危機管理トピックス
更新日:2025年9月22日 新着23記事

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――
金融庁
- 「金融庁 AI官民フォーラム」(第2回)議事次第
- 金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(第2回)議事次第
- 金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第1回)議事次第
警察庁
- サイバー空間をめぐる脅威の情勢等
- 犯罪統計資料(令和7年1~8月分)
消費者庁
- 食べ残し持ち帰りガイドラインに関する研修会の資料掲載について
- 国勢調査をよそおった詐欺や不審な調査にご注意ください
- 法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律附則第5条に係る報告書(概要)
- 株式会社イングリウッドから申請があった確約計画の認定について
- 冷凍宅配食の販売事業者2社から申請があった確約計画の認定について
国民生活センター
- ガラス繊維強化プラスチックによるけがに注意!-傘の骨などに使用されています-
- カーリースに関する消費者トラブルにご注意!-カーリースってどんな契約?特徴と注意点-
- 「見守り」と「気づき」で高齢者の被害を防ごう
経済産業省
- IAEAは、海洋放出開始後4回目となるALPS処理水の海洋放出に関する安全性レビューミッションについての報告書を公表しました
- 株式会社グルーヴエナジーに対して電気事業法に基づく報告を求めました
- 株式会社シマノに対する下請法に基づく勧告が行われました
総務省
- AIセキュリティ分科会(第1回)
- オンラインカジノに係るアクセス抑止の在り方に関する検討会(第7回)
国土交通省
- 下水道管路の全国特別重点調査について優先実施箇所の調査結果を公表します~下水道管路に起因する道路
- 「港湾法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令」等を閣議決定~気候変動に対応した港湾の保全及び災害時の港湾の円滑な利用の確保~
- 「道路法等の一部を改正する法律」の施行に伴う関係政令を閣議決定~安全かつ円滑な道路交通の確保と道路分野の脱炭素化の推進に向けて~
- 短時間の記録的な大雨によって冠水したくすの木パーキングに関する対応について
~NEW~
内閣官房 デジタル関連産業のグローバル化促進のための関係閣僚会議(第4回)議事次第
▼ 資料2 デジタル関連産業のグローバル化促進のための施策(案)概要
- 国内外でDXが進む中、日本のデジタル関連収支は、過去10年で支払が7.6兆円増加する一方、受取は2.9兆円の増加。
- AI革命が生じ、デジタル化がますます進む見込みの中、国際競争力を持つデジタルソリューションを創出し、拡大するグローバル市場に展開していくことが重要。また、コンテンツの競争力を高め、海外市場における収益確保を強化していくことが重要。
- 事業者の投資促進に加え、様々な環境整備、海外との連携強化など、関係省庁が連携し、政府として取組を後押ししていく。
- 国際競争力を持つデジタルソリューションの創出及び海外展開の促進
- 国際競争力を持つデジタルソリューションを創出し、海外展開を促進するため、幅広い分野でAIやデータの利活用、サイバーセキュリティの強化を進め、質の高いソリューションを生み出すとともに、海外とのネットワーク強化等を図っていく。
- 国際競争力を持つデジタルソリューションの創出
- 製造業等における現場データ整備からAIモデル開発支援、AIロボティクスの社会実装加速
- ガバメントAIの政府全体での利用、行政事務の省力化
- 信頼できる国産汎用言語モデル開発、そのためのデータ整備等
- 公共調達等によるサイバーセキュリティ産業振興
- スタートアップ・エコシステムの推進
- 「ワット・ビット連携」等を通じたデジタルインフラの整備促進、海外展開
- 海外展開の促進
- 現地デジタル人材育成支援、現地企業等との交流支援
- DFFTや投資協定等を通じたビジネス環境整備の支援
- 国際競争力を持つデジタルソリューションの創出
- 国際競争力を持つデジタルソリューションを創出し、海外展開を促進するため、幅広い分野でAIやデータの利活用、サイバーセキュリティの強化を進め、質の高いソリューションを生み出すとともに、海外とのネットワーク強化等を図っていく。
- 日本発のデジタルコンテンツの海外市場における収益化
- 諸外国が多額の資金を投資し、国際競争が激化。2033年の海外売上高20兆円の官民目標実現のため、複数年の支援も含めた大規模・長期・戦略的な官民投資が不可欠。IP・デジタル・人材への国内投資やコンテンツ創出の支援、国際的な流通網やファンダムの形成への投資等を支援。
- 国際競争力を持つコンテンツの創出
- 海外向け大規模コンテンツ創出支援、AI等高度技術の活用、予算支援や税制を通じた研究開発強化
- 若手クリエイターによる創作活動や海外展開の支援
- 放送・配信コンテンツの製作力強化・海外展開推進
- 国内ロケ誘致等の支援、インバウンド誘致拡大の好循環
- コンテンツ分野の高度専門人材・中核的専門人材の育成
- 海外展開の促進
- 海賊版対策の推進
- 企業横断で連携した海外イベントへの出展等の支援
- 国際交流基金や在外公館による文化外交の取組
- 国際競争力を持つコンテンツの創出
- 諸外国が多額の資金を投資し、国際競争が激化。2033年の海外売上高20兆円の官民目標実現のため、複数年の支援も含めた大規模・長期・戦略的な官民投資が不可欠。IP・デジタル・人材への国内投資やコンテンツ創出の支援、国際的な流通網やファンダムの形成への投資等を支援。
~NEW~
金融庁 「金融庁 AI官民フォーラム」(第2回)議事次第
▼ 資料1 事務局説明資料
- 第2回フォーラムの位置づけ
- 2022年以降、生成AIが普及し、2024年以降、AIエージェント(エージェンティックAI)が普及。学習済みモデルであるLLM(大規模言語モデル)や各種のAI基盤を通じて、業務効率化・高度化の余地が広がるとともに、AI活用の裾野が広がっている。
- 昨年の実態調査では、AI活用を進める上で、データ整備が大きな課題との認識が示されている。
- LLMの特徴として、(1)ユーザー企業における学習が必要なく、(2)非構造化データの処理が得意であることが挙げられる。これらの特徴により、データ整備を考える上でのポイントが変化している可能性がある。
- RAGやAIエージェントを導入する上では、各種の情報の不適正利用の防止やサイバーセキュリティの観点から、適切な権限管理等の環境整備が必要と考えられる。
- そこで、技術の進展を踏まえたデータ整備その他の環境整備について、議論を深める。
- 第1回フォーラムで示された意見~データ整備関係
- データそのものが差別化であり、どう使うかも差別化であるという認識が必要。
- どのようにしてデータを集約するか、どのようにして安全に使用するかが課題。データプラットフォームの整備が生成AI活用のボトルネックになってきている。
- AI活用を進める上での主要な論点の一つはデータガバナンス。社内の様々なデータベースに保存されている情報をデータレイクに集めるべきか、データベース自体にAIを実装して運用するべきか検討が必要。データ周りのインフラ設計・ガバナンス構築が重要な課題。
- データについてはクレンジング、つまり知識として意味があるデータの分別が必要。Garbage in, garbage outと言われる通り、元のデータの品質が確保されていなければアウトプットの質は高まらない。
- エージェンティックAIでは、例えばデータの最新性が課題。
- 今後、エージェントが組織に組み込まれるために最も重要なのは、認証・認可とデータ。エージェントに人間と同じようにIDを付与し、人間と同じ権限・アクセスコントロールでデータを管理する必要がある。
~NEW~
金融庁 金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(第2回)議事次第
▼ 資料1 事務局説明資料
- セーフハーバー・ルールの効果
- 虚偽記載等の責任に対する企業側の懸念を解消し、有価証券報告書における情報開示の充実を図るとのセーフハーバーの趣旨に照らせば、民事責任に加えて課徴金も免責することが適当と考えられる。
- ただし、課徴金制度は、重要な虚偽記載等があった場合には当局が課徴金納付を命じなければならないとするものであり、ガイドライン改正によっても当局による適正な法執行を確保できることから、民事責任については法律改正、課徴金についてはガイドライン改正により、セーフハーバーを整備することが考えられる。
- 近年の証券訴訟の状況
- 近年の金商法の規定を根拠とする証券訴訟では、重要な事項について虚偽の記載があるかという点と損害賠償額の算定が主要な争点とされている。他方、会社側の過失の有無が争点化されている例は極めて少数。
- 課徴金事案の状況
- 継続開示書類(有価証券報告書等)の虚偽記載等に対する課徴金制度は、2005年の法律改正で導入。
- 課徴金制度は、開示制度の実効性確保と将来の違反行為の抑止を目的としたものであり、重要性のある虚偽記載等が対象となるが、故意や過失は要件とされていない。
- 課徴金納付命令は、実務上、証券取引等監視委員会による勧告を基に行われており、制度導入後の発行開示書類(有価証券届出書等)と継続開示書類の虚偽記載等に係る件数は、148件である。
- セーフハーバー・ルールの適用範囲
- 第1回DWGでは、不確実性が高く、正確性を求めることが投資者のニーズや企業負担の観点から必ずしも相当とは言えない情報として、非財務情報のうちの将来情報、見積り情報、統制の及ばない第三者から提供された情報(これら総称して「将来情報等」という。)に限定すべきとの方向性について、概ね一致がみられた。
- 他方、非財務情報全般を対象とすべきとの意見もあったところであるが、非財務情報の虚偽記載等についても投資者の投資判断や市場における価格形成に影響を与える可能性がある以上、その全般をセーフハーバーの対象とすることは、慎重であるべきと考えられる。
- 今般のセーフハーバー・ルールの目的が、金商法上の虚偽記載等に対する責任についての企業の懸念・負担を緩和することで、有価証券報告書における情報開示の充実を図ることにあることからすれば、まずは、その目的に整合的な範囲として、将来情報等に限定することとしてはどうか。
- 第1回DWGでは、セーフハーバー・ルールの適用範囲を非財務情報(注記を含む財務諸表以外の情報)のうちの将来情報等とすることに賛成としつつも、より明確化が必要との意見があった。
- 適用範囲の明確化は必要であるものの、今後もサステナビリティ情報を含む非財務情報の拡大が予想されることを踏まえると、一定の柔軟性も必要。このため、例えば、以下のような考え方の大枠を内閣府令やガイドラインで示すこととしてはどうか。
- 将来情報
- 有価証券報告書の作成時点からみて将来に関する情報であって、作成時点において金額、数量、事象の発生の有無等が確定していないものとする。
- 有価証券報告書の「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(MD&A)等に含まれる将来の業績予想等についてはセーフハーバーの対象となるが、財務数値を活用した上で当期中の業績を分析する部分については過去情報であり、対象外となる。
- 統制の及ばない第三者から入手した情報
- 子会社や関連会社を除く第三者から取得した情報に基づき開示される情報とする。
- データプロバイダーから取得した情報についても、企業においてその情報の正確性を検証することは困難であり、企業にとって不確実性が高いと考えられるため、セーフハーバーの対象とする。
- 見積り情報
- 不確実性のある数値について、入手可能な情報を基に合理的な数値を算出することとする。
- 一般に不確実性のあると考えられる情報をセーフハーバーの対象とするとの考え方から、過去情報であっても、見積り情報である限り対象とする。
- 引当金の金額等、財務諸表に記載される情報が非財務情報の項目に記載されていた場合、財務諸表に密接に関連する情報として、セーフハーバーの対象外とする(「主要な経営指標の推移」等も同様)。
- 将来情報
- セーフハーバー・ルールの内容・適用要件
- 第1回DWGでは、セーフハーバー・ルールの内容・適用要件として、以下の提案を行った。
- 案(1) 主観要件を過失責任から重過失責任に見直す方法
- 案(2) 一定の要件の下で合理性のある開示がなされていれば、不正な記載とはみなされないとする方法
- 委員からは、挙証責任を原告に戻した上で案①とするべき、案②が妥当であるが要件の充足が課題、信頼の要件が課されるべきといった多様な意見があった。
- 挙証責任の転換について
- 流通市場開示の虚偽記載等に対する会社の責任を定める金商法21条の2の2014年改正の際、「投資者の訴訟負担が過大にならないよう、立証責任を転換し、提出会社が自己の無過失の立証責任を負うこととすることが適当」とされた。
- 金商法21条の2(その他の民事責任規定も同様)の枠組の中で立証責任を原告に戻すことは、同条の立証負担の考え方になじまない可能性。
- 主観要件のみの見直しについて
- 主観要件のみの見直しによることとした場合、以下のような懸念があると言えるのではないか。
- 金商法を根拠とする証券訴訟において、そもそも過失の内容が争点化されていない状況であること、違法行為に対しては重過失責任が認められ得るとの考え方があることを踏まえると、セーフハーバーとして機能するか不透明 (注) 会社法429条第1項の会社役員の第三者責任は重過失責任とされているが、違法な業務の執行によって同項の責任を問われた事案が複数報告されている(岩原伸作編『会社法コンメンタール9-機関(3)』(商事法務))
- 元々故意・過失を問わない課徴金や発行開示の民事責任の免責が困難になる
- 信頼の要件については、その立証責任を原告に課した場合、立証負担が過大になるおそれがあり、投資者の訴訟負担が過大にならないように配慮された金商法の民事責任規定の考え方になじまない可能性。
- 非財務情報のうちの将来情報等については、その合理性が確保されていると認められる場合には、金商法上の民事責任の規定を適用しない
- 「合理性が確保されていると認められる場合」としては、情報開示に係る体制の整備と開示の要素を考慮することが明確性の観点からも適当と考えられる。
- 課徴金等の行政責任の免責についても、基本的に同様の要件とする。
- 金商法上の民事責任規定が適用されなくても、投資者が将来情報等の虚偽記載等と損害との因果関係や会社の過失を立証した上で、一般不法行為法上の責任を追及することは可能と考えられる。
- 発行開示における責任や役員の責任についても、同様の要件の下でセーフハーバーの対象とすることが考えられるか。
- 民事責任の免責については、故意犯処罰を原則とする刑事責任の免責を検討しないこととの整合性を踏まえ、上記の要件に加えて、故意でないことも要件とすることも考えられるか。
- 有価証券報告書と確認書には、以下の事項の記載が求められることとなる。こうした開示を通じて、企業内のガバナンス機関さらには経営者が関与する形で開示手続の整備と向上が進み、その結果として非財務情報等の将来情報等の合理性も確保されることが期待される。
- このため、以下の有価証券報告書と確認書の記載事項が真実であることを前提に、その開示をもってセーフハーバーが適用されるものとすることが考えられる。
- 挙証責任の転換について
- 第1回DWGでは、セーフハーバー・ルールの内容・適用要件として、以下の提案を行った。
