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  • 監査法人のガバナンス・コードの改訂(金融庁)/記述情報の開示の好事例集2022(金融庁)/海外における消費者安全に関する法的規制等(消費者庁)/新しい時代の働き方(厚労省)/令和5年版 地方財政白書(総務省)/Web3時代に向けたメタバース等の利活用(総務省)

危機管理トピックス

監査法人のガバナンス・コードの改訂(金融庁)/記述情報の開示の好事例集2022(金融庁)/海外における消費者安全に関する法的規制等(消費者庁)/新しい時代の働き方(厚労省)/令和5年版 地方財政白書(総務省)/Web3時代に向けたメタバース等の利活用(総務省)

2023.03.27
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更新日:2023年3月27日 新着23記事

ミーティングの様子

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 「監査法人の組織的な運営に関する原則」(監査法人のガバナンス・コード)の改訂について
  • 「記述情報の開示の好事例集2022」の更新
消費者庁
  • 海外における消費者安全に関する法的規制等の調査
  • 外食・中食における食物アレルギーに関する啓発資材を公開しました
国民生活センター
  • トイレの修理で予想外の 高額請求に注意!
  • 増加する中古自動車の売却トラブル-強引な勧誘やキャンセル妨害も-
  • 「消費生活センターにおける解決困難事例の研究~起業・副業をめぐる消費者トラブルの被害救済を中心に~」調査報告<結果・概要>
  • ADRの実施状況と結果概要について(令和4年度第4回)
厚生労働省
  • 第5回今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会
  • 新しい時代の働き方に関する研究会 第1回資料
経済産業省
  • 特許庁・INPIT及び日本弁理士会は日本商工会議所と連携し、地域の「稼ぐ力」向上に資する知財経営の支援体制を充実化させます!~知財経営支援ネットワーク構築への共同宣言実施~
  • 「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」を改訂しました
  • 家電リサイクル法に基づく引取義務違反に係る勧告等を行いました
  • 令和4年度「なでしこ銘柄」を選定しました~女性活躍推進に優れた上場企業17社を選定!~
  • 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書統合報告書の公表について
  • 「キャッシュレスの将来像に関する検討会」のとりまとめを行いました
総務省
  • 令和5年版「地方財政の状況」(地方財政白書)
  • Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会(第8回)
国土交通省
  • 「社会的インパクト不動産」の実践ガイダンスを公表します~社会課題解決に取り組む不動産の基本的考え方・実践に向けたポイント等を整理~
  • 入札契約の適正化の取組状況に関する調査結果について~ダンピング対策で進展も、工期設定やスライド条項運用に課題~

~NEW~
警視庁 闇バイトは犯罪です #BAN 闇バイト
  • 闇バイトとは
    • SNSやインターネット掲示板などで、短時間で高収入が得られるなど甘い言葉で募集しています。
    • 応募してしまうと、詐欺の受け子や出し子、強盗の実行犯など、犯罪組織の手先として利用され犯罪者となってしまいます。
  • 闇バイトに手を出さないために
    • アルバイトを探すときは「高額」「即日現金」「高額即金」「副業」「ハンドキャリー」「書類を受け取るだけ」「行動確認・現地調査」等の言葉に注意してください。楽をして大金を稼げるアルバイトは存在しません。
    • 申込時に匿名性の高いアプリのインストールを求められる場合は、闇バイトの可能性があります。
    • 怪しいと思ったら、友人や家族、警察に相談してください。
  • 一度でも闇バイトをしてしまうと
    • やめたいと思っても、応募のときに送った身分証明書から「家に行く」「家族に危害を加える」と犯罪組織から脅されて逮捕されるまでやめられません。
    • 逮捕されたあとに待ち受けるのは懲役や被害者への損害賠償です。もちろん犯罪グループは助けてくれません。闇バイトは使い捨てです。
  • 闇バイトに申し込んでしまったら
    • いますぐ最寄りの警察署、警視庁総合相談センター又はヤング・テレホン・コーナーに相談してください。

~NEW~
内閣官房 物価・賃金・生活総合対策本部 物価・賃金・生活総合対策本部(第8回)議事次第
  • 電気の規制料金の改定申請
    • 電気の規制料金の改定申請について、為替や燃料価格が変動している中、有識者会議における議論を踏まえ、電力・ガス取引監視等委員会から、直近の燃料価格などを踏まえて再算定することが適切である旨の見解が示された。
    • これを踏まえ、経済産業省として、現時点で入手可能な直近の燃料価格などを踏まえて再算定することを各事業者に求めることとした。
    • また、人件費についても、他産業の給与水準と比較して査定を行うという原則を踏まえ、厳正に審査を行っているところ。
    • 各事業者における補正を踏まえつつ、引き続き、必要な時間をかけて、厳格かつ丁寧に審査を行っていく
  • エネルギー価格高騰に対する追加的な負担軽減
    • エネルギー価格高騰への対応については、特別高圧契約を結ぶ工業団地やLPガスなど地域ごとの特性を踏まえた対応が重要。
    • 昨年9月に創設した電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金(以下、重点交付金という)を活用し、これまでに自治体において約700件の中小企業に対するエネルギー価格高騰対策の事業が実施されている。しかしながら、重点交付金の不足により、新たにLPガスに対する支援等の事業を行うことができない自治体もある。
    • このため、重点交付金を積み増し、特別高圧で受電する中小企業等に対する支援やLPガスに対する支援を今回推奨事業メニューに明確に位置づけ、先行自治体の例を示しながら、全国に行き届くよう働きかけを行う。
  • 価格転嫁促進・取引適正化の取組強化
    • これまで累計で約70社の親事業者に大臣名での指導・助言を実施。
    • より一層の自主的な取引条件の改善を促す観点から、発注側企業約150社の交渉と転嫁の状況リストを公表。
    • 今月の「価格交渉促進月間」からは、これまでの倍の中小企業30万社に調査票を送付。
    • 業界団体に対しては、公正取引委員会や下請Gメンによる取引実態に関する調査に基づき、自主行動計画の改定・徹底を求める。
  • 地域におけるパートナーシップ構築宣言の拡大に向けて
    • 取引先との共存共栄を目指す「パートナーシップ構築宣言」は、3月17日時点で約19,850社が宣言済み。うち大企業(資本金3億円超)は、約1,200社。また、経団連会員企業の宣言は約3分の1。更なる宣言拡大に取り組む。
    • 宣言の更なる拡大に向けて、先月、西村経産大臣から地方経産局長に、自治体や経済団体への働きかけを指示。
    • 「自治体・経済団体等による協定締結や共同宣言」、「宣言企業への自治体の補助金での加点措置」など地域での取組が拡大しており、全国大に広げていく。
  • コロナ資金繰り支援継続プログラム
    • 「日本公庫のコロナ無利子融資」の借換円滑化や、「日本公庫の資本性劣後ローン」を活用した新規融資の促進を通じて、コロナ禍で債務が増大した中小企業を支援することが必要。
    • このため、「日本公庫のスーパー低利融資」等の申込期限を2023年9月末まで延長する。
  • 飼料価格の高騰状況等について
    • 配合飼料の高騰対策として異常補填基金への665億円の積増し等を措置し、本年度第1・第2四半期の飼料コストを抑制。
    • 9月には第3四半期の実質的な飼料コストを第2四半期と同程度の水準とする504億円の緊急対策を措置。また、令和4年度第2次補正予算で異常補填基金への103億円の積増しを措置。
    • 足元では、輸入原料穀物価格に落ち着きがみられるものの、第4四半期については、配合飼料価格が前期とほぼ同水準で推移すると見込まれることなどを踏まえ、第3四半期の緊急対策を拡大することで、酪農や養鶏など様々な畜種の飼料コストを抑制していく。
    • 配合飼料に加え購入粗飼料の高騰や需要の減少等により特に収益性が悪化している酪農経営について、引き続き消費・輸出拡大等に取り組みつつ、購入粗飼料等のコスト上昇に対する補填等を行う。
    • 令和5年度第1四半期以降については、基金制度において、配合飼料価格の高止まりによる生産者の補填反映後の飼料コストの急増を適切に抑制するための新たな特例を創設する。
  • 低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金(案)
    • 食費等の物価高騰に直面し、影響を特に受ける低所得の子育て世帯に対し、特別給付金を支給することにより、その実情を踏まえた生活の支援を行う。
      1. 支給対象者
        1. 児童扶養手当受給者等(低所得のひとり親世帯)
        2. 1以外の住民税均等割が非課税の子育て世帯(その他低所得の子育て世帯)
          • ※ 2の対象となる児童の範囲は(1)と同じ(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童(障害児の場合は20歳未満))
      2. 給付額
        • 児童一人当たり一律5万円
      3. 実施主体
        • 低所得のひとり親世帯 都道府県、市(特別区を含む)及び福祉事務所設置町村
        • その他低所得の子育て世帯 市町村(特別区を含む)
      4. 費用
        • 全額国庫負担(10/10)※実施に係る事務費についても全額国庫負担
      5. スケジュール
        1. 低所得のひとり親世帯 令和5年3月分の児童扶養手当受給者について、可能な限り速やかに支給(申請不要)
        2. その他低所得の子育て世帯 令和4年度の児童手当又は特別児童扶養手当の受給者で住民税均等割が非課税である者について、可能な限り速やかに支給(申請不要)
          • ※ 1、2いずれも、直近で収入が減収した世帯等については、可能な限り速やかに支給(要申請)

~NEW~
内閣府 月例経済報告等に関する関係閣僚会議
▼3月閣議資料
  • 日本経済の基調判断
    1. 現状【判断維持】
      • 景気は、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。
      • 先月の判断 景気は、このところ一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。
    2. 先行き
      • 先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。
    3. 政策の基本的態度
      • 足下の物価高などの難局を乗り越え、日本経済を本格的な経済回復、そして新たな経済成長の軌道に乗せていくべく、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」及びそれを具体化する令和4年度第2次補正予算について、進捗管理を徹底し、執行を更に加速するとともに、「物価・賃金・生活総合対策本部」で3月22日に取りまとめたエネルギー・食料品等に関する追加策を早急に実行する。また、令和5年度予算及び関連法案の早期成立に努める。
      • 今後とも、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を一体的に進める経済財政運営の枠組みを堅持し、民需主導の自律的な成長とデフレからの脱却に向け、経済状況等を注視し、躊躇なく機動的なマクロ経済運営を行っていく。
      • 日本銀行には、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。
  • 物価の動向
    • 国際商品市況は、引き続き、原油・LNG・石炭の価格がロシアによるウクライナ侵略前の水準を下回って推移。
    • 国内企業物価は、石油・石炭製品の価格下落に加え、電気・ガス価格激変緩和対策事業の効果により、前年比上昇率が2か月連続で低下するなど、上昇テンポが鈍化。
    • 消費者物価は、食料等の身の回り品で今後も上昇が見込まれるが、2月の東京都区部速報値では、電気・ガス価格激変緩和対策事業の効果が前年比上昇率を1.0%pt引下げ。これと同様に、2月の全国でも前年比上昇率は低下する見込み
  • 個人消費の動向
    • 個人消費は、雇用者所得が実質ではマイナスとなる中でも、緩やかに持ち直し。22年後半以降、財は弱めの動きとなる一方、サービスの持ち直しが回復を牽引。
    • 景気ウォッチャー調査(街角景気)の先行き判断は2月も引き続き上昇。物価上昇への懸念は下押し要因となる一方、新型コロナの5類移行やマスク着用ルールの緩和が先行き期待の押上げに寄与。
    • 訪日外客は堅調に増加し、2月は19年比で57%(中国を除くと77%)の水準まで回復。引き続き、インバウンド需要の拡大に期待。
  • 賃金の動向
    • 名目賃金の上昇率は、1990年代末以降、物価上昇率と同程度又は下回る傾向。一方、2022年の名目賃金上昇率は、過去の春闘結果と名目賃金の関係を上回るなど、物価上昇の下で賃上げが進展。
    • こうした中、23年の春闘の賃上げ率は第一回集計で3.8%と、1993年以来30年ぶりの高い伸び。デフレ脱却と民需主導の持続的な成長の実現に向け、物価上昇に負けない継続的な賃金上昇が重要。
    • 女性の年収は、正社員と非正社員とで大きな差。また、正社員の定期給与は、年齢が上がるほど男女間での差が拡大。女性の正社員化や男女間格差の縮小を進めることは、平均的な賃金水準の押上げにつながる。
  • 企業収益・設備投資の動向
    • 2022年の経常利益は、売上増加や円安による押上げ効果もあり過去最高水準。四半期ベースで業種別にみると、10-12月期は輸送機械や運輸等で好調が続く一方、食料品や素材関係の製造業では原材料コスト増の影響等により前年比で減益。
    • 企業の設備投資は、22年度の実績は当初計画を上回る見込みとなり、23年度の計画も22年度並みの伸び。好調な収益の下、企業の投資マインドには引き続き力強さ。個社の投資計画では、デジタル化や脱炭素化投資のほか、市況悪化の一方で中長期的な需要を見据えた半導体関連の投資もみられる。
  • 輸出と生産の動向
    • 我が国の輸出は、半導体市況の軟化等を背景として、アジア向けを中心に全体として弱含み。
    • 製造業の生産は、市況悪化に伴う半導体の在庫調整と、それを受けた海外での半導体製造装置の投資先送り等により、電子部品・デバイスや生産用機械でマイナス傾向となるなど、このところ弱含み。
    • コロナ禍で大きく成長した我が国の半導体製造装置の売上高は、中長期的には拡大が見込まれるも、当面は需給の調整局面となり、23年度は前年度比マイナスの見込み。
    • こうした中、企業の景況感は製造業で低下傾向。一方、サービス業では上昇傾向が続いている
  • 世界経済の動向
    • 世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、緩やかな持ち直しが続いている。中国では輸出が減少する一方、感染が収束して生産・消費に持ち直しの動きがみられる。ユーロ圏では設備投資は持ち直してきたがこのところ一服感がみられ、消費は持ち直しに足踏みがみられる。
    • 財貿易量は低下傾向。欧米の景況感は製造業で引き続き悪化となったものの、非製造業は改善がみられる。
    • 欧米の失業率はおおむね横ばい。消費者物価の上昇に一服感がみられるが、上昇率の水準は依然高く、物価安定に向けた金融引締めが継続。世界的な金融引締めに伴う影響、物価上昇等による下振れリスクに引き続き留意が必要。また、金融資本市場の変動の影響を注視する必要。

