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危機管理トピックス

特殊詐欺事件に関する注意喚起(外務省)/物価上昇下の本格的な成長に向けて(内閣府)/新しい時代の働き方に関する研究会(厚労省)/生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方(経産省)

2023.08.21
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更新日:2023年8月21日 新着28記事

危機管理トピックス

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • フィッシングによるものとみられるインターネットバンキングによる預金の不正送金被害が急増しています。
  • アクセスFSA(金融庁広報誌)
  • 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
外務省
  • 海外での薬物犯罪・違法薬物の利用・所持・運搬
  • 特殊詐欺事件に関する注意喚起(加害者にならないために)
内閣府
  • 日本経済2022-2023―物価上昇下の本格的な成長に向けて
  • 消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ報告書
  • チャットを利用した勧誘の規制等の在り方に関する消費者委員会意見
国民生活センター
  • 国民生活 2023年8月号
  • いつの間にか高額に… 占いサイトに気を付けて!
  • 2022年度 全国の消費生活相談の状況-PIO-NETより-
  • 2022年度 越境消費者相談の状況-越境消費者センター(CCJ)より-
  • 2022年度 訪日観光客消費者相談の状況-訪日観光客消費者ホットラインより-
厚生労働省
  • 賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和4年)
  • 新しい時代の働き方に関する研究会 第12回資料
  • 労災年金にかかる不適切な事務処理について
  • 「第六次薬物乱用防止五か年戦略」を策定しました
  • 働き方改革PR動画「はたらきかたススメ」シリーズ第3弾を公開
  • 労働者派遣法違反に係る告発について
経済産業省
  • 「経済安全保障」を切り口とした産業政策の検討体制を強化します
  • 「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方」を取りまとめました
  • 関西電力株式会社、中国電力株式会社、九州電力株式会社及び九電みらいエナジー株式会社から改善計画を受領しました
  • 東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水の取扱いに関する韓国政府向けテレビ会議説明会を開催しました
国土交通省
  • 今後のマンション政策の方向性をとりまとめました!!~「今後のマンション政策のあり方に関する検討会」とりまとめの公表~
  • 令和5年梅雨前線豪雨等により被災した河川・道路等の迅速な復旧を支援~設計図書の簡素化や書面査定の上限額引き上げにより、災害査定を効率化します~

~NEW~
内閣官房 教育未来創造会議第二次提言「未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ<J-MIRAI>」について、パンフレットを掲載しました。
▼未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ<J-MIRAI>(パンフレット)
  • 背景
    • 新型コロナウイルス、気候変動問題、食料・エネルギー問題、ロシアによるウクライナ侵略…これまでの国際社会・秩序は揺るがされ、世界は大きな危機に直面しています。
    • 国際協調・連帯の構築・強化を進め、国際社会の平和と安定及び繁栄を確保するため鍵を握るのは将来を担う若者です。
    • 世界最先端の分野や、地域の成長・発展において、未来を担っていく人材を育成し、多様性と包摂性のある持続可能な社会を構築していくことが求められています。
  • そのため、以下を、本イニシアティブを通じて進めてまいります。
    • 日本人学生の海外派遣の拡大
    • 有望な外国人留学生の受入れの充実
    • 教育の国際化の推進
  • 2033年に向けた目標
    1. 日本人学生の派遣
      • 2033年までに50万人を派遣します
      • 将来、留学に必要な力を育みます
      • 海外大学・大学院への留学がしやすくなるよう支援を充実します
      • 留学後の就職の心配がなくなるよう取組を進めます
        • 小・中・高校段階
          • 子供たちが英語を読む、書く、聞く、話す力を育みます
          • 海外経験の機会や実践的な研修の充実により、教員の指導力を強化していきます
          • 高校段階での留学や、海外大学への進学に向けた支援を広げていきます
        • 大学・大学院段階
          • 官民一体で奨学金(JASSO等)を充実します
          • 交換留学(協定派遣)の増加に向けた取組を進めます
          • 社会人による海外大学院への留学を促進します
        • 社会との接続
          • 留学後の就職に必要な情報提供を充実します
          • 帰国と就職活動のタイミングのミスマッチを解消するため、通年採用など様々な選考機会が提供されるよう促します
          • 留学したことが企業で積極的に評価されるよう機運を醸成します
    2. 外国人留学生の受入れ・定着
      • 2033年までに40万人を受入れます
      • 日本留学の一歩を踏み出しやすくなるよう来日前における取組を充実していきます
      • 国内大学等での充実した学びと快適な留学環境を整えるため取組を進めます
      • 外国人留学生が卒業後、日本で働きやすい環境を整えていきます
        • 留学前
          • 海外での日本語教育を充実します
          • 面接や入学等の手続きのオンライン化等を通じた渡日前の入学者選抜を促します
        • 留学中
          • 外国で学位を取得した教員の増加や英語のみで卒業できるコースを充実します
          • キャンパスの質及び魅力を向上します
          • 秋入学、通年入学の導入を進めていきます
        • 留学後
          • 日本企業で外国人留学生が働きやすくするため社内制度の見直しや企業風土の改善などを促します
          • 全国各地で外国人留学生と企業とのマッチングの機会を拡大します
          • ハローワーク等における、多言語での対応など就職の相談支援を強化します
    3. 教育の国際化
      • 国際的な教育環境の整備や対面・オンライン交流を推進します
      • 様々なバックグラウンドを持った者が集い、切磋琢磨できる学びの場を創出します
      • 来日した外国人材の子供にとって魅力的な教育環境を整えていきます
      • 諸外国から強い関心が寄せられている日本型教育の海外展開を進めます
        • 大学等の国際化
          • 海外大学とのジョイント・ディグリー/ダブル・ディグリーの取得や単位互換、交流協定の締結を促します
          • 国際交流等において高度で専門的な知識や経験を有する職員の採用・育成を進めます
          • オンラインを活用したハイブリッドな国際交流を推進します
        • 外国人材の活躍に向けた教育環境の整備
          • 外国人の子供等にとって魅力的な国際的な中等教育機関の整備・運営を支援します
          • 日本語指導等に必要な教員の充実や高校入試での特別枠の設定などを通じて外国人の子供たちへの支援を強化します
        • 日本型教育の海外展開
          • 諸外国からの要請を踏まえて日本型高等専門学校の導入を支援します
          • 在外教育施設において国内と同等の教育環境を整備するため派遣教師を確保・充実します

~NEW~
消費者庁 無登録業者との外国為替証拠金取引(FX)にご注意ください!
  • 「外国為替証拠金取引(FX)」とは、業者に一定の委託証拠金を預け、その額の何倍もの額を外貨取引するハイリスクな取引です。外国為替を英語で”Foreign Exchange”と表すことに由来して、外国為替証拠金取引は、通称、「(FX)」などと言われます。
  • 取引を行う際の注意
    • 金融商品取引業の登録を受けていない業者(無登録業者)とのFX取引にかかるトラブル(※1)が多発しています。消費者保護の観点から、無登録業者との取引はしないでください。(※1)利益が出たが出金できない、出金申請をしたが返金がない、連絡がとれないなど。
    • 日本に居住する者に対してFX取引を業として行うには、金融商品取引業の登録が必要です。たとえ海外で金融商品取引のライセンスを持つ業者であっても、日本で登録を受けずに日本に居住する者に対して金融商品取引を業として行うことは禁止されています。
    • 特に海外所在の無登録業者は、業務の実態等の把握が難しく、仮にトラブルが生じたとしても、業者への追及は極めて困難です。取引を始める前には、業者が金融商品取引法の登録を受けているかを金融庁HP上(※2)で必ず確認すると同時に、取引の仕組やそれに伴うリスク等について理解したうえで、取引を行うようにしましょう。(※2)金融商品取引法の登録を受けている業者は、金融商品取引業者登録一覧(金融庁)で確認できます。
▼金融庁 金融商品取引業者登録一覧

~NEW~
総務省 身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査<結果に基づく通知>
▼概要
  • 調査の背景
    • 高齢化の進展や核家族化等に伴い、高齢単独世帯や高齢夫婦のみ世帯が増加
    • 家族による支援を受けることが困難な高齢者を対象に、入院・施設等入所時の身元保証、日常生活支援、死後の対応等のサービスを行う「身元保証等高齢者サポート事業」が出てきており、今後、需要が高まる見込み
    • 一方、事業者の経営破綻に伴うトラブル等も発生しており、利用者が安心できるサービス・事業者の確保が課題
    • 消費者保護の推進とともに、事業の健全な発展のために必要な行政上の措置の検討に資するため、身元保証等高齢者サポート事業の実態について、行政機関による事業者への実地調査を含めた全国調査を初めて実施
  • 主な調査結果・課題提起
    • 身元保証等高齢者サポート事業を直接規律・監督する法令・制度等なし(民法等に基づく民・民の自由契約)
    • 本事業については、その特徴を踏まえ、事業者による工夫した取組もみられるが、身寄りのない高齢者を支援するサービスとして、一般的な契約に比べ消費者保護の必要性が高いと考えられることから、今後、留意すべき事項や求められる対応の方向性について課題提起
      1. 事業の特徴
        • 契約主体は加齢等により判断能力が不十分になることも想定される高齢者
        • 死後のサービスを含み契約期間が長期
        • サービス提供方法、費用体系が多様
        • 契約金額が高額で、一部費用の支払いはサービスの提供に先行
        • 契約内容の履行を確認しにくい
        • 消費者保護の必要性が高い
      2. 実態(主な調査結果)
        • 事業者の取組
          • 契約内容の重要事項説明書を作成している事業者は少数
          • 預託金を法人の代表理事の個人名義の口座で管理する例
          • 利用者の判断能力が不十分になった後も成年後見制度に移行していない例
          • 契約履行の確認を契約書に規定
          • 契約書に解約条項がない例
          • 遺言書の内容が本人の意思と異なる例
        • 地方公共団体等の取組
          • 住民への情報提供が低調
      3. 留意すべき事項・対応の方向性
        • 公正な契約手順の確保
        • 預託金の管理方法のルール化
        • 成年後見制度への円滑な移行
        • 契約履行の確認や担保は個々の事業者だけでは対応に限界
        • 解約時の返金ルールや費用・料金内容の一層の明確化
        • 寄附・遺贈における本人の自由な意思の尊重と判断能力の確認
        • 啓発資料の充実・周知
    • 事業運営の健全性及び継続性の確保、高齢者が安心して利用できる仕組みが必要
  • 契約手続、手順
    • 情報開示のルール化
    • 公正な契約手順の確保
    • 重要事項説明書の作成
    • 契約締結時の第三者の立会い
    • 利用者の理解を確認しながらの丁寧な説明
  • 預託金の管理状況
    • 預託金の管理方法がトラブルの発生原因になりかねないと考えられる例あり
    • 事業所内の金庫で現金管理
    • 法人の代表理事の個人名義の口座で管理
    • 預託金の管理方法のルール化
    • 事業者の運営資金との区分管理
    • 利用者ごとの出入金の記録
  • 判断能力が不十分になった場合の財産管理の取扱い
    • 利用者の判断能力が不十分になった後も任意後見契約への移行に必要な手続がとられていない例あり
    • 利用者の判断能力が不十分になった場合、法定後見の申立てに向け外部の司法書士等につなぐ運用を行っている例あり
    • 成年後見制度への円滑な移行
    • 財産管理等委任契約書に利用者の判断能力が不十分になった場合の法定後見制度又は任意後見契約への移行を明記
  • 契約履行の確認、担保
    • 事業者による主体的取組を行っている例あり
    • 提携する弁護士等に契約内容の履行状況を報告
    • 事業者と別の法人格の団体による契約内容の履行状況のチェック
    • 費用面や客観性の担保などが課題
    • 個々の事業者による主体的取組だけで対応するのは限界
  • 契約の解約と返金ルール
    • 約款で解約の際は入会金を返還しない条項を規定していたが、適格消費者団体から約款の差止請求があり、当該条項を削除し、和解した例あり
    • 解約時の返金ルールの明確化
    • 費用・料金内容の一層の明確化
  • 寄附・遺贈の取扱い
    • 生前に贈与契約を締結していたが、利用者の死後に親族が当該契約を無効と主張してトラブルとなった例あり
    • 事業者への遺贈が記載されるなど、本人の意思と異なる内容の遺言書が作成されていた例あり
    • 身元保証サービスの提供を前提に、合理的理由のないまま全財産を無償で譲渡させるとした死因贈与契約を無効とする高裁判決の例あり
    • 寄附・遺贈を受ける場合の留意点
    • 本人の自由な意思の尊重と判断能力の確認
  • 地方公共団体等における住民への情報提供(事業者やサービス内容を選ぶ上で注意すべきポイント)
    • 啓発資料の充実・周知
    • 信頼できる事業者であるか評価する上でみるべきポイントの追加
    • 相談対応の最前線(地域包括支援センター等)への周知
  • 事業者
    • 課題
      • 事業の認知度が低く、事業自体への信頼が醸成されていない
      • 参入障壁が低いため、十分な経験や知見のないずさんな事業者が増加するリスク
      • サービスの内容、料金体系等が事業者ごとにバラバラであり、事業者間の比較が困難
      • 生活困窮者からの料金徴収が課題
    • 国への意見・要望
      • 事業者として最低限実施すべきことを示したガイドラインの策定
      • 劣悪な事業者を排除するため、何らかの規制や登録制度
      • 事業を監督する省庁や事業者団体の設置
      • ケアマネジャーや地域包括支援センターとの連携・協働の仕組み
      • 事業規制やガイドラインの作成に当たってはメリット・デメリットの考慮を
  • 地方公共団体等
    • 課題
      • 事業者の選定に関する基準がなく、信頼できる事業者かどうか見極めることが困難
      • 事業者が行う財産管理の透明性の確保
      • 事業者が倒産等した場合の利用者保護
      • 事業の特性を踏まえた消費者保護に関するルールの整備
    • 国への意見・要望
      • 利用者が安心してサービスを利用できるよう、費用の上限を設けるなどのルール化・基準
      • 事業者団体の設立や事業者の信用を保証する仕組み
      • 事業者の届出・登録・許可といった規制を課し、行政又は第三者機関による監督
      • 事業の範囲や影響を勘案し、事業の実施についての明確な法的根拠

~NEW~
金融庁 フィッシングによるものとみられるインターネットバンキングによる預金の不正送金被害が急増しています。
  • メールやショートメッセージサービス(SMS)、メッセージツール等を用いたフィッシングと推察される手口により、インターネットバンキング利用者のID・パスワード等を盗み、預金を不正に送金する事案が多発しています。令和4年8月下旬から9月にかけて被害が急増して以来、落ち着きを見せていましたが、令和5年2月以降、再度被害が急増しています。8月4日時点において、令和5年上半期における被害件数は、過去最多の2,322件、被害額も約30.0億円となっています。
  • SMS等を用いたフィッシングの主な手口
    • 銀行を騙ったSMS等のフィッシングメールを通じて、インターネットバンキング利用者を銀行のフィッシングサイト(偽のログインサイト)へ誘導し、インターネットバンキングのIDやパスワード、ワンタイムパスワード等の情報を窃取して預金の不正送金を行うもの。
  • 被害に遭わないために
    • こうした被害に遭わないために、以下のような点を参考にしてください。
      • 日々の心がけ
        • 心当たりのないSMS等は開かない。(金融機関が、ID・パスワード等をSMS等で問い合わせることはありません。)
        • インターネットバンキングの利用状況を通知する機能を有効にして、不審な取引(例えば、ログイン、パスワード変更、送金等)に注意する。こまめに口座残高、入出金明細を確認し、身に覚えのない取引を確認した場合は速やかに金融機関に照会する。
        • 金融機関のウェブサイトへのアクセスに際しては、SMS等に記載されたURLからアクセスせず、事前に正しいウェブサイトのURLをブックマーク登録しておき、ブックマークからアクセスする。または、金融機関が提供する公式アプリを利用する。
      • スマートフォンやパソコン、アプリの設定
        • 大量のフィッシングメールが届いている場合は、迷惑メールフィルターの強度を上げて設定する。
        • 金融機関が推奨する多要素認証等の認証方式を利用する。
        • 金融機関の公式サイトでウイルス対策ソフトが無償で提供されている場合は、導入を検討する。
        • パソコンのセキュリティ対策ソフトを最新版にする。