- 確認書制度の見直しについて
- 第1回DWGでは、代表者及び最高財務責任者が有価証券報告書の記載内容が適正であることを確認する現行の確認書の記載事項に、以下の事項を追加することを提案。
- 開示手続を整備していること
- 開示手続の実効性を確認したこと
- 委員からは、確認書の対象は有価証券報告書全体に及んでいるため、見直し不要との意見もあったものの、
- 非財務情報の拡充が進む中で、情報開示に対する経営者の意識付けの向上が必要
- セーフハーバーの要件との関係でも経営者が開示手続について確認することは重要
といった観点から、概ね、事務局提案に賛同を得られた。
- 経営者の意識付けの向上やセーフハーバーの要件との接続といった観点の合理性のほか、諸外国の制度と比較しても整合性があり、また、企業に過剰な負荷を求めるものではないと考えられるため、提案のとおり、記載事項を追加することとしてはどうか。
- 第1回DWGでは、代表者及び最高財務責任者が有価証券報告書の記載内容が適正であることを確認する現行の確認書の記載事項に、以下の事項を追加することを提案。
- ご議論いただきたい事項
- 虚偽記載等に対する責任のあり方
- セーフハーバー・ルールの効果について、民事責任のほか、課徴金を免責の対象とすることについてどう考えるか。
- セーフハーバー・ルールの適用範囲の明確化について、どう考えるか。
- セーフハーバー・ルールの内容・適用要件について、案①と案②のいずれが妥当と考えるか。
- 確認書制度の見直し
- 確認書の見直しの方向性について、留意すべき点はないか。
- 虚偽記載等に対する責任のあり方
~NEW~
金融庁 金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第1回)議事次第
▼ 資料4 事務局説明資料
- 諸外国における課徴金制度
- 米国
- 不公正取引規制等に係る民事制裁金の上限は違法行為の重大性により以下の3段階で設定されている(2025年のインフレ調整後の額。括弧内は元々の条文の上限)。但し、民事手続の場合は、不当利得の額が上記金額を超える場合は不当利得の額まで請求可能。
- 第1段階(通常の違法行為) 自然人:$11,823($5,000) 法人:$118,225($50,000)
- 第2段階(詐欺・相場操縦等) 自然人:$118,225 ($50,000) 法人:$591,127($250,000)
- 第3段階(多大な損失等) 自然人:$236,451 ($100,000) 法人:$1,182,251 ($500,000)
- 但し、インサイダー取引規制違反の民事制裁金の上限は不当利得の3倍(監督責任者については$2,626,135 ($1,000,000)又は不当利得の3倍のいずれか大きい額)とされている。
- また、民事制裁金に加えて、違法な利益の吐出しも同時に請求可能
- 不公正取引規制等に係る民事制裁金の上限は違法行為の重大性により以下の3段階で設定されている(2025年のインフレ調整後の額。括弧内は元々の条文の上限)。但し、民事手続の場合は、不当利得の額が上記金額を超える場合は不当利得の額まで請求可能。
- EU・英国
- 不公正取引規制に係る行政上の金銭的制裁について、EU各国はその上限の下限値を少なくとも以下の額とする必要がある旨が規定されている(EU各国はこの上限を引き上げることも可能)(英国も同様)。
- 不当利得の3倍
- 自然人の場合は5百万ユーロ(又は自国の通貨におけるこれに相当する価格)
- 法人の場合は15百万ユーロ(又は自国の通貨におけるこれに相当する価格)又は年間売上高の15%
- 不公正取引規制に係る行政上の金銭的制裁について、EU各国はその上限の下限値を少なくとも以下の額とする必要がある旨が規定されている(EU各国はこの上限を引き上げることも可能)(英国も同様)。
- 米国
- 金融商品取引法における高速取引行為
- 近年、アルゴリズムを用いて高速、高頻度かつ自動的に行う金融商品取引(HFT(High Frequency Trade))が行われているところ、金融商品取引法上、当該取引は「高速取引行為」として規制の対象とされている。
- 具体的には、「高速取引行為」は有価証券の売買等であって、電子的かつ自動的な判断に基づいて行われ、かつ、取引所等に対する電子的伝達が短縮されるものと定義されており(金融商品取引法第2条第41項、金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令第26条)、取引所のコロケーション・サービス等を利用した高速かつ自動的な取引が想定されている。
- 高速取引行為の取引の傾向高速取引行為を行う者は、マイクロ秒単位で競い合い、高速・高頻度に注文を繰り返して薄利の取引を大量に行う傾向にあり、また、超短期的なリスクと向き合うため、ポジションの偏りを日中で解消し、翌日まで持ち越さないという傾向にある。
- 2019年6月~2023年3月までの高速取引行為者の利益を銘柄ごと/日ごとに集計したところ、左図のとおり、1銘柄・1日あたりの利益額は1万円未満が大半(約80%)を占めている。
- EMMoUの概要
- MMoUの概要
- 金融庁はIOSCO(証券監督者国際機構)が策定した各国証券監督当局間の協議・協力及び情報交換に関する多国間覚書(Multilateral Memorandum of Understanding concerning Consultation and Cooperation and the Exchange of Information:MMoU)(平成14年5月)に署名しており(平成20年2月)、これまでもMMoUに基づく協力が実施されてきた。
- MMoUは法的拘束力のない意図表明文書であり、既存の国内法令(金融商品取引法第189条等)により許容される範囲でのみ実施がなされるものと位置付けられている。
- EMMoUの概要
- IOSCOによるMMoUの策定以降、金融市場のグローバル化と相互関連性の進展等を踏まえ、MMoU署名当局同士の情報共有・協力を強化する必要性が明らかになった。
- こうした背景を踏まえて、IOSCOでは、出頭強制の権限の追加等、既存のMMoUを強化した各国証券監督当局間の協議・協力及び情報交換に関する多国間覚書(Enhanced Multilateral Memorandum of Understanding concerning Consultation and Cooperation and the Exchange of Information:EMMoU)を策定し、平成29年より署名申請の受付を開始。
- 令和7年8月末現在、29当局(米国SEC、英国FCA等)が署名している。
- EMMoUの署名のための要件の一つとして、申請当局が出頭強制の権限を有している必要があるとされているところ、金融庁は当該権限を有していないため、EMMoUの署名のための要件を満たしていない。
- MMoUの概要
- 犯則調査の対象となる犯則事件
- 犯則事件は、金融商品取引法第8章の罪のうち、有価証券の売買その他の取引又はデリバティブ取引等の公正を害するものとして政令で定めるものに係る事件と定義されている。
- 犯則事件の対象となる金融商品取引法第8章の罪は政令において下表のとおり(略)列挙されているが、金融商品取引業の無登録業等に係る罪は列挙されていない。
- ご議論いただきたい事項
- インサイダー取引規制における公開買付者等関係者の範囲の拡大について、公開買付者等の未公表の内部情報を知り得る特別の立場にある者を規定するという現行制度の考え方を踏まえ、どう考えるか。
- 課徴金の適用範囲及び算定基準の見直しについて、対象行為ごとに一般的・抽象的に想定し得る経済的利得相当額を基準としつつ一定の加算・減算を行うという現行制度の在り方を踏まえ、どう考えるか
- 効果的・効率的な検査・調査の実施のための課徴金の減算制度の拡大、出頭命令の権限の追加、無登録業を行う者に対する犯則調査権限の創設等について、どう考えるか。
- その他、証券市場における不公正な取引の抑止力を高めていく観点から留意すべきことはあるか
~NEW~
警察庁 サイバー空間をめぐる脅威の情勢等
▼ 令和7年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について
- はじめに
- 令和7年上半期においては、政府機関、金融機関等の重要インフラ事業者等におけるDDoS攻撃とみられる被害や情報窃取を目的としたサイバー攻撃、国家を背景とする暗号資産獲得を目的としたサイバー攻撃事案等が相次ぎ発生したほか、生成AIを悪用した事案等の高度な技術を悪用した事案も発生している。このようなサイバー攻撃の前兆ともなるぜい弱性探索行為等の不審なアクセス件数は前年に引き続き高水準で推移しており、その大部分が海外を送信元とするアクセスが占めている。また、令和7年上半期におけるランサムウェアの被害報告件数は116件と、令和4年下半期と並び最多となっており、このようなランサムウェアの被害拡大の背景には、ランサムウェアの開発・運営を行う者が、攻撃の実行者にランサムウェア等を提供し、その見返りとして身代金の一部を受け取る態様(RaaS)を中心とした攻撃者の裾野の広がりがあると指摘されている。
- また、情報通信技術の発展が社会に便益をもたらす反面、インターネット空間を悪用した犯罪も脅威となっている。例えば、インターネットバンキングに係る不正送金、証券口座への不正アクセス・不正取引、SNSを通じて金銭をだまし取る詐欺、暗号資産を利用したマネー・ローンダリングが発生するなど、インターネット上の技術・サービスが犯罪インフラとして悪用されている実態が見られる。
- さらに、インターネット上には、規制薬物の広告等の違法情報や犯罪を誘発するような有害情報が存在するほか、近年SNS上に氾濫する犯罪実行者募集情報は深刻な治安上の脅威となっている。
- このような状況に対し、警察では検挙に向けた取組を進めており、例えば、全国のクレジットカード情報不正利用関連犯罪を分析し、不正に取得・売買されたクレジットカード情報の支払いに用いられたと認められる暗号資産の流れを捜査した結果、令和6年9月から令和7年3月までの間に、サイバー特別捜査部及び関係都道府県警察において、男女20名の被疑者を検挙した。
- このほか、警察庁では、中国を背景とするサイバー攻撃グループ「Salt Typhoon」によるサイバー攻撃に関する国際アドバイザリーの共同署名に加わり、パブリック・アトリビューションとしてアドバイザリーを公表するとともに、ランサムウェア「Phobos/8Base」により暗号化されたデータを復号するツールを開発し広く周知するなど、被害の未然防止・拡大防止に向けた様々な取組を実施している。
- 令和7年上半期における脅威情勢の概要
- 令和7年上半期においては、政府機関や金融機関等の重要インフラ事業者等におけるDDoS攻撃とみられる被害や情報窃取を目的としたサイバー攻撃等が相次ぎ発生。
- 警察庁が設置したセンサーにおいて検知した、ぜい弱性探索行為等の不審なアクセス件数は高水準で推移しており、その大部分の送信元が海外。
- 令和7年上半期におけるランサムウェアの被害報告件数は116件であり、半期の件数として令和4年下半期と並び最多。
- 情報通信技術の発展が社会に便益をもたらす反面、インターネットバンキングに係る不正送金事案や、SNSを通じて金銭をだまし取るSNS型投資・ロマンス詐欺、暗号資産を利用したマネー・ローンダリングが発生するなど、インターネット上の技術・サービスが犯罪インフラとして悪用。
- 令和7年上半期におけるフィッシング報告件数は119万6,314件、インターネットバンキングに係る不正送金事犯の被害総額は約42億2,400万円。
- 令和6年秋以降、犯罪グループが企業に架電し、ネットバンキングの更新手続等をかたってメールアドレスを聞き出し、フィッシングメールを送付するボイスフィッシングという手口による法人口座の不正送金被害が急増。
- 令和7年3月から5月にかけて、証券会社をかたるフィッシングメールの送付や証券口座への不正アクセス・不正取引が急増。金融庁及びフィッシング対策協議会によれば、不正売買金額は約5,780億円、証券会社をかたるフィッシングメール報告件数は17万8,032件。
- インターネット上には、規制薬物の広告等の違法情報や犯罪を誘発するような有害情報が存在するほか、近年SNS上に氾濫する犯罪実行者募集情報は深刻な治安上の脅威。令和7年上半期中のインターネット・ホットラインセンター(IHC)の受理件数のうち、運用ガイドラインに基づいて282,787件を分析した結果、違法情報を44,973件と判断。また、犯罪実行者募集情報を6,346件と判断。
- 国家の関与が疑われるサイバー攻撃
- 国家の関与が疑われるサイバー攻撃としては、まず、軍事技術へ転用可能な先端技術や、国の機密情報の窃取を目的とするサイバー攻撃(サイバーエスピオナージ)が挙げられる。これは、企業の競争力の源泉を失わせるのみならず、我が国の経済安全保障等にも重大な影響を及ぼしかねず、また、現実空間におけるテロの準備行為として、重要インフラの警備体制等の機密情報を窃取するためにサイバーエスピオナージが行われている懸念もある。例えば、令和元年(2019年)頃から、日本国内のシンクタンク、政府、政治家、マスコミに関係する個人及び組織に対し、MirrorFaceと呼ばれるサイバー攻撃グループが、情報窃取を目的としたサイバー攻撃を行っており、これらサイバー攻撃は、中国の関与が疑われる組織的なサイバー攻撃活動であると評価されている。
- また、暗号資産等の窃取による外貨獲得を目的とする国家の関与が疑われるサイバー攻撃も発生している。例えば、令和6年(2024年)3月、国連安全保障理事会北朝鮮制裁委員会の専門家パネルは、平成29年(2017年)から令和5年(2023年)にかけて世界各国で発生した北朝鮮の関与が疑われる暗号資産関連事業者に対するサイバー攻撃事案58件(被害額約30億米ドル相当)を調査した結果、北朝鮮における外貨収入の約半数がサイバー攻撃により獲得され、大量破壊兵器計画に使用されていると公表した。我が国においても、令和6年(2024年)5月、北朝鮮を背景とするサイバー攻撃グループTraderTraitorが、国内の暗号資産関連事業者から約482億円相当の暗号資産を窃取した事案が発生している。
- さらに、重要インフラの機能停止等を企図したとみられる国家の関与が疑われるサイバー攻撃も発生している。例えば、令和4年(2022年)5月には、ロシアによるウクライナ侵略の際の約1時間前に、ロシア政府が国際衛星通信へのサイバー攻撃を行い、欧州全域に影響を及ぼした事案が発生したとして、EUやウクライナ等が非難声明を発表している。令和6年(2024年)2月には、米国国土安全保障省サイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)等が複数国の関係機関と合同で、中国を背景とするサイバー攻撃グループ Volt Typhoon によるサイバー攻撃に関する注意喚起を実施しており、米国の重要インフラ事業者への侵害が確認されているほか、有事の際に重要インフラに対するサイバー攻撃を行うため、事前に重要インフラ事業者等のネットワークへのアクセス権限を確保している旨が指摘されている。また、同グループによるサイバー攻撃の特徴として、Living Off The Land 戦術等による高度な検知回避能力が挙げられているところ、同攻撃手口に関しては、ネットワーク機器のぜい弱性の悪用等により侵入を行った後、従来から行われているマルウェアを用いたサイバー攻撃とは異なり、システム内に組み込まれている正規の管理ツール、コマンド、機能等を用いることから検知が容易ではないとして、令和6年6月、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)等が注意喚起を実施している。
