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危機管理トピックス

マネロン・テロ資金供与対策ガイドラインに関するFAQ(金融庁)/公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会報告書(消費者庁)/テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン(厚労省)

2021.03.29
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更新日:2021年3月29日 新着31記事

金融関連の取引について説明している様子

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 「マネロン・テロ資金供与対策ガイドラインに関するよくあるご質問(FAQ)」について
  • FATFによる市中協議文書「暗号資産及び暗号資産交換業者に対するリスクベースアプローチに関するガイダンス改訂案」の公表について
  • 「記述情報の開示の好事例集2020」の追加・公表及び「政策保有株式:投資家が期待する好開示のポイント(例)」の更新について
  • 監査監督機関国際フォーラムによる「2020年検査指摘事項報告書」の公表について
警察庁
  • スマートフォン決済サービスを利用した不正振替事犯に係る対策について
  • 犯罪統計資料(令和3年1~2月)
  • NTPサーバを悪用したDDoS攻撃対策に関する注意喚起について
  • 令和2年度事交通事故被害者サポート事業報告書
内閣官房
  • 「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案」が閣議決定・国会提出されました。
  • 「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(案)に対するパブリックコメントの結果の公示及び同ガイドラインの策定について
内閣府
  • 月例経済報告
  • 令和3年第3回経済財政諮問会議
消費者庁
  • 公益通報者保護制度相談ダイヤル(一元的相談窓口)
  • 第5回 公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会(2021年3月22日)
  • 消費者志向経営の推進に関する有識者検討会
国民生活センター
  • レンタカー、カーシェアのトラブルに注意-事前に保険等の契約条件、車体の傷等を念入りに確認しましょう-
  • 消費生活センターのICT対応に関する現況調査<結果・概要>-ICTを使った情報提供・相談受付の現況-
厚生労働省
  • 多様化する労働契約のルールに関する検討会 第1回資料
  • 第5回「障害者の就労支援体系の在り方に関するワーキンググループ」資料
  • 「職場適応援助者養成研修のあり方に関する研究会」の報告書を取りまとめました
  • 第3回「大麻等の薬物対策のあり方検討会」 資料
  • 「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」を公表します
経済産業省
  • 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」を制定しました
  • 令和2年度「新・ダイバーシティ経営企業100選」「100選プライム」選定企業を決定しました
  • 令和2年度「なでしこ銘柄」「準なでしこ」を選定しました-女性活躍推進に優れた上場企業64社を選定!!-
国土交通省
  • 公共工事の施工体制の点検結果を公表します!~令和2年度公共工事の施工体制の全国一斉点検の結果~
  • 令和2年の土砂災害発生件数は平均の約1.2倍

~NEW~
首相官邸 北朝鮮による弾道ミサイル発射について
  • 北朝鮮は、本日7時4分頃及び7時23分頃、北朝鮮の東海岸の宣徳(ソンドク)付近から、合計2発の弾道ミサイルを東方向に発射した模様であります。100キロメートル未満の高度を、いずれも約450キロメートル飛翔したものと推定されております。なお、落下したのは我が国の排他的経済水域、いわゆるEEZ外と推定しております。
  • 現在までのところ、航空機、船舶からの被害情報等の情報は確認されておりません。北朝鮮による弾道ミサイルの発射は国連安保理決議違反であり、極めて遺憾であります。
  • こうした行為は、我が国と地域の平和と安全を脅かすものであり、これまでの弾道ミサイル等の度重なる発射も含め、我が国を含む国際社会全体にとって深刻な問題でもあります。また、弾道ミサイルの発射は、航空機や船舶の安全確保の観点からも極めて問題のある危険な行為であります。政府として、直ちに北京の大使館ルートを通じ、北朝鮮に対して厳重に抗議を行い、強く非難をしたところであります。我が国として、これまで以上に安全保障上の警戒監視を強める必要があります。
  • こうした状況を踏まえ、本日8時過ぎから国家安全保障会議を開催し、情報の集約及び対応についての協議を行ったところであります。政府としては、引き続き情報の収集及び分析に全力を尽くすとともに、新たな情報については国民の皆さんに対し、適宜情報提供を行っていきたいと考えております。また、米国、韓国等の関係国と緊密に連携し、引き続き緊張感を持って国民の安全と安心の確保に万全を尽くしてまいります。

~NEW~
環境省 政府における「熱中症対策行動計画」の策定について(お知らせ)
  • 政府は、熱中症対策を一層推し進めるため、熱中症関係省庁連絡会議を改め「熱中症対策推進会議」を開催し、「熱中症対策行動計画」を策定しました。
  1. 背景
    • 気候変動の影響により、日本を含め世界的に年平均気温は年々上昇しています。特に1990年代以降、夏季に高温となる日が頻出していることからも、熱中症による救急搬送人員数及び死亡者数は増加傾向にあり、国民生活に深刻な影響を及ぼしています。
    • 熱中症は、適切な予防や対処が実施されれば、死亡や重症化を防ぐことができます。政府は、平成19年度から熱中症関係省庁連絡会議を開催し、各種の取組を進めてきました。しかし、近年の熱中症が増加していること、今後の気候変動等の影響を考慮すると状況はますます悪化していくことが懸念されること、特に令和3年度には東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控えていることなどから、従来の取組を超えた対応が求められています。
  2. 「熱中症対策推進会議」の開催及び「熱中症対策行動計画」の策定
    • このような状況を踏まえ、政府において、熱中症関係省庁連絡会議を改め、環境大臣を議長、関係府省庁の担当部局長を構成員とした「熱中症対策推進会議」を開催することとしました。
    • 同推進会議の第1回会合を令和3年3月25日に開催し、熱中症に係る諸課題を踏まえつつ、政府、地方公共団体、産業界、各種団体及び国民の各主体が一体となって熱中症対策を推進するため、中期的な目標と令和3年夏の目標を次のとおり設定し取組を進めていきます。
      1. 中期的な目標:
        • 熱中症による死亡者数ゼロに向けて、できる限り早期に死亡者数年1,000人以下を目指し、顕著な減少傾向に転じさせる。
      2. 令和3年夏の目標:
        • 「熱中症警戒アラート」などに基づき、国民、事業所、関係団体などによる適切な熱中症予防行動の定着を目指す。
        • 上記目標の達成に向けて、同推進会議において、特に死亡者数の多い高齢者向けの熱中症対策や、地域や産業界との連携強化などの重点対策を体系的にまとめた「熱中症対策行動計画」を策定しました。
▼資料1-2 「熱中症対策行動計画」概要
  1. 重点対象分野
    1. 高齢者等の屋内における熱中症対策の強化
      • 高齢者が、エアコンを適切に使用しない理由等を勘案しながら、関係府省庁が持つ熱中症対策に関する知見を、高齢者等の視点に立って伝わりやすいように包括的に取りまとめ、地方公共団体や民間企業等の協力も得ながら、各府省庁連携して様々なルートを通じてワンボイスで伝え、熱中症に関する一層の周知を図り、適切な予防行動を促す。
    2. 管理者がいる場等における熱中症対策の促進
      • 教育機関、仕事場、農作業場、スポーツ施設、イベント会場、避難所等の現場において、それぞれの管理者等が、熱中症警戒アラートの活用や、暑さ指数の測定・活用などにより、各現場に応じた熱中症対策が徹底されるよう、関係府省庁が連携して、各種ホームページやアプリ、通知等も利用した情報提供等の支援を実施。
    3. 新型コロナウイルス感染症対策と熱中症対策の両立
      • マスク着用と熱中症の関係などを含めた、『新しい生活様式』における熱中症予防について、研究調査分析を進め、十分な科学的知見を得ながら、各種のリーフレットやホームページ、通知等を活用し、新しい知見を随時盛り込んだ対応策の周知を徹底。
      • 東京大会において、多言語での普及啓発、主要競技会場周辺の暑さ指数(WBGT)等の情報発信、外国人向けの熱中症予防・対処方法、コロナ対策と暑さ対策の両立を図るための情報発信等、組織委員会や東京都等と連携して、大会本番の熱中症対策に万全を期すため、一層対策を推進する。
  2. 連携の強化
    1. 地域における連携強化
      • 地方公共団体を中心とした、地域における熱中症対策推進のための連携体制の構築を図り、熱中症警戒アラートや暑さ指数などの適時・的確な情報の発信と伝達、気候変動を踏まえた熱中症対策の立案等により、地域住民の熱中症予防行動の促進につなげる。また、高齢者等の熱中症弱者への地域での見守りや声かけが実施されるよう、地域の団体や民間企業の取組や連携を促し、地域を支援する。
    2. 産業界との連携強化
      • 熱中症に関連した様々な商品やサービスの開発について、民間企業の技術開発や事業展開の後押しを通じた市場の拡充が、熱中症対策の一層の推進に繋がるよう、産業界との連携を強化する。また、熱中症予防に関する機器や商品等の普及を促進する。特に、エアコンについては、シーズン前の早期点検や適切な室温管理等の使用方法の呼びかけなど、特に高齢者等を意識した対応を進める。
  3. 広報及び情報発信の強化
    • これまで毎年7月に実施してきた熱中症予防強化月間を、令和3年度から「熱中症予防強化キャンペーン」(毎年4月~9月)として、関係府省庁の連携を強化して広報を実施することにより、効果的に国民の予防行動につなげる。また、令和3年度から全国展開する「熱中症警戒アラート」について、関係府省庁が連携して多様な媒体や手段で国民に対して情報共有を行う。
      1. 基盤となる取組
        • 熱中症発生状況等に係る正確な実態把握・情報提供
        • 調査研究等の推進
      2. 推進体制及び行動計画の見直し
        • 環境大臣(議長)及び関係府省庁局部長級による熱中症対策推進会議の開催
        • PDCAサイクルを確立し、必要に応じて柔軟に行動計画の見直しを実施

~NEW~
総務省 「令和2年中の救急出動件数等(速報値)」の公表
▼消防庁 「令和2年中の救急出動件数等(速報値)」の公表
  • 令和2年中の救急自動車による救急出動件数は593万3,390件(70万6,377件減、10.6%減)、搬送人員は529万4,045人(対前年比68万3,963人減、11.4%減)で救急出動件数、搬送人員ともに対前年比で減少しました。
  • 救急出動件数及び搬送人員が対前年比で減少したのは、平成20年以来、12年ぶりとなりました。減少の理由としては、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う衛生意識の向上や不要不急の外出自粛といった国民の行動変容により、急病、交通事故及び一般負傷等の減少に繋がったことなどが考えられます。
  • 一方で、複数の消防本部からの聞き取りによれば、現場到着所要時間や病院収容所要時間については、救急現場における新型コロナウイルス感染症への対応などを背景に、対前年比で延伸したとの報告を受けており、消防庁としては、引き続き関係機関と連携しながら、各地域の消防機関が救急搬送を適切に行えるよう、必要な対応を進めてまいります。
  • 令和2年中の救急自動車による救急出動件数は593万3,390件(対前年比70万6,377件減、10.6%減)、搬送人員は529万4,045人(対前年比68万3,963人減、11.4%減)で救急出動件数、搬送人員ともに減少となった
  • 令和2年中の救急自動車による救急出動件数の内訳を搬送の原因となった事故種別ごとにみると、急病が385万670件(64.9%)、一般負傷が95万1,937件(16.0%)、交通事故が36万6,297件(6.2%)などとなっている。事故種別ごとの救急出動件数について、5年ごとの推移をみると、急病と一般負傷の割合は増加している一方で、交通事故の割合は減少している。なお、急病の割合は、前年との比較では減少している。
  • 令和2年中の救急自動車による搬送人員の内訳を搬送の原因となった事故種別ごとにみると、急病が345万2,042人(65.2%)、一般負傷が86万6,364人(16.4%)、交通事故が34万2,428人(6.5%)などとなっている。事故種別ごとの搬送人員について、5年ごとの推移をみると、事故種別ごとの救急出動件数と同じように、急病と一般負傷の割合は増加している一方で、交通事故の割合は減少している。また、急病の割合は、前年との比較では減少している。
  • 令和2年中の救急自動車による搬送人員の内訳を年齢区分別にみると、高齢者が329万8,869人(62.3%)、成人が165万5,127人(31.3%)、乳幼児が17万7,357人(3.4%)などとなっている。年齢区分別の搬送人員の推移をみると、高齢者の割合は年々増加している。
  • 令和2年中の救急自動車による搬送人員の内訳を傷病程度別にみると、軽症(外来診療)が241万1,429人(45.5%)、中等症(入院診療)が234万5,167人(44.3%)、重症(長期入院)が45万6,554人(8.6%)などとなっている。傷病程度別の搬送人員の推移をみると、中等症(入院診療)の割合は年々増加している。

