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危機管理トピックス

G7宮崎農業大臣会合(農水省)/G7サミット及び各閣僚会合における「ジェンダー主流化」の取組状況(内閣府)/G7倉敷労働雇用大臣会合(厚労省)/G7デジタル・技術大臣会合閣僚宣言(経産省)

2023.05.08
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更新日:2023年5月8日 新着34記事

危機管理トピックス

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 春の大型連休に向けて実施いただきたい対策について
  • インターネットバンキングによる預金の不正送金事案が多発しています。
  • 「金融機関のITガバナンスに関する対話のための論点・プラクティスの整理」の改訂(案)への意見募集について
  • コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクション・プログラム(「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」意見書(6))の公表について
  • 「デジタル資産を用いた不公正取引等に関する国際的な規制動向、法規制当局による執行事例、及びマーケットにおける課題の分析調査」報告書の公表について
警察庁
  • 令和5年3月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
  • DDoS攻撃への対策について
外務省
  • スーダン共和国からの邦人等の退避について
  • 在スーダン日本国大使館の一時閉館とジブチにおける臨時事務所の設置について
内閣官房
  • こども未来戦略会議(第2回)議事次第
  • 新しい資本主義実現会議(第17回)
  • 第6回 教育未来創造会議 配布資料
農林水産省
  • G7宮崎農業大臣会合(令和5年4月)
内閣府
  • 男女共同参画会議(第69回)議事次第
  • 月例経済報告(月次)
  • 消費動向調査
消費者庁
  • 人気インテリア家具や雑貨等の公式通信販売サイトを装った偽サイトに関する注意喚起
  • ショッピングモールで勧誘されたウォーターサーバーの契約に関するトラブルにご注意ください!
国民生活センター
  • 偽物が届くインターネット通販トラブルで“代引き配達”の利用が増加しています!!
  • 発泡ポリスチレン製容器にMCTオイルやえごま油等を加えるのはやめましょう-容器が変質・破損するおそれがあります-
  • 気を付けて! スライサーも刃物です
厚生労働省
  • 「不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル」・「不妊治療と仕事との両立サポートハンドフック」を作成しました!
  • 「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」の最新版を公開します~令和5年10月までに最新版のダウンロードをお願いします~
  • G7倉敷労働雇用大臣会合、大臣宣言を公開しました
経済産業省
  • G7群馬高崎デジタル・技術大臣会合を開催しました
  • 「今後の原子力政策の方向性と行動指針」を決定しました
  • 2023年版中小企業白書・小規模企業白書をまとめました
総務省
  • サイバーセキュリティタスクフォース(第43回)
  • 「DX時代における企業のプライバシーガバナンスガイドブックver1.3」 を策定しました
  • 災害時の道路啓開に関する実態調査<結果に基づく勧告>
  • 誹謗中傷等の違法・有害情報への対策に関するワーキンググループ(第6回)配布資料
  • 「2030年頃を見据えた情報通信政策の在り方」二次答申(案)に関する意見募集
国土交通省
  • 国土交通省を名乗るフィッシングサイトに関する注意喚起
  • ドローン情報基盤システムの一部機能において申請情報の閲覧が可能となっていた事象について

~NEW~
金融庁 春の大型連休に向けて実施いただきたい対策について
▼春の大型連休に向けて実施いただきたい対策について(注意喚起)
  • サイバー攻撃被害のリスクの高まりを踏まえ、昨年12月には、関係府省庁の連名にて「年末年始休暇において実施いただきたい対策について(注意喚起)」を発出しましたが、近年ではランサムウェアによるサイバー攻撃被害が国内外の様々な企業・団体等で続き、国民生活に影響が出る事例も発生しております。また、エモテットと呼ばれるマルウェアへの感染を狙う攻撃メールについては、本年3月に活動再開とその新たな手口を確認しており、感染や被害の拡大が懸念される状況にあります。
  • さらに、最近では日本の政府機関・自治体や企業のホームページ等を標的としたDDoS攻撃と思われるサービス不能攻撃により、業務継続に影響のある事案も発生し、国民の誰もがサイバー攻撃の懸念に直面することとなっています。
  • このように依然として厳しい情勢の下での春の大型連休においては、連休中の隙を突いたセキュリティインシデント発生の懸念が高まるとともに、連休後に電子メールの確認の量が増えることで偽装のチェックなどがおろそかになるといった感染リスクの高まりが予想されます。さらに、連休中は、通常と異なる体制等により、対応に遅延が生じたり、予期しない事象が生じたりすることが懸念されます。
  • こうした大型連休がサイバーセキュリティに与えるリスクを考慮し、別紙の対策を参考に、適切な管理策によるサイバーセキュリティの確保について、サプライチェーンも含めてご検討をお願いいたします。
  • あわせて、不審な動き等を検知した場合は、被害拡大防止等の観点から、速やかに所管省庁、セキュリティ関係機関及び警察に対してご連絡・ご相談ください
  • セキュリティ対策の実施に関する責任者における実施事項
    1. 長期休暇期間前の対策
      • 長期休暇期間中のセキュリティインシデント発生時の対処手順及び連絡体制の確認
        • 長期休暇期間中ではセキュリティインシデントをリアルタイムで認知しづらく対応が遅れがちとなる。そのため、セキュリティインシデントに即応できるよう長期休暇期間中の監視体制を確認し、必要に応じ、システムアラート、各種ログ等の監視体制を強化すること。
        • セキュリティインシデントを認知した際に迅速かつ円滑に対応することができるよう、セキュリティインシデントを認知した際の対処手順(事業継続計画等)の内容を再度確認すること。
        • セキュリティインシデントを認知した際における連絡体制(情報セキュリティインシデントを認知した際における対応等の決定権者及び担当者等の連絡先、連絡が取れなかった場合の予備の連絡先)が最新の情報に更新されていることを確認すること。
        • システムベンダ(保守業者を含む)、回線業者、外部サービス提供者、データセンタ事業者等のサポート窓口やサプライチェーン企業の営業状況、連絡先(夜間・休日等の通常営業時間帯以外の連絡先を含む。)等を確認すること。
        • 情報システムを利用する職員等に対して、セキュリティインシデントを認知した場合の報告窓口を周知すること。
      • バックアップ対策の実施
        • システムの不具合やランサムウェア等の不正プログラムによるデータ破壊に備えて、重要なデータや機器設定ファイルに対するバックアップ対策を実施するとともに、最新のバックアップが確実に取得されていること、バックアップデータから実際に復旧できることを確認すること。また、バックアップデータはネットワークから切り離し、変更不可とするなどの対策を検討すること。
      • アクセス制御に関する対策
        • この機にアクセス権限の確認、多要素認証の利用、不要なアカウントの削除等により、本人認証を強化するとともに、個々の利用者にパスワードが単純でないか確認させること。
        • インターネット等外部ネットワークからアクセス可能な機器へのアクセスは必要なものに限定し、管理機能、ポート(例えば、ファイル共有サービス等によく利用される137(TCP/UDP)、138(UDP)、139(TCP)、445(TCP/UDP)、リモートデスクトップ等で利用される3389(TCP)など)及びプロトコルを不必要に開放していないことを確認すること。
      • ソフトウェアに関する脆弱性対策の実施
        • 脆弱性対策の状況を確認し、必要に応じてセキュリティパッチの適用やソフトウェアのバージョンアップを行うとともに、直ちに実施することが困難な場合はリスク緩和策を講ずること。休暇期間中に公表された重要な脆弱性情報について遅滞なく確認、対応の検討が行われる体制としておくこと。
        • セキュリティパッチの適用やソフトウェアのバージョンアップについて、やむを得ず長期休暇期間前に実施できない場合、長期休暇期間明け直後は業務システムへのアクセス集中が予想されることから、事前に実施時期のスケジュールを検討すること。
      • 利用機器・外部サービスに関する対策
        • 外部からの不正アクセスを防止する観点から、機器(サーバ、パソコン等、通信回線装置、特定用途機器(防犯カメラなど)等)のファームウェアを最新のものにアップデートすること。また、長期休暇期間中に使用しない機器の電源を落とすこと。また、機器に自動起動機能を設定している場合は、長期休暇期間中の設定の要否を検討すること。
        • この機に使用しない外部サービスの無効化の要否を検討すること。
      • 職員等への注意喚起の実施
        • 情報システムを利用する職員等に対して、後述する<情報システムを利用する職員等における実施事項>を含む長期休暇期間に伴うサイバーセキュリティ確保の観点から留意すべき事項について、注意喚起を実施すること。
    2. 長期休暇期間明けの対策
      • 長期休暇期間中に電源を落としていた機器に関する対策
        • 長期休暇期間中に電源を落としていた機器は、不正プログラム対策ソフトウェア等の定義ファイルが最新の状態となっていないおそれがあることから、端末起動後、最初に不正プログラム対策ソフトウェア等の定義ファイルを確認し、最新の状態になっていない場合は更新作業を実施してから、利用を開始すること。
      • ソフトウェアに関する脆弱性対策の実施
        • 長期休暇期間中における脆弱性情報を確認し、必要に応じてセキュリティパッチの適用やソフトウェアのバージョンアップを行うとともに、直ちに実施することが困難な場合はリスク緩和策を講ずること。
      • 不正プログラム感染の確認
        • 長期休暇期間中に持ち出しが行われていたパソコン等が不正プログラムに感染していないか、不正プログラム対策ソフトウェア等で確認を行うこと。
      • サーバ等における各種ログの確認
        • サーバ等の機器に対する不審なアクセスが発生していないか、VPN、ファイアーウォール、監視装置等ログやアラートで確認すること。もし何らかの不審なログが記録されていた場合は、早急に詳細な調査等の対応を行うこと。
  • 情報システムを利用する職員等における実施事項
    1. 長期休暇期間前の対策
      • 機器やデータの持ち出しルールの確認と遵守
        • 長期休暇期間中に端末や外部記録媒体等の持ち出し等が必要な場合には、組織内の安全基準等に則った適切な対応(持ち出し・持ち込みに関する内規の遵守等)を徹底すること。
        • 許可を得て持ち出した機器の不正プログラム感染や、紛失、盗難による情報漏えい等の被害が発生しないように管理すること。
      • 利用機器に関する対策
        • 外部からの不正アクセスを防止する観点から、長期休暇期間中に使用しない機器の電源を落とすこと。
    2. 長期休暇期間明けの対策
      • 電子メールの確認を行う前に、利用機器のOSおよびアプリケーションに対する修正プログラムの適用や不正プログラム対策ソフトウェア等の定義ファイルの更新等を実施すること。
      • 電子メールの確認を行う際は、不審な添付ファイルを開いたり、リンク先にアクセスしたりしないこと。

~NEW~
金融庁 インターネットバンキングによる預金の不正送金事案が多発しています。
  • SMS等を用いたフィッシングの主な手口
    • 銀行を騙ったSMS等のフィッシングメールを通じて、インターネットバンキング利用者を銀行のフィッシングサイト(偽のログインサイト)へ誘導し、インターネットバンキングのIDやパスワード、ワンタイムパスワード等の情報を窃取して預金の不正送金を行うもの。
  • 被害に遭わないために
    • こうした被害に遭わないために、以下のような点を参考にしてください。
      1. 日々の心がけ
        • 心当たりのないSMS等は開かない。(金融機関が、ID・パスワード等をSMS等で問い合わせることはありません。)
        • インターネットバンキングの利用状況を通知する機能を有効にして、不審な取引(例えば、ログイン、パスワード変更、送金等)に注意する。こまめに口座残高、入出金明細を確認し、身に覚えのない取引を確認した場合は速やかに金融機関に照会する。
        • 金融機関のウェブサイトへのアクセスに際しては、SMS等に記載されたURLからアクセスせず、事前に正しいウェブサイトのURLをブックマーク登録しておき、ブックマークからアクセスする。または、金融機関が提供する公式アプリを利用する。
      2. スマートフォンやパソコン、アプリの設定
        • 大量のフィッシングメールが届いている場合は、迷惑メールフィルターの強度を上げて設定する。
        • 金融機関が推奨する多要素認証等の認証方式を利用する。
        • 金融機関の公式サイトでウイルス対策ソフトが無償で提供されている場合は、導入を検討する。
        • パソコンのセキュリティ対策ソフトを最新版にする。
▼フィッシングによるものとみられるインターネットバンキングに係る不正送金被害の急増について(注意喚起)
  • インターネットバンキングに係る不正送金被害については、令和4年8月下旬から9月にかけて急増して以来、一旦、被害が減少傾向となったものの、令和5年(2023年)2月における発生件数は111件、被害額は約2億6,800万円、3月における発生件数は381件、被害額は約5億300万円、また、4月1日から14日までにおける発生件数は120件、被害額は約1億8,800万円(令和5年4月14日現在)となっており、急増しています。(令和4年中の数値は確定値、令和5年中の数値は暫定値。)
  • 被害の多くはフィッシングによるものとみられます。具体的には、金融機関(銀行)を装ったフィッシングサイト(偽のログインサイト)へ誘導するメールが多数確認されています。このようなメールやSMSに記載されたリンクからアクセスしたサイトにID及びワンタイムパスワード・乱数表等のパスワードを入力しないよう御注意ください。
  • また、警察庁ウェブサイト「フィッシング対策」において、被害防止対策や被害発生時の対処方法を公開していますので、併せて御参照ください
▼警察庁 フィッシング対策

~NEW~
金融庁 「金融機関のITガバナンスに関する対話のための論点・プラクティスの整理」の改訂(案)への意見募集について
▼「金融機関のITガバナンスに関する対話のための論点・プラクティスの整理」第2版(案)
  • 深度ある対話に向けた基本的な考え方・着眼点
    1. 経営陣によるリーダーシップ
      • 人口減少・高齢化の進展や、低金利環境の長期化等により金融を取り巻く環境は厳しい状況が続く中、金融機関はITシステムについても、自らの体力に応じたコストの下、経営戦略を実現させる上で適切かつ効果的な形で構築していくことが強く求められている。
      • このため、金融機関の経営陣は、自らの体力と進むべき経営戦略を踏まえて、あるべきITシステムの姿を率先して検討していくことが求められている。
      • また、経営陣は、デジタル活用が顧客ニーズを起点としたサービスの提供に欠かせない手段であることについて役職員の理解を得、将来のDXの到達点を示し、組織全体を導いていく必要がある。経営陣がDX戦略についてリーダーシップを発揮し、例えば、情報発信を続けることで、ステークホルダーの信頼と共感を得ながら、組織内の戦略の実現に向けた機運やモチベーションを高めることが重要である。
      • さらに、システム改革だけでなく、業務改革と人事制度改革も併せて進めることで、デジタル活用のアジリティ確保や全社的な意識変革が促される。DXに関する取組みが全て成功するわけではないので、失敗を恐れずチャレンジを奨励する企業文化が求められている。
      • 一方、サイバー空間における脅威が増大する中、金融機関に対するサイバー攻撃によって、顧客情報の漏えい、顧客資産の不正出金や業務停止などの被害が発生している。DXを安心・安全に推進していくには、デジタル活用に伴うサイバーリスクを評価するとともに、リスクに見合ったサイバーセキュリティ管理態勢を構築し、適切にリスクコントロールすることが求められる。
      • 経営陣は、ITリテラシーとデジタルリテラシーの向上に努め、IT・デジタル技術を経営にどのように活用してビジネスモデル変革につなげるのか、デジタル活用の恩恵を享受するうえでの前提となるセキュリティをどのように確保するのか、ITリスク(サイバーリスクを含む)をどのように管理するのか等、バランスを考えながら創造力を働かせて議論を行い、目指す将来像を明らかにしていく必要がある。
    2. 経営戦略と連携した「IT戦略」・「DX戦略」
      • フィンテック等による金融イノベーションが進展する中、金融機関においては、経営戦略をIT戦略と一体的に考えていくことの必要性が増している。
      • IT戦略では、基幹系システムの更改、情報系システムの高度化、クラウド活用、情報セキュリティ等の方針を定めるとともに、ビジネスとDX推進を支えるシステムアーキテクチャのあり方11を検討することが重要である。システムアーキテクチャの将来像として、メインフレームとオープン系基盤、オンプレミス12とクラウド等の最適な組み合わせを示し、さらにデータ活用基盤・API連携等についても検討することが考えられる。
      • この際、既存のITシステムについて、自らの体力に応じたコストの下で経営戦略を実現させるための効果を最大化するものとなっているか等を含め、IT戦略がその時々の経営の考え方に沿ったものとして適切に機能するよう、適宜見直していく必要がある。
      • また、デジタル化の進展による社会環境変化に対応するため、経営戦略とIT戦略に基づいて、メガバンクや大手の地域金融機関ではDXに関する戦略を策定する動きがみられる。DX戦略では、収益性の向上やビジネスモデル変革に向けて、チャネル改革、業務革新、店舗のデジタル化、顧客接点拡大、商品・サービスのクロスセル、新規事業開発といった戦略領域を定め、中長期を見据えたロードマップを策定することが重要である。
      • 金融・非金融、個人向け・法人向けといったサービスの境界が曖昧になってきていることから13、これを上手く融合させることで、新たなビジネス創出を金融機関は模索している段階にある。絶え間なく変化し続ける顧客のニーズとペインポイントを常に調査分析し、実装に必要なデジタル技術を持つITベンダーや相応の顧客基盤を有する事業者と手を組むことが考えられる。
      • 投資余力が限定的な場合、単独で実行すると過剰投資になる恐れがある。そうした状況下では、他行と連合して共通要件を見定めつつ、各種機能の共同利用や適したプラットフォームに相乗りすることが考えられる。
    3. IT戦略を実現する「IT組織」・「DX推進組織」
      • 金融機関においては、従来、ユーザー部門からの要望を受けたシステム部門が一元的にシステム化対応を行う組織体制が多くみられるものの、IT戦略やDX戦略を実現するには、企画・開発を担う責任者、組織(部門、子会社等)、会議体のあり方、IT・デジタル人材と情報セキュリティ人材を確保・育成する観点から、適した組織能力を設計し構築する必要がある。
      • 特に、IT戦略が経営戦略と連携されたものとしていくには、システムの企画・開発・運用・管理等の判断及び責任を、経営陣・システム部門・ユーザー部門がいかに分担するかは重要であり、例えば、システム開発におけるユーザー部門の役割の明確化や人事交流等により、ユーザー部門とシステム部門間のコミュニケーションを活発化させる取組みを講じている事例も見られるところである。
      • 今後、新たな金融サービスの創出やDXを推進するにあたっては、経営陣を中核にした推進体制や部門の垣根を越えてシナジー効果が生まれるような組織体制を検討することが重要と考えられる。また、IT・デジタル技術を活用した既存事業の構造改革では、事業部門に可能な限り権限委譲し、小さく始めて改善を繰り返すアジャイル・アプローチによって、柔軟かつ迅速に対応する事例がみられる。そうした場合には、IT組織がアジャイル開発の手法やポリシー、ツール選定、開発環境等について標準化を行い、各事業部門で管理不能な開発にならないよう支援する必要がある。
      • DXは迅速なソリューションの提供が鍵であるため、IT子会社やITベンダーと共同するなどして、案件の企画から実装まで短期間で行える体制作りが重要である。企画・設計のみならず、プロジェクト管理や開発・テスト工程を金融機関が主体的に実施するなど、内製化の動きも広がっている。
      • さらに、DX推進には、金融業務とIT・デジタルの知識を習得した様々な職種の専門人材が必要なことから、スキル定義とキャリアパスの明確化、専門人材の報酬体系や教育研修など人事制度上の工夫が求められている。新しい事業への挑戦の推奨やアジャイル開発手法の導入、AI・データサイエンス等に携わる先端人材の中途採用といった取組みにより、IT戦略とDX戦略を支えるカルチャーを醸成し、組織全体に定着させていくことも重要となる。
    4. 最適化された「ITリソース(資源管理)」
      • IT戦略(アウトソース戦略含む)を実現するためには、策定した戦略に基づきITリソースを配分し、最適化を図る必要があり、その際にはヒト、モノ、カネの観点を考慮することが重要である。
      • システム共同化等によりシステム部門の体制が縮小した一方で、IT・デジタル技術や開発手法の進展により専門性が高まっている中、スキルを継承して次世代を担うIT人材が不足している。また、DX推進の中核となるデジタル人材、特に金融業務とITスキルを兼ね備えた人材は獲得競争が激化していることから、中途採用で充足できなくなっている。他の業務部門と同様にキャリアパスを明確にし、IT戦略とDX戦略の実現に必要なスキルを具体的に定義し、IT人材とデジタル人材を計画的に育成していくことが重要である。(ヒトの観点)
      • 新技術(API、AI、クラウド等)を積極的に活用し、コストを大幅に削減している事例や、自らの取引データについて商流等の付加価値を見出せる形で収集し、新サービスへのデータ利活用を進めている事例等がみられており、金融機関では、セキュティ面のリスク等を踏まえつつ、新技術を導入しないことの機会損失も踏まえて、その採否を考えることが重要である。こうした中、金融機関の「密結合」構造のシステムがこれらの新技術導入の阻害要因となることも考えられ、将来的には、自らのシステム構造のあり方についての議論も排除すべきでないと考えられる。(モノの観点)
      • 既存システムの機能を維持するためにIT予算を配賦することは重要であるが、維持・制度対応の予算を所与のものとするのではなく、あくまで自らのIT戦略に基づきながら、他の選択肢の可能性の検討や、企業価値創出のための戦略的な投資の確保など、最適な予算配賦を行うことが重要である。(カネの観点)
    5. 企業価値の創出に繋がる「IT投資管理プロセス」
      • 戦略的なIT投資額及びそれに含まれるDX案件の投資額について、中期計画と年度予算を定め、全社的な戦略案件の起案から審議、投資意思決定までが迅速に実行できるようなプロセスを整備することが重要である。
      • 投資後の進捗管理においては、将来収益が得られる案件や事業であれば、ROI(Return On Investment:投資収益率)等の指標を用いて評価を行い、進捗状況に応じてリソースの増強やサービスの縮小・撤退を判断するPDCAを回す必要がある。一方で、実証実験(PoC)の段階や中期的な観点で対応が必要な戦略案件は、収益化の目途が立つまでの間、特性に応じたKPI(定量的指標)を設定して計画対比をモニタリングすることも考えられる。
      • 近年、IT・デジタルの新技術がますます多様化、高度化しており、経営戦略に最も適合する技術・製品を見極めるには、研究開発と実証実験が欠かせなくなっている。
      • 一度採用すると容易に代替できない技術もあることから、最新技術の継続的な情報収集と外部専門家の活用等によって選定プロセスを強化し、確かな知見を獲得することが重要である。
      • また、戦略的なIT投資の割合を増やす目的で、非戦略領域の維持保守コストを抑制・削減する取組みが広くみられる。システムの安定性・堅牢性を重視しながら、DX戦略を支えるシステムアーキテクチャへの更改やインフラ強化を図ることが中長期の競争優位性を築くと考えられる。
    6. 適切に管理された「ITリスク17」
      • IT技術の進化やイノベーション、デジタル化の進展に応じたビジネス・業務の変革の動きが活発になっており、金融機関においては、自らの経営戦略を実現させる観点から、新たな技術やサービスについても、セキュリティ面等の新たなリスクを見極めながら、採否を考えることが求められている。地域社会の課題解決に向けて、取引先企業やITベンダーもDXに取り組んでいる状況を鑑みると、デジタルサービスの創出はあらゆる産業で一層進展するものと見込まれる。
      • このため、既存システムを漫然と利用し続けることが、競争面はもとよりコスト面においても経営におけるリスクとなりうるとの観点から、IT戦略とDX戦略の策定から個別案件の投資判断に至るまで、新技術等にも目を配りつつ、必要に応じて、新技術等を採用することで高まるオペレーショナル・リスク等と、採用しないことで将来得られる収益やコスト削減等の機会を逸しうるリスクを比べ、適切に判断することが重要である。
      • また、DX推進におけるリスクとしては、新商品・新サービスに係るリスク、システム障害リスク、情報セキュリティリスク(サイバーリスク含む)、外部事業者との連携に伴うリスク18等が想定される。DX推進の恩恵を享受するうえで、これらのリスクの低減及び管理が求められる。
      • まず、新商品・新サービスを検討する際には、企画・設計段階からセキュリティ要件を組み込む「セキュリティバイデザイン」を実践し、サービス全体の流れの中で、連携先も含めて脆弱性を洗い出し、リスクに見合った堅牢なサイバーセキュリティ対策を導入することが重要である。
      • 併せて、新商品・新サービスのリスク分析では、根拠法令等コンプライアンス上の問題がないことをまず確認したうえで、リスクの洗い出しと対応策の検討、残余リスクの評価等を行う必要がある。DX関連の新サービスは、戦略領域にある周辺システムで開発、運用、提供されることが多いため、当該システムに対するシステムリスク管理態勢の評価やクラウド活用に伴う審査等が必要になる。IT子会社や銀行業高度化等会社、外部事業者など連携先と共同でシステム障害発生時の顧客対応・業務継続・復旧体制を整備しなければならない。
      • 個人情報・顧客情報の管理態勢についても、外部事業者に情報連携する場合には、業者側で情報漏洩等のインシデントが発生するリスクを認識し、十分な対応策を講じる必要がある。また、データ利活用による顧客への新たな価値の提案やAI分析等が行われているが、データの品質・信頼性が低い場合には誤った出力結果となるリスクがある。蓄積した元データを適宜補正・加工することによって、セキュリティを確保しながら品質を高める必要がある。