- 犯罪組織等によるサイバー攻撃
- 犯罪組織等によるサイバー攻撃としては、まずランサムウェアによる攻撃が挙げられる。ランサムウェアとは、感染すると端末等に保存されているデータを暗号化して使用できない状態にした上で、そのデータを復号する対価(金銭又は暗号資産)を要求する不正プログラムであり(図表2)、近年は、データを窃取したうえ、「対価を支払わなければ当該データを公開する」などと対価を要求する二重恐喝の被害も多くみられる。また、ランサムウェアによって流出したとみられる事業者の財務情報や個人情報等が、ダークウェブ上のリークサイトに掲載されていたことが確認されている。
- 攻撃の態様としては、ランサムウェアの開発・運営を行う者が、攻撃の実行者にランサムウェア等を提供し、その見返りとして身代金の一部を受け取るもの(RaaS:Ransomware as a Service)も確認されている。また、ECサイトのぜい弱性を悪用するなどにより窃取した、標的企業のネットワークに侵入するための認証情報等を売買する者も存在するように、複数の関与者が役割を分担してサイバー攻撃を成り立たせている。その結果、攻撃の実行者が技術的な専門知識を有する必要もなくなるなど、攻撃者の裾野の広がりがみられている。
- 令和7年上半期におけるランサムウェアの被害報告件数は116件であり、半期の件数として令和4年下半期と並び最多となった。組織規模別のランサムウェア被害件数は、前年と同様に中小企業が狙われる状況が継続しており、77件で約3分の2を占めて件数・割合ともに過去最多となった。RaaSによる攻撃実行者の裾野の広がりが、対策が比較的手薄な中小企業の被害増加につながっていると考えられる。
- ランサムウェアによる被害に遭った企業・団体等に実施したアンケートの結果によると、令和6年と比較して、ランサムウェアの被害による調査・復旧費用が高額化しており、1,000万円以上を要した組織の割合は、50%から59%に増加した。中小企業の被害が増える中で費用負担が増加しており、被害組織の経営に与える影響は決して小さくないと考えられる。
- 次に、犯罪組織等によるサイバー攻撃として、DDoS攻撃が挙げられる。重要インフラの基幹システムに障害を発生させるサイバー攻撃(サイバーテロ)は、インフラ機能の維持やサービスの供給を困難とし、国民の生活や社会経済活動に重大な被害をもたらすおそれがある。
- 例えば、令和6年12月下旬から令和7年1月上旬にかけ、交通機関や金融機関等の重要インフラ事業者等において、DDoS攻撃によるとみられる被害が相次いで発生し、空港において手荷物の自動チェックイン機が使えない障害や、インターネットバンキングにログインしづらい状況が発生するなど、実際に国民の生活に被害がもたらされた。
- また、令和7年6月、政府機関、自治体、民間事業者等が運営する複数のウェブサイトにおいてDDoS攻撃による被害とみられる閲覧障害が複数発生した。同じ頃、SNS上に、ハクティビストのものと思われるアカウントから、それらの犯行をほのめかす投稿が確認された。
- SNS・メッセージングアプリ等を悪用した犯罪
- 多くの国民が利用するSNSは、犯罪インフラとして悪用されている実態がみられる。例えば、各種犯罪により得た収益を吸い上げる中核部分が匿名化され、SNSを通じるなどしてメンバー同士が緩やかに結び付くなどの特徴を有する「匿名・流動型犯罪グループ」が、SNSで仕事の内容を明らかにせず、「高額」「即日即金」「ホワイト案件」等、「楽で、簡単、高収入」を強調する表現を用いるなどして、犯罪実行者を募集し、特殊詐欺等を敢行している実態がみられる。
- その際、首謀者、指示役、犯罪実行者の間の連絡手段には、匿名性が高くメッセージが自動的に消去される仕組みを備えた通信手段が悪用されている実態がみられる。このほか、同グループの関与が認められるものとして、SNSを通じて対面することなく、やり取りを重ねるなどして関係を深めて信用させ、投資金名目やその利益の出金手数料名目等で金銭をだまし取る又は恋愛感情や親近感を抱かせて金銭をだまし取るSNS型投資・ロマンス詐欺があり、まさにSNSが犯罪インフラとして悪用されている。
- 令和7年上半期中の、特殊詐欺の被害額は約597億3,000万円(前年同期比162.1%増)と、過去最悪となった令和6年の被害額を上回るペースで推移しており、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害額についても約590億8,000万円(前年同期比10.7%減)と昨年に引き続き高止まりしている状況となっている。
- このような事案に関しては、インターネットを通じて知り合った人物から誘われ、海外渡航した結果、特殊詐欺に加担させられる事案も発生している。
- また、近年は、SNS上での特定の個人に対する誹謗中傷も社会問題化しているほか、SNSの匿名で不特定多数の者に瞬時に連絡を取ることができる特性から、児童買春等の悪質な事犯の「場」となっている状況もうかがえる。実際、SNSに起因して性犯罪等の被害に遭った児童の数は、依然として高い水準で推移している。特に、小学生の被害児童数が近年増加傾向にあり、被害児童の低年齢化が懸念される状況にある。
- 加えて、インターネットやスマートフォンの普及に伴い、画像情報等の不特定多数の者への拡散が容易になったことから、交際中に撮影した元交際相手の性的画像等を撮影対象者の同意なくインターネット等を通じて公表する行為により、被害者が長期にわたり精神的苦痛を受ける事案も発生している。
- さらに、オンラインゲームに関連する事案も発生しており、例えば、オンラインゲーム内のアイテムを現実世界で取引するリアルマネートレードに起因する犯罪が発生している。
- メール・SMSを悪用した犯罪
- メールやSMSは、フィッシングに悪用される実態がみられる。フィッシングとは、実在する組織を装ってメールやSMSのリンクから偽のウェブサイト(フィッシングサイト)へ誘導し、同サイトでアカウント情報やクレジットカード番号等を不正に入手する手口であり、これによって得られた情報はインターネットバンキングに係る不正送金やクレジットカードの不正利用に使われている。
- 令和7年上半期におけるフィッシング報告件数は、フィッシング対策協議会によれば、119万6,314件であり、右肩上がりの増加が続いている。
- また、令和7年上半期におけるインターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生件数は2,593件、被害総額は約42億2,400万円となっており、フィッシングがその手口の約9割を占める。
- なお、令和元年頃からリアルタイム型フィッシングにより二段階認証を突破する手口が横行している。
- なお、不正送金に関するフィッシング以外の手口については、マルウェア感染を契機とした事例やSIMスワップ2によって本人確認を突破する手口も引き続きみられた。
- さらに、一般社団法人日本クレジット協会によれば、令和7年1月から3月までのクレジットカードの不正利用被害額は約193億円(前年比55.6%増)と、依然として厳しい情勢にある。
- ボイスフィッシングによる不正送金被害
- 令和6年秋以降、犯罪グループが企業に架電し、ネットバンキングの更新手続等をかたってメールアドレスを聞き出し、フィッシングメールを送付するボイスフィッシング(ビッシング)という手口による法人口座の不正送金被害が急増した。令和7年上半期においては、同年4月にかけて、地方を拠点とした中小規模の金融機関でも多くの被害が出たほか、1回あたりの不正送金額が約4億円となる高額な被害がみられるなど、被害件数及び被害額が急激に増加した。
- 警察庁及び金融庁では、同種被害を防止するため、注意喚起を始めとした各種対策を講じ、同年4月における被害件数及び被害額は同年3月に比して大きく減少し、同年5月及び6月には被害の発生はみられなかった。
- 証券口座への不正アクセス等の急増
- 令和7年3月から5月にかけて、証券会社をかたるフィッシングメールの送信や証券口座への不正アクセス及び不正取引が急増した。
- 金融庁及びフィッシング対策協議会によれば、令和7年上半期における証券口座への不正アクセス件数は13,121件、不正取引件数は7,277件、不正売買金額は約5,780億円、証券会社をかたるフィッシングメール報告件数は17万8,032件となっており、フィッシングメールの増加に伴い、証券口座への不正アクセス及び不正取引も増加したものとみられる。
- なお、証券会社におけるインターネット取引認証の強化、警察庁及び金融庁による注意喚起を始めとした各種対策により、同年6月における証券会社をかたるフィッシングメール報告件数及び証券口座不正取引額は同年5月に比して大きく減少した。
- ウェブサイトを悪用した犯罪
- SNSやSMSの利用なく、ウェブサイトそのものが悪用されて犯罪が敢行される実態もみられる。例えば、海外のサーバを通じてインターネット上に掲載された、実在する企業のサイトを模したフィッシングサイトのほか、インターネットショッピングに係る詐欺や偽ブランド品販売を目的とするサイト等(以下単に「偽サイト等」という。)に係る被害が多発しているところ、警察庁においては、都道府県警察等が相談等を通じて把握した偽サイト等に係るURL情報を集約しており、その件数は右肩上がりに増加している。
- インターネットバンキング
- 特殊詐欺の被害のうち、振込型による被害(認知件数8,213件、被害額約369億8,000万円)を分析すると、インターネットバンキングを利用したものの認知件数・被害額は増加傾向にあり、認知件数は振込型全体の約4割、被害額は振込型全体の約6割を占めている。
- さらに、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害のうち、振込型による被害(認知件数3,560件、被害額約408億5,000万円)を分析すると、インターネットバンキングを利用したものの認知件数は振込型全体の約6割、被害額は振込型全体の約7割を占めている。
- 暗号資産
- 暗号資産については、利用者の匿名性が高く、その移転がサイバー空間において瞬時に行われるという性質から、犯罪に悪用されたり、犯罪収益等が暗号資産の形で隠匿されたりするなどの実態がみられる。特に、海外の暗号資産交換業者で取引される暗号資産の中には、取引に関する情報を秘匿化できる暗号資産もあり、マネー・ローンダリングに利用されるおそれが高いものも存在する。また、インターネットバンキングに係る不正送金においても、不正送金された現金を、暗号資産に交換した後、取引の匿名性を高めるサービスや、暗号資産取引所を介さず個人間で暗号資産取引を行う相対屋を経由しながら送金を繰り返すなどして取引を複雑化させ、追跡を困難にしている。
- 犯罪実行者募集情報
- 近年インターネット上には、匿名・流動型犯罪グループ等による犯罪の実行者を募集する犯罪実行者募集情報が氾濫しており、応募者らにより実際に強盗や特殊詐欺等の犯罪が敢行されるなど、この種情報の氾濫がより深刻な治安上の脅威になっている。
- 強盗・窃盗等についても、SNSや求人サイト等で「高額」、「即日即金」「ホワイト案件」等の文言を用いて犯罪実行者が募集された上で実行される実態がうかがわれる。このような匿名・流動型犯罪グループによるものとみられる手口により実行された強盗事件等の中には、被害者を拘束した上で暴行を加えるなど、その犯行態様が凶悪なものもみられる。
- 災害発生時等における偽情報
- 大規模災害発生時におけるインターネット上の偽情報・誤情報については、信ぴょう性の確認や判断に時間を要し、被災地等において救助活動への支障や社会的混乱を生じさせるおそれがある。
- 実際、災害時に、過去の震災の際に撮影された画像を悪用して、同地域における治安が悪化したり、甚大な被害が発生したりしているとの印象を与えるような日本語・外国語の偽情報等がSNS上で拡散された事例等が確認されている。
- オンライン上で行われる賭博事犯
- 警察庁では、令和6年度、オンラインカジノの利用実態やサイトの情報を把握するため、調査研究を行っており、この結果、国内におけるオンラインカジノサイトの利用経験者の推計は約337万人であり、国内における年間賭額の推計は約1兆2,423億円であった。
- スマートフォン等からアクセスして賭博を行う「無店舗型」のオンラインカジノについては、アクセス数の増加及びこれに伴う依存症への問題が強く指摘されているほか、これを通じた我が国資産の海外流出、マネー・ローンダリングへの利用等が懸念されている。
- 国際連携
- サイバー事案の多くは国境を越えて敢行されるため、そうした事案への対処には国際連携が重要であるところ、警察においては、サイバー空間における脅威に関する情報の共有、国際捜査共助に関する連携強化、情報技術解析に関する知識・経験等の共有等のため、多国間における情報交換や協力関係の確立等に積極的に取り組んでいる。例えば、警察庁サイバー警察局では、関係省庁と、令和7年6月に仏国で開催されたサイバー犯罪条約の締約国等が参加する「サイバー犯罪条約委員会会合」に参加し、各国におけるサイバー犯罪対策への取組みについて議論や情報共有を行うなど、国際的な連携の更なる強化を推進するとともに、EUROPOLにサイバー事案対策専従の連絡担当官を置いており、同機関での継続的な情報共有・分析、国際機関が主催する捜査会議への積極的な参画等に取り組んでおり、その結果、サイバー特別捜査部をはじめとする日本警察は、国際共同捜査へ参画している。これらの国際共同捜査では、被疑者の検挙、犯罪インフラの停止、暗号資産の押収等によって、ランサムウェアグループの活動を停止又は縮小させるなどの成果を得ている。
- また、ICPO加盟国の法執行機関に加えて、国外の民間企業や学術機関が参加するICPOデジタル・フォレンジック専門家会合に参加し、情報技術解析に関する知識・経験等の共有を図っているほか、情報セキュリティ事案に対処する組織の国際的な枠組みであるFIRST( Forum of Incident Response and Security Teams)に加盟し、組織間の情報共有を通じ、適切な事案対処に資する技術情報の収集を行っている。
- サイバー攻撃を想定した業務継続計画(BCP)の推進
- サイバー攻撃の被害がいつどこでも起こり得る情勢を受け、警察は、企業等におけるサイバー攻撃を想定した体制の構築を推進している。例えばランサムウェア被害により業務停止に陥る例は後を絶たないが、サイバー攻撃を想定した業務継続計画(BCP)を整備済の組織は少ない。ランサムウェア被害のあった企業・団体にアンケート調査を行った結果、BCPを整備済の組織の割合は6%であった。ランサムウェアによるデータ暗号化は地震などの物理的災害とは被害の状況が異なり、調査・復旧作業や広報のあり方も、そのような災害時とは異なる対応が求められるため、サイバー攻撃を想定したBCPを事前に準備しておくことが望ましい。他にも、暗号化対策となるオフラインバックアップ、侵害範囲特定に不可欠なログ取得、訓練、警察との連携等、サイバー攻撃のリスクを考慮した管理体制の構築が被害の抑制に有効である。
- 令和7年6月には内閣府政府広報室とともにランサムウェア対策を紹介する広報啓発動画を制作するなど、幅広く注意喚起に取り組んでいる。
- 高度な技術を悪用したサイバー攻撃に関するインフラへの対処
- サイバー攻撃事案で使用された不正プログラムの解析等を通じてC2サーバとして機能している国内のサーバを把握し、当該C2サーバの不正な機能を停止するよう、サーバを管理する事業者等に依頼するなどして、C2サーバの対策を継続的に実施している。