~NEW~
金融庁 アクセスFSA(金融庁広報誌)
▼顧客本位の業務運営のモニタリング結果について(令和4事務年度)
  • 金融庁は、国民による「貯蓄から投資へ」の動きを促進するため、平成29年3月、「顧客本位の業務運営に関する原則」(以下「本原則」)を提示し、販売会社が「本原則」を基に、創意工夫を発揮し、ベストプラクティスを目指して顧客本位の良質な金融商品・サービスの提供を競い合うことを期待しています。
  • 令和4事務年度は、リスク性金融商品の各業態の販売動向や個社別の規模対比での販売額等を基に、リスクベースで重点的にモニタリングする先(以下「重点先」)を抽出し、仕組債や外貨建て一時払い保険の販売・管理態勢を中心に、深度あるモニタリングを実施しました。また、重点先以外の販売会社についても、定量・定性アンケート調査を実するなど、幅広く顧客本位の業務運営に関する実態把握や質の向上に努めました。
  • そのモニタリング結果について、6月に、「リスク性金融商品の販売会社による顧客本位の業務運営のモニタリング結果(令和4事務年度)」(以下「本レポート」)として公表したので、主要なポイントについて、ご紹介します。
    1. プロダクト・ガバナンス態勢
      • 販売会社は、顧客の最善の利益の追求に資するリスク性金融商品を導入し、想定顧客層の明確化を図るとともに、商品導入後も販売実績を基に商品性を事後検証した上で、必要に応じて商品を見直し・廃止するなど、強固なプロダクト・ガバナンス態勢を構築する必要があります。特にインターネット取引は、対面取引と比較して、顧客の真のニーズを把握することが難しいため、顧客の自己責任のみに帰することはせず、顧客が真のニーズにふさわしい商品を選択できる枠組みを構築することが重要です。
      • しかしながら、多くの重点先では、仕組債等で典型的に見られたとおり、(1)導入する金融商品のリスク、(2)リスクと顧客の期待リターンとの合理性、(3)顧客が負担する全てのコストと期待リターンとの関係等を、十分に検証していませんでした。
      • 現在取り扱っている金融商品とリスク特性が異なる商品を導入する場合は、経営陣は、自社の顧客基盤や「取組方針」に照らして導入すべき商品か等の判断に関与する必要があります。
    2. リスク性金融商品の販売・管理態勢
      • 仕組債
        • 販売会社は、顧客の最善の利益を確保する観点からリスク・リターンを検証し、顧客がリスクに見合うリターンを得られるような商品性に見直す必要があります。その上で、投資判断に必要なリスク・リターン・コスト等の情報を他のリスク性金融商品と比較しながら、顧客に提案し、リスク特性等を丁寧に説明する必要があります。
        • しかしながら、多くの重点先で、収益確保に焦点を置き、想定顧客層や商品性を十分に検証しないまま、リスク許容度の低い資産形成層にまで仕組債を販売していた結果、一部の重点先では、多くの苦情が寄せられていました。
      • 外貨建て一時払い保険
        • 販売会社は、運用・保障・相続等の顧客ニーズを的確に把握し、外貨建て一時払い保険がそのニーズに最適な商品かを検証する必要があります。その上で、顧客に対して、商品の特徴やリスク特性等を丁寧に説明する必要があります。また、商品性を十分に理解できる顧客に対し、長期保有を前提に提案・販売する必要があります。
        • しかしながら、多くの重点先で、目的別の販売において以下の課題が認められました。
          • 運用:他のリスク性金融商品とのリスク・リターン・コスト等を比較説明していなかった
          • 保障:目標(ターゲット)到達型保険で、目標到達後に当該保険を解約させて保障期間を途絶えさせていた
          • 相続:非課税枠を大きく超える保険金等の額を契約時に設定していた
    3. 従業員に対する適切な動機付け
      • 販売会社が顧客本位の業務運営を推進するためには、営業職員に「取組方針」に則した行動を促す業績評価となっているか、業績評価の改定によって営業現場の行動がどのように変化しているか等について、第1線はもとより、経営陣や第2線・第3線が継続的に検証する必要があります。
      • しかしながら、多くの重点先で、「取組方針」で「収益に偏重しない業績評価体系とすることで顧客本位のコンサルティングを行う」旨を掲げているにもかかわらず、販売手数料の高い外貨建て一時払い保険の販売に係る個人評価のウェイトが高いため、営業現場が当該保険への販売に傾注していました。このことは、仕組債でも同様に認められました。
      • また、販売会社が真の顧客ニーズに即した金融商品を提案するためには、営業職員に対して提案に必要な専門性を身に付けさせることができる研修や人事制度の整備が必要です。
      • 仮に、それができない場合には、営業職員の経験等を考慮し、金融商品を現状の職員の説明能力で販売できる範囲に限定する必要があります。
      • しかしながら、多くの重点先で、研修が形式的にとどまっていたほか、一部の先では、取扱金融商品の多さから、営業職員が商品性を十分に理解していない懸念が窺われました。
  • 金融庁では、販売会社が、本レポート参考に、顧客本位の業務運営の確保に向けた取組みの改善にとどまらず、ベストプラクティスを目指すことを通じて、国民の「貯蓄から投資へ」の動きを後押しして頂くことを期待しています。
  • 今事務年度も、販売会社にこうした取組みを促すとともに、顧客の最善の利益を追求する販売・管理態勢が構築できているか等について、モニタリングを実施します

~NEW~
金融庁 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
▼主要行等
  • マネロンレポートの公表及び態勢整備について
    • 2022事務年度版の「マネーローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策の現状と課題」(通称、「マネロンレポート」)を2023年6月30日に公表した(これまで2018年、2019年、2022年に公表しており、2023年で4回目)。
    • レポートでは、検査やモニタリングを通じて把握した金融機関の共通課題や、取組みの好事例、FATFにおける議論の状況等について記載している。
    • 各金融機関においては、本レポートを参考に、自らの態勢の改善や業界全体の底上げに向け、取り組んでいただきたい。
    • レポート概要
      • 技術の進歩による決済手段の多様化や取引のグローバル化等が進行し、金融取引が複雑化する中、コロナ禍における非対面取引の拡大等も要因として、金融機関等が直面するマネロン等に関するリスクも変化。特に、特殊詐欺やサイバー空間での犯罪件数が増加するとともに、暗号資産や資金決済(収納代行)等についても引き続きリスクが内在しており、金融機関等は、マネロン等リスクの変化に応じた継続的なリスク管理態勢の高度化が求められている。
      • マネロンガイドラインで求める事項についての態勢整備の期限としている2024年3月末に向け、金融機関の全体的な態勢水準は高度化しているものの、包括的かつ具体的なリスクの特定・評価の実施や、態勢高度化に向けた計画検討に時間を要し、実際の取組に遅れが認められる金融機関が存在。
      • 金融庁は、検査やヒアリングを通じて、引き続き、金融機関等のリスクベースでの取組みの高度化を促していくため、ガイドラインで対応が求められる事項とされる取組みに関するギャップ分析の正確性、2024年3月末に向けた行動計画の進捗状況について検証を行っていく。
  • 「金融機関のシステム障害に関する分析レポート」の公表について
    • 2022年度に発生したシステム障害の傾向・事例をまとめた「金融機関のシステム障害に関する分析レポート」を2023年6月30日に公表した(2019年から公表しており、2023年で5回目)。
    • 2022年度のレポートと同様に、「障害発生の端緒」毎に、障害の傾向、原因及び課題を分析している。加えて、障害時に業務を早期復旧させるレジリエンスの重要性が高まっていることを踏まえて、新たにインシデント対応の良好事例を盛り込んでいる※2。
    • 各金融機関においては、本レポートを参考に、安定したサービス提供のため、一層のシステムリスク管理の強化に取り組んでいただきたい。
    • 以下の1~4の障害発生の端緒毎に、システム障害の傾向、原因及び課題を整理。
      1. サイバー攻撃、不正アクセス等
        • 不正アクセスによる情報漏えい、サポート期限切れ機器のマルウェア感染、DDoS攻撃によりホームページが閲覧できない状態が発生。重要な外部委託先を含めたセキュリティ対策の強化とインシデント発生時のレジリエンスの強化が課題。
      2. 日常の運用・保守等
        • 障害時に冗長構成が機能しない状態や、外部委託先のシステム障害で復旧が遅延する状態が発生。外部委託先における対応を含めた復旧手順を整備し、外部委託先との共同訓練を通じた、復旧手順の実効性の確保が課題。
      3. システム統合・更改や機能追加等
        • 機能追加のためのプログラム改修時等に障害が発生。システム仕様書などのIT資産の整備や、有識者の適切な配置等によるレビュー態勢の整備が課題。
      4. プログラム更新、普段と異なる特殊作業等
        • プログラム更新時や不定期作業時に、外部委託先による設定ミスや作業の誤りによって、ATM等が停止。システム変更に関する作業手順の検証態勢の整備、本番環境に即したテストの実施、多層的なチェック態勢の整備など、作業品質の向上が課題。
          • 良好事例
          • クラウド障害によりATMが停止。コンティジェンシープランに基づき、職員が迅速にATMを手動復旧させた。また、担当でない職員も復旧対応できるようマニュアルを整備し、訓練を実施している。
  • リテールビジネスの在り方について
    • 2023年6月30日に、「リスク性金融商品の販売会社における顧客本位の業務運営のモニタリング結果」を公表した(2018年から公表しており、2023年で6回目)。
    • モニタリング結果については省略するが、例えば、積立投資信託を行っている顧客の割合が増加しているなど、「貯蓄から投資」に対する国民の意識は一段と高まっていると考えられる。一方で、安定的な資産形成を目指す顧客等への仕組債や外貨建て一時払い保険の販売で典型的に見られたとおり、「顧客の利益」よりも、「金融機関の収益」を重視した販売を行えば、「貯蓄から投資」の流れを阻害するおそれがある。
    • 各金融機関においては、「顧客の最善の利益」の実現に向けて、指摘された問題点のみを正すというミニマムな対応にとどまらず、より顧客のためになるベストプラクティスを目指し、国民の安定的な資産形成に向けたサポートをお願いしたい。
    • 金融庁としても、顧客本位の業務運営の確保がより一層進展するよう、モニタリング等を続けていきたいと考えている。
  • 経済安全保障推進法に基づく内閣府令(案)公表について
    • 2023年4月5日、経済安全保障法制に関する有識者会議が開催され、そこで示された内容のうち以下について、内閣府令(案)の意見公募手続(7月14日締切)を行った。
      • 規制対象となる事業者の指定基準
      • 特定重要設備
    • 本制度は、金融を含む基幹インフラの指定事業者に対して、その特定重要設備の導入等に当たり、当局による事前審査を求めるものである。金融庁としては、制度の施行に向けて、各金融機関との間で丁寧な対話に努めていく所存であり、引き続き協力いただきたい。
    • 金融庁を含む関係省庁は、特定重要設備の導入等に関する事前相談を受け付け、対象事業者を含む関係事業者等との恒常的な意思疎通を行うことを目的に、「相談窓口」を設置しており、金融庁では総合政策局リスク分析総括課の経済安全保障室で運営している。各金融機関においては、経済安全保障上のリスクへの対応を確保していくために活用いただきたい。
  • サステナブルファイナンスの取組について
    • 2023年6月に、報告書をいくつか公表したので紹介する。
    • 1つ目は、6月30日に「サステナブルファイナンス有識者会議第三次報告書」を公表した。サステナブルファイナンスに係る直近1年間の施策の状況と今後の課題・施策をまとめている。人材育成については、各業界団体にもアンケートに協力いただいた。アンケートからは中途採用よりも社内育成のニーズが高く、即戦力人材を確保する観点から業界全体としての取組みの重要性が指摘されている。業界団体等による研修等の対応への期待が大きいものであり、報告書も参考にしながら取り組んでいただければ幸いである。
    • 2つ目は、6月30日に「インパクト投資等に関する検討会報告書」を公表した。検討会で計8回にわたり議論を行い、社会課題と事業性の両立に必要なイノベーションを担うスタートアップ等への支援に資する、インパクト投資の意義や基本的な考え方をまとめている。また、インパクト投資の基本的な考え方や要件等をとりまとめた「基本的指針案」のパブリックコメントを開始した。2023年10月10日までコメント期間としており、コメントを踏まえて最終化していく予定である。報告書では、更なる投資促進策として、企業、投資家・金融機関、アカデミア、自治体等の幅広い関係者が、データや測定方法、事例等を収集・共有する「コンソーシアム」の立ち上げについて提案されている。インパクト投資については、地域で創業等を図る企業についても活用可能性が指摘されている。国内外での検討はこれからという段階であるが、2023年中にも設置予定の「コンソーシアム」等の議論を是非フォローあるいは参加していただけると幸いである。
    • 3つ目は、6月27日に「脱炭素等に向けた金融機関等の取組みに関する検討会報告書」を公表した。検討会で計7回にわたり議論を行い、カーボンニュートラルに向けての重要なテーマである企業の移行計画策定について、金融機関によるエンゲージメントの拡大に資するよう、(1)移行に関する様々な指標の活用、(2)排出量データの充実、(3)パスウェイの適格性理解などについて、金融機関への提言を「ガイド」としてまとめている。主要行等においては報告書も参考にしながら、取り組んでいただけると幸いである。
  • 7月G20の成果物について
    • 2023年7月17日から18日にかけて、インドのガンディーナガルにおいてG20財務大臣・中央銀行総裁会議が開催された。会合後に発出された議長総括における主なポイントを紹介したい。
    • 暗号資産やステーブルコインの規制・監督に関して、今回のG20会合ではFSBのハイレベル勧告を承認するとともに、FSB及び基準設定主体に対し、これらの勧告の実効的かつ適時の実施の促進を求めた。加えて、2023年9月のG20首脳会議に向けて、IMF及びFSBによる統合報告書提出への期待が示された。同報告書においては、FSBの作業と併せて、IMFが検討する暗号資産がマクロ経済に与える影響等の議論が盛り込まれる見込み。また、暗号資産に関するFATF基準のグローバルな実施の加速や、DeFi及び個人間で行われる取引(P2P取引)を含む新たな技術やイノベーションのリスクに関する作業への支持が示された。
    • サステナブルファイナンスに関しては、2021年に策定された「G20サステナブル・ファイナンス・ロードマップ」で推奨された行動を推進するための更なる努力が求められている。これには、2022年のG20で策定された「トランジション・ファイナンス枠組」の実施も含まれている。
    • サステナビリティ開示に関しては、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)によって公表された2023年6月のサステナビリティ及び気候関連の情報開示基準最終化が歓迎された。
    • また、2023年6月に公表された「サードパーティーリスク管理及び監視の強化」に関するFSBの市中協議報告書が歓迎された。当該市中協議報告書には、金融機関のリスク管理や金融当局のオーバーサイトを向上させるためのツールキットが含まれており、これらのツールキットが、金融機関のオペレーショナル・レジリエンスを高め、重要なサードパーティへの依存度の高まりから生じる課題に対処することに期待が示された。
    • その他の金融セクターの課題については、OECD閣僚理事会で採択されたG20/OECDコーポレート・ガバナンス原則の改訂版を承認するとともに、オープンエンド型ファンドの流動性ミスマッチ、サイバーインシデント報告に関するFSBの市中協議報告書等が歓迎された。
    • 今後は、2023年9月にインドでG20首脳会議が開催される予定。引き続き、主要行等の意見もよく聞きつつ、国際的な議論に貢献していきたい。
  • SVB破綻等を踏まえた国際的な議論の動向について
    • シリコンバレー・バンクの破綻等を踏まえた国際的な議論について、足元の状況を紹介する。
    • まず2023年6月6日にバーゼル銀行監督委員会(BCBS)が開催され、プレス・リリースが公表された。この中で最近の銀行の混乱について以下の認識を共有している。
      • 銀行の財務・業務運営上の強靭性を強化するためには、銀行自身のリスク管理やガバナンス態勢の強化が最優先事項
      • 銀行実務の課題を特定し即座に改善させるためには、監督当局が早期かつ実効的に行動する能力と意思を備えていることが不可欠
      • グローバルな銀行システムの強靭性を強化するためには、バーゼルIII改革の早期、完全かつ一貫した形での実施が重要
    • 加えて、BCBSは、銀行監督の実効性の強化、流動性リスク管理及び銀行勘定金利リスクを含め、最近の銀行の混乱から得られる規制監督上の含意について検討を継続するとしている。
    • また、2023年7月6日に金融安定理事会(FSB)本会合が開催され、プレス・リリースが公表された。この中でFSBによる作業計画の見直しに言及がなされている。具体的には、金利と流動性リスクの相互連関性、テクノロジーやSNSが預金流出に果たす役割、に関する作業に注力するとしているほか、破綻処理枠組みに関する教訓に対する詳細なレビューにも取り組むとしている。また、NBFI(Non-Bank Financial Intermediation)セクターの脆弱性の対処にも継続して取組む旨が記載されており、2023年9月のG20にNBFIセクターのレバレッジや作業計画の進捗状況について報告書を提出する予定とされている。
  • このほか気候変動や暗号資産についても本会合では議論がなされた。
  • 引き続き、皆さんの意見もよく聞きつつ、国際的な議論に貢献していきたい。
▼日本損害保険協会
  • 共同保険契約の入札における保険料の調整行為について
    • 今般、損害保険大手4社が、法人向けの共同保険契約の入札において保険料の調整行為に関与したことが明らかになった。
    • このような価格調整行為は、独占禁止法に違反する恐れがあるとともに、顧客本位の業務運営に対する意識が著しく欠如したものであり、極めて遺憾。関与した当事者のみならず、日本の損害保険業界全体の信頼を根底から揺るがしかねない事態であると重く受け止めている。
    • まずは、関与した各社において、十分な余件調査を行い、しっかりと膿を出し切る必要がある。その上で、本件に関与した社はもちろん、その他の社におかれても、同様の事態を起こすことがないよう、独占禁止法を含む自社の法令遵守態勢について、改めて経営主導で見直すようお願いしたい。
  • ゲノム情報の適切な取扱いについて
    • 第211回通常国会において、「良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案」(いわゆるゲノム医療法案)が可決・成立した。
    • この法律では、良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにする目的のもと、国は、ゲノム医療の研究開発及び提供に係る体制の整備、生命倫理への適切な配慮の確保、ゲノム情報による不当な差別等への対応の確保等のため、必要な施策を講ずることが求められている。
    • 今後、政府において、不当な差別への具体的な対応を含め、基本計画を策定することが求められており、金融庁としても、関係省庁と連携しながら対応を検討していくこところ、保険業界の皆様にもご協力をよろしくお願いしたい。
    • また、ゲノム情報の取扱いについては、現在の保険の引受・支払実務において、遺伝学的検査結果やゲノム解析結果の収集・利用は行ってはいないものと承知しているが、給付金の請求等の場面において、保険会社からゲノム情報を求められたとの声も聞かれるところである。
    • 各保険会社においては、引受や支払の際に遺伝学的検査結果やゲノム解析結果の収集・利用は行っていないことや、また、ゲノム情報による不当な差別を決して行わないことについて改めて徹底するなど、引き続き適切な対応をお願いしたい。
  • 火災保険の参考純率の改定について
    • 2023年6月21日、損害保険料率算出機構より火災保険参考純率の改定届出があり、金融庁は6月28日、届出内容に関する適合性通知を行った。
    • 本改定は、料率水準の改定(住宅物件で平均で+13%)に加え、水災料率について、全国一律の保険料体系から、市区町村単位でリスクに応じて5区分に細分化する体系に変更するものである。
    • 近年、水災補償の付帯率は、洪水ハザードマップ上で浸水深が浅いなどの低リスク契約者を中心に低下する傾向がある。このような低リスク契約者においても、洪水以外の水災リスクはあり、集中豪雨などの大規模災害発生時における補償不足が懸念される。
    • こうした点を踏まえれば、水災料率の細分化は、
      • 低リスク契約者に対し、保険料負担の公平性向上と経済的負担感を軽減させ、水災補償への加入を検討する契機となり、
      • 高リスク契約者に対し、保険料率のリスクアナウンスメント効果により、リスク認識を向上させ、水災補償への継続的な加入を促すことが期待される。
    • 保険会社におかれては、自社の商品改定を行う際には、水災補償の付帯率向上に資するよう、商品内容を検討いただきたい。また、自然災害に関するリスク認識向上の観点から、募集時の顧客への水災リスクをはじめとするリスク情報の提供等について、引き続き適切にご対応いただきたい。

