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  • 気候変動関連リスクに係るシナリオ分析に関する調査(金融庁)/令和3年における組織犯罪の情勢(警察庁)/スタートアップの成長に向けたファイナンスに関するガイダンス(経産省)/第80回新型コロナ対策アドバイザリーボード(厚労省)

危機管理トピックス

気候変動関連リスクに係るシナリオ分析に関する調査(金融庁)/令和3年における組織犯罪の情勢(警察庁)/スタートアップの成長に向けたファイナンスに関するガイダンス(経産省)/第80回新型コロナ対策アドバイザリーボード(厚労省)

2022.04.18
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更新日:2022年4月18日 新着19記事

グローバル ファイナンスのイメージ画像

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(第8回) 議事次第
  • 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
  • 「気候変動関連リスクに係るシナリオ分析に関する調査」報告書の公表について
消費者庁
  • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による消費行動の変化等に関する研究プロジェクト 令和2年度アンケート調査結果
  • 簡単な作業をするだけで「誰でも1日当たり数万円を稼ぐことができる」などの勧誘により「副業」の「マニュアル」を消費者に購入させた事業者に関する注意喚起
  • 第2回 景品表示法検討会(2022年4月14日)
国民生活センター
  • SNSでPRをすれば商品代金やサービス利用料が無料になる?!-「キャッシュバックで実質無料」「自己負担なし」などの勧誘に注意-
  • 【若者向け注意喚起シリーズ<11>】電気代が安くなる!?電力契約の訪問販売トラブル
  • ウクライナ情勢を悪用した手口にご注意!(No.2)-貴金属の訪問購入トラブル等-
厚生労働省
  • 「自殺総合対策の推進に関する有識者会議」の報告書について
  • 第80回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年4月13日)
経済産業省
  • ウクライナ情勢に関する外国為替及び外国貿易法に基づく措置を実施します(ロシアからの一部物品の輸入禁止措置)
  • 「スタートアップの成長に向けたファイナンスに関するガイダンス」を取りまとめました

~NEW~
警察庁 令和3年における組織犯罪の情勢
  • 暴力団構成員及び準構成員等(以下、この項において「暴力団構成員等」という。)の数は、平成17年以降減少し、令和3年末現在で24,100人となっている。このうち、暴力団構成員の数は12,300人、準構成員等の数は11,900人となっている。また、主要団体等(六代目山口組、神戸山口組、絆會及び池田組並びに住吉会及び稲川会。以下同じ。)の暴力団構成員等の数は17,200人(全暴力団構成員等の71.4%)、うち暴力団構成員の数は9,100人(全暴力団構成員の74.0%)となっている。
  • 総会屋及び会社ゴロ等(会社ゴロ及び新聞ゴロをいう。以下同じ。)の数は、令和3年末現在、965人と近年減少傾向にある。
  • 社会運動等標ぼうゴロ(社会運動標ぼうゴロ及び政治活動標ぼうゴロをいう。以下同じ。)の数は、令和3年末現在、4,730人と近年減少傾向にある。
  • 近年、暴力団構成員等(暴力団構成員及び準構成員その他の周辺者をいう。以下同じ。)の検挙人員は減少傾向にあり、令和3年においては、11,735人である。主な罪種別では、傷害が1,353人、窃盗が1,008人、恐喝が456人、覚せい剤取締法違反(麻薬特例法違反は含まない。以下同じ。)が2,985人で、前年に比べそれぞれ276人、149人、119人、525人減少している一方、詐欺が1,555人で、前年に比べ306人増加している。
  • 暴力団構成員等の検挙人員のうち、構成員は2,238人、準構成員その他の周辺者は9,497人で前年に比べいずれも減少している。また、暴力団構成員等の検挙件数についても近年減少傾向にあり、令和3年においては、19,425件である。主な罪種別では、傷害が1,119件、窃盗が6,012件、恐喝が391件、覚せい剤取締法違反が4,512件で、前年に比べそれぞれ247件、700件、43件、576件減少している一方、詐欺が1,933件で、前年に比べ388件増加している。
  • 近年、暴力団構成員等の検挙人員のうち、六代目山口組、神戸山口組、絆會、住吉会及び稲川会の暴力団構成員等が占める割合は約8割で推移しており、令和3年においても、9,354人で79.7%を占めている。このうち、六代目山口組の暴力団構成員等の検挙人員は、4,496人と暴力団構成員等の検挙人員の約4割を占めている。
  • 六代目山口組は平成27年8月末の分裂後も引き続き最大の暴力団であり、その弱体化を図るため、六代目山口組を事実上支配している弘道会及びその傘下組織に対する集中した取締りを行っている。令和3年においては、六代目山口組直系組長等7人、弘道会直系組長等12人、弘道会直系組織幹部(弘道会直系組長等を除く。)31人を検挙している。
  • 六代目山口組・神戸山口組の対立抗争等
    • 対立抗争の激化を受け、令和元年10月、兵庫県警察、岐阜県警察、愛知県警察及び大阪府警察が、対立抗争に関係する暴力団事務所の使用制限の仮の命令を発出し、その後、同年11月、これら4府県の公安委員会が、事務所使用制限命令を発出した。同命令により、これら事務所を多数の指定暴力団員の集合の用、対立抗争のための謀議、指揮命令又は連絡の用等に供することが禁止されることとなった。
    • その後も、自動小銃を使用した殺人事件が発生するなど、六代目山口組と神戸山口組に関連する凶器を使用した殺傷事件が続発した状況を受け、令和元年12月、岐阜県、愛知県、三重県、京都府、大阪府及び兵庫県の公安委員会が、3か月の期間及び警戒区域を定めて両団体を「特定抗争指定暴力団等」として指定することを決定し、令和2年1月、その効力が発生した。さらに、両団体に関連する殺傷事件が発生するなどしたことを受け、令和3年末現在、9府県の公安委員会により、17市町を警戒区域とする指定が行われている。同指定により、警戒区域内での事務所の新設、対立組織の組員に対するつきまとい、対立組織の組員の居宅及び事務所付近のうろつき、多数での集合、両団体の事務所への立入り等の行為が禁止されることとなった。
  • 令和3年においては、対立抗争に起因するとみられる事件は3件発生している。これらはいずれも六代目山口組と神戸山口組との対立抗争に関するものであり、火炎瓶や銃器を使用した事件が住宅街で発生するなど、地域社会に対する大きな脅威となっている。
  • 覚せい剤取締法違反、恐喝、賭博といった伝統的資金獲得犯罪は、依然として、暴力団等の有力な資金源になっていることがうかがえる。これらのうち、暴力団構成員等の伝統的資金獲得犯罪の検挙人員に占める覚せい剤取締法違反の割合は近年、約8割で推移しており、令和3年中においても同様である。また、暴力団構成員等の検挙状況を主要罪種別にみると、暴力団構成員等の総検挙人員に占める詐欺の検挙人員は、覚せい剤取締法違反に次いで多く、詐欺による資金獲得活動が定着化している状況がうかがえる。特に、近年、暴力団構成員等が主導的な立場で特殊詐欺に深く関与し、有力な資金源の一つとしている実態が認められる。その他、金融業、建設業、労働者派遣事業、風俗営業等に関連する資金獲得犯罪が行われており、依然として多種多様な資金獲得活動を行っていることがうかがえる。
  • 令和3年における暴力団構成員等に係る組織的犯罪処罰法のマネー・ローンダリング関係の規定の適用状況については、犯罪収益等隠匿について規定した同法第10条違反事件数が32件であり、犯罪収益等収受について規定した同法第11条違反事件数が28件である。また、同法第23条に規定する起訴前の没収保全命令の適用事件数は22件である。
  • 準暴力団とは、暴力団のような明確な組織構造は有しないものの、これに属する者が集団的又は常習的に暴力的不法行為等を行っている、暴力団に準ずる集団である。近年、準暴力団やこれに準ずる集団(以下「準暴力団等」という。)に属する者が、繁華街・歓楽街等において、集団的又は常習的に暴行、傷害等の事件を起こしているとともに、違法な資金獲得活動を活発化させている実態がみられるほか、暴力団との関係を深め、犯罪行為の態様を悪質・巧妙化している状況がうかがえる。
  • 警察では、準暴力団等の動向を踏まえ、繁華街・歓楽街対策、特殊詐欺対策、組織窃盗対策、暴走族対策、少年非行対策等の関係部門間における連携を強化し、準暴力団等に係る事案を把握等した場合の情報共有を行い、部門の垣根を越えた実態解明の徹底に加え、あらゆる法令を駆使した取締りの強化に努めている。
  • 近年、中止命令の発出件数は減少傾向にあり、令和2年においては増加に転じたものの、令和3年においては、866件と前年に比べ268件減少している。形態別では、資金獲得活動である暴力的要求行為(暴力団対策法第9条)に対するものが597件と全体の68.9%を、加入強要・脱退妨害(同法第16条)に対するものが100件と全体の11.5%を、それぞれ占めている。暴力的要求行為(同法第9条)に対する中止命令597件を条項別にみると、不当贈与要求(同条第2号)に対するものが266件、みかじめ料要求(同条第4号)に対するものが45件、用心棒料等要求(同条第5号)に対するものが213件となっている。また、加入強要・脱退妨害(同法第16条)に対する中止命令の発出件数を条項別にみると、少年に対する加入強要・脱退妨害(同条第1項)が6件、威迫による加入強要・脱退妨害(同条第2項)が88件、密接交際者に対する加入強要・脱退妨害(同条第3項)が6件となっている。団体別では、住吉会に対するものが225件と最も多く、全体の26.0%を占め、次いで六代目山口組159件、稲川会135件、神戸山口組40件の順となっている
  • 平成23年10月までに全ての都道府県において暴力団排除条例(以下「条例」という。)が施行されており、各都道府県は、条例の効果的な運用を行っている。なお、市町村における条例については、令和3年末までに46都道府県内の全市町村で制定されている。
  • 各都道府県においては、条例に基づいた勧告等を実施している。令和3年における実施件数は、勧告45件、中止命令17件、再発防止命令3件、検挙27件となっている。
    • 利益供与事業者等に対する勧告(令和3年6月、大分)
      • 無店舗型性風俗特殊営業店の経営者は、令和3年1月から同年4月にかけて、暴力団の威力を利用する目的で、六代目山口組傘下組織会長に現金合計4万円を供与した。同年6月、同経営者及び同会長に対し、勧告を実施した。
    • 暴力団排除特別区域における禁止行為(令和3年10月、愛知)
      • 六代目山口組傘下組織幹部らは、平成30年9月頃から令和3年4月頃にかけて、条例により定められた暴力団排除特別区域において、飲食店営業を営む者から、用心棒の役務の提供をすることの対償として、現金合計43万円の供与を受けた。同年10月までに、同幹部及び同飲食店営業を営む者ら5人を同条例違反(特別区域における暴力団員の禁止行為、特別区域における特定接客業者の禁止行為)で検挙した。
    • 警察においては、都道府県暴力追放運動推進センター(以下「都道府県センター」という。)、弁護士会民事介入暴力対策委員会(以下「民暴委員会」という。)等と連携し、暴力団員等が行う違法・不当な行為の被害者等が提起する損害賠償請求等に対して必要な支援を行っている。
  • 警察においては、都道府県センター、民暴委員会等と連携し、住民運動に基づく暴力団事務所の明渡請求訴訟等について、必要な支援を行っている。
  • 暴力団排除条例の施行と暴力団の活動実態等の多様化・不透明化に伴い、事業者等からの暴力団情報の提供要請が拡大しており、このような情勢の変化に的確に対応し、社会における暴力団排除を一層推進するため、平成23年12月及び平成25年12月に暴力団情報の部外への提供の在り方を見直した。具体的には、これまでの「暴力団犯罪による被害防止等」や「暴力団の組織の維持又は拡大への打撃」という提供要件に、「条例上の義務履行の支援」という要件を追加したほか、共生者等についても情報提供の対象とするなど、実態を踏まえた運用を行っている。
  • 都道府県センターでは、暴力団が関係する多種多様な事案についての相談を受理し、暴力団による被害の防止・回復等に向けた指導・助言を行っている。令和3年中の暴力団関係相談の受理件数は46,058件であり、このうち警察で19,287件、都道府県センターで26,771件を受理した
  • 都道府県センターでは、都道府県公安委員会からの委託を受け、各事業所の不当要求防止責任者に対し、暴力団等からの不当要求による被害を防止するために必要な対応要領等の講習を実施している。令和2年度中に実施された不当要求防止責任者講習の開催回数は1,307回、同講習の受講人数は延べ44,463人であった。
  • 都道府県センターは、平成26年7月までに全て適格都道府県センターとして国家公安委員会の認定を受けており、指定暴力団等の事務所の使用により生活の平穏等が違法に害されていることを理由として当該事務所の使用及びこれに付随する行為の差止めを請求しようとする付近住民等から委託を受け、当該委託をした者のために自己の名をもって、当該事務所の使用及びこれに付随する行為の差止めの請求を行っている。
  • 令和3年中、警察及び都道府県センターが援助の措置等を行うことにより暴力団から離脱することができた暴力団員の数については、約430人となっている。
  • 令和3年における薬物情勢の特徴としては、以下のことが挙げられる。
    • 薬物事犯検挙人員は、近年横ばいが続く中、13,862人と前年より僅かに減少した。このうち、覚醒剤事犯検挙人員は7,824人と前年より減少し、第三次覚醒剤乱用期のピークであった平成9年(19,722人)から長期的に減少傾向にある。一方で、大麻事犯検挙人員は、30歳未満の若年層を中心に平成26年以降増加が続き、令和3年も過去最多となった前年を上回る5,482人となった。
    • 営利目的の薬物事犯の検挙人員は975人と前年より増加した。このうち、覚醒剤事犯については455人と前年より減少したものの、暴力団構成員等の検挙人員が前年に引き続き過半数(54.1%)を占める。また、大麻事犯は426人と大幅に増加し、暴力団構成員等の検挙人員が24.4%(104人)を占めるほか、外国人の検挙人員(50人、11.7%)が前年比で22人、78.6%増加している。
    • 覚醒剤の総押収量は688.8キログラム、乾燥大麻の総押収量は329.7キログラムといずれも前年より増加し、高い水準にある。また、電子たばこ用等の大麻濃縮物を22.2キログラム押収した。
  • 上記のとおり、営利を目的とした薬物事犯が増加し、覚醒剤や大麻の供給網に暴力団や外国人の関与がうかがわれることから、引き続き、密輸入・密売事犯や栽培事犯の検挙を通じた薬物の供給網遮断に取り組むこととしている。また、大麻事犯検挙人員は、前年に続いて過去最多を更新しており、厳正な取締りに加え、若年層による乱用防止を主な目的としてSNS等のインターネット上での違法情報・有害情報の排除や広報啓発活動を推進することとしている
  • 覚醒剤事犯検挙人員の39.0%(3,051人)を暴力団構成員等が占める。これを組織別にみると、六代目山口組、神戸山口組、絆會(任侠山口組)、住吉会及び稲川会の構成員等は2,398人と、これらで覚醒剤事犯に係る暴力団構成員等の検挙人員全体の78.6%を占めている
  • 大麻事犯検挙人員の14.4%(789人)を暴力団構成員等が占める。これを組織別にみると、六代目山口組、神戸山口組、絆會(任侠山口組)、住吉会及び稲川会の構成員等は598人と、これらで大麻事犯に係る暴力団構成員等の検挙人員全体の75.8%を占めている
  • 外国人による覚醒剤事犯の営利犯の検挙人員は66人と覚醒剤事犯の全営利犯検挙人員(455人)の14.5%を占めている。また、このうち密輸入事犯は32人(構成比率48.5%)となっている。国籍・地域別でみると、ベトナムが16人と最も多く、このうち密輸入事犯が7人、密売関連事犯が9人となっている。次いでイランが11人で、このうち密輸入事犯が5人、密売関連事犯が6人となっている。
  • 外国人による大麻事犯の営利犯の検挙人員は50人と大麻事犯の全営利犯検挙人員(426人)の11.7%を占め、前年(28人)より増加しており、今後の動向に注意を要する。また、このうち密輸入事犯は10人(構成比率20.0%)となっている。国籍・地域別でみると、ベトナムが22人と最も多く、このうち密輸入事犯が5人、密売関連事犯が10人、栽培事犯が7人となっている。次いでブラジルが6人で、このうち密売関連事犯が5人、栽培事犯が1人となっている。
  • 覚醒剤密輸入事犯の検挙件数は56件と減少する中、昨年に引き続き、密輸入事犯全体の検挙件数に占める国際宅配便利用の割合(構成比率57.1%)が高い。また、押収量についても、海上貨物の利用による大量密輸入事犯の検挙により、依然として高水準にある。こうした状況の背景には、我が国に根強い薬物需要が存在していることのほか、国際的なネットワークを有する薬物犯罪組織が、アジア・太平洋地域において覚醒剤の取引を活発化させていることがあるものと推認される。
  • 大麻密輸入事犯の検挙件数は72件と増加する中、密輸入事犯全体の検挙件数に占める郵便物及び国際宅配便利用の割合(構成比率93.1%)が高い。また、乾燥大麻は、総押収量に占める密輸入事犯での押収量が2.6%であるところ、電子たばこ用等の大麻濃縮物については、総押収量の82.4%を密輸入事犯で押収している。
  • 令和3年の人口10万人当たりの検挙人員は、20歳未満が1.7人、20歳代が8.5人、30歳代が13.2人、40歳代が14.1人、50歳以上が4.9人であり、最も多い年齢層は40歳代、次いで30歳代となっている
  • 大麻事犯の検挙人員は、平成26年以降増加が続き、令和3年も過去最多となった前年を上回る5,482人となった。このうち、電子たばこ用等の大麻濃縮物に関する検挙人員は573人と全体の10.5%を占める。また、大麻事犯の検挙人員のうち、暴力団構成員等は789人と検挙人員の14.4%、外国人は350人と検挙人員の6.4%を占めている。人口10万人当たりの検挙人員でみると、近年、50歳以上においては、横ばいで推移している一方、その他の年齢層においては増加傾向にあり、特に若年層による増加が顕著である。令和3年の人口10万人当たりの検挙人員は、20歳未満が14.9人、20歳代が23.6人、30歳代が7.1人、40歳代が2.8人、50歳以上が0.4人と30歳代を除いた全ての年齢層で増加した。最も多い年齢層は20歳代、次いで20歳未満となっており、かつ、この年齢層の増加が顕著である
  • 令和3年10月から同年11月までの間に大麻取締法違反(単純所持)で検挙された者のうち829人について、捜査の過程において明らかとなった大麻使用の経緯、動機、大麻の入手先を知った方法等は次のとおりである
    1. 大麻を初めて使用した年齢
      • 対象者が初めて大麻を使用した年齢は、20歳未満が47.0%、20歳代が36.2%と、30歳未満で83.2%を占める(最低年齢は12歳(5人))。
      • 初回使用年齢層の構成比を平成29年と比較すると、20歳未満が36.4%から47.0%に増加しており、若年層の中でも特に20歳未満での乱用拡大が懸念される。
    2. 大麻を初めて使用した経緯、動機
      • 大麻を初めて使用した経緯は、「誘われて」が最多であり、初めて使用した年齢が低いほど、誘われて使用する割合が高い。
      • 使用した動機については、いずれの年齢層でも「好奇心・興味本位」が最多で、特に30歳未満では過半数を占めた。次いで、30歳未満では「その場の雰囲気」が多く、「クラブ・音楽イベント等の高揚感」、「パーティー感覚」と合わせて、身近な環境に影響されて大麻を使用する傾向も顕著である。
      • 他方で、30歳以上では、「ストレス発散・現実逃避」や「多幸感・陶酔効果を求めて」が比較的多数を占めた。
    3. 大麻使用時の人数
      • 大麻使用時の人数については、年齢が低いほど、複数人で使用する割合が高く、このことからも30歳未満の乱用者の多くが身近な環境に影響されて大麻を使用する傾向がうかがわれる。
    4. 大麻の入手先(譲渡人)を知った方法
      • 検挙事実となった大麻の入手先(譲渡人)を知った方法は、30歳未満で「インターネット経由」が3分の1以上を占め、そのほとんどがSNS等の「コミュニティサイト」を利用していた。
      • 他方、「インターネット以外の方法」では、全ての年齢層で「友人・知人」から大麻を入手しているケースが半数程度に上り、30歳未満では半数を超える。
    5. 大麻に対する危険(有害)性の認識
      • 大麻に対する危険(有害)性の認識は、「なし(全くない・あまりない。)」が77.0%で、覚醒剤に対する危険(有害)性の認識と比較すると、引き続き、著しく低い。また、大麻に対する危険(有害)性を軽視する情報の入手先についても、引き続き、「友人・知人」や「インターネット」が多く、年齢層が低いほど「友人・知人」の占める割合が大きい。
  • 「令和2年における組織犯罪の情勢」に掲載した「大麻乱用者の実態」では、30歳未満の大麻乱用者の多くが身近な環境に影響されやすい傾向がうかがわれたが、令和3年も、初めて大麻を使用した経緯や動機、大麻使用時の状況、大麻の入手先、大麻の危険(有害)性に関する誤った認識の形成等多くの面で、身近な環境に影響されている実態が裏付けられた。また、大麻の入手や大麻の危険(有害)性に関する誤った認識の形成に関しては、SNS等のコミュニティサイトの利用がこれを助長している面もうかがわれた。
  • 昨年に引き続き、少年等若年層の周囲の環境を健全化させるための施策が求められるとともに、大麻を容易に入手できないように組織的な栽培・密売を厳正に取り締まり、SNS等における違法・有害情報の排除や大麻の危険(有害)性を正しく認識できるような広報啓発等を推進することが重要である。
  • 令和3年における銃器情勢の特徴としては、以下のことが挙げられる。
    • 銃器発砲事件数は10件と前年より減少した。
    • 拳銃押収丁数は、長期的に減少傾向にあるところ、令和3年は295丁で、このうち暴力団からの押収丁数は31丁と、いずれも前年より減少した。
  • 暴力団等によるものをはじめ、依然として平穏な市民生活に対する重大な脅威となる銃器発砲事件が発生しているほか、暴力団の組織防衛の強化による情報収集の困難化や、拳銃の隠匿方法の巧妙化がみられることから、暴力団の組織的管理に係る拳銃の摘発に重点を置いた取締りを強化することとしている。
  • 来日外国人犯罪の検挙件数・人員については、近年はほぼ横ばい状態で推移してきたが、令和3年は、前年に比べ、検挙件数・人員とも減少している。このような中、来日外国人による犯罪は、日本人によるものと比べて多人数で組織的に行われる傾向がうかがわれ、出身の国・地域別に組織化されている場合が多くみられる。令和3年中の来日外国人による刑法犯の検挙件数に占める共犯事件の割合は40.1%と、日本人(12.6%)の約3.2倍になっている。また、形態別にみると、2人組は16.5%、3人組は13.0%、4人組以上は4.0%となっている。罪種等別にみると、窃盗犯のうち、住宅対象の侵入窃盗では63.4%と、日本人(14.2%)の約4.5倍、万引きでは48.9%と、日本人(2.8%)の約17.5倍になっている
  • 来日外国人で構成される犯罪組織についてみると、出身国や地域別に組織化されているものがある一方で、より巧妙かつ効率的に犯罪を実行するため、様々な国籍の構成員が役割を分担するなど、構成員が多国籍化しているものもある。このほか、面識のない外国人同士がSNSを通じて連絡を取り合いながら犯行に及んだ例もみられる。
  • また、犯罪行為や被害の発生場所等の犯行関連場所についても、日本国内にとどまらず複数の国に及ぶものがある。特に近年は、他国で敢行された詐欺事件による詐取金の入金先口座として日本国内の銀行口座を利用し、詐取金入金後にこれを日本国内で引き出してマネー・ローンダリングを行うといった事例があるなど、世界的な展開がみられる。
  • 犯罪インフラとは、犯罪を助長し、又は容易にする基盤のことをいう。来日外国人で構成される犯罪組織が関与する犯罪インフラ事犯には、地下銀行による不正な送金、偽装結婚、偽装認知、不法就労助長、旅券・在留カード等偽造等がある。地下銀行は、不法滞在者等が犯罪収益等を海外に送金するために利用されている。また、偽装結婚、偽装認知及び不法就労助長は、在留資格の不正取得による不法滞在等の犯罪を助長しており、これを仲介して利益を得るブローカーや暴力団が関与するものがみられるほか、近年では、在留資格の不正取得や不法就労を目的とした難民認定制度の悪用が疑われる例も発生している。偽造された旅券・在留カード等は、身分偽装手段として利用されるほか、不法滞在者等に販売されることもある。
  • 犯罪インフラ事犯の検挙状況をみると、不法就労助長は、昨今の人手不足を背景とし、就労資格のない外国人を雇い入れるなどの事例が引き続きみられるが、検挙件数・人員は減少傾向で推移している。旅券・在留カード等偽造は、就労可能な在留資格を偽装するために利用されており、平成28年以降、増加傾向にあったが、令和3年は減少した。偽装結婚は、日本国内における継続的な就労等を目的に「日本人の配偶者等」等の在留資格を取得するための不正な手段であり、近年、減少傾向にあったところ、令和3年は増加した。地下銀行は、近年、検挙件数は10件前後で、偽装認知は3件前後で推移している
  • 来日ベトナム人犯罪と来日中国人犯罪の傾向
    • 近年の来日外国人犯罪の検挙状況において、ベトナムと中国の2か国で全体の5割以上を占める状況が続いている。
    • 令和3年におけるベトナムと中国の総検挙(刑法犯及び特別法犯の検挙をいう。以下同じ。)人員の割合は、ベトナム37.5%、中国21.6%(合計59.1%)となっており、刑法犯検挙人員ではベトナム34.2%、中国23.5%(合計57.7%)、特別法犯検挙人員ではベトナム41.1%、中国19.5%(合計60.6%)となっている。
      1. 来日ベトナム人及び来日中国人による犯罪の検挙人員
        • 来日ベトナム人の総検挙人員は、特別法犯の増加を受け、近年増加傾向にあったものの、令和3年は減少した。刑法犯の検挙人員は、近年、増減を繰り返しながらほぼ横ばいで推移していたが、令和3年は増加しており、特別法犯の検挙人員は令和2年まで増加傾向にあったものの、令和3年は減少した。
        • 来日中国人の検挙人員は、刑法犯及び特別法犯ともにやや減少傾向にあり、令和3年もその傾向が継続している。
      2. 来日ベトナム人と来日中国人の刑法犯の検挙状況
        • ベトナムは、窃盗犯の割合が最も高く、平成29年は68.5%を占めていたものの、その割合は徐々に下がり、令和3年は49.1%であった。近年は、凶悪犯、粗暴犯及び知能犯の検挙人員及び割合が増加傾向にある。
        • 中国は、窃盗犯がおおむね5割、粗暴犯がおおむね2割、知能犯がおおむね1割という傾向が継続している。
        • 令和3年の窃盗犯の内訳をみると、ベトナムでは万引きが約7割を占めている一方、中国では約5割となっており、侵入窃盗については、ベトナムが6.4%、中国が5.6%とほぼ同じ割合となっている。
      3. 来日ベトナム人と来日中国人の特別法犯の検挙状況
        • ベトナムは、近年、入管法違反が8割以上を占めていたが、令和3年は前年と比較して903人減少し、その割合も68.1%と減少した。一方、薬物事犯は、平成29年と比較すると154人増加しており、その割合も10.6%と増加している。
        • 中国については、入管法違反の割合が高く7割前後で推移していたが、令和3年の割合は62.8%と減少した。入管法以外の違反法令の割合について大きな変化はないが、ベトナムとの相違点として、中国は風適法違反及び売防法違反の検挙が一定程度みられる。
        • 令和3年の入管法違反の検挙人員についてみると、ベトナム、中国ともに約7割を不法残留が占めており、次いで偽造在留カード所持等となっている。
      4. 来日ベトナム人と来日中国人の在留資格別の検挙状況
        • 在留資格別の総検挙人員は、ベトナムでは技能実習と留学の占める割合が高い状況が継続しているが、令和3年の検挙人員はいずれも減少した。中国では、近年、技能実習と留学において減少が見られる一方で、短期滞在が増加する傾向にあったが、中国人旅行客の減少もあってか、令和2年に引き続き令和3年も減少した。
        • 在留資格別の刑法犯の検挙状況をみると、ベトナムでは技能実習と留学で約6割を占める一方、中国では技能実習と留学の割合がそれぞれ2割弱となっている。
        • 在留資格別の特別法犯の検挙状況をみると、ベトナムでは技能実習と留学で約7割を占める一方、中国では技能実習と短期滞在で約5割を占めている。
  • 令和3年中の来日外国人犯罪については
    • 総検挙状況、刑法犯検挙状況、特別法犯検挙状況のいずれをみても、前年との比較では、検挙件数・人員とも減少している。
    • 総検挙状況を国籍等別にみると、総検挙件数・人員ともベトナムと中国の2か国で全体の約6割を占めており、いずれもベトナムが最多となっている。
    • 総検挙人員10,677人の国籍等別の内訳は、ベトナム4,007人(構成比率37.5%)中国2,305人(同21.6%)、フィリピン695人(同6.5%)、ブラジル496人(同4.6%)、タイ389人(同3.6%)等となっている。
    • 総検挙人員10,677人の在留資格別の内訳は「技能実習」2,538人(構成比率23.8%)、「留学」1,515人(同14.2%)、「定住者」1,368人(同12.8%)、「短期滞在」1,193人(同11.2%)、「日本人の配偶者等」882人(同8.3%)等となっている。
    • 刑法犯の検挙件数が減少した要因としては、中国、韓国等による窃盗犯が減少したことが挙げられ、検挙人員が減少した主な要因としては、中国による窃盗犯が減少したことが挙げられる。
    • 特別法犯の検挙件数・人員が減少した主な要因としては、ベトナム、中国等による入管法違反が減少したことが挙げられる。
  • 罪種等別の刑法犯検挙件数を国籍等別にみると、強盗及び窃盗はベトナム及び中国が高い割合を占めている。窃盗を手口別にみると、侵入窃盗は中国及びベトナム、自動車盗はウガンダ及びブラジル、万引きはベトナムが高い割合を占めている。また、知能犯を罪種別にみると、詐欺は中国、支払用カード偽造はマレーシアが高い割合を占めている。

