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危機管理トピックス

令和4年の犯罪情勢【暫定値】(警察庁)/2023年サイバーセキュリティ月間(NISC)/外交に関する世論調査(内閣府)/精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会(厚労省)/「クレジットカード決済システムのセキュリティ対策強化検討会」報告書(経産省)

2023.02.06
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更新日:2023年2月6日 新着27記事

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【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令の一部を改正する政令案等の公表について
  • 「記述情報の開示の好事例集2022」の公表(サステナビリティ情報等に関する開示)
警察庁
  • 特殊詐欺認知・検挙状況等(令和4年・暫定値)について(広報資料)
  • 令和4年の犯罪情勢について【暫定値】
内閣府
  • 消費動向調査(月次)結果
  • 排他的経済水域(EEZ)における洋上風力発電の実施に係る国際法上の諸課題に関する検討会開催
  • 外交に関する世論調査(令和4年10月調査)
  • 日本経済2022-2023―物価上昇下の本格的な回復に向けて―(令和5年2月3日)
国民生活センター
  • その通販サイト本物ですか!?“偽サイト”に警戒を!!-最近の“偽サイト”の見分け方を知って、危険を回避しましょう!-
  • 「利用した覚えのない請求(架空請求)」が横行しています
  • 高齢者とそのまわりの方に気を付けてほしい消費者トラブル10選
  • 出てくる風が冷たく感じられない卓上型冷風扇(相談解決のためのテストからNo.172)
  • 芝が詰まって動かなくなった芝刈り機(相談解決のためのテストからNo.171)
  • 住み始める時から、「いつか出ていく時」に備えておこう!-賃貸住宅の「原状回復」トラブルにご注意-
  • 愛するペットのための買い物-インターネットで購入する前に、しっかり確認しましたか?-
厚生労働省
  • 「医療機関におけるサイバーセキュリティ対策セミナー」を開催します
  • 男女の賃金の差異の情報公表の好事例を公開しています!~女性の活躍推進企業データベースをご活用ください~
  • 第11回「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」
経済産業省
  • クレジットカード会社等に対するフィッシング対策の強化を要請しました
  • 「クレジットカード決済システムのセキュリティ対策強化検討会」の報告書を取りまとめました
総務省
  • サイバーセキュリティタスクフォース(第42回)
  • ICT活用のためのリテラシー向上に関する検討会(第4回)配布資料
国土交通省
  • 「物流情報標準ガイドライン」に関するHPを開設し、管理体制を決定しました
  • 不動産価格指数、住宅は前月比0.8%上昇、商業用は前期比0.9%上昇~不動産価格指数(令和4年10月・令和4年第3四半期分)を公表~

~NEW~
内閣サイバーセキュリティセンター 2023年サイバーセキュリティ月間
  • サイバーセキュリティ月間とは
    • 不審なメールによる情報漏えい被害や個人情報の流出など、生活に影響を及ぼすサイバーセキュリティに関する問題が多数報じられています。
    • 誰もが安心してITの恩恵を享受するためには、国民一人ひとりがセキュリティについての関心を高め、これらの問題に対応していく必要があります。
    • このため、政府では、サイバーセキュリティに関する普及啓発強化のため、2月1日から3月18日までを「サイバーセキュリティ月間」とし、国民の皆様にサイバーセキュリティについての関心を高め、理解を深めていただくため、本年は日米豪印の4か国(QUAD)で連携をしつつ、サイバーセキュリティに関する様々な取組を集中的に行っていきます。
  • トップメッセージ
    • 我が国を始め世界中で、ランサムウェアを始めサイバー攻撃による被害が多発し、社会や経済にも大きな影響が及んでいます。
    • こうした中で、皆様お一人お一人がサイバー空間を安全・安心に利用していただくために、「適切なパスワードを使う」、「最新版のソフトウェアを使う」、「困ったときは各種相談窓口に相談する」など、基本的な対策を徹底していただくことがとても重要です。
    • 本月間の期間中には、こうした基本的な対策を「サイバーセキュリティ対策9か条」としてまとめ、周知をし、また、経営層向けセミナーを開催するなど、政府としても様々な取組を予定しています。共に、サイバーセキュリティの向上に「全員参加」で取り組んで参りましょう。
    • 昨今のサイバー空間におけるリスクの深刻化を踏まえ、昨年末に決定した「国家安全保障戦略」にも、サイバー安全保障の強化を盛り込みました。
    • サイバー攻撃は国境を超えて行われます。政府としては、日米豪印の4か国、いわゆるQUADによる「サイバーチャレンジキャンペーン」を始め、国際社会とも緊密に連携しつつ、サイバーセキュリティの確保に万全を期してまいります。
  • サイバーセキュリティ対策9か条
    • OSやソフトウェアは常に最新の状態にしておこう
    • パスワードは長く複雑にして、他と使いまわさないようにしよう
    • 多要素認証を利用しよう
    • 偽メールや偽サイトに騙されないように用心しよう
    • メールの添付ファイルや本文中のリンクに注意しよう
    • スマホやPCの画面ロックを利用しよう
    • 大切な情報は失う前にバックアップ(複製)しよう
    • 外出先では紛失・盗難・覗き見に注意しよう
    • 困った時はひとりで悩まず、まず相談しよう
  • OSや家庭用無線LANルーターの設定や利用
    • 誰もが安心してITの恩恵を享受するためには、国民一人ひとりがセキュリティについての関心を高め、これらの問題に対応していく必要があります。
      1. OS(オペレーティングシステム)の設定や利用
        • インターネットを利用する際に活用するOS(オペレーティングシステム)の設定や利用に関するセキュリティ対策について、各OS事業者が公表する情報を整理しています。自身が利用するOSに関する対策を確認しましょう。
      2. 家庭用無線LANルーターの設定や利用
        • 自宅でインターネットを利用する際に活用する家庭用無線LANルーターの設定や利用に関するセキュリティ対策について、各事業者が公表する情報を整理しています。自身が利用するルーターに関する対策を確認しましょう。

~NEW~
公安調査庁 「Aleph(アレフ)」を対象とする再発防止処分の請求について
▼無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律に基づく再発防止処分の請求に係る公安調査庁コメント
  • 公安調査庁長官は、令和5年1月30日、観察処分に付されている、いわゆるオウム真理教と同一性を有する、「Aleph」の名称を用いる団体について、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の規定に基づき、公安審査委員会に対し、再発防止処分の請求を行いました。
  • 「Aleph」は、令和3年の公安調査庁長官による再発防止処分請求の撤回後も、同法で定められている報告すべき事項の一部を報告しておらず、公安調査庁としては、報告の是正を求める指導を繰り返し行ってまいりました。
  • これに対し、「Aleph」は、公安調査庁からの度重なる指導に応じることなく、現在も報告すべき事項の一部を報告していない状況です。
  • こうした状況により、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難となっていることから、必要な限度で活動の一部を一時的に停止させるとともに、速やかにその危険性の程度を把握するため、再発防止処分の請求を行ったものです。
  • 本請求に係る処分の内容は、(1)「Aleph」管理下の土地・建物の全部又は一部の使用禁止、(2)金品等の贈与を受けることの禁止であり、処分の期間は6か月間が相当であると考えております。
  • 今後は、公安審査委員会において、審査の上、決定がなされるものと考えております。
  • 公安調査庁としましては、引き続き、観察処分の適正かつ厳格な実施により、公共の安全を確保し、松本・地下鉄両サリン事件等の被害者・遺族や地域住民を始め国民の皆様の不安感の解消・軽減に鋭意努めてまいる所存です。
▼再発防止処分請求の概要(1)
  • 団体の報告義務(団体規制法第5条第5項・第3項)下記要報告事項を3か月ごとに公安調査庁長官に提出
    • 人的要素
    • 資金的要素
    • 物的要素
    • 活動に関する事項 公安審が特に必要と認める事項
  • 再発防止処分請求
    1. 処分内容
      • 「Aleph」が所有又は管理する特定の土地又は建物(専ら居住の用に供しているものを除く。)の全部又は一部の使用を禁止する処分 施設内の収益事業の事業所たる作業場所及び道場等の使用禁止
      • 金品その他の財産上の利益の贈与を受けることを禁止する処分 布施等の受領の禁止
    2. 処分期間
      • 6か月間
▼再発防止処分請求の概要(2)
  • 被請求団体の名称
    • 平成12年1月28日、公安審査委員会によって、3年間、観察処分決定を受け、平成15年1月23日以降令和3年1月6日までの間に、3年ごとに、順次観察処分の期間更新決定を受けた「麻原彰晃こと松本智津夫を教祖・創始者とするオウム真理教の教義を広め、これを実現することを目的とし、同人が主宰し、同人及び同教義に従う者によって構成される団体」(本団体)と同一性を有する、「Aleph」の名称を用いる団体
  • 再発防止処分の要件該当性
    1. 「Aleph」が観察処分の期間更新決定を受けている団体であること(要件該当性①)
      • 「Aleph」は、令和3年1月6日に7回目の期間更新決定を受けた本団体と同一性を有することから、観察処分の期間更新決定を受けている団体に該当する
    2. 「Aleph」が法に規定された要報告事項の一部の不報告に及んでいること(要件該当性②)
      • 「Aleph」は、法に規定された要報告事項(人的要素、物的要素、資金的要素、主要な活動に関する事項、公安審査委員会が特に必要と認める事項)のうち、少なくとも以下の事項について殊更報告せず、一部の不報告に及んでいる(公安調査庁からの再三にわたる指導にも応じていない)※本件再発防止処分の請求原因事実である一部不報告事項
        • 構成員の氏名・住所の一部(人的要素)◇土地・建物の一部(物的要素)
        • 「Aleph」の預貯金その他「Aleph」の営む収益事業の資産(資金的要素)
        • 出家した構成員の位階・「Aleph」の営む収益事業の種類及び概要等の一部(公安審査委員会が特に必要と認める事項)
    3. 「Aleph」の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難であると認められること(要件該当性③)
      • 本件一部不報告自体が、危険性の程度の把握を困難にしている
      • 任意調査や立入検査によっても、公安調査官の質問に回答しないなど、「Aleph」が組織ぐるみで対抗措置を徹底して講じていることなどから、要報告事項に関する情報を入手することが困難である
      • 「Aleph」の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難

~NEW~
消費者庁 令和4年度第4回消費生活意識調査結果について
  • 消費生活や消費者問題に関する「消費者教育」を受けたことがあると回答した人(793人)に「消費者教育」を受けた機会について聞いたところ、「学校(小・中・高校等)の授業」と回答した人の割合は35.7%と最も高く、次いで「職場での研修等」が22.6%、「地方自治体が行う講座・講演会」が15.8%となった。
  • 消費生活に関する知識の正誤問題(全7問)について、完全正答率(以下「正答率」という)の全設問の平均は34.6%であった。設問ごとの正答率をみると、最も基本的な知識の一つである「契約の成立の時期」については全体では33.8%だったところ、15~17歳は58.2%、18~19歳は47.8%と全体より高かった。なお、全設問の正答率の平均を年代別にみると、20歳代が29.6%と最も低かった。
  • 過去1年間に実際に消費者トラブルに遭ったことがあると回答した人18.8%(939人)について、具体的なトラブルの内容として、「商品の機能・品質やサービスの質が期待より大きく劣っていた」と回答した人の割合が41.9%と最も高くなった。次いで「表示・広告と実際の商品・サービスの内容が大きく違っていた」と回答した人の割合が25.8%、「けが、病気をするなど、安全性や衛生面に問題があった」が18.6%となった。
  • 前項で消費者トラブルに遭ったと回答した人(939人)のうち、どこ(誰)かに相談した人67.9%(638人)について、相談先は、「地方自治体の消費生活センター・相談窓口」と回答した人の割合が32.0%と最も高く、次いで「国民生活センター」が26.2%、「商品・サービスの勧誘や販売を行う販売店や代理店等」が25.5%となった。
  • オンラインショッピングで思っていたものと違う商品が届いたことがあると回答した人45.6%(2,278人)について、「すぐに販売者に連絡を取り交換・返品を求めた」と回答した人の割合は45.5%となっており、次いで「インターネット通販サイト事業者に連絡を取り交換・返品を求めた」が35.6%となった。また、交換・返品を求める等の行動をしたことがある人の割合は67.4%であった。
  • 消費者として心がけている(「心がけている」と「ある程度心がけている」のいずれか)と回答した行動について、「商品やサービスの購入・契約をする際は、表示や説明を十分確認する」が最も多く85.3%となっていた。次いで、「個人情報の管理について理解し、適切な行動をとる」が77.9%となった。

~NEW~
金融庁 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令の一部を改正する政令案等の公表について
  • 金融庁では、令和4年資金決済法等改正及びFATF勧告対応法に係る犯罪収益移転防止法関連の政令・施行規則案等を以下のとおり取りまとめましたので、公表します。
  • 改正の概要
    • 以下の2つの改正法における犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号。以下「犯罪収益移転防止法」という。)の改正について、関連する政令・施行規則等の規定の整備を行うものです。
    • 「安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を図るための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律」(令和4年6月10日法律第61号。公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行。以下「改正資金決済法」という。)
    • 「国際的な不正資金等の移動等に対処するための国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法等の一部を改正する法律」(令和4年12月9日法律第97号。公布の日から起算して9月を超えない範囲内において政令で定める日から施行。以下「FATF勧告対応法」という。)
  • 主な改正等の内容は以下のとおりです。
    1. 改正資金決済法の施行に伴う犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令の一部改正
      • 高額電子移転可能型前払式支払手段発行者、電子決済手段等取引業者等が犯罪収益移転防止法上の特定事業者に追加されたことに伴い、これらの特定事業者の業務のうち、取引記録等の作成・保存義務等の対象となる業務(特定業務)及び取引時確認義務等の対象となる取引(特定取引)の要件を定める。
      • 電子決済手段の移転に係る通知義務(トラベルルール)の対象から除外する国又は地域の要件を定める。
      • その他、所要の規定の整備を行う。
    2. FATF勧告対応法の施行に伴う犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令の一部改正
      • 暗号資産の移転に係る通知義務(トラベルルール)の対象から除外する国又は地域の要件を定める。
      • その他、所要の規定の整備を行う。
    3. 改正資金決済法及びFATF勧告対応法の施行等に伴う犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部改正
      • 高額電子移転可能型前払式支払手段発行者、電子決済手段等取引業者等が犯罪収益移転防止法上の特定事業者に追加されたことに伴い、これらの特定事業者による取引時確認の方法や電子決済手段の換算基準を定める等の規定の整備を行う。
      • 外国為替取引に係る通知義務に基づく通知事項に、支払の相手方に係る事項を追加したことに伴う規定の整備を行う。
      • 電子決済手段及び暗号資産の移転に係る通知義務(トラベルルール)に基づく通知事項を定める。
      • 電子決済手段等取引業者及び暗号資産交換業者がアンホステッド・ウォレット等(注2)と取引を行う際の取引時確認等を的確に行うために講ずるべき措置について定める。
      • 電子決済手段等取引業者及び暗号資産交換業者が移転に係る提携契約を締結する際の確認義務に基づく契約相手のマネロン対策状況の確認方法・基準について定める。
      • その他、FATF第4次対日相互審査報告書を踏まえた所要の規定の整備等を行う。
    4. 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令第十七条の二及び第十七条の三の規定に基づき国又は地域を指定する件の制定
      • 上記(1)2.及び(2)1.について、犯罪収益移転防止法第10条の3及び第10条の5の規定に相当する外国の法令の規定による通知の義務が定められていない国又は地域を指定する。
    5. 事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)の一部改正等
      • 高額電子移転可能型前払式支払手段発行者、電子決済手段等取引業者が犯罪収益移転防止法上の特定事業者に追加されたことに伴い、これらの特定事業者による取引時確認等の措置を含む所要の規定の整備等を行う。
      • トラベルルール、アンホステッド・ウォレット等との取引のリスクに応じた態勢整備義務等に関する所要の規定の整備等を行う。
    6. 犯罪収益移転防止法に関する留意事項の一部改正
      • 金融庁所管の金融機関等が、取引時確認において「取引を行う目的」を確認する際の参考とすべき「類型」に「信託の受託者としての取引」を追加する。

