危機管理トピックス

サイバー安全保障(内閣官房)/環境白書(環境省)/統合イノベーション戦略(内閣府)/エネルギー白書(経産省)

2024.06.10
印刷

更新日:2024年6月10日 新着45記事

危機管理トピックス

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議(第4回)議事次第
  • コーポレートガバナンス改革の実践に向けたアクション・プログラム2024(「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」意見書(7))の公表について
  • 第149回自動車損害賠償責任保険審議会の開催結果について
  • 「金融・資産運用特区実現パッケージ」の公表について
財務省関東財務局
  • FTX Japan株式会社に対する行政処分について
  • 株式会社あすなろに対する行政処分について
内閣官房
  • サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議
  • 新しい資本主義実現会議(第28回)
  • デジタル行財政改革会議(第6回)議事次第
首相官邸
  • サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議
  • 第57回 経協インフラ戦略会議 議事次第
  • 農福連携等推進会議(第3回)
  • 知的財産戦略本部会合 議事次第
内閣府
  • 令和6年第7回経済財政諮問会議
  • 総合科学技術・イノベーション会議(第73回)議事次第
  • 「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」に関する調査結果について
消費者庁
  • 第2回公益通報者保護制度検討会
  • 医療法人社団祐真会に対する景品表示法に基づく措置命令について
  • 食品ロスによる経済損失及び温室効果ガス排出量
  • 海外の通報者保護制度及び実態に係る調査業務最終報告書
  • サウナ浴での事故に注意―体調に合わせて無理せず安全に―
国民生活センター
  • 電力・ガスの契約トラブル
  • 買い物中の転倒事故に注意!
厚生労働省
  • 第4回女性の職業生活における活躍推進プロジェクトチーム
  • 「『ダメ。ゼッタイ。』普及運動」を6月20日から実施します~薬物乱用防止のためのキャンペーンと国連支援募金運動を全国各地で実施~
経済産業省
  • 2024年度夏季の電力需給対策を取りまとめました
  • 自動車メーカー5社の型式指定申請における不正行為について(国土交通省による型式指定申請における不正行為の有無等に関する自動車メーカー等の調査報告の結果等の公表に関して)
  • 経済産業省は「デコ活宣言」を行いました
  • 「令和5年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2024)が閣議決定されました
  • 経済産業政策新機軸部会第3次中間整理を公表します
総務省
  • 電気通信番号の犯罪利用対策に関するワーキンググループ(第1回)配布資料・議事概要
  • 電気通信番号の犯罪利用対策に関するワーキンググループ(第2回)配布資料・議事概要
  • デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会 ワーキンググループ(第25回)配付資料
  • 社会的養護に関する調査-里親委託を中心として-<結果に基づく勧告>
  • 令和5年通信利用動向調査の結果
国土交通省
  • 型式指定申請における不正行為の有無等に関する自動車メーカー等の調査報告の結果等について
  • 株式会社IHI原動機による舶用エンジン等の燃料消費率に関する データ改ざん事案の中間報告について
  • 水災害リスクコミュニケーションポータルサイトを開設しました!~水災害リスクの減少・分散・回避に向けて~
  • マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドラインの策定について~外部管理者方式等の適正な運営に向けた留意事項を整理しました~
  • 「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」及び 「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の改定について~「段階増額積立方式における適切な引上げの考え方」~
  • 「マンション標準管理規約」の改正について~所在等不明区分所有者への対策や管理情報の見える化等に向けた改正を行います~

~NEW~
法務省 「令和5年度人権教育及び人権啓発施策」(人権教育・啓発白書)について
  • 内容
    • 「令和5年度人権教育及び人権啓発施策」(人権教育・啓発白書)は、人権教育及び人権啓発の推進に関する法律(平成12年法律第147号)第8条に基づく、令和5年度に政府が講じた人権教育及び人権啓発に関する施策についての報告であり、同法を共管する法務省及び文部科学省において、関係府省庁の協力を得て作成したものです。
    • 人権一般の普遍的な視点からの取組、「女性」、「こども」、「高齢者」、「障害のある人」、「部落差別(同和問題)」、「アイヌの人々」、「外国人」等の個別の人権課題に対する取組、人権に関わりの深い特定の職業に従事する者に対する研修、人権教育・啓発の総合的かつ効果的な推進体制等、政府が令和5年度に講じた人権教育及び人権啓発に関する施策を報告する内容となっています。
    • また、本報告では、「特集」として「こども・若者の人権をめぐる取組」について掲載するとともに、「『ビジネスと人権』に関する我が国の取組」や「職場におけるハラスメント防止対策の推進」等を「トピックス」として掲載しています。
    • なお、本報告は、「令和6年版 人権教育・啓発白書」として刊行するとともに、法務省ホームページでも公開することとしています。
▼ (資料1)令和5年度人権教育及び人権啓発施策の概要
  • 女性の人権に関する取組
    • DVやセクシュアルハラスメントをテーマとする啓発動画の作成・配信、全国一斉「女性の人権ホットライン」強化週間による相談体制の強化
  • こどもの人権に関する取組
    • 「全国中学生人権作文コンテスト」や「人権教室」に加え、いじめや児童虐待等のこどもの人権問題をテーマとした啓発動画の作成・配信等
    • 全国一斉「こどもの人権110番」強化週間、「こどもの人権SOSミニレター」、「LINEじんけん相談」等による相談体制の充実
    • トピックス
      • 地域と学校が連携・協働した人権教育に向けた取組
        • 「コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)」と「地域学校協働活動」の一体的な取組の推進に合わせ、法務省の人権擁護機関では人権擁護委員の参画を進め、学校における人権教育や人権課題の解決に向けた取組への積極的な関与を推進
      • 性被害防止に向けた取組
        • 令和5年7月施行の「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律」等の趣旨や内容について、こども・若者向けにまとめたリーフレットの作成・配布や法改正の内容を踏まえた啓発動画の作成などの各種広報・啓発活動を実施
  • 高齢者の人権に関する取組
    • 高齢者を含む全ての人の人権が尊重される社会の実現を訴える啓発動画の配信、社会福祉施設における相談体制の強化
  • 障害のある人の人権に関する取組
    • 障害のある人を含む全ての人の人権が尊重される社会の実現を訴える啓発動画の配信、冊子の配布、シンポジウムの実施等、社会福祉施設における相談体制の強化
    • トピックス:障害者関係の法改正の動向
      • 事業者による合理的配慮の提供義務化等を含む改正障害者差別解消法の施行に向け、事業分野ごとの相談窓口の明確化、適切な相談窓口に「つなぐ窓口」の設置等の取組を推進
      • 改正精神保健福祉法の施行に向け、精神科病院における虐待防止等に係る地方公共団体向けの説明会や外部との面会交流の機会確保のための入院者訪問支援事業に係る研修の実施、患者向けの周知用ポスターの作成
  • 部落差別(同和問題)に関する取組
    • 部落差別の解消を呼び掛ける講演会等の実施、啓発動画の配信、冊子の配布、差別を助長するインターネット上の書き込み等に対する削除要請の実施
  • アイヌの人々に関する取組
    • アイヌの人々の人権に関する啓発動画の配信、人権教育啓発推進センターが実施する「アイヌの方々のための相談事業」と人権相談との連携を実施
  • 外国人の人権に関する取組
    • 共生社会の実現をテーマとしたシンポジウムの開催、ヘイトスピーチは許されないことを訴えるポスター等の活用、インターネット上のヘイトスピーチの解消に焦点を当てた啓発動画の配信やSNSによる定期的な情報発信、人権相談の多言語(約80言語)対応
  • 感染症に関連する人権問題に関する取組
    • 感染症に関連する偏見や差別の解消に向けた啓発冊子の配布、啓発動画の配信
  • ハンセン病問題に関する取組
    • 元患者やその家族との協議を踏まえ、関係省庁が連携してシンポジウムの開催、啓発動画の配信等の各種啓発活動を実施
  • インターネット上の人権侵害に関する取組
    • SNS・掲示板等のインターネット上の誹謗中傷等の根絶を呼び掛ける啓発動画の配信、インターネット広告の実施
    • 中高生及び保護者向け啓発冊子の配布
    • 中学生等を対象に携帯電話会社と連携・協力したスマートフォン等の安全な利用に関する人権教室の実施
    • 有識者検討会の取りまとめ(インターネット上の書き込み等のうち削除されるべきものの基準等について法的に整理)を踏まえた削除要請の実施、プロバイダ事業者等との意見交換
  • 性的マイノリティの人権に関する取組
    • 理解増進法に基づき、関係府省庁が横断的に連携し、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策を総合的かつ効果的に推進
    • 性的マイノリティをめぐる人権問題について解説した啓発冊子の配布、動画の配信
    • 各企業・団体が進める取組事例を公表する投稿型の特設サイトの本格的運用
    • トピックス
      • 「ビジネスと人権」に関する我が国の取組
        • 公共調達における人権配慮に関する政府方針について決定
        • 経済産業省において、「サプライチェーンにおける人権尊重のための実務参照資料」を作成・公表、中小企業向けのセミナーを実施
        • 法務省の人権擁護機関において、企業研修等への講師派遣、特設サイトの周知等、企業活動における人権尊重の取組を促進するための啓発活動を実施
      • 職場におけるハラスメント防止対策の推進
        • 厚生労働省において、職場におけるハラスメント防止に向けた周知啓発、事業主への助言指導等を実施するとともに、カスタマーハラスメントに関する企業向け対策マニュアルやポスターを活用した周知啓発を実施

~NEW~
林野庁 令和5年度 森林・林業白書(令和6年6月4日公表)
▼ 概要
  • 長い歴史の中で、木材利用の拡大に伴う天然資源の減少に対応して、成長が早く利用価値の高いスギ等の植栽による造林技術が発達
  • 第二次大戦後、国土保全と旺盛な木材需要への対応などの社会的要請からスギ等の人工林が造成。スギは人工林の4割を占める主要林業樹種に
  • 第二次大戦後、国土保全と旺盛な木材需要への対応などの社会的要請からスギ等の人工林が造成。スギは人工林の4割を占める主要林業樹種に
  • 花粉の少ない品種を開発・普及。苗木増産の努力も続けられ、スギ苗木の生産量の半分が花粉の少ない苗木に
  • 2023年4月に関係閣僚会議を設置。花粉発生源対策に数値目標を設定し、対策を加速化
  • 重点区域における集中的な取組等により伐採・植替え等を加速化
  • 住宅分野におけるスギ材製品への転換や非住宅・中高層分野における木材利用拡大等によりスギ材製品の需要を拡大
  • 花粉の少ないスギ苗木の生産割合をスギ苗木の生産量の9割に引き上げるため苗木生産体制を強化
  • 事業量に対応するため、生産性の向上と労働力の確保を推進
  • 将来にわたり持続的に多面的機能を発揮できるよう、多様で健全な森林へ誘導
  • 国民の多様なニーズに対応した森林を育み、人と森林のより調和した状態を目指す
  • 2019年度の譲与開始以降、森林環境譲与税の取組は着実に展開
  • クリーンウッド法が改正され、川上・水際の木材関連事業者による合法性確認等の義務付け等を措置
  • 森林調査から原木生産・流通に至るまでの複数工程でデジタル技術の活用に取り組む「デジタル林業戦略拠点」の創出を開始
  • G7広島サミットで採択された成果文書に「持続可能な木材利用」が初めて明記
  • 山地災害等からの復旧に向けた取組を推進
  • 森林の多面的機能がSDGsや2050年カーボンニュートラル等の目標達成、GXの実現、国土強靱化に寄与
  • 全国森林計画等により、森林の整備・保全を計画的に推進
  • 林業イノベーションを推進するため、「森ハブ・プラットフォーム」を開設
  • 森林の多面的機能の発揮に向け、間伐や再造林等の森林整備を推進
  • 吸収量の向上、育林の効率化等に向け、成長に優れた種苗の供給を推進
  • 森林整備の基盤となる路網の整備や路網の強靱化・長寿命化を推進
  • 森林経営管理制度による経営管理の受委託や森林環境譲与税の活用額は年々増加
  • 多様な主体による森林づくりや、森林分野のクレジット化等の取組を推進
  • 保安林制度等を適切に運用するとともに、盛土等による災害防止に向けた取組を推進
  • 早期復旧に向けた迅速な対応を行うとともに、防災・減災、国土強靭化に向けた取組を推進
  • 多様な森林づくり、原生的な森林生態系の保護・管理等を推進し、生物多様性を保全
  • 野生鳥獣被害や、松くい虫被害、ナラ枯れ被害等への対策を実施
  • 世界の森林面積は依然として減少傾向、我が国は持続可能な森林経営に向けた取組を推進
  • 地球温暖化対策計画の目標達成に向け、森林吸収源対策を推進
  • 2030年までの新たな世界目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択
  • JICAを通じた技術協力や、国際機関を通じたプロジェクトを実施
  • 2022年の林業産出額は5,807億円で、近年は増加傾向
  • 1林業経営体当たりの素材生産量は増加し、林業経営体の規模拡大が進行
  • 林業従事者数は減少傾向から横ばいに転じ、2020年は4.4万人。
  • 生産性向上のための施業の集約化や収支をプラス転換する「新しい林業」に向けた取組を推進
  • 特用林産物は林業産出額の約4割。きのこ類の輸出量は増加傾
  • 薪の生産量は引き続き好調、竹の新規需要開発や国産漆の増産に向けた活動も拡がる
  • 山村の地域資源に対し都市住民や外国人観光客、地方移住希望者から大きな関心
  • 林業・木材産業の成長発展に加え、地域資源の発掘と付加価値向上等の取組を支支援
  • 世界の産業用丸太消費量は約20億㎥
  • 2022年の我が国の木材需要は増加。木材自給率は40.7%
  • 2023年の木材価格は2021年のピーク時から低下したが、以前よりも高い水準で推移
  • 改正クリーンウッド法が2023年4月に成立
  • 木材利用は2050年カーボンニュートラルの実現等に貢献
  • 非住宅・中高層建築物の木造化・木質化が進展。「都市の木造化推進法」等により更なる木材利用を後押し
  • エネルギー利用される木質バイオマス量は年々増加
  • 「木づかい運動」「木育」等により木材利用を促進
  • 木材輸出額は近年増加傾向。2023年は505億円
  • 木材・木製品製造業の付加価値額は近年増加傾向
  • 木材産業における国際競争力や地場競争力の強化に向けた取組が進展
  • 国産材の活用に向けた新たな製品・技術の開発・普及を推進
  • 製材業、集成材製造業、合板製造業では国産材の利用割合が長期的に増加傾向
  • 国有林野は、森林面積の約3割を占め、国土の保全、水源の涵養等の国民全体の利益につながる公益的機能を発揮
  • 多様な森林の育成や生物多様性の保全等、公益重視の管理経営を一層推進
  • 技術の民有林への普及、木材の安定供給等により森林・林業施策の推進に貢献
  • フィールド提供や観光資源としての活用等、国民に開かれた管理経営を推進
  • 被災した海岸防災林等の大部分が復旧・再生。復興に向けて森林・林業・木材産業が貢献
  • しいたけ等原木となる広葉樹林の再生に向けて「里山・広葉樹林再生プロジェクト」による伐採を推進。安全な特用林産物の供給に向けて適切な栽培管理・検査体制の整備を支援

~NEW~
農林水産省 令和5年度食育白書を本日公表
▼ 報道発表資料
  • 令和5年度 食育白書の概要
    • 食育白書は、食育基本法に基づき、政府が毎年、国会に報告しているものです。
    • 第1部では、食料安全保障に関わる大きな情勢の変化等に鑑み、農業の生産から消費までの過程やその課題への国民の理解を更に深める必要があることから、特集1を「農林水産業に対する国民理解の醸成」として、農林漁業体験の提供、産地と消費者の結び付きの強化、農林漁業等に関する教育の機会の充実に関する取組を紹介しています。
    • また、特集2「子供・若い世代を中心とした食育の推進」では、第4次食育推進基本計画の重点事項である「生涯を通じた心身の健康を支える食育の推進」のうち、子供や若い世代における食育の取組に焦点を当て、食育に関する意識や食育の実践状況等を記述するとともに、取組の事例を紹介しています。
    • 第2部では、第4次食育推進基本計画に掲げた事項の具体的な取組状況について、様々な事例を紹介しつつ、話題性の高いテーマをコラムとして記述しています。
    • 第3部では、第4次食育推進基本計画で掲げた目標値の達成状況等を記述しています
  • 内容のポイント
    • 第1部 食育推進施策をめぐる状況
      • 特集1 農林水産業に対する国民理解の醸成
        • 現下の食料安全保障に関わる大きな情勢の変化等に鑑み、農業の生産から消費までの過程やその課題への国民の理解を更に深めることが必要。そのために特に重要となる農林漁業体験の提供、産地と消費者の結び付きの強化、農林漁業等に関する教育の機会の充実に関する取組を紹介。
      • 特集2 子供・若い世代を中心とした食育の推進
        • 朝食の欠食やバランスのよい食事がとれていないといった若い世代の食の現状を分析し、朝食欠食等の改善に向けた食育の取組を事例等で紹介。
    • 第2部 食育推進施策の具体的取組
      • 第1章 家庭における食育の推進
        • 「早寝早起き朝ごはん」国民運動の推進等の子供の基本的な生活習慣の形成、妊産婦や乳幼児に対する食育の推進等について記述
      • 第2章 学校、保育所等における食育の推進
        • 栄養教諭の配置等の学校における食に関する指導体制の充実、学校給食における地場産物等の活用等について記述
      • 第3章 地域における食育の推進
        • 健全な食生活の実践を促す食育の推進、「日本型食生活」の実践の推進、食品関連事業者等による食育の推進等について記述
      • 第4章 食育推進運動の展開
        • 「食育月間」の取組、食育推進計画の作成に関する状況等について記述
      • 第5章 生産者と消費者との交流の促進、環境と調和のとれた農林漁業の活性化等
        • 農泊や農林漁業体験等を通じた生産者と消費者の交流の促進、地産地消の推進、食品ロスの削減等について記述
      • 第6章 食文化の継承のための活動の支援等
        • ボランティア等による食文化継承の取組、「和食」の保護と次世代への継承のための取組等について記述
      • 第7章 食品の安全性・栄養等に関する調査、研究、情報提供及び国際交流の推進
        • 食品の安全に関する情報提供、食品表示の理解促進、日本食・食文化の海外への発信等について記述
    • 第3部 食育推進施策の目標と現状に関する評価
      • 第4次食育推進基本計画で掲げた目標値の進捗状況等について記述

~NEW~
環境省 令和6年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書の公表について
  • 令和6年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書のテーマ
    • 自然資本充実と環境価値を通じた「新たな成長」による「ウェルビーイング/高い生活の質」の充実~第六次環境基本計画を踏まえ~
    • 令和6年5月、第六次環境基本計画を閣議決定しました。本計画は、環境保全を通じた「現在及び将来の国民一人一人のウェルビーイング/高い生活の質の向上」を最上位の目的として掲げ、政府全体の環境保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱を定めたものです。現在、世界が直面している気候変動、生物多様性の損失、汚染という3つの危機に対し、早急に文明・経済社会システムの変革を図り、環境収容力を守り環境の質を上げることによって、経済社会が成長・発展できる循環共生型社会を実現していくことが重要です。
    • 本白書では、第六次環境基本計画の内容を中心に、昨今の環境の状況、施策等について概説しています。
  • 令和6年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書のポイント
    • 第1章では、第六次環境基本計画について、現在我々が直面する環境の危機、我が国の経済社会の構造的問題を踏まえ、環境・経済・社会の統合的向上など環境政策が全体として目指すべき大きなビジョンを示すとともに、今後の施策の方向性を示していることを紹介しています。
    • 第2章では、気候変動、生物多様性の損失及び汚染という相互に関係する3つの世界的危機に対し、最新の動向や施策を紹介するとともに、課題の相互依存性を認識して自然再興・炭素中立・循環経済等政策の統合、シナジーを図ることが重要であることを紹介しています。
    • 第3章では、自然再興・炭素中立・循環経済の同時達成のためには、環境をきっかけとして、地域やそこに住んでいる人々の暮らしを、豊かさやウェルビーイングへとつなげていくことが重要であり、そのための取組である「地域循環共生圏」やライフスタイルシフト等について紹介しています。
    • 第4章では、東日本大震災や原発事故の被災地の環境再生の取組の進捗や、復興の新たなステージに向けた未来志向の取組を紹介しています。
  • 環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書の特色
    • 環境白書、循環型社会白書及び生物多様性白書の3つの白書は、法律にのっとってそれぞれ国会へ提出する年次報告書ですが、環境問題の全体像を分かりやすく示すために3つの白書を合わせて編集し、1つの白書としてまとめています。
    • 印刷工程の電力使用に伴い発生する二酸化炭素(CO2)は、環境省の「オフセット・クレジット制度(J-VER制度)」に基づき発行された東日本大震災における被災地のクレジットを購入し、オフセットしています。
▼ 本文

~NEW~
金融庁 損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議(第4回)議事次第
▼ 資料1 損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議報告書(案)、資料集
  • 大規模代理店に対する指導等の実効性の確保
    • 損害保険会社においては、保険代理店に対する指導等が適切に実施されるよう保険募集管理態勢を再構築するとともに、保険代理店における保険募集の適切性について、代理店監査等を通じて検証し、必要に応じて改善を求めるなど、保険代理店の規模やそれに基づく保険会社の営業面への影響の大きさにかかわらず、保険代理店に対する指導等が適切に行われるよう、その実効性を確保するべきである。
    • また、保険代理店に対する金融庁及び財務局のモニタリングについても、これまでは、人員の制約等により、一部の保険代理店に対するヒアリングや苦情分析にとどまっていたが、今般の事案を踏まえ、損害保険会社による保険代理店に対する指導等の状況についても、損害保険会社や保険代理店への立入検査を通じて検証するなど、金融庁及び財務局によるモニタリングを強化5すべきである。
    • その上で、損害保険会社による保険代理店に対する指導等に対する補完的な枠組みの構築を検討すべきである。例えば、保険代理店の業務品質を保険代理店と利害関係のない中立的な第三者が一定の基準に基づいて公正かつ適切に評価する業界共通の枠組み(以下「第三者評価」という。)を設けることを検討すべきである。また、第三者評価を検討するに際しては、それを実効的に機能させる観点から、以下のような点にも留意する必要があるとの指摘もある。
      • 特に、損害保険会社による適切な指導等が行われないおそれのある大規模な保険代理店等に対して有効に機能するような仕組みや、それ以外の保険代理店への指導等においても損害保険会社が活用できる評価基準を検討すること
      • 評価基準や項目については、評価される側の保険代理店等の関係者を含めて、十分に検討する必要があること
    • 保険募集人の募集品質の一層の向上を図る観点から、大規模な保険代理店に対するより厳格な態勢整備等を法令上の措置として求めることや、法令上に根拠を持つ自主規制機関等を設立することも視野に入れて検討を継続することが望まれる。
  • 代理店手数料ポイント制度
    • 損害保険会社が、代理店手数料ポイント制度において、規模や増収面を重視し、保険募集に係る顧客本位の業務運営の観点からみた業務品質を必ずしも適切かつ十分に評価していないきらいがあり、この仕組みが、大規模な保険代理店に業務品質を軽視する不適切なインセンティブを与え、不適切な保険募集を誘引しているおそれがある。
    • 損害保険会社においては、代理店手数料ポイント制度について、
      • 「規模・増収」に偏ることなく「業務品質」を重視する
      • 「業務品質」の具体的な指標について、損害保険会社の事務効率化ではなく、顧客にとってのサービス向上に資するものとする
        とを、関係者と議論し、検討していくことが求められる。
    • その際、代理店手数料ポイントの適切性確保に向けた動きを加速させるため、
      • 前述の第三者評価に係る仕組みにおいて、一定の評価基準が示される場合は、その内容と連動させる
      • 乗り合っている他の損害保険会社の手数料ポイントに追随することで、保険代理店における業務品質の向上に向けたインセンティブを阻害しないようにする
      • 損害保険会社において業務品質評価割合の考え方を開示することや、保険代理店においても、特に大規模な保険代理店については、損害保険会社別の手数料総額等の開示を行う
        などの仕組みを設けることを検討することが望ましい。
  • 保険会社による保険代理店等への過度の便宜供与等の制限
    • 損害保険会社は、顧客の適切な商品選択を確保する観点から、保険代理店等に対する便宜供与のうち、自社の保険商品の優先的な取扱いを誘引するものを解消する必要がある。具体的には、以下のような性質を有する便宜供与について、全てのケースにおいて確実に解消する必要がある。
      • 便宜供与の実績に応じて、保険代理店における保険取引の調整が行われる場合(ニギリ)
      • 保険代理店等から物品等の販売数量の目標設定や購入数量の割当て等が行われる場合(ノルマ)
    • また、上記の類型に該当しない保険代理店等に対する便宜供与であっても、その価格、数量、頻度等の要素を総合的に勘案した上で、「実質的に」自社の保険商品の優先的な取扱いを誘引するものについては、解消する必要がある。個々の事案ごとに判断されるべきものではあるが、例えば、具体的には、少なくとも以下のような行為が該当するものと考えられる。
      • 明示的なノルマはないものの、他の保険会社の購入実績との比較を提示されるなど暗黙の購入圧力を背景として、数量等の報告やとりまとめを伴う物品等の購入等を損害保険会社の社員等が斡旋する行為
      • 保険代理店が主催等するイベント等において、損害保険会社の社員等が保険業と関連性の低い役務を提供するかたちで参加・協力する行為
      • 保険代理店が主催等するイベント等において、損害保険会社の社員等が休日や業務時間外に参加・協力する行為
      • 本来は保険代理店等が負担すべき費用・業務を損害保険会社が負担する行為
    • 損害保険会社から保険代理店への出向等についても、上記の趣旨に留意しつつ、顧客の適切な商品選択を確保する観点から、自社の保険商品の優先的な取扱いを誘引するものの他、保険代理店としての自立に向けた動きを阻害するものは解消する必要がある。
    • 具体的には、出向等以外の便宜供与と同様に、その出向等の実績に応じて、保険代理店等における保険取引の調整が行われるものや、保険代理店の業務の中核的な役割を担う部署への長期にわたる出向等については、確実に解消する必要がある。
    • 顧客本位の業務運営を徹底する観点から、損害保険会社において、適切な入庫紹介の実施を確保するにあたり、以下の内容について十分に留意する必要がある。
      • 顧客が自動車修理工場を選択できることに関する顧客への明確な伝達
      • 顧客に自動車修理工場を紹介する際において、原則として複数社を紹介することそれらを紹介する理由の説明
      • 顧客に紹介する自動車修理工場の業務の適切性や品質を定期的に検証するとともに、入庫紹介を受けた顧客の意見等も踏まえた、入庫紹介の適切性を確認するための体制の整備
  • 乗合代理店における適切な比較推奨販売の確保
    • 乗合代理店が損害保険会社からの便宜供与の実績等の理由により、当該損害保険会社の商品を推奨することを決定しておきながら、顧客に対して「特定の損害保険会社の事務に精通している」といった本来の理由14を隠した説明を行っていたなど、比較推奨販売に関する規定が不適切に運用されていたことも明らかになった。
    • 乗合代理店における保険募集の実務や募集形態等を踏まえた上で、様々なケースに応じた保険募集が適切に行われるよう、例えば、以下の点について検討すべきである。
      • 保険募集人が、顧客に対して比較推奨を行う場合においては、顧客の意向を踏まえ、顧客の最善の利益を勘案しつつ、顧客にとって最適と考えられるものを比較又は推奨提案し、比較に係る事項や提案の理由(単に「経営方針」等のみにとどまるのではなく、顧客の立場に立ち、その顧客にとって提案商品が最適と考えた具体的な理由)を分かりやすく説明する
      • 保険募集人の提案する保険商品が、どのような商品群から選定された上で提案されているのかなどについて、顧客に対して、例えば、取り扱う保険商品の範囲、募集手数料に関する情報、乗り合っている保険会社のリスト等の情報を提供する
  • 保険代理店の兼業と保険金等支払管理部門の独立性確保等
    • 兼業代理店がその兼業という立場を利用して自らの利益を得るために顧客の利益を損なうことは許されるべきものではなく、また、兼業代理店はこうした利益相反が生じ得る事業構造であることを改めて認識する必要がある。今後、こうした事案の再発を防ぐ観点からは、保険代理店の兼業を禁止することも考えられないではないが、それによって、顧客の利便性や自動車事故に係る被害者救済機能の低下といった弊害が生じ得ることを鑑みれば、保険代理店の兼業自体を禁止するのではなく、兼業に伴う弊害を適切に管理することが合理的である。このため、損害保険会社及び保険代理店において、以下のような、兼業に伴う弊害を防止するための措置を講じる必要がある。
      • 保険代理店を営む企業において、当該企業内における保険契約者等の利益を損ね得る事業を特定した上で、その管理方針を策定・開示すること
      • 損害保険会社において、業務委託先である保険代理店を営む企業との関係を踏まえた利益相反に係る管理方針を策定し、その内容をウェブサイト等で公表すること
  • 共同保険のビジネス慣行の適正化
    • 損害保険会社においては、企業向け保険市場の参加者等とともに、独占禁止法抵触リスクを低減する観点から、共同保険組成過程において、営業担当者間で競争関連情報等の情報を交換しやすい状況下で、低い保険料を提示した幹事会社に他の損害保険会社が保険料を合わせるといった従来のビジネス慣行を見直すべきであり、例えば、シンジケートローン16,17を参考にした方式や、各損害保険会社の保険料を統一せずに共同保険を組成する方式にすることが考えられる。
    • 実際には損害保険会社が単独で保険契約を引き受けられるにもかかわらず、便宜供与等の保険以外の要因を背景に、敢えて共同保険を組成している慣行もあるが、適正な競争環境を確保する観点から、このような慣行は是正することが重要である。
  • 政策保有株式の縮減及び便宜供与の適正化
    • 政策保有株式の縮減については、大手損害保険会社4社から、政策保有株式の縮減に向けた業務改善計画が提出されているが、今後、金融庁として同計画をフォローアップする必要があるところ、その際には、例えば、本来は政策保有目的で保有しているにもかかわらず、純投資に区分されるなどして、実質的に政策保有株式の保有が継続することのないよう、金融庁が適切に監督することが重要である。
  • 損害保険会社における態勢の確保
    • 損害保険会社においては、コンプライアンス上、不適切なインセンティブとならない評価体系(営業目標、人事・業績評価等)の策定等、適切な営業推進態勢を構築すべきである。さらに、取締役会等の経営陣においても自社の営業推進態勢が適切に確保されているか、検証するべきとの指摘があった。
    • 事後的に利益が確定するという保険契約の性質に鑑みると、ボトムラインに基づく評価は難しいものの、適切な採算管理を行う観点から、例えば、損害保険会社は、
      • 各商品における適切な単位での収支分析
      • 再保険会社からの評価を踏まえたポートフォリオ全体の分析
    • 等を実施することが望ましく、さらに、金融庁においても、各損害保険会社の保険引受管理態勢が適切に確保されているかをモニタリングすることが重要である。
  • 企業内代理店のあり方
    • 本来、こうした実務能力の乏しい保険代理店は、公正な競争環境のもとでは淘汰されていくことが自然である。しかしながら、そうした保険代理店であっても、グループ企業等への保険募集を行ってさえいれば、損害保険会社から一定の手数料収入を安定的に得られ、保険代理店として存続していけるのが実態である。その結果、企業向け保険市場における保険仲立人や他の保険代理店の参入の妨げになり、公正な競争が行われていないなど、企業向け保険市場の競争環境に歪みが生じているおそれがあるものと考えられる。
    • 企業内代理店は、戦前からの損害保険市場における効率的な保険募集の実現に一定の役割を果たしてきたが、損害保険市場を巡る環境が大きく変わる中で、その役割を終えつつあるとの指摘がある。
    • 企業向け保険市場の更なる発展を図る観点から、保険仲立人の活用を促進するための施策もあわせて検討を続けるべきである。
  • 特別利益の提供の禁止
    • 今般の事案において、保険加入を条件に車両価格を値引くなどの行為を行っていた旨が指摘されているほか、一部の代理店において、保険契約を獲得するために、保険契約者間の公平性を損なうようなサービスが行われているとの指摘もある。
    • 国民の損害保険業界に対する信頼を回復する観点から、保険契約者間の公平性を確保するための対応を検討すべきとの指摘があった。
  • 個人の保険契約者に対するリスクマネジメントのインセンティブ付け
    • 少額事故であれば免責とする、という選択肢を保険募集時に示すと同時に、前述の業界ルールを変更し、保険料に損害額の多寡という視点を入れることで、保険契約者自身のリスクマネジメントの向上に資する28、との指摘もあった。
  • 企業のリスクマネジメント意識の向上
    • 近年、株主構成や事業リスクが多様化するなど、日本企業を取り巻く経営環境が大きく変化する中で、企業による主体的なリスクマネジメントの重要性が高まっている。しかしながら、こうした環境変化が進む中であっても、日本企業におけるリスクマネジメントの取組みは漸進的な変化にとどまっているとの指摘29がある。企業においては、こうした指摘も踏まえ、自らのリスクマネジメントに係る取組みを強化していく必要がある。
    • この際、保険はリスクマネジメントの重要な手段の一つであるところ、その活用にあたっては、自社のリスクを正確に評価した上で、そのリスクが適切にカバーされる保険商品を購入すべきであるが、自社の事業の変化に応じて、その付保範囲等を定期的に見直していくことも肝要である。また、保険商品を適切に選択しないと、事故発生時に適切な保険金の支払いが受けられないこととなり、保険の付保範囲の適切性等をめぐり、企業の経営層が株主から経営責任を問われるような事態に発展しかねないことにも留意する必要がある。
    • 損害保険会社においては、リスクマネジメントの高度化に取組む企業に対して、自らが有するリスクマネジメントや保険商品に係る知見を共有するなどにより、積極的な支援を行っていくことが望まれる。