~NEW~
内閣官房 新しい資本主義実現会議(第5回)
▼資料2 論点案
  • コロナ後に向けた経済システムの再構築
    • 日本の開廃業率は、米国や欧州主要国と比べ、低い水準で推移している。スタートアップの育成について、官民の役割分担を明確にしつつ、5ヵ年計画を作成し、かつ、その実行とフォローアップのための政府内の横断的司令塔機能を明確化すべきではないか。
    • スタートアップを育成する際、公共調達の活用が重要である。SBIR制度(Small Business Innovation Research)について、創業間もない企業(スタートアップ)への支援の抜本拡充を図るべきではないか。
    • ベンチャーキャピタルの投資を受けたスタートアップは、イノベーションに積極的である。他方、我が国のベンチャーキャピタル投資は、投資額、件数ともに小さい。これを拡大させる方法として、海外のベンチャーキャピタルの誘致も含めて、ベンチャーキャピタルへの公的資本の(有限責任投資等による)投資拡大、ベンチャーキャピタルと協調する支援の拡大及びそのための体制整備が必要ではないか。
    • 2000兆円に及ぶ日本の個人金融資産がスタートアップの育成に循環するとともに、GPIF等の長期運用資金が、ベンチャー投資やインフラ整備などに循環する流れを構築するべきではないか。
    • 優れたアイディア、技術を持つ若い人材を選別して支援することは、スタートアップ育成として有意義。これまでも、一部に試み(「未踏」プロジェクト)があり、委員の中にも評価する声が高いが、規模は限定的。国を挙げた支援に拡大していくべきではないか。
    • 海外の大学の誘致も含め、スタートアップが集積するキャンパス作りを推進するべきではないか。
    • 起業に関心がある層が考える失敗時のリスクとして、個人保証が挙げられている。創業時に信用保証を受けている場合には、経営者による個人保証を不要にするといったように、個人保証の在り方について、見直す必要があるのではないか。
    • イノベーションを促進するには、スタートアップの創業促進とともに、既存企業がスタートアップの有する知見を積極的に取り入れるオープンイノベーションが重要。他方、日本における事業会社によるスタートアップ企業への投資額は、米・中・欧と比べて、極めて低い水準。また、スタートアップに対するM&Aの件数も、日本は極めて少ない。オープンイノベーションを促進するための税制の在り方や、その実行期限など公募増資ルールの見直しを検討すべきではないか。
    • 日本のIPOは、初値(上場初日に市場で成立する株価)が、公開価格(上場時に起業家が株を売り出す価格)を大幅に上回っていることが問題とされてきた。現在、証券業界や競争当局を含めて対応を図りつつある、IPOプロセスの見直しをしっかりと進めていく必要があるのではないか。
    • 日本では、IPOの調達額の規模が米欧と比して小さい。事業化まで時間を要するスタートアップの成長を着実に図る観点から、ストックオプション等の環境整備を進めるべきではないか。
    • スタートアップを振興するためには、人材の流動化が不可欠である。その手始めとして、情報開示も含めて、副業・兼業を認める企業数を拡大していくことが必要ではないか。
    • 若い世代は、スタートアップの創業を検討する際、環境問題や子育て問題などの社会的課題の解決を目的にすることが多くなってきている。こうした社会的起業家の起業をサポートする観点から、民間で公的役割を担う新たな法人形態の創設又は既存の法人形態の改革を検討すべきではないか。
    • 創業の一形態として、従業員を雇わない、フリーランスの形態で仕事をされる方が、我が国でも462万人と増加している。他方で、フリーランスは、「報酬の支払遅延」や「一方的な仕事内容の変更」といったトラブルを経験する実態が増えており、かつ、調査によると、特定の依頼者への依存度が高い傾向にある。下請代金支払遅延等防止法といった旧来の中小企業法制では、対象とならない方が多く、取引適正化のための法制度を整備すべきではないか。
    • コロナ禍で、日本企業の債務残高は増加したままであり、債務が事業再構築の足かせになっていると考える企業は3割を超えている。欧州各国においては、全ての貸し手の同意を必要とせず、裁判所の認可のもとで、多数決により権利変更を行い、事業再構築を行う法制度が存在するが、我が国には存在しない。法制度の検討が必要ではないか。
    • スタートアップへの資金供給のため、不動産担保などによらず、事業全体を担保に成長資金を調達できるようにすべきではないか
  • 新しい資本主義に向けた非財務情報の可視化
    • 「費用としての人件費から、資産としての人的投資」への変革を進め、新しい資本主義が目指す成長と分配の好循環を生み出すためには、人的資本をはじめとする非財務情報を見える化し、株主との意思疎通を強化していくことが必要ではないか。米国市場では無形資産(人的資本、知的財産資本等)に対する評価が太宗を占めるようになってきているが、日本市場では依然として有形資産に対する評価の比率が高い。日本の場合、特に非財務情報を見える化する意義が大きいのではないか。
    • 現在、金融商品取引法上の有価証券報告書における非財務情報の開示強化の議論が進んでいるが、他方で、企業の財務担当者は「モニタリングすべき関連指標の選定と目標設定」、「企業価値向上との関連付け」など、具体的にどのように開示を進めていったらよいのかについて課題を抱えている。参考となる指針を早急に整備していくべきではないか

~NEW~
外務省 ウクライナ情勢に関する外国為替及び外国貿易法に基づく措置について
  • ウクライナをめぐる現下の国際情勢に鑑み、この問題の解決を目指す国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、主要国が講ずることとした措置の内容を踏まえ、閣議了解「ロシア連邦関係者に対する資産凍結等の措置等について」(令和4年4月12日付)を行い、これに基づき、外国為替及び外国貿易法による次の措置を実施することとした。
  1. 措置の内容
    1. 資産凍結等の措置
      • 外務省告示(4月12日公布)により資産凍結等の措置の対象者として指定されたロシア連邦関係者(398個人・28団体)に対し、(1)及び(2)の措置を実施する。
        1. 支払規制
          • 外務省告示により指定された者に対する支払等を許可制とする。
        2. 資本取引規制
          • 外務省告示により指定された者との間の資本取引(預金契約、信託契約及び金銭の貸付契約)等を許可制とする。
          • (注1)資産凍結等の措置の対象となるロシア連邦の特定銀行として新たに指定された2団体に対する資産凍結等の措置は令和4年5月12日から実施する。
    2. ロシア連邦向けの新規の対外直接投資の禁止措置
      • 財務省告示により、令和4年5月12日以後に開始されるロシア連邦向けの新規の対外直接投資を許可制とする。
    3. ロシア連邦からの一部物品の輸入禁止措置
      • 経済産業省告示で定める特定の貨物のロシア連邦からの輸入を承認制とする。
      • (注2)施行前に契約した分について、施行後3ヶ月間は輸入を認める猶予措置を講じる。
  2. 上記資産凍結等の措置の対象者

