等、必要な監査手続を実施しなかった。
        5. 当監査法人は、平成29年9月期監査の監査計画立案時において、グループ・レベルで分析的手続を実施することを決定しているが、日本フォームの連結子会社について、グループ・レベルで分析的手続を実施しなかった。
    • 当監査法人の運営
      • 当監査法人の運営が著しく不当なものと認められたとして、令和元年12月6日、金融庁は、公認会計士・監査審査会(以下「審査会」という。)から行政処分勧告を受け、調査を行った結果、下記ア.からウ.までに記載する事実が認められた。
        • 業務管理態勢
          • 当監査法人は、代表社員3名、社員5名、公認会計士である常勤職員を中心とした監査補助者等による約20名の人員で構成されている。
          • 当監査法人は、長年にわたって上場会社10数社を被監査会社としているとともに、近年、上場会社数社との新規の監査契約の締結を行っている。
          • こうした中、当監査法人の最高経営責任者は、人員が不足していると認識しており、また、品質管理の維持及び強化を、当監査法人の経営方針の最優先事項としている。
          • しかしながら、最高経営責任者は、実際には、監査報告書の提出期限内に、無限定適正意見を表明することを最優先と考え、職業的専門家としての正当な注意を払っておらず、また、財務諸表の信頼性を担保するという監査法人として社会から期待された役割と責任を果たす意識が不足していた。
          • また、品質管理担当責任者を含むその他の代表社員及び社員は、最高経営責任者の考えに同調し、業務管理態勢及び品質管理の基準が求める品質管理態勢が組織的に機能するような最高経営責任者を含む他の社員への牽制をしておらず、相互牽制という監査法人の社員としての職責を果たす意識が希薄であった。
          • さらに、最高経営責任者を含む代表社員及び社員は、監査の基準全般、職業倫理及び独立性に関する法令等、監査の基準並びに監査法人として適切な業務管理態勢及び品質管理態勢を整備するために必要な法令及び基準の理解が不足しており、被監査会社のリスクに応じた監査業務が実施できる水準に達していなかった。
          • こうしたことから、特定の監査業務において、最高経営責任者を含む業務執行社員が、監査意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手できなかったと認識していながら、無限定適正意見を表明している極めて不適切な状況が認められている。
        • 品質管理態勢
          • 当監査法人の品質管理態勢については、監査契約の新規の締結及び更新、監査業務に係る審査、監査調書の整理・管理・保存並びに法令等遵守態勢について重要な不備が認められるほか、広範に不備が認められており、著しく不適切かつ不十分である。
        • 個別監査業務
          • 最高経営責任者を含む業務執行社員は、十分かつ適切な監査証拠が入手できなかったとしても、監査報告書の提出期限内に無限定適正意見を表明することが最優先であると考えていた。そのため、財務諸表等及び内部統制報告書の監査意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手していないと認識しながら、無限定適正意見を表明しているほか、訂正報告書に含まれる財務諸表等に対する監査に係るリスク評価が不十分、特別な検討を必要とするリスクを識別した売上高、売掛金等の実証手続が不十分であるなどの重要な不備が認められる。
          • また、最高経営責任者を含む業務執行社員及び監査補助者は、会計基準及び監査の基準の理解が不足している。そのため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に対する検証が不十分であるなどの重要な不備が認められる。
          • さらに、最高経営責任者を含む業務執行社員及び監査補助者は、被監査会社から提出された資料を追認するのみであり、職業的懐疑心が欠如している。そのため、企業環境の理解を通じたリスク評価が不十分、被監査会社の期末日付近の通例でない重要な取引に関する検討が不十分、不正リスクの評価及び対応手続が不十分、棚卸資産及び固定資産の評価等の会計上の見積りに関する検討が不十分、全社的な決算・財務報告プロセスに係る監査手続が不十分、連結子会社に対する監査手続が不十分であるなどの重要な不備が認められる。
          • 上記のような重要な不備は今回審査会検査で検証対象とした個別監査業務の全てにみられる。そのほか重要な不備ではないものの、グループ監査の監査計画におけるリスク評価が不十分、売上高等の損益勘定に対する監査手続が不十分、棚卸資産等の貸借対照表残高に対する監査手続が不十分、引当金の検討が不十分、仕訳テストが不十分、関連当事者との取引に関する検討が不十分、監査役等とのコミュニケーションが不十分であるなど、不備が広範かつ多数認められる。
  • このように、当監査法人の個別監査業務において、重要な不備を含めて広範かつ多数の不備が認められており、同業務の実施は著しく不適切かつ不十分なものとなっている。

~NEW~
金融庁 クリエイトジャパン株式会社に対する行政処分について
  1. クリエイトジャパン株式会社(本店:東京都中央区、法人番号5010001141300)(以下「当社」という。)に対する検査の結果、以下の問題が認められたことから、証券取引等監視委員会より行政処分を求める勧告が行われた(令和2年11月13日付)。
    • 経営管理態勢等が極めて杜撰であることにより、長期間にわたり、継続的かつ恒常的に多数の営業員により法令違反行為が行われている状況
      1. 法令違反行為が行われている状況
        • 当社は、取引所為替証拠金取引を取り扱っているところ、平成31年1月から令和2年1月までの期間において、当社営業員32名が行った見込顧客74名に対する新規口座開設に向けた当該取引に係る電話勧誘の状況について検証した結果、以下の事実が認められた。
          1. 勧誘受諾意思確認義務違反
            • 営業員10名は、見込顧客から新規口座開設に向けた勧誘を拒絶され、勧誘を行うことができなくなることを避けるため、18名の見込顧客に対し、当該勧誘に先立って、勧誘受諾意思の有無を確認することなく勧誘行為を行っていた。
          2. 再勧誘の禁止違反
            • 営業員30名は、40名の見込顧客から勧誘継続の拒絶の意思表示を受けたにもかかわらず、営業員自身の営業成績の向上を優先し、後日、電話を架けて再び勧誘行為を行っていた。
            • 当社における上記アの行為は、金融商品取引法第38条第5号に該当するものと認められる。
            • また、当社における上記イの行為は、同法第38条第6号に該当するものと認められる。
      2. 経営管理態勢等が極めて杜撰な状況
        • 上記(1)のような状況は、遅くとも平成28年4月以降、継続的かつ恒常的に認められており、これらが是正されなかった原因として、以下の業務運営上の問題点があると認められた。
          1. 代表取締役社長は、顧客からの苦情等がなければ法令等遵守に問題はないと安易に認識しているほか、営業面の推進や管理を担当役員に任せきりにし、電話営業を主体とする当社のビジネスモデルに応じたリスクを管理すべきとの認識はなく、社内でこれらに関する検討・議論を行わせていなかった。
          2. 営業責任者であった担当役員は、当社業容の維持・拡大のため、上記(1)の法令違反行為が行われることをむしろ容認し、多数の営業員に法令違反を顧みない営業を行わせていた。
          3. 内部管理担当役員は、日々の営業員の営業活動をモニタリングする必要性を認識していないため、当該モニタリングによって法令等遵守を実践するための管理態勢の整備を怠っていた。
          4. 以上のとおり、当社経営陣は、当社の収益獲得を優先するあまり、法令等遵守を蔑ろにし、社内で広く法令違反行為が行われることによって業務を持続させており、当社の経営管理態勢等は極めて杜撰であると認められる。
            1. (注)上記(2)における代表取締役社長等については、検査基準日(令和2年1月24日)時点の役職名にて記載。
  2. 以上のことから、本日、当社に対し、金融商品取引法第51条の規定に基づき、以下の行政処分を行った。
    • 【業務改善命令】
      1. 経営管理態勢、業務運営態勢及び内部管理態勢(内部監査態勢を含む)を抜本的に見直し、顧客への勧誘及び説明が適切に行われる態勢を構築すること。
      2. 全社的な法令等遵守意識の向上及び健全な企業文化の醸成に向けた方策(十分な社内研修の実施等を含む)を策定し、取り組みを進めること。
      3. 法令等を遵守し、適正かつ健全な業務運営を前提とするビジネスモデル(収支計画を含む)を構築すること。
      4. 経営陣が不適切な業務運営を行っていたことについて、責任の所在の明確化を図るとともに、法令等遵守に取り組むよう経営姿勢を正し、適切な牽制機能が発揮される経営管理態勢を構築すること。
      5. 上記の対応、実施状況について令和2年12月28日(月)までに書面で報告するとともに、その後の進捗状況を当面の間、3ヶ月ごとに書面で報告すること。

~NEW~
金融庁 金融安定理事会による「気候変動の金融安定に対するインプリケーション」の公表について
▼金融安定理事会による報告書「気候変動の金融安定に対するインプリケーション」 エグゼクティブ・サマリー(仮訳)
  • 本報告書は、気候変動の金融安定への潜在的なインプリケーションについて議論し、金融システムに影響を与えうる気候関連リスクの波及経路を調査するもの。加えて、気候関連リスクの影響を増幅させる可能性のある金融システム内の潜在的なメカニズムや、リスクの国境を越えた波及について検討している。本報告書は、官民セクターによる既存の作業を参考にしている。こうした作業は、金融安定に対するリスクの考察としては未成熟な部分もある。よって、本報告書は、既存の文献で議論されている内容を超えた問題を提起しているところもある。
  • 気候変動の金融安定へのリスクは、物理的リスクと移行リスクに大別される。気候変動が継続することから生じる実際の/予想される経済影響(物理的リスク)や、低炭素経済に向けた調整(移行リスク)により、金融資産・負債の価値は影響を受けうる。
  • 物理的リスクが資産価格に与える影響の現時点での中心的な見通しは、比較的抑制的なものであるように見えるが、非常に大きなテールリスクを抱えているかもしれない。
  • 物理的リスクの顕在化、特に気候変動とその経済的影響の自己強化的な加速によって引き起こされるものは、資産価格の急落と不確実性の増大をもたらす可能性がある。これは、比較的短期的なものも含めて、金融システムを不安定化させる影響を与える可能性がある。マーケット・リスクや信用リスクは、実体経済の特定のセクターや特定の地域に集中している可能性もある。国レベルでも混乱が生じる可能性がある。気候関連リスクにより脆弱な一部の新興国・途上国(EMDEs)、特に金融リスクを共有するメカニズムが比較的未発達な国は、とりわけ影響を受けるかもしれない。
  • 低炭素経済への無秩序な移行も、金融システムを不安定化させる影響を与えうる。これは、物理的リスク顕在化の増加や技術発展に起因するものも含めて、市場参加者の予期しない突然の(実際の、もしくは予想された)政策変化によりもたらされる可能性がある。そうしたシナリオの下では、物理的リスクと移行リスクが結び付き、金融安定への全般的な影響を増幅する可能性がある。低炭素経済への移行が十分に予期されている場合の資産価格に与える影響の中心的な見通しは、計測上の不確実性は大きいものの、比較的抑制されている。
  • 気候関連リスクは、グローバルな金融システムがショックに対してどのように反応するかについても影響を与えるかもしれない。気候関連リスクは、多岐にわたる資産のリスク・プレミアムの急激な上昇をもたらすかもしれない。また、セクターや法域をまたいで資産価格の動き(や相関)を変化させ、信用リスク、流動性リスク、カウンターパーティー・リスクを増幅させ、予測が困難な形で金融リスク管理に課題を突き付ける可能性がある。このような変化は、リスク分散と管理に関する現在のいくつかのアプローチの有効性を弱める可能性がある。これは、結果として、金融システムの強靭性に影響を与え、銀行貸出や保険商品の提供を自己強化的に減少させる可能性がある。
  • 気候関連リスクの拡がりと規模は、他の経済リスクと比較して、これらの影響をより深刻なものにする可能性がある。さらに、気候関連リスクと他のマクロ経済の脆弱性との相互作用は、金融安定に対するリスクを増大させる可能性がある。例えば、気候変動に対して特に脆弱なEMDEsの一部は、国境を越えた銀行貸出にも依存している。
  • 気候関連リスクへのエクスポージャーを削減もしくは管理するために、金融機関は様々な行動をとることができるし、実際にとっている。しかし、一部の当局は、ほとんどの金融機関でこれらが体系的に行われているわけではないと指摘している。また、顧客の気候関連リスクへのエクスポージャーもしくは効果の大きさを評価するためのデータの欠如により、金融機関によるリスクの緩和措置も妨げられているかもしれない。加えて、個々の金融機関がとった措置それ自体は、金融安定に対するより広範な気候関連リスクを緩和しないかもしれない。気候関連リスクを評価するための情報を充実させるためのイニシアチブは、強固なリスク管理の礎となるかもしれない。

~NEW~
金融庁 事業者を支える融資・再生実務のあり方に関する研究会(第2回)議事次第
▼第2回事務局参考資料
  • 日本経済におけるサービス産業のシェアは年々拡大している
  • 開業率は、2000年代を通じて緩やかな上昇傾向で推移し、足下では5.6%となっている
  • 1990年半ば以降、事業法人の資金余剰が続いている
  • 地方創生において求められる金融機関の役割について(全国銀行協会の提言からの抜粋)
    • 提言1 目利き力を備えた人材の育成
      • 金融機関は、企業の事業内容や経営状況等をより深く、正確に把握し、経営改善や生産性向上を支援できるよう、職員1人1人の目利き力の向上に努める必要がある。
    • 提言2 積極的な企業ニーズの発掘
      • 金融機関は、行政や大学等とも連携しながら、眠っている企業ニーズを積極的に発掘し、長期的な視点で企業の成長を支援することが重要である。
    • 提言3 地域特性に応じたコンサルティング機能の発揮
      • 金融機関は、適切な現状分析および将来予測にもとづく地域特性を踏まえ、より付加価値の高いコンサルティング機能を発揮することが重要である
    • 提言4 地域企業の魅力の発信等を通じた定住人口・交流人口の増加
      • 金融機関は、地域企業の魅力の若年世代への発信や創業支援のさらなる推進等を通じて、地方への就労を促し、定住・交流人口の増加に貢献することが重要である
  • 海外では、包括的な担保権を活用した多様な金融サービスが提供されている
  • 事業を理解しない貸し手のみから借り入れた事業者と包括的な担保権の設定を受けた貸し手から借り入れた事業者のライフサイクルの比較(イメージ)
    • 事業を理解しない貸し手のみからの資金調達の場合の一例)
      • 創業期は、不動産担保がないと融資を受けにくいが、成長期に入ると多数の金融機関から営業を受け過剰借入のおそれ
      • 再生期は、メインのシェアが薄いほか、一部金融機関の債権売却等で債権者が分散し、再建に向けた調整が困難
    • 包括的な担保権設定による資金調達の場合の一例
      • 創業期は、事業の実態・将来性を評価する金融機関から融資を受け、成長期も事業の実態に応じた適切な借入水準を維持
      • 再生期は、メインが各金融機関の調整等で再建に向けた主導的立場を取り、事業計画の見直し等により事業を再生
  • 担保価値の評価等について
    • 事業価値は将来見通しや買い手とのシナジー等の個別事情に左右されるため、一義的に定めにくい(幅のある値にならざるをえない)。また、事業価値の源泉は、返済原資と同じ事業から生み出される将来キャッシュフローであることから、包括的な担保権の信用補完の機能は不動産担保等に比べ限定的。
    • もっとも、包括的な担保権を活用することで、ゴーイングコンサーンとしての有形・無形の資産価値や事業価値からの優先的な弁済を考慮できるため、事業者に対して相対的に低いコストで融資がしやすくなる。
    • そのため、実務上の運用としては、例えば、
      • 包括的な担保権付融資について査定を行う際は、事業者との間で策定された事業計画の内容や進捗状況を確認すること(無担保融資に類似する)、
      • 個別貸倒引当金の評価において担保価値による保全を考慮するのは、実際のビッドの裏付けがあるなど担保権の実行の見通しが立つ場合に限ること(個別に貸倒引当金を見積もる場合は原則DCF法によること)
      • 個別資産の換価価値の積み上げで担保価値を評価すること(ABLの手法)
        などが考えられるか
  • 事業把握と担保評価の関係について(イメージ)
    • 従来:不動産担保の例
      • 事業把握と担保評価の対応は必ずしも同一でない
      • 過去実績が中心
      • 定期的に評価を実施(例えば3年毎に正式評価等)
    • 新しい選択肢:包括的な担保権
      • 事業把握と担保評価の対応が同一となる
      • 客観的な将来計画が中心(事業計画があることが前提)
      • 継続的な実態把握が必要