- 日本警察は、INTERPOLが主導しているアジア・南太平洋地域における情報窃取型マルウェアの対策を行うための国際共同捜査「Secure」に参画し、26か国の捜査機関が協力して捜査を行うなどして、関係C2サーバのテイクダウン等を行うことで犯行抑止、被害防止を実施した。
- フィッシングサイト対策
- 警察庁においては、都道府県警察や一般財団法人日本サイバー犯罪対策センター(JC3)等が相談等を通じて把握した海外の偽サイト等に係るURL情報を集約し、ウイルス対策ソフト事業者等に提供しており、当該事業者によってウイルス対策ソフトの機能による警告表示等、当該サイトの閲覧を防止する対策がとられている。
- また、1つのIPアドレス上に、数百のフィッシングサイトが構築されているといったフィッシングサイトの特性を踏まえた先制的な対策として、警察庁において、同一のIPアドレスに紐づくドメイン情報を独自に収集し、未把握のフィッシングサイトを発見・提供している。
- さらに、フィッシングの手口が巧妙化し、被害が急増している情勢に鑑み、利用者保護のため、フィッシングサイトにアクセスさせないための対策として、「なりすましメールを防ぐ技術(DMARC9等)への対応促進」を始め、「フィッシングサイトの閉鎖促進」や「パスワードに代わって生体認証等により簡単かつ安全にログインできる認証方法(パスキー)の普及促進」について、所管省庁を通じ、事業者に対する対策の要請を実施した。
- フィッシングサイト対策として、JC3では、専門的な知識を持たない人であってもプラットフォーム事業者等に対してサイトのテイクダウン依頼を行うことができるツールを開発し、サイバー防犯ボランティア等に提供するとともに、警察庁後援のもと、サイバー防犯ボランティア向けの「フィッシングサイト撲滅チャレンジカップ」を実施している。
- インターネットバンキングに係る不正送金対策
- 警察庁は、令和6年秋からボイスフィッシングによる法人口座の不正送金被害が急増する深刻な事態を受け、金融庁、全国銀行協会及び一般財団法人日本サイバー犯罪対策センター(JC3)と連名で、広報啓発資料「サイバー警察局便り」を作成した上で、警察庁ウェブサイト等にて公開し、その手口の詳細や対策に関する注意喚起を実施した。
- 証券口座不正取引対策
- 特に証券口座不正取引の被害情勢を踏まえ、警察庁は、令和7年7月、金融庁と連名で、日本証券業協会を含む金融関係協会に対して、被害を踏まえた具体的なフィッシングの手口やその対策を示した上で、顧客口座・アカウントの不正アクセス・不正取引対策の強化について要請した。
- クレジットカード不正利用対策
- 各都道府県警察で把握した、悪用されたクレジットカード番号を警察庁で速やかに集約し、カード発行会社を含む決済システム全体を統括する国際ブランド各社に対し、一括して提供しており、クレジットカード発行会社における不正利用対策に活用されているところ、令和7年上半期は、約85万件のクレジットカード番号を国際ブランド各社に提供した。
- 能動的サイバー防御(ACD)について
- 近年、サイバー攻撃による政府や企業の内部システムからの情報窃取等が大きな問題となっているほか、重要インフラ等の機能を停止させることを目的とした高度な侵入・潜伏能力を備えたサイバー攻撃に対する懸念が急速に高まっている。特に、重要インフラの機能停止や破壊等を目的とした重大なサイバー攻撃は、国家を背景とした形でも日常的に行われるなど、安全保障上の大きな懸念となっている。
- こうした中、令和4年12月に閣議決定された国家安全保障戦略において、「サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させる」ことを目標に掲げ、重大なサイバー攻撃による被害の未然防止・拡大防止を図るために能動的サイバー防御を導入することとされた。
- 同戦略に基づき、政府は、令和6年6月、サイバー安全保障分野における新たな取組の実現のために必要となる法制度の整備等について検討を行うため、「サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議」を開催し、同年11月、「サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた提言」が取りまとめられた。
- 令和7年5月、第217回国会において、同提言の内容を踏まえたサイバー対処能力強化法(以下「強化法」という。)及び同整備法(以下「整備法」という。)が成立した。強化法及び整備法は、「官民連携の強化」、「通信情報の利用」及び「攻撃者のサーバ等へのアクセス・無害化措置」の3つを取組の柱としている。
- このうち警察関係では、整備法により、警察官職務執行法の一部が改正され、サイバー攻撃による重大な危害を防止するための警察によるアクセス・無害化措置を可能とする規定が新たに設けられた。同規定は、令和8年11月までに施行することとされているところ、警察では、その施行に向け、内閣官房国家サイバー統括室や防衛省・自衛隊、外務省等との連携の強化を図るとともに、サイバー人材の確保・育成や資機材の整備、外国治安機関との関係構築等を通じて、サイバー空間における対処能力の更なる強化を図っている。
~NEW~
警察庁 犯罪統計資料(令和7年1~8月分)
- 令和7年1~8月における刑法犯総数について、認知件数は504155件(前年同期480589件、前年同期比+4.9%)、検挙件数は190799件(180277件、+5.8%)、検挙率は37.8%(37.5%、+0.3P)
- 凶悪犯の認知件数は4764件(4572件、+4.2%)、検挙件数4087件(3872件、+5.6%)、検挙率は85.8%(84.7%、+1.1P)、粗暴犯の認知件数は40578件(382248件、+6.1%)、検挙件数は31688件(30906件、+2.5%)、検挙率は78.1%(80.8%、▲2.7P)、窃盗犯の認知件数は336768件(326274件、+3.2%)、検挙件数は110279件(104291件、+5.7%)、検挙率は32.7%(32.0%、+0.7P)、知能犯の認知件数は47550件(40072件、+18.7%)、検挙件数は13028件(11778件、+10.6%)、検挙率は27.4%(29.4%、▲2.0P)、風俗犯の認知件数は12963件(11562件、+12.1%)、検挙件数は10479件(8973件、+16.8%)、検挙率は80.0%(77.6%、+3.2P)
- 詐欺の認知件数は44422件(37014件、+20.0%)、検挙件数は10875件(9758件、+11.4%)、検挙率は24.5%(26.4%、▲1.9P)
- 万引きの認知件数は69834件(65040件、+7.4%)、検挙件数は46832件(43561件、+7.5%)、検挙率は67.1%(67.0%、+0.1P)
- 特別法犯総数について、検挙件数は40772件(41190件、▲1.0%)、検挙人員は31680人(32965人、▲3.9%)
- 入管法違反の検挙件数は3448件(3916件、▲12.0%)、検挙人員は2323人(2652人、▲12.4%)、軽犯罪法違反の検挙件数は3979件(4299件、▲7.4%)、検挙人員は3912人(4352人、▲10.1%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は3122件(3651件、▲14.5%)、検挙件数は2233人(2693人、▲17.1%)、ストーカー規制法違反の検挙件数は893件(861件、+3.7%)、検挙人員は733人(687人、+6.7%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は2928件(2698件、+8.5%)、検挙人員は2222人(2082人、+6.7%)、銃刀法違反の検挙件数は2872件(2971件、▲3.3%)、検挙人員は2425人(2534人、 ▲4.3%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は6739件(1217件、+453.7%)、検挙人員は4570人(723人、+532.1%)、大麻草栽培規制法違反の検挙件数は97件(4557件、▲97.9%)、検挙人員は87人(3616人、▲97.6%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は5665件(5298件、+6.9%)、検挙人員は3754人(3568人、+5.2%)
- 来日外国人による 重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数346人(299人、+15.7%)、ベトナム74人(43人、+72.1%)、中国40人(53人、▲24.5%)、フィリピン23人(21人、+9.5%)、ブラジル20人(23人、▲13.0%)、インドネシア18人(4人、+350.0%)、スリランカ18人(13人、+38.5%)、インド17人(12人、+41.7%)、バングラデシュ11人(3人、+266.7%)
- 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較の総数について、検挙件数は5468件(6398件、▲14.5%)、検挙人員は2804人(3374人、▲16.9%)、強盗の検挙件数は49件(58件、▲15.5%)、検挙人員は99人(110人、▲10.0%)、暴行の検挙件数は244件(283件、▲13.8%)、検挙人員は215人(259人、▲17.0%)、傷害の検挙件数は453件(566件、▲20.0%)、検挙人員は554人(664人、▲16.6%)、脅迫の検挙件数は102件(198件、▲18.2%)、検挙人員は154人(200人、▲23.0%)、恐喝の検挙件数は195件(225件、▲13.3%)、検挙人員は230人(241人、▲4.6%)、窃盗の検挙件数は2450件(3191件、▲23.2%)、検挙人員は402人(476人、▲15.5%)、詐欺の検挙件数は1128件(1054件、+7.0%)、検挙人員は586人(689人、▲14.9%)、賭博の検挙件数は43件(49件、▲12.2%)、検挙人員は70人(87人、▲19.5%)
- 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較の総数について、検挙件数は2624件(2932件、▲10.5%)、検挙人員は1595人(1937人、▲17.7%)、入管法違反の検挙件数は12件(20件、▲40.0%)、検挙人員は9人(20人、▲55.0%)、軽犯罪法違反の検挙件数は21件(35件、▲40.0%)、検挙人員は16人(33人、▲51.5%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は24件(59件、▲59.3%)、検挙人員は20人(60人、▲66.7%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は23件(37件、▲37.8%)、検挙人員は39人(50人、▲22.0%)、銃刀法違反の検挙件数は44件(47件、▲6.4%)、検挙人員は33人(30人、+10.0%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は651件(167件、+289.8%)、検挙人員は316人(67人、+371.6%)、大麻草栽培規制法違反の検挙件数は14件(524件、▲97.3%)、検挙人員は9人(321人、▲97.2%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は1474件(1646件、▲10.4%)、検挙人員は875人(1060人、▲17.5%)、麻薬特例法違反の検挙件数は127件(67件、+89.6%)、検挙人員は65人(23人、+182.6%)
~NEW~
消費者庁 食べ残し持ち帰りガイドラインに関する研修会の資料掲載について
▼ 資料1_食べ残し持ち帰り促進ガイドライン説明資料
- 消費者及び事業者に向けた食べ残しの持ち帰りに関する食品衛生ガイドライン(概要版)
- 背景及び基本的な考え方
- 食べ残しの持ち帰りが消費者の自己責任であることを前提。
- 消費者及び事業者に対し食品衛生上の一定の配慮事項を示すもの。
- 食べ残しの持ち帰りに対する消費者及び事業者双方の意識の変化や行動変容につなげる。
- 対象 客に飲食させる施設(レストラン、居酒屋、ホテル等)
- ※テイクアウト用の食事を提供する施設/学校、病院等の集団給食施設は対象外
- ガイドラインの使い方
- 消費者は、本ガイドラインを参考に食べ残しの持ち帰りを判断。
- 事業者は、本ガイドラインを参考に消費者に移し替え時の配慮や持ち帰る際の注意事項等を伝達。
- 持ち帰りに適する食品は事業者が判断、消費者は事業者の指示に従う。
- 地域・文化的な背景も踏まえ、柔軟な取組にも配慮。
- 消費者への留意事項
- 温度が高いところに放置しない、速やかに喫食する。
- 一度手を付けた食品の食べ残しは、その本人が喫食。
- 食物アレルギーがある者へ譲渡しない。
- 異味、異臭等を感じた場合は喫食しない。
- 事業者への留意事項
- 持ち帰りに適する食品の判断は十分に加熱されていること等により検討。
- 生ものや半生など加熱が不十分な料理は慎重に検討。
- 清潔な容器と移し替え用の清潔な器具を消費者に提供。
- 留意事項はチラシ等で消費者へ伝達。
- 消費者及び事業者への共通留意事項
- 消費者及び事業者は保健所の行う調査に対して協力する。
- 消費者への留意事項
- 背景及び基本的な考え方
- 事業者として飲食店に求められる行動
- 食べ残し持ち帰りについて合意する際に事業者としてなすべきこと
- 食べ残し持ち帰りについて合意する際、一定の注意事項を説明するなどの一定の義務を尽くすことが、民事上の法的な責任の軽減に。
- 持ち帰る飲食物を特定し提供する際における義務を果たすこと(生ものなどについては持ち帰りに合意しないなど)
- 持ち帰って食べる際の安全性に関する注意事項の説明をすること。
- ※合意の際の状況は様々なため、顧客の年齢や飲酒の状況等を踏まえて丁寧に口頭でも説明するなど、状況に応じた取組を行うことが望ましい。
- 食べ残し持ち帰りについて合意する際、一定の注意事項を説明するなどの一定の義務を尽くすことが、民事上の法的な責任の軽減に。
- 食べ残し持ち帰りに伴い取り得る方策
- 利用規約も有効
- ※顧客によるSNS等での発信により飲食店に損害が発生した場合、損害賠償請求する可能性があることについての確認条項を設けるなど)。
- もっとも、SNS等で発信するか否かは顧客に委ねられている。
- そこで、一定の注意事項を説明するなどの義務を尽くすことが、顧客に対して誠実性を示すこととなり、結果的にSNS等で飲食店の名誉・信用を毀損するような発信をする可能性を減らすことにつながり得る。
- 食べ残し持ち帰りに取り組んでいることを周知し、事業者としてCSR活動に真摯に取り組んでいるという姿勢をアピールすることなどの活動が、ステークホルダーの理解を得ることにつながり、結果的に上記のような可能性の軽減に資する。
- 利用規約も有効
- 食べ残し持ち帰りを促進するための方策
- 消費者の理解の促進と行動変容を促す。
- e.g.:顧客に対し、食中毒に関する正しい理解及びアレルゲンに関する事項の周知
- 食べ残し持ち帰りは食品ロス削減という観点からSDGsの目標達成に貢献するものであることなどの周知等。
- mottECOを通じた取組。
- その他
- 万が一の事後的なトラブルに備えて、持ち帰りの日時、対象物等を記録管理
- 食べ残し持ち帰りについて合意する際に事業者としてなすべきこと
~NEW~
消費者庁 国勢調査をよそおった詐欺や不審な調査にご注意ください
- 国勢調査では、以下は絶対にありません!
