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  • 「クロスボーダー送金の4つの課題の対処に向けた目標の最終報告書」「リテール中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する公共政策上の原則」(金融庁)/公益通報者保護法に基づく指針の解説(消費者庁)/「倫理的消費(エシカル消費)」に関する消費者意識調査報告書(消費者庁)

危機管理トピックス

「クロスボーダー送金の4つの課題の対処に向けた目標の最終報告書」「リテール中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する公共政策上の原則」(金融庁)/公益通報者保護法に基づく指針の解説(消費者庁)/「倫理的消費(エシカル消費)」に関する消費者意識調査報告書(消費者庁)

2021.10.18
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更新日:2021年10月18日 新着20記事

デジタル通貨のイメージ画像

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 金融安定理事会による「クロスボーダー送金の4つの課題の対処に向けた目標の最終報告書」と「クロスボーダー送金の改善に向けたG20ロードマップ:第1回統合進捗報告書」の公表について
  • G7による「リテール中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する公共政策上の原則」の公表について
  • 「会計監査の在り方に関する懇談会(令和3事務年度)」(第2回)議事次第
首相官邸
  • 新型コロナウイルス感染症対策本部
  • 第二百五回国会における岸田内閣総理大臣所信表明演説
内閣府
  • 月例経済報告等に関する関係閣僚会議
  • 道路に関する世論調査
消費者庁
  • 第42回インターネット消費者取引連絡会
  • 「倫理的消費(エシカル消費)」に関する消費者意識調査報告書
  • 公益通報者保護法に基づく指針の解説を公表しました
国民生活センター
  • 鍵開けを依頼したら想定外の作業をされた!
  • 「何もしなくてももうかる」とFX自動売買システムの購入を勧められた
  • 副業のためのオンライン講座を借金して契約したが、クーリング・オフできるか
経済産業省
  • 宝石・貴金属等取扱事業者におけるマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン(案)
  • TCFDサミット2021が開催されました

~NEW~
警察庁 犯罪統計資料(令和3年1~9月分)
  • 令和3年1~9月の刑法犯総数について、認知件数は420,597件(前年同期459,720件、前年同期比▲8.5%)、検挙件数は192,119件(201,765件、▲4.8%)、検挙率45.7%(43.9%、+1.8P)
  • 窃盗犯の認知件数は282,904件(313,076件、▲9.6%)、検挙件数は117,582件(123,868件、▲5.1%)、検挙率は41.6%(39.6%、+2.0P)
  • 万引きの認知件数は64,952件(64,184件、+1.2%)、検挙件数は47,210件(46,179件、+2.2%)、検挙率は72.7%(71.9%、+0.9P)
  • 知能犯の認知件数は26,193件(24,844件、+6.3%)、検挙件数は13,317件(12,874件、+5.1%)、検挙率は50.8%(51.4%、▲0.6P)
  • 詐欺の認知件数は23,779件(22,029件、+7.9%)、検挙件数は11,478件(10,675件、+7.5%)、検挙率は48.3%(48.5%、▲0.2P)
  • 特別法犯総数について、検挙件数は50,665件(50,936件、▲0.5%)、検挙人員は41,653人(43,160人、▲3.5%)
  • 入管法違反の検挙件数は3,586件(4,847件、▲26.0%)、検挙人員は2,592人(3,515人、▲26.3%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は6,051件(6,046件、+0.1%)、検挙人員は4,695人(4,397人、+6.8%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は1,751件(1,988件、▲11.9%)、検挙人員は1,425人(1,615人、▲11.8%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は233件(295件、▲21.0%)、検挙人員は90人(92人、▲2.2%)、不正競争防止法違反の検挙件数は54件(48件、+12.5%)、検挙人員は48人(56人、▲14.3%)、銃刀法違反の検挙件数は3,667件(3,808件、▲3.7%)、検挙人員は3,142人(3,358人、▲6.4%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は594件(698件、▲14.9%)、検挙人員は329人(359人、▲8.4%)、大麻取締法違反の検挙件数は4,765件(4,018件、+18.6%)、検挙人員は3,743人(3,411人、+9.7%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は8,028件(8,260件、▲2.8%)、検挙人員は5,409人(5,795人、▲6.7%)
  • 来日外国人による 重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数343人(282人、+21.6%)、ベトナム159人(77人、+106.5%)、中国69人(69人、±0%)、フィリピン27人(20人、+35.0%)、ブラジル23人(43人、▲46.5%)、韓国・朝鮮14人(24人、▲41.7%)、インド11人(14人、▲21.4%)
  • 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は8,505件(8,726件、▲2.5%)、検挙人員総数は4,645人(5,332人、▲12.9%)
  • 暴行の検挙件数は509件(656件、▲22.4%)、検挙人員は472人(626人、▲24.6%)、傷害の検挙件数は795件(1,031件、▲22.9%)、検挙人員は955人(1,202人、▲20.5%)、脅迫の検挙件数は270件(333件、▲18.9%)、検挙人員は255人(295人、▲13.6%)、恐喝の検挙件数は282件(306件、▲7.8%)、検挙人員は326人(385人、▲15.3%)、窃盗の検挙件数は4,242件(3,989件、+6.3%)、検挙人員は683人(857人、▲20.3%)、詐欺の検挙件数は1,195件(1,081件、+10.5%)、検挙人員は965人(821人、+17.5%)、賭博の検挙件数は32件(37件、▲13.5%)、検挙人員は80人(136人、▲41.2%)
  • 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は5,036件(5,627件、▲10.5%)、検挙人員は3,377人(4,101人、▲17.7%)
  • 暴力団排除条例違反の検挙件数は26件(42件、▲38.1%)、検挙人員は64人(99人、▲35.4%)、銃刀法違反の検挙件数は80件(110件、▲27.3%)、検挙人員は61人(91人、▲33.0%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は100件(133件、▲24.8%)、検挙人員は27人(41人、▲34.1%)、大麻取締法違反の検挙件数は839件(773件、+8.5%)、検挙人員は524人(529人、▲0.9%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は3,233件(3,656件、▲11.6%)、検挙人員は2,109人(2,532人、▲16.7%)、麻薬等特例法違反の検挙件数は97件(90件、+7.8%)、検挙人員は66人(69人、▲4.3%)

~NEW~
復興庁 復興推進会議 第31回復興推進会議
▼資料 復興加速化への取組
  • 地震・津波被災地域の復興状況
    • 地震・津波被災地域は、住まいの再建や復興まちづくり等が概ね完了今後は、被災者の心のケアなど残された課題に取り組むことが必要
  1. 被災者支援
    • 避難生活の長期化や仮設住宅から恒久住宅への移行等の状況に応じた切れ目のない支援を実施
    • 今後も、高齢者等の見守り、心身のケア、コミュニティ形成の支援、生きがいづくり、子どもへの支援等のきめ細かい支援を継続
  2. 住まいとまちの復興
    • 災害公営住宅や高台移転による宅地造成、被災した道路・鉄道等の交通・物流網の整備は概ね完了
    • 土地区画整理等による造成宅地や集団移転による移転元地等の活用について、地域の個別課題にきめ細かく対応して後押し
  3. 産業・生業の再生
    • 生産設備は概ね復旧しているが、被災地の中核産業である水産加工業の売上げ回復に遅れ
    • 水産加工業の販路開拓・加工原料転換等を支援
  • 原子力災害被災地域の復興状況
    • 原子力災害被災地域は、復興・再生が「本格的に始まった」段階引き続き国が前面に立って、中長期的に対応することが必要
  1. 事故収束
    • 中長期ロードマップを踏まえ、国が前面に立って、安全かつ着実に実施
    • ALPS処理水の処分に関する基本方針に基づき対応(8月24日に実行会議において中間とりまとめ)
  2. 環境再生
    • 除去土壌等の輸送、仮置場の原状回復、最終処分に向けた減容・再生利用の推進及び理解醸成活動
  3. 帰還・移住等の促進
    • 令和2年3月時点で、帰還困難区域を除く全ての地域で避難指示解除、帰還に向けた生活環境の整備
    • 帰還困難区域の6町村の「特定復興再生拠点区域」において、除染やインフラ整備等の推進
    • 移住・定住の促進や交流人口・関係人口の拡大等による、復興を支える新たな活力の呼込み
  4. 福島イノベーション・コースト構想
    • 浜通り地域等における新産業創出に向け、廃炉等の重点分野における拠点整備・実証等の推進
    • 「創造的復興の中核拠点」としての国際教育研究拠点の新設に向けて、令和3年度中に基本構想を策定
  5. 農林水産業の再生
    • 営農再開の加速化(農地の大区画化・利用集積、高付加価値産地の形成の推進)
    • 漁業の本格的な操業再開に向けた支援、水産加工業の販路の開拓・加工原料の転換等の支援
  6. 風評払拭
    • 8月20日の「原子力災害による風評被害を含む影響への対策タスクフォース」において、ALPS処理水に係る理解醸成に向けた情報発信等施策パッケージを取りまとめ、実行会議の対策取りまとめに反映
  • 特定復興再生拠点区域の整備
    • 福島特措法において、帰還困難区域で避難指示解除を可能とする復興拠点を定める計画を規定
    • 帰還困難区域を有する6町村で拠点区域が設定され、2022年春頃(双葉町、大熊町、葛尾村)、2023年春頃(富岡町、浪江町、飯舘村)の避難指示解除に向けて、除染やインフラ整備等を推進
  • 特定復興再生拠点区域外への帰還・居住に向けた基本的方針
    • 本年8月31日、「特定復興再生拠点区域外への帰還・居住に向けた避難指示解除に関する考え方」を政府の基本的方針として決定
    • 今後、基本的方針に基づき、関係機関と連携し、地元と十分に議論しつつ、施策の具体化を推進
  1. 拠点区域外への帰還・居住に向けた避難指示解除の方針
    • 2020年代をかけて、帰還意向のある住民が帰還できるよう、帰還意向を個別に丁寧に把握し、拠点区域外の避難指示解除の取組を進める。
    • 【帰還意向確認】すぐに帰還について判断できない住民にも配慮して、複数回実施。
    • 【除染開始時期】拠点区域の避難指示解除後、帰還意向確認等の状況を踏まえて、遅滞なく、除染を開始。
    • 【除染範囲】帰還する住民の生活環境の放射線量を着実に低減し、住民の安全・安心に万全を期すため、十分に地元自治体と協議・検討。
    • 【予算・財源】除染・解体は国の負担。復興特会及びエネルギー特会により確保。
    • 【その他】居住・生活に必要なインフラ整備は効率的に実施。立入制限の緩和についても必要な対応を実施。
    • 【残された課題】帰還意向のない土地・家屋等の扱いについては、引き続き重要な課題。地元自治体と協議を重ねつつ、検討を進める。
  2. 帰還困難区域を抱える自治体への個別支援の推進
    • 活力ある地域社会の再生・持続を図るため、拠点区域外の避難指示解除のみならず、避難指示解除区域や拠点区域への帰還及び移住・定住を促進。
  • 国際教育研究拠点
    • 福島の課題(環境回復・創造、新産業創出、地方創生等)に対して、国が前面に立って、科学技術・イノベーションの力を結集して取り組む拠点として設立。福島の地から「科学技術立国・日本」の再興を牽引。
    • 今年秋までに新法人の形態を決定。今年度中に拠点の基本構想を策定。
  • 風評払拭
    • 8月20日の「原子力災害による風評被害を含む影響への対策タスクフォース」において、ALPS処理水に係る理解醸成に向けた情報発信等施策パッケージを取りまとめ、8月24日の関係閣僚等会議(実行会議)の対策取りまとめに反映
    • 東京オリンピック・パラリンピックにおいて、福島県産食材等のPRを実施
  1. 【ALPS処理水に係る情報発信等施策パッケージ】
    • 関係省庁が連携し、政府一丸となり総力を挙げて正確な情報を発信
      • 正確で分かりやすい情報発信の積極的展開等。
    • 地元の福島県や近隣県の思いを受け止めながら、密に連携して発信
      • 福島県及び県内市町村が自らの創意工夫によって行う風評払拭の取組への支援等。
    • 海外に向けて関係省庁が連携し、戦略的に発信
      • 各国・地域の状況に応じたきめ細かな対応等。
    • 国内外の状況を継続的に把握し、臨機応変に発信
      • ALPS処理水への理解に必要な情報の認識状況等の把握等。
  2. 【東京オリンピック・パラリンピックにおける福島県産食材等のPR】
    • メインプレスセンターや交通広告等の多様な場を活用した情報発信
    • 選手村の食堂(メインダイニング及びカジュアルダイニング)において、福島県産食材をPRするポスターの掲示

~NEW~
厚生労働省 多様化する労働契約のルールに関する検討会 第8回資料
▼資料1 無期転換ルールに関する論点について
  • 論点一覧
    1. 総論
      • 無期転換ルールの活用状況をどう評価し、その要因をどう考えるか。
      • 無期転換ルールは、「有期労働契約の濫用的な利用を抑制し労働者の雇用の安定を図る」ことを目的として創設されたが、有期契約労働者の雇用の安定にどのような効果があったと考えられるか。
      • 無期転換ルールは、企業の雇用管理にどのような影響があったと考えられるか。
    2. 無期転換を希望する労働者の転換申込機会の確保
      • 無期転換ルールについて、労使双方に対する認知度向上のため、さらなる周知が必要ではないか。
      • 自らの無期転換申込権が発生しているかどうか分からない労働者が一定数いる中、無期転換を希望する労働者の転換申込機会を確保する上で、使用者からの個別の転換申込機会の通知等について、どのような対応が考えられるか。転換申込機会の通知等について何らかの対応を行う場合、その方法や時期、内容についてどう考えるか。
      • 無期転換後の労働条件が不明確であれば、有期契約労働者が無期転換を希望するか否か決められないほか、転換後にトラブルとなりかねないが、無期転換後の労働条件の明示について、どのような対応が考えられるか。
    3. 無期転換前の雇止め等
      • 無期転換前の雇止めやその他の無期転換回避策とみられるものについて、無期転換ルールの趣旨、雇止め法理や裁判例等に照らし、どのようなケースに問題があると考えられるか。また、問題があるケースに対して、どのような対応が考えられるか。
      • あらかじめ5年以内の更新上限を設けるケースが見られるが、これをどう考えるか。
      • 無期転換申込みを行ったこと等を理由とする不利益取扱い(解雇、雇止め、労働条件の引下げ等)についてどのような対応が考えられるか。
    4. 通算契約期間及びクーリング期間
      • 通算契約期間「5年」について、運用状況を踏まえ、どう考えるか。
      • クーリング期間「6ヶ月」について、運用状況を踏まえ、どう考える
    5. 無期転換後の労働条件
      • 無期転換ルールは、原則として期間の定めのみが変わるものであるが、無期転換後の労働条件について「別段の定め」を行う場合、労働契約法の労働条件設定・変更に係るルールとの関係をどのように考えるか。
      • 無期転換後の労働条件について、有期労働契約時と変わらない労働者が多い実態が見られるが、無期転換後に、本人の希望も踏まえ業務の内容や責任の程度等が変更されることで、それに見合った待遇の見直しが行われるために、どのような方策が考えられるか。
      • フルタイムの無期転換労働者に対しては、パート・有期法に規定する通常の労働者との間の不合理な待遇の禁止規定が適用されないが、無期転換労働者と他の無期契約労働者(いわゆる正社員、多様な正社員等)との待遇の均衡についてどう考えるか。
    6. 有期雇用特別措置法の活用状況
      • 第1種(高度専門知識を有する有期雇用労働者)の活用状況について、どう考えるか。
      • 第2種(定年後継続雇用の有期雇用労働者)の活用状況について、どう考えるか。
    7. その他
      • 無期転換に係る人事制度等(無期転換後の賃金や職務の範囲、キャリアコースを含む。)を定めるにあたって、有期雇用労働者及び無期転換者の意見が反映されるようにすることをどう考えるか。
  • 無期転換に関する現状
    • 無期転換ルールによる無期転換を申込む権利が生じた人がいる事業所のうち、「実際に無期転換申込権を行使した労働者がいる事業所」の割合は35.9%で、「無期転換申込権を行使せず継続雇用されている労働者がいる事業所」の割合は80.4%となっている。
    • 無期転換ルールにより無期転換申込権が生じた人のうち、「無期転換を申込む権利を行使した人」は約3割、「申込権を行使せず継続雇用されている人」は6割超、「既に退職している人」は1割未満となっている。
    • 無期転換した人のうち、「無期転換ルールにより無期転換を申込む権利を行使して無期転換した人」の割合は74.5%、「事業所独自の制度などで無期転換した人」の割合は25.5%となっている。
    • 企業規模別に見ると、「1,000人以上」の規模では「無期転換ルールにより無期転換を申込む権利を行使して無期転換した人」の割合が最も高く、「5~29人」の規模で「事業所独自の制度などで無期転換した人」の割合が最も高い。
    • 60歳以上の嘱託を除き、無期転換することを希望する有期契約労働者の無期転換することを希望する理由について、最も割合が高いのは「雇用不安がなくなるから」、次いで「長期的なキャリア形成の見通しや、将来歴な生活設計が立てやすくなるから」「その後の賃金・労働条件の改善が期待できるから」となっている。
    • 60歳以上の嘱託を除き、無期転換することを希望しない有期契約労働者の無期転換を希望しない理由についてみると「現状に不満はないから」の割合が最も高く、次いで「高齢だから、定年後の再雇用者だから」、「契約期間だけ無くなっても意味がないから」、「責任や残業等、負荷が高まりそうだから」となっている。
    • 無期転換ルールに関する内容や名称について何らか「知っていることがある」有期契約労働者の割合は56.3%、「知らない」割合は39.9%となっている。
    • 一方、「知っていることがある」企業の割合は85.4%、「知らない」割合は7.2%となっている。
    • フルタイム契約労働者に係る無期転換ルールへの企業の対応状況について、「労働者から無期転換申込がなされた段階で無期契約に切り替えている」割合が最も高いが、「通算5年を超えないように運用している」割合が8.4%となっている。
    • パートタイム契約労働者に係る無期転換ルールへの企業の対応状況について、「労働者から無期転換申込がなされた段階で無期契約に切り替えている」割合が最も高いが、「通算5年を超えないように運用している」企業の割合が6.4%となっている。
    • フルタイムの有期契約労働者及びパートタイムの有期契約労働者の無期転換後の形態について、いずれも「有期労働契約時と比べて、働き方や賃金・労働条件が変化しなかった無期転換社員」が最も多いが、フルタイムの有期契約労働者は「正社員」の割合も高くなっている。
    • 無期転換ルールに関する内容や名称について何らか「知っていることがある」有期契約労働者の割合は56.3%、「知らない」割合は39.9%となっている。一方、「知っていることがある」企業の割合は85.4%、「知らない」割合は7.2%となっている。
    • 企業規模別に企業の無期転換ルールへの認知状況をみると、企業規模が大きいほど、「内容について知っていることがある」割合が高くなり、企業規模が小さいほど、「知らない」割合が高くなっている。
    • 「無期転換できる機会若しくは無期転換後の労働条件又はその両方を就業規則に規定している」企業の割合は63.5%、「現状でいずれも規定していない」企業の割合は31.8%となっている。
    • 5年の通算期間を満たした労働者に対し、無期転換できることを「案内している」企業の割合は52.3%であり、「現状で案内していない」企業の割合は40.4%となっている。
    • 無期転換申込権の状態について「分からない」と回答した割合は、「定年後の再雇用者と派遣労働者を除いた有期契約労働者」を分母とすると41.9%であるのに対し、「無期転換できる機会について、就業規則で規定している企業等で働く有期契約労働者」を分母とすると31.3%、「通算契約期間等の要件を満たした個別の対象者に、無期転換できることを個別に案内している企業等で働く有期契約労働者」を分母とすると25.3%である
    • 無期転換の希望の状況と無期転換ルールの認知状況の関係についてみてみると、「無期転換することを希望する」、「無期労働契約への転換は希望しない」と回答した有期契約労働者はいずれも、無期転換ルールの認知状況について「内容について知っていることがある」割合が最も高くなっているが、無期転換の希望について「わからない」と回答した有期契約労働者については、無期転換ルールについて「知らない」割合が最も高くなっている。
    • 無期転換ルールにより無期転換申込権が生じた人のうち、「無期転換を申込む権利を行使した人」は約3割、「申込権を行使せず継続雇用されている人」は6割超、「既に退職している人」は1割未満となっている。年度別にみると、2018年度では「無期転換申込権を行使した人」の割合は32.4%であったのに対し、2019年度は19.8%であった。
    • 有期契約労働者の勤続年数の上限について、「設けている」割合が14.2%、「設けていない」割合が82.9%となっている。上限を設けている事業所のうち、5年以内の上限を設定している事業所の割合は94.0%である。この点、2011年7月時点では、有期契約労働者の勤続年数の上限について、「設けている」割合が12.3%、「設けていない」割合が87.1%であった。
    • 通算勤続年数の上限設定理由の説明について、「上限が定まっている理由を会社から説明されたことがない」割合は56.7%となって
    • いる。そのうち、上限設定の理由について「会社に説明を求めたい」割合は16.2%となっている。
    • 無期転換ルールは有期契約労働者の雇用の安定化のために有効だと考える割合は38.2%、有効でないと考える割合は18.4%となっている。有効ではないと考える理由としては、「かえって更新上限等による雇止めが増える恐れがあるから」の割合が最も高く、次いで「労働者の多くは希望しないと思うから」となっている。
    • 有期契約労働者の現在の会社での通算した契約期間についてみると、通算契約期間が5年超の割合は38.2%となっている。また、現在の契約の更新状況についてみると、「更新したことがある」割合は85.2%となっている。
    • 「クーリング期間を置いている」割合は3.0%であり、そのうち平均的なクーリング期間としては「2か月以内」、「6か月超~9か月以内」の割合が高くなっている。この点、2011年7月時点では、「クーリング期間を置いている」割合は3.0%であり、そのうち平均的なクーリング期間としては「2か月以内」、「3か月超~6か月以内」の割合が高くなっている。
    • 職務タイプ別に、その職務タイプの有期契約労働者から無期転換した無期転換者と同じ職務タイプの有期契約労働者の労働条件を比較すると、「正社員と比較した基本給の水準」について、同じ職務タイプの有期契約労働者とほぼ同様の結果、又は、無期転換した人について「正社員と同程度」の割合が若干多い結果となった。
    • 職務タイプ別に、その職務タイプの有期契約労働者から無期転換した無期転換者と同じ職務タイプの有期契約労働者の「教育訓練機会」の状況について比較すると、いずれも同じ職務タイプの有期契約労働者より若干「全般的に正社員とほぼ同じ教育訓練機会が与えられている」割合が高い。
    • フルタイムの無期転換社員がいる企業のうち、別段の定めを「活用している」企業の割合は29.0%となっている。パートタイムの無期転換社員がいる企業のうち、別段の定めを「活用している」企業の割合は9.2%となっている。
    • 別段の定めを活用している企業のうち、別段の定めにより変更を求める労働条件としては、「職務」の割合が最も高く、次いで「定年年齢」となっている。別段の定めにより改善される処遇がある企業の割合は46.2%、労働者に不利になる処遇がある企業の割合は5.2%となっている。
    • 無期転換者のうち、現在の働き方について「満足している」割合は60.7%、「満足していない」割合は28.5%となっている。満足している理由としては、「労働時間・日数が自分の希望に合致しているから」「失業の心配が当面ないから」の割合が高くなっており、満足していない理由としては、「賃金水準が正社員に比べて低いから」「賃金の絶対水準が低いから」の割合が高くなっている。
    • 仕事がほぼ同じ正社員と比較した待遇について、不満があるという無期転換社員の割合は52.7%。その不満の内容について、「不合理な賃金差がある」の割合が最も高い。また、正社員と比較した待遇差について、会社から説明があったという無期転換社員は15.7%、説明がなかったの62.0%。
    • 企業の無期転換ルールに対応する上での課題としては、「有期労働契約と無期転換後、正社員の間の仕事や働き方、賃金・労働条件のバランスと納得感の醸成」「業務量の変動等に伴う人員数や労働時間、労働条件等の調整」の割合が高くなっている。
    • 有期特措法に基づく特例について、「高度な専門的知識等を持つ有期労働者に関する特例」について知っている企業、「定年後引き続いて雇用される高齢者についての特例」について知っている企業の割合はともに5割弱となっている。
    • 労働組合への加入資格を就業形態別に見ると、「加入資格がある」割合は「いわゆる正社員」と「多様な正社員」が7割超、「無期転換社員」が5割超、「有期契約労働者」が4割超となっている。加入資格がある労働者について労働組合への加入状況を就業形態別に見ると、「加入している」割合はどの就業形態でも8割超となっている。

