危機管理トピックス

犯罪対策閣僚会議(首相官邸)/科学技術・イノベーション白書(文科省)/高齢社会白書(内閣府)/障害者白書(内閣府)

2023.06.26
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更新日:2023年6月26日 新着25記事

危機管理トピックス

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 「サステナブルファイナンス有識者会議」(第17回)議事次第
  • ちばぎん証券株式会社等に対する行政処分について
内閣府
  • 令和5年版高齢社会白書を公表しました
  • 令和5年版障害者白書
  • 交通安全白書
  • 研究インテグリティに関する検討
  • 月例経済報告(月次)
消費者庁
  • 「特殊詐欺等の消費者被害における心理・行動特性に関する研究」プロジェクトにおけるリサーチ・ディスカッション・ペーパーの公表について
  • 富士通クライアントコンピューティング株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について
厚生労働省
  • 「令和4年度 石綿による疾病に関する労災保険給付などの請求・決定状況まとめ(速報値)」を公表します
  • 新しい時代の働き方に関する研究会 第9回資料
経済産業省
  • 中国による日本製ステンレス製品に対するアンチ・ダンピング措置がWTO協定違反と判断されました~WTO紛争処理小委員会最終報告書が公表されました~
  • 「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律の施行期日を定める政令」及び「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令」を閣議決定しました
  • 中小企業の挑戦を応援する5つの報告書及びガイドラインを公表します!
総務省
  • 「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」の公表
  • 情報通信ネットワークにおけるサイバーセキュリティ対策分科会(第6回)
国土交通省
  • 保安検査の実施主体が変わります!~保安検査の厳格性と旅客利便性の一層の両立へ!有識者会議のとりまとめを公表~
  • 令和5年4月の宅配便の再配達率が約11.4%に減少
  • 国際水素サプライチェーンの商用化に向けた新たな一歩
  • G7三重・伊勢志摩交通大臣会合の結果について

~NEW~
警視庁 #BAN 闇バイト
  • 闇バイトとは
    • SNSやインターネット掲示板などで、短時間で高収入が得られるなど甘い言葉で募集しています。
    • 応募してしまうと、詐欺の受け子や出し子、強盗の実行犯など、犯罪組織の手先として利用され犯罪者となってしまいます。
  • 闇バイトに手を出さないために
    • アルバイトを探すときは「高額」「即日現金」「高額即金」「副業」「ハンドキャリー」「書類を受け取るだけ」「行動確認・現地調査」等の言葉に注意してください。楽をして大金を稼げるアルバイトは存在しません。
    • 申込時に匿名性の高いアプリのインストールを求められる場合は、闇バイトの可能性があります。
    • 怪しいと思ったら、友人や家族、警察に相談してください。
  • 一度でも闇バイトをしてしまうと
    • やめたいと思っても、応募のときに送った身分証明書から「家に行く」「家族に危害を加える」と犯罪組織から脅されて逮捕されるまでやめられません。
    • 逮捕されたあとに待ち受けるのは懲役や被害者への損害賠償です。もちろん犯罪グループは助けてくれません。闇バイトは使い捨てです。
  • 闇バイトに申し込んでしまったら
    • いますぐ最寄りの警察署、警視庁総合相談センター又はヤング・テレホン・コーナーに相談してください。
    • 警視庁総合相談センター
      • 相談内容に応じて相談窓口等をご案内します。
      • 電話:#9110又は 電話:03-3501-0110(代表)
    • ヤング・テレホン・コーナー(警視庁少年相談係)
      • 電話:03-3580-4970

~NEW~
首相官邸 犯罪対策閣僚会議(第38回)議事次第
▼資料1 「SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン」の進捗状況
  1. 「実行犯を生まない」ための対策
    • 「闇バイト」等情報への対策やサイバーパトロール等を通じて把握した情報を端緒とする強盗・特殊詐欺事件に係る捜査を推進するとともに、インターネット・ホットラインセンター等の取扱情報の範囲に、強盗の勧誘等に関する情報を追加し、削除等を強化。
    • 学生向けに労働関係法令を分かりやすく解説したハンドブック(「知って役立つ労働法」)、「インターネットトラブル事例集」2023年版に「闇バイト」等に関する注意喚起を盛り込んで公表するとともに、大学等に対して「闇バイト」等に関する注意喚起を実施。
    • 強盗や特殊詐欺の実行犯の適正な科刑を実現するため、余罪の積極的な立件、マネー・ローンダリング罪の積極的な適用を推進。
  2. 「実行を容易にするツールを根絶する」ための対策
    • 「名簿屋」等に対する調査結果も踏まえ、個人情報保護法に則り、個人情報を適正に取り扱うことについての注意喚起を実施するとともに、犯罪者グループ等に名簿を提供する悪質な「名簿屋」等に対する取締り等を推進。
    • 預貯金口座の不正利用防止のため、特殊詐欺の被害・犯行が疑われる取引に係る取引時確認の強化策等について、実務上の課題を踏まえ、業界団体と協議。
    • 預貯金口座、携帯電話等に係る本人確認について、非対面で行う際には、マイナンバーカードの公的個人認証機能の活用の推進に向け、業界団体と議論。
    • 特殊詐欺への悪用が特に多く確認されている「050アプリ電話」について、契約時の本人確認を義務化する制度改正を検討。
    • 固定電話番号の利用停止等スキームの改正による、悪質事業者の在庫電話番号の利用の一括制限に向け、業界団体と協議。
    • 制度改正を含めた検討を行うため、SMS機能付きデータ通信専用SIMカードに関し、携帯電話キャリア等に対するヒアリング等調査を実施するなど、その悪用実態の分析を実施。
    • 在留期間が経過している外国人口座で発生した取引について、なりすましの疑いがあるとして厳格な取引時確認を行うことについて、実務上の課題を踏まえ、業界団体と協議
  3. 「被害に遭わない環境を構築する」ための対策
    • 宅配事業者を装った強盗を防ぐため、大手宅配業者等との間で、非対面での荷物の受取りの拡充等の覚書を締結したほか、「再配達削減PR月間」(4月)を通じ、消費者に対し、置き配等の活用を呼び掛け。
    • 特殊詐欺等に係る被害を防止するため、NTT東西において、犯罪被害を理由に番号変更を希望する場合の変更手数料の無償化、70歳以上の契約者等に対するナンバー・ディスプレイ等の無償化、特殊詐欺対策アダプタを活用したサービスの一定期間の無償化を発表。これを受け、対象世帯への普及促進に向けた周知を実施。
  4. 「首謀者を含む被疑者を早期に検挙する」ための対策
    • 突き上げ捜査等のための捜査手法について、警察庁及び法務省において実務的に検討。
    • 捜査共助の更なる迅速化等のため、刑事共助条約の締結について諸外国と協議するとともに、国際会議の場等において、各国に捜査協力等を要請。
▼資料2 「SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン」に基づく警察関連施策の進捗状況
  1. 「実行犯を生まない」ための対策
    • サイバーパトロール等を通じて把握した情報を端緒とする強盗・特殊詐欺事件に係る捜査を推進
    • 受け子等を募集していると認められる投稿に対する警告等を実施
    • 「闇バイト」等情報の削除推進に向け、SNS運営事業者への働き掛けを実施
  2. 「実行を容易にするツールを根絶する」ための対策
    • 犯罪者グループ等に名簿を提供する悪質な「名簿屋」等に対して、あらゆる法令を駆使した取締りの推進を指示
    • 特殊詐欺に用いられる通信手段等の手口を分析するなどして「特殊詐欺の手口と対策」を取りまとめ
  3. 「被害に遭わない環境を構築する」ための対策
    • 宅配事業者を装った強盗を防ぐため、大手宅配業者等との間で、置き配を含む非対面での荷物の受取りの拡充等の覚書を締結
    • 「地方創生臨時交付金」を活用した防犯対策強化のための取組(防犯性能の高い建物部品等設置)に対する支援について、都道府県警察と地方公共団体の連携を推進
    • 貴金属等を狙った強盗事案の発生状況を踏まえ、事業者等と連携した防犯対策の徹底を推進
  4. 「首謀者を含む被疑者を早期に検挙する」ための対策
    • 突き上げ捜査等のための捜査手法について、警察庁及び法務省において実務的な検討を実施
    • 捜査共助の更なる迅速化等のため、刑事共助条約の締結について諸外国と協議するとともに、国際会議の場等において、各国に捜査協力等を要請
▼資料3 「SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン」に基づく総務省の施策の進捗状況
  • 既に実行に移した施策
    1. 青少年をアルバイト感覚で犯罪に加担させない教育・啓発
      • 『インターネットトラブル事例集2023年版』に「闇バイト」等に関する注意喚起を掲載。教育委員会、PTA等の関係機関に周知して教育・啓発。(3月)
    2. ナンバーディスプレイ等の普及拡大
      • 高齢者が悪質電話に出ないようにする観点から、総務省からNTT東西に対し、ナンバーディスプレイ等の普及拡大について要請。これを踏まえ、NTT東西において、ナンバーディスプレイ等の無償化を実施。(5月)
  • 準備・検討を進めている施策
    1. 050アプリ電話の契約時の本人確認の義務化
      • 特殊詐欺への悪用が特に多く確認されている「050アプリ電話」について、契約時の本人確認を義務化する制度改正を準備。【総務省令の改正】
    2. 悪質な電話転送事業者の在庫電話番号の一括利用制限
      • 悪質な電話転送事業者が保有する固定電話番号等(在庫電話番号)の利用を一括して制限するスキームの改正を準備。【業界団体への要請文書の改正】
    3. 携帯電話の契約時の本人確認におけるマイナンバーカードの活用
      • 本人確認書類の券面の偽変造による不正契約を防ぐ観点から、携帯電話の契約時の本人確認におけるマイナンバーカードの公的個人認証の活用に向け、業界団体との協議を実施。
    4. SMS機能付きデータ通信専用SIMカードの悪用対策
      • SMS機能付きデータSIMの悪用の実態について、携帯電話キャリアやSMS配信事業者に対して調査を実施。悪用の実態の分析結果を踏まえて対策を検討。

~NEW~
デジタル庁 マイナンバー情報総点検本部(第1回)
▼資料1
  • 健康保険証の紐付け誤り
    1. 事案の概要
      • 別人の資格情報に紐付いた事案
      • 令和3年10月~令和4年11月末まで 誤登録7,312件 うち薬剤情報等が閲覧された件数6件
      • 令和4年12月~令和5年5月22日まで 誤登録60件 うち薬剤情報等が閲覧された件数4件
    2. 原因
      • 資格取得時にマイナンバーの記載がなかったため、保険者において、J-LISに本人情報を照会したが、本来、国から示された通知に則り、4情報(氏名、生年月日、性別、住所)が一致した場合のみ登録すべきところ、異なる方法で実施し、別人の情報を登録した。
    3. 対策
      • 新規事案の発生防止
        • マイナンバーの記載義務を法令上明確化【省令改正:6/1施行】
        • 新規登録時に全件J-LIS照会を実施【システム改修、来年度から実施予定】
      • 既存データの総点検
        • 全保険者に対し、点検を要請。6月末までの作業状況の報告、7月末までに作業結果の報告を求める
        • 登録済みデータ全体を対象にJ-LIS照会を行い、疑いがあるものについて本人確認を行う
  • 地方職員共済組合での紐付け誤り
    1. 事案の概要
      • 別人の年金情報に紐付いた事案
      • マイナポータルに別人の年金情報が表示された(1件) ※年金の支給額や掛金額への影響はない
    2. 原因
      • 地方職員共済組合において、元組合員の情報をシステムに登録する際マイナンバーの記載がなかったため、J-LISに本人情報を照会したが、誤った氏名(旧姓)で照会を行った上で住所情報の合致を確認しなかった。
    3. 対策
      • 新規事案の発生防止
        • 資格取得・裁定請求時のマイナンバーの記載を徹底することとし、関係省令を改正
        • 提出されたマイナンバーが正確かどうかを確認するため、全件にわたりJ-LISに照会し、登録データとJ-LISのデータを照合
      • 既存データの総点検
        • 登録済みデータ全体を対象にJ-LIS照会を行い、疑いがあるものについて本人確認を行う
        • 7月末までに作業結果の報告を求める ※新規事案の発生防止と既存データの総点検は、全ての共済年金(地方公務員共済に加え、国家公務員共済、私立学校教職員共済)において同様の対策を実施。
  • 障害者手帳情報の紐付け誤り
    • 事案の概要
      • 別人の障害者手帳情報に紐付いた事案
      • 累計件数は、62件(静岡県)(6/20公表)
    • 原因
      • マイナンバーの記載がなく、自治体が、J-LISへの照会で障害者のマイナンバーを取得する際に、住所を含まないカナ氏名、生年月日のみを用いて照会を行い、十分な確認を経ないまま、同姓同名である他人のマイナンバーが紐付いた。
      • 削除すべき情報が自治体の手帳システムに残っていたため、マイナンバーに複数の手帳記録を紐付けてしまった
    • 対策
      • 事務処理状況の確認(7月中)
        • 全国の自治体で、氏名、生年月日、性別、住所を用いた確認が行われているかなど、紐付けの事務処理の実情を確認
      • 紐付けについての点検
        • 住所を含まない氏名、生年月日などでマイナンバーを照会している自治体は、氏名、生年月日、性別、住所を活用するなどにより、適切に紐付けているか確認。
        • システム仕様等の問題を解消。
      • 自治体の事務処理方法の見直し
        • 手帳申請様式のマイナンバーの記載欄に申請者からの記載を求めた上で、住基ネットによる照会で確認するなど、自治体の事務処理方法を見直す。
▼資料2
  • 目的
    • 医療保険以外にも、マイナンバーと制度固有番号との紐付け誤りが生じていることから、マイナポータルで閲覧可能な情報を有する全ての制度等について、紐付けが正確に行われているか、必要な点検を行う。
  • 体制(案)
    • デジタル庁に総点検本部を設ける。対象となる情報を多く所管する厚生労働省及び地方自治体との連絡調整を担う総務省において、点検を着実に進める体制を整備する。
    • 厚生労働省は、関連する全ての部局が参画した点検チームを設置し、個々の施策に係る総点検を実施。
    • 総務省は、デジタル化推進等に関する省内本部の新たな業務として、マイナンバーの紐付けに関する総点検の推進を位置付け、自治体との連絡調整を実施。
    • 関係省庁(こども家庭庁、総務省、財務省(国税庁)、文部科学省)の職員にデジタル庁総点検本部の職員として併任をかけ、厚生労働省の点検チームと協力し、それぞれの所管業務の点検を推進する。
  • 基本的な進め方
    • 7月中
      • 各省庁から紐付け実施機関に対し、現状の紐付け方法について確認を行う。具体的には以下のとおり。
        • マイナンバー届出義務の有無、
        • マイナンバー未届出の場合のマイナンバー取得方法
        • J-LIS照会を行う場合の方法(氏名・生年月日・住所等のうち何種類を用いるか) など
    • 原則として秋まで(8月末に中間報告)
      • 紐付け方法の確認結果を踏まえ、氏名等のうち3種類以下の情報を用いてJ-LIS照会を実施した場合など、全ての個別データの総点検が必要なケースを整理する。
      • 紐付け実施機関に対し、上記ケースに該当する場合には、以下を実施し、その結果の公表を求める。
        • 全データ点検
        • 誤紐付けの修正
        • 情報漏洩の有無に関する調査 など
      • 紐付け実施機関固有の事情により紐付け誤りが生じた事例については、その原因に沿って個別に対応
  • 再発防止策の方向性
    • 各種申請時等のマイナンバー記載義務化、機械的なJ-LIS照会の実施の検討、統一的な手順の提示等

~NEW~
文部科学省 令和5年版 科学技術・イノベーション白書
▼概要版
  • 地域科学技術・イノベーション政策
    • これまでの政府の施策の変遷を紹介。
    • 最近では、地方創生を目的とした、地方公共団体や公共団体間連携を対象とする、デジタル田園都市構想やスタートアップ・エコシステム拠点事業などの政策を通じて、多様な拠点形成が拡がっている。
  • 地域の大規模な科学技術・イノベーション拠点
    • 地域主導で、独自の産業・技術といった特色を活かして関連する産業界や人材を集積させて拠点を形成し、地域活性化に大きく貢献している事例を紹介。
      1. オープンイノベーション都市かわさき(神奈川県)
        • 研究開発機関の集積と拠点の整備:市内に550以上の研究開発機関が集積。「殿町国際戦略拠点キングスカイフロント」、「新川崎・創造のもり」等の拠点事業を推進。
        • スマートライフケア社会への変革を先導するものづくりオープンイノベーション拠点(COINS):全ての医療機能が人体内に集約化される「体内病院」の実現を目指す。ナノ医療イノベーションセンター(iCONM)でアンダーワンルーフによるオープンイノベーションを加速。
        • 日本初の「ゲート型商用量子コンピューティングシステム」の稼働:「量子イノベーションパーク」を形成し量子技術を活用したスタートアップ企業の創出・集積等を目指す。
      2. 神戸医療産業都市(兵庫県)
        • 医療産業都市の創設:阪神・淡路大震災の復興事業として、平成10年に神戸医療産業都市構想に着手。構想開始から20年以上が経過し、神戸市への進出企業・団体数は362社、雇用者数は12,400人。シェアラボなどの充実した研究開発環境の提供によるスタートアップの支援
        • 神戸市発のイノベーションの推進:世界初のiPS細胞移植手術、世界初の歯髄再生医療、手術支援ロボット「hinotoriTMサージカルロボットシステム」の開発・活用促進、理化学研究所が開発した世界最高水準のスーパーコンピュータ「富岳」の計算資源活用促進。
  • 地域に密着した全国の高等専門学校による科学技術・イノベーション
    • 地域の特性や大学の強みも活かして革新的な技術開発に成功している、大学、地方公共団体、産業界等の連携による事例を紹介。
      1. 弘前市・弘前大学のwell-being地域社会共創拠点等(青森県)
        • 青森県は短命県の返上に向け、大規模・長期間の健康調査により蓄積されたのべ2万人程度の健常人ビッグデータを活用し、認知症や生活習慣病等の予兆発見/予防法開発とそのビジネス化に取り組む。
        • 今後、弘前市と弘前大学COI-NEXT拠点が中心となって、ヘルスケア産業の創出による経済発展・生きがい・高QOLなどwell-beingな地域社会モデルの実現を目指す。
        • 青森県では他に、高い保水性を有する「あおもりPG」(弘前大学で開発された新たな抽出法により製造された機能性素材プロテオグリカン)を活用した化粧品等の美容分野などで産業創出を推進。
      2. 岩見沢市・北海道大学の産学地域共創プロジェクト(北海道)
        • COI、COI-NEXTにおいて、母子健康調査等のビッグデータに基づき、低出生体重児の要因や対応策を分析。日本初の在宅・遠隔妊産婦検診や個々人に最適な食の宅配サービスを実現し、低出生体重児の減少に貢献。
        • 高速通信技術や高精度な測位技術を用いたロボットトラクタの運用実験等に取り組み、スマートアグリシティを目指す。
      3. 鶴岡サイエンスパークの取組(山形県)
        • 2001年の慶應義塾大学先端生命科学研究所の設立に伴い誕生し、山形県、鶴岡市、慶應義塾の3者協定により発展。大学発スタートアップとして設立されたSpiber株式会社を含め、計9社のベンチャーが誕生。
        • 最先端のバイオテクノロジーを駆使し、日々新技術・製品を創出。
      4. 半導体産業強化のための大学・地域の連携(熊本県 他)
        • 熊本県では、半導体産業界が持つ技術的な強みを生かし、最先端の半導体技術(三次元積層実装技術)の研究開発と関連産業の創出に取り組むとともに、大学・高専とも連携しつつ人材育成にも取り組んでいる。
        • 「次世代X-nics半導体創生拠点」として東京大学、東北大学、東京工業大学の3つの拠点を新規に立ち上げ、豊橋技術科学大学や広島大学等とも連携し、新たな切り口による研究開発と半導体産業を牽引する人材育成を推進。
      5. 東北大学におけるリサーチコンプレックスの形成(宮城県)
        • 東北大学では令和6年度に次世代放射光施設ナノテラス(NanoTerasu)が稼働予定である他、産学官金が結集して大学と共に社会価値創造を行うサイエンスパーク構想を推進。これらの取組を通じて、産学の研究力向上と国際競争力の強化に資する場としてのリサーチコンプレックスの形成が見込まれている。
      6. 海外展開を視野に入れた様々な取組
        • 信州大学等によるアクア・イノベーション拠点では、信州大学が得意とするナノカーボン技術を応用した逆浸透膜を利用した水の浄化装置をCOIで開発。令和5年3月、サウジアラビアの事業公社と技術協力に関して基本合意。半導体工場向けの超純水を製造し、その排水からまた超純水を製造する再生処理技術を確立するなど、革新的な「造水・水循環システム」の構築を目指す。
        • 名古屋大学発スタートアップの株式会社ティアフォーは、名古屋大学等で開発されたオープンソースの自動運転ソフトウェアを使った完全自動運転システム開発のために創業された。令和5年2月現在、20か国、500社以上で採用。「あいち自動運転推進コンソーシアム」に参画し、大学、県や市町村等とも自動運転の実証実験を推進。
  • 地域に密着した全国の高騰専門学校による科学技術・イノベーション
    • 地域課題解決やスタートアップ創出の後押し等、高専による地域イノベーションへの貢献事例を紹介。
    • 高等専門学校(KOSEN)からのイノベーション
      1. 高等専門学校(KOSEN)
        • 日本全国で58校、約6万人の学生。産学官等との共同研究などを通じ、地域活性化や地域からのイノベーションに貢献。タイ王国で日本型高専の教育制度を本格導入した2つの高専が開校。国立高等専門学校機構は、ベトナム、モンゴルの高専類似の機関に対し、教育高度化支援を実施。
      2. 高専間ネットワークによる地域と連携したさまざまな取組
        • KOSEN-1衛星や、「Society5.0型未来技術人財」育成事業といった高専間の連携による取組。
        • 九州地域の高専は、地方公共団体、半導体関連企業、大学と連携し半導体人材育成を加速。
      3. 高等専門学校からのイノベーション
        • 東京高専では、画像データを全自動で点字へ翻訳するシステムを開発。
        • 香川高専において、高齢者施設などで室内画像と呼吸センサーによるバイタルデータを使用し、呼吸数、心拍数から健康状態を把握するシステムを開発。
        • 長岡高専発スタートアップ「IntegrAI」では、アナログ機器の様々な形の目盛りをAIを使ってデジタル化する「IntegrAIカメラ」を開発。
        • 北九州高専発スタートアップ「KiQ Robotics」では、樹脂でできた柔軟な指先の構造を再現。

