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危機管理トピックス

暗号資産に関するトラブルにご注意ください(金融庁・消費者庁・警察庁)/コロナ禍の雇用・女性支援プロジェクトチーム~もっとあなたを支えたい(厚労省)/サイバーセキュリティタスクフォース(総務省)

2021.04.12
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更新日:2021年4月12日 新着21記事

ビジネスとマーケティングのイメージ
【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針(案)について
  • 「コーポレートガバナンス・コードと投資家と企業の対話ガイドラインの改訂について」の公表について
  • 金融安定理事会による「『大きすぎて潰せない問題(TBTF)』に対する改革の影響評価」の公表について
  • (消費者庁・警察庁) 暗号資産に関するトラブルにご注意ください!
  • 金融審議会「最良執行のあり方等に関するタスクフォース」(第3回)議事次第
  • 有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項及び有価証券報告書レビューの実施について(令和3年度)
国民生活センター
  • 狙われる!?18歳・19歳「金(かね)」と「美(び)」の消費者トラブルに気をつけて!
  • 液体芳香剤の誤飲事故等に注意!-乳幼児がリードディフューザーの液を誤飲して入院する事故が発生-
  • アルコール消毒で合成樹脂製のドアノブが破損(相談解決のためのテストからNo.153)
厚生労働省
  • 外国人雇用対策の在り方に関する検討会(第2回)会議資料
  • 2021年世界保健デーのテーマは「より公平で健康的な世界を築くために」です。
  • コロナ禍の雇用・女性支援プロジェクトチーム~もっとあなたを支えたい~(第3回)会議資料
  • 第9回 「労働市場における雇用仲介の在り方に関する研究会」資料
総務省
  • サイバーセキュリティタスクフォース(第30回)
  • 委託業務受託者のサーバーに対する不正アクセス
国土交通省
  • 「MaaS関連データの連携に関するガイドライン」を改訂しました!~デジタル社会の変化に対応したMaaSを後押し~
  • デジタル化の急速な進展やニューノーマルに対応した都市政策のあり方検討会