~NEW~
外務省 海外での薬物犯罪・違法薬物の利用・所持・運搬
  • 海外で麻薬に関わることは、非常に深刻な事態を招きます。ほぼ毎年、各国で違法薬物の所持・運搬等の容疑で拘束される日本人がおり、重い刑罰を受け長期間海外の刑務所に服役しているケースもあります。軽はずみな行動や不注意から、海外で麻薬犯罪に関わることは絶対に避けてください。
  • 違法薬物の利用・所持・運搬は厳罰に処されます
    • 違法薬物の利用・所持・運搬等に対し、海外には、日本よりも重い刑罰を科す国が多く存在します。中には、一定量以上の違法薬物の所持・運搬等による刑罰の最高刑を死刑としている国もあります。これまで、海外において日本人に対して死刑判決が下され、実際に死刑が執行されたケースもあります。
  • 現行犯で逮捕されたら「知らなかった」は通用しません
    • 現行犯で逮捕された場合、人から預かった鞄や荷物の中身が「違法薬物だとは知らなかった」等と釈明しても、捜査当局は放免してくれません。海外において、違法薬物の所持・運搬容疑等で逮捕・拘束された場合、日本国大使館・総領事館は、要請を受けて面会又は連絡をして可能な支援を行います。しかし、その国の司法手続きに従う必要がありますので、日本国大使館や総領事館では、釈放や減刑等の要求はできません。
  • 麻薬組織はあなたを狙っています
    • 麻薬組織は、常に「運び屋」になりそうな人を探しています。金銭的な報酬で取引きを持ちかけてくることもあれば、恋愛感情や力関係(先輩と後輩の関係、借金の返済圧力等)を利用することもあります。特に、素性がはっきりしない、或いは、親交の浅い知人等から、無料の海外旅行、謝金付きの荷物運びまたは知らない人への荷物の転達を持ちかけられた場合は、相手にいくら「荷物は危ないものではない」等と説得されても、引き受けないでください。
  • 大麻(マリファナ)が合法の国であっても、日本で罪に問われることがあります
    • 大麻が合法化されている国でも、年齢や所持数量の制限が設けられていたり、免許を受けた販売業者から購入することが義務づけられていたり、国外への持ち出しが厳しく規制されていたりする場合があります。そのような規制に違反した場合には、その国の法律に基づき罰せられるおそれがあります。
    • また、日本の大麻取締法は、国外において大麻をみだりに、栽培したり、所持したり、譲り受けたり、譲り渡したりした場合などに罰する規定があり、罪に問われる場合があります。そのため、大麻が合法化されている国でも、大麻には決して手を出さないようにしてください。
  • あなたが逮捕されたら悲しむ人がいます
    • あなたが逮捕された場合、あなたが思っている以上に、悲しむ人が、あなたの周りにはいます。自分の生活を投げ打って、方々に借金してまでも、裁判費用を捻出しようと懸命になる家族もいます。後でどれほど後悔しても手遅れになることがあります。あなたの帰りを待ち望む人への感謝と自責の念を日々感じながら、刑務所で言葉や食事、他の外国人受刑者との関係に苦労しながら長時間過ごすことになります。二度と日本に戻れない可能性もあります。自分は大丈夫と安易に考えないでください。見知らぬ人からの誘惑等に惑わされず、断る勇気を持ってください。

~NEW~
外務省 特殊詐欺事件に関する注意喚起(加害者にならないために)
  • ポイント
    • 「海外で短期間に高収入」「簡単な翻訳作業」といった、いわゆる闇バイトの謳い文句に誘われ、海外において特殊詐欺事件のいわゆる「かけ子」や「受け子」として犯罪に加担させられた結果、組織内のトラブルにより暴行を受けるなどの被害や、加害者として現地警察に拘束される事案が多く発生しています。
    • このような求人に安易に応募することがないよう、また、意図せず犯罪の加害者になることがないよう、十分慎重に行動してください。
  • 本文
    • 近年、東南アジアを中心とする海外において、特殊詐欺事件のいわゆる「かけ子」や「受け子」として犯罪に加担させられた結果、現地警察に拘束される事案が多く発生しています。
    • 「海外で短期間に高収入」、「簡単な翻訳作業」といった、いわゆる闇バイトの謳い文句に誘われ、「海外旅行に出かけて小遣い稼ぎができる」といった安易な気持ちで海外に渡航した結果、意図せず詐欺犯罪の加害者になってしまうケースがあります。こうしたいわゆる闇バイトに一度加担してしまうと、「やめたい」と思っても、パスポートを取り上げられて軟禁状態となり、また、自分自身や家族等の個人情報をもとに脅迫され、抜け出すことができないばかりか、組織内でのトラブルにより、暴行を受け重傷を負うなどのおそれがあります。
    • 短期間で多額の報酬を得られるような仕事は、海外でも通常はないことを十分認識し、安易にこうした求人に応募することがないよう、また、意図せず犯罪の加害者になることがないよう、十分慎重に行動してください。
    • 以下の警察庁ホームページもご参照ください。
▼「闇バイト」は犯罪実行者の募集です

~NEW~
内閣府 日本経済2022-2023―物価上昇下の本格的な成長に向けて
▼概要
  • 世界経済の不確実性の高まりと日本経済の動向
    • 2022年は民需中心に緩やかな持ち直し。世界的な物価上昇下、円安方向への為替変動もあり、40年ぶりの高い物価上昇。海外由来のショックに対し、エネルギー構造の転換などを通じた交易条件改善、サービス輸出拡大が課題。
    • 物価上昇は輸入物価上昇を背景としており、国内需給や賃金による上昇圧力は限定的。価格上昇品目は増えているが、輸入物価上昇の転嫁は途上。賃上げ原資の確保にも、企業が適切に価格転嫁を行える環境整備が重要。
    • 2023年の世界経済は減速が懸念されることからも内需振興が重要。成長分野への重点的な投資喚起、生産性向上に向けた人的資本投資の促進が鍵。中長期の持続的な成長には、貿易や投資関係強化による海外需要取込みが重要。
  • 第2章 個人消費の力強い回復に向けた課題
    • 物価上昇下での実質所得の減少を背景に、低所得層では実質消費支出が減少傾向。物価上昇の影響が大きい低所得層への重点的な支援が重要。超過貯蓄による一定の消費下支え効果が期待される一方、預貯金の増加による消費押上げ効果は限定的。消費の持続的な回復には、ベアなどによる定期収入の増加が鍵。
    • 2010年代以降、若年層と高齢層を中心に消費性向は低下傾向。背景には、若年層では期待生涯所得の伸び悩みや老後の生活不安の高まり、高齢層では予備的動機や遺産動機の高まりがある。構造的な賃上げ環境の構築に加え、高齢者の就労促進や社会保障制度の持続性を高める取組が必要。
    • 2022年の雇用環境は総じて改善したが、労働移動はコロナ禍前ほど活発ではなく、失業期間の長期化が懸念。国際的には、労働移動が円滑な国の賃金上昇率が高い。自発的な転職には賃金や意欲の上昇効果がみられ、人材配置の適正化を進めるためのリスキリングの強化やマッチング効率の改善などが課題。
  • 第3章 企業部門の動向と海外で稼ぐ力
    • 2022年は製造業のけん引により収益の回復が持続し、円安による収益増などもあり設備投資は大中堅企業中心に回復。一方、実質ベースでの投資の回復は道半ば。今後は官の投資を呼び水として、成長分野での企業の予見可能性と期待成長率を高め、投資を引き出すことが重要。
    • リーマンショック以降の経常収支黒字要因は、貿易中心から投資中心に変化。輸入の変動は鉱物性燃料価格の影響が大きく、エネルギー構造転換が重要。直接投資は、投資先国の成長を背景に収益率が高く、残高も増加基調。
    • 海外で稼ぐ力を規模別にみると、現地法人の売上や収益に加え、輸出金額も大中堅企業に偏在。輸出の伸びしろが大きい中小企業への人材面などでの支援や、農林水産物・食品の輸出支援体制の整備が重要
  • ロシアによるウクライナ侵略後の不確実性の高まりと日本経済
    • 2022年の我が国経済は、民需を中心に緩やかに持ち直し。感染症の影響が大きかったサービス部門は先進各国に比べ遅れて回復。全国旅行支援や水際対策の緩和の効果に期待。
    • 対外関係をみると、交易条件(輸出物価と輸入物価の比率)は輸入物価上昇によって21年以降悪化方向にあったが、22年秋以降改善傾向。2000年代半ば以降、輸入物価は鉱物性燃料価格の影響が大きく、22年の上昇も原油等の価格上昇が背景。
    • 22年秋までの円安の動きは、金利差やインフレ格差で説明できる以上に下落。近年、円安方向への為替変動により、短期的には輸入金額の増加から貿易収支が悪化、所得収支は改善する傾向
  • 我が国の物価動向
    • 2022年の消費者物価の上昇は輸入物価上昇を背景とするコストプッシュ型。品目別では、供給要因の寄与が大きい。経済全体では、国内需給のタイト化や賃金上昇による内生的な物価上昇とはなっていない。
    • 需要段階別の投入物価の動向を日米で比較すると、我が国は生産フローが川上から川下へ流れる中で、大きく物価上昇率を低下させ、価格転嫁が進みにくい構造だが、米国は需要段階別の物価上昇率の差が小幅。
    • 為替変動は輸入物価を通じて企業物価、消費者物価に影響。ただし、影響の度合いは、1%の円安に対して1年後に企業物価で約0.2%、消費者物価で約0.06%と小幅であり、デフレ下の価格硬直性の影響がみられる。
    • 企業が付加価値を維持・増加させて投資・賃上げを実施するためには価格転嫁の促進や適切な価格設定が重要。
    • 食料品の価格をみると、2022年以降は消費者が実際に購入した価格(POSデータ)と、代表品目の価格(CPI)の上昇率の乖離幅は拡大している。その背景には、低価格品で代替する消費者の動きもあるとみられる。
    • CPIの品目別に価格上昇率の分布を見ると、足下ではゼロ近傍の品目が減少、上昇率が高い品目が増加し、物価上昇に広がり。物価上昇局面では輸入物価上昇の消費者物価への転嫁までのタイムラグは短くなるなど、企業が価格改訂しやすい傾向。
    • サービス業では、需給の引き締まりに対応して価格が上昇する傾向。2020年以降の期間では、価格が上昇してから、賃金が上昇する傾向。
    • 今後、企業が価格転嫁や適切な価格設定を進めやすい環境を整備し、賃上げ原資を確保して賃金上昇の定着・拡大を図ることが鍵。その下で、消費・投資などの需要増加を通じた内生的な物価上昇へとつなげていくことが重要
  • 当面のリスクと我が国経済の中長期的な課題
    • 当面のリスクは、物価上昇の影響に加え、世界経済の減速による輸出減。さらに、輸出の減少は生産や設備投資にもマイナスに影響する傾向。
    • 中長期の課題は潜在成長力。2000年代前半までと比べ低い伸び。投資は、コロナ禍からの回復過程で増加しているが、資本装備率は先進国で最も低い。経済対策を着実に実行することで、半導体関連や電気自動車等の成長分野を中心に民需を誘発し、需給両面の成長につなげることが重要。
    • 労働投入(人数)は、少子化(自然動態)によって構造的に低下。外国人(社会動態)は水際対策の緩和により22年に増加転換。少子化の背景には、経済的負担や心身両面の負担等により子供を希望通りの数まで持たないこと、未婚率の上昇が挙げられる。少子化対策では、経済的支援に加え、育児と仕事の両立をサポートする制度やサービスの充実が重要。
  • 物価上昇下の個人消費
    • 消費性向は、回復傾向が続いているが、2022年も依然として感染拡大前を下回る。低所得層では物価上昇もあり、実質消費支出が減少傾向。2022年を通じて消費者マインドも全体として低下しているほか、低所得世帯で下落幅がやや大きい。
    • 消費者マインドの悪化はラグを伴って消費支出を下押しする傾向があり、今後の消費動向に留意が必要。
    • 消費性向の抑制を背景に超過貯蓄の増加が続くが、世帯属性によって規模にばらつき。2022年の物価上昇負担による負担増加額(10万円弱)との対比でみると、平均的には10倍程度と相応の規模に達しているが、低所得世帯では相対的に小さい。
    • 預貯金が1万円増加した場合の消費支出の増加幅は、最も大きい低所得世帯層でも250円と限定的。他方、世帯主収入に対する定期収入比率が高い世帯では、消費支出が押上げられており、消費性向を高めるには定期的に期待できる収入の割合が高まることが鍵。
    • 若年層や高齢層で消費性向は低下傾向にあり、若年層ではコロナ禍以降さらに低下。貯蓄目的は、若年層では老後の生活資金、高齢層では遺産動機が上昇し、高齢無職世帯の貯蓄の取り崩しペースは貯蓄額の大きい世帯ほど慎重。2000年代以降、25~34歳を非正規雇用者として過ごす若年層も3割程度存在。
    • ベースアップ実現による定期収入比率上昇などにつながる賃上げ環境の醸成や、正規転換を含めた非正規雇用の処遇改善・高齢者の就労促進等により、生涯所得に対する見通しを改善させつつ、社会保障制度の持続可能性を高めることが、個人消費を力強く回復させていく上で重要
  • 労働市場の変化と賃上げに向けた課題
    • 2022年は失業率が低水準で推移し、名目賃金が緩やかに持ち直すなど、労働市場は全体として改善。
    • 実質賃金は、2022年には交易条件の悪化による下押しが強まっているが、中期的には労働生産性の伸びにより上昇。労働生産性の伸びを高めるには、労働市場のミスマッチ改善が課題。
    • 2022年以降の労働市場の変化をみると、労働需要側では業績回復の遅れや省人化投資の進捗等を背景に、労働集約的な産業の新規求人の戻りが弱い。労働供給側では、長期失業者が全年齢層で増加。国際的には失業から就業への移動が円滑な国は実質賃金上昇率が高く、労働市場の仲介機能を高めることなどが重要。
    • 処遇改善や会社の将来性不安を理由とした自発的な転職では、転職を通じて賃金の伸びは高まり、仕事に対する意欲も改善傾向。
    • 感染拡大後に労働移動の動きは全体として若干弱まったが、若年層では持ち直しの動き。正規間転職や非正規雇用者の正規化にも持ち直しの動き。リスキリングの強化などによりこうした動きを活発化させ、成長産業への労働移動を促進する取組が重要。
    • 最低賃金引上げは、非正規雇用者の時給を幅広く底上げする効果。他方、世帯の主稼得者以外の者で就業時間が短い層が増加しており、所得引上げに向けて諸制度の見直しも必要
  • 企業部門の概観
    • 企業収益は、製造業が牽引する形で回復が継続。製造業を規模別にみると、足下では原材料コスト増が下押し要因となる中、大企業では売上増加と円安による営業外収益の増加が利益を押し上げ。中小企業では売上回復が鈍い中、コスト削減によって利益を出す状況が続く。
    • 好調な収益と経済活動の正常化を背景に、設備投資の回復も2022年は大企業を中心に回復が強まる。22年度は、先送りされてきた能力増強など攻めの動機を中心に全動機での投資が回復。
    • 他方、物価上昇の中、過去の景気局面と比較しても実質ベースでみた投資の回復は道半ば。
  • 我が国経済の対外経済構造
    • リーマンショック頃を境に、経常収支の黒字要因は貿易中心から投資中心へと変化。
    • 貿易収支は、輸入額の増加が輸出額の増加を上回ることで概ね均衡に至っている。一方、品目別にみた輸出入の構造は2000年代半ばから大きくは変わらない。
    • こうした中、企業の高付加価値志向を反映して、輸出増加の主因は数量から価格へと変化。一方、輸入の変動は過去から継続的に価格によりもたらされている。貿易収支の安定化には、GXの促進等を通じ、化石燃料に過度に依存しないエネルギー構造への転換が重要。
    • 2000年代半ば以降のサービス貿易の動向をみると、世界全体に比べ成長が遅く、特にコンピュータサービス等のデジタル関連の寄与が小さい。デジタル取引における環境整備や、デジタル人材育成等を通じた競争力強化が重要。
    • 第一次所得収支の黒字は拡大を続け、その主因は証券投資収益から直接投資収益へと変化。
    • 対外純資産残高は、直接投資を中心に堅調に増加。直接投資の収益率は、投資先国の経済成長等を背景に高く、対外資産全体の収益率を支えている。
    • こうした直接投資増加の背景として、我が国企業の海外進出が進展。海外進出の進展は、営業外収益の増加を通じて企業の経常利益を押し上げ。円安は受取増に寄与。
    • 一方、こうした海外から所得を稼ぐ力は大中堅企業に偏在。中小企業の海外現地法人は、企業数では全体の4分の1を占めるが、売上高・経常利益では2%台と限定的。
  • 輸出を通じた海外で稼ぐ力の拡大
    • 直接投資を通じた海外での売上や収益に加え、輸出面でも海外で稼ぐ力は大企業に偏在。大企業に比べ、中小企業の輸出割合は過去10年間で伸びていない。
    • 輸出企業は非輸出企業に比べて生産性が高く、研究開発実施率も高いなど、輸出を通じた海外企業との競争環境の下、自社の稼ぐ力を高めている様子がうかがえる。
    • 今後の伸びしろが大きい中小企業の輸出の促進に向け、中小企業が課題を有するマーケティングや人材面を支援することや、海外拠点設置に比べハードルが低いと考えられる、越境ECの活用拡大等が重要。