~NEW~
総務省 郵便局データの活用とプライバシー保護の在り方に関する検討会(第1回)配付資料
▼資料1-4 検討アジェンダ(案)
  • 我が国においては、少子高齢化の進展、都市への人口集中、地域経済の疲弊、デジタル化の進展など社会環境の変化が進展している。新型コロナウイルス感染症の影響を受け、環境変化が加速し、利用者ニーズも変化が見られる。
  • これらの変化に伴い、郵便事業については、郵便物数は2001年度(ピーク時)の約263億通から2020年度には約152億通へと4割以上減少している。
  • 日本郵政グループは、全国津々浦々に張り巡らされた、直営郵便局及び簡易郵便局あわせて約2万4千の郵便局及び配達ネットワーク、全体で約40万人に上る社員数等の強みを生かして、郵政事業のユニバーサルサービスを引き続き提供していく必要があり、社会環境や利用者ニーズの変化に対応して、データ活用やデジタル対応を進めることが求められるが、日本郵政グループにおいては、データ活用やデジタル対応が進んでいるとは必ずしも言いがたい。
  • このため、総務省は、郵政事業が、中長期的なユニバーサルサービスの維持を図りつつ、新たな時代に対応した多様かつ柔軟なサービス展開、業務の効率化等を通じ、国民・利用者の利便性向上や地域社会への貢献を推進する必要があると考え、令和2年11月から令和3年7月まで、「デジタル時代における郵政事業の在り方に関する懇談会」を開催し、令和3年7月21日、最終報告書を公表したところである。
  • 同報告書は、「第2章日本郵政グループ・郵便局におけるデータの活用」において、日本郵政グループ各社は、これまでの事業を通じて、莫大なデータを保有しているものの、これらのデータの活用についてこれまで目立った取組はなく、従来書面で保存していたデータのデジタル化等に留まっているとした上で、その活用について期待を示すとともに、総務省に対し、マルチステークホルダーによる検討の場を設置し、居住者情報(配達原簿、転送情報)、配達データ等の活用を可能とする範囲や留意点等をまとめたガイドラインの制定等(「郵便事業分野における個人情報保護に関するガイドライン」(平成29年総務省告示第167号。以下「郵便分野ガイドライン」という。)の改正を含む。)を検討するよう提言した。
  • 同報告書は、郵便法(昭和22年法律第165号)上の「信書の秘密」や個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「個人情報保護法」という。)上の個人情報に該当するデータについては、その利用や第三者への提供に制限があるなど、法令上の規制に留意が必要とするとともに、「信書の秘密」や個人情報の保護には十分配慮して検討・実施する必要についても付言している。
  • 個人情報の保護に関しては、自身の個人情報に対する意識の高まり、技術革新を踏まえた保護と利活用のバランス、越境データの流通増大に伴う新たなリスクへの対応等の観点から、個人情報保護法が令和2年に改正され(以下「令和2年改正個人情報保護法」という。)、令和4年4月1日に、同改正法の全面施行が予定されているところである。
  • 日本郵政グループは、全国2万4千の郵便局ネットワークと膨大なデータを保有しており、これを社会として有効活用するとともに、日本郵政グループとして新たなビジネスモデルを構築することは、今後の郵政事業の持続的な成長・発展に欠かせない。一方で、日本郵政グループのデータを有効活用し、地域の課題解決や新規ビジネス創出につなげるためには、利用可能なデータの範囲や活用に当たっての留意点について、整理することが必要と考えられる。
  • このため、「デジタル時代における郵政事業の在り方に関する懇談会」の最終報告書及び令和2年改正個人情報保護法等を踏まえ、信書の秘密や個人情報保護を確保しつつ日本郵政グループの持つデータの有効活用を促進するため、本検討会において、郵便分野ガイドライン等の改定、郵便局の保有・取得するデータ(以下「郵便局データ」という。)の活用と個人情報保護法及び郵便法との関係性の整理、郵便局データの活用に向けた関係者の役割、実施すべき施策等の整理等、郵便局データの活用とプライバシー保護の両立を目指した検討を行う
  • 検討事項
    • このため、「郵便物に関して知り得た他人の秘密」のうち、「比較衡量の結果、それらの情報を用いることによる利益が秘密を守られる利益を上回る」として、公的機関等への情報提供が認められる場合は、どのような場合か、その場合の留意点等は何か、空家対策以外の事例を検証し、郵便分野ガイドラインの解説において明らかにするべきではないか。
    • 上記のほか、「公的機関等への情報提供の可否」に関して考慮するべきことはあるか
    • これらの例をはじめ、日本郵政グループのデータ活用による新たなサービス等について、日本郵便をはじめとする日本郵政グループの協力の下、ユースケース案を複数設定し、「信書の秘密」や個人情報の保護のため、どのようなことに留意すべきか、検討するべきではないか。
    • その際、個人情報保護法、郵便法、市場・社会の受容性、運用のフィジビリティ等の観点から、何ができて何ができないか、何に留意するべきか、検証していくとともに、必要に応じて「郵便事業分野における個人情報保護に関するガイドライン」及びその解説に反映すべきではないか。
    • 上記のほか、「データを活用した新たなサービスの留意事項」に関して考慮するべきことはあるか。
    • 同報告書で示されたデータ活用の事例を踏まえつつ、日本郵政グループのデータ活用について、日本郵便をはじめとする日本郵政グループの協力の下、ユースケース案を複数設定した上で、郵便局データの活用の方向性について、社会全体で有効活用するという観点からより詳細に検討し、関係者の役割、実施すべき施策等を中長期的なロードマップとして策定することを検討するべきではないか。
    • 諸外国も含めたデータ活用の先進事例に、どのようなものがあるか把握した上で、日本郵政グループのデータ活用において参考となる事例はどのようなものか、検討してはどうか。
    • 日本郵政グループが保有しているデータの現状と、その活用の状況を整理した上で、社会全体で有効活用するという観点から活用の方向について検討するべきではないか。
    • 加えて、既に保有しているデータのみでなく、新たに日本郵政グループが取得可能なデータにはどのようなものがあるのか検討するべきではないか。
    • 社会全体で有効活用するという観点から、日本郵政グループが、今後、共創・連携を図り、データを活用した革新的なサービスを提供することが期待される分野やニーズはどのようなものか検討してはどうか。
    • 日本郵政グループが保有するデータのうち、オープンデータの推進を図るべきデータや、その活用方法について検討し、ロードマップとしてとりまとめるべきではないか。
    • 上記のほか、「郵便局データ活用推進ロードマップの検討」に関し、考慮するべきことはあるか。
    • その他、郵便局データの活用とプライバシー保護の在り方に関して、考慮するべきことはあるか

~NEW~
国土交通省 踏切対策のPDCA サイクルの充実を図り、「見える化」を進めます。~開かずの踏切などの緊急に対策の検討が必要な踏切のカルテを見直し、対策の進捗状況を公表します~
  • 本年4月に施行された改正踏切道改良促進法において創設された、改良後の踏切道に対する評価の実施により踏切対策のPDCAサイクルを強化したところです。これまでの対策の実施や踏切の交通量の変化等により課題が解消された一方、バリアフリー化の必要性が高い踏切を新たな課題として追加するなどの結果、緊急に対策の検討が必要な踏切は1,336箇所となり、今般、対策状況等をまとめた「踏切道安全通行カルテ」を公表しました。今後、1年に1度、評価結果等を踏まえてカルテを更新し、踏切対策の「見える化」を進めます。
    • 国土交通省では、平成28年6月に開かずの踏切などの緊急に対策の検討が必要な踏切(カルテ踏切)1,479箇所について、踏切の諸元、交通量、事故発生状況、対策状況等を鉄道事業者と道路管理者が連携してとりまとめた「踏切道安全通行カルテ」として公表し、対策を講じてきました。
    • 対策の実施や踏切における交通量、遮断時間、事故の減少により課題が解消された箇所がある一方、鉄道とバリアフリー法に基づく特定道路とが交差している場合における移動等円滑化の促進の必要性が特に高い踏切を新たに追加するなどの結果、カルテ踏切は1,336箇所となり、今般、対策状況等をまとめた「踏切道安全通行カルテ」を更新しました。
    • 今後、国土交通省としては、改正踏切道改良促進法で新たに創設された、改良後の踏切道に対する評価の結果等を反映した「踏切道安全通行カルテ」を1年に1度更新し、対策の進捗状況や取組の成果を「見える化」することで、更なる踏切対策の促進を図ってまいります。

~NEW~
金融庁 金融安定理事会による「クロスボーダー送金の4つの課題の対処に向けた目標の最終報告書」と「クロスボーダー送金の改善に向けたG20ロードマップ:第1回統合進捗報告書」の公表について
▼クロスボーダー送金の4つの課題の対処に向けた目標の最終報告書」 報告書のエグゼクティブ・サマリー(仮訳)
  • クロスボーダー送金の改善に向けたG20ロードマップの基礎となる第一歩は、クロスボーダー送金が直面するコスト、スピード、透明性、アクセスの課題に対処するため、グローバルレベルの定量的な目標を設定することから成る。本報告書で示されている目標は、プロジェクト全体の野心を示すうえで重要な役割を担い、説明責任を生む。目標は、2021年5月に開始した市中協議の回答からのインプットを反映している。今後、目標達成の進捗を確認することは、ロードマップにある現在のアクションが十分か、あるいは、追加的なアクションが必要かを示すことに役立つ。
  • FSBは基本的な原則(目標は、課題に直接的に関連する、改善の進捗度を明確に示す、適切に野心的である、容易にコミュニケーションできる、幅広いステークホルダーにとって意義がある)に沿って目標を策定した。目標はグローバルなレベルで設定されている。また、FSBは、目標が設計上満たすべき基本的な特性(本文のセクション2に記載)について合意した。目標設定の目的は、ロードマップで目指す成果を、エンドユーザーの体験価値向上の観点から示すことによってモメンタムを高め、それによって、クロスボーダー送金手段の実務上の対応への重点的取り組みを促すことである。官民の関与とアクションが目標達成の鍵となる。
  • これらの目標は、決済システムの現状と、3つの決済セグメント(ホールセール、リテール<例:企業間(B2B)、企業と個人間P2B、B2P)、その他の個人間(レミッタンスを除くP2P)>、レミッタンス<その他の個人間とは別カテゴリー>)におけるクロスボーダー送金の4つの課題について、複数のソースから得られた公表データに基づいている。レミッタンスとその他の個人間送金の分離は、エンドユーザーのクロスボーダー送金サービスへのニーズの違いやG20がレミッタンス市場の改善にとりわけ重きを置いていることを踏まえ、提案されている。
  • FSBは、(1)目標の測定方法やデータソース、埋めるべきデータギャップの特定、(2)目標達成に向けた進捗のモニタリング方法、(3)データ収集や公表の頻度、といった目標の進捗状況をモニタリングするためのアプローチの提案を進めてきた。FSBは、2022年10月までに、G20と一般市民に向けて、改善状況をモニタリングするための実施方法の詳細と、目標に向けた先行きの改善をモニタリングする際のベースラインを提供するためのクロスボーダー送金の現状のパフォーマンスを推定する重要業績評価指標(KPI)について、報告書を提出する。市中協議に寄せられた回答は、効果的な実施方法の設計に貢献することへの業界の関心の高さを示している。報告書の公表を2022年10月としたのは、外部ステークホルダーからのインプットを踏まえて検討するための時間を確保するためである。FSBは、2022年6月に、実施方法の検討の進捗状況に関する中間報告書を公表する。
  • 既に2030年が達成時期として国連持続可能な開発目標(国連SDG)で設定され、G20にも承認されているレミッタンスのコスト2を除き、2027年末が全ての目標共通の達成時期として設定された。ロードマップに詳細が記されているとおり、各構成要素(BuildingBlock)のアクションの暫定的なタイムラインは2025年までとなっている。2027年末という目標の達成時期までは、6年という期間が用意されており、その間に、ロードマップのアクションを完了し、官民は、ロードマップの目標を達成するためのインフラやオペレーションの変革を実施するよう、協力して作業を進めていく。市中協議では、2027年末までに目標を達成できるか否かについて業界の様々な見解が示されたが、FSBは、ロードマップに対する官民の強いコミットメントが継続されれば、この目標達成時期は適切にチャレンジングでありながら達成可能であると結論づけた。より速やかに改善を実現できるステークホルダーは、より早期の改善実現が奨励される。
▼「クロスボーダー送金の改善に向けたG20ロードマップ:第1回統合進捗報告書」 報告書のエグゼクティブ・サマリー(仮訳)
  • クロスボーダー送金の改善に向けたロードマップは、G20の優先取組事項である。2020-21年のこれまでの作業は、主に、先行きのロードマップのアクションの基盤となる要素を固めることに焦点が当てられてきた。
  • この基盤の鍵となるのは、クロスボーダー送金が直面するコスト、スピード、透明性、アクセスの課題に対処するためのロードマップで目指すゴールを、グローバルレベルでの定量的な目標として公表することである。これらの目標は、プロジェクト全体の野心を示すうえで重要な役割を担い、説明責任を生む。本報告書で概要を示した目標は、本年前半に実施した市中協議の回答からのインプットを反映しており、今後、目標達成に向けた進捗状況のモニタリング方法を発展させていくことで、2022年には完全に運用が可能となる。
  • G20のロードマップの一年目に行われた基礎的な作業には、既存および新興のシステムや取決めのストックテイクと分析も含まれる。これらのストックテイクは、既存の国際基準やガイダンス、既存の各国や地域のデータフレームワーク、決済システムに関する稼働時間やアクセス、サービスレベル合意・スキームの共通要素、PVP決済の利用、決済システムのインターリンク、CBDCの設計など、多様なトピックを対象としている。この作業は、先行きの実務面の改善のための強力な基盤と指針になる。
  • ロードマップで設定された2021年中のマイルストーンの殆どが、順調に完了もしくは最終段階に近づいている。現在進行中の作業が広範囲にわたることや、外部関係者への十分な働きかけの必要性を踏まえ、一部ではタイムラインが延期されている。ただし、ロードマップで目指している最終目標は全く変わっていない。ロードマップの相互に関連する19の構成要素(BuildingBlocks<BB>)の作業を同時に進めることは、関係当局にとって重要な取り組みとなっている。より探求的と位置付けられるBB(CBDCやステーブルコインなど)がとりわけ外部からの注目を集めるのは当然ながら、より基本的な運用面や技術面(流動性供給枠組みやISO20022メッセージフォーマットなど)を進展させることも同様に重要である。
  • ロードマップは、机上の分析や提言を行うだけでは実現しない。2022年に行われる次の作業には、更なる分析だけでなく、基本的なシステムや取決めの具体的な改善に関する提案(PVP決済の導入拡大など)の策定や新たなシステムの開発も含まれる。これらの実務的な改善や新たな動きの活用には、グローバルな協調と継続的な政治的サポートが必要となる。また、システム、プロセス、技術への投資も必要となる。
  • この取り組みの成功は、官民の協働へのコミットメントに大きく依存する。今後数年間において、取り決めた変革を実現し、ロードマップで設定された目標を達成するためには、官民の共同作業が必要となる。中央銀行は、コアとなる決済システムを改善し、そのシステムを利用する民間セクターがこれに倣えるようにしなければならない。同時に、民間セクターによる新しい決済システムや取決めの開発、および既存のサービスの向上も、必要となる改善に貢献する。目標の達成に向けてタイムリーに改善を実現していくためには、官民ともに必要な機能向上のための作業計画と予算計画の策定に早急に着手する必要がある。

