危機管理トピックス
令和7年3月末における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等/「稼ぐ力」を強化する取締役会5原則、「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンスガイダンスを策定/国際知的財産保護フォーラムSNS詐欺広告WG発表資料
更新日:2025年5月12日 新着21記事

【新着トピックス】
【もくじ】―――――――――――――――――――――――――
- 財務省北海道財務局 苫小牧信用金庫に対する行政処分について
- 金融庁 「金融機関の内部監査高度化に関する懇談会」(第3・4回)議事次第
- 厚生労働省 労働基準法における「労働者」に関する研究会 第1回資料
- 国土交通省 スプリング・ジャパン株式会社に対する厳重注意について
警察庁
- ビデオ通話を悪用した“偽警察官・検察官”の詐欺に注意!!
- 令和7年3月末における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について
- インターネット取引サービスへの不正アクセス・不正取引による被害が急増しています
- 「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令案」に対する意見の募集について
消費者庁
- ICPEN詐欺防止月間(2025年)
- 外食時のおいしく「食べきり」ガイド
- 買取サービスに関する実態調査報告書
- 「消費者志向経営の新たな展開-高齢者のパワーを活かす社会の仕組みを創る-」プログレッシブ・レポート
経済産業省
- 生成AIの社会実装に向けたプロジェクト「GENIAC-PRIZE」を開始します
- 無人航空機衝突回避システムに関する国際規格が発行されました~無人航空機のより安全な利用を目指します(ISO15964)
- 「デジタル経済レポート:データに飲み込まれる世界、聖域なきデジタル市場の生存戦略」を公表しました
- 「「稼ぐ力」を強化する取締役会5原則」、「「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンスガイダンス」を策定しました
- スタートアップの製品やサービスの調達・購買を通したオープンイノベーション促進のための「共創パートナーシップ 調達・購買ガイドライン」を取りまとめました
総務省
- 不法無線局の疑いのある無線機器(いわゆる「偽基地局」)からの携帯電話サービスへの混信~フィッシング詐欺等のSMSにご注意ください~
- 我が国のこどもの数-「こどもの日」にちなんで-(「人口推計」から)
- 不適正利用対策に関するワーキンググループ(第8回)
- デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会 デジタル広告ワーキンググループ(第9回)配付資料
~NEW~
財務省北海道財務局 苫小牧信用金庫に対する行政処分について
- 北海道財務局は、本日、苫小牧信用金庫(法人番号:4430005008727)に対し、下記のとおり行政処分を行いました。
- 命令の内容
- 信用金庫法第89条第1項において準用する銀行法第26条第1項に基づく命令
- 健全かつ適切な業務運営を確保するため、以下を実行すること。
- 今回の処分を踏まえた経営責任の明確化
- 理事会及び監事による経営監視・牽制が適切に機能する経営管理態勢の確立
- 子会社等を含め法令に基づき適切に業務を行うための法令等遵守態勢の確立(役職員の法令等遵守意識の醸成を含む)
- 内部監査部門の独立性の確保を含む内部監査態勢の充実・強化
- 上記1に係る業務の改善計画を令和7年6月9日までに提出し、直ちに実行すること。
- 上記2の改善計画について、当該計画の実施完了までの間、3か月毎の進捗及び改善状況を翌月15日までに報告すること(初回報告基準日を令和7年9月末とする)。
- 健全かつ適切な業務運営を確保するため、以下を実行すること。
- 信用金庫法第89条第1項において準用する銀行法第26条第1項に基づく命令
- 処分の理由
- 当局による立入検査の結果や信用金庫法第89条第1項において準用する銀行法第24条第1項に基づき求めた報告を検証したところ、経営管理態勢及び法令等遵守態勢について、以下のような問題が認められた。
- 経営管理態勢の問題
- 代表理事は、強い発言力を有する元非常勤理事からの指示や意向が法令違反に該当することを認識しながら、反対意見を表明しないなど適切な業務執行を行っていないほか、常勤理事においても適法性に係る検証を行うことなく、同様にその指示に服従して業務を執行している。
- また、常勤監事は、それらを認識しながら、自ら調査・検証を行わず、行為差止め請求などの措置を講じていないほか、内部監査部門は、独立性が十分に担保されておらず、元非常勤理事の関わる事案を監査対象から除外している。
- 法令等遵守態勢の問題
- 信用金庫の子会社等の業務については、従属業務、金融関連業務等の範囲とされており、当該業務以外(以下「他業」という)を営む会社を子会社等とすることはできないが、一部の元理事は、他業を営み人事・業務の関係性などから当金庫と実質一体である法人が子会社等に該当すると認識しながら、自らの指示・関与により事実関係を当局に隠蔽していた。また、その後の理事及び監事も、当該法人が子会社等に該当することを認識できたにもかかわらず、適法性に係る検証を怠っていた。
- 法令に反して、事業目的がないにもかかわらず土地等を取得し、賃貸しているものや、取引先から手数料を徴収していないものの、取引獲得を目的とした不動産の媒介が金庫全体で行われていたことが認められた。
- 一部の元理事及び監事は、元非常勤理事が指示した複数の業務等が不祥事件等に該当すると認識しながら黙認し、中には不適切な指示に対して異議を唱えることなく、不正な会計処理を行っているものが認められた。
- 上記1及び2の問題については、歴代の経営陣のもとで法令等遵守が軽視されてきたほか、長年に亘り経営を実質的に支配してきた元非常勤理事による風通しの悪い組織文化が醸成されてきたなかで他の経営陣が元非常勤理事による独裁的な経営に過度に依存したため、牽制機能を含めた理事会の機能発揮が不十分となるなど、経営管理態勢が欠如していたことが根本原因であると認められる。
- 経営管理態勢の問題
- 当局による立入検査の結果や信用金庫法第89条第1項において準用する銀行法第24条第1項に基づき求めた報告を検証したところ、経営管理態勢及び法令等遵守態勢について、以下のような問題が認められた。
~NEW~
金融庁 「金融機関の内部監査高度化に関する懇談会」(第3・4回)議事次第
▼ 資料1 第3回懇談会事務局説明資料
- 第1回・第2回会合での業界団体からの意見・要望等(概要)
- 段階別評価(四段階)の水準感
- 各段階の関係は「卒業方式」ではなく「加算方式」であり、「準拠性監査」は段階が進んでも疎かにできない
- 3つの論点ごとの取組事例と、各段階との関係が整理されていない、好事例とした理由や企業価値向上につながった事例掲載が必要
- 監査態勢(手法と品質)と成熟度水準とそれぞれで評価目線を書き分け、業務規模・業態特性に応じた取組事例やレベル感の提示が必要
- 取組の優先順位付けによるロードマップ検討に資する情報の充実が必要( 限られたリソースの中、ステップアップに有用な事例の提供)
- 段階別評価における「グローバル内部監査基準 」や「内部統制の統合的フレームワーク」との関係を整理
- 内部監査の「目指すべき段階」の考え方
- 「3つの論点」に取り組み、監査指摘や提言が改善・企業価値向上につながってこそ、段階別評価も向上する
- 目指すべき姿は「確固たるガバナンスの確立に寄与できる監査」の実現であり、このことが第四段階(信頼されるアドバイザー)の前提と認識
- 小規模金融機関はリソース確保に苦慮、まずは第二段階(リスクベース監査)を目指す( 第三段階(経営監査)は難しく、業態内連携必要)
- 内部監査の「目指すべき段階」に向けた課題認識
- ステップアップには「経営陣の認識の変革」が不可欠(金融庁からも強いメッセージの発信を望む)
- 3線管理のあり方、1・2線のリスクオーナーシップの必要性(被監査部門への働きかけを含む)など、継続的に情報提供を望む
- 内部監査として「やってはいけないことは、被監査部署や担当者の糾弾」 「組織や業務運営上の問題点に踏み込んだ分析・議論」が必要
- リソースの乏しい小規模金融機関を念頭に、グループ親会社や外部機関の監査機能の活用可能性や考え方を整理
- 第四段階(信頼されるアドバイザー)の明確化
- 段階別評価は相対評価であり、第四段階は、環境変化への適時対応などのベストプラクティスを示すもの、かつ、内部監査への組織内理解浸透の重要性を明示( 内部監査部門単独の取組は第三段階までにとどまり、第四段階に到達するには組織全体の取組が必須)
- 洞察(インサイト)と将来洞察(フォーサイト)とでは異なるスキルが求められる、また経営目線・専門性も必要となるため、内部監査部門の人的構成(法令やIT・データ活用等の専門人材の確保・育成を含む)と組織内での役割分担・連携のあり方の整理が必要
- 内部監査は経営コンサルタントではない、アシュアランスとアドバイスであり、このバランスが重要
- 「経営戦略に資する助言(執行)」と「内部監査の立場(独立性)」の関係性・留意点を整理( 経営戦略への保証と提言の整理等)
- 高度化の具体的事例及び評価目線を提示( 企業文化(カルチャー)に対する監査やDXの活用等)
- 外部人材の登用や外部専門機関のコソース活用のための財務資源の確保について、考え方の整理・具体的事例を望む
- 段階別評価(四段階)の水準感
~NEW~
厚生労働省 労働基準法における「労働者」に関する研究会 第1回資料
▼ 参考資料1 労働者性に関する参考資料集
- 労働基準法における「労働者」について
- 現代における「労働者」性の課題
- 新しい働き方への対応や、実態として「労働者」である者に対し労働基準法を確実に適用する観点から、労働者性判断の予見可能性を高めていくことが求められている。
- 労働基準法第9条について
- 現行の労働基準法第9条の規定の下で、具体的な労働者性判断が適正に、予見可能性を高めた形で行われるために、どのような対応が必要か検討するべきである。
- 昭和60年労働基準法研究会報告について
- 昭和60年労働基準法研究会報告を所与のものとするのではなく、約40年で積み重ねられた事例・裁判例等をしっかりと分析・研究し、学説も踏まえながら、その表現をより適切に修正すべき点がないかという点も含めて、見直しの必要性を検討していく必要があると考えられる。
- 特に、近年拡大し、労働者性の判断が問題となっているプラットフォームワーカー(AIやアルゴリズムによる労務管理のデジタル化の問題を含む。)についても、予見可能性を高め、法的安定性を高めていくことが必要である。この点については、近年、米国や欧州を始め世界中で盛んに議論が行われており、特にプラットフォームワーカーの問題については、2025年(令和7年)からILO総会において新たな国際労働基準の策定に向けた議論が開始される予定となっている。
- 今後の研究について
- 専門的な研究を行うためには、昭和60年労働基準法研究会報告を取りまとめた労働基準法研究会と同様に、労働者性の判断基準に関する知見を有する専門家を幅広く集め、分析・研究を深めることが必要である。このため、厚生労働省において、継続的に研究を行う体制を整えることを、本研究会として要請する。
- 現代における「労働者」性の課題
- 各法律における「労働者」の定義
- 定義
- 労働基準法
- 職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者(第9条)
- 労働者災害補償保険法
- (明文の規定はない)
- 労働安全衛生法
- 労働基準法第9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)(第2条)
- 労働契約法
- 使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者(第2条)
- 働組合法
- 職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者(第3条)
- 労働基準法
- 解釈等
- 労働基準法