~NEW~
内閣府 消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ報告書
▼消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ報告書(概要)
  • 本報告書が念頭に置くいわゆる「破綻必至商法」事案の実態と制度的手当の必要性
    • 念頭に置くのは、高配当、高利益が得られるとうたって多数の消費者を誘引し、多額の出資をさせて、多数の消費者の被害回復が困難になっている事案(ex.ジャパンライフ、WILL等、ケフィア事業振興会、MRIインターナショナル)
    • 現行制度の課題
      • 行政処分を潜脱して事業を継続したとみられる事業者の存在
      • 被害回復のための手段が欠けていること
      • 刑事的手法では迅速な対応が困難であること
    • 以下の視点を踏まえた制度的手当が必要
      • 消費者庁・消費者委員会設置法附則第6項の検討条項
      • 横断的・一元的な対応の必要性
      • 新たな被害者の発生抑止(潜脱的営業の禁止)
      • 消費者の被害回復
      • 行政の主体的・迅速な対応
  • 制度の対象とすべき「破綻必至商法」について
    • 本WGが対象事案と考える「破綻必至商法」は、以下1から4の全てを備えることが必要と考える
      1. 事業(事業の実施のために必要な行為を含む。以下同じ。)の実体がないにもかかわらず、
        • 「事業の実体がない」は、事業が対象とする契約類型における本質的要素(例えば契約の目的物)が大幅に欠けていることや、事業を行うための人員が大幅に不足したり事業計画が極めてずさんであるなどの必要な体制が大幅に欠けているか等を踏まえて判断する。
      2. 金銭の出資若しくは拠出又は物品若しくは権利の提供(以下「金銭出資等」という。)をすれば事業の収益により一定期間経過後に金銭その他の経済的利益の配当等(以下単に「配当等」という。)を行う旨を示して消費者を勧誘し、
      3. 多数の消費者に金銭出資等をさせ(金銭出資等をした消費者を「出資者」という。以下同じ。)、
      4. そのため、新たな消費者を勧誘して金銭出資等をさせ、当該金銭出資等を原資として先行の出資者への配当等を継続的に行わざるを得ないスキーム。
  • 破綻必至商法を止めて被害を回復するための具体的方策
    1. 破綻必至商法の禁止の明確化 市場からの排除
    2. 破綻必至商法を停止するための行政処分の創設 被害の拡大防止
      • 破綻必至商法を行う事業者に対して、その事業の全部又は一部を停止する旨の行政処分を創設
      • 行政処分の潜脱防止のための手当てや、行政処分の実効性の確保のため必要な限度で行政に報告徴求・立入検査等の調査権限を与える必要
    3. 行政庁による破産申立て権限の創設 被害の拡大防止・被害回復
      • 行政庁は、破綻必至商法を行う事業者に破産手続開始原因がある場合は、破産手続開始の申立てができる旨の制度を創設
      • 破産法第91条第1項の保全管理命令の申立て等についても、行政庁に申立て権限を認めるべき
    4. 違法収益はく奪のための行政手法の創設 被害の拡大防止・被害回復
      • 破綻必至商法に該当する取引がなかった状態への原状回復を内容とする違法収益の返金計画措置命令と、当該措置命令に従わない場合又は従う見込みがない場合の行政型没収の制度を創設
      • 財産保全のため、権利移転せずに事業者の財産を凍結する制度を創設
      • 繰り返しの違反行為を抑止するため、違法収益額に一定割合を乗じた額を加算金として納付させる制度を創設
    5. 会社法の解散命令の活用・拡充 被害の拡大防止・被害回復
      • まず現行制度の活用として、破綻必至商法を行う会社に会社法第824条第1項各号に該当する事由がある場合には、行政庁は会社法第826条の法務大臣への通知を行う
      • 加えて現行制度の拡充として、破綻必至商法を行う会社に限り、会社法の特例として、解散命令の申立権者に関係省庁の主務大臣を追加
  • 上記方策の実効性を高めるための方策
    1. 現行制度の運用
      • 事業者の内部に調査への協力者を確保(例えば公益通報者保護制度の活用)
      • 関係機関(例えば国民生活センターなど)が相互に連携
      • 運用面(PIO-NETなど)の更なる改善
    2. 制度的手当
      • 行政に行政処分に必要な限度で報告徴求・立入検査等の調査権限の付与
      • 調査を拒まれた場合等に備えて、行政に臨検の権限を与えることを検討するほか、不実証広告規制類似の制度、「高利率をうたう取引」への定期報告を含めた行政への届出義務等の検討も行ってはどうか
      • 「臨検」…裁判所の許可状を得た上で、相手方の抵抗を有形力で排除することが可能な調査。
      • 「不実証広告規制」…優良誤認表示の判断に必要な場合に、期間を定めて事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、事業者が求められた資料を期間内に提出しない等の場合には、当該表示は、措置命令との関係では不当表示とみなされる(景品表示法第7条第2項)。
  • 残された課題
    • 「破綻必至商法」の定義の更なる具体化による対象の明確化
    • 具体的方策の内容や有効性等の更なる検討
    • 新たな調査権限についての必要性と許容性の検討

~NEW~
内閣府 チャットを利用した勧誘の規制等の在り方に関する消費者委員会意見
  • 意見
    • 消費者庁は、チャットを利用して、事業者が消費者の契約締結の意思の形成に影響を与える行為により消費者被害が発生していることを踏まえ、以下について、チャットの定義を必要に応じて明確にすること等も含め、その在り方等について十分に検討を行うことを求める。
      1. 特定商取引法の通信販売において、チャットを利用して事業者が消費者の契約締結の意思の形成に影響を与える行為に対して、勧誘の規制等の導入に向けた検討を行うこと。
      2. 上記1に当たっては、以下の内容を含め検討を行うこと。
        • チャットを利用した勧誘に先立って、消費者に対し、事業者名・販売目的等を明示すべき義務を設けること。
        • チャットを利用した勧誘による販売に禁止行為等に関する行政規制を設けること。具体的には、訪問販売及び電話勧誘販売規制を参照し、再勧誘の禁止のほか、不実告知や故意の事実不告知等の事業者による不当性の強い行為については禁止行為とし、適合性原則違反等については指示対象行為とすること。
        • チャットを利用した勧誘による販売に民事ルールを設けること。
  • 理由
    1. チャットを利用した勧誘及び同勧誘による販売とは
      • 本意見において、「チャットを利用した勧誘」とは、通信販売において上述のチャットを利用して事業者10が消費者の契約締結の意思の形成に影響を与える行為をいう。その行為により取引を行うものを「チャットを利用した勧誘による販売」という。
      • なお、チャットを利用した勧誘による販売には、即時性があり、既読機能により相手に情報が届いていることが担保され、相手に応じて送信する情報を変更できることから、双方向性に優れているといった面がある。他方で、不意打ち性、密室性、商品情報が不正確、契約の非書面性、送信の容易性(容易かつ低コストな勧誘が可能)といった面もあり、電話勧誘販売における特徴で指摘されたものと同様の特徴が見られる。また、覆面性(相手が見えない)という特徴も見られる。
    2. チャットを利用した勧誘による販売の心理学的観点からの示唆
      • チャットは、双方向性と即時性を有しており、また、既読機能により情報の受け手側が時間的切迫感を増すことから、電話に近い特徴を持つと言われている。さらに、利用の場面を考えてみると、メールは仕事、チャットはプライベートで使う、と使い分けて利用されることが多いことから、チャットのほうが、より相手に親しさを抱かせるとの指摘がある。このことから、チャットを利用したやり取りでは、相手の社会的存在感が高くなり、人間関係のルールが働きやすい状況になると考えられる。その結果、社会的望ましさの規範や返報性の規範により、相手の説得に応えたい気持ちが生じ、相手の誘いを断りにくくなり、消費者の意思の形成をゆがめる可能性があるとされている。
    3. チャットを利用した勧誘に対する規制の対象
      • 勧誘規制の対象については、前述のチャットを利用した勧誘のうち、不意打ち性があるものに限定し、(1)事業者からチャットを利用した勧誘を開始するケース、(2)ウェブページ等により勧誘の対象となる商品等の販売目的を告げずに、消費者にチャットを開始させるケース、の2つのケースを対象とすることが考えられる。
      • 一方、(3)ウェブページ等により勧誘の対象となる商品等の販売目的を告げ、消費者にチャットを開始させるケースは、従来の通信販売と同様に、勧誘規制の対象外とすることが考えられる。
      • なお、事業者からの発信によるチラシ等の配信、クロスセル取引の一方向のものはチャットに含まれず対象外である。また、商品検索サポート(チャットサポートなど)、入力補助は従前のとおり勧誘規制の対象外と考えられる。
    4. チャットを利用した勧誘に対する規制の内容
      1. 勧誘に先立っての事業者名・販売目的等の明示
        • チャットを利用した勧誘による販売には、広告規制がかかることとなる。
        • 具体的には、特定商取引法第11条においては、広告中に一定事項を必ず記載することが規定されており、まずはこれを遵守させることが求められ、令和4年建議においても、消費者庁に表示を徹底させることを求めている。
        • もっとも特定商取引法第11条においては、勧誘に先立って表示しなければならないこととはされていない。また、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号。以下「景品表示法」という。)においては、事業者名や販売目的等の表示義務はない。
        • チャットを利用した勧誘は、一般的な通信販売における広告とは異なり、短文で断片的なメッセージを送り、相手の反応に応じて情報を変更できるものであり、一覧性がないことや、前述のチャットを利用した勧誘による販売の特徴である不意打ち性、密室性等やその心理的影響を考慮すると、現行の広告規制ではなく、チャットを利用した勧誘に対する規制が必要と考えられる。チャットを利用した勧誘に先立って、事業者名や販売目的等を明らかにしないということは、消費者がそのような勧誘を受けるか拒否するか判断する最初の重要な機会を奪うものであると考えられ、訪問販売や電話勧誘販売においては勧誘に先立って、事業者名・販売目的等の明示義務が規定されていることと同様に捉えることが適切であると考えられる。
        • したがって、チャットを利用した勧誘による販売においても事業者名・販売目的等の明示義務を設けることが求められる。
      2. 禁止行為等の創設
        • 従来の通信販売は、消費者が合理的な選択の機会を確保するため、消費者が事業者からの圧力を受けずに契約締結の意思の形成を行うことを前提として、広告規制が設けられている。これに対して、訪問販売や電話勧誘販売における禁止行為等は、事業者の積極的な販売行為によって消費者が望まない契約を締結する恐れがあるという前提で規律が設けられており、両者は規制の前提が異なっている。
        • 前述のとおり、チャットを利用した勧誘による販売は、広告規制がかかることとなる。具体的には、まずは特定商取引法第11条及び第12条などの規定を遵守させることが求められ、令和4年建議においても、消費者庁に対して執行の強化を求めている。チャットを利用した勧誘は、短文で断片的なメッセージを送り、相手の反応に応じて情報を変更できるものであり、一覧性がないことや、前述のチャットを利用した勧誘による販売の特徴である不意打ち性、密室性等やその心理的影響により、消費者が事業者からの圧力を受けずに契約締結の意思の形成を行う状況にはないこと、また、適合性原則違反等と考えられる行為や、契約後に解除を妨げる行為が見られることから、特定商取引法第11条及び第12条などの通信販売に関する規定に基づく対応には限界があると考えられる。また、景品表示法においても、チャットを利用した勧誘には対応できない場合があると考えられる。
        • 訪問販売や電話勧誘販売においては、消費者被害の端緒ともいえる意思に反した勧誘行為を受けてしまう状況そのものから消費者を保護する観点から、再勧誘を禁止するほか、事業者による執拗で強引な勧誘に消費者が迷惑を覚えさせられたり、虚偽の事実や欺瞞的な勧誘、誇大な勧誘により消費者が適正な契約判断を阻害されたまま契約を締結させられていることから、不当性の強い行為を類型化し、不実告知や故意の事実不告知等の特に不当性の強い行為を「禁止行為」として規定し、違反者には刑事罰を科すこととしている。また、違法又は不当な行為が行われた場合において、事業者がその営業を継続しながら必要な是正又は改善措置を採らせることにより、法違反若しくは不当な状態を解消し、又はこうした状態に至った原因となる事由を除外して、訪問販売や電話勧誘販売の適正化を図るため、適合性原則違反等については、主務大臣による改善のための行政処分である「指示」の対象行為として規制し、是正を図っている。
        • したがって、チャットを利用した勧誘による販売においても、訪問販売や電話勧誘販売における規制を参照し、再勧誘の禁止のほか、不実告知や故意の事実不告知等の事業者による不当性の強い行為については禁止行為とし、適合性原則違反等については指示対象行為とする等の行政規制を設けることが求められる。
      3. 民事ルールの創設
        • 2で述べた、チャットを利用した勧誘に対する禁止行為や指示対象行為等を設けたとしても、違反行為があれば直ちに指示や業務停止命令等を発令できるわけではない。少数の消費者の被害例だけでは指示や業務停止命令等の発令まで至らないこともあるし、また、行政庁における調査や対応には人的資源等の面からも限界があると考えられる。
        • したがって、消費者の被害回復の観点からは、自らが自己の権利を守り、損害を回復することができるよう民事ルールについても規定することが必要と考えられる。
        • (ア)取消権
          • チャットを利用した勧誘による販売に関する民事ルールとしては、特定商取引法第15条の4に通信販売における契約申込みの意思表示の取消しがある。同条は、「個別の消費者の申込みのプロセスの最終段階の表示において、当該消費者を誤認させるような表示をしたり、誤認をさせるために重要なことを表示しないといったような行為については、一対一で事業者と消費者が対峙する勧誘的な要素が支配する状況であり、訪問販売や電話勧誘販売における不実告知や重要事実不告知による勧誘がなされた場合の取消しルールとアナロジーで捉えることが適切なのではないか、という発想の下で立法された」とされているが、特定申込みをした消費者が同法第12条の6に違反する表示によって誤認した場合の取消権であり、最終確認画面等の表示に関するものであるため、チャットを利用した勧誘における不実告知等には対応できない場合があると考えられる。
          • また、民法(明治29年法律第89号)の詐欺の場合には、事業者の故意の立証が必要になることや消費者契約法(平成12年法律第61号)では取消しの対象を「重要事項」としていることから、民法や消費者契約法でも対応できない場合があると考えられる
          • 以上のとおりであるところ、消費者の被害回復を容易にするため、取消権についても検討することが求められる。また、取消権を設けることにより、仮に、後述するクーリング・オフ期間が経過し、クーリング・オフができない場合にも取消権を行使できることから、被害回復に資するといえる。また、違法な勧誘を前提とした悪質商法を抑止する効果も期待される。
          • チャットを利用した勧誘において不実告知や故意の事実不告知がなされ、その結果、消費者が誤認をして契約をした場合には、一対一で事業者が消費者に勧誘を行う場面であり、訪問販売や電話勧誘販売において不実告知や故意の事実不告知による勧誘により誤認した場合の取消権が規定されていることと同様に捉えることが適切である。
          • したがって、チャットを利用した勧誘による販売において不実告知や故意の事実不告知がなされ、消費者が誤認して契約した場合の取消権についても検討することが求められる。
        • (イ)クーリング・オフ
          • チャットを利用した勧誘による販売に関する民事ルールとして、特定商取引法第15条の3のいわゆる法定返品権があるが、特約で排除できること等から、同法を活用した被害回復ができない場合があると考えられる。
          • チャットを利用した勧誘による販売においては、消費者が受動的な立場に置かれ、契約締結の意思の形成において事業者の文言に左右される面が強いため、契約締結の意思が不安定なまま契約の申込みや締結に至り、後日履行や解約をめぐって紛争が生じることが少なくないことから、被害回復の観点から、このような弊害を除去する必要があると考えられる。
          • この点、チャットを利用した勧誘は、短文で断片的なメッセージを送り、相手の反応に応じて情報を変更できるものであり、一覧性がないことから契約内容が不安定であるため、契約内容を明らかにするためにも書面の交付が必要であり、検討することが求められる。また、訪問販売や電話勧誘販売と同様に、不意打ち性や密室性があることを考慮すると、契約の申込み又は締結後一定期間内は消費者が無条件で申込みの撤回又は契約の解除を行うことができる、クーリング・オフの導入についても検討することが求められる。
      4. 1~3の設け方
        • チャットを利用した勧誘による販売の規制の設け方については、現行の通信販売の中に規制を設けるほか、通信販売から切り出した上で規制を設けることが考えられる。いずれの規制を設けるに当たっても、現行の通信販売、電話勧誘販売の規定との適用関係について整理することが求められるとともに、法執行及び被害回復の観点から実効性を確保できるよう留意する必要があると考えられる。

