• ホーム
  • SPN JOURNAL Online
  • 連載コラム
  • 新型インフルエンザ等対策有識者会議(内閣官房)/過労死等防止対策白書(厚労省)/Society5.0時代のデジタル・ガバナンス検討会(経産省)

危機管理トピックス

新型インフルエンザ等対策有識者会議(内閣官房)/過労死等防止対策白書(厚労省)/Society5.0時代のデジタル・ガバナンス検討会(経産省)

2020.11.02
印刷

更新日:2020年11月2日 新着17記事

タイトルイメージ図

【新着トピックス】

~NEW~
金融庁 金融活動作業部会(FATF)による新型コロナウィルス(COVID-19)関係の議長声明の公表について
▼FATF議長声明:COVID-19パンデミック下におけるAML/CFT態勢への十分なリソースの割当ての重要性
  • 2020年10月23日(パリ)-COVID-19の流行が社会に深刻な影響を及ぼし続けている。FATFでは、2020年5月に、COVID-19がもたらす新たな資金洗浄・テロ資金供与の脅威や脆弱性についての課題、グッドプラクティスや政策対応に関する報告書をまとめて以降も、この世界的危機の影響に関する最新の知見の反映に取り組んでいる。FATFは、この「COVID-19に関する資金洗浄・テロ資金供与のリスク及び政策対応に関する報告書」の分析が引き続き有効であることを確認している。
  • COVID-19を悪用する犯罪者は後をたたず、医療品偽造、投資詐欺、COVID-19に適応したサイバー犯罪、政府による経済対策の悪用といった事例が世界各地で多発している。同時に、政府機関や民間部門では、資金洗浄・テロ資金供与の検知、予防及び捜査の遂行能力に深刻な支障が生じている。FATFのグローバルネットワークを対象に行ったアンケートでは、半数以上が、資金洗浄活動に対する政府の検知、捜査、訴追又は阻止能力に影響があったと回答している。
  • FATFとその加盟国、オブザーバー、FATF型地域体及びグローバルネットワークの構成員は、引き続き連携し、COVID-19が資金洗浄・テロ資金供与活動及びその対策(AML/CFT)態勢の運用に及ぼす影響を把握する。
  • グローバルネットワークを対象に行った近時のアンケートと、7月と9月に実施したCOVID-19関連ウェブセミナーに照らすと、5月のFATF報告書における指摘事項が引き続き有効であると認められる。もっとも、外出制限へのアプローチ、社会的隔離措置や利用可能なインフラは国ごとに異なることから、パンデミックの影響、リスクの性質、各国のAML/CFT態勢のレジリエンス、民間部門が直面するリスクについては、国によって大きな差がみられる。
  • 各法域が、犯罪者やテロリストによるCOVID-19の悪用方法を積極的に特定、評価及び理解すること、また、リスクベースアプローチを適用して、特定した資金洗浄・テロ資金供与リスクに応じた防止又は低減措置を確保することが引き続き重要である。
  • 失業率の上昇、遠隔取引の増加と経済対策実施の加速化は、近いうちに犯罪者により利用されるおそれのある脆弱性を示している。経済の不確実性による現金の流通増加や国境封鎖措置も、資金洗浄活動に影響を及ぼすとみられる。
  • 例えば、顧客との非対面でのやりとりを可能とするデジタルな本人確認方法の活用など、新たな技術が、民間部門によるパンデミックへの対応に貢献している。他のデジタルソリューションも、情報共有や疑わしい活動の検知・分析を支援するだろう。ドイツ議長国の下、FATFは、AML/CFT態勢のデジタルトランスフォーメーションを推進し、将来的なAML/CFT態勢のレジリエンス確保と効率性向上に役立てる。
  • 環境変化に適応し、効果的な運用の継続が可能なAML/CFT態勢を確保するためには、官民パートナーシップの活用をはじめ、政府部門と民間部門の実効的な情報共有が一層重要である。
  • 資金洗浄・テロ資金供与等の犯罪活動による被害から市民を守ることを、引き続き世界のすべての政府にとっての優先課題とすべきである。犯罪者によってもたらされる脅威の進化やパンデミックの影響によるリソース制約に照らし、関係当局が効果的に機能するため、適切なリソースが引き続き提供されるべきである。

~NEW~
金融庁 金融審議会「銀行制度等ワーキング・グループ」(第4回)議事次第
▼資料6 事務局説明資料
  • 人口減少・少子高齢化といった構造的課題に対応し、地域社会・経済を活性化していくことが喫緊の課題。特に今後は、ポストコロナも見据え、地方創生の取組みを加速していく必要があり、こうした取組みにおいて銀行は、重要な役割を果たすことが求められている。このため、地方創生に資する銀行の取組みを後押しする観点などから、制度のあり方を検討する
  • 人口減少による資金需要の継続的な減少や低金利環境の継続など、地域金融機関の経営環境は厳しさを増している。こうした中、新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた中小企業への資金繰り支援などにおいては、地域金融機関の役割の重要性が再認識されたところである。地域金融機関は今後、「地域からの信頼」を含めたリソースを活用して地域経済の回復と成長を支え、さらには、地域社会の課題解決に貢献していくことが求められている。こうした役割を果たしていく上では、地域金融機関は自らの経営判断の下、収益力の向上や合理化・効率化によって持続可能なビジネスモデルを構築し、将来にわたって健全性を確保していくことが必要である
  • 第1回会合(2020年9月30日)におけるメンバーの主な御指摘
    • 技術進歩やデジタル経済、人口動態、地球環境変化などの大きな変化に対し、(「銀行」のみならず)「金融」がどう答えていくべきなのか、という観点が大事。また、「業」のみに着目することなく、機能別・横断的な視点を持つことが大切。
    • 銀行はここ数ヶ月、企業に対する流動性供給という責任を果たしていると考える。コロナショックへの対応に大いに貢献した。新型コロナウイルス感染症関連の緊急融資の多くは「赤字補填融資」であり、今後、企業に対する長期にわたる金融機関の関与が必要になる。
    • コロナショックはバブル崩壊とは異なり、企業の損益計算書(PL)の損失が出発点である。サービス業を営む中小事業者への影響が大きいことも踏まえると、その影響は地域金融機関を直撃しやすい。
    • 新型コロナウイルス感染症等の影響により、企業の事業環境が大きく変わっている。ビジネスモデルの転換なしの事業再生は成り立たない状況にある。地域銀行が、コンサルティング業務などにリソースを振り向けられるようにすることが重要。
    • 利用者が銀行に望むのは、安心・安全で信頼できる社会インフラであること。健全性を保つことは絶対条件であり、セキュリティやそれを担保するコンプライアンス、ガバナンスの必要性は、どのような制度改正を行うにしても不変。
    • 企業の事業再生やベンチャー支援という観点では、地域銀行の収益力の低下が一番の障害。銀行のビジネスモデルの転換や組織の改革を促す必要。また、銀行が自身のデジタル・トランスフォーメーションに取り組まなければ、地域の事業会社に対して指導はできない。
    • 健全性の確保や利益相反取引の防止などが適切に図られていることを前提として、銀行自身に収益や事業を考えてもらい、不適切なことがあれば事後規制の形で当局が関与していくということもあり得る。
    • 銀行の業務の範囲を全面的に自由にすべきとは思わないが、経営環境が変化する中で業務範囲規制の緩和の余地が広がってきている。現状、規制があるために、顧客にとってふさわしい助言や支援ができていないことが懸念される
  • プラットフォーマーが主要株主になることを想定した場合、プラットフォーマーによる優越的地位の濫用に留意する必要。これまでは「・銀行が強い存在である」という暗黙の前提があったが、その前提が変化している可能性についても考える必要。セーフティネットや破綻処理のあり方なども含め、幅広く考えていく必要がある
    • 給与ファクタリングによる利用者被害も生じている。地域金融機関は、大口のビジネスだけでなく、社会全体の活性化や、その鍵となるサステナブル・シェアードバリューの創造に、力を注いでもらいたい。
    • 地域銀行をめぐっては、株主と地域のステークホルダーの利益が相反することもある。こうしたことも踏まえ、地域銀行のガバナンスのあり方を考える必要。上場から非上場となる(「非上場化」)ことや、上場と非上場の中間的存在である「株主コミュニティ」を活用することも、経営判断の選択肢として考えられるのではないか
    • 地域銀行には広域連携やデジタル化の加速が求められるが、自力で投資することは難しい。地域銀行の再編も含めた「協力」がソリューションになると思う。業態を超えた再編が進まないということが足かせになっている可能性もあるので、合併転換法などの活用も検討に値する。
  • 信用金庫や信用組合など協同組織金融機関の単位組織(本体)が行うことができる業務(固有業務・付随業務・法定他業等)の種類は、銀行(本体)のそれと基本的には同一である。ただし、協同組織という性質上、会員・組合員のために行うことが前提とされている。
  • 相互扶助を理念とし、非営利という特性を有する協同組織金融機関が、会員・組合員以外の不特定多数の者を顧客として広範な事業活動を行い得る会社を保有することは制限されている。具体的には、銀行とは異なり、証券会社などの金融機関や、銀行業高度化等会社に相当する会社を子会社として保有することは認められていない。
  • 地域金融機関は、地域の利用者の利便が低下しないよう最大限配意しつつ、本部機能・店舗機能それぞれの合理化・効率化を図ることなどを通じて持続可能なビジネスモデルを構築し、将来にわたって健全性を確保していくことが必要である。
  • 金融機関の本部機能については、共同化や外部委託を通じて合理化・効率化を目指す取組みが進められている。一方で、例えば、複数の銀行が共同でITシステムの開発・運営を行う「共同センター」については、課題も指摘されている。
  • 足許では共同店舗の設置を含め、地域金融機関による店舗網の見直しが行われている。今後、人口減少地域などにおいては、従来型の店舗の維持が経済的に困難となり、機能の縮小や廃止を検討せざるを得ないことも考えられる。その際には、地域の利用者の利便が低下しないよう、最大限配意することが必要である。
  • 銀行代理業者には、例えば、(1)銀行自らが設立し、支店機能を代替させるもの、(2)証券会社などが同一グループ内の銀行の代理店となるもの、(3)業務提携した銀行同士が相互に代理店になるものなどがある。現行制度は、一般事業を併せ営む代理業者について、取扱可能な貸付けの範囲を制限している
  • 銀行代理業者に対しては、利用者保護の観点などから、優越的地位の濫用の禁止や抱き合わせ販売等の禁止、情実融資の禁止などが法令上定められている。なお、一般事業を併営する銀行代理業者については、併営に関して当局の許可・承認を得る必要がある。
  • 地域銀行が自らの業務の公共性に鑑み、地域の企業や利用者などのステークホルダーに配意して経営を行おうとする際には、株主という別のステークホルダーとの関係にも配意する必要がある。地域銀行による持続可能なビジネスモデルの構築が必要とされる中、この点に関連して様々な指摘がなされている。
    • 近年、上場株式会社である地域銀行を中心に、株主還元に対する意識の高まりから、収益力の低下にもかかわらず安定配当を重視する結果として、配当性向が切り上がる先もみられるる【日本銀行「金融システムレポート」(2019年4月)】
    • 株主は、往々にして、中長期的な収益より短期的な収益を重視することがあると指摘されている。このため、目先の利益のために過度なリスクテイクを求めたり、現時点で財務上の利益が上がっていることに満足し、持続可能な収益確保のために必要な経営改革を求めないといった状況もありうる。また、株主は投資額以上の損失を追わない立場にあるため、預金者やセーフティ・ネットの負担において過大なテールリスクを取るよう経営陣に求める誘引も有する【金融庁「金融システムの安定を目標とする検査・監督の考え方と進め方(健全性政策基本方針)」(2019年3月)】
    • (地方銀行の持続的なエコシステム実現の観点から、)上場企業として求められる利益水準の維持が困難な地域銀行の場合、非上場化によって収益目標を引き下げることも一案になる【高田創「地域エコシステム実現と地銀の非上場化・信金化」(2019年5月)】
    • (非上場化への検討事項として、)第一に、相応規模の自己資本の手当てを行うことを前提とした場合、創業家によるMBO的対応など、多額の資金供出を前提にした対応が考えられる。しかし、創業家などによる支配は、ガバナンスの欠如のリスクが高まることは、指摘するまでもない。第二に、預金を資金調達源とするような目的の、一般事業会社による株式取得は、銀行法の求めに応じた主要株主としての認可(銀行法第52条の9)を得る段階で『機関銀行』等の視点からの厳格な審査が見込まれる。第三に、コーポレートガバナンス・コードのような上場会社に対する明示的原則から離れてしまうことで、銀行法が株主に期待している本質的な規律付けが失われてしまう危険性がある。(略)第四として、株式の流動性の問題である。それぞれの経済的事情により、資金化が必要な場合が出てくる。非上場化は、市場における株式売却の機会を失わせかねない。第五として、(略)MBOそのものの合理性についての担保である。具体的には、『MBOが企業価値向上に資するものか』そして『公正な手続きを通じた株主利益への配慮』である。【野崎浩成「地域銀行の非上場化に関する考察」政策情報学会誌第13巻第1号(2019年11月)】