~NEW~
金融庁 コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクション・プログラム(「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」意見書(6))の公表について
▼コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクション・プログラム(「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」意見書(6))
  1. はじめに
    • コーポレートガバナンス改革については、これまで、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上をその目的として、いわゆる「攻めのガバナンス」と「守りのガバナンス」の双方の観点から、スチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コードの策定・改訂を行い、株主・従業員・顧客・取引先・債権者・地域社会をはじめとする多様なステークホルダーの利益に配慮しつつ、企業と投資家との建設的な対話を通じた自律的な取組みを促進してきた。
    • こうした取組みによって、多くの上場企業において独立社外取締役の選任、指名委員会・報酬委員会の設置が進むなどの一定の進展がみられるほか、多様なステークホルダーの利益とも関連の深いサステナビリティを巡る課題についても企業や機関投資家の意識向上が促されているといえる。
    • こうしたこれまでのコーポレートガバナンス改革の効果については、コーポレートガバナンス・コード再改訂(2021年)後に実施したコーポレートガバナンス改革の中間点検や、ジャパン・コーポレート・ガバナンス・フォーラムを通じて寄せられた海外投資家を含むステークホルダーからの意見を踏まえて検証してきた。これらの検証によれば、コーポレートガバナンス改革が企業のパフォーマンスに与える影響については、改革実施以降の期間を対象とした実証研究の蓄積が未だ多くなく、評価が定まっていないものの、コーポレートガバナンス改革により、企業価値向上のためには取締役会の機能を高めることが重要との考え方が多くの企業で共有されたとの評価や、直ちに業績に影響するものではなくとも良い方向に向かっているとの評価が見られた。
    • 一方、上記の検証においては、一部分野についてはコーポレートガバナンス改革の進捗のペースが遅いとの評価や、個別の課題に関する指摘も見られた。
  2. 現状の課題
    • 具体的には、以下が特に指摘された。
      1. 資本コストを踏まえた収益性・成長性を意識した経営の促進、人的資本への投資をはじめとするサステナビリティに関する取組みの促進といった経営上の課題
      2. 取締役会や指名委員会・報酬委員会の実効性向上、独立社外取締役の質の向上といった独立社外取締役の機能発揮に関する課題
      3. 情報開示の充実、法制度上・市場環境上の課題解決といった企業と投資家との対話に関する課題
    • 企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上というコーポレートガバナンス改革の目的に照らせば、上記1のような経営上の課題を解決していくことが重要であるとともに、その解決に向けた取組みを促進する観点より、上記2の課題にあるように、独立社外取締役がその機能を十分に発揮して、経営陣によるリスクテイクを支えるとともに、実効性の高い監督を行うことや、上記3の課題にあるように、投資家が企業との建設的な対話を通じて企業の自律的な取組みを促進することも有用であり、上記1~3の各課題を並行して解決していくことが重要といえる。
  3. 今後の取組みに向けた考え方
    • 企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上を促進する観点からは、上記の課題解決に際し、改革の趣旨に沿った実質的な対応をより一層進展させることが肝要であり、形式的な体制を整備することのみによってその十分な成果を期待することはできない。また、コーポレートガバナンス・コードの更なる改訂については、形式的な体制整備に資する一方、同時に細則化により、コンプライ・オア・エクスプレインの本来の趣旨を損ない、コーポレートガバナンス改革の形骸化を招くおそれも指摘されている。
    • むしろこれらの課題については、企業と投資家との建設的な対話や企業と投資家の自律的な意識改革の促進を通じて、個別企業ごとの課題が深掘りされることで、個別にその実情を踏まえた実効的な解決策が検討されていくことが望ましい。そのためには、企業と投資家との建設的な対話を深度ある実効的なものへと進展させるとともに、企業と投資家の自律的な意識改革を促進する環境を整備していく必要がある。
    • 以上を踏まえ、今後は、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上を促進するため、上記の課題解決に向け、情報開示の充実をはじめ、企業と投資家の自律的な意識改革を促進するための施策や企業と投資家との建設的な対話の実効性を向上させるための施策を基本とし、必要に応じ、その他の施策によりこれを補完していくことが適切である。また、各コードの改訂時期については、必ずしも従前の見直しサイクルにとらわれることなく、コーポレートガバナンス改革の実質化という観点から、その進捗状況を踏まえて適時に検討することが適切である。
  4. 具体的な取組み内容
    • 以上を踏まえ、フォローアップ会議としては、コーポレートガバナンス改革の実質化に向けて、以下のような施策・検討を順次実施していくことを提言する。また、フォローアップ会議は、その実施状況について、随時検証し、追加的な施策等の要否を検討していくこととしたい。
      • 企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向けた課題
        1. 収益性と成長性を意識した経営
          • 資本コストの的確な把握やそれを踏まえた収益性・成長性を意識した経営(事業ポートフォリオの見直しや、人的資本や知的財産への投資・設備投資等、適切なリスクテイクに基づく経営資源の配分等を含む。)を促進する。【2023年春から順次実施】
        2. サステナビリティを意識した経営
          • 有価証券報告書に新設された人的資本・知的財産・多様性を含むサステナビリティに関する情報開示の枠組みの活用(好事例集の公表)等を通じてサステナビリティに関する取組みを促進する。【2023年~2025年に順次実施】
          • サステナビリティ開示基準策定のための国際的な議論に積極的に参画し、人的資本を中心とするサステナビリティ情報の開示の充実を推進する。【2023年以降継続して実施】
          • 女性役員比率の向上(2030年までに30%以上を目標)等、取締役会や中核人材の多様性向上に向けて、企業の取組状況に応じて追加的な施策の検討を進める。
        3. 独立社外取締役の機能発揮(取締役会、指名委員会・報酬委員会の実効性向上)
          • 有価証券報告書における取締役会や指名委員会・報酬委員会等の活動状況に関する情報開示の拡充を踏まえ、その実態調査・事例の取りまとめ・公表等を通じて、取締役会等の実効性評価等によるPDCAサイクルの確立を促進し、更なる機能発揮を図る。【2023年秋】
          • 独立社外取締役に対して期待される役割の理解促進のための啓発活動(研修を通じたスキルアップ等)の実施を進める。【2023年春】
      • 企業と投資家との対話に係る課題
        1. スチュワードシップ活動の実質化
          • スチュワードシップ活動の実質化に向けた課題(運用機関における十分なリソースの確保、エンゲージメント手法の工夫、インセンティブの付与、年金等のアセットオーナーにおける体制の拡充等)の解決に向けて、運用機関・アセットオーナー等の取組みを促進する。【2023年春から順次実施】
        2. 対話の基礎となる情報開示の充実
          • プライム市場上場会社について、投資家との対話の実施状況やその内容等の開示を要請する。【2023年春】
          • コンプライ・オア・エクスプレインの趣旨を改めて周知するとともに、エクスプレインの好事例や不十分な事例の明示に取り組む。【2023年春】
          • 有価証券報告書と事業報告等の重複開示に関する開示の効率化を含め、投資家が必要とする情報を株主総会前に効果的・効率的に提供するための方策について、継続的に検討を進める。
          • 投資家との対話の基礎となるよう企業のタイムリーな情報開示を促進する方策について検討を進める。
        3. グローバル投資家との対話促進
          • グローバル投資家の期待(独立社外取締役の比率、多様性、英文開示等)に自律的、積極的に応える企業群の「見える化」を通じて、企業と投資家の対話を促進する。【2023年夏から順次実施】
          • 特に、プライム市場における英文開示の義務化を含め、英文開示の更なる拡充を図る。【2023年秋】
        4. 法制度上の課題の解決
          • 大量保有報告制度における「重要提案行為等」「共同保有者」の範囲の明確化について検討を進める。
          • 実質株主の透明性のあり方について検討を進める。
          • 部分買付け(上限を付した公開買付け)に伴う少数株主の保護のあり方について検討を進める。
        5. 市場環境上の課題の解決
          • 従属上場会社に関する情報開示・ガバナンスのあり方について検討を進める。
          • 政策保有株式の縮減については、有価証券報告書における情報開示の規律の強化や、東証市場区分見直しに伴う上場維持基準の変更及びその経過措置を踏まえた進捗を今後継続的にフォローアップし、必要に応じて更なる施策の検討を進める。【2023年~2025年に順次実施】

~NEW~
金融庁 「デジタル資産を用いた不公正取引等に関する国際的な規制動向、法規制当局による執行事例、及びマーケットにおける課題の分析調査」報告書の公表について
▼(別添)PDF「デジタル資産を用いた不公正取引等に関する国際的な規制動向、法規制当局による執行事例、及びマーケットにおける課題の分析調査」報告書
  • 日米のデジタル資産に係るAML/CFT規制の比較
    • 日米のAML/CFT規制の対比で特徴的な点として、米国連邦法では暗号資産(仮想通貨)及びステーブルコインをはじめとしたデジタル資産について法律上定義がされておらず、いかなるデジタル資産の取扱業者がAML/CFT規制の対象となるかが法律上十分に明確でないのに対し、日本法では各デジタル資産及びその取扱業者の定義並びにAML/CFT規制の対象者が明確化されている点があげられる。
    • 具体的には、米国の場合、一般的な仮想通貨(virtual currency)やステーブルコインがCVCの定義に含まれ、CVCの交換業者や取扱業者が(一定の例外を除き)MSBとしてAML/CFT規制の対象者となることは、あくまでもFinCENのガイダンス上定められているにすぎず、米国連邦法上は、暗号資産(仮想通貨)やステーブルコインの取扱業者等がAML/CFT規制の対象者であることは必ずしも明確化されていない。一方、日本の場合、暗号資産やその交換業者である暗号資産交換業者が資金決済に関する法律(以下、「資金決済法」という。)において定義され、また、集団投資スキーム持分に係る権利等をデジタルトークン化したものについても、金融商品取引法(以下、「金商法」という。)において定義される電子記録移転権利として有価証券として扱われることになり、電子記録移転権利の売買、その媒介及び取次等を業として行う者が金融商品取引業者に含まれている。こうした暗号資産交換業者及び金融商品取引業者は、犯罪による収益の移転防止に関する法律(以下、「犯収法」という。)において特定事業者としてAML/CFT規制の対象者に含まれることが明確化されている。また、2022年6月10日に公布された改正資金決済法及び改正銀行法において、主に法定通貨建てのステーブルコインに関する制度として、新たに「電子決済手段」並びにその仲介業者である「電子決済手段等取引業者」及び銀行発行のデジタルマネー類似型のステーブルコインの仲介者である「電子決済等取扱業者」が定義され、改正犯収法132により、電子決済手段等取引業者及び電子決済等取扱業者についても特定事業者に追加されることとなる。このように、日本のデジタル資産に係るAML/CFT規制の方が、規制対象となる取扱業者の範囲が明確である点で、事業者としても予見可能性が確保されるとともに、規制当局としてもその有する監督権限等がデジタル資産の取扱業者に及ぶことが法令上明確にされている状況であるといえる。
    • また、AML/CFT規制違反に対しては、米国では、(1)刑事罰のほか日本では認められていない民事制裁金が課される点(民事制裁金も、違反の継続する日毎に計算されるため、同所で紹介している事例のとおり高額となり得る。)、(2)刑事罰についても、日本では、犯収法の規制対象者に適用される罰金刑の最高金額は3億円にとどまるところ、米国では規制対象となる金融機関の資産金額に応じて変動する仕組みが採用されている点で、米国の方が相当に厳罰となる可能性が高く、AML/CFT規制の実効性という観点からは有意な差といえる。
    • また、マネー・ローンダリング行為そのものに対する罰則についても同様に米国の方が厳罰を科すことが可能となっている。日本では、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下、「組織的犯罪処罰法」という。)及び薬物犯罪に関して規制する、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(以下、「麻薬特例法」という。)が存在するが、両法に基づき科すことのできる法定刑は、犯罪収益等の隠匿をした者につき10年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はその併科、情を知って犯罪収益等の収受をした者につき7年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はその併科135にとどまる。一方、米国ではマネー・ローンダリング行為に科される罰金の最大は50万米ドル又は取引対象となった財産の価値の2倍のいずれか高い方、懲役刑の上限は20年とされており、特に罰金に関して犯罪収益の金額に応じてその金額が算定されることとなるため、日本より厳罰に処せられる可能性が高い。
  • 日米のデジタル資産に適用されるインサイダー取引規制の比較
    • まず、両国の制度は、インサイダー取引規制の対象を(有価)証券の売買等に限定し、(有価)証券に該当するデジタル資産(暗号資産)のみを規制の対象とする点で大枠としては共通する。
    • もっとも、日本では、「有価証券」の範囲が米国に比して明確178、かつ、インサイダー取引規制の対象は更に「特定有価証券等」179に限定されている(なお、電子記録移転権利は特定有価証券等には含まれていない。)。また、令和元年の金商法改正に伴い金商法第185条の22ないし24が新たに設けられ、暗号資産の売買やそのデリバティブ取引等について、不正行為、風説の流布、相場操縦等が禁止されることになったが、暗号資産のインサイダー取引に関する規定は設けられてはいない。これに対し、米国ではHowey Testの下、「(1)他者の努力から得られる利益を合理的に期待して、(2)共通の事業に資金を投資する」場合には「投資契約」たる証券に該当し、規制が及ぶこととなる点で、規制の範囲はより広いと考えられ、実際に米国では下記(第III章3.3)の元Coinbase社員の事案のように、暗号資産(仮想通貨)に関するインサイダー取引の訴追事例も出てきている。
    • また、規制対象となる行為についても、日本では、規制対象者及びインサイダー情報の範囲を法律上明確化した上で、(インサイダー情報を知った上での)「上場会社等の特定有価証券等に係る売買」等としており、米国に比して明確である。これに対し、米国では、州際通商の方法等を利用して、証券の売買に関連して詐欺又は欺瞞として機能する行為等を行うこと(ルール10b-5)といった抽象的な行為態様を規制対象としており、判例理論による一定の明確化は図られているものの、米国の方がインサイダー取引に該当する行為を柔軟に捕捉しやすい規制構造となっている。
    • そのほか、インサイダー取引の監視・執行方法に関しては、日本に存在しない米国の制度として、民事制裁金の賦課に繋がる情報を提供した者に対して報奨金(回収された民事制裁金の10%-30%)を支払う内部告発者(whistle-blower)制度が挙げられる。2022年度においては、当該制度により12,300件を超える通報があり、その結果328人に対して合計13億米ドル以上が支払われたとのことであり、かかる事実に照らすと、内部告発が早期かつ重要な違反調査の端緒となっていることが推認される。
  • 日本におけるデジタル資産の倒産手続上の取扱いとの比較
    • 日本でも、デジタル資産の私法上・倒産法上の取扱いについて明文の規定はないため、既存の法制度の解釈に委ねられている。MTGOXの破産手続に関する東京地判平成27年8月5日では、ビットコインは所有権の客体とならないとして、顧客がMTGOXに対するビットコイン返還請求権を破産法上の取戻権として行使できないと判断された。しかしながら、MTGOXのような取引所にデジタル資産を預託したユーザーは、取引所の倒産手続において、いかなる場合においても自己の有するデジタル資産の返還請求権を倒産債権として届け出るしかないとすると、ユーザーは平時から取引所の無資力リスクを常に覚悟しておかなければならず、デジタル資産取引の安全性・信頼性を損ない、ユーザーの保護に欠ける懸念があり得る。
    • もっとも、ビットコインのような「物」264とはいえないデジタル資産であっても、財産的価値を有し、委託者の財産から分離可能である限り、「財産」265として信託の対象となり得ることから、ユーザーを委託者兼受益者、取引所を受託者、デジタル資産を信託財産とする信託契約が明示又は黙示に成立している場合には、倒産隔離を認めてユーザーの利益保護を図る余地があり、ユーザーのデジタル資産が取引所の固有資産と分別管理され、特定性をもって保管されている場合には、当該デジタル資産が信託財産である旨を破産管財人等の第三者にも主張し得るとの見解も有力である。上記平成27年東京地判の当時は、デジタル資産に関する規制法整備の黎明期にあり、取引所における固有資産とユーザー資産との分別管理等について必ずしも厳格なルールは定められていなかったが、現行の資金決済法では暗号資産交換業者に対して受託暗号資産の分別管理を義務付けている。
    • 暗号資産交換業者の倒産時において受託暗号資産が信託財産と認められて倒産隔離が図られるか否かという点については、どの程度の分別管理、特定性が認められれば、信託の成立を破産管財人等の第三者に主張できるかは依然として解釈に委ねられており、事実関係次第ではあるものの、ユーザー保護が図られる事実上の可能性はMTGOXの事件当時に比べると高まってきていると言い得るように思われる。
    • 米国の問題状況は、以上の日本法・実務の歩みに通底する部分があると思われる。すなわち、デジタル資産の実体法・倒産法上の取扱いが明文化されておらず、既存の法制度に個別事案を当てはめて検討するアプローチを採らざるを得ない中で、Celsiusグループのチャプター11等において、デジタル資産の所有権の帰属等が個別事案の契約条項の解釈に委ねられるなど、デジタル資産取引所のユーザー保護に対する懸念が浮き彫りとなり、こうした問題意識も一因となって、UCCの改正や連邦倒産法の改正の動向、NYDFSによるVCEに対する監督指針の公表、SECによる投資顧問法改正案の公表といった様々な規制・立法により、取引所倒産時のユーザー保護の在り方についての議論・検討が急ピッチで進展している。
    • デジタル資産の私法上・倒産法上の取扱いに関する立法論や(既存の法的枠組みにおける)解釈論は、日米ともに過渡的なフェーズにあり、相互に問題意識を共有しながら適切な法制度・実務のあり方を模索していく必要があると思われる
  • 日本とEUのデジタル資産に係るAML/CFT規制の比較
    • 日米の比較と同様に、日本とEUの比較においても、日本の法制度の方が、EUの法制度と比べて各デジタル資産及びデジタル資産の取扱業者の定義及びAML/CFT規制の対象者が明確化されている点は特徴的である。
    • 具体的には、EUでは、EU AML Directiveで仮想通貨(virtual currency)を定義した上で、仮想通貨と法定通貨の交換業者及びCWPが定義されており、それぞれがAML/CFT規制の対象とされている点で、米国と比較するとデジタル資産の取扱業者に関する法制化が進んでいるといえる。
    • 一方、日本との比較では、「仮想通貨と法定通貨の交換業者」が異なる仮想通貨の交換を行う業者を含む概念でない点で、日本の暗号資産交換業者よりも狭く定義されている。
    • 但し、これら定義に基づくAML/CFT規制はEU加盟国のミニマムスタンダードとして求められるものに過ぎず、各国の法制において、例えばドイツのように、より広範に暗号資産関連業者をAML/CFT規制の対象としている国があることには留意が必要である。また、EU AML Directiveにおいてセキュリティ・トークンの取扱業者の一部を投資会社として解釈する余地を認めているものの、日本における電子記録移転権利と異なり、かかる解釈は明文化されておらず、EUの方が日本よりもデジタル資産に関するAML/CFT規制範囲が不明確な点が存在する。もっとも、EUでは美術品のディーラーがAML/CFT規制の対象者に含まれている結果、日本では暗号資産や電子記録移転権利に該当しないタイプのNFTについても、EUではその取扱業者がAML/CFT規制の対象者になり得るため、金融規制とは別の観点からAML/CFT規制の対象者とする余地を残している点が注目される。
    • また、EUのAML/CFT規制違反者に対して科される罰則についても、米国同様その上限が規制対象者の年間総売上高に応じて変動する仕組みが採用されており、米国同様日本より相当に厳罰になり得る点も、規制の実効性という観点からは有意な差と思われる。
  • デジタル資産に係るインサイダー取引規制に係る日本法との比較
    • まず、インサイダー取引規制の対象となるデジタル資産の違いであるが、日本ではセキュリティ・トークンに相当する電子記録移転権利はインサイダー取引規制の対象に含まれていないのに対して、EUの現行規制であるMARの下ではセキュリティ・トークンも金融商品としてインサイダー取引規制の対象となり得る点で差異が見受けられる。もっとも、EUにおいてセキュリティ・トークン等の金融商品についてインサイダー取引規制が適用されるためには取引所(規制市場、OTF及びMTF)で取引されることが必要となるところ、現状かかる要件を満たさないものが大半であるため、インサイダー取引規制の適否という結論において大きな違いはないともいえる。
    • 一方、日本の金商法では暗号資産について特定有価証券に係るインサイダー取引規制類似の規制を設けることが見送られた点と比較して、MiCARでは、MARで規制される「金融商品(financial instrument)」に該当しない「暗号資産(crypto-assets)」のうち、暗号資産サービス提供者が運営する暗号資産の取引プラットフォーム上で取引が承認されている(又は当該承認申請がなされている)暗号資産についてのインサイダー取引規制を新たに設けることで、これまで規制の及ばなかった暗号資産に係るインサイダー取引への規制の道を拓いている点は大きな違いである。もっとも、MiCARにおいても、「暗号資産の発行者(issuer of crypto-assets)」をどのように特定すべきかという点等について、引き続き検討がなされているようであり、検討状況については、引き続き注視することが望ましい。
    • そのほか、インサイダー取引の監視・執行方法に関しては、日本に存在しないEUの制度として、発行者、発行者の代理人又は発行者の計算により行動する者に対し、インサイダー情報にアクセス可能な業務を行っているすべての人物のリスト(インサイダー・リスト)を作成・更新する義務(及び、管轄当局の要求があった場合、当該リストを速やかに提供する義務)を課している点が、参考になる点として挙げられる。かかる規制は現状MARにのみ存在し、MiCARの案文には存在していないようであるが、MiCARでは独自に暗号資産取引プラットフォームのシステムを通じて公募された暗号資産の全注文に関する関連データを少なくとも5年間、管轄当局の裁量の下で保管するか、又は、管轄当局による注文帳へのアクセス権を提供する義務を負わせている点が注目に値する。また、MAR及びMiCARいずれについても、法人によるインサイダー取引規制違反に対しては年間総売上高の15%相当額以上の制裁金が課せられることとなり、日本より相当に厳しい制裁が課せられる点も有意な違いとして挙げられる。
  • デジタル資産に適用される市場操作規制に係る日本法との比較
    • EUでは、「金融商品(financial instruments)」(に該当するデジタル資産)についてはMARが、「金融商品」に該当しない暗号資産についてはMiCARが、それぞれ市場操作の禁止について定めている。この点、日本においては、有価証券に該当する電子記録移転権利については金商法第159条で、暗号資産の売買、暗号資産関連市場デリバティブ取引及び暗号資産関連店頭デリバティブ取引については金商法第185条の23及び第185条の24で、それぞれ相場操縦(市場操作)行為の禁止を定めている。この点、MiCARが未成立・未施行であることを踏まえると、暗号資産の市場操作規制については、EUよりも日本が先行しているといえる。
    • また、(1)MARに基づく市場操作規制は、金融商品に該当するデジタル資産が、規制市場、MTF又はOTFのいずれかで取引される場合に適用され、(2)(仮にMiCARが現状の内容で成立・施行された場合、)MiCARに基づく市場操作規制も、暗号資産サービス提供者が運営する暗号資産の取引プラットフォーム上で取引が承認されている又は当該承認申請がなされている暗号資産に限って適用される。この点、(1)日本でも、有価証券については、相場操縦(市場操作)規制の対象は金融商品取引所が上場する有価証券、店頭売買有価証券又は取扱有価証券の売買に限られているため、金商法とMARとでその規制範囲に実質的な差異はないともいえる。これに対し、(2)暗号資産については、日本では暗号資産に係る相場操縦(市場操作)規制についてはMiCARのような上場を要件とはしていないため、金商法の方がMiCARよりも規制範囲が広いといえる。
  • DeFiに係る規制上の課題について
    • DeFiは、原則としてオープンソースの考え方を前提とし、利便性の高いサービスを提供する潜在的な可能性を有するとの指摘がある一方で、利用者保護やマネー・ローンダリングの防止の観点から、課題が指摘されることも少なくない。例えば、ハッキング等により利用者の財産が失われる可能性、一部の大量のガバナンストークンの保有者520による他の利用者の保護に欠ける行為が行われる可能性(適切なガバナンスの欠如)が指摘されている。
    • また、既存の金融機関に課されている厳格なAML/CFT対策に比して、DeFiが行っているAML/CFT対策は不十分な場合が少なくなく、DeFiを称するサービスがマネー・ローンダリング、テロ資金供与の温床になりかねないという指摘がある。
    • DeFiはこの数年で急速に発展してきており、各法域の規制当局がその規制の在り方について検討している状況である。共通して指摘されるDeFiに係る規制上の課題としては、以下が挙げられる。
    • DeFiは、中央集権的な管理者又は仲介者が存在しない仕組みを標榜しており、規制の執行対象となるべき主体の特定が困難な場合も想定され、管理又は仲介を行う事業者を規制及び監督するという既存の金融規制の枠組みとの関係で、単純な当てはめが難しい場合もある。また、自律的に稼働する度合いが高いような一部のプラットフォームに関する論点として、規制執行によりサービスを実際に停止させることが容易ではない可能性がある。
    • DeFiは、グローバルなプラットフォームとして運営されていることが通常であるところ、一元的な規制当局が特定できない場合があることに加え、規制及び監視に係る国際的な枠組みが存在せず、有効な規制・監視手段を構築することが難しいとの指摘もある。加えて、規制・監視が不十分な法域があれば、規制のアービトラージが容易に実行され得る可能性がある。また、同様の理由で、DeFiに関して犯罪的な行為が行われた疑いがあるとしても、法域の特定や協調的且つ有効な捜査を行うことが容易ではないとも考えられる。

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警察庁 令和5年3月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
  • 令和5年1~3月における特殊詐欺全体の認知件数は4,533件(前年同期3,500件、前年同期比+29.5%)、被害総額は93.2憶円(72.8憶円、+28.0%)、検挙件数は1,620件(1,346件、+20.4%)、検挙人員は515人(484人、+6.4%)
  • オレオレ詐欺の認知件数は1,008件(759件、+32.8%)、被害総額は28.0憶円(21.9億円、+28.0%)、検挙件数は505件(353件、+43.1%)、検挙人員は212人(187人、+13.4%)
  • 預貯金詐欺の認知件数は614件(514件、+19.5%)、被害総額は7.8憶円(5.7憶円、+36.8%)、検挙件数は322件(299件、+7.7%)、検挙人員は102人(120人、▲15.0%)
  • 架空料金請求詐欺の認知件数は1,149件(612件、+87.7%)、被害総額は30.8憶円(24.0憶円、+28.3%)、検挙件数は45件(31件、+45.2%)、検挙人員は24人(24人、±0%)
  • 還付金詐欺の認知件数は1,068件(925件、+15.5%)、被害総額は12.0憶円(9.9憶円、+21.2%)、検挙件数は301件(170件、+77.1%)、検挙人員は49人(28人、+75.0%)
  • 融資保証金詐欺の認知件数は49件(23件、+113.0%)、被害総額は0.8憶円(0.4憶円、+124.9%)、検挙件数は3件(3件、±0%)、検挙人員は3人(2人、+50.0%)
  • 金融商品詐欺の認知件数は38件(6件、+533.3%)、被害総額は5.2憶円(0.7憶円、+627.3%)、検挙件数は3件(0件)、検挙人員は10人(6人、+66.7%)
  • ギャンブル詐欺の認知件数は6件(12件、▲50.0%)、被害総額は0.2憶円(1.4憶円、▲83.7%)、検挙件数は0件(5件)、検挙人員は0人(2人)
  • キャッシュカード詐欺盗の認知件数は583件(638件、▲8.6%)、被害総額は7.9憶円(8.8憶円、▲10.2%)、検挙件数は436件(484件、▲9.9%)、検挙人員は108人(109人、▲0.9%)
  • 組織的犯罪処罰法違反の検挙件数は66件(38件、+73.7%)、検挙人員は25人(7人、+257.1%)、口座開設詐欺の検挙件数は196件(206件、▲4.9%)、検挙人員は109人(112人、▲2.7%)、盗品等譲受け等の検挙件数は2件(0件)、検挙人員は1人(0人)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は726件(810件、▲10.4%)、検挙人員は544人(629人、▲13.5%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数は28件(25件、+12.0%)、検挙人員は31人(23人、+34.8%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数は4件(1件、+300.0%)、検挙人員は3人(0人)
  • 東者の年齢・性別構成について、特殊詐欺全体では、男性(32.3%):女性(67.7%)、60歳以上90.1%、70歳以上70.9%、オレオレ詐欺では男性(18.9%):女性(81.1%)、60歳以上99.1%、70歳以上96.4%、架空料金請求詐欺では男性(63.2%):女性(36.8%)、60歳以上72.7%、70歳以上44.8%、特殊詐欺被害者全体に占める高齢(65歳以上)被害者の割合について、特殊詐欺 83.0%(男性29.5%:女性70.5%)、オレオレ詐欺 98.4%(19.0%、81.0%)、預貯金詐欺 99.5%(9.7%、90.3%)、架空料金請求詐欺 59.7%(67.3%、32.7%)、還付金詐欺 81.3%(36.5%、63.5%)、融資保証金詐欺 4.5%(100.0%、0.0%)、金融商品詐欺 28.9%(36.4%、63.6%)、ギャンブル詐欺 0.0%、交際あっせん詐欺 0.0%、その他の特殊詐欺 50.0%(62.5%、37.5%)、キャッシュカード詐欺盗 99.3%(12.6%、87.4%)

~NEW~
警察庁 DDoS攻撃への対策について
▼DDoS攻撃への対策について(本文)
  • DDoS攻撃への対策について、各事業者において、これまでも様々な対策が講じられていることと思いますが、最近においてもDDoS攻撃による被害とみられるウェブサイトの閲覧障害が断続的に発生しており、引き続き対策が必要な状況にあります。
  • 警察では、昨年9月におけるDDoS攻撃の発生状況について下記のとおり分析しているところ、各事業者におかれましては、本分析結果を参考に、リスク低減に向けて適切にセキュリティ対策を講じていただくようお願いいたします。
  • 昨年9月に発生した一連のDDoS攻撃の状況
    • 令和4年9月中、複数回にわたり、国内の政府関連や重要インフラ事業者などのウェブサイトに対するDDoS攻撃が確認されました。この一連の攻撃について警察において分析した結果は以下のとおりとなっています。
      1. 攻撃元IPアドレス
        • 攻撃元となるIPアドレスは、約99%が海外に割り当てられたIPアドレスであり、約1%の国内IPアドレスについては、警察において対策を実施しています。
      2. 通信量の増加程度
        • DDoS攻撃では断続的な通信量の増加が認められますが、一連のDDoS攻撃においては、通信量の増加程度は、最も弱くて7Mbps程度であり、最も強くて100Gbps程度の通信量の増加が確認されています。
      3. DDoS攻撃の手口
        • 主に下記に挙げる3種類のDDoS攻撃の手口が確認されています。
          • TCP(SYN)フラッド
            • TCPの接続要求を行うSYNパケットのみを大量に送りつけて放置し「応答待ち状態」を大量に作り出す攻撃
          • HTTPフラッド
            • 標的に(大量の)HTTPリクエスト(データ送信要求)を送りつける攻撃
          • UDPフラッド
            • 標的に偽の送信元IPアドレスやランダムなポート番号を設定したUDPデータグラムを大量に送りつける攻撃。攻撃元から直接攻撃する手法や、DNSキャッシュサーバの再帰的問い合わせ機能やNTPサーバへの時刻問い合わせ機能を悪用して、パケットを増幅させ、大量のDNSパケットを生成する手法も使われます。
            • なお、最近ではSlow HTTP DoS攻撃※についても確認されておりますので、こちらにも注意してください。※Slow HTTP DoS攻撃は、DoS攻撃の手口の一つであり、一般的なDoS攻撃が大量のパケットを送信してネットワークの帯域やサーバの処理能力をひっ迫させるのに対し、本攻撃は、特定のTCPセッションを長期間継続することにより、Webサーバのセッションを占有してアクセスを妨害するものです。
  • リスク低減に向けたセキュリティ対策
    • DDoS攻撃への対策は、多くの費用と時間が必要なものもあり、また、全てのDDoS攻撃を未然に防ぐことができるものではありません。しかし、上記のようなDDoS攻撃がなされた場合の備えとして、まずは下記事項を参照の上、各事業所で導入している機器やシステムの設定見直し及び脆弱性の有無の確認、ソフトウェアの更新など、身近な対策を進めてください。
      1. DDoS攻撃による被害を抑えるための対策
        1. 海外に割り当てられたIPアドレスからの通信の遮断
          • サービス対象者が国内に限られるWebサイトの場合は、海外に割り当てられたIPアドレスからのアクセスを制限する。
        2. CDN、WAFの導入
          • CDN(Contents Delivery Network)やWAF(Web Application Firewall)などを導入し、DDoS攻撃を防ぐため必要な設定を行う。
        3. サーバ設定の見直し
          • 同一IPアドレスからのアクセス回数を制限、タイムアウト設定を見直す。
      2. DDoS攻撃による被害を想定した対策
        1. システムの重要度に基づく選別と分離
          • コストをかけてでも守る必要のあるサービスと、一定期間のダウンタイムを許容できるサービスを選別することで、それぞれの対応方針を策定するとともに、重要性に応じてシステムを分離することが可能か確認し、事業継続に重要なシステムは狙われやすいシステムとネットワークを分離することも検討する。
        2. 平常時からのトラフィックの監視
          • 平常時のトラフィック状況を知っておくことで、異常なトラフィックを早期に発見できる。
        3. 異常通信時のアラートの設定
          • 異常な通信が発生した際に、担当者にアラート通知が送られるようにする。
        4. ソーリーページ等の設定
          • サイトの接続が困難、若しくは不能となったときに、SNS等の媒体を利用して、サイト利用者に状況を通知する内容の投稿ができるようにするほか、別サーバに準備したソーリーページが表示されるように設定する。
        5. 通報先・連絡先一覧作成など発生時の対策マニュアルの策定
          • DDoS攻撃を受けた旨、警察や平素からやりとりのある関係行政機関等の通報先についてまとめておくとともに、サーバやインターネット回線が使用不能となった場合の代替手段の確保など、対策マニュアルや業務継続計画を策定する。
        6. プロバイダ側での対策可否の検討
          • 通信事業者によりインターネット上流で通信流量抑制が可能かどうかを確認するとともに、通信事業者が提供するDDoS防御サービスへの加入も検討すること。
      3. DDoS攻撃への加担(踏み台)を防ぐ対策
        1. オープン・リゾルバ対策
          • 管理しているDNSサーバで、外部の不特定のIPアドレスからの再帰的な問い合わせを許可しない設定にする。
        2. セキュリティパッチの適用
          • ベンダーから提供されるOSやアプリケーションの脆弱性を解消するための追加プログラムを適用する。
        3. フィルタリングの設定
          • 自組織から送信元IPアドレスを詐称したパケットが送信されないようフィルタリング設定を見直す