~NEW~
金融庁 「記述情報の開示の好事例集2022」の公表(サステナビリティ情報等に関する開示)
▼記述情報の開示の好事例集2022
  • 投資家・アナリストの主なコメント:全般(サステナビリティ情報)
    • 企業価値の向上にどのような影響を与えるのかという観点からの開示は有用
    • サステナビリティ情報の開示について、より分かりやすく、魅力的に伝えることを意識することが差別化に繋がり有用
    • ISSBにより今後開発されるサステナビリティ情報の開示基準に留意し、投資家の意思決定に影響を与えるような情報は何かという視点を持ち、開示を行うことは有用
    • 気候変動を企業活動に密接なエネルギー問題としてとらえることは、企業の気候変動に関する課題に対し、重大性を持つことに繋がるため有用
    • 中期経営計画との整合性を意識した開示を行うとともに、そのレビューを行うことは有用
    • 企業において、企業価値向上のためのストーリーを組み立て、ストーリーに該当する項目を中心に開示を充実させていくことはマテリアリティの考え方として有用
    • TCFD提言の4つの枠組み(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)がある中で、ガバナンスは重要であるところ、ガバナンスの項目で記載されている内容が実効的に機能しているということは、戦略、リスク管理、指標と目標が統合性を持って説明できることであり、開示もそうした観点で行われることが有用
  • 投資家・アナリストが期待する主な開示のポイント:気候変動関連等
    • TCFD提言の4つの枠組み(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)に沿った開示は、引き続き有用
    • TCFD提言に沿った開示を行うにあたり、財務情報とのコネクティビティを意識し、財務的な要素を含めた開示を行うことは有用
    • リスク・機会に関する開示について、一覧表で、定量的な情報を含めた開示を行うことは有用
    • トランジションやロードマップといった時間軸を持った開示を行うことは、海外の気候変動に関する開示でも重視されており有用
    • サステナビリティ情報に関する定量情報について、前提や仮定を含め開示することは有用
    • 実績値を開示することは、引き続き有用
  • 投資家・アナリストが期待する主な開示のポイント:人的資本、多様性 等
    • 人的資本可視化指針で示されている2つの類型である、独自性(自社固有の戦略や、ビジネスモデルに沿った取組み・指標・目標を開示しているか)と比較可能性(標準的指標で開示されているか)の観点を適宜使い分け、又は、併せた開示は有用
    • KPIの目標設定にあたり、なぜその目標設定を行ったのかが、企業理念、文化及び戦略と紐づいて説明されることは有用
    • マテリアリティをどう考えているのかについて、比較可能性がある形で標準化していくことは有用
    • グローバル展開をする企業は、サステナビリティ情報の開示において、例えば、人権に関する地政学リスク等、ロケーションについて着目することも有用
    • 独自指標を数値化する場合、定義を明確にし、定量的な値とともに開示することは有用
    • 過去実績を示したうえで、長期時系列での変化を開示することは有用
    • 背景にあるロジックや、前提、仮定の考え方を開示することは有用
    • 人的資本の開示にあたり、経営戦略をはじめとする全体戦略と人材戦略がどう結びついているかを開示することは有用
  • 投資家・アナリストの主なコメント:全般(有価証券報告書の事業の状況に関する開示例)
    • いくつかのパターンはありえるが、経営方針等とMD&Aとの記載分けについて、以下の整理ができるのではないか
    • 事業ポートフォリオが多岐にわたる企業は、経営方針等において、事業ポートフォリオをどのようにマネジメントしていくのか等、全体の方針・戦略を記載し、MD&Aにおいて、個々の事業の方針・戦略及び実績のふり返りやセグメント別の分析を記載
    • 事業ポートフォリオが比較的シンプルな企業は、経営方針等において、全体の方針・戦略に加え、個々の事業方針・戦略を記載し、MD&Aにおいて、実績のふり返りやセグメント別の分析を記載
    • 事業環境の変化に対し、企業としてどのように柔軟に対応していくのかといった観点(レジリエンス)からの開示は有用
    • 事業方針やリスク等に変更がない場合においても、事業環境等を踏まえ、なぜ変更がないのかについての説明があることは有用
    • 複数事業を営む企業においては、なぜ複数事業を営む必要があるのかを経営方針等に記載し、その上でMD&Aにおいて補足的にセグメント単位の財務分析等を行うことは有用
    • 知的財産=無形資産という認識のもと、知的財産を事業に活かし、企業の成長性を高めるという観点から、事業等のリスクだけでなく、経営方針等やMD&Aにおいても開示することは有用
  • 投資家・アナリストが期待する主な開示のポイント:経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
    • 経営方針等の中で、例えば、対象となる顧客のセグメントや、競合との差異・優位性等、顧客と競合に関する具体的な開示をすることは、戦略・ストーリーの説得力が増すため有用
    • 非財務指標の設定について、過去からの変化を、その理由とともに比較できる形で示すことは有用
    • キャッシュの原資と使途について、優先順位を示しながら開示することは、財務戦略や経営方針等の意図が明らかになるため有用
    • 長期ビジョンからのドリルダウン(全体像⇒定量情報を含めた詳細情報といった流れでの説明)による記載は、分かりやすく有用
    • 非財務情報について、財務情報との関連性を示すことは有用
    • 株主還元という観点から、TSRについて継続的に開示することは有用
  • 投資家・アナリストが期待する主な開示のポイント:事業等のリスク
    • リスクを全て見通すことはできないため、見直しを行うことが重要。その際、リスクの見直しを定期的に行うこと、見直しの体制やプロセス、変更されたリスクが分かるような記載及び変更となった理由が示されることは有用
    • リスク及びその対応策を明確に開示することは、社内において、リスク及びその対応策の認識向上にも資するため有用
    • 投資家の判断に重大な影響を及ぼす可能性という観点から、影響度の大きさに優先順位を付けて開示をすることは有用
  • 投資家・アナリストが期待する主な開示のポイント:MD&A
    • MD&Aは、投資家として非常に重要であり、経営方針等で示されている戦略や施策が当初の想定通りに進んでいるか(想定通りではない場合、その理由)、経営目標を達成できそうか等を確認することに活用
    • 長期経営計画や中期経営計画に対する毎年の進捗状況をMD&A等で開示することは有用
    • 指標等の予想と実績の開示に加え、予想と実績が乖離した場合には、その理由を記載することは有用
    • 指標を変更したことに関し、指標の考え方や、変更理由を具体的に記載することは、対話のための土台となることから有用
    • ROICツリーにより、個々の要素と全体の繋がりを体系的に示すことは有用。更に言えば、ROICツリーにおいて、個々の要素の貢献度の軽重や、定量情報等が記載されると、より有用
    • 企業価値向上に繋がるドライバーについて、重要な部分を示し、それを経営層がどう考えているかの説明は有用
    • 減損に関する開示について、例えば、減損をしていないが兆候が見られたものや、営業活動から生ずる損益がマイナスとなったもの等についても幅広く開示することは、自社の減損リスクをしっかり把握していることが分かり有用

~NEW~
警察庁 特殊詐欺認知・検挙状況等(令和4年・暫定値)について(広報資料)
  • 特殊詐欺の認知状況
    • 令和4年の特殊詐欺の認知件数(以下「総認知件数」という。)は17,520件(+3,022件、+20.8%)、被害額は361.4億円(+79.4億円、+28.2%)と、前年に比べて総認知件数及び被害額はともに増加。被害額は8年ぶりに増加に転じた。
    • 被害は大都市圏に集中しており、東京の認知件数は3,217件(▲102件)、神奈川2,089件(+628件)、大阪2,059件(+521件)、千葉1,457件(+354件)、埼玉1,386件(+304件)、兵庫1,074件(+215件)及び愛知977件(+103件)で、総認知件数に占めるこれら7都府県の合計認知件数の割合は70.0%(-0.6ポイント)。
    • 1日当たりの被害額は約9,901万円(+約2,176万円)。
    • 既遂1件当たりの被害額は213.7万円(+11.7万円、+5.8%)。
    • オレオレ詐欺、預貯金詐欺及びキャッシュカード詐欺盗(以下3類型を合わせて「オレオレ型特殊詐欺」と総称する。)の認知件数は9,691件(+1,573件、+19.4%)、被害額は197.9億円(+37.2億円、+23.2%)で、総認知件数に占める割合は55.3%(▲0.7ポイント)。
    • オレオレ詐欺は、認知件数4,278件(+1,193件、+38.7%)、被害額127.1億円(+36.5億円、+40.3%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は24.4%(+3.1ポイント)。
    • 預貯金詐欺は、認知件数2,362件(▲69件、▲2.8%)、被害額27.5億円(▲3.1億円、▲10.2%)と、いずれも減少し、総認知件数に占める割合は13.5%(▲3.3ポイント)。
    • キャッシュカード詐欺盗は、認知件数3,051件(+449件、+17.3%)、被害額43.3億円(+3.8億円、+9.7%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は17.4%(▲0.5ポイント)。
    • 架空料金請求詐欺は、認知件数2,893件(+776件、+36.7%)、被害額100.5億円(+32.4億円、+47.6%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は16.5%(+1.9ポイント)。
    • 還付金詐欺は、認知件数4,679件(+675件、+16.9%)、被害額53.7億円(+8.5億円、+18.9%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は26.7%(▲0.9ポイント)。
    • 現金手交型の認知件数は3,978件(+1,185件、+42.4%)、被害額は128.4億円(+34.0億円、+36.0%)と、いずれも増加。
    • キャッシュカード手交型の認知件数は2,650件(▲48件、▲1.8%)、被害額は36.7億円(▲3.1億円、▲7.8%)と、いずれも減少。キャッシュカード窃取型の認知件数は3,051件(+449件、+17.3%)、被害額は43.3億円(+3.8億円、+9.7%)と、いずれも増加。両交付形態を合わせた認知件数の総認知件数に占める割合は32.5%。
    • 被害者と直接対面して犯行に及ぶ現金手交型、キャッシュカード手交型及びキャッシュカード窃取型を合わせた認知件数の総認知件数に占める割合は55.2%(▲0.6ポイント)。
    • 振込型の認知件数は6,065件(+970件、+19.0%)、被害額は105.5億円(+26.4億円、+33.4%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は34.6%(▲0.5ポイント)。
    • 現金送付型の認知件数は315件(+126件、+66.7%)、被害額は38.0億円(+17.6億円、+86.0%)と、いずれも増加。
    • 電子マネー型の認知件数は1,397件(+301件、+27.5%)、被害額は8.9億円(+0.5億円、+5.5%)と、いずれも増加。
    • 高齢者(65歳以上)被害の認知件数は15,065件(+2,341件、+18.4%)で、法人被害を除いた総認知件数に占める割合は86.6%(-1.6ポイント)。
    • 65歳以上の高齢女性の被害認知件数は11,517件で、法人被害を除いた総認知件数に占める割合は66.2%(▲2.5ポイント)。
    • 被害者を欺罔する手段として犯行の最初に用いられたツールは、電話が87.3%、電子メールが7.9%、はがき・封書等※2は0.03%と、電話による欺罔が9割近くを占めている。
    • 主な手口別では、オレオレ型特殊詐欺及び還付金詐欺は、約99%が電話。架空料金請求詐欺は、電子メールが約46%、電話が約30%。
    • 警察が把握した、特殊詐欺の被疑者が電話の相手方に対し、住所や氏名、資産、利用金融機関等を探るなど特殊詐欺が疑われる電話(予兆電話)の件数は120,701件(+20,186件、+20.1%)で、月平均は10,058件(+1,682件、+20.1%)と増加。都道府県別では、東京が35,192件と最も多く、次いで埼玉12,175件、千葉11,128件、大阪10,249件、神奈川8,526件、愛知7,220件、兵庫3,718件の順となっており、予兆電話の総件数に占めるこれら7都府県の合計件数の割合は73.1%。
  • 特殊詐欺の検挙状況
    • 令和4年の特殊詐欺の検挙件数は6,629件(+29件、+0.4%)、検挙人員(以下「総検挙人員」という。)は2,469人(+95人、+4.0%)と増加。
    • 手口別では、オレオレ詐欺の検挙件数は1,771件(+311件、+21.3%)、検挙人員は974人(+192人、+24.6%)と、いずれも増加。還付金詐欺の検挙件数は1,070件(+323件、+43.2%)、検挙人員は191人(+80人、+72.1%)といずれも増加。
    • 検挙人員のうち、中枢被疑者※は48人(+5人)で、総検挙人員の1.9%。※犯行グループの中枢にいる主犯被疑者(グループリーダー及び首謀者等)をいう。
    • 被害者方付近に現れた受け子や出し子、それらの見張り役は1,926人(+54人、+2.9%)で、総検挙人員の78.0%。
    • このほか、預貯金口座や携帯電話の不正な売買等の特殊詐欺を助長する犯罪を、3,764件(+371件)、2,774人(+244人)検挙。
    • 暴力団構成員等※の検挙人員は380人(+57人、+17.6%)で、総検挙人員に占める割合は15.4%。※暴力団構成員及び準構成員その他の周辺者の総称。
    • 暴力団構成員等の検挙人員のうち、中枢被疑者は16人(▲1人、▲5.9%)であり、出し子・受け子等の指示役は12人(▲9人、▲42.9%)、リクルーターは66人(+4人、+6.5%)であるなど、依然として暴力団構成員等が主導的な立場で特殊詐欺に深く関与している実態がうかがわれる。
    • このほか、現金回収・運搬役としては39人(+6人、+18.2%)、道具調達役としては9人(+1人、+12.5%)を検挙。
    • 少年の検挙人員は477人(+44人)で、総検挙人員に占める割合は19.3%。少年の検挙人員の73.2%が受け子(349人)で、受け子の総検挙人員(1,621人)に占める割合は21.5%と、受け子の5人に1人が少年。
    • 外国人の検挙人員は144人(+27人)で、総検挙人員に占める割合は5.8%。外国人の検挙人員の57.6%が受け子で、20.1%が出し子。国籍別では、中国76人(52.8%)、ベトナム21人(14.6%)、フィリピン15人(10.4%)、韓国14人(9.7%)、ブラジル6人(4.2%)、北朝鮮3人(2.1%)。
    • 東京都をはじめ大都市圏に設けられた架け場等(犯行グループが欺罔電話をかけたり、出し子・受け子らグループのメンバーに指示を出したりする場所等)20箇所を摘発(▲3箇所)。
  • 主な検挙事件
    • 令和4年6月までに、移動する車両の中からオレオレ詐欺の欺罔の電話を架けていた特殊詐欺グループを特定、犯行中の車両を急襲して架け子2名を詐欺罪で逮捕するとともに、その後の捜査で共犯被疑者3名を同じく詐欺罪で逮捕した(埼玉)。
    • 令和4年6月までに、警察官をかたって被害者からキャッシュカードを詐取したり隙を見て盗んだりする預貯金詐欺及びキャッシュカード詐欺盗の電話を、それぞれの自宅等から架けていた架け子被疑者や、これら被疑者の面接や犯行の報酬の振り込みを担っていた被疑者等16名を詐欺罪で逮捕した(警視庁)。
    • 令和4年8月までに、預貯金詐欺の受け子被疑者を順次割り出し逮捕するとともに、架け場等を摘発するなどの突き上げ捜査を徹底し、特殊詐欺グループの中枢被疑者を含む16名を詐欺罪で逮捕した(岡山、福井)。
    • 令和4年10月までに、架空料金請求詐欺で被害者からだまし取った電子マネーの利用権を電子マネーの売買等を仲介するサイトを通じて販売させ、販売代金を振込入金させた事業者の代表等4名を、組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)で逮捕した(警視庁、熊本)。
    • 令和4年10月までに、オレオレ詐欺で逮捕した受け子への捜査から被疑者を順次割り出し逮捕するなどの突き上げ捜査を徹底し、受け子の管理役である道仁会傘下組織組員等9名を詐欺罪で逮捕した(熊本、群馬、新潟、北海道、長野)。
  • 特殊詐欺予防に向けた取組
    • 金融機関等と連携した声掛けの取組を推進した結果、金融機関職員等の声掛けにより、18,730件(+3,724件)、約80.1億円(+22.7億円)の被害を阻止(阻止率(※)52.6%)。金融機関の窓口において高齢者が高額の払戻しを認知した際には警察に通報するよう促すなど、金融機関との連携を強化。※阻止件数を認知件数(既遂)と阻止件数の和で除した割合
    • 還付金詐欺への対策として、金融機関に対し、例えば、一定年数以上ATMでの振り込みのない高齢者口座にかかるATM振込限度額をゼロ円(又は少額)とし、窓口に誘導して声掛け等を行うようにするなどの働き掛けを推進(令和4年12月末現在、47都道府県、409金融機関)。また、金融機関と連携しつつ、還付金詐欺の手口に注目した「ストップ!ATMでの携帯電話」運動を全国で実施。
    • キャッシュカード手交型とキャッシュカード窃取型への対策として、警察官や金融機関職員等を名のりキャッシュカードを預かる又はすり替えるなど具体的な手口の積極的な広報を推進。また、金融機関に預貯金口座のモニタリングの強化や、高齢者口座のATM引出限度額を少額とするよう働き掛ける取組を推進(令和4年12月末現在、41都道府県、248金融機関)。
    • 電子マネー型への対策として、コンビニエンスストア、電子マネー発行会社等と連携し、高額の電子マネーを購入しようとする客への声掛け、購入した電子マネーのカード等を入れる封筒への注意を促す文言の記載、発行や申込みを行う端末機の画面での注意喚起等を推進。
    • 現金送付型への対策として、宅配事業者に対し、過去に犯行に使用された被害金送付先のリストを提供し、これを活用した不審な宅配の発見や警察への通報等を要請する取組のほか、コンビニエンスストアに対し、高齢者からの宅配便の荷受け時の声掛け・確認等の推進を要請。
    • SNSを利用した受け子等の募集の有害情報への対策として、特殊詐欺に加担しないよう呼び掛ける注意喚起の投稿や、受け子等を募集していると認められる投稿に対して、返信機能(リプライ)を活用した警告等を実施(令和4年12月末現在、16都道府県)。
  • 犯行ツール対策
    • 主要な電気通信事業者に対し、犯行に利用された固定電話番号等の利用停止及び新たな固定電話番号の提供拒否を要請する取組を推進。令和4年中は固定電話番号3,376件、050IP電話番号2,075件が利用停止され、新たな固定電話番号等の提供拒否要請を3件実施。
    • 犯行に利用された固定電話番号を提供した電話転送サービス事業者に対する犯罪収益移転防止法に基づく報告徴収を4件、総務省に対する意見陳述を4件実施。この意見陳述を受けて、令和4年中、総務大臣から電話転送サービス事業者に対して是正命令を3件発出。
    • 犯行に利用された携帯電話(仮想移動体通信事業者(MVNO(※))が提供する携帯電話を含む。)について、携帯電話事業者に対して役務提供拒否に係る情報提供を推進(6,083件の情報提供を実施)。※Mobile Virtual Network Operatorの略。自ら無線局を開設・運用せずに移動通信サービスを提供する電気通信事業者。
    • 犯行に利用された電話番号に対して、繰り返し電話して警告メッセージを流すことで、その番号の電話を事実上使用できなくする「警告電話事業」を推進。
  • 悪質な電話転送サービス事業者の取締り
    • 特殊詐欺事件の背後には、特殊詐欺の犯行に利用されることを認識しながら、その実行犯に対して電話転送サービスを提供する悪質な事業者の存在が依然として認められている。
    • こうした事業者は、複数の事業者に再販売を繰り返して、最終的に犯行グループに提供することで、自らは犯行に関与していないよう偽装するなど、非常に巧妙な手口で犯行に加担している。
    • 警察では、令和4年12月までに、犯行グループに対して多数の電話の転送サービスを提供していた電話転送サービス事業の経営者ら13名を詐欺幇助で逮捕(岐阜・警視庁)するなど、悪質な電話転送サービス事業者の取締りを進めている。