~NEW~
金融庁 金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第2回) 議事次第
▼資料1 事務局説明資料(第1回会合(令和2年10月12日)における委員の主な意見)
  1. 成長資金の供給のあり方
    • 成長資金の供給のあり方について、地方創生の観点からも、株主コミュニティ制度の活用や非上場株式の取引の活性化について議論することに賛成。一方、やみくもに規制を緩和するのではなく、どのような当事者によるスタートアップへの資金供給が望ましいかを踏まえて検討する必要。
    • 成長資金の供給は非常に重要な課題。非上場株式の流通をいかに活性化させるかなど、潜在的な可能性が高い分野。米国など海外の事情も勘案しながら、制度整備を検討していく必要。
    • コンバーティブルエクイティの活用が有効。非上場株式には取引所における取引価格が存在しないため適正価格の算定が難しいという問題があるが、コンバーティブルエクイティの活用は有効であり、ガイドラインなどの整備によって資金供給の円滑化につながる
    • 日本のスタートアップのエコシステムには、スタートアップ側と投資家側双方の課題があると認識。スタートアップ側の課題として、グローバルに展開する海外スタートアップの方が投資家にとって魅力的であること、投資家側の問題として、VCやCVCにおける目利き力のある人材の育成が求められていることが挙げられる。
    • クラウドファンディング制度の規模感など、非上場企業の様々な資金調達手段を海外比較していただきたい。
    • 成長資金の供給を促進して新興企業を増やし、株式市場の資本調達の場としての役割を向上させるのは重要。死の谷の問題も重要な課題であり、クラウドファンディング制度の導入後、どのような状況になっているかを把握する必要。
    • 経済が停滞する中で、銀行による緊急融資から資本性資金へのシフトが重要であり、非上場企業への銀行融資を、資本市場において上手く引き継いで連携していくための制度設計が必要。
    • 中長期的な資本性資金の不足は日本の従来からの課題であったが、コロナ感染拡大の影響を受け、必要性・重要性が増大している。特に、非上場企業への資本供給については、証券会社がハンズオンで付加価値向上のための様々なサービスを提供することが必要。
    • 成長資金の供給については、資金供給側・資金調達側双方に課題がある。特に、資金調達側の課題に焦点が当てられていくことになると思うが、米国・英国と比較すると気が遠くなるような差があるので、(日本と米国・英国の中間にある)ドイツ・フランスとの実態比較の調査をお願いしたい。
    • 流動性の問題だけでなく、今後は支払能力の問題が生じることを踏まえ、資本性資金の調達環境を整備することが必要。成長資金の供給は20年以上議論されている問題であり、スタートアップのエコシステムが形成されないボトルネックを分析し、必要な市場制度のあり方を考える必要。
    • スタートアップのエコシステムの発展のためには、人材育成に関する独自の成功例の創出が必要。
    • 成長資金の供給を巡る課題の解決には、例えば、投資家側のリスクマネー供給・エクイティ投資に関する教育・認識のあり方など様々な要素が関係しており、包括的なアプローチや複合的な政策が重要。
  2. 金商品取引業者と銀行との顧客情報の共有等のあり方
    • 手続の簡素化は非常に重要だが、一方で心配なのは利益相反の問題。米国でも業規制の厳格化と緩和が繰り返されており、利益相の問題が生じないようにする必要。また、独立系の証券会社と銀行系の証券会社で規制見直しによる影響が異なることに留意する必要がある。
    • 一律・形式的な規制は見直す必要があると考えているが、日本と米国では秘密保持契約などの契約実務や銀行・顧客間の関係性などが異なるため、米国には規制がないという短絡的な理由で緩和すべきではない。顧客にとってどのようなメリットがあるかを検証したうえで、利益相反や優越的地位の濫用といった弊害とのバランスを勘案しながら議論していく必要。
    • 業者の論理で考えるのではなく、顧客の真のニーズに応えることが重要。また、業者間の競争環境の公正性を担保できるのか、エンフォースメントを担保できるのかといったことも含めて議論する必要。
    • 利益相反防止に係る体制整備を前提に、経営環境の変化に応じたルール改正は必要。一方、過去の議論の議事録を見ると、様々かつ詳細な議論がなされたうえで現在の水準が設定されたものと認識。
    • 銀行部門が有する情報を上手く活用し、質の高いサービス提供につなげられるかどうかが重要。海外においては、利益相反の管理手法が発展しており、日本においても入口規制(情報授受規制)以外の方法を検討する余地がある。また、海外では顧客が自ら積極的に銀行部門が有する情報を活用しようとする動きがあり、こうした動向を意識して議論する必要。
    • いわゆるファイアーウォール規制の意味はなくなっていないが、顧客情報の共有のあり方を考えるうえで、プラットフォーマーのような中間的な業者が情報を有していることに留意が必要。
    • 顧客目線の議論が重要。また、デジタル技術が進展する中で制度のあり方を検討する必要がある。
    • 国内の情報授受規制に基づき、外国法人顧客の情報共有に係る同意を取得する必要がある日本の金融機関にとって、日本と同様の規制がない海外では、顧客の同意を取得することは一般的ではない。そのため、中長期的に日本企業の海外進出や海外ビジネス拡大にあたって潜在的な機会損失につながりうる。日本の金融機関が敬遠されないよう、緩和余地があるのではないか。
    • 国内顧客の情報共有について、例えば、家族経営の場合は代表者だけではなく家族からも同意を得る必要があるなど、単に同意を取得する・取得しないという二択ではなく、同意の対象範囲についても検討すべき。
▼資料2 事務局説明資料(金融商品取引業者と銀行との顧客情報の共有等のあり方)
  • 検討課題
    1. 外国顧客情報の情報授受規制
      • 海外金融機関との規制の同等性等を踏まえ、国際競争力強化の観点から、法人顧客を情報授受規制の対象から除くことについて、どのように考えるか。
    2. 国内顧客情報の情報授受規制
      • 規制のあり方の検討に際し、どのような視点が求められるか。
        • 利益相反の着実な管理、優越的地位を濫用した取引の実効的な防止
        • 資本市場におけるグローバルなプラクティスとの整合性の確保
        • 顧客課題に対する高度なソリューションの提供
        • デジタル化への対応を含め、顧客の負担の軽減
      • 上記以外にどのような視点を考慮する必要があるか
    3. 優越的地位の乱用関係
      • 2008年の法律改正において、利益相反管理体制の整備義務や親子銀行等の優越的地位を利用した証券取引の禁止を導入する等、規制の枠組みを整備したが、現時点においてそれらの実効性をどのように評価するか。
      • 仮に規制を見直す場合、顧客側の見方等を踏まえ、利益相反や優越的地位を濫用した取引の防止の実効性確保の観点から、どのような点が不足しているか。
      • その他、資本市場における金融サービスの向上等の観点から、本件とあわせて議論すべき点はあるか

~NEW~
内閣官房 新型インフルエンザ等対策有識者会議
▼第12回資料
  • 直近の感染状況の評価等
    • 感染状況について
      • 新規感染者数は、全国的に見ると、8月第1週をピークとして減少が続いた後、ほぼ横ばいから微増傾向となっており、感染の「増加要因」と「減少要因」が拮抗していると見られる。また、首都圏では感染が減少の動きとならないことが、全国において継続的な減少がみられない状況の要因と考えられる。
      • 増加要因:なるべく「普通の生活」に戻りたいという気持ちが社会で醸成され、人々の活動が活発化していること。そうした中、クラスター発生の場面も多様化していることなど
      • 減少要因:感染リスクの高い場面が明らかになりつつあり、人々が感染リスクの高い場所・行動を控えていること。一方、クラスターが発生した場合でも、これまでの経験を活かし、関係者が迅速かつ効果的な対応をとってきたことなど
      • また、地域ごとの動きにも留意することが必要である。多くの都道府県で大幅な増加がみられない一方で、急激な減少もみられない状況は続いているが、感染が高止まりしている地域や増加がみられる地域、地方都市における繁華街や接待を伴う飲食店を起因とするクラスターの発生などがあり、拮抗しているバランスがいつ崩れてもおかしくなく、今後の感染の動向に留意が必要である。
    • 今後の対応について
      • これまで国内で感染拡大のきっかけとなってきた接待を伴う飲食店などのリスクの高い場における積極的な対応を継続していくとともに、クラスターが生じている会食や職場等での感染予防対策の再確認・徹底が必要がある。
      • 特に、地方都市の歓楽街や共同生活など特定の生活習慣を有するコミュニティなどでクラスターが生じるなど、その態様が多様化しつつある。大学での対面授業再開に伴う学生の行動の活発化などを含めて、これまでと異なる場が感染拡大の端緒となる可能性もあり、対象者の特性に応じた情報提供や地域の関係者を幅広く積極的に検査するなど大規模クラスターやクラスター連鎖が発生しないよう早期かつ適切な対応が求められる。その際には、院内・高齢者施設における感染対策と面会のバランスをとりつつ、重症者・死亡者を抑えていくことも必要である。
      • 併せて、社会活動の活性化が見込まれる中で、引き続き、「3密」や大声を上げる環境の回避、室内や人と接触する環境でのマスクの着用(フェイスシールド、マウスシールドはマスクに比べ効果が弱いことに留意が必要)、フィジカル・ディスタンスの徹底、換気の徹底など、基本的な感染予防対策の徹底が重要であるが、クラスターの分析を踏まえ、感染リスクが高まる飲食の場面などをはじめ、具体的な行動のリスクやリスクを低減する工夫を、国民に分かりやすく説明することが必要である。
      • こうした取組により、感染が拮抗した状況を引き下げる努力が必要であり、その際どうした水準を目指すべきかや、定量的な分析は必要であるが、人の移動に伴い感染が生じることが想定される中で、年末年始も含めた対応についても検討を進めることが必要である。
  • クラスターの分析に関するヒアリング調査等の結果と今後に向けた検討(案)
    1. 接待を伴う飲食店 クラスターの発生要因
      • 接待を伴う飲食店は三密(密閉、密集、密接)の環境であり、テーブルなどで水割り等を作る従業員から感染拡大した可能性が高い。
      • 咽頭痛等の軽い症状がある従業員が勤務したことで感染が拡大し、さらに感染した無症状病原体保有者から家族内感染が起きた。
      • マスクなしでのカラオケの利用により、大声で飛沫が飛んだことが感染の原因と考えられた。
      • 夜遅くまで酒を飲み、窓もなく狭い部屋であった。
      • マスクなしで長時間の接待があった。
      • 感染者が店舗名や職業、本名を明かさずに、積極的疫学調査につながらず、感染が拡大した。
      • 店舗が入場者の履歴を収集しておらず、利用客への注意喚起ができなかった。
      • 感染者が短時間で複数の店舗を飲み歩いたため、感染が拡大した。
      • 回し飲みなど、業種別ガイドラインを守らない行為があった。
      • 従業員が共同生活しており感染が拡大した。
      • 昼の仕事をしている人が兼業として夜の仕事をしている場合には、情報収集が困難であった。
      • 厳密にいうと、接待を伴う飲食店という場所ではなく、休憩室や営業時間後のいわゆるアフターといわれる行動等での感染が疑われる事例があった。
    2. 接待を伴う飲食店 対策から得られた知見や教訓等
      • 人と人との距離をあける、斜めの位置に座る等、座席を配慮することが必要と考えられた。
      • 箸やスプーン等の共有をやめさせることが必要と考えられた。
      • 飲食以外の時間(トイレ、会計等)にも感染リスクがあることを認識することが必要と考えられた。
      • 歓楽街にPCR検査場を設置し、濃厚接触者を検査に誘導した。
      • 店舗名の公表を行ったことで、風評被害や自粛要請を恐れ、従業員である感染者からの情報収集が困難であった。
    3. コールセンター クラスターの発生要因
      • 一日中話し続ける業種であり、飛沫が飛びやすく、ヘッドセットを共有するなど感染拡大しやすい状況であった。
      • 不十分な換気が感染拡大につながったと考えられた。
      • 職場間の交流が多く、初感染者の隣席の社員へ感染した後、フロアを超えて交流があったため、各フロア、さらに家族にまで感染が広がった。
      • 共用施設や喫煙室において、昼食休憩時に感染が拡大したと考えられた。
      • 飛沫感染やマイクロ飛沫感染ではなく、電話・インカムの共有という接触感染が原因と考えられる事例もあった
    4. コールセンター 対策から得られた知見や教訓等
      • 特定建築物の換気量の基準を満たしていない事例がみられた。
      • 喫煙室での感染が盲点であった。
      • 共用設備の清掃・消毒の徹底が必要と考えられた。
      • 接客業ではなくても、感染リスクがあることを認識する必要があった
    5. 高齢者等の福祉施設、在宅サービス クラスターの発生要因
      • 施設職員が海外から持ち込み、施設内で感染が拡大した。認知症専門の高齢者施設でのクラスター発生であったため、利用者の徘徊が多く、濃厚接触者のケアなどに難儀した。
      • 訪問入浴介助の際、密着して介助が行われることに加え、利用者が補聴器を外すため、介助者はマスクをとって耳元で大声で話しかける必要があった。
      • 防護服の着脱を含め、従事者の感染予防策の習熟度に課題があった。
      • 認知症の患者は自ら症状を訴えることが困難であり、高熱等の典型的な症状がない場合には発見が遅れた。
      • 人手不足から、施設職員が体調不良時や濃厚接触者であっても業務を続けざるを得ない環境であった。
    6. 高齢者等の福祉施設、在宅サービス 対策から得られた知見や教訓等
      • 高齢者施設1フロアを感染者の治療用に切り替えて、高齢者施設において大学病院の支援を受けながら感染した利用者及び職員の治療を行い、重症化した場合には感染症指定医療機関に入院させた。
      • 軽度の症状でも陽性となった事例があることから、介護・医療関係者は、熱発や上気道の症状に限らず、少し体調が悪い(例えば倦怠感や下痢など)だけでも身近な医療機関でPCR検査を受けられる体制とした。
      • 感染者を発見した早期に、徹底したPCR検査及び専門医・専門看護師による介入を実施した。
      • 行政医師や近医の協力を得て迅速に短時間でPCR検査を実施した。
      • ゾーニング、利用者や患者への対応の仕方、職員のシフト、個人防護具(PPE)の扱い方、検査体制等の指導を行うことで、早期のクラスターを抑え込むことができた。
      • 感染リスクのある場面等の課題について、施設で研修会を開催し、予防のための啓発を行った。
      • 複数の利用者に関わる介助者が、感染を拡げるリスクがあることを認識することが必要と考えられた。
      • 利用者や職員の体調チェックを確実に実施するとともに、危機管理に対応した行動を起こす基準を設定し、どのように対応するかを明確にしておくことが重要と考えられた。
      • 各施設で感染症対策のリーダーとなる人材の育成が重要と考えられた。
    7. まとめ
      • 「7つの場面」(1)飲酒を伴う懇親会(2)大人数や深夜におよぶ飲食(3)大人数やマスクなしでの会話(4)仕事後や休憩時間(5)集団生活(6)激しい呼吸を伴う運動(7)屋外での活動の前後についてはは概ね妥当であることが示された。また、国が自治体から情報を収集した際の情報の還元の方法としても、このような具体化した場面を国民に分かりやすく提示していくことが、対策を進めていく上で有用であることも示された
      • 例えば、「喫煙所」については、感染リスクを高める場面の要素として、複数の指摘があった。喫煙を行うような休憩時間などの場面では、喫煙所が屋内か屋外かに関わらず、マスクを外すこと、また密集した空間で会話をしてしまうことから感染リスクを高めると考えられるが、職場などの場所での感染と受け止められることもあり、特に喫煙室は盲点となっているとの指摘もあった
      • 食事の際の箸やコップなどの使いまわし、休憩室、トイレなどの共用設備、コールセンターのインカムなどの業務上使用する共用の物品などを通じた接触感染の可能性も指摘された
      • 身体的接触度合いの高い介護現場での感染リスクを高める場面を示すことの必要性についても指摘があった。「7つの場面」は日常の生活の場面で感染リスクを高める場面を具体化したものであり、介護現場に特化した場面を示すためには、別途、事例の検討が必要と考えられるが、介護現場で感染リスクを高める場面は在宅介護で感染を回避するためにも有用であるとの指摘もあり、家族内感染を防ぐ見地からも、新たに検討すべき事項と考えられる
      • クラスターが発生した段階で症状の有無に関わらず接触者に対するPCR検査等を早急に行うことでクラスターを閉じることが可能であること、体調が悪い人が迅速にPCR検査等を受けることの可能な体制を整備していくことが重要であることについても指摘がされている
      • 外国人など特に情報が届きにくい人々の集団では、集団内のつながりが強い一方で、感染リスクを高める行動や場面に関する情報が入手できていないために、感染者が発生するとその集団内で感染が広がると考えられることから、多言語で感染予防策や受診方法の情報を提供することや、パンフレットの作成、通訳の確保等について国際関係部局と協力を行うことが有用であるとの意見があった
  • 年末年始に関する分科会から政府への提言(案)
    • 年末年始には、多くの人が連続した休暇を取ることが予想される。年末年始に感染を拡大させないために、分科会から政府に対して以下のことを提言させて頂きたい。
      1. 政府におかれては、今年の年末年始には、集中しがちな休暇を分散させるために、年末年始の休暇に加えて、その前後でまとまった休暇を取得することを職員に奨励して頂く範を示してもらいたい。
      2. 例年、働き方改革の一環として1で述べた趣旨が推奨されてきたが、必ずしも実効が上がっていない。新型コロナウイルス感染症を契機として、今まで以上に強いリーダーシップを発揮して本提言を実現して頂きたい。
      3. 政府におかれては、経済団体、地方公共団体等に対して、政府と同様に分散して休暇を取得することを呼び掛けて頂きたい。
      4. 政府におかれては、民間企業とも連携し、「小規模分散型旅行」を推進するなど、GO TOキャンペーン各事業の運用の在り方を含めて、年末年始の人の流れが分散するよう努めて頂きたい。
  • ハロウィンでの感染防止策について~感染防止策を徹底して楽しんでいただくために~
    • 密が発生しやすい場所や、適切な感染防止策が講じられていない仮装パーティーへの参加を控えること。
    • 適切な感染防止策(適切な対人距離の確保、手指消毒、マスクの着用、大声での会話の自粛等)を徹底すること。
    • 街頭や飲食店での大量または深夜にわたる飲酒や、飲酒しての仮装パーティー等への参加を自粛すること。
    • 家族で自宅で過ごす、オンラインのイベントに参加するなどの新しいハロウィンの楽しみ方も検討していただくこと