- 金銭を要求すること
- 銀行口座の暗証番号、クレジットカード番号を聞くこと
- 年収、預金額などの資産状況等を聞くこと
- 国勢調査員は、その身分を証明する『国勢調査員証』等を携帯しています
- ⼀部の地域では、調査員業務を「建物を管理する事業者等」に委託しており、『国勢調査業務委託証明書』を携帯しています。
- インターネットで回答する際は偽サイト等にご注意ください!
- 調査をよそおった不審なメールやウェブサイトには、返信・アクセスしないでください。
- 回答は、調査書類に記載のQRコード又はこちら(https://www.e-kokusei.go.jp/)からアクセスをお願いします。
- 調査の詳細は国勢調査2025キャンペーンサイトをご確認ください。
- 不審に思った際は、回答しないで速やかにお住まいの市区町村にお知らせください。
- 具体的な被害の相談については、以下に相談を!
- 最寄りの警察署又は警察相談専用電話( #9110)
- サイバー事案に関する相談窓口
- 消費者庁、国民生活センターからの注意喚起もご参照ください。
~NEW~
消費者庁 法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律附則第5条に係る報告書(概要)
- 経済社会情勢の変化等
- 令和6年7月11日 最高裁判決:法を引用し、配慮義務違反に基づく不法行為が成立し得る旨を判示
- 「宗教団体等は・・・寄附者の自由な意思を抑圧し、寄附者が献金をするか否かについて適切な判断をすることが困難な状況に陥ることがないようにすることや、献金により寄附者又はその配偶者その他の親族の生活の維持を困難にすることがないようにすることについても、十分に配慮することが求められるというべきである(法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律3条1号、2号参照)」
- 上記最高裁判決を引用する下級審判決も出てきている。
- <裁判例調査>も実施:法を直接適用する裁判例は2年間では不見当
- 意識調査
- 消費者庁が不当寄附勧誘防止法の運用をしていることを知っていた:29.0% / 知らなかった:71.0%
- 法が社会的に許し難い悪質な寄附勧誘の抑止や改善に向け効果を発揮すると思う:75.0% / 効果はないと思う:25.0%
- 被害者等への意見聴取
- 一定の抑止力は働いている。最高裁判決は評価できる。
- 実効的な被害救済のための法の検討が必要。
- 「法人等」から個人へ規制対象を拡大することはできないのか
- 「困惑」要件が厳しいので見直すことはできないのか 等
- 寄附勧誘への支障を考慮し規制をこれ以上強化すべきでない。
- 消費者庁の法運用は、やれることが果たされ、妥当。
- 周知啓発は工夫しつつ継続して行うべき。
- 施行からこれまでに寄附勧誘への特段の支障は生じていない。
- 「霊感」の文言が宗教そのものへのイメージ低下につながる。
- 執行アドバイザー会議からの意見(概要)
- 法の執行について
- 現在の情報受付体制、調査対象の選定、調査手法は妥当
- 以下については更なる充実の余地
- 調査不能とならないための方策
- 収集した事案の情報提供の在り方
- 寄附勧誘者の細分化やデジタル化等を踏まえ事案を注視
- 法の規定、法改正の要否・立法事実の有無について
- 法の全面施行から2年を経過した現時点において、法改正すべき立法事実は認められない
- 今後、相当程度の期間における事案の蓄積状況を注視し、以下の点について必要に応じ検討
- (「法人等」で捕捉できない事案が出てきた場合) 対象を「個人事業者」にまで広げること
- 配慮義務として規定されている正体や目的を隠した勧誘を、禁止行為として規定すること
- 禁止行為の「困惑」要件について、予防効果を図るために行政措置との関係では不要とすること
- (要件が厳しいが故に行政措置が適切に講じられないなどの問題が生じた場合) 要件を再検討すること
- 第3条・第6条での複数の要件の組合せでの対策は適切と評価
- 寄附に関する様々な立場に配慮したより良い情報収集のための方策について検討の余地
- 周知啓発について
- 誰もが利用する場所での実効性の高い周知啓発
- 若年層を含めた幅広い層への周知啓発
- 法の執行について
- 結論
- 法の全面施行から2年を経過した現時点において、法改正すべき立法事実は認められない。
- 今後、相当程度の期間における事案の蓄積状況を注視し、必要に応じて検討。
- 法の執行及び周知啓発については、更なる充実を図る。
~NEW~
消費者庁 株式会社イングリウッドから申請があった確約計画の認定について
- 消費者庁は、株式会社イングリウッドが供給する「三ツ星ファーム」と称する冷凍宅配食について行っていた表示に係る景品表示法違反被疑事件において、確約手続に付すことが適当であると判断し、令和7年8月28日、同法第30条の規定に基づき、同社に対し、確約手続に係る通知を行ったところ、同社から、同法第31条第1項の規定に基づき、確約計画の認定の申請がありました。消費者庁は、当該確約計画は、前記行為の影響を是正するために十分なものであり、かつ、その内容が確実に実施されると見込まれるものであると認め、本日、同条第3項の規定に基づき、当該確約計画を認定しました。
- なお、本認定は、消費者庁が、同社の前記行為が同法の規定に違反することを認定したものではありません。
~NEW~
消費者庁 冷凍宅配食の販売事業者2社から申請があった確約計画の認定について
- 消費者庁は、冷凍宅配食の販売事業者2社が供給する「あえて、」と称する冷凍宅配食について行っていた表示に係る景品表示法違反被疑事件において、確約手続に付すことが適当であると判断し、令和7年8月7日、同法第30条の規定に基づき、2社に対し、確約手続に係る通知を行ったところ、2社から、同法第31条第1項の規定に基づき、確約計画の認定の申請がありました。消費者庁は、当該確約計画は、前記行為の影響を是正するために十分なものであり、かつ、その内容が確実に実施されると見込まれるものであると認め、本日、同条第3項の規定に基づき、当該確約計画を認定しました。
- なお、本認定は、消費者庁が、2社の前記行為が同法の規定に違反することを認定したものではありません。
~NEW~
国民生活センター ガラス繊維強化プラスチックによるけがに注意!-傘の骨などに使用されています-
- PIO-NETには、ガラス繊維強化プラスチックが使用された商品から飛び出したガラス繊維を触ってけがをした、あるいはそのおそれがあったとする相談が寄せられています。
- ガラス繊維強化プラスチックは、細いガラス繊維の束に樹脂をしみ込ませて成形したもので、傘の骨、園芸用ポール、テントの支柱など、軽量で弾性が求められる部位に用いられることがあります。ガラス繊維は細く肉眼では見えづらいため、気づかず露出した部分に触れると、けがをするおそれもあります。
- そこで、PIO-NETに相談の多い、ガラス繊維強化プラスチックが使用された傘について調査を行い、消費者に注意喚起することとしました。
- PIO-NETに寄せられた相談
- 子どもが人とすれ違うときにぶつかり、グラスファイバー製の傘の親骨が折れて細かなガラス繊維が手に刺さった。特に子どもには危険な商品だと思う。
- 数年前に購入した傘をさそうとしたら手に激しい痛みがあった。表示を見るとグラスファイバー製との記載があった。危険な商品を販売するのは問題だと思う。
- テスト結果
- 軽量で弾性が求められる傘の骨にガラス繊維強化プラスチックが使用されていました。
- テスト対象とした傘に使用されていたガラス繊維強化プラスチックは、樹脂表面付近にまでガラス繊維が出ていました。
- 新品時でも傘の骨の表面にガラス繊維の先端が露出しているものがありました。
- 曲げたり傷つけたりすると、ガラス繊維の先端が樹脂表面から飛び出してくることがありました。
- 表示からガラス繊維強化プラスチックが使用されていることが分からない商品や、ガラス繊維についての注意表示がない商品がありました。
- 家庭用品品質表示法で規定された項目が表示されていない銘柄がありました。
- 消費者へのアドバイス
- ガラス繊維強化プラスチックは、表面からガラス繊維の先端が露出していることがあります。表示の有無にかかわらず、不用意に素手で触らないなど、取扱いには注意しましょう。
- ガラス繊維が皮膚に刺さって痛みなどが続く場合は、医師の診察・処置を受けましょう。
~NEW~
国民生活センター カーリースに関する消費者トラブルにご注意!-カーリースってどんな契約?特徴と注意点-
- カーリースとは、リース会社が所有する車を一定の期間借りて利用できるサービスです。購入した場合に必要となる初期費用のほか、車の維持にかかる税金や点検整備費用等が月々のリース代金に含まれているため、毎月定額料金で車を利用できることが特徴です。以前は法人を対象にしたものがほとんどでしたが、ここ数年ライフスタイルの多様化や新車の供給体制の変化等により一般消費者を対象にした契約が増加傾向にあり、それに伴い相談件数もここ数年増加傾向にあります。
- 相談内容を見ると、カーリースの仕組みや契約内容を契約時に十分に把握していないことが原因で、中途解約時や契約満了時にトラブルとなっている事例が複数寄せられています。
- そこで、トラブルの未然・拡大防止のため、カーリース契約の仕組みや相談事例を紹介し、消費者に注意を呼びかけます。
- カーリースの仕組み
- カーリース契約は、リース会社が消費者に期間を設けて車を貸し出す形で提供するものです。車の購入の場合は販売店と消費者との売買契約ですが、カーリース契約はリース会社と消費者の賃貸借契約となり、車の所有者はリース会社になります。原則として中途解約ができず、解約できる場合でも解約料等が生じる、多くの場合走行距離等、利用に関する制約がある等の特徴があります。
- リース料の算出方法
- 基本的には以下のようなパターンとなります。
- 車の価格から契約期間終了時に想定される車の残存価値(残価)を差し引く。
- カーナビなどのオプション費用、契約期間中の車の維持に関する諸費用(登録費用、税金、保険料、車検整備費用など)、リース手数料等を加算して総額を出す。
- 総額を契約期間内で分割して月々の支払額を決定する。
- 基本的には以下のようなパターンとなります。
- 相談事例
- ローンと同じと言われ契約したが走行距離制限や中途解約料があるカーリース契約だった。
- 契約期間内にカーリースの解約を申し出たら突然解約料を請求された。
- カーリース契約満了後、残価を支払わないと車を受け取れないと言われた。
- 9年後、車が自分のものになると勧誘されカーリース契約をしたが実際は違った。
- 相談事例からみる問題点
- 消費者にとってカーリースの仕組みや購入した場合との違い等を認識しにくい。
- 特に中途解約する場合や契約満了時の条件等についてトラブルになりやすい。
- アドバイス
- カーリースの仕組みを理解して、自身の利用方法に合っているかをよく検討しましょう。
- 契約書の内容をしっかり確認して不明な点があれば必ず契約前に事業者に確認しましょう。
~NEW~
国民生活センター 「見守り」と「気づき」で高齢者の被害を防ごう
- 見守りと気づきのポイント
- 居室・居宅の様子
- 不審な契約書や請求書、宅配業者からの不在通知などはないか
- 不審な健康食品、魚介類などはないか
- 新品の布団など、同じような商品が大量にないか
- 屋根や外壁などに不審な工事の形跡がみられないか
- 複数社から配達された新聞や景品類はないか
- 居室が不自然に散らかっていないか
- 不審な業者が出入りしている形跡はないか
- 本人の言動や態度など
- 不審な電話やメールのやり取りなどはないか
- お金に困っている様子はないか
- 預金通帳などに不審な出金の記録はないか
- 何を買ったか覚えていないなど、判断能力に不安はないか
- 元気がないなど困った様子はないか
- 居室・居宅の様子
- ひとこと助言
- 困ったとき、心配なときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。家族や地域包括支援センターの職員など周囲の方からでも相談できます。
- 「知らない電話には出ない」「その場で契約せず家族や周囲に相談する」など対応策も伝えましょう。地域の見守り活動や留守番電話機能なども活用しましょう。
~NEW~
経済産業省 IAEAは、海洋放出開始後4回目となるALPS処理水の海洋放出に関する安全性レビューミッションについての報告書を公表しました
- 9月12日(オーストリア・ウィーン時間)、IAEA(国際原子力機関)は、東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の海洋放出に関する安全面の報告書を公表しました。
- 報告書では、ALPS処理水の海洋放出について、これまでIAEAが公表した報告書と同様に、タスクフォースにより、「関連する国際安全基準の要求事項と合致しないいかなる点も確認されなかった」と結論づけられています。
- 概要
- 2025年5月26日から30日にかけて、IAEAの職員及び国際専門家(アルゼンチン、カナダ、韓国、中国、米国、ベトナム及びロシア)が日本を訪れ、ALPS処理水の海洋放出に関する安全性レビューミッションを行いました。本レビューミッションは、海洋放出開始後4回目となります。