- 職場における労働条件の最低基準を定めることを目的とするため、労働基準法が定める労働条件による保護を受ける対象を確定するための概念と解される。
- 労働者災害補償保険法
- 労働者の定義を置いていないが、法律の目的・趣旨等から、労働基準法上の労働者を指すと解される。
- 労働安全衛生法
- 労働安全衛生法における労働者は、労働基準法に規定する労働者をいうと定義されている。
- 労働契約法
- 「使用者」と相対する労働契約の締結当事者であり、「使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者」のすべてが含まれる。
- 労基法における「労働者」とほぼ同じであると解される。(労基法と異なり、「事業」に使用されるという要件は含まれていない。)
- 労働組合法
- 売り惜しみのきかない自らの労働力という特殊な財を提供して対価を得て生活するがゆえに、相手方との個別の交渉においては交渉力に格差が生じ、契約自由の原則を貫徹しては不当な結果が生じるため、労働組合を組織し集団的な交渉による保護が図られるべき者が幅広く含まれると解される。(労基法と異なり、「使用され」という要件が含まれていないため、失業者も含まれる。)
- 労働基準法
- 判断基準
- 労働基準法
- 労基法第9条の事業に使用される者であるか否か、その対償として賃金が支払われるか否かによって判断(判断が困難な場合は、昭和60年労働基準法研究会報告の判断基準を総合的に勘案することで、個別具体的に判断)。
- 労働者災害補償保険法
- 労基法第9条の事業に使用される者であるか否か、その対償として賃金が支払われるか否かによって判断(判断が困難な場合は、昭和60年労働基準法研究会報告の判断基準を総合的に勘案することで、個別具体的に判断)。
- 労働安全衛生法
- 労基法第9条の事業に使用される者であるか否か、その対償として賃金が支払われるか否かによって判断(判断が困難な場合は、昭和60年労働基準法研究会報告の判断基準を総合的に勘案することで、個別具体的に判断)。
- 労働契約法
- 労務提供の形態や報酬の労務対償性及びこれらに関連する諸要素を勘案して総合的に判断し、使用従属関係が認められるか否かにより判断されるものであり、これが認められる場合には、「労働者」に該当するものであること。これは、労働基準法第9条の「労働者」の判断と同様の考え方である。(昭和60年労働基準法研究会報告の判断基準が一般的に採用されている。)
- 労働組合法
- 労働組合法上の労働者性の判断基準(平成23年7月労使関係法研究会報告書)の1をもとに、2と合わせて総合判断する。ただし、3が認められる場合は、労働者性が否定され得る。
- 基本的判断要素
- (1)事業組織への組み入れ
- (2)契約内容の一方的・定型的決定
- (3)報酬の労務対価性
- 補充的判断要素
- (1)業務の依頼に応ずべき関係
- (2)広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束
- 消極的判断要素
- (1)顕著な事業者
- 基本的判断要素
- 労働組合法上の労働者性の判断基準(平成23年7月労使関係法研究会報告書)の1をもとに、2と合わせて総合判断する。ただし、3が認められる場合は、労働者性が否定され得る。
- 労働基準法
- 定義
~NEW~
国土交通省 スプリング・ジャパン株式会社に対する厳重注意について
- 本年3月18日のSJO444便(北九州→羽田)の機長が、結果として乗務時に酒気を帯びてはいなかったものの、運航規程を逸脱した手順で乗務前アルコール検査を実施し当該便に乗務した事案が発生し、同日中にスプリング・ジャパン株式会社(以下「同社」という。)から報告がありました。
- その後、同社が詳細な事実調査を実施したところ、当該機長本人は否定し続けているものの、客観的データから当該機長が同社の運航規程に定める飲酒に係る制限に抵触していたことを確認した旨、4月22日に追加の報告がありました。
- これを受け、航空法に基づき、4月23日に立入検査等を実施した結果、
- 当該機長は、アルコール検知記録等から運航規程に定める飲酒制限に抵触する飲酒を行ったと認められ、同社の聴取に対し不合理な説明を行ったと認められること
- 運航規程において乗務前アルコール検査は出頭時に行うこととされているが、当該機長は出頭時に速やかに乗務前アルコール検査を実施せず、出頭後もアルコールが検知されなくなるまで自主検査を繰り返し、また、当該便の副操縦士を含め他の関係職員は当該行為に疑念を持たず、結果として当該機長による当該便の乗務が行われたこと
等が確認されました。
- これらについては、当該機長が違反行為を行ったうえで不合理な説明により隠蔽を図ったと認められる悪質な違反行為であり、また、同社のアルコール検査体制が適切に機能しておらず、同社の安全管理システムが十分に機能していないものと認められたことから、本日付けで同社に対して別添のとおり厳重注意を行い、再発防止策を検討の上、令和7年5月30日までに再発防止策を報告するよう指示しましたのでお知らせします。
- 国土交通省航空局は、同社において再発防止が確実に図られ、安全運航のための体制が維持されるよう、引き続き指導監督を行ってまいります。
~NEW~
警察庁 ビデオ通話を悪用した“偽警察官・検察官”の詐欺に注意!!
- 警察官等をかたる犯人が、ビデオ通話を悪用する詐欺の手口を確認 警察官・検察官が突然スマホにビデオ通話をすることはありません!!
- 概要
- 近年、電話やビデオ通話を用いて、警察官や検察官を名乗り、信用させた上で金銭や個人情報をだまし取る詐欺の手口が確認されています。
- 犯人は、パソコンやスマートフォンのビデオ通話を利用して制服姿や身分証の提示を行い、あたかも“本物の捜査員”のように見せかけて被害者を信用させます。
- このような手口は全国的に多くみられており、警察では注意を呼びかけています。
- ある男性のもとに、“警察官を名乗る人物”から「あなたの口座が犯罪に利用されている可能性がある」と電話がありました。
- さらに後日、今度は“大阪地検特捜部の検察官”を名乗る人物からビデオ通話があり、画面越しに身分証らしきものを提示されました。
- その人物はビデオ通話の中で、あたかも本物の検察官であるかのように振る舞っており、男性はその人物を信用してしまい、最終的に現金をだまし取られるという被害にあってしまったのです。
- 注意点
- 現在、警察官や検察官を名乗る人物が、電話やビデオ通話を利用して接触し、金銭や個人情報をだまし取る詐欺被害が多く発生しています。
- 最近では、警察官を名乗る男から突然電話があり、
- あなたの口座が犯罪に悪用されている
- スマホがもうすぐ使えなくなる
- あなたに逮捕状が出ている(別途令状様のものが送信される)
- などと告げられるというケースも確認されています。
- 警察官や検察官が、個人のスマートフォンに突然ビデオ通話をかけることはありません!!
- 例え、ビデオ通話で身分証を提示されても絶対に信用せず、不審な電話やビデオ通話を受けた際は、一度電話を切って最寄りの警察署にご相談ください。
~NEW~
警察庁 令和7年3月末における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について
- 最近の特殊詐欺の特徴について(令和7年3月末時点)
- 概要
- 警察官等をかたり捜査(優先調査)名目で現金等をだまし取る手口が目立つ!
- 令和7年3月末時点の特殊詐欺の被害額(276.0億円)の6割強(171.7億円)を占める。
- 令和7年3月中の被害額は65.4億円と本年1月以降(1月51.8億円、2月54.4億円)継続して増加
- 警察官を名乗る者がSNSのビデオ通話等でニセの「逮捕状」のほか、存在しない書類の画像を送信する手口を確認
- 被害者側の電話種別について、携帯電話では20~30歳代の被害が急増。具体的には、携帯電話が約7割を占めており、携帯電話では20~30歳代の被害者が50.9%、固定電話では60~80歳代の被害者が74.8%を占める。
- 犯行に利用される電話番号には、警察署を偽装するような末尾「0110」が見られるが、その多くは国際電話番号である。
- 実在する警察署等の電話番号を偽装して表示させる手口を確認
- 被害者が詐欺の受け子や出し子など犯罪の道具として使われる手口を確認
- 対策
- 警察官を名乗る者から電話で捜査対象となっていると言われた場合は電話を切って警察相談専用電話(♯9110)に御相談ください。
- それ以外の場合は、警察官の所属や名前を確認した上、一旦電話を切り、御自身で調べた警察署等の電話番号等に相談してください。
- 携帯電話は、国際電話の着信規制が可能なアプリの利用をお願いします。
- 固定電話は、国際電話の発着信を無償で休止できる国際電話不取扱受付センターに申込みをお願いします。申請書類は最寄りの警察署で受領できます。
- 概要
- 最近のSNS型投資・ロマンス詐欺の特徴について(令和7年3月末時点)
- 概要
- SNS型投資詐欺の被害額は前月比で大幅に増加!
- 令和7年3月中のSNS型投資詐欺の被害額は55.3億円と前月比で23.7億円増加しており、本年2月までの減少傾向から一転して大幅増加
- 同月中の投資詐欺の認知件数473件中、「当初接触手段」が「ダイレクトメッセージ」のものは250件と前月比で78件増加
- 「ダイレクトメッセージ」の内容は、「暗号資産への投資名目」が最多
- 対策
- SNSを通じて連絡を取り合っていたとしても、実際に会ったことのない人から暗号資産を求められた場合は、詐欺を疑い、すぐに警察相談専用電話(#9110)に御相談ください。
- 暗号資産交換事業者を利用する際は、金融庁・財務局に登録された事業者であるかについて、金融庁・財務局のホームページで確認してください。
- 概要
- 警察庁等における重点的な広報啓発の実施
- 警察庁、警視庁、埼玉県警察、千葉県警察、神奈川県警察、愛知県警察、大阪府警察、兵庫県警察及び福岡県警察の関係警察において、令和7年4月25日から同月30日までの間、それぞれの公式SNSに広報チラシを投稿するなど集中的な広報啓発を実施。被害の発生状況等を踏まえ、警察官等をかたり捜査(優先調査)名目で現金等をだまし取る手口をテーマとして設定し、関係警察で足並みをそろえた取組を行うことにより、広報効果の向上を図ることとしている。
▼ 最近の特殊詐欺の特徴について(令和7年3月末時点)
- 事例
- 被害者の携帯電話に警察官を名乗る者から「あなたのクレジットカードがマネーロンダリング事件の犯人の自宅から発見された」「銀行口座を提供した容疑をかけられている」等と電話があった。その後、再び警察官を名乗る者から、SNSのビデオ通話で「身の潔白を証明するには口座のお金を調査する必要がある」等と言われた上、警察という印が押された「凍結捜査差押許可状」や「守秘義務命令書」の画像が送られたことから、その話を信じ、指定された口座に現金217万円を振り込んだ。その後も相手から他にキャッシュカードがないか聞かれたため、被害者が父親に相談する等した結果、詐欺であることが判明した。
- 注意点
- 警察はSNSで連絡することはありません。
- 警察手帳や逮捕状の画像を送ることはありません。
- 「凍結捜査差押許可状」や「守秘義務命令書」などという書類はありません。
- 詐欺の受け子や出し子として犯罪の道具のように使われてしまう場合があります。
- だまされないための対策
- 警察官を名乗る者から連絡があった場合は、警察官の所属や名前を確認した上、一旦電話を切り、御自身で調べた警察署等の電話番号などに相談してください。
- 携帯電話は、国際電話の着信規制が可能なアプリの利用をお願いします。
- 固定電話は、国際電話の発着信を無償で休止できる国際電話不取扱受付センターに申込みをお願いします。申請書類は最寄りの警察署で受領できます。
▼ 最近のSNS型投資・ロマンス詐欺の特徴について(令和7年3月末時点)
- 事例
- 被害者は、韓国籍の女性投資家を名乗る者から、SNSのダイレクトメッセージを通じて知り合い、その後、SNSで交信を重ねたところ、「仮想通貨の変動率を的中させるとボーナスを受け取れる取引所がある」などと偽の暗号資産取引所のサイトに誘導され、この話を信じた被害者は、暗号資産を購入の上、紹介されたサイトに暗号資産を送信し、合計約1,000万円相当をだまし取られた。
- 注意点
- SNSの見知らぬアカウントからダイレクトメッセージが届き、暗号資産への投資などの儲け話を持ちかけられた場合は、詐欺を疑ってください!