【新着トピックス】

~NEW~
警察庁 令和2年における組織犯罪の情勢について
▼令和2年における 組織犯罪の情勢
  1. 暴力団情勢
    • 暴力団構成員及び準構成員等(以下、この項において「暴力団構成員等」という。)の数は、平成17年以降減少し、令和2年末現在で25,900人となっている。このうち、暴力団構成員の数は13,300人、準構成員等の数は12,700人となっている。また、主要団体等(六代目山口組、神戸山口組及び絆會並びに住吉会及び稲川会。以下同じ。)の暴力団構成員等の数は18,600人(全暴力団構成員等の71.8%)、うち暴力団構成員の数は9,900人(全暴力団構成員の74.4%)となっている。
    • 総会屋及び会社ゴロ等(会社ゴロ及び新聞ゴロをいう。以下同じ。)の数は、令和2年末現在、。970人と近年減少傾向にある。社会運動等標ぼうゴロ(社会運動標ぼうゴロ及び政治活動標ぼうゴロをいう。)の数は、令和2年末現在、5,060人と近年減少傾向にある。
    • 近年、暴力団構成員等(暴力団構成員及び準構成員その他の周辺者をいう。以下同じ。)の検挙人員は減少傾向にあり、令和2年においては、13,189人である。主な罪種別では、傷害が1,629人、窃盗が1,157人、詐欺が1,249人、恐喝が575人、覚醒剤取締法違反(麻薬特例法違反は含まない。以下同じ。)が3,510人で、いずれも前年に比べ減少している。暴力団構成員等の検挙人員のうち、構成員は2,561人、準構成員その他の周辺者は10,628人で前年に比べいずれも減少している。また、暴力団構成員等の検挙件数についても近年減少傾向にあり、令和2年においては、21,050件である。主な罪種別では、傷害が1,366件、窃盗が6,712件、詐欺が1,545件、恐喝が434件、覚醒剤取締法違反が5,088件で、いずれも前年に比べ減少している。
    • 近年、暴力団構成員等の検挙人員のうち、主要団体等の暴力団構成員等が占める割合は約8割で推移しており、令和2年においても、10,543人で79.9%を占めている。このうち、六代目山口組の暴力団構成員等の検挙人員は、4,843人と暴力団構成員等の検挙人員の約4割を占めている。
    • 六代目山口組は平成27年8月末の分裂後も引き続き最大の暴力団であり、その弱体化を図るため、六代目山口組を事実上支配している弘道会及びその傘下組織に対する集中した取締りを行っている。令和2年においては、六代目山口組直系組長等5人、弘道会直系組長等13人、弘道会直系組織幹部(弘道会直系組長等を除く。)19人を検挙している。
    • 事務所使用制限命令の発出:対立抗争の激化を受け、令和元年10月、兵庫県警察、岐阜県警察、愛知県警察及び大阪府警察が暴力団対策法に基づき、対立抗争に関係する暴力団事務所の使用制限の仮の命令を発出し、その後、同年11月、これら4府県の公安委員会が、事務所使用制限命令を発出した。同命令により、これら事務所を多数の指定暴力団員の集合の用、対立抗争のための謀議、指揮命令又は連絡の用等に供することが禁止されることとなった。
    • 特定抗争指定暴力団等の指定:その後も、自動小銃を使用した殺人事件が発生するなど、六代目山口組と神戸山口組に関連する凶器を使用した殺傷事件が続発した状況を受け、令和元年12月、岐阜県、愛知県、三重県、京都府、大阪府及び兵庫県の公安委員会が、暴力団対策法に基づき、3か月の期間及び警戒区域を定めて両団体を「特定抗争指定暴力団等」として指定することを決定し、令和2年1月、その効力が発生した。さらに、両団体に関連する殺傷事件が発生するなどしたことを受け、令和2年末現在、府県の公安委員会により、18市町を警戒区域とする指定が行われている。同指定によ警戒区域内での事務所の新設、対立組織の組員に対するつきまとい、対立組織の組員の居宅及び事務所付近のうろつき、多数での集合、両団体の事務所への立入り等の行為が禁止されることとなった。
    • 対立抗争状態にあると判断した平成28年3月7日から令和2年末までに、両団体の対立抗争に起因するとみられる事件は22都道府県で82件発生し、うち67件で259人の暴力団構成員等を検挙した。
    • 平成25年まで暴力団等によるとみられる事業者襲撃等事件が相次いで発生してきたが、平成26年以降大きく減少し、令和2年においては、1件発生している。令和2年においては、対立抗争に起因するとみられる事件は9件発生している。これらはいずれも六代目山口組と神戸山口組との対立抗争に関するものであり、白昼に拳銃を使用した殺人未遂事件が発生するなど、地域社会に対する大きな脅威となっている。
    • 暴力団等によるとみられる銃器発砲事件は、令和2年においては14件発生し、これらの事件による死者は3人で、負傷者は5人である。暴力団等によるとみられる銃器発砲事件は、依然として市民の身近な場所で発生しており、地域社会の大きな脅威となっている。暴力団からの拳銃押収丁数は、令和2年においては、54丁と前年に比べ減少している。依然として、暴力団が拳銃等を自宅や事務所以外の場所に保管するなど、巧妙に隠匿している実態がうかがえる。
    • 令和2年における暴力団構成員等に対する組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「組織的犯罪処罰法」という。)の加重処罰関係の規定の適用状況については、組織的な犯罪の加重処罰について規定した第3条違反の検挙事件数は4件であり、組織的な犯罪に係る犯人蔵匿等について規定した第7条違反の検挙事件数は1件であった。
    • 覚醒剤取締法違反、恐喝、賭博といった伝統的資金獲得犯罪は、依然として、暴力団等の有力な資金源になっていることがうかがえる。これらのうち、暴力団構成員等の伝統的資金獲得犯罪の検挙人員に占める覚醒剤取締法違反の割合は近年、約8割で推移しており、令和2年中においても同様である。また、暴力団構成員等の検挙状況を主要罪種別にみると、暴力団構成員
    • 等の総検挙人員に占める詐欺の検挙人員は、ここ数年で高止まりしており、詐欺による資金獲得活動が定着化している状況がうかがえる。その他、金融業、建設業、労働者派遣事業、風俗営業等に関連する資金獲得犯罪が行われており、依然として多種多様な資金獲得活動を行っていることがうかがえる。
    • 令和2年における暴力団構成員等に係る組織的犯罪処罰法のマネー・ローンダリング関係の規定の適用状況については、犯罪収益等隠匿について規定した第10条違反事件数が27件であり、犯罪収益等収受について規定した第11条違反事件数が30件である。また、第23条に規定する起訴前の没収保全命令の適用事件数は20件である。
    • 伝統的資金獲得犯罪の全体の検挙人員のうち暴力団構成員等が占める割合は、近年、40~50%台で推移している。この割合は、刑法犯・特別法犯の総検挙人員のうち暴力団構成員等の占める。割合が5~7%台で推移していることからすると、高いといえる。令和2年の伝統的資金獲得犯罪に係る暴力団構成員等の検挙人員は4,313人で、暴力団構成員等の総検挙人員の32.7%を占めており、依然として、伝統的資金獲得犯罪が有力な資金源となっていることがうかがえる。
    • 近年、暴力団が資金を獲得する手段の一つとして、詐欺、特に特殊詐欺を行っている実態がうかがえる。
    • 令和2年における暴力団構成員等、総会屋等及び社会運動等標ぼうゴロによる企業対象暴力及び行政対象暴力事犯の検挙件数は312件となっており、このうち、企業対象暴力事犯は215件、行政対象暴力事犯は97件となっている。また、総会屋等及び社会運動等標ぼうゴロの検挙人員は49人、検挙件数は23件である。依然として暴力団構成員等の反社会的勢力が、企業や行政に対して威力を示すなどして、不当な要求を行っている実態がうかがえる。
    • 準暴力団は、暴力団と同程度の明確な組織性は有しないものの、これに属する者が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行っている、暴力団に準ずる集団であるが、近年、繁華街・歓楽街等において暴行、傷害等を敢行するとともに、違法な資金獲得活動を行っている実態がみられるほか、暴力団との関係を深め、犯罪行為の態様を悪質化・巧妙化している状況がうかがえる。
    • 近年、中止命令の発出件数は減少傾向にあるところ、令和2年においては、1,134件と前年に比べ22件増加している。形態別では、資金獲得活動である暴力的要求行為(9条)に対するものが771件と全体の68.0%を、加入強要・脱退妨害(16条)に対するものが101件と全体の8.9%を、それぞれ占めている。暴力的要求行為(9条)に対する中止命令の発出件数を条項別にみると、不当贈与要求(2号)に対するものが382件、みかじめ料要求(4号)に対するものが94件、用心棒料等要求(5号)に対するものが219件となっている。また、加入強要・脱退妨害(16条)に対する中止命令の発出件数を条項別にみると、少年に対する加入強要・脱退妨害(1項)が17件、威迫による加入強要・脱退妨害(2項)が77件、密接交際者に対する加入強要・脱退妨害(3項)が7件となっている。団体別では、住吉会に対するものが284件と最も多く、全体の25.0%を占め、次いで六代目山口組242件、稲川会146件、神戸山口組60件の順となっている。
    • 近年、再発防止命令の発出件数は減少傾向にあったが、令和2年においては52件と前年に比べ20件増加している。形態別では、資金獲得活動である暴力的要求行為(9条)に対するものが35件と全体の67.3%を占めているほか、準暴力的要求行為の要求等(12条の3)に対するものが6件となっている。暴力的要求行為(9条)に対する再発防止命令の発出件数を条項別にみると、不当贈与要求(2号)に対するものが15件、みかじめ料要求(4号)に対するもの及び用心棒料等要求(5号)に対するものが9件、高利債権取立行為(6号)に対するものが2件となっている。団体別では、六代目山口組に対するものが12件と最も多く、全体の23.1%を占め、次いで稲川会11件、道仁会7件の順となっている。
    • 令和2年における請求妨害防止命令の発出件数は1件である。この命令は、旭琉會に対するものである。
    • 令和2年における縄張に係る禁止行為についての防止命令の発出件数は3件である。団体別では、六代目山口組に対するものが2件、次いで松葉会1件となっている。
    • 令和2年における暴力行為の賞揚等についての禁止命令の発出件数は7件である。団体別では工藤會に対するものが4件、次いで道仁会2件、六代目山口組1件の順となっている。
    • 令和2年における事務所使用制限命令の発出件数は9件である。団体別では、神戸山口組に対するものが4件、次いで、六代目山口組3件、工藤會2件の順となっている。
    • 令和2年における命令違反事件の検挙事件数は5件である。これらの事件は全て、再発防止命令違反であり、団体別では、稲川会によるものが3件、六代目山口組及び松葉会によるものがそれぞれ1件となっている。
    • 平成23年10月までに全ての都道府県において暴力団排除条例(以下「条例」という。)が施行されており、各都道府県は、条例の効果的な運用を行っている。なお、市町村における条例については、令和2年末までに46都道府県内の全市町村で制定されている。各都道府県においては、条例に基づいた勧告等を実施している。令和2年における実施件数は、勧告54件、指導6件、説明等の要求を拒んだことによる公表1件、中止命令10件、再発防止命令2件、検挙33件となっている。
    • 警察においては、都道府県暴力追放運動推進センター(以下「都道府県センター」という。)、弁護士会民事介入暴力対策委員会(以下「民暴委員会」という。)等と連携し、暴力団員等が行う違法・不当な行為の被害者等が提起する損害賠償請求等に対して必要な支援を行っている。警察においては、都道府県センター、民暴委員会等と連携し、住民運動に基づく暴力団事務所の明渡請求訴訟等について、必要な支援を行っている。
    • 都道府県センターでは、暴力団が関係する多種多様な事案についての相談を受理し、暴力団による被害の防止・回復等に向けた指導・助言を行っている。令和2年中の暴力団関係相談の受理件数は48,936件であり、このうち警察で21,017件、都道府県センターで27,919件を受理した。
    • 都道府県センターでは、都道府県公安委員会からの委託を受け、各事業所の不当要求防止責任者に対し、暴力団等からの不当要求による被害を防止するために必要な対応要領等の講習を実施している。令和元年度中に実施された不当要求防止責任者講習の開催回数は1,547回、同講習の受講人数は延べ73,887人であった。
    • 都道府県センターは、平成26年7月までに全て適格都道府県センターとして国家公安委員会の認定を受けており、指定暴力団等の事務所の使用により生活の平穏等が違法に害されていることを理由として当該事務所の使用及びこれに付随する行為の差止めを請求しようとする付近住民等から委託を受け、当該委託をした者のために自己の名をもって、当該事務所の使用及びこれに付随する行為の差止めの請求を行っている。
    • 令和2年中、警察及び都道府県センターが援助の措置等を行うことにより暴力団から離脱することができた暴力団員の数については、約510人となっている。
  2. 薬物・銃器情勢
    • 薬物事犯(覚醒剤事犯、大麻事犯、麻薬及び向精神薬事犯及びあへん事犯をいう。以下同じ。)の検挙人員は、近年横ばいで推移している中、14,079人と前年より僅かに増加した。このうち暴力団構成員等の検挙人員は4,387人で、薬物事犯の検挙人員の31.2%を占めており、検挙人員・薬物事犯に占める割合とも減少傾向にあるが、覚醒剤事犯では、検挙人員に占める割合が42.2%と高い。外国人の検挙人員は888人と前年より減少し、薬物事犯の検挙人員の6.3%を占めているが、MDMA等合成麻薬やコカインなどの麻薬及び向精神薬事犯では、検挙人員に占める割合が20.6%と高い。
    • 覚醒剤事犯の検挙人員は、薬物事犯の検挙人員の60.2%を占め、その割合は平成24年以降減少している一方で、大麻事犯の検挙人員は、薬物事犯の検挙人員の35.8%を占め、その割合は平成25年以降増加している。
    • 薬物種類別でみると、覚醒剤が437.2キログラムと大幅に減少し、5年ぶりに1,000キログラムを割り込んだ。乾燥大麻は265.1キログラム、大麻樹脂は3.4キログラムと減少したが、大麻草は9,893本と増加した。MDMAは90,218錠と大幅に増加しており、近年の増加傾向が顕著である。
    • 覚醒剤事犯
      • 覚醒剤事犯の検挙人員は、第三次覚醒剤乱用期のピークである平成9年以降、長期的にみて減少傾向にあり、令和2年も8,471人と減少した。平成30年以降連続して1万人を下回っている。また、覚醒剤事犯の検挙人員のうち、暴力団構成員等は3,577人と検挙人員の42.2%、外国人は480人と検挙人員の5.7%を占めている。
      • 令和2年の人口10万人当たりの検挙人員は、20歳未満が1.4人、20歳代が7.9人、30歳代が14.4人、40歳代が15.4人、50歳以上が5.1人であり、最も多い年齢層は40歳代、次いで30歳代となっている。
      • 覚醒剤事犯の再犯者率は、平成19年以降14年連続で増加しており、令和2年は69.4%となっている。
      • 違反態様別でみると、使用事犯が4,933人、所持事犯が2,717人、譲渡事犯が344人、譲受事犯が127人、密輸入事犯が114人となっており、使用事犯及び所持事犯で検挙人員の90.3%を占めている。
      • 覚醒剤事犯の検挙人員は、薬物事犯の検挙人員の60.2%を占めており、依然として我が国の薬物対策における最重要課題となっている。その主な特徴としては、暴力団構成員等が検挙人員の4割以上を占めていることや、30歳代及び40歳代の人口10万人当たりの検挙人員がそれぞれ他の年齢層に比べて多いことが挙げられる。また、再犯者率が他の薬物に比べて高いことから、覚醒剤がとりわけ強い依存性を有しており、一旦乱用が開始されてしまうと継続的な乱用に陥る傾向があることがうかがわれる。
    • 大麻事犯
      • 大麻事犯の検挙人員は、平成26年以降増加が続き、令和2年も過去最多となった前年を大幅に上回る5,034人となった。また、大麻事犯の検挙人員のうち、暴力団構成員等は751人と検挙人員の14.9%、外国人は292人と検挙人員の5.8%を占めている。
      • 人口10万人当たりの検挙人員でみると、近年、50歳以上においては、横ばいで推移している一方、その他の年齢層においては増加傾向にあり、特に若年層による増加が顕著である。令和2年の人口10万人当たりの検挙人員は、20歳未満が12.9人、20歳代が20.1人と前年より大幅に増加しており、30歳代が7.1人、40歳代が2.5人、50歳以上が0.3人と僅かに減少した。最も多い年齢層は20歳代、次いで20歳未満となっており、20歳未満の年齢別でみると、年齢が高いほど検挙人員が多い。学識別では、高校生及び大学生の増加が顕著である。
      • 大麻事犯の初犯者率は78.9%と、近年の横ばい傾向が継続している。
      • 違反態様別でみると、所持事犯が4,121人、譲渡事犯が274人、譲受事犯が206人、密輸入事犯が53人、栽培事犯が232人となっており、所持事犯が検挙人員の81.9%を占めている。また、栽培事犯の検挙人員は、前年より大幅に増加した。
      • 大麻事犯の検挙人員は、薬物事犯の検挙人員の35.8%を占めており、その割合は覚醒剤事犯に次いで多くなっている。その主な特徴としては、初犯者率が高いことのほか、特に20歳未満、20歳代の人口10万人当たりの検挙人員がそれぞれ大幅に増加しており、若年層による乱用傾向が増大していることが挙げられる。
    • 大麻乱用者の実態
      • 令和2年10月から同年11月までの間に大麻取締法違反(単純所持)で検挙された者のうち748人について、捜査の過程において明らかとなった大麻使用の経緯、動機、認識等は次のとおりである(これらと対比した平成29年(「H29」)の記載については、平成29年10月から同年11月までの間に大麻取締法違反(単純所持)で検挙された者のうち535人についてとりまとめたもの。)。
        1. 大麻を初めて使用した年齢
          • 対象者が初めて大麻を使用した年齢は、20歳代以下の若年層で86.8%を占め、最年少は12歳(2人)であった。初回使用年齢層の構成比を29年と比較すると、「20歳未満」が195人・36.4%から361人・48.3%に増加しており、若年層の中でも特に「20歳未満」での乱用拡大が懸念される。
        2. 大麻を初めて使用した経緯、動機
          • 大麻を初めて使用した経緯は、「誘われて」が最多であり、初めて使用した年齢が低いほど、誘われて使用する比率は高く、その傾向は29年と同様に「20歳未満」が最多である。
          • また、その時の動機については、「好奇心・興味本位」、「その場の雰囲気」の順に多く、初めて使用した年齢が低いほど「その場の雰囲気」の割合が高くなる傾向にあり、また、「20歳未満」の「その他」の回答の中には「仲間外れにされないため」などの回答があった。
          • 29年においても同様で、若年層ほど身近な環境に影響されやすい傾向にあることがうかがわれた。
        3. 大麻に対する危険(有害)性の認識
          • 大麻に対する危険(有害)性の認識は「なし(全くない・あまりない。以下同じ。)」が78.2%であり、覚醒剤の危険(有害)性と比較して大麻の危険(有害)性の認識は低い。29年と比較すると、大麻の「なし」の割合だけが13.9ポイント増加しており、大麻の危険(有害)性の認識だけが一層低くなっていることが確認できた。
          • 犯行時の年齢層別での大麻に対する危険(有害)性の認識は、どの年齢層でも大差はないが、29年と比較すると、特に「20歳未満」において「なし」の割合が30.5ポイントと大きく増加している
        4. 大麻に対する危険(有害)性を軽視する情報源
          • 年齢層を問わず、大麻に対する危険(有害)性を軽視する情報を「友人・知人」や「インターネット」から入手している状況が確認できた。
          • 情報源について、割合が高い「友人・知人」と「インターネット」を比較すると、年齢層が低いほど、より身近な「友人・知人」の割合が大きい傾向にある。令和2年においては、その傾向が特に少年で顕著であり、ここからも、若年になるほど、より身近な環境に影響されやすい傾向がうかがわれる。
          • 特に少年は、心身が未発達であり、社会的・経済的な基盤も形成途上であることを踏まえると、周囲の環境を健全化させることが急務である。大麻を容易に入手できないように組織的な栽培・密売を始めとする違法な行為を厳正に取締ることに加えて、SNS等のインターネット上での違法情報・有害情報の排除や、大麻の危険(有害)性を正しく認識して周囲からの誘いを断ることができるような広報啓発活動を含めた更なる取組が必要である。
    • 薬物密輸入事犯の検挙件数は218件と前年より大幅に減少した。薬物事犯別でみると、覚醒剤事犯は73件と大幅に減少し、大麻事犯は66件、麻薬及び向精神薬事犯は79件とそれぞれ減少した。
    • 密輸入事犯における覚醒剤の押収量は418.2キログラムと前年より減少したものの、引き続き高い水準にある。乾燥大麻は19.9キログラムと大幅に減少し、大麻樹脂も1.6キログラムと減少した。
    • 覚醒剤密輸入事犯の検挙件数は73件と前年より大幅に減少した。検挙人員については、暴力団構成員等は20人と減少し、外国人は63人と大幅に減少した。また、国籍・地域別でみると、日本が51人と最も多く、次いでベトナムが16人、タイ及び香港が9人となっている。態様別でみると、航空機を利用した覚醒剤の携帯密輸入事犯の検挙件数は25件と前年より大幅に減少した。このほか、国際宅配便が31件、郵便物が11件、事業用貨物が4件となっている。仕出国・地域別でみると、マレーシア及びアメリカが8件(構成比率11.0%)と最も多く、次いでタイが7件(同9.6%)、以下、ベトナムが6件(同8.2%)、台湾、イギリス及びメキシコが5件(同6.8%)となっている。
    • 覚醒剤密輸入事犯の検挙件数は73件と大幅な減少となる中、密輸入事犯全体の検挙件数に占める国際宅配便利用の割合(構成比率42.5%)が高くなった。また、押収量についても、海上貨物の利用による大量密輸入事犯の検挙により、依然として高水準にある。こうした状況の背景には、我が国に根強い薬物需要が存在していることのほか、国際的なネットワークを有する薬物犯罪組織が、アジア・太平洋地域において覚醒剤の取引を活発化させていることがあるものと推認される。
    • 大麻密輸入事犯の検挙件数は66件と前年より減少した。態様別でみると、主なものとしては、郵便物が32件、国際宅配便が24件、航空機利用の携帯密輸が9件、その他が1件となっており、郵便物や国際宅配便を利用した密輸の占める割合は高い。仕出国・地域別でみると、アメリカが46件と最も多く、次いでカナダが6件、イギリス及びフランスが3件となっている。
    • 薬物の密売関連事犯(営利犯のうち所持、譲渡及び譲受をいう。以下同じ。)の検挙人員は649人であり、このうち、暴力団構成員等は314人(構成比率48.4%)、外国人は54人(同8.3%)となっている。覚醒剤の密売関連事犯の検挙人員は389人であり、このうち暴力団構成員等は258人(同66.3%)と、依然として覚醒剤の密売関連事犯に暴力団が深く関与している状況が続いている。また、外国人は32人(同8.2%)となっている。大麻の密売関連事犯の検挙人員は228人であり、このうち暴力団構成員等が53人(同23.2%)と、その割合は覚醒剤事犯に比べ低いものの、大麻の密売関連事犯にも暴力団の関与が認められる。また、外国人は19人(同8.3%)となっている。
    • 暴力団構成員等による刑法犯及び特別法犯検挙人員は13,189人であり、このうち、薬物事犯検挙人員は4,387人(構成比率33.3%)と最も多くなっており、暴力団による不法行為に占める薬物事犯の割合は高い。
      • 覚醒剤事犯:暴力団構成員等の検挙人員を組織別にみると、六代目山口組、神戸山口組、絆會(任侠山口組)、住吉会及び稲川会の構成員等は2,803人と、これらで覚醒剤事犯に係る暴力団構成員等の検挙人員全体の78.4%を占めている。
      • 大麻事犯:暴力団構成員等の検挙人員を組織別にみると、六代目山口組、神戸山口組、絆會(任侠山口組)、住吉会及び稲川会の構成員等は557人と、これらで大麻事犯に係る暴力団構成員等の検挙人員全体の74.2%を占めている。
    • 暴力団構成員等による覚醒剤事犯の検挙人員を主な違反態様別にみると、使用事犯が2,109人、所持事犯が1,142人、譲渡事犯が199人、譲受事犯が38人、密輸入事犯が20人となっている。また、暴力団構成員等による覚醒剤事犯の営利犯の検挙人員は278人と全営利犯検挙人員(490人)の56.7%を占めており、覚醒剤の密輸・密売に暴力団が深く関与している状況が続いている。暴力団構成員等による大麻事犯の営利犯の検挙人員は83人と全営利犯検挙人員(342人)の24.3%を占めており、大麻の密売等にも暴力団が関与している状況が続いている。
    • 外国人による覚醒剤事犯の営利犯の検挙人員は86人と覚醒剤事犯の全営利犯検挙人員(490人)の17.6%を占めている。また、このうち密輸入事犯は54人(構成比率62.8%)となっている。国籍・地域別でみると、ベトナムが21人と最も多く、このうち密輸入事犯が15人、密売関連事犯が6人となっている。次いでブラジルが10人で、このうち密輸入事犯が4人、密売関連事犯が6人、韓国・朝鮮も10人で、このうち密輸入事犯が2人、密売関連事犯が8人となっている。外国人による大麻事犯の営利犯検挙人員は28人と大麻事犯の全営利犯検挙人員(342人)の8.2%を占めている。国籍・地域別でみると、ベトナムが10人と最も多く、このうち密輸入事犯が1人、密売関連事犯が7人、栽培事犯が2人となっており、次いでブラジルが5人で、このうち密輸入事犯が2人、密売関連事犯が3人となっている。
    • 外国人による薬物事犯を国籍・地域別でみると、ブラジルが169人と最も多く、次いで韓国・朝鮮が156人、ベトナムが148人、以下、フィリピンが104人、アメリカが55人、中国が30人、スリランカが29人、ペルーが27人、タイが26人となっている。覚醒剤事犯では、韓国・朝鮮が123人と最も多く、次いでブラジルが94人、以下、フィリピンが75人、ベトナムが64人、タイが21人、中国が17人、イランが15人となっている。大麻事犯では、ブラジルが70人と最も多く、次いでベトナム及びアメリカが38人、韓国・朝鮮が30人となっている。
    • 危険ドラッグ事犯の検挙状況は138事件、150人と前年に引き続き減少した。適用法令別でみると、指定薬物に係る医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「医薬品医療機器法」という。)違反は前年に引き続き減少したが、麻薬及び向精神薬取締法違反は横ばいである。また、危険ドラッグ事犯のうち、暴力団構成員等による事犯は5事件、8人、外国人による事犯は30事件、33人、少年による事犯は2事件、2人となっている。
    • 危険ドラッグ事犯のうち、危険ドラッグ乱用者の検挙人員は140人(構成比率93.3%)となっている。年齢層別の構成比率を前年と比較すると、20歳代及び50歳以上の占める割合が増加しており、30歳代及び40歳代の占める割合は減少している。薬物経験別でみると、薬物犯罪の初犯者が97人(構成比率69.3%)、薬物犯罪の再犯者が43人(同30.7%)となっている。入手先別でみると、インターネットを利用して危険ドラッグを入手した者の割合が50.7%と最も高い。危険ドラッグの使用が原因と疑われる死者数は0人と減少した。危険ドラッグ密輸入事犯の検挙状況は43事件、47人と増加した。仕出国・地域別でみると、中国が17事件と最も多く、次いでフランスが6事件となっている。
  3. 銃器情勢
    • 銃器発砲事件の発生件数は17件であり、このうち暴力団等によるとみられるものは14件と前年から増加し、六代目山口組と神戸山口組との対立抗争に起因するとみられるものが5件発生した。銃器発砲事件による死傷者数は9人であり、このうち暴力団構成員等は6人となっている。死傷者数のうち、死者数は4人、負傷者数は5人である。
    • 拳銃の押収丁数は、暴力団からの押収を含めて、長期的には減少傾向にあり、令和2年は355丁と前年から減少した。このうち、真正拳銃は312丁(うち密造拳銃9丁)、改造拳銃は43丁となっている。暴力団から押収した拳銃は54丁であり、組織別でみると、六代目山口組が16丁(構成比率29.6%)、神戸山口組が13丁(同24.1%)、稲川会が2丁(同3.7%)、住吉会が5丁(同9.3%)、その他が18丁(同33.3%)となっている。これまでに押収された拳銃の隠匿場所をみると、土中や貸倉庫に隠匿するものなどがみられ、隠匿の巧妙化・分散化がみられる。暴力団以外から押収した拳銃301丁のうち、真正拳銃は261丁(同86.7%)となっている。
  4. 来日外国人犯罪情勢
    • 来日外国人犯罪の総検挙(刑法犯及び特別法犯の検挙をいう。以下同じ)状況をみると、近年、総検挙件数・人員ともほぼ横ばい状態で推移してきたが、令和2年は、前年に比べ、検挙件数・人員とも増加している。刑法犯検挙(日本人等の検挙を含む)に占める来日外国人犯罪の割合は、検挙件数が3.4%、検挙人員が3.1%となっている。
    • 総検挙状況を国籍等別にみると、総検挙、刑法犯、特別法犯のいずれもベトナム及び中国の2か国が高い割合を占めている。
    • 刑法犯検挙状況を包括罪種別にみると、凶悪犯及び風俗犯の検挙件数・人員が増加している。刑法犯の検挙全体に占める窃盗犯の割合は、検挙件数が61.1%、検挙人員が44.4%と依然として高い状態が続いており、特に、検挙件数は前年より大きく増加している。
    • 特別法犯検挙状況を違反法令別にみると、入管法違反及び銃刀法違反の検挙件数・人員が増加している。特に、特別法犯の検挙全体に占める入管法違反の割合は、検挙件数が78.2%、検挙人員が74.9%と、最も高い状態が続いている。
    • 在留資格別検挙状況について、総検挙人員を正規滞在・不法滞在別にみると、令和2年中は、正規滞在の割合が全体の61.0%、不法滞在の割合が39.0%となっている。平成27年からは不法滞在の割合が上昇傾向にある。また、総検挙人員の在留資格別の内訳(構成比率)は「技能実習」24.6%「留学」17.7%、「短期滞在」15.5%、「定住者」10.8%、「日本人の配偶者等」7.3%となっている。なお、令和元年4月に創設された在留資格「特定技能」を有する者の検挙は6人であった。
    • 来日ベトナム人犯罪の傾向
      • 刑法犯の検挙人員が概ね横ばいであるのに対して、特別法犯の検挙人員は5年間で約3.8倍に増加しており、平成30年以降は刑法犯を上回る状況が続いている。入管法違反(特に不法残留)の急激な増加(5年間で約4.1倍)がその主な要因である。
      • 刑法犯の包括罪種別では、窃盗犯が最も多い(特に万引きが多い)状態が続くものの、その割合は7割強から6割弱と徐々に下がってきている。他の罪種では、粗暴犯の増加が顕著(5年間で約3.2倍)である。
      • 特別法犯の違反法令別では、入管法違反が大半を占める傾向に大きな変化はない一方、薬物事犯が増加傾向にあり、特に令和2年は前年比+131%と大幅に増加している。
      • 在留資格別では、平成28年時点では留学が5割を超えていたところ、その比率は徐々に下がり、それに代わって技能実習の増加が顕著(5年間で約4.1倍)となっている。
      • 正規滞在、不法滞在別では、以前は正規滞在が7割を占めていたが、令和元年以降、不法滞在が正規滞在を上回り、その差は拡大傾向にある。不法滞在の中で刑法犯の占める割合は5年前の3割弱から徐々に低下しているが、人員数としては増加してきている。
    • 来日中国人犯罪の傾向
      • 刑法犯の検挙人員はやや減少傾向にある一方、特別法犯の検挙人員は多少の増減はあるものの、概ね横ばいの傾向にある。人員数については、刑法犯と特別法犯との間に大きな差はなく、ほぼ半々という状況が続いている。
      • 刑法犯の包括罪種別では、ここ5年間、窃盗犯がおおむね5割、粗暴犯がおおむね2割、知能犯が1割強という状況が続いている。
      • 特別法犯の違反法令別では、入管法違反(特に不法残留)が多く、全体の7割近くを占める状況が続いている。他の法令では、ここ2年間、風適法違反が減少傾向にある。
      • 在留資格別では、技能実習、留学において減少傾向が見られる一方で、短期滞在が増加する傾向にあったが、令和2年においては、コロナ禍における中国人旅行客の減少もあってか、短期滞在においても3割弱減少した。
      • 正規滞在、不法滞在別では、ここ5年間、正規滞在が7割、不法滞在が3割という傾向が続いている。不法滞在の中で刑法犯が占める割合はおおむね1割前後で推移しており、人員数としても100人に満たない。
    • 来日ベトナム人犯罪と来日中国人犯罪の傾向比較
      • 刑法犯検挙人員で比較した場合、ベトナム、中国とも窃盗犯が多い点では共通だが、中国における粗暴犯、知能犯の占める割合がベトナムに比して高い傾向にある。
      • 特別法犯検挙人員で比較した場合、双方とも入管法違反が多い点では共通だが、中国では1割程度を占める風適法違反がベトナムにおいてはほとんど見られないという違いがある。
      • 在留資格別で比較した場合、双方とも技能実習が多い点では共通だが、ベトナムにおいて留学が占める割合が中国に比して高く、一方、中国において短期滞在や日本人の配偶者等の占める割合がベトナムに比して高いという特徴がある。
      • 正規滞在・不法滞在別で比較した場合、5年前はベトナム、中国とも正規滞在7割、不法滞在3割という比率であったが、中国においては両者の割合に大きな変化は生じていない一方で、ベトナムにおいて不法滞在の占める割合が増加しているほか、不法滞在の中の刑法犯の人員数も多い。
    • 刑法犯検挙状況を包括罪種別にみると、近年、検挙件数・人員とも、ほぼ横ばい状態で推移しているところ、令和2年は、前年に比べ、検挙件数では、凶悪犯、窃盗犯、風俗犯が増加している一方、粗暴犯、知能犯が減少している。検挙人員では、凶悪犯、風俗犯が増加した一方、粗暴犯、窃盗犯及び知能犯が減少している
    • 令和2年中に検挙した来日外国人による財産犯の被害総額は約19億円に上り、このうち約14億円(構成比率71.8%)が窃盗犯被害、約5億円(同26.7%)が知能犯被害によるものである。窃盗犯の手口別では、侵入窃盗被害が約8億円(同42.3%乗り物盗被害が約7,000万円(同3.7%)となっている。また、知能犯の罪種別では、詐欺被害が約4億9,000万円(同26.1%)となっている。
    • 国籍等別の刑法犯検挙状況を包括罪種等別にみると、凶悪犯はベトナム及びブラジルが検挙件数・人員とも増加し、粗暴犯及び知能犯は中国が引き続き多くを占めているが、検挙件数・人員とも減少している。また、窃盗犯は全体的に侵入窃盗が増加しており、特に、中国及び韓国の侵入窃盗の検挙件数が大きく増加している。
    • 罪種等別の刑法犯検挙件数を国籍等別にみると、強盗はベトナム及びブラジル、窃盗はベトナム及び中国が高い割合を占めている。窃盗を手口別にみると侵入窃盗は中国及び韓国、自動車盗はスリランカ、万引きはベトナムが高い割合を占めている。また、知能犯を罪種別にみると、詐欺、支払用カード偽造とも中国が高い割合を占めている。
    • 刑法犯検挙人員を正規滞在・不法滞在別にみると、過去10年間、正規滞在の割合が9割以上を占め、ほぼ横ばい状態で推移している。包括罪種等別の構成比率を正規滞在・不法滞在別にみると、いずれの包括罪種等でも正規滞在が不法滞在を大きく上回っているが、強盗や侵入窃盗において不法滞在の占める割合が比較的高くなっている。
    • 刑法犯検挙件数に占める共犯事件の割合を日本人・来日外国人別にみると日本人は12.5%来日外国人は35.5%と日本人の約2.8倍となっている。また、来日外国人による共犯事件を形態別にみると、2人組は13.8%、3人組は10.0%、4人組以上は6.4%となっている。罪種等別にみると、窃盗犯のうち、住宅対象の侵入窃盗では、日本人は10.3%、来日外国人は56.7%と日本人の約5.5倍、万引きでは、日本人は3.1%、来日外国人は40.1%と日本人の約12.9倍となっている。
    • 特別法犯検挙状況は、近年、検挙件数・人員とも増加傾向が継続しており、これを違反法令別にみると、要因として、入管法違反の増加が挙げられる。国籍等別の特別法犯検挙状況を違反法令別にみると、検挙件数・人員とも、ベトナムによる入管法違反が大きく増加している一方、中国による入管法違反は減少している。特別法犯検挙人員を正規滞在・不法滞在別にみると、平成29年に不法滞在の割合が正規滞在の割合を上回って以降、不法滞在の割合が正規滞在の割合を上回っている。違反法令別の構成比率を正規滞在・不法滞在別にみると、入管法違反を除き、不法滞在より正規滞在の割合が高くなっている。入管法違反の検挙状況を違反態様別にみると、過去10年間、不法残留の検挙件数・人員が大きな割合を占めており、令和2年も、前年と比べ、検挙件数・人員とも増加している。国籍等別では ベトナム2,332人 構成比率50.8% 中国846人(同18.4%)、タイ368人(同8.0%)、フィリピン292人(同6.4%)、インドネシア171人(同3.7%)等となっている。入管法第65条の規定に基づき入国警備官に引き渡した人員は699人で、65条措置人員と検挙人員を合わせた人員は5,286人となっている。
    • 雇用関係事犯の検挙人員のうち、暴力団員は2人となっている。
    • 薬物事犯の検挙人員は525人で、事犯別にみると、覚醒剤事犯は279人、大麻事犯は160人等となっている。薬物事犯の検挙人員を国籍等別にみると、ベトナム141人、ブラジル101人、フィリピン66人、スリランカ29人、アメリカ23人等となっている。
    • 来日ベトナム人による犯罪の検挙は、来日外国人全体の総検挙件数の38.4%、総検挙人員の35.9%(刑法犯については検挙件数の30.8%、検挙人員の26.5%、特別法犯については、検挙件数の47.0%、検挙人員の44.5%)を占め、総検挙件数・人員ともに最も多くなっている。来日外国人全体の刑法犯検挙件数に占めるベトナムの割合を包括罪種等別にみると、万引きが60.5%、殺人が52.0%等となっている。検挙人員では、殺人が45.8%、万引きが38.5%等となっている。
    • ベトナム人の在留者は、近年「技能実習」や「留学」の在留資格で入国する者が増加しており、一部の素行不良者がSNS等を介して犯罪組織を形成するなどしている。ベトナム人による犯罪は、刑法犯では窃盗犯が多数を占める状況が一貫して続いており、手口別では万引きの割合が高い。ここのところ、ベトナム人同士のけんか等に起因した殺人や賭博における金の貸し借りに起因したベトナム人グループ内の略取誘拐、逮捕監禁等の事案の発生もみられる。また、特別法犯では入管法違反が多数を占める状況が続いており「技能実習」等の在留資格を有する者が、在留期間経過後、就労目的で不法に残留し、又は偽造在留カードを入手して正規滞在者を装うなどの事案が多くみられる。
    • 来日中国人による犯罪の検挙は、来日外国人全体の総検挙件数の24.6%、総検挙人員の23.0%(刑法犯については検挙件数の28.0%、検挙人員の26.1%、特別法犯については検挙件数の20.7%、検挙人員の20.0%)を占め、総検挙件数・人員ともにベトナムに次いで多くなっている。来日外国人全体の刑法犯検挙件数に占める中国の割合を包括罪種等別にみると、払出盗が%、支払用カード偽造が77.4%、詐欺が56.5%等となっている。検挙人員では、払出盗が63.6%、詐欺が50.6%、支払用カード偽造が30.8%等となっている。
    • 中国人犯罪組織は、地縁、血縁等を利用したり、稼働先の同僚等を誘い込むなどしてグループを形成する場合が多い。また、中国残留邦人の子弟らを中心に構成されるチャイニーズドラゴン等の組織も存在する。中国から「技能実習「留学」等の在留資格で入国した後、実習先から失踪する者や留学先の学校等を中途退学する者もおり、その後、不法就労や不法滞在を続けるうちに、その他の犯罪に加担する者も見られる。近年は、通信手段として匿名性の高いスマートフォンアプリが使われており、精巧な偽造クレジットカード等を利用して大量の商品をだまし取る犯罪や、旅券・在留カード等偽造などの犯罪インフラ事犯の検挙が比較的多くなっている。
  5. 犯罪インフラ
    • 犯罪インフラとは、犯罪を助長し、又は容易にする基盤のことをいう。外国人に係る犯罪インフラ事犯には不法就労助長旅券・在留カード等偽造偽装結婚地下銀行偽装認知のほか携帯電話不正取得、偽造在留カード所持等が挙げられる。不法就労助長及び偽装結婚には、相当数の日本人や永住者等の定着居住者が深く関わっており、不法滞在者等を利用して利益を得る構図がみられる。
    • 犯罪インフラ事犯の検挙状況をみると、不法就労助長は、昨今の人手不足を背景とし、就労資格のない外国人を雇い入れるなどの事例が引き続きみられるが、検挙件数・人員は減少傾向で推移している。旅券・在留カード等偽造は就労可能な在留資格を偽装するために利用されており、平成28年以降、増加傾向で推移し、検挙件数では最も多くなった。偽装結婚は、日本国内における継続的な就労等を目的に「日本人の配偶者等」等の在留資格を取得するための不正な手段であるが、近年、減少傾向にあるところ、ブローカー等への報酬等として多額の費用がかかることなどが一因になっているとみられる。地下銀行は、近年、検挙件数は10件前後で、偽装認知は3件前後で推移している。