~NEW~
国民生活センター 「保険金で住宅修理ができる」と勧誘する事業者に注意!
  • 内容
    • 「台風による家屋の被害調査をしている」と電話があり、来訪を了承した。事業者がドローンで屋根などの点検を行った後、写真を見せられ「屋根瓦に割れている箇所がある。損害保険の保険金で修繕できる。当社が保険金の申請をサポートする」と説明されたため、その場で保険金申請代行の契約をした。その後、契約書をよく読むと「損害保険金支給額の35%を手数料として支払うこと」と記載があった。冷静に考えると、保険会社への申請は自分でできる。クーリング・オフしたい。(70歳代)
  • ひとこと助言
    • 「保険金を使って自己負担なく住宅修理ができる。申請をサポートする」などと勧誘され、高額な手数料や、修理をキャンセルした場合の違約金を請求されるケースがみられます。
    • 勧誘されてもすぐに契約せず、保険会社への申請手続に不安がある場合は、まずは保険会社や保険代理店に相談して、アドバイスを求めることが大切です。
    • 損害保険は自然災害などによる損害を対象としており、経年劣化による損害は対象外です。うその理由で申請するよう勧められても、決して応じないようにしましょう。
    • 契約してしまった場合でも、クーリング・オフができる場合があります。困ったときは、早めにお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

~NEW~
金融庁 「サステナブルファイナンス有識者会議」(第17回)議事次第
▼資料2 サステナブルファイナンス有識者会議報告書(案)概要
  • 金融庁「サステナブルファイナンス有識者会議」では、新たな産業・社会構造への転換を促し、持続可能な社会を実現するための金融(サステナブルファイナンス)を推進を図る施策につき継続的に議論を進めている。2023年6月には、直近1年間の施策の状況と今後の課題・施策を以下のとおり「有識者会議報告書」として取りまとめ、公表
    1. 企業開示の充実
      • ISSBのサステナビリティ開示基準等の国際的議論に積極的に参画し、官民連携してわが国の意見を集約・発信
      • サステナビリティ情報の記載欄を2023年3月期決算より新設。更に、SSBJで策定が予定されている開示基準の法定開示への取り込みを検討。併せて、サステナビリティ情報に関する開示の好事例集の収集・公表や保証のあり方を検討
    2. 市場機能の発揮
      • 排出量等の企業データの策定を支援し、プラットフォーム等を通じた企業データの集約・提供の推進。併せて、専門的な気候変動関連の気象データ等の利活用推進に向けた環境整備
      • アセットオーナー・アセットマネージャーのESG投資等の知見共有・対話の有効性向上
      • 監督指針を改正しESG投信の検証項目を明確化(2023年3月)、個人が投資し易いESG投信の拡充
      • ESG評価機関の行動規範を最終化(2022年12月)、2023年6月末時点の賛同状況の取りまとめ
      • カーボンクレジットの取引拡大に向けた市場整備・クレジット創出支援の推進等
    3. 金融機関の投融資先支援とリスク管理
      • 国際的な議論等の進展を踏まえ、シナリオ分析の手法・枠組みの継続的な改善
      • ネットゼロを目指す金融機関向けの提言(ガイド)を策定(2023年6月)。トランジション推進のエンゲージメント強化、サプライチェーンCO2排出量の見える化等を国内外で浸透
      • アジアGXコンソーシアム(仮称)によるアジアでの脱炭素推進
    4. その他の横断的課題
      • 基本的指針案の公表(2023年6月)、コンソーシアムを通じた知見の共有など、インパクト投資の推進
      • 地域の気候変動対応の面的な推進(協議会の設置支援、データ整備等)
      • 自然資本(生物多様性)にかかる議論の展開
      • 業界団体・大学・民間事業者等との連携強化を通じた人材育成の推進
      • 開示の充実
      • 有価証券報告書に気候変動対応や人的資本等のサステナビリティ情報の記載欄を新設し、23年3月期より適用開始
      • サステナビリティ基準委員会(SSBJ)で基準開発。併せて、サステナビリティ情報に関する開示の好事例集の収集・公表の促進等を検討
      • 国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)における基準開発等の国際的な議論に積極的に参画し、官民連携してわが国の意見を集約・発信サステナビリティ情報の保証のあり方について、前提となる開示基準の策定や国内外の動向を踏まえて議論
  • 市場機能の発揮
    1. 情報・データ基盤整備
      • 排出量等の企業データの策定を支援し、企業開示データをプラットフォーム等を通じ集約し、分かり易く提供
      • 関係省庁と連携した事業会社との意見交換等を通じ、専門的な気候変動関連の気象データ等の利活用推進に向けた環境整備
    2. 機関投資家
      • 機関投資家が企業の持続可能性の向上に向けた取組みに着目し、受託資産の価値向上を図っていくための課題を把握。各機関投資家の特性も踏まえつつ、機関投資家におけるESG投資等の知見共有、対話の有効性向上に向けて議論
    3. 個人の投資機会
      • 監督指針を改正しESG投信の検証項目を明確化
      • 個人が投資し易いESG投信の拡充や浸透について方策を検討
    4. ESG評価データ機関
      • 最終化された行動規範への賛同を呼びかけ。「ESG評価機関」について、23年6月末時点の賛同状況を取りまとめ
      • 「ESGデータ提供機関」について、賛同を呼びかけ・取りまとめ各機関の開示状況等を踏まえた実効性確保のあり方を検討
    5. CC市場
      • カーボンクレジットにかかる金融業法上の整理、市場整備の実証実験等
      • 取引拡大に向けた市場整備・クレジット創出支援の推進
      • 地域金融機関や中堅・中小企業への支援の拡充・浸透支援とリスク管理
    6. シナリオ分析
      • シナリオ分析のパイロットエクササイズ結果公表(8月)
      • シナリオ分析の手法・枠組みの継続的な改善
    7. 脱炭素
      • 脱炭素等に向けた金融機関等の取組みに関する検討会報告書として、ネットゼロに取り組む金融機関への提言(ガイド)を公表(6月)
      • トランジション推進の金融機関におけるエンゲージメント強化
      • 本邦の経験を踏まえたトランジションの国際発信・浸透
      • 「アジアGXコンソーシアム」を立ち上げアジアのGXを推進
      • 地域金融機関や中堅・中小企業への支援の拡充・浸透
  • その他の横断的課題
    1. インパクト
      • インパクト投資等に関する検討会の報告書を公表(6月)
      • 報告書で、インパクト投資の「基本的指針」案を提示
      • 基本的指針案に係る多様な関係者との対話と基本的指針の最終化
      • インパクト投資の「コンソーシアム」の立ち上げ
      • 官民金融機関、様々な企業、地域関係者等と連携した事例創出・共有
    2. 地域脱炭素
      • GXに係る地域計画・協議体設置等の支援、地域事業者への補助事業の拡充と地域金融機関
      • 地域脱炭素等を通じた浸透、財務局等を通じた金融機関同士の連携強化など、地域の面的対応支援・推進
    3. 生物多様性
      • 生物多様性について国際的議論も踏まえ、金融への影響や金融の役割について議論
    4. 専門人材
      • 「サステナブルファイナンススキルマップ」の公表、金融機関向け人材育成アンケート
      • 業界団体・民間事業者等による資格・研修等や大学での実践的講義の推進等を通じた、実務的人材の育成
      • 若年層を含む幅広い個人等へのサステナブルファイナンスの浸透
▼資料4 脱炭素等に向けた金融機関等の取組みに関する検討会報告書(案)概要
  • 脱炭素への移行に向けた世界的取組みが加速する中で、企業と対話を行い資金供給を行う金融機関の役割が高まっている。一方で、金融機関が脱炭素に向けた戦略を検討し、企業と対話を行う際の実務的課題や留意点等は国際的にも模索の途上。金融庁の検討会で昨秋より議論を行い、6月22日、検討会としての報告書を取りまとめ・公表。
  • 報告書では、脱炭素への移行には、金融機関における継続的・実効的な対話(エンゲージメント)が重要である点を指摘し、移行の戦略と進捗を理解・促進する観点から、以下を金融機関への提言(ガイド)として提示
  • 金融機関の移行のとらえ方
    • 移行は中長期に及ぶもので事業上の影響が大きく、進捗状況の理解が必要
    • 一方、画一的な指標はなく、現在一般的な「排出量×投融資量」(ファイナンスド・エミッション)のほか、様々な定量・定性的指標を併せて総合的に捉えるべき
  • GHG排出量データの整備
    • 排出量データは企業だけでなく取引先も含めて集約が必要
    • 現在は排出量データの様式やプラットフォームが統一されておらず、共通プラットフォームの整備も検討が必要
  • パスウェイと排出目標(経路)との適格性
    • 金融機関の移行戦略には、地球規模の目標から逆算した排出の期待値(パスウェイ)と、これを踏まえた金融機関・企業の排出目標(経路)が必要
    • 排出経路は企業ごとに、業種・地域・戦略等を加味して判断が重要。事業性を十分理解することが必要
  • アジア諸国向けの投融資拡大/トランジションファイナンスの促進
    • GXは全世界で取組むことが必要ながら、アジアは地理的・経済的な特殊事情も多く、資金が足りていない。日本の経験を生かす余地も存在
    • アジア向け投融資によるファイナンスド・エミッションの増減を丁寧に説明しつつ、多排出設備の置き換えや早期廃止を進めてくことが重要。カーボンクレジット創出も一案
  • リスクマネーの供給
    • GXには、融資だけでなく個人投資を含む投資資金の誘導も重要
    • 現在は選択肢が限定的であり、官民の協調によるブレンデッドファイナンス、資本性のあるESG商品、ESG投資信託、脱炭素目線からのインパクト投資等を普及していくことが重要
  • 地域の脱炭素促進
    • GXの実現には、大企業だけでなくサプライチェーンを成す地域全体での取組みも必須だが、地域企業では相対的に取組みに遅れ
    • 啓発セミナー、支援策の紹介、地域金融機関の人材育成の支援等が必要
  • 金融機関等の脱炭素を促す環境整備に向けた政府等への提言
    • 本報告書は、金融機関による企業への働きかけを中心としているものの、こうした支援には、政府等による後押しや連携、情報発信等が不可欠。そのため、金融機関への提言だけでなく、関連地方支分部局も含めた政府等への提言を併せて提示
      1. CO2排出量のデータ整備に関する取組み
        • サプライチェーン・ファイナンスも活用した金融機関による「見える化」の促進
        • データの標準化、共通化やプラットフォームの構築、様式の統一
        • グローバルな連携、企業データの充実
      2. トランジションファイナンスの推進・環境整備
        • 分野別技術ロードマップの充実(国際的な認知向上、排出量の試算等)
        • アジアにおける脱炭素の取組みの拡大
        • 金融機関や事業会社等が情報・課題を共有する場の設置
        • 多排出設備の除却に伴うカーボンクレジットの発行にかかる検討
        • グローバル化を踏まえたカーボンバジェットの状況把握・管理
      3. リスクマネーの供給に向けた取組み
        • リスクマネー供給に向けた金融商品の多様化
        • グリーンやトランジションに資する優先株や劣後債の発行促進
        • ESG投信の普及に向けた検討
        • 脱炭素目線からのインパクト投資の推進
        • ブレンデッドファイナンスの推進
      4. 地域の中小・中堅企業における脱炭素の促進
        • 財務局等におけるセミナーの開催(中小・中堅企業への浸透や地域金融機関同士の連携)
        • 地域金融機関を通じた支援策の普及
        • カーボンニュートラルに関する施策集の作成
        • 地域金融機関への説明会の開催等も通じた情報提供の充実
▼資料6 インパクト投資等に関する検討会報告書(案)概要
  • 脱炭素や少子高齢化等の社会・環境課題の重要性が高まる中で、課題解決に資する技術開発や事業革新に取り組む企業の支援は喫緊の課題となっている。インパクト投資は「社会・環境的効果」(インパクト)と投資収益の双方を企図する投資として、国際的にも推進の重要性が指摘されている。
  • 金融庁が2022年10月に設置した「インパクト投資等に関する検討会」では、「インパクト投資」の基本的意義等について議論を進め、投資の要件、推進のための施策等と併せて取りまとめ、6月に報告書として公表する予定。
    1. 一般的なESG投資
      • 企業のESGの取組みを総合的に評価し投資比率等を決定、又は特定業種等を投資先から除外
    2. インパクト投資
      • 投資により実現を図る具体的効果を特定・コミットし、これを実現する技術革新等を進める企業に投資
  • 「インパクト投資」の推進により、新たな発想・創意工夫で、社会・環境課題への対応を通じ成長・事業創造を図るスタートアップをはじめとした企業等への事業支援を促す。
  • 日本が中心となってインパクト投資を推進するよう、インパクト投資の基本的指針を策定する。また、投資家や企業等が参加し、事業評価に関するデータ整備や人材育成等を促進するための対話の場(コンソーシアム)を立ち上げるために必要な支援を行う。加えて、日本政策投資銀行や自治体の推進策と協働し、投資実績の蓄積を図る。
    1. 投資等の基盤(インフラ)整備
      • 金融庁において、インパクト投資の「基本的指針」を策定し、投資家、金融機関、企業、評価機関等の共通理解を醸成(基本的指針は10月まで意見募集し年内めどに策定)
      • データ整備、事例・ノウハウの共有等のための「コンソーシアム」の設置に向けた支援を行う
    2. 事業評価の人材、ノウハウの形成
      • 「コンソーシアム」で、事業評価のノウハウ共有、人材育成を図るほか、事業に応じた多様な金融手法(出資・融資の中間的資金提供方法等)の在り方について、議論・検討
    3. 投資の実案件形成
      • 投資家とスタートアップ企業等のマッチング
      • 日本政策投資銀行や自治体と連携した実績の蓄積
    4. 国際的な整合性・連携
      • 国際的な事業評価に係るデータベースとの接続・整合性確保、投資実績の蓄積等により、海外資金の呼び込み
    5. 地域における創業企業等の支援
      • 各地域の投資法人、経済・金融団体、大学、自治体や地域活性化に取り組む団体等と連携し、関係者間の対話や課題収集を進める
      • 知財・無形資産を含む事業全体に対する担保制度の早期創設、2021年改正銀行法の下での事業会社等への出資要件緩和の活用等
  • 「社会・環境的効果」(インパクト)と「収益性」の双方の実現を図る「インパクト投資」の基本的な考え方等を「基本的指針案」として取りまとめ。最終化に向けて、市中協議を実施し、国内外の市場関係者に能動的に発信・対話を行う。
    • 目的:インパクト投資の基本的な考え方とプロセス等について共通理解を醸成
    • 対象:投資対象(業種、規模、上場・非上場、営業地域等)・投資主体(金融機関、投資家等)・アセットクラス(エクイティ、デット等)の別に関わらず対象
    • 位置付け:黎明期・成長期である市場の特性を踏まえて、幅広い創意工夫を促すよう、原則的な記載(プリンシプルベース)
    • インパクト投資に必要な要件:(1)意図、(2)追加性、(3)特定・測定・管理、(4)新規性の支援
      1. 意図
        • 投資が実現する効果と収益性双方を明確化し、戦略を策定
        • 投資の負の効果も特定し軽減を図る
      2. 追加性
        • 投資が行われない場合と比べて、「効果」と「収益性」を創出・実現
        • 資金面・非資金面での支援の実施
      3. 特定・測定・管理
        • 客観性のある指標等を通じ、「効果」や「収益性」を定量・定性的に測定・管理
        • 投資先との継続的な対話を通じ効果の実現を促進
      4. 新規性の支援
        • 市場や顧客に変化をもたらし又は加速し得る新規性・優位性を見出し支援
        • 新規性・潜在性を引き出す対話を通じ、市場の開拓・創出・支持の実現につなげる