    ~NEW~
    金融庁 金融審議会「銀行制度等ワーキング・グループ」(第6回)議事次第
    ▼資料2 討議いただきたい事項
    1. 経済を力強く支える金融機能の確立に向けた政策対応の方向性
      • 地銀等は、適切なガバナンスの下、顧客ニーズに沿った分野に経営資源を投入し、貸出に留まらない総合的なサービスを提供する機能を強化することが求められている。厳しい経営環境の下で、地銀等がこうした態勢の構築を行い、ポストコロナの地域経済の回復・再生に貢献するためには、その経営基盤の強化が従来にも増して重要になってくる。地銀等の経営基盤強化に向けた経営戦略は、例えば、単独で地域密着・低コストを徹底する、他行との業務・資本提携を推進する、合併・経営統合を行うなど多様であり、どのような戦略を選択するかは各金融機関の経営判断に基づき行われるものである。そうした経営努力を支援し、地銀等による経営基盤強化に向けた選択肢を拡充する観点から、(1)収益力の強化、(2)経費の合理化を規制緩和により支援するとともに、(3)合併・経営統合等に取り組む地銀等に対する支援策として、「資金交付制度(仮称)」を時限措置として創設することが考えられる。
    2. 資金交付制度(案)
      • 以下の「資金交付制度(案)」についてどう考えるか。
        1. 基本的な考え方
          • 地銀等には、ポストコロナの地域経済の回復・再生を支える要としての役割が期待されている。しかし、生産年齢人口の減少や低金利環境の継続など地銀等の経営環境は厳しく、特に人口減少地域では将来的にその役割を十分に果たせなくなるおそれがある。
          • このため、地銀等がこうした役割を持続的に果たせるよう、その業務範囲・出資等に関する規制の緩和を行うとともに、合併・経営統合等の抜本的な事業の見直しによる経営基盤の強化に向けた取組に対する時限の支援措置を創設することとする。
          • 合併・経営統合等を行う地銀等に対する時限の支援措置を検討するに当たっては、(1)合併・経営統合等は各地銀等の自主的な経営判断に基づくものであることを前提に、(2)人口減少等により特に経営環境の厳しい地域における貸出を含む利用者ニーズの高い基盤的な金融サービスの維持・強化を目的とし、(3)金融機関相互間の適正な競争環境を阻害しないこと、(4)税財源(国の一般会計税収)を使用しないこと、を基本に検討することとする。具体的には、
            1. 資金交付制度は、地銀等からの申請に基づく制度とすること、
            2. 対象となる地銀等は地域における貸出を含む利用者ニーズの高い基盤的な金融サービスの提供において相当程度の役割を果たしており、他の機関ではその役割を代替できないと考えられる先とする。また、資金交付の申請の際に利用者ニーズの高い基盤的な金融サービスの提供についての計画の提出を求め、その実施状況をモニタリングする仕組みとすること
            3. 支援は、合併・経営統合等に伴い必要となる追加的な初期コスト(システム統合費用等)の一部とし、経常的な経費への支援は行わない。また、資金交付の際に、交付された資金により行う金融機関の取組が金融機関相互間の適正な競争環境を阻害しないか審査する仕組みとすること
            4. 財源は、預金保険機構の金融機能強化勘定の利益剰余金(金融機能強化法に基づき資本参加した金融機関からの配当収入の内部留保分)を活用することが考えられる。
        2. 対象金融機関
          • 上記の制度趣旨・目的に鑑み、少なくとも、以下の基準全てを満たす地銀等を対象とすることが考えられる。
            • 合併・経営統合等の抜本的な事業の見直しを行うこと
            • 地域において相当程度の貸出を含む基盤的な金融サービスを提供していること
            • 人口減少地域等を主たる営業地域とし、特に経営環境が厳しいと見込まれること
            • 抜本的な事業の見直しにより、貸出を含む基盤的な金融サービスを持続的に提供することが可能となると見込まれること
        3. 経営強化計画の提出・審査
          • 資金交付を求める金融機関は、主として以下の事項を記載した経営基盤強化のための計画(原則5年間。以下「経営強化計画」という。)の提出を行うこととする。監督官 庁は、金融機能強化審査会の意見を聴取しつつ、当該経営強化計画により、ポストコロナの地域経済の回復・再生に資する経営基盤を構築し、地域のニーズに沿った貸出を含む基盤的な金融サービスが持続的に提供可能となるかどうかについて、審査を行うこととする。
          • 経営強化計画の審査において、貸出について生産年齢人口の減少等を考慮して実質的に同水準が維持されることを確認するとともに、地域の実情や顧客ニーズを踏まえつつ、例えば、経営相談、取引先等の開拓や経営人材の紹介・派遣、デジタル化支援、新規事業立上げや事業再生・事業承継支援、出資とあわせたハンズオン支援など貸出に留まらない総合的なサービス提供を強化する態勢構築について確認することが考えられる。その際、交付された資金により行う金融機関の取組が金融機関相互間の適正な競争環境を阻害しないか確認する必要がある。
          • また、今後、経営基盤の強化にあたってはデジタル技術等の活用がより一層重要となると考えられること等を踏まえ、ITガバナンスの強化についても確認することが考えられる。
            • 抜本的な事業の見直しの内容
            • 抜本的な事業の見直しに際して生じる費用
            • 経営改善の目標・ポストコロナの地域経済の回復・再生に資する方策 
            • ITガバナンスの強化など
        4. 交付額
          • 抜本的な事業の見直しに必要となる追加的な初期コストの一部を支援することとし、システム統合費用や業務の集約・共同化に要する費用などの臨時的又は一時的に負担する経費(物件費)を対象とする。人口減少等により特に経営環境の厳しい地域において金融機能を維持するとの目的等に鑑み、例えば、地銀等における年間のシステム関連経費や近年の合併・経営統合事例における統合費用の水準などを勘案した上で、交付額に一定の上限を設けることが考えられる。また、資金交付制度の適切な運用を確保する観点から、対象経費や交付率などを定めた交付要綱を策定・公表する。
        5. 財源
          • 資金交付の財源には、預金保険機構の金融機能強化勘定の利益剰余金(地域における経済の活性化を目的として金融機能強化法に基づき資本参加した金融機関からの配当収入の内部留保分)を活用する。この金融機能強化勘定の利益剰余金は、将来、金融機能強化業務を終了し、当該勘定を閉鎖する際に残余があれば国庫納付することとなっている。人口減少地域等においてポストコロナの地域経済の回復・再生に資する金融機能を維持・強化するとの政策目的の下、地銀等の経営基盤強化の支援策に活用する。
        6. 監督・モニタリング
          • 監督官庁は金融機関から提出を受けた経営強化計画の履行状況について原則5年間モニタリングを行う。ポストコロナの地域経済の回復・再生に資する方策の実施状況が不十分な場合には、経営強化計画の適切な履行を求めることができることとする。抜本的な事業の見直しが実施されない場合、交付を受けた資金の返還を求めることとする。
        7. 申請期間
          • 新型コロナウイルス感染症による経済への影響が見通せないことを踏まえ、5年程度の申請期間を確保することとする(2026年3月末を申請期限とする)。
        8. その他
          • その他、制度の検討にあたって留意すべき事項はあるか。