~NEW~
内閣官房 地方創生テレワーク推進に向けた検討会議のとりまとめ提言手交式が行われました。
▼地方創生テレワーク推進に向けた検討会議 とりまとめ提言
  • 新型コロナウイルス感染症の拡大により、東京都23区で4割以上の方々がテレワークを経験し、地方移住や、兼業・副業、ワークライフバランス充実への関心の高まりが見られるなど、テレワークに関する企業の取組が進展するとともに、国民の意識・行動も変容。
  • この機会を逃すことなく、新たな働き方として、東京圏に立地する企業などに勤めたまま地方に移住して地方で仕事をする「地方創生テレワーク」(「転職なき移住」)を推進し、「地方への新しいひとの流れ」につなげ、「地方分散型の活力ある地域社会」の実現、ひいては「東京圏への一極集中是正」を図るための方策について、昨年12月以降有識者からなる検討会議において議論を行った。
  • 以下のテレワーク推進に向けた「基本的な考え方」や「施策提案」を踏まえ、政府として、地方創生テレワークを推進することを提言する。
  • 新型コロナウイルス感染症拡大を受けた国民の意識・行動の変容
    • 調査結果によれば、テレワークは東京圏などを中心として浸透する傾向。
    • 働く場所や時間の自由度を重視する人が増加
      • 働き手の地方都市での就労についての関心は大きい
      • 東京圏からの転入超過人数が増加している地方自治体も多く存在
      • 地方へ転職を検討する際の障壁:収入が下がる・キャリアを活かせる仕事がないなど
      • 地方自治体の先進的な取組
        • 会津若松市:ICT関連企業に働きやすいオフィス環境(AiCT)を整備。スマートシティの実証事業の参画などを狙うIT関連企業が進出。
        • 白浜町:サテライトオフィスを整備し企業を誘致。内勤営業(インサイドセールス)などをテレワークで行いながら、ワーケーションを実践。
        • 北九州市 九州圏・山口の国立高専12校とのネットワークを構築。理工系人材の獲得を求めて、22社のIT関連企業がサテライトオフィスなどを設置。
      • 東京圏に立地する企業の先進的な取組
        • リコー:全国どこでも住むことが可能な制度を実施しており、実家へ帰る例や、茨城や栃木へ引っ越す例はすでに見られているところ。
        • パソナ:働く人々の「真に豊かな生き方・働き方」の実現と、グループ全体BCP対策の一環として、主に東京の本部機能業務を兵庫県淡路島の拠点に分散し、2020年9月から段階的に移転を開始。
        • タイガーモブ:同社の代表は北海道へ移住しワークライフバランスが向上。フルリモート勤務へ移行し2020年7月には本社オフィスを撤去。
  • 地方創生テレワーク推進に向けた基本的な考え方
    • 地方創生テレワークは、自治体・企業・働き手のいずれにとってもメリットの大きい「三方良し」の取組。
    • 働き方改革を通じ「個人の生産性や豊かさの向上」や、「地域の活性化」のみならず、社員の多様な経験(兼業・副業、地域交流など)による、集合知の拡大として「企業の生産性や付加価値の向上」が期待されるものであることを「社会全体で共有」することが重要。
    • 「きっかけ作り」から、受け入れ後の「アフターケア」に至る様々な状況・段階に応じ、経済界や自治体、関係省庁が連携し、一体となり政策を進めることが必要。
    • また、このような「国民的な運動」を進めていくためには、各種制度の見直し・明確化により、取組を実現しやすい環境整備が必須。
    • 三者の状況に応じた取組のポイントは以下のとおり。
      1. 自治体のポイント
        • 魅力的な地域づくり
          • 「企業及び個人のニーズ」や「自らの強み」を認識し、「首長の強いコミットメント」の下、産官学等の各ステークホルダーと連携し、企業や働き手にとって「魅力的な地域づくり」を進めることの重要性
          • 進出企業と地域企業・地域住民の「交流」による「オープンイノベーション」の創出など、「誘致から定着までを視野」に入れた一貫性を持った戦略策定
        • 自治体の取組支援
          • 「一元的な情報発信プラットフォーム整備、各種相談対応」等の実施(「選ばれる地域」に向けた自治体の「魅力的な地域づくり」を支援)
          • サテライトオフィスの整備等について、既存の施策(地方創生テレワーク交付金等)のより柔軟な活用に向けた検討
      2. 企業のポイント
        • 企業の取組促進
          • 企業に「我が事としての行動」を促すため、メリットや課題解決につながる各種情報を提供(生産性の向上、災害時の事業継続、人材確保及び事業拡張・新規ビジネスに取り組む環境創出等)
          • 地方創生テレワークの実現においては「経営者の強いコミットメント」の下、「経営理念や地域貢献等の価値観が共有」されることが重要
          • 「働き方改革」にも資するものであり、取組を進める企業を「見える化」することで働き手が企業を選ぶことのできる環境を整備
          • 東京圏にいるのと変わらない仕事を実施するなど良質な地方創生テレワークを進める企業を表彰し、事例の横展開により、裾野を拡大し、取組を高度化
        • 環境整備
          • 地方創生テレワークには様々なステージがあり、規模や業種によっても状況は様々であることを踏まえた、きめ細かなサポートを実施・ガイドラインの整備など、「国の制度の明確化等」により、企業が制度整備を行う上での情報入手を円滑化・効率化するため、一元的な情報提供を実施
      3. 働き手のポイント
        • 情報提供
          • 地方への移住・定着の推進に向け、ワーケーション、二地域居住及び定住等、様々なステージに応じた地方創生テレワークのモデルになるような体験談やメリットを分かりやすく示すことにより、働き手が実際の行動に踏み出す機運を醸成
          • 移住後の住・教育・医療環境に対する不安などが課題であることから、「移住後の生活イメージにつながる情報提供」を分かりやすい形で実施
          • 地域情報の「分かりやすい形での情報提供」など、移住希望者への支援の実施
          • 柔軟で豊かな働き方を実現し、「働き方改革」にも資する取組であり、働き手のウェルビーイング向上にもつながる地方創生テレワークを進める企業を「見える化」するなど、働き手に対する情報提供を実施
        • 環境整備
          • 家族を含めた移住に際した教育などの課題解決に向け、必要に応じ「関連制度の整備・明確化」を推進
  • 地方創生テレワーク推進に向けた取組の論点
    1. 自治体
      • メリット例・経済活性化や人口増の実現(地域の雇用、兼業・副業を通じた地域企業へのノウハウの移転)
      • 課題:入口働き手と企業の誘致のノウハウがない、イメージがわかない
        • 対応策・モデル事例の紹介@ワンストップポータル(ワーケーション、大学や企業との連携等、地域の強みに応じて)
      • 課題:販路開拓顧客(働き手と企業)への情報提供の方法が分からない
        • 対応策・情報発信の場の提供@ワンストップポータル(地域毎のサテライトオフィスの整備状況、地域の強み/魅力)・個別相談対応@地方創生テレワーク推進相談窓口(仮称)(企業とのマッチング支援)
      • 課題:アフターケア受け入れ後をにらんだ体制整備等の方法が分からない
        • 対応策・モデル事例の紹介@ワンストップポータル・地域企業との連携・交流促進(兼業・副業支援等)@国・教育、医療、住環境整備の支援(制度整備、明確化)@国・総合的な地域の魅力向上(選ばれる地域に:今後の課題)
      • 課題:商品開発具体的にどう取り組んだらよいのか分からない
        • 対応策・マニュアル/留意事項の提供@ワンストップポータル(地域の強みの活用、企業側のニーズ、国の支援措置)・個別相談対応@地方創生テレワーク推進相談窓口(仮称)(個別の地域の強みや事情に応じた具体的な戦略相談)
    2. 東京圏に立地する企業
      • メリット例・人材の獲得、BCPの確保、地方の市場、離職防止等・地域の主体との連携による企業価値の向上(オープンイノベーション)
      • 課題:入口地方創生テレワークの必要性やメリットが分からない
        • 対応策・企業として取り組むメリットの紹介@ワンストップポータル(人材確保、BCP及びオープンイノベーション、SDGs)・経済団体等と連携した各企業への働きかけ@国・地方創生テレワークの理解促進@表彰・自己宣言制度(トップの理解促進、民間人材会社と連携した採用の円滑化)
      • 課題:制度整備社内外の労務環境等の制度の未整備(再掲)
        • 対応策・マニュアル/ガイドラインの提供@ワンストップポータル(労働法制、人事制度、給与制度、通信環境、情報セキュリティ)・必要な制度の見直し・明確化@国(労務、税務)
      • 課題:マネジメント手法コミュニケーション及びマネジメントに不安
        • 対応策・有効なツールや手法の紹介@ワンストップポータル(コミュニケーションツール、マネジメントのポイント紹介)・コミュニケーションツールの導入支援@国
      • 課題:具体の行動興味はあるが、やり方や支援策及び移住滞在先が分からない
        • 対応策・一元的な情報提供@ワンストップポータル(国、自治体による移住関連情報/施策、既存サイトとの連携)・移住支援策、相談窓口を通じた支援@国、自治体(移住支援金、関係機関との連携等)
    3. 働き手
      • メリット例・柔軟かつ豊かな働き方を実現(子育て、介護、地域貢献、余暇、通勤、ワークライフバランス等)
      • 課題:入口(親の介護等は別として、)行動に移す程の興味関心が湧かない
        • 対応策・移住関連情報の紹介@ワンストップポータル(モデル事例の紹介、既存サイトとの連携)
      • 課題:具体の行動移転先候補や支援施策が分からない
        • 対応策・一元的な提供@ワンストップポータル(各サテライトオフィス情報、地域情報、国/自治体の支援施策)・個別相談対応@地方創生テレワーク推進相談窓口(仮称)(自治体とのマッチング支援)
      • 課題:制度整備社内外の労務環境等の制度の未整備
        • 対応策・マニュアル/ガイドラインの提供@ワンストップポータル(労務制度、人事制度、給与制度、通信環境、情報セキュリティ)・必要な制度の見直し・明確化@国(労務、税務)
      • 課題:企業文化社内文化として推奨されていない
        • 対応策(再掲)・企業として取り組むメリットの紹介@ワンストップポータル(人材確保、BCP及びオープンイノベーション、SDGs)・経済団体等と連携した各企業への働きかけ@国・地方創生テレワークの理解促進@表彰・自己宣言制度(トップの理解促進、民間人材会社と連携した採用の円滑化)

~NEW~
首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策本部
▼第60回(令和3年4月9日開催)資料
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数は、報告日ベースでは、3月上旬以降増加が続いており、直近の1週間では10万人あたり約14人となっている。関西圏での急増に伴い、3月下旬から増加率も高まっている。新規感染者数の増加に伴い、3月下旬以降重症者数も増加に転じており、重症者増加のスピードに注意が必要。
    • 実効再生産数:全国的には、2月下旬以降1を超えており、直近(3/21時点)で1.16となっている。3/22時点で宮城、1都3県、愛知・岐阜、大阪・兵庫・京都では1を上回る水準となっており、特に、大阪・兵庫・京都では、1.74となっている。
    • 影響が懸念されるN501Yの変異のある変異株(VOC)の感染者の増加傾向が続き、クラスターの発生も継続。特に、大阪、兵庫で多くの感染が確認されており、機械的な試算ではあるものの、スクリーニング検査による変異株(VOC)の割合が高い水準で推移しており、周辺自治体でも変異株(VOC)による感染者数が増加している。
    • 地域の動向※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値
      1. 首都圏(1都3県)東京では、新規感染者数は3月中旬以降増加が続き、約20となっている。神奈川、埼玉は4月に入り増加の動きが見られ、千葉は、横ばい傾向。医療提供体制の負荷の軽減が見られてきたが、東京では、3月中旬以降入院者数が増加に転じ、病床使用率も上昇し、入院・療養等調整中も増加傾向にある。
      2. 関西圏・中京圏・九州関西では変異株の報告が増加。また、人流の増加に伴い、大阪、兵庫では3月中旬以降感染が急速に拡大、京都、奈良、和歌山でも3月下旬以降大きく増加。大阪では、大阪市内以外でも感染が拡大しており、新規感染者数も約47となっている。特に、大阪、兵庫では、新規感染者数の増加に伴い、病床使用率、重症病床使用率とも急速に上昇しており、医療提供体制が大変厳しい状況となっている。愛知でも3月下旬以降増加が継続している。福岡は横ばい傾向。
      3. 上記以外の地域宮城、山形では感染が急速に拡大していたが、3月末以降減少に転じ、新規感染者数は、それぞれ約36、約15となっている。いずれも50代未満が中心であるが、宮城では入院者数の増加が継続。沖縄でも3月下旬以降感染が急速に拡大。新規感染者数が約46となっている。感染者は20-50代が多いものの、入院者数も増加。その他の地域の中でも、クラスターの発生等により感染者数が急速に増加する地域が生じている。四国でも愛媛に続き、徳島、香川でも増加傾向が見られる。
  • 感染状況の分析
    • 関西圏での感染拡大が強く懸念される状況が継続。大阪・兵庫だけでなく、周辺自治体でも感染者数が増加している。周辺でも変異株による感染者数の急速な増加に注意が必要。大阪では人流の減少傾向が見られているが、新規感染者数の減少に繋がるには一定の期間を要すると考えられ、今後も感染拡大が継続し、入院患者数も増加することも危惧される。医療提供体制の状況も注視しつつ、さらなる警戒が求められる。
    • 首都圏では、1都3県全体では微増傾向だが、東京では緊急事態宣言解除後夜間滞留人口が急増した。直近では減少に転じているものの、20代、30代の感染が拡大。今般の大阪、兵庫、宮城等の感染拡大の動きを見ると、緊急事態宣言措置等による時短要請等が解除されてから人流が拡大し、解除後3週間程度で感染拡大がみられており、東京をはじめ首都圏でも、今後、感染拡大の継続や急拡大が懸念される。スクリーニング検査による変異株(VOC)の割合も上昇傾向にある。宮城、山形では、県独自の対策の後、人流の低下が見られ、感染者数も減少に転じている。沖縄では、県独自の対策が始まり、感染者数の伸びには鈍化が見られるものの、引き続き増加傾向は継続、若年層を中心とした感染拡大が見られる。いずれも、引き続き今後の推移に留意が必要。
    • クラスターの発生場所は多様化しており、医療機関、福祉施設、学校、職場、飲食店、会食、スポーツ関連などがある。注意すべきクラスターとして、昼カラオケ、飲食店なども継続している。
    • 一部地域では、変異株(VOC)の割合の高まりが懸念され、急速な感染拡大や既存株と比べ感染性の高さが懸念される。
  • 必要な対策
    • 感染の急拡大を受け、まん延防止等重点措置区域とされた、宮城、大阪、兵庫では、同措置の適用に当たって講ずべきとされた、飲食店に対する20時までの時短要請等、飲食店への見回り・働きかけの徹底、重点検査、医療提供体制の確保、飲食店へのカラオケ設備の利用自粛要請といった取組を着実に行うことが必要。特に、大阪、兵庫では、多数の感染者数が発生している中で変異株(VOC)の報告も増加。既に、医療提供体制が厳しい状況であるが、今後も増加が予想される重症者の病床確保が最優先で求められる。大阪市内以外や近隣の京都、奈良、和歌山でも感染が急速に拡大しており、人の移動に伴う変異株の他地域への流出を出来るだけ防ぐためにも、不要不急の外出、移動を避けることも含め、速やかに適切な対策を行うことが求められる。さらに、感染拡大の要因の分析とそれを踏まえた対応が必要。
    • その他の感染が増加している地域でも、感染状況を踏まえ必要な感染抑制のための取組を速やかに実施していくことが必要。飲食店に対する適切な時短要請や飲食店への見回り・働きかけの実施、外出自粛要請、検査を遅滞なく実施できる体制の拡充、濃厚接触者および感染源の迅速な調査などの対策が求められる。その上で、更なる感染拡大に対応するための医療提供体制や公衆衛生体制の確保が必要であり、国からも必要な支援を行うことが必要。早急に対応すべきである。
    • 特に、首都圏では、東京で増加が継続しており、夜間滞留人口の動向、変異株検出割合などからも今後の動きが強く懸念される。緊急事態宣言解除後の大阪、兵庫と同様、感染の急速な拡大が生ずる可能性もあり、感染状況に応じた十分な対策を遅滞なく行うとともに、感染の再拡大を前提とした検査・相談体制、宿泊療養、自宅療養を含めた医療提供体制を速やかに整えることが必要。
    • これまで大きな感染拡大が無かった、大都市圏以外の地域でも、感染者数の急速な増加が見られている。このため、現時点では大きな感染拡大が生じていない地域でも、実際に感染拡大が生じた場合を想定して、相談・検査体制、病床・宿泊療養施設の確保、自宅療養含めた調整体制、全庁的な応援態勢の確保、都道府県と保健所設置市の連携体制等必要な準備が出来ているか、改めて確認し、新たな感染拡大へ備えておくことが必要。
    • 年度替わりの人の移動などによる新たな感染拡大の動きがすでに見られている。さらなる拡大を防ぐために、3密など人が集まる機会を避け、新年度の様々な機会などに伴う宴会は避けていただくことが必要。また、昼カラオケや接客を伴う物販など高齢者が集まる場面、日中も含めた長時間の会食をはじめ、クラスターが発生しているような事例も含め、そのリスクの適切な周知と感染予防のための注意喚起が必要。また、有症状者への受診の呼びかけと迅速な検査対応が必要。
    • N501Yに変異のある変異株(VOC)については、感染者数が増加してくる中で、地域ごとの感染状況やその感染性、病原性等の疫学情報についての評価・分析を踏まえた対応を速やかに実施していくことが必要。特に、変異株に関する個室の取扱いや退院基準の見直しを含む医療提供体制や公衆衛生体制での取組の在り方について早急に検討が必要。
  • 地方公共団体による時短要請等に応じた飲食店に対する協力金緊急事態措置を実施すべき地域又はまん延防止等重点措置地域
    • 中小企業:売上高に応じて1日3万円~10万円(20時までの時短要請の場合)等(4月21日までに、まん延防止等重点措置として時短要請を行った場合には、当該まん延防止等重点措置期間について、3万円を4万円とする。)
    • 大企業:売上高減少額に応じて1日最大20万円(中小企業も選択可能)
  • それ以外の地域:1日2万円(4月21日までの間は、21時までの時短要請の場合は1日4万円)(4月22日以降、売上高に応じて1日2.5万円~7.5万円(大企業や大企業方式を適用する中小企業は最大20万円)。ただし、1日2万円とすることも可。その後、全国の時短要請が一旦途切れた後の新たな時短要請からは、1日2万円とする。なお、4月21日までに時短要請を行った場合、5月5日までの間は経過措置として1日4万円。ただし、4月22日以降まん延防止等重点措置区域となった都道府県においては、その他地域は1日2.5万円~7.5万円。)