~NEW~
警察庁 令和4年の犯罪情勢について【暫定値】
  • 刑法犯
    • 刑法犯認知件数の総数については、平成15年以降一貫して減少してきたところ、令和4年は60万1,389件3と、戦後最少となった令和3年を上回っており(前年比5.9%増加)、今後の動向について注視すべき状況にある。
    • 認知件数の内訳を見ると、総数に占める割合が大きい街頭犯罪が20万1,619件と、前年比で14.4%増加しており、その中でも、罪種別で増加件数が多い自転車盗、傷害及び暴行については、新型コロナウイルス感染症の感染状況の変化等による人流の増加が一定程度影響したとみられる。
    • また、国民の体感治安に影響するとみられる重要犯罪の認知件数について、令和4年は9,536件と、前年比で8.1%増加した。その内訳を見ると、殺人及び強盗は前年からほぼ横ばいである一方、強制性交等及び強制わいせつがいずれも2年連続の増加となった。
    • なお、強制性交等は、平成29年の刑法の一部改正以降で最多となった。
  • 特殊詐欺
    • 特殊詐欺については、事件の背後にいる暴力団、準暴力団等の犯罪者グループ等が、その組織力を背景に、資金の供給、実行犯の周旋、犯行ツールの提供等を行い、犯行の分業化と匿名化を図った上で、組織的に敢行している実態にあり、令和4年の認知件数は1万7,520件と2年連続で増加し、被害総額は約361億円と8年ぶりに前年比増加となり、深刻な情勢が続いている(それぞれ前年比で20.8%、28.2%増加)。認知件数を犯行手口別に見ると、令和3年に急増した還付金詐欺が全体の26.7%を占める一方で、オレオレ詐欺や架空料金請求詐欺の占める割合に増加がみられる。被害者は高齢女性が多くを占め、被害の大半は犯人からの電話を受けることに端を発している。
    • また、特殊詐欺事件の背後においては、犯罪者グループ等や特殊詐欺の実行犯に対して、預貯金口座、携帯電話、電話転送サービス等の提供を行ったり、電子マネー利用番号等の転売、買取等を行ったりしている悪質な事業者の存在が依然として認められる。
  • サイバー事案
    • 近年、サイバー空間が社会経済活動を営む重要かつ公共性の高い場へと変貌を遂げつつある中、国内外で様々なサイバー事案が発生していることなどを踏まえると、サイバー空間における脅威は極めて深刻な情勢が続いている。特にランサムウェアと呼ばれる不正プログラムによる被害の深刻化や手口の悪質化が世界的に問題となっている。令和4年中に警察庁に報告されたランサムウェアによる被害件数は230件と、前年比で57.5%増加し、VPN機器やリモートデスクトップ等のテレワークにも利用される機器等のぜい弱性を狙われたケースが大半を占めている。その被害は企業・団体等の規模やその業種を問わず広範に及んでおり、一時的に業務停止に陥る事態も発生している。
    • また、インターネットバンキングに係る不正送金事犯について、令和4年は発生件数が1,131件、被害総額は約15億円と、いずれも3年ぶりに前年比増加となった(それぞれ前年比で93.7%、86.0%増加)。その被害の多くがフィッシングによるものとみられており、金融機関を装ったフィッシングサイト(偽のログインサイト)へ誘導する電子メールが多数確認されている。
    • さらに、サイバー攻撃については、北朝鮮当局の下部組織とされるサイバー攻撃グループによる暗号資産関連事業者等を標的としたものや、学術関係者、シンクタンク研究員等を標的としたものが確認された。令和4年中に警察庁が検知したサイバー空間における探索行為等とみられるアクセスの件数は、1日・1IPアドレス当たり7707.9件と過去最多に上っており、その多くがIoT機器に対するサイバー攻撃やぜい弱性を有するIoT機器の探索行為であるとみられる。
  • 人身安全関連事案
    • 人身安全関連事案のうち、ストーカー事案の相談等件数は平成30年以降減少傾向にあるものの、依然として高い水準で推移している一方で、配偶者からの暴力事案等の相談等件数は増加傾向にあり、令和4年は8万4,493件と、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)の施行以降で最多となった。
    • また、児童虐待については、児童虐待又はその疑いがあるとして警察から児童相談所に通告した児童数は年々増加しており、令和4年は11万5,730人と、過去最多となった。その態様別では、心理的虐待が8万4,951人と全体の73.4%を占めている。
    • これらを踏まえると、人身安全関連事案については、引き続き注視すべき情勢にある。
  • 体感治安
    • 前項までに述べたような指標からは捉えられない国民の治安に関する認識を把握するため、令和4年10月、警察庁において「治安に関するアンケート調査」を実施したところ、日本の治安について「よいと思う」旨回答した方は、全体の68.6%を占めた。
    • その一方で、ここ10年間での日本の治安に関し、「悪くなったと思う」旨回答した方は全体の67.1%を占め、その要因として想起する犯罪については、「無差別殺傷事件」、「オレオレ詐欺等の詐欺」、「児童虐待」及び「サイバー犯罪」が多く挙げられており、先に述べたような犯罪の情勢が、国民の体感治安に相当程度の影響を及ぼしているものとみられる。
  • 犯罪情勢の総括
    • 平成14年をピークに減少を続けてきた刑法犯認知件数が20年ぶりに前年比増加となり、その内訳を見ると、街頭犯罪及び重要犯罪が共に増加しており、今後の動向について注視すべき状況にある。
    • 特殊詐欺については、認知件数、被害額が共に前年より増加するなど、深刻な情勢が続いており、サイバー事案については、ランサムウェアによる被害が広範に及んでいるほか、国家を背景に持つ集団によるサイバー攻撃も確認されているなど、極めて深刻な情勢が続いている。
    • 人身安全関連事案については、児童虐待又はその疑いがあるとして警察から児童相談所に通告した児童数が過去最多に上るなど、注視すべき状況にある。
    • 加えて、令和4年7月には、街頭演説中の安倍晋三元内閣総理大臣が銃撃を受け殺害されるという、国民に不安を与えるような重大事件が発生した。また、一般住宅等において多額の現金や貴金属等が強取される強盗等事件が連続して発生し、現在捜査中のところ、検挙された実行犯はSNS上の「闇バイト」に応募して犯行に加担したものとみられる。
    • このような情勢の中、前記アンケート調査から、「日本の治安が近年悪化した」旨の声が国民の間に相当数存在していることが分かった。
    • 以上を踏まえれば、我が国の犯罪情勢は厳しい状況にあると認められる。
  • 今後の取組
    • 国民の安全・安心を確保するため、警察としては、上記において述べた犯罪情勢を的確に踏まえ、効果的な対策を推進する。
    • すなわち、街頭犯罪をはじめとする国民に不安を与える身近な犯罪の抑止に向け、地域社会や関係機関・団体等との連携の下、被害の未然防止や犯罪の発生時の的確な対応を支えるインフラとしての防犯カメラの活用や、地域社会の安全・安心を支える防犯ボランティア活動の活性化等を図るための取組を推進するとともに、性犯罪に関しては、被害申告・相談しやすい環境の整備や、被害者の心情に配意した適切な捜査を推進する。
    • 特殊詐欺については、自動通話録音、警告音声、迷惑電話番号からの着信拒否等の機能を有する機器の高齢者宅への設置促進を行うなど、犯人からの電話を直接受けないための対策を強力に推進する。また、犯罪者グループ等の弱体化・壊滅に向けて、部門の垣根を越えた関連情報の収集・分析により、その実態解明をより一層強化するとともに、あらゆる法令を駆使した首魁等の検挙、資金の遮断・剥奪等により、その人的・資金的基盤に実質的な打撃を与える取締りを一層推進するほか、電話転送サービスに係る悪質な電気通信事業者等、犯行ツールに係る悪質な事業者について、情報収集を強化し、あらゆる法令を駆使してその取締りを推進する。
    • サイバー事案については、令和4年4月に新設した警察庁サイバー警察局及び関東管区警察局サイバー特別捜査隊が中心となり、被害が深刻化するランサムウェア等の脅威に対して、警察庁と都道府県警察とが一体となった捜査、実態解明等に取り組み、外国捜査機関等と連携した対処等を推進するとともに、脅威の深刻化に対応するための捜査・解析能力の高度化や事業者等と連携した被害防止対策を強力に推進する。
    • 人身安全関連事案については、被害が潜在化しやすく、事態が急展開するおそれが大きいという特徴を踏まえ、関係機関と緊密に連携しつつ、被害者等の安全の確保を最優先に、関係法令を駆使した加害者の検挙等による加害行為の防止や被害者等の保護措置等の取組を推進する。
    • これらの犯罪への対応を含め、今後、日本社会が大きく変容する中でも、警察が様々な課題に的確に対処できるよう、所属・部門を超えた連携の在り方や資源配分の見直しを進めるなど柔軟な組織運営を図るとともに、警察活動の効率化・高度化を図り、警察機能を最大限に発揮できる組織を確立し、国民の期待と信頼に応えていく。
  • トピックス
    • 令和4年における刑法犯認知件数は60万1,389件で、戦後最少であった令和3年(56万8,104件)を上回っており、今後の動向を注視すべき状況にある。
    • 令和4年における人口千人当たりの刑法犯の認知件数は4.8件となり、令和3年(年間4.5件)を上回った。
    • 令和4年における街頭犯罪の認知件数は20万1,619件となり、前年比で14.4%増加した。一方、侵入犯罪の認知件数は4万6,416件となり、前年比で1.9%減少した。
    • 令和4年の街頭犯罪の認知件数を罪種別に見ると、特に増加件数が多いのは、自転車盗、傷害及び暴行であった。
    • 令和4年における重要犯罪の認知件数は9,536件と、前年比で8.1%増加した。罪種別では、強制性交等及び強制わいせつがいずれも2年連続で前年比増加となった(それぞれ前年比19.3%、9.9%増加)。なお、強制性交等については、平成29年の刑法の一部改正以降で最多となっている。
    • 令和4年における刑法犯検挙件数は25万381件、検挙人員は16万9,464人で、共に前年(26万4,485件、17万5,041人)を下回った(それぞれ前年比で5.3%、3.2%減少)。少年の検挙人員は1万4,903人で、検挙人員全体の8.8%となった。
    • 令和4年における刑法犯の検挙率は、前年(46.6%)より5.0ポイント下落し、41.6%となった。
    • 令和4年における特殊詐欺の認知件数は17,520件であり、2年連続で前年比増加となった(前年比20.8%増)。また、特殊詐欺の被害額は361.4億円であり、8年ぶりに前年比増加となった(前年比28.2%増)。
    • 特殊詐欺の認知件数の手口別の構成比を見ると、令和3年に急増した還付金詐欺が全体の26.7%を占める一方で、オレオレ詐欺や架空料金請求詐欺の占める割合に増加がみられる。
    • 令和4年における特殊詐欺の検挙件数は6,629件、検挙人員は2,469人で、共に前年(6,600件、2,374人)を上回った(それぞれ前年比で0.4%、4.0%増加)。
    • 企業・団体等におけるランサムウェア被害として、令和4年に都道府県警察から警察庁に報告のあった件数は230件と、前年比で57.5%増加しており、企業・団体等の規模を問わず、被害が発生している。
    • 令和4年におけるインターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生件数は1,131件、被害額は15億2,500万円であり、いずれも3年ぶりの前年比増加となった(それぞれ前年比で93.7%、86.0%増加)。これら被害の多くは、インターネットバンキングの利用に係るパスワード等がフィッシングにより窃取されたことによるものとみられる。
    • 令和4年に警察庁が検知したサイバー空間における探索行為等とみられるアクセス件数は、1日・1IPアドレス当たり7,707.9件と、過去最多となっている。
    • 検知したアクセスの宛先ポートに着目すると、ポート番号1024以上(注)のポートへのアクセスが大部分を占めており、これらのアクセスの多くが、IoT機器に対するサイバー攻撃やぜい弱性を有するIoT機器の探索行為であるとみられる。(注)ポート番号1024番以上は、主としてIoT機器が標準設定で使用するもの。
    • 警察法の一部を改正する法律(令和4年法律第6号)施行後の令和4年4月から同年12月までのサイバー事案の検挙件数は、1,735件であった。
    • 令和4年における不正アクセス禁止法違反及びコンピュータ・電磁的記録対象犯罪の検挙件数は、それぞれ522件、913件であり、いずれも前年より増加した(それぞれ前年比21.7%、25.2%増加)。
    • 令和4年におけるSNSに起因して犯罪被害に遭った児童の数は1,733人と、前年比で4.4%減少したものの、依然として高い水準で推移している。
    • 令和4年におけるストーカー事案の相談等件数は1万9,129件と、前年比で3.0%減少したものの、依然として高い水準で推移している。
    • 令和4年におけるストーカー事案の検挙件数について、ストーカー規制法違反検挙、刑法犯等検挙はそれぞれ1,025件、1,639件であり(それぞれ前年比9.4%、3.7%増加)、依然として高い水準で推移している。
    • 配偶者からの暴力事案等の相談等件数は、一貫して増加し続けており、令和4年は8万4,493件と、前年比で1.7%増加し、配偶者暴力防止法の施行以降で最多となった。
    • 令和4年における配偶者からの暴力事案等の検挙件数は8,582件と、前年比で1.4%減少したものの、依然として高い水準で推移している。
    • 児童虐待又はその疑いがあるとして警察から児童相談所に通告した児童数は年々増加しており、令和4年は11万5,730人と、前年比で7.1%増加し、過去最多となった。態様別では、心理的虐待が8万4,951人と全体の73.4%を占めている。
    • 令和4年における児童虐待事件の検挙件数は2,171件と、前年からほぼ横ばいであり、依然として高い水準で推移している。態様別では、身体的虐待が1,716件と全体の79.0%を占めている。
    • 日本の治安がよいと思うかとの問いに対して、「そう思う」又は「まあそう思う」との回答は、全体の68.6%を占めた。一方で、ここ10年間で日本の治安がよくなったか否かとの問いに対して、「悪くなったと思う」又は「どちらかといえば悪くなったと思う」との回答が全体の67.1%を占めており、その要因として想起した犯罪は、「無差別殺傷事件」(63.5%)が最も多く、次いで、「オレオレ詐欺などの詐欺」(62.4%)、「児童虐待」(55.5%)及び「サイバー犯罪」(54.1%)が5割を超えている。

~NEW~
内閣府 消費動向調査(月次)結果
▼報告書
  • 令和5(2023)年1月の消費者態度指数は、前月差0.7ポイント上昇し31.0であった
  • 消費者態度指数を構成する各消費者意識指標について、令和5(2023)年1月の動向を前月差でみると、「雇用環境」が2.2ポイント上昇し37.2、「収入の増え方」が0.5ポイント上昇し35.6、「暮らし向き」が0.4ポイント上昇し27.8となった。一方、「耐久消費財の買い時判断」が0.2ポイント低下し23.5となった。また、「資産価値」に関する意識指標は、前月差0.3ポイント低下し35.1となった
  • 令和5(2023)年1月の1年後の物価に関する見通しで、最も回答が多かったのは「上昇する(5%以上)」(61.6%)であった。前月差でみると、「変わらない」が0.3ポイント増加、「上昇する」が0.2ポイント増加したのに対して、「低下する」は0.7ポイント減少した

~NEW~
内閣府 排他的経済水域(EEZ)における洋上風力発電の実施に係る国際法上の諸課題に関する検討会開催
▼取りまとめ
  • 特定の場所に固定され、主たる活動目的が経済目的である洋上風力発電施設は、国際法上、UNCLOSにおける「施設及び構築物」と位置付けることが適当と考えられる
  • 国内法上必要な手続きを規定すれば、沿岸国はEEZにおいて認められた主権的権利・管轄権の行使の一環として、建設、利用時のメンテナンス、解体の各段階にわたって、洋上風力発電事業に係る探査及び開発のための活動や占用等の許可、監督処分、報告の徴収、立入検査などを行うことができると考えられる。
  • 我が国EEZにおいて洋上風力発電施設の周囲に安全水域を設定する必要がある場合、「安全水域法」に基づき、洋上風力発電施設の外縁から五百メートルを超えない範囲で安全水域を設定することができる。
  • また、UNCLOS上求められる「適当な通報」として、当該安全水域の位置及び範囲を告示するとともに、水路通報を含む水路図誌への記載等による周知を行うことが必要となると考えられる。
  • EEZの沿岸国が、UNCLOSに基づき権利・自由を行使する際、他の国の権利及び義務に対して妥当な考慮を払うことは一般的・総則的な義務である。
  • 「航行の自由」との関係では、洋上風力発電施設を設置する際のその位置について海図への記載等を行うことに加え、安全水域を設定する際のその位置及び範囲について告示等を行うことをもって、妥当な考慮を果たしたといえると考えられる。
  • 「海底電線、海底パイプライン敷設の自由」との関係では、これに加え、少なくとも敷設に際し、ケーブル同士の摩耗を防ぐ観点から、一定程度の距離を取るなどといった対応をとることが、妥当な考慮と考えられる。
  • EEZにおいて洋上風力発電を実施する場合のEIAについては、国際社会での議論や他国の国家実行等を踏まえながら、洋上風力に係る環境影響評価制度のあり方の検討を踏まえた所要の国内的措置を講じた上で、「排他的経済水域及び大陸棚に関する法律」に基づき、国内法令を適用して対応する必要があると考えられる。
  • EEZにおける洋上風力発電に関し、他国の国家実行等も踏まえながら、事前通報等の要否やその範囲を政府において適切に判断する必要がある。
  • 各委員が今後政府が留意すべきとして指摘した事項
    • 洋上風力発電のEEZでの実施に係る国際法上の論点としては、洋上風力発電の事前調査、実施区域の選定、建設、運用、維持、撤去などの各段階にわたる諸活動について各々存在する。これら論点については、今後、EEZでの洋上風力発電を行うための法制度を詰める段階、及び洋上風力発電をEEZで実際に実施する段階において、政府において適時、適切に判断していく必要がある。
    • 我が国EEZにおける洋上風力発電については、各論点への対応に際し、各国の状況も参考にしながら、政府において今後の制度設計を検討していくべきである。
    • EEZのどの海域を洋上風力発電の「促進区域」と決定するのかという論点に関し、現行の再エネ海域利用法においては、促進区域の指定、都道府県の関与といった制度設計がなされている。これに対して、EEZにおける洋上風力発電の実施区域の決定に際しては、第3期海洋基本計画以来、検討されているはずの、海洋空間計画の理念に基づいてこれを行う必要がある(さらに詳細は、安全水域と関連させて後述する)。かつ、その実施のためには、区域選定をどのような手順でどこが主体で行っていくのか等の制度設計が必要になる。
    • UNCLOS第60条5において、安全水域の幅は五百メートルを超えるものであってはならないとあるが、1982年にUNCLOSが採択されてからかなりの年月が経過しており、その技術的な妥当性について学説等でも議論されている。本件について、各国の状況を調査するとともに、IMO等のガイドラインを確認し、国際社会の趨勢を把握し適切に対応すべきである。
    • ウィンドファームとして洋上風車を複数並べる場合、洋上風車間の離隔距離によっては、ウィンドファームが設置されている海域全体を一体として安全水域を設定するような運用も想定される。一方、そのような設定をした場合には洋上風車間を船舶が航行することができないこととなるため、この点の許容性も含めて「安全水域法」の運用の在り方について検討するべきである。
    • 安全水域の設定に関する問題は、当該問題に特化した検討ではなく、いかなる海域でいかなる海域利用を行い、そのためにどのような規制をかけるかという、先に記載した海洋空間計画の文脈で検討するべきである。例えば、まずは、(1)海洋空間計画としてEEZのどこで発電するのか、その上で、(2)どのような科学的・技術的な施設を設置し、どこまで近寄ってほしくないのか、あるいはどこまで近寄ったら船舶が危ないのか、さらに、(3)それらによって五百メートルの安全水域で足りるのかどうか、といういくつかの段階に分けた発想が必要である。その際に、安全確保に必要とされる以上の安全水域を設定したら、不当に航行を阻害することになる点も考慮に入れておくべきである。
    • 浮体式洋上風車は海中部に係留索がある等、構築物の性質上、海上部から五百メートルという安全水域だけでは必ずしも航行船舶や風車の安全を確保しきれない可能性もある。安全確保に必要な海域の範囲を周知する手段として、安全水域の外側に、入域を禁止しないが注意喚起を行う水域を設定する等のやり方も考えられる。
    • 「妥当な考慮」とは、自国と他国の主張が対立する際に、どこに落としどころを見つけるかという事が「妥当」かどうかの基準となる。相手の航行の自由を守ることを考えることも大事ではあるが、その前に日本が何をしたいのかを決めることが必要であって、それが「妥当な考慮」の内容を決める上での前提である。
    • 洋上風力発電施設から送電ケーブルを敷設する際の法的根拠として、以下の3つが考えられるところ、国際法上どのような法的根拠に基づき送電ケーブルを敷設するか検討が必要である。
      1. UNCLOS第58条1の「全ての国」が有する送電ケーブルを敷設する権利。
      2. UNCLOS第56条1の沿岸国のエネルギー生産の主権的権利の関する付随する権利に基づき行う。
      3. UNCLOS第79条3に規定される、大陸棚沿岸国がもつ、送電ケーブルの経路に関する権利を援用。
    • 送電ケーブルについても、敷設に先行する海洋調査、敷設、運用とメンテナンス、解体といった、全過程についての、我が国の権利及び義務の検討が必要である。
    • 大規模なウィンドファームが設置されている海域を通信ケーブルが通過する際、修理が困難になるような事態が生起するのであれば、それに対しても妥当な考慮を払うべきになることが考え得る。
    • 洋上風力発電からの環境損害について、環境影響評価に絞って検討するという点であるが、事前防止が肝要であることに疑念はない。しかし、環境影響評価に焦点を当てるというのであれば、洋上風力発電から生ずるとされる損害が、事後救済になじまない特徴を持つことから、事前の環境影響評価が重要である、というように、洋上風力発電に固有の事情を考慮すべきである。
    • 洋上風力発電によって海洋環境の汚染が実際に生じた場合の対応について、UNCLOS上どの規定に基づいて、沿岸国としての規制を行うかも問題となる。この点、同第12部第5節、第6節において、様々な発生源からの汚染毎にどの国が管轄権を有するかについて規定しているが、洋上風力発電による損害の発生源が、どの規定に該当するのか、洋上風力発電の設置から撤去までのそれぞれの段階で検討すべきである。それは、送電ケーブルに係る全過程から生じうる損害についても該当する。
    • UNCLOS第12部の規定するいかなる損害の発生源にも該当しない場合であれば、沿岸国はEEZにおいて海洋環境の保護及び保全について管轄権を有している(同56条1)ことに、EEZ沿岸国の権利の根拠を求めることができる。
    • 洋上風力発電のEEZでの実施に伴う様々な海洋環境の汚染を事後的に規制する義務について、EEZ沿岸国の管轄権に基づき、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律等の既存の国内法で対応できるという前提であるが、洋上風力発電及び送電ケーブルの各々の全過程から生じうる多様な環境損害に対して、あまねく対応できるのかについて、今後検討する必要は残る。
    • 本検討会では、領海のすぐ外側にあるEEZを洋上風力発電の当面の実施エリアとして検討を行ったが、今後の技術の進展に伴い、より領海から遠いエリアで実施する可能性も踏まえて、政府は国際法上の諸課題への対応を検討する必要がある。
  • おわりに
    • 我が国の国民生活・経済活動にとって現に重要な役割を果たしている海洋分野は、これからの脱炭素社会への挑戦においても重要な役割を果たしていくことが期待されている。
    • その中において、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた切り札である洋上風力発電については、我が国の2050年カーボンニュートラル実現にとって、重要な位置付けとなっている。
    • これまで再エネ海域利用法などに基づき、我が国の領海及び内水において洋上風力発電の導入拡大の取組を行ってきているが、近年、洋上風力発電のEEZへの展開を可能とする法整備を含めた環境整備に対するニーズが高まってきている状況となっている。
    • このため、EEZにおける洋上風力発電の実施に関して、UNCLOSとの整合性を中心に、国際法上の諸課題に関して、本検討会を開催し、検討を行った。
    • 政府においては、今般の本検討会において整理された論点の考え方等を踏まえ、EEZにおける洋上風力発電実施に向けた具体的な国内法制度整備の検討を速やかに開始することが望ましい