    ~NEW~
    首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策本部
    ▼第48回(令和2年11月27日開催)資料
    1. 感染状況について
      • 新規感染者数は、11月以降増加傾向が強まり、2週間で2倍を超える伸びとなり、過去最多の水準となっている。大きな拡大が見られない地域もあるが、特に、北海道や首都圏、関西圏、中部圏を中心に顕著な増加が見られ、全国的な感染増加につながっている。地域によってはすでに急速に感染拡大が見られており、このままの状況が続けば、医療提供体制と公衆衛生体制に重大な影響を生じるおそれがある。
      • 実効再生産数:全国的には1を超える水準が続いている。大阪、京都、兵庫では2を超えており、北海道、東京、愛知などで概ね1を超える水準が続いている。
      • 感染拡大の原因となるクラスターについては、多様化や地域への広がりがみられる。また、潜在的なクラスターの存在が想定され、感染者の検知が難しい、見えにくいクラスターが感染拡大の一因となっていることが考えられる。
      • こうした感染拡大の要因は、基本的な感染予防対策がしっかり行われていないことや、そうした中での人の移動の増加、気温の低下による影響に加えて、人口密度が考えられる。
      • 入院者数、重症者数は増加が続いている。予定された手術や救急の受入等の制限、病床を確保するための転院、診療科の全く異なる医師が新型コロナウイルスの診療をせざるを得なくなるような事例も見られている。病床や人員の増加も簡単には見込めない中で、各地で新型コロナの診療と通常の医療との両立が困難になり始めている。このままの状況が続けば、通常の医療では助けられる命が助けられなくなる。
      • 感染拡大地域の動向
        1. 北海道 札幌市近郊を含め、道内全体にも感染が拡大。福祉施設や医療機関で大規模なクラスターが発生。また、患者の増加や院内感染の発生により、札幌市を中心に病床がひっ迫しており、旭川市でも院内感染が発生し、入院調整が困難をきたす例が発生するなど、厳しい状況となりつつある。
        2. 首都圏 東京都内全域に感染が拡大。感染経路不明割合も半数以上となっている。首都圏全体でも、埼玉、神奈川、千葉でも同様に感染が拡大しており、医療機関、福祉施設、接待を伴う飲食店等の様々な施設でクラスターが発生し、医療体制が厳しい状況。感染経路不明割合は4~5割程度と上昇傾向にある。また、茨城でも、接待を伴う飲食店等でクラスターが発生し、感染者数が増加。
        3. 関西圏 大阪では大阪市を中心に感染が大きく拡大。医療機関や高齢者施設等でのクラスターが発生。感染経路不明割合は約6割となり、重症者数が増加し、医療体制が厳しい状況。兵庫では、高齢者施設や大学等でクラスターが発生。医療体制が厳しい状況。京都でも感染が拡大。
        4. 中部圏 愛知県内全域に感染が拡大。感染経路不明割合は約4割。名古屋市で、歓楽街を中心に感染者が増加し、保健センターの負荷が大きくなっており、医療機関での対応も厳しさが増大。また、静岡でも、接待を伴う飲食店等でクラスターが発生し、感染が拡大。
    2. 今後の対応について
      • 感染の「増加要因」と「減少要因」の拮抗が崩れており、新型コロナウイルス感染症対策を含めた公衆衛生体制や医療提供体制を維持するためにも、可及的速やかに減少方向に向かわせる必要がある。
      • 11月20日の「分科会から政府への提言」において、これまでより強い対策として、(1)営業時間の短縮、(2)地域の移動に係る自粛要請、(3)GoToキャンペーン事業の運用見直しの検討、(4)これまでの取組の徹底、(5)経済・雇用への配慮、(6)人々の行動変容の浸透が提言された。11月21日の対策本部において、GoToトラベル事業の見直しやGoToイート事業の見直しの要請、営業短縮要請に伴う支援、重症者の発生を抑えるための医療施設や高齢者施設等における検査の推進等の方針が示されたが、政府や自治体において、速やかに実行することが求められる。
      • 感染が大きく拡大している地域では、公衆衛生体制や医療提供体制が既に厳しい状況になりつつある。国は積極的に地域の状況を把握し、自治体との緊密な連携体制の下、地域の感染および医療提供体制の状況を迅速に判断し、状況の改善のために必要な対策を迅速に講じるべきである。特にこうした地域では、医療資源を重症化するリスクのある者等に重点化していくために、高齢者も含め、医師が入院の必要がないと判断した無症状病原体保有者や軽症者について、宿泊療養(適切な場合には自宅療養)とすることが必要である。また、自治体のニーズに応じて、迅速・機動的な保健師等専門人材の派遣や病床確保に向けた働きかけなど調整支援等を引き続き行う。
      • 一方、現時点では大きな感染が見られない地域でも、急速な感染拡大に備えて医療提供体制の準備・確保等を直ちに進めて行く必要がある。
      • また、特に若年層や働き盛りの世代などに対し様々なチャネルを活用することで、飲食の場面も含むマスクの徹底など実際の行動変容につなげることが必要。また、感染の可能性を自覚しながらも、何らかの理由で検査を受けず、その結果2次感染に至っているのではないかとの指摘もあり、症状の疑われる場合には、かかりつけ医などに相談し、必要な検査に繋がるよう改めて周知していくことが必要。
      • 既に医療提供に困難が生じている地域では、接触機会の削減等感染者を減らすための強い対策を行うことが求められる状況である。今後の感染拡大を防ぐために、国も自治体も市民も事業者も一丸となって、感染を拡大しないための対策を進めていく必要がある。
    3. 現在の感染拡大を沈静化させるための分科会から政府への提言
      • はじめに
        • 11月20日の分科会の提言を受けた営業時間の短縮やGo To Travel事業の一時停止に関する政府及び自治体の迅速かつ適切な決断に感謝を申し上げる。
        • 春の段階よりも医療提供体制は着実に向上している。しかし、昨日の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで評価されたように、11月20日の時点に比べ、いくつかの都道府県の地域では、医療提供体制及び保健所への負担が更に深刻化しており、既にステージⅢ相当の対策が必要になっている。このままの状態が続けば、早晩、通常の医療で助けられる命を助けられなくなる事態に陥りかねない。
        • 介入が遅れれば遅れるほど、その後の対応の困難さや社会経済活動への影響が甚大になるため、迅速かつ集中的な対応が求められる。
      • 今すぐ解決すべき課題
        • 短期間(3週間程度)に現在の感染状況を沈静化するためには、政府や自治体、更に一般の人々や事業者も含め、社会全体が共通の危機感を共有し、現在の状況に一丸となって対処することが求められる。その際、克服すべき具体的な課題は以下のとおりである。
          1. 11月20日の分科会で提言したとおり、現在の状況を早期に打開するためには、感染が急速に拡大している地域では、(1)営業時間の短縮、(2)それ以外の地域との間で、感染防止策が徹底できない場合には、ステージⅢ相当の強い対策、が最も重要である。ところが、Go To Travel事業の運用見直しのみに社会の注目が集まり、最も重要なこの対策について、国、自治体、事業者、さらに一般の人々の間で十分に共有されていない。
          2. 昨日の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの評価でも、北海道・首都圏・関西圏・中部圏の一部の地域においては、感染拡大のスピードが急激で、クラスターが広範に多発し、医療提供体制が既に厳しい状況になっている。また、医療機関が少ない地方部で感染が拡大すると、より短期間で医療提供体制に深刻な影響を及ぼしかねない。
          3. 分科会としては、既にステージⅢ相当の対策が必要になっている地域もあり、営業時間の短縮及び人の往来や接触の機会を減らすことが必要と考えている。しかし、そうした感染状況に対し必要な対策がとられていない地域があり、都道府県と政府は連携して、具体的な取組みを迅速に進めることが求められる。
      • 分科会から政府への提言
        1. 年末年始を穏やかに過ごすためにも、この3週間に集中して、都道府県は、政府と連携し、ステージⅢ相当の対策が必要となる地域においては早期に強い措置を講じることとし、以下の対応を行って頂きたい。
          • 酒類を提供する飲食店における営業時間の短縮要請を早急に検討すること。
          • 夜間の遊興や酒類を提供する飲食店の利用の自粛を検討すること。ただし、仕事・授業・受診等、感染拡大リスクの低い活動を制限する必要はないことも併せて呼びかけること。
          • 必要な感染防止策が行われない場合は、ステージⅢ相当の対策が必要となる地域とそれ以外の地域との間の往来はなるべく控えること。その際には、テレワークなど在宅勤務を積極的に推進すること。
          • Go To Travel事業の一時停止を行うこと。その際、今後の状況に応じて、当該地域からの出発分についても検討すること。また、Go To Eat事業の運用見直しやイベントの開催制限の変更等も検討すること。
        2. 医療提供体制及び保健所への更なる負担を防ぐために、ステージⅢ相当の対策が必要となる地域においては、以下の対策を講じて頂きたい。
          • 高齢者施設等の入院・入所者等を対象に、特に優先して検査を実施するとともに、全国どこの地域でも、高齢者施設等で感染者が1例でも確認された場合には、迅速かつ広範に検査を行い、重症者の発生を重点的に予防すること。
          • 高齢者であっても比較的症状が軽い人については、基礎疾患も考慮して、宿泊療養又は自宅療養をお願いすること。なお、感染拡大する前から軽症者を受け入れる宿泊施設の準備を確実に行うこと。
          • ステージⅢ相当の対策が必要となる地域の中でも、特に医療提供体制及び保健所機能が厳しい状況にある地域に対し、今後数週間は感染状況がさらに悪化することを前提にして、患者搬送及び医療従事者の派遣等の支援について、政府は自衛隊の活用も含め全国的な支援を早急に検討すること。
          • 厳しい勤務体制で診療を続ける医療従事者に対する誹謗中傷が未だに見受けられ、離職の増加も強く懸念される。誹謗中傷を防止する啓発を継続し続けること。
        3. 特にこの3週間に集中して、「感染リスクが高まる「5つの場面」」及びマスク着用を含む「感染リスクを下げながら会食を楽しむ工夫」について、統一感をもってわかりやすく発信し、社会の隅々にまで浸透するよう、努力して頂きたい。
        4. これらの対策の実効性を高めるために、財政面も含め、医療・経済・雇用等への一層の支援を行うこと。
        5. この3週間の対策の効果を新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード及び分科会で評価し、万が一効果が不十分であった場合には更なる対策を行う必要がある。
    4. 「偏見・差別とプライバシーに関するワーキンググループ これまでの議論のとりまとめ」を踏まえた今後の更なる取組み
      1. 新型コロナウイルス感染症に関する正しい知識の普及、偏見・差別等の防止等に向けた啓発・教育の強化
        • 関係各省において、SNS・ホームページ・政府広報等により、新型コロナウイルス感染症に関する基本情報や感染予防対策、偏見・差別等の防止に向けた啓発・教育に資する発信を強化【法務省・文部科学省・厚生労働省】
        • 新型コロナウイルス感染症に関する政府の統一的なホームページ(go.jp)において、各省の偏見・差別等に向けたメッセージについて、統一的に情報発信【内閣官房】
        • 上記ホームページにおいて、取組みの横展開に資するため、地方自治体や関係団体等の取組みについて、事例を収集し発信【内閣官房】
      2. 偏見・差別等への相談体制の強化、SNS等による誹謗中傷等への対応
        • 関係する各機関の職員研修等において、本WG等の専門家等から得た新型コロナウイルス感染症に関する正しい知識や、対応する各相談窓口の特徴、地方自治体における取組み等について、周知・徹底【内閣官房・法務省・厚生労働省】
        • 地方自治体における相談体制構築の取組みについて、国が支援【内閣官房・厚生労働省】
        • いじめなどの悩みを抱える児童生徒からの相談を受けつける「SNS等を活用した相談事業」の実施【文部科学省(継続)】
      3. 悪質な行為には法的責任が伴うことの市民への周知
        • 新型コロナウイルス感染症対策に関する政府の統一的なホームページ等において、差別事例を提供しつつ、悪質な行為の法的効果を周知【内閣官房】
        • 関係する各機関の職員研修や地方自治体向けの会議等において、差別事例の法的効果について地方自治体等に周知・徹底【内閣官房・厚生労働省】
      4. 新型コロナウイルス感染症の特性を踏まえた情報公表に関する統一的な考え方の整理
        • 新型コロナウイルス感染症の特性を踏まえた情報の公表の在り方について、改めて国としての考え方を整理し、公表【内閣官房・厚生労働省】
      5. 新型コロナウイルス感染症対策に関する施策の法的位置づけ等
        • 感染者等への偏見・差別等の防止や相談等の対策について、国、自治体等の関係者が連携してより実効的に推進するため、特措法に基づく基本的対処方針に盛り込む。【内閣官房】
      6. 各地方自治体の取組みの支援
        1. 今後必要に応じ、本WGが行う各地方自治体への取組みへの専門的な見地からの助言・支援等において、事務局として専門家と連携しながら必要な役割を果たす。【内閣官房・法務省・文部科学省・厚生労働省】

    ~NEW~
    首相官邸 全世代型社会保障検討会議(第11回)配布資料
    ▼資料1 公益社団法人日本医師会 中川 俊男氏提出資料
    • 後期高齢者は1人当たり医療費が高いので、年収に対する患者一部負担の割合はすでに十分に高い。患者一部負担割合の引き上げによって、受診控えのおそれがある。また、たとえ受診したとしても、患者負担が重荷となり、必要な医療を遠慮される懸念がある。
    • 応能負担(収入や所得に応じた負担)は、本来は保険料(共助)および税(公助)で求めるべきである。患者一部負担での応能負担は、「限定的に」すべきである。
    • 患者負担割合は「高齢者の医療の確保に関する法律」によって決まっている。後期高齢者は現役並み所得者は3割負担、それ以外は1割負担で、世代内格差がある。仮にその間の負担割合を作るとしても、法改正が必要なことから、国民の納得と合意は絶対に必要である。
    • 後期高齢者の患者負担割合については、保険料や税負担、収入や所得、高額療養費の財政面、そして高齢者の生活や心身の状態なども十分配慮して、厚生労働省の関係審議会で丁寧に議論を行っていく必要がある。
    • 新型コロナウイルス感染症禍での受診控えによる今後の健康への影響が懸念されるところである。さらなる受診控えを生じさせかねない政策をとり、高齢者に追い打ちをかけるべきではない。
    • 1人当たり医療費は年齢とともに上昇する。後期高齢者は現役並み所得者を除いて患者一部負担は1割であり、1人当たり患者負担額は75歳になると一時的に下がるが、年齢とともにふたたび上昇する。特に後期高齢者の患者一部負担はかなり重い。なお、むしろ65~69歳の患者負担が重いことも課題である。
    • 高齢者は年収が大きく低下するので、現在は、患者一部負担割合は原則1割であるが、収入に対する患者一部負担の比率はほぼ年齢とともに上昇する。後期高齢者では、1割負担の現状でもかなりの負担である。
    • 後期高齢者が過剰な受診をしているとは言えない。入院外受診回数の中には在宅医療も含まれている。国が在宅医療を推進している中、適切な在宅医療から高齢者を遠ざけるようなことをしてはならない。
    • 後期高齢者の現役並み所得者は後期高齢者の7%であり、負担割合は3割である。それ以外の1割負担と世代内格差はある。しかし、これを是正するとしても、限定的にとどめ、かつ、同時に低所得者の負担に配慮する必要がある。
    • 社会保障審議会医療部会および医療計画の見直し等に関する検討会において、外来機能のあるべき姿および連携のあり方について、丁寧に議論することが先決である。
    • 外来機能については、かかりつけ医機能の考え方が定着しつつあるが、専門医のあり方も含め地域格差や医師の偏在などが大きく存在している。実態を把握するとともに、医療資源のみに着目することなく、医師の教育課程も含めた将来的な視点からの議論が必要である。
    • 現状では、医療資源を重点的に活用すべき「特定機能病院」において慢性期の外来診療が多数行われており、一方、地域における医療連携を主軸にすべき基幹的病院が地域医療支援病院になっていないという状況も見受けられる。このような現状の適正化により、病院や外来の機能分化は推進可能と考える。
    • 病院の機能は規模だけで決まるものではなく、例えば医療機関の少ない地域では、一つの病院が外来も含めすべての医療に対応しなければならないなど、その機能は様々である。すでに地域医療構想調整会議において各地域の機能分化の最適化が図られているところであり、病院の外来機能は、地域の実情によって様々である。病床数で線引きされうるものではない
    • 紹介状なしで受診した患者からの定額負担の徴収については、昨年12月11日の中医協において400床以上から200床以上の地域医療支援病院に拡大することとされ、本年4月の診療報酬改定で実行されたばかりである。この検証をしっかり行うべきである。
    • 現在のところ、再診時の定額徴収はきわめて少ないが、外来機能分化のためには患者を地域に戻すことが有効であり、再診時の定額負担を強化すべきである。
    • 大病院(500床以上)を除いて、どの病床規模階級でも入院はケアミックス型の病院のほうが多い。地域の様々な実情によるものと推察される。外来についてもどのような機能を担っているかは、地域によって様々であり、全国一律に病床規模で線引きできるものではない。
    • 定額負担の徴収義務がある病院であっても、実際に定額負担を徴収した患者は初診で約1割、再診ではわずか0.1%である。再診時には、さまざまな理由を付して定額負担が徴収されていないが、徴収範囲を拡大すべく仕組みを見直すべきである。
    • 初診の場合は、定額負担を徴収しなかった理由は「救急の患者」、「救急医療事業、周産期事業等における休日夜間受診患者」等である。再診の場合は、緊急やむを得ない理由以外が少なくない。現行の再診での徴収のあり方について見直すべきである。
    ▼資料7 厚生労働大臣提出資料
    • 全世代型社会保障検討会議中間報告等(昨年12月19日、本年6月25日)では、一定所得以上の方については医療費の窓口負担割合を2割(それ以外の方は1割)を決定。
    • 2割負担とする「一定所得以上」の範囲、改革の施行時期、長期頻回受診患者等への配慮措置について、年末までに全社会議で最終報告をとりまとめ。
    • 2022年に団塊の世代が後期高齢者となりはじめる中、現役世代の負担上昇に歯止めをかけることは重要な課題。高齢者の疾病や生活の状況も踏まえた上で、負担能力に応じて負担いただくことが重要であり、その観点から、医療保険部会で議論。
    • 現在、特定機能病院等について、紹介状なしで外来受診した場合に定額(初診:5,000円)を徴収。
    • 全世代型社会保障検討会議中間報告等では、より機能分化の実効性が上がるよう、患者の負担額を増額し、増額分について公的医療保険の負担を軽減するよう改めるとともに、大病院・中小病院・診療所の外来機能の明確化を行いつつ、それを踏まえ対象病院を病床数200床以上の一般病院に拡大する方向性を決定。
    • 大病院への患者集中を防ぎ、かかりつけ医機能の強化を図る観点から、医療保険部会等で議論し、年末までに全社会議で最終報告をとりまとめ
    • 【議論の内容】11/5の医療部会に以下の方向性を提示
      • 外来機能報告制度(仮称)を創設することで、新たに「紹介患者への外来を基本とする医療機関」(外来化学療法、がん手術前後の外来など「医療資源を重点的に活用する外来(仮称)」を地域で基幹的に担う医療機関)を明確化
    • 11/19の医療保険部会に以下の方向性を提示
      • 定額負担の徴収義務について、上記の医療機関のうち、一般病床200床以上の病院にまで拡大
    • 受診の際に少なくとも生じる初・再診料相当額を目安に保険給付の範囲から一定額を控除し、それと同額以上に定額負担を増額。(例:初診料について2,000円控除した場合、増額幅は2,000円以上)

    ~NEW~
    消費者庁 鏡やガラス玉で起こる「収れん火災」に注意!-日差しが部屋の奥まで届く冬場に発生しています-
    • 太陽光がレンズや鏡により反射又は屈折して1点に集まることを収れん現象といい、その場所に可燃物があると火災に至る場合があります。
    • 事故情報データバンクには、平成22年4月から令和2年9月までに収れん火災に関連する事故情報が20件寄せられており、昨年は3件発生していました。収れん火災の原因となった物は、鏡や透明な球体が多く、吸盤や車のホイール、置き時計や照明器具、除菌剤など多岐にわたり、いずれも家庭内にある身近な物ばかりでした。1年のうち1月と11月、4月に多く発生しており、これから空気が乾燥しやすく、太陽の高度が低くなって部屋の奥まで光が差し込む冬場を迎えるに当たり、以下の点に注意しましょう。
      1. 窓際や太陽光が差し込む範囲には、収れん現象が起こる可能性がある鏡やガラス玉等を置かないようにしましょう。
      2. 外出する際には、カーテンを閉めて遮光しましょう。
      3. 自動車やバイク、水を入れたペットボトルなど屋外にも気を付けましょう。
      4. 朝夕や冬場は太陽の高度が低く、部屋の奥まで太陽光が差し込みやすいので特に注意しましょう。