~NEW~
金融庁 コーポレートガバナンス改革の実践に向けたアクション・プログラム2024(「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」意見書(7))の公表について
▼ コーポレートガバナンス改革の実践に向けたアクション・プログラム2024(「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」意見書(7))
  • はじめに
    • 2023年4月、「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」における議論を経て、「コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクション・プログラム」(以下「アクション・プログラム」)を策定した。
    • アクション・プログラムにおいては、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上のため、形式的な体制整備によってのみではなく、企業と投資家の双方における自律的な意識改革によるコーポレートガバナンス改革の実質化を促すとの方向性を示し、その重要性の認識が広く共有されてきた。
    • こうした流れをより確かなものとするため、フォローアップ会議では、各施策の取組み状況について、実態を踏まえたフォローアップを行い、以下のとおり、アクション・プログラムで掲げた施策の主な取組みに関するフォローアップと今後の方向性について、取りまとめを行った。
    • 今後は、以下を踏まえ、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上というスチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードの目的に立ち返り、収益性や成長性を意識した経営の実現に向けた取組みを中心とし、スチュワードシップ活動の実質化を含む具体的な取組みの検証や共有を通じて、企業と投資家の自律的な意識改革に基づくコーポレートガバナンス改革の「実践」に向けた施策を推し進めていくべきである。
  • フォローアップと今後の方向性
    1. 総論
      • 2.以下で示すとおり、アクション・プログラムで掲げた施策について、関係省庁及び東京証券取引所(以下「東証」)等において様々な取組みが進められている。
      • こうした取組みを踏まえ、企業及び投資家の双方において、意識改革が進められているとの意見がある。
      • 課題
        • 他方で、企業及び投資家における取組みの具体的な内容に目を向けてみると、コーポレートガバナンス・コードやスチュワードシップ・コードへの対応が形式的なコンプライにとどまっているとの指摘や、各主体の間で取組みの質に大きな差があるとの指摘もある。また、こうした「差」のより具体的な要因として、企業の規模等に応じたエンゲージメントの担い手が不足しているとの指摘もある。
      • 今後の方向性
        • 今一度、各コードがプリンシプルベースかつコンプライ・オア・エクスプレインのアプローチを採っている趣旨に立ち返り、すべての企業・投資家において、共通して必要となる対応に加え、各主体の規模や置かれた状況に応じ、きめ細かく必要な取組みを検討することが必要である。こうした観点からは、各コードを形式的に遵守することより、むしろ丁寧にエクスプレインすることも重要である。こうした考え方を踏まえ、企業及び投資家の双方において、エクスプレインを含む各主体の対応の状況に十分に配意し、双方向の対話を行うことが重要である。
        • また、こうしたコーポレートガバナンス改革の実質化に向けた取組みについて、各主体において検討・開示するのみならず、中長期的な企業価値の向上という目的に応じた成果を追求し、着実に実践に移すことが重要である。
    2. スチュワードシップ活動の実質化
      • 金融審議会「資産運用に関するタスクフォース」において、スチュワードシップ活動の実質化に向けた取組みについて議論が行われ、2023年12月に公表された報告書において、協働エンゲージメントの促進等について提言が行われた。
      • また、金融審議会「公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ」において、投資家と企業の対話の促進に向けた制度面の議論が行われ、2023年12月に公表された報告書において、大量保有報告制度の見直しのほか、実質株主の透明性確保に向けた提言が行われた。これを受け、大量保有報告制度における「共同保有者」の範囲の明確化を含む金融商品取引法等の一部を改正する法律が、2024年5月に成立した。
      • 課題
        • チェックボックスを埋めるような形式的な対話が行われており、投資先の深い理解に基づく建設的な目的を持った対話や、双方向の対話が行われていないとの指摘がある。協働エンゲージメントについても、単に協働するのみならず、テーマを絞った意味のある対話が行われることが重要との指摘がある。
        • また、対話の担当部門、議決権行使の担当部門、運用部門等が分離しており十分な連携が図られていないなど、対話と議決権行使を一体とした実効的なエンゲージメントが行われていないとの指摘がある。
        • そもそもスチュワードシップ・コードへの対応についてはその遵守状況が確認されていないため、当局において実際の取組みを点検することが必要ではないかとの指摘がある。
      • 今後の方向性
        • エンゲージメントを一層実効的なものとするため、金融審議会の報告書による提言を踏まえ、建設的な目的を持った対話に資する協働エンゲージメントの促進や、実質株主の透明性確保に向けて、スチュワードシップ・コードを見直すべきである。その際、議決権行使と対話は点と線の関係にあり、議決権行使(点)に至るまでの対話の過程(線)で、どのような対話をすることが重要かという意識をもつことや、エンゲージメントの成果を意識し検証することが重要であるといった観点にも留意する必要がある。
        • また、上記の課題の解決に向けて、望ましいエンゲージメントや望ましくないエンゲージメントについて、投資家・企業等の関係者の意見も踏まえ、具体的な事例や一定の目線を共有することが有用である。
        • こうした視点も踏まえ、一層実効的なエンゲージメントの実現に向けて、金融庁は、関係者と連携しつつ、運用機関・アセットオーナー・議決権行使助言会社等によるスチュワードシップ・コードの遵守状況を検証すべきである。
    3. 取締役会等の実効性向上(独立社外取締役の機能発揮)
      • 2024年1月、経済産業省が、金融庁及び東証と共同で、社外取締役の質の担保・向上に向けた取組みの一環として、「社外取締役のことはじめ」を作成した。
      • また、国際的な団体を含む民間の主体において、継続して、社外取締役を含む取締役等に対する研修の実施、提言の発信、表彰等の啓蒙活動が行われている。
      • 課題
        • 独立社外取締役の選任や、指名委員会・報酬委員会の設置が進む一方で、社外取締役や各委員会の議長・委員長が果たすべき役割の認識が共有されておらず、未だ取締役会が実効的には機能していないとの指摘がある。また、こうした社外取締役等の質の評価が実質的には行われていないとの指摘がある。
      • 今後の方向性
        • 取締役会の実効性向上に向けては、今一度、社外取締役、取締役会の議長、指名委員会・報酬委員会の委員長が真に果たすべき役割や機能について理解を共有するとともに、こうした役割や機能を果たし得る社外取締役等を選定することが重要である。そのための取組みとしては、社外取締役等の選定に際して透明性の高いプロセスを履践することや、選定後も社外取締役と投資家の対話や、個々の取締役の評価を含む取締役会の実効性評価等を通じて、社外取締役等の役割や機能に関する認識を醸成していくことなどが考えられる。
        • また、こうした役割や機能が十分に発揮されるためには、取締役会その他各委員会の事務局において、取締役会や各委員会における実質的な議論を促すための取組みを実践していくことも重要である。
        • 以上のような取締役会の実効性向上に向けた取組みの実践を促進する観点から、これらの取組みに関する具体的な事例を関係者間において共有すべきである。
    4. 収益性と成長性を意識した経営
      • 2023年3月、東証より、プライム市場・スタンダード市場上場企業に向けて、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた要請が行われた。2024年1月より、当該要請に基づき開示を行った企業の一覧が公表されているほか、同年2月、投資者との面談に基づき取りまとめた対応のポイントや事例集が公表された。
      • 課題
        • 上記の要請を踏まえ、多くの上場企業において取組みが進められているとの評価があるが、一方で、国内外の投資家等からは、各企業の取組みの更なる進展を期待する声も寄せられている。例えば、要請を踏まえた対応について、緊張感を持って経営の重要課題と位置付ける企業と、形式的な対応に終始する企業に二極化しているとの指摘がある。
      • 今後の方向性
        • 上記の指摘も踏まえ、投資家や金融庁・東証等の関係者において、継続して各企業の取組みの状況をフォローアップし、実質的な対応を促すべきである。
        • その際、開示の状況を確認するのみならず、開示の内容と実際の取組みの内容が乖離していないか、取締役会として主体的かつ積極的に対応に取り組んでいるか、投資家との対話において具体的な議論が行われているか、こうした対応におけるリソースが確保されているか、中長期的な企業価値向上の観点から具体的な成果を意識した分析・評価が行われているか等について着目することが重要である。
    5. 情報開示の充実及びグローバル投資家との対話促進
      • 2023年3月、東証より、プライム市場上場企業に対し、株主との対話の実施状況の開示を促すため、「株主との対話の推進と開示について」が公表された。
      • また、東証において、プライム市場上場企業における英文開示の義務化に向けた議論が進められ、2024年5月、決算情報及び適時開示情報の英文開示の義務化を含む、上場規程の改正が行われた(2025年4月1日施行)。
      • 課題
        • 企業の情報開示は充実してきている一方、開示している内容と実際の取組みの内容が乖離しているとの指摘がある。また、情報開示のタイミングに関し、有価証券報告書の株主総会前の開示を含め、投資家が必要とする情報が効果的・効率的に提供される必要があるとの指摘がある。
        • また、プライム市場上場企業を中心として、更なる企業価値向上に向けては、グローバル投資家とも積極的に対話を行い、タイムリーに英文開示を実施する必要があるとの指摘がある。
      • 今後の方向性
        • 企業における実質的な開示の充実に向けては、今一度、情報開示による透明性の向上が、市場からの信頼につながることを意識することが重要である。
        • 情報開示については、タイムリーかつ効果的・効率的に提供されることが必要であり、有価証券報告書の開示が株主総会前のタイミングになるよう、環境整備について検討すべきである。その際、企業の自助努力には限界があることも踏まえ、金融庁が関係者と連携し、実態把握を進めるだけでなく、有価証券報告書と事業報告等の重複開示に関する開示の効率化を含め、抜本的な環境整備に向けた検討を進めるべきである。
        • グローバル投資家との積極的な対話の促進に向けては、今後、英文開示の義務化を踏まえた状況をフォローアップすることが必要である。さらに、アクション・プログラムにおいて提示された取組みであるグローバル投資家の期待に自律的、積極的に応える企業群の「見える化」のため、一定の要件を満たす企業群について、資本収益性や市場評価、成長性等に関する指標や、独立社外取締役の選任状況や取締役会議長及び指名委員会・報酬委員会委員長の属性、女性役員比率等のコーポレートガバナンスの状況を示す具体的なリストを作成・公表すべきである。
    6. 市場環境上の課題の解決
      • 2023年12月、東証において、従属上場会社に関する情報開示・ガバナンスのあり方に関し、「少数株主保護及びグループ経営に関する情報開示の充実」及び「支配株主・支配的な株主を有する上場会社において独立社外取締役に期待される役割」が公表された。
      • また、政策保有株式への対応については、金融庁において、2023年3月期より、有価証券報告書において、政策保有株式の発行会社との業務提携等の概要の記載を求める開示の充実が図られ、2024年3月に更新された「記述情報の開示の好事例集2023」において関連する開示例が公表された。加えて、2024年3月に公表された「令和5年度有価証券報告書レビューの審査結果及び審査結果を踏まえた留意すべき事項等」において、課題等が指摘された。また、金融機関に対して、政策保有株式の縮減の進捗や保有意義の検証等について継続的にモニタリングすることとしている。
      • 課題
        • 政策保有株式について、各社において縮減に向けた取組みが進められている一方、議決権行使の状況を含む実態を踏まえた開示等の適切な対応がなされていないとの指摘がある。特に保有目的について、純投資目的への変更についてはその理由の開示が求められていないことから、実態が不透明となっているとの指摘がある。その要因として、例えば、社内の関係者間(IR担当や営業担当等)で認識に差があるとの指摘もある。また、他方で形式的に売却することは必ずしも望ましくなく、発行会社の経営の支援等を通じて保有の合理性を説明し得るような場合もあるため、適切に検証を行う必要があるとの指摘がある。
      • 今後の方向性
        • 従属上場会社について、少数株主保護に向け、上記の東証の要請も踏まえ、引き続き、各社において開示を含む取組みが進められる必要がある。
        • 政策保有株式について、投資家や金融庁・東証等の関係者において、今一度、企業に対し、コーポレートガバナンス・コードに照らして保有の合理性についての検証を尽くすよう促すべきである。その際、形式的な対応とならないよう、有価証券報告書において実態を踏まえた適切な開示が行われることが重要である。このため金融庁においても、実際の開示についてより深度ある検証を実施し、その結果を踏まえ必要に応じて開示の拡充等の必要な措置を講じるべきである。
    7. サステナビリティを意識した経営
      • 2023年3月期から有価証券報告書においてサステナビリティ情報の「記載欄」が新設されるとともに、女性管理職比率や男女間賃金格差等の多様性に関する指標が追加された。2023年12月、金融庁より、「記述情報の開示の好事例集2023」において関連する開示例が公表されたほか、同年10月、東証より、プライム市場上場企業に対する、女性役員比率に係る数値目標の設定等に関する上場規程の改正が行われた。2024年2月には、金融審議会総会において、サステナビリティの開示と保証のあり方に関する検討について諮問が行われ、「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」において、具体的な検討が進められている。
      • また、国際的には、2023年9月、G20/OECDコーポレートガバナンス原則が改訂され、新たにSustainability and resilienceの章が新設された。
      • 課題
        • サステナビリティを意識した経営を促すためには、「企業価値」の考慮にあたり、社会的価値と経済的価値を分けて考えるべきではなく、非財務情報と財務情報とのつながりを意識する必要があるとの指摘がある。また、サステナビリティを巡る課題への対応について、執行の問題と捉えられており、取締役会による監督の役割に関する認識が不足しているとの指摘もある。
        • このほか、ダイバーシティの確保に向けては、数値目標を達成するのみならず、必要な能力を有していることや、社内での人材育成が重要であるとの指摘がある。加えて、グローバル人材やジェンダーといった観点での多様性を意識するのみならず、これらを踏まえた「意見」の多様性を確保し、多様な観点から経営課題を議論することが、中長期的な企業価値の向上に資するとの指摘がある。
        • また、各社固有のコーポレート・カルチャー2こそが企業価値を創出・維持する礎となるものであり、経営や対話にあたり常にコーポレート・カルチャーを意識することが中長期的な企業価値をさらに高めていくために重要との指摘がある。
      • 今後の方向性
        • 中長期的な企業価値の向上に向けたサステナビリティを巡る課題への対応にあたっては、財務情報と非財務情報とのつながりや企業価値向上というアウトカムを意識すること、取締役会による監督の役割、コーポレート・カルチャーを意識した経営や対話が重要である。
        • ダイバーシティの確保に向けては、企業の特性や成長段階に応じ、多様性の確保や人材育成方針の策定を含め、人的資本への投資等に配意することが必要である。
        • また、企業経営が、パンデミックやサイバーセキュリティリスク、地政学リスクなどの様々なリスクに、サプライチェーン全体を通じてさらされる中、有事における「復元力」の発揮など、「レジリエンス」を意識することが重要である。
        • 以上のような観点を踏まえ、国際的な比較可能性を確保したサステナビリティ情報の開示・保証のあり方を検討するとともに、サステナビリティを意識した経営に関する具体的な事例を関係者間において共有すべきである。

~NEW~
金融庁 第149回自動車損害賠償責任保険審議会の開催結果について
  • 令和6年6月4日12時00分から第149回自動車損害賠償責任保険審議会が開催されました。
  • 第149回自動車損害賠償責任保険審議会では、自賠責保険における経費の計算方法等について、事務局及び日本損害保険協会から次の内容が報告されました。
  • 事務局
    • 社費の計算基礎となる経費計算基準及び代理店手数料の算出における基礎数値(以下、「経費計算基準等」という。)は、2012年の自賠責審議会で報告の上で改定されたが、その後、デジタル化の進展など、自賠責保険の経費に影響を与えうる環境は変化している。
    • こうした環境変化を踏まえ、日本損害保険協会に対し、
      • 経費計算基準等が業務実態に合っているか検証し、必要に応じて見直しを行うこと
      • 経費計算基準等を将来的に見直すための手続きの導入
    • について、検討を依頼し、検討結果について、2025年1月に開催予定の自動車損害賠償責任保険審議会について報告するよう要請したい。
  • 日本損害保険協会
    • 前回見直し時から、デジタル化の進展や法改正対応などの、経費計算基準等に影響しうると考えられる環境変化が発生している。
    • ついては、日本損害保険協会において、透明性・客観性を確保した第三者委員会を設置し、事務局から提示された点について検討することとしたい。
  • 議論の結果
    • 日本損害保険協会において客観性・透明性を十分に確保した第三者委員会を設置の上、
      • 経費計算基準等について、経費計算基準の計算式が実態に即しているかという観点も含め、業務実態に合っているか検証した上で、必要に応じて、見直しを行うこと
      • 将来的に経費計算基準等を見直す場合の手続きを導入すること
        について、検討を行うこと
    • 2025年1月に開催予定の自動車損害賠償責任保険審議会において、第三者委員会での検討結果を日本損害保険協会から報告を行うこと
      について、了承されました。

~NEW~
金融庁 「金融・資産運用特区実現パッケージ」の公表について
▼ 金融・資産運用特区実現パッケージ(概要)
  • 目的
    • 魅力的なビジネス・生活環境を整備し、金融・資産運用業を特定地域へ集積
    • 国内外の投資資金を呼び込みながら、地域の産業・企業が発展しやすい環境を整備
  • 対象地域
    • 北海道・札幌市:GXに関する資金・人材・情報を集積し、GX金融・資産運用特区を実現
    • 東京都:国際金融センターとしての環境を一層整備し、日本・アジアのサステナブルファイナンスやスタートアップの育成を推進
    • 大阪府・大阪市:海外投資を呼び込みながら、スタートアップ等によるイノベーションの実現を推進
    • 福岡県・福岡市:アジアのゲートウェイとして金融機能を強化し、福岡・九州のスタートアップ等を育成
  • 主な取組み
    • 国の取組み
      • 国内外の金融・資産運用業者の集積
        • 資産運用業におけるミドル・バックオフィス業務の外部委託の促進
        • 行政手続の英語対応(1)資産運用業の登録手続等 (2)開業手続き(商業登記/社会保険/入管関連)
        • スタートアップへ投資する外国人投資家向け在留資格の創設
        • 外国人銀行口座の開設支援
      • 金融・資産運用業者等による地域の成長産業の育成支援
        • 銀行によるGX関連事業に対する出資規制の緩和
        • 銀行グループの投資専門子会社によるスタートアップ出資規制の緩和
        • プロ向けのベンチャー・ファンドへ出資可能な投資家に関する規制の緩和
      • 成長産業(GX・スタートアップ)自体の振興・育成
        • 水素の社会実装に向けた圧縮水素の貯蔵上限の緩和
        • 高度人材ポイント制度を活用した海外人材(GXやフィンテック等)の受け入れ促進
    • 地域の取組み
      • 自治体における英語対応の拡充(英語によるワンストップ窓口の整備・拡充、自治体の行政手続きの英語対応)
      • 国内外の金融・資産運用業者等に対する税財政面での支援(地方税の減免、創業・拠点設立に係る補助金等)

~NEW~
財務省関東財務局 FTX Japan株式会社に対する行政処分について
  • FTX Japan株式会社(本社:東京都千代田区、法人番号:7010401115356、以下「当社」という。)に対して令和6年3月8日付で発出した資産の国内保有命令の期限が令和6年6月9日に到来するものの、当社は、親会社であるFTX Trading LimitedによるFTXグループ会社に係る米国連邦破産法手続の対象に含まれている状況であり、当社の資産が国外の関連会社等に流出し、投資者の利益が害されるといった事態を招かぬよう、引き続き、万全を期する必要がある。
  • 当社のこうした状況は、金融商品取引法(昭和23年法律第25号。以下「法」という。)第56条の3に定める「公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認める場合」に該当するものと認められる。
  • 以上のことから、本日、当社に対し、法第56条の3の規定に基づき、下記のとおり行政処分を行った。なお、令和4年11月10日付で命じた法第51条の規定に基づく業務改善命令は継続している。
  • 資産の国内保有命令
    • 令和6年6月10日から令和6年9月9日まで、各日において、当社の貸借対照表の負債の部に計上されるべき負債の額(保証債務の額を含む)から非居住者に対する債務の額を控除した額に相当する資産を国内において保有すること(公益又は投資者保護の観点から問題がないものとして、当局が認めた場合を除く)。

~NEW~
財務省関東財務局 株式会社あすなろに対する行政処分について
  • 株式会社あすなろ(東京都港区、法人番号3040002080117)(以下「当社」という。)に対する検査の結果、以下の問題が認められたことから、証券取引等監視委員会より行政処分を求める勧告が行われた。(令和6年5月24日付)
    • 顧客のため忠実に投資助言業務が行われていない状況
      1. 特定の顧客に対し、単発スポット銘柄の配信前に銘柄情報を伝達し、売買等の助言を行う行為等
        • 当社は、原則週1回、上場株式1銘柄の買付けを推奨する投資助言を行っており、所定の日時に銘柄名や買付推奨価格等をメール又は自社ウェブサイトにおいて配信(その際配信される銘柄を以下「単発スポット銘柄」という。)している。
        • こうした中、当社における投資助言業務統括者である甲部長は、令和4年5月から同5年3月までの間に配信した単発スポット銘柄55銘柄のうち、顧客Aに対しては少なくとも6銘柄について、顧客Bに対しては少なくとも16銘柄について、以下の流れで不適切な行為を行っている事実が認められた。
          • (1)甲部長は、単発スポット銘柄の配信を行う約1週間前に、社内での検討を踏まえつつ投資助言を行う1銘柄を決定する。
          • (2)単発スポット銘柄が決定すると、当該銘柄の配信前に、顧客2名に対し、スマートフォンのメッセージアプリ等において当該銘柄の買付けを助言する。
          • (3)単発スポット銘柄の配信日(寄付き前)に、顧客2名に対し、ⅱ.と同様の方法により、当社が配信する買付推奨価格の上限付近の価格等を指値とする売付けを助言する。
          • (4)単発スポット銘柄の株価が売り指値まで上昇しない場合は、指値を下値に訂正するなど、早く売り抜けるよう助言する。
          • (5)一連の助言を受けた顧客2名は、事前に買い付けた単発スポット銘柄を配信日(寄付き後)に売り抜け、顧客Aは少なくとも239万円、顧客Bは少なくとも306万円の利益を得ている。
        • また、甲部長は、上記行為に加え、令和4年9月から同5年3月までの間、一部の顧客に対し、単発スポット銘柄の配信前に、銘柄名は伝達しないものの、どの程度の価格の銘柄かなどを伝達し、配信直後に銘柄名を伝達したらすぐに発注できるよう、準備を依頼したうえで、配信直後に当該銘柄名や成行注文による買付けなどを助言していた。
      2. 上記の行為を見過ごし、かつ、これを防止する態勢を構築していない状況
        • 当社は、単発スポット銘柄の決定を行ってから配信を行うまでの情報管理方法に係る規定を定めておらず、情報の取扱いについて徹底した指導も行われていないほか、業務時間中のスマートフォンの管理を厳格に行っていないなど、情報管理が不十分な状況であった。さらに、甲部長の上記(1)、(2)、(3)、及び(4).の行為は、投資顧問契約の締結の勧誘を目的の一部として行われていたものであるが、当社は、当該勧誘の適切性を確認するための実効性あるモニタリングも行っておらず、上記(1)の行為を防止するための内部管理態勢を構築していない状況であった。
        • このため、当社は、甲部長が上記(1)の行為を、長期間にわたり、業務時間中に執務室の自席で行っていたにもかかわらず、これを見過ごしていた。
        • 当社が、上記(2)のとおり甲部長の行為を見過ごし、かつ、これを防止する態勢を構築しないまま、一般の顧客に単発スポット銘柄を助言すること、また、甲部長が、その業務に関し、当社の特定の顧客(顧客A及びB)に対して、事前に助言銘柄を伝達するとともに売買等の助言を行うこと及び当社の一部の顧客に対して、事前に発注方法の助言等を行うことは、配信日における一般の顧客の取引に基づく価格の変動を利用して特定の者の利益を図るために行われた行為であり、これは一般の顧客と特定の者との間の公平性の観点や、利益相反の観点から問題があるなど、正規の手続きにより投資顧問契約を締結した多くの一般の顧客をないがしろにし、その信認を裏切るものである。このような当社の業務運営の状況は、顧客のため忠実に投資助言業務を行っていない状況と認められ、金融商品取引法第41条第1項に定める「忠実義務」に違反するものと認められる。
  • 以上のことから、本日、当社に対し、下記(1)については金融商品取引法第52条第1項の規定に基づき、下記(2)については同法第51条の規定に基づき、以下の行政処分を行った。
    • (1)業務停止命令
    • (2)新たな投資顧問契約(契約金額の増額を伴う変更契約を含む。)の締結に係る勧誘・契約締結を令和6年6月5日から同年8月4日まで停止すること。
  • 業務改善命令
    1. 本件の発生原因を分析し、適切な業務運営態勢及び内部管理態勢の構築を含む再発防止策を策定・実施すること。
    2. 全ての顧客に対し、今回の行政処分の内容を説明し、適切な対応を行うこと。
    3. 本件法令違反行為の責任の所在を明確にすること。
    4. 上記1から3の対応状況について、令和6年7月5日までに書面により報告すること。