~NEW~
金融庁 「監査法人の組織的な運営に関する原則」(監査法人のガバナンス・コード)の改訂について
▼(別紙2)PDF「監査法人の組織的な運営に関する原則」(監査法人のガバナンス・コード)(和文)
  • 原則1
    • 監査法人は、会計監査を通じて企業の財務情報の信頼性を確保し、資本市場の参加者等の保護を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与する公益的な役割を有している。これを果たすため、監査法人は、法人の構成員による自由闊達な議論と相互啓発を促し、その能力を十分に発揮させ、会計監査の品質を組織として持続的に向上させるべきである。
  • 指針
    • 1-1. 監査法人は、その公益的な役割を認識し、会計監査の品質の持続的な向上に向け、法人の社員が業務管理体制の整備にその責務を果たすとともに、トップ自ら及び法人の構成員がそれぞれの役割を主体的に果たすよう、トップの姿勢を明らかにすべきである。
    • 1-2. 監査法人は、法人の構成員が共通に保持すべき価値観を示すとともに、それを実践するための考え方や行動の指針を明らかにすべきである。
    • 1-3. 監査法人は、法人の構成員の士気を高め、職業的懐疑心や職業的専門家としての能力を十分に保持・発揮させるよう、適切な動機付けを行うべきである。
    • 1-4. 監査法人は、法人の構成員が、会計監査を巡る課題や知見、経験を共有し、積極的に議論を行う、開放的な組織文化・風土を醸成すべきである。
    • 1-5. 監査法人は、法人の業務における非監査業務(グループ内を含む。)の位置づけについての考え方に加えて、利益相反や独立性の懸念に対し、規模・特性等を踏まえて具体的にどのような姿勢で対応を講じているかを明らかにすべきである。また、監査法人の構成員に兼業・副業を認めている場合には、人材の育成・確保に関する考え方も含めて、利益相反や独立性の懸念に対して、どのような対応を講じているか明らかにすべきである。
    • 1-6. 監査法人がグローバルネットワークに加盟している場合や、他の法人等との包括的な業務提携等を通じてグループ経営を行っている場合、監査法人は、グローバルネットワークやグループとの関係性や位置づけについて、どのような在り方を念頭に監査法人の運営を行っているのかを明らかにすべきである。
  • 原則2
    • 監査法人は、会計監査の品質の持続的な向上に向けた法人全体の組織的な運営を実現するため、実効的に経営(マネジメント)機能を発揮すべきである。
  • 指針
    • 2-1. 監査法人は、実効的な経営(マネジメント)機関を設け、組織的な運営が行われるようにすべきである。また、規模・特性等を踏まえて経営機関を設けないとした場合は、実効的な経営機能を確保すべきである。
    • 2-2. 監査法人は、会計監査に対する社会の期待に応え、組織的な運営を確保するため、以下の事項を含め、重要な業務運営における経営機関の役割を明らかにすべきである。
      • 監査品質に対する資本市場からの信頼に大きな影響を及ぼし得るような重要な事項について、監査法人としての適正な判断が確保されるための組織体制の整備及び当該体制を活用した主体的な関与
      • 監査上のリスクを把握し、これに適切に対応するための、経済環境等のマクロ的な観点を含む分析や、被監査会社との間での率直かつ深度ある意見交換を行う環境の整備
      • 法人の構成員の士気を高め、職業的専門家としての能力を保持・発揮させるための人材育成の環境や人事管理・評価等に係る体制の整備
      • 監査に関する業務の効率化及び企業においてもデジタル化を含めたテクノロジーが進化することを踏まえた深度ある監査を実現するためのIT基盤の実装化(積極的なテクノロジーの有効活用を含む。)に係る検討・整備
    • 2-3. 監査法人は、経営機能を果たす人員が監査実務に精通しているかを勘案するだけではなく、法人の組織的な運営のための機能が十分に確保されるよう、経営機能を果たす人員を選任すべきである。
  • 原則3
    • 監査法人は、監査法人の経営から独立した立場で経営機能の実効性を監督・評価し、それを通じて、経営の実効性の発揮を支援する機能を確保すべきである。
  • 指針
    • 3-1. 監査法人は、経営機関等による経営機能の実効性を監督・評価し、それを通じて実効性の発揮を支援する機能を確保するため、監督・評価機関を設け、その役割を明らかにすべきである。また、規模・特性等を踏まえて監督・評価機関を設けないとした場合は、経営機能の実効性を監督・評価する機能や、それを通じて実効性の発揮を支援する機能を確保すべきである。
    • 3-2. 監査法人は、組織的な運営を確保し、公益的な役割を果たす観点から、自らが認識する課題等に対応するため、独立性を有する第三者の知見を活用すべきである。併せて、当該第三者に期待する役割や独立性に関する考え方を明らかにすべきである。
    • 3-3. 監査法人は、監督・評価機関の構成員又は独立性を有する第三者について、例えば以下の業務を行うことが期待されることに留意しつつ、その役割を明らかにすべきである。
      • 経営機能の実効性向上に資する助言・提言
      • 組織的な運営の実効性に関する評価への関与
      • 経営機能を果たす人員又は独立性を有する第三者の選退任、評価及び報酬の決定過程への関与
      • 法人の人材育成、人事管理・評価及び報酬に係る方針の策定への関与
      • 内部及び外部からの通報に関する方針や手続の整備状況や、伝えられた情報の検証及び活用状況の評価への関与
      • 被監査会社、株主その他の資本市場の参加者等との意見交換への関与
    • 3-4. 監査法人は、監督・評価機関等が、その機能を実効的に果たすことができるよう、監督・評価機関の構成員又は独立性を有する第三者に対し、適時かつ適切に必要な情報が提供され、業務遂行に当たっての補佐が行われる環境を整備すべきである。
  • 原則4
    • 監査法人は、規模・特性等を踏まえ、組織的な運営を実効的に行うための業務体制を整備すべきである。また、人材の育成・確保を強化し、法人内及び被監査会社等との間において会計監査の品質の向上に向けた意見交換や議論を積極的に行うべきである。
  • 指針
    • 4-1. 監査法人は、経営機関等が監査の現場からの必要な情報等を適時に共有するとともに経営機関等の考え方を監査の現場まで浸透させる体制を整備し、業務運営に活用すべきである。また、法人内において会計監査の品質の向上に向けた意見交換や議論を積極的に行うべきである。
    • 4-2. 監査法人は、法人の構成員の士気を高め、職業的専門家としての能力を保持・発揮させるために、法人における人材育成、人事管理・評価及び報酬に係る方針を策定し、運用すべきである。その際には、法人の構成員が職業的懐疑心を適正に発揮したかが十分に評価されるべきである。
    • 4-3. 監査法人は、併せて以下の点に留意すべきである。
      • 法人のそれぞれの部署において、職業的懐疑心を適切に発揮できるよう、幅広い知見や経験につき、バランスのとれた法人の構成員の配置が行われること
      • 法人の構成員に対し、例えば、非監査業務の経験や事業会社等への出向などを含め、会計監査に関連する幅広い知見や経験を獲得する機会が与えられること
      • 法人の構成員の会計監査に関連する幅広い知見や経験を、適正に評価し、計画的に活用すること
      • 法人の構成員が業務と並行して十分に能力開発に取り組むことができる環境を整備すること
    • 4-4. 監査法人は、被監査会社のCEO・CFO等の経営陣幹部及び監査役等との間で監査上のリスク等について率直かつ深度ある意見交換を尽くすとともに、監査の現場における被監査会社との間での十分な意見交換や議論に留意すべきである。
    • 4-5. 監査法人は、内部及び外部からの通報に関する方針や手続を整備するとともにこれを公表し、伝えられた情報を適切に活用すべきである。その際、通報者が、不利益を被る危険を懸念することがないよう留意すべきである。
  • 原則5
    • 監査法人は、本原則の適用状況などについて、資本市場の参加者等が適切に評価できるよう、十分な透明性を確保すべきである。また、組織的な運営の改善に向け、法人の取組みに対する内外の評価を活用すべきである。
  • 指針
    • 5-1. 監査法人は、被監査会社、株主、その他の資本市場の参加者等が評価できるよう、本原則の適用の状況や、会計監査の品質の向上に向けた取組みについて、一般に閲覧可能な文書等で、わかりやすく説明すべきである。
    • 5-2. 監査法人は、品質管理、ガバナンス、IT・デジタル、人材、財務、国際対応の観点から、規模・特性等を踏まえ、以下の項目について説明すべきである。
      • 会計監査の品質の持続的な向上に向けた、自ら及び法人の構成員がそれぞれの役割を主体的に果たすためのトップの姿勢
      • 法人の構成員が共通に保持すべき価値観及びそれを実践するための考え方や行動の指針
      • 監査法人の中長期的に目指す姿や、その方向性を示す監査品質の指標(AQI:Audit Quality Indicator)又は会計監査の品質の向上に向けた取組みに関する資本市場の参加者等による評価に資する情報
      • 監査法人における品質管理システムの状況
      • 経営機関等の構成や役割
      • 監督・評価機関等の構成や役割。独立性を有する第三者の選任理由、役割、貢献及び独立性に関する考え方 法人の業務における非監査業務(グループ内を含む。)の位置づけについての考え方、利益相反や独立性の懸念への対応
      • 監査に関する業務の効率化及び企業におけるテクノロジーの進化を踏まえた深度ある監査を実現するためのIT基盤の実装化に向けた対応状況(積極的なテクノロジーの有効活用、不正発見、サイバーセキュリティ対策を含む。)
      • 規模・特性等を踏まえた多様かつ必要な法人の構成員の確保状況や、研修・教育も含めた人材育成方針
      • 特定の被監査会社からの報酬に左右されない財務基盤が確保されている状況
      • 海外子会社等を有する被監査会社の監査への対応状況
      • 監督・評価機関等を含め、監査法人が行った、監査品質の向上に向けた取組みの実効性の評価
    • 5-3. グローバルネットワークに加盟している監査法人や、他の法人等との包括的な業務提携等を通じてグループ経営を行っている監査法人は、以下の項目について説明すべきである。
      • グローバルネットワークやグループの概略及びその組織構造並びにグローバルネットワークやグループの意思決定への監査法人の参画状況
      • グローバルネットワークへの加盟やグループ経営を行う意義や目的(会計監査の品質の確保やその持続的向上に及ぼす利点やリスクの概略を含む。)
      • 会計監査の品質の確保やその持続的向上に関し、グローバルネットワークやグループとの関係から生じるリスクを軽減するための対応措置とその評価
      • 会計監査の品質の確保やその持続的向上に重要な影響を及ぼすグローバルネットワークやグループとの契約等の概要
    • 5-4. 監査法人は、会計監査の品質の向上に向けた取組みなどについて、被監査会社、株主、その他の資本市場の参加者等との積極的な意見交換に努めるべきである。その際、監督・評価機関の構成員又は独立性を有する第三者の知見を活用すべきである。
    • 5-5. 監査法人は、本原則の適用の状況や監査品質の向上に向けた取組みの実効性を定期的に評価すべきである。
    • 5-6. 監査法人は、資本市場の参加者等との意見交換から得た有益な情報や、本原則の適用の状況などの評価の結果を、組織的な運営の改善に向け活用すべきである。

~NEW~
金融庁 「記述情報の開示の好事例集2022」の更新
▼「環境(気候変動関連等)」
  • 投資家・アナリストが期待する主な開示のポイント:気候変動関連等
    • TCFD提言の4つの枠組み(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)に沿った開示は、引き続き有用
    • TCFD提言に沿った開示を行うにあたり、財務情報とのコネクティビティを意識し、財務的な要素を含めた開示を行うことは有用
    • リスク・機会に関する開示について、一覧表で、定量的な情報を含めた開示を行うことは有用
    • トランジションやロードマップといった時間軸を持った開示を行うことは、海外の気候変動に関する開示でも重視されており有用
    • サステナビリティ情報に関する定量情報について、前提や仮定を含め開示することは有用
    • 実績値を開示することは、引き続き有用
  • 好事例として取り上げた企業の主な取組み(株式会社エヌ・ティ・ティ・データ)
    1. 開示の充実化に当たっての課題
      • 気候変動関連のリスク・機会分析について、開示を推進しているチーム以外の経営幹部や、関連部署にもアプローチをして、協力を得ていく必要があった。
      • 気候変動関連のリスク・機会に関する数値算出が手探りであった中、法定開示書類である有価証券報告書に数値を開示することに対し、経営幹部や関連部署の関心・感度が高かったため、経営幹部等からの意見・質問等への対応が必要であった。
    2. 対応策とその効果
      • 一人ひとりの関係者にしっかりとグローバル社会での動向を含めて背景を理解してもらうため、情報共有を実施した。
      • 経営幹部とも議論を幾度も重ねること。特に数値を開示するにあたっては、多くのディスカッションを行うこと、アドバイスをもらうことを重ね、戦略数値を具体化し、全体のコンセンサスを図った。
      • 開示に向けた取組みと新中期経営計画の検討を併せて進めたことで目標が明確化され、その後の進捗のモニタリングが可能となった。
    3. 開示の充実化に当たっての課題
      • 気候変動関連のリスク・機会に関するシナリオ分析にあたっては、想定するシナリオや期間について、どのような定義とするか検討をする必要があった。
    4. 対応策とその効果
      • 気候変動のリスク・機会のシナリオ分析において主に着眼したシナリオとして、移行シナリオはIEAのネットゼロのシナリオ、物理シナリオはIPCC第6次報告書に基づき、設定を行った。
      • シナリオ分析の期間(短期・中期・長期)について、短期は中期経営計画の期間、中期はSBTの中期目標年、長期はSBTiが定めるネットゼロの目標年に基づき、設定を行った。
      • 根拠のあるシナリオや期間に基づき定義設定を行ったことで、その後の事業への影響等の具体的な分析において、経営幹部や関連部署との議論を円滑に行うことができた。
  • 好事例として取り上げた企業の主な取組み(カゴメ株式会社)
    1. 開示の充実化に当たっての課題
      • 環境保全に関する取組みは以前から社内で進めていたが、目標や方針及びマテリアリティが設定されておらず、開示の方向性や、優先順位も明確ではなかった。
    2. 対応策とその効果
      • 環境取組みの推進にあたり、目標や方針を策定する必要性を認識し、温室効果ガスの削減目標、水及び生物多様性のカゴメグループ方針を策定した。また、環境に関するマテリアティも設定し、その際には、環境を担当する部門も一緒に検討を行った。
      • 目標や方針に関しては、経営層からの承認を得たことで、社内への情報発信がしやすくなった。
      • 目標や方針及びマテリアリティが定まったことで、社内での環境に対する意識や、取組みが加速したと感じている。
  • 好事例として取り上げた企業の主な取組み(セイコーエプソン株式会社)
    1. 開示の充実化に当たっての課題
      • 任意開示書類と比較すると、法定開示書類である有価証券報告書では、これまでミスリードを防ぐという観点からも保守的な開示を行ってきた経緯があり、気候変動関連のテーマを新たに取り上げることに対して、ハードルが高い印象があった。
      • シナリオ分析において、気候変動によるリスク等の財務影響を、どのように定義して算出するかという点に課題があった。
    2. 対応策とその効果
      • まずは任意報告書での開示を準備期間として進め、その後、有価証券報告書まで開示対象を広げた。段階的に開示を進めることで、定量情報の開示を含め、社内での反対意見は特段なかった。
      • 財務影響の算出基準に明確なものがないため、まずは自社で算出した情報を外部に開示し、資本市場との対話を行う中で、そこでの指摘を踏まえ、開示内容の見直しを含め、継続的に改善を行っていくことを基本的な方針としている。
      • TCFD賛同の前から広報IR部を中心にTCFDに関する情報を社内で共有・啓蒙していたこと、また、長期ビジョンの中で環境への貢献を重要テーマとして位置付けていることが、見えない後押しになった。
  • 好事例として取り上げた企業の主な取組み(その他参考となる取組み)
    1. 体制整備について
      • 経営幹部が委員長となる気候変動に関する委員会を立ち上げ、経営幹部や事業部門を巻き込むことで、気候変動に関する開示の充実に向けた取組みを全社的に推進できた。
      • シナリオ分析により判明したリスク・機会の財務影響度の定量化作業にあたっては、関連する部門と作業を分担している。財務影響に関する作業であるから財務部門が中心に作業をするという体制ではなく、分業体制としている。
    2. 開示の工夫について
      • 担当役員のメッセージについては、サステナビリティに関する担当役員が、サステナビリティの考えを自分の声として発信することで、サステナビリティ課題への本気度が伝わると考えている。
      • 開示内容に関しては、戦略やリスクの内容を分かりやすく記載し、詳細をウェブサイトに記載することとしており、有価証券報告書にウェブサイトのURLを掲載している。
▼「社会(人的資本、多様性 等)」の開示例
  • 投資家・アナリストが期待する主な開示のポイント:人的資本、多様性 等
    • 人的資本可視化指針で示されている2つの類型である、独自性(自社固有の戦略や、ビジネスモデルに沿った取組み・指標・目標を開示しているか)と比較可能性(標準的指標で開示されているか)の観点を適宜使い分け、又は、併せた開示は有用
    • KPIの目標設定にあたり、なぜその目標設定を行ったのかが、企業理念、文化及び戦略と紐づいて説明されることは有用
    • マテリアリティをどう考えているのかについて、比較可能性がある形で標準化していくことは有用
    • グローバル展開をする企業は、サステナビリティ情報の開示において、例えば、人権に関する地政学リスク等、ロケーションについて着目することも有用
    • 独自指標を数値化する場合、定義を明確にし、定量的な値とともに開示することは有用
    • 過去実績を示したうえで、長期時系列での変化を開示することは有用
    • 背景にあるロジックや、前提、仮定の考え方を開示することは有用
    • 人的資本の開示にあたり、経営戦略をはじめとする全体戦略と人材戦略がどう結びついているかを開示することは有用
  • 好事例として取り上げた企業の主な取組み(株式会社丸井グループ)
    1. 開示の充実化に当たっての課題
      • 法定開示項目が定められている有価証券報告書において、人的資本に関する定量情報、特に人的資本経営のストーリーに合わせて、どのように盛り込むかについては苦労があった。
    2. 対応策とその効果
      • ストーリー性を損なわないよう、自社の決算説明会の動画を何度も見返すとともに、決算説明を行った役員と関係のある部門に説明内容がどういうニュアンスであったかを確認することにより、担当者がストーリーをしっかりと理解した上で、開示する定量情報を選定することができた。
      • この他、開示する定量情報の選定にあたっては、ISO 30414で示されている項目も参考とした。
    3. 開示の充実化に当たっての課題
      • 人的資本に関する定量情報の開示にあたっては、開示担当部門以外の部門からの情報収集や、収集した情報をどのように開示するかについて、検討の必要があった。
    4. 対応策とその効果
      • 経営陣が投資家との共創を通じて企業価値を向上していきたいという姿勢であることに加え、従前より、統合報告書などの開示情報の作成を部署横断で担ってきたという経緯があることで、開示担当部門以外の部門においても、失敗を恐れず開示できる情報は積極的に開示していくという開示に対する前向きなリテラシーを醸成できていたことが円滑な情報収集に繋がった。
      • その上で、収集した人的資本に関する定量情報について、有価証券報告書で最終的に何を開示するかの判断は、開示担当部門に任せるという適切な権限委譲ができていたことが円滑な開示に繋がった。
  • 好事例として取り上げた企業の主な取組み(双日株式会社)
    1. 開示の充実化に当たっての課題
      • 事業が多岐に渡っている場合、幅広い社会課題の全てにコストをかけて対応するのは、リソースがいくらあっても足りない。
      • 選定した社会課題について、自社の事業の中で、どこに社会課題が生じる可能性があるのかを特定することに苦労した。
    2. 対応策とその効果
      • 事業の成長に密接に関係する社会課題を特定することが大事と考え、成長と同心円化できる課題に優先的に取り組んでいる。また、優先的に取り組むべき課題への対応を長期ビジョンに盛り込んでいる。
      • 社会課題の一つとして、「サプライチェーンを含めた人権尊重」を取り上げているところ、まずは全体観の把握を行った。具体的には、世の中で一般的な人権課題の全体観と、自社サプライチェーンの全体観を掛け合わせた表を作成し、サプライチェーン上の人権課題が生じる可能性があるところを把握した。
      • その際、納得感が出るよう、英国のNGO「ビジネスと人権のリソースセンター」の国や業界ごとの糾弾件数のデータを整理・分析することで、感覚値ではなく、客観的なデータを示すことが可能となった。