    ~NEW~
    消費者庁 新しい生活様式(生活シーン別)
    ▼「新しい生活様式」の実践例を踏まえた新しい日常に向けて消費者に知っておいていただきたい事項(寒冷な場面)
    • 寒冷な場面における感染防止対策
      • 冬季における感染防止対策のため、「寒冷な場面における新型コロナ感染防止等のポイント」が公表されています。「基本的な感染防止対策の実施」、「寒い環境でも換気の実施」、「適度な保湿」に十分留意しましょう。
    • 住宅の換気方法について
      • 冬場の換気による室温の急激な変化で体調を崩さないよう、あらかじめ暖房をつけて部屋を暖めたり、エアコンからできる限り離れたところの窓を開ける、2段階換気をするといった工夫をしながら換気を行いましょう。
      • 一般社団法人日本建築学会が公表している「住宅における換気によるウイルス感染対策について」では、次のように示されています。(注:いずれも、家族に感染者がいないと思われる場合を想定。)
        1. 機械換気による方法
          • 2003年(平成15年)7月以降に建築された住宅の居室には、シックハウス対策として、換気回数0.5回/h以上の設備容量を持つ機械換気設備(いわゆる24時間換気システム等)が設置されています。適切な機械換気の運転、維持管理が重要であるため、以下を厳守しましょう。
          • 換気システムのスイッチを入れて常時運転しましょう。暖房時も換気システムは運転しましょう。
          • フィルターや防虫網を清掃しましょう。
        2. 自然換気による方法
          • トイレ、浴室に換気扇などの換気設備がある場合は、常時運転しましょう。
          • 換気設備がない場合は、窓を開放して換気を行いましょう。
          • 窓を開ける場合は5cmから15cmを目安に、各室のドアも併せて常時開放しましょう。
          • 冬季の暖房時についても換気設備が無い場合は、室温が18°C以上を確保できる範囲で窓を開けて換気をしましょう。また、冬期は室内が乾燥し過ぎることがないよう、相対湿度40%を下回らないように加湿器などを利用して調節しましょう。
          • 住宅における換気によるウイルス感染対策について(一般社団法人日本建築学会)
    • 加湿器を使用する際の注意点
      • やけどに注意!
        • スチーム式加湿器の使用時、蒸気や倒した際にこぼれた湯などでやけどを負う事故が発生しています。特に、電源コードを含め、子どもの手が届く範囲には置かないようにしましょう。
      • 火災に注意!
        • 加湿器による火災も多く発生しています。取扱説明書や器具本体に表示された注意事項をよく読み、正しく使用してください。
        • 製品本体の周囲は十分な空間を空けて使用してください。吸気口や吹き出し口が塞がれると、本体の温度が上昇し、製品樹脂の変形や発火のおそれがあります。
        • 異常や故障がある場合は、すぐに運転を停止し、電源プラグを抜いてください。
        • お使いの製品がリコール製品でないか、確認してください。
        • 消費者庁 リコール情報サイト
        • ※消毒剤等の噴霧については、WHOの見解によれば、「COVID-19について、噴霧や燻蒸(くんじょう)による環境表面への消毒剤の日常的な使用は推奨されない」「消毒剤を人体に噴霧することは、いかなる状況であっても推奨されない。これは、肉体的にも精神的にも有害である可能性があり、感染者の飛沫(ひまつ)や接触によるウイルス感染力を低下させることにはならない」とされています。(経済産業省ニュースリリース3「次亜塩素酸水」の空間噴霧について(ファクトシート)(6月29日版)仮訳より)また、消毒剤等が「使用できない」と明記されている製品もあります。

    ~NEW~
    国民生活センター まつ毛エクステンションスクールで「受講終了後すぐ開業できる」と言われた
    1. 質問
      • まつ毛エクステンションのスクールで「カリキュラムを修了したら即開業できる」と言われ、受講しようと考えています。このスクールで資格は取れませんが、講師は「資格を持っていなくても大丈夫」と言っていました。開業するために資格は必要ないのでしょうか。
    2. 回答
      • まつ毛エクステンションを業として行うためには美容師の国家資格(免許)が必要で、施術を行う美容所を開設する際は都道府県等への届出が必要となります。受講を申し込む前に自分で情報収集をしてよく確かめ、相手の説明が疑わしいと思ったらきっぱり断りましょう。
    3. 解説
      • まつ毛エクステンション(まつ毛エクステ)は、まつ毛を長く濃く見せるために行うメイクアップ技術で、接着剤(グルー)を用いて、まつ毛に類似した人工毛をまぶたから1~2mmほど離してまつ毛に装着するものです。
      • 美容師法は、美容を業(注)として行うには厚生労働大臣の免許を受けなければならないとしており、まつ毛エクステンションは美容行為に含まれるため、施術を行うには美容師の免許が必要となります。美容師免許を取得するには、厚生労働大臣の指定した美容師養成施設で、必要な学科・実習を修了した後、美容師試験に合格する必要があります。
      • また、施術を行う美容所を開設するには、都道府県等へ届出をするとともに、事前に検査確認を受ける必要があります。
      • 美容師法についての詳細は、以下を参照してください。
      • 勧誘を受けた際は注意しましょう
        • まつ毛エクステンションに限らず、他人の体に直接何か作用を及ぼすような施術を用いる仕事は、上記のとおり国家資格が必要であったり、開業の際に所定の手続き等を求められる場合が多いです。相手の説明をうのみにするのではなく、自分でもしっかり調べて情報収集をしたうえで申し込みましょう。相手の説明が疑わしいと思ったらきっぱりと断ることが大切です。
        • お困りの際にはお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。

      ~NEW~
      国民生活センター それって占い?!占い師や鑑定士を名乗る者から次々とメッセージが届いてやめられない-占いサイトのトラブルに注意-
      • 全国の消費生活センター等には、占いサイトやアプリ(以下、占いサイト等)に関する相談が年間1,000件以上寄せられており、2019年度以降、増加しています。特に女性の相談が多く、8割が女性のトラブルです。
      • 消費者が無料のつもりで占いサイト等に登録すると、占い師や鑑定士を名乗る者に「あなたは素晴らしい金運を持っている」「良縁に恵まれる」などと言われ、複数回にわたって占いや運勢鑑定と称したやりとりをしたものの、金運や恋愛運の向上等の結果は得られず、やりとりのために高額なお金を支払ってしまったなどのトラブルがみられます。そのほか、「占いサイトに名前や生年月日等を登録してから、知らないサイトからメールがたくさん届くようになった」など占いサイト等に関連した迷惑メールや、電話の占いサービスに関する相談も寄せられています。
      • 年度別相談件数:2016年度は1,490件、2017年度は1,406件、2018年度は1,430件、2019年度は1,837件、2020年10月31日までの件数は1,016件です
      • 相談事例
        1. 「必ず宝くじの高額当選に導く」と言われたがいつまで経っても結果が出ない
          • 携帯電話でインターネットを閲覧していると占いサイトの体験ページがあり、名前や生年月日等を登録した。その後、金運専門の鑑定士Aから鑑定チケットを1,000円で発行するとのメッセージがあり、クレジットカードで支払った。Aから職業や所得等を聞かれて答えると、「一攫千金の鑑定士Bが一週間日本にいるので紹介したい」「Bは選ばれし者のみを鑑定し、必ず宝くじの高額当選に導く」と言われた。やりとりについて口外しないこと、最後まで鑑定を受けること、Bを信じることを約束させられ、Bの鑑定の実績の証拠として、宝くじの当選者の通帳の写真が届いた。2日間の無料期間終了後はメッセージ一通あたり1,500円分のポイントが必要となったが、宝くじの当選番号を導き出すために特定の言葉を一文字ずつ送信するよう指示され、2週間以上やりとりし、ポイント料金や鑑定料として銀行口座振込で約17万円、クレジットカードで約38万円を支払った。いつまで続けたら結果が出るのかBに聞いても明確な回答がなく、「結果を出さないと必ず高額当選に導くという実績が崩れるため困る」「波動が乱れているから調整が必要だ」などと言われ、騙されていると思った。返金してほしい。
        2. その他、以下のような相談も寄せられています。
          • 無料鑑定で三つの「徳」を授けてもらえると言われたが、無料鑑定期間を過ぎても最後の一つを授かることができず、高額なお金を支払ってしまった
          • 無料と思って占いアプリをインストールしたが、無料で利用できるのは最初の3日間だけだった
          • 電話の占いで無料時間分だけ利用するつもりが、途中で電話を切ることができず高額な料金を請求された
          • 無料占いサイトに個人情報を入力したら、迷惑メールが大量に届くようになった
      • 相談事例からみた問題点
        • 無料で利用するつもりが有料のやりとりに誘導されている
        • 自分だけに向けられた言葉と思わせるメッセージが多数の消費者に届いている
        • 数字や記号、特定の言葉等を延々と送信させられて支払いが高額になっている
        • やめたいと思っても占い師や鑑定士に引き止められてやめられない
        • 個人情報を入力すると意図せず会員登録されたり、複数の占いサイト等からメールが届く
      • 消費者へのアドバイス
        • 無料の占いだからといって気軽に氏名や生年月日、メールアドレス等の個人情報を入力しないようにしましょう
        • 占い師や鑑定士を名乗る者からメッセージが届いても安易に返信しないようにしましょう
        • 占い師や鑑定士の言葉をうのみにしてやりとりを継続しないようにしましょう
        • トラブルに遭ったと感じた場合は、最寄りの消費生活センター等に相談しましょう

      ~NEW~
      国民生活センター 宅配便業者を装った「不在通知」の偽SMSに注意しましょう-URLにはアクセスしない、ID・パスワードを入力しない!-
      • 全国の消費生活センター等には、宅配便業者を装った「不在通知」の偽SMSに関する相談が寄せられています。
      • 消費者に送られてくるSMS(ショートメッセージサービス)には偽サイトに誘導するためのURLが記載されており、相談事例では、偽サイトにアクセスして不正なアプリをインストールした結果、同じ内容のSMSが自身のスマートフォンから自動的に多数の宛先に送信されてしまい、身に覚えのない通信料を請求されるケースがみられます。
      • また、アクセスした偽サイトで入力したID・パスワード、暗証番号、認証コード等が携帯電話会社のキャリア決済などで不正利用されて、身に覚えのない請求を受けるケースもみられます。
        1. 消費者のスマートフォンに、「お客様宛にお荷物のお届けにあがりましたが不在の為持ち帰りました。下記よりご確認ください」という内容の偽SMSが送られてきます。
        2. 送られてきたSMSには偽サイトに誘導するためのURLが記載されています。
        3. ケース1では、偽サイトにアクセスして不正なアプリをインストールした結果、消費者のスマートフォンから同じ内容の偽SMSが多数送信されて、身に覚えのない通信料が発生します。
        4. ケース2では、偽サイトにアクセスしてID・パスワード等を入力した結果、キャリア決済などを不正利用されて、身に覚えのない請求を受けます。
      • 相談事例
        • 【ケース1】 偽サイトにアクセスしたあと自身のスマートフォンからSMSが多数送信されてしまった
          • スマートフォンに宅配荷物の不在通知のSMSが届き、確認するためリンク先にアクセスした。すると何かダウンロードするような画面になったが、すぐ元に戻ったので静観していた。数日後、見知らぬ複数の相手から電話の着信があり、不在配達の荷物の受け取りについての申し出を受けたので「私は無関係だ」と伝えて電話を切った。その後、電話番号を変更するため携帯電話のショップを訪れ、請求内容を確認したところ、SMSが届いて以降、私の電話番号から海外宛てにSMSが100回以上送信されているとのことで、通信料を1万円以上請求されていた。請求を取消してほしい(2020年8月受付 40歳代 男性)
        • 【ケース2】 偽サイトにアクセスしたあとキャリア決済などを不正利用されてしまった
          • 数か月前にスマートフォンに宅配便の不在連絡のようなSMSが届いたので、記載されていたURLにアクセスした。その時に何を入力したのか明確には覚えていないが、氏名などの個人情報を入力して返信してしまったかもしれない。その後、約11万円がキャリア決済されていて、電子マネーが購入されていることが分かった。(2020年5月受付 40歳代 男性)
      • 消費者へのアドバイス
        1. SMSやメールで「不在通知」が届いても、記載されているURLには安易にアクセスしないようにしましょう。
        2. URLにアクセスした場合でも、提供元不明のアプリをインストールしたり、ID・パスワード等を入力したりしないようにしましょう
        3. 不正なアプリをインストールした場合にはスマートフォンを機内モードにして、アプリをアンインストールしましょう
        4. 偽サイトにID・パスワード等を入力してしまったら、すぐに変更しましょう
        5. 迷惑SMSやメール、ID・パスワード等の不正利用への事前対策をしておきましょう
          • 携帯電話会社の対策サービスやセキュリティーソフト等を活用しましょう
          • ID・パスワード等の使い回しはやめましょう
          • キャリア決済の限度額を必要最小限に設定するか、利用しない設定に変更しましょう
        6. 不安に思ったりトラブルに遭ったりした場合は最寄りの消費生活センター等に相談してください

      ~NEW~
      国民生活センター 長期保管のカセットボンベ ガス漏れに注意!
      • 内容
        • 数年前に災害時の備蓄として、購入しておいたカセットボンベをコンロで使用したところ、火が出た。すぐに消し止めたが、ボンベからシューと音が漏れていた。(60歳代 男性)
      • ひとこと助言
        • カセットボンベは、製造から長期間経過したり、保管環境が悪かったりすると、内部パッキンの劣化などによってガス漏れする可能性があり大変危険です。
        • 使用期限の目安は製造後約7年とされています。製造年月日を確認してから使用しましょう。製造年月日が分からないものや金属部分に変形やさびが見られるものは使用をやめましょう。
        • 先端のキャップを付けた状態で、直射日光の当たらない40℃以下の湿気の少ない場所で保管しましょう。
        • 空になったカセットボンベは、お住まいの自治体のルールに従って廃棄しましょう。古いボンベやガスが残っている状態で処分したい場合は、製造事業者等へ問い合わせましょう。

