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危機管理トピックス

企業のサステナビリティ開示に関する報告書(金融庁)/防衛白書(防衛省)/令和3年版 労働経済の分析(厚労省)/職場における新型コロナ対策の徹底について経済団体などに協力を依頼(厚労省)

2021.07.19
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更新日:2021年7月19日 新着20記事

ガラス製のような透けた地球がグラフの上に浮かび上がる画像

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 金融安定理事会による「新型コロナウイルス感染症の世界的大流行に関する金融安定上の観点からの教訓:中間報告書」の公表について
  • 証券監督者国際機構(IOSCO)による「企業のサステナビリティ開示に関する報告書」の公表について
首相官邸
  • 新型コロナウイルス感染症対策の進捗に関する関係閣僚会議
  • 知的財産戦略本部
厚生労働省
  • 「令和3年版 労働経済の分析」を公表します
  • 職場における新型コロナウイルス感染症対策の徹底について経済団体などに協力を依頼しました~「新型コロナワクチンの接種」や「保健所との連携」などについての留意点を周知依頼~
経済産業省
  • 「データによる価値創造(Value Creation)を促進するための新たなデータマネジメントの在り方とそれを実現するためのフレームワーク(仮)」骨子案の意見公募手続(パブリックコメント)を開始しました
  • 「特許行政年次報告書2021年版」を取りまとめました
  • 「仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業」の報告書を取りまとめました
  • 「繊維産業のサステナビリティに関する検討会」報告書を取りまとめました
総務省
  • プラットフォームサービスに関する研究会 中間とりまとめ(案)についての意見募集
  • 「消費者保護ルールの在り方に関する検討会報告書2021(案)」に対する意見募集
  • 「ポストコロナ」時代におけるテレワークの在り方検討タスクフォース(第5回)
国土交通省
  • 東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について~交通政策審議会より答申をいただきました~
  • パナソニックコンシューマーマーケティング(株)による技術検定の実務経験不備等について

~NEW~
警視庁 ネガティブ・オプション(送り付け商法)
  • ネガティブ・オプションとは、注文していない商品を、勝手に送り付け、その人が断らなければ買ったものとみなして、代金を一方的に請求する商法です。
  • 事例として、叙勲者に皇室の写真集や叙勲者名簿を送り付けて、しつこく代金を請求するというケースがあります。
  • 特定商取引法が改正されました
    • 令和3年7月6日以降売買契約に基づかないで、一方的に送り付けられた商品は直ちに処分することができます。
  • こんなときは
    • 売買契約に基づかないで送付された商品を受け取ったときは商品を直ちに処分することができます。
    • 事業者から金銭を請求されたときは金銭を支払う必要はありません。
    • 商品を開封や処分しても、金銭の支払いは不要です。事業者から金銭の支払を請求されても応じないようにしましょう。
    • 商品の代金を誤って支払ってしまったときは代金について返還を請求することができます。
    • 令和3年7月5日までは改正前の法律が適用されます。令和3年7月5日までに届いた商品は送り返すか、使用せず保管する場合は14日間経ってから処分するようにしてください。

~NEW~
内閣官房 第4回孤独・孤立に関するフォーラム テーマ「女性」
▼赤石氏資料
  • ひとり親世帯の現状
    • ひとり親世帯数 30年間で母子世帯は1.5倍、ただし、最近5年間は減少
    • 母子世帯数 84.9万世帯⇒123.2万世帯
    • 同居者あり38.7%
    • 父子世帯数 17.3万世帯⇒18.7万世帯
    • 同居者あり55.6%
    • ひとり親になった理由 離婚80%
    • 未婚の母 8.7%、死別8%
  • 就業状況 ひとり親の現状
    • 就業率は高い…が母子世帯の母 81.8% 父子世帯85.4%
    • (非正規雇用 43.8%)
    • (海外のひとり親家庭の就業率) アメリカ(66.4%)、イギリス(52.7%)、フランス(68.8%)、イタリア(71.6%)、 オランダ(74.2%)、ドイツ(64.9%)、日本(85.9%)OECD平均(66.5%)
    • 年間就労収入は低い
    • 母子世帯の母 200万円 父子世帯の父 398万円
    • 子どものいる世帯の平均収入 707.8万円と比較すると母子世帯収入 348万円 49.2% 父子世帯収入 455万円 81.0%
    • 養育費は取得率が母子世帯で約5ポイント上昇。面会交流率など全体に上昇、面会交流率のほうが養育費取り決め率より高い
  • 婚姻関係事件の申立動機にはDVが多い
  • 日本のひとり親家庭の相対的貧困率は先進国最悪
  • コロナ期:シングルマザーの7割がコロナによる雇用・収入に影響があったと回答
  • コロナ期:特にサービス職・販売職・生産工程職などが影響を受けた
  • 収入減により食費を削るシングルマザーが増え、子どもに影響があった
  • コロナ期:PCやタブレットがない32%、接続料が不足30%
  • 日本におけるシングルマザー
    • 就労率が高いが就労収入が低い→お金がない、時間がない
    • 友人、知人とつきあう時間、お金の余裕がない
    • 情報をとりにいく時間がない
    • インターネットには正しい情報があるとは限らない ネットの情報にふりまわされやすい→自分と子どもにかかわる情報でも正しい情報が得にくい 例:「中学のときの奨学金の学校推薦がもらえず奨学金がもらえなかった。だから大学に入っても奨学金はもらえないのだろう
    • 出現率はそれほど高くない →少数派である(学校、保育園、幼稚園、職場) →同じ立場の人と出会ったことがない →自分がシングルマザーであることをカムアウトしにくい →孤立
    • DV被害を受けて離婚している親子が3~4割 ・自分の事情を人に言うことは危険 ・知人親族に理解してもらえない(「いい旦那さんでDV をふるうようには見えないわ」) ・メンタルヘルスの悪化 →孤立
    • 自己尊重感を奪われて生きづらくなっている 「わたしがダメだから」「わたしの努力が足りなかったから」「子どもに申し訳ない」「子どもが後ろ指さされてはいけない!」(だからしつけなきゃ)
    • 心身の健康度が高くない
    • 自己責任だから(離婚を選んだのは自分だから自分ひとりでがんばるべき)助けをもとめてはいけない 相談先は親族知人で公的な相談窓口ではない
  • 「ほんとうに自立している人というのは助けてと言える人だよ」「助けてもらったら恩送りしてね」
    • デジタル格差 PCをもっていない人が多い →検索機能を利用できない人もいる →情報格差
▼松本氏資料
  • 住み慣れた地域を離れて、名前も変えて・・・理不尽な孤立・孤独 なぜ?
    • DV/性暴力被害者が、何故住み慣れた地域を離れて、困難な生活を強いられるのでしょうか?
    • こんなことになったのは、「暴力・暴言」を、本人の同意なく選んだ加害者の責任なのに・・・
    • でも、社会の目は、言葉は厳しくて、とても耐えられない。
    • あなたの努力が足りなかったのではないの?
    • あなたにも、スキがあったのではないの?
    • 彼も大変なのよ。許してあげては?あなたにも非があったのでは?
    • もちろん、完璧な女性などいません。たとえ非があったとしてもそのような扱いを受けるのは、理不尽な人権侵害です。他の解決方法があるのに、暴言暴力を選んだ人の責任です。しかし、社会は、加害者責任を問わず、被害を受けた女性をさらに非難し追い詰めます。
    • 歴史を通じて、女性と子どもは抑圧され続けてきました。「親指より太い棒で妻を殴ってよい」親指の法は、19世紀まで受け継がれました。
    • なぜ?今も、暴力が終わらないのでしょう!
    • なぜ?被害者が隠れ続けて、加害者は太陽の下で今まで通りの生活が?
    • なぜ?加害行動を選ぶのをやめましょう!と、社会は言わないの?
  • DV/性暴力被害から離れて→あらたな「つながり」までの困難さ
    • 離れても続く、加害者の終わりのない支配;面会交流
    • PTSD・鬱状態・乖離から回復する道のりの長さ
    • 希死念慮との闘い(私なんか生きる価値がない)→社会は、私を必要としない。
    • 人が怖い!引きこもりの中で、どうつながりを回復するか?
    • コロナ期で顕著になった、DV被害女性の危機→相談ができない
    • 小さな子どもを残して自死!→彼女ではなく社会の問題
    • 私たちの社会は、偏見だらけ、同調圧力で人を孤立させ、死に追いやる。
    • 模範的な被害者しか支援できないシステム→事実、重複した問題を抱えた大変な当事者こそ支援が必要
    • 一人一人に寄り添ったきめ細やかな支援が、孤立化を防ぐ。→ライン相談・食糧支援をコロナ期に新設しました。
    • 社会が多様性を受け入れることで、孤立化を防ぐ。
    • そのために必要なのは、「地域の連携」
  • 女性と子どもの同時並行心理教育プログラムびーらぶ<Beloved>
    • 非暴力に焦点をしぼったプログラム
    • 心理教育プログラム-心理療法ではない
    • 子どもと母親の同時並行
    • DVは、個人の問題ではなく社会の問題である。
    • 暴力の加害者責任
    • エンパワメントの思想
    • フェミニズムの視点
    • 暴力ではない方法で葛藤を解決する方法を学ぶ
  • 女性と子どものサポートとして「訪問事業」開始
    • 秋・養育困難な家庭への訪問支援員 養成講座 開催
    • 虐待・DVの早期発見、早期介入を!
    • 地域の寄り添いで、育児困難の軽減をはかりたい
    • 女性の心の健康を維持するためにレスパイトの時間を確保
    • 日本のシングルマザーの生活費は、世界でも低い水準
    • シングルマザーのワークライフバランスは、無し!
    • シングルマザーの「自分の時間」は、無し!
    • 女性と子どもの貧困は、深刻!