~NEW~
金融庁 G7による「リテール中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する公共政策上の原則」の公表について
▼「リテール中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する公共政策上の原則」(仮訳)
  • マネーと決済は我々の社会や経済の基盤である。イノベーションは、新たな形態の民間・公共マネーの登場とともに、国内および国際的な金融インフラを急速に再形成している。安全で効率的な取引は、繁栄する経済を支え、通貨・金融システムの安定を確保し、金融システムに対する信頼を守るために極めて重要である。デジタル決済利用の急速な拡大は、人々や企業の取引の方法を変革しており、現在ではその影響は、より広い公共政策上の目的へのインプリケーションを伴い、広範囲に及んでいる。新型コロナウイルス感染症の大流行は、こうした傾向を更に加速している。
  • CBDCは「暗号資産」ではない。暗号資産は、中央銀行によっては発行されておらず、変動が非常に大きくなりうるほか、現在決済に広く用いられてはいない。また、CBDCは、(典型的には法定通貨等の安定した資産に対する)価格の安定維持を目指した、民間主体の負債である、ステーブルコイン等の民間発行のデジタル通貨とも根本的に異なる。CBDCは2つの要素に分けて検討できる。すなわち、決済手段として移転されたり、あるいは価値保蔵手段として保持されたりする、中央銀行が発行する手段であるCBDCそれ自体と、CBDCの残高管理や決済を可能とするインフラを含む、CBDCが運営される、より広い「エコシステム」である。このより広いインフラには、公的参加者と民間参加者(銀行、デジタルウォレット提供者やその他の決済事業者)の両方が関与しうる
  • クロスボーダー送金を含む、CBDCの国際的な使用は、重要な便益をもたらしうるが、CBDCの設計が慎重に調整されていない場合には、意図しない結果を引き起こしうる。G7は、可能な限り、そうした意図しない結果を回避することにコミットする。この点を踏まえ、G7は、BIS5、BIS決済・市場インフラ委員会(CPMI)、国際通貨基金(IMF)、世界銀行および金融安定理事会(FSB)7ならびに金融活動作業部会(FATF)により現在進められているCBDCに関連する国際的な取り組みを支持する。また、本報告書は、G20が策定したクロスボーダー送金の改善に向けたロードマップの構成要素(Building Block、BB)のうち、CBDCの国際的な側面に関するBB198(CPMIおよびBISイノベーションハブが主導)の作業を補完する。
  • 本報告書が扱う原則は、2つの類型に分かれ、順不同で挙げられている。1つ目の「基本的な課題」の類型では、通貨・金融システムの安定、法的・ガバナンスの枠組み、データプライバシー、競争、オペレーショナル・レジリエンスとサイバーセキュリティ、不正な金融、波及効果、エネルギーと環境について扱う。2つ目の「機会」の類型では、デジタル経済とイノベーション、金融包摂、公共部門との間の決済、クロスボーダー機能、国際開発に対する支援を扱う。最後のセクションでは、リテールCBDCのエコシステムを設計するうえで直面するであろう、例えば、ユーザーのプライバシー保護と不正な金融防止との間に存在する、依存関係の概念について論じる。本報告書は、こうした依存関係が示唆しうるいくつかの設計上の選択肢を紹介するほか、最善なバランスは各国当局が検討するという点を認識しつつ、こうした複雑な問題へのアプローチの仕方について考察を示す。
  • 原則1.通貨・金融システムの安定
    • 原則1:あらゆるCBDCは、公共政策上の目的の達成を支え、中央銀行によるマンデートの遂行において障害にならないほか、通貨・金融システムの安定にも無害(donoharm)であるように設計されるべきである。
  • 原則2.法的・ガバナンスの枠組み
    • 原則2:法の支配の遵守、健全な経済ガバナンス、適切な透明性という国際通貨金融システムに関するG7の価値観は、あらゆるCBDCの設計やオペレーションの指針となるべきである。
  • 原則3.データプライバシー
    • 原則3:厳格なプライバシー基準、ユーザーデータの保護に対する説明責任、情報の保護・利用方法に関する透明性は、あらゆるCBDCが信頼と信認を得るために不可欠である。各法域における法の支配は、こうした考慮事項を確立し、支えている。
  • 原則4.オペレーショナル・レジリエンスとサイバーセキュリティ
    • 原則4:信頼され、耐久性があり、変化に対応可能なデジタル決済を実現するため、あらゆるCBDCのエコシステムは、サイバーリスク、不正リスク、その他のオペレーショナル・リスクに対して安全かつ強靭でなくてはならない。
  • 原則5.競争
    • 原則5:CBDCは、既存の決済手段と共存すべきであり、決済の選択肢と多様性を促進する、オープンかつ安全で、強靭性や透明性のある、競争的な環境で運営されるべきである。
  • 原則6.不正な金融
    • 原則6:あらゆるCBDCは、犯罪を助長する利用の軽減にコミットするとともに、より速く、より多くの人々が利用可能で、安全かつ安価な決済に対するニーズを慎重に統合する必要がある。
  • 原則7.波及効果
    • 原則7:CBDCは、他国の通貨主権や金融システムの安定を含む、国際通貨・金融システムを害するリスクを回避するように設計されるべきである。
  • 原則8.エネルギーと環境
    • 原則8:あらゆるCBDCのインフラにおけるエネルギーの利用は、国際社会で共有されたネットゼロ経済への移行に向けたコミットメントを支えるために、可能な限り効率的であるべきである。
  • 原則9.デジタル経済とイノベーション
    • 原則9:CBDCは、デジタル経済において責任あるイノベーションを支え、触媒となり、既存および将来の決済ソリューションの相互運用性を確保すべきである。
  • 原則10.金融包摂
    • 原則10:当局は、CBDCが金融包摂に貢献する役割について検討すべきである。CBDCは、現金が果たし続ける重要な役割も補完しつつ、既存の金融システムから排除されている、もしくは既存の金融システムが十分に行き届いていない層による、決済サービスへのアクセスを妨げてはならないほか、可能な限り改善すべきである。
  • 原則11.公共部門との間の決済
    • 原則11:あらゆるCBDCは、公的当局と人々の間の決済を支えるために利用される場合、通常時および危機時ともに、速く、安価で、透明性や包摂性があり、安全なかたちで用いられるべきである。
  • 原則12.クロスボーダー機能
    • 原則12:CBDCの発行を検討する法域は、中央銀行やその他の組織がCBDCの設計の国際的な側面に関する検討にオープンかつ協調的に取り組むこと等により、CBDCがクロスボーダー送金をどのように改善しうるかを検討すべきである。
  • 原則13.国際開発
    • 原則13:国際開発援助の提供のために活用されるあらゆるCBDCは、CBDCの設計上の特性について十分な透明性を提供しつつ、発行国および受取国の主要な公共政策目的を保護するべきである。
  • 結論
    • G7のいずれの当局もCBDCを導入することを未だ決定していないが、CBDCは、CBDCの公共政策上のインプリケーションに関する原則について検討し、明確に示すために協働したG7の中央銀行と財務省にとって、戦略的に重要なトピックである。CBDCの必要性や形態にかかる決定は、各国当局や立法者が各法域の個別の事情、目的や選好を考慮し行うものである。しかしながら、一連の共通の原則を示し、透明性、法の支配、健全な経済ガバナンス等の共通の価値観の基本的な重要性を強調することにより、これらの原則は、G7のみならず、その他の法域におけるリテールCBDCの検討の指針や情報を与えることができる。
    • 原則は、ユーザーの信認と信頼を得るためにCBDCが示さなければならない「基本的な課題」を明確に示す。これは、通貨・金融システムの安定の維持、ユーザーのプライバシー保護、オペレーショナル・レジリエンスとサイバー・レジリエンスに関する強力な基準、金融犯罪や制裁回避の防止、環境の持続可能性を含む。加えて、CBDCは、イノベーションとデジタル経済、金融包摂、クロスボーダー送金の摩擦の軽減に関するものを含む公共政策上の目的を進展させるための多数の機会をもたらす。
    • あらゆるCBDCの設計は、CBDCの公共政策上の目的間のバランスを見出す必要性等、複雑な決定を伴う。CBDCの設計に対するアプローチは各国間で異なる可能性があるなか、本報告書は、これら依存関係とトレードオフにうまく対応するのに役立ちうる、いくつかのハイレベルなアプローチを提示する。
    • これらの原則は、G7のCBDCに対する見方を初めて明確に示すが、国内で、および国際的な関係者と協調しての、継続的な研究や分析が求められる。今後のG7メンバーによる国内での検討およびその他の法域における検討は、国際機関や基準設定主体を含む国際社会により行われている重要な取り組みにより、支えられうる。意味のある進展を果たし、CBDCが潜在的に持つであろう、強靭で効率性や包摂性のある決済を提供するためのイノベーションを利用する機会等を中心とした、様々な強力な便益をもたらすために、国際協調を通じて洞察や得られた教訓を共有する機会がある

~NEW~
金融庁 「会計監査の在り方に関する懇談会(令和3事務年度)」(第2回)議事次第
▼資料 事務局資料
  • 監査の現場と社会からの期待
    • 上場会社数の増加や監査基準の改訂により、公認会計士がますます繁忙になっている。大手監査法人から中小監査事務所へ監査人を変更する傾向は今後数年は続くとみられ、特に中小監査事務所での人手不足が進む可能性がある。
    • 規制は海外の動向の効果とデメリットを慎重に見極める必要がある。これまで不正会計が発覚する度に規制強化が図られてきたが、質の高い監査につながってきたのか疑問。効果とデメリットを慎重に見極める必要があり、規制によりかえって監査の質が蝕まれる懸念にも留意が必要。
    • 会計の誤りが生じる要因には、事務処理上の意図せぬミスのようなものもあるが、監査の品質を考える上で最大の問題は、意図的な不正会計をなぜ防げないのかということ。それこそが社会の期待であり高品質な監査ではないか。形式的に監査手続を踏んでいても、不正会計を発見できないのであれば意味がない。
    • 監査を受ける企業側の認識も重要。監査をコストと捉えるのではなく、監査の役割やその重要性が理解されれば、高品質な監査には正当な監査報酬が支払われ、監査人側もそれに応えようと更に品質の高い監査を行うという“好循環”が働くのではないか。
  • 今回の議論のポイント(案)
    1. 一般投資家を含め多数のステークホルダーを有する上場会社の監査について、他の監査とは異なる規律付けが必要と考えるか。
      • 日本公認会計士協会が自主規制として「上場会社監査事務所登録制度」を運用しているところ、上場企業の監査の信頼性向上のため、より実効性のある方策を検討する必要はないか。
      • 異なる規律付けを行う場合、例えば、どのような観点の規律付けが必要と考えられるか(例:体制、リソース、情報提供)。
    2. 異なる規律付けを行う場合、特に中小監査法人に対し、どのようなサポートが行われることが求められるか。
    3. 中小監査法人による「監査法人のガバナンス・コード」の受け入れを念頭に置いた際、留意すべき事項はあるか。
      • 例えば、左記の合併時における品質確保や、リスク評価体制の在り方についてどう考えるか。
    4. 当局や日本公認会計士協会によるモニタリングの在り方について、「第三者の眼」としてのチェック機能を向上させるため、上場会社を監査する監査事務所のモニタリングについて適切な役割分担や連携強化を図っていく必要はないか。
    5. 監査法人としての目標・KPIのほか、情報提供の進展が望ましい事項はあるか。また、それらの情報提供をどのように促していくことが考えられるか。
    6. 実務補習や継続的専門研修(CPE)の内容や実施方法について、どのような改善が図られることが望ましいと考えるか。
    7. CPEの適切な受講を担保する観点から、CPEを適切に受講しない者に対し、現状より厳格な対応を取るべきと考えるか。
    8. 組織内会計士への指導・支援を行き渡らせるため、どのような取組みが必要か。
    9. 女性公認会計士の活躍の促進を含め、能力ある公認会計士の活躍の機会を確保するため、検討すべき事項はあるか。
    10. 企業側を含む現場での経験を養うため、公認会計士の登録に際し、業務補助や実務従事としての一層の経験を求めるべきと考えるか。それ以外に多様な経験を積む観点からどのような取組みが考えられるか。
    11. 試験制度の在り方については、公認会計士に求められる資質の検討を踏まえた中長期的な検討事項として取り扱うことをどう考えるか。
    12. 内部監査部門や監査役等と監査人との連携の強化や、内部統制報告制度の実効性の向上に向けて、それぞれどのように検討を進めることが適切と考えるか。また、その際に留意しておくべき事項はあるか。
    13. 中長期的にこれらの論点を検討する際、留意しておくべき事項はあるか。この他、足下の論点として検討を深めておくべき事項はあるか。
  • 「会計監査の在り方に関する懇談会(令和3事務年度)」第1回の議論の整理
    1. 監査人の体制等
      • 上場会社の監査に求められる規律を整理しつつ、それを達成するためのガバナンス等の在り方や、KPI等の情報提供について議論。
      • 規律の整理に際しては、併せて必要となるサポートや、「第三者の眼」によるチェックの在り方についても検討。
    2. 能力向上・能力発揮
      • 公認会計士の能力開発/能力発揮のための方策を検討。その中で、多様な経験の確保についても検討。
      • 試験制度については、公認会計士の役割の広がり等を踏まえ、腰を据えて議論。
    3. 監査実施の環境
      • コーポレートガバナンス・コード改訂後の取組みの進展を見ながら、課題や対応を整理。
    4. その他
      • 企業開示の在り方を踏まえた検討が必要

~NEW~
首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策本部
▼第79回(令和3年10月15日開催)資料
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数(報告日別)は減少が継続し、直近の1週間では10万人あたり約4となっており、今回のみならず前回の感染拡大前の水準をも下回っている。また、全ての都道府県で10万人あたり約10以下となった。
    • 新規感染者数の減少に伴い、療養者数、重症者数や死亡者数も減少が続いているが、重症者数と死亡者数は今回の感染拡大前の水準以下に達していない。
    • また、緊急事態措置やまん延防止等重点措置の解除後、多くの地域で夜間滞留人口の増加が続いており、新規感染者数の今後の動向には注意が必要。
    • 実効再生産数:全国的には、直近(9/26時点)で0.63と1を下回る水準が続き、首都圏では0.63、関西圏では0.64となっている。
  • 今後の見通しと必要な対策
    • これまでの市民や事業者の感染対策への協力、夜間滞留人口の減少、ワクチン接種率の向上、医療機関や高齢者施設のクラスター感染の減少などにより、全国の実効再生産数は、8月下旬以降、1か月以上にわたって約0.6~0.9の間を維持しており、緊急事態措置やまん延防止等重点措置がすべて解除された後も、新規感染者数の減少が継続している。
    • 一方、緊急事態措置等の解除後、夜間の滞留人口の増加が顕著に現れており、一部の地域では実効再生産数が上昇する時期もあり、感染者数の減少速度鈍化や下げ止まりが懸念される。ワクチン接種が更に進むことによる効果が期待されるが、今後の感染再拡大を見据え、現在の感染状況が改善している状態を少しでも長く維持し、もう一段感染者数を落とすことが重要。
    • このため、マスクの正しい着用、手指衛生、ゼロ密(1つの密でも避ける)や換気といった基本的な感染対策の徹底について、引き続き、市民や事業者の方々にご協力いただくことが必要。また、飲食の際は、少人数、短時間とし、飲食時以外はマスクを着用することが求められる。さらに、改定された基本的対処方針を踏まえ、国や自治体においては、外出時には混雑している場所や時間を避けて少人数で行動するよう周知を行うことや、企業におけるテレワーク等の推進状況を踏まえた柔軟な働き方の実施に向けて呼びかけを行うことが必要。なお、今回の急速な減少の要因とその寄与度などについては、今後の感染再拡大に備えるためにも更なる分析が必要であり、引き続き、アドバイザリーボードとして検討を進めていく。
    • 引き続き、若年層などワクチン接種が十分に進んでいないグループに対する接種の促進を着実に進めるとともに、今後の感染再拡大に備えた医療提供体制・公衆衛生体制の強化を進めていくことが必要。その際、ワクチン接種がさらに進むことによる感染拡大の抑制・重症化予防が期待される一方、ワクチンの効果の減弱によるブレイクスルー感染の増加も想定されるため、ワクチン接種者であっても症状が疑われる場合等には引き続き受診・検査を行うことが求められる。なお、家庭等において体調が気になる場合等におけるセルフチェックの手段として、抗原検査キットも利用可能となっている。