~NEW~
首相官邸 第48回 経協インフラ戦略会議 議事次第
▼インフラ海外展開に関する新戦略の策定に向けて
  • 加藤官房長官
    • 経協インフラ戦略会議は、菅内閣においても、我が国の成長を支えるインフラ海外展開の司令塔として、引き続き、重要な役割を担っていくこととなる。
    • 7月に策定した来年以降のインフラ海外展開新戦略の骨子では、(1)デジタル変革への対応等を通じた産業競争力の向上による海外展開の促進、経済成長の実現、(2)展開国の社会課題解決やSDGs達成への貢献、(3)「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現等外交課題への対応を、目的の3本柱として位置付けた。
    • 本日は、こうした新しい目的に即して、今後5年間どのような施策を行っていくか、総理が宣言された2050年カーボンニュートラルに経協インフラの面でも貢献していくことを念頭に、意見交換を行いたい。
    • 菅内閣の下での新戦略が、新型コロナウイルスの感染拡大、地球温暖化問題の高まりなど、足下の国際社会の変化を踏まえた、先駆的なものとなるよう、出席者の皆様の自由闊達で忌憚の無い議論をお願いする。
  • 麻生副総理兼財務大臣
    • まずは新型コロナによる環境変化への対応に集中的に取り組む必要がある。
    • 医療保健分野の対応は急務であり、財務省は、ワクチン、治療薬等の開発・製造・普及に係る包括的な取組みや、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジへの取組み強化をG20やADB等の場で主張する中で、強じんな医療システムを支えるインフラの重要性も指摘している。
    • また、新型コロナによりサプライチェーンに深刻な影響を受けた日本企業を支援するため、本年4月にJBICに「新型コロナ危機対応緊急ウインドウ」を設け、スピード感をもって対応している。
    • 現地の社会課題とニーズに沿ったインフラの展開や、インフラの運営管理ノウハウの提供は、日本が主導する質の高いインフラ投資の重要な要素である。
    • 今月採択した「G20行動計画」でも、経済回復の手段として質の高いインフラ投資の重要性が確認されており、日本の議長下で策定した「G20質の高いインフラ原則」の実施を更に推進していく。
  • 赤羽国土交通大臣
    • インフラの「質の高さ」は、低廉なライフサイクルコスト、相手国の人材育成・技術移転、工期等の確実な履行、環境や防災への配慮等にあり、戦略的・効果的にPRしていく。
    • 関係省庁とも連携し、スピード感を持って新型コロナへの対応を進める。
    • 国内でのMaaS(Mobility as a Service)や自動運転の経験を活用するとともに、iConstructionや建設工事のDX化も進めていく。
    • インフラの整備に技術移転や人材育成を組み合わせた「技術移転パッケージ」型プロジェクトの案件形成や、建設業界の国際人材の育成を図る。併せて、スマートシティの海外展開の推進や、JOINの支援分野を拡大し、積極的に活用していく。
    • 防災・減災や、カーボンニュートラルも視野に入れたCO2排出削減への支援のため、防災インフラ、環境にやさしい都市鉄道の整備を進めていく。
    • FOIPの推進のため、それに資するプロジェクトの分野横断的な推進、巡視船等官公庁船の海外展開等を進めていく。
  • 梶山経済産業大臣
    • 各国が競争力を高める中、我が国も「質の高いインフラ」に磨きをかける必要があり、その際、二つの軸で取り組むことが重要である。
    • 一つ目の軸として、技術開発等によって、日本企業の技術・サービスの差別化やコスト低減に向けた取組を支援する。例えば、カーボンニュートラルの実現に貢献する技術として、日本が主導する水素について、国際的なサプライチェーンの構築を支援するNEDO実証事業を実施中である。また、現地生産等により価格競争力や供給力の強化に取り組む企業を人材育成等で支援していく。
    • 二つ目の軸として、新型コロナの感染拡大等の環境変化の中で、サプライチェーンの強靭性やセキュリティ、持続可能性といった新たなニーズに対応していく必要がある。デジタル技術はこれらの課題解決のための最大のツールである。例えば、貿易データの共有や活用による国際サプライチェーンの効率化や、データセキュリティの確保に向けた国際ルールの形成等を支援していく。
  • 西村経済再生担当大臣
    • インフラの海外展開にあたっては、日本の最先端の技術を核としたシステムを輸出する観点も重要である。
    • 我が国の新型コロナ対策に係る新技術や、再生可能エネルギーやCCS・CCU等の脱炭素・低炭素技術などは、世界でニーズが益々高まり、かつ日本が進んだ技術を有する分野である。これらの分野でインフラ輸出を進め、日本の優れた企業の活躍の場を広げ、我が国の産業競争力の向上・経済成長につなげることが重要である。また、展開国での社会課題解決に貢献し、日本ならではの協力を行うことは外交戦略の観点からも重要である。
  • 武田総務大臣
    • 本年4月に策定した「総務省海外展開行動計画2020」に基づき、「インフラ海外展開に関する新戦略の方向性」における3本柱の目的に整合的な海外展開の推進に取り組むこととしている。
    • 行動計画において選定した今後3年間で重点的に推進するプロジェクトのなかには、デジタル技術・データの活用を支える「通信ネットワーク整備」に加え、社会のデジタル変革を進めるデジタルシステムの展開も幅広く含まれており、これらを戦略的に推進していくことは世界的にも有益と考えている。
    • 特に、ウィズコロナ時代の新たな社会生活様式の普及により、通信ネットワークの拡充・高度化やより効果的なデジタルソリューションへのニーズが出ていることから、これらに応えられる5G、光海底ケーブル、遠隔医療システム等のデジタル変革への対応に向けたICTインフラシステムの海外展開を支援していく。
  • 鷲尾外務副大臣
    • 外交の取組とのシナジーを最大限発揮できるよう、関係府省庁とも連携していく。
    • インフラプロジェクトの受注時及びその後のフォローアップを含めた個別案件に関する支援について、在外公館においてもしっかり取り組んでいく。
    • 2020年10月の総理のベトナム、インドネシア訪問では、新型コロナ拡大を受け、保健分野における協力が改めて確認された。同分野は我が国が強みを持つ社会インフラと位置付けられており、今後も、各国の保健医療体制の強化に資する医療機材の提供や人材育成、施設整備等に取り組んでいく。
    • コロナ禍の国際社会でも、ASEAN諸国や米豪印といった基本的な価値を共有する国々との連携を通じた、ルールに基づく国際秩序の確保が重要。右に資するFOIPの実現に向け、ODAを通じた戦略的な案件形成を促進していく。関係機関が関与するインフラ案件について効果的な情報共有と連携を行い、より広範な公的資金スキームの活用を通じて、日本企業の積極的な参画を促していく。
    • 「質の高いインフラ投資に関するG20原則」の着実な実施、普及に貢献していく。
    • 関係府省庁と連携し、デジタル流通の新たな国際ルール作りを主導していく。