~NEW~
防衛省 防衛白書
▼第I部 わが国を取り巻く安全保障環境 第1章 概観
  • 現在の安全保障環境の特徴として、第一に、国家間の相互依存関係が一層拡大・深化する一方、中国などのさらなる国力の伸長などによるパワーバランスの変化が加速化・複雑化し、既存の秩序をめぐる不確実性が増している。こうした中、自らに有利な国際秩序・地域秩序の形成や影響力の拡大を目指した、政治・経済・軍事にわたる国家間の競争が顕在化している。
  • このような国家間の競争は、軍や法執行機関を用いて他国の主権を脅かすことや、ソーシャル・ネットワークなどを用いて他国の世論を操作することなど、多様な手段により、平素から恒常的に行われている。こうした競争においては、いわゆる「ハイブリッド戦」が採られることがあり、相手方に軍事面に止まらない複雑な対応を強いている。また、いわゆるグレーゾーンの事態が国家間の競争の一環として長期にわたり継続する傾向にあり、今後、さらに増加・拡大していく可能性がある。こうしたグレーゾーンの事態は、明確な兆候のないまま、より重大な事態へと急速に発展していくリスクをはらんでいる。
  • 第二に、テクノロジーの進化が安全保障のあり方を根本的に変えようとしている。情報通信などの分野における急速な技術革新に伴う軍事技術の進展を背景に、現在の戦闘様相は、陸・海・空のみならず、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域を組み合わせたものとなっている。各国は、全般的な軍事能力の向上のため、また、非対称的な軍事能力の獲得のため、新たな領域における能力を裏付ける技術の優位を追求している。さらに、各国は、人工知能(Artificial Intelligence)技術、極超音速技術、高出力エネルギー技術など将来の戦闘様相を一変させる、いわゆるゲーム・チェンジャーとなり得る最先端技術を活用した兵器の開発に注力している。
  • 軍事技術の進歩は、民生技術の発展に依るところも大きく、民生技術の開発や国際的な移転が、各国の軍事能力向上に大きな影響を与える可能性が考えられる。今後のさらなる技術革新は、将来の戦闘様相をさらに予見困難なものにするとみられる。
  • 第三に、一国のみでの対応が困難な安全保障上の課題が顕在化している。
  • まず、宇宙・サイバーといった新たな領域の安定的利用の確保が国際社会の安全保障上の重要な課題となっている。近年、各国においては、国全体としてのサイバー攻撃対処能力の強化が進められているほか、国際社会においては、宇宙空間やサイバー空間における一定の行動規範の策定を含め、法の支配を促進する動きがみられる。
  • また、海洋に関しては、既存の国際秩序とは相容れない独自の主張に基づいて自国の権利を一方的に主張し、行動する事例がみられるようになっており、公海における航行の自由や上空飛行の自由の原則が不当に侵害されるような状況が生じているほか、各地で海賊行為などが発生している。
  • さらに、核・生物・化学(Nuclear, Biological and Chemical)兵器などの大量破壊兵器とそれらの運搬手段である弾道ミサイルなどの拡散や国際テロの問題は、依然として、国際社会にとっての大きな脅威の一つとして認識されている。
  • また、2019年末以降中国で発生した新型コロナウイルス感染症の対応にあたって各国は、流行当初から医療機関とともに軍の衛生機能や輸送力、施設なども活用して自国の同感染症への対応に努めた。一方で、軍の中でも感染者が発生し、訓練や共同演習の中止・延期を余儀なくされるなど、軍事活動などにも様々な影響・制約をもたらした。その後、ワクチンの開発が進むと、米国などにおいては、ワクチン接種に関する業務に軍が動員される事例がみられた。
  • 新型コロナウイルス感染症に関しては、偽情報の流布を含む様々な宣伝工作やいわゆる「ワクチン外交」など、自らに有利な国際秩序・地域秩序の形成や影響力の拡大を目指した動きも指摘されている。例えば、ロシアと中国は、自国で開発したワクチンを世界中で集中的に宣伝し続けており、いわゆる「ワクチン外交」は、欧米製ワクチンなどに対する信頼を損なうための偽情報や工作活
  • 動と結びついている旨指摘されている。また、中国は、周辺国の軍へワクチンを提供しており、最近の南シナ海をめぐる中国の動きに対する警戒感への懐柔を図っているとの指摘もある。このように、今後、新型コロナウイルス感染症への対応をめぐって国家間の戦略的競争が一層顕在化していくと考えられることから、安全保障上の課題として重大な関心をもって引き続き注視していく必要がある
  • わが国周辺には、質・量に優れた軍事力を有する国家が集中し、軍事力のさらなる強化や軍事活動の活発化の傾向が顕著となっている。
  • また、わが国を含むインド太平洋地域の各国は、政治体制や経済の発展段階、民族、宗教などの面で多様性に富み、また、安全保障観、脅威認識も様々であることなどから、安全保障面の地域協力枠組みは十分制度化されておらず、地域内における領土問題や統一問題といった従来からの問題も依然として残されている。
  • 朝鮮半島においては、半世紀以上にわたり同一民族の分断が継続し、南北双方の兵力が対峙する状態が続いている。また、台湾をめぐる問題のほか、南シナ海をめぐる問題なども存在する。さらに、わが国について言えば、わが国固有の領土である北方領土や竹島の領土問題が依然として未解決のまま存在している。
  • これに加えて、近年では、領土や主権、経済権益などをめぐる、純然たる平時でも有事でもない、いわゆるグレーゾーンの事態が国家間の競争の一環として長期にわたり継続する傾向にあり、今後、さらに増加・拡大していく可能性がある。こうしたグレーゾーンの事態は、明確な兆候のないまま、より重大な事態へと急速に発展していくリスクをはらんでいる。
▼国際テロリズムの動向
  • 世界各地において、民族、宗教、領土、資源などの問題をめぐる紛争や対立が、依然として発生又は継続しており、これに伴い発生した人権侵害、難民、飢餓、貧困などが、紛争当事国にとどまらず、より広い範囲に影響を及ぼす場合がある。
  • また、政情が不安定で統治能力がぜい弱な国において、国家統治の空白地域がアル・カーイダや「イラクとレバントのイスラム国」(Islamic State in Iraq and the Levant)をはじめとする国際テロ組織の活動の温床となる例も顕著にみられる。こうしたテロ組織は、不十分な国境管理を利用して要員、武器、資金などを獲得するとともに、各地に戦闘員を送り込んで組織的なテロを実行させたり、現地の個人や団体に対して何らかの指示を与えたりするなど、国境を越えて活動を拡大・活発化させている。さらに近年では、インターネットなどを通じて世界中に暴力的過激思想を普及させている。その結果、欧米などの先進国において、社会への不満から若者がこうした暴力的過激思想に共感を抱き、国際テロ組織に戦闘員などとして参加するほか、自国においてテロを行う事例がみられる。ISILやアル・カーイダなどのテロ組織は、支持者に向けて、機関誌などを通じてテロの手法を具体的に紹介し、テロ実行を呼びかけている。こうした中で、テロ組織が拡散する暴力的過激思想に感化されて過激化し、居住国でテロを実行する、いわゆる「ホーム・グロウン型」テロが引き続き脅威となっている。特に近年では、欧米などにおいて、国際テロ組織との正式な関係はないものの、何らかの形でテロ組織の影響を受けた個人や団体が、単独又は少人数でテロを計画及び実行する「ローン・ウルフ型」テロが発生している。「ローン・ウルフ型」テロの特徴としては、刃物、車両、銃といった個人でも比較的入手しやすいものが利用されることや、事前の兆候の把握や未然防止が困難であることがあげられる。
  • また、2019年3月には、ニュージーランドのクライストチャーチにおいて、テロ事件(銃乱射事件)の実行犯が犯行時の様子をソーシャル・メディア上でライブ配信し、その映像が瞬時に拡散されるという、これまでにない事案が発生した。同事件ではイスラム教の礼拝所であるモスクが白人至上主義を信奉する者により襲撃を受けたが、こうした極右思想を背景とした特定の宗教や人種を標的とするテロについても欧米諸国で特に顕著となっている。
  • さらに、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行に伴い、テロ組織などが各地で勢いを増す可能性が危惧されている。2020年9月、グテーレス国連事務総長は、テロリストが新型コロナの感染拡大で生じた社会的、経済的苦境につけ込み新たな支持者の獲得を試みていること、また、ネオナチや白人至上主義者がコロナ禍に乗じて社会の分断を扇動しているなどと警告し、国際社会が結束して対応することが緊要であると訴えた。国連の報告書によれば、テロ組織や暴力的過激主義者はソーシャル・メディアを介して新型コロナウイルスに関する偽情報や陰謀論を流布し、政府に対する信頼の失墜、自らの思想の正当化、リクルート活動の強化などを目論んでいるとされる。
  • こうしたオンライン上でのリクルート活動に対しては、新型コロナの蔓延によって通学や雇用の機会を失い、インターネットの使用時間が増える若者が特に脆弱であると指摘されており、新たな課題となっている。
  • このように、国際テロ対策に関しては、テロの形態の多様化やテロ組織のテロ実行能力の向上などにより、テロの脅威が拡散、深化している中で、テロ対策における国際的な協力の重要性がさらに高まっている。現在、軍事的な手段のみならず、テロ組織の資金源の遮断、テロリストの国際的な移動の防止、暴力的過激思想の拡散防止などのため、各国が連携しつつ、様々な分野における取組が行われている。
  • ISIL系国際テロ組織の動向
    • ISILは独自のイスラム法解釈に基づくカリフ2制国家の建設やスンニ派3教徒の保護などを組織目標としている。2013年以降、宗派間の対立や内戦により情勢が不安定であったイラク、シリアにおいて勢力を拡大し、2014年1月以降、シリア北部・東部、イラク北部などを制圧して、同年6月には、バグダーディーを指導者とする「イスラム国」の樹立を一方的に宣言した。
    • これを受け、米国が主導する有志連合軍は、同年8月以降イラクにおいて、また同年9月以降はシリアにおいても空爆を実施するとともに、現地勢力に対する教育・訓練や武器供与、特殊部隊による人質救出などにも従事している。こうした軍事作戦との連携により、イラク治安部隊やイラク及びシリア現地勢力が、米国などの支援を受けつつ、ISILの拠点の奪還を進めた。その結果、2019年3月、トランプ米大統領が声明で有志連合とともにシリア及びイラクにおけるISILの支配地域を100%解放したと宣言するに至った。また、シリアのアサド政権は、ロシアの支援を受け、主にシリア南部や東部におけるISILの拠点を制圧し、2017年12月、ロシアはISILからのシリア全土の解放を宣言した。さらに、2019年10月、米国は「イスラム国」の指導者バグダーディーをシリア北西部で殺害したと発表した。
    • このように対ISIL軍事作戦に進展がみられる一方、依然として約1万人の戦闘員がイラク及びシリアで活動しているとの指摘もある。この点、両国内の様々な地域で、ISILの戦闘員によるものとみられる治安部隊、有志連合軍、市民などを標的としたテロが発生しており、ISILは、依然活動を継続しているとみられる。特にシリアにおいては、シリア北東部で米軍の一部が撤収し、2019年10月にトルコ軍がクルド人勢力に対する軍事作戦を開始したことを利用して、ISILがシリアにおける能力及び資産の再構築と国外で攻撃を計画する能力の強化を図り、勢力を盛り返す可能性が指摘されている。さらに、ISILは、欧米諸国が新型コロナウイルス対策に傾注している状況に乗じて、テロの準備を行うよう支持者に呼び掛けている。ISILがコロナ禍で経済的苦難に喘ぐ若者を標的としたリクルート活動を行っているとの報告もある。
    • 一方で、ISILが「イスラム国」の樹立を宣言して以降、イラク、シリア国外に「イスラム国」の領土として複数の「州」が設立され、こうした「州」が各地でテロを実施している。
    • 東南アジアにおいては、ISILを支持する組織が存在し、治安部隊や市民を標的としたテロ攻撃を実施している。また、南アジアにおいては、2019年4月、スリランカで邦人の犠牲者を出す大規模な同時爆破事件が発生した。スリランカ当局は、現地のイスラム過激派組織を実行犯として摘発する一方、同組織が海外のテロ組織の支援を受けた可能性に言及している。事件後、ISILが犯行声明を発出しており、米国は、今回のテロについて、ISILに感化された犯行の可能性があると指摘している。ISILは、ソーシャル・メディアなどを通じて暴力的過激思想を拡散させており、その脅威がこうした地域にも浸透していることが懸念される。また、アフリカ地域におけるテロも深刻化しており、特に西アフリカでは、ISILに忠誠を誓うテロ集団による襲撃が相次ぎ、犠牲者や避難民が急増している。
    • このほか、欧米諸国などでは、イラク、シリアに流入する外国人戦闘員が両国で戦闘訓練や実戦経験を積んだ後、本国に帰国してテロを実行する懸念が引き続き存在している。欧州では、2015年11月にパリで発生した同時多発テロや、2016年3月にベルギーで発生した連続爆破テロのように、シリアでの戦闘に参加したISILの戦闘員が関与したとみられるテロが発生している。こうした
    • 外国人戦闘員をめぐっては、2019年11月、トルコが拘束していた1,200人に上るISIL戦闘員を本国へ送還すると発表したことを受け、欧米諸国が一部受け入れを開始しているものの、今後も外国人戦闘員によるテロを防止するため、国際社会による様々な取組が求められる。
  • ISIL系国際テロ組織以外の動向
    • 主にパキスタンやアフガニスタンで活動するアル・カーイダは、多くの幹部が米国の作戦により殺害されるなど弱体化しているとみられる。しかしながら、北アフリカや中東などで活動する関連組織に対して指示や勧告を行うなど、中枢組織としての活動は継続している。また、現在の指導者であるザワヒリは欧米へのテロを呼びかける声明を繰り返し発出しており、アル・カーイダによる攻撃の可能性が根絶されたわけではない。
    • このほか、アル・カーイダに関連するイスラム教スンニ派の過激派組織として、イエメンを拠点に活動する「アラビア半島のアル・カーイダ(AQAP)」、アルジェリアに拠点を置き、近隣のマリ、チュニジア、リビアなどでも活動する「イスラム・マグレブ諸国のアル・カーイダ(AQIM)」、ソマリアを拠点に活動する「アル・シャバーブ」も引き続き活動を行っている。
    • また、アフガニスタンを拠点に活動しているイスラム教過激派組織タリバーンは、アフガニスタン各地で武力活動を継続している。2020年2月、米国とタリバーンとの間で、駐アフガニスタン米軍の条件付き段階的撤収及びアフガニスタン人同士の交渉開始などを含む合意が署名され、9月にはアフガニスタン政府とタリバーンによる和平交渉が開始されたものの、その後もタリバーンはアフガニスタン治安部隊への攻撃を行っており、政府や外国人を標的とした自爆攻撃や銃撃などを継続する可能性は否定できない。
▼気候変動が安全保障環境や軍に与える影響
  • 2013年9月、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、大気と海洋の温暖化、雪氷の融解、海面水位の上昇、温室効果ガス濃度の増加の観測により、気候システムの温暖化には疑う余地がないとする報告を公表した。こうした気候変動の影響は、地域的に一様ではなく、また気象や環境の分野にとどまらず、社会や経済を含む多岐にわたる分野に及ぶものと考えられており、2016年11月には温室効果ガス排出削減などのための新たな国際枠組みであるパリ協定が発効している。こうした中、国連安全保障理事会は、近年、アフリカにおける国連の安定化ミッションや支援ミッションを中心とした10を超える決議において、水不足、干ばつ、砂漠化、土壌の劣化、食料不足といった例をあげ、気候変動による安全保障への負の影響を指摘するなど、気候変動問題を安全保障上の実体的な課題としてより積極的に取り扱う姿勢を見せている。
  • 気候変動を安全保障上の課題と捉える動きは各国にも広がっており、たとえば、気候変動による複合的な影響に起因する水、食料、土地などの不足は、限られた土地や資源を巡る争いを誘発・悪化させるほか、大規模な住民移動を招き、社会的・政治的な緊張や紛争を誘発するおそれがあると考えられている。
  • また、広範にわたる気候変動の影響は、国家の対応能力にさらなる負荷をかけ、特に、既に政治・経済上の問題を抱えている脆弱な国家の安定性を揺るがしかねない旨指摘されている。そして、こうして不安定化した国家に対し、軍の活動を含む国際的な支援の必要性が高まるものと見込まれている。
  • このほか、温室効果ガスの排出量の規制やジオエンジニアリング(気候工学)の活用をめぐり、国家間における緊張が高まる可能性も指摘されている。
  • さらに、北極海では、海氷の融解により航路として使用可能となる機会が増大するとともに、海底資源へのアクセスが容易になるとみられることなどから、沿岸国が海洋権益の確保に向けて大陸棚の延長を主張するための海底調査に着手しているほか、北極海域における軍事態勢を強化する動きもみられる。また、雪氷の融解に関しては、黄河、長江、メコン川、インダス川、プラマプトラ川など、アジアにおける多くの大河の源流であるチベット高原において氷河の融解が及ぼす影響についても注目を要する旨が指摘されている。
  • 気候変動による各国の軍に対する直接的な影響として、異常気象の増大は大規模災害の増加や感染症の拡大をもたらすと考えられており、災害救援活動、人道復興支援活動、治安維持活動、医療支援などの任務に、各国の軍隊が出動する機会が増大することが見込まれている。
  • また、気温の上昇や異常気象、海面水位の上昇などは、軍の装備や基地、訓練施設などに対する負荷を増大させると考えられている。
  • このほか、軍に対しても、温室効果ガスの排出削減を含むより一層の環境対策を要求する声が高まる可能性が指摘されている。
  • 各国は、気候変動が安全保障環境や軍に与えるこのような影響について検証し、これに対応していく考えを政策文書などで示している。
  • 世界規模で活動し、国家水準の温室効果ガスを排出するとの指摘もある米軍を擁する米国は、米軍の施設や活動などに対する影響を検証するとともに、その影響への対応や温室効果ガスの排出量抑制に向けて積極的に取り組む方針を示している。
  • 米国防省は、オバマ政権期の2010年2月に公表された「4年ごとの国防計画の見直し」(Quadrennial Defense Review)を気候変動への対応に関する政策の基盤として位置づけている。この中で、気候変動及びこれと不可分の関係にあるエネルギーの問題は、将来の安全保障環境の形成にあたって重要な役割を担うものとされ、国防省は気候変動が及ぼす影響に対応するとともに、この影響を緩和するための取組を促進するとの方針が示されている。この一環として、国防省は、核動力に加えてバイオ燃料との混合燃料を活用した米海軍の「グレート・グリーン・フリート」をはじめとした温室効果ガスの排出削減にも資する代替燃料の導入に向けた取組を進めていた。
  • トランプ政権期においても、国内外における米軍の施設や活動を対象として気候変動に対する脆弱性の評価を継続しており、このうち、2019年1月に公表された国内施設に関する調査報告書においては、水害、干ばつ及び山火事の3項目が主要な懸念事項とされ、特に、調査対象である79の主要施設のうち、60施設が将来的な水害に対して脆弱であるとされている。また、同報告書は、国家の不安定化、軍のロジスティックス、北極圏の問題、人道支援・災害救援など米軍の活動に関する項目についても評価を実施しており、気候変動は米軍の一部の任務に影響を及ぼしかねないとされている。
  • こうした認識も踏まえ、バイデン大統領は政権発足後の2021年1月、気候変動に関する大統領令を公布した。この中で、「気候変動と国家安全保障」と題したオバマ政権期の大統領覚書を復活させる条項を設け、同政権の政策との継続性を示している。また、気候変動は気候危機に変化したとの認識を示したうえで、気候危機を同政権の対外政策及び国家安全保障の中心に位置づけるとし、国防長官に対して、気候変動が安全保障に及ぼす影響の分析や、国家防衛戦略をはじめとする各種戦略・政策文書の策定においてこの影響を組み込むよう指示している。これを受け、オースティン国防長官は気候変動に関する声明を発表した。この声明において、増大する水害、干ばつ、山火事及び異常気象による米国内の施設に対する影響を既に毎年受けているほか、砂漠化がもたらした社会の不安定化や、北極を経由して敵対国が米本土に接近する脅威、そして世界各地における人道支援の要求といった諸要因に起因する作戦を実行してきており、国防省は気候変動が任務、計画及び施設に劇的な影響をもたらすことを認識しているとした。そのうえで、バイデン大統領の指示のもと、気候変動を国家安全保障上の不可欠の要素として捉え、その影響を戦略の策定や計画の指針などの中に組み込むとの方針を示している。この声明では、気候変動に関連する技術の開発を促し、温室効果ガスの排出にかかるアプローチを見直す旨も合わせて言及されている。
  • 気候変動にかかる国際的な取組を主導する国の一つであるフランスは、気候変動を数あるリスクの中でも最前線のものと位置づけ、広大な海域を擁する海外領土の観点からも、軍による作戦上の適応と持続可能な開発に向けた貢献が必要であるとの考えを示している。フランス国防省は、2018年に公表した気候変動に関する政策文書において、異常気象の激化は人道危機の数を増やし深刻度を高め、より大規模な軍の動員が必要になるとしている。また、「グリーン・ディフェンス」政策を掲げ、軍の装備については環境に配慮した設計を選好するとともに、軍の施設のエネルギー効率を高め、再生可能エネルギーを用いることで、温室効果ガスの排出量を抑制するとの方針を示している。
  • 気候変動の影響に対して最も脆弱な場所の一つと考えられている大洋州島嶼国と関係の深いオーストラリアは、気候変動を一因とする近隣諸国の脆弱性を自国の戦略環境を形成する主な要素の一つと位置づけ、地域の不安定化を防止するため積極的に取り組む方針を打ち出している。オーストラリア国防省は、2016年2月に公表した国防白書において、気候変動は近隣諸国にとっての主要課題であり、近隣諸国の不安定化はオーストラリアに重大な影響をもたらすため、これらの国を支援していくことが極めて重要であるとの考えを示している。また、海面水位の上昇は海軍基地に影響を及ぼし、頻発する異常気象は国防関連施設に損害を与えかねない旨指摘したうえで、国防省は気候変動に対して適切な態勢を築くとしている。
  • 同じく大洋州島嶼国との関係が深いニュージーランドは、気候変動への備えと対応は軍の最優先事項に該当すると位置づけて対応していく方針を示している。ニュージーランド国防省は、2019年11月に公表した政策文書において、自国の領土と周辺地域において作戦の遂行が可能な能力を最優先するとしているが、気候変動への対応はこれに該当すると位置づけている。そのうえで、特に自国の周辺地域において、将来的に災害救援・人道支援任務が増加するとし、こうした気候変動に由来する任務の増加に適応していく必要性があるとしている。また、気候変動によって海上での活動が増加すると想定しており、海上輸送や空輸、海洋哨戒などの能力を強化するとともに、6,000人規模を増員する防衛力整備計画を通じてこうした活動の所要に対応していくとの考えを示している。このほか、将来的な排出抑制につなげるために、まずは温室効果ガスの排出量の測定手法の確立に取り組むとしている。
  • このように、気候変動が安全保障環境や軍にもさまざまな影響を与えうるとの認識が急速に共有される中、2021年4月には、米国主催の気候変動サミットの中で気候安全保障セッションが開催された。同セッションは、オースティン米国防長官が司会を務め、岸防衛大臣をはじめ、米国家情報長官、米国国連大使、北大西洋条約機構(NATO)事務総長、イラク・ケニア・スペイン・英国の国防相およびフィリピンの財務相が参加して、気候変動がもたらす世界的な安全保障上の課題とこれに対する取組について議論が交わされた。この中で各国国防相は、国防省が災害対応を求められる機会が増えており、災害への備えと対応の強化の必要性が高まっていることに言及するとともに、気候変動リスクを共有する各国国防省の協力が利益になると説明している。国防当局が対応を検討し、対策に乗り出す中、気候変動を安全保障上の課題として重大な関心をもって注視していく必要がある。

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消費者庁 第21回消費者契約に関する検討会
▼【資料1】 消費者の取消権
  1. 困惑類型の脱法防止規定<主な意見>
    • 霊感等による知見を用いた告知(第6号)は異質であることから、すべてを包括した受皿規定を設けることは困難であり、類型ごとに分けて脱法防止のための規定を設けてはどうか。
    • 第1号と第2号の受皿規定と、事務局資料の事例2(第20回資料1の9頁)を対象とする受皿規定を考えるべき。第8号は第7号の受皿規定となっているところ、第8号の脱法行為は想定しがたいのではないか。
    • 第1号・第2号、第7号・第8号の共通性を括り出すこともあり得るのではないか
    • 事業者が勧誘に際して不退去その他の不利益を作出し、当該不利益に起因する心理的圧迫を利用して契約を締結させた場合が考えられる。
    • 「害悪の告知+畏怖」とまでは言えない「強引・威迫的勧誘行為+困惑」類型を捉えるのが適切である。
    • 事務局資料の事例1、事例2(第20回資料1の8・9頁)のような「強迫的な言動」、「度重なる電話での勧誘」、「長時間の拘束」などの具体的な行為を規制できる規定にする必要。
    • 第1号、第2号の受皿規定として、有形無形の力を用いて消費者の意思を歪めるものの一例という観点から、「威力を用いることにより、消費者に対し直ちに契約を締結するか否かを判断するよう求めること」が考えられる。
    • 事務局資料の事例2に対応するため、「勧誘をするためのものであることを告げずに、営業所その他特定の場所への来訪を要請した場合において、事業者が消費者の意思に反して勧誘し、直ちに契約を締結するか否かを判断するよう求めること」が考えられる
    • 消費者と事業者との間で「取引上の社会通念」の意味が一致しているとは限らず、取引が多様化する中で社会通念も多様化していることに照らすと、信義則の方が分かりやすい。
    • 「取引上の社会通念」を基準とすると、業界の常識に反するような勧誘は駄目だということで、イノベーティブな勧誘方法が基本的にはすべて否定されることにもなりかねない。
    • 「妨げる行為」を具体化するか、逐条解説等で具体例を挙げるなどにより、勧誘の違法性の水準を緩和するものではない点を明記すべき
    • 規定の方向性
      • 消費者の心理状態に関する事業者の認識を要件としない類型について、事業者による不当な働きかけを、(1)消費者の行動を制約する行為(第1号・第2号)、(2)消費者に心理的な負担を生ぜしめる行為(第7号・第8号)へと類型化した上で、類型ごとに同等の不当性を有する場合を捉える受け皿となる規定を設けてはどうか。
      • 第1号・第2号→「前二号に掲げるもののほか、(正常な商慣習に照らして不当に)当該消費者の行動を制約することにより当該消費者の判断の自由を制限する行為」
      • 第7号・第8号→「前二号に掲げるもののほか、(正常な商慣習に照らして不当に)当該消費者に、当該消費者契約を締結しなければならないという心理的な負担を生ぜしめる行為」※第8号の要件を緩和し整理することも考えられる
  2. 心理状態に着目した規定<主な意見>
    • 高揚感や期待をあおる行為についても取り消すことができるようにすべき。
    • 通常行われている営業活動が取消しの対象とならないようにすべき。
    • ヒューリスティックな意思決定への勧誘者の悪質な誘導が問題。気が散って意思表示に対して集中できない環境下の勧誘が想定され、短い時間での意思決定に限られないのではないか。
    • 「極めて短く限定する勧誘」に該当するかどうかは、商品、取引類型などに照らして判断されるので、「取引の類型や契約締結の態様(等)に照らして」といった判断のための考慮要素を加えることも考えられるのではないか。
    • 「極めて短く」がどの程度の長さの時間を指すのかについて、少なくとも判断指標を示す必要があり、例えば契約金額の大小が考えられるのではないか。
    • 「極めて短く限定」について、商品・サービスによって時間が異なるため、契約の目的物等の特性に考慮した解釈を逐条解説に示す等していただきたい。
    • 「期間を極めて短く限定する勧誘」がどの程度の期間を指すのか、どのような場合を規制対象となるのかを明らかにすべき。1日限定のタイムセールやキャンペーンの最終日の勧誘などができなくなると、影響が大きい。
    • タイムセールなど、意思表示をする期間を極めて短く限定することが合理的な勧誘が存在する。
    • 正当な理由がない場合とはどのようなケースか、より明確化する必要。
    • 提案がどのような場面を想定しているのかが分かりにくい。これだけを取り出すと不実表示の問題にも見えるので、浅慮の惹起が問題であることを表す必要がある。
    • 不意打ちがあったとしても、心理学的な意味での浅慮になるとは限らないので、そのような心理状態に陥ることを要件とすべきではないか。
    • 契約を締結するか否かの判断を求めることは通常行われていることなので、前回(第12回)の提案にあった「迫る」に意味があったのではないか
    • 規定の方向性
      • 「(1)事業者が、正常な商慣習に照らして不当に消費者の判断の前提となる環境に対して働きかけることにより、消費者が適切な判断をすることができない状況を作出し、(2)消費者の意思決定が歪められたことが問題」ではないか。
      • (1)について、検討時間を制限する行為や、高揚感をあおる行為、注意力を削ぐ行為等の要素(これらの要素が複合的に利用される場合も含む。)を検討。
      • (2)について、(1)の行為がなければ、一般的・平均的な消費者であれば当該契約を締結するという判断をしない場合を想定。
  3. 判断力不足に着目した規定<主な意見>
    • 取消しの対象となる契約に該当するのか否かについて、事業者が契約時に判断できるよう、対象となる契約を具体化・明確化すべき。
    • 「当該消費者が契約の締結を必要とする事情がある場合その他の正当な理由がある場合でないのに」という部分の明確化も必要。
    • 多くの高齢者は、現時点では蓄財があっても、取り崩して生活をすることになるので、「将来にわたって」という部分の解釈を明確にする必要。
    • 現時点では直ちに生活に支障を及ぼさない場合であっても、将来の生活に支障を及ぼす可能性があれば対象になることを明らかにすべき。
    • 「将来にわたって」という部分が具体化されるのであれば、「不可逆的な」は削除してもよい
    • 事業者側に悪意と同視される程度の重過失がない場合を除外するといった規定の方が柔軟に対応できるのではないか。
    • 事業者の無過失を要件とすると、事業者に、自宅を売却する理由や貯蓄等に関する調査義務・注意義務が生じ、取引社会にかなり大きな影響を及ぼすのではないか。
    • 事業者に重過失がある場合に限定すると、訴訟や消費生活相談の実務において活用できなくなる。
    • 契約締結を必要・相当とする事情があると信じ、かつ信じたことに理由がある場合もありうるので、この点を更に検討すべき。
    • 事業者が、当該消費者の周囲の複数の人間に確かめるなどして、支障がないと判断した(が、その判断が誤っていた)という場合には契約が取り消されることがないことを確認しておくとよいのではないか
    • 正常な事業活動が取消しの対象とならないよう、判断力の著しい低下について、事業者の主観面(悪意か有過失)を要件とすべき。
    • 事業者の悪意が要件とならないとしても、事業者側に当該消費者には十分な判断力があるものと信ずべき正当な理由がある場合には取消しを免れる、という規律も検討に値するのではないか。
    • 対象を限定することで事業者の立場に配慮したことや、被害救済の救済コストの分担という観点から、事業者の主観的要件は設けるべきではない。
    • 消費生活相談の実情として、事業者から、判断力に問題があることは分からなかったと言われてしまうと、それ以上、あっせんは進まない。
    • 規定の方向性
      • 取消しの対象となる契約について、対象とすべき根拠とともに、事業者がどのような認識であれば取消しを受容すべきかを整理し明確化を図ることとしてはどうか。
      • 当該消費者の生活を将来にわたり成り立たなくするような契約を対象として想定。
      • 取消しの対象となる契約であることについて、事業者の悪意又は悪意と同視される程度の重過失がない場合には、取り消すことができないものとしてはどうか。
      • 消費者の判断力については、客観的な基準により判断することとし、事業者の認識は要件としないこととしてはどうか。
▼【資料2】 立証責任の負担を軽減する特則における営業秘密の保護
  • 訴訟上の特則における営業秘密の保護
    • 積極否認の特則と秘密保持命令の関係をどのように考えるのか。
    • 秘密保持命令等を設けるのであれば、文書提出命令の特則についても導入することが考えられるのではないか。
    • 秘密保持命令を導入した際に、特許法等における実務運用(事前協議等)をそのまま「平均的な損害」に係る訴訟においても実施することができるのか
  • 積極否認の特則と秘密保持命令の関係をどのように考えるのか。<関係する主な意見>
    • 仮に積極否認の特則を設ける場合には、営業秘密の漏洩防止の観点から、特許法に準じた守秘義務や罰則をもうけるべき。
    • 特許法で積極否認の特則が導入された当時は秘密保持命令の規律はもともとなかった。積極否認の特則と秘密保持命令は1対1で対応するものでもないだろう。
    • 消費者に義務が加重されることによって委縮して、積極否認の特則が効果的に使われることがあまりなくなってしまう。
    • 文書提出命令の特則では、「文書や記録の提出」となるため、そこに書かれている内容が問題となるが、積極否認の特則では説明すべきことを説明すればいいという側面があり、差があると考えている。
  • 秘密保持命令等を設けるのであれば、文書提出命令の特則についても導入することが考えられるのではないか。<関係する主な意見>
    • 説明についての努力義務、積極否認の特則のいずれも弱い効果にとどめられている。最後は文書提出命令の特則によることができるという形のほうが、実効性の点で、また、全体の制度設計の点で望ましいのではないか。(ただし、利用主体を適格消費者団体に限る)
    • 個別の消費者が不当性を争う形ではなく、事業者対適格消費者団体の訴訟を中心にして不当条項の不当性を判断していく方向性も消費者全体の利益のためになるのではないか。
  • 秘密保持命令を導入した際に、特許法等における実務運用(事前協議等)をそのまま「平均的な損害」に係る訴訟においても実施することができるのか
    • 提案:積極否認の特則を導入しても、事業者は「相当の理由」により裁判において営業秘密を明らかにする必要がなく、営業秘密の保護が図られることを踏まえると、秘密保持命令のような(重厚な)制度は、文書提出命令の特則を導入する場合(この場合は、事業者が、強制的に、裁判において営業秘密を明らかにせざるを得ないと考えられる。)に導入することとしてはどうか。
▼【資料3】 解除権の行使を制約する条項
  • 解除権の行使を制約する条項のうち、どのようなものを第10条の第1要件の例示とするか。<主な意見>
    • 口頭でも意思表示として採られるものであれば十分だという規律に対して、例えば書面によるということになっていれば、現在でも契約法第10条の第1要件には該当することになるのではないか。そうしたときにわざわざ第1要件の例示として置くのは、基本的にはもうアウトという推定が強く働くようなものだけれども、合理的な場合もあり得るものを切り出すことになるのではないか。
    • 「過重な」という評価を入れると、もう直ちに信義則に反するという方向にならざるを得なくなり、第1要件という説明は理論的に難しいのではないか。
    • 解約を実際にするために費用あるいは労力が不相当に大きくなっているタイプのものがおそらく第1要件の例示にふさわしいものではないか。しかし「不相当」とするとやはり評価的な要素が入っていることになるので、どうかという問題は残るかもしれない。
    • 「容易に知り得ない」ものは条項としてもあり得るとは思うが、運用面も条項の有効性に入れるという立場をとるにしても、第2要件の問題となるのではないか。「容易に知り得ない」が全く意味がないとは思わないが、想定したものはうまくつかめていないのではないか
    • 解除を申し出た方が正当な解除権者なのか、また、単独で解除できるのか否か等を書面で確認することは民法のデフォルトルールに基づいて求められる取り扱いであり、また、原本や写しによる本人確認は犯罪収益移転防止法や裁判例などに基づいて事業者が行っている取り扱いであり、これらは明確に除外されるべき。
    • 当然に電話によることは全て駄目であることにはならないが、第1要件の例示として書くとすれば、合理的な本人確認の必要があるような場合か。
  • 提案
    • 契約法第10条第1要件に、消費者の解除権の行使について、解除に係る手続に必要な範囲を超えて(※)、消費者に労力又は費用をかけさせる方法に制限する条項を例示してはどうか。(なお、必要な範囲を超えているが、消費者にかけさせる労力又は費用の程度が低い場合は、第2要件に該当せず、第10条により無効とはならない。)※ 「本人確認その他の解除に係る手続に必要な範囲を超えて」とすることも考えられる