~NEW~
内閣府 令和4年第4回経済財政諮問会議
▼資料1-1 DXを活かした地方創生と地方行財政改革に向けて
  • コロナ禍において、東京への人口純流入の動きには歯止めがかかったものの、多くの地方公共団体で人口減少と若年人口の流出の動きが続いている。
  • 地域活性化に向けては、「集中から分散へ」がカギであり、大学を拠点としたイノベーション・エコシステムの強化や、一次産業・中小企業の活性化等を通じた雇用機会の拡大、脱炭素やサプライチェーンの再編等を契機とした国内投資の拡大が不可欠。そのためには、デジタル田園都市国家構想の下、全国隅々へのデジタル実装を進め、地域内外の多様な人材を活用することが重要となる。また、そうした動きを加速するためにも、多様な広域行政を含め、DXを前提とした地方行財政改革を推進する必要がある。
  1. 地方の輸出力、イノベーション力、無形資産価値の強化による雇用創出等
    • 地方の輸出力、イノベーション力、無形資産価値の強化に重点を置き、地域の特性を最大限に生かした雇用創出、新たな付加価値創造を促すべき
    • 世界的な部品不足の中、DXの活用、商社機能による橋渡しを通じて、世界の需要ニーズにこたえ、輸出競争力を強化するとともに、事業の新陳代謝を促し、地域中小企業を再生すべき。
    • 各地方大学や学術機関においては、それぞれの地域課題の解決に向け、オープンイノベーションと国際的人的ネットワークを備えた知的拠点となるよう、産学連携の強化、調達支援等の工夫を通じ、スタートアップや高度人材の集積を推進すべき。
    • DXの活用や副業・兼業の促進、関係人口の拡大により、内外の知恵を各地域に集結させ、雇用創出・付加価値創造を促すべき。そのためには、新規就農を進めるほか、一次産業の高度化・輸出産業化を積極的に推進すべき。その際、農地の所有・利用に係る国家戦略特区や国公有林の樹木採取権制度等の利活用を通じて企業経営の参入を促し、継承者不足や投資不足を解決すべき。
    • 地方では、脱炭素が投資拡大の契機となる。地方自治体のグリーン事業の推進のためのグリーン地方債等の発行拡大に向け、発行団体・債券保有者双方へのインセンティブの強化等を推進すべき。また、林業の脱炭素社会への寄与と成長産業化の両立に向け、新技術による生産性向上や木質資源の利活用を推進するほか、森林REITの組成等を含め、地方への民間資金の流れを強化するため、必要な制度整備や人材確保の方策等についても検討すべき。
    • コロナ禍で縮小したインバウンドの復活に向け、大阪・関西万博の開催も見据えて観光振興を推進していくべき。その際、コロナ禍で進んだデータ利用の取組も生かして、重要な無形資産として位置付けられるべき日本の文化・自然等が、地方経済や地方の生活に新たな付加価値を生み出し、結果としてこれら無形資産への再投資にもつながるような仕組みを検討・構築すべき。
  2. 関係人口の拡大と多様化
    • 地方では労働人口が大きく減少する中、上記1.に掲げた分野における多地域での居住、兼業・副業等の就労機会の拡大に加えて、オンラインでの交流も含め、多様な関係人口の拡大と関係人口の積極的な地域との交流が重要となる。
    • 関係人口拡大に向けては、多地域居住者等の動向をデジタル等で把握できるようにするとともに、多地域居住者等へのサービス提供の実態把握とふるさと納税等を活用した負担共有の仕組みを展開すべき。
    • 単に関係人口の数を増やすのではなく、いかに地方企業や地域人材との交流や連携を増やすかが地域活性化の大きなカギとなる。各地方公共団体は上記の実態把握のデータも生かしながら、各地域の大学と連携して大学を交流のハブとしたり、図書館や公民館等を交流の場として提供する等、交流や連携を積極的に促進すべき。
    • 地域内外の移動・滞在が多様化する中、利便性の高い公共交通と住居の提供が重要となる。地域公共交通における自動運転技術の導入やサブスクリプションの自由化をはじめとするダイナミック・プライシングを進めるべき。また、空き家の利活用を推進すべき。
  3. 未来を見据えた地方行財政改革
    • 人口減少・少子高齢化が進む中、業務のDXを大胆に進め、行政の機能を集約し、効率的かつ効果的に公的サービスを提供できるようにすべき。
      1. 業務の効率化
        • 地方行財政のDX接続、マイナンバーの徹底利活用の検討に加えて、地方自治体事務のコード化による業務共通化及び予算決算内容の縦覧性確保など、行財政全体を俯瞰・見える化が急務。
        • 公的給付の迅速かつ確実な支給にむけ、特定公的給付制度を拡張し、マイナンバーを用いた世帯の所得や公的サービスの受給等を把握する仕組みの構築を検討すべき。
        • 業務の効率化、簡素化の徹底に向け、国・県・市町村間の紙ベースの行政手続きとその重複を一括検証・是正すべき。また、国は法令上の新たな計画等の義務付け・枠付けについて必要最小限とするとともに、既存の計画との統合や他の地方公共団体等との共同策定ができることを原則とすべき。
      2. 広域行政化
        • 執行段階の事務の広域化は進んでいるが、計画・企画立案に係る業務は進捗していない。また、DXの進展の中で、今後、地域間の各種公共サービス格差が拡大することも懸念される。市町村連携、都道府県による市町村業務の補完・支援体制の強化等に向け、サービスの地域間格差等を目安にして、国等が広域行政化の更なる取組を後押しする仕組みを検討すべき。
        • 人口の移動が特に多い東京圏では、国とも連携し、東京圏全体として継続的に公共サービスの提供に係る協力・調整を行う体制の構築に着手すべき
        • 地方制度調査会の審議において、10~20年先の地域住民サービス(行政需要や老朽インフラの維持・管理、福祉需要等)の受益と負担のバランスを見据え、国・地方、自治体間の連携体制の在り方が明確化されることを期待。
      3. 2023年度予算に向けて
        • コロナ対応として行われた国から地方への多額の財政移転について、事業実施計画や決算等を踏まえて、その内容と成果の見える化を実施したうえで、成果と課題の検証をすべき。
        • 税収改善が見込まれるが、一般財源の総額について前年同水準を実質的に確保するとの目安に沿って対応すべき。また、早期に地方財政の歳出構造を平時に戻していくべき
▼資料4-1 成長と分配の好循環実現に向けた社会保障改革
  • ウクライナ情勢をはじめ、国際的な経済環境が大きく変化する中にあって、新型感染症の影響も続いている。新型感染症によって経済を停滞させることのないよう、ワクチン接種を加速するとともに、本年6月策定予定の感染症対応の体制強化策に基づき、国の司令塔機能の強化も含めて万全の体制を早急に構築すべき。
  • また、成長と分配の両面で、社会保障機能の強化は重要な役割を果たす。「人への投資」の拡大を通じて成長を牽引し、健康・予防や医療・介護分野でDXを含めたイノベーションを創発し成長市場を拡大するとともに国民生活のQOLを高める。分配面では、全世代型社会保障の下での現役世代の給付拡充・負担軽減、性別や正規非正規間の働き方の違いによる賃金格差の是正を通じて、可処分所得を拡大することが重要。その際、人への投資について、制度や財源ごとに仕組みが分かれていることで、子育てと仕事の両立、労働移動に向けた人的能力向上の障害とならないよう、その改善に向けて早期に取り組むことが不可欠である。
  • 同時に、社会保障分野でのDXの徹底を通じて、QOLや生産性を引き上げつつ財政負担を抑制するよう、経済・財政一体改革を継続・強化すべきである。こうした認識に立ち、以下、提案する。
  1. セーフティネット強化と積極的労働市場政策による人への投資
    • 若者、女性、高齢者など全ての人が、能力を最大限に発揮して活躍し、所得向上や雇用面での待遇改善を図ることが重要である。このためには、人手不足の状況の下、経済情勢を踏まえつつ、雇用維持から能力強化と兼業・副業を含む労働移動に重点を移していく必要があり、次の改革に取り組むべき。
      • 雇用保険の被保険者であっても受給資格を満たさない非正規雇用者の実態を把握し、例えば、失業給付要件の緩和や職業訓練の充実等、セーフティネットの強化に万全を期すべき。
      • 雇用保険の被保険者を対象とする「教育訓練給付」、「公共職業訓練」と、雇用保険を受給できない者を対象とする「求職者支援制度」を、制度横断的に公平性や効果最大化の観点から整理・見直しを行い、働く意思があれば、有業・無業、雇用形態を問わず、誰もがスキルアップできるよう取組を強化すべき。また、内閣府・厚生労働省で進めている公共職業訓練の効果分析の成果も活用しつつ、より効果的な積極的労働市場政策を実施すべき。
      • 育児休業給付は、支給対象が雇用保険の被保険者に限定されている。必要な者には、制度にかかわりなく、子供の養育のために休業・離職していずれ復職するまでの間、給付が行われるようにすべき。また、育休を必要なときに機動的に取得できる環境づくりを目指し、まずは、男性、非正規雇用者の育休取得率の改善等、改正育児・介護休業法に基づく取組を政労使で徹底して推進すべき。
      • 上記の雇用や子育て関連の追加的給付の提案実現には、歳出効率化も含め、新たな財源が必要となる。人への投資が成長の源泉となる中、財源の在り方についても、給付と負担の対応関係、新たな機能に対する適切な官民の役割分担、可処分所得への影響といった観点を踏まえて検討を進め、早期実現を図っていくべき。
  2. 全世代に対応した社会保障・こども政策
    1. 誰もが安心できる全世代型社会保障の構築
      • 我が国は、2025年に全ての団塊世代が後期高齢者となる。また、20年後の2042年には、65歳以上の高齢者数が最多となり、高齢化率は36%を超える。少子高齢化が加速する中、多くの高齢者が支え手に回るとともに、若者・女性の活躍を支援することが不可欠。2025年にかけての後期高齢者の急増、2040年以降の高齢化のピークを見据え、その間の局面ごとの人口動向の変化を踏まえつつ、必要な課題を整理し、改革事項を工程化すべき。
      • これまで議論の中心であった年金・医療・介護、少子化対策に加え、予防・健康づくり政策、雇用政策や住宅政策、更には財政負担を軽減する共助の強化、を一体として検討・改革すべき。併せて、給付と負担の在り方を見直し、現役世代の社会保険料負担の増加を抑制するとともに、将来世代に負担を先送ることのないようにすべき。
      • 今後、地方圏での急速な人口減による担い手確保の問題、さらに大都市圏での高齢者数の増加、特に、東京圏における介護需要増への対応が大きな課題となるなど、全国一律ではなく、地域特性に応じた対応を講じるべき。
    2. こども家庭庁の発足に向けて
      • 少子化に歯止めをかけるとともに、教育格差等による世代を超えた貧困の連鎖をなくすことは、こども家庭庁の重要なミッションである。未来を担うこどもへの投資、生活の苦しい子育て世帯への教育機会や居住への支援がとりわけ重要である。来年4月に発足するこども家庭庁には、その一元的な推進役としての十分な機能が求められる。
      • こども政策は、未成年期における保育や学校教育にとどまることなく、若い世代の就労や居住環境、結婚・出産・子育てに至るまでの環境整備を包括的に対象とし、その一元的な推進・調整のために、来年度に向けて、こども家庭庁に人材や予算をしっかり集約・確保すべき。
      • 関係省庁の協力の下、地方自治体が独自に展開している事業を含め、国・地方のこども政策の全体像を把握し、EBPMを徹底して施策を推進すべき。
  3. 医療・介護サービス改革の継続・強化
    • 社会保障の充実と成長力強化の両面に資する経済・財政一体改革について、改革工程表に基づき着実に推進し、医療・介護費の適正化を進めるとともに、DXを含む技術革新を通じたQOLや生産性の向上等に取り組むべき。
      • 新型感染症対応のこれまでの経験や検証を踏まえ、コロナ入院患者受入医療機関に対する財政支援の手法については、従来の交付金等から、より簡便かつ医療費として「見える化」される診療報酬による災害時の概算払いを参考に見直しを図るべき。また、投薬をはじめとする受診行動の変容を踏まえ、通院回数削減による患者負担軽減を図るため、リフィル処方箋の使用を、患者側の希望を確認・尊重する形で促進し、保険者へのインセンティブ措置も活用して、一気に普及・定着を図るべき。
      • 地域医療構想について、民間医療機関も含めた各医療機関の対応方針の策定や検証・見直しを着実に進め、医療機能の分化(入院・救急を中心とする高次機能の集約化と在宅医療を含めたかかりつけ機能への分化)を大きく推進していくべき。その際、ガバナンス強化のために医療法上の都道府県知事の権限強化を図るべき。
      • 国保の普通調整交付金の配分については、所得調整機能の観点や、加入者の性・年齢で調整した標準的な医療費を基準とする観点から、地方団体等と議論を継続することとなっているが、進捗していない。年内にも方向性を出すべく議論を加速すべき。
      • これまで、我が国医薬品産業の付加価値力向上に向けて創薬へのインセンティブを強化する方向で取組を進めてきたが、新型感染症の下、十分な成果は出せていない。イノベーション力と経済安全保障の強化に対して、国としてしっかり投資していけるよう、薬価、補助金・出資金等の在り方を含め、課題を再整理すべき。
      • PHRの推進を通じた検診の重複等によるコスト削減、KPIを掲げて取り組む電子カルテの標準化と導入、医療法人・介護サービス事業者の経営状況に関するデータベースの整備など、データの整備と共有を通じて医療・介護のDXを早急に進め、国民の利便性向上やコスト削減を徹底すべき。
      • 今後、医療・介護サービスを一体として、地域の実情に応じて、効率的・効果的に提供していくことの重要性が益々高まる。2025年に向けて構築を進めてきている地域包括ケアシステムについて、地域連携、多職種・多機関連携などの面で国がしっかりリードしながら、2040年を見据えたバージョンアップと実装化を進めるべき

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総務省 人口推計(2021年(令和3年)10月1日現在)
▼結果の概要
  • 2021年(令和3年)10月1日現在の総人口は1億2550万2千人で、2020年10月から2021年9月までの1年間に64万4千人(-0.51%)の減少となった。我が国の総人口は2005年に戦後初めて前年を下回った後、2008年にピークとなり、2011年以降、11年連続で減少している。2021年は64万4千人の減少となり、減少幅は比較可能な1950年以降過去最大となった。日本人人口は1億2278万人で、前年に比べ61万8千人(-0.50%)の減少となり、減少幅は10年連続で拡大している。
  • 総人口を男女別にみると、男性は6101万9千人(総人口に占める割合48.6%)で、前年に比べ33万1千人(-0.54%)減少と14年連続の減少、女性は6448万3千人(同51.4%)で31万3千人(-0.48%)減少と11年連続の減少となった。人口性比(女性100人に対する男性の数)は94.6となっており、女性が男性より346万4千人多くなっている。
  • 自然増減(出生児数-死亡者数)をみると、出生児数は、第2次ベビーブーム期(1971年~1974年)以降は減少傾向が続いており、2021年は83万1千人で前年に比べ4万人の減少となった。一方、死亡者数は、144万人で前年に比べ6万8千人の増加となった。この結果、出生児数が死亡者数を60万9千人下回り、15年連続の自然減少となり、減少幅は拡大している。男女別にみると、男性は17年連続、女性は13年連続の自然減少となった。
  • 社会増減(入国者数-出国者数)をみると、入国者数は63万2千人で前年に比べ136万5千人の減少、出国者数は66万7千人で前年に比べ128万8千人の減少となった。この結果、入国者数が出国者数を3万5千人下回り、9年ぶりの社会減少となった。男女別にみると、男性・女性共に9年ぶりの社会減少となっている。これを日本人・外国人の別にみると、日本人は7千人の社会減少、外国人は2万8千人の社会減少となり、日本人は3年ぶりの社会減少、外国人は9年ぶりの社会減少となった。
  • 我が国の人口ピラミッドは、近年、出生児数が第2次ベビーブーム期(1971年~1974年)をピークとして減少傾向が続いていることを反映し、二つのベビーブーム期の人口が膨らんだ形となっている。年齢3区分別にみると、15歳未満人口は1478万4千人で前年に比べ24万7千人の減少、15~64歳人口は7450万4千人で前年に比べ58万4千人の減少となったのに対し、65歳以上人口は3621万4千人で前年に比べ18万8千人の増加となった。75歳以上人口は1867万4千人で前年に比べ7万2千人の増加となり、65歳以上人口の半数以上となっている。
  • 総人口に占める割合をみると、15歳未満人口が11.8%、15~64歳人口が59.4%、65歳以上人口が28.9%となった。前年に比べると、15歳未満人口、15~64歳人口がそれぞれ0.1ポイント低下し、65歳以上人口が0.3ポイント上昇している。総人口に占める割合の推移をみると、15歳未満人口は、1975年(24.3%)以降一貫して低下を続け、2021年(11.8%)は過去最低となっている。15~64歳人口は、1982年(67.5%)以降上昇していたが、1992年(69.8%)にピークとなり、その後は低下を続け、2021年(59.4%)は過去最低となった。一方、65歳以上人口は、1950年(4.9%)以降一貫して上昇が続いており、2021年には28.9%と過去最高となった。なお、75歳以上人口も1950年(1.3%)以降上昇を続け、2021年は前年に比べ0.2ポイント上昇し、14.9%と過去最高となった。
  • 我が国の人口の年齢構造を各国と比べてみると、調査年次に相違はあるものの、15歳未満人口割合は最も低く、65歳以上人口割合は最も高くなっており、老年化指数が200を超える唯一の国となっている。
  • 2021年10月1日現在の都道府県別の人口は、東京都が1401万人と最も多く、次いで神奈川県(923万6千人)、大阪府(880万6千人)、愛知県(751万7千人)、埼玉県(734万人)となっており、以下人口600万人台が1県、500万人台が3道県、300万人台が1県、200万人台が6府県、100万人台が21県、100万人未満が10県となっている。人口順位は、全ての都道府県で前年と同順位となった。全国に占める割合をみると、東京都が最も高く、前年に比べ0.1ポイント上昇し11.2%となった。なお、全国に占める割合が5%以上となったのは6都府県で全国人口の42.4%となり、前年に比べ0.2ポイント上昇し、4%以上の9都道府県で54.9%となった。
  • 人口増減率を都道府県別にみると、増加は沖縄県のみで、人口増加率は0.07%となり前年に比べ縮小(対前年差0.34ポイント)している。一方、減少は46都道府県となっており、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県及び福岡県の5都県は前年の増加から減少に転じている。なお、東京都の人口減少は1995年(平成7年)以来26年ぶりとなっている。人口減少率が1%を超えているのは、秋田県(-1.52%)、青森県(-1.35%)、山形県(-1.23%)など11県で、前年から1県増加している。人口減少率が前年に比べ拡大したのは33道府県で、うち大阪府(対前年差0.31ポイント)が最も拡大している。人口減少率が縮小したのは大分県、鹿児島県(同0.10ポイント)など7県となっており、島根県は同率となっている
  • さらに人口増減の要因をみると、人口が増加した沖縄県は自然増加・社会減少となっている。一方、人口が減少した46都道府県は全て自然減少となっており、うち埼玉県、神奈川県など8府県が社会増加、他の38都道府県が社会減少となっている。前年と比較すると、群馬県及び東京都は社会増加から社会減少に転じている。
  • 自然増減を都道府県別にみると、沖縄県のみ増加、他の46都道府県は減少となっている。自然増加となった沖縄県の自然増加率は、前年に比べ0.10ポイント縮小している。一方、自然減少率は、秋田県が1.21%と最も高く、次いで青森県が0.99%、山形県が0.94%などとなっている。自然減少となった46都道府県の全てで減少率が拡大となっている。
  • 社会増減を都道府県別にみると、増加が8府県、減少が39都道府県となっている。社会増加率は、埼玉県が0.32%と最も高く、次いで神奈川県が0.31%、千葉県が0.26%などとなっている。増加した8府県のうち滋賀県のみ前年に比べ増加率が拡大、埼玉県など5府県で縮小、茨城県及び山梨県では減少から増加に転じた。一方、社会減少率は、長崎県が0.48%と最も高く、次いで青森県及び福島県が0.36%、秋田県が0.31%などとなっている。減少した39都道府県のうち18府県では減少率が拡大、18道県は縮小、群馬県、沖縄県及び東京都では増加から減少に転じた。
  • 年齢3区分別人口の割合を都道府県別にみると、15歳未満人口の割合は沖縄県が16.5%と最も高く、次いで滋賀県が13.4%、佐賀県が13.3%、熊本県が13.1%、宮崎県及び鹿児島県が13.0%などとなっている。一方、秋田県が9.5%と最も低く、次いで青森県が10.4%、北海道が10.5%、岩手県、徳島県及び高知県が10.8%などとなっている。15歳未満人口の割合は総じて低下傾向にあり、前年に比べ全ての都道府県で低下している。
  • 15~64歳人口の割合は、東京都が66.1%と最も高く、次いで神奈川県が62.7%、愛知県が61.6%、埼玉県が61.0%などとなっている。一方、秋田県が52.4%と最も低く、次いで島根県及び高知県が53.4%、山口県が53.6%などとなっている。15~64歳人口の割合は前年に比べ、東京都、神奈川県及び大阪府は同率、44道府県で低下している。65歳以上人口の割合は、秋田県が38.1%と最も高く、次いで高知県が35.9%、山口県が35.0%などとなっており、33道県で30%以上となっている。一方、東京都が22.9%と最も低く、次いで沖縄県が23.1%、愛知県が25.5%などとなっている。また、75歳以上人口の割合をみると、最も高い秋田県が19.9%となり、最も低い沖縄県が10.6%となっている。なお、75歳以上人口の割合が15歳未満人口の割合を上回っているのは、45都道府県となり、前年から1県(愛知県)増加している。75歳以上人口の割合が15歳未満人口の割合を下回ったのは、滋賀県及び沖縄県のみとなっている。
  • 65歳以上人口の対前年増減率を都道府県別にみると、43都道府県で増加、4県で減少している。対前年増加率は沖縄県が2.3%と最も高く、次いで宮城県、茨城県、栃木県及び滋賀県が1.1%などとなっている。全国平均(0.5%)を上回っているの
  • は20県となっている。また、75歳以上人口の対前年増減率をみると、20都道府県で増加、27県で減少となっており、対前年増加率は埼玉県が1.9%と最も高く、次いで千葉県が1.7%、神奈川県が1.3%などとなっている。全国平均(0.4%)を上回っているのは15道府県となっている。
  • 都道府県別人口を3大都市圏別に合算してみると、東京圏は3686万2千人、名古屋圏は1123万3千人、大阪圏は1811万5千人となっており、3大都市圏の人口は6621万1千人となっている。全国に占める割合をみると、前年に比べ東京圏で0.1ポイント上昇、名古屋圏及び大阪圏は同率となっている。3大都市圏では0.2ポイント上昇している。