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内閣府 外交に関する世論調査(令和4年10月調査)
  • あなたは、アメリカに親しみを感じますか、それとも感じませんか。(○は1つ)(令和3年9月→令和4年10月)
    • 親しみを感じる(小計)88.5%→87.2%(親しみを感じる36.6%→35.5%、どちらかというと親しみを感じる52.0%→51.7%)
    • 親しみを感じない(小計)11.1%→12.4%(どちらかというと親しみを感じない6.9%→7.8%、親しみを感じない4.2%→4.6%)
  • あなたは、現在の日本とアメリカとの関係は全体として見ると良好だと思いますか、それともそうは思いませんか。(○は1つ)
    • 良好だと思う(小計)91.3%→84.9%(良好だと思う30.9%→28.3%、まあ良好だと思う60.4%→56.6%)
    • 良好だと思わない(小計)8.5%→10.6%(あまり良好だと思わない7.4%→8.8%、良好だと思わない1.1%→1.8%)
  • あなたは、今後の日本とアメリカとの関係の発展は、両国や、アジア及び太平洋地域にとって重要だと思いますか、それともそうは思いませんか。(○は1つ)
    • 重要だと思う(小計)98.2%→93.8%(重要だと思う81.5%→78.7%、まあ重要だと思う16.8%→15.1%)
    • 重要だと思わない(小計)1.5%→1.8%(あまり重要だと思わない0.8%→1.4%、重要だと思わない0.6%→0.5%)
  • あなたは、ロシアに親しみを感じますか、それとも感じませんか。(○は1つ)
    • 親しみを感じる(小計)13.1%→5.0%(親しみを感じる1.3%→0.5%、どちらかというと親しみを感じる11.8%→4.6%)
    • 親しみを感じない(小計)86.4%→94.7%(どちらかというと親しみを感じない48.9%→27.3%、親しみを感じない37.4%→67.4%)
  • あなたは、現在の日本とロシアとの関係は全体として見ると良好だと思いますか、それともそうは思いませんか。(○は1つ)
    • 良好だと思う(小計)20.6%→3.1%(良好だと思う1.5%→0.1%、まあ良好だと思う19.1%→3.1%)
    • 良好だと思わない(小計)79.0%→92.3%(あまり良好だと思わない56.1%→29.5%、良好だと思わない22.9%→62.8%)
  • あなたは、中国に親しみを感じますか、それとも感じませんか。(○は1つ)
    • 親しみを感じる(小計)20.6%→17.8%(親しみを感じる3.4%→2.2%、どちらかというと親しみを感じる17.2%→15.6%)
    • 親しみを感じない(小計)79.0%→81.8%(どちらかというと親しみを感じない35.4%→35.9%、親しみを感じない43.5%→45.9%)
  • あなたは、現在の日本と中国との関係は全体として見ると良好だと思いますか、それともそうは思いませんか。(○は1つ)
    • 良好だと思う(小計)14.5%→11.0%(良好だと思う0.9%→0.3%、まあ良好だと思う13.6%→10.7%)
    • 良好だと思わない(小計)85.2%→84.4%(あまり良好だと思わない47.7%→41.6%、良好だと思わない37.5%→42.8%)
  • あなたは、韓国に親しみを感じますか、それとも感じませんか。(○は1つ)
    • 親しみを感じる(小計)37.0%→45.9%(親しみを感じる10.0%→11.0%、どちらかというと親しみを感じる27.0%→34.9%)
    • 親しみを感じない(小計)62.4%→53.7%(どちらかというと親しみを感じない28.9%→29.2%親しみを感じない33.6%→24.5%)
  • あなたは、現在の日本と韓国との関係は全体として見ると良好だと思いますか、それともそうは思いませんか。(○は1つ)
    • 良好だと思う(小計)18.6%→28.3%(良好だと思う2.6%→2.1%、まあ良好だと思う16.0%→26.2%)
    • 良好だと思わない(小計)81.1%→67.3%(あまり良好だと思わない38.6%→41.1%、良好だと思わない42.5%→26.2%)
  • あなたは、オーストラリアに親しみを感じますか、それとも感じませんか。(○は1つ)
    • 親しみを感じる(小計)75.5%→78.5%(親しみを感じる27.1%→28.8%、どちらかというと親しみを感じる48.5%→49.7%)
    • 親しみを感じない(小計)23.7%→21.1%(どちらかというと親しみを感じない14.8%→12.9%、親しみを感じない8.9%→8.2%)
  • あなたは、中東に親しみを感じますか、それとも感じませんか。(○は1つ)
    • 親しみを感じる(小計)31.7%→29.7%(親しみを感じる4.0%→3.2%、どちらかというと親しみを感じる27.7%→26.5%)
    • 親しみを感じない(小計)66.9%→69.9%(どちらかというと親しみを感じない36.7%→43.1%、親しみを感じない30.1%→26.7%)
  • あなたは、アフリカに親しみを感じますか、それとも感じませんか。(○は1つ)
    • 親しみを感じる(小計)28.5%→27.0%(親しみを感じる3.4%→2.4%、どちらかというと親しみを感じる25.1%→24.6%)
    • 親しみを感じない(小計)69.9%→68.3%(どちらかというと親しみを感じない39.7%→43.4%、親しみを感じない30.2%→24.9%)
  • あなたは、中南米に親しみを感じますか、それとも感じませんか。(○は1つ)
    • 親しみを感じる(小計)40.8%→42.1%(親しみを感じる5.3%→5.1%、どちらかというと親しみを感じる35.5%→37.0%)
    • 親しみを感じない(小計)57.5%→53.2%(どちらかというと親しみを感じない34.4%→35.0%、親しみを感じない23.1%→18.2%)
  • あなたは、北朝鮮のことについて関心を持っていることがありますか。(○はいくつでも)(上位4項目)
    • ミサイル問題77.8%→83.8%
    • 日本人拉致問題79.8%→77.7%
    • 核問題65.5%→71.1%
    • 政治体制44.4%→46.0%
  • 先進国は開発途上国に対して資金協力や技術協力などの開発協力を行っています。あなたは、日本のこれからの開発協力についてどのように考えますか。(○は1つ)
    • 積極的に進めるべきだ33.2%→29.7%
    • 現在程度でよい54.2%→54.3%
    • なるべく少なくすべきだ8.5%→12.2%
    • やめるべきだ2.1%→2.3%
  • 資金協力や技術協力などの開発協力による開発途上国への支援について、必要だと思う理由は何ですか。(○はいくつでも)(上位7項目)
    • 災害や感染症など世界的な課題に対して、各国が協力して助け合う必要があるから58.7%→54.0%
    • エネルギー資源などの安定供給の確保に資するから41.6%→50.5%
    • 国際社会での日本への信頼を高める必要があるから42.8%→42.3%
    • 開発協力は日本の戦略的な外交政策を進める上での重要な手段だから40.1%→41.8%
    • 開発協力は世界の平和と安定を支える手段だから42.2%→41.3%
    • 先進国として開発途上国を助けるのは人道上の義務または国際的責任だから39.4%→38.4%
    • 中小企業を含む日本企業や地方自治体の海外展開など、日本の経済に役立つから41.5%→37.8%
  • 現在、世界の100以上の国が国連平和維持活動、いわゆる国連PKOに要員を派遣しています。日本も国際平和協力法に基づき、カンボジア、ゴラン高原、東ティモール、ハイチ、南スーダンなどの国連PKOやシナイ半島の多国籍部隊・監視団、ウクライナ被災民支援などのための人道的な国際救援活動や、東ティモールやネパールなどでの国際的な選挙監視活動に参加してきています。あなたは、日本はこれからも、国際社会への人的貢献として、このような活動に参加すべきと考えますか。それともそうは考えませんか。(○は1つ)
    • これまで以上に積極的に参加すべきだ23.0%→22.7%
    • これまで程度の参加を続けるべきだ61.2%→65.2%↑
    • 参加すべきだが、できるだけ少なくすべきだ10.3%→9.6%
    • 参加すべきではない1.1%→1.1%
  • 国連では、安全保障理事会、いわゆる安保理の機能を強化するとともに、安保理における各地域の代表性を高めるために、構成国数を増加する方向で議論がすすめられています。あなたは、日本が安保理の常任理事国に加わることについてどのように考えますか。(○は1つ)
    • 賛成(小計)88.2%→89.7%(賛成45.1%→46.8%、どちらかといえば賛成43.0%→42.9%)
    • 反対(小計)8.8%→9.0%(どちらかといえば反対7.2%→7.7%、反対1.5%→1.3%)
  • 賛成の立場に立つのは、どのような理由からですか。あなたのお考えに最も近いものをお答えください。(○は1つ)
    • 世界における日本の地位からすると、世界の平和構築のために積極的に参画していくべきだから22.3%→22.4%
    • 日本は国連に多大の財政的貢献を行っているのに、重要な意思決定に加われないのはおかしいから22.6%→20.1%
    • 非核保有国で平和主義を理念としている日本が加わることが世界の平和に役立つから25.3%→25.5%
    • 安全保障に関する国連の重要な意思決定に我が国の考えを反映させることができるから13.1%→13.3%
    • アジアの一代表として安保理常任理事国になることで、国連の場をより地域的に偏りのないものにすることに役立てるから7.2%→9.1%
  • 反対の立場に立つのは、どのような理由からですか。あなたのお考えに最も近いものをお答えください。(○は1つ)
    • 安保理常任理事国になると、国連に対し、これまで以上の財政的負担を負わなければならなくなるから23.5%→24.4%
    • 安保理常任理事国になれば、国連の軍事活動に積極的に参加しなければならなくなるから21.5%→23.7%
    • 安保理常任理事国にならなくとも、経済・社会分野や環境問題などの非軍事的分野で十分な国際貢献を行っていけるから24.8%→16.7%
    • 安保理常任理事国になるのであれば、憲法を改正した上でなるべきだから2.0%→5.8%
    • 世界の紛争解決に安保理は無力だから13.4%→21.8%
  • あなたは、外国との経済関係を進める上で、どの分野に重点を置くべきだと思いますか。(○はいくつでも)(上位5項目)
    • エネルギー・鉱物資源の確保61.9%→71.7%
    • 半導体、医薬品などの重要物資の安定確保57.9%
    • 食料の確保43.4%→50.1%
    • 外国における電力、鉄道、水、道路などのインフラ整備のための日本企業の海外進出支援などを含む、海外における日本企業の活動の支援46.6%→42.5%↓
    • 日本の優れた製品・産品・技術といった日本ブランドや東日本大震災にかかわる風評被害対策などの海外における積極的なPR46.9%→40.4%
  • あなたは、海外で交通事故、犯罪、病気、テロなどの事件や事故にあった日本人の保護や支援について、どのように考えますか。(○は1つ)
    • 個人または派遣元企業・団体が各自の責任で対応すべきである4.0%→4.2%
    • できるだけ、個人または派遣元企業・団体が各自の責任で対応すべきであるが、できないところは政府や大使館・総領事館が保護や支援をすべきである47.7%→49.9%
    • 個人または派遣元企業・団体が各自の責任で対応できるような場合であっても、政府や大使館・総領事館が積極的に保護や支援をすべきである28.4%→26.9%
    • いかなる場合であっても、政府や大使館・総領事館が保護や支援をすべきである17.6%→17.9%
  • あなたは、日本は国際社会で、主としてどのような役割を果たすべきだと考えますか。(○はいくつでも)(上位3項目)
    • 環境・地球温暖化・感染症対策を含む保健などの地球規模の課題解決への貢献63.9%→62.5%
    • 人的支援を含んだ、地域情勢の安定や紛争の平和的解決に向けた取組を通じた国際平和への貢献59.2%→61.2%
    • 軍縮・不拡散の取組などを通じた世界の平和と安定への貢献41.2%→46.1%