~NEW~
内閣府 令和2年度「防災週間」及び「津波防災の日」について
  • 我が国は、その位置、地形、地質、気象等の自然的条件から、台風、豪雨、豪雪、洪水、がけ崩れ、土石流、地すべり、地震、津波、火山噴火等による災害が発生しやすい国土となっている。
  • 昨年度は、令和元年8月の前線に伴う大雨、令和元年房総半島台風(台風第15号)、令和元年東日本台風(台風第19号)等により全国各地で様々な被害が発生した。また、本年度に入ってからも令和2年7月豪雨による被害が発生している。
  • こうした我が国の国土の特徴に鑑み、政府、地方公共団体等防災関係諸機関を始め、広く国民が、前述の災害についての認識を深めるとともに、これに対する備えを充実強化することにより、災害の未然防止と被害の軽減に資するよう、「防災の日」(9月1日)及び「防災週間」(8月30日から9月5日まで)を設けることとしている。更に、平成23年6月に「津波対策の推進に関する法律」が制定され、国民の間に広く津波対策についての理解と関心を深めるため、11月5日が「津波防災の日」と定められたところであり、この「津波防災の日」においては、国及び地方公共団体は、その趣旨にふさわしい行事が実施されるよう努めることとされている。
  • 平成27年9月には、各界各層の団体等のネットワークを活用し、幅広い層の国民の防災意識の向上を図ることを目的として、「防災推進国民会議」が発足するとともに、平成28年8月に「第1回防災推進国民大会」が開催されて以降、これまでに4回同大会が開催されてきたところである。
  • 加えて、平成27年12月には第70回国連総会本会議で11月5日を「世界津波の日」と定める決議が全会一致で採択され、津波の脅威について関心が高まり、その対策が進むことが期待されている。こうした背景を踏まえ、平成29年3月に「津波対策の推進に関する法律」の一部が改正され、津波対策に関する国際協力の推進に資するよう配慮する旨が追加されたところである。
  • また、平成30年7月豪雨を教訓に、平成31年3月には、住民の主体的な避難行動を支援するため、風水害(津波を除く)、土砂災害における5段階の警戒レベルを用いて住民が的確な避難行動をとれるよう、「避難勧告等に対するガイドライン」を改定し、更に、令和元年東日本台風を教訓に、令和2年4月から、自宅の災害リスクや災害時のとるべき行動をあらかじめ確認いただき、避難への理解を深め、確実な避難行動につなげていただくキャンペーンを官民を挙げて実施しているところである。
  • 災害からの被害を軽減するためには、これまで発生した大規模自然災害から得られた教訓を的確に活かし、平素より災害時における被害軽減につながる備えを充実強化するとともに、災害時に迅速かつ適切な防災活動を行い、被災後の円滑な復旧・復興を可能としていくことが重要である。
  • 平常時より災害に対する備えを心がけ、令和元年東日本台風等の経験を踏まえ、住民が「自らの命は自らが守る」意識を持って、発災時には自ら身の安全を守る「自助」とともに、地域住民や企業等が連携してお互いに助け合う「共助」の取組を行政による「公助」と連携して更に拡大させ「防災意識社会」を構築することが必要である。これによって社会全体における防災力を向上させるため、以下のとおり、国、関係公共機関、地方公共団体及びその他関係団体等の緊密な連携の下に、防災に関する各種の行事、「津波防災の日」の周知や広報活動等を全国的に実施する。
  • なお、防災訓練の実施に当たっては、「令和2年度総合防災訓練大綱」(令和2年5月29日中央防災会議決定)で示している基本方針を参考にするものとする。
  • 行事等の実施に当たっては、令和元年8月の前線に伴う大雨、令和元年房総半島台風、令和元年東日本台風等による被害も踏まえ、災害への備えに関する次の事項について普及・啓発を行う。
    • 様々な災害(地震・津波災害、風水害・土砂災害、高潮・高波・暴風災害、火山災害、雪害等)発生時における、様々な状況下(家屋内、高層ビル内、路上歩行時、自動車運転中、登山中等)においてとるべき行動(特に子供の指導にも留意すること)
    • 警報・注意報、大雨・洪水警報の危険度分布等の情報、風水害(津波を除く)、土砂災害における5段階の警戒レベルを用いた避難情報等、南海トラフ地震に関連する情報等の発表時にとるべき行動の確認及び防災マップ等による指定緊急避難場所・指定避難所の位置や経路等の把握(特に子供の指導にも留意すること)
    • 火山災害の発生に備え、登山者や火山周辺地域の施設管理者等が行うべき取組
    • 家族内及び事業所内における安否確認の連絡方法の確認及び指定緊急避難場所等でとるべき行動(特に子供の指導にも留意すること)
    • 非常用持出品(救急箱、懐中電灯、ラジオ、乾電池等)の準備
    • 最低でも3日、出来れば一週間分程度の食料、飲料水等の備蓄
    • ライフラインの途絶に備えた対応の確認(電気、ガス、上下水道、通信等)
    • ペットの同行避難や指定避難所等での飼養等についての日頃からの準備
    • 家具・家電製品等の固定による転倒防止対策や配置の見直し、収納物の落下に対する防止対策の重要性
    • 建物の耐震診断及び補強の実施並びに耐震診断に対する地方公共団体等の助成制度、耐震化された公共建築物のリストの公表等公共建築物の耐震性に関する情報、被災建築物応急危険度判定活動等
    • ブロック塀等建築物の既設の塀の安全点検
    • 感震ブレーカー等の設置による出火の予防
    • 地震保険加入の促進
    • 緊急地震速報を広く一般の利用に供するため、緊急地震速報の特性と限界の周知、及び受信時に利用者がとるべき行動等(特に子供の指導にも留意すること)
    • 自主防災組織や次の事業所等における防災のための施設、設備及び資機材の点検
      • 危険物を有する石油コンビナート等の事業所
      • 電気、ガス、上下水道、通信等のライフライン関係及び廃棄物処理関係事業所
      • ターミナル駅、高層ビル、地下街、ホテル、百貨店、劇場、遊園地等不特定多数の者が出入りする施設や事業所
      • 病院、社会福祉施設等の施設
    • 自主防災活動の実施・参加及び消防団・水防団活動への参加・協力並びに地域住民と事業所従業員等と連携した防災訓練の実施
    • 地区防災計画の作成及び地区防災計画に基づいた訓練等の実施
    • 企業における、災害時に備えた中枢機能・情報システムのバックアップ、ライフライン系統の多重化、要員の確保等、事業継続計画(BCP)の策定及び事業継続マネジメント(BCM)の構築
    • コンピュータ、情報通信ネットワークシステム等の保守点検及び機能停止に備えた代替手段の確認
    • 初期消火、顧客の避難誘導、負傷者・要配慮者救助の心構えと準備

~NEW~
国民生活センター 排水管の高圧洗浄トラブルに注意
  • 内容
    • 「排水管の高圧洗浄3千円」というチラシを見て、電話で依頼した。来訪した業者から渡された見積書は2万円を超えていたが、自分が家に呼んだので断ったら申し訳ないと思い、契約書にサインした。その後、同じ業者の別の人が家に来て、「排水設備が老朽化しているので、全部交換したほうがいい。交換しないと家が傷んでしまう」と言われ、20万円の排水工事の契約を結んでしまった。(80歳代 女性)
  • ひとこと助言
    • 低価格を強調したチラシをみて、排水管の高圧洗浄を依頼したところ、高額な費用を請求されたという相談が寄せられています。
    • チラシに「〇〇円」と大きく記載されていても、その料金は1カ所あたりの費用である旨等、料金の条件や、詳細な説明が小さな文字で記載されていたり、目立たない部分に記載されていたりすることがあります。チラシの内容をしっかりと確認し、安さにつられて安易に依頼しないようにしましょう。また、本当に必要な作業なのか冷静に判断する必要があります。
    • 排水管洗浄の契約をきっかけに、事業者からさらなる点検や別の作業の契約を勧誘される場合もあります。必要がない契約はきっぱり断ることも大切です。
    • 困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

~NEW~
国民生活センター 純正品でない格安のプリンター用インク
  • 質問
    • プリンターのインクを交換しようと思い、通販サイトで格安で売られていたものを購入しましたが、届いた商品を確認したら純正品ではありませんでした。このまま使っても大丈夫でしょうか?
  • 回答
    • 互換性があっても、純正品とは印刷の質が異なる場合もあります。プリンターの保証期間内であっても、故障や不具合が出た際に、無償修理等のサポートが得られない可能性があることも理解したうえで使いましょう。
  • 解説
    • プリンターには、多種・多色のインクが用いられており、交換の際に思いのほか費用がかかることがあります。また、プリンターが古くなると、純正の交換インクが量販店では売っていないこともあります。
    • そこで、インターネットショップなどで、安価な交換インクを探し、購入するケースがありますが、カートリッジの形状が同じ場合でも、中に詰めてあるインクの量や質は、必ずしも純正品(プリンターのメーカーが製造したもの)と同じではありません。互換品を使用した場合「印刷の色味が異なる」や「インクが漏れて、プリンターが使えない」といったことも起こりえます。
    • 純正品でない商品を購入する際は
      • 純正品でないインクを使用してプリンターが故障や不具合を起こした場合は、無償修理等の保証期間内であっても有償修理になるなど、メーカーによるサポートが受けられないことがほとんどです。
      • 上記のリスクを踏まえたうえで、商品説明などを見て性能等の詳細情報を確認し、価格も考慮したうえで自分のニーズにあった商品を選択するようにしましょう。メーカーによっては純正品の見分け方について、ホームページ等に記載している場合もあります。
      • なお、店舗で購入する際は、従業員に直接確認するのも一つの方法です。
      • お困りの際にはお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。
      • 純正品でないものを利用する際の注意点は、プリンター用インクに限らず、商品全般において言えることです。他の商品購入の際も留意しましょう。

~NEW~
国民生活センター 契約中のエステサロンが倒産した!
  • 質問
    • 利用しているエステサロンが倒産しました。代金はサロンが発行したプリペイドカードで支払っていましたが、チャージしたお金がカードに残っています。返金してほしいのですが、どうすればよいですか。
  • 回答
    • まずは事業者に、契約の解除と返金を求める書面を簡易書留等で送付しましょう。支払い済みの代金を取り戻すことは困難ですが、契約解除の意思表示をしておくことで、その後の手続きの根拠等とできる場合があります。
    • また、資金決済法が適用される事業者発行のプリペイドカードにチャージしていた場合、資金決済法に基づく手続きを取ればお金が戻ることもあります。発行者を管轄する財務局や一般社団法人日本資金決済業協会のホームページで、還付手続き等の情報を確認しましょう。
  • 解説
    1. 倒産した事業者が法的手続きを取り破産が確定すると、事業者の資産は破産管財人(弁護士)の管理下に置かれ、消費者が事業者に返金を求めても直接払い戻されることはありません。消費者は、「債権者届」を破産管財人に提出し、破産管財人が作成する債権者名簿に登録され、一般債権者の扱いで清算配当を待つことになります。清算は、優先債権(税金や従業員の給料等)への支払いを終えてからになるので、配当はほとんど期待できません。
    2. また、倒産した事業者が法的手続きを取らずに行方不明になった場合は、返金の交渉をすることは事実上困難です。代金を前払いしていた場合、お金を取り戻すことは非常に難しいでしょう。
    3. 決済事業者に対応を求められる場合もあります 以下の支払い手段で契約した場合、法律に基づく手続きをとることでお金が戻る可能性や、決済事業者に対応を求められるケースがあります。
    4. エステ事業者が発行するプリペイドカード払いの場合
      • 資金決済法の対象となるカード発行者(有効期限が6カ月を超えるプリペイドカード等で、発行者の店舗でのみ使える場合その未使用残高が、3月末あるいは9月末時点で1000万円を超えた者)は、カードの未使用残高の2分の1以上の額を法務局に供託することが義務づけられています。発行者が破産した場合、還付手続きが行われ、一定の期間内に申し出ることでカードにチャージされているお金を戻してもらうことができます。ただし全ての事業者が資金決済法の対象となるわけではなく、全額が戻るとも限りません。
      • 還付手続きに関しては、発行者を管轄する財務局や一般社団法人日本資金決済業協会のホームページでも確認できます。
      • ▼前払式支払手段還付手続のお知らせ(一般社団法人日本資金決済業協会)
      • なお、資金決済法の対象外のカード発行者が破産した場合は、通常の破産手続きに基づいて処理されることになります。
      • 金融庁ホームページ上で発行者の名簿を確認できます。
      • ▼前払式支払手段(自家型)発行者届出一覧(金融庁)>
    5. クレジット分割払いの場合
      • 本来、エステなどの役務契約とクレジットの立替払い契約は別のものなので、販売会社が倒産してもクレジット会社への支払い義務は残ります。
      • しかし、クレジット会社への支払いが残っているときに、エステ事業者が倒産しサービスを受けられなくなったなどのケースでは、一定の条件(契約金額にかかわらず、1回払い(マンスリークリア)ではないこと)を満たせば、以後の支払いを停止する旨の主張(支払停止の抗弁の主張)をすることができます。なお、支払停止の抗弁の主張をする際は、抗弁書(書面)を提出することが一般的です。
      • ただし、これはあくまでもクレジット代金の支払いの停止を主張することができるものであって、契約の解除や既払金の返還を主張できるものではありません。
      • ▼支払停止等の抗弁に関する手続きについて(ご案内)(一般社団法人日本クレジット協会)
      • 分割払いの支払総額が4万円未満(リボルビング払いの場合は現金価格が38000円未満)ではないことなど。
      • 契約時には支払い手段等を検討しましょう
        • クレジット分割払いの契約には、一般的には分割手数料が発生し、契約金額の総額は現金払いやクレジットカード一括払いよりも高額になります。
        • また、プリペイドカードで前払いした場合、基本的には返金されません。転居等の理由によりサロンに通えなくなったとしても返金されない場合があり、前述の通り、事業者が倒産した際でも払ったお金を取り戻すことが困難です。
        • 初めから長期間の契約はせず、施術の度に支払う都度払いにしておくなど、支払い手段等についても慎重に検討したうえで契約するか否か判断しましょう。
        • お困りの際にはお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。