- だまされないための対策
- SNSを通じて連絡を取り合っていたとしても、会ったことのない人から暗号資産を求められた場合は、詐欺を疑い、すぐに警察相談専用電話(#9110)に相談してください。
- 暗号資産交換事業者を利用する際は、金融庁・財務局に登録された事業者であるかについて、金融庁・財務局のホームページで確認してください。
▼ 令和7年3月末における特殊詐欺の認知・検挙状況等について
- 特殊詐欺の認知件数は6,220件(前年同期比+2,479件、+66.3%)、被害額は276.0億円(+187.5億円、+211.8%)、検挙件数は1,405件(+51件、+3.8%)、検挙人員は477人(+8人、+1.7%)
- オレオレ詐欺の認知件数は2,665件(+1,893件、+245.2%)、被害額は201.2億円(+160.8億円、+397.3%)、検挙件数は476件(+165件、+53.1%)、検挙人員は230人(+63人、+37.7%)、預貯金詐欺の認知件数は485件(+30件、+6.6%)、被害額は4.5億円(+0.4億円、+10.0%)、検挙件数は317件(▲83件、▲20.8%)、検挙人員は63人(▲53人、▲45.7%)、架空料金請求詐欺の認知件数は1,534件(+481件、+45.7%)、被害額は39.5億円(+17.5億円、+79.2%)、検挙人員は53人(+16人、+43.2%)、還付金詐欺の認知件数は923件(▲37件、▲3.9%)、被害額は17.2億円(+2.6億円、+18.0%)、検挙件数は204件(+4件、+2.0%)、検挙人員は45人(+6人、+15.4%)、キャッシュカード詐欺盗の認知件数は288件(▲60件、▲17.2%)、被害額は3.7億円(▲0.6億円、▲13.9%)、検挙件数は260件(▲112件、▲30.1%)、検挙人員は73人(▲24人、▲24.7%)、その他(「融資保証金詐欺」、「金融商品詐欺」、「ギャンブル詐欺」、「交際あっせん詐欺」、「その他の特殊詐欺」の合計)の認知件数は325件(+172件、+112.4%)、被害額は9.9億円(+6.8億円、+220.2%)、検挙件数は30件(+25件、+500.0%)、検挙人員は13人(±0)
- 高齢者(65歳以上)の被害状況について、高齢被害者の割合は特殊詐欺全体では54.9%、男性19.8%:女性35.2%、オレオレ詐欺は46.4%、男性14.0%:女性32.4%、預貯金詐欺は99.4%、男性14.6%:女性84.7%、架空料金請求詐欺は37.4%、男性24.1%:女性13.3%、還付金詐欺は83.6%、男性34.2%:女性49.5%、キャッシュカード詐欺盗は98.3%、男性20.5%:女性77.8%、その他の20.3%、男性12.5%:女性7.8%
▼ 令和7年3月末におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について
- SNS型投資・ロマンス詐欺合計の認知件数は2,297件(▲6件)、被害額は248.0億円(▲31.8億円)、検挙件数は85件(+76件)、検挙人員は44人(+38人)、うちSNS型投資詐欺の認知件数は1,165件(▲535件)、被害額は130.1億円(▲89.2億円)、検挙件数は46件(+42件)、検挙人員は21人(+17人)、SNS型ロマンス詐欺の認知件数は1,132件(+529件)、被害額は117.9億円(+57.3億円)、検挙件数は39件(+34件)、検挙人員は23人(+21人)
- SNS型投資詐欺の当初接触ツールはInstagram20.4%、LINE15.4%、Facebook14.5%、X(Twitter)11.2%、投資のサイト8.2%、TikTok8.0%、マッチングアプリ5.6%、その他16.7%、被害時の連絡ツールはLINE88.1%、その他SNS8.5%、その他4.6%、被害金の主たる交付形態は振込69.4%、暗号資産27.8%、その他2.8%、当初接触手段はダイレクトメッセージ53.5%、バナー等広告27.6%、投稿7.9%、グループ招待6.0%、その他5.0%
- SNS型ロマンス詐欺の当初接触ツールはマッチングアプリ33.2%、Instagram24.4%、Facebook18.5%、その他SNS12.4%、TikTok7.7%、その他3.9%、被害時の連絡ツールはLINE91.8%、その他SNS5.7%、当初接触手段はダイレクトメッセージ91.9%
- SNS型投資・ロマンス詐欺のインターネットバンキング(IB)の利用率について、認知件数総数1,503件、うちIB57.5%、IB以外42.5%、被害額総額163.9億円、うちIB64.7%、IB以外30.3%
~NEW~
警察庁 インターネット取引サービスへの不正アクセス・不正取引による被害が急増しています
- 実在する証券会社のウェブサイトを装った偽のウェブサイト(フィッシングサイト)等で窃取した顧客情報(ログインIDやパスワード等)によるインターネット取引サービスでの不正アクセス・不正取引(第三者による取引)の被害が急増しています。
- 不正取引が発生した証券会社数(社)/不正アクセス件数/不正取引件数/売却金額/買付金額
- 2025年1月 2/65/39/約0.8億円/約0.7億円
- 2025年2月 2/43/33/約1億円/約0.6億円
- 2025年3月 5/1,420/687/約129億円/128億円
- 2025年4月 9/4,852/2,746/約1,481億円/約1,308億円
- 合計 ー/6,380/3,505/約1,612億円/約1,437億円
- ※金融庁が現時点で各証券会社から報告を受けた数値を合計した暫定値であり、まだ判明していない不正アクセスや不正取引が存在する可能性があることに留意。
- ※売却金額及び買付金額は、不正アクセスが行われた口座(被害口座)内における不正取引の金額を合計したもの(同一口座内で不正取引が繰り返された場合、売買金額が累積)。
- ※不正取引の態様は様々だが、多くの場合、不正行為者が不正アクセスによって被害口座を勝手に操作して口座内の株式等を売却し、その売却代金で国内外の小型株等を買い付けるというもの。不正取引の結果、被害口座には当該国内外の小型株等が残ることになる。表中の「売却金額」「買付金額」はこのような不正な売却・買付代金の総額を示したものであり、当該金額は、不正取引により生じた顧客の損失額と一致しないことに留意。
- ログインID・パスワード等の窃取、不正アクセス・不正取引の被害はどの証券会社でも発生し得るものであるため、こうした被害に遭わないためには、証券会社のインターネット取引サービスを利用しているすべての方において、改めて次のような点にご留意ください。
- 見覚えのある送信者からのメールやSMS(ショートメッセージ)等であっても、メッセージに掲載されたリンクを開かない。
- 利用する証券会社のウェブサイトへのアクセスは、事前に正しいウェブサイトのURLをブックマーク登録しておき、ブックマークからアクセスする。
- インターネット取引サービスを利用する際は、各証券会社が提供しているセキュリティ強化機能(ログイン時・取引実行時・出金時の多要素認証や通知サービス)を有効にして、不審な取引に注意する。
- ※多要素認証:認証において、知識要素(PW、秘密の質問等)・所持要素(SMSでの受信や専用トークンで生成するワンタイムコード等)・生体要素(指紋、静脈等)のうち二以上の要素を組み合わせること。同一要素を複数回用いる多段階認証よりもセキュリティが強いとされる。
- パスワードの使いまわしをしない。推測が容易な単純なパスワードを用いない。数字・英大小文字・記号を組み合わせた推測が難しいパスワードにする。
- こまめに口座の状況を確認(※)するとともに、不審なウェブサイトに情報を入力したおそれや不審な取引の心配がある場合には、各証券会社のお問い合わせ窓口に連絡するとともに、速やかにパスワード等を変更する。
- ※ログインする際は2.に留意し、ブックマークから正しいウェブサイトにアクセスする。
- また、フィッシング詐欺のみならず、マルウェア(ウイルス等)による情報窃取の被害を発生させないためには、PC・スマートフォン等のソフトウェア(OS等)を最新の状態にしておくとともに、マルウェア(ウイルス等)対策ソフトを導入し、常に最新の状態に更新することが有効な手段となります。
- 証券会社のインターネット取引サービスを利用する際にご注意いただきたい事項として、日本証券業協会による注意喚起もご確認ください。
▼ 不正アクセス等にご注意ください!(日本証券業協会へのリンク)
- その他、金融機関に関する偽広告やフィッシングメールに関する注意喚起も併せてご確認ください。
▼ 証券会社や日本証券業協会を騙ったSNS上の偽広告等に注意!
▼ 金融機関のマネロン等対策を騙ったフィッシングメールにご注意ください
- 以下の「サイバー警察局便り」(警察庁作成)もご確認ください。
▼ PDF版
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警察庁 「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令案」に対する意見の募集について
▼ 概要
- カード代替電磁的記録を用いた本人確認方法の新設について
- 犯収法施行規則の主な改正事
- 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号。以下「番号利用法」という。)の改正により、個人番号カードと同等の機能(カード代替電磁的記録)をスマートフォンに搭載できることになったことを踏まえ、カード代替電磁的記録による本人特定事項の確認方法を新たに規定するもの。
- ※情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律(令和6年法律第46号。以下「改正法」という。)によるもの。
- ※本人の顔写真が表示されている個人番号カードの交付を受けている者に限る。
- 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号。以下「番号利用法」という。)の改正により、個人番号カードと同等の機能(カード代替電磁的記録)をスマートフォンに搭載できることになったことを踏まえ、カード代替電磁的記録による本人特定事項の確認方法を新たに規定するもの。
- 新たに規定する本人確認方法
- カード代替電磁的記録を構成する電磁的記録のうち、 郵便局員等氏名、住居、生年月日及び顔写真の送信を求める
- 送信用プログラムと同等の機能を有するものを用いて(1)で求められた情報を送信
- 確認用プログラムと同等の機能を有するものにより、送信された情報が顧客であることを確認
- その他の改正事項
- 上記の本人確認方法の新設に伴い、確認記録の作成方法について、カード代替電磁的記録を構成する電磁的記録に係る情報又はその写しを確認記録に添付する方法を新たに規定するほか、所要の改正を行う。
- 犯収法施行規則の主な改正事
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消費者庁 ICPEN詐欺防止月間(2025年)
- はじめに
- 消費者庁は、国境を越えた不正な取引行為を防止するための取組を促進する国際ネットワークであるICPEN(※)に参画しており、ICPENの取組の一つである「詐欺防止月間(Fraud Prevention Month)」を毎年消費者月間に合わせて実施しています。
- 今年のテーマは、「グリーンウォッシュ(Greenwashing)」です。このキャンペーンでは、消費者が誤解を招く広告戦略を見抜き、回避し、環境に関する情報の透明性を求め、環境に真にポジティブな影響を与える商品やサービスを選択する責任ある消費を促進することができるように、消費者をエンパワーすることを目指しています。
- 【仮訳】環境に配慮することは素晴らしいことです。賢く行動することはさらに素晴らしいことです!環境に配慮していると示されていることの裏付けを調査しましょう。消費者として、その裏付けを求め、さらに深く掘り下げる権利があります。示されていることを鵜呑みにせず、事実を信頼しましょう!