~NEW~
内閣官房 サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議
▼ 資料3 事務局説明資料
  • 現在の情勢
    • サイバー空間、海洋、宇宙空間、電磁波領域等において、自由なアクセスやその活用を妨げるリスクが深刻化している。特に、相対的に露見するリスクが低く、攻撃者側が優位にあるサイバー攻撃の脅威は急速に高まっている。
    • サイバー攻撃による重要インフラの機能停止や破壊、他国の選挙への干渉、身代金の要求、機微情報の窃取等は、国家を背景とした形でも平素から行われている。そして、武力攻撃の前から偽情報の拡散等を通じた情報戦が展開されるなど、軍事目的遂行のために軍事的な手段と非軍事的な手段を組み合わせるハイブリッド戦が、今後更に洗練された形で実施される可能性が高い
  • サイバー攻撃の変遷
    • 公開サーバへの攻撃
      • ウェブサーバ・外向けサービスへの大量送信 SQLインジェクションによる情報漏えい 等
      • ウェブサイト・インターネットバンキング等の停止
      • エストニア・2007年
    • IT系システムの侵害
      • 情報システム内部への侵入・暗号化(主に既知の脆弱性を悪用)
      • 暗号化・システム障害
      • 身代金要求
      • Wannacry・2017年 コロニアルパイプライン・2021年 大阪急性期・総合医療センター・2022年
    • 有事に備えた重要インフラ等への侵入
      • 最深部・制御系システムに至る高度な侵入能力(ゼロデイ脆弱性の積極活用など)高度な潜伏能力(Living-off-the-Landなど)
      • インフラ機能停止
      • ウクライナ・2015年/2022年等 Volt Typhoon・2023年
    • 機微情報の窃取の危険
      • 情報システムへの権限外アクセス・利用
      • 機密情報の漏えい・悪用
      • Black Tech・2023年
  • ウクライナに対する主なサイバー攻撃(報道ベース)
    • 侵略開始以前
      • ロシアは、侵略開始の1年以上前から、ウクライナの政府機関や重要インフラ等の情報システム・ネットワークに侵入し、破壊的サイバー攻撃を準備。侵略開始の1月程度前から、破壊的なサイバー攻撃等を開始。
      • 特に侵略前日には約300のシステムを対象とした大規模な破壊的サイバー攻撃を実施。
    • 2022年2月 衛星通信に対する攻撃
      • 2022年2月24日、米Viasat社が提供する衛星通信サービス(KA-SAT network)が利用不能に。ウクライナ国内に限らず、ドイツの風力発電所等にも影響が拡大。
    • 2022年4月 高圧変電所に対する攻撃
      • 2016年の攻撃に用いられたマルウェアの亜種(Industroyer2)による高圧変電所への攻撃が確認されているが、ウクライナサート(CERT-UA)等の支援により、大規模停電には至らず。
    • 2022年10月 変電所に対する攻撃
      • 2022年10月、ウクライナの変電所が攻撃を受け、停電が発生。攻撃者は同年6月までにはシステムへの侵入に成功。
      • 侵入先の正規ツールを悪用する「現地調達型の攻撃」(living-off-the-land)により変電所のブレーカーを遮断し、ミサイル攻撃と同時に停電を発生。その後、マルウェア”CaddyWiper”を展開し、システムを破壊。
  • 最近のサイバー攻撃の動向(事前配置(pre-positioning)活動)
    • 2023年5月、ファイブ・アイズ5か国及びマイクロソフト社が、中国背景とされるサイバー攻撃グループVolt Typhoonについて、注意喚起を発出。概要以下のとおり。
    • 有事における機能不全を念頭に置いた、重要インフラへの事前のアクセス確保(pre-positioning)を目的としたサイバー攻撃が発生
    • 長期間の潜伏に必要な高度な検知回避能力が特徴
      • ネットワーク機器の脆弱性を突いて侵入。ゼロデイ脆弱性も悪用
      • マルウェアを使わず、正規ユーザになりすまし、正規ツールを駆使(Living off the Land)
      • 侵入痕跡となるログの消去 等
    • 米国においては、本土及び島嶼部の米軍基地にサービスを提供する重要インフラ(通信、エネルギー、水道など)への攻撃の脅威が高まっている
  • 国家安全保障戦略(抄)
    • サイバー空間の安全かつ安定した利用、特に国や重要インフラ等の安全等を確保するために、サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させる。【略】
    • 武力攻撃に至らないものの、国、重要インフラ等に対する安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃のおそれがある場合、これを未然に排除し、また、このようなサイバー攻撃が発生した場合の被害の拡大を防止するために能動的サイバー防御を導入する。そのために、サイバー安全保障分野における情報収集・分析能力を強化するとともに、能動的サイバー防御の実施のための体制を整備することとし、以下の(ア)から(ウ)までを含む必要な措置の実現に向け検討を進める。
      • (ア)重要インフラ分野を含め、民間事業者等がサイバー攻撃を受けた場合等の政府への情報共有や、政府から民間事業者等への対処調整、支援等の取組を強化するなどの取組を進める。
      • (イ)国内の通信事業者が役務提供する通信に係る情報を活用し、攻撃者による悪用が疑われるサーバ等を検知するために、所要の取組を進める。
      • (ウ)国、重要インフラ等に対する安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃について、可能な限り未然に攻撃者のサーバ等への侵入・無害化ができるよう、政府に対し必要な権限が付与されるようにする。
    • 能動的サイバー防御を含むこれらの取組を実現・促進するために、内閣官房サイバーセキュリティセンター(NISC)を発展的に改組し、サイバー安全保障分野の一元的に総合調整する新たな組織を設置する。そして、これらのサイバー安全保障分野における新たな取組の実現のために法制度の整備、運用の強化を図る。
  • 主要国における官民連携等の主な取組
    • 欧米主要国は、近年、高度な攻撃に対する支援・情報提供や、ゼロデイ脆弱性の早期対処に必要な枠組みを強化。脅威ハンティング部門の設置やクリアランス活用のほか、製品ベンダの役割明確化等が進められている。
    • 同時に、政府の対処・情報収集能力を支えるためのサイバー対応機能の一元化や、重要インフラ事業者に対するインシデント報告の義務化が進められている
  • 外国におけるアクセス・無害化に関する取組例
    • 【事例】米当局による取組
      • 2023年5月、米国、カナダ、豪州、ニュージーランド及び英国は、中国の支援を受けたハッカーグループであるVolt Typhoonによるルータへの侵入や更なるハッキング、情報窃取への利用を合同で注意喚起。
      • 米当局は、Volt Typhoonによる感染ルータがKV Botnet(ボットネット:マルウェアによるネットワーク)を構成していると特定。感染ルータに対し、マルウェアの通信プロトコルを用いて、マルウェアを当該ルータから削除するコマンドを送信するなど、必要な措置を実施。
        • (注)本事例のほか、
          • 英当局による特定のAPT(高度な持続的な脅威)が用いる技術の弱体化等の取組
          • カナダ当局による政府ネットワークからの情報窃取防止を目的としたサイバー犯罪者の海外サーバの無効化等の取組
            等が行われていることが公開資料等から明らかとなっている。
      • 他方、こうした活動は秘密の活動として行われているものが多く、以上についても詳細は明らかになっていない
  • 現行制度上の課題
    • 官民連携の強化(ア)関係
      • 高度な侵入・潜伏能力に対抗するため、政府の司令塔機能、情報収集・提供機能の強化が不可欠
      • 整理が必要な法令の例:サイバーセキュリティ基本法、各種業法
    • 通信情報の活用(イ)関係
      • 悪用が疑われるサーバー等の検知には、「通信の秘密」を最大限に尊重しつつも、通信情報の活用が不可欠
      • 整理が必要な法令の例:憲法21条(通信の秘密)
    • アクセス・無害化措置(ウ)関係
      • 重大なサイバー攻撃の未然防止・拡大防止を図るためには、政府に侵入・無害化の権限を付与することが不可欠
      • 整理が必要な法令の例:不正アクセス禁止法
    • 上記の取組を実現・促進するため、強力な情報収集・分析・対処調整機能を有する新たな司令塔組織を設置することが必要。

~NEW~
内閣官房 新しい資本主義実現会議(第28回)
▼ 資料1 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版案
  • 2024年の改訂の考え方
    • 「新しい資本主義」では、成長と分配の好循環、賃金と物価の好循環を実現することを目指してきた。
    • まず「賃金」が上がる。その結果、「消費」が活発化し、企業収益が伸びる。それを元手に企業が成長のための「投資」を行うことで、「労働生産性」が上がり、賃金が更に持続的に上がるという好循環を実現する。これにより、「コストカット型の経済」から「成長型の新たな経済ステージ」へと移行することを目指してきた。
    • 他方、これまでの30年間のデフレ経済下では、生産性が上がれば賃金が上がると言われていたものの、実際には企業収益が伸びたときですら、賃金は上がらなかった。
    • 長年にわたり染み付いたデフレ心理を払拭し、「賃金が上がることは当たり前」という方向に、社会全体の意識を一気呵成に変えることが必要である。
    • 当初から、新しい資本主義では、以下の3点をテーマとして掲げた。
      1. 「市場も国家も」「官も民も」による新たな官民連携
      2. 課題解決を通じての新たな市場の創造、すなわち社会的課題解決と経済成長の二兎の実現
      3. 課題解決を通じての一人ひとりの国民の持続的な幸福の実現
    • また、基礎的条件としての経済安全保障の徹底。
    • これらの点は、2022年6月に閣議決定したグランドデザイン及び実行計画、2023年6月に閣議決定した2023年改訂版で一貫して主張してきた。
    • また、その実現に当たっては、分配の目詰まりの解消、官民連携による成長力の確保、民間も公的役割を担う社会の実現の3点に注力してきた。具体的には、官民連携による賃上げ、設備投資、スタートアップ育成、イノベーションの推進を同時に拡大するための施策を実施するとともに、新たな官民の連携を粘り強く呼び掛けてきた。
    • 今般、2回目の実行計画の改訂にあたり、新しい資本主義実現会議において審議を繰り返したところ、こうしたこれまでの新しい資本主義の取組の方向性は正しかったこと、そして、デフレから完全に脱却する歴史的チャンスを手にするという合意に至った。
    • 私たちは、昨年を大きく上回る春季労使交渉での賃上げ、史上最高水準の設備投資、史上最高値圏の株価といった成果を手にしている。しかしながら、我が国のデフレ脱却への道は、いまだ道半ばである。
    • 年初来、対米ドル円レートは1割程度円安が進んでおり、その影響は半年から1年かけて物価上昇率に反映される可能性がある。政府と日本銀行には、緊密に連携し、経済・物価動向に応じて機動的な政策運営を行っていくことにより、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することが求められる。その際、年初来進行している円安の影響が、今後物価に反映されてくることも踏まえ、円安が今後の物価に与える影響についても十分に注視する必要がある。
    • デフレを抜け出すチャンスをつかみ取れるか、後戻りしてしまうかは、今回の実行計画の改訂に基づく、これからの対応次第である。物価高を乗り越えるために、今年、物価上昇を上回る所得を必ず実現し、来年以降に、物価上昇を上回る賃上げを必ず定着させる。
    • 物価上昇を上回る賃上げを「定着」させるためには、中小・小規模企業の賃上げの「定着」が必要であり、このため、中小・小規模企業の「稼ぐ力」の向上に全力を挙げる。我が国の生産年齢人口は減少しつつあることに鑑み、構造的な人手不足状況の中で、これを達成するためには、省力化投資の加速的促進・仕事をしたいシニア層のための環境整備等の人手不足対策、価格転嫁等の我が国の商慣行における定着が不可欠である。
    • これらを含め、今般の実行計画の改訂において、一層の取組の具体化が必要な項目を以下に明らかにするとともに、新しい資本主義の取組全体の加速を図るため、2024年改訂版の閣議決定を行うものである。
  • 経済構造改革の加速
    • 人類は、従来の延長線上にない非連続な技術革新がもたらす歴史上大きなパラダイムシフトに直面している。テクノロジーの進化に伴う産業構造の変化が非常に速いスピードで進んでおり、テクノロジーを活用することで中小・小規模企業もグローバルに販路を広げることができる好機である。
    • また、社会課題の解決を通して、眠れる資産を活用しての新たな市場の創出、さらに、既存企業の事業の省力化や自動化、働き手のリ・スキリングによる労働生産性の向上、といった潜在能力を我が国は秘めている。
    • 成長と分配の好循環を図り、賃金と物価の好循環をより実感の伴う形で本格化させるためには、大局的な視座のもと各産業分野の構造的課題を把握した上で、政策を組み合わせ、経済構造の改革を成し遂げなければならない。
    • 世界でも人口減少・少子高齢化にいち早く直面する我が国においては、人材・資源・資金・データが円滑に循環することで、スパイラル状に付加価値を高め、継続的な所得向上を実現する成長戦略として、以下の3つの循環を作り出していく。
      1. 生産性を高め供給を増やす循環:人口減少を機会と捉え、産業の革新(スタートアップの成長、既存企業のイノベーション・事業承継・M&A)を促し、リ・スキリングと労働移動を通じて供給サイドを強化することで、継続的な所得向上を実現する。
      2. 需要を増やす循環:社会課題解決を通して需要を開拓し、対価を伴う付加価値の高い解決策を生み出すことで新たな市場を創出・拡大し、その成果を可視化していく。
      3. 海外と繋がる循環:海外との双方向の繋がりによって、ソリューションの海外展開、投資や人材の流入を促し、市場拡大を加速させる。
    • 社会課題はブルーオーシャンであり、コストは成長のための投資であるという考えの下、更なる成長・生産性向上のために、関連する様々な産業において人材・資源・資金・データ等の循環を阻害する規制や商慣習等の「目詰まり」を解消し、構造改革につなげていくことが必要である。旧来の硬直的な規制や経済構造等の「壁」を改革すべく、従来の産業や分野の括りに囚われることなく、政策を横断的かつ一体的に実行する。
    • これらによって、我が国が抱える社会課題の解決を通して、所得や幸福感(ウェルビーイング)が継続的に向上する状況を作り出すことで、ひとりひとりが明日は今日よりも良くなると実感できる社会を目指す
  • AI
    • 生成AIは社会経済システムに大きな変革をもたらす一方で、偽・誤情報の流布や犯罪の巧妙化など様々なリスクも指摘され、安全・安心の確保が求められる。
    • 米国企業等が先行する中、我が国もそれに追随すべく計算資源の整備や大規模モデルの開発が進んでおり、また、小規模・高性能なモデルや複数モデルの組合せの開発等、新たな研究も進んでいる。
    • AIの開発や利活用等のイノベーションが社会課題の解決や我が国の競争力に直結する可能性がある。生成AIを含むAIの様々なリスクを抑え、安全・安心な環境を確保しつつ、イノベーションを加速する。加えて、我が国が主導する広島AIプロセス等を通じて、今後も国際的にリーダーシップを発揮していく。
    • AIのイノベーションとAIによるイノベーションの加速
      • AIの研究開発力の強化とAIの利活用を一体的に官民が連携して進めていくとともに、計算資源等のインフラの高度化や人材の育成・確保に取り組む。AIの進化のためにはデータが不可欠であり、AI関連の政策をデータ戦略と連携して実施する。
        1. 研究開発力の強化
          • AI開発に不可欠な計算資源を諸外国に対して劣後せず、幅広い開発者が利用できるよう、引き続き官民で整備を進める。
          • モデルの高効率化や高精度化、マルチモーダル化(テキスト、画像、音声、動画等の様々な情報を同時に処理・解析する機能)、リスクの低減化等の研究開発、質の高い日本語データ及び産業競争力を有する分野のデータの整備・拡充を産学連携で進めるとともに、革新的な技術を有するスタートアップを支援する。
          • 医療や創薬、マテリアル等の分野で日本の強みである科学研究データ創出基盤の強化(AIfor Science:科学の成果を得るためにAIを活用すること)や労働力不足の解消やGX等に資する革新的なAIロボット等の研究開発・実装等を官民で加速するとともに、「富岳」の次世代となる優れたAI性能を有する新たなフラッグシップシステムの開発・整備に着手する。
        2. AI利活用の推進
          • 「ChatGPT等の生成AIの業務利用に関する申合せ(第2版)」を更に前進させ、他機関のモデルともなるよう、政府によるAIの適切な調達・利用、得られた知見の共有を進める。また、各産業分野におけるAIの利活用を促進する。
          • ユーザーや開発者が委縮することなくAI利活用・開発を進められるように、個人情報保護法、著作権法、各種業法など留意すべき制度の運用を明確化する。
        3. インフラの高度化
          • データセンターの大規模化・分散化と省電力化、6G(ビヨンド5G)等のネットワークシステムの高度化、AI半導体等のキーデバイスの実現等に向け、研究開発を促進するとともに、AIに不可欠なインフラへの民間投資の拡大を図る。
        4. 人材の育成・確保
          • AIスキルの習得、AIリテラシー向上のための教育コンテンツの充実・普及啓発を図る。次世代のAI開発等を担う若手研究者や博士後期課程学生の研究費や生活費を支援する。
    • 安全・安心の確保
      • AI利用の安全・安心の確保については、我が国は、「AI事業者ガイドライン」に基づく事業者等の自発的な取組を基本としているが、今後、AIに関する様々なリスクや、規格やガイドライン等のソフトローと法律・基準等のハードローに関する国際的な動向等も踏まえ、制度の在り方について検討する。
        1. AIの安全性に関する制度の検討
          • 幅広い業種にAI事業者ガイドラインの周知・浸透を図る。
          • 本年5月のAI戦略会議で了承された「AI制度に関する考え方」等を踏まえ、今夏にAI戦略会議の下で開催するAI制度研究会(仮称)において、医療、自動運転、金融等の社会への影響が大きい分野を含めて制度の在り方の検討に着手する。
        2. AIの安全性に関する知見の集約
          • 独立行政法人情報処理推進機構に設置されるAIセーフティ・インスティテュート(AISI)は、AIの安全性の中心的機関として、専門人材の育成・確保、先進的な技術的知見の集約等を進める。
        3. 偽・誤情報への対策
          • 生成AIを利用したものを含め、ネット上に流通・拡散する偽・誤情報や、SNS上のなりすまし型偽広告への対応等について、国際動向を踏まえつつ、技術・研究開発の推進、民間を主体としたファクトチェックの推進、国際的な連携強化等、制度面も含む総合的な対策を進める。
    • 国際的な連携・協調の推進
      • 広島AIプロセス等を通じて、安全・安心で信頼できるAIの実現に向け、国際的な取組を引き続き主導するとともに、アジア諸国やグローバル・サウスとも協調しながら、共同開発・イノベーション創出を引き続き推進する。
      • 広島AIプロセスの成果を更に前進させるべく、広島AIプロセス・フレンズグループを活用したG7外へのアウトリーチや、AISIの国際的なネットワークによるAIの安全性の方策検討等を進める

~NEW~
内閣官房 デジタル行財政改革会議(第6回)議事次第
▼ 資料1 デジタル行財政改革交通分野の取組と主な成果等について
  • 移動の足不足の解消について
    1. 目指すべき社会像
      • 大都市、中小都市及び観光地など全ての地域で、住民・観光客が、必要時に、円滑に移動できる「移動の自由」が確保される社会を目指す。
    2. これまでの取組・主な成果(規制改革推進会議答申(5/31)において国土交通省等所管省庁との合意の上記載)
      • タクシー・バス等のドライバーの確保(地理試験廃止、2種免許試験の20言語への多言語化(2024年2月)、法定研修の期間要件撤廃(同3月)、2種免許技能教習の一日当たりの上限時間の延長(同6月) 等)
      • 自家用有償旅客運送の制度改善(地域公共交通会議の迅速化、交通空白地の定義柔軟化等)
      • 自家用車活用事業の創設・バージョンアップの検討(タクシー不足の地域・時期・時間帯において、タクシー事業者が運送主体となり、地域の自家用車・ドライバーを活用(2024年4月)。対象地域の足不足の状況をモニタリングし、不断にアジャイルなバージョンアップを直ちに検討(雨天、電車トラブル、イベントへの柔軟な対応等)。その他の地域についても首長主導の柔軟な取組を可能とする新制度活用を推進。また、タクシーと自家用車活用事業に共通で適用される、新たなダイナミックプライシングなど、需要と供給に応じた柔軟な運賃・料金のあり方を検討。)
    3. 参考 今後の課題に関する規制改革推進会議意見
      • タクシー事業者以外の者によるライドシェア事業を位置付ける法制度について、内閣府・国土交通省の論点整理を踏まえ、次期通常国会への法案提出も視野に、年末に向けて、法案化作業を直ちに開始すべき。
    4. これからの取組
      • 今年度から開始された自家用車活用事業等の効果を適切に把握し、不断かつ大胆なバージョンアップを実施するとともに、データを充実させた上で、全国でのモニタリングを進め、検証を実施。その一環として、できるだけ早期に、その時点での検証結果の評価を実施。
      • 少なくとも年内は、内閣府及び国土交通省においてモニタリング、検証を継続し、日本全国の移動の制約の解消状況を精査する。
      • 並行して、地域交通の「担い手不足」や「移動の足」不足への対策として十分でないと合理的に考えられる場合に備え、デジタル原則に則り、タクシー事業者以外の者が行うライドシェア事業について、内閣府及び国土交通省が行った論点整理を踏まえ、法制度を含めて事業の在り方の議論を国土交通省とともに進める。
  • モビリティ・ロードマップ2024(案)の概要
    • 地域の交通サービスをめぐる現状と課題
      • 人口減少に伴う需要密度の低下による公共交通サービスの事業採算性の悪化
      • 交通を支える運転業務従事者の人手不足
    • 新たなモビリティサービスの出現と課題
      • 海外では、技術の進歩等により、自動運転等新たな業態やサービスの導入が開始
      • 米国や中国の先進的な事例をみると、自動運転はデータの蓄積・活用を進め、技術を飛躍的に向上
    • 求められる施策
      • 需要の可視化や移動需要の効率化、創出によるモビリティサービスの生産性の向上(需要側からのアプローチ)
      • 自動運転技術の事業化によるドライバー不足への対応(供給側からのアプローチ)
    • 基本的な考え方
      • 需要側・供給側アプローチに関する施策を各取組主体が同時に実施し、新たなモビリティサービスの社会実装を推進
  • 事故等が発生した場合の責任制度その他のAI時代における自動運転車の社会的ルールの課題と目指すべき姿
    • 高齢者によるペダルの踏み間違い事故など、人間の運転者によるミスに起因した交通事故が社会問題化
    • 2023年に発生した自動車※1関連の交通死亡事故2,288件のうち、第1当事者※2が自動車の場合は2,021件、全体の88.3%。
    • 高齢者に対する自主的な免許返納の呼びかけは、特に、公共交通等の移動手段が不足している地域において効果が限定的。
    • 地域公共交通における人手不足が深刻化⇒新たな地域交通の手段として、安全な自動運転車の早期社会実装への期待が一層向上。
    • これまでの研究開発等の取組に加え、社会的ルール面での環境整備を進め、社会実装の更なる加速を目指す。
  • 目指すべき姿
    • 具体化・定量化された保安基準/ガイドラインを作成し、自動運転車による交通ルールの遵守方法を明確化
    • 検証・分析のための情報共有の仕組みを構築し、必要に応じた再発防止に向けた保安基準/ガイドラインのアップデート
    • 適正・合理的な内容の保安基準/ガイドラインに適合していた事実が、行政・刑事・民事の責任判断時に適切に考慮されるような制度の設計又は運用
    • 法的権限を持ち、職権行使の独立性が保障されている運輸安全委員会のような事故調査機関を設置
    • 客観性・信頼性の高い事故調査結果の公表

~NEW~
首相官邸 サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議
  • 令和6年6月7日、岸田総理は、総理大臣官邸で第1回サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議に出席しました。
  • 会議では、サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議について議論が行われました。
  • 総理は、冒頭の挨拶で次のように述べました。
    • 本日は、サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。我が国のサイバー対応能力の向上は、現在の安全保障環境に鑑みますとき、ますます急を要する課題です。このため、国家安全保障戦略では、サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させることを目標に掲げ、その柱として能動的サイバー防御を導入することといたしました。
    • この会議は、能動的サイバー防御の実現を始めとする我が国のサイバー安全保障分野での対応能力の向上をいかにして実現するか御議論をいただくため、河野大臣の下に幅広い分野から17名の有識者の方々にお集まりをいただいたものです。有識者の皆様におかれては、それぞれの御知見を発揮され、闊達な御議論をいただき、成果を御報告いただきたいと存じます。
    • また、河野大臣においてはこの会議の成果を踏まえ、関係大臣とも協力の上、可能な限り早期に関連法案を取りまとめてください。我が国の安全保障をサイバー空間からも確実なものとしていくため、有識者の皆様のお力添えをよろしくお願い申し上げます。

~NEW~
首相官邸 第57回 経協インフラ戦略会議 議事次第
▼ 資料 【概要】2030年を見据えた新戦略骨子
  • 背景
    • 従来のインフラの概念を超え、新たな領域においても、政策対応を講じつつ、官民が連携して挑戦し、我が国と相手国双方の成長につなげていく必要。
    • 世界のインフラ市場は過去5年間で構造的に変容すると共に、今後も伸張見込。我が国企業に強みのある設計・調達・建設(EPC)や運営・維持管理(O&M)にとどまらず、これまで必ずしも強みとはいえなかった上流や下流の段階、そして、新たな領域においても、我が国企業の存在感を高めていく必要。
    • インフラ市場の構造的変化と今後の潮流
      • (1)顧客ニーズの変化とビジネスモデル
        • 社会資本整備(ハード・インフラ)→複雑化する社会課題の面的解決・仕組みの構築
        • ハード(港湾、鉄道等)の売り切りモデル→ソフト(運営・維持管理)による継続的なサービスモデルの受注拡大が道半ば
      • (2)プレーヤー
        • ODA対象国からの卒業・中進国の増加
        • 新興国の現地企業の飛躍的成長・競争激化・市場の囲込
      • (3)パワーバランス
        • 新興国の人口増加と経済発展
        • G7のシェア低減
        • 経済安全保障
  • 新戦略の骨子(2030年のあるべき姿と実現に向けた政策対応)
    • 2030年のあるべき姿
      • 我が国の「稼ぐ力」と国際競争力を高め、相手国のニーズに応え、従来のインフラ概念を超えた新領域を含めた事業を共に創り、共に切り拓く世界の経済的繁栄
      • 同志国・グローバルサウスと緊密に連携したサプライチェーン・経済安全保障・国益の確保
      • 大きな成長市場・チャンスとなるグリーン・デジタル等の社会変革への機動的対応を通じた我が国と世界の持続可能な成長の実現
    • (1)相手国との共創を通じた我が国の「稼ぐ力」の向上と国際競争力強化
      • 相手国のニーズを踏まえた「懐に入る」対応:
        • 「選ばれる」国となるため、「質の高いインフラ投資に関するG20原則」に基づくインフラへの信頼を深化させ、「オファー型協力」等を通じた積極的な事業提案・支援を推進。
        • スマートシティ、公共交通指向型都市開発(TOD)等の複合的で多様なまちづくりやインフラ・サービスについて、積極的に相手国に提案し具体的案件を獲得。
        • トップセールス等の強化(※PALM、ブラジルG20、TICAD等)、我が国が優位性を持つ技術等の紹介、国際開発金融機関(MDBs)・在京大使館等との連携強化、相手国へのビジネス環境改善等の継続的働きかけ。
        • 相手国の地方都市を含めた「グローカル」な連携のため、地方を拠点とした企業の海外展開を地方自治体や地域金融機関等と連携し積極的に支援。
      • PPPを含めた案件形成の上流への積極的参画支援と提案力の強化:
        • 経済広域担当官の新たな設置や日本側関係機関が有するネットワークの強化・連携に向けた「共創プラットフォーム」の構築。
        • 日バングラデシュ・ジョイントPPPプラットフォーム等の二国間や多国間の政策協議や官民プラットフォーム等の戦略性・実効性を高め、官民の適正なリスク分担や公的資金活用によるPPPの戦略的取組を推進。
        • F/Sやマスタープラン等上流へのODA等支援と企業の関与を強化。概念実証(PoC)や国際実証、二国間クレジット制度(JCM)等を活用した支援を、グローバルニーズに適した形で強化。
        • 案件形成の初期において、同志国・MDBs等と連携し、案件の採算性向上とリスクコントロールを強化。
      • スタートアップ、ユーザーサービス等、案件の付加価値を高める下流への参画支援:
        • 長期資金供給支援を通じ、スタートアップが世界のインフラ市場に挑戦できる環境を整備。
        • 我が国とASEAN・太平洋島嶼国等のスタートアップ・エコシステム(スタートアップの発展を支える仕組み)を構築。
        • O&M等を通じた案件への継続的関与とユーザーニーズに応じた付加価値創出の取組を支援。
    • (2)経済安全保障等の新たな社会的要請への迅速な対応と国益の確保
      • 経済安全保障上、重要なインフラへの積極的関与:
        • 資源・エネルギー・食料の安定供給等を確保し、カントリーリスクの高まりに対応し、我が国企業の産業競争力維持・向上に資するサプライチェーン強靱化等を公的金融により支援。貿易保険のリスク対応能力強化を通じ、我が国企業のグローバルな挑戦を支援。上流から下流の民間主導の案件形成を推進。先進国を含む地域間の連結性向上に必要なインフラを面的に支援。
        • 5G/Open RAN、光海底ケーブル、電力・金融・宇宙インフラ等、広い視点での国益・経済安全保障や次世代市場の獲得上、重要なインフラの受注を戦略的に獲得し、必要な人材育成等も支援。
        • ウクライナ等における案件形成支援。
      • 同志国・グローバルサウスと迅速かつ緊密に連携した案件形成と事業化支援:
        • 我が国企業の「勝ち筋」の見える国・分野等を踏まえ、優先度に応じ戦略的かつ集中的に支援。同志国等と緊密に連携し、重要案件の形成と事業化を推進。
        • 国益を意識し「分断と対立」から「協調」への移行を目指し、「アウトリーチ型の外交」を通じて、グローバルサウスの成長市場を取込む。
    • (3)グリーン・デジタル等の社会変革をチャンスとして取り込む機動的対応
      • 新たな市場とルール整備の主導:
        • 新たな市場を生み出す国際標準化や現地国・地域での法制度整備等のルールメイキングを推進。
        • アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ(AETI)等を通じた、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想の実現、公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETP)等を推進。
        • 二国間クレジット制度(JCM)のパートナー国拡大等を通じ、質の高い炭素市場の構築に貢献。
        • 気候変動の適応策(防災等)と緩和策の推進、水素社会推進法に基づいた環境整備。
        • 課題先進国としての知見が活かせる保健医療分野等の海外展開。
        • 広島AIプロセス等を通じた安全、安心で信頼できるAIの実現に向けた取組を推進。
      • グリーンフィールドにおける公的機関による積極的なリスクテイク:
        • 資源開発、新技術・ビジネスモデルを活用した事業等への官民ファンドを含むOOF(※JBIC、NEXI、JICT、JOIN等)支援を拡大し、長期資金供給・出資機能等の積極的リスクテイクを推進。
        • 経済安全保障上、重要なインフラについて、積極的リスクテイクにより同志国等との連携を強化。
        • 公的資金と民間資金を適切に組み合わせるブレンデッド・ファイナンス等の仕組みの構築。
      • 新たな市場に対応する現地及び本邦人材の育成と交流:
        • インフラ整備・O&M事業等を通じた現地人材育成、国内における外国人材の積極的活用、外国での事業運営等を担える本邦人材の育成。
        • グローバルサウス未来産業人材育成等事業や日越大学構想等の事業を我が国の強みや相手国ニーズを踏まえ推進し、グローバルサウスの人材を取込む。
        • 研究機関等により、国際標準化等のルールメイキングを活用した海外ビジネス展開の促進に必要な人材育成の仕組みを整備