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国民生活センター ポイントサイト利用によるトラブルに注意
  • 内容
    • 事例:SNSで、指定されたサイトに登録するとフリマのポイントがもらえるという「ポイントサイト」の広告を見た。無料期間中に解約すればポイントだけが無料でもらえると思い、指定された約30個のサイトに登録していった。途中からアダルトサイトになり、心配になって登録するのをやめた。すでに登録したサイトも解約したいが連絡先が分からないサイトが10個ある。解約したいがどうしたらいいか。(当事者:高校生 男性)
  • ひとことアドバイス
    • ポイントサイトとは、そのサイトを経由して指定されたサイトの会員登録や商品購入、アンケート回答などを行うことでポイントが貯められるサービスです。利用する際は、ポイントの獲得条件などをよく確認しましょう。
    • 無料期間やキャンペーンなどで試しに利用する場合でも、指定先の各サイトごとに利用規約や解約条件をきちんと確認しましょう。
    • 解約するときなどに必要となるので、IDやパスワードなどをしっかり管理することも大切です。
    • 困ったときは、すぐにお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

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金融庁 金融安定理事会による「新型コロナウイルス感染症の世界的大流行に関する金融安定上の観点からの教訓:中間報告書」の公表について
▼金融安定理事会による報告書「新型コロナウイルス感染症の世界的大流行に関する金融安定上の観点からの教訓:中間報告書」 エグゼクティブ・サマリー(仮訳)
  • 新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」)のパンデミックは、2008年の金融危機を受けたG20の金融規制改革が行われて以来初の、グローバルな金融システムに対する大きな試練である。
    • 2008年の金融危機とは性質が大きく異なるものの、この現実の試練は、G20の金融規制改革の機能度を含め、金融面の政策に対する重要な教訓があるだろう。現段階におけるいかなる分析も、パンデミックがまだ終息していないこと、また、その経済、金融への影響は大胆な政策の実行により大きく緩和されていることを念頭に置く必要がある。したがって、他の基準設定主体と協力して作成した本報告書の目的は、新型コロナの経験を踏まえた金融安定面の暫定的な教訓や、国際的なレベルで更なる注意が必要となり得る、G20の金融規制改革の機能度に関する側面を特定することである。
  • グローバルな金融システムは、世界金融危機以降のG20の金融規制改革によって高まった頑健性と、迅速、断固かつ大胆な国際的な政策対応により、これまでのところパンデミックを乗り切ってきた。
    • これらの規制改革の効果的な実施によって、金融システムの中核部分は、2008年の危機時と比べより頑健な状態でパンデミックを迎えた。大手行はより高い水準の資本・流動性を保持しているほか、レバレッジは低い状態にあり、このことによって大手行は、マクロ経済のショックを増幅させるのではなく吸収することが可能となった。金融市場インフラ、特に中央清算機関は、企図された通り機能した。もっとも、パンデミックの経験は、金融セクターの中での頑健性の違いも明らかにした。主要な資金調達市場は、2020年3月に強いストレスを経験し、実体経済への資金供給の維持、経済的支援の提供、米ドル調達市場における緊張の緩和、市場機能の維持を目的とした、当局による断固たる前例のない対応を強いることとなった。
  • 2008年以降、G20が導入した強力な国際基準と、それが備えていた柔軟性は、新型コロナ感染拡大初期における各国の効果的な政策対応を支援した。
    • 幅広い金融、財政、規制、監督上の措置は、金融システムに対する新型コロナの影響を緩和した。法域固有の状況や必要性を反映し、当局は総じて、実体経済への資金供給を支援すべく、国際基準に内在した柔軟性を活用した。一時的な措置を個別にみると、極端な金融環境に対応し、金融機関に業務遂行上の追加的な柔軟性を提供することを目的に、利用可能な柔軟性の範疇を超える事例も少数あった。新型コロナに係るFSB原則にもとづくモニタリングや協調体制は、レベルプレイングフィールドを歪め有害な市場分断に繋がり得る行動を抑止した。
  • 2020年3月の市場混乱は、ノンバンク金融仲介(NBFI)セクターの頑健性向上の必要性を強調した。
    • 新型コロナの影響は、流動性ミスマッチや、レバレッジ、相互連関性に起因する、当セクターの脆弱性を明らかにした。この脆弱性が、流動性の不均衡を引き起こし、「キャッシュへの駆け込み」(dashforcash)の局面においてストレスを伝播させた可能性がある。また、3月の市場混乱は、NBFI間、およびNBFIと銀行の間の相互連関性の重要性を明らかにした。混乱の背景となった金融システムの構造やメカニズムは引き続き存在している。金融安定理事会(FSB)は、NBFIの便益を維持しつつ頑健性を高めるための包括的な作業計画を策定してきた。規制裁定と市場分断を回避するために、NBFIへの政策対応における、国際協力、協調を継続することが重要である。
  • 資本・流動性バッファーの機能度については更なる検討が必要となり得る。
    • 銀行はこれまでのところ、一般的に、貸出需要を満たすために資本・流動性バッファーを利用する必要はなかった。銀行は、パンデミックの局面において、政策措置による下支えにより、強固な資本ポジションを維持した。もっとも、いくつかの証拠は、銀行は規制枠組みに組み込まれた柔軟性があるのにもかかわらず、たとえ必要があったとしてもバッファーを取り崩すことを躊躇していた可能性を示唆している。当局は、カウンター・シクリカル・バッファーを迅速に引き下げたが、それは必ずしも利用可能でなかったか、マクロプルーデンス上の追加的な対応余地を提供するためには必ずしも十分な規模でなかった。また、銀行は全体として大規模な流動性面の圧力に直面しなかったものの、一部の銀行は、流動性の水準を規制上の最低所要水準以上に維持すべく予防的な措置を講じた。
  • 金融システムの過度なプロシクリカリティについて、いくつかの懸念が残っている。
    • 2020年3月の市場混乱のピーク時には、複数のデリバティブ市場において、マージンコールが想定よりも大規模、または市場参加者に十分予期されないかたちで発生し、そのことが全体的な現金需要に上乗せされた。特定の投資家の行動は、流動性需要の不均衡の増幅や金融システムを通じたそれらの伝播に寄与した。規制要件は、ディーラーの行動を決定する主因ではなかったとみられるものの、複数の市場で発生した不均衡を和らげようとする銀行のインセンティブを引き下げた可能性がある。更に、信用格付会社が設定する格付けの機械的な利用は、2008年以降は減少したものの、特定の分野で持続しているとみられる。また、新しい予想信用損失型引当に係る枠組みにより生じる貸倒引当金の計上の潜在的なプロシクリカリティについて、更なる検証作業が必要であろう。より一般的には、支援措置が潜在的な増幅メカニズムの影響を軽減してきた、または遅らせてきたため、金融システムのプロシクリカリティに関する結論を引き出すことは時期尚早とみられる。
  • パンデミックは、ショックが生じる前に効果的なオペレーショナル・リスク管理の枠組みを整備しておくことの重要性を明らかにした。
    • 予防的なロックダウン措置は、全ての金融市場の参加者の業務継続計画を試すこととなった。金融機関や金融市場インフラは、業務継続計を発動し、短期間で在宅勤務体制を整備した。新たな課題に直面したにも関わらず、金融機関は、概して、この体制下で想定よりも大幅に長い期間にわたり業務を継続することができ、一部でみられた、取引量が大幅に増加した場面においてさえも、金融市場が秩序だって機能することを担保した。
  • 当局は、危機管理の備えを更に向上させる取組みを継続するべきである。
    • 監督カレッジや危機管理グループ等の近年設立されたクロスボーダーの枠組みは、当局間の適時かつ効果的な情報共有や協調を促進した。シナリオにもとづくストレステストは当局の政策調整に資したほか、再建・破綻処理計画が金融機関の危機対応能力を向上させた。業界との、または対外的な明確なコミュニケーションは、政策措置の実効性の下支えに資した。当局は、情報共有の更なる強化や、特定されたデータギャップへの対応や分析ツールの向上を含めた、監督・規制上の政策を変化していく環境へ適合させ続けることの余地を、探り続けるべきである。危機時や破綻処理時の、信頼性の高い流動性管理やシステム全体の危機管理の枠組みの確保に向けた努力も継続されるべきである。
  • システミックな脆弱性の早期の特定は、引き続き優先的取組み事項である。
    • 新型コロナのパンデミックは、今もなお、グローバルな金融システムの頑健性に対する試練となる可能性がある。政策措置が続く下では、足許の低水準な企業倒産は継続するものとみられる。もっとも、銀行やノンバンクの貸し手は、こうした支援措置が終了すると、追加的な損失に引き続き直面し得る。足もとのストレステストの結果では、大規模な銀行は十分な資本を有しており、幅広い回復シナリオの中において頑健性を維持することが示唆されている。もっとも、非金融部門の信用状況が悪化する状況下において、銀行がどのように実体経済への信用供与を続けるかという点は必ずしも明確ではなく、それが存続可能な事業の特定を困難にしている。また、(法域によって)景気循環が異なることや金利差の拡大は、突然ドル建ての投資が法域間で再配分されることによる、新興国市場からの無秩序な資本流出を招き得る。
  • パンデミックの負の遺産の一つは、非金融部門におけるレバレッジの高まりと過剰債務であると考えられる。
    • 新型コロナの感染拡大以前より、企業や一部国家における高水準の債務は既に懸念事項であり、急速かつ大規模な信用供与は、特に新型コロナの影響を最も強く受けた部門における債務水準を更に引き上げた。存続不能な企業の市場からの退出の促進や、存続可能な企業への効果的な資源の再配分を含む過剰債務への対応は、今後、政策立案者の重要な任務となると考えられる。
  • 新型コロナの経験は、積み残されたG20の金融規制改革の要素を完了させることの重要性を強調している。
    • グローバルな金融システムのうち、世界金融危機後の規制改革の実施が最も進んでいる部門は、頑健性を示した。バーゼルⅢや店頭デリバティブ市場改革、破綻処理の枠組み、NBFIの規制改革を含む、規制改革の完全、適時かつ整合的な実施が金融安定にもたらす便益は、合意当時と同様に、今日においても重要である。また、マクロプルーデンス政策が実務上どのように機能しているかという点を含め、こうした改革が実施された後、意図した通り効果的に機能しているかを評価することも重要である。
  • 新型コロナは、実体経済やグローバルな金融システムにおいて急速な技術変化が進む中、頑健性向上の必要性を強調した。
    • 在宅勤務の枠組みは、金融サービスにおける新たな技術の適用を促進し、デジタル化を加速させた。クラウドサービス等のサードパーティ事業者への外部委託は、金融機関のオペレーショナル・レジリエンスを高めたとみられる一方、こうしたサービスへの依存の高まりは、新たな課題や脆弱性も生じさせ得る。サプライチェーン全体を通したこうしたリスクの適切な管理が、オペレーショナル・リスクやサイバーリスクを低減する上で必要不可欠である。
  • 10月の最終報告書は、今後のステップを提示する。
    • 今回の中間報告書は、これまでの分析から得られた暫定的な調査結果や論点について、外部の利害関係者と議論を行うために利用される。10月のG20サミットに提出される最終報告書は、それまでに行われるFSBや基準設定主体の作業や、利害関係者との議論から得られる結果を反映し、その時点での教訓や、特定された論点への対処に向けた今後のステップを提示するものとなる。

~NEW~
金融庁 証券監督者国際機構(IOSCO)による「企業のサステナビリティ開示に関する報告書」の公表について
▼IOSCOメディアリリース(仮訳)
  • IOSCOは、サステナビリティ報告の世界的な一貫性、比較可能性及び信頼性を向上させるため、投資家に焦点を当てたサステナビリティ基準のグローバルなベースラインに向けたIFRS財団の作業に対するビジョンと期待を詳しく説明。
  • 証券監督者国際機構(IOSCO)の代表理事会は、本日、企業のサステナビリティ開示に関する報告書を発表した。IOSCOのサステナブル・ファイナンス・タスクフォース(STF)によって作成された本報告書は、投資家のためにサステナビリティ報告の一貫性、比較可能性及び信頼性を向上させることが急務であることを示している。STFの設立後1年以上経過し、サステナビリティ情報開示に関する官民双方の取り組みに世界的な機運が高まっている。IOSCOの活動目的は、投資家の進化する情報ニーズ及び、市場がサステナビリティに関連するリスクと機会を評価し、資本配分をサポートすることを支援することである。
  • IOSCOの重要な活動の一つとして、国際会計基準(IFRS)財団が行っている、投資家のニーズを満たすための共通のグローバルなサステナビリティ報告基準の開発及び、各法域がサステナビリティに関する開示要件を設定又は実施する上で考慮すべきベースラインの設定への関与がある。IFRSは、国際会計基準審議会(IASB)と並び、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の設立を目指しており、本報告書では、ISSBに対するIOSCOのビジョンと期待について詳しく説明している。先日、G7財務大臣及び中央銀行総裁は、「頑健なガバナンス及び公的監視の下、TCFDの枠組及びサステナビリティ基準設定主体の作業を基礎としたベースラインとなる基準」を策定するというIFRS財団の作業プログラムを歓迎した。
  • IOSCOは、企業のサステナビリティ報告の指針として、国境を越えて、あるいは国内で使用するために、ISSBが策定する将来の基準について、承認を検討する予定である。そのためには、強力なガバナンス及び意思決定に有用なコンテンツに関するIOSCOの期待を満たすことが必要である。
  • IOSCOは、国際的な基準を採用、適用、又はその他の方法で利用するための国内の取り決めが、個々の法域によって異なることを認識している1。個々の法域は、法域を超えて、一貫性、比較可能性、及び信頼性のあるサステナビリティの開示を促進し、個々の法域の取り決めや、より広範な法律及び法的枠組みの中で、共通のグローバルな基準のベースラインを採用、適用又はその他の方法で利用することを検討することが重要である。また、国際的な基準は、国や地域、企業のコミュニティによって異なるニーズ、プロファイル、リソースを考慮し、柔軟かつ拡張性のある方法で適用されることが重要となる。
  • IOSCOの議長であり、香港証券先物委員会(SFC)長官であるAshleyAlderは、次のように述べている。
    • 「サステナビリティ情報を含めた、完全でタイムリーかつ包括的な企業報告は、市場が適切に機能し、投資家を保護するための絶対的な基盤となる。本報告書は、IFRS財団の下で、投資家に焦点を当てたサステナビリティ基準のグローバルなベースラインを構築し、サステナビリティ報告のグローバルな一貫性、比較可能性及び信頼性を向上させるというIOSCOのビジョンを示している。ISSBは、強力なガバナンス、明白な独立性及び厳格なデュープロセスを確立することが不可欠である。ISSBが計画している”気候優先”のアプローチは適切であり、他のESGトピックに関する情報を求める投資家のニーズに応えるため、ISSBが迅速に行動することを期待している。」
  • IOSCOサステナブルファイナンス・タスクフォースの議長であり、スウェーデン金融監督庁長官であるErik Thedèenは、次のように述べている。
    • 「IOSCOは、2021年11月までのISSBの設計と設立に向けたIFRS財団評議員会の技術的準備作業に密接に関与し、監視している。IOSCOの期待が満たされれば、IOSCOは、ISSBのサステナビリティ基準が一貫性、比較可能性及び信頼性のあるサステナビリティ報告のためのグローバルなベースラインであると認識し、関連当局がサステナビリティ関連の開示を義務化するアプローチにおいて、ISSBの基準を考慮するよう奨励することを検討する。IOSCOによるISSBの潜在的な承認についての見解を形成するために、今後数ヶ月間の技術的専門家グループの作業を楽しみにしている。また、機関投資家のサステナビリティ開示とESG格付及びデータ提供者に関する補完的なIOSCO市中協議文書公表を予定している。」
  • ファクトシート
    • 本報告書は、2021年2月の代表理事会のプレスリリースで示された、企業のサステナビリティ開示の改善に向けたIOSCOのビジョンの3つの重要な要素に焦点を当てている。
    • 強固なガバナンス基盤を持つISSBの設立
      • ISSBは、企業価値創造に焦点を当てた投資家志向のサステナビリティ開示基準をグローバルに提供できる可能性がある。この基準は、各国の法域がサステナビリティ開示要求を設定・実施する際、国内の法的枠組みと適切に整合するように考慮することができる。
      • ISSBは、国際的な基準設定主体をサポートするための重要なガバナンスの特性を有した、IFRS財団の3層構造のガバナンス構造の恩恵を受けることができる。これには、IOSCOが議長を務めるモニタリングボードに代表される資本市場当局に対するIFRS財団評議員の公的説明責任、基準設定主体の技術的能力と独立性、厳格で透明性が高く、包括的で参加型のデュープロセスなどが含まれる。
      • IOSCOは、IFRS財団評議員会がISSBを設置し、国際基準の潜在的なフレームワークを開発するためのIFRS財団定款の改正案について、IFRS財団評議員会と協議している。本報告書は、ISSB構想の成功に不可欠なガバナンスの特徴とステークホルダーの参画の仕組みについて、IFRS財団に意見を提供するものである。
      • 2021年3月のIOSCOのプレスリリースで発表されたように、IOSCOはIFRS財団と連携するための技術的専門家グループ(TEG)を設立した。TEGは、評議員会が作業の一環として策定しているISSBへの技術的提言を評価する作業を開始し、ISSBの将来の基準の基礎となる目的への適合性を評価する。TEGの作業では、デュープロセスやステークホルダーへの働きかけ、さらには、財務諸表との接続性、監査と保証、ISSBの将来のデジタル化戦略といった事項も検討している。
      • ISSB設立後は、TEGは、ISSBの基準に対するIOSCOの承認について、IOSCOの見解を伝達することになる。
    • 既存枠組みの活用
      • IOSCOは、ISSBが企業価値に焦点を当てた投資家志向の基準を開発するため、気候関連財務開示タスクフォース(TCFD)の提言を含めた、既存のサステナビリティ関連の報告原則やフレームワーク、ガイダンスの内容を活用することを引き続き奨励する。
      • IOSCOは、ISSBがまず気候関連事項に関する一貫性のある比較可能な情報を求める投資家の緊急のニーズに応えるべきであり、その後、他の環境・社会・ガバナンス(ESG)のトピックに対応する基準の開発を、定められたスケジュールで迅速に進めるべきであるとの見解を維持している。IOSCOは、IFRS財団評議員会に対して、迅速な進展と、高品質な結果を保証する厳格なデュープロセスを適用するよう、引き続き働きかけていく。
      • IFRS財団評議員会は、新しいISSBが基準の開発を開始するための技術的提言を行うため、専門家による技術的準備作業部会(TWG)を設置した。TWGは、2020年12月に主要なサステナビリティ報告組織のアライアンスが公表した気候関連財務開示基準のプロトタイプを開発しており、TCFDの提言をその基盤としている。また、TWGは、プロトタイプが他のESGトピックへの拡大に対応する方法についても提言を行う予定である。IOSCOのTEGは、TWGにオブザーバーとして参加している。
      • 本報告書は、IOSCOのTEGがTWGに伝えたプロトタイプの推奨される改善点を示しており、具体的には、(i)産業・セクターレベルを含めた定量的指標のさらなる開発、(ii)将来を見据えた指標とシナリオ分析手法の明確化、(iii)サステナビリティ報告と財務諸表を結びつける概念フレームワークの強化を提案している。
    • ビルディングブロックアプローチの推奨
      • IOSCOは、IFRS財団評議員会に対して、一部の法域がISSBのベースラインを超えて設定しうる補完的な報告要件との相互運用性のための柔軟性を促進する方法も検討するよう推奨する。このような補完的な報告要件は、例えば、より広範な「インサイド・アウト」のサステナビリティの影響を捉えようとするものである。各法域は、義務的な報告要件を設定又は実施する上で、将来のグローバルなサステナビリティ基準に基づいて検討することができる。
      • 本報告書は、IFRS財団によるビルディングブロックアプローチの実践的な提供を支援するため、IFRS財団の組織内にマルチステークホルダー専門家協議委員会を設置するよう推奨したIOSCOの提言を説明している。TWGと並行して、IFRS財団評議員会は、このような内容の委員会の設立を検討している。
    • 今後の作業
      • IOSCOは、IFRS財団評議員が2021年11月までのISSBの設立に向けて技術的な準備を続けている中、IFRS財団評議員への関与を継続すると共に、他のステークホルダーにも関与する。これは、企業のサステナビリティの財務開示に関するIOSCOSTFの次のステップにおいて、重要な検討事項である。
      • IOSCOの次のステップ作業は、(i)サステナビリティ開示に対する証券監督当局による監督、(ii)サステナビリティ開示のための監査・保証のフレームワークと関連基準の開発を含む。

