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危機管理トピックス

SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等(警察庁)/職場のハラスメントに関する実態調査(厚労省)/デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方(総務省)

2024.05.20
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更新日:2024年5月20日 新着23記事

危機管理トピックス

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
  • 金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」(第2回)議事次第
警察庁
  • 令和6年1月~3月におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について
  • 令和6年3月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
消費者庁
  • 預託等取引業者【エスアイヘリシス株式会社】に対する措置命令について
  • 「AI利活用ハンドブック~生成AI編~」
国民生活センター
  • 国民生活
  • 楽しい話や安売り目当てに通ったら…高額な商品を買うはめに
  • 20歳代が狙われている!?遠隔操作アプリを悪用して借金をさせる副業や投資の勧誘に注意
厚生労働省
  • 「女性活躍に関する調査」の報告書を公表します
  • 「職場のハラスメントに関する実態調査」の報告書を公表します
  • 第10回雇用政策研究会資料
  • 令和4年度喫煙環境に関する実態調査の概況
総務省
  • 民間事業者におけるマイナンバーカードの利活用ーエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社による公的個人認証サービスの利用ー
  • 不適正利用対策に関するワーキンググループ(第4回)
  • デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会(第19回)配付資料 ※ワーキンググループ(第19回)合同開催
  • デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方 に関する検討会 ワーキンググループ(第20回)配付資料
国土交通省
  • 「インフラ経営の実践によるストック効果の分析のためのガイダンス」を策定
  • 全国の建設業許可業者数は再び増加~令和5年度末の建設業許可業者数調査の結果~

~NEW~
財務省関東財務局 アヴァトレード・ジャパン株式会社に対する行政処分について
  • アヴァトレード・ジャパン株式会社(東京都港区、法人番号2010401081157)(以下「当社」という。)に対する検査の結果、以下の問題が認められたことから、証券取引等監視委員会より行政処分を求める勧告が行われた(令和6年4月23日付)。
  • 改ざんしたデータを使用してストレステストを実施している状況
    • 当社は、令和3年5月頃、ストレステストの結果が悪化しつつあった。近い将来、ストレステストの結果が更に悪化する蓋然性が高いとの不安を抱いた当社の丹羽広代表取締役社長(以下「丹羽社長」という。)は、ストレステスト結果の悪化を回避するため、親会社のコンプライアンス部門の最高責任者に対し、ストレステストに使用する顧客データの改ざんを依頼した。その結果、令和3年5月末から令和5年3月末の各月末のうち、少なくとも13日について、ストレステストに使用する顧客データから大口取引顧客の上位数名のデータを削除したうえで、ストレステストを実施した。
    • 令和5年5月頃、ストレステストの結果が再度悪化してきたことから、丹羽社長は親会社に対して資金提供を依頼した。しかし、親会社が積極的に応じる姿勢を示さなかったことから、丹羽社長は、当社監査室長に対し、顧客データを改ざんするよう指示した。その結果、当社監査室長は、令和5年5月から同年8月末までの少なくとも24日について、顧客データの一部を削除したうえで、ストレステストを実施した。
    • 当該状況は、一般社団法人金融先物取引業協会(以下「協会」という。)の規則に基づき、ストレステストを実施すべきところ、正しく実施していないものと認められる。
    • また、協会にストレステストの結果を報告する必要があるところ、当社は改ざんしたデータを用いてストレステストを実施しており、正しいデータに基づくストレステストの結果の報告を行っていないものと認められる。
    • さらに、ストレステストの結果を踏まえ、必要な場合には、経営の健全性を確保するための措置を講じる必要があるところ、具体的な措置を講じていないものと認められる。
    • 上記については、丹羽社長自らの法令等遵守意識の欠如に起因して改ざんが行われ、親会社のコンプライアンス部門の最高責任者がデータ改ざんに関与するなど、親会社を含めたガバナンスや内部けん制が機能していないことにより発生したと認められる。
    • 当社の上記行為のうち、ストレステストを正しく実施していない状況については、金融商品取引法第40条第2号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第1項第21号の4に該当するものと認められる。
    • また、協会への報告を行っていない状況については、同項第21号の6に、ストレステストの結果を踏まえ、経営の健全性を確保するための措置を講じる必要があるところ、講じていない状況については、同項第21号の5に該当するものと認められる。
    • なお、当社においては、自己資本規制比率の法定基準を満たしており、足下の財務の健全性は確保されている。
    • 以上のことから、本日、当社に対し、金融商品取引法第51条の規定に基づき、以下の行政処分を行った。
  • 業務改善命令
    • 本件に係る責任の明確化を図ること。
    • 法令等遵守態勢を抜本的に見直し、経営管理態勢、内部管理態勢及び内部監査態勢の充実及び強化を図ること。
    • 本件を踏まえ、今後経営の健全性を確保する必要が生じた場合に備えた態勢整備を親会社との間で講ずること。
    • 上記の対応・実施状況について、令和6年6月13日までに書面等で報告するとともに、以降、その全てが完了するまでの間、随時書面等で報告すること。

~NEW~
環境省 「環境保全活動、環境保全の意欲の増進及び環境教育並びに協働取組の推進に関する基本的な方針」の変更の閣議決定について
  • 基本方針の変更について
    • 背景
      • 「環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律(以下「環境教育等促進法」という。)」第7条に基づく「環境保全活動、環境保全の意欲の増進及び環境教育並びに協働取組の推進に関する基本的な方針」(平成30年6月26日閣議決定。以下「基本方針」という。)において、政府は「本基本方針改定後5年を目途に、本基本方針の改定等必要な措置を講じ」ることとされています。
      • これを受け、令和5年6月から、環境教育等促進法第24条の2第2項に基づく「環境教育等推進専門家会議」及び同法同条第1項に基づく「環境教育等推進会議」等において、基本方針の変更案を検討し、今般、基本方針の変更を閣議決定しました。
    • 主な変更点
      • 環境教育の目的として、気候変動等の危機に対応するため、個人の意識や行動変容と組織や社会経済システムの変革を連動的に支え促すこと。
      • 環境教育において特に重視すべき方法として、これまで重視してきた体験活動に加えて、多様な主体同士の対話と協働を通じた学びやICTを活用した学びの実践を、学校、地域、企業等の様々な場で推進すること。
      • 学校内外での対話と協働による学びの推進に向けた、学校と地域・団体・企業等をつなぐ中間支援機能の充実による、学校の教職員の負担軽減と教育の質向上の両立を図ること。
      • これらを推進する具体的な方策の一つとして、中間支援組織の強化等を掲げ、その足掛かりとしてESD活動支援センターや地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)及び地方環境パートナーシップオフィス(EPO)等の既存の中間支援組織の活用を図ること。

~NEW~
内閣官房 GX実行会議(第11回)
▼ 資料1 我が国のグリーントランスフォーメーションの加速に向けて(齋藤GX実行推進担当大臣兼経済産業大臣提出資料)
  • 中東情勢の緊迫化
    • イスラエル・パレスチナ情勢の悪化や、イスラエル・イラン間の軍事的緊張関係が上昇。
    • 原油の約9割以上を中東からの輸入に依存する我が国にとって、チョークポイントが集結する中東地域の情勢悪化はエネルギー安全保障に直結し、我が国産業競争力に大きな影響。
  • マクロ経済環境の変化
    • グローバルに進む化石燃料依存からの脱却の動きにより、化石燃料の上流開発投資は長期的に減少傾向となり、地政学リスクの高まりと相まって価格のボラティリティが拡大する傾向。
    • 足下で一次エネルギー供給の9割弱を輸入化石燃料に依存する日本にとって、為替変動と相まって貿易収支に与える影響度合いが極めて大きくなっている。
  • 化石燃料依存のエネルギー供給
    • 一次エネルギー供給で見た場合、日本は8割以上を化石エネルギーに依存。G7諸国の中では最多であり、水準としては遜色ないレベルにあるが、自給率で見た場合は最低水準。
    • 電源構成で見た場合、7割以上を化石エネルギーに依存しており、この水準はG7各国と比較しても高いレベルにあり、脱炭素電源の拡大はG7各国との産業立地競争力の観点からも不可欠。
  • 貿易収支の変遷
    • 自国産エネルギーが乏しく輸入に頼る我が国は、高付加価値品で稼ぐ外貨を化石燃料輸入で費消。2023年には、自動車、半導体製造装置などで稼いだ分(輸送用機器約20兆円+一般機械約9兆円)の大半を、鉱物性燃料(原油、ガスなど)の輸入(約26兆円)に充てる計算。
    • 更に、世界的な脱炭素の潮流により、化石燃料の上流投資は減少傾向。海外に鉱物性燃料の大半を頼る経済構造は、需給タイト化による突然の価格上昇リスクや、特定国に供給を依存するリスクを内包。
  • DXの進展による電力需要増大
    • 半導体の省エネ性能が向上する一方で、Chat GPTなどの生成AIの利活用拡大に伴い、計算資源における電力消費量が増加する可能性。
    • 半導体の微細化や光電融合等の消費電力の低減に大きく寄与する半導体技術の開発等を進めながらも、今後、AIの進展による計算量の増大に伴い、電力消費量が急増するシナリオも想定しておく必要。(増加量の見通しは、半導体の省エネ性能の向上による効果などがどの程度期待できるかによって、大きな幅がある。)
  • 脱炭素電源投資の重要性
    • 半導体工場の新規立地、データセンター需要に伴い、国内の電力需要が約20年ぶりに増加していく見通し。2050CNに向けた脱炭素化とあいまって、大規模な電源投資が必要な時代に突入。これまでの電力システム改革時には必ずしも想定されていなかった状況変化が生じている。
    • 脱炭素電源の供給力を抜本的に強化しなければ、脱炭素時代における電力の安定供給の見通しは不透明に。
      • ※電力広域的運営推進機関は、2024年度から29年度にかけて電力需要が年率0.6%程度で増加する見通しを公表(2024年1月)。
  • 脱炭素電源の立地状況
    • 我が国における脱炭素エネルギーの供給において、例えば、洋上風力は風況に左右され、再エネの供給適地が偏在しているなど、脱炭素エネルギーの供給拠点には地域偏在性が存在。
    • 再エネや原子力などの脱炭素電源比率が4割を超えるのは、北海道、九州、関西エリアのみ。
  • デジタル・インフラとしての脱炭素電
    • AI・データセンターによる計算能力拡大と、その計算能力を活用した産業活動のデジタル制御など、DXの前提としても、脱炭素電力の供給拡大が不可欠。
    • 再エネは、2012年以降のFIT制度による投資拡大等により、平地あたり導入量世界3位と増加。地域との共生や、関連技術の特定国への依存といった顕在化する懸念に応えつつ、更なる導入加速を進めていく必要。次世代型太陽電池(ペロブスカイト)や浮体式洋上風力の社会実装化など、主力電源化への取組を進める。
    • 原子力は、脱炭素電源の量・価格両面から、再稼働を着実に進めることが急務。(原子力1基稼働により、約1000億円弱の燃料費削減効果(第2回GX実行会議試算))次世代革新炉への建替の具体化も必要。
  • ドイツにおける電気料金高騰と企業行動
    • ドイツは原発停止、ロシア産ガスの輸入激減などにより過去1年間における電気料金上昇を実感する企業が増加。一方で、生産拠点の海外移転を検討する企業も増加。
    • エネルギー政策は企業行動に大きな影響を与える可能性が高く、日本も安定的な価格での電力供給、今後はとりわけ脱炭素電源の安定供給確保は急務。
  • DX進化によるインパクト
    • AIなどのデジタル技術の進化は、我が国が得意としてきた摺り合わせによる高付加価値製品製造ノウハウが計算/設計能力により容易に海外展開が可能となり、計算/設計能力が製造プロセスの鍵を握り、その結果、日本でしか出来ない工程は極小化する可能性(Winner Takes All)。
    • 更に、世界で時価総額トップの米国IT企業は、クリーンエネルギーで24時間稼働するデータセンター整備など、GXを前提にしたDXに先手を打つ中、脱炭素電源の制約とそれに起因する「デジタル敗戦」は、産業基盤を根こそぎ毀損する危険性をはらんでいる。
    • デジタル技術で容易に複製できない、製造ノウハウの源泉となるマザー工場や、虎の子の開発拠点を国内に備えるとともに、デジタル技術を使いこなす「頭脳」や、大前提としての脱炭素電力供給が立地競争力上、死活的に重要。
  • デジタル・インフラの競争力
    • 我が国が持つ計算能力は、ハード(データセンターのキャパシティ等)・ソフト(IT人材の量と質)双方で、米国・中国に大きく水をあけられ、その他の国々とともに「デジタル敗戦」の危機。
  • 貿易収支とサービス収支の変遷
    • 「鉱物性燃料」の輸入拡大が貿易収支の黒字幅を大幅に下振れさせるとともに、産業構造転換の主戦場となる「デジタル分野」でのサービス収支の赤字も年々拡大。
    • この状態を放置すればGXとDXという戦略領域で、新たな「双子の赤字」が定着・拡大するおそれ。その結果、キャッシュフローベースでの経常収支も赤字が定着し、円安傾向が継続する可能性。
  • 円の実質実効為替レートの変遷
    • 円の総合的な実力を示す「実質実効為替レート」が1970年以来、53年ぶりの低水準となった。円が1ドル=360円の固定相場制だった時代と同水準で、日本の対外的な購買力の低下が鮮明になっている。(2023年9月21日ブルームバーグ)
  • マクロ経済環境の変化
    • エネルギーコストも遠因となり、我が国企業は、対外直接投資残高を拡大し、海外市場を成長の原資にする傾向が拡大。反面、国内投資は伸びず。(直近では、地政学リスクや産業政策の強化等から国内投資回帰の兆しもある。)
    • 円安基調の下で伸びることが期待される輸出数量指数は長期的に減少傾向にある中、海外生産比率は増加傾向。
  • GX分野でのイノベーション促進策の在り方
    • 我が国の「貿易で稼ぐ力」が低下し続けてきた要因としての、国内投資の低迷や、エネルギー脆弱性などの本質的な課題に対し、GX分野での投資・イノベーション促進は、反転攻勢に打って出る好機。(IRAによる支援など、官民挙げた投資が進む米国では、GX分野(Climate Tech分野)は米国巨大テック企業と同規模の企業を創出しうる事業領域と見なされている。)
    • また、世界でのGX実現には、電化に加え、熱需要・製造プロセスなどの大規模転換が必要であり、製造立国である我が国にとって、ビジネスの機会。海外企業も先行を目指す中、GX経済移行債による投資促進策も最大限活用し、大企業における大胆な事業組み換えや、巨大マーケットを狙うスタートアップ支援など、事業者に対し「スピード&スケール」を意識した投資を迫る。
  • ビジネス機会拡大の萌芽
    • (1)裾野の広いサプライチェーンも基盤に、我が国産業が培ってきた省エネ環境技術や、(2)「成長志向型カーボンプライシング」構想による規制/制度・支援一体型措置やトランジション・ファイナンス普及などの事業環境、(3)広大な面積を有する我が国のEEZの活用が期待される洋上風力などでのGX市場創造の動きが噛み合い、GXを契機に、世界の脱炭素化に貢献しつつ、我が国経済が成長軌道に再び乗る可能性も高まっている。
    • 株式市場においても、昨今の日本株上昇局面において、半導体等の地政学・経済安保の影響を追い風にしている産業に加え、GXビジネスで強みを発揮する可能性が高い企業は、高いパフォーマンスを示すケースも存在。
    • 十分な脱炭素電源を大前提に、我が国においてグローバル市場に遜色ない投資機会を創出することができれば、投資拡大を通じた潜在成長率の底上げが可能に。
  • CNに向けた道筋多様化
    • 米欧中といった主要国において、気候変動対策は雇用確保・産業育成両面で戦略領域。炭素国境調整措置(CBAM)等、通商ルールも駆使しつつ、自国産業・企業の伸張を図る、国際投資競争の様相を呈している。
    • 我が国は1.5度目標実現に向けてオントラックで削減が進むが、世界ではCNの更に先のカーボンネガティブを国家目標として設定する動きや、ESGの位置づけの変化等、気候変動対策への向き合い方は決して一様ではない。
    • 気候変動問題対応は不可逆な潮流だが、アジェンダ設定や方策について、各国が戦略的にシフトしてきた歴史であり、引き続き我が国として、1.5度目標実現に向けて世界に貢献しつつ、戦略的に取り組むことも必要。
    • 昨年のG7でも、2050CNという共通目標に向けた多様な道筋(One goal, Various pathways)を強調。
  • GX実現に向けた日米協力
    • 本年4月、岸田首相は米国を公式訪問し、バイデン大統領と会談。日米首脳共同声明において、両国のグローバルなパートナーシップを前進させるため、気候変動対策の加速化に取り組むことが合意された。
    • これを受け同月10日、齋藤経済産業大臣とポデスタ米国大統領上級補佐官は、GX推進戦略と米国インフレ削減法(IRA)に関する政策対話をワシントンにて開催。
    • 排出削減とエネルギー移行を加速させ、持続可能なサプライチェーンを構築し、産業競争力を向上させるため、GXとIRAのシナジーを高めていくことに合意。
    • 事務レベルでのフォローアップ会合も行いながら、年内にも次回会合を開催予定。
  • サプライチェーン上の排出量可視化と排出削減要請
    • 足元では、取引先から排出量計測・カーボンニュートラルへの協力を要請された中小企業の割合が2020年から倍増(15.4%、55万社程度)するなど、CNに向けた波が徐々に顕在化。
    • 背景には、製造過程の排出量を適用要件としたEV補助金制度や、域内事業者にカーボンプライシングを課した上で、輸入品に対して同等の負担を課す「炭素国境調整措置」など、世界規模で加速するサプライチェーン全体の脱炭素化に向けた取組がある。
  • 中小・中堅企業のGX推進に向けた施策の強化
    • 中小・中堅企業のGXに向けて、中小機構のCN相談窓口から、専門的な省エネ診断に至るまで、きめ細やかな体制を整備。よろず支援拠点や商工会議所等においても、経営相談に来るGXに意欲のある事業者に窓口を紹介。
    • さらに、省エネ設備の投資支援を含めて、支援メニューを抜本強化。
  • GX価値をめぐる産業界の動向
    • GX実現には、エネルギー転換や製造プロセス転換等のコストアップが必要となるケースが多く、カーボンニュートラルが世界で達成されるまでの過渡期においては、その取組(GX価値)が適正に評価される市場の創造が不可欠。
    • また、サプライチェーン全体での排出削減を志向するグローバル大企業や、環境意識の高い消費者、環境規制が強い国・地域などを見据えると、現行の財・サービスにおける「性能・価格・ブランド等」による付加価値の源泉に加え、GX価値が新たな付加価値として乗り、既存の財との差別化要因にもなりうる。
    • そのため、供給・需要両サイドにおける「既存製品と性能が変わらず、コストがアップしただけの製品を政府補助を受けていかにコストダウンできるか」との発想を転換させ、「GX製品は自社や我が国の成長と脱炭素化双方に貢献する貴重なものであり、その価値が付加価値として乗った製品」との発想に立つGX市場を早急に構築することが重要。
  • 製造業における排出削減努力の見える化・インセンティブの付与について
    • 製造業の脱炭素化を促進するにあたっては、原材料や組立などの上流工程や、リサイクル・資源循環といった下流工程で実現したCO2削減が、最終製品の脱炭素評価に組み込まれていないという課題が存在。その結果として、コストが高い脱炭素投資の回収の見込みが立ちにくい状況。
    • 評価指標として、自社内の排出量を削減した製品単位の排出削減(削減実績量)や、自社外ではあるが、ライフサイクル全体で排出削減された製品単位の排出削減(削減貢献量)を位置づけ、GX価値の見える化や評価基準の国際標準化など、GX価値を有する製品が選好されるような市場環境の整備を進めていく。
  • GX実現に向けた排出量取引制度の検討に資する法的課題研究会
    • 2026年度の排出量取引制度の本格稼働に向けて、法定化を進めるためには、排出量取引制度の具体的な制度設計の前提として、排出量取引制度における事業者の義務や排出枠の法的性質等の法的な論点を前もって整理しておくことが重要である。
    • そこで、諸外国で実施されている既存の排出量取引制度(EU-ETS、セーフガードメカニズム等)を我が国の法体系で考えた場合、どのような法的整理になるかの研究を経産省・環境省共催の下、法学者、弁護士等の実務家を中心に本年5月から開始し、排出量取引制度の具体的な制度設計の検討に活用する。