      ~NEW~
      厚生労働省 新型コロナウイルス感染症について
      ▼(11月時点)新型コロナウイルス感染症の“いま”についての10の知識
      • 日本では、これまでにどれくらいの人が新型コロナウイルス感染症と診断されていますか。
        • 日本では、これまでに約139,491人が新型コロナウイルス感染症と診断されており、これは全人口の約0.1%に相当します
      • 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、重症化する人や死亡する人はどれくらいですか。
        • 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、重症化する人の割合や死亡する人の割合は年齢によって異なり、高齢者は高く、若者は低い傾向にあります。重症化する割合や死亡する割合は以前と比べて低下しており、6月以降に診断された人の中では、重症化する人の割合は約1.6%(50歳代以下で0.3%、60歳代以上で8.5%)、死亡する人の割合は約1.0%(50歳代以下で0.06%、60歳代以上で5.7%)となっています。
      • 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、重症化しやすいのはどんな人ですか。
        • 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち重症化しやすいのは、高齢者と基礎疾患のある方です。重症化のリスクとなる基礎疾患には、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、心血管疾患、肥満があります。また、妊婦や喫煙歴なども、重症化しやすいかは明らかでないものの、注意が必要とされています。
      • 海外と比べて、日本で新型コロナウイルス感染症と診断されている人の数は多いのですか。
        • 日本の人口当たりの感染者数、死者数は、全世界の平均や主要国と比べて低い水準で推移しています。
      • 新型コロナウイルスに感染した人が、他の人に感染させてしまう可能性がある期間はいつまでですか。
        • 新型コロナウイルスに感染した人が他の人に感染させてしまう可能性がある期間は、発症の2日前から発症後7~10日間程度とされています。また、この期間のうち、発症の直前・直後で特にウイルス排出量が高くなると考えられています。このため、新型コロナウイルス感染症と診断された人は、症状がなくとも、不要・不急の外出を控えるなど感染防止に努める必要があります。
      • 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、どれくらいの人が他の人に感染させていますか。
        • 新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、他の人に感染させているのは2割以下で、多くの人は他の人に感染させていないと考えられています。このため、感染防護なしに3密(密閉・密集・密接)の環境で多くの人と接するなどによって1人の感染者が何人もの人に感染させてしまうことがなければ、新型コロナウイルス感染症の流行を抑えることができます。体調が悪いときは不要・不急の外出を控えることや、人と接するときにはマスクを着用することなど、新型コロナウイルスに感染していた場合に多くの人に感染させることのないように行動することが大切です。
      • 新型コロナウイルス感染症を拡げないためには、どのような場面に注意する必要がありますか。
        • 新型コロナウイルス感染症は、主に飛沫感染や接触感染によって感染するため、3密(密閉・密集・密接)の環境で感染リスクが高まります。このほか、飲酒を伴う懇親会等、大人数や長時間におよぶ飲食、マスクなしでの会話、狭い空間での共同生活、居場所の切り替わりといった場面でも感染が起きやすく、注意が必要です
      • 新型コロナウイルス感染症を診断するための検査にはどのようなものがありますか。
        • 新型コロナウイルス感染症を診断するための検査には、PCR検査、抗原定量検査、抗原定性検査等があり、いずれも被検者の体内にウイルスが存在し、ウイルスに感染しているかを調べるための検査です。新たな検査手法の開発により、検査の種類や症状に応じて、鼻咽頭ぬぐい液だけでなく、唾液や鼻腔ぬぐい液を使うことも可能になっています。なお、抗体検査は、過去に新型コロナウイルス感染症にかかったことがあるかを調べるものであるため、検査を受ける時点で感染しているかを調べる目的に使うことはできません
      • 新型コロナウイルス感染症はどのようにして治療するのですか。
        • 症の場合は経過観察のみで自然に軽快することが多く、必要な場合に解熱薬などの対症療法を行います。呼吸不全を伴う場合には、酸素投与やステロイド薬(炎症を抑える薬)・抗ウイルス薬の投与を行い、改善しない場合には人工呼吸器等による集中治療を行うことがあります。こうした治療法の確立もあり、新型コロナウイルス感染症で入院した方が死亡する割合は低くなっています。発熱や咳などの症状が出たら、まずは身近な医療機関に相談してください。
      • 新型コロナウイルス感染症に対するワクチンは実用化されているのですか。
        • 現在、新型コロナウイルス感染症のワクチンについては、早期の実用化を目指し、国内・海外で多数の研究開発が精力的に行われています。通常より早いペースで開発が進められており、既に、臨床試験が進められています。
        • 一般的に、ワクチンには感染症の発症や重症化を予防する効果があります。新型コロナウイルス感染症のワクチンは開発中の段階であり、有効性や安全性に関する臨床試験の結果の詳細については、今後、更なる情報が明らかになるのを待つ必要があります。これまで、ファイザー社、モデルナ社、アストラゼネカ社は、第3相試験で、開発中のワクチンを投与した人の方が、投与していない人よりも、新型コロナウイルス感染症に発症した人が少なかったとの中間結果が得られたと発表しています。
        • 一般的にワクチン接種には、副反応による健康被害が極めて稀ではあるものの、不可避的に発生します。現在、開発中の新型コロナウイルス感染症のワクチンの副反応については臨床試験等でどのようなものが起こりうるか確認されているところです。日本への供給を計画している海外のワクチンでは、ワクチン接種後に、ワクチン接種と因果関係がないものも含めて、接種部位の痛みや、頭痛・倦怠感・筋肉痛等の有害事象がみられたことが報告されています

      ~NEW~
      厚生労働省 冬場における「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法
      ▼冬場における「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法について
      • 室温及び相対湿度の基準等について
        1. 低い室内温度により、呼吸器系と循環器系の疾患の罹患率と死亡率が上昇することについて多くの報告があることを踏まえると、「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気と、室温を適切に維持することを両立することは重要である。高齢者、子供等、低室温に脆弱な者にとっては、特に重要である。」
        2. ビル管理法に定める空気環境の基準のうち、居室における温度の下限値は17℃であるが、呼吸器系と循環器系疾患の罹患率と低室温との関連があるとの多くの報告とWHO(2018)の推奨を踏まえると、健康影響を防止するため、一般的な商業施設等においては、室内温度を18℃以上に維持することが推奨される。
        3. 相対湿度については、ビル管理法において、40%が下限値として採用されている。この値は、インフルエンザウイルスの不活性化率が最も高い相対湿度は約40%~60%にあるとの報告や、低温低湿度環境が呼吸器官の感染症に対する防御機構に悪影響を与えることに基づいて設定されている。
        4. エアロゾル状態での新型コロナウイルスの不活性化率と相対湿度との関係については、十分に知見が蓄積されていないが、40%を相対湿度の下限値とすることは現時点の知見では妥当であると判断される。エアロゾル状態での新型コロナウイルスの不活性化率と相対湿度との関係については、条件によって異なる結果が報告されているが、相対湿度40%未満の環境における新型コロナウイルスの生存率が湿度40%以上の環境より高いことを否定する報告は見られない。また、物体表面における新型コロナウイルスについても、相対湿度40%未満の環境では、それ以上の湿度環境下と比較して、半減期が有意に長いことが報告されている。
        5. 外気温が非常に低いときに窓の開放によって外気取り入れを行う場合は、一時的にでも室温が18℃を下回ることを避けるため、また、室温が急激に変動することを避けるため、定期的に窓を全開する方法ではなく、常時、窓を少し開けて連続的に外気を取り入れつつ、暖房器具によって、常時、居室における温度及び相対湿度を18℃以上かつ40%以上に維持する方法が望ましい。また、加湿器を併用することも有効である。人がいない部屋の窓を開け、廊下を経由して、少し暖まった状態の新鮮な空気を人のいる部屋に取り入れること(二段階換気)も、室温を維持するために有効である。
      • 換気量、換気回数の基準について
        1. 厚生労働省(2020a)においては、CDC(2003)やWHO(2009)が根拠とする、換気回数が毎時2回以下となったときに、結核とはしかの拡散に有意な関連があったという報告を踏まえ、一人あたり毎時30m3は、「換気の悪い密閉空間」を改善するための必要換気量として、一定の合理性を有するとしており、その判断は、現状の知見においても妥当である。新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生した施設について、換気量や換気回数が報告されている文献は少ないが、必要換気量(一人あたり毎時30m3)と矛盾するものはない。
        2. なお、「換気の悪い密閉空間」はリスク要因の一つに過ぎず、一人あたりの必要換気量を満たすだけで、感染を確実に予防できるわけではない。密集した環境や近距離(手を伸ばしたら届く距離)での会話等を避ける、という感染リスク低減対策が併せて実施されることを前提として、必要換気量が定められていることに留意する必要がある。
        3. この意味で、SAGE-MEG(2020)の提案する「一人あたり毎時36-54m3以上(二酸化炭素濃度800ppm未満)」は、一人あたり専有面積1.7m2(1.3m×1.3mの正方形)という手を伸ばせば届く距離で30人が歌唱、大声や有酸素活動を行う場面を想定した換気量であり、必要換気量(一人あたり毎時30m3)が前提とする場面とは異なる。このような場面では、飛沫感染や接触感染による感染リスクが支配的であることは明らかであり、換気量増加の有益性は否定されないものの、まずは、このような状態とならないよう、密集、密接な接触を避ける方策を優先すべきである。
      • 二酸化炭素濃度の基準、測定方法について
        1. 二酸化炭素濃度については、人体から発生する二酸化炭素に基づき計算すると、室内の二酸化炭素濃度を1000ppmに維持することは、1人あたりの換気量として毎時約30m3を確保することに相当する。このため、二酸化炭素濃度の測定は、多人数が利用する空間における不十分な換気を明らかにするための効果的な方法である。ただし、換
        2. 気に加えて空気清浄機や紫外線殺菌等を併用する場合、二酸化炭素濃度測定はこれら措置の効果を評価することができないため、適切な評価方法とはならないことに留意する必要がある。
        3. 二酸化炭素濃度の測定については、NDIRセンサーが比較的安価で扱いやすい測定器として推奨されるが、測定結果は目安として使用し、測定器の製造者等によって定期的に校正が行われている場合を除き、正確な測定値として扱うべきでない。校正が行われていない場合、屋外の二酸化炭素濃度を測定し、測定値が外気の二酸化炭素濃度と大きく乖離しないことを確認することも有効である。外気の二酸化炭素濃度は、地域、季節、時間によって異なるが、気象庁の国内3地点の測定結果(2019年平均)では、412415ppm程度であった(気象庁(2020))。首都圏及び名古屋の外気二酸化炭素濃度はこれら3地点と比較して20-30ppm程度高い(林ら(2019)))ことから、都市部での外気二酸化炭素濃度は、435-445ppm程度であると推定される。
        4. 二酸化炭素測定器の設置場所としては、ドア、窓、換気口から離れた場所で、人から少なくとも50cm離れた場所とすべきである。なお、ビル管理法で定める二酸化炭素濃度の測定として実施する場合は、部屋の中央部の床上75cm以上150cm以下の位置で測定を行う必要がある。
        5. 二酸化炭素濃度の測定の頻度については、ビル管理法やSAGE-EMG(2020)は、二酸化炭素濃度の連続測定を求めていないことに注意が必要である。機械換気設備があり、居室内の人数に大きな変動がない場合には、定常状態において二酸化炭素濃度を定期的に測定すれば足りる。二酸化炭素濃度の連続測定は、機械換気がない、または換気量が十分でないため、窓開けによる換気を行う場合に、感染リスクの指標として用いることが推奨されている(SAGE-EMG(2020))。二酸化炭素濃度の連続測定を実施する場合、測定担当者に連続測定の値に基づいてとるべき適切な行動をあらかじめ慎重に指導する必要がある。
      • 空気清浄機の補助的な使用について
        1. 換気機能を持つ冷暖房設備又は機械換気設備を設けている建築物の場合、外気取り入れ量を適切に調整すれば、一人あたり毎時30m3の必要換気量を維持しつつ室温18℃を維持することが可能である。しかし、冷暖房設備に換気機能がない場合、機械換気設備が設置されていない場合又は設置されていても換気量が不十分な場合には、必要換気量を確保するためには窓を開ける必要がある。外気温が低い場合に、必要換気量を確保するために窓の開放による換気を行うと、暖房器具の能力を最大に設定しても、温度及び相対湿度の基準を維持できなくなることが想定される。
        2. 室温18度以上及び相対湿度40%以上を維持した上で、「換気の悪い密閉空間」を改善するためには、窓の開放による換気に加え、市販の空気清浄機を補助的に使用することが有効である。米国EPAや米国、欧州の空調関係の学会は、外気取り入れを推奨しつつ、HEPAフィルタ付きの空気清浄機を換気の補助として使用することを推奨している(USEPA(2020),ASHRAE(2020),REHVA(2020))。
        3. 厚生労働省(2020b)は、空気清浄機の定量的なウイルス低減効果の評価については、さらなるデータの蓄積が必要であるが、HEPAフィルタ方式の空気清浄機に、空気中のウイルスを低減させる効果があることは明らかであるとしている。その根拠として、
        4. インフルエンザウイルスを使用した実験や、模擬隔離病室における実験結果を挙げている(西村(2011)、Quinetal.(2010)、Mousavietal.(2020))。
        5. HEPAフィルタによるろ過式以外の捕集方式では、その捕集性能にばらつきが大きく、性能を一律に評価することが困難である。なお、捕集効率がHEPAフィルタよりも低くても、風量を上げることで、相当換気量(捕集効率×風量)を増やすことが理論上可能ではあるが、現時点では、どの程度の捕集効率であれば感染リスクを低減させることができるかという定量的な議論を行うことは困難である。
        6. 以上を踏まえると、居室の温度及び相対湿度の基準を維持できる範囲内で窓からの外気の取り入れを行いつつ、空気清浄機を使用する場合には、(1)HEPAフィルタ付きであり、かつ、風量が5m3/min程度以上である空気清浄機を使用すること、(2)人の居場所から10m2程度の範囲内に空気清浄機を設置すること、(3)空気のよどみを発生させないように、外気取り入れの風向きと空気清浄機の風向きを一致させることに留意すべきである。なお、これら空気清浄機の使用条件については、今後、メーカーの協力を得て、ウイルス量低減効果の実証試験などによって検証していくことが望まれる
      • まとめ
        • 厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部では、外気温が低い環境下において、新型コロナウイルス感染症のリスク要因の一つである「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気と、室温の低下による健康影響の防止をどのように両立するかについて、有識者の意見を聴取しつつ、文献、国際機関の基準、国内法令基準等を考察し、推奨される方法をまとめた。
        • なお、「換気の悪い密閉空間」はリスク要因の一つに過ぎず、一人あたりの必要換気量を満たすだけで、感染を確実に予防できるわけではなく、人が密集した空間や密接な接触を避ける措置を併せて実施する必要がある。
          1. 換気機能を持つ冷暖房設備や機械換気設備が設置された商業施設等は、機械換気設備等の外気取り入れ量等を調整することで、必要換気量(一人あたり毎時30m3)を確保しつつ、居室の温度及び相対湿度を18℃以上かつ40%以上に維持する。
          2. 換気機能を持つ冷暖房設備や機械換気設備が設置されていない商業施設等、または、機械換気設備等が設けられていても換気量が十分でない商業施設等は、暖房器具を使用しながら窓を開けて、居室の室温18℃以上かつ相対湿度40%以上を維持しつつ、適切に換気を行う必要がある。室温及び相対湿度を維持するため、以下に留意する。
            1. 居室の温度及び相対湿度を18℃以上かつ40%以上に維持できる範囲内で、暖房器具を使用しながら、一方向の窓を常時開けて、連続的に換気を行うこと。また、加湿器を併用することも有効である。
            2. 居室の温度及び相対湿度を18℃以上かつ40%以上に維持しようとすると、窓を十分に開けられない場合は、窓からの換気と併せて、可搬式の空気清浄機を併用することは換気不足を補うために有効であること。併用に当たっては、以下の点に留意すること。
              • 空気清浄機は、HEPAフィルタによるろ過式で、かつ、風量が5m3/min程度以上のものを使用すること。
              • 人の居場所から10m2(6畳)程度の範囲内に空気清浄機を設置すること。
              • 空気のよどみを発生させないように、外気を取り入れる風向きと空気清浄機の風向きを一致させること。
          3. 換気が必要換気量を満たしているかを確認する方法として、室内の二酸化炭素濃度を測定し、その値が1000ppmを超えないことを監視することも有効である。ただし、窓開け換気に加えて空気清浄機を併用する場合、二酸化炭素濃度測定は空気清浄機の効果を評価することができず、適切な評価方法とはならない。