~NEW~
首相官邸 農福連携等推進会議(第3回)
▼ 資料2 農福連携等推進ビジョン(2024改訂版)(案)の概要
  1. 農福連携等が実現を図る社会
    • 農福連携は、農業と福祉が連携し、障害者の農業分野での活躍を通じて、農業経営の発展とともに、障害者の自信や生きがいを創出し、社会参画を実現する取組農福連携の更なる推進には、「知られていない」「踏み出しにくい」「広がっていかない」といった課題に加えて、地域ごとの状況(農繁閑期の農業と福祉の需給ギャップ等)に応じたマッチング等の現場で生じている課題に的確に対応していく必要
    • 地域に生きる一人ひとりの社会参画を図るため、高齢者、生活困窮者、ひきこもりの状態にある者、犯罪をした者等の社会的に支援が必要な者にも対象を広げ、また、林業、水産業と福祉の連携に広げていくことも重要
    • 農福連携等を通じて、全ての人々が地域で暮らし、多様な形で社会に参画し、生きる力や可能性を最大限に発揮できる地域共生社会の実現に貢献
    • 改正食料・農業・農村基本法に農福連携が位置づけられたことも踏まえ、本ビジョンに掲げられた取組を官民挙げて実践
  2. 農福連携等の意義
    • 社会的に支援が必要な者にとっての意義
      • 個々の特性に合った農作業により、賃金・工賃の向上、職業能力の開発・向上等も期待でき、社会的に支援が必要な者の就労・社会参画支援や立ち直り支援に貢献・コロナ禍を通じて、孤独・孤立や生活困窮の問題に直面する者の存在が浮き彫りとなる中で、地域全体で働きづらさや生きづらさを感じている者を支援することが必要
    • 農業経営体等と農村にとっての意義
      • 今後、農村地域で人口減少・高齢化が急激に進行することが見込まれる中で、多様な人々の活躍を通じた地域農業の振興や地域共同活動の継続が重要
      • 農作業の見える化・標準化や働き手の確保による農業経営へのプラス効果が期待
    • 企業や消費者にとっての意義
      • 農福連携等の商品の販売・消費等を通じた企業価値の向上や新たな需要の創出
  3. 農福連携等の現状と課題
    • (1)認知度の向上(2)取組のきっかけと定着(3)取組の拡大と成長の分野ごとに取り組んできたが、以下の課題への対応が必要
      • 農福連携等に関する地域ごとの課題を地域内で共有・相談・解決できる場の創出
      • 障害者等が働きやすいソフト・ハードの環境整備
      • 農業の担い手や新規就農者の農福連携等に取り組む意欲の喚起
      • 企業、消費者などターゲット別のプロモーション
      • 地域内外の多様な連携により、販路の開拓や付加価値の向上
      • 地方公共団体、農業団体、福祉団体、経済団体等の協力促進
  4. 農福連携等の推進に向けた新たなアクション
    • 農福連携等に取り組む主体数を12,000以上、地域協議会に参加する市町村数を200以上とすることを目標とする
      • 地域で広げる~点的な取組から地域への広がりへ~
        • 地域単位での仕組みづくり
          • 都道府県段階での農業と福祉のマッチングを支援
          • 関係省庁が連携して、地域協議会や伴走型コーディネーターによる支援などの活動を通じて、地域単位での農福連携の推進体制づくりを後押し
        • 障害者等が働きやすい環境の整備
          • 生産施設等の整備、障害者等の農業技術の習得等を支援
          • 農業法人等への障害者の就職等の推進と実践的な研修の推進
          • 障害者の作業をサポートするスマート農業技術等の活用
        • 地域における多様な連携の推進や専門人材の育成と活躍の場の確保
          • ノウフクJASの認証取得を推進
          • 障害者就労施設等と企業との連携によるノウフク商品のブランド化
          • 福祉事業所や障害者等の地域共同活動への参画促進に向けた事例収集・横展開
          • マッチングを行うコーディネーターや農福連携技術支援者等の育成と活動支援
      • 未来に広げる~未来の担い手の育成と新たな価値の発信~
        • 農福連携等の強みの発信と未来の担い手の育成
          • 農業の担い手に対するセミナー等を通じて、農福連携等の意義や効果を普及
          • 特別支援学校における実技・実習に農業者が協力・支援を行うよう働きかけ
        • 新たな価値の発信とユニバーサルな取組への進化
          • 11月29日を「ノウフクの日」に設定し、関係団体・企業等が連携した普及啓発を推進
          • 農福連携等応援コンソーシアム会員が連携して商品開発等を行う仕組みを構築
          • エシカル消費に関心のある若年層向けにSNS等による情報発信
      • 絆を広げる~ユニバーサル農園の拡大と「農」「福」の広がりへの発展~
        • ユニバーサル農園の普及・拡大
          • ユニバーサル農園の事例やノウハウを取りまとめて普及
          • 農業での就労を目的としたユニバーサル農園の開設や施設等の整備を支援
        • 社会的に支援が必要な者の農福連携等への参画の推進
          • ハローワーク等の関係機関が連携し、農業分野での障害者等の雇用を促進
          • 犯罪をした者等の就農意欲喚起等に向けた農業実習等を推進
        • 林福連携・水福連携の推進
          • 林業及び水産業において、傾斜地、海上等の特殊な環境での作業もあることにも留意しつつ、マッチング、研修の促進、経営発展を目指す取組の推進

~NEW~
首相官邸 知的財産戦略本部会合 議事次第
▼ 資料1 「知的財産推進計画2023」(案)概要
  • 基本認識 ~多様なプレイヤーが世の中の知的財産の利用価値を最大限に引き出す社会に向けて~
    • イノベーションの国際ランキング(WIPO「グローバルイノベーション指数)が低迷。13位 韓国6位、中国11位(2022年)
    • マークアップ率が低水準で推移しており、知財・無形資産の活用による差別化が行われていない。
    • 特許の創出力とグローバルなブランド価値を持つ新事業創出力がアンバランスな状況。
    • 競争力や新たな価値創出に結実する知財戦略が必要。
    • 製品の高度化、製品サイクルの短期化が進む中、自社の経営資源に依存した垂直統合モデルに限界。
    • 外部の知識や技術を積極的に取り込んでいくオープンイノベーションによる持続的な価値創造が必要。
    • 画像や文章などを生み出す生成AI技術が急速に進歩
    • 新たなAI技術の活用促進と社会全体の知的財産の創造インセンティブの維持の両立が喫緊の課題
    • デジタル化の進展に伴うコンテンツの国民経済上の重要性の高まり コンテンツ産業の構造転換と
    • 競争力強化、クリエイターへの対価還元の拡大、制度インフラ・ITインフラの整備等を推進。
  • スタートアップ・大学の知財エコシステムの強化
    • スタートアップによる大学の最先端の研究成果のスピーディーな社会実装に向けた環境整備が必要。
    • 大学が研究成果の社会実装機会最大化を図るための環境整備が必要。
    • 大学の知財マネジメントの課題例と解決方策
    • 大学が共有特許をスタートアップ(SU)にライセンスするには企業の同意が必要。同意が得られない場合、研究成果が社会実装されない。
    • 共同研究先の企業が、一定期間内に、具体的な目標を正当な理由なく達成しない場合、大学の判断で第三者に実施許諾することができる旨事前に合意。
    • SUが大学からライセンスを受ける際の対価支払に、SUの株式・新株予約権が十分に活用できていない。
    • 大学は、適切と判断する事案につき、ライセンス対価としてSUの株式・新株予約権を選択肢として積極的に検討。
    • 上記に加えて、特許の質の管理、知財マネジメントの体制、人材スペック、予算確保等、大学の知財ガバナンス向上に必要な事項を示す、「大学知財ガバナンスガイドライン」を2023年3月に内閣府・文部科学省・経済産業省が策定・公表。
    • 「大学知財ガバナンスガイドライン」を、「産学官連携ガイドライン」の附属資料として位置づけたこと等に伴い、「産学官連携ガイドライン」等を踏まえた体制等の整備を要件としている国際卓越研究大学制度との連携や、地域中核・特色ある研究大学強化促進事業との連携等を通じ、全国の対象大学に浸透させる。
  • 生成AIと著作権
    • AIをめぐる最近の動向として、「生成AI」の技術が急激に発展。画像生成、文章作成等の分野で急速に普及。
    • 生成AIがオリジナルに類似した著作物を生成するなどの懸念や、著作権侵害が大量に発生し、個々の権利者にとって紛争解決が困難となる等のおそれも指摘。
    • AI技術の発展とクリエイターの権利保護等の双方の観点に留意しながら、必要な方策を検討。
    • 整理すべき論点
      • AI(学習済みモデル)を作成するために著作物を利用する際の、著作権法第30条の4ただし書に定める「著作権者の利益を不当に害する場合」についての考え方
      • AI生成物が著作物と認められるための利用者の創作的寄与に関する考え方
      • 学習用データとして用いられた著作物と類似するAI生成物が利用される場合の著作権侵害に関する考え方
  • 「知財・無形資産の投資・活用促進」の実現に向けて
    • 激しい国際競争を勝ち抜いていくためには、知財・無形資産の投資・活用の戦略の構築・実行とその開示が不可欠。投資家・金融機関の適切な評価を受け、企業価値の向上、更なる知財・無形資産への投資資金の獲得という好循環を加速化するメカニズムの構築が必要。
    • 業と投資家・金融機関の思考構造のギャップを埋め、投資家・金融機関に期待される役割を整理して示すために、知財・無形資産ガバナンスガイドラインを今回改訂。
    • スタートアップ等においても、知財・無形資産を活用した融資を受けられるよう、知財・無形資産を含む事業全体を対象とする担保制度(事業成長担保権)について、関連法案の早期国会提出を目指す。
  • 標準の戦略的な活用/データ流通・利活用環境の整備
    • 総合的な標準戦略を策定・推進するとともに、有識者・専門家(政府CSO)が評価・指導を行う体制を整備。
    • 我が国の企業が、事業戦略の策定、国際標準化、事業展開といった事業プロセス全体の中で、国際標準戦略を使いこなす能力を高めていく、エコシステムの整備が必要。支援機関・企業等の支援能力が強化される環境を整備。
    • データ流通を推進する上で課題となるデータ流用やプライバシー侵害などステークホルダーの懸念・不安を払拭するため、「プラットフォームにおけるデータ取扱いルールの実装ガイダンス」を策定(昨年3月)し、コントローラビリティの確保を中心に対応策を提示。⇒ 準公共分野や相互連携分野等の重点分野において、プラットフォーム等の構築、ルール実装を推進。
  • デジタル時代のコンテンツ戦略
    • デジタル化・グローバル化の進展等により、コンテンツはデジタル経済の主要な中間財となり、成長産業の中核の一つに。
    • ボーダレス化により、海外プラットフォーマーの支配力が高まり、内外の競争は激化。一方、世界に売り込む機会も提供。
    • 日本のコンテンツ産業は、国内向けのビジネスモデルが主流。世界市場を前提として業態を超えた構造転換が不可欠。
    • クリエイターの活発な創作活動がカギ。我が国が持つコンテンツ資産をフル活用できる環境の構築に向け官民一体となった戦略推進が必要。
    • デジタル時代のコンテンツ戦略・対応
      1. コンテンツ産業の構造転換・競争力強化とクリエイター支援
        • 民間の構造改革姿勢を引き出し、コンテンツ産業の強靭化や構造改革を官民一体となって進めるための、官民連携による協議の場の設置
        • 民間の変革方針を踏まえつつ、優れたクリエイター等の発掘・育成とその活躍の機会拡大、制作・プロデュース・マネジメント・DX化人材などの人材育成支援等
        • 「世界で売れる」作品づくりに向けた制作システムへの抜本的転換、国際販売力強化の民間側の取組具体化、府省庁を越えた関連施策一体推進
      2. クリエイター主導の促進とクリエイターへの適切な対価還元
        • クリエイターへの適切な対価還元に向け、プラットフォーマーの果たす役割やコンテンツ流通の媒介者である通信関係事業者の役割等も考慮に入れ、必要な対応を検討
      3. メタバースなど新技術の潮流への対応
        • メタバース上の法的課題への対応に関するガイドラインの作成・公表
      4. 著作権制度・政策の改革
        • 簡素で一元的な権利処理の実現【2023年通常国会で改正著作権法成立】
        • 未管理著作物裁定制度等のための窓口組織の整備
        • 分野横断権利情報検索システムの構築推進
          • コンテンツの創作・利用のサイクルを活性化し、価値増殖を加速させるデジタル時代の新たな社会インフラ整備
      5. デジタルアーカイブの拡充・利活用促進
        • デジタルアーカイブ政策の推進体制の見直し・拡充 等
      6. 海賊版対策・模倣品対策の強化
        • 民間との連携を強化しつつ、関係省庁一体となった海賊版対策の推進
  • デジタル時代に対応した著作権制度・関連政策の改革
    • デジタル時代のスピードに対応し、権利処理にかかる手続コスト・時間コストを大幅に削減
      • →「創作」と「利用」の循環による価値創造を加速・拡大
      • →権利者への対価還元拡大
    • 分野を横断する一元的な窓口組織を活用した新しい権利処理の仕組みを創設
      • →著作権者等が不明の場合や意思表示のない著作物の利用が可能に
    • 分野横断権利情報検索システムを構築し、これを活用した権利者等の探索を実施
    • 可能な限りデジタルで完結する仕組みを目指す
    • 多様な個人・プレーヤーが社会に蓄積されたコンテンツを最大限に活用し、新たな価値創出を促進していくよう、膨大かつ多種多様な著作物について、簡素で一元的な権利処理が可能となる制度を創設【2023年通常国会で改正著作権法が成立】
    • 改正法に基づく未管理著作物裁定制度の運用に必要な体制を整備
      • 簡素で一元的な権利処理のための窓口組織の円滑な整備に向けた取組
      • 分野横断権利情報検索システムの構築推進
        • ※コンテンツの創作・利用のサイクルを活性化し、価値増殖を加速させるデジタル時代の新たな社会インフラ整備
      • →幅広いステークホルダー(権利者・利用者・通信関係事業者等)の理解と協力を得ながら推進を図ることが必要
  • クールジャパン戦略の本格稼働と進化
    • 「アフターコロナ」を迎え、インバウンドの回復や農林水産品等の輸出増など明るい兆し、日本のコンテンツへの高い関心
    • 2025年大阪・関西万博は、クールジャパンを世界に向けて発信する絶好のチャンス
    • 訪日外国人は「リアル・オーセンティックな日本」を求めている
    • 日本の魅力を高める3つの方向性
      1. 「埋もれた魅力」の発掘
        • 変化への柔軟な対応を怠れば、「クール」でなくなる
        • 外国人(留学生・ALT)の活用
        • Z世代(大学生等)の活用
        • アカデミアと連携
        • 既にある魅力の革新を怠らず、身の回りにある「埋もれた魅力」の発掘・磨き上げ
      2. 地方「オンリーワン」の魅力の磨き上げ
        • NYタイムズの「2023年に行くべき52か所」で盛岡が2番目に掲載
        • 他の地方都市にも大きなチャンス:地方都市には、長年培われた文化、伝統など独自で多彩な魅力
        • 地方のポテンシャルを活かし、外からの視点を取り入れつつ魅力を磨き上げ、世界中から「行くべき」と思われるようにする
      3. CJの担い手同士のネットワーク構築
        • 担い手によるネットワーク構築がCJの最重要課題
        • オンライン・ネットワーク構築
        • 幅広い関係者を巻き込みネットワークを拡大(大学、金融機関、放送局、自治体等)
        • 多様なコミュニティの形成・持続的な活動へ
    • 日本の「埋もれた魅力」を発掘し、地方のオンリーワンの魅力を磨き上げるとともに、CJの担い手同士のネットワークを構築し、持続的なCJの取組を確立
      • ⇒2025年大阪・関西万博をターゲットに力を結集し、日本の魅力を世界へ発信!
  • 知的財産推進計画2023の全体像
    1. スタートアップ・大学の知財エコシステムの強化
      • 大学における研究成果の社会実装機会の最大化
      • 知財を活用した大企業とスタートアップの連携促進
    2. 多様なプレイヤーが対等に参画できるオープンイノベーションに対応した知財の活用
    3. 急速に発展する生成AI時代における知財の在り方
      • 生成AIと著作権
      • AI技術の進展を踏まえた発明の保護の在り方
    4. 知財・無形資産の投資・活用促進メカニズムの強化
    5. 標準の戦略的活用の推進
    6. デジタル社会の実現に向けたデータ流通・利活用環境の整備
    7. デジタル時代のコンテンツ戦略
      • コンテンツ産業の構造転換・競争力強化とクリエイター支援
      • クリエイター主導の促進とクリエイターへの適切な対価還元
      • コンテンツ創作の好循環を支える著作権制度・政策の改革
    8. 中小企業/地方(地域)/農林水産業分野の知財活用強化
    9. 知財活用を支える制度・運用・人材基盤の強化
    10. クールジャパン戦略の本格稼働と進化
▼ 資料4 「新たなクールジャパン戦略」(案)本文
  • クールジャパンのリブート(再起動)
    • クールジャパンに着目した政策は、2010年頃の経済産業省の取組から始まるが、2012年12月にクールジャパン戦略担当大臣が置かれて以降は、内閣府知的財産戦略推進事務局が司令塔となって、関係省庁等における様々な取組と連携しながら、全体的な取りまとめを行う形で進められている。
    • すなわち、内閣府知的財産戦略推進事務局では、2015年12月に「クールジャパン官民連携プラットフォーム」を設立し、官民一体となってクールジャパンを深化させつつ取り組む体制を構築した。また、2019年9月には「クールジャパン戦略」(2019年9月3日 知的財産戦略本部)を策定し、取り組むべき施策の方向性を示した。
    • しかし、この直後から、新型コロナウイルス感染症の拡大により、飲食、観光、文化芸術、イベント・エンターテインメントなど、クールジャパン関連分野が大きな打撃を受けた。政府は関係業界と協力しながら各種支援策を講じ、クールジャパン関連分野の存続、そこで活躍する人々の就労機会の確保や活動の継続を図ってきた。
    • その後、水際措置の緩和などアフターコロナを迎え、クールジャパンを取り巻く環境は大きく変化し、新たなフェーズに移ってきている。
    • 第一の環境変化としては、アニメやゲームを中心に日本のコンテンツの人気が世界中で非常に高まっていることが挙げられる。
    • 具体的には、世界的に動画配信サービスが普及していく中で、日本のアニメやマンガが、海外において一部の層だけでなく、一般的な多くの若者を惹きつけている。アニメそのものに限らず、これを実写化したドラマやテーマソングも人気を博している。家庭用ゲームも、元々競争力があったが、デジタル配信に適応して海外展開がさらに伸びている。ゲームのキャラクターを活用した映画や長らく難しいとされてきた字幕付の実写映画も大ヒットしている。
    • このことでコンテンツ産業は、輸出額などの海外展開において鉄鋼産業に匹敵し、半導体産業に迫る勢いの4.7兆円規模と大きなビジネスとなり、多くの外貨を獲得する基幹産業として位置付けられるようになってきている。
    • また、訪日外国人がアニメ作品等に登場した場所や原作者の出身地等を訪問する「ゆかりの地巡り」も盛んになり、コンテンツ人気がインバウンドにも大きな波及効果をもたらしている。
    • 第二の環境変化としては、外国人の日本の「食」への期待・関心が高まっていることが挙げられる。
    • 日本の「食」は最大の来日動機となっており、これまで典型的であった寿司や天ぷら等のみならず、ラーメン、カレー、焼肉やおにぎりなどにも人気が広がっている。また、地域産品で「おもてなし」をする地方のオーベルジュには、交通難の地域であるにもかかわらず、訪日外国人がそのためだけにやってくることも多い。
    • 第三の環境変化としては、インバウンドにおいて、訪日経験が2回以上の外国人(リピーター)が増えるとともに、滞在期間も長期化するなど、訪日外国人の多様化・深化が見られることが挙げられる。
    • 初めて訪日する外国人は、いわゆる「ゴールデンルート」(東京、京都、大阪)を訪れたり、有名な観光地を巡ったりすることが多い。他方、何回も訪日している外国人は、様々な場所を訪問するよりも、1つの場所・地域を長期間かけて「ありのままを味わう」あるいは「非日常的な体験をする」という「体験」に価値を見出し、対価を支払うようになっている。
    • このほか、米国と中国の対立、ロシアのウクライナ侵攻など世界的に安全保障を巡る環境が厳しくなっている。このような状況の中、世界中の日本ファンを増やし、日本の文化等の魅力で世界を惹きつける「ソフトパワー」を高めていくことは、日本の政治外交や安全保障にも貢献するものとして、その重要性を増している。
    • こうした環境変化の潮目を捉え、更なる高みを目指して、クールジャパンを「リブート」(再起動)すべき時期が到来した。
    • 日本には、コンテンツ、多様でおいしい食、様々な地域の自然・伝統など、広義の意味での知的資産(IP)が既に数多く存在している。これらIPを活用して、デジタル化が進展する中、新たな技術も取り入れて「イノベーション」を起こしながら、多様化・深化した「日本ファン」に対して高い「体験価値」を提供し、高い利益をあげて外貨を獲得し、それを関係者による再投資に回していくという好循環を確立できる絶好の機会に立っている。
    • このためには、中核となるコンテンツ産業の国際競争力の強化、クールジャパンの担い手の育成や外国人を含めた多様な人材の活用、新しい技術の活用も含めたデジタル化・DX化を推進していくことが重要である。
    • 今回は、前回策定した「クールジャパン戦略」で示した基本的なコンセプトやアプローチを踏まえつつ、中核であるコンテンツ産業に関する戦略も含め、クールジャパンを取り巻く環境の変化に対応した実効的なアクションプランベースで「新たなクールジャパン戦略」を策定することとした。
  • クールジャパンを取り巻く環境の変化
    1. アフターコロナにおける「日本ファン」の拡大、多様化・深化
      • 日本のコンテンツや食の人気が世界的に本格化するとともに、インバウンドの回復などクールジャパンに対する世界の需要が高まっており、日本ファンは拡大し、多様化・深化している。
      • コンテンツ分野では、デジタル配信の世界的な拡大により、消費行動が変化し(動画配信、音楽配信におけるサブスクリプション視聴の増加など)、世界のコンテンツ市場が大きく拡大しており、高い成長が見込まれている。これらの変化に応じて、現在のアニメ、マンガ、ゲーム人気を足掛かりに、成長する世界市場を獲得し、さらにこれを拡大していくため、海外市場に対応したビジネスモデルへの構造改革が求められている。
      • インバウンドにおいても、需要が急速に回復17する中において、ディープな日本ファンへの対応として、高い「体験価値」の提供、日本独自のラグジュアリーな価値の提供などが求められている。
      • 農林水産物・食品の輸出は、コロナ禍においても好調であったが、日本の食・食文化に対する外国人の関心は大きく高まっており、訪日時における日本食の体験や外国での日本の食・食文化の拡大を通じ、更なる海外展開を図っていく大きな機会となっている。
    2. デジタル化・DX化の推進、新たな技術の活用
      • 世界のあらゆる分野において、デジタル化・DX化が進んでいるが、日本のクールジャパン関連分野におけるデジタル化・DX化の取組は遅れている。
      • コンテンツ分野におけるデジタル配信への対応や制作体制のDX化、生成AIを活用したクリエイションの支援や効率化、ライブ・イベント等におけるチケット販売のデジタル化・インターフェースの改善、インバウンド等におけるデジタル化・DX化による生産性の向上、Web3やVR/メタバースなどの新たな技術を活用した「価値体験」の創出や流通の仕組みを構築することが重要になっている。
    3. 国際的な政治・経済情勢リスクの高まり
      • 米国と中国の対立、ロシアのウクライナ侵攻、中東における紛争の拡大など日本の安全保障を取り巻く環境が厳しくなるなど国際的な政治・経済情勢リスクが高まっている。こうした中で安全保障の観点からも、世界から「共感」を得て日本ファンを拡大するクールジャパンの重要性が高まっている。
      • また、リスクが顕在化する場合に備えて、輸出先等を一部の国・地域に過度に依存せず、様々な海外市場から成るポートフォリオを構築することが重要になっている。
    4. 「サステナブル」に続く「ウェルビーイング」などの意識の高まり
      • 世界的にSDGsをはじめ『サステナブル』という価値は、あらゆる分野において共通語になったと言っても過言ではなく、加えて、『トランスフォーマティブ』、『ウェルビーイング』といった意識が高まっている。インバウンドで訪日する外国人の中には、人間と自然が調和した里山など、日本のありのままの姿、『オーセンティック』な魅力を求めていることも多い。
      • 世界から「共感」を得て、日本ファンを拡大するとともに深化させていくには、このような価値・意識を念頭に置き、海外からの借り物ではない日本独自の「体験価値」を訴求しながら、クールジャパンの取組を進めることが重要である。
    5. 2025年大阪・関西万博
      • 来年(2025年)に日本国際博覧会(大阪・関西万博)が開催され、開催期間中に350万人の訪日外国人の来場が見込まれている。・また、会場外においても、様々なイベントの開催が見込まれるとともに、地方公共団体との交流19なども含めて、大阪・関西以外にも全国各地に外国人が訪れることが見込まれる。
      • 大阪・関西万博は、日本のテクノロジーだけでなく、日本の魅力を世界に向けて発信する絶好のチャンスであり、会場外や開催期間前後における関連イベント等を含め、これを活用しながら、更なる日本ファンの拡大、ソフトパワーの強化を図っていくことが重要である。