~NEW~
経済産業省 イノベーション創出の促進を狙うマネジメント層の方必見!「知財エコシステム活性化のカギとなる女性活躍事例」を公表します
  • 事例集作成の背景
    • 持続可能な経済成長を実現するために、女性の活躍をはじめとしたダイバーシティの推進が求められています。我が国においては、ジェンダーダイバーシティに関連する施策が推進されておりますが、女性研究者の割合は増加しつつあるものの、依然として諸外国と比べると低い水準です。
    • ジェンダーダイバーシティがイノベーションや企業業績に与える影響は、いくつかの研究で検証されており、男性のみが発明者の特許よりも、男女の発明者が関わっている特許の方が、経済的価値が高いという報告や、ジェンダーダイバーシティが高い企業ほど財務指標が良いことを示唆するデータが複数存在します。このように、ジェンダーダイバーシティを担保することが、イノベーションや企業業績へ貢献する可能性があることから、我が国としても知財エコシステムを構成する環境において、ジェンダーダイバーシティの観点から取組を進めていく必要があります。
    • そこで、特許庁では、知財エコシステムにおける女性人材の現状と課題を整理し、知財エコシステムにおける多様性と包摂性を推進するために、女性の活躍を促進するための環境整備の在り方の検討を行い、「Diversity & Innovation~知財エコシステム活性化のカギとなる女性活躍事例~」を取りまとめ、今般公表しました。
  • 事例集の特徴
    • 本事例集は、組織においてマネジメント等の立場を担っている方に対して、組織でのダイバーシティを高めるきっかけとして活用いただけるものです。また、それだけではなく、様々な人に対しても、知財エコシステムでの仕事の魅力を感じていただき、興味をもっていただくことも狙いとしています。
    • 知財エコシステムの中で働くことを選択した女性人材が活躍し、イノベーションへ貢献できるようなより良い環境を整備するには、制度だけでなく組織・周囲の雰囲気や文化の醸成が必要です。そこで、研究者や知財専門家等、知財エコシステムを構成するプレーヤーに着目し、知財エコシステムの中で活躍する女性人材のストーリーを取りまとめるとともに、そうした人材をマネジメントする立場にも着目し、組織においてジェンダー等のダイバーシティを高めることの意義や効果について取りまとめました。
▼ Diversity&Innovation~知財エコシステム活性化のカギとなる女性活躍事例~
  • 知財エコシステムにおける女性活躍の現状
    1. 知財エコシステム
      • 知財エコシステムとは、「知的財産を創造し、保護し、活用する循環を示す知的創造サイクルの概念に加え、そこから生まれる知的財産を基に、人々が互いに、また、社会に対して好影響を及ぼし、自律的に新たな関係が構築され、新たな「知」が育まれ、新たな価値が生み出される、いわば知的財産の生態系」であると特許庁が定義しています。つまり、知的財産というキーワードを通じて、イノベーションを創出する環境の構築や協創を促していくことを意図したものであり、これには大企業だけでなく中小企業やスタートアップ企業、個人、大学研究者等、様々な主体が関与していくことが必要となります。
    2. ダイバーシティとイノベーション
      • 近年、イノベーションの創出に際して、ダイバーシティが貢献し得ることを示唆する報告が複数出てきています。また、それに伴い、企業業績に対しても好影響を与えていることを示唆する報告も確認されています。
      • 例えば、特許の経済価値という観点で見た場合、発明者が男性だけの特許と、発明者に女性と男性が含まれている特許では、後者の方が高くなるというデータもあります。
      • 本書では、特にジェンダーという観点に注目したダイバーシティについて触れていますが、ジェンダーに限らず様々な視点でダイバーシティを担保することによってイノベーションの幅を広げていく視点が必要な時代になってきていると言えます。
      • なお、当然ですが、数値として形だけのダイバーシティを追求することが本質ではなく、イノベーション創出等の目的を実現していく手段・視点としてダイバーシティを考えることが重要であることは言うまでもありません。
    3. 我が国の知財エコシステムと女性人材
      • では、我が国において、知財エコシステムを構成する主体のジェンダーダイバーシティの状況はどのようになっているでしょうか。
        1. 研究者
          • まず、知財創造に貢献する研究者についてですが、女性比率は諸外国と比べると低い状況となっています。
          • もっとも、それでも徐々に比率は高まりつつありますが、2022年時点で17.8%となっています。
        2. 弁理士
          • 次に、知財専門家である弁理士についてですが、2023年3月時点で研究者と同程度の16.6%となっています。
          • 弁理士についてもやはり経年的に女性比率は高まってきており、また志願者の女性比率は20%以上、合格者の女性比率は30%以上というデータもあることから、今後弁理士の女性比率は継続的に高まっていくことも推測されます。
        3. 弁護士
          • 弁護士についても、やはり研究者や弁理士と同程度であり、2022年時点で女性比率が19.6%というデータになっています。
          • なお、司法試験の受験者や合格者に占める女性比率は、2021年はともに30%前後という状況になっています
        4. INPIT知財総合支援窓口
          • 現在我が国では、全国の中小企業等が抱える様々な経営課題について、知的財産の側面から解決を図る支援窓口「INPIT知財総合支援窓口が設置されており、各都道府県で複数の支援担当者が活躍しています。
          • 全国のINPIT知財総合支援窓口の支援担当者に占める女性比率は13.4%となっています。
        5. 起業家
          • 起業家に占める女性比率は、2017年時点で34.2%になっています。(この数値は旧定義に基づくものであり、新定義に基づくと27.7%となります)
          • なお、第5次男女共同参画基本計画における成果目標(2025年)では、女性の起業家比率として30%以上という目標が掲げられています。
    4. 国際的な評価
      • ジェンダーダイバーシティの状況について、グローバルに算出したランキングとして「ジェンダー・ギャップ指数」が知られています。
      • これによれば、2023年では日本は146か国中125位となっています。これは、2022年の116位からさらに順位を下げる結果となっています。
      • この内訳として、教育分野と健康分野については男女でほとんど格差が見られないものの、政治分野と経済分野の値が低いことが指摘されています。
      • また、こうしたデータのほかに、日本のジェンダーギャップに対する指摘をする論文等も複数確認されています。
      • 例えば、日本では制度は整備されている一方で、文化的・質的な面での変革が遅れていることを指摘するものがあります。以下に掲載するように、日本企業がジェンダーダイバーシティによる恩恵を受けられていないという見解を示した論文もあります。
    5. 昨今の動き
      • こうしたグローバルレベルでの評価も背景に、先進的な企業ではジェンダーダイバーシティが担保された組織づくりを促進するような動きが見られます。
      • まず、制度面では従来から整備してきたものに加えて、ベビーシッター利用料補助制度や働き方を柔軟にするための制度等の拡充が確認されます。
      • また、こうした制度だけでなく、上で指摘されていたような文化醸成をねらいとした動きも見られます。
      • 例えば、女性人材のモチベーション向上等を目的として、ロールモデルによる体験談の発信やキャリアプランに関するセミナー開催をしている企業もあります。
      • 加えて、女性人材だけでなく周囲の意識改革を目的として、アンコンシャス・バイアスに関する研修を開催したり、管理職向けの研修開催、育休を取得した男性人材の情報を発信したりする取り組みを行う企業もあります。

~NEW~
金融庁 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
▼ 主要行等
  • 特殊詐欺捜査に係る都道府県警察との協力体制の構築について
    • 2023年中の特殊詐欺被害全体の認知件数は19,033件(前年比+1,463件)、被害額は441.2億円(同+70.4億円)となっており、還付金詐欺を含めた振込型特殊詐欺※においても認知件数、被害額ともに前年に比べ増加している。
      • ※振込型特殊詐欺は、「還付金詐欺、オレオレ詐欺、架空料金請求詐欺、融資保証金詐欺、金融商品詐欺」が大半を占める。
    • 警察庁や各都道府県警から協力体制の構築について相談があった場合には、積極的に協力いただくようお願いしたい。
  • 保護観察対象者等の口座開設支援について
    • 2023年3月に閣議決定された第二次再犯防止推進計画を踏まえ、暴力団離脱者等の社会への復帰・定着を促進するため、法務省及び警察庁等と連携して預貯金口座の開設支援策の検討を行ってきた。
    • 今般、法務省に登録されている協力雇用主の下で就労し、責任ある社会の一員として社会復帰を目指す保護観察対象者等が、就労先から給与を受け取るための預貯金口座開設を申し込んだ場合において、過去に犯罪をしたことや非行のあったことのみを理由として排除されることがないよう、保護観察対象者等の預貯金口座の開設に向けた支援を行うよう、金融庁からも、2024年3月26日、各業界団体に対し「保護観察対象者等の口座開設支援について」について周知依頼した。
    • 各金融機関においては、法務省が行う本支援の内容を周知していただくとともに、保護観察対象者等の預貯金口座の開設につき、本支援の趣旨を踏まえた判断がなされるようよろしくお願いしたい。なお、暴力団離脱者等の社会への復帰・定着を促進させるため、2022年2月に「暴力団離脱者の口座開設支援について」を要請しているところ、各金融機関においては、改めて同支援の内容も周知・徹底していただくようよろしくお願いしたい。
    • (参考)第二次再犯防止推進計画(抄)(2023年3月17日閣議決定)
      • Ⅲ 今後取り組んでいく施策
        • 第4 犯罪をした者等の特性に応じた効果的な指導の実施等のための取組
          • 1.特性に応じた効果的な指導の実施等
            • (2)具体的施策
              • ② 特性に応じた指導等の充実
                • ⅲ 暴力団からの離脱、社会復帰に向けた指導等【施策番号55】
                • 警察庁及び法務省は、警察・暴力追放運動推進センター等と矯正施設・保護観察所との連携を強化するなどして、暴力団員に対する暴力団離脱に向けた働き掛けの充実を図るとともに、離脱に係る情報を適切に共有する。
                • また、警察庁、法務省等の関係省庁は連携の上、暴力団からの離脱及び暴力団離脱者等の社会への復帰・定着を促進するため、離脱・就労や預貯金口座の開設支援などの社会復帰に必要な社会環境・フォローアップ体制の充実を図る。【警察庁、金融庁、法務省】
  • 国連安保理決議の着実な履行について(北朝鮮関連)
    • 3月20日、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルが、2023年7月から2024年1月にかけての国連加盟国による北朝鮮制裁の履行状況等の調査結果と国連加盟国への勧告を含む最終報告書を公表した。
    • 同報告書では、
      • 北朝鮮が暗号資産関連企業等へのサイバー攻撃を継続し、外貨の獲得源としていること
      • IT分野をはじめとして、在外北朝鮮労働者が北朝鮮による資金獲得に貢献していること
      • 北朝鮮による石油精製品の不正輸入が継続していること
        等の事案概要や、必ずしも制裁対象ではないが、こうした事案に関与している疑義がある会社名や個人名、船舶の名前について記載。
    • 同報告書を踏まえ、各金融機関においては、サイバーセキュリティ対策を徹底していただくとともに、安保理決議の実効性を確保していく観点から、報告書に記載のある企業や個人、船舶については、
      • 融資や付保などの取引が存在するかどうかに関する確認
      • 取引がある場合には、同報告書で指摘されている事案に係る当該企業・個人等への調査・ヒアリング
        などをしっかりと行った上で、適切に対応いただきたい。
  • 顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果(中間報告)
    • 4月3日に、「顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果(中間報告)」を公表した。
    • 2023事務年度は、外貨建一時払保険、仕組預金、仕組債、外貨建債券といった幅広いリスク性金融商品の販売状況を着眼点として、検証・対話を実施しているが、この中間報告では、外貨建一時払保険と仕組預金の検証結果を取り上げている。
    • 外貨建一時払保険における態勢面の課題については、2月の意見交換会でも申し上げたため、詳細は省略するが、同保険は長期運用前提で組成されているにもかかわらず、4年間で6割の解約等が発生している他、解約等に伴い発生する費用が利幅を低下させている状況が窺える。
    • 特に、ターゲット型保険のほとんどが、目標値に到達すると解約され、同時に同一商品を同一顧客に販売する乗換販売(顧客にとっては、販売手数料等の二重支払い)が多数発生している。販売会社(銀行等)と組成会社(保険会社)との間で連携を強化し、目標値到達前に目標値の変更(引き上げ)も含めて顧客意向を確認するなど、商品販売後も丁寧にフォローアップしていただきたい。
    • また、仕組預金(外貨償還特約付預金)については、検証を行った商品の多くでトータルリターンがマイナスとなっているものの、実質的な議論なく導入が判断されているほか、リスク特性を理解していない懸念がある知識・投資経験が乏しい顧客にも販売されている状況にある。
    • 経営陣においては、中間報告を確認いただき、リーダーシップを発揮して、顧客本位の業務運営の確保に向けた取組みについて改善を進めていただきたい。
  • マネロン等対策に係る態勢整備結果の報告及び実態調査
    • 「マネロンガイドラインに基づく態勢整備」については、2021年4月の要請から3年が経過し、3月末に対応期限を迎えたところ。
    • こうした3年間の態勢整備状況については、「対応結果の報告」として、今月末を期限に報告を求めているところであり、マネロンガイドライン、同FAQ等に基づき、経営陣のリーダーシップの下でしっかりと自己点検を行った上で、忠実かつ詳細に報告いただきたい。
    • また、本報告とは別に、マネロン等リスクの把握のため、各金融機関の取引データ等の報告を業法に基づき、年次でお願いしているところであり、2024年も、3月28日付で報告様式を送付したので、5月末までの提出をお願いしたい。金融庁としては、報告されたデータ等を集計・分析し、各金融機関等のマネロン等リスクに応じた検査・モニタリングを実施していきたい。
▼ 全国地方銀行協会/第二地方銀行協会
  • 事業者支援
    • コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進み、4月には、民間金融機関による実質無利子・無担保融資の返済開始の最後のピークを迎えており、債務が膨らんだ事業者に対する、資金繰り支援にとどまらない、早期の経営改善・事業再生支援等の必要性が高まっている。
    • こうした中、経済産業省・財務省と連名で、3月8日に「再生支援の総合的対策」を策定・公表し、金融機関等による再生支援などを一層促すための施策をとりまとめた。また、4月1日からは、監督上の着眼点として、金融機関に対し、一歩先を見据えた早め早めの対応を求めることを盛り込んだ改正監督指針の適用を開始している。
    • 各金融機関におかれては、これまでも事業者支援に多大なご尽力をいただいているところではあるが、これらの施策を踏まえた対応について、営業現場の第一線まで周知し、浸透させるとともに、引き続き、事業者に対するきめ細かな支援の徹底をよろしくお願いしたい。
  • 経営改革
    • 地域銀行による持続可能なビジネスモデルの確立に向け、政府としては、これまで様々な環境整備を行ってきた。そうしたものの中には、制度の期限が設けられているものもある。例えば、合併・経営統合に係る資金交付制度については、期限が2年後(2026年3月末)に迫っているが、各金融機関においては、こうした制度の期限も念頭に置きながら、これまで以上に時間軸を意識していただき、果断な経営判断を行い、経営改革を進めていただきたい。(注)地域銀行の合併について独禁法を適用除外とする、独禁法特例法の期限については最長で2030年11月27日までとなっている。
    • また、経営改革を進めていく上では、ガバナンスと人的資本が重要である。金融庁・財務局では、取締役会・株主によるガバナンスの発揮状況や、人的投資・人材育成の取組状況について、一部の銀行と対話を実施した。
    • 各行とも、それぞれの実情に応じた様々な取組みがなされていることが確認できた一方で、社外取締役や行員からは、例えば、女性の取締役・管理職の選任・育成や、経営陣による現場の実態把握などについて、課題を指摘する声もあった。
    • 各金融機関においては、各種施策に対する行内の受け止めや評価をしっかりと汲み取っていただきながら、ガバナンス・人的資本に関する取組みを進めていただきたい。
  • 中堅・中小企業等のDX支援の在り方に関するガイダンス
    • 3月27日、経済産業省は、地域の支援機関(地域金融機関・ITベンダー等)を通じた中堅・中小企業等に対するDX支援の在り方を整理した「DX支援ガイダンス-デジタル化から始める中堅・中小企業等の伴走支援アプローチ-」を同省ウェブサイトにおいて公表。
    • 各金融機関におかれては、本ガイダンスも参考にしながら、引き続き、地域企業のDX支援に取り組んでいただけると幸い。
  • 持続的な賃上げを実現するための「パートナーシップ構築宣言」に係る周知について
    • サプライチェーン全体での付加価値向上や取引関係の適正化に向けて、発注者が下請企業との共存共栄を宣言するいわゆる「パートナーシップ構築宣言」に係る取組を政府全体で推進してきたところ。
    • 今般、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の策定や下請中小企業振興法に基づく「振興基準」の改正を受けて、「パートナーシップ構築宣言」のひな形が改正されたことを踏まえ、4月15日付で、各業界団体を通して、本宣言の周知等を行った。
    • 既に宣言していただいている金融機関においては、「パートナーシップ構築宣言」の更新及び実行を、まだ宣言されていない金融機関においては、新しいひな形での宣言の検討をお願いしたい。
    • なお、サプライチェーン全体でみれば、金融機関の顧客である各事業者においては、その取引先から労務費等が転嫁されること等に対応するための資金需要が高まることも考えられるところ。
    • こうした状況もふまえ、各金融機関においては、事業者に最大限寄り添ったきめ細やかな支援を引き続き徹底いただくようお願いしたい。