~NEW~
首相官邸 第二百五回国会における岸田内閣総理大臣所信表明演説
  1. はじめに
    • 第二百五回国会の開会にあたり、新型コロナウイルスにより亡くなられた方々、そして、御家族の皆様方に心よりお悔やみを申し上げるとともに、厳しい闘病生活を送っておられる方々に心よりお見舞いを申し上げます。
    • また、我が国の医療、保健、介護の現場を支えて下さっている多くの方々、感染対策に協力して下さっている事業者の方々、そして、国民の皆さんに、深く感謝申し上げます。
    • 新型コロナとの闘いは続いています。こうした中、このたび、私は、第百代内閣総理大臣を拝命いたしました。
    • 私は、この国難を、国民の皆さんと共に乗り越え、新しい時代を切り拓き、心豊かな日本を次の世代に引き継ぐために、全身全霊を捧げる覚悟です。私が、書きためてきたノートには、国民の切実な声があふれています。一人暮らしで、もしコロナになったらと思うと不安で仕方ない。テレワークでお客が激減し、経営するクリーニング屋の事業継続が厳しい。里帰りができず、一人で出産。誰とも会うことが出来ず、孤独で、不安。今、求められているのは、こうした切実な声を踏まえて、政策を断行していくことです。
    • まず、喫緊かつ最優先の課題である新型コロナ対応に万全を期します。国民に納得感を持ってもらえる丁寧な説明を行うこと、常に最悪の事態を想定して対応することを基本とします。また、新型コロナで大きな影響を受ける方々を支援するため、速やかに経済対策を策定します。その上で、私が目指すのは、新しい資本主義の実現です。我が国の未来を切り拓くための新しい経済社会のビジョンを示していきます。
    • 国民の皆さんと共に、これらの難しい課題に挑戦していくためには、国民の声を真摯に受け止め、かたちにする、信頼と共感を得られる政治が必要です。そのために、国民の皆さんとの丁寧な対話を大切にしていきます。私をはじめ、全閣僚が、様々な方と車座対話を積み重ね、その上で、国民のニーズに合った行政を進めているか、徹底的に点検するよう指示していきます。そうして得た信頼と共感の上に、私は、多様性が尊重される社会を目指します。若者も、高齢者も、障害のある方も、ない方も、男性も、女性も、全ての人が生きがいを感じられる社会です。経済的環境や世代、生まれた環境によって生じる格差やそれがもたらす分断。これが危機によって大きくなっているとの指摘があります。同時に、我々は、家族や仲間との絆の大切さに改めて気付きました。東日本大震災の時に発揮された日本社会の絆の強さ。世界から賞賛されました。危機に直面した今こそ、この絆の力を発揮するときです。全ての人が生きがいを感じられる、新しい社会を創っていこうではありませんか。日本の絆の力を呼び起こす。それが私の使命です。
  2. 第一の政策 新型コロナ対応
    • まず、新型コロナ対応です。足下では、感染者数は落ち着きを見せ、緊急事態宣言は全面的に解除されました。菅前総理の大号令の下、他国に類を見ない速度でワクチン接種が進み、この闘いに勝つための大きな一歩を踏み出せました。前総理の御尽力に、心より敬意を表します。しかし、楽観視はできません。危機対応の要諦は、常に最悪の事態を想定することです。感染が落ち着いている今こそ、様々な事態を想定し、徹底的に安心確保に取り組みます。与えられた権限を最大限活用し、病床と医療人材の確保、在宅療養者に対する対策を徹底します。
    • 希望する全ての方への二回のワクチン接種を進め、さらに、三回目のワクチン接種も行えるよう、しっかりと準備をしていきます。経口治療薬の、年内実用化を目指します。あわせて、電子的なワクチン接種証明の積極的活用、予約不要の無料検査の拡大に取り組みます。これらの安心確保の取組の全体像を、早急に国民にお示しするよう関係大臣に指示しました。国民の皆さんが先を見通せるよう、丁寧に説明してまいります。
    • 同時に、これまでの対応を徹底的に分析し、何が危機管理のボトルネックだったのかを検証します。そして、司令塔機能の強化や人流抑制、医療資源確保のための法改正、国産ワクチンや治療薬の開発など、危機管理を抜本的に強化します。
    • 国民の協力を得られるよう経済支援を行うことも大切です。大きな影響を受ける事業者に対し、地域、業種を限定しない形で、事業規模に応じた給付金を支給します。新型コロナの影響により苦しんでおられる、非正規、子育て世帯などお困りの方々を守るための給付金などの支援も実行していきます。
  3. 第二の政策 新しい資本主義の実現
    • 次に、私の経済政策について申し上げます。マクロ経済運営については、最大の目標であるデフレからの脱却を成し遂げます。そして、大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略の推進に努めます。危機に対する必要な財政支出は躊躇なく行い、万全を期します。経済あっての財政であり、順番を間違えてはなりません。
    • 経済をしっかり立て直します。そして、財政健全化に向けて取り組みます。その上で、私が目指すのは、新しい資本主義の実現です。
    • 新自由主義的な政策については、富めるものと、富まざるものとの深刻な分断を生んだ、といった弊害が指摘されています。世界では、健全な民主主義の中核である中間層を守り、気候変動などの地球規模の危機に備え、企業と政府が大胆な投資をしていく。そうした、新しい時代の資本主義経済を模索する動きが始まっています。今こそ、我が国も、新しい資本主義を起動し、実現していこうではありませんか。
    • 「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」。これがコンセプトです。成長を目指すことは、極めて重要であり、その実現に向けて全力で取り組みます。しかし、「分配なくして次の成長なし」。このことも、私は、強く訴えます。成長の果実を、しっかりと分配することで、初めて、次の成長が実現します。大切なのは、「成長と分配の好循環」です。「成長か、分配か」という、不毛な議論から脱却し、「成長も、分配も」実現するために、あらゆる政策を総動員します。
    • 新型コロナで、我が国の経済社会は、大きく傷つきました。一方で、これまで進んで来なかったデジタル化が急速に進むなど、社会が変わっていく確かな予感が生まれています。今こそ、科学技術の恩恵を取り込み、コロナとの共生を前提とした、新しい社会を創り上げていくときです。
    • この変革は、地方から起こります。地方は、高齢化や過疎化などの社会課題に直面し、新たな技術を活用するニーズがあります。例えば、自動走行による介護先への送迎サービスや、配達の自動化、リモート技術を活用した働き方、農業や観光産業でのデジタル技術の活用です。ピンチをチャンスに変え、我々が子供の頃夢見た、わくわくする未来社会を創ろうではありませんか。
    • そのために、「新しい資本主義実現会議」を創設し、ビジョンの具体化を進めます。新しい資本主義を実現していく車の両輪は、成長戦略と分配戦略です。
    • まず、成長戦略の第一の柱は、科学技術立国の実現です。学部や修士・博士課程の再編、拡充など科学技術分野の人材育成を促進します。世界最高水準の研究大学を形成するため、十兆円規模の大学ファンドを年度内に設置します。デジタル、グリーン、人工知能、量子、バイオ、宇宙など先端科学技術の研究開発に大胆な投資を行います。民間企業が行う未来への投資を全力で応援する税制を実現していきます。また、イノベーションの担い手であるスタートアップの徹底支援を通じて、新たなビジネス、産業の創出を進めます。そして、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向け、温暖化対策を成長につなげる、クリーンエネルギー戦略を策定し、強力に推進いたします。
    • 第二の柱は、地方を活性化し、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」です。地方からデジタルの実装を進め、新たな変革の波を起こし、地方と都市の差を縮めていきます。そのために、5Gや半導体、データセンターなど、デジタルインフラの整備を進めます。誰一人取り残さず、全ての方がデジタル化のメリットを享受できるように取り組みます。
    • 第三の柱は、経済安全保障です。新たに設けた担当大臣の下、戦略物資の確保や技術流出の防止に向けた取組を進め、自律的な経済構造を実現します。強靱なサプライチェーンを構築し、我が国の経済安全保障を推進するための法案を策定します。
    • 第四の柱は、人生百年時代の不安解消です。将来への不安が、消費の抑制を生み、経済成長の阻害要因となっています。兼業、副業、あるいは、学びなおし、フリーランスといった多様で柔軟な働き方が拡大しています。大切なのは、どんな働き方をしても、セーフティーネットが確保されることです。働き方に中立的な社会保障や税制を整備し、「勤労者皆保険」の実現に向けて取り組みます。人生百年時代を見据えて、子供から子育て世代、お年寄りまで、全ての方が安心できる、全世代型社会保障の構築を進めます。
    • 次に、分配戦略です。第一の柱は、働く人への分配機能の強化です。企業が、長期的な視点に立って、株主だけではなく、従業員も、取引先も恩恵を受けられる「三方良し」の経営を行うことが重要です。非財務情報開示の充実、四半期開示の見直しなど、そのための環境整備を進めます。政府として、下請け取引に対する監督体制を強化し、大企業と中小企業の共存共栄を目指します。また、労働分配率向上に向けて賃上げを行う企業への税制支援を抜本強化します。
    • 第二の柱は、中間層の拡大、そして少子化対策です。中間層の拡大に向け、成長の恩恵を受けられていない方々に対して、国による分配機能を強化します。大学卒業後の所得に応じて「出世払い」を行う仕組みを含め、教育費や住居費への支援を強化し、子育て世代を支えていきます。保育の受け皿整備、幼保小連携の強化、学童保育制度の拡充や利用環境の整備など、子育て支援を促進します。こども目線での行政の在り方を検討し、実現していきます。
    • 第三の柱は、看護、介護、保育などの現場で働いている方々の収入を増やしていくことです。新型コロナ、そして、少子高齢化への対応の最前線にいる皆さんの収入を増やしていきます。そのために、公的価格評価検討委員会を設置し、公的価格の在り方を抜本的に見直します。
    • 第四の柱は、公的分配を担う、財政の単年度主義の弊害是正です。科学技術の振興、経済安全保障、重要インフラの整備などの国家課題に計画的に取り組みます。これらに加え、地方活性化に向けた基盤づくりにも積極的に投資します。東日本大震災からの復興なくして日本の再生なし。この強い思いの下で、被災者支援、産業・生業の再建、福島の復興・再生に全力で取り組みます。農林水産業の高付加価値化と輸出力強化を進めるとともに、家族農業や中山間地農業の持つ多面的な機能を維持していきます。新型コロナによる米価の大幅な下落は、深刻な課題です。当面の需給の安定に向けた支援など、十分な対策を行います。
    • 老朽化対策を含め、防災・減災、国土強靱化の強化とともに、高速道路、新幹線など、交通、物流インフラの整備を推進します。いのち輝く未来社会のデザイン。これが、二〇二五年大阪・関西万博のテーマです。地域から、IoTや人工知能などのデジタル技術を活用した未来の日本の姿を示します。観光立国復活に向けた観光業支援、文化立国に向けた地域の文化、芸術への支援強化にも取り組みます。
  4. 第三の政策 国民を守り抜く、外交・安全保障
    • 私の内閣の三つ目の重点政策は、「国民を守り抜く、外交、安全保障」です。私は、外交、安全保障の要諦は、「信頼」だと確信しています。先人たちの努力により、世界から得た「信頼」を基礎に、三つの強い「覚悟」をもって毅然とした外交を進めます。
    • 第一に、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を守り抜く覚悟です。米国をはじめ、豪州、インド、ASEAN、欧州などの同盟国・同志国と連携し、日米豪印も活用しながら、「自由で開かれたインド太平洋」を力強く推進します。深刻化する国際社会の人権問題にも、省庁横断的に取り組みます。
    • 第二に、我が国の平和と安定を守り抜く覚悟です。我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、我が国の領土、領海、領空、そして、国民の生命と財産を断固として守り抜きます。そのために、国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画の改定に取り組みます。この中で、海上保安能力や更なる効果的措置を含むミサイル防衛能力など防衛力の強化、経済安全保障など新しい時代の課題に、果敢に取り組んでいきます。
    • こうした我が国の外交・安全保障政策の基軸は、日米同盟です。私が先頭に立って、インド太平洋地域、そして、世界の平和と繁栄の礎である日米同盟を更なる高みへと引き上げていきます。日米同盟の抑止力を維持しつつ、丁寧な説明、対話による信頼を地元の皆さんと築きながら、沖縄の基地負担の軽減に取り組みます。普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古沖への移設工事を進めます。北朝鮮による核、ミサイル開発は断じて容認できません。日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指します。拉致問題は最重要課題です。全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、全力で取り組みます。私自身、条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合う決意です。
    • 第三に、地球規模の課題に向き合い、人類に貢献し、国際社会を主導する覚悟です。核軍縮・不拡散、気候変動などの課題解決に向け、我が国の存在感を高めていきます。被爆地広島出身の総理大臣として、私が目指すのは、「核兵器のない世界」です。私が立ち上げた賢人会議も活用し、核兵器国と非核兵器国の橋渡しに努め、唯一の戦争被爆国としての責務を果たします。これまで世界の偉大なリーダーたちが幾度となく挑戦してきた核廃絶という名の松明を、私も、この手にしっかりと引き継ぎ、「核兵器のない世界」に向け、全力を尽くします。
    • 世界で保護主義が強まる中、我が国は自由貿易の旗手を務めます。デジタル時代の信頼性ある自由なデータ流通、「DFFT」を実現するため、国際的なルールづくりに積極的な役割を果たしていきます。中国とは、安定的な関係を築いていくことが、両国、そして、地域及び国際社会のために重要です。普遍的価値を共有する国々とも連携しながら、中国に対して主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めると同時に、対話を続け、共通の諸課題について協力していきます。ロシアとは、領土問題の解決なくして、平和条約の締結はありません。首脳間の信頼関係を構築しながら、平和条約締結を含む日露関係全体の発展を目指します。韓国は重要な隣国です。健全な関係に戻すためにも、我が国の一貫した立場に基づき、韓国側に適切な対応を強く求めていきます。
  5. 新しい経済対策
    • 「新型コロナ対応」、「新しい資本主義」、「外交・安全保障」。これら三つの政策を着実に実行することで、国民の皆さんと共に、新しい時代を切り拓いていきます。本日朝の閣議で、新型コロナ対応に万全を期すとともに、新しい資本主義を起動させるため、新たな経済対策を策定するよう指示しました。総合的かつ大胆な経済対策を速やかにとりまとめます。
  6. おわりに
    • 憲法改正についてです。憲法改正の手続を定めた国民投票法が改正されました。今後、憲法審査会において、各政党が考え方を示した上で、与野党の枠を超え、建設的な議論を行い、国民的な議論を積極的に深めていただくことを期待します。
    • 最後になりますが、このようなことわざがあります。「早く行きたければ一人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め。」新型コロナという目に見えない敵に対し、我々は、国民全員の団結力によって一歩一歩前進してきました。改めて、この日本という国が、先祖代々、営々と受け継いできた、人と人のつながりが生み出す、やさしさ、ぬくもりがもたらす社会の底力を強く感じます。正に、「この国のかたち」の原点です。この「国のかたち」を次の世代に引き継いでいくためにも、私たちは、経済的格差、地域的格差などがもたらす分断を乗り越え、コロナとの闘いの先に、新しい時代を切り拓いていかなければなりません。そのために、みんなで前に進んでいくためのワンチームを創りあげます。「早く行きたければ一人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め。」一人であれば、目的地に早く着くことができるかもしれません。しかし、仲間とならもっと遠く、はるか遠くまで行くことができます。私は、日本人の底力を信じています。
    • 新型コロナの中にあってもなお、デジタル、グリーン、人工知能、量子、バイオ、宇宙、新しい時代の種が芽吹き始めています。この萌芽を大きな木に育て、経済を成長させ、その果実を国民全員で享受していく、明るい未来を築こうではありませんか。明けない夜はありません。国民の皆さんと共に手を取り合い、明日への一歩を踏み出します。同僚議員各位、そして、何よりも国民の皆さんの御協力を心からお願い申し上げ、所信表明とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。

~NEW~
内閣府 月例経済報告等に関する関係閣僚会議
▼10月 閣僚会議資料
  • 日本経済の基調判断
    1. 現状【表現変更】
      • 景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、そのテンポが弱まっている。
      • 先月の判断 景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、このところそのテンポが弱まっている。
    2. 先行き
      • 先行きについては、感染対策を徹底し、ワクチン接種を促進するなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、サプライチェーンを通じた影響による下振れリスクに十分注意する必要がある。また、国内外の感染症の動向や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
  • 政策の基本的態度
    • 政府は、東日本大震災からの復興・創生、激甚化・頻発化する災害への対応に取り組む。デフレからの脱却に向けて、大胆な金融・政策、機動的な財政政策、成長戦略の推進に努める。
    • 新型コロナウイルス感染症に対しては、19都道府県の緊急事態宣言及び8県のまん延防止等重点措置の全てを、9月30日をもって解除したが、様々な事態を想定し、ワクチン接種、治療薬の普及を図るとともに、医療提供体制を確保する。また、人流抑制等の影響を受けた方々への経済支援を実施する。同時に、ワクチン接種証明等も活用しながら、通常に近い社会経済活動を一日も早く取り戻すことができるよう取り組む。
    • さらに、こうした課題に切れ目なく対応し、新型コロナウイルス対応に万全を期すとともに、「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」による「新しい資本主義」を起動させ、国民の安全・安心を確保するため、新たな経済対策を策定する。その間も、新型コロナウイルスの感染状況や、企業や暮らしに与える影響には十分に目配りを行い、必要な対策は、予備費なども活用して、柔軟に行う
    • 日本銀行においては、企業等の資金繰り支援に万全を期すとともに、金融市場の安定を維持する観点から、金融緩和を強化する措置がとられている。日本銀行には、感染症の経済への影響を注視し、適切な金融政策運営を行い、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を実現することを期待する。
  • 今月のポイント
    1. 個人消費
      • 個人消費は、緊急事態宣言中は弱い動き。外食などサービス消費の弱さに加え、新車販売は、9月にかけて、供給面の影響により減少。
      • 一方、9月末実施の景気ウォッチャー調査の先行き判断DIは、緊急事態宣言の解除やワクチン接種の進展への期待などから大きく上昇。消費者マインドは、持ち直しの動き。
      • 足下までの消費を週次データでみると、9月後半以降も全体としては弱さがみられるが、10月の宣言解除後には、外食の支出に上向きの動き。
    2. 輸出入・生産
      • 我が国の輸出は、コロナ前の水準を回復したものの、自動車の弱さなどもあり、足下では増勢が鈍化。また、製造業の生産は、電子部品・デバイスや生産用機械により、持ち直しているものの、半導体不足及び東南アジアでの感染拡大に伴う部品供給不足により、自動車等の輸送機械に弱さがみられる。
      • 自動車部品や電気回路等の機器などは、東南アジアからの輸入が減少しており、供給不足の長期化・拡大を指摘する見方もある。海外経済の動向や国際的なサプライチェーンを通じた影響に、引き続き注意が必要。
  • 今月の指標
    1. 景況感・企業収益・物価
      • 日銀短観9月調査によると、企業の景況感は、非製造業では依然としてマイナス、製造業は前回6月調査から改善。2021年度の経常利益計画は、製造業・非製造業ともに増加。業種別にみると、宿泊・飲食サービス業は、前年度に続き経常赤字の見込み。
      • 製造業において、仕入価格DIは足下で大きく上昇しているものの、販売価格DIの上昇は限定的。価格転嫁の程度を表す疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)は、特に中小企業において悪化傾向。企業収益にマイナスの影響も。
      • 倒産件数は、資金繰り支援等もあり、過去50年間で最も低い水準が続いているが、企業債務の水準は高く、緊急事態宣言の解除もあり、経済の活動レベルを高めていくことが必要
    2. 設備投資・公共投資
      • 日銀短観9月調査によると、設備の過不足感は、製造業・非製造業ともに前回6月調査から改善し、過剰感はおおむね解消。今後、企業の前向きな投資を期待。2021年度の設備投資は、6月調査と同水準の前年度比9.3%増と大幅な増加見込み。業種別にみると、製造業を中心に高い伸びの見通し。宿泊・飲食や個人サービスなど、サービス業の中には、伸びが限定的な業種も。
      • 公共投資は、受注の減少を受け、高水準にあるものの、このところ弱含み
    3. 雇用情勢
      • 雇用状況は、弱さが続く中、8月の雇用者数は横ばいで推移。失業率は2.8%と底堅い動き。
      • 日銀短観9月調査で雇用の過不足感をみると、先行きでも、全体としては不足超が続いており、宿泊・飲食サービス業においても過剰感が縮小。ハローワークによるネット経由の日次有効求人件数は、2019年同月比で水準は低いものの、10月に入っても持ち直しの動きが続く。
      • 8月の賃金は、所定内・所定外給与が下支えし、前年比プラスで推移。実質総雇用者所得は、持ち直しの基調が続く。
    4. 世界経済
      • IMF見通しによれば、世界経済は持ち直しが続くことが見込まれる。前回の見通しと比較すると、21年の成長率見通しはアメリカやドイツ等で下方修正。物価見通しは欧米で上方修正。
      • 足下の動きをみると、供給面での制約や原材料価格の上昇がみられる。中国では、生産コストの上昇等により、製造業景況感が低下。また、世界的に、半導体不足等により乗用車生産が下押しされており、エネルギー価格の上昇もみられる。こうした供給面の動向について、注視が必要。