- (※)ICPEN(アイスペン:International Consumer Protection and Enforcement Network。消費者保護及び執行のための国際ネットワーク。)は、国境を越えた不正な取引行為を防止するため1992年に発足したネットワークで、約70か国の消費者保護関係機関が参加。「詐欺防止月間」では、加盟国が共通テーマに沿った注意喚起などを実施。
- グリーンウォッシュについて
- グリーンウォッシュについて、ICPENでは、商品やサービスの環境特性を誇張又は歪曲して消費者を誤解させる欺まん的な環境広告のことと説明しています。ICPENが主導したウェブサイトのスイープ調査によれば、これまでにオンラインで行われたグリーン主張の40%が消費者を誤解させる可能性があると報告されています。消費者を誤解させる可能性があるグリーンウォッシュは、環境に配慮した消費行動の実践を阻害するおそれがあります。
- 消費者庁の取組
- 消費行動を起点とした持続可能な社会の実現を目指す上で、グリーンウォッシュは問題となる一方で、我が国においては、人や社会・環境に配慮した消費行動を実践しているという消費者はいまだ一部にとどまっています。そこで、消費者庁としては、まずは消費者が自身の消費生活において、環境に配慮された商品やサービスを理解し、意識的に選好するなどの行動を積極的に実践するよう促していくための取組を進めています。
- エシカル消費及びサステナブルファッションの推進
- 消費者庁では、地域の活性化や雇用などを含む、人や社会・環境に配慮した消費行動、いわゆる「エシカル消費」の普及・啓発に取り組んでいます。
- 具体的には、啓発用パンフレット・ポスター・動画・学習教材等の学校や地域等における活用促進、事業者主催の普及啓発イベントへの積極的な参画のほか、特設サイトやSNS等における情報発信に取り組んでいます。
- また、衣服の生産から着用、廃棄に至るプロセスにおいて将来にわたり持続可能であることを目指すサステナブルファッションもエシカル消費の一環です。サステナブルファッションについては、消費者庁、経済産業省及び環境省による関係省庁連携会議による取組や、具体的な行動のヒント集等の特設サイト、インフルエンサーとの連携を始めとした消費者向けの情報発信の強化、中高生向けのサステナブルファッション習慣促進のための教材制作等により、消費者の行動変容を促す取組を行っています。
- グリーン志向の消費行動に関するワーキングチームの開催
- 消費者庁では、2024年11月に「グリーン志向の消費行動に関するワーキングチーム」を立ち上げ、消費者が自身の消費生活において、環境に配慮された商品・サービスを理解し、意識的に選好するなどの行動を積極的に実践するよう促していく観点から、現状の課題や具体的な取組の方向性について議論を行いました。
- ワーキングチームでは、2025年2月に、議論を踏まえた取りまとめを公表しています。この取りまとめでは、企業や民間団体等による消費者の行動変容を促す取組の深化につながる視点として、環境問題は”遠い未来の問題”ではなく、その対策は”喫緊の課題”であるという共通認識を形成し、自分事化につなげるとともに、グリーン志向の消費行動が消費者のメリットとなるような形に仕組み化することが必要であることが示されました。その上で、今後の取組の方向性について、行政を起点に、企業やメディアを含む幅広い主体の連携による情報発信に加えて、消費者とのコミュニケーション強化に向けた地方公共団体・企業等の取組の後押しや好事例の発掘・横展開、また、認証ラベル・マークに関する情報の整理・提供を進めることが重要であるという考えが示されました。消費者庁では、ワーキングチームにおける議論を踏まえ、様々な主体と連携しつつ、必要な取組を進めていきます。
- エシカル消費及びサステナブルファッションの推進
- 消費行動を起点とした持続可能な社会の実現を目指す上で、グリーンウォッシュは問題となる一方で、我が国においては、人や社会・環境に配慮した消費行動を実践しているという消費者はいまだ一部にとどまっています。そこで、消費者庁としては、まずは消費者が自身の消費生活において、環境に配慮された商品やサービスを理解し、意識的に選好するなどの行動を積極的に実践するよう促していくための取組を進めています。
- 終わりに
- 今後、環境に配慮した消費行動が広まっていくにつれて、グリーンウォッシュの問題が顕在化していくおそれがあります。環境に配慮した消費行動の促進だけではなく、グリーンウォッシュの問題にも対応していくためには正確な情報の発信が欠かせません。消費者庁においては、ワーキングチームの取りまとめに示されたように、環境に配慮した商品・サービスに関する正確な情報を消費者に提供・発信するために、幅広い主体との連携による情報発信に努めてまいります。
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消費者庁 外食時のおいしく「食べきり」ガイド
- 我が国では、食べられるにもかかわらず廃棄される「食品ロス」が、年間643万トン(平成28年度推計)、発生しています。
- このうち352万トンが食品産業から発生しています。その内訳をみると、外食産業では133万トンもの食品ロスが発生しており、食べ残しによるものが相当程度を占めています。
- 地方公共団体では、飲食店等における食品ロスの削減に向けて、「食べきり」運動や、食べきれずに残した料理を自己責任の範囲で持ち帰る「持ち帰り」の呼び掛けも広がり始めています。
- 外食時の「食べきり」促進に向けて、食べ手(消費者)と作り手(飲食店)双方の理解や実践を更に進めるために、本ガイドを参考に、食品ロスをなくしていきましょう
- まずは、おいしく「食べきり」を実践
- おいしく、適量を、残さず、食べきる。
- 消費者としてできること、飲食店としてできること、それぞれのできることを増やして、「食べきり」を実践することで、「食べ残し」を減らしていきます。
- 消費者の方へ
- 飲食店で食事をするときは
- できたての最もおいしい状態で提供された料理を食べましょう。
- 自分自身の食事の適正量を知り、食べきれると思う量を注文しましょう。
- 小盛りや小分けメニューを上手に活用しましょう。お店選びの際には、こうしたメニューのあるお店を積極的に選びましょう。
- 食べ放題のお店では、元を取るために無理をして皿に盛ったり、食べ残すのはやめましょう。
- 宴会の際には
- 幹事さんや主催者は、参加者の嗜好や年齢層、男女比を考えながら食べきれる量に配慮してお店やメニューの選択をしましょう。
- お店を予約する際は、こうした参加者の情報をお店側に事前に伝えましょう。
- 料理を楽しんで食べる時間を作りましょう。例えば、乾杯後の30分間は、提供された出来たての料理に集中して食べることや、お開き前の10分間は食べ残しをしないよう、幹事さんが声を掛けるなど、料理を食べきるようにしましょう。
- 飲食店で食事をするときは
- 飲食店の方へ
- おいしく食べきっていただくよう、料理を出すタイミングや、客層に応じた工夫をしましょう。
- お客さまが、食事量の調整・選択ができるように、小盛りや小分けの商品をメニューに採用しましょう。
- 宴会等、大量の食事を準備する際には、食べ残しが発生しないよう幹事さんや主催者と食事量やメニューを相談しましょう。
- 宴会等において、お客が食べきったらサービス券を配布するなど、食べきることにインセンティブを持たせることもできます
- 食べきれずに残した料理の「持ち帰り」は自己責任の範囲で
- 食べきれずに残してしまった料理を捨ててしまうのは、もったいない。
- でも、「持ち帰り」には、衛生上の問題が伴います。
- 「持ち帰り」を行う場合は、飲食店の方の説明をよく聞いて、食中毒のリスクなどを十分に理解した上で、自己責任の範囲で行うことになります。
- 消費者の方へ
- 「持ち帰り」には、
- 料理を衛生的に扱える力
- 怪しいと思ったら捨てることのできる判断力
- おいしい料理を提供してくれるお店を大切にする気持ち
- が必要です。
- 持ち帰りは、十分に加熱された食品で、帰宅後に再加熱が可能なものにし、食べきれる量を考えて、行いましょう。
- 自ら料理を詰める場合は、手を清潔に洗ってから、清潔な容器に、清潔な箸などを使って入れましょう。また、水分はできるだけ切り、早く冷えるように浅い容器に小分けしましょう。
- 料理は、暖かい所に置かないようにしましょう。
- 時間が経過すると食中毒のリスクが高まるので、帰宅までに時間がかかる場合は、持ち帰りはやめましょう。
- 持ち帰った料理は、帰宅後できるだけ速やかに食べるようにしましょう。
- 中心部まで十分に再加熱してから食べましょう。
- 見た目やにおいなどが、少しでも怪しいと思ったら、口に入れるのはやめましょう。
- 「持ち帰り」には、
- 飲食店の方へ
- 持ち帰りを希望される方には、食中毒のリスクや取扱方法等、衛生上の注意事項を十分に説明しましょう。
- 持ち帰りには十分に加熱された食品を提供し、生ものや半生など加熱が不十分な料理は、希望者からの要望があっても応じないようにしましょう。
- 清潔な容器に、清潔な箸などを使って入れましょう。水分はできるだけ切り、早く冷えるように浅い容器に小分けしましょう。
- 夏の季節など外気温が高いときは、持ち帰りを休止するか、保冷剤を提供しましょう。
- その他、料理の取扱いについて、注意書きを添えるなど、食中毒等の予防をするための工夫をしましょう。
- 消費者の方へ
- 3010(さんまるいちまる)運動で食べきりを促進していきましょう
- 宴会などでは乾杯後の“30分”とお開き前の“10分”は、席を立たずに料理を楽しむことにより、食べきりを実践しましょう。
- 3010運動の進め方
- 注文の際、適量を注文しましょう。
- 乾杯後30分は、席を立たず、料理を楽しみましょう。
- お開き前10分は、自分の席に戻って、再度、料理を楽しみましょう。
- 宴会シーズンも、おいしく食べきりましょう
- 春の歓送迎会・冬の忘新年会シーズンの宴会時には、「宴会5箇条」を参考にしたり、宴会時の「食べきり啓発用三角柱」を使って、食べきりを実践しましょう。
- 宴会5か条
- まずは、適量注文
- 幹事さんから「おいしく食べきろう!」の声かけ
- 開始30分、終了10分は、席を立たずにしっかり食べる「食べきりタイム!」
- 食べきれない料理は仲間で分け合おう
- それでも、食べきれなかった料理は、お店の方に確認して持ち帰りましょう。
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消費者庁 買取サービスに関する実態調査報告書
▼ 買取サービスに関する実態調査報告書(概要)
- 買取サービスの市場規模は、一般消費者のエコ意識や有効資源活用に対する意識の高まりを背景に年々拡大傾向にある
- 買取業者50社分の表示を収集したところ、「買取参考価格・買取実績価格」、 「買取価格アップ」、「買取価格保証」、「何でも買取り」及び 「どこよりも高く買取り」という5類型の表示が多数みられた。
- 買取参考価格 買取実績価格
- 50社中19社
- 「最低1万円以上でお買取り」、「最低価格保証100円」など
- 買取価格アップ
- 50社中31社
- 「買取価格最大20%UP」、「買取1万円UP」など
- 買取価格保証
- 50社中19社
- 「最低1万円以上でお買取り」、「最低価格保証100円」など
- 何でも買取り
- 50社中13社
- 「あらゆる商品を買い取ります」、「どんな状態でも買取可能」など
- どこよりも高く買取り
- 50社中13社
- 「どこよりも高く買取り」、「地域最高値で買取り」など
- 買取参考価格 買取実績価格
- 店頭買取りを利用したことのある消費者は多く、利用のきっかけは、「広告(インターネット、折り込みチラシ、店の看板、CM等)から受ける印象」が最も多いことが分かった。また、多くの消費者は、複数の店舗を比較せず、最初に査定を依頼した店舗で買取サービスを利用していることが分かった。
- 広告表示が、買取店を利用する意思決定に与える影響は大きい(特に、「買取価格アップ」や「何でも買取り」といった表示の訴求力が強い。)ことが分かった。
- 約半数の消費者が、実際の買取価格又は査定価格が表示から予想した価格を下回った、また、表示どおりに買い取ってもらえなかったと認識していることが分かった。
- 買取業者に対するヒアリング調査
- 買取参考価格 買取実績価格
- どの買取業者も、「買取参考価格」又は「買取実績価格」を表示した商材と同一商材が持ち込まれれば、当該価格で又は当該価格に近い金額で買い取ると述べていた。
- 買取価格アップ
- どの買取業者も、通常の買取価格からアップすると述べていた。
- 買取価格保証
- 半数の買取業者は、必ず保証価格以上で買い取ると述べていた。