      ~NEW~
      厚生労働省 職場における新型コロナウイルス感染症への感染予防及び健康管理について、経済団体などに再度協力を依頼しました
      ▼11月27日付け職場における新型コロナウイルス感染症への感染予防及び健康管理について
      • 職場における新型コロナウイルス感染症の拡大防止につきましては、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(新型コロナウイルス感染症対策本部決定。以下「基本的対処方針」という。)に基づき、各関係団体において作成された「業種ごとの感染拡大予防ガイドライン」等を実践する際に、労働者が安全かつ安心して働ける環境づくりに率先して取り組んでいただくことについて、傘下団体・企業(連合は「構成組織」)に対し、周知等をお願いしてきたところです。
      • 直近の新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は過去最多の水準となっており、地域によってはすでに急速な感染拡大が見られており、このままの状況が続けば医療提供体制と公衆衛生体制に重大な影響を生じるおそれがあります。職場における感染状況については、新型コロナウイルス感染症対策分科会が11月9日に取りまとめた緊急提言において、「業種別ガイドラインの策定が現場でも進んできたが、引き続き、クラスターが発生している」旨の指摘がなされ、一層の対策強化として、「店舗や職場などでの感染防止策の確実な実践」が求められています。
      • このような状況を踏まえ、「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」について、冬場における「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法に係るチェック項目を追加するなどの改訂を行うとともに、下記のとおり、職場における新型コロナウイルス感染症への感染予防、健康管理の強化についての留意事項等を取りまとめましたので、傘下団体・企業(連合は「構成組織」)に対し、改めて周知をお願いします。
      • また、感染が急速に拡大している地域では、人の往来や接触機会を減らすことが求められており、テレワークなどの在宅勤務の取組についてこの機会に改めて周知していただくとともに、感染リスクが高まる「5つの場面」や感染拡大を予防する新しい生活様式の周知についても引き続き御協力いただきますようお願いします。
      • 労務管理の基本的姿勢
        1. 職場における感染防止の進め方
          • 職場における新型コロナウイルス感染症の大規模な感染拡大を防止するためには、事業者、労働者それぞれが、職場内外での感染防止行動の徹底について正しい知識を持って、職場や職務の実態に即した対策に取り組んでいただくことが必要であること。
          • このため、事業者においては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に積極的に取り組む方針を定め、全ての労働者に伝えていただくとともに、労働者も取組の趣旨を踏まえて感染拡大防止に向けた一人一人の行動変容を心がけていただくことが重要であること。
          • 具体的には、(1)労働衛生管理体制の再確認、(2)換気の徹底等の作業環境管理、(3)職場の実態に応じた作業管理、(4)手洗いの励行など感染予防に関する基本的な知識も含めた労働衛生教育、(5)日々の体調管理等も含めた健康管理に留意して取組を実施いただきたいこと。
        2. テレワークの積極的な活用
          • 厚生労働省では、テレワークについて、テレワーク相談センターにおける相談支援、労働時間管理の留意点等をまとめたガイドラインの周知等を行っている。こうした施策も活用いただきながら、職場や通勤での感染防止のため、テレワークを積極的に進めていただきたいこと。
        3. 感染リスクが高まる「5つの場面」の周知等
          • 新型コロナウイルス感染症の伝播は、主にクラスターを介して拡大することから、今冬に備えるためには、クラスター連鎖をしっかり抑えることが必須である。このため、新型コロナウイルス感染症対策分科会がクラスター分析を踏まえて取りまとめた、別添1の「感染リスクが高まる『5つの場面』」について労働者に周知を行っていただきたいこと。
          • また、新しい生活様式の定着に向けて、参考資料2の「新しい生活様式(生活スタイル)の実践例」等を活用して、引き続き、労働者に周知を行っていただきたいこと。
          • 併せて、接触確認アプリ(COCOA)は、利用者が増加することで感染拡大防止につながることが期待されることから、参考資料3の「新型コロナウイルス接触確認アプリ」等を活用して労働者に周知を行うとともに、インストールを勧奨していただきたいこと。
        4. 雇用調整助成金等を活用した休業の実施
          • 感染拡大を防ぐため、労働者を休業させるときには、労使がよく話し合って労働者の不利益の回避に努めていただきたいこと。なお、緊急事態宣言や要請などがある場合でも、一律に労働基準法第26条の休業手当の支払義務がなくなるものではないことにご留意いただきつつ、労使が協力して、労働者が安心して休業できる体制を整えていただきたいこと。
          • また、同法に基づく休業手当の支払の要否にかかわらず、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業者が、労働者を休業させ、事業主がその分の休業手当を支払った場合、雇用調整助成金の対象になり得ること。
          • なお、雇用調整助成金については、企業規模を問わず、緊急対応期間において助成額の上限を引き上げ、解雇等を行わない企業に対して助成率を引き上げるとともに、雇用保険被保険者でない非正規雇用労働者も対象とする等の拡充を行っている。令和2年11月27日に、12月末までとしていた緊急対応期間を令和3年2月末まで延長する旨公表したところであり、引き続き雇用調整助成金の効果的な活用をお願いしたいこと。
          • さらに、事務処理や資金繰りの面から雇用調整助成金を活用した休業手当の支払いが困難な中小企業の労働者のために創設した、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金についても、雇用調整助成金と併せて、令和3年2月末まで対象期間を延長したところ。休業手当が支払われていない労働者にはその申請を検討いただくとともに、その申請書類には事業主が記載する部分もあることから、事業主においては適切に対応いただきたいこと。また、日々雇用、登録型派遣、いわゆるシフト制の労働者などについて、過去6ヶ月間、同じ事業所で、継続して一定の頻度で就労していた実績があり、事業主側も新型コロナウイルス感染症がなければ同様の勤務を続けさせる意向があったと確認できるなどの場合には、休業支援金の対象となり得る旨のリーフレット公表しているところであり、中小事業主におかれては、対象となり得る労働者への周知を含め、適切にご協力いただきたいこと。
        5. 子どもの世話や家族の介護が必要な労働者のための有給の休暇制度の導入
          • 新型コロナウイルス感染症の対応として、小学校休業等対策助成金を創設しており、令和2年12月28日まで都道府県労働局に特別相談窓口を設置し申請に向けた支援を行っているため、相談窓口を活用いただきたいこと。さらに、令和2年11月27日に、対象となる休暇取得の期間を令和2年12月末から令和3年2月末までに延長する旨を公表したところであり、引き続き当助成金を活用いただきたいこと。
          • また、家族の介護が必要な労働者に有給の休暇を取得させた事業主への助成制度を創設しているため、活用していただきたいこと。
      • 職場における感染予防対策の徹底について
        • 今般、別添2の「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」について、冬場における「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法についてのチェック項目を追加するなどの改訂を行ったところであり、これを活用して職場の状況を確認していただくとともに、独立行政法人労働者健康安全機構がホームページで公表している動画教材「職場における新型コロナウイルス感染症予防対策を推進するためのポイント」を参照していただく等により、職場の実態に即した、実行可能な感染拡大防止対策を検討いただき、取組内容を高齢者や基礎疾患(糖尿病、心不全、慢性呼吸器疾患、慢性腎臓病、高血圧症、がんなど)を有する者などの重症化リスク因子を有する者をはじめ、すべての労働者に共有していただきたいこと。
        • また、外国人労働者は、日本の労働慣行や日本語に習熟していない場合があるほか、出身国・出身地域により文化や生活習慣が大きく異なる場合もあり、外国人労働者の皆さんが安心して働くためには、職場における新型コロナウイルス感染症の感染防止対策の内容を正しく理解することが重要であり、外国人労働者を雇用する事業者においては、外国人労働者一人ひとりの状況に応じた配慮をしていただきたいこと
        • 外国人労働者に新型コロナウイルス感染症の感染防止に係る教育等を行う際には、別添3のリーフレットに記載の「職場内外における感染拡大防止のポイント」や10カ国語に翻訳(やさしい日本語版も作成)した「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」を活用する等していただきたいこと
      • 配慮が必要な労働者等への対応について
        • 高齢者や基礎疾患(糖尿病、心不全、慢性呼吸器疾患、慢性腎臓病、高血圧症、がんなど)を有する者などの重症化リスク因子を持つ労働者及び妊娠している労働者に対しては、本人の申出及び産業医等の意見を踏まえ、テレワークや時差出勤などの感染予防のための就業上の配慮を行っていただきたいこと。特に、妊娠中の女性労働者が、母子保健法の保健指導又は健康診査に基づき、その作業等における新型コロナウイルス感染症に感染するおそれに関する心理的なストレスが母体又は胎児の健康保持に影響があるとして、医師又は助産師から指導を受け、それを事業主に申し出た場合には、事業主は、この指導に基づき、作業の制限、出勤の制限(テレワーク又は休業をいう。)等の措置を講じる必要があることに留意いただきたいこと。この措置により休業が必要な女性労働者に有給の休暇を取得させた事業主に対する助成制度については、令和2年11月27日に、12月末までとしていた対象となる有給休暇制度の整備及び労働者への周知の期限を令和3年1月末まで延長する旨公表したところであり、引き続き積極的にご活用いただきたいこと。なお、テレワークを行う場合は、メンタルヘルスの問題が顕在化しやすいという指摘があることにも留意いただきたいこと。
          • 発熱、咳などの風邪症状がみられる労働者への出勤免除の実施やテレワークの指示を行うとともに、その間の外出自粛を勧奨すること。
          • 労働者を休業させる場合、休業中の賃金の取扱いについては、労使で十分に話し合った上で、有給の特別休暇制度を設けるなど、労使が協力して、労働者が安心して休暇を取得できる体制を整えること。
          • 風邪の症状が出現した労働者が医療機関を受診するため等やむを得ず外出する場合でも、公共交通機関の利用は極力控えるよう注意喚起すること。
          • 発熱等の症状が生じた場合には、まずはかかりつけ医等の地域で身近な医療機関に電話で相談するよう促すこと。
          • また、相談する医療機関に迷う場合には、地域ごとに設置されている受診・相談同センターに電話で相談し、その指示に従うよう促すこと。

      ~NEW~
      厚生労働省 医薬品・医療機器等の安全使用に関する調査
      ▼調査結果 薬局ヒヤリ・ハット事例
      • 公財)日本医療機能評価機構(以下、「評価機構」という。)のホームページ上の令和元年5月1日~令和元年12月31日の間に報告された薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業からの事例(97,707事例)のうち、事例内容「規格・剤形間違い」、「薬剤取違え」、「その他」及び「疑義照会」の中から、定められた基準注)により抽出した全2,416事例
      • 医薬品の製造販売業者等による安全使用対策の必要性の有無について、2,416事例のうち処方箋からの保険者番号等の転記ミスや調剤報酬の算定誤り等を除いた2,407事例の調査結果
        • 医薬品の安全使用に関して製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例 0件 0%
        • 製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例 161件 6.7% 
        • 製造販売業者等によるモノの対策は困難と考えられた事例 2,246件 93.3%
      • 製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例
        1. 一般名称類似による取違え等の事例
        2. 精神神経安定剤とマイナートランキライザーとの販売名類似による取違え等の事例
        3. アレルギー性疾患治療剤と持続性Ca拮抗降圧剤との販売名類似による取違え等の事例
        4. キサンチン系気管支拡張剤と向精神作用性てんかん治療剤・躁状態治療剤との販売名類似による取違え等の事例
        5. 持続性気管支拡張剤、腹圧性尿失禁治療剤とうつ病・うつ状態治療剤、遺尿症治療剤との販売名類似による取違え等の事例
        6. パンテチン製剤と抗ウイルス化学療法剤との販売名類似による取違え等の事例
        7. 前立腺肥大症・癌治療剤と心機能・組織循環促進剤との販売名類似による取違え等の事例
        8. 尿酸排泄薬と前立腺肥大症に伴う排尿障害改善薬との販売名類似による取違え等の事例
        9. 白血球減少症治療剤と抗葉酸代謝拮抗剤との販売名類似による取違え等の事例
        10. 鎮咳剤と不整脈治療剤との販売名類似による取違え等の事例
        11. 抗てんかん剤と入眠剤との販売名類似による取違え等の事例
        12. 消化酵素製剤と抗てんかん剤との販売名類似による取違え等の事例
        13. 抗精神病剤とその他の循環器官用薬との販売名類似による取違え等の事例
        14. 前立腺癌治療剤と前立腺肥大症に伴う排尿障害改善剤との販売名類似による取違え等の事例
        15. アスピリン/ランソプラゾール配合剤とカリウムイオン競合型アシッドブロッカー-プロトンポンプインヒビター-との販売名類似による取違え等の事例
        16. 子宮内膜症治療剤・子宮腺筋症に伴う疼痛改善治療剤とレトロ・プロゲステロン製剤との販売名類似による取違え等の事例
        17. 抗乳癌剤と高血圧症・狭心症治療薬との販売名類似による取違え等の事例
        18. 選択的SGLT2阻害剤-2型糖尿病治療剤-とアレルギー性疾患治療剤との販売名類似による取違え等の事例
      • 製造販売業者等によるモノの対策は困難と考えられた事例(ヒューマンエラー、ヒューマンファクター)
      • 製造販売業者等によるモノの対策は困難と考えられた事例(情報不足)