~NEW~
消費者庁 海外における消費者安全に関する法的規制等の調査
▼海外における消費者安全に関する法的規制等の調査 最終報告書(概要版)
  • 一般製品安全指令及び玩具指令:改正に向けた動き
    • 2021年6月、欧州委員会はEUの製品安全に関する法令である一般製品安全指令(2002年施行)の改正規則案を発表、新技術の普及に伴う課題への対応や増加するオンライン販売への規制の整備等の内容が盛り込まれている。
    • EU市場の玩具の安全基準を定めた現行の玩具指令は2011年から施行されている。同指令の改正案は公表されていないが、これまで実施された同指令に対する評価では化学物質に関する有効性の不十分さやインターネットに接続された玩具が規制の対象外となっていることが指摘されてきた。欧州委員会は改正に向けて事前影響評価を実施し、現在、新たに立案を進めている。
  1. 一般製品安全規則案の主な改正点
    • 法分類の変更
      • 「指令」から「規則」に変更。EU全体で統一的なルールを作り、すべての加盟国に適用される。
    • 経済運営者の義務と安全性評価
      • 製品の安全に責任を持つ経済運営者(製造業者、輸入業者及び販売業者)がEU域内に存在する場合にのみ、製品の販売が可能
      • 製品の安全性の評価には多面的側面を考慮
    • オンライン上の危険製品の削除
      • 規制の対象にオンラインマーケットプレイスを追加
      • EU法又は加盟国の国内法の法定要件を満たさない製品に関する情報(違法コンテンツ)の検出や削除、アクセス禁止といった自主的措置を要求
    • 危険製品に対するリコール手続きの改善
      • トレーサビリティ向上やリコールの実効性を強化
  2. 玩具指令の改正に向けた主な論点
    • 2021年10月に公表された玩具指令に関する事前影響評価では、次のような改正に向けた論点が示されている。
    • 一般的なリスク評価手法をCMR物質以外の内分泌かく乱物質、難分解性物質、汚染物質が生物体内で高濃度に蓄積する可能性がある物質などの危険な物質にも拡大
    • CMR物質の一般的な禁止事項の適用除外の改正
    • 化学物質の複合暴露の問題への対応欠如
    • インターネット接続型玩具に起因する新しいリスクへの対応
    • 規制の遵守と施行における有効性の欠如
    • 生後36か月未満の子供向け玩具だけでなく、全ての玩具に対して化学物質の規制値を設定
    • その他論点
      • 着色料や保存料など特定の物質に対するポジティブリストを制定
      • デジタルラベリングを含む、玩具の化学成分表示に関する要求事項を設定
      • 他のEU法でカバーされていないAIを含む玩具、インターネット接続型玩具に起因する新しいリスクへの対応
  • 製造物責任(PL)指令案:法令及び改正の概要
    • EUでは1985年に現行の製造物責任指令(以下「現行指令」)を制定以来、指令の加盟国での国内法化を通じて、製造物の欠陥に起因する消費者の損害賠償請求権をEUレベルで保障してきた。
    • 2018年に公表された現行指令の評価報告書において、デジタル化や新技術など現行指令の適用対象が十分に明確でない分野があるため、規制の不確実性を回避するための更新と近代化が必要であると結論付けられ、欧州委員会は、2022年9月に製造物責任指令改正案(以下「新指令案」)を公表した
  • 新指令案における主な見直し内容
    • 製造物の定義-デジタル製品、ソフトウェアを製造物として明示
    • 責任主体-製造業者、輸入業者、供給業者に加え、コンポーネント製造者、権限ある代理人、フルフィルメントサービス提供者、オンラインプラットフォーム提供者も対象
    • 証拠の開示命令制度-関連証拠の開示を被告に命令する権限を裁判所に付与
    • 被害者の立証責任-欠陥の推定規定、因果関係の推定規定等が追加
  • AI規則案/AI責任指令案
    1. AI規則案の成立予定時期
      • AI規則案の提案
        • 欧州委員会は2021年4月「AI規則案」を発表。これはAIの特定の使用に関する明確な要件と義務を提供するとともに、企業の管理・財政上の負担を軽減することを目的としている。
      • AI規則案の概要
        • AI規則案は、「許容できないリスク」、「高リスク」、「限定されたリスク」、「最小限リスク又はリスク無し」の4つのレベルでリスクを定義し、そのうち「許容できないリスク」を伴うAIシステムの使用を禁止、「高リスク」のAIシステムの使用については、製造業者、利用者を含む関係者に対して様々な義務を課している。
      • 今後のステップ
        • 欧州委員会によれば、規則は移行期間の2022年後半から2023年初頭に発効する可能性がある。最も早ければ、2024年の後半には一定の基準を満たしたAIシステム提供者、利用者に規制が適用される。
    2. AI責任指令案についての立法及び議論の概要
      • AI責任指令案の立法経緯
        • 欧州委員会は2022年9月「人工知能(AI)の開発事業者の民事責任に関する指令案」(AI責任指令案)を発表。同指令案の目的は、AIによって生じた損害の被害者が、製品一般によって生じた損害の被害者と同等の保護を得られるようにすることを目的としている。
      • AI責任指令案の概要
        • AI責任指令案は、AIによって生じた過失に基づく民事上の損害賠償請求を原告が立証できるようにするため、AIシステムの提供者等に対して証拠の開示と保全を求める権限を裁判所に与えるとともに、損害発生の因果関係を推定する条件等を定めている。
      • AI責任指令案を巡る議論
        • 消費者団体は、消費者が損害賠償請求の立証責任を果たすことは事実上不可能であるとして指令案を批判。他方、事業者は指令案を歓迎し、今後の交渉を注視するとのコメントを発表している。
  • AI及びコネクテッドプロダクト/デジタル・プラットフォーマー
    1. 製品安全上のリスク
      • AI及びコネクテッドプロダクト
        • インターネットに接続され、個人データ等を収集・加工することで使用可能となる製品や、ソフトウェアが遠隔的に更新される等の要素をもつ「コネクテッドプロダクト」やAI等の新たなテクノロジーについては、欧州委員会等によって「サイバーセキュリティ・リスク」、「個人セキュリティ・リスク」、「メンタルヘルス・リスク」等、様々なリスクが指摘されている。
      • デジタルプラットフォーマー
        • EUにおいてデジタルプラットフォーマーが関わる製品安全上のリスクは、主に消費者団体によって指摘されている。
        • 欧州消費者機構(BEUC)が2020年に実施した調査は、オンライン市場で販売されている250の商品のうち66%がEU安全基準を満たさないことが判明した。
        • Euroconsumersは2019~2020年に実施した調査で、オンライン商品のうち多くが不良、もしくはEU安全基準を満たしていないことが判明したと報告している。
    2. 個別の事例
      • EUでは、第三者の欠陥品に関連する損害賠償請求に対する防御メカニズムとして電子小売業者によってしばしば使用されてきた、セーフハーバー(特定の状況下、または一定の条件などの基準を満たした場合には、違反や罰金の対象にならないとされる範囲)条項の適用を制限する裁判事例が近年散見されている。
        1. L‘Oreal対eBay事件判決(2021年)
          • 欧州連合司法裁判所(CJEU)は、データに関する知識または制御を提供するような種類の積極的な役割を果たすオンライン・プラットフォームは、セーフハーバー条項による免除を受ける権利はないと裁定した。
        2. Coty対Amazon事件判決(2020年)
          • CJEUは、オンライン市場運営者が商標権侵害の責任を負うかどうかについて、司法長官が問題を指摘したにも関わらず、これに言及せず。法務長官の見解の暗黙の拒絶として解釈される可能性があるため大いに注目を集めた。
  • 米国における裁判事例
    1. オーバードルフ事件(Oberdorf v.Amazon.com,Inc.)
      • 2015年1月、オーバードルフ氏(原告)が、アマゾン社の運営する「アマゾン・マーケットプレイス」を通じて購入した伸縮式のリードが顔面と眼鏡に当たり、左目を失明した。
      • 販売者は事故後、アマゾンのアカウントを利用しておらず、同者を特定できなかったため、オーバードルフ氏はアマゾン社に対して厳格責任に基づいて損害賠償を請求した。
      • ペンシルベニア中部地区連邦地方裁判所は、アマゾン社は第2次不法行為法リステイトメント402A条の「販売者(seller)」に当たらないとして、略式判決により厳格責任の適用を否定した。
      • これに対し、第二審の第3巡回区連邦控訴裁判所は、ペンシルベニア州法の下で、アマゾン社は第2リステイトメント402A条の「販売者」に該当するとして、厳格責任の適用を認めた。
      • 米国において、オーバードルフ事件の判決が、デジタル・プラットフォーマーの製品安全に対する責任について大きな影響を与えているとする見方が示されている。
      • 米国消費者製品安全委員会(CPSC)によるアマゾン社に対する危険製品の苦情申立て、ボルガー事件、ルーミス事件にも影響を与えた
    2. ボルガー事件(Bolger v.Amazon.com,LLC)
      • 2016年8月、ボルガー氏(原告)は、香港のレンノジ社がアマゾン・マーケットプレイスに出品したノートパソコン用交換バッテリーを購入。数カ月後、同バッテリーが破裂し、重度の火傷を負った。
      • ボルガー氏は製品の梱包・発送を行ったアマゾン社等に対して厳格責任に基づいて損害賠償を請求した。
      • 第一審のカリフォルニア州上位裁判所はアマゾン社の賠償責任を否定する略式判決を下した。
      • これに対し、カリフォルニア州控訴裁判所は、第三者がマーケットプレイスを通じて販売した欠陥製造物についてアマゾン社の厳格責任を認めた。
      • また、アマゾン社の厳格責任は、アマゾン社としての行動に基づくものであり、1996年通信品位法230条の規定する免責条項は適用されないと判示している。
      • 本件の判決が、ルーミス事件と並んで、アマゾン社のビジネスモデルの大きな部分に影響を与える可能性があると指摘されている。
      • アマゾン社は数百万のサードパーディ販売者全てを監視するという仕事に直面しており、判決がその努力に緊急性をもたらす可能性がある。
    3. ルーミス事件(Loomis v.Amazon.com,LLC)
      • 2015年11月、ルーミス氏(原告)は、中国に本拠を置く事業者がマーケットプレイスにおいて販売していた中国製ホバーボードを購入し充電したところ出火し、火傷を負った。
      • 製品は、カリフォルニアの販売者から発送されたが、代金支払手続及び製品に関する連絡はアマゾン社が行うことになっていた。
      • 第一審であるカリフォルニア州上位裁判所は略式判決によりアマゾン社に対するルーミス氏の賠償請求を棄却した。
      • しかし、カリフォルニア州控訴裁判所は、販売された欠陥製造物による購入者の損害につき販売者との実質的な取引関係に着目して、アマゾン社の厳格責任を認めた。
      • ルーミス事件ではボルガ―事件と異なり、アマゾン社が製品のフルフィルメント(梱包・発送)に関与しなかったが、顧客と正面から向き合ったという理由により、サードパーティ製品の販売者と位置づけられた。
      • 同社や他のマーケットプレイスが同様の訴訟に直面する可能性がある。