~NEW~
金融庁 「マネロン・テロ資金供与対策ガイドラインに関するよくあるご質問(FAQ)」について
▼マネロン・テロ資金供与対策ガイドラインに関するよくあるご質問(FAQ)
  • 「経営陣が、管理のためのガバナンス確立等について主導性を発揮する」とは、いかなる態様が考えられますか。
    • 経営陣による関与については、マネロン・テロ資金供与リスクが経営上の重大なリスクになりかねないことを的確に認識し、取締役会等において、マネロン・テロ資金供与対策を経営戦略等における重要な課題の一つとして位置付けることや、経営陣の責任において組織横断的な枠組みを構築し、戦略的な人材確保・教育・資源配分等を実施することが考えられます。
    • なお、取締役会等において、マネロン・テロ資金供与対策を経営戦略等における重要な課題の1つとして位置付けていることの証跡としては、議事録において、報告の内容や経営陣からの指示、コメントが残されていること、ディスクロージャー誌や年次報告書において、マネロン・テロ資金供与リスクを経営上の課題として認識し、リスクに応じた取組みを適切に行っている旨の記載がなされていることなどが考えられます。
  • 業界団体や中央機関等の役割
    • 送金業務の受付時における送金依頼人・受取人の確認、送金目的の確認やリスクに応じた確認手続等については、第一次的には、委託元金融機関等が実施することになるものと考えられます。委託元金融機関等がこうした確認手続の内容等に関する検討を行うに当たっては、自らのマネロン・テロ資金供与リスク管理態勢について、その業務上のリスクが自らのリスク許容度の範囲内に収まるよう有効な管理が可能かどうかという観点から検討を行う必要があります。
    • また、受託する金融機関等は、委託元金融機関等の管理態勢を適切に把握すると共に、自らのマネロン・テロ資金供与リスク管理態勢上、必要な情報を入手する仕組みが構築されている必要があります。必要に応じて、自らの顧客でない委託元の顧客の取引に対しても追加的な照会を行うことを始めとし、取引モニタリング・取引フィルタリング、疑わしい取引の届出、記録保存等のリスクに応じた対応を行うことが考えられます。
  • 「マネロン・テロ資金供与対策におけるリスクベース・アプローチとは(中略)リスク許容度の範囲内に」と記載されていますが、具体的に「リスク許容度の範囲内」であるとは、どのように考えれば良いでしょうか。
    • 自らが特定・評価したマネロン・テロ資金供与リスクが、当該金融機関等のリスク管理上許容できる範囲内に収まることを意味します。マネロン・テロ資金供与リスクが、当該金融機関等のリスク管理上許容できる範囲内に収まっていることについては、あらかじめ、リスク管理を含むマネロン・テロ資金供与対策に責任を有する経営陣により承認を受けた上で文書化されていることが求められるものと考えます。
  • リスクの「包括的かつ具体的な検証」とは、どのような方法で行えばいいのでしょうか。
    • 「包括的かつ具体的な検証」の方法は、個々の金融機関等によって異なり得ますが、自らの提供している商品・サービス、取引形態、取引に係る国・地域、顧客の属性等について、漏れがないよう包括的に洗い出しを行う必要があります。その上で、項目として大まかで抽象性のあるものではなく、実務に即して具体的なリスク項目を特定するための検証を行うことが求められます。
    • 例えば、自ら提供している商品・サービスを特定する場合、「〇×普通預金」、「××定期預金」、「△△ドル建普通預金」、「〇〇建定期預金」など、提供している商品・サービス1つ1つについて検証し、リスクを特定する必要があります。
    • 同様に、顧客が利用する上で関係する全ての取引形態、取引に係る国・地域、顧客の属性等についても、1つ1つを、前記と同様の水準で検証して、リスクを特定する必要があります。
    • なお、この検証作業に際しては、国によるリスク評価の結果、外国当局や業界団体等が行う分析等についても適切に勘案する必要があるほか、自ら届出を行った疑わしい取引の分析を含め、自ら直面するマネロン・テロ資金供与リスクの特性を考慮する必要があります。
  • 包括的かつ具体的な検証に当たっては「自らの営業地域の地理的特性」や「事業環境」を考慮するとありますが、具体的に何が求められているのでしょうか。
    • 「自らの営業地域の地理的特性」については、当該地域の地理的な要素の特性を意味しています。例えば、自らの営業地域が、貿易が盛んな地域に所在するといった場合や、反社会的勢力による活発な活動が認められる場合、反社会的勢力の本拠が所在している場合に、当該地域の独自の特性を考慮する必要があると考えます。
    • 実際に地理的特性を考慮してリスクを検証する際には、例えば、貿易が盛んな地域に自らの営業地域が存在している場合、貿易や水産物を取り扱うなどの取引先が多いと考えられますので、取扱商品や輸出・輸入先の把握を通じた経済制裁等への対応等、地域的特性から精緻に検証し、リスク項目を洗い出すことが必要になるものと考えます。
    • 「事業環境」については、マネロン・テロ資金供与に関する規制の状況、競合他社のマネロン・テロ資金供与対策の動向等、自らの事業に関する要素を考慮する必要があると考えます。
    • 例えば、競合他社が参入する場合(基本的には、自らの競合他社が参入する場合)には、新たな競合他社の参入により、競争の激化やサービスの変化、取引量の増減等によるマネロン・テロ資金供与の固有リスクが変化する可能性があります。したがって、例えば、新たな競合他社の参入により市場全体のマネロン・テロ資金供与に関するリスクが影響を受ける場合には、新たに検証すべきリスク項目がないかについて、年に1回程度予定されている定期的なリスク評価書の改訂を待つのではなく、可能な限り早い段階で洗い出す必要があると考えます。
    • なお、顧客が海外との取引を行っている場合、その相手先の国・地域のマネロン・テロ資金供与リスクも踏まえた顧客リスク評価を行うことが求められています。
  • 「取引に係る国・地域について検証を行うに当たっては(中略)直接・間接の取引可能性を検証し、リスクを把握すること」とありますが、間接の取引とは、どのような場合を指しているのでしょうか。
    • 制裁対象国等ハイリスク国の周辺国・地域と取引を行う場合や、顧客が行う商取引行為が制裁対象国等ハイリスク国・地域に関連している場合のほか、例えば、マネロン・テロ資金供与リスクが高いと評価される国・地域に向けた取引が、マネロン・テロ資金供与リスクが高いと評価されていない国・地域を経由して行われる場合等が考えられます。
    • また、顧客の所在地が日本である場合においても、当該顧客が、制裁対象国等ハイリスク国の周辺国・地域において子会社・合弁会社を設立している場合には、当該会社を通じて、経済制裁対象国へ資金が流出する可能性もあります。
    • こうしたマネロン・テロ資金供与リスクについて、金融機関等は、当該顧客のリスク評価の一要素として、当該顧客の商流のみならず、当該顧客の子会社・合弁会社の実態等や必要に応じてその取引相手の実態等を把握し、顧客がこれらの子会社等に牽制機能を有しているかといった点を十分把握することが考えられます。
    • 特に、制裁対象国等ハイリスク国の周辺国・地域に所在する子会社・合弁会社については、取引相手や取引の商品も含め、これらの点に留意する必要があると考えますが、いかなる範囲の子会社・合弁会社等について、いかなる方法により実態を把握するかは、各金融機関等において、リスクに応じて、個別具体的に判断していただくことが重要であると考えています。
    • 例えば、融資等の先はもちろんのこと、そうした先でなくとも、様々な情報等から、グローバルに業務を展開している可能性のあると判断される企業については、状況に応じて、制裁対象国等ハイリスク国の周辺国・地域に所在する子会社・合弁会社の存在や、子会社・合併会社と制裁対象者等との取引の可能性を確認していくといったことが考えられます。
  • 「当該商品・サービス等の提供前に(中略)マネロン・テロ資金供与リスクを検証すること」について、留意すべき事項を教えてください。
    • これまで取扱いがなかった商品・サービス等の提供を開始する場合のほか、例えば、国内外の事業を買収することや業務提携等により、新たな商品・サービスの取扱いが発生する場合、直面するリスクが変化することから、営業部門と管理部門とが連携して、事前にマネロン・テロ資金供与リスクを分析・検証することが求められます。
    • これまで取扱いがなかった商品・サービス等の提供を開始する場合として、例えば、他業態の事業者と提携して、取引時確認業務を当該他業態の事業者に依拠して新たな商品・サービスを提供する場合に、当該他の事業者のマネロン・テロ資金供与リスク管理態勢の有効性を確認することが考えられます。また、その他にも、例えば、金融機関等が顧客に対して法人口座に紐づく入金専用の仮想口座(バーチャル口座)等を提供することを検討している場合に、仮想口座を利用する事業者等の利用目的やマネロン・テロ資金供与リスクを検証することが考えられます。
    • 加えて、提携先等がどのようなマネロン・テロ資金供与リスクに直面し、その提携等している業務のリスクに対して、どのようなマネロン・テロ資金供与リスク管理を行っているかを把握し、リスクに応じて継続的にモニタリングすることが求められます。
    • また、新たな商品・サービス等の提供後に、当該商品・サービス等の内容の変更等により、事前に分析・検証したものと異なるリスクを検知した場合には、リスクの見直しを行った上で、見直し後のリスクを低減させるための措置を講ずる必要があります。
    • なお、提携先、連携先、委託先等については、例えば、これらの実質的支配者を含む必要な関係者を確認し、反社会的勢力でないか、あるいは制裁対象者でないかといった検証が必要になるものと考えます。
    • さらに、当該提携先等と連携して提供する業務が特定業務(犯収法別表及び同法施行令第6条)に該当する場合には、特定業務に係る取引を行った場合の取引記録等の作成・保存、疑わしい取引の届出を行う義務があり、加えて、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出の措置を的確に実施するための態勢整備を行う必要があります(犯収法第11条、同法施行規則第32条第1項各号参照。)。
  • リスク評価における営業部門との具体的な連携方法について、具体的な留意点があれば教えてください。
    • リスク評価は、金融機関等が保有するマネロン・テロ資金供与リスクを正確に把握することであり、マネロン・テロ資金供与リスク管理の主管部署である第2線のみで、実態に即さないリスクの評価を行うことは避けるべきであると考えられます。具体的には、第1線と第2線がリスクの評価の作業を行う段階で緊密に連携し、顧客や商品・サービスの実態を最も理解している営業部門が保有している顧客の取引先や顧客の商流等の情報、商品・サービス、取引形態等のリスクを顧客リスク評価に反映させるなど、営業部門がこれまでに築いてきた顧客との信頼関係を基礎として把握した情報を全てリスク評価の過程で反映することが必要と考えます。
    • 管理部門(第2線)は、営業部門(第1線)がリスク評価を実施するに当たって考慮すべき事情を明確に理解することができるよう、リスク評価の全社的方針や具体的手法を確立する必要があります。
    • また、管理部門(第2線)は、営業部門(第1線)の行ったリスク評価を踏まえつつ、疑わしい取引の分析結果等を勘案しながら、最終的なリスク評価を実施する必要があります。
  • インターネットバンキングについて、マネロン・テロ資金供与リスク評価、低減措置の観点から留意すべき事項を教えてください。
    • インターネットバンキングについては、乗っ取り、なりすましや取引時確認事項の偽りの可能性があることなど、非対面取引のリスクを踏まえた対応が必要であり、例えば、IPアドレスやブラウザ言語、時差設定等の情報、User Agentの組み合わせ情報(例えば、OS/ブラウザの組み合わせ情報)等の端末情報や画像解析度等を活用することにより、不審・不自然なアクセスを検知するといった対応が考えられます。
  • いわゆる一見顧客への「受入」における留意点について教えてください。
    • いわゆる一見顧客への対応については、(1)法令等の対応を適切に実施する、(2)リスクベースの対応を適切に実施する、(3)顧客説明を丁寧に実施するという3点が重要と考えます。
    • (1)については、犯収法等の法令等で求められている義務を確実に履行することが求められます。
    • (2)については、商品・サービス、取引形態、取引に係る国・地域、顧客属性等のリスクを包括的かつ具体的に検証して得られたリスク評価及びその低減措置を、当該一見顧客の取引に適用し、事前に定められている低減措置を確実に実施することが求められます。
    • (1)及び(2)に関しては、法令に従った取引時確認等を実施した上、氏名、生年月日、住所等を確認した結果、反社会的勢力や制裁対象者に該当することが分かった場合には、契約自由の原則と社内規定、法令等に沿って、謝絶した上で、疑わしい取引の届出を行うなどの適切な対応が求められます。また、スクリーニングの結果、反社会的勢力や制裁対象者に該当する可能性がある場合には、上級管理職との協議を行い、取扱いの可否を判断し、疑わしい取引の届出を行うと共に、他拠点で同一顧客が一見取引を行った際にチェックできるような態勢を構築することが想定されます。
    • 加えて、例えば、一見顧客がA支店で取引を行おうとした結果、反社会的勢力等、取引不可先であることが判明した場合には、当該一見顧客がB支店等他の支店等において取引を実施しようとした場合においては、当該他の支店等においても取引を適切に謝絶できるといった態勢を構築することが求められます。
    • そして、(3)については、一見顧客は、これまで取引等がないことから、情報等も少なく、(1)及び(2)の手続に時間を要することが想定されますので、各種手続の内容や手続に要する時間等を顧客に対して丁寧に説明し、当該顧客に納得してもらうことも重要であると考えます。
    • なお、丁寧に説明をしても納得が得られないなど協力が得られない場合、又は合理的な理由なく申告された取引目的とは異なるような高額取引や把握された属性から外れるような取引が認められた場合には、内部規程に従って、上級管理職の判断を求めることも必要であると考えます。
  • 「信頼に足る証跡」とは、具体的にはどのようなものが該当するのでしょうか。例えば、本人確認事項の調査において、犯収法施行規則第7条に定める本人確認書類が該当するとの理解で良いでしょうか。
    • 「信頼に足る証跡」は申告の真正性を裏付ける公的な資料又はこれに準じる資料を意味しています。本人確認事項の調査に当たっては、犯収法施行規則第7条に定める本人確認書類のほか、経歴や資産・収入等を証明するための書類等が考えられますが、調査する事項に応じ、その他の書類等についても活用することが考えられます。例えば、株主名簿、有価証券報告書、法人税確定申告書の別表等を徴求する場合や公証人の定款認証における実質的支配者となるべき者の申告制度(注)を活用する場合等も考えられます。具体例としては、生命保険金の支払時において、受取人が団体である場合には、株主名簿や有価証券報告書等の証跡を取得するなどにより、その実質的支配者の調査を実施することが考えられます。
    • また、取引目的の調査に当たっては、例えば、取引目的が商取引であれば、取引先との取引履歴や、同取引に関する契約書等を徴求することが考えられます。
    • なお、犯収法令上定められた項目については、犯収法令上定められた方法、書類に従い確認を行った上で、リスクに応じて、追加的に証跡を取得することについて判断することとなります。
    • (注)法人設立時の定款認証において、公証人に実質的支配者となるべき者を申告させる制度のこと(2018年11月30日に改正公証人法施行規則の施行により開始)
  • 「国内外の制裁に係る法規制等の遵守その他リスクに応じて必要な措置を講ずること」について、留意すべき事項を教えてください。
    • 国内外の制裁に係る法規制等の遵守については、例えば、国際連合安全保障理事会(以下「国連安保理」といいます。)決議等で指定される経済制裁対象者については、外国為替及び外国貿易法第16条及び第21条等に基づき、同決議等を踏まえた外務省告示が発出された場合に、直ちに該当する経済制裁対象者との取引がないことを確認し、取引がある場合には資産凍結等の措置を講ずるものとされています。さらに、国際的な基準等(注)を踏まえると、外務省告示の発出前においても、国連安保理決議で経済制裁対象者が追加されたり、同対象者の情報が変更されたりした場合には、遅滞なく自らの制裁リストを更新して顧客等の氏名等と照合するとともに、制裁リストに該当する顧客等が認められる場合には、より厳格な顧客管理を行い、同名異人か本人かを見極めるなどの適切かつ慎重な対応が必要と考えています。
    • したがって、このような対応を確実に実施するために必要なデータベースやシステム等の整備、人材の確保、資金の手当てを、直面しているリスクに応じて実施していただくことが重要であると考えています。
    • なお、昨今、データ復旧等に身代金を要求するランサムウェアの感染被害が報告されています。海外ではランサムウェアの身代金がテロ資金等に悪用される可能性もあると指摘されており、米国においては、金融機関等に向けて、ランサムウェアの身代金の支払いへの関与には制裁リスクがあるという点について注意喚起の勧告も出されました。サイバー空間には国境がないことから、このような身代金の支払いに金融機関等が利用されてはならず、顧客の送金について、この種のテロ資金供与リスクがあることも留意する必要があります。
    • (注)FATFにおいては、テロ資金供与や大量破壊兵器の拡散に関する金融制裁として、国連安保理により制裁対象として指定された個人・団体が保有する資金・資産を遅滞なく凍結することを求めております。
  • 「信頼性の高いデータベースやシステムを導入するなど」とありますが、ベンダーが一般的に提供しているPEPsリストのデータベースやAMLシステムの導入等を念頭に置いているとの理解で良いでしょうか。
    • ご指摘いただいた外部機関等が提供している信頼に足るPEPsリストも含む、国連安保理指定の制裁対象者・国・団体、取引に関係する国・地域の制裁対象者や我が国の反社会的勢力を含むデータベース、マネロン・テロ資金供与対策に係るシステムも一例として考えられます。その際は、遅滞なくデータの更新が行われることに加え、取引フィルタリングシステムのリストやあいまい検索機能や取引モニタリングシステムのシナリオ・敷居値等をリスクに応じた適切なものとする必要があると考えられます。
  • 「全ての顧客について顧客リスク評価を行う」とありますが、例えば、長期不稼働口座については、その他の属性の如何にかかわらず、また、改めて属性を確認することなく、低リスクと見做した上で通常の顧客管理とは異なる取扱いを行い、口座が稼働し始めた時点で高リスク先と評価した上で厳格な顧客管理を実施することとし、その一環として顧客情報の更新を実施することで問題ないでしょうか。
    • 本ガイドラインは、全ての顧客について、金融機関等によるマネロン・テロ資金供与リスクの特定・評価の結果を総合して、顧客リスク評価をすることを求めるものですが、具体的な対応策については、その取引や顧客の状況に応じて、個別具体的に判断する必要があります。
    • 例えば、長期不稼動口座を保有する顧客について、長期にわたって取引がなされていない点に着目してそのリスクを評価した場合、口座残高に異動がない場合は低リスクと評価されますが、急に取引が開始された場合や新たに小口の資金移動が発生した場合には、システム等によって速やかに検知し、その理由を確認する必要があると考えます。その前提として、長期不稼働口座が稼働した場合には、その金額の多寡を問わず検知できる体制を設けることが必要と考えます。
    • また、このような不稼働口座が動き出した場合には、口座の譲渡・貸与等が行われた可能性もあり、この点を考慮してまずは顧客リスク評価を実施し、直ちに厳格な顧客管理(EDD)を行う必要があるか否かを検討する仕組みを構築することが考えられます。
  • 「リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD)」とは、具体的にどのような措置をいうのでしょうか。
    • 本ガイドラインにおける「リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD)」とは、顧客リスク評価の結果、「低リスク」と判断された顧客のうち、一定の条件を満たした場合に、DM等を顧客に送付して顧客情報を更新するなどの積極的な対応を留保し、取引モニタリング等によって、マネロン・テロ資金供与リスクが低く維持されていることを確認する顧客管理措置のことをいいます。
  • 顧客情報の「定期的な確認」との記載は、リスクが低いと判断し、簡易な顧客管理方針とした顧客についても全て、マネロン防止対策の目的をもって、本人特定情報や顧客管理情報等の再確認を行うために、顧客とコンタクト(電話や郵送等)を取り、ヒアリングや資料提供を依頼することを想定しているのでしょうか。それとも、こうした顧客については、全先に対してコンタクトを取らず、顧客属性データ、取引履歴データのほか、(もしあれば)これまでの気付き状況のみで判断するといった対応でも問題ないのでしょうか。
    • 継続的な顧客管理については、リスクが低いと判断した顧客も含む全ての顧客をその対象とすることが求められますが、全ての顧客に一律の時期・内容で調査を行う必要はなく、顧客のリスクに応じて、調査の頻度・項目・手法等を個別具体的に判断していただく必要があります。
    • 顧客との店頭取引やインターネット取引等で顧客がアクセスするなどの各種変更手続の際に、マネロン・テロ資金供与対策に係る情報も確認されているのであれば、そのような実態把握をもって、継続的な顧客管理における顧客情報の確認とすることも考えられます。
    • ただし、高リスク顧客の中には、営業実態の把握や実地調査、顧客に対して対面で確認することが必要な場合もあることから、リスクに応じた対応が必要であることに留意すべきと考えます。
  • 「確認の頻度を顧客のリスクに応じて異にすること」とありますが、どのような頻度を想定しているのでしょうか。また、情報の網羅的な更新を求めるものではなく、例えば現住所地等一定の情報に着目し、リスク評価を変更する契機とすべき事象が生じていないかを確認し、当該事象が発生している場合にのみ、深度ある確認を実施しようとすることで良いでしょうか。
    • 継続的な顧客管理については、顧客に係る全ての情報を更新することが常に必要となるものではなく、顧客のリスクに応じて、調査の頻度・項目・手法等を個別具体的に判断していただく必要があります。
    • 一般的には、高リスク先については1年に1度、中リスク先については2年に1度、低リスク先については3年に1度といった頻度で情報更新を行うことが考えられます。これ以上、期間を延ばす場合には、合理的かつ相当な理由が必要になるものと考えます。
    • また、更新する情報は、顧客リスク評価の見直しをするために必要な範囲で、個別具体的な事情に照らして判断していただく必要があります。情報更新に際しては、信頼できる公開情報を参考にすることもあり得ますし、顧客に対面で確認するべき場合もあり得るものと考えます。
    • なお、継続的顧客管理において、顧客リスク評価の見直し手続に係る期日管理や期日までに見直しができない顧客の管理、期日超過分の速やかな解消については、第1線と第2線が連携し、適切な管理が行われることが重要であり、期日超過の管理状況については、定期的に経営陣に報告され、解消のための措置を講ずることが期待されます。
  • 「取引フィルタリングに関する適切な体制」とは、どのようなことを想定しているのでしょうか。
    • 例えば、制裁対象者や制裁対象地域について、アルファベットで複数の表記方法があり得る場合には、スペリングの違いについて幅をもって検索できる「あいまい検索機能」の適切な設定に加えて、制裁リストに複数の名称を登録することのほか、他の顧客の継続的顧客管理措置や取引モニタリング、取引フィルタリング、疑わしい取引の届出調査の過程で把握した情報や公知情報等から入手した取引不可先情報や、システム的に検知し深堀調査を行うためのキーワード等(制裁対象国・地域や制裁対象者でないものの、リスクの高い特定の国・地域名や氏名、団体名等)を金融機関独自の照合リストに追加することなどにより、制裁対象取引に関するリスク管理やリスクに応じた調査を適切に行うことなどが含まれると考えます。
  • 「遅滞なく照合する」について、具体的にどのようなことが求められているのでしょうか。
    • 国際連合安全保障理事会決議等で経済制裁対象者等が指定された際には、金融機関等は、数時間、遅くとも24時間以内に自らの制裁リストに取り込み、取引フィルタリングを行い、各金融機関等において既存顧客との差分照合が直ちに実施される態勢を求めています。
  • 疑わしい取引の届出を「直ちに行う態勢」の「直ちに」とはどのようなことが求められているのか具体的に教えてください。
    • 疑わしい取引の届出は、ある取引について実際に疑わしい取引に該当すると判断した場合には、即座に行われることが望ましいものと考えます。
    • 例えば、疑わしい取引に該当すると判断した取引について、1か月に1回決まった日にまとめて届出を行うといった対応は、適切ではないものと考えます。
    • したがって、「直ちに行う態勢を構築」しているといえるためには、ある取引について疑わしい取引に該当するものと判断した後、即座に届出を行う手続を開始する態勢を構築することが求められます。
    • なお、ある取引について、疑わしい取引に該当すると判断する前段階において、取引モニタリングで検知されるなどの疑わしい取引に該当することが疑われる場合に、どの程度の期間で検証・届出をすべきかについては、取引の複雑性等に応じて必要な調査期間も踏まえつつ、個別取引ごとに判断されることになりますが、疑わしい取引の検知から届出まで1か月以内で実施できることが望ましいものと考えます。
  • 「当該海外送金等を自らのマネロン・テロ資金供与対策におけるリスクベース・アプローチの枠組みの下で位置付け」るとはどういうことが求められているのでしょうか。
    • 自ら海外送金等を実行せず、他の金融機関等に委託等をする場合においても、自らの顧客が海外送金等の取引を行っていること自体を当該顧客の顧客リスク評価に反映させ、顧客リスク評価に応じた継続的顧客管理を実施するなど、当該顧客に対する自らのマネロン・テロ資金供与対策におけるリスクの特定・評価・低減の措置を実行することを求めています。
  • 「リスク低減措置を講じてもなお残存するリスク」について、どのように検討すれば良いでしょうか。
    • 残存リスクは、リスク低減措置によって各金融機関のリスク許容度の範囲内で可能な限り小さくすることが求められており、残存リスクが高いまま、その商品・サービスを継続させることは困難であるものと考えます。残存リスクがゼロになることはないことを前提にしつつも、高リスクから中リスク、中リスクから低リスクへとリスク低減措置の改善を図るため、疑わしい取引の届出の分析結果により敷居値やシナリオの改善等を行うなどしてリスク低減を図ることができないかを定期的に検証する機会を持ち、経営陣を含めて検討する必要があります。
    • なお、取引開始後に反社会的勢力であると判明した顧客に対して、取引解消までの間、厳格な管理を行いつつ最低限の生活口座として存続させることを許容した場合の普通預金口座取引等は、リスク低減措置を講じてもなおリスクが残存する例の一つと考えられます。
  • 「(中略)管理態勢等(外部へのアウトソーシングを含む。)を構築すること」について、具体的にどのような点に留意することが求められていますか。
    • 業務委託先が取引時確認や顧客管理業務の一部を実施している場合においても、委託元の金融機関等が顧客管理に関する責任を負います。このため、例えば、当該委託先を第1線と位置付け、第2線が必要な牽制・支援を行い、委託元の責任で必要な文書管理を行うことなどが必要であると考えられます。この場合、第3線は、第2線において委託先の牽制や支援を適切に実施しているかを監査することとなります。また、外部へのアウトソーシングに関し、個人情報の授受が行われる場合は、個人情報の共有に関する合意があらかじめ得られていること、守秘義務契約の締結や情報セキュリティに問題ない先であることの確認がなされていることにも留意する必要があります。
  • 「リスクが高いと判断した業務等以外についても、一律に監査対象から除外せず、頻度や深度を適切に調整して監査を行うなどの必要な対応を行うこと」とありますが、具体的にどのようなことが求められているのでしょうか。
    • 第3線が実施する監査についても、リスクベース・アプローチを適用して対応することが求められていますが、具体的な監査項目の選定に当たり、リスクの高低のみで判断して、リスクが低いと判断した場合には、一律監査対象から外すという手法は、リスクベース・アプローチとはいえず、リスクが低い項目であっても、過去に一度も監査していないような場合等については、深度を調整してサンプル的に監査を実施するなどの対応が必要になるということを明確化したものです。
  • 国内のグループ会社間の顧客情報・取引情報の情報共有態勢の整備に当たり、個人情報保護法や金融商品取引法等我が国の法制上、どこまでの情報の共有が可能でしょうか。
    • (個人情報保護法との関係)個人情報保護法第23条第1項では、個人データの第三者提供には、原則として本人の同意が必要と規定されています。ただし、例外として「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき」に該当する場合には、あらかじめ本人の同意を得ることなく個人データを第三者に提供することができるとされています。上記例外的な場合に該当するか否かは、個別具体的な事例に即して総合的な利益衡量により判断されるところ、「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」3-1-5(2)では、これに該当し得る例示として、「暴力団等の反社会的勢力情報、振り込め詐欺に利用された口座に関する情報、意図的に業務妨害を行う者の情報」が挙げられています。犯収法に基づく疑わしい取引の届出に係る顧客情報・取引情報がこれらの情報に該当する場合には、当該顧客情報・取引情報も上記例外的な場合に該当し得るものと考えますが、例外の要件に該当するか否かは個別具体的な事情に照らして判断していただく必要があります。なお、上記例外的な場合に該当しない個人データについては、本人の同意に基づく提供又は共同利用(同法第23条第5項第3号)によることが考えられます。
    • (金融商品取引法との関係)金融商品取引法上、金融商品取引業者等がグループ内において顧客等に関する非公開情報を授受することは原則として制限されていますが、本ガイドラインの【対応が求められる事項】である「マネロン・テロ資金供与対策の実効性確保等のために必要なグループ内での情報共有態勢を整備すること」は、法令遵守のために必要なものであり、こうした制限の適用除外規定(金融商品取引業等に関する内閣府令第153条第3項第1号等)に該当するものと考えられます。
  • 「研修等の効果について、研修等内容の遵守状況の検証や職員等に対するフォローアップ等の方法により確認し」とありますが、具体的にどのような対応が求められているのでしょうか。
    • 研修等の目的は、実効的なマネロン・テロ資金供与対策を実施することであると考えられますので、研修内容は、金融機関が直面するリスクを低減させるような実践的なものとなっている必要があると考えます。この場合、研修等を受講した職員等において、獲得した知識を活用し、業務上求められる役割を適切に果たす必要があることから、フォローアップ等を実施して、知識の定着を図り、想定されている業務上の効果があるかについて、職員の働きぶり等も踏まえて確認し、改善の余地がないか検討することが求められます。