~NEW~
金融庁 ちばぎん証券株式会社等に対する行政処分について
▼関東財務局 株式会社千葉銀行に対する行政処分について
  1. 株式会社千葉銀行(千葉市中央区、法人番号2040001000019)(以下「当行」という。)に対する検査の結果、以下の問題が認められたことから、証券取引等監視委員会より行政処分を求める勧告が行われた(令和5年6月9日付)。
    • 金融商品仲介業務に関し、投資者保護上の問題が認められる状況
      • 当行は、ちばぎん証券株式会社(千葉市中央区、法人番号4040001034601、代表取締役社長 稲村 幸仁、以下「ちばぎん証券」という。)との間で、金融商品仲介業務に係る提携契約を締結し、金融商品仲介業務として同証券に顧客を紹介する業務(以下「紹介型仲介」という。)を行っている。紹介型仲介では、顧客に対し、ちばぎん証券が扱う商品概要の説明のみを行うこととしている。また、同業務は顧客紹介のみを行うとしていることから、当行において、顧客属性(知識、投資経験、財産の状況、投資目的)の確認を行っていない。
      • 紹介型仲介による収益は、紹介顧客がちばぎん証券で取引をした際に支払った手数料等のうち、一定割合が当行に配分される仕組みとなっている。また、当行の行員は、個別商品に係る説明が禁止されているため、自らが直接収益を発生させることはできないにもかかわらず、行員の収益目標には、ちばぎん証券が紹介顧客から得る個別商品に係る収益(みなし評価)も含まれていることがあった。
      • 今回検査において、当行が行う金融商品仲介業務の状況について検証したところ、以下のとおり問題が認められた。
    • 顧客属性を確認及び検討しないまま、顧客を仕組債購入へ誘引している状況
      • 紹介型仲介では、顧客に対し、ちばぎん証券が扱う商品概要の説明のみを行うこととしているところ、これに反し、仕組債に誘引している事例が認められた。
      • 商品概要の説明のみにとどまらず、仕組債を提案するのであれば、顧客属性を十分確認し、どのような提案が適切であるか慎重に検討した上で行うべきところ、当行においては、顧客属性を確認しないまま、高金利等の優位性を強調して仕組債に誘引しており、投資者保護上問題のある行為であると認められる。
    • 内部管理態勢が不十分な状況
      • 当行は、ちばぎん証券が立ち上げた銀行紹介顧客への販売に係る苦情対策を議論する会議体にオブザーバーとして参加し、当行の紹介顧客に関する苦情が同証券に対して継続的に多数寄せられていること等を把握していたにもかかわらず、苦情の発生原因分析や改善策の立案等に十分に取り組んでおらず、苦情処理に関する内部管理態勢が不十分であると認められる。
      • また、当行では、顧客毎の交渉結果記録に紹介顧客に対する説明内容が詳細に記載されていない状況にあり、このため、営業部店、内部管理部門及び監査部門による確認も形式的なものにとどまっているなど、顧客への説明状況に関する実効性のあるモニタリング態勢も不十分であると認められる。
      • さらに、経営陣が、行員が顧客を仕組債購入へ誘引している状況を把握していないこと、行員が収益目標達成のために概要説明を超えた商品説明をして顧客を誘引する事象が発生しうる仕組みとなっていることを適切に認識していないこと、紹介顧客からの苦情が多数寄せられている実態を把握していたにもかかわらず、担当部署に任せきりにし、その取組内容が不十分なものとなっていることを看過しているなど、紹介型仲介に関し、経営陣のガバナンスが十分に発揮されていないことも要因となり、紹介型仲介に関する業務運営態勢の構築も不十分であると認められる。
      • 登録金融機関が金融商品仲介業務を行うに際しては、金融商品取引法上、投資者保護の観点から、適切な態勢整備や業務運営が求められているところ、上記(1)及び(2)のとおり、当行においては、金融商品仲介業務を行うための適切な態勢整備が行われない中で、顧客属性を確認しないまま、顧客を仕組債購入へ誘引している状況が認められており、投資者保護上、問題があるものと認められる。なお、これらの状況は、結果として、ちばぎん証券の適合性の原則に抵触する業務運営にも繋がっているものと認められる。
      • 以上のことから、当行における紹介型仲介の業務運営は、投資者保護上重大な問題があり、金融商品取引法第51条の2に規定する「業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。
  2. 以上のことから、本日、当行に対し、金融商品取引法第51条の2の規定に基づき、以下の行政処分を行った。
    • 業務改善命令
      • 本件に係る根本的な原因の分析に基づき、再発防止に向けて、以下の点を含む実効性のある業務改善計画を速やかに策定し、着実に実施すること。
        1. 業容に応じた業務運営態勢の構築、並びに、経営管理態勢及び内部管理態勢の強化
        2. 法令等の遵守及び適正かつ健全な業務運営を前提とした、証券子会社を含むグループとしての銀証連携ビジネスモデルの構築
        3. 今回の処分を踏まえた本件に係る経営陣を含む責任の所在の明確化
        4. ちばぎん証券と連携し、本件行政処分の内容についての顧客に対する適切な説明
      • 上記の対応・実施状況について、令和5年7月24日(月曜日)までに書面で報告するとともに、その後の進捗状況を四半期末経過後(初回を令和5年9月末基準とする。)15日以内を期限として当面の間、書面で報告すること。

~NEW~
内閣府 令和5年版高齢社会白書を公表しました
▼概要版
  • 我が国の総人口は、令和4年10月1日現在、1億2,495万人。
  • 65歳以上人口は、3,624万人。総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は29.0%。
  • 65~74歳人口は1,687万人、総人口に占める割合は13.5%。75歳以上人口は1,936万人、総人口に占める割合は15.5%で、65~74歳人口を上回っている。
  • 令和52(2070)年には、2.6人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上。
  • 就業率の推移を見ると、60~64歳、65~69歳、70~74歳、75歳以上では、10年前の平成24年の就業率と比較して、令和4年の就業率はそれぞれ15.3ポイント、13.7ポイント、10.5ポイント、2.6ポイント伸びている。
  • 日常生活に制限のない期間(健康寿命)は、令和元年時点で男性が72.68年、女性が75.38年となっており、それぞれ平成22年と比べて延びている(平成22年→令和元年:男性2.26年、女性1.76年)。さらに、同期間における健康寿命の延びは、平均寿命の延び(平成22年→令和元年:男性1.86年、女性1.15年)を上回っている
  • 健康についての心がけ(休養・散歩など)と現在の健康状態について見ると、健康に「心がけている」と回答した人は、健康状態は「良い」と回答した割合が高くなっている。また、健康に心がけ始めた年齢別に健康状態について見ると、40代以前から健康に心がけ始めた人は約半数が健康状態が「良い」と回答しているなど、若いときから健康に心がけ始めたと回答した人は、健康状態が「良い」と回答した割合が高くなっている。また、厚生労働省が実施した、過去約20年にわたるパネル調査ではスポーツ・健康活動(ウォーキングなど)を50代から行っている人は、「健康状態は良い」と回答した割合が高くなっている。
  • 社会活動(健康・スポーツ・地域行事など)への参加の有無別に現在の健康状態について見ると、この1年間に社会活動に参加した人は、健康状態が「良い」と回答した割合が高くなっている。また、別の内閣府の調査において、社会活動に参加したいと思わない理由について見ると、「健康・体力に自信がないから」と回答した人の割合が最も高くなっている。なお、社会活動に参加して良かったと思うことについて見ると、「生活に充実感ができた」「新しい友人を得ることができた」「健康や体力に自信がついた」と回答した割合が高くなっている。
  • 現在の健康状態別に生きがいを感じる程度を見ると、健康状態が「良い」と回答した人ほど生きがいを感じる程度は高くなっており、健康状態と生きがいは非常に強い相関関係が見られる。
  • 内閣官房が令和3年度に実施した「人々のつながりに関する基礎調査」の調査結果を見ると、コロナ禍により、人と直接会ってコミュニケーションをとることが「減った」と回答した割合が6割を超えている。なお、そのうち、約3割が直接会わずにコミュニケーションをとることが「増えた」と回答している。また、健康調査の結果では、コロナ禍前のインターネットでの医療機関や病気等の情報収集状況を前回(平成29年度)と比較して見ると、インターネットで調べることがある高齢者の割合が大きく増加している。さらに、別の内閣府の調査によると、「携帯電話・スマホで家族・友人などと連絡をとる」「インターネットで情報を集めたり、ショッピングをする」と回答した割合が次第に高くなっている。
  • 健康状態が良いことが社会活動への参加につながる可能性があり、また、社会活動に参加することで、健康・体力に自信がつき、更なる参加につながるという好循環を生み出すことも可能であると考えられる。他方、高齢者になる前から自らの健康に関心を持つことも健康につながる可能性がある。さらに、社会参加活動により、健康や体力に自信がつき、それが生きがいにつながることも考えられる。
  • コロナ禍が高齢者による非対面のコミュニケーションのきっかけとなっていると考えられる。また、高齢者のインターネットによる情報収集や、情報機器を利用し友人と連絡をとることなどに対する意識の変化も見られ、コロナ禍が契機となり、高齢者のインターネットを活用した社会活動につながる可能性も考えられる。
  • 今後、加齢に伴う心身機能や認知機能の低下を予防し、健康寿命の延伸を実現するため、高齢者の社会参加活動を促進する取組や、その一環として、情報機器の使い方が分からずに使いこなせていない高齢者や必要性を感じられない高齢者を対象としたデジタルデバイドを解消する取組をより一層推進していく必要がある。例えば、トピックスの事例のように、高齢者の社会参加活動が健康や生きがいを生み出し、それが更なる活動につながり、コミュニティづくりにも貢献するという健康の好循環の実現が図られるよう、各地域の実情に応じて取り組むことが期待される
  • トピックス
    • (事例1)新潟県佐渡市~和太鼓を活用した高齢者の健康づくりと社会参加~
      • 新潟県佐渡市では、大幅な人口減と高齢化により、コミュニティの維持も困難になりつつある中、市の介護予防教室の1つとして、和太鼓を活用したエクササイズが実施され、高齢者の健康増進や認知症予防のみならず、社会参加の促進やコミュニティの再活性化といった地域の課題の解決にまちぐるみで取り組んでいる。
    • (事例2)愛知県一宮市~次世代へつなぐ「通いの場」への挑戦~
      • 愛知県一宮市では、高齢期になってもいきいきと元気に過ごすための健康づくりをテーマに、地域の公民館を拠点とした「通いの場(オフライン)」の活動と、コロナ禍をきっかけとした「在宅(オンライン)」の活動を組み合わせて、高齢者の社会参加を図り、次世代型のコミュニティづくりに取り組んでいる。
    • (事例3)青森県弘前市~岩木健康増進プロジェクト~
      • 青森県弘前市では、弘前大学が同市岩木地区の住民を対象に毎年実施している大規模健康診断において蓄積されたビッグデータを活用し、生活習慣病・認知症をターゲットとした疾患予防法の研究開発を行っており、自治体、教育機関、企業などと連携した健康増進プロジェクトを推進している。
    • (事例4)大阪府~スマートシニアライフ事業~
      • 大阪府では、高齢者の課題の解決や健康寿命の延伸を目的として、自治体の提供する行政サービスと、金融・保険、IT、医療・薬品、エンターテイメントなど様々な分野の民間企業による高齢者向けサービスとを、タブレット端末やLINEアプリなどのデジタル機器を通してワンストップで提供する取組を実施している。
    • (事例5)北海道更別村~更別村 SUPER VILLAGE構想~
      • 北海道更別村では、高齢者が100歳世代まで生きがいを持って楽しく過ごせるために必要な基本サービスを目指し、デジタル技術を活用して少子高齢化により薄れた人々のつながりの回復と、村民の健康の向上を図るとともに、高齢者でも楽しく元気に続けられるスマート農業を実現するための取組を実施している。

~NEW~
内閣府 令和5年版障害者白書
▼概要
  • 厚生労働省の調査によると、我が国の障害者数の概数は、身体障害者(身体障害児を含む。)436万人、知的障害者(知的障害児を含む。)109万4千人、精神障害者614万8千人となっている。これを人口千人当たりの人数でみると、身体障害者は34人、知的障害者は9人、精神障害者は49人となる。複数の障害を併せ持つ者もいるため、単純な合計にはならないものの、国民のおよそ9.2%が何らかの障害を有していることになる。また、いずれの区分も障害者数は増加の傾向にある。
  • 「障害者差別解消法」の概要
    • 全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するためには、日常生活や社会生活における障害者の活動を制限し、社会への参加を制約している社会的障壁を取り除くことが重要である。
  • 障害の「社会モデル」とは
    • 「障害者差別解消法」は、障害の「社会モデル」の考え方を踏まえている。これは障害者が日常生活又は社会生活で受ける様々な制限は、心身の機能の障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生じるものという考え方である。
  • 不当な差別的取扱いの禁止
    • 不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する又は場所・時間帯などを制限すること、障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害する行為。「基本方針」では、社会的障壁を解消するための手段(車椅子、補助犬その他の支援機器等の利用や介助者の付添い等)の利用等を理由として行われる不当な差別的取扱いも該当することを明記
  • 合理的配慮の提供
    • 障害者やその家族、介助者等、コミュニケーションを支援する者から何らかの配慮を求める意思の表明があった場合には、その実施に伴う負担が過重でない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要かつ合理的な配慮を行うことが求められる。
    • 2024年4月1日に施行する「改正障害者差別解消法」により、事業者による「合理的配慮の提供」は、努力義務から義務へと改められる。
  • 建設的対話の重要性
    • 合理的配慮の提供に当たっては、社会的障壁を取り除くために必要な対応について、障害者と行政機関等・事業者双方が対話を重ね、共に解決策を検討していくことが重要となる。このような双方のやり取りを「建設的対話」という。「基本方針」では、建設的対話を行うに当たっての考え方を示している。
  • 環境の整備
    • 「障害者差別解消法」は、個別の場面において、個々の障害者に対して行われる合理的配慮を的確に行うための不特定多数の障害者を主な対象として行われる事前的改善措置(施設や設備のバリアフリー化、意思表示やコミュニケーションを支援するためのサービス・介助者等の人的支援、障害者による円滑な情報の取得・利用・発信のための情報アクセシビリティの向上等)を、環境の整備として行政機関等及び事業者の努力義務としている。これには、ハード面のみならず、職員に対する研修や、規定の整備等の対応も含まれる。障害を理由とする差別の解消のための取組は、環境の整備と合理的配慮の提供を両輪として進めることが重要である。
  • 障害を理由とする差別等に関する意識の現状と変化について
    • 国民の約94%が「障害のある人が身近で普通に生活しているのが当たり前」(共生社会の考え方)と思っている。また、「合理的配慮の提供」が行われなかった場合、「障害を理由とする差別」に当たる場合があると思う人は、この10年間で大きく増加しており、障害を理由とする差別の解消等について、広く国民が関心を持っていることがうかがえる。
  • 特別支援教育の充実
    • 障害のある子供については、その能力や可能性を最大限に伸ばし、自立や社会参加に必要な力を培うために個々の教育的ニーズに応じ、特別支援学校や小・中学校の特別支援学級、通級による指導、通常の学級における指導といった多様な学びの場において適切な指導・支援を行っている。
    • また、障害のある児童生徒の教科書・教材を充実させる取組が行われており、2022年度に特別支援学校及び特別支援学級を含む全国全ての小・中学校等を対象として、英語等の学習者用デジタル教科書提供や普及促進を図る事業等を実施した。さらに、同年7月の「教育職員免許法施行規則」改正により特別支援教育を担う教師の専門性の向上を図ったほか、国の定める整備目標に到達していない公立小・中学校等の各学校設置者に対して、バリアフリー化の取組を加速するよう要請し、学校施設のバリアフリー化の推進等を行った。
  • 障害のある子供に対する福祉の推進
    • 障害児保育の推進や放課後児童クラブにおける障害のある児童の受入促進に努めており、障害児受入施設数や障害児受入放課後児童クラブ数及び利用する児童数は増加傾向にある。2022年度は、障害のある児童が放課後児童クラブを適切に利用できるようにする支援として、職員が加配できるようにする補助の拡充などを行った。
    • また、療育体制の整備では、2024年度から2026年度までを計画期間とする「第3期障害児福祉計画」において、児童発達支援センターを中核とした重層的な地域支援体制の構築などを内容とする基本方針を策定した。
  • 障害のある人の雇用の場の拡大
    • 2022年の民間企業(常用雇用労働者数43.5人以上規模の企業:法定雇用率 2.3%)が雇用している障害者の数(2022年6月1日現在、以下同じ)は61.4万人(前年同日59.8万人)で、19年連続で過去最高となり、雇用している障害者の割合は2.25%(前年同日2.20%)であった。
    • また、国の機関(法定雇用率 2.6%)に在職している障害者の割合、勤務している障害者数はそれぞれ2.85%、9.7千人で、全ての機関において法定雇用率を達成している。
    • 雇用の質の向上の推進や、多様な就労ニーズに対する支援を図る観点から、事業主が障害者の職業能力の開発等を行うことや、特に短い労働時間で働く精神障害者等について特例的に実雇用率に算定できるようにすること等を改正内容とする障害者雇用促進法の一部改正を含む「障害者総合支援法等一部改正法」が2022年12月に成立した。
  • 総合的支援施策の推進
    • 障害のある人が地域で自立した日常生活又は社会生活を送るための基盤として就労支援は重要であり、福祉的就労から一般就労への移行等の支援、在宅就業への支援、就労に向けた各種訓練、農福連携、福祉施設等における仕事の確保に向けた取組など、障害のある人の就労等に係る総合的支援施策を推進している。
  • 利用者本位の生活支援体制の整備
    • 障害保健福祉施策については、障害のある人の地域における自立した生活を支援する「地域生活支援」を主題に、身体に障害のある人、知的障害のある人及び精神障害のある人それぞれについて、住民に最も身近な市町村を中心にサービスを提供する体制の構築に向けて、法制度の整備を行っている。
    • 2022年には、障害者等の地域生活や就労の支援の強化等により、障害者等の希望する生活を実現するため、障害者等の地域生活の支援体制の充実等を内容とする「障害者総合支援法等一部改正法」が成立した。
    • また、権利擁護の推進として、日常生活自立支援事業を実施するとともに成年後見制度の利用促進については、2022年3月に「第二期成年後見制度利用促進基本計画」を閣議決定した。
  • 在宅サービス等の充実
    • 障害のある人が地域で暮らしていくためには、在宅で必要な支援を受けられることが必要となる。このため、市町村において、「障害者総合支援法」に基づき、利用者の障害の程度や必要な支援の内容等に応じ、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護及び重度障害者等包括支援を実施している。
    • 発達障害児者支援については、2022年度は、市町村や事業所等が抱える発達障害者に係る困難事例への対応を更に促進するため、発達障害者地域支援マネジャーの配置体制強化等を行った。
  • スポーツ・文化芸術活動の推進
    • 地域における障害者スポーツの振興体制の強化や障害の有無を問わず身近な場所でスポーツを実施できる環境の整備を通して、地域における障害者スポーツの一層の普及促進を図るとともに障害者スポーツ団体の体制の強化につなげている。あわせて、障害者スポーツの競技力向上に取り組んでいる。
    • 障害のある人による文化芸術活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、2023年3月に「障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画(第2期)」を策定し、計画期間において目指す姿として、「障害のある人による幅広い文化芸術活動の更なる促進や展開」、「関係団体・機関等の連携による取組の充実」、「地域における推進体制の構築」の3つの目標を定めている。
  • 障害の原因となる疾病等の予防・治療
    • リスクの早期発見のための健康診査、障害の原因となる疾病等を予防して健康の保持増進を図るための保健指導、自立支援医療の充実、難病患者に対する保健医療サービスの提供の推進などの取組を行っている。
  • 精神保健・医療施策の推進
    • 心の健康づくりとして、うつ対策の推進、精神疾患に関する情報提供、自殺対策の推進、依存症対策の強化などの取組を行っている。精神保健医療福祉施策の取組としては、2022年に、「精神保健福祉法」の改正を含む「障害者総合支援法等一部改正法」が成立し、精神障害のある人の希望やニーズに応じた支援体制を整備するための包括的な支援の確保が明確化されたほか、権利擁護等の観点から、医療保護入院制度の見直しや虐待防止のための取組、「入院者訪問支援事業」の創設等について定められた。
  • 移動等の円滑化の一層の促進
    • 公共交通事業者など施設設置管理者におけるソフト対策の取組強化、優先席・車椅子使用者用駐車施設等の適正な利用の推進、市町村等による「心のバリアフリー」の推進等の措置を講ずること等を内容とした、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(以下、「バリアフリー法」という。)の一部を改正する法律」が2021年4月に全面施行された。
  • ユニバーサルデザインの考え方を踏まえたバリアフリー施策の推進
    • 「バリアフリー法」に基づく「移動等円滑化の促進に関する基本方針」を改正し、2025年度末までの5年間の新たなバリアフリー整備目標に取り組んでいる。
    • また、「バリアフリー法」に基づき、駅などのハード面の整備に加え、高齢者、障害のある人等の移動等円滑化の促進に関する国民の理解及び協力を求めること、いわゆる「心のバリアフリー」を国の責務として推進している。これまでに、介助の擬似体験等を通じバリアフリーに対する国民の理解増進を図る「バリアフリー教室」の全国各地での開催や、鉄道利用者への声かけキャンペーン等の啓発活動の推進を行っている。
  • バリアフリー化の推進
    • 住宅、建築物、公共交通機関、歩行空間等のバリアフリー化を推進している。
    • 2022年3月には「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行規則」を改正し、「劇場、観覧場、映画館、演芸場、集会場又は公会堂の客席」をバリアフリー法の対象施設に追加した(2022年10月施行)。
    • また、「高齢者、障害者等が円滑に利用できるようにするために誘導すべき建築物特定施設の構造及び配置に関する基準を定める省令」を改正し、劇場等の客席に対する建築物移動等円滑化誘導基準を設定した。
  • 防災、防犯対策の推進
    • 障害のある人が地域社会において安全に安心して生活することができるよう、災害に強い地域づくりを推進するとともに、災害発生時に、障害特性に配慮した適切な支援や避難所・応急仮設住宅の確保等を行うことができるよう、防災や復興に向けた取組を推進している。また、障害のある人を犯罪被害等から守るため、防犯対策の取組を推進している。
  • 情報アクセシビリティの向上
    • 障害のある人の情報通信技術(ICT)の利用・活用の機会の拡大を図るための支援、障害のある人に配慮した機器・システムの研究開発や、情報アクセシビリティに関する標準化、ホームページ等のバリアフリー化等の推進に取り組んでいる。
  • 情報提供の充実
    • 障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策を総合的に推進し、共生社会の実現に資することを目的とする「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律」が2022年5月に施行された。
    • 本法の趣旨を踏まえ、2023年3月に「第5次基本計画」が閣議決定され、本法に基づき、障害のある人による情報取得等に資する機器等の開発及び普及の促進並びに質の向上に関する協議の場が開催されている。また、字幕放送、解説放送、手話放送等の普及を推進している。
  • コミュニケーション支援体制の充実
    • 意思疎通を図ることに支障がある人に、手話通訳者や要約筆記者、盲ろう者向け通訳・介助員等の派遣を行う意思疎通支援事業等や電話リレーサービスの提供などが実施されている。
  • 障害者に関する国際的な取組
    • 障害者の権利及び尊厳を保護し、促進すること等を目的とする「障害者の権利に関する条約」(以下「障害者権利条約」という。)は、2014年2月19日に我が国について発効した。
    • 「障害者権利条約」では、「条約に基づく義務を履行するためにとった措置及びこれらの措置によりもたらされた進歩に関する包括的な報告」を「障害者の権利に関する委員会」(以下「障害者権利委員会」という。)に提出することを定めており、2022年8月に第1回政府報告の対面審査が行われた。対面審査を踏まえた障害者権利委員会による総括所見については、2022年10月7日に公表された。今般示された同委員会の勧告等については、関係府省庁において内容を十分に検討していく考えである。
  • 国際協力等の推進
    • 障害者施策は、福祉、保健・医療、教育、雇用等の広範な分野にわたっているが、我が国がこれらの分野で蓄積してきた技術・経験などを政府開発援助(ODA)やNGOとの連携等を通じて開発途上国の障害者施策に役立てることは、極めて有効であり、かつ、重要である。我が国は、有償資金協力、無償資金協力、技術協力のほか、国際機関等を通じた協力等を行っている。