~NEW~
首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策の進捗に関する関係閣僚会議
▼第3回 資料
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数は、報告日別では、増加が続き、直近の1週間では10万人あたり約12、今週先週比も1以上が2週間継続している。特に、東京を中心とする首都圏の感染拡大が顕著で、周辺や全国への影響が懸念されるが、関西圏も7月に入り感染拡大が明確になっており、その他の地域でも新規感染者数が増加に転じる動きが見られている。一方で、重症者数、死亡者数の減少傾向は継続。また、感染者に占める高齢者割合は引き続き低下傾向。
      • 実効再生産数:全国的には、直近(6/27時点)で1.05と1を上回す水準となっており。首都圏では1.10、関西圏では1.13となっている。
  • 感染状況の分析【地域の動向等】 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。
    • 首都圏(1都3県)
      • 東京では、新規感染者数は増加が続き、約40、今週先週比は1.32。感染者は20-40代が多く、65歳以上は増加がみられるものの、割合は4%程度まで低下。50代以下を中心に、入院者数は増加傾向が継続しているが、重症者数は増加傾向から直近は横ばい。埼玉、千葉、神奈川でも新規感染者数は増加が続き、それぞれ約14、19、24で、今週先週比の1以上が2週間以上継続。夜間滞留人口は、東京では緩やかな減少が継続。一方、埼玉、千葉、神奈川では夜間・昼間とも滞留人口が増加。東京でも宣言解除後の1週目で急増しており、東京を中心に少なくとも当面は感染が拡大することが強く懸念される。現状では、全国の新規感染者数の約3分の2を首都圏が占めている状況であるが、周辺や全国への拡大を波及させないためにも、対策の徹底が必要。
    • 沖縄
      • 新規感染者数は減少傾向が続き、約23。20-30代が中心だが、60歳以上も2割弱。新規感染者数の減少に伴い、病床使用率は低下し、自宅療養、入院等調整中は減少傾向となっているが、重症病床では厳しい状況が継続。夜間滞留人口は増加が止まり横ばいとなっているが、新規感染者数の減少が継続するか注視が必要。
    • 関西圏
      • 大阪では、新規感染者数は増加傾向となり、約13。病床使用率、重症病床使用率は2割を切る水準が継続。夜間滞留人口は再び増加に転じ、3月半ばと同様の高い水準となっており、感染拡大が続くことが懸念される。
      • 京都、兵庫でも、新規感染者数の増加の動きが見られ、いずれも、約6。
    • 上記以外
      • まん延防止等重点措置が解除された北海道、愛知、福岡では、新規感染者数が増加に転じる動きがみられ、それぞれ約8、6、6。北海道、愛知では夜間滞留人口の増加もみられ、リバウンドが懸念される。
      • その他の地域でも新規感染者数の増加が見られており、岩手、宮城、福島、茨城、石川などでは、留意が必要。
  • 変異株に関する分析
    • 1.617.2系統の変異株(デルタ株)は、クラスターが複数報告され、市中での感染も観察されている。スクリーニング検査での陽性率(機械的な試算)は、全国的には11%程度で上昇が見られる。B.1.1.7系統の変異株(アルファ株)よりも感染性が高いことが示唆されており、今後置き換わりが進むことが予測され、注視していく必要がある。
    • ワクチンについては、変異株に対しても二回接種後には有効性を示す研究結果も報告されている。引き続き、分析を進めていく必要がある。
  • 今後の見通しと必要な対策
    • 今後、4連休や夏休み、お盆などを迎えるが、普段会わない人と会う機会は、感染拡大のリスクが高くなり、必要最小限にすることが必要。また、首都圏での感染拡大を各地での感染につなげないためにも、帰省や旅行での県境を越えるような移動には、慎重を期していただくこと等が必要であり、そうしたメッセージがしっかりと伝わるよう発信をしていくことが必要。
    • 7月8日に、東京を緊急事態措置地域とし、埼玉、千葉、神奈川、大阪、沖縄でのそれぞれの措置を延長することが決定された。7月8日に改訂された基本的対処方針に基づく対策の徹底により、感染拡大を早期に抑えることが求められる。大人数や長時間での飲食や、飲酒を伴う会食に複数回参加することで感染リスクが高まることも示唆されており、そうした感染がその後の家庭や会社等での感染につながることも考慮し、宅飲みや路上飲みを含めた飲食の場面への対策を徹底すること。職場においてはテレワークの徹底と健康観察・感染対策の徹底。また、不要不急の外出・移動は自粛するとともに、そうした取組をしっかりと発信していくことが重要。
    • 東京では、入院者数は増加傾向で、40代・50代の重症者数は前回の感染拡大期と同水準となっている。措置の強化に伴う効果が出てくるまで少なくとも2週間程度はかかることが見込まれ、今後もしばらくの間、感染拡大が続くことが予想される。このため、そうした状況を前提とした医療提供・公衆衛生体制の確保・連携が求められる。
    • その他の地域でも、新規感染者数が増加に転じた地域がある。高齢者のワクチン接種が進む中で、重症者数と死亡者数の減少傾向が続いている。このことが、医療提供体制の状況への評価に及ぼす影響について検討が必要だが、感染者数が急増すれば重症病床より先に入院病床がひっ迫するとの予測も示されており、感染拡大の予兆があれば機動的な介入により急拡大を抑制することが必要である。
    • 医療機関や高齢者施設でのクラスターが減少する一方、職場や学校・教育施設などでの発生が見られており、こうした場での感染予防の徹底等の対応が必要。
    • ワクチンの接種が高齢者中心に進む中、高齢者の新規感染者数の割合が昨年秋以降で最も低い水準となるなど、ワクチンの効果が示唆されてきており、引き続き接種を着実に進めることが必要。また、ハイリスクな感染の場や感染経路に着目した戦略的なワクチン接種を進めることも流行制御に重要と考えられる。その際、特に若年層を中心に、懸念や不安の払拭が必要。
    • ワクチンについては、発症予防、重症化予防とともに、感染予防効果を示唆する報告もある。接種進展に伴う効果について適切に分析・評価するとともに、ワクチン接種が十分に進んだ後の適切な感染防止策等の在り方について検討していくことが必要。
    • 置き換わりも懸念されるデルタ株については、L452R変異株スクリーニングにより全国的な監視体制を強化するとともに、変異株に対する積極的疫学調査や検査の徹底等により、感染拡大を可能な限り抑えていくことが必要。また、水際対策についても、各国の感染状況等も踏まえ、引き続き迅速に対応することが必要。

~NEW~
首相官邸 知的財産戦略本部
▼知的財産推進計画2021の概要
  • 日本企業の知財・無形資産投資活動の深刻な低迷
    • コロナ後のデジタル・グリーン成長による経済回復戦略を進める中で企業の知財・無形資産活用が鍵に。
    • 一方、リーマンショック後の企業の研究開発投資額は、諸外国では短期間に回復。日本は、いまだ低迷。
    • 米国では企業価値の源泉が無形資産に変わる中、日本ではその貢献度が低い。
    • 日本企業の知財・無形資産投資を増大させるメカニズムの構築が必要
  • 知財・無形資産投資・活用促進メカニズム 知的財産戦略推進事務局
    • 改訂「コーポレートガバナンス・コード」で、知的財産への投資について、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識した情報開示と取締役会による実効的な監督を記載。投資家は知財に着目。 ⇒ 知財投資・活用戦略の開示・発信・対話を促し、投資家から評価され、更なるイノベーションに向けた資金獲得へ。
    • 知財戦略の発信・対話や事業全体に対する担保権の創設などの取組。知財取引環境を整備。 ⇒ 中小・スタートアップのイノベーションを活性化
  • 官民一丸となった重点的な「標準活用」推進
    • デジタル化により、企業/業界単位のピラミッド型のバリューチェーン構造から、横断的な機能「レイヤー」でつながるネットワーク型システムへと産業構造が変化。マーケットにおける競争優位を確立する上で、標準戦略が不可欠な手段に。
    • 標準活用戦略推進のための知財事務局を司令塔とする政府内の体制を整備。 重点分野を定め、官民が連携して、標準戦略を強力に推進。
  • 重点分野
    1. スマートシティ
      • DFFT、インフラ輸出、経済安保の観点も踏まえつつ、国際標準戦略を推進。
    2. Beyond5G
      • 5Gでは、国際標準を活用してきた外国企業が優勢。
      • Beyond 5Gでは、光電融合技術(IOWN構想)などの日本の強みを生かして、標準戦略で巻き返し。
    3. グリーン成長(水素・燃料アンモニア)
      • 水素の国際サプライチェーンは現在存在せず、日本として先行的に構築。燃料アンモニアは、先行して商用化可能。
      • 運搬船関連設備・機器、燃焼利用仕様等に係る国際標準戦略を推進。
    4. スマート農業、スマート・フードチェーン
      • 農業機械や水田農業での水管理等の強みを活かせるプラットフォームを基に、アジアをはじめ展開するための国際標準戦略を推進。
    5. 国際商流・物流プラットフォーム(指定準備)
      • 商社や物流事業者が国際取引を進める上で活用する、貿易手続・商流・物流のデジタルプラットフォームの構築・相互連接に関する標準化を検討・推進。
  • データ活用促進に向けた環境整備
    1. データは流通・活用されてはじめて情報財としての価値を発揮。データ活用促進のための環境整備は知財戦略上の喫緊の課題。
    2. 諸外国はデータ流通基盤(プラットフォーム)を急速に整備 例:欧州GAIA-X/IDS(International Data Space)
    3. 我が国も「包括的データ戦略」に基づき、分野別(防災、健康・医療・介護、教育等)及び分野連携のデータ流通基盤(DATA-EX)を整備する方針。
    4. 各プラットフォーム上のデータ提供・活用時のデータ取扱いルールの整備を進めるため、基盤共通のルール整備ガイドラインを策定する方針。
    5. データ取引市場の創設でデータ取引価値を見える化し、データ収集・加工等への投資誘発環境を整備
  • データ活用に向けた環境整備
    1. 分野別/分野連携のデータ流通基盤を構築
    2. データの価値付けを行うデータ取引市場の創設、トラスト基盤・データ交換モデル・データ品質担保の仕組みを整備
    3. データ流通の阻害要因を払拭するため、データ取扱いルールの原則を策定
    4. データ流通の阻害要因
      1. 提供先での目的外利用(流用)
      2. 知見等の競合への横展開
      3. パーソナルデータの適切な取り扱いへの不安
      4. 提供データについての関係者の利害・関心が不明
      5. 対価還元機会への関与の難しさ
      6. 取引の相手方のデータガバナンスへの不安
      7. 公正な取引市場の不在
      8. 自身のデータが囲い込まれることによる悪影響
  • デジタル時代に適合したコンテンツ戦略
    • デジタル化の進展によりコンテンツ市場の量的・質的な構造変化が進行(一般人を含むクリエイターの多様化、配信ルートの多様化、コンテンツの多様化、流通量の増大)
    • デジタル化で市場拡大のチャンス。権利処理コストがネック。
    • 膨大かつ多種多様な著作物等を簡素迅速に権利処理できる環境の整備が必要。 ⇒大量、多種多様なコンテンツに関する一元的権利処理制度を実現(拡大集中許諾制度等を基に検討し、年内に結論、来年度に措置)
  • クールジャパン戦略の再構築
    • 大前提として、クールジャパン関連分野の存続確保のために必要な施策を着実に実施。
    • コロナ後の社会の変化や世界の人々の価値観の変化への対応、輸出からインバウンドへの好循環の構築、デジタル技術の活用の要素を追加すること等により、クールジャパン戦略を再構築する。
  • 知的財産推進計画2021の全体像
    1. 競争力の源泉たる知財の投資・活用を促す資本・金融市場の機能強化
      • 「コーポレートガバナンス・コード」改訂による企業の知財経営強化
      • 「知財投資・活用戦略に関する開示等ガイドライン(仮称)」の策定
      • 「事業成長担保権(仮称)」の創設による融資促進 等
    2. 優位な市場拡大に向けた標準の戦略的な活用の推進
      • 標準活用戦略の政府司令塔機能の強化
      • 重点分野の拡大と関係省庁重要施策への予算追加配分制度の活用
      • 研究開発独法連合による「標準活用支援サービスプラットフォーム」の強化(日本版NIST) 等
    3. 21世紀の最重要知財となったデータの活用促進に向けた環境整備
      • データ流通取引上のデータ取扱いルールの整備
      • 分野別/分野間データ連携基盤(プラットフォーム)の構築
      • データの価値付けを行うデータ取引市場の創設 等
    4. デジタル時代に適合したコンテンツ戦略
      • 一元的な権利処理に向けた著作権制度改革 等
    5. スタートアップ・中小企業/農業分野の知財活用強化
      • 中小企業・スタートアップの知財取引の適正化 等
    6. クールジャパン戦略の再構築
      • クールジャパン関連分野の存続確保
      • 新型コロナの影響を踏まえたクールジャパン戦略の再構築(価値観の変化への対応、 輸出からインバウンドへの好循環、デジタル技術の活用