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金融庁 FATFによる市中協議文書「暗号資産及び暗号資産交換業者に対するリスクベースアプローチに関するガイダンス改訂案」の公表について
  • FATF(金融活動作業部会)は、3月19日、「暗号資産及び暗号資産交換業者に対するリスクベースアプローチに関するガイダンス改訂案」(原題:Draft updated Guidance for a risk-based approach to virtual assets and VASPs)と題する市中協議文書を公表しました。
  • 今回の改訂は、FATFが昨年7月に公表した「暗号資産・暗号資産交換業者に関する新たなFATF基準についての12ヵ月レビューの報告書」及び「いわゆるステーブルコインに関するG20財務大臣・中央銀行総裁へのFATF報告書」において指摘していた課題を踏まえたものであり、主要改訂項目としては、以下が挙げられています。
    1. FATF基準における暗号資産、暗号資産交換業者の定義明確化
    2. いわゆるステーブルコインに対するFATF基準の適用
    3. 仲介業者を利用しない個人間取引(P2P取引)のリスクおよびリスク低減策
    4. 暗号資産交換業者の登録・免許
    5. 暗号資産移転取引における通知義務(いわゆるトラベルルール)の履行
    6. 情報共有と監督上の国際協力に関する原則
▼暗号資産及び暗号資産交換業者に対するリスクベースアプローチに関するガイダンス案
▼暗号資産・暗号資産交換業者に関する新たなFATF基準についての12ヵ月レビューの報告書
▼いわゆるステーブルコインに関するG20財務大臣・中央銀行総裁へのFATF報告書

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金融庁 「記述情報の開示の好事例集2020」の追加・公表及び「政策保有株式:投資家が期待する好開示のポイント(例)」の更新について
▼政策保有株式:投資家が期待する好開示のポイント(例)
  • 政策保有株式に係る記載事項の概要(2019年3月期から適用)
    • 純投資と政策投資の区分の基準や考え方
    • 政策保有に関する方針、目的や効果。また、政策保有株式の保有について、その合理性を検証する方法や取締役会等における議論の状況
    • 開示基準に満たない銘柄も含め、売却したり、買い増した政策保有株式について、減少・増加の銘柄数、売却・買い増した株式それぞれの理由等
    • 個別の政策保有株式の保有目的・効果について、提出会社の戦略、事業内容及びセグメントと関連付け、定量的な効果(記載できない場合には、その旨と保有の合理性の検証方法)を含めたより具体的な説明
    • 個別銘柄の開示対象の拡大(30→60)
    • 提出会社が政策保有株式として株式を保有している相手方が、当該提出会社の株主となっている場合、当該相手方に保有されている株式等
  • 政策保有株式全体
    • 保有先企業のノウハウ・ライセンスの利用等、経営戦略上、どのように活用するかについて具体的に記載。「経営戦略を勘案し保有効果を検討している」という記載では不十分
    • 保有の上限を設定し記載。株主資本をどのように活用できているかという観点が重要であり、保有残高の規模は総資産ではなく株主資本に対する割合で検証することが望ましい
    • 売却の方針等がある場合は当該方針を記載
    • 売却の判断に関する指標があれば当該指標を記載
    • 時価(含み益)や配当金による検証だけではなく、事業投資と同様、事業の収益獲得への貢献度合いについて具体的に記載(例)・営業取引規模が過去○年平均と比較し○%以上増加等・ROEやRORA等が○%増加等
    • (※)時価(含み益)や配当金による検証だけでは純投資の評価と同じであり、政策保有株式の評価としては別途の検証が求められる点に留意が必要
    • 保有方針に沿った検証結果の内容を具体的に記載。「保有目的に照らして取締役会において保有の適否を検証」という記載では具体性に欠ける
    • 取締役会での議論を記載するにあたり、具体的な開催日時や議題等を記載
    • 「保有の合理性検証・交渉・削減スケジュール」を図表で示している事例があり、削減をコミットしていることが読み取れ、有用性が高い。
    • 政策保有株式については、純投資のように時価(含み益)や配当金によるリターンを評価するのではなく、事業の収益獲得への貢献度合い等の観点も含めた保有の合理性を検証すべき。
    • 合理性の検証プロセスを図表で示すなど、一部の企業では工夫が見られるものの、「合理性がある」とした具体的な理由等が不明瞭なものも見受けられる。」
  • 個別銘柄
    • 保有方針に沿って、経営戦略上、どのように活用するかを関連する事業や取引と関連付けて具体的に記載。単なる財務報告のセグメント単位や、「事業取引」・「金融取引」といった大括りでの説明、「企業間取引の維持・強化のため」・「地域発展への貢献」という記載は抽象的で不十分
    • 株式を相互持合いしている場合、その理由を具体的に記載
    • 「政策保有株式全体」の「保有の合理性の検証方法」で定めた指標に対する実績値とその評価について記載
    • (※)時価(含み益)や配当金による検証だけでは純投資の評価と同じであり、政策保有株式の評価としては別途の検証が求められる点に留意が必要(定量的な保有効果の記載が困難な場合)
    • どのような点で定量的な測定が困難だったかを具体的に記載・経営戦略上、どのように活用するかを具体的に記載(※)仮に営業機密について言及する場合でも、どのような点が営業機密となるか等について記載
    • 「配当再投資による取得」や「取引先持株会による取得」といった取得プロセスに関する記載に留まらず、保有先企業のノウハウやライセンスの利用等、経営戦略上、どのように活用するかを具体的に記載。「取引関係の強化」といった記載では不十分
    • 上場持株会社の株式を政策保有している場合には、当社株式の保有相手方がその持株会社の傘下会社であったとしても、実質的に相互保有の関係にあるとみなし、参考情報として脚注等でその保有の有無を記載
    • 保有目的を事業や取引と関連付けて具体的に記載するなど、一部の企業で改善が見られるものの、個別銘柄毎に定量的な保有効果を記載している開示はあまり見られない。

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金融庁 監査監督機関国際フォーラムによる「2020年検査指摘事項報告書」の公表について
▼プレスリリース「監査監督機関国際フォーラム(IFIAR)が第9回検査指摘事項調査の報告書を公表」
  • 本日、IFIARは、6大グローバル監査法人ネットワークに加盟している監査法人に対して、IFIARメンバー当局が個別に行った検査に基づく9回目の年次検査指摘事項調査の結果に係る報告書を公表した。IFIARは、法人全体の品質管理態勢に対する検査、及び、個別監査業務に対する検査の2種類の活動に係る情報を収集した。50のIFIARメンバー当局が2020年の調査に参加した。
  • 2020年調査へのIFIARメンバー当局の報告によると、検査を行った個別監査業務のうち、1つ以上の指摘があったものは34%だった。それに対し、2019年調査では33%、指摘率を初めて計測した2014年調査では47%であった。今回の前年同期比でのわずかな増加は、過去7回の調査において一度だけである。
  • 2020年調査に含まれる検査結果は、COVID-19のパンデミック発生前に終了した監査の検査であり、パンデミックによる検査活動への影響は、2021年以降の調査に反映される可能性がある。
  • IFIARは、メンバー当局の検査プログラムの集計結果の前年比の変化が、必ずしも監査品質の変化を示すものではないため、調査結果の一般的な傾向を長期的にモニターしている。しかしながら、集計上の指摘率は依然として高く、監査法人には高水準にとどまる指摘率に対処するための継続的な努力が求められる。さらに、品質管理態勢に関する検査結果の経年変化も引き続き懸念される。強力な品質管理態勢は、監査品質を向上、維持するための重要な要素であることから、IFIARは、質の高い監査を実現するために、GPPC1ネットワークとそのメンバーファームが継続して改善に取り組むことを強く求める。
  • 本調査結果は、監査法人による監査品質改善の進捗を厳密に測定するものではなく、変化を検討する唯一の要因でもない。IFIARメンバー当局の検査はリスクベースの手法を取っているため、年間を通じて、必ずしも全ての監査事務所や品質管理項目、全保証業務の代表的なサンプルを選んでいるわけではない。監査品質を総合的に評価するには、検査を通じて特定・報告された不備の数を超えた、様々な要素を検討する必要がある。
  • 監査品質を向上させる責任は監査法人にあるが、IFIARは、様々な活動を通じて、グローバルに一貫した高品質な監査に向けた進歩に影響を与えようとしている。IFIARは、監査法人が継続的に改善のサイクルを回し続けることを促している。それは今までも、これからも、GPPCとの対話やIFIARメンバー間での知見の共有における、IFIARの突出した特徴であり続ける。
  • 検査指摘事項調査についてIFIARの年次検査指摘事項調査は、監査法人の品質管理態勢及びシステム上重要な金融機関(SIFIs)を含む上場PIEs(社会的影響度の高い事業体)の監査について、IFIARメンバー当局の主な検査結果をまとめたものである。PIE監査における検査指摘事項は、監査事務所が監査意見を裏付けるのに十分かつ適切な監査証拠を入手していなかったことを示す、監査手続上の不備である。しかし、必ずしも当該財務諸表に重要な虚偽表示があることを示唆するものではない。
  • IFIARについて
    • 監査監督機関国際フォーラム(IFIAR)は、2006年に設立され、アフリカ、北米、南米、アジア、オセアニア、ヨーロッパの54の国・地域の独立した監査監督当局で構成されている。その使命は、グローバルに監査品質を向上することにより、投資家を含む公益に資することである。IFIARは、世界中の監査品質や規制実施について、対話や知見の共有ができるプラットフォームを提供し、規制活動における協調を促している。IFIARの公式のオブザーバーは、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)、欧州委員会(EC)、金融安定理事会(FSB)、保険監督者国際機構(IAIS)、証券監督者国際機構(IOSCO)、公益監視委員会(PIOB)及び世界銀行である。IFIARに関する更なる情報については、IFIARウェブサイト(ifiar.org)を参照されたい。

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警察庁 スマートフォン決済サービスを利用した不正振替事犯に係る対策について
  1. 概要
    • スマートフォン決済サービスを利用した不正振替事犯に係る手口等が判明したことから、それら判明事項を活用して同種事案による被害防止等のための対策を実施した。
  2. スマートフォン決済サービスを利用した不正振替事犯の手口等
    1. 背景となる事案の概要
      • 事業者が提供するスマートフォン決済サービスに関して、同社と業務提携する金融機関に開設された口座情報を不正に入手・連携し、不正な振替(チャージ)を行うものであり、以下の特徴がみられた。
        • 犯行に用いるため、被疑者等がスマートフォン決済サービスのアカウントを作成
        • 口座番号等のほか、キャッシュカード暗証番号が分かればスマートフォン決済サービスとの連携が可能である金融機関に被害が集中
    2. 判明した主な手口等
      1. 携帯電話販売代理店が携帯電話サービス利用申込みに係る個人情報を無断で領得し、当該情報を用いて、不正出金の被害が生じた預貯金口座をスマートフォン決済サービスとひも付けて口座振替(チャージ)を実施
      2. 第三者の電子メールアカウントを正規利用者に無断で利用して、犯行に用いるスマートフォン決済サービスのアカウントを作成
      3. スマートフォン決済サービスのアカウント作成から被害口座との連携までを短期間で大量に行いつつ、買い子が別の携帯電話端末から短時間で連続決済を実施
  3. 対策
    1. 金融機関に対する不正に取得された口座情報の提供
      • Ⅱ2(1)の手口で領得された約3,600口座分の口座情報について、警視庁から、(一財)日本サイバー犯罪対策センター(JC3)の枠組みも活用して該当する金融機関に対して情報提供するとともに、金融機関における調査や被害防止対策への活用を働き掛けた。
    2. サービス提供事業者に対する「無断で用いられた電子メールアカウント」情報の提供
      • Ⅱ2(2)の手口で無断で用いられた約600の電子メールアカウントについて、警視庁から、電子メールサービスの提供事業者に対して情報提供するとともに、パスワードリセットやアカウント停止、正規利用者へ連絡などの対策の実施を働き掛けた。
    3. 金融機関及びスマートフォン決済サービス提供事業者における対策強化の要請
      • 警察庁から、金融庁及び関係団体に対して、Ⅱ2(1)から(3)の手口等について情報提供するとともに、それらを踏まえた金融機関及びスマートフォン決済サービス提供事業者における不正防止対策の強化を要請した。

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警察庁 犯罪統計資料(令和3年1~2月)
  • 令和3年1~2月の刑法犯の総数は、認知件数は83,410件(前年同期104,071件、前年同期比▲19.9%)、検挙件数は40,567件(35,333件、+14.9%)、検挙率は48.6%(34.0%、+14.6P)
  • 窃盗犯の認知件数は56,450件(74,228件、▲24.0%)、検挙件数は25,210件(21,579件、+16.8%)、検挙率は44.7%(29.1%、+15.6P)
  • 万引き犯の認知件数は14,181件(14,839件、▲4.4%)、検挙件数は9,816件(9,337件、+5.1%)、検挙率は69.2%(62.9%、+6.3P)
  • 知能犯の認知件数は5,244件(4,969件、+5.5%)、検挙件数は2,788件(1,996件、+39.7%)、検挙率は53.2%(40.2%、+13.0P)
  • 詐欺の認知件数は4,745件(4,432件、+7.1%)、検挙件数は2,357件(1,636件、+44.1%)、検挙率は49.7%(36.9%、+12.8P)
  • 令和3年1~2月の特別法犯総数について、検挙件数は10,083件(8,927件、+12.9%)、検挙人員は8,316人(7,531人、+10.4%)
  • 入管法違反の検挙件数は734件(771件、▲4.8%)、検挙人員は531人(532人、▲0.2%)、ストーカー規制法違反の検挙件数は148件(133件、+11.3%)、検挙人員は117人(110人、+6.4%)、貸金業法違反の検挙件数は13件(19件、▲31.6%)、検挙人員は10人(10人、±0%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は331件(390件、▲15.1%)、検挙人員は260人(326人、▲20.2%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は39件(56件、▲30.4%)、検挙人員は12人(18人、▲33.3%)、不正競争防止法違反の検挙件数は4件(11件、▲63.6%)、検挙人員は6人(20人、▲70.0%)、銃刀法違反の検挙件数は740件(695件、+6.5%)、検挙人員は662人(610人、+8.5%)
  • 麻薬等取締法違反の検挙件数は111件(103件、+7.8%)、検挙人員は73人(54人、+35.2%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は1,467件(1,236件、+18.7%)、検挙人員は991人(902人、+9.9%)、大麻取締法違反の検挙件数は863件(642件、+34.4%)、検挙人員は670人(535人、+25.2%)
  • 来日外国人による重要犯罪・重要窃盗犯の国籍別検挙人員について、総数104人(71人、+46.5%)、ベトナム37人(8人、+362.5%)、中国20人(8人、+150.0%)、ブラジル9人(6人、+50.0%)、フィリピン4人(4人、±0.0%)
  • 暴力団犯罪(刑法犯)総数について、検挙件数は1,469件(1,286件、+14.2%)、検挙人員は805人(769人、+4.7%)、暴行の検挙件数は101件(109件、▲7.3%)、検挙人員は100人(91人、+9.9%)、傷害の検挙件数は150件(169件、▲11.2%)、検挙人員は177人(197人、▲10.2%)、脅迫の検挙件数は45件(43件、+4.7%)、検挙人員は49人(35人、+40.0%)、恐喝の検挙件数は49件(49件、±0.0%)、検挙人員は53人(51人、+3.9%)、窃盗の検挙件数は751件(542件、+38.6%)、検挙人員は120人(102人、+17.6%)、詐欺の検挙件数は166件(181件、▲8.3%)、検挙人員は140人(113人、+23.9%)、賭博の検挙件数4件(1件、+300.0%)、検挙人員は22人(8人、+175.0%)
  • 暴力団犯罪(特別法犯)総数について、検挙件数は808件(837件、▲3.5%)検挙人員は547人(616人、▲11.2%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は7件(5件、+40.0%)、検挙人員は15人(7人、+114.3%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は18件(19件、▲5.3%)、検挙人員は4人(8人、▲50.0%)、大麻取締法違反の検挙件数は113人(118人、▲4.2%)、検挙人員は66人(87人、▲24.1%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は557件(533件、+4.5%)、検挙人員は364人(375人、▲2.9%)

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警察庁 NTPサーバを悪用したDDoS攻撃対策に関する注意喚起について
  • 概要
    • 令和3年2月24日から、NTP(Network Time Protocol)で使用されるポート123/UDPに対するアクセス件数が増加しています。
    • ぜい弱なNTPサーバは、NTPリフレクション攻撃の踏み台(リフレクター)とされる場合があり、今回の観測は、攻撃の踏み台に悪用可能なNTPサーバを探索している可能性があります。
  • 123/UDPに対するアクセスの観測状況(グラフ)
    • このグラフは、全国の警察施設のインターネット接続点に設置されたセンサーで観測したアクセス(件数)の1センサー当たりの平均の推移を示したものです。なお、このグラフは一時間毎に更新致します。また、今後の観測状況によっては、予告なく更新を停止する場合があります。
  • 対策 各組織が管理する機器が、NTPリフレクション攻撃の踏み台として悪用されないために、次の対策を実施することを推奨します。
    • NTPサーバを外部に公開する必要がない場合には、適切なアクセス制限を実施して、インターネットからの通信を遮断する。
    • ルータ等のインターネットに接続されているネットワーク機器においても、意図せずに外部へNTPサーバの機能を公開していないか確認する。
    • 外部にNTPサーバを公開する必要がある場合には、最新の開発バージョンのソフトウェアにアップデートする。