~NEW~
外務省 スーダン共和国からの邦人等の退避について
  • 4月24日(現地時間)、今般のスーダン情勢を受けて、在留邦人とその配偶者及び子、合計45名の方々が、航空自衛隊のC-2輸送機にて、スーダン東部のポートスーダンからジブチに退避しました。
  • また、別途、フランスや赤十字国際委員会の協力を受け、合計4名の邦人が既にスーダンからジブチやエチオピアに退避しています。
  • 日本政府は、今般の事態を受け、関係国とともに、すべての当事者に対して即時の暴力停止を呼びかけるとともに、在留邦人の保護のため、各国・国際機関と連携しつつ、全力で取り組んできました。そうした中で、今般の一連の退避オペレーションは、防衛省・自衛隊を始めとする関係省庁と緊密に連携して参りました。
  • また、これまで、韓国、フランス、ドイツ、米国、英国、UAE、サウジアラビア、国連や赤十字国際委員会など多くの国や機関の協力を得てきており、心からの謝意を表明します。
  • 日本政府としては、引き続き、スーダン国内に在留する邦人の安全確保及び必要な支援に全力を挙げて対応してまいります。

~NEW~
外務省 在スーダン日本国大使館の一時閉館とジブチにおける臨時事務所の設置について
  • 現地の治安状況の急速な悪化を受けて、在スーダン日本国大使館の館員は、友好国・国際機関の協力によりスーダンから出国し、ジブチ共和国のジブチに退避しました。このため、在スーダン日本国大使館は、現地時間4月24日をもって一時閉館し、ジブチ共和国のジブチに臨時事務所を設置して当座の業務を継続しています。
  • 退避した館員は、服部孝駐スーダン日本国大使と共に、引き続き、ジブチの臨時事務所において、邦人保護等の業務に最大限取り組みます。ジブチにおける連絡先は以下のとおりです。
  • 在スーダン日本国大使館(在ジブチ日本国大使館内)9ème étage MEZZ Tower Rue de Venise, Djibouti, République de Djibouti BP 2051
    • Tel: +253 21354981
    • Fax: +253 77043751
  • なお、現在、スーダンについては、全土に、「渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」との危険情報が発出されています。同国への渡航を予定している方は、目的のいかんを問わず渡航を止めてください。

~NEW~
内閣官房 こども未来戦略会議(第2回)議事次第
▼資料10 芳野 構成員提出資料
  • 基本理念「1.若い世代の所得を増やす」について
    • 希望する人が安心して子どもを生み育てられるようにするためには、雇用の安定と質の向上、処遇の確保をはかるべきである。
    • 子育てのライフステージが妊娠から出産・産後だけでなく高校・大学等まで続くことを考えれば、若い世代に限定せず、年齢や雇用形態等にかかわりなく、当事者の希望に沿った適切な訓練・研修や支援を受けられるよう強化することが重要。あわせて、能力開発を実施する企業への支援も拡充することが重要である。
    • 雇用保険の適用範囲を拡大させることは重要であるが、「拡大」だけでなく「強化」も不可欠である。また、いわゆる「収入の壁」の課題に対しては、すべての労働者に社会保険を適用し、ライフスタイルや働き方に中立的な制度としていくことが重要である。
    • 来所を前提としないハローワークのサービス充実については、「ジョブタグ」など厚生労働省の関連サイトとの円滑な連携を含め、まずは現在のシステムの改善・改良を優先的に取り組むべき。また、来所による就職相談やマッチング機能の重要性も変わるものではなく、引き続き、マザーズハローワークを含むハローワークの人員体制や機能の強化も並行して行う必要がある。
  • 基本理念「2.社会全体の構造・意識を変える」について
    • 第一子出産後も就業を継続する女性が増える一方、第一子出産後に正規雇用から非正規雇用に就業形態が変わるL字カーブが問題となっている。その背景には、女性が家事・育児の中心的役割を担わざるを得ない実態、長時間労働の職場における育児やキャリアとの両立の困難がある。男性の育児休業取得促進等は重要だが、社会の根底にある男女の性別役割分担意識の払拭に同時並行で取り組むことが急務であり、長時間労働を前提とした「男性中心型労働慣行」を是正し、育児とキャリアが両立できる社会を構築すべきである。
    • なお、就業継続に係る多様な制度、働き方に関しては、育児休業制度や短時間勤務制度の利用が一方の性に偏り、結果として女性のキャリアアップを難しくしてきたという点を踏まえれば、性別役割分担意識が払拭されないままの制度導入は、役割分担をより強固にしかねない側面があることに十分留意すべきである。
    • 育児期に時短勤務を選択した場合の給付の創設などを検討する旨の記載があるが、介護など他の事由により時短勤務を行う労働者や、育児のために退職し、その後パートタイムで働く者などとの公平性にも配慮する必要がある。
    • 子どもや子育てに対する社会の意識を変えるには、子どもから大人まで世代を問わずすべての国民が子どもの持つ権利を知り、その権利を守ることが重要である。そのため、子どもの権利条約やこども基本法など、子どもの権利を周知徹底する必要がある。
  • 基本理念「3.全ての子育て世帯を切れ目なく支援する」について
    • 妊娠期から子育て期にわたる切れ目ない支援やひとり親世帯への支援、保育の質の確保と子育て支援サービス等の拡充をはかるためには、その担い手の確保が欠かせない。処遇改善と職員配置基準を含む労働環境の改善をはかり、長く安心して働くことのできる職場にすることで人材を確保していくことが重要である。
    • 子育て支援について、単に保育施設の量を増やすだけではなく、すべての子どもの「質の高い保育・教育を受ける権利を守る」という視点で、一人ひとりが尊重され健やかに成長できる環境を整備するなど、子どもの最善の利益につながる支援にしていく必要がある。
▼資料12 新浪 構成員提出資料
  1. 若い世代の所得を増やす
    • ゼロインフレではなくなった今、若い世代の「実質」賃金を恒常的に上げることが重要であるとの認識を共有することが必要。
    • 子育てに係る経済的支援のみならず、国内投資拡大による質の高い雇用創出と労働移動の円滑化による構造的賃上げ、男女ともに育児をしながらでも正規雇用にて活躍できる環境整備などを、一体として進めることが肝要。とりわけ、雇用の7割を支える中小企業の取組みを集中的にサポートすべき。
    • 住宅の家賃負担軽減のために、空き家を有効活用した住宅支援も有効。
    • 少子化対策は、消費経済の活性化をはじめとした大きなリターンをもたらす、将来に向けた投資であるとの認識が必要。また、今後さらに高齢化が加速する中で社会保険料負担が増大すれば、現役世代の実質賃金を押し下げることになることから、社会保障改革等も含めた総合的な対応を進めることが必要。
  2. 社会全体の構造・意識を変える
    • 仕事と子育ての両立支援、また貧困などの社会課題への対応は、それぞれの地域の特性に応じたものであることが重要。
    • 地域ごとの多様なニーズに対し、画一的かつ限りある行政サービスのみで応えることは困難であり、NPO・NGOと企業がタッグを組み、民間のノウハウをもって地域の実情に沿ったコミュニティ再生と課題解決を図る「共助」の取組みを拡大し、社会システムとして確立すべき。
  3. 全ての子育て世帯を切れ目なく支援する
    • 価値観が多様化する中において、結婚や子育ての「多様性」も尊重されなければならない。
    • 例えば事実婚など、結婚や就業、子育ての形態によって支援に差が生じないよう、関連する税制等の制度見直しも含めて検討を行うべき。
  • 上記に加え、こども・子育て政策自体が国民に負担を求めるものである以上、ワイズスペンディング・効果検証の徹底についても、こども・子育て政策の基本理念の1つとして示すべきではないか。

~NEW~
内閣官房 新しい資本主義実現会議(第17回)
▼資料2 論点案
  1. 科学技術・イノベーションの追加検討事項
    • 生成AI(ChatGPTなど)は、作業時間の短縮やタスクの質の向上、人による差の縮小を可能にし、法律、金融業務、コンテンツ生成などの様々な分野で、その応用が期待されている。日本においても、生成AIを活用した人手不足への対応などの労働生産性の向上を進めるべく、産業側での積極的な利活用に向けた環境整備を着実に進めるべきではないか。
    • また、生成AIを活用した多様なサービスの創出の観点から、日本語に対応したアプリやソフトウェアの民間での開発を促進するとともに、それに必要となる知見として生成AIの開発にも取り組むべきではないか。
    • 生成AIを含むAIに対する一般的な規制の在り方については、開発状況や国際的な議論の動向も見極めながら、その必要性を判断すべきではないか。
    • 新たな成長分野となりうる、アニメ、ゲーム、エンターテインメント、漫画等の分野について、広い意味でのクリエイター支援の在り方を、官民連携して検討すべきではないか。
    • 希少資源・レアアースの確保という経済安全保障上の観点も踏まえ、市場のライフサイクル全体で資源を効率的・循環的に有効利用する循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行を進めることを検討すべきではないか。
  2. GX・DXなどを進めるための企業参入・退出の円滑化
    • 事業所の参入・退出は生産性向上に寄与する一方で、日本の開廃業率は、米国・欧州主要国に比べて低い水準で推移している。「スタートアップ育成5か年計画」に定めた人材育成、資金供給、オープンイノベーションを確実に推進するなど、参入の円滑化を着実に実行するとともに、企業経営者に退出希望がある場合の早期相談体制の構築など、退出の円滑化策の検討も必要ではないか。
    • 企業経営者が、事業不振の際に、M&A・事業再構築・廃業などの幅広い選択肢について、早い段階から専門家に相談できる体制を、全国にある中小企業支援実施機関の体制拡充も含め、確立すべきではないか。
    • 日本においても、他の先進国のように、全ての貸し手の同意を必要とせず、多数決により金融債務の減額等を容易にする事業再構築法制を整備すべきではないか。
    • 民間の新規融資のうち7割で、経営者保証が付いている。これが、起業を行う際の障壁となっていることから、企業のノウハウや顧客基盤等の無形資産を評価して融資する、いわゆる事業成長担保融資を拡大すべきではないか。これは、企業経営者に退出する希望がある場合の退出の円滑化にも資するのではないか。
    • 不採算事業からの撤退又は廃業の際に、撤退・廃業に要する費用、これまでの事業で生じた債務や、廃業後の生活に対して、負担感を感じる経営者が多い。早期相談などの周知徹底・環境整備が必要ではないか。
    • スタートアップの重要な人材獲得手段であるストックオプションについて、日米間で取締役会で決定できる事項や決定が許される期間に違いがある。米国では、発行株式全体に占めるストックオプションの割合は15%~18%と、ストックオプションが積極的に活用されている一方で、日本でのストックオプションの活用割合は10%以下に留まる。日本においてストックオプションの活用を更に進めるため、法制、税制の整備を検討すべきではないか。
    • また、ストックオプションの権利行使価格の目安となる未上場会社の種類株式の株価算定ルールの明確化など、スタートアップがストックオプションを抵抗や不安感なく利用できる環境整備を進めるべきではないか。あわせて、起業家の個人情報保護の観点から、会社登記における個人情報の取扱いを見直すべきではないか。
    • 社会課題の解決に向けて、インパクトスタートアップ、NPO、既存企業の関連部門などの連携強化を図るとともに、インパクトスタートアップの新たな認証制度の創設や金融の枠組みを含めて、総合的な支援策を検討すべきではないか。
▼資料11 松尾委員提出資料
  • AIの活用の必要性
    • 生成AI、あるいは大規模言語モデルと呼ばれる技術が進展しており、AIの言語能力の大幅な向上によって、今後、社会全体を大きく変えることが予想される。米国では、労働者の8割に影響があるとされる。生産性の向上に大きく寄与する可能性があり、我が国でもさまざまな形で利用していくべきである。
    • 以下、参考まで用語を整理する。
      • 生成AI(generative AI):画像を生成する拡散モデル(diffusion model)や自然言語を扱う大規模言語モデル(large language model;LLM)などを指す。従来から識別モデルに対して生成モデルという分類法があり、その生成の側面に注目した呼び方。
      • 基盤モデル(foundation model):自然言語や画像等に共通して、事前に学習したモデルを用いて、継続タスクに適用可能にしたもの。主に、トランスフォーマー(2017年にGoogleの研究者らによって提案された手法)が使われる。大規模言語モデルも含まれるが、自然言語や画像をまたがるマルチモーダルなものが想定されることが多い。
      • 大規模言語モデル(large language model;LLM):言語データを対象に、深層学習(主にトランスフォーマー)を用い、自己教師あり学習によって訓練された大規模なモデル。有名なものとして、OpenAIの開発するGPT-4、Googleの開発するPaLM、Metaの開発するLlama等がある。ChatGPTは、GPT-4(あるいはGPT-3,GPT3.5)を対話用にチューニングしたもの。
    • すでにビッグテックからさまざまなウェブサービスやAPIが提供されており、それを使ったサービスの開発を奨励していくべきである。また、同時に、個人、企業、行政等でも活用を進めていくべきである。デジタルの活用が進んでいない日本においては、リープフロッグ的な意味合いを持ち、DXの決め手になる可能性がある。デジタル・AIの新技術としてはこれまでになく、日本の経営層、トップ層の理解や動きが早く、希望が持てる。
  • 大規模言語モデルを日本で開発する必要性
    • 大規模言語モデルの活用を進める一方で、大規模言語モデルを日本でも作るべきである。世界では、すでに莫大な金額での開発競争になっている。例えば、OpenAIはMicrosoftから1兆円の投資を受ける。人材面でもデータや計算機環境の整備の面でも、相当に進んでいる。短期的に、日本がこの競争に勝つことはほぼ不可能である。しかし、現在は技術の勃興期であり、今後の社会的インパクトの大きさ、産業への波及効果、サイバーセキュリティや経済安全保障などにおける重要性を考えれば、国内でもこの開発をしっかりとやっていくべきである。
    • 例えて言うと、自動車産業が米国で勃興した際に、短期的な経済性だけを考えれば車を輸入するだけで良かったかもしれない。しかし、性能は悪くとも、まずは車を日本で一から作ってみる、そのための工場を作ることで、ノウハウがたまる。それが、結果的に、日本の自動車産業につながった。大規模言語モデルに関しても、今の段階では、まず一から作ってみることは重要で、しっかり技術にキャッチアップしながら、ノウハウを蓄積すれば、今後、さまざまなチャンスがある。現段階で、不戦敗を選ぶ必要はない。
    • そのために考えるべきポイントは、コストパフォーマンスである。1~2年遅れの技術であれば、そこそこの投資額でついていくことが可能である。例えば、現時点でGPT-3を作るには、GPT-3が開発された2020年時点より、かなりコストを抑えて作ることができる。GPT-3.5あるいはそれ以上でも、計算資源をしっかりと整備すれば作ることは可能である。マラソンで言うと「先頭集団の最後方につける」ということであり、風を切っていかないといけない先頭(つまり探索の幅が大きく、R&Dコストのかかる最先端の企業)に比べると、効率的に開発を進めることができる。
    • 大規模言語モデルのキラーアプリケーションとも言うべき、最もインパクトを与える、あるいは経済的に最も成功する応用事例はまだ見つかっていない。インターネットという技術において、Eコマースや検索エンジンが最も成功するビジネスであったように、今後そういったビジネスが探索されるはずである。医療や行政といった、日本でも業務効率の改善の余地の大きい領域がそうした応用事例になるかもしれない。自国で大規模言語モデルを作ることは、そうした事業探索、事業展開にも効果が期待される。
  • 国として注力すべき点
    • このような背景のなか、大規模言語モデル開発にあたり、国として注力すべき点を3点述べる。
      1. 計算資源への投資
        • 大規模言語モデルの開発には多くの計算資源が必要である。GPT-3はパラメータが1750億あり、学習に必要な計算量は数百ゼタFLPと試算される。産総研のABCI(AI橋渡しクラウド)は研究コミュニティの底上げにこれまで大きく寄与しているが、ABCIのGPUのキャパシティからすると、我々の試算ではGPT-3の学習に約1ヶ月程度かかる。ABCIの後継となる、より計算能力の高いGPUの計算資源の確保が重要である。また、ABCI以外にも、日本全国でさまざまな形で計算資源を確保し、大規模言語モデルの開発のインフラを整えるべきである。数百億円(あるいはそれ以上)の投資が望ましい。GPUの供給が世界的に逼迫しており、その確保に努める必要がある。
      2. データの整備、提供
        • 日本語により特化させるために良質な日本語データの準備が重要である。イギリス版のBritGPTにはBBCのデータが使われる。日本でもNHK、国会図書館、検索エンジン等のデータを整備し、学習に用いることのできるように整備を進める必要がある。
      3. 大規模言語モデルの開発/活用における競争環境の整備
        • 複数のプレイヤーが競い合って、適切な競争環境を維持しながら、大規模言語モデルの開発を進めていくことが重要である。結果的に、開発力の高いところにリソースが集中されると良い。また、大規模言語モデルの開発に関わる企業や技術者がノウハウを共有できる環境を整備する必要がある。大規模言語モデルはAPI等の形で民間も活用しやすくするべきである。
        • 計算資源やデータ整備の面から、きちんとインフラ・環境を整え、同時に、ダイナミックな民間事業を政府が力強く迅速かつ変化に適応しながら支援することができれば、日本がこの分野で競争力をつけていける可能性がある。参入のウィンドウが開いている期間は長くない。いまこのタイミングでスピード感をもって動くべきである。

~NEW~
内閣官房 第6回 教育未来創造会議 配布資料
▼資料1-1: 「未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ<J-MIRAI>」(第二次提言)(案)概要
  • コロナ後のグローバル社会を見据えた人への投資の在り方
    • 「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとした新しい資本主義を実現するためには、人への投資を進めることが重要。
    • 世界最先端の分野で活躍する高度人材から地域の成長・発展を支える人材まで厚みのある多様な人材を育成・確保し、多様性と包摂性のある持続可能な社会を構築することにより、我が国の更なる成長を促し、国際競争力を高めるとともに、世界の平和と安定に貢献していくことが必要不可欠。
    • 留学生交流について量を重視するこれまでの視点に加え、日本人学生の海外派遣の拡大や有望な留学生の受入れを進めるために、より質の向上を図る視点も重視。
    • 今後、より強力に高等教育段階の人的交流を促進し、質の高い大学や留学生の交流を積極的に進めるとともに、初等中等教育段階から多様性・包摂性に向けた教育を充実。
    • 高度外国人材の受入れ制度について、世界に伍する水準への改革を進めるとともに、海外留学した日本人学生の就職の円滑化や日本での活躍を希望する外国人留学生の国内定着を促進。
  • 今後の方向性
    • 留学生の派遣・受入れ
      • 日本人学生の派遣
        • 海外大学・大学院における日本人留学生の中長期留学者の数と割合の向上を図り、特に、大学院生の学位取得を推進。このため、高校段階から大学院までを通じて、短期から、中期、長期留学まで学位取得につながる段階的な取組を促進。
      • 外国人留学生の受入れ
        • 高い志を有する優秀な外国人留学生の戦略的受入れを推進。その際、多様な文化的背景に基づいた価値観を学び理解し合う環境創出のために受入れ地域についてより多様化を図るとともに、大学院段階の受入れに加え、留学生比率の低い学部段階や高校段階における留学生の受入れを促進
    • 留学生の卒業後の活躍のための環境整備
      • 留学生が将来のキャリアパスについて予見可能性をもって、入学前から安心して留学を決断できるようにするため、海外派遣後の日本人留学生の就職円滑化を推進するとともに、外国人留学生の卒業後の定着に向けた企業等での受入れや起業を推進。
    • 教育の国際化
      • 多様な文化的背景に基づく価値観を持った者が集い、理解し合う場が創出される教育研究環境や、高度外国人材が安心して来日できる子供の教育環境の実現を通じて教育の国際化を推進。
  • 2033年までの目標
    • 日本人学生の派遣 2033年までに50万人(コロナ前22.2万人)
      • 日本人留学生における学位取得等を目的とする長期留学者の数 6.2万人→15万人
      • 協定などに基づく中短期の留学者数 11.3万人→23万人
      • 高校段階での留学者数 研修旅行(3か月未満)4.3万人→11万人 留学(3か月以上)0.4万人→1万人
    • 外国人留学生の受入れ・定着 2033年までに40万人(コロナ前31.8万人)
      • 外国人留学生の数 31.2万人→38万人
      • 全学生数に占める留学生の割合 学部 3%→5% 修士 19%→20% 博士 21%→33%
      • 外国人留学生の数(高校) 0.6万人→2万人
      • 全生徒数に占める留学生の割合 高校0.2%→0.7%
      • 留学生の卒業後の国内就職率(国内進学者を除く。) 48%→60%
    • 教育の国際化
      • 学部・研究科の数 学部86→200 研究科276→400
      • 海外の大学との交流協定に基づく交流のある大学の割合 48%→80%
      • ジョイント・ディグリー・プログラムの数 27→50
      • ダブル・ディグリー・プログラムの数 349→800
      • 英語で複数教科の授業を受けられる高校(コース等含む。)の数 50→150
      • 対面での国際交流を行う高校の割合 18%→50%
      • 中学・高校段階におけるオンライン等を利用した国際交流を行っている学校の割合 20%→100%
  • 具体的方策
    • コロナ後の新たな留学生派遣・受入れ方策
      1. 日本人学生の派遣方策
        1. 高校段階から大学院段階までを通じた日本人学生の派遣の推進
          • SNS等を活用した広報強化
          • 卒業生のネットワーク構築
          • 各自治体での海外大学進学支援の取組推進
          • 協定派遣(授業料相互免除)増に向けた取組推進
          • 中長期留学や海外大学で学位取得を目指す学生について、海外派遣の指標実現に向けて大幅に拡大するため、官民ー体となって構造的・抜本的な方策の実施を進め、その成果の発現・進捗に沿って給付型奨学金を着実に拡充するなど奨学金の充実に取り組むとともに、企業・個人等が拠出する奨学金のー層の活用推進など、官民ー体での経済的支援の充実
          • 企業による代理返還制度の活用促進や地方公共団体による返還支援の取組を推進
          • 官民協働による「トビタテ!留学JAPAN」の発展的推進
          • 博士人材等派遣の促進
          • 社会人の海外大学院留学の促進 等
        2. 初等中等教育段階における英語教育・国際理解教育、課題発見・解決能力等を育む学習等の推進
          • 英語4技能(読む、書く、聞く、話す)の育成に向けた、デジタルを活用したパフォーマンステストの実施促進
          • 探究学習、自然・社会・文化芸術への興味関心を育む体験活動、国際理解教育の推進
          • 国際バカロレアなどの国際的な教育プログラムが履修できる教育環境の整備を促進
          • 教員養成段階の留学や採用後の海外経験機会の拡充、実践的な教員研修の充実を通じた教員の英語教育・国際理解教育の指導力強化
          • 1人1台端末を活用した海外とのオンライン交流の促進 等
      2. 外国人留学生の受入れ方策
        • 日本への留学機会の創出
          • 学生の早期からのリクルート、広報・情報発信、日本語教育をー体的に促進する現地機能の強化
          • 留学生受入れに関する情報がー元的に得られるポータルサイトの情報充実
          • 優秀な学生の早期からの獲得強化に向けたプログラム構築
          • 海外における日本語教育の充実
          • 国費留学生制度の地域・分野重点化などの見直し 等
        • 入学段階での要件・手続の弾力化
          • DX化促進による渡日前入学者選抜の促進
          • 留学ビザ取得のオンライン化
          • 銀行口座開設における負荷軽減 等
        • 国内大学の教育研究環境の質及び魅力の向上
          • 留学生の授業料設定柔軟化や定員管理の弾力化
          • キャンパスの質及び魅力の向上、民間資金等も活用した留学生・外国人教員宿舎の整備、賃貸住宅の受入れ環境整備 等
        • 適切な在籍管理、技術流出防止対策の徹底・強化
          • 在籍管理非適正大学等の大学等名の公表、在留資格「留学」の付与停止、私学助成の厳格な対応、留学生数等の情報公開の強化
          • 安全保障貿易管理の徹底、研究インテグリティの推進 等
      3. 国際交流の推進
        • 「アジア架け橋プロジェクト」や対日理解促進交流プログラムの充実強化、姉妹校連携や留学コーディネーターの配置促進等を通じた国際交流の促進
        • COIL(国際協働オンライン学習)、VE(バーチャル・エクスチェンジ)等のオンラインを活用したハイブリッド国際交流の推進
        • 脱炭素人材の人材育成強化や農業を学ぶ学生等の留学・国際交流活動の推進、文化・芸術分野での学生・若手芸術家等の交流の促進 等
    • 留学生の卒業後の活躍に向けた環境整備
      1. 日本人学生の就職の円滑化に向けた環境整備
        • 留学中の学生への就職情報の提供、現地でのジョブフェアへの参画拡大
        • 帰国後の留学生に対する通年・秋季採用、インターンシップ等による多様な選考機会の提供促進
        • 留学等を通じて得られた知識や専門性に対し企業が採用・人材育成面での積極的な評価を行う取組の裾野を広げる機運醸成 等
      2. 外国人留学生等の高度外国人材の定着率の向上
        1. 留学生の就職促進に向けた取組促進
          • ハローワーク等における多言語対応を含めた相談支援機能・拠点の強化等による環境整備
          • 地域の特性に応じたインターンシップ機会の提供等による外国人留学生等の地元企業への就職・定着支援を行う「高度外国人材活躍地域コンソーシアム」の設立、「高度外国人材活躍促進プラットフォーム」における中小・中堅企業の外国人材の受入れに係る課題解決に向けた伴走型支援の実施 等
        2. 受入れ企業側における企業風土の改善、環境の充実
          • 企業での採用方針の明確化、社内制度の見直し、採用方針・実績の公表等の促進 等
        3. 関連する在留資格制度の改善
          • 高度外国人材に係る受入れ制度の世界に伍する水準への改革(特別高度人材制度及び特定活動における未来創造人材制度の創設)、ー定の要件を満たす国内大学の卒業者についても同様の措置が受けられるようにするための検討
          • 質の高い専門学校の認定制度を創設、その卒業者等の在留資格の運用見直し 等
    • 教育の国際化の推進
      1. 国内大学等の国際化
        • 海外大学とのジョイント・ディグリー及びダブル・ディグリーや単位互換、大学間交流協定締結の促進
        • 国際交流などにおいて高度で専門的な知識や経験を有する「アドミニストレータ職」等の採用・育成の促進
        • 徹底した国際化やグローバル人材育成に大学が継続的に取り組むような環境整備
        • 国際化に積極的に取り組む大学等へのインセンティブ付与
        • 国際化を先導する大学の認定制度の創設
        • 戦略的に留学生交流を推進すべき国・地域との大学間連携・学生交流の推進
        • 欧米のトップクラス大学の誘致によるグローバル・スタートアップ・キャンパス構想の実現
      2. 外国人材の活躍に向けた教育環境整備
        • インターナショナルスクールに関する情報充実・実態把握、学校間接続の円滑化、国際的な中等教育機関の整備推進・運営支援
        • 学校教育を受ける際に困難を有する外国人児童生徒への支援強化
        • 日本語教育機関の認定制度創設等による質の維持向上 等
      3. 国内大学の海外分校や高専を始めとする日本型教育の輸出
        • 国内大学等の海外分校設置に係る環境整備推進
        • 諸外国からの要請を踏まえた日本型高専の導入支援
        • 在外教育施設における国内同等の教育環境整備や安全対策・施設整備等の機能強化に向けた支援 等