~NEW~
厚生労働省 「令和3年版 労働経済の分析」を公表します
▼【概要】令和3年版 労働経済の分析
  • 2019年・2020年の日本経済は、2019年第Ⅲ四半期(7-9月期)までは堅調にプラス成長で推移。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、2020年第Ⅱ四半期(4-6月期)には実質GDPが前期比8.1%減、名目GDPが前期比7.8%減と大幅に減少。有効求人倍率、新規求人倍率、正社員の有効求人倍率は長期的に上昇傾向が続いていたが、2019年には高水準ながらも有効求人倍率はわずかに低下し、新規求人倍率、正社員の有効求人倍率は横ばい傾向。完全失業率は、長期的に低下傾向で推移してきたが、2020年に入り上昇し、10月には3.1%となった。
  • 労働時間については、働き方改革関連法による時間外労働の上限規制の導入(大企業:2019年4月、中小企業:2020年4月施行)、年5日の年次有給休暇の確実な取得(2019年4月施行)等を背景に、2019年、2020年と比較的大きく減少。週労働時間60時間以上の雇用者の割合も男性を中心に減少傾向。年次有給休暇の取得率は、2019年(調査年は2020年)に全ての企業規模で大きく上昇。賃金については、働き方改革関連法の同一労働同一賃金(雇用形態間の不合理な待遇差の解消)に関する規定の大企業での施行(大企業:2020年4月、中小企業:2021年4月施行)等を背景として、2020年には感染拡大の影響があったにもかかわらず、パートタイム労働者の特別給与が増加。
  • 労働力人口及び就業者数は2013年以降、雇用者数は2009年以降、2019年まで増加傾向にある一方、非労働力人口は2012年以降、2019年まで減少傾向にあり、2019年までは経済成長を背景として労働参加が進み、正規雇用労働者、非正規雇用労働者ともに継続的に増加してきた。労働力率の推移をみると、2012年の59.1%から、2020年の62.0%まで上昇し、労働参加が進んだことが分かる。特に、男女ともに60歳以上の年齢層等で労働力率が上昇し、2020年には、「60~64歳」で73.1%、「65~69歳」で51.0%となっている。
  • 感染拡大防止のための経済活動の抑制により、2020年4月には就業者数、雇用者数が約100万人減少。その後、緩やかに回復傾向となったが、年内に元の水準には戻らず。一方で、非労働力人口は4月に約100万人増と大幅に増加した後、緩やかに減少し、年内に元の水準に戻っている。休業者数は、2020年4月に前年同月差420人増と急増したが、5月以降減少し、8月には前年同月差約14万人増まで減少した後、おおむね横ばいで推移。就業者数、雇用者数が減少した一方、完全失業者数、完全失業率は緩やかに増加、上昇傾向となり、完全失業率は10月に3.1%となった
  • リーマンショック期と比較すると、就業者数は、感染拡大前にはリーマンショック期よりも高い水準にあったところ、2020年4月に前月比で108万人減少し、リーマンショック期を通じた減少幅と同程度の幅で落ち込んだ。休業者数は、2020年4月にリーマンショック期と比較して急激に増加したが、5月以降急速に減少。完全失業率は、感染拡大前にはリーマンショック期よりも低い水準にあったところ、上昇幅もリーマンショック期よりも小さく、2020年内の最大でも3.1%とリーマンショック期よりも低い水準にとどまった。非労働力人口は、感染拡大前にはリーマンショック期よりも低い水準にあったところ、2020年4月に前月比86万人増と一時的に大幅に増加した後、1年以内に元の水準に戻ったが、期間を通じてリーマンショック期よりも低い水準で推移した
  • 有効求人数は2020年4~5月、新規求人数は4月を中心に減少した後、いずれも弱いながらも持ち直しの動き。一方、新規求職申込件数が7月以降緩やかに減少傾向で推移する中で、有効求職者数は夏頃に増加傾向となった後、おおむね横ばい。有効求人倍率は9月に1.04まで低下し、その後も弱い動き。新規求人倍率は7月を底に上昇傾向で推移。リーマンショック期と比較すると、感染拡大期の有効求人倍率、新規求人倍率は、感染拡大前から高い水準にあり、感染拡大の影響により大きく低下した後もリーマンショック期の水準を上回っていた。
  • 雇用者数の変動を雇用形態別にみると、2020年を通じて正規雇用労働者は増加を続けた一方、非正規雇用労働者が大きく減少した。リーマンショック期には正規雇用労働者、非正規雇用労働者ともに前年同期比で減少していた点と異なる。離職者のその後の就業状況をみると、正規雇用労働者、非正規雇用労働者ともに再び就業者となった者(転職者)が減少した。前職が非正規雇用労働者であった者では、非労働力人口や完全失業者となった者が増加した。前職が正規雇用労働者であった者でも、完全失業者となる者が増加傾向となった
  • 転職者数(過去1年以内に離職経験のある就業者)の推移をみると、2020年は感染拡大の影響により、2010年以来10年ぶりに減少に転じ、32万人と減少幅も大きくなっている。転職者の前職の離職理由の変化(前年差)をみると、2020年には、「人員整理・勧奨退職のため」等により離職し、転職した者が増加した一方で、「より良い条件の仕事を探すため」に転職した者が大きく減少している
  • 労働時間への影響をみると、一般労働者では所定内労働時間及び所定外労働時間の減少により、2020年5月に前年同月比9.0%減と大きく減少。パートタイム労働者では主に所定内労働時間の減少により、同月に前年同月比13.4%減と大きく減少。いずれも一時的にリーマンショック期よりも大きく減少しており、特にパートタイム労働者の労働時間の減少幅が大きい
  • 賃金への影響をみると、一般労働者の名目賃金は、2020年4月以降、所定外給与や特別給与の減少により減少したが、減少幅はリーマンショック期よりも総じて小さい。パートタイム労働者の名目賃金は、4~5月の緊急事態宣言下に前年同月比で4月に3.6%減、5月に4.1%減と大きく減少した。一方で、6月、12月には前年同月比でそれぞれ増加しており、これは働き方改革関連法の同一労働同一賃金に関する規定が大企業で施行(2020年4月)され、雇用形態間の不合理な待遇差の解消が求められたこと等を背景として、特別給与が増加したことによるものと考えられる。
  • 感染拡大下における雇用維持・継続に向けた支援として、雇用調整助成金について助成額の日額上限や助成率の引上げ、雇用保険被保険者以外の労働者を対象とした緊急雇用安定助成金の実施等、緊急対応期間(2020年4月1日~)における大幅な特例措置が講じられた。雇用調整助成金等の月別の支給決定額の推移をみると、月別の最大額、額の増加ペースともに、リーマンショック期を上回っており、経済的ショック発生から7か月が経過した2020年8月の支給決定額は約5,700億円に達し、その後もリーマンショック期よりも高い水準での支給が続いている
  • 雇用調整助成金等による完全失業率の抑制効果を推計すると、その支給により2020年4~10月の完全失業率が2.6%ポイント程度抑制されたものと見込まれる(一定の仮定の下に算出したものであり、相当の幅をもってみる必要がある)。※一方、雇用調整助成金等の支出は、成長分野への労働移動を遅らせる、雇用保険財政のひっ迫といった影響をもたらしている。
  • 産業別に雇用者数の増減(前年同月差)をみると、「情報通信業」「医療,福祉」等では堅調に増加が続いている一方で、「宿泊業,飲食サービス業」「卸売業,小売業」「生活関連サービス業,娯楽業」などでの減少幅が大きかった。リーマンショック期に「製造業」での雇用者数の減少が目立ったこととは様相が異なる。
  • 産業別に総実労働時間の増減(前年同月比)をみると、多くの産業で2020年3月以降急速に減少し、2020年5月に「生活関連サービス業,娯楽業」で30.8%減、「宿泊業,飲食サービス業」で25.7%減と特に大きく減少した。リーマンショック期の最大減少幅である2009年3月の「製造業」の10.7%減よりも大きく減少したことが分かる。
  • 産業別に現金給与総額の増減(前年同月比)をみると、2020年3月以降ほぼ全ての産業で減少し、特に「宿泊業,飲食サービス業」で12月に12.5%減、「運輸業,郵便業」で6月に10.7%減、「生活関連サービス業,娯楽業」で12月に9.7%減と減少幅が大きくなった。リーマンショック期の最大減少幅は、「製造業」の2009年6月の13.9%減であった
  • 男女別・雇用形態別に雇用者数の増減(前年同期差)をみると、2020年には女性の正規雇用労働者が増加する一方で、男性、女性ともに非正規雇用労働者が減少し、特に女性の減少が大きかった。リーマンショック期に男性の正規雇用労働者、非正規雇用労働者の減少が目立ったこととは様相が異なる。産業別にみると、非正規雇用労働者は、女性では「宿泊業,飲食サービス業」「製造業」「卸売業,小売業」「生活関連サービス業,娯楽業」で、男性では「製造業」で大きく減少した
  • 2020年には、感染拡大を受けてテレワークによる働き方が急速に普及した。テレワークの実施割合の推移をみると、企業、労働者ともに2020年4~5月の緊急事態宣言下においてテレワークの実施割合が高まったものの、宣言解除後にはテレワークを実施しなくなった企業や労働者が一定割合存在している。ここでは、感染拡大下における実施状況等を踏まえ、テレワークの定着に向けた課題について分析する
  • テレワークの継続状況をテレワークの開始時期別にみると、感染拡大前からテレワークを実施していた企業や労働者の方が、感染拡大下でテレワークを始めた企業や労働者よりも、継続割合が高い。感染拡大前からテレワークを実施している場合の方が、企業ではテレワークを「うまく運用できている」傾向があり、労働者ではテレワークの実施日数が緊急事態宣言後も減少しにくい傾向がある
  • テレワークの活用経験がある企業の割合を業種別にみると、「情報通信業」「学術研究,専門・技術サービス業」等で比較的高くなっている。一方で、「医療,福祉」「運輸業,郵便業」等では比較的低く、こうした業種では、現場での作業や対面でのやりとりの必要性が高く、業務の性質上、テレワークの普及が進まなかった可能性がある。テレワークの活用経験がある企業のうち、調査時点でもテレワークを継続している企業の割合(継続率)をみると、「建設業」「運輸業,郵便業」等、テレワークの活用経験がある企業の割合が低い業種においても、継続率は6割を上回っており、こうした業種でもテレワークを定着させることができる可能性があることがうかがえる。
  • 企業がテレワークにより感じた効果をみると、感染拡大前からテレワークの活用経験がある企業の方が、感染拡大下で初めて活用した企業よりも、「ワーク・ライフ・バランスの向上」「生産性の向上」をはじめ各項目で効果を感じている割合が高い傾向にある。テレワークについて労働者に尋ねた指標(オフィスで働く場合を100として0~200の間で回答)をみると、「生産性・効率性」「充実感・満足感」では、指標の平均値及び中央値ともにオフィスで働く場合(100)を下回っているものの、感染拡大前からテレワークの活用経験がある労働者の方が、感染拡大下で初めて活用した労働者よりも指標の平均値、中央値、分布全体が高い傾向にあり、低下幅が抑えられている。※感染拡大期より前からテレワークを活用してきた企業では、業務の性質等によりテレワークに取り組みやすかった結果、生産性や満足感等が高くなっている可能性があることにも一定の留意が必要。
  • 労働者がテレワークを実施しなくなった理由をみると、業務の性質や感染の影響などの他律的な理由を除けば、テレワーク時の仕事の進め方やテレワークのための環境整備といった労務管理上の工夫により対応可能な事項(赤囲み箇所)に関する事項が挙げられている。特に2020年4~5月の緊急事態宣言下にテレワークを始めた労働者の方が、それらの回答割合が高い。企業においても、同様の項目を課題として捉えている割合が高い
  • テレワークでの業務において「仕事の進め方について上司や部下とのコミュニケーションがうまくとれていると思う」と回答した労働者の割合は、感染拡大前から活用経験がある労働者の方が、感染拡大下に初めて活用した労働者よりも高い。先ほどの「生産性・効率性」「充実感・満足感」の指標の分布を、上記設問に該当する労働者と該当しない労働者に分けて比較すると、該当する労働者の方が、指標の低下幅が抑えられていることが分かる。
  • テレワーク時の仕事の進め方に関し、「業務範囲・期限の明確性」「業務の裁量性」「評価基準の明確性」の設問について、肯定的に回答した労働者の割合は、いずれも、感染拡大前から活用経験がある労働者の方が、感染拡大下で初めて活用した労働者よりも高い。
  • 先ほどの「生産性・効率性」「充実感・満足感」の指標を、上記設問に該当する労働者と該当しない労働者に分けて比較すると、該当する労働者の方が、平均値がやや高い傾向にある。(一部に中央値が高いものもある。)※指標の平均値及び中央値ともにオフィスで働く場合(100)を下回っていることはここまでと同様
  • テレワークをする際の環境整備の状況について「テレワーク時の設備は充実している」と回答した労働者の割合は、感染拡大前から活用経験がある労働者の方が、感染拡大下に初めて活用した労働者よりも高い。先ほどの「生産性・効率性」「充実感・満足感」の指標の分布を、上記設問に該当する労働者と該当しない労働者に分けて比較すると、該当する労働者の方が、いずれの指標とも平均値、中央値が高い

~NEW~
厚生労働省 職場における新型コロナウイルス感染症対策の徹底について経済団体などに協力を依頼しました~「新型コロナワクチンの接種」や「保健所との連携」などについての留意点を周知依頼~
▼本文
  1. 労務管理の基本的姿勢
    • 基本的対処方針(資料1)の三の(3)「まん延防止」の4)「職場への出勤等」、8)「緊急事態措置区域から除外された都道府県(除外後、重点措置区域とされた都道府県を含む。)における取組等」、9)「重点措置区域における取組等」、10)「緊急事態措置区域及び重点措置区域以外の都道府県における取組等」及び 13)「クラスター対策の強化」の内容に基づき、職場における感染防止対策に取り組んでいただきたいこと。
    • また、職場において特に留意すべき「取組の5つのポイント」への取組状況を確認していただき、未実施の事項がある場合には、「職場における感染防止対策の実践例」を参考に職場での対応を検討し、実施していただきたいこと(資料2)。
    • その際、労働者の理解や協力を得つつ、事業者が主体となり、これらの取組を実施していただくに当たって、特に、以下の(1)から(7)にご留意いただきたいこと。
    • なお、新型コロナウイルス感染症への対応策については、新たな知見が得られるたびに充実しているところであるので、逐次厚生労働省ホームページの「新型コロナウイルス感染症について」を確認いただきたいこと。
      • 職場における感染防止の進め方
        • 職場における新型コロナウイルス感染症の大規模な感染拡大を防止するためには、事業者、労働者それぞれが、職場内外での感染防止行動の徹底について正しい知識を持って、職場や職務の実態に即した対策に取り組んでいただくことが必要であること。
        • このため、事業者においては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に積極的に取り組む方針を定め、全ての労働者に伝えていただくとともに、労働者も取組の趣旨を踏まえて感染拡大防止に向けた一人一人の行動変容を心がけていただくことが重要であること。
        • 職場における感染拡大防止を検討する際に疑問点等が生じた場合には、都道府県労働局に設置された「職場における新型コロナウイルス感染拡大防止対策相談コーナー」(資料3)を積極的に活用していただきたいこと。
      • テレワークの積極的な活用
        • 厚生労働省では、テレワークについて、テレワーク相談センターにおける相談支援等を行っている。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、関係省庁と連携し、テレワークや時差出勤の一層の活用のため、テレワークの導入に当たって必要なポイント等をわかりやすくまとめたリーフレット(資料4)も作成し、周知を行っている。さらに、使用者が適切に労務管理を行うとともに、労働者も安心して働くことのできる良質なテレワークの導入・実施を進めていくことができるよう、本年3月に労務管理の留意点等をまとめたテレワークガイドラインの改定を行っている。
        • こうした施策も活用いただきながら、職場や通勤経路での感染防止のため、正規雇用労働者・非正規雇用労働者の双方に対し、テレワークを積極的に進めていただきたいこと。
        • これらに加えて、良質なテレワークを新規導入し、実施することにより労働者の人材確保や雇用管理改善等の観点から中小企業事業主に対し、テレワーク用通信機器の導入等に係る経費を助成しているので、必要に応じて活用いただきたいこと。
      • 電子申請の活用等について
        • 窓口の混雑による感染拡大防止の観点から、郵送や電子申請を積極的に活用していただきたいこと。
      • 感染リスクが高まる「5つの場面」の周知等
        • 新型コロナウイルス感染症対策分科会がクラスター分析を踏まえて取りまとめた、「感染リスクが高まる『5つの場面』」(資料5)について労働者に周知を行っていただきたいこと。特に職場での「居場所の切り替わり」(休憩室、更衣室、喫煙室等)に注意するよう周知を行っていただきたいこと。また、狭い空間での共同生活は、長時間にわたり閉鎖空間が共有されるため、感染リスクが高まる。このため寄宿舎や社員寮等の労働者が集団で生活する場でも、三つの密(密集、密接、密閉)の回避をはじめとする基本的な感染防止対策を実施するよう、労働者に周知啓発を行っていただきたいこと。
        • また、新しい生活様式の定着に向けて、資料6の「新しい生活様式(生活スタイル)の実践例」等を活用して、引き続き、労働者に周知を行っていただきたいこと。
        • 併せて、接触確認アプリ(COCOA)について、資料7の「新型コロナウイルス接触確認アプリ」等を活用して、インストールを勧奨していただきたいこと。
        • このほか、職場において、健康観察アプリも活用しつつ、軽症状者に対する抗原簡易キット等を活用した検査を実施する際の手順について、「職場における積極的な検査等の実施手順(第2版)」(厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室)に取りまとめられているところ、労働者同士の距離が近いなど密になりやすい環境(労働集約的環境)や、寮・宿日直等労働者同士が寝食等の場を共有する場で生活する環境など、労働者同士等の濃厚接触が生じやすい環境にある場合には、実施を検討していただきたいこと。
      • 新型コロナワクチンの接種について
        • 新型コロナワクチンについては、発症予防、重症化予防とともに、感染予防を示唆する報告があり、また、国内でワクチン接種が進む中、高齢者に占める新規感染者数の割合が低い水準となるなど、ワクチンの効果が示唆されているところであり、職場における感染防止対策の観点からも、希望する労働者が安心して新型コロナワクチンの接種を受けられるよう、資料8のQ&A等を参考にして、ワクチンの接種や、接種後に労働者が体調を崩した場合などに活用できる休暇制度等を設けていただくなどの対応を検討していただきたいこと。
        • また、職域でのワクチン接種を実施する場合には、最新の「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する職域接種向け手引き」に基づき実施していただきたいこと。
        • 一方、ワクチンの接種は強制ではなく、接種を受ける方の同意がある場合に限り接種が行われるものであり、職場や周りの方などに接種を強制したり、接種を受けていないことを理由に、職場において解雇、退職勧奨、いじめなどの不利益な扱いをすることは許されるものではない。そのため、事業場内でワクチン接種の情報提供等を行う際は、接種には労働者本人の同意が必要であることや、医学的な事由により接種を受けられない労働者もいることを念頭に置いた対応を行っていただきたいこと(資料9)。
      • 雇用調整助成金等を活用した休業の実施
        • 感染拡大を防ぐため、労働者を休業させるときには、労使がよく話し合って労働者の不利益の回避に努めていただきたいこと。なお、緊急事態宣言や要請などがある場合でも、一律に労働基準法第26条の休業手当の支払義務がなくなるものではないことにご留意いただきつつ、労使が協力して、労働者が安心して休業できる体制を整えていただきたいこと。
        • また、同法に基づく休業手当の支払の要否にかかわらず、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業者が、労働者を休業させ、事業主がその分の休業手当を支払った場合、雇用調整助成金の対象になり得ること。
        • なお、雇用調整助成金については、企業規模を問わず、緊急対応期間において助成額の上限を引き上げ、解雇等を行わない企業に対して助成率を引き上げるとともに、雇用保険被保険者でない非正規雇用労働者も対象とする等の拡充を行っており、雇用調整助成金の効果的な活用をお願いしたいこと。
        • また、事務処理や資金繰りの面から雇用調整助成金を活用した休業手当の支払いが困難な中小企業の労働者のために創設した、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金については、大企業のシフト制労働者等も対象に加えた。休業手当が支払われていない労働者にはその申請を検討いただくとともに、その申請書類には事業主が記載する部分もあることから、事業主においては適切に対応いただきたいこと。また、日々雇用、登録型派遣、いわゆるシフト制の労働者などについて、過去6ヶ月間、同じ事業所で、継続して一定の頻度で就労していた実績があり、事業主側も新型コロナウイルス感染症がなければ同様の勤務を続けさせる意向があったと確認できるなどの場合には、休業支援金の対象となり得る旨のリーフレットを公表しているところであり、事業主におかれては、対象となり得る労働者への周知を含め、適切にご協力いただきたいこと。(資料10)
      • 子どもの世話や家族の介護が必要な労働者のための有給の休暇制度の導入
        • 新型コロナウイルス感染症によって小学校等が臨時休業等になり、それに伴って子どもの世話のために労働者が休業する場合について、当該子どもの世話をする労働者のために有給休暇制度及び両立支援制度を整備し、有給休暇の利用者が出た事業主に対する助成制度を活用いただきたいこと。
        • また、家族の介護が必要な労働者に有給の休暇を取得させた事業主に対する助成制度を活用していただきたいこと。
  2. 職場における感染予防対策の徹底について
    • 職場における新型コロナウイルス感染症の拡大防止を図るため、多くの関係団体では、業種ごとの感染拡大予防ガイドラインを作成し、その周知等に取り組んで来られたところであるが、引き続き、職場での感染防止策の確実な実践に取り組む必要がある。具体的には、資料12の「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」を活用して職場の状況を確認していただくとともに、公益社団法人日本産業衛生学会が令和2年度厚生労働科学特別研究において作成した「職場における新型コロナウイルス感染症対策のための業種・業態別マニュアル」や独立行政法人労働者健康安全機構がホームページで公表している動画教材「職場における新型コロナウイルス感染症予防対策を推進するためのポイント」を参照していただく等により、職場の実態に即した、実行可能な感染拡大防止対策を検討いただき、取組内容を高齢者や基礎疾患(慢性閉塞性肺疾患、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧症、心血管疾患、肥満(BMI30以上)等)を有する者等の重症化リスク因子を有する者をはじめ、すべての労働者に共有していただきたいこと。
    • また、外国人労働者が安心して働くためには、職場における新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策の内容を正しく理解することが重要であり、外国人労働者を雇用する事業者においては、外国人労働者一人ひとりの状況に応じた配慮をしていただきたいこと。
    • 外国人労働者に新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に係る教育等を行う際には、資料13のリーフレットに記載の「職場内外における感染拡大防止のポイント」や10カ国語に翻訳(やさしい日本語版も作成)した「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」等を活用する等していただきたいこと。
    • 感染拡大防止対策の検討に当たって、職場に、労働安全衛生法により、安全衛生委員会、衛生委員会、産業医、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者等が設置・選任されている場合、こうした衛生管理の知見を持つ労使関係者により構成する組織の有効活用を図るとともに、労働衛生の担当者に対策の検討や実施への関与を求めていただきたいこと。
    • なお、産業医や産業保健スタッフの主な役割については、一般社団法人日本渡航医学会及び公益社団法人日本産業衛生学会が公表した「職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド」(令和2年5月11日発行。令和3年5月12日最終改訂)に示されているので一つの参考としていただきたいこと。
    • 併せて、労働安全衛生法により、安全衛生委員会、衛生委員会、産業医、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者等が設置・選任されていない事業場については、独立行政法人労働者健康安全機構の産業保健総合支援センターにおいて、メールや電話による相談の受付、各種情報の提供等を行っているので、その活用について検討していただきたいこと。
    • また、資料14の「『換気の悪い密閉空間』を改善するための換気の方法」、「熱中症予防に留意した「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法」、「冬場における『換気の悪い密閉空間』を改善するための換気の方法」に、推奨される換気の方法等を取りまとめたので、参考にしていただきたいこと。
    • このほか、熱中症防止対策についても「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」、「建設現場における熱中症予防と新型コロナウイルス感染防止」を活用いただき、着実に実施いただきたいこと(資料15)。
  3. 配慮が必要な労働者等への対応について
    • 発熱、咳などの風邪の症状がみられる労働者については、新型コロナウイルスに感染している可能性を考慮した労務管理を行っていただきたく、具体的には、次に掲げる対応が考えられること。
      • 発熱、咳などの風邪症状がみられる労働者への出勤免除の実施やテレワークの指示を行うとともに、その間の外出自粛を勧奨すること。
      • 労働者を休業させる場合、休業中の賃金の取扱いについては、労使で十分に話し合った上で、有給の特別休暇制度を設けるなど、労使が協力して、労働者が安心して休暇を取得できる体制を整えること。
      • 風邪の症状が出現した労働者が医療機関を受診するため等やむを得ず外出する場合でも、公共交通機関の利用は極力控えるよう注意喚起すること。
      • 発熱等の症状が生じた場合には、まずはかかりつけ医等の地域で身近な医療機関に電話で相談するよう促すこと。
      • また、相談する医療機関に迷う場合には、地域ごとに設置されている受診・相談同センターに電話で相談し、その指示に従うよう促すこと。
    • また、高齢者や基礎疾患(慢性閉塞性肺疾患、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧症、心血管疾患、肥満(BMI30以上)等)を有する者等の重症化リスク因子を持つ労働者及び妊娠している労働者や同居家族(同居者)にそうした者がいる労働者に対しては、本人の申出及び産業医等の意見を踏まえ、テレワークや時差出勤などの感染予防のための就業上の配慮を行っていただきたいこと。特に、妊娠中の女性労働者が、母子保健法の保健指導又は健康診査に基づき、その作業等における新型コロナウイルス感染症に感染するおそれに関する心理的なストレスが母体又は胎児の健康保持に影響があるとして、医師又は助産師から指導を受け、それを事業主に申し出た場合には、事業主は、この指導に基づき、作業の制限、出勤の制限(テレワーク又は休業をいう。)等の措置を講じる必要があることに留意いただきたいこと。この措置により休業が必要な女性労働者に有給の休暇を取得させた事業主に対する助成制度については、有給休暇制度の整備及び労働者への周知の期限並びに休暇付与の期限を令和4年1月31日までとしており、引き続き積極的にご活用いただきたいこと。なお、テレワークを行う場合は、メンタルヘルスの問題が顕在化しやすいという指摘があることにも留意いただきたいこと。
  4. 新型コロナウイルス感染症の陽性者等が発生した場合の対応について
    1. 衛生上の職場の対応ルールについて
      • 事業者においては、職場に新型コロナウイルスの陽性者や濃厚接触者(以下「陽性者等」という。)が発生した場合に備え、以下の項目を盛り込んだ対応ルールを作成し、労働者に周知いただきたいこと。この際、企業における具体的な取組事例を取りまとめた資料18の「新型コロナウイルスの陽性者等が発生した場合における衛生上の職場の対応ルール(例)」を適宜参考にしていただきたいこと。
      • 労働者が陽性者等であると判明した場合の事業者への報告に関すること(報告先の部署・担当者、報告のあった情報を取り扱う担当者の範囲等)(※)「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する
      • 指針」(平成30年9月7日付け労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱い指針公示第1号)に留意。
      • 労働者が陽性者等であると判明した場合の保健所との連携に関すること(日々雇用の者を含む全ての労働者についての電話番号等を含めた連絡先の把握、保健所からPCR検査等を受けるよう指示された労働者に対する受検勧奨、保健所と連携する部署・担当者、保健所と連携して対応する際の陽性者と接触した労働者の対応等)
        • 職場の消毒等が必要になった場合の対応に関すること
        • 陽性者が陰性になった後、職場復帰する場合の対応に関すること(PCR検査の結果や各種証明書は不要である等)
        • 労働者が陽性者等になったことをもって、解雇その他の不利益な取扱いや差別等を受けることはないこと
        • その他必要に応じ、休業や賃金の取扱いなどに関すること等
      • 資料19のとおり、感染拡大を防止する観点から、いわゆる「三つの密」となりやすい環境や集団活動を行うなど濃厚接触が生じやすい環境にある職場におけるクラスター発生時の行政検査(PCR検査等)については、濃厚接触者に限らず、幅広い接触者を検査の対象者とすることとされていることにご留意いただき、保健所より検査対象者として受検指示があった場合には検査を受ける必要があることを労働者に周知するとともに、受検に関する勤務時間の調整等必要な配慮をしていただきたいこと。また、保健所から職場における検査対象者の決定について協力を求められた場合には、適切に対応していただきたいこと(資料20)。
      • また、新型コロナウイルスの陽性者について、労働安全衛生法に基づく労働者死傷病報告の提出に留意いただき、同報告書を作成する際には資料21のリーフレットを適宜参考にしていただきたいこと。
      • なお、新型コロナウイルス感染症患者については、医療保健関係者による健康状態の確認を経て、入院・宿泊療養・自宅療養を終えるものであるため、療養終了後に勤務等を再開するに当たって、労働者本人や人事労務担当者等から医療機関や保健所への各種証明の請求についてはお控えいただきたいこと。また、新型コロナウイルス感染症の回復経緯や心身の負担には個人差があることから、療養終了後に職場復帰する場合の対応に当たっては、業務によって症状を悪化させること等がないよう、主治医等の意見を踏まえた本人の申出に基づき、産業医や産業保健スタッフとも連携し、勤務時間の短縮やテレワークの活用など、労働者の負担軽減に配慮した無理のないものとすることが望ましいこと(資料22)。
    2. 労災補償について
      • 労働者が業務に起因して新型コロナウイルスに感染したものと認められる場合には、労災保険給付の対象となること。(資料23)
      • これまで労働基準監督署においては、新型コロナウイルス感染症に係る労災請求に対して、多くの労災認定を行っており、厚生労働省ホームページにおいて、資料24のとおり、職種別の労災認定事例を公表しているところである。医療従事者はもとより、飲食店員、販売店員やタクシー運転者等、多様な職種の労働者の労災認定を行っているので、参考にしていただきながら、業務に起因して感染したと思われる労働者から積極的に労災請求がなされるよう労災請求を勧奨していただきたいこと。
      • なお、労働者が新型コロナウイルスに感染した場合の労災補償に係るQ&Aについては、厚生労働省ホームページに掲載しているので、確認していただきたいこと。
  5. 新型コロナウイルス感染症に対する正しい情報の収集等
    • 事業者においては、国、地方自治体、公益性の高い学術学会等がホームページ等を通じて提供している最新の情報を収集し、必要に応じ感染拡大を防止するための知識・知見等を労働者に周知いただきたいこと。
    • その際、新型コロナウイルス感染症に関することも含めた職場のメンタルヘルス不調、過重労働による健康相談等についてメール・電話・SNSによる相談を受け付ける「こころの耳」や精神保健福祉センター等のメンタルヘルスに関する相談窓口を労働者に周知いただきたいこと。また、DVや児童虐待に関する相談などの窓口についても、必要に応じ、労働者に周知いただきたいこと。
    • また、厚生労働省ホームページにおいて、過去に新型コロナウイルスに感染したことを理由とした、人格を否定するような言動等は、職場におけるパワーハラスメントに該当する場合がある旨を掲載しているので、労働者に対し、言動に必要な注意を払うよう周知いただきたいこと。
    • なお、過去に新型コロナウイルス感染症に感染したことやワクチンを接種してないことなどを理由とした個別の労働紛争(偏見・差別等に基づくいじめ・嫌がらせを含む)があった場合は、都道府県労働局等の総合労働相談コーナーにおいて相談を受け付けていることも、併せて周知いただきたいこと(資料25)