~NEW~
厚生労働省 自殺対策白書(本体)
  • 警察庁の自殺統計原票を集計した結果(以下「自殺統計」という。)によれば、我が国の自殺者数は、昭和58年及び61年に2万5千人を超えたものの、平成3年の2万1,084人まで減少し、その後2万人台前半で推移していた。しかし、10年に前年の2万4,391人から8,472人(34.7%)増加の3万2,863人となり、15年には統計を取り始めた昭和53年以降で最多の3万4,427人となった。その後、3万2千人から3万3千人台で推移した後、平成22年以降は9年連続の減少となっており、30年は2万840人で前年に比べ481人(2.3%)減少し、昭和56年以来37年ぶりに2万1,000人を下回った
  • 同様に、厚生労働省の人口動態統計による自殺者数の推移をみると、昭和58年に2万4,985人に増加し、61年の2万5,667人をピークとした後、平成3年に1万9,875人まで減少したものの、10年に前年の2万3,494人から8,261人(35.2%)増加の3万1,755人となって以降は、3万人前後の状態が続いていたが、22年以降は減少を続け、29年は2万465人となった
  • 人口10万人当たりの自殺者数(以下「自殺死亡率」という。)の推移について、自殺統計によれば、昭和58年の21.1をピークとした後、平成3年には17.0まで低下した。その後、9年の19.3から10年に26.0と急上昇し、以後15年の27.0をピークとして、高い水準が続いていたが、近年は低下を続けており、30年には統計を取り始めた昭和53年以降で最小の16.5となった。
  • 年齢階級別の自殺者数の推移について、自殺統計をみると、全体的に、60歳以上が最も多く、50歳代、40歳代が多くなっている。さらに、男女別にみると、男性は、40歳代、50歳代では15年まで上昇傾向にあったが、16年以降は低下傾向にある。一方、20歳代が一貫して上昇していたが、23年以降は低下を続けており、30歳代は15年に更に高まった後、そのまま高止まりしていたが、22年以降は低下している。女性は、20歳代、30歳代、40歳代では上昇傾向にあったが、24年以降は低下傾向にある
  • 我が国における若い世代の自殺は深刻な状況にある。年代別の死因順位をみると、10~39歳の各年代の死因の第1位は自殺となっており、男女別にみると、男性では10~44歳において死因順位の第1位が自殺となっており、女性でも15~29歳で死因の第1位が自殺となっている。こうした状況は国際的にみても深刻であり、15~34歳の若い世代で死因の第1位が自殺となっているのは、先進国(G7)では日本のみであり、その死亡率も他の国に比べて高いものとなっている
  • 19年以降の推移をみると、総数が減少傾向にある中で、「自営業・家族従業者」、「被雇用者・勤め人」及び「無職者」はおおむね減少傾向にあるが、「学生・生徒等」はおおむね横ばいである。さらに、「無職者」の内訳をみると、「無職者」全体は減少傾向にある中で、「年金・雇用保険等生活者」が増加傾向にあったが、26年以降は減少傾向にある。「無職」のうち、「学生・生徒」又は「学生・生徒等」の自殺者数の推移をみると、平成3年(482人)までは減少傾向にあったが、4年に増加に転じてからは増加傾向が続き、23年(1,029人)をピークに減少に転じた。29年(817人)は増加したが、30年(812人)は減少した
  • 平成18年までの原因・動機別の自殺の状況について、自殺統計によれば、昭和60年前後に自殺者が急増した際には、「健康問題」及び「経済・生活問題」が増加している。また、平成10年に自殺者が急増した際には、「家庭問題」や「勤務問題」が若干増加したものの、「健康問題」や「経済・生活問題」が大きく増加している。その後「健康問題」は減少傾向にあったが、15年に一旦増加した。「経済・生活問題」については、10年の急増の後、横ばいで推移したが、14年、15年と更に増加した。その後は減少傾向にある。平成19年以降の原因・動機別の自殺の状況については、「健康問題」が最も多く、次に「経済・生活問題」、「家庭問題」、「勤務問題」が続いている。「健康問題」や「経済・生活問題」は、ピーク時からの減少が大きくなっている一方、「勤務問題」や「家庭問題」については、他の原因・動機と比べてピーク時からの減少が小さくなっている
  • 平成30年における年齢別、原因・動機別の自殺者数をみると、自殺統計によれば、「家庭問題」は男女ともに「40歳代」が多い。「健康問題」については、男女ともに「70歳代」が多い。「経済・生活問題」については、男性の方が女性よりも著しく多く、中でも「40歳代」と「50歳代」で多い。「勤務問題」については、「20歳代」から「50歳代」で多い。「男女問題」は「20歳代」から「40歳代」で多い。
  • 平成30年における都道府県別の自殺の状況をみると、自殺統計によれば、自殺者数については前年に比べ、33道府県で減少、13都府県で増加、1県で横ばいとなっている。また、自殺死亡率についてみると、前年に比べ、29府県で低下、18都道府県で上昇となっている
  • 平成30年における発見曜日別一日平均自殺者数について、自殺統計によれば、男性、女性ともに「月曜日」(男性46.5人、女性20.8人)が最も多く、男性は次いで「火曜日」(41.6人)、女性は次いで「木曜日」(19.3人)が多くなっている。また、男女ともに「祝日・年末年始」(男性33.2人、女性15.2人)が最も少なくなっている。
  • 平成30年における同居人別の自殺の状況について、自殺統計によれば、男女とも、全ての年齢階級で、同居人「あり」が多くなっている。次に、平成29年における配偶関係別の自殺死亡率の状況をみると、男女とも「有配偶者」は全ての年齢階級で各年代別の総数よりも低くなっている一方、「未婚」、「死別」、「離別」は各年代別の総数よりも高くなっている。特に、男性の「離別」が高くなっている
  • 平成30年における自殺者の自殺未遂歴の有無について、自殺統計によれば、全ての年齢階級で、自殺未遂歴が「あり」の者の割合は、女性が多くなっている。特に、女性の20歳代及び30歳代では、40%以上の者で自殺未遂歴が「あり」となっている。また、男女別にみると、自殺未遂歴が「あり」の者の割合について男性では30歳代、女性では20歳代が最も多い。次に、消防庁の救急・救助の現況によれば、自損行為による救急自動車の出動件数及び搬送人員は共に増加傾向にあったが、近年では減少が続いている。平成29年における自損行為の状況については、救急自動車の出動件数は5万2,347件であり、前年に比べ1,955件(3.6%)減少している。搬送人員は3万5,377人であり、前年に比べ1,677人(4.5%)減少している。また、搬送人員総数に占める自損行為の搬送人員の比率も、近年減少傾向にあり、平成29年は0.6%となっている
  • 先進国(G7)の自殺死亡率について世界保健機関によれば、日本18.5、フランス13.8、米国13.8、ドイツ12.3、カナダ11.5、英国7.5、イタリア6.6となっている。世界保健機関の統計によれば、諸外国の自殺死亡率は、総数ではリトアニアが28.8で最も高く、次いで、ガイアナが27.7、韓国が26.5と続いており、我が国は、総数では9番目に高くなっている。男女別にみると、我が国は、男性が15番目、女性が4番目となっている。我が国の年間自殺者数は男性が7割を占め多く、諸外国をみても男性の方が自殺死亡率は高くなっているが、諸外国との比較でみると、我が国の女性の自殺死亡率の高さが目立っている

~NEW~
厚生労働省 令和2年版過労死等防止対策白書
▼概要
  • 労働時間の縮減、年次有給休暇の取得、勤務間インターバル制度の導入割合は緩やかながら目標の到達度は向上。(現状)374万人(6.4%)が、週60時間以上の勤務をしている。(平成30年と比較して約23万人減少)年次有給休暇の取得率が2年連続5割超。勤務間インターバル制度を知らない割合は大きく減少し数値目標に到達。
  • メンタルヘルス対策の取組、仕事上のストレス等について職場に相談先がある労働者の割合、ストレスチェックの集団分析結果の活用状況は、いずれも前年に比べて改善している。(現状)小規模な事業場におけるメンタルヘルス対策の取組割合が低い。ストレスチェックの集団分析結果を活用した事業場の割合は大幅に増加し数値目標に到達。
  • 過労死等の認定件数は、脳・心臓疾患、精神障害ともに、近年、横ばい傾向(参考)100万人あたりの認定件数(推計)(民間及び国家公務員は令和元年度、地方公務員は平成30年度)脳・心臓疾患:民間3.7件国家公務員6.8件地方公務員5.0件精神障害:民間8.8件国家公務員27.1件地方公務員4.6件
  • 脳・心臓疾患事案について、発症前6か月の労働時間以外の負荷要因は、「拘束時間の長い勤務」(30.1%)、「交代勤務・深夜勤務」(14.3%)、「不規則な勤務」(13.3%)が多い。業種別の特徴として、「医療,福祉」、「建設業」では、「精神的緊張を伴う業務」が他の要因と比べて多い。平成24年4月以降の精神障害事案(2,879事案)について具体的出来事別にみると、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」(21.9%)、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」(17.7%)、「上司とのトラブルがあった」(15.5%)が多い。業種別の特徴として、「医療,福祉」、「運輸業,郵便業」では、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」が他の要因と比べて多い
  • 自殺事案を発病から死亡までの日数別にみると、「29日以下」が半数以上であった。自殺事案について、労災認定の疾病に関して、医療機関への「受診歴なし」が約6割であった。自殺事案を職種別にみると、専門的・技術的職業従事者、管理的職業従事者が多く、その割合は精神障害事案全体(平成22年4月から平成30年3月までの認定事案)と比較しても高い
  • 4~5年前と比較して労働時間が短くなった、休日・休暇が取得しやすくなったと回答した労働者の割合は約3割。労働者が過重労働防止に向けて企業や事業所において必要と感じる取組は、「人員を増やす」(44.8%)、「タイムカード、ICカード等の客観的な方法等により労働時間の管理を行う」(44.3%)が多い。企業における過重労働防止に向けた取組を実施する上で困難に感じることは、「人員不足のため対策を取ることが難しい」(40.1%)、「労働者間の業務の平準化が難しい」(34.8%)が多い
  • 4~5年前と比較して就労時間が短くなったと回答した割合は、法人役員、自営業者ともに約3割。4~5年前と比較して休日・休暇が取得しやすくなったと回答した割合は、法人役員で約3割、自営業者で約2割。自身の過重労働防止のために必要と感じる取組は、法人役員、自営業者ともに「病気や通院等を踏まえた働き方の調整」が最も多い。自身の過重労働防止に向けた取組を実施する上で困難に感じることは、法人役員、自営業者ともに「人員不足のため対策を取ることが難しい」、「収益が悪化するおそれがある」が多い。
  • A社(第三次産業)の平成29年度データを分析した結果、労働時間が長いほど、健康診断の数値(血圧、LDL(悪玉)コレステロール等)、心理的ストレス反応等が悪化する傾向がみられた
  • 長距離運行と地場運行ともに、高血圧者においては休日明けの出庫時の収縮期血圧(最大血圧)が、他の測定日や測定点と比べて高くなる傾向がみられた
  • 模擬長時間労働時の血圧等の状態について年代別で比較したところ、30代と比較して、50代の作業中の収縮期血圧(最大血圧)が有意に高く、特に作業時間の後半においてその傾向が顕著であった
  • 「運輸業,郵便業」、「卸売業,小売業」及び「医療,福祉」について、3月~5月の週就業時間80時間以上の就業者の割合をみると、「運輸業,郵便業」及び「医療,福祉」において、3月~4月の割合が前年同月よりも増加。相談窓口において、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、職場が人手不足の状態となり、長時間労働を行うこととなった方からの相談や、職場での感染の不安を抱えながら働いている方からの相談等が寄せられている
  • 「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」等を活用した職場における感染予防対策の徹底、基礎疾患を持つ方の申出等を踏まえたテレワーク等の就業上の配慮、労働者が安心して休むことができるための各種支援策について、傘下団体等に向けて周知するよう、労使団体や業種別事業主団体等の経済団体に要請
  • 都道府県労働局に設置されている「新型コロナウイルス感染症に関する特別労働相談窓口」に寄せられた相談等から、過重労働による健康障害が懸念される事業場に対しては、健康確保対策の徹底等の必要な指導等を実施
  • 労働基準監督署に設置されている「労働時間相談・支援コーナー」においては、持続的な感染症対策が講じられた労働環境の構築に向けて、週休3日制、時差出勤、テレワークの導入を検討している事業場に対する適切な労務管理等について説明を実施
  • 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」において、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえ、電話やSNSによる相談窓口体制を拡充
  • 医療従事者など働く方々の安心感につながり、労災保険がセーフティネットの役割を果たすべく、新型コロナウイルス感染症が労災保険給付の対象となる取扱いを明示し、業務に起因して感染したものと認められる場合は、適切な労災補償を実施
    • 医療従事者等が新型コロナウイルスに感染した場合には、業務外で感染したことが明らかである場合を除き、原則として労災保険給付の対象
    • 医療従事者等以外についても、感染経路が特定されない場合であっても、業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと認められる場合には、労災保険給付の対象
  • 感染された方々が確実に補償されるよう、都道府県労働局から事業主を通じて労災請求の勧奨を実施
  • トラック運転者の健康管理
    • 始業点呼時における健康状態の把握等の徹底について、業界団体を通じて全国のトラック運送事業者に要請
    • 自動車運送事業の働き方改革の実現に向けた政府行動計画に基づく取組
  • 医療従事者の健康管理
    • 医療機関の管理者による医療従事者等に対する健康管理の手法等について、医療機関に対して周知
    • 院内感染対策に係る最新の知見について、医療機関を対象とした院内感染対策講習会の実施等により周知
  • 介護従事者の健康管理
    • 介護事業所や職員向けの感染対策相談・支援事業を実施
    • 介護施設の職員向けのこころの相談事業の実施、サポートガイドを作成予定
  • 保育所等の職員の健康管理
    • 保育所等の職員が適切に相談できる感染対策相談窓口の設置、感染症専門家による相談支援等を実施
  • 教職員の健康管理
    • 学校における衛生管理に関する取組の参考となるよう、教職員の感染症対策も含めた内容として「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~「学校の新しい生活様式」~」を作成※令和2年5月公表
    • ストレスチェックなどの労働安全衛生管理の一層の充実や相談体制の充実等の教職員のメンタルヘルス対策について、各教育委員会における取組を促進
  • 警察職員の健康管理
    • 都道府県警察に対し、警察職員からの相談対応等に従事する健康管理担当者向けの執務資料を発出