~NEW~
農林水産省 G7宮崎農業大臣会合(令和5年4月)
▼G7農業大臣声明2023 仮訳
  • 世界の食料及び農業をめぐる状況は、我々G7農業大臣が2009年に初めて参集して以来大きく変化してきている。これまでの我々の取組は、農業・食料システムに関する多くの課題への対処に貢献してきたとはいえ、未来の世代へ引き継いでいくためには、農業・食料システムをより強じんで持続可能なものにするための努力を緊急に強化する必要がある。我々G7農業大臣は、将来の農業・食料政策に向けた課題と機会について議論すべく2023年4月22-23日に宮崎に会した際に、このことを認識した。
  • 気候変動及び生物多様性の損失が世界の食料安全保障に与える影響は、例えば作物、水資源及び土壌の健康への甚大な影響等を通じて、より顕著になってきている。更に、新型コロナウイルスのパンデミックや、ロシアのウクライナに対する違法な侵略戦争は、既に困難に直面していた世界の食料安全保障及び栄養をめぐる状況を悪化させている。
  • 我々は、ロシアのウクライナに対する違法で、不当で、いわれのない侵略戦争を引き続き最も強い言葉で非難するとともに、今も続く悲劇的な人命の損失と苦痛に驚愕し、心を痛めている。我々は、最も脆弱な人々に特に大きな影響を与えている穀物、燃料及び肥料の価格高騰をはじめとして、この戦争が世界的に食料安全保障に与えている破壊的な影響を深く懸念する。我々は、EU・ウクライナの連帯レーン、ゼレンスキー大統領の「ウクライナからの穀物」イニシアチブ並びに国連及びトルコの仲介による黒海穀物イニシアティブ(BSGI)の重要性を認識する。これに関し、我々は、BSGIの延長、完全な実施及び拡大を強く支持する。我々は、食料を不安定化の手段や、地政学的な威圧の道具として利用するロシアの企てを非難するとともに、連帯して行動し、ロシアが食料を武器化することにより最も影響を受けている人々を支援するとのコミットメントを再確認する。我々は、支援を必要としている人々に対し予期せぬ結果をもたらさないよう、食料及び肥料をその対象から除外した上で、ロシアに対する我々の制限的な措置の設計を続ける。
  • 我々は、農地における地雷除去に関する我々の経験、知識、専門性を共有することや、ロシアにより破壊された灌漑、倉庫及び食品加工施設等の農業インフラの再建を含め、ウクライナの回復と復興を支援する用意がある。我々はまた、国際機関と連携し、小規模農家による資金や種子等の投入財へのアクセスや、持続可能な農業生産性向上のためのデジタルその他の新技術の導入を引き続き支援していく。我々は、首脳によるコミットメントへの対応として、英国の拠出により穀物の出荷元を特定するために活用できる穀物データベースが創設されたことを歓迎する。
  • ロシアのウクライナに対する違法な侵略戦争が始まる前の2021年においても、慢性的な飢餓人口は8億2,800万人と推計され、新型コロナウイルス発生前から1億5,000万人増加している。国連食糧農業機関(FAO)の推計によると、ロシアのウクライナに対する違法な侵略戦争によって、2022年には更に1,070万人が慢性的な飢餓に陥り、我々は、持続可能な開発目標(SDG)「2030年までに飢餓をゼロに」の達成や、国家の食料安全保障の文脈における、十分な食料への権利の漸進的な実現から更に遠ざかっている。適切な政策対応が急務であることは明らかである。短期的には、ウクライナを支援し、ロシアのウクライナに対する違法な侵略戦争が、世界の食料安全保障と栄養、とりわけ脆弱な途上国に与える悪影響を緩和することが不可欠である。また、中長期的には、強じんで持続可能な農業慣行への急を要する変革を継続して、最近80億を超え増え続ける世界人口を養うために十分で持続可能な生産を実現するとともに、農業・食料生産による環境への負の影響を軽減し正の影響を高めていくことが不可欠である。
  • 短期的な課題への対処が、より強じんで持続可能な農業・食料システムの達成に向けた長期的な目標に注力することを妨げてはならない。その目標とは、食料の損失・廃棄の削減から、持続可能な生産及び消費の増加まで、サプライチェーンに沿って幅広いものである。我々は、農業が、気候変動や生物多様性損失の原因でもあると同時にその影響を受けること、これらを助長もすれば緩和させることもできるという、独特な産業部門であることを認識する。我々は、食料システムの変革に向けて前進すべく、150以上の国々が、2021年の国連食料システムサミット、及びその他の関連する国際会議に参集したという事実に勇気づけられる。我々は、このモメンタムを今後も維持し、誰一人取り残すことなく、持続可能な開発のための2030アジェンダ及びその目標の完全な履行を達成しなければならない。
  • 新型コロナウイルスのパンデミックやロシアのウクライナに対する違法な侵略戦争は、伝染病、サプライチェーンの混乱、価格の高騰といった世界の食料安全保障及び栄養に対する既存の脅威を浮き彫りにし、肥料を含む投入財の入手及び手頃なアクセスを困難にした。このことにより、より広範な“食料システム”の視点を取り入れる重要性が、これまで以上に明白となっている。
  • 我々は、強じん性と持続可能性を長期的に向上させるため、農産品や投入財の国際、地域、そして地元のサプライチェーンを多様化することの重要性を強調する。我々は、現在ほとんどの国が自国の食料供給のために国内生産と国際貿易の双方に頼っていることを認識する。したがって各国は、既存の国内農業資源を有効活用し、食料貿易を円滑化しつつ、地元の、地域の、そして世界の食料システムを強化する途を追求すべきである。更に、我々は、食料生産に用いられる資源を保存し、食料の入手可能性を向上させるため、食料の損失・廃棄の削減に向けた取組を継続する。
  • 我々はまた、栄養、及び健康的な食事の推進の重要性を強調する。我々は、母親、乳児、幼児を対象とした栄養プログラム、及び、対象を絞った学校給食プログラムの提供等のその他の様々なイニシアチブが、食料安全保障や栄養、並びに子供たちが学校に通うことや学習することに重要な貢献を果たすことができると認識する。
  • 我々は、公平な、開かれた、透明性のある、予見可能な、無差別でルールに基づいた貿易にコミットする。我々は、強じんで持続可能な食料システムを構築し、食料安全保障を促進し、栄養価の高い食料や健康的な食事をより手頃で入手可能なものにする上で、貿易の重要性を強調する。世界の食料安全保障及び栄養の達成に努める中で、我々は、貿易措置が、透明かつ、WTOルールに整合したものであることを確保することの重要性を再確認する。現行のWTO農業交渉は食料安全保障及び持続可能性の両観点からSDGsの実現に貢献すべきである。我々はまた、市場がうまく機能するためには農業データの入手可能性及び透明性が重要であることを再確認する。この観点から、我々は、G20農業市場情報システム(AMIS)への支援を強化することにコミットする。我々は、肥料・植物油の市場や政策に関する報告の促進等のため、任意の追加的な資金提供をしており、他のAMIS加盟国に対しても同様に対処するよう呼びかける。我々は、すべてのAMIS加盟国が時宜を得たデータや完全で正確な情報を提供するよう、G20メンバー国と協働することにコミットする。我々は、引き続き、食料・投入財の価格変動の増加を悪化させ得る、輸出に対するいかなる不当な制限措置も執らないようにし、他国も同様に対処するよう呼びかける
  • 我々は、責任ある持続可能な農業サプライチェーンへの対処には、様々なルール、任意ガイドライン及び民間セクター基準があること、各国状況は異なることを認識する一方で一貫した理解や補完的アプローチが必要なことを認識する。我々は、持続可能な農業サプライチェーンへの継続的な移行を促進するとのコミットメントを再確認し、この観点から、農業生産によって森林減少・劣化が起こらない持続可能なサプライチェーンへの支援を強化する。我々は、「責任ある農業サプライチェーンのためのOECD-FAOガイダンス」のより一層の普及・支援に向けた取組を継続する。我々は、関連商品の生産に関する森林減少や森林及び土地の劣化のリスクを低減し、この問題に対する様々な関係者との協力を強化する努力を継続することにコミットする。我々は、適切な場合には、これを支援するために更なる規制の枠組み又は政策を策定する。我々は、G7各国による持続可能な農業サプライチェーンのための任意・義務的なデュー・デリジェンス措置の収集作業が、2022年のG7議長国ドイツによって開始され、現在進行中であることを感謝の意をもって留意する。

~NEW~
内閣府 男女共同参画会議(第69回)議事次第
▼資料1 「女性版骨太の方針2023」の策定に向けた検討
  • 女性登用の加速化は、社会経済の意思決定の多様性と活力を高めることとなり、また、女性のキャリア形成の意欲を高める点で重要。投資家が企業における女性役員比率を重視する傾向が強まっている点も考慮し、諸外国の例を参考に、企業における女性役員比率の向上に向けた取組を進める必要がある。パイプライン構築の観点からは、管理職における女性比率向上のための施策も併せて検討を行う必要がある。
    • プライム市場上場企業で女性役員がいない企業は約2割に上る
    • 諸外国では数値目標の設定等により女性役員比率の向上を実現
    • 投資判断に女性活躍情報を活用している機関投資家等は約3分の2。活用する割合が最も高い女性活躍情報は「女性役員比率」
    • 部長級、課長級、係長級に就く女性割合は近年上昇傾向にあるが、上位の役職ほど割合が低い
  • 女性に多い非正規雇用労働者、経済的に厳しいひとり親世帯の現状、無償労働時間の女性への偏り等を踏まえ、女性の所得向上・経済的自立に向けた取組を強化していくことが重要である。全国津々浦々で女性の経済的自立を実現するためには、各地方自治体における地域のニーズに応じた取組を推進するなど、更なる具体策を検討する必要がある。
    • 女性の正規雇用比率は30代以降低下
    • ひとり親世帯の収入は一般世帯と比較して低い
  • 配偶者等からの暴力(DV)や性犯罪・性暴力などは個人の尊厳を害する重大な人権侵害であり、その防止と被害者の保護は、男女共同参画・女性活躍の前提である。配偶者暴力防止法の改正に係る状況や性犯罪・性暴力対策の進捗等を踏まえ、女性に対するあらゆる暴力の根絶に向けた具体策について更なる検討を進める必要がある。
    • DVの相談件数等は増加傾向
    • 相談件数は増加。多様な被害が生じている
▼資料2 G7サミット及び各閣僚会合における「ジェンダー主流化」の取組状況
  • 国際社会において、ジェンダー平等の観点をあらゆる政策や制度に反映する「ジェンダー主流化」の重要性が共有される中、我が国が議長国を務める本年のG7サミット及び各閣僚会合においても、以下のとおりジェンダーの視点を取り入れた議論又はその検討が進められているところである。こうした取組を一過性のものとすることなく、「ジェンダー主流化」の更なる発展に向けて取り組んでいくことが必要である。
  • G7広島サミット(5月19日~21日)
    • 新型コロナウイルスやロシアによるウクライナ侵略等により、ジェンダー問題がより一層顕在化する中、これまでのG7における「ジェンダー主流化」の議論や取組を加速させるための方策等について各国と議論を行っている。
  • G7栃木県・日光男女共同参画・女性活躍担当大臣会合(6月24日~25日)
    • 新型コロナ禍での経験を踏まえたジェンダー平等及び女性・女児のエンパワーメントを加速するための取組について分野横断的に議論するとともに、女性が自らの希望に基づき、個性と能力を最大限に発揮することで女性の経済的な自立が実現できる社会の実現に向け、議論を行う予定。
  • G7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合(4月15日~16日)
    • 気候・エネルギー・環境大臣コミュニケにおいて、気候変動、生物多様性の損失、汚染という三つの危機への取組とクリーンエネルギーへの移行を加速するプロセスの中心に、ジェンダーの公正を据え、気候・エネルギー・環境問題に関連する行動等における、完全かつ平等で意義ある参加とリーダーシップの重要性を共有した。
  • G7長野県軽井沢外相会合(4月16日~18日)
    • 外相コミュニケにおいて、ジェンダーに基づく性的暴力の終焉、女性の完全、平等かつ意義ある参画、気候、デジタル、ケア経済、教育等の幅広い分野におけるジェンダー分野に関する諸課題とその解決に向けた明確なメッセージを発出した。さらに、女性・平和・安全保障アジェンダの実施に係るコミットメントが再確認された。
  • G7倉敷労働雇用大臣会合(4月22日~23日)
    • 意思決定プロセスへの女性の参加促進、無意識の偏見や差別の解消、多様で柔軟な働き方を可能とする共働き・共育てモデルの構築等、ジェンダー平等に向けた取組を更に進めることを確認する内容を盛り込んだ大臣宣言を採択した。
  • G7宮崎農業大臣会合(4月22日~23日)
    • 強じんで持続可能な農業・食料システムへの変革における女性の役割の重要性について盛り込まれた大臣声明を採択した。会場では、女性農業者が民間企業と協働して多様な取組を行う「農業女子プロジェクト」のブースを出展し、女性農業者が持続可能な農業により生産した農産物等の提供を行い、我が国の女性農業者の活躍を世界に発信した。
  • G7群馬高崎デジタル・技術大臣会合(4月29日~30日)
    • G7デジタル・技術大臣会合においては、大臣会合におけるワーキングランチにW7を招待し、ジェンダーの観点を踏まえ、デジタル化の取組について議論を行うべく調整を行っている。また、同大臣会合に向けたワーキンググループの議論においては、ジェンダーを含むデジタルデバイドへの対応について議論を行ってきている。
  • G7新潟財務大臣・中央銀行総裁会議(5月11日~13日)
    • 中長期のマクロ経済政策において、G7経済に共通する構造的課題を乗り越える上での、女性の役割を強調する予定。また、各国と「多様な価値を追求するための経済政策」について意見交換を実施することとなっており、経済政策にて追求すべき重要な価値の一つとして、ジェンダーを含む多様性についても取り上げる予定。
  • G7仙台科学技術大臣会合(5月12日~14日)
    • G7科学技術大臣との間では、研究開発におけるジェンダー平等を含む多様性、公平性、包摂性、アクセス性の重要性を確認し、特に、研究活動を含め固定観念化されていない科学環境を作るために、多様性と包括性に関する共通の価値観を推進することについて議論する方針。
  • G7富山・金沢教育大臣会合(5月12日~15日)
    • ジェンダーなどの面で不利な立場にある子供たちも含め、全ての子供たちの可能性を引き出す教育の実現について議論する予定。現時点では、成果文書である「富山・金沢宣言」においても、その点について盛り込む方向で議論を進めている。
  • G7長崎保健大臣会合(5月13日~14日)
    • 特に女性や子どもといった脆弱な立場の方々の健康を支えることができるよう、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成への更なる貢献について、G7各国と議論を行っている。
  • G7三重・伊勢志摩交通大臣会合(6月16日~18日)
    • アクセシビリティをテーマの一つに掲げ、女性を始め様々な背景を持つ人々が、公平、平等かつ手頃な価格で交通を利用できるようにすることや、交通分野における女性の活躍推進の重要性等について議論を行う予定。
  • G7司法大臣会合(7月7日)
    • 「『法の支配』の推進に向けたG7の法務・司法分野での協力体制構築」という議題の下、法務・司法分野における諸課題への取組について議論し、成果文書を取りまとめる予定。この共同声明において、ジェンダー平等や法務・司法分野でのジェンダーの視点等を取り上げることを検討しており、現在ドラフトを作成中。
  • G7香川・高松都市大臣会合(7月7日~9日)
    • インクルーシブをテーマの一つに掲げ、都市内の子育て施設の供給や防犯対策の重要性等、女性のニーズや負担軽減に留意すること、包摂的な都市づくりのために女性をはじめ様々な背景を持つ人々の参画を促し、意見を反映させることの重要性等について、議論を行う予定。
  • G7大阪・堺貿易大臣会合(4月4日(オンライン)、10月28日~29日(対面))
    • 女性を含む、適切に代表されていない集団が直面する課題を認識した上での包摂的で持続可能な貿易促進の重要性を確認した貿易大臣声明を4月の大臣会合(オンライン)で採択。今後も議論を継続。
  • G7茨城水戸内務・安全担当大臣会合(12月8日~10日)
    • ジェンダー平等や女性・女児のエンパワーメントが求められる一方で、ロシアによるウクライナ侵略等により、紛争地帯等における女性や子供への暴力が依然として発生している状況を踏まえ、ウクライナ法執行機関に対する支援や児童等の性的搾取等について議論を行う予定

~NEW~
内閣府 月例経済報告(月次)
▼月例経済報告(令和5年4月)
  • 景気は、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。
    • 先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。
  • 我が国経済の基調判断
    • 個人消費は、緩やかに持ち直している。
    • 設備投資は、持ち直している。
    • 輸出は、弱含んでいる。
    • 生産は、このところ弱含んでいる。
    • 企業収益は、総じてみれば改善しているが、そのテンポは緩やかになっている。企業の業況判断は、持ち直しの動きがみられる。
    • 雇用情勢は、持ち直している。
    • 消費者物価は、上昇している。
  • 政策の基本的態度
    • 足下の物価高などの難局を乗り越え、日本経済を本格的な経済回復、そして新たな経済成長の軌道に乗せていくべく、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」及びそれを具体化する令和4年度第2次補正予算、「物価・賃金・生活総合対策本部」で取りまとめたエネルギー・食料品等に関する追加策、並びに令和5年度当初予算を迅速かつ着実に実行する。
    • 今後とも、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を一体的に進める経済財政運営の枠組みを堅持し、民需主導の自律的な成長とデフレからの脱却に向け、経済状況等を注視し、躊躇なく機動的なマクロ経済運営を行っていく。
    • 日本銀行には、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。
  • 消費・投資等の需要動向
    • 個別の指標について、需要側の統計をみると、「家計調査」(2月)では、実質消費支出は前月比2.4%減となった。販売側の統計をみると、「商業動態統計」(2月)では、小売業販売額は前月比2.1%増となった。消費動向の背景をみると、実質総雇用者所得は、弱含んでいる。また、消費者マインドは、持ち直している。さらに、足下の状況について、ヒアリング結果等を踏まえると、新車販売台数は、持ち直している。家電販売は、おおむね横ばいとなっている。旅行は、着実に持ち直している。外食は、このところ緩やかに持ち直している。こうしたことを踏まえると、個人消費は、緩やかに持ち直している。先行きについては、ウィズコロナの下で、持ち直していくことが期待される。
    • 設備投資は、持ち直している。需要側統計である「法人企業統計季報」(10-12月期調査、含むソフトウェア)でみると、2022年10-12月期は前期比0.5%増となった。業種別にみると、製造業は同0.4%増、非製造業は同0.5%増となった。機械設備投資の供給側統計である資本財総供給(国内向け出荷及び輸入)は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。ソフトウェア投資は、緩やかに増加している。「日銀短観」(3月調査)によると、全産業の2022年度設備投資計画は、増加が見込まれている。なお、2023年度の計画は、増加が見込まれている。「日銀短観」による企業の設備判断は、製造業に過剰感がみられるものの、全体では不足感がみられる。先行指標をみると、機械受注及び建築工事費予定額は、おおむね横ばいとなっている。先行きについては、堅調な企業収益等を背景に、持ち直し傾向が続くことが期待される。
    • 住宅建設は、底堅い動きとなっている。持家の着工は、このところ横ばいとなっている。貸家及び分譲住宅の着工は、底堅い動きとなっている。総戸数は、2月は前月比3.8%減の年率85.9万戸となった。なお、首都圏のマンション総販売戸数は、このところ弱含んでいる。先行きについては、底堅く推移していくと見込まれる。
    • 公共投資は、底堅く推移している。2月の公共工事出来高は前月比0.5%増、3月の公共工事請負金額は同22.8%減、2月の公共工事受注額は同52.5%増となった。公共投資の関連予算をみると、公共事業関係費は、国の令和4年度一般会計予算では、補正予算において約2.0兆円の予算措置を講じており、補正後は前年度比0.0%増としている。また、令和5年度一般会計予算の公共事業関係費は、前年度当初予算比0.0%増としている。さらに、令和5年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比0.0%としている。先行きについては、補正予算の効果もあって、底堅く推移していくことが見込まれる。
    • 輸出は、弱含んでいる。地域別にみると、アジア、アメリカ及びその他地域向けの輸出は、おおむね横ばいとなっている。EU向けの輸出は、このところ弱い動きとなっている。先行きについては、当面は、海外経済の減速から弱めの動きが見込まれる。輸入は、おおむね横ばいとなっている。地域別にみると、アジア、アメリカ及びEUからの輸入は、おおむね横ばいとなっている。先行きについては、ウィズコロナの下で、次第に持ち直していくことが期待される。貿易・サービス収支は、赤字となっている。2月の貿易収支は、輸入金額が減少したことから、赤字幅が縮小した。また、サービス収支は、赤字幅が縮小した。
  • 企業活動と雇用情勢
    • 鉱工業生産は、このところ弱含んでいる。鉱工業生産指数は、2月は前月比4.6%増となった。鉱工業在庫指数は、2月は前月比1.3%増となった。また、製造工業生産予測調査によると3月は同2.3%、4月は同4.4%増となることが見込まれている。業種別にみると、輸送機械は持ち直しの動きに足踏みがみられる。生産用機械はこのところ弱含んでいる。電子部品・デバイスは減少している。生産の先行きについては、海外景気の下振れ等による影響に注意する必要があるが、持ち直しに向かうことが期待される。また、足下の状況について、ヒアリング結果等を踏まえると、第3次産業活動は、緩やかに持ち直している。
    • 企業収益は、総じてみれば改善しているが、そのテンポは緩やかになっている。「法人企業統計季報」(10-12月期調査)によると、2022年10-12月期の経常利益は、前年比2.8%減、前期比1.4%減となった。業種別にみると、製造業が前年比15.7%減、非製造業が同5.2%増となった。規模別にみると、大・中堅企業が前年比4.0%増、中小企業が同18.0%減となった。「日銀短観」(3月調査)によると、2023年度の売上高は、上期は前年比1.5%増、下期は同0.8%増が見込まれている。経常利益は、上期は前年比5.7%減、下期は同1.0%増が見込まれている。企業の業況判断は、持ち直しの動きがみられる。「日銀短観」(3月調査)によると、「最近」の業況は、「全規模全産業」で低下した。6月時点の業況を示す「先行き」は、「最近」に比べやや慎重な見方となっている。また、「景気ウォッチャー調査」(3月調査)の企業動向関連DIによると、現状判断、先行き判断ともに上昇した。倒産件数は、増加がみられる。2月は577件の後、3月は809件となった。負債総額は、2月は965億円の後、3月は1,474億円となった。
    • 完全失業率は、2月は前月比0.2%ポイント上昇し、2.6%となった。労働力人口及び就業者数は減少し、完全失業者数は増加した。就業率は横ばい圏内となっている。新規求人数はこのところ増加傾向となっている。有効求人倍率はこのところ横ばい圏内となっている。民間職業紹介における求人動向は持ち直している。製造業の残業時間は増加した。賃金をみると、定期給与及び現金給与総額は緩やかに増加している。実質総雇用者所得は、弱含んでいる。「日銀短観」(3月調査)によると、企業の雇用人員判断DIは、3月調査で-32と、12月調査(-31)から1ポイント不足超幅が拡大している。こうしたことを踏まえると、雇用情勢は、持ち直している。先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。
  • 物価と金融情勢
    • 国内企業物価は、このところ横ばいとなっている。3月の国内企業物価は、前月比0.0%となった。輸入物価(円ベース)は、下落している。企業向けサービス価格の基調を「国際運輸を除くベース」でみると、緩やかに上昇している。消費者物価の基調を「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」でみると、政策等による特殊要因を除くベースで、上昇している。3月は、前月比では連鎖基準、固定基準ともに0.5%上昇した。前年比では連鎖基準で3.9%上昇し、固定基準で3.8%上昇した。ただし、政策等による特殊要因を除くと、前月比では連鎖基準で0.5%上昇し、前年比では連鎖基準で3.8%上昇した(内閣府試算)。「生鮮食品を除く総合」(いわゆる「コア」)は、上昇している。3月は、前月比では連鎖基準で0.4%上昇し、固定基準で0.3%上昇した。物価の上昇を予想する世帯の割合を「消費動向調査」(二人以上の世帯)でみると、3月は、前月比0.2%ポイント下落し、94.1%となった。先行きについては、消費者物価(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)は、政策等による特殊要因を除くベースで、当面、上昇していくことが見込まれる。
    • 株価(日経平均株価)は、27,400円台から28,200円台まで上昇した後、27,400円台まで下落し、その後28,500円台まで上昇した。対米ドル円レート(インターバンク直物中心相場)は、130円台から133円台まで円安方向に推移した後、131円台まで円高方向に推移し、その後134円台まで円安方向に推移した。短期金利についてみると、無担保コールレート(オーバーナイト物)は、-0.03%台から-0.00%台で推移した。ユーロ円金利(3か月物)は、-0.0%台から0.0%台で推移した。長期金利(10年物国債利回り)は、0.2%台から0.4%台で推移した。企業金融については、企業の資金繰り状況におおむね変化はみられない。社債と国債との流通利回りスプレッドは、このところやや拡大している。金融機関の貸出平残(全国銀行)は、前年比3.3%(3月)増加した。マネタリーベースは、前年比1.0%(3月)減少した。M2は、前年比2.6%(3月)増加した
  • 海外経済
    • アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。2022年10-12月期のGDP成長率(第3次推計値)は、住宅投資は減少したが、個人消費や純輸出が増加し、前期比で0.6%増(年率2.6%増)となった。足下をみると、消費は緩やかながらも、持ち直しの動きが続いている。設備投資は緩やかに持ち直している。住宅着工は減少している。生産は弱い動きとなっている。非製造業景況感は低下している。雇用面では、雇用者数は増加しており、失業率はおおむね横ばいとなっている。物価面では、コア物価上昇率はおおむね横ばいで推移している。貿易面では、財輸出はおおむね横ばいとなっている。3月21日~22日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利の誘導目標水準を0.25%ポイント引き上げ、4.75%から5.00%の範囲とすることが決定された。
    • アジア地域については、中国では、景気はこのところ持ち直しの動きがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の動向等を注視する必要がある。韓国では、景気は弱い動きとなっている。台湾では、景気は弱い動きとなっている。インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。タイでは、景気は持ち直しに足踏みがみられる。インドでは、景気は持ち直している。中国では、景気はこのところ持ち直しの動きがみられる。2023年1-3月期のGDP成長率は、前年同期比で4.5%増となった。消費はこのところ持ち直している。固定資産投資はおおむね横ばいとなっている。輸出は持ち直しの動きがみられる。生産は持ち直しの動きがみられる。消費者物価上昇率はこのところ低下している。韓国では、景気は弱い動きとなっている。2022年10-12月期のGDP成長率は、前期比で0.4%減(年率1.6%減)となった。台湾では、景気は弱い動きとなっている。2022年10-12月期のGDP成長率は、前年同期比で0.4%減となった。インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。2022年10-12月期のGDP成長率は、前年同期比で5.0%増となった。タイでは、景気は持ち直しに足踏みがみられる。2022年10-12月期のGDP成長率は、前年同期比で1.4%増となった。インドでは、景気は持ち直している。2022年10-12月期のGDP成長率は、前年同期比で4.4%増となった。
    • ヨーロッパ地域については、ユーロ圏では、景気は持ち直しに足踏みがみられる。ドイツにおいては、景気はこのところ足踏み状態にある。先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融引締めやエネルギー情勢に伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。
    • 英国では、景気はこのところ足踏み状態にある。先行きについては、足踏み状態が続くと見込まれる。ただし、金融引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。
    • ユーロ圏では、景気は持ち直しに足踏みがみられる。2022年10-12月期のGDP成長率は、前期比で0.0%減(年率0.2%減)となった。消費は持ち直しに足踏みがみられる。機械設備投資は持ち直しているが、このところ一服感がみられる。生産は横ばいとなっている。サービス業景況感は持ち直している。輸出は持ち直しに足踏みがみられる。失業率は横ばいとなっている。コア物価上昇率は上昇している。ドイツにおいては、景気はこのところ足踏み状態にある。2022年10-12月期のGDP成長率は、前期比で0.4%減(年率1.7%減)となった。英国では、景気はこのところ足踏み状態にある。2022年10-12月期のGDP成長率は、前期比で0.1%増(年率0.5%増)となった。消費は弱含んでいる。設備投資はこのところ持ち直している。生産はこのところ横ばいとなっている。サービス業景況感はこのところ持ち直しの動きがみられる。輸出はこのところ横ばいとなっている。失業率はおおむね横ばいとなっている。コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。欧州中央銀行は、3月16日の理事会で、政策金利を3.50%に引き上げることを決定した。イングランド銀行は、3月22日の金融政策委員会で、政策金利を4.25%に引き上げることを決定した。
    • 金融情勢をみると、世界の主要な株価は、アメリカ、英国、ドイツ、中国ではやや上昇した。短期金利についてみると、ドル金利(3か月物)は上昇した。主要国の長期金利は、アメリカではおおむね横ばいで推移、英国では大幅に上昇、ドイツではやや上昇した。ドルは、ユーロ、ポンドに対してやや減価、円に対してやや増価した。原油価格(WTI)は、大幅に上昇した。金価格は上昇した。