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警察庁 令和2年度事交通事故被害者サポート事業報告書
▼まえがき
  • 昨年、全国で24時間以内に交通事故で亡くなった方は2,839人で、警察庁が統計を保有する昭和23年以降最少となり、初めて3,000人を下回ったものの、今なお、多くの尊い命が交通事故で失われていることに変わりはなく、悪質・危険な運転により命を奪われる被害もいまだに後を絶ちません。
  • 被害を受けた方、その御家族や御遺族は、肉体的、精神的、あるいは経済的につらい体験をされています。政府はこれまでも関係機関と連携して交通事故被害者等の支援に努めてまいりましたが、新たに作成され令和3年度から実施される「第11次交通安全基本計画」においても「被害者支援の充実と推進」を道路交通安全対策の柱の1つに掲げ、引き続きその総合的かつ計画的な推進を図ってまいります。
  • 交通事故被害者サポート事業は、被害者やその御家族・御遺族が、つらい体験や深い悲しみから立ち直り、回復に向けて再び歩み出すことができるような環境を醸成するため、平成15年度より内閣府において実施されてきたものです。平成28年度に本事業が警察庁に移管された後も、引き続き検討会において有識者委員の御意見をいただきながら実施してまいりました。今年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響により、初めての試みとしてオンラインで一般の方にも御参加いただける「交通事故で家族を亡くした子供の支援に関するシンポジウム」、地域の関係機関における情報共有等を内容とした「交通事故で家族を亡くした子供の支援に関する意見交換会」、自助グループ活動の促進や自助グループ設立への支援を目的とした「自助グループ運営・連絡会議」を開催しました。
  • この報告書は、これらの事業について、御参加いただいた方々のお話や、専門家の講義等をまとめたものです。多くの皆様にこの報告書をお読みいただき、本事業について理解を深めていただくとともに、被害者やその御家族・御遺族の方々が尋常一様でなく経験される境遇や心情に少しでも思いを馳せ、より有効な支援の在り方について考えていただく一助となれば幸いです。

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内閣官房 「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案」が閣議決定・国会提出されました。
▼概要
  • 重要土地等調査法案の概要(重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案)
  1. 目的/基本方針の閣議決定等
    • 目的:重要施設(防衛関係施設等)及び国境離島等の機能を阻害する土地等の利用を防止
    • 基本方針:
      1. 重要施設及び国境離島等の機能を阻害する土地等の利用の防止に関する基本的方向
      2. 注視区域及び特別注視区域の指定に関する基本的な事項(経済的社会的観点から留意すべき事項を含む。)
      3. 土地等の利用の状況等についての調査並びに利用者に対する勧告及び命令に関する基本的な事項(勧告及び命令に係る行為の具体的内容に関する事項を含む。)等
    • 留意事項:この法律に基づく措置は、個人情報の保護に十分配慮しつつ、必要最小限度のものとなるようにしなければならない。
  2. 対象区域及び調査・規制の枠組み
    1. 注視区域
      • 重要施設の周辺:防衛関係施設、海上保安庁の施設及び重要インフラ(政令指定)の周辺※の区域について、告示で個別指定。
        ※施設の敷地の周囲おおむね1,000mの範囲内で指定。
      • 国境離島等:国境離島や有人国境離島地域を構成する離島の区域について、告示で個別指定。
    2. 特別注視区域
      • 特定重要施設の周辺:機能が特に重要なもの又は阻害することが容易であるものであって、他の重要施設による機能の代替が困難であるものの周辺の区域について、告示で個別指定。
        ※例)司令部機能、警戒監視機能を有する自衛隊の駐屯地・基地等
      • 特定国境離島等:機能が特に重要なもの又は阻害することが容易であるものであって、他の国境離島等による機能の代替が困難であるものの区域について、告示で個別指定。※例)領海基線となる低潮線を有する無人国境離島等

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内閣官房 「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(案)に対するパブリックコメントの結果の公示及び同ガイドラインの策定について
▼フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン(概要)
  • 事業者とフリーランスとの取引について、独占禁止法、下請代金支払遅延等防止法、労働関係法令の適用関係を明らかにするとともに、これらの法令に基づく問題行為を明確化するため、実効性があり、一覧性のあるガイドラインについて、内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省連名で策定し、フリーランスとして安心して働ける環境を整備
  • フリーランスの定義
    • 本ガイドラインにおける「フリーランス」とは、実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者。
  • 独禁法、下請法、労働関係法令との適用関係
    • 独占禁止法は、取引の発注者が事業者であれば、相手方が個人の場合でも適用されることから、事業者とフリーランス全般との取引に適用。
    • 下請法は、取引の発注者が資本金1000万円超の法人の事業者であれば、相手方が個人の場合でも適用されることから、一定の事業者とフリーランス全般との取引に適用。
    • これらの法律の適用に加えて、フリーランスとして業務を行っていても、実質的に発注事業者の指揮命令を受けていると判断される場合など、現行法上「雇用」に該当する場合には、労働関係法令が適用。
  • フリーランスとの取引に係る優越的地位の濫用規制についての基本的な考え方
    • 自己の取引上の地位がフリーランスに優越している発注事業者が、フリーランスに対し、その地位を利用して、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることは、優越的地位の濫用として、独占禁止法により規制される。
    • 発注時の取引条件を明確にする書面の交付に係る基本的な考え方
    • 優越的地位の濫用となる行為を誘発する原因とも考えられ、発注事業者が発注時の取引条件を明確にする書面をフリーランスに交付しない場合は、独占禁止法上不適切。
    • 下請法の規制の対象となる場合で、発注事業者が書面をフリーランスに交付しない場合は、下請法第3条で定める書面の交付義務違反となる。
  • 独占禁止法(優越的地位の濫用)・下請法上問題となる行為類型
    • 優越的地位の濫用につながり得る行為について、行為類型ごとに下請法の規制の対象となり得るものも含め、その考え方を明確化。
      1. 報酬の支払遅延
      2. 報酬の減額
      3. 著しく低い報酬の一方的な決定
      4. やり直しの要請
      5. 一方的な発注取消し
      6. 役務の成果物に係る権利の一方的な取扱い
      7. 役務の成果物の受領拒否
      8. 役務の成果物の返品
      9. 不要な商品又は役務の購入・利用強制
      10. 不当な経済上の利益の提供要請
      11. 合理的に必要な範囲を超えた秘密保持義務等の一方的な設定
      12. その他取引条件の一方的な設定・変更・実施
  • 仲介事業者とフリーランスとの取引について
    • 仲介事業者は、フリーランスが役務等を提供する機会を獲得・拡大することや、発注事業者や消費者が、フリーランスから良質廉価な役務等を受けることに貢献。
    • 一方で、今後フリーランスと仲介事業者との取引の増加により、仲介事業者が取引上優越した地位に立ち、フリーランスに対し、その地位を利用して、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える場合も考えられる。
  • フリーランスに労働関係法令が適用される場合
    • フリーランスとして請負契約や準委任契約などの契約で仕事をする場合であっても、労働関係法令の適用に当たっては、契約の形式や名称にかかわらず、個々の働き方の実態に基づいて、「労働者」かどうか判断。
    • 労基法上の「労働者」と認められる場合は、労働基準法の労働時間や賃金等に関するルールが適用される。
    • 労組法上の「労働者」と認められる場合は、団体交渉を正当な理由なく拒んだりすること等が禁止される。
  • 労働基準法における「労働者性」の判断基準とその具体的な考え方
    1. 「使用従属性」に関する判断基準
      • 「指揮監督下の労働」であること(労働が他人の指揮監督下において行われているか)
      • 「報酬の労務対償性」があること(報酬が「指揮監督下における労働」の対価として支払われているか)
    2. 「労働者性」の判断を補強する要素
      • 事業者性の有無(仕事に必要な機械等を発注者等と受注者のどちらが負担しているか等)
      • 専属性の程度(特定の発注者等への専属性が高いと認められるか。)
  • 労働組合法における「労働者性」の判断要素とその具体的な考え方
    1. 基本的判断要素
      • 事業組織への組み入れ(業務の遂行に不可欠ないし枢要な労働力として組織内に確保されているか)
      • 契約内容の一方的・定型的決定(労働条件や労務の内容を相手方が一方的・定型的に決定しているか)
      • 報酬の労務対価性(労務供給者の報酬が労務供給に対する対価などとしての性格を有するか)
    2. 補充的判断要素
      • 業務の依頼に応ずべき関係(相手方からの個々の業務の依頼に対し、基本的に応ずべき関係にあるか)
      • 広い意味での指揮監督下の労務提供(労務供給者が、相手方の指揮監督の下に労務の提供を行っていると広い意味で解することができるか等)
    3. 消極的判断要素(この要素が肯定される場合には、労働組合法上の労働者性が弱まる場合がある)
      • 顕著な事業者性(恒常的に自己の才覚で利得する機会を有し自らリスクを引き受けて事業を行う者か)

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内閣府 月例経済報告
▼月例経済報告(月次)3月
  • 総論
    1. 我が国経済の基調判断
      • 景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さがみられる。
        • 個人消費は、このところ弱含んでいる。
        • 設備投資は、このところ持ち直しの動きがみられる。
        • 輸出は、このところ増勢が鈍化している。
        • 生産は、持ち直している。
      • 企業収益は、感染症の影響により、非製造業では弱さがみられるものの、総じてみれば持ち直している。企業の業況判断は、厳しさは残るものの、持ち直しの動きがみられる。
        • 雇用情勢は、感染症の影響により、弱い動きとなっているなかで、雇用者数等の動きに底堅さもみられる。
        • 消費者物価は、横ばいとなっている。
      • 先行きについては、感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを引き上げていくなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直していくことが期待される。ただし、感染の動向が内外経済に与える影響に十分注意する必要がある。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
  • 政策の基本的態度
    • 政府は、東日本大震災からの復興・創生、激甚化・頻発化する災害への対応に取り組むとともに、決してデフレに戻さないとの決意をもって、新型コロナウイルス感染症の感染対策に万全を期す中で、雇用の確保と事業の継続を通じて、国民の命と暮らしを守り抜く。その上で、「経済財政運営と改革の基本方針2020」等に基づき、デジタル改革やグリーン社会の実現などの新たな目標について、規制改革など集中的な改革、必要な投資を行い、再び力強い経済成長を実現する。
    • 新型コロナウイルス感染症に対しては、2週間延長していた4都県の緊急事態宣言を、3月21日をもって解除した。引き続き、感染再拡大の抑制を最優先に対策を徹底するとともに、経済への影響に対しては、重点的・効果的な支援に万全を期す。さらに、成長分野への民間投資を大胆に呼び込みながら、生産性を高め、賃金の継続的な上昇を促し、民需主導の成長軌道の実現につなげる。政府は、「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」等を具体化する令和2年度第3次補正予算を迅速かつ適切に執行するとともに、令和3年度予算及び関連法案の早期成立に努める。また、3月16日に取りまとめた「非正規雇用労働者等に対する緊急支援策」を速やかに実行する。引き続き、感染状況や経済的な影響を注視しながら、予備費も活用して機動的に必要な支援策を講じていく。
    • 日本銀行においては、3月19日、2%の物価安定目標を実現するため、より効果的で持続的な金融緩和を実施するための措置を講じた。日本銀行には、感染症の経済への影響を注視し、適切な金融政策運営を行い、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を実現することを期待する。
    • 各論
      • 個人消費は、このところ弱含んでいる。
      • 設備投資は、このところ持ち直しの動きがみられる。
      • 住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。
      • 公共投資は、堅調に推移している。
      • 輸出は、このところ増勢が鈍化している。輸入は、持ち直しの動きがみられる。貿易・サービス収支は、黒字となっている。
      • 生産は、持ち直している。
      • 企業収益は、感染症の影響により、非製造業では弱さがみられるものの、総じてみれば持ち直している。企業の業況判断は、厳しさは残るものの、持ち直しの動きがみられる。倒産件数は、減少している。
      • 雇用情勢は、感染症の影響により、弱い動きとなっているなかで、雇用者数等の動きに底堅さもみられる。
      • 完全失業率は、1月は前月比0.1%ポイント低下し、2.9%となった。労働力人口及び就業者数は増加し、完全失業者数は減少した。雇用者数は持ち直しの動きがみられる。新規求人数及び有効求人倍率はこのところ持ち直しの動きがみられる。製造業の残業時間は持ち直している。
      • 賃金をみると、定期給与はこのところ持ち直しの動きがみられる。現金給与総額はこのところ底堅さがみられる。これらの結果、実質総雇用者所得は、このところ持ち直しの動きがみられる。
        • 「日銀短観」(12月調査)によると、企業の雇用人員判断は、引き続き全産業で不足超となっている一方で、製造業では過剰超となっている。
        • 加えて、足下の状況については、日次有効求人数や民間の求人動向はこのところ持ち直しの動きがみられるものの、水準は依然として低い。
        • こうしたことを踏まえると、雇用情勢は、感染症の影響により、弱い動きとなっているなかで、雇用者数等の動きに底堅さもみられる。
        • 先行きについては、底堅く推移することが期待されるが、雇用調整の動き如何によっては弱さが増す恐れもあり、感染症の影響に十分注意する必要がある。
      • 国内企業物価は、緩やかに上昇している。消費者物価は、横ばいとなっている。
      • 株価(日経平均株価)は、30,100円台から28,700円台まで下落した後、30,200円台まで上昇し、その後29,700円台まで下落した。対米ドル円レート(インターバンク直物中心相場)は、105円台から109円台まで円安方向に推移した。
      • 世界の景気は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により、依然として厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、持ち直しの動きが続くことが期待される。ただし、感染の再拡大によるリスクに十分留意する必要がある。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
      • アメリカでは、景気は依然として厳しい状況にあるが、持ち直している。先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、国内外の感染の動向や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
      • アジア地域については、中国では、景気は緩やかに回復している。先行きについては、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、国内外の感染の動向や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。韓国では、景気は厳しい状況にあるが、持ち直している。台湾では、景気は緩やかに回復している。インドネシアでは、景気は厳しい状況にあるが、下げ止まっている。タイでは、景気は厳しい状況にあるが、下げ止まっている。インドでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直している。
      • ヨーロッパ地域については、ユーロ圏では、依然として厳しい状況にあるなかで、感染の再拡大の影響により、経済活動が抑制されており、景気は弱い動きとなっている。ドイツにおいても、依然として厳しい状況にあるなかで、感染の再拡大の影響により、経済活動が抑制されており、景気は弱い動きとなっている。先行きについては、当面、感染症の影響が続くと見込まれる。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。英国では、依然として厳しい状況にあるなかで、感染の再拡大の影響により、経済活動が抑制されており、景気は弱い動きとなっている。先行きについては、当面、感染症の影響が続くと見込まれる。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