      ~NEW~
      公正取引委員会 スタートアップの取引慣行に関する実態調査について(最終報告)
      ▼(令和2年11月27日)スタートアップの取引慣行に関する実態調査について(最終報告)
      • スタートアップは、イノベーション推進による我が国経済の生産性向上に大きく貢献する可能性を持っており、近年、大企業等とのオープンイノベーションも促進されていること、創業から10年未満の事業者は従業者数を増加させるなど、新規雇用の創出といった面でも重要であるこから、スタートアップが公正かつ自由に競争できる環境を確保することが我が国経済の今後の発展に向けて極めて重要。
      • 本調査におけるスタートアップの定義 創業10年程度であること・未上場企業であること・成長産業領域において、革新的な事業活動を行っていること
      • スタートアップと中小企業との違い
        1. 事業計画の違い スタートアップは、一時的に赤字を計上し、その後収益化する段階において短期間で大きく売上げを伸ばす(いわゆる「Jカーブ」)。中小企業は、徐々に規模を拡大することで、線形的に成長していく。
        2. 事業活動の分野の違い スタートアップは、需要が十分に顕在化していない分野等における事業活動を主な目的とする。中小企業は、既存のビジネスモデルが確立した分野における事業活動を主な目的としている。
        3. 事業資金の調達方法の違いスタートアップは、出資により、事業活動に必要な資金を得る(金融機関から融資を受けることは困難)。中小企業は、融資により、事業活動に必要な資金を得る。
      • スタートアップの成長モデル
        • スタートアップは、シード、アーリー、ミドル、レイターと段階を経て成長する。
        • シードは、創業者と数名のメンバーのみで事業を行い、技術研究や商品開発をしている段階。
        • アーリーは、初期商品の販売により顧客を獲得し、営業等の従業員を増加させる段階。
        • ミドルは、商品の販売量が増加し、バックオフィスの体制が作られる段階。
        • レイターは、会社としての規模が拡大し、IPO(新規株式公開)やM&A(合併・買収)に向けた準備を整える段階。
      • 企業評価額10億ドル以上のスタートアップはユニコーン企業と呼ばれている。令和2年2月時点において、日本のユニコーン企業は5社。
      • 我が国のスタートアップ出資額は拡大傾向。1801億円(2014年)→2602億円(2016年)→5260億円(2019年)
      • 日本は同期間の出資額は約31億ドルであり、米国の出資額の約1.2%、中国の出資額の約2.6%の規模に留まっている。
      • 日本のスタートアップへの出資額については同期間においてGDP比で約0.02%であり、国の経済規模の大きさに比して世界の主要各国の中でも低い比率となっている。
      • スタートアップは技術や事業に係るアイデアを保有している一方、例えば、それを具体化していくための研究に係るビッグデータ、製造設備等といった生産要素や販売経路等を保有していないことが多い。そのため、スタートアップは、事業連携を目的とした事業者(連携事業者)との継続的な取引を行い、そのような生産要素や販売経路等を補うことが多い。
      • 連携事業者は、革新的な技術やアイデアを保有するスタートアップと事業連携を行うことで、自らの事業領域における革新的な技術の創出、生産性の向上だけでなく、新たな事業領域への進出等も考えることができるようになる
      • スタートアップが出資者から出資を受けるときには、通常、投資契約や出資契約といった継続的な契約をスタートアップと出資者の間で締結する。投資契約の中で、多岐に渡る項目について、出資の実行に関する詳細が規定されている。
      • 事業会社は、出資以外の事業を本業とする事業者であり、スタートアップの事業内容が自社の事業領域と近い場合、自社事業とのシナジー効果を得ること等を目指し出資を行うことが多い。
      • ベンチャーキャピタルは、スタートアップが株式市場に上場していない時に出資を行い、スタートアップのイグジット時に、スタートアップの企業価値が上昇した時点で株式を売却することにより、キャピタルゲインを得ることを主な目的としている。ベンチャーキャピタルからスタートアップへの出資の流れとしては、スタートアップに出資を行う際、ファンドを組成して出資を実行する。この際、一般的にベンチャーキャピタルは金融機関等から出資金を集めることでファンドを組成し、このファンドがスタートアップの株式を取得することで出資が行われることが多い。
      • コーポレートベンチャーキャピタルは、事業会社が自社の資金を活用してベンチャーキャピタルを運営し、スタートアップに対して出資を行う。コーポレートベンチャーキャピタルからスタートアップへの出資の流れとしては、一般的に運営母体である事業会社自ら出資金を拠出することでファンドを組成し、このファンドがスタートアップの株式を取得することで出資が行われる。
      • 連携事業者又は出資者から納得できない行為を受けたことがあるスタートアップ 約17%
      • うち少なくとも一部は納得できない行為を受け入れたスタートアップ 約79%
      • うち納得できない行為を受け入れたことにより不利益が生じたスタートアップ 約56%
      • 納得できない行為を受けた取引・契約段階
        • NDA(秘密保持契約)に関すること 30.6%
        • 出資契約に関すること 26.9%
        • ライセンス契約に関すること 22.7%
        • 共同研究契約に関すること 21.5%
        • PoC(技術検証)契約に関すること 18.2%
      • 納得できない行為を受け入れた主な理由
        • 取引先から、取引(当該取引のみならず、進行している他の取引や将来的な取引も含む)への影響を示唆されたわけではないが、今後の取引への影響があると自社で判断したため。 44.5%
        • 取引先から、取引(当該取引のみならず、進行している他の取引や将来的な取引も含む)への影響を示唆され、受け入れざるを得なかったため。 35.1%
        • 取引先は、市場における有力企業であり、取引を行うことで、社会的な信用を得られるなど、総合的に勘案してメリットが大きかったため。 28.8%
        • 既に進行しているプロジェクトについての条件変更であり、事業を継続する観点から、取引を続けざるを得ない状況にあったため。 18.3%
      • 主な不利益の具体的内容
        • 利益の低下 50.0%
        • 当初想定されなかったコストの発生 20.4%
        • 資金繰りの悪化 13.9%
        • 業務スピードの停滞 7.4%
        • 知財ノウハウの提供 6.5%
      • 顧客の喪失 4.6%
      • 類似サービスの開発 3.7%
      • 独占禁止法上の考え方
        • 前頁アンケート及び上記意見を踏まえると,連携事業者又は出資者から「納得できない行為」を受けたスタートアップとの取引・契約においては、連携事業者及び出資者がスタートアップに対して優越的地位にあると認められる場合が多いのではないかと考えられる
        • なお、優越的地位の濫用として独占禁止法上問題となるのは、連携事業者又は出資者の取引上の地位がスタートアップに優越していることが前提。また、優越的地位の濫用及び拘束条件付取引等を含む不公正な取引方法として独占禁止法上問題となるのは、公正な競争を阻害するおそれが生じることが前提
        • 優越的地位の濫用:取引の相手方の自由かつ自主的な判断による取引を阻害するとともに、当該取引の相手方はその競争者との関係において競争上不利となる一方で、行為者はその競争者との関係において競争上有利となるおそれ
        • 拘束条件付取引等:市場閉鎖効果(新規参入者や既存の競争者にとって、代替的な取引先を容易に確保することができなくなり、新規参入者や既存の競争者が排除される又はこれらの取引機会が減少するような状態をもたらすおそれ)等
      • スタートアップと連携事業者の取引実態と独占禁止法上の考え方
        1. NDAを締結しないまま営業秘密の開示を要請された
          • 正当な理由がないのに、NDAを締結しないまま営業秘密の無償開示等を要請する場合であって、スタートアップが今後の取引に与える影響等を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合、優越的地位の濫用のおそれ
        2. スタートアップ側にのみ秘密保持・開示義務が課され連携事業者側には秘密保持・開示義務が課されない片務的なNDAの締結を要請された/契約期間が短く自動更新されないNDAの締結を要請された。
          • 一方的に、片務的なNDAや契約期間の短いNDAの締結を要請する場合であって、スタートアップが今後の取引に与える影響等を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合、優越的地位の濫用のおそれ
        3. NDAに違反してスタートアップの営業秘密を盗用し,スタートアップの商品・役務と競合する商品・役務を販売するようになった
          • NDAに違反してスタートアップの営業秘密を盗用し、スタートアップの取引先に対し、スタートアップの商品・役務と競合する商品・役務を販売することにより、スタートアップとその取引先との取引が妨害される場合、競争者に対する取引妨害のおそれ
        4. PoCの成果に対する必要な報酬が支払われなかった/PoCの実施後にやり直しを求められやり直しに対する必要な報酬が支払われなかった
          • 正当な理由がないのに、無償でのPoCを要請する場合、一方的に、著しく低い対価でのPoCを要請する場合、PoCの実施後に、正当な理由がないのに、契約で定めた対価を減額する場合、PoCの実施後に、正当な理由がないのに、やり直しを要請する場合であって、スタートアップが今後の取引に与える影響等を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合、優越的地位の濫用のおそれ。
        5. 共同研究の成果に基づく知的財産権を連携事業者のみに帰属させる契約の締結を要請された。
          • 正当な理由がないのに、共同研究の成果に基づく知的財産権の無償提供等を要請する場合であって、スタートアップが今後の取引に与える影響等を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合、優越的地位の濫用のおそれ。
        6. 共同研究の大部分がスタートアップによって行われたにもかかわらず、共同研究の成果に基づく知的財産権を連携事業者のみ又は双方に帰属させる契約の締結を要請された。
          • 正当な理由がないのに、共同研究の成果の全部又は一部の無償提供等を要請する場合であって、スタートアップが今後の取引に与える影響等を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合、優越的地位の濫用のおそれ。
        7. 共同研究の成果に基づく商品・役務の販売先が制限された/共同研究の経験を活かして開発した新たな商品・役務の販売先が制限された。
          • 市場における有力な事業者が、合理的な期間に限らず、共同研究の成果に基づく商品・役務の販売先を制限したり、共同研究の経験を活かして新たに開発した成果に基づく商品・役務の販売先を制限したりすることは、それによって市場閉鎖効果が生じるおそれがある場合、排他条件付取引又は拘束条件付取引のおそれ。
        8. 知的財産権のライセンスの無償提供を要請された。
          • 正当な理由がないのに、知的財産権のライセンスの無償提供等を要請する場合であって、スタートアップが今後の取引に与える影響等を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合、優越的地位の濫用のおそれ。
        9. スタートアップが開発して連携事業者にライセンスした技術の特許出願の制限を要請された。
          • 一方的に、スタートアップが開発した技術の特許出願の制限を要請する場合であって、スタートアップが今後の取引に与える影響等を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合、優越的地位の濫用のおそれ。
        10. 他の事業者等への商品・役務の販売を制限された。
          • 市場における有力な事業者が、合理的な範囲を超えて、他の事業者への販売を禁止したり、スタートアップ自らによる販売を制限したりすることは、それによって市場閉鎖効果が生じるおそれがある場合、排他条件付取引又は拘束条件付取引のおそれ。
        11. 顧客情報の提供を要請された。
          • 正当な理由がないのに、顧客情報の無償提供等を要請する場合であって、スタートアップが今後の取引に与える影響等を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合、優越的地位の濫用のおそれ。
        12. 報酬を減額された/報酬の支払いを遅延された。
          • 商品・役務を購入した後において、正当な理由がないのに、契約で定めた対価を減額する場合、正当な理由がないのに、契約で定めた支払期日までに対価を支払わない場合であって、スタートアップが今後の取引に与える影響等を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合、優越的地位の濫用のおそれ
        13. 事業連携の成果に基づく商品・役務の損害賠償責任をスタートアップのみが負担する契約の締結を要請された。
          • 正当な理由がないのに、事業連携の成果に基づく商品・役務の損害賠償責任の一方的な負担を要請する場合であって、スタートアップが今後の取引に与える影響等を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合、優越的地位の濫用のおそれ
        14. 連携事業者により,他の事業者との取引を制限された。
          • 市場における有力な事業者が、合理的な範囲を超えて、他の事業者への商品・役務の販売を禁止したりすることは、それによって市場閉鎖効果が生じるおそれがある場合、排他条件付取引又は拘束条件付取引のおそれ。
        15. 連携事業者により,最恵待遇条件(連携事業者の取引条件を他の取引先の取引条件と同等以上に有利にする条件)を設定された
          • 市場における有力な事業者が、最恵待遇条件を設定することは、それによって、例えば、連携事業者の競争者がより有利な条件でスタートアップと取引することが困難となり、当該競争者の取引へのインセンティブが減少し、連携事業者と当該競争者との競争が阻害され、市場閉鎖効果が生じるおそれがある場合、拘束条件付取引のおそれ。
        16. 出資者から,NDAを締結しないまま営業秘密の開示を要請された。
          • 正当な理由がないのに、NDAを締結しないまま営業秘密の無償開示等を要請する場合であって、スタートアップが今後の取引に与える影響等を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合、優越的地位の濫用のおそれ。
        17. 出資者が、NDAに違反して事業上のアイデア等の営業秘密を自らの他の出資先に漏洩し、他の出資先が、スタートアップの商品・役務と競合する商品・役務を販売するようになった。
          • NDAに違反してスタートアップの営業秘密を自らの他の出資先に漏洩し、他の出資先をしてスタートアップの取引先に対し、スタートアップの商品・役務と競合する商品・役務を販売させることは、それによってスタートアップとその取引先との取引が妨害される場合、競争者に対する取引妨害のおそれ。
        18. 出資者から,契約において定められていない無償作業を要請された。
          • 正当な理由がないのに、契約において定められていない無償作業等を要請する場合であって、スタートアップが今後の取引に与える影響等を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合、優越的地位の濫用のおそれ。
        19. 出資者が第三者に委託して実施したデュー・デリジェンス(出資者等の側において、出資の対象会社のリスク評価及び価値評価のための調査と検証を行うこと)に係る費用の全ての負担を要請された。
          • 一方的に、出資者が第三者に委託して実施した業務に係る費用の全ての負担を要請する場合であって、スタートアップが今後の取引に与える影響等を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合、優越的地位の濫用のおそれ。
        20. 出資者が指定する事業者からの不要な商品・役務の購入を要請された。
          • 取引に係る商品・役務以外の商品・役務の購入を要請する場合であって、スタートアップが、それが事業遂行上必要としない商品・役務であり、又はその購入を希望していないときであったとしても、今後の取引に与える影響等を懸念して当該要請を受け入れざるを得ない場合、優越的地位の濫用のおそれ。
        21. 知的財産権の無償譲渡等を要請され、その要請に応じない場合には買取請求権を行使すると示唆された。
          • 正当な理由がないのに、知的財産権の無償譲渡等を要請する場合であって、スタートアップが今後の取引に与える影響や買取請求権の行使の可能性等を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合、優越的地位の濫用のおそれ。
        22. スタートアップの事業資金が枯渇しつつある状況において、出資額よりも著しく高額な価額での買取請求が可能な買取請求権の設定を要請された。
          • 一方的に、出資額よりも著しく高額な価額での買取請求が可能な買取請求権の設定を要請する場合であって、スタートアップが今後の取引に与える影響等を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合、優越的地位の濫用のおそれ。
        23. 買取請求権の行使条件が満たされていなかったにもかかわらず、出資者から、保有株式の一部について買取請求権を行使された。
          • 正当な理由がないのに、保有株式の一部の買取りを請求する場合であって、スタートアップが今後の取引に与える影響等を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合、優越的地位の濫用のおそれ。
        24. スタートアップの経営株主等の個人に対する買取請求が可能な買取請求権の設定を要請された。
          • 経営株主等の個人に対する買取請求が可能な買取請求権については、出資者からの出資を受けて起業しようとするインセンティブを阻害することとなると考えられるところ、出資契約において買取請求権を定める場合であっても、その請求対象から経営株主等の個人を除くことが、競争政策上望ましい。
        25. 新たな商品等の研究開発活動を禁止された。
          • 出資者がスタートアップの自由な研究開発活動を制限する行為は、一般に研究開発をめぐる競争の影響を通じて将来の技術市場又は商品等市場における競争を減殺するおそれがあり、拘束条件付取引の強いおそれ。
        26. 出資者により他の事業者との連携を禁止されその他の取引を制限された/他の出資者からの出資を制限された。
          • 市場における有力な事業者が合理的な範囲を超えて、他の事業者との取引を禁止することは、それによって市場閉鎖効果が生じるおそれがある場合、排他条件付取引又は拘束条件付取引のおそれ。
        27. 出資者により、最恵待遇条件(出資者の取引条件を他の出資者の取引条件と同等以上に有利にする条件)を設定された。
          • 市場における有力な事業者である出資者が、最恵待遇条件を設定することは、それによって、例えば、出資者の競争者がより有利な条件でスタートアップと取引することが困難となり、当該競争者の取引へのインセンティブが減少し、出資者と当該競争者との競争が阻害され、市場閉鎖効果が生じるおそれがある場合、拘束条件付取引のおそれ。
        28. 競合他社が、その販売先に対し、競争者であるスタートアップからの競合品の購入を制限した。
          • 市場における有力な事業者である競合他社が、その販売先に対し、合理的な範囲を超えて、競合他社の競争者であるスタートアップからの購入を制限することは、それによって市場閉鎖効果が生じるおそれがある場合、排他条件付取引又は拘束条件付取引のおそれ。
        29. 競合他社が、スタートアップの販売先に対し、スタートアップの商品等に関する悪評を流すことにより、スタートアップとその販売先との取引を妨害した。
          • 競合他社が、競争者であるスタートアップとその販売先との取引を妨害することは、それが不公正な競争手段によるものである場合、競争者に対する取引妨害のおそれ。
        30. 競合他社が、仕入先のメーカーに対し、スタートアップへの販売価格を競合他社よりも高額とするようにし、販売先の見積り合わせによるコンペでスタートアップを失注させた。
          • 競争者であるスタートアップとその販売先との取引を妨害することは、それが不公正な競争手段によるものである場合、競争者に対する取引妨害のおそれ。
        31. 競合他社が,特定のスタートアップのみに対し,商品等の対価を他の販売先に比べて著しく高額に設定し,事実上取引を拒絶した。
          • 市場において有力な事業者が、その競争者であるスタートアップに対し、商品等の対価を他の販売先に比べて著しく高額に設定し、事実上取引を拒絶することは、それが競争者であるスタートアップ等を市場から排除するなどの独占禁止法上不当な目的を達成するための手段として行われる場合、差別対価又はその他の取引拒絶のおそれ。