~NEW~
国土交通省 日野自動車株式会社の排出ガス・燃費試験の不正事案を受けた他社に対する国内実態調査について
  • 国土交通省では、日野自動車株式会社の排出ガス・燃費試験の不正事案を受け、トラック・バスを製造・販売している各自動車メーカー等に対して、同様の不適切な事案の有無等についての調査の実施を要請しておりましたところ、本日、各社からの報告内容を取りまとめました。
  1. 調査対象
    1. いすゞ自動車株式会社
    2. トヨタ自動車株式会社
    3. 日産自動車株式会社
    4. 三菱ふそうトラック・バス株式会社
    5. UDトラックス株式会社
    6. Hyundai Mobility Japan 株式会社
    7. スカニアジャパン株式会社
  2. 調査内容
    • 認証取得時の長距離走行試験とそれに基づく劣化補正値の算出や燃費試験の測定方法等について、自動車型式認証関係法令の規定や目的に沿わない測定方法・データ処理等の不適切な事案の有無。
    • 調査の結果、不適切な事案等があった場合には、その内容の詳細。
  3. 各社からの報告内容
    • (1)から(6)の会社からは、不適切な事案は無いとの報告を受けました。
    • (7)の会社からは、調査に時間が掛かっており終了次第報告するとの連絡がありました。

~NEW~
金融庁 金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(第8回) 議事次第
▼資料1 事務局説明資料
  • 金融商品取引法に基づく四半期報告書と取引所規則に基づく四半期決算短信の「一本化」の方向性については、コスト削減等の観点から幅広い支持。「一本化」する四半期開示については、開示内容、虚偽記載に対する責任、情報の信頼性等の論点がある
  • 四半期決算短信を30日以内に開示し、四半期報告書を法定期限近くに提出する企業が一定数存在している
  • 上場企業では、四半期決算短信の発表と合わせて、決算説明資料や決算説明会の模様等を公表するなど投資家への積極的情報開示が行われている
  • 米国では、プレスリリース等で開示された登録者の事業や財務状況の結果に関する情報については、Form8-K(臨時報告書)により開示することが求められている
  • 仮に四半期開示を四半期決算短信に「一本化」する場合であっても、同じ内容を臨時報告書で開示する仕組みとすることで、四半期報告書と同様の虚偽記載の責任を課すことが可能。監査法人のレビューの有無については、「一本化」する書類の制度設計次第となる
  • 四半期決算短信の内容は、四半期報告書の記載事項と比較し、簡易なものとなっている
  • 2016年のディスクロージャーWG報告は、四半期を含む決算短信について、速報としての性格に比した作成・公表の事務負担や記載内容の有価証券報告書(四半期報告書)との重複についての指摘を踏まえ、速報性の観点から、整理・合理化を提言
  • 有価証券報告書を提出する非上場企業(資金調達のために過去に有価証券届出書を提出した企業等)は、金融商品取引法により半期報告書の提出が求められている(決算短信の提出はなし)
  • 日本(東証)では、経済界の要請を踏まえ、開示対象や重要性基準を定める細則主義を採用。一方、米国、英国では、原則主義に基づき、企業が開示すべき事項や重要性を判断している
  • 2020年の新型コロナウイルス感染症拡大時、決算発表時期の到来前に適時開示を行った企業は、1割程度
  • 2020年の新型コロナウイルス感染症拡大時、企業会計基準委員会(ASBJ)から、会計上の見積りに用いた仮定を具体的に開示するよう周知し、金融庁も充実した開示を要請。これを踏まえて、有価証券報告書や四半期報告書では、一定の開示が進展
  • ロシア・ウクライナ情勢について、事業活動や経営成績に及ぼす影響やリスクの説明に関する積極的な開示が要請されている。日本企業の中にも、ロシア・ウクライナ情勢の影響について開示している事例が見られる
  • 時価総額ベースでは約9割が決算短信、株主総会招集通知の英文開示を実施。英文資料の和文資料との同時開示は、決算短信は73.0%、株主総会招集通知は61.4%
  • 2021年6月改訂のコーポレートガバナンス・コードにおいて、特に、プライム市場上場会社は、開示書類のうち必要とされる情報について、英語での開示・提供を行うべきであることを記載(補充原則3-1②)
  • 英文開示の状況については、海外投資家が近年の取組みの進展を肯定的に評価している一方、日本語の開示資料と比べて情報量に差があることや開示のタイミングが遅いとの指摘もある
  • 日本の上場会社に投資を行う上で、上場会社による英文開示が必要かどうかについて、資料ごとに選択した結果、有価証券報告書の英文開示を必須又は必要と回答した割合は7割
  • 有価証券報告書では投資家の投資判断に必要とされる情報、コーポレート・ガバナンス報告書ではコーポレートガバナンス・コードへの対応状況を含むガバナンス情報が開示されている
  • 有価証券報告書に「取締役会、指名委員会・報酬委員会等の活動状況の記載欄」を新設する場合には、現在のコーポレート・ガバナンス報告書の類似の記載事項を整理することが考えられる
  • ご議論いただきたい事項
    1. 情報開示の頻度・タイミング
      • 四半期開示については、経営が短期主義になるとの意見、経営の短期主義とは無関係である等、幅広い意見があるが、実証研究においては四半期開示と短期主義との関係に対する明確な答えが出ていない。この点については、引き続き、幅広く企業、投資家をはじめとするステークホルダーの意見や海外の実務を検証しつつ、議論を深めていく必要がある。
      • 第6回会合の議論では、コスト削減の観点等から、取引所規則に基づく四半期決算短信と金融商品取引法に基づく四半期報告書との「一本化」には幅広い支持が寄せられた。「一本化」の進め方については、四半期決算短信を基本とする方向、四半期報告書を基本とする方向の両論があり得るが、
        • 開示のタイミングがより遅い四半期報告書に集約させることは、情報の有用性・適時性を低下させるおそれがあること
        • 四半期決算短信に関しては、投資家に広く利用されていること。また、一部の企業においては、その発表と併せて充実した決算説明資料を公表し、さらには経営幹部によるアナリスト等とのQ&Aの模様などを公表する動きが進んでおり、こうした積極的な開示姿勢の後押しも必要であること
        • 監査法人のレビューがある四半期報告書を期待する意見もあるが、「正確性の担保」という点からは、四半期報告書の形でなくても、代替的な手法(例えば、適時開示を臨時報告書とすることにより担保する方策等)により確保することも考えられるとの指摘があること等を踏まえると、四半期決算短信への一本化を基本に検討することが考えられる(注1)。
          • (注1)四半期報告書については、以下のような指摘も見られている。
            • 「(アナリストを含め)正確性の担保との意義はあるが、実際には必ずしもよく利用されているわけではない」との指摘
            • レビューについては、少なくとも有価証券報告書の虚偽記載などの事案が生じた企業については義務付ける必要があるのではないかとの指摘
            • 経済界からは、開示書類を作成する立場としては、法定の書類でなくとも、きっちりしたものを出しているという指摘
      • これらを踏まえると、今春時点においては、以下のような方針とすることとしてはどうか。
        • 上場企業について、法令上の四半期開示義務(第1・第3四半期)を廃止し、取引所の規則に基づく四半期決算短信に「一本化」
        • 任意化を含め四半期開示(「一本化」する四半期決算短信)の位置づけについては、四半期以外の適時開示のあり方と併せて、さらに幅広く企業・投資家などの市場関係者の声や海外動向(欧州等)を踏まえて検討すること
      • その上で、今夏以降も、本WGにおいて、「一本化」する四半期決算短信に係る諸論点の議論を深めることが考えられるが、具体的にどのような点を整理すべきと考えるか(例:四半期開示の内容、虚偽記載に対するエンフォースメント、監査法人によるレビューの有無)。
      • 投資家の投資判断上、よりタイムリーに企業の状況変化に関する情報が企業から開示されることが重要と考えられる。四半期以外の適時開示の充実を図るためにどのようなことが考えられるか。
      • なお、適時開示と四半期開示との関係については、仮に四半期開示義務が廃止されても、大半の企業で任意で四半期開示を継続したり、四半期以外の適時開示において投資家への充実した情報提供が行われていたりするのであれば、四半期開示は任意でもよいとの考え方もある(注2)。この点について、日本の上場企業は「間違いのない開示」を行おうとする傾向が強いと指摘される一方で、投資家側はリスク情報等について前広な開示を求める傾向にあり、情報の作成者と利用者との間に「期待ギャップ」が生じがちであるとの指摘がある。
        • (注2)四半期開示の任意化については、虚偽記載などの問題が生じた企業については、しっかりとした規律付けが行われることが重要との指摘もある。
    2. 英文開示
      • 東京証券取引所の調査によると、全市場時価総額ベースでは約9割が決算短信、株主総会招集通知の英文開示を実施又は実施予定となっている。一方で、他の開示書類と比較すると、有価証券報告書の英文開示は進んでいない状態である。海外も含めた投資家に有用な情報を提供する観点から、有価証券報告書の英文開示について、どのように考えるか。また、以下の点について、どのように考えるか。
        • 有価証券報告書の英文開示のタイミング(例:日本語の開示書類と同時公表)
        • 有価証券報告書の中で、特に英文開示が求められる開示項目
      • 海外投資家へのアンケート結果によると、開示書類が日本語版しかない場合は、翻訳ツールを利用する投資家もいるが、有価証券報告書については、情報量の多さや表示方法により、機械翻訳が難しいとの意見もある。こうしたことを踏まえ、短期的には、外部の翻訳ツールを利用しやすいようにEDINETの表示方法を改修する予定であるが、中長期的には、法定開示書類の英訳に適した翻訳機能の精度向上に取り組むことについて、どのように考えるか。
    3. 有価証券報告書とコーポレート・ガバナンス報告書の記載内容の関係
      • 上場企業は、取引所規則により、企業のガバナンス関連情報を記載したコーポレート・ガバナンス報告書の提出が求められている。第4回会合では、コーポレート・ガバナンス報告書において開示推奨項目となっている取締役会、指名委員会・報酬委員会等の活動状況を有価証券報告書でも記載すべきという意見が多かったが、そうした見直しとともに、有価証券報告書とコーポレート・ガバナンス報告書の記載を整理することも考えられる。企業の負担や投資家の一覧性を確保する観点から、記載事項を整理することについて、どのように考えるか。また、具体的にどのような項目を整理することが望ましいと考えるか。

~NEW~
金融庁 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
▼主要行等
  • ウクライナ情勢に係る対応について
    • 現下のウクライナ情勢を踏まえ、ロシア・ベラルーシの一部銀行のSWIFTからの排除を含め、国際的に様々な制裁措置が実施されており、我が国においても、2月下旬から3月にかけて、当該銀行を含む団体・関係者の資産凍結、輸出管理措置等の制裁措置が順次実施されている。
    • このように刻々と状況が変化していくなかで、引き続き、現下の情勢や制裁措置の動向を注視し、確実に実施していただくとともに、取引の適切なモニタリングなどに取り組んでいただきたい。また、顧客への丁寧な説明や、適時・適切な情報提供に努めるなど、引き続き、顧客対応に万全を期していただきたい。
    • なお、顧客からのロシア・ベラルーシ向け送金等について照会があり、判断に迷うような場合は、早めに相談いただきたい。当局でしっかりサポートさせていただく。
    • また、現下の情勢や制裁措置は、ロシア以外の国の経済状況、金融市場や商品市場にも大きな影響を与えており、これらが与信先や金融機関の有価証券運用等に与える影響について注視し、適切なリスク管理を実施していただきたい。
    • あわせて、顧客資産への影響については、例えばロシアの国債や株式等を組み入れている公募投資信託の中には、投資家からの買付や売却の受付を停止している商品もあると承知。顧客保護の観点から、商品を組成する資産運用会社等と連携を図りながら、顧客への丁寧な説明や、適時・適切な情報提供に努めるなど、引き続き、顧客対応に万全を期していただきたい。
  • 事業者等に対する金融の円滑化について
    • 3月7日に「中小企業等の金融の円滑化に関する意見交換会」を開催し、金融担当大臣より、官民の金融関係団体等に対し、年度末の資金繰りについて、万全の対応に努めていただくようお願いするとともに、8日、事業者等に対する金融の円滑化について要請を行った。
    • オミクロン株による感染拡大に加え、ウクライナ情勢、原油価格の上昇等の影響を踏まえ、返済期間・据置期間の長期の延長等を積極的に提案するなど、事業者のニーズに応じたきめ細かな支援を徹底いただくよう改めてお願いしたい。
    • また、2022年度は、増大する債務に苦しむ事業者の再生支援等も、一層重要な課題となることから、全国銀行協会が中心になってとりまとめた「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」や経営者の個人破産回避に向けた関係者の対応等を明確化した「廃業時における『経営者保証に関するガイドライン』の基本的考え方」を積極的に活用しながら、事業者の再生支援等に取り組んでいただきたい。
    • 加えて、3月4日、財務省・経済産業省とともに、「中小企業活性化パッケージ」を発表した。6月末まで期限が延長された実質無利子・無担保融資など、パッケージに掲げられた政府の支援メニューも有効に活用いただいた上で、厳しい経営環境にある事業者支援にしっかりと取り組んでいただきたい。
  • 還付金詐欺の被害増加に係る要請について
    • 還付金詐欺の被害については、2021年に入ってから大きく増加。
    • これを受け、1月25日付で警察庁生活安全局長と金融庁監督局長の連名で「還付金詐欺の被害防止対策の推進について」を、3月7日付で警察庁刑事局長と金融庁監督局長の連名で「還付金詐欺捜査に係る都道府県警察との協力体制の構築について」を全国銀行協会宛に発出した。
    • 各都道府県警察から協力体制の構築について、申出があった場合には積極的に協力いただくとともに、引き続き、還付金詐欺を始めとする特殊詐欺被害の防止に向けた取組みを強化していただきたい。
  • 「銀行の引当開示の充実に向けて」の公表について
    • 2019年12月に「検査マニュアル廃止後の融資に関する検査・監督の考え方と進め方」を公表して以降、各金融機関において引当方法の多様化が進んでいる。
    • アナリストなどからは、より丁寧な開示が求められる一方、金融機関からは、具体的にどこまで開示の充実を図るべきか、開示の望ましい水準について議論を求める声が聞かれた。
    • また、引当方法を見直そうとする金融機関からは、先行事例を自らの検討に活かす観点から、引当開示の充実を求める声が聞かれた。
    • そこで、金融庁では、アナリスト、日本公認会計士協会、全国銀行協会を招いて、「銀行の引当開示の充実に向けた勉強会」を2月21日に開催し、勉強会で出された意見や実例等を取りまとめ、3月1日に「銀行の引当開示の充実に向けて」として公表。
    • 本資料も参考に、それぞれの実態に即して引当方法の開示の充実を図られることを期待している。
  • 金融分野におけるサイバーセキュリティ強化に向けた取組みについて
    • ≪金融分野におけるサイバーセキュリティ強化に向けた取組方針の公表について≫
      • 「金融分野におけるサイバーセキュリティ強化に向けた取組方針(3.0)」を、2月18日に公表。
      • 本方針においては、
        1. 高度化するサイバー攻撃に対し、金融機関のサイバーセキュリティを確保するため、モニタリングや演習の高度化を図るとともに、
        2. 新たなリスクへの備えとして、
          • 利用が拡大しているキャッシュレス決済における安全性の確保・セキュリティバイデザインの実践
          • 利用が拡大するクラウドサービスの特性・仕様を踏まえたセキュリティの確保、適切なインシデント対応の確保
          • 委託先・サプライチェーンの複雑化を踏まえたサイバーハイジーンの徹底や、サイバーレジリエンスの強化に加え、
        3. サイバー攻撃の脅威動向の把握強化や、金融犯罪への対応を後押しするため、NISCや捜査当局等との連携強化を行うこと
          など、金融庁として、金融分野におけるサイバーセキュリティを強化するため、特に力を入れる分野を掲げている。
      • サイバーセキュリティの強化が一層重要な課題となっている中、経営層の積極的なリーダーシップの下、組織全体でサイバーセキュリティの向上に取り組んでいただきたい。
    • ≪金融機関におけるサイバーセキュリティ対策の強化について≫
      • 昨今の情勢を踏まえサイバー攻撃のリスクが高まっていることから、サイバーセキュリティ対策の強化に関する注意喚起(2月23日、3月1日)を行った。
      • 取引先などのサプライチェーンや、海外拠点も含めて、適切なセキュリティ対策を実施するとともに、仮に、サイバー攻撃を受けた場合は、事案の詳細が判明していない段階においても、速やかに金融庁・財務局の担当部署まで報告をお願いしたい。
      • マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策について
    • ≪継続的な顧客管理に係るFAQ改訂について≫
      • マネロン等対策については、リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD; Simplified Due Diligence)に係る「マネロンガイドラインに関するよくある質問(FAQ)」の改訂案について、業界団体を通じて、2月末を期限として意見照会を行った。
      • 業界からの意見等はすべて確認の上、回答を作成しており、追って協会を通じて回答する。その上で、3月中にFAQの改訂を公表する予定。
    • ≪マネロン広報について≫
      • 金融庁では、各業界団体と連携して、マネロン等対策に係る確認手続きについて国民の周知に一層努めている。
      • 3月からは、マネロン等対策の継続的顧客管理について、ラジオCM等の政府広報を実施。
      • 引き続き、マネロン等対策に係る周知・広報策について、積極的に検討してまいりたい。
  • バーゼルⅢの国内実施について
    • バーゼルⅢの国内実施時期については、以下の方針とする。
      • 国際統一基準金融機関及び内部モデルを採用する国内基準金融機関については、実施時期を国際合意から1年延期し、2024年3月末からとする。
      • 内部モデルを採用しない国内基準金融機関については、引き続き、2025年3月末からとする。
      • 早期の実施を希望する金融機関については、金融庁への届出をもって、これを可能とする。