~NEW~
金融庁 金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」(第2回)議事次第
▼ 資料1 事務局説明資料
  • サステナビリティ開示基準のあり方
    • 2023年6月に、サステナビリティ情報の開示に関する国際的な基準としてISSB基準が設定され、今後、各国で、同基準の適用に向けた動きが進展することが見込まれる。欧州では、ISSB基準と相互運用可能な基準による開示が始まっている。
    • このように各国で開示基準を制度化する動きが進展する中、グローバルに展開する我が国企業によるサステナビリティ情報の開示について、国際的な比較可能性を確保することで、投資家から評価され、企業と投資家との建設的な対話を促進して、中長期的な企業価値の向上につなげることが重要。企業にとっても、我が国独自の基準でなく、国際的に比較可能性が確保された基準に基づいて情報開示を行う方が実務負担の観点から望ましいとの声がある。
    • 上記を踏まえると、我が国において、グローバルに展開する企業に適用されるサステナビリティ情報の開示基準は、国際的なベースラインの基準となるISSB基準と同等であることが求められる。
  • サステナビリティ開示基準と保証の導入のタイミング
    • サステナビリティ開示基準の導入時期を考えるには、保証制度の導入も考慮に入れることが重要。サステナビリティ開示基準と保証制度の導入を同時期に行うか、保証制度を遅らせて導入するかについては、保証制度のあり方や実務面を含めた検討が必要
  • 第1回会議(2024年3月26日開催)でのご意見
    • グローバルに展開する我が国企業によるサステナビリティ情報の開示について、国際的な比較可能性を確保することで、投資家から評価されることに繋がるとともに、企業にとっても、国際的に比較可能性が確保された基準に基づいて情報開示を行う方が実務負担の観点からも望ましいとの声もある
    • これを踏まえると、グローバルに展開する企業に適用されるサステナビリティ情報の開示基準は、国際的なベースラインの基準となるISSB基準と同等であることが求められる
    • 気候変動関連の情報開示について、プライム上場企業の中でも対応状況に差が見られること、欧米では企業規模や市場規模に応じた段階的な導入が決定されていること等から、わが国でも段階的に適用していくことが適当
    • 段階的に適用するにあたって、日本と同じシングルマテリアリティを採用する米国の例やIFRS財団が公表した「法域ガイド」も踏まえ、まずは時価総額で企業を分けて適用
    • 東京証券取引所の市場区分のうち、プライム市場は、グローバルな投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向けの市場であることから、サステナビリティ開示基準の適用対象企業については、プライム市場上場企業を念頭に置く
    • 当初は時価総額3兆円以上のプライム市場上場企業から始める
    • (案1)時価総額3兆円以上は2027年3月期から、1兆円以上は2028年3月期から(保証を含む)
    • (案2)時価総額3兆円以上は2028年3月期から(保証を含む)、1兆円以上は2029年3月期から(保証を含む)、を提案
    • 203X年3月期を目途にプライム全上場企業へ適用を拡大する
  • サステナビリティ開示制度導入において検討が必要となりうる論点(案)
    • 有価証券報告書において基準に準拠したサステナビリティ情報を開示する場合、提出期限である「事業年度後3か月以内」に作成や保証を終えることができるか。実務が定着するまでの間の経過措置として、例えば、有価証券報告書の2段階開示(サステナビリティ情報部分の開示を遅らせる)の導入、保証の強制適用時期を遅らせるなどの措置が必要か。仮に、有価証券報告書の提出期限を延長する場合には、株主総会に有用な情報が提供されることをどのように確保するかについても、合わせて検討する必要があるか。
    • サステナビリティ開示基準を有価証券報告書に導入するにあたり、ISSB基準において適用初年度のみ認められた経過措置(気候関連のみの報告、報告タイミングの緩和、Scope3の開示免除等)を延長すること等により、企業の準備に配慮する必要がないか。
    • サステナビリティ情報には、バリューチェーンからの情報(Scope3)や将来情報の記載等、現状では確度(精度)の低い情報があり、これらの情報について有価証券報告書への記載を求める場合、企業のコントロールが及ばないような情報に関する虚偽記載に対し、何らかのセーフハーバーを設けることが考えられないか。
    • サステナビリティ情報の作成に当たっては、バリューチェーンに関するデータ収集に課題があるのではないか。何らかの効率的な対応を行うことができないか。
    • サステナビリティ情報開示のための、実務的な対応を明らかにすべきではないか。簡便な対応が許容されうるのであれば、それを明らかにすべきではないか。
    • サステナビリティ開示基準に準拠して開示を行う企業に対し、なんらかのメリットや負担軽減、開示の意義を実感できる仕組みが考えられないか。
  • 有価証券報告書と統合報告書等のスケジュール
    • 現在、多くの企業は統合報告書等を、有価証券報告書の開示の2~3か月後に公表している。また、「地球温暖化対策の推進に関する法律」によるGHG排出量の報告を、毎年7月末までに行っている。他方、ISSB基準では、財務諸表と同じタイミングで、財務諸表と同じ報告期間を対象としたサステナビリティ情報の開示を求めている
    • IFRS財団の調査では、世界の約1,700社の組織体(企業、公的機関、NPO含む)のうち、統合報告書の作成が最も多いのはアジア太平洋地域で、うち日本が最多
    • 国際会計士連盟(International Federation of Accountants:IFAC)等による調査では、日本の時価総額上位100社における財務諸表監査報告書日とサステナビリティ情報の保証報告書日との差は、平均で約80日。他方で、欧州では平均5日、米国やカナダ等は平均95日となっている
  • ご議論いただきたい事項
    • サステナビリティ開示基準の在り方
      • 本年3月29日から開始されたSSBJ基準案の公開草案の状況を注視しつつ、国際的なベースラインとなるISSB基準と同等なサステナビリティ情報の開示基準を金融商品取引法令に取り込む方針とすることが考えられるか
      • この際、我が国のサステナビリティ情報の開示基準が機能的に同等なものと認められ、インターオペラビリティ(相互運用性)を確保できるよう、金融庁をはじめとする関係機関が、国際機関や諸外国と緊密に連携していくことが考えられるか
    • 適用対象
      • まずは時価総額を基準に時価総額3兆円以上のプライム市場上場企業から段階的に導入していく案を中心に据えることが考えられるか。他方で、時価総額以外に、海外での開示状況等も基準に加えることを検討することも考えられるか
      • 適用対象企業に含まれない企業に対しても、適切なサステナビリティ情報の開示を促進して任意適用を進める観点から、例えば、任意適用の状況の見える化や好事例の公表、プリシンプルを通じた開示の奨励等を行うことが考えられるか。このほか、どのような具体策が考えられるか
      • なるべく早いタイミングで適用対象を拡大できるよう、時価総額3兆円以上の企業への適用の後、1年後には時価総額1兆円以上、さらに1年後には時価総額5000億円以上というスケジュールを設定することについて、どう考えるか
    • 適用時期
      • 2027年3月期から強制適用を開始し、2030年代にプライム市場全上場企業を対象とすることを基本線としつつ、国際動向、国内外における実務の浸透等を注視しながら、柔軟に対応していくことが考えらえるか
      • サステナビリティ開示基準の導入による開示タイミング
      • 任意適用や、2027年3月期から時価総額3兆円以上の企業に対する、金商法の法定開示書類における強制適用を進めるに当たり、まずは2段階開示を可能とし、その後、保証を義務付ける際に有価証券報告書の提出期限を延長することが考えられるが、これについてどう考えるか

~NEW~
警察庁 令和6年1月~3月におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について
  • 概要
    • 令和6年1月から3月末までに都道府県警察が認知したSNS型投資・ロマンス詐欺に係る被害発生状況及び同期間におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の検挙状況について調査し(※)、取りまとめたもの。(※)調査は、以下の分類に基づいて実施
    • SNS型投資詐欺
      • SNS等を通じて対面することなく、交信を重ねるなどして関係を深めて信用させ、投資金名目やその利益の出金手数料名目などで金銭等をだまし取る詐欺(SNS型ロマンス詐欺に該当するものを除く。)
    • SNS型ロマンス詐欺
      • SNS等を通じて対面することなく、交信を重ねるなどして関係を深めて信用させ、恋愛感情や親近感を抱かせて金銭等をだまし取る詐欺(令和5年調査は、相手方が外国人又は海外居住者を名乗ったものを調査対象として実施。)
  • 認知状況(令和6年1月~3月)
    • SNS型投資詐欺 認知件数 1,700件 被害額 約219.3億円
    • SNS型ロマンス詐欺 認知件数 603件 被害額 約60.6億円
    • 合計 認知件数 2,303件 被害額 約279.8億円
    • いずれも前年同期比で大幅に増加。
    • 特に、SNS型投資詐欺については、認知件数及び被害額共に、昨年下半期に引き続き急増。
    • SNS型ロマンス詐欺の認知件数についても、昨年下半期からの増加傾向が継続。被害額についても、引き続き高い水準で推移。
    • 1件当たりの平均被害額については、SNS型投資詐欺は約1,300万円であり、SNS型ロマンス詐欺は約1,000万円となっている。
    • 被害最高額については、SNS型投資詐欺は4億5,000万円、SNS型ロマンス詐欺は約1億2,000万円となっている。
    • 500万円以下の被害が多い。男女間で被害額の傾向に大きな差はない
    • 男性の被害がやや多い
    • 被害者の年齢層については、SNS型投資詐欺は男女共に50~60歳代が半数を超え、SNS型ロマンス詐欺は男性50~60歳代、女性40~50歳代が半数を超えている。
    • 被害者との当初の接触手段については、SNS型投資詐欺はバナー等広告が約半数、SNS型ロマンス詐欺はダイレクトメッセージが約6割を占めている。
    • 詐称した身分(地域)は日本を含めアジア系が多い。詐称した職業は、投資家や著名人が約半数
    • 当初の接触ツールは、男女ともにインスタグラム、LINE、フェイスブックで約6割に上るが、その内訳は男女間で異なる
    • その後、連絡ツールを移行させ、預貯金口座への振込により詐取するケースが多い
    • SNS型ロマンス詐欺においても、詐取の名目は投資が7割以上を占めている。
    • ダイレクトメッセージが当初の接触手段の6割以上
    • 恋愛感情等を抱かせた上で、大半が投資話を持ち掛け、金銭等を詐取している
  • 検挙状況(令和6年1月~3月)
    • SNS型投資詐欺 検挙件数 5件 検挙人員 4人
    • SNS型ロマンス詐欺 検挙件数 4件 検挙人員 5人
    • 合計 検挙件数 9件 検挙人員 9人
  • 今後の対策
    • 警察庁及び都道府県警察においては、令和6年3月に、SNS型投資・ロマンス詐欺への対策を抜本的に強化したところであり、引き続き、全国警察が一体となり、捜査と抑止を両輪とする総合的対策を強力に推進していく

~NEW~
警察庁 令和6年3月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
  • 特殊詐欺全体の認知件数は3,741件(前年同期4,533件、前年同期比▲17.5%)、被害総額は88.5憶円(93.2憶円、▲5.0%)、検挙件数は1,354件(1,620件、▲16.4%)、検挙人員は469人(515人、▲8.9%)
  • オレオレ詐欺の認知件数は772件(1,008件、▲23.4%)、被害総額は40.5憶円(28.0憶円、+44.6%)、検挙件数は311件(505件、▲38.4%)、検挙人員は167人(212人、▲21.1%)
  • 預貯金詐欺の認知件数は455件(614件、▲25.9%)、被害総額は4.1憶円(7.8憶円、▲47.4%)、検挙件数は400件(322件、+24.2%)、検挙人員は116人(102人、+13.7%)
  • 架空料金請求詐欺の認知件数は1,053件(1,149件、▲8.4%)、被害総額は22.1憶円(30.1憶円、▲26.6%)、検挙件数は66件(45件、+46.7%)、検挙人員は37人(24人、+54.2%)
  • 還付金詐欺の認知件数は960件(1,068件、▲10.1%)、14.6憶円(12.0憶円、+21.7%)、検挙件数は200件(301件、▲33.6%)、検挙人員は39人(49人、▲20.4%)
  • 融資保証金詐欺の認知件数は56件(49件、+20.4%)、被害総額は0.7憶円(0.8憶円、▲10.6%)、検挙件数は2件(3件、▲33.3%)、検挙人員は1人(3人、▲66.6%)
  • 金融商品詐欺の認知件数は14件(38件、▲63.2%)、被害総額は0.8憶円(5.2憶円、▲84.7%)、検挙件数は0件(3件)、検挙人員は1人(10人、▲90.0%)
  • ギャンブル詐欺の認知件数は5件(6件、▲16.7%)、被害総額は0.5憶円(0.2憶円、+109.8%)、検挙件数は0件(0件)、検挙人員は0人(0人)
  • キャッシュカード詐欺盗の認知件数は348件(583件、▲40.3%)、被害総額は4.3憶円(7.9憶円、▲46.2%)、検挙件数は372件(436件、▲14.7%)、検挙人員は97人(108人、▲10.2%)
  • 組織的犯罪処罰法違反の検挙件数は88件(66件、+33.3%)、検挙人員は33人(25人、+32.0%)
  • 口座開設詐欺の検挙件数は196件(196件、±0%)、検挙人員は91人(109人、▲16.5%)、盗品等譲受け等の検挙件数は0件(2件)、検挙人員は0人(1人)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は929件(726件、+28.0%)、検挙人員は681人(544人、+25.2%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数は51件(28件、+82.1%)、検挙人員は45人(31人、+45.2%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数は8件(4件、+100.0%)、検挙人員は2人(3人、▲33.3%)

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消費者庁 預託等取引業者【エスアイヘリシス株式会社】に対する措置命令について
  • 消費者庁が預託法に基づく措置命令を実施しましたので公表します。
  • 詳細
    • 消費者庁は、ヘリコプターその他航空機(以下「本件物品」という。)の販売等を行う業者であるエスアイヘリシス株式会社(本店所在地:東京都千代田区)(以下「エスアイヘリシス」といいます。)(注)につき、預託法上原則禁止とされる販売預託を行ったものと認定し、令和6年5月16日、預託法第19条第1項(第2号・第3号)の規定に基づき、直ちに違反行為を取りやめるとともに、その発生原因について、調査分析の上検証し、法令遵守体制の整備その他の再発防止策を講じ、これをエスアイヘリシスの役員及び従業員に、直ちに周知徹底するよう命じました。
      • (注)同名の別会社と間違えないよう会社所在地なども確認してください。
    • あわせて、消費者庁は、エスアイヘリシスに対して、消費者との間で締結した預託等取引契約の対象とする本件物品の売買契約等が、預託法第14条第3項の規定に基づき、その効力が生じないことを踏まえた対応を行うことを命じました。

~NEW~
消費者庁 「AI利活用ハンドブック~生成AI編~」
▼ AI利活用ハンドブック~生成AI編~
  • 生成AIとは?
    • 生成AIとは、文字等で入力した指示に基づいて文章・画像・映像・プログラムなどのコンテンツを作成できる人工知能(Artificial Intelligence:AI)です。
    • 生成AIは、人間と会話をしているような自然な対話を通じて文章や画像等を作成できます。
  • 生成AIの仕組み
    • 学習した大量の文章や画像等のデータから、確率にもとづいてコンテンツを作成します。意味を真に理解して作成しているわけではありません。
    • 例えば文章を生成するAIでは、ある単語に続く確率が高い単語を選択していくことで文章を作成しています
  • 生成AIの注意点
    • 生成AIは、正確な答えを出力するとは限りません。
    • もとになった情報に間違いや偏りがあると応答にも間違い等が含まれる可能性があります。また、確率に基づいて応答を生成しているため、事実と異なる回答を生成する「ハルシネーション(幻覚)」という現象が起きる可能性があります。
    • その他、あたかも様々な知識を持っているかのような応答をします。
  • 生成AIに向いている用途
    • 生成AIが得意な用途で利用しましょう。
    • 得意な用途:要約・言い換え・翻訳、アイディア出し 等
    • 不得意な用途:最新の情報、厳密な正確性が必要な情報 等
  • 生成AIに指示をする方法
    • 生成AIで得られる応答の質は、文字等で入力する指示(プロンプト)によって変わります。
    • 2024年3月時点では、どのような指示がよいかは明らかにはなっていませんが、次のような要素を含めるとよいと考えられています。
    • 目的や対象などの前提条件
    • 実施して欲しい内容
    • 出力形式(200字以内、候補を5つ等)
    • やり取りを重ねることで、応答の質を高められる可能性があります。
  • 生成AIの利活用
    • 生成AIを利活用する形態には以下のようなものがあります
    • 利用者自身が生成AIを利用してコンテンツを作成する
    • 生成AIを活用した事業者のサービスを利用者が利用する
    • 第三者が生成AIで作成したコンテンツに利用者が触れる
  • 生成AIを活用した事業者のサービス事例
    • チャットボット(文章生成AIの活用事例)
      • 問い合わせ対応等に使われるチャットボット(自動会話プログラム)に生成AIを活用することで、事業者内の文書や回答履歴等をもとに、幅広い質問に対してあたかも人間のような自然な回答ができます。
    • 仮想試着(画像生成AIの活用事例)
      • オンラインで服を選ぶときに、体型や髪型が異なるモデルが服を着たときの画像を生成AIで作成し、服のしわや伸び具合等を確認できます。
  • 生成AIを悪用した事例
    • 詐欺
      • 生成AIでメール文を作成することで日本語に不自然さがなくなるため、詐欺メールの発見が困難になります。
      • また、生成AIによるそっくりな音声を使って知人になりすまして詐欺を行うといったことがあります
    • 世論誘導、社会の混乱等
      • 本物と見分けがつかないような偽画像・偽動画等を生成AIで簡単に生成できるようになっています。
      • 政治家本人が話しているような偽動画や、災害時の被害に関する偽画像がSNSで拡散したことがあります。
      • このような偽画像等により世論が誘導されたり、社会が不安定化・混乱したりするなどの危険性があります。
  • 利用する前に
    • 利用したい生成AIサービスについて、調べましょう。
      • 政府の「AI事業者ガイドライン」に準拠しているかなど、安全安心に利用できる生成AIであるか確認しましょう。
    • 利用規約、プライバシーポリシー等を確認しましょう。
      • 禁止されている使い方をしてはいけません。生成した画像や動画等の利用条件を確認しましょう
  • 利用するときに
    • 知られては困る情報は入力しないようにしましょう。
      • 入力した情報がAIの学習に利用され、そのまま他人に提供されたり、間違った情報と関連づけて提供されたりしてしまうことがあります。個人に関する情報など、他人に知られては困る情報は入力しないようにしましょう。
    • 応答内容が正しいとは限らないことに注意しましょう。
      • もとになった情報の間違いや偏り、ハルシネーションにより、生成AIの応答内容が正しいとは限りません。専門的な判断が必要な内容は適切な専門家に確認しましょう。
    • 生成したコンテンツの公開はリスクを踏まえて判断しましょう。
      • 既存の著作物と類似していると著作権等侵害になる可能性があります。
    • 生成AIに購入等を促されたときには必要性を考えてみましょう。
      • 対話を通じて購入等をするよう誘導される可能性があります。正しくない応答がされていることもあるため、購入するときには対話の履歴等を保存しておきましょう。
    • 偽画像等を作成、拡散してはいけません。
      • 偽画像等により他人の名誉を毀損したり、業務を妨害したりすると罪に問われる可能性があります。目をひく動画や画像等を見かけても生成AIで作成された偽画像等の可能性があります。安易に拡散せず共有してよいものか慎重に判断しましょう
  • 消費者トラブルにあったら
    • 生成AIの利用方法等がわからないときには、ホームページ・利用ガイド・FAQなどを確認した上で、事業者(サービス提供企業など)に問い合わせてみましょう。
    • 消費者トラブルにあったときには、一人で悩まずに、消費者ホットライン「188(いやや!)」に相談しましょう

~NEW~
国民生活センター 国民生活
▼ 国民生活5月号 全体版
  • 海外ニュース
    • アメリカ 詐欺等による消費者の損失は年間100億ドル超
      • FTCは1997年より、消費者が市場で経験した取引に関する問題の報告を収集している。2024年2月に公表された年次報告書では、2023年に報告のあった約540万件を詐欺、個人情報盗難、その他の3部門、29カテゴリーに分類し発表している。そのうち詐欺関連は前年とほぼ同数の約260万件にもかかわらず、その損失額総額は過去最高の100億ドル(約1兆5000億円)に達したという。
      • 損失額の最多は、件数で第5位の投資詐欺で21%増の約46億ドルに上り、1件当たりの損失額中央値も前年の5,000ドルから7,700ドル台に増えている。また、件数最多のなりすまし詐欺の損失額は総額約27億ドル。次に多いのはネット通販関連(価格の非開示、商品の遅配・不達など)であった。
      • 詐欺のきっかけはEメールが最多の約36万件で、政府機関や企業のなりすましが非常に多い。損失額はSNSきっかけの詐欺が総額では最多。1人当たり損失額の中央値で最も多かったのは詐欺電話で1,480ドルであった。報告者のうち実際に金銭被害を受けた割合は20歳代が最多の44%で80歳以上は22%であったが、損失額中央値は20歳代の480ドルに対し80歳以上は1,450ドルであった。
      • デジタルツールを悪用した詐欺や不正に対抗するため、FTCは詐欺電話や迷惑メールの取り締まりや、なりすまし防止規則等の対策に加え、AIの音声クローンを不正使用した詐欺への対策や多言語による被害報告の受け付けなどを推進するという。自身や周囲の人を詐欺から守るためにFTCの詐欺報告専用サイトに通報することが法執行機関の対策を促し、ひいてはコミュニティを守ることになるとしている。
    • イギリス 獣医療サービス業の市場調査に着手
      • イギリスではペットを飼う人がコロナ禍において増加したが、獣医療サービスの価格高騰はインフレ率を上回る状況で、CMAは市場での不適切な慣行について業界の見直しを開始した。2023年9月には市場調査実施に向けて情報提供を求め、ペットの飼い主や獣医師などから寄せられた約56,000件の回答と、動物診療所、保険関連企業等と面談した情報を公表し、このほど次のような問題を指摘した。
        • 約8割の動物診療所のウェブサイトに価格表示がなく、消費者への情報提供が不十分
        • 2013年には9割を占めた個人開業獣医師が、少数の大規模獣医療サービス企業の買収で約4割にまで減少、低価格でシンプルな治療が減少し価格競争も弱化
        • 薬剤販売が獣医の収入のほぼ25%を占めるため、処方箋があれば動物診療所以外のネット等でも購入可能なことを不開示にするなどの行為で、消費者は割高の薬剤費や処方箋料を払っている
        • 1966年制定の現行の規則は、獣医師以外にも診療所開所が認められるようになる以前の個人獣医師を対象にしたもので、価格設定や開示などについて消費者への透明性等の確保といった規制の影響力は弱い
        • RCVS(王立獣医師協会)の診療基準を導入しているのは動物診療所の約7割にとどまる、など。
      • CMAは、前例を見ないほど多数の情報提供は人々の高い関心を表しており、見直しに向かうCMAの方針の正当性を裏づけるものであるという。1年半~2年の調査期間後には、CMAの直接介入による消費者への情報提供の強制や、診療所運営事業や資産を売却・処分させるなど法的強制力を含む幅広い改善手段を取ることが可能になる。