~NEW~
厚生労働省 11月はテレワーク月間です~テレワーク導入を促進するためのオンラインセミナーやイベントを開催~
  • 総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省(以下、「テレワーク推進4省」)と産業界、学識者の産官学で構成される「テレワーク推進フォーラム」では、11月を「テレワーク月間」とし、テレワークの活用によって働き方の多様性を広げる運動を行います。
  • 厚生労働省では、今年で6年目となるテレワーク月間中に、テレワークの導入を促進するための企業向けセミナーをオンライン形式で実施します。
  • 11月30日には、テレワーク月間を締めくくる「『働く、が変わる』テレワークイベント」を開催します。このイベントでは、テレワークを活用することでワーク・ライフ・バランスの実現に顕著な成果を上げた企業等※への表彰などを行います。※受賞企業等は別途発表します。
  • なお、テレワーク月間では、テレワークに関する活動(1.テレワークを試みる/実践する、2.テレワークを学ぶ/議論する、3.テレワークを応援する/協力する)を実施している個人や企業を募集しています。この活動の趣旨に賛同いただける方であれば、どなたでもテレワーク月間サイトで配布している月間のロゴマークや別添のポスターを利用いただき、テレワーク月間活動に参加することが可能です。また、テレワーク月間サイトから活動登録をすると企業名・取組内容がサイトに表示され、PRにもつながります。
  • 厚生労働省では、この月間を通じて、今後もテレワーク導入・運用促進のための周知・支援を行っていきます。

~NEW~
厚生労働省 11月は「外国人労働者問題啓発月間」です 今年の標語は「守ろう雇用、誰もが活躍 ~外国人雇用はルールを守って適正に~」
  • 厚生労働省は、例年6月を「外国人労働者問題啓発月間」と定めていますが、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮して、今年度は11月に実施します。
  • 外国人労働者の就労状況を見ると、派遣・請負の就労形態での雇用が多く、雇用が不安定な場合や、労働・社会保険関係法令が遵守されていない事例などが依然として見られます。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、外国人の新規求職者数が前年に比べて増加しており、特に定住者や専門的な知識・技術を有する外国人の就職率が一般より低い状態で推移しています。
  • こうした状況を踏まえ、今年は「守ろう雇用、誰もが活躍~外国人雇用はルールを守って適正に~」を標語に、事業主団体などの協力のもと、労働条件などルールに則った外国人の雇用や外国人労働者の雇用維持・再就職援助などについて、事業主や国民を対象とした積極的な周知・啓発活動を行います。
  • 事業主団体などを通じた周知・啓発、協力要請
    • 厚生労働省、都道府県労働局、労働基準監督署、ハローワークは、事業主団体などに対し、外国人労働者問題に関する積極的な周知・啓発を行うよう協力要請を行います。特に、外国人の雇い入れと離職の際にすべての事業主に義務付けている「外国人雇用状況」の届け出(資料3参照)がより徹底されるよう、事業主への周知に努めます。
  • 個々の事業主などに対する周知・啓発、指導
    • 都道府県労働局、労働基準監督署、ハローワークは、事業主などに対し、さまざまな機会を利用して外国人の雇用・労働条件に関する取り扱いの基本ルールについて、情報提供や積極的な周知・啓発、指導を行います。
    • 特にハローワークでは、「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(外国人雇用管理指針)に基づき、新型コロナウイルス感染症の影響で事業活動を縮小する事業所などに対して、外国人労働者の雇用維持・雇用管理の改善指導や離職を余儀なくされた外国人労働者の再就職援助に関する周知、指導などを積極的に実施します。技能実習生受け入れ事業主などへの周知・啓発、指導
    • 都道府県労働局、労働基準監督署、ハローワークは、技能実習制度に基づいて技能実習生を受け入れている事業主、事業主団体または監理団体に対し、あらゆる機会を通じて周知・啓発、指導を行います。技能実習生についても、外国人雇用の基本ルールの遵守が求められることや、労働基準法や最低賃金法などの労働関係法令が適用されることについて、「外国人技能実習機構」をはじめとする関係機関と連携を図っていきます。
    • なお、出入国在留管理庁作成の不法就労防止に関するリーフレットの配布を通じ、実習先から失踪した技能実習生が実習先以外で就労する場合を含め、出入国在留管理庁から認められた範囲を超えて就労するなどの不法就労活動をさせた事業主は、「出入国管理及び難民認定法」に違反する、ということについても周知・啓発を行います。
    • また、不適切な解雇などの予防に関する周知・啓発および指導を行うほか、ハローワークでは、関係機関の協力などにより、「外国人雇用状況の届出」を提出していない事業主を把握した場合には、厳格に指導を行います。
    • さらに、労働基準監督署では、労働基準関係法令違反が疑われる技能実習生受け入れ事業主に対して監督指導を実施するとともに、悪質な事業主に対しては、送検を行うなど厳正に対応します。また、労働基準監督機関と出入国在留管理機関と「外国人技能実習機構」との間にそれぞれ設けた相互通報制度の適切な運用に努めます。特に、人権侵害や人身取引が疑われる事案については、出入国在留管理機関と「外国人技能実習機構」との合同監督・調査を行い、労働基準関係法令違反が認められ、かつ、悪質性が認められるものなどについては、送検を行うなど厳正に対処します。

~NEW~
経済産業省 新たなコンビニのあり方検討会 フォローアップ会合
▼資料11 (一社)日本フランチャイズチェーン協会提出資料
  • 本年2月に経済産業省にて「新たなコンビニのあり方検討会」の報告書がまとめられたことから、当協会では、コンビニエンスストア(以下、CVS)8社の協力のもと、以下の取組みを進めていることをご報告いたします。
  1. 開示自主基準の遵守について(実施時期:2020年12月下旬目途)
    1. 開示自主基準が守られていないという指摘があることから、協会内に改善タスクフォースを設立し以下の内容等について検討を行っている。
      • 検討事項
        1. 加盟募集時における法定開示書面(フランチャイズ契約の要点と概説)の記録保持の在り方
        2. フランチャイズ契約の要点と概説の開示項目見直し
        3. CVS各社への独禁法ガイドブック(ハンドブック)見直し再配布等
    2. 外国人材の受入れ(特定技能の職種認定)について(認定時期:2021年4月目途)
      • 人材不足が店舗経営に深刻な問題となっていることから、新在留資格の2年後の見直し、即ち2021年4月の職種認定に向けて、協会内に設置の「外国人材の受入れに関する検討会ワーキンググループ」を中心に経済産業省と「受入見込み」、「技能水準」、「雇用形態」等について検討を進めている。
    3. 公共料金等の収納代行手数料の改定について(10月12日以降各社個別交渉)
      • 同手数料が低廉であり社会的役割への対価が適切に負担されていないため、店舗の負担感等を踏まえたコスト負担が必要であることから、CVS8社の連名によりコンビニ収納代行サービス利用事業者様(200箇所超)に対して同手数料の改定等のお願い(10月9日付)文書を発出。
    4. ADR(裁判外紛争解決手続)の設置について(認証時期:2021年4月目途)
      • 現在、CVS限定のADR認証に向け準備中。尚、認証取得に時間を要することが想定されることから2020年12月より相談センターの強化を図り、加盟者から相談があった場合にはJFAとして紛争解決に向けたサポートを実施する。
    5. 災害時の対応について(課題整備まとめ:2021年3月目途)
      • 災害状況等を踏まえ、お客様が安心してお買い物ができるよう商品供給システムの構築等、非常時の対応について安全対策委員会を中心に検討中。

~NEW~
経済産業省 第4回 Society5.0時代のデジタル・ガバナンス検討会
▼資料10 デジタルガバナンス・コード(現時点案)
  • あらゆる要素がデジタル化されていくSociety5.0に向けて、ビジネスモデルを抜本的に変革(DX:デジタルトランスフォーメーション)し、新たな成長を実現する企業が現れてきている。一方、グローバルな競争の中で、競合する新たなビジネスモデルにより既存ビジネスが破壊される事例(デジタルディスラプション)も現れてきている。
  • こうした時代変化の中で、持続的な企業価値の向上を図っていくためには、ITシステムとビジネスを一体的に捉え、新たな価値創造に向けた戦略を描いていくこと、ビジネスの持続性確保のため、ITシステムについて技術的負債となることを防ぎ、計画的なパフォーマンス向上を図っていくこと、必要な変革を行うため、IT部門、DX部門、事業部門、経営企画部門など組織横断的に取り組むことが重要であり、企業全体の組織構造や文化の改革、中長期的な投資を行う観点から、経営者の関与が不可欠なものである。
  • 一方で、我が国企業で本格的なDXの取組は遅れており、レガシーシステムがいまだ足かせとなっている企業や、ビジネスモデルの変革に取り組むもののPoCどまりの企業も多い。
  • また、企業のDXを進める能力を無形資産と捉えた、経営者とステークホルダーの対話も十分に行われていない。
  • こうした背景の中で、経営者に求められる企業価値向上に向け実践すべき事柄を「デジタルガバナンス・コード」として取りまとめていくこととする。企業がDXの取組を自主的・自発的に進めることを促すとともに、特に、経営者の主要な役割として、ステークホルダーとの対話を捉え、対話に積極的に取り組んでいる企業に対して、資金や人材、ビジネス機会が集まる環境を整備していく。
  • なお、対象は、上場・非上場や、大企業・中小企業といった企業規模、法人・個人事業主を問わず広く一般の事業者とする。また、ステークホルダーという用語は、顧客、投資家、金融機関、エンジニア等の人材、取引先、システム・データ連携による価値協創するパートナー、地域社会等を含む
  • 企業は、ビジネスとITシステムを一体的に捉え、デジタル技術による社会及び競争環境の変化が自社にもたらす影響(リスク・機会)を踏まえた、経営ビジョンの策定及び経営ビジョンの実現に向けたビジネスモデルの設計を行い、価値創造ストーリーとして、ステークホルダーに示していくべきである。
  • 企業は、社会及び競争環境の変化を踏まえて目指すビジネスモデルを実現するための方策としてデジタル技術を活用する戦略を策定し、ステークホルダーに示していくべきである
  • 企業は、デジタル技術を活用する戦略の推進に必要な体制を構築するとともに、組織設計・運営の在り方について、ステークホルダーに示していくべきである。その際、人材の確保・育成や外部組織との関係構築・協業も、重要な要素として捉えるべきである
  • 企業は、デジタル技術を活用する戦略の推進に必要なITシステム・デジタル技術活用環境の整備に向けたプロジェクトやマネジメント方策、利用する技術・標準・アーキテクチャ、運用、投資計画等を明確化し、ステークホルダーに示していくべきである
  • 企業は、デジタル技術を活用する戦略の達成度を測る指標を定め、ステークホルダーに対し、指標に基づく成果についての自己評価を示すべきである
  • 経営者は、デジタル技術を活用する戦略の実施に当たり、ステークホルダーへの情報発信を含め、リーダーシップを発揮するべきである。
  • 経営者は、事業部門(担当)やITシステム部門(担当)等とも協力し、デジタル技術に係る動向や自社のITシステムの現状を踏まえた課題を把握・分析し、戦略の見直しに反映していくべきである。また、経営者は、事業実施の前提となるサイバーセキュリティリスク等に対しても適切に対応を行うべきである
  • 取締役会は、経営ビジョンやデジタル技術を活用する戦略の方向性等を示すにあたり、その役割・責務を適切に果たし、また、これらの実現に向けた経営者の取組を適切に監督するべきである
  • 認定基準
    • デジタル技術による社会及び競争環境の変化の影響を踏まえた経営ビジョン及びビジネスモデルの方向性を公表していること。
    • デジタル技術による社会及び競争環境の変化の影響を踏まえて設計したビジネスモデルを実現するための方策として、デジタル技術を活用する戦略を公表していること。
    • デジタル技術を活用する戦略において、特に、戦略の推進に必要な体制・組織に関する事項を示していること。
    • デジタル技術を活用する戦略において、特に、ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に向けた方策を示していること。
    • デジタル技術を活用する戦略の達成度を測る指標について公表していること。
    • 経営ビジョンやデジタル技術を活用する戦略について、経営者が自ら対外的にメッセージの発信を行っていること。
    • 経営者のリーダーシップの下で、デジタル技術に係る動向や自社のITシステムの現状を踏まえた課題の把握を行っていること。
    • 戦略の実施の前提となるサイバーセキュリティ対策を推進していること。
  • 望ましい方向性
    • 経営者として世の中のデジタル化が自社の事業に及ぼす影響(機会と脅威)について明確なシナリオを描いている。
    • 経営ビジョンの柱の一つにIT/デジタル戦略を掲げている。
    • 既存ビジネスモデルの強みと弱みが明確化されており、その強化・改善にIT/デジタル戦略・施策が完全に整合している。
    • 事業リスク・シナリオに則った新しいビジネスモデルの創出をIT/デジタル戦略が支援している。
    • IT/デジタルにより、他社が簡単には模倣できない持続的な強みを発揮している。
    • 自社と「つながる」ステークホルダーのネットワーク価値や社会的価値の最大化を志向している(エコシステム)
  • 取組み例
    • デジタル技術による社会及び競争環境の変化が自社にもたらす影響(リスク・機会)を踏まえ、経営方針および経営計画(中期経営計画・統合報告書等)において、DXの推進に向けたビジョンを掲げている。
    • DXの推進に向けたビジョンを実現するため、適切なビジネスモデルを設計している。
    • ビジネスモデルを実現するために、DX推進においてエコシステム等、企業間連携を主導している