~NEW~
消費者庁 外食・中食における食物アレルギーに関する啓発資材を公開しました
▼消費者向けパンフレット「外食・中食を利用するときに気をつけること(令和5年3月)」
  • 外食・中食をするときのポイント
    1. 誤食のリスクが潜んでいます!
      • 原因食物(アレルゲン)が含まれているかわからないとき、お店に確認しても心配な点があるとき等には、利用しないことも大切です。
    2. お店が提供している食物アレルギー情報が常に正しく、常に最新である保証はありません
      • お店から提供される情報を利用するときには、次のような点に注意が必要です。
      • 加工食品におけるアレルギー表示とは、正確性、表示の範囲、そもそもルールなどが違うことを知りましょう。
      • お店により対象とする情報の範囲が違います(乳・卵・小麦だけ、8品目だけ、28品目が対象等)。
      • 情報が古くなっていることがあります。情報の更新日等をもとに最新情報であるか確認しましょう。
    3. アレルギー情報の確認は、責任者等、食物アレルギーに詳しい店員さんにしましょう
      • 外食・中食では店員さんの入れ替わりが早いこともあり、店員さんが十分に食物アレルギーのことを理解しているとは限りません。店員さんの「入っていない」は不確かなこともあるので注意が必要です。
      • 食物アレルギーに詳しい方や責任者に聞いた方がよいでしょう
    4. 食物アレルギーであることをきちんと伝える工夫をしましょう
      • 注文を受ける店員さんと調理人とは別であることが多いです。調理人にもきちんと情報が伝わるよう、口頭ではなく食物アレルギーコミュニケーションシートなどを利用して確認しましょう。
    5. お店では調理中に原因食物(アレルゲン)が混入することがあります
      • 外食・中食で原因食物の意図しない混入(コンタミネーション)を完全に防ぐことは困難です。外食・中食の利用は、慎重に判断をしましょう。
    6. 誤食を防ぐのは、自分自身であるという意識をもって、外食・中食を楽しみましょう
      • 原因となる食物は人によって違い、微量で発症する人もいれば、少量であれば食べられる人もいます。「食べられる/食べられない」の判断は、最終的に店ではなく、自身または家族が判断しましょう
  • 外食・中食での情報提供
    • 外食・中食では、食物アレルギーに関する情報提供が義務づけられていません。
    • そもそも加工食品のような、食物アレルギー表示に関するルールはありません。一部、自主的に一覧表等で情報提供しているお店もあります。
    • 外食・中食では次のような特徴があるため、お店が提供している情報が、常に正しく、常に最新であるとは限らないことに注意が必要です。
      • 調理や盛りつけ等により同一メニューでも使用される原材料や内容量等のばらつきがある
      • 提供される商品の種類が多く、原材料がよく変わる
      • 調理中に原因食物(アレルゲン)が混入することがある
  • 原因食物の意図しない混入(コンタミネーション)に注意
    • 外食・中食のお店では複数の料理を同時に調理することが多く、アレルギー対応のはずの料理に意図せず原因食物(アレルゲン)が・混入することがあります。
    • 食物アレルギーの症状の重さには個人差があり、微量の混入でも重い症状がでることがあります。外食・中食の利用は医師の指導に従うことが大切です。
    • 利用してよい患者さんであっても、お店では食物アレルギーであることを伝えて調理器具やトング等の使い分けや洗浄が可能か確認しましょう。
    • また、思わぬ症状が起きてしまう可能性を常に意識しておきましょう。
    • コンタミネーションの例
      • まな板や包丁の共有:まな板に付着した微量のえびが他の食材と混入
      • スプーンやトングの共有:他の食材に触れたトングから混入
      • 飲料のノズル:前に注いだ乳飲料がジュースに混入
      • そば粉や小麦粉が舞うことによる混入:粉が舞い混入
  • 外食・中食で行われている自主的な取組とは?
    • 食物アレルギーのあるお客様に対する取組を自主的に始めているお店もあります。※外食・中食では、原因食物(アレルゲン)の混入を完全に防ぐことは難しく、患者さんおよび保護者は慎重に判断することが必要です
      1. 居酒屋
        • 予約のときに食物アレルギーの相談をされたら、その原材料を含まない料理に差し替えています。
        • この場合、アレルゲンが含まれているかわからない加工食品は原材料として使いません。
      2. 洋菓子店
        • 何が食べられないか、症状の程度等を事前によく聞いて、アレルゲンを使用しないケーキを提供しています。
        • 作るときには、アレルゲンが混入しないよう、他のケーキと同じ器具を使わないなどの対策をしています。
      3. 中食事業者
        • 調理する商品のアレルゲンは、店頭のQRコードからアクセスできるホームページで確認できます。
        • 店頭スタッフには、間違った情報を答えると命に関わること、お客様自身に確認してもらうことを徹底して教えています
  • 誤食の事例
    • 間違った情報や不十分な情報等によって、原因食物(アレルゲン)を含む食品を食べてしまう事故が生じています。場合により重篤なアナフィラキシーに至ることもあります。
    • 外食・中食を利用するときには、そもそも食物アレルギー表示のルールがないことを知ったうえで、アレルゲンの使用状況等をよく確認し、食物アレルギーであることをきちんとお店に伝えましょう。
      1. 事例:確認不足(店による対応の違い)アレルギー:卵
        • アレルギー対応のハンバーグをアレルギーの子どもが食べられたと友人に聞き、そのチェーン店の別の店で子どもに食べさせたところアナフィラキシーを発症した。
        • (原因)店によってアレルギー対応のメニューが異なり、店員に確認せずに注文したことが問題であった。
      2. 事例:確認不足(家族が食べる料理のアレルゲン使用状況)アレルギー:卵、乳
        • 家族が注文した合鴨のロースのソテーを、子どもが欲しがったので一切れ食べさせた。ところが、なめただけですぐに泣き出し、顔が大きく腫れてしまった。
        • (原因)ソテーのソースに卵とバターが使われていた。注文のときに、家族の料理を含めてアレルゲンの使用や混入がないか確認していないことが問題であった。
      3. 事例:お店における情報共有の不備 アレルギー:果実類
        • レストランに食物アレルギーがあることを伝え、対応を確認した上で予約した。当日の料理を見て、ソースに果物が使われている等の不安を感じた母親が、何度も店に確認したことで、アレルゲンを使っていることがわかり、誤食を防げた。
        • (原因)予約を受け付けたスタッフが、シェフに食物アレルギーのことを伝えていなかったことが問題であった

~NEW~
国民生活センター トイレの修理で予想外の 高額請求に注意!
  • 突然発生するトイレ詰まり。焦って格安をうたう業者に修理を頼むと、思わぬトラブルに発展する可能性が!
  • 修理を頼む前に、【自分でできる応急処置】
    • 応急処置をして、落ち着いてから修理業者に見積もりや修理を依頼しましょう
      • 水漏れの場合
        • 止水栓を時計回りにコインやドライバーなどで閉めると、その給水管の水が止まります。
      • 詰まった場合
        • ラバーカップで詰まった水を吸い上げるように数回上下させると、詰まりが解消することがあります。
  • トラブルを避けるためにできること
    • 修理依頼前
      • インターネット上の広告が安価だからといって、実際の請求金額が安く済むとは限りません。
      • 複数社から見積もりをとり、作業内容や料金をよく確認しましょう。
      • 出張や見積もりが、有料か無料かを確認することも大切です。
    • 修理見積時
      • 事業者が見積もりに来た時に、当初想定していた料金よりも高額な作業を提案されるなど、少しでも不安に感じたら、作業を断りましょう。
    • 修理完了後
      • 作業終了後に高額請求を受けた場合は、後日納得した金額で支払う意思があることを伝え、その場での支払いはきっぱり断りましょう。支払いを断ったとき、事業者の態度に身の危険を感じることがあれば、すぐ警察に連絡しましょう。
  • 普段から、急を要するトラブルに備えておこう
    • 賃貸住宅の場合
      • 大家や管理会社に緊急時の対応について事前に相談しておくと安心です。
    • 持ち家の場合
      • 安心して依頼できる事業者の情報を日頃から集めておきましょう。
  • こんなことも知っておこう!
    • 料金を支払った後でも、以下のような場合はクーリング・オフができる可能性があります。
    • 見積もりのために呼んだ事業者と、その場で契約した場合
    • 広告などの表示金額と実際の請求金額が大きく異なる場合

~NEW~
国民生活センター 増加する中古自動車の売却トラブル-強引な勧誘やキャンセル妨害も-
  • 全国の消費生活センター等に寄せられる中古自動車(以下、「中古車」という)の売却に関する2021年度の相談件数は前年度の1.25倍となっており、2022年度も増加傾向にあります。
  • PIO-NETをみると、「査定時に強引に契約させられ、車を持っていかれた」「契約後すぐにキャンセルを申し出たら、高額なキャンセル料を提示された」など、強引な勧誘やキャンセル時のトラブル等に関する相談が寄せられています。
  • そこで、中古車の売却について多く寄せられる相談事例を紹介し、トラブルの未然防止のため消費者への注意喚起等を行います。
  • PIO-NETにみる中古車の売却に関する相談件数 2021年度同期件数(2022年1月31日までの登録分)は1,076件
  • 年度別相談件数:2018年度は1,151件、2019年度は1,229件、2020年度は1,211件、2021年度は1,519件、2022年度は2023年1月31日までで1,157件です。
  • 相談事例
    • 強引な勧誘・契約
      • 【事例1】査定時に強引に契約させられ、車を持っていかれた。
      • 【事例2】事業者が居座り帰らない様子だったので、やむなく契約してしまった。
      • 【事例3】勝手に契約したことにされていて、断ったらキャンセル料を請求された。
    • 高額なキャンセル料の請求
      • 【事例4】契約後すぐにキャンセルを申し出たら、高額なキャンセル料を提示された。
      • 【事例5】高額なキャンセル料の算出明細が示されない。
    • 契約後の査定額の減額
      • 【事例6】修復歴を告げ、2回も査定して決まった売却額が、突然減額された。
      • 【事例7】引き渡した10日後に、事業者から一方的に契約を解除すると言われた。
  • 増加の背景等
    • 新車販売台数の減少と中古車買い取りの強化。
    • 契約当事者の高年齢化。
  • 問題点
    • 十分な情報を持たない消費者に対して、その場で強引に契約を迫る。
    • 高額なキャンセル料の設定やキャンセル妨害。
    • 契約後に査定額を減額する。
    • 事業者が訪問した場合でも、車の売却は特定商取引法の規制対象外である。
  • アドバイス
    • 査定の場では契約せず、一度冷静に考えましょう。
    • キャンセル条項など、事前に契約書をしっかり確認しましょう。
    • 査定サイトに書き込んだ情報で、複数社から勧誘されることがあります。
    • 修復歴や事故歴を事前に適切に告げていた場合、契約後の修復歴等を理由とした契約の解除や減額には応じる必要はありません。

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国民生活センター 「消費生活センターにおける解決困難事例の研究~起業・副業をめぐる消費者トラブルの被害救済を中心に~」調査報告<結果・概要>
  • 起業・副業に関連する消費者トラブルは、若年層を中心に増加傾向です。解決困難な事例も目立つことから、消費生活センターのあっせんにおいてよりよい解決が図れる策はないか等について、現状や取組例等を調査し、報告書をまとめました。
  • 調査結果のポイント
    • 起業・副業をめぐる消費生活相談等の現況
      • 起業・副業をめぐる消費生活相談は、若者を中心に寄せられ、増加傾向。
      • なかでも副業サポート契約について解決困難に陥る事例が目立つ。
      • 解決困難に至る主な特徴は、事業者が(1)あっせんに非協力的、(2)連絡が取れない。
      • 上記の場合でも、クレジットカード決済の場合には、決済関係事業者の対応で解決に至ることもあるが、銀行振込、現金払いの場合は解決が困難。
    • 起業・副業関連の消費者トラブルの弁護士受任事例の現状
      • 消費生活センターのあっせん不調事例でも、裁判までせず交渉で解決する例が多い。
      • 連絡が取れない事業者は解決が困難だが、支払手段によっては被害回復できることもある。
    • 都道府県・政令市消費生活センターへの調査
      • アンケート調査
        • 調査対象:47都道府県、20政令指定都市の消費生活センターまたは担当課67カ所
        • 調査方法:電子メール
        • 有効回答数:56、有効回答率:83.6%
        • 調査時期:2022年11月~12月
      • 調査の結果
        • あっせんに非協力的な事業者への対応は決済関係事業者への対応要請、繰り返しの連絡が重要。
        • 連絡不能な事業者への対応は決済関係事業者や国民生活センターへの問合せが重要。
        • あっせん不調時の対応は弁護士・弁護士会、弁護団、警察、国民生活センターADRにつなぐことが重要。
      • ヒアリング調査(解決につながった取組例)
        • あっせんに応じない事業者に条例に基づく対応の要請を行う(大阪市消費者センター)
        • 解決困難な事例で振込に関係する金融機関に一報する(北九州市立消費生活センター)
        • あっせん不調事例を弁護団につなぐ(埼玉県消費生活支援センター)
  • 今後の被害救済に向けて
    • あっせんに非協力的な事業者への対応は決済関係事業者の対応、ノウハウの共有が重要。
    • 連絡不能な事業者への対応は警察や金融機関の理解と協力、SNSのアカウント情報の開示に期待。
    • あっせん不調時の対応は弁護団、ADR等へのつなぎ、特商法等の事業者指導部門との連携が重要。

~NEW~
国民生活センター ADRの実施状況と結果概要について(令和4年度第4回)
  • 国民生活センター紛争解決委員会によるADRの実施状況と手続結果の概要について公表する。
  • 実施状況(平成29年度~令和5年1月末日)
    • 平成29年度累計申請件数 172件
    • 平成30年度累計申請件数 177件
    • 令和元年度累計申請件数 204件
    • 令和2年度累計申請件数 166件
    • 令和3年度累計申請件数 136件
    • 令和4年度累計申請件数 122件
  • 結果の概要
    • 紛争解決委員会(第58回会合、2月20日開催)での審議を踏まえ、結果の概要を公表。
      • 出張配管洗浄サービスの料金に関する紛争(31)
      • コンサルタント契約の解約に関する紛争(26)
      • 通信販売の定期購入に関する紛争(60)
      • 太陽光発電システムに関する紛争(8)
      • アフィリエイト契約の解約に関する紛争(10)
      • 通信販売の価格表示等の誤りに関する紛争
      • 脱毛エステの返金に関する紛争(19)
      • 生命保険の解約の有効性に関する紛争(3)
      • 住宅リフォーム工事の解約に関する紛争(10)
      • 通信講座の解約に関する紛争(2)
      • クレジットカードの不正利用に関する紛争(55)
      • 手術の解約料に関する紛争
      • コンサルタント契約の解約に関する紛争(27)
      • 語学教室の解約に関する紛争(6)
      • 結婚相手紹介サービスの解約に関する紛争(14)
      • スポーツジムの中途解約に関する紛争(5)
      • 出張配管洗浄サービスの料金に関する紛争(32)
      • 語学教室の解約に関する紛争(7)
      • タレント等養成スクールの解約に関する紛争(18)