~NEW~
内閣府 道路に関する世論調査
  • いつも通る一般道路で、車が渋滞しているところがあるか聞いたところ、「ある」と答えた者の割合が61.2%、「ない」と答えた者の割合が36.1%となっている。
  • 車が渋滞しているところが「ある」と答えた者(1,007人)に、その交通渋滞を解決するためには、どうしたらよいと思うか聞いたところ、「交差点や踏切の立体交差化、車線数の増加、右折レーンの設置など道路構造を改良する」を挙げた者の割合が54.3%と最も高く、以下、「信号のサイクルを適切に調整する」(48.0%)、「バイパス(市街地を避けて通る迂(う)回路)や環状道路を建設して市街地の交通量を少なくする」(33.1%)などの順となっている。(複数回答、上位3項目)
  • 道路交通の安全性向上のためには、どのような対策が必要だと思うか聞いたところ、「生活道路において歩道整備や歩道拡幅、ガードレールの設置などを行う」を挙げた者の割合が63.9%と最も高く、以下、「歩行者・自転車・自動車が適切に分離された自転車の通行空間の整備を行う」(57.5%)、「通学路や園児の移動経路における危険な箇所の点検や、地域ぐるみの教育や見守り活動などを行う」(45.4%)、「交差点での右折車線の設置や幹線道路での中央帯の設置などを行う」(41.6%)などの順となっている。(複数回答、上位4項目)
  • 高齢の歩行者などに対する配慮として、歩行者の立場からどのような道路施策が必要だと思うか聞いたところ、「歩道を設置したり幅を拡げたり、段差・傾きの解消などを行う」を挙げた者の割合が74.8%と最も高く、以下、「自転車と歩行者の通行空間を分離する」(62.0%)、「高齢者や車いす使用者などが快適に移動できるバリアフリー経路の案内をする」(38.6%)、「違法に設置された看板や放置自転車を撤去する」(32.1%)、「電線類の地中化を行い、電柱を撤去する」(31.7%)などの順となっている。(複数回答、上位5項目)
  • 大地震や大雨、大雪などによる災害が発生した場合、お住まいの近くにある道路について壊れたり、通行できなくなるといったことに不安を感じるか聞いたところ、「不安がある」とする者の割合が66.5%(「不安がある」29.3%+「やや不安がある」37.2%)、「不安はない」とする者の割合が32.3%(「あまり不安はない」26.5%+「不安はない」5.8%)となっている。
  • 大地震や大雨、大雪などによる災害に備えるためには、道路整備の面からどのような対策が必要だと思うか聞いたところ、「電柱の倒壊による道路の寸断を防ぐための電線類の地中化」を挙げた者の割合が51.8%、「救急活動や救援物資などの輸送を確実に行うために必要な幹線道路の整備・改修、複数ルートの確保」を挙げた者の割合が50.1%と高く、以下、「落石や土砂崩れなどによる道路への被災を防ぐため、コンクリートで補強するなどの道路の斜面の整備」(43.5%)、「安全に避難できる避難路の整備」(40.9%)、「地震情報や道路情報を的確に把握、提供する情報システムの整備」(39.4%)、「大地震にも耐え得る道路の耐震補強」(36.1%)などの順となっている。(複数回答、上位6項目)
  • 大地震や大雨、大雪などによる災害により、よく利用する道路が通行止めになった場合、どのようなことに特に不便を感じるか聞いたところ、「救急車など緊急・救急車両の到着の遅れ」を挙げた者の割合が70.8%と最も高く、以下、「日常品の買い物の障害」(55.4%)、「物資の輸送の遅れ」(53.0%)、「通勤・通学・通院の障害」(46.8%)などの順となっている。(複数回答、上位4項目)
  • お住まいの近くでの自動車の通行により、迷惑に感じていることはあるか聞いたところ、「交通事故の危険」を挙げた者の割合が38.2%と最も高く、以下、「住宅地などの生活道路への通過交通(抜け道として利用する自動車)の流入」(33.9%)、「ゴミなどのポイ捨て」(30.7%)、「路上駐車」(30.6%)などの順となっている。なお、「特にない」と答えた者の割合が17.8%となっている。(複数回答、上位4項目)
  • 脱炭素社会の実現に向け、温室効果ガスの排出量を削減するためには、道路施策の面からどのような対策が必要だと思うか聞いたところ、「電気自動車など次世代自動車の普及を促進する」を挙げた者の割合が61.5%と最も高く、以下、「渋滞を減らして自動車の走行をスムーズにする」(42.7%)、「公共交通機関の利用を促進する」(31.9%)、「LED道路照明の普及を促進する」(30.7%)、「太陽光など再生可能エネルギーでの発電に道の駅やサービスエリアなどの道路空間を活用する」(28.1%)などの順となっている。(複数回答、上位5項目)
  • 道路空間とその沿道を有効かつ快適に活用していくためにどのようなことが重要だと思うか聞いたところ、「電線類の地中化、植樹帯の設置などにより景観をよくする」を挙げた者の割合が53.6%、「歩行者優先の道路空間を確保する」を挙げた者の割合が49.9%、「自転車が快適に走行できる空間をつくる」を挙げた者の割合が45.4%、「違法に設置された看板や放置自転車を撤去する」を挙げた者の割合が43.4%などの順となっている。(複数回答、上位4項目)
  • 活力ある地域づくりのために、道路整備の面からどのような対策が必要だと思うか聞いたところ、「歩行者や自転車が気軽に散策を楽しめる道路の整備」を挙げた者の割合が48.4%と最も高く、以下、「大きな病院や商業施設などへ行きやすくする道路の整備」(41.9%)、「バス同士やバスと鉄道などとの乗り換えがしやすいターミナルや駅などの拠点の整備」(38.3%)、「周辺の市町村への通勤を容易にする幹線道路の整備」(35.7%)などの順となっている。(複数回答、上位4項目)
  • 観光振興のために、道路施策の面からどのような対策が必要だと思うか聞いたところ、「駐車場の整備などによる渋滞や路上駐車の削減」を挙げた者の割合が58.3%と最も高く、以下、「誰にでもわかりやすい観光地への案内標識の設置」(48.0%)、「高速道路料金の割引の充実」(45.9%)、「観光地へ行きやすくする道路の整備」(41.1%)などの順となっている。(複数回答、上位4項目)
  • ICT(情報通信技術)を活用した道路環境や機能として、どのようなものがあれば便利だと思うか聞いたところ、「車線や車間距離の維持などを補助する安全運転支援技術の精度を向上させるような、車載センサーが認識しやすい白線や標識などが整備された道路環境」を挙げた者の割合が56.9%と最も高く、以下、「誤って高速道路を逆走してしまった際に、自動的な車両の停止などにより逆走を防止する機能」(51.6%)、「道路上の落下物や交通事故などの危険箇所、路面状況などの情報を受け取ることができる道路環境」(47.3%)、「駐車場やガソリンスタンドでの料金支払いを、ETCなどを通じて自動的に行える機能」(35.7%)の順となっている。(複数回答)
  • 高度経済成長期に集中的に整備されてきた橋などの老朽化が今後進んでいくが、これらの橋などについて、どのように維持や修繕、更新を行うべきだと思うか聞いたところ、「修繕するよりも積極的に更新(作り直し)を進める」と答えた者の割合が21.1%、「傷みが大きくなってから修繕し、必要に応じて更新(作り直し)を進める」と答えた者の割合が5.3%、「傷みが小さいうちに予防的な修繕を進め、できるだけ長持ちさせる」と答えた者の割合が41.1%、「交通量などを考慮して、優先的に維持修繕を行う橋などの対象を絞って、集約や撤去を進める」と答えた者の割合が25.0%、「特に修繕はしない(利用できなくなる橋などがでてきてもやむを得ない)」と答えた者の割合が0.7%となっている。
  • 道路の橋は、全国に72万橋がかけられている。橋の維持修繕にはコストがかかる一方で人口減少などにより利用者が少なくなったものの、利用されている橋もある。このような橋についてどのような対応を行うことがよいと思うか聞いたところ、「迂(う)回路を示した上で撤去すべき」と答えた者の割合が21.8%、「自転車・歩行者専用とするなど、橋の規模を縮小し残すべき」と答えた者の割合が38.1%、「少数でも利用者がいれば、修繕などを引き続き行い残すべき」と答えた者の割合が37.1%となっている。
  • 車両の大型化が進むことにより、物流の効率化やコストの削減が促進される。その一方で、橋や道路の劣化については、重い車両の走行が、主な要因の1つといわれている。これらのことについて、どのように考えるか聞いたところ、「重い車両が走行できる道路を限定して、橋や道路への影響を軽減する」と答えた者の割合が54.8%、「重い車両が走行できるよう、費用をかけてより頑丈な橋・道路に作り替える」と答えた者の割合が19.0%、「重い車両が走行できるよう、橋や道路の劣化が発見され次第、その都度費用をかけて修繕していく」と答えた者の割合が20.8%、「特に対策は取らない(橋や道路が劣化により、その他の車両も含めて走行できなくなっても仕方がない)」と答えた者の割合が1.7%となっている。
  • 老朽化により修繕が必要となっている橋やトンネルについて、その情報(名称、位置、老朽化の度合いなど)を公表することは安全・安心な暮らしのために重要であるとの考えがある一方、周辺の地価などに影響を及ぼす恐れがあるため公表する必要はないとの考えもある。自分が住んでいる地域に修繕が必要な橋やトンネルがあった場合、その情報の公表の必要性について、どのように考えるか聞いたところ、「必要である」とする者の割合が94.4%(「必要である」68.1%+「どちらかといえば必要である」26.3%)、「必要はない」とする者の割合が4.0%(「どちらかといえば必要はない」2.8%+「必要はない」1.2%)となっている。
  • 今後の中長期的な道路整備や維持修繕、更新のための費用は、車を利用する人が負担するという考え方について、どのように考えるか聞いたところ、「適切である」と答えた者の割合が14.4%、「やむを得ない」と答えた者の割合が52.5%、「不適切である」と答えた者の割合が31.5%となっている。
  • 欧州などにおいては、混雑緩和や道路の維持修繕、更新の財源確保のため、車が一定の地域に入る場合に料金を支払う制度などが導入された地域がある。このような考え方について、どのように考えるか聞いたところ、「適切である」とする者の割合が64.7%(「適切である」15.6%+「どちらかといえば適切である」49.1%)、「不適切である」とする者の割合が33.8%(「どちらかといえば不適切である」22.8%+「不適切である」11.0%)となっている。
  • 現在、高速道路の建設や維持修繕、更新の費用は、通行料金でまかなっているが、2065年以降は無料になり、維持修繕、更新の費用は税金でまかなう制度になっている。一方で、維持修繕、更新の費用は、引き続き、高速道路を利用する人が通行料金により負担すべきとの考え方もある。高速道路の維持修繕、更新の費用のあり方について、どのように考えるか聞いたところ、「全額税金でまかなっていくべき」と答えた者の割合が5.5%、「税金でまかなっていくべきだと思うが、ある程度は高速道路の通行料金でまかなうこともやむを得ない」と答えた者の割合が30.4%、「高速道路の通行料金でまかなっていくべきだと思うが、ある程度は税金でまかなうこともやむを得ない」と答えた者の割合が44.5%、「税金ではなく、高速道路の通行料金でまかなっていくべき」と答えた者の割合が18.4%となっている。
  • 高速道路では、利用者が多いことから渋滞が発生している区間がある。渋滞と通行料金との関係について、どのように考えるか聞いたところ、「さらに渋滞が悪化するとしても、通行料金を現在よりできるだけ引き下げる方がよい」と答えた者の割合が14.6%、「一部区間で渋滞が発生していても、現在の通行料金を維持すべき」と答えた者の割合が54.4%、「通行料金を現在より引き上げてでも、渋滞を解消した方がよい」と答えた者の割合が29.0%となっている。
  • どのような分野の道路整備に力を入れてほしいと思うか聞いたところ、「大地震や津波、大雨、大雪などによる災害に備えた対策」を挙げた者の割合が64.0%と最も高く、以下、「すれ違いが困難な狭い道路や急カーブの改良」(51.3%)、「歩道の設置や拡幅、段差解消など」(39.1%)、「カーナビやスマートフォンなどを通じた情報提供の拡充」(36.5%)、「渋滞を緩和するためのバイパス整備や交差点の立体交差化など」(36.5%)、「わかりやすい標識の整備」(33.7%)、「電線類の地中化や植樹など景観の改善」(33.0%)などの順となっている。(複数回答、上位7項目)

~NEW~
消費者庁 第42回インターネット消費者取引連絡会
▼資料1 キャッシュレス決済の動向整理
  • 日本のキャッシュレス決済比率は29.7%(2020年)。コロナ禍により民間最終消費支出が落ち込む中、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコード決済のすべての決済手段において決済金額が伸びた
  • クレジットカードは、お店などでの支払い時に使用すると、その場で現金を支払うことなく商品やサービスを受け取ることができ、後で代金の請求が来る(後払い)カード。信用販売のため、カード発行の際の入会審査によって利用限度額が人それぞれで定められており、利用者はその範囲で支払いができる。日本国内のクレジットカード会社が発行したクレジットカードを利用して消費者がショッピングを行った額(クレジットカードショッピング信用供与額)は、2020年に74.4兆円に達している。
  • デビットカードは、決済口座として登録した銀行口座(預金口座)から即時に引き落とされる即時決済支払い手段の一つ。デビットカードには銀行のキャッシュカードをそのまま使って決済できる日本電子決済推進機構(日本デビットカード推進協議会)によるJ-Debitと、国際ブランド加盟店で利用できる国際ブランド付きデビットカード(以下、ブランドデビットカードとする)の2種類がある。2020年の決済金額(J-Debit・ブランドデビットカードどちらも含む)は、2兆2,265億円である。
  • ブランドプリペイドは、国際ブランド対応の店舗で使えるプリペイドカードである。あらかじめチャージすることにより、支払に利用できる。近年は事前にチャージする形態だけではなく、後払いでチャージ可能なサービスも提供されるようになっている。ブランドプリペイドは前払式支払手段として位置づけられるサービスが主であるが、資金移動業に基づくサービスもある。資金移動業に基づいたサービスの場合には本人確認が必要となるが、チャージした金額を現金として引き出すことや、資金移動業に基づいたサービスの他利用者への送金等が可能になる。
  • QRコードを使って支払いをする決済方法。実店舗での決済に利用できることが多いが、一部のECサイトで利用できることがある。クレジットカードの使用等として後日支払う方式(後払い方式)、あらかじめチャージを行ったチャージ残高から支払う方式(前払方式)、
  • 銀行口座や資金移動用口座内の資金から即時に引き落とされることで支払う方式(即時払い方式)がある。これらを組み合わせて1つのサービスとして提供しているものもある。2020年のコード決済の年間店舗利用金額は4兆2,003億円である。
  • サーバ型電子マネーとは、利用できる金額又は提供を受けることができる商品やサービスの数量が事業者のサーバに記録されているもの。利用者には、サーバ上の財産的価値の記録と紐付いた番号・記号その他の符号が交付される。
  • コンビニ後払い決済とは、商品が手元に届いてから購入代金を支払うことができる後払い決済手段。商品が手元に届いた後に、送られてきた請求書等を利用して、支払期限内に代金を支払う。事前に会員登録等をする必要はない。後払い決済では5~5.5万円程度の上限利用金額が定められていることが多い。
  • キャリア決済は、デジタルコンテンツや商品等の購入代金を携帯電話料金とあわせて支払える後払い決済手段である。キャリア決済は、電波の割当を受け、自らネットワーク整備をしてサービスを提供する携帯電話事業者(Mobile Network Operator:MNO)により提供されている。MNOによるオンライン専用の新料金プラン(ahamo、povo、LINEMO)でもキャリア決済を利用できる。(一部利用できないサービスもある。)MNOのネットワークを借りてサービスを提供する携帯電話事業者(Mobile Virtual Network Operator:MVNO)で、キャリア決済を提供している事業者もある。キャリア決済では、加盟店がオンラインで販売するデジタルコンテンツや商品等の代金を支払える。スマートフォンからだけではなくPCから利用することもできる。継続課金にも対応している。近年は、キャリア決済とコード決済等とを組み合わせた決済サービスも提供されており、コード決済により実店舗で購入した商品等の代金を、携帯電話料金と合算して支払うことも可能になっている。MVNOの提供するキャリア決済では、決済可能な対象がGoogle Playで購入するアプリやアプリ内サービスの料金等に限定されていることがある。
  • 過去1年間にインターネットで商品等を購入した15歳以上のうち、15.9%が決済方法として「通信料金・プロバイダ利用料金への上乗せによる支払い」を挙げている。
  • 過去1年間にネットショップで物品を購入したことがある男性の14.0%、女性の9.8%が、「キャリア決済」をネットショップでよく利用する決済手段として挙げている。過去1年間にデジタルコンテンツを購入したことがある男性の19.0%、女性の14.5%が、「キャリア決済」をデジタルコンテンツ購入時によく利用する決済手段として挙げている。
  • 有料でオンラインゲームを利用する20~70代の14.7%、10代の19.0%が課金の支払を主にキャリア決済で実施。オンラインゲームでの課金の支払いを主にキャリア決済でしている20~70代の74.7%、10代の87.5%が、毎月請求明細を確認している。
  • コード決済におけるチャージ等の方法としてキャリア決済を7.8%が利用
  • 携帯電話を利用し自身で料金を支払っている者のうち、2.7%が「身に覚えのない商品・サービスの購入がキャリア決済されていた」ことがある。
  • 一般社団法人電気通信事業者協会による、行政が設置する窓口で受付けた申告のうち、MNO3社(NTTドコモ・KDDI・ソフトバンク)に照会があり、各事業者により事実確認、顧客対応まで完了した苦情に関する分析によれば、2019年7~9月にキャリア決済の不正利用に関する苦情が増えている。これを受けた「セキュリティ強化」、「利用者への注意喚起」、「補償制度の拡充」等の対策の実施もあり、キャリア決済の不正利用に関する苦情は沈静化している。
  • 消費者が注意すべき事項の例
    • 携帯電話会社等の名称でSMS・メールが届いても、これらに記載されたURLには安易にアクセスせず、ID・パスワード等を入力しない
    • 偽のSMS・メールに誘導されてID・パスワード・暗証番号等を入力してしまったら、すぐにID・パスワード・暗証番号やキャリア決済の設定を変更、キャリア決済で利用された店舗や携帯電話事業者に連絡。
    • 利用通知、履歴の確認
      • キャリア決済利用時に送信される利用通知を確認。利用履歴を確認し、請求内容等を定期的に確認。
    • 利用限度額や2段階認証の設定、ID・パスワード等の管理
      • キャリア決済の限度額を必要最小限に設定する。利用をしない場合には、利用停止の設定をする。
      • ID・パスワード等を適切に管理し、2段階認証を利用するよう設定する。どのような場面でID・パスワード等の入力が必要となるか把握し、不自然なときには入力せず確認する。
    • スマートフォンへのセキュリティ設定
      • 紛失時等に第三者から不正な操作がされないよう、暗証番号や指紋認証等による画面ロックを設定
    • 端末の紛失・盗難時の対応方法・連絡先等の確認
      • 万一、端末を紛失した際には、携帯電話会社等が提供する端末の遠隔ロックサービスを利用 ※事前の申込みや設定が必要な場合があるため事前に確認しておく必要がある。
      • 携帯電話事業者にキャリア決済サービスの利用停止等を依頼 ※端末紛失時に行うべき対応について事前に確認しておく必要がある。