~NEW~
総務省 「競争ルールの検証に関する報告書 2020」(案)に対する意見募集の結果及び報告書の公表
▼別添1 概要
  • 2019年10月1日の改正法の施行を踏まえ、各事業者は料金プランを見直し。総務省では、事業法第27条の3の違反事案に対する行政指導を実施。今後も、事業者・販売代理店は、法遵守するための体制整備等について、適切な対応が必要。総務省においては、引き続き、改正法の適切な執行、ルールの明確化、関係者の理解促進のための取組が必要。
  • 携帯電話の契約数(法人契約含む。)は、約1億5,000万契約。MNO3社のシェアは約86.8%。最近の動きとして、楽天モバイルがMNOとして本格サービスを開始(2020年4月)。KDDIが系列のUQをサブブランド化(2020年10月)。今後は、「低・中容量」について、サブブランドが競争環境に与える影響について注視。また、「大容量」について、楽天モバイルの参入による影響について注視。
  • 改正法の施行に伴い、MNO3社は違約金の引下げや期間拘束のない料金プランを引下げ(約3割の値下げ)。しかしながら、我が国の料金は、国際的にみると依然として高位な水準。今後は、競争を通じて、低廉で分かりやすいサービスが提供されるよう、競争の阻害要因の見極めが必要。
  • MNO3社の端末売上台数・売上高は、改正法施行前後で大きな変化なし。3G契約は、2020年3月末現在、残り1,624万契約。今後は、端末売上について新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を注視。また、不良在庫端末について、特例の適用状況を注視するとともに適切な運用をしていくことが必要
  • 既往契約は、改正法の施行後の半年で18.1%の減少。事業法27条の3の規律に適合しない利益提供は、改正法施行後の半年で25.3%の減少。今後も、事業者は、利用者が漫然と更新することがないよう移行促進のための取組が必要。また、事業者の経営状況については、分析・検証に当たっての参考指標として動向を注視。
  • 現状、MNPの利用に際し、主にMVNOにおいて、自社プランへの誘導や利益提供による引き止め行為が多く行われているとの指摘。今後は、過度の引き止めについて、申込みの明確な意思表示のタイミングを踏まえた一定の規制が必要。
  • ウェブによるMNPの利用は、利用者にとって店頭や電話のように対面によらない簡易な方法。現状では、ウェブにおける引き止めが行われ、受付時間、表示を含めた使いやすさに課題。今後は、「ポストコロナ時代」の「ニューノーマル」も見据え、ウェブの利用機会の改善やその充実を図ることが必要
  • MNP手数料は、現状、MNO4社及び主要なMVNOは3,000円と設定(MNP導入当初(2006年)は、全事業者2000円)。今後は、コスト等を踏まえ、ウェブの場合は無料とし、店頭・電話の場合は上限を定め1000円以下に設定。
  • MNO3社は、回線契約を条件としない利益の提供として、端末購入サポートプログラムを提供。今後も、事業者が行うプログラムについて、回線契約者と非回線契約者の条件に合理的ではない差異が生じていないか、事業法第27条の3の規律を潜脱する行為が行われていないか継続して確認。
  • 事業者乗換え時のスイッチングコストとなりうるものとして、端末補償サービス、他サービス等とのセット販売、事業者の乗換え時の手数料等が存在。今後も、過度な囲い込みになっているものがないか、引き続き、注視。
  • 一般的な「頭金」と異なる用法を用いる携帯電話業界における「頭金」の用法について、利用者の誤解や混乱を招いているとの指摘。携帯電話事業者及び販売代理店は、「頭金」の用法について広告表示の見直しが必要。今後も、分かりやすい料金プラン、SIMに関する諸課題について、引き続き、状況確認等を実施。
  • 新型コロナウイルス感染症の影響拡大に伴い、総務省からの要請を踏まえ、各事業者においては、支払猶予、学生等の通信環境の確保に関する取組、店舗の営業時間の短縮・業務縮小等の対応を実施。今後も、事業者や販売代理店は、各チャネルにおける適切な対応が必要。また、販売チャネルのバランスの変化に伴い、利用者のニーズとかけ離れた契約の勧奨など利用者利益に反する行為による混乱がないようにしていく必要。販売代理店の在り方に係る課題について、今後、議論を深めていくことが必要。
  • 開通工事費について、分割支払い期間中に解約した場合、一括での残債支払いが発生。期間拘束契約の期間(2年等)を超える分割支払い回数(60回等)しか選択できない場合には、工事費が囲い込み手段として機能することが課題。今後、一括・分割支払いの別や分割回数で割引に差異を設けないことや、契約満了時に工事費残債等の追加的支払いなく解約できるよう事業者に対応を求め、必要な場合には、ガイドライン等により考え方を示すことを含め対応。また、工事費の適切な水準について必要な対応を検討するとともに、事業者連携による工事削減に係る取組を推進。
  • 固定通信サービスは利用開始に当たり物理的な工事が発生するところ、申込から開通までの標準的な期間に比して違約金が不要で解約できる更新期間の短い事業者が多く、実質的に利用者の乗換えが阻害されていることが課題。今後は、更新期間を3か月以上設けるよう、ガイドライン等により一定の考え方を示すことを含め、事業者に対し改善のための措置の実施を要請。また、セット割引等により固定通信契約がモバイル契約の囲い込みの手段となっていないかを確認していくとともに、モバイル契約との違いを踏まえた固定通信サービスの公正競争の在り方について検討。
  • MNO3社等において、モバイル市場等において得た超過利潤を利用して固定通信市場での過度なキャッシュバックやセット割引を実施していないか確認し、不当競争が生じている場合には是正していくことが課題。今後は、セット割引やキャッシュバック等の状況について省令等の報告によりデータを取得し、不当競争が生じていないかについて、一のFTTH契約に対するモバイル契約のセット割引の適用回線数も考慮し、より精緻な検証を実施。また、状況の変化に応じて検証対象及び検証方法を見直し、ガイドライン等により一定の考え方を示すことについても検討。