~NEW~
内閣府 交通安全白書
▼概要
  • 10年間で全ての死亡重傷事故件数が約4割減少しているのに対し,自転車関連死亡重傷事故は約3割の減少。
  • 死亡重傷事故件数に占める自転車関連死亡重傷事故件数の割合は横ばいから微増。
  • 自転車側が第2当事者の場合は自動車との事故が圧倒的だが,第1当事者の場合でも約4割が対自動車であり,自転車側に過失が大きいケースも発生している。
  • 相手当事者が歩行者の事故は,自転車側がほぼ第1当事者となっている。
  • 自転車側が第1当事者の場合は,過半数で安全運転義務違反が認められ,次に一時不停止,信号無視の順となる。
  • 第2当事者の場合でも,約6割は一定の法令違反が認められる。
  • 単路の事故では,歩道が衝突地点のケースが第1当事者で約3割,第2当事者で約2割となっており,自転車運転者が歩道において事故を起こしていることが認められる。
  • 衝突地点別では,交差点内が,第1当事者の場合の約5割,第2当事者の場合の約7割弱を占めている。
  • 交差点内における事故の法令違反状況では,第1当事者は一時不停止が約3割と一番高く,次に安全不確認,信号無視の順に高い割合となっている。
  • 法令違反状況を年齢層別の傾向で見ると,第1当事者の場合,一時不停止の割合が,小・中・高校生で約4割程度と全年齢層と比較して高い。
  • 一方で,信号無視の割合は、小学生で1割を下回るなど,小・中・高校生では全年齢層と比較して低い。
  • 夜間におけるライト点灯有無別では,前照灯消灯又は設備無しの場合の致死率が点灯時と比較して約1.8倍。
  • さらに,前照灯消灯又は設備無しの事故について,「市街地」「非市街地」に分けたところ,非市街地における致死率は市街地の約4.9倍と高まる。
  • 自動車及び原付以上の飲酒運転事故件数は減少傾向にあるのに対し,自転車関連の飲酒運転事故件数は,平成28年以降は緩やかな増加傾向。
  • 死亡重傷に至った割合も,一般の自転車事故が約1割であるのに対し,飲酒運転事故の場合は約4分の1であり,死亡重傷に至る確率が高い。
  • 自転車乗用中の死者では,頭部が致命傷となっているケースが半数以上。
  • ヘルメット着用,非着用別では,非着用の方が頭部が致命傷となっている割合が高い。
  • 致死率で見てもヘルメット着用と比較して非着用は約2.4倍。
  • 第11次交通安全基本計画(令和3年度~令和7年度)の目標値
    • 令和7年までに,年間の24時間死者数を2,000人以下にする。
    • 令和7年までに,年間の重傷者数を2万2,000人以下にする。
  • 65歳以上の高齢者(以下「高齢者」という。)における高齢者の人口10万人当たりの交通事故死者数は引き続き減少しているものの,交通事故死者数のうち高齢者は1,471人であり,その占める割合は56.4%と依然として高い。
  • 令和4年中の交通死亡事故発生件数を事故類型別にみると,正面衝突等(817件,構成率32.0%)が最も多く,次いで歩
  • 行者横断中(610件,構成率23.9%),出会い頭衝突(281件,構成率11.0%)の順で多くなっており(「人対車両その他」を除く。),この3類型を合わせると全体の約7割を占めている。
  • 状態別交通事故死者数は,歩行中(955人,構成率36.6%)が最も多く,次いで自動車乗車中(870人,構成率33.3%)が多くなっており,両者を合わせると全体の約7割を占めている。
  • 歩行中死者数(人口10万人当たり)については,高齢者で多く,特に80歳以上(3.20人)では全年齢層(0.76人)の約4.2倍の水準となっている。
  • 鉄道交通における運転事故は,平成14年に852件であったものが,24年には824件,令和4年には558件となっており,長期的には減少傾向にある。運転事故による死者数は261人,乗客の死者数はゼロであり,平成17年に発生したJR東日本羽越線列車脱線事故以降,運転事故による乗客の死者は発生していない。
  • 踏切事故は,踏切保安設備の整備等により,平成14年に449件であったものが,24年には305件,令和4年には190件となっており,長期的には減少傾向にある。
  • 令和4年の人身障害事故は,320件で前年比20.3%増,死者数は175人で前年比6.1%増であった。このうちホームから転落して又はホーム上で列車と接触して死傷する事故(ホーム事故)は,増加したものの,平成30年以降減少傾向にある。なお,ホーム事故のうち,酔客による事故件数は47件で,全体の約44.0%を占めている。
  • 近年,頻発化・激甚化する豪雨災害に適切に対応するため,河川に架かる鉄道橋梁の流失等防止対策や鉄道に隣接する斜面からの土砂流入防止対策といった豪雨対策を推進した。
  • 駅ホームの安全性向上については,ホームドア整備の前倒しや駅員による誘導案内などハード・ソフト両面からの転落防止対策を推進している。このうちホームドアについては,交通政策基本計画(令和3年5月28日閣議決定)及び移動等の円滑化の促進に関する基本方針(令和2年12月25日)に基づき,令和7年度までに,優先度が高い3,000番線,うち平均利用者数が10万人/日以上の駅で800番線を整備することとしている。令和3年度末時点において,駅全体で2,337番線,うち平均利用者数が10万人/日以上の駅で406番線が整備された。また,ホームドアのない駅においても,「新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障害者の安全対策について~中間報告~」(令和3年7月公表)を取りまとめ,引き続きITやセンシング技術等を活用した視覚障害者のホーム転落防止対策について検討している。
  • 踏切事故防止について,ポスターの掲示等によるキャンペーンを実施し,学校,沿線住民,道路運送事業者等に対し,踏切道の安全通行や鉄道事故防止に関する知識の普及及び意識の向上を図った。また,首都圏の鉄道事業者が一体となって,酔客に対する事故防止のための注意喚起を行うプラットホーム事故0(ゼロ)運動等において広報活動を積極的に行い,鉄道の安全に関する正しい知識の浸透を図った。
  • 鉄道交通に影響を及ぼす自然現象について,的確な実況監視を行い,適時・適切に予報・警報等を発表・伝達して,事故の防止及び被害の軽減に努めるとともに,これらの情報の内容の充実と効果的利用を図るため,気象監視体制の整備等の施策を講じた。また,地震発生時に走行中の列車を減速・緊急停止等させることにより列車転覆等の被害の防止に活用されるよう,鉄道事業者等に対し,緊急地震速報の提供を行っている。
  • 国及び鉄道事業者における,夜間・休日の緊急連絡体制を点検・確認し,大規模な事故又は災害が発生した際に,迅速かつ的確な情報の収集・連絡を行った。また,大都市圏,幹線交通における輸送障害等の社会的影響を軽減するため,鉄道事業者に対し,利用者への適切な情報提供を行うとともに,迅速な復旧に必要な体制を整備するよう指導した。鉄道の津波対策については,南海トラフ巨大地震等による最大クラスの津波からの避難の基本的な考え方(素早い避難が最も有効かつ重要な対策であること等)を踏まえた津波発生時における鉄道旅客の安全確保への対応方針と具体例等を取りまとめており,鉄道事業者における取組を推進している。
  • 令和4年度は,改正踏切道改良促進法(令3法9)に基づき,改良すべき踏切道として,新たに85か所を指定した。指定した踏切道を始め,課題のある踏切道については,地方踏切道改良協議会を適宜開催し,道路管理者と鉄道事業者が,地域の実情に応じた踏切対策の一層の推進を図った。令和3年度に改良が図られた踏切道数(これまでに指定した踏切道と道路管理者,鉄道事業者等が自主的に行ったものを含む。)は,立体交差化22か所,構造の改良245か所,踏切保安設備の整備31か所に及んでいる。また,踏切道の統廃合についても,立体交差化等の事業と併せて実施した。
  • 我が国の周辺海域において,交通安全基本計画の対象となる船舶事故隻数の推移をみると,第9次交通安全基本計画期間(平成23~27年度)の年平均では2,256隻であったものが,令和4年では1,875隻となっており,約2割減少した。船舶事故による死者・行方不明者の数は,第9次交通安全基本計画期間の年平均で91人であったものが,令和4年では71人となっており,2割以上の減少となった。また,令和4年における,ふくそう海域における大規模海難の発生件数はゼロであった。
  • 令和4年中の海難等及び海難救助の状況
    • 令和4年の船舶事故による死者・行方不明者数は,36.6%が旅客船,33.8%が
    • 漁船によるものである。また,船舶からの海中転落による死者・行方不明者数は,58.1%が漁船,16.2%がプレジャーボートによるものである。
    • 令和4年の小型船舶の事故隻数は1,475隻であり,前年より52隻減少した。これに伴う死者・行方不明者数は30人であり,前年より16人減少した。
    • 第11次交通安全基本計画では,海難における死者・行方不明者を減少させるために救助率を95%とする目標が定められており,海上保安庁において,救助・救急体制の充実強化,民間救助組織等との連携・協力に努めた結果,令和4年の救助率は95.7%であった。
    • 令和4年は,海難船舶の乗船者8,162人の中で自力救助の5,094人を除いた3,068人のうち3,003人が救助され,自力救助を除く海難船舶の乗船者に対する救助された人数の割合は97.9%であった。
    • 令和4年は,プレジャーボート等の海難船舶の乗船者2,479人の中で自力救助の745人を除いた1,734人のうち1,724人が救助され,自力救助を除くプレジャーボート等の海難船舶の乗船者に対する救助された人数の割合は99.4%であった
  • 我が国における航空事故の発生件数は,令和4年は21件,これに伴う死亡者数は9人,負傷者数は14人である。近年は,大型飛行機による航空事故は,乱気流等気象に起因するものを中心に年数件程度にとどまり,小型飛行機等が事故の大半を占めている。
  • 我が国の航空運送事業者に対して報告を義務付けている事故,重大インシデントに関する情報は,令和4年に11件報告された。なお,我が国の特定本邦航空運送事業者(客席数が100又は最大離陸重量が5万キログラムを超える航空機を使用して航空運送事業を経営する本邦航空運送事業者)における乗客死亡事故は,昭和60年の日本航空123便の御巣鷹山墜落事故以降発生していない

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内閣府 研究インテグリティに関する検討
▼研究インテグリティの確保に係る対応方針(概要)(令和4年9月版)
  • 近年、外国からの不当な影響による利益・責務相反や技術流出等への懸念が顕在化。
  • 米国等主要国では、国際研究協力を重視・大学等の自律性を尊重しつつ、対応策が講じられてきている。
  • 我が国としても、こうした新しいリスクへの対応とともに、必要な国際協力及び国際交流を進めていくため、国際的に信頼性のある研究環境を構築することが不可欠に。
  • 2021年4月に決定した決定した政府方針に基づき、大学や研究機関における研究の健全性・公正性(研究インテグリティ)の自律的確保に向けた取組を行う。
  • 国際的な動向
    • 米国
      • 大統領府(政府)が、「国家安全保障大統領覚書第33号」(NSPM-33)(2021年1月公表)の実施ガイダンスを公表(2022年1月)。NSPM-33の主要な5分野である開示要件と標準化、永続的デジタルID、開示要件の違反に対する措置、情報共有、研究セキュリティプログラムについて詳細なガイダンスが記載されている。
    • 英国
      • 研究連携アドバイスチーム(RCAT)を設置(2021年10月)ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)に設置された、大学向けの支援窓口。輸出管理規制、サイバーセキュリティおよび知的財産保護などの研究セキュリティ関連の課題に関して、専門的な助言を提供。
    • 豪州
      • 政府・大学協会が、「オーストラリアの大学部門における外国の干渉に対抗するためのガイドライン(2019年11月公表)」を改定(2021年11月)。
  • 統合イノベーション戦略2022<守る>
    • 国内での研究活動の国際化・オープン化に伴う新たなリスクに対する研究インテグリティの自律的確保に向けては、2021年4月に決定した政府方針について、これを国際的に調和しつつ、より実効性あるものとするため、アカデミアと政府の連携を強化するとともに、研究者、大学・研究機関、研究資金配分機関等の取組状況を調査し、フォローアップを実施した上で、更に必要な措置を検討する。
    • 2023年に我が国がG7議長国となることを見据え、安全な国際研究協力を促すための研究セキュリティ・インテグリティの原則の作成等について、G7での議論に我が国が積極的に貢献。
  • 競争的研究費事業の共通的なガイドライン改定の主なポイント
    • 対象事業の範囲
      • 従来の競争的資金だけでなく、全ての公募型の研究費事業を対象とする(参考:制度数:20件→100件)
    • 提出を求める情報の範囲
      • 国外も含む外部からの支援や兼業等の情報の提出を求める
      • 現在の他の競争的研究費その他の研究費(国外も含め、補助金や助成金、共同研究費、受託研究費等、現在の全ての研究費であって個別の研究内容に対して配分されるもの。所属する機関内において配分されるような基盤的経費又は内部資金、商法で定める商行為及び直接又は間接金融による資金調達を除く)の応募・受入状況
      • すべての所属機関・役職(兼業や、外国の人材登用プログラムへの参加、雇用契約のない名誉教授等を含む)
    • 秘密保持契約等が交わされている研究に関する情報の扱い
      • 秘密保持契約等が交わされている共同研究等に関する情報は、産学連携等の活動が萎縮しないようにする観点から、必要な情報のみ提出を求めるとともに、守秘義務を負う者のみで扱う
      • 原則として共同研究等の相手機関名、受入れ研究費金額とエフォートに係わる情報のみ。ただし、当面の間、秘密保持契約締結済で対応が困難な場合などはエフォートのみの提出とすることができる。
    • 寄附金等や資金以外の支援等の情報の扱い
      • 寄附金等や資金以外の施設・設備等による支援等の情報について、所属機関に適切に報告している旨の誓約を求める
      • 当該応募課題に使用しないが、別に従事する研究で使用している施設・設備等の受入状況に関する情報を含む。
    • 利益相反・責務相反に関する規程の整備や対応
      • 利益相反・責務相反に関する規程の整備の重要性や、必要に応じて所属機関に情報の把握・管理の状況の確認を行うことがある方針を明確化
    • 虚偽申告への対応
      • 公表、不採択・採択取消し、減額配分、5年間の応募制限とすることがある(事実と異なる記載や、偽りその他不正な手段による受給への対応として、従来どおり)
    • 実施時期
      • 令和3年度に公募を行うものについて、本指針の趣旨に従い可能な範囲で対応しながら、令和4年4月以降に公募を行うものから順次実施する

