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  • サステナブルファイナンス有識者会議第二次報告書(金融庁)/第45回インターネット消費者取引連絡会(消費者庁)/第90回新型コロナ対策アドバイザリーボード(厚労省)/特定利用者情報の適正な取扱いに関するワーキンググループ(第3回)(総務省)

危機管理トピックス

サステナブルファイナンス有識者会議第二次報告書(金融庁)/第45回インターネット消費者取引連絡会(消費者庁)/第90回新型コロナ対策アドバイザリーボード(厚労省)/特定利用者情報の適正な取扱いに関するワーキンググループ(第3回)(総務省)

2022.07.19
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更新日:2022年7月19日 新着16記事

サステイナブル イメージ

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 金融安定理事会による「暗号資産関連の活動に対する国際的な規制・監督に関するステートメント」の公表について
  • マニュライフ生命保険株式会社に対する行政処分について
  • 節税(租税回避)を主たる目的として販売される保険商品への対応における国税庁との更なる連携強化について
  • 「サステナブルファイナンス有識者会議第二次報告書」の公表について
  • 「ESG評価・データ提供機関等に係る専門分科会報告書」の公表について
消費者庁
  • 第45回インターネット消費者取引連絡会
  • 電力・ガス自由化をめぐるトラブル速報!No.19「契約内容や契約先の事業撤退に伴う対応についての相談が寄せられています」
国民生活センター
  • 急増!海産物の電話勧誘販売・送り付けトラブル-「新型コロナウイルスの影響で収入が減って困っている」という電話に注意!-
  • 契約内容や契約先の事業撤退に伴う対応についての相談が寄せられています
  • スケートボードの事故に気を付けて!
厚生労働省
  • 「これからの労働時間制度に関する検討会」の報告書を公表します
  • 第90回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年7月13日)
総務省
  • 特定利用者情報の適正な取扱いに関するワーキンググループ(第3回)
  • インターネット上の海賊版サイトへのアクセス抑止方策に関する検討会 現状とりまとめ(案)に対する意見募集

~NEW~
内閣官房 物価・賃金・生活総合対策本部
▼第2回議事次第・資料
  • G7サミットでは、世界的な物価高騰の原因はロシアのウクライナ侵略にあるとの認識で一致。こうした世界的な物価高騰を背景に国内企業物価は6月は前年比9.2%と上昇が継続。価格上昇品目には広がりがみられる。消費者物価は、エネルギーや食料品の値上げを背景に上昇。5月の前年比は、約30年ぶりの高い伸び率であった前月と同様の2.5%(総合)。ただし、G20諸国の半数程度が7%以上となる一方、日本は下位3番目であるなど、諸外国に比べて低い伸びにとどまる。我が国のエネルギー・食料品の物価上昇率は、これまで実施してきたガソリン等の激変緩和事業や電気代の燃料費調整制度、小麦の国内価格上昇を抑制する政策等もあり、欧米に比べて低い伸び。
  • 世界的な物価上昇による家計部門や企業部門など各経済部門への影響をきめ細かく注視し、的確に対応。現下の物価上昇による景気への影響に適切に対処しつつ、円滑に価格転嫁が行える経済社会構造へ転換し、デフレ脱却につなげていくためにも賃上げが重要。
  • 物価上昇による家計の負担増加
    • 地方創生臨時交付金の拡充による地域の実情に応じた取組への支援
    • 生活困窮者等への給付
    • 燃料費調整制度等による家庭向けの電気及びガスの一部料金の上限設定
    • 電力需給ひっ迫と電気料金高騰の両方に対応する新たな枠組み
  • 石油・小麦価格
    • G7をはじめ国際社会と連携した取組
    • ガソリンや飼料等への激変緩和事業の実施
    • 主に長期契約によるLNGの調達
    • 小麦価格の国内政府売渡価格をウクライナ前の水準に据え置き
    • 輸入価格が突出して急騰している状態であれば、10月期の輸入小麦の価格を抑制
    • 配合飼料の高騰対策
  • 製造業の経常利益率(中小企業、売上高対比)
    • 地方創生臨時交付金の拡充による地域の実情に応じた取組への支援
    • 事業者に対する資金繰り支援の強化
    • 肥料原料の調達国多角化による安定調達や堆肥等の活用推進への支援
    • 電力需給ひっ迫と電気料金高騰の両方に対応する新たな枠組み
    • 肥料コスト上昇に対する新たな支援金
  • 消費者物価の上昇は、主にエネルギー(約5割)、生鮮食品(約2割)、生鮮食品を除く食料(約2割)に起因。消費者物価上昇に寄与する品目については、品目ごとにきめ細かな対応を用意。
  • 原油価格の高騰を受け、燃料油価格の激変緩和事業を今年1月から実施。4月26日に取りまとめた「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」において、支給の上限を25円から35円とし、更なる超過分についても1/2を支援し、基準価格をガソリン全国平均価格168円に引き下げるなど、累次にわたり支援を拡充。1月下旬以降、ガソリン全国平均価格は、170円前後で推移。
  • 本年4月に拡充した地方創生臨時交付金(総額1兆円)の活用も念頭に置き、各地方において、地域の事業者や生活困窮者に対する電気料金補助等の取組が出現。
  • 節電プログラムへの登録を促進するため、施策の準備を加速化しているところ、まずは執行団体の公募を今月11日から開始済み。
  • 現在の肥料原料価格の上昇を受けて、農産品全般の生産コスト1割削減を目指して、化学肥料2割低減の取組を行う農業者の肥料コスト上昇分の7割を補填する、新たな支援金の仕組みを創設し、本年6月(秋肥)から来年春肥を対象に実施する。これにより、足元の肥料高騰に伴うコスト増を抑制するとともに、今般設定した2030年化学肥料2割低減目標の達成に向けて先行して取り組む農業者を強力に支援することで、農業のグリーン化を強力に推進。
  • 輸入小麦の政府売渡価格は、平成19年度から現行制度(価格変動制)に移行した直後の国際価格高騰時にも上昇幅を抑制。令和4年10月期の政府売渡価格についても、小麦の輸入価格が突出して急騰している状態であれば必要な抑制措置を講じ、パンや麺類などの価格高騰を抑制する。
  • 飼料の高騰による畜産物の生産コストの上昇を緩和するため、官と民による基金から生産者に補填金を交付し、畜産物の価格上昇を抑制(対象四半期の輸入原料の平均価格と、その前1年間の平均価格との差額を補填。)。令和3年度補正予算において異常補填基金への230億円の積増しを措置するとともに、総合緊急対策において、435億円の積増しを措置した上で、令和4年度第1四半期(4~6月)・第2四半期(7~9月)の異常補填の発動基準を特例的に引き下げ。 ⇒ 足元の飼料コストを1割抑制。今後も状況を注視し、機動的に対応。
  • G7エルマウ・サミットでは、国際社会と結束してロシアのウクライナ侵略に伴う食料価格の国際的高騰に対応することで一致。我が国として、秋の収穫期が迫っているウクライナにおける穀物の貯蔵能力の拡大支援、食料価格の高騰に苦しむアフリカ・中東向けの食料支援等(約2億ドル)の実施を表明。足元の小麦等の国際価格は、こうした国際社会の動きに加え、ロシアの冬小麦の豊作見通しや、米国における期末在庫や生育状況等を踏まえ、ピーク時より低下。
  • 本年の月例賃金の賃上げ率は、現時点で4年ぶりに昨年同時期を上回っている。この20年間で2番目に高い水準(連合調査)。
  • 本年の夏季一時金(ボーナス)の妥結額は、現時点では、前年より増加しており、コロナ禍前(2019年令和元年)の水準を上回っている。連合調査では約5万円の増加、経団連調査では約10万円の増加となっている。
  • 最低賃金については、「物価が上昇する中で、官民が協力して、最低賃金の引上げを図るとともに、その引上げ額については、公労使三者構成の最低賃金審議会で、生計費、賃金、賃金支払能力を考慮し、しっかり議論していただくことが必要である」とされている(「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」(令和4年6月7日閣議決定))。今年度の最低賃金の引上げ額の目安については、6月28日に諮問し、中央最低賃金審議会において議論を行っている。

~NEW~
国土交通省 令和3年度完成工事の9割以上で週休2日を達成!~営繕工事における「週休2日促進工事」の取組状況を公表します~
  • 国土交通省では、週休2日に取り組む営繕工事を対象にモニタリングを実施しています。
    そのうち、令和3年度に完成した工事では9割以上で週休2日を達成し、前年度より高い達成率となりました。受注者へのアンケート結果等を踏まえて、発注者の対応について引き続き必要な改善を図るとともに、週休2日の取り組みを一層推進してまいります。
  1. 背景
    • 営繕工事においては、政府の「働き方改革実行計画」に示された方針などに基づき、平成29年度から週休2日の確保に取り組むとともに、工事のモニタリングを実施して、その阻害要因の把握と改善方策の検討を進めています。平成30年度からは、新たに労務費補正等の試行を行う「週休2日促進工事」を導入して取り組みの拡大を図りつつ、継続してモニタリングを実施しています。
    • 今般、モニタリングの一環として行った週休2日の達成要因等に関するアンケートについて、令和3年度に完成した週休2日促進工事のアンケート結果をとりまとめました。
    • なお、令和3年度からは、新築工事を原則発注者指定としています。
  2. アンケート結果の概要
    • 令和3年度に完成した対象工事175件のうち159件(90.9%)で週休2日を達成しました。前年度(78.9%)と比べて12.0ポイント増加しています。
    • 週休2日を達成できた要因としては「受発注者間で円滑な協議が実施されたため」「適正な工期設定がなされたため」が多く挙げられています。
    • 週休2日を達成できなかった要因としては「施工中の不確定要素による遅延」「執務並行改修で、施工上の制約が大きいため」「前工程の遅れのため」が多く挙げられています。
    • アンケート結果等を踏まえて、発注者の対応について引き続き必要な改善を図るとともに、週休2日の取り組みを一層推進してまいります。
    • アンケート結果等を踏まえた主な対応
      • 施工中の不確定要素により施工条件が変更となった場合は、協議のうえ工期の変更等の必要な対応を行う。
      • 令和4年4月から、原則発注者指定による週休2日の対象に大規模な改修等工事を追加するなど、一層の推進に取り組んでいるところ、発注者指定とする対象工事のさらなる拡大を図る。
▼報道発表資料
  • 週休2日の達成状況について
    • 175件の工事のうち、159件(90.9%)で週休2日が達成できていた。
    • 週休2日を達成した割合は、前年度(190件中150件(78.9%)で達成)と比べて12.0ポイント増。
    • 週休2日が達成できなかった16件のうち、7件では4週7休を達成できており、5件では4週6休を達成できていた。
    • 達成状況を発注分野別にみると、建築で92件中84件(91.3%)、電気設備で28件中25件(89.3%)、機械設備で55件中50件(90.9%)で週休2日を達成した。
  • 週休2日を達成できた要因
    • 週休2日を達成できた要因の回答として、「受発注者間で円滑な協議が実施されたため」が159件中102件と最も多く、続いて「適正な工期設定がなされたため」が97件となっている。
    • ASPの活用等により担当監督員との連絡がスムーズに行えた。
    • 宿舎の居ながら工事であったが、施設管理者と受注者の連絡調整が適切であった。
    • 別途工事との調整、工事種別上特性の違う衛生工事と空調工事の調整を実施出来た。
    • 設計変更もあったが、併せて発注者の工期へ配慮もあり、適正な工期設定ができた。
    • 余裕期間の設定があったため、準備期間も十分にあり着手後の業務量低下を図れた。
    • ASPの活用や写真で対応可能な書類は簡素化出来た。
    • 設計図書と、施工条件に相違点が無かった為、確認・変更等のロスがなかった。
    • 施設管理者の作業範囲の協力があった。
  • 週休2日を達成できなかった要因
    • 週休2日を達成できなかった要因の回答として、「施工条件の変更など施工中の不確定要素による遅延」が16件中6件と最も多く(うち3件が特に大きな影響を与えたと回答)、続いて「前工程の遅れのため」「執務並行改修で、施工上の制約が大きいため」が5件となっている。
    • 土質の性状による山留及び杭工事の遅延が生じた。
    • 杭工事において想定外の地中障害が発生したため、既存躯体の解体工法を変更する必要が生じた。
    • 基礎工事時に新型コロナウイルス陽性者が確認され、一時的に作業を中止し、別途鉄筋・型枠工手配により遅延が生じた。
    • コロナ対策で改修部分の入室制限が設けられたことにより複雑な工程調整が必要となった。
    • 別途業者(プレハブ撤去)が作業していたため、現場事務所設置が2週間程度遅れた。
    • 土工事期間中の連続雨天があったため、残土受入先で受入が不可となり、現場作業に遅延が生じた。
    • 設計時の工期設定が甘く、施設利用者の意見が反映されていなかったため、当初の作業予定日程に作業ができなかった。
    • 冬場の左官工事において乾燥養生期間等、仕上げの特性が考慮されていなかったため。
    • 劣化状況及び補強等が設計図と異なっていた。
    • 提出書類の作成提出、承認に時間がかかった。