~NEW~
総務省 発信者情報開示の在り方に関する研究会(第9回)配布資料
▼資料9-1  最終とりまとめ骨子(案)
  • 発信者情報の開示対象については、プロバイダ責任制限法第4条第1項において「氏名、住所その他の侵害情報の発信者の特定に資する情報であって省令で定めるものをいう」と規定されている。
  • 発信者情報の開示対象の範囲については、省令により定められているところ、現在定められている発信者情報以外の情報についても開示対象として追加すべきとの指摘がある。
  • 開示対象となる「発信者の特定に資する情報」とは、発信者を特定(識別)するために参考となる情報一般のうち、発信者に対する損害賠償請求等の責任追及を可能とするという観点から、その『相手方を特定し、何らかの連絡を行うのに(発信者を特定するために)合理的に有用と認められる情報』とされている。
  • 発信者情報の具体的内容が省令に委任されている趣旨は、「被害者の権利行使の観点からは、なるべく開示される情報の幅は広くすることが望ましいことになるが、一方において、発信者情報は個人のプライバシーに深くかかわる情報であって、通信の秘密として保護される事項であることに鑑みると、被害者の権利行使にとって有益ではあるが、必ずしも不可欠とはいえないような情報や、高度のプライバシー性があり、開示をすることが相当とはいえない情報まで開示の対象とすることは許されない。加えて、今後予想される急速な技術の進歩やサービスの多様化により、開示関係役務提供者が保有している情報であって開示請求をする者の損害賠償請求等に有用と認められるものの範囲も変動することが予想され、その中には開示の対象とすることが相当であるものとそうでないものが出てくることになると考えられるが、それらを現時点において法律中に書き尽くすことは不可能である。そこで、総務省令によって発信者情報の範囲を画することとしたものである。」とされている。
  • 開示対象に関する以上のような基本的な考え方を踏まえると、サービスの多様化や環境の変化等といった制定時からの事情変化があれば、それを踏まえて、現在省令に含まれていない情報についても、開示対象の追加を検討することが適当と考えられる。「電話番号」については中間とりまとめにおいて開示対象として省令に追加することが適当であると整理され、これを踏まえ総務省令が改正済である。最終とりまとめにおいては、発信者情報の開示対象の拡大については、残る論点である「ログイン時情報」について検討を行うこととする
  • ログイン時の通信は、権利侵害の投稿時の通信とは異なる通信であることから、仮にそれぞれの通信の発信者が異なるにもかかわらず、ログイン時情報として、権利侵害投稿の発信者以外の者の情報が開示されてしまった場合には、当該発信者以外の者の通信の秘密やプライバシー等を侵害することとなる。
  • ログイン時情報を開示する際は、権利侵害投稿の通信とログイン時の通信とが、同一の発信者によるものである場合に限り、開示できることとする必要がある。
  • 同一性については、アカウント共有などはレアケースであり、これまでと同様、同一のアカウントのログイン通信と権利侵害投稿通信は原則として同一の発信者から行われたものととらえることができるのではないか。
  • 開示を可能とする情報が際限なく拡大すれば、権利侵害投稿とは関係の薄い他の通信の秘密やプライバシーを侵害するおそれが高まることから、開示が認められる条件や対象の範囲について、一定の限定を付すことが考えられる。
  • <補充性要件について>開示が認められる場合の要件としては、コンテンツプロバイダが投稿時情報のログを保有していない場合など、侵害投稿時の通信経路を辿って発信者を特定することができない場合に限定することが適当ではないか。プロバイダ内のログ保有状況について被害者側が厳密に立証することが難しい場合の対応も考慮することが必要ではないか。
  • <権利侵害投稿との関連性について>開示対象とすべきログイン時情報の範囲については、開示が認められる条件や対象の範囲について、権利侵害投稿との一定の関連性を有するものなど、何らかの限定を付すことが適当ではないか。その上で、プロバイダの負担への考慮から、発信者の特定に必要最小限度のものに限定することが適当ではないか。
  • <ログイン通信以外に含みうる情報について>ログイン通信以外に、権利侵害の投稿時の通信とは異なる通信に関係する情報を辿って発信者を特定することが可能な情報として、電話番号等によるSMS認証を行った際の通信に係る情報や、アカウントを取得する際の通信に係る情報等を開示の対象とすることが適当ではないか。
  • 開示請求を受ける者の範囲に、権利侵害投稿通信以外の通信(ログイン通信やSMS通信など)を媒介するプロバイダや電話会社などを含めるべきではないか。この場合、請求の相手先が開示関係役務提供者の範囲に含まれない場合もありうることから、現行法における「開示関係役務提供者」の要件や範囲の見直しを行う必要があるのではないか
  • 現行の訴訟手続と比較した非訟手続の利点としては、非訟手続には柔軟な制度設計が可能であるという特徴があることから、制度設計次第で、例えば、(1)現状では、発信者を特定するためには、一般的に2回の裁判手続を別々に経ることが必要とされているところ、これを1つの手続の中で行うプロセスを定めることが可能であり、これにより円滑な被害者の権利回復を実現できる可能性があること(2)特定のログを迅速に保全可能とする仕組み(後述)を発信者の特定のプロセスと密接に組み合わせた制度を実現することが可能であり、これにより、ログが消去されることにより発信者が特定できなくなるという課題を解消するとともに、発信者の特定のための審査・判断について、個々の事案に応じて、短期間で迅速にも、時間をかけて丁寧にも行うことができるようになること(3)上記のとおり1つの裁判手続の中で発信者を特定するプロセスにすることで、コンテンツプロバイダとアクセスプロバイダがともに適切に発信者の権利利益を確保する役割を果たすことができるほか、訴訟手続よりも裁判所の職権性が強い非訟事件手続においては、裁判所が運用上一定程度後見的な役割を担いうることで、制度上の直接の当事者ではない発信者の権利利益の保護を一定程度図ることが可能(4)事案に応じて、一本化された手続において柔軟に書面審理や口頭審理など適切な手続を活用することにより、特に権利侵害が明らかな誹謗中傷など、争訟性が高いものではない事案について、より迅速な判断を可能とする仕組みを創設することが可能、(5)申立書の送付を送達よりも簡易な方法によることができるものとすることにより、特に海外事業者に対する迅速な開示手続となりうることといった点が挙げられるのではないか
  • 現行の訴訟手続と比較した非訟手続の課題としては、非訟手続においては、原告と被告という対審構造や裁判手続の公開が原則とはされていないことなどの特徴があることから、制度設計次第では、(1)現行の発信者情報開示訴訟とは異なる当事者構造となることにより、あるいは、発信者側の主張内容が裁判手続に十分に反映されないことにより、適法な情報発信を行う発信者の保護が十分に図られなくなるおそれがあり得ること(2)裁判手続の取下げや紛争の蒸し返しが比較的容易であり、また、それが外部から見えにくい等により、手続の濫用の可能性があり得ること(3)原則として非公開で行われるため、開示可否に関する事例の蓄積が図られない可能性がある、といった点が挙げられるのではないか。
  • ログが保全されているのであれば、表現の自由やプライバシーといった発信者の権利利益の保護に鑑み、開示判断については非訟手続ではなく訴訟手続が望ましいという指摘について、どのように考えるか。発信者の権利利益の確保に十分配慮しつつ、迅速かつ円滑な被害者の権利回復が適切に図られるようにするという目的を両立した制度設計が求められると考えられる中で、適切に非訟手続を設計し開示可否について1つの手続の中で判断可能とした上で、実体法上の開示請求権との併存による訴訟手続への移行可能性等を具体的に検討すべきではないか
  • 新たな裁判手続(非訟手続)として、1つの手続の中で発信者を特定することができるプロセスとともに、当該プロセスの中で、特定のログを迅速に保全できるようにする仕組みを導入する場合、例えば、裁判所が、被害者からの申立てを受けて、新たな裁判手続(非訟手続)として、以下の3つの命令を発することができる等の手続を創設することが考えられるのではないか。(1)コンテンツプロバイダ(CP)及びアクセスプロバイダ(AP)等に対する発信者情報の開示命令→決定手続による開示判断が可能になる※CPの発信者情報からAPを早期に特定し、APとCPの審理をまとめ、1つの開示判断で開示可能になる(2)CPが保有する権利侵害に関係する発信者情報を、被害者には秘密にしたまま、APに提供するための命令(3)APに対して、CPから提供された発信者情報を踏まえ権利侵害に関係する発信者情報の消去を禁止する命令→APにおいて、権利侵害に関係する特定の通信ログを早期に確定し、開示決定まで保全することが可能になる
  • コンテンツプロバイダを特定主体としつつ、アクセスプロバイダの特定及び発信者の特定に資する情報の提供を迅速かつ適切に行うために、現在申立人の代理人弁護士等が専門性や実務的知見を有して特定作業を支援していることも踏まえ、コンテンツプロバイダ・アクセスプロバイダ・有識者・専門性や実務的知見を有する者が協力して発信者の特定手法について支援協力を行える体制やノウハウ共有を行う場が必要ではないか。
  • <提供命令と消去禁止命令の発令要件>(1)迅速なアクセスプロバイダの特定及びログの保全が求められていること(2)アクセスプロバイダ名については、被害者がコンテンツプロバイダと併せてアクセスプロバイダに対しても開示命令の申立てを行うために被害者に通知する必要があると考えられるものの、IPアドレスや電話番号等の発信者の特定に結びつく情報そのものは被害者側には秘密にされ、アクセスプロバイダ名のみが提供されるといった仕組みが考えられること等も踏まえ、提供命令及び消去禁止命令の発令要件については、現在の開示要件よりも一定程度緩やかな基準とすることが適当であると考えられるが、どうか
  • 新たな裁判手続における当事者構造をどのように設計すべきか。発信者情報を保有しているのはプロバイダであることから、新たな裁判手続のプロセスにおいても現行制度と同様に、プロバイダが直接の当事者となることが適当ではないか。新たな裁判手続の中においても、発信者の権利利益がその意に反して損なわれることのないよう、原則として発信者の意見を照会しなければならないこととし、発信者の意見が開示判断のプロセスに適切に反映されるようにするなど、発信者の権利利益の確保を図る構造を維持することが適当ではないか。現行制度の場合と同様の当事者構造を維持する場合、直接的な当事者となるプロバイダが発信者の意見を裁判所とやりとりをする前に確認することは、裁判所における手続のプロセスを通じて発信者の意見を踏まえプロバイダが適切に対応することに資するのではないか。
  • プロバイダを直接の当事者とした場合に、手続の中で発信者の意見を適切に反映するための方策として、現行制度においてプロバイダに義務づけられている発信者への意見照会とともに、どのような観点や仕組みが必要か。発信者への意見照会については、その時期、その主体、権利利益の保障について総合的に検討すべきではないか。新たな裁判手続では、コンテンツプロバイダとアクセスプロバイダが連携してより確実に発信者の権利利益の保護を図る設計も可能なのではないか。
  • <発信者の意見のプロバイダを経由した反映>(2)に基づき、新たな手続においても、現行制度と同様にプロバイダが直接の当事者となり発信者の意見照会により発信者の権利利益の確保を図る構造が維持される中で、現行制度の場合と同様に、直接的な当事者となるプロバイダが、裁判における手続の中で当事者としての主張を行う前に、意見照会により発信者の意見を確認することは、発信者の意見を踏まえプロバイダが適切に対応するという観点から重要なのではないか。基本的に現行法の意見照会義務を維持しつつ、プロバイダがより適切に発信者の意見を反映させることができるよう、照会の際に「開示するかどうか」に加えて、「不開示の場合、その理由」を聞くこととする方法を検討していくことが有用なのではないか。特に、審理の中で争点となる可能性が高い事項や、書き込み内容の真実性など、発信者しか知り得ない事項については、プロバイダが事前に意見照会を行い、発信者から情報を入手しておくことが望ましいのではないか。
  • <意見照会による萎縮効果への対応>スラップ訴訟的な開示請求の濫用の場合にもプロバイダが発信者に意見照会を行うことで、発信者への心理的負担や萎縮効果が生じるおそれが高いところ、濫用的な意見照会を防ぐためにどのような方法が考えられるか。不開示の場合には意見照会が行われないとすると、発信者への萎縮効果やプロバイダの負担は軽減されることが指摘される。しかしながら、仮にプロバイダの意見照会義務を廃止した場合や、開示手続の初期にプロバイダが発信者の意向を十分に確認していない場合には、プロバイダは形式的な反論や、場合によっては発信者の意向に基づかない反論をせざるを得なくなることで、円滑な手続が進まなくなり、被害者・プロバイダ双方にとって不利益となる可能性が高いと考えられるが、どうか。他方で、現行法においても、意見照会を行わなくてもよい「特別な事情がある場合」について、例えば、発信者情報開示請求が被侵害利益を全く特定せずに行われた場合等、法第4条第1項の定める要件を満たさないことが一見して明白であるようなときも含むとされており、このような場合にプロバイダが不必要な意見照会を行わないようにするためには、どのような方策が考えられるか。どのような場合に開示請求の濫用であり意見照会が不要であるかの判断をプロバイダが行うことは、多くの場合難しいと考えられ、やはり原則としてプロバイダは発信者への意見照会を行うことが適当ではないか。他方で、開示請求の濫用であり意見照会が不要と考えられる場合の事例の積み重ねが今後の制度運用の中で図られるのであれば、状況に応じて、ガイドライン等への追記を検討していくことも望ましいのではないか。
  • <発信者の直接的な手続保障>例えば、発信者が望む場合や、プロバイダが不熱心な応訴態度を示した場合には、追加的に意見を反映させる仕組みとして、裁判所に書面により意見を提出できるための方法等が考えられるか。それを、被害者側に対して確実に匿名を保持したまま行うためにはどのような配慮が必要か。特に、裁判所に提出された書面は、裁判記録となり、原則として当事者等は記録の閲覧が可能である点を踏まえ、発信者・プロバイダ・裁判所のうちどの主体が匿名を保持するための責任を負うことが考えられるか。例えば、原則として当事者等は記録の閲覧が可能である点を踏まえ、被害者に対して秘匿しておきたい部分について発信者自らが匿名化の責任を負った上で、プロバイダを通じるなどして裁判所に書面を提出する方法についてどう考えるか。他方で、発信者が望む場合に、匿名で手続関与を認める方法(例えば裁判所が発信者に直接話を聴くような手続を想定)も考えられるが、他に例のない制度であり、当該手続に被害者を関与させることができず、発信者の主張等についての攻撃防御の機会の保障の面で問題があるといった点で、法制面及び裁判所の運用面でハードルが高いといった課題があると考えられるのではないか。プロバイダの意見照会義務を存置する前提の下、不熱心なプロバイダが同義務に反して意見照会を行っていない場合に備え、氏名・住所等の発信者情報が開示される前に、裁判所の意見照会等によって必ず1回は発信者の意見が聴取されることを確保する必要があるという指摘についてどう考えるか。一方、ヒアリング結果によると、国内のほとんどのアクセスプロバイダは概ね全ての場合において意見照会を行っていることを踏まえどう考えるか。裁判所が開示要件を満たすという心証を得た段階で裁判所がプロバイダに意見聴取の嘱託を行うなど、発信者情報を開示する場合に必ず意見照会を行う方法についてどう考えるか。発信者に2度意見照会を行うことで審理における主張に有効な情報が発信者から新たに得られる可能性は低いと考えられ、開示決定までの迅速性も失われるという課題もあることから、手続の初期の段階で適切にプロバイダによる意見照会により発信者の意見を確認することがより望ましいのではないか。
  • <裁判所による発信者への通知・意見照会>裁判所から発信者に直接連絡がいく仕組みを設けた場合、発信者への心理的負担や萎縮効果が生じるおそれが高いのではないか。
  • <発信者の異議申立てへの関与>請求権を存置しこれに「加える」形で非訟手続を新たに設ける場合、非訟手続による開示決定に対して、異議申立てにより、必要な場合には訴訟に移行することが可能となると想定され、手続の当事者はあくまでプロバイダであることから、異議申立てを行うかどうかについては最終的にはプロバイダが決定すべき事項であるものの、異議申立ては当事者ではない発信者にとっても利害の大きい事項であることから、発信者が異議申立てにどのように関与することが望ましいか。発信者にも異議申立ての権限を与えることや、異議申立てに際して、プロバイダに発信者からの意見聴取を義務付けるという方策が考えられるのではないかという指摘について、どう考えるか。他方で、(1)手続の当事者はあくまでプロバイダであること、(2)異議申立てを行ったとしても開示となる可能性が極めて高いような争訟性が低い事案の場合であっても、すべからく発信者による意向のみで異議申立てが可能であるとすると、争訟性が低い事案の場合には非訟手続のみで被害者の迅速な被害回復を図るという新たな裁判手続の制度趣旨にそぐわないこと、(3)プロバイダが望まない場合にも異議申立てにより訴訟に移行した場合であっても原則として訴訟に係るコストはプロバイダが負うことになること、といった課題についてどう考えるか。上記の観点を踏まえると、異議申立てについては直接の当事者であるプロバイダが決定すべき事項であるものの、発信者から非訟手続における開示決定に対して異議申立てを希望する意向がある場合には、プロバイダは可能な限り発信者の意向を尊重した上で、個別の事案に応じた総合的な判断により異議申立ての要否を検討することが望ましいのではないか。
  • <開示要件>新たな手続における発信者情報の開示命令に関して、どのような要件とすることが適当か。円滑な被害者救済を図る観点から、現行プロバイダ責任制限法第4条第1項に定める発信者情報開示請求権の開示要件(「権利侵害の明白性」の要件)について、より緩やかなものにすべきとの考え方がある一方で、適法な匿名表現を行った者の発信者情報が開示されるおそれが高まれば、表現行為に対する萎縮効果を生じさせかねないことから、現在の要件を維持すべきとの指摘が多くの構成員からあったことも踏まえ、現行の要件を維持することが適当ではないか。
  • <開示判断に係る事例の蓄積>非訟手続の場合、原則として非公開で行われるため、開示可否に関する事例の蓄積が図られない可能性があるとの指摘がある。この点、(1)請求権を存置しこれに「加えて」非訟手続を新たに設ける場合には、争訟性の高い事案は公開の訴訟手続に移行し、問題となった争点についての裁判例の蓄積が図られること、(2)非訟事件における裁判例であっても、重要な法律上の論点を含むものについては判例雑誌等で公表される場合もあること、(3)事案によって裁判所の判断で決定の詳細な理由が示される場合もある点に留意が必要ではないか。これらを踏まえ、後述の裁判外(任意)開示においてプロバイダが円滑に開示可否の判断を行うことを可能とすること等を目的に、事業者団体及びプロバイダを中心に、関係者間で新たな手続においても開示可否に関する事例の蓄積を図っていくことが望ましいと考えるが、どうか。
  • 新たな裁判手続の創設に当たって、手続の悪用・濫用(いわゆるスラップ裁判(訴訟))も増える可能性があることから、それを防止するための方策として、どのようなものが考えられるか。例えば、前述のとおり、請求権を残して非訟手続と訴訟手続を併存させる場合には、非訟手続であっても、異議がなく開示可否が確定した場合には既判力が生じ、濫用的な蒸し返しが防止できると考えられるが、どうか。他方で、蒸し返しの防止以外にも、一部の者による手続の濫用防止のための仕組みを設けることで、過度に制度の使いやすさを制約してしまう場合には、被害者救済の観点から問題とならないか。開示請求の濫用の場合には、プロバイダが発信者に意見照会を行うことで、発信者への心理的負担や萎縮効果が生じる可能性があることから、開示請求の濫用であり意見照会が不要と考えられる場合の事例の積み重ねが今後の制度運用の中で行われ、対応が図られていくことが望ましいのではないか。
  • 「現在の主要なSNSはその多くが海外のコンテンツプロバイダによって提供されているサービスであることから、本中間とりまとめにおいて行っている発信者情報開示に関する制度設計の具体的な検討に当たっては、海外のプロバイダに対してどのようにルールを適用・執行するかという視点が不可欠である。新たな裁判手続に関しては、裁判所による命令とすることによって、決定の実効性を確保することが適当ではないか。特に、発信者の提供命令においてコンテンツプロバイダがアクセスプロバイダの特定主体となる場合には、大手海外コンテンツプロバイダも参加する形で、プロバイダや有識者が協力して発信者の特定手法についてのノウハウ共有を行う場を形成することが必要ではないか。現行の仮処分によるコンテンツプロバイダへの開示手続と類似の簡易な方法による迅速な海外への伝達が可能な仕組みとすることが適当ではないか。この点、開示判断を訴訟手続で行うこととすると、海外コンテンツプロバイダに対する送達が必要となり時間を要するものの、非訟手続による場合、申立書の送付など簡易な仕組みとすることが可能ではないか。
  • 現在は請求権構成に基づき裁判外での開示請求も可能であるところ、新たな裁判手続を創設するに当たって、裁判外開示を可能とする制度上の仕組みを維持すべきではないか。現在裁判外で開示されているものは、意見照会で発信者の同意が得られた場合や、著作権侵害など形式的に権利侵害が判断しやすいものなど、限定的になっているという指摘がある。裁判外での開示が円滑になされるために、権利侵害が明らかである場合には、プロバイダが迷うことなく開示の判断を行いやすくする観点から、例えば、要件該当性の判断に資するために、プロバイダにアドバイスを行う民間相談機関の充実や裁判手続において要件に該当すると判断された事例等をガイドラインへの集積するなどの取り組みが有効であると考えられるのではないか

ページTOPへ

Back to Top