~NEW~
内閣府 月例経済報告(月次)
▼6月月例報告
  • 基調判断
    • 景気は、緩やかに回復している。
    • 先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。
  • 政策態度
    • 6月16日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2023」に基づき、30年ぶりとなる高い水準の賃上げ、企業部門における高い投資意欲などの前向きな動きをさらに力強く拡大すべく、未来への投資の拡大と構造的賃上げの実現に向けた新しい資本主義の取組を加速させる。
    • 「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」及びそれを具体化する令和4年度第2次補正予算、「物価・賃金・生活総合対策本部」で取りまとめたエネルギー・食料品等に関する追加策、並びに令和5年度当初予算を迅速かつ着実に実行しつつ、物価や経済の動向を踏まえ、今後も機動的に対応していく。
    • 賃金上昇やコストの適切な価格転嫁・マークアップの確保を伴う「賃金と物価の好循環」へとつなげるとともに、人への投資、グリーン、経済安全保障など市場や競争に任せるだけでは過小投資となりやすい分野における官民連携での国内投資の持続的な拡大を図ること等により、成長力の向上と家計所得の幅広い増加に裏打ちされた「成長と分配の好循環」の実現を目指す。
    • 日本銀行には、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、賃金の上昇を伴う形で、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。
    • こうした取組を通じ、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を一体的に進めつつ、デフレに後戻りしないとの認識を広く醸成し、デフレ脱却につなげる。
  • 個人消費は、持ち直している。
    • 個別の指標について、需要側の統計をみると、「家計調査」(4月)では、実質消費支出は前月比1.3%減となった。販売側の統計をみると、「商業動態統計」(4月)では、小売業販売額は前月比1.1%減となった。
    • 消費動向の背景をみると、実質総雇用者所得は、下げ止まっている。また、消費者マインドは、持ち直している。
    • さらに、足下の状況について、ヒアリング結果等を踏まえると、新車販売台数は、緩やかに増加している。家電販売は、このところ弱い動きとなっている。旅行は、持ち直している。外食は、緩やかに持ち直している。
  • 設備投資は、持ち直している。
    • 設備投資は、持ち直している。需要側統計である「法人企業統計季報」(1-3月期調査、含むソフトウェア)でみると、2023年1-3月期は前期比2.3%増となった。業種別にみると、製造業は同4.8%増、非製造業は同1.0%増となった。
    • 機械設備投資の供給側統計である資本財総供給(国内向け出荷及び輸入)は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。ソフトウェア投資は、緩やかに増加している。
    • 「日銀短観」(3月調査)及び「法人企業景気予測調査」(4-6月期調査)によると、全産業の2023年度設備投資計画は、増加が見込まれている。「日銀短観」による企業の設備判断は、製造業に過剰感がみられるものの、全体では不足感がみられる。先行指標をみると、機械受注及び建築工事費予定額は、おおむね横ばいとなっている。
    • 先行きについては、堅調な企業収益等を背景に、持ち直し傾向が続くことが期待される。
  • 住宅建設は、底堅い動きとなっている。
    • 住宅建設は、底堅い動きとなっている。持家の着工は、このところ弱含んでいる。貸家の着工は、底堅い動きとなっている。分譲住宅の着工は、底堅い動きとなっているものの、4月の共同建は、例年の水準を大きく下回った。総戸数は、4月は前月比12.1%減の年率・77.1万戸となった。なお、首都圏のマンション総販売戸数は、おおむね横ばいとなっている。
    • 先行きについては、底堅く推移していくと見込まれる。
  • 公共投資は、底堅く推移している。
    • 公共投資は、底堅く推移している。4月の公共工事出来高は前月比2.9%増、5月の公共工事請負金額は同3.0%増、4月の公共工事受注額は同8.2%減となった。
    • 公共投資の関連予算をみると、公共事業関係費は、国の令和4年度一般会計予算では、補正予算において約2.0兆円の予算措置を講じており、補正後は前年度比0.0%増としている。また、令和5年度一般会計予算の公共事業関係費は、前年度当初予算比0.0%増としている。さらに、令和5年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比0.0%としている。
    • 先行きについては、補正予算の効果もあって、底堅く推移していくことが見込まれる。
  • 輸出は、底堅い動きとなっている。輸入は、おおむね横ばいとなっている。貿易・サービス収支は、赤字となっている。
    • 輸出は、底堅い動きとなっている。地域別にみると、アジア、アメリカ及びEU向けの輸出は、おおむね横ばいとなっている。その他地域向けの輸出は、このところ持ち直しの動きがみられる。先行きについては、底堅く推移することが見込まれる。ただし、海外景気の下振れリスクに留意する必要がある。
    • 輸入は、おおむね横ばいとなっている。地域別にみると、アジア、アメリカ及びEUからの輸入は、おおむね横ばいとなっている。先行きについては、次第に持ち直していくことが期待される。
    • 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
    • 4月の貿易収支は、輸出金額が増加し、輸入金額が減少したことから、赤字幅が縮小した。また、サービス収支は、黒字に転じた。
  • 生産は、持ち直しの兆しがみられる。
    • 鉱工業生産は、持ち直しの兆しがみられる。鉱工業生産指数は、4月は前月比0.7%増となった。鉱工業在庫指数は、4月は前月比0.1%減となった。また、製造工業生産予測調査によると5月は同1.9%増、6月は同1.2%増となることが見込まれている。
    • 業種別にみると、輸送機械は持ち直している。生産用機械はおおむね横ばいとなっている。電子部品・デバイスは減少している。
    • 生産の先行きについては、海外景気の下振れ等による影響に注意する必要があるが、持ち直しに向かうことが期待される。
    • また、足下の状況について、ヒアリング結果等を踏まえると、第3次産業活動は、緩やかに持ち直している。
  • 企業収益は、総じてみれば緩やかに改善している。企業の業況判断は、持ち直しの動きがみられる。倒産件数は、増加がみられる。
    • 企業収益は、総じてみれば緩やかに改善している。「法人企業統計季報」(1-3月期調査)によると、2023年1-3月期の経常利益は、前年比4.3%増、前期比6.2%増となった。業種別にみると、製造業が前年比15.7%減、非製造業が同17.2%増となった。規模別にみると、大・中堅企業が前年比0.5%減、中小企業が同16.8%増となった。「日銀短観」(3月調査)によると、2023年度の売上高は、上期は前年比1.5%増、下期は同0.8%増が見込まれている。
    • 経常利益は、上期は前年比5.7%減、下期は同1.0%増が見込まれている。
    • 企業の業況判断は、持ち直しの動きがみられる。「日銀短観」(3月調査)によると、「最近」の業況は、「全規模全産業」で低下した。
    • 6月時点の業況を示す「先行き」は、「最近」に比べやや慎重な見方となっている。また、「景気ウォッチャー調査」(5月調査)の企業動向関連DIによると、現状判断、先行き判断ともに上昇した。
    • 倒産件数は、増加がみられる。4月は610件の後、5月は706件となった。負債総額は、4月は2,038億円の後、5月は2,787億円となった。
  • 雇用情勢は、このところ改善の動きがみられる。
    • 完全失業率は、4月は前月比0.2%ポイント低下し、2.6%となった。労働力人口及び完全失業者数は減少し、就業者数は増加した。
    • 就業率はこのところ改善の動きがみられる。新規求人数及び有効求人倍率はこのところ横ばい圏内となっている。民間職業紹介における求人動向は持ち直している。製造業の残業時間は増加した。
    • 賃金をみると、定期給与はこのところ増加している。現金給与総額は緩やかに増加している。実質総雇用者所得は、下げ止まっている。
    • 「日銀短観」(3月調査)によると、企業の雇用人員判断DIは、3月調査で-32と、12月調査(-31)から1ポイント不足超幅が拡大している。
    • こうしたことを踏まえると、雇用情勢は、このところ改善の動きがみられる。
    • 先行きについては、改善していくことが期待される。
  • 国内企業物価は、このところ緩やかに下落している。消費者物価は、上昇している。
    • 国内企業物価は、このところ緩やかに下落している。5月の国内企業物価は、前月比0.7%下落した。輸入物価(円ベース)は、下落している。
    • 企業向けサービス価格の基調を「国際運輸を除くベース」でみると、緩やかに上昇している。
    • 消費者物価の基調を「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」でみると、政策等による特殊要因を除くベースで、上昇している。4月は、前月比では連鎖基準、固定基準ともに0.5%上昇した。前年比では連鎖基準で4.3%上昇し、固定基準で4.1%上昇した。ただし、政策等による特殊要因を除くと、前月比では連鎖基準で0.4%上昇し、前年比では連鎖基準で4.1%上昇した(内閣府試算)。
    • 「生鮮食品を除く総合」(いわゆる「コア」)は、上昇している。
    • 4月は、前月比では連鎖基準、固定基準ともに0.5%上昇した。
    • 物価の上昇を予想する世帯の割合を「消費動向調査」(二人以上の世帯)でみると、5月は、前月比0.1%ポイント下落し、93.1%となった。
    • 先行きについては、消費者物価(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)は、政策等による特殊要因を除くベースで、当面、上昇していくことが見込まれる。
  • 株価(日経平均株価)は、30,900円台から33,700円台まで上昇した後、33,300円台まで下落した。対米ドル円レート(インターバンク直物中心相場)は、139円台から140円台まで円安方向に推移した後、138円台まで円高方向に推移し、その後142円台まで円安方向に推移した。
    • 株価(日経平均株価)は、30,900円台から33,700円台まで上昇した後、33,300円台まで下落した。
    • 対米ドル円レート(インターバンク直物中心相場)は、139円台から140円台まで円安方向に推移した後、138円台まで円高方向に推移し、その後142円台まで円安方向に推移した。
    • 短期金利についてみると、無担保コールレート(オーバーナイト物)は、-0.07%台から-0.02%台で推移した。ユーロ円金利(3か月物)は、-0.0%台で推移した。長期金利(10年物国債利回り)は、0.3%台から0.4%台で推移した。
    • 企業金融については、企業の資金繰り状況におおむね変化はみられない。社債と国債との流通利回りスプレッドは、総じて横ばいとなっている。金融機関の貸出平残(全国銀行)は、前年比3.8%(5月)増加した。
    • マネタリーベースは、前年比1.1%(5月)減少した。M2は、前年比2.7%(5月)増加した。(※5/26~6/20の動き)
  • 世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。
    • 先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響、物価上昇等による下振れリスクに留意する必要がある。また、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。
  • アメリカでは、景気は緩やかに回復している。先行きについては、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。
    • 2023年1-3月期のGDP成長率(第2次推計値)は、住宅投資は減少したが、個人消費や設備投資が増加し、前期比で0.3%増(年率1.3%増)となった。
    • 足下をみると、消費は緩やかに増加している。設備投資は緩やかに持ち直している。住宅着工はおおむね横ばいとなっている。
    • 生産はおおむね横ばいとなっている。非製造業景況感は低下している。雇用面では、雇用者数は増加しており、失業率はおおむね横ばいとなっている。物価面では、コア物価上昇率はおおむね横ばいで推移している。貿易面では、財輸出はおおむね横ばいとなっている。
    • 6月13日~14日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利の誘導目標水準を5.00%から5.25%の範囲で据え置くことが決定された。
  • アジア地域については、中国では、景気は持ち直しの動きがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の動向等を注視する必要がある。韓国では、景気は下げ止まりの兆しがみられる。台湾では、景気は減速している。インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。タイでは、景気はこのところ持ち直している。インドでは、景気は緩やかに回復している。
    • 中国では、景気は持ち直しの動きがみられる。2023年1-3月期のGDP成長率は、前年同期比で4.5%増となった。消費は持ち直している。固定資産投資はこのところ伸びが低下している。輸出は持ち直しの動きに足踏みがみられる。生産は持ち直しの動きがみられる。消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。
    • 韓国では、景気は下げ止まりの兆しがみられる。2023年1-3月期のGDP成長率は、前期比で0.3%増(年率1.3%増)となった。
    • 台湾では、景気は減速している。2023年1-3月期のGDP成長率は、前年同期比で2.9%減となった。
    • インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。2023年1-3月期のGDP成長率は、前年同期比で5.0%増となった。タイでは、景気はこのところ持ち直している。2023年1-3月期のGDP成長率は、前年同期比で2.7%増となった。
    • インドでは、景気は緩やかに回復している。2023年1-3月期のGDP成長率は、前年同期比で6.1%増となった。
  • ヨーロッパ地域については、ユーロ圏では、景気は足踏み状態にある。ドイツにおいては、景気は足踏み状態にある。行きについては、足踏み状態が続くと見込まれる。ただし、金融引締めやエネルギー情勢に伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。英国では、景気は足踏み状態にある。先行きについては、足踏み状態が続くと見込まれる。ただし、金融引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。
    • ユーロ圏では、景気は足踏み状態にある。2023年1-3月期のGDP成長率は、前期比で0.1%減(年率0.4%減)となった。消費はおおむね横ばいとなっている。機械設備投資は持ち直している。生産は横ばいとなっている。サービス業景況感は持ち直している。輸出は持ち直しに足踏みがみられる。失業率は横ばいとなっている。コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。
    • ドイツにおいては、景気は足踏み状態にある。2023年1-3月期のGDP成長率は、前期比で0.3%減(年率1.3%減)となった。
    • 英国では、景気は足踏み状態にある。2023年1-3月期のGDP成長率は、前期比で0.1%増(年率0.5%増)となった。消費は弱含んでいる。設備投資はこのところ持ち直している。生産はおおむね横ばいとなっている。サービス業景況感は持ち直している。輸出は
  • おおむね横ばいとなっている。失業率はおおむね横ばいとなっている。コア物価上昇率は上昇している。
    • 欧州中央銀行は、6月15日の理事会で、政策金利を4.00%に引き上げることを決定した。イングランド銀行は、5月10日の金融政策委員会で、政策金利を4.50%に引き上げることを決定した。
  • 国際金融情勢等
    • 金融情勢をみると、世界の主要な株価は、アメリカではやや上昇、英国ではやや下落、ドイツ、中国ではおおむね横ばいで推移した。
    • 短期金利についてみると、ドル金利(3か月物)はおおむね横ばいで推移した。主要国の長期金利は、アメリカ、ドイツではおおむね横ばいで推移、英国では大幅に上昇した。ドルは、ユーロに対しておおむね横ばいで推移、ポンドに対して減価、円に対して増価した。原油価格(WTI)は、おおむね横ばいで推移、金価格はやや下落した。