~NEW~
国民生活センター 楽しい話や安売り目当てに通ったら…高額な商品を買うはめに
  • 内容
    • 知人に「新しいお店ができたので行ってみてほしい」と言われ行ってみた。健康に関する話を聞けて楽しく、100円でプレゼントももらえるため毎日通った。ある時、血圧測定表を持ってくるように頼まれ、店の人に渡したところ、皆の前で「血小板が少ない。このままでは病気になる」と言われ、高額な健康食品を勧められた。高いと思ったが威圧的な物言いで、断れず約100万円分も購入してしまった。その後、病院で血液検査をしたが異常はなかった。返金してほしい。(80歳代)
  • ひとこと助言
    • 「店員の話が楽しい」「食品が安く手に入る」などにひかれて、会場等に通い続けているうちに、高額な商品を契約させられたという相談が寄せられています。
    • 通い続けて顔見知りになり、個別に勧誘されると、断り切れなくなります。このような所には行かないことが第一です。
    • この手口は、高齢者の健康不安や日常的な寂しさなどにつけ込んで会場等に通わせ、最終的に高額な商品を購入させるものです。周りの人は、日ごろから高齢者の様子に気を配りましょう。
    • 困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

~NEW~
国民生活センター 20歳代が狙われている!?遠隔操作アプリを悪用して借金をさせる副業や投資の勧誘に注意
  • 副業や投資に関する情報商材のトラブルに関する相談が依然として寄せられています。特に20歳代の若者の場合、支払いのために借金をさせられるケースが多くみられますが、最近の相談事例をみると、副業や投資に関する情報商材を購入後、高額なサポート契約を勧誘され、「お金がない」と断った消費者に対して遠隔操作アプリを悪用して借金をさせる手口が目立っています。
  • そこで、消費者トラブル防止のために相談事例を紹介し、消費者への注意喚起を行います。
  • 遠隔操作アプリとは
    • 自分のスマートフォンやパソコンに遠隔地の第三者が接続して、両者が画面を共有しながら遠隔操作を行うアプリのことを指します。例として、パソコンメーカーや通信事業者がユーザーサポートを行う場面などで利用されます。遠隔操作される端末によっては、遠隔操作はできず、画面共有のみにとどまる場合があります。本トラブルでは、消費者の端末が事業者に画面共有された状態で事業者から指示され借金をさせられるケースが多くみられます。
  • 相談事例
    • 副業の高額サポート契約を勧誘され、お金がないと断ると、遠隔操作アプリを通して借金の仕方を指南された
      • 動画投稿サイトで広告を見て、副業サイトにアクセスし、無料通話アプリで友達登録した。「情報商材の購入が必要」というので、約2,000円の情報商材を購入すると、後日、事業者から電話があり「詳細を説明するので予約をするように」と案内された。約束した日に事業者から電話で「アフィリエイトや動画配信サービスの仲介ビジネスでもうかる方法を教える。手っ取り早くもうかる約200万円のサポートプランがあなたに合っている」と勧められた。「お金がない」と断ると、「貸金業者で借金する方法を教えるのでスマートフォンに遠隔操作アプリを入れるように」と案内され指示に従った。電話で事業者から言われるままスマートフォンの操作を行い、勤務先について嘘の申告をするように指示され、2社の貸金業者から50万円ずつ合計100万円を借金し、指定された個人名義の口座に振り込んだ。「残金は別の貸金業者で借金するように」と言われたが、借金の返済が苦しいので返金してほしい。(2022年12月受付 20歳代 女性)
    • その他、以下のような相談も寄せられています
      • 遠隔操作アプリで画面共有をしながらFXの自動売買ツールのプランの勧誘を受け、そのまま借金の申請も誘導された。
      • 副業のサポートプランを勧誘され、遠隔操作アプリを用いて複数の貸金業者に借金するよう指示された。
  • 消費者へのアドバイス
    • 「簡単に稼げる」「もうかる」ことを強調する広告をうのみにしないようにしましょう「借金」してまで契約しないようにしましょう
      • 相談事例を見ると、「稼ぐためのサポートをする」などと言われて、広告にはなかった高額なサポート契約を勧誘されるケースが目立ちます。その際に、「簡単に稼げる」「もうかる」「借金してもすぐに元が取れる」などと言われることがありますが、簡単に稼げるようなうまい話はありません。また、借金をすぐ返せる保証は一切ないほか、事業者に解約や返金を求めても突然連絡が取れなくなり、トラブルの解決が困難になる恐れもあります。勧誘トークをうのみにせず、冷静によく考えましょう。
    • 遠隔操作アプリは安易にインストールしないようにしましょう
      • 事業者から「副業や投資の説明のために必要」「借金する方法を教える」などと言われ、遠隔操作アプリをインストールするよう指示されますが、遠隔操作によって自分が望まない操作をされる恐れがありますので、遠隔操作アプリを安易にインストールするのは避けましょう。
    • 遠隔操作等で貸金業者サイトに登録してしまったら、IDやパスワードを変更するなど悪用されないための対策をとりましょう
      • 遠隔操作アプリを利用した状態で貸金業者サイトに登録した場合、IDやパスワードが事業者にも知られてしまっている恐れがありますので、すぐにパスワードを変更しましょう。また、事業者によってIDやパスワードを勝手に変更されてしまう恐れもありますので、その場合は、事業者ではなく、すぐに登録した貸金業者に連絡を取り事情を伝え、悪用されないようにしましょう。
      • なお、知られてしまった個人情報を悪用される恐れもありますので、信用情報機関の本人申告制度の利用も検討しましょう。また、自分宛てに身に覚えのない請求が来ていないか、適宜確認するようにしましょう。
    • 不安に思った場合やトラブルに遭った場合は、消費生活センター等に相談しましょう
      • 不安に思った場合やトラブルに遭った場合には、一人で悩まず、すぐに最寄りの消費生活センター等に相談しましょう。
  • 業界団体への要望
    • 日本貸金業協会に対して、消費者が借金をする前に当該トラブルについて気づくことができるよう、消費者にさらなる周知および注意喚起などの取り組みを要望しました。
  • 要望先の対応 ※2024年5月16日追加
    • 本件の要望先である日本貸金業協会から、遠隔操作アプリを悪用した副業詐欺に係る啓発動画を作成されています。
    • 日本貸金業協会公式YouTubeチャンネル
▼ 副業トラブル注意喚起動画:遠隔操作アプリを悪用した副業詐欺にご注意!!(YouTube)

~NEW~
厚生労働省 「女性活躍に関する調査」の報告書を公表します
▼ 報告書
  • 2019年改正後の状況把握
    • 女性労働者の状況
      • まず、女性労働者の状況についてはこの5年間で劇的に変化しているわけではない。規模が小さい企業ほど常用労働者の女性比率の割合は小さく、規模が大きい企業ほど常用労働者女性比率も大きいという規模間の違いはあるものの、時点間で大きく変化しているわけではない。管理職に占める女性比率については、そもそも規模の小さい企業では管理職ポストが少ないという事情から、比率自体を規模間で比較することは難しいが、それぞれの規模においてこの5年間で女性管理職比率が0(女性管理職がいない)という割合は減少している。特に「300人以上」においては、必ずしも大きいとは言えないが女性管理職比率の上昇もみられている。女性の昇進者の有無についても、そもそも規模ごとに昇進機会が異なっているという事情から単純な比較は難しいが、特に「300人以上」においては、女性の昇進者がいるという割合がこの5年間で増加している。
    • 行動計画の策定と取組
      • 次に行動計画の策定状況に注目すると、特に2019年改正後に義務化の対象となった「100~299人」では行動計画の策定率が大きく増加している。一方で「30~99人」についても策定率は上昇しているものの、未だ15%にとどまっており、行動計画の策定があくまでも努力義務にとどまっていることがうかがえる。しかし、行動計画の策定理由に注目すると、むしろ努力義務になっている「30~99人」ではこの5年間で企業イメージの向上や女性活躍に関する課題解決を理由に挙げる企業が増加しており、「100~299人」と「300人以上」と比べてもその割合は比較的高くなっている。その反面、行動計画の策定が義務化されている「100~299人」と「300人以上」では「法律に定められているから」という理由が大多数である。
      • 行動計画策定については、自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析をして、その課題を解決するのにふさわしい数値目標と取組みを盛り込むというプロセスを経ることが望ましい。
      • 事前の状況把握・課題分析に注目すると、すべての規模について様々な側面において状況把握・課題分析を行う企業が増加している。特に「採用」「継続就業・職場風土」「登用」に関する状況把握・課題分析の割合はすべての規模で増加しており、均等と両立を軸とする女性活躍推進の理念に沿って企業も問題意識を持っていることがわかる。
      • また、数値目標の設定の時点間変化はそれほど大きくはないが、「30~99人」では「採用」「継続就業」、「100~299人」では「採用」「登用」に関して数値目標を設定した割合が増加している。
      • この5年間で、企業は様々な側面から状況把握・課題分析を行うようになったが、数値目標については手広く設定するわけではなく、焦点を絞っているといえる。さらに、具体的に設定している数値目標については、「女性管理職比率」や「採用者にしめる女性比率」が各規模で共通しているものの、「300人以上」では相対的に「職場風土等に関する意識」や「男女の賃金の差異」を選択する割合が高く、「30~99人」や「100~299人」では「セクハラ等の相談状況」や「男女別の教育訓練の受講状況」が相対的に高い。このように、具体的な数値目標の設定は規模ごとにことなっており、言い換えれば女性活躍に関する課題が規模ごとに異なっていることを示している。
      • 各規模とも数値目標達成のための具体的な取組の第1位の項目は「求職者に向けた積極的広報」であるが中規模企業ではややその割合が小さい。第2位以降のランキングは規模ごとにやや異なっている。「300人以上」で特に実施している割合が高くなる項目として、「長時間労働対策のための組織的対応」「柔軟な働き方の導入」「女性の採用方針・目標の設定」が挙げられる。反対に「30~99人」において割合が相対的に高い項目としては「女性が働きやすい職場環境整備のための設備投資」が挙げられるが、「300人以上」と同様に「長時間労働対策のための組織的対応」「柔軟な働き方の導入」など両立に関する取組もランキング上位に入っている。
    • 情報公表項目
      • 一連のプロセスで行動計画を策定した後、企業はその行動計画の実施状況をモニタリングするために情報公表を行う必要がある。男女賃金差異を除いた15項目から、301人以上では2つ、101~300人企業では1つの項目の公表が義務づけられている。「100~299人」は情報公表を全くしていない企業が減少し、「1~2個」の割合が増加している。「300人以上」でも情報公表を全くしていない企業が減少し、特に「8~13個」の割合が増加している。基本的には行動計画の策定が義務づけられることによって情報公表を全くしていない企業が減少しているが、今後の傾向を考慮すると「100~299人」では義務化への最低限の対応である「1~2個」以上の割合が増加していくかどうかが問題となる。
    • くるみん・えるぼしの取得状況
      • このような女性活躍推進に関する取組の実施状況が優良な企業に対しては、厚生労働大臣より「えるぼし」認定を受けることができる。「300人以上」においても今日の認定率は1割未満となっているが、この5年間で微増しており、申請予定なしの割合も減少している。取得していない理由を尋ねると、存在を知らなかったという理由はいずれの規模でも減少しているものの、「100~299人」と「300人以上」ではえるぼし取得にメリットを感じなかったからという理由が特に増加している。そういった意味では、えるぼし認定は認知度が上昇し申請に取り組んでいる企業も増加しているが、未だそのメリットを感じていない企業も未だ多いという課題がある。
  • 女性活躍推進法の影響・効果
    • 上述のように、行動計画の策定プロセスをみたときに、この5年間で情報公表項目の数が高まっているという特徴がある。そこで、情報公表項目の数が多いほど女性活躍推進に関する取組に積極的であると捉え、それが女性管理職・昇進者比率の変化や女性社員・企業全体へどのような影響があるのかを検討した。結論からいえば、女性活躍推進に関する取組に積極的であるほどそれらのアウトカムに対してはポジティブな影響があることがわかった。
    • 女性の管理職者比率の変化(3年前比較)に関して、「300人以上」の企業では、情報公表項目数が多いほど女性管理職の比率が以前より高まったとする割合が多く、特に係長相当職と課長相当職での女性比率の変化にその傾向が現れている。一方で、「30~99人」と「100~299人」ではそうした傾向が係長相当職の女性比率の変化に限定されている。部分的には、情報公表項目数が多い企業では以前よりも女性管理職比率が高くなっている傾向が見られるが、規模による違いはあるものの、そうした関連がより上位の役職ではみられていないという課題がある。そして、このような関連は女性の昇進者比率の変化(3年前比較)についても同様である。つまり、情報公表項目数が多いほど女性昇進者比率が以前より高まるという関連がみられるは係長など下位の役職に限定されている。
    • 女性社員への影響では、情報公表項目数が多い企業で女性の採用や活躍が促進され、特に「100~299人」と「300人以上」では、情報公表項目数が多いほど「育児・介護をしながら働く女性管理職が出てきた・増えた」が高くなるという特徴がある。企業全体への影響については、当然ながら情報公表項目数が多いほど「女性活躍に向けた社内の意思統一ができた」というポジティブな影響が規模に関わらず観察されるほかに、職場活性化や効率化、離職率の低下に対してもポジティブな影響がみられる。特に行動計画が義務化されていない「30~99人」については、情報公表項目の数が増えることの影響が多くの項目で見られている。
    • 上記のような関連は管理職等における女性比率の公表の有無に注目した場合でも観察される。
    • すなわち、係長や課長以上などの管理職等に占める女性の比率を公表している企業においては、係長相当職及び課長医相当職における女性比率が3年前よりも高くなったとする割合が大きい。
    • 女性昇進者比率についても同様の傾向が見られており、管理職等における女性比率の公表と実際の女性管理職や女性昇進者比率は関連している。
    • 企業における両立・均等の組み合わせとそれぞれの取組の継続性に注目したところ、少なくとも「300人以上」においては両立と同時に均等の取組を実施している場合や、それぞれの取組を最初の行動計画以前から継続的に実施している場合では、女性正社員の平均勤続年数が長く、また係長相当職や課長相当職における女性比率もが3年前よりも高くなったとする割合が大きいということがわかった。「100~299人」規模の企業においても、両立・均等両方の取組を実施している場合には女性正社員の平均勤続年数が長く、また係長相当職における女性比率も高まっていた。この規模の企業において、両立取組の継続性は女性正社員の平均勤続年数と関連が見られなかったものの、均等取組の継続性については係長相当職における女性比率の変化と関連があった。
    • くるみん・えるぼし認証の取得についても、両方の認証を取得している方が女性正社員の平均勤続年数及び係長相当職・課長相当職における女性比率の変化についてポジティブな影響を与えている。このことは、上述のように両立・均等の両方の取組を実施していることが重要であることを示唆している。
  • 2022年省令改正後の状況把握
    • 2022年の省令改正により、301人以上の企業は男女賃金差異を公表することが義務化された。
    • この公表は全労働者および雇用形態別に行われ、追加情報の公表が推奨されている。本調査によると、大企業では約7割が男女賃金差異を公表しており、約4割が雇用形態以外の分析も実施している。また、約5割の企業が追加情報を公表しており、男女賃金差異の分析結果について公表している割合も2割強と決して少なくない。
    • 男女賃金差異の公表の手応えとして「賃金差異改善に向けた社内の意識向上」「新たな取組の実施や制度の創設」及び両者の組み合わせである「社内の意識向上かつ、新しい取組・制度の実施・創設」に着目したところ、残念ながらそれらの手応えを感じている企業は決して多くないことがわかった。しかしながら、詳細分析を行ったうえで賃金差異を公表している企業は、これらの手応えを感じている割合が高い。すなわち、賃金差異改善に向けた取組の実施につながる公表のためには詳細分析を行うことが重要である。
    • 続いて、詳細分析(男女賃金差異に関する雇用形態以外の分析)を促す要因は何かを検討した。
    • 行動計画における状況把握・課題分析と数値目標項目を当該企業における女性活躍に関する問題意識として位置づけて分析したところ、女性社員の評価や配置、多様なキャリアコースに関して状況把握し、数値目標を定めている企業ほど詳細分析を行っていることがわかった。さらに、企業で行われている具体的な取組との関連に注目すると、女性社員の業務内容の見直しや、部門・職種・雇用管理区分における性別分離を解消しようとしている企業で、特に詳細分析を行っている割合が高いことがわかった。そういった意味で、特に女性の配置やキャリアコースといった側面での男女均等の確保(性別分離の解消)を行おうとしている企業においては、自社における男女賃金差異に関する理解を深めようとする傾向が強いと言える。そして、そうした配置やキャリアコースといった側面での性別分離が大きな課題となっている典型的な産業が「金融業、保険業」であり、そこにおける詳細分析も割合も高い。
  • 新しい課題の把握
    • 最後に女性の健康課題に関する取組について分析を行った。女性の健康課題として近年注目されている「生理・PMS」「女性特有の疾患等」「更年期」「不妊治療」に対する企業の取り組みは、特に大企業においては、4つの健康課題いずれについても休暇制度の充実やサポート体制の整備という形で取組が進んでおり、女性のライフサイクル全般にわたる包括的な支援体制が整えられつつある。
    • 次にどのような要因が女性の健康課題への取組を促すのかを明らかにするために、女性労働者の状況及び行動計画における状況把握・課題分析項目に注目して分析を行った。まず、女性労働者の状況に注目した分析からは、女性の健康課題への取り組みは、特に女性の「採用」と「登用」に課題を抱えている一方で、女性の「定着」が進んでいる企業において積極的に行われていることがわかった。現状においては、女性の健康課題に関する取組が、女性の採用を増加させるや管理職昇進を促すという関連はみられていない。むしろ、「採用」と「登用」に課題が大きい産業グループにおいて女性の健康課題への取組が進んでいる印象がある。
    • そして、行動計画における状況把握・課題分析と健康課題の取り組みとの関連については、女性の育成や教育訓練、評価に関する問題意識が健康課題への取り組みを促していることがわかった。一方で、大企業においては今日の女性活躍推進法の枠組みが想定しているものとは異なる問題意識を持っている場合にも女性の健康課題への取組の実施率が高くなっており、そういった意味では今後の女性活躍推進の包括性や既存の枠組みの限界を示す結果となっている。そして、中小企業においては、既存の女性活躍推進の枠組みにおける問題意識の関連がみられ、そのなかでも特に「女性社員の評価」や「男女社員の賃金格差」といった人事制度・雇用管理の核となる領域での状況把握や課題分析が女性の健康課題への取り組みを促している。