~NEW~
金融庁 金融安定理事会による「暗号資産関連の活動に対する国際的な規制・監督に関するステートメント」の公表について
▼プレスリリース(仮訳)
  • いわゆるステーブルコインを含む暗号資産は急速に発展している。最近の暗号資産市場の混乱は、その本質的なボラティリティ、構造的な脆弱性、伝統的な金融システムとの相互連関性の高まりといった課題を浮き彫りにしている。市場参加者の破綻は、投資家に潜在的に大きな損失を与え、コンダクトリスクの顕在化により市場の信頼を脅かすことに加えて、暗号資産エコシステムの他の部分にも急速にリスクを伝播させる可能性がある。また、短期金融市場などの伝統的な金融システムの重要な部分にも波及効果を及ぼす可能性がある。効果的な規制枠組みは、暗号資産の新たな特徴を考慮し、その背後にある技術の潜在的な恩恵を活用しつつ、伝統的な金融業務と同様のリスクをもたらす暗号資産関連の活動が、同様に規制されることを確保しなければならない。
  • 暗号資産及び市場は、国内及び国際レベルで、それらがもたらすリスクに見合った効果的な規制・監督に服さなければならない。法域がその規制枠組みの変更の可能性を検討している場合であっても、いわゆるステーブルコインやその他の暗号資産を、規制のないところでは運用せず、これらの資産がもたらすリスクに対処するために規制を適用する場合には、関連する既存の要件を遵守しなければならない。暗号資産及び市場は、伝統的な金融部門の商品及び仲介者が果たすのと同等の経済的機能を果たす可能性がある。そのため、暗号資産は、「同じ活動・同じリスクには同じ規制を適用する」との原則に沿って、暗号資産の根底にある経済的・金融的性質に鑑みて同等の規制の対象となる。暗号資産は主に投機目的で使用され、現在、その多くが金融セーフガードの対象外又はその要件を遵守していない状況にあり、これらの活動の参加者はこのことを十分に認識すべきである。
  • 暗号資産サービス提供者は、自らが業務を行う法域における既存の法的義務の遵守を常に確保しなければならない。これには、暗号資産に固有の要件だけでなく、一般に適用される要件も含まれる。暗号資産市場で業務を行う全ての個人及び事業体は、業務を開始する前に、特定の法域で適用されるすべての規制、監督、監視の要件を満たす必要があることを認識しなければならない。そのような要件に疑問がある場合は、自らの活動の要件遵守を確保するために国内の規制当局に相談すべきである。FSBメンバーは、法令遵守を促進し、違反に対しては処分を下すため、自らの法域における法的枠組みの中で執行力を行使することにコミットしている。
  • 最近の暗号資産市場の混乱は、いわゆるステーブルコインを含む暗号資産がもたらす潜在的な金融安定リスクに対処するために、FSB及び国際的な基準設定主体が進めている作業を進展させることの重要性を強調している。各国の金融当局及び国際的な基準設定主体が、広範な暗号資産に関する共通の理解の構築とともに、リスクベースで技術中立的であり、「同じ活動・同じリスクには同じ規制を適用する」との原則に基づく規制・監督政策の策定に向けて取り組む中で、FSBは、各国の金融当局及び国際的な基準設定主体間の国境を越えた部門横断的な協力を引き続き促進する。この作業には、既存の適用される基準の評価、既存の基準の適用可能性についての情報提供を目的とした潜在的なギャップの特定に加え、国際的な一貫性と責任あるイノベーションを促進する方法で、既存の規制枠組みでは適切に捉えられない可能性のある新たな種類のリスクに対処するための新たな基準又はガイダンスを策定することが含まれる。
  • ステーブルコインは、広く利用される決済手段として採用される場合又は金融システムにおいて重要な役割を果たす場合には、関係当局の強固な規制・監督によって捕捉されるべきである。金融システムの主流となり、複数の法域で決済手段及び/又は価値貯蔵手段として広く利用されるステーブルコインは、適切な規制がなければ、金融安定に重大なリスクをもたらす可能性がある。そのようなステーブルコインは、高度な規制と透明性の基準にしたがい、価値の安定を保つ裏付け資産を常に維持し、関連する国際基準を満たす必要がある。
  • FSBメンバーは、既存の国際基準の完全かつ適時の実施を支持する。FSBメンバー当局は、FATF勧告15(AML/CFTの観点からの登録・認可等)やFATF勧告16(トラベルルール)など、適用可能な国際基準のうち、まだ国内の規制・監督枠組みに反映されていないものを導入し、必要に応じて、国際的な基準設定主体のガイダンス、勧告、ベストプラクティスを採用する。
  • FSBは、暗号資産が強固な規制・監督の対象となることを確保するための取組みを進めている。FSBは、10月にG20財務大臣・中央銀行総裁に対し、ステーブルコインやその他の暗号資産に対する規制・監督アプローチについて報告する。FSBは、ギャップを埋めてハイレベルな勧告を実施するために、既存の枠組みがどのように拡張され得るかを含む、「グローバル・ステーブルコイン」の規制・監督・監視に関するハイレベルな勧告の見直しに関する市中協議報告書を同会合に提出する。FSBはまた、その他の暗号資産及び暗号資産市場に対する規制・監督アプローチの国際的な一貫性を促進し、国際的な協力・協調を強化するための勧告を提案する市中協議報告書を提出する。FSB及び国際的な基準設定主体のこれらの複合的な取組みは、分断及び規制裁定のリスクを最小化することを目的としている。FSBメンバーは、CPMI-IOSCOのガイダンスである、「ステーブルコインに対する『金融市場インフラのための原則』の適用」を歓迎する。これは、主に決済に用いられるシステム上重要なステーブルコインに、「同じ活動・同じリスクには同じ規制を適用する」との原則を適用する上での大きな前進である。FSBメンバーは、また、銀行の暗号資産エクスポージャーに係るプルデンシャルな取扱いに関するBCBSの進行中の作業及び、公表されたIOSCOの「分散型金融(DeFi)についての報告書」を含む、傘下のFinTechタスクフォースを通じた分散型金融(DeFi)及び暗号資産に関するIOSCOの進行中の作業を支持する。IOSCOの作業は、主に投資家保護と市場の公正性・透明性の確保に焦点を当てつつも、脆弱性の低減を目指し、暗号資産エコシステムに関連する金融安定リスクに対処するためのFSBの協調的な取組みを支援している

~NEW~
金融庁 マニュライフ生命保険株式会社に対する行政処分について
  • 金融庁は、本日、マニュライフ生命保険株式会社(本店:東京都新宿区、法人番号2012401004592、以下、「当社」という。)に対し、下記のとおり業務改善命令を発出した。
  • 業務改善命令の内容
    • 保険業法第132条第1項に基づく命令(業務改善命令)
      1. 業務の健全かつ適切な運営を確保するため、以下を実施すること。
        1. 今回の処分を踏まえた経営責任の明確化
        2. 保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動による契約の特定、調査等、適切な顧客対応の実施
        3. 営業優先ではなく、コンプライアンス・顧客保護を重視する健全な組織風土の醸成
        4. 適切な募集管理態勢の確立(代理店に対する十分な牽制機能の構築を含む)
        5. 適切な商品開発管理態勢の確立
        6. 上記を着実に実行し、定着を図るためのガバナンスの抜本的な強化
      2. 上記(1)に係る業務の改善計画を令和4年8月15日(月曜)までに提出し、ただちに実行すること。
      3. 上記(2)の改善計画について、当該計画の実施完了までの間、3カ月毎の進捗及び改善状況を翌月15日までに報告すること(初回報告基準日を令和4年9月末とする)。
  • 問題の所在
    • 当庁検査及び保険業法第128条第1項に基づく当社からの報告の結果、以下の問題が認められた。
      1. 保険本来の趣旨を逸脱するような商品開発及び募集活動
        • 当庁においては、令和元年2月の国税庁による法人税基本通達の改正に係る保険業界への周知以降、累次にわたり保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動を行わないよう注意喚起を行っているほか、同年10月には、「保険会社向けの総合的な監督指針」の一部を改正し、法人等向け保険商品の設計上の留意点として、「保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動につながる商品内容となっていないか」という観点を明確化し、節税(課税の繰り延べ)を訴求した商品開発を含め、同活動を防止するための指針を示している。このような中、当社においては、
          • 法人から個人への名義変更による節税を目的とした名義変更プラン(※注)による販売を推進することを目的として、低解約返戻金型の法人向け商品を開発していく方針が、取締役会等の資料に明示的に記載されていたこと、
          • 前CEO及び前CDO(営業全般の統括責任者)が営業部門の職員等に対して同プランを推進する趣旨の発言を行っていたと考えられる事実が認められたこと、
            などから、前CEOをはじめとした旧経営陣が主導して同プランを開発・推進していたと認められた。
            (※注)名義変更プランとは、低解約返戻金型定期保険等を活用し、法人から個人(役員等)に名義変更(資産移転)を行うことで、法人と個人の税負担の軽減が可能となる点に着目し、保険期間当初の低解約返戻期間中に法人から個人に名義変更を行い、当該期間経過後に解約することを前提とした保険加入を推奨する手法。
        • 前専務執行役兼チーフ・ガバナンス・オフィサー(CGO)などの役員についても、同商品の販売が好調である旨の報告を何度も受けており、これらの行為を黙認・看過していたことが強く疑われる実態が認められた。
        • 現CEOをはじめとした現経営陣が、当庁への報告において「保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動」の根絶に向けた再発防止策に取り組んでいる中であるにもかかわらず、当社の職員が法人税基本通達改正及び所得税基本通達改正の抜け穴を突いて、不適切な募集と認識しながら、年金保険を使った名義変更プランを考案・推進するといった悪質性が極めて高い事例が認められた。
        • 現CEOは、商品開発にあたり、営業部門等からの過度の営業推進を牽制し、早期の段階から新商品案を多角的に検証することができるよう、商品開発において経営層が協議・検討を行う場である商品審議会の構成メンバーにチーフ・コンプライアンス・オフィサー(CCO)等を追加するなど、再発防止策を講じていた。しかしながら、商品審議会は、開発・販売に向けて協議・検討を進めている法人向けの新商品において、課税の繰り延べ効果が高く、税務上有利になる最高解約返戻率が85%以下となる販売パターンのみを想定した商品とするなど、保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動につながる懸念が認められる商品を再び設計するとともに、そのような募集活動が行われないための実効性ある対応策を協議・検討していない
          など、極めて不適切な実態が認められた。
      2. 営業優先の企業文化やコンプライアンス、リスク管理を軽視する企業風土
        • 名義変更募集など「保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動」が繰り返し当社において認められる原因には、ガバナンスの機能発揮が不十分であるなどの問題があるほか、その背景には営業優先の企業文化やコンプライアンス、リスク管理を軽視する企業風土があると考えられる。現経営陣は、全職員を対象としたタウンミーティングを令和3年10月以降計11回にわたり実施し、職員との直接対話の機会を増やしたほか、全営業部門職員を対象とした保険募集ルールに係る研修等を実施するなど、企業文化・風土の刷新に取り組んでいるものの、今回検査において令和4年2月から4月にかけて役員等を除く全職員に対し当庁が実施したアンケートによると、名義変更募集については、回答者の約16%もの職員が「法令違反ではないので問題ではない」または「顧客ニーズに合致すれば問題ではない」との認識を未だに回答しているなど、当社の企業風土の刷新に向けた取組は現時点では道半ばの実態にある。
        • このため、当社は経営トップのリーダーシップのもと継続的かつ着実に営業優先の文化からの脱却とコンプライアンスやリスク管理を重視する組織風土の醸成を図るとともに、多様な価値観を有する中途入社者が大宗を占める当社の営業部門職員に対する教育や研修体制をより充実させ、営業部門の意識改革に向けた取組を強化していく必要があるなど、営業優先の企業文化やコンプライアンス、リスク管理を軽視する企業風土の刷新に向けた取組は不十分であると認められた。
      3. 上記の他、取締役会は、傘下の監査委員会による取締役及び執行役の業務執行に関する監査において、前CEOらによる名義変更プランの開発・推進を看過しているなど、取締役及び執行役の職務の執行を監督するという基本的な役割及び責任を十分果たしていないという問題や、3ライン・オブ・ディフェンスの各層において保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動を防止するための態勢上の問題が認められた。
  • 処分の理由
    1. 上記2.に関して、
      • 当社が推進していた名義変更プランによる募集は、税負担を軽減することを主たる目的とし、法人から個人への資産移転や短期の中途解約を前提とするなど、経済的保障・補償を行うことにより個人生活や企業経営の安定を支えるという保険本来の趣旨を逸脱し、その目的に沿った利用を損ねる行為であり、公共性を有する保険業の意義を阻害する行為である。また、当社は、そのような募集行為に関して、当庁の累次にわたる注意喚起に加え、国税庁が昨年6月に名義変更プランに使用され得る保険商品を対象とする所得税基本通達改正を実施し、その行為が不適当であることを明確化していた中、その抜け穴をついて、年金保険を利用した名義変更プランによる募集を行い、契約者に対して租税回避的な行為を推奨していた。以上のような当社の一連の行為は保険業に対する信頼を損ないかねず、よって、公益を著しく侵害しているものと認められること、
      • 前CEOをはじめとした経営陣が名義変更プランによる募集を商品開発段階から主導していた事実を鑑みると、とりわけ旧経営陣の責任は非常に重く、一連の行為には組織性が認められること、
      • 当庁から、監督指針に照らして問題のある商品の投入について問題提起を行った後にもかかわらず、国税庁の通達改正の影響による販売減少をカバーするために、名義変更プランを前提とした商品開発及び推進を行っているほか、上述のとおり、その後の通達改正の抜け穴をついて、年金保険を利用した名義変更プランによる募集を行うなど、悪質性、故意性も認められること、
      • また、契約者の被害の程度については、当社は契約者に対して通達改正の案内の送付や説明等を行っているとしており、現状、多数の苦情が発生している状況ではないが、契約者が実際に名義変更等を行おうとする際に、初めて税務上の効果を享受できなくなったことを認識する場合もあり得ると考えられるため、今後契約者被害が増加する可能性があること、
        など、現状の契約者被害の程度を勘案しても、今回認められた問題の重大性・悪質性は高い。
    2. 取締役会が取締役等の職務執行を監督するという基本的な役割を十分果たしていないといった経営管理態勢上の問題や、3ライン・オブ・ディフェンスによる機能発揮が不十分であるといった業務運営態勢上の問題も生じている。
    3. 現CEOは、再発防止策等を講じるなど、所用の対応に取り組んでいるものの、根本的原因に基づいた実効性のある施策となっていないなど、自主的な改善は十分には期待できない。
  • 以上より、当社の確実な業務改善計画の実施及び定着を図っていくためには当局の関与が必要と判断し、業務改善命令を発出した。