~NEW~
経済産業省 「データによる価値創造(Value Creation)を促進するための新たなデータマネジメントの在り方とそれを実現するためのフレームワーク(仮)」骨子案の意見公募手続(パブリックコメント)を開始しました
▼(参考資料)「データによる価値創造(Value Creation)を促進するための 新たなデータマネジメントの在り方とそれを実現するためのフレームワーク(仮)」骨子案の概要
  • これまでのタスクフォースでの議論を踏まえて拡張したデータマネジメントの捉え方を用いた「データによる価値創造(Value Creation)を促進するための新たなデータマネジメントの在り方とそれを実現するためのフレームワーク(仮題)」の骨子案を作成
  • フレームワーク骨子案の概要:第3層の位置づけ
    1. 第3層においてはデータが信頼性の基点
      • Society 5.0において、サイバー空間におけるつながりが展開される場が第3層であり、そこでは物理特性に依存しないデータが付加価値を創造(バリュークリエイション)している。
      • データは基本的にシステムや組織に対して中立性を持つものであり、それが求められる規範等に則って適切に扱われることによって、自由に流通・活用される。
    2. データのライフサイクルには様々な主体が関与
      • 関与した主体による不適切な措置によって誤ったデータが流通し活用されることになれば、有害な結果をもたらすことにもつながりかねない。
    3. データのライフサイクルは第3層の中に閉じるものではない。
      • サイバー空間から発信されたIoTシステムへの動作指令が誤った内容であるならば、第2層における“転写”する機能の信頼性を確保することに成功していたとしても、IoTシステムはサイバー空間から届いた誤った指令を“正しく”転写して忠実に動作することで物理的な損害を発生させてしまうかもしれない。
      • データが生成される場所については第3層ではなく第2層に属する場合があり、第3層と第2層とを組み合わせることでデータ生成における信頼性が確保できる。(第2層TFで策定したIoT-SSFと連動)
  • データマネジメントの捉え方
    • データのライフサイクルの各工程において発生する様々な形の“関与”
  • 3つの視点
    1. データマネジメントについて確立した定義は存在しない
      • 他の機関等において整理されたデータマネジメントの定義を持ち込むのではなく、CPSFを基礎としてセキュリティ対策を検討するために必要なデータマネジメントの考え方を示す。
    2. データを軸に置く
      • データがライフサイクルの各工程においてどのような関与を受けるかという視点で整理すべき。
    3. 関与する主体は同一・単一の主体に限られるものではない
      • データマネジメントは複数の主体による協同的活動(Collective Action)になることを排除しない。例:クラウドサービス
  • 本フレームワークの目的
    • as isの対策
      • データを軸に置き、データのライフサイクルを通じて、データの置かれている状態を可視化してデータに対するリスクを洗い出し、そのセキュリティを確保するために、ガバナンスを含めた必要な置をステークホルダーが協調して実施する。
      • 洗い出されたリスクへの措置はDMBOK等の既存文書を参照。
    • to beの対策
      • データの流通を促進するために必要な条件を明確化。プロトコルの設計が容易に。
      • 強い立場にあるシステムがプロトコルのブラックボックス化によって「バンドル」することを難しくさせ、オープン化された環境でデータ連携やシステムの組み合わせの自由を確保することを可能に。
      • 主体の在り方などを過度に考慮することなく、データに対して本来求められる要求事項を歪めることなく整理することが可能であり、各国の制度間のギャップ分析を行い必要な調整措置を明らかに
  • データマネジメントのモデル化の概要
    • データマネジメントを「データの属性が場におけるイベントにより変化する過程を、ライフサイクルを踏まえて管理すること」と定義。
    • 「属性」「場」「イベント」の3つの要素はそれぞれが相互に影響しあう関係。
    • データの遷移によるデータの変化に関する一定の予見可能性を確保、ステークホルダーの間で認識を共有しやすくなる
    • 共通の理解に基づいてそれぞれの主体が実施すべき措置についての検討を進めることが可能となり、ステークホルダー全体で適切なデータマネジメントを実施していくことができる環境を実現していく。
  • リスク分析手順
    • 下記の4つのステップに沿ってバリュークリエイションプロセスにおけるデータの状態を可視化。
      1. データ処理フロー(「イベント」)の可視化
      2. 必要な制度的な保護措置(「場」)の整理
      3. 「属性」の具体化
      4. 「イベント」ごとのリスクの洗い出し
        • 「属性」、「場」、「イベント」が相互に依存する関係にあることから、STEP1~3の各ステップは不可逆的なものではなく、互いにフィードバックをかけながら検討されることが適切。
        • リスクの洗い出しに当たっては、機密性・完全性・可用性といったサイバーセキュリティに係る観点の他、各法制度等に係るコンプライアンスの観点でのリスクについても洗い出す必要。
  • モデル化(「イベント」)~ 生成・取得、加工・利用 ~
    • データの属性を生成・変化・維持などをする作用である「イベント」に関しては、大きくは「生成・取得」「加工・利用」「移転・提供」「保管」「廃棄」の5つに区分することが可能。
    • 5つの「イベント」はそれぞれ重複する性質を持つ場合があり、目的に応じて適切に「イベント」を捉え、リスクの洗い出しを実施する必要(例:閲覧は加工・利用だが移転・提供の要素を含み得る)。
      1. 生成・取得
        • バリュークリエイションプロセスにおいて、サイバー空間でやりとりされるデータは、何らかの形で生成・取得されることによってそのライフサイクルが始まる。
        • サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合し、フィジカル空間の情報が大量にサイバー空間に転写され、リアルタイムに共有されるようになると、サイバー空間のつながりにおけるデータの信頼性を検討する場合、従来はデータを管理する範疇に捉えられていなかった、データの生成・取得に関わる機器・システムなどの信頼性についても検討する必要。
          • 代表的なリスク:計測結果が実際と異なる、計測機器をなりすまされる等の転写の失敗など。
      2. 加工・利用
        • データに付加価値を生み出すための作用を加工・利用と捉える。
          • 分析過程や保管されたデータセットからデータの一部の項目や要素、レコードなどを取り除く作用については、加工の一形態として捉えるものとし、後述する廃棄とは区別する。
          • データを保有しない者がデータにアクセスする作用(閲覧)については、利用の一形態として捉えることが適切であるが、リスクを洗い出す際は移転・提供の要素を考慮に入れる必要。
        • 代表的なリスク:データの目的外利用、不適切な加工など。
    • モデル化(「イベント」)~ 移転・提供 ~
      1. 移転・提供
        • サプライチェーンを動的に構成する場合、効果を最大限に引き出すためにはより自由にデータの移転・提供を実施できる環境にすること、リスクに対してより効果的に対応することが求められる。
        • 特定の移転・提供事象について、国・地域、組織・ヒト、システム・サービス、機器という4つの単位で整理。
        • イベントをどの程度詳細に記述するかは、データフローの整理の目的に応じて調整する必要。
      2. 保管
        • 保管は、他のイベントに付随して必ず生じる「イベント」である。データはライフサイクルの様々な段階において、ネットワークに接続されたストレージ機器・サービスやクライアントのハードディスク、USBメモリのような可搬媒体や、機器の一時記憶領域等に保管され得る。
        • データの取扱に関してリスクを洗い出し、セキュリティ対策を検討する上では、移転・提供、加工・利用されるデータとは異なるリスクが生じうることから、「イベント」の一類型として整理し、リスクの洗い出しを実施することが適切
      3. 廃棄
        • 本フレームワークにおける廃棄は、データセット全体を使用不可能な状態とすることを指す。
        • 同意に基づいて収集したパーソナルデータに関して、特定の個人が同意を撤回する等により、当該個人のデータをデータセットから除外する行為は、加工・利用の一形態として捉えるのが適切。
          • 代表的なリスク:廃棄すべきデータが残存して漏えいする、本来は廃棄すべきでないデータまで廃棄してしまうなど。
  • モデル化(「場」)
    • 「場」は、それぞれの状況や関係する者の事情などによって適用される形態等が異なり、一律に設定方法や形態が決まるものではない。
    • 例えば、「場」を構成する重要な要素の一つに法令等があるが、「場」の設定を行うに当たって、必要な観点を漏らすリスクを低減しながら検討するために、下記のような4つのカテゴリから整理。
    • 4つのカテゴリは、「場」が、データに関して何らかの共通の取扱を求める法令等と連動して設定されることを背景に、データに共通の取扱を求める目的としてはどのようなものが考えられるか、という観点から整理
    • カテゴリ
      • 特に「場」と連動して、データに対して特別な作用(「イベント」)を求める場合(個人情報・匿名加工情報、営業秘密・限定提供データなど)、カテゴリとして法令等における位置づけを整理する。
    • 開示範囲
      • 民法上の契約や組織内規則も含め、データに定められている開示範囲を整理する。その際、組織内での取扱であっても、国・地域間での移転が伴う場合や、米国輸出管理法上のみなし輸出に該当する場合等、開示範囲の制限が複層的に適用される可能性がある点に留意。
    • 利用目的
      • 個人情報やライセンスなど、法令等に基づいて利用目的に制限が設けられている場合、当該利用目的の範囲内で取り扱われる必要があることから、「属性」として明示しておく必要がある。
    • データ管理主体
      • データに軸を置く本フレームワークにおいては、データに作用を及ぼす主体についても、データが転々流通する過程で移り変わるものであり、あくまで「属性」の一つとして整理する。
    • データ権利者
      • データが個人情報である場合、企業の競争力に関わる場合など、データ管理主体とは別に、データに対して権利を有する主体が存在することがある。移転・提供が行われて別の主体がデータを取得した場合でも、データ権利者は当該主体の管理下にあるデータに対して引き続き権利を有すると考えられるため、管理主体が転々と移っていく過程でも、「属性」として管理する必要がある。
  • 活用方法~ サプライチェーンを構成するステークホルダー間での活用 ~
    • バリュークリエイションプロセスに関わるステークホルダーの間で、データのライフサイクルの各工程においてリスクを可視化した上で、各主体がそれぞれ実施すべき対策を他の主体と合意形成しながら取り組むことにより、データの信頼性を確保することが期待される。
    • 可視化されたリスクに対して各主体が実施すべきセキュリティ対策は、これまでに公表されてきた情報セキュリティに関する様々な国際標準等を参照。
    • 将来的には経営者によるITガバナンス(デジタルガバナンス)の検討への活用も期待。
  • 活用方法 ~ルール間のギャップの分析 ~
    • 本フレームワークは、データ管理に関わる制度間における、データのセキュリティの確保のために要求されている条件や措置の相違(ギャップ)を明確化するためのモデルとしての活用も可能。
    • データに関する「場」や「属性」の変化を可視化することで、データのセキュリティの確保のために要求されている条件や措置の相違を把握することにつながる。
  • システム構成の多層化・重層化によるデータマネジメントの複雑化
    • クラウドサービスの利用の進展により、データが生成され価値を生む場所と実際にデータが処理される場所が異なることがあるなど、システムの多層化・重層化が進展している。
    • システムの複雑性が増すほど、データが取り扱われる「場」がフィジカル空間と乖離することがある。
    • B社SaaSはC社PaaS上で、C社PaaSはD社IaaS上で稼働している場合等において、A社がB社と契約してデータを保管する際、A社から見たデータの保存先はB社SaaSだが、実際のデータの保存先はD社IaaSとなり、A社・B社間の関係だけからは見えないリスクが内在する。
    • このような複雑なケースがあることを認識した上で、扱うデータの機微性等に応じてバリュークリエイションプロセスのデータフローを可視化し、サービス契約の約款や契約相手へ確認することが重要。

~NEW~
経済産業省 「特許行政年次報告書2021年版」を取りまとめました
▼特許行政年次報告書2021年版
  • 特許庁は、広く知的財産制度についての関心や理解を深めていただくために、知的財産をめぐる国内外の動向と特許庁における取組について、「特許行政年次報告書2021年版」を取りまとめました。
  • 本報告書の概要
    • 新型コロナウイルス感染症が拡大すると共に世界経済が一時的に停滞した一方で、デジタル化が一層加速し、感染症対策などの社会ニーズが大きく変化しました。そして、それに伴い新たなビジネス機会が生まれ、イノベーションを支える知的財産の重要性はこれまで以上に高まりつつあります。これに対し、特許庁においても、適切な産業財産権の付与を通じてイノベーション創出を促すために、様々な取組を検討し、実施しています。
    • 冒頭特集では、私たちの生活様式が大きく変化する中で新たに躍進する最新技術を取り上げています。本特集では、”ニューノーマル(次の当たり前)”を創る人々に焦点を当て、①心の癒しを担う家族型ロボット、②AIと人が協調する教育を実現するAI学習システム、③人と共生し、物流の人手不足に挑戦する無人宅配ロボットの3つの技術において、製品・サービスの内容と誕生のストーリーを、生活様式の変化により生まれる新たなニーズにも触れながら紹介します。
    • 第1部の「知的財産をめぐる動向」からは、新型コロナウイルスが知財統計に及ぼした影響について知ることができます。
    • 第2部では、特許庁の最新の取組として、手続の救済措置、オンライン面接の推進、行政のデジタル化の他、特許庁の中長期的課題を議論した「基本問題小委員会」などについて紹介しています。
    • 第3部では、コロナ禍において国際連携を進める各国の知的財産制度の動向や、グローバルな知的財産環境の整備に向けた取組を紹介しています。
    • その他にも、口頭審理期日における当事者等の出頭のオンライン化やAI・IoT技術の時代にふさわしい特許制度の検討など、話題性のあるテーマを中心に取り上げたコラムを掲載しています。
    • また、別冊の統計・資料編では、本報告書中の図表等の基礎となる統計情報を含め、知的財産に関する各種統計・資料を紹介しています。