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内閣府 日本経済2022-2023―物価上昇下の本格的な回復に向けて―(令和5年2月3日)
▼概要
  • 世界経済の不確実性の高まりと日本経済の動向
    • 2022年は民需中心に緩やかな持ち直し。世界的な物価上昇下、円安方向への為替変動もあり、40年ぶりの高い物価上昇。海外由来のショックに対し、エネルギー構造の転換などを通じた交易条件改善、サービス輸出拡大が課題。
    • 物価上昇は輸入物価上昇を背景としており、国内需給や賃金による上昇圧力は限定的。価格上昇品目は増えているが、輸入物価上昇の転嫁は途上。賃上げ原資の確保にも、企業が適切に価格転嫁を行える環境整備が重要。
    • 2023年の世界経済は減速が懸念されることからも内需振興が重要。成長分野への重点的な投資喚起、生産性向上に向けた人的資本投資の促進が鍵。中長期の持続的な成長には、貿易や投資関係強化による海外需要取込みが重要
  • 個人消費の力強い回復に向けた課題
    • 物価上昇下での実質所得の減少を背景に、低所得層では実質消費支出が減少傾向。物価上昇の影響が大きい低所得層への重点的な支援が重要。超過貯蓄による一定の消費下支え効果が期待される一方、預貯金の増加による消費押上げ効果は限定的。消費の持続的な回復には、ベアなどによる定期収入の増加が鍵。
    • 2010年代以降、若年層と高齢層を中心に消費性向は低下傾向。背景には、若年層では期待生涯所得の伸び悩みや老後の生活不安の高まり、高齢層では予備的動機や遺産動機の高まりがある。構造的な賃上げ環境の構築に加え、高齢者の就労促進や社会保障制度の持続性を高める取組が必要。
    • 2022年の雇用環境は総じて改善したが、労働移動はコロナ禍前ほど活発ではなく、失業期間の長期化が懸念。国際的には、労働移動が円滑な国の賃金上昇率が高い。自発的な転職には賃金や意欲の上昇効果がみられ、人材配置の適正化を進めるためのリスキリングの強化やマッチング効率の改善などが課題。
  • 企業部門の動向と海外で稼ぐ力
    • 2022年は製造業のけん引により収益の回復が持続し、円安による収益増などもあり設備投資は大中堅企業中心に回復。一方、実質ベースでの投資の回復は道半ば。今後は官の投資を呼び水として、成長分野での企業の予見可能性と期待成長率を高め、投資を引き出すことが重要。
    • リーマンショック以降の経常収支黒字要因は、貿易中心から投資中心に変化。輸入の変動は鉱物性燃料価格の影響が大きく、エネルギー構造転換が重要。直接投資は、投資先国の成長を背景に収益率が高く、残高も増加基調。
    • 海外で稼ぐ力を規模別にみると、現地法人の売上や収益に加え、輸出金額も大中堅企業に偏在。輸出の伸びしろが大きい中小企業への人材面などでの支援や、農林水産物・食品の輸出支援体制の整備が重要。
  • ロシアによるウクライナ侵略後の不確実性の高まりと日本経済
    • 2022年の我が国経済は、民需を中心に緩やかに持ち直し。感染症の影響が大きかったサービス部門は先進各国に比べ遅れて回復。全国旅行支援や水際対策の緩和の効果に期待。
    • 対外関係をみると、交易条件(輸出物価と輸入物価の比率)は輸入物価上昇によって21年以降悪化方向にあったが、22年秋以降改善傾向。2000年代半ば以降、輸入物価は鉱物性燃料価格の影響が大きく、22年の上昇も原油等の価格上昇が背景。
    • 22年秋までの円安の動きは、金利差やインフレ格差で説明できる以上に下落。近年、円安方向への為替変動により、短期的には輸入金額の増加から貿易収支が悪化、所得収支は改善する傾向
  • 我が国の物価動向
    • 2022年の消費者物価の上昇は輸入物価上昇を背景とするコストプッシュ型。品目別では、供給要因の寄与が大きい。経済全体では、国内需給のタイト化や賃金上昇による内生的な物価上昇とはなっていない。
    • 需要段階別の投入物価の動向を日米で比較すると、我が国は生産フローが川上から川下へ流れる中で、大きく物価上昇率を低下させ、価格転嫁が進みにくい構造だが、米国は需要段階別の物価上昇率の差が小幅。
    • 為替変動は輸入物価を通じて企業物価、消費者物価に影響。ただし、影響の度合いは、1%の円安に対して1年後に企業物価で約0.2%、消費者物価で約0.06%と小幅であり、デフレ下の価格硬直性の影響がみられる。
    • 企業が付加価値を維持・増加させて投資・賃上げを実施するためには価格転嫁の促進や適切な価格設定が重要。
    • 食料品の価格をみると、2022年以降は消費者が実際に購入した価格(POSデータ)と、代表品目の価格(CPI)の上昇率の乖離幅は拡大している。その背景には、低価格品で代替する消費者の動きもあるとみられる。
    • CPIの品目別に価格上昇率の分布を見ると、足下ではゼロ近傍の品目が減少、上昇率が高い品目が増加し、物価上昇に広がり。物価上昇局面では輸入物価上昇の消費者物価への転嫁までのタイムラグは短くなるなど、企業が価格改訂しやすい傾向。
    • サービス業では、需給の引き締まりに対応して価格が上昇する傾向。2020年以降の期間では、価格が上昇してから、賃金が上昇する傾向。
    • 今後、企業が価格転嫁や適切な価格設定を進めやすい環境を整備し、賃上げ原資を確保して賃金上昇の定着・拡大を図ることが鍵。その下で、消費・投資などの需要増加を通じた内生的な物価上昇へとつなげていくことが重要。
  • 当面のリスクと我が国経済の中長期的な課題
    • 当面のリスクは、物価上昇の影響に加え、世界経済の減速による輸出減。さらに、輸出の減少は生産や設備投資にもマイナスに影響する傾向。
    • 中長期の課題は潜在成長力。2000年代前半までと比べ低い伸び(15図)。投資は、コロナ禍からの回復過程で増加しているが、資本装備率は先進国で最も低い(16図)。経済対策を着実に実行することで、半導体関連や電気自動車等の成長分野を中心に民需を誘発し、需給両面の成長につなげることが重要。
    • 労働投入(人数)は、少子化(自然動態)によって構造的に低下。外国人(社会動態)は水際対策の緩和により22年に増加転換(18図)。少子化の背景には、経済的負担や心身両面の負担等により子供を希望通りの数まで持たないこと、未婚率の上昇が挙げられる。少子化対策では、経済的支援に加え、育児と仕事の両立をサポートする制度やサービスの充実が重要。
  • 物価上昇下の個人消費
    • 消費性向は、回復傾向が続いているが、2022年も依然として感染拡大前を下回る。低所得層では物価上昇もあり、実質消費支出が減少傾向。2022年を通じて消費者マインドも全体として低下しているほか、低所得世帯で下落幅がやや大きい。
    • 消費者マインドの悪化はラグを伴って消費支出を下押しする傾向があり、今後の消費動向に留意が必要。
    • 消費性向の抑制を背景に超過貯蓄の増加が続くが、世帯属性によって規模にばらつき。2022年の物価上昇負担による負担増加額(10万円弱)との対比でみると、平均的には10倍程度と相応の規模に達しているが、低所得世帯では相対的に小さい
    • 預貯金が1万円増加した場合の消費支出の増加幅は、最も大きい低所得世帯層でも250円と限定的。他方、世帯主収入に対する定期収入比率が高い世帯では、消費支出が押上げられており、消費性向を高めるには定期的に期待できる収入の割合が高まることが鍵。
    • 若年層や高齢層で消費性向は低下傾向にあり、若年層ではコロナ禍以降さらに低下。貯蓄目的は、若年層では老後の生活資金、高齢層では遺産動機が上昇し、高齢無職世帯の貯蓄の取り崩しペースは貯蓄額の大きい世帯ほど慎重。2000年代以降、25~34歳を非正規雇用者として過ごす若年層も3割程度存在。
    • ベースアップ実現による定期収入比率上昇などにつながる賃上げ環境の醸成や、正規転換を含めた非正規雇用の処遇改善・高齢者の就労促進等により、生涯所得に対する見通しを改善させつつ、社会保障制度の持続可能性を高めることが、個人消費を力強く回復させていく上で重要。
  • 労働市場の変化と賃上げに向けた課題
    • 2022年は失業率が低水準で推移し、名目賃金が緩やかに持ち直すなど、労働市場は全体として改善。
    • 実質賃金は、2022年には交易条件の悪化による下押しが強まっているが、中期的には労働生産性の伸びにより上昇。労働生産性の伸びを高めるには、労働市場のミスマッチ改善が課題。
    • 2022年以降の労働市場の変化をみると、労働需要側では業績回復の遅れや省人化投資の進捗等を背景に、労働集約的な産業の新規求人の戻りが弱い。労働供給側では、長期失業者が全年齢層で増加。国際的には失業から就業への移動が円滑な国は実質賃金上昇率が高く、労働市場の仲介機能を高めることなどが重要
    • 処遇改善や会社の将来性不安を理由とした自発的な転職では、転職を通じて賃金の伸びは高まり、仕事に対する意欲も改善傾向。
    • 感染拡大後に労働移動の動きは全体として若干弱まったが、若年層では持ち直しの動き。正規間転職や非正規雇用者の正規化にも持ち直しの動き。リスキリングの強化などによりこうした動きを活発化させ、成長産業への労働移動を促進する取組が重要。
    • 最低賃金引上げは、非正規雇用者の時給を幅広く底上げする効果。他方、世帯の主稼得者以外の者で就業時間が短い層が増加しており、所得引上げに向けて諸制度の見直しも必要。
  • 企業部門の概観
    • 企業収益は、製造業が牽引する形で回復が継続。製造業を規模別にみると、足下では原材料コスト増が下押し要因となる中、大企業では売上増加と円安による営業外収益の増加が利益を押し上げ。中小企業では売上回復が鈍い中、コスト削減によって利益を出す状況が続く。
    • 好調な収益と経済活動の正常化を背景に、設備投資の回復も2022年は大企業を中心に回復が強まる。22年度は、先送りされてきた能力増強など攻めの動機を中心に全動機での投資が回復。
    • 他方、物価上昇の中、過去の景気局面と比較しても実質ベースでみた投資の回復は道半ば
  • 我が国経済の対外経済構造
    • リーマンショック頃を境に、経常収支の黒字要因は貿易中心から投資中心へと変化。
    • 貿易収支は、輸入額の増加が輸出額の増加を上回ることで概ね均衡に至っている。一方、品目別にみた輸出入の構造は2000年代半ばから大きくは変わらない。
    • こうした中、企業の高付加価値志向を反映して、輸出増加の主因は数量から価格へと変化。一方、輸入の変動は過去から継続的に価格によりもたらされている。貿易収支の安定化には、GXの促進等を通じ、化石燃料に過度に依存しないエネルギー構造への転換が重要。
    • 2000年代半ば以降のサービス貿易の動向をみると、世界全体に比べ成長が遅く、特にコンピュータサービス等のデジタル関連の寄与が小さい。デジタル取引における環境整備や、デジタル人材育成等を通じた競争力強化が重要
    • 第一次所得収支の黒字は拡大を続け、その主因は証券投資収益から直接投資収益へと変化。
    • 対外純資産残高は、直接投資を中心に堅調に増加。直接投資の収益率は、投資先国の経済成長等を背景に高く、対外資産全体の収益率を支えている。
    • こうした直接投資増加の背景として、我が国企業の海外進出が進展。海外進出の進展は、営業外収益の増加を通じて企業の経常利益を押し上げ。円安は受取増に寄与。
    • 一方、こうした海外から所得を稼ぐ力は大中堅企業に偏在。中小企業の海外現地法人は、企業数では全体の4分の1を占めるが、売上高・経常利益では2%台と限定的。
  • 輸出を通じた海外で稼ぐ力の拡大
    • 直接投資を通じた海外での売上や収益に加え、輸出面でも海外で稼ぐ力は大企業に偏在。大企業に比べ、中小企業の輸出割合は過去10年間で伸びていない。
    • 輸出企業は非輸出企業に比べて生産性が高く、研究開発実施率も高いなど、輸出を通じた海外企業との競争環境の下、自社の稼ぐ力を高めている様子がうかがえる。
    • 今後の伸びしろが大きい中小企業の輸出の促進に向け、中小企業が課題を有するマーケティングや人材面を支援することや、海外拠点設置に比べハードルが低いと考えられる、越境ECの活用拡大等が重要

~NEW~
国民生活センター その通販サイト本物ですか!?“偽サイト”に警戒を!!-最近の“偽サイト”の見分け方を知って、危険を回避しましょう!-
  • インターネット通販で「注文した商品が届かない」「商品は届いたが偽物だった」「販売業者に連絡したいが連絡先がわからない」「通販サイトに注文後、偽サイトだったことに気が付いた」などの“偽サイト(実在の企業のサイトと誤解させるように作成された偽物のサイトなど)”に関する相談が全国の消費生活センター等に寄せられています。
  • 偽サイトの手口では、大幅な値引きをうたうSNSやインターネット上の広告などから偽サイトに誘導され、クレジットカード情報を詐取されたり、銀行等への前払いや代金引換サービスなどで金銭を詐取されたりします。販売価格だけに目を奪われず、偽サイトの特徴を知って、“少しでも怪しいと感じたら注文しない”など、冷静に対応することが必要です。また、偽サイトのトラブルに遭ったと気が付いたら、素早い対処が重要です。
  • 年度別相談件数:2021年度は12,648件、2022年度は12月末までで11,019件です。
  • 2021年度の月別相談件数:4月は583件、5月は601件、6月は498件、7月は514件、8月は639件、9月は862件、10月は989件、11月は931件、12月は1,260件、1月は2,603件、2月は1,611件、3月は1,557件です。
  • 相談事例
    • 【事例1】検索サイトで検索して、通常の販売価格より大幅に値引きされている通販サイトにクレジットカード決済で注文したが、商品が届かない。
    • 【事例2】通販サイトでクレジットカード決済したが商品は届かず、クレジットカードを不正利用された。
    • 【事例3】通販サイトから指定された銀行口座に代金を振り込んだのに商品が届かない。
    • 【事例4】SNS上の広告からアクセスした通販サイトに代金引換サービスで注文したが、偽サイトだった。
  • 相談事例からみる問題点
    • 販売価格が大幅に値引きされた広告や通販サイトには要注意
    • 通販サイトのURLの表記がおかしい、通販サイトに販売業者の情報が適切に記載されていない、通販サイトの日本語の表記、文章表現がおかしい、リンクが適切に機能しないなどの通販サイトには要注意
    • 支払い方法が、クレジットカードのみ、銀行口座等への前払いのみ、代金引換サービスのみなど、限定されている通販サイトには要注意
  • 消費者へのアドバイス
    1. 通販サイトで商品を注文する前に、偽サイトの特徴を知って、少しでも怪しいと感じたら取引しない
      • 公式通販サイトやその運営事業者の公式ホームページ等に、偽サイトに関する注意喚起情報がないか確認しましょう。
    2. もし偽サイトに注文したことに気が付いたら、支払い方法に応じて素早く対処しましょう
      • 偽サイトへの対処は支払い方法によって異なります。早く対処した方が、返金される可能性や被害の拡大防止の可能性が高まります。
        • クレジットカードの場合
          • すぐにクレジットカード会社に連絡しましょう。
          • 日ごろからクレジットカードの利用明細は定期的に確認し、不正利用の被害を早期に把握しましょう。
          • 万が一不正利用の被害に遭った場合の被害額を最小限にとどめるための対策として、自分が利用しているクレジットカードの利用限度額を見直すことも一法です。
        • 銀行口座等への前払いの場合
          • すぐに振込先金融機関の窓口に連絡し、振り込め詐欺救済法(※)による救済を求める旨を申し出ましょう。併せて、最寄りの警察に被害を届け出るようにしましょう。(※)振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律)の詳細は「振り込め詐欺救済法Q&A(金融庁)をご確認ください。
        • 代金引換サービスの場合
          • 注文直後に偽サイトであると気が付いた場合、電子メール等でキャンセルの連絡をしましょう。連絡をすることにより商品が届かずに済んだケースがあります。
          • 代金引換サービスで荷物が届いた場合でも、宅配業者等に代金を支払う前に、送り状に記載されている「依頼人」の情報を確認し、・注文した販売業者とは違う場合または注文した覚えがない場合は、代金を支払わず、受け取りを拒否しましょう。
          • 代金を支払って荷物を受け取り、中身を確認して「偽物」が届いたとわかったという場合であれば、販売業者や送り状の「依頼人」(発送代行業者などの場合もあります)に連絡し、返品、返金を求めることになります。
    3. 不安に思った場合や、トラブルが生じた場合は、すぐに最寄りの消費生活センター等へ相談しましょう
      • 消費者ホットライン「188(いやや!)」番 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
  • 「偽サイト」かどうかのチェックポイント
    • サイトのURLの表記が、ブランドの正式な英語表記と少しだけ異なる。
    • 日本語の字体、文章表現がおかしい。
    • 販売価格が大幅に割引されている。
    • 事業者の住所の記載がない。住所が記載されていても、調べてみると虚偽だったり、無関係の住所である。
    • 事業者への連絡方法が、問い合わせフォームやフリーメールだけである。
    • 支払い方法が、クレジットカード決済のみ、銀行口座等への前払いのみ、代金引換サービスのみなど、支払い方法が限定されている。
    • 通販サイト内のリンクが適切に機能しない。
      • ※上記のいずれかの項目に該当する通販サイトであっても、偽サイトではない場合があります。また、いずれの項目にも該当しない通販サイトであっても、偽サイトの場合があります。

~NEW~
国民生活センター 「利用した覚えのない請求(架空請求)」が横行しています
  • 「利用した覚えがない架空の請求をうけているが、どうしたらよいか」「訴訟最終告知という内容のハガキが届いたが、覚えがない」という相談が、全国の消費生活センターへ寄せられています。
  • 消費者へのアドバイス
    1. 利用していなければ連絡しない
      • まったく根拠のない架空請求が横行しています。これらは、何らかの名簿を入手した悪質事業者が、その名簿に基づき、アットランダムに根拠のない請求ハガキや電子メール等を大量に送ったものと思われます。
      • 請求ハガキや電子メール等には「自宅へ出向く」「勤務先を調査」「執行官の立会いの下、給与・動産・不動産の差し押さえ」「強制執行」「信用情報機関に登録」など不安をあおるような脅し文句が書いてあったり、実在する事業者をかたりコンテンツ利用料金等を請求される場合もあります。請求ハガキ等を送り付けられた人の中には、自分が利用したかもしれないと思い、請求ハガキ等に書かれている電話番号に連絡してしまい、悪質事業者とのやり取りの中で支払うことになってしまったケースもあります。
      • さらに、「消費料金に関する訴訟最終告知」等の請求内容がよくわからないハガキ等が送られてくる場合もあります。ハガキ等に書かれている電話番号に連絡をしないと、訴訟や差し押さえ等を執行すると書かれており、実際に連絡をすると、訴訟の取り下げ費用等と称して料金を請求されています。
      • こういった架空請求等に対しては、請求ハガキ等に書いてある電話番号等には決して連絡しないようにしましょう。
    2. 最寄りの消費生活センターへ相談する
      • 架空請求か判断がつかなかったり、不安を持ったりした場合には、相手に連絡せず、また料金を支払う前に、まず消費生活センターに相談しましょう。
      • 「裁判所からの支払督促」や「少額訴訟の呼出状」と思われる場合は、書類の真偽の判断はむずかしいので、放置せず、すぐに消費生活センターに相談することが重要です。裁判所の管轄地域・連絡先については、裁判所のホームページ内各地の裁判所でも確認することができます。
    3. これ以上、電話番号などの個人的な情報は知らせない
      • 郵送の場合は、請求ハガキ等が実際に届いているので、悪質事業者は名前と住所は知っていることになります。また、電子メールやSMSの場合では悪質事業者はメールアドレスや電話番号を知っていることになります。新たに、個人的な情報を知られてしまうと、今度は別の手段で請求してくることが予想されます。個人的な情報を知られないようにしてください。
    4. 証拠は保管しておく
      • 今後何らかのアクションが悪質事業者からあるかも知れないので、請求ハガキ、封書、電子メール等は保管しておく方がいいでしょう。
    5. 警察へ届け出をする
      • 根拠のない悪質な取り立ての場合は、警察に届けておきましょう。

~NEW~
国民生活センター 高齢者とそのまわりの方に気を付けてほしい消費者トラブル10選
  • 内容
    • 屋根や外壁、水回りなどの“住宅修理”
    • 保険金で住宅修理できると勧誘する“保険金の申請サポート”
    • “インターネットや電話、電力・ガスの契約切替”
    • “スマホのトラブル”契約内容や操作を確認
    • 健康食品や化粧品、医薬品などの“定期購入”
    • パソコンに警告表示“サポート詐欺”
    • “架空請求“、“偽メール・偽SMS”
    • 在宅時の突然の“訪問勧誘、電話勧誘”
    • “不安をあおる、同情や好意につけこむ勧誘”
    • 偽サイトなどに注意“インターネット通販”
  • ひとこと助言
    • 困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。
    • 消費生活センター等へは家族やホームヘルパー、地域包括支援センターなどの職員からでも相談することができます。身近な方がトラブルに気付いた場合には、できるだけ早く相談してください。

~NEW~
国民生活センター 出てくる風が冷たく感じられない卓上型冷風扇(相談解決のためのテストからNo.172)
  • 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
  • 依頼内容
    • 「冷風扇を使用したところ、出てくる風が冷たく感じられない。商品に問題がないか調べてほしい。」という依頼を受けました。
  • 調査
    • 当該品は、水が蒸発する際に気化熱を奪う原理を利用した卓上型の冷風扇でした。当該品の他、卓上型で同様の原理を利用した冷風扇3銘柄を参考品として入手し、合わせて調査を行いました。
    • 当該品及び参考品の風量を最小、最大にそれぞれ設定した状態で、風の吹き出し口直近(0cm)及び吹き出し口から50cm離れた位置での温度を測定しました。なお、テストは周囲温度約28℃、湿度約65%の環境で、それぞれフィルターを事前に水で濡らし、給水タンクの最大量まで水を注いだ状態で行いました。
    • 測定の結果、約5分後には吹き出し口直近(0cm)で室温より最大で4.4℃低かったものの、50cm離れた位置では、室温より0.2~1.3℃低い程度で、風が冷たいとは感じにくいと考えられました。
  • 消費者へのアドバイス
    • 冷風扇は、気化熱を奪う原理を利用しており、風量の他、フィルターの容積や密度、水の温度が性能に影響すると考えられます。卓上型冷風扇はコンパクトで可搬性に優れていますが、室内の温度や湿度を調整するエアコンとは冷却原理が異なり、同様な体感とはなりません。商品の特性を理解した上で、購入の前に、使用する目的に合っているか確認するようにしましょう。