~NEW~
厚生労働省 第5回今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会
▼資料5 今後の仕事と育児の両立支援について(論点案)
  1. 子が3歳までの両立支援について
    • 現行の育児休業制度や短時間勤務制度の単独措置義務は維持しつつも、現在、努力義務となっている出社・退社時間の調整などに加えて、テレワークを努力義務として位置づけることとしてはどうか。
    • 短時間勤務が困難な場合の代替措置の一つに、テレワークも設けてはどうか。
    • 短時間勤務について、希望者のニーズが多様であり、子の年齢によっても変化するところ、原則6時間とする現行の規定をどう考えるか。原則6時間という規定を維持した上で、他の勤務時間の設定を促していくか、原則6時間という規定自体を見直す余地はあるか。
  2. 子が3歳以降小学校就学前までの両立支援について
    • 子の年齢に応じて、短時間勤務、フルタイムで働きながらテレワークや、出社・退社時間の調整、休暇などを活用した柔軟な働き方に対するニーズが変わっていく中で、育児との両立が可能となるよう、これらの制度の活用を促進する方法として、何が考えられるか。
    • 業種・職種などにより、職場で導入できる制度も様々であることから、これらの制度の中から、各職場の事情に応じて事業主が措置を講じる義務を設けることとしてはどうか。
    • 平成22年以前の勤務時間等短縮措置制度を参考としつつ、事業主が措置を選択する制度としてはどうか。その際、労働者が、短時間勤務だけでなく柔軟な働き方をしながらフルタイムで働ける制度の選択ができるようにするために、例えば、事業主が複数の制度を選択して措置することも考えられるのではないか。
    • 選択をする際には、労働者からのニーズを把握することは重要と考えられるところ、労働者からの意見の聞き方としてはどのようなものがあるか。
    • あわせて、現在3歳まで請求できる残業免除(所定外労働の制限)について、3歳以降小学校就学前まで請求を可能とすることや、上記の事業主が選択する措置の一つとすることなどが考えられるのではないか。
  3. 子の看護休暇について
    • 現行の子の看護休暇について、適用年齢、取得日数、取得目的について、見直しが必要な点はあるか。
  4. 子が小学校就学以降の両立支援について
    • 子が小学校就学以降においては、職場全体での残業のない働き方や柔軟な働き方が進めば、育児のために特化した支援が一律に必要な場面は少なくなると考えられる。そうした中でも、小学校就学以降の子を育てる労働者にとっても、子の看護などのニーズも踏まえて、休暇も活用しながら働き方を柔軟にできるような見直しが必要か。
    • その場合、小学校就学以降、対象年齢はどこまでが適当か。
  5. 勤務時間帯に関する課題について
    • 両立支援において、勤務時間帯に関する問題もある。職種や業種によって状況は様々であることから、一律の制限はなじまないと考えられるが、職場での取組を進めていくために、どのような在り方が考えられるか。
  6. 両立支援制度の円滑な利用を通じ、次世代育成支援対策を促進することについて
    • ヒアリングを通じて把握してきた好事例等の内容を踏まえれば、各職場の労使で共有し、又は取り組むことが望まれるものとして、以下が考えられるのではないか。他に考えられるものはないか。
    • 育児休業取得時や短時間勤務活用時等の業務の分担や代替要員確保に関する企業としての方針(本人及び周囲の労働者に対する周知方法を含む)
    • 育児休業からの復職後に復帰するポジションに関する納得感の向上に向けた取組(原職や原職相当への復帰や、意欲・能力を活かす仕組み)
    • 育児休業期間や短時間勤務などを活用してる期間の評価の在り方
    • 育児休業取得者等の周囲の労働者に対するマネジメントや評価の在り方
    • 制度利用者本人のキャリア形成・能力開発の観点や、円滑な制度利用のために周囲の労働者の業務見直しや評価等への配慮を行うことで職場でのあつれきが生じないようにする観点から、上司に向けた情報提供や研修
    • 男女ともに、育児・家事を含む生活時間を確保する観点からの取組(例:夫婦間の役割分担の見直しを促す取組)
    • 多様な状況にある子や親の両立支援に関する取組
    • 両立支援に対するニーズの把握に向けたトップダウン・ボトムアップ・当事者間のつながりによるコミュニケーション手段の多様化 等
    • これらについて、令和7年3月末で失効する次世代育成支援対策推進法を延長した上で、同法において策定が義務付けられている一般事業主行動計画を活用し、PDCAサイクルにより数値目標等を踏まえて推進することで、企業行動の見直しを促していくことは考えられないか。
    • 育児休業等を活用する場合に、育児休業取得者の代替要員の雇用や、周囲の労働者による支援をする場合に、代替要員の負担を軽減するような助成措置について、どのように考えるか。
  7. 障害児等を育てる親の両立支援に対する支援について
    • 子に障害がある場合や医療的ケアを必要とする場合にどのような支援が必要かということについては、子の障害等の状況が多様であることや、障害等のない子を育てる場合や高齢者の介護と比較した場合の仕事と育児・介護の両立支援の課題が異なりうることなどに留意しつつ、今後、仕事と介護の両立支援に関する検討も行った上で、引き続き議論してはどうか。
  8. その他
    • 令和3年改正育児・介護休業法の着実な施行に向け、引き続き取り組んでいくことが重要ではないか。
    • 産後パパ育休等の施行
    • 個別周知・意向確認 プライバシーの取扱いにおいてさらに留意が必要な点はあるか。
    • 育児休業取得状況の公表

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厚生労働省 新しい時代の働き方に関する研究会 第1回資料
▼資料3 経済社会と働き方の変化等について
  • 日本の人口は、減少局面を迎えている。今後は「15~64歳」の現役世代の減少が更に進む見込み。
  • 団塊の世代が全て75歳となる令和7(2025)年には、65歳以上が全人口の30%となる。令和22(2040)年には、人口は1億1,092万人に減少し、65歳以上は全人口の35%となる。
  • 65歳以上人口は、平成12(2000)年から令和7(2025)年にかけて急増。令和7(2025)年から令和22(2040)年にかけては増加が緩やかになる。20歳~64歳人口は、令和7(2025)年から令和22(2040)年にかけて減少が更に進む。
  • 非製造業(第三次産業)での就業者が増加。
  • 第三次産業(サービス産業)がGDP(国内総生産)に占める割合は、昭和45(1970)年が全体の約5割であったのに対し、現在では全体の約7割に高まってきている。
  • 日本の一人当たりの名目GDPは、令和3(2021)年には3万9,803ドルとなった(OECD加盟国の中で第20位)。
  • 近年では女性・高齢者の労働参加が進んだこともあり、労働力人口・就業者数は令和元(2019)年まで増加傾向。令和2(2020)年以降はコロナの影響により増加傾向に鈍化がみられる。人手不足の状況は、コロナ禍で一時的に過剰方向となった後、産業間で差がみられつつ不足感が高まり、令和4(2022)年に入り更に人手不足感が高まっている。
  • 転職者数や入職率・離職率の推移をみると、コロナ禍では労働移動の鈍化がみられる。転職者数は、平成22(2010)年以降、増加傾向にあり、平成28(2016)年以降は300万人を越える水準で推移しているものの、コロナの影響により足下では減少している。入職率・離職率の推移をみると、平成25(2013)~令和元(2019)年は入職率が離職率を上回る水準で推移したものの、コロナの影響により令和2(2020)年は入職率・離職率ともに大きく低下している。
  • 転職入職率の推移をみると、全体は概ね10%前後で推移している。年によって変動はありつつも、経年でみて20代の転職入職率が高い。
  • 入職者に占める転職者の割合は、全体で平成3(1991)年~平成18(2006)年にかけてやや上昇した後、6割程度を横ばいに推移している。企業規模別でみると、規模が小さいほど入職者に占める転職者の割合が高い傾向にあるが、近年は企業規模300人以上の企業において上昇傾向。
  • 1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与の推移をみると、令和3(2021)年分は約443万円となっており、平成14(2002)年分とほぼ同じになっている。
  • 59歳までは、年齢が高くなるほど、平均給与が高くなる傾向に大きな変化はない。
  • 給与所得者(1年を通じて勤務した給与所得者)の構成比の推移をみると、一貫して300万円超400万円以下の階級が多く、400万円以下の層が5割を占める。
  • 正規の職員・従業員は6割、パート・アルバイトが3割弱を占める。
  • 従業者規模別雇用者数の推移をみると、500人以上規模の企業の雇用者数が増加傾向にある一方で、1~29人規模の企業の雇用者数が減少傾向にある。
  • 賃金制度(体系)については、管理職層、非管理職層ともに役割・職務給の導入率が増加。非管理職層においては、年齢・勤続給の導入率が減少。
  • 日本は、「就業率」や「失業率」などの指標は良い一方、労働時間や仕事の内容等に関する決定権等で計られる「仕事上の重荷」という指標や「労働生産性成長率」はOECD平均を下回っている。
  • 日本企業の従業員エンゲージメントは、世界全体でみて低い。
  • 高度な教育を受けた労働者の日本に対する魅力度は、38カ国中22位となっている。
  • 企業が雇用管理を定める場合にイメージする「人生100年時代」としては、従業員の勤続がより長期化するとともに、従業員の介護負担の増加などから働き方への配慮がより求められるといった内容であった。
  • 企業が考える人生100年時代に求められる能力としては、「自ら考え、行動することのできる能力」、「柔軟な発想で新しい考えを生み出すことのできる能力」等の割合が高くなっている。
  • 情報開示が最も進んでいるものは「女性社員活用」であり、それに続くのが「仕事・介護両立支援」と「仕事・育児両立支援」といったワークライフバランス関連。「有給取得促進」と「残業削減」からなる労働時間分野は、取組状況はワークライフバランス関連と遜色がないものの、情報開示はやや遅れている。
  • 日本国内株への投資を行う際に、「労働関係の法令違反の有無」、「人材育成・教育訓練の取り組み」を考慮する機関投資家の割合が高い。
  • 機関投資家の「開示要望比率」(「ぜひ開示」+「開示されていれば参考」)は、「メンタルヘルスによる休職者数」(59.4%)、「労働時間、勤務場所の柔軟化」(59.4%)、「従業員の健康維持・増進」(58.8%)、「従業員のキャリア形成」(57.1%)が相対的に高い。
  • 労働生産性が高い産業での就業者数の大きな増加はみられていない。産業別に労働生産性(1時間当たり)と就業者数の長期的な推移をみると、「製造業」では、就業者数は減少しているが労働生産性は上昇している。「情報通信業」では、就業者数の変化はほぼみられない中で労働生産性が大幅に上昇している。
  • 高スキル職業や低スキル職業の就業者割合が増加する一方、中スキル職業の就業者割合は減少している。他方で、日本は、ドイツ、アメリカ等と比べて、高スキル職業の増加幅も、中スキル職業の減少幅も小さい。
  • 専門性の高い職業やコミュニケーションを必要とする職業等の増加が見込まれている一方、一般事務や総務・人事・経理等の定型業務が多いと思われる職業の減少が予想されている。同様に、会計・財務・税務、定型的な書類作成、労務管理、スケジュール調整、製造・組立等、上記同様、定型的な業務を中心に代替希望が強い。
  • AI等を活用している企業や、新技術に対応した組織改編等を行っている企業において、柔軟な働き方を積極的に導入している傾向がある。
  • アウトソーシングを行っている企業割合の推移をみると、製造委託以外の業務委託が増えている。環境・防犯関連、物流関係、税務・会計、情報処理といった専門的なサービスが外部委託されている。その他にも、一般事務処理といった定型的な業務や、研究開発関連の高度な業務等幅広い分野で外部委託が進んでいる。
  • テレワークについて、産業では「情報通信業」などで、企業規模別では企業規模が大きいほど導入率が高い。総務省「通信利用動向調査」により、テレワーク導入状況の推移をみると、令和2(2020)年は前年から大幅に割合が上昇しており、令和3(2021)年もその割合が維持されている。令和2(2020)年8月末時点において、産業別にみると、「情報通信業」などでテレワークを導入している企業の割合が高く、企業規模別にみると、企業規模が大きいほど導入している割合が高くなっている。
  • 就業者のテレワーク実施率を地域別にみると、令和3(2021)年4月以降は東京都23区で5割台、地方圏で2割台の水準で推移している。
  • 就業者のテレワーク実施率を業種別にみると、「情報通信業」、「電気・ガス・水道業」などで実施率が高い。
  • 緊急事態宣言発出前後ともに労働者代表がいなかったとき、テレワーク実施割合は低い。生産性については、緊急事態宣言発出前に労働者代表がなくても、発出後に労働者代表が存在したことで21.3%が生産性は向上したと回答している。仕事満足についても、労働者代表が存在している場合に高くなっている。特に、発出前になかった労働者代表が緊急事態宣言発出に伴い新たに設置されたケースでは、仕事満足割合は高い。
  • 正規雇用では副業を持っている割合は小さいが、持ちたいと希望している割合は大きく、半数を超える。非正規雇用でも「副業を持ちたいが持っていない」とする割合が大きく、5割近くを占める。
  • 正規雇用では副業を持つことを禁止されている割合が大きく、非正規雇用では自身の勤め先で副業を持つ制度があるかどうかを認知していない割合が大きい。
  • 年収別に副業に関する意識をみると、年収が低い層で副業を保有する割合が大きい。年収が高い層で副業を持ちたいと思わない層の割合が大きい。
  • 副業動機の中で最も高い項目は「副収入(趣味に充てる資金)を得たいから」で70.4%。大きく6つに分類した副業動機を相対的に比較すると「収入補填」が最も高い。
  • 過去20年にわたる就業価値観の変化をみると、会社の発展のために尽くすといった意識は減少傾向にあり、ワークライフバランスへの意識が高まってきている。一方、7割が現在の業務に満足していると回答している。
  • テレワーク業務の実施者は、会社への貢献意識や余剰時間を活用した資格取得への意向が高く、就業への満足度が高い。
  • 大学生に働きたい組織の特徴を調査した結果、「若く新しい企業」よりも、「歴史や伝統がある企業」が支持されている。また、「リスクをとり、チャレンジングな事業成長を目指している」ことよりも、「安定し、確実な事業成長を目指している」ことが支持されている。
  • 大学生に働きたい組織の特徴を調査した結果、「短期で成長できるが、体力的・精神的なストレスもかかる」よりも、「短期での成長はしにくいが、体力的・精神的なストレスがかからない」が支持されている。
  • 「全国や世界など、幅広い地域で働く」よりも「特定の地域で働く」が支持されている。「自分のやりたいことを起点に、個人のイニシアティブで働くことが求められる」よりも「組織の目的や目標に向けて、チームで働くことが求められる」が支持されている。「仕事と私生活は区別なく、一体として働ける」よりも「仕事と私生活のバランスを自分でコントロールできる」が支持されている。「コミュニケーションは希薄で、個人の自由に任せる」よりも「コミュニケーションが密で、一体感を求められる」が支持されている。
  • 若者(中学生、高校生、大学生)の労働価値観について、
    • 「外的報酬に対する欲求」に関して、より高い報酬を得たいという欲求は強い傾向にある。
    • 「内的報酬に対する要求」は、外的報酬に対する欲求と比べて総じて強い。
    • 「ハードワークに対する許容度合い」においては、許容度が低い傾向にある。特に、「やりたい仕事であれば精神的にきつくても仕方がない」と思わない若者は、他の2設問に比べて相対的に多い。
  • 好きな時間に働く、好きな場所で働く、といった自由な働き方を希望する人は、この6年の間に20~30代社員で増加傾向。特に20代前半には多く、令和4(2022)年には約52%が好きな時間、約44%が好きな場所で働くことを希望。
  • 雇用者が今後働く中で、具体的に伸ばしていきたい特定のスキルや能力を3つまで選んでもらったところ、「特にない」が最も多く、次いで「ITを使いこなす一般的な知識・能力」、「コミュニケーション能力・説得力」という結果であった。
  • 雇用者の自発的な学習意欲は令和4(2022)年4月調査以降、緩やかながら低下し続けているが、大きな差はない。自己啓発を「行っている」「行っていないが、始めたいと思っている」者を対象に、その目的を複数回答で聞いたところ、「現在の仕事に必要な知識・能力を身につけるため」が最も多く、次いで「将来の仕事やキャリアアップに備えて」が多くなっている。
  • リスキングについて、企業規模別にみてみると、従業員数1,001名以上の大企業では「取り組む必要がある」が86%となっており、301~1,000名の中堅企業では71%となっている。300名以下の中小企業では、「取り組む必要がある」は64%となっており、企業規模が大きいほどリスキリングに取り組む必要性があると感じている企業が多い。リスキリングに「取り組む必要はないと考える理由」については「他の優先課題がある」が最多で39%、次いで「事業戦略上特に必要がない」が30%、「取り組みを進められる人材が社内にいない」が26%などとなっている。
  • 「どのポストまで昇進したいか」という問に対して、男女計で最も多かったのは「専門職<スペシャリスト>」(17.3%)、続いて「どうでもよい」(16.0%)であった。男女差が大きく、昇進志向は低下しているものの男性で多い回答は「部長」(18.6%)、「社長」(18.4%)である一方、女性で多い回答は「専門職<スペシャリスト>」(22.7%)、「どうでもよい」(19.0%)となっている。
  • 大学生の意識調査において、男女ともに共働き希望が増加しており、育児休業をとって積極的に子育てをしたい男性の割合も年々増加している。
  • 「心の病」の年代別割合について、令和元(2019)年までは10~20代が増加し、30、40代は横並びとなっていたが、直近では30代との回答が再び増加・両年代を10ポイント超上回り最多となった。
  • 「総合主観満足度」(※現在の生活にどの程度満足しているか)、「雇用と賃金」及び「仕事と生活」への満足度すべてにおいて、現在の仕事にやりがいを感じている人ほど、満足度は高い。仕事にやりがいを感じていない者(0~2点)と非常に仕事にやりがいを感じている者(8~10点)の満足度の差は非常に大きく、仕事のやりがいが満足度に大きな影響を及ぼしている。
  • 具体的にどのようなことに仕事のやりがいを感じるのかを複数回答で尋ねたところ、「努力や成果が収入に反映されること」、「お礼や感謝の言葉をもらうこと」、「仕事の成果を認められること」と回答した人の数が多かった。
  • 年収が高いほど、雇用と賃金に対する満足度が高い。