- 一方、汚れがない等の条件を満たさなければ保証価格を下回る場合があると述べる買取業者もいた。
- 何でも買取り
- 多くの買取業者は、無条件で何でも買い取ると述べていた。
- 一方、商品の状態が悪ければ買い取らない場合があると述べる買取業者もいた。
- どこよりも高く買取り
- どの買取業者も、「どこよりも高く買取り」という表示は、意気込みや自負を表現したにすぎないと述べていた。
- 買取参考価格 買取実績価格
- 買取サービスにおける景品表示法上の考え方 【表示】
- 買取サービスに関する表示が、実際のもの又は事実に相違して競争事業者のものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認される場合には、優良誤認表示又は有利誤認表示として景品表示法上問題となる。
- なお、いわゆる強調表示については、買取サービスの内容や取引条件について無条件又は無制約に当てはまるものと一般者に受け止められるため、例外などがある場合は、その旨の表示(いわゆる打消し表示)を分かりやすく適切に行わなければ、一般消費者に誤認され、景品表示法上問題となるおそれがある。
- 買取参考価格 買取実績価格
- 「買取参考価格」という表示から、一般消費者は、表示されている商材が当該価格で又は当該価格に近い金額で買取りされると認識するものと考えられる。したがって、買取業者自らが実際に買い取ることを想定した場合の金額(過去の買取実績や、直近における買取市場の相場を踏まえた金額)を大きく上回る金額を「買取参考価格」として表示し、表示している商材を当該価格よりも著しく低い価格で買い取る場合には、不当表示のおそれあり。
- なお、一般消費者に誤解を生じさせないという観点からは、「買取参考価格」の意味について分かりやすく具体的に示すことが望ましい(例えば、未使用の状態で買い取る場合の上限の買取価格や、標準的な状態で買い取る場合の平均的な買取価格)。
- 「買取実績価格」という表示から、一般消費者は、表示されている商材が当該価格で実際に買取りされたことがあると認識するものと考えられる。したがって、買い取った実績のない金額を「買取実績価格」として表示し、表示している商材を当該価格よりも著しく低い価格で買い取る場合には、不当表示のおそれあり。
- 景品表示法上問題となるケース(例示) ある商材について、過去に買い取ったことのある価格の中でも最も高い買取価格(例えば、未使用品の場合の買取価格)をはるかに上回る高い金額を「買取参考価格」や「買取実績価格」として表示する場合【有利誤認表示】
- 買取価格アップ
- 「買取価格アップ」という表示から、一般消費者は、通常の買取価格からアップされた価格で買い取ってもらえると認識するものと考えられる。したがって、通常の買取価格からアップしない場合には、不当表示として問題となる。
- なお、一般消費者が安心して買取サービスを利用できるようにするという観点からは、一般消費者から買取価格の根拠を問われた場合にはどのような基準で算出した額であるのかを説明するなど一般消費者に分かるように示すことが望ましい。
- 期間限定の買取価格アップキャンペーンが常態化している場合には、不当表示のおそれあり。
- 景品表示法上問題となるケース(例示) 通常の買取価格が1万円のところ、「買取価格20%アップキャンペーン」と表示しながら、実際には、アップせずに1万円で買い取る場合【有利誤認表示】/有名ブランド腕時計の買取価格を10%アップするキャンペーンを1月末まで実施すると表示していたにもかかわらず、2月以降も同じ内容のキャンペーンを継続する場合【有利誤認表示】
- 買取価格保証
- 「買取価格保証」という表示から、一般消費者は、必ず当該保証価格以上で買取りされると認識するものと考えられる。したがって、「買取価格保証」と表示して、実際には保証価格を下回る金額で買い取る場合には、不当表示のおそれあり。
- 景品表示法上問題となるケース(例示) 有名ブランドバッグを1万円以上で買い取る旨を強調して表示しながら、実際には、汚れがあること等を理由に5,000円で買い取る場合【有利誤認表示】
- 何でも買取り
- 「何でも買取り」という表示から、一般消費者は、特段の条件なく、どのような状態であっても買取りされると認識するものと考えられる。したがって、「何でも買取り」と表示して、実際には一般消費者が持ち込んだ物品等の一部又は全部を買い取らない場合には、不当表示のおそれあり。
- 景品表示法上問題となるケース(例示) 「どんな商品でも・どのような状態でも買い取ります」などと、何でも無条件で買い取る旨を強調して表示しながら、実際には、取扱商材ではないことや汚れがあること等を理由に買い取らない場合【優良誤認表示】
- どこよりも高く買取り
- 「どこよりも高く買取り」という表示から、一般消費者は、他社と比較して当該事業者の買取価格が最も高いと認識するものと考えられる。したがって、他社と比較して買取価格の高さを特に強調する表示として、どこよりも高く買い取る旨の表示をしながら、事実と異なる場合には、不当表示として問題となる。
- 景品表示法上問題となるケース(例示) 買取価格地域1と表示しながら、実際には、同一地域内の競合他社の買取価格を何ら調査していない場合【有利誤認表示】
- 買取参考価格 買取実績価格
- 買取サービスにおける景品表示法上の考え方 【景品】
- 近年、買取サービスに付随して、次回の買取時に利用できる買取価格アップ券、現金又はポイントを付与するケースがある。
- 買取価格に応じて、例えば、
- 次回以降に利用可能な買取価格アップ券を付与する場合
- 現金をプレゼント(いわゆるキャッシュバック)する場合
- 自社サービスで利用(買取価格の上乗せ等)可能なポイントを付与する場合
には、それらの次回アップ券、現金又はポイントが景品類に該当し、景品規制の対象となる。
- なお、買取サービスにおいては、買取価格をアップするキャンペーンが実施されることが多い。上記(1)のように次回以降の買取価格をアップするものではなく、その場で買取価格をアップする場合には、アップ分を含めた買取価格全体が取引の対価となるため、当該アップ分は原則として、景品類に該当しない。
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消費者庁 「消費者志向経営の新たな展開-高齢者のパワーを活かす社会の仕組みを創る-」プログレッシブ・レポート
- 消費者志向経営は「企業(組織)が消費者などのステークホルダーのことを考えて活動を行っていく」ことを推奨する考え方である。企業がそのような力を発揮する分野は、狭義の消費者関連分野に限定されず、環境、教育、医療・介護ほか多くの分野で推進されるようになってきている。この報告で目指す「消費者志向経営の新たな展開」とは、組織の範疇を、営利組織、非営利組織、NPOや地域社会など広く捉え、多くの組織と個人が互いに共創して取引・交流を行う場を拡げていくことを視野においている(第1章)。
- 高齢化が進む日本社会にあって、企業を定年退職後も高齢者がその能力を活かして社会に貢献してもらうことが益々重要になってきた。シルバー人材センターは1950年に東京都高齢者事業団として発足して以来、高齢者の雇用と生きがいを支えるプラットフォームの役割を果たしてきたが、高齢者がより生産性の高いジョブに従事できるようにするため、高齢者と企業などが必要とするジョブとを結びつける機能を強化することを求められている(第2章)。
- 第3章では具体的な試みとして「中小企業のIT需要と定年退職IT技術者とのマッチングプラットフォームを創造する」を取り上げた。中小企業は大企業に比べて、営業、生産技術、経営管理などすべての分野でデジタル化が遅れており、IT人材も少ない。他方で退職したIT技術者は会社で培った能力を社会に活かしたいと考えており、両者を結びつけてWin-Winの関係を築くことができる。このような潜在的な需要と供給が、プラットフォームの場で結びつきを始めており、その動きをプログレッシブ・レポートとしてまとめた。
- 本研究の意義と展望:消費者志向経営を様々な共創分野に適用させる
- 現代においては企業が果たす役割が大きくなっている。私たちは一人だけでは自給自足することはできずに、毎日企業が提供する財・サービスを消費し、企業に所属して給料を得ている。消費者志向経営は、このように重要性を増す企業の機能をよりフルに発揮してもらうために、消費者vs企業という二項対立をより広い観点から見直そうという動きであると捉えることができる。
- 実際、BtoBのような直接消費者が介在しない企業間取引であっても、その目的は最終消費者のwell-beingをもたらすことにあるはずである。二次元バーコードは自動車部品の生産管理を目的に開発されたが、いまや世界の消費市場の9割で使用されているという。消費者志向経営は消費者と企業との関係に限定されず、企業と企業間の関係、医者と患者と製薬企業、高齢者と行政と企業など、複数の組織が目的を共有して実現させる仕組みに適用できる。
- 第3章で分析した「中小企業のIT需要と定年退職IT技術者とのマッチング」においては、高齢者を社会の弱者と決めつけるのでなく、社会に貢献する重要なステークホルダーと位置づけ、企業や行政が高齢者の力を最大限活用できる方策について考察した。このプログレッシブ・レポートは問題提起に過ぎず、この分野において今後一層の洞察と共創のための分析が必要となろう。
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経済産業省 生成AIの社会実装に向けたプロジェクト「GENIAC-PRIZE」を開始します
- 経済産業省は、生成AIの社会実装を目的に、様々な地域や業種におけるニーズを満たす生成AIサービスの開発を促進する懸賞金活用型プロジェクト「GENIAC-PRIZE」を開始します。
- 背景
- 経済産業省では2024年2月、我が国における生成AIの開発力強化に向けたプロジェクト「GENIAC」を立ち上げ、AI開発者への計算資源の調達支援や、知見共有のためのコミュニティの運営等を行ってきたところです。
- GENIACを通じて、300名超のエンジニアの開発経験、世界に伍し得る生成AI開発企業の輩出等、一定の成果を創出してきたところですが、生成AIをとりまく世界的な競争は激しさを増しており、日本が更に競争力を確保していくためには、生成AIの開発力強化と利活用促進を一体的に進めていくことが重要です。
- 「GENIAC-PRIZE」の概要
- このような背景を踏まえ、生成AIの利活用促進を目的とした新たなプロジェクト「GENIAC-PRIZE」を2025年5月9日から開始します。
- GENIAC-PRIZEでは、生成AIによる解決が望まれる以下の4テーマそれぞれに即した具体的なニーズに基づく生成AIサービスを開発・実証・応募いただき、審査を経て、成果に応じた懸賞金を授与します。これにより、様々な地域や業種における企業等による生成AIサービスの開発と実導入を促進します。
- テーマ
- 製造業における暗黙知の形式知化
- カスタマーサポートの生産性向上
- 官公庁における審査業務(特許審査業務をモデルとする)の効率化
- 安全性向上に資する技術開発
- 懸賞金総額
- 約8億円(4テーマの合計額)
- 主なスケジュール
- 2025年5月から12月:応募者による開発、実証等の期間
- 2026年1月から3月:審査期間
- 2026年3月末:表彰式
- テーマ
~NEW~
経済産業省 無人航空機衝突回避システムに関する国際規格が発行されました~無人航空機のより安全な利用を目指します(ISO15964)
- 無人航空機(ドローン)は、現在農業分野等において広く利用され、今後は災害時の物資運搬や遭難者捜索等への活用が期待されている技術です。無人航空機の利活用分野が広がる中、これを安全に利用するためには、他の無人航空機との衝突を回避するための技術開発を進めることが喫緊の課題です。
- こうした中で、今般、経済産業省及びNEDOが研究開発・標準化支援を行った、無人航空機衝突回避システムに関する国際規格(ISO15964)が発行されました。これにより、無人航空機の衝突回避技術の開発の方向性を統一することが可能になるとともに、無人航空機の社会実装に向けた各国の取組が加速し、幅広いサービスの実現につながることが期待されます。
- 背景
- 一般にドローンと呼ばれる小型から中型の無人航空機は、現在、農業分野等で利用が広がっており、今後は災害時の物資運搬や遭難者捜索、物流インフラ等の用途での活用が期待されています。一方で、ドクターヘリなどの有人航空機と無人航空機とのニアミス実例が国内で報告される等、他の航空機との衝突をどのように回避するかが、無人航空機を安全に利用する上で喫緊の課題となっています。