~NEW~
内閣府 消費動向調査
▼令和5(2023)年4月分調査 結果の要点
  • 消費者の意識(二人以上の世帯、季節調整値)
    • 消費者態度指数
      • 令和5(2023)年4月の消費者態度指数は、前月差1.5ポイント上昇し35.4であった。
    • 消費者意識指標
      • 消費者態度指数を構成する各消費者意識指標について、令和5(2023)年4月の動向を前月差でみると、「耐久消費財の買い時判断」が2.8ポイント上昇し29.2、「暮らし向き」が1.9ポイント上昇し32.2、「収入の増え方」及び「雇用環境」が共に0.7ポイント上昇し、それぞれ38.1、42.0となった。
      • また、「資産価値」に関する意識指標は、前月差2.7ポイント上昇し41.2となった。
    • 基調判断
      • 消費者態度指数の動きから見た4月の消費者マインドの基調判断は、持ち直している。(上方修正。前月の表現:持ち直しの動きがみられる。
  • 物価の見通し(二人以上の世帯)
    • 令和5(2023)年4月の1年後の物価に関する見通しで、最も回答が多かったのは「上昇する(5%以上)」(56.4%)であった。
    • 前月差でみると、「低下する」及び「変わらない」が共に0.1ポイント増加したのに対して、「上昇する」は0.9ポイント減少した。
    • 消費者の物価予想については、「上昇する」と見込む割合は9割を超えている。(据置き)

~NEW~
消費者庁 人気インテリア家具や雑貨等の公式通信販売サイトを装った偽サイトに関する注意喚起
  • 令和4年の春以降、人気インテリア家具や雑貨等の公式通信販売サイトを装った偽サイトで商品を注文してしまったなどの相談が、各地の消費生活センター等に数多く寄せられています。
  • 消費者庁が調査を行ったところ、SNS上の安売り広告や検索エンジンの結果表示などから消費者を誘導し、ブランドのロゴや商品の画像を盗用した偽サイトにおいて、商品を注文させ代金を支払わせようとする行為(消費者を欺く行為)の発生を確認したため、消費者安全法(平成21年法律第50号)第38条第1項の規定に基づき、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を公表し、消費者の皆様に注意を呼びかけます。
  • また、この情報を都道府県及び市町村に提供し、周知します。
  • 偽サイトの概要
    • 今回確認した偽サイトは次の4サイトです(以下「本件4偽サイト」といいます。)。
      1. 「Yogibo」のロゴや商品の画像を盗用した偽サイト(偽ヨギボーサイト)
        • 「Yogibo」ブランドのビーズソファなど
        • 偽ヨギボーサイトは、ビーズソファなどのインテリア家具のブランド「Yogibo」のロゴや商品の画像を盗用するなどして、公式通信販売サイト(https://yogibo.jp)であるかのように装った偽サイトです。会社概要のページには、公式通信販売サイトの運営会社名が表示されているものと、無関係の会社名が表示されているものとがあり、連絡先電話番号の記載はありません。
        • この偽サイトで金銭を支払わせる方法は、クレジットカード決済です。
      2. 「Francfranc」のロゴや商品の画像を盗用した偽サイト(偽フランフランサイト)
        • 「Francfranc」ブランドのインテリア家具や雑貨など
        • 偽フランフランサイトは、インテリア雑貨のブランド「Francfranc」のロゴや商品の画像を盗用するなどして、公式通信販売サイト(https://francfranc.com)であるかのように装った偽サイトです。会社概要のページには、公式通信販売サイトの運営会社名が表示されており、連絡先電話番号の記載はありません。
        • この偽サイトで金銭を支払わせる方法は、クレジットカード決済です。
      3. 「COSTCO」のロゴ等を盗用した偽サイト(偽コストコサイト)
        • ブランドバッグやダウンジャケットなど
        • 偽コストコサイトは、会員制大型倉庫店のブランド「COSTCO」のロゴ等を盗用するなどして、公式通信販売サイト(https://www.costco.co.jp)であるかのように装った偽サイトです。商品のページには、高級ブランドのバッグやダウンジャケット、宝飾品などが掲載されています。会社概要のページには、公式通信販売サイトの運営会社と似た会社名が表示されており、連絡先電話番号の記載はありません。
        • この偽サイトで金銭を支払わせる方法は、代金引換決済です。
      4. 「Aladdin」のロゴ等を盗用した偽サイト(偽アラジンサイト)
        • 暖房機器や小型家電など
        • 偽アラジンサイトは、暖房機器や小型家電のブランド「Aladdin」のロゴ等を盗用するなどして、公式通信販売サイト(https://aladdin-direct.com)であるかのように装った偽サイトです。商品のページには、「Aladdin」ブランド以外の商品も掲載されています。会社概要のページには、公式通信販売サイトの運営会社と同業の他の会社名が表示されており、連絡先電話番号の記載はありません。
        • この偽サイトで金銭を支払わせる方法は、クレジットカード決済です。
        • 本件4偽サイトは、外見は人気ブランドのロゴマークを表示し、当該ブランドの公式通信販売サイトを装い、一見しただけでは偽サイトと気付くことは困難です。
        • 本件4偽サイトには、会社概要として、当該ブランドとは関係のない会社名や住所が表示されているものや、当該ブランドの公式通信販売サイトの運営会社をそのまま表示したものなどがあり、連絡先電話番号は表示されていません。また、いずれも運営事業者の実体は不明です
  • 具体的な事例の概要
    • 本件4偽サイトへの誘導の方法
      • 「Instagram」、「Facebook」などのSNSやインターネット上の広告で、「限定価格セール大特価」などと表示して広告内のリンクから消費者を偽サイトへ誘導したり、検索エンジンで上位に結果表示された広告のリンクから偽サイトに誘導します。
    • 本件4偽サイトにおける価格表示
      • 本件4偽サイトでは、商品のページに値引き前の価格と販売価格とが併記され、通常の販売価格と比べて「97%OFF」などと大幅な値引きで販売しているかのように表示されています。また、「只今●県からの○○は弊社の商品をご購入」とポップアップメッセージが表示されることもあります。
      • 消費者は、本件4偽サイトでの価格表示を見て、欲しかった商品が安く買えるなどと思い、商品を注文します。
    • 商品代金の支払方法と支払後の状況
      • 偽ヨギボーサイト、偽フランフランサイト及び偽アラジンサイトでの支払方法はクレジットカード決済であり、消費者はクレジットカード番号を入力し、代金を支払います。しかしながら、注文確認のメールが届かなかったり、問合せのメールを送ってもそれに対する返信がなく連絡を取ることができないことがあります。
      • また、発送状況を問い合わせると、配送状況を追跡できるというURLが記載されたメールが送られてくることがありますが、結局、商品を注文した消費者に、注文した商品は届きません。
      • また、偽コストコサイトでの支払方法は代金引換であるところ、注文後に偽サイトとだと気付き、配送されてきた物の受取りを拒否した事例がありました。
  • 消費者庁から皆様へのアドバイス
    • 「SNS上に表示される広告」から偽サイトに誘導されるケースが増えています
      • 大手のSNSや検索サイトの広告は、安全なものばかりであるとは必ずしもいえません。ブランドのロゴの有無等だけで公式通信販売サイトであると判断するのは危険です。広告から誘導されたサイトでは、次の点に注意しましょう。
        • 公式通信販売サイトのURLか
          • 偽サイトのURLは、公式通信販売サイトのURLと相当似せているものもありますので、今一度公式通信販売サイトのURLか確認してください。
        • 連絡先が表示されているか確認
          • 会社概要に公式通信販売サイトの運営会社名が記載されていても偽サイトの場合がありますので、会社名だけでなく連絡先(電話番号、メールアドレスなど)がしっかり表示されているか確認しましょう。
        • 価格が異常に安い
          • 「期間限定」、「バーゲンセール」などと表示して消費者を誘い込むというのは、偽サイトの典型的な手口です。そして、誘い込まれたサイト内で多くの商品が大幅な値引きで販売されているかのように表示されている場合には、要注意です。
        • 支払方法が限定的
          • 公式通信販売サイトは、消費者のニーズに応えるべく多様な支払方法を用意しているのが一般的です。クレジットカード決済や代金引換決済のみなど、限定的な支払方法しか選択できない場合は、今一度サイト内を確認しましょう。
        • サイト内や返信メールなどの日本語が不自然
          • 偽サイトでは、利用案内や返信メールの表現などに不自然な日本語表記が使われていることがあります。
    • 巧妙化する偽サイトにご注意ください
      • 近時、新たにみられる手口として、サイトの閲覧中に「只今●●県からの○○は弊社の商品をご購入」とポップアップメッセージを表示して、多くの人が利用している人気があるサイトであるかのように装う偽サイトなどが確認されています。
      • また、注文後には「発送の準備をしています」などと返信メールを送ってくる偽サイトや、配送状況を追跡できるというURLを知らせて消費者を安心させる偽サイトなども確認されており、被害に気付きにくくなるなど、消費者を欺く手口が巧妙化しているので注意が必要です

~NEW~
消費者庁 ショッピングモールで勧誘されたウォーターサーバーの契約に関するトラブルにご注意ください!
  • ショッピングモールで勧誘されてウォーターサーバーのレンタルの契約をしたが、設置方法が分からなかったので解約を申し出たところ、説明にはなかった高額な解約料を請求されたなどという相談が寄せられ、2018年6月、国民生活センターが注意を呼びかけています。
  • 最近では、同じくショッピングモールで勧誘されたウォーターサーバーについて、レンタルだと思って契約したが、実際には説明にはなかった購入プランを契約したことになっていたため、解約を申し出ると高額な残債を請求されたなどという相談も寄せられています。
  • 契約時には、解約金を含め契約の内容や支払総額などを慎重に確認した上で、契約しましょう。
▼国民生活センター ショッピングモールで勧誘されたウォーターサーバー
  • 内容
    • ショッピングモールで、「1カ月は無料。その後も500円程度でおいしい水が飲める」と勧誘され、ウォーターサーバーのレンタルと2カ月に1回の水の定期宅配契約をした。自宅にサーバーと水が届いたが、設置方法が分からず、自分で管理出来ないと思った。その日のうちに電話で解約を申し出たところ1万6千円の高額な解約料を請求された。解約料が発生するという説明は聞いていない。(70歳代 女性)
  • ひとこと助言
    • ショッピングモール等の店舗内に設置された特設ブースで、勧められたウォーターサーバーがよさそうに思えても、自宅に設置出来るのか、水の交換が一人で出来るのか等、実際に管理・取り扱いが出来るか、本当に必要かどうかを契約前によく考えましょう。
    • ウォーターサーバーのレンタル契約は、契約期間が複数年と定められていたり、中途解約すると解約料が発生したりするので注意が必要です。契約する際は、管理・取り扱い方法だけではなく、契約金額や解約条件等、契約内容をよく確認しましょう。
    • 場合によってはクーリング・オフを行うことが出来ます。困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

~NEW~
国民生活センター 偽物が届くインターネット通販トラブルで“代引き配達”の利用が増加しています!!
  • 全国の消費生活センター等には、インターネット通販における「偽物」に関する相談が多数寄せられ、そのうち“代金引換サービス”(以下、代引き配達)の利用によるトラブルが増加しています。2020年度は偽物の相談のうち約5割を占め、2021年度以降は6割程度となっています。
  • インターネット通販では、消費者は通販サイトの写真や情報をもとに申し込むことになりますが、“公式通販サイト”“正規品”と思って申し込んだはずが、届いた商品は「偽物」だったという相談が多く寄せられています。また、“代引き配達”の場合、消費者は宅配業者に代金を支払って荷物を受け取り、開封して初めて商品を確認することになるため、代金を支払う前に商品が「本物」か「偽物」かを確認することができません。代金を支払った後に商品が「偽物」とわかって、宅配業者等に返金を求めても返金されません。
  • 年度別相談件数:2017年度は2,127件、2018年度は2,445件、2019年度は2,985件、2020年度は4,899件、2021年度は4,617件、2022年度は4,052件です。
  • そのうち「代引き配達」関連の相談の割合:2017年度は9.5%、2018年度は21.8%、2019年度は29.1%、2020年度は50.8%、2021年度は63.5%、2022年度は59.3%です。
  • 相談事例
    • “代引き配達”で宅配業者に代金を支払った後に商品が「偽物」とわかり、宅配業者に返金を求めたが返金されなかった
      • SNSを見ていたところ、国内ブランドの下着の広告が表示され、公式通販サイトの広告と思い、広告のリンク先になっていた通販サイトにアクセスした。通販サイトでは、ブラジャーが1枚約4,000円で、1,000円追加すると2枚購入できるということだったので、2枚5,000円で代引き配達で注文した。後日、宅配業者に代金を支払って荷物を受け取り、荷物を開封して商品を確認したが、偽物だった。通販サイトの画面は残しておらず、販売業者の情報はメールアドレスしかわからない。宅配業者にも相談したが「荷物を開封した後は受け取り拒否にはできない。返金はできない」と言われた。送り状の依頼主の欄には、発送代行業者と思われる事業者の名称、住所、電話番号が記載されており、販売業者の情報は不明である。当該ブランドのホームページには、当該ブランドの名称をかたったなりすましの広告やなりすましのSNSアカウントに注意するようにという注意喚起情報が公表されていた。購入前に確認すればよかった。(2022年5月受付 60歳代 女性)
    • その他、以下のような相談も寄せられています。
      • SNS上の広告をきっかけに大幅に値引きされたブランド品を注文したところ、「偽物」が届いた。
      • SNS上の広告をきっかけに大手百貨店をかたった偽通販サイトに注文してしまった。
      • 大手通販サイトに出店している販売業者に、クレジットカード払いで注文したはずが“代引き配達”で「偽物」が届いた。
  • 相談事例からみる特徴と問題点
    • トラブルの入り口は“SNS上の広告”が目立っている。
    • “代引き配達”しか選択できない通販サイトや“代引き配達”に一方的に変更される通販サイトで「偽物」が届くケースがみられる。
    • 大手通販サイト(プラットフォーム)に出店している販売業者との取引でも「偽物」が届くトラブルがある。
    • 販売業者は意図的にオンラインマーケットプレイス外での取引に持ち込んでくる/消費者は「偽物」が届いても、プラットフォームの補償サービスが受けられない。
    • 通販サイト上や“代引き配達”の送り状に販売業者の情報が記載されていない。
  • 消費者へのアドバイス
    1. 「偽物」が届く通販サイトの特徴を知って、少しでも怪しいと感じたら取引しない。
      • 「偽物」が届く通販サイトの特徴
        • 販売価格が大幅に値引きされている。
        • 通販サイトに記載されている日本語の字体、文章表現がおかしい。
        • 販売業者の名称(会社名)、住所、電話番号などの情報が通販サイトに表示されていない。表示されていても虚偽だったり、無関係の情報である。(特定商取引法では、販売業者の名称、住所、電話番号などを通販サイト等の広告に表示しなければなりません(特定商取引法11条))
        • 通販サイトで支払い方法が“代引き配達”しか選択できない。クレジットカード決済で注文したにもかかわらず、“代引き配達”に一方的に変更される。
        • “代引き配達”の送り状で、「依頼人」が販売業者の名称(会社名、サイト名)とは異なっている。(送り状の「依頼人」の欄には、販売業者の名称(会社名、サイト名)が記載されておらず、「発送代行業者」の名称(会社名)が記載されていたり、虚偽の情報が記載されていることがあります。)
          • ※上記のいずれかの項目に該当する通販サイトであっても、「偽物」が届く通販サイトではない場合があります。また、いずれの項目にも該当しない通販サイトであっても、「偽物」が届く通販サイトの場合があります。
    2. “代引き配達”で宅配業者等に代金を支払って商品を受け取ってしまうと、後で商品が「偽物」だとわかっても宅配業者からの返金は困難です。
    3. 大手通販サイト(プラットフォーム)上の取引で、販売業者から一方的にキャンセルされ“代引き配達”で送ると連絡があっても、取引や支払いはせず、大手通販サイト(プラットフォーム)に連絡しましょう。
    4. 不安に思った場合や、トラブルが生じた場合は、すぐに最寄りの消費生活センター等へ相談しましょう。

~NEW~
国民生活センター 発泡ポリスチレン製容器にMCTオイルやえごま油等を加えるのはやめましょう-容器が変質・破損するおそれがあります-
  • 発泡ポリスチレン製容器とは、ポリスチレンを発泡させて作られた容器で、軽くて丈夫で、クッション性があります。また、熱を伝えにくく、食品の保存性に優れており、主に即席カップめんや総菜等の食品に使用されている容器です。
  • PIO-NETには、カップ容器に入った汁ものの即席めん(以下、「即席カップめん」とします。)を調理した際に、MCTオイルやえごま油等の食用油を加えたところ、容器が破損して湯が流出したという相談が2018年度以降の約5年間に6件寄せられており、そのうち、漏れ出した湯でやけどを負ったという事例も1件見られます。
  • 容器が発泡ポリスチレン製の即席カップめんには、容器が変質・破損するおそれがあるため、添付以外の食用油等を加えてはならないといった表示が記載されています(注)。また、食用油の一部には、ポリスチレン製の食品容器に使用してはならない等の表示が記載されているものもあります(注)。 (注)食品表示法等により、表示の義務がある注意・警告表示ではありませんが、即席めん業界が自主的に消費者への注意喚起表示を実施しています。
  • そこで、即席カップめん及びMCTオイル、ココナッツオイル、えごま油、アマニ油(以下、「テスト対象食用油」とします。)の表示の調査、発泡ポリスチレン製容器に湯とテスト対象食用油を加えたことによる容器の破損の再現テスト等を行い、消費者に注意喚起することとしました。
  • PIO-NETに寄せられた主な事例
    • 即席カップめんに湯とMCTオイルをほぼ同時に入れて食べようとしたところ、容器の底が抜け、足に湯がかかった。熱いと思ったがやけどはしなかった。
    • 2種類の即席カップめんにMCTオイルを入れたところ、いずれも容器が破損し、中身が漏れて食べられなかった。
    • 即席カップめんを食べようとしたら、容器の外に湯がにじみ出てきて、水滴が垂れてきた。事業者が原因を調べたところ、ココナッツオイルなど中鎖脂肪酸を多く含む油脂が、容器の内側に付着したことにより、容器が薄くなり、強度が弱くなった部分が破れたものとわかった。
  • テスト結果
    • 表示の調査
      • 発泡ポリスチレン製容器を使用した即席カップめんの表示
        • 商品本体には、調査したすべての銘柄に、食用油等は加えてはならない旨の表示がありました。
        • 調査したすべての製造・販売事業者のウェブサイトに、食用油等は加えてはならない旨の表示がありました。
      • テスト対象食用油の表示
        • テスト対象食用油の商品本体には、調査した多くの銘柄に、発泡ポリスチレン製容器(即席カップめんやコーヒー等)に使用してはならない旨の表示がありましたが、表示がないものもありました。
        • 製造・販売事業者のウェブサイトや商品紹介ページには、調査した銘柄の半数程度の銘柄に、発泡ポリスチレン製容器(即席カップめんやコーヒー等)に使用してはならない旨の表示がありました。
  • 発泡ポリスチレン製容器の変質・破損の再現テスト
    • 湯を注いで3分後にテスト対象食用油を加えると、発泡ポリスチレン製容器が破損したり、内側の表面が変質することがありました。
    • テスト対象食用油を加えた直後に湯を注ぐと、発泡ポリスチレン製容器が変質する範囲が広くなりました。
  • 消費者へのアドバイス
    • MCTオイルやえごま油等を発泡ポリスチレン製容器(即席カップめんやコーヒー等)に加えると、容器が変質・破損するおそれがあるため、添付以外の食用油等は加えないようにしましょう。

~NEW~
国民生活センター 気を付けて! スライサーも刃物です
  • 内容
    • キャベツを半分に切ってスライサーで調理していた。食材が半分くらい残っていたのでまだ大丈夫と思い、安全ホルダーを使用していなかったところ、思いのほか食材が切れる速度が速かったため、指を受傷した。(60歳代)
  • ひとこと助言
    • スライサーは便利な反面、鋭利な刃物が付属しているため、使用中に、野菜が小さくなったり、手を滑らせたりすると、指が刃に触れてけがをする危険性があります。スライサーでのけがは指先の皮膚等を削ぎ落とすこともあり、そのような場合は止血しにくく、治癒までに期間を要することもあります。使用する際は取扱説明書をよく読み、スライサーも刃物であることを認識し、十分注意して使用しましょう。
    • けがを防止するための補助具として、食材をつかむ「安全ホルダー」があります。野菜が小さくなったら、安全ホルダーを使用したり、包丁で調理したりしましょう。
    • スライサーは、調理中以外でも、洗う際やスライサーが入っている引き出しからものを取り出す際などに、刃に触れる危険性があります。手入れや保管の際にも気を付けましょう。

~NEW~
厚生労働省 「不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル」・「不妊治療と仕事との両立サポートハンドフック」を作成しました!
▼「不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル」
  • 現状
    • 2020年に日本では60,381人が生殖補助医療により誕生しており、これは全出生児(840,835人)の7.2%に当たり、約13.9人に1人の割合になります。
    • 日本では、不妊を心配したことがある夫婦は39.2%で、これは夫婦全体の2.6組に1組の割合になります。また、実際に不妊の検査や治療を受けたことがある(または現在受けている)夫婦は22.7%で、これは夫婦全体の4.4組に1組の割合になります。
    • 約8割の労働者は不妊治療に係る実態を理解しておらず、また、約7割の企業で、不妊治療を行っている従業員の把握ができていません。
    • 不妊治療をしたことがある(または予定している)労働者の中で、「仕事と両立している(または両立を考えている)」とした人の割合は53%になっていますが、「仕事との両立ができなかった(または両立できない)」とした人の割合は35%となっています。
    • 仕事と不妊治療を両立できずに仕事を辞めたもしくは不妊治療をやめた、または雇用形態を変えた理由は、「精神面で負担が大きいため」「通院回数が多いため」「体調、体力面で負担が大きいため」が多くなっています。
    • 不妊治療をしている(または予定している)労働者のうち、「一切伝えていない(または伝えない予定)」とした人が最も多く、「職場ではオープンにしている(またはオープンにする予定)」とした人は、1割強にとどまっています。「職場ではオープンにしている(またはオープンにする予定)」としなかった労働者が、職場でオープンにしていない理由としては、「不妊治療をしていることを知られたくないから」「周囲に気遣いをしてほしくないから」「不妊治療がうまくいかなかったときに職場に居づらいから」などとする人が多く、職場で不妊治療していることを受け入れる風土が十分に醸成されていないことがうかがわれます。
    • 不妊治療をしていることを職場の一部にでも伝えている人のうち、職場で上司や同僚から嫌がらせや不利益な取扱いを受けた人も一定程度います。
    • 不妊治療をしている(または予定している)労働者の中で、利用した(または利用しようとしている)制度は、「年次有給休暇」が最も多く、次いで「柔軟な勤務を可能とする制度(勤務時間、勤務場所)」「休職制度」となっています。
    • 不妊治療をしている(または予定している)労働者が会社や組織等に希望することとしては、「不妊治療のための休暇制度」や「柔軟な勤務を可能とする制度(勤務時間、勤務場所)」「有給休暇を時間単位で取得できる制度」が多く挙げられていますが、その他、「有給休暇など現状ある制度を取りやすい環境作り」や「上司・同僚の理解を深めるための研修」等も一定程度ニーズが見られます。
  • 不妊治療と仕事との両立支援に取り組む意義
    • 近年、不妊治療を受ける夫婦が増加しており、生殖補助医療による出生児の割合も増加しています。しかしながら、不妊治療に係る実態については「ほとんど知らない」「全く知らない」とする労働者が8割近くいるとともに、企業の67%は不妊治療を行っている社員を把握していないという実態があります。そうした中で、不妊治療と仕事との両立について、両立しているとする者は約5割しかおらず、約35%は仕事を辞めたり、雇用形態を変えていました。
    • 企業にとって、不妊治療と仕事との両立が困難なことにより離職する人材が増えることは、労働力の減少、ノウハウや人的ネットワーク等の消失、新たな人材を採用する労力や費用の増加などのデメリットをもたらします。逆に、社員が不妊治療をしながら働き続けやすい職場づくりを行うことは、安定した労働力の確保、社員の安心感やモチベーションの向上、新たな人材を引き付けることなどにつながり、企業にとっても大きなメリットがあると考えられます。企業が社員の事情に応じてサポートする姿勢を示すことは、社員にとっても安心でき、仕事への意欲が増すなどの大きな影響を与えます。
    • ヒアリング対象企業の声
      • 担当者の思いとして、キャリアを積んでいる優秀な社員が不妊治療を理由に退職することを防ぎたかった。また、一定期間、不妊治療に集中して自分の人生に向き合ってもらうプロセスが大切だと考えた。たとえ授かることができなかったとしても、休職して不妊治療に専念した後、納得して仕事に取り組んでもらいたかった。不妊治療に取り組む社員の中で子どもを授かった社員が何人いるかが目的ではなく、社員が仕事との両立を図りながら不妊治療を行うプロセスを大切にしたいと考えた。
      • 当社は企業理念に「人材の重視」を掲げており、社員が活き活きと働ける環境を整備するために様々な取組を行ってきた。不妊治療を受けたいが休みが取りづらく、もやもやしているのでは、活き活きと働くことはできない。会社としてバックアップする姿勢を社員に示し、仕事をしながら安心して不妊治療を受けることができる制度を整え、職場風土を醸成することで、最終的には組織の活性化、生産性の向上に繋がると考えた。
  • 不妊治療と仕事との両立を支援するための各種制度や取組
    1. 不妊治療のために利用可能な休暇・休職制度
      • 不妊治療に特化した休暇制度
      • 不妊治療に特化しないが、不妊治療も対象となる休暇制度
      • 失効年次有給休暇の積立制度
      • 半日単位・時間単位の年次有給休暇の取得制度
      • 不妊治療に特化した休職制度
    2. 両立を支援する柔軟な働き方に資する制度
      • フレックスタイム制
      • 時差出勤制度
      • 短時間勤務制度
      • テレワーク
      • 再雇用制度
    3. 不妊治療に係る費用の助成制度
      • 不妊治療費に対する補助金制度
      • 不妊治療費に対する貸付金制度
    4. その他の不妊治療に関連する両立支援制度や取組
      • 専門家への相談
      • eラーニング
      • 研修、セミナー、啓発資料の作成配布等の啓発活動
      • 社員のニーズ調査の実施
      • 人事労務担当者、産業医等、産業保健スタッフ、経験者に相談できる体制整備、情報提供
  • 不妊治療と仕事との両立を支援する上でのポイント
    1. 男女とも同様に利用可能な制度とする
      • 医学的にも社会的にも、不妊治療に対する支援が求められているのは、女性だけではない。
    2. 非正規雇用労働者も対象にする
      • 同一企業内における正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で、あらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることが禁止されているため、不妊治療と仕事との両立支援の取組を行う場合、法の内容に沿ったものか点検する必要がある。
    3. 社員のニーズを把握し、多様な制度を整備する
      • 不妊治療と仕事との両立を図るために、社員がどのような制度、支援を求めているのか把握し、社員のニーズに沿う多様な休暇制度・両立支援制度を整備する。
    4. 「不妊治療」を前面に出さない方がよい場合もある
      • 不妊治療のための支援策であることを前面に出すと、分かりやすい一方で、不妊治療を周囲に知られたくない人もいることから、前面に出さない方が活用が進むこともある。
    5. 不妊治療以外の施策とパッケージ化して導入する
      • 制度の恩恵を受けないと感じる社員の不満等を受け止め、会社として様々な施策で社員を総合的に支援している姿勢を示す。
    6. 導入時には外部にも発信する
      • 報道等がされたことで、社内における周知が更に進む契機となったり、制度の活用が進んだりすることがある。
    7. プライバシーの保護に配慮する
      • 不妊治療の相談等があった場合、本人の意思に反して職場全体に知れ渡ってしまうことなどが起こらないよう、情報共有の部署や担当者等の範囲をあらかじめ決めておくなど情報の取扱いに留意し、プライバシーの保護に十分に配慮する。
    8. ハラスメントを防止する
      • 働きながら不妊治療を受けようとする労働者に対しては、周囲からのハラスメントが発生することもあることから防止対策を講じる必要がある。また、親しい者同士でのからかいや冗談でも当事者を傷つけることがあることに留意する。
    9. 制度づくりと併せて職場風土づくりをする
      • 十分な制度があっても、その制度を活用しやすい職場風土がないと、活用は進まない。企業のトップ自らが不妊治療と仕事との両立を支援し、推進するというメッセージを発信し、休暇制度・両立支援制度を活用しやすい職場風土づくりをすることが重要である。
    10. 不妊治療と仕事との両立に係る認定の取得を目指す
      • 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画に盛り込むことが望ましい事項に「不妊治療を行う労働者に配慮した措置の実施」が追加されている。また、令和4年4月1日から「不妊治療と仕事との両立に係る認定制度(くるみんプラス)」が創設された。自社の行動計画に不妊治療と仕事との両立支援に係る取組を盛り込み、認定の取得を目指して取り組むことも重要である。
▼「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」
  • 職場での配慮のポイント
    • 不妊治療を受けていることを「職場に一切伝えていない(伝えない予定)」とする人が、約58%います。職場でオープンにしていない理由は「不妊治療をしていることを知られたくないから」が最も多くなっています。
    • 不妊や不妊治療に関することは、プライバシーに属することです。本人から相談や報告があった場合でも、本人の意思に反して職場全体に知れ渡ってしまうことがないようプライバシーの保護に十分配慮する必要があります。
    • 不妊治療をしている(していた)ことを理由に、職場において上司や同僚から嫌がらせや不利益な取扱いを受けた経験がある人もいますが、こうした嫌がらせや不利益な取扱いは、ハラスメントに該当する場合もありますので、言動に注意しましょう。
    • 不妊治療を受ける人または不妊治療を受けることに関して、直接的な嫌がらせや否定的な言動以外にも、親しい者同士でのからかいや冗談でも当事者を傷つけることがあることに留意することが必要です。
      • 上司編
        • 職場の上司となる方は、不妊治療を受けている部下から相談や報告を受けるかもしれません。その際、不妊治療についてよく知った上で、場合によっては人事労務などの担当者とも相談しながら、以下について配慮し対応することが必要です。
          • 相談対応
            • 職場の上司は、制度の周知、社内意識の醸成や業務体制の整備のために重要な役割を果たす必要があります。また、部下から不妊治療や不妊治療と仕事との両立について相談を受けた場合、部下の現状を把握する必要があります。部下から相談を受けた場合には、相談内容の情報共有について、担当部署(人事部等)及び担当者(人事課長、係長等)のどの範囲まで共有するかということも部下に確認しておきましょう。
            • なお、不妊治療そのものについては、不妊専門相談センターに相談することを勧めましょう。
          • 相談対応のポイント
            • 「労働者の不妊治療と仕事との両立を支援する」という企業メッセージを伝える。
            • 部下の不妊治療と仕事との両立の実態(不妊治療が仕事に及ぼす影響や今後の治療の見通し等)を可能な範囲で把握する。
            • 不妊治療と仕事との両立に対してどのような課題や必要なサポートがあるかを把握する。
            • 部下が不妊治療との両立のためにどのような働き方をしたいかのニーズを把握する。例)不妊治療休暇制度、フレックスタイム制、テレワーク等の活用、一時的な業務分担の変更、出張の可否等不妊治療に関することはプライバシーに属することであり、部下の意思を十分に確認しないまま、または部下の意思に反して立ち入ることがないよう、また、知り得た不妊治療を含めた個人情報を適正に管理するよう配慮する。
          • 制度説明のポイント
            • 自社の不妊治療と仕事との両立のための休暇制度・両立支援制度等の説明をする。
            • 制度を利用する場合の具体的な申請方法と申請のタイミングの説明をする。
            • 人事労務担当部署及び担当者、産業医・産業保健スタッフに確認したいことがないか確認し、必要に応じて伝達する。または、直接相談できるように仲介する。
          • 職場内の理解の醸成、業務体制の整備
            • 上司自らが、不妊治療に限らず家庭の事情は全ての人に起こり得ることであることへの理解を深めるとともに、社員一人ひとりが理解を深めることができるよう取り組む。
            • 不妊治療を行っている労働者の業務をカバーしている社員の働き方や業務量の状況を把握し、必要であれば業務体制、業務分担等の見直し、調整を行う。
            • 不妊治療を行う労働者においても、上司、同僚との円滑なコミュニケーションを図りながら、自身の制度の利用状況等に応じて適切に業務を遂行していくという意識を持つよう示唆する。
      • 同僚編(職場全体で配慮すべきこと)
        • 働きながら不妊治療を受ける方は増加傾向にあります。職場の同僚の方は、不妊治療を受けている本人やその上司から、不妊治療を受けていることを知らされることがあるかもしれません。その際、以下について配慮をお願いします
          • 通院のための休暇の取得等(仕事を頻繁に休んだり、突発的に休む必要があることもある)に当たり、配慮が必要になる場合があることを理解する。
          • 本人の意思に反して、不妊治療を受けていることを他の同僚等に知らせたり、同僚間で詮索したりすることのないようにする。
          • 不妊治療を含む妊娠・出産等に関する否定的な言動が、ハラスメントの発生の原因・背景になり得ること等に留意する。(否定的ではなくても、症状や治療の内容、結果等について、むやみに聞き出そうとしたりしない。)
          • 自分も過去に誰かにサポートしてもらったり、将来的にサポートしてもらうことが起こり得ることを理解して、お互い様の気持ちを持つ。