~NEW~
経済産業省 特許庁・INPIT及び日本弁理士会は日本商工会議所と連携し、地域の「稼ぐ力」向上に資する知財経営の支援体制を充実化させます!~知財経営支援ネットワーク構築への共同宣言実施~
  • 特許庁・INPIT及び日本弁理士会は、「知財経営支援のコア」を形成し、日本商工会議所と連携して「知財経営支援ネットワーク」を構築し、地域の中小企業・スタートアップへの知財経営支援の強化・充実化に取り組むため、4者で共同宣言を行いました。
  • 目的
    • 大企業に比して保有する経営資源の少ない中小企業・スタートアップにとって、技術やノウハウ、アイデア、さらにはデザイン、ブランドといった知的財産は重要な経営資源であり、知的財産を強みとしていかした経営(知財経営)への「気づき」と「支援強化」が必要です。
    • 今般、知財経営支援のコアである特許庁、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)、日本弁理士会と、日本商工会議所による「知財経営支援ネットワーク」を構築するために、2023年3月24日(金曜日)、4者で共同宣言を行いました。
    • 今後、「知財経営支援ネットワーク」を通じて、地域の中小企業・スタートアップへの知財経営支援を強化・充実化し、地域の「稼ぐ力」の向上に取り組みます。

~NEW~
経済産業省 「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」を改訂しました
  • 経済産業省では、サイバー攻撃の多様化・巧妙化に伴い、サイバーセキュリティ対策における企業等の経営者のさらなるリーダーシップの発揮などが求められていること等を踏まえ、サイバー攻撃から企業を守る観点で、経営者が認識する必要がある事項等をまとめた「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」を改訂しました。
    • 背景・趣旨
      • 経済産業省では、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)とともに、サイバー攻撃から企業を守る観点で、経営者が認識する必要がある事項及び経営者が情報セキュリティ対策を実施する上での責任者となるCISO(Chief Information Security Officer:最高情報セキュリティ責任者)等に指示すべき事項をまとめたサイバーセキュリティ経営ガイドラインを策定し、その普及を行ってまいりました。
      • 昨今、サイバー攻撃は多様化・巧妙化しており、また、サプライチェーンを介したサイバーセキュリティ関連被害の拡大を踏まえた、サプライチェーン全体を通じた対策の推進の必要性が高まっているなど、各企業等においては、組織幹部が自らの果たすべき役割を認識した上で、リーダーシップを発揮し、更なる対策の強化や適切に対応することなどが求められております。
      • こうした現状等を踏まえ、有識者や関係者を交えた研究会を開催し、そこでの検討を踏まえ、サイバーセキュリティ経営ガイドラインの改訂を行いました。
    • 改訂のポイント
      • 有識者からの御意見やパブリックコメントにおける御意見等を踏まえ、主に以下の内容について改訂を行っています。
        • 経営者が認識すべき3原則について、取引関係にとどまらず、国内外のサプライチェーンでつながる関係者へのセキュリティ対策への目配り、総合的なセキュリティ対策の重要性や社外のみならず、社内関係者とも積極的にコミュニケーションをとることの必要性等の追加・修正を行いました。
        • 指示5について、サイバーセキュリティリスクの識別やリスクの変化に対応した見直しやクラウド等最新技術とその留意点などについて、追記・修正を行いました。
        • 指示8について、事業継続の観点から、制御系も含めた業務の復旧プロセスと整合性のとれた復旧計画・体制の整備やサプライチェーンも含めた実践的な演習の実施等について追記・修正を行いました。
        • 指示9について、サプライチェーンリスクへの対応に関しての役割・責任の明確化、対策導入支援などサプライチェーン全体での方策の実行性を高めることについて追記・修正を行いました。
        • 指示10について、有益な情報を得るためには適切な情報を提供することも必要であることを強調しつつ、被害の報告・公表への備えをすることやステークホルダーへの情報開示について追記・修正を行いました。
        • その他、全体的な見直しを行いました。
      • また、本改訂に合わせて、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)において、サイバーセキュリティの実践状況をセルフチェックで可視化いただける「サイバーセキュリティ経営可視化ツール」(Excel版、Ver2.0)への改訂を行っております。
▼サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver3.0

~NEW~
経済産業省 家電リサイクル法に基づく引取義務違反に係る勧告等を行いました
  • 経済産業省及び環境省は、賃貸物件オーナーに家電4品目を販売する株式会社レオパレス21(本社:東京都中野区)に立入検査等を行った結果、賃貸物件オーナーから排出された特定家庭用機器廃棄物(以下「廃家電4品目」という。)を引き取っていない事実を確認しました。
  • 本件は、特定家庭用機器再商品化法(以下「家電リサイクル法」という。)第9条に基づく小売業者の引取義務違反※に該当することから、両省は第16条第1項に基づき、同社に対し、排出者から廃家電4品目の引取りを求められたときは、これらを引き取るべき旨の勧告等を行いました。
    • ※小売業者は、家電リサイクル法第9条に基づき、自らが過去に販売した、又は買換えの際に引取りを求められた家電4品目について、排出者から引取りを求められたときは、これらを引き取らなければならない。
  • 家電リサイクル法について
    • 家電リサイクル法は、廃家電4品目(家庭用エアコン、テレビ(ブラウン管式、液晶式・プラズマ式)、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)に関して、排出者に対して適正排出と費用負担(収集運搬料金とリサイクル料金)を求めるとともに、小売業者に対して排出者からの引取り及び製造業者等への引渡しの義務を課し、製造業者等に対して指定引取場所における引取り及び再商品化等の義務を課しています。
    • 小売業者に対して排出者からの引取り義務及び製造業者等への引渡し義務を課しているのは、消費者との接点となる小売業者がその役割を担うことによって、廃家電4品目が効率的かつ適正に回収され、最終的にリサイクル(再商品化)を実施する製造業者等に引き渡されることで、廃家電4品目の適正な処理と資源の有効利用が確保されるためです。
  • 経緯・事実確認
    • 株式会社レオパレス21(以下「レオパレス21」という。)は、自らが管理する賃貸物件オーナーに対して家電4品目の小売販売を行っており、家電リサイクル法上の小売業者に該当する者です。
    • 同社から家電リサイクル法上の小売業者に該当するか否かの疑義照会を受けたことなどをきっかけに、レオパレス21本社(東京都中野区)に対して、経済産業省及び環境省が立入検査を行ったところ、賃貸物件オーナーから排出された廃家電4品目について、同社が家電リサイクル法の小売業者としての引取義務を果たしていないことが判明しました。
    • 具体的には、令和2年4月以降、レオパレス21は、テレビ4,616台、冷蔵庫18,290台、洗濯機10,146台、エアコン66,388台(※)について、小売業者としての引取義務を果たしていませんでした。
      • ※テレビ・冷蔵庫・洗濯機は令和4年8月までの台数、エアコンは令和4年7月までの台数
  • 家電リサイクル法に基づく対応
    • 家電リサイクル法に基づく勧告及び報告徴収
      • 本件は、家電リサイクル法第9条の規定に基づく小売業者の引取義務違反に該当することから、経済産業大臣及び環境大臣は、レオパレス21に対し、令和5年3月23日付けで同法第16条第1項の規定に基づく勧告を行うとともに、同法第52条の規定に基づき報告を求めました。
        1. 勧告及び報告徴収の名宛人
          • 株式会社レオパレス21 代表取締役社長 宮尾 文也
        2. 勧告の内容
          • 家電リサイクル法第9条の規定に基づき、「自らが過去に販売した家電4品目」又は「買換えの際に引取りを求められた家電4品目」について排出者から引取りを求められたときに、これらを引き取ること。
          • 廃家電4品目を引き取ったときは、自ら当該廃家電4品目を機器として再度使用する場合、又は機器として再度使用し、若しくは販売する者に有償若しくは無償で譲渡する場合を除き、家電リサイクル法第10条に基づき製造業者等に当該廃家電4品目を引き渡すこと。
        3. 報告を求めた事項
          • 令和5年3月からの1年間における、全支店(営業所等)の毎月の廃家電4品目の引取り及び引渡しの状況
          • 令和5年3月からの1年間における、家電リサイクル券の適切な運用、委託先の管理体制の構築及びコンプライアンス体制の強化を含む家電リサイクル法違反についての再発防止策の四半期ごとの実施状況
        4. 報告期限
          • 当該月の翌月末まで
          • 当該四半期の末月の翌月末まで
  • 賃貸管理業の業界団体等を通じた注意喚起
    • 家電リサイクル法の遵守を図るため、経済産業省及び環境省では、賃貸管理業の業界団体を対象に、小売業者向けのリーフレット等も活用しつつ、家電リサイクル法に基づく廃家電4品目の適正な引取り及び引渡しについての周知徹底を図ります。
    • また、他の小売業者に対しても、小売業者の団体を通じ、適正な引渡しについての周知を行います。

~NEW~
経済産業省 令和4年度「なでしこ銘柄」を選定しました~女性活躍推進に優れた上場企業17社を選定!~
  • 本日、経済産業省は、東京証券取引所と合同で、女性活躍推進に優れた上場企業を「なでしこ銘柄」として、全17業種から1社ずつ、合計17社選定しました。今回から、調査※に回答していただいた企業の定量データやなでしこ銘柄選定企業の事例集をホームページに掲載することで、企業の取組を見える化し、資本市場や労働市場へのより一層のPRを図っていきます。
    • ※企業の女性活躍推進に関する実態を把握するための「女性活躍度調査」に御回答いただいた結果を元に「なでしこ銘柄」を選定しています。
  • なでしこ銘柄とは
    • 女性活躍推進に優れた上場企業を「なでしこ銘柄」として選定し、中長期の企業価値向上を重視する投資家にとって魅力ある銘柄として紹介することにより、こうした企業への投資家の関心を一層高め、各社の女性活躍推進に向けた取組を一層加速化させていくことを狙いとしています。
    • なでしこ銘柄の選定に当たっては、東京証券取引所の上場企業のうち312社から御応募いただき、女性活躍に関する定量的なデータや、企業の女性活躍推進に係るトップのコミットメント、経営戦略上の位置づけや開示の状況等について御回答いただいた上で、各社の取組を総合的に評価し、業種毎に最も優れた1社、「なでしこ銘柄」として、17社選定しました。なお、11回目の選定となる今回は、近年の企業による人的資本を含む非財務情報の開示のあり方に関する議論を踏まえ、経営戦略と連動した女性活躍推進を行う企業を選定するとともに、女性活躍推進に関する情報開示を促進することを目指して、リニューアルを行いました。
    • 具体的には、今回は、各社の女性活躍状況に関する定量調査票に加え、自社の経営戦略の中で女性活躍推進をどう位置付け、その取組みの成果をどのように企業価値向上につなげているか、企業独自のストーリーを記載いただく定性調査票をご提出いただき、定量的なデータと定性的な情報の双方を基に評価を行いました。
  • なでしこ銘柄選定企業
    • 令和4年度「なでしこ銘柄」の選定企業は以下のとおりです。
      • 味の素株式会社
      • 出光興産株式会社
      • 株式会社LIXIL
      • 株式会社資生堂
      • 大塚ホールディングス株式会社
      • 株式会社アイシン
      • 古河電気工業株式会社
      • 株式会社小松製作所
      • 富士通株式会社
      • 株式会社メンバーズ
      • 東京瓦斯株式会社
      • 株式会社商船三井
      • 双日株式会社
      • 株式会社丸井グループ
      • 株式会社千葉銀行
      • SOMPOホールディングス株式会社
      • 三井不動産株式会社
▼令和4年度「なでしこ銘柄」レポート
  • 令和4年度「なでしこ銘柄」選定企業17社群における株価指数平均とTOPIX平均の比較
    • 令和4年度「なでしこ銘柄」の選定企業17社について、株価指数を試算しました。データの範囲は平成25年2月から令和5年2月までの10年間を対象とし、月次の終値(調整後)に基づいています。平成25年2月の終値(調整後)を100としたときの推移をTOPIXと比較しています。
    • 平成29年頃から「なでしこ銘柄」選定企業の方が株価指数が高い傾向がみられ、コロナウイルス感染拡大の影響を受けた後も「なでしこ銘柄」選定企業の回復力がうかがえます。
  • 令和4年度「なでしこ銘柄」選定企業17社群の売上高営業利益率と配当利回りを東証一部銘柄の平均値と比較したもの
    • 令和3年度通期の売上高営業利益率(営業マージン)は「なでしこ銘柄」が市場の平均値を2.6%ポイント上回っています。
    • 令和3年度通期の配当利回りについても、「なでしこ銘柄」は東証一部平均と比較して2.8%ポイント上回る結果となりました。
  • 定量調査のスコアリング項目について、今年度の選定企業の平均値及び全回答企業の平均値を比較しました。
    • 選定企業と全回答企業間で、執行役員以上の女性比率においては特に差が付いている一方、採用や、管理職以下の役職の女性比率に大きな差はなく、多くの企業がキャリアの初期段階から女性登用に力を入れている状況がみられました。
    • 選定企業・回答企業ともに、内閣府が令和5年1月に公表したプライム市場の企業における役員、執行役員の比率に比べて高い値となっており、女性活躍に取り組む企業が意思決定層への女性の登用を進めている様子がうかがえます。
  • 定量調査のスコアリング10項目について、全回答企業の平均値、及び業種別の平均値を下記表にまとました。
    • 「女性取締役比率」(14.8%)と「女性社内取締役比率」(4.5%)の差が大きいことから、取締役比率の高さは、社外取締役による部分が大きく、社内で昇進した女性はまだまだ少ないことがうかがえます。
    • ほとんど全ての業種で、「女性正社員比率」に比べ「女性正社員採用比率」が高いことから、近年積極的に女性社員の採用活動に取り組む企業が多いことがわかります。
    • 多くの業種で、正社員、係長相当、管理職、執行役員、社内取締役に昇進にするにつれ、女性の割合が下がっており、各職階の昇進パイプラインから女性が抜け落ちている状況が伺えます。このような中、正社員の比率を上回る割合で係長相当職に引き上げ、より上位の昇進パイプライン構築に向けて取組みを加速している企業もみられます。
    • 女性正社員の育児休業等からの復帰率はどの業種においても概ね高い割合になっています。しかしこの数値が高い業種において必ずしも女性社内取締役比率が高いわけではなく、育休の利用普及など、女性が長く働き続ける環境づくりの取組みだけではいわゆる「マミートラック」への誘因につながる可能性もあることが推察されます。意思決定層における女性の活躍推進を促すためには、就業の継続だけを目的とするのではなく、企業が積極的に育成し引き上げていく取組みが重要です。
  • 定量調査のスコアリング項目のうち、「係長相当職のうち、課長相当職に昇進した比率の男女差異」「管理職のうち、執行役員に昇進した比率の男女差異」の2項目では、男性を100%とした場合の女性の数字を計算しています。男女の昇進比率が同様の場合、100%と計算されます。女性の比率が男性より高い場合、100%を越える数字になります。全回答企業の分布は下記です。
    • 「係長相当職のうち、課長相当職に昇進した男女差異」について、回答企業のうち、「50%以上100%未満」の企業は34.7%を占め、最も多くなっています。100%未満の回答が65.3%を占め、女性の昇進比率が男性より低い傾向が分かります。
    • 「管理職のうち、執行役員に昇進した男女差異」について、全体の74.5%の企業が0%(昇進した男性は存在するが女性は一人もいない)である一方、女性が男性の倍以上になる(200%以上)企業も15%を占めています。
    • 母数が少ない中で男性以上の割合で、積極的に女性を執行役員に登用する企業も見られます。
  • 定量調査の非スコアリング項目の平均値と、定性調査において記載のあった、各社の女性活躍推進に関する指標の傾向については下記です。
    • 女性管理職比率については、10期前・5期前から着実に増加していることが読み取れます。
    • 各社で重視している女性活躍推進の指標については、役員・管理職や採用・全社員の女性比率を指標としている企業が半数以上を占めており、意思決定層の女性比率やパイプラインの強化を意識していることが読み取れます。