- こうした中、経済産業省は、国内外での幅広いドローンの利活用の実現に向け、無人航空機の衝突回避に関する国際標準提案の支援に取り組んできました。2017年に支援を開始した、無人航空機の衝突回避技術に係る研究開発・実証実験成果を基礎として、2023年10月には、無人航空機の運航手順の規格(ISO 21384-3:2023)が日本主導で改正されたほか、2024年4月には、無人航空機の衝突回避に関する技術報告書(ISO/TR 23267)が日本主導で提案、公開されました。
- 規格の概要
- 今般発行されたISO 15964は、経済産業省及びNEDOにおいて研究開発・標準化支援を実施したもので、2023年のISO 21384-3:2023(無人航空機の運航手順の規格)改正時に新たに規定された、無人航空機の基本的な衝突回避手順の6ステップ(「対象物の探知」、「ターゲットの認識」、「回避機動」、「回避結果の確認」、「元ルートへの復帰」及び「元ルートでの飛行」)を具現化する、衝突回避システムの基本アーキテクチャを規定しています。
- 今回のISO 15964では、無人航空機に搭載される、レーダーと光学センサーを備えた衝突回避システムについて、各種センサー機器の役割や探知・認識距離などの要求事項等を、各ステップに沿って規定しています。なお、これらの要求事項の規定の際には、NEDOの「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」(「NEDO DRESSプロジェクト」)における実証実験の成果や、2024年に公開されたISO/TR23267を根拠としています。
- 期待される効果
- 本規格により、無人航空機の衝突回避技術の開発の方向性を統一することが可能になるとともに、無人航空機の社会実装に向けた各国の取組が加速し、幅広いサービスの実現につながること等が期待されます。
~NEW~
経済産業省 「デジタル経済レポート:データに飲み込まれる世界、聖域なきデジタル市場の生存戦略」を公表しました
- 目的
- 本書は、マクロ経済指標における「デジタル赤字」に着目し、その統計結果の背景にある我が国産業と市場の構造問題を明らかにすることで、その構造問題を打破するための産業戦略を示し、今後官民の役割分担の下、実行すべき施策を策定するための共通認識を醸成することを目的とした報告書です。
- 本書の公開を通じて、無形資産時代への移行に伴い、ソフトウェア・データを中心として、その価値によって例外なく全ての産業の競争力が左右される「聖域なきデジタル市場」における我が国産業と市場が置かれている状況に警鐘を鳴らし、経営者や投資家、政府や自治体等の政策担当者を対象に、日本の産業競争力の向上のため、これまでの政策アプローチや産業構造に囚われない新たな官民の協力関係の構築と戦略実行を模索していくための土壌を形成することを目指しています。
- なお、本書は支払及び受取に係る国際収支のトレードオフについての深掘りや是非の議論を行うのではなく、デジタル赤字という会計上の結果を起点に、我が国産業と市場が置かれている状況の診断に重点を置いていることに留意が必要です。
- レポートの概要
- “ソフトウェア、そしてデータが、世界を飲み込んでいる。世界は、存在する文字通りすべての取得可能なデータを起点に、企業や企業の提供するサービスの付加価値がソフトウェアによって規定される「聖域なきデジタル市場」時代に突入している。 サービスの付加価値を規定するソフトウェアが売れないとハードウェアが売れない。そして、データがなければ価値あるソフトウェアが生み出せず、競争力が維持できない、という「データに全てを飲み込まれる世界」が、聖域なきデジタル市場という現実の競争環境として着実に迫っている。”
- 本書では、聖域なきデジタル市場における国際市場と我が国産業のデジタル競争力の断絶が、歪みとして我が国の国際収支に表れているという仮説の下、セミマクロの定量・定性分析に基づいて、必要な施策を経営者・政府・投資家が一体となって適切な戦略評価のもと遂行していくための示唆を提示しています。
- デジタル赤字の背景にある構造的問題の解像度を高めるため、主要な企業の財務情報などを基に、8つに細分した事業区分別の各社売上高の積み上げ、送金比率、将来の市場成長性(CAGR)の3変数を用いた新推計モデルを構築し、市況分析とシナリオ推計(ベースシナリオ、AI革命を踏まえた悲観シナリオ、貿易収支への影響推定)を実施の上、我が国が実施すべき「グローバル市場進出に基づく受取増加戦略」を提示。
- 聖域なきデジタル市場の新たな市場分析フレームワークとして「ニブモデル」※を提示し、グローバル戦略トレンドを6つに分類。世界市場におけるリーディング企業がどのような戦略趨勢を取っているのかを整理・分析し、我が国が官民で取るべき戦略実行で依拠すべき定石を描出。
- また、各国政府のデジタル赤字の状況及び動向、それに対する生存戦略を整理することで、日本が国家として参照すべき政策・産業モデルの分類、そしてそれを踏まえた戦略実行に関する示唆を提示。
- 戦略実行に際して我が国企業及び投資家が抱える構造的な問題を明らかにすることで、戦略の実現性を高めるための施策についての示唆を提供。我が国が参照すべき「国際市場進出型」の産業戦略を実行するためには、市場要因、開発要因ともに現状維持からの変革が必要であり、それぞれについての日本企業、投資家、政府が抱えるギャップを分析の上、それぞれに対する施策的示唆を提示。
~NEW~
経済産業省 「「稼ぐ力」を強化する取締役会5原則」、「「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンスガイダンス」を策定しました
- 経済産業省は、日本の上場企業の「稼ぐ力」を強化するため、「「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会」において進められてきた検討を踏まえ、「「稼ぐ力」を強化する取締役会5原則」、「「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンスガイダンス(以下「「稼ぐ力」のCGガイダンス」という。)」を策定しました。特にTOPIX500を構成する企業の取締役会の皆様及びCEOら経営陣の皆様が、これらを活用しながら、「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンスの更なる取組を行うとともに、他の企業の取組を牽引していくことを期待します。
▼ 「稼ぐ力」を強化する取締役会5原則~「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンスガイダンスより~
- 「稼ぐ力」の強化、すなわち「中長期的かつ持続的な収益性・資本効率の向上」に向けた企業経営を行う上で、価値創造ストーリー(※)を構築し、それに基づき、事業ポートフォリオの組替えや成長投資(設備投資、研究開発投資、人材投資、知財・無形資産投資等)を実行していくことが不可欠である。
- (※)長期的に目指す姿の実現に向けて、どのようなビジネスモデルを通じて、どのような社会課題を解決し、どのように長期的な企業価値向上に結びつけていくかについての一連のストーリー。
- そのためには、取締役会とCEOら経営陣がそれぞれの役割に応じて機能を発揮する実効的なコーポレートガバナンスの構築と、株主・投資家との対話の活用が重要である。
- このような企業経営を行う上で、取締役会は、以下に示す「「稼ぐ力」を強化する取締役会5原則」を踏まえて行動するとともに、CEOら経営陣においても、しかるべき行動をとることが望ましい。
- また、取締役会は、継続的に本原則を踏まえた行動がとられるよう、実効性評価を通じた評価・検証も行いながら、「稼ぐ力」の強化に資する取締役会を構築していく必要がある。
- なお、業務執行役員であっても、取締役会においては、取締役として本原則を踏まえて行動することが求められる。
- 原則1(価値創造ストーリーの構築)
- 自社の競争優位性を伴った価値創造ストーリーを構築する。
- 経営陣が策定した価値創造ストーリーの案について、以下の事項も含めて議論し、その結果を経営陣に還元するとともに、必要に応じて、経営陣に更なる検討を促す。
- 自社の強み(潜在的な強みを含む)とリンクした内容となっているか
- 社会課題やステークホルダーについて考慮されているか
- 長期的な経営環境変化の適切な分析の下、複数のシナリオが考慮されているか
- 中長期的な資本効率や成長性が考慮されているか
- 経営環境変化等に応じて、株主・投資家との対話も活用しつつ、随時、経営陣と協働して価値創造ストーリーを磨き上げる。
- 経営陣がとるべき行動
- グループの強みを生かした全体最適の視点を重視し、価値創造ストーリーを策定
- P/L視点だけでなく、B/S視点やC/F視点でも議論
- 原則2(経営陣による適切なリスクテイクの後押し)
- 経営陣が、価値創造ストーリーの実現に向け、事業ポートフォリオの組替えや成長投資等、適切なリスクテイクを行うよう、後押しする。
- 価値創造ストーリーの実現に向けた経営陣の具体的な行動が十分ではない場合には、不作為の理由も確認しつつ、経営陣に行動を促す。
- 事業ポートフォリオの組替えや成長投資等にあたり、必要十分な検討がなされているかや、その後の進捗状況・成果の確認等を行い、過度なリスクテイクは抑止する。
- 経営陣がとるべき行動
- 価値創造ストーリーの実現に向けて、資本効率と事業の成長性を考慮しつつ、事業ポートフォリオの組替えや成長投資を実行
- 原則3(経営陣による中長期目線の経営の後押し)
- 取締役会自体が短期志向に陥らないよう留意しつつ、経営陣が、中長期目線で、成長志向の経営を行うよう、後押しする。
- 資本市場からの評価も踏まえつつ、経営陣が、短期的な成果にとらわれ、中長期的な成長を犠牲にした対応を行っていないかを確認し、そのような状態となっている場合には、経営陣に改善を促す。
- 経営陣がとるべき行動
- 短期的な成果をあげることを過度に意識せず、価値創造ストーリーを基に、中長期目線で業務を執行
- 中長期的な成長による株主利益も考慮した株主還元を検討
- 原則4(経営陣における適切な意思決定過程・体制の確保)
- マイクロマネジメントとならないよう留意しつつ、経営陣の意思決定過程・体制が、迅速・果断な意思決定に資するものとなるよう促す。
- 経営陣の意思決定過程や体制を確認し、それらが価値創造ストーリーを構築し、実現する上で十分ではない場合には、経営陣に体制や仕組みの整備を促す。
- 経営陣の創意を阻害し、責任の所在が曖昧になるマイクロマネジメントの弊を避け、取締役会に期待される役割を意識して行動する。
- 経営陣がとるべき行動
- 価値創造ストーリーの構築・実現のための強靭な経営チームを組成
- 経営環境の変化も踏まえつつ、社内論理に陥ることなく、多角的な視点で議論し、意思決定できる仕組みを構築
- 原則5(指名・報酬の実効性の確保)
- 最適なCEOの選定と報酬政策の策定を行うとともに、毎年、原則1~4の内容も踏まえたCEOの評価を行い、再任・不再任を判断する。
- 経営陣と役割分担を行い、経営トップとして最適なCEOを選定するための後継者計画や価値創造ストーリーの実現に向けた報酬政策を策定する。
- 毎年、CEOの評価を通じて、CEOが期待通りのパフォーマンスを発揮しているかについて、中長期的な取組の実施状況等も含めて検証する。
- 自社の目指す姿や経営環境、CEOの評価結果等も踏まえ、CEOを誰に任せるのが最適であるかを十分に検討する。
- 経営陣がとるべき行動
- 自社の経営トップとして適切なCEO候補者を選定し、育成する仕組みを構築
- 価値創造ストーリーの実現に向けた業務執行を行うとともに、取締役会に進捗等を適切に報告
- 取締役会からの評価結果を踏まえて、翌年度以降の業務を執行
▼ 「稼ぐ力」のCGガイダンスの概要
- 目的
- 企業が、CGコードにおける原則を形式的にコンプライするのではなく、「稼ぐ力」の強化(※)に向けたCGの取組を行うことを支援する(※)単なる現時点の収益性・資本効率の向上ではなく、中長期的かつ持続的な収益性・資本効率の向上
- (注)各企業において「稼ぐ力」を強化するためのCGの取組等の一例を示すものであり、記載されている取組を一律に要請するものではない
- CGの考え方の整理
- 「稼ぐ力」の強化に向けた企業経営
- 自社の競争優位性を伴った価値創造ストーリー(※)を構築し、実行することが重要(※)長期的に目指す姿の実現に向けて、どのようなビジネスモデルを通じて、どのような社会課題を解決し、どのように長期的な企業価値向上に結びつけていくかについての一連のストーリー。
- 具体的な行動
- 事業ポートフォリオの組替え・成長投資の実行
- CEOら経営陣による価値創造ストーリーの構築と実行を支える実効的なCGの構築