~NEW~
「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」の最新版を公開します~令和5年10月までに最新版のダウンロードをお願いします~
  • 労働安全衛生法第66条の10において規定しているストレスチェック制度について、各事業場において円滑に導入できるよう、ストレスチェックの受検等を行う「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」を、厚生労働省が委託運営するサイトにて公開し、事業者の皆様に広く活用いただいているところです。
  • 今般、本プログラムの最新版(3.6)をダウンロードサイトにて公開しましたので、お知らせします。
  • 令和5年11月以降、本プログラムの最新版をダウンロードしない場合、動作に不具合が生じる可能性があるため、特に、現在、本プログラムの旧版(3.5以前)を使用されている事業者の皆様におかれましては、令和5年10月までに、今回公開した最新版を必ずダウンロードいただきますよう、併せてお願いします。
  • なお、令和5年10月頃には、サーバーが混み合う可能性がありますので、余裕を持ってご準備・ダウンロードしていただきますよう、併せてお願いします。
▼ダウンロードサイト

~NEW~
厚生労働省 G7倉敷労働雇用大臣会合、大臣宣言を公開しました
▼G7倉敷労働雇用大臣会合 全文(和文仮訳)
  • ウクライナにおける戦争が世界に及ぼす経済的・社会的影響に加え、人口動態の変化やデジタルトランスフォーメーション、グリーントランスフォーメーション(昨年ドイツ議長国下では「3D(digitalisation, decarbonisation, demographic change)」と称された)といった構造変化は、ディーセント・ワークの促進に加え、人への投資の重要性を高めている。デジタルトランスフォーメーションやグリーントランスフォーメーションは雇用創出や持続可能性、経済成長等を促す一方、不平等や不安定な仕事・収入、労働条件の悪化を招く可能性もある。さらに、特に不利な立場に置かれやすい人々に対する不十分な社会的保護の適用に繋がる可能性もある。労働者及び企業が変化に対応し、イノベーションを促進するとともに、あらゆる段階で公正な移行2を確保することが必要である。また、COVID-19パンデミックや気候変動、物価上昇などの危機は、構造変化と相まって、実質賃金の低下を招くなど、労働者の将来の展望を描きにくくさせている。我々は、この不確かな時代において、個々人がキャリアの展望や将来のプランを持てるよう、人への投資が必要であることを確認する。
  • これらの課題に対応するためには、幅広い人への投資が必要であり、これは職業能力開発のみならず、質の高い雇用を促進するための包摂的な労働市場の整備や、グローバルサプライチェーンを含め、誰も取り残さない形で働きがいのある人間らしい仕事を実現することを含んでいる。こうした投資は、労働者の幸福及び健康(ウェル・ビーイング)と社会経済の活力の好循環の実現に貢献し、これが経済成長や生産性向上に伴う賃金の上昇につながり、更なる人への投資に貢献する。我々は、労働者がこれらの変化に対応することを支援するリスキリングは、経費とみなすべきではなく、人への投資であると考える。
  • 人への投資とディーセント・ワークの確保に注力することにより、人々の意欲・能力を経済のしなやかさ、活力、イノベーションの原動力にしていくと共に、労働者一人一人が充実した職業生活を送れるような社会を実現できるように取り組むことが、まさに我々の使命である。このため、我々は「G7労働者のキャリア形成と構造変化に対応するレジリエンスを促進する行動計画」を採択する。
  • 我々は、迅速かつ大規模に、ジェンダーの観点も踏まえ、既存の政策を拡大もしくは新規政策を導入し、パンデミックに対応した。これには、雇用維持制度、失業給付、所得支援、積極的労働市場政策や不利な立場に置かれやすい人々に対する支援策が含まれる。これらの政策は、労働者や自営業者、企業などへの悪影響を緩和し、迅速な経済の回復に貢献した。我々は、将来の危機により良く対応するために、労働者の雇用の維持のみならず雇用への参画・再参画への支援を含めた適切に設計された労働市場政策と、普遍的かつ適切な水準の、財政的にも持続可能な社会的保護へのアクセスを備えることの必要性を再確認する。また、我々は適時に(timely)、適切な対象に(targeted)、時限的に(temporary)緊急対応を行うことや、迅速かつ適切な政策実行のための、関連する給付・支援制度のデジタル化への投資の重要性を強調する。雇用維持制度は多くの国で機能したが、予期せぬ予算支出が失業保険制度への負荷となった国もあった。パンデミックに関連する政策の経験からの教訓を得ることは、社会的保護の持続可能性を損なうことなく将来の危機により良く対応するため、重要である。また、国家経済や国民生活の基礎となる労働者や産業、サービスを特に支えるために、影響を受ける産業政策と労働政策・社会的保護政策との連携も重要である。このためにも、公共・民間部門が協力して、ディーセント・ワークの確保や質の高い仕事の創出に取り組むことが必要である。
  • パンデミックは、生産や消費者の嗜好の大きな変化と、eコマースやデジタルプラットフォームの活用をもたらし、テレワークや仮想的なコミュニケーションへの移行を含むデジタルトランスフォーメーションを加速させている。加えて、パンデミックは構造変化を加速させ、その回復の過程において、我々は、広い分野での労働力不足や、労働者が持続的に労働市場から退出していくというケースも経験した。概して、パンデミックは、性別、年齢、教育や所得水準、人種や種族的出身、障害や在留資格、性的指向や性的自認やその他の要素に基づいて、G7において人々に偏った悪影響を及ぼした。特に、無償ケア労働の負担が大きい女性においては、パンデミック時の外出自粛政策等により、キャリアの後退を含めた影響を受けたケースもあった。これは、しばしば、女性の労働市場参加や賃金、雇用の質の向上の停滞や後退に繋がり、結果的には、女性の将来の年金や適切なジェンダーバランスの確保に悪影響を及ぼすことに繋がる。こうしたことを踏まえ、我々は、労使の役割を尊重しつつ、生産性の向上に伴う実質賃金の上昇、すべての人々の労働環境の改善やケア責任を担う人への支援などを含む労働条件の適切な改善の推進に取り組む。我々は、無償ケア労働を担う人々の負担を和らげ、有償ケア労働に従事する人々のディーセント・ワークを確保し、労働条件を向上させるために、引き続き介護・福祉分野に投資をしていく。
  • 我々は、リスキリングのモチベーション維持・向上につなげるための方策や、リスキリングの効果や目的について異なる背景を持つ各国の経験を共有した。我々は、持続可能な公正な移行を達成するためには、地域レベルを含めた労使を含む関係者との建設的な対話を続けていく。我々は、生涯を通じた学びへの投資により企業が果たしうる役割は大きいことを強調する。よって、財政的なインセンティブも含め、企業が学習・研修休暇の付与や研修の時間確保などにより従業員の学びを促進することを奨励することが有益である。また、企業やその団体が、雇用形態やケアの責任に関わらず、労働者の生涯を通じた学びの機会を確保できるよう労働者の代表の意見に耳を傾けることが重要である。我々は、とりわけ、障害者の労働参加の促進に向けて、ITスキル開発の技術革新に留意しつつ、職業教育・訓練・再訓練を支援する。我々は、世界公共雇用サービス協会の「変化する労働市場におけるG7ワーキング・グループ」による、G7雇用作業部会に対する公共職業紹介サービスの視点からのインプットを歓迎する。
  • 高齢者のより長いキャリアを支援する:高齢化の進展の中で、高齢者の労働参加は高い伸びを示している。高齢者が労働市場で長く働き続け、その潜在能力を最大限に活用する重要性は、熟練労働者の人手不足にも現れている。このため、持続可能でより健康的かつ良質な労働環境を促進することにより、キャリアを通じて雇用可能性を維持する支援の重要性が高まっている。したがって、我々は、
    • 年齢による変化に伴うニーズに応じた働き方が可能な労働環境の整備、
    • 年齢による志向や健康状態の変化に応じた、本人のニーズと要望を踏まえた仕事の方法の変更によるものを含む働き方の見直しや、必要に応じた社内外での労働移動の機会の提供の促進、
    • 生涯を通じた特にデジタルスキルに対応したリスキリングの機会の確保
    • より長期的・健康的な職業生活の実現による年金や老後資金の確保を通じた、高齢者の経済基盤の強化、
    • 高齢者が労働市場で活かすことができるこれまで培ったスキルや経験を情報共有・認識することによる、職場に存在しうる年齢差別の打破
      に取り組むことが必要である。
  • 障害者のインクルージョンの推進:我々は、社会的包摂や自立にとっても重要である労働参加を実現するため、障害者に十分な支援がなされることを確保する必要がある。
  • 我々は、雇用の「質」の点でも一層の取組を進め、障害者の有意義な労働市場参加につなげていくことが必要であることを強調する。働くことが難しいとされてきた重い障害のある方も、テレワークなどの柔軟な働き方や、ロボットやAIの活用、雇用と福祉の連携等により、益々活躍の場を得られるようになってきている。我々は、障害者の権利に関する条約も踏まえながら、引き続き、障害者にとってよりオープンで、包摂的で、アクセスしやすい労働市場と労働環境の実現に向けた取組を進めていく。我々は、障害者にとって公正な待遇、職業能力開発、労働市場への参画の確保のための障害に対する包摂的なアプローチをまとめた、OECDの新たな報告である「障害、仕事、インクルージョン:あらゆる政策実践における障害の主流化」を歓迎する。
  • ジェンダー平等を加速する:我々は、G7ジェンダー平等アドバイザリー評議会(GEAC)及びそのジェンダー格差に関するG7ダッシュボードを、断続的な発展や持続的な課題を考慮しながら、方法論や指標の更新を確実にし、全面的に支持することにコミットする。我々は、特に上級管理職レベルにおける、男女間の賃金格差、職業的地位格差や固定的性別役割分担など、労働市場における機会・結果のジェンダー格差はいまだに存在することを認識する。我々は、複合的な要素による格差を経験する女性が、仕事の世界でより不利な立場に置かれやすいことを認識する。ジェンダー平等を促進するには、リーダーシップの向上、社会対話を含めた意思決定プロセスへの参加の促進、個人や企業の無意識の偏見や差別の解消により、女性の声が傾聴されることが重要である。さらに、我々は、差別のない資金へのアクセスを含めた女性による起業の支援の重要性を認識する。また、女性の科学、技術、工学、数学(STEM)に関連する教育訓練へのアクセスを、例えば、こうした分野のプログラムへの資金支援の機会を増やすことにより、向上することが重要である。我々は、多様で柔軟な働き方を可能とする共働き・共育てモデルの構築が、保育サービスの強化を含めて重要であることを確認する。我々は、使用者と密接に連携しながら、父親の育児休業取得を促進する。加えて、我々は、介護休業、包摂的かつ質の高いケアの選択肢、無償ケア労働を女性が背負うことが多いという社会的規範への対処の重要性を強調する。
  • また、全ての労働者に対する暴力やハラスメント、特に仕事の世界におけるジェンダーに基づく暴力やハラスメントを防止する措置の促進が重要であることを確認する。また、あらゆる分野におけるジェンダーバランスや適切な労働条件、同一労働同一賃金又は同一価値労働同一賃金を促進することが必要である。我々は、労働市場におけるジェンダー平等の更なる促進に向けて、様々なエンゲージメントグループと、それぞれの労働市場における男女平等をさらに改善させる活動の範囲内の事項において、緊密に連携する。
  • 我々は、ジェンダーや年齢、障害などの要素が絡み合い、労働参加のより大きな障壁となっていることに留意しつつ、引き続き包摂的な労働市場の整備を進めていく。
  • より強靭で持続的なグローバルサプライチェーンの構築:グローバルサプライチェーンにおいて、人権、ディーセント・ワークの確保、環境の保護を実現する重要性を強調する。
  • 我々は、企業活動や企業間の取引において、人身取引の禁止を含む人権及び労働・環境基準の尊重を確保するとともに、技術協力を含めてディーセント・ワークを促進することに引き続き取り組む。昨年のG7議長国下で確認されたように、法令、規制、インセンティブ、企業向けのガイダンスなどの義務的及び自主的措置のスマートミックスを通じ、人々と地球のためによりよい結果を達成する上で、重要な役割を果たしていく。我々は、国連、ILO及びOECDの権威のあるフレームワークに沿ってサプライチェーンにおけるディーセント・ワークを促進することにコミットする。我々は、G7として首尾一貫した協調的なアプローチに取り組むとともに、実行可能でありかつ既存の政策的アプローチに付加価値を与えるような、国際的な合意に基づいた法的拘束力のある措置のアイディアと選択肢を探求するため、全てのステークホルダーと緊密に協議し、国連及びILOにおける議論に建設的に取り組む準備があるとした、G7ヴォルフスブルグ労働雇用大臣宣言におけるコミットメントを改めて強調する。我々は、また、アライアンス8.7を含むディーセント・ワークの推進への取組について、他国などにも広がるよう働きかけていく。

~NEW~
経済産業省 G7群馬高崎デジタル・技術大臣会合を開催しました
▼G7デジタル・技術大臣会合閣僚宣言(仮訳)
  • 我々は、民主主義のためのサミット宣言に概説された我々のコミットメントを再確認する。これには、AI、バイオテクノロジー、量子テクノロジーなどの新興技術を含むテクノロジーの設計、開発、維持、統治、取得、資金提供、販売、そして使用方法は、平等、包括、持続可能性、透明性、説明責任、多様性、プライバシーを含む人権の尊重など民主主義の原則へのコミットメントによって形成されるべきであることが含まれる。我々は、テクノロジー企業が責任ある行動を取り、ビジネスと人権に関する国連指導原則へのコミットメントを強化し、人権侵害から保護する必要性を強調する。
  • 特に、経済成長、開発、社会福祉の実現にデータが果たす重要な役割を認識し、DFFT(Data Free Flow with Trust)の下、データの越境移転の可能性を最大限に活用するための国際政策議論を推進する。そのために、透明性が高く、データ保護のための様々な法的・自主的な枠組み、ガイドライン、基準、技術等を通じて信頼性を構築し、実現すべきとの見解を共有する。我々は、DFFTの具体化を加速する必要性があることを理解する。我々は、パンデミック対応を含む健康、気候変動、モビリティを含む様々なIoT活用の分野におけるDFFTの運用について、関係者が表明した関心に留意する。
  • 我々はまた、データガバナンスに対する様々なアプローチがあることを認識しつつ、越境データ流通の機会を活用し、特にセキュリティ、プライバシー保護、データ保護、知的財産権の保護について生じる課題に対処するために協力することを再確認する。我々はデジタル・エコシステム全体の信頼を高め、権威主義的アプローチの影響に対抗することを目指す。この点について、我々は、国家安全保障や法的執行機関が既存の枠組みの下で個人情報にアクセスする際に適用されるセーフガードを特定することにより、越境データ流通における信頼性を高めるための重要なツールとして、「OECDの民間が保有するデータへの政府のアクセスに関する宣言」を歓迎する。
  • 我々は、デジタルインフラの安全性と強靱性を高めるための取組と議論を継続することの重要性を認識する。社会全体の急速なデジタル化により、デジタルインフラには、高速化、大容量、低消費電力、低遅延、ユビキタス接続に加えて、より高度な安全性と強靭性が求められるようになっている。安全で強靭なデジタルインフラは、経済成長、雇用創出、オープンで民主的な社会の実現に向けた高い潜在力を持つ活力ある経済の重要な基盤である。我々は、安全性と冗長性を強化し、相互運用性を促進するネットワーク構成は、デジタルインフラの強靱性を高めることができることを認識する。
  • 我々は、政府によるインターネットシャットダウンやネットワーク制限を非難する。我々は、デジタル権威主義国の戦術を可視化し、対策を行うために協力することを決意し、フリーダム・オンライン連合やそのインターネットシャットダウンタスクフォースなど他のイニシアティブとの協力を含め、国際人権法に違反するインターネットシャットダウン、ネットワーク制限、デジタル監視社会などの活動に対処するための協力を強化することを求める。我々は、インターネットの一般的な利用可能性または完全性にとって不可欠な技術インフラを保護することを約束する。
  • 情報の完全性は、より広い社会的意味を有するデジタル経済の信頼強化の課題である。我々は、人権、特に表現の自由に対する権利を尊重しつつ、オンラインの情報操作や干渉、偽情報に対処するために、ソーシャルメディアプラットフォーム、市民社会、インターネット技術コミュニティ、学術界を含む幅広いステークホルダーがとる行動の重要性を認識している。我々は、オンラインの偽情報に対処するための様々なステークホルダーによる既存のプラクティスを「偽情報対策既存プラクティス集(EPaD)」として収集・編集することに協力し、この報告書を京都で開催される国連IGF2023で公表・発表することを予定している。これらのプラクティスには、偽情報コンテンツの資金化の停止、デジタルプラットフォームのアカウンタビリティの強化、偽情報を理解し報告する手段をユーザーに提供することなどが含まれる。また、偽情報を含む意図的なオンライン情報操作や干渉に対抗するために、企業が事業を展開する地域の言語や文化の多様性を反映した適切なリソースを割り当てることを奨励する。
  • 我々は、人権に基づく、ジェンダーに対応したアプローチを推進する観点から、イノベーションとテクノロジーにおけるジェンダー平等に関する第67回国連女性の地位委員会の合意された結論などの既存の成果文書や、ジェンダー平等との関連を含む国際人権法のコミットメントを参考に、すべてのステークホルダーと協力して国連グローバルデジタルコンパクト(GDC)に貢献することを約束する。我々は、GDCの強固な前進とIGFとWSISプロセスの成功に貢献することを奨励する。また、マルチステークホルダーシステムへのコミットメントに基づき、我々は、2025年のWSIS+20レビュープロセスにおいて来るべき議論に備え、マルチステークホルダーの参加とエンゲージメントを強化することを含め、協力することを決意する。
  • 我々は、破壊的な新興技術の急速なイノベーションは、経済を成長させ、気候変動やパンデミック、高齢化の影響といった様々な社会課題に対応できる一方で、そのようなデジタル技術のガバナンスや、誤用への対処を含む社会的影響の検討を必要とすることを共有する。この点について、我々はイノベーションの機会を活用しながら、法の支配、適正手続き、民主主義、人権尊重の原則を運用できる、機動的かつ柔軟で、より分散化した、マルチステークホルダーが参加するアジャイルガバナンスやその法的フレームワークの必要性を承認する。我々は人間中心の、持続可能で、強靭な社会を実現することを目指し、デジタル化社会のためのガバナンスに関するタスクフォースからのインプットに基づき、このアジェンダについての共通アプローチの必要性を承認する。
  • 我々は、持続可能な社会を達成するためにデジタル技術をよりよく活用するという長期的なコミットメントを改めて表明するとともに、デジタル分野自身がもたらす環境影響を軽減しながら、デジタル化社会におけるグリーントランジションや、エネルギー・資源効率、循環経済、気候変動に関して継続的に取り組む。それらの取組とは、以下の通り。
    • ハードウエアの循環性やデータセンターのエネルギー効率、計算の速度や能率の改善によるソフトウエア技術を含む次世代コンピューティングの向上
    • リサイクル能力や「修理する権利」を含むデジタル技術の活用、開発、導入におけるライフサイクルアプローチを活用する機会を協力して探求
    • 「サステナブル・バイ・デザイン」による製品における資源消費を減少させ、リサイクル元素の使用を増加させるために、デジタル装置や製品の「サステナブル・バイ・デザイン」の取組の推進、ベストプラクティスの交換
  • 我々はまた、持続可能なサプライチェーンの構築を求めるとともに、その潜在的な影響を検討していく。この点について、我々は、以下のような対応を行う。
    • IoT、半導体、その他デジタル機器の生産に使用される有害な物質や化合物の使用、再利用、廃棄及び可能性のある代替手段に関する情報共有
    • それらのサプライチェーンの循環性や環境影響のポテンシャルの向上
  • 我々は、OECDのAI原則に基づき、人間中心で信頼できるAIを推進し、AI技術がもたらす全ての人の利益を最大化するために協力を促進するとのコミットメントを再確認する。我々は、民主主義の価値を損ない、表現の自由を抑圧し、人権の享受を脅かすようなAIの誤用・濫用に反対する。
  • 我々は、AI政策と規制が人間中心であり、人権と基本的自由の保護、プライバシーと個人データの保護を含む民主主義的価値観に基づくべきであることを再確認する。また我々は、AIの政策と規制は、リスクを軽減しつつ、人や地球にとっての技術による利益を最大化するAIの開発と実装のためのオープンで利用可能な環境を維持するために、リスクベースで将来指向でなければならないことを再確認する。
  • 我々は、AIの開発が急速に進んでおり、社会に大きな影響を与える可能性があることを認識している。我々は、AIが私たちの社会に与える潜在的な影響に留意しつつ、AIの政策や規制は、技術的・制度的特性だけでなく、地理的・分野的・倫理的側面を含む社会的・文化的影響に配慮した形で、適用の状況に適合させる必要があると認識している。
  • 生成AI技術が国や分野を超えてますます顕著になっていることを踏まえ、これらの技術の持つ機会と課題を早急に把握し、これらの技術が発展する中で、安全性や信頼性を促進し続ける必要があると認識している。我々は、AIガバナンスや著作権を含む知的財産権の保護、透明性の促進、外国からの情報操作を含む偽情報への対処方法や、責任ある形での生成AIを活用する可能性といったテーマを含む生成AIに関するG7における議論を引き続き行うための場を設けることを計画している。これらの議論は、専門知識を活用し、政策展開の影響に関する分析を検討するOECDや、関連する実践的なプロジェクトを実施するGPAIなどの国際機関を活用する必要がある。

~NEW~
経済産業省 「今後の原子力政策の方向性と行動指針」を決定しました
▼今後の原子力政策の方向性と行動指針(概要)
  • 「第六次エネルギー基本計画」、「原子力利用に関する基本的考え方」に則り、GX実行会議における議論等を踏まえ、今後の原子力政策の主要な課題、その解決に向けた対応の方向性、関係者による行動の指針を整理する。これに基づき、今後の取組を具体化する。
  • 再稼働への総力結集
    1. 自主的安全性の向上
      • 安全神話からの脱却」を不断に問い直す
      • 事業者が幅広い関係者と連携した安全マネジメント改革
    2. 立地地域との共生
      • 地域ごとの実情やニーズに即した対応の強化
      • 将来像共創など、地域ニーズに応じた多面的支援・横展開
      • 防災対策の不断の改善、自治体サポートの充実・強化
      • 実効的な意見交換・連携の枠組み構築と支援の強化 等
    3. 国民各層とのコミュニケーション
      • 一方通行的な情報提供にとどまらない、質・量の強化・充実、継続的な振り返りと改善検討
      • 目的や対象の再整理、コンテンツ・ツールの多様化・改善
  • 既設炉の最大限活用
    1. 運転期間の取扱い
      • 原子力規制委員会による安全性の確認がなければ、運転できないことは大前提
      • 利用政策の観点から、運転期間の在り方を整理
      • 地域・国民の理解確保や制度連続性等にも配慮し、現行制度と同様に期間上限は引き続き設定
      • エネルギー供給の「自己決定力」確保、GX「牽引役」、安全への不断の組織改善を果たすことを確認した上で、一定の停止期間についてはカウントから除外
      • 理解確保や研究開発の進展、国際基準の動向等も継続評価し、必要に応じた見直し実施を明確化
    2. 設備利用率の向上
      • 安全性確保を大前提に、自己決定力やGX等に貢献
      • 規制当局との共通理解の醸成を図りつつ、運転サイクルの長期化、運転中保全の導入拡大等を検討
  • 次世代革新炉の開発・建設
    1. 開発・建設に向けた方針
      • 原子力の価値実現、技術・人材維持・強化に向けて、地域理解を前提に、次世代革新炉の開発・建設に取り組む
      • 廃炉を決定した原発の敷地内での建て替えを対象に、バックエンド問題の進展も踏まえつつ具体化
      • その他の開発・建設は、再稼働状況や理解確保等の進展等、今後の状況を踏まえ検討
    2. 事業環境整備のあり方
      • 原子力の価値実現に向けた次世代革新炉への投資促進
      • 実証炉開発への政策支援
      • 収入安定化に資する制度措置の検討・具体化 等
    3. 研究開発態勢の整備
      • 官民のリソースを結集して、実効的な開発態勢を整備
      • 将来見通しの明確化・共有、プロジェクトベースでの支援、「司令塔機能」の確立 等
      • 米英仏等との戦略的な連携による自律的な次世代革新炉の研究開発の推進
      • フュージョンエネルギー・イノベーション戦略の推進に向けた、関連産業の育成、研究開発の加速
    4. 基盤インフラ整備・人材育成等
      • 次世代革新炉の研究開発や、そのための人材育成の基礎を構築
      • 基盤的研究開発やインフラ整備に対する必要な支援の加速
      • 医療用ラジオアイソトープの国内製造や研究開発の推進等
      • JRR-3や常陽を用いた製造
      • 研究炉・加速器による製造のための技術開発支援
  • バックエンドプロセス加速化
    1. 核燃料サイクルの推進
      • 再処理工場竣工目標の実現、プルサーマル推進や使用済燃料貯蔵能力拡大への対応を強化
      • 事業者と規制当局とのコミュニケーション 緊密化等、安全審査等への確実・効率的な対応
      • 事業者が連携した地元理解に向けた取組強化、国による支援・主体的な対応
    2. 廃炉の円滑化
      • 着実・効率的な廃炉の実現、クリアランス物利用の理解促進
      • 知見・ノウハウの蓄積・共有や資金の確保等を行う制度措置
      • クリアランス物の理解活動強化、リサイクルビジネスとの連携
    3. 最終処分の実現
      • 事業の意義、貢献いただく地域への敬意等を社会に広く共有、国の主体的取組を抜本強化するため、政府一丸となって、かつ、政府の責任で取り組む→関係府省庁連携の体制構築
      • 国主導での理解活動の推進
      • NUMO・事業者の地域に根ざした理解活動の推進
      • 技術基盤の強化、国際連携の強化
  • サプライチェーンの維持・強化
    1. 国内のサプライチェーンの維持・強化
      • 企業の個別の実情に応じたハンズオンで積極的なサポート等、支援態勢を構築
      • 国による技能継承の支援、大学・高専との連携による現場スキルの習得推進等、戦略的な人材の確保・育成
      • プラントメーカーとの連携・地方経済産業局の活用による、部品・素材の供給途絶対策、事業承継支援等へのサポート
    2. 海外プロジェクトへの参画支援
      • 技術・人材の維持に向けて、海外での市場機会の獲得を官民で支援
      • 海外プロジェクトへの参画を目指す官民連携チーム組成、実績・強みの対外発信 等
      • 関係組織の連携による海外展開に向けた積極的な支援
  • 国際的な共通課題の解決への貢献
    1. 国際連携による研究開発促進やサプライチェーン構築等
      • 主要国が共通して直面する当面の課題に貢献
      • G7会合等を活用した国際協力の更なる深化
      • サプライチェーンの共同構築に向けた戦略提携
      • 米英仏等との戦略的な連携による自律的な次世代革新炉の研究開発の推進
    2. 原子力安全・核セキュリティの確保)
      • ウクライナを始め、世界の原子力安全・核セキュリティ確保に貢献
      • ウクライナに対するIAEAの取組支援、同志国との連携による原子力導入の支援等
      • 原子力施設の安全確保等に向けた国際社会との連携強化