~NEW~
金融庁 節税(租税回避)を主たる目的として販売される保険商品への対応における国税庁との更なる連携強化について
  • 金融庁は、「節税(租税回避)を主たる目的として販売される保険商品」への対応として、商品審査段階及びモニタリング段階において国税庁との連携を更に強化し、一層の保険契約者保護を進めていきます。取組の詳細は以下をご覧ください。
  • また、金融庁においては、「節税(租税回避)を主たる目的として販売される保険商品」に関して広く皆様から情報を募集します。一層の保険契約者保護を図るため、保険会社及び保険代理店における保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動に関する情報をお持ちの方は、以下までご連絡をお願いいたします。
▼国税庁との更なる連携強化について
  • 背景
    • 「節税(租税回避)を主たる目的として販売される保険商品」について、2019年の国税庁による法人税基本通達改正の周知、いわゆるバレンタインショック以降、当庁からも累次にわたり注意喚起を行い、監督指針の改正等を実施してきたところであるが、依然として、保険本来の趣旨を逸脱するような商品開発や募集活動が確認されており、保険契約者保護の観点で問題が生じている。
  • 目的
    • 当庁においては、今後発生しうる保険本来の趣旨を逸脱するような商品開発や募集活動への対応として、国税庁との連携を更に強化し、商品審査段階及びモニタリング段階での取組を通じて、より一層の保険契約者保護を図ることとする。
  • 商品審査段階
    1. 金融庁から保険会社に対して、国税庁への税務に関する事前照会を慫慂
    2. 保険会社から同意を得た上で、必要に応じて、金融庁からも国税庁に事前照会を実施
    3. 金融庁において、事前照会の結果を商品審査で参考情報として活用(事業方法書への募集管理態勢に関する記載の指導等)
  • モニタリング段階
    1. 両庁の定期的な意見交換の場等を通じて、国税庁から金融庁に対して、保険商品に関する節税(租税回避)スキームの情報提供
    2. 金融庁において、国税庁からの情報や独自に把握した情報を活用し、保険会社・保険代理店における募集管理態勢の整備状況や販売実態等のモニタリング等を実施
    3. 金融庁から国税庁に対して、商品開発や募集現場で利用されるスキームの情報提供

~NEW~
金融庁 「サステナブルファイナンス有識者会議第二次報告書」の公表について
▼(別紙1) PDFサステナブルファイナンス有識者会議第二次報告書
  • 脱炭素等に向けた企業の動きを実効的に推進していくためには、官民によるリスク分担が重要との指摘が国際的にも広がっている(いわゆる、ブレンデッド・ファイナンス)。昨年10月に公表されたG20サステナブル・ファイナンス・ロードマップにおいても、国際開発金融機関等による民間資金の動員を促す1つの手段としてブレンデッド・ファイナンスを挙げている。
  • 脱炭素社会の実現に向けては、「経済財政運営と改革の基本方針2022」において、今後10年間に150兆円超の投資を実現するため、成長促進と排出抑制・吸収を共に最大化する効果を持った、「成長志向型カーボンプライシング構想」を具体化し、最大限活用することとしている。また、同構想においては、150兆円超の官民の投資を先導するために十分な規模の政府資金を、将来の財源の裏付けをもった「GX経済移行債(仮称)」により先行して調達し、複数年度にわたり予見可能な形で、速やかに投資支援に回していくことと一体で検討していくものとしている。
  • 生物多様性については、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)が、気候変動に係るTCFDの取組みも踏まえて、自然資本や生物多様性と事業活動に関する影響や依存、リスクや機会を適切に評価し、開示するための枠組みを構築すべく議論を進めている。
  • 海洋資源については、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が、持続可能な海洋資源の利用を「ブルーエコノミー」として提唱してきたが、本年には、金融にも係る海洋採掘等のリスクについて報告書を公表している。また、本年1月には、国際金融公社が、気候変動問題でのグリーンボンド原則を基にして、「ブルー」適合と考えられる資金使途の例をまとめたガイダンスを公表している。
  • 自然資本や生物多様性については、関係省庁と連携し、金融庁においても、リスクと機会の考え方の整理を行う国際的な議論の場や、開示を取り扱うTNFDフォーラム等に参加し、各国当局と共に知見の蓄積を進めるべきである。
  • 持続可能性に係る課題としては、自然環境に係る諸課題のほか、コーポレートガバナンスや腐敗防止といったガバナンスに係る諸課題、また、人権の尊重や雇用・労働慣行、多様性の尊重といった、多様な内容を包摂する社会的課題が存在し、それぞれに議論が進んでいる。
  • 例えば、「人権の尊重」に関しては、昨年3月に、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」がその制定から10年を迎えた。同原則は、企業には、その活動とバリューチェーンで人権を尊重する責任があるとし、その具体的方法として、「人権デュー・ディリジェンス」18の実施等を掲げている。欧州等では人権デュー・ディリジェンスを法制化しようとする動きが加速している。これに拘らず、企業は、事業を実施する国の国内法令を遵守するだけではなく、国際的な基準等に照らしてその行動が評価されるようになっており、取引先や投資家などから人権デュー・ディリジェンスの実施を求められている。わが国でも、一昨年10月に政府として「ビジネスと人権に関する行動計画」を策定したほか、本年3月、「サプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン検討会」を設置し、人権デュー・ディリジェンスに関して、業種横断的なガイドライン作りを開始している。
  • 社会的課題としては、このほかにも、貧困・飢餓、健康・福祉、教育、格差、ジェンダー平等など、多様な課題が存在し、わが国では、高齢社会への対応や地方創生・地域活性化などの課題も考えられる。こうした様々な課題や概念を各企業等がどのように整理・具体化していくかが、1つの課題となっている。
  • 足許では新たな課題が生じている。国際的な需給ひっ迫やウクライナ侵攻を契機としたエネルギー価格の上昇、エネルギーや食料の安全保障に係る懸念の高まり等も、広くサステナブルファイナンスの動向に影響を与える可能性がある。各国では、エネルギー安定供給のための新たな資源や設備の開発の動きが見られる一方、化石燃料からの転換を加速することで、ロシア等へのエネルギー依存の低減を図る動きも見られる。食料生産や流通の不安定化、食料価格の上昇は、世界的な影響を及ぼしており、国際協調が一層必要とされている。また、サイバーセキュリティ―を含む安全保障関連産業や自立的な食料供給のあり方、新型コロナウィルス感染症による働き方を含む社会の変化なども含めて、持続可能性を確保する取組みを全体としてどう捉えていくべきか、様々な議論が行われている。
  • サステナブルファイナンスは、社会・経済構造の全体の変革を支える金融の役割に係る議論であり、資金の出し手・受け手、証券会社等の仲介者、資金の種別(株式・債券・融資、設備資金や創業資金等)、対象となる分野(環境・社会・ガバナンス等)、構造転換を可能とする技術や人材、知見など、課題を包括的に捉えて検討していくことが重要と考えられる。
  • 産業・社会構造の転換の担い手となる企業を中心に、これに資金を投じる投資家・金融機関を位置付けている。企業においては、自然・社会環境の変化に応じて様々なサステナビリティに関する取組みが進められており、これが適切に開示されることで、投資家・金融機関にとっても、将来の事業のリスク及び成長・持続可能性を的確に理解し、投融資等につなげることが可能となる。
  • 企業に対する資金の出し手としては、機関投資家(アセットオーナー・アセットマネージャー)、個人を掲げている。
  • 機関投資家においては、リスク管理と併せて持続可能な経済・社会を実現していく観点からは、中長期的な視点で必要資金を提供し、企業の経営に対する規律付けを担うことが期待される。サステナビリティに関する取組みを進める企業の裾野を拡大し、企業との対話を実効的に行うためにも、機関投資家がESG課題や事業への影響、これを解決する技術等について知見を蓄えていく必要がある。
  • 機関投資家のうち、いわゆるアセットオーナーにおいては、運用資産の成長可能性を高め、最終的な受益者の便益を長期的に拡大する観点から、自らの投資に係る基本的な方針において、サステナビリティに関する取組みを如何に考慮していくか、といった点について知見を深めていくことが重要と考えられる。
  • また、アセットマネージャーにおいては、アセットオーナーにおけるESG課題の考慮についての基本的な投資方針も踏まえつつ、自らもサステナビリティの考慮について知見を高め投資先企業を適切に理解し、資産の成長・持続可能性を確保することを通じ、アセットオーナー等の便益向上に貢献していくことが求められる。
  • 約2,000兆円に及ぶ金融資産を保有する個人は、個人投資家として投資信託の購入等を通じてサステナブルファイナンスの市場の一翼を担っているほか、機関投資家の保有資産の最終受益者でもある。第一次報告書で指摘しているとおり、個人の投資家がESGに係る金融商品を自ら選択する場面は広がっており、個人投資家に対する投資機会の拡充を図るよう、ESG関連投資信託の組成や販売に当たっての丁寧な説明等が重要となる。またこのためには、個人の金融教育においても、サステナブルファイナンスの視点を取り入れることが必要となる。
  • また、市場全体が適切に機能発揮していくためには、証券会社も含めた機関投資家、企業等の間を専門的に仲介する様々な事業者(intermediary)の役割が欠かせない。アセットマネージャーもこうした役割を担うが、専門的見地を高め、サステナビリティを考慮した投資信託等の運用方針・ポートフォリオの特性について、正しく投資家が理解出来るよう、態勢整備を図っていく必要がある。
  • ESG評価・データ提供機関も、投資家が、多種多様な企業のサステナビリティに関する取組み等について的確に理解することが出来るよう、適切なデータを用いて、企業等と建設的な対話を図り、自らが提供する評価等の透明性・中立性を確保していくことが重要となる。
  • 加えて、こうした企業・投資家や証券会社を含めた仲介者等の市場全体が有効に機能するためのインフラ整備が重要となる。
  • 企業と密接なリレーションを有する金融機関の機能発揮も重要となる。特に、多排出産業を中心に脱炭素に向かって移行を進めるトランジションの取組みの着実な進展が極めて重要となる中で、内外の政策・産業動向、国際的な金融機関の動向も踏まえつつ、顧客企業と脱炭素に係る構造改革を実現していくための対話を重ねた上で、投融資の判断を行うことが重要となっている。
  • そのほか、横断的な論点として、トランジションやカーボン・クレジット、インパクト、スタートアップと地域企業、データの集約、専門知見の育成等の論点があるが、いずれも様々な主体が関与するものであり、幅広く連携をはかっていくことが欠かせない。また、実務関係者の知見をわが国全体として高める等の観点から、金融庁においても、若い世代を含めた様々な世代への情報提供を充実し、また、多様なステークホルダーとの対話を行うことも重要となる。
  • 経済社会の持続可能性に係る課題が大きなものとなる中で、これらが自社の事業活動にどのようなリスクと機会をもたらすかを考え、対応戦略を練ることは、中長期的な企業価値の維持・向上にとって不可欠となっている。
  • 投資家・金融機関のほか、取引先や働き手を含む多様なステークホルダーにとって、外部環境の変化を先んじて捉え、戦略の強靭性(レジリエンス)を検証し、成長につなげていく企業の取組みはこれまでになく重要になっている。
  • また、非財務情報を含む企業のサステナビリティに関する情報開示を活用しつつ、投資家や金融機関と企業が建設的な対話を進めることは、インベストメント・チェーン全体の機能向上に資すると考えられる。
  • こうした観点から、第一次報告書においては、IFRS財団における国際的なサステナビリティ開示基準の策定に向けた議論に積極的に参画し、併せて、TCFDに基づく企業開示の質と量の充実を図り、気候変動情報の開示の充実に向けた検討を継続的に進めていくべきことを掲げている。

~NEW~
金融庁 「ESG評価・データ提供機関等に係る専門分科会報告書」の公表について
▼(参考1)ESG 評価・データ提供機関等に係る専門分科会報告書概要
  • サステナブルファイナンスの急速な拡大を受けて、企業のESGの取組状況等について情報を収集・集約し、評価を行う「ESG評価・データ提供機関」の影響力が大きくなっている
  • 昨年6月の金融庁「サステナブルファイナンス有識者会議」報告書では、ESG評価機関の公平性や中立性を確保する「行動規範」の議論を進めるべき旨が指摘。本年2月に同会議に「ESG評価・データ提供機関等に係る専門分科会」を設置し、行動規範の内容や、企業や機関投資家における課題等について広く検討
  • ESG評価・データの例
    1. 発行体の評価
      • 各社独自の基準に基づき、ESGの観点から評価(格付け等)を付与
    2. ESG関連債・融資の評価
      • 発行時に、債券等に係る内外の基準を参照し、準拠度合い等を評価
  • ESG評価・データの利用
    1. 株式・債券投資
      • 機関投資家が、投資方針の策定やポートフォリオの選定に当たって、いわゆるESGインテグレーション等、ESG要素を投資判断に織り込む動き
      • ESG関連債等の発行に当たっても、国内外の各種基準への適合状況やESGに関する適格性の評価等を得ることが一般的
    2. ESG評価を活用したインデックス等
      • 評価機関等がESG評価・データに基づき企業の指数(ESG指数)を組成し、これに連動する形で投資が行われる動き
    3. ESG評価を活用したエンゲージメント
      • 例えば、機関投資家等による国際的な気候変動イニシアティブ「Climate Action 100+」は、ESG評価を用いて対話の戦略等を検討
  • 指摘される課題
    1. 評価の透明性と公平性の確保
      • 評価機関ごとに評価基準等が区々で、評価結果の理解が困難
    2. 潜在的な利益相反
      • 評価対象となる企業に有償でコンサルティングサービスを提供
    3. 人材の確保
      • 評価の質を確保するための人材の確保の必要性
    4. 企業の負担感
      • 多くの評価機関から質問票が寄せられ負担が多いが、評価への納得感は必ずしも十分でない
  • ESG評価機関への期待(行動規範としてとりまとめ)
    1. 透明性の確保
      • 自社のESG評価について、目的・考え方・基本的方法論等を公表すること
    2. 人材の育成
      • 専門人材等を確保し、また、自社で専門的能力の育成等を図ること
    3. 利益相反の回避
      • 業務の独立性・客観性・中立性を損なう可能性のある業務・場面を特定し、潜在的な利益相反を回避し、又はリスクを適切に管理・低減すること
    4. 企業とのコミュニケーション
      1. 評価を行う企業との窓口を明確化し、評価の根拠となるデータは確認・訂正を可能とし、こうした手順を予め公表すること
  • 機関投資家・企業への期待
    • 自らの投資でESG評価をどう活用しているか、明らかにすること(投資家)
    • サステナビリティに関する企業情報をわかり易く開示し、評価機関との窓口を明確化すること(企業)