- 価値創造ストーリーの構築と信頼関係の構築、将来期待の醸成に向けた株主・投資家との対話
- 「稼ぐ力」を強化する取締役会5原則
- 取締役会・CEOら経営陣が常日頃から意識して行動
- 原則1:価値創造ストーリーの構築
- 原則2:経営陣による適切なリスクテイクの後押し
- 原則3:経営陣による中長期目線の経営の後押し
- 原則4:経営陣における適切な意思決定過程・体制の確保
- 原則5:指名・報酬の実効性の確保
- 取締役会・CEOら経営陣が常日頃から意識して行動
- 「稼ぐ力」の強化に向けたCGの捉え方
- 透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための基盤
- 意思決定過程の合理性・透明性を確保しつつ、経営者に裁量と責任を与えるもの
- CGの取組の全体像
- 「稼ぐ力」の強化に向けたCGの取組
- CEOら経営陣による業務執行を様々な側面から支える取締役会の構築
- 価値創造ストーリーを立案・実現できる強靭な経営チームの組成
- CGの実効性・持続性を担保する評価・検証の仕組みの構築
- 価値創造ストーリーとCGの関連性
- 価値創造ストーリーの構築、その実現に向けた業務執行、評価・検証という全体メカニズムが実効的に機能するCGを構築することが重要
- 企業が「稼ぐ」ためのアクション
- 株主・投資家の声を適切に反映:価値創造ストーリーの磨き上げ・信頼関係の構築・将来期待の醸成
- 将来的なビジネスモデルの在り方や、その下での事業ポートフォリオの在り方を踏まえ、貴重な経営資源をコア事業の強化や将来の成長事業への投資に集中
- 「稼ぐ力」の強化に向けたCGの取組の進め方
- 自社におけるCGの在り方について十分議論し、取締役会等と経営陣が、各々の役割を果たし、バランス良く機能発揮できるよう、一貫した考え方の下で、実効的な体制・仕組みを検討することが重要
- 「稼ぐ力」の強化に向けたCGの取組
- 「稼ぐ力」の強化に向けた企業経営
- 自社におけるCGの取組の検討
- 自社におけるCGの在り方の検討
- 議論する際に重要と考えられる検討ポイント/取組例を提示
- CGの位置付け/役割分担等の明確化
- 全取締役とCEOら経営陣の共通理解
- 最適な機関設計の選択
- 議論する際に重要と考えられる検討ポイント/取組例を提示
- CGの各体制・仕組みの検討
- 「稼ぐ力」の強化の観点から特に重要と考えられる体制・仕組みを抽出し、議論する際に重要と考えられる検討ポイント/取組例を提示
- 取締役会(アジェンダ・議論活性化/権限委譲、実効性評価(取締役個人評価含む)等)
- 指名委員会(CEOの後継者計画、CEOの再任・不再任(CEO評価含む)等)
- 報酬委員会(報酬委員会の体制、報酬政策)
- CEOら経営陣(執行役員等体制(CxO等)、経営会議等の在り方、幹部候補人材の選抜・育成)
- 事務局(事務局体制・仕組み)
- 「稼ぐ力」の強化の観点から特に重要と考えられる体制・仕組みを抽出し、議論する際に重要と考えられる検討ポイント/取組例を提示
- 自社におけるCGの在り方の検討
~NEW~
経済産業省 スタートアップの製品やサービスの調達・購買を通したオープンイノベーション促進のための「共創パートナーシップ 調達・購買ガイドライン」を取りまとめました
- 経済産業省は、「共創パートナーシップ 調達・購買ガイドライン」を取りまとめました。本ガイドラインでは、事業会社によるスタートアップの製品やサービスの調達・購買を通した共創を促進するため、望ましい在り方(プロセスや推進体制)等を解説しています。また、併せて、本ガイドラインの活用を促進するため、実務的な内容を含むモデル契約書等も公開しています。
- 背景と狙い
- イノベーション創出の活性化にあたり、事業会社とスタートアップの共創の必要性については幾度となく議論され、共同研究におけるモデル契約書等の施策を通じて関係者の間でも広く浸透してきているところです。
- CVC(Corporate Venture Capital)の増加等を含め、事業会社とスタートアップの連携は加速しています。しかし、そうした連携を通じて新たな事業を開拓・創出した事例や、スタートアップの製品等を活用して大きく生産性を向上させた事例、また、そうした事例を通じて事業会社とスタートアップの双方が大きく成長した事例は未だ少ないのが現状です。
- 事業会社が新たな事業の開拓・創出や生産性の向上に繋げる上で、自社の技術等に限らず、スタートアップの有する技術等を活用する姿勢がこれまで以上に積極的になりつつある一方、その実現に向けては、事業会社とスタートアップそれぞれの経営資源や事業活動の状況、組織体制・文化を踏まえたWin-Winの関係構築により、共創の数・質を高める必要があります。この際、共同研究や出資という形式に留まらず、比較的に迅速かつ円滑に関係構築を図る方法として、調達・購買を戦略的に活用するという選択肢も重要となります。
- 「共創パートナーシップ 調達・購買ガイドライン」
- こうした背景を基に、国立研究開発法人新エネルギ―・産業技術総合開発機構(NEDO)の「令和6年度『ディープテック・スタートアップの成長に資する事業会社との新たな協業に必要なモデル・手法等に関する調査』事業」において、事業会社、スタートアップ、学識経験者を含む外部有識者等による研究会を立ち上げました。研究会では、事業会社とスタートアップが新たな事業の創出等を実現する上での課題や対応、国内外の優良事例等の調査を行いつつ、望ましい共創における事業会社の体制・役割、調達・購買の戦略的な活用の仕方、迅速・円滑な関係構築に資する調達・購買の新たな位置づけや考え方等を整理しました。また、こうした整理において新たに設定した「初期購買・検証」を進める上で望ましい契約の具体的な内容について検討を行いました。
- 研究会の取りまとめとして、事業会社におけるスタートアップの製品等の調達・購買を進めるための望ましい在り方(プロセスや推進体制等)と、新たな事業の創出等の実現を迅速かつ円滑に進めるための「初期購買・検証」に焦点を当てた「共創パートナーシップ 調達・購買ガイドライン」(通称:ベンチャークライアントモデルのガイドライン)を策定しました。また、その活用を促進するため、調達・購買の実務的な内容・解説を含む「共創パートナーシップ 初期購買モデル契約書」(通称:初期購買モデル契約書)と、事業会社とスタートアップにおける中長期的視野でのWin-Winの関係構築を支えるものとして「初期購買趣意書」を策定しました。
▼ 共創パートナーシップ 調達・購買ガイドライン(概要)
~NEW~
総務省 不法無線局の疑いのある無線機器(いわゆる「偽基地局」)からの携帯電話サービスへの混信~フィッシング詐欺等のSMSにご注意ください~
- 昨今、都内周辺をはじめとする一部の都市において、不法無線局の疑いのある無線機器からの携帯電話サービスへの混信事案が発生しており、携帯電話が圏外となったり、フィッシング詐欺等の不審なSMSを受信したりするなどの事象が発生しています。
- 実在するサイトを装って利用者を誘導するフィッシングは、近年、その手口がますます巧妙化していますので、怪しいSMSやメールのリンクをクリックしたり、IDやパスワード、個人情報などを入力したりしないよう、くれぐれもご注意ください。
- 参考:国民のためのサイバーセキュリティサイト
- フィッシング詐欺とは、送信者を詐称したメールやSMSを送りつけ、貼り付けたリンクをクリックさせて偽のホームページに誘導することで、クレジットカード番号やアカウント情報(ユーザID、パスワードなど)などの重要な情報を盗み出す詐欺のことです。なお、フィッシングはphishingという綴りで、魚釣り(fishing)と洗練(sophisticated)から作られた造語であるといわれています。
- 最近では、電子メールの送信者名を詐称し、もっともらしい文面や緊急を装う文面にするだけでなく、接続先のWebサイトを本物のWebサイトと区別がつかないように偽造するなど、ますます手口が巧妙になってきており、ひと目ではフィッシング詐欺であると判別できないケースが増えています。
- また、スマートフォンを対象として、電子メールやSMSなどのメッセージ機能からフィッシングサイトに誘導しようとする手口も増えています。
- フィッシング詐欺の手口としては、以下のようなものが挙げられます。
- 電子メールやメッセージ機能でフィッシングサイトに誘導
- 典型的な手口としては、クレジットカード会社や銀行からのお知らせと称したメールなどで、巧みにリンクをクリックさせ、あらかじめ用意した本物のサイトにそっくりな偽サイトに利用者を誘導します。
- そこでクレジットカード番号や口座番号などを入力するよう促し、入力された情報を盗み取ります。
- SNSなどの情報でフィッシングサイトに誘導
- SNSの投稿サイトにURLを載せ、クリックさせて誘導します。短縮URLを悪用し、一読しただけではアクセス先のURLが分からないものが多いため注意が必要です。
- 表示されているURLを本物のURLに見せかけてアクセスさせる手口
- 電子メールやSNSに投稿されたURLを、実在するURLに見間違えるような表示にすることで偽サイトに誘導します。
- 例えば、アルファベットの(オー)oを数字の0にしたり、アルファベットの大文字の(アイ) Iを小文字の(エル)lにしたりして、閲覧者が見間違えるのを待ちます。
- 電子メールやメッセージ機能でフィッシングサイトに誘導
- 対策としては、以下の点に注意しましょう。
- 正しいURLや正規のアプリケーションを用いてアクセスする
- 金融機関のID・パスワードなどを入力するWebページにアクセスする場合は、金融機関から通知を受けているURLをWebブラウザに直接入力するか、普段利用しているWebブラウザのブックマークに金融機関の正しいURLを記録しておき、毎回そこからアクセスするようにするなど、常に真正のページにアクセスすることを心がけましょう。 事業者が提供している正規のスマホアプリを利用することも有効です。スマホアプリをダウンロードする際は正規の提供元(Google PlayやAppStore)から入手してください。
- ドメイン名が正しいか、不審なサイトではないかを確認する
- 正規のドメイン名が分かっている場合には、ブラウザーの上部または下部に表示されているWebサイトのURLのドメイン名が一致しているかどうかを確認します。ドメイン名は「https://(ドメイン名)/」もしくは「(鍵マーク)(ドメイン名)」のように表示されます。
- WebブラウザのURLに鍵マークが表示されているにもかかわらず、フィッシングサイトであるケースが増えています。鍵マークには、Webサイトとの通信が暗号化されているという意味と、Webサイトを運営している組織が実在しているといった全く異なる意味がありますが、いずれも同じように表示されています。鍵マークだけで安心せず、より詳しく、もしくは他の方法と組み合わせて確認しましょう。
- なりすましメールに注意する
- 金融機関などの名前で送信されてきた電子メールやSMSなどのメッセージの中で、通常と異なる手順を要求された場合には、内容を鵜呑みにせず、金融機関に確認することも必要です。フィッシング詐欺であるかどうか判断が難しい場合には、メールの送信元の会社に連絡をしてみるのもよいでしょう。ただし、電子メールに記載されている相手の情報は正しいものとは限らないため、電話をかける場合には必ず正規のWebサイトや金融機関からの郵便物などで連絡先の電話番号を調べるようにしてください。
- 正しいURLや正規のアプリケーションを用いてアクセスする
~NEW~
総務省 我が国のこどもの数-「こどもの日」にちなんで-(「人口推計」から)
- 2025年4月1日現在におけるこどもの数(15歳未満人口。以下同じ。)は、前年に比べ35万人少ない1366万人で、1982年から44年連続の減少となり、過去最少となりました。
- 男女別では、男子が699万人、女子が666万人となっており、男子が女子より33万人多く、女子100人に対する男子の数(人口性比)は105.0となっています。
- こどもの数を年齢3歳階級別にみると、12~14歳が314万人(総人口に占める割合2.5%)、9~11歳が302万人(同2.4%)、6~8歳が278万人(同2.3%)、3~5歳が250万人(同2.0%)、 0~2歳が222万人(同1.8%) となっています。
- これを中学生の年代(12~14歳)、小学生の年代(6~11歳)、未就学の乳幼児(0~5歳)の三つの区分でみると、それぞれ314万人(同割合2.5%)、580万人(同4.7%)、472万人(同3.8%)となっています。