~NEW~
消費者庁 「倫理的消費(エシカル消費)」に関する消費者意識調査報告書
  • 日常生活における資源の分別の意識は、「意識している(計)」(意識している+まあ意識している)が90.2%となっている。性別にみると、「女性」は「意識している(計)」が「男性」を上回っている。
  • 買い物時のエコバック等の使用状況は、「使用している(計)」(必ず使用している+たまに使用している)が79.7%となっている。「女性」は「必ず使用している」が52.6%と、「男性」より大幅に高くなっている。年代別にみると、年代が上がるにつれて「必ず使用している」は高くなっている。
  • 居住地域周辺で生産・水揚げ・加工された商品を優先的に購入しているかについては、「購入している(計)」(よく購入している+たまに購入している)が52.0%となっている。性年代別にみると、「女性 50代・60代」は「購入している(計)」が75.9%と最も高くなっている。
  • 過剰包装やトレイの必要性についての考えは、「ばら売りや量り売り商品を多くするなど、必要最小限にする方が望ましい」が57.8%と最も高く、「特に考えはない」が26.8%、「あらゆる商品を今と同じように包装する方が望ましい」が12.9%となっている。男女ともに10代から30代では「特に考えはない」がTOTALを上回り、特に「女性 10代・20代」では38.4%と最も高くなっている。
  • 障がい者の方が生産した商品等(授産製品)の購入経験は「購入したことがある」が44.3%、「購入したことがない」が33.9%となっている。年代別にみると、「女性 50代・60代」は「購入している(計)」(よく購入している+購入したことがある)が63.0%と最も高くなっている。エシカル関心別にみると、すべての層で「購入している(計)」がTOTALを上回っている。
  • 復興応援に関連した商品・サービスの購入経験は「購入している(計)」(よく購入している+購入したことがある)が45.4%となっている。「購入したいがそのような機会がない」はエシカル実践者を除く、すべての属性において20%以上となっている。性年代別にみると、年代が上がるにつれて「購入したことがある」が高くなっている。
  • 「消費者市民社会」の認知度は、「言葉も内容も知らない」は73.0%、「言葉は知っている」は20.5%にとどまっている。性年代別にみると、「女性30代」は、「言葉も内容も知らない」が84.8%であり、最も高くなっている。
  • 自然災害や環境破壊・資源の枯渇等が将来にわたる問題となっていることについての考えは、「重大な問題なのですべての人が可能な範囲で行動するべき」が57.1%と最も高くなっている。性年代別にみると、「女性50代・60代」は「重大な問題なのですべての人が可能な範囲で行動するべき」は69.3%と最も高くなっている。「すべての人が行動するべき(計)」(重大な問題なのですべての人が直ちに行動するべき+重大な問題なのですべての人が可能な範囲で行動するべき)は女性40代~60代、エシカル関心別のすべての層で80%を超えている。
  • 「SDGs」の認知度は「内容を含めて知っている」「言葉は聞いたことがあるが内容は知らない」の合計が31.8%、「知らない」が68.2%となっている。性年代別にみると、「男性 10代・20代」は「内容を含めて知っている」「言葉は聞いたことがあるが内容は知らない」の合計が45.0%と最も高くなっている。
  • 「エコ」の認知度が72.6%と最も高く、次いで「ロハス」「フェアトレード」の順となっている。「倫理的消費(エシカル消費)」「エシカル」は、他のエシカル消費に関連する言葉と比較して認知度は低いが、2016年度調査と比較すると、3年間で認知度がそれぞれ2倍以上に上昇している。2016年度調査と比較すると、「知っているものはない」は半分以下に低下している。
  • エシカル消費に対するイメージは、「これからの時代に必要」が51.8%となり、「よく分からない」を除くと、「前向き」「優しい」の順となった。2016年度調査と比較すると、「これからの時代に必要」が大幅に上昇し、「よく分からない」が大幅に低下している。性別にみると、「女性」は「これからの時代に必要」「前向き」「優しい」などで「男性」より高くなっている。性年代別にみると、「男性10代・20代」は「先進的」が20.1%と最も高くなっている。女性30代、40代では「これからの時代に必要」が60%を超えている。エシカル関心別にみると、すべての層で「よく分からない」がTOTALを下回っている。
  • エシカル消費について、全体の59.1%が「興味がある(計)」(非常に興味がある+ある程度興味がある)と回答。2016年度調査と比較すると、「ある程度興味がある」が大幅に上昇し、「全く興味がない」が大幅に低下している。性年代別にみると、「女性50代・60代」は「興味がある(計)」が73.4%と最も高くなっている
  • エシカル消費に関連する言葉を知っている人にエシカル行動をどのくらい実践しているかについて聴取したところ、「実践している(計)」(よく実践している+時々実践している)は36.1%となっている。2016年度調査と比較すると、「実践している(計)」が7.1ポイント上昇している。性年代別にみると、「女性50代・60代」では「実践している(計)」が45.0%と最も高く、「男性30代」は26.3%と最も低くなっている。
  • エシカル消費を「実践している(計)」人に、どのようなエシカル行動を実践しているかについて聴取したところ、「マイバッグ・マイ箸・マイカップ等の利用」が86.8%と最も高く、次いで「電気をこまめに消す等の省エネ」、「食品ロス削減」、「リサイクル活動・購入」の順で、60%を超えている。性年代別にみると、「女性50代・60代」では上位に挙がっている項目についてTOTALと比較して高くなっている一方で、「男性10代・20代」ではほとんどの項目で低くなっている。
  • 「エコマーク」は80.5%、「オーガニック」は39.3%、「伝統マーク」が18.5%となっている。また、2016年度調査と比較するといずれのマークにおいても認知度が上昇している。性別にみると、「RSPO」以外の上位7項目はすべて「女性」が「男性」を上回っている。
  • エシカル商品・サービスの「購入意向あり(計)」(これまで購入したことがあり、今後も購入したい+これまでに購入したことはないが、
  • 今後は購入したい)が81.2%、「購入経験あり(計)」(これまで購入したことがあり、今後も購入したい+これまでに購入したことがあるが、今後は購入したくない)は39.7%となっている。2016年度調査と比較して、「購入意向あり(計)」は19.4ポイント上昇している。性年代別でみると、「購入経験あり(計)」、「購入意向あり(計)」とも、すべての年代で「女性」が「男性」を上回っている。
  • エシカル商品・サービス購入経験者のうち、エシカルに関する「食料品」を購入している人(購入している+どちらかというと購入しているの合計)は、61.8%、「衣料品」は32.6%、「その他生活用品」は48.2%、「家電・贅沢品」は28.0%となっている。2016年度調査と比較すると、「購入していない」はすべての項目で低下している
  • エシカル商品・サービス購入意向者に購入を検討する理由を聴取したところ、「似たような商品を買うなら社会貢献につながる方がよい」が59.4%、「結果的にコストの低減・削減につながる」「子どもたちの未来に役立てたい」「環境に配慮する満足感が得られる」がそれぞれ30%を超えている。
  • 全体の79.6%がエシカル商品の提供が企業イメージ向上につながると思う「そう思う(計)」(そう思う+どちらかというとそう思う)と回答している。2016年度調査と比較すると、「そう思う(計)」が14.4ポイント上昇している。エシカル関心別ではほとんどの層で「そう思う(計)」が90%を超えている
  • 関心を持っている課題・活動として、「環境保全」が60.6%と最も高く、次いで、「子ども支援」「高齢者・障がい者支援」「まちづくり」の順で、30%を超えている。2016年度調査と比較すると、「この中に関心を持っている課題や活動は特にない」が半分以下に低下している。エシカル関心別にみると、すべての層で関心をもっている課題・活動がTOTALと比較して高くなっている。
  • 商品・サービス購入時に最も重視する点として「安全・安心」が49.7%、「価格」が25.2%、「品質」が15.7%となり、上位3項目で90%以上を占めた。2016年度調査と比較すると、上位3項目では「安心・安全」「価格」が低下し、「品質」が上昇している。
  • エシカル消費につながる商品であるとわかる表示があった場合と、ない場合を比較した購買意欲の変化について聴取したところ、「表示された商品と他の製品を比較して購入を判断する」が50.9%、次いで、「表示は気にしない」が25.0%、「表示よりも価格を優先して購入する」が13.8%の順となっている。
  • エシカル消費についての知識や理解を得るための今後の期待は「店頭での商品ガイドの設置」が42.7%、「行政機関による情報提供」が37.2%、「展示卸売の開催(販売者による商品紹介や販売・試飲食)」が27.2%となっている。性別にみると、「女性」は「店頭での商品ガイドの設置」が48.9%、「展示卸売の開催(販売者による商品紹介や販売・試飲食)」が31.9%と高くなっている。エシカル関心別にみると、すべての層で「その他具体的に」「期待していない」以外の項目においてTOTALと比較して高くなっている。