~NEW~
経済産業省 外国為替及び外国貿易法に基づく北朝鮮輸出入禁止措置を延長しました
  • 経済産業省は、「外国為替及び外国貿易法に基づく北朝鮮に係る対応措置について」(令和3年4月6日閣議決定)に基づき、北朝鮮を仕向地とする全ての貨物の輸出禁止及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする全ての貨物の輸入禁止等の措置を引き続き講ずることとしました。
    1. 措置の内容
      1. 北朝鮮を仕向地とする全ての貨物について、経済産業大臣の輸出承認義務を課すことにより、輸出を禁止します(関係条文:外国為替及び外国貿易法(以下「外為法」という。)第48条第3項)。
      2. 北朝鮮を原産地又は船積地域とする全ての貨物について、経済産業大臣の輸入承認義務を課すことにより、輸入を禁止します(関係条文:外為法第52条)。
      3. これらの措置に万全を期すため、次の取引等を禁止します。
        • 北朝鮮と第三国との間の移動を伴う貨物の売買、貸借又は贈与に関する取引(仲介貿易取引)(関係条文:外為法第25条第6項)
        • 輸入承認を受けずに行う原産地又は船積地域が北朝鮮である貨物の輸入代金の支払(関係条文:外為法第16条第5項)
      4. 人道目的等に該当するものについては、措置の例外として取り扱うものとします。
    2. 措置の期間
      • 上記の措置は、令和3年4月14日から令和5年4月13日までの間、実施します。

~NEW~
国民生活センター 狙われる!?18歳・19歳「金(かね)」と「美(び)」の消費者トラブルに気をつけて!
  • 民法改正により、2022年4月1日から、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられます。未成年者が親の同意を得ずに契約した場合には、民法で定められた未成年者取消権によってその契約を取り消すことができますが、成年になって結んだ契約は未成年者取消権の行使ができなくなります。また、20歳代前半(20~24歳)で多くみられる儲け話や美容関連の消費者トラブルに、成年になったばかりの18歳・19歳も巻き込まれるおそれがあります。
  • そこで、若者の消費者トラブルの防止・解決のため、現在は「未成年」ですが民法改正で新たに「成年」となる18・19歳と、成年になって間もない20歳代前半にみられる傾向やアドバイスをまとめました。
    1. 相談事例
      • 未成年時に投資用USBを勧誘され、成人してすぐに借金を指南されて契約した:大学の寮の先輩から「バイナリーオプションで儲かっている。もっと儲かっている人から話を聞いてみないか」と誘われて、3人で会うことになった。先輩に紹介された人から「投資用USBを使用すると、1万円を1年間で何百万にすることができる。定年までの生涯年収では一生を暮らすことができない。投資用USBは50万円だが、今投資すれば後で楽に暮らすことができる」と説明された。その時はまだ19歳だったため、20歳になってから投資用USBを購入することになった。20歳になってすぐ契約書を記入したところ、学生ローンからの借り入れを指南され、学生ローン3社から合計50万円を借り入れて代金を支払った。その後、販売業者のセミナーに複数回参加したり、購入した投資用USBを使ってバイナリーオプションをやってみたりしたが、勧誘時の説明と異なり儲からない。契約を解約し、返金してほしい。
    2. その他、以下のような相談も寄せられています。
      • SNSで知り合った人に儲かる情報商材を勧誘され、契約したが儲からなかった
      • 無料エステ体験後、別室で執拗な勧誘を受け、高額なコースを契約してしまった
      • 包茎の無料相談に行ったら、親の同意なく即日施術されてしまった
      • 低価格で1回限りの購入だと思って申し込んだが、支払総額が高額な定期購入だった
      • 支払総額が高額な定期購入だとわかり、販売業者に未成年者契約の取り消しを求めたが拒否された
    3. 「18・19歳」「20~24歳」の消費生活相談の傾向
      • 「18・19歳」「20~24歳」の消費生活相談の傾向をみると、「18・19歳」「20~24歳」とも、ダイエットサプリメントやバストアップサプリメント、除毛剤などの詐欺的な定期購入商法、洋服などの詐欺・模倣品サイト、アダルト情報サイトや出会い系サイトといったインターネット通販のトラブルが多くみられます。
      • 「20~24歳」は「18・19歳」に比べて、情報商材、オンラインカジノ、暗号資産(仮想通貨)、投資用USBなどの儲け話のトラブル、エステティックサービスや医療脱毛、包茎手術等の美容医療などのトラブルが多くみられます。これらのトラブルのきっかけとしては(1)インターネット・SNSの広告・書き込み等を見て連絡をするケース、(2)SNSで知り合った人から誘われるケース、(3)学校や職場の友人・知人から誘われるケースがあります。
      • 「販売目的隠匿」「説明不足」「虚偽説明」「強引」「長時間勧誘」や「クレ・サラ強要商法」など問題のある販売方法・手口も目立ちます。
    4. 若者へのアドバイス
      • うまい話はうのみにせず、きっぱり断りましょう
      • クーリング・オフや消費者契約法など、消費者の味方になるルールを身につけましょう
      • トラブルに遭ったと感じた場合は、最寄りの消費生活センター等に相談しましょう

~NEW~
金融庁 クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針(案)について
▼(別添1)「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針(案)」
  • 2015年に「パリ協定」が採択され、世界的な平均気温の上昇を産業革命前と比べて少なくとも2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすることが世界共通の長期目標となった。また、IPCC1の1.5℃特別報告書では、今世紀末の気温上昇を産業革命前と比べて1.5℃に抑えるためには、2050年前後に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることの必要性が示された。
  • 我が国においても、2020年10月26日に菅首相が所信表明にて「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言し、同年12月25日には「2050年カーボンニュートラルの実現に向けたグリーン成長戦略」が策定された。本戦略は、温暖化への対応は経済成長の制約やコストであるという従来の発想を転換し、積極的な対策により産業構造や社会経済の変革をもたらし、経済と環境の好循環を作りだす産業政策である。政府は大胆な投資やイノベーションを起こす民間企業の前向きな努力を全力で応援すべく、あらゆる政策手段を総動員することを表明した。本基本指針もそうした政策の一環である。
  • パリ協定の実現には、世界的にも2040年までの累計で約7,370兆円規模の投資額(IEAWorldEnergyOutlook2020より算出)が必要とされている。金融の世界においては、気候変動対策を考慮する金融機関が増え、サステナブル投資額は拡大し、企業にも気候変動への対応が強く求められている。
  • このような中で、EUでは、サステナブル・ファイナンス政策が提唱され、持続可能な発展、特に気候変動対策のファイナンスによる促進を目的としたアクション・プランの第一のアクションとして、グリーンな経済活動を限定的に定義する「タクソノミー」が策定されている。再生可能エネルギー等へのグリーン投資の一層の推進に加え、パリ協定の実現に向けて、世界全体で排出量を着実に削減していく観点からは、排出削減困難なセクター(hard-toabate)(現段階において、脱炭素化が困難な産業部門・エネルギー転換部門)における低炭素化の取組など、脱炭素へのトランジション(移行)を図っていくことも重要となる。そのため、排出削減困難なセクターにおける省エネ等着実な低炭素化に向けた取組や、脱炭素化に向けた長期的な研究開発等のトランジションに資する取組への資金供給を促進していくことが必要である。
  • 上記のような認識の下、シンガポール、オーストラリア、カナダなど各国においてそれぞれの地域特性を踏まえた取組が進められている。このような各国の動向を踏まえ、国際的に統一した考え方を共有するべく、国際資本市場協会(ICMA)において、2020年12月に「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック」(以下「ICMAハンドブック」という。)が策定された。我が国においても、「クライメート・トランジション・ファイナンスの基本的な考え方」や、「クライメート・イノベーション・ファイナンス戦略20203」が策定され、脱炭素社会への移行に資する取組への資金供給を推進している。
  • 以上を踏まえ、本基本指針は、黎明期にあるクライメート・トランジション・ファイナンス(以下「トランジション・ファイナンス」という。)を普及させ、トランジション・ファイナンスの信頼性を確保することで、特に排出削減困難なセクターにおけるトランジションへの資金調達手段として、その地位を確立し、より多くの資金の導入による我が国の2050年カーボンニュートラルの実現とパリ協定の実現への貢献を目的とする。
  • このため、本基本指針では、ICMAハンドブックとの整合性に配慮しつつ、資金調達者、資金供給者その他市場関係者の実務担当者がトランジション・ファイナンスに関する具体的対応を検討する際に参考となるよう、対応例等により解釈を示す。
  • 本基本指針では、第1章2節にて基本的な考え方を説明する。第2章では、トランジション・ファイナンスの概要として、既存の原則・ガイドラインとの関係などトランジション・ファイナンスの位置付けを中心に説明する。そして、第3章では、トランジション・ファイナンスにおいて資金調達者に期待される事項と対応方法を示す。トランジション・ファイナンスに関する健全な市場形成に向けては、本基本指針を参照した資金調達者によるトランジション・ファイナンスの活用だけでなく、企業の脱炭素化、低炭素化への取組を評価し、投融資を実行、投資判断を行う資金供給者の役割も極めて重要となる。特に、黎明期においては、何がトランジション・ファイナンスなのか、事例を積み上げながら明確にしていくことが必要となるため、資金調達者の前向きな挑戦と資金供給者の理解など、双方の創意工夫が必要となる。
  • 資金調達者は、トランジション戦略の構築やその開示を通じて、サステナビリティ経営の高度化を図るとともに、そのような取組を高く評価する資金供給者と関係を築き、資金調達の基盤を強化しながら自身の低炭素化及び脱炭素化の促進と企業価値の向上の両立を目指すことができる。資金供給者は、パリ協定と整合した形で事業変革を進める意図を持ち、その実践に関する信頼性が担保される資金調達者に対して投融資を実行、エンゲージメントすることで、投融資による利益を得ながら、パリ協定の実現や持続可能な社会の実現に寄与することができる。
  • 本基本指針の基本的な考え方
    • トランジション・ファイナンスの市場は、気候変動への対策を検討し、脱炭素社会の実現に向けて取組を行おうとする資金調達者と、その資金調達者のコミットメントと実践に関する信頼性に着目し資金供給したいと考える資金供給者との間での、十分な情報を基礎とした対話を通して成熟していくべきものであり、トランジション・ファイナンスに関する資金調達者の対応の適切性がどのように評価されるのか、投融資の対象として選択されるのか否かは、最終的には市場に委ねられるものと考えられる。
    • 一方で、トランジション・ファイナンスに期待される事項をあらかじめ整理しておくことは、このような資金調達者と資金供給者の間の対話の基礎となることに加え、それぞれのステークホルダーに対して気候関連のトランジションに関する資金調達、資金供給であることを説明する上でも有用である。
    • トランジション・ファイナンスという新しい概念を我が国で形成するに当たって、トランジションに関する資本市場の国際的なコンセンサスと整合的であることは合理的である。同時に、脱炭素社会の実現に向けた道筋は、各国様々である点を踏まえることも重要である。
    • 本基本指針は、以上のような考え方の下、ICMAハンドブックとの整合性に配慮して策定されている。具体的には、トランジション・ファイナンスには、上記ハンドブックにおいて資金調達者が開示することが推奨されている4つの要素(要素1:資金調達者のクライメート・トランジション戦略とガバナンス、要素2:ビジネスモデルにおける環境面のマテリアリティ、要素3:科学的根拠のあるクライメート・トランジション戦略(目標と経路を含む)、要素4:実施の透明性)があり、本基本指針において示した内容に対応した資金調達は、国際的にもトランジション・ファイナンスの対象として認められうるものと考えている。
    • トランジション・ファイナンスで資金調達する主体は、(1)脱炭素化に向けた目標を掲げ、その達成に向けた戦略・計画を策定しており、戦略・計画に即した取組を実施するための原資を調達する主体及び、(2)他者の脱炭素化に向けたトランジションを可能にするための活動(投融資を含む)の原資を調達する主体となる。
    • 上記趣旨に基づき、本基本指針は、国内のトランジション・ファイナンスの実施を対象としているが、同様にトランジション・ファイナンスが必要されている国や地域でも活用しうるものである。