- 今回公表された海洋放出開始後4回目の報告書は、今年5月にIAEAが行ったレビューミッションの結論をとりまとめたものです。本報告書では、海洋放出開始後第1回から第3回までの報告書における結論と同様に、タスクフォースにより、「関連する国際安全基準の要求事項と合致しないいかなる点も確認されなかった」ことが明記されています。
- 報告書のポイント
- 評価の観点
- 報告書では、IAEAタスクフォースと日本政府(原子力規制委員会、環境省、水産庁、経済産業省及び外務省)、福島県及び東京電力との間で行われた議論、東京電力福島第一原子力発電所への現地調査を通じて、ALPS処理水に関する日本の各種モニタリングプログラムを評価・理解し、これらのプログラムが関連する国際安全基準に合致しているかどうかの確認が行われています。
- 主な評価結果
- 報告書では、IAEAによる結論は、全体として放出開始後にこれまで行われた3回のレビューミッションで強調された結論と一致しています。
- タスクフォースにより、関連する国際安全基準の要求事項と合致しないいかなる点も確認されなかった。したがって、IAEAは、「包括報告書」に記載された安全性レビューの根幹的な結論を再確認することができる。
- タスクフォースは、ALPS処理水のために実施されているモニタリングプログラムが、関連する国際安全基準及び指針と一致していることを確認した。これらのプログラムは適切に記述、実施されており、その結果は、ALPS処理水の放出が人および環境に及ぼすリスクは無視できる程度であるという放射線環境影響評価(REIA)の結論と一致している。
- タスクフォースは、ALPS処理水の放出に関する安全監視を維持するため、原子力規制委員会が自らのモニタリングプログラム及び現地での立会を通じて、ALPS処理水に対する規制上の監視を継続してきたことを強調した。
- タスクフォースは、機器及び設備が実施計画及び関連する国際安全基準に合致した方法で設置され、運用されていることを確認した。
- タスクフォースは、IAEAの継続的な裏付け活動並びに現地での独立したテスト及び分析が重要であることを指摘した。IAEAは、東京電力と日本政府から報告されたデータの正確性と信頼性について、包括的で透明性のある独立した検証を提供するため、この監視を続けていく。
- 評価の観点
- IAEA報告書を受けた対応
- 日本政府は、引き続き、IAEAレビューを通じて国際安全基準に従った対策を講じ続け、ALPS処理水の海洋放出の安全確保に万全を期していきます。また、今後ともIAEAと連携し、国際社会に対して透明性が高い情報提供を行っていくとともに、ALPS処理水の海洋放出の安全性について、国内外の一層の理解を醸成していくことに努めていきます。
~NEW~
経済産業省 株式会社グルーヴエナジーに対して電気事業法に基づく報告を求めました
- 経済産業省は本日、株式会社グルーヴエナジーに対して、容量拠出金を納入期限までに納入しなかった事案について、電気事業法第106条第3項の規定に基づく報告を求めました。
- 概要
- 株式会社グルーヴエナジーは、電力広域的運営推進機関による勧告に従わず、同機関の定款第55条の2第5項に基づく容量拠出金の納入期限までに納入しませんでした(同機関から2024年9月から2025年3月分の滞納について公表済み)。同社が滞納状況を解消していないことを踏まえ、経済産業省は、本日、同社に対して、電気事業法第106条第3項の規定に基づき、滞納している容量拠出金の支払いに向けた計画、本事案の原因の特定及び再発防止策について報告するよう求めました。
- 関連条文
- 電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)
(報告の徴収)
第百六条(略)
2(略)
3 経済産業大臣は、第一項の規定によるもののほか、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、小売電気事業者等、一般送配電事業者、送電事業者、配電事業者、特定送配電事業者、発電事業者又は特定卸供給事業者に対し、その業務又は経理の状況に関し報告又は資料の提出をさせることができる。
- 電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)
~NEW~
経済産業省 株式会社シマノに対する下請法に基づく勧告が行われました
- 中小企業庁及び近畿経済産業局が、株式会社シマノ(以下「シマノ」という。)に対して調査を行った結果、下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」という。)第4条第2項第3号(不当な経済上の利益の提供要請の禁止)に該当する行為が認められたので、令和7年7月31日に、中小企業庁長官は、下請法第6条の規定に基づき、公正取引委員会に対して措置請求(注)を行いました。
- これを受け、公正取引委員会は、シマノに対して調査を行ってきたところ、本日、下請法第7条第3項の規定に基づきシマノに対して勧告を行いました。
- (注) 中小企業庁長官が、下請法第4条に違反する事実があるかどうかを調査し、その事実があると認めるときに、公正取引委員会に対し、下請法の規定に従い適当な措置を採るべきことを求めること。
- 違反行為者の概要
- 法人番号 3120101003399
- 名称 株式会社シマノ
- 本店所在地 堺市堺区老松町三丁77番地
- 代表者 代表取締役 島野 泰三
- 事業の概要 自転車部品等の製造販売
- 資本金 356億1309万8351円
- 違反事実の概要
- シマノは、資本金の額が3億円以下の法人たる事業者に対し、自社が販売する自転車部品等(以下「本件製品等」という。)の製造を委託している(以下この受託事業者を「下請事業者」という。)。
- シマノは、下請事業者に対して自社が所有する金型、機械装置及び工具器具(以下「金型等」という。)を貸与していたところ、令和5年12月1日以降、当該金型等を用いて製造する本件製品等の発注を長期間行わないにもかかわらず、下請事業者に対し、自己のために無償で、合計4,313個の金型等を保管させるとともに当該金型等の現状確認等の棚卸作業を1年間当たり2回行わせることにより、下請事業者の利益を不当に害していた(下請事業者121名)。
- シマノは、令和5年12月1日から令和6年12月末日までの間に、前記4,313個のうち468個の金型等を回収し又は下請事業者に廃棄させている(下請事業者42名)。
- ※シマノは、下請事業者に貸与している金型等について、保管費用等の支払の手続を進めている。
- 公正取引委員会が行った勧告の概要
- シマノは、下請事業者に対し、無償で金型等を保管させるとともに当該金型等の棚卸作業を行わせたことによる費用に相当する額を公正取引委員会の確認を得た上で速やかに支払うこと。
- シマノは、次の事項を取締役会の決議により確認すること。
- 前記2.2.の行為が下請法第4条第2項第3号に掲げる行為に該当し、同項の規定に違反するものであること
- 今後、自己のために経済上の利益を提供させることにより、下請事業者の利益を不当に害さないこと
- シマノは、前記1.及び2.に基づいて採った措置を自社の役員及び従業員に周知徹底すること。
- シマノは、前記1.から3.までに基づいて採った措置を取引先下請事業者に通知すること。
- シマノは、前記1.から4.までに基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告すること。
▼ (令和7年9月17日)株式会社シマノに対する勧告について
~NEW~
総務省 AIセキュリティ分科会(第1回)
▼ 資料1-4 AIシステムに対する脅威の事例(三井物産セキュアディレクション株式会社)
- AIシステムに対する脅威の事例として以下が挙げられる。※「AISIの分類」は、AISI「AIシステムに対する既知の攻撃と影響」より引⽤。
- モデル抽出攻撃
- モデル抽出攻撃
- AIシステムのエンドポイント(API等)に対して繰り返しアクセスし、AIモデルへの⼊出⼒情報を観察することで、同程度の性能を持つ複製モデルを作成する攻撃⼿法。
- 競争上の地位低下や、モデルに含まれる機密情報の窃取などにつながる。
- LLMの⼊出⼒情報を観察してAIモデルを抽出する攻撃
- 画像識別AIを模倣したAIを作成する攻撃
- モデル抽出攻撃
- 学習データ情報収集攻撃
- モデル反転攻撃
- AIの学習データを再現する攻撃⼿法。
- ランダムに初期化した画像をAIシステムに⼊⼒し、その結果として得られるAIモデルの内部情報(勾配情報)を基に、初期化画像を窃取対象の画像に近づけていくもの
- 画像識別AIの内部構造を観察することで学習データを窃取する攻撃
- メンバーシップ推論攻撃
- ⼊⼒画像に対する画像識別AIの応答を観察することで、⼊⼒した画像がAIの学習データに含まれているかどうかを推測する攻撃⼿法。
- 学習が不⼗分な画像識別AIは、学習した画像と学習していない画像では、明確に異なる応答を返すため、その性質を悪⽤するもの。
- 画像識別AIの挙動を観察することで学習データを推測する攻撃
- モデル反転攻撃
- モデルポイズニング攻撃
- モデルポイズニング攻撃
- AIモデル⾃体を細⼯することで、AIモデルの出⼒データを改ざんする攻撃⼿法。
- 攻撃者によって細⼯されたAIモデルを外部の学習済みモデルをホストするサービスから調達し、システムに組み込んでサービスを提供してしまうと、AI利⽤者のプロンプトに対し、AI提供者の意図しない不正な回答をAIモデルが出⼒してしまう。
- 学習済みモデルを細⼯してLLMの挙動を操作する攻撃
- 細⼯された学習済み画像識別AI経由で悪意のあるコードを実⾏する攻撃
- バックドアが設置された学習済み画像識別AIを使⽤した攻撃
- モデルポイズニング攻撃
- データポイズニング攻撃
- データポイズニング攻撃
- AIモデルの学習データやファインチューニングデータを細⼯(特定のプロンプトに対して不正な内容を指⽰する、特定の画像を誤識別させる等)することで、AIモデルの出⼒データを改ざんする攻撃⼿法。
- 攻撃を受けた場合、AI利⽤者が⼊⼒したプロンプトに対し、AI提供者の意図しない不正な回答をAIモデルが出⼒する。画像識別AIは攻撃者しか知り得ない特定の⼊⼒画像を、攻撃者が意図した物体として誤識別する(その他の⼊⼒画像は正しく識別される)
- 学習データを細⼯してLLMの挙動を操作する攻撃
- ファインチューニングデータを細⼯してLLMの挙動を操作する攻撃
- 学習データを細⼯して画像識別AIにバックドアを設置する攻撃
- データポイズニング攻撃
- 回避攻撃
- 回避攻撃
- AIモデルに⼊⼒する画像に、⼈間には識別できない微細なノイズを混ぜる(誤識別を誘発するように細⼯する)ことで、AIの挙動を操作する攻撃⼿法。
- ⼊⼒画像を細⼯することで画像識別AIの誤識別を誘発する攻撃
- 回避攻撃
- スポンジ攻撃
- スポンジ攻撃
- AIモデルが稼働するシステムの計算資源を枯渇させる攻撃⼿法(DoS攻撃とも呼ぶ)。
- 攻撃者がAIモデルのファインチューニングデータや⼊⼒データを細⼯することで、システムの計算資源を⼤量消費するような回答(出⼒システムの出⼒⽂字数上限を超えた回答等)が⽣成される。
- 画像識別AIにおいては、攻撃者は何らかの⽅法でAIモデルの内部構造情報を取得・解析し、画像識別処理を⾏う中で多くの計算を要するロジックを特定した上で、AIの計算負荷が増⼤するように設計した画像を作成し、これをAIモデルに⼊⼒する
- ファインチューニングデータを細⼯してDoSを⾏う攻撃
- プロンプトを細⼯してDoSを⾏う攻撃
- ⼊⼒画像を細⼯してDoSを⾏う攻撃
- スポンジ攻撃
- プロンプトト窃盗攻撃
- プロンプトインジェクション攻撃
- 直接的プロンプトインジェクション攻撃(不正操作型)
- AIモデルの⼊⼒データを細⼯することで、AIモデルの出⼒データを改ざんする攻撃⼿法。
- 攻撃者が細⼯したプロンプトをAIモデルに⼊⼒することで、AI提供者の意図しない不正な回答をAIモデルが出⼒する。
- プロンプトを細⼯してLLMの挙動を操作する攻撃
- 直接的プロンプトインジェクション攻撃(システム攻撃型)
- AIモデルと連携するシステム(データベースやAIモデルが稼働するシステム等)を不正操作する攻撃⼿法。
- 攻撃者が細⼯したプロンプトをAIモデルに⼊⼒することで、連携システムを不正操作するコード(SQLクエリやシステムコマンド等)がAIモデルによって⽣成され、連携システム上で実⾏されることで、データベースやシステムからの機密情報漏えいや情報の改ざん・削除等が引き起こされる。
- プロンプトを細⼯してLLMと連携するシステムを不正操作する攻撃(P2SQL Injection, LLM4Shell)
- 直接的プロンプトインジェクション攻撃(参照データの窃取型)
- AIモデルが参照対象とするデータを窃取する攻撃⼿法。
- 攻撃者がAIシステムに⼊⼒するプロンプトを細⼯(RAG⽤データストア情報の開⽰を要求する等)することで、本来は開⽰すべきではないRAG⽤データストア(ベクトルデータベースやファイルシステム等)の内容を含む回答を⽣成させる。
- プロンプトを細⼯してRAG⽤のデータを窃取する攻撃
- 直接的プロンプトインジェクション攻撃(学習データの窃取型)
- AIモデルの学習データを窃取する攻撃⼿法。