~NEW~
消費者庁 第45回インターネット消費者取引連絡会
▼資料1 NFTの動向整理
  • NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)とは、「偽造・改ざん不能のデジタルデータ」であり、ブロックチェーン上で、デジタルデータに唯一性を付与して真贋性を担保する機能や、取引履歴を追跡できる機能をもつ。※経済産業省「デジタル時代の規制・制度のあり方について」第4回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 事務局説明資料(2022年2月)NFTには以下のような特徴がある。容易に複製が可能なデジタルコンテンツに対して唯一性を付与し、希少性を持たせることできる。特定のアプリケーション内に閉じず、他のアプリケーション等でも利用できる可能性がある。また、二次流通時に販売額の一部を制作者に還元する仕組みを組み込むことも可能である。NFTは購入、売却、転売することが可能であり、ブロックチェーンによってNFTの取引履歴を確認できる。
  • NFTは主にゲームやアート等のデジタルコンテンツで利用されているが、その他、チケットやドメインネーム等、新しい分野にも利用が広がっている。アート等のデジタルコンテンツでは、NFTを保有することにより、NFTに紐付けられたコンテンツをSNS等のプロフィール上に表示することや、NFTに関するサービスにおいて、これらのコンテンツを表示・閲覧等することができる。デジタルアートだけではなく、現実に存在するフィジカルアートに対してNFTが発行される事例もある。ゲームのキャラクターやアイテムは、従来当該ゲーム内でのみ利用可能であったが、NFTを活用した場合、異なるゲーム等でも利用可能となる場合がある。ゲーム内で得たアイテム等をマーケットプレイスに出品して販売することもできる。その他、限定商品を購入する権利や、アクセスが制限されているコミュニティに参加する権利等を提供するNFTもある
  • 発行・一次販売
    • コンテンツの制作者やIP(知財)保有者は、マーケットプレイス事業者との利用規約のもとコンテンツをアップロードし、名称や詳細説明等を入力して、NFTを発行。
    • 販売形式(固定価格やオークション等)等を設定してNFTを出品する。
    • 販売形式に従って購入者が確定する。売買契約は、出品者(制作者・IP保有者等)と購入者(消費者)の間で締結される。購入者は代金をNFTマーケットプレイス事業者に支払い、代金から手数料を控除した金額が出品者に支払われる。また、ブロックチェーン上にNFTの取引が記録され、NFTが移転する。
    • ブロックチェーンによっては、ガス代と呼ばれるネットワーク手数料が必要になることがある。
  • 二次流通
    • NFTの購入者は、購入したNFTをマーケットプレイス等のプラットフォームを通じて売却することができる。
    • 保有するNFTを販売形式等を指定してマーケットプレイスに出品。
    • 販売形式に従って購入者が確定し、代金が支払われたら、一次流通と同様に代金から手数料を控除して出品者に支払われる。
    • 二次流通では、代金の一定割合がロイヤリティとしてNFTの発行者に支払われることがある。ロイヤリティはNFTの発行者があらかじめ設定する。ロイヤリティについても代金から控除され、NFTマーケットプレイス事業者からNFT発行者に支払われる。
  • NFTが金融商品取引法や資金決済法等の規制対象に該当すると、法令に基づいた届出や登録等が必要となる。“利益分配”及び”決済手段”としての機能を有していない場合、金融規制等へ抵触する可能性は低いものと考えられる。※経済産業省「スポーツ分野でのNFT/FTの可能性と課題」第3回スポーツコンテンツ・データビジネスの拡大に向けた権利の在り方研究会事務局資料(2022年2月)NFTの背後にある権利がどのようなものであるか等、個別に検討する必要。
  • NFTを「十分に知っている」者は男性で1割前後、女性では数%程度。NFTの認知度は若い年代の方が高い傾向。男性の約半数、女性の約3/4は「知らない」。NFTを購入した経験があるのは男性では20代が9.7%、30代が7.9%、40代が4.3%、女性では20代が1.9%、30代が1.9%、40代が0.7%。購入経験は若い年代の方が高い傾向。購入したことはないが所有したことがある者を加えると、男性20代では14.2%が購入・所有経験を有する。
  • はじめてNFTを所有した時期は2020年が33.9%、2021年が29.2%、2022年が20.0%。約半数の所有歴は1年半以下。現在のNFT所有数は「1~5」が61.4%。「101以上」は2.5%。
  • 所有したことがあるNFTのジャンルは「アート、イラスト」「音楽」「スポーツ」「ゲーム」「コレクティブル」が多い。30代は多様なジャンルのNFTの所有経験がある。「メタバース」、「会員権」は他の世代より40代の所有経験率が高い。はじめてNFTの所有を開始した時期に関わらず「アート、イラスト」の所有経験率が高い。「音楽」「スポーツ」は2020年以前、「コレクティブル」は2020年に所有開始した者の所有経験率が高い。
  • NFTを所有する目的では「コレクション」(59.4%)、「値上がりによる利益」(47.3%)、「NFTを活用したサービスの利用」(46.9%)が多い。NFTを所有する最も主要な目的も同様の傾向であるが、30代は「値上がりによる利益」が最も多い
  • 約3/4がNFTを「国内事業者のサイトで購入」したことがある。2割程度が「ゲーム内で報酬等として獲得」。30代では「海外事業者のサイトで購入」したことがある者が43.1%であり、他の世代より多い。「海外事業者のサイトで購入」した経験がある者の比率は所有開始時期が2020年の者が多い。
  • NFT1つあたりの購入にかかった費用が「1万円未満」は、20代の63.2%、30代の52.9%、40代の64.7%。「10万円以上」は20代の7.4%、30代の8.3%、40代の6.9%。購入したNFTの代金を「クレジットカード」で支払ったことがある者が約7割。暗号資産で支払ったことがある者は30代が他の世代より多く55.9%。「電子マネー」「ポイント」で支払ったことがある者は若い年代ほど多い
  • 約半数がNFT購入前から暗号資産の取引をしていた。NFTを購入するために暗号資産の取引をはじめたのは1/4程度。
  • NFT購入時に確認したいことでは「相場感」「希少性」「手数料等を含めた総支払額」が多く挙げられた。20代は他の世代と比較して確認したい事項が少ない傾向。30代は「手数料等を含めた総支払額」「希少性」「支払方法」を他の世代よりも多く挙げている
  • NFT購入時に「支払方法」(87.3%)、「NFTの取引履歴」(83.8%)を「確認できた」者は8割を超える。「紐付けられたコンテンツ等の利用可能範囲」を確認できた者は69.8%と他の項目よりやや少なく、「内容を確認したがよくわからなかった」者が24.6%とやや多い
  • NFTの購入・利用に関して「暗号資産取引所の口座開設」「ウォレットの作成、設定」が難しかったとする者が多い。2022年にNFTの所有開始した者では難しかったことは「特にない」とする者が28.4%となり、難しかったことを挙げる者が他よりも少ない
  • NFTの購入・利用に関して不安なことでは「偽物NFTではないか」「価格操作されていないか」「NFTの希少性が喪失しないか」を挙げる者が多い。30代で上記の点を不安とする者が多い。40代では「NFTが売却できるか」を挙げる者が他の世代より多い。
  • 20代の29.4%、30代の25.0%、40代の32.4%が、NFTの取引(購入、売却)に関して何らかのトラブルや困ったこと等があったと回答。NFTをはじめて所有した時期が前の者ほど、トラブルや困ったこと等があったと回答した者の比率が高くなっている。
  • 2017年6月、イーサリアム上の初期のNFTとしてCryptoPunksが発表される。アルゴリズムにより生成された、それぞれ異なる10,000点のデジタルアートであり、当初は無料で配布された。
  • 2017年11月、イーサリアムを利用したNFTゲームとしてCryptoKittiesが開始。CryptoKittiesの人気によって、イーサリアムネットワークが混雑し、未処理のトランザクションが増大する等の影響が生じた。
  • 2021年3月、デジタルアーティストBeepleによる“EVERYDAYS: THE FIRST 5000 DAYS”のNFTがクリスティーズで6,935万ドルで落札される。その他、CryptoPunksの高額な取引、Twitterの共同創設者が投稿した世界初のTwitter投稿のNFTが290万ドルで落札されるなどし、NFTへの注目が高まり、スポーツ、アート、音楽等、様々な分野での利用が広がっている。
  • NFTの保有者に限定的にサービスや機能を提供するものもある。特定のNFT保有者のみが参加できるDiscord等によるコミュニティの提供や、特定のNFT保有者のみが利用できるリアルの飲食店等もある。その他、NFT保有者に限定商品等の購入権を与えるものや、当該NFTに関連するコンテンツのストーリーやキャラクター等に関する投票権を与えるといったものもある。
  • 高額で取引されるNFTの一部等を購入できるようにしたフラクショナルNFTの事例もある。NFTを分割し複数人で同じNFTの部分的な保有を行う仕組みであり、分割された全てのフラクショナルを購入することによって元のNFTに戻すこともできるとされている。
  • 金融活動作業部会(Financial Action Task Force on Money Laundering:FATF)は2021年10月28日に「暗号資産及び暗号資産交換業者に対するリスクベース・アプローチに関するガイドライン」を改定。同ガイドラインでは、NFT(non-fungible tokens)は、交換可能性(interchangeable)よりも唯一性があり、支払いや投資の手段としてではなく収集品として使用されるデジタル資産であるとし、その特性からFATFの定義では一般的には仮想資産(Virtual Asset:VA)とはみなされないとしている。ただし、NFTが支払い又は投資目的で使用される場合にはVAに該当する可能性があり、ケースバイケースでNFTへのFATF基準の適用を検討する必要があることを指摘している。
  • NFTを購入等するときに注意すべき事項の例
    • NFTを購入しても、必ずしもNFTに紐付いたコンテンツ等を保有することにはならないことを理解する。
    • NFTを保有することによって認められる権利はNFTにより異なる。NFTを購入等するときには、NFTに紐付けられたコンテンツ等について、どのような利用が認められることになるのか確認する。-NFTのトークン内に契約内容が記録されていることは少ない。出品された個々のNFTに関する説明内に記載されていたり、利用規約に規定されていたりすること等がある。
    • 第三者が著作権者に無断でコンテンツ等をNFT化するリスクがある。NFTの発行者の情報等を確認する。不自然な価格であるとき等には、特に注意する。-偽物等のNFTが出品されないよう、取り扱うNFTに関する審査等を行っているマーケットプレイスもある。-公式マークを発行しているマーケットプレイスでは、公式マークの有無を確認する。
  • NFTに関してロードマップを公表したり、関連するコミュニティが存在する場合がある。購入前にこれらの内容も参考にして判断する。
    • アカウント開設時に本人確認を要しないサービスもあり取引相手の特定は難しい。そのため取引は慎重に実施する。
    • 複数のウォレットを利用してNFTの取引でいわゆる「自作自演」を行い、価格や人気の操作が行われる可能性もある。
  • NFTの取引履歴に不自然な点がないか確認する。-同一人が複数のアカウントを所持できないマーケットプレイスもある。
  • 投資目的での購入に関して注意すべき事項の例
    • NFTは必ず値上がりするようなものではなく、値下がりするリスクもあることを理解する。
    • 買い手が必ず現れるとは限らず、すぐに売買できないリスクがあることを理解する。
  • 情報セキュリティに関して注意すべき事項の例
    • ID、パスワード、秘密鍵等の管理を厳重にし、他人に知られないようにする。
    • 端末のOSをアップデートする、セキュリティ対策ソフトを利用する等の情報セキュリティ対策を行う。
    • マーケットプレイスの偽サイト等を利用したフィッシング詐欺が行われていることがある。サイトのURLを注意深く確認したり、メールやSNS等に記載されたリンクを不用意にクリックしないよう注意する。
    • 購入等した覚えのないNFTが送りつけられることがある。不正プログラムが仕組まれていることもあるため注意する。