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内閣府 令和3年第3回経済財政諮問会議
▼資料2-1 緊急事態宣言解除後のマクロ経済政策運営の課題(有識者議員提出資料)
  • 国民の多大な努力と協力により緊急事態宣言は解除されたが、引き続き、感染防止策を徹底し、ワクチン接種を進め感染再拡大防止を図っていく必要がある。それとともに、世界経済の回復が加速する中では、今後は、経済成長の促進にも、一層政策の重点を置いていくべきである。特に、新たな日米関係を基軸として、自由で開かれたインド太平洋地域等との協力を推進し、世界経済の成長を日本がリードしていく体制づくりが必要であり、デジタル化・グリーン化を契機に進んでいる、世界の経済構造・産業構造の変化をわが国の成長に取り込んでいくことが不可欠である。
  • 今後のマクロ経済運営に当たっては、人為的に止めざるを得なかった消費需要の早期回復を促進するなど、需要回復と雇用・所得の安定を通じた経済の好循環を形成するとともに、回復のぜい弱性に機動的に対処することが求められる。それと同時に、生活困窮者
  • 支援や格差固定化の是正に焦点を絞る等、きめ細かな対応を行うことが必要である。
  • さらには、経済構造・産業構造の大きな変化を見据え、それに積極的に対応できるよう投資喚起、多様な人材の活躍と移動・交流促進、それを支えるセーフティネットの充実と財源確保等を、今後しっかり議論し、取り組んでいくことが重要である。それによって、成長分野で新たな雇用や所得を生み、多様な人が活躍する「成長と雇用の好循環」をつくり出し、コロナ後の経済回復を確かなものとすべきである。
  • 需要回復と雇用・所得の安定に向けた取組
    • コロナ前の経済水準に速やかに回復するには、需要回復とそれを支える雇用環境や所得の安定を図ることが不可欠。引き続き、機動的なマクロ経済政策運営を行い、経済を下支えしつつ、デジタル化・グリーン化をテコに民需を喚起し、自律的な回復を実現すべき。
    • 春闘の賃上げ回答結果は、企業業績により差がみられるものの、厳しい中でもプラス回答が行われている。4月からの同一労働同一賃金の中小企業への適用を契機に、雇用の正規化や賃上げのモメンタムが中小企業も含めて拡がるよう、適用の支援を行うとともに、最低賃金を引き上げていくべき。あわせて、大企業と中小企業のパートナーシップ構築推進等を通じ、サプライチェーンのデジタル化などによる生産性向上や下請け取引の改善をさらに後押しすべき。
    • 活動自粛で蓄積された潜在的な消費需要を顕在化させていくためにも、ペント・アップ需要の発現に加え、コロナによる生活スタイルの変化やデジタル化・脱炭素化の流れを促す環境整備や通信・エネルギー供給網等の基盤整備を大胆に行うことにより、時代が求める消費財やサービスの開発・提供を促し、消費活性化につなげるべき。
    • 米国の新たな経済対策策定に伴い世界経済の回復が加速する中で、外需の回復を図るべく、新製品の開発やR&D投資の強化、農産物輸出等の新たな市場拡大策を進めるべき。
    • 米国の金利上昇による金融・資本市場への影響を注視し、急激な変動を避けるべき。
    • 日本銀行においては、企業等の資金繰りを支援し、金融市場の安定を維持する観点から、強力な金融緩和措置がとられている。今回の金融政策決定会合で決定された政策対応を含め、引き続き適切な金融政策運営を期待。
  • 感染症の効果的拡大防止策とコロナの影響を受ける方々への対応
    • 緊急事態宣言解除後も、感染拡大防止策をより効果的に行うとともに、デジタル技術も徹底利活用して、コロナの影響を受ける方々に対してきめ細かな対応を行うべき。
    • 変異株による感染状況に注意しつつ、感染症を拡大させないよう、モニタリングの徹底、地域を絞ったまん延防止等重点措置の活用、病床の確保など医療提供体制整備の三つを一体として進めるとともに、必要な措置を機動的に講じるべき。
    • 時短等の経済活動抑制策の実効性を高めるためにも、売上減少に応じた十分な給付を行うことができるよう制度運用の柔軟性をさらに高めるべき。
    • 女性や非正規、ひとり親世帯、孤立・孤独状態にある方々に適切な対応を行う、「非正規雇用労働者等に対する緊急支援策(3月16日策定)」を、迅速に実行すべき。
    • 格差や貧困の状況を迅速に把握するためにも、ひとり親世帯や非正規雇用の現状について迅速な状況把握を行うべき。
  • デジタル・グリーン化を前提にしたポストコロナの経済構造の転換の加速
    • デジタル化、グリーン化が大きく経済・産業構造を変えていく中にあっては、求められる人的能力の向上とそれを活かす多様な働き方の実現、多様な挑戦を可能とする起業や投資の促進、コロナ後の新たな地政学の下での国際連携の強化、に向けて官民で戦略的に取り組み、こうした変化を経済社会の発展のチャンスとしていく必要がある。
    • 企業部門の保有する現預金を民間部門の成長につなげるため、研究開発、ベンチャー、M&A、人材への投資を官民が一体となって進めていくよう、税制、補助金、基金等をフル活用すべき。
    • 政府においても、民間事業者の活用、マイナンバーカードの利活用等による公的サービスの効率性・利便性向上等を図るとともに、社会保障の持続性を含め、財政健全化に向けた取組を堅持すべき。
    • 雇用の改善は経済回復から一定のラグを伴うことも考慮しつつ、雇用政策の重点を、人材の円滑な移動の支援やデジタル時代にマッチした教育訓練の強化に段階的に移行すべき。
    • 今後、半導体等ハイテク分野を中心に、世界的な分業構造の見直しが進むと見込まれるもとで、世界中がデジタル化・グリーン化など産業構造の大きな転換を図っていく必要。そのためにも、日米を軸にして、欧州等との経済連携にも活用していくよう、関連分野における技術開発、取引市場、供給体制等の国際連携を戦略的に構築すべき。
    • より大きな視点で見れば、新しい国際秩序の形成を見据えて、我が国も、大きな国家戦略を描き、官民が協力して、国際連携を強化して、新たな国際秩序構築に貢献するとともに、競争力のある形でのサプライチェーンの国内代替や対外投資戦略の見直し等も進めるべき。
  • 雇用の構造的な課題への対応
    • 経済活動の再活性化に向けて、雇用政策も生産性強化を目指していく必要がある。今後成長が期待される分野への円滑な労働移動を支援していくことが成長のボトルネックを解消し、国民生活の安定にも寄与する。最低賃金を含め賃上げモメンタムを維持しつつ、同一労働同一賃金が中小企業に適用されるのを機に、以下の構造的な課題について、骨太方針に向けて対応を検討すべき。
    • 雇用保険制度を含めた非正規雇用労働者のセーフティネットの在り方の検討と必要な見直し
    • 雇用調整助成金の特例措置及び休業支援金の効果検証と必要な見直し
    • 求職者支援制度の時限措置の効果検証と必要な見直し
    • 無業者のトライアル雇用を含め雇用の受入先企業への支援の効果検証と必要な見直し
    • 職業訓練・人材育成への支援のあり方の検討と必要な見直し
    • リカレント教育のニーズに合った内容の見直しや提供者・受講者のインセンティブ強化
    • 教育訓練休暇制度の要件緩和等を通じた兼業・副業の促進、教育訓練と就労の両立
▼資料3-1 東京一極集中是正と活力ある地方の実現・大学改革に向けて(有識者議員提出資料)
  • 人の流れを促す仕組み
    • コロナを機とするテレワークやワーケーションへの関心が高まる中、東京からの人の流出が進み始めている。この機会を逃さず、東京から地方への人の流れを大きく拡大する観点から、以下を推進すべき。同時に、地方でグローバルに活躍できるデジタル環境等を整備することで、地方から東京への人の流れも大きく変えていくべき。
    • 空き家等を活用した二地域居住支援(「空き地・空き家バンク」の活用拡大・拡充のための民間仲介業者との連携等)
    • テレワーク推進に向けた常駐義務・対面主義の規制の見直し
    • 最低賃金が低い地域での引上げが雇用増に寄与したとのエビデンスや、地方では低賃金職種の時給上昇が進んでいることなどを踏まえた地方の最低賃金のボトムアップ(エビデンスに基づく検証と支援)
    • 大企業人材の地方での活躍
      • 地方企業とのマッチングについて現状・課題を分析し徹底推進(REVICの活用、プロフェッショナル人材事業の裾野の拡大・期限延長)
      • 企業人材を自治体に派遣するにあたって自治体の要望と経済界とのマッチングの枠組みを構築しKPIを定め拡充
      • 関連する各省庁施策に関するワンストップ窓口の創設
    • 定住率が高い(6割=約3000人)「地域おこし協力隊」の取組を引き続き推進すべき
    • 地方での兼業・副業促進(地方創生推進交付金の支援メニューへの位置づけ)、就業試行の拡大(トライアル雇用支援強化等)
    • 関係人口を含めた地方への人の移動に関するデータ把握
  • 雇用創造・産業振興
    • 地方に人が流れ、若い人がとどまるためにも、地方に付加価値の高い仕事が生まれることが不可欠。これまで地域経済を牽引してきた観光産業がコロナ禍で落ち込む中、今後は、デジタル活用を前提に、中小企業や農業経営体を中心とする輸出拡大、ヘルスケア・グリーン・サプライチェーン再編を契機とする地方での内需再構築がカギ。
    • 第一次産業でのデータ利活用の促進と大規模経営化を一体的に進め、それらを通じ輸出・高付加価値化を促進し、若者の参入、雇用吸収力の拡大を実現。
    • 女性の起業、地域の社会起業家など地方発ベンチャーを税財政措置で支えるとともに、EC活用、マーケティング促進などを通じ中小企業による輸出を促進。
    • 個々人に対応した健康・長寿生活の実現に向け、スポーツ振興やPHR活用を進めるとともに、KPIを設定して医療・介護分野の産業化を促進
    • 再生エネルギーを軸とするエネルギーの地産地消、ゼロカーボンシティの構築に加え、園芸作物への活用などカーボンリサイクルの産業化を促進
    • 自給率を高めるべき産業・事業についてサプライチェーンの地方展開を進めるべき
    • こうした取組を推進する資金の流れの拡充(拡充・延長された企業版ふるさと納税の一層の利活用、ESG投資の促進、地銀等の機能強化等)
  • 大都市圏・地方圏における生活資産・生活環境の充実
    • 今回のコロナ対応においては、緊急事態における医療提供体制の広域的対応の遅れが顕在化した。指定都市や中核市を中心とした大都市圏における広域的な対応も進捗していない。また、人口減少が著しい地方部では、安心、生活の利便性、教育・医療体制などの行政サービスの確保に向けて、都道府県による小規模市町村の補完等の対応が必要。この機を捉えて、行政全般の広域化についての具体的推進、自治体間の役割分担の明確化を進めるべき。
    • 首都圏を始めとする大都市圏において、第3次医療圏を越えた医療機関・保健所サービスの提供等について、広域的なマネジメントに向けた論点整理や自治体間の役割分担の明確化に早急に着手
    • 全国100地域でのスマートシティの推進、大学発ベンチャーの創出を通じて、テレワークやデジタルでつながる多核連携の国造りを推進
    • 人口減少地域等では、新たな取組として動き出した技術職員に加え、ICT人材、保健師等の専門人材の育成や活用・派遣についても、広域連携や都道府県による補完を推進。また、広域的取組が進んでいない立地適正化・地域交通計画や老朽化対策について、財政面からの支援を強化
  • 大学改革
    • オンライン授業の進展やリカレント教育の必要性の高まりがみられ、10兆円規模の大学ファンドが創設されたこの機を捉えて、これまでも何度も問題提起され、制度改正等も行われながらも、進捗が遅い大学改革について、文部科学省が責任をもって国家的な戦略を作り、KPIを掲げて進めるべき。その際、大学間での取組が比較できる客観的なKPI等を示し、その実現に向け、更なる制度改革、交付金・助成金のメリハリ付け等を実行すべき。
    • イノベーションを担う大学の体制強化、設置基準見直し等の経営柔軟化、民間外部資金の拡大・外部経営人材の登用、国公私を越えた連携統合の促進等の大学ガバナンス強化
    • 若手・女性外国人研究者、女性STEAM人材輩出、社会人学生、留学生の増加など大学における多様性の強化
    • リカレント教育、大学発ベンチャー創出、産学連携の構築、地方創生、公立大学の機能強化に向けた財政措置等による地方大学の活性化など、大学の社会とのつながり強化

~NEW~
消費者庁 公益通報者保護制度相談ダイヤル(一元的相談窓口)
  1. 公益通報者保護制度相談ダイヤル(一元的相談窓口)の概要
    • 消費者庁では、公益通報者保護法の解釈や公益通報制度についての御質問(通報方法、通報者の保護要件、各種ガイドライン等)にお答えしたり、通報を行う際に想定される行政機関の照会や通報に関する不適切な対応等に関するご相談を受け付けるため、電話による相談窓口を設置しています。
      ※なお、当該相談窓口では、個別の通報の受付は行っておりません。
      ※電話番号 (03)3507-9262
      ※受付時間 平日9:30~12:30、13:30~17:30(土日祝日及び年末年始を除く)
    • 聴覚障害者の方は下記のメールからご相談下さい。 聴覚障害者用電子メール相談の受付
    • なお、ご相談のお電話は、相談内容の正確な把握のため、録音させていただくことがあります。
    • 相談は、匿名でもご相談頂けます。折り返し御連絡するためなど円滑な相談対応の実施のために、ご連絡先、職業等をお聞きすることがあります。個人情報に該当する事項については、相談処理に利用し、御本人の同意を得ずに他の目的で利用することや第三者に提供することはいたしません。
    • 提供いただいた情報は、特定の個人を識別できる情報を除いて、今後の公益通報の施策の基礎資料として活用させていただく場合があります。
  2. 相談ダイヤルで受け付ける相談内容
    • よくあるQ&Aはこちら
      • 公益通報者保護法の法制度に関する相談(通報者、通報先、通報対象事実、保護要件等公益通報者保護法及び各種ガイドラインに関する解釈など)
      • 外部通報先の行政機関に関する照会
      • 公益通報の通報先・相談先行政機関検索システム
      • 公益通報を理由とする不利益取扱いに関する相談
      • 公益通報に関する通報先(権限を有する行政機関の特定が難しい通報事案)に関する相談
      • 公益通報に関する行政機関の不適切な対応があった場合の苦情に関する相談(不当に通報を受理又は教示しない場合、明白に通報を放置された場合、秘密情報を漏洩された場合)
  3. 公益通報における他の窓口で受け付ける相談等
  4. 個別の通報や通報後の不利益取扱いに関わる法律相談はこちら
  5. 内部通報制度認証に関する問合せは、こちら
  6. 公益通報をしたことを理由とする解雇等の不利益取扱いを受けた場合に関する相談は、こちら
  7. 消費者庁への公益通報窓口及び公益通報以外の当庁の相談窓口は、こちら

~NEW~
消費者庁 第5回 公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会(2021年3月22日)
▼公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会 報告書(案)
  • 事業者において、通報対象事実に関する情報を早期にかつ円滑に把握するためには、部門横断的に内部公益通報を受け付ける窓口(以下「内部公益通報受付窓口7」という。)を設けることが極めて重要である。そして、内部公益通報を受け、並びに当該内部公益通報に係る通報対象事実の調査をし、及びその是正に必要な措置をとる業務(以下「公益通報対応業務」という。)が責任感を持って実効的に行われるためには、責任の所在を明確にする必要があるため、内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関する公益通報対応業務を行う部署及び責任者を明確に定める必要がある。このような窓口及び部署は、職制上のレポーティングラインも含めた複数の通報・報告ラインとして、法令違反行為を是正することに資するものであり、ひいては法令違反行為の抑止にもつながるものである。
  • また、組織の長その他幹部が主導・関与する法令違反行為も発生しているところ、これらの者が影響力を行使することで公益通報対応業務が適切に行われない事態を防ぐ必要があること、これらの者に関する内部公益通報は心理的ハードルが特に高いことを踏まえれば、組織の長その他幹部から独立した内部公益通報対応体制を構築する必要がある。
    • 事業者は、内部公益通報受付窓口を設置し、当該窓口に寄せられる内部公益通報を受け、調査をし、是正に必要な措置をとる部署及び責任者を明確に定めなければならない。
    • 事業者は、内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に係る公益通報対応業務に関して、組織の長その他幹部に関係する事案については、これらの者からの独立性を確保する措置をとらなければならない。
  • 内部公益通報に係る事案に関係する者が公益通報対応業務に関与する場合には、中立性・公正性を欠く対応がなされるおそれがあり(内部公益通報の受付や調査を行わない、調査や是正に必要な措置を自らに有利となる形で行う等)、法令の遵守を確保することができない。少なくとも、内部公益通報受付窓口に寄せられる内部公益通報については、実質的に公正な公益通報対応業務の実施を阻害しない場合を除いて、内部公益通報に係る事案に関係する者を公益通報対応業務から排除する必要がある。
    • 事業者は、内部公益通報受付窓口において内部公益通報(匿名による場合を含む。)を受け付け、正当な理由がある場合を除いて、必要な調査を実施しなければならない。
    • 事業者は、上記の調査の結果、通報対象事実に係る法令違反行為が明らかになった場合には、速やかに是正に必要な措置をとらなければならない。また、是正に必要な措置をとった後、当該措置が適切に機能しているかを確認し、適切に機能していない場合には、改めて是正に必要な措置をとらなければならない。
    • 事業者は、内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関し行われる公益通報対応業務(外部委託する場合も含む。)について、事案に関係する者を公益通報対応業務に関与させない措置をとらなければならない。
  • 労働者及び役員並びに退職者が通報対象事実を知ったとしても、公益通報を理由とした解雇その他不利益な取扱い(以下「不利益な取扱い」という。)を受ける懸念があれば、公益通報を躊躇することが想定される。このような事態を防ぐためには、事業者の労働者及び役員等による不利益な取扱いを禁止するだけではなく、あらかじめ防止するための措置が必要であるほか、実際に不利益な取扱いが発生した場合には、救済・回復の措置をとり、不利益な取扱いを行った者に対する厳正な対処をとることにより、公益通報を行うことで不利益な取扱いを受けることがないという認識を十分に労働者及び役員並びに退職者に持たせることが必要である。
    • 事業者は、その労働者及び役員等が不利益な取扱いを行うことを防ぐための措置をとるとともに、公益通報者が不利益な取扱いを受けていないかを把握する措置をとり、不利益な取扱いを把握した場合には、適切な救済・回復の措置をとらなければならない。
    • 事業者は、不利益な取扱いが行われた場合に、当該行為を行った労働者及び役員等に対して、行為態様、被害の程度、その他情状等の諸般の事情を考慮して、懲戒処分その他適切な措置をとらなければならない。
  • 範囲外共有等を防止する体制の整備
    • 事業者は、その労働者及び役員等が範囲外共有を行うことを防ぐための措置をとり、範囲外共有が行われた場合には、適切な救済・回復の措置をとらなければならない。
    • 事業者は、その労働者及び役員等が、公益通報者を特定した上でなければ必要性の高い調査が実施できないなどのやむを得ない場合を除いて、通報者の探索を行うことを防ぐための措置をとらなければならない。
    • 事業者は、範囲外共有や通報者の探索が行われた場合に、当該行為を行った労働者及び役員等に対して、行為態様、被害の程度、その他情状等の諸般の事情を考慮して、懲戒処分その他適切な措置をとらなければならない。
  • 労働者及び役員並びに退職者に対する教育・周知
    • 事業者は、公益通報者保護法及び内部公益通報対応体制について、労働者及び役員並びに退職者に対して教育・周知を行わなければならない。また、従事者に対しては、公益通報者を特定させる事項の取扱いについて、特に十分に教育を行わなければならない。
    • 事業者は、労働者及び役員並びに退職者から寄せられる、内部公益通報対応体制の仕組みや不利益な取扱いに関する質問・相談に対応しなければならない。
  • 内部公益通報をした者は、事業者からの情報提供がなければ、内部公益通報について是正に必要な措置がとられたか否かについて知り得ず、事業者外部に公益通報すべきか、調査の進捗を待つべきかを判断することが困難である。そのため、利害関係人のプライバシーを侵害するおそれがある等、内部公益通報をした者に対してつまびらかに情報を明らかにすることに支障がある場合を除いて、内部公益通報への対応結果を内部公益通報をした者に伝える必要がある。
    • 事業者は、書面により内部公益通報を受けた場合において、当該内部公益通報に係る通報対象事実の中止その他是正に必要な措置をとったときはその旨を、当該内部公益通報に係る通報対象事実がないときはその旨を、適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において、当該内部公益通報を行った者に対し、遅滞なく通知しなければならない。
  • 記録の保管、見直し・改善、運用実績の労働者及び役員への開示
    • 事業者は、内部公益通報への対応に関する記録を作成し、適切な期間保管しなければならない。
    • 事業者は、内部公益通報対応体制の定期的な評価・点検を実施し、必要に応じて内部公益通報対応体制の改善を行わなければならない。
    • 事業者は、内部公益通報受付窓口に寄せられた内部公益通報に関する運用実績の概要を、適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において労働者及び役員に開示しなければならない。
  • 内部規程の策定及び運用
    • 事業者は、この指針において求められる事項について、内部規程において定め、また、当該規程の定めに従って運用しなければならない。
  • 公益通報者を特定させる事項の秘匿性を高め、内部公益通報を促すためには、公益通報対応業務のいずれの段階においても公益通報者を特定させる事項が漏れることを防ぐ必要がある。また、法第11条第2項において事業者に内部公益通報対応体制の整備等を求め、同条第1項において事業者に従事者を定める義務を課した趣旨は、公益通報者を特定させる事項について、法第12条26の規定により守秘義務を負う従事者による慎重な管理を行わせるためであり、同趣旨を踏まえれば、内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関して、公益通報者を特定させる事項を伝達される者を従事者として定めることが相当といえる。
    • 事業者は、内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関して公益通報対応業務を行う者であり、かつ、当該業務に関して公益通報者を特定させる事項を伝達される者を、従事者として定めなければならない。
  • 従事者は、法第12条において、公益通報者を特定させる事項について、刑事罰により担保された守秘義務を負う者であり、公益通報者を特定させる事項に関して慎重に取り扱い、予期に反して刑事罰が科される事態を防ぐため、自らが刑事罰で担保された守秘義務を負う立場にあることを明確に認識している必要がある。
    • 事業者は、従事者を定める際には、書面により指定をするなど、従事者の地位に就くことが従事者となる者自身に明らかとなる方法により定めなければならない。