- 攻撃者が細⼯したプロンプトをAIモデルに⼊⼒することで、AIモデルの回答に学習データの⼀部が出⼒される。
- プロンプトを細⼯してLLMの学習データを窃取する攻撃
- 間接的プロンプトインジェクション攻撃
- AIモデルがRAG等で参照するデータを細⼯することで、AIモデルの出⼒データを改ざんする攻撃⼿法。
- 攻撃者は細⼯したリソース(Webサイト等)を⽤意し、AIモデルが運⽤時に当該リソースを動的に参照することで、AI提供者の意図しない不正な回答をAIモデルが出⼒する。
- LLMが参照する外部情報を細⼯してAIの挙動を操作する攻撃
- LLMが参照するRAG⽤データを細⼯してAIの挙動を操作する攻撃
- プロンプトリーキング攻撃
- システムプロンプトを窃取する攻撃⼿法。
- 攻撃者が細⼯したプロンプトをAIモデルに⼊⼒することで、AIモデルの回答に(第三者に公開することを意図していない)システムプロンプトの内容が出⼒される。
- プロンプトを細⼯してシステムプロンプトを窃取する攻撃
- 直接的プロンプトインジェクション攻撃(不正操作型)
- コードインジェクション攻撃
- MLaaSの悪⽤
- 攻撃者の制御下にあるMLaaSをAI提供者が利⽤してAIモデルを作成することで、AIモデルの内部に悪意のあるコードを実⾏する仕組みを設置する攻撃⼿法。
- MLaaSサービスを悪⽤して悪意のあるコードを実⾏する攻撃
- MLaaSサービスを利⽤して画像識別AIにバックドアを設置する攻撃
- ファインチューニング攻撃
- 標的の事前学習AIモデルに対して特定のファインチューニングを実施することで、AIモデルがセーフガードを回避し、事前の学習データを漏洩するように仕向ける。
- ロウハンマー攻撃
- 標的のAIモデルと物理メモリを共有する攻撃者が、AIモデルのメモリのビットをメモリセル間の⼲渉により反転させることでモデルの漏洩や誤動作を引き起こす。
- MLaaSの悪⽤
~NEW~
総務省 オンラインカジノに係るアクセス抑止の在り方に関する検討会(第7回)
▼ 資料7-3 オンラインカジノに係るアクセス抑止の在り方に関する検討会 中間論点整理(案)
- 現状認識
- 本検討会における「オンラインカジノ」とは、インターネットを利用して行われるバカラ、スロット、ポーカー、スポーツベッティングなど違法な賭博行為をいう。
- 公営競技を含むギャンブルについてギャンブル等依存症の問題がかねてより指摘されてきたところ、警察庁委託調査研究(本年3月公表)によって、ギャンブルの中でも特にオンラインカジノについて、利用が広範であることが浮き彫りとなり、青少年を含む利用者のギャンブル依存や借金等を通じた家族への被害の広がりといった課題の深刻さが明らかとなった。また、運営主体の多くはオンラインカジノが適法である国外にあり、巨大な国富の流出が生じている他、検挙されている決済代行業者等の中には組織犯罪グループが含まれていること等を踏まえると、我が国の経済社会に与える弊害も大きい。加えて、欧州等においてはスポーツベッティング市場の拡大が指摘されており、不正操作やギャンブル等依存症を防止することにより、スポーツの健全性を確保することが課題となっている。
- オンラインカジノ問題の広がりの背景として、著名人を起用した広告等により、オンラインカジノが適法であるかのような誤った情報が広まったこと、スマートフォンの普及等により、SNS等を通じた巧妙な誘導を通じて利用しやすい環境が存在し、特に若年層において、SNS等を通じてオンラインカジノに誘導されやすい状況にあること、利用や決済に対する制限や年齢認証等の対策が講じられておらず、際限なく賭けが行えること等が指摘されている。
- オンラインカジノを巡っては、これまでも、賭客や運営に関与する者の取締り、違法性に関する周知啓発等の対策が講じられてきたところだが、近時の課題の深刻化を踏まえ、さらなる取組の必要性が認識されてきた。具体的には、政府において、「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」の改定(本年3月21日)で初めてオンラインカジノへの対策が盛り込まれ、今国会で成立したギャンブル等依存症対策基本法(平成30年法律第74号)の改正法案において、オンラインカジノサイト等の開設運営行為やオンラインカジノに誘導する情報の発信行為が禁止される等、順次対策が講じられている。
- 包括的な対策の必要性
- オンラインカジノへの対策としては、オンラインカジノの利用が違法であり、無料版からの巧妙な誘導を行うサイトが存在するなどオンラインカジノ特有の問題に関する周知啓発、賭博事犯の取締りの強化、オンラインカジノサイトへのアクセス抑止、賭博に係る支払抑止、日本向けのオンラインカジノを提供しないよう措置を講ずるよう外国政府への協力要請、学校教育におけるギャンブル等依存症に関する知識の普及を含めギャンブル等依存症に関する啓発、支援団体・医療機関との連携等の様々な対策があり得るところ、オンラインカジノの広がりを踏まえれば、一の対策に依拠するのではなく、官民の関係者が協力し、実効性のある対策を包括的に講じていくことが重要である。
- 例えば、支払抑止については、カジノにおいて賭けを行う目的でのクレジットカードの利用禁止といった対策が考えられるが、カード会社による決済・取引先の網羅的な確認が困難である等の課題が構成員より指摘されており、引き続き検討が必要である。
- その上で、オンラインカジノは、国内の利用者がインターネットを通じてオンラインカジノサイトを閲覧し、賭けを行うことによってはじめて成立するものであることから、アクセス抑止の取組を進めることが有効な対策となる。
- アクセス抑止の在り方
- オンラインカジノに関する情報の流れを総体として見た場合、(ア)インターネット利用者が、オンラインカジノサイトの閲覧やダウンロード等を行う行為、(イ)電気通信事業者が、インターネット接続サービスを媒介する行為(当該媒介行為を補完し、クラウドや名前解決等のサービスを提供する行為を含む)、(ウ)検索サービス事業者やアプリストア運営事業者が、特定のサイトやアプリを整理・分類して、オンラインカジノサイト等のURLを提供する行為、(エ)SNSの利用者やリーチサイトの運営者が、オンラインカジノの利用を誘導する行為(当該誘導行為を補完し、決済や与信等のサービスを提供する行為を含む)、(オ)オンラインカジノサイトの運営者が、カジノ行為を行う賭博場を開張する行為に大別される。
- (ア)については、利用者は賭けを行った場合には刑法上の賭博罪又は常習賭博罪(以下、併せて「賭博罪」という。)が成立する可能性があるが、サイトを閲覧する行為自体は違法ではない。(イ)については、電気通信事業者は通信の秘密を保護する責務を負う。(ウ)については、検索事業者等は利用規約等に基づいて違法情報の削除等を行う場合があるが、一般的な監視義務はない。(エ)については、SNSの利用者やリーチサイト運営者の誘導行為は刑法犯が成立する場合があるが、刑法犯の成否は個別具体的な事案による。(オ)については、サイト運営者が国内から利用可能な賭博の場の提供を行っている場合には賭博場開張等図利罪等が成立するという見解が有力であるが、その行為のすべてが国外で行われている場合は捜査における情報収集が困難であるとの指摘がある。
- このように、現行法上、オンラインカジノの利用全体にわたり、オンラインカジノに関する情報の流通に関係する行為そのものは必ずしも違法ではない又は違法であるとしても取締りが困難であることが、違法情報の発信や閲覧に対する有効な対策の不足といった課題の一因となってきたと考えられる。
- 今般、「ギャンブル等依存症対策基本法」が改正され、オンラインカジノサイトの開設運営や誘導する情報の発信行為自体が違法化されたことで、違法であることの認識が広まることに加え、アクセス抑止の観点からも一定の効果が期待される。すなわち、特に上記(エ)との関係で、(1)国内のSNS等のサイト運営者が利用規約等に基づく削除等の対応を行いやすくなる。また、特に上記(オ)との関係で、(2)国外のサイト開設者に対して日本からのアクセス制限(ジオブロッキング)等の対応を求めやすくなること等を通じて、オンラインカジノの利用が減少することが期待される。総務省としても、違法情報ガイドラインへの反映等を通じて、適正な利用環境の整備に貢献することが求められるところである。
- 本検討会では、アクセス抑止策の中でもブロッキングが法的・技術的に多角的な検討を要する課題であることを踏まえ、現下の状況における被害の甚大さに鑑み、その法的・技術的課題について丁寧に検討するものである
- ブロッキングに関する法的検討
- 必要性
- オンラインカジノについては、フィルタリング、削除、ジオブロッキング等、他のより権利制限的ではないアクセス抑止策の実効性を検証するとともに、支払抑止等のアクセス抑止策以外の様々な対策についての実効性も併せて検証し、これらの対策を尽くした上でなおブロッキングを実施する合理的必要性があるかどうかを検討すべきである。
- フィルタリングについては、すでにオンラインカジノを含むギャンブルは小学生から高校生までの全年齢向けに制限対象とされており、フィルタリングの提供を義務付けている青少年インターネット環境整備法の存在も相まって、少なくとも青少年向けには一定の取組が行われているといえる。フィルタリングサービスは、本人の同意があれば、青少年以外にも利用可能であることから、例えば依存症患者やその法定代理人、医療従事者等に対して一層の普及促進を図っていくことが考えられる。フィルタリングについては、「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」を踏まえ、今後一層の普及促進の取組が期待される。
- 一方、オンラインカジノの広告や誘導を行うSNS事業者や検索事業者による削除等の取組については、一定程度対応が進んでいるものの、いまだ国民が容易にカジノサイトにアクセス可能な状況がある。この点については、上記改正「ギャンブル等依存症対策基本法」で違法行為としての明確化が図られ、IHC(インターネット・ホットラインセンター)の「運用ガイドライン」や総務省「違法情報ガイドライン」に明記されることにより、国内のSNS事業者等による削除が一層進むことが期待されることに加え、国外のサイト運営者等に対しても、ジオブロッキングの要請を行いやすい環境も整うことから、まずはこれらの対策の効果の検証を行うことが適当である。
- なお、オンラインカジノサイトの運営者は、トラフィック負荷の分散やサイバーセキュリティ対策の観点から、CDNサービスへの依存を高めているとの指摘がある。CDN事業者については、違法情報対策の観点から、利用規約等に基づく削除等の取組の強化が期待されているが、ネットワーク構成において実際に果たしている役割は契約毎に区々であること、海賊版対策を巡って訴訟が生じていること等から、まずは実態を把握することが求められる。
- 政府として、当面の間、上記の対策を包括的に進めるとともに、一定の期間を置いた上で、それらの対策を尽くしたとしてもなお違法オンラインカジノに係る情報の流通が著しく減少しない場合には、ブロッキングを排除せず、追加的な対応を講じることが適当である
- 有効性
- ブロッキングについては、技術的な回避策(例えば、VPN 等により DNS サーバを迂回する方法)があると指摘されており、近年では、特定のスマートフォン等の端末におけるプライバシー保護を目的とする機能を利用することにより、誰でも容易に回避することができるようになっているとの指摘がある。児童ポルノサイトのブロッキングが検討された時と比べ、大きな環境変化を踏まえた議論が必要である。
- 一方で、カジュアルユーザーや若年層がギャンブル等依存症になる前の対策が重要であるところ、ブロッキングは、これらの者に対し、オンラインカジノの利用を抑止することが可能であり、ひいてはギャンブル等依存症になることを未然に防止するなど、予防的効果があるとの指摘もある。
- 上記観点も踏まえ、ブロッキング実施国における実施手法や効果を検証しつつ、引き続きブロッキングの有効性に関する検討を深めていくべきである。
- 許容性
- オンラインカジノの利用は、刑法上の賭博行為に該当することから、ブロッキングによって得られる利益を評価するにあたっては、賭博罪の保護法益について検討することが出発点となる。通説・判例によれば、賭博の保護法益は「勤労の美風」という社会的秩序であるとされること(最大判昭和25年11月22日刑集第4巻11号2380頁)から、これのみで通信の秘密の侵害を正当化することは困難である。
- 他方、オンラインカジノについては、賭け額の異常な高騰や深刻な依存症患者の発生など、極めて深刻な弊害が報告されており、ブロッキングによって得られる利益は、必ずしも賭博罪の保護法益(社会的法益)に留まらず、刑法上の議論に尽きるものではないと考えられる。もっとも、オンラインカジノを含むギャンブルの依存症被害における権利侵害の重大性については、これまで十分な検討がなされていなかったところであり、今後、(1)オンラインカジノに限らないギャンブルの依存症被害における権利侵害全般についての検討、及び(2)オンラインカジノ固有の権利侵害についての検討の双方が必要である。その上で初めて通信の秘密との保護法益の比較が可能となるものと考えられる。
- 以上を踏まえ、法益侵害の観点からオンラインカジノの実態を突き詰めた上で、ブロッキングにより得られる利益が失われる利益と均衡するかにつき具体的な検討を深めていくことが必要である。