~NEW~
金融庁 「気候変動関連リスクに係るシナリオ分析に関する調査」報告書の公表について
▼気候変動関連リスクに係るシナリオ分析に関する調査
  • 気候変動を金融機関の健全性や金融システムの安定性に影響するリスクとして捉え、金融機関におけるリスク管理や、金融監督に取り入れる動きが、国際的に進展しています。気候関連リスクは、従来の金融リスクに比べて、リスクの発現期間が長く、不確実性が高いことが指摘されており、従来の金融機関のリスク管理のスコープを超えるため、現在は、将来的な気候シナリオを想定し、そのシナリオに基づいて金融リスクを測定するシナリオ分析が、主要なリスク測定手法となりつつあります。
  • 金融機関には、適切なガバナンス態勢のもと、気候関連リスクを計測及び管理することが期待されます。このためには、リスク管理部署などの担当部署だけでなく、金融機関の経営陣をはじめとする組織全体が、気候関連リスクの管理の重要性を認識し、同リスクを測定するための有力な手法であるシナリオ分析への理解を深めることが重要です。しかし、シナリオ分析に関する公表物は技術的な記述も多く、日本語で紹介する資料も未だ十分とは言えません。
  • そこで、今般、金融庁では、NGFS(気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)が公表した共通シナリオ等、国際的に広く用いられているシナリオ及びデータに関する基礎資料を作成することにより、我が国金融機関におけるシナリオ分析への理解の早期向上を図り、我が国におけるシナリオ等の有用性を高めるとともに、今後予定されているシナリオの改定やデータ整備に関する国際的な議論に貢献していくことを目的として、一般財団法人電力中央研究所に調査を委託しました。
  • 気候関連の金融リスク分析とNGFSシナリオの貢献
    • NGFSシナリオが整備された背景には、信頼性・比較可能性が高い共通シナリオを提供することにより、各国の中央銀行・金融監督当局及び市中金融機関による気候関連リスク分析を支援することがある(NGFS,2021b)。
    • 本報告書では、NGFSシナリオ(第2版)の主要な変数に着目し、シナリオ・IAMの特徴を世界全体(4.1節)・日本(4.2節)・世界の主要地域(4.3節)ごとに詳細に分析した。その結果、NGFSシナリオ(第2版)では、排出削減政策の野心度や将来の技術導入の想定が異なる6本のシナリオを設定した上で、それぞれについて将来のCO2排出量、エネルギー供給や部門ごとのエネルギー需要、排出削減技術の導入量の変化等が定量的に示されていることが明らかになった。また、本報告書では分析対象としなかったが、NGFSシナリオ(第2版)では、移行リスクに関連する変数を定量化するIAMの出力が、気候モデル・気候影響モデル、さらにマクロ経済モデルに多段階的に接続されることで、これらのモデルの出力が同一のシナリオ内で整合している。
    • また、7.2節で述べる点を除けば、NGFSシナリオ(第2版)のIAMが出力する主要変数の多くは、現時点の気候科学の成果を元に作成された既存のシナリオとも整合的であることが確認された(4.4節)。
    • NGFSシナリオ(第2版)では、同一のシナリオのナラティブを3種類のIAMによってそれぞれ定量化することで、シナリオに幅を持たせ、将来の不確実性に照らして計算結果が妥当な範囲に含まれていることを担保している。また、既存の気候関連のシナリオが整合していることは、将来予測の正確さを保証するわけではない点に留意する必要はあるが、NGFSシナリオ(第2版)による定量結果には、一定の妥当性を与えるものであると言える。
    • これらから、NGFSシナリオ(第2版)が整備・公表されたことにより、世界の主要地域における移行リスク・物理的リスクの双方が金融機関や金融システムの健全性に与える影響を、同一の前提条件の元で計測することが可能となったと言える。従来、気候科学のリスク分析においては、同程度の排出削減政策の野心度を想定する場合であっても、分析の対象や地域によって異なるシナリオを組み合わせて使用することが一般的であった(TCFD,2020)。NGFSによって共通シナリオが整備されることにより、気候関連のリスク分析の比較可能性が向上し、中央銀行・金融監督当局による金融リスク分析の質が向上することが期待できる。
    • また、中央銀行・金融監督当局によるNGFSシナリオの利用例を整理・分析した結果、分析に用いるシナリオの種類や変数には、一定の共通性があることが明らかになった(第5章)。気候関連の金融リスク分析はまだ新しい分野であり、現時点において確立した分析の手法は存在しない。そのため、NGFSは各国の中央銀行・金融監督当局による事例共有を促進しつつ(NGFS,020;NGFS,2021c)、様々な分析アプローチを想定したシナリオを公表している。今後、中央銀行・金融監督当局による分析のアプローチがどの程度まで収斂するかは分からないが、各国で得られた知見の共有を促進するための土台としてNGFSシナリオが重要な役割を果たしてきたと言える。
  • 我が国における気候関連の金融リスク分析を想定した留意点と提案
    • 第4章では、NGFSシナリオ(第2版)の主な変数について、各シナリオ・IAMの特徴を整理した上で、分析において留意すべき点をいくつか取り上げた。第5章では、中央銀行・金融監督当局による気候関連のストレステストの事例に着目し、金融リスク分析におけるNGFSシナリオの使い方を整理した。さらに第6章では、我が国のエネルギー基本計画との比較を行い、NGFSシナリオ(第2版)の十分性や有用性を検討した。本節では、これらの結果にもとづいて、我が国における気候関連リスク分析を想定した場合に考えられる留意点や、NGFSに対する改善・修正の提案を行う。
  • 炭素価格
    • NGFSシナリオ(第2版)では、IAMによって計算された炭素価格を用いて、マクロ経済変数への影響が計算される。また、海外の中銀・金融監督当局によるNGFSシナリオの利用例を参照しても、すべての事例でNGFSシナリオのIAMが計算した炭素価格を用いて、移行リスクの計測が行われている。このことから、IAMによって計算される炭素価格は、NGFSシナリオによる移行リスク分析においてもっとも重要な変数であると言える。
    • NGFSシナリオ(第2版)の野心的な排出削減政策が導入されるシナリオでは、炭素価格は2030年時点で$96.8/t-CO2~$197.7/t-CO2、2050年には$486.2/t-CO2~$672.7/t-CO2(いずれもNetZero2050の世界平均、US$2010年換算)まで上昇し、先進国では世界平均よりも上昇幅が大きかった。一方、同一のシナリオであってもIAMによって炭素価格の値には幅があることも明らかになった。これらの炭素価格は、IAM内部で「シャドウプライス」として定義され、基本的に排出削減と炭素価格の時間変化が1対1で対応していると考えられる。
    • 一方、WEO-2021では、カーボンプライシングに関する各国の政策導入・宣言や各シナリオの排出削減の度合いに応じて、外生的に炭素価格が設定されている。NetZero2050に相当するシナリオの2050年時点の炭素価格は、地域によって$160/t-CO2~$200/t-CO2(APS)、$55/t-CO2~$250/t-CO2(NZE)(いずれもUS$2020換算38)であり、NGFSシナリオ(第2版)の水準よりはかなり低くなっている。この違いは、両者の間の炭素価格決定の考え方や関連する化石燃料価格や技術コストの違いに起因する。NGFSシナリオ(第2版)のIAMが算出する炭素価格は、理想化(簡略化)されたエネルギー・経済の前提で、所定の排出削減を各IAMで定められた価値評価(最適化、Box1参照)の下で達成する過程で決まる。一方、WEO2021のシナリオでは、炭素価格に加えて、排出削減に寄与する炭素価格以外の施策も幅広く考慮されており、炭素価格は最適化計算で導かれる限界削減費用にはなっていない。このように、IAMの定式化の中で排出削減と対応づけられた炭素価格と、炭素価格以外の政策手段も存在する中で設定される炭素価格は異なる性質のものとなり、一般に前者の方が高く、IAMの定式化にも強く依存すると理解される。
    • 移行リスク分析において、IAMの炭素価格を用いる際には、炭素価格以外の施策も排出削減に寄与する現実世界における炭素価格とは性質が異なることに留意する必要がある。
  • 化石燃料(一次エネルギー)
    • 化石燃料(一次エネルギー)については、IAM間での傾向が異なり、一部で極端な価格の変動が認められた。IAM(NGFSシナリオ(第2版)では、REMIND-MAgPIE2.1-4.2とMESSAGEix-GLOBIOM1.1が該当する)によって計算される化石燃料の価格は、長期的な均衡における石油・ガス市場の動学を反映したもので、現実とは異なる仕組みで算出される。この価格算出では、資源供給コスト、燃料需要、気候政策といった要因が、IAMにおける最適化対象の目的関数を通じて影響する。化石燃料の価格変動の幅が大きいことは、将来の不確実性が大きいことを示しているとも言える。その一方で、化石燃料価格はインフレ率のような重要なマクロ経済変数に影響を与えるため、採掘コストや可採埋蔵量等の前提条件の透明性を高めたうえで、変動の要因を検証できるようにすることが有用である。
    • また、将来のパスの推計に用いるためにモデルに取り込まれている実績データの期間がIAMによって異なるため、直近時点(2020年)の化石燃料価格(特にガス、石油)がIAM間で大きく異なっており、他の変数の2020年値と比べても、エネルギー価格はIAM間のばらつきが大きい。そのため、価格の絶対値をモデル間で比較することが難しくなっており(4.1.9節及び4.2.9節を参照)、本報告書では、2020年の値に対する増減率でモデル間比較を行った。金融リスク分析でNGFSのデータを用いる際にも、価格の絶対値ではなく、2020年比の増減率を用いる等の工夫が必要となるかもしれない。また、本来的には、実績データの取り込み期間をそろえ、IAMの基準年(Box2、表2.1を参照)を直近の年に設定した上で、その時点の現実の価格との整合性がある程度担保されることが望ましい。
    • MESSAGEix-GLOBIOM1.1は日本についてはダウンスケーリングの値が報告されているが、エネルギー価格は地域内で同じ値となっている。日本に対するリスク分析を行う際には、MESSAGEix-GLOBIOM1.1の値が日本向けの調整がなされていないことに注意する必要がある。
    • なお、中央銀行・金融監督当局による気候変動ストレステストで採用されている化石燃料の価格は、NGFSシナリオだけでなく、外部データや独自の計算によって決定されていることが伺えた。外部データや独自の計算が別途用いられている原因を踏まえ、IAM側でその原因に対応できるような改良が行われることが望ましい。
  • 電力価格(二次エネルギー)
    • 電力価格(二次エネルギー)についても、REMIND-MAgPIE2.1-4.2では野心的な排出削減政策が導入されるシナリオの一部で、極端な価格上昇とその後の急下降がみられた(4.1.9節及び4.2.9節を参照)。これは、世界全体よりも日本で特に顕著であった。一次エネルギーと同様に、IAMにおける二次エネルギーの価格も現実とは異なる仕組みで算出されている。REMIND-MAgPIE2.1-4.2の場合、電力の価格は、電力バランスと所得恒等式の変化の関係式を用いて定義されている。所得恒等式には、電源や送配電への投資額や化石燃料の費用等が含まれているが、低炭素電源への投資拡大と価格上昇の時期が一致していることから、関連する設備投資の一時的な増加が影響している可能性がある。他方、MESSAGEix-GLOBIOM1.1も野心的な排出削減政策が導入されるシナリオで、日本について電力価格の大幅な上昇が報告されているが(※世界全体の値は報告されていない)、REMIND-MAgPIE2.1-4.2のような鋭いピークはなく、シナリオ間での相違はあるものの、2030年から2050年にかけて高止まりしていた。これは価格決定に対する設備投資の影響が、REMIND-MAgPIE2.1-4.2ほどには直接的ではないためと考えられるが、MESSAGEix-GLOBIOM1.1は、エネルギー価格が日本向けにダウンスケーリングされていない点にも注意が必要である。GCAM5.3は、将来の予見性なしに地域・部門別の市場で供給と需要が均衡するように価格を算出する方式を採っており(Box1)、大きな価格変動は起きにくくなっている。
    • このように、IAM間で価格決定のメカニズムが異なっており、分析者はIAMが出力する電力価格を使用する際に、このメカニズムの違いに留意する必要がある。
    • また、化石燃料価格と同様に、2020年という過去時点の価格がIAM間で大きく異なっており、金融リスク分析でNGFSのデータを用いる際にも、価格の絶対値ではなく、2020年比の増減率を用いる等の工夫が必要となるかもしれない。
    • なお、中央銀行・金融監督当局による事例を参照すると、ECBのSSMStressTest2022では、NGFSシナリオ(第2版)を参照し、REMIND-MAgPIE2.1-4.2が出力する電力価格がそのまま採用されていた(ECB,2021)。
  • エネルギー需要部門
    • NGFSシナリオ(第 2版)では、産業部門・民生部門・運輸部門のそれぞれについて、主要なセクターの排出量や生産量等が計算されている。これらの情報は、セクター単位の分析において現状の移行経路とシナリオの整合性を検証する上で、必要となる情報である。ところが、化石燃料の需要やエネルギー供給と比較するとエネルギー需要部門については変数の種類が少なく、個別技術の分解能も低い。
  • 産業部門
    • NGFSシナリオ(第2版)には、CO2の主要な排出源である「鉄鋼」「セメント」「化学」といった多排出セクターの情報が存在するが、製品の炭素強度や生産量等、利用できるのはごく一部の変数のみである。
    • 「鉄鋼」を例にすれば、「高炉」「電炉」の内訳や、高炉へのCCS導入量、低排出技術への投資額、輸出入量といった情報は存在しない。産業部門の主要なセクターについては、技術や変数の分解能を向上することにより、分析者がシナリオを元に、移行経路を詳細に検証できるようにできることが望ましい。
    • また、NGFSシナリオ(第2版)と我が国の政策との比較では、Net Zero 2050 では、IAMによる計算結果と第6次エネルギー基本計画の想定の間で、粗鋼生産量やセメント生産量に大きな開きがあった。要因の1つとして、NGFSシナリオにおける炭素価格の影響が考えられるが、NGFSに報告されている数字だけでは検証が困難である。産業部門の主要なセクターについては、生産量(活動量)の算出根拠や妥当性についても、輸出入量も踏まえた検証が必要である。
    • 生産量は、炭素価格と併用されうる国境炭素調整(border carbon adjustment)次第で大きく変動する。現在、EUは域内排出量取引制度(EUETS)と連動する国境炭素調整の導入を検討しており、今後、IAMの分析においても、現実の動きを踏まえ、国境炭素調整をモデル化することが望ましい。
  • 産業以外の部門
    • NGFSシナリオ(第2版)では、民生部門・運輸部門でもCO2排出量やエネルギー需要といった変数が報告されているが、産業部門と同じく、変数の種類は限られ、個別技術の分解能も低い。これらの変数については、IAMで分解能を向上させることも考えられるが、一方で、分析者が外部のデータやモデルを用いて、必要な情報を補足することも検討すべきである。中央銀行・金融監督当局の利用例では、英BoE(2021)が新車販売に占める自動車の車種別の割合を補足していた(BoE,2021)。
    • IAMは温室効果ガスの排出制約のもとで、経済・社会・技術の変化を整合的に記述するものであるが、モデルの複雑性が増加するほど、計算は困難になる。NGFSは、IAMの改良だけでなく、IAMを補足するアプローチについても指針や事例を示すことが期待される。
  • 新技術や新たな科学的知見の統合
    • NGFSは定期的にシナリオを更新する予定であり、技術進歩や気候科学の最新の知見が反映させることが期待される。
    • 気候変動の緩和における重要な技術の1つであるが、NGFSシナリオ(第2版)に反映されていないものの1つが、大気中直接CO2回収・貯留技術(DACCS)である。NGFSシナリオ(第2版)では、CO2除去技術としてバイオマスを用いるBECCSと植林が含まれているが、これらはいずれも土地利用の制約を受けるため、導入量に限界がある。DACCSは、コストやエネルギー需要の制約があるものの、CO2排出削減とCO2除去のバランスを変化させる可能性がある。
    • また、2021年から2022年にかけて、IPCC第6評価報告書(IPCCAR6)が公表されている。ここでは、最新の気候科学の知見に基づいて、CO2排出量と温度上昇の関係が更新されている。NGFSシナリオは、可能な限り、これらの最新の科学的知見を統合することが望ましい。