~NEW~
内閣府 令和6年第7回経済財政諮問会議
▼ 資料1 中期的な経済財政の枠組みについて(有識者議員提出資料)
  • これまで政府は、「経済あっての財政」との考え方の下、「新経済・財政再生計画」(2018年6月決定)に基づいて、機動的な政策対応と継続的な歳出効率化等に取り組んできたが、その結果、コロナ禍に直面しつつも、高い成長と歳出改革の継続を前提に、2025年度PB黒字化の達成が視野に入る状況にある。
  • こうした中、我が国は、33年ぶりの高水準の賃上げ、史上最高水準の企業の設備投資など、デフレから完全に脱却する絶好のチャンスを迎えている。新たな中期的枠組みにおいては、こうしたチャンスをつかみ、我が国を「新たなステージ」へと移行させることにより、経済の規模を拡大させつつ、経済再生と財政健全化を両立させる歩みを前進させていくことが重要。こうした認識の下、以下提案する。
  • 新たな枠組みは、人口減少が本格化する2030年度までを期間として、持続可能な経済社会の実現を軌道に乗せるべく、必要な経済・財政・社会保障を一体とした政策の基本方針を定める。
  • 長期推計で確認した経済・財政・社会保障の持続可能性確保へとつながるよう、「実質1%を上回る成長」、「財政健全化目標の旗を下ろさない」、「歳出改革努力の継続」の3つを柱に、必要な政策方針をまとめるべき。
    • 実質1%を安定的に上回る成長の実現に向けて、生産性向上、労働参加拡大、出生率向上等に取り組む。さらに、需給両面で成長を支えるため、GX、経済安全保障、人への投資等について、官民連携の下で、民間の予見可能性を高める中長期の計画的な投資を推進する政策運営を行い、積極果敢な民間投資を喚起。財源も一体的に検討し多年度でバランス。
    • 金利のある世界への移行や大規模な政策対応を必要とする有事への備えが必要となる中、財政に対する市場の信認が揺るがぬよう、現行の財政健全化目標(2025年度の国・地方を合わせたPB黒字化を目指す。同時に債務残高対GDP比の安定的引下げを目指す。)の旗は下ろさない。
    • PB黒字化後も、財政の信認が損なわれることのないよう、ストック目標を維持しつつ、次の観点も勘案した、新たな計画期間中における適切なフロー目標を設定し、財政健全化努力を継続。
      • 引き続き「経済あっての財政」の下で経済再生と財政健全化のバランスを両立させる。
      • 2030年代以降の長期的な経済・財政・社会保障の持続可能性確保へとつなげる。
      • 一時的な景気の下押しへの機動的な対応を可能とする柔軟性をもたせる。
    • これまでの3年間、財源を確保した上で計画的な支出増に対応しつつ、歳出の目安に沿った予算編成を実施してきたところ、今後も歳出改革努力をしっかりと継続。
      • その際、物価安定目標の持続的・安定的な実現の下で、経済・物価動向等を適切に反映。
      • 新技術の社会実装、DXによる生産性向上、公的サービスの広域化・共同化や産業化による公的部門の効率化等、成長力強化と親和的なワイズスペンディングの方策を更に推進・強化。
      • 成長と分配の好循環を拡大させる中で、歳出構造を平時に戻す。
    • 経済再生と財政健全化の両立のため、EBPMを強化し、財政の質を改善。
      • 改革の着実な推進に向け、予算要求に合わせてEBPM強化の対象選定とエビデンス整備の方針を策定し、年末までにEBPMの強化策及び改革工程の具体化を図り、毎年改革の進捗管理・点検・評価を実施。
▼ 資料3 経済財政運営と改革の基本方針2024骨子案
  • 第1章 成長型の新たな経済ステージへの移行
    • デフレ完全脱却の実現に向けて
    • 豊かさと幸せを実感できる持続可能な経済社会に向けて
  • 第2章 社会課題への対応を通じた持続的な経済成長の実現~新たな経済ステージの実現~
    1. 豊かさを実感できる「所得増加」及び「賃上げ定着」
      • 賃上げの促進
      • 三位一体の労働市場改革
      • 価格転嫁対策
    2. 豊かさを支える中堅・中小企業の活性化
      • 人手不足への対応
      • 中堅・中小企業の稼ぐ力
      • 輸出・海外展開
    3. 投資の拡大及び革新技術の社会実装による社会課題への対応
      • DX
      • GX・エネルギー安全保障
      • フロンティアの開拓
      • 科学技術の振興・イノベーションの促進
      • 資産運用立国
    4. スタートアップのネットワーク形成や海外との連結性向上による社会課題への対応
      • スタートアップの支援・ネットワークの形成
      • 海外活力の取り込み
      • 大阪・関西万博の推進
    5. 地域における社会課題への対応
      • デジタル田園都市国家構想
      • デジタル行財政改革
      • 地方活性化及び交流の拡大(交通・物流、観光 など)
      • 農林水産業の持続可能な成長及び食料安全保障
    6. 幸せを実感できる包摂社会の実現
      • 共生・共助社会づくり
      • 安全・安心で心豊かな国民生活の実現(文化芸術・スポーツ など)
    7. 持続的な経済成長の礎となる国際環境変化への対応
      • 外交・安全保障
      • 経済安全保障
    8. 防災・減災及び国土強靭化の推進
      • 防災・減災及び国土強靭化
      • 東日本大震災、能登半島地震等からの復旧・復興
  • 第3章 中長期的に持続可能な経済社会の実現
    • 新たなステージにおける経済財政政策
    • 中期的な経済財政の枠組み
    • 主要分野ごとの基本方針と重要課題
      • 全世代型社会保障の構築
      • 少子化対策・こども政策
      • 教育・研究活動の推進
      • 戦略的な社会資本整備
      • 地方行財政基盤の強化
    • 改革推進のためのEBPM強化
  • 第4章 当面の経済財政運営と令和7年度予算編成に向けた考え方
    • 当面の経済財政運営について
    • 令和7年度予算編成に向けた考え方

~NEW~
内閣府 総合科学技術・イノベーション会議(第73回)議事次第
▼ 資料1-1統合イノベーション戦略2024(案)(概要)
  • 科学技術・イノベーションを取り巻く情勢
    • 科学技術・イノベーションは、我が国の経済成長における原動力であり、社会課題の解決や災害への対応等においてもその重要性が一層増している。
    • ウクライナ情勢やイスラエル・パレスチナ情勢など、世界の安全保障環境が厳しさを増す中で、先端科学技術等を巡る主導権争いは激化し、世界規模でのサプライチェーンの分断も起こっている。
    • 一方で、相対的な研究力の低下やエコシステム形成の遅れは、我が国の経済成長や将来的な雇用創出への大きな影響が懸念される。
  • 統合イノベーション戦略2024の方向性
    • グローバルな視点で研究力や産業競争力、経済安全保障への対応を一層強化していくことが重要であり、G7を含む同盟国・同志国やASEAN・インドを含むグローバル・サウスをはじめとする国際社会との連携を強化していく。
    • 国内では、人手不足の深刻化に伴い、AI・ロボティクスによる自動化・省力化が急務であり、また、頻発する災害への備えや対応も喫緊の課題となっている。これらに科学技術・イノベーションが果たす役割は一層重要となっており、テクノロジーの社会実装を加速していく。
  • 3つの強化方策と3つの基軸
    • 3つの強化方策として、「重要技術に関する統合的な戦略」、「グローバルな視点での連携強化」、「AI分野の競争力強化と安全・安心の確保」を推進していく。
    • 併せて、従来からの3つの基軸である「先端科学技術の戦略的な推進」、「知の基盤(研究力)と人材育成の強化」、「イノベーション・エコシステムの形成」について、引き続き着実に政策を推進していく。
  • 重要技術に関する統合的な戦略
    • コア技術の開発、他の戦略分野との技術の融合による研究開発(産学官の連携、AI・ロボティクス・IoT等による研究開発推進等)
    • 国内産業基盤の確立、スタートアップ等によるイノベーション促進(ユースケースの早期創出、拠点・ハブ機能の強化等)
    • 産学官を挙げた人材の育成・確保(産業化を担う人材、市場開拓を担う人材、研究開発を担う人材の育成・確保等)
  • グローバルな視点での連携強化
    • 重要技術等に関する国際的なルールメイキングの主導・参画(開発・利用の促進、安全性確保、プレゼンスの確保等)
    • 科学技術・イノベーション政策と経済安全保障政策との連携強化(国際協力・国際連携を含めた戦略的な研究開発、技術流出防止等)
    • グローバルな視点でのリソースの積極活用、戦略的な協働(国際頭脳循環の拠点形成、国際科学トップサークルへの参画等)
  • AI分野の競争力強化と安全・安心の確保
    • AIのイノベーションとAIによるイノベーションの加速(研究開発力の強化、AI利活用の推進、インフラの高度化等)
    • AIの安全・安心の確保(ガバナンス、安全性の検討、偽・誤情報への対策、知財等)
    • 国際的な連携・協調の推進(広島AIプロセスの成果を踏まえた国際連携等)
  • 先端科学技術の戦略的な推進
    • 重要分野の戦略的な推進
      • AI、フュージョンエネルギー、量子、バイオ、マテリアル等の研究開発等
      • デジタル社会インフラとしての半導体生産基盤確保・研究開発、情報通信インフラ整備、Beyond 5G(6G)等の推進
      • 健康・医療、宇宙、海洋、食料・農林水産、環境エネルギー分野の推進
    • 経済安全保障等に係る取組強化
      • K Programによる継続的な支援
      • 大学や研究機関における研究セキュリティ・インテグリティの確保
      • シンクタンクの本格的な設立準備をはじめとする調査研究機能の強化
    • 研究開発・社会実装の推進
      • 総合知を活用した価値創造の推進
      • 自動化・省力化や防災・減災に資する科学技術の社会実装の推進
      • SIP第3期とBRIDGEの一体的運用による研究開発・社会実装の加速、ムーンショット型研究開発制度の推進
  • 知の基盤(研究力)と人材育成の強化
    • 大学ファンド、地域中核大学等
      • 国際卓越研究大学の認定、10兆円規模の大学ファンドの運用益による助成、次回公募の開始
      • 地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージによる支援
      • 国研の機能強化に向けた研究基盤・人材の充実、国研間の連携強化等
      • 研究に打ち込める研究環境の実現、大学等の基盤的経費や科研費等の競争的研究費を通じた研究力強化
    • 研究施設強化、オープンサイエンス
      • 先端大型施設の高度化、産学による活用の推進
      • 公的資金による学術論文等のオープンアクセス、研究データの管理・利活用等の推進
    • 人材育成、教育の充実
      • 若手・女性研究者及び博士人材の活躍促進・場の創出、博士課程学生支援
      • 教育・人材育成政策パッケージに基づく探究・STEAM教育を社会全体で支えるエコシステムの確立等
  • イノベーション・エコシステムの形成
    • 研究開発型スタートアップ支援
      • SBIR制度等を通じた支援の充実
      • スタートアップからの公共調達の促進
    • 都市・地域・大学等の連携
      • グローバル・スタートアップ・キャンパス構想の具体化
      • スタートアップ・エコシステム拠点都市への支援、グローバル化
      • 大学の知財ガバナンスの向上
      • 産学官連携、オープンイノベーション等の促進
    • 人材・技術・資金の好循環促進
      • CxOを始めとする経営・イノベーション人材等の発掘・育成
      • 大企業等からスタートアップへの人材・技術・資金の流動化の促進
      • 官民の研究開発投資の拡大

~NEW~
内閣府 「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」に関する調査結果について
▼ 報告書本文
  • 懇談会等行政運営上の会合としての在り方
    • 「懇談会等行政運営上の会合の開催に関する指針」(以下「指針」という。)では、懇談会等行政運営上の会合(本タスクフォース)については、審議会等とは異なりあくまでも行政運営上の意見交換、懇談等の場として性格付けられるものとされているが、本タスクフォースでは、事務局である内閣府規制改革推進室が用意した再生可能エネルギー等に関する規制等について検討すべきテーマ等も踏まえ、構成員が具体的な規制・制度上の論点を挙げて、本タスクフォースに出席する各省庁に対し政策対応を求めるなど、同指針の趣旨に必ずしも沿わず審議会等である規制改革推進会議と同様の運営を行ってきたと認められる。また、出席する関係省庁も本タスクフォースに対し、規制改革推進会議と同様の対応を行ってきたことが確認された。
  • 規制改革推進会議の中間答申に「参考」として本タスクフォースにおける当面の規制改革の実施事項が記載されたこと等について
    • 規制改革推進会議の中間答申に掲載された「参考」は、本タスクフォースの意見等ではなく、本タスクフォースの議論を踏まえ、内閣府規制改革推進室が府省庁と調整し合意した規制改革事項であること、規制改革の取組を一覧性のある形で国民に分かりやすく示す観点から、中間答申の「参考」として記載することについて規制改革推進室から岡田規制改革担当大臣(当時)、河野規制改革担当大臣に提案し、規制改革推進会議の委員に説明した上で、記載されたことが確認されたが、中間答申の文書と一体で規制改革推進会議に配布されており、規制改革推進会議の答申の一部と誤解されるおそれがあったことは否定できない。
  • 構成員提出資料に中国国家電網公司のロゴが掲載されていた経緯等
    • 大林氏は2016年に財団主催のワークショップで中国国家電網公司からロゴ(白字)が入ったパワーポイントを入手し、その後当該ファイルの一部を引用した際、気付かないまま同氏のマスタースライドにロゴが残り続け、本タスクフォースに構成員が提出した資料の一部にロゴが混入した事務的な誤りであったことが確認された。また、本タスクフォース提出資料のロゴが入っていた全てのページについて出所を確認したところ、中国の団体を出所とする資料はなく、中国について言及されている資料はいずれも国際比較に中国が含まれているものにとどまることが確認された。
  • 大林氏と中国政府・中国国家電網公司との関係
    • 2016年3月に設立されたGEIDCOにおいて財団が理事会メンバーを務めてきたことから、2016年から2018年にかけてGEIDCO総会・理事会と同時に開催されるGEIDCO主催のシンポジウムに傍聴者の一人として参加するなど計6回の渡航が確認されたが、2018年3月を最後に中国国家電網公司やGEIDCOに関する渡航は行われていない。それ以外の中国(香港含む。)への渡航(5回)は、中国国家電網公司やGEIDCOとは関係のない調査や様々な会議への参加を目的とするものであることが確認された。また、大林氏は中国政府等から資金提供を受けておらず、会食費用の負担や送迎などの便宜も受けたことがないことが確認された。
  • 高橋氏と中国政府・中国国家電網公司との関係
    • 高橋氏は20年以上中国に渡航しておらず、中国国家電網公司との交流についても財団主催のシンポジウム前の打合せやシンポジウム後のレセプションに限られていた。高橋氏が中国政府等から資金提供を受けた事実も確認されなかった。
  • 財団と中国政府・中国国家電網公司との関係
    • 孫財団会長がGEIDCO副会長、財団がGEIDCOの理事会メンバーを務めてきたことから、2016年から2018年を中心としてGEIDCO総会・理事会、中国国家電網公司・GEIDCOが主催するシンポジウムなど計9回の渡航が確認されたが、2019年11月を最後に中国国家電網公司やGEIDCOに関する渡航は行われていない。それ以外の中国(香港含む)への渡航(11回)も中国国家電網公司やGEIDCOとは関係のない様々な会議等への参加や調査を目的とするものであることが確認された。
    • また、財団へのヒアリングによれば、中国政府等から財団に資金提供が行われていないこと、職員への旅費は財団から全て支給されていることが確認された。このように財団が中国政府等から不当な影響力を行使され得る関係性を有していた事実は確認されなかった
  • 調査結果を踏まえた今後の対応の方向性
    • 本タスクフォースの在り方について
      • 指針では、懇談会等行政運営上の会合については、法令により付与された所掌事務と権限に基づき政策の調査審議や意見具申等を行う審議会等とは異なり、あくまでも行政運営上の意見交換、懇談等の場として性格づけられるものとされている。
      • これに対し、本タスクフォースでは事務局である内閣府規制改革推進室が用意した再生可能エネルギー等に関する規制等について検討すべきテーマ等も踏まえ、構成員が具体的な規制・制度上の論点を挙げて、各省庁に対し政策対応を求めるなど、同指針の趣旨に必ずしも沿わず規制改革推進会議と同様の運営を行ってきたと認められる。また、出席した関係省庁も本タスクフォースに対し、規制改革推進会議と同様の対応を行ってきたことが確認された。
      • また、中間答申に掲載された「参考」については、本タスクフォースの議論を踏まえ、内閣府規制改革推進室と制度所管省庁が調整した規制改革の実施事項であるが、中間答申の文書と一体で規制改革推進会議に配布されており、規制改革推進会議の答申の一部と誤解される恐れがあったことは否定できない。
      • 本調査の結果を踏まえ、本タスクフォースについてはその運営の在り方を含め規制改革担当大臣が適切に判断することが必要であると考えられる。また、本タスクフォースにとどまらず、同指針の趣旨に沿った懇談会等行政運営上の会合の運営について政府内での周知が必要であると考えられる。
    • 政府の審議会等における人選について
      • 第213回国会で成立した「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律」案審議では、政府の政策決定プロセスに外国勢力等の不当な影響が及ぶことがないよう留意する旨の附帯決議34がなされている。
      • 今回の事案では、財団と大林氏が2016年から2019年にかけてGEIDCO総会・理事会、GEIDCO主催のシンポジウムに参加するなどの交流があったが、2019年を最後に中国国家電網公司やGEIDCO関係の中国への渡航は行われておらず、これら以外の中国への渡航は、GEIDCO等とは関係のない会議等への参加等が目的であったことが確認された。また、財団、大林氏、高橋氏のいずれも中国政府等からの資金提供の事実は確認されなかった。このように両氏や財団が中国政府等から不当な影響力を行使され得る関係性を有していた事実は確認されなかった。
      • 今回の事案を契機として、経済関係の懇談会等行政運営上の会合であってもその人選に留意が必要と考えられる。政府の審議会等及び懇談会等行政運営上の会合の有識者等の人選に当たっては、大臣等が当該会議の目的等に応じて、有識者等の識見などを総合的に判断しその責任において行うこととされている中で、会議の趣旨や有識者等の選定理由等について適切に説明できるようにするとともに、今後、引き続き、政府の政策決定プロセスに外国勢力等の不当な影響が及ぶことがないよう留意することが重要であると考えられる。

~NEW~
消費者庁 第2回公益通報者保護制度検討会
▼ <資料7>効果的な公益通報者保護のためのG20ハイレベル原則
  • 効果的な公益通報者の保護、及び保護対象となる通報の取扱いは、清廉性を促進し、腐敗を防止する上で中心的な役割を果たす。公益通報者は、他の方法では検出されないであろう情報を明らかにするという重要な役割を果たし、汚職の防止、検出、調査、訴追の改善につながる。通報が促進されず、保護されていない環境では、汚職のリスクが高まる。
  • 効果的な公益通報者保護の必要性は、既に国際的及び地域的な文書において認識されている。しかし、これら基準の実施状況は国によって大きく異なる。公益通報者保護のための法律を有している国がある一方、多くの国では制度が不十分であるか存在していない。その結果として生じる断片的なアプローチは、予測可能性の欠如と、保護制度の基礎となる保護の範囲と目的に関する一般的な誤解につながり、最終的には公益通報者による情報開示を妨げ、G20諸国における汚職防止法の効果的な執行を損なうことになる。
  • 公益通報者の保護は、2019年G20議長国である日本の優先課題であり、「ベストプラクティス、実施上のギャップ、および、適切な場合には可能性のある更なる保護措置を評価し、特定する」ためのG20汚職防止作業部会(ACWG)の2019年-2021年行動計画に対応することを目的としている。この問題は、2011年のソウルサミット以来のG20諸国のアジェンダの先頭に立つものだった。2011年のG20リーダーによる呼びかけに応えて、ACWGはOECDに対し、「公益通報者保護の枠組みに関する調査と、ベストプラクティスの大要と立法のための指導原則の作成」の準備をするよう命じた。
  • G20各国による支持を受け、日本議長下において策定された本ハイレベル原則は、国連を含む国際的及び地域的枠組における既存の基準及びグッドプラクティスに立脚している。本ハイレベル原則は、効果的な公益通報者保護を確保するために協働する重要性を再確認する。また、本ハイレベル原則は、G20各国において、公益通報者保護のための効果的な制度を整備し、実施するための基盤をなすものであり、G20各国が講じるべき法制的、政策的手段を網羅的にリスト化することを意図したものではない。
  • これに関連して、G20諸国も公益通報に関連するジェンダー特有の側面を調査する必要性を認識した。
  • 以下のハイレベル原則は、前述の調査に基づいており、公益通報者に対する保護の枠組み、法律、政策を確立、修正、強化しようとしている国々の参考となり、既存の汚職防止の取組みを補完し、それを弱めたり置き換えたりするものではない。これらの原則は各国が公益通報者保護の枠組みを評価するのに役立つ可能性がある。これらの原則を補足するために、グッドプラクティスに関する非包括的なメニューが開発され、各国がフォローすることを選択できる、より具体的で技術的なガイダンスが提示される。
  • ハイレベル原則は、各国がそれぞれの法的慣習に従って効果的に適用できるようにする柔軟性を提供する。この原則はまた、国の公共部門、国内の法制度と一致する公共部門、また準ずる国内レベル、および必要に応じて民間部門における公益通報者保護の枠組みを設定および運用する責任者に指針を提供することができる。ハイレベル原則では、「公益通報者」という用語がG20の文脈で長年使用され広く理解されているため、使用されている。ハイレベル原則の目的上、「公益通報者」という用語は、以下の原則2~4でさらに規定されているように、国連腐敗防止条約(UNCAC)第33条に記載されている「通報者」という用語と同等である。ハイレベル原則は、1)法的枠組み、2)保護対象となる通報の範囲、3)保護対象となる通報の手順、4)報復に対する救済策と効果的な保護、5)法的枠組みの効果的な執行と自己評価、の5つの中核的な柱に焦点を当てている。
  • 原則1:公益通報者保護のための明確な法及び政策を整備し、実施する。
    • G20諸国は、公益通報者を保護するための明確な法律と方針を制定し、実施する必要がある。必要に応じて、G20諸国は、そのような保護に特化した法律の採択を検討すべきである。
    • G20諸国はまた、保護を確立し実施するよう組織を奨励し、これらの保護の要素に関する指針を提供すべきである。
  • 原則2:保護対象となる通報の範囲を、広範かつ明確に定義する。
    • G20諸国は、保護対象となる通報に関し、広範かつ明確な不正行為の定義を採用するよう努めるべきである。ハイレベル原則の範囲と目的を念頭に置き、G20諸国は、保護対象となる通報に適用できる限定的な例外につき明確に指定することが奨励される。意図的な不正行為の隠蔽を示す傾向にある情報の開示も保護されるべきである。
  • 原則3:可能な限り広範な通報者に保護を提供する。
    • G20諸国の保護の枠組みは、契約関係の性質に関わらず、可能な限り広範な人々、例えば従業員、公務員、労働者にまで広げるべきである。さらに、G20諸国は、守秘義務を伴う雇用状況以外でも、汚職を所管当局に通報した者に対し、適切な保護を提供するよう努めるべきである。
  • 原則4:公益通報者に通報経路を周知し、十分な支援を提供する。
    • 通報を容易にし、信頼を促進するために、G20諸国は、多様で、視認性が高く、容易にアクセスできる通報チャネルを公益通報者に対し確保し、そのチャネルを通じて通報するすべての適格者に保護を広げる必要がある。これには、組織内に設置された内部通報チャネル、法執行機関や他の書簡当局への外部通報チャネルが含まれる。また国内法の枠組みで認められている場合には公の通報も含まれうる。組織は、通報を受け付け、評価し、調査し、行動するために必要な独立性を付与された内部チャネルを設置し、規模に応じて通報に対する信頼を築く組織風土を醸成することが推奨される。内部通報は公共の利益に対するリスクを早期に効果的に解決することに貢献でき、奨励される。
    • 原則2に基づく例外を損なうことなく、G20諸国は、秘密保持契約や退職合意などの雇用契約を含む、契約上、あるいは必要に応じて公務員としての義務が、公益通報者が保護対象となる通報を行うことを妨げたり、保護を否定したり、あるいはそのような通報を行った者に罰則を科したりしないことを確保すべきである。
  • 原則5:公益通報者に関する秘密保持を確実なものとする。
    • G20諸国の保護の枠組みでは、例えば管轄当局による調査や司法手続きなどの国内規則に従って、公益通報者を特定する情報や保護対象となる通報の内容、通報に関係する人物の身元に関する秘密保持を確実なものとする必要がある。
    • 必要に応じて、G20諸国は、通報の受領者と連絡を取りながら、公益通報者が自身の身元を明かさず通報を行うことを認め、支援する方法を検討することもできる。
  • 原則6:公益通報者に対する報復行為を包括的に定義する。
    • 公益通報者に対する報復は、職場での報復や、評判の悪化、職業的被害、経済的被害、社会的被害、精神的被害、身体的損害をもたらす可能性のある行為に限らず、さまざまな形態をとりうる。
    • G20諸国は、保護の枠組みを開発するにあたり、報復の範囲を可能な限り包括的に定義するよう勧告され、法的確実性を高め、保護範囲の不利益な制限を避けるため、公益通報者の保護のきっかけとなる可能性のある報復の種類について、網羅的ではないが包括的なリストを法律で提供し、ガイダンスを提供するよう勧告されている。
  • 原則7:公益通報者に強固かつ包括的な保護が提供されることを確保する。
    • G20諸国は、保護対象となる通報を行った公益通報者があらゆる形態の報復的または差別的行為から保護されることを確保すべきであり、報復的行為の結果として被った直接的および間接的不利益に対処する効果的な救済策を提供することを検討すべきであり、法的手続きの解決が保留中の効果的な暫定的保護を認めることを検討してもよい。
    • G20諸国は、解雇の場合を含め、公益通報者を保護するために、比例した方法で立証責任を負わせるメカニズムの導入を検討すべきである。
    • G20諸国はまた、公益通報者が利用可能な通報チャネルとその利用方法、通報を行った結果として報復が生じた場合に得られる保護、そして報復の疑いに対する救済策を求めるために利用できる手続きが認識できるように、公益通報者に対し利用可能な支援の提供も検討すべきである。
  • 原則8:報復行為を行った者に対し、効果的で、相応かつ抑止力のある制裁を科す。
    • G20諸国は、公益通報者に対する報復行為や守秘義務の違反者した者に対して、効果的で相応かつ抑止力のある制裁を科し、報復した者の地位や立場に関わらず、制裁がタイムリーかつ一貫した方法で科されることを確実にすることを検討すべきである。
  • 原則9:公益通報者が、通報行為に関連して責任を問われることがないよう確保する。
    • G20諸国は、原則4に従ったルートを使用して保護対象となる通報を行う者が、その通報行為に基づいて懲戒手続きや責任の対象とならないことを確保することを検討すべきである。この原則は、通報対象となっている犯罪に関与し、かつ、通報者が通報された情報が正確であると信ずるに足る合理的な根拠を有していなかった場合に通報者の責任を害するものではない。また犯罪協力者の取り扱いに関する国内の規則を害するものでもない。
    • G20諸国は、故意に虚偽であることが判明した公益通報者の通報に対して、相応かつ抑止力ある制裁を検討することができる。必要に応じて、そのような虚偽の通報により損害を受けた人を補償するための措置が講じられる場合がある。
  • 原則10:公益通報者保護制度に関する研修、能力構築、及び啓蒙活動を実施する。
    • G20諸国は、保護対象となる通報や公益通報者に対する社会の認識や態度を変えることを含め、公益通報者を保護するための自国の枠組みについての周知を促進すべきである。
    • 同様に、どこに遡及し支援を求めればよいかの情報も含み、通報の有用性、利用可能な保護された通報チャネル、及び、報復からの保護に関するポリシーの啓蒙を促進すべきである。
    • G20諸国は、公共部門において保護対象となる通報の受領者に適切な研修を提供することを検討し、これらの組織が内部の保護の枠組みを効果的に確立および運用できることを確実にするため、詳細かつ明確なガイドラインを確実に整備する必要がある。
  • 原則11:保護枠組の効果と実施状況を、監視し、評価する。
    • G20諸国は公益通報者保護の枠組みを定期的に見直すことが奨励される。そうすることで、G20諸国は、有効性の評価と改善を行い、保護枠組全体の定期的な監視と評価を行い、汚職通報への影響を含め、体系的に関連するデータ及び情報を収集し、必要に応じて、機密性やプライバシー保護を確保しつつ、そのデータに関し報告を行っていく方法を検討することができる。
  • 原則12:公益通報者保護を主導し、範を示す。
    • G20諸国は、この分野で範を示し、公益通報者保護の枠組みの確立や強化を望む他の国々に技術支援を提供することが奨励される。