~NEW~
金融庁 「コーポレートガバナンス・コードと投資家と企業の対話ガイドラインの改訂について」の公表について
▼(別紙1)コーポレートガバナンス・コード改訂案
  • 上場会社は、自社の株主における機関投資家や海外投資家の比率等も踏まえ、議決権の電子行使を可能とするための環境作り(議決権電子行使プラットフォームの利用等)や招集通知の英訳を進めるべきである。特に、プライム市場上場会社は、少なくとも機関投資家向けに議決権電子行使プラットフォームを利用可能とすべきである。
  • 「持続可能な開発目標」(SDGs)が国連サミットで採択され、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同機関数が増加するなど、中長期的な企業価値の向上に向け、サステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)が重要な経営課題であるとの意識が高まっている。こうした中、我が国企業においては、サステナビリティ課題への積極的・能動的な対応を一層進めていくことが重要である。
  • 取締役会は、気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等への危機管理など、サステナビリティを巡る課題への対応は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、中長期的な企業価値の向上の観点から、これらの課題に積極的・能動的に取り組むよう検討を深めるべきである。
  • 上場会社は、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等、中核人材の登用等における多様性の確保についての考え方と自主的かつ測定可能な目標を示すとともに、その状況を開示すべきである。また、中長期的な企業価値の向上に向けた人材戦略の重要性に鑑み、多様性の確保に向けた人材育成方針と社内環境整備方針をその実施状況と併せて開示すべきである。
  • 上場会社は、自社の株主における海外投資家等の比率も踏まえ、合理的な範囲において、英語での情報の開示・提供を進めるべきである。特に、プライム市場上場会社は、開示書類のうち必要とされる情報について、英語での開示・提供を行うべきである。
  • 上場会社は、経営戦略の開示に当たって、自社のサステナビリティについての取組みを適切に開示すべきである。また、人的資本や知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ分かりやすく具体的に情報を開示・提供すべきである。特に、プライム市場上場会社は、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、必要なデータの収集と分析を行い、国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めるべきである。
  • 支配株主は、会社及び株主共同の利益を尊重し、少数株主を不公正に取り扱ってはならないのであって、支配株主を有する上場会社には、少数株主の利益を保護するためのガバナンス体制の整備が求められる。
  • 取締役会は、中長期的な企業価値の向上の観点から、自社のサステナビリティを巡る取組みについて基本的な方針を策定すべきである。また、人的資本・知的財産への投資等の重要性に鑑み、これらをはじめとする経営資源の配分や、事業ポートフォリオに関する戦略の実行が、企業の持続的な成長に資するよう、実効的に監督を行うべきである。
  • 内部統制や先を見越した全社的リスク管理体制の整備は、適切なコンプライアンスの確保とリスクテイクの裏付けとなり得るものであり、取締役会はグループ全体を含めたこれらの体制を適切に構築し、内部監査部門を活用しつつ、その運用状況を監督すべきである。
  • 【原則4-4.監査役及び監査役会の役割・責務】監査役及び監査役会は、取締役の職務の執行の監査、監査役・外部会計監査人の選解任や監査報酬に係る権限の行使などの役割・責務を果たすに当たって、株主に対する受託者責任を踏まえ、独立した客観的な立場において適切な判断を行うべきである。また、監査役及び監査役会に期待される重要な役割・責務には、業務監査・会計監査をはじめとするいわば「守りの機能」があるが、こうした機能を含め、その役割・責務を十分に果たすためには、自らの守備範囲を過度に狭く捉えることは適切でなく、能動的・積極的に権限を行使し、取締役会においてあるいは経営陣に対して適切に意見を述べるべきである。
  • 【原則4-8.独立社外取締役の有効な活用】独立社外取締役は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすべきであり、プライム市場上場会社はそのような資質を十分に備えた独立社外取締役を少なくとも3分の1(その他の市場の上場会社においては2名)以上選任すべきである。また、上記にかかわらず、業種・規模・事業特性・機関設計・会社をとりまく環境等を総合的に勘案して、過半数の独立社外取締役を選任することが必要と考えるプライム市場上場会社(その他の市場の上場会社においては少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場会社)は、十分な人数の独立社外取締役を選任すべきである。
  • 支配株主を有する上場会社は、取締役会において支配株主からの独立性を有する独立社外取締役を少なくとも3分の1以上(プライム市場上場会社においては過半数)選任するか、または支配株主と少数株主との利益が相反する重要な取引・行為について審議・検討を行う、独立社外取締役を含む独立性を有する者で構成された特別委員会を設置すべきである。
  • 上場会社が監査役会設置会社または監査等委員会設置会社であって、独立社外取締役が取締役会の過半数に達していない場合には、経営陣幹部・取締役の指名(後継者計画を含む)・報酬などに係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化するため、取締役会の下に独立社外取締役を主要な構成員とする独立した指名委員会・報酬諮問委員会を設置することにより、指名や報酬などの特に重要な事項に関する検討に当たり、ジェンダー等の多様性やスキルの観点を含め、これらの委員会の適切な関与・助言を得るべきである。特に、プライム市場上場会社は、各委員会の構成員の過半数を独立社外取締役とすることを基本とし、その委員会構成の独立性に関する考え方・権限・役割等を開示すべきである。
  • 【原則4-11.取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件】取締役会は、その役割・責務を実効的に果たすための知識・経験・能力を全体としてバランス良く備え、ジェンダーや国際性、職歴、年齢の面を含む多様性と適正規模を両立させる形で構成されるべきである。また、監査役には、適切な経験・能力及び必要な財務・会計・法務に関する知識を有する者が選任されるべきであり、特に、財務・会計に関する十分な知見を有している者が1名以上選任されるべきである。取締役会は、取締役会全体としての実効性に関する分析・評価を行うことなどにより、その機能の向上を図るべきである。
  • 取締役会は、経営戦略に照らして自らが備えるべきスキル等を特定した上で、取締役会の全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方を定め、各取締役の知識・経験・能力等を一覧化したいわゆるスキル・マトリックスをはじめ、経営環境や事業特性等に応じた適切な形で取締役の有するスキル等の組み合わせを取締役の選任に関する方針・手続と併せて開示すべきである。その際、独立社外取締役には、他社での経営経験を有する者を含めるべきである。
  • 上場会社は、取締役会及び監査役会の機能発揮に向け、内部監査部門がこれらに対しても適切に直接報告を行う仕組みを構築すること等により、内部監査部門と取締役・監査役との連携を確保すべきである。また、上場会社は、例えば、社外取締役・社外監査役の指示を受けて会社の情報を適確に提供できるよう社内との連絡・調整にあたる者の選任など、社外取締役や社外監査役に必要な情報を適確に提供するための工夫を行うべきである。
  • 株主との実際の対話(面談)の対応者については、株主の希望と面談の主な関心事項も踏まえた上で、合理的な範囲で、経営陣幹部または、社外取締役を含む取締役または監査役が面談に臨むことを基本とすべきである。
  • 上場会社は、経営戦略等の策定・公表に当たっては、取締役会において決定された事業ポートフォリオに関する基本的な方針や事業ポートフォリオの見直しの状況について分かりやすく示すべきである。
▼(別紙2)投資家と企業の対話ガイドライン改訂案
  • ESGやSDGsに対する社会的要請・関心の高まりやデジタルトランスフォーメーションの進展、サイバーセキュリティ対応の必要性、サプライチェーン全体での公正・適正な取引の必要性等の事業を取り巻く環境の変化が、経営戦略・経営計画等において適切に反映されているか。また、例えば、取締役会の下または経営陣の側に、サステナビリティに関する委員会を設置するなど、サステナビリティに関する取組みを全社的に検討・推進するための枠組みを整備しているか。
  • カーボンニュートラルの実現へ向けた技術革新やデジタルトランスフォーメーション等を主導するに当たっては、最高技術責任者(CTO)の設置等の経営陣の体制整備が重要との指摘があった。
  • 保有する資源を有効活用し、中長期的に資本コストに見合うリターンを上げる観点から、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けた設備投資・研究開発投資・人件費も含めた人材投資等が、戦略的・計画的に行われているか。
  • 経営戦略や投資戦略を踏まえ、資本コストを意識した資本の構成や手元資金の活用を含めた財務管理の方針が適切に策定・運用されているか。また、投資戦略の実行を支える営業キャッシュフローを十分に確保するなど、持続的な経営戦略・投資戦略の実現が図られているか。
  • 客観性・適時性・透明性ある手続により、十分な時間と資源をかけて、資質を備えたCEOが選任されているか。こうした手続を実効的なものとするために、独立した指名委員会が必要な権限を備え、活用されているか。
  • 経営陣の報酬制度を、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けた健全なインセンティブとして機能するよう設計し、適切に具体的な報酬額を決定するための客観性・透明性ある手続が確立されているか。こうした手続を実効的なものとするために、独立した報酬委員会が必要な権限を備え、活用されているか。また、報酬制度や具体的な報酬額の適切性が、分かりやすく説明されているか。
  • 取締役会が、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けて、適切な知識・経験・能力を全体として備え、ジェンダーや国際性、職歴、年齢の面を含む多様性を十分に確保した形で構成されているか。その際、取締役として女性が選任されているか。
  • 取締役会が求められる役割・責務を果たしているかなど、取締役会の実効性評価が適切に行われ、評価を通じて認識された課題を含め、その結果が分かりやすく開示・説明されているか。取締役会の実効性確保の観点から、各取締役や法定・任意の委員会についての評価が適切に行われているか。
  • 取締役会全体として適切なスキル等が備えられるよう、必要な資質を有する独立社外取締役が、十分な人数選任されているか。必要に応じて独立社外取締役を取締役会議長に選任することなども含め、取締役会が経営に対する監督の実効性を確保しているか。
  • 【監査役の選任・機能発揮及び監査の信頼性の確保・実効性のあるリスク管理の在り方】
    • 監査役に、適切な経験・能力及び必要な財務・会計・法務に関する知識を有する人材が、監査役会の同意をはじめとする適切な手続を経て選任されているか。
    • 監査役は、業務監査を適切に行うとともに、監査上の主要な検討事項の検討プロセスにおける外部会計監査人との協議を含め、適正な会計監査の確保に向けた実効的な対応を行っているか。監査役に対する十分な支援体制が整えられ、監査役と内部監査部門との適切な連携が確保されているか。
    • 内部通報制度の運用の実効性を確保するため、内部通報に係る体制・運用実績について開示・説明する際には、分かりやすいものとなっているか。
  • ガバナンス上の個別課題(1)株主総会の在り方
    • 株主総会において可決には至ったものの相当数の反対票が投じられた会社提案議案に関して、株主と対話をする際には、反対の理由や反対票が多くなった原因の分析結果、対応の検討結果が、可能な範囲で分かりやすく説明されているか。
    • 株主総会の招集通知に記載する情報を、内容の確定後速やかにTDnet及び自社のウェブサイト等で公表するなど、株主が総会議案の十分な検討期間を確保することができるような情報開示に努めているか。
    • 株主総会が株主との建設的な対話の場であることを意識し、例えば、有価証券報告書を株主総会開催日の前に提出するなど、株主との建設的な対話の充実に向けた取組みの検討を行っているか。また、不測の事態が生じても株主へ正確に情報提供しつつ、決算・監査のための時間的余裕を確保できるよう、株主総会関連の日程の適切な設定を含め、株主総会の在り方について検討を行っているか。
    • 株主の出席・参加機会の確保等の観点からバーチャル方式により株主総会を開催する場合には、株主の利益の確保に配慮し、その運営に当たり透明性・公正性が確保されるよう、適切な対応を行っているか。
  • ガバナンス上の個別課題(2)政策保有株式【政策保有株式の適否の検証等】
    • 政策保有株式5について、それぞれの銘柄の保有目的や、保有銘柄の異動を含む保有状況が、分かりやすく説明されているか。個別銘柄の保有の適否について、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を具体的に精査し、取締役会において検証を行った上、適切な意思決定が行われているか。特に、保有効果の検証が、例えば、独立社外取締役の実効的な関与等により、株主共同の利益の視点を十分に踏まえたものになっているか。そうした検証の内容について検証の手法も含め具体的に分かりやすく開示・説明されているか。政策保有株式に係る議決権の行使について、適切な基準が策定され、分かりやすく開示されているか。また、策定した基準に基づいて、適切に議決権行使が行われているか。
  • アセットオーナー
    • 自社の企業年金の運用に当たり、企業年金に対して、自社の取引先との関係維持の観点から運用委託先を選定することを求めるなどにより、企業年金の適切な運用を妨げていないか。
  • 株主と企業の対話の充実
    • 株主との面談の対応者について、株主の希望と面談の主な関心事項に対応できるよう、例えば、「筆頭独立社外取締役」の設置など、適切に取組みを行っているか。

~NEW~
金融庁 金融安定理事会による「『大きすぎて潰せない問題(TBTF)』に対する改革の影響評価」の公表について
▼プレスリリース(仮訳) FSB は、大きすぎて潰せない問題(TBTF)に対する改革の評価に係る最終文書を公表
  • 金融安定理事会(FSB)は、本日、システム上重要な銀行(SIB)に対する大きすぎて潰せない問題(TBTF)に対する改革の影響評価に係る最終文書を発表した。本評価では、TBTF改革がSIBに関するシステミック・リスクやモラルハザード・リスクをどの程度低減させたか、また、同改革の金融システムに対するより広範な影響について検証している。
  • 本評価によって、TBTF改革は銀行をより強靭にかつより破綻処理可能にし、社会にネットで便益をもたらしたことが分かった。システミック・リスクとモラルハザードの指標は正しい方向に向かっており、市場参加者がこれらの改革を信頼できると見ていることを示唆している。新型コロナ感染症の流行によって、銀行の強靭性の向上と市場規律の強化が試されているが、銀行は、前例のない財政、金融、監督上の支援措置のおかげもあり、これまでのところショックを吸収することができている。
  • しかしながら、評価の結果、対処すべきいくつかのギャップが見つかった。
    • 破綻した銀行に対する国家支援の必要性を最小限に抑え、破綻処理の実行可能性と信頼性を高めるために、破綻処理改革を完全に実施すべきである。これには、SIBの破綻処理可能性を高めるためのさらなる取組みも含まれる。
    • 破綻処理枠組みや資金調達メカニズム、SIBの破綻処理可能性、破綻処理に係る措置に関する情報開示を向上する余地がまだある。
    • 公的機関が(ベイルインなどの)破綻処理に係る措置の金融システムや経済への潜在的な影響を評価するために、追加的な情報が必要かもしれない。
    • 国内のシステム上重要な銀行(D-SIB)へのTBTF改革の適用については、さらなるモニタリングが必要である。加えて、信用仲介のノンバンク金融仲介への移行に伴うリスクは、引続き注意深くモニターされるべきである。
  • ドイツ連邦銀行の副総裁であり、本文書を作成したグループの議長を務めるクラウディア・M・ブーフは、次のように述べている。「銀行が頑健であり、銀行が破綻に陥った際にこれを処理するメカニズムを有することは、金融の安定を保つために非常に重要である。本評価では、我々が成し遂げた進捗が強調されているが、これらの改革の便益を完全に実現するために、より多くのことができる。我々が特定したギャップを埋めるために、FSBと基準設定主体がさらなる作業を行うことを期待している。

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金融庁(消費者庁・警察庁) 暗号資産に関するトラブルにご注意ください!
▼「困ったときの相談窓口、消費生活相談の典型事例、暗号資産を利用する際の注意点」
  • インターネットを通じて電子的に取引される、いわゆる「暗号資産」の取引や暗号資産の交換と関連付けて投資を持ち掛けられたことをめぐるトラブル等についての相談が多数寄せられています。また、令和4年4月から成年年齢を18歳に引き下げる民法の一部を改正する法律が施行されると、18歳及び19歳は、「未成年者取消権(未成年者が親の同意を得ずに契約をした場合に原則として契約を取り消すことができる)」を行使できなくなり、悪質商法等の消費者被害に遭う懸念があります。
  • そのため、暗号資産の取引等を行うかどうか慎重に判断をするために、「令和2年度に寄せられた消費生活相談の典型事例」や「暗号資産を利用する際の注意点」等を紹介しますので、是非ご活用ください。また、もし困った時は一人で抱えず、内容に応じて「困ったときの相談窓口」にご相談ください。
  • 困ったときの相談窓口
    • 暗号資産を含む金融サービスに関するご相談はこちら
      • 金融庁 金融サービス利用者相談室 0570-016811 平日 10:00-17:00 ※IP電話・PHSからは、03-5251-6811 におかけください。
    • 不審な電話などを受けたらこちら
      • 消費者ホットライン 局番なしの188(いやや!) ※原則、最寄りの消費生活センターや消費生活相談窓口などをご案内します。相談できる時間帯は、相談窓口により異なります。
      • 警察相談専用電話 #9110 又は最寄りの警察署まで ※#9110は、原則、平日の8:30-17:15(※各都道府県警察本部で異なります。土日祝日・時間外は、24時間受付体制の一部の県警を除き、当直又は音声案内で対応)
  • 暗号資産の概要についてはこちらのウェブサイトへ
  • 令和2年度に寄せられた消費生活相談の典型事例
    1. セミナーやSNS等を通じて「絶対にもうかる」等と持ち掛けられて投資をしたが、返金されない・出金できない等トラブルになっているケース
      • セミナーに参加し、スマホにアプリを入れて暗号資産を運用したら報酬が得られ、人を紹介すると紹介料がもらえると聞いて加入したが、出金が止められてお金が引き出せない。(20代 男性)
    2. 出金するための追加費用を請求され、トラブルになっているケース
      • 知人にもうかるからと暗号資産を勧められ振込んだが、出金するために追加の支払いが必要だといわれた。(40代 男性)
    3. 法令に基づく登録を受けていない無登録業者(海外の事業者も含む)が国内の消費者に対して勧誘し投資をさせるが、その後業者と連絡がとれず、トラブルになっているケース
      • 知人から暗号資産を運用する海外業者へ投資すれば高利益が得られると勧められお金を振り込んだ。登録したホームページから出金できなくなっており、ホームページも閉じられた。国内の窓口となっている業者名や住所・連絡先も分からない。(50 代 女性)
    4. 出会い系サイトやマッチングアプリ等で知り合った人に勧められて、暗号資産の投資を進めたが、その後返金されない・出金できない、連絡がとれない等とトラブルになっているケース
      • マッチングアプリで知り合った女性から、海外取引所で暗号資産を購入。詐欺だったのでお金を取り戻したい。(20代 男性)
  • その他、気を付けてほしい消費生活相談事例
    • 暗号資産に関係した悪質商法等に関するもの
      • 資産を40倍に増やすことができる、必ず上場する暗号資産への投資話がメッセージアプリを通じて届いた。
    • システムやセキュリティに関するもの
      • 暗号資産取引のパスワードが使用できなくなりコインが全てなくなっていた。フィッシングサイトにアクセスしたと思う。対処法を教えてほしい。
    • 個人情報の悪用に関するもの
      • アダルトサイトの請求を次々に受けているうちに個人情報を漏らしてしまい、勝手に暗号資産の口座を開設されてしまった。
  • 暗号資産を利用する際の注意点
    • 暗号資産は、日本円やドルなどのように国がその価値を保証している「法定通貨」ではありません。インターネット上でやり取りされる電子データです。
    • 暗号資産は、価格が変動することがあります。暗号資産の価格が急落し、損をする可能性があります。
    • 暗号資産交換業者(※)は金融庁・財務局への登録が必要です。利用する際は登録を受けた事業者か金融庁・財務局のホームページで確認してください。(※)暗号資産と法定通貨の交換や、暗号資産同士の交換を行うサービスを提供する事業者、暗号資産の管理を行う事業者など
    • 暗号資産の取引を行う場合、事業者が金融庁・財務局から行政処分を受けているか(※)を含め、取引内容やリスク(価格変動リスク、サイバーセキュリティリスク等)について、利用しようとする事業者から説明を受け、十分に理解するようにしてください。
      (※) 金融庁・財務局が行った行政処分については、こちらをご覧ください。
    • 暗号資産交換業者の提供するウォレットで暗号資産を管理する際に、パスワードを設定する場合には、IDと同じものや利用者の名前、電話番号、生年月日等の推測が容易なものを避けるほか、他のウェブサイトと同じID・パスワードの組合せを使用しないなどの対策を講じる必要があります。管理する暗号資産が盗まれるおそれがあります。
    • 暗号資産や詐欺的なコインに関する相談が増えています。出会い系サイト・マッチングアプリ等をきっかけとした暗号資産の詐欺や悪質商法にご注意ください。

~NEW~
金融庁 金融審議会「最良執行のあり方等に関するタスクフォース」(第3回)議事次第
▼資料 事務局説明資料(高速取引行為と最良執行のあり方等)
  • 第2回会合(2021年2月16日)におけるメンバーの主なコメント
    1. 最良執行方針等とSORとの関係
      • SORはかなり複雑であり、細かいところまで説明すると分かりにくくなるため、コストとリスクの認識に重要な情報についてのみ最良執行方針等に記載すべき。SORを使うか否か、手数料も含めて比較しているか否か・手数料の違い、PTSは成行注文ができないこと、分割同時発注か順次回送か、については最良執行方針等に記載すべきだが、その他は別途開示すれば問題ない。
      • SORに関する大きな方針は開示すべきだが、細かいルールを書き過ぎるのは、分かりづらくなるうえ、先回りされる可能性もある。
      • 最良執行説明書はリクエストベースだが、たとえば、定期的に当局に報告する、又は、外部の情報ベンダーが提供しているサービスを導入することによってモニタリングを高めていくということが極めて重要。
      • 執行結果の開示について、個別開示だけだと、それがどの程度の出来なのか、妥当な結果と考えていいのかどうか、比較対象がないので、非常に分かりにくい。半期又は四半期で、取り扱った顧客の全体の取引の結果の開示であれば、1つの比較材料として考えられる。
      • 執行結果の開示について、投資家によって必要となる情報がかなり多岐にわたっている。一義的に全ての投資家についてこの項目を入れれば十分であるというのは少し乱暴。
      • 執行結果の開示について、個人投資家に対しては、ある程度シンプルにしたうえで、追加的な情報は投資家が問い合わせるという形にせざるを得ない。ただし、最低限、主市場のその時点での最良気配は開示すべき。
    2. SORに付随する利益相反構造
      • 利益相反については、事前の開示と事後のモニタリングが必要。一部PTSは株主の中にHFTが入っているが、そのHFTの注文と他の顧客の注文をどうやって公平に扱っていくのか、手数料をたくさん払っている顧客と手数料を払わない顧客に関してどのように公平性を保っているのか、開示すべき。
      • 具体的なSORの動作に踏み込んだ規制をかけるのは技術進歩の制約になるが、自社のグループ会社又は関係の深い執行先を同値のときに優先する場合、グループ会社のPTSにしか発注しない場合、その理由について説明することが、利益相反を牽制するという意味で非常に大事。
      • PTSの透明性が非常に重要。証券会社側もどういう風に注文を取り扱うのか、SOR・発注した市場でどういう風に注文を処理するのか、プロセスも含めてしっかりと説明をすることがマスト。
      • 何が利益相反か否かという判断は難しいが、系列・友好関係にあるPTSをSORが選択する可能性があることの明記は必要。ただし、最良執行方針等に含めるより、利益相反管理方針に記載すればよい。
      • (SORに付随する利益相反構造について)顧客に利益が出ているからいいというのは抵抗感がある。選択肢があるときに、本来であれば顧客の方の利益に基づいて選択がなされている、最低限、顧客の利益よりも自らの利益を優先した選択は行われていない必要がある。顧客の利益は画一的に決まるものではないため、どういう利益を優先し、どういう対応をしているか説明することが大事。
      • 同値の注文をもつ先に系列・提携先の証券会社があった場合に、そちらを優先して注文を流すということ自体は、とりわけ個人投資家の利益を損なうものではない。ただし、開示は必要。
    3. 最良執行方針等とダークプールとの関係
      • 少なくとも個人投資家についてはトレードアットルールを導入すべき。
      • 個人投資家のダークプール利用については、極めて慎重に行われるべき。
      • SORの執行先等にダークプールが含まれているのであれば、最良執行方針等の中でダークプールについて言及する必要。
      • ダークプールは、SORの文脈に紐づけて考えるといいのでは。SORの開示とモニタリングの中できちんとダークプールに規律が付けられることが期待できる。
      • ダークプールの中でいわゆる気配に当たる情報を生成して、システムでアクセスできるようになっている場合であって、同値で執行できる値段がダークプール上に存在し、それが注文を最初に受けている証券会社が運営しているダークプールである場合、そのダークプールに注文を流すということについて、とりわけ妨げる要因はない。他方、そういった板情報に当たるものが開示されていなくて、試しに出してみて、その最良気配又はそれよりもいい価格で執行できるかどうかを試してみるやり方でダークプールに注文を投げることについては、そこで失われる時間の問題を考えると、非常に慎重に対応するべき。
      • ダークプールについて、今、別の手当てが進んでいる最中であるため、ひとまず様子を見るということでよい。ただし、ダークプールについてシステム的に感知できる気配のようなものが生成されていて、SORで回送ができる場合に、このダークプールの中で気配にアクセスできたり、できなかったりという、同じ市場の参加者なのにアクセス条件などに差があるとすると、問題。
    4. その他
      • 最良の取引の条件で執行するための方針及び方法、これを最良執行方針等と定義して、金融商品取引業者等はそれを定め、公表し、それに従って注文を執行しなければいけないとされているが、最良の取引の条件で執行しなければならないと規定すればよい。この制度の立てつけはこのままでいいのかどうかというのは1つ課題。
      • 個人投資家については、価格を重視するというのを標準形として、コンプライ・オア・エクスプレインとすることが対応として考えられる。
      • 少なくとも個人投資家については、手数料も含めて価格コスト重視のところにつなぐ義務があると明確にした方がよい。ただし、オプトアウトはありうる。
      • 最良執行方針等に主たる取引所に取り次ぐと記載することは、現状のPTSの認知度からすればある程度やむを得ないが、それが「最も合理的」であるという最良執行方針等の記載は直すべき。
  • 検討課題
    1. 高速取引行為と最良執行のあり方
      • 高速取引行為者とその他の投資家との間のスピード格差を踏まえ、一部の証券会社においてレイテンシー・アービトラージへの対応策が採用されているが、こういった取組みを促すことについてどう考えるか。
      • レイテンシー・アービトラージへの対応策を採用している場合、顧客に対してどう説明すべきか。(最良執行方針等にどのように記載すべきか。)
    2. PFOFの取扱い
      • PFOFについて、最良執行の観点及び市場における価格発見機能の観点から指摘されている点に加えて、検討すべき点はあるか。
      • PFOFを禁じていない米国においても規制の見直しが進められており、我が国においても諸外国における今後の規制動向等を踏まえ、機動的に検討を進めることについてどう考えるか。
  • 取りまとめの方向性
    • 個人投資家にかかる注文執行における価格の重視
      • 顧客が個人である場合について、最良執行方針等の法定記載事項に「主として価格以外を考慮する場合には、その旨及びその理由」を追加(コンプライ・オア・エクスプレイン)
      • 顧客が個人である場合について、最良執行方針等の法定記載事項に「ダークプールを使用する場合には、その旨及びその理由」を追加
    • 市場構造の変化を踏まえた最良執行のあり方とその顧客説明
      1. SORによる注文執行のルール等の透明化・最良執行方針等の法定記載事項に「SORを使用する場合は、その旨及びSORによる注文執行のルール」を追加
        • SORによる注文執行のルール(1)執行先等(2)基本となる注文執行のルール(3)同値の場合の処理(4)(1)~(3)のルールを採用する理由
        • 最良執行説明書(有価証券等取引に関する顧客の注文を執行した後、三月間以内に当該顧客から求められたときに交付)の法定記載事項に「SORを使用した場合は、価格改善状況(※)」を追加(ただし、経過措置を設ける)
        • 価格改善状況(1)約定価格、約定日時、執行等がされた取引所・PTS・ダークプール(2)SORの使用に際して比較した取引所・PTSにおける価格
      2. 高速取引行為と最良執行のあり方
        • (第3回会合における議論を踏まえて検討)
      3. PFOFの取扱い
        • (第3回会合における議論を踏まえて検討)