~NEW~
経済産業省 2023年版中小企業白書・小規模企業白書をまとめました
▼2023年版中小企業白書・小規模企業白書の概要
  • コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進みつつある中、中小企業の売上高は感染症流行前の水準に戻りつつあるが、宿泊や交通など、業種によっては引き続き厳しい状況が続いている。こうした中コロナ関連融資の返済期限もピークを迎えるため、収益力改善や事業再生支援が重要。
  • これまで厳しい状況にあった外食や宿泊の中でも、業態により状況は様々。消費水準や稼働率において、業態ごとに違いが見られる中、例えば宿泊業において、顧客ターゲットを変えて、売上高を回復している企業も存在。
  • 足下では、入国・行動規制の緩和等により、インバウンドや宿泊者数が増加。また、感染症の5類移行なども中小企業にとってプラスの要素となる可能性がある。
  • 物価は足下で急激な上昇傾向にあるが、鉱物性燃料の価格下落、為替変動により輸入物価が減少していることなどから、企業物価・消費者物価とも今後徐々に減衰するとの見方もある。
  • 物価高により、中小企業は収益減少等の影響を受けている。こうした中、値上げだけでなく経費削減や業務効率化による収益力向上等に取り組んでいる。
  • 深刻な人手不足や労働時間の制約といった課題にも直面している。
  • 人手不足に対応するため、省力化投資等を通じた生産性向上等に取り組んでいる。実際に、人手不足により、デジタル化による効率化に着手したトラック運送業界の企業も存在。
  • こうした生産性向上の取組だけでなく、給与の引上げや職場環境の改善などの魅力向上に取り組む動きも見られている。中小企業は組織、経営において柔軟に対応できる特性もあり、実際にある企業では従業員を多能工化することで、子育て世代の休暇取得や勤務時間の短縮・変更など柔軟な働き方を実現。
  • 人手不足の解消につながることから、兼業・副業(ダブルワーク)に取り組むことは重要。実際に副業人材の活用により、戦略実行に必要な人材を確保し、成長につなげた企業も存在。
  • 中小企業の賃上げの動きは進みつつあるものの、賃上げが難しい企業も一定程度存在。賃上げを促進するため、その原資を確保する上でも、取引適正化などを通じた価格転嫁力の向上とともに、生産性向上に向けた投資を行うことが重要。
  • TSMCの新工場立地に伴い、九州地方において、設備投資の増加や賃金上昇といった波及効果が見られる。
  • 厳しい事業環境の変化の中で、中小企業の価格転嫁力は低迷。足下では、総じて価格転嫁の状況は改善しつつあるが、労務費やエネルギー価格の転嫁に課題。こうした状況を受け、価格交渉促進月間の実施やその結果を踏まえた指導・助言、実効性を高めるための踏み込んだ情報開示等に取り組んでいく。物価高等のマクロ経済環境の変化を踏まえ、取引慣行として定着することが重要。
  • 物価高や人手不足といった中小企業が足下で直面する経営課題や賃上げ実現への対応において、投資の拡大やイノベーションの加速が重要。2023年度の国内設備投資は、過去最高水準の100兆円と見込まれており、中小企業の設備投資額も、増加傾向。また、中小企業における今後の設備投資の目的は、「維持更新」より「生産能力の拡大」や「製品・サービスの質的向上」を重視する傾向にある。
  • イノベーションは、競合との差別化や販路拡大等につながることから、成長に向けた重要な取組。実際にある企業では、戦略的に新たな事業に取り組むことでイノベーションを実現している。事業環境が激変する時代にこそ、中小企業の経営者が成長意欲を持って果敢に挑戦し、イノベーションによる生産性向上が重要。
  • 知的財産をはじめとした、無形資産の活用は重要。実際に、中小企業において知的財産権を活用し、自社の成長につなげている企業も存在。
  • GX・サプライチェーンやDXに関する社会的要請等の経済社会情勢への対応は、これを新たな取組に挑戦する機会と捉えて、投資やイノベーションを促進することが重要。カーボンニュートラルの事業方針上の優先度は高まっており、実際にこれを商機と捉え、積極的に投資を行い、成長につなげている企業も存在。
  • 資源制約(金属資源等の将来的な枯渇への懸念や供給途絶等のリスク)や環境制約(廃棄物処理の困難性やカーボンニュートラル対応の必要性)、成長機会の観点から、資源自律経済の確立を通じた循環経済(サーキュラーエコノミー)への転換も求められている。中小企業においても、サーキュラーエコノミーの観点から社会・経済に貢献しようとする傾向にある。
  • 中小企業において、海外展開は売上高や労働生産性の向上に貢献している。人口減少による内需縮小の中、中小企業においても、政府・関係機関の支援を活用しながら、輸出等を通じて海外需要を取り込んでいくことが重要。
  • 包摂的成長とは、「誰一人取り残さない」(包摂)社会の実現を通じて、経済成長も促す考え方であるが、都市部と地方圏における生産性や賃金などの格差も重要な課題。特に、地方の中堅・中核企業は雇用などの面で地方経済の中心的役割を担い、こうした企業において持続的に高い利益を生み出し、若者・女性が活躍できる雇用を創出することは重要。
  • また、地方の中堅・中核企業の成長を通じた若者・女性の雇用創出は、実質可処分所得や可処分時間が少ない東京圏から地方への若者・女性の人口移動を促進し、少子化対策にも貢献することが期待される。
  • 競合他社と異なる価値創出のあり方を反映した戦略の構想・実行を通じて、差別化を図ることは、競合他社が少ない市場への参入や創出により、企業の成長につながる。こうした戦略の構想・実行を進めるためには、特徴ある顧客・ニーズ等の設定や価値創出を継続し、試行錯誤などに取り組んでいくことが重要。
  • 中小企業の戦略の構想・実行に携わり、経営力の向上と成長を支えるプレーヤーが重要な役割を担っている実例も存在。こうしたプレーヤーの存在に加え、経営者仲間との積極的な交流を通じて、企業の成長意欲を喚起していくことも重要。
  • 2000年以降と比較して足下では、経営者の高齢化が進む一方、直近2年間では高齢の経営者の割合が低下。事業承継が一定程度進んでいる可能性。事業承継は経営資源の散逸を防ぐとともに、経営者の世代交代により、企業を変革する好機でもある。事業承継時の経営者年齢が若い企業においては、企業の成長に寄与する事業再構築に取り組んでいる。
  • 事業再構築の取組など後継者の新しい挑戦を促す上で、先代経営者は後継者に経営を任せることが重要。また、従業員から信認を得ることで承継後の事業再構築の取組が成長を促す。
  • 戦略実現のためには人材や資金の獲得が重要。必要な人材の獲得に向けて、人材戦略の策定が重要であり、人手不足への対応にも有効。特に、価値創出のための戦略と連動した人材戦略により、必要な人材像の明確化などを行っている企業は、業績を向上させている。
  • 必要な資金の獲得に向けて、エクイティ・ファイナンスがリスクマネーとして重要なツールであり、右腕人材の獲得など、成長に向けて経営・事業面の様々な支援が受けられる点でも有効な場合がある。外部資金を受け入れるためには、戦略的な経営などのガバナンスの構築・強化等が重要。
  • M&Aは価値創出に向けた戦略実現のための手段でもあり、その件数は、近年増加傾向。事業承継・引継ぎ支援センターの相談社数、成約件数も増加するなど、中小企業においてもM&Aが広まりつつある。M&Aは、成長や新しい事業分野への進出につながる有効な手段。
  • M&Aにおいて、買い手の立場としては「相手先従業員等からの理解を得られるか不安がある」ことが大きな障壁。組織・文化の融合といった経営統合(PMI)に取り組むことが重要。M&Aは企業の成長のきっかけとなるが、PMIに早期に取り組んだ企業ほどM&Aで期待以上の成果を実感。
  • 小規模事業者は、人口密度が低い地域において、より重要な存在。新たな取組により、企業の持続的な成長を目指し、地域の発展にもつなげている。
  • 地方における人口減少等の構造的な課題が顕在化する中、事業者による地域課題解決の取組が見られ、今後の増加も予想される(自治体において事業者への期待も高まっている)。
  • 収支の確保や円滑な資金調達は、地域課題解決を事業として持続的に取り組む上で必要。こうした持続的な取組の実現に向けて、事業者はあらかじめ事業の社会的意義を検討した上で、その意義を資金提供者にも提示するとともに、自治体等との連携を進めながら、複数地域への展開を図ることが重要。
  • 地域課題の解決において、事業者と自治体の連携が重要であるが、事業者は「地域課題を理解していない」、自治体は「意思決定の遅さや予算等の制約がある」といった課題が存在。こうした中、この課題を解決し、事業者と自治体をつなぐ組織・団体は、重要な役割を果たす。
  • 日本において、インパクト投資(財務的リターンと並行し社会や環境へのインパクトを目的とする投資)が近年増加する等、社会課題に対する意識・関心が高まっている。
  • 人口減少・少子高齢化をはじめ、長期化する感染症により、商店街では売上高や来街者数の減少の影響を受けているが、自己変革に向けて新たな事業やサービス提供に取り組んでいる。商店街に対して、商業機能だけでなく、コミュニティ、人が集まる場所としての社会的機能への期待が高まっている。
  • 最終財の価格は引き続き上昇しており、最終需要段階でも輸入物価上昇を起点としたコスト上昇圧力を販売価格に転嫁する動きが見られる。
  • 中小企業・小規模事業者が原材料費やエネルギーコスト、労務費等を適切に価格転嫁できる環境の整備に向け、価格交渉促進月間のサイクル(年2回)やフォローアップ調査の充実・情報公開、その結果を踏まえた大臣名での指導・助言等を実施。
  • フォローアップ調査の結果については、指導・助言の実施以外にも、業種別の価格転嫁率の公表や、発注側事業者ごとの交渉・転嫁の状況を整理したリストの公表など、情報公表を通じた価格転嫁の促進にも活用。
  • 感染症前と比べ、デジタル化の取組段階は進展しつつあり、デジタル化の取組段階の進展には、経営者の積極的な関与が寄与している可能性。
  • 経営者の積極的な関与にとどまらず、ビジョン・目標の設定や業務の棚卸しなど、組織的・戦略的に取り組むことがデジタル化の更なる進展につながる。実際に、組織として戦略的に取組を進めることで、デジタル化を進展させている企業も存在。
  • デジタル人材の確保・育成に向けては、求めるスキルや人材像を明確化することが重要。必ずしも、独力でプログラム開発ができるといった高度なスキルを持つデジタル人材がいなくても、デジタル化を進展させることは可能。
  • 中小企業・小規模事業者の支援を担う支援機関は、幅広い経営相談に対応する者から専門的な分野の相談対応をする者まで様々であり、支援機関によって、一人当たりの支援件数や単独で対応できる経営課題には違いが見られる。こうした現状を踏まえつつ、ミラサポコネクト等を通じ、支援機関における支援実績や取組等の見える化を進め、支援機関同士の連携・切磋琢磨を促していくことが重要。
  • 自機関の取組を客観的に評価することも重要であり、石川県商工会連合会においては、商工会による事業者支援の質を向上させる仕組みを開始している。支援機関が単独で対応できない経営課題に対しては、支援機関同士で連携して支援することも効果的である。連携体制の深化により事業者の経営改善につなげている支援機関も存在。
  • 足下の外部環境の変化への対応が求められる中、課題設定段階から対話を重視した課題設定型の伴走支援が重要な支援手段となっており、事業者も支援機関に対し、本質的な課題設定を伴う支援を期待している。また、伴走支援の取組は、各地の支援機関において着実に広がっており、事業者はこうした支援を活用し、自己変革を遂げていくことが重要。
  • 伴走支援の取組を進展させるためには、支援ノウハウの蓄積が重要。実際に、ノウハウの形式知化を図り、支援機関内の相談員の能力向上に取り組みながら、伴走支援を実施している支援機関も存在。

~NEW~
総務省 サイバーセキュリティタスクフォース(第43回)
▼資料43-1-3 トラストサービスの普及に関する取組状況
  • トラストサービスとは、インターネット上で本人であることやデータの正当性を証明することにより、送信元のなりすましや改ざん等を防止するための仕組みのこと。例えば、電子署名、タイムスタンプ、eシール、eデリバリー等がある。
  • 総務省は、デジタル庁による取組の下、タイムスタンプに係る制度運用、eシールに係る制度整備の検討等の取組を行っている。
  • eシールとは
    • eシールとは、電子文書の発信元の組織を示す目的で行われる暗号化等の措置(技術的には電子署名と同じ仕組み)。
    • 個人名の電子署名とは異なり、使用する個人の本人確認が不要であり、領収書や請求書等の経理関係書類等のような迅速かつ大量に処理するような場面において、簡便にデータの発行元を保証することが可能。
    • eシールの活用により、データ発行元の組織を簡便に確認できるようになり、これまで紙で行われていた書類等の企業間のやり取りを電子的に安全に行えるようになることで、従来の郵送の手間やコストの削減による業務効率化や生産性向上が期待される。
  • eシールに関するこれまでの取組
    • 総務省やデジタル庁が立ち上げたWGなどにおいて、eシールに関する検討を実施
    • 総務省ではデジタル庁による取組の下、eシールの民間サービスの信頼性を評価する仕組み等について検討を実施。
  • 我が国におけるeシールサービスの状況等に関する情報提供依頼
    • 社会全体のデジタル化が進展する中で、送信元のなりすましや電子データの改ざん等を防止する仕組みであるトラストサービスが大きな役割を果たすことが期待されるところ。
    • 総務省では、令和3年6月に「eシールに係る指針※1」(以下、「指針」という。)を公表し、トラストサービスの1つであるeシールについて、その定義※2や、技術や運用等の主な要素に関する一定の基準を示した。
    • 今後、eシールの民間サービスの信頼性を我が国において評価する仕組み等を検討するに当たっては、我が国における当該サービスの状況等を十分に把握しておくことが必要。
    • 以上のことから、eシールの定義に合致すると考えられるサービスやeシールと近しい機能を持つと考えられるサービス等について、我が国においてどのようなものが提供されているか、広く情報提供を依頼するものである。
    • ファイル転送サービス、会計ソフト等、サービスの一機能としてeシールが提供されている場合も対象とする。
    • サービス提供主体者だけでなく、第三者からの情報も含め、広く情報提供を依頼する
  • タイムスタンプに関する取組
    • 2023年2月に、3社の時刻認証業務を認定。
    • 電子帳簿保存法の経過措置期限(本年7月29日)へ向け、民間制度からの円滑な移行を推進
▼資料43-3 「情報通信ネットワークにおけるサイバーセキュリティ対策分科会」の検討状況について
  • 端末側の対策(NOTICE)の現状と課題
    1. 脆弱性等のあるIoT機器の状況
      • 今年度末までの5年間の時限措置として、NICTが、不正アクセス禁止法の例外として、特定アクセス行為によりID・パスワードに脆弱性のあるIoT機器を検知し、認定協会であるICT-ISACを通じてISPに通知し、利用者への注意喚起を実施。参加ISPの数も徐々に拡大し、現在は77社のISPが参加中。
      • 上記に加え、NICTがNICTERにより感染通信を出しているIoT機器を検知し、NOTICEの枠組みを活用して、利用者への注意喚起を実施。
      • 情報通信ネットワークの機能に支障を及ぼし得るサイバー攻撃の発生数や規模等は増大しており、こうした攻撃に悪用される可能性のあるIoT機器の数も、デジタル化を背景に引き続き増加することが見込まれる。
      • ID・パスワードに脆弱性があるIoT機器は現在でも一定数残存。そのうち、2020年のIoTセキュリティ基準施行前に発売された古い機器が大半を占めている。
      • 感染通信を出しているIoT機器の検知数は、昨年春以降、マルウェア活動の活発化等を背景に高止まっている。
      • ファームウェア等のID・パスワード以外の脆弱性があるIoT機器を狙った攻撃(リモートコード実行等)が増えているが、こうした機器については、NOTICEの調査の過程で検知できる場合があるものの、現行のNOTICEにおいて対処はできていない。
      • 現在のサイバー攻撃の脅威や脆弱性等のあるIoT機器の状況等を踏まえ、NOTICEについては継続して取り組む必要があるのではないか。
      • ID・パスワード以外の脆弱性のあるIoT機器についても、NOTICEの枠組みを活用して幅広く対処を可能とすべきではないか。
    2. 利用者への注意喚起
      • 利用者への注意喚起によって脆弱性のあるIoT機器は一定数減少。あるISPにおいて注意喚起の進捗状況を適切に管理することで、ID・パスワードに脆弱性等のあるIoT機器がゼロになった事例もある。
      • 利用者からの問合せ対応等のため、「NOTICEサポートセンター」を設置。
      • 一部のISPでは、IoT機器が適切に管理されるよう機器のレンタルサービスを提供している事例もある。
      • インターネット等に接続される端末が、端末設備等規則で定めるIoTセキュリティ基準を満たさない場合等において、ISPが端末の接続を拒否できる制度を措置。
      • IoT機器の適切なセキュリティ対策に対する利用者の意識が十分ではなく、対策方法も一般の利用者にとって難しいものとなっている。
      • 法人利用者については、管理責任の所在が曖昧など適切なIoT機器の管理体制がないケースや、コストがかかるため、実害がない限りはファームウェアの更新や設定変更が行われないケースがある。
      • 利用者において実際に対処を完了したかどうか確認が出来ていない等、注意喚起による効果測定が十分に行われていない。
      • サイバー攻撃に悪用されるおそれのある端末を接続拒否する約款については、利用者の理解が得られにくいことが課題。
      • NOTICEの情報発信とあわせて、メーカーやSIer等の関係者と連携しつつ、IoT機器の適切な管理に関する利用者への周知啓発を更に強化する必要があるのではないか。
      • ファームウェアの自動更新等、利用者が意識せずにIoT機器を適切に管理可能な製品・サービスの普及に努めるべきではないか。
      • 利用者への実態調査や「am I infected?」との連携等により、注意喚起による効果のより詳細な把握に努めるべきではないか。
      • サイバー攻撃に悪用されるおそれのある端末の接続拒否については、注意喚起の実効性向上に向けて、利用者の理解を十分に得つつ、ISPが対応可能な方策を検討していく必要があるのではないか。
    3. メーカーの対応
      • IoT機器の適切な管理に関する利用者への周知啓発、機器のサポート期間終了やファームウェアの更新等に関する情報提供に取り組んでいる。
      • DLPAに加盟しているメーカーにおいては、個体毎に異なるID・パスワードが設定されており、ファームウェアの自動更新機能を有しているルーターを「DLPA推奨Wi-Fiルーター」として販売しており、当該ルーターについてはNOTICEの調査においてこれまで1台も検知されていない。
      • NOTICEとの連携により、ファームウェアの改修や新製品のセキュリティ機能の改善につながった事例もある。
      • メーカーのサポート期間が終了しているEOL(End Of Lifeの略)を迎えた古いIoT機器や、ファームウェアが古いままになっているIoT機器が一定数残存。
      • 中小企業の場合、大企業と比較してコストを抑えるため壊れるまで機器を利用する傾向が強く、10~15年利用される事例もある。
      • 引き続き、関係者と連携しつつ、サポート期間終了やファームウェアの更新等に関する情報の確実な提供、利用者にとって分かりやすい設定・操作が可能な機器やマニュアルの提供、IoT機器の適切な管理に関する周知啓発に努めるべきではないか。
      • サイバー攻撃の脅威情報の共有や脆弱性のある機器への対処等、NOTICEとメーカーとの連携を更に促進する必要があるのではないか。
    4. NOTICEの運営
      • NOTICEの取組により、脆弱性等のあるIoT機器の全体的な動向を把握し、注意喚起等の対処につなげる枠組みができたことは大きな成果。
      • NOTICEの調査の過程でISPが管理しているIoT機器に脆弱性があることが判明し、ISPと連携してパスワードを変更した事案、ISPやメーカーと連携してファームウェアの更新・適用を行った事案等、利用者への注意喚起を実施せずに対処に成功した事案もある。
      • Emotetに感染している端末の利用者への注意喚起を実施した事案等、NOTICEの枠組みを活用して当初想定していなかったサイバー攻撃のリスクに対処した事案もある。
      • NOTICEに参加しているISPにとっては、NICTが検知したIoT機器の通知を受けた後、利用者の特定から注意喚起、問合せ対応までの一連の業務に係る負担が大きく、効率性も踏まえて取り組むことが必要。
      • 未参加ISPが管理するIPアドレスは調査対象外。
      • ISPによる利用者への注意喚起のみに依存せず、多様な関係者と連携しつつ事案の性質に応じた柔軟な対処を進めることが必要ではないか。
      • PDCAサイクルを回しながら、NOTICEの柔軟かつ効率的な運営に取り組む必要があるのではないか。
      • NOTICEの情報発信に引き続き取り組み、参加ISPの拡大を図るべきではないか
  • ネットワーク側その他の対策の現状と課題
    1. C2サーバの検知・検知情報の共有・利活用
      • 通信ネットワークのフロー情報分析により検知された被疑C2サーバをリスト化。検知されたC2サーバの一部については、既存の手法よりも早期に検知されたことを確認。
      • C2サーバリストの情報共有・利活用の在り方やC2サーバの検知手法の共有について検討し、課題を整理。
      • C2サーバの検知精度の向上に向けて、検知や評価の手法の更なる改善、検知されたC2サーバの活動状況の継続的な観測が必要。
      • 円滑かつ迅速にC2サーバリストが共有されるような仕組みの検討とあわせて、C2サーバリストの具体的な利活用シーンについて更に整理が必要。
      • フロー情報分析によりC2サーバを検知できる技術・リソースを有するISPは一部に限られている。
      • 必要に応じて関係機関と連携しつつ、C2サーバの更なる検知精度の向上を図るとともに、C2サーバの活動状況をリアルタイムで把握するための死活監視に取り組むことが必要ではないか。
      • C2サーバリストの効果的な共有・利活用に関する具体的な枠組み・ルールの策定に向けて検討を加速すべきではないか。
      • C2サーバの検知手法に関するISP間の情報共有の促進等、可能な限り多くのISPがC2サーバの検知に参加できるような環境の整備に取り組むことが求められるのではないか。
    2. IoTボットネットの可視化
      • 端末側の対策としてNOTICEプロジェクト、ネットワーク側の対策としてC2サーバの検知等に関する実証を各々で実施。
      • サイバー攻撃に効果的に対処していくためには、脆弱性のあるIoT機器、ボットネット、C2サーバ等全体を俯瞰した対応が必要であり、様々な情報を重ね合わせていくことで精度を上げながら全体像を把握していくことが重要。
      • 恒久的な対策に向けて、対処が必要なIoT機器の情報、マルウェアの情報、C2サーバの情報、サイバー攻撃の発生に関する情報等、全ての情報がそろっていることが必要であるが、個々のISPにとってはこれらの情報を総合的に収集・分析することは困難。
      • NOTICEで検知された対処が必要なIoT機器や今般の実証で検知したC2サーバのリスト等、端末側・ネットワーク側両面から情報の収集・分析を行い、IoTボットネットの全体像の可視化につなげていくための観測網である「統合分析対策センター(仮称)」を立ち上げ、ISP等の関係者が連携しつつ総合的なIoTボットネット対策に取り組むことが必要ではないか。

~NEW~
総務省 「DX時代における企業のプライバシーガバナンスガイドブックver1.3」 を策定しました
▼別紙2 「DX時代における企業のプライバシーガバナンスガイドブックver1.3概要」
  • DX時代における企業のプライバシーガバナンスガイドブックver1.3の背景
    • 国際動向(EU・米国の動き):プライバシーの企業価値への影響の高まり
      • EUではGDPRにより基本的人権の観点から、米国ではFTC法(第5条)により消費者保護の観点から、多額の罰金や制裁金の執行がなされ、経営者がプライバシー問題を経営上の問題として取り扱うことが認識されている。また、GDPRでは、独立したDPO(Data Protection Officer)の設置や、DPIA(Data Privacy Impact Assessment)の実施など、企業に求められる体制・取組も位置づけられている。
      • そのような環境下で、プライバシーを経営戦略の一環として捉え、プライバシー問題を能動的に対応することで、社会的に信頼を得て、企業価値向上につなげている企業も現れている。
      • 例えば、個人情報の特定やマッピング、利用者の同意の管理、データ要求の履行などを手掛ける「プライバシーテック」と呼ばれる企業への出資は拡大している。また、プライバシーを巡って、巨大テックの対立や規制強化、これによる企業の業績や事業展開への影響といった状況も生じている。
    • 国内動向:グローバルで活躍する国内企業の動き、個人情報保護法制度改正等への対応
      • 国際的なデータ流通により経済成長を目指すDFFTを実現する観点からも、セキュリティやプライバシーの確保を通じた、人々や企業間の信頼が必要とされている。海外で求められるレベルへの目配せが国内企業にも必要となってきている。
      • 個人情報保護法改正を受けて、プライバシー保護を強化しつつ適切な利活用を進める動き。また、特にデジタル技術を活用した分野においては、民間主導の取組の更なる推進が必要とされ、個人データの取扱いに関する責任者の設置やPIAの実施などの自主的取組が推奨されている。
    • 昨今ビジネスモデルの変革や技術革新が著しく、イノベーションの中心的役割を担うDX企業は、イノベーションから生じる様々なリスクの低減を、自ら図っていかなければならない。
    • プライバシーに関する問題について、個人情報保護法を遵守しているか否か(コンプライアンス)の点を中心に検討されることが多かった。しかし法令を遵守していても、本人への差別、不利益、不安を与えるとの点から、批判を避けきれず炎上し、企業の存続に関わるような問題として顕在化するケースも見られる。
    • 企業は、プライバシーに関する問題について能動的に対応し、消費者やステークホルダーに対して、積極的に説明責任を果たし、社会からの信頼を獲得することが必要である。経営者は、プライバシー問題の向き合い方について、経営戦略として捉えることで、企業価値向上につながるといえる。
  • DX時代における企業のプライバシーガバナンスガイドブックver1.3の概要
    • 経営者が取り組むべき3要件
      • 要件1:プライバシーガバナンスに係る姿勢の明文化
        • 経営戦略上の重要課題として、プライバシーに係る基本的考え方や姿勢を明文化し、組織内外へ知らしめる。経営者には、明文化した内容に基づいた実施についてアカウンタビリティを確保することが求められる。
      • 要件2:プライバシー保護責任者の指名
        • 組織全体のプライバシーに関する取組の責任者を指名し、権限と責任の両方を与える。
      • 要件3:プライバシーへの取組に対するリソースの投入
        • 必要十分な経営資源(ヒト・モノ・カネ)を漸次投入し、体制の構築、人材の配置・育成・確保等を行う。
    • プライバシーガバナンスの重要項目
      • 体制の構築(内部統制、プライバシー保護組織の設置、社外有識者との連携)
      • 運用ルールの策定と周知(運用を徹底するためのルールを策定、組織内への周知)
      • 企業内のプライバシーに係る文化の醸成(個々の従業員がプライバシー意識を持つよう企業文化を醸成)
      • 消費者とのコミュニケーション(組織の取組について普及・広報、消費者と継続的にコミュニケーション)
      • その他のステークホルダーとのコミュニケーション(ビジネスパートナー、グループ企業等、投資家・株主、行政機関、業界団体、従業員等とのコミュニケーション)
  • ガイドブックver1.3における主要な更新内容
    • ガイドブックの理解を深めるための概念整理を実施。主要な内容は以下の通り。
      • DXを推進し競争力向上を志向する企業が参照できる一般的モデルを参照し、プライバシーガバナンスについて一般的なフレームワークによる整理を追加。
      • 人権やESGの文脈からも、統合報告書等による情報の開示やマーケットとの対話を通じて、プライバシー問題へ対応について投資家や社会からの評価を得ることが重要となってきていることを加筆。
      • 「情報セキュリティ対策とプライバシー保護」について、両者は概念として異なるものであることをコラムとして追記。
      • プライバシー保護責任者について、経営者は自社の有するプライバシーリスクや組織構造の特性を踏まえ、円滑な業務運営等も考慮して適切な立場の者を指名することが望ましい旨を明記。
  • プライバシーガバナンスに係る取組の例
    • 明文化の具体的な形としては、宣言の形をとったプライバシーステートメントや、組織全体での行動原則を策定するケースもある。
    • プライバシーガバナンスを機能させるには、各部門の情報を集約し、事業におけるプライバシー問題を見つけるとともに、対象となる事業の目的の実現とプライバシーリスクマネジメントを可能な限り両立させるために、対応策を多角的に検討することが必要となる。上記を実現するため、指名されたプライバシー保護責任者を中心として、中核となる組織を企業内に設けることが望ましいと考えられる。
    • 組織全体のプライバシー問題への対応の責任者を指名し、経営者が姿勢を明文化した内容を踏まえて、その実践を行うための責任を遂行させることが必要である。経営者は、プライバシー保護責任者から報告を求め、評価をすることで、組織の内部統制をより効果的に機能させる。その際には、プライバシー保護責任者の責任範囲を明確にし、プライバシー問題の発生を抑止するために必要な対応を遂行するための権限も与える必要がある
    • プライバシー問題に係るリスク管理が適切に行われていることを独立した立場からモニタリング・評価することができれば、社内の取組を徹底でき、社外からの信頼を更に高める根拠にもなる。
    • プライバシー影響評価(PIA)とは、個人情報及びプライバシーに係るリスク分析、評価、対応検討を行う手法である。
      • 基本的なプライバシー保護の考え方として、参照できるグローバルスタンダードの1つに、プライバシー・バイ・デザインというコンセプトがある。これは、ビジネスや組織の中でプライバシー問題が発生する都度、対処療法的に対応を考えるのではなく、あらかじめプライバシーを保護する仕組みをビジネスモデルや技術、組織の構築の最初の段階で組み込むべきであるという考え方である。
      • プライバシー影響評価(PIA)とは、個人情報及びプライバシーに係るリスク分析、評価、対応検討を行う手法である。なおISO/IEC 29134:2017では、PIAの実施プロセス及びPIA報告書の構成と内容についてのガイドラインを提供している。今般、2021年1月にJIS規格が発行された(JIS X 9251:2021)。ただし、PIAは全てのサービスに適用するものではなく、あくまで事業者の自主的な取組を促すものである。
      • 個人情報保護法改正大綱でも「民間の自主的な取組を促進するため、委員会としても、PIAに関する事例集の作成や表彰制度の創設など、今後、その方策を検討していくこととする」と記載があり、2021年7月には個人情報保護委員会よりPIAの取組に関するレポートも公開されている。