~NEW~
消費者庁 「特殊詐欺等の消費者被害における心理・行動特性に関する研究」プロジェクトにおけるリサーチ・ディスカッション・ペーパーの公表について
▼特殊詐欺等の消費者被害における心理・行動特性 全体版
  • 「最初の接触方法」については、被害届提出者では、「携帯電話・スマートフォン」が46.5%で最も多く、次いで「固定電話」が20.9%であり、電話での接触方法が被害者の約67%を占めていた。看破者では、「携帯電話・スマートフォン(SMS・電子メール含む)」が36.4%で最も多く、次いで「固定電話」が31.8%であり、電話での接触方法が看破者の約68.2%を占めていた。
  • 「固定電話の防犯機能」については、問12bで「固定電話」と回答した者のうち、被害届提出者では、「留守番電話機能利用者」が22.2%であり、いつも留守番機能を設定しているかは不明であった。看破者では、「留守番電話機能利用者」が57.1%であり、8名のうち、3名は「いつも留守番機能を設定」しており、2名は「必要に応じて留守番機能を設定」しており、3名は「不明」であった。なお、問12b-2「電話に応答した理由」については、被害届提出者では1名は不明であり、看破者では3名は不明であったが、2名は「留守番電話機能を設定しなかった」、2名は「電話の近くにいた」、1名は「姉がすでに通話していた」と回答していた。
  • 「犯人からの要求に応答した理由」(図6)については、被害届提出者では「困りごとを解決しなければと思った」が44.2%で最も多く、次いで「後に返金されるという言葉を信用した(キャッシュカード含む)」が34.9%、「相手の身分を信用した」が32.6%であった。看破者は要求に応じていないと想定し回答不要の設問であったが、水際で第三者から看破される事例もあることから回答があった内容について記載する。「とりあえず電話をした」が22.7%で最も多く、次いで「困りごとを解決しなければと思った」が20.5%であった。「その他」に回答した7名の詳細は、「かかってきた電話に応答したものの犯人の要求には応じなかった」3名、「コンビニや警察に確認した」が2名、「個人情報を守るという言葉を信用した」、「スマホの対策アプリが起動した」であった。
  • 「犯人の要求に異変を感じたか」については、被害届提出者では、「感じた」が39.5%であった。その詳細は、「毎回同じ高額当選の連絡があるにもかかわらず、繰り返し金銭(電子マネーの購入2名も含む)を要求されたから」6名、「男女の仲が進展しないから」、「同一携帯電話会社で複数台の携帯電話契約を指示され、さらに別の携帯電話会社で携帯電話契約を指示されたから」、「警察がこんなことをするのかと思った」、「送り先住所から心当たりなしで返送されたから」、「一方的に急かされた」、「異変を感じたが少額の還付金だった」、「プリペイドカードのシリアル番号が間違っていると言われたから」、「サービスの利用に心当たりがなかったから」、「支払いをしなければ大変になると思った」、「不明」3名であった。
  • 看破者では、「感じた」が63.6%であった。その詳細は、「話の内容が難しくてよく分からなかった」2名、「(会話の内容が)ありえない(と思ったから)」、「突然、銀行口座を聞いてくるのは詐欺だと思った」、「申出の内容に矛盾があったから」、「要求金額が万単位だったから」、「全く身に覚えのない料金請求だったから」、「ワンクリックで会員登録されるのは詐欺だと思った」、「はっきりした要求がなかった」、「前に何回も同じような電話がかかってきていたから」、「PCを遠隔操作する指示が多かった」、「申請を代行するので成功報酬をくれという申出に違和感があった」、「本日中の支払いで大金を電話で要求された」、「相手が外国人だった」、「コンビニの店員さんに止められた時」、「コンビニエンスストアを指定してきた」、「スマートフォンにインストールしている詐欺対策アプリが作動した」、「銀行でシステムエラーと言われた」、「西暦で言われて和暦を質問すると説明できず不審だった」、「古いタイプのキャッシュカードは使えないと言われ、配偶者名義の口座有無や残高を聞かれたことで変だと感じた」、「電力会社職員から商品の購入期間を聞かれたがデータで管理しているはずなので不審に感じたから」、「(相手の要求に)今行くの?と思った」、「身に覚えのないことを言われたから」、「言葉使い」、「金銭の支払いの要求があったため」、「犯人が未納だと言った契約が身に覚えのないものだった」、「相手の話し方や、役所職員なのに市長の名前を知らなかった」が挙げられた。
  • 「詐欺手口の知識」については、被害届提出者では、25.6%が知っていたものの「人に説明できる程度知っていた」人は4.7%であった。「詐欺の手口をどこで知ったか」という問については、「新聞」が最も多く63.6%であり、次いで「テレビのニュース」54.5%だった。看破者では、44.2%が知っていたものの、「人に説明できる程度」知っていた人は18.2%であった。「詐欺の手口をどこで知ったか」という問については、「新聞」が最も多く57.9%であり、次いで「テレビのニュース」及び「その他」が26.3%だった。「その他」に回答した5名の詳細は、「防災無線」2名、「県消費生活センターに相談したことがあるため」、「今までに何回か似たような電話がかかってきていたため」、「ネットニュース」であった。
  • 看破者における問14a「詐欺を見破った理由」は、図8の通りである。「常識的に考えてありえなかった」が31.8%で最も多く、次いで「身に覚えのない話だった」が29.5%であった。「その他」に回答した6名の詳細は、「コンビニエンスストアの店員(店長)が声をかけてくれた」2名、「SMSに記載されていた企業名に誤字があった」、「説明内容(西暦と和暦)に誤りがあった」、「過去に遭遇した経験があった」、「途中で相手が無言になる等不審点が多かった」であった。
  • 問14b「詐欺を見破った人物」では、「回答者自身」が61.4%で最も多く、次いで「コンビニ店員」が18.2%で、回答者自身以外の者が38.6%を占めていた(図9)。「家族」と回答した者のうち、「同居家族」は3名、「別居家族」は4名であった。「その他」と回答した1名は「職場の同僚」であった。「回答者自身」と回答したもののうち1名が「同居家族」、3名が「別居家族」、2名が「警察」と回答が重複していた。このことから、回答者単独で詐欺を見破った割合は、看破者の47.8%であった。
  • 被害届提出者と看破者の詐欺脆弱特性に差があるのかを検討するため、被害届提出者と看破者を独立変数、詐欺脆弱特性3項目の合計得点を従属変数にした一元配置分散分析を行った。その結果、被害届提出者の方が看破者に比べて詐欺脆弱特性が高かった。
  • 被害届提出者と看破者の楽観性バイアスに差があるのかを検討するため、被害届提出者と看破者を独立変数、楽観性バイアスを従属変数にした一元配置分散分析を行った。その結果、楽観性バイアスに統計的有意差はみられなかった。なお、被害未経験者と被害経験者を独立変数、楽観性バイアスを従属変数にした一元配置分散分析を行った結果、被害経験者の方が被害未経験者に比べて高い傾向がみられた。
  • 被害届提出者と看破者の自己効力感に差があるのかを検討するため、被害届提出者と看破者を独立変数、自己効力感を従属変数にした一元配置分散分析を行った。その結果、自己効力感に統計的有意差はみられなかった。なお、被害未経験者と被害経験者を独立変数、自己効力感を従属変数にした一元配置分散分析を行った結果、被害経験者の方が被害未経験者に比べて高い傾向がみられた。
  • 最終学歴では、被害届提出者の方が看破者に比べて低かった。米国の先行研究では、高学歴の方が投資などの金融取引を行う機会が多く、詐欺に遭いやすいといった報告(Lichtenberg et al., 2016)もある。本研究の被害内容には融資保証金があるものの、投資といった金融取引は含まれておらず、最終学歴が低い方が消費者被害に遭いやすいといった関係性は、消費者被害の内容によって変わる可能性がある。
  • 外出頻度では、被害経験者の方が被害未経験者に比べて多い傾向がみられた。既報(上野ら、2022やUeno et al. (2021, 2022))では、被害経験者や被害届提出者もしくは詐欺脆弱特性の高い人ほど外出頻度が少ないことが報告されている。本研究の被害経験者17名とサンプルが少なく、そのうち16名が毎日1回以上外出しており、回答に偏りがみられたためだと考えられる。
  • 性別では、被害未経験者と被害経験者、被害届提出者と看破者のそれぞれで統計的な有意差はみられなかった。既報(上野ら、2022)でも被害未経験者と被害経験者の人数に性差は見られなかったものの、インターネットを用いた全国調査(Kadoya et al., 2021)では、男性の方が架空請求詐欺の被害経験が多い傾向がみられた。また、警察庁(2022)の被害認知件数や京都府で調査を行ったUeno et al.(2022)の被害届提出者では女性の方が多かった。このように地域によって被害経験者や被害届提出者に性差があり、徳島県では男性の被害届提出が全国や京都府よりも多い傾向があった。
  • 過去5年間の消費者被害未遂の経験については、被害経験者の方が被害未経験者に比べて多かった。一方で、被害届提出者と看破者とでは有意な差がみられなかった。このことは、被害経験者の方が被害未経験者に比べて未遂経験が多いものの、被害届提出者が看破者に比べて犯人との接触機会が多い訳ではなく、看破者も被害届提出者と同等に犯人と接触する機会があるということを示している。ただし、過去の経験のうち犯人が最初に接触してきた手法は、被害経験者では雑誌などの掲載広告が多く、被害届提出者ではSNSやPCメールによる接触が多く、看破者では固定電話による接触が多いという特徴が明らかになった。固定電話の方が防犯機能の種類も多く、防犯機能付き電話の設置に関する啓発もされている。一方で、雑誌を見て自ら連絡を取る場合やSNSやPCメールには固定電話のような防犯機能はあまり周知されておらず、被害経験者や被害届提出者に多くみられた可能性がある。このように、自ら連絡を取る場合やSNSやPCメールで犯人と接触する機会を減らす防犯対策や防犯機能の充実や啓発が必要であると考えられる。
  • 相手が名乗った身分、最初の接触方法や説明内容、固定電話の防犯機能設置の有無は、被害届提出者と看破者で統計的有意に異なるということはなく、被害届提出者では、一時的に支払いをすることも含めて自分にとって利益がある誘いについて、自分以外が介在しにくいメールでの対応が多いことが明らかになった。
  • 看破者は被害届提出者に比べて、問12c「最初の接触に対しての反応」としてとりあえず電話したことが多く、問13b「犯人の要求に異変を感じたか」に、「はい」と回答する割合が高かった。これらの結果から、異変を感じながらもとりあえず電話で応答する傾向が明らかになった。問12b-1「固定電話の防犯機能」では統計的な有意差は見られなかったが、看破者の方が被害届提出者に比べて防犯機能を利用している割合が多いため、防犯機能を頼りにして異変を感じながらもとりあえず電話で応答する割合が多かった可能性も考えられる
  • 「詐欺手口の知識」では、看破者の方が被害届提出者に比べて知っている人数は多いものの、看破者で特徴的な情報源はなく、被害届提出者の方が看破者に比べて防犯講座と回答する人数が多かった。警察庁(2018)によるオレオレ詐欺の被害届提出者と看破者を対象にした調査では、還付金等詐欺や架空請求詐欺といった特定の手口に関する知識は看破者の方が多い傾向があるが、実際被害に遭った手口(オレオレ詐欺)については被害届提出者も看破者も同等に約97%が知っていると回答していた。今回の消費者被害も含めた調査では、看破者の方が手口の知識を知っている人数が多かったものの、手口によっては知識に偏りがあり、一概に知識があれば被害に遭いにくいとは言い切れない。また、手口の知識に対する回答は認知的不協和を解消するため実際の知識の有無とは逆の回答をした可能性もある。認知的不協和とは、自己と自己をとりまく環境に関する認知に生ずる矛盾や食い違いである(Festinger, 1957)。そして、認知的不協和が生じると不快なため、その不快を解消させるため認知の一方を変化させる。つまり、一般的に手口を知っていると被害に遭いにくいという認識があり、被害届提出者はその手口を知っていたとしても、一般的な認識と自分が被害に遭ってしまった事実に認知的不協和が生じて、手口を知らなかったと回答している可能性も考えられる。一方、看破者は、その手口を知らなかったとしても、一般的な認識と自分が被害に遭う前に相談した事実に認知的不協和が生じて、手口を知っていたと回答している可能性も考えられる
  • a「詐欺を見破った理由」では、「常識的に考えてありえなかった」や「身に覚えのない話だった」やその他の回答として、企業名や説明内容に誤りや相手の不審な挙動に気づくといった傾向があった。このことから看破者が詐欺を見破った理由として、説明内容の不自然さや違和感に気づきやすい傾向があることが明らかになった。問14b「詐欺を見破った人物」では自分自身に次いで、コンビニエンスストアの店員が多かった。また、回答者単独で詐欺を見破った割合は、看破者の50%以下であった。このことから、消費者被害を自分だけで見破るのは難しく、家族や地域での見守りが必要不可欠である。特に、問14a「詐欺を見破った理由」のその他にも2名「コンビニエンスストアの店員(店長)が声をかけてくれた」と回答していたように、コンビニエンスストアでの水際対策は効果が高いと考えられる。コンビニエンスストアは、プリペイドカード、ATMなど犯人が金銭のやり取りに要求する手段を提供しているため、コンビニエンスストアでの被害予防活動や店員向けの対応啓発の促進が必要である。
  • 特殊詐欺は、受け子(犯人グループのうち直接現金やキャッシュカードを受け取りに行く係)が効率良く回収するため、一定期間に特定の地域で多発する。また、消費者被害の内容も流行があり、時期によって増減を繰り返している。よって、未遂経験や被害経験を警察や消費生活センターに情報提供や相談することは、その地域の被害拡大を防ぐことにつながる。本調査の結果から、看破者からの情報提供・相談に至った動機にメリットを多く認識しているというよりは、デメリットを少なく認識しているということが明らかになった。よって、未遂経験や被害経験の情報提供や相談を促進するには、相談する際の手間がかかるという認識やためらいを改めるため消費者ホットライン(188)を周知し連絡先を調べる手間を省くことや相談をためらわず気軽に相談しても良いという雰囲気を醸成し、デメリットが少ないことを強調するような広報が効果的であると考えられる。
  • 被害届提出者において情報提供・相談のデメリットの認知が高かった理由には、被害届を提出した影響も考えられる。被害届を提出する過程で被害状況を回想し、その状況を警察官に聞き取りされたことが「事情を聞かれて、面倒なことになる」といったデメリットの認識を促した可能性がある。被害による心理的影響を軽減するのは様々な課題があるが、消費者被害の情報提供・相談のデメリットを少しでも軽減するため、情報提供や相談する際に警察や消費生活センターではどのようなことを聞かれるのかを広報し、消費者が未遂経験や被害を相談する際に控えておくべき情報や心構えを準備するような消費者教育が必要である
  • 被害届提出者が看破者に比べて楽観性バイアスと自己効力感が高くなかった理由として、被害届を提出した経験の影響が考えられる。楽観性バイアスは、高齢者においてより修正が難しいことが報告されている(Chowdhury et al., 2014)にもかかわらず、被害届提出者が看破者に比べて楽観性バイアスに違いがなかったのは、警察署で被害状況を聴取され被害の状況や深刻さの影響が大きく、楽観性バイアスと自己効力感が低下したと考えられる
  • Mears et al.(2016)は、消費者被害防止教育の取組は教育を受けた高齢者がより効果的に家計を管理し、インターネットやネットショッピングを慎重に利用することに効果はあるが、詐欺脆弱特性が高いからといって自ら情報や支援を求めることにはつながらないことを報告している。つまり、詐欺脆弱特性をチェックする啓発活動が行われ始めているが(京都府警察本部、2022)、詐欺脆弱特性が高いことを伝えるだけでは具体的な対策にはつながらないと考えられる。また、McKenna et al. (2020)は、特殊詐欺等の消費者被害防止の観点からは、被害に遭わないという自信を変容させるのではなく、詐欺は誰にでも起こりうるという危機意識を持ち、詐欺の手口に関する知識を広め、自分だけで判断することを避け、消費者被害に遭わないという自信の根拠を得る対策を講じることが必要であると提案している。本調査の結果からも、被害届提出者は看破者と比較して、統計的に有意ではなかったものの固定電話の防犯機能がない者が多い傾向があり、自分以外が介在しにくいメールで対応している者が多く、手口を知っている者が少ないにもかかわらず、自分は詐欺に遭わない自信が高いといった詐欺脆弱特性が高いことが明らかになった。本研究では、看破者に多くみられた固定電話の防犯機能設置と詐欺脆弱特性の低さとの因果関係は不明であるが、具体的な対策を取ることにより詐欺脆弱特性に関する心理・行動特性が修正される可能性もある。つまり、消費者被害による影響があるものの、消費者被害に関連する心理・行動特性を変容することは難しいため、詐欺脆弱特性が高いことを伝えるだけではなく、詐欺脆弱特性が高い人たちに優先的に固定電話の防犯機能を設置し、自分だけで応対しないような環境づくりと犯人と思われる相手と接触した時の対処方法を身につけて詐欺被害に遭わないという自信の根拠を提供する必要がある。さらに、詐欺の特殊性は電話のみならずSNSやメールなどにも広がっており、インターネット空間での詐欺対策も進めていく必要がある。
  • 相手が名乗る身分、最初の接触方法、相手からの説明内容については、被害届提出者と看破者で統計的に有意な違いはみられなかった。ただし、被害届提出者は犯人からの要求に対してとりあえず電話に応答した割合が多い傾向があるものの、看破者と比較して、固定電話の防犯機能を利用する割合が少なく、最初の接触に対してメールを送信している割合が多かった。また、犯人からの要求に応答した理由としては、被害届提出者は看破者と比較して、自分にとって利益があることや後に返金されるといった利益追求の動機づけが強い傾向があった。さらに、被害届提出者は看破者と比較して、被害届提出者自身が被害に遭った理由を説明するため手口を知らなかったと回答している可能性も考えられるが、詐欺の手口を知らないという回答が多くみられた。さらに、被害届を提出した後も看破者と比較して詐欺脆弱特性は高く、消費者被害を経験したからといって犯人を看破できるほど詐欺脆弱特性が低くなりにくいことも明らかになった。また、情報提供・相談のデメリットは、被害に遭ったことによる影響もあるが、被害届提出者の方が看破者よりも高いことが明らかになった
  • 今後の消費者被害防止の対策として、詐欺脆弱特性に関する心理・行動特性の修正よりも犯人と接触しない環境整備が急務である。具体的には、犯人が接触してきた時を想定して、固定電話の防犯機能の周知と設置を徹底するとともに、メール等自分と相手以外の人物以外が介在しにくい連絡手段で見知らぬ人と接触することを避けることを周知する必要がある。さらに、利益が得られそうな誘いに接触した時を想定して、誘いの断り方や第三者に相談する際の具体的な方法を練習する機会を提供し、接触しても咄嗟に対応できるようになることが必要である。また、看破者の特徴からコンビニエンスストアでの水際対策の促進は効果が高そうである。さらに、手間なく、ためらいなく、面倒なく、未遂経験や被害経験の情報提供や相談を促進するため、消費者ホットライン(188)を周知し連絡先を調べる手間を省くことや相談を気軽に相談しても良いという雰囲気を醸成し、警察や消費生活センターではどのようなことを聞かれるのかを広報し、消費者が未遂経験や被害を相談する際に控えておくべき情報や心構えを準備するような消費者教育が必要である。

~NEW~
消費者庁 富士通クライアントコンピューティング株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について
  • 消費者庁は、本日、富士通クライアントコンピューティング株式会社に対し、同社が供給するノートパソコンに係る表示について、それぞれ、景品表示法に違反する行為(同法第5条第2号(有利誤認)に該当)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令を行いました。
  • 措置命令の概要
    1. 二重価格表示
      1. 対象商品
        • 別表「対象商品」欄記載の15商品(別表2「対象商品」欄記載の15商品と同じ。以下「本件15商品」という。)
      2. 対象表示
        • 表示の概要
          • 表示媒体
            • 「富士通 WEB MART」と称する自社ウェブサイト(以下「自社ウェブサイト」という。)
          • 表示期間
            • 別表「表示期間」欄記載の期間
          • 表示内容(表示例:別紙1)
            • 例えば、「LIFEBOOK WU2/G」と称するノートパソコン(以下「本件商品①」という。)について、遅くとも令和4年10月4日から同月5日までの間、「WEB価格(税込)187,880円 キャンペーン価格(税込) 148,425円 21%OFF(10/5 14時まで)」と表示するなど、別表2「対象商品」欄記載の商品について、同表「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、「WEB価格」と称する価額(以下「WEB価格」という。)は、自社ウェブサイトにおいて本件15商品について通常販売している価格であり、「キャンペーン価格」と称する価額(以下「キャンペーン価格」という。)が当該通常販売している価格に比して安いかのように表示していた。
        • 実際
          • WEB価格は、自社ウェブサイトにおいて、本件15商品について販売された実績のないものであった。
    2. 期限限定表示
      1. 対象商品
        • 本件15商品のうち別表3「対象商品」欄記載の12商品(以下「本件12商品」という。)
        • 本件15商品のうち別表4「対象商品」欄記載の8商品(以下「本件8商品」という。)
      2. 対象表示
        • 表示の概要
          • 表示媒体
            • 自社ウェブサイト
          • 表示期間
            • 別表「表示期間」欄記載の期間
          • 表示内容
            • 例えば、本件商品①について、遅くとも令和4年10月4日から同月5日までの間、「WEB価格(税込)187,880円 キャンペーン価格(税込) 148,425円 21%OFF(10/5 14時まで)」と表示するなど、別表3「対象商品」欄記載の商品について、同表「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、同欄記載の期限内に購入した場合に限り、キャンペーン価格で本件12商品を購入することができるかのように表示していた。
            • 例えば、本件商品①について、遅くとも令和4年10月4日から同月26日までの間、「“まとめ買いキャンペーン実施中”買えば買うほどお得!対象商品のお買い上げ数量に応じて割引額がアップするお得なキャンペーンです。3台以上のお買い上げ→1台につき3,000円OFF!5台以上のお買い上げ→1台につき5,000円OFF!」及び「[期間:2022年10月26日(水)14時まで]」と表示するなど、別表4「対象商品」欄記載の商品について、同表「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、同欄記載の期限内に本件8商品を含む「まとめ買いキャンペーン」と称する企画の対象商品を複数購入した場合に限り、キャンペーン価格から更に値引きした価格で本件8商品を購入することができるかのように表示していた。
        • 実際
          • 前記について、別表「表示内容」欄記載の期限後に購入した場合であっても、当該キャンペーン価格で本件12商品を購入することができるものであった。
          • 前記について、別表4「表示内容」欄記載の期限後に購入した場合であっても、当該キャンペーン価格から更に値引きした価格で本件8商品を購入することができるものであった。
    3. 命令の概要
      • 前記の表示は、それぞれ、前記のとおりであって、それぞれ、本件15商品の取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
      • 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
      • 今後、同様の表示を行わないこと。

~NEW~
厚生労働省 「令和4年度 石綿による疾病に関する労災保険給付などの請求・決定状況まとめ(速報値)」を公表します
  • 厚生労働省は、令和4年度の「石綿による疾病に関する労災保険給付などの請求・決定状況」の速報値を取りまとめましたので、公表します。
  • 概要
    1. 労災保険給付
      • 令和4年度の請求件数は1,361件(石綿肺を除く)、支給決定件数は1,078件(同)で、請求件数・支給決定件数ともに、昨年度と比べやや増加しました。
      • 石綿による疾病(肺がん、中皮腫、石綿肺、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚)で、療養や休業を必要とする労働者や死亡した労働者のご遺族は、疾病発症が仕事によるものと認められた場合、「労働者災害補償保険法」に基づく給付の対象となります。
    2. 特別遺族給付金
      • 令和4年度の請求件数は132件で、支給決定件数は170件でした。
      • 石綿による疾病で死亡した労働者のご遺族で、時効(5年)によって労災保険の遺族補償給付を受ける権利が消滅した方については、「石綿による健康被害の救済に関する法律」に基づき、疾病発症が仕事によるものと認められた場合、「特別遺族給付金」が支給される仕組みとなっています。
  • 「労災保険給付」の請求・支給決定状況
    1. 肺がん、中皮腫、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚
      • 請求件数 1,361件(前年度比83件、6.5%増)
      • 支給決定件数 1,078件(同66件、6.5%増)
    2. 石綿肺((1)の件数には含まれない)※石綿肺は、じん肺の一種であり、じん肺として労災認定された事案のうち、石綿肺と判断したものを抽出し、別途集計している。
      • 支給決定件 61件(同3件、4.7%減)
  • 「特別遺族給付金」の請求・支給決定状況
    • 請求件数 132件(前年度比413件、75.8%減)
    • 支給決定件数 170件(同139件、448.4%増)