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消費者庁 電力・ガス自由化をめぐるトラブル速報!No.19「契約内容や契約先の事業撤退に伴う対応についての相談が寄せられています」
▼電力・ガス自由化をめぐるトラブル速報!No.19「契約内容や契約先の事業撤退に伴う対応についての相談が寄せられています」
  • 消費者へのアドバイス
    1. 契約の意思がない場合ははっきりと断りましょう
      • 勧誘を受けた際、契約の意思がない場合ははっきりと断ることが重要です。曖昧な返答をしてしまい、後からトラブルに巻き込まれないためにも、契約意思の有無ははっきりと伝えましょう。万が一、自分の意思にかかわらず契約手続が進められてしまった場合でも、後に事業者から申込確認の電話が来る場合がありますので、その際に契約の意思がないことを改めて伝えましょう。それでも契約に関する書類が送られてくることがあれば、すぐに事業者に連絡をとって契約意思がないことを伝え、必要に応じクーリング・オフなどの手続を行いましょう。
    2. 勧誘してきた会社と新たに契約する会社の社名や連絡先、契約条件をよく確認しましょう
      • 電話勧誘販売や訪問販売に関する相談が多く寄せられています。相談事例を見ると、大手電力・ガス会社を名乗って勧誘をするケースや、マンション全体の供給契約が変わるかのような説明を行うケースも見られます。どこの電力・ガス会社と契約しているか分からないといった状態を防ぐためや、勧誘の際には契約変更を決めたが、やはり止めたいという場合に備えるためにも、勧誘してきた会社と新たに契約する会社の社名やその連絡先、契約条件を確認しましょう。これらの情報をよく説明をしてもらい、メリット・デメリットを把握し納得した上で契約をしましょう。
      • また、特定商取引法では、電話勧誘販売や訪問販売で一度断った人に再度勧誘することは禁止されています。
      • 電力・ガス会社には、契約を締結するときに、事業者名やその連絡先を含めた契約内容を記載した書面を交付する義務があります。メールやウェブサイト上で表示する等の電磁的方法で交付される場合もありますので、後から契約内容を確認できるように、どのような形で書面交付が行われるのかも確認するようにしましょう。
    3. 検針票や契約情報は慎重に取り扱いましょう
      • 氏名(契約名義)、住所だけでなく顧客番号、供給地点特定番号など検針票の記載情報は重要な個人情報です。最近では、インターネットやSMS等でこれらの情報を確認できるサービスも出てきています。
      • これらの情報によって電力・ガス会社は契約を行っていますので、電話勧誘や訪問販売で情報を聞かれてもすぐ教えてしまわないように気を付けてください。
      • 電気の検針システムが変わり、電気料金が安くなる等の説明がなされるケースもみられますが、スマートメーターを設置したからといって、それだけで電気やガスの料金が安くなるわけではありません。また、設置作業には検針票に記載された情報は必要ありません。設置を理由に情報を聞き出す事例が多いので注意してください。
    4. 契約を変更してしまってもクーリング・オフ等ができる場合があります
      • 事業者から電話や訪問販売で勧誘を受け、電気やガスの契約の切替えについて承諾した場合、法定の契約書面(クーリング・オフに関する事項など、法律で定められた事項を記載した書面)を受け取った日から8日以内であれば、クーリング・オフができます。法定期間内にクーリング・オフに係る書面又はメール等を発送すればよく、クーリング・オフ期間を過ぎて事業者に届いた場合であっても有効です(発信主義)。法定の契約書面を受け取っていない場合でもクーリング・オフは可能です。また、供給開始前であれば、営業してきた事業者にキャンセルの意思を伝えることで、契約をキャンセルできる場合もあります。事業者に言われるがまま契約してしまったとしても、慌てずに対処しましょう。
    5. 市場連動型の料金メニューについてのお問合せが増えています
      • 市場連動型の料金メニューは、電力会社が取引所から電気を仕入れる際の価格に連動して電気料金が決まるメニューです。取引所の価格に応じて実際に請求される電気料金も上下するため、安くなる場合も高くなる場合もあります。ある時点から急に電気料金が上がって驚くことのないよう、契約時には、こうした料金メニューのメリット・デメリットを把握し納得した上で契約をしましょう。
      • 特に2020年度冬季には、スポット市場価格の高騰を踏まえ、経済産業省は、市場連動型の料金プランを提供する小売電気事業者に対し、需要家の電気料金負担が激変しないよう、柔軟な対応を要請しました。これを受け、高騰した電気料金の分割払い等に対応し、現在も引き続き分割分について請求している事業者もいます。
      • 日頃から、小売電気事業者が提供する電気料金の見通しについての情報や請求内容の明細等を確認し、どのような内容の請求を受けているのか等について把握しておくことも重要です。請求内容について不明点がある場合には小売電気事業者によく確認をしましょう。
      • なお、市場連動型料金メニューについては、需要家の理解促進の観点から、小売事業者から需要家への説明及び情報提供の在り方について「電力の小売営業に関する指針」を改定し(2021年11月)、その遵守状況の確認等を行っています。
    6. 契約している電力会社から契約内容の変更の案内を受け取った場合には、変更内容をよく確認しましょう
      • 昨今の燃料価格等の状況を踏まえ、既に締結している契約内容について、調達コストを反映した料金メニューに見直す小売電気事業者も見られます。契約先の小売電気事業者から契約内容の変更の案内を受け取った場合には、そのままにせずに、現在の契約から、いつ、どのように変更されるのかをしっかりと確認しましょう。
      • その上で、不明な点は必要に応じて小売電気事業者に問い合わせる等し、納得した上で契約を継続するか、他の電力会社に切り替えるか等の判断をしましょう。
    7. 契約している会社が事業撤退する場合でもすぐには電気・ガスは止まりませんが、お早めに電力会社・ガス会社の切替手続を行ってください
      • 電力会社・ガス会社が、消費者と締結している電力・ガスの供給契約を解除する場合には、契約解除日を明示した通知が事前に行われることになっています。また、供給契約が解除されたことを理由に実際に電力・ガスの供給停止が行われる前には、一般送配電事業者(送電担当部門)・一般ガス導管事業者(導管担当部門)が供給停止日を明示した通知を行います。
      • このように、急に停電・供給停止になることはありませんが、一般送配電事業者・一般ガス導管事業者からの通知の後は電力・ガスの供給が停止されることがありますので、供給契約がない状態にならないように、早めに電力会社・ガス会社の切替手続を行ってください。
      • 切替手続に当たっては、現在契約している電力会社・ガス会社から、提携している別の電力会社・ガス会社との契約を推奨される場合があります。しかし、推奨された電力会社・ガス会社と必ず契約する必要はありません。
      • 既に全国で多数の電力会社・ガス会社が新たに電力事業・ガス事業に参入していますので、各社のホームページなどを確認したり、電話などで問い合わせたりすることにより、自分の電気の使用状況やライフスタイルに合ったプランを選ぶことができます。
      • しかし、解約に違約金を求めることとしている電力会社・ガス会社もいますので、契約のメリットやデメリットをよく検討し、慎重に契約するようにしてください。
      • 万が一、新たに契約する電力会社・ガス会社がすぐに見つからない場合でも、電気の場合には、一般家庭向けの契約(低圧)であればみなし小売電気事業者に、ガスの場合には、導管部門を有する都市ガス事業者等に、消費者に対するセーフティネットとしてその供給区域内において最終的な電気・ガスの供給を実施することが義務付けられていますので、消費者は、他の電力会社・ガス会社に切り替えるまでの間、これらの事業者と契約することもできます。
    8. 電力会社・ガス会社の切替えは、新たに契約する電力会社・ガス会社に電話等で申込みをすることで手続が完了します
      • 消費者が別の電力会社・ガス会社に契約を切り替える場合、新たに契約する電力会社・ガス会社に申込手続をすることで原則として手続が完了します。現在契約している電力会社・ガス会社との解約手続は、新たに契約する電力会社・ガス会社が消費者に代わって行いますので、現在契約中の電力会社・ガス会社に解約の連絡を行う必要はありません。
      • 申込みの際には、現在の契約における、(1)契約名義、(2)住所、(3)顧客番号、(4)供給地点特定番号が必要となります。現在の電力会社・ガス会社から交付された書面に記載されていることが多いので、確認してください。これらの情報が分からない場合は、現在契約している電力会社・ガス会社に問い合わせるか、新たに契約しようとする電力会社・ガス会社に相談してください。
    9. 電力・ガス会社へ電話がつながらない場合でも、慌てず対応しましょう
      • 引っ越しシーズン等様々な事情により、電力会社・ガス会社によっては、一時的にカスタマーセンター等への電話がつながりにくい状況が発生している場合があります。その時つながらなかった場合でも、何度かかけ直したり、かける時間帯を変えてみることでつながる場合があります。また、電力会社・ガス会社によっては、HP等で一時的に電話がつながりにくい状況を周知していたり、問合せの予約を受け付けていることもあります。電話での問合せのほかにも、メッセージやチャットボットによる問合せを受け付けており、それらを利用することにより解決する場合もありますので、確認してみましょう。
    10. 困った場合にはすぐに相談しましょう
      • 電話勧誘・訪問販売での契約トラブルのほか、電気・ガスの小売供給契約を結ぶに当たり、制度や仕組みで不明な点や不審なことなどがあれば、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会の相談窓口(03-3501-5725)又は最寄りの消費生活センター等に相談してください。

~NEW~
国民生活センター 急増!海産物の電話勧誘販売・送り付けトラブル-「新型コロナウイルスの影響で収入が減って困っている」という電話に注意!-
  • 全国の消費生活センター等に寄せられる、海産物の電話勧誘販売や送り付けのトラブルに関する相談が急増しており、2021年度は5,000件を超え、前年度に比べて2倍を超えています。
  • 相談事例をみると、「新型コロナウイルスの影響で収入が減って困っている」などといって消費者の親切心や同情心につけ込む勧誘のほか、「買ってもらわないと困る」などの強引な勧誘も目立ちます。また、電話勧誘を受けた際に購入を断っても後日商品が届くなど、送り付けの事例もみられます。
  • そこで、トラブル防止のために相談事例を紹介するとともに、消費者への注意喚起を行います。
  • 年度別相談件数:2017年度は1,963件、2018年度は2,150件、2019年度は1,652件、2020年度は2,280件、2021年度は5,189件です。
  1. 相談事例
    • 「支援してほしい」と電話で言われて海産物を購入したが、届いた商品は金額に見合わないものだった
      • 昨年12月の初めに自宅に電話があり、高齢の母と私で対応した。「新型コロナウイルスの影響で商品が売れず支援してほしい」と言われ、勧められた海鮮の詰め合わせ約1万8,000円を申し込んだ。12月の終わりに再度事業者から電話があり、配送手続きの確認をされた。数日後、代引配達で荷物が届いたので、受け取って中を確認したら、ズワイガニ爪、鮭、数の子松前漬け、ホタテ貝柱、イカ一夜干し等が入っていたが、値段相当とは思えない質の悪い商品だった。品物には手を付けず、そのまま冷凍している。商品に契約書が同梱されていたが、クーリング・オフに関する記載はない。また契約日は11月の日にちが記載されているが、電話がきたのはもっと後だと思う。クーリング・オフできないか。
    • その他、以下のような相談も寄せられています。
      • 「買ってもらわないと困る」と電話で強引に勧誘され、海産物の購入を了承したが断りたい
      • 高齢の母親が電話で海産物を勧められて断ったが、代引配達で商品が届き、代金を支払ってしまった
  2. 消費者へのアドバイス
    • 少しでもおかしいと感じたら、きっぱりと断りましょう
      • 電話をかけてくる事業者の中には、「新型コロナウイルスの影響で収入が減って困っている」などと消費者の親切心や同情心につけ込み、消費者が断りづらい状況を意図的に作っている事業者や、「以前購入してもらったことがある」などと言って、消費者がすぐに断れないようにして執拗(しつよう)に勧誘する事業者がみられます。海産物を購入するよう迫られても、必要以上に情に訴えてくる、話の内容に覚えがない・おかしな点がある、連絡先を教えてくれない、勧誘が強引など、少しでも不審な点があった場合は、相手と話し込まずにきっぱりと断りましょう。
    • 事業者からの電話勧誘で契約をしたときは、クーリング・オフができます
      • 事業者からの電話勧誘を受けて契約をした場合は、特定商取引法に定める「電話勧誘販売」に該当します。もし、電話で海産物の購入を承諾してしまっても、特定商取引法に定める書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、書面またはメール等によりクーリング・オフを行うことが可能です。
    • 一方的に商品が届いても受け取らない!受け取ってしまっても代金を支払う必要はありません
      • 電話で勧誘され、海産物の購入を承諾していないにもかかわらず、一方的に商品を送り付けられているケースが多くみられます。このような場合は、送り主の名称や所在地をメモするなどして事業者の情報を控えてから、受け取りを拒否し、代金を支払わないようにしましょう。
      • 万が一、代引配達で代金を支払い商品を受け取ってしまった場合でも、一方的に送り付けられた商品については代金を支払う必要はありません。事業者に身に覚えのない商品であることを伝え、返金の依頼をしましょう。商品の受け取り後に代金を請求された場合も、応じないようにしましょう。
    • トラブルになったときは消費生活センター等に相談しましょう
      • 不安に思った場合や、トラブルにあった場合は、一人で悩まず最寄りの消費生活センター等に相談しましょう。

~NEW~
国民生活センター 契約内容や契約先の事業撤退に伴う対応についての相談が寄せられています
  • 平成28年に電力の小売全面自由化が、平成29年にはガスの小売全面自由化が行われ、その後、電気は6年、ガスは5年が経過しました。
  • 国民生活センター及び各地の消費生活センター等並びに経済産業省電力・ガス取引監視等委員会には、消費者の皆様からの相談が引き続き寄せられています。
  • 特に、令和4年4月1日からは、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられ、18歳、19歳の若者は、親の同意なく一人で契約をすることができるようになる一方で、未成年者取消権を行使することができなくなりました。
  • 若者も含めた消費者の皆様への注意喚起・トラブルの再発防止の観点から、相談事例などを紹介するとともに、消費者の皆様へのアドバイスを提供いたします。
  • また、消費者庁においては、この分野で消費者を欺罔(ぎもう)する勧誘については、特定商取引法に基づき厳正に処分等を行ってまいります。
  • 相談件数
    1. 電力の小売に関する相談件数の推移
      • 年度別相談件数:2014年度は27件、2015年度は981件、2016年度は1,307件、2017年度は1,953件、2018年度は4,997件、2019年度は6,090件、2020年度は6,199件、2021年度は8,013件、2022年4月~6月までの件数は1,606件です。
    2. ガスの小売に関する相談件数の推移
      • 年度別相談件数:2016年度は109件、2017年度は521件、2018年度は700件、2019年度は876件、2020年度は640件、2021年度は1,043件、2022年4月~6月までの件数は185件です。
  • 相談事例
    • 3カ月前に契約中の電力会社を名乗る男性が来訪した。「アパート全体で電力のプランが変わる」と言われ、指示された通りにスマートフォンから申し込んだ。「後で本社から確認の電話があるので、変更を了承していると伝えるように」と言われ、男性は帰った。その後冷静になり、契約切り替えの勧誘だったと気づいて、確認の電話できっぱりと断った。しかし先日、電気料金の通知と、ガス料金のマイページができたとのメールが届いた。勧誘された電力会社に問い合わせると、昨年11月に契約していると言われたが、契約書面等も受け取っていない。電気とガスの契約を戻したい。(令和4年2月受付)
    • その他 以下のような相談も寄せられています。
      • 検針票を見せ、電気料金が安くなると言われて契約を切り替えたが、実際は従前の2倍の金額になった
      • 市場連動型プランとの説明を受けておらず、電気料金が高額になった
      • 電気の勧誘を断っているのにガスの契約先からの電話勧誘が続いた
      • 代理店から勧誘を受け個人情報を伝えてしまったが、どこの電力会社からの勧誘かわからなくなってしまった
      • 以前契約していた事業者から高額な請求がきた
  • 消費者へのアドバイス
    • 契約の意思がない場合ははっきりと断りましょう
    • 勧誘してきた会社と新たに契約する会社の社名や連絡先、契約条件をよく確認しましょう
    • 検針票や契約情報は慎重に取り扱いましょう
    • 契約を変更してしまってもクーリング・オフ等ができる場合があります
    • 市場連動型の料金メニューについてのお問合せが増えています
    • 契約している電力会社から契約内容の変更の案内を受け取った場合には、変更内容をよく確認しましょう
    • 契約している会社が事業撤退する場合でもすぐには電気・ガスは止まりませんが、お早めに電力会社・ガス会社の切替手続を行ってください
    • 電力会社・ガス会社の切り替えは、新たに契約する電力会社・ガス会社に電話等で申込みをすることで手続が完了します
    • 電力・ガス会社へ電話がつながらない場合でも、慌てず対応しましょう
    • 困った場合にはすぐに相談しましょう