~NEW~
消費者庁 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による消費行動の変化等に関する研究プロジェクト 令和2年度アンケート調査結果
▼【全体版】 令和2年度アンケート調査結果
  • マスクなど不足していた物の買物の経験について、「あった(『何度もあった』+『2・3度あった』+『一度だけあった』)」と回答した人の割合が高い順に見ると、「心配で、手元にあってもさらに買った」が57.5%(7.9%+22.9%+26.7%)と最も高く、次いで、「とにかく手に入れようと、複数の店を渡り歩いた」が40.5%(8.3%+16.5%+15.7%)、「離れて住む家族・親戚や友人の分も手に入れた」が34.1%(3.5%+10.5%+20.0%)であった
  • 品薄になった商品の購入で経験したことについて、「あった(『何度もあった』+『2・3度あった』+『一度だけあった』)」と回答した人の割合が高い順に見ると、「商品の機能・品質が思っていたよりも悪かった」が37.1%(2.8%+10.7%+23.6%)と最も高く、次いで、「高額な商品や転売品ばかりで、買えなかった」が26.1%(9.0%+9.1%+8.0%)、「説明・表示と実際の内容がかなり違っていた」が14.5%(0.8%+3.7%+10.0%)であった
  • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大前、緊急事態宣言の期間、回答時現在と時点を分け、自宅で何人分の食事の支度をしていたかについて、「朝食」、「弁当づくり」、「夕食」は、いずれの期間も大きな変化は見られなかった一方、「昼食」は、緊急事態宣言の期間に食事の支度量が増えている
  • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大前、緊急事態宣言の間、先月(2020年12月)と時点を分け、食料品と日用品の購入金額のうちとくしま生協(宅配)で購入した割合は、いずれの時点も「半分以下(2~4割)」が最も高く、緊急事態宣言の間と先月ではコロナ前と比較して「ほぼ全て(8~10割)」、「半分以上(5~7割)」が増加している
  • 感染拡大以前と比べた緊急事態宣言の前後(2020年4~5月)について、「減った(『とても減った』+『やや減った』)」と回答した人の割合が高い順に見ると、「友人・知人との交流時間」が80.3%(53.8%+26.6%)と最も高く、次いで、「買物の頻度」が53.6%(15.5%+38.1%)、「運動や体を動かす時間」が42.5%(14.8%+27.7%)であった
  • 感染拡大以前と比べた回答時現在(2021年1月)について、「減った(『とても減った』+『やや減った』)」と回答した人の割合が高い順に見ると、「友人・知人との交流時間」が79.4%(52.9%+26.5%)と最も高く、次いで、「買物の頻度」が48.2%(12.2%+36.0%)、「運動や体を動かす時間」が39.2%(13.4%+25.8%)であった
  • 普段と比べた買物量の変化について、「買えなかった(『買えなかった』+『少ししか買えなかった』)」と回答した人の割合が高い順に見ると、「マスク」が29.8%(13.2%+16.6%)と最も高く、次いで、「除菌・消毒剤」が27.8%(11.8%+16.0%)、「小麦粉、ホットケーキミックス」が16.5%(5.6%+10.9%)であった
  • 食料品・日用品の購入で、とくしま生協(宅配)以外に利用する場所について、「スーパーマーケット(生協以外)・ショッピングモール」が89.6%と最も高く、次いで、「ドラッグストア」(72.7%)、「コンビニエンスストア」(35.3%)であった。また、その中で最も利用している場所は、「スーパーマーケット(生協以外)・ショッピングモール」が75.0%と最も高く、次いで、「ドラッグストア」(8.1%)、「とくしま生協のスーパーマーケット」(2.6%)であった
  • 生活必需品の備蓄状況について、「4日分以上(『2週間分以上』+『1~2週間分』+『4日~1週間分』)」と回答した人の割合が高い順に見ると、「トイレットペーパー」が95.5%(71.8%+17.6%+6.0%)と最も高く、次いで、「マスク」が94.8%(77.2%+11.8%+5.8%)、「衛生用品(石鹸・歯磨き粉など)」が94.2%(74.8%+14.5%+5.0%)であった
  • 自宅で災害用に備えているものは、「懐中電灯」が87.6%と最も高く、次いで、「乾電池・バッテリー」(65.9%)、「非常用持ち出し袋」(56.3%)であった
  • 食品や日用品の備蓄について、「当てはまる(『当てはまる』+『やや当てはまる』)」と回答した人の割合が高い順に見ると、「期限の確認や、買替えが面倒で続かない」が52.9%(16.5%+36.4%)と最も高く、次いで、「必要な分量がどれだけなのか分からない」が46.2%(10.3%+35.9%)、「種類が多く、何を備蓄したらよいか分からない」が38.4%(7.6%+30.9%)であった
  • 生活に身近な情報への関わりについて、「する(『いつもする』+『よくする』)」と回答した人の割合が高い順に見ると、「ウマい話を聞いたら、疑ってかかる」が64.7%(29.6%+35.2%)と最も高く、次いで、「いつの情報なのか、日時を確認する」が44.6%(14.0%+30.6%)、「信じてよい情報かどうか、情報源を確認する」が29.8%(6.3%+23.6%)であった
  • 普段の行動について、「当てはまる(『当てはまる』+『やや当てはまる』)」と回答した人の割合が高い順に見ると、「マスコミで取り上げられた商品はすぐ試したくなる」が26.5%(3.6%+22.9%)と最も高く、次いで、「無料だったり返金保証があるならいろいろ試してみたい」が17.5%(3.4%+14.1%)、「専門家や肩書がすごい人の意見には従ってしまう」が14.7%(1.2%+13.5%)であった
  • 新型コロナウイルス感染症の感染について、参考にしている情報は、「新聞・テレビ等の報道」が95.5%と最も高く、次いで、「ネットニュースサイト」(51.1%)、「友人・知人・家族」(47.1%)であった。また、そのうちで最も重視している情報は、「新聞・テレビ等の報道」が77.5%と最も高く、次いで、「ネットニュースサイト」(8.9%)、「行政による情報(広報誌、ポスター、ウェブサイト等)」(6.2%)であった
  • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大について不安に思うことは、「当てはまる(『当てはまる』+『やや当てはまる』)」と回答した人の割合が高い順に見ると、「家族の健康や感染したときのこと」が93.9%(77.3%+16.6%)と最も高く、次いで、「自分の健康や感染したときのこと」が93.7%(75.1%+18.6%)、「感染拡大がいつ収まるのか分からないこと」が92.4%(69.6%+22.7%)であった
  • 自宅で何人分の食事の支度をしていたかについて、「夕食」が2.79人分と最も高く、次いで、「朝食」(2.46人分)、「昼食」(1.34人分)であった
  • 日々の食事の支度をどの程度ご自身で行っているかについて、「ほぼ全て(8~10割)」が72.4%と最も高く、次いで、「半分以上(5~7割)」(14.5%)、「半分以下(2~4割)」(8.1%)であった
  • 新型コロナウイルス感染拡大以前(2020年2月以前)と比べた回答時現在(2021年7月)の生活の変化について、「減った(『とても減った』+『やや減った』)」と回答した人の割合が高い順に見ると、「友人・知人との交流時間」が80.8%(49.9%+30.8%)と最も高く、次いで、「買物の頻度」が48.1%(9.8%+38.3%)、「運動や体を動かす時間」が38.1%(9.7%+28.4%)であった
  • 少なくとも3日分以上必要とされる食料品の備蓄状況について尋ねた。「4日分以上(『2週間分以上』+『1~2週間分』+『4日~1週間分』)」と回答した人の割合(図中の赤枠に該当)が高い順に見ると、「主食に調理できる食材(米、乾麺など)」が75.6%(39.8%+14.9%+21.0%)と最も高く、次いで、「すぐに食べられるおかず(缶詰、レトルト食品、冷凍食品など)」が45.9%(6.2%+12.5%+27.2%)、「水・飲料」が40.4%(7.8%+9.8%+22.9%)であった
  • 4週間分が目安とされる生活必需品の備蓄状況について尋ねた。「4週間分以上」と回答した人の割合(図中の赤枠に該当)が高い順に見ると、「マスク」が55.9%と最も高く、次いで、「トイレットペーパー」が50.2%、「衛生用品(石鹸・歯磨き粉など)」が50.1%であった
  • 自宅で災害用に備えているものは、「懐中電灯」が89.0%と最も高く、次いで、「乾電池・バッテリー」(67.7%)、「携帯ラジオ」(59.7%)であった

~NEW~
消費者庁 簡単な作業をするだけで「誰でも1日当たり数万円を稼ぐことができる」などの勧誘により「副業」の「マニュアル」を消費者に購入させた事業者に関する注意喚起
  • 令和元年から令和3年の夏までにかけて、簡単な作業をするだけで「誰でも1日当たり数万円を稼ぐことができる」などというLINE
  • のメッセージによる勧誘を受け「副業」の「マニュアル」を購入してしまったが、実際の「マニュアル」に記載された「副業」の内容は告げられたものとは異なっていたなどという相談が、各地の消費生活センター等に数多く寄せられています。
  • 消費者庁が調査を行ったところ、株式会社サポート(以下「サポート」といいます。)及び個人事業主5名(以下「本件6事業者」といいます。)が、消費者の利益を不当に害するおそれのある行為(不実告知及び断定的判断の提供)を行っていたことを確認したため、消費者安全法(平成21年法律第50号)第38条第1項の規定に基づき、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を公表し、消費者の皆様に注意を呼びかけます。また、この情報を都道府県及び市町村に提供し、周知します
  • 具体的な事例の内容
    • 本件6事業者が販売した「マニュアル」は、一部の重複を除いてそれぞれ内容が異なりますが、消費者に「マニュアル」を購入させる手口はほとんど同じであり、概要は次のとおりです。
      1. リスティング広告により「副業」の「ランキングサイト」等へ誘導されます
        • 消費者がスマホやパソコンを用いて、検索サイトで「副業」などと検索すると、本件6事業者が紹介する「副業」の広告が表示されます。消費者が広告内のリンクをクリックすると、「副業」の「ランキングサイト」にアクセスします。
      2. 育児中の母親と称するLINEアカウント等とのトークへ誘導されます
        • 消費者が、前記(1)の「副業」の「ランキングサイト」内から、LINEの友だち登録のバナーをクリックし友だち登録をすると、育児中の母親であると名乗る者のLINEアカウント(以下「勧誘LINEアカウント」といいます。)等とのトークに誘導され、勧誘LINEアカウントからメッセージが送信されてきます。なお、本件6事業者は、一部の事業者を除き、それぞれ、勧誘LINEアカウントを複数使用していました。
      3. 勧誘LINEアカウントから稼げる「副業」を紹介すると勧誘するメッセージが送信されてきます
        • 本件6事業者はそれぞれ、勧誘LINEアカウントから、消費者に対し、簡単な作業で稼げる「副業」を紹介すると勧誘するメッセージを送信し、この「副業」に興味を持った消費者に対して、この「副業」を行うためには、「マニュアル」を購入する必要があると伝え、「マニュアル」の料金として2万円前後の代金を支払わせるよう仕向けます。
        • 勧誘のメッセージの内容は別紙2のとおりであり、「マニュアル」を購入すれば1日数分の簡単な作業をするだけで誰でも1日当たり数万円を稼ぐことができる「副業」を行うことができるなどと勧誘していますが、具体的にどのような作業を行うものであるかは明かされません。
      4. 提供される「マニュアル」に記載された「副業」の内容は、勧誘LINEアカウントのメッセージによる勧誘の際の「副業」の内容と異なっていました
        • 消費者が、前記(3)のメッセージによる勧誘に興味を持ち、「マニュアル」を購入し代金を支払うと、「マニュアル」を閲覧するためのURLが勧誘LINEアカウントから送信されてきます。
        • 消費者は、そのURLをクリックして「マニュアル」を読みますが、そこに記載されていた「副業」の内容は別紙3のとおりであり、前記(3)の勧誘LINEアカウントのメッセージによる勧誘の内容と異なった内容でした。
      5. 代金の後払いを選択した消費者に対し、訴訟を提起すること等を示唆して支払を催促するメッセージが送られてくることがあります
        • 代金の支払に当たり、勧誘LINEアカウントから、先払いとするか後払いとするかを問われます。代金の後払いを選択した消費者には、代金を支払わない場合は、「裁判を起こす」、「金融事故扱いとなり全ての信用情報機関に登録される」、「被害届を提出する」などと示唆して、消費者に「マニュアル」の代金の支払を強く催促するメッセージが送られてくることがありました。
  • 消費者庁が確認した事実
    1. 不実告知
      • 本件6事業者は、それぞれ「副業」の「マニュアル」を販売するに当たり、前記2(3)のとおり、勧誘LINEアカウントから送信する勧誘メッセージにおいて、あたかも、1日数分の簡単な作業をするだけで相当の稼ぎを得られる「副業」であるかのように勧誘していましたが、実際に提供していた「マニュアル」に記載されていた「副業」の内容は別紙3のとおりであり、勧誘時の説明と異なるものでした。
    2. 断定的判断の提供
      • 別紙3のとおり、消費者に対し、簡単な作業をするだけで「誰でも1日当たり数万円を稼ぐことができる」と勧誘していましたが、当該金額を稼げるかどうかは、自身で用意した情報が売れるか否か、自身が提供した役務の出来等の事情によって左右されるものであって不確実なものでした。
    3. 本件6事業者の「マニュアル」販売に関与する会社について
      • 本件6事業者の集客のためのリスティング広告の掲載には、「株式会社USグループ」という会社が関与していました。同社は、本件6事業者のうち一部の事業者の「マニュアル」の販売に関して、勧誘LINEアカウントから消費者に送信するLINEメッセージについてアドバイスを行ったり、消費者の「マニュアル」の代金の支払先となるなど、「マニュアル」の販売に深く関与していました。
  • 消費者庁から皆様へのアドバイス
    1. 具体的な仕事内容を一切明らかにせず「副業」を行うための「マニュアル」を売りつけようとする事業者には注意しましょう
      • コロナ禍の影響により本業の収入が減るなどして、「副業」に興味を持つ消費者が増加していると考えられますが、インターネット上には、そのような消費者に対して、具体的な仕事内容を一切明らかにせず、簡単な作業をするだけで誰でも稼ぐことができるなどと勧誘し、「副業」を行うためには「マニュアル」等が必要であるとして情報商材を売りつけようとする事業者が多数みられますので注意しましょう。
      • これまでの消費者庁などによる調査、消費生活センターに寄せられた相談の内容によれば、インターネット上で販売される「副業」の「マニュアル」等の情報商材を購入すれば、簡単な作業を短時間するだけで誰でも1日数万円を稼ぐことができる、ということはまずあり得ません。
    2. 実際には初期費用が掛かるにもかかわらず、掛からないと勧誘をしてくる事業者には注意しましょう
      • 「副業」を行うか否かを判断するに当たって、最初にどのような費用が掛かるかという点は重要な考慮要素となります。この初期費用について、最初は、一切掛からないなどと勧誘していたにもかかわらず、興味を持って話を聞いてみると、「マニュアル」等の購入費用が掛かるということを後から説明されることがあります。
      • また、「費用については副業の収益が出た後の後払いでも構いません」などと説明し、実際に「マニュアル」を見た消費者が、最初に説明されていた「副業」の内容と全く異なることを理由にキャンセルを申し出ても、キャンセルできないと主張し、代金を支払わせようとすることもあります。
      • この初期費用に関する説明のように、事業者の説明に事実と異なる点があったり、事業者の説明に違和感を覚えた場合は注意しましょう。
    3. 「副業」に関して被害に遭ったらあきらめずにすぐに「188(いやや!)」へ電話してみましょう
      • 本件では、消費者が消費生活センターに相談し、消費生活センターのあっせんにより「マニュアル」の代金を取り戻すことができたという事例や、「副業」についての広告や勧誘の内容と実際に「マニュアル」に記載されていた副業の内容が異なっていたことを理由に、代金を支払うよう強く催促するメッセージに応じず、代金を支払わないで済んだという事例が複数確認されています。
      • 「副業」の「マニュアル」を購入してしまった場合でも、代金を取り戻すことができる、又は代金を支払わずに済む可能性があるので、金額の多寡にかかわらず、あきらめずに「188(いやや!)」へ電話して相談してみましょう(最寄りの消費生活センターに繋がります。)。

~NEW~
消費者庁 第2回 景品表示法検討会(2022年4月14日)
▼【資料2】第1回検討会における主な御意見の概要
  1. 景品表示法を取り巻く社会環境の変化への対応に関するもの
    1. ステルスマーケティング等
      • ステルスマーケティング等への対応として、必ずしも違反認定をして命令を行うという枠組みに捉われることなく、何ができるかを検討することが必要ではないか。
      • アフィリエイトサイト、ステルスマーケティング、サクラレビューなど、商品・役務の供給主体が表示を行うという前提が崩れており、対応策を検討する必要があるのではないか。また、プラットフォーム提供者の責任もポイントとなるのではないか。違反要件のうち、特に供給主体性についての検討が必要ではないか。
      • イーコマース、キャッシュレスなどデジタル化が進展しているところ、景表法がそれに追いついていない部分もあるのではないか。デジタル分野の景表法の規制について事業者の予測可能性が十分とはいえない部分があるのではないか。
      • 最近は、特にインターネット上ではダークパターンと呼ばれる人間の認識や決定を誘導する技術が利用されており、対応策を検討する必要があるのではないか。
      • インターネット取引におけるトラブルの多くが、表示・広告を誤認したことによるものというのが消費者相談現場の実感である。
    2. プラットフォーム
      • プラットフォーム上で行われる不当表示について、全ての事業者の不当表示に行政が対処することは困難なので、プラットフォーム提供者を通じた普及啓発なども必要ではないか。
  2. 厳正・円滑な法執行の確保及び不当表示等の早期是正等のための方策に関するもの
    1. 命令以外の対応
      • ステルスマーケティング等への対応として、必ずしも違反認定をして命令を行うという枠組みに捉われることなく、何ができるかを検討することが必要ではないか(再掲)。
    2. 課徴金制度
      • 課徴金制度の運用における問題点の有無を明らかにし、実効的かつ望ましい姿を検討してはどうか。
    3. 執行の連携等
      • 健康食品などについては、薬機法や健康増進法との執行連携も必要ではないか。消費者被害の回復の観点では、不当表示事案において、景品表示法のみならず、不実告知に基づく契約取消権の規定もある特商法との執行連携が重要ではないか。
      • 消費者被害を防ぐための消費者教育は重要だが限界もあるので、事業者による適切な措置、行政による規制・執行の強化、景表法と特商法などとの強い執行連携も必要ではないか。
    4. 海外法人に対する調査・法執行
      • 海外法人への執行権限の強化が必要ではないか。現状のインターネット環境等を踏まえると、日本国内に拠点を置かずに事業を行っている事業者も多い。国内に事業者の拠点がないと調査・執行が行えず、当該事業者が野放しになってしまうとしたら問題ではないか。
    5. 誤認解消措置(一般消費者への周知)の方法)
      • 現在の誤認解消措置として承認されている周知方法である、日刊新聞紙への掲載は、デジタル化が進展している現在の社会環境を踏まえ、見直す必要があるのではないか。
    6. 管理上の措置
      • 事業者が講ずべき管理上の措置については、ホテル・レストランのメニュー偽装問題を契機として作られたため、別添資料ではそれに関連する例示が多いが、様々な業種・分野に馴染むようなものにし、より多くの事業者の体制整備を促進してはどうか。
      • 広告主によるアフィリエイター等の管理に限界があると認められる場合には、広告主体・表示主体の拡大も視野に入れた見直しも必要ではないか
  3. その他
    1. 見直しの視点等
      • 法改正ありきではなく、どのような目的のために、どのような手段を用いるのが適切なのかを十分に検討する必要があるのではないか。故意により不当表示を行う悪質業者だけでなく、過失により不当表示を行い、処分を受けた事業者もある。経済成長という観点からも、過度に事業活動を委縮させない観点も必要ではないか。
      • 現場で何が起こっているのかを把握するために、中小企業を含む事業者からもヒアリング等を行ってはどうか。
    2. 適格消費者団体との連携
      • 適格消費者団体は景品表示法違反に対する差止め請求ができるが、消費者庁との協働・連携はどうなっているのか。
    3. 都道府県の執行
      • 都道府県にも措置命令権限が付与されたが、都道府県の中には、執行件数が少ないところもあるのではないか。
    4. 被害回復策
      • 効率的な法執行と抑止力の向上のために、違法収益を用いた被害回復の促進策についても検討してはどうか。
    5. 公正競争規約
      • 公正取引委員会から消費者庁に所管が移り、「公正競争規約」から「協定又は規約」に名称が変更されたが、今でも「公正競争規約」が一般的に使用されており、「協定」、「規約」のみでは意味が分からないので、名称を変更することを検討してよいのではないか