~NEW~
厚生労働省 新しい時代の働き方に関する研究会 第9回資料
▼資料 労働者の働き方・ニーズに関する調査について(中間報告)
  • 「今後、昇進を決めるにあたって、年齢や勤続年数よりも、成果や能力を重視すべきか」について、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計割合は、従業員規模別では1000人以上の層が最も高く74.8%(最低は「規模:わからない」で61.3%)年収別では1000万円以上の層が最も高く76.9%(最低は「年収:わからない」で62.0%)
  • 「今後、賃金は働いた時間より成果に基づいて決めるべきか」について、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計割合は、業種別では学術研究、専門・技術サービス業が最も高く70.9%(最低は宿泊業、飲食サービス業およびサービス業(他に分類されないもの)で57.1%)
  • 「今後、賃金は働いた時間より成果に基づいて決めるべきか」について、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計割合は、年収別では1000万円以上が最も高く70.4%(最低は「年収:わからない」で55.0%)
  • 「今後、社員の雇用安定に最優先に考えるべきか」について、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計割合は、年収別では300万円未満が最も高く79.2%(最低は「年収:わからない」で65.7%)
  • 「今後、仕事の手順を決定する際の、自分の裁量を増やしていきたいか」について、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計割合は、職業別では管理的職業が最も高く75.2%(最低は運搬・清掃・包装等の職業で38.5%)
  • 「今後、仕事の手順を決定する際の、自分の裁量を増やしていきたいか」について、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計割合は、年収別では1000万円以上が最も高く70.4%(最低は300万円未満で45.1%)
  • 「今後、仕事の時間配分を決定する際の、自分の裁量を増やしていきたいか」について、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計割合は、職業別では管理的職業が最も高く74.3%、次いで専門的・技術的職業は63.2%(最低は運搬・清掃・包装等の職業で40.3%)
  • 「今後、仕事の時間配分を決定する際の、自分の裁量を増やしていきたいか」について、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計割合は、年収別では1000万円以上が最も高く71.5%(最低は300万円未満で45.7%)
  • 「今後、勤務場所を決定する際の、自分の裁量を増やしていきたいか」について、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計割合は、業種別では学術研究、専門・技術サービス業が最も高く63.2%(最低は複合サービス事業で35.8%)
  • 「今後、勤務場所を決定する際の、自分の裁量を増やしていきたいか」について、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計割合は、職業別では管理的職業が最も高く65.1%(最低は運搬・清掃・包装等の職業で33.8%)
  • 「今後、勤務場所を決定する際の、自分の裁量を増やしていきたいか」について、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計割合は、年収別では1000万円以上が最も高く64.5%(最低は300万円未満で38.1%)
  • 「将来、どのような働き方をしたいと思うか」について、「なりゆきにまかせたい」「わからない」の合計割合が最も高いのは、職業別では運搬・清掃・包装等の職業で78.3%(最低は管理的職業で30.4%)「会社幹部、管理職としてマネジメントの仕事に就きたい」は管理的職業が最も高く32.2%(最低は運搬・清掃・包装等の職業で2,4%)「専門的な知識・技能を活かせる仕事に就きたい」は専門的・技術的職業が最も高く50.1%(最低は運搬・清掃・包装等の職業で12.8%)、「独立・開業したい」は輸送・機械運転10.4%(最低はその他で3.8%)
  • 「将来、どのような働き方をしたいと思うか」について、「なりゆきにまかせたい」「わからない」の合計割合が最も高いのは、従業員規模別では「規模:わからない」で82.3%(最低は1000人以上で45.1%)「会社幹部、管理職としてマネジメントの仕事に就きたい」は1000人以上が最も高く13.2%(最低は「規模:わからない」で1.6%)「専門的な知識・技能を活かせる仕事に就きたい」は300~499人が最も高く35.8%(最低は「規模:わからない」で12.8%)、「独立・開業したい」は100~299人で6.3%(最低は「規模:わからない」で3.1%
  • 「将来、どのような働き方をしたいと思うか」について、「なりゆきにまかせたい」「わからない」の合計割合は、年収別では「年収:わからない」が最も高く73.2%(最低は1000万円以上で30.6%)「会社幹部、管理職としてマネジメントの仕事に就きたい」と「専門的な知識・技能を活かせる仕事に就きたい」は1000万円以上が最も高くそれぞれ20.4%・41.9%(最低は「年収:わからない」でそれぞれ4.2%・19.1%)「独立・開業したい」は300~500万円未満が最も高く7.9%(最低は「年収:わからない」で2.9%)
  • 「今後、仕事の時間をどのように変えたいか」について、「増やしたい」「少し増やしたい」の合計割合は、年代別では20代で最も高く20.8%(最低は70代で6.6%)
  • 「今後、1つの企業で長く働くことをこれまで以上に重視するか」について、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計割合は、年代別では70代が最も高く64.7%(最低は20代で51.5%)年収別では1000万円以上で最も高く68.8%(最低は「年収:わからない」で48.7%)
  • 各労働時間制度の「働きたい」「やや働きたい」の合計割合について、「通常の勤務制度」は年代別では60代が最も高く65.7%(最低は20代で55.3%)「フレックスタイム制度」は年代別では40代が最も高く55.7%(最低は70代で43.1%)
  • 「変形労働時間制度」は年代別では20代が最も高く41.6%(最低は70代で25.1%)「みなし労働時間制度」は年代別では20代が最も高く32.3%(最低は70代で29.3%)
  • 「労働時間制度の対象としない」は年代別では20代が最も高く29.9%(最低は60代で23.2%)
  • 各労働時間制度の「働きたい」「やや働きたい」の合計割合について、「通常の勤務制度」は業種別ではその他が最も高く72.7%(最低は生活関連サービス業、娯楽業で52.2%)「フレックスタイム制度」は業種別では情報通信業が最も高く65.1%(最低は医療福祉で44.0%)
  • 「変形労働時間制度」は業種別では電気・ガス・熱供給・水道業が最も高く47.9%(最低は学術研究、専門・技術サービス業で33.3%)「みなし労働時間制度」は業種別では学術研究、専門・技術サービス業が最も高く38.5%(最低は複合サービス事業で22.4%)
  • 「労働時間制度の対象としない」は業種別では金融業、保険業が最も高く36.2%(最低は運輸業・郵便業で22.5%)
  • 「今後、リモートワーク(自宅等、オフィス以外の場所で働くこと)をしたいと思うか」について、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計割合は、年代別では30代が最も高く45.9%(最低は70代で19.2%)
  • 「今後、リモートワーク(自宅等、オフィス以外の場所で働くこと)をしたいと思うか」について、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計割合は、業種別では情報通信業が最も高く70.3%(最低は医療福祉で25.3%)
  • 「今後、リモートワーク(自宅等、オフィス以外の場所で働くこと)をしたいと思うか」について、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計割合は、職業別では管理的職業が最も高く54.7%(最低は運搬・清掃・包装等の職業で17.5%)
  • 「今後、リモートワーク(自宅等、オフィス以外の場所で働くこと)をしたいと思うか」について、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計割合は、年収別では1000万円以上で最も高く62.4%(最低は「年収:わからない」で30.2%)
  • 「今後、仕事よりも仕事以外の生活をこれまで以上に大切にするか」について、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計割合は、年収別では300万円未満の層が最も高く77.4%(最低は「年収:わからない」で66.4%)

~NEW~
経済産業省 中国による日本製ステンレス製品に対するアンチ・ダンピング措置がWTO協定違反と判断されました~WTO紛争処理小委員会最終報告書が公表されました~
  • 日本の申立てに基づき、世界貿易機関(WTO)で審理されてきた中国による日本製ステンレス製品に対するアンチ・ダンピング措置について、紛争処理小委員会(以下、「パネル」という。)最終報告書が公表されました。
  • 同報告書は日本の主張を認め、中国に対し措置の是正を勧告しました。日本は、中国に対し、引き続き措置の撤廃を求めていきます。
  • 概要
    • 中国が日本製ステンレス製品に賦課しているアンチ・ダンピング措置については、日本の要請(2021年8月)により、世界貿易機関(WTO)において紛争処理小委員会(パネル・第1審)が設置され(同年9月)、その後パネルでの審理が行われていましたが、今般、パネル最終報告書が公表されました。
    • 中国は、日本、韓国、インドネシア及びEUから輸入されるステンレス製品のダンピングによって中国の国内産業が損害を受けていると主張し、2019年7月から5年間の予定でアンチ・ダンピング(AD)税を賦課しています(以下、「本AD措置」という。)。
    • 日本は、本AD措置は、中国の調査当局の認定や調査手続に瑕疵があり、GATT(関税及び貿易に関する一般協定)及びアンチ・ダンピング協定(1994年の関税及び貿易に関する一般協定第6条の実施に関する協定)に違反すると考え、一貫して措置の撤廃を求めてきました。
    • パネル会合(口頭弁論、2022年6月及び10月に実施)での議論等を踏まえ、本日6月19日付けで公表されたパネル最終報告書は、本AD措置は、損害・因果関係の認定や手続の透明性に問題があり、アンチ・ダンピング協定に整合しないとし、中国に対し本AD措置の是正を勧告しました。
  • パネル報告書の判断内容
    • パネル報告書においては、以下1から6のとおり、本AD措置はアンチ・ダンピング協定に違反すると認定され、中国に対して措置をアンチ・ダンピング協定に適合させるよう勧告しました。
      1. 中国による本AD措置の決定は、対象輸出による中国国内製品の価格に与える影響(価格効果)の認定が不適切で、アンチ・ダンピング協定第3.1条及び第3.2条に整合しない。
        • 価格効果を認定する前提として、対象輸入品と国内産品が競合・代替関係にあるか(価格の比較に意味があるか)を確認すべき義務があるにもかかわらず、これを怠った。
        • 対象輸入品(ステンレススラブ、ステンレス熱延コイル、ステンレス熱延鋼板)は、価格帯、形状、用途、顧客等に違いがあるにもかかわらず、これらの要素について適切に分析しなかった。
        • 対象輸入品は化学成分に基づく製品区分(成分系統)も多様であるところ、成分系統ごとの分析も適切とはいえない。
        • 以上より、「ダンピングにより中国の同種産品の国内価格が押し下げられた」という認定全体が客観的な分析に基づくものではない。
      2. 中国は、国内産業へのダンピングの影響の検討において、対象輸入品及び国内産品の販売価格・市場シェア、国内産業の設備稼働率・在庫、等の要素を十分に分析せず、アンチ・ダンピング協定第3.1条・3.4条に整合しない。
      3. 中国は、一部の対象輸入品の原料となるニッケル価格の調査期間中の変動の影響を考慮しない等、ダンピングと国内産業の損害との因果関係について、適切に確認しておらず、アンチ・ダンピング協定第3.1条・3.5条に整合しない。
      4. 中国は、国内業者の生産高を確認する際、その検証を十分に行わずに特殊な計算法を採用したため、国内産業を適切に定義できておらず、アンチ・ダンピング協定第4.1条に整合しない。
      5. 本件措置は、手続面でも、情報開示に不備があり、アンチ・ダンピング協定第6.9条に整合しない。
      6. 他方、以下の日本の主張については、認められないか、「紛争解決上判断する必要がない」という理由で判断されなかった。
        • 中国が各国からの対象輸入の影響を一括評価(累積評価)したことが関連条文に規律される要件を充足しない(アンチ・ダンピング協定第3.1条・3.3条)
        • 中国による秘密情報の取り扱いが不適切(アンチ・ダンピング協定第6.5条、6.5.1条)
        • 中国による最終決定公告の内容が不十分(アンチ・ダンピング協定第12.2条、12.2.2条)
  • 今後の予定
    • 本パネル報告書は、60日以内に開催されるWTO紛争解決機関(DSB)会合で採択される見込みです。採択されれば中国は、パネル勧告に沿って措置を是正する義務を負います。
    • 日本としては、本件がWTOのルールに従って適切に解決されるよう、今後の手続を進めていく予定です。
  • 参考
    • (参考1)WTO協定に基づく紛争解決手続
      • 政府間の協議によって問題解決に至らない場合、パネル(第1審)という準司法的な第三者機関が、WTO加盟国の要請により、問題となっている措置のWTO協定整合性について審理・判断し、違反が認められる場合にはその是正を勧告します。パネルに不服のある当事国は、上級委員会(第2審)に上訴することができます。ただし、上級委員会は現在機能停止中であるため、その機能を暫定的に代替すべく、MPIA(多国間暫定上訴仲裁アレンジメント)と呼ばれる仲裁手続が2020年4月に発効し、日本は本年3月に参加しました(日本、中国を含む53カ国・地域が参加)。MPIA参加国は、パネル判断を不服とする場合にも機能停止中の上級委員会に「空上訴」せず、MPIAに基づく仲裁手続(DSU25条に基づく合意による仲裁の一種)による解決をはかる旨合意しています。
    • (参考2)ステンレス製品とは(対象製品)
      • 本AD措置では、ステンレス鋼鋼片(スラブ)、ステンレス鋼熱間圧延鋼板(カットシート及び厚板)及びステンレス鋼熱間圧延コイルが対象製品となっています。ステンレス鋼鋼片は、精錬された溶鋼を鋳造して得られる半製品です。ステンレス鋼熱間圧延鋼板は、船舶・橋梁など建材部材や産業用機械に利用されています。ステンレス鋼熱間圧延コイルは、自動車部品、家庭用電化製品用冷延鋼帯の原材料等に利用されています。
    • (参考3)アンチ・ダンピング措置とは
      • ある商品の輸出向け販売価格が国内向け販売価格よりも安く、その輸出によって輸入国内における競合する産業が損害を被っていることが正式な調査により明らかになった場合に、その商品に対して国内向け販売価格と輸出向け販売価格の差を上限とする関税を賦課することをいいます。
    • (参考4)本件対象製品の対中国輸出額について
      • 日本から中国へのステンレス製品の輸出額は、年間約700億円、うち対象製品の輸出額は約92億円です(いずれも2019年)。

~NEW~
経済産業省 「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律の施行期日を定める政令」及び「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令」を閣議決定しました
  • 本日、「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律の施行期日を定める政令」及び「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令」を閣議決定しました。これらの政令は、第211回国会において成立した「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律」(以下「GX推進法」といいます。)の施行期日を定めるとともに、関係政令の整備を行い、所要の経過措置を定めるものです。
  • 政令の概要
    1. 「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律の施行期日を定める政令」
      • GX推進法の施行期日について、GX推進法附則第1条本文にて「公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日」から施行する旨が規定されておりますところ、当該規定の施行期日を令和5年6月30日と定めました。
    2. 「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令」
      • 予算決算及び会計令その他の関係政令を整備するとともに、所要の経過措置を定めます。
  • 今後の予定
    • 公布
      • 令和5年6月23日(金曜日)
    • 施行
      • 令和5年6月30日(金曜日)

~NEW~
経済産業省 中小企業の挑戦を応援する5つの報告書及びガイドラインを公表します!
  • コロナ禍からの回復、人口減少、GX・DX等の構造転換が進む中、日本経済の更なる成長実現には、中小企業の成長が重要です。経済産業省は、成長に向けて挑戦する中小企業を応援する5つの報告書・ガイドラインを公表します。
    • 中小企業の成長経営の実現に向けた研究会 中間報告書
      • 「中小企業の成長経営の実現に向けた研究会」では、外需獲得、地域経済牽引や賃上げに特に大きな役割を果たす「100億企業(売上高100億円以上など中堅企業クラスに成長する中小企業)」に注目し、実際の成長企業の事例等から、中小企業の飛躍的成長のパターンを整理しました。
      • 様々な飛躍的成長のパターン(A:拡大する市場を見極めて成長した例、B:非成長市場でも独自性の追究やニッチ分野の発見で成長した例、C:M&Aを積極的に活用して成長した例等)が見られましたが、いずれにおいても①競合他社とは差別化された価値創出のあり方(事業戦略)、②既存の事業や資源に捉われず、他の経営者との交流や学びの機会を通じて経営力を磨く経営者の役割が重要です。本報告書では、事例を交えつつ、このようなポイントを分かりやすく紹介しています。
      • また、このような飛躍的成長を実現するための政策の方向性も紹介しています。例えば、経営者が差別化された価値を創出するための伴走支援の強化や成長意欲を共有する経営者同士のネットワーキングの促進、事業承継、引継ぎ、M&Aやグループ化を通じた新たな人材の中小企業への参入や経営革新の促進等に取り組みます。
    • 中小企業のイノベーションの在り方に関する有識者検討会 中間取りまとめ報告書
      • 中小企業の稼ぐ力を強化するという観点でイノベーションは大きな成長をもたらす有力な手段です。しかしながら、イノベーション活動に取り組んでいる企業の75%が利益につなげられずにいます。本報告書では、成長を目指す中小企業が取り組む破壊的イノベーションに向けて、課題や必要な取組について整理しました。
      • 価値ある新製品・新サービスを生み出すためには、マーケットニーズと自社技術・ノウハウを比較し、双方を行き来しながら不足している部分を埋めていくことが必要です。
      • 最新の技術動向・市場動向を踏まえ、将来を見据えたニーズを捉えるマーケティング機能を担う人材を「イノベーション・プロデューサー」と呼称し、中小企業に対して外部から行われている支援活動を掘り起こすとともに、更なる活動を広げていきます。
    • 中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン
      • 中小企業を巡る環境がめまぐるしく変化する中で、売上拡大や資金繰り等の日々の経営課題の背景に、人手不足や人材育成など人材が大きな経営課題になっている可能性が少なくありません。経営者が人材に係る課題に正面から向き合い、貴重な人材を活かせる仕事はどのようなものか考え、行動を起こすことが重要です。
      • 経営者に日々の経営課題の背景に、中核人材の採用、中核人材の育成、業務人材の採用・育成の3つの人材課題(3つの窓)が潜んでいないか確認してもらい、それに対する具体的な対応策や支援策を紹介する「中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン」を取りまとめました。
      • 経営戦略の再構築と人材戦略の強化を一体的に進めることで、事業継続や新事業展開など中小企業・小規模事業者のさらなる成長に資することが期待されます。
    • 中小エクイティ・ファイナンス活用に向けたガバナンス・ガイダンス
      • 主に株式を発行する対価として出資者から資金提供を受けるという「エクイティ・ファイナンス」は、外部株主から、資金だけでなく、経営面や事業面で様々な支援を受け得ることから、中小企業の成長のための有効な手段といえます。本ガイダンスでは、エクイティ・ファイナンス活用の利点や留意点を紹介するとともに、エクイティ・ファイナンス活用により成長を図るために有効と考えられる経営の在り方や仕組みを「ガバナンス」と整理し、事例や具体的な取組例とともに紹介しています。
      • ガバナンスの取組を通じて事業を磨き上げ、成長を遂げることで、中小企業であってもエクイティ・ファイナンス活用により新たな外部株主の支援を受け、さらなる成長を遂げる機会を獲得することが期待されます。
    • 経営力再構築伴走支援ガイドライン
      • 「経営力再構築伴走支援」は、事業者の本質的課題に対する経営者の気づきや腹落ちを促すことで内発的動機付けを行い、事業者の能動的行動や潜在力を引き出して自己変革や自走化につなげる支援方法です。本ガイドラインには、経営力再構築伴走支援の基本理念や具体的な支援の進め方、意点等を実際の支援事例や効果的なノウハウ等を掲載しております。
      • 中小企業の成長には、組織マネジメントや戦略構想につながる経営者の自己変革力が必要となります。本ガイドラインを活用して、全国の中小企業支援者に経営力再構築伴走支援の実践及び支援スキル向上を促し、中小企業のさらなる成長を目指します。

~NEW~
総務省 「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」の公表
▼別添1 令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 概要
  • 平均利用時間は、全年代では、平日、休日ともに「テレビ(リアルタイム)視聴」及び「インターネット利用」が長い傾向が継続。休日の「インターネット利用」の平均利用時間が「テレビ(リアルタイム)視聴」の平均利用時間を全年代で初めて超過。(平日は3年連続で超過)
  • 「インターネット利用」の平均利用時間が、各年代では平日は30代を除き減少又はほぼ横ばい。「テレビ(リアルタイム)視聴」は、年代が上がるとともに平均利用時間が長く、60代は平日、休日ともに200分を大きく超過。
  • 全年代では、平日は「テレビ(リアルタイム)視聴」の時間帯別行為者率が高くなる20時台、休日は「テレビ(リアルタイム)視聴」の時間帯別行為者率が最も高い19時台に次ぐ20時台に、並行利用(ながら視聴)も高い行為者率を記録。ゴールデンタイム(19時台から22時台までの間)における「テレビ(リアルタイム)視聴」に占める並行利用(ながら視聴)の割合は、平日は20代の22時台、休日は10代の22時台で最も高くなっている。
  • 全年代では、「動画投稿・共有サービスを見る」について、平日は51.0分、休日は74.1分と最も長い。年代別に見ると、休日の10代及び20代の「動画投稿・共有サービスを見る」、「ソーシャルメディアを見る・書く」の平均利用時間が長く、いずれも100分を超過
  • 全年代では、平均利用時間は、平日、休日ともに「ソーシャルメディア利用」及び「メール利用」が長い傾向。「ソーシャルメディア利用」は、平日、休日ともに10代及び20代の平均利用時間が長くなっている。
  • 経年では、10代及び20代の「ソーシャルメディア利用」の行為者率が高い傾向。40代から60代では、行為者率、平均利用時間ともに、「メール利用」が「ソーシャルメディア利用」を上回るがその差は縮小。
  • 平日、休日ともに10代及び20代の「モバイル機器(「スマートフォン」及び「フィーチャーフォン」)」によるインターネットの平均利用時間が長い傾向。「モバイル機器」によるインターネット利用の行為者率について、平日の20代及び30代、休日の20代で90%を超過。
  • 全年代では、「スマートフォン」の利用率が95.3%から97.1%に増加し、ほぼ100%となっている。「スマートフォン」の利用率は、各年代で90%を超過。
  • 全年代では、「LINE」の利用率は一貫して増加し、90%を超過。年代別でも、10代から50代で90%を超過。「TikTok」は10代で60%を超過。「Twitter」は全年代では横ばいだが、20代では78.8%と高い利用率。「Facebook」の利用率は、全年代で減少。「Instagram」の利用率は、全年代で一貫して増加しており、「LINE」に次ぐ利用率。動画共有系では「YouTube」の利用率が高く、10代から30代で90%を超過。
  • 全年代では「オンデマンド型の動画共有サービス」の利用率が最も高い状況が続いており、90%近い利用率。
    年代別に見ると、10代から40代で「オンデマンド型の動画共有サービス」の利用率は90%を超過。
  • 「オンデマンド型の動画配信サービス」は、10代から40代の利用率は50%を超過。
  • 「いち早く世の中のできごとや動きを知る」ため、10代から50代では「インターネット」、60代では「テレビ」を最も利用。「世の中のできごとや動きについて信頼できる情報を得る」ため、20代を除き各年代で「テレビ」を最も利用。「新聞」は、年代が上がるとともに利用する割合が高くなる傾向であり、60代では「インターネット」を上回る水準。「趣味・娯楽に関する情報を得る」ため、各年代で「インターネット」を最も利用しており、10代から30代で90%前後。
  • 「情報源としての重要度」は、20代から40代は「インターネット」が最も高く、10代、50代及び60代は「テレビ」が最も高い。「娯楽としての重要度」は10代及から40代は「インターネット」が最も高く、50代及び60代は「テレビ」が最も高い。「メディアとしての信頼度」は40代から60代では「新聞」が最も高く、10代から30代は「テレビ」が最も高い。
  • 主なメディアの平均利用時間は、平日、休日ともに「テレビ(リアルタイム)視聴」が最も長く、いずれも300分を超過。機器別の利用率については、「スマートフォン」の利用率が最も高く、他の年代の利用率よりは低いものの、70%を超過。