~NEW~
国民生活センター 国民生活 2023年8月号
  • ネットを悪用した手口に騙されないために4つの代表的な罠を知ろう
    • パソコンやスマートフォン(以下、スマホ)を使ったインターネットサービスは、生活に欠くことができないものになりました。その一方で、インターネットには個人を狙う罠が仕掛けられている場合があります。
    • 罠のほとんどは、偽の警告などの嘘で利用者を巧みに「騙す仕掛け」です。こうした仕掛け(=手口)を知ることが、騙されないための対策になります。そこで、本稿では、IPAが開設している「情報セキュリティ安心相談窓口」に数多くの相談が寄せられている騙しの手口について解説します。
      1. 偽のセキュリティ警告を使用したサポート詐欺
        • パソコンでウェブサイトを閲覧中に突然、「パソコンがウイルスに感染して個人情報が漏えいしている」などの警告が表示されることがあります。警告が画面いっぱいに表示され、電話番号が表示されているなどの場合、それは偽の警告です。パソコンから、けたたましい警告の音声が鳴りやまないこともあります。
        • これは、警告を消せず焦った利用者に、偽のサポート窓口に電話をさせ、サポート料金と称して高額の金銭を騙し取る、「サポート詐欺」と呼ばれる手口です。
        • 電話をすると、片言の日本語を話す外国人のオペレーターにつながります。相手は、マイクロソフト社などの著名な企業のサポート技術者であると偽り、パソコンに遠隔操作ソフトをダウンロードさせます。
        • 遠隔操作ソフトを使用すると、遠隔地にあるパソコンから、操作対象のパソコンの画面を見ながらマウスやキーボードの操作が可能になります。相手はこの機能を悪用して次々と画面を開き、パソコンに問題があるという嘘の説明を繰り返します。被害者がこの説明を信じると、ウイルスの除去やセキュリティサポートサービスと称して高額な金銭を要求します。
          1. 偽警告の被害にあわないために
            • 偽の警告で被害者を焦らせ、不安をあおり、そのうえで言葉巧みに信用させ、金銭を騙し取るやり方は、オレオレ詐欺などの特殊詐欺にも共通する手口と言えます。ところが、特殊詐欺の手口に関する知識があり、日頃から注意をしていてもサポート詐欺に騙されてしまうことがあります。「ウェブサイト閲覧中のウイルス感染」など、経験したことがない騙しの手口を使われると、従来の知識が通用せず、嘘が見破れないことがあるためだと考えられます。騙されないためには、こうした手口を知ることが重要です。
            • 加えて、普段目にしない警告が突然表示された場合、それは正しいものなのかを立ち止まって考えることも重要です。
            • 正規のウイルス対策ソフトがウイルス感染を検知した際も警告が出ますが、今すぐ電話をするように求めることは基本的にありません。
            • 現在のパソコンはセキュリティが強化されています。個人の利用では、基本的なセキュリティ対策を行っている場合、ウイルスに感染することは非常に少なくなりました。
            • そのため、正規のウイルス対策ソフトが動作した際の表示を見る機会がないため、突然表示された「偽のウイルス警告」を本物と勘違いしてしまうことが考えられます。
          2. 偽の警告が表示された際の対処
            • パソコンに偽の警告が表示された際の対処は、所定のキー操作を行い、ウェブブラウザーを閉じるだけで問題ありません。詳細は「IPA安心相談窓口だより『偽のセキュリティ警告に表示された番号に電話をかけないで!』」の5項をご参照ください。
            • 電話をかけて、パソコンを遠隔操作されてしまった場合は、Windowsの「システムの復元」機能を使用して、遠隔操作ソフトをインストールする前の状態にシステムを戻すことを推奨します。システムの復元ができない場合、遠隔操作の及ぼす影響について判断ができないため、パソコンの初期化を推奨します。詳細は前出の資料の3項をご参照ください。
      2. フィッシング
        • フィッシングとは、実在する企業・団体名をかたり、その企業・団体の公式サイトにそっくりな「偽サイト」に誘導し、利用者を騙して情報を入力させて、その情報を奪う手口のことです。
        • フィッシングを目的とした、メール、ショートメッセージサービス(以下、SMS)、ソーシャルネットワーキングサービス(以下、SNS)の投稿などに記載されたURLをクリックし、パスワードやクレジットカード番号などを入力すると被害が発生します。
        • 逆の見方をすると、フィッシングメールを受信しても、URLのクリックさえしなければ被害は発生しません。そのため攻撃者は、さまざまな騙しのテクニックを使ってURLをクリックさせようとします。主な手口は次のとおりです。
          • アカウントが凍結されるなどの、受信者に不安を抱かせる内容を記載
          • 偽の当選や還付金の通知など、思わずURLをクリックしたくなる内容を記載
          • 新型コロナウイルスワクチンの接種予約など、その時々の社会情勢に乗じた内容を記載
          • メールの送信元やロゴマークを偽装して公式からの通知であると錯覚させる など
            • フィッシングの被害にあわないために
              • フィッシングメールは、本物らしい文面を使用し、送信元などを偽装しているため、真偽の判断が難しいことが多くなっています。本物かどうかの判断に迷った場合は、公式サイトなど確かな情報源を使ってご確認ください。真偽がはっきりしないメールについては、次の対応をしてください。
                • URLをクリック、タップしない
                • 添付ファイルを開かない
                • 記載の電話番号に電話をしない
                • 返信しない
      3. SMSを悪用した手口
        • 従来、フィッシングサイトへの誘導は、主にメールで行われていました。近年は、新たな手口として、SMSを悪用したものが増えています。その代表例が、宅配事業者をかたる偽の不在通知SMSです。
        • フィッシングメールに関する知識があり、不審なメールに注意をしていても、この偽のSMSに騙されてしまうことがあります。SMSでもフィッシングが可能であることを知らない場合に、荷物の配達予定日にたまたまこうしたSMSが届くと、思わずURLをタップしてしまうことがあるためです。
        • 偽のSMSは、宅配事業者をかたるものに加えて、通信キャリアや公的機関をかたる架空請求、金融機関をかたるフィッシングなど、複数のバリエーションがあります。
        • 悪意の攻撃者は、SMSに偽の不在連絡や、支払い請求などを記載し、受け取った人を驚かせて、SMSのURLをタップさせようとします。URLをタップしてしまうと、スマホの種別や偽SMSのタイプによって、次に示すさまざまな被害が発生します。
          • Androidでは多くの場合、不正アプリのインストールに誘導される
          • iPhoneではフィッシングサイトに誘導され、「Apple IDとパスワード」や「クレジットカードの情報」を入力させられ、それらを奪われる
          • 架空請求SMSでは、フィッシングサイトへ誘導され、コンビニで買ったプリペイドカードで支払うように指示され、フィッシングサイトに「プリペイドカードの発行番号」を入力させられて金銭を奪われる。クレジットカード番号を窃取されることもある
            • 偽SMSの被害にあわないために
              • 不審なSMSのURLをタップしない限り前記の被害にあうことはありません。不審なSMSが届いた際は削除し、URLはタップしないようにしてください。
              • Androidに不正なアプリをインストールしてしまうと、そのスマホから、同じ内容の偽SMSが見知らぬ宛先に多数送信されてしまいます。
              • 偽SMSの発信元には、不正なアプリをインストールしてしまった被害者の電話番号が使われます。そのため、荷物の問い合わせの電話が複数の人からかかってくるようになり、この時点で異常に気がつくことがあります。
              • 被害者に不正なアプリをインストールさせる際も、騙しのテクニックが使われます。Androidには不正なアプリを誤ってインストールしないための保護機能があります。ところが、攻撃者は、利用者を騙してこの機能を解除させようとします。
              • SMSのURLをクリックすると、「使っているアプリが古いため更新が必要」などの偽の警告を表示して、不正なアプリをインストールすることを求めます。アプリの更新に見せ掛けて、利用者に保護機能を解除して不正なアプリをインストールさせようとするのです。このような不審な警告が出た場合は、指示には従わないでください。
              • この手口の詳細や、不正なアプリをインストールしてしまった際の対処方法は、IPA安心相談窓口だよりをご参照ください。
      4. 性的な映像をばらまくと恐喝し、暗号資産で金銭を要求する迷惑メール
        • 「あなたのパソコンをハッキングしてアダルトサイトを閲覧している姿をウェブカメラで撮影した。家族や同僚にばらまかれたくなければ暗号資産で金銭を支払え」というメールを受信したという相談が寄せられています。この手口では、ハッキングなどの言葉で相手を不安にさせたうえで、性的な映像をばらまくと脅しています。こうした脅しに騙されてはいけません。
        • このメールは同じような文面で不特定多数にばらまかれています。実際の動画へのリンクや添付などがないことから、このメールの内容について根拠はないと考えられます。そのため、メールを無視して削除するだけで問題ありません。
          1. 手口を知る、立ち止まって考える
            • インターネットを悪用して個人を狙う代表的な騙しの手口についてご説明しました。こうした手口を知ることで、安全にネットを楽しむことができます。より多くの手口を知りたい場合は、警察庁、IPA、国民生活センターなどの注意喚起情報をご参照ください。
            • もう1つ、騙されないためのポイントをご紹介します。前述のとおり、騙しの手口には、落ち着いて考えると通常は発生しない不自然な点が多々あります。そのため、初めて見る警告、もしくは不自然な状況に遭遇した場合、それらは偽物である可能性が高いです。従来と異なる状況に遭遇した際に、これは騙しの手口ではないかを「立ち止まって考える」ことが重要です。
            • どうしたらよいかが分からない場合は、相手の指示には従わず、近くの詳しい人やIPAなどの窓口に相談するようにしてください。
          2. サイバー攻撃を知る
            • JPCERTコーディネーションセンターはサイバーセキュリティ上の問題・事件(以下、インシデント)の発見と対処、被害の抑止に向けた活動を行っており、国内外のさまざまな個人・組織からインシデントの報告を受けています。当センターに寄せられた過去5年間のインシデントの報告の推移を図1に示します。図から分かるように、年々増加しており、消費者がサイバー攻撃に遭遇するケースが増えているといえます。
            • 報告を受けたインシデントをカテゴリー別に分類したものが図2になります。全体の報告のうち、3分の2はフィッシング攻撃に関する報告であり、標的となっているのは個人消費者です。それ以外のスキャン*1やウェブサイト改ざんなども個人消費者が標的となっているものが多いです。
            • 高度な標的型攻撃と呼ばれるものを除くと、一般的にサイバー攻撃というのは、金銭やそれに代わるものを窃取することを目的としています。その手段として被害者を騙すことで攻撃を成功させようとします。そのため、サイバーセキュリティ対策として必要なことは、まずはどのような攻撃があるかを知り、注意すべき点を知ることです。昨今のサイバー攻撃の傾向や事例について知り、どのような時にどのような点について注意を払って行動するべきかを知ることが重要です
          3. パスワードの監理
            • サイバー攻撃で最も狙われる対象の1つはアカウントとパスワードの「認証情報」です。パスワードは文字数や使う文字によって安全さが異なります。当センターでは安全なパスワードの条件として次の条件を満たすものを推奨しています。
              • 安全なパスワードの条件
              • パスワードの文字列は、長めにする(12文字以上を推奨)
              • 大小英字だけでなく、さまざまな文字種(数字、記号)を組み合わせる
              • 推測されやすい単語、生年月日、数字、キーボードの配列順などの単純な文字の並びやログインIDは避ける
              • ほかのサービスで使用しているパスワードは使用しない
            • しかし、複雑で安全なパスワードをサービスごとに作成し管理するのは利用するサービスが少なければ可能ですが、多くなると管理するのは困難になります。管理が難しい場合は、信頼性のあるパスワード管理ツールを使用しましょう。
            • 多くのパスワード管理ツールでは、インターネットサービスごとにアカウントIDとパスワードを一度登録しておけば、利用する際にツールから呼び出して自動入力することができます。したがって、利用者はツールを起動するためのパスワード1つを覚えてさえいればよく、サービスごとに異なる複雑なパスワードをすべて覚えておく必要はありません。サービスごとの複雑で安全なパスワードもパスワード管理ツールが自動的に作成することも可能です。
            • 多くのパスワード管理ツールはパソコンとスマートフォンどちらでも一貫して利用することが可能となっています。
            • パスワード管理ツールを使うことのメリットは、複雑なパスワードを覚えておくのを任せることができるという点だけではありません。そのパスワードを入力するべきサイトをセットで覚えているため、ほかのサイトに誤入力することがないという点です。例えば、フィッシングサイトを訪れてしまってパスワードを入力しようとしても、正規のサイトではないためパスワード管理ツールが入力を行いません。そのことを理解していれば、フィッシングサイトであることに気がつきパスワードを入力してしまうこともなくなるでしょう。
            • さらに、より強固なセキュリティ対策として携帯電話へのSMSやトークン、スマートフォンアプリなどを使用したワンタイムパスワードを使った2段階認証があります。アカウントIDとパスワードによる認証に加えて、ログイン時に一定時間だけ有効なパスワードを使用してログインを行うしくみです。もしパスワードとワンタイムパスワードが盗まれてしまった場合でも、ワンタイムパスワードは毎回変化するため、利用者の手元で確認する最新のワンタイムパスワードがない限り、不正なアクセスを防ぐことができます。パスワード管理ツールと合わせて使うとより効果的です
          4. ウイルス対策ソフトの利用
            • ツールでできるセキュリティ対策はほかにもあります。まず優先すべきことはパソコンへウイルス対策ソフト、スマートフォンへウイルス対策アプリなどのツールを導入しておくことです。
            • ウイルス対策ソフトは、パソコンがコンピューターウイルスに感染した時に見つけ出すことができます。初めからインストールされているウイルス対策ソフトでもある程度はブロックしてくれますが、製品によってはインターネットでアクセスするウェブサイトが不審なものかどうかを判定しブロックしてくれる製品もあります。
            • 例えば、コンピューターウイルスに感染するおそれのあるウェブサイトやフィッシングサイト、偽ショッピングサイトなどを検知してブロックしてくれます。こういった製品を選んで導入すれば、ウイルス対策ソフト1つでコンピューターウイルスの被害と悪意あるウェブサイトの被害の双方からデバイスを守ることができますので検討してください。
            • なお、ウイルス対策ソフトが新しい脅威を検知するためには、定期的にセキュリティサービス提供元へ通信し、脅威情報をアップデートする必要があります。ウイルス対策ソフトを導入すると定期的に自動で通信する設定になっているため、そのままの設定にしていれば問題はありませんが、有償のウイルス対策ソフトであれば1年ごとなど定期的にライセンスを購入し更新する必要があります。ライセンスの切れたウイルス対策ソフトは導入していても効果はほぼありませんので、注意してください。
            • ただし、ウイルス対策ソフトといえども、ウイルスの発見も危険なウェブサイトのブロックも完璧に行えるものではないことには注意が必要です。・ウイルス対策ソフトが警告を出さなかったからといって必ずしも安全といえるわけではありませんので、不審なファイル、不審なサイトだと思われたときには、より安全な対応となるように不審なものは触れないようにしてください。
          5. ソフトウェアの定期更新
            • 定期的に更新が必要なものはウイルス対策ソフトだけではありません。すべてのソフトウェア、アプリは新しいバージョンが出たら更新する必要があります。なぜ更新が必要なのでしょうか?
            • ソフトウェアのバージョンアップには主に2つの内容が含まれています。1つは機能の追加、もう1つはソフトウェアの不具合の修正です。
            • 後者の不具合の修正には、ソフトウェアにできてしまったセキュリティ上の“穴”を修正するものが含まれます。ソフトウェアを作る際にはセキュリティに考慮して作成されますが、それでも意図しない挙動が発生してしまうことがあります。それは脆弱性と呼ばれるセキュリティ上の“穴”(セキュリティホール)となり、これがサイバー攻撃に悪用されることがあります。
            • こういった脆弱性を防ぐためにソフトウェアに新しいバージョンが出たらバージョンアップする必要があります。製品によってはセキュリティの適用をまとめたものをバージョンアップとしてではなく「パッチ」と呼んで提供しているケースもあります。その場合は「パッチの適用」と呼ばれます。
            • バージョンアップが必要なソフトウェアの中で一番重要なのは、パソコンやスマートフォンの基本のソフトウェアであるOSです。パソコンであればWindows、Mac OS、スマートフォンであればAndroid、iOSです。これらは基本のソフトであるために最もセキュリティ上の穴になりやすく、OSの提供元が定期的にバージョンアップの提供を行っています。例えばWindowsであれば毎月OSのアップデートが提供されていますので、提供されたらアップデートを適用しましょう。スマートフォンの場合はOSのアップデートまでの期間が長い傾向がありますが、代わりにアプリの更新が頻繁に行われています。
            • 設定可能であれば自動で更新されるように設定しましょう。ただし、OSにはサポート期間という概念があります。古い製品を使い続けているとサポート期間が終了して、バージョンアップやセキュリティパッチの提供がなくなってしまいます。そういった製品を使い続けることはセキュリティが担保できなくなるため、よくありません。古いパソコンやスマートフォンは性能も低くなりますので、OSを更新する意味でもパソコンであれば3~5年、スマートフォンであれば2~4年に1度を目安に買い換えるのがよいでしょう。
            • バージョンアップが必要なのはOSだけではありません。特にサイバー攻撃で狙われることが多いのは、ほかにブラウザー、オフィスソフト、メールソフト等です。また家庭にある機器で狙われるものにルーターがあります。ルーターは基本的には自動で更新されますので、標準のパスワードを変更したうえで、定期的に更新される設定になっていることを確認してください
          6. ウェブサイトのセキュリティ対策
            • ソフトウェアの定期的な更新が必要なのは家庭内の機器だけではありません。人によってはサーバーを借りるなどして、ウェブサイトを持っていることもあるのではないでしょうか。
            • その場合にはウェブサイトを構成するソフトウェアもまた同様に定期的な更新が必要になります。ウェブサイトは基本的には誰からも見られるようインターネットに公開されているため、利用者と同じように攻撃者もアクセスができます。そのため、セキュリティ対策の“穴”があればすぐに狙われてしまいます。
            • サーバーを借りている場合にはどのようなOSやソフトウェアが使われているかを把握しておく必要があります。特にWordPressなどのコンテンツ管理ソフトを使っている場合には、プラグインも含めて把握したうえで、パソコンと同様にOSとソフトウェア、プラグインのアップデートを定期的に行う必要があります。対して、クラウドサービスを利用してウェブサイトを公開している場合にはサービス提供側がソフトウェアを一括して管理していますので、アップデートを個人が管理する必要はなくなります。ウェブサイトのソフトウェアの管理が難しい場合にはクラウドサービスを使うことも検討してください。
            • どちらの場合でも、管理者アカウントのパスワードは、複雑で安全なものにする必要があります。ウェブサイトは公開するという意識とともに管理するという意識も必要になります。管理できない場合にはウェブサイトをクローズする、あるいは管理できる人に依頼する、といったことも考える必要があります。
          7. サイバー攻撃は誰もが狙われる
            • 昨今のサイバー攻撃は企業や個人、業種業界を問わず標的とします。その中でも特に狙われるのは、セキュリティ対策が不足している所です。セキュリティ対策が不足している人からアカウント情報を窃取し、セキュリティ対策が不足しているパソコンやアプリは踏み台として他所への攻撃に悪用されたり、自組織への侵入経路として使われたりします。
            • インターネットを利用するうえでは誰もがセキュリティ対策をする必要があります。セキュリティの脅威を知らないということは、詐欺師に騙される可能性が高くなるのと同じであり、セキュリティ対策を行わないということは、家に鍵をかけずに留守にするのと同じようなものです。本記事をきっかけとして、取り組めそうなものからセキュリティ対策を行っていただければと思います