~NEW~
消費者庁 医療法人社団祐真会に対する景品表示法に基づく措置命令について
  • 消費者庁は、令和6年6月6日、医療法人社団祐真会(以下「祐真会」といいます。)に対し、同法人が運営する「マチノマ大森内科クリニック」(以下「クリニック」といいます。)と称する診療所において供給する診療サービスに係る表示について、景品表示法に違反する行為(同法第5条第3号(ステルスマーケティング告示)に該当)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令を行いました。
  • 違反行為者の概要
    • 名称 医療法人社団祐真会(法人番号9010805002735)
    • 所在地 東京都大田区大森西三丁目1番38号マチノマ大森3階
    • 代表者 理事長 河合 剛
    • 設立年月 令和2年3月
    • 資産の総額 9億7103万6116円(令和6年6月現在)
  • 措置命令の概要
    1. 対象役務
      • 祐真会がクリニックにおいて提供する診療サービス(以下「本件役務」という。)
    2. 対象表示
      • ア 表示の概要
        • 表示箇所
          • 「Googleマップ」と称するウェブサイト(以下「Googleマップ」という。)内の祐真会が開設し運営するクリニックの「プロフィール」と称する施設情報を示す表示(以下「プロフィール」という。)における「クチコミ」と称する当該施設の口コミ及び評価を示す箇所(以下「口コミ投稿欄」という。)
        • 表示期間
          • 別表1及び別表2「表示期間」欄記載の期間
        • 表示内容
          • インフルエンザワクチン接種のためにクリニックに来院した者(以下「第三者」という。)に対し、Googleマップ内の祐真会が開設し運営するクリニックのプロフィールにおける口コミ投稿欄のクリニックの評価として「★★★★★」(以下「星5」という。)又は「★★★★」の投稿をすること(以下「本件星投稿」という。)を条件に当該第三者がクリニックに対して支払うインフルエンザワクチン接種費用から割り引くことを伝えたことによって当該第三者が投稿した、別表1及び別表2「表示内容」欄記載のとおりの表示をしている又は表示をしていた。
      • イ 前記アの表示は、表示内容全体から一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭になっているとは認められないことから、当該表示は、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難であると認められる表示に該当するものであった。
    3. 命令の概要
      • ア 本件役務を一般消費者に提供するに当たり、第三者に対し、本件星投稿を条件に当該第三者がクリニックに対して支払うインフルエンザワクチン接種費用から割り引くことを伝えたことによって当該第三者が投稿した、別表1「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示箇所」欄記載の表示箇所における、同表「表示内容」欄記載のとおりの表示をしている行為を速やかに取りやめること。
      • イ 前記(2)アの表示は、前記(2)イのとおりであって、本件役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがあるものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
      • ウ 再発防止策を講じて、これを祐真会の役員及び従業員並びにクリニックの医療従事者及び従業員に周知徹底すること。
      • エ 今後、同様の表示を行わないこと。

~NEW~
消費者庁 食品ロスによる経済損失及び温室効果ガス排出量
▼ 報告書(概要)
  • 背景と目的、調査項
    • 令和3年度の我が国の食品ロス発生量は523万トン(食品製造業:125万トン、食品卸売業:13万トン、食品小売業:62万トン、外食産業:80万トン、一般家庭:244万トン)である。
    • 食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針(令和2年3月閣議決定)においては、「国民各層がこの問題を「他人事」ではなく「我が事」として捉え、「理解」するだけにとどまらず「行動」に移すことが必要である」ことが基本的な方向として明記されており、食品ロスの削減に向けた消費者一人ひとりの行動変容が求められている。
    • 一方、国による食品ロスの発生状況の評価は「発生量」によるもののみであり、より消費者の行動変容を促すためには、「経済損失」や「温室効果ガス排出量」といった消費者の共感を生む指標も合わせて公表することが望ましい。本業務は、食品ロスによる経済損失及び温室効果ガス排出量の推計を実施し、推計結果を今後の普及啓発に活用することを目的として実施した。
  • 既往研究・既往調査に関する文献調査結果
    • 食品ロスによる経済損失及び温室効果ガス排出量を推計するにあたり、既往の調査で採用された推計手法について、以下のとおり整理した。本調査での活用可否を評価するため、「推計の精緻さ(推計対象、品目別の分析の有無等)」「推計の簡便さ(同様の推計の実施可否、その容易さ)」「データ更新の可否(参照データの更新頻度)」より評価した。なお、日本国内で生じる食品ロスを対象にした推計であることから、日本国内での調査事例4件を調査対象とした。
    • 経済損失については、家庭系・事業系を含む範囲で精緻に推計を行っている事例として、棟居ら(2021)が挙げられた。温室効果ガス排出量については、推計手法の詳細が公開されている事例は少なかった。産業連関分析を要するが、食品を品目別に推計できることから、棟居ら(2021)の文献が参考になると考えられた
  • 推計の概要
    • 経済損失
      • 食品の生産・流通等に伴って発生する経済的価値全体に対して、食品ロスの発生割合を乗じたもの。
      • 経済的価値は、「食品自体の価格」に加え、流通過程で発生する「商業マージン」「貨物運賃」を加えたもの。つまり、廃棄されてしまう食品の入手のために、家庭等の各部門が余分に負担してしまっている金額を指す。
    • 温室効果ガス排出量(GHG排出量)
      • 食品の生産・流通等に伴って発生するGHG排出量全体に対して、食品ロスの発生割合を乗じたもの。
      • GHG排出量の評価範囲は、食品の一連の生産プロセスにおける排出量である。つまり、廃棄されてしまう食品のために、生産・流通する過程で余分に生じてしまっているGHG排出量を指す。(家庭系食品ロスが廃棄・処分される際に直接排出されるGHG排出量は含まれない。)
  • 食品ロスによる経済損失及び温室効果ガス排出量の推計結果
    • 推計の結果、食品ロスによる経済損失の合計は4.3兆円、国民一人あたりでは34,341円/人となった。(住民基本台帳の2022年1月1日時点の人口に対する値)
    • 4.3兆円の経済損失は、令和3年の農業・食料関連産業の市場規模と比較すると、農林漁業の12.4兆円の3分の1以上の規模となる。
    • 経済損失は世帯あたりでは年間7.2万円となり、世帯当たりの年間家計支出と比較すると、水道代の5.1万円よりも大きな金額である。
    • 推計の結果、食品ロスによる温室効果ガス排出量の合計は1,138万t-CO2、国民一人あたりでは90kg-CO2/人となった。(住民基本台帳の2022年1月1日時点の人口に対する値)
    • 1,138万トンの温室効果ガス排出は、令和3年の家庭の用途別CO2排出量と比較すると、暖房用の3,310万トンに次いで大きな規模である。

~NEW~
消費者庁 海外の通報者保護制度及び実態に係る調査業務最終報告書
  • はじめに
    • 「海外の通報者保護制度及び実態に係る調査業務最終報告書」(以下「本報告書」という。)は、消費者庁の委託を受けて、TMI総合法律事務所が行ったアメリカ(但し、連邦法に限る。)、イギリス、フランス及びEU加盟国(以下総称して「本調査対象国・地域」という。)における通報者保護制度及び実態に関する調査(以下「本調査」という。)の結果を報告するものである。
    • 我が国では、公益通報者保護法が2004年に制定され、2006年から施行されている。同法においては、公益通報を行ったことを理由とする通報者の解雇や不利益取扱いを禁止するとともに、公益通報に対して事業者や行政機関がとるべき措置が定められている。しかし、公益通報者保護法の制定後も、長期間にわたって法令違反行為が行われたにもかかわらず、適切な通報がなされなかった事例がみられるなど、同法が期待された役割を十分に果たしていないのではないかという懸念があった。そこで、利用者が安心して通報することができるようにするなど、通報者を保護するための措置を強化する観点から、公益通報者保護法の一部を改正する法律が2020年に成立し、2022年に施行された。
    • 世界に目を転じると、公益通報者保護法が未整備の国も多数ある一方で、先進諸国を中心に公益通報者保護法が整備されつつある。しかしながら、その制度設計は国によって様々である。例えば、アメリカにおいては、公益通報者保護を図るための単一の法典が存在するわけではなく、複数の法律によって、通報対象の種類や組織の性質に応じた公益通報者保護の仕組みが定められている。EUにおいては、公益通報者保護法が整備されている国とそうでない国があり、公益通報者保護の水準が区々であったところ、EU全体において同一水準の公益通報者保護法制の整備を図るため、2019年10月7日にEU公益通報者保護指令が欧州評議会において承認された。その後、大多数のEU加盟各国は、同指令に基づいて国内における公益通報者保護法制を整備した。
    • 本調査は、2024年3月15日を基準日(以下「本調査基準日」という。)として、上記の公益通報者保護法改正に係る国会審議における附帯決議も踏まえ、我が国の公益通報者保護制度の実効性向上のための検討に資する情報収集の一環として、海外の通報者保護制度の整備状況及び実態(行政機関における執行体制を含む。)等についての調査を実施し、その結果をまとめたものである。本調査では、本調査対象国・地域における通報者保護制度や実態を明らかにするため、文献調査並びに本調査対象国・地域の当局及び有識者に対する聞き取り調査を実施した。なお、聞き取り調査を行った当局及び有識者の見解は聞き取り時点における見解であり、当該見解が同時点以降においても維持されることを保証するものではない。また、本報告書記載の当該見解と、今後裁判所によって行われる判断とが一致することを保証するものでない。
    • また、本報告書は、文献調査及び本調査対象国・地域における当局及び有識者による調査結果を踏まえた上で作成されたものであり、専門家としての法的助言は含まれていない点に留意されたい

~NEW~
消費者庁 サウナ浴での事故に注意―体調に合わせて無理せず安全に―
  • サウナ浴については、近年、マンガやドラマ、各種メディアで取り上げられたことがきっかけで、健康効果のみならず、爽快感やリラックス効果などが注目されています。また、入浴施設だけでなく、スポーツ施設等でも当たり前のようにサウナが見られ、施設等によっては、様々なタイプのサウナを設けるなどの工夫がなされています。
  • 性別を問わず幅広い年代の人々にサウナ浴が楽しまれるようになってきている中、消費者庁には、サウナ室内でやけどや打撲をするなどの事故情報が複数寄せられています。今回は、それらの事故情報を基に、安全にサウナ浴を行うための注意ポイントを紹介します。
  • サウナ浴での事故の状況について
    • 事故情報データバンクには、これまでサウナ浴に関する事故情報が78件登録され、受傷者数は82人となっています(2024年4月末日時点)。
      1. 事故情報の登録件数の推移
        • 事故情報を年度別にみると、2014年度から2021年度までは平均して4件程度でしたが、2022年度以降はそれぞれ10件となっています。
      2. 事故発生場所
        • 受傷者の半数以上を占める45人が「入浴施設」で受傷しています。
      3. 受傷内容及び傷病の程度
        • 受傷内容は、「やけど」が31件、「切り傷・擦り傷等」が24件、「骨折・打撲」が14件の順に多く、受傷内容が不明な2人を除くと、これらの合計が全体の約9割(86.3%)を占めています。
        • 傷病の程度は、不明なものを除くと「1~2週間」が18人と最も多くなっており、次いで「治療1週間未満」が14人、「1か月以上」が13人となっています。
      4. 受傷者の年齢
        • 「40~59歳」が28人、「60~79歳」が25人となり、年齢が不明な11人を除くと、合わせて全体の約7割(74.6%)を占めています。なお、40歳未満の受傷内容は、「やけど」や「切り傷・擦り傷等」などの外傷がほとんどであるのに対し、40歳以上の受傷内容は、外傷のほか、「めまい・意識障害」や「循環器障害」なども含まれています。
  • 事故事例
    • サウナを利用中、熱いと思ったものの10分間ヨガのポーズをとり続け、臀部にやけどを負った。
    • 温泉施設内の貸切りサウナを利用中、椅子から立ち上がった際に壁面にむき出ていた裸電球が背中に当たってやけどをし、治療が必要となった。
    • 個室サウナを利用中、床の段差で足を滑らせ転倒し、右肘を打撲した。
    • スポーツクラブのサウナを利用中、心臓発作を起こし3日間入院。医師からサウナ等は利用しないよう言われた。以前、心筋梗塞を起こしたことがあった。
  • 御注意いただきたいポイント
    • 掲示されている入浴上の注意事項を確認し、正しい利用を心掛けましょう。
    • サウナ室内での思わぬやけどに注意しましょう。
    • サウナ室への出入りでの急な行動に注意しましょう。
    • 温度に体を慣らすことを意識しましょう。
    • 自身の体調等を踏まえて、無理のないサウナの利用を心掛けましょう。
    • サウナ室内で体調に異変を感じるなどした場合は、すぐに周囲の人や施設の従業員に知らせましょう。

~NEW~
国民生活センター 電力・ガスの契約トラブル
  • 2016年4月1日より電力、2017年4月1日よりガスの小売全面自由化が始まりました。新たな事業者の参入もあり、様々な事業者が料金プランを提示している中、国民生活センター及び各地の消費生活センター等並びに経済産業省電力・ガス取引監視等委員会には、電気・ガスの契約の切り替えに関するトラブルなどの相談が寄せられております。
  • 相談事例
    • 契約している電力会社名を名乗って業者が訪問した。安い電気プランの話があり、契約会社のプラン変更のつもりで話を聞き、申し込んだところ、後で別業者と契約したことに気づいた。クーリング・オフしたい。
    • 電気が安くなると言われ、アパート全体で電力会社を切り替えると勘違いし検針票を見せ、契約書を書いた。後で契約を断ったが心配だ。
    • 突然、事業者がやってきて「安くなるので賃貸アパートの他の住人全員が契約した」と都市ガスの契約先の変更を勧められたので、契約することにしたが、後から契約書の控え等を受け取っていないことを不審に思った。クーリング・オフしたい。
  • 消費者へのアドバイス
    • 検針票の記載情報(氏名(契約名義)、住所、顧客番号、供給地点特定番号等)は慎重に取り扱い、情報を聞かれてもすぐ教えないようにしましょう。
    • 大手電力・ガス会社を名乗って勧誘をするケースもみられます。勧誘してきた会社と新たに契約する電力・ガス会社の社名や連絡先を明確に確認しましょう。
    • 電気・ガスの料金プランや算定方法をよく説明してもらい、メリット・デメリットを把握したうえで契約をしましょう。また、検針票等の料金の明細書は必ず確認しましょう。
    • 契約を変更してしまってもクーリング・オフ等ができる場合がありますので、慌てずに対処しましょう。
  • 相談窓口
    • 電話勧誘・訪問販売での契約トラブルのほか、契約を結ぶに当たり、不明な点や不審なことなどがあれば次の相談窓口をご利用ください。
      • 経済産業省電力・ガス取引監視等委員会 相談窓口
      • 消費者ホットライン
        • 電話番号:局番なし188(いやや!)
        • ※最寄りの市区町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。

~NEW~
国民生活センター 買い物中の転倒事故に注意!
  • 内容
    • 事例1:大型スーパーに行き、フロアの真ん中を歩いていたとき、周りのお店などに気を取られていたら、フロアのコードカバーにつまずいて転び、左ひざを強く床にぶつけ、痛さで起き上がれなくなった。救急搬送され、7日間入院した。(70歳代)
    • 事例2:雨天の夜、コンビニの入り口のマットから、一歩踏み出した際に転倒した。帰宅してから痛みが増し、救急で病院に行ったところ、手首を複雑骨折しており入院した。(70歳代)
  • ひとこと助言
    • 店舗や商業施設で「つまずく」「滑る」等による転倒事故が起きています。ちょっとした段差や落下物、床に置かれた商品箱等、足元や周囲にも注意を払いましょう。
    • 特に雨の日の入口は、床が濡れて滑りやすいことがあるため、一層の注意が必要です。鮮魚コーナーや冷凍ケース等の周辺も床が濡れていることがあるので注意しましょう。
    • もし、危険だと感じた時は、お店の方に申し出て安全策を取ってもらいましょう。
    • 高齢になるにつれて、足元や周囲に想定外の変化があった時、その対応が遅れがちになり、転倒やそれに伴う骨折などのリスクが高くなります。慎重に行動しましょう。

~NEW~
厚生労働省 第4回女性の職業生活における活躍推進プロジェクトチーム
▼ 資料2-1 中間とりまとめ(案)概要
  • 本プロジェクトチーム設置の背景・趣旨
    • 我が国の男女間賃金格差は、長期的には縮小傾向にあるが、欧米主要国と比較すると依然として大きい。
    • 男女間賃金格差は、産業ごとにばらつきがあり、企業規模別では大企業の方が大きい。
    • 女性活躍は、人口減少下での労働供給増、生涯所得向上、老後の支えの強化を通じた消費拡大、イノベーション促進等の経済的意義。
    • 女性が出産後に就労継続する場合、出産後に離職し再就職しない場合と比べ、世帯の生涯可処分所得は約1.7億円増加との試算。「年収の壁」を超えてパートで復職した場合(年収150万円) 、「年収の壁」内で働く場合(年収100万円)と比べ世帯の生涯可処分所得は約1,200万円増加。
    • 男女間賃金格差が大きい地域から若い女性が流出している可能性があり、格差解消は地域経済の持続性を高める上でも重要。
    • まずは、大企業を中心に、男女間賃金格差の大きい産業等の実態を把握し、課題を整理した上で、男女間賃金格差の解消に向けた職場環境の変革、女性活躍の一層の推進に向けた対応策について検討
  • 各業界における実態・課題の分析・対応策の整理
    • 概ね産業共通に見られた課題
      • 男女間で勤続年数の差がある←仕事と家庭の両立がしにくい勤務状況(長時間労働等)による出産・育児等での離職、キャリアの中断
      • 男女の管理職登用に差がある←女性の勤続年数が短い、ロールモデルがいない・少ない
      • 管理職、本人等の意識・職場の風土の問題←「○職は男性」「□職は女性」等のアンコンシャスバイアス
    • 各産業において見られた課題・要因と企業等での対応策例
      • 金融業,保険業
        • 【課題】総合職・一般職の男女の配置の偏り(例:大手で総合職の女性比率が1~2割(採用では3~4割)のところが多い、一般職の女性比率が9割以上等)、総合職の中での男女の職務の偏り
        • 【要因】総合職の転勤や長時間労働の敬遠、窓口業務や一般職は女性という意識
        • 【対応策】女性管理職割合の数値目標設定、一般職を廃止し、総合職への一本化等の職種再編等
      • 食品製造業
        • 【課題】労働者全体に占める女性割合が高い(55.4%、産業計47.6%)一方で、管理職に占める女性割合が低い(7.4%、産業計11.2%)
        • 【要因】育児等に加え近年は配偶者転勤による女性の離職、昇進への不安等
        • 【対応策】柔軟な働き方の促進(配偶者同行休業含む)、成果で評価する社風や制度づくり等
      • 小売業
        • 【課題】店舗におけるパートタイム雇用など、労働者全体に占める非正規雇用労働者の割合が高く(71%)、非正規雇用労働者に占める女性の割合が高い(女性77%)エリア総合職・一般職の従業員が、本社管理職を希望しない場合あり
        • 【要因】本社の勤務形態(転勤、融通性の少ない労働時間)を敬遠する、年収の壁等
        • 【対応策】非正規雇用労働者の待遇改善、店舗リーダー等上位職へのキャリアアップとともに、地域限定正社員や短時間勤務制度など正社員としての多様な働き方の実現等
      • 電機・精密業
        • 【課題】技術職女性人材の少なさ(正社員採用に占める女性比率が26.5%と、産業計(34.9%)より8.4%低い)管理職一歩手前のポストへの昇進における男女登用差
        • 【要因】理工学部出身の女性割合が低く、女性の採用が少ないため、ロールモデルが少ない
        • 【対応策】理工系女性の育成、採用増加、女性管理職の育成等
      • 航空運輸業
        • 【課題】職種ごとの男女比率に差が大きい(女性比率:操縦士1.7%、客室乗務員99.8%)、女性の勤続年数が短い
        • 【要因】「操縦士は男性」「客室乗務員は女性」との先入観、海外含む宿泊を伴う勤務
        • 【対応策】ロールモデル紹介、育児期にバックオフィスに配置する等の職場環境の改善、国際比較を含む実態調査、更衣室等のハードの整備等
  • 各業界における男女間賃金格差の解消に向けたアクションプラン策定
    • 業界や企業は、引き続き実態の把握、課題の分析等に取り組みつつ、継続的な女性の登用、継続就業を可能とする仕事と家庭の両立支援や働き方の見直し、職種の再編など人事改革、アンコンシャスバイアスを含めた意識変革、リ・スキリング、労働環境改善、非正規雇用労働者の処遇改善等に取り組むことが重要。
    • まずは、今回分析した5産業について、課題の整理を引き続き深めつつ、男女間賃金格差解消に向けたアクションプランを、業界において、令和6年内に策定に着手し、できるだけ早期に公表することを要請する。
    • 業界としての課題を踏まえ、女性活躍に関する目標を設定するとともに、定期的に実態を確認し、必要に応じてアクションプランを見直すといったPDCAの実施
    • 傘下企業に対し、女性活躍に関する状況把握の基礎4項目(女性採用者割合、男女の平均継続勤務年数、女性管理職割合、労働者の平均残業時間数)の情報開示と賃金格差要因分析のツールを活用した自主点検を促すとともに、これらの取組について女性の活躍推進企業データベース(女活DB)を活用するよう促す
    • この他の産業については、上記5産業におけるアクションプランの検討も参考にしつつ、並行して検討を深める。
  • アクションプランを支えるための政策的対応の方向性
    1. 男女間賃金格差の「見える化」の促進等
      • 現状・課題
        • 女性活躍推進企業データベース(女活DB)では、全国2.2万社を超える企業がデータを公表しているが、女性管理職割合のみランキング表示が可能。
        • 女活DB上で男女賃金格差の公表は開示義務対象(労働者数301人以上。約17000社)の7割強にとどまる。
      • 政策的対応の方向性
        • 女性管理職割合及び女性の平均勤続年数の一覧性(ランキング表示)を強化し、解像度を向上
        • 女活DBへの登録社数の増加に向けた取組の強化
        • 白書等において男女間賃金格差の分析を深化 等
    2. 自社の分析や女性登用等の対策を実施する企業への支援
      • 現状・課題
        • 男女間賃金格差の公表にあたっては数値情報のみならず、背景にある課題や要因の分析が必要だが、その分析が不十分な企業もみられる。
      • 政策的対応の方向性
        • 賃金格差要因分析のツールの作成・活用促進
        • 中小企業に対するコンサルティング等の相談支援 等
    3. 継続就業等に向けた仕事と家庭の両立支援
      • 現状・課題
        • 出産前後で離職する女性は減少しつつも一定数存在。
        • 女性の育児休業取得率80%に対し、男性は17%と低い水準。
      • 政策的対応の方向性
        • 改正育児・介護休業法等の着実な施行 等
          • 子の年齢に応じた柔軟な働き方の実現
          • 男性育休取得率の公表義務の対象拡大
          • 一般事業主行動計画策定時の数値目標(男性育休取得率、時間外・休日労働)の設定の義務付け 等
    4. 非正規雇用労働者の処遇改善等の支援
      • 現状・課題
        • 近年労働市場参入が進んだ女性は、非正規雇用の割合が高止まり(女性53.2%、男性22.6%)。
        • 不本意非正規雇用の割合(女性6.9%、男性15.3%)は減少するも、正規雇用は長時間労働、非正規雇用は雇用が不安定、正規雇用との賃金差、教育訓練機会等に課題。
        • 年収の壁を意識した就業調整。
      • 政策的対応の方向性
        • 正規・非正規雇用間の賃金差とその理由、キャリアアップに向けた取組(正社員転換等)の状況の点検・分析を促進
        • 労働基準監督署等における同一労働同一賃金の更なる徹底、「多様な正社員」制度の普及と正社員化の一体的推進
        • 非正規雇用労働者に対するリ・スキリング支援
        • 「年収の壁・支援強化パッケージ」の活用促進、短時間労働者への被用者保険の適用拡大に向けた取組 等
    5. 女性の少ない分野への対策を含む社会全体での女性の活躍の後押し
      • 現状・課題
        • 若いうちからの働きかけがジェンダー意識にとらわれない行動変容につながるとの指摘。
        • 大学で理工系を専攻する女性は7%にとどまる。
        • 理工系分野など女性が少ない業界・職種では男性経営者・管理職等の先入観により女性の受け入れが進んでいない可能性。また、社会全体におけるアンコンシャスバイアスの存在は引き続き大きな課題。
      • 政策的対応の方向性
        • 好事例やロールモデルの紹介等を通じた企業・大学・学術団体等による理工系女性人材の育成の促進
        • アンコンシャスバイアスを払拭すべく、重点的な広報と企業の意識と理解の促進を図る戦略的な周知啓発の展開 等
  • 女性の出産後の働き方別 世帯の生涯可処分所得:試算結果
    • 就労継続・正社員の場合、再就職しない場合に比べ、税・社会保険料支払い後の世帯の生涯可処分所得が約1.7億円多いとの試算結果。
  • パートタイムとして「年収の壁」を超えて働いた場合の生涯可処分所得増
    • 出産後にパートタイムとして復職した際に、「年収の壁」を超えて年収150万円で働く場合、就業期間中の給与所得の増加に加え、退職後の年金所得の増加により、「年収の壁」内で働く場合と比べ世帯の生涯可処分所得は合計1,200万円増加。時給増により、更に所得が増える可能性。年収200万円で働く場合、世帯の可処分所得は合計2,200万円増加。

~NEW~
厚生労働省 「『ダメ。ゼッタイ。』普及運動」を6月20日から実施します~薬物乱用防止のためのキャンペーンと国連支援募金運動を全国各地で実施~
  • 6月26日は国連の「国際麻薬乱用撲滅デー」(*)です。これを踏まえ、厚生労働省、都道府県および(公財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターでは、6月20日(火)から7月19日(水)までの1カ月間、「『ダメ。ゼッタイ。』普及運動」を実施します。この運動は、国民一人一人の薬物乱用問題に関する認識を高めるため、正しい知識の普及、広報啓発を全国的に展開するもので、平成5年から毎年行っています。
  • 日本における薬物情勢は、大麻の検挙者数が急激に増加しており、令和5年の大麻事犯検挙者数も過去最多を更新するとともに、統計を開始して以降初めて覚醒剤事犯検挙者数を越えるなど、非常に高い水準を維持しています。特に、若年層の大麻乱用が顕著で、30歳未満が大麻検挙者の7割以上を占めています。よって、増加の一途をたどる若年者の大麻の乱用防止に重点を置きつつ、身近な人も含め、薬物乱用が疑われる時は、一人で悩まずに近隣の相談窓口(※)で相談するよう促し、適切な治療・支援につながるよう啓発していきます。厚生労働省、都道府県、(公財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターでは、警察庁をはじめとする関係機関や日本民営鉄道協会などの民間団体に協力を呼びかけ、官民一体となった薬物乱用防止普及運動を積極的に展開していきます。
    • (*)国連が1987年にウィーンで開催した「国際麻薬閣僚会議」の終了日である6月26日を、「国際麻薬乱用撲滅デー」とすることが決定。国連加盟各国では、麻薬撲滅に向けた様々な取り組みを行っています。
  • 「『ダメ。ゼッタイ。』普及運動」概要
    • 実施期間:令和6年6月20日(木)から7月19日(金)まで
    • 実施機関:
      • 主催 厚生労働省、都道府県、(公財)麻薬・覚せい剤乱用防止センター
      • 協賛 国際連合(国連薬物犯罪事務所)、
      • 後援 警察庁、こども家庭庁、総務省、法務省、最高検察庁、外務省、財務省税関、文部科学省、経済産業省、国土交通省、海上保安庁
      • 関係団体46団体
    • 国連支援募金:(公財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターでは、国連や関係団体の協賛、関係省庁の後援により国連支援募金運動を行います。この募金運動を通じて、地球規模での薬物乱用防止に関する理解と認識を高めるとともに、寄せられた善意の募金は、開発途上国で薬物乱用防止活動に従事する民間団体(NGO)の活動資金として国連に寄付されるほか、国内の啓発事業にも役立てられます。

~NEW~
経済産業省 2024年度夏季の電力需給対策を取りまとめました
  • 総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会電力・ガス基本政策小委員会(以下、小委員会)において、2024年度夏季の電力需給対策を取りまとめました。
  • 背景・目的
    • 電力需給対策に万全を期すため、電力広域的運営推進機関において、全国の電力需要が高まる夏と冬の電力需給について検証を実施しています。当該結果や最新の発電設備の状況等を踏まえて、6月3日に開催した第75回小委員会において、2024年度夏季の電力需給見通しを提示し、対策を取りまとめました。
  • 2024年度夏季の電力需給見通し・対策のポイント
    • 2024年度夏季の電力需要に対する供給力の余力を示す予備率は、全エリアにおいて、安定供給に最低限必要な予備率3%を確保できていること等を踏まえ、節電要請は実施しません。
    • 他方、供給サイドは、確保している供給力の中に老朽化した火力発電所が含まれている等、構造的な課題を抱えており、設備トラブル等のリスクを踏まえると、予断を許さない状況です。
    • このため、これらの課題に対応し、今夏の電力需給の安定化に万全を期す観点から、昨冬に引き続き、発電事業者に対する保安管理の徹底の要請等の供給力対策等を講ずることを決定しました。

~NEW~
経済産業省 自動車メーカー5社の型式指定申請における不正行為について(国土交通省による型式指定申請における不正行為の有無等に関する自動車メーカー等の調査報告の結果等の公表に関して)
  • 経済産業省は、自動車メーカー5社(トヨタ自動車株式会社、マツダ株式会社、ヤマハ発動機株式会社、本田技研工業株式会社、スズキ株式会社)より、各社が国土交通省に提出した型式指定申請における不正行為に関する各社の調査報告について、報告を受けました。型式指定申請において不正を行うことは、自動車ユーザーの信頼を損ない、かつ、自動車認証制度の根幹を揺るがす行為であり、新たな不正行為が明らかになったことは極めて遺憾です。これを踏まえて、経済産業省は、同5社に対し、顧客・取引先への適切な対応、十分な対外説明、再発防止策の確実な実施等を指示しました。
  • 自動車メーカーからの報告概要
    • 経済産業省は、自動車メーカー5社(トヨタ自動車株式会社、マツダ株式会社、ヤマハ発動機株式会社、本田技研工業株式会社、スズキ株式会社)より、各社が国土交通省に提出した型式指定申請における不正行為に関する各社の調査報告(5月末時点)について、報告を受けました。
  • 経済産業省の対応
    • 同5社からの報告を踏まえ、同社に対し以下を指示しました。
      • 情報提供など顧客・取引先への適切な対応
      • 問題の経緯や今後の対応についての十分な対外説明
      • 再発防止策の確実な実施
      • (調査継続中の事業者については)最終的な調査結果の提出に速やかに対応すること
    • 生産停止に伴うサプライヤー等への影響を速やかに調査し、その結果を踏まえ、必要な対策について検討を行います