~NEW~
経済産業省 「仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業」の報告書を取りまとめました
▼仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業 報告書
  • 「越境ビジネスにおける法の適用」、「仮想オブジェクトに対する権利の保護」、「仮想空間内における権利の侵害」、「個人間取引プラットフォームにおける債務」、「仮想空間プラットフォームビジネスに適用される各業法」が契約に基づかない又は制限が発生する債務の主要な法的論点となる
  1. 越境ビジネスにおける法の適用
    • 各国の法規制が適用されることにより、プラットフォーマーやサービス提供者が提供するサービスに与える影響
    • ステークホルダー間で紛争が発生した場合、適用される準拠法
      • ITサービスは多国間に所在するステークホルダー間でビジネスが展開されることも多い。サービス上でステークホルダー間の紛争が発生した場合、適用される準拠法次第では、契約に基づかない債務や強行規定等の範囲や内容が変わる可能性がある。そのため事業者は、自社が提供するサービスの利用者との間で、どの国の法律が適用されるかについて、留意する必要がある
  2. 仮想オブジェクトに対する権利の保護
    • 所有権や著作権といった権利が発生するか
    • 権利が発生することによって、事業者が締結する契約に与える影響
      • 仮想オブジェクトに対して財産権等の権利が法律に基づいて認められる場合、ステークホルダー間でその権利の取り扱いに関する合意を取ることは、紛争防止の観点において重要である。事業者が契約を締結するに際に、仮想オブジェクトに認められる権利を理解することが求められる
  3. 仮想空間内における権利の侵害
    • 仮想空間から侵害が発生し得る、現実空間側で保有する権利
    • 権利侵害が発生することによって、事業者が締結する契約に与える影響
      • 仮想空間内における活動によって、既存の効力を有する権利に対して侵害行為が発生する可能性がある。事業者は発生する可能性のある侵害行為について正しく認識し、その防止を行わなければならない
  4. 個人間取引プラットフォームにおける債務
    • 個人間取引プラットフォームにおける消費者及びサービス提供者の保護
    • サービス提供者と消費者の間で消費者契約法等に基づいて消費者の保護を行うことが難しい
    • サービス提供者も個人であることから、プラットフォーマーによる保護が求められる
      • サービス提供者と消費者の両者が個人の場合、事業者と個人の間で適用される消費者契約法等が適用されないことから、消費者の保護が困難となる可能性がある。そのため、消費者の保護に対してプラットフォーマーが負う責任が増加する可能性があり、適切な対策が求められる。また、サービス提供者が個人である場合、一般的なプラットフォームと異なり、サービス提供者に対する保護についても、検討の必要がある
  5. 仮想空間プラットフォームビジネスに適用される各業法
    • 仮想空間プラットフォームビジネスにおいて順守すべき法律
      • 仮想空間固有の法律
      • ITプラットフォームビジネスに適用される法律
      • それぞれにおける強行規定
      • 既にインターネット上で展開するビジネスに対して、消費者や事業者の保護、事業の公平性維持を目的とした多くの業法等が存在する。各法律を理解し、自社サービスに適用することは、事業者のリスクを抑える上で重要な要素の一つである
  6. 仮想オブジェクトの所有権
    • 既存の著作権構成による仮想オブジェクトの保護では、仮想空間利用者が所持する仮想オブジェクトの所有に対する保護が不十分となる可能性がある
    • 仮想オブジェクトの所持者が同オブジェクトの作成者(著作権者)と異なる場合に、所有者の権利を法律上保護することが難しい
    • 例えば所持者が高額で購入した仮想オブジェクトが盗難等の被害にあった場合に、被害に対する補填等を加害者や侵害行為に直接関与していない事業者(プラットフォーマーやサービス提供者)に法律上求めることが難しい可能性がある
    • また、仮想空間内で発生することから、加害者を特定することが困難であった場合に、加害者に対して損害の賠償を請求することが難しい
      • 物権構成による仮想オブジェクトの権利を保護
      • 仮想オブジェクトを喪失する被害にあった場合に、所持者が現物返還請求権の行使によって、加害者や事業者(サービス提供者やプラットフォーマー)に請求することで、仮想オブジェクトを保護できる可能性がある
  7. 仮想空間内におけるキャラクターの経済的価値
    • 仮想空間内で作成された人気キャラクターなどの高い顧客吸引力を有するオブジェクト所有者の経済的な価値の保護が難しい
    • 仮想オブジェクトの所持者が同オブジェクトの作成者(著作権者)と異なる場合に、所有者の権利を法律上保護することが難しい
    • 例えば仮想空間ライブ配信プラットフォーム上において、動画配信者が一般販売されているアバターを用いて活動を行った結果、同アバターがキャラクターとして周知性が高まった場合に、その経済的価値を保護することが難しいと考えられる。同アバターの破壊、盗難、悪用等による経済的損失は動画配信者が被るため、アバター購入時に動画配信者が同アバターの著作権を得られない場合は、著作権侵害に対して動画配信者が直接的に保護を訴えることができない
    • 著作隣接権構成によるキャラクターの経済的価値を保護
      • キャラクターの外見的特徴(アバター)は著作権によって保護されうるが、声や動き等の外見以外の特徴に対して著作隣接権を適用することで、キャラクターの経済的価値をより強固に保護可能とする
      • 著作隣接権は著作物の公衆への伝達に重要な役割を果たしている者(実演家、レコード製作者、放送事業者及び有線放送事業者)に与えられる権利である。アバターが歌唱した音楽は固定されていればレコード制作者の権利が適用されうる。また、アバターが既存の著作物である音楽を歌唱した場合、アバターの演者に実演家の権利が適用されうる。現状では声や動き等に対して著作隣接権が認められるか、法解釈が定まっていないため、明らかにすることを検討する必要がある
    • 仮想空間ビジネスにおいて事業者が直面し得る問題は12類型あり、事業者がビジネス参入時に留意すべき法的リスクとして、不法行為責任と法的対応の限界に伴うトラブルの発生がある
      1. 仮想オブジェクトに対する権利の保護
        • 現行法では想定されていない権利に関する訴訟が発生し得る
      2. 仮想空間内における権利の侵害
      3. 違法情報・有害情報の流通
        • 不正競争防止法違反の可能性がある
        • 不法行為責任に基づく損害賠償請求の可能性がある
        • 不法行為責任に基づく損害賠償請求の可能性がある
        • プロバイダ責任制限法に基づき事業者が免責されないケースがある
      4. チート行為
        • 適切な利用規約が締結されていない場合、チートに対応できない恐れがある
      5. リアルマネートレード(RMT)
        • 適切な利用規約が締結されていない場合、RMTに対応できない恐れがある
      6. 青少年の利用トラブル
        • 出会い系サイト規制法に抵触する可能性がある
      7. ARゲーム利用による交通事故やトラブル
        • 現行法上対応できないトラブルに対する訴訟が発生する可能性がある
      8. マネーロンダリングや詐欺
        • 犯罪収益移転防止法の強化への対応が求められる
        • プラットフォーマーの善管注意義務が発生する場合がある
      9. 情報セキュリティ問題
        • 個人情報保護法に抵触する恐れがある
        • 不法行為責任に基づく損害賠償請求の可能性がある
      10. 個人間取引プラットフォームにおけるトラブル
        • プラットフォーマーの債務が拡大する可能性がある
      11. 越境ビジネスにおける法の適用に関わる問題
        • 紛争解決時に適用される法律等へ影響がある
      12. 独占禁止法に関わる問題
        • 独占禁止法に抵触する恐れがある

~NEW~
経済産業省 「繊維産業のサステナビリティに関する検討会」報告書を取りまとめました
▼繊維産業のサステナビリティに関する検討会 報告書概要
  • 現在、日本の繊維産業は、大きな転換期を迎えている。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、アパレル等の売上が大きく落ち込むとともに、「新たな日常」を踏まえた消費者ニーズの変化に見舞われている。
  • こうした中、新しい時代に向けて、今後の繊維産業を展望した時に、「サステナビリティ」が重要な視点として浮かび上がってくる。
  • サステナビリティについては、2015年のSDGs(Sustainable Development Goals持続可能な開発目標)の採択以降、国内外において、官民での取組が活発になっている。
  • 日本の繊維産業に目を向けると、一部の企業においてサステナビリティの取組は徐々に始まっているものの、長く複雑と言われるサプライチェーンの管理等、取組が十分になされているとは言い難い状況にある
  • こうした状況を踏まえ、繊維産業におけるサステナビリティへの取組を促進するため、2021年2月に「繊維産業のサステナビリティに関する検討会」を設置。「新しい時代への設計図」を示すべく、議論・検討を進めてきた。
  • 報告書は、検討会の議論・検討をとりまとめるとともに、今後に向けた政策提言を行うものである。
  • 繊維産業の現状
    • 衣料品の国内アパレル市場規模は徐々に縮小しているとともに、国内事業所数は減少している。
    • 一方で、国内生産の強みが存在し、海外からの高い評価を得ている。
  • サステナビリティに係る取組
    1. 環境配慮
      • 限りある資源を有効活用するため、資源循環の取組を進める。
    2. 責任あるサプライチェーン管理
      • サプライチェーン上での労働環境や使用する素材等に関して、責任ある管理を進める。
    3. ジェンダー平等
      • 社会的・文化的な性差によって差が生じない環境の整備を進める。
    4. 供給構造
      • 適量生産・適量供給に向けた取組を進める。
    5. デジタル化の促進
      • サステナビリティに係る取組を進めるため、デジタル技術の活用を進める
  • サステナビリティに係る現状と今後の取組(環境配慮)
    • 大量生産・大量消費を前提とした経済から、循環型経済への移行が必要。
    • 新たな資源投入量を抑制し、消費活動後の製品を回収・リサイクル等することや、気候変動への対応が重要となる。
      1. 環境配慮設計ガイドラインの策定
        • 副産物削減、省エネルギー・省資源、製品の長寿命化、消費活動後の資源循環といった観点を入れた製品設計を進めるためのガイドラインの策定。
      2. 回収システムの構築
        • 店頭回収などを通じてリユース・リサイクルが促進されるよう、回収した古繊維の取扱いに関する環境整備の実施。
      3. 消費者の意識改工
        • インフルエンサーなどの協力も得た消費者への情報発信・周知活動の展開。
  • サステナビリティに係る現状と今後の取組(責任あるサプライチェーン管理)
    • 2013年のバングラデシュにおけるラナ・プラザ崩壊以降、サプライチェーン管理の重要性が認識されるようになった。
    • 責任あるサプライチェーン管理を通じて、労働環境の整備等につなげる。
      1. デュー・ディリジェンスの実施
        • デュー・ディリジェンス実施の必要性等をより一層周知。
        • ILOと連携しつつ、デュー・ディリジェンスに取り組みやすくするためのガイドライン策定。
      2. 国際認証取得に向けた環境整備
        • 国際認証取得の必要性の周知や、国際認証策定機関への日本人スタッフ派遣等に関する環境整備。
      3. 外国人技能実習生等への対応
        • 外国人技能実習制度に係る法令遵守等の徹底、「J∞QUALITY制度」の発展。
  • サステナビリティに係る現状と今後の取組(ジェンダー平等)
    • ジェンダー平等の実現は、社会と経済に大きな影響を与える。
    • 男性、女性という理由で様々な差別を受けることがない社会の形成が強く求められている。
      1. 官民ラウンドテーブルの設置
        • 経営層による理解を醸成するため、ジェンダー平等の重要性を共有・理解するとともに、先進的な取組事例や人材育成の仕組み等について議論・共有する場の設置。
      2. 若い世代に対するロールモデルの提示
        • アンコンシャス・バイアスを打破するようなジェンダー教育を実施するほか、就職後のキャリアイメージを抱くためのロールモデルを提示。
        • 中学、高校、専門学校、大学等の学生等に対して、既に活躍している女性リーダーが経験談やキャリア形成に係る取組等の事例を紹介する講座を開設。
  • サステナビリティに係る現状と今後の取組(供給構造)
    • 大量生産・大量消費といった事業活動や消費活動は限界を迎えているとの指摘があり、限りある資源を有効に活用することが重要。
    • 適量生産・適量供給を目指していくことが求められる。
      1. デジタル技術の活用
        • 販売状況・在庫管理を行うため、RFIDなどのデジタル技術に関する理解醸成活動の実施。
      2. 百貨店などにおける購買データの標準化等により、顧客管理や消費動向の把握を促進。
        • 顧客を中心に置いた事業展開の推進
        • 店頭で選んだ商品を別途自宅へ送付するなど、欠品を絶対的に悪いものとはしない環境づくりや、消費者との持続的な関係構築の推進。
      3. 生産工程の改工
        • 国内生産の在り方の検討、先進的な事例の横展開を実施。
  • サステナビリティに係る現状と今後の取組(デジタル化の促進)
    • 近年、IoT、ビッグデータ、AIなどの新しい技術の発展・普及は目覚ましく、様々な課題への対応に期待されている。
    • サステナビリティの取組は、多くの情報を集約・管理・分析することが必要であり、デジタル技術は極めて有効。
      1. 経営層への理解促進
        • デジタル技術の導入には経営層の理解が必要であり、業界団体などを通じて理解を促進。
      2. 優良事例の横展開
        • サステナビリティに係る取組の優良事例を収集・共有する際に、サステナビリティに資するデジタル技術の活用優良事例も周知。
      3. 支援施策の周知
        • 補助金によるITツールの導入支援や、DX認定制度に加え、全社レベルでのDXの計画に基づくデジタル関連投資に対する税額控除・低利融資の措置などの支援施策を周知
  • 繊維産業においてサステナビリティに係る取組を進めていくためには、企業及び消費者の取組・意識改工が必要。

~NEW~
総務省 プラットフォームサービスに関する研究会 中間とりまとめ(案)についての意見募集
▼別添1 プラットフォームサービスに関する研究会 中間とりまとめ(案)
  • 総務省が委託運営を行っている「違法・有害情報相談センター」で受け付けている相談件数は高止まり傾向にあり、令和2年度(2020年度)の相談件数は、受付を開始した平成22年度(2010年度)の相談件数の約4倍に増加している。総務省は、令和3年(2021年)2月に、相談(作業)件数の事業者別の内訳を公表した。令和2年度(2020年度)における相談件数の上位5者は、Twitter、Google、5ちゃんねる、Facebook、LINEとなっている。
  • 法務省におけるインターネット上の人権侵害情報に関する人権侵犯事件は、平成29年(2017年)に過去最高(平成13年(2001年)の現行統計開始以降)の件数を更新し、令和2年(2020年)についても、引き続き高水準で推移している。法務省は、インターネット上の人権侵害情報について、法務省人権擁護機関による削除要請件数と削除対応率について、事業者別の数値(個別の事業者名は非公表)を令和3年(2021年)2月に公表した。平成30年(2018年)1月~令和2年(2020年)10月の期間内に、5,223件の事案が人権侵犯事件として立件された。法務局においては、これらについて当該情報の違法性を判断し、そのうち1,203件について削除要請を実施したところ、プロバイダ等による削除対応率は68.08%であった。さらに、法務省は、投稿の類型別(私事性的画像情報、プライバシー侵害、名誉毀損、破産者情報、識別情報の摘示)の削除要請件数及び削除対応率についても公表を行った、有識者の分析結果によると、2020年4月のネット炎上件数は前年同月比で3.4倍であり、2020年の炎上件数は1,415件となっている。
  • インターネットのような能動的な言論空間では、極端な意見を持つ人の方が多く発信する傾向がみられる。過去1年以内に炎上に参加した人は、約0.5%であり、1件当たりで推計すると0.0015%(7万人に1人)となっている。書き込む人も、ほとんどの人は炎上1件に1~3回しか書き込まないが、中には50回以上書き込む人もいるなど、ごく少数のさらにごく一部がネット世論を作る傾向が見られるとの指摘がある。
  • また、炎上参加者の肩書き分布に特別な傾向は見られない。書き込む動機は「正義感」(どの炎上でも60~70%程度)となっている。社会的正義ではなく、各々が持っている価値観での正義感で人を裁いており、多くの人は「誹謗中傷を書いている」と気付いていないという分析結果が挙げられた
  • モニタリングの結果、プラットフォーム事業者の誹謗中傷等への対応に関する透明性・アカウンタビリティ確保状況には差異が見られた。ヤフー・LINEは、我が国における誹謗中傷への対応について、具体的な取組や定量的な数値を公表しており、透明性・アカウンタビリティ確保に向けた取組が進められている。Googleは、一部、我が国における定量的な件数が新たに示されているが、構成員限りで非公開となっている情報も残されており、部分的に透明性・アカウンタビリティ確保に向けた取組が進められている。Facebook・Twitterは、グローバルな取組や数値は公表しているが、我が国における具体的な取組や定量的な数値を公表しておらず、我が国における透明性・アカウンタビリティ確保が果たされていない。
  • すべての事業者において、誹謗中傷を含む一定の類型について禁止規定を定めており、削除・警告表示・アカウント停止等の対応を規定し公表している。
  • ヤフー・LINEについては、2020年7月の本研究会(第19回)でのヒアリングシートと比較して、我が国における一般ユーザからの申告に関する定量的な件数が新たに示されているなど、透明性・アカウンタビリティ確保に向けた取組を進めている。Googleは、2020年7月の本研究会(第19回)でのヒアリングシートと比較して、一般ユーザからの申告に関する件数など、一部、我が
  • 国における定量的な件数を新たに示しているが、構成員限りで非公開となっている情報も残されており、現在、日本向けデータ公表のフォーマットについて検討中である。Facebook・Twitterは、2020年7月の本研究会(第19回)でのヒアリングシートと比較して、新たな情報を示していない。グローバルでの数値は公表しているものの、我が国における一般ユーザからの申告に関する定量的な数値は示していない
  • 各事業者において、積極的にAIを活用した削除等の取組が進められている。ヤフーは、「Yahoo!ニュースコメント」において2014年から機械学習による不適切投稿への対応を開始した。AIによる検知を通じて、1日平均約29万件の投稿のうち、約2万件の不適切な投稿(記事との関連性の低いコメントや誹謗中傷等の書き込みなど)の削除を実施している。Facebookは、AIを活用して不適切なコンテンツを検出している。AIは、コンテンツレビュアーがレビューするケースに優先順位をつけて、最も有害で時間的な問題のあるコンテンツを最初に処理できるようにしている。Googleは、機械学習を活用して不適切なコンテンツを検出している。
  • 有害なコンテンツのほとんどがシステムによって一度も視聴されずに削除されている。LINEは、機械的なチェックにより、禁止用語やルールと照合し、規約や法令に反した投稿かどうか確認し、自動で非表示化している。全サービスにおいて、わいせつ、出会い系、不快画像等について、AIを活用した「違反画像」を検知している。Twitterは、テクノロジー(PhotoDNA、社内の独自ツールなど)を活用し、違反コンテンツを特定している
  • 一部事業者から不正な申告や削除要請への対策の方法・仕組みについて回答があった(ヤフーは、すべて人の目で内容を確認、Facebookは、システムの悪用(大量の報告)を防ぐため重複報告を認識する技術を導入)。濫用的な報告に関する定量的な件数については、LINEのみが数値を公表している
  • 各社の具体的な取組は以下のとおり。
    • ヤフー:自身の選択により書き込みや利用者の非表示・ブロック、低品質投稿の機械的検出と折りたたみ表示(知恵袋)、AIを活用した投稿時における注意メッセージの掲出(ニュースコメント、2020年度開始)、一度投稿停止措置を受けたユーザが再度アカウントを作成した場合の投稿制限等
    • Facebook:自身の選択により書き込みや利用者の非表示・ブロック、タグ付けや返信等を許可する相手を選択する機能、ブロックした人の別アカウントによる望まないやりとりの自動検知・防止、ポジティブなコメントを固定、不適切なコメントを自動的に非表示するフィルタ機能
    • Google:利用規約上ボーダーライン上のコンテンツ等をおすすめ機能に表示しない機能
    • LINE:自身の選択により書き込みや利用者の非表示・ブロック、18歳未満のユーザ検索機能制限、誹謗中傷やスパムなどについてAIを活用して検知し投稿前に警告する機能を開発中(2021年下半期までに全てのサービスに実装予定)、一般社団法人全国心理業連合会と連携した無料相談窓口(心のケア相談)の開設
    • Twitter:自身の選択により書き込みや利用者の非表示・ブロック、返信できるユーザの範囲を選択する仕組み、センシティブな内容を非表示にするフィルタ機能(セーフサーチ)
  • 2021年3月の調査結果11によると、直近1か月での偽情報への接触率は75%であり、3割程度の人は、偽情報に週1回以上接触している。偽情報を見かけることが多いジャンルは、新型コロナウイルス及びスポーツ・芸能系関連となっている。特に、直近1ヶ月の間での新型コロナウイルス関連の偽情報に接触した層は半数程度であり、拡散経験層は3割弱程度となっている。
  • 偽情報と気づいた割合は、新型コロナウイルス関連が58.9%だが、国内政治関連は18.8%と、ファクトチェック済みの偽情報でも多くの人が偽情報と気付けていない。情報リテラシー(読解力・国語力)が高い人は偽情報に騙されにくい。他方、ソーシャルメディアやメールへの信頼度が高いと偽情報に騙されやすい。また、マスメディアへの不満や自分の生活への不満が高いと偽情報に騙されやすい(特に、国内政治関連の偽情報)。
  • 偽情報の種類によって有効な行動は大きく異なる。新型コロナウイルス関連では「1次ソースを調べる」「情報発信者の姿勢やトーン、感情を考える」が有効、国内政治関連では「情報の発信主体を確認する」「情報が発信された目的を考える」が有効となっている。また、「ネットで他の情報源を探し、確認する」も全体的に有効となっている。
  • 拡散手段として最も多いのは「家族・友人・知り合いに直接話した」が10.3%。次いでメッセージアプリが多く、身近な人への拡散が多い。Twitterは3位の4.3%となっている。大量の人に拡散した「スーパースプレッダー」は全体で1%以下しかいないが、拡散数では約95%を占めるなど、ごく一部の拡散者が偽情報拡散の大部分を広めていた。一方、スーパースプレッダーはソーシャルメディアからの訂正情報で考えを変えやすい傾向にある
  • 人間の非合理性が、偽情報の拡散に寄与するとの指摘がある。
    • 確証バイアス:先入観の影響により、自らに都合のいい情報に触れると真実だと信じてしまう。
    • 認知的均衡理論:人間には、好きと嫌いとの均衡状態を維持したいという心理があり、自分が好きな人が好きなものを好きなことは安定状態、その逆が不安定な状態となる。偽情報に触れた際、真実性よりも認知的均衡を保つために、自分が好きな人の発言が偽情報であってもそれを信じてしまうことがある。
    • ソーシャルポルノ仮説:コンテンツを消費して快感を得ることが目的であり、ニュース等を見るときに、情報を得ようという観点よりも楽しもうという観点を重視する態度。この観点により、偽情報が消費・拡散されることがある。