      ~NEW~
      総務省 「ポストコロナ」時代におけるデジタル活用に関する懇談会ワーキンググループ(第2回)
      ▼資料1 総務省提出資料
      1. IT基本法への提言
        • 2000年に制定されたIT基本法は「インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて自由かつ安全に多様な情報又は知識を世界的規模で入手し、共有し、又は発信することにより、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能となる社会」を「高度情報通信ネットワーク社会」と位置づけ、その形成を目的としていた。2020年の現在、インターネットとモバイル通信を用いたデジタルデータの流通、発達するデジタルデバイス、そして、デジタルデータの高度な処理体型は一定の成果として結実している。これからは、利用者視点、つまり、国民目線でデジタル社会の仕組みを変革し、国民の幸福に資することが重要であり、国民はその恩恵を受ける権利を有すると同時に、一人ひとりが安心してデジタル社会に参加可能な社会をめざす。
          1. 情報アクセシビリティ
            • 高齢者、障碍、身体機能、知能、言語、性など、人の多様性に尊厳を持つ社会を形成するために、国民のすべてが、自らが営む生活において、また、参加して活動する社会において、公平で、安心で、有用な情報にアクセスする環境を構築する。我が国のデジタル環境の推進は、その基盤となり推進環境となる。
          2. 置いてきぼりをつくらない
            • デジタル社会は、転換する変化を強要せず、丁寧にその意義と効用を伝え、その成果が国民に喜ばれなければいけない。そのための責任を持った積極的な体制を確立することによってのみ、迅速なDXを推進できる。
          3. テクノロジーの善用
            • すぐれたテクノロジーは高度文明の礎となる。一方で、すぐれたテクノロジーは、誰にでも使いやすいので、悪用されたり濫用されたりすることもある。デジタル政策では、この問題に対応するサイバーセキュリティの体制を確立し、一方で、デジタルテクノロジーが、人、社会、国際社会、そして、私達の生きる地球のために、科学的に、正確なデジタルデータを用い、デジタルテクノロジーの善用をすすめる社会にする。
          4. 価値の源泉としてのデジタルデータ
            • 正確なデジタルデータは、課題の解決、ビジョンの実現、正しい評価などの、価値創造の源泉である。健全で、安全なデジタルデータの流通、管理、そして、利用はデジタル社会の重要な礎である。
          5. 地方
            • すべての地方がデジタルテクノロジーとデジタルデータを用いて、持続可能で、独自の価値と魅力を創造でき、それらに国内はもとより、国際社会からアクセスができることで、産業として、人材として、文化として、教育として、住民の最大幸福に資する方向で発展する。
          6. 防災体制
            • 自然災害の発生を前提とした、備え、防災・減災、復興のための全国的なネットワークインフラストラクチャとして、公共施設を中心とした避難所ネットワークを確保し、被災地のQoL向上に対して常に準備をしておく必要がある。
          7. 健康
            • 健康で魅力的な高齢社会を実現し、全国における健康と生命の尊厳のために、デジタルデバイス、デジタルデータ、デジタルネットワークが、健康な生活と医療システムのために発展するための環境を確立する。
          8. 教育
            • 全国の初等中等教育に加えて、高等教育とそのリカレント教育への貢献、また、我が国での優れた外国人の教育流動性環境を実現するために、情報ネットワーク、デジタルデータ、電子教科書や教材、MooCなどのオンライン教育環境など、世界に開かれた質の高い教育環境がデジタル社会で発展しなければならない。
          9. 健やかな社会
            • デジタル社会は、創造性やつながりをもたらすが、一方でストレスや孤独感などの心の負担をとともなうことがある。我が国ではこの問題に対応しながら、国民の一人ひとりがデジタル社会の中で豊かに生きるための能力が身につくための環境を整備する。
          10. 国土カバー率
            • インターネットの人口カバー率が90%を越えているが、国土カバー率60%であることを前提に、農業、水産業、林業などの国土に広がる産業の発展、IoTやドローンなどの利用、登山や災害対策などを鑑み、インターネットの国土カバー率100%をめざす。
          11. 我が国のつながり
            • 我が国を取り巻くデジタル通信のインフラストラクチャは、多様化を増している。これらは我が国が国際社会の中でどのような役割を担うかの重要な生命線となる北極海、太平洋、インド洋、宇宙を見据えた我が国のデジタルインフラストラクチャを網羅的に把握し、積極的に関与することが必要である。
          12. 安心安全
            • 国民が安心し、安全に、我が国の国土でデジタル環境を利用できる社会は我が国の責務である。その責任を果たしてこそ、国外で機能する我が国の組織の役割を推進できる。
          13. 国際社会での我が国の活動との連係
            • 安心で安全は日本社会ができることで、そのことを国際連携の礎とすることができる。さまざまな国際社会の連係の中に、我が国のデジタル社会としての品質と自信があり、誇りをもって国際連係を先導できる。
          14. グローバルガバナンスへの責任
            • 安全で安定したグローバルなサイバー空間を推進、維持、発展するための責任と役割に先導的な役割をになう。
          15. デジタルの日
            • デジタルの日を制定し、国民の目線でデジタルテクノロジーが正しく理解され、デジタル政策が広く国民に理解され、一人ひとりの参加によりいつまでも推進されるためのきっかけの日とする。
      2. デジタル庁設置への提言
        • デジタル改革の基本的考え方や関連法案の整備等の検討を行うに際し、デジタル庁は、これまでのデジタル政策に課題を解決するばかりでなく、COVID-19で加速したDXの経験に基づいて、次の20年を見据え、我が国が世界最先端のデジタル社会となるための司令塔とならなければならない。9月23日デジタル改革関連閣僚会議における首相指示「デジタル庁は、強力な司令塔機能を有し、官民を問わず能力の高い人材が集まり、社会全体のデジタル化をリードする強力な組織とする」を実現するために、また、関連するデジタル政策の推進と達成を鑑み、以下を提言する。
        • 恒久的且つ強力な司令塔機能を実現するために重要である以下の点について、作業部会にて検討の上、11月26日のワーキンググループでその取り組み方針について回答をお願いしたい。
          1. 行政サービスのオンライン化・デジタル化を実現する開発・調整機能のみにとどまらず、グローバル連携や民間も含めた我が国の経済・社会の礎としてのデジタル・トランスフォーメーションを牽引・推進する、包括的で、予算・権限・人員・責任を持った司令塔機能とすること。
          2. 公的機関等で登録・公開され、様々な場面で参照される、人、法人、土地、建物、資格等の社会の基本データであり、正確性や最新性が確保された社会の基幹となるデータベースやベースレジストリに関して、広く社会で連係した環境を実現するために、その品質や相互運用性を向上し続けるための、予算・権限・人員・責任を持った機能を整備する。
          3. サイバーセキュリティの機能設計とセキュリティサービスの運用について、各省内部の情報システムと情報ネットワーク機能に関して、デジタル庁で一元的に提供できる体制とし、サイバーセキュリティ上の政府システムの責任を持つこと。
          4. デジタル庁設置にあたって、我が国のサイバーセキュリティの軸となる、さまざまなサイバー空間上の専門組織との関係を明確に定義し、サイバーセキュリティに関する我が国の包括的な連携体制を整備する。
          5. マイナンバーに計画されている制度企画が、行政が広く有効に利用し、かつ、民間にも安全に利用できるために、マイナンバーをコアに利用して、マイナンバーと連携して発展するアーキテクチャを、デジタル庁が責任を持って設計・実装する。
          6. 同時に国民が自分のマイナンバーの価値を実感する仕組みとして、誰に何の目的で使われたかを透明に伝達する環境をデジタル庁が一元的に整備し、国民の有用性への理解を推進するための丁寧な企画を推進する。
          7. 国が整備するデータについて、相互運用性、品質、使われ方の評価の仕組みをデジタル庁が責任を持って確保する。
          8. 各省の情報システム及びネットワークシステムはすべてデジタル庁が統括・管理し、必要な部分はデジタル庁が一括して整備・運用すること。9.デジタル庁が地方自治体の情報システム及びネットワークの基盤整備の制度企画を一元的に行い、それに基づいた全国自治体システムとネットワークに関する透明で健全な調達を責任を持って確実に遂行し、全国の自治体が国民にとってわかりやすく魅力的なサービスを提供できるような体制とすること。また、基盤の持続的な運用・更新の体制及び地方自治体ごとの特色を活かす柔軟性の確保も行う。
          9. システムの開発および調達にあたって、チーフ・アーキテクト、プロダクト・マネジメント責任者、運用責任者等の具体的な役割・ジョブディスクリプションに応じた我が国最高の専門家を内部に設置し、それらの責任者が適材適所で権限を持って政府のデジタル関連のプロジェクトに関与できる体制とすること。
          10. 我が国の行政に関する、情報システム、情報ネットワークの個別分断化とベンダーロック化を二度と発生させないように、オープンソース化を進め、既成の先端技術を利用して発展し続けるように、調達や運用に関する外部の知見を有効に利用できる仕組みと体制をデジタル庁に作る。
          11. 「最高の民間の人材はデジタル庁から民間に移転した人」という流れを作れるようにするために、公務員の特区のような考え方で、(1)外部人材が活躍できる柔軟な人事制度(2)イノベーティブでオープンな組織文化(3)民間と同等の最新ツールを使える環境を実現する。
          12. デジタル庁は、海外の取組も参考に、全国津々浦々のデジタル人材を育成するための中核的な役割を担うとともに、行政と民間のデジタル人材のコラボレーションや、効果的な人材活用の仕組みを構築する。
          13. デジタル庁設置に関する考えを聴取する個別ヒアリングの場を設定すること等を含め、デジタル庁の人事に関して、上記のしごとができる厳選な人選を行う環境を整備する。

      ~NEW~
      国土交通省 タクシーの新たな運賃・料金サービスを導入します!~一括定額運賃・変動迎車料金の導入~
      • 11月30日に、タクシー利用者の更なる利便性の向上を図るため、MaaSにも資する新たな運賃・料金サービスである『一括定額運賃』及び『変動迎車料金』の申請受付を開始します。
        1. 一括定額運賃(定期券/回数券)
          • 概要:タクシーの複数回の利用分の運賃を一括して支払う制度
          • 効果:通勤など継続利用に便利/一括清算により割安になることが期待/他の交通モードと連携した観光用フリーパス等も推進
        2. 変動迎車料金
          • 概要:需要の増減に応じ、迎車料金を変動させる制度/トータルでは、固定迎車料金と変わらないよう変動させること等が条件
          • 効果:閑散期には、割安に迎車することが可能となり、繁忙期には、割高になるが、迎車の必要度が高い人に配車されやすくなる
      • その他
        • これらの制度については定期的なモニタリングを実施、必要に応じて見直しを行います。
        • 関連する通達は「一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金に関する制度について」のとおりです。
      ▼一般乗用旅客自動車運送事業に関係する主な告示・通達
      • 上記の新たな運賃・料金サービスとともに検討を進めていた、配車アプリを通じ、目的地の近い旅客がマッチングし、相乗りする制度(相乗りタクシー)については、新型コロナウイルス感染症の感染状況を見極めながら導入時期を検討します。

      ~NEW~
      国土交通省 令和2年度「年末年始の輸送等に関する安全総点検」の取組を実施します~輸送機関等における事故やテロの防止対策実施状況等の点検~
      • 国土交通省では、多客繁忙期である年末年始に、陸・海・空の輸送機関等が安全対策の実施状況等を自主点検することにより、公共交通の安全を図るとともに、輸送機関等の安全に対する意識を高めることを目的とする「年末年始の輸送等に関する安全総点検」の取組を実施します。
        • 期間
          • 令和2年12月10日(木)~令和3年1月10日(日)
        • 実施内容
          • 各輸送機関等(鉄軌道交通、自動車交通、海上交通、航空交通、利用運送業、気象業務)が、安全管理・安全対策等の実施状況、関係法令等の遵守状況、施設等の点検整備状況、テロ対策及び感染症対策の実施状況等を自主点検します。
          • 今年度の総点検においては、以下の4点を特に留意して行います。
            1. 運輸
              1. 安全管理(特に乗務員の健康状態、過労状態の確実な把握、乗務員に対する指導監督体制)の実施状況
              2. 自然災害、事故等発生時の乗客等の安全確保のための通報・連絡・指示体制の整備・構築状況
            2. 危機管理
              • テロ防止のための警戒体制の整備状況や乗客等の安心確保のための取組、テロ発生時の通報・連絡・指示体制の整備状況及びテロ発生を想定した訓練の実施状況
              • 新型コロナウイルス感染症に関する感染拡大予防ガイドラインの遵守状況、新型インフルエンザ対応マニュアル、事業継続計画の策定状況、対策に必要な物資等の備蓄状況及び職場における感染防止対策の周知・徹底状況などの感染症対策の実施状況
              • また、国土交通省は、各輸送機関等に適切な点検を行うよう指導するほか、期間内に現地確認を実施します。

      ページTOPへ

      Back to Top