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金融庁 有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項及び有価証券報告書レビューの実施について(令和3年度)
▼別紙1 有価証券報告書レビューの審査結果及び審査結果を踏まえた留意すべき事項
  1. 新型コロナウイルス感染症の影響に係る仮定に関する追加情報の開示(概要)
    • 企業会計基準委員会(ASBJ)は、新型コロナウイルス感染症が経済活動に大きな影響を与えていることを踏まえ、会計上の見積りに用いた仮定が、財務情報である「追加情報」において、より具体的に開示されるよう周知してきた。
    • ASBJがこれまでに公表した議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」の主な内容(開示に関連する内容を抜粋)
      • 令和2年4月10日
        • 新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等についてどのような仮定を置いて会計上の見積りを行ったかについて、重要性がある場合は、追加情報としての開示が求められると考えられる。
      • 令和2年5月11日追補
        • 当年度の財務諸表の金額に対する影響の重要性が乏しい場合であっても、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある場合には、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する追加情報の開示を行うことが財務諸表の利用者に有用な情報を与えることになると考えられる。
      • 令和2年6月26日更新
        • 前年度の財務諸表において、追加情報の開示を行っている場合で、四半期決算において当該仮定に重要な変更を行ったときは、四半期財務諸表に係る追加情報として、当該変更の内容を記載する必要があるものと考えられる。また、前年度の財務諸表において仮定を開示していないが、四半期決算において重要性が増し新たに仮定を開示すべき状況になったときは、四半期財務諸表に係る追加情報として、当該仮定を記載する必要があるものと考えられる。
  2. 新型コロナウイルス感染症の影響に係る仮定に関する追加情報の開示(審査結果)
    • 令和2年度の有価証券報告書レビューにおいて、新型コロナウイルス感染症の影響に係る仮定に関する追加情報の開示を審査対象として、追加情報の記載の有無やその内容及び追加情報を記載しない場合にはその理由を確認した(提出会社に有価証券報告書と合わせて提出を依頼している調査票において、追加情報を記載しない場合にはその説明を求めている。)。
    • 審査の結果、追加情報の記載内容の詳細さには幅があるものの、多くの提出会社が追加情報を記載しており、投資家に十分な情報を提供する姿勢が見られた。
    • また、追加情報を記載していない会社のうち79%(3月決算会社の数値)が、「新型コロナウイルス感染症の影響が軽微」と回答していることから、追加情報を記載していない会社においても記載要否については慎重な検討が行われたことが推定される。
    • なお、追加情報を記載していない上記以外の理由として、他の項目に記載しており重複を避けるため(12%)や見通しが全く立たないため(8%)との回答があったが、これらの理由が追加情報を記載しない合理的な理由となるかどうかは、慎重に検討する必要がある。
  3. 新型コロナウイルス感染症の影響に係る仮定に関する追加情報の開示(令和2年度末以降の開示)
    • 企業会計基準委員会は、令和3年2月10日に議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」を更新し、公表した。
    • 当該議事概要では、会計上の見積りを行う上での基本的な考え方は従来の議事概要から変わらないとしつつ、企業会計基準第31号「会計上の見積りの開示に関する会計基準」(以下、「企業会計基準第31号」)の適用前後の取扱いを整理している。
    • 企業会計基準第31号の適用後においては、新型コロナウイルス感染症の影響を含め、重要な会計上の見積りに関して、基準の趣旨に沿った充実した開示が期待される。
  4. 会計上の見積りの考え方と開示の充実
    • ASBJは、議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」(令和3年2月10日)を公表し、会計上の見積りにおいては、「企業が置いた一定の仮定が明らかに不合理である場合を除き、最善の見積りを行った結果として見積もられた金額については、事後的な結果との間に乖離が生じたとしても、「誤謬」にはあたらないものと考えられる。」との考え方を、引き続き周知している。
    • また、日本公認会計士協会は、令和3年3月2日に「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その7)」を公表し、会計上の見積りに関する監査においては、「経営者の過度に楽観的な会計上の見積りを許容することは適切ではないが、他方、監査人が、企業の収益力やキャッシュ・フローの獲得能力について、実態と乖離した過度に悲観的な予測を行い、経営者の行った会計上の見積りを重要な虚偽表示と判断することも適切でない」としている。
    • 各提出会社では、会計上の見積りについて監査人とも十分にコミュニケーションをした上で、一定の仮定を置いて最善の見積りをすると考えられるが、特に、新型コロナウイルス感染症の影響のように不確実性が高い事象については、その一定の仮定等が会社によって異なることも想定される。
    • そのため、一定の仮定等が会社によって異なる可能性があることを踏まえ、投資家が財務諸表を適切に理解出来るようにするため、会計上の見積りに関して注記や追加情報で特に充実した情報提供をすることが求められる。

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国民生活センター 液体芳香剤の誤飲事故等に注意!-乳幼児がリードディフューザーの液を誤飲して入院する事故が発生-
  • ボトルに入った液体芳香剤の液に「リードスティック」と呼ばれる木製の棒などの一端を浸して、吸い上げられた液を気化、拡散させるもの(以下、「リードディフューザー」とします。)(図参照)が家庭などで広く利用されています。
  • 2020年11月、「医師からの事故情報受付窓口」に、乳幼児がリードディフューザーに入っている液を誤飲し、肺の一部が空洞のようになる呼吸器障害を負って2週間程度入院、その後も通院を要しているという事故情報が寄せられました。
  • また、医療機関ネットワークには、2010年12月から2020年12月末までの約10年間に、乳幼児が液体芳香剤を誤飲したなどの事故情報が31件(注)寄せられています。
  • そこで、これらの事故情報を分析するとともに、販売されているリードディフューザーの表示や液の成分を調べ、リードディフューザーなどを使用する際の注意点等について、消費者へ情報提供することとしました。
    1. 液体芳香剤及びリードディフューザーとは
      • 液体芳香剤は、開封して使用を開始すると、芳香成分等が溶解した液が徐々に揮散し、液がなくなるまでの数カ月程度持続するものです。主流は、ろ紙、不織布、スポンジ、竹ひご等の一端を芳香成分を含む液に浸して吸い上げさせ、徐々に周囲に芳香成分が拡散するものです。その中で、リードスティックにより芳香成分を拡散する商品が、リードディフューザーと呼ばれています。リードスティックの本数や太さなどにより、香り立ちの強さを調整できるのが特徴です。
      • さまざまな香りをうたった商品がありますが、芳香成分を含む液には、水や10%前後のエタノールを含有し、植物抽出物や数%の有機酸、10~20%程度の界面活性剤を配合しているタイプや、香料や精油を溶剤(30~70%程度のイソパラフィン系などの炭化水素類やグリコールエーテル類等を含むもの)で希釈した、揮発性の低い液体のタイプなどがあります。エタノール、炭化水素類、グリコールエーテル類はいずれも、粘膜の刺激作用、中枢神経の抑制作用があるとされているもので、これらの成分を含む芳香剤の液が目に入ると痛みや充血、誤飲すると悪心(おしん)、嘔吐(おうと)のほか、量が多い場合は意識障害などが起こる可能性があります。また、誤えんすると肺炎につながる可能性もあります。
      • 参考:公益財団法人 日本中毒情報センター編「発生状況からみた急性中毒初期対応のポイント 家庭用品編」株式会社へるす出版、2016、「芳香剤・消臭剤-設置タイプ」(283-288)から一部引用。
      • 「医師からの事故情報受付窓口」に寄せられた事故情報:2020年11月、「医師からの事故情報受付窓口」に、リードディフューザーの液を誤飲して乳幼児が入院を要した事故(以下の【症例】)の情報が寄せられました。
    2. 症例
      • リードディフューザーの液を誤飲し、胸部CTにて肺の一部に空洞影がみられた。
      • 医療機関ネットワークに寄せられた事故情報:医療機関ネットワークには、2010年12月から2020年12月末までの約10年間に、3歳以下の乳幼児の「液体芳香剤」に関する事故情報が31件寄せられています。
    3. 主な「誤飲・誤えん」の事故事例
      • 【事例】リードディフューザーの液を誤飲し、誤えん性肺炎のおそれがあった。
      • 【事例】リードディフューザーの液を誤飲し、中毒症状を発症した。
      • 【事例】高さ1mの棚に置いてあったリードディフューザーの液を誤飲。
    4. 調査
      • インターネットショッピングモール(「co.jp」、「Yahoo!ショッピング」、「楽天市場」)で「リードディフューザー」が分類されるカテゴリにおいて、売れ筋ランキングの高い商品や、神奈川県相模原市、神奈川県横浜市、東京都町田市内の百貨店、ホームセンター、チェーンドラッグストア、チェーンストアで販売されている商品、合わせて10銘柄について、商品本体やパッケージの表示や液の成分を調べました。(検体購入:2020年11月~2021年1月、調査期間:2020年12月~2021年2月)
      • 10銘柄とも、乳幼児の手の届かないところで使用・保管するといった記載がありました。
      • 10銘柄とも、飲用ではないとの記載がありました。そのうち6銘柄では、誤飲した場合に医師の診察を受ける旨の記載があり、別の2銘柄では、誤飲して異常がある場合に医師の診察を受ける旨の記載がありました。
      • 4銘柄では、誤飲した際に吐かせないよう記載がありましたが、その理由まで記載している銘柄はありませんでした。
      • 10銘柄中2銘柄には、目に入った場合、医師の診察を受ける旨の記載があり、別の6銘柄では、目に入って異常がある場合に、医師の診察を受ける旨の記載がありました。なお、8銘柄では、流水で洗い流すなど対処法が記載されていました。
      • 10銘柄中7銘柄では、液や液を吸い上げたリードスティックに、皮膚や衣類が触れないよう記載がありました。6銘柄では、皮膚に付着して異常がある場合、医師の診察を受ける旨の記載がありました。また、9銘柄では、石けんや流水でよく洗うなど対処法の記載がありました。そのうち3銘柄ではその理由として、かぶれるおそれがあると記載していました。
      • 全10銘柄について、水以外の主な溶剤の成分を調べたところ、6銘柄からはイソパラフィン系の炭化水素類、残りの4銘柄からはエタノールとグリコールエーテル類と推定される物質が検出されました。
    5. 消費者へのアドバイス
      • 液体芳香剤は、乳幼児の手や目が届かない場所で使用・保管するようにしましょう。
      • 誤飲した液体芳香剤の液が気管に入ると、化学性肺炎を生じる危険がありますので、誤飲した場合は慌てて吐かせずに、直ちにかかりつけ医等に相談しましょう。
      • 液体芳香剤の液が目に入った場合は、すぐに流水で洗い流しましょう。また、皮膚に付着した場合はかぶれるおそれがあるため、石けんなどで洗いましょう。
    6. 業界・事業者への要望
      • 液体芳香剤を乳幼児の手や目の届かない場所で使用・保管することについて、より一層啓発等を含めた安全対策を推進することを要望します。

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国民生活センター アルコール消毒で合成樹脂製のドアノブが破損(相談解決のためのテストからNo.153)
  • 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
    • 「トイレのドアノブをアルコール消毒していたところ、ひびや亀裂が生じ、破損した。破損した原因を調べてほしい。」という依頼を受けました。
    • 当該品は、幼稚園のトイレで使用されていたドアノブで、赤色のアクリル樹脂の中に金属部品が組み込まれているものでした。外観調査を行ったところ、当該品は金属部品を覆っているアクリル樹脂に複数の亀裂が生じており、亀裂の破面を見るとソルベントクラックに特徴的な鏡面を示していました。
    • 相談者によると、新型コロナウイルス対策のためドアノブの消毒が不可欠となり、1日に5回程度、市販のアルコール消毒液(エタノール濃度:約65容量%)等で消毒を行っていたところ、当該品が使用開始から約2カ月で破損したとのことでした。
    • そこで、エタノールによる影響を調べるために、新品の同型品を用いて、JIS K 7114「プラスチック-液体薬品への浸せき効果を求める試験方法」を参考に、エタノール(99.5容量%)への24時間浸せきテストを行った結果、同型品は、当該品と同様に、アクリル樹脂の部分に複数の亀裂が生じ、亀裂の破面は鏡面を示しました。
    • なお、同型品の取扱説明書には清掃時の取り扱いに関する注意表示として、「アルコール類~(中略)~は絶対に使用しないで下さい。クラック(ひび割れ)や破損の原因になり、手を傷つける恐れがあります。」との記載がありました。
    • 以上のことから、当該品は、消毒の際に付着したアルコール(エタノール溶液)によって、ソルベントクラックを生じたものと考えられました。
    • 依頼センターがテスト結果を事業者に説明したところ、取扱説明書に記載されている清掃時の取り扱いに関する注意と同様な内容が、事業者のウェブサイトにも記載されることになりました。
    • 当該品に限らず、アクリル樹脂製品はアルコール消毒により、亀裂が生じて破損に至る可能性があります。そのため、消毒する前にアルコールの使用が可能かを取扱説明書等で確認するとともに、アクリル樹脂であった場合には台所用洗剤を使用するなど、厚生労働省「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」を参考にして消毒・除菌を行うようにしましょう。
▼新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)(厚生労働省)

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厚生労働省 外国人雇用対策の在り方に関する検討会(第2回)会議資料
▼【資料2】新型コロナウイルス感染症等の影響を受け困窮する外国人失業者等に対するハローワークの対応
  • 外国人求職者と企業の効果的なマッチングに向けた取組 課題
    • 円滑なマッチングのためには、(1)業務に必要なコミュニケーション能力などの求人内容を明確化し、求職者の能力を見極めること、(2)再就職先が限定される在留資格の特性を正確に理解することが必要。
  • 対応
    • 一部のハローワークで蓄積されている(1)、(2)に関するノウハウ(下記参照)を調査・集約し、業務用マニュアルとして全国のハローワークに周知。今後、研修等の場面を通じて定着を図る。
    • (1)について、職員向けのツールとして「できることリスト」を作成、外国人求職者の多い一部のハローワークに配布し意見を聴取した(※)。今後、改良を進め実用化を目指す。※ハローワークの職業相談部門、求人部門の担当者と、企業の採用担当者との間で、外国人求職者のコミュニケーション能力を共通の尺度で評価することを目標として、職場におけるコミュニケーションの場面で「できること」を簡潔にリスト化したもの。令和3年1~2月までの間、外国人就労・定着支援研修事業の修了者を対象者として想定し、一部のハローワークに配付し意見を聴取した。
  • 参考 ハローワークにおける(1)に関する取組例
    • 窓口相談員が分担して求人事業所に連絡し、業務に求められるコミュニケーション能力、既に働いている外国人労働者に関する情報等を聴き取り、その情報をファイリングして、職員間で共有。
    • 日本語学校の留学生など、職場でのコミュニケーションに不安のある外国人求職者が来所した際、上記情報を参考に、応募しやすい求人をピックアップし、紹介を行う。
    • (2)について、職員向けに新型コロナウイルス感染症の影響下での在留資格の特例等の変遷や、特例等を前提とした職業紹介の確認フローについて分かりやすく整理、更新し、全国のハローワークに周知している(直近では令和3年3月に更新)。
  • 在留外国人統計における「留学」の在留者数及び外国人雇用状況届における「留学生による資格外活動」の外国人労働者数の推移を示す。在留者数(留学)は、2019年末に34万6千人に達したが、コロナ禍の影響により、直近では28万人に減少している。外国人労働者数(留学生による資格外活動)は、2019年末に32万8千人となったが、直近では30万9千人に減少している。
  • 国籍別では、在留者数では中国、ベトナム、ネパール、韓国の順であるが、労働者数では、ベトナムが最多である。
  • 在留外国人統計における在留者数(留学)に対する外国人雇用状況届における外国人労働者数(留学生による資格外活動)の比率※の水準は、国籍別で大きく異なる。いずれの国籍についても、直近では比率が上昇している。 ※ 外国人労働者数(留学生による資格外活動)を在留者数(留学)で除したもの
  • 国籍別では、ベトナムとネパールの比率が高く、直近ではそれぞれ1.92と1.78となっており、一人の留学生が複数の仕事を掛け持ちしていることが多いとみられる。一方、中国と韓国の比率は、直近でそれぞれ0.68と0.58に留まる。
  • OECD諸国等のコロナ禍での様々な対応(OECD等文献レビュー)
    1. コロナ禍での外国人労働者への在留許可等緩和、労働移動促進措置
      • 多くのEU諸国では、在留許可や労働許可の緩和措置を講じた。(EMN/OECD 2020)(例)スペイン、ドイツ、フランス、イタリア
      • OCED諸国等では、コロナ禍により、特定の産業の労働需要が減少する一方、農業、建設、医療、介護及びIT関係の産業の労働需要が増加した。このため、保健医療分野の資格について、臨時的な緩和が行われた。(OECD 2020a)(例)イタリア、カナダ、米国、スペイン、ドイツ
      • 農業分野では、在留期間の延長、他分野の外国人労働者の労働許可、短期間外国人労働者の導入が行われた。(ILO 2020a)また、追加的な労働力確保のため就労条件の緩和措置等が行われた。(OECD/ILO/IOM/UNHCR 2020)(前者の例)米国、オーストラリア(後者の例)スペイン、フランス、カナダなど
    2. コロナ禍での外国人労働者の失業者に対する経済支援措置
      1. OECD諸国では、失業率の上昇が見られたが、外国人労働者における失業率の上昇の方が自国民労働者より大きかった。(OECD 2020b)(例)米国、スペイン、ASEAN諸国では、調査に回答した外国人労働者の32%が、雇い止め等によって非自発的な離職や無給休職を余儀なくされている。(ILO 2020b)
      2. 外国人労働者はコロナ禍の経済対策の対象となっていない場合が多い。(ILO 2020c) G20-OECD諸国では、多くの国で、外国人を含めた雇用者に対する支援措置を実施した。(OECD/ILO/IOM/UNHCR2020)
      3. ILOは、外国人労働者の多くが非正規労働であり、ビザの延長等の促進により、外国人労働者がエッセンシャルサービスにアクセスできるようにすべきこと(ILO 2020c)、さらにIOM等は、外国人労働者の労働安全衛生の保護のため、必要な情報の提供や、共同生活等による感染の危険性にも対応する必要があるとしている。(IOM 2020 a&b)
  • 前提となるOECD諸国の受入れや労働力需給調整の仕組み(OECD等文献レビュー)
    1. 中小企業に対する外国人労働者の供給は、生産性を高めることよりも小規模企業の継続を支援する趣旨(OECD (2009))。
    2. OECD諸国の短期間移民(temporal migration)の管理は、国内労働供給のみでは達成できない労働市場ニーズであって、国内労働市場に悪影響を与えることなく合理的時間枠では満たすことの難しいものについて、送り出し国の開発を妨げることなく労働移民によって満たすことを支援することが中心的な目的(OECD (2011)。
    3. OECDでは、技能水準(スキルレベル)について、大卒、上位中等教育や高度職業訓練修了者が高度技能労働者(skilled workers)、それらより低いレベルが非高度技能労働者(non-skilled/low-skilled workers)の2つに分類 (OECD (2008) p.127)。外国人労働者は自国民労働者の代替(substitute)や入れ替え(displace)ではなく、補完(complement)であるべきであるが実際には困難であり(OECD(2014))、非高度技能の移民労働者は、低学歴の自国民への悪影響が高いとされ、 OECD,EU諸国では、高度技能者に比較して、厳しく規制(OECD/EU (2016))。
  • OECD諸国等の外国人労働者の労働力需給調整の仕組み
    1. OECD, EU諸国では、非高度技能移民の受入にあたり、受入企業に労働市場テスト(labour market test)の実施を求めるか、割当定数(quota)や上限(cap)などの数的制限を定めている(OECD/EU(2016))。
    2. 短期間非高度技能労働者の受入に上限を設ける目的は、全体として、使用者の需要を下回る程度に受入を抑え、国内労働者の労働市場を保護することである。(OECD(2019) 更新可能な短期間高度技能労働(英国、米国)、短期間非高度技能労働(イタリア、イスラエル、米国)、季節労働(イタリア、スペイン、NZ、米国)に割当定数が設けられている。国によっては、非高度技能動労に職種別の割当定数を設けている(韓国、英国、アイルランド)。高度技能労働の永住者に職種別割当定数を設ける国もある(カナダ、オーストラリア)(OECD2019)。
  • 日本で就労する外国人労働者(在留資格別・国籍別)
    • ベトナムは「技能実習」が49.2%、次いで「資格外活動(留学等)」が30.8%。
    • インドネシアは「技能実習」が62.3%。ネパールは「資格外活動(留学等)」が75.0%。
    • フィリピンやブラジル、ペルーは「身分に基づく在留資格」が多い。
  • (参考)関連報道
    • 日本学生支援機構によると、2019年5月時点で日本で学ぶ留学生は31万人。7割以上がアルバイトに従事し、うち約半数が飲食業や宿泊業で働いていた。これらの業界は新型コロナの影響で大打撃を受けており、あおりで解雇されるなどした留学生も少なくない。京都大の安里和晃准教授(移民研究)が4~5月に京都・大阪・滋賀で暮らす外国人300人超を対象に行った調査によると、留学生(94人)のバイト収入は新型コロナの影響で平均7割減っていた。安里准教授は「多くの留学生がインバウンド向けの接客業などで働いていた。外国人観光客が激減して深刻な影響が出ている」と話す。(出典)令和2年7月27日日本経済新聞「外国人留学生、窮状続くコロナ禍でバイト収入激減」
    • 海外との往来がコロナ禍で途絶え、訪日外国人客(インバウンド)による消費が激減している。りそな総合研究所によると、今年2~12月の消費減は推計で計4兆円超と国内の旅行消費額の1割強にあたる。都道府県別にみると、上位5位までの減少額が全体の6割を占めており、地域的な影響の偏りは大きい。(出典)令和2年7月27日日本経済新聞「外国人留学生、窮状続くコロナ禍でバイト収入激減」
    • 新型コロナウイルスの感染拡大で国内の雇用環境は悪化しているが、追い風が吹く業種もある。その1つがコンビニエンスストアだ。ここ数年は人手不足などを背景に成長力が鈍化した。ところが今は販売スタッフの応募が急増。時短営業を決めた店で、24時間営業が復活するケースも出てきている。(出典)令和2年10月4日朝日新聞「(新型コロナ)インバウンド激減、打撃は失われた観光消費、全国4兆円」