~NEW~
厚生労働省 「職場のハラスメントに関する実態調査」の報告書を公表します
▼ 1 「報告書概要」
  • 企業調査結果のまとめ
    • 企業におけるハラスメントの発生状況
      • 過去3年間各ハラスメント(パワハラ、セクハラ、妊娠・出産・育児休業等ハラスメント、介護休業等ハラスメント、顧客等からの著しい迷惑行為、就活等セクハラ)の相談件数については、セクハラ以外では「件数は変わらない」の割合が最も高く、セクハラのみ「減少している」が最も高かった(「件数の増減は分からない」を除く)。顧客等からの著しい迷惑行為のみ「件数が増加している」の割合の方が「件数は減少している」より高かった。また、該当件数の傾向としては、顧客等からの著しい迷惑行為については「件数が増加している」の方が「件数は減少している」よりも多かったが、それ以外のハラスメントについては「件数は減少している」の方が「件数が増加している」の割合より多かった。
      • 相談件数の多かった業種としては、パワハラ、セクハラ、妊娠・出産・育児休業等ハラスメント、介護休業等ハラスメントでは、「金融業、保険業」、「教育、学習支援業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「医療、福祉」や「生活関連サービス業、娯楽業」が多い傾向にあった。顧客等からの著しい迷惑行為では、「医療、福祉」、「宿泊業、飲食サービス業」、「不動産業、物品賃貸業」(それぞれ53.9%、46.4%、43.4%)が、就活等セクハラについては、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「教育、学習支援業」の順に相談があった企業の割合が多かった(それぞれ2.9%、2.1%、1.4%)
    • 企業におけるハラスメントに対する取組状況
      • パワハラ、セクハラ、妊娠・出産・育児休業・介護休業等ハラスメント、顧客等からの著しい迷惑行為、就活等セクハラに対して予防・解決のために実施している取組として、「相談窓口の設置と周知」の割合が最も高く、約7割以上の企業が実施している。次いで「ハラスメントの内容、職場におけるハラスメントをなくす旨の方針の明確化と周知・啓発」の割合が高く、約6割以上の企業が実施している。業種別にみると、いずれのハラスメントにおいても、「金融業、保険業」、「複合サービス業」などで、取組を実施している割合が全般的に他の業種より高かった。
      • また、顧客等からの著しい迷惑行為に関する取組について業種別にみると、一般消費者との接触頻度が高い「医療、福祉」、「金融業、保険業」、「宿泊業、飲食サービス業」などにおいて、取組を実施している割合が他の業種より高く、また、そうした企業では取組を進める上での課題として「迷惑行為に対応する従業員等の精神的なケアが難しい」との回答が他の業種より多かった。
      • 就活等セクハラに関する取組として実施している取組を業種別にみると、「金融業、保険業」、「情報通信業」などでは、各取組の実施割合が他の業種より高かった。
    • 企業におけるハラスメントに対する取組の効果・課題
      • 予防・解決以外の副次的効果としては、「職場のコミュニケーションが活性化する/風通しが良くなる」(39.1%)の割合が最も高く、「会社への信頼感が高まる」(34.7%)が続いた。
      • ハラスメントの取組を進める上での課題について、取組を実施している企業では、「ハラスメントかどうかの判断が難しい」(59.6%)が最も高く、取組を実施していない企業においては、「特にない」(42.6%)が最も高かった。
    • 今後必要なハラスメントに対する取組
      • 今後必要なハラスメント予防・解決のための取組としては、「企業の自主的な取組の促進・支援」(54.7%)が最も高く、次いで「ハラスメント(ハラスメントの行為者)に対する規制」(36.5%)が高かった。
      • 上記の措置のほか、ハラスメントの予防・解決のために実施している取組として最も多かったものは「各種ハラスメントの一元的な相談窓口の設置」(66.2%)で、次に「職場環境の改善のための取組(適正な業務目標の設定、過剰な長時間労働の是正等)」(47.3%)が続いている。
      • 他社からハラスメントに関する事実確認や協力を求められた場合の対応については、「そのような対応を求められたことがない」が約8割を占めており、「応じている」が19.2%、「応じていない」が0.4%であった。
      • 顧客等からの著しい迷惑行為に関する取組として実施しているものは、「特にない」(55.8%)が最も多く、次いで「自社従業員が取引先等からハラスメント被害を受けた場合の取引先等への協力依頼」(13.9%)であった。業種別にみると、一般消費者との接触頻度が高い「医療、福祉」、「金融業、保険業」、「宿泊業、飲食サービス業」などにおいて、取組を実施している割合が他の業種より高く、「製造業」、「建設業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」などでは、取組の実施割合が他の業種より低かった。
      • 顧客等からの著しい迷惑行為の予防・解決のための取組を進める上での課題としては、「特にない」(32.1%)と回答した企業が最も多く、次いで「迷惑行為と正当なクレームや要求とを区別する明確な判断基準を設けることが難しい」(25.9%)であった。「迷惑行為に対応する従業員等の精神的なケアが難しい」については、「生活関連サービス業、娯楽業」「医療、福祉」「金融業、保険業」といった顧客との接点が多い業種において課題と感じている企業が多く、「特になし」と回答した割合が他の業種よりも低かった。
      • 顧客等からの著しい迷惑行為の判定基準の策定について、3割以上の企業では基準を策定していないという回答であった。判定基準の策定の際に参考にしたものについても、約3割の企業が「特にない」と回答したものの、参考にしたものとして最も多かったのは「厚生労働省が公表しているカスタマーハラスメントマニュアル」(25.3%)であった。
      • 就活等セクハラに関する取組として実施しているものとしては、「特にない」(53.0%)との回答が最も多かった。業種別にみると、「金融業、保険業」、「情報通信業」などでは、各取組の実施割合が他の業種より高く、「生活関連サービス業、娯楽業」、「宿泊業、飲食サービス業」などでは他の業種より実施割合が低い項目が複数見られた。
  • 労働者等調査結果のまとめ(一般サンプル調査)
    • 労働者におけるハラスメント被害を受けた経験
      • 過去3年間に勤務先でパワハラ、セクハラ、顧客等からの著しい迷惑行為を受けた割合は、それぞれ19.3%、6.3%、10.8%であった。また、顧客等からの著しい迷惑行為を一度以上経験した割合については、接客頻度が高いほど、経験した割合が高く、業種別にみると、「生活関連サービス業、娯楽業」(16.6%)、「卸売業、小売業」(16.0%)、「宿泊業、飲食サービス業」(16.0%)の順で高かった。
      • さらに、ハラスメントを受けた経験の割合を、勤務先が行っているハラスメントの予防・解決のための取組評価別にみると、パワハラにおいては、勤務先が「積極的に取り組んでいる」と回答した者で、ハラスメントを経験した割合が最も低く(15.2%)、「あまり取り組んでいない」と回答した者で最も高かった(35.1%)。なお、セクハラと顧客等からの著しい迷惑行為については、勤務先が「取り組んでいる」と回答した者でハラスメントを経験した割合が最も低かった(それぞれ5.5%、12.2%)
      • パワハラ、セクハラを受けた後の行動としては、「何もしなかった」(それぞれ36.9%、51.7%)が最も多く、顧客等からの著しい迷惑行為については、「社内の上司に相談した」(38.2%)が最も多かった。また、勤務先におけるハラスメントの予防・解決に向けた取組への評価が高いほど、「社内の同僚に相談した」や「社内の上司に相談した」等の割合が高く、「何もしなかった」の割合が低かった。
    • ハラスメントに対する勤務先の対応
      • 勤務先によるハラスメントの認識については、「認識していた」の割合がパワハラでは37.1%、セクハラでは23.9%と半数を下回る一方で、顧客等からの著しい迷惑行為については59.2%と半数を上回っていた。
      • ハラスメントを知った後の勤務先の対応としては、パワハラとセクハラでは「特に何もしなかった」が最も高く(それぞれ53.2%と42.5%)、顧客等からの著しい迷惑行為については「あなたの要望を聞いたり、問題を解決するために相談にのってくれた」(39.2%)が最も高かった。
      • 勤務先によるハラスメントの認定については、パワハラ、セクハラでは、「ハラスメントがあったともなかったとも判断せずあいまいなままだった」(それぞれ61.4%、47.5%)の割合が最も高かった。
    • 勤務先における職場の特徴
      • 現在の勤務先でハラスメントを経験した者と、ハラスメントを経験しなかった者とで職場の特徴を比較すると、パワハラ、セクハラ、顧客等からの著しい迷惑行為において、「その他」を除き、すべての職場の特徴に関して、ハラスメントを経験した者の方が経験しなかった者よりも回答割合が高かった。
    • 勤務先におけるハラスメントに対する取組状況やそれに対する評価
      • 勤務先が予防・解決のための取組を行っている割合は、全体のうち41.8%であり、取組の対象となっているハラスメントについては、「パワハラ」(88.1%)が最も多く、次いで「セクハラ」(81.0%)、「妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント」(51.2%)と続いた。
      • また、勤務先の取組への評価については、「取り組んでいる」が約半数(49.0%)で最も多く、次いで「あまり取り組んでいない」(20.9%)の順となった。
      • 「職場の生産性」「あなた自身の働きやすさ」といった職場の変化について、勤務先が「積極的に取り組んでいる」「取り組んでいる」と回答した者においては、「悪化している」よりも「改善された」の割合が高く、「あまり取り組んでいない」と回答した者においては「改善された」よりも、「悪化している」の割合が高かった。
    • 勤務先において今後実施した方が良いハラスメントに対する取組
      • 勤務先が今後実施した方がよい取組を業種別でみると、「運輸業、郵便業」(24.1%)や「教育、学習支援業」(24.3%)では、「労働者や労働組合等の参画の促進(アンケート調査や意見交換等の実施、衛生委員会の活用等)」の割合が高く、一方、「不動産業、物品賃貸業」(65.1%)や「宿泊業、飲食サービス業」(68.0%)、「その他サービス業」(67.4%)では、「特にない」の割合が高かった。
  • 労働者等調査結果のまとめ(特別サンプル調査)
    • 労働者等におけるハラスメント被害を受けた経験
      • 過去5年間に就業中に妊娠/出産した女性労働者の中で、妊娠・出産・育児休業等ハラスメントを受けたと回答した者の割合は、26.1%、過去5年間に勤務先で育児に関わる制度を利用しようとした男性労働者の中で、育児休業等ハラスメントを受けたと回答した者の割合は、24.1%であった。
      • 2020~2022年度卒業でインターンシップ中に就活等セクハラを一度以上受けたと回答した者の割合は30.1%、インターンシップ以外の就職活動中に受けた者の割合は31.9%であった。セクハラを受けた際の志望企業・団体の従業員規模については、インターンシップ中、インターンシップ以外の就職活動中ともに、「99人以下」(それぞれ37.7%、35.3%)の企業における割合が最も高く、業種としては、インターンシップ中、インターンシップ以外の就職活動中ともに、「製造業」(それぞれ17.5%、17.0%)が最も多かった。
      • 2020~2022年度卒業でインターンシップ中に就活等セクハラを一度以上受けたと回答した者について、男女別でみると、インターンシップ中にセクハラ経験したと回答した割合は男性の方が女性より高く(それぞれ32.4%、27.5%)、インターンシップ以外の就職活動中のセクハラについても、男性の方が女性より経験した割合が高かった(それぞれ34.3%、28.8%)。
      • 就活等セクハラの行為者としては、インターンシップ中のセクハラは、「インターンシップ先で知り合った従業員」(47.4%)が最も多く、また、インターンシップ以外の就職活動中のセクハラの行為者では、「大学のOB・OG訪問を通して知り合った従業員」(38.3%)が最も多かった。
      • 女性が妊娠・出産・育児休業等ハラスメントを受けた後の行動としては、「何もしなかった」(30.7%)が最も多く、男性の育児休業等ハラスメントにおいては、「会社とは無関係の弁護士や社会保険労務士に相談した」(20.8%)の割合が最も高かった。
      • 就活等セクハラを受けての行動としては、インターンシップ中は「家族・親戚、友人に相談した」(21.5%)が最も高く、インターンシップ以外の就職活動では、「労働基準監督署や都道府県労働局内の総合労働相談コーナーに相談した」(20.0%)が最も高かった。
      • 就活等セクハラを受けての行動を男女別でみると、インターンシップ中のセクハラについては、「労働基準監督署や都道府県労働局内の総合労働相談コーナーに相談した」、「大学のキャリアセンター以外の部署(学生相談窓口など)に相談した」などについては男性の方が割合が高く、「何もしなかった」、「大学のOB・OGに相談した」などについては女性の方が割合が高かった。また、インターンシップ以外の就職活動中のセクハラについては、「大学のOB・OGに相談した」、「ハローワークに相談した」などについては男性の方が女性より割合が高く、「何もしなかった」、「大学のキャリアセンターに相談した」などについては女性の方が男性より割合が高かった。
    • ハラスメントに対する勤務先・相談先の対応
      • 自身がハラスメントを受けていることを勤務先が認識していたかについて、女性の妊娠・出産・育児休業等については、「認識していなかった」の割合が53.6%となり過半数を超えていたが、一方、男性の育児休業等ハラスメントについては、「認識していた」と回答した割合が55.0%であった。
      • 女性の妊娠・出産・育児休業等ハラスメントを知った後の勤務先の対応としては、「特に何もしなかった」(35.5%)が最も多く、男性の育児休業等ハラスメントにおいては、「相談したことを理由としてあなたに不利益な取扱いをした(解雇・降格・減給・不利益な配置転換など)」(47.0%)が最も高かった。
      • 就活等セクハラを受けていると相談した後の相談先対応者の対応としては、インターンシップ中、インターンシップ以外の就職活動中ともに、「解決策・対応策は示してくれなかったが、相談にのってくれた」(それぞれ43.1%,50.9%)の割合が最も高かった。
      • 勤務先によるハラスメントの認定については、妊娠・出産・育児休業等ハラスメントでは、「ハラスメントがあったともなかったとも判断せずあいまいなままだった」(47.1%)の割合が最も高かった。男性の育児休業等ハラスメントについては、「あなたが受けた行為をハラスメントまたは不利益取扱いと認めなかった」が50.0%で最も高かった。
    • 勤務先における職場の特徴
      • 現在の勤務先でハラスメントを経験した者と、ハラスメントを経験しなかった者とで職場の特徴を比較すると、女性の妊娠・出産・育児休業等ハラスメントにおいて、「その他」を除き、すべての職場の特徴に関して、ハラスメントを経験した者の方が経験しなかった者よりも回答割合が高かった。男性の育児休業等ハラスメントについても、すべての項目においてハラスメントを経験した者の方が、すべての職場の特徴に関して回答割合が高かった。

~NEW~
厚生労働省 第10回雇用政策研究会資料
▼ 「多様な個人の労働参加し、意欲を持って働ける労働市場に向けて」概要
  • 多様な個人の労働参加に向けて
    • 人手不足が深刻化する中、より多くの人の労働参加・活躍を促していくことが求められる。労働者個人の事情が必ずしも十分に考慮されない雇用管理が正社員について顕著にみられた。個人のライフスタイルや価値観に応じて多様で柔軟な働き方が実現できるよう、様々な選択肢が提示できる雇用管理への転換が必要となる。このため、下記に取り組むことが必要である。
      1. 「多様な正社員制度の活用促進」
        • 多様な正社員制度(短時間正社員、勤務地限定正社員、職種・職務限定正社員)が普及し始めているものの、利用がされていない現状を踏まえ、正社員と非正規雇用労働者の二極化の緩和を念頭に、多様な正社員制度の更なる普及とともに、個々の職場の実情に合わせて、労働者・企業側で協議し活用が図られるていくことが求められる。
      2. 「長時間労働を前提としない職場づくり」
        • 長時間労働は働き方改革等を通じて改善傾向にある。更なる長時間労働の削減に向けて、業界全体で法令遵守の意識を高め、キャリアアップを阻害する不合理な慣行の改善や好事例の共有などを通じた働き方の見直しを行う。
      3. 「柔軟な働き方の更なる促進-テレワークやフレックスタイム制の活用-」
        • コロナ禍を契機とした生活・仕事スタイルの改善に向けた動きが元に戻ることがないよう、引き続きテレワークの活用促進を行う。また、自身の生活スタイルに合わせて就業時間が決められるフレックスタイム制について、適切な活用促進を図る。
  • ミドル・シニア世代も含む人材活用
    • 人手不足が進行する中、ミドル・シニア世代が中長期的に活躍できるよう仕組みづくりを行っていくことが重要であり、継続勤務を希望する人への支援とともにシニア世代の活躍の場を一層開拓することや、企業自身が戦略をもってシニア世代の活用を検討することが求められる。
    • 企業側はシニア世代が定年後も活躍できるようなキャリア形成を行うため、ミドル世代から専門性を高めるための人材育成や、越境学習、副業・兼業などを通じた新たな専門性の構築及びキャリアコンサルティングを通じ、中長期的にミドル・シニア世代のワーク・エンゲージメントを下げないような取組みを行うことが望まれる。加えて、労働者側も、定年後のキャリアを見据えた学び直しを行い、職場に対してより高い貢献ができるよう、キャリアについて自ら具体的に検討していくことが望まれる。
    • さらに、シニア世代の活躍について、企業内における活躍に限らず、地域に貢献し、地域と繋がるような仕組みの強化も重要となってくる。近年高齢者の就業意欲は高まっており、働いている人の満足度も高齢者ほど高い傾向にあることから、シニア世代と企業・地域の仕事とのマッチングを図り、地域におけるシニア世代の活躍を推進していくことが求められる。
  • 家庭等の事情に関わらず男女ともに希望する働き方が実現できる環境整備
    • 人手不足が深刻化する中、多様な人材が自身の希望に合わせて活躍できる労働市場を構築することが重要であり、その中でも家庭等の事情に関わらず男女ともに希望する働き方が実現可能な環境整備を行っていくことが重要である。
      • 女性の労働参加の進展
        • 女性の労働参加の状況をみると、女性の就業率は従来指摘されたM字カーブは解消傾向にあり、女性の雇用者数もコロナ禍を経ても引き続き増加傾向にあるなど、着実な進展がみられる他、例えば、男女間の職種の偏りについても、業界毎の様々な取組みを通じ、改善の兆しがみえている。引き続き男女ともに希望に添った働き方・キャリア・賃金水準が実現可能な環境整備が求められる。
      • 子育てや介護を行う人への支援の更なる活用に向けて
        • 子育て世代の希望する働き方の実現に向けて、これまで様々な支援策の充実が図られてきた一方、例えば、育児休業取得率に男女間で差がみられるなど両立支援策の利用状況に課題がみられている。両立支援策の活用促進を行うため、子育て世代への支援体制に関するノウハウを社会全体で共有する他、育休時の代替要員の確保に関し、助成措置の活用等を行うなど、安心して制度利用できる環境整備や、職場の負担感軽減を行っていくことが望まれる。
        • 近年では、子育て世代だけでなく、介護と仕事の両立も大きな課題となっている。介護に関する離職理由をみると、勤務先に介護休業制度等の両立支援制度が整備されていないことが理由として多く、介護に関する支援制度の周知や活用促進、勤務時間の柔軟化などの環境整備を行っていく必要がある。
        • また、男女間の家事負担の偏りは、女性の仕事へのコミットを阻害していることも考えられる。女性の仕事へのコミットを希望に沿った形で実現していくため、男性の働き方を変えていくとともに、家事負担の偏在を解消するような社会的な機運を醸成していくことが求められる。
        • 健康課題は労働生産性の低下やキャリア形成の阻害要因となり、企業経営にも影響を与えうるため、個々の労働者の健康状態に配慮できる職場環境の整備について積極的な取組みが求められる。
  • 個々の事情を乗り越えた労働参加について
    • 育児を行っている無業女性のうち就業を希望する人は多いが、ブランクが長くなると再就職する割合が低く、不安を抱えて再就職をためらう女性もいる。企業は必ずしも育児をする女性の採用に消極的なわけではなく、マッチングの強化、リスキリングによるスキル習得、自身の強みの理解等の求職活動を伴走型で支援することが重要であり、公的機関、自治体、民間企業の連携強化やアウトリーチ支援の展開が必要である。
    • 生活困窮者や、雇用環境が厳しい時代に就職活動を行った人、障害のある人に対し、引き続き個別の状況に応じて、関係者とともに包括的な支援を行い、本人の希望に添った就労の実現を目指していくことが求められる
  • 地域の人手不足への対応
    • 少子高齢化に伴う人口減少が進む中、東京圏を除いた地域では転出が転入を上回っており、地域において労働力の確保が厳しい状況が続くことが想定される。
    • 働き方改革やDX化の推進により労働生産性を高める他、ライフスタイルに応じて仕事を切り出し、マッチングを行うことや、地域の人材育成を行うことへのニーズが高まっている。特に女性や高齢者などの労働力の掘り起こしの可能性が見込まれる場合においては、ライフスタイルに合わせて働けるよう、働きやすい職場の構築が求められる。
    • さらにUIJターンについては、若者を中心として、潜在的な地方就職希望者の掘り起こし、地方就職への動機付け、地方求人とのマッチング等を行うことが重要。テレワークがしやすい環境整備を行い、地方部にいながら都市部の仕事を担える環境整備、逆に都市部の人が副業・兼業といった形で地域の仕事を担えるようにするなど、多様な形で地域の担い手を確保することが必要。
  • 外国人労働者への対応
    • 人手不足の深刻化に伴い、幅広い分野において外国人材が活躍しており、2022年以降の中長期在留外国人数は、過去最高の水準で推移している。国際的にも人材獲得競争が激化している中で、国際的に理解が得られ、日本が外国人材に選ばれる国であり続けるための雇用環境を整備していくことが必要である。
    • 日本で働くことによって、技能・知識を段階的に向上させることができ、更にキャリアアップが見込める環境整備をしていくことや、日本社会における共生が同時に図られていくことが重要である。特に地域の中小企業においてはノウハウや理解不足が課題として考えられ、地域の特性を活かしつつ、働きやすい職場や外国人材が住みやすい地域をつくることで、外国人材が円滑に地域に定着できるようにすることが求められる。
    • 働きやすい職場をつくり、処遇の改善をしていくことで選ばれる職場となることが、外国人材の定着を図っていく上で重要。
    • 近年増加している外国人留学生と国内企業とのマッチング強化を図り、内部労働市場での活躍や将来的なキャリアップを見据えた支援をすることで、外国人材の包摂と日本での活躍が期待される。