~NEW~
経済産業省 経済産業省は「デコ活宣言」を行いました
  • 経済産業省は、環境省の「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」(通称デコ活)の取組に賛同し、以下のとおり、「デコ活宣言」を行いましたので、お知らせします。
  • デコ活(脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動)制度
    • 「デコ活」とは、CO2を減らす脱炭素(Decarbonization)と、環境に良いエコ(Eco)を含む「デコ」と、活動・生活を意味する「活」を組み合わせた言葉です。
    • 2050年カーボンニュートラル及び2030年度削減目標の実現に向けて、国民・消費者の行動変容、ライフスタイル変革を強力に後押しするための新しい国民運動であり、脱炭素につながる将来の豊かな暮らしの全体像・絵姿を紹介し、国・自治体・企業・団体等で共に、国民・消費者の新しい暮らしを後押しする取組を指します。
    • 「デコ活」宣言とは、上記取組を加速化させることを目的に企業・自治体・団体・個人が宣言するもので、GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた施策や取組を進めている経済産業省も「デコ活」宣言することとしました。
  • 「デコ活」宣言
    • 宣言1:脱炭素につながる製品、サービス、取組展開を通じて国民の彩り豊かな暮らし(デコ活)を後押しします!
    • 宣言2:日々の生活・仕事の中で、デコ活(脱炭素につながる豊かな暮らし)を実践します!
    • 宣言に係る経済産業省の取組
      • 経済産業省はGX(グリーントランスフォーメーション)を通じて脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長の3つを同時に実現すべく取組を強力に推進していくとともに、再生可能エネルギー電力調達の推進や電動車の導入等に加え、テレワークの推進などの多様な働き方も推し進めていきます。

~NEW~
経済産業省 「令和5年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2024)が閣議決定されました
  • 「エネルギー白書」について
    • 例年、エネルギー白書では、エネルギー動向や、前年度においてエネルギーの需給に関して講じた施策の状況について記載しており、本年はそれらに加え、以下の部分に焦点を当てて紹介しています。
  • エネルギー白書2024の概要
    1. 福島復興の進捗
      • 2023年8月、廃炉を着実に進め、福島の復興を実現するためには、決して先送りにできない課題である「ALPS処理水」の海洋放出を開始しました。放出前後でもモニタリングを実施し、安全に放出されていることが確認されています。放出は国際原子力機関(IAEA)も国際安全基準に合致していると結論づけており、欧米等でも理解が広がっています。また、国内水産物の消費拡大を図る官民の取組も全国に広がっています。
      • 将来にわたって居住を制限するとされてきた「帰還困難区域」のうち、「特定復興再生拠点区域」の避難指示を2023年11月までに全て解除しました。また、2020年代をかけて、帰還を希望する全ての住民が帰還できるよう、避難指示解除の取組を進めていく「特定帰還居住区域」制度を2023年6月に創設し、計画の認定等を進めており、今後、除染・インフラ整備等を実施します。
      • 福島浜通り地域における新産業の創出を目指す「福島イノベーション・コースト構想」についても、2023年4月に司令塔となる中核的な拠点として「福島国際研究教育機構(F-REI)」を設立する等、取組が進展しています。
    2. カーボンニュートラルと両立したエネルギーセキュリティの確保
      • ロシアによるウクライナ侵略に加え、中東情勢の悪化により海上交通の要衝である紅海の通航量が半減し、干ばつ・水位低下によりパナマ運河の通航量も4割減少しました。サプライチェーン全体の観点から、「エネルギーセキュリティの確保」が重要な課題となっています。
      • 2022年に急騰した燃料価格は下落したものの、石炭や天然ガスの市場価格は2010年代後半の2~3倍の水準となっています。世界の半分以上の石炭を生産・消費する中国による石炭輸入の拡大等もあり、今後の価格見通しは依然不透明です。
      • 世界的な脱炭素の進展によるLNG等の上流部門への投資減少等の課題に加え、GX(グリーントランスフォーメーション)・DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により日本の電力需要が増加する可能性も指摘されています。
      • 日本は、燃料価格高騰×円安で化石燃料の輸入額が2年間で22兆円以上増加し、過去最大の貿易赤字(年間20兆円超)となりました。価格高騰リスク等を根本的に解決するには、省エネや脱炭素エネルギーへの投資促進策等を通じた、エネルギー危機に強い需給構造への転換が必要です。
    3. GX・カーボンニュートラルの実現に向けた課題と対応
      • 世界全体の温室効果ガスの3%を排出している日本は、2030年度の46%削減目標(2013年度比)に向けて、着実に削減が進捗しています。
      • GX実現に向けた官民連携の投資競争が世界中で加速し、日本も2023年7月に「GX推進戦略」を策定、同年12月には「分野別投資戦略」をとりまとめました。水素等・CCSの法整備等、投資促進策の具体化が進み、日本の官民GX投資は「実行」フェーズに突入しています。
      • COP28の決定文書では「世界全体で再エネ発電容量3倍/エネルギー効率改善率2倍」を進めること等が記載されたほか、気候変動対策として「原子力」が初めて明記されました。さらに、日本は「原子力3倍宣言」にも賛同しています。
      • 日本の取組は、化石燃料に依存し、成長著しいアジアのGXにもつながります。「アジア・ゼロエミッション・共同体(AZEC)」の取組はその架け橋です。日本はGX技術等を通じて、アジア、そして世界のGXに貢献していきます。
▼ 令和5年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2024)概要
  • 「ALPS処理水」の海洋放出を開始
    • 2023年8月24日、福島復興に向けて避けて通れない課題である「ALPS処理水」の海洋放出を開始した。
    • 「ALPS処理水」とは、トリチウム以外の放射性物質を、安全基準を満たすまで浄化した水のこと。
    • トリチウムも、安全基準を大幅に下回るまで海水で薄めた上で放出する。環境や人体への影響は考えられない。
  • 「ALPS処理水」の海洋放出に係る取組
    • 放出前後で海水や魚類等のモニタリングを実施し、計画どおり、安全に放出が行われていることを確認している。
    • IAEAによるレビューでも、ALPS処理水に係る取組は国際安全基準に合致していると結論づけられた。
    • 欧米等でも海洋放出に対する理解が広がり、水産物の消費拡大を図る官民の取組も全国各地へと展開した。
  • 帰還困難区域の避難指示解除に向けた取組
    • 避難指示解除により住民帰還を目指す「特定復興再生拠点区域」の避難指示を2023年までに全て解除した。
    • 残る帰還困難区域についても、2020年代をかけて、帰還を希望する全住民が帰還できるよう、避難指示解除の取組を進めていく「特定帰還居住区域制度」を2023年6月に創設。今後、除染・インフラ整備等を行っていく。
  • 新たな産業の創出に向けた取組:福島イノベーション・コースト構想
    • 福島イノベーション・コースト構想は、浜通り地域等における産業の復興のため、各種の補助事業や福島ロボットテストフィールドの整備をはじめとした事業環境の整備等により、同地域での新産業の創出を目指す構想。
    • 同構想をさらに発展させ、司令塔となる中核的な拠点として、2023年4月に福島国際研究教育機構(F-REI)を設立。
    • 福島新エネ社会構想の実現に向けてさらに取組を加速すべく、2023年7月に「加速化プラン」を策定した。
  • 世界のエネルギー情勢を巡る不確実性は増加の一途
    • ロシアによるウクライナ侵略やイスラエル・パレスチナ情勢の悪化等、エネルギーに影響のある事象が各地で発生した。
    • さらに、紅海やパナマ運河といった海上輸送の要衝でも紛争や災害が発生し、安定供給への懸念が生じるなど、サプライチェーン全体の観点からも、「エネルギーセキュリティの確保」がますます重要な課題となっている。
  • 日本のエネルギーに影響を与えうる「変数」も増加
    • 2022年に急騰した燃料価格は下落するも、2010年代後半の水準と比べると、いまだ高い水準が続く。
    • 世界の半分以上の石炭を生産・消費する中国の石炭輸入増加等もあり、今後の価格見通しは依然不透明。
    • 世界的な脱炭素化の進展に伴うLNG等の上流投資の減少といった課題に加え、GX・DXの進展によって日本の電力需要が増加する可能性も指摘されている。
  • 日本の今後の電力需要の想定
    • 例えば、電力広域的運営推進機関が2024年1月に公表した今後10年の電力需要の想定では、人口減少や節電・省エネ等により、家庭部門の電力需要は減少が予測される一方、データセンター・半導体工場の新増設等により、産業部門の電力需要は大幅な増加が予測されている。
    • 1年前の前回想定では電力需要の減少が予測されていたが、今回の想定では電力需要が増加する見通し。
  • 日本のエネルギーが抱える構造的課題
    • 燃料価格の高騰×円安で、化石燃料の輸入金額が2年間で22.4兆円増加し、国富流出・貿易赤字に。
    • 日本が晒される価格高騰リスク等の根本解決には、エネルギー危機に強い需給構造への転換が必要。
  • 温室効果ガスの排出削減に向けた進捗状況
    • 途上国における排出増加により、世界全体の排出量も増加した(日本の排出量は世界全体の3%)。
    • カーボンニュートラル実現には、各国の事情に応じた多様かつ現実的な道筋の下、共通のゴールを目指すことが重要。
    • 日本は、2030年度の温室効果ガス削減目標に対して、着実に削減が進捗している(オントラック)。
  • 日本のGXに向けた取組は「実行」フェーズへと突入
    • 世界中でGXに向けた取組が加速し、日本も「エネルギー安定供給」「経済成長」「脱炭素」の同時実現に向けて重点分野ごとの「分野別投資戦略」をとりまとめるなど、官民のGX投資促進策が「実行」フェーズへと突入した。
    • 脱炭素化が難しい分野のGXを推進すべく、低炭素水素等やCCSの導入に向けた法整備も進展した。
  • 世界全体の排出削減に向けて進む「COP28」・「AZEC」の取組
    • COP28の決定文書では、世界全体の進捗と1.5℃目標には隔たりがあること、「世界全体で再エネ3倍・省エネ2倍」等を進めることに加え、「・原子力」が気候変動対策として初めて明記された。日本は「原子力3倍宣言」にも賛同した。
    • 日本のGXの取組は、化石燃料に依存し、今後もエネルギー需要の増加が見込まれるアジアのGXにもつながりうる。
    • 「AZEC」の取組はその架け橋。日本の技術・ファイナンス等を通じて、アジアのGX、そして世界のGXに貢献していく。

~NEW~
経済産業省 経済産業政策新機軸部会第3次中間整理を公表します
  • 経済産業省は、2040年頃に向けて、人口減少下でも一人一人が豊かになれる日本の将来見通し(シナリオ)と、これに沿って足下で今後検討が必要となる施策を「経済産業政策新機軸部会 第3次中間整理」として取りまとめました。
  • 本件の概要
    • 足下の日本経済には、「国内投資の拡大」や「賃金の上昇」といった潮目の変化が生じています。しかし、30年間続いた縮み思考は、2年間で簡単に変えられるものではなく、ここからが正念場です。潮目の変化を持続させていくためには、国内に広がる人口減少を起点とした将来悲観を払拭し、企業や個人の長期目線で前向きな挑戦を後押しし、日本の将来期待の醸成を図ることが重要です。こうした考えの下、2023年11月から再開した経済産業政策新機軸部会では、中長期的かつ大局的な目線を関係者の間でそろえ、その中で前向きな挑戦を後押しするため、将来見通しを策定するべきではないかという問題意識に基づいて、計7回にわたり議論を続けてきました。
    • この度、本部会が設置されてからの過去2年間の議論も振り返ったうえで、(1)2040年頃を想定した一人一人が豊かになれる日本の将来見通し(シナリオ)と、(2)そこに至るにあたって第2次中間整理以降取り組んできた施策の進捗状況、今後検討が必要となる施策を整理し、第3次中間整理として取りまとめました。
  • 詳細
    • 将来見通し(シナリオ)
      • 本シナリオは、これまで経済産業省が策定した非連続的な理想を示すビジョンではなく、新機軸の政策の延長線上で、十分に実現可能な、一つの将来見通しです。
      • 潮目の変化の背景には、世界が直面する時代の転換、すなわち(1)国際経済秩序の変化と(2)世界の人口動態の転換があります。こうした世界的な構造変化は、日本において、国内投資、イノベーション、所得向上の3つに正の影響を与えるものです。
      • こうした中で、GX、DX、グローバル・経済安全保障、少子高齢化・人口減少といった主要な社会課題を踏まえて、2040年頃を想定した世界全体の需要構造・供給構造の変化を見通して、日本の産業構造全体として、(1)世界を相手に日本から勝負して稼ぐ「世界の創造拠点」になること、(2)国内において一人一人の「生活の質を高める挑戦をする」こと、(3)「国の戦略投資」として国内外の企業に日本が投資先として選ばれる産業政策を継続することによって、人口減少下でも一人一人が豊かに生活できるようになる、というものです。
      • 本中間整理では、定性的な方向感をシナリオとして示していますが、今回提示したシナリオを基に、2024年度、RIETI(独立行政法人経済産業研究所)等と連携して定量化にも取り組んでいきます。
    • 施策集
      • 将来見通しで示した経済社会を目指すにあたり、企業・国民・政府にマクロレベルで求められるチャレンジとして、国内投資の拡大、イノベーション、新陳代謝の加速、所得の向上、マクロ経済の4つの側面から整理しました。そして、これらチャレンジを前へと進めるため、これまでの施策の進捗状況を整理した上で、足下で今後検討が必要となる主要施策を位置づけています。
▼ 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 第3次中間整理の概要

~NEW~
総務省 電気通信番号の犯罪利用対策に関するワーキンググループ(第1回)配布資料・議事概要
▼ 資料1-2 電気通信番号制度の現状
  • 特殊詐欺等、電気通信番号を悪用した犯罪は従来から存在しており、深刻な状況が続いている。特殊詐欺に悪用される電話サービスはこれまで何度も移り変わっており、対策を講じては、新たな手段が登場し、犯罪に悪用される繰り返しである。
  • 最近では、総務大臣から電気通信番号使用計画の認定を受けた電気通信事業者が、特殊詐欺に使われると知りながら電話回線を提供したとする詐欺ほう助の罪で逮捕・起訴され、判決に至った例も存在する。 以上を踏まえ、電気通信番号の犯罪利用に対する有効な対策(予防的な対策及び事後的な対策)について、検討を行う必要がある。
  • 電気通信番号制度の概要
    • 令和元年に施行された電気通信番号制度により、電気通信番号を使用するすべての電気通信事業者は、電気通信番号使用計画の認定を受けることが必須。
    • 総務大臣は、番号の種別、番号の使用条件等を定めた電気通信番号計画(総務省告示)を公示。
  • 電気通信番号使用計画の認定の基準
    • 電気通信事業法第50条の4は、総務大臣は、認定の申請があった場合、その申請に係る電気通信番号使用計画が当該条項に掲げる要件に適合していると認めるときは、認定をしなければならないと定めている。
    • 電気通信番号使用計画の認定の基準は、電気通信番号の使用の必要性、公平性、効率性の観点から規定。
  • 電話番号・電話転送サービスの提供ルールの制度化
    • 令和3年12月の情報通信審議会答申を踏まえ、業界団体及び主要事業者が参加する「電話番号・電話転送サービスに関する連絡会」において、電話番号・電話転送サービスの提供ルールの制度化(卸元事業者の責務の明確化)について議論し、電気通信番号計画を改正(令和5年1月1日から施行)
  • 特殊詐欺対策について、総務省は電話を所管する立場から、以下の3本柱で、電話の悪用対策を実施
    • 携帯電話不正利用防止法の執行(2006.4施行(レンタルは2008.12より対象)
      • 携帯電話の契約時の本人確認を義務付け
      • 総務大臣は、本人確認義務を履行していないキャリアショップ等に対して是正命令を発出
    • 犯罪収益移転防止法の執行(2008.3施行(電話転送は2013.4より対象))
      • 電話転送サービス事業者等に対して、顧客等の本人確認を義務付け
      • 国家公安委員会からの意見陳述も踏まえ、総務大臣は、義務違反の事業者に対して是正命令を発出
    • 電話番号の利用停止措置の運用(TCA 2019.9開始/JUSA 2022.12開始)
      • 総務省から事業者団体(TCA・JUSA)への通知に基づき、県警等からの要請に応じて、特殊詐欺に利用された固定電話番号等の利用停止、悪質な利用者への新たな固定電話番号の提供拒否を実施。
▼ 資料1-3 電気通信番号の犯罪利用~「特殊詐欺事件」に悪用される電話~
  • 令和6年3月末現在の特殊詐欺の被害は、昨年同期に比較して件数約17%、被害額5%減少したが、1日当たり被害額は約1億円と高水準が続いているなど依然として深刻な状態。
  • 犯人グループに匿名通信手段を提供することを目的に設置された悪質事業者が、捜査が犯人グループに及ばない仕組みを構築して電話転送サービスを提供
  • 悪質事業者の検挙が続いたことや、在庫番号の一括利用停止等対策強化が進んだことに伴い、令和4年以降、大規模事業者は見られなくなり、代わって小規模事業者が数か月ごとに参入する状況が見られる。
  • 対症療法としての利用停止の取組には限界があり、どうしても「イタチごっこ」となりますので、警察としては、市場が自浄能力を発揮できる環境が作られることを期待しています。例えば、
    • 「認定取得済み事業者」が悪質事業者であった場合には、認定の取消しも含めて、市場から排除できる仕組みが構築されるよう検討できないでしょうか
    • 他人の名義を使用するなどして、短命覚悟で悪意を持って参入してくる事業者に大量の電話番号が販売されない仕組みが構築されるよう検討できないでしょうか
▼ 資料1-4 特殊詐欺に利用された固定電話番号等に関する取組みについて
  • 総務省からの通知に基づき、特殊詐欺対策検討部会に参加する会員事業者は、県警等からの要請に応じ、特殊詐欺に利用された固定電話番号等の利用停止や悪質な利用者への新たな固定電話番号の提供拒否等を実施
  • 番号利用停止等スキームについて
    • 固定電話番号等の利用停止等
      • 都道府県警察は、特殊詐欺に利用された固定電話番号等を認知後、電気通信事業者に対し、当該固定電話番号等の利用停止等を要請する。
      • 当該電気通信事業者は、都道府県警察から要請があった固定電話番号等の利用停止等を行った上、警察庁に対し、当該利用停止等を行った固定電話番号等の契約者(卸先電気通信事業者を含む。)の情報を提供する。
    • 新たな固定電話番号等の提供拒否
      • 警察庁は電気通信事業者に対し、一定の基準を超えて利用停止等の要請の対象となった契約者の情報を示すとともに、同契約者に対する新たな固定電話番号等の提供拒否を要請する。
      • 電気通信事業者は、警察庁から要請のあった者から固定電話番号等の追加購入の申し出があった場合には、一定期間、その者に対する新たな固定電話番号等の提供を拒否する。
    • 悪質な電話転送サービス事業者の保有する固定電話番号等(在庫番号)の利用停止
      • 警察庁は電気通信事業者に対し、一定の要件を満たす場合には、悪質な電話転送サービス事業者の保有する固定電話番号等を一括して利用停止等を行うよう要請する。
      • 電気通信事業者は、警察庁から要請のあった者に対して提供している固定電話番号等について、利用停止等を行う
  • スキームの運用開始以降、新たな手口への対応等のため、見直しが行われてきた
    • 令和元年9月 スキームの運用開始:固定電話番号の利用停止及び新たな固定電話番号の提供拒否の運用を開始
    • 和3年11月 スキームの対象の追加:利用停止措置等の対象に特定IP電話番号(050番号)を追加
    • 令和4年11月 対象事業者の拡大:一般社団法人日本ユニファイド通信事業者協会(JUSA)のスキーム運用開始に伴い、当協会が運用するスキームとの連携を開始
    • 令和5年6月 対策の追加:悪質事業者の在庫番号の利用停止措置を追加
  • 関係機関等と連携した取組みにより、特殊詐欺に利用された固定電話番号等の悪用への対策に寄与してきた実施状況は以下のとおり
    • 令和5年中の利用停止等の件数(令和5年1月1日から12月31日)
      • 固定電話番号866件
      • 050IP電話番号7,302件
      • 新たな固定電話番号等の提供拒否要請6件
      • 新規番号の提供拒否対象契約者等が保有する固定電話番号等の利用停止等要請が4事業者について行われ、在庫番号3,270番号を利用停止
    • 令和5年末までの利用停止等の件数(運用開始から令和5年12月31日)
      • 固定電話番号12,665件
      • 050IP電話番号9,482件

~NEW~
総務省 電気通信番号の犯罪利用対策に関するワーキンググループ(第2回)配布資料・議事概要
▼ 資料2-1 東日本電信電話株式会社・西日本電信電話株式会社 説明資料
  • 特殊詐欺犯罪は、その手口が巧妙化・複雑化しており、認知件数・被害額も依然として高い水準で推移
  • こうした状況を受け、お客様にできるだけ安心して固定電話をご利用いただけるよう、当社としても特殊詐欺対策サービスの提供、警察や自治体等と連携した被害防止の周知活動等、犯罪被害抑止に取り組んでいるところ
  • また、犯罪に固定電話が利用されているケースもあると認識しており、犯罪利用抑止の観点からも、番号の利用停止措置に加え、2023年1月の改正電気通信番号計画の施行に伴い、更に取組みを強化
  • お客様に電気通信番号の使用に関する条件を遵守いただくよう、改正電気通信番号計画を踏まえて契約約款を変更
  • 加えて、注文受付フローも変更し、番号使用計画の認定状況について、ユーザからの申告に依らず、能動的なヒアリングとフォローアップを実施
  • 卸先事業者(光コラボレーション事業者)に対しては、関係法令を遵守いただくよう定期的
  • に周知し、改正電気通信番号計画についても事業者様へ案内するとともに運用等を定めるマニュアルの変更を実施
  • 加えて、番号使用計画の認定状況のモニタリングも実施し、未認定事業者については総務省へ通報
  • 固定電話を利用されているお客様が特殊詐欺犯罪の被害を受けている場合も多いと認識
  • お客様にできるだけ安心して固定電話をご利用いただけるよう、特殊詐欺対策サービスの提供に加え、各種サービス・手続きを無償化する等、取組みを拡充
  • 警察と連携した取組み状況(抜粋)
    • 茨城県警様 2020年9月~
      • 茨城県警より、「ニセ電話詐欺被害防止アドバイザー」を委嘱
      • 固定電話の修理等で顧客訪問した際に、留守番電話設定の提案や啓発チラシの配布、ニセ電話犯行手口と対策のアドバイスをしながら注意を呼び掛け
    • 埼玉県警様 2022年12月~
      • 「特殊詐欺の被害防止等の地域安全活動に関する協定」
      • 「特殊詐欺対策サービス」、「シン・オートコール※」等を活用した特殊詐欺被害防止対策の普及促進
      • 特殊詐欺をはじめとする各種犯罪被害防止に関する広報啓発活動
    • 千葉県警市川警察署様 2022年12月~
      • 地域一体となった「電話de詐欺」防犯訓練の実施(2023年2月感謝状受領)
      • 「特殊詐欺対策サービス」、「シン・オートコール※」を活用し、訓練参加希望者および地域の金融機関(信用金庫)、警察署が一体となった防犯訓練を実施 ※「特殊詐欺対策サービス」の検知を市川警察署員が受けた後に、当該地区の住民、警察署、金融機関へ「シン・オートコール※」を利用して一斉に注意喚起を発報することで、広域注意喚起を実施
    • 大阪府警様 2022年2月~
      • 府警広報での当社サービスの紹介
      • 府民向け防犯対策機器資料や防犯情報提供サービス「安まちメール」にて、「特殊詐欺対策サービス」を掲載
    • 近畿管区警察局様 2021年12月~
      • 「安全安心なまちづくりに関する協定書」の締結
      • 近畿管区警察局の管轄内2府4県警察署向けに、特殊詐欺対策チラシを配布(大阪府防犯協会連合会WEBサイト、近畿管区警察局WEBサイトにもチラシを掲載)

~NEW~
総務省 デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会 ワーキンググループ(第25回)配付資料
▼ 資料WG25-1-1引き続き検討が必要な論点に関する今後の検討の進め方(案)
  • 自然人の本人確認方法
    • 本人確認書類の偽変造が大きな問題になっている現状を踏まえると、本人確認書類の券面の画像を確認する方法やその写しを確認する方法は廃止せざるを得ない。(鎮目構成員、山根構成員ほか)
    • マイナンバーカードの公的個人認証に原則として一本化していくことについて同意。(鎮目構成員、沢田構成員、仲上構成員ほか)
    • 対面の場合においても、ICチップを確認する方法や電子証明書を確認する方法など、デジタル技術を活用した確認方法の導入に向けて検討を進めるべき。(辻構成員、山根構成員、DIPC、イオンリテール、日本通信ほか)
    • 利用者に対し、公的個人認証サービスなどのデジタル技術を活用した確認方法についてその意義や重要性をきちんと説明し、普及を進めるべき。(沢田構成員、辻構成員ほか)
    • 公的個人認証などのデジタル技術を活用した確認方法の普及に当たっては、事業者に準備コストがかかることから、支援が必要ではないか。(沢田構成員、イオンリテールほか)
    • 公的個人認証を利用する事業者・サービスが増えていけば、コストは低廉化していくのではないか。(DIPC)
    • デジタル技術を活用する本人確認においては、犯罪への悪用率が下がることから、不適正利用対策にもつながるのではないか。(日本通信)
  • 法人の本人確認方法
    • 登記情報提供サービスの登記情報を用いた方法の導入について検討すべきではないか。(楽天モバイル、山根構成員)
    • 法人の代表者等の本人確認において、電子証明書を活用する確認方法を導入すべきではないか。(日本通信)
  • 他の事業者への依拠
    • 犯収法で認められる金融機関への依拠の仕組みを導入してはどうか。(楽天モバイル)
    • 他事業者への依拠の導入に当たっては、信頼性を確保するため、身元確認レベルを合わせるべきではないか。(大谷構成員、辻構成員、鎮目構成員ほか)
    • 金融機関に依拠するとした場合、責任のあり方について留意すべき。(沢田構成員、山根構成員)
    • 他事業者への依拠の仕組みを導入する際には、より確実な本人確認方法を用いて確認した実績に基づいて、依拠を行うべきではないか。(大谷構成員、辻構成員ほか)
    • 公的個人認証で本人確認を実施済みの事業者に対して、適切な当人認証を行った上で依拠するのであれば、事業者・利用者にとって負担の少なく利便性の高い本人確認が実現できるのではないか。(DIPC)
    • 携帯電話事業者間の依拠については、業界全体として、本人確認が適切な方法で行われることが前提となるため、それを踏まえて検討すべき。(星構成員、中原構成員ほか)
    • 携帯電話不正利用防止法と犯罪収益移転防止法の確認方法の整合性をはかりながら検討すべき。(辻構成員ほか)
  • その他の論点
    • 携帯電話が社会のハブとなっており、携帯電話自体が運転免許証と同じような存在になってきていることから、信頼性を確保する必要がある。(星構成員)
    • 本人確認書類の写しや画像データの保存については、プライバシーの観点に加えて、漏洩した場合に更に不適正利用されてしまうリスクという観点でも、将来的には検討が必要。(沢田構成員)
    • 警察からの求めによる契約者確認の仕組み自体が十分に機能しているかは、常に検証していく必要があるのではないか。(中原構成員)
    • 本人確認義務の対象範囲について、将来的には検討していくべき。(星構成員)
    • eコマースやSNSのアカウント登録の際に行う本人確認についても、公的個人認証などのデジタル技術を活用する本人確認方法が低コストで使える形で普及するとよい。(沢田構成員)
    • デジタル技術の活用が難しい高齢者等の利用者への対応や災害時(通信障害時)の対応として、別の方法を準備するのではなく、デジタル化した方法に対応できるよう、サポートが必要ではないか。(沢田構成員)
  • 検討すべき論点
    1. 自然人の本人確認方法(規則第3条第1項第1号)
      • 非対面
        • 写しの送付+転送不要郵便方式の廃止(規則§3(1)①ヘ)
        • eKYC厚み方式の廃止(規則3(1)①ハ)
        • 特定事項伝達型本人限定受取郵便(§3(1)①ト)における電子的な確認方法
      • 対面
        • 対面提示(規則§3(1)①イ)における電子的な確認方法の導入
        • ICチップを読み取る方法(真贋判定機、券面事項表示ソフトウェア等)
        • 電子証明書を確認する方法
        • スマートフォンに格納された本人確認情報(カード代替電磁的記録)を活用する方法
      • 非電子的方法
        • 対面における非電子的方法(代替手段)の在り方
        • 原本送付+転送不要郵便方式(規則§3(1)①ホ)の取扱い
    2. 法人の本人確認方法(規則第3条第1項第2号)
      • 登記情報提供サービスとの連携による確認方法の導入
        • (参考)犯罪収益移転防止法施行規則第6条第1項第3号ロ
          • ロ 当該法人の代表者等から当該顧客等の名称及び本店又は主たる事務所の所在地の申告を受け、かつ、電気通信回線による登記情報の提供に関する法律(平成十一年法律第二百二十六号)第三条第二項に規定する指定法人から登記情報(同法第二条第一項に規定する登記情報をいう。以下同じ。)の送信を受ける方法(当該法人の代表者等(当該顧客等を代表する権限を有する役員として登記されていない法人の代表者等に限る。)と対面しないで当該申告を受けるときは、当該方法に加え、当該顧客等の本店等に宛てて、取引関係文書を書留郵便等により、転送不要郵便物等として送付する方法)
      • その他電子的な確認方法の検討(例:gBizID等)
    3. その他の確認方法(規則第3条第2項~第5項)
      • 既契約者と契約を締結する際の確認方法の在り方
      • 当人認証レベルの確保の在り方
      • 継続的顧客管理との連携(住所変更の確認記録への反映等)
    4. 代表者等の本人確認方法(規則第4条)
      • 自然人の本人確認と同様の見直し
      • 電子証明書を確認する方法の導入
      • 既契約者(法人)と契約を締結する際の確認方法の在り方
    5. 他の事業者への依拠の在り方
      • 引き落とし先の銀行の本人確認への依拠
      • 決済手段のクレジットカードの本人確認への依拠
      • 他の携帯音声通信事業者の本人確認への依拠
      • MNPの際の転出元の本人確認との連携
      • 身元確認レベル/当人認証レベルの確保の在り方
    6. 公的個人認証等で確認済みであることの確認
      • 公的個人認証で本人確認を実施済みの事業者(PF事業者・SP事業者)への依拠
      • 当人認証レベルの確保の在り方
    7. 自然人の本人確認書類(規則第5条第1項第1号)
      • ICチップの有無による本人確認書類の取扱い
      • 写真のない本人確認書類の取扱い
      • 原本送付方式に使用可能な本人確認書類の取扱い
    8. 本人確認記録(規則第8条)
      • 継続的顧客管理との連携(住所変更の確認記録への反映等)
    9. 本人確認に用いた書類等の保存(規則第10条)
      • 電子的確認方法における保存の在り方
    10. 譲渡時本人確認の方法(規則第11条)
      • 役務提供契約締結時の確認方法と同様の見直し
    11. 契約者確認の方法(規則第13・14条)
      • 電子的な確認方法の導入
      • 遠隔地居住の際の確認方法の在り方
    12. 貸与時本人確認の方法(規則第19・20条)
      • 役務提供契約締結時の確認方法と同様の見直し