~NEW~
国民生活センター 芝が詰まって動かなくなった芝刈り機(相談解決のためのテストからNo.171)
  • 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
  • 依頼内容
    • 「芝刈り機を使用したところ、少し稼働しただけでモーターが回らなくなった。商品に問題がないか調べてほしい。」という依頼を受けました。
  • 調査
    • 当該品は、芝生を張った庭の手入れなどに使用する手押し式の電動芝刈り機で、本体の下部にある刃で刈られた芝を、内蔵されたファンによって本体後方に設けられたボックスに送る構造のものでした。
    • 当該品に通電したところ、わずかにモーター音はするものの、芝を刈る刃はほとんど動かず、1~2秒ほどでモーター音が停止しました。当該品を分解したところ、刈った芝をボックスに送るファンに芝が詰まっており、これによりモーター及び刃の動きに異常が生じていました。この芝を取り除いて通電したところ、刃は正常に回転しました。
    • 次に、当該品及びその同型品を用いて芝刈りをした際に、刈った芝がファンに詰まる状態が再現するかを検証しました。取扱説明書に従って、10cm以上の長い芝を一度で刈り取らずに二度に分けて20分間芝刈りを行ったところ、異常はみられませんでした。
    • そこで、10cm以上の長い芝を一度で短く刈り、ボックスに溜まった芝が満量になっても捨てずに芝刈りを続けたところ、当該品及び同型品のいずれも刃の動きが弱まり、その後、停止する様子がみられました。ボックスとその付近に溜まった芝を取り除くと、再び芝刈りを行うことができましたが、これを複数回繰り返すと、芝を取り除いても刃はほとんど動かず、1~2秒ほどでモーター音が停止しました。これらを分解したところ、いずれも当該品が提供されたときと同様に内部のファンに芝が詰まっており、モーター及び刃の動きに異常が生じていました。
    • 当該品の取扱説明書には、長い芝を刈る際は、一度で短く刈り取らない旨の記載がされていたほか、ボックスに溜まった芝を捨てる際の目安が記載されていました。
  • 消費者へのアドバイス
    • 芝刈り機には、刈った芝を溜めるボックスが設けられているものが多くありますが、それを指定どおりに捨てずに使用を続けたり、長い芝を一度に短くしようとすると、刈った芝が詰まって動作が停止したり、故障の原因となることがあります。必ず取扱説明書をよく読み、正しい取り扱いについて理解してから使用しましょう。

~NEW~
国民生活センター 住み始める時から、「いつか出ていく時」に備えておこう!-賃貸住宅の「原状回復」トラブルにご注意-
  • 全国の消費生活センター等には、賃貸住宅に関するいろいろな相談が寄せられていますが、なかでも、退去時の「原状回復」に関する相談が多くみられます。賃貸借契約は長期間にわたることも多く、賃貸住宅のキズや汚れ等を借主と貸主のどちらが修繕しなければならないのか、はっきりせずトラブルになることがあります。そこで、賃貸借契約における「原状回復」とは何か、トラブルを防ぐにはどうしたらよいか、などをとりまとめ、消費者へ注意喚起します。
  • 相談件数
    • 賃貸住宅に関する消費生活相談は毎年3万件以上寄せられていますが、そのうち、原状回復に関する相談件数は毎年1万3,000~4,000件程度となっており、賃貸住宅に関する相談のうち約4割を占めています。
    • また、原状回復に関する消費生活相談を月別にみると、12月から1月頃は相談が最も少なく、2月から4月にかけて相談が増え、5月以降には減少するという傾向がみられます。
  • 相談事例
    • 【事例1】敷金礼金不要のアパートを退去したら、契約書の記載と異なるエアコン清掃代や入居前からあったフローリングのキズの修繕費用まで請求された。
    • 【事例2】アパートを退去した際、自分では通常損耗だと思う箇所の修繕費用や、契約書に記載のない費用を請求され納得できない。
    • 【事例3】20年以上住んだマンションを退去した際、入居時から付いていたキズについて「最近付いたものだ」として修繕費用を請求された。
    • 【事例4】敷金礼金不要のアパートを退去した際にシャワーヘッドの交換費用を請求され、入居時から不具合があったと伝えたが証拠がないと言われた。
  • 「原状回復」においてトラブルになりやすいポイント
    1. 「原状回復」とは
      • 賃貸借契約の「原状回復」とは、借主の故意・過失によって賃貸住宅に生じたキズや汚れ(損傷)等、また、借主が通常の使用方法とはいえないような使い方をしたことで生じた損傷等を元に戻すことをいいます。賃貸借契約が終了した時、借主は、賃貸住宅の原状回復を行う義務を負います。しかし、借主の責任によるものではない損傷等や、普通に使っていて生じた損耗(通常損耗)、年月の経過による損耗・毀損(きそん)(経年変化)については、原状回復を行う義務はありません。
    2. 原状回復に関するトラブルの特徴と問題点
      • 賃貸借契約は長期間にわたることが多く、原状回復が問題となる退去時は、契約締結時から相当の時間が経過しています。そのため、入居時の状況がわかるような記録が残っていないと、問題となっている損傷等が通常損耗や経年変化にあたるかどうか、客観的な判断が難しいことがあります。原状回復に関するトラブルの多くは、退去時に貸主側(大家や管理業者等を含む。以下同じ。)から提示された修繕の範囲や金額について借主が納得できないときに起きるものです。原状回復に関する借主と貸主の費用分担については、それぞれの契約内容や賃貸住宅の状況などによって異なるため、トラブルになりやすいという特徴があります。
  • 消費者へのアドバイス
    • 契約する前に、契約内容の説明をよく聞き、契約書類の記載内容をよく確認しましょう。
    • 入居する時には、賃貸住宅の現在の状況をよく確認し、記録に残しましょう。
    • 入居中にトラブルが起きたら、すぐに貸主側に相談しましょう。
    • 退去時には、精算内容をよく確認し、納得できない点は貸主側に説明を求めましょう。
    • 納得できない場合やトラブルになった場合は消費生活センター等に相談してください。

~NEW~
国民生活センター 愛するペットのための買い物-インターネットで購入する前に、しっかり確認しましたか?-
  • 一般社団法人ペットフード協会の調査によると、犬や猫を飼っている人のうち、ペットフードなどのペット用品をインターネット通販で購入する人は3~4割となっており、依然として店舗で購入する割合のほうが高くなっています。しかし、全国の消費生活センター等に寄せられた相談をみると、インターネット通販の割合が全体の約7割を超え、年々増加傾向にあります。
  • 内容としては「お試しのつもりでサプリメントを購入したが定期購入だった」、「ネットで商品を前払いで頼んだが、一向に届かない」、「ネットで買った商品のサイズがペットに合わないので返品したい」などの相談が多く寄せられています。
  • そこで今回は、インターネット通販で購入したペット用品に関するトラブルについて紹介するとともに、購入前によく確認してから購入するよう、消費者に向けて注意喚起を行います。
  • 店舗購入の年度別相談件数:2018年度は217件、2019年度は204件、2020年度は252件、2021年度は227件、2022年度は12月末までで177件です。
  • インターネット通販の年度別相談件数:2018年度は555件、2019年度は677件、2020年度は897件、2021年度は1,188件、2022年度は12月末までで1,271件です。
  • ペット用品全体に占めるインターネット通販の割合:2018年度は60.3%、2019年度は63.9%、2020年度は66.1%、2021年度は69.6%、2022年度は12月末までで75.5%です。
  • 相談事例
    1. 定期購入に関するトラブル
      • ネット通販で犬用の歯磨き粉を買った。2回目の商品が届き定期購入とわかったが、その旨の記載はなかった。商品を返品したい。
    2. 商品未着、連絡不能に関するトラブル
      • ネット通販でペットフードを注文した。代金を指定口座に振り込んだが商品が届かず、業者と連絡が取れなくなった。
    3. 消費者都合に関するトラブル
      • ネット通販で犬小屋を注文した。小型~中型犬用との記載があったが、飼っている中型犬は入ることができなかった。
  • 消費者へのアドバイス
    1. 定期購入が条件になっている場合があります。すぐに注文するのではなく、販売サイトや最終確認画面をよく確認しましょう
      • 「最終確認画面」のチェックリスト
        • 定期購入が条件になっていませんか?
        • (定期購入が条件になっている場合、)継続期間や購入回数が決められていませんか?
        • 支払うことになる総額はいくらですか?
        • 解約の際の連絡手段を確認しましたか?
        • 「解約・返品できるか」「解約・返品できる場合の条件」(返品特約)、解約条件を確認しましたか?
        • 利用規約の内容を確認しましたか?
        • 「最終確認画面」をスクリーンショットで保存しましたか?
    2. そのサイト大丈夫!?購入前によく確認しましょう
      • サイトのチェックリスト
        • 日本語の字体、文章表現は不自然ではありませんか?
        • 通常価格よりも、極端に安くなっていませんか?
        • 事業者の名称、住所、電話番号は明確に記載されていますか?嘘の情報ではありませんか?
        • 支払方法が銀行振込しか選べないようになっていませんか?
        • 通信販売ではクーリング・オフができません。購入前に不安な点は確認しましょう
        • 通信販売は特定商取引法上のクーリング・オフ規定がないため、クーリング・オフはできません。
        • 販売サイト上では良さそうに思えても、自分が思っていたものと違うことがあります。購入前に正確なサイズや、商品の種類など、細かいところまで確認し、不安な点がある場合は、販売サイトに確認したうえで購入するようにしましょう。
    3. 不安に思った場合やトラブルになった場合は消費生活センター等に相談してください
      • 消費者ホットライン「188(いやや!)」番 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。

~NEW~
厚生労働省 「医療機関におけるサイバーセキュリティ対策セミナー」を開催します
  • 昨今、医療機関において、ランサムウェアによるサイバー攻撃事案が発生し、電子カルテの閲覧・利用ができなくなる等により、医療機関の診療体制に大きな影響が生じる事案が複数発生しているところです。厚生労働省では、医療機関を標的としたサイバー攻撃に対応するため、サイバーセキュリティ対策の強化に向けた取組を進めているところです。
  • 今般、令和5年2月15日(水)に、医療機関におけるサイバーセキュリティ対策セミナーをオンラインにより開催をいたします。
  • 今回が初開催となる本セミナーでは、サイバー攻撃に対する各団体の取組事例などについて、厚生労働省をはじめ関係省庁・関係団体より講演することとしましたのでお知らせいたします。
  • プログラム・タイムテーブル(予定)
    • 講演1「(仮題)厚生労働省における医療機関のサイバーセキュリティ対策にかかる取組について」(質疑応答あり)厚生労働省医政局特定医薬品開発支援・医療情報担当参事官室
    • 講演2「(仮題)大阪急性期・総合医療センターのインシデントについて」(質疑応答あり)一般社団法人ソフトウェア協会 理事
    • 講演3「(仮題)サイバー救急の活動について」株式会社ラック セキュリティオペレーション統括部長
    • 講演4 警察庁ご講演 調整中
    • 講演5 一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)ご講演 調整中
    • 講演6 一般社団法人 日本画像医療システム工業会(JIRA)ご講演 調整中

~NEW~
厚生労働省 男女の賃金の差異の情報公表の好事例を公開しています!~女性の活躍推進企業データベースをご活用ください~
  • 厚生労働省では、女性の活躍を推進する企業を応援するために、厚生労働省が運営するウェブサイト「女性の活躍推進企業データベース」(以下「データベース」という。)で様々な情報発信を行っています。
  • 女性活躍推進法に基づく情報公表項目として新たに追加された「男女の賃金の差異」についても、データベース上で情報公表を行っていますのでご注目ください。このたび、その中から好事例をまとめました。好事例は今後も随時公開予定です。詳しくは厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ」をご覧ください。
  • また、データベースで女性の活躍に関する情報公表を行っている企業が多数集まる学生向けのオンラインイベント「女性が輝く企業と出会う合同業界研究イベント2023」を開催します。女性がいきいきと働く、「えるぼし認定」「くるみん認定」を取得している企業と学生の皆さんが出会うチャンスです。
▼女性の活躍推進企業データベース
▼厚生労働省 女性活躍推進法特集ページ
▼添付資料1 株式会社ペイロールの事例
  • よかったこと お客様と腹を割って、それぞれの課題について情報交換できた
  • 大変だったこと 算定したデータをどう活用すべきか、方針を考えるのが大変かつ大事
  • 業務担当者インタビュー
    • 当社は従業員数が301人を超えており、男女の賃金の差異の開示が義務付けられています。その一方で、賃金の差異の開示は、すでに欧米で法制化が進んでおり、当社としても女性活躍推進法が改正される前から、「できるだけ早く進めたい」という思いがありました。
    • また、開示することには3つのメリットがあると考えました。1つは、男女の賃金の差異を明らかにすることで性別に関係なく誰もが働きやすい環境づくりを進め、その結果、よい人材の獲得につなげられること。2つ目は、当社を支えてくださるステークホルダーの皆さまに、当社の取り組みをご理解いただけること。そして、3点目として、当社の事業の1つである人的資本情報の開示サービスを改善し、よりよいサービスの提供につなげられることです。
    • 人事労務管理を扱う会社として、人的資本情報開示の普及に貢献できればと思い、いち早く男女の賃金の差異の開示に踏み切りました
    • 男女の賃金の差異を算出したところ、正規雇用労働者では80.2%、非正規雇用労働者では90.1%となっており、男性の賃金が女性と比べて若干高い傾向にあることが分かりました。差異の要因を探るため、いくつかの仮説を立てて検証してみた結果、管理職におけ
    • る男女比の違いが影響していることが見えてきました。
    • 当社の管理職の女性比率は35%ながら、女性労働者に対する女性管理職の割合は10%強となっています。一方、男性労働者に対する男性管理職の割合は25%となっており、管理職の男女比の違いが賃金の差異を生じさせている一因であることが分かりました。
    • 当社の事業は特定の性別に依存するものではなく、管理職に昇進するチャンスは誰でも平等にあります。また、女性特有のライフイベントが評価に影響することもありません。
    • それでも女性の管理職比率が低いのは、「そもそも管理職になりたい女性が少ないからではないか」と考えました。そこで、男女の賃金の差異の開示前から実施していた、管理職候補を見つけるためのタレントレビュー(社員の強みや課題を踏まえて、その人の成長シナリオを検討すること)や、将来のキャリアパスを意識してもらうためのキャリア開発プランといった仕組みを活用。また、上司に対しては、3~5年先の未来を見据えて部下を育成するよう啓発を行い、長期的視点に立って社員の成長を促すようにしました。
    • また、男女の賃金の差異を算定する過程で、差異の要因にはなっていないものの、離職率の高さが課題であることが見えてきました。この課題を解決するため、入社5年未満の従業員を対象とした定期的な人事面談や退職希望者との面談実施と退職の要因分析を行うなどして、人材の定着に向けた取り組みを進めています
    • 当社は人的資本の取り扱いがサービスの1つ(人的資本レポート「e-pay HR KPI」)であるため、データの算出にはそれほど苦労しませんでした。それよりも大変だったのが、手段と目的を取り違えないようにすることでした。
    • 課題仮説の検討作業やデータの算出作業に集中し過ぎると、数字を出すことがゴールと勘違いしてしまいそうになりました。しかし、開示の本来の目的は、女性活躍を推進することにあります。本来の目的を思い起こすためにも、チーム内で「なぜ当社は男女の賃金の差異を算出し、それをどう活用していくのか」について話し合い、手段と目的を混同しないよう確認しました。
    • 都度、本来の目的に立ち返るよう心掛けたのがよかったと思います。おかげで、集めるべき情報を集めて差異の要因を特定することができ、次につながる施策やアクションを明確にすることができました
    • 男女の賃金の差異を開示したことの反応は、非常によかったと感じています。あるとき、クライアント企業の人事部門の方に当社の男女の賃金の差異についてプレゼンし、情報交換を行う機会がありました。そのとき、クライアント企業の方から「ここまで詳しいデータを公開するのか」という驚きの声をいただくとともに、男女の賃金の差異のみならず、その要因となっている課題まで率先して公開したことに対し、とてもポジティブな反応がありました。
    • そのおかげで、クライアント企業との情報交換の際には、自社が抱える課題について腹を割ってお話いただき、時間外労働の削減など、差異を縮小させるためのさまざまなアイデアを共有することができました。こういった情報交換の機会は当社にとって非常に有意義でしたが、クライアント企業からも「有意義だった」などの感想をいただくことができました。
    • また、開示したことによる社内的な評判もよく、「会社のことがよく見えるようになってよかった」「今まで客観的なデータがなかったので、新しい発見だった」など、透明性を歓迎する声が聞かれました。
    • 賃金に関するデータはどの会社も出したくないのが本音かもしれません。開示義務の話がなければ、積極的に公開する企業も少なかったはずです。そのような中、いち早く率先して開示に踏み切ったことで、社内外の信頼獲得につながったと感じています。