~NEW~
厚生労働省 令和4年度喫煙環境に関する実態調査の概況
▼ 結果の概要
  • 学校、医療施設、児童福祉施設、行政機関等(第一種施設)における喫煙環境
    • 第一種施設において、火をつけて喫煙するたばこ及び加熱式たばこを敷地内全面禁煙にしている施設の割合は、全体の86.3%で、施設種別では「病院」が100%で最も高く、次いで「幼稚園、幼保連携型認定こども園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校」が91.0%、「一般診療所、歯科診療所」が90.4%であった。
    • 敷地内全面禁煙にしていない第一種施設のうち、特定屋外喫煙場所を設置している施設の割合は全体の61.7%で「専修学校、各種学校、職業・教育支援施設」が100%、「行政機関」で94.5%、「大学院を除く高等教育機関(大学、短期大学)」で94.4%であった
  • 一般施設・事業所、飲食店(第二種施設)の屋内における喫煙環境
    • 一般施設・事業所、飲食店(以下「一般施設等」という。)のうち、火をつけて喫煙するたばこについて屋内全面禁煙としている施設は全体の74.1%であり、喫煙専用室を設置している施設は9.7%であった。
    • また、加熱式たばこについて、屋内全面禁煙としている施設は全体の72.2%であり、喫煙専用室で加熱式たばこの喫煙も可としている(喫煙のみ、飲食等は不可)施設は8.2%、加熱式たばこ専用の喫煙のみを行う部屋の設置(喫煙のみ、飲食等は不可)をしている施設は0.6%、加熱式たばこ専用の喫煙及び飲食等も行える部屋の設置(加熱式たばこ専用喫煙室)をしている施設は1.2%であった
  • 既存特定飲食提供施設と考えられる店の喫煙等状況
    • 改正健康増進法の全面施行(令和2年4月1日)の際、既存の飲食店のうち、経営規模が小さい事業者(資本金の額又は出資の総額が5,000万円以下で客席の部分の床面積が100㎡以下)が運営するもの(以下「既存特定飲食提供施設」という。)については、経過措置として、喫煙可能室設置施設の届出により、当該施設の屋内の場所の全部又は一部の場所を喫煙することができる場所として定めることができることとしている(改正法附則第2条)。
    • 本調査においては、令和2年4月1日以前から営業開始し、中小企業又は個人事業者で、かつ客席面積100m2以下のものが、既存特定飲食提供施設の要件に該当すると考えられる(ただし、発行済株式又は出資の総額又は総額の二分の一以上ないし三分の一以上を大規模会社が有していないという条件は確認していない)。
    • 全ての飲食店に占める既存特定飲食提供施設と考えられる店の割合は75.1%、既存特定飲食提供施設に該当しないと考えられる飲食店は19.1%、既存特定飲食提供施設か否か判断ができなかった飲食店が5.7%であった。
    • 既存特定飲食提供施設と考えられるものの中で、屋内全面禁煙としている飲食店は60.7%、喫煙専用室等設置(喫煙専用室及び加熱式たばこ専用喫煙室の両方または一方の設置有)としているところは3.0%、喫煙可能室設置としている飲食店は35.0%、そのうち喫煙可能室設置施設の届出をしている飲食店は21.3%、届出をしていない飲食店は13.7%であった。
    • また、既存特定飲食提供施設に該当しないと考えられる飲食店のうち、屋内全面禁煙としているところは76.0%、喫煙専用室及び加熱式たばこ専用喫煙室設置の設置は9.2%(その内訳は喫煙専用室及び加熱式たばこ専用喫煙室0.9%、喫煙専用室7.6%、加熱式たばこ専用喫煙室0.7%)であった。
  • その他の第二種施設等(不動産管理事業者、鉄道・バス事業者、旅客船・旅客船ターミナル事業者)の屋内における喫煙環境
    • 不動産管理事業者の屋内(共用部)において、火をつけて喫煙するたばこを屋内全面禁煙としている事業者は76.5%、加熱式たばこを屋内全面禁煙としている事業者は73.0%であった。
    • また、鉄道、モノレール、ケーブルカー等の車両において、火をつけて喫煙するたばこを屋内全面禁煙としている車両は80.1%、加熱式たばこについて屋内全面禁煙としている車両は80.1%であった。鉄軌道駅において、火をつけて喫煙するたばこについて屋内全面禁煙としている施設は94.7%、加熱式たばこについて屋内全面禁煙としている施設は95.0%であった。
    • 専用バスターミナル(一般バスターミナルを除く)においては、火をつけて喫煙するたばこについて屋内全面禁煙としている施設は83.5%、加熱式たばこについて屋内全面禁煙としている施設は74.6%であった。
    • 一般旅客定期航路事業(フェリー、定時運航の遊覧船等)の船舶において、火をつけて喫煙するたばこについて屋内全面禁煙としている船舶は82.7%、加熱式たばこについて屋内全面禁煙としている船舶は78.1%であった。一般旅客定期航路事業の旅客船ターミナルにおいて、火をつけて喫煙するたばこについて屋内全面禁煙としている施設は92.5%、加熱式たばこについて屋内全面禁煙としている施設は86.3%であった。
  • 令和3年度と令和4年度との経年比較
    • 調査対象(全国を調査範囲とする、第一種施設、一般施設・事業所、飲食店、不動産管理事業者、鉄道・バス事業者、旅客船・旅客船ターミナル事業者)、調査方法(郵送調査又はオンライン調査)、調査対象の選定方法(層化無作為抽出)は両調査において同一である。
    • なお、令和2年度は「医療施設静態調査」実施年であり、第一種施設票の調査対象から、病院、一般診療所及び歯科診療所を除外したため、第一種施設の「全体」の結果を示していない。また、第一種施設については統計学的な検定を行っていない。

~NEW~
総務省 民間事業者におけるマイナンバーカードの利活用ーエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社による公的個人認証サービスの利用ー
  • 本日、電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律(平成14年法律第153号)第17条第1項第6号の規定に基づき、公的個人認証サービスを利用するために必要な一定の基準を満たす事業者として、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社に対し主務大臣の認定を行いました。
  • 公的個人認証サービスの概要
    • 公的個人認証サービスは、マイナンバーカードに格納された電子証明書を用いて、成りすまし、改ざん、送信否認の防止を担保し、インターネット上での本人確認や電子申請等を可能とする公的なサービスです。
  • 民間事業者への主務大臣認定について
    • 民間事業者についても、システムのセキュリティ等について一定の基準を満たす者として、主務大臣の認定を受けた者であれば利用が可能です。これまでに18社が主務大臣による認定を受けています。
    • また、公的個人認証サービスの利用の拡大を推進するため、民間事業者が安価かつ容易に利用することができる仕組みとして、「プラットフォーム事業者」の制度を設けています。
  • 提供するサービス内容について
    • エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社は、プラットフォーム事業者として、公的個人認証により、正確な本人確認、住民基本台帳上で管理される基本4情報をもとにした正確なアカウント登録、身分詐称を防ぐ確実な本人認証を可能とするサービスを提供する予定です。

~NEW~
総務省 不適正利用対策に関するワーキンググループ(第4回)
▼ 資料4-1 本人確認手法のJPKI一本化を前提とした、不正対策と利便性の高い本人確認の実現(一般社団法人デジタルアイデンティティ推進コンソーシアム)
  • 前提-デジタル社会の実現に向けた重点計画(案)抜粋-
    • 昨年5月に公開された下記資料内の2.カードの機能向上の③では本人確認手法のカードへの一本化が記載されている
    • 犯罪収益移転防止法並びに携帯電話不正利用防止法における本人確認では(ホ)(へ)などの本人確認方法は利用を廃止していく方向で政府は検討
  • 台帳照合を行わない画像解析型本人確認(eKYC)の課題
    1. 画像だけでは身分証の偽造は”確実な検証”ができないため、身元の偽装は容易
      • 身元確認は本人確認書類の真正性検証(validation)と、提示された本人確認書類と当該本人が一致しているかの検証(verification)の2つのプロセスから成立するが、日本で一般的に利用されている画像解析型eKYCには、validationのプロセスがなく、身元確認の意味をなしていない。(本来はvalidationプロセスとして、発行者台帳との照合等が必須とされているが、民間企業がこれを行う方法がないため黙認され、骨抜きとなっている)
    2. 法令で求めている=安全ではない
      • 犯罪収益移転防止法は、特定取引時に本人確認を行い、その証跡を一定期間保管することを金融機関等に求めているが、法令で本人確認の強度を保証している訳ではない。(赤信号を無視するのは違法であるが、赤信号で交差点の安全性を保障している訳ではなく、悪意をもって信号を無視することは容易であるのと同じ)
      • また、そもそも現状の犯収法ではFATF勧告における顧客調査措置(CDD)の履行が不十分と指摘されており、電子署名(マイナンバーカード)を活用したより強固な身元確認プロセスへの移行が想定されているなかで、画像解析型eKYCは過渡期の技術として近い将来淘汰されてゆくものと考えられている。
  • 従来の書類の画像+容貌による本人確認手法の限界
  • オンラインの本人確認手法強化に伴う対面本人確認による不正
    • 公的個人認証によってオンラインでの本人確認が強化されることで、対面本人確認が次の不正のターゲットに
  • AIを悪用した不正や詐欺がすでに実在
  • オンライン本人確認手法のJPKI一本化を前提に
    • オンライン本人確認手法のJPKI一本化を前提に、合わせて発生しうる課題についても解決することで、不正対策を強化しつつも、特定事業者の負担を減らし、ユーザーにとっても利便性高い本人確認ができる社会を実現
    • 実現していただきたいことと、その背景
      • 携帯電話不正利用防止法、犯罪収益移転防止法の本人確認手法規定をできるだけ揃える
        • 事業者が、グループ企業内で通信事業、金融事業を両方運営しているケースも増えてきており、両省令における本人確認手法の規定が揃っていないことで、事業者の対応負担が上がる
        • 社会全体の本人確認にかかるコストを下げる
    • 実現に向けた検討案
      • オンライン本人確認手法の原則JPKI方式への一本化
        • 従来のオンラインで完結できる本人確認手法で主流である書類の画像+容貌の写真アップロード(いわゆるeKYC厚み方式)の廃止
      • 依拠による本人確認の見直し
        • これまで犯収法にのみ適用のあった、既に行われた本人確認結果の活用を、携帯法にも適用することで、JPKI一本化による不正対策強化を実現しつつ、事業者やユーザーにとっての利便性を考慮した本人確認を実現
      • 対面本人確認における真贋判定
        • オンライン本人確認の厳格化によって、対面本人確認が相対的に脆弱になることで、対面本人確認を狙った不正がこれまで以上に増加することを防ぐ
  • オンライン本人確認手法の原則JPKI方式への一本化
    • 従来のオンラインで完結できる本人確認手法で主流である書類の画像+容貌の写真アップロード(いわゆるeKYC厚み方式)の廃止
    • 携帯電話事業者・金融機関を含む700社以上の企業に影響 ※eKYCサービスを提供する主要企業の公開情報等から試算
    • JPKI一本化による旧来方式の廃止だけでは、先行してデジタル化に取り組んできた事業者にとってJPKIへの対応への追加開発などの投資負担が大きくなり、社会全体として前向きな改正とならないのではないか?
  • 参考:公的個人認証プラットフォーム(PF)事業者制度
    • 民間事業者が、マイナンバーカードの電子署名を検証(認証)するためには、主務大臣より監査をうけ認定を取得する必要がある
    • 認定事業者は、利用者の電子証明書を安全な認定設備内に保管することが義務付けられ、外部送信や目的外利用が厳しく禁じられている
    • 認定事業者に、電子証明書の保管を含めた署名検証業務のすべてをPF事業者へ委託することで、設備監査を受けることなく簡易な手続きで認定事業者としてみなす(みなし認定=SP事業者)制度がある
  • 依拠による本人確認の見直し
    • 現在、犯収法にのみ導入されている、他事業者の実施済み本人確認結果への依拠を、携帯電話不正利用防止法にも導入し、さらに両省令の適用事業者間(銀行と携帯電話事業者)でも本人確認結果を活用可能に
    • JPKIを前提に考えると、本人確認結果の依拠元は、これまでの「特定事業者」に限定することなく、公的個人認証(JPKI)で本人確認を実施済みの事業者=大臣認定のPF事業者またはSP事業者とすることで、両省令の施行規則および依拠元の本人確認の厳格さ(IAL)を揃え、かつ事業者、ユーザーにとって負担の少なく利便性の高い本人確認が実現できるのではないか?
  • JPKIを前提とした依拠による本人確認を拡大するには当人認証が重要
    • 依拠元の本人確認結果を、第三者に流用されないようにするためには、当人認証レベルを揃える必要がある
    • 犯罪収益移転防止法および携帯電話不正利用防止法
    • 公的個人認証(JPKI)で本人確認を実施済みの事業者=大臣認定のPF事業者またはSP事業者
    • 大臣認定のPFまたはSP事業者が、公的個人認証法に準拠して、署名用電子証明書で本人確認を実施した記録を信頼
    • 要検討(依拠元のJPKIによる本人確認実施者がAAL2以上の当人認証で保証するなど)
    • 当人認証が弱いと、本人確認済み結果を第三者に悪用されるリスクがある
  • 参考:当人認証:ID・パスワードではダメなのか?
    • ID・パスワードによる認証の限界(人間の認知能力の限界)
      • Yahoo! JAPANのアンケートによると、60%以上が「複数のサービスでパスワードを使いまわしている」と回答(2020年7月)
      • IDとパスワードは過去の情報流出事故等から、ダークウェブ等で既に大量に流通していると考えられており、今後も情報流出事故を完全に防ぐ事は難しい
      • ID・パスワードを認証に用いる以上、流出したIDとパスワードを使った「リスト型攻撃」による不正アクセスを防ぐことは難しい
      • 近年は「フィッシング型攻撃」によってID・パスワードが奪取され、不正アクセスを招く事案が多発している
    • ID・パスワードのみの認証(単要素認証)は不正アクセスによって突破されることを前提として利用する必要がある。不正にアクセスされても、リスクが大きくないサービスでのみ利用すべき
    • 近年では、携帯電話のショートメッセージ(SMS)にワンタイムパスコードを送信することで、パスワードに加えて携帯電話の所持確認を行うことで、多要素認証を行うケースも増えていますが、以下のような課題があります。
      • 電話番号が失われたり、電話番号が変更されたりすると容易に復旧できない(復旧手段が狙われる)
      • SMS送信毎に通信料金が発生する
      • フィッシングには攻撃には対処できない
  • 参考:本人確認とは?
    • 本人確認のプロセスは、通常は「身元確認」と「当人認証」の2つの異なるプロセスに分けられます
      • 身元確認
        • 当該ユーザーが実在することを確認する
        • 当該ユーザーの本人特定事項(基本4情報等)と、その正確性を確認する
        • 当該ユーザーを重複無く、唯一の自然人に帰着させて登録する
        • 本人特定事項とエビデンス(身分証)を提示・収集する
        • 提示されたエビデンスが本物であるかを確認する(Validation)
        • 提示されたエビデンスが登録しようとしている当人のものかを確認する(Verification)
        • 身元確認完了後、クレデンシャルを発行する
      • 当人認証
        • ある行為の作業者が、まちがいなく期待される当人によってなされていることを確認する
        • 操作者と事業者の保持するアイデンティティ情報を確実に対応付ける
        • クレデンシャル=認証の3要素(知識・所持・生体)のいずれかを照合する
  • 対面本人確認時における身分証の真贋判定をする方法
    • 現在は目視確認による真贋判定に頼っており、精度の高い偽造身分証が台頭してくると真贋判定は困難になっていく
    • 真贋判定機は一部導入があるものの、判定結果についてはメーカー保証はない状況
    • ICチップ読み取りなどの、マイナンバーカードの真正性が確実に検証可能な仕組みの導入の必要性