~NEW~
国民生活センター SNSでPRをすれば商品代金やサービス利用料が無料になる?!-「キャッシュバックで実質無料」「自己負担なし」などの勧誘に注意-
  • SNSの投稿で商品やサービスをPRすれば、後からキャッシュバックを受けることができ、一切の負担なくそれらを利用できるなどと勧誘して商品等の契約をさせる手口について、全国の消費生活センター等に相談が寄せられています。
  • 相談事例をみると、「商品等をPRしているのにキャッシュバックが振り込まれない」「費用はかからないと聞いていたのに、後から請求を受けた」など、勧誘時の説明とは異なり、商品代金やサービス利用料等が消費者の負担となり、トラブルになっています。
  • そこで、トラブルの未然・拡大防止のために、消費者に向けて注意喚起を行います。
    • 消費者のSNSにダイレクトメールが届き、「SNSでPRをすれば実質無料でWi-Fiを利用できる」などと勧誘される。
    • キャッシュバック等の説明を受け、消費者が自分の名義でWi-Fi等の商品を契約する。
    • 消費者がWi-Fi等の商品を受け取り、SNSでPRをする。
    • キャッシュバックが振り込まれなかったり、事前に聞いていない費用が発生し、商品代金やサービス利用料等が消費者の負担になる。
  • 相談事例
    1. モバイルWi-Fiとタブレット端末をPRすれば、実質無料で利用できると勧誘されたが、キャッシュバックが一度も振り込まれない
      • 昨年の秋頃、私の画像専用SNSのアカウントに、「モバイルWi-Fiが無料で使えるモニターに興味があれば、無料通話アプリで連絡してほしい」とのダイレクトメールがA社から届いた。ちょうどモバイルWi-Fiを使いたいと思っていたので、無料通話アプリのアカウントを追加登録すると、担当者からURL付きのメッセージが届いた。B社のモバイルWi-Fiとタブレット端末を契約して使い、SNSでPRすれば、A社からそれらの月額利用料金がキャッシュバックされるため、実質無料になるとのことだった。A社の担当者から引き続き説明を受け、添付のURLから開いたサイト内でクレジットカード情報の入力等をした。その後Wi-Fiルーターやタブレット端末が届き、クレジットカードから11月に約1万2,000円、12月に約8,000円が引き落とされた。しかし、商品をPRしているのに、A社からのキャッシュバックが一度も振り込まれない。無料通話アプリで問い合わせてみたが明確な回答をもらえない。どうしたらよいか。
    2. その他、以下のような相談も寄せられています。
      • スマートスピーカーのPRを依頼され、料金の負担はないと聞いていたが、商品が届かないまま利用料金がクレジットカードで決済された
      • PRすれば無料で受講できるオンライン講座で、別途商品の購入が条件になっていた
  • アドバイス
    1. 「キャッシュバックで実質無料」「自己負担なし」などと言われても安易に契約しないようにしましょう
      • キャッシュバックを前提に、まずは消費者の名義で商品やサービスを契約するよう指示されています。また、費用の負担はないと言われていても後から請求されたり、別の商品等の購入を勧められることもあります。SNSのメッセージ等で勧誘されても、安易に契約せず、慎重に判断してください。
    2. 商品やサービスによっては違約金や端末代金の残債等解約にかかる費用が大きくなります
      • キャッシュバックが入金されず、購入金額がそのまま残ったり、月額利用料金の支払いだけが続くトラブルが目立ちます。支払いが難しくなり解約を申し出ると、違約金を請求されることもあります。
      • なお、Wi-Fiのルーターやタブレット端末等を割賦で購入している場合は、解約時に残債を一括で請求されることがあります。請求金額を支払わないままでいると、信用機関に事故情報として登録されてしまう恐れがあり、登録されると、新たなクレジットカードの申込みや各種ローンの審査が通らなくなるなどの影響があります。
    3. 不安に思った場合やトラブルになった場合はすぐに最寄りの消費生活センター等に相談しましょう
      • 消費者ホットライン「188(いやや!)」番
      • 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。

~NEW~
国民生活センター 【若者向け注意喚起シリーズ<11>】電気代が安くなる!?電力契約の訪問販売トラブル
  • 2016年から電力の小売りが全面自由化され、従来の地域の電力会社以外の電力事業者と自由に契約できるようになりました。しかし、訪問してきた事業者の担当者が、「電気代が安くなる」等といって検針票を見せるように迫ったり、「マンション(アパート)全体で契約先の電力会社が当社に変更になる」と事実と異なる説明をしたりして、電力の契約を迫るという相談が寄せられています。中には、検針票を見せただけで、意図せず契約先の電力会社が変更されていたという相談も寄せられています。
  • 契約先事業者が確認できない場合や契約内容が理解できない場合には、その場で契約しないでください。一人暮らしなどで転居し、新生活が始まるこの時期にも十分注意が必要です。
  • 全国の消費生活センター等には、以下のような相談が寄せられています。
  • 相談事例
    • 【事例1】大手電力会社からの委託と名乗り、検針票を見せるように言われた
    • 【事例2】マンション全体で契約する電気会社が変わると言われた
  • トラブル防止のポイント
    1. このフレーズの勧誘があった際は要注意!
      • 「大手電力会社の委託を受けている」と言われたら…
        • 訪問してきた会社の社名や連絡先等の情報や訪問の目的、電力契約をどこと結ぶのかを必ず確認してください。
      • 「電気代が安くなる」と言われたら…
        • 契約プランによっては、現在よりも電気料金が高くなる可能性もあります。現在の契約と必ず比較検討しましょう。
      • 「このマンション全体の契約が切り替わる」と言われたら…
        • マンション・アパートの管理会社や大家さん等に連絡して、事実かどうかを必ず確認しましょう。
      • 「検針票を見せて」と言われたら…
        • 検針票の情報がわかれば電力契約の手続きができてしまいます。検針票の取り扱いには十分注意してください。
    2. 訪問販売で契約した場合、クーリング・オフができます
      • 事業者から訪問を受けて契約した場合、特定商取引法に定める書面を受け取った日から数えて8日以内であればクーリング・オフ(無条件での契約解除)をすることができます。意図しない契約をしてしまった場合には、速やかに書面でクーリング・オフを申し出てください。
    3. 不安に思った場合やトラブルになった場合は早めに消費生活センター等に相談しましょう

~NEW~
国民生活センター ウクライナ情勢を悪用した手口にご注意!(No.2)-貴金属の訪問購入トラブル等-
  • ウクライナ情勢を悪用した消費者トラブルが引き続き生じていますので、注意してください。
  • 相談事例
    1. 「ウクライナに送る冬物の衣類を買い取りたい」という勧誘の電話があり了承したら、来訪した事業者に貴金属を見せろと言われた
      • ウクライナの戦地に送る冬物の衣類を買い取りたいと、訪問購入業者から自宅に勧誘の電話があった。寒い地域の避難民に役立ててもらえればと思い、冬物の衣類をまとめて来訪を待っていたが、来訪した訪問購入業者に「冬物衣類はいらないので貴金属を見せてほしい」と言われた。我が家に売れるような貴金属はないと断り、冬物の衣類を戦地に届けてほしいと頼むと、衣類は別のトラックで夕方以降取りに来ると言い残して退去した。しかし結局引き取りのトラックが来ることはなく、ウクライナ情勢を悪用した手口だと感じた。(2022年3月受付 40歳代 女性)
    2. 「コロナやウクライナ侵攻の影響により売り上げが激変したため協力してほしい」と電話で海産物の勧誘を受けて注文したが、クーリング・オフしたい
      • 先日「以前、海産物を頼まれた伝票をもとに電話をかけている。コロナやウクライナ侵攻の影響により売り上げが激変したため、協力してもらえないか」と北海道の事業者と名乗る電話があり、断り切れず海産物を注文した。本日商品が届き代引きで支払ったが、冷静になってみると商品は北海道の商品ではなく、金額も高いのでクーリングオフの手続きをしたい。(2022年3月受付 30歳代 女性)
  • 消費者へのアドバイス
    • 上記のような手口のほかにも、今後、ウクライナ情勢に関連した様々なパターンのトラブルが生じる可能性がありますので、十分に注意してください。
    • 少しでもおかしいと思ったら、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください。

~NEW~
厚生労働省 「自殺総合対策の推進に関する有識者会議」の報告書について
▼「自殺総合対策の推進に関する有識者会議」報告書(概要)
  • 大綱見直しの趣旨 ~誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現に向けた更なる推進~
    • 自殺者数は基本法が成立した平成18年と、コロナ禍以前の令和元年とを比較すると男性は38%減、女性は35%減となっており、関係者によるこれまでの取組みに一定の効果があったと考えられるが、依然として、自殺死亡率は先進国の中で高い水準にあり、また、令和2年はコロナ禍の影響で様々な問題が悪化したことなどにより、11年ぶりに前年を上回る、深刻な状況。
    • これまでの取組みを基本に置きつつ、新型コロナウイルス感染症の影響など喫緊の課題への対応も含め、今後更に取り組むべき課題を検討し、「大綱見直しに関する意見(ポイント)」において、14の論点に沿って議論の成果を整理
  • 大綱見直しに関する意見(ポイント)
    1. 総論
      1. 関連施策及び関係機関の有機的な連携を図り、総合的な対策を推進
        • 包括的な対応を図る生活困窮者自立支援制度や孤独・孤立対策、子どもへの支援策、地域共生社会の実現に向けた取組みといった関連施策との連携
        • 地域における関係機関の連携と体制の充実
        • 精神科医療、保健、福祉施策との連携
      2. 新型コロナウイルス感染症の影響も踏まえた支援
        • 自殺への影響の更なる分析やICTの活用、社会的セーフティネットの強化
      3. 自殺者及び自殺未遂者、それらの者の親族の名誉及び生活の平穏への配慮
    2. 個別施策
      1. スティグマの解消
        • 「自殺は、その多くが追い込まれた末の死である」ことやゲートキーパーの役割等の普及啓発の推進
      2. 相談体制の充実と、支援策や相談窓口情報等の分かりやすい発信
        • メール・SNS等を用いたインターネット相談窓口の活用、相談員に対する組織的なフォローの実施
        • 個人事業主等への相談支援
      3. 精神科医療につなぐ医療連携体制の強化
        • 医師等と地方公共団体が連携し、多職種でサポートする体制や、多様な医療機関や診療科の連携を推進
      4. 子ども・若者の自殺対策の更なる推進
        • 心の健康の保持に係る教育及び啓発等の更なる推進、及び関係機関の連携等による環境・体制整備
      5. 女性に対する支援
        • コロナ禍における女性支援
        • 妊娠されている方への支援
      6. 勤務問題による自殺対策の更なる推進
        • 過労死防止対策等との十分な連携、及びテレワークの適切な運用を含めた職場におけるメンタルヘルス対策の更なる推進
      7. 遺された人への更なる支援
        • 遺族の自助グループなどと連携した課題解決、及び自死遺族の方から学ぶ機会の確保
      8. インターネット利用への対応
        • サイバーパトロールや検索連動広告といったICTを活用したアウトリーチの取組みの継続実施、及び誹謗中傷の対策強化の検討
      9. 自殺報道等への対応
        • 自殺報道ガイドラインを踏まえた対応の要請
      10. 自殺総合対策の更なる推進に資する調査研究等の推進
        • 疫学的研究や科学的研究も含め、必要なデータやエビデンスの収集の更なる推進
  • 施策の推進体制
    • PDCAサイクルの更なる推進、数値目標の設定
      • 国及び地方公共団体において、エビデンスに基づいた政策となるよう新大綱に基づく施策の実施状況、目標の達成状況等を定量的に把握し、その効果等を評価
      • 令和8年までに自殺死亡率を平成27年と比べて30%以上減少させることとしている現大綱の数値目標を継続(平成27年18.5 ⇒ 令和8年13.0以下)