~NEW~
厚生労働省 第11回「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」
▼資料5 第10回検討会の議論の概要
  • 心理的負荷評価表について
    • 全体の区分けについて問題はないと思っている。パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントの「強」の具体例のうち、「適切な対応がなく、改善なされなかった場合」という文言について、適切な対応がなされなかった場合では駄目なのか、つまり改善がなさえれなかったというところまで求める必要があるか考えてもいいと思う。改善がなされなかったということは結果を求めていて、その結果に至る前に、多くの場合、恐らく発病等の状態になられたということをとらえるのではないかと思うので、ここまでの心理的負荷が「中」である以上、ここまでを求めることが必要であるか少し検討してもいいのではないか。(品田先生)
    • 適切な対応をされたかどうかは1つの大きなポイントだろう。(黒木先生)
    • 実際の産業現場の例として、社内でパワハラを扱う委員会などで通常は認められてもいいようなものが認められなかったり、何ら対応が適切にされない場合があるときに、「強」としての心理的負荷があるといったケースはあると思うので、その改善の有無は強度に影響があると感じている。(丸山先生)
    • 項目29について「反復・継続するなどして」という文言を付け加えるのは、何をもって執拗と判断するのかを明確にする趣旨だと理解をした。また、この言葉を加えることによって、現在の認定基準よりも判断を厳しくする意図はないのだと思う。ただ、単発で行われた場合であっても、程度がひどい場合には「強」のケースに含まれるとすると、「反復・継続するなどして」という表現を加えることで、かえってその趣旨が分かりにくくなっていないか、誤解を招かないか気になる。「など」に含められた意味がうまく、分かりやすく伝わるか御検討いただきたい。(中野先生)
    • 項目29について、特に具体例に関して、新たにパワハラ6類型の全てを具体例として盛り込むという案に賛成である。その上で、総合評価の視点との関係、特に、その出来事が起きた背景との関係を注意書き等でもよいので、明示していただきたい。その趣旨は、6類型の中には、もともと違法扱いを受けてきたものとそうでないものがある。例えば、切り離しとか過小要求というのは、必ずしも法律上規制されてこなかったと思う。これは確かに対応によっては、ひどいショックを生むものであっても、社会生活の中で解消やカバーが可能と考えられてきたということだろう。その前提で、特に精神障害に関する認定基準は、予防上もかなり参考にされ、補償の基準ではあるが世間一般へのアナウンス効果も十分に考える必要があるとなると、通常のコミュニケーションまで阻害してしまうことが起きないように、必要な、上司、部下関係等は維持されるように、配慮をする必要があると考える。(三柴先生)
    • 三柴先生の御助言について、十分に考えなくてはいけないと思う。それから、結果を求めているという点について、実質的に、会社の中でのハラスメント委員会の結論と会社の意向が違うなど、様々な面で被災者が救済されない状況も見受けられるので、できれば、社会的に、合理的な被災者に対する配慮がされた場合は、「強」には至らないと考えるのが適正ではないかと思う。(荒井先生)
    • 現行の運用でも「執拗に」というところで、具体的には反復・継続している場合を中心に考えて、1回であったとしても積極的に認めるというのは、あまり運用されていないと思う。1回でも執拗であれば認められるというところをよりはっきりと示すために、反復・継続は、あくまでも回数的なもののような気がするので、もちろん「など」のところで、1回でも長く、いつまでもしつこくというところがあると思うが、これだと、反復・継続というニュアンスは少し違う。反復・継続という、主に回数、頻度を示す言葉と、「執拗に」という態様とは異質なところがあるので、反復・継続的にと「執拗に」を分けて表現したほうが運用上は分かりやすいかと感じた。また、上司とのトラブルで、心理的負荷の総合評価の視点では、トラブルに至る経緯や状況等というのが追加され、これは大事なポイントだと思うが、具体的な例の中に、総合評価の視点が具体的にはあまり反映されておらず、書きにくいところもあると思うが、可能な範囲で少し追加してもらうと分かりやすいと思う。(田中先生)
    • ハラスメントがあれば、ハラスメント委員会などに本人が訴えて、対応してもらうことになり、対応が十分なされなかったということもあるし、また、そういった委員会がないことも問題になるので、「適切な対応がなく、改善がなされなかった」ということを、きちんと書かれてもいいと思う。上司とのトラブルに至る経緯というのも、具体的に書いておかれたほうが分かりやすいと思うし、反復・継続も、1回でも、執拗にされてということがあるので、表現の仕方を少し考えてもいいかと思う。(小山先生)
    • 項目31の「中」や「強」になるケースに関して、その業務の範囲内であるかとか、パワハラに関して、態様や手段が相当かどうかを考慮しながら強度を見るという点に気付くので、例えば、配置転換や懲戒処分といったものが、仮に、それ自体が強いストレスを生むとしても、その態様や手段が相当であるとか、業務の範囲内であるかどうかということを考えながら、規範的に、既にこの基準内においてストレスの強度を判断する構造になっているのだなという印象を持っている。(中益先生)
    • 改善の部分については、適切な対応の中に、確かに改善をするというのが含まれるという考え方もあるかもしれないが、改善されなかったという言葉が残ることで、結果を非常に重視されているというような形に残るとすると、予防的な部分にも活用されると考えれば、残しておいてもいいと思う。顧客からのカスハラについて、この項目が新たにできるということは非常に大きな意味があることだと思う。顧客という言葉が出てはいるが、取引先等から、かなり苦労されている事例もあったりするので、この項目は非常に重要だと思う。(吉川先生)
    • 項目29の「反復・継続するなどして執拗に受けた場合」について、「強」である1例を述べているので、このままでいいのかなというように思った。典型的な例を挙げているということで、「など」でも読み込めるのであれば、より多くある事例の1例として、この書き方でもいいのかなと思う。(阿部先生)
    • 改善されなかったということについて入れておいたほうがいいという意見は納得した。これでよいかと思う。中益先生の御指摘は非常に重要で、事実関係を調べる場合に、それが適切なものであったかどうかという規範的な判断が事前になされる中で、この基準表に適合するのかに多少疑問があることは私も同意だが、上司とのトラブルについては、かなり実務上の要請があるというところが背景にあるかと思う。多くの場合、被害に遭ったという方は、パワハラの被害に遭ったというように主張されるかと思う。その中において、既に、パワハラの概念が明確になっていることから、項目29への該当性はそこで判断される。したがって、当該主張がパワハラの概念には当たらないことが、判断において上司とのトラブルという形で評価することになる、規範的判断がこの項目31に当てはめる中で行われるというわけで、懲戒や配置転換等において、事前にそうした規範的判断が前提になるというわけではないと説明すべきかと思う。(品田先生)
  • 発病の有無の判断について
    • 自殺というのは詳しく状況、経緯を見ていけばいつ頃に発症したかが分かるので、そういう情報をしっかりとつかまえるという意味から専門の先生に判断を任せるということでいいのではないか。悪化か新たな病気の併発かというのも、一定期間薬は飲んでいても飲んでいなくても、治療をやっていてもやっていなくても、一定期間ある程度仕事に就いていられる、前と同じような仕事に就いているかどうかは別としても、ある程度の仕事に就いていられるような状況ならば、一応寛解、症状固定として良くなったと見て、それ以降に発症するならばまた新たな発症と見て、そのときに因果関係がどうであるかというのをきちんと判定すればいいかなという、大体この前論議していたのをうまくまとめていただいていると思う。それぞれの職場のところでどうかなと思う点はあるが、本質的には納得している。(小山先生)
    • 既存の精神障害の場合にはある程度一定期間安定した状態が続いた後に、悪化するなりということは新たな精神障害ということで、また再度カウントするということもあり得る。(黒木先生)
    • 純粋に医学上の寛解・治ゆ論と、補償学上の症状固定・治ゆというものを頭の中で整理すること、明確にすることが必要になると思う。その方法として私たち臨床医が事案について適切な判断ができるためには、多くの労働局でされているが、病歴を症状、就労の有無、薬物療法、リハビリテーション等を時系列的に並べて、どの時点で治ゆし、どの時点で悪化し、あるいはどの時点で寛解しているのかを、根拠をもって判断できるケースもあるので、そのような事案の情報の収集が非常に大事だと思うし、一定期間の寛解後に新たな発病という言葉があったが、そのように過去に既往歴として精神障害がある方でも寛解後の発病を承認して、その前の半年を評価することが、妥当な判断だと思う。(荒井先生)
    • 自殺について、海外の心理学的剖検の報告からも大体85~95%ぐらいは精神障害の発病があるということで、これは大体そのように受け入れられていると思うので、それでいいと思う。ただ発病の時期とかどういった精神障害を発病しているかを見ていくのは、かなり悩ましいところもある。なぜなら本人は自殺してもういないので、本人の申立てを聞き取ることはできず、どうしても職場の周囲の方や、上司の方、それから家族から申立てを聞き取ることになるが、客観性について悩ましいことがある。この辺りは、専門医の医学的な判断というところが重要かと思う。また、療養の長さについて、一定期間というのがどの程度を指すのか悩ましい。これについては具体的にある程度数字を示すのがいいか、数字を示した場合に、当然おおむねは治ゆ・症状固定するのだろうと思うが、一部には治療が非常に長期化するという場合もあるので、それはきちんと補償していかなければいけなく、その見極めを誰がするのかも制度的にきちんとしておく必要があると思う。いずれにしろ医学的な判断が非常に絡んでくる部分なので、労災的な判断とも突き合わせながら、高度な判断が慎重になされていくべきだと思っている。(丸山先生)
    • 基本的には医学的な判断に委ねるしかないので、やることはそのプロセスと条件を整えるしかないと考えている。(品田先生)
    • 今回の表現の改訂で、要するに症状の安定を重視するということだと思うが、それは補償法学上も適当ではないかと思う。(三柴先生)
  • 精神障害が悪化した場合の業務起因性
    • 症状固定あるいは治ゆ状態から新たな発病があるということを、一つの前提としてその時点では強い負荷があったとすれば、業務上の災害とみなすという整理が分かりやすいと思う。今までの慢性的に悪い状態が続いていて、それが更に悪化したという前提よりも、今のいろいろな事例の時系列な病歴を見ると、一時期は良くなって、その後安定していた時期から悪くなっていたというのを見ることが多いので、そこは新たな発病という整理で特別な出来事を求めないということ。「強」であっても外というのは、そんなに多くはないと考えている。(荒井先生)
    • 安定した時期に入っていけば、特別な出来事がなくても通常の悪化の「強」で認める場合があっていいかと思う。(丸山先生)
    • 安定した時期でなくても、例えば強い心理的な負荷が非常に認められる場合でも、業務起因性を検討するということでよろしいか。(黒木先生)
    • 悪化の場合のみ特別な出来事を要件にするというのは、少し厳しい基準だったと思うし、実際に臨床的にも強い心理的負荷で自然経過を超えて病状が非常に悪くなることはあることなので、こういった変更は非常にリーズナブルだと思う。(田中先生)
    • 裁判例の国敗訴の案件を見ると、行政判断とかなり感覚が違うというか、相違が明らかであるような気がした。そうした中で医学判断に委ねるだけでは、なかなか偏差を小さくすることが難しい案件もあるという印象を持った。そうすると特別な出来事がない場合においても、発病後の悪化と見て業務上と認定されるような要件については、ある程度詳細に示したほうがいいのではないかと改めて感じた。前回の議論をかなりしっかりとまとめていただいており、またその内容及びその視点においても、かなりいいのではないかという印象を持っている。(品田先生)
    • 「特別な出来事」に更に例外の書き方を追加した点は賛成だが、特別な出来事がない場合にも「強」の場合に認められる場合があるという書きぶりとして、「また」としているが、例えば原則としては特別な出来事が必要だけれども、しかし、そうではない場合でも認められる場合があるとか、そういった書き方のほうが特別な出来事の例外と分かりやすいのではないか。(阿部先生)
    • 治ゆ状態あるいはある程度精神的な状態が良くて、新たな発病を認定できるのが一つの代表例だろうと思う。病歴を詳細に見ると、一定期間服薬していても通常就労をしていて、ある強い出来事があってその後新たな発病をするという考え方で、特別な出来事を求めないということだろうと思うが、それをどう書くのかは、これまでの特別な出来事をあまりにも求めすぎていたところを緩和していくというか、見直したということを書いていただくことになるのだろうと思う。(荒井先生)
    • 一定期間、安定した状態でなくても、既往の精神障害が特別な出来事によって悪化した場合には認めるのは現状だが、特別な出来事でなくても、いわゆる強い心理的な負荷があって、自然経過を超えて悪化したという場合も業務起因性を検討するということでよろしいか。(黒木先生)
  • 個体側要因による発病
    • 業務による強い心理的負荷があっても個体側要因により発病したことが明らかな場合を例示するのは少し難しいことだと思う。(田中先生)
  • 療養、治ゆ及び再発
    • この部分の「一定期間」という表現について、これはどの程度を指すのかが、案外悩ましいところである。具体的な、例えば、年数を示すのか、その辺りをここで検討していただければいいかと思う。(丸山先生)
    • 新たな発病の前の「一定期間」、それから認定されて療養期間として「一定期間」を示すという、この期間を提示することができるかどうかである。(黒木先生)
    • 具体的な数字を明確に出すのは非常に困難だろう。通常の臨床で症状固定というのに最初に出会うのが、障害年金の1年半である。これは医師の判断ではなくて、自動的に1年半で症状固定となっている。非器質性、器質性の精神障害によって、症状固定の時期は違うとは思っているし、それから寛解の定義についても、半年と考える先生もいれば、数箇月と考える方もいらっしゃるので、それは様々だが、いずれにしろ、2年あるいは3年を超えない間に症状固定はするというのが、大体、一般的な、今、たどり着いている結論ではないかと思っている。(荒井先生)
    • 期間の問題は、基本的に医学的な問題だと思うが、労災による精神障害の発病においては、忘れてはいけない3点のポイントがあるかと思う。1つ目は、社会復帰である。労災においての社会復帰は職場復帰と考えられるべきで、職場復帰ができるための期間がどうであるのかの視点が、まず必要なのではないか。2つ目は、労災によって療養を始めている以上、つまり、職場から離れている以上、発病の原因となるストレス要因は既に除去されている、なくなっている状況の中で問題を考えていくべきだろうと思う。3つ目は、適切な治療を受けていれば半年とか一定の期間の中でかなりの人たちが治ゆする、若しくは症状固定する状況が見受けられているので、労災によって療養補償給付等を受けている方は、基本的には適切な治療を受けられているはずであり、その点も加味された形で検討すべきなのではないか。(品田先生)
    • 非常に悩ましい問題もあるが、3年未満に7割ぐらいは職場復帰、社会復帰する、しかし、5年以上の治ゆしない事例はほとんど職場復帰できないのが現状で、これはなぜかという非常に難しい問題はあるだろうと思う。なぜかと言うと、いわゆる職場が関係して具合が悪くなった、そうすると同じ職場に戻るかどうかはなかなかできないこともあるし、それから職場ストレスということを本人が受け止めて、あえて戻ることはなかなか踏み切れないこともあり、療養が長引いてしまう事例もあり、ここは非常に難しいと思う。しかし、究極はこの職場復帰、社会復帰のめどを立てていかなくてはいけない。このためにも、この一定期間目安を立てるということは、ある程度必要かと思う。(黒木先生)
    • 寛解までの期間について具体的にするのは難しいので、「一定期間継続している」という表現にならざるを得ないかと思う。ただ、学会等の調査で比較的はっきりしているのは、症状固定と考えるべきは、2年から3年ということが、医学的コンセンサスが得られる部分だと思う。労災の障害であれ、そうでない精神障害であれ、治療の目標や社会復帰の目標は、ある程度めどを付けてないとなかなかモチベーションが上がらない現実がある。異動する、転職する、またもとに戻るにしても、ある程度、それを目指した準備をどのように始めていくかは、目標がない場合は治療をしていてもうまくいかないので、療養の見通しを立てるためにも、ある程度の基準の、2、3年といったところを見定めた上で、その途中の期間で医学的な判断を求めながら、促進的に求める制度の運用があったほうが、復職という最も大事な、職場、仕事に戻ってもらう、労働者としてまた戻ってもらうことに対して、とても大事なことだと思うので、症状固定のある程度の原則を判断することは、期間についてはある程度定めたほうがいいのではないかと思っている。(田中先生)
    • 先生の御意見に賛成である。労災で治療をしてらっしゃるのだから、ある程度の見通しは立てないといけないと思う。一定期間はある程度は定められるのではないかと思う。だらだらと治療して中断しているような人たちを混じえての問題ではないので、治療目的を立てて治療をする中だから、大体の見当を付けた中で決めないといけない。(小山先生)
    • 本人のアドヒアランスを促進する意味では、ある程度の治療目標が、どこまでにというのがあるのはうなずけるが、ここに書き込むかどうかは、なかなか難しいところがあり、ここは「一定期間」という書き方にして、例えば、運用のところで、うまくそういうことが表現できないかと考える。(丸山先生)
    • 社会復帰のところについて、前回、外国の例もお示しして、今回のたたき台で、補償を開始した後にスクリーニングの機会を設けることが妥当ではないかという案を頂いている。これについて、前回、スクリーニングの機会を仮に設けたとしても、スクリーニング自体を適切に行えないと形式化してしまうという御意見を頂いて、もっともと私も思っていた。スクリーニングに際して、もともとの認定のときの根拠になった出来事との相関は考えてもいいのではないかと思っている。つまり、こういう出来事でこういう補償がされている中で、いつまでたってもなかなか治ゆしない、あるいは症状が安定しないのはどうなのかというのは、これは制度論上は考えてもいいかと。ただ、臨床医学上は、いろいろあることはよく承知しているので、一つの検討材料としての意見である。(三柴先生)
    • 全体の御議論には異論はない。定期的に医学的判断を求めること自体も適切だろうと思う。ただ、必要な給付までを打ち切られてしまうのではないかという懸念を抱かれないような書き方を、留意していただいたほうがいいと思う。(中野先生)
    • この「一定期間」を示すということは、これは打ち切ろうということではなく、次につなぐことが目的なので、事務局でまた検討していただきたい。(黒木先生)
    • 「一定期間」に賛成である。特に、実務の中ではある程度期間が決まることにより、それを目標にしてリハビリをしていく、治療の目標を立てて、それに向けて進めていくことで復帰が促進される。今、仕事の両立支援をいろいろ議論されている中で、期間の中で計画を立てて復帰していく、それも治療の方法だと思うので、今回の議論の中ではとても重要なことではないかと思う。(吉川先生)

~NEW~
経済産業省 クレジットカード会社等に対するフィッシング対策の強化を要請しました
  • 経済産業省、警察庁及び総務省は、クレジットカード番号等の不正利用の原因となるフィッシング被害が増加していることに鑑み、クレジットカード会社等に対し、送信ドメイン認証技術(DMARC)の導入をはじめとするフィッシング対策の強化を要請しました。
  • 昨今、悪意のある第三者が、クレジットカード会社等を騙った電子メール等を利用者に送信し、利用者を当該電子メール等のリンクから偽サイトに誘導したうえで、利用者のクレジットカード番号等を詐取する攻撃(いわゆるフィッシング)が多発しています。
  • フィッシングによるクレジットカード番号等の詐取は、クレジットカード番号等の不正利用の一因となっており、利用者保護の観点から、クレジットカード会社等において適切な対応が取られることが求められます。とりわけ、フィッシングメールがドメイン名をなりすまして送信されることが多い点に鑑みると、送信ドメイン認証技術のうち、フィッシングメール対策に特に有効とされているDMARCを導入し、ドメイン名のなりすましを検出するとともに、自社を騙るフィッシングメールが利用者に届かなくなるよう利用者の受信を制限することが重要です。
  • 経済産業省、警察庁及び総務省は、こうした状況を踏まえ、クレジットカード会社等に対してフィッシング対策の強化を要請しました。概要は以下のとおりです。
  • DMARCの導入によるなりすましメール対策
    • 利用者向けに公開する全てのドメイン名(メールの送信を行わないドメイン名を含む)について、DMARCを導入すること。
    • DMARC導入にあたっては受信者側でなりすましメールの受信拒否を行うポリシーでの運用を行うこと。