~NEW~
総務省 情報通信ネットワークにおけるサイバーセキュリティ対策分科会(第6回)
▼資料6-2「情報通信ネットワークにおけるサイバーセキュリティ対策分科会とりまとめ」(案)の概
  • 情報通信ネットワークにおけるサイバーセキュリティを巡る現状
    1. 国民の日常生活や社会経済活動に必要不可欠な情報通信ネットワーク
      • 社会全体のデジタル化の進展に伴い、必要不可欠な基盤としての情報通信ネットワークへの依存度は更に高まっている。
    2. 情報通信ネットワークの機能に支障を及ぼし得るサイバー攻撃やIoTボットネットの現状
      • サイバー攻撃の発生件数や規模の増大
        • DDoS攻撃等のサイバー攻撃の発生数・規模とも引き続き増大しており、こうしたサイバー攻撃が踏み台として利用するIoT機器、サーバ、コンピュータ等のいわゆる「攻撃インフラ」も拡大。
      • IoT機器を狙った攻撃
        • 無差別型サイバー攻撃の観測網であるNICTERの調査によれば、IoT機器を狙った攻撃が最も多くの割合を占めており、特に、昨年春以降、Mirai系マルウェアの活動が活発化。特に脆弱性のあるネットワークカメラの感染による影響が大きい。
      • サイバー攻撃手法の多様化
        • 最近では、ファームウェアをはじめとする様々な脆弱性を狙ったマルウェアが増える等、サイバー攻撃の手法も多様化。
    3. 情報通信ネットワークにおけるサイバーセキュリティ対策の強化に向けて
      • 大規模サイバー攻撃への対策として、攻撃インフラの拡大を防ぐ端末(IoT機器)側の対策、IoTボットネットに対して指令を出すC&Cサーバへの対処を行うネットワーク側の対策の双方から、総合的なIoTボットネット対策を講じていくことが必要。
      • 端末(IoT機器)側の対策については、裾野が非常に広く様々な種類があり、メーカーも多数存在していることや、ライフサイクルが長い等のIoT機器の特性も十分踏まえ、ISP、メーカー、SIer、流通業者、利用者等のステークホルダー各々が適切に役割分担をしながら、必要な対策を講じていくことが必要。
  • 端末側における対策
    1. これまでの取組
      • 2018年にNICT法を改正し、5年間の時限措置(不正アクセス禁止法の例外)として、NICTが、ID・パスワードに脆弱性のあるIoT機器を調査してISPに通知を行い、ISPが個別の利用者への注意喚起を行う取組を2019年2月に開始。
      • 上記の取組に加え、NICTが、NICTERによりマルウェアの感染通信を出しているIoT機器を調査し、NOTICEの枠組みを活用して個別の利用者への注意喚起を行う取組を2019年6月から開始。
      • 2023年6月時点で78社のISPがNOTICEに参加。
    2. 現状・成果と課題
      • 脆弱性があるIoT機器の調査
        • ID・パスワードに脆弱性があるIoT機器について、現在までの累計で8万件以上のISPへの通知を実施。
        • 感染通信を出しているIoT機器について、現在までの累計で62万件以上のISPへの通知を実施。
        • ID・パスワードに脆弱性があるIoT機器は現在でも一定数残存し、そのうち10年以上前に発売された古い機器が4割以上。
        • 感染通信を出しているIoT機器の数は、昨年春以降、マルウェア活動の活発化等を背景に高止まり。
        • ファームウェア等のID・パスワード以外の脆弱性があるIoT機器を狙ったサイバー攻撃の増加。
      • 利用者への注意喚起
        • 利用者への注意喚起等により、ID・パスワードに脆弱性のあるIoT機器は一定数減少。
        • 一部のISPでは、レンタルサービスの提供によりセキュリティ対策をISP側で実施。
        • IoTセキュリティ基準を満たさない場合等にISPが端末の接続を拒否できる制度を措置。
        • IoT機器の適切なセキュリティ対策に対する利用者の意識が不十分。
        • 法人利用者については、管理責任の所在が曖昧で適切に注意喚起が届かないケース等も存在。
        • 注意喚起による効果測定が十分に行われていない。
        • サイバー攻撃に悪用されるおそれのある端末を接続拒否する約款については、利用者の理解が得られにくい。
      • メーカーの対応
        • 機器のサポート期間終了やファームウェアの更新等に関する情報提供を実施。
        • 一部のメーカーではファームウェアの自動更新機能等を搭載したルーターを販売。
        • NOTICEとメーカーとの連携により、脆弱性のあるIoT機器に対処した事例もある。
        • サポートが終了している古い機器や、ファームウェアが古いままの機器が一定数残存。
        • 中小企業の場合、壊れるまで機器を利用する傾向がある。
        • NOTICEにおけるメーカーとの連携はアドホック的な対応に留まる。
      • NOTICEの運営
        • 脆弱性等のあるIoT機器を「プッシュ型」で対処する枠組みの実現。
        • ISPやメーカーとの連携により、利用者への注意喚起を要せずに対処した事例もある。
        • Emotetや不正アクセス検知等の当初想定していなかったリスクにも活用。
        • NOTICE参加ISPにとっては一連の業務に係る負担が大きい。
        • 調査を実施するNICTにおいて体制や人員の充実が必要。
        • 未参加ISPが管理するIPアドレス等は調査の対象外。
        • NOTICE調査で得られた様々なデータについて、更なるサイバー攻撃への対策に向けて、有効活用していくことが必要。
    3. 今後の対応に向けた基本的な考え方
      • サイバー攻撃の踏み台となり得るIoT機器に対する観測能力の維持・強化
      • 幅広い関係者との連携や対処手段の多様化等による「プッシュ型支援」の強化
    4. 今後の対応策
      • 脆弱性があるIoT機器の調査の延長・拡充
        • 今年度末までの時限措置となっているID・パスワードに脆弱性があるIoT機器の調査(特定アクセス行為)について、感染通信を出しているIoT機器の調査も含め、来年度以降も継続して取り組む。
        • ファームウェア等のID・パスワード以外の脆弱性のあるIoT機器についても、脅威度に応じて個別に判断しつつ、NOTICEの枠組みにより必要な調査及び対処を実施する。
        • これらの取組を継続的に可能とするため、早急に制度的措置を講じる。
      • 利用者への注意喚起の実効性向上
        • NOTICEの情報発信強化とあわせて、メーカーやSIer等の関係者と連携しつつ、IoT機器の適切な管理に関する利用者への周知啓発を更に強化する。
        • IoT機器の管理状況等に関する利用者への実態調査等により、注意喚起による効果のより詳細な把握に取り組む。
        • 感染通信を出している端末やサイバー攻撃の踏み台となり得る脆弱性のある端末について、ISPが接続拒否できる具体的な要件や手続等の妥当性についてあらかじめ示すため、「端末設備の接続に関するガイドライン(仮称)」を策定する。
      • メーカーやSIer等の幅広い関係者との連携による総合的な対処
        • 利用者への注意喚起のみに依存するのではなく、幅広い関係者との連携により、ケースバイケースで様々な手段を活用しつつ総合的に対処を行う。
        • ファームウェアの自動更新等、利用者が意識せずにIoT機器を適切に管理可能な製品・サービスの普及に取り組む。
        • ISP及びメーカー等の関係者が連携し、利用者が安全な製品・サービスを選択する際に必要な情報の確実な提供等に取り組む。
      • 効果的に実施するためのNOTICEの運営体制の強化
        • NOTICEの柔軟かつ効率的な運営に取り組むため、司令塔としての役割を担う体制を整備・確立する。
        • NOTICEにメーカー等も参画し、幅広い関係者が恒常的に情報共有・連携を図るような枠組みをつくる。
        • NOTICEの調査で得られたデータについて、研究・レポートの発表等を通じた情報公開等により更なる有効活用を進める。
        • IoT機器の調査を担うNICTの体制・人員の柔軟な確保に取り組む。
        • NOTICEの情報発信強化により、参加ISPの拡大を図る。

~NEW~
国土交通省 保安検査の実施主体が変わります!~保安検査の厳格性と旅客利便性の一層の両立へ!有識者会議のとりまとめを公表~
  • 国土交通省は、今後の航空需要の増大や航空セキュリティの重要性の高まりに適確に対応できるよう、保安検査の実施体制について、有識者会議において議論を重ねてきました。今般、その議論を踏まえ、保安検査の実施主体について、現在の航空会社から、空港を一元的に管理する空港管理者に移行することを含めた見直しの方向性をとりまとめました。
  • 我が国の旅客の保安検査は航空会社が実施主体ですが、旅客利便と検査の厳格性を同一主体が追求することや空港内で同一の保安水準を確保する困難さ等の課題が指摘されています。
  • 一方で、我が国では、空港の混雑が社会問題化するとともに、航空保安に関する事案も発生しており、将来の航空需要の増大を踏まえると、保安検査体制の改善は喫緊の課題です。
  • このため、国土交通省では、令和4年6月より保安検査に関する有識者会議において、保安検査の実施主体と費用負担について、諸外国の例を参考に検討を進め、今般見直しの方向性をとりまとめることとなりました。内容については以下のとおりです。
  • 見直しの方向性(以下を軸に検討)
    • 実施主体
      • 「旅客に対する一定の客観性・厳格性」・「空港全体での同一の保安水準」の確保と、「旅客利便性」の両立の観点から、空港を一元的に管理し空港の特性を十分に把握する「空港管理者」に移行
      • (現在)航空会社→(今後)空港管理者(国管理空港:国、会社管理空港:空港会社、等)
    • 費用負担
      • 主体の見直しに併せ、充実・安定した財源確保に向け、直接的な受益者である旅客からの透明性を確保した形での負担とともに、関係者(国、航空会社等)の一定の負担からなる仕組みを構築
  • 今後の論点
    • 適切な保安関係料金・関係者の費用負担割合等(最新機器の円滑な導入、十分な検査員確保等)、旅客利便の確保のための航空会社との連携、空港規模を踏まえた導入時期・方法、補償のあり方等
    • 国土交通省では、この見直しの方向性に従って、具体的な検討を進め、令和6年春頃を目途に結果をまとめ、令和7年度以降、順次新たな実施主体への移行を目指します。

~NEW~
国土交通省 令和5年4月の宅配便の再配達率が約11.4%に減少
  • 国土交通省では、トラックドライバーの人手不足が深刻化する中、再配達の削減を図るため、宅配ボックスや置き配をはじめ多様な方法による受取を推進しており、これらの成果を継続的に把握すること等を目的として、宅配便の再配達率のサンプル調査を年2回(4月・10月)実施しています。
  • 令和5年4月の宅配便再配達率は約11.4%で、前年同月(約11.7%)と比べて約0.3ポイント減、前年10月(約11.8%)と比べて約0.4ポイント減となりました。
  • 宅配便の再配達はCO2排出量の増加やドライバー不足を深刻化させるなど、重大な社会問題の一つとなっています。国土交通省では、引き続き宅配便の再配達削減に取り組んでまいります。
  • 近年、多様化するライフスタイルとともに電子商取引(EC)が急速に拡大し、2021年には、電子商取引(EC)市場が全体で20.7兆円規模、物販系分野で13.3兆円規模となっています。
  • また、ECの拡大に伴い宅配便の取扱個数が5年間で約9.3億個(+約23.2%)増加しています。
  • このため、宅配事業者の負担が増えており、本月2日に関係閣僚会議で取りまとめられた「物流革新に向けた政策パッケージ」では2024年度に再配達率6%を目指すことが盛り込まれております。
  • 国土交通省では、本年4月を「再配達削減PR月間」とし、経済産業省、宅配便・EC・通販の事業者とともに、再配達削減に向けた取組を集中的に実施してまいりました。
  • 今後も引き続き、再配達の発生状況を継続的に把握するとともに、コンビニ等での受け取りやマンションにおける宅配ボックスの設置、置き配が進む取組み等の推進や、
  • 再配達削減に向け消費者の行動変容を促すインセンティブの付与に向けた調整など、宅配事業者の負担軽減に資する取組みを進めていくこととしています。

~NEW~
国土交通省 国際水素サプライチェーンの商用化に向けた新たな一歩
  • 国際水素サプライチェーンの商用化に不可欠な大型液化水素運搬船の実現に向け、日豪海事当局間で協議を行い、新たな貨物タンク断熱システムを含む液化水素の運送要件について合意しました。これにより、今後、大型液化水素運搬船の設計が行われることになります。
  • 経緯
    • 「液化ガスのばら積み運送のための船舶の構造及び設備に関する国際規則」(IGCコード)に規定されていない液化水素の運送要件に係る暫定勧告(以下「暫定勧告」という。)が、国際海事機関(IMO)において2016年に採択されました。
    • 翌2017年、当該暫定勧告に基づいて日豪海事当局間にて具体的な貨物タンクの構造や材質、安全設備等を含む液化水素の日豪間での運送要件に合意し、本合意に基づいて1,250m3の液化水素を運搬することのできるパイロット船(船名「すいそ ふろんてぃあ」)が建造され、2021年12月には世界初となる液化水素の運送に係る実証実験が日豪間で行われました。
    • 今後の国際水素サプライチェーンの商用化には液化水素の大量輸送が必要となるため、現在、1基あたり4万m3の貨物タンクを4基搭載し、合計16万m3の液化水素を運搬することのできる大型液化水素運搬船の建造が計画されています。
    • しかしながら、2017年に合意した日豪間の上記運送要件は、容量1,250m3の真空断熱システムの液化水素運搬船を想定したもので、現在計画されている大型液化水素運搬船に適用すると、真空確保のためにタンク強度を著しく高くする必要があり、現実的な構造になりえません。
  • 今回の合意
    • そのため、今般改めて日豪海事当局間にて協議を行い、真空断熱システムに替わる新たな貨物タンク断熱システムを追加した液化水素の運送要件を定め、合意しました。新たな貨物タンク断熱システムは、内外二層の殻で構成し、内殻と外殻の間の空間を水素ガスで満たすことにより、高い断熱性能を実現するものです。
    • この協議の結果を受けて、今後、大型液化水素運搬船の設計が行われることになります。
    • また、現在IMOにおいて進められている暫定勧告見直しの議論において、今般日豪当局間にて合意した液化水素の運送要件が反映されるよう我が国が主導していくこととしております。
    • なお、大型液化水素運搬船の実証に向け、船舶に搭載される水素燃料エンジンについても、グリーンイノベーション基金(GI基金)により、技術開発が行われているところです

~NEW~
国土交通省 G7三重・伊勢志摩交通大臣会合の結果について
▼20230620_G7三重・伊勢志摩交通大臣会合の結果について
  • 本会合の結果概要
    • 「イノベーションによる誰もがアクセス可能な交通の実現」については、あらゆる人々が公平で安全かつ円滑な移動を確保することがG7各国の共通の課題である中、各国における課題や関連施策を共有するとともに、地域における公共交通のあり方や、イノベーションや交通インフラ投資が果たす役割等について議論を行いました。
    • 「イノベーションによる持続可能な交通の実現」については、パリ協定の目標を踏まえ、交通部門における温室効果ガスの排出削減に取り組む必要があり、また、近年の頻発化・激甚化している災害を踏まえ、気候変動への対応や、交通インフラ及びサービスにおける強靭性の確保に向け取り組む必要がある中、各国における課題や関連施策を共有するとともに、イノベーションや交通インフラ投資が果たす役割、国際機関との協働等について議論を行いました。
    • 会合での議論を踏まえ、G7交通大臣宣言を採択しました。
  • G7交通大臣宣言のポイント
    • 総括
      • 今回の交通大臣会合で初めて、「地域における移動手段の確保」、「バリアフリー化の推進」、「交通分野の脱炭素」を主要テーマとして取り上げ、G7として共に取り組むための方向性及び方策について議論。G7の交通部門が共通して直面する社会的課題の解決において、誰もがアクセス可能で持続可能な交通の確保の重要性を確認し、イノベーションや連携が不可欠な要素であることを認識。加えて、ウクライナの復興についても初めて議論し、ウクライナへの連帯・支援及びロシアへの非難を表明。G7のFOIPに対する支持も確認。
    • 主な成果
      1. 誰もがアクセス可能な交通の実現
        • G7各国が定める目標に従った、交通におけるバリアフリー化の推進・実施の重要性を確認。
        • 「心のバリアフリー」も含めたバリアフリーの推進に向け、G7政策対話として実務者会合の開催に合意。
        • 地方を含む地域の移動手段確保の重要性を認識し、G7各国の政策集の編纂に合意。
      2. サステナブルな交通の実現
        • 交通の脱炭素及び、交通インフラが強靱かつ気候変動に適応することの必要性について認識を共有。
        • 航空:2050年までのCO2排出ネットゼロ目標の履行。より環境負荷の小さい持続可能な航空燃料(SAF)の導入促進への協働。脱炭素技術の研究開発等の協働、途上国支援。
        • 海運・港湾:IMOでの、「2050年までにGHG排出ゼロ」の目標及び中間目標の設定の支持。目標達成に向けて、GHG排出削減に係る規制及びゼロエミッション船導入に係るインセンティブを含む中期対策の採択に向けた取組の促進。グリーン海運回廊の設立支援、港湾の脱炭素化の推進支援。
        • 陸上交通・鉄道:2050年までに道路部門でネットゼロ排出を達成する目標への支持、2030年までの高度に脱炭素化された道路部門へのコミット。ライフサイクルCO2排出量の評価手法確立など29での取組を強化。エネルギー効率の良い鉄道システムの導入促進。
      3. ウクライナの復興
        • ウクライナとの強靭な物流ルートの確保に向けた国際協力の重要性を認識。
        • ウクライナの持続可能な交通インフラの復興及び、連結性を強化する強靭なサプライチェーンの構築への支援を確認。
        • 海上における不正・危険な運航の是正をIMOを通じて進めることを確認。
        • グローバルな交通サプライチェーンの強化に向けたワーキンググループの設立の検討に合意。

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