~NEW~
総務省 「消費者保護ルールの在り方に関する検討会報告書2021(案)」に対する意見募集
▼消費者保護ルールの在り方に関する検討会報告書2021(案)
  • 電話勧誘における課題に対する基本的な考え方
    • 現状等で示したとおり、FTTHサービスを中心に、引き続き、電話勧誘を発生チャネルとする苦情相談は高止まりしており、他の商品・役務と比べてもFTTHサービス等の「インターネット接続サービス」の電話勧誘に関する苦情相談は著しく多く寄せられている。事業者団体等の努力にもかかわらず、引き続き多くの消費者トラブルが生じている要因としては、主に、電気通信サービスの特質と、電話勧誘という販売方法のもつ不意打ち性や視認性の欠如といった点が相まって消費者の誤認を招きやすいという内在的な問題に加え、電話勧誘を通じてトラブルを生じさせている事業者には、アウトサイダーが少なくないということが考えられる。
    • これらを踏まえれば、業界団体等による自主的取組の実施だけでは対処に限界があると考られる。本件について抜本的な改善を図るため、総務省において、電話勧誘による契約に関し更なる制度的措置を講じ、不適切な行為を抑止することが適当である
    • なお、電話勧誘における課題に効果的に対処するためには、更なる制度的措置と併せて、総務省において、行政指導等の法執行を引き続き適切に実施することが重要である。
    • また、各事業者においても、今般の制度整備による効果が不十分であった場合には更なる措置が講じられる可能性に留意し、適正な契約手続の実施に努めることが求められる。
  • 不適切な行為を抑止するための具体的な措置
    • 具体的な措置内容については、(ア)不招請勧誘の禁止、(イ)電話勧誘拒否登録簿制度の導入、(ウ)要式契約化(書面等で利用者からの明示的な同意が確認できた時点をもって契約を成立とする)、(エ)説明書面を交付の上で契約前の提供条件の説明を行うことの義務化、(オ)その他の措置が考えられるが、強い規制の導入は、事業活動を過度に制約することになるため、制約が必要最小限となるようにすることが求められる。
    • この点、(エ)については、TCAで既に行われ一定の成果を上げている取組の趣旨を踏襲した上で、保護の対象を高齢者のみでなく全年齢に広げるものであることから高い効果が期待できる一方、電話勧誘そのものを一部又は全部禁止する(ア)や(イ)、民法上の原則である諾成契約を認めない(ウ)と比較して事業活動への制約が少ないものと考えられる。したがって、まずは、(エ)の説明書面を交付の上で契約前の提供条件の説明を行うことを義務化し、これによっても電話勧誘に起因するトラブルの解決に十分な効果が見られない場合に、(ウ)の要式契約化や(イ)の電話勧誘拒否登録簿制度の導入、更には(ア)の不招請勧誘の禁止といった強い措置を検討することが適当である。
    • なお、利用者の明示的な了解があった場合は、説明書面の交付に代えて電磁的方法によることも可能とすることが適当である。
    • また、(エ)の措置の義務化に当たっては、事業者等からの意見も踏まえ、利用者の利便性を低下させる可能性が高いと考えられるものについては除外することが適当である。
    • 具体的には、利用者からの架電に対する案内(インバウンド)の場合と、既に利用しているサービスに関して契約変更(プラン変更やオプション契約の追加・解除等)をするような場合が考えられる。
    • まず、インバウンドについては、電話勧誘の持つ不意打ち性や覆面性(相手の姿が見えず素性が分かりがたい)といった性質は薄まり、かつ、利用者は電話により契約することを期待していると考えられることから、販売目的を隠匿するようなチラシや著しく有利な条件により誘引を図るパンフレット等により利用者が架電するように仕向けられたものを除き、利用者が求める場合は規制の対象外とすることが適当である。
    • 次に、事業者から利用者に対して架電を行う場合(アウトバウンド)であっても、既に利用しているサービスに関する契約変更(プラン変更やオプション契約の追加・解除等)については、契約に当たって知るべき情報の多くは利用者が既知であると考えられることから、電話勧誘の持つ不意打ち性や視認性の欠如が問題となる場面は少ないと考えられる。一方で、速やかな変更が利用者の利益となる場合は多いと考えられることから、利用者が求める場合は規制の対象外とすることが適当である
  • ウェブでの解約手続
    • 電気通信サービスの契約締結手続については、早期の契約締結が電気通信事業者の利益につながることから、電気通信事業者にはこれを迅速に実現するための仕組みを整備するインセンティブが存在する。一方で、解約手続については、その遅延が、電気通信事業者の利益になることもあることから、これを迅速に行うインセンティブは契約締結手続に比べて劣後すると考えられる。実際、電話等が繋がらないことにより解約ができないといったトラブルは、同様の理由により契約締結ができないといったトラブルよりも多い。
    • しかし、解約は、契約締結と同様に、電気通信サービスの利用に関する利用者の重要な意思決定であることに鑑みれば、電気通信事業者は、利用者の解約手続が契約締結の手続と同程度に円滑に実施できるような状態を確保しなければならないと考えられる。
    • 現状においてこの点が必ずしも確保できていないことを踏まえれば、総務省においては、電気通信事業者に対し、特段の合理的な事情がある場合を除き、利用者が遅滞なく解約できるような手段を提供しなければならないことを義務化することが適当である。
    • なお、多くの電気通信サービスがウェブにより迅速かつ容易に契約締結が可能であることを踏まえると、解約手続についても、ウェブにより行えるようにすることが望ましい。
    • 一般的に、契約締結・解除には、同一の手段が提供されることが適切であると考えられることから、特に、ウェブで契約が可能なサービスの解約については、可能な限りウェブでも可能とすること(解約手続を完結させることが困難な場合は、少なくとも解約の申出(意思表示)を可能とすること)が望ましいと考えられる。
    • ただし、構成員や複数の電気通信事業者から指摘があったように、ウェブによる解約を実施する場合、不利益事項が十分に伝達できなくなるおそれもある。このため、ウェブによる解約を実現するに当たっては、十分な重要事項の掲載など、情報提供の在り方については留意すべきである。
    • そのためにも、不利益事項の伝達の方法については、既にウェブでの解約を実現している電気通信事業者におけるベストプラクティスの共有が図られることが期待される
  • 苦情相談の処理の在り方
    • 苦情相談処理の現場等からは、現状の苦情相談処理の枠組みでは解決が困難な事案があるとの見解が示されている。さらに、今後、DX化の進展等により電気通信サービスへの依存度が高まるとともに、5GサービスやIoTサービス等の先進的なサービスが消費者に本格的に浸透していくことで、消費者トラブルが更に多様化・複雑化していくことが見込まれる。
    • こうした電気通信サービスに関するトラブルにより効果的に対処するためには、個々の事業者による適切な対応に加え、業界における自主的な取組が一層進むことが必要である。
    • 具体的には、個々の事業者が、個別の苦情相談や既存の国民生活センター等によるADRに対して適切に対応することに加え、事業者団体等においても、個別の事業者との間では円滑に解決に至らない消費者トラブルを効果的に解決するため、苦情相談の受付・助言に留まらず、問題の切り分けや解決のモデルケースの提示等も行い得る体制を構築する必要がある。
    • この「体制」については、消費者団体等からも設置に強い要望があった電気通信サービスに特化した専門の苦情処理機関(いわゆるADR機関)の設置も一案として考えられる。
    • このため、個別の事業者を超えて業界として対応することで効果的に解決できるような課題を特定した上で、これに対処するための最適な体制について検討する必要がある。ただし、こうした取組は、事業者や事業者団体等の前向きな協力がなければ円滑に機能しないことから、既存の枠組みの活用も視野に入れるなど業界への過度な負担とならないよう留意しつつ、消費者と事業者の双方に利益をもたらす仕組みとなるよう配意することが肝要である。
    • かかる検討を集中して行うため、本検討会の下に苦情相談の処理の在り方について検討するタスクフォースを設置し、来夏を目途に一定の結論を得ることが適当である
  • キャリアショップ店員へのアンケート調査(2021年3月)
    • これまでの勤務の中で、利用者の利用実態に合わない、又は利用実態を確認しないで34上位の料金プラン等を勧誘したことがあると回答した者は4割強存在した。
    • これ以外の商材(高額なスマートフォンやオプション、アクセサリ等)に関する勧誘と併せると、多くの回答者は利用者のニーズや意向を丁寧に確認することをせずに勧誘を行ったことがあるという結果が見られた。
    • こうした営業の要因について確認したところ、販売代理店の上司や経営層からの指示や目標を理由とした者も多かったものの、各キャリアが設定する営業目標を理由とした者が4割強存在した。
    • 自由記述の中でも、次のような趣旨の証言が見られた。
      • キャリアの営業目標に従わないと経営上不利になることが、多少強引な勧誘に繋がることもあった。
      • 営業目標の達成のためには、(利用者の属性上)明らかに関心のなさそうな商材でも積極的に勧誘することがあった。
      • 営業目標の達成の有無が自分の給与にも影響する。
  • 端末単体販売に関する覆面調査(2020年12月~2021年2月)
    • MNO3社は、販売代理店において、回線契約がある者(回線契約者)のみならず、回線契約がない者(非回線契約者)に対しても、端末を販売(一括又は端末購入サポートプログラムによる割賦)しているとしているが、NTTドコモは22.2%、KDDIは29.9%、ソフトバンクは9.3%の販売代理店において、非回線契約者への販売拒否が確認された。
    • 販売拒否の理由として、「事業者や店舗の方針で販売できない」、「オンラインでは扱っているかもしれないが店舗では対応していない」、「一部の店舗でしか対応していない」、「システムが対応していない」、「端末購入サポートプラグラムは回線契約者向けのプログラムなので加入できない」等の説明があった。
    • その他、「回線を乗り換えた方がお得」、「乗り換えないならメーカ(Appleショップ等)で買った方がいい」といった説明もあった
  • 公正取引委員会が2021年6月に公表した「携帯電話市場における競争政策上の課題について(令和3年度調査)」でも、本件議論に関連する内容が取り上げられている。
    • 具体的には、携帯電話市場におけるMNOと販売代理店の取引関係に着目し、課題を「ア 評価制度」「イ 携帯電話端末の販売価格の設定方法」「ウ 独自商材の取扱い」と分類した上で、それぞれについて、MNO3社及び販売代理店へのヒアリング結果を整理した上で、次のように考え方を整理し、引き続き、MNO3社による評価制度が合理的であるか検証するとともに、MNOによる販売代理店に対する独占禁止法上問題となるおそれがある行為が行われることのないよう、注視していくこととされている。

~NEW~
総務省 「ポストコロナ」時代におけるテレワークの在り方検討タスクフォース(第5回)
▼資料 提言(案)
  • 本タスクフォースにおいては、以下のとおり、「日本型テレワーク」を定義することとしたい。[日本型テレワーク]
    1. 日本の様々な社会課題の解決に寄与
      • 急速な少子高齢化、生産年齢人口の減少等の課題
      • 時間あたり生産性の向上
    2. テレワークを契機としたICTツールの積極的な活用、BPR、DXの推進
      • 情報を共有しているという感覚や一体感の醸成、インフォーマルなコミュニケーションを促進する場をバーチャルに補完
      • 日本型の働き方の「強み」の維持
      • 心理的安全性の強化
    3. ソーシャリゼーションへの配慮
      • 育成期においては一律テレワークではなく、対面機会を計画的に設ける工夫
    4. 世代間ギャップを埋めるための工夫
      • 無駄な出社への同調圧力の排除
      • 企業レベルでテレワークに係るビジョンを策定
      • リバース・メンタリング
    5. ウェルビーイングの向上
      • 個人単位のウェルビーイングに加え、組織による協働的なウェルビーイング
  • 以前はテレワークにより対応できる仕事は限定的であったが、現在は、新たなICTツールをはじめとする様々なテクノロジーを徹底的に活用することにより、物理的なオフィスを共有しておらずとも、デスクトップ上で仮想的な職場を再現することが可能であり、オフィスワーカーであればテレワークで実施できない業務はほとんどないと言える。更に、テレワークの課題とされているものの多くは、テレワークでは対処することができないといった先入観、テレワークを十分に経験してこなかったことによる不慣れ、すでに広く世に登場してきている各課題に応じたICTツールを使いこなすことができていないことに起因するのではないかと考えられる。
  • また、コミュニケーションについては、出社時であれば、知らず知らずのうちに、その場での会話を一緒に聞いたり、出来事を一緒に目撃したりするなど、単純な「情報の共有」のみにとどまらず、自分の置かれている状況を客観的に把握しながら(メタ認知)、「みんなが同じものを見聞きしている」ことを無意識に理解することが可能である。しかしながら、テレワーク時には、(前者の「情報の共有」には気が配られていることが多いが、)自然と入ってくる視覚的・聴覚的情報が限られている場合が多い。これにより、テレワークを実施している者は、出社している者と比較して、相対的に、十分なコミュニケーションを取ることができていないという意識を持つことになり、なし崩し的な出社の一要因となり得ることが予想される。
  • 今後、新型コロナウイルスのワクチンの接種が進むにつれ、出勤者とテレワーカーが入り混じり、いわば「まだらテレワーク」とも言えるような状態が続いていくことが予期される。このような「まだらテレワーク」においては、相談のしやすさや一体感を補完的に醸成したり、評価不安、孤独感を払拭したりすることができるように、「コミュニケーションを見せる」という発想から、テレワークで働く社員も出社する社員もコミュニケーションが可能となるような場を意識的に設けていくことが必要であり、具体的には、バーチャルオフィスのようなICTツールの普及を積極的に図っていくことが有効である。また、所属の部署外の情報も得るためにはビジネス向けの社内SNSも有効な方策となり得る。
  • ICTツールの導入により、日常的な業務が効率化され、良質なテレワークの実現のためだけではなく、企業全体に対し生産性向上といったメリットをもたらすことが見込まれる。先に述べたとおり、テレワークを契機としたICTツールの積極的な活用、BPR、DXの推進という全体的な視野に立ち、計画的にICTツールの導入を図るべきである
  • テレワークは、働き方改革や新たなテクノロジーの活用、ダイバーシティの実現など、様々な企業の取組とも関連が深く、テレワークへの積極的な取組は、こうした他の取組の先進性を示す「リトマス試験紙」とも言っても過言ではない。このような特性を踏まえ、テレワークに関連する取組について、ステークホルダーを巻き込んだ形で企業の行動変容を促すことは検討に値する。
  • 一方、テレワークの実施状況そのものだけでステークホルダーが企業の評価を行うことは現実的ではないとの意見も踏まえ、テレワークだけではなく、BPR・DXの推進、柔軟で効率的な働き方やワークライフバランスの実現、従業員のウェルビーイングの向上、優秀な人材の確保と離職率の低下、業務継続性の確保など、他の目標も設定の上、一体的な取組として評価の対象とすることが重要である。特に、最近の若年層には柔軟な働き方を可能とする職場が人気である傾向が見られることから、テレワークの推進は、企業の継続的な人材確保においても非常に有効な方策だと言える。
  • 以上を踏まえ、従業員のウェルビーイングの向上、生産性の向上、ダイバーシティの推進といった要素から複合的に企業価値を向上させていくという方向で、企業におけるどのような情報を、誰に公表(開示)して、誰がどのように評価していくのか、といった具体的な仕組みについて、今後本TFでも、さらに検討を深めていく必要がある。
  • 議論の根底には、働くことが個人やチームのウェルビーイングに繋がるべきだという強い考えがある。「ワークライフバランス」という言葉は、ワーク中心で人生というものを考えるニュアンスがあり、今後は、人生のなかに仕事があるという「ワークインライフ」という言葉の方が馴染むという意見もあった。
  • 離れて働くことで、個人個人の業務が注目されがちだが、テレワークにおいても、適切なコミュニケーションをとりながら、従来の日本型の働き方の良さである、チームとしてのパフォーマンスを最大化していくことが可能であり、これが生産性の向上にも結びつく。
  • 重要なのは、働き方や制度を急激に変えるのではなく、一つずつステップを踏みながら変わっていくことであり、その旨をきちんと発信していくことである。本タスクフォースにおいても、発信のあり方についても引き続き検討を行っていく

~NEW~
国土交通省 東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について~交通政策審議会より答申をいただきました~
▼答申
  • 地下鉄ネットワークの重要性について
    • 東京の地下鉄は、都心部にネットワークを有し、民鉄各社やJRとの相互直通運転を通じて、ネットワークをジョイントする機能を果たしており、平常時・災害時を問わず、人、モノ、情報の自由自在な移動を実現することにより、首都機能の維持・発展において重要な役割を担っている。
    • 首都・東京には、ビジネス、観光、居住など多様な目的の下、国内外から数多くの人々が活動・交流しており、今後、首都・東京の国際競争力を更に強化する観点に加え、観光客の目的地への円滑なアクセスや流動分散など快適な移動手段の確保を通じた東京の更なる魅力向上の観点からも、地下鉄ネットワークの充実が必要である。
    • また、東京で活動する多数の人々の輸送手段として、環境負荷の小さい地下鉄の活用を推進することは、環境問題への対応からも重要である。
    • 諸外国においても、国際競争力の強化、環境問題への対応の観点から、地下鉄ネットワークの充実を図る動きがあり、首都・東京においてもこれらの取組を進めることが適切である。
    • なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、社会・経済の変化が見込まれるが、リアルな“人と人、人とモノとのつながり”の重要性も再認識されたところである。首都・東京における国際競争力の強化、訪日外国人観光客などの交流人口の拡大、ライフスタイルの多様化に向けて、「人と人・モノ」をつなぐ交通ネットワークは、利便性の向上や新たな価値の創造のために不可欠であり、その維持・充実を図っていくことは今後も必要である。
  • 東京メトロが担っている役割について
    • 東京メトロは、首都・東京の中枢にネットワークを有し、丸ノ内線及び銀座線を除く全ての路線で民鉄各社やJRとの相互直通運転を行っており、その営業キロ数は、自社の営業キロ数(195.0km)の約1.5倍である355.8kmを加え、合計550.8kmに及ぶなど、東京圏の鉄道ネットワークの核となる機能を果たし、人々の輸送手段という鉄道自体が有する公的役割に限らず、首都機能の維持・発展のみならず、首都・東京を含めた東京圏の社会経済活動において重要な役割を担っている。
    • また、東京メトロは、地下鉄整備に関する技術力・ノウハウを有しており、技術的な観点からの役割を果たすことも期待されている。
  • 東京メトロに求める具体的な協力について
    • 東京メトロに求める具体的な協力について以下のとおり提示する。
      1. 東京8号線の延伸及び都心部・品川地下鉄構想については、東京メトロのネットワークとの関連性があり、運賃水準や乗換利便性など利用者サービスの観点や整備段階での技術的な観点からも、東京メトロに対して事業主体としての役割を求めることが適切である。
      2. 一方で、東京メトロは、これまでの累次の閣議決定や東京地下鉄株式会社法において完全民営化の方針が規定されていることを踏まえ、株式上場を目指した経営方針を堅持しており、多額の設備投資を伴う新線整備に対して協力を求めるに当たっては、東京メトロの経営に悪影響を及ぼさないことが大前提となる。
      3. この点、東京8号線の延伸及び都心部・品川地下鉄構想のいずれについても、社会的・経済的見地からの必要性により整備が行われるものであり、受益と負担の関係も踏まえ、十分な公的支援が必要である。
      4. 特に、東京8号線の延伸については、既存路線の混雑緩和に資する路線である一方、当該路線の需要の一部は東京メトロ既存路線の乗客が転移することにより生じると想定されており、東京メトロの経営全体への影響も精査した上で、支援を検討する必要がある。
      5. こうしたことから、類似事例に適用実績がある地下高速鉄道整備事業費補助や独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構による都市鉄道融資の活用が適切である。
      6. また、上述のとおりこれまでの閣議決定や法律において完全民営化の方針が規定されていることを踏まえ、東京メトロが東京8号線の延伸及び都心部・品川地下鉄構想の事業主体になることが完全民営化の方針に影響を与えないよう、事業主体となることと一体不可分のものとして東京メトロ株式の確実な売却が必要である
  • 株式売却に当たっての基本的な考え方について
    • 東京メトロの完全民営化の方針は、既にこれまでの累次の閣議決定や東京地下鉄株式会社法において規定されているところである。
    • 東京メトロ株式の上場は、東京メトロ完全民営化の効果を最大限発現させるためのものであり、より多様な株主を受け入れることによる多角的な事業運営を通じて、利用者サービスの更なる向上を図る観点や、経営のレジリエンスを高める観点、そして企業価値の向上を図る観点からも進めていく必要がある。
    • また、復興財源確保法において国が保有する東京メトロ株式の売却収入を復興債の償還費用への充当期限が令和9年度と規定されているところ、復興財源を確保し、将来世代に負担を先送りしないためにも、株式売却を早期に進めていく必要がある。

~NEW~
国土交通省 パナソニックコンシューマーマーケティング(株)による技術検定の実務経験不備等について
  • パナソニックコンシューマーマーケティング(株)において、社員の一部が建設業法に基づく施工管理技士の資格を不正に取得していた疑義が内部調査により発覚した事案について、第三者機関による調査結果がとりまとめられたとの報告がありました。本件については、国土交通省より、令和2年11月27日に、資格の不正取得者の特定、不正取得者が技術者として配置された工事物件の所有者等に対する丁寧な説明、物件調査の迅速な実施及び報告、原因の究明及び再発防止策の検討について、第三者の有識者の参画を得て実施し、改めて報告するよう指示していたものです。報告の概要及び国土交通省の対応については下記の通り
    1. 第三者委員会報告書の概要
      • 社員62名(退職者11名を含む)が所定の実務経験を充足せずに技術検定を受検し施工管理技士の資格を取得していた。
      • 不正取得であったため資格要件を満たさない社員を、主任技術者として1222件の工事に配置していた。また、営業所専任技術者として7名を配置していた。
      • 該当する社員が配置技術者となった工事物件のうち不特定多数の者が利用する物件については、調査の結果、安全上の問題が生じていないものと評価している。また、施工品質の問題の有無については、今後、第三者評価機関による調査を実施し、その調査結果を待って判断する。
      • ▼ 第三者委員会報告書については、同社ホームページを参照ください。
    2. 国土交通省における対応
      1. 調査及び再発防止の指示等
        • パナソニックコンシューマーマーケティング(株)に対し、今回のような事態を招いたことを真摯に受け止め、再発防止策を速やかに実行に移すとともに、二度とこのような事態を起こさないよう強く求めました。
        • また、施工品質の問題の有無に関し、第三者の意見を踏まえた客観性のある調査及び評価を実施し、報告するよう強く求めました。
      2. 合格の取消、受検禁止措置及び監督処分等
        • 不正の手段によって技術検定を受け合格した事実が明らかとなった合格者に対して、建設業法施行令(昭和31年政令第273号)第41条の規定に基づき、当該合格の取消、3年以内の期間を定めて技術検定の受検を禁止する手続きを行います。
        • また、今後の調査結果も踏まえ、同社に対する監督処分について厳正に対処してまいります。
        • さらに、監督処分にあわせ、国土交通省発注工事の指名停止について厳正に対処してまいります。

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