~NEW~
国民生活センター スケートボードの事故に気を付けて!
  • 内容
    • 事例1 スケートボードで遊んでいて、後方へ転倒し頭を打った。打った直後は、ふらつきはあったが、普段と変わらない様子だった。帰宅後、嘔吐したため救急車を要請した。脳震とうの疑いがあり、入院となった。(当事者:7歳 男児)
    • 事例2 スケートボードで遊んでいて前向きに転倒した際、手をついたところ、肘の関節を脱臼、骨折し、緊急手術となった。(当事者:11歳 男児)
  • ひとことアドバイス
    • 遊ぶ際には、スケートボードの部品にぐらつきや緩みがないかなど点検し、ヘルメットやプロテクターを正しく着用しましょう。
    • 滑走が禁止されている場所や車・人通りの多い道路では遊ばずに、スケートボード施設や平らな広い場所で遊びましょう。
    • スケートボードの使用などについて、ルールを定めている場所もあります。事前に確認するようにしましょう。
    • 保護者など周りの大人は、子どもと一緒に乗り方や遊び方のルールを理解し、遊ぶ際の装備や場所、時間帯などを子どもと決めましょう。

~NEW~
厚生労働省 「これからの労働時間制度に関する検討会」の報告書を公表します
▼別添1 これからの労働時間制度に関する検討会 報告書(概要)
  • 第1 労働時間制度に関するこれまでの経緯と経済社会の変化
    • 少子高齢化や産業構造の変化が進む中で、デジタル化の更なる加速や、新型コロナウイルス感染症の影響による生活・行動様式の変容が、労働者の意識や働き方、企業が求める人材像にも影響
    • これから更に現役世代の減少が進む中で、企業間の人材の獲得競争が激化することが予想される
    • 多様な働き方を求める、多様な人材の労働市場への参画を可能とすることが要請される
    • 労働者の意識や働き方はコロナ禍の影響等により多様化。時間や場所にとらわれない柔軟な働き方のニーズが強まっていく
    • デジタル化の進展に対応できる、創造的思考等の能力を有する人材等が一層求められていく。企業には、企業の求める能力を持った多様な人材が活躍できるような魅力ある人事労務制度を整備していくことが求められる
  • 第2 これからの労働時間制度に関する基本的な考え方
    • 現在の労働時間法制が労使のニーズや社会的要請に適切に対応し得ているのかは、常に検証を行っていく必要
    • 労使のニーズに沿った働き方は、これまでに整備されてきた様々な制度の趣旨を正しく理解した上で制度を選択し、運用することで相当程度実現可能。まずは各種労働時間制度の趣旨の理解を労使に浸透させる必要
    • その上で、これからの労働時間制度は、次の視点に立って考える
    • どのような労働時間制度を採用するにしても、労働者の健康確保が確実に行われることを土台としていくこと
    • 労使双方の多様なニーズに応じた働き方を実現できるようにすること
    • 労使当事者が十分に協議した上で、その企業や職場、職務内容にふさわしい制度を選択、運用できるようにすること
  • 第3 各労働時間制度の現状と課題
    • 働き方改革関連法で導入・改正した時間外・休日労働の上限規制やフレックスタイム制等は、改正の施行5年後の見直し規定に基づき施行状況等を十分に把握し、検討
    • 年次有給休暇の取得率向上のための年度当初の取得計画作成の推奨等や、時間単位での取得についての労働者のニーズに応えるような各企業独自の取組の促進
    • 勤務間インターバル制度について、当面は、引き続き、企業の実情に応じて導入を促進。また、いわゆる「つながらない権利」を参考にして検討を深めていく
  • 第4 裁量労働制について
    1. 現状認識
      1. 制度の趣旨
        • 労働者の健康確保と能力や成果に応じた処遇を可能としながら、業務の遂行手段や時間配分等を労働者の裁量に委ねて労働者が自律的・主体的に働くことができるようにすることによって、労働者自らの知識・技術を活かし、創造的な能力を発揮することを実現すること
      2. 現状と課題
        • 1日の平均実労働時間数は適用労働者の方が若干長い
        • 適用労働者の制度適用への不満は少ない。平均的に見て、制度適用で労働時間が著しく長くなる、処遇が低くなる、健康状態が悪化するとはいえないという結果
        • 業務の遂行方法等の裁量の程度が小さい場合に長時間労働となる確率等が高まる
        • 年収が低くなるに伴って制度適用の満足度も低くなる
        • 労使委員会の実効性がある場合、長時間労働となる確率等が低下
    2. 対応の方向性
      1. 対象業務
        • 現行制度の下での対象業務の明確化等による対応
        • 対象業務の範囲は経済社会や労使のニーズの変化等も踏まえて必要に応じて検討
      2. 労働者が理解・納得した上での制度の適用と裁量の確保
        • 制度概要等の説明を行った上での同意と同意の撤回の明確化
        • 健康影響が懸念される場合の適用解除措置の制度設計
        • 始業・終業時刻の決定の裁量の必要性の明確化
      3. 労働者の健康と処遇の確保
        • 健康・福祉確保措置のメニューの追加や複数適用による健康確保の徹底
        • 裁量労働制にふさわしい処遇を確保するための対応の明確化
      4. 労使コミュニケーションの促進等を通じた適正な制度運用の確保
        • 労使での制度の運用状況の確認・検証(モニタリング)による適正な制度運用の確保
  • 第5 今後の課題
    • 働き方改革関連法の施行5年後の施行状況等を踏まえた検討に加えて、経済社会の変化を認識し、将来を見据えた検討を行う
    • 現行制度を横断的な視点で見直し、労使双方にとって分かりやすいものにしていく
    • IT技術の活用などによる健康確保の在り方、労働者自身が行う健康管理を支援する方策等について検討
    • 労働時間制度等に関する企業による情報発信を更に進めていく
    • 各企業の実情に応じて労働者の意見が適切に反映される形でのコミュニケーションが重要。過半数代表制や、労使委員会の在り方も課題。適切な労使協議の場の制度的担保を前提として、労使協議により制度の具体的内容の決定を認める手法も検討課題