~NEW~
消費者庁 消費者志向経営の推進に関する有識者検討会
▼消費者志向経営の推進に関する有識者検討会 報告書
  • 平成28年4月の報告書においては、消費者志向経営が求められる背景として、消費者と事業者の関係の多様化・希薄化、消費者と事業者のコミュニケーションの複線化、消費者の信頼を損なうような一部事業者の問題といった、消費者と事業者を取り巻く環境の変化が指摘されていた。その後も、消費者及びそれを取り巻く社会の状況は著しい変化を続けている。
  • 例えば、単純な人口の推移だけみても、日本の総人口は2010年までは1億3千万程度であったものの、2048年には1億人を割って9900万人程度まで減少することが見込まれている。また、総世帯に占める「単身世帯」の割合は、2015年時点で34.5%と過去最大の割合を占め、その後も「単身世帯」の増加が予想される。さらに、消費者が多様化している一例として、訪日外国人の増加を挙げることができる。具体的には、2011年に約600万人であった訪日外国人は、2018年に3000万人を超える伸びを見せている。このように、消費者・生活者の多様化が進んでいる。
  • 社会もSociety5.0の旗の下、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)で全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有されるようになったり、少子高齢化、地方の過疎化などの課題をイノベーションで克服したり、ロボットや自動運転が実装されたり、AI(Artificial Intelligence:人工知能)により多くの情報の分析から解放される等、デジタル化と技術革新により、消費者を取り巻く環境は大きく変化している。
  • 一方で、2015年に国連にて採決されたSDGs(SustainableDevelopmentGoals:持続可能な開発目標)も消費者を取り巻く環境に変化をもたらす要因となった。2016年5月には、持続可能な開発目標(SDGs)推進本部を設置し、「SDGsアクションプラン2018」の公表や「ジャパンSDGsアワード」の開催によるSDGsの主要な取組の発信により、持続続可能な社会の実現に向けた機運が醸成され、事業者の取組が進展した。特に、ゴール12「つくる責任つかう責任」は、消費者の消費行動において、環境に配慮したものを選んだり、食品ロスの削減を考慮した適切な買い方をしたりすることを促す一方、事業者もそのような商品・サービスを提供することなどによって、協働の形で持続可能な社会に貢献することを目指すものである。その他のゴールも含めて、消費者のSDGsへの関心も高まっており、消費行動により社会を変えていこうという気運がみられている。
  • さらに、本年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による外出自粛や在宅勤務に伴い、消費者が自宅で過ごす時間が増えたことで、インターネットショッピングや食事の宅配サービスを利用するなど、いわゆる「巣ごもり消費」が生まれ、消費者の消費行動が変化している。また、感染防止の観点から、身体的距離の確保やマスクの着用、手洗いの励行など、消費者の日常生活において新しい生活様式を求められるなど日常生活に変化が見られる。
  • このように、消費者志向経営が始まる背景にあった社会情勢が変化し、さらに、持続可能な社会への関心の高まりがみられる。新たな関心に応えるよう活動内容を強化した消費者志向経営の取組が求められている。
  • 持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現に向けた機運の高まりに対し、令和2年3月に閣議決定された第4期消費者基本計画では、「持続可能な社会の実現に向けた社会的課題を解決する観点から、消費者と事業者とが共通の目標の実現に向けて協力して取り組むこと(協働による取組)を促す必要がある。」とされた。
  • このため、令和2年度より「消費者志向経営の推進に関する有識者検討会」を開催し、消費者志向経営の推進の在り方について見直しの議論を行ってきた。令和2年度においては、消費者志向経営の概念を整理し、それに基づく優良事例表彰の客観的評価軸及び評価基準を作成して表彰を実施し、検証を行うこととされた。
  • 令和3年度見直しの方向性
    • 今年度は新たな消費者志向経営の概念を策定し、それに基づいて消費者志向経営優良事例表彰を実施した。前節まで見てきたように、今年度の取組については、効果があり今後も続けるべきものがあった一方、今後対応すべき課題も残されている。本節では、前節までの検証を踏まえ、令和3年度に行うべき見直しの方向性についてみていく。
      1. 優良事例表彰の結果を踏まえた見直し
        上述のとおり、令和2年度の優良事例表彰で行った「特別枠」の創設や新たな評価軸は一定の成果を収めたと考えられる。更なる消費者志向経営の広範な普及のため、前節で挙げられた課題の改善に向け検討を進めるとともに、中小企業に配慮した見直しを進めていく。
        1. 中小企業の取組の評価
          • 今年度の優良事例表彰では、中小企業から過半数を超える応募があったにもかかわらず、選考委員会の選考対象に残る事業者はほとんどなかった。大企業に比べ、中小企業における取組は、評価軸の全ての項目を満たすような形でなく、一部の内容に特化した取組を行っていることが考えられる。このため、中小企業の優れた取組を拾い上げることができるよう、評価軸について検討する。
        2. 消費者や社会等の利益に関わり、事業者のリスクとなる社会課題の把握
          • 主に大企業が対象となるが、前節の客観的評価軸の検証では、事業を通じて解決する社会課題として、ビジネスのチャンスとなる健康問題、環境問題、高齢化、感染症等が挙げられている。
          • 一方、児童労働、LGBT、動物福祉や人権課題等の消費者や社会等の利益に関わり、事業者のリスクとなる社会課題を認識し、社会の要請に応えることも重要である。
          • どのような社会課題が自社にとって財務面で影響を及ぼす可能性を把握しているかについて問う設問を追加することを検討する。
        3. 消費者の行動変容の効果の把握
          • 多くの事業者が消費者への啓発活動や情報発信に取り組んでいるが、消費者の主体的な活動による効果が出ているとの認識には至っていない。目的とした事業活動を通じて、消費者の主体的な活動につながっているか、消費者の行動変容の効果等を具体的に問う設問の追加を検討する。
        4. 「特別枠」の在り方について
          • 今年度に新設した「特別枠」は、参加事業者の拡大、中小企業の参加促進に効果がみられた。今後も幅広い業種・業態からの応募拡大の観点から、「特別枠」の位置付けや具体的な応募の要件について、改めて整理する。
      2. 金融との結び付き
        • 消費者志向経営においては、第4期消費者基本計画に記載があるように資金調達の容易化につながるよう、事業者の参加のメリットとして、例えば、ESG投融資やCSV等の経営概念を反映した金融とのひも付けの検討が求められている。
        • 令和2年度においては、資金調達の容易化に取り組めていなかったが、令和3年度においては、金融機関や機関投資家等に対する個別ヒアリングを通じて、ターゲット範囲やターゲットごとの着地点の検討を行い、検討会での議論を基に、令和4年度以降活動方針の決定・着地点実現に向けたスケジュールを作成する。
      3. 消費者志向経営の普及のための活動
        1. 消費者志向経営優良事例表彰を中心とする広報活動の継続
          • 従来の消費者志向経営の推進活動を通じた消費者志向経営優良事例表彰の実施において、一定の成果が見られることから、今後も継続して進めるが、より効果的な普及活動とする観点から、各種媒体との連携を強化していく。さらに、消費者志向経営と関連する他の広報活動と協働・連携し、より広範な広報活動を進める。
        2. 消費者志向自主宣言・フォローアップ活動の見直し
          • 令和2年度は、優良事例表彰の実施に向け消費者志向経営の概念の見直しを行ってきた。令和3年度については、新しい概念に沿って消費者志向自主宣言・フォローアップ活動の在り方を参画事業者の負担軽減も加味し、見直していく予定である。
        3. 事業者との協働による新しい取組
          • 消費者志向経営を社会の共通認識とすべく、新しい消費者志向経営の概念を事業者へ普及・促進を図るとともに、消費者志向経営の今後の在り方を事業者と協働し、検討する機会を創出する必要がある。そのための体制や仕組み作りについても検討していく。

~NEW~
国民生活センター レンタカー、カーシェアのトラブルに注意-事前に保険等の契約条件、車体の傷等を念入りに確認しましょう-
  • 全国の消費生活センター等には、レンタカーやレンタカー型カーシェアリング(以下、レンタカー等)といった、「消費者が事業者から車を借りるサービス」に関する相談が寄せられています。
  • ここ数年、相談件数は年間500件程度で推移しています。相談内容を見ると「つけた覚えのない傷の修理代等を請求された」等の返却時の修理代に関するトラブルが多く寄せられており、その他には利用中に発生した車両の不具合に関するトラブル、カーシェアのトラブル等も寄せられています。
  • レンタカー等の事業者数及び車両数は増加し、カーシェアのような比較的新しい形態も出てきていることから、消費者トラブルの未然防止・拡大防止のために注意喚起を行います。
  • パターン別の主な相談事例
    1. 返却時の修理代等に関するトラブル
      1. つけた覚えがない車体の傷を指摘されて修理代を請求された
        • 数回利用したことがあるレンタカー会社に車を借りに行った。見るからに使いこんである全面傷だらけの車ではあったが、国産車で価格も安いので、傷は気にせずに借りることにした。ところが、車を返却しに行くと、「助手席側のドアの縁に傷がついているので補償金を払ってください」と言われた。そもそも傷だらけなのに、つけてもいない傷の修理代を返却時に請求されるのは納得がいかない。その後、修理代と休業補償等として、4万5000円を請求された。(2019年9月受付 40歳代 男性)
      2. その他の事例
        • 返却時に問題ないと言われたのに後から電話があり、覚えのない傷を指摘された
        • 保険が適用されず高額な修理代20万円を請求された
        • カーシェアで鍵を紛失したら交換費用として18万円請求された
    2. 利用中に発生した車両の不具合に関するトラブル
      • レンタカーを借りて1時間走ったら警告ランプが点灯し走行不能になった
      • レンタカーのカーナビの電源がオフにならないためバッテリーが上がった
      • 電気系統の故障によってカーシェアで借りた車が動かなくなった
    3. 無人ステーションに起因するカーシェア特有のトラブル
      • サイドブレーキの位置が分からなかった
      • 返却翌日にバッテリーが上がっていたと指摘された
      • 返却手続きが完了していなかった
    • 相談事例からみる問題点
      • 保険や補償制度の適用、休業補償等に関する契約条件が複雑で、消費者の理解不足を招きやすい
      • レンタカーでは利用前後の車両チェックが的確に行われていない場合がある
      • 車の機能が高度化・複雑化したことに伴い、思わぬ高額な費用負担がある
      • 車両整備が十分でなかった場合がある
      • 無人ステーションを起因とするカーシェアのトラブルがある
    • 消費者へのアドバイス
      • 契約前に保険や補償制度の適用条件を十分に確認し、不明な点は事業者へ確認しましょう
      • 利用前と返却時には、必ず車の状態を確認して記録しましょう
      • 事故を起こした場合には所定の手続きをとりましょう
      • カーシェアは利用前後に必ず自分で確認しましょう
      • トラブルにあった場合は、最寄りの消費生活センター等へ相談しましょう
        • 消費者ホットライン「188(いやや!)」番
      • 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
    • 業界への要望
      • 以下の4点について、業界団体に会員事業者へより一層周知するよう要望します。
        1. 保険の内容等の契約条件、事故時の対応方法等について、一層の周知
        2. 車体の傷等のチェック及びその記録の実施
        3. 車両の整備・点検の実施
        4. カーシェアにおける、「無人」に起因して発生するトラブル防止対策の強化

~NEW~
国民生活センター 消費生活センターのICT対応に関する現況調査<結果・概要>-ICTを使った情報提供・相談受付の現況-
  • 第4期「消費者基本計画」等において、SNS等のICT(情報通信技術、Information and Communication Technology)を活用した取組が消費生活センター等に期待されています。
  • 消費生活センターにおいては、これまでもホームページやSNSを活用した情報提供や、メール等を使った相談受付が実施されていることから、消費生活センターにおけるICTを使った情報提供や相談受付の現況、効果的な手法や課題、先駆的な取組を調査しました。
    • 調査対象、調査方法等
    • 調査対象:全国の消費生活センター801カ所
    • 調査方法:調査対象に調査票を郵送し、郵送にて回収
    • 有効回収数:716、有効回収率:89.4%
    • 調査時期:2020年10月~11月
  • 調査結果のポイント
    1. ICTを使った情報提供・注意喚起
      • ICTを使った情報提供・注意喚起を行っているセンターは9割以上
      • タイムリーなテーマ選定や地域性のある注意喚起に反響や効果を感じている
      • 注意喚起したい消費者層に情報が届いているか分からないことを課題として挙げるセンターが多かった
    2. ICTを使った相談受付
      • ICTを使って相談を受け付けるセンターは2割
      • 相談窓口の開設時間帯以外でも対応可能、電話や来訪相談に困難を抱える消費者に対応可能というメリットが挙がった
      • 相談者から必要な情報が得にくいことを課題とするセンターが多かった
  • 今後の展望
    1. 柔軟に手法を併用する重要性
      • 迅速な情報提供はICTを使い、ICTを使わない層には紙媒体で伝える、ICTを使う相談受付で聞き取りが必要な場合は電話相談等を案内する、相談者に電話するなど、各地の実情を勘案しつつ、できる限り間口を広く、ICTを使う方法、使わない方法のバランスを取りながら取り組むことによって、より多くの消費者に情報が届き、相談窓口へのアクセスの向上が期待されます。
    2. 各地の独自性ある取組への期待
      • 国の機関等や都道府県では、引き続き、分かりやすい情報発信が求められます。各地の消費生活センターにおいても、その地域の中で適切なタイミングで注意喚起したり、その地域のご当地キャラクターや著名人等と連携した取組、地域に定着した情報通信機器やアプリを活用するなど、より着実に消費者に情報が届く地域独自の取組が進むことも期待されます。

~NEW~
国民生活センター 有名企業の公式サイトだと思ったら模倣サイトだった
  • 事例1
    • 有名家具店の公式サイトだと思い、ソファが約2万円と安くなっていたので購入した。受注メールが届かないので、改めてサイトを確認したところ、URLが公式サイトと違っており、偽サイトだと気付いた。(70歳代 男性)
  • 事例2
    • 有名家電メーカーの公式サイトだと思い、格安で販売されていた掃除機を注文した。受注メールは届いたが、なかなか商品が届かず不審に思っていたところ、偽ブランドのマフラーが送られてきた。家電メーカーに確認し、偽サイトを利用したことが分かった。(60歳代 女性)
  • ひとこと助言
    • 有名企業等の公式サイトによく似た模倣サイトで商品を注文し、代金を支払ってしまったという相談が寄せられています。
    • 模倣サイトでは、日本語などが明らかにおかしいものもありますが、最近では見分けがつかないほどよく似ているものもあります。販売価格が大幅に値引きされている場合などは、模倣サイトの可能性が高く、注意が必要です。
    • 模倣サイトでクレジットカード決済をしたことに気付いたときは、すぐにクレジットカード会社に連絡をしましょう。
    • 困ったときは、すぐにお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。海外事業者とのトラブルについては、国民生活センター越境消費者センターで、ウェブフォームにて相談を受け付けています。

~NEW~
厚生労働省 多様化する労働契約のルールに関する検討会 第1回資料
▼資料6 無期転換ルールと多様な正社員の雇用ルール等に関する現状(修正前版)
  • 足下の雇用情勢は、求人が底堅く推移する中、求人が求職を上回って推移しているものの、求職者が引き続き高水準にあり、厳しさがみられる。有効求人倍率が1倍を下回る地域がある等、新型コロナウイルス感染症が雇用に与える影響に、より一層注意する必要がある。なお、リーマン・ブラザーズの経営破綻(2008年9月15日)後には、完全失業率は10ヶ月で4.0%→5.5%にまで悪化し、有効求人倍率は11ヶ月で0.83倍→0.42倍に低下した。
  • 人口が減少する中にあっても、2015年以降労働力人口は増加が続いている。他方、推計においては2020年以降減少する見込みであり、人手不足の傾向が継続するものと考えられる。男女別の労働力人口比率をみると、男女ともに全世代において、2020年における比率は1990年における比率を上回っているか、ほぼ同等となっている。特に女性はいわゆるM字カーブといわれる、20代後半から30代にかけての労働力人口比率の落ち込みが大幅に解消されており、人口減少下の労働力人口増加に寄与している。
  • 労働力人口の中でも、就業者数(非農林業)の推移をみると、就業者の大宗が雇用者である状況が続いており、2020年において雇用者が就業者に占める割合は約91.4%となっている。現在は、雇用者の中でも、非正規の職員が4割近くを占めている。
  • 無期転換ルール
    • 有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルール。(労働契約法第18条:平成25年4月1日施行)
    • 通算期間のカウントは、平成25年4月1日以後に開始する有期労働契約が対象。平成25年3月31日以前に開始した有期労働契約は、通算契約期間に含めない。
    • 通算期間をリセットするクーリング期間(原則6ヶ月でリセット)の規定あり(第18条第2項)
  • 「雇止め法理」とは、過去の最高裁判例により確立された、雇止めについて一定の場合にこれを無効とする判例上のルールを、その内容や適用範囲を変更することなく、労働契約法第19条に条文化されたものをいう。(労働契約法第19条:公布日(平成24年8月10日)施行)※「雇止め」…有期労働契約において、使用者が更新を拒否したときに契約期間の満了により雇用が終了すること。
  • 労契法による無期転換前に雇止めが行われるケース等の具体例
    1. 無期転換申込権が発生する直前に合理的な理由のない雇止め
      • 契約が更新されて無期転換できるという期待が相当高い通算5年直前期に、合理的な理由なく(労働者の勤務態度や経営上の理由等の名目で)、雇止めを行う場合
    2. 無期転換申込権発生前に新たに(一方的に)不更新条項を設定して当該条項を理由に雇止め
      • 契約が更新されて無期転換できるという期待が相当高い通算5年直前期に、一方的に合理的な理由なく労働契約や就業規則において、契約更新上限(5年等)を新たに規定・適用し、通算期間が5年を超える前に雇止めを行う等、無期転換申込権が発生する前に雇止めを行う場合
    3. 5年の更新上限を設けた上で一定の場合に無期雇用する制度を設けているものの、不合理な要件や厳しい試験等を課し実際は不合格とする
      • 次の契約更新で無期転換できるという期待が相当高い直前期に新たに競争試験や更新要件を課すように、一方的に合理的な理由なくルールを変更し、合格した者のみに契約更新が認められる場合
      • 一定の合格者等が出ると示唆していたにもかかわらず、実際には無期転換する者が発生しないような厳しい要件や試験等を課していたり、不合理な基準・評価方法が用いられていたりする場合
    4. 再雇用を約束した上で雇止めをし、クーリング期間経過後に再雇用
      • 無期転換申込権発生前に雇止めをするが、通算期間の算定がリセットされるクーリング期間(6か月)をおいて再度雇い入れることを明示的に約束しているような場合
    5. 無期転換申込権が生じる前に派遣や請負を偽装して形式的に他の使用者に切替え
      • 就業実態が変わらないにもかかわらず、無期転換申込権の発生を避ける目的で、派遣形態や請負形態を偽装して、労働契約の当事者を形式的に他の使用者に切り替えた場合【施行通達で、上記の場合には「同一の使用者」との労働契約が継続していると解される旨を明記】
    6. 無期転換後の労働条件について不合理な「別段の定め」をすることによる無期転換申込みの抑制
      • 職務の内容などが変更されないにもかかわらず、無期転換後の労働条件が、実質的に無期転換申込権の行使を妨げるような内容となっている場合(例・無期転換後の労働条件を従前よりも大幅に低下させる【施行通達において望ましくない旨を明記】・実際上の必要性がないにもかかわらず、無期転換の申込みを抑制する目的で無期転換後の労働者に適用される就業規則に配転条項等を定める等
    7. 無期転換申込みの拒否
      • 労働者から労働契約法第18条の要件を満たした無期転換申込みがなされたにもかかわらず、合理的な理由なく無期転換を拒否し、当該労働者を有期労働契約の期間満了時に雇止めする場合
    8. 無期転換申込権の事前放棄の強要
      • 無期転換申込権が発生する有期労働契約の締結以前に、無期転換申込権を行使しないことを更新の条件とする等、有期契約労働者にあらかじめ無期転換申込権を放棄させること。【施行通達において、こうした有期契約労働者の意思表示は公序良俗に反し、無効と解される旨を明記】
    9. 細切れな定年を設定し、無期転換後、数年で定年退職
      • 無期転換後、いずれの年齢であったとしても、数年で定年退職となるように、無期転換する際の年齢に対応して、細切れな定年を就業規則に設定する場合
    10. 当初の契約締結時から更新上限を設定して無期転換申込権発生前に雇止め
      • 労働者に5年を超える有期労働契約の更新についての合理的な期待が生じないよう、当初の契約締結時に契約更新上限(5年等)を労働者に対して提示した場合