~NEW~
厚生労働省 第80回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年4月13日)
▼資料1 直近の感染状況等の分析と評価
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約274で、今週先週比が1.06と増加傾向が続いている。年代別の新規感染者数は10代以下で減少傾向に転じる一方、50代以上で増加傾向が見られる。
    • 全国の新規感染者数の増加傾向に伴い、療養者数も増加傾向が続いている。一方、これまでの新規感染者数減少の動きに伴い、重症者数及び死亡者数は減少が継続している。
    • 実効再生産数:全国的には、直近(3/27)で1.03と1を上回る水準となっており、首都圏、関西圏ともに1.02となっている。
  • 地域の動向 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。
    • 北海道 新規感染者数は今週先週比が1.13と1を上回り、約283(札幌市約351)。20代以下が中心。全ての年代で増加し、特に40代以下の増加が顕著。病床使用率は1割強。
    • 北関東 茨城の新規感染者数は今週先週比が0.98と1を下回り、約299。20代以下が中心。病床使用率は約2割。群馬でも今週先週比が0.91と1を下回り、新規感染者数は約187。栃木では今週先週比は1.02と1を上回り、新規感染者数は約233。病床使用率について、栃木では2割強、群馬では約3割。
    • 首都圏(1都3県) 東京の新規感染者数は今週先週比が1.01と1を上回り、約378。30代以下が中心。全ての年代で増加し、特に10歳未満及び20-30代の増加が顕著。病床使用率、重症病床使用率はいずれも2割強。神奈川でも今週先週比が1.02と1を上回り、新規感染者数は約295。埼玉、千葉では今週先週比がそれぞれ0.98、0.97と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ約329、292。病床使用率について、埼玉では3割強、千葉では2割強、神奈川では3割弱。
    • 中京・東海 愛知の新規感染者数は今週先週比が1.05と1を上回り、約244。20代以下が中心。全ての年代で増加し、特に10歳未満及び20-30代の増加が顕著。病床使用率は2割強。岐阜、三重でも今週先週比がそれぞれ1.14、1.10と1を上回り、新規感染者数はそれぞれ約215、241。静岡では今週先週比が0.93と1を下回り、新規感染者数は約181。病床使用率について、岐阜では3割弱、静岡では1割強、三重では2割強。
    • 関西圏 大阪の新規感染者数は今週先週比が1.12と増加に転じ、約315。30代以下が中心。全ての年代で増加し、特に40代以下の増加が顕著。病床使用率は2割強、重症病床使用率は約2割。兵庫、奈良、和歌山でも今週先週比がそれぞれ1.05、1.26、1.31と1を上回り、新規感染者数はそれぞれ約241、226、217。滋賀、京都では今週先週比がそれぞれ0.88、0.99と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ約200、248。病床使用率について、滋賀、京都、兵庫、奈良では2割強、和歌山では3割強。重症病床使用率について、奈良では約2割。
    • 九州 福岡の新規感染者数は今週先週比が1.11と1を上回り、約337。20代以下が中心。全ての年代で増加し、特に10-40代の増加が顕著。病床使用率は2割強。佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎でも今週先週比がそれぞれ1.18、1.33、1.21、1.13、1.36と1を上回り、新規感染者数はそれぞれ約356、200、257、273、352。鹿児島では今週先週比が0.97と1を下回り、新規感染者数は約289。病床使用率について、佐賀、大分では2割強、長崎では2割弱、熊本では3割弱、宮崎では約2割、鹿児島では3割強。
    • 沖縄 新規感染者数は今週先週比が1.22と1を上回り、約603と全国で最も高い。30代以下が中心。全ての年代で増加し、特に10代以下及び30-40代の増加が顕著。病床使用率は4割強。
    • 上記以外 青森、岩手、秋田、福島、新潟、山梨、長野、岡山、広島、香川、愛媛の新規感染者数はそれぞれ約278、198、227、225、240、200、233、222、272、228、160。病床使用率について、青森、秋田、長野、岡山、愛媛では2割強、岩手、山梨では約3割、福島では3割強、新潟では2割弱、広島では3割弱、香川では約2割。重症病床使用率について、愛媛では約2割。
  • 今後の見通しと必要な対策
    1. 感染状況について
      • 新規感染者数は、全国的にみれば、直近1週間の移動平均は2週間以上にわたり増加している。地域別に見ると、継続的に増加している地域もある一方で、横ばいの地域も見られる。また、昨年末からの感染拡大におけるピークよりもいったんは低いレベルまで減少している地域もある一方で、ピークから十分に減少しないままに上昇に転じている地域もあり、感染状況の推移に差が生じている。特に、岩手県、秋田県、福島県、新潟県、長野県、愛媛県、大分県、宮崎県及び鹿児島県では、直近1週間の移動平均がすでに昨年末からの感染拡大におけるピークを上回り、また、岩手県では直近の今週先週比が1.5となっており、地方における感染拡大にも注意が必要。また、全国で最も高い感染レベルとなっている沖縄県では、3月末から継続的に増加している。
      • 年代別の新規感染者数では、10代以下で減少傾向が見られる一方、50代以上で増加傾向が見られる。一方、東京都、愛知県、大阪府などの大都市のみならず、北海道、新潟県や沖縄県などでは全ての年代で新規感染者数が増加している。特に、沖縄県では高齢者の増加が顕著となっており、今後、他の地域でも高齢者の感染状況を注視していく必要。
      • 感染場所として、20代では飲食店の割合は低下傾向にある一方、職場での感染が約6%と上昇傾向にある(全年齢では約3%)。
      • 現在の感染状況は、大都市部では感染レベルは高いものの増加速度は比較的緩やかであることに対し、一部の地方都市では急速に感染が拡大しており、今後の動向を注視する必要。
    2. 感染の増加要因と抑制要因について
      • 感染状況には、以下のような感染の増加要因と抑制要因の変化が影響するが、現在の感染者数増加には接触機会の増加と、BA.2系統への置き換わりが強く影響していると考えられる。
        1. 接触パターンについて
          • 夜間滞留人口については、地方都市で増加傾向となっている。特に、直近1週間の移動平均がすでに昨年末からの感染拡大におけるピークを上回っている地域のほとんどで増加傾向が見られるため、今後の感染状況への影響に注意が必要。また、都市部では継続的な増加傾向を示していたが、直近の1週間では減少傾向に転じている。
        2. 流行株について
          • BA.2系統への置き換わりが進んでおり、新規感染者の増加要因となりうる。ヨーロッパではBA.2系統への置き換わりが進み、感染の拡大に伴って重症者・死亡者も増加に転じている国もあり(例:英国)、十分な注意が必要。
        3. ワクチン接種等について
          • 3回目接種の主な目的は発症予防・重症化予防である。3回目接種は高齢者で進む一方、若年層では接種率がまだ低いが、これから接種対象になることで接種が進むことが期待される。オミクロン株に対する感染予防効果はデルタ株に比較しても低く、しかも持続期間が短いことに留意が必要。3回目接種の感染予防効果も時間経過に伴い今後減弱していくことが予想。また、これまでの感染による免疫保持については、地域の発生動向に影響する可能性もある。
        4. 気候要因について
          • 気温が上昇していく時期に入り、換気を行いやすい気候条件になる。屋内で過ごすことが減ることも感染者抑制には一定の効果があると考えられるが、昨年のこの時期に感染が拡大したことには留意が必要。
    3. 医療提供体制について
      • 全国的なこれまでの新規感染者数の減少に伴い、地域差はあるものの、病床使用率は低下傾向が継続してきたが、広島県、鹿児島県や沖縄県など新規感染者数が増加傾向にある地域においては、足下で病床使用率の増加が見られる。また、自宅療養者・療養等調整中の数についても、東京都や沖縄県を含め複数の地域で増加を続けている。
      • 救急搬送困難事案について、非コロナ疑い事案及びコロナ疑い事案ともにさらに減少傾向が続き、昨年夏のピークを下回った。しかし、一部には増加に転じている地域もある。
    4. オミクロン株による感染拡大を踏まえた取組
      1. サーベイランス等
        • 発生動向把握のため、実効性ある適切なサーベイランスの検討が必要。また、変異株監視体制について、BA.1系統からBA.2系統への置き換わりに関し、ゲノムサーベイランスで動向の監視を継続することが必要。さらに、重症例やクラスター事例等では、変異株PCR検査や全ゲノム解析による確認が求められる。
      2. 自治体における取組
        • 自治体では、オミクロン株による感染の再拡大に備え、検査体制の更なる整備が必要。
        • 地域の感染状況に基づき、必要病床数と医療従事者の確保や自宅療養者に対する訪問診療やオンライン診療体制の構築に引き続き取り組むことが必要。高齢者や基礎疾患のある者など、重症化リスクのある患者を対象とする経口治療薬や中和抗体薬を迅速に投与できる体制の確保も引き続き求められる。また、新型コロナウイルス感染症に罹患しても、基礎疾患の治療が継続できるような体制を整えることが必要。
        • 高齢者施設等における迅速な医療支援体制の強化・徹底が求められる。医療支援体制の構築にあたっては、医療関係部局と介護関係部局が連携し、地域の関係者とも協議しつつ進めていくことが重要。
        • 健康観察等の重点化や患者発生届の処理の効率化など事務連絡に基づき、効率的に保健所業務を実施するとともに、地域に必要な保健所機能を維持するため、外部委託や本庁での一元化による体制を確保する。また、濃厚接触者の特定や待機については、地域の感染状況に応じて、適切な感染対策を行うことを原則としつつ、オミクロン株の特徴や感染拡大の状況を踏まえ、医療機関や高齢者施設などにおける感染事例に重点化することが必要。あわせて、少しでも体調が悪い場合には職場・学校を休める環境を確保することも重要。
        • 地方においても、足下で感染者数が増加している地域がある。いずれの地域においても、上述のような体制整備が必要である。
      3. ワクチン未接種者、3回目接種者への情報提供の再強化
        • 3回目接種率について、65歳以上高齢者では8割を、全体では4割を超えたが、高齢者を中心とする重症者・死亡者を最小限にするため、また同時に、できるだけ発症者を減らすためにも、高齢者及び65歳未満の対象者への3回目の接種を着実に実施し、希望する方にはできるだけ多く接種していただくことが求められている。また、3月25日より、12~17歳も特例臨時接種として実施される3回目接種の対象となった。
        • 自治体では、ワクチン接種に関する情報提供を進めることが重要。未接種者へのワクチン接種とともに、初回接種から6か月以降の3回目接種によりオミクロン株に対してもワクチンの有効性が回復することから、3回目接種を着実に実施していくことも必要。また、ワクチン接種者においては症状が遷延するリスクが低いとの報告がある。
        • 5歳から11歳までの子どもへのワクチン接種については、特例臨時接種として実施されているが、その際、努力義務の規定はこれらの小児について適用しないことを踏まえ、接種を進めていくことが必要。また、小児への感染予防を期待して、保護者や周囲の大人がワクチンを接種することも重要。
      4. 水際対策
        • 海外及び国内の現在の流行状況なども踏まえて水際対策の段階的な見直しを検証していく必要がある。特に、直近の東アジア地域における流行状況には注視が必要。また、入国時検査での陽性者は、海外における流行株監視のため、全ゲノム解析を継続させることが必要。
    5. オミクロン株の特徴を踏まえた感染防止策の強化・徹底
      • 感染が広がっている場面・場所において、オミクロン株の特徴を踏まえた感染防止策の強化・徹底が求められる。
        • 学校・幼稚園・保育所等においては、子どもの感染対策の徹底はもとより、教職員や保育士などに対する積極的なワクチンの接種促進も含め感染対策の再確認と徹底が必要。子どもや職員が少しでも体調が悪い場合は、休暇を取得できる環境を確保することが重要。また、分散登校やリモート授業などの組み合わせによる教育機会の確保や社会機能維持にも配慮する必要がある。あわせて、家庭内での感染対策の徹底も求められる。
        • 高齢者の感染を抑制するため、介護福祉施設における対策の徹底が必要。このため、入所者及び従事者に対するワクチンの3回目接種を進めるとともに、従業者等へは積極的な検査を実施することも必要。また、施設等における感染管理や医療に関して外部からの支援体制を確保し、施設で感染が確認された際には早期に迅速な介入が重要。
        • 職場においては、社会機能維持のため、業務継続計画の活用に加え、企業におけるテレワークの活用や休暇取得の促進等により、出勤者数の削減に取り組むとともに、接触機会を低減することが求められる。また、従業員の体調管理を徹底し、少しでも体調が悪い場合には休暇を取得できる環境を確保することが必要であることに加え、職域におけるワクチンの3回目接種を積極的に進めるべきである。
    6. 現在の感染状況を市民や事業者の皆様と広く共有して、感染拡大防止に協力していただくことが不可欠
      • 現在の新規感染者数は昨年夏のピークよりも高い状況が続いている。また、全国的には緩やかな増加傾向が続き、一部の地方都市では急速に感染が拡大している。したがって、基本的な感染対策を徹底して呼びかけた上で、できるだけ新規感染者数の継続的な増加が起こらないよう、引き続き、市民や事業者の方々には感染リスクの低減に向けた取組にご協力いただくことが必要。
      • ワクチンの3回目接種は、その種類に関わらず、時期が来れば、早めに受けていただくことが重要。新型コロナウイルス感染症に罹患すると、若年者でも重症化することがあり、また、遷延症状が見られる場合もあることから、重症化リスクの高い高齢者はもとより、若年者も自らの健康を守るために接種していただくことが求められる。
      • 行政・事業者・市民の皆様には、オミクロン株においても基本的な感染防止策は有効であることから、不織布マスクの正しい着用、手指衛生、換気などの徹底を継続していただくことが必要。また、三つの密(密集、密閉、密接)が重なるところは最も感染リスクが高いが、オミクロン株は伝播性が高いため、一つの密であってもできるだけ避けることが必要。
      • このため、外出の際は、混雑した場所や換気が悪く大人数・大声を出すような感染リスクの高い場面・場所を避けることが必要。行動はいつも会う人と少人数で。飲食は、できるだけ少人数で黙食を基本とし、飲食時以外はマスク着用の徹底が必要。
      • ご自身やご家族の命を守るため、同時にオミクロン株による感染拡大防止のためにも、軽度の発熱、倦怠感など少しでも体調が悪ければ外出を控えるとともに、自治体等の方針に従って受診や検査をすることが必要。
      • 特に、高齢者をはじめ、重症化リスクの高い方と会う機会がある場合には注意が必要。
      • 年度替わりは、入社や入学の際に人の移動・研修を伴うことが多くなること、また今後、ゴールデンウィークが近づく中で人流や都道府県を越える移動が増えることが予想されることから、引き続き、感染防止策の徹底が必要。
    7. 参考:オミクロン株の特徴に関する知見
      1. 感染性・伝播性
        • オミクロン株はデルタ株に比べ、世代時間が約2日(デルタ株は約5日)に短縮、倍加時間と潜伏期間も短縮し、感染後の再感染リスクや二次感染リスクが高く、感染拡大の速度も非常に速いことが確認されている。なお、報告されているデータによれば、これまでの株と同様に発症前の伝播は一定程度起きていると考えられる。
      2. 感染の場・感染経路
        • 国内では、多くの感染がこれまでと同様の機会(換気が不十分な屋内や飲食の機会等)で起きており、感染経路もこれまでと同様、飛沫が粘膜に付着することやエアロゾルの吸入、接触感染等を介していると考えられている。
      3. 重症度
        • オミクロン株による感染はデルタ株に比べて相対的に入院のリスク、重症化のリスクが低いことが示されているが、現時点で分析されたオミクロン株による感染の致命率は、季節性インフルエンザの致命率よりも高いと考えられる。また、肺炎の発症率についても限られたデータではあるが季節性インフルエンザよりも高いことが示唆されているが、今後もさまざまな分析による検討が必要。今回の感染拡大における死亡者は、昨年夏の感染拡大と比べ、80歳以上の占める割合が高くなっている。感染前の状況として、医療機関に入院中の方や高齢者施設に入所中の方が多いことが示された。侵襲性の高い治療を希望されない場合や基礎疾患の悪化等の影響で重症の定義を満たさずに死亡する方など、新型コロナウイルス感染症が直接の死因でない事例も少なくないことが報告されており、基礎疾患を有する陽性者でコロナ感染による肺炎が見られなくても感染により基礎疾患が増悪することや、高齢の感染者が心不全や誤嚥性肺炎等を発症することにより、入院を要する感染者の増加に繋がることにも注意が必要。
      4. ウイルスの排出期間
        • オミクロン株感染症例におけるウイルスの排出は、時間の経過とともに減少する。有症状者では、発症日から10日目以降において、排出する可能性が低くなることが示された。なお、無症状者では、診断日から8日目以降において排出していないことが示された。
      5. ワクチン効果
        • 初回免疫によるオミクロン株感染に対する発症予防効果は著しく低下する。入院予防効果については、半年間は一定程度保たれているものの、その後50%以下に低下することが報告されている。一方で、3回目接種によりオミクロン株感染に対する感染予防効果、発症予防効果や入院予防効果が回復することや、3回目接種後のワクチン効果の減衰についても海外から報告されている。海外では一部の国で4回目接種が始まっている。有効性・安全性の情報を収集し、国内での4回目接種の必要性や対象者、開始時期などについて検討する必要がある。
      6. BA.2系統
        • 海外の一部地域ではBA.2系統による感染が拡大している。国内におけるオミクロン株は、当初BA.1とBA.1.1の海外からの流入がともにあったものの、その後BA.1.1が多数を占めるに至り、現在も主流となっているが、BA.2系統も検疫や国内で検出されており、現在、BA.2系統への置き換わりが進んでいる。このため、今後、感染者数の増加(減少)速度に影響を与える可能性がある。なお、BA.2系統はBA.1系統との比較において、実効再生産数及び二次感染リスク等の分析から、感染性がより高いことが示されている。BA.2系統の世代時間は、BA.1系統と比べ15%短く、実効再生産数は26%高いことが示された。BA.1系統とBA.2系統との重症度の比較については、動物実験でBA.2系統の方が病原性が高い可能性を示唆するデータもあるが、実際の入院リスク及び重症化リスクに関する差は見られないとも報告されている。また、英国の報告では、ワクチンの予防効果にも差がないことが示されている。英国の報告では、BA.1系統ウイルス感染後におけるBA.2系統ウイルスに再感染した事例は少数あり、主にワクチン未接種者であると報告されている。
      7. XE系統
        • オミクロン株のXE系統は、オミクロン株のBA.1系統とBA.2系統の組換え体であり、3月末に公表されたWHOのレポートによると、1月に英国で初めて確認されて以降、これまでに600例以上確認されている。同レポートでは、BA.2系統に比べて市中での感染者の増加する速度が10%程度高いと報告されている。XE系統について、検疫において3月26日に採取された検体から1件確認された。国立感染症研究所によれば、感染力や重症度等に大きな差が見られるとの報告は現時点ではないものの、ウイルスの特性について、引き続き、諸外国の状況や知見を収集・分析するとともに、ゲノムサーベイランスによる監視を続けていくことが必要。

~NEW~
経済産業省 ウクライナ情勢に関する外国為替及び外国貿易法に基づく措置を実施します(ロシアからの一部物品の輸入禁止措置)
  • ウクライナをめぐる現下の国際情勢に鑑み、この問題の解決を目指す国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、主要国が講ずることとした措置の内容を踏まえ、閣議了解「ロシア連邦関係者に対する資産凍結等の措置等について」(令和4年4月12日付)を行い、これに基づき、外国為替及び外国貿易法第52条・輸入貿易管理令第3条に基づき経済産業省告示を改正し、ロシアからの一部物品の輸入禁止措置を導入します。
  1. 概要
    • ウクライナを巡る国際情勢に鑑み、この問題の解決を目指す国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、令和4年4月12日に、外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号。以下、外為法という。)によるロシアからの一部物品の輸入禁止措置を導入することが閣議了解されました。これを踏まえ、本日経済産業省告示を改正し、以下(2.参照)に掲げる輸入禁止措置を4月12日より実施します。
  2. 改正された告示の概要
    • 輸入公表の二の表の第1にロシアの項を追加し、ロシアからのアルコール飲料、木材、機械類・電気機械の輸入を経済産業大臣の承認制とする。
    • なお、今回の改正規定は、施行日前の契約に基づいてする輸入については、施行日から3ヶ月を経過する日まで適用しないこととします(経過措置)。
  3. 今後の予定
    • 令和4年4月12日(火曜日) 公布
    • 令和4年4月19日(火曜日) 施行

~NEW~
経済産業省 「スタートアップの成長に向けたファイナンスに関するガイダンス」を取りまとめました
▼スタートアップの成長に向けたファイナンスに関するガイダンス
  • ファイナンスは、成長のドライバーとして重要であり、適切なファイナンス戦略を取ることで成長を加速させることが可能となるが、一方でその複雑性や不可逆性もある。そのためにもスタートアップ経営者やCFOは、ファイナンスの全体像や想定されうる課題と検討ポイントを予め把握しておくことが大切である。
  • ファイナンスは一旦資本構成が固まると後の変更が難しいなど、後戻りできない。予め全体像を把握して、各フェーズで想定される課題を踏まえて、最適な戦略を検討していく必要がある。スタートアップの経営者やCFOは、幅広い情報収集と分析、投資家などのステークホルダーとの対話が大切となる。
  • スタートアップのファイナンスにおいて直面する課題は共通的なものが多い一方で、業界ごとに重点を置くべきポイントは異なる。特に研究開発型スタートアップは、投資家に対して事業内容を正確に説明することが難しく、丁寧に自社の事業を伝えることが重要となる。また研究開発成果が事業化するまでの期間が長く、それを支える資金供給者を見つける必要がある。製造やエネルギー関連のスタートアップは大きな資金量が必要となることが多い。また、それ以外のスタートアップでも、投資家や証券会社とファイナンス面の知識や情報に非対称性が存在する可能性があり、事前にファイナンス面の対応および打ち手を押さえておくことで、フェアな関係性を築くことができる。業界ごとの資金需給や重点を置くべきポイントへの留意が必要である。
  • スタートアップはそれぞれの成長局面により、多様な課題が存在し、適切な対応が求められる。ファイナンスにおいて同様で課題の全体像を整理すると以下のようになる。このような課題を理解したうえで、先を見据えて検討しておくことが重要となる。
  1. エクイティストーリー構築
    • 自社の成長について投資家に対して説得力を持って説明できるエクイティストーリーの構築が必要
  2. 適正価値での調達
    • 資金調達では、株式の値決め(バリュエーション)が鍵となる。自社の成長性が適切に評価された株価で資金調達を実行することが必要。
  3. 初期の株主層の形成
    • 株主は必ずしも自社の望ましいタイミングで出入りしてもらえるわけではない。初期から株主構成を注意深く検討し、後の事業成長への負の影響をなるべく減らす手立てが必要。
  4. 経営層/従業員のインセンティブ設計
    • 経営層/従業員の事業成長へのインセンティブとしてストックオプション(SO)は強力なツールである。他方、後の資本政策に制約を与える可能性もあるため、資本構成を考慮したSOの設計が必要。
  5. 企業価値向上を実現する体制の整備流動性の確保
    • レイター期等、企業価値が大きくなる段階では、さらに企業価値を高めるために、投資家との対話、ガバナンスの強化等、対内/対外的に体制を整備していくことが必要。
  6. 未上場時の幅広い資金調達手段の活用
    • 一般的に、未上場時のスタートアップは、株式での資金調達が中心となる。一方、他の資金調達手段が有利な場面も存在し、幅広い資金調達手段を検討することが必要。
  7. 成長に資する投資家の確保
    • 投資家は異なるスタンスでスタートアップに投資する。自社の成長にマッチするような投資家の確保が必要。
  8. 効果的なIPOプロセスの実行
    • 一般的に、IPOは発行体にとっては初めてでかつ一度しかないイベントである。一度きりの失敗できないイベントを成功させるためにも、投資家への対話、証券会社との関係性構築が必要。
  9. 流動性の確保
    • 上場後の株価形成および資金調達の実行のためには、IPO時点で流動性を確保する手立てが必要。
  10. IPO後の成長に資する資金調達の実行
    • 上場後は資金調達環境が大きく変わる。投資家の目線の変化への対応、さらに幅広い資金調達手段活用の検討が必要。
  11. IPO後の非連続な成長手段の確保
    • M&Aは飛躍的な成長にとって有効な手段である。M&A実施のためのファイナンスの手立てを理解することが必要。

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