~NEW~
厚生労働省 第90回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年7月13日)
▼資料1 直近の感染状況等の分析と評価
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約290人となり、今週先週比は2.14と急速に増加している。また、全ての都道府県や年代で増加している。
    • 新規感染者数の増加に伴い、療養者数は増加し、病床使用率は総じて低水準にあるものの上昇傾向にある。
    • 現時点では、重症者数や死亡者数は低水準で推移している。
    • 実効再生産数 : 全国的には、直近(6/26)で1.14と1を上回る水準となっており、首都圏では1.19、関西圏では1.16となっている。
  • 地域の動向 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。
    1. 北海道 新規感染者数は約111人(札幌市約135人)、今週先週比は1.37。30代以下が中心。病床使用率は1割弱。
    2. 北関東 茨城、栃木、群馬では新規感染者数は約118人、122人、160人、今週先週比は2.05、2.58、2.70。茨城、栃木では30代以下が中心、群馬では20代以下が中心。病床使用率について、茨城、群馬では1割強、栃木では約1割。
    3. 首都圏(1都3県) 東京の新規感染者数は約446人、今週先週比は2.37。30代以下が中心。病床使用率は2割強、重症病床使用率は3割強。埼玉、千葉、神奈川の新規感染者数は約232人、246人、296人、今週先週比は2.19、2.33、2.41。病床使用率について、埼玉、千葉、神奈川では2割強。
    4. 中京・東海 愛知の新規感染者数は約294人、今週先週比は2.26。20代以下が中心。病床使用率は2割弱。岐阜、静岡、三重の新規感染者数は約235人、212人、224人、今週先週比は2.18、2.65、2.07。病床使用率について、岐阜、静岡では2割弱、三重では約3割。
    5. 関西圏 大阪の新規感染者数は約421人、今週先週比は2.22。30代以下が中心。病床使用率は2割強、重症病床使用率は1割弱。滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山の新規感染者数は約243人、284人、276人、250人、306人、今週先週比は2.29、2.27、2.13、3.01、2.09。病床使用率について、京都では約2割、和歌山では4割強、滋賀では4割強、兵庫では3割弱、奈良では1割強。
    6. 九州 福岡の新規感染者数は約406人、今週先週比は2.27。20代以下が中心。病床使用率は2割強。佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島の新規感染者数は約626人、298人、640人、402人、379人、409人、今週先週比が2.00、1.58、1.75、2.24、2.24、1.97。病床使用率について、佐賀では約3割、長崎では2割強、熊本では5割弱、大分では約3割、鹿児島では3割強、宮崎では約2割。
    7. 沖縄 新規感染者数は約1,118人と全国で最も高く、今週先週比は1.52。30代以下が中心。病床使用率は5割強、重症病床使用率は2割強。
    8. 上記以外 岩手、秋田、山梨、長野、鳥取、島根の今週先週比は2.77、3.57、2.61、2.58、2.18、1.80、島根の新規感染者数は約776人。病床使用率について、青森では3割弱、福島では2割強、島根では3割強。
  • 今後の見通しと必要な対策
    1. 感染状況について
      • 新規感染者数について、すべての都道府県で増加しており、また、多くの地域では増加幅が大きくなり、急速に感染拡大している。また、沖縄県は引き続き他の地域よりも感染レベルが高く、かつ、これまでで最も高い状況となった。
      • 年代別の新規感染者数では、全国的には全ての年代で増加しており、特に50代以下の年齢層で増加幅が大きい。
      • 新規感染者の感染場所について、学校等及び自宅における割合がそれぞれ増加傾向にある(大都市部では積極的疫学調査が重点化されており、感染経路の十分な把握がされていないことに留意が必要)。東京都では飲食や職場での感染の増加も報告されている。
      • 今後の感染状況について、発症日のエピカーブや大都市における短期的な予測では、多くの地域で新規感染者数の増加が続くことが見込まれる。また、①ワクチンの3回目接種と感染により獲得された免疫は徐々に減衰していること、②今後3連休や夏休みの影響もあり、接触の増加等が予想されること、③オミクロン株の5等の系統への置き換わりが進んでいること等から、今後引き続き感染者数の急速な増加の継続も懸念されるところであり、医療提供体制への影響も含めて注視していく必要がある。
    2. 感染の増加要因と抑制要因について
      • 感染状況には、以下のような感染の増加要因と抑制要因の変化が影響するものと考えられる。
        1. ワクチン接種等について
          • 3回目接種が進んでいるが、3回目接種から一定の期間が経過することに伴い、重症化予防効果に比較し、感染予防効果は、今後減弱が進むことが予想され、留意が必要。また、これまでの感染により獲得した免疫についても、今後同様に減弱が進むことが予想される。
        2. 接触パターンについて
          • 夜間滞留人口について、足元では減少している地域も見られるものの、大都市中心に多くの地域で増加傾向がみられる。これらの中には、昨年末のピークに迫る地域や超える地域もあるため、今後の感染状況への影響に注意が必要。
        3. 流行株について
          • 2系統の流行から、BA.5系統等を中心に置き換わりが進んでいる。特にBA.5系統は、感染者数がより増加しやすいことが示唆され、免疫逃避が懸念されるため、感染者数の増加要因となりえる。
        4. 気候要因について
          • 気温の上昇により屋内での活動が増える時期であるが、冷房を優先するため換気がされにくい場合もある。
    3. 医療提供体制について
      • 全国的には、病床使用率は総じて低水準にあるものの、新規感染者数の増加に伴い、大都市を始め、一部の地域において上昇傾向となった。特に、沖縄県では、病床使用率が全国に比較して高い傾向にある。
      • 救急搬送困難事案については、非コロナ疑い事案、コロナ疑い事案ともに、全国的に増加傾向である。また、熱中症による救急搬送の増加にも十分な注意が必要である。
    4. オミクロン株による感染拡大を踏まえた取組
      1. サーベイランス等
        • 発生動向把握のため、実効性ある適切なサーベイランスの検討が必要。また、変異株について、ゲノムサーベイランスで動向の監視を継続することが必要。さらに、重症例やクラスター事例等では、変異株PCR検査や全ゲノム解析による確認が求められる。
      2. 自治体における取組
        • 新規感染者数はすべての都道府県で増加しており、自治体では、引き続き検査・保健・医療提供体制の点検・強化が必要である。
        • 地域の感染拡大状況に遅れることなく、迅速・スムーズに検査でき安心して自宅療養できる体制の強化、病床の更なる確保等これまで整備してきた検査・保健・医療提供体制の点検・強化に改めて取り組むことが必要。
        • 先般、効果的かつ負担の少ない医療・介護現場における感染対策が、新たに示されたところであり、感染リスクや感染対策に関する知見が蓄積される中で、各施設の実情に合わせた無理のない感染対策を考えていくことが重要。
        • 高齢者施設等に対する医療支援体制の強化・徹底にあたっては、医療関係部局と介護関係部局が連携し、地域の関係者とも協議しつつ、これまで整備してきた体制をしっかりと機能させていくことが重要。
        • 健康観察等の重点化や患者発生届の処理の効率化など事務連絡に基づき、効率的に保健所業務を実施するとともに、地域に必要な保健所機能を維持するため、外部委託や本庁での一元化による体制を確保することが重要。
      3. ワクチン未接種者、3回目及び4回目接種者への情報提供等
        • 自治体では、ワクチン接種に関する情報提供を進めることが重要。未接種者へのワクチン接種とともに、3回目及び4回目接種を着実に実施していくことも必要。3回目接種の主な目的は発症予防・重症化予防である。3回目接種率について、7月12日公表時点で65歳以上高齢者では約90%、全体では約62%となった。対象者への3回目の接種を今後も着実に実施し、希望する方にはできるだけ多く接種していただくことが求められている。4回目接種については、重症化予防を目的として、60歳以上の者と、重症化リスクの高い基礎疾患を有する者、その他重症化リスクが高いと医師が認める方を対象として開始された。また、新たなワクチンを1~3回目接種用として接種開始できるようになった。このワクチンは、従来の新型コロナワクチンとは異なる種類であり、ワクチンの多様性を確保できるとともに、国内で製造が行われることからワクチン供給の安定性の確保につながるものである。
        • 5歳から11歳までの子どもへのワクチン接種については、特例臨時接種として実施されているが、その際、努力義務の規定はこれらの小児について適用しないことを踏まえ、接種を進めていくことが必要。また、小児への感染予防を期待して、保護者や周囲の大人がワクチンの3回目接種を行うことも重要。
      4. 水際対策
        • 海外及び国内の現在の流行状況なども踏まえて水際対策の段階的な見直しを検証していく必要がある。また、出国前検査は継続して求めつつ流入リスクに応じた対応を行うとともに、入国時検査での陽性者は、海外における流行株監視のため、全ゲノム解析を継続させることが必要。
    5. オミクロン株の特徴を踏まえた感染防止策の強化・徹底
      • 感染が広がっている場面・場所において、オミクロン株の特徴を踏まえた感染防止策の強化・徹底が求められる。
        1. 学校・幼稚園・保育所等
          • 児童・生徒の感染リスクが高まる場面を職員や子ども・保護者等と共有しつつ、子どもの感染対策はもとより、教職員や保育士などに対する積極的なワクチンの接種促進も含め感染対策を徹底する。その上で、できるだけ教育活動や社会機能などの継続に取り組むことが必要。子どもや職員が少しでも体調が悪い場合は、休暇を取得できる環境を確保することが重要。あわせて、家庭内での感染対策の徹底も求められる。また、2歳未満の児童についてはマスク着用は推奨しないこと、2歳以上の就学前児については、熱中症のリスクや表情が見えにくくなることによる影響も懸念されることから、マスク着用を一律には求めず、無理に着用させないことについて、保育所等に対し周知・徹底することが必要。学校においては、体育の授業・運動部活動や登下校の際にはマスク着用が必要ないことを学校現場に周知・徹底することが必要。
        2. 高齢者施設等
          • 高齢者の感染を抑制するため、対策の徹底が必要。このため、従業者等へは積極的な検査を実施する。また、重症化予防のため、入所者に対するワクチンの4回目接種を進める。さらに、施設等における感染管理や医療に関して外部からの支援体制を確保し、施設で感染が確認された際には早期に迅速な介入が重要。
        3. 職場等
          • 社会機能維持のため、業務継続計画の再点検と活用に加え、テレワークの活用や休暇取得の促進等の取組が求められる。また、アプリの活用を含めて従業員の体調管理を徹底し、少しでも体調が悪い場合には休暇を取得できる環境を確保することが必要。さらに、職域におけるワクチンの3回目接種を積極的に進めるべきである。
    6. 現在の感染状況を市民や事業者の皆様と広く共有して、感染拡大防止に協力していただくことが不可欠
      • 新規感染者数はすべての都道府県で増加している。これから3連休や夏休みなどを迎え、接触の増加等が予想される。このため、感染者数の増加をできるだけ抑制するために、基本的な感染対策と日頃の体調管理を徹底し、感染リスクの低減に向けた取組に協力いただくことが必要。
        1. ワクチン接種について
          • 感染拡大に備えて、高齢者および重症化リスクのある対象者はワクチンの4回目接種が推奨される。また、3回目接種も、その種類に関わらず、受けていただくことが重要。新型コロナウイルス感染症に罹患すると、若年者でも重症化することがあり、また、遷延症状が見られる場合もあることから、高齢者はもとより、若年者も自らの健康を守るために接種していただくことが求められる。これまで1・2回目接種できていない方々にも改めて接種を検討していただくことが重要。
        2. 感染対策の徹底
          • 基本的な感染対策として、不織布マスクの正しい着用、手指衛生、換気などの徹底を継続することが必要。また、三つの密(密集、密閉、密接)が重なるところは最も感染リスクが高いが、一つの密であってもできるだけ避けることが必要。
        3. 外出等に際して
          • 混雑した場所や換気が悪く大人数・大声を出すような感染リスクの高い場面・場所を避けることが必要。行動はいつも会う人と少人数で。飲食はできるだけ少人数で黙食を基本とし、飲食時以外はマスク着用の徹底が必要。一方で、屋外については、近距離で会話する場合を除き、マスク着用は必要ない。特に、夏場については、熱中症予防の観点から屋外ではマスクを外すことを推奨する。
        4. 体調管理について
          • 軽度の発熱、倦怠感など少しでも体調が悪ければ外出を控えるとともに、自治体等の方針に従って受診や検査をすることが必要。特に、高齢者をはじめ、重症化リスクの高い方と会う機会がある場合には、訪問などの前に体調の確認をするとともに、抗原検査キット等を活用した事前検査の推奨が必要。
    7. 参考:オミクロン株とその亜系統の特徴に関する知見≫
      1. 感染性・伝播性
        • オミクロン株はデルタ株に比べ、世代時間が約2日(デルタ株は約5日)に短縮、倍加時間と潜伏期間も短縮し、感染後の再感染リスクや二次感染リスクが高く、感染拡大の速度も非常に速いことが確認されている。なお、報告されているデータによれば、これまでの株と同様に発症前の伝播は一定程度起きていると考えられる。
      2. 感染の場・感染経路
        • 国内では、多くの感染がこれまでと同様の機会(換気が不十分な屋内や飲食の機会等)で起きており、感染経路もこれまでと同様、飛沫が粘膜に付着することやエアロゾルの吸入、接触感染等を介していると考えられている。
      3. 重症度
        • オミクロン株による感染はデルタ株に比べて相対的に入院のリスク、重症化のリスクが低いことが示されているが、現時点で分析されたオミクロン株による感染の致命率は、季節性インフルエンザの致命率よりも高いと考えられる。また、肺炎の発症率についても季節性インフルエンザよりも高いことが示唆されているが、限られたデータであること等を踏まえると、今後もさまざまな分析による検討が必要。今回の感染拡大における死亡者は、昨年夏の感染拡大と比べ、80歳以上の占める割合が高くなっている。例えば、感染する前から高齢者施設に入所している利用者が感染し、基礎疾患の悪化等の影響で死亡するなど、新型コロナウイルス感染症が直接の死因でない事例も少なくないことが報告されている。高齢の感染者や基礎疾患を有する感染者の基礎疾患の増悪や、心不全や誤嚥性肺炎等の発症にも注意が必要。
      4. ウイルスの排出期間
        • オミクロン株感染症例におけるウイルスの排出は、時間の経過とともに減少する。有症状者では、発症日から10日目以降において、排出する可能性が低くなることが示された。なお、無症状者では、診断日から8日目以降において排出していないことが示された。
      5. ワクチン効果
        • 初回免疫によるオミクロン株感染に対する感染予防効果や発症予防効果は著しく低下する。入院予防効果については、半年間は一定程度保たれているものの、その後50%以下に低下することが報告されている。一方で、3回目接種によりオミクロン株感染対する感染予防効果、発症予防効果や入院予防効果が回復することや、3回目接種後のワクチン効果の減衰についても海外から告されている。
      6. オミクロン株の亜系統
        • 世界における4系統及びBA.5系統の占める割合が増加しており、これらの系統はBA.2系統と比較して感染者増加の優位性が示唆されている。世界的には、BA.4系統及びBA.5系統へ置き換わりつつある中で、陽性者数が増加傾向となっている。なお、東京都のデータに基づき算出されたBA.5系統の実効再生産数は、BA.2と比較して約1.27倍とされた。
        • WHOレポートでは、複数の国から集積した知見によると、4系統及びBA.5系統に関して、既存のオミクロン株と比較した重症度の上昇は見られないとしている。一方で、国内の実験室内のデータからは、BA.5系統はBA.1およびBA.2系統よりも病原性が増加しているとする報告があるが、臨床的には現時点では確認されていない。また、BA.4およびBA.5系統中心に感染者数が増えている国では、入院者数・重症者数が増加していることに注意を要する。
        • 4系統及びBA.5系統は全て国内及び検疫で検出されている。ゲノムサーベイランスによると、引き続き国内ではBA.2系統が主流であるが、BA.5系統については検出割合が増加しており、置き換わりが進んでいる。ウイルスの特性について、引き続き、諸外国の状況や知見を収集・分析するとともに、ゲノムサーベイランスによる監視を続けていくことが必要としている。

~NEW~
総務省 特定利用者情報の適正な取扱いに関するワーキンググループ(第3回)
▼資料3-1 特定利用者情報の適正な取扱いに関するワーキンググループ取りまとめ素案
  • 検討会報告書では、「極めて大多数の国民が利用しているサービスでは、その取り扱う利用者情報も極めて多くなること等を念頭に、利用者数に応じた基準を定め、必要となる措置を求めていくことが適当である」とし、「例えば、国内総人口の約1割程度の1,000万人以上」の利用者を有する電気通信役務を提供する電気通信事業者との基準が示された。改正法でも、この考え方を踏まえ、利用者の利益に及ぼす影響の大きい電気通信役務を提供する電気通信事業者に限って規律を課すこととしたものである。
  • 諸外国においては、
    • EUのデジタルサービス法案では、超巨大プラットフォームの定義として、サービス受信者数が欧州人口の10%以上(4,500万人以上)に相当するサービスを指すとされ、
    • 米国のプラットフォーム競争及び機会法案(2021年)では、5,000万人以上(人口の約15%以上に相当)の利用者数を有する等のプラットフォームが規制対象とされ、
    • ドイツのネットワーク執行法では、200万人以上(人口の約2.5%に相当)の登録利用者数を有するプラットフォーム事業者が規制対象とされている。
  • 特定利用者情報の適正な取扱いに関する規制の対象者は、より多くの電気通信事業者とすることが望ましいが、利用者の利益に及ぼす影響が限定的である電気通信役務のみを提供する電気通信事業者については規制による負担の増加等にも一定の配慮をする必要がある。
  • 極めて大多数の国民が利用している電気通信役務ではその取り扱う特定利用者情報も極めて多くなること、電気通信役務の対価として利用者から料金の支払を受ける有料の電気通信役務は情報の適正な取扱いに対して利用者からの期待がより一層高いと考えられること、無料の電気通信役務は1人が同一のサービスで複数のアカウントを利用する場合も少なくないこと等も考慮し、対象となる電気通信役務の基準としては、以下とすることが考えられる。
    • 電気通信役務の対価として利用者から料金の支払を受けない無料の電気通信役務に関しては、利用者数(契約締結者又は利用登録によりアカウントを有する者の数)1,000万人以上を有する電気通信役務
    • 電気通信役務の対価として利用者から料金の支払を受ける有料の電気通信役務に関しては、利用者数(契約締結者又は利用登録によりアカウントを有する者の数)500万人以上を有する電気通信役務
  • また、「利用者数」は、諸外国の制度や電気通信事業者の算定負担等も考慮し、前年度末(3月末)時点における月間アクティブ利用者数(一月当たりの当該電気通信役務の提供を受けた契約締結者又は利用登録によりアカウントを有する者の数。以下同じ。)の年平均値とすることが考えられる。
  • 検討会報告書では、インターネットショッピング等の特定の分野に限定した検索機能・サービスについては取得する利用者情報の範囲や社会経済的影響力は限定的であるため対象外とされ、分野横断的な検索サービスを提供する電気通信役務であって、利用者数が非常に多いものに限って電気通信事業法の規律の対象とすることが適当である旨が示された。
  • なお、検索エンジンを規制対象としているEUの「ネットワークおよび情報システム(Network and Information Systems:NIS)指令」においては、「オンライン検索エンジン」の定義として、あらゆる主題の問い合わせに対応し、全てのウェブサイトの検索が可能であるもの等とされている。
  • 新たに電気通信事業者としての規律の対象となる検索情報電気通信役務に関しては、特に影響が大きい電気通信役務に対象を限定する観点から、以下のどちらにも該当する電気通信役務とすることが適当である。なお、検索サービスの利用者数に関しては、スマートフォンではログインをした状態で検索サービスを使用することが一般的であるため、登録アカウント数を代替的に用いることが適当である。
    • 前年度末(3月末)時点における月間アクティブ利用者数の年平均値が1,000万人以上である電気通信役務
    • (利用者に公開されている全てのウェブサイトの検索が可能な)分野横断的な検索サービスを提供する電気通信役務
  • 特に影響が大きい電気通信役務に限定する観点から、これまで法の規律の対象となる電気通信事業の考え方との近似性・連続性を考慮し、利用者数が非常に多く、コミュニケーションを実質的に媒介することを主として行うサービスであるものに限って規律の対象とすることが適切であり、付随的に実質的媒介を行う電気通信役務や商取引に関する情報を扱う電気通信役務は対象外とすることが考えられる旨が示された。
  • 新たに電気通信事業者としての規律の対象となる媒介相当電気通信役務としては、これまでの電気通信事業法の規律の対象となる電気通信事業の考え方との近似性・連続性にも配慮し、以下のいずれにも該当する電気通信役務とすることが適当である。
    • 前年度末(3月末)時点における月間アクティブ利用者数の年平均値が1,000万人以上である電気通信役務
    • 主としてコミュニケーションに係る情報を実質的に媒介する電気通信役務。ただし、付随的に上記役務の機能を提供する電気通信役務及び商取引に関する情報のみを扱う電気通信役務は、対象外とする。
  • 電気通信事業者及び第三号事業を営む者に報告を求める内容は、基本的に、上記「2.1特定利用者情報を適正に取り扱うべき電気通信事業者」、「2.2検索情報電気通信役務」、及び「2.3媒介相当電気通信役務」で検討された基準に係る情報が想定される。この際、規律の適正な運用を図るため、利用者数の報告は基準を少し下回る段階からの報告が望ましい。また、総務大臣の指定を受けた電気通信事業者において、利用者が引き続き基準を超過している場合等には、その報告負担についても考慮することが必要である。
  • 規律対象者の指定に際して、書面又は電磁的な方法により報告を求める内容としては、以下とすることが適当である。
    • 電気通信事業者並びに検索情報電気通信役務及び媒介相当電気通信役務の要件(利用者数に係るものを除く。)に該当する電気通信役務を提供する第三号事業を営む者は、毎年度、報告年度経過後1月以内に、当該報告年度の月間アクティブ利用者数の年平均値が、無料の電気通信役務にあっては900万以上、有料の電気通信役務にあっては450万以上である電気通信役務を提供している場合は、その利用者の状況(該当する電気通信役務と利用者数)
    • 利用者数の報告は、利用者数が閾値(又は閾値に近い数)に達したかどうかどうかを把握すれば足りるため、これらの閾値等に達した場合(及び下回った場合)にのみ報告を求めることとする。
    • 具体的には、まず「1無料の場合900万以上1,000万未満(有料の場合450万以上500万未満)」又は「2無料の場合1,000万以上(有料の場合500万以上)」のいずれかに該当する者は、その旨を報告することとする。その後、1に該当する者は、「1→2」又は「1→3無料の場合900万未満(有料の場合450万未満)」となった場合(2に該当する者は、「2→1」又は「2→3」になった場合)にその旨を、3に該当する者は、「3→1」又は「3→2」になった場合にその旨を報告することとし、それ以外の場合は、報告を不要とする。
    • また、報告する役務については、報告対象となる電気通信事業者がどのような役務の区分ごとに報告すればよいか判断が難しいこと、現行法に基づき総務省に提出している電気通信役務は、4Gと5Gを異なる役務として整理するなど細分化されていることを踏まえ、役務の区分を予め明確化するため、役務の代替性も考慮し、以下の区分で報告することが考えられる。
  • 利用者の数が1,000人を超える特定利用者情報の漏えいが発生した場合には、利用者の利益に及ぼす影響が相当程度大きく、電気通信サービスの信頼にも関わる事態であると考えられることから、特定利用者情報のうち、通信の秘密以外の情報については、報告対象となるデータベース等を構成する利用者の数が1,000人を超える特定利用者情報の漏えいが発生した場合に報告を求めることが適当である。ただし、外国政府による事業者に対する政府の情報収集活動への協力義務を課す制度に基づき、電気通信事業者の保有する特定利用者情報が取得された場合(我が国における制度と比較して、利用者の権利利益の保護の観点から本質的な差異がある制度に基づくものに限る。)40は、1,000人以下であっても報告対象とすることが考えられる。なお、当該特定利用者情報の漏えい報告と、個人情報保護法に基づく個人データの漏えい報告の双方に該当する事態の場合、当該報告に係る負担を軽減するため、両法に基づく報告を総務省に対して一の報告書を提出することだけで対応できるようにすることが適当である。
  • 今後の対応及び検討課題
    • 近年、デジタル化の進展に伴い、社会経済活動・国民生活の基盤として、また、自由な情報の発信、人と人とのコミュニケーション、多様な情報の収集・利用の手段としての電気通信サービスの重要性が急速に増している。また、デジタル化を推進する上で、情報の不適正な取扱い等のリスクに対応し、利用者が安心して利用できる信頼性の高い電気通信サービスの提供を確保することは極めて重要である。
    • こうした考えに基づき、電気通信役務の円滑な提供の確保、利用者利益の保護等の電気通信事業法の目的に鑑み、改正法において、特定利用者情報の適正な取扱いに関する規律等が整備されたことを受け、本取りまとめ報告書では、当該特定利用者情報の適正な取扱いに関する規律の詳細について整理を行った。
    • 本報告書が示した方向性に基づき、総務省において、必要な制度改正を速やかに進めることで、利用者が安心して利用でき、信頼性の高い電気通信サービスの提供を確保するとともに、利用者利益のより一層の確保を図っていくことが適当である。併せて、「2.6情報取扱規程」で記載のとおり、電気通信事業者が情報取扱規程を策定する上での参考となるように、本報告が示した方向性を踏まえ、総務省において具体的な記載事例等を示した記載マニュアルを策定することが望まれる。
    • また、「2.1特定利用者情報を適正に取り扱うべき電気通信事業者」で記載のとおり、参議院における電気通信事業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議を踏まえ、特定利用者情報の規律の対象基準を満たさない電気通信事業を営む者にも、ガイドライン等により特定利用者情報の適正な取扱いを促進していくことが適当である。
    • さらに、日本向けに電気通信サービスを提供している外国法人に対する電気通信事業法の適用については、法執行の強化を図るため、日本における代表者の指定などの新たな規律が令和3年4月から施行されており42、引き続き総務省において電気通信事業法の適正な執行を実施していくことが必要である。
    • なお、電気通信サービスの変化は非常に激しいことから、利用者が安全・安心に電気通信サービスを利用できる環境の整備に向けて、今後も制度の見直し等を不断に行っていくことが必要と考えられる