~NEW~
厚生労働省 第5回「障害者の就労支援体系の在り方に関するワーキンググループ」資料
▼【資料1-1】これまでの議論等の整理(案)
  • 雇用・福祉施策双方が共通認識としてもつべき、障害者の就労支援における基本的な考え方や支援の方向性については、本ワーキンググループの「雇用施策と福祉施策の連携強化に係る課題について検討を重ねるものである」という開催趣旨から、次のとおり、整理する。
    • 「障害のある人もない人も共に働く社会」を目指し、多様な働き方が広がる中、障害者本人のニーズを踏まえた上で、「一般就労」の実現とその質の向上に向けて、障害者本人や企業等、地域の就労支援機関を含むすべての関係者が最大限努力することまた、この共通認識は、各種研修や高等教育機関での教育の機会などを通じ、繰り返し伝えていくことが必要であるとの指摘があった。なお、最近の障害者雇用の現場をみると、一見して「雇用率という数字を達成する」ことだけが目的となっているような取組も見受けられることから、改めて、共生社会の実現という観点から、障害者雇用がどうあるべきかについて、障害者本人や企業等、地域の就労支援機関を含む関係者間で議論を続けていくことが望まれる。
  • 就労支援が必要な人に必要な支援が提供されるよう、雇用・福祉施策双方の支援体系において隙間がないかを精査する必要がある。例えば、「雇用施策においては、公務部門に勤務する障害者に対する支援が不十分」、「福祉施策においては、自治体によって支援の利用の可否が異なる」、「特別支援学校やハローワークから企業等に就職した者について、就労定着支援事業を利用できないことは、雇用と福祉の連携という視点から改善できる部分ではないか」といった指摘があった。このように、働き方や場所等により、必要な支援が受けられない場合があるとすれば、今後も具体的な事案を把握次第、雇用・福祉施策の連携のもと、その改善を順次図っていく必要がある。
  • また、支援ニーズが増大し、支援対象者が広がる中において、雇用施策と福祉施策のシームレスな支援の展開を考えていくとき、両者の支援が併存し合う部分もあると考えられる。例えば、「企業等での就労中における就労継続支援事業の利用」のように、両者を明確に切り分けて、線引きするのではなく、それぞれの強みを生かして補完し合っていくという視点も必要である。
  • さらに、今後の就労支援を検討していくに当たっては、障害者本人や障害者を雇い入れる企業等を中心に、その支援ニーズを丁寧に探っていく必要があり、また、障害者本人がキャリアを重ねていく中でニーズは変化していくことや、各企業等に義務付けられている合理的配慮の提供との関係にも留意する必要がある。
  • 現在、就労継続支援事業(A型・B型)については、原則、企業等での就労中の利用は想定していない。これは、就労継続支援事業が、直ちに企業等での就労が難しい者に対して、それに向けた訓練等を実施するという趣旨・目的の下で実施されているからである。
  • 一方で、障害者の多様な就労ニーズを考えたとき、「特に、短時間雇用については、企業等において短時間勤務し、それ以外の時間については就労継続支援事業の中で働くということも制度の中で改めて位置付けていくこともあるのではないか」といった指摘があった。
  • このように、企業等で就労しつつ、就労継続支援事業を利用することについては、以下のような具体的な場面を想定した活用に関する指摘があった。
    • 働き始めの一定期間において併用して利用することができれば、就業を支える生活面での支援として運用できるのではないか
    • 企業等での就労中の一時的な不調等への対応として、一定期間を区切って就労継続支援事業を併用することはあり得るのではないか
    • 企業等で継続的に働き続けることが困難な場面などに、本人の意向を第一に、福祉施策の利用に徐々に移行するといった運用も考えられるのではないか
  • このほか、仮に、企業等で就労しつつ、就労継続支援事業を利用する場合には、以下のような今後の検討に当たっての留意すべき事項に関する指摘があった。
    • 障害者本人や企業等の意向等を踏まえ、その目的、必要性、具体的な支援内容を精査するプロセスを組み込むことが必要であり、これらを把握、整理する上で、障害者本人を中心に、十分なアセスメントを実施することが重要である
    • 企業等にとっても、一時的な不調等により立て直し等が必要な方が一定期間福祉施策を併用して働き続ける取組は必要であるが、企業等が安易に併用を選択することがないよう、留意する必要がある
    • あくまでも企業等での就労に軸足を置いた対策として、徐々に軸足を就労先企業等に移していくといった明確な方針のもとで制度設計すべきである
    • 永続的なものとなると、障害者本人にとっても負荷がかかる懸念がある。併用できる期間を区切るなど、従来の「就労継続支援事業」とは異なる運用をすべきである
    • 就労継続支援事業の定義が「通常の事業所で雇用されることが困難な障害者について、必要な訓練を行う事業」となっていることとの法令上の整理が必要ではないか
  • また、雇用施策について、以下のような指摘があった。
    • 雇用率の対象が週所定労働時間20時間以上の労働者となっているため、それを下回る短時間労働については、雇用が進みにくい・企業等に対するインセンティブとして、例えば、就労継続支援を併用することで、結果として、従業員が週20時間未満の短時間雇用になった場合でも、雇用率カウントの対象に加える(積み上げ方式等)こともあり得るのではないか
    • 精神障害のある者をはじめとして、その障害特性から週20時間以上働くことが直ちに難しい方などについて、週20時間未満の短時間雇用を雇用率カウントの対象に加えることは、企業等での就労を進める上で有効ではないか
  • 以上を踏まえ、企業等で就労しつつ、就労継続支援事業を利用することについては、企業等での働き始めの時期など短時間雇用から段階的に働く時間を増やしていく場面や、企業等での就労中の一時的な不調の受け皿として、体調等が以前の状況に戻るまで一定期間利用する場面等において、一定のニーズや必要性が認められると思われることから、取組として進めていくことが適当である。
  • また、この取組の設計に当たっては、障害者本人や企業等の意向等を踏まえ、企業等での就労を支える支援として機能するよう、福祉施策・雇用施策双方において詳細な検討を進める必要がある。特に、その取組を活用するに当たっては、本人の意向等を十分に踏まえつつ、十分なアセスメントを実施するとともに、ハローワーク等の行政機関を含め、第三者的な立場の参画により必要性等を精査することが必要である。
  • なお、今後検討される企業等での就労と就労継続支援事業の併用に係る取組内容に関わらず、企業等での就労を希望している障害者に対する支援については、引き続き就労移行支援事業が大きな役割を担っていくことには変わりはないとの指摘があった。
  • このほか、企業等での就労と障害福祉サービスとの関係について、「就労移行支援事業についても、在職者のキャリア形成支援として就労中に利用できるようにすることも大きなポイントである」、「企業等での働き始めの時期において、企業等での就労と自立訓練とを組み合わせて支援している取組もあり、有効である」、「仕事が休みの日などに地域活動支援センターを利用しているケースもある」との指摘もあった。
  • このため、今後、企業等での就労と障害福祉サービス等との関係については、就労継続支援事業のみならず、就労移行支援事業をはじめとする他の障害福祉サービス等についても同様に整理する必要がある。

~NEW~
厚生労働省 「職場適応援助者養成研修のあり方に関する研究会」の報告書を取りまとめました
▼【全体版】職場適応援助者養成研修のあり方に関する研究会報告書
  1. ジョブコーチを取り巻く状況の変化
    • この10年のジョブコーチを取り巻く障害者雇用等の状況に関する変化は大きく4つ挙げられる。
      • 一点目としては、障害者雇用の進展が挙げられる。障害者雇用状況報告によると、平成22年は実雇用率1.68%(法定雇用率1.8%)、障害者雇用数34.3万人であったが、令和2年は実雇用率2.15%(法定雇用率2.2%)、障害者雇用数57.8万人と大きく進展していることがわかる。
      • 障害者雇用が進展する中で、企業内で自ら障害者の雇用支援ができる人材のニーズが高まっており、企業在籍型職場適応援助者養成研修では、特例子会社の社員のみならず、一般の企業の人事や現場の社員の受講も増えている。
      • 二点目としては、精神・発達障害者の求職・就職者数の増加が挙げられる。精神障害者については、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律(平成25年法律第46号)の施行により、平成30年4月から雇用義務の対象になった。こういった影響もあり、ハローワークの職業紹介状況を見ると、精神障害者の就職件数は、平成21年度10,929件から令和元年度49,612件と著しく増加しており、障害者全体に占める精神障害者の割合についても平成21年度24.1%から令和元年度48.1%と大きく増加している。
      • 同様に、地域の職業リハビリテーション機関である地域障害者職業センターや障害者就業・生活支援センターにおいても、支援対象者に占める精神・発達障害者の割合が増加している。地域障害者職業センターの配置型ジョブコーチの障害別の支援実績を見ても、平成21年度は知的障害者が約6割を占めていたが、近年は3割程度に減少している一方、発達・精神障害者の支援が約6割を占めるようになっている。
      • 三点目としては、福祉・教育から一般就労への移行の促進や障害者総合支援法における就労系障害福祉サービスの充実が挙げられる。福祉から一般就労への移行者数は平成21年度が3,293人だったところ、平成30年度は19,963人と著しく増加している。また、教育分野においても、特別支援学校高等部卒業後の就職状況は、平成21年3月卒では就職者が3,547人(就職率は23.7%)だったところ、平成31年3月卒では7,019人(就職率は32.3%)となっており、福祉・教育から一般就労への移行が促進されていることがわかる。
      • 就労系障害福祉サービスのうち就労移行支援事業の事業所数は国保連データによると令和2年4年現在3,001カ所、利用者数は33,629人となっている。就労移行支援事業の利用終了者に占める一般就労への移行者の割合は年々増加しており、平成30年度は52.9%となっている。
      • また、平成30年度から新たなサービスとして就労定着支援事業が創設され、就労移行支援事業等の利用を経て一般就労へ移行した障害者に対する就労に伴う生活面の支援として定着支援を行うこととなった。国保連データによると令和2年4月現在事業所数は1,228カ所、利用者数は利用者10,568人となっており、今後も増加していくことが見込まれる。
      • 最後に、障害者差別禁止・合理的配慮の提供義務化が挙げられる。雇用分野における障害者権利条約への対応を図るため、障害者雇用促進法の平成25年改正により雇用分野における障害者差別の禁止及び合理的配慮の提供義務等が規定され、平成28年4月から施行された。合理的配慮について、全ての事業主は、障害者雇用を進める上で、募集採用段階や採用後において、障害者からの申し出により障害の特性に配慮した必要な措置を講じることが義務づけられており、こういった配慮が行われることにより、障害者の更なる雇用機会が確保され、職場において十分に活躍してもらうことが期待される。
  2. ジョブコーチに求められる役割・スキル
    • 上述した変化は、現業系から事務系への拡大といった支援対象者の仕事内容や、集中型・グループ型から分散型へといった雇用管理、直接現場に入る作業支援から人間関係等職場環境の調整への移行といった支援内容の変化にも影響を与えている。しかしながら、依然としてジョブコーチに従来求められている作業支援に関するスキルは必須であり、ジョブコーチの基本的役割、求められるスキル自体は大きく変わっていない。
    • その中で、精神・発達障害者の支援の増加に伴い、職場におけるコミュニケーションや人間関係の課題に対して、本人や職場からの聞き取り、分析や助言、環境調整を行う支援が増えてきており、情報を収集し分析するスキルがより求められるようになっている。
    • 例えば、就職直後の緊張感が緩和された後にどの位実力を発揮できるかといった見極めや、仕事上の指示者、相談相手等との人間関係の調整をジョブコーチが行い、本人や事業所に伝えていくことが求められる。
    • 特に、精神・発達障害者に対しては、本人も気づいていない課題を抽出し、どういった課題でつまずいているのかをアセスメントして整理し、説明することが求められる。加えて、結果をどう伝えるかについてもアセスメントの重要な要素であり、コミュニケーションスキルや伝え方の技術が必要である。また、職場で起こる課題の背景には障害特性に起因する場合が多く考えられ、アセスメントの前提として障害特性の理解が重要である。
    • また、就職直後のみならず、職場になじんだ後でも、職場には言えない悩みを抱えていることや新たな課題が発生する場合もあり、職場定着のためには、職場外のサポートも重要である。ジョブコーチは関係機関のコーディネートを行う役割があるが、障害者が抱えている問題は生活面・経済面など多様であり、医療、生活支援等その他の支援機関との連携が必要である。
    • ジョブコーチは、今起こっている職業上の具体的な課題を短期間の支援の中で解決する役割である。一方、課題には短期で解決できることと長期に渡っての支援が必要なものもあり、後者については、職場内のサポート体制を整えるとともに、職場外のサポートとして障害者就業・生活支援センター等が継続的に支援していくことが望ましいことから、支援期間中から関係機関と調整を行い、スムーズに支援を移行できるようにすることが求められる。

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厚生労働省 第3回「大麻等の薬物対策のあり方検討会」 資料
▼資料1
  • 麻薬及び向精神薬取締法による麻薬中毒者への医療の提供等(麻薬中毒者制度)
  • 麻薬中毒(※)の状態にある者(麻薬中毒者)への医療の提供等の措置として、麻薬及び向精神薬取締法では、(1)医師の麻薬中毒者の届出等、(2)措置入院及び(3)フォローアップが規定されている。
    • 麻薬中毒とは麻薬、大麻又はあへんの慢性中毒(麻向法第2条第24号)を指し、麻薬に対する精神的身体的欲求を生じ、これらを自ら抑制することが困難な状態、即ち麻薬に対する精神的身体的依存の状態をいい、必ずしも自覚的または他覚的な禁断症状が認められることを要するものではない。(昭和41年6月1日付け薬発第344号「麻薬中毒の概念について」)
      1. 医師の麻薬中毒者の届出
        • 医師は、診察の結果受診者が麻薬中毒者であると診断したときは、その者の氏名等を都道府県知事に届ける義務がある。
      2. 措置入院
        • 都道府県知事は、精神保健指定医の診察の結果、麻薬中毒者であり、かつ、症状、性行及び環境に照らして入院させなければ麻薬、大麻又はあへんの施用を繰り返すおそれが著しいと認めたときは、麻薬中毒者医療施設に入院させて必要な医療を行うことができる。
      3. フォローアップ
        • 麻薬中毒者相談員等による麻薬中毒者及びその疑いのある者(特に、麻薬中毒者医療施設を退院した者)に対する相談業務を実施
  • 平成11年の精神保健福祉法の改正に伴い、精神障害者の定義が改められ、薬物依存症も対象とされたことに伴い、麻薬中毒者については、麻薬及び向精神薬取締法及び精神保健福祉法の2つの法律で重複して措置⇒平成20年以降、麻薬及び向精神薬取締法に基づく麻薬中毒者の措置入院は発生していない。
  • 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づく入院形態
    • 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律では、「精神障害者」を、以下のとおり定義。
    • 統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者
      1. 任意入院
        • 入院を必要とする精神障害者で、入院について、本人の同意がある者
        • 精神保健指定医の診察は不要
      2. 措置入院/緊急措置入院
        • 入院させなければ自傷他害のおそれのある精神障害者
        • 精神保健指定医2名以上の診断の結果が一致した場合に都道府県知事が措置緊急措置入院は、急速な入院の必要性があることが条件で、指定医の診察は1名で足りるが、入院期間は72時間以内に制限
      3. 医療保護入院
        • 入院を必要とする精神障害者で、任意入院を行う状態にない者
        • 精神保健指定医(又は特定医師)の診察が必要/家族等のうちいずれかの者の同意が必要(特定医師による診察の場合は12時間まで)
      4. 応急入院
        • 入院を必要とする精神障害者で、任意入院を行う状態になく、急速を要し、家族等の同意が得られない者
        • 精神保健指定医(又は特定医師)の診察が必要/入院期間は72時間以内に制限(特定医師による診察の場合は12時間まで)
  • 刑の一部の執行猶予制度について
    • 平成25年6月、刑の一部の執行猶予制度の導入等を内容とする「刑法等の一部を改正する法律」及び「薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律」が成立し、平成28年6月1日に施行された。
    • 裁判所が、3年以下の懲役・禁錮を言い渡す場合に、その刑の一部について、1~5年間、執行を猶予することができるとする制度
  • 対象
    • 初入者等裁判所の裁量により、執行猶予の期間中、保護観察に付することができる。
    • 薬物使用等の罪を犯した者(初入者等を除く)執行猶予の期間中、必ず保護観察に付される。
  • 薬物犯罪で収監された人々への治療に対する考え方
    • 従来より、世界的に刑務所に収容される囚人の人数の増加に伴い、刑務所が過密状態となることにより、囚人の基本的な人権が守られない事態が発生していることから、刑務所の過密状態の解消及び囚人の基本的な人権を守ることを目的として、刑務所への収容に代わる案が提案されてきた。特に、代替策を検討すべき集団として、薬物の使用者が挙げられており、これらの集団に対する代替策として、1)非犯罪化、2)ドラッグコートが提案されてきた。*Handbook of basic principles and promising practices on Alternatives to Imprisonment(United Nations,2007)
    • 平成28(2016)年に開催された第3回国連麻薬特別総会において、「世界的な薬物問題に効果的に対処するための共同コミットメント(※)」が採択され、(1)薬物使用障害の治療や感染症予防・治療を含む需要の削減、(2)医療・科学上の目的のための規制物質の利用・アクセスの確保、(3)効果的な法執行、マネー・ローンダリング対策等を通じた供給削減、(4)薬物と人権、青少年、女性及びコミュニティ、(5)新精神作用物質等の新たな問題、(6)国際協力の強化、(7)代替開発等の7項目について、施策上の勧告がなされており、(4)の中には以下の事項も含まれている。
      • 収監された人々に対する薬物使用障害の治療へのアクセスの強化
      • 刑務所の過密状態と暴力の解消を目的とした措置の実施等
      • これは、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の基本理念である「誰一人取り残さない(leave no one behind)」が背景にあるためである。
  • 米国におけるドラッグコート
    1. ドラッグコートとは
      • 薬物専門裁判所であり、問題解決型裁判所※の一つ。犯罪行為を裁くのではなく、その行為の原因となる「根本原因」を治療・除去することによる真の問題解決を目的とする。※根本原因の治療・除去による真の問題解決を目的とした裁判所の総称
    2. 背景
      • 1980年代にコカイン乱用者が著しく増加し、過剰拘禁状態となったことから、1989年にフロリダ州デイド郡マイアミ市において、過剰拘禁状態を解消するための手段として初めて取り入れられた。
    3. 仕組み
      • 刑務所に収容される代わりに、裁判所の監視の下で社会生活を続け、定期的に出廷し、薬物検査を受け、治療プログラムに参加することで、薬物を使わない生活を身につける。
      • ドラッグコートに参加するには、薬物犯罪を犯したと認めることが必須。
      • プログラムは通常1から2年間。
      • 出廷しない、薬物検査陽性などの遵守事項に違反した場合、短期間の拘禁(通常2日から2週間程度)などの処罰を受ける。
      • プログラムを終了した場合は、逮捕歴、有罪判決が取り消される。