~NEW~
国民生活センター いつの間にか高額に… 占いサイトに気を付けて!
  • 内容
    • スマホのゲーム中に「宝くじに当選するよう導いていく」という広告が出て、アクセスすると占いサイトだった。老後の生活が心配で、家族のことも考え、宝くじに当たるならと思った。サイトから来るメールに言葉や数字のら列が書いてあり、それを一文字ずつ送り返すと運気が上がるという。送信1回につき1,500円かかるが、指示通りに、一文字ずつ何回も送った。足の具合が悪くて友人に会えない寂しさもあり、楽しかった。「もう少しで当たる」や「運気が上がる」という言葉を信じ、コンビニ決済やクレジットカードなどで、約400万円支払ってしまった。(70歳代)
  • ひとこと助言
    • 占いサイトの中には、占い師や鑑定士を名乗る者から「もう少しで宝くじの当選番号を教える」などと言われてやりとりの期間を引き伸ばされたり、「最後まで鑑定を受けないと不幸になる」などと言葉巧みに引き止められたりして、いつの間にか高額な費用となるケースがみられます。相手の言葉をうのみにせず、冷静になりましょう。
    • やりとりの内容は、トラブルになったときのための証拠になります。占いサイトを退会すると、今までのメッセージのやりとりを確認できなくなる可能性がありますので、スクリーンショット等で残しておきましょう。
    • 困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

~NEW~
国民生活センター 2022年度 全国の消費生活相談の状況-PIO-NETより-
  • この資料は、「全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET:パイオネット)(注)」によって収集した2022年度の消費生活相談情報をまとめたものです(対象データは、2023年5月末日までにPIO-NETに登録された苦情相談)。(注)PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)とは、国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベースのこと。2008年度以降は、消費生活センター等からの経由相談は含まれていません。
  • 2022年度の傾向と特徴
    • 2022年度の相談件数は89.6万件で、2021年度の84.8万件に比べ約5万件増加した。
    • 特に「定期購入」に関する相談が約10.2万件(2021年度に比べ約4万件増)となり、相談件数全体の約1割を占める。
    • 契約当事者の年代は、依然として70歳以上の割合が最も高く、23%であった。
    • 商品・役務等別でみると、2021年度に比べ、「化粧品」(SNSやインターネット上の広告をきっかけとしたインターネット通販での定期購入トラブルなど)、「エステティックサービス」(解約の電話がつながらないという相談、サロンの破産による相談など)、「商品一般」(身に覚えのない商品が届いたという相談、架空請求の相談など)、「他の行政サービス」(行政機関を名乗り金銭の支払いを求めるメッセージが届いたという相談など)、「その他金融関連サービス」(クレジットカードの入退会や会費等の相談など)の増加が目立った。
    • 販売購入形態別では、「通信販売」の割合が最も高く、全体の4割(40.6%)を占める。
    • 契約購入金額は、合計金額が3,936億円、平均金額が80万円、既支払金額は、合計金額が1,563億円、平均金額が40万円であり、2021年度に比べいずれも増加した。
    • 販売方法・手口別でみると、「インターネット通販」と「定期購入」では化粧品や健康食品の定期購入に関する相談が多い。「家庭訪販」では屋根工事や修理サービスに関する相談が、「電話勧誘販売」ではインターネット接続回線に関する相談が多い。

~NEW~
国民生活センター 2022年度 越境消費者相談の状況-越境消費者センター(CCJ)より-
  • この資料は、国民生活センター越境消費者センター(CCJ)に寄せられた越境消費者取引に関する相談情報をまとめたものです。
  • 2022年度は、「航空券」や「宿泊」に関する相談が増加しました。相手方事業者の所在地でみると、海外OTA(Online Travel Agency)が所在する地域の割合が増加し、また「現地購入」でのトラブルも増加しました。渡航制限が緩和されたことが要因と考えられます。
  • 2022年度の傾向と特徴
    • 2022年度にCCJに寄せられた越境消費者相談の件数は5,006件で、2021年度の4,809件から増加した。
    • 相談者の年代を見ると、「20歳代」から「50歳代」の各年代がそれぞれ約20%を占め、「40歳代」が23.9%と最も多い。「60歳以上」の割合は13.3%であった。
    • 取引類型は、2021年度同様、「電子商取引(オンラインショッピング)」によるものがほとんど(99.2%)であるものの、「現地購入」に関する相談は増加した。
    • 決済手段は、例年「クレジットカード」が約半数を占めるが、2022年度は59.2%で、2021年度の50.8%よりも増加した。
    • トラブル類型は、「解約トラブル」が41%を占める。「詐欺疑い」「不良品」に関する相談が増加した。
    • 商品・サービス別に見ると、「航空券」、「宿泊」に関する相談が増加し、海外OTAに関する相談もみられた。39.7%と最も多く占める「役務・サービス」ではサブスクリプションサービス会員の解約や返金、チケット転売仲介サイトの利用、投資詐欺などの相談が寄せられた。「趣味用品」は減少に転じた。
    • 相手方事業者の所在地は、「アメリカ」(19.6%)、「中国」(9.8%)、「香港」(9.7%)、「イギリス」(7.7%)、の順となっているが、いずれも全体に占める割合は減少した。一方、「シンガポール」「スイス」「マレーシア」「台湾」「スペイン」の割合は増加した。「シンガポール」「スペイン」は海外OTAに関する相談が目立つ。

~NEW~
国民生活センター 2022年度 訪日観光客消費者相談の状況-訪日観光客消費者ホットラインより-
  • 国民生活センターでは、日本を訪れた外国人観光客が、日本滞在中に消費者トラブルにあった場合に相談できる電話相談窓口として「訪日観光客消費者ホットライン(Consumer Hotline for Tourists)」(以下、「訪日窓口」とする)を開設しています。この窓口では、三者間通訳サービスを利用して、英語、中国語、韓国語、タイ語、ベトナム語、フランス語、日本語の計7カ国語で相談を受け付けています。以下では、2022年度に訪日窓口に寄せられた相談状況を報告します。
  • 2022年度の傾向と特徴 訪日窓口に寄せられた相談
    • 2022年度の相談件数は134件で、そのうち訪日観光客からの相談が68件、在日外国人からの相談が55件、在外外国人及び在外日本人からの相談が9件、その他(不明)の相談が2件であった。
    • 2022年6月10日以降の外国人観光客への段階的な水際政策の緩和、同年10月11日からの個人旅行受入れや査証免除措置の再開等により、訪日観光客が増加したこともあり、訪日窓口への相談件数は、2021年度90件から2022年度134件に増加した。なお、2022年10月以降、訪日窓口における訪日観光客からの相談割合は半数以上を占めた。

~NEW~
厚生労働省 賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和4年)
  • 厚生労働省は、このたび、令和4年(令和4年1月から令和4年12月まで)に賃金不払が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した監督指導の結果を取りまとめましたので、監督指導での是正事例や送検事例とともに公表します。
  • この公表は、これまで、支払額が1企業当たり100万円以上の割増賃金不払事案のみを集計してきましたが、今回から、それ以外の事案を含め賃金不払事案全体を集計することとし、これに伴い、集計内容を変更しています。変更点の詳細については、別紙P6を参照ください。
  • 監督指導結果のポイント
    • 令和4年に全国の労働基準監督署で取り扱った賃金不払事案の件数、対象労働者数及び金額は以下のとおりです。
      • 件数 20,531件
      • 対象労働者数 179,643人
      • 金額 121億2,316万円
    • 労働基準監督署が取り扱った賃金不払事案(上記1)のうち、令和4年中に、労働基準監督署の指導により使用者が賃金を支払い、解決されたものの状況は以下のとおりです。
      • 件数 19,708件(96.0%)
      • 対象労働者数 175,893人(98.0%)
      • 金額 79億4,597万円(65.5%)
        • ※1 令和4年中に解決せず、事案が翌年に繰り越しになったものも含まれます。
        • ※2 倒産、事業主の行方不明により賃金が支払われなかったものも含まれます。
        • ※3 不払賃金額の一部のみを支払ったものも含まれます。
  • 厚生労働省では、「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化の取組について」(令和3年12月27日閣議了解)などに基づき、賃金不払が疑われる事業場に対して、迅速かつ的確に監督指導を実施するとともに、度重なる指導にもかかわらず法令違反を是正しないなど、重大・悪質な事案に対しては、送検を行うなど厳正に対応しています。
  • また、倒産、事業主の行方不明により解決が困難な事案については、「賃金の支払の確保等に関する法律」(昭和51年法律第34号)に基づく未払賃金立替払制度の迅速かつ適正な運営に努めています。
  • 引き続き、賃金不払事案の解消に向けた取組を徹底していきます。

~NEW~
厚生労働省 新しい時代の働き方に関する研究会 第12回資料
▼資料1
  • 本研究会の契機となった経済社会の変化
    • 企業を取り巻く環境は不確実性を伴いながら大きく変化している
      • 経済
        • 経済のグローバル化に加え、急速なデジタル化の進展により国際競争は一層激化
        • 金融市場・商品市場の不安定化も相まって、企業は従来以上に事業転換・組織変革が迫られている状況
      • 技術革新
        • デジタル技術の革新により、新たなビジネスモデルの創出が見込まれ、企業環境は大きく変化していく
        • 技術革新は、企業に大きな恩恵をもたらすと同時に、企業が直面する不確実性を生む要因の一つに
      • 労働市場
        • 人口減少などに伴う労働市場の構造変化の中で、企業は深刻な人手不足に直面
        • 医療・福祉分野、情報処理などの分野で就業者数が増加する一方、他の多くの産業では就業者数が横ばいまたは減少すると見込まれ、産業間の人材分布の変化は企業の人材戦略にも影響を与える要素に
    • 働く人の意識も変化し、希望は個別・多様化している
      • 価値観や生活スタイル
        • 人口減少や高齢化に伴い、職業人生の長期化が想定される中で、仕事に対する価値観や、育児や介護などのライフイベントによる生活スタイルが個別・多様化
      • 働く場所
        • コロナ禍におけるテレワークを契機に、通勤を前提とした働き方だけではなく、ワークスタイルにあわせて働く場所を選ぶ働き方も可能であることが広く認識されるように
      • キャリア形成意識の高まり
        • 安定性を求める志向が強くなっている一方、自らが望むキャリアの実現に対する意識も高まりを見せている
    • 個人と企業の関係は、働く側が組織に依存しすぎない関係に変化してきている
      • 企業から与えられた環境で働くことを望む労働者は多く存在
      • 一方で、様々な事情や働き方に関する自らの希望を持つ働く方については、以下のような変化が見られる
        • これまで
          • 終身雇用
          • 年功序列
          • 会社で働く
          • 着実さやチームワークが求められる
          • 企業が個人を内包
          • 企業と個人は依存
        • これから
          • よりイーブンな関係を築く個人と企業が増えていく
          • AIやビックデータなどデジタル技術の発展の中で人間に求められる能力も変わっていく
          • 多様で主体的なキャリア
          • 成果主義
          • 好きな場所で働く
          • 柔軟な発想や新しい考えが求められる
          • 個人が自ら考え行動
          • 企業に依存しすぎない
    • 個人と企業の関係の変化に対応した環境整備や仕組みが必要になっている
      • 伝統的な働き方(画一的な労務管理)は引き続き存在する
        • 画一的な労務管理
      • 一方、自らの希望や事情に合わせた働き方などを望む個人と企業との関係は以下のように変化しつつある
        • 労働者:自らに合った働き方・キャリア形成を指向しつつ企業に貢献
        • 企業:労働者の働き方の希望・キャリア形成の希望に対応し、個別・多様な働き方を実現しながら労働者を使用
    • 我が国の企業が活力を維持・向上させていくために
      • 「働き方を柔軟に選択し、能力を高め発揮できる環境を整備すること」が求められている
    • これらを支える仕組みとして
      • 「働く人の多様なニーズをくみ取り、それを労働条件や職場環境に反映するための仕組み」が必要
  • 新しい時代に対応するための視点
    • 「守る」と「支える」の視点
      • 労働基準行政が果たしてきた労働者を「守る」役割
        • 心身の健康の重要性は全ての労働者に共通するものであり、引き続き確保されるべきである。労働条件に関する基準などが、時代に合ったものになっているか見直すことが必要
      • 労働者の多様な選択や、自発的な能力開発と成長を「支える」役割
        • 自らの望むワーク・ライフスタイルや成長・キャリア形成の下で働きたい労働者の希望の実現を支えられるものともなるよう、制度の在り方を見直すことが必要
        • いずれの視点においても、自ら希望する働き方の下で働く人の健康が害されることがないようにすることが必要
    • 働く人の求める多様性尊重の視点
      • 個別・多様化する個人の価値観への対応
        • 個別・多様化する個人の価値観に対応することが可能な労働基準法制としていくことが時代の要請であると考えられる
        • 企業によるパーパス(存在意義)経営やエンゲージメント力の向上を機能させるには、働く側の選択と希望を反映させる「働く人の求める多様性尊重の視点」に立った仕組みを整備することが重要。
      • 働く人の希望が反映される仕組み
        • 経営者が労働者を雇用する以上、経営者が労働者より強い立場にある
        • 労働条件や制度の決定に経営側の都合のみが優先され、働く人の選択や希望が反映されないといったことにならないようにすべき。
    • 新しい時代とこれからの労働基準法制
      • 労働人口の減少や市場環境の不確実性の高まり
      • 感染症の流行など生活に大きな影響を及ぼす環境変化の発生
      • 転職を通してキャリアチェンジを行う人、副業・兼業に就く人が増加
      • 「新しい時代」:企業を取り巻く環境の不確実性が高まる中で働く人の働く意識や働き方への希望は、より一層個別・多様化
      • 労働基準法制における、労働憲章的な規定や基本原則、封建的な労働慣行を排除するための規定等は全ての労働者にとって変わることのない考え方
      • その上で、現在の労働基準法制が時代に合っているのか等を検証し、必要な見直しを行っていくことが求められる
      • これからの労働基準法制の在り方を考えるに当たっては2つの理念が重要であると考えている。
        1. 画一的な制度を一律に当てはめるのではなく、働く人の求める働き方の多様な希望に応えることのできる制度を整備すること
        2. 働く価値観、ライフスタイル、働く上での制約が個別・多様化しているからこそ、全ての働く人が心身の健康を維持しながら幸せに働き続けることのできる社会を目指すということこれからの労働基準法制
  • 新しい時代に即した労働基準法制の方向性
    • 新しい時代に即した労働基準法制の考え方
      • シンプルで実効的な制度
      • 変化する環境下でも変わらない考え方
      • 働く人の選択・希望の反映が可能な制度へ
      • 新しい時代における働く人の守り方
      • 働く人の健康確保
    • 変化する環境下でも変わらない考え方
      • 労働条件は労働者が人たるに値する生活を営むための必要をみたすべきものでなければならない。
      • 労働基準法は、基本原則として、労働条件決定における労使対等の原則、均等待遇などを定めるほか、強制労働の禁止など、封建的遺制を一掃する趣旨の規定が置かれている。
      • これらの考え方や規定は、企業を取り巻く環境が変化したり、働く人の希望が個別・多様化するなかにおいても、変わらない基盤ではないか
    • 働く人の健康確保
      • 働く人が安心して働くことができるためには、何よりも健康の確保が重要である。
      • 働き方や働く場所などが多様化し、健康管理の仕組みが複雑化している中で、個々の労働者のおかれた状況に応じた企業の健康管理の在り方を検討すべきではないか。また、労働者自身も健康保持増進を主体的に行う意識を育てるとともに、自らの健康状態を把握することが求められるのではないか。
      • そうした対応を円滑に進めることができるよう、仕事と生活のバランスを含め、労働者が必要に応じて使用者と十分にコミュニケーションを取れる環境が求められるのではないか。
      • 労働者の心身の健康への影響を防ぐ観点から、勤務時間外における業務上の連絡の在り方などについても検討すべきではないか。
    • 働く人の選択・希望の反映が可能な制度へ
      • これまでと同様の働き方を望む労働者については、引き続き、労働基準行政が強制力のある規制により労働者の権利を守るべきではないか。
      • 例えば、テレワークなどの職場で働くこと自体が前提とならない働き方が普及するなど、法に基づく事業場への臨検監督等が馴染まないケースが増加しており、必要な見直しを行っていくべきではないか。
      • より柔軟な制度適用についての本人の選択を尊重し、労働基準法制がその希望の実現の妨げとならないようにすべきではないか。
      • 多様な働く人の声を吸い上げ、その希望を反映していくための制度の在り方を考えていくことが必要ではないか。
      • 個々の労働者の希望を反映するためには、企業と個々の労働者が必要に応じて個別のコミュニケーションがとれる環境が求められるのではないか。
      • 個々の労働者と使用者との間には情報や交渉力の格差があることから、労働者の希望を集約して使用者とコミュニケーションを図るため、
      • 労働者の希望を労働条件の決定に反映させる集団的な労使コミュニケーションの在り方を検討する必要があるのではないか。
    • 新しい時代における働く人の守り方
      • (量的課題)国際的にみて、労働者数あたりの労働基準監督官の数が少ない。
      • (質的課題)デジタル化の進展、働き方の個別・多様化により、労働基準監督官の対応すべき事案が複雑化している。
      • 働き方や情報技術の変化に応じた監督行政手法のアップデートも必要ではないか
      • 新しい時代に合った効果的・効率的な監督指導体制
        1. 効果的・効率的な監督指導体制の構築
          • 監督指導において、AI・デジタル技術を積極的に活用し、事業者が自主点検を行うなどの対応策を確立することが求められるのではないか。
          • 物理的な場所としての事業場のみに依拠しない監督指導の在り方などについても検討すべきではないか。
        2. 労働市場による監視
          • 法の履行確保の手法については、時代の変化に対応して強化・再構築することが必要ではないか。
          • コンサルティングなどの手法にも重点を置き、企業全体の法制度への理解や遵守意識を向上させ、法違反の未然防止を図っていくことも必要ではないか。
          • 企業に労働条件、職場環境などに関する情報の開示を積極的に求めるなど、市場メカニズムを活用する方法も検討すべきではないか。
  • 企業に期待すること企業による健康確保に加え、働く人にも期待すること
    • 企業に期待すること
      • 働く人は、価値創造の担い手であり、全ての働く人が働きがいを持って働くことが求められる。
      • 全ての働く人が「働きがい」を持って働くことができるよう、労働条件の改善、能力向上機会の確保、主体的なキャリア形成に対する支援などに取り組むことが求められる一方、必ずしも、自発的に能力を高め、発揮できる者ばかりではなく、企業による一定のサポートを必要とする者は少なくない。
      • 企業がパーパスを明確にし社内に浸透させた上で、エンゲージメントを高め、社内外の人的つながりを構築するための人事施策を取り入れることも有効ではないか。また、パーパスだけでなく、企業が自らのビジネスの将来像や、それに適した人材像を可視化し、働く人と共有していくことで、働く人が自らのキャリアを形成していく上で、企業の求める方向性と合致した能力を高めていく選択が容易になるのではないか。
    • 企業による健康確保に加え、働く人にも期待すること
      • 働く人が自由で豊かな発想やそれぞれの創造性・専門性をもって働き、キャリアを形成することを可能とする環境を整備することが求められるのではないか。
      • 働く人は、労働基準法制を正しく理解し、様々な場面で活用できるようになることが必要不可欠であり、働く人が、企業、社会、国などによる教育や周知啓発などを通して法制度について知る機会をもつことが重要ではないか。
      • テレワークなどの直接管理される度合いが小さい働き方が拡大しており、自己実現、心身の健康維持のためにも企業の支援を受けながら、自己管理能力(セルフマネジメント力)を高めることが求められるのではないか。
      • 企業のパーパスや、ビジネスの将来像、それに適した人材像などについて、企業と働く人の価値観の共有が起きれば、働く人がより効果的・効率的に自らの価値を高めることも可能。
      • 自分らしい働き方の実現のためにも、働く人の側からも企業のパーパスや、ビジネスの将来像、それに適した人材像を理解し、その上で主体的なキャリア形成をおこなっていく営みが重要。