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総務省 インターネット上の海賊版サイトへのアクセス抑止方策に関する検討会 現状とりまとめ(案)に対する意見募集
▼別添1 インターネット上の海賊版サイトへのアクセス抑止方策に関する検討会 現状とりまとめ(案)
  • 今後の取組の方向性
    • 出版権利者、民間事業者、事業者団体などの取組により、特にアクセスを集めていた海賊版サイトが一部閉鎖するなど、海賊版サイトへのアクセス抑止に一定の成果が見られる。しかし、その一方で、後継サイトや模倣サイトが引き続き多数存在しており、大量のアクセスを集める海賊版サイトが再度登場し隆盛するおそれがある。
    • 海賊版サイトへのアクセスを一層効果的に抑制するに当たっては、海賊版サイトによる著作権侵害について、海賊版サイト運営の目的や用いる手段、コンテンツ流通の経路などを含めた、海賊版サイトの運営に関するエコシステム全体に関する多角的な分析・検討が重要である。
    • また、今後、本検討会において海賊版サイトの被害状況及び後述の海賊版サイト対策の取組の進捗状況について定期的にフォローアップを行い、各主体の海賊版サイト対策の取組の効果検証を行うことが必要である。
    • なお、海賊版サイト対策の取組を行うに当たっては、引き続き、表現の自由や通信の秘密の保護、検閲の禁止の規定に留意して進める必要がある。
  • 政策メニューに関する今後の取組の方向性
    1. ユーザに対する情報モラル及びICTリテラシーの向上のための啓発活動
      • ユーザが海賊版サイトにアクセスすることが著作権侵害や、ひいては文化の破壊につながりかねないことを踏まえ、より多くのユーザが海賊版サイトにアクセスすることを思いとどまるよう、総務省は、関係省庁や関係団体と連携して、普及啓発を継続する必要がある。その際、例えば違法にアップロードされたサイトを閲覧することが犯罪行為の助長や作家の収益を奪うことにつながるということなども併せて周知することが有効である。
      • また、特定サイトのアクセスを防止するだけでなく、著作権侵害を行う海賊版サイト全体へのアクセスを思いとどまらせる観点からの普及啓発が必要である
    2. セキュリティ対策ソフトによるアクセス抑止方策の促進
      • 主にライトユーザがアクセスしようとするサイトが海賊版サイトであると自覚せずにアクセスすることを防ぐ観点から、引き続き、関係者によるリスト作成・共有とセキュリティ対策ソフトによる警告表示の取組を行うことが必要である。
      • また、より多くのユーザが海賊版サイトへのアクセスを思いとどまるようにするため、総務省は、関係事業者と連携して、アクセス抑止機能が未導入のセキュリティ対策ソフト事業者への同機能の導入を促進していくことが重要であり、その際、例えば、有料のセキュリティ対策ソフト事業者への働きかけに加え、無料のセキュリティ対策ソフト事業者への同機能の導入に向けた働きかけを行うことが求められる。
      • 上述の働きかけを行うにあたって、セキュリティ対策ソフトによる海賊版サイトへのアクセス時の警告に関するユーザの受容度に関する意識調査や、警告表示が、ユーザが海賊版サイトへのアクセスを思いとどまるのに貢献した程度などについて、引き続き効果検証を行う必要がある。
    3. 発信者情報開示に関する取組
      • 権利侵害を行った者に対する発信者情報開示請求の簡易化・迅速化を図る改正プロバイダ責任制限法について、特に海外事業者に対する請求を迅速化する観点から、総務省は、関係省庁や関係団体、関係事業者と連携して、2022年(令和4年)10月1日の施行に向け、関係機関との連携や周知などを行うことが必要である。
    4. 海賊版対策に向けた国際連携の推進
      • 海賊版サイト運営者は、既存の海賊版サイトを削除し新たなドメイン名を取得してサイトを移転するドメインホッピングを行うことで、検索非表示などを逃れ、運営を続けている。このようなドメインの不正利用への方策を検討していくため、総務省は、関係省庁や関係団体、関係事業者と連携して、国際的な場(ICANN等)への働きかけを継続して行う必要がある。
      • 国際的な場(ICANN等)における議論の推進に際しては、インターネット空間への国家による過度な介入とならないよう留意しながら、海賊版サイトを巡る問題について、特定のサイトの運営者がドメインホッピングなどを行い、インターネット資源を悪用していることや、特定のサイトの運営者の登録情報をレジストラが正確に把握することの必要性について、積極的に情報を発信し、認識の共有を図り、ICANNで行われているドメインの不正利用への対策に関する議論52を通じ、実効的な対策に向けた対応を促していくことが重要である。
      • 海賊版サイトの多くが国外にサーバが設置されていると目される事実を踏まえ、摘発に向けた協力や海賊版サイトの運営の防止に向けた関係プロバイダ間の協力を促す観点から、総務省は、関係省庁や関係団体、関係事業者と連携して、引き続き二国間協議やIGF等のマルチの国際会合の場などを捉えて協議を行うことが必要である。
  • 政策メニュー以外の取組に関する今後の取組の方向性
    • また、上記政策メニューの取組に加え、新たな海賊版サイトや後継の海賊版サイトの登場や隆盛を防止する観点からも、検索結果を通じた新興海賊版サイトへの流入の防止、CDNサービスによる海賊版サイトの設備投資の軽減と急成長への寄与の防止、ドメインなどのインターネット資源が海賊版サイトに悪用されることの防止など、海賊版サイトの運営に関連するエコシステム全体へのアプローチを強化することが求められる。
    • そのためにも、海賊版サイト対策に関わる権利者や検索事業者、CDN事業者をはじめとする民間事業者は業界を超えた協議を継続するとともに、総務省は、内閣府知的財産戦略推進事務局や文化庁等の政府全体と連携して、外国政府や国際機関、国際的な場(ICANN、IGF等)などのマルチステークホルダーによる協議や働きかけの強化、また、それらへの支援を通じて、実効的な取組を推進する必要がある。
      1. 広告に関する今後の取組の方向性
        • 海賊版サイトの収益源となる広告について、海賊版サイトの運営目的を失わせる観点から、引き続き、リスト作成と、業界団体を通じたリストの共有、広告出稿・配信の停止の取組を行うことが重要である。
        • 上記に加え、総務省は、関係省庁や関係団体、関係事業者と連携して、海賊版サイトに現在も表示され続けている、いわゆるアングラな広告について、海外の出稿事業者への働きかけなどの必要な取組を検討するために、実態把握を行う必要がある。
      2. CDNサービスに関する今後の取組の方向性
        • CDNサービス自体はインターネットの安定的な運用に不可欠であるが、海賊版サイトへの集中的なアクセスを可能にするCDNサービスについて、巨大海賊版サイト閉鎖後の後継サイトや新興サイトが、設備投資を経ずに急速に成長することを可能にしているという指摘がある。
        • 海賊版サイトの運営を困難にさせる観点から、総務省は、関係省庁や関係団体と連携して、利用規約などにおける著作権侵害目的での利用の禁止、サービスの利用目的の確認といった事前の対応、利用規約違反が明らかになった場合のキャッシュの削除やサービス停止などの仕組みの確実な実施など事後の対応といった、CDNサービス事業者による自社サービスが著作権侵害サイトに悪用されることを防止するための取組が着実に図られるように促すことが必要である。
        • 例えば、海賊版サイトのうち2021年(令和3年)12月の月間アクセス数トップ10のうち9サイトがクラウドフレア社のサービスを利用しているという指摘を踏まえ、総務省は、関係省庁や関係団体と連携して、同社に対し、自らの提供するサービスが海賊版サイトに悪用されることが明らかになった場合のキャッシュの削除やアカウント停止の仕組み、権利侵害を行った者に関する適切な情報開示といった対応を促す必要がある。
        • また、同社は、海賊版サイトによる不正利用への対応が不十分であるという指摘を踏まえ、利用規約に基づく対応が適切に行われているか、例えば、権利者や第三者からの削除要請等の違反申告受付態勢、運用とその結果について、適切な説明を行う必要がある。
        • ただし、CDNサービスの海賊版サイトへの悪用防止を促すに当たっては、通信の秘密の保護や検閲の禁止の規定に留意して進める必要がある。
      3. 検索サービスに関する今後の取組の方向性
        • 海賊版サイトへの検索サービスからの流入について、特に新興の海賊版サイトが検索サービスから流入しやすいことを踏まえ、これを抑止する観点から、検索事業者及び出版権利者は、両者間の協議などにより事前に定められた手続きに従って海賊版サイトの検索結果から非表示にする取組を継続・改善する必要がある。
        • また、両者間の検索結果からの非表示に関する協議を継続するとともに、一定の条件を満たす場合の海賊版サイトのドメインごと検索結果から削除する取組について、特に、特定の海賊版サイトがドメインホッピングをした結果設立される後継サイトや新興サイトへの対応が十分機能しているか、効果検証を継続的に行うことが重要である。
        • ただし、検索サービスが有する情報流通の基盤としての側面や、表現の自由の保護、検閲の禁止の規定に留意して進める必要がある。
      4. その他の論点に関する今後の取組の方向性
        • ユーザが海賊版サイトにアクセスするインセンティブを失わせる観点や、海賊版サイトのユーザは潜在的な正規版のユーザであるという観点からも、出版権利者は業界全体として、正規版の流通について一層促すことが有用である。
        • 海賊版サイト対策の取組を行うに当たっては、サイトブロッキングは通信の秘密や表現の自由を脅かす可能性があるという指摘を踏まえ、引き続き、表現の自由や通信の秘密の保護、検閲の禁止の規定に十分留意する必要がある。

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