~NEW~
経済産業省 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書統合報告書の公表について
▼AR6統合報告書の政策決定者向け要約(SPM)の概要
  • 現状と傾向
    • A.1 人間活動が主に温室効果ガスの排出を通して地球温暖化を引き起こしてきたことには疑う余地がなく、1850~1900年を基準とした世界平均気温は2011~2020年に1.1℃の温暖化に達した。世界全体の温室効果ガス排出量は増加し続けており、持続可能でないエネルギー利用、土地利用及び土地利用変化、生活様式及び消費と生産のパターンは、過去から現在において、地域間にわたって、国家間及び国内で、並びに個人の間で不均衡に寄与している(確信度が高い)。
    • A.2 大気、海洋、雪氷圏、及び生物圏に広範かつ急速な変化が起こっている。人為的な気候変動は、既に世界中の全ての地域において多くの気象と気候の極端現象に影響を及ぼしている。このことは、自然と人々に対し広範な悪影響、及び関連する損失と損害をもたらしている(確信度が高い)。現在の気候変動への過去の寄与が最も少ない脆弱なコミュニティが不均衡に影響を受ける(確信度が高い)
    • A.3 適応の計画と実施は全ての部門及び地域にわたって進展しており、その便益と様々な有効性が文献で報告されている。進展があるにもかかわらず、適応のギャップが存在し、現在の適応の実施の速度では今後も拡大し続ける。一部の生態系と地域では、ハードな(変化しない)適応の限界及びソフトな(変化しうる)適応の限界に既に達している。適応の失敗は一部の部門と地域で生じている。現在の世界全体の適応のための資金フローは、特に途上国において、適応オプションの実施には不十分であり、その実施を制約している(確信度が高い)。
    • A.4 緩和に対処する政策及び法律は、AR5以降一貫して拡充してきている。2021年10月までに発表された「国が決定する貢献(NDCs)」によって示唆される2030年の世界全体のGHG排出量では、温暖化が21世紀の間に1.5℃を超える可能性が高く、温暖化を2℃より低く抑えることが更に困難になる。実施されている政策に基づいて予測される排出量と、NDCsから予測される排出量の間にはギャップがあり、資金フローは、全ての部門及び地域にわたって、気候変動目標の達成に必要な水準に達していない。(確信度が高い)
  • 長期的な気候変動、リスク、及び応答
    • B.1 継続的な温室効果ガスの排出は更なる地球温暖化をもたらし、考慮されたシナリオ及びモデル化された経路において最良推定値が短期のうちに1.5℃に到達する。地球温暖化が進行するにつれて同時多発的なハザードが増大する(確信度が高い)。大幅で急速かつ持続的な温室効果ガスの排出削減は、約20年以内に地球温暖化の識別可能な減速をもたらし、数年以内に大気組成に識別可能な変化をもたらすだろう(確信度が高い)。
    • B.2 将来のいかなる温暖化の水準においても、気候関連リスクの多くはAR5での評価よりも高く、予測される長期的影響は現在観測されている影響よりも最大で数倍高い(確信度が高い)。気候変動に起因するリスクと予測される悪影響、及び関連する損失と損害は、地球温暖化が進行するにつれて増大する(確信度が非常に高い)。気候及び非気候変動リスクはますます相互作用し、より複雑で管理が困難な、複合的かつ連鎖的なリスクを生み出す(確信度が高い)。
    • B.3 将来変化の一部は不可避かつ/又は不可逆的だが、世界全体の温室効果ガスの大幅で急速かつ持続的な排出削減によって抑制しうる。突発的かつ/又は不可逆的な変化が起こる可能性は、地球温暖化の水準が高くなるにつれて増加する。同様に、可能性は低いが潜在的に非常に大きな悪影響を伴う結果が起こる確率は、地球温暖化の水準が高くなるにつれて増加する。(確信度が高い)
    • B.4 今日実現可能で効果的な適応オプションは、地球温暖化の進行に伴い制限され、効果が減少する。地球温暖化の進行に伴い、損失と損害が増加し、より多くの人間と自然のシステムが適応の限界に達する。適応の失敗は、柔軟で多部門にわたる包摂的な長期計画と適応行動の実施によって回避でき、多くの部門とシステムへの共便益(コベネフィット)を伴う。(確信度が高い)
    • B.5 人為的な地球温暖化を抑制するには、正味ゼロのCO2排出量が必要である。温暖化を1.5℃又は2℃に抑制しうるかは、主に正味ゼロのCO2排出を達成する時期までの累積炭素排出量と、この10年の温室効果ガス排出削減の水準によって決まる(確信度が高い)。追加的な削減対策を講じていない既存の化石燃料インフラに由来するCO2排出量は、1.5℃(50%)の残余カーボンバジェットを超えると予測される(確信度が高い)。
    • B.6 オーバーシュートしない又は限られたオーバーシュートを伴って温暖化を1.5℃(>50%)に抑える全てのモデル化された世界全体の経路、そして温暖化を2℃(>67%)に抑える全てのモデル化された世界全体の経路は、この10年の間に全ての部門において急速かつ大幅な、そしてほとんどの場合即時のGHG排出量の削減を伴っている。世界全体でのCO2排出量正味ゼロは、これらのカテゴリーの経路においてそれぞれ2050年代初頭及び2070年代初頭に達成される。(確信度が高い)
    • B.7 温暖化が1.5℃などの特定の水準を超えたとしても、世界全体で正味負のCO2排出量を実現し持続させることによって、温暖化を徐々に再び低減させうるだろう。この場合、オーバーシュートしない経路に比べて、二酸化炭素除去(CDR)の追加的な導入を必要とし、実現可能性や持続可能性に関する懸念を拡大させるだろう。オーバーシュートは悪影響を伴い、その一部は不可逆的であり、人間と自然のシステムにとって追加的なリスクをもたらす。このような影響及びリスクは全てオーバーシュートの規模と期間とともに拡大する。(確信度が高い)
  • 短期的な応答
    • C.1 気候変動は人間の幸福と惑星の健康に対する脅威である(確信度が非常に高い)。全ての人々にとって住みやすく持続可能な将来を確保するための機会の窓が急速に閉じている(確信度が非常に高い)。気候にレジリエントな開発は、適応と緩和を統合することで全ての人々にとって持続可能な開発を進展させ、特に脆弱な地域、部門及び集団に向けた十分な資金源へのアクセスの改善、包摂的なガバナンス、協調的な政策を含む国際協力の強化によって可能となる(確信度が高い)。この10年間に行う選択や実施する対策は、現在から数千年先まで影響を持つ(確信度が高い)。
    • C.2 この10年の間の大幅で急速かつ持続的な緩和と、加速化された適応の行動によって、人間及び生態系に対して予測される損失と損害を軽減し(確信度が非常に高い)、とりわけ大気の質と健康について、 多くの共便益(コベネフィット)をもたらすだろう(確信度が高い)。緩和と適応の行動の遅延は、排出量の多いインフラのロックインをもたらし、座礁資産とコスト増大のリスクを高め、実現可能性を低減させ、損失と損害を増加させるだろう(確信度が高い)。短期的な対策は、高い初期投資及び潜在的に破壊的な変化を伴うが、それらは様々な可能とする政策によって軽減しうる(確信度が高い)。
    • C.3 大幅かつ持続的な排出削減を達成し、全ての人々にとって住みやすく持続可能な将来を確保するためには、全ての部門及びシステムにわたる急速かつ広範囲に及ぶ移行が必要である。これらのシステム移行は、緩和と適応のオプションの広範なポートフォリオの大幅なアップスケールを伴う。実現可能で、効果的かつ低コストの緩和と適応のオプションは既に利用可能だが、システム及び地域にわたって差異がある。(確信度が高い)
    • C.4 気候変動の影響の緩和と適応における加速的かつ衡平な行動が、持続可能な開発に不可欠である。緩和行動及び適応行動は、持続可能な開発目標とのトレードオフよりも相乗効果を多く持つ。相乗効果とトレードオフは、文脈と実施の規模に依存する。(確信度が高い)
    • C.5 衡平性、気候正義、社会正義、包摂および公正な移行のプロセスを優先することで、適応と野心的な緩和の行動、気候にレジリエントな開発を可能にする。適応の成果は、気候ハザードに対する脆弱性が最も高い地域と人々に対する支援の増強によって向上する。気候変動への適応を社会保障制度に組み込むことによってレジリエンスが改善される。排出量の多い消費を削減するためのオプションは多数あり、それらは行動変容と生活様式の変化を通したものを含み、社会的な幸福との共便益(コベネフィット)を伴う。(確信度が高い)
    • C.6 効果的な気候行動は、政治的な公約、十分に調整された多層的なガバナンス、制度的枠組、法律、政策及び戦略、並びに資金と技術へのアクセスの強化によって可能となる。明確な目標、複数の政策領域にわたる協調、包摂的なガバナンスのプロセスによって効果的な気候行動が促進される。規制手段及び経済的手段は、そのスケールアップと広範な導入によって、大幅な排出削減および気候レジリエンスを支えうる。多様な知識の活用は気候にレジリエントな開発に有益である。(確信度が高い)
    • C.7 資金、技術、及び国際協力は、気候行動を加速させるための重大な成功要因である。気候目標が達成されるためには、適応及び緩和の資金はともに何倍にも増加させる必要があるだろう。世界の投資のギャップを埋めるのに十分な国際資本が存在するが、資本を気候行動に向けるにあたって障壁がある。技術革新システムの強化は、技術や実践の広範な導入を加速化する鍵となる。国際協力の強化は多数の手段(チャネル)を通して可能である。(確信度が高い)

~NEW~
経済産業省 「キャッシュレスの将来像に関する検討会」のとりまとめを行いました
  • 経済産業省は、2022年9月より「キャッシュレスの将来像に関する検討会」を開催し、その議論内容を「キャッシュレスの将来像に関する報告書」としてとりまとめました。
    1. 背景
      • 経済産業省は、2018年4月に策定した「キャッシュレス・ビジョン」に基づき、キャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度にするという目標を掲げ、キャッシュレス決済の推進に取り組んでいます。
      • これまで、キャッシュレス・ポイント還元事業等を通じ、店舗・消費者双方に対してキャッシュレス決済の利用を促進しており、2021年のキャッシュレス決済比率は32.5%となる等、キャッシュレス決済の普及は着実に進展しつつあります。2022年3月の「キャッシュレス決済の中小店舗への更なる普及促進に向けた環境整備検討会」とりまとめでは、更なるキャッシュレス決済の利用拡大のためには、「キャッシュレス決済を店舗が納得して選択できる環境整備」と「キャッシュレスを利用できる環境における、消費者のキャッシュレス利用促進」の双方を並行的に進めることが必要とされました。
      • 2022年9月より開催された「キャッシュレスの将来像に関する検討会」では、消費者への実態調査等により日本のキャッシュレス化の現状を確認するとともに、キャッシュレス化の社会的意義、足元の動向や今後想定される技術・ビジネス環境の変化等を見据えたキャッシュレスの将来像、目標とすべき新たな指標等について、検討を行いました。
    2. とりまとめ概要
      • 2021年のキャッシュレス決済比率は32.5%ですが、実施した実態調査では、日常生活において「7~8割程度以上キャッシュレスを利用する」と回答した人が全体の54%を占めるなど、消費者の中にキャッシュレスが広く浸透していることがわかりました。
      • キャッシュレス推進の社会的意義は、「人々と企業の活動」に密接に関わる「決済」を変革することで、現金決済に係るインフラコストの削減や業務効率化・人出不足対応等の既存の課題を解決し、データ連携・デジタル化や多様な消費スタイルの創造など、新たな未来を創造するものと捉えています。
      • キャッシュレスによって目指す社会は、支払に特別な意識を払わずとも行える決済が広がり、データがシームレスに連携されるデジタル社会とし、個人、事業者、行政という3つのステークホルダーの視点から整理しました。
      • 目指す姿の実現に向けた取組の方向性としては、(1)2025年までにキャッシュレス決済比率を4割程度に、(2)最終的には決済のフルデジタル化という段階的目標に向け、「消費者・加盟店への周知・広報」に加え、「競争環境整備」、「付加価値サービスの開発」、「取引の自動化・効率化」、「認証手段の高度化」、「企業・行政DXの推進」というアクション毎に実施主体と内容を提示しました。各実施主体とともに国も連携して着実に実行していくことが重要です。
      • 本報告書の内容が、業界をはじめとした関係者に広く共有され、日本のキャッシュレス化の現状の理解が広がるとともに、キャッシュレス化の社会的意義、足元の動向や今後想定される技術・ビジネス環境の変化等を見据えたキャッシュレスの将来像、目標とすべき新たな指標等について認識が深まることで、キャッシュレス決済がさらに普及していくことを期待します。
▼キャッシュレスの将来像に関する検討会 とりまとめ

~NEW~
総務省 令和5年版「地方財政の状況」(地方財政白書)
▼令和5年版「地方財政の状況」(地方財政白書)のポイント
  • 令和3年度決算の概況
    • 歳入 128兆2,911億円(前年度比1兆7,562億円減、1.4%減)
    • 通常収支分 127兆1,431億円(前年度比1兆452億円減、0.8%減)
    • 東日本大震災分 1兆1,480億円(同7,109億円減、38.2%減)
    • 歳出 123兆3,677億円(前年度比2兆911億円減、1.7%減)
    • 通常収支分 122兆4,000億円(前年度比1兆5,385億円減、1.2%減)
    • 東日本大震災分 9,677億円(同5,526億円減、36.4%減)
      • 歳入の主な増減要因
        • 〔減少〕特別定額給付金給付事業費補助金の減等による国庫支出金の減少(前年度比5兆3,841億円減)
        • 〔増加〕国税収入の補正等に伴う普通交付税の増等による地方交付税の増加(同2兆5,159億円増)
      • 歳出の主な増減要因
        • 〔減少〕特別定額給付金事業の終了等による補助費等の減少(前年度比8兆287億円減)
        • 〔増加〕子育て世帯等臨時特別支援事業等の新型コロナウイルス感染症対策に係る事業費の増等による扶助費の増加(同3兆1,333億円増)
  • 主な財政指標
    • 経常収支比率 88.1%(5.7ポイント低下)※比率が高いほど財政構造の硬直化が進んでいることを示す。
    • 実質公債費比率 7.6%(0.2ポイント低下)※比率が高いほど公債費負担の割合が大きいことを示す。
  • 将来の財政負担
    • 普通会計が負担すべき借入金残高 190兆9,546億円(前年度比1兆4,082億円減、0.7%減)
  • 最近の地方財政をめぐる諸課題への対応
    • 新型コロナウイルス感染症への対応 (令和3年度・令和4年度における対応等、保健所等の恒常的な人員体制の強化)
    • 物価高騰への対応 (令和4年度における予備費・補正予算等の対応、公共施設等に関する対応)
    • デジタル田園都市国家構想等の推進 (デジタル田園都市国家構想の推進、地方公共団体のDXの推進・マイナンバー制度の利活用の推進等、地方創生の推進)
    • 地域の脱炭素化の推進 (公共施設等の脱炭素化の推進、ESG投資の拡大への対応)
    • 防災・減災、国土強靱化及び公共施設等の適正管理の推進 (防災・減災、国土強靱化の推進、公共施設等の適正管理の更なる推進)
    • 社会保障制度改革 (社会保障の充実と人づくり革命、全世代対応型の持続可能な社会保障制度の構築、こども・子育て支援の強化)
    • 財政マネジメントの強化 (地方公会計の整備・活用の推進及び地方財政の「見える化」の推進、公営企業の経営改革、DX・GX等の新たな課題に対応した地方公共団体の経営・財務マネジメントの強化)
    • 地方行政をめぐる動向と地方分権改革の推進 (第33次地方制度調査会について、多様な広域連携の推進、地方公務員行政に係る取組、地方分権改革の推進)