~NEW~
厚生労働省 労災年金にかかる不適切な事務処理について
  • 徳島労働局鳴門労働基準監督署において、労災保険の遺族補償年金の支給に際し、不適切な事務処理を行ったことにより、誤った個人番号を登録する事案が発生していたことが確認されましたので、その概要等をお知らせします。
  • 今回の事態を重く受け止め、労災保険の給付事務の適切な取扱いを徹底し、再発防止に努めてまいります。
  • 事案の概要
    • 労災保険制度においては、労災年金の支給事務において、個人番号を利用し、厚生年金等との併給調整等を行っています。
    • 徳島労働局鳴門労働基準監督署(以下「鳴門署」といいます。)において、被災者遺族であるA様に対して、誤って、別の御遺族であるB様の個人番号が登録されていました。
    • このため、
      • A様のマイナポータルにおいて、労災保険の給付情報が表示されない
      • B様のマイナポータルにおいて、B様の労災保険の給付情報だけでなくA様の給付情報も表示される
        といった状態が生じていました。
    • なお、マイナポータルで確認できる給付情報には個人が特定できる情報は含まれておらず、また、給付額や振込先口座に誤りは発生しておりません。
    • 鳴門署ではマイナポータル表示上の不具合を既に是正しており、A様とB様に本事案について説明した上で、謝罪を行いました。
  • 事案の経緯と発生原因等
    • 経緯
      • 平成30年4月~5月:鳴門署において、A様とB様の遺族補償年金の支給決定。
      • B様の個人番号をシステム登録する際に、請求書原本を取り違えたことで、B様の登録情報に誤ってA様の個人番号を登録。
      • 鳴門署の担当者が、まもなく当該誤りに気づき、B様の個人番号を修正入力しようとしたが、労働基準行政システム機械処理手引(以下「機械処理手引」といいます。)に基づかない手順で行った結果、正しく登録されていたA様の個人番号がB様の個人番号にシステム内で自動変換され、結果として、B様の個人番号にA様及びB様両名の労災保険の登録情報が紐付いた状態になった。
      • 令和元年11月:労災年金制度では、厚生年金等との併給調整の要否等の確認を行うため、労災年金支払期(2ヶ月に1回)ごとに、日本年金機構から厚生年金等の受給情報を取得し「厚年等情報突合結果表」を出力している。この事務処理の過程において、鳴門署は不一致を認識し、日本年金機構に当該情報を確認したところ、A様に対する支給額には影響がないことが確認できたことから、入力情報の修正を怠っていた。
      • 令和4年9月:徳島労働局の労災補償監察において、鳴門署の個人番号紐付け誤り及び厚生年金等受給情報との「不一致」について指摘があったものの、修正を怠っていた。
      • 令和5年7月:本省労働基準局から各労働局に対して「マイナンバー取得に係る事務処理の実態調査」を依頼したところ、当該誤りについて徳島労働局より厚生労働省本省へ報告するとともに、マイナポータル表示上の不具合は速やかに是正。
    • 発生原因等
      • 労災保険給付個人番号利用事務処理手引(以下「事務処理手引」といいます。)に定める、個人番号のシステム登録時に基本4情報(氏名、生年月日、性別、住所)の照合作業を怠ったこと。
      • 個人番号登録誤りに気づき、個人番号の変更処理を行う際、機械処理手引に基づく事務処理(登録情報をいったん取り消した上で、改めて登録し紐付けをし直す処理)を行わなかったこと。
      • 厚生年金等受給情報との突合にて「不一致」の表示がなされていたところ、その原因の確認及びその後の対応を怠ったこと。
  • 今後の対応
    • 改めて、事務処理手引及び機械処理手引に基づく処理の徹底を指示する。
    • 紐付け誤りの生じた鳴門署については、秋までに、全件基本4情報によるJ-LISとの照合を実施するとともに、それ以外の監督署においても「厚年等情報突合結果表」で不一致が確認された事案について、同様の対応を秋までに実施する。

~NEW~
厚生労働省 「第六次薬物乱用防止五か年戦略」を策定しました
▼発表資料
  • 厚生労働省は、本日、関係閣僚で構成される薬物乱用対策推進会議で、「第六次薬物乱用防止五か年戦略」を策定しました。
  • 今後は、「第六次薬物乱用防止五か年戦略」に基づいて、政府一丸となった総合的な薬物乱用防止対策を実施していきます。
  • 平成30年8月に決定した「第五次薬物乱用防止五か年戦略」から強化・新設した「第六次薬物乱用防止五か年戦略」の主な重要項目は以下のとおりです。
    • 戦略策定上の重要項目
      • 大麻乱用期への総合的な対策の強化
        • デジタルツール等を用いた効果的な啓発活動の強化
        • 大麻乱用者に特化した再乱用防止の取組の強化
        • 大麻事犯に対する取締りの徹底による大麻乱用期の早期沈静化
      • 再乱用防止対策における関係機関と連携した“息の長い支援”強化
        • 薬物依存症患者としての回復支援強化
        • 薬物依存症の治療等を含めた再乱用防止と社会復帰支援策の充実
      • サイバー空間を利用した薬物密売の取締りの強化
        • 秘匿性の高いメッセージアプリや暗号資産を用い巧妙化する犯罪手口への対応強化
        • 「闇バイト」を利用した薬物犯罪への取締り強化
      • 国際的な人の往来増加への対応強化
        • 水際における薬物取締体制の拡充
        • 訪日外国人、海外渡航者への注意喚起の推進
      • 薬物乱用政策についての国際社会との連携・協力強化と積極的な発信
        • 仕出国、中継国となっている国・地域の捜査機関との国際的な連携強化
        • 予防政策を含む、世界的に誇る我が国の薬物政策の理解獲得の強化
  • あわせて、「第五次薬物乱用防止五か年戦略」のフォローアップについても取りまとめました
▼令和5年8月8日取りまとめ PDFフォローアップ概要
  • 令和4年の薬物情勢
    • 薬物事犯の検挙人員(医薬品医療機器等法違反を除く)は12,621人(-1,787人/-12.4%)と前年より減少した。このうち、覚醒剤事犯の検挙人員は6,289人(-1,681人/-21.1%)と7年連続で減少し、4年連続で1万人を下回っている。また、大麻事犯の検挙人員については5,546人(-237人/-4.09%)と前年より減少したが、依然として高い水準である。
    • 覚醒剤の押収量は475.3kg(-523.4kg/-52.4%)と前年より減少した。大麻の押収量のうち、乾燥大麻の押収量は330.7kg(-46.5kg/-12.3%)と前年より減少した。大麻リキッドに代表される大麻濃縮物の押収量は90.0kgであった。
    • 一方、コカインの押収量は42.8kg(+27.7kg/+183.4%)、MDMA等錠剤型合成麻薬の押収量は95,614錠(+14,991錠/+18.6%)と前年より増加した。
    • 薬物密輸入事犯の検挙件数は348件(+62件/+21.7%)、検挙人員は443人(+76人/+20.7%)と前年より検挙件数、人員がともに増加した。
    • 30歳未満の検挙人員は、覚醒剤事犯、大麻事犯ともに前年より減少したが、依然として高い水準にあ り、大麻事犯全体に占める30歳未満の検挙人員の割合は69.2%(+1.2P)と過去最高を更新した。
    • 覚醒剤事犯の再犯者率は67.7%(+0.8P)と再び上昇に転じ、依然として高い水準である。
    • 危険ドラッグ事犯の検挙人員は312人(+148人/+90.2%)と前年より増加した。
  • 目標1 青少年を中心とした広報・啓発を通じた国民全体の規範意識の向上による薬物乱用未然防止
    • 薬物の専門知識を有する各関係機関の職員等が連携し、学校等において薬物乱用防止教室を実施したほか、各種啓発資料の作成・配付を行った。〔文科・警察・法務・財務・厚労〕
    • 大麻の乱用拡大が進む若年層に対し、薬物乱用の危険性・有害性に関する正しい知識を普及するため、社員研修等を通じた薬物乱用防止講習や児童・保護者等を対象としたインターネットの安全な利用に係る普及啓発を目的とする出前講座の実施、有職・無職少年を対象とした薬物乱用防止読本の作成・配布、政府広報としてのインターネット広告やテレビ番組等による情報発信、関係省庁のウェブサイトやSNSへの広報啓発資料・動画の掲載といった広報啓発活動を実施した。〔内閣府・警察・総務・文科・厚労〕
    • 各種運動、薬物乱用防止に関する講演、街頭キャンペーン等、地域住民を対象とした広報啓発活動を実施するとともに、ウェブサイトやリーフレット等の啓発資材に相談窓口を掲載し、広く周知した。〔内閣府・警察・消費者・法務・財務・文科・厚労〕
    • 海外渡航者が安易に大麻に手を出したり、「運び屋」として利用されたりすることのないよう、法規制や有害性を訴えるポスター等の活用を図ったほか、ウェブサイトやSNS等で注意喚起を実施した。〔警察・外務・財務・厚労〕
  • 目標2 薬物乱用者に対する適切な治療と効果的な社会復帰支援による再乱用防止
    • 「依存症対策地域支援事業」の実施により、依存症専門医療機関及び依存症治療拠点機関の選定を推進するとともに、「依存症対策全国拠点機関設置運営事業」により医療従事者の依存症治療に対する専門的な能力の向上と地域における相談・治療等の指導者となる人材の養成を実施した。〔厚労〕
    • 薬物事犯により検挙され、保護観察処分が付かない執行猶予判決を受けた者等、相談の機会が必要と認められる薬物乱用者に対して、再乱用防止プログラムの実施を強化するとともに、パンフレットを配布して全国の精神保健福祉センターや家族会等を紹介するなど相談窓口の周知を徹底した。〔厚労・警察〕
    • 薬物事犯者の処遇プログラムを担当する職員への研修等の実施により、職員の専門性向上を図るとともに、関係機関が連携し、薬物処遇と社会復帰支援を一体的に実施した。〔法務・厚労〕
    • 保健所、精神保健福祉センター、民間支援団体等と連携しての家族会等の実施や、再非行に走る可能性のある少年やその保護者に対し、積極的に指導・助言等の支援活動を行った。〔法務・厚労・警察〕
  • 目標3 薬物密売組織の壊滅、末端乱用者に対する取締りの徹底及び多様化する乱用薬物等に対する迅速な対応による薬物の流通阻止
    • 各種捜査手法の効果的な活用に努め、薬物密売組織の中枢に位置する者に焦点を当てた取締りを推進し、令和4年中、首領・幹部を含む暴力団構成員等2,932人を検挙した。〔警察・法務・財務・厚労・海保〕
    • 令和4年中、麻薬特例法第11条等に基づく薬物犯罪収益等の没収規定を56人に、同法第13条に基づく薬物犯罪収益等の追徴規定を222人にそれぞれ適用し、没収・追徴額の合計は約8億6,665万円に上った。〔法務〕
    • 迅速な鑑定体制を構築し、未規制物質や新たな形態の規制薬物の鑑定に対応するため、資機材の整備を行うとともに、薬物分析手法にかかる研究・開発を推進し、会議等を通じ関係省庁間で情報を共有した。〔警察・財務・厚労・海保〕
    • 近年の若年層を中心とした大麻事犯の増加等の国内における薬物情勢、諸外国における大麻から製造された医薬品の医療用途への活用、大麻抽出成分の活用等の国際的な動向を踏まえ、厚生労働省において「大麻規制検討小委員会」を設置し、とりまとめにおいて、大麻の使用の禁止、大麻の部位の規制から成分に着目した規制の導入等、大麻取締法等改正に向けた方向性が示された。〔厚労〕
  • 目標4 水際対策の徹底による薬物の密輸入阻止
    • 関係機関間において緊密な連携を取り、捜査・調査手法を共有した結果、統一的な戦略の下に効果的、効率的な取締りが実施され、令和4年中、水際において、約1,147kgの不正薬物の密輸を阻止した。〔警察・財務・厚労・海保〕
    • 麻薬等の原料物質に係る輸出入の動向及び使用実態を把握するため、国連麻薬統制委員会(INCB)と情報交換を行うとともに、関係機関と連携し、麻薬等の原料物質取扱業者に対し、管理及び流通状況等にかかる合同立入検査等を実施した。〔厚労・経産・海保〕
    • 訪日外国人の規制薬物持ち込み防止のため、関係省庁のウェブサイト等での情報発信に加え、民間団体等に対して広報協力の働きかけを行うとともに、国際会議や在外関係機関を通じて広報・啓発を実施した。〔財務・警察・厚労・法務・外務・海保〕
  • 目標5 国際社会の一員としての国際連携・協力を通じた薬物乱用防止
    • 国際捜査共助等を活用し、国際捜査協力を推進するとともに、国際的な共同オペレーションを進めた結果、薬物密輸入事案を摘発した。〔法務、警察、財務、厚労、海保〕
    • 第65会期国連麻薬委員会(CND)再開会期会合及び同第66会期通常会合、アジア太平洋薬物取締機関長会議(HONLAP)、グローバルSMARTプログラム・ワークショップ等に出席し、参加各国における薬物取締状況や薬物の密輸動向及び取締対策等に関する情報を入手するとともに、国際機関や諸外国関係者等と積極的な意見交換を行い、我が国の立場や取組について情報共有を図った。〔警察・外務・財務・厚労・海保〕
  • 当面の主な課題
    • 令和4年の我が国の薬物情勢は、大麻事犯の検挙人員が過去最多を記録した前年に続く高い水準にあり、「大麻乱用期」の渦中にあると言え、特に若年層における乱用の拡大に歯止めがきかない状況にある。一方で、一部の国において大麻の医療用途や嗜好品としての解禁等の国際的な動向も注目すべき状況にあり、厚生労働省では、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会の下に「大麻規制検討小委員会」を設置し、とりまとめにおいて示された基本的な方向性を踏まえ、制度改正に向けた検討を進めている。
    • また、我が国で乱用される規制薬物の大半は海外から密輸されたものと考えられており、今後も貨物に隠匿して密輸入しようとする事犯や海外からの入国者が規制薬物を持ち込もうとする事犯等が懸念されることから、国内外の関係機関が連携を強化し、コントロールド・デリバリー捜査の活用等による密輸組織の解明や海外渡航者・訪日外国人への注意喚起等を通じて、徹底した水際対策を実施する必要がある。さらに、覚醒剤事犯の再犯者率は、依然として高い水準で推移していることから、関係省庁との連携を強化し、薬物乱用者に対する適切な治療・処遇と効果的な社会復帰支援をこれまで以上に推進する必要がある。
    • なお、令和5年のフォローアップをもって第五次薬物乱用防止五か年戦略は満了することになるが、我が国の薬物情勢は上記のような課題を抱えていることから、第五次五か年戦略を引継ぎ、新たな課題に対処するためにも第六次薬物乱用防止五か年戦略を本年策定し、薬物乱用のない社会を目指して引き続き政府一丸となって薬物乱用防止対策に取り組んでまいる。

~NEW~
厚生労働省 働き方改革PR動画「はたらきかたススメ」シリーズ第3弾を公開
  • 俳優・小芝風花さんを起用し、建設業で働く方やドライバーへの時間外労働の上限規制の適用に向けて制作
    • 厚生労働省は、このたび、俳優の小芝風花さんを起用した働き方改革PR動画シリーズ「はたらきかたススメ」の第3弾を公開しました。
    • この動画シリーズは、2024年4月から開始する建設業で働く方やドライバーへの時間外労働の上限規制の適用に向けて制作したものです。今回公開した第3弾では、バス運転士の働き方改革を進めるにあたって、発注者の方々をはじめ、皆さまに知っていただきたいことを取り上げています。
    • 今後は、9月に「建設業編」を公開する予定です。動画シリーズを通して、建設業、運輸業が抱える課題や、これらの産業での働き方改革の実現に向けて、国民の皆さまにご協力いただきたい内容を伝えていきます。
    • 厚生労働省では、今後も、働く方が働きやすい環境で、健康に働き続けられるよう、働き方改革を推進してまいります。
  • 動画掲載先
    ▼はたらきかたススメ特設サイト
    ▼厚生労働省YouTube(3分59秒)

~NEW~
厚生労働省 労働者派遣法違反に係る告発について
  • 愛媛労働局は、令和5年5月29日、下記の者を労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下「労働者派遣法」)という。)違反の疑いで、刑事訴訟法第239条第2項の規定に基づき、愛媛県伯方警察署に告発した。なお、告発後、捜査への影響を考慮し公表を差し控えていたが、本日公表するものである。
  • 告発の事実
    • 被告発人は、本店を上記所在地に置き、令和3年5月17日から令和4年8月25日までの間、労働者派遣法第5条第1項に規定する厚生労働大臣の許可を受けることなく、自己の雇用する労働者2名(448人日)をA株式会社に派遣し、その指揮命令の下で労働に従事させる労働者派遣事業を行った疑いがある。
  • 事案発覚の端緒等
    • 令和4年8月22日、今治市吉海町本庄の造船所において、被告発人が雇用しA株式会社に派遣された作業員Bが、解体中の足場から転落して死亡する災害が発生したものである。