~NEW~
総務省 デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会(第19回)配付資料 ※ワーキンググループ(第19回)合同開催
▼ 資料19-1-1プラットフォーム事業者ヒアリングの総括(暫定版)
  • デジタル空間における情報流通の健全性に関する基本理念にのっとりプラットフォーム事業者に期待される役割・責務
    • インターネット上の偽・誤情報等の流通・拡散については、令和6年能登半島地震においても救命救助活動や復旧復興活動を妨げる等深刻な問題となるなどしており、その主要な場となっているSNS等のプラットフォームサービスを提供する事業者には、偽・誤情報等の流通・拡散の低減に向けて、社会的責任が求められる。
    • 具体的には、コンテンツモデレーション(問題となる投稿の削除やそのような投稿を行ったアカウントの凍結・停止、収益化の停止、投稿に注意喚起を促すラベルの付与、表示順位の低下等)を実施するなど、情報流通の適正化について一定の責任を果たすとともに、ユーザの表現を預かる立場として、ユーザの表現の自由の確保について一定の責任を果たすことが期待されている。
    • 特に、本検討会におけるヒアリングの対象とされたものを含む大規模なプラットフォーム事業者については、そのサービスの提供により情報流通について公共的役割を果たしていると考えられることから、当該サービスのユーザ及びユーザ以外の者に対して、情報流通の健全性確保に向けた取組に関する透明性・アカウンタビリティが確保されることが必要である。
    • 透明性・アカウンタビリティの確保においては、自らのサービスやそのアーキテクチャ(サービスに組み込まれたアルゴリズムを含む)がアテンション・エコノミーの下で情報流通の健全性に与える影響・リスクの適切な把握と対応や、自らのサービスにおける偽・誤情報の流通・拡散の実態やその抑制のための対策とその効果に関する総量的な数値等の把握という全体的な傾向に関する観点と、ファクトチェック団体等の信頼できる主体等の第三者からの申出にもかかわらず十分にコンテンツモデレーションが行われないと考えられる場合、発信者の投稿に対し過度なコンテンツモデレーションが行われたと考えられる場合や受信者に対し不当な広告のターゲティングや投稿のレコメンデーションが行われたと考えられる場合の反論や異議申立て等の機会の確保という個別具体の観点の両面からの対応が必要である。
    • 以上の対応とともに、ファクトチェックの推進や普及啓発・リテラシーの向上等も含め、民産学官のマルチステークホルダーとの連携・協力により、当該サービスのユーザ及びユーザ以外の者による客観的な根拠に基づく批評がプラットフォームサービスの運営にフィードバックされることを通じて、コンテンツモデレーションの運用の改善、サービスの設計や運営上の創意工夫に対するユーザからの信頼性の向上、さらに、ユーザが最新のサービスの利益を享受しながら、リスクを理解した上で、安心・安全に信頼してサービスを利用することが可能な環境の確保につながる。
  • 総論
    • プラットフォーム事業者の偽・誤情報等への対応については、日本国内における取組状況(偽・誤情報の流通・拡散への対応方針、偽・誤情報の流通・拡散に対するモデレーション等の手続・体制、偽・誤情報の流通・拡散への対応状況、偽・誤情報の発信者(投稿者)の表現の自由等への配慮、レコメンデーションやコンテンツモデレーション等に関する透明性・アカウンタビリティ確保に向けた取組状況、令和6年能登半島地震関連の偽・誤情報の流通・拡散への対応)及びその透明性・アカウンタビリティの確保は不十分。
    • 特に、国外事業者においては、ほぼ全ての事業者において質問への回答期限を過ぎること等もある上に、偽・誤情報ポリシー等がグローバルなものであり言語や地域等を問わずに施行されるとされている例もあり、国内事業者と比べて、総じて不十分。
    • また、利用者のICTリテラシー向上に向けた取組、サイバーセキュリティ関係機関・行政機関や地方公共団体・国際機関その他のステークホルダーとの連携・協力に関しては、まだ十分とは言えないものの、我が国においても取組が進められつつあるが、更なる取組の重要。
  • 各論
    1. ヒアリング対象サービスの規模
      • 日本国内における最近の月間アクティブユーザー数(MAU)や日本国内における最近の月間合計投稿数等の対象サービスの規模について、国内外の事業者問わず、把握・公表していない事業者が存在。
      • 日本国内における情報流通の健全性に与える影響・リスクの適切な把握等という全体的な傾向に関する観点において、事業者における透明性・アカウンタビリティの確保のための取組が不十分。
    2. 偽・誤情報の流通・拡散への対応方針
      • 偽・誤情報に関するポリシー等について、国内外の事業者問わず、策定・日本語による公表とともに、偽・誤情報に対するコンテンツモデレーション等の考え方・具体的な方法、コンテンツモデレーション等のうち投稿の削除の対象となる偽・誤情報についての例示等を行う事業者は存在。
      • 他方、同ポリシー等違反の場合や同ポリシー等の禁止事項ではない場合において、どのような場合にどのコンテンツモデレーション等の対象となるかや公共の利益等の観点から例外としてコンテンツモデレーション等の対象とならないか等に関する具体的な考え方や基準が不透明。
      • また、偽・誤情報に関するポリシー等を策定していない国内事業者が存在するとともに、国外事業者には、偽・誤情報ポリシー等がグローバルなものであり、言語や地域等を問わずに施行されるとしている事業者も存在。
      • 更に、偽・誤情報ポリシー等の定期的な見直しと第三者によるレビューについて、国内外の事業者問わず、それらの両方を実施している事業者も存在する一方、ほぼ全ての事業者は、定期的な見直しは行わず、第三者機関によるレビューを実施。特に、国外事業者においては、日本における状況等を踏まえた定期的な見直しや第三者によるレビューの実施状況は不透明。
      • 日本国内における情報流通の健全性に与える影響・リスクの適切な把握と対応等という全体的な傾向に関する観点において、日本国内における事業者の取組状況及びその透明性・アカウンタビリティの確保のための取組が不十分
    3. 偽・誤情報の流通・拡散に対するモデレーション等の手続・体制
      • 法令違反や偽・誤情報ポリシー等違反のコンテンツについて、権利を侵害されている者及び発信者(投稿者)以外の第三者からの日本語による通報を受け付ける窓口(以下「第三者通報受付窓口」)は全ての事業者で設置されているものの、サービスのIDやアカウントを取得しているユーザやサービスにログイン可能なユーザ等通報可能な第三者に限定がある事業者が存在。また、一部の事業者を除き、偽・誤情報ポリシー等に違反する偽・誤情報を選択することによる通報が不可能。
      • 一部の事業者においては、政府機関やNGO/NPOなど特定の第三者からの通報の優先的取扱い自体は実施しているものの、偽・誤情報ポリシー等違反の偽・誤情報について、特定の第三者からの通報の優先的取扱いを実施しているかどうかは不透明。
      • 第三者通報受付窓口における日本語通報に対応可能な人数や処理の目標期間について、国内事業者は具体的な数字により回答。他方、国外事業者においては、随時変動しうることやセキュリティ及びビジネス上の理由、報告される問題やトピックの複雑さによって異なること等から非公表。また、一部の国外事業者では、日本語通報対応において利用しているAI等の機械的手段の概要や利用手順等が不透明。
      • 通報対応結果の通報者への通知等や当該通知等に対する通報者からの不服申立等対応について、特に、多くの国外事業者おける取組状況が不透明。
      • 自社による検知・対応について、AI等の機械的手段の利用等により、コンテンツモデレーション等の実施までの目標期間等を設定しつつ実施する事業者もいるが、ファクトチェック機関等関係者からの通報を契機として対応する事業者も存在。
      • 第三者通報対応や自社による検知・対応について、一部の事業者による透明性レポートによる公表等を除き、日本国内における対応状況は不透明。
      • 日本国内における情報流通の健全性に与える影響・リスクの適切な把握と対応等について、偽・誤情報に対する第三者通報窓口の設置、特定の第三者からの偽・誤情報に関する通報の優先的取扱い等による対応、対応人数や処理の目標期間や対応状況の公表等という全体的な傾向に関する観点、そして、第三者からの通報にもかかわらず十分にコンテンツモデレーション等が行われないと考えられる場合の反論や異議申立て等の機会の確保という個別具体の観点の両面において、日本国内における事業者の取組状況及びその透明性・アカウンタビリティの確保のための取組が不十分。
    4. 偽・誤情報の流通・拡散への対応状況
      • 偽・誤情報ポリシー等への違反に対するコンテンツモデレーション等について、投稿の削除や非表示を行った日本国内における全体の件数の回答はあるものの、全ての事業者において、投稿の削除以外のコンテンツモデレーション等を行った日本国内における件数が不透明。
      • 上記の投稿の削除等を行った日本国内における全体の件数のうち、AI等の機械的手段のみによって検知・対応した件数又は当該手段と人間による組み合わせにより検知・対応した件数、当該手段のみによって検知・対応した検知した結果に誤りがあることが事後的に判明した件数が不透明。
      • また、第三者通報の総数、第三者通報を契機としたモデレーション等の実施件数、第三者通報の受付からコンテンツモデレーション等実施までの平均期間、コンテンツモデレーション等の有無・内容に関する通報者からの不服申立等の件数が不透明。
      • 更に、コンテンツモデレーション等の対象となった投稿者(発信者)からの日本語による苦情等受付窓口を通じた苦情・不服申立て件数、そのうち実際にコンテンツモデレーション等の撤回につながった件数等が不透明。
      • 日本国内における情報流通の健全性に与える影響・リスクの適切な把握と対応等について、投稿の削除以外のコンテンツモデレーション等、コンテンツモデレーション等におけるAI等の機械的手段の利用、第三者通報や投稿者(発信者)からの苦情等への対応等という全体的な傾向に関する観点、そして、第三者からの通報にもかかわらず十分にコンテンツモデレーション等が行われないと考えられる場合の反論や異議申立て等の機会の確保という個別具体の観点の両面において、日本国内における事業者の取組状況及びその透明性・アカウンタビリティの確保のための取組が不十分。
    5. 偽・誤情報の発信者(投稿者)の表現の自由等への配慮
      • コンテンツモデレーション等の対象となる発信者(投稿者)に対する削除されたコンテンツや違反したポリシー等削除理由等の通知等は行われているものの、投稿の削除等以外のコンテンツモデレーション等についての通知等に関する取組は不透明。
      • また、以上の通知等を受けた発信者(投稿者)からの苦情等を受け付ける窓口(以下「苦情等受付窓口」)は全ての事業者で設置されているものの、国内外の事業者問わず、投稿の削除等以外のコンテンツモデレーション等に関する苦情等受付に関する取組は不透明。
      • また、国内外の事業者を問わず、一部の事業者においては、政府機関やNGO/NPOなど特定の発信者(投稿者)からの苦情等の優先的取扱いを実施しているものの、偽・誤情報ポリシー等に違反する偽・誤情報について、特定の発信者(投稿者)からの苦情等の優先的取扱いを実施しているかどうかは不透明。
      • 苦情等受付窓口における日本語通報に対応可能な人数や処理の目標期間について、国内事業者においては具体的な数字による回答。他方、国外事業者においては、随時変動しうること等から非公表であり、日本語通報対応において利用しているAIその他の機械的手段の概要や利用手順等が不透明。
      • 苦情等受付結果の発信者(投稿者)への通知等や当該通知等に対する再審査について、特に、多くの国外事業者おける取組状況が不透明。
      • 日本国内における情報流通の健全性に与える影響・リスクの適切な把握と対応等について、偽・誤情報に対する苦情等受付窓口の設置や特定の発信者(投稿者)からの偽・誤情報に関する苦情等の優先的取扱い等による対応や、対応人数や処理の目標期間等という全体的な傾向に関する観点、そして、発信者(通報者)からの苦情等による再審査等の機会の確保という個別具体の観点の両面において、日本国内における事業者の取組状況及びその透明性・アカウンタビリティの確保のための取組が不十分。
    6. レコメンデーションやコンテンツモデレーション等に関する透明性・アカウンタビリティ確保に向けた取組状況
      • レコメンデーションについて、建設的・注目コメントや信頼できる情報源からの高品質な情報の優先表示、ユーザの属性情報等による投稿者・使用者双方が満足する掲出マッチング、多様なコメント表示、ニュースコンテンツのランキング等の様々な用途においてAI等の機械的手段による自動的な対応が実施され、その際に考慮する要素や用いられている主なパラメータやアルゴリズムについて、自社ウェブページや利用規約等で公開しているものの、レコメンデーションのアルゴリズムやパラメータの重み付け等の詳細な内容は不透明。
      • コンテンツモデレーション等について、不適切コメント対策、ポリシー等違反可能性コンテンツの検出や同違反コンテンツの特定、ポリシー違反ではないが潜在的に有害な誤情報等のボーダーラインコンテンツのおすすめ制限、わいせつ・不快・不適切な画像やコメントの抽出・判定等の様々な用途においてAI等の機械的手段の利用による自動的な対応が実施され、その際に考慮する要素や用いられている主なパラメータやアルゴリズムについて、透明性レポートや自社ウェブページ等で公開しているものの、コンテンツモデレーション等のアルゴリズムやパラメータの重み付け等の詳細な内容は不透明。
      • プラットサービスやコンテンツモデレーション等のアルゴリズムについて、秘密保持契約を締結した上で限られた研究者にはコードの一部公開、米国・欧州で連携している一部の研究者のみへの研究者向けAPIの公開や、研究者を含む第三者におすすめのタイムラインのアルゴリズムをGithubで開示している一部の事業者を除き、コンテンツモデレーション等やレコメンデーションのアルゴリズムについて、研究機関等ふくめ第三者への開示状況は不透明。
      • 日本国内における情報流通の健全性に与える影響・リスクの適切な把握と対応等について、レコメンデーションやコンテンツモデレーション等におけるAIの利用という全体的な傾向に関する観点、そして、利用者に対するレコメンデーションやコンテンツモデレーション等という個別具体の観点の両面において、日本国内における事業者の取組状況及びその透明性・アカウンタビリティの確保のための取組が不十分。
    7. 令和6年能登半島地震関連の偽・誤情報の流通・拡散への対応状況
      • 投稿の削除・非表示やアカウント停止等を実施した日本国内における全体の件数について、一部の事業者から回答あるものの、ほぼ全ての事業者において、投稿の削除等のコンテンツモデレーション等を行った日本国内における全体の件数が不透明。
      • 投稿の削除対象とする根拠として、ファクトチェック機関により明確に誤りとされていることを根拠として削除を実施した件数について、一部の事業者から回答はあるものの、ほぼ全ての事業者は、投稿の削除等のコンテンツモデレーション等におけるファクトチェック機関との連携や削除等を実施した件数が不透明。
      • チーム編成や特別な対策等による震災関連投稿のパトロール・モニタリングの強化、危機管理プロトコルによる対応、最新情報まとめページや特設ページの作成、警鐘を鳴らすトピックや図解の掲載、地震関連のデマの打ち消しのトピックスの作成、専門家やジャーナリストによる注意喚起や記事の紹介、キー局のライブ配信、ローカル局や地方新聞が運営するチャンネル等の信頼できる情報を見つけやすくする施策、偽情報に関する注意喚起の掲載・若年層向けの啓発動画キャンペーンの紹介、自治体や政府機関との連携など、一部の事業者において、偽・誤情報の流通への対応を平常時以上に強化。他方、多くの事業者において、既存人数で対応可能等、今回の能登半島地震では平常時以上に対応を強化せず、また、今後の対応についても強化する予定はないこと等、災害への対応強化は不透明。
      • ステークホルダーとの連携・協力について、業界団体(SMAJ)において他事業者と連携した注意喚起、ファクトチェック機関との連携、民間の気象関連機関との連携による情報発信、内閣府・総務省・警察庁や地方自治体との連携等を実施した事業者はあるものの、多くの事業者は、関係機関等との連携状況は不透明。
      • 日本国内の災害時における情報流通の健全性に与える影響・リスクの適切な把握と対応等について、投稿の削除等のコンテンツモデレーション等の対応件数やステークホルダーとの連携・協力等という全体的な傾向に関する観点、そして、ファクトチェック機関や伝統メディア等との連携という個別具体の観点の両面において、日本国内における事業者の取組状況及びその透明性・アカウンタビリティの確保のための取組が不十分。
    8. 利用者のICTリテラシー向上に向けた取組状況
      • 小中学校や大学等の教育機関、安心なインターネット環境づくり等に関する普及啓発機関等と連携・協力。特に、教育現場では、日々変化するインターネットを取り巻く環境に対応するためのクリティカルシンキングやスキルを教えられる教員や保護者が限られる中、ファクトチェック団体を含む非営利団体は財政的に不安定な傾向があるため、指導者のための研修の機会や財政的な支援。また、消費者団体・利用者団体との連携・協力が不十分。
      • 事業者によるファクトチェックや普及啓発・リテラシー向上・人材育成への支援に関しては、まだ十分とは言えないものの、我が国においても取組が進められつつあるが、更なる取組が重要。
    9. サイバーセキュリティ関係機関等との連携状況
      • 偽サイトや偽アカウントに関する情報共有等において、日本国内のサイバーセキュリティ関係機関等との連携・協力は実施されているものの、偽・誤情報の流通・拡散への対応という観点において、当該機関との連携・協力は不十分。
      • 事業者による日本国内のサイバーセキュリティ関係機関等との連携・協力に関しては、まだ十分とは言えないものの、我が国においても取組が進められつつあるが、更なる取組が重要。
    10. 行政機関や地方公共団体等との連携状況
      • 偽・誤情報の流通・拡散への対応という観点にかぎらないものも含め、日本の行政機関や地方公共団体等と連携・協力は様々実施されているものの、偽・誤情報の流通・拡散への対応という観点においての連携・協力は不十分。
      • 事業者による日本の行政機関や地方公共団体等との連携・協力に関しては、まだ十分とは言えないものの、我が国においても取組が進められつつあるが、更なる取組が重要。
    11. 国際機関等との連携状況
      • 偽・誤情報の流通・拡散への対応という観点にかぎらないものも含め、国際機関等と連携・協力は様々実施されているものの、偽・誤情報の流通・拡散への対応という観点においての連携・協力は不十分。
      • 事業者による国際機関等との連携・協力に関しては、まだ十分とは言えないものの、我が国においても取組が進められつつあるが、更なる取組が重要。
    12. その他のステークホルダーとの連携状況
      • 偽・誤情報の流通・拡散への対応という観点にかぎらないものも含め、様々な分野の専門家・ジャーナリスト・クリエイター・他のプラットフォーム事業者・メタバース関連事業者・電気通信事業者等と連携・協力は様々実施されているものの、偽・誤情報の流通・拡散への対応という観点においての連携・協力は不十分。
      • 事業者によるその他の多様なステークホルダーとの連携・協力に関しては、まだ十分とは言えないものの、我が国においても取組が進められつつあるが、更なる取組が重要。