~NEW~
厚生労働省 「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」を公表します
▼テレワークガイドラインの改定主な概要
  • テレワークの推進を図るためのガイドラインであることを明示的に示す観点から、ガイドラインのタイトルを「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」に改定。
  • テレワークの導入に際しての留意点
    • テレワークの推進は、労使双方にとってプラスなものとなるよう、働き方改革の推進の観点にも配意して行うことが有益であり、使用者が適切に労務管理を行い、労働者が安心して働くことのできる良質なテレワークとすることが求められる。
    • テレワークを推進するなかで、従来の労務管理の在り方等について改めて見直しを行うことも、生産性の向上に資するものであり、テレワークを実施する労働者だけでなく、企業にとってもメリットのあるものである。
    • テレワークを円滑かつ適切に導入・実施するに当たっては、あらかじめ労使で十分に話し合い、ルールを定めておくことが重要である。
  • テレワークの対象業務
    • 一般にテレワークを実施することが難しい業種・職種であっても個別の業務によっては実施できる場合があり、管理職側の意識を変えることや、業務遂行の方法の見直しを検討することが望ましい。
    • オフィスに出勤する労働者のみに業務が偏らないよう、留意することが必要である。
  • テレワークの対象者等
    • テレワークの対象者を選定するに当たっては、正規雇用労働者、非正規雇用労働者といった雇用形態の違いのみを理由としてテレワーク対象者から除外することのないよう留意する必要がある。
    • 在宅での勤務は生活と仕事の線引きが困難になる等の理由から在宅勤務を希望しない労働者について、サテライトオフィス勤務やモバイル勤務の利用も考えられる。
    • 特に新入社員、中途採用の社員及び異動直後の社員は、コミュニケーションの円滑化に特段の配慮をすることが望ましい。
  • 導入に当たっての望ましい取組
    • 不必要な押印や署名の廃止、書類のペーパーレス化、決裁の電子化等が有効であり、職場内の意識改革をはじめ、業務の進め方の見直しに取り組むことが望ましい。
    • 働き方が変化する中でも、労働者や企業の状況に応じた適切なコミュニケーションを促進するための取組を行うことが望ましい。
    • 企業のトップや経営層がテレワークの必要性を理解し、方針を示すなど企業全体として取り組む必要がある。
  • テレワークにおける人事評価制度
    • 人事評価は、企業が労働者に対してどのような働きを求め、どう処遇に反映するかといった観点から、企業がその手法を工夫して、適切に実施することが基本である。
    • 人事評価の評価者に対しても、訓練等の機会を設ける等の工夫が考えられる。
    • 時間外等のメール等に対応しなかったことを理由として不利益な人事評価を行うことは適切な人事評価とはいえない。
    • テレワークを行う場合の評価方法を、オフィスでの勤務の場合の評価方法と区別する際には、誰もがテレワークを行えるようにすることを妨げないように工夫を行うことが望ましい。
    • テレワークを実施せずにオフィスで勤務していることを理由として、オフィスに出勤している労働者を高く評価すること等も、労働者がテレワークを行おうとすることの妨げになるものであり、適切な人事評価とはいえない。
  • テレワークに要する費用負担の取扱い
    • テレワークを行うことによって労働者に過度の負担が生じることは望ましくない。
    • 個々の企業ごとの業務内容、物品の貸与状況等により、費用負担の取扱いは様々であるため、労使のどちらがどのように負担するか等についてはあらかじめ労使で十分に話し合い、企業ごとの状況に応じたルールを定め、就業規則等において規定しておくことが望ましい。
    • 在宅勤務に伴う費用について、業務に要した実費の金額を在宅勤務の実態を踏まえて合理的・客観的に計算し、支給することも考えられる。
  • テレワーク状況下における人材育成・テレワークを効果的に実施するための人材育成
    • オンラインでの人材育成は、オンラインならではの利点を持っているため、その利点を活かす工夫をすることも有用である。
    • テレワークを導入した初期あるいは機材を新規導入したとき等には、必要な研修等を行うことも有用である。
    • 自律的に働くことができるよう、管理職による適切なマネジメントが行われることが重要であり、管理職のマネジメント能力向上に取り組むことも望ましい。
  • テレワークのルールの策定と周知
    • 労働基準法上の労働者については、テレワークを行う場合においても、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法等の労働基準関係法令が適用される。
    • テレワークを円滑に実施するためには、使用者は労使で協議して策定したテレワークのルールを就業規則に定め、労働者に適切に周知することが望ましい。
  • 労働時間の柔軟な取扱い
    • 労働基準法上の全ての労働時間制度でテレワークが実施可能。このため、テレワーク導入前に採用している労働時間制度を維持したまま、テレワークを行うことが可能。一方で、テレワークを実施しやすくするために労働時間制度を変更する場合には、各々の制度の導入要件に合わせて変更することが可能。
    • 通常の労働時間制度及び変形労働時間制においては、始業及び終業の時刻や所定労働時間をあらかじめ定める必要があるが、必ずしも一律の時間に労働する必要がないときには、テレワークを行う労働者ごとに自由度を認めることも考えられる。
    • フレックスタイム制は、労働者が始業及び終業の時刻を決定することができる制度であり、テレワークになじみやすい。
    • 事業場外みなし労働時間制は、労働者が事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定することが困難なときに適用される制度であり、テレワークにおいて一定程度自由な働き方をする労働者にとって、柔軟にテレワークを行うことが可能となる。(※このほか、事業場外みなし労働時間制を適用するための要件について明確化)
  • テレワークにおける労働時間管理の把握
    • 労働時間の管理については、本来のオフィス以外の場所で行われるため使用者による現認ができないなど、労働時間の把握に工夫が必要となる一方で、情報通信技術を活用する等によって、労務管理を円滑に行うことも可能となる。
    • 労働時間の把握については、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を踏まえ、次の方法によることが考えられる。
      • パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として、始業及び終業の時刻を確認すること(テレワークに使用する情報通信機器の使用時間の記録等や、サテライトオフィスへの入退場の記録等により労働時間を把握)
      • 労働者の自己申告により把握すること(※労働時間の自己申告に当たっては、自己申告制の適正な運用等について十分な説明を行うこと、労働者による労働時間の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこと等の留意点を記載)。
    • テレワークに特有の事象の取扱い
      • 中抜け時間(※把握する際の工夫方法として、例えば一日の終業時に、労働者から報告させることが考えられることや、中抜け時間について、休憩時間として取り扱い終業時刻を繰り下げたり、時間単位の年次有給休暇として取り扱うことも、始業及び終業の時刻の間の時間について、休憩時間を除き労働時間として取り扱うことも可能であることを記載)。
      • 長時間労働対策テレワークによる長時間労働等を防ぐ手法としては、次のような手法が考えられる。
        • メール送付の抑制等やシステムへのアクセス制限等
        • 時間外・休日・所定外深夜労働についての手続:労使の合意により、時間外等の労働が可能な時間帯や時間数をあらかじめ使用者が設定する等
    • テレワークの安全衛生の確保
      • テレワークでは、労働者が上司等とコミュニケーションを取りにくい、上司等が労働者の心身の変調に気づきにくいという状況となる場合が多く、事業者は、「テレワークを行う労働者の安全衛生を確保するためのチェックリスト(事業者用)」を活用する等により、健康相談体制の整備や、コミュニケーションの活性化のための措置を実施することが望ましい。
      • 自宅等については、事務所衛生基準規則等は一般には適用されないが、安全衛生に配慮したテレワークが実施されるよう、「自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリスト(労働者用)」を活用すること等により、作業環境に関する状況の報告を求めるとともに、必要な場合には、労使が協力して改善を図る又はサテライトオフィス等の活用を検討することが重要である。
    • テレワークにおける労働災害の補償
      • 労働契約に基づいて事業主の支配下にあることによって生じたテレワークにおける災害は、業務上の災害として労災保険給付の対象となる。
      • 使用者は、情報通信機器の使用状況などの客観的な記録や労働者から申告された時間の記録を適切に保存するとともに、労働者が負傷した場合の災害発生状況等について、使用者や医療機関等が正確に把握できるよう、当該状況等を可能な限り記録しておくことを労働者に対して周知することが望ましい。
    • テレワークの際のハラスメントへの対応
      • 事業主は、職場におけるパワーハラスメント、セクシュアルハラスメント等(以下「ハラスメント」という。)の防止のための雇用管理上の措置を講じることが義務づけられており、テレワークの際にも、オフィスに出勤する働き方の場合と同様に、関係法令・関係指針に基づき、ハラスメントを行ってはならない旨を労働者に周知啓発する等、ハラスメントの防止対策を十分に講じる必要がある。
    • テレワークの際のセキュリティへの対応
      • 情報セキュリティの観点から全ての業務を一律にテレワークの対象外と判断するのではなく、関連技術の進展状況等を踏まえ、解決方法の検討を行うことや業務毎に個別に判断することが望ましい。

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経済産業省 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」を制定しました
▼人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針
  • 経済産業省は、文部科学省及び厚生労働省とともに、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」を制定し、本日(3月23日)の官報にて告示しましたので、お知らせします。
    1. 趣旨
      • 「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(平成26年文部科学省・厚生労働省告示第3号。以下「医学系指針」という。)及び「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(平成25年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号。以下「ゲノム指針」という。)については、必要に応じ、又は施行後5年を目途としてその全般に関して検討を加えた上で、見直しを行うものとされていること等を踏まえ、文部科学省、厚生労働省及び経済産業省による「医学研究等に係る倫理指針の見直しに関する合同会議」(以下「合同会議」という。)において、医学系指針及びゲノム指針の両指針間の項目の整合性や指針改正の在り方について検討を行い、両指針において共通して規定される項目の記載内容を統一することにより、両指針を統合することが可能であるという結論が得られたことから、両指針を廃止し、新たな指針として「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」(以下「生命・医学系指針」という。)を制定しました。
    2. 医学系指針及びゲノム指針からの主な変更点について
      1. 構成の見直し
        • 生命・医学系指針では、「第1章」において、総論的な概念や定義等を整理しました。また、「第2章」で研究者等が研究を実施する上で遵守すべき責務や考え方を整理するとともに、「第3章から第7章」で生命科学・医学系研究に携わる全ての関係者が行うべき具体的な手続きを研究が実施される流れに沿って整理しました。その後、「第8章」に倫理審査委員会に関する規定、「第9章」に特に留意すべき事項である個人情報等及び匿名加工情報の取扱い等に関する項目について、上述の研究実施の手続とは分けて規定しました。
      2. 用語の定義の見直し
        • 生命・医学系指針が適用される研究について、ゲノム指針及び医学系指針の適用範囲に、医学系以外の領域で行われる研究(工学系学部の医工連携による研究への参画や、人文社会学系学部が人類学的観点から行う研究など)も含むことに留意し、「人を対象とする生命科学・医学系研究」として、定義を新設しました。
        • また、研究計画書に基づいて研究が実施される研究機関以外であって、当該研究のために研究対象者から新たに試料・情報を取得し(侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う試料の取得は除く。)研究機関に提供のみを行う機関を、「研究協力機関」として新たに定義し、それに伴い、新たに試料・情報を取得し、研究機関に提供のみを行う者を除くよう「研究者等」の定義を変更しました。さらに、一の研究計画書に基づき複数の研究機関において実施される研究を「多機関共同研究」として新たに定義し、手続の効率化を図るため、原則として、一の倫理審査委員会による一括した審査を求めることとしました。加えて、多機関共同研究を実施する場合に、複数の研究機関の研究責任者を代表する者として、「研究代表者」の定義を新設しました。
        • さらに、ゲノム指針に規定されている「遺伝カウンセリング」の定義を一部改訂した上で規定しました。
      3. 研究対象者等の基本的責務に係る規定の変更
        • 研究対象者等への配慮として、地域住民等を対象とする研究実施の場合の研究内容・意義について説明・理解を得るよう努めなければならないことを規定しました。
      4. 研究計画書に関する手続
        1. 多機関共同研究の新設に係る変更
          • 多機関共同研究を実施する場合の研究代表者の選任や研究計画書の作成に係る規定を新設しました。また、多機関共同研究に係る研究計画書については、原則として一つの倫理審査委員会による一括した審査を求めなければならない旨の規定を新設しました。
        2. 研究の概要の登録等に係る規定を変更
          • 介入を行う研究について、jRCT等の公開データベースに、当該研究の概要等をその実施に先立って登録し、更新を行わなければならない旨を規定しました。また、その他の研究についても、登録を努力義務としました。
      5. インフォームド・コンセント等の手続きの見直し
        1. インフォームド・コンセントの手続とその他の手続の項目を分離
          • 医学系指針の規定では、「インフォームド・コンセントを受ける手続等」に係る規定中に、他の研究機関に試料・情報の提供を行う際又は他の研究機関から試料・情報の提供を受ける際に必要な記録の作成の手続等の規定が混在していたため、インフォームド・コンセントの手続とその他の手続とを別の項目に規定しました。
        2. 研究協力機関において試料・情報の取得をする際のインフォームド・コンセントは、研究者等において受けなければならないこととしました。
        3. 研究者等が研究対象者等からインフォームド・コンセントを受ける際に、電磁的方法(デジタルデバイスやオンライン等)を用いることが可能である旨、その際に留意すべき事項についての規定を明記し新設しました。
      6. 研究により得られた結果等の取扱いに係る規定の変更
        • ゲノム指針「第3の8 遺伝情報の開示」「第3の9 遺伝カウンセリング」の規定を改訂し、新設の項目として、研究者等は研究により得られる結果等の特性を踏まえ、研究対象者への説明方針を定め、インフォームド・コンセントを受ける際はその方針を説明し、理解を得なければならないことを規定した。
      7. 倫理審査委員会への報告に係る規定の新設
        • 研究計画書の軽微な変更のうち、委員会が事前に確認のみで良いと認めたものについては、倫理審査委員会への報告事項として取り扱うことができることとする規定を新設しました。
      8. その他
        1. 研究計画書の倫理審査委員会への付議等の手続の実施主体の変更
          • 研究計画書の倫理審査委員会への付議や重篤な有害事象が発生した場合の大臣への報告等、研究実施に伴う必要な手続の実施主体を、研究機関の長ではなく研究責任者としました。これに伴い、研究機関の長の責務等を変更しました。
        2. ゲノム指針の細則で規定していた事項
          • より効率的な運用を図るため、内容に応じ指針本文又はガイダンスに整理することとしました。
        3. 令和3年6月30日から施行します。
          • ただし、4)経過措置の②の規定は、公布の日から施行します。
        4. 経過措置
          • 生命・医学系指針の施行の際、現に廃止前の疫学研究に関する倫理指針、臨床研究に関する倫理指針、ゲノム指針又は医学系指針の規定により実施中の研究については、なお従前の例によることができることとしました。
          • 生命・医学系指針の施行前に、現に廃止前の疫学研究に関する倫理指針、臨床研究に関する倫理指針、ゲノム指針又は医学系指針の規定により実施中の研究について、研究者等及び研究機関の長又は倫理審査委員会の設置者が、それぞれ、生命・医学系指針の規定により研究を実施し又は倫理審査委員会を運営することを妨げないこととしました。

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経済産業省 令和2年度「新・ダイバーシティ経営企業100選」「100選プライム」選定企業を決定しました
▼新・ダイバーシティ経営企業100選ホームページ
  • 経済産業省では、多様な人材の能力を最大限引き出し、経営成果につなげている企業14社を、「新・ダイバーシティ経営企業100選」に選定しました。また、特に先駆的な取組を行っている企業2社を、「100選プライム」に選定しました。
  • 経済産業省では、平成24年度から、ダイバーシティ経営に取り組む企業の裾野の拡大を目的に、多様な人材の活躍を通じて経営成果を上げている企業を「新・ダイバーシティ経営企業100選」として選定しています。
  • また、過去の受賞企業を対象に、「ダイバーシティ2.0行動ガイドライン」に基づき、中長期的な視点からダイバーシティ経営を推進し、特に先駆的な取組を行っている企業を「100選プライム」として選定しています。
  • 本日、令和2年度「新・ダイバーシティ経営企業100選」企業として、72社の応募の中から14社を、「100選プライム」企業として、11社の応募の中から2社を選定しました。選定企業については、別紙を参照ください。
  • なお、「新・ダイバーシティ経営企業100選」の事業は今年度で最後となりますが、今後、ダイバーシティ経営をより一層、普及させていく取組につきまして、動画にて解説していますので、是非とも御覧ください。

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経済産業省 令和2年度「なでしこ銘柄」「準なでしこ」を選定しました-女性活躍推進に優れた上場企業64社を選定!!-
  • 本日、経済産業省は、東京証券取引所と共同で、女性活躍推進に優れた上場企業を「なでしこ銘柄」として、業種毎に45社選定しました。加えて、「なでしこ銘柄」に準ずる企業を「準なでしこ」として、業種を問わず19社選定しました。
  • なでしこ銘柄とは
    • 女性活躍推進に優れた上場企業を「中長期の企業価値向上」を重視する投資家にとって魅力ある銘柄として紹介することにより、そうした企業に対する投資家の関心を一層高め、各社の取組を加速化していくことを狙いとしています。
    • 東京証券取引所の全上場企業約3,600社から、企業価値向上を実現するためのダイバーシティ経営に必要とされる取組とその開示状況について評価を行い、業種毎にスコアが上位の企業を「なでしこ銘柄」として、45社選定しました。
    • 昨年度の女性取締役に加え、今年度は社内での育成・昇格を経て、執行の最高レベルの責任を担う「執行役員」層において複数の女性を登用する企業にも、より高いスコアを付与することとしました。
    • また、全体順位上位のスコアの企業のうち、「なでしこ銘柄」として選定されなかった企業を、「準なでしこ」として業種を問わず19社選定しました。
    • 「なでしこ銘柄」は、「女性活躍度調査」に回答いただいた企業について、スクリーニング要件、女性活躍推進に関するスコアリングの基準等に基づいて評価を実施。業種毎に設定した選定枠に該当する上位企業に加え、各業種における1位企業スコアの85%以上かつ全体順位上位15%程度以上のスコアを基準として選定。
    • 「準なでしこ」は、全体順位上位15%程度以上のスコアを基準として、「なでしこ銘柄」として選定されなかった企業から業種を問わず選定。
  • 女性の活躍を後押しする特徴的な取組について選出した「注目企業」や各社の女性活躍推進に係る取組と開示の状況を一覧化した「なでしこチャレンジ企業リスト」を含む「令和2年度なでしこ銘柄レポート」を経済産業省ホームページで公表します。
▼女性活躍に優れた上場企業を選定「なでしこ銘柄」

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国土交通省 公共工事の施工体制の点検結果を公表します!~令和2年度公共工事の施工体制の全国一斉点検の結果~
  • 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律に基づき、国土交通省直轄工事を対象に「公共工事の施工体制の全国一斉点検」を実施した結果、多くの工事において適切な施工体制が確保されていることが分かりましたのでお知らせします。
  • 背景
    • 公共工事を適切に実施するためには、点検等を通じて施工体制を適正なものとすることが重要であることから、国土交通省では平成14年度から毎年直轄工事を対象に「公共工事の施工体制の全国一斉点検(以下、「一斉点検」という。)」を実施しており、令和2年度も10月から12月初旬に稼働している601件の直轄工事を対象に点検を実施しました。
    • また、今年度の点検においては、令和元年度の建設業法改正に基づき、過年度までの点検項目を見直して点検を実施しました。
  • 点検結果の概要
    1. 点検(1)主任技術者・監理技術者に関する点検
      • 監理技術者・主任技術者の専任配置について、全て適切に配置されていることを確認しました。
    2. 点検(2)下請負人との契約や支払いに関する点検
      • 点検した全ての工事において、元請負人が建設業許可を受けている適切な下請負人と契約していることを確認しました。一方で、下請との工事契約で、契約内容が明確でない工事が見られましたが、一括下請負(丸投げ)が疑われる工事がないことを確認しました。
    3. 点検(3)施工体制台帳に関する点検
      • 点検した全ての工事において、施工体制台帳が作成されていることが確認できました。一方で、2件の工事において、施工体制台帳に添付すべき書類が不足する等の建設業法違反に該当する不備が見つかりましたが、指導を行い、既に改善していることを確認しています。
    4. 点検(4)下請負人への点検
      • 下請負人の主任技術者資格については、点検した全ての工事で適正な資格を保有した技術者が専任していました。元請負人と下請負人との資機材の取引については、点検した全ての工事において適正に取引されていることを確認しました。

~NEW~
国土交通省 令和2年の土砂災害発生件数は平均の約1.2倍
  • 令和2年の土砂災害の発生件数※1(確定値)※2は、過去平均の約1.2倍、令和2年7月豪雨は過去最大クラスの広域災害となりました。
    ※1 土石流等、地すべり、がけ崩れが発生した件数(火砕流は除く)。1月1日~12月31日発生分を集計。
    ※2 令和2年12月23日に令和2年の土砂災害発生件数(速報値)を公表しております。
  • 今年の土砂災害
    • 46都道府県で1,319件の土砂災害が発生し、平均発生件数(S57-R1)の約1.2倍
    • 地すべりの発生件数(117件)が、直近10年(H22-R1)の平均発生件数(109件)を上回った。
    • 令和2年7月豪雨は37府県で961件の土砂災害をもたらし、過去最大クラスの広域災害
    • 7月豪雨で最も被害が大きかった熊本県では集計開始以降最多の発生件数(227件)を記録。(これまでの最多件数は、平成28年の223件)

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