~NEW~
総務省 Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会(第8回)
▼資料8-3 アンダーソン・毛利・友常法律事務所御発表資料
  • 「プライバシー」に関する見解
    • 憲法、民法に跨って議論されているものの、その内容は依然として明確ではない。
    • 「個人が私生活において他者からの干渉や侵害を受けない自由」
    • 自己情報コントロール権(佐藤)
    • 自己イメージコントロール権(棟居)
    • 自己情報の適正な取扱いを求める権利(音無)
    • 裁判例では、「プライバシー」という言葉を用いずに、問題となっている法益の内容を直接議論することもある。
  • プライバシー侵害が認められるための要件
    • (1)私生活上の事実または私生活上の事実らしく受け取られるおそれのある事柄であること、(2)一般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立った場合公開を欲しないであろうと認められる事柄であること、(3)一般の人々に未だ知られていない事柄であること、の3要件を充足するかを検討(「宴のあと」事件 東京地判昭和39年9月28日)。
    • プライバシーの利益が公表する利益を上回っているかを検討。ファクターとして、(1)「当該事実の性質および内容」(2)「伝達される範囲と具体的被害の程度」(3)「社会的地位や影響力」(4)「記事の目的や意義」(5)「社会的状況」(6)「記載する必要性」(7)「媒体の性質」等を考慮することが多い(最判平成15年3月14日、最決平成29年1月31日、最判令和2年10月9日)。
  • 「中の人」の情報の暴露でプライバシー侵害が認められた裁判例
    • 「そもそも着ぐるみや仮面・覆面を用いて実際の顔を晒すことなく芸能活動をする者もいるところ、これと似通った活動を行うVチューバーにおいても、そのVチューバーとしてのキャラクターのイメージを守るために実際の顔や個人情報を晒さないという芸能戦略はあり得るところであるから、原告にとって、本件画像が一般人に対し公開を欲しないであろう事柄であったことは十分に首肯できる」うえ、原告がそのVチューバーであることを積極的に公開しておらず、所属事務所との間でも一個人として生身で活動を行うことが禁じられていたことから、「原告は本件画像の公開を欲していなかったことが認められる」とし、結論として特定のVチューバーの演者であるとわかる形で、演者の顔写真を公開したことにつき、プライバシー侵害の成立を肯定している(東京地判令和3年6月8日)。
  • 「中の人」の情報の暴露でプライバシー侵害が認められた裁判例
    • Vチューバ―に関する本名や年齢が投稿された事件では、「本名や年齢は個人を特定するための基本的な情報であるところ、インターネット上で本名や年齢をあえて公開せずにハンドルネーム等を用いて活動する者にとって、これらの情報は一般に公開を望まない私生活上の事柄であると解することができるから、本件投稿は原告のプライバシーを侵害するものであったと認められる」と判示している(東京地判令和2年12月22日)。
  • アバターに対する誹謗中傷
    1. 従前のオンライン活動における「中の人」に対する誹謗中傷
      • ハンドルネームでの交流が予定されているBBS(電子掲示板)の参加者間で誹謗中傷が発生し、名誉毀損の成否が裁判で争われた裁判例では、ハンドルネームに対する誹謗中傷だけでは、通常は、誰に対する誹謗中傷かが明確とならないことから、「人」の社会的評価を低下させたといえず、名誉毀損は成立しないが、ハンドルネームと本人との結びつきが社会的に明白である、あるいは、ハンドルネームが本人の通称として認知されている場合は、例外的に、誰に対する誹謗中傷であるかが明確といえ、名誉毀損が成立しうるとされていた。
      • SNSのなりすましをめぐって、当該人物がユーザーネームを20年間以上使用していたことを根拠に、ユーザー名に対する誹謗中傷をもって、当該人物に対する誹謗中傷であるとして、名誉毀損の成立を認めた裁判例がある(東京地判令和2年12月9日)。
    2. Vチューバーの「中の人」に対する誹謗中傷
      • Vチューバーの場合には「アバターの人格やキャラ付けの設定を行う人」「アバター(2D)の絵を描く人」「アバター(3D)のモデルをつくる人」がいて、できあがったアバターに声をあて、モーションアクターとして動いてみせる「中の人」がいる、というパターンが存在する。
      • 「原告が所属する芸能プロダクションであるaプロダクションには多数のVTuber(著者注:原文ママ。以下引用部分について同様。)がタレントとして所属しているところ,その中で「B」として活動しているのは原告のみであり、また、上記プロダクションがVTuberのキャラクターを製作する際には、当該キャラクターとして活動する予定のタレントとの間で協議を行った上で、当該タレントの個性を活かすキャラクターを製作していることが認められる」(東京地判令和3年4月26日)
      • 「以上のような事情に加えて、「B」の動画配信における音声は原告の肉声であり、CGキャラクターの動きについてもモーションキャプチャーによる原告の動きを反映したものであること」、「『「B」』としての動画配信やSNS上での発信は、キャラクターとしての設定を踏まえた架空の内容ではなく、キャラクターを演じている人間の現実の生活における出来事等を内容とするものであること…も考慮すると、VTuber「B」の活動は、単なるCGキャラクターではなく、原告の人格を反映したものであるというべきである」。そのうえで、原告の行動に対して行われた投稿が、当該原告本人に対する批判的な意見であることを認定し、かつ、投稿内容が社会通念上許される限度を超えて原告を侮辱するものであり、名誉感情を侵害しているとの結論を導いている(東京地判令和3年4月26日)
      • 「原告は、配信活動等を行うに当たっては、原告の氏名(本名)を明らかにせず、「X1’」の名称を用い、かつ、原告自身の容姿を明らかにせずに架空のキャラクターのアバターを使用して、YouTubeに動画を投稿したり、ツイッターにツイートしたりしている。そして、「X1’」であるとする架空のキャラクターを使用し、X1’につき、××海賊団の船長であるなどのキャラクターを設定しているものの、「X1’」の言動は、原告自身の個性を活かし、原告の体験や経験をも反映したものになっており、原告が「X1’」という名称で表現行為を行っているといえる実態にある」こと等を踏まえれば、「「X1’」としての言動に対する侮辱の矛先が、表面的には「X1’」に向けられたものであったとしても、原告は、「X1’」の名称を用いて、アバターの表象をいわば衣装のようにまとって、動画配信などの活動を行っているといえること、本件投稿は「X1’」の名称で活動する者に向けられたものであると認められる」として、名誉毀損の成立を認めた(大阪地判令和4年8月31日)。
    3. 「中の人」に対する誹謗中傷と認められる基準にまつわる課題
      • 令和3年判決では「タレントの個性を活かすキャラクター」「音声は原告の肉声」「モーションキャプチャーによる原告の動きを反映」「発信は、キャラクターとしての設定を踏まえた架空の内容ではなく、キャラクターを演じている人間の現実の生活における出来事等を内容とするものである」ことに着目、令和4年判決では「(Vチューバーの)言動は、原告自身の個性を活かし、原告の体験や経験をも反映したもの」であることに着目する。
      • メタバースのアバターについては、現実世界の本人とメタバースのアバターとは距離を置く傾向があるため、「中の人の個性を活かすキャラクター」とは言い難い場合もある反面、Vチューバーのように身ばれ防止のため、一定のフィクションを混ぜることが多いとも言えない状況があり、Vチューバーとは異なる基準を検討する必要があるように思われる。
    4. アバターとしての表情・挙動・言動に対する誹謗中傷
      • 将来的な課題として、「中の人」との同一性が認められない状況において、アバターそのものつまり、キャラクター又は脚本に沿った表情・挙動・言動に対する言説につき名誉毀損等が成立するかどうかという点も問題となり得る。
      • Vチューバーについては、このような状況を誹謗中傷として取り締まれないとしたら、メタバース上の誹謗中傷を野放しにすることにもなりかねないとして、「中の人」が誰だかわからない状況においても、名誉毀損が成立しうると考えるべきという見解も見られる。
  • アイデンティティ権をめぐる裁判例
    • 平成29年判決は、SNSで登録者名を被害者と同じにし、プロフィール写真に被害者の顔写真を利用したアカウントで、被害者の社会的評価を低下させる投稿をしていた事案において、「他者から見た人格の同一性に関する利益の内容、外縁は必ずしも明確ではなく、氏名や肖像を冒用されない権利・利益とは異なり、その性質上不法行為法上の利益として十分に強固なものとはいえないから、他者から見た人格の同一性が偽られたからといって直ちに不法行為が成立すると解すべきではなく、なりすましの意図・動機、なりすましの方法・態様、なりすまされた者がなりすましによって受ける不利益の有無・程度等を総合考慮して、その人格の同一性に関する利益の侵害が社会生活上受忍の限度を超えるものかどうかを判断して、当該行為が違法性を有するか否かを決すべきである。」とする基準を示したうえで、結論として、アイデンティティ権侵害については、違法性を否定した。
    • アイデンティティ権侵害を認めない理由として、当該SNSの登録者名及びプロフィール写真は自由に変更できるもので、本人との結びつきが必ずしも強いとは言えないこと、名誉権及び肖像権の侵害による不利益は不法行為法で別途カバーされていること、当該なりすましが当該SNS内のみでおこなわれ、期間も1ヶ月程度にとどまり、また、第三者によるなりすましではないかという指摘もみられたことを挙げている。
    • メタバースにおけるアバターのなりすましについても、このアイデンティティ権による保護を考えうる。上記の裁判例で示された各ファクターについても、アバターのなりすましに妥当しやすいように思われ、これらを参考に検討することが考えられる。
  • 肖像権をめぐる裁判例
    • 肖像権は、裁判例において、実在の人物の容姿がみだりに公開されないための権利として認められてきたが、これまでの判断は、いずれも人物の生身の顔や姿を撮影・描画されるケースについて示されており、覆面プロレスラーのように、素顔を見せず、特殊なコスチュームやメイクを施した姿で社会的認知を受けている人物の、その姿についての肖像権等の判断がなされた例は、確認されていないとされている。
    • 他方、Vチューバーの文脈であるが、「中の人」の仮想空間上の身体であるアバターについては、中の人にとって、「分身たるアバターの肖像は、生身の身体に由来するものでなくとも、自己の人格を象徴するものであり、それらをみだりに公開されない人格的利益が保護されるべきである」等とする意見がある 。
  • Vチューバーの肖像権をめぐる議論
    • 「Vtuberにとっては、アバターは『服』のようなものであり、アバターというファッションを全身に纏っているという感覚に近」く、「本人の実際の姿を現しているか・似ているかではなく、本人を識別・特定するものが、その人の「肖像」であるという理解に立てば、Vtuberが用いるCGのアバターが「中の人」の実際の姿、「肉」(体)の顔を全く反映していなくても、彼女・彼の「肖像」と認めることに障害はないはず」とする議論がある(原田伸一朗「バーチャルYouTuberの肖像権―CGアバターの「肖像」に関する権利―」(情報通信学会誌39 No.1(2021))。
    • アバターの肖像と個人の人格との結びつきについては、「中の人」とアバターの対応関係や、演技等を伴わずにアバターを操作する場合と特定のキャラクター設定を演ずる場合等によって、評価が異なる可能性。
  • 肖像権と無断撮影
    • 現実世界で実在の人物を直接撮影する場合、被撮影者の社会的地位、活動内容、撮影の場所、目的、態様、撮影の必要性等を総合考慮し、被撮影者の人格的利益の侵害が社会生活上受忍の限度を超える場合には、肖像権侵害となり得る。
    • 「中の人」の容姿を元に作成されたアバターを無断撮影する場合、撮影された肖像は「中の人」の肖像であることに変わりはないため、実在の人物の生身の容姿を直接撮影する場合と同様に、肖像権侵害となり得るものの、現実世界での撮影について考慮されるファクターが、メタバースでの撮影について考慮すべきファクターとしてそのままスライドさせるべきかについては、検討が必要と思われる。たとえば撮影の場所について、パブリックスペースや公道という概念は、受忍限度の検討において重要だが、メタバースにおいて同様の議論が当てはまるのか?、あるいは、被撮影者であるアバターにカメラが向けられることがない場合は、撮影の事実を認識できていないのではないか?という疑問もあり得る。

~NEW~
国土交通省 「社会的インパクト不動産」の実践ガイダンスを公表します~社会課題解決に取り組む不動産の基本的考え方・実践に向けたポイント等を整理~
  • 国土交通省では、9回にわたり検討会を開催し、「社会的インパクト不動産」の基本的考え方を整理するとともに、不動産に係る社会課題・取組を4段階14課題52項目に整理・類型化を行い、「社会的インパクト」の設定・事前評価の進め方など実践に向けたポイント等をまとめました。
    • ESG投資が年々拡大する中、不動産へのESG投資の規模は約12兆円(2021年)に拡大しています。社会とともにある「不動産」には、企業等が中長期の適切なマネジメントを通じて、様々な課題解決に取り組むことで、「社会的インパクト*」を創出し、社会の価値創造に貢献するとともに、不動産の価値向上と企業の持続的成長を図ることが期待されています。(このような不動産を「社会的インパクト不動産」と定義します。)*取り組みの結果として最終的に生じた社会的な変化・効果のことを指す。
    • このような不動産を評価する制度として、環境や健康等の分野は整備されるも、幅広い社会課題と比較すると十分でないため、事業者が取り組みやすく、投資家・金融機関等にとっても投資判断がしやすい環境を整備するため、今般、社会課題(S)に焦点を当てたガイダンスを策定しました。
    • 今後、本ガイダンスの活用により、「社会的インパクト不動産」に関わる方々の「共通言語」として、企業等と投資家・金融機関等、利活用者・地域・行政等の対話の活性化や、社会課題に対応した不動産に関するファンドの組成・拡大、評価・認証制度の充実・普及が期待されます。(なお、株式会社日本政策投資銀行よりDBJ Green Building認証の改訂方針が公表されました。)
▼「社会的インパクト不動産」の実践ガイダンス掲載HP

~NEW~
国土交通省 入札契約の適正化の取組状況に関する調査結果について~ダンピング対策で進展も、工期設定やスライド条項運用に課題~
  • 国土交通省・総務省・財務省では、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」に基づき、毎年度、公共工事の発注者による入札契約の適正化の取組状況を調査しています。
  • 今般、令和4年度における取組状況に関する調査結果をとりまとめましたので、公表します。
  • 調査対象者
    • 国(省庁等):19機関
    • 特殊法人等:121法人
    • 地方公共団体:47都道府県、20指定都市、1,721市区町村(総計1,928団体)
  • 調査対象時点
    • 令和4年10月1日現在(工事契約実績等については令和3年度の実績)
  • 調査結果-主な項目-
    1. ダンピング対策
      • 低入札価格調査基準価格等の算定式については、標準となる中央公契連モデルが令和4年に改定されたところであるが、全都道府県※など各団体において、この最新の中央公契連モデルの採用や当該モデル以上の水準の独自モデルの使用などが進んでいる。※算定式が非公表である団体を除く。
    2. 工期の設定
      • 工期の設定に当たって休日(週休2日等)を考慮している団体は、特殊法人等・都道府県・指定都市では9割超だが、国では約7割、市区町村では5割未満にとどまる。
    3. スライド条項の運用
      • 単品スライド条項やインフレスライド条項の運用基準を策定している団体は、都道府県・指定都市ではほぼ全て、特殊法人等では約9割だが、国では約6割、市区町村では約3割にとどまる。

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