~NEW~
経済産業省 「クレジットカード決済システムのセキュリティ対策強化検討会」の報告書を取りまとめました
▼クレジットカード決済システムの更なるセキュリティ対策強化に向けた主な取組のポイント
  • キャッシュレス決済及びEC取引の普及に伴い、クレジットカード決済市場の規模が増加する一方、サイバー攻撃やフィッシング詐欺の増加等を背景に、クレジットカードの不正利用被害額が増加傾向。こうした中で、非対面取引におけるクレジットカード決済の更なるセキュリティ対策強化を図るため、クレジットカード決済網に関わる多様なプレーヤーによる多面的・重層的なセキュリティ対策の取組を整理。
    1. 漏えい防止(クレジットカード番号等の適切管理の強化)
      1. EC加盟店・アクワイアラー等
        1. EC加盟店
          • 従前の非保持化等の対策に加え、クレジットカード番号等の適切管理義務の水準を引き上げるべく、ECサイト自体の脆弱性対策を必須化(システム上の設定不備改善、脆弱性診断、ウイルス対策等)【セキュリティ対策GL改定】
          • アクワイアラー等からの調査に基づき、ECサイトの脆弱性対策の実施状況を申告
          • 「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」(IPA:今年度末策定)等を踏まえた自主的取組の充実
        2. アクワイアラー等
          • 加盟店管理(セキュリティチェック)におけるEC加盟店調査事項の対象拡大【セキュリティ対策GL】
        3. 継続的検討事項(更なる制度的措置の必要性)
          • 加盟店管理の実効性担保に向けた国の監督の関与の在り方
      2. 決済代行業者等
        • 継続的検討事項(更なる制度的措置の必要性)
          • PSPの実態整理を踏まえた監督の在り方、EC決済システム提供者の範囲の明確化
      3. クレジットカード番号等取扱業者
        1. イシュアー等
          • 最新の国際セキュリティ基準「PCI DSS v4.0」準拠への移行(~2024年3月末)
        2. 継続的検討事項(更なる制度的措置の必要性)
          • EC加盟店を含む、クレジットカード番号等取扱業者でのセキュリティ対策の表示等
      4. 漏えい時のインシデント対応の強化
        1. EC加盟店・決済代行業者等
          • 漏えい時の利用者への連絡・公表の早期化等【業界マニュアル改定】
        2. 日本クレジット協会(認定割賦販売協会)
          • クレジットカード業界のセキュリティ対策に関する体制強化(セキュリティ問題の原因・分析等)
        3. 継続的検討事項(更なる制度的措置の必要性)
          • 漏えい時の国への報告、被害拡大防止・利用者保護に向けたクレジットカード決済サービスの即時停止・再開の判断の明確化
    2. 不正利用防止
      1. 利用者本人の適切な確認の強化
        1. イシュアー・EC加盟店
          • 不正利用防止措置として、利用者本人しか知り得ない・持ち得ない情報(ワンタイムパスワード・生体認証等)による利用者の適切な確認(本人認証)の仕組みを順次導入(~2024年度末)【セキュリティ対策GL改定】
          • 原則全てのEC加盟店で、国際的な本人認証手法「EMV 3DS」の導入【セキュリティ対策GL改定】
          • 利用者の適切な確認の実効性を担保するため、イシュアーのリスクベース認証の精度の向上(利用者の行動分析、AI等を活用した利用者の行動分析等)
        2. 継続的検討事項(更なる制度的措置の必要性)
          • 不正利用防止措置の主体の整理、利用者本人の適切な確認の実効性担保に向けたモニタリング等
      2. 不正利用情報の共有化と活用
        • 業界横断的な取組
          • イシュアー間の不正利用情報の共有に向けた枠組みの検討・連携の促進
    3. 犯罪抑止・広報周知
      1. フィッシング対策
        • イシュアー
          • サイトのテイクダウンや送信メールのドメイン管理(DMARC)等によるフィッシング詐欺への自衛・推奨
      2. 警察等との連携による犯罪抑止
        • 国・イシュアー・EC加盟店
          • 警察庁サイバー警察局や都道府県警等の連携強化による犯罪抑止【業界マニュアルへの反映等】
      3. 利用者への広報周知
        • 日本クレジット協会・イシュアー・国
          • クレジットの安全・安心な利用に関する利用者への被害防止のための措置の広報・周知(利用明細の確認、EMV3DSのワンタイムパスワード設定等)

~NEW~
総務省 サイバーセキュリティタスクフォース(第42回)
▼資料42-1-1 国際連携に関する最近の取組
  • 最近のサイバーセキュリティに関する諸外国の主な動向
    1. 日本
      • 2023年1月 NTTがJCDCに参加
      • NTTがサイバーセキュリティとレジリエンスに対する米国政府の国際的取り組みをさらに強化するためのイニシアティブである共同サイバー防衛連携(Joint Cyber Defense Collaborative(JCDC))のメンバーに加入。
    2. EU
      • 2023年1月 EU:NIS(Network and Information Security)指令
      • NIS指令を改正し、関係セクターの監督権の強化、加盟国CSIRT間の連携強化、ENISAによるEU全般への情報提供・連携における権限強化を実現する指令で理事会で2022年12月に承認され、翌年1月に施行された。
      • 今後EU加盟国は21ヶ月以内に国内法を整備する必要がある。
      • 2022年9月 EU:サイバーレジリエンス法案
      • EU域内市場に上市されるあらゆるデジタル製品(ソフトウェアを含む)に関して、一定のサイバーセキュリティ要件の遵守や、製造業者による最低5年間のセキュリティアップデートの提供や脆弱性及びインシデントの当局への報告を義務づけるもの。欧州委員会で提案され、欧州理事会及び欧州議会にて議論予定。
    3. 日米豪印
      • 2022年5月 米豪印戦略対話(QUAD)
      • 首脳会談で「日米豪印サイバーセキュリティ・パートナーシップ」共同原則が公表された。
      • 2022年7月 重要インフラ法・電気通信法改正
      • サイバーインシデント発生時の報告義務を定めた法律が施行。サービス停止等の重大な影響を及ぼすインシデントについては12時間以内、個人情報流出等の被害については72時間以内の報告を義務づけ。
      • 2022年10月 「電気通信(セキュリティ対策)規則」施行
      • 2021年の電気通信法の改正にもない、「電気通信(セキュリティ対策)規則」が施行。公共ネットワークプロバイダにセキュリティ対策を確実に実行するように求める。Ofcom(通信庁)が規則の施行を実施し監督する。規則に違反した場合は最高で売り上げ10%の罰金、継続的な場合は10万ポンドの罰金が科される。
      • 本規則を遵守するための技術的なガイダンスであるCode of Practiceが同年12月に公表されている。
  • 総務省における国際連携の取組
    • サイバー空間は国境を越えて利用される領域であることから、各国政府・民間レベルでの情報共有や国際標準化活動に積極的に関与。
    • また、世界全体のサイバーセキュリティのリスク低減のため開発途上国に対する能力構築支援を行うほか、国内企業の国際競争力向上を図る取組も推進。
      1. 有志国との二国間連携の強化
        • サイバー協議等の場を活用した情報発信、意見交換等の実施。
      2. 多国間会合を通じた有志国との連携の強化
        • 日米豪印(Quad)、OECD、日ASEANサイバーセキュリティ政策会議等の多国間の枠組みを活用した情報発信、意見交換等の実施。
      3. ISACを通じた民間分野での国際連携の促進
        • 海外ISACとの連携推進、ASEANとのISPワークショップ等の実施
      4. インド太平洋地域における開発途上国に対する能力構築支援
        • サイバーセキュリティ演習の実施
        • Cyber SEA Game開催(若手技術者・学生参加の競技会)(2018-22年で948人参加)
      5. 国際標準化機関における日本の取組の発信及び各国からの提案への対処
        • 国際電気通信連合関係会合(ITU-T SG17)への参加。
      6. 国際展開支援
        • サイバーディフェンスセンター(CDC)の普及展開活動、日本企業のサイバーセキュリティソリューション・製品等の国際展開を目的とした実証事業等の実施。
  • サイバーセキュリティ分野における日米豪印の協力について
    • 首脳会合共同声明(サイバー関係抜粋・仮訳)
      • 高度化するサイバー脅威を伴うデジタル世界が拡大するなかで、我々は、サイバーセキュリティを強化する集団的アプローチを取ることが緊急に必要であることを認識した。
      • 我々は、自由で開かれた、包摂的なインド太平洋に関する日米豪印首脳のビジョンを実現するため、脅威情報の共有、デジタル対応製品及びサービスのサプライチェーンにおける潜在的なリスクの特定・評価、及び全ての利用者が利益を享受できるよう、より広範なソフトウェア開発のシステムを改善するため、政府調達の基本的なソフトウェアセキュリティ基準の整合並びに我々の集団的な購買力の活用によって、我々の国の重要インフラ防護を改善することにコミットする。
      • 「クアッド」のパートナーは、「クアッド・サイバーセキュリティ・パートナーシップ」の下でインド太平洋地域の能力構築支援プログラムを協調するとともに、「クアッド」各国、インド太平洋地域及びそれ以外の地域における個々のインターネット・ユーザーが、サイバー脅威から自らを守ることを支援するべく、史上初の「クアッド・サイバーセキュリティ・デイ」を開始する。
    • 共同原則(Joint Principles)
      • 2021年9月の会合立ち上げ後、「重要インフラ保護」、「サプライチェーンリスク管理」、「ソフトウェアセキュリティ」、「人材育成」の4つをテーマに行われた議論の成果を取りまとめたもの。
        1. 重要インフラ保護
          • 重要インフラ保護に資する脅威情報その他のセキュリティ情報の共有(4極の政府・民間間)を促進。
        2. ソフトウェア等のセキュリティ確保
          • ソフトウェアのセキュリティに関する最低限の基準(脆弱性情報の管理、SBOM、多要素認証、セキュリティ管理システムの監査等)の策定に向けた協働を推進。特に、ソフトウェアの政府調達におけるセキュリティ確保の枠組みの確立に向けた協働を実施。
        3. サプライチェーンのレジリエンス・セキュリティの確保
          • サプライチェーンにおける潜在的脅威の特定やサプライチェーンリスクへの依存度を評価するための枠組みの確立に向けた協働を実施。また、関係する基準やガイドライン等に関する意見交換を実施。
        4. 人材育成
          • インド太平洋地域における能力構築支援プログラムに係る協働・連携を実施(Quadサイバーセキュリティ・パートナーシップ)。
  • サイバーディフェンスセンター(CDC)について
    • ITUにおいて議論されていたサイバーディフェンスセンター(CDC)が、2021年10月、ITU勧告1060(the Framework for creation and operation of a cyber defense centre)として発行された。
    • 本勧告には、日本発のサイバーセキュリティの知見として、政府や各省庁、民間セキュリティ団体の政策やノウハウが取り入れられている。
    • サイバーセキュリティ体制の構築が遅れている発展途上国を対象にCDCの普及展開活動を実施することにより、サイバーセキュリティ分野における我が国の国際的なプレゼンス向上を図る。
  • サイバーディフェンスセンター(CDC)とは
    • 組織活動がデジタル化するにつれ、情報システムへの脅威が、単にシステムへの被害を発生させるだけでなく、経営的な被害や、より物理的あるいは人的な被害までをも引き起こすようになったことを受け、組織全体のサイバーセキュリティリスクを俯瞰する存在が必要。
    • CDCはセキュリティポリシーに沿った組織のセキュリティを確保するため、セキュリティサービスをカタログ化・実施組織の選定及び目標スコアの設定を行い(構築:Build)、それらを短期・長期的なマネジメントによって運用(Management)、さらに定期的な評価(Evaluation)を行う

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総務省 ICT活用のためのリテラシー向上に関する検討会(第4回)配布資料
▼資料4ー1 これからのデジタル社会において身に付けるべきリテラシーの全体像(叩き台)について(事務局資料)
  • これまでの議論を踏まえた世代共通課題の整理
    1. インターネット上で自分の好みの情報や自分と似た意見に触れやすくなる特性・仕組みの理解
      • 注目しているのがアテンションエコノミーであり、アテンションを集めることがビジネス上重要になっており、フェイクニュースが跋扈する一因となっている。いたちごっこでフェイクニュースを削っていくよりも、それに対する免疫を獲得していくことが重要。(山本座長)
      • フィルターバブルという言葉を知らない方が7、8割という調査結果もある。(山本座長)
      • フィルターバブルなどは知らないと気付かない。(上沼構成員)
      • ユーザーに表示される順番についてのアルゴリズムに関して、本当に基礎的なところから教えていく必要があるのではないか。これらは全世代共通しているものだと思う。(古田構成員)
      • 認知バイアスがあるため、いつでも私たちは騙されること、私たちの情報行動には、環境の制約があること、価値観や個人特性の影響を無視できないこと、ICTに関する状況が変化の中にあり流動的であることを念頭に置く必要がある。(安野構成員)
    2. 情報を理解するリテラシー(事実と意見、推測、判断、行動の切り分け等)の習得
      • 民間の調査報告書では、かなりの人が間違った情報に触れており、そのうち2割程度しか偽・誤情報かどうかを見分けられなかった。偽情報・誤情報に対する弱さは各世代あまり変わらないのが現実。大学における講義でアンケートを取った際には、約半数の学生は実際に流通した偽情報の一つを信じていたなど問題が顕在化している。(古田構成員)
      • 事実の提示、推測、判断、行動の論理の切り分けが理解できないという問題がある。事実と意見を見極めるなどの基礎的な教育が必要である。(古田構成員)
    3. インターネット上の情報を熟慮する機会の確保
      • インターネット上の情報に接した際に、反射的思考によらずに熟慮し、スローな意思決定の機会をどのように確保するかが課題。(山本座長)
    4. デジタル空間における情報発信者としての意識や社会参加への意識の醸成
      • デジタル空間においては、誰でも発信者になって容易に参加できるようになり、その分、例えば他人を傷つける機会も増え、責任も発生するようになっている。こうしたデジタル空間における情報発信者であることを意識する必要がある。(瀬尾構成員)
      • 教材や教育では、社会にどのように働きかけをするのか、メディアを使いこなした上で、自分が訴えかけていく、又はメッセージを届けるためのトレーニングが必要。(豊福構成員)
      • いわゆる情報消費者的な教育から社会参加や情報構築教育にいかに転換するか。(豊福構成員)
  • 身に付けるべき5つの能力の定義(素案)
    1. データや情報、デジタルコンテンツを検索、評価、管理する能力
      • 必要な情報を明確にし、データ、情報、及びデジタルコンテンツを見つけて取得すること。情報源の信頼性を分析し、比較し、批判的に評価すること。情報の出所、検索結果の表示順の仕組み、検索結果を導き出すために必要な情報に関する知識を持つこと。データ、情報、デジタルコンテンツを保存、管理、整理すること。
    2. デジタル技術を通じて他者や社会と関わる能力
      • デジタル空間の公共性の理解、他者の権利の尊重、文化や世代の多様性及び民主的社会参加の重要性を意識しながら、デジタル技術を活用し、他者と交流やコミュニケーション、共同して作業すること。官民のデジタルサービスを通じて社会に参加すること。自分のデジタル空間でのプレゼンス、アイデンティティ、評判を管理すること。
    3. デジタルコンテンツの作成・編集に関する能力
      • デジタルコンテンツを作成及び編集すること。著作権やコンテンツの利用許諾がどのように適用されるかを理解しながら、新たな情報やコンテンツを既存の知識や資源と統合し新たなコンテンツや知識を創造すること。問題解決のためにプログラミングを活用する方法を知ること。
    4. デジタル空間において安全を確保する能力
      • デジタル環境でデバイス、デジタルコンテンツ、個人データ、プライバシーを保護すること。身体的及び精神的な健康を保つこと。社会のウェルビーイングや社会的包摂のためのデジタル技術を認識すること。インターネット上の違法・有害情報のリスクを理解し対処すること。インターネット上での不適切な振舞のリスクを理解し対処すること。
    5. デジタル技術の利用に当たっての課題解決やデジタルツールを用いた課題解決に関する能力
      • デジタル技術の利用に当たってのニーズや問題を特定し、解決すること。デジタルツールを使用して、プロセスと製品を革新すること。デジタル技術の進化の最新の状態に付いていくこと。

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国土交通省 「物流情報標準ガイドライン」に関するHPを開設し、管理体制を決定しました
  • 人手不足をはじめ様々な課題を抱える物流業界の生産性向上のためには、業界全体で物流の最適化を進める必要があります。そこで、国土交通省・経済産業省が関係省庁として参画する内閣府「SIPスマート物流サービス」にて、広範囲でのデータ連携などによる物流の効率化・生産性向上のため、運送計画情報や出荷情報などに関する情報標準化の推進を目指して「物流情報標準ガイドライン」を策定・公表しているところです。今般、本ガイドラインのさらなる普及促進のために、導入事例やメリット等を掲載したホームページを開設するとともに、令和5年度以降の管理体制を決定いたしました。
    1. ガイドラインの概要
      • 内閣府「SIPスマート物流サービス」では、令和3年10月に、業界関係者との意見交換等を経て「物流標準ガイドライン」を策定・公表していましたが、その後の物流標準化の動向や関係者からのご要望等を踏まえ、より現場の実情に即したガイドラインとして、「物流情報標準ガイドライン2.01」へ改定しました。本ガイドラインでは、以下の3つの標準と1つの方針を定めております。本ガイドラインが活用されることで、データが異なることによる個社毎の煩雑な調整やランニングコストの削減、システム関連コストの低減等のほか、データの統一化が推進されることによる共同輸送や共同保管といったサービスの展開が容易になり、物流の効率化が進むことが期待されます。
        1. 物流業務プロセス標準
        2. 物流メッセージ標準
        3. 物流共有マスタ標準
        4. コード標準化に対する方針
    2. ガイドラインの掲載HP
      • 本ガイドラインは、SIPスマート物流サービス研究推進法人のHPで公表されておりますが、本ガイドラインのさらなる利用促進に向け、今般にガイドラインの紹介と活用促進を目的とした新たなHPを公開いたします。策定の経緯や本ガイドラインの準拠企業の事例に加え、会員登録いただいた方向けの掲示板等のページもございますので、是非ともご一読ください。
▼ガイドライン掲載HP

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国土交通省 不動産価格指数、住宅は前月比0.8%上昇、商業用は前期比0.9%上昇~不動産価格指数(令和4年10月・令和4年第3四半期分)を公表~
  • 国土交通省は、今般、不動産価格指数(住宅及び商業用不動産)を公表しました。住宅総合の季節調整値は、前月比で0.8%上昇し、商業用不動産総合の季節調整値は前期比で0.9%上昇しました。
  • ポイント
    1. 不動産価格指数(住宅)(令和4年10月分・季節調整値)
      • 全国の住宅総合は前月比0.8%増の133.8
      • 住宅地は112.9、戸建住宅は114.1、マンション(区分所有)は186.4(対前月比はそれぞれ、1.8%増、2.3%減、0.8%増)
    2. 不動産価格指数(商業用不動産)(令和4年第3四半期分・季節調整値)
      • 全国の商業用不動産総合は前期比0.9%増の134.0
      • 店舗は149.9、オフィスは157.1、マンション・アパート(一棟)は156.0(対前期比はそれぞれ、9.0%増、0.2%増、0.3%増)
        • ※2010年平均=100各数値は速報値であり、初回公表後3ヶ月間は改訂を行う。

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