~NEW~
消費者庁 公益通報者保護法に基づく指針の解説を公表しました
▼公益通報者保護法に基づく指針(令和3年内閣府告示第118号)の解説
  • 本解説は、事業者におけるこのような検討を後押しするため、「指針を遵守するために参考となる考え方や指針が求める措置に関する具体的な取組例」を示すとともに、「指針を遵守するための取組を超えて、事業者が自主的に取り組むことが期待される推奨事項に関する考え方や具体例」についても併せて示すものである。
  • 従事者として定めなければならない者の範囲
    • 内部公益通報の受付、調査、是正に必要な措置の全て又はいずれかを主体的に行う業務及び当該業務の重要部分について関与する業務を行う場合に、「公益通報対応業務」に該当する。
    • 事業者は、コンプライアンス部、総務部等の所属部署の名称にかかわらず、上記指針本文で定める事項に該当する者であるか否かを実質的に判断して、従事者として定める必要がある。
    • 事業者は、内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関して公益通報対応業務を行うことを主たる職務とする部門の担当者を、従事者として定める必要がある。それ以外の部門の担当者であっても、事案により上記指針本文で定める事項に該当する場合には、必要が生じた都度、従事者として定める必要がある。
    • 必要が生じた都度従事者として定める場合においては、従事者の指定を行うことにより、社内調査等が公益通報を端緒としていることを当該指定された者に事実上知らせてしまう可能性がある。そのため、公益通報者保護の観点からは、従事者の指定をせずとも公益通報者を特定させる事項を知られてしまう場合を除いて、従事者の指定を行うこと自体の是非について慎重に検討することも考えられる。
  • 従事者を定める方法
    • 従事者を定める方法として、従事者に対して個別に通知する方法のほか、内部規程等において部署・部署内のチーム・役職等の特定の属性で指定することが考えられる。後者の場合においても、従事者の地位に就くことを従事者となる者自身に明らかにする必要がある。
    • 従事者を事業者外部に委託する際においても、同様に、従事者の地位に就くことが従事者となる者自身に明らかとなる方法により定める必要がある。
  • 内部公益通報受付窓口の設置等
    • ある窓口が内部公益通報受付窓口に当たるかは、その名称ではなく、部門横断的に内部公益通報を受け付けるという実質の有無により判断される。
    • 調査や是正に必要な措置について内部公益通報受付窓口を所管する部署や責任者とは異なる部署や責任者を定めることも可能である。
    • 内部公益通報受付窓口については、事業者内の部署に設置するのではなく、事業者外部(外部委託先、親会社等)に設置することや、事業者の内部と外部の双方に設置することも可能である。
    • 組織の実態に応じて、内部公益通報受付窓口が他の通報窓口(ハラスメント通報・相談窓口等)を兼ねることや、内部公益通報受付窓口を設置した上、これとは別に不正競争防止法違反等の特定の通報対象事実に係る公益通報のみを受け付ける窓口を設置することが可能である。
    • 調査・是正措置の実効性を確保するための措置を講ずることが必要である。例えば、公益通報対応業務の担当部署への調査権限や独立性の付与、必要な人員・予算等の割当等の措置が考えられる。
    • 内部公益通報受付窓口を設置する場合には、例えば、以下のような措置等を講じ、経営上のリスクにかかる情報を把握する機会の拡充に努めることが望ましい。
      • 子会社や関連会社における法令違反行為の早期是正・未然防止を図るため、企業グループ本社等において子会社や関連会社の労働者等及び役員並びに退職者からの通報を受け付ける企業グループ共通の窓口を設置すること
      • サプライチェーン等におけるコンプライアンス経営を推進するため、関係会社・取引先を含めた内部公益通報対応体制を整備することや、関係会社・取引先における内部公益通報対応体制の整備・運用状況を定期的に確認・評価した上で、必要に応じ助言・支援をすること
      • 中小企業の場合には、何社かが共同して事業者の外部(例えば、法律事務所や民間の専門機関等)に内部公益通報受付窓口を委託すること
      • 事業者団体や同業者組合等の関係事業者共通の内部公益通報受付窓口を設けること
    • 人事部門に内部公益通報受付窓口を設置することが妨げられるものではないが、人事部門に内部公益通報をすることを躊躇する者が存在し、そのことが通報対象事実の早期把握を妨げるおそれがあることにも留意する。
  • 組織の長その他幹部からの独立性の確保に関する措置
    • 組織の長その他幹部からの独立性を確保する方法として、例えば、社外取締役や監査機関(監査役、監査等委員会、監査委員会等)にも報告を行うようにする、社外取締役や監査機関からモニタリングを受けながら公益通報対応業務を行う等が考えられる。
    • 組織の長その他幹部からの独立性を確保する方法の一環として、内部公益通報受付窓口を事業者外部(外部委託先、親会社等)に設置することも考えられる。単一の内部公益通報受付窓口を設ける場合には当該窓口を通じた公益通報に関する公益通報対応業務について独立性を確保する方法のほか、複数の窓口を設ける場合にはそれらのうち少なくとも一つに関する公益通報対応業務に独立性を確保する方法等、事業者の規模に応じた方法も考えられる。
    • 組織の長その他幹部からの独立性を確保するために、例えば、以下のような措置等をとることが考えられる。
      • 企業グループ本社等において子会社や関連会社の労働者等及び役員からの通報を受け付ける企業グループ共通の窓口を設置すること
      • 関係会社・取引先を含めた内部公益通報対応体制を整備することや、関係会社・取引先における内部公益通報対応体制の整備・運用状況を定期的に確認・評価した上で、必要に応じ助言・支援をすること
      • 中小企業の場合には、何社かが共同して事業者の外部(例えば、法律事務所や民間の専門機関等)に内部公益通報窓口を委託すること
      • 事業者団体や同業者組合等の関係事業者共通の内部公益通報受付窓口を設けること
  • 公益通報対応業務の実施に関する措置
    • 内部公益通報対応の実効性を確保するため、匿名の内部公益通報も受け付けることが必要である。匿名の公益通報者との連絡をとる方法として、例えば、受け付けた際に個人が特定できないメールアドレスを利用して連絡するよう伝える、匿名での連絡を可能とする仕組み(外部窓口から事業者に公益通報者の氏名等を伝えない仕組み、チャット等の専用のシステム等)を導入する等の方法が考えられる。
    • 公益通報者の意向に反して調査を行うことも原則として可能である。公益通報者の意向に反して調査を行う場合においても、調査の前後において、公益通報者とコミュニケーションを十分にとるよう努め、プライバシー等の公益通報者の利益が害されないよう配慮することが求められる。
    • 調査を実施しない「正当な理由」がある場合の例として、例えば、解決済みの案件に関する情報が寄せられた場合、公益通報者と連絡がとれず事実確認が困難である場合等が考えられる。解決済みの案件か否かについては、解決に関する公益通報者の認識と事業者の認識が一致しないことがあるが、解決しているか否かの判断は可能な限り客観的に行われることが求められる。また、一見、法令違反行為が是正されたように見えても、案件自体が再発する場合や、当該再発事案に関する新たな情報が寄せられる場合もあること等から、解決済みといえるか、寄せられた情報が以前の案件と同一のものといえるかについては慎重に検討する必要がある。
    • 是正に必要な措置が適切に機能しているかを確認する方法として、例えば、是正措置から一定期間経過後に能動的に改善状況に関する調査を行う、特定の個人が被害を受けている事案においては問題があれば再度申し出るよう公益通報者に伝える等が考えられる。
    • 調査の結果、法令違反等が明らかになった場合には、例えば、必要に応じ関係者の社内処分を行う等、適切に対応し、必要があれば、関係行政機関への報告等を行う。
    • コンプライアンス経営を推進するとともに、経営上のリスクに係る情報の早期把握の機会を拡充するため、内部公益通報受付窓口の利用者及び通報対象となる事項の範囲については、例えば、以下のように幅広く設定し、内部公益通報に該当しない通報についても公益通報に関する本解説の定めに準じて対応するよう努めることが望ましい。
      • 通報窓口の利用者の範囲:法第2条第1項各号に定める者のほか、通報の日から1年より前に退職した労働者等、子会社・取引先の従業員(退職した者を含む)及び役員
      • 通報対象となる事項の範囲:法令違反のほか、内部規程違反等
    • 内部公益通報受付窓口を経由しない内部公益通報を受けた労働者等及び役員においても、例えば、事案の内容等に応じて、自ら事実確認を行い是正する、公益通報者の秘密に配慮しつつ調査を担当する部署等に情報共有する等の方法により、調査や是正に必要な措置を速やかに実施することが望ましい。
    • 例えば、内部公益通報対応体制の運営を支える従事者の意欲・士気を発揚する人事考課を行う等、コンプライアンス経営の推進に対する従事者の貢献を、積極的に評価することが望ましい。
    • 法令違反等に係る情報を可及的速やかに把握し、コンプライアンス経営の推進を図るため、法令違反等に関与した者が、自主的な通報や調査協力をする等、問題の早期発見・解決に協力した場合には、例えば、その状況に応じて、当該者に対する懲戒処分等を減免することができる仕組みを整備すること等も考えられる。
    • 公益通報者等の協力が、コンプライアンス経営の推進に寄与した場合には、公益通報者等に対して、例えば、組織の長等からの感謝を伝えること等により、組織への貢献を正当に評価することが望ましい。なお、その際においても、公益通報者等の匿名性の確保には十分に留意することが必要である。
  • 公益通報対応業務における利益相反の排除に関する措置
    • 「関与させない措置」の方法として、例えば、「事案に関係する者」を調査や是正に必要な措置の担当から外すこと等が考えられる。受付当初の時点では「事案に関係する者」であるかが判明しない場合には、「事案に関係する者」であることが判明した段階において、公益通報対応業務への関与から除外することが必要である。ただし、「事案に関係する者」であっても、例えば、公正さが確保できる部署のモニタリングを受けながら対応をする等、実質的に公正な公益通報対応業務の実施を阻害しない措置がとられている場合には、その関与を妨げるものではない。
    • 想定すべき「事案に関係する者」の範囲については、内部規程において具体的に例示をしておくことが望ましい。
    • いわゆる顧問弁護士を内部公益通報受付窓口とすることについては、顧問弁護士に内部公益通報をすることを躊躇する者が存在し、そのことが通報対象事実の早期把握を妨げるおそれがあることにも留意する。また、顧問弁護士を内部公益通報受付窓口とする場合には、例えば、その旨を労働者等及び役員並びに退職者向けに明示する等により、内部公益通報受付窓口の利用者が通報先を選択するに当たっての判断に資する情報を提供することが望ましい。
    • 内部公益通報事案の事実関係の調査等通報対応に係る業務を外部委託する場合には、事案の内容を踏まえて、中立性・公正性に疑義が生じるおそれ又は利益相反が生じるおそれがある法律事務所や民間の専門機関等の起用は避けることが適当である。
  • 不利益な取扱いの防止に関する措置
    • 「不利益な取扱い」の内容としては、法第3条から第7条までに定めるものを含め、例えば、以下のようなもの等が考えられる。
      • 労働者等たる地位の得喪に関すること(解雇、退職願の提出の強要、労働契約の終了・更新拒否、本採用・再採用の拒否、休職等)
      • 人事上の取扱いに関すること(降格、不利益な配転・出向・転籍・長期出張等の命令、昇進・昇格における不利益な取扱い、懲戒処分等)
      • 経済待遇上の取扱いに関すること(減給その他給与・一時金・退職金等における不利益な取扱い、損害賠償請求等)
      • 精神上・生活上の取扱いに関すること(事実上の嫌がらせ等)
    • 不利益な取扱いを防ぐための措置として、例えば、以下のようなもの等が考えられる。
      • 労働者等及び役員に対する教育・周知
      • 内部公益通報受付窓口において不利益な取扱いに関する相談を受け付けること
      • 被通報者が、公益通報者の存在を知り得る場合には、被通報者が公益通報者に対して解雇その他不利益な取扱いを行うことがないよう、被通報者に対して、その旨の注意喚起をする等の措置を講じ、公益通報者の保護の徹底を図ること
    • 不利益な取扱いを受けていないかを把握する措置として、例えば、公益通報者に対して能動的に確認する、不利益な取扱いを受けた際には内部公益通報受付窓口等の担当部署に連絡するようその旨と当該部署名を公益通報者にあらかじめ伝えておく等が考えられる。
    • 法第2条に定める「処分等の権限を有する行政機関」や「その者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生又はこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者」に対して公益通報をする者についても、同様に不利益な取扱いが防止される必要があるほか、範囲外共有や通報者の探索も防止される必要がある。
      • 関係会社・取引先からの通報を受け付けている場合において、公益通報者が当該関係会社・取引先の労働者等又は役員である場合には、通報に係る秘密保持に十分配慮しつつ、可能な範囲で、当該関係会社・取引先に対して、例えば、以下のような措置等を講ずることが望ましい。
      • 公益通報者へのフォローアップや保護を要請する等、当該関係会社・取引先において公益通報者が解雇その他不利益な取扱いを受けないよう、必要な措置を講ずること
      • 当該関係会社・取引先において、是正措置等が十分に機能しているかを確認すること
      • 公益通報者を特定させる事項を不当な目的に利用した者についても、懲戒処分その他適切な措置を講ずることが望ましい。
  • 範囲外共有等の防止に関する措置
    • 範囲外共有を防ぐための措置として、例えば、以下のようなもの等が考えられる。
      • 通報事案に係る記録・資料を閲覧・共有することが可能な者を必要最小限に限定し、その範囲を明確に確認する
      • 通報事案に係る記録・資料は施錠管理する
      • 内部公益通報受付窓口を経由した内部公益通報の受付方法としては、電話、FAX、電子メール、ウェブサイト等、様々な手段が考えられるが、内部公益通報を受け付ける際には、専用の電話番号や専用メールアドレスを設ける、勤務時間外に個室や事業所外で面談する
      • 公益通報に関する記録の保管方法やアクセス権限等を規程において明確にする
      • 公益通報者を特定させる事項の秘匿性に関する社内教育を実施する
    • 公益通報に係る情報を電磁的に管理している場合には、公益通報者を特定させる事項を保持するため、例えば、以下のような情報セキュリティ上の対策等を講ずる。
      • 当該情報を閲覧することが可能な者を必要最小限に限定する
      • 操作・閲覧履歴を記録する
    • 通報者の探索を行うことを防ぐための措置として、例えば、通報者の探索は行ってはならない行為であって懲戒処分その他の措置の対象となることを定め、その旨を教育・周知すること等が考えられる。
    • 懲戒処分その他適切な措置を行う際には、範囲外共有が行われた事実の有無については慎重に確認し、範囲外共有を実際に行っていない者に対して誤って懲戒処分その他の措置を行うことのないよう留意する必要がある。
    • 内部公益通報受付窓口の担当者以外の者(いわゆる上司等)も内部公益通報を受けることがある。これら内部公益通報受付窓口の担当者以外の者については、従事者として指定されていないことも想定されるが、その場合であっても、事業者において整備・対応が求められる範囲外共有等を防止する体制の対象とはなるものであり、当該体制も含めて全体として範囲外共有を防止していくことが必要である。
  • <受付時の取組等について>
    • 外部窓口を設ける場合、例えば、公益通報者を特定させる事項は、公益通報者を特定した上でなければ必要性の高い調査が実施できない等のやむを得ない場合を除いて、公益通報者の書面や電子メール等による明示的な同意がない限り、事業者に対しても開示してはならないこととする等の措置を講ずることも考えられる。
    • 公益通報の受付時には、例えば、範囲外共有を防ぐために、通報事案に係る記録・資料に記載されている関係者(公益通報者を含む。)の固有名詞を仮称表記にすること等も考えられる。
    • 公益通報者本人からの情報流出によって公益通報者が特定されることを防止するため、自身が公益通報者であること等に係る情報管理の重要性を、公益通報者本人にも十分に理解させることが望ましい。
  • <調査時の取組等について>
    • 公益通報者を特定した上でなければ必要性の高い調査が実施できない等のやむを得ない場合、公益通報者を特定させる事項を伝達する範囲を必要最小限に限定する(真に必要不可欠ではない限り、調査担当者にも情報共有を行わないようにする)ことは当然のこととして、例えば、以下のような措置等を講じ、公益通報者が特定されないよう、調査の方法に十分に配慮することが望ましい。
      • 公益通報者を特定させる事項を伝達する相手にはあらかじめ秘密保持を誓約させる
      • 公益通報者を特定させる事項の漏えいは懲戒処分等の対象となる旨の注意喚起をする
    • 調査等に当たって通報内容を他の者に伝える際に、調査等の契機が公益通報であることを伝えなければ、基本的には、情報伝達される相手方において、公益通報がなされたことを確定的に認識することができず、公益通報者が誰であるかについても確定的に認識することを避けることができる。その場合、結果として、公益通報者を特定させる事項が伝達されるとの事態を避けられることから、必要に応じて従事者以外の者に調査等の依頼を行う際には、当該調査等が公益通報を契機としていることを伝えないことが考えられる。調査の端緒が内部公益通報であることを関係者に認識させない工夫としては、例えば、以下のような措置等が考えられる。
      • 抜き打ちの監査を装う
      • 該当部署以外の部署にもダミーの調査を行う
      • (タイミングが合う場合には、)定期監査と合わせて調査を行う
      • 核心部分ではなく周辺部分から調査を開始する
      • 組織内のコンプライアンスの状況に関する匿名のアンケートを、全ての労働者等及び役員を対象に定期的に行う
  • <その他>
    • 特に、ハラスメント事案等で被害者と公益通報者が同一の事案においては、公益通報者を特定させる事項を共有する際に、被害者の心情にも配慮しつつ、例えば、書面による等、同意の有無について誤解のないよう、当該公益通報者から同意を得ることが望ましい。
  • 労働者等及び役員並びに退職者に対する教育・周知に関する措置
    <労働者等及び役員並びに退職者に対する教育・周知について>
    • 公益通報受付窓口及び受付の方法を明確に定め、それらを労働者等及び役員に対し、十分かつ継続的に教育・周知することが必要である。
    • 教育・周知に当たっては、単に規程の内容を労働者等及び役員に形式的に知らせるだけではなく、組織の長が主体的かつ継続的に制度の利用を呼び掛ける等の手段を通じて、公益通報の意義や組織にとっての内部公益通報の重要性等を労働者等及び役員に十分に認識させることが求められる。例えば、以下のような事項について呼び掛けること等が考えられる。
      • コンプライアンス経営の推進における内部公益通報制度の意義・重要性
      • 内部公益通報制度を活用した適切な通報は、リスクの早期発見や企業価値の向上に資する正当な職務行為であること
      • 内部規程や法の要件を満たす適切な通報を行った者に対する不利益な取扱いは決して許されないこと
      • 通報に関する秘密保持を徹底するべきこと
      • 利益追求と企業倫理が衝突した場合には企業倫理を優先するべきこと
      • 上記の事項は企業の発展・存亡をも左右し得ること
    • 内部公益通報対応体制の仕組みについて教育・周知を行う際には、単に内部公益通報受付窓口の設置先を形式的に知らせるだけではなく、例えば、以下のような内部公益通報対応体制の仕組み全体の内容を伝えること等が求められる。
      • 内部公益通報受付窓口の担当者は従事者であること
      • 職制上のレポーティングライン(いわゆる上司等)においても部下等から内部公益通報を受ける可能性があること
      • 内部公益通報受付窓口に内部公益通報した場合と従事者ではない職制上のレポーティングライン(いわゆる上司等)において内部公益通報をした場合とでは公益通報者を特定させる事項の秘匿についてのルールに差異があること等
    • 法について教育・周知を行う際には、権限を有する行政機関等への公益通報も法において保護されているという点も含めて、法全体の内容を伝えることが求められる。
    • 教育・周知を行う際には、例えば、以下のような実効的な方法等を各事業者の創意工夫により検討し、実行することが求められる。
      • その内容を労働者等及び役員の立場・経験年数等に応じて用意する(階層別研修等)
      • 周知のツールに多様な媒体を用いる(イントラネット、社内研修、携行カード・広報物の配布、ポスターの掲示等)
      • 内部公益通報対応体制の内容、具体例を用いた通報対象の説明、公益通報者保護の仕組み、その他内部公益通報受付窓口への相談が想定される質問事項等をFAQにまとめ、イントラネットへの掲載やガイドブックの作成を行う
    • 組織の長その他幹部に対しても、例えば、内部公益通報対応体制の内部統制システムにおける位置付け、リスク情報の早期把握がリスク管理に資する点等について教育・周知することが求められる。
    • 退職者に対する教育・周知の方法として、例えば、在職中に、退職後も公益通報ができることを教育・周知すること等が考えられる。
  • <従事者に対する教育について>
    • 従事者に対する教育については、例えば、定期的な実施や実施状況の管理を行う等して、通常の労働者等及び役員と比較して、特に実効的に行うことが求められる。法第12条の守秘義務の内容のほか、例えば、通報の受付、調査、是正に必要な措置等の各局面における実践的なスキルについても教育すること等が考えられる。
    • 従事者に対する教育については、公益通報対応業務に従事する頻度等の実態に応じて内容が異なり得る。
  • <仕組みや不利益な取扱いに関する質問・相談について>
    • 内部公益通報対応体制の仕組みの質問・相談(不利益な取扱いに関する質問・相談を含む。)については、内部公益通報受付窓口以外において対応することや、内部公益通報受付窓口において一元的に対応することのいずれも可能である。
    • 内部公益通報対応体制の利用者を労働者等及び役員以外に対しても広く認めている場合には(例:企業グループ共通のホットラインを設ける。)、その体制の利用者全て(例:子会社の労働者等及び役員)に対して教育・周知を行うことが望ましい。
  • 是正措置等の通知に関する措置
    • 通知の態様は一律のものが想定されているものではなく、通知の方法として、例えば、公益通報者個人に通知をする、全社的な再発防止策をとる必要がある場合に労働者等及び役員全員に対応状況の概要を定期的に伝える等、状況に応じた様々な方法が考えられる。
    • 事業者は、内部公益通報受付窓口の担当者以外の者(いわゆる上司等)が内部公益通報を受ける場合においても、例えば、公益通報者の意向も踏まえつつ当該内部公益通報受付窓口の担当者以外の者が内部公益通報受付窓口に連絡するように教育・周知する等、適正な業務の遂行等に支障がない範囲において何らかの通知がなされるようにすることが求められる。
    • 通知するまでの具体的な期間を示す(受付から20日以内に調査開始の有無を伝える等)、是正措置等の通知のほかに、例えば、内部公益通報の受付や調査の開始についても通知する等、適正な業務の遂行等に支障が生じない範囲内において、公益通報者に対してより充実した情報提供を行うことが望ましい。
  • 記録の保管、見直し・改善、運用実績の労働者等及び役員への開示に関する措置
    • 記録の保管期間については、個々の事業者が、評価点検や個別案件処理の必要性等を検討した上で適切な期間を定めることが求められる。記録には公益通報者を特定させる事項等の機微な情報が記載されていることを踏まえ、例えば、文書記録の閲覧やデータへのアクセスに制限を付す等、慎重に保管する必要がある。
      • 定期的な評価・点検の方法として、例えば、以下のようなもの等が考えられる。
      • 労働者等及び役員に対する内部公益通報対応体制の周知度等についてのアンケート調査(匿名アンケートも考えられる。)
      • 担当の従事者間における公益通報対応業務の改善点についての意見交換
      • 内部監査及び中立・公正な外部の専門家等による公益通報対応業務の改善点等(整備・運用の状況・実績、周知・研修の効果、労働者等及び役員の制度への信頼度、本指針に準拠していない事項がある場合にはその理由、今後の課題等)の確認
    • 運用実績とは、例えば、以下のようなもの等が考えられる。
      • 過去一定期間における通報件数
      • 是正の有無
      • 対応の概要
      • 内部公益通報を行いやすくするための活動状況
    • なお、開示の内容・方法を検討する際には、公益通報者を特定させる事態が生じないよう十分に留意する必要がある。
    • 運用実績の労働者等及び役員への開示に当たっては、公益通報とそれ以外の通報とを厳密に区別する必要はない。
    • 各事業者における内部公益通報対応体制の実効性の程度は、自浄作用の発揮を通じた企業価値の維持・向上にも関わるものであり、消費者、取引先、労働者等・役員、株主・投資家、債権者、地域社会等のステークホルダーにとっても重要な情報であるため、運用実績の概要や内部公益通報対応体制の評価・点検の結果を、CSR報告書やウェブサイト等を活用して開示する等、実効性の高いガバナンス体制を構築していることを積極的に対外的にアピールしていくことが望ましい。
  • 内部規程の策定及び運用に関する措置
    • 内部公益通報の受付から調査・是正措置の実施までを適切に行うため、幹部を責任者とし、幹部の役割を内部規程等において明文化することが望ましい。
    • 労働者等及び役員は、例えば、担当部署による調査に誠実に協力しなければならないこと、調査を妨害する行為はしてはならないこと等を、内部規程に明記することが望ましい

~NEW~
国民生活センター 鍵開けを依頼したら想定外の作業をされた!
  • 内容
    • 玄関の鍵が開かなくなり、隣人に相談すると「鍵開け5800円~」と広告表示している事業者を見つけてくれたので、その事業者に鍵を開けてほしいと連絡した。来訪した作業員は、作業内容や料金の説明もなく、いきなり鍵を壊して別の場所に新しい鍵を取り付けた。作業後、高いが仕方ないと思い、合計約15万円を支払ってしまった。(80歳代 女性)
  • ひとこと助言
    • 緊急時なので慌ててしまいがちですが、広告の料金表示をうのみにせず、見積もりだけの場合やキャンセルした場合の料金、出張費の有無などを、依頼時に確認しましょう。
    • 現場で初めて作業内容や料金が提案されます。事業者が作業に取り掛かる前に作業内容と料金を確認し、当初の想定とかけ離れた作業料金であれば、無理にその場で判断せず、作業を断りましょう。
    • 緊急時に備えて、持っている鍵の種類やメーカー等を確認し、信頼のおける事業者の情報を調べておくと安心です。
    • クーリング・オフができる場合もあります。請求額に納得できない場合は、作業後であってもその場で料金を支払わず、すぐにお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

~NEW~
国民生活センター 「何もしなくてももうかる」とFX自動売買システムの購入を勧められた
  • 質問
    • 大学の先輩に呼び出され、「50万円のFX自動売買システムを購入すれば、何もしなくてももうかる」と勧誘された。お金がなく支払えないと断ったら、「みんな学生ローンで借りて支払っている。すぐに返済できるので問題ない」と言われたが、借金してでも購入しても大丈夫か。
  • 回答
    • 借金をしてまで投資等のためにお金を支払うことはやめましょう。
    • 投資などの勧誘で「もうかるから借金は返せる」と言われても不確実な話であり、借金を返せる保証はどこにもありません。「みんな借りている」「すぐに返済できる」などと言われてもうのみにしてはいけません。
  • 解説
    1. FX取引(外国為替証拠金取引)とは
      • 事業者に一定の委託証拠金を預け、その額の何倍もの額で外貨取引をするというものです。比較的少額で取引できる半面、多額の損失が生じるおそれのあるリスクの高い取引です。
    2. 借金をしてまで契約すべきものかよく考えましょう
      • 投資は原則として余裕資金で行うものであり、借金をしてまで行うものではありません。初期費用を回収できるか十分な見込みがないのに多額の借金を抱えることは、極めてリスクの高い行為です。
    3. 断る際は「いりません」ときっぱり断りましょう
      • 「お金がない」と断ると、「借りればいい」などと、貸金業者から借金をするように持ちかけられ、強引に契約を勧められる場合があります。先輩や友人から勧誘されて断りにくいと思っても、「お金がない」という断り方はやめ、望まない契約なら、「いりません」「やめます」ときっぱり断りましょう。
      • お困りの際にはお近くの消費生活センター(消費者ホットライン188)にご相談ください。

~NEW~
国民生活センター 副業のためのオンライン講座を借金して契約したが、クーリング・オフできるか
  • 質問
    • 副業のためのオンライン講座について、事業者からカフェに呼ばれて話を聞いた。コースの契約金額が約100万円で「お金がなくて支払えない」と断ると、「消費者金融で借りればいい」と言われた。学生だと借りられないので社会人と偽って借りるよう指南を受け、50万円を借り入れして支払ったが、クーリング・オフできるか。
  • 回答
    • 特定商取引法の訪問販売に該当する場合は、契約書面を受け取った日を含む8日間以内であればクーリング・オフが可能です。至急、最寄りの消費生活センター等に相談しましょう。借金については、できる限り速やかに返済しましょう。
  • 解説
    1. クーリング・オフについて
      • 電話やメール、SNS等で販売目的を明示されずに営業所等に呼び出されて契約した場合(いわゆるアポイントメントセールス)や、路上等で呼び止められ営業所等に同行させられて契約した場合(いわゆるキャッチセールス)等、特定商取引法の訪問販売にあたる場合には、契約書面を受け取った日を1日目として8日間は事業者に書面等で申し入れすることによって、無条件で契約を解除(クーリング・オフ)することができます。
      • クーリング・オフの通知書面の書き方や手続き方法については、国民生活センターのホームページに解説ページがありますので、参考にしてください。
      • ▼クーリング・オフ
    2. ウソをついて借金することはやめましょう
      • 特定商取引法では、「契約の相手方の年収、預貯金又は借入れの状況その他の支払能力に関する事項について虚偽の申告をさせること」を、訪問販売などの一部の取引類型において禁止しています。事業者から指示されても、職業や年収、使用目的等についてウソをついて借金することは絶対にやめましょう。
      • お困りの際にはお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。