- こどもの割合(総人口に占めるこどもの割合。以下同じ。)は、1950年には35.4%と総人口の3分の1を超えていましたが、第1次ベビーブーム期(1947年~1949年)後の出生児数の減少を反映し、1970年には23.9%まで低下しました。
- その後、第2次ベビーブーム期(1971年~1974年)の出生児数の増加によって僅かに上昇し、1974年には24.4%まで上昇したものの、1975年から再び低下を続け、2025年は11.1%(前年比0.2ポイント低下)で過去最低となりました。
- なお、こどもの割合は、1975年から51年連続して低下しています。
- 都道府県別の2024年10月1日現在におけるこどもの数をみると、前年に比べ47都道府県でいずれも減少となっています。また、こどもの数が100万人を超えるのは、東京都、神奈川県の2都県となっています。
- こどもの割合をみると、沖縄県が15.8%と最も高く、次いで滋賀県及び佐賀県が12.7%などとなっています。一方、秋田県が8.8%と最も低く、次いで青森県が9.8%、北海道が9.9%などとなっています。
~NEW~
総務省 不適正利用対策に関するワーキンググループ(第8回)
▼ 資料8-1 ICTサービスの利用環境を巡る諸問題について(案)~不適正利用対策をめぐる環境変化と新たな対策について~(事務局)
- 総務省では、令和7年4月23日に、TCA((一社)電気通信事業者協会)に対して、固定・携帯電話、SMS及びメールを悪用した特殊詐欺等に対する対応に関して、要請を発出。
- 固定電話への国際電話サービスを悪用した詐欺等への対策
- 新規、移転、切り替え時の契約変更時等の機会を捉えて、国際電話サービスを悪用した詐欺の可能性を説明し、契約の必要性の確認をすることや、国際電話サービスを利用しない者に対する優遇措置等、国際電話を真に必要としない人に対して利用休止を促すような効果的な措置を検討すること。
- また、国際電話不取扱センターの体制強化を通じた国際電話サービスを休止する体制の整備、キャパシティ向上を見据えた運用改善等を検討すること。
- 携帯電話への電話サービスを悪用した詐欺等への対策
- 詐欺に誘引する電話について、国際電話発の詐欺電話を含む被害の未然防止に向けて、利用者に提供する迷惑電話対策サービスの無償化を含むより効果的な措置を検討すること。
- SMS、電子メールサービスを悪用した詐欺等への対策
- 詐欺に誘引するSMS、電子メールについて、被害の未然防止に向けて、利用者に提供する迷惑SMS、迷惑メール対策サービスの無償化を含むより効果的な措置を検討すること。
- 注意喚起・周知活動
- 固定・携帯電話、SMS及び電子メールの利用者に対して、詐欺に巻き込まれる危険性について、効果的な注意喚起や周知活動を行うこと。
- 固定電話への国際電話サービスを悪用した詐欺等への対策
▼ 資料8-2特殊詐欺の被害状況と通信技術の悪用実態(警察庁)
- 令和6年中の特殊詐欺被害の約8割が電話による接触から始まっている。
- メール・メッセージ等、ポップアップ表示もそれぞれ1割程度。
- 犯人側から被害者の携帯電話に荷電する割合の増加が顕著。
- 急増している警察官騙り(捜査・優先調査名目)の手口では、犯人側が被害者の携帯電話に荷電するものが約7割。同手口では、20~30歳代をはじめとする若年層の被害が目立つ。
- 特殊詐欺に悪用される電話番号の種別では、令和5年の7月頃から、国際電話番号が急増。
- また、国際電話の増加とともに、1つの電話番号あたりの犯行利用回数が減少している可能性も示唆される。
- 特殊詐欺に犯行利用された国際電話番号のうち、約8割が米国の電話番号
- 正規の番号を偽装する手口とは別に、末尾が「0110」の電話番号を使用することで、警察からの電話に偽装する手口も見られる。
- 悪用される番号の種別では、国際電話番号が多い。
- 令和7年5月現在も犯罪実行者募集情報は引き続き流通しており、SIMカードの売買や、認証代行を勧誘する投稿も確認されている。
~NEW~
総務省 デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会 デジタル広告ワーキンググループ(第9回)配付資料
▼ 資料9-2国際知的財産保護フォーラム(IIPPF)SNS詐欺広告WG発表資料
- 誘導型詐欺広告の認知度は8割を超えており、会員内での認知度は高い。「いいえ」の回答者でも、定義の一部である模倣品の販売があることを知らなかったり、被害が見えていないだけで調査したいなどとの積極的な意見もあり、各企業で問題視されている様子が伺われる。
- 被害にあったことが「ある」が36.4%で、「ない」の25.0%と比較し、11.4ポイント上回っている。「わからない」は38.6%で、「ある」と同程度の割合である。
- 被害のある会員で把握している件数は、「10件未満」が最多で37.5%、次いで「10〜50件未満」が25.0%である。一方で、「300件〜500件未満」や「1000件以上」と被害が大きい場合もあり、誘導型詐欺広告の被害件数は会員によってばらつきがある。
- 「Facebook」が最多で93.8%。被害のある会員のほとんどで、誘導型詐欺広告が確認されている。次いで、同じMeta系列の「Instagram」が43.8%である。「YouTube」が37.5%、「TikTok(日本版)」「その他」が31.3%と続く。「その他」としては「WeChat」などの海外SNSや、スマホアプリなどが挙げられていた。
- 「商標権」は、被害のある会員の全てで選択されており、一番侵害されやすい権利といえる。「著作権」が56.3%、「不正競争防止法」が31.3%と続く。
- 「自社によるオンライン監視」は、調査をしたことがある会員のほとんどで実施されている。他の手段としては、「一般人からの通報」が20.5%、「ベンダー等によるオンライン監視」が13.6%であった。
- 会員によって対応の種類は様々だが、「プラットフォームへの削除要請」は、対応を取ったことのある会員の全てで行われており、代表的な対応策といえる。また「公式サイト等での注意喚起」の対応をしている会員も多い。
- 「不満」と「やや不満」を合わせて68.8%で、誘導型詐欺広告への対応を行っている会員の7割近くが、プラットフォームへの対応に不満を持っていることがわかる。一方で「満足」と「やや満足」を合わせたポイントは、12.6%と少ない。
- 誘導型詐欺広告の実態把握の難しさや巧妙化に対する意見や、対応が追い付かないといったコメントが多く寄せられた。この状況を是正するため、プラットフォーム事業者での審査や罰則の強化、さらには法規制やルール策定について必要と考える旨のコメントもある。
- 権利者において考えられる対抗策
- 誘導型詐欺広告の監視・調査
- プラットフォームへの削除要請
- 発信者情報開示請求
- 警告状の送付
- 刑事摘発・行政摘発
- 民事裁判の提訴
- ホットライン等への通報対応
- 注意喚起
- 発見が難しく、対策もいたちごっことなり、根本的解決が難しい。まず、広告が膨大で調査も難しいから被害を把握すること困難である。対象を発見したとしても、被害が急激に拡大するため、削除要請対応が追い付かない。加えて、根本解決のため、発信者情報開示請求をしても、真の広告主の特定に繋がらない場合が少なくないし、時間もかかる。また、国外の業者であることが多く国境を越えて侵害行為を行っている場合に国内法を適用しての摘発や訴訟が難しいという側面もある。
- 問題点の整理
- 被害規模が大きく、容易に拡大
- 悪質なケースでは1日に数百件規模で掲載されるなど、急速に拡大している。特に、生成AIや広告作成ツール、翻訳ツールの活用により、広告の作成や出稿が容易になったことで、被害の増加に拍車がかかっている。現在は被害が少ないとされる企業であっても、突如として標的になる可能性がある。
- 削除方法が不明瞭・煩雑
- 特定の広告が複数のアカウントから大量に拡散されるケースが多く、それぞれに個別の削除要請を行わなければならないため、対応には膨大な時間と手間を要する。さらに、プラットフォームごとに削除手続が統一されておらず、担当者の判断によって対応が異なる場合もあり、権利者にとって削除要請の負担は大きい。
- 権利者において被害の実態の把握が困難
- Metaを除き、Xをはじめとするその他のプラットフォームでは、権利者が被害を把握しきれていない可能性があり、実際の被害規模との乖離が生じている。
- 広告主の特定が困難
- 広告の検索自体ができない場合、そもそも問題の広告を特定することができず、発信者情報の開示請求や警告の送付が難しい。また、広告代理店が複数介在することで、広告主の情報が隠され、ダミーの連絡先が使われるケースも多い。そのため、発信者情報開示請求を行っても、真の広告主にたどり着けない状況が続いている。さらに、誘導先のサイトが詐欺サイトである場合、テスト購入による調査もセキュリティ上のリスクが高く、容易ではない。
- プラットフォーム事業者の対応
- SNS等のサービスを提供するプラットフォーム事業者(以下「プラットフォーム事業者」という。)の一部においては対応が円滑に行われているとの回答もあったが、一方で、レスポンスが悪い、削除基準が不明確、対応を待っている間に消えて同種の広告が登場するなどの不満が寄せられている。
- 被害規模が大きく、容易に拡大
- プラットフォーム事業者への提言
- 広告主に対する審査の強化・罰則の強化
- 誘導型詐欺広告の拡散を防ぐため、広告主の審査と罰則を強化する必要がある。広告主の情報を明示し、新規アカウント作成時の本人確認や正規代理店である証明の提出を義務付けるべきである。また、悪質な広告主に対してアカウント停止や罰則を科し、同一の詐欺広告を一斉削除できるシステムの導入などが求められる。
- 広告検索機能の導入、改善
- 現状、多くのプラットフォームでは広告の検索ができず、消費者の被害通報を受けても権利者が特定・対応できないケースが多い。Metaなど一部の事業者は検索ツールを導入しており、他のプラットフォームにも同様の仕組みを導入すべきである。
- 削除の迅速化
- プラットフォーム事業者は削除の迅速化や基準の公表を主体的に行い、「〇日以内に対応」など具体的なルールを策定・公開することが求められる。これはプラットフォーム対処法の立法趣旨にも合致する。
- 権利者との対話・情報交換の強化
- プラットフォーム事業者が権利者の侵害状況を十分に把握できていないことが削除遅延の一因となっている。権利者との情報交換を強化し、削除要請の明確化や事前審査の強化を進めるべきである。また、日本語対応の不足や判断の困難さを解消するため、日本語対応の担当者配置や事前協議の場の設置が求められる
- 広告主に対する審査の強化・罰則の強化
- 立法・政府機関への提言
- ガイドラインの策定
- 情報流通プラットフォーム対処法では一定の削除手続が規定されているが、誘導型詐欺広告への明確な基準は未整備であり、権利者の不満が多い。統一的な基準の確立には、政府主導でガイドラインを策定し、侵害行為の類型化や削除基準の明確化を進めることが重要。検索ツールの導入、削除要請への対応や異議申立てへの対応に要する日数や広告主への罰則などプラットフォーム事業者において取り組みを強化、明確化すべき事項については、法令又はガイドライン等においても明記するべきである。
- 発信者情報開示請求の簡易化
- 発信者情報開示請求の制度は改善が進んでいるものの、開示までに数カ月を要し、発信者の反対意見があると開示されないなど、実務上の課題が多い。その結果、権利者は誘導型詐欺広告の広告主を特定できず、迅速な対応が困難となっている。
- 現行制度では意見照会が義務付けられているが、「権利侵害が明らか」な場合は照会を省略できる仕組みや、広告主の事前同意を取る制度など、法令や運用の改善が求められる
- 外国政府との連携
- 侵害者が海外にいるが侵害は日本で起きているため、国内外で有効な対策が講じられない状況が続いている。これに対応するため、我が国の政府機関と外国政府・取締機関が情報共有を強化し、国境を越えた執行や摘発を可能とする条約の締結や体制整備を進めることが求められる。
- 消費者への啓発
- 権利者のブランド毀損だけでなく消費者への深刻な影響も及ぼしていることから、啓発は重要。
- ガイドラインの策定
- 協力体制の構築
- これまで、模倣品の問題においては、日本の権利者とECサイト等のプラットフォーム事業者が協議を重ねて、権利侵害情報が速やかに削除される体制が構築されてきた歴史がある。
- この点、誘導型詐欺広告においては、広告が出現するプラットフォームが国外の事業者が運営するものであるため、日本の権利者との協議ができていないことにも一因があると思われる。
- IIPPFは、模倣品・海賊版等の海外における知的財産権侵害問題の解決に意欲を有する企業・団体が業種横断的に集まっており、さらに我が国の政府、及び海外との政府機関等とも連携しており、この協力体制の母体となり得る。