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厚生労働省 2021年世界保健デーのテーマは「より公平で健康的な世界を築くために」です。
  1. 世界保健デーとは
    • 世界保健デーは、世界保健機関 (World Health Organization: WHO)が設立された1948年(昭和23年)4月7日を記念して設けられたものです。
    • 世界保健デーには、毎年、WHOによって国際保健医療に関するテーマが選ばれます。この日を中心に、世界各国でその年のテーマに沿った様々なイベントが開催されます。
    • なお、1951年5月に日本がWHOに加盟して、今年で70年目となります。
  2. 2021年世界保健デーについて
    • 2021年のテーマは、「より公平で健康的な世界を築くために(Building a fairer, healthier world)」です。
    • WHOは、全ての人があらゆる場所で、健康への権利を実現できることを目指しています。
  3. 新型コロナウイルス感染症が浮き彫りにしたもの
    • 健康は、遺伝子や生活習慣など生物学的要因だけで決まるわけではなく、人種や性別、教育、所得、職業、社会参加などの多くの要因が関係しています。新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、世界中に大きな打撃を与えていますが、特に生活に苦労している人々や雇用機会の少ない人々などに大きな影響を及ぼし、死亡率の増加や経済的被害をもたらし、健康格差を浮き彫りにしました。
      ※ 健康格差:地域や社会経済状況の違いによる集団における健康状態の差
  4. より公平で健康的な世界を築くための国際的な対応
    • 2009年の世界保健総会で、WHOは国際社会に対し、WHOと緊密に連携して、全ての政策において健康の公平性を高めるよう呼びかけました。そして、2011年の健康の社会的決定要因に関する世界会議でリオ政治宣言を採択し、全ての国で全ての状況において、健康の社会的決定要因への対策を講じることで健康を向上させ、健康の不公平性を低減するための政治的コミットメントが示されました。
    • WHOの第13次総合事業計画(2019-2023年)には、2023年までに10億人以上の人々がより良い健康と幸福を享受することが目標の1つとして掲げられています。WHOは2019年に新たに「健康の社会的決定要因部門」を設立し、保健部門を超えて健康の社会的決定要因に取り組んでいます。
  5. 日本におけるより公平で健康的な世界を築くための取組
    • 2013年より開始した健康日本21(第二次)の中で、「健康格差の縮小」を目標の1つにかかげました。特に地域格差に焦点を置き、都道府県間の健康寿命の格差の縮小に取り組んでいます。健康格差の縮小には、個人の生活習慣の改善だけでなく、個人を取り巻く社会環境の改善も重要であり、健康日本21(第二次)の基本的な方向の1つとして、企業・民間団体等の多様な主体の自発的な健康づくりの取組を促しています。
  6. 今後の展望
    • より公平で健康的な世界を築くための取組は、全ての人により良好な健康状態をもたらす社会環境の確保につながります。そしてそれは、2018年と2019年の世界保健デーのテーマであった「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」の達成にもつながります。厚生労働省は関係機関と連携しながら、各国の健康の公平性を向上させる取組を支援し、国際保健の議論に貢献していきます。

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厚生労働省 コロナ禍の雇用・女性支援プロジェクトチーム~もっとあなたを支えたい~(第3回)会議資料
▼【資料1-1】職場における女性支援策について
  • 非正規雇用労働者の前年同月差をみると、令和3年2月は、男性の減少幅が縮小した一方で、女性の減少幅が拡大した。特に、女性の「パート・アルバイト」は▲73万人となっており、減少幅の拡大が顕著となった。さらに、女性の派遣社員・契約社員の前年同月差の減少幅が拡大しており、引き続き注視が必要である。正規雇用労働者の前年同月差をみると、令和3年2月は、女性が+59万人と増加幅が拡大した一方で、男性が▲32万人と減少幅が拡大しており、引き続き注視が必要である。
  • 25~44歳女性の就業率はこの10年で約10ポイント上昇している。
  • 管理職に占める女性の割合は長期的には上昇傾向にあるが、国際的に見ると依然その水準は低い。
  • 男女間賃金格差は長期的には縮小傾向にある。男女間賃金格差の要因で最も大きいのは、役職の違い(管理職比率)であり、次いで勤続年数の違いとなっている。
  • 近年、晩婚化等を背景に不妊治療を受ける夫婦は約5.5組に1組となっている一方、不妊治療経験者のうち16%(女性では23%)が仕事と両立できずに離職するなど、不妊治療と仕事の両立支援は重要な課題。両立が難しいと感じる理由は、通院回数の多さ、精神面での負担、通院と仕事の日程調整の難しさ。
  • 不妊治療中の労働者の多くはそのことを職場に伝えていない。職場でオープンにしていない理由は「不妊治療をしていることを知られたくないから」、「周囲に気遣いをしてほしくないから」が多くなっている。
  • 不妊治療と仕事を両立する上での会社等への希望としては、「不妊治療のための休暇制度」、「柔軟な勤務を可能とする制度」、「有給休暇を時間単位で取得できる制度」が多くなっている。不妊治療と仕事の両立を図るために行政に望む支援は、「不妊治療への国民・企業の理解を深める」が最も多い。
  • テレワークガイドラインの改定等について
    • ウィズコロナ・ポストコロナの「新しい生活様式」に対応した働き方として、時間や場所を有効に活用しながら良質なテレワークの定着・加速を図ることが重要。厚生労働省では、労使で十分に話し合って、使用者が適切に労務管理を行うとともに、労働者も安心して働くことのできる良質なテレワークの導入・実施を進めていくことができるよう、昨年8月より「これからのテレワークでの働き方に関する検討会」において議論を行った。
    • 成長戦略会議の実行計画(令和2年12月1日成長戦略会議決定)においては、「テレワークの定着に向けた労働法制の解釈の明確化」が求められている。
    • 当面の規制改革の実施事項(令和2年12月22日規制改革推進会議決定)においては、「一層のテレワークの普及・促進に資するようテレワークガイドラインの改定及び関連する措置」が求められている。
    • 「これからのテレワークでの働き方に関する検討会」においては、昨年12月25日に報告書をとりまとめた。
  • 不妊治療経験者の16%(女性は23%)が、不妊治療と仕事を両立できずに離職している。両立が難しい理由は、通院回数の多さ、精神面の負担、通院と仕事の日程調整の難しさ。(※)不妊治療のための通院は、1回当たりは短時間だが、頻繁に求められることが一般的。不妊治療を受けていることを職場に知られたくないという方もおられ、配慮が必要。企業における、通院に必要な時間を確保しやすい(休みやすい)職場環境整備が必要。具体的には、以下のような多様な選択肢(休み方)を用意することが望ましい
    1. 半日単位・時間単位の年次有給休暇
    2. 不妊治療のための休暇制度や多目的休暇
    3. 時差出勤やフレックスタイム制
  • パワーハラスメントやセクシュアルハラスメント、妊娠・出産、育児休業等に関するハラスメントなど職場におけるハラスメントは、労働者の尊厳を傷つけ継続就業を妨げる大きな障害となるものであり、社会的関心も高く、労働者から多数の相談が寄せられている一方、関係法令や具体的な対応に関する周知が不十分との声がある。また、これらの職場におけるハラスメントは複合的に生じることも多く、労働者の意欲・能力の発揮を阻害し職場環境を悪化させるものであることから、総合的・一体的にハラスメント対策を行う必要がある。
▼【資料2】小室 淑恵氏 プレゼン資料
  • 職場における女性を支援する施策において、「働き方改革・男性育休・テレワーク」の3つが、昨今大きく進んだことは、本当に力になっています。
  • 特に2019年の労基法改正により、職場全体の働き方改革が進んだ企業では、一部の男性に際限なく乗せていた業務が、一定以上乗せられなくなったことにより、頭数を増やすことになり、女性の正規雇用が増えました。
  • 昨年は、コロナという黒船によって、テレワークが大幅に加速し、短時間勤務女性がフルタイムに戻すことができた例も多数ありました。
  • こうして一時的に進んだように見える「働き方改革・男性育休・テレワーク」ですが、コロナ後も後戻りせずに、日本の職場のスタンダードになれば男女ともに育児に豊かに向き合いながら働き、少子化を解決する社会を作れます。
  • 1000社の企業の働き方改革を支援してきた結果「働き方改革・男性育休・テレワーク」が後戻りしない企業の共通点は「経営者の実践・コミット」でした
  • オンワードホールディングスの失敗→成功事例
    • 人事部から「テレワークに切り替え」と全社発信。全社員1700名にデジタルデバイス(ルーター・スマートフォン)配布。
    • しかし役員は毎日全員出社。全く悪気なく「テレワークって仕事にならないだろ?」と発言。社員は皆、「テレワークなんかしてたら、仕事してないと思われる」と一斉出社。完全なトップダウン文化だった。
    • 昨秋から取締役会をオンラインで実施し、トップから率先して変化。保元社長は17日間連続テレワークを実施。各チームのオンライン会議に役員が顔を出すように。テレワークは誰もが気兼ねなく使える制度に。
    • 「幸福度高まった」84%・「風通しが良くなった」100%を達成。テレワークでも生産性が落ちず。
    • 残業時間は19%削減。さらに休日取得は10%アップ。
    • トップに忖度せず、例外なく実践する企業は後戻りしない。役員だけ特別待遇で出社前提。テレワークの生産性UPを意思決定層が実感していない企業では「重要な仕事は対面で」のまま
  • アイシン精機
    • モデルチームで働き方改革を開始→全社展開→グループ13社へ
    • 男性育休など取らせたら管理職は評価が下がると思われていた
    • 伊勢社長が男性育休100%宣言・動画を作成
    • 5日以上の育休を取得する男性は10倍に!間接職場月平均残業時間58%削減(2015年度比)年次有給休暇取得率は98.7%(2019年実績)
  • 次なる不況が来ても、女性が職を失わないために
    • 育児・介護などの事情を持つ社員が非正規化せずに働ける職場環境への変化を加速し、後戻りしない仕組みを。
    • 厚生労働省管轄の制度・助成金・奨励金・見える化の仕組みはどれも素晴らしく、企業の制度改革の助けになっていますが、経営者の変革を促すあと一歩が足りません。
    • 経営者会合で講演し「くるみんマークを知ってる方?」「しーん」「全社から、一度くるみんマークをはく奪しましょう」はよくあります。
    • 男性育休100%宣言を100社から集めるために、経営者を説得に行脚。ほぼすべての経営者から「産後うつのことも、死因が自殺で
    • あることも初耳。だから男性育休が必要だと、もっと早く国も言ってくれればいいのに」と言われます。もちろん人事は知っていました。
    • 忖度の強い企業で、人事部が経営者に「勉強させる」のは非常に困難。助成金や認定制度の条件にしてあげることが大事。ダイバーシティはなぜ重要か、経営者を裸の王様のままにしてきた
  • 「企業主導型 父親学級」に助成&くるみんの条件にできないか。企業会議室を利用し、オンラインも可。講師に産後の夫婦の家事育児分担を指導できる専門アドバイザー派遣を。
  • テレワークが正しく活用される社会へ
    • テレワークの改正でも評価方法を区別しない、時間外等のメール禁止等、コロナ禍の状況から、より多くの方がテレワークできるよう、配慮されている。一方で。テレワークでも、ツールやシステムログで時間管理をすることが可能であるにもかからず、あえて「自己申告による把握」を明記されていることは大きな問題。
    • ガイドラインより抜粋
      • パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として、始業及び終業の時刻を確認すること(テレワークに使用する情報通信機器の使用時間の記録等や、サテライトオフィスへの入退場の記録等により労働時間を把握)
      • 労働者の自己申告により把握すること(※ 労働時間の自己申告に当たっては、自己申告制の適正な運用等について十分な説明を行うこと、労働者による労働時間の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこと 等の留意点を記載)。
    • 自己申告になっていることが、最も悪用されている職場の例
      • 今月行った【中央省庁の残業代調査】で、財務省・農林水産省・特許庁はテレワーク分は払わないとしていたことが分かった。
      • 経産省は暗に「つけるな」の指示があった。
      • 中でも財務省は「テレワークには残業がつけれないと言われ、申請しても修正を指示された」。
      • 外務省は1月からテレワーク分も払われるように変更された。
      • 厚労省では「テレワーク時の残業は幹部(課長)までの事前の申請が必要とされており、申請をしづらく残業ができないor残業しても報告できない状況がある。」(20代男性)
  • 「インターバル」は従業員満足度を高め、離職率を下げる
    • 働き方改革がうまくいったと回答した人のうち、働き方改革の取組みで勤務時間インターバル制度が導入されていると答えたのは12%という結果でした。さらに、勤務時間インターバル制度の導入は有給取得率向上や基本給・賞与の増額などの他の施策と比較しても、従業員満足度が向上した割合(64.3%)および離職率の低下(35.7%)に効果的であるという結果となりました。さらに、インターバル制度の導入で企業価値が向上しやすくなることもわかりました。

~NEW~
厚生労働省 第9回 「労働市場における雇用仲介の在り方に関する研究会」資料
▼(資料2)これまでの議論の整理(案)
  1. 総論
    • これまで職業紹介事業者やハローワークを通じて労働市場を把握してきたが、求人メディア等新たなサービスを利用して入職する求職者や新たなサービスの持つ情報量が増加していることを踏まえ、労働市場の全体像を把握して雇用対策を行っていくことが重要。
    • IT技術を駆使してマッチング機能を高めつつある新たな雇用仲介サービスについて、労働市場の中で果たしている一定の役割をどのように位置づけていくか。
    • 転職を志向して求職者登録を行う求職者へのサービスと、転職を強く志向していない潜在的な求職者へのサービスが出てきていることを意識するべき。
  2. 各論
    1. 労働市場の整備
      1. 情報の的確性
        • 事業形態によらず、雇用仲介事業者が信頼できる情報を提供する責任は大きい。
        • 実際の就業条件が募集情報と異なることがあり、求人者の責任と、募集情報を利用して事業を行っている事業者の責任をどう捉えるかが重要。
        • 情報の転載やクローリングを事業として行う中で、募集情報等の的確性や信頼性をどう担保するのか、問題となり得る募集情報が除去される仕組みになっているのかという視点も必要。
        • 課金情報を優位に取り扱うビジネスの中で、課金した者の情報とそれ以外の検索結果が分けて表示されるようにするべき。
      2. 労働市場における情報フォーマットの整備
        • 労働市場に提供される職業やスキルを共通言語化する情報インフラの整備が必要。
      3. 公共の役割
        • 職業安定機関が労働市場の全体像を把握した上で、トータルマネジメントの役割を果たしていくべきではないか。
        • ハローワークが担っている領域は民間がビジネスをしにくいところであり、特に、就職困難者への対応はテーマ別にノウハウを蓄積していく必要。
    2. 人材サービスの整理
      1. 法的区分
        • 職業紹介に近いオプションを持つ募集情報等提供の登場について、どのように法的に位置づけていくか、整理すべき。
        • 募集情報等提供事業とプラットフォームはどのように区別されるのか、整理すべき。
        • 職業紹介、募集情報等提供、委託募集について一定の整理が必要ではないか。
      2. 新しいサービスの把握等
        • これまで人材サービスを提供していなかった事業者が参入しており、労働市場において守るべきルールを明確にすべき。
        • 新しいサービスを展開している事業者を把握できていないことは問題であり、何らかの形で事業概要等を報告する仕組みを導入してはどうか。その際、常にイノベーションにより新たなサービスが登場することを意識するべき。
        • ビジネスを行う上で、マッチング前後のサービスが拡大していくことを意識するべき。
        • 職業紹介、募集情報等提供、プラットフォームと分化しているサービスが複合化していくのではないか。
    3. 求職者保護
      1. 個人情報の保護
        • サービスを利用したら規約に同意しているとする対応では不十分ではないか。
        • クリックしたら規約に同意したものとされることがあるが、モデル規約などで適正化を図っていくべき。
        • 個人情報のうち、どのような情報が誰に見られているか分かるようにするべき。
        • 第三者に提供すべきでない性質の個人情報の保護について検討するべき。
        • 日本の労働市場の特性を踏まえて個人情報の保護の在り方を考えるべき。
      2. 利用者の特徴・保護
        • 求職者は人材サービスの仕組みや実態をよくわからずに利用している。求職者等に有用な情報公開を進めるべき。
        • 求職者の中には、リコメンドを待って、声をかけられたら行くというような受け身な方もいることを意識するべき。
        • AIやマッチングアルゴリズムによるアンコンシャスバイアスの再生産や、ブラックボックス化をどう回避するか。業界共通の見識が必要ではないか。
      3. 雇用以外の仲介について
        • 非労働者とされている人でも労働者性のある人や交渉力の低い人への対応は課題ではないか。
    4. 人材サービスの役割
      1. 人材サービスの役割
        • 企業向けサービスである一方で、今後少子高齢化が進む労働市場にあっては、求職者に寄り添う形での事業運営を強く意識すべきではないか。
        • ITにより情報の非対称性が軽減される中で、最後に人が決断を後押しする、キャリアの相談をするといった役割もあるのではないか。
        • 事業を行う者として、カスタマー等からの苦情処理を確実に行うことは当然ではないか。
      2. 業界団体の役割
        • 業界団体に入っていない新形態サービスが多く、業界団体による実態把握や適正化は難しい状況ではないか。
        • 新しいサービス事業者を把握する仕組みを構築した上で、業界団体がより高いサービス水準を作り、既に業界団体に加盟している事業者を含めて事業者全体の質の向上を図るべき。
        • 業界団体としても、事業者に対する苦情に、中立的に対処していくべきではないか