    ~NEW~
    経済産業省 宝石・貴金属等取扱事業者におけるマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン(案)
    • 宝石・貴金属等取扱事業者は、犯収法上の「特定事業者」に該当するため、これらの法令の規定をその適用関係に応じ遵守する必要があることは当然である。
    • また、各宝石・貴金属等取扱事業者が講ずべきマネロン・テロ資金供与対策は、時々変化する国際情勢の動向やリスクの変化等に機動的に対応し、マネロン・テロ資金供与リスク管理体制を有効性のある形で維持していく必要がある。
    • こうした機動的かつ実効的な対応を実施していくため、宝石・貴金属等取扱事業者においては、前記動向の変化等も踏まえながら自らが直面しているリスク(顧客の業務に関するリスクを含む。)を適時・適切に特定・評価し、リスクに見合った低減措置を講ずること(いわゆる「リスクベース・アプローチ」)が不可欠である。
    • リスクベース・アプローチによるマネロン・テロ資金供与リスク管理体制の構築・維持は、国際的にみても、金融活動作業部会(Financial Action Task Force、以下「FATF」という。)の勧告等の中心的な項目であるほか、主要先進国でも定着しており、前記の機動的かつ実効的な対応の必要性も踏まえれば、宝石・貴金属等取扱事業者にとっては、当然に実施していくべき事項(ミニマム・スタンダード)である。
    • 宝石・貴金属等取扱事業者が取り扱う宝石及び貴金属は、財産的価値が高く、運搬が容易で、世界中で換金が容易であるとともに、取引後に流通経路・所在が追跡されにくく匿名性が高く、特に金地金については現金取引が中心であること等から、マネロン・テロ資金供与等の有効な手段となり得る。
    • 実際、他人になりすますなどし、犯罪により得た現金で貴金属等を購入した事例や、密輸や盗品により得た宝石・貴金属が買取店等に持ち込まれる事例があること等から、宝石及び貴金属は、マネロン・テロ資金供与等に悪用される危険性があると認められる。
    • また、近年の金地金を取り巻く犯罪情勢等を踏まえると、マネロン・テロ資金供与等に悪用される危険度は高まっているものと認められる。
    • なお、テロ資金供与対策については、テロの脅威が国境を越えて広がっていることを踏まえ、宝石・貴金属等取扱事業者においては、テロリストへの資金供与に自らが提供する商品・サービスが利用され得るという認識の下、実効的な管理体制を構築しなければならない。例えば、非営利団体との取引に際しては、全ての非営利団体が本質的にリスクが高いものではないことを前提としつつ、その活動の性質や範囲等によってはテロ資金供与に利用されるリスクがあることを踏まえ、国によるリスク評価の結果(犯収法に定める「犯罪収益移転危険度調査書」)やFATFの指摘等を踏まえた対策を検討し、リスク低減措置を講ずることが重要である。
    • このほか、大量破壊兵器の拡散に対する資金供与の防止のための対応も含め、外為法や国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法(国際テロリスト財産凍結法)をはじめとする国内外の法規制等も踏まえた体制の構築が必要である。
    • 宝石・貴金属等取扱事業者においては、こうしたマネロン・テロ資金供与対策が、実際の顧客との接点である事業部門において有効に機能するよう、経営陣が主導的に関与して地域・部門横断的なガバナンスを確立した上で、同ガバナンスの下、関係部署が継続的に取組みを進める必要がある。
    • また、経営戦略の中で、将来にわたりその業務がマネー・ローンダリングやテロ資金供与に利用されることのないようフォワード・ルッキングに管理体制の強化等を図るとともに、その方針・手続・計画や進捗状況等に関し、データ等を交えながら、顧客・当局等を含む幅広い関係者に対し、説明責任を果たしていくことが求められる。
    • 監督当局としては、各宝石・貴金属等取扱事業者の取組みをモニタリングし、その結果得られた情報を宝石・貴金属等取扱事業者と共有しつつ、管理体制の強化を促し、必要に応じて、監督上の措置を講ずることを検討していく。
    • 本ガイドラインは、こうしたモニタリングに当たって、監督当局として、各宝石・貴金属等取扱事業者において「対応が求められる事項」「対応が期待される事項」を明確化するとともに、今後の当局としてのモニタリングのあり方等を示すものである。
    • そのほか、日々変化するマネロン・テロ資金供与の動向を踏まえ、特に、規模が小さい又は取引範囲が限定的な宝石・貴金属等取扱事業者における体制構築に資するよう、業界団体等の役割や、当局との連携のあり方についても記載している。
    • 業界団体や中央機関等の役割
      • リスクベース・アプローチに関する先進的な取組みや国際的なマネロン・テロ資金供与対策の動向の把握等について、各宝石・貴金属等取扱事業者による個別の情報収集のみでは限界がある場合もある。マネロン・テロ資金供与の手法や態様は常に変化しており、特に、規模が小さい宝石・貴金属等取扱事業者等においては、十分な情報や対応のノウハウの蓄積が困難なことも考えられる。
      • 我が国の宝石・貴金属等の取引環境全体の底上げの観点からは、業界団体等が、当局とも連携しながら、宝石・貴金属等取扱事業者にとって参考とすべき情報や対応事例の共有、体制構築に関する支援等を行うほか、必要かつ適切な場合には、マネロン・テロ資金供与対策に係るシステムの共同運用の促進、利用者の幅広い理解の促進等も含め、宝石・貴金属等取扱事業者による対応の向上に中心的・指導的な役割を果たすことが重要である。

    ~NEW~
    経済産業省 TCFDサミット2021が開催されました
    ▼(別紙3)TCFDサミット2021議論の内容
    1. Welcome Message 萩生田光一経済産業大臣(経済産業省岸本産業技術環境政策統括調整官による代読)
      • 日本国が2050年カーボンニュートラルの目標の達成に向けてチャレンジし、さらに、世界のカーボンニュートラルに貢献していくこと、その中で、各国が実態に応じた様々な道筋を追求することが重要で、イノベーション創出が鍵となる。日本政府はTCFD開示を支援し、率先して気候変動対策へ貢献していく。
    2. Welcome Message 広瀬直経済産業審議官
      • 世界全体のカーボンニュートラルの達成に向け、日本は「ビヨンド・ゼロ」を実現する革新的技術の確立と社会実装を目指し、世界の脱炭素化をリードする。これらの技術への資金供給を通じ、ファイナンスが企業のカーボンニュートラル実現に向けた取組を加速する流れを作り出すことを目指す。その際、開示は企業の取組評価の基盤となる。
    3. Opening Remarks
      1. ヴァルディス・ドンブロウスキス氏(欧州委員会副委員長)のメッセージ
        • 欧州委員会が目指すサステナブル経済の実現のためには、民間投資に拠るところが大きい。グリーンウォッシングを防ぐには正しい開示が必要だ。欧州委員会は国際的な開示基準のイニシアチブの共通基盤となっているTCFD提言を支持しているし、EUのサステナビリティ報告基準はTCFD提言に明確に根差している。EUと日本はサステナブルファイナンスと気候対策の分野でより多くの協力が可能であり、今後のハイレベル経済対話や経済連携協定における緊密な連携が期待される。
      2. マーク・カーニー氏(Finance Adviser to the Prime Minister for COP26 UN Special Envoy for Climate Action and Finance)のメッセージ
        • 気候変動が企業価値の決定要因となるためには、報告、リスク管理、気候リターンの主流化、大規模資本を流動化する新市場創出が不可欠だ。COP26に向け、我々は主要国にTCFD開示義務化を呼びかけている。日本は自主開示において先進的だが、義務化においてもコーポレートガバナンス・コードの改訂に取り組むことで先進的な対応を示した。我々は開示の充実に向けて、投資家にポートフォリオがいかにネットゼロ移行に整合しているか開示することを望んでおり、ポートフォリオ整合の技術報告書を10月に公表する。あらゆる金融判断に気候変動の要素が考慮される世界を作り上げるために、日本がTCFDサミットを通じて尽力していることに感謝する
      3. メアリー・L・シャピロ氏(Head Of The TCFD Secretariat)のメッセージ
        • 日本のTCFDコンソーシアムの取組は目覚ましく、メキシコをはじめとした他国のモデルになっている。今夏、TCFDは指標・目標・移行計画のガイダンスの市中協議を行った。日本では、経済産業省のクライメート・イノベーション・ファイナンス戦略2020に基づき、クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針を公表されたが、これはTCFDのフレームワークと合致した移行戦略の開示を促すものである。G7、G20でもTCFD提言に基づく義務化が支持される中、気候・サステナビリティ報告のグローバル基準確立はTCFDにとっても重要な使命であり、TCFD提言は基準の基盤として、基準確立の動きを結びつける役割をしている。
      4. 黒田 東彦氏(日本銀行総裁)のメッセージ
        • 気候変動は将来にわたって社会・経済に広範な影響を及ぼし得るグローバル課題であることから、気候関連の情報開示の促進を進めることで、投資家は適切にリスクを認識して投資が可能になり、企業は気候変動に対応した生産活動や研究を積極化できる。日本銀行は気候変動に関する包括的取組方針を決定し、金融政策と考査・モニタリングにおける対話を通じて金融機関のTCFD開示の充実を図るとともに、日本銀行自身のTCFD開示にも取り組む
      5. ピーター・バッカー氏(WBCSD 会長兼 CEO)のメッセージ
        • TCFDの実装は大きく進展し、賛同者の増加のみならず多くの政府や監督機関、証券取引所でのTCFDに沿った気候報告の義務化が進んでいる。資本配分の決定にサステナビリティを組み込むためには、企業と投資家の間のコミュニケーションと連携を強化する必要がある
      6. 伊藤 邦雄氏 (TCFD コンソーシアム会長、一橋大学 CFO 教育研究センター長)のメッセージ
        • TCFD開示のモメンタムが高まっており、気候変動に積極的に対応し、情報を開示する潮流が確立してきている。TCFDコンソーシアムでは、こうした環境変化に対応すべく投資家向けの手引書である「グリーン投資ガイダンス」を改訂、金融・産業・政府の間の対話の充実のためにラウンドテーブルを実施、国際連携を進展させるなどの活動を行っている
    4. Keynote Speech 1
      1. 宮園 雅敬氏(年金積立金管理運用独立行政法人理事長)のメッセージ
        • 年金積立金管理運用独立行政法人は気候変動をESG活動の最重要テーマの一つと位置づけ、TCFD提言に沿った気候関連財務情報の開示を行っている。2020年度版のTCFD開示においては、温室効果ガス排出の分析対象をサプライチェーン全体に拡大し、低炭素社会への移行に伴う機会とリスクの産業間の移転の分析を新たに行った。日本のエネルギーや化学産業では脱炭素社会への移行に伴う機会がリスクを大きく上回り、有望な技術があることが明らかになった。今後も、気候変動が企業価値や産業構造に与える影響を適切に捉えられるよう、分析改善に腰を据えて取り組むとともに、市場全体の持続可能性向上に努めていく。
      2. ロナルド・オハンリー氏 (ステート・ストリート会長兼 CEO)のメッセージ
        • TCFD開示は年金基金、銀行、保険を含む金融システムのすべての分野で喫緊の課題であり、開示の義務化が進展している。ステート・ストリートは投資対象にTCFD開示を促しているが、TCFD提言の実行が次なるステップだ。より多くの企業がTCFD提言を採用・承認することに期待するとともに、我々は画一的なアプローチをとるのではなく、業界のベストプラクティスの共有を支援していく。
    5. Panel Discussion 1「開示をめぐる環境変化とアセットオーナーの役割」
      • アセットオーナーの及びアセットマネージャーが、この1年間の新たな取組や進捗を振り返り、脱炭素化に向けたアセットオーナーの役割について議論した。TCFDの枠組みはなくてはならない存在になり、開示義務化の取組も進んでいる。この1年で開示の重要性が一段と重みをもった。
      • アセットオーナーは、信頼性のあるデータに基づいて資本配分をする必要がある。そこで指標・目標の設定や、定量的な分析に基づく長期的メリットが重要になる。その分析のためには、開示の標準化も期待される。金融業界ではアセットオーナーのみならず、投融資先が非流動的な銀行のコミットメントも必要だ。
      • 投資家によるネットゼロのコミットメントは、ダイベストメントにより達成するのではなく、エンゲージメントこそが解決策である。アセットオーナーは個別のエンゲージメントにとどまらず、集団的にエンゲージメントを実践していく。アセットマネージャーは定量的なシナリオ分析結果を用い、明確なアプローチをアセットオーナーと議論していく。
      • パリ協定実現に向けては官民の協力が必要であることから、政府はコミットメントに加え、具体的な計画を示すことが重要だ
    6. Keynote Speech 2
      1. 十倉 雅和氏(日本経済団体連合会会長)のメッセージ
        • 経団連は昨年新成長戦略を公表し、グリーントランスフォーメーションによるサステナブル資本主義の確立を掲げた。経団連は気候変動に主体的に取り組んでおり、企業のイノベーションへの挑戦を後押しする「チャレンジ・ゼロ」を推進、これと連動する日本政府の「ゼロエミ・チャレンジ」の活用に期待する。TCFD開示の裾野拡大や、金融機関や投資家との対話の深化に努めるとともに、トランジション・ファイナンスの議論への参画や情報発信を行う。また、バリューチェーン全体での削減に取り組む。
      2. 山道裕己(東京証券取引所代表取締役社長)のメッセージ
        • 2021年は日本においてTCFD提言に基づく取組と開示が前進する節目の年になった。今年改訂したコーポレートガバナンス・コードでは、上場会社のサステナビリティ課題への取組の重要性が強調され、来年新設するプライム市場上場会社にはTCFDまたはそれと同等の枠組に基づく開示の質と量の充実を求めている。実務上の課題解決の一助として、TCFD提言の理解促進・普及のために情報提供を積極的に行っている。また、TCFD開示が進み、企業価値評価に開示情報が活用され、気候変動対応に積極的な企業やトランジション、革新的技術に資金が提供されることが肝要である。
    7. Panel Discussion 2「TCFD 開示の広がりと具体的な課題」
      • 企業、金融機関、当局、TCFDの代表が、TCFD開示の最先端の課題について意見を交わした。世界でTCFD開示義務化と国際基準策定が進みつつある。企業が創造性を発揮するためには投資家と企業の対話が重要で、チェックボックス型の開示のみであってはいけない。
      • より充実した開示を支援する手引書も策定されており、TCFDによる指標・目標及び移行計画と、ポートフォリオ整合に関するガイダンス案と日本のグリーン投資ガイダンスの改訂が紹介された。TCFDからはガイダンスへの市中協議へのコメントへの謝辞が示され、市中協議への回答を非常に重視しているとの説明があった。
      • TCFD開示について、スコープ3排出量の把握・削減は困難を伴うものの重要であるとの認識が共有され、バリューチェーン全体の削減のための取組が紹介された。
      • 企業からは新たな製品や技術による社会全体のCO2削減への貢献が評価されることは企業のモチベーションになること、投資家からは、投資先企業のTCFDに沿った戦略の開示がポートフォリオ管理に有用であり、投資家は企業の戦略によって創出される価値を評価するべきとの意見が示された。
    8. Keynote Speech 3
      • トランジション・ファイナンスに関する施策を経済産業省奈須野産業技術環境局長より紹介した。
    9. Panel Discussion 3「TCFD 開示とトランジション戦略」
      • 内外のエネルギー企業を交え、トランジション・ファイナンスで求められる開示とTCFD開示で求められるトランジション計画の開示の親和性について議論を行った。
      • 投資家、銀行、保険会社は事業会社のトランジションをサポートしなければならないし、事業会社はトランジション計画の中で気候変動による事業のチャンスをとらえていかなければならない。気候関連の指標・目標をトランジション計画の基礎としたうえで、監督や説明責任によって計画に信頼性を持たせる必要がある。これはICMAが推進してきたトランジション・ファイナンスのアプローチとも合致する。
      • トランジション・ファイナンスは世界のカーボンニュートラルを目指す企業に不可欠で、トランジション計画の開示は事業ポートフォリオの転換も必要となるエネルギー企業にとっては特に重要だ。エネルギー企業からはトランジション・ファイナンスの経験と今後のファイナンスへの期待が語られた。
    10. Keynote Speech 4
      1. 髙島 誠氏(全国銀行協会会長(三井住友銀行 頭取 CEO))のメッセージ
        • 日本の銀行業界は、単純なダイベストメントではなく、顧客とのエンゲージメントを通じて、顧客と一緒に脱炭素社会への移行を実現していく。顧客のTCFD提言に沿った開示は、エンゲージメントの基礎となる。またトランジションに係る戦略や温室効果ガス排出量等の情報は、銀行が企業サポートを行う上で特に重要だ。
    11. Panel Discussion 4「環太平洋地域と TCFD 開示」
      • アジアの金融機関、事業会社、そしてメキシコで立ち上がったコンソーシアムにより、世界的なTCFD開示推進について幅広い議論を展開した。アジア、環太平洋地域での脱炭素の必要性及びそれを実現するための開示の有用性について認識を共有、開示を基礎にトランジションローン組成に至った経験が紹介された。
      • アジア地域の多くは新興市場であり、迅速な脱炭素化が難しい。トランジションが必要な企業が多いことから、金融機関は信頼性のあるトランジション・ファイナンスを実行し顧客の戦略を後押しするために企業の情報開示が重要であり、その開示がTCFD提言に沿っていることが望ましいとの意見が示された。開示に着手する企業には、将来的な便益を理解し社内横断的な体制を作ること、外部の専門家も活用すること等の助言もなされた。
      • メキシコからはTCFDコンソーシアム設立に向けた動向、日本のTCFDコンソーシアムをモデルケースとしたことの紹介がされた。
    12. Closing Remarks 水野国連事務総長特使
      • 国連事務総長を代表し、本サミットの成功について経済産業省、共催者のTCFDコンソーシアムとWBCSDに祝意を表す。日本国政府も含め、世界のリーダーが2050年カーボンニュートラルを宣言しているなか開催されるCOP26は、最も重要なCOPになると予想されている。これに先立ち本サミットが開催され、重要な指摘が多数なされたこと、TCFDの重要性を再確認したことは有意義だ。COPに向けて多くのイニシアチブが意見表明をするだろうし、日本はTCFD推進についてリーダーシップを発揮し続けるだろう。
      • パネルディスカッション1では、アセットオーナーが重要な役割を果たす必要性や、集団的エンゲージメントの活用や、ダイベストメントでなくエンゲージメントによる責任あるオーナーシップの重要性が指摘された。
      • パネルディスカッション2では、開示の質の改善が議論された。ライフサイクルでの排出削減が重要だが、実践面では課題がある。スコープ3開示には算定方法の確立が必要だ。また指標の標準化についてはチェックボックス方式に陥らず、スコープ3がなぜ必要なのかという原則を認識する必要がある。
      • パネルディスカッション3では、サステナブルなビジネスへの転換のためのトランジションの重要性が議論された。現時点で完全なグリーン化を誰もが実現することは非現実的だ。排出量のより低いビジネスモデルに徐々に変える必要があり、そのために資本投入しなければ、むしろ座礁資産が残ってしまう。トランジション・ファイナンスをグリーンウォッシングにしないためには、ロードマップや道筋が必要で、これを政府や産業界が発表していくこと、それには国際的な相互支援の重要性が明確になった。特にメキシコが日本のコンソーシアムにアイデアを得て開示を推進しているのは印象深い。
      • TCFDの最終目的は、これを枠組みとして使うことで気候変動に関する議論を進め、ビジネスや資本を誘導し、よりよい未来を作ることだ。本サミット参加者は、応援団となってTCFD提言を推進しよう

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