- 実施根拠
- オンラインカジノサイトのブロッキングを仮に法解釈(緊急避難)で行う場合は、ブロッキングを実施する電気通信事業者において、個々の事案ごとに緊急避難の要件を満たしているかを検討し、事業者自らの判断(誤った場合のリスクは事業者が負担)で実施するかどうかを決めることになる。オンラインカジノサイトについては、無料版やゲーム等との区別が一見して容易ではないことも指摘されているところ、法令によって遮断対象や要件等が明確化されなければ、「ミスブロッキング」や「オーバーブロッキング」のリスクが高まり、法的責任(通信の秘密侵害罪、損害賠償責任)を回避するために遮断すべきサイトのブロッキングを控えることが考えられ、対策の法的安定性を欠くことになる。
- また、上記海賊版における裁判所の判断を踏まえれば、児童ポルノのように閲覧対象となる個人の人権侵害が明確かつ深刻である等の特別の事情がない中で、遮断等に関する判断を事業者の自主性のみに委ね、これを実質的に強制することは適当ではないというべきである。
- これを踏まえると、仮にオンラインカジノサイトのブロッキングを実施する場合には、法解釈に基づく事業者の自主的取組として行うのではなく、何らかの法的担保が必要である。
- 妥当性
- 具体的な制度を検討するに当たっては、上記カジノ規制に関する検討の中で、違法オンラインカジノを排除するための手段としてブロッキングを適切に位置づけた上で、その法的課題については、通信の秘密の制限について厳格な要件を定めた例である「重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律」(令和7年法律第42号。いわゆるサイバー対処能力強化法)や、フランスをはじめ違法オンラインカジノ規制の一環としてブロッキングを法制化している諸外国の例を参考にしつつ検討を深めていく必要がある。
- こうした観点から、今後、少なくとも、以下の論点について具体的な検討を深めていくことが必要であると考えられる。
- 遮断義務付け主体(遮断対象リストの作成・管理を適切に行う主体(オンラインカジノ規制と密接に関連)など)
- 遮断対象(対象範囲の明確化(国外・国内サイト、国外サイトのうち日本向けに提供するサイト、無料版の扱い等)など)
- 実体要件(補充性(他の対策では実効性がないこと)、実施期間、実施方法など)
- 手続要件(事前の透明化措置として、司法を含む独立機関の関与、遮断対象リストの公表など。事後的な救済手段として、不服申立手続・簡易な権利救済手段の創設、実施状況の報告・事後監査の仕組など)
- その他(実施に伴う費用負担、誤遮断時の責任の所在(補償)など)
- 必要性
- 概括的整理と今後の検討に向けて
- オンラインカジノは、我が国の社会経済活動に深刻な弊害をもたらしており、喫緊の対策が求められている。その際、違法オンラインカジノをギャンブル規制の中でどのように位置づけ、実効的な対策を実現するかという観点から包括的に取り組む必要があり、政府全体で対策の在り方を検討していくべきである。
- オンラインカジノの利用が違法ギャンブルであるという前提に立ち、官民の関係者が協力し、包括的な対策を講じるべき。(包括的な対策の例:決済手段の抑止、違法行為に対する意識啓発・教育、取締り、アクセス抑止等)
- 上記の包括的な対策の中で、アクセス抑止についても、有効な対策の一つとして検討すべき。(アクセス抑止策の例:端末等におけるフィルタリング、サイト運営者等による削除・ジオブロッキング、通信事業者によるブロッキング等)
- アクセス抑止策の一手段であるブロッキングについては、「通信の秘密」や「知る自由・表現の自由」に抵触しうる対策である。そのため、実施の必要性を判断するに当たっては、今後の規制環境や犯罪実態の変化等を踏まえ、他の権利制限的ではない手段が十分に尽くされたといえるか検証するとともに、オンラインカジノ固有の権利侵害の内実を突き詰めた上で、ブロッキングにより得られる利益が失われる利益と均衡しているかを検証していくべきである。その際、ブロッキングは技術的な回避が容易であり、今後一層容易になり得るといった大きな課題がある一方、ギャンブル等依存症等の予防的な効果があるとの指摘も踏まえ、ブロッキングの有効性に関する検討を深めていくべきである。
- オンラインカジノは、我が国の社会経済活動に深刻な弊害をもたらしており、喫緊の対策が求められている。その際、違法オンラインカジノをギャンブル規制の中でどのように位置づけ、実効的な対策を実現するかという観点から包括的に取り組む必要があり、政府全体で対策の在り方を検討していくべきである。
- それでも被害が減らず、上記のとおり、(1)他の権利制限的ではない手段が十分に尽くされていること、及び対策として有効性があること、(2)ブロッキングにより得られる利益と失われる利益が均衡していることが認められる場合、ブロッキングの実施が可能となる。実施にあたっては、ギャンブル規制における位置づけや法的安定性の観点から、法解釈に基づく事業者の自主的取組として行うのは適当でなく、法的担保が必要である。今後、諸外国法制や他の通信の秘密との関係を整合的に解釈した法制度を参考にしつつ、通信の秘密との関係で問題とならないようにするために、どのような枠組みが適当であるかについて、遮断義務付け主体、遮断対象、実体要件、手続要件等を具体的に検討していくべきである。
~NEW~
国土交通省 下水道管路の全国特別重点調査について優先実施箇所の調査結果を公表します~下水道管路に起因する道路
▼ 【別紙1】全国特別重点調査(優先実施箇所)の結果の概要
- 埼玉県八潮市の下水道管路の破損事故を受けて要請している下水道管路の全国特別重点調査の優先実施箇所(約813km)について、8月現在、約730kmで目視調査等を実施した結果、緊急度1の要対策延長は約72km(原則1年以内の速やかな対策が必要と見込まれる推計延長)、空洞は6箇所(貫入試験などにより空洞があることが確定した箇所数)、確認されました。
- 8月時点での調査結果(概要)
- 下水道管路の全国特別重点調査について、腐食しやすい箇所などの優先実施箇所に該当する管路延長は約813kmあり、これらの箇所で潜行目視やテレビカメラによる目視調査を約730km、打音調査等を約137kmで実施した結果、緊急度1と判定された要対策延長は約72km※1でした。また、空洞調査(路面や管路内からの空洞調査、簡易な貫入試験など)を約285kmで実施した結果、空洞は6箇所※2で確認されました(うち4箇所で対策済み、残り2箇所は陥没の可能性は低いが早急に対策実施予定)。
- 対応について
- 国土交通省としては、調査や判定が未了の箇所について、安全確保に最大限留意しながら、それらの速やかな実施と、要対策延長や空洞確認箇所について、道路管理者とも連携した対策の速やかな実施を要請しており、引き続き、これらの取組を技術的・財政的に支援してまいります。また、本調査結果については、有識者委員会での議論に反映してまいります。
- (参考)全国特別重点調査の概要
- 令和7年1月28日に埼玉県八潮市で発生した道路陥没を伴う下水道管路の破損事故を受けた「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会(委員長:家田仁 政策研究大学院大学特別教授)」の提言を踏まえ、国土交通省は、3月18日に地方公共団体に対し、管径2m以上かつ平成6年度以前に設置された下水道管路を対象として、全国特別重点調査を要請するとともに、このうち優先実施箇所に該当する箇所は、夏頃までの実施・報告を求めていました。
~NEW~
国土交通省 「港湾法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令」等を閣議決定~気候変動に対応した港湾の保全及び災害時の港湾の円滑な利用の確保~
- 「港湾法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」及び「港湾法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令」が、本日、閣議決定されました。
- 背景
- 令和7年4月23日に公布された「港湾法等を一部改正する法律(令和7年法律第25号。以下、「改正法」という。)」の気候変動に伴う海水面上昇に対応して港湾の保全を図るための協働防護計画制度の創設等に関する規定は、その公布の日から6月以内の政令で定める日から施行することとされているとともに、倒壊した場合に緊急物資等の輸送に支障を及ぼす恐れのある港湾施設への勧告制度の拡充に関する規定は、その公布の日から1年以内の政令で定める日から施行することとされていることから、今般、改正法の施行期日を定めるとともに、施行に必要な政令の整備を行います。
- 概要
- 港湾法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令
- 改正法の施行期日を令和7年10月1日とするとともに、倒壊した場合に緊急物資等の輸送に支障を及ぼす恐れのある港湾施設への勧告制度の拡充に関する規定の施行期日を令和8年4月1日とします。
- 港湾法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令
- 港湾法施行令の一部改正
- 港湾法施行令第22条第2項においては、国土交通大臣の職権について、地方整備局長等も行うことができる旨を定めています。
- 改正法において新設された港湾法第51条の6第9項等の協働防護計画に係る助言の職権については、個々の港湾や地域の実情に即して行うことが効果的な場合もあることから、地方整備局長等も行うことができることとします。
- 宅地建物取引業法施行令の一部改正
- 宅地建物取引業者が、宅地又は建物の売買契約等が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして相手方に書面で説明させなければならない法令上の制限として、協働防護協定及び災害応急対策港湾施設使用協定に係る承継効※に関する規定を追加します。
- ※売買等で土地の所有者等が代わっても次の所有者等に協定が引き継がれる効力
- その他
- その他所要の改正を行います。
- 港湾法施行令の一部改正
- スケジュール
- 公布:令和7年9月25日(木)
- 施行:令和7年10月1日(水)
- 港湾法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令
~NEW~
国土交通省 「道路法等の一部を改正する法律」の施行に伴う関係政令を閣議決定~安全かつ円滑な道路交通の確保と道路分野の脱炭素化の推進に向けて~
- 令和7年4月に公布された道路法等の一部を改正する法律(令和7年法律第22号。以下「改正法」という。)の施行期日を定める政令及びその施行に必要な規定の整備等を行う政令が、本日、閣議決定されました。
- 背景
- 改正法は、自然災害の頻発や道路の老朽化等により、安全かつ円滑な道路交通の確保の重要性が増大していることに鑑み、平時からの備えと有事における初動対応の充実、インフラ管理の担い手不足への対応、道路分野における脱炭素化の推進等の措置を講ずるものです。
- 今般、公布の日に施行された一部規定を除き、改正法の施行期日を定めるとともに、その施行に必要な規定の整備等を行うための政令を制定します。
- 概要
- 道路法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令
- 改正法(公布の日に施行された規定を除く。)の施行期日を、令和7年10月1日とします。
- 道路法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令
- 国土交通大臣が都道府県又は市町村に代わってこれらの地方自治体の管理する防災拠点自動車駐車場の改築等を行う場合に代行する権限等について、規定の整備を行います。
- 道路の脱炭素化の推進のため占用許可基準を緩和する物件及びその設置場所を定めます。
- その他所要の改正を行います。
- 道路法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令
~NEW~
国土交通省 短時間の記録的な大雨によって冠水したくすの木パーキングに関する対応について
- 9月12日夜の四日市市内における短時間の記録的な大雨によって冠水した、三重県四日市市浜田町のくすの木パーキングについて、車両移動や今後の大雨の対策の強化等について、取組を進めています。
- 駐車場内の車両の移動に向けて、株式会社ディア四日市では、車両の所有者の特定を進め、車内物品の運び出し等の連絡をしています。詳細については、▼くすの木パーキングのHPに掲載します。
- また、四日市市の地下駐車場(くすの木パーキング)については、地上との出入口が現在10箇所設置されています。このうち、
- 車両用出入口の3か所(電動式)については、国道側の2か所は止水板が故障しており、市道側の1か所は、急激な浸水により、操作が間に合いませんでした。
- 歩行者用出入口の7か所(人力)については、急激な浸水により、止水板の設置が間に合いませんでした。
- 今回の冠水被害を踏まえ、今後の大雨時の対応手順や訓練、雨水の流入を防止する対策の強化等について、国土交通省は、四日市市や民間事業者と連携して、有識者委員会を設置し検討することとしました。詳細については、後日、改めて報道発表します。