~NEW~
経済産業省 「経済安全保障」を切り口とした産業政策の検討体制を強化します
  • 不安定化する世界情勢の中で、各国において「経済安全保障」という概念が注目され、各種施策に活用しようとする動きが広がっています。経済産業省としても、有志国・地域との連携や産業界との対話を重視しながら、「経済安全保障」を切り口とした全省的な取組を強化してまいります。
    • 昨年5月、我が国は世界に先駆け、平和と安全、経済的な繁栄等の国益を経済上の措置を通じて確保することを目的とした経済安全保障法を成立させ、自律性の向上、技術等に関する優位性・不可欠性の確保等に向けた諸施策を講じています。
    • 昨今、諸外国においても、「経済安全保障」の名の下で、現下の地政学的な変化、破壊的な技術革新に対応する各種施策を展開しています(たとえば、本年6月には、EUが「経済安全保障戦略」を打ち出しました)。
    • 経済産業省としては、大臣官房経済安全保障室を中心とした省内体制を構築し、世界的な動きを踏まえつつ、有志国・地域との連携や産業界との対話を重視しながら、「経済安全保障」を切り口とした取組を強化してまいります。
    • 具体的な取組の内容については、今後、随時発信してまいります。

~NEW~
経済産業省 「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方」を取りまとめました
▼「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方」概要
  • 生成AIの技術は、ビジネス機会の創出や様々な社会課題の解決などに資することが期待されている。
  • 生成AIの利用を通じた更なるDXの推進に向けて、本年6月から「デジタル時代の人材政策に関する検討会」において、生成AIを
  • 適切かつ積極的に利用する人材・スキルの在り方について集中的に議論し、現時点で採るべき対応を「アジャイル」に取りまとめた。
  • なお、生成AIやその利用技術は絶え間なく進展しているため、人材・スキルに与える影響について、今後とも議論を続ける。
    1. 生成AIがもたらすインパクト
      • 生成AIは、使いやすさにより年代を問わず広まり、専門業務の代行にも寄与
      • ホワイトカラーの業務を中心に、生産性や付加価値の向上等に寄与、大きなビジネス機会を引き出す可能性
      • 企業視点では、生成AI利用によるDX推進の後押しを期待、そのためには経営者のコミットメント、社内体制整備、社内教育の他、顧客価値の差別化を図るデザインスキル等が必要
    2. 人材育成やスキルに及ぼす影響
      • 人材育成と技術変化のスピードのミスマッチに留意し、環境変化をいとわず、主体的に学び続ける必要
      • 生成AIを適切に使うスキル(指示の習熟)とともに、従来のスキル(批判的考察力等)も重要
      • 自動化で作業が大幅に削減され、専門人材も含めて人の役割がより創造性の高いものに変わり、人間ならではのクリエイティブなスキル(起業家精神等)やビジネス・デザインスキル等が重要に
      • 生成AIの利用によって社会人が業務を通じて経験を蓄積する機会の減少を認識する必要
    3. 生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキル(リテラシーレベル)の考え方
      • マインド・スタンス(変化をいとわず学び続ける)やデジタルリテラシー(倫理、知識の体系的理解等)
      • 言語を使って対話する以上は必要となる、指示(プロンプト)の習熟、言語化の能力、対話力等
      • 経験を通じて培われる、「問いを立てる力」「仮説を立てる力・検証する力」等
    4. 生成AIをDX推進に利用するために
      • 部分的な業務効率化のみならず、全社的なビジネスプロセス・組織の変革、製品・サービス・ビジネスモデル変革に繋げることが重要
      • まずは適切に使い、生成AIのリテラシーを有する人材を増やすフェーズ、そのための経営層の理解や社内体制等が重要
      • 企業価値向上に繋げるため、生成AIの利用スキル等を社員が身につけるための社内教育、担い手確保に取り組む大きな機会
    5. 経済産業省における政策対応
      • 「デジタルスキル標準(DSS)」の見直し
      • 「マナビDX」への生成AI利用講座の掲載
      • 「ITパスポート試験」のシラバス改訂やサンプル問題の公開 等
    6. 中長期的な検討課題
      • 専門的なレベルでの人材育成やスキルへの影響の継続検討
      • 「デジタルスキル標準」の更なる見直し検討
      • 「情報処理技術者試験」の出題内容等の見直し検討

~NEW~
経済産業省 関西電力株式会社、中国電力株式会社、九州電力株式会社及び九電みらいエナジー株式会社から改善計画を受領しました
  • 経済産業省は、電力・ガス取引監視等委員会からの勧告を踏まえ、電力の適正な取引の確保を図る観点から、本年7月14日付けで、関西電力株式会社、中部電力ミライズ株式会社、中国電力株式会社、九州電力株式会社及び九電みらいエナジー株式会社に対して、電気事業法(昭和39年法律第170号)第2条の17第1項の規定に基づく業務改善命令を行い、本年8月10日までに改善計画を書面で報告すること等を求めました。
  • このうち、関西電力株式会社、中国電力株式会社、九州電力株式会社及び九電みらいエナジー株式会社が当該命令を受けて策定した改善計画が、本日、経済産業大臣に提出されたため、これを受領いたしました。
  • 今後、同社の改善計画等の内容の精査を進めるとともに、改善計画の実施状況について、当省からのフォローアップにも誠実に対応することを求めてまいります。
▼改善計画(関西電力株式会社)
  1. 社内規程等の整備(独占禁止法遵守のための仕組み整備)
    • 当社においては、2021年3月26日に新たな経営理念を定めると同時に、関西電力グループ行動憲章を制定しました。関西電力グループ行動憲章は、新たな経営理念のもと、役員及び従業員が、具体的にどのように行動すべきかを示したもので、すべての社内規程等の前提として、事業活動における判断の拠り所となるものです。この行動憲章の「1.コンプライアンスの実践・徹底」及び「2.公正な事業活動」において、法令等遵守や公正かつ自由な競争ならびに適正な取引を行うことを定めています。
    • しかしながら、独占禁止法遵守に関する直接の社内規程や違反防止のための仕組みを定めていませんでした。
    • そこで、本事案の再発防止の観点からは、まず、独占禁止法遵守や電力自由化後の市場の変化に伴う意識改革を徹底するとともに、不当な取引制限を確実に未然に防止するための、旧一般電気事業者(以下、「旧一電」という。)を含む競合他社との接触を規制する規程等を定めて、同規程等の遵守を徹底いたしました。そして、同規程等においては、独占禁止法遵守の意識を根付かせるとともに、旧一電を含む競合他社との接触行為によるリスクを認識させ、接触行為に対して牽制が働くようにする必要があり、また、違反のおそれのある行為をした役員及び社員が不正行為を自己申告しやすい仕組みを導入することで問題の早期発見、速やかな是正に繋げられるようにします。
      1. 「独占禁止法遵守に関する規程」及び「独占禁止法遵守に関する規程取扱通達」の制定・施行等
      2. 「独占禁止法遵守に関する規程」等の運用状況等に関するモニタリングの実施
      3. 社内リニエンシー制度の整備
        • 当社は、従前、独占禁止法違反行為に係る調査に協力した者に対する懲戒処分等の減免規程等(いわゆる社内リニエンシー制度)を設けていませんでしたが、2023年5月16日、独占禁止法違反となる事案が生じてしまった場合又は違反の可能性のある事案が生じた場合について、早期に発見し、速やかな是正を図ることを目的として、「独占禁止法遵守に関する規程」に必要な条項を追加し、社内リニエンシー制度を導入しました。役員及び社員に対して、メール配信や社内ポータルサイトへの掲載等を通じて内部通報制度と併せて周知徹底の上、運用を開始しています。
      4. 「独占禁止法遵守に関する規程」のグループ会社への展開
  2. 教育・研修等の充実(独占禁止法の理解促進とコンプライアンスを当然に事業活動の前提とする意識の再徹底)
    • 当社は、従前より営業部門に対する独占禁止法研修を実施してきましたが、本事案に関わった役員をはじめとする多数の役員及び社員において、独占禁止法の正確な知識・理解を欠いており、法務部門や外部専門家への相談、内部通報に繋げる素地が整っていませんでした。また、自由化後も原子力その他の分野において旧一電との協力が求められる業務を行い、当社のエネルギー事業を担当するエネルギー・環境企画部門(以下、「企画部門」という。)の活動においては独占禁止法の違反リスクはない、もしくは、低いといった誤った認識が存在していました。とりわけ、本事案は、経営トップ層における競争政策、その中でも独占禁止法の正確な知識・理解の不足や誤った独占禁止法違反に対するリスク認識が存在していました。このようなことから、まずは実効性を高めた独占禁止法研修を実施していくことが必要だと考えています。
    • また、当社は、金品受取り問題以降、当社は、業務改善計画に従い、コンプライアンスの徹底のための意識改革や研修、組織風土改革に取り組んできました。そのような中で、本事案が生じたことを踏まえると、役員及び社員に対して独占禁止法の知識付与や遵守意識の醸成に直ちに取り組むのは当然のことながら、今一度、「業績や事業活動をコンプライアンスに優先させてはならない」ことの徹底や、コンプライアンス意識の気づきを促す研修の実施を通じて、全役員・全従業員が、職位や所属の垣根を越えて自身の思いや気付きを率直に語り合えるような組織風土に改めていかなければならないと考えています。
      • コンプライアンス研修の充実
        • コンプライアンスを当然に事業活動の前提とするための意識改革や研修、組織風土改革に取り組んでいますが、今一度、他人任せ、上意下達の組織風土の改革に主眼を置いたコンプライアンス研修を実施します。
      • 独占禁止法に関する研修の実施
  3. 予防機能の強化(独占禁止法違反防止のための支援体制の強化)
    • 法務部門や弁護士等外部専門家への法律相談や、内部通報の仕組みは存在し、一定程度機能していたものの、本事案に関わった経営トップ層をはじめとする役員及び社員からの事前の法律相談や内部通報が行われたことはなく、その結果、独占禁止法違反行為の発生を予防したり、事案を早期に認知したりできませんでした。そこで、これらの仕組みがより一層機能するように、法律相談体制や内部通報制度についての活用周知徹底や、経営トップ層の意思決定過程における法務的観点からのチェック体制の整備が必要であると考えています。
      • 法律相談の活用周知・相談体制の充実
      • 内部通報制度の活用周知と強化・充実
        • 2021年9月以降に実施した独占禁止法に関する各種研修において、都度、役員及び社員に対し、内部通報制度(社内のコンプライアンス相談窓口及び社外の専門弁護士)について周知し、活用を慫慂しています。また、2023年5月に「独占禁止法遵守に関する規程」に社内リニエンシー制度を規定した際にも、同制度を役員及び社員に周知しています。今後も継続的に、役員及び社員への研修その他の機会を通じて周知・活用慫慂等を実施します。今後、さらに通報しやすい環境づくりを進めるとともに、より的確な対応が可能となるよう、内部通報制度の一層の強化・充実を行います。
      • 法務担当者による重要会議のモニタリング
        • 執行役会議など一部の重要な会議については、法務的観点から内容をチェックする仕組みは既にありますが、それらに加えて、独占禁止法遵守の観点から、競争に関連する重要な経営方針が取り扱われる会議を選定した上で、当該会議で話し合われた事項について、法務的観点からチェックできる体制を導入します。
        • 具体的には、法務部門担当者が、選定した会議に関する資料や議事録を確認することにより、独占禁止法上問題となり得る方針となっていないかをチェックします。更に、一部会議については、会議を傍聴することで、リスクのある動きをタイムリーに察知できる仕組みとします。この重要会議のモニタリングについては、2023年8月に開始しています。
  4. 監視機能の強化(チェック機能強化)
    • 本事案を防止できなかった原因として、経営トップ層の活動に対するチェック機能の不足・不全が挙げられます。とりわけ監査の実効性について考えますと、当社は、2014年にグループ会社における送電線工事発注に関するカルテル事案において、発注者としての行動に独占禁止法違反を誘発する事象があったことから、これを防止するよう公正取引委員会から要請を受けています。このような経験があるにもかかわらず、要請当初はともかく、その後、不当な取引制限を含む独占禁止法違反を防止するためのチェックを継続的に十分に行ってきたとはいえません。
    • そこで、独占禁止法違反を防止するための実効性がある監視を行うために、既に着手、実施しているものも含め、新たな仕組みづくりや重点的なチェックの実施、さらにはチェック側の視点の高度化等に速やかに取り組みます。
      • 外部弁護士による調査の実施
      • 独占禁止法にかかる内部監査の実施
      • 第三者による定期的な監査の実施
      • 監査委員会による重点的な監査の実施等
  5. 内部統制の強化
    • 新設したコンプライアンス推進本部による強化
    • 内部監査の強化
  6. 組織風土の改革
    • 組織風土改革を断行するため、2023年7月、社長を議長とする「組織風土改革会議」を新設しました。全役員・全従業員が、職位や所属の垣根を越えて自身の思いや気付きを率直に語り合えるような組織風土を創り上げるとともに、一連の改革を統括し、推進します。したがって、同会議においては、新電力顧客情報の不適切閲覧や独占禁止法違反に係る再発防止策に関わる取組みに留まらず、広く組織風土改革に向けた以下を含む具体的方策の検討・推進及び実施状況の確認を行います。
      • 組織風土改革に向けたトップメッセージを発信します。
      • 各種対話活動を通じて拾い上げた従業員の声を一元的に把握・分析し、課題解決に向けた部門横断的な取組みを推進します。
      • 各職場の実態を把握した上で、様々な環境変化とリスクに確実に対応するため、要員配置のあり方や業務運営方法の見直しを検討・推進します。
  7. 外部人材を活用した取組みの実施状況及び実効性の検証
    • 取締役会の関与強化
    • 監査委員会の関与強化
    • コンプライアンス委員会による助言・指導

~NEW~
経済産業省 東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水の取扱いに関する韓国政府向けテレビ会議説明会を開催しました
  • 8月16日、東京電力福島第一原子力発電所(東電福島第一原発)のALPS処理水の取扱いに関する韓国政府向け説明会をテレビ会議形式で開催しました。日本側から、外務省、経済産業省資源エネルギー庁、原子力規制庁及び東京電力が、また、韓国側から、外交部及び原子力安全委員会等が参加しました。
  • 説明会では、7月25日及び8月7日の説明会におけるやり取りを踏まえ、技術的な事項に関して、日本側から関連の補足説明や追加的な情報提供などを行い、出席者との間で質疑応答を行いました。
  • 日本としては、今後も関係省庁等が一体となって、ALPS処理水の安全性や東電福島第一原発の状況についての情報を国際社会に対して透明性をもって丁寧に説明していきます。
  • ALPS処理水
    • ALPS(多核種除去設備(Advanced Liquid Processing System))等により、トリチウム以外の放射性物質について安全に関する規制基準値を確実に下回るまで浄化した水。さらにALPS処理水は、その後十分に希釈され、トリチウムを含む全ての放射性物質について安全に関する規制基準値を大幅に下回るレベルにした上で、海洋放出されることが想定されている。

~NEW~
国土交通省 今後のマンション政策の方向性をとりまとめました!!~「今後のマンション政策のあり方に関する検討会」とりまとめの公表~
  • 国土交通省では、我が国で進行するマンションと居住者の両方における高齢化に対応していくため、令和4年10月より「今後のマンション政策のあり方に関する検討会」を開催し、これまで9回の議論を重ねてきました。
  • 今般、現時点で考えられる政策の方向性をマンション政策全般に係る大綱としてとりまとめました。今後、本とりまとめに位置づけられた施策の具体化に向けた検討を進めてまいります。
  • とりまとめのポイント
    • マンションを巡る現状を把握し、課題を洗い出したうえで、「マンションの長寿命化の推進」、「修繕積立金の安定的な確保」、「管理不全マンションへの対応」、「管理組合役員の担い手不足への対応」、「円滑な建替え事業等に向けた環境整備」、「多様なニーズに対応した事業手法のあり方」など管理・修繕、再生に係る幅広いテーマについて検討を行い、現時点で考えられる政策の方向性をマンション政策全般に係る大綱としてとりまとめました。
    • とりまとめに示した「今後の施策の方向性」のうち、次の事項については、本年秋頃を目途にワーキンググループを設置し、施策の具体化に向けた検討を開始します。
      • マンション管理計画認定制度の認定基準の見直しに関する検討(「修繕積立金の安定的な確保」等)
      • マンション標準管理規約の見直しに関する検討(「管理不全マンションへの対応」等)
      • 管理業者が管理者となる場合も含めた外部専門家の活用のあり方に関する検討(「管理組合役員の担い手不足への対応」等)
  • 管理組合等において管理適正化や再生円滑化に向けた議論を促していく観点から、検討会で取り上げた課題や議論の経過、とりまとめの内容について、広く周知します。
  • とりまとめ本文及び参考資料、これまでの会議概要は以下のURLからご覧ください。
    https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000214.html

~NEW~
国土交通省 令和5年梅雨前線豪雨等により被災した河川・道路等の迅速な復旧を支援~設計図書の簡素化や書面査定の上限額引き上げにより、災害査定を効率化します~
  • 令和5年梅雨前線豪雨等により多くの公共土木施設が被災しています。このため、災害復旧事業の災害査定について、被害件数が多い地方公共団体において、設計図書の簡素化や被災現場に赴かずに書面により査定を行う対象の拡大により、災害査定の事務手続きの効率化・迅速化を図ります。
  • 対象区域
    • 鹿児島県 (対象区域は、7月27日現在の被害報告によるものであり、上記以外の区域においては必要に応じ個別に対応する。)
  • 災害査定の効率化
    1. 設計図書の簡素化により早期の災害査定を実施
      • 既存地図や航空写真、代表断面図を活用することで、測量・作図作業等を縮減する。
      • 土砂崩落等により被災箇所へ近寄れない現場に対し、航空写真等を用いることで、調査に要する時間を縮減する。
      • (水管理・国土保全局所管施設) 鹿児島県
    2. 書面による査定の上限額引き上げにより査定に要する時間や人員を大幅に縮減
      • 書面による査定の上限額を通常の1,000万円未満から以下のとおり引き上げる。
      • (水管理・国土保全局所管施設) 鹿児島県:2,000万円以下

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