~NEW~
総務省 社会的養護に関する調査-里親委託を中心として-<結果に基づく勧告>
▼ 概要
  • 調査の背景
    • 社会的養護の下に置かれている児童(児童養護施設や里親等の下で養育される児童)は令和3年度末において約4.2万人
    • 児童の代替養育(保護者から分離して養育すること)は児童養護施設が中心であったが、より家庭に近い環境で特定の大人との愛着形成を行うことが、その後の発達過程によい影響を及ぼすとされ、平成28年の児童福祉法改正で「家庭養育優先の原則」が明確化
    • 代替養育が必要な児童は里親又はファミリーホーム(養育者の住居において家庭養護を行う事業者(定員5~6人))に委託することが原則であるが、社会的養護の下に置かれている児童に占める里親等委託児童の割合は約2割
  • 調査結果
    • 里親の希望と児童の属性のミスマッチにより登録里親の約7割は未委託の状況。短期委託やショートステイ事業の経験は、未委託里親の受入希望の幅を広げる効果あり
    • 登録里親の半数以上を占める共働き世帯への委託が低調。里親に対して保育所等入所時の点数加算をしていない市町村があるほか、幼稚園と保育所等には、児童を預けているという点に差異はないものの、措置費(実費)支給の取扱いに差異あり
    • 障害児・被虐待児の多くが養育里親に委託され、専門里親(障害児等を専門的に養育する里親)への委託は少数。養育里親への専門的な研修や支援が必要であるが、専門里親に登録しようとしない限り受講できない。また、研修は東京都に出向かねばならず受講しにくい。
    • 児童との関係が悪化し養育を継続できない里親不調が増加。児童相談所は不調後に里親をケアする一方、一部の児童相談所では不調事例を養育支援に生かしている例がみられるものの、児童相談所単位では事例数が少なく、体系的な分析に基づく未然防止の検討は困難
  • 主な勧告
    • 未委託里親に児童を委託するため短期委託やショートステイ事業の活用推進
    • 保育所等入所の優先利用の徹底や保育所等に係る措置費支給の検討
    • 障害児・被虐待児を委託している里親への専門的な研修機会の付与の検討
    • 里親不調に関する全国の事例を把握・分析し、未然防止に資する情報を児童相談所に周知
  • 期待される効果
    • 里親の希望と児童の属性とのミスマッチ解消
    • 里親が安心して児童を養育できる環境の整備
    • 里親委託が進み、児童の健全な発達に寄与

~NEW~
総務省 令和5年通信利用動向調査の結果
▼ 別紙2 概要
  • 世帯の情報通信機器の保有状況を機器別にみると、「スマートフォン」は90.6%となり、引き続き増加傾向となった。一方、それ以外の情報通信機器の保有状況は、概ね減少傾向となっている。チューナー付きテレビとチューナーなしテレビの保有比率は概ね9:1となっている。
  • 個人のモバイル機器の保有状況をみると、モバイル端末全体の保有者の割合は86.2%となっており、うち「スマートフォン」の保有者の割合が78.9%となっている。年齢階層別にみると、6~12歳及び80歳以上でモバイル端末を保有していない者の割合が2割を超えている。
  • インターネット利用者の割合は86.2%。年齢階層別にみると、13~69歳の各年齢階層で9割を上回っている。
  • インターネットの利用状況を端末別にみると、スマートフォンがパソコンを25.5ポイント上回っている。年代別にみると、「スマートフォン」は、20~59歳の各年齢階層で約9割、60~69歳の年齢階層で約8割が使用している。また、「タブレット型端末」は6~12歳の利用割合が高く、年齢階層が上がるごとに利用割合が下がっていく傾向にある。
  • スマートフォンでのインターネットの利用者の割合を都道府県別にみると、東京都、神奈川県で8割を超えている。また、インターネットの利用者の割合を地方別にみると、南関東及び東海において利用者の割合が全国の割合よりも高い結果となっている。
  • 自社からのインターネット接続に「ブロードバンド回線」を利用している企業の割合は96.4%、「光回線」を利用している企業の割合は90.3%となっており、「光回線」を利用している企業が「ブロードバンド回線」を利用している企業の大半を占めている。
  • 自宅でインターネットに接続している世帯のうち、「ブロードバンド回線」を利用している世帯の割合は93.2%となっている。
  • 世帯におけるテレビ等でのインターネット接続状況をみると、「テレビでの接続」が64.7%と最も高く、次いで、「ケーブルテレビでの接続」(26.3%)となっている。利用目的は、「無料動画共有サービスの視聴」が62.7%と最も高く、次いで、「有料動画配信サービスの視聴」(51.5%)となっている。
  • 個人におけるインターネット利用の相談についての状況をみると、「相談できる相手がいる」は87.1%である。相談相手は、「家族・親戚」が76.6%と最も高く、次いで、「友人」(39.4%)、携帯電話ショップ(15.8%)となっている。年代別にみると、全ての年齢階層において「家族・親戚」が7割以上となっている。
  • インターネット利用者のインターネットの利用目的・用途をみると、「SNS(無料通話機能を含む)の利用」の割合が80.8%と最も高く、次いで「電子メールの送受信」(76.0%)、「情報検索」(74.7%)となっている。年齢階層別にみると、「SNS(無料通話機能を含む)の利用」や「電子メールの送受信」がほぼ全ての年齢階層で高くなっている一方、「eラーニング」、「オンラインゲームの利用」、「デジタルコンテンツの購入・取引」は年齢階層によりバラツキが見られる。
  • インターネット利用者に占めるSNSの利用者の割合は、80.8%となっており、前回調査から0.8ポイント上昇している。利用目的は、「従来からの知人とのコミュニケーションのため」の割合が87.2%と最も高く、次いで「知りたいことについて情報を探すため」(63.4%)となっている。
  • 電子政府・電子自治体で利用した行政手続きをみると、「マイナポイントの申込み」の割合が71.7%と最も高く、次いで「マイナンバーカードの申請」(67.9%)となっている。一方、「ワクチン関連の手続き」は42.0%となり、前回調査から13.0ポイント減少した。
  • テレワークの導入状況(企業)
    • テレワークを導入している企業の割合は49.9%となっており、前回調査から1.8ポイント減少している。「導入していないが、今後導入予定がある」と回答した企業は3.0%となり、引き続き減少傾向にある。
    • 導入しているテレワークの形態は、「在宅勤務」の割合が90.0%と最も高くなっている。
    • 産業別にみると、「情報通信業」の大半(93.4%)が導入しているほか、「金融・保険業」(81.3%)の割合が高い。
    • 資本金規模別にみると、10億円~50億円未満の企業の導入率が88.3%と最も高い。また、テレワークを利用する従業員の割合は、「80%以上」が12.2%となっており、前回調査から1.3ポイント減少している一方、「5%未満」は36.9%となり2.9ポイント上昇している。
  • テレワークの主な導入目的は、「新型コロナウイルス感染症への対応(感染防止や事業継続)のため」の割合が79.1%と依然として最も高い。また、「勤務者のワークライフバランスの向上」(42.7%)、「非常時の事業継続に備えて」(42.0%)が昨年から上昇し、4割を超えている。
    • 導入目的に対する効果は、「非常に効果があった」又は「ある程度効果があった」と回答した企業の割合が83.8%となっている。
    • なお、テレワークを導入していない企業が導入しない理由は、「テレワークに適した仕事がないから」の割合が78.6%と最も高くなっている。
  • テレワークの実施状況(個人)
    • 企業等に勤める15歳以上の個人のうち、テレワークを実施したことがあると回答した個人の割合は27.3%となっており、実施したテレワークの形態は、特に「在宅」の割合が94.5%と最も高い。
    • テレワーク未実施者のうち、実施を希望すると回答した個人の割合は、18.7%となっている。
    • テレワーク未実施者が実施しない理由は、「テレワークに適した仕事ではないため」が63.4%と最も多く、次いで「勤務先にテレワークできる制度がないため」が35.7%となっており、実施しない理由の多くを占めている。
  • クラウドコンピューティングサービスの利用状況(企業)
    • クラウドコンピューティングサービス(以下「クラウドサービス」という。)を一部でも利用している企業の割合は、77.7%に上昇した。
    • 利用したサービスの内容は、「ファイル保管・データ共有」の割合が68.8%と最も高く、次いで「社内情報共有・ポータル」(55.8%)、「電子メール」(55.1%)となっている。
    • クラウドサービスを利用する理由は、「場所、機器を選ばずに利用できるから」(49.5%)が最も高く、次いで「資産、保守体制を社内に持つ必要がないから」(43.9%)となっている。
    • クラウドサービスの効果について、「非常に効果があった」又は「ある程度効果があった」とする企業の割合は88.4%となっている。
  • IoTやAI等のシステム・サービスの導入状況(企業)
    • デジタルデータの収集・解析等のため、IoTやAI等のシステム・サービスを導入している企業の割合は16.9%となっており、導入予定の企業を含めると28.1%となっている。また、産業別にみると、「金融・保険業」が34.7%と最も高くなっている。
    • IoTやAI等によるデジタルデータの収集・解析の目的をみると、「効率化・業務改善」が86.0%と最も高く、次いで、「顧客サービス向上」(35.1%)、「事業の全体最適化」(26.8%)となっている。
    • 導入効果をみると、「非常に効果があった」又は「ある程度効果があった」と回答した企業の割合が82.7%となっている。
    • 構成する機器をみると、「監視カメラ」が38.8%と最も高く、次いで、「物理セキュリティ機器」(32.6%)、「センサー」(26.7%)となっている。また、導入機器のネットワーク回線は「有線」が71.8%と最も高く、次いで「無線LAN(WiFi)」が58.7%となっている。
  • セキュリティ対策の実施状況(世帯)
    • インターネットを利用している世帯のうち、何らかのセキュリティ対策を実施している世帯の割合は95.1%となっている。実施しているセキュリティ対策は、「ソフトウェアを最新のものにする」が57.6%と最も高く、次いで「端末にパスワードなどを設定する」(54.9%)、「ウイルス対策ソフトをインストールする」(47.5%)となっている。
  • インターネット利用で感じる不安(個人)
    • インターネットを利用している個人のうち、インターネットを利用していて「不安を感じる」又は「どちらかといえば不安を感じる」と回答した者の割合は合わせて69.2%となっている。
    • 感じている不安の内容について、全体では、「違法・有害情報や真偽の不確かな情報を見てしまわないか」が8.1ポイントと大きく増加している。また、年齢階層別にみると、どの階層も「個人情報やインターネット利用履歴の漏えい」が最も高い。また、若年階層では「ソーシャルメディアなどで相手とトラブルにならないか」が、20歳~59歳では「電子決済を信頼できるか」が不安の上位にあがっている。
  • 情報通信ネットワークに対するセキュリティ被害と対応の状況(企業)
    • 過去1年間の情報通信ネットワークの利用の際に発生したセキュリティ被害をみると、「何らかの被害を受けた」企業が53.9%となり、8.4ポイント減少している。被害内容は、「標的型メールの送付」が36.1%と最も高く、次いで「ウイルスを発見又は感染」(28.4%)となっている。
    • セキュリティについて、「何らかの対策を実施している」企業の割合は98.5%に達し、対応内容は「パソコンなどの端末(OS、ソフト等)にウイルス対策プログラムを導入」が82.9%と最も高く、次いで「サーバにウイルス対策プログラムを導入」(61.4%)、「ID、パスワードによるアクセス制御」(58.0%)となっている。
  • 電話リレーサービスの現状
    • 電話リレーサービスの現状をみると、電話リレーサービスの法人登録検討状況について、法人登録を行っている、又は検討している(した)企業は4.5%となっている。また、産業別に見ると、金融・保険業の「聴覚障害者等を雇用して法人登録をしている」割合は1割程度となっている。

~NEW~
国土交通省 型式指定申請における不正行為の有無等に関する自動車メーカー等の調査報告の結果等について
  • 国土交通省は、ダイハツ工業等の不正事案を踏まえ、型式指定を取得している自動車メーカー等85社に対し、型式指定申請における不正行為の有無等に関する調査・報告を指示していました。
  • その結果、5月末までに自動車メーカー計5社から、型式指定申請における不正行為が行われていたとの報告がありました。
  • 型式指定申請において不正行為を行うことは、ユーザーの信頼を損ない、かつ、自動車認証制度の根幹を揺るがす行為であり、新たな不正行為が明らかになったことは極めて遺憾です。
  • 国土交通省としては、道路運送車両法に基づき、報告のあった5社に対して更なる調査を実施し、その結果に基づき、厳正に対処してまいります。
  • 型式指定申請における不正行為の有無等に関する調査報告の結果概要
    • ダイハツ工業等の不正事案を踏まえ、国土交通省は、型式指定を取得している他の自動車メーカー、装置メーカー等85社(別紙1)に対し、型式指定申請における不正行為の有無等に関する調査・報告を指示したところ、5月末時点の報告結果は以下のとおり。
    • 調査完了 68社
      • 不正行為なし 64社
      • 不正行為あり 4社(マツダ、ヤマハ発動機、本田技研工業、スズキ)
    • 調査継続中 17社
      • 現時点で判明した不正行為なし 16社
      • 現時点で判明した不正行為あり 1社(トヨタ自動車)
  • 報告のあった不正行為の内容
    • トヨタ自動車株式会社(※調査継続中のため、現時点で判明している不正行為のみ記載)
      • 現行生産車3車種について、歩行者保護試験における虚偽データの提出等
      • 過去生産車4車種について、衝突試験における試験車両の不正加工等
    • マツダ株式会社
      • 現行生産車2車種について、出力試験におけるエンジン制御ソフトの書換え
      • 過去生産車3車種について、衝突試験における試験車両の不正加工
    • ヤマハ発動機株式会社
      • 現行生産車1車種について、騒音試験における不適正な試験条件での実施
      • 過去生産車2車種について、警音器試験における試験成績書の虚偽記載
    • 本田技研工業株式会社
      • 過去生産車22車種について、騒音試験における試験成績書の虚偽記載等
    • スズキ株式会社
      • 過去生産車1車種について、制動装置試験における試験成績書の虚偽記載
  • 国土交通省の対応
    • 不正行為の報告があった5社に対し、以下のとおり指示した。
      • 国土交通省が基準適合性を確認するまで、不正行為のあった車種の出荷を停止すること※1
      • 最終的な調査結果を速やかに提出すること※2
      • ユーザー等への丁寧な説明や対応に努めること
        • ※1 現行生産車について不正行為の報告があった3社(トヨタ自動車、マツダ、ヤマハ発動機)に対する指示
        • ※2 調査継続中の1社(トヨタ自動車)に対する指示
    • 今後、以下のとおり対応する。
      • 不正行為の報告があった5社に立入検査を行い、不正行為の事実関係等の確認を行う。
      • 国土交通省及び(独)自動車技術総合機構において、不正行為のあった車種の基準適合性を速やかに確認する。
      • 立入検査及び基準適合性の確認結果を踏まえ、道路運送車両法に基づき厳正に対処する。

~NEW~
国土交通省 株式会社IHI原動機による舶用エンジン等の燃料消費率に関する データ改ざん事案の中間報告について
  • 本日、株式会社IHI原動機及び親会社の株式会社IHIより、IHI原動機が製作する舶用エンジン等の試運転時に測定した燃料消費率のデータ改ざんに関する同社の調査状況及び現時点の再発防止策について中間報告を受けました。
  • 顧客向け仕様確認のための出荷前運転のほか、別途実施されるNOx放出量確認試験においてもデータ改ざんが確認されましたが、現時点で、国内向け出荷エンジンにおいてNOx放出量に係る基準非適合事案は確認されておりません。
  • 国土交通省からは、同社に対し、残りの調査及び報告の速やかな実施と、同社に設置された特別調査委員会の調査結果も踏まえた抜本的かつ具体的な再発防止策の策定を指示しました。
  • また、今後新たに製作される同社製のエンジンについて、再発防止策の妥当性確認の一環として、当分の間、NOx放出量確認試験を国の立ち会いの下で厳格に行った上で、証書の交付を再開します。
  • IHI及びIHI原動機からの中間報告概要
    • 不適切行為の概要
      • IHI原動機の太田工場と新潟内燃機工場において、以下の2種類の試験における燃料消費率に関する改ざんが判明。なお、安全性に関する不適切行為は確認されていない。
        • 顧客に納入するにあたっての仕様確認のための出荷前試運転
        • 海洋汚染等防止法に基づくNOx放出量確認試験※
      • ※国際条約に基づき各機種の初号機について各国の認証機関の立ち会いの下、データを計測し認証機関に提出
    • 改ざんを行った理由
      • 仕様確認のための出荷前試運転
        • 両工場において試運転による燃料消費率の計測値が顧客に提出している仕様値に入らない場合に仕様値の範囲に収めるため、あるいは、過去に顧客に納入した同一エンジンの値との整合を図るために改ざんを行った。
      • 海洋汚染等防止法に基づくNOx放出量確認試験
        • 新潟内燃機工場において、NOx放出量確認試験での燃料消費率が顧客に伝わった場合の懸念から、燃料消費率の改ざんを行った。
    • 改ざんの内容
      • 仕様確認のための出荷前試運転
        • 規制の対象外であるが、燃料消費率計測時の数値と異なる数値を顧客へ提出する成績書に記載すること等により、2003年以降の国内向けに出荷された舶用エンジン1,973台中、1,689台について改ざんを行い、そのうち621台において顧客に提出している仕様値からの逸脱が判明。
      • 海洋汚染等防止法に基づくNOx放出量確認試験
        • 新潟内燃機工場において燃料消費率計測時の数値(実測値)と異なる数値をNOx計算時に使用し、この数値を認証機関に提出しており、NOx放出量規制の対象となる国内向け舶用エンジン1,932台のうち242台において改ざんを確認した。
        • このうち、国内向けに出荷された舶用エンジンについては、NOx放出量に係る基準値を逸脱するものは確認されなかったが、海外向けに出荷された舶用エンジン4台について、NOx放出量に係る基準値を逸脱しているものが確認された。
        • なお、国内向けに出荷された舶用エンジンのうち、226台が調査未了。
    • 主な再発防止策
      • 運転検査員の検査機能を品質管理部門に移管する等の組織体制の再構築
      • 現場で記録を確認し、工場試験成績書にする作業フローの策定
      • NOx放出量確認試験、出荷前試運転における燃料消費量計測・記録の自動化
  • 国土交通省の対応等
    • 同社の報告を踏まえ、以下の通り指示を行った。
      • 調査未了のエンジンについて引き続き調査を行い、調査結果を踏まえた対応方針を速やかに報告すること。
      • 特別調査委員会の結果も踏まえ、抜本的かつ具体的な再発防止策を検討すること。
      • 海外を含めた関係事業者等への丁寧な説明や対応に努めること。
    • 今回の中間報告書の内容は現時点における立入検査等による調査の結果とも整合することを踏まえ、国内向け出荷エンジンについて、・以下の対応を実施。なお、現時点では国内向けに出荷したエンジンにおいてNOx放出量規制に非適合となるものは確認されていないことから、既存船の航行に影響を及ぼす状況にはならない。
      • (1)改ざんが確認されなかったエンジン及び(2)改ざんはあったが実測値によりNOx放出量を再計算したところ基準を満たしていることを確認できたエンジンについては、再発防止策の妥当性確認の一環として、当分の間、NOx放出量確認試験を国の立ち会いの下で厳格に行った上で、証書の交付を再開するとともに、(2)については準備が整い次第、証書の書き換えを行う。
      • IHI及びIHI原動機の調査と並行して、国土交通省としても調査や対応策の検討を継続するが、調査中において新たに製作されたエンジンについては、NOx放出量確認試験を国及び認証機関の立ち会いの下で厳格に行い、基準の適合性が確認できれば証書の交付を行う。
      • 今後の調査により、NOx放出量規制に非適合となるものが発見される等の問題が生じた場合には、調査結果を踏まえ厳正に対応する。

~NEW~
国土交通省 水災害リスクコミュニケーションポータルサイトを開設しました!~水災害リスクの減少・分散・回避に向けて~
▼ 水災害リスクコミュニケーションポータルサイト
  • ポータルサイトでは、知りたい事項ごとに情報の使い方などを紹介しています(一例)。
    • 水災害リスク情報にはどのようなものがあるのかを知りたい
    • 【浸水】浸水の範囲や深さが知りたい
    • 【浸水頻度】浸水の頻度を知りたい
    • 【家屋倒壊】氾濫時に家屋の流出や倒壊のおそれがある箇所が知りたい
    • 【土砂災害】土砂災害の危険性・避難のタイミングが知りたい
    • 水災害のリスクと不動産情報
    • 例えば、「【浸水頻度】浸水の頻度を知りたい」では、水害リスクを踏まえた土地利用や住まい方の工夫の検討、企業の立地選択の検討などの目的として作成している多段階浸水想定図、水害リスクマップ(浸水頻度図)の見方や確認できるリスク情報を解説しています。
  • 水災害リスクコミュニケーションとは
    • 近年、気候変動の影響による水災害が激甚化・頻発化する中、平時からあらゆる関係者が水災害リスクに関する情報を共有し、意思疎通・相互理解を図ることにより、水災害リスクを減少・分散・回避するための行動を促すこと。

~NEW~
国土交通省 マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドラインの策定について~外部管理者方式等の適正な運営に向けた留意事項を整理しました~
  • マンション管理業者による外部管理者方式(管理業者管理者方式)の適正な運営を担保することなどを目的として、「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」を策定しました。
  • 背景
    • 近年、マンションにおいて、役員の担い手不足等を背景として、マンション管理業者が管理事務を受託するのに加えて管理者として選任される事例や、新築マンションにおいて、管理業者が管理者に就任することを前提として分譲が行われる事例が出てきています。
    • このような管理方式については、その運営方法によっては、区分所有者の意思から離れた不適切な管理、管理組合と管理業者との利益相反の発生、管理業者に支払うコストの増大等が生じるおそれがあることから、その導入の判断にあたってはメリット・デメリットを踏まえた慎重な検討が必要です。
    • また、こうした検討を経て導入することを決定した場合についても、マンション管理の主体は区分所有者から構成される管理組合であることを踏まえ、管理者の選任や業務の監督等を適正に行うことができる体制を整備することをはじめ、区分所有者による管理者に対する適切な監督を行うことが必要です。
    • このような点を踏まえ、今般、管理業者管理者方式を含む外部管理者方式等における留意事項について整理を行い、従来の「外部専門家の活用ガイドライン(平成29年6月)」を再構成し、「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」として策定しました。
  • 概要
    • 新しく策定したガイドラインでは、マンション管理の主体は区分所有者で構成される管理組合であることを踏まえ、第2章においてマンション管理士等の外部専門家が管理者に就任する場合等における留意事項、第3章において管理業者管理者方式における留意事項を整理しました。
    • 管理業者管理者方式については、以下の事項等について、必要な規定を整備しました。
      • 既存マンションにおいて管理業者管理者方式を導入する場合のプロセス
      • 新築マンションにおいて管理業者管理者方式が導入される場合の説明のあり方
      • 管理組合運営のあり方(管理者権限の範囲等)
      • 管理業者管理者方式における通帳・印鑑の望ましい保管のあり方
      • 管理業者が管理者の地位を離れる場合のプロセス
      • 日常の管理での利益相反取引等におけるプロセスや区分所有者に対する情報開示のあり方
      • 大規模修繕工事におけるプロセスや区分所有者に対する情報開示のあり方
      • 監事の設置と監査のあり方
  • 新しく策定したガイドラインについて

~NEW~
国土交通省 「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」及び 「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の改定について~「段階増額積立方式における適切な引上げの考え方」~
  • 適切な修繕積立金の確保を目的とした「段階増額積立方式における適切な引上げの考え方」について、「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」及び「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」に反映します。
  • 改定の背景
    • マンションの長寿命化に向け適時適切に大規模修繕工事を行っていくためには、修繕積立金を安定的に確保することが重要です。
    • 修繕積立金の積立方式としては、計画期間中の積立額を均等とする「均等積立方式」、計画期間開始当初の積立額を抑え、期間中で段階的に増額していく「段階増額積立方式」があります。
    • 将来にわたって安定的な修繕積立金の積立てを確保する観点からは、均等積立方式が望ましい方式といえます。
    • 一方、段階増額積立方式を採用するマンションの中には、計画期間中の修繕積立金の水準が大幅に上昇している例があり、予定通りの引上げができず修繕積立金の不足につながるおそれがあります。
    • こうした状況に対応するため、今後のマンション政策について幅広く検討することを目的として、国土交通省では「今後のマンション政策のあり方に関する検討会」を設置し、同検討会のとりまとめ(令和5年8月)に基づいて設置した「標準管理規約の見直し及び管理計画認定制度のあり方に関するワーキンググループ」(以下「WG」という。)においては、適切な修繕積立金の確保について議論を重ねてまいりました。
  • 改定の概要
    • WGにおいて公表した「段階増額積立方式における適切な引上げの考え方」について、「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」及び「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」に反映します。
    • 段階増額積立方式における適切な引上げの考え方
      • 段階増額積立方式における月あたりの徴収金額は、均等積立方式とした場合の月あたりの金額を基準額とした場合、計画の初期額は基準額の0.6倍以上、計画の最終額は基準額の1.1倍以内とする。
  • 改定後のガイドラインについて

~NEW~
国土交通省 「マンション標準管理規約」の改正について~所在等不明区分所有者への対策や管理情報の見える化等に向けた改正を行います~
  • マンションを巡る「2つの老い」の進行等に伴う課題や昨今の社会情勢の変化等に対応するため、マンションの管理規約を作成・改正する際のひな型となる「マンション標準管理規約」を改正します。
  • 改正の背景
    • マンションを巡っては、建物の高経年化と居住者の高齢化の「2つの老い」が進行し、これに伴い様々な課題が顕在化しつつあります。こうした状況に対応するため、今後のマンション政策について幅広く検討することを目的として、国土交通省では「今後のマンション政策のあり方に関する検討会」を設置し、同検討会のとりまとめ(令和5年8月)に基づいて設置した「標準管理規約の見直し及び管理計画認定制度のあり方に関するワーキンググループ」(以下「WG」という。)においては、「マンション標準管理規約」の見直しに向けた議論を重ねてきました。
    • 今般、WGにおける議論のとりまとめ等を踏まえ、マンション標準管理規約の改正を行います。
  • 改正の概要
    • 以下の事項等について、必要な規定を整備しました。
      • 組合員名簿・居住者名簿の作成、更新の仕組み
      • 所在等が判明しない区分所有者への対応
      • 修繕積立金の変更予定等の見える化
      • 総会・理事会資料等の管理に関する図書の保管
      • EV(電気自動車)用充電設備の設置の推進
      • 宅配ボックスの設置に係る決議要件の明確化 等
      • その他、「置き配」に関して使用細則を策定する際の参考となるポイントを定めました。
  • 改正後のマンション標準管理規約について

ページTOPへ

Back to Top