~NEW~
総務省 サイバーセキュリティタスクフォース(第30回)
▼資料30-1-1 サイバーセキュリティに関するインターネット利用者の意識調査結果について
  • 情報通信技術(ICT)の進展により、様々な分野においてICTの利活用が進んでいる一方、サイバー攻撃は巧妙化・複雑化し、攻撃の種類も多様化していることから、サイバーセキュリティ上の脅威は増大している。このような状況のもと、サイバーセキュリティ上の脅威をインターネット利用者が自ら認識し対応していくための普及啓発が不可欠となっている。
  • サイバーセキュリティに関する普及啓発の推進については、総務省として取り組むべき課題として、「IoT・5G セキュリティ総合対策 2020」(2020年7月)に提言されているところである。本調査はサイバーセキュリティに関する普及啓発の検討に資するため、インターネット利用者に対してサイバーセキュリティに関する意識調査を実施するものである。
  • 調査結果の概要
    • 「フィッシングメール・SMSの送信元の確認(54.1%)」「メールリンク先サイトのURLの確認(49.2%)」については、利用者のほぼ2人中1人しか確認していない。
    • フィッシングメール・SMS、フィッシングサイトによる被害防止のための有効な対策については、「ユーザ自身がもっと心掛けるべき(69.7%)」を選択した利用者が一番多いほか、「サイト運営者による対策強化(55.9%)」「ISPや携帯事業者による対策強化(47.8%)」を選択した利用者も比較的多かった。
    • 多要素認証の活用について「多要素認証が提供されている場合には、多要素認証を活用するようにしている(20.4%)」を選択した利用者が少ない。
    • 多要素認証の導入について、「面倒に感じることはあるがやむを得ない(45.8%)」、「必要なことではあるが工夫してもらいたい(17.3%)」及び「面倒に感じる(9.0%)」との回答があわせて72.1%に上っている。
    • 多要素認証を導入すべきサービスとして回答が特に多いのが「キャッシュレス決済サービスなど(81.0%)」「オンラインショッピング(65.1%)」である。
    • マルウェア感染防止のための有効な対策については、「ISPや携帯事業者等による十分なセキュリティ水準の確保(50.9%)」と過半数の利用者がISPや携帯事業者による十分なセキュリティ水準の確保を求めている。
    • 「OSのアップデートを行うようにしている(27.7%)」及び「ルータ等のファームウェアのアップデートを行うようにしている(14.8%)」を選択した利用者が少ない。
    • サイバー攻撃の踏み台になるケースがあることについて「知っている(47.7%)」とあり、フィッシングについて「知っている(74.8%)」やマルウェア感染するおそれについて「知っている(73.7%)」の認知度より低い。
    • セキュリティに関する注意喚起の情報を知る媒体について、「動画サイトやSNSなどで表示されるWeb公告(47.9%)」が多く、次いで「政府機関やセキュリティ機関などのTwitterやFacebookなどのSNS(31.2%)」、「政府機関やセキュリティ機関などのホームページ(28.7%)」と続く。
    • 政府機関の注意喚起情報の適切な伝達手法については、「動画サイトやSNSなどで表示されるWeb公告(58.8%)」多く、次いで「街中や駅・電車等に掲示されている公告(41.9%)」、「政府機関のTwitterやFacebookなどのSNS(38.7%)」と続く。
  • 今後期待される方向性
    • フィッシング被害防止のため、送信元やリンク先URLをよく確認することの重要性を周知すべきではないか。
    • ISPや携帯電話事業者に対して、フィッシング被害防止に向けた十分な対策の実施を働きかけるべきではないか。
    • ウェブサイト運営者等に対して、使い勝手の良い方法の工夫を働きかけるべきではないか。
    • 特にキャッスレス決済サービスやオンラインショッピングサイトで多要素認証の導入に対するニーズが高いことを関係者に共有していくことが適当ではないか。
    • ISPや携帯事業者によるマルウェア感染等の被害防止のためのセキュリティ対策が引き続き必要ではないか。
    • OSアップデート、ルータ等のファームウェアアップデートの必要性について周知すべきではないか。
    • サイバー攻撃の踏み台になるケースは、ユーザ自身のこととして捉えづらいため、事業者側の取組(NOTICE等)の推進も重要ではないか。
    • オンラインでの周知に注力しつつ、効果的な周知手法を検討すべきではないか。
  • インターネットサービスの1日当たり平均使用時間をみると、「1時間~2時間程度」が23.0%と高く、次いで「2時間~3時間程度」20.3%、「4時間以上」19.1%、「30分~1時間程度」17.0%と続いている。
  • 「スマートフォン」(保有93.0%、利用88.0%、最利用63.4)がすべてにおいて高く、次いで「パソコン」(保有81.6%、利用64.2%、最利用31.7%)、「タブレット端末」(保有33.9%、利用22.7%、最利用3.7%)と続いている。
  • 自宅でのルータ等の設置をみると、全体では「ルータ等を設置している」が82.4%、「ルータ等を設置していない」が12.5%となっている。
  • フィッシングに対する認知度をみると、「知っている」74.8%、「聞いたことはあるかもしれない」17.1%となっており、合わせた認知計で91.9%を占めている。ネット使用時間別では、[30分未満]の認知計が76.2%と低くなっている。ネット最利用機器別では、[パソコン]の認知が[スマホ]よりもやや高くなっている。注意喚起の情報を知る媒別体では、[イベントやセミナー]の認知が8割弱と低くなっている。
  • メール受信時に気をつけていることをみると、「リンクをむやみにクリックせず、安全と思った場合にクリックすることにしている」が65.2%と最も高く、いずれかに気をつけていると回答した人(気をつけている計)が87.1%を占める。ネット使用時間別では、使用時間が長いほど総じてスコアが高い傾向となっている。ネット最利用機器別では、[パソコン]で「リンクをクリックせず、ブックマークしてあるURLや検索結果からアクセス」「迷惑メール防止ソフトを購入して利用している」がやや高い。
  • ID・パスワードを入力する際に気をつけていることをみると、「必要以上の情報を入力しないようにしている」が58.9%と高く、次いで「サイトの管理者名・URLや記載内容等を確認して、安全なサイトであると思った場合に入力するようにしている」が49.2%で続いている。いずれかに気をつけていると回答した人(気をつけている計)は84.9%。ネット使用時間別では、[30分未満]では総じてスコアが低くなっている。ネット最利用機器別では、[パソコン]で「安全なサイトであると思った場合に入力」がやや高い。
  • 多要素認証の導入をみると、「面倒に感じることはあるがやむを得ない」が45.8%と高く、次いで「特に面倒に感じることはない」27.6%、「必要なことではあるが工夫してもらいたい」17.3%と続いている。ネット使用時間別では、[30分未満]で「特に面倒に感じることはない」が3割以上と高くなっている。ネット最利用機器別では、[パソコン]と[スマホ]とで違いは見られない。
  • 多要素認証の導入が望ましいサービスをみると、「キャッシュレス決済サービスなどの金銭のやり取りを伴うサービス」が81.0%と高く、次いで「オンラインショッピング」が65.1%で続いている。ネット使用時間別では、[2時間以上]で「オンラインショッピング」が7割とやや高い。また、[30分未満]では「キャッシュレス決済サービスなどの金銭のやり取りを伴うサービス」「オンラインショッピング」が低い。ネット最利用機器別では、[パソコン]で「SNS、メールなどのコミュニケーションサービス」がやや低い。
  • フィッシング詐欺等の被害を防ぐ有効な対策をみると、「ユーザ自身が、被害に遭わないように、もっと心掛けるべきである」が69.7%と高く、次いで「オンラインでサービスを提供するサイト運営者が、多要素認証を導入するなどなりすましによるユーザの被害を防止するための対策に努めるべきである」が55.9%で続いている。ネット使用時間別では、使用時間が長いほど総じてスコアが高い傾向となっている。フィッシング認知度別では、[知っている]層で全体的にスコアが高くなっている。
  • マルウェア感染の認知度をみると、「知っている」73.7%、「聞いたことはあるかもしれない」19.5%となっており、合わせた認知計で93.2%を占めている。ネット使用時間別では、[30分未満]の認知計が81.3%と低く、使用時間が長いほど認知が高い傾向。ネット最利用機器別では、[パソコン]の認知が[スマホ]よりもやや高くなっている。注意喚起の情報を知る媒体別では、[イベントやセミナー]の認知が8割弱と低くなっている。
  • サイバー攻撃の踏み台となるおそれの認知度をみると、「知っている」47.7%、「聞いたことはあるかもしれない」31.2%となっており、合わせた認知計で78.9%を占めている。ネット使用時間別では、[30分未満]の認知計が60.3%と低く、使用時間が長いほど認知が高い傾向。ネット最利用機器別では、[パソコン]の認知が[スマホ]よりもやや高くなっている。注意喚起の情報を知る媒体別では、[政府・セキュリティ機関のHP]がやや高い。
  • コンピュータウイルス感染防止のために気をつけていることをみると、「不審なサイトへのアクセスを控えるようにしている」が73.8%と高く、次いで「不審なメールの添付ファイルを気軽にクリックしないようにしている」が70.7%で続く。ネット使用時間別では、総じて使用時間が長いほどスコアが高い傾向。ネット最利用機器別では、[パソコン]で「OSのアップデート等を頻繁に行うようにしている」が高い。マルウェア感染認知別およびサイバー攻撃踏み台認知別では、共に[知っている]層のスコアが総じて高くなっている。ルーター等を設置している人のうち「ルータやIoT機器のファームウェアのアップデートを定期的に行うようにしている」は16.8%であり、ルーター等のアップデートによる対策は十分ではない。
  • コンピュータウイルス感染を防ぐ有効な対策をみると、「ユーザ自身が、自らの保有する機器がコンピュータウイルスに感染しないように、もっと心掛けるべきである」が69.0%と高い。ネット使用時間別では、総じて使用時間が長いほどスコアが高い傾向。マルウェア感染認知別およびサイバー攻撃踏み台認知別では、共に[知っている]層のスコアが総じて高くなっている。
  • 注意喚起の情報を知る媒体をみると、「動画サイトやSNSなどで表示されるWeb公告」が47.9%と高く、次いで「政府機関やセキュリティ機関などのTwitterやFacebookなどのSNS」31.2%、「政府機関やセキュリティ機関などのホームページ」28.7%と続く。職業別では、大学生・大学院生および専門家で「街中や駅・電車等に掲示されている公告」が顕著。ネット使用時間別では、概ね使用時間が長いほどスコアが高い傾向。ネット最利用機器別では、[パソコン]で「政府機関やセキュリティ機関などのホームページ」がやや高い。
  • 政府機関の注意喚起情報の適切な伝達手法をみると、「動画サイトやSNSなどで表示されるWeb公告」が58.8%と高く、次いで「街中や駅・電車等に掲示されている公告」41.9%、「政府機関のTwitterやFacebookなどのSNS」38.7%と続く。ネット使用時間別では、概ね使用時間が長いほどスコアが高い傾向。ネット最利用機器別では、[パソコン]で「動画サイトやSNSなどで表示されるWeb公告」「街中や駅・電車等に掲示されている公告」がやや低い。

~NEW~
総務省 委託業務受託者のサーバーに対する不正アクセス
  • 総務省において業務委託を行っている事業者(以下「受託者」という。)のサーバーがランサムウェアの被害を受け、当該業務の実施に関連し、同社が保有する情報が流出した可能性があると報告を受けましたので、お知らせいたします。なお、現時点で情報の流出は確認されていません。
    1. 委託内容
      • 委託件名:令和2年度地域運営組織の形成及び持続的な運営に関する調査研究事業
        • 委託期間:令和2年8月27日から令和3年3月31日まで
      • 委託件名:令和2年度被災市区町村応援職員確保システムに関する情報伝達・連携訓練における支援業務
        • 委託期間:令和2年2月29日から令和3年3月31日まで
      • 委託件名:小規模市町村の災害対応能力向上訓練における運営支援及び手引き作成業務
        • 委託期間:令和2年4月3日から令和3年9月30日まで
        • 受託者は全てランドブレイン株式会社(東京都千代田区平河町一丁目2番10号)
    2. 経緯
      • 2月23日 サーバーの異常を発見
      • 2月25日 受託者からサーバーのランサムウェアに関する第一報(地域振興室所管分9名、防災課所管分12名が該当)
      • 3月31日 受託者から調査状況の第二報(同時点で情報流出は確認されず)
      • 4月5日 応援派遣室所管分につき、該当者が444名と確認
      • 4月6日 地域振興室所管分につき、新たに該当者が6,280名と確認
    3. 委託業務に関する個人情報
      • 地域力創造グループ地域振興室分
        • 研究会委員(9名)の氏名、住所、口座情報
        • 調査対象の地域運営組織及び市区町村の担当者(6,079名)の氏名、電話番号、メールアドレス
        • 研修会の運営・参加に係る行政職員(201名)の氏名、電話番号、メールアドレス
      • 公務員部応援派遣室分
        • 「情報伝達・連携訓練」の実施に係る自治体職員(444名)の氏名、電話番号、メールアドレス
      • 消防庁国民保護・防災部防災課分
        • 訓練実施に係る県・モデル町の担当者(8名)の役職、氏名、電話番号、メールアドレス
        • 消防庁担当者(4名)の旅費支払等のための役職、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、口座情報
    4. 今後の対応
      • 現在、受託者においてデータ流出の有無等について調査を進めているところです。
      • 総務省としては、受託者に対し、情報流出の可能性がある該当者に連絡するとともに、速やかに調査を進め、流出の有無及び原因を明らかにし、再発防止策を講じるよう求めています。

~NEW~
国土交通省 「MaaS関連データの連携に関するガイドライン」を改訂しました!~デジタル社会の変化に対応したMaaSを後押し~
▼MaaS 関連データの連携に関するガイドラインVer.2.0(概要)
  1. MaaSにおけるデータ連携の方向性
    • MaaSにおいて、データ連携を行う上では、関連するデータが円滑に、かつ、安全に連携されることが重要
    • 民間事業者等によるプラットフォームの構築が進み始めていることを踏まえ、既存又は今後構築されるプラットフォームがAPI等で連携されることが望ましく、MaaSアプリ等についても、各アプリ等がAPI等で連携し、一つのアプリ等で複数のアプリ等を利用できる状態になることが望ましい
  2. ガイドライン策定の背景・趣旨
    • データ連携を円滑かつ安全に行うために留意すべき事項を整理し、MaaS提供の促進や、MaaS相互の連携促進を企図。環境変化や技術進展等を踏まえ、必要に応じて見直しを検討
  3. MaaSにおけるデータ連携の構造
    1. Society5.0リファレンスアーキテクチャに基づき、以下のレイヤー毎に、MaaSにおいて留意すべき事項を整理
      • 戦略政策:MaaS提供にあたっての目的(目指すビジョン及び目的の明確化等)
      • ルール:データ連携を行う上でのルール(協調的・競争的データ、データの取扱い等)
      • 組織:MaaSに関連するプレイヤー(地域やMaaSの特性に応じた体制の構築等)
      • ビジネス:ビジネスとしてのMaaS(収入とデータ連携に必要な費用等)
      • 機能:MaaSにおけるサービスに係る機能(機能の調整、ローカライズ等)
      • データ:MaaSに必要となるデータ(公共交通等関連データ、関連分野データ等)
      • データ連携:データ連携の方法等(API仕様、国際的なデータ連携等)
      • アセット:MaaSを支えるアセット(政府・自治体、民間、個人、インフラ等)
  4. MaaS関連データにおける協調的・競争的の考え方
    1. 協調的データ:最低限のルール等に基づき、各MaaSプラットフォームを利用する全てのデータ利用者が利用可能なものとして、当該プラットフォームに提供等が行われるデータ
    2. 競争的データ:契約等により個別に共有が行われるものとして、各MaaSプラットフォームに提供等が行われるデータ
      1. 一般利用者が基本的なMaaSを享受する上で特に重要なデータ(MaaS基盤データ)は、協調的データとするよう努める
      2. 一般利用者が利便性の高いMaaSを享受する上で重要なデータ(可能な限り、協調的データとすることが望ましい)
      3. それ以外は、各主体が協調的・競争的の判断を行った上で提供等を行う
  5. MaaS関連データとして想定される以下のデータ項目を列挙
    1. 公共交通等関連データ(交通事業者等からの静的・動的データ等)
    2. MaaS予約・決済データ(利用者によるMaaSの予約・決済に関わるデータ等)
    3. 移動関連データ(出発地から目的地までの一連の移動実績・トリップデータ等)
    4. 関連分野データ(生活・観光等サービス、道路・インフラ、車両、環境に関する情報等)

~NEW~
国土交通省 デジタル化の急速な進展やニューノーマルに対応した都市政策のあり方検討会
▼中間とりまとめ(概要)
  • 新型コロナ危機を契機に生じた変化
    • 新型コロナ危機を契機とし、デジタル化の進展も相まって、テレワークの急速な普及、自宅周辺での活動時間の増加等、人々の生活様式は大きく変化(ニューノーマル)。これに伴い、ワークライフバランスの重視など、「働き方」や「暮らし方」に対する意識や価値観が変化・多様化。
    • 「働く」「暮らす」場である都市に対するニーズも変化・多様化。職住遊学の融合、自宅以外のワークプレイス、ゆとりある屋外空間の構築などが求められるように。
    • 二地域居住をはじめ、人々のライフスタイルに応じた多様な働き方・暮らし方の選択肢を提供していくことが必要
  • 目指すべきまちづくりの方向性
    • 市民一人ひとりの多様なニーズに的確に応える(人間中心・市民目線のまちづくりの深化)
    • ニーズに対応して機敏かつ柔軟に施策を実施(機動的なまちづくりの実現)
    • 地域の資源として存在する官民の既存ストック(都市アセット)を最大限に利活用し、市民のニーズに応えていくことが重要
  • 都市アセットを「使う」「活かす」
    • 職住遊学の融合など、官民の都市アセットの一体的利活用による空間づくり
    • 空き家をコワーキングスペースにするなど、都市アセットのリノベーション
    • 街路⇔オープンスペースなど、都市アセットを可変的・柔軟に利活用
    • 公・民・学の多様な関係者が連携してまちのビジョンを共有
    • 公園などまちなかでの社会実験の実施
    • データを活用したシミュレーションや効果検証、デジタル技術による新たなサービス
  • 官民の多様な主体によるビジョンの共有“自然や景観・歴史文化”“人や企業のつながり・コミュニティ”などの地域資本の活用
    • 都市アセットのポテンシャルを引き出す空間づくり
    • 使われていない土地や限られた空間の有効活用
    • 公共空間の可変的・柔軟な利活用
    • デジタル技術を活用した都市サービスの提供
    • まちなかでの社会実験
    • まちづくりの担い手、プロセスの充実
    • データの整備・共有に向けたルールづくり
  • 施設の用途や管理の形態に着目した施設の分類と都市アセットの考え方
    • 指定管理者制度や管理協定等による施設管理分野における官民連携の進展、官民の既存ストックを一体的に捉えたオープンスペース化やミクストユースの広がり等により、施設の用途や管理の形態に着目して施設を公的/私的に分類することは難しくなってきている。
    • 「都市アセット」への該当性は、当該施設が公的/私的性質を有するか、という観点ではなく、当該施設が都市生活の質や都市活動の利便性向上に資する都市機能を提供し得るか、という観点から判断する必要がある。

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