~NEW~
総務省 デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方 に関する検討会 ワーキンググループ(第20回)配付資料
▼ 資料WG20-1-1「偽・誤情報に対するコンテンツモデレーション等の在り方」に関する主な論点(案)
  • 論点1:対応を検討すべき「偽・誤情報」の定義・範囲
    • 情報伝送PFは、デジタル空間における情報流通の主要な場となっており、その中で偽・誤情報が流通・拡散すること等により、個人の意思決定の自律性への影響や、権利侵害、社会的混乱その他のフィジカル空間への影響が発生・増幅し得るところ、こうした影響の軽減等に向けて対応を検討すべき「偽・誤情報」の範囲をどのように考えることが適当か。
    • 前提として、「偽・誤情報」をどのように定義するか。※海外では、発信者の主観的意図に着目し、誤りが含まれる情報のうち、発信者が事実でない事項を事実であると誤認・誤解させる意図を持って発信した情報を「偽情報」(disinformation)、そのような意図を持たずに発信した情報を「誤情報」(misinformation)と定義する事例があるが、どうか。
    • 上記定義に該当する「偽・誤情報」のうち、社会的な影響の軽減に向けて対応の検討が必要な範囲をどのように考えるか。例えば次のような要素に着目することが考えられるが、どうか。
      1. 違法性・社会的影響の重大性
        • 当該情報そのものが有する違法性・権利侵害性があるか。
        • 当該情報の客観的な有害性や、それが流通することによる社会的影響の重大性・明白性があるか。例)救急・救命活動への影響、健康被害、株価への影響、公共インフラの損壊、詐欺被害、風評被害
        • 諸外国では、市民の健康・安全等に害を及ぼし得ることを制度的対応が必要な「偽情報」「誤情報」の要件に含める事例があるが、どうか。
        • パロディ・風刺など、重大な影響を及ぼすおそれの小さい情報を制度的対応が必要な「偽情報」「誤情報」から除外する事例があるが、どうか。
      2. 検証可能性・容易性
        • 「誤りが含まれる情報」であることについての検証可能性・容易性(明白性)があるか。
        • 「政府機関・ファクトチェック機関など信頼できる機関によるファクトチェック結果に基づき明らかな偽・誤情報と判断されるものについて対応」
        • 「プラットフォーム事業者においては、各種の情報・時間的制約から何が「偽情報」であるか範囲を確定することが困難な場合も」
      3. その他
        • 「誤りが含まれる情報」のみならず、誤解を招く(ミスリーディングな)情報をどう捉えるか。例)必ずしも誤りは含まれていないが、文脈上誤解を招く情報
        • 「内容」に誤りが含まれている情報のみならず、なりすましアカウントによる投稿など、発信者の「名義」に誤りが含まれる情報をどう捉えるか。
  • 論点2:偽・誤情報の流通・拡散を抑止するための「コンテンツモデレーション」の類型
    • 論点1で検討した範囲の「偽・誤情報」に対し、情報伝送PFがその流通・拡散を抑止するために講ずる措置(いわゆるコンテンツモデレーション)※として、どのようなものが有効と考えられるか。※信頼できる情報の受信可能性の向上(いわゆるプロミネンス)を通じて間接的に偽・誤情報の拡散を抑止する措置を含む
      1. 発信者に対する警告表示 不適切な内容を投稿しようとしている、又は直近で投稿したことが判明している旨の警告を表示する措置(投稿自体は可能)
      2. 収益化の停止 広告を非表示にしたり、広告報酬の支払いを停止することにより、収益化の機会を失わせる措置
      3. ラベルの付与 情報発信者の信頼性等を見分けるためのラベルを付与する措置(本人確認を行っていない利用者の明示等)/情報の信頼性等を見分けるためのラベルを付与する措置(ファクトチェック結果の付与等)
      4. 表示順位の低下 投稿されたコンテンツを、受信者側のおすすめ欄等の表示候補から外したり、上位に表示されないようにする措置
      5. 情報の削除 投稿された情報の全部又は一部を削除する措置(新規投稿等は可能)
      6. サービス提供の停止・終了、アカウント停止・削除 サービスの一部から強制退会、又はその一部の利用を強制終了し、新規投稿等をできないようにする措置/アカウントの一時停止又は永久停止(削除)を実施する措置
  • 論点3:偽・誤情報に対するコンテンツモデレーションの実施の促進方策(総論)
    • 論点1で検討した範囲の「偽・誤情報」に対し、情報伝送PFがコンテンツモデレーションを実施することを促進等するための方策として、どのようなものが必要かつ適当か。
    • 例えば次のような方策が考えられるが、どうか。
      1. 対応の透明性の確保を通じた過不足ない実施の確保
        • コンテンツモデレーションに関する基準や手続を事前に策定・公表
        • コンテンツモデレーションの実施要否等の判断に関与する人員等の体制に関する情報を公表
        • 上記の基準の運用状況を事後に公表
        • コンテンツモデレーションを実施した場合に、その旨及び理由を発信者に通知
      2. 対応の迅速化を通じた実施の促進
        • 外部からのコンテンツモデレーション申請窓口を整備・公表
        • 上記の窓口を通じて申請があった場合に、一定期間内にコンテンツモデレーションの実施の要否・内容を判断し、申請者に判断結果を通知
        • コンテンツモデレーションの実施の要否・内容を判断するための体制を整備
        • 一定の条件※の下で行ったコンテンツモデレーションにより発信者が被った損害について、情報伝送PFを免責 ※例えば、行政機関等の特定の第三者からの要請を受けてコンテンツモデレーションを実施した場合など
      3. 可視性に影響しない措置の確実な実施
        • 「収益化の停止」や「発信者に関するラベルの付与」など、情報そのものへの可視性に影響しないコンテンツモデレーション(又はそれ以上の措置)を体制を整備して確実に実施
      4. 可視性に影響する対応も含む措置の確実な実施
        • 「情報の削除」や「アカウント停止等」など、可視性に影響するコンテンツモデレーションも含め、体制を整備して確実に実施
      5. 上記1~4の組合せによる対応
        • 上記のような方策の実効性を制度的に担保する必要性について、どう考えるか。制度的な対応を行わない場合、どのような対応があり得るか。
        • 例えば、上記1~5のような対応を情報伝送PFに義務付けることが考えられるが、どうか。
        • 上記4を制度的に担保する措置(コンテンツモデレーションの類型のうち、「情報の削除」や「アカウント停止等」の義務付け)については、過度な情報削除やアカウント停止が行われるおそれがあることや、発信者の表現の自由に対する実質的な制約をもたらすおそれがあること等から慎重であるべきとの考え方があり得るが、どうか。
        • (1)権利侵害情報に該当する偽・誤情報、(2)違法情報に該当する偽・誤情報、(3)その他の論点1で検討した範囲の偽・誤情報など、偽・誤情報の特性・性質に応じた対応を考えるべきか。表現の自由の確保等との関係でどのように考えれば良いか。
  • 論点4:いわゆる「インプレッション稼ぎ」への対応
    • 論点3に関連して、コンテンツやそれに伴う広告の閲覧数等に応じて情報伝送PFが発信者に経済的インセンティブを付与する仕組みが、インセンティブ目当てのいわゆる「インプレッション稼ぎ」の投稿、とりわけ偽・誤情報の発信・拡散をはじめとする情報流通の健全性を歪める現象につながっている可能性が指摘されているところ、こうした状況に対応するための方策として、どのようなものが考えられるか。
    • 例えば、情報伝送PFに偽・誤情報に対する「収益化の停止」の措置を求めることが考えられるが、どうか。
    • その際、「収益化の停止」に関しては、次のような特徴があることについて、どう考えるか。
      • 情報伝送PFの広告収入が間接的に偽・誤情報の発信・拡散主体の収入源となることを抑止する上で一定の効果が見込まれること
      • 情報自体の可視性には直接の影響がないこと
      • 過度な収益化の停止によって発信者が被る損害は、通常は金銭賠償による回復が可能であること
    • 上記のような方策の実効性を制度的に担保する必要性について、どう考えるか。制度的な対応を行わない場合、どのような対応があり得るか。
  • 論点5:偽・誤情報に対するコンテンツモデレーションの実施の契機
    • 論点3で検討した方策について、どのような契機でコンテンツモデレーションを実施することが適当か。
      1. 他人の権利を侵害する違法な偽・誤情報や行政法規に抵触する偽・誤情報の場合
        • 例えば、次の主体からの申出・要請を契機としてコンテンツモデレーションを実施することが考えられるが、どうか。
          1. 自己の権利を侵害されたとする者(被害者)
          2. 行政法規を所管する行政機関(その委託や認証を受けた機関を含む。)
            • 上記2の場合、行政機関による恣意的な申出・要請を防止し、透明性・アカウンタビリティを確保するとともに、過度な申出・要請に対し発信者や情報伝送PFを救済するための方策として、どのようなものが適当か。
            • 例えば、次のような方策が考えられるが、どうか。
              1. 行政機関において、申出・要請に関する手続等※を事前に策定・公表※事後救済手段を含む
              2. 行政機関において、実際に行った申出・要請の状況を事後的に公表
              3. 申出・要請に応じて実施されたコンテンツモデレーションにより発信者が被った損害について、情報伝送PFを免責
              4. コンテンツモデレーションを実施した情報伝送PFにおいて、行政機関の名称等の情報を発信者に通知
      2. 違法ではない偽・誤情報の場合
        • 例えば、次のような主体からの申出・要請を契機としてコンテンツモデレーションを実施することが考えられるが、どうか。他の方法もあり得るか。こうしたプロセスを構築する場合、どのような点に留意点が必要か。
          1. 当該情報付近に広告を表示された広告主
          2. ファクトチェック機関
          3. その他情報伝送PFが自らあらかじめ定めて公表した信頼できる第三者
  • 論点6:コンテンツモデレーションに関する透明性・アカウンタビリティの確保
    • 論点3で検討した方策について、情報伝送PFによるコンテンツモデレーションが過不足なく実施されていることについて、利用者を含む社会一般が確認し、情報伝送PFのサービスに対する信頼性を向上させるための方策として、どのようなものが必要かつ適当か。
    • 例えば次のような措置の実施を情報伝送PFに求めることが考えられるが、どうか。
      1. コンテンツモデレーションに関する基準や手続を事前に策定・公表
      2. コンテンツモデレーションの実施要否等の判断に関与する人員等の体制に関する情報を公表
      3. 上記1の基準の運用状況を事後に公表
      4. コンテンツモデレーションを実施した場合に、その旨及び理由を発信者に通知
  • 論点7:偽・誤情報の発信を抑止するための方策
    • 以上のほか、論点1で検討した範囲の「偽・誤情報」の発信を抑止するための方策として、どのようなものが考えられるか。
    • 例えば、情報伝送PFが発信者に対し、次のような方策を実施することが考えられるが、どうか。
      1. アカウント登録時の本人確認の厳格化
      2. botアカウントの抑止策の導入(アカウントの有料化等)
        • 上記のような方策の実効性を制度的に担保する必要性について、どう考えるか。制度的な対応を行わない場合、どのような対応があり得るか。
        • 論点8:偽・誤情報への対応策の実施を求める情報伝送PFの範囲
        • 以上で検討した偽・誤情報の流通・拡散や発信への対応策の実施を、どの範囲の情報伝送PFに求めるか。
        • 例えば、偽・誤情報の流通の頻度や社会に与える影響の深刻度という観点から、利用者数や、サービスの目的・性質などを勘案し、一定の要件を満たす大規模な情報伝送PFのみを対象とすることが考えられるが、どうか。
▼ 資料WG20-1-2「情報伝送PFが与える情報流通の健全性への影響の軽減に向けた方策の在り方」に関する主な論点(案)
  • 論点1:情報伝送PFがもたらす社会的影響の軽減に向けた方策(総論)
    • 情報伝送PF上での偽・誤情報や悪意ある情報の流通・拡散等により発生・増幅し得る社会的な影響について、「偽・誤情報に対するコンテンツモデレーション等の在り方」に関して検討した具体的な方策によって、十分に軽減することが可能か。
    • 前提として、具体的にどのような影響が問題となり得るか。 例)個人の自律的な意思決定を含む人格権や財産権への影響、個人や法人の営業上の利益への影響、健全な民主主義の発達への影響、公共の安全への影響、青少年の健全な成長への影響 など
    • 特に、情報伝送PFのアーキテクチャや利用規約等を含むビジネスモデルは事業者が自ら設計するものであること、技術やサービスの普及・進展のスピードが速いこと等を踏まえ、デジタル空間における情報流通の健全性、ひいては社会的な影響の軽減に向けた方策を検討する必要はないか。
    • 同様に特定のサービス等が外部的な権利・利益に与える影響を軽減することを目的とした既存の法制度として、例えば下表のように、事業者に対しサービス等の事後評価や影響等の事前予測の実施とそれらの結果に基づく軽減措置を求める制度的枠組みが挙げられるところ、こうした枠組みを参考に具体的な方策を検討することについて、どう考えるか。
  • 論点2:影響の軽減に向けた対応の実効性の担保の在り方
    • 論点1のように、情報伝送PFによる「サービス運営状況等の事後評価と改善措置」や「影響の事前予測と軽減措置」の枠組みを参考とする場合、改善措置や軽減措置の実効性をどのように担保するか。
    • 例えば次のような方法が考えられるが、どうか。
      1. 自己評価等の結果の公開
        • 情報伝送PF自らが実施した評価・予測の結果やそれに基づき講じた措置の内容を公開
      2. 第三者による実施指針の策定
        • 情報伝送PFから独立した第三者が、評価・予測の視点や改善・軽減措置の実施項目を定めた指針を策定・公表
      3. 第三者による検証・評価
        • 情報伝送PFによる評価・予測の結果やそれに基づき講じた措置の内容を、情報伝送PFから独立した第三者が検証・評価 ※一次的な評価・予測自体を第三者が実施する場合を含む。
      4. 上記1~3の組合せによる対応
  • 論点3:影響の軽減に向けた対応の実効性の担保の在り方
    • 論点2の(2)(3)について検討する場合、指針策定や検証・評価を行う「独立した第三者」として、どのような主体が候補となるか
  • 論点4:影響の軽減に向けた対応の実効性の担保の在り方
    • 論点2の(3)について検討する場合、どのような手段で「独立した第三者」による検証・評価能力を確保するか。
    • 第三者による検証・評価の結果について、どのような手段で影響軽減策を情報伝送PFのサービスに反映するか。
    • また、検証・評価に必要な範囲で、「独立した第三者」に対する関連する情報やデータ※の提供を情報伝送PFに求める場合、当該情報・データに含まれる個人情報や機密情報の適正な取扱いをどのように担保するか。 ※例えば、投稿に関するメタデータを含むデータや、サービスに組み込まれたアルゴリズムに関する情報など

~NEW~
国土交通省 「インフラ経営の実践によるストック効果の分析のためのガイダンス」を策定
  • 人口減少が進み、厳しい財政状況が続く中で、国民の生活に必要不可欠なインフラの持続可能性を高めるためには、インフラを国民が保有する「資産」として捉え、「インフラ経営」を効果的に実践することが必要となっています。(第5次社会資本整備重点計画(令和3年5月閣議決定))
  • 今後、産官学・地域住民等のインフラやまちづくりに関わる主体が「インフラ経営」を実践していく上で、関連プロジェクトを含む取組が地域に対してどのような効果を有しているのかを客観的・定量的に把握することは、当該プロジェクトの目指す方向性にどの程度合致しているかを確認し、関連プロジェクトの関係者が教訓や知見を得ることにつながり、またアカウンタビリティの向上やEBPMの観点からも重要です。
  • このような状況に鑑み、今般、インフラ経営に関わる主体がまちづくりプロジェクトの効果を事後的に検証し、客観的な判断のもと、次なるアクションを講じるための参考となるよう本ガイダンスを策定しました。
  • 分析の基本的な考え方
    • インフラ経営に基づく「賑わいの創出」等の効果は、地域の魅力を高め、来訪者を増やし、そして様々な消費活動を活性化させることで地価を上昇させることにつながる。本ガイダンスでは、この地価上昇が人々の満足度向上であると考え、インフラ経営に基づく政策・事業の実践によるストック効果の帰着の結果として分析しています。
    • インフラ経営の考え方に基づき公共投資のみならず民間による関連投資等とも連携した地域のにぎわい創出に取り組む事例を対象に、統計分析(差の差法)の手法を活用したインフラ経営による地価変化の分析方法を示しています。そのうえで、分析結果をもとに、インフラ経営によるストック効果を最大化するためのレッスン(知見・教訓)を蓄積する際の考え方を示しています。
  • 効果分析事例
    • インフラ経営の考え方に基づいた実践(整備・管理・運営)を行っている「道路空間再編事業」、「親水空間整備事業」、「都市公園事業」の事例を対象として効果分析を行いました。インフラ経営の効果により地価が優位に上昇していること、また一部の事例では、地価上昇につながる賑わい創出・消費活動の活性化を確認しています。
  • ガイダンスの構成
    • はじめに/2.ストック効果の分析/3.活用する地価データの紹介/4.ビッグデータを用いた地価変化の補足分析/5.効果分析事例/6.ストック効果最大化のための考察の考え方/7.今後の本ガイダンスの活用に向けて/8.【参考】ロジックモデルを用いた効果波及過程の確認
  • ガイダンスの活用について
    • まちづくり事業等を所管する自治体職員や国土交通省の地方整備局職員等を主な対象としています。
    • 専門的・技術的な分析手法に関する解説は最小限度に留め、大きな流れの理解を促す構成としており、有識者や外部委託業者とのコミュニケーションツールとしての活用も想定しています。
▼ 別添
  • 背景
    • 審議会等における社会資本整備関連の指摘
      • 社整審・交政審交通体系分科会計画部会専門小委員会(2016.11)、「ストック効果の最大化に向け『見える化・見せる化』の必要性」を提言。第5次社会資本整備重点計画(2021.5)においても、「ストック効果の最大化」を位置づけ。
      • 財政制度等審議会 歳出改革部会(2023.4)で「これまでの社会資本整備の効果を広く検証する」ことが指摘。
      • 骨太の方針2023(2023.6)において、「費用便益分析の客観性・透明性の向上を図りつつ、ストック効果の高い事業への重点化を図る」ことが盛り込まれた。
    • 問題意識
      • 今後、インフラ経営の効果を客観的・定量的に把握することは、ステークホルダーの教訓や知見を得ることに繋がり、地域住民に対する説明責任の向上やEBPMの観点からも重要である。しかし、インフラ経営を対象とした効果分析や振り返り、今後のアクションを決定していくための指針は存在しない。
      • このような状況に鑑み、インフラ経営の効果を事後的に検証し、客観的な判断のもと、次なるアクションを講じるための指針を本ガイダンスで示す。これにより効果的なインフラ経営の実践とその普及を企図するものである。
      • なお、本ガイダンスでは、「インフラ経営の効果」のうち生活の質の向上に着目し、当該効果を発揮したプロジェクトの分析アプローチを解説することとした。
  • 分析の基本的な考え方
    • インフラ経営に基づく「賑わいの創出」等の効果は、地域の魅力を高め、来訪者を増やし、そして様々な消費活動を活性化させることで地価を上昇させることにつながる。
    • 本ガイダンスでは、この地価上昇が人々の満足度(効用)向上であると考え(キャピタリゼーション仮説)、インフラ経営に基づく政策・事業の実践によるストック効果の帰着の結果として分析する。
    • インフラ経営の考え方に基づき公共投資のみならず民間による関連投資等とも連携した地域のにぎわい創出に取り組む事例を対象に、統計分析(差の差法、Difference in Differences:DID)の手法を活用したインフラ経営による地価変化の分析方法を示す。そのうえで、分析結果をもとに、インフラ経営によるストック効果を最大化するためのレッスン(知見・教訓)を蓄積する際の考え方を示す。
  • 効果分析事例
    • インフラ経営の考え方に基づいた実践(整備・管理・運営)を行っている「道路空間再編事業」、「親水空間整備事業」、「都市公園事業」の事例を対象として効果分析を行った。
    • インフラ経営の効果により地価が優位に上昇していること、また一部の事例では、地価上昇につながる賑わい創出・消費活動の活性化を確認している。
    • なお、実証分析結果は試行的なものであり、確定的な数値を算出しているものではない点、および、すべての政策効果のすべてを把握できているわけではない点に留意すること。
  • 今後の本ガイダンスの活用に向けて
    • 利用者と使い方
      • まちづくり事業等を所管する自治体職員、地方整備局職員等を主な対象とする。専門的・技術的な分析手法に関する解説は最小限度に留め、分析方法の基本的な考え方、対応方針、大きな流れの理解を促す構成としており、有識者や外部委託業者とのコミュニケーションツールとしての活用も想定する。
    • インフラ経済分析チーム
      • 本省総合政策局では、「インフラ経済分析チーム」を組成し、利用者に対して、組織的にインフラ経営の実践の効果分析を支援する予定。
▼ インフラ経営の実践によるストック効果の分析のためのガイダンス

~NEW~
国土交通省 全国の建設業許可業者数は再び増加~令和5年度末の建設業許可業者数調査の結果~
  • 国土交通省では今般、令和5年度末の全国の建設業許可業者数をとりまとめたところ、許可業者数は令和4年度末に一度減少したものの、令和5年度末に再び増加(479,383業者)となった。
    • 国土交通省では、建設業に許可制度を採用した昭和47年度以来、毎年度(3月末時点)における全国の建設業許可業者数を調査し、許可業者数の動向を把握しています。
    • 今回の調査結果(令和5年度(令和6年3月末時点))の主なポイントは以下のとおりです。
      • 令和5年度末現在の建設業許可業者数は479,383業者で、前年度からは4,435業者(0.9%)の増加となった。
      • 平成30年度末以降建設業許可業者数は増加傾向にあり、前年度は減少となったものの、令和5年度末の業者数は再び増加となった。
▼ 概要
  • 都道府県別許可業者数
    • 都道府県別許可業者数は、東京都(44,078業者。全体の9.2%)、大阪府(41,046業者。全体の8.6%)、神奈川県(29,070業者。全体の6.1%)で昨年度と同様に多く、鳥取県(2,119業者。全体の0.4%)、島根県(2,671業者。全体の0.6%)、高知県(2,970業者。全体の0.6%)で少ない。
  • 一般・特定別許可業者数
    • 一般建設業許可を取得している業者は454,163業者で、前年同月比4,017業者(0.9%)の増加となり、一般建設業許可業者数が最も多かった平成12年3月末時点と比較すると▲123,546業者(▲21.4%)の減少。
    • 特定建設業許可を取得している業者は49,029業者で、前年同月比664業者(1.4%)の増加となり、特定建設業許可業者数が最も多かった平成17年3月末時点と比較すると▲2,147業者(▲4.2%)の減少。
  • 業種別許可業者数
    • 許可を取得している業者が多い上位3業種は、「とび・土工工事業」181,234業者(許可業者の37.8%)、「建築工事業」144,239業者(同30.1%)、「土木工事業」131,523業者(同27.4%)。許可を取得している業者が少ない上位3業種は、「清掃施設工事業」390業者(同0.1%)、「さく井工事業」2,261業者(同0.5%)、「消防施設工事業」15,838業者(同3.3%)。
    • 前年同月に比べて取得業者数が増加した許可業種は25業種。増加数の上位3業種は「とび・土工工事業」2,567業者(1.4%)「解体工事業」2,387業者(3.7%)、「内装仕上工事業」2,303業者(2.7%)。
    • 前年同月に比べて取得業者数が減少した許可業種は4業種。減少数の上位3業種は「建築工事業」▲384業者(▲0.3%)、「造園工事業」▲91業者(▲0.4%)、「さく井工事業」▲20業者(▲0.9%)。
    • 複数業種の許可を受けている事業者の割合は53.9%で前年同月比0.2ポイント増加。
  • 資本金階層別業者数
    • 「資本金の額が300万円以上500万円未満の法人」が21.5%と最多。以下、「資本金の額が1,000万円以上2,000万円未満の法人(20.2%)」、「資本金の額が500万円以上1,000万円未満の法人(19.6%)」と続く。
    • 個人及び資本金の額が3億円未満の法人の数は477,028業者となっており、建設業許可業者数全体の99.5%を占めている。
  • 兼業業者数
    • 建設業以外の営業を行っているいわゆる兼業業者の割合は29.4%で、前年同月比で0.1ポイント増加。建設業許可業者数が最も多かった平成12年3月末時点の兼業業者の割合は21.3%で、比較すると、8.1ポイント増加。
  • 事業承継認可件数
    • 令和2年に開始した建設業許可の承継制度において、令和5年度の認可件数は957件となっており、内訳は、譲渡及び譲受けが798件、合併が65件、分割が35件、相続が59件となっており、譲渡及び譲受けが認可件数全体の83.4%を占めている。

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