~NEW~
総務省 災害時の道路啓開に関する実態調査<結果に基づく勧告>
▼概要
  • 調査の背景
    • 東日本大震災では、緊急通行車両の移動ルートを切り開く道路啓開(くしの歯作戦)を実行
    • くしの歯作戦が災害発生後の立案であった、放置車両の取扱いが不明確、行政からの要請が重複し、民間事業者が対応に苦慮 などの課題が判明
    • 今回、現場における道路啓開への備えを進めるため、国(地方整備局)、地方公共団体等の取組状況を調査
  • 調査結果のポイント
    1. 道路啓開計画の策定
      • 地方整備局が主体となって関係機関による協議を行い、計画づくりを進め、啓開ルート等の方針が明確になっている地域か否かで、地方公共団体における計画策定の進捗に差が出ている
    2. 民間事業者を活用した人員・資機材の確保
      • 災害時には協定に基づく建設業やレッカー業等の民間事業者の協力が不可欠であるが、道路管理者では、民間事業者から提供を受けられる人員・資機材量を把握していないことから、道路啓開に必要な人員・資機材量を確保できないおそれ
  • 主な勧告事項
    • 地方整備局等が主体となって協議会等を設置するとともに、協議を通じ、道路啓開計画の策定などの備えを推進すること
    • 協議会等の場を活用して情報提供等を行うことにより、道路管理者が、協定締結先民間事業者等における災害発生時に対応可能な人員・資機材を把握し、不足分の対応の検討を含めた人員・資機材の確保を行うよう、取組を促すこと

~NEW~
総務省 誹謗中傷等の違法・有害情報への対策に関するワーキンググループ(第6回)配布資料
▼資料1 誹謗中傷等の違法・有害情報への対策に関するワーキンググループ 論点整理(案)(事務局)
  • 論点1 プラットフォーム事業者の責務
    • インターネット上のプラットフォームサービス上では不特定の者が情報を発信しこれを不特定の者が閲覧する場が構築されており、こうした場においては、情報発信に対する経済的・物理的・心理的制約が少ないため、違法・有害情報の送信や拡散に対するハードルが低く、違法・有害情報の流通が起きやすい。また、ひとたび違法・有害情報が流通した場合、それによる被害及び悪影響は即時かつ際限なく拡大し、甚大になりやすい。プラットフォーム事業者が、自らこうした場を構築しサービスを提供していることを踏まえれば、同事業者は、利用者による違法・有害情報の投稿に関し、違法・有害情報の流通の低減を図る社会的な責務を負うと考えられるのではないか。
    • 違法・有害情報の流通による被害は、サービスの態様や規模の大小を問わず、幅広いプラットフォームサービス上で現に生じており、こうした責務は全てのプラットフォーム事業者が負うべきと考えられるのではないか。中でも、特に大規模なプラットフォーム事業者については、違法・有害情報が流通した場合の被害の大きさや拡大するスピード、発生する頻度も上がると考えられることなどを踏まえると、特に大きな社会的な責務を負うと考えられるのではないか。
    • さらに、利用者からの投稿を広く募り、それを閲覧しようとする利用者に広告を閲覧させることで収入を得ていることも、この社会的な責務を負うべきとする方向に働くのではないか。
    • 利用者の表現の自由への配慮等の観点から、プラットフォーム事業者が行う違法・有害情報の流通の低減のための措置は必要な限度で、透明性を持って行うことが求められるのではないか。
  • 論点2 事業者の自主的な取組の促進(透明性・アカウンタビリティの確保)
    • プラットフォーム事業者による違法・有害情報の流通の低減を促進するに際しては、表現の自由等に配慮する観点から、プラットフォーム事業者に対して公法上の削除義務を課す等の法的規制を設けるよりも、プラットフォーム事業者によるコンテンツモデレーションの自主的かつ継続的な改善を促進し、違法・有害情報の流通の低減を図ることが適当と考えられるのではないか。
    • また、裁判上の法的な手続と比較して、簡易・迅速な対応が期待できるという観点からも、同様に考えられるではないか。
    • 行政は、プラットフォーム事業者によるコンテンツモデレーションの自主的な改善サイクル(PDCAサイクル)の確立のための枠組みを制度化することによって、これを促進することが必要ではないか。
    • プラットフォーム事業者による違法・有害情報の流通の低減に関し、特に、被害者等からの要望の強い、コンテンツモデレーションの申請等に関する事項及びその処理に関する手続等については、一定の措置を求めることが必要ではないか。
  • 論点2-1 対象となる事業者
    • 違法・有害情報の流通による被害は、サービスの態様や規模の大小を問わず、幅広いプラットフォームサービスで発生しており、すべての事業者が、これに自主的に対応する社会的な責務を負うのではないか。そのため、本来的には、すべてのプラットフォーム事業者が、違法・有害情報の流通の低減について、自ら運用計画を定め、運用し、その自己改善を図ることが望ましいのではないか。
    • 一方で、この自己改善のサイクルの確立を法的な義務として求めることがある場合には、新興サービスや中小サービスに生じる経済的負担や、情報流通の総量や利用者の数の増加に伴って、違法・有害情報の流通の頻度や深刻度が高まること等を考慮し、(1)利用者数、(2)サービスの目的・性質を考慮した上で、一定の要件を満たす大規模なサービスについてのみ、求めることとするべきではないか。
    • 上記の制度については、内外無差別の原則を徹底する観点から、海外事業者に対しても国内事業者と等しく制度が適用されるようにすることが必要ではないか。
  • 論点2-2 対象となる情報の範囲
    • プラットフォーム事業者には、違法情報及び有害情報の流通の低減について、これに対応するための方針を自ら定め、運用し、その自己改善を図ることが望ましいのではないか。
    • 違法情報については、個別の該当性については終局的には裁判によらなければならないものの、民主的手続を経た上で明確に定義されたものであり、流通の低減を図っていく必要性が高いと考えられることから、プラットフォーム事業者は、そのコンテンツモデレーションについて、自ら運用計画を定め、運用し、その自己改善を図ることが、特に求められるのではないか。
    • ここでいう違法情報には、民事上の権利を侵害する権利侵害情報と、個別の法令に違反する法令違反情報が含まれるのではないか。
    • 有害だが違法ではない情報については、その情報が有害であるか否か、受信者の属性や文脈によって評価が変化し、法律上も定義が一義的に定まっていない。このような、有害だが違法ではない情報についても、プラットフォーム事業者は、そのコンテンツモデレーションについて、自ら運用計画を定め、運用し、その自己改善を図ることが望ましいものの、この自己改善のサイクルの確立を法的な義務として求めることがある場合には、有害情報を、そのような法的義務の対象となる情報とすることには慎重であるべきではないか。
  • 論点2-3 コンテンツモデレーションの自主的な改善サイクル
    • コンテンツモデレーションの自主的な改善サイクル(PDCAサイクル)の枠組みに関し、具体的には、コンテンツモデレーションの運用等に関する事項を、それぞれ次のとおり実施するとともに、その内容や結果等を公表することが必要なのではないか
    • 公表事項の細目については、技術やサービス内容、効果的なコンテンツモデレーション手法登場等、急速な進展が予期されることから、自身による自主的な取組を尊重し、一定の柔軟性を持った制度設計とすることが求められるのではないか。
    • 一方で、プラットフォーム事業者ごとの比較可能性や利用者や被害者へのわかりやすさを確保する観点から、公表項目に関する一定の指針が示される必要があるのではないか。この際、事業者の過度な負担にならないよう、プラットフォーム事業者の意見を反映させることができる仕組みを設けることが必要ではないか。
  • 論点2-3 運用計画(P)の策定(運用基準関係)
    • 違法・有害情報の流通を低減させるために行う措置として、プラットフォーム事業者は、被害の態様や実態に即して、多様なコンテンツモデレーションの手段を組み合わせて運用している。
    • プラットフォーム事業者は、コンテンツモデレーションについて、その(1)運用基準、方法・手続や(2)運用体制について、あらかじめ、設定した上で、これらを運用計画として公表することが必要ではないか。
    • 運用基準には、措置の対象となる情報や行為、取り得る措置の内容やその適用にあたっての判断基準、措置の実施のために必要となる手続、措置の実施又は不実施に対する異議申立ての方法手順等が含められることが必要ではないか。
    • 運用基準は、日本語で、利用者にとって、明確かつ分かりやすい表現が用いられることが望ましいのではないか。
  • 論点2-3 運用計画(P)の策定(運用体制関係)
    • プラットフォーム事業者は、運用計画に基づいてコンテンツモデレーションを実施するために、人員やシステム等、実施に十分な体制の確保について計画し、公表することが必要ではないか。
    • 特に、日本におけるコンテンツモデレーションの実施について十分な体制の確保を求める観点から、日本語の投稿に適切に対応できる体制について計画し、公表することが望ましいのではないか。
    • 公表事項の細目については、事業者による効果的な指標の選択を促進する観点から、柔軟性と裁量を保つことが必要ではないか。
    • この点、例えば、コンテンツモデレーションの実施に係る人的体制の整備(例:従事する人員の体制、監督者、責任分担 等)について、公表することが望ましいのではないか。
    • また、人的体制以外の運用体制としてコンテンツモデレーションの迅速化に資する体制上の工夫についても、公表することが望ましいのではないか。例えば、AI等による自動処理を用いるプロセスの有無や活用状況について明らかにすることが望ましいのではないか。
    • さらに、例えば、投稿時に再考・再検討を促す機能等の、コンテンツモデレーション以外の違法・有害情報の流通の低減のための取組とその有効性等についても、公表することが望ましいのではないか。
  • 論点2-3 運用計画に基づく運用(D)
    • プラットフォーム事業者は、自らが定めた運用計画に沿って、コンテンツモデレーションを実施することが必要ではないか。
    • コンテンツモデレーションの運用結果は、後述する事業者による自己評価の前提となるほか、利用者によるサービス選択や被害者に対する説明に必要となる情報であるため、公表されることで利用者や被害者の利益を害さない限り、公表されることが必要ではないか。
    • 運用結果は、特に、日本における対応状況に関して公表されることが必要ではないか。
    • 公表事項の細目については、事業者による効果的な指標の選択を促進する観点から、柔軟性と裁量を保つことが必要であるのではないか。
    • 一方で、例えば、次の情報については、公表することが望ましいのではないか。この際、プラットフォーム事業者の国別対応に係る負担軽減及び国際的な比較を可能にする観点から、諸外国の同様の取組とできる限り項目をそろえることが望ましいのではないか。
      • 削除等のコンテンツモデレーションの実施に係る端緒別の件数
      • 端緒ごとに措置が実施された又は実施されなかった件数
      • 根拠となる運用基準に定める情報の区分や日本法における法的根拠ごとの措置件数
      • 苦情申出の件数やそれに対する対応結果ごとの件数
      • 措置に要した時間の中央値
  • 論点2-3 運用結果に対する評価(C)と運用計画の改善(A)
    • プラットフォーム事業者は、実施したコンテンツモデレーションの結果について、自ら評価を実施することが必要ではないか。
    • 自己評価の手法や指標の設定について、事業者による効果的な指標の選択を促進する観点から、柔軟性と裁量を保つことが望ましいのではないか。
    • 一方で、自己評価の客観性や実効性を高める工夫(例えば、外部評価委員による審査等への助言・関与や、監査法人による監査等)を行うことが望ましいのではないか。また、事業者間の比較の容易性を担保する工夫も行うことが望ましいのではないか。
    • 自己評価の結果については、外部からの検証可能性を確保するとともに、利用者によるサービス選択や被害者に対する説明に必要となる情報であるため、公表されることで利用者や被害者の利益を害さない限り、公表されることが必要ではないか。
    • また、プラットフォーム事業者は、自己評価の前提となる自サービス上で生じている被害の発生状況や、自社のUI/UXやアーキテクチャ等が被害の発生にどのように寄与しているかについて、把握・公表することが望ましいのではないか。
    • プラットフォーム事業者は、自己評価の結果に基づいて運用計画や運用自体を見直し、改善することが必要ではないか。この際、利用者や被害者からの評価を取り入れることが必要ではないか。
  • 論点3-1 違法・有害情報に関する公法上の削除義務
    • プラットフォーム事業者に対して、権利侵害や法令違反など一定の条件を満たす違法な投稿の削除を、直接、公法上義務付けることは、この義務を背景として、当該プラットフォーム事業者によって、実際には違法情報ではない疑わしい情報が全て削除されるなど、投稿の過度な削除等が行われるおそれがあることや、利用者の表現の自由に対する実質的な制約をもたらすおそれがあること等から、極めて慎重な検討を要するのではないか。
    • このことは、民事上の権利を侵害する権利侵害情報と個別の法令に違反する法令違反情報とで、異ならないのではないか。
    • また、有害だが違法ではない情報については、受信者の属性や文脈によって、その情報が有害であるか否かの評価が変化し、法律上も定義が一義的に定まらないのではないか。それゆえ、その情報の削除を、直接、公法上義務付けることは、投稿の過度な削除等が行われるおそれがあることや、利用者の表現の自由に対する実質的な制約をもたらすおそれがあること等から、極めて慎重な検討を要するのではないか。
  • 論点3-2 違法・有害情報に関する行政庁からの削除要請
    • 現状、法務省の人権擁護機関や警察庁の委託事業であるインターネット・ホットラインセンター等の行政庁から、プラットフォーム事業者に対して、違法・有害情報の削除要請が行われており、要請を受けたプラットフォーム事業者は、自らが定める利用規約に照らした判断や違法性の有無の判断を行い、投稿の削除等の対応を行っており、これには一定の実効性が認められると考えられるのではないか。
    • 行政庁からの削除要請を受けたプラットフォーム事業者が投稿を削除した場合、投稿の発信者に対する民事上の責任の免除や、その投稿により発生した被害に対する民事上、刑事上の責任の免除をすることについては、迅速な削除に資することが期待できる一方で、そのニーズ、表現の自由との関係等を慎重に評価・検討することが必要ではないか。
    • 一方で、プラットフォーム事業者が、法的な位置付けを伴わない自主的な取組として、通報に実績のある機関からの違法・有害情報の削除要請や通報を優先的に審査する手続等を設け、行政機関からの要請をこの手続の中で取り扱うことは考えられるのではないか。
    • 違法・有害情報に関する行政庁からの削除要請に関しては、また事後的に要請の適正性を検証可能とするために、その透明性を確保することが強く求められるのではないか。
  • 論点3-3 違法情報の流通の監視
    • プラットフォーム事業者に対し、違法情報の流通に関する網羅的な監視を法的に義務づけることは、コンテンツモデレーションのための端緒を迅速に得る上で有効であると思われる一方で、行政がプラットフォーム事業者に対して検閲に近い行為を強いることとなり、また、事業者によっては、実際には違法情報ではない疑わしい情報も全て削除するなど、投稿の過度な削除等が行われるおそれがあることや、利用者の表現の自由に対する実質的な制約をもたらすおそれがあること等から、極めて慎重な検討が必要ではないか。なお、プラットフォーム事業者が自主的にこれを監視することは、妨げられないのではないか。
    • 繰り返し多数の違法情報を投稿するアカウントの監視を行うことは、コンテンツモデレーションのための端緒を迅速に得る上で有効であると思われる一方で、これをプラットフォーム事業者に対し法的に義務付けることは、前述と同様の懸念があることから、極めて慎重な検討を要するのではないか。なお、プラットフォーム事業者が自主的にこれを監視することは、妨げられないのではないか。
    • 繰り返し多数の違法情報を投稿するアカウントへの対応として、アカウントの停止・凍結等を行うことを法的に義務づけることについては、ひとたびアカウントの停止・凍結等が行われると将来にわたって表現の機会が奪われる表現の事前抑制の性質を有しており、行政がプラットフォーム事業者に対して検閲に近い行為を強いることとなり、利用者の表現の自由に対する実質的な制約をもたらすおそれがあることから、そのニーズ、表現の自由との関係等を評価することが必要であり、極めて慎重な検討を要するのではないか。
  • 論点3-4 権利侵害情報に係る送信防止措置請求権の明文化
    • 送信防止措置請求権の明文化には複数の利点がある一方で、後述する検討項目等について慎重な検討を要するのではないか。
    • 送信防止措置請求権の明文化の利点とは、具体的には、
      • 被害者が送信防止措置を求めることが可能であると広く認知され、送信防止措置請求により救済される被害者が増える、
      • 特に海外のプラットフォーム事業者に対して、一定の場合に被害者に対して送信防止措置義務を負うことが明確化され、日本の法律上の判断と一致した判断と対応の促進が図られる、
      • 人格権以外でも、権利又は法律上保護される利益(例:営業上の利益を侵害する情報)の侵害が違法な侵害と評価される場合には送信防止措置を求めることが可能であることが明確化される、
        といった点があるのではないか。
    • 一方で、
      • 裁判例によれば、特定電気通信役務提供者が送信防止措置の作為義務を負う要件は、被侵害利益やサービス提供の態様などにより異なるため、送信防止措置請求権の要件は抽象的なものになると考えられるが、 このような抽象的な規定であっても、前述のような効果が得られるか、
      • 実務上、主に人格権侵害についてのみ差止請求が請求されていたところ、送信防止措置請求権の明文化により、人格権以外の権利又は法律上保護される利益の侵害も送信防止措置請求の対象となり得ることが明確になることによる影響について、どう考えるか、
      • 制度を悪用して、権利を濫用する者が現れるおそれについて、どう考えるか、
      • 請求を受けた特定電気通信役務提供者において、過度な削除が行われるおそれについて、どう考えるか、
      • 著作権法や不正競争防止法などの個別法における差止請求の規定との整合性について、どう考えるか、
        といった諸点について検討することが必要ではないか。
    • いわゆる「炎上事案」については、複数の発信者の行為が関連共同性を有して違法な侵害であると評価できるか否かなど解釈上の課題があることや、多数の相手方を相手取ることの困難さがあることなどから、法的な請求による対応より、プラットフォーム事業者によるポリシーに基づく対応やアーキテクチャ上の工夫などの柔軟な対応が求められるのではないか
  • 論点3-5 権利侵害性の有無の判断を伴わない削除(いわゆるノーティスアンドテイクダウン)
    • プラットフォーム事業者において権利侵害性の有無の判断に困難を伴うことが多いことを理由に、被害を受けたとする者からの申請が、外形的な判断基準を満たしているときは、いたずらや嫌がらせと判断できるものでない限り、可及的速やかに削除の処置を行うこととし、発信者に削除の対象になったことを通知し、発信者から異議の申立てなどを受け付けた場合には再表示する環境を整備すること(いわゆるノーティスアンドテイクダウン)は、次の理由から、現状の原則と例外を入れ替えるほどの強い事情は認められず、導入には極めて慎重な検討が必要ではないか。
      • プロバイダ責任制限法の規定上でも、プロバイダが発信者に対して、送信防止措置の実施の可否について意見照会を行っても一定期間返答がないという外形的な基準で、権利侵害性の有無の判断にかかわらず、送信防止措置を行うことが可能。
      • プラットフォーム事業者は、当該情報の違法性の有無の判断ではなく、自らが定める運用基準に基づいて、一定の裁量をもって判断することが可能であり、当該情報の送信防止措置の可否については、違法性の有無ではなく、自らの運用基準に照らした判断が可能。
    • 上述の議論は、申請主体となる被害を受けたとする者が観念できる、権利侵害情報についてのみ発生するのではないか。
    • なお、いわゆるノーティスアンドテイクダウンについては、過去の検討の場において、次のような課題が指摘されており、これらの事情は、現在においても変わらないと考えられることから、このような手続については、引き続き、導入には慎重な検討が必要ではないか。
      • 時宜にかなった表現(公職選挙の候補者に関する投稿等)が制限されてしまう。
      • DMCAにおける偽証の罰則付statementのような濫用防止の制度が日本にはなく、制度の濫用が懸念される。
      • 情報の再表示を求めるためには、発信者情報開示請求が認められないような場面においても、発信者が名乗り出る必要があり、現行制度と整合しない。
  • 論点3-5 権利侵害性の有無の判断支援(公正中立な立場からの要請)
    • 公平中立な立場からの削除要請等を行う機関や、プラットフォーム事業者が違法性の判断に悩む場合に判断を照会することができる機関を法的に位置づけることについては、次の理由から、慎重な検討が必要ではないか。
      • 法的拘束力や強制力を持つ要請にあたっては、削除要請発出の判断がより慎重に行われるため、裁判手続である仮処分命令申立事件の方が、公平かつ確実で、なおかつ迅速。
      • 憲法上保障される裁判を受ける権利との関係で、法的効果を持つ要請や判断の適否は、裁判所で争うことが最終的には可能であり、裁判所以外の判断には従わない事業者も存在することも踏まえれば、あえて裁判所とは異なる機関を設ける必要性に乏しい。
      • プラットフォーム事業者は、当該情報の違法性の有無の判断ではなく、自らが定める運用基準に基づいて、一定の裁量をもって判断することが可能であり、当該情報の可否については、違法性の有無ではなく、自らの運用基準に照らした判断が可能。
    • 一方で、プラットフォーム事業者が、法的な位置付けを伴わない自主的な取組として、通報に実績のある機関からの違法・有害情報の削除要請や通報を優先的に審査する手続等を設け、前述のような機関からの要請をこの手続の中で取り扱うことも考えられるのではないか。
    • また、そのような要請を行う機関とプラットフォーム事業者間の対話を促し、任意の要請への円滑な対処を図ることが重要ではないか
  • 論点3-5 権利侵害性の有無の判断の支援(ADR)
    • 裁判外紛争解決手続(ADR)については、次のような課題があることから、法的に位置付けることについては、極めて慎重な検討が必要ではないか。
      • 憲法上保障される裁判を受ける権利との関係で、その適否について裁判所で争うことが最終的には可能であり、裁判所以外の判断には従わない事業者も存在することも踏まえれば、あえて裁判所とは異なる機関やプロセスを設ける必要性は乏しい。
      • ADRの実施には経費を要するところ、その経費をどのステークホルダーに負担させるのか、ADRの実施機関が判断を誤った場合に誰が賠償を行うのか等、金銭面の問題がある。
      • ADRの手続を作り込むと、審理のスピードが遅くなり、結局裁判手続と同程度又はそれより長い時間を要してしまう。
    • 上述の議論は、申請主体として被害を受けたとする者が観念できる、権利侵害情報についてのみ発生するのではないか。
    • 一方で、上述の議論は、プラットフォームサービスに特化したADRを、プラットフォーム事業者が自らの費用と判断でかかる仕組みを構築すること妨げるものではないのではないか。
  • 論点4-1 相談対応の充実
    • インターネット上の違法・有害情報に関する相談対応の充実を図ることは、突然被害に遭い、何をすれば分からない被害者を支援する上で、極めて重要ではないか。
    • 特に、相談のたらい回しを防ぎ、速やかに迅速な相談を図る観点からは、違法・有害情報相談機関連絡会*(各種相談機関ないし削除要請機関が参加している連絡会)において、引き続き、関連する相談機関間の連携を深め、相談機関間の相互理解による適切な案内を可能にすることや知名度の向上を図ることが必要ではないか。
    • 相談機関に対する相談者からのニーズについて、適切に把握することが必要ではないか。例えば、電話相談のニーズについて、各相談機関のリソース面の負担を考慮しつつ、相談機関間での適切な案内によって解消することが必要ではないか。
    • 任意の削除要請を行っている相談機関については、より迅速な対応が可能な利用規約に照らした対応を促す観点から、そのような要請を行う相談機関と事業者間の対話を促し、任意の要請への円滑な対処を図ることが重要ではないか。
    • 上述の取組に限らず、被害を受けた相談者に対して、適切な相談の受付を迅速かつ適切に行うための取組について、相談機関間において、一層、検討を深めることが必要ではないか。
  • 論点4-2 DMによる被害への対応
    • プラットフォームサービスに付随するDM機能においても、誹謗中傷などの権利侵害など、多くの問題が発生しており、プラットフォーム事業者においても適切な対応が求められるのではないか。
    • 例えば、DMなどの機能については、プラットフォーム事業者の中には、受信する側のアカウントにおいて、受信する範囲を選択することができる機能(例:友達の友達以外の者からのDMは受け取らないように設定可能とする等)を設けるなどの工夫を講じている事業者もあり、引き続き、このような自主的な取組が、利用者にとって明確かつわかりやすく示されることが必要ではないか。
    • DMのような一対一の通信について、発信者情報開示請求を可能とすることについては、次の理由から、そのニーズ及び要件等について、慎重な評価・検討が必要ではないか。
      • プラットフォーム事業者が開示の要否の判断にあたって、当該一対一の通信の内容を確認しなければ被疑侵害投稿の存在の確認や開示の可否の判断をすることができないこと、
      • そのような個別の通信は、通信の秘密の保護が及ぶと考えられること、
      • 当該一対一の通信がend to endで暗号化されている場合には、プラットフォーム事業者自身にも判読不能であること、
      • 現行の発信者情報開示制度は、情報が拡散され被害が際限なく拡大するおそれがあることに着目した規定となっていること

~NEW~
総務省 「2030年頃を見据えた情報通信政策の在り方」二次答申(案)に関する意見募集
▼別添1 「2030年頃を見据えた情報通信政策の在り方」部会報告書(原案)
  • 我が国に求められる変化
    1. 新たな価値競争への対応とカーボンニュートラルの実現
      1. サイバー・フィジカルシステムの実現
        • 消費者のニーズが所有から利用へシフトする等の社会ニーズ変化や地球環境問題の深刻化は、あらゆる産業のビジネス環境に大きな変容を求めており、各産業、各企業においては、ユーザ価値、社会の価値をどう向上させるのかという視点から、DX、デジタル変革を軸とした新たな価値創造による収益戦略が必要となっている。
        • 第2章「2030年頃の来たる未来の姿」に挙げたサイバー・フィジカルシステムの実現等は、地域の産業のDXを支えるものであると同時に、これまでの情報通信産業の市場構造を大きく変え、我が国の情報通信産業にとっても新たなビジネスチャンスとなる可能性も高い。
        • 今後、各産業・地域でDXが進められていく中、デジタル技術のニーズはますます高まることから、デジタル分野の国際競争力強化が重要となってくる。
        • 現状、デジタル分野は、技術革新が急速に進む中、製品の高機能化は絶え間なく、他社に先んじて開発してもすぐに陳腐化し、製品の機能や性能面からの差別化も困難となってきている。こうした状況を踏まえ、情報通信産業においては、旧来型のビジネスモデル・市場構造を革新させるサイバー・フィジカルシステムを早期に実現させ、各産業等のデジタルによる産業構造の転換を促進する推進役となることが求められる。
        • なお、我が国は、2030年持続可能な開発目標(SDGs)や、2050年カーボンニュートラルの実現というグローバルな目標達成にむけ、全ての企業、業界が全力で取り組む必要がある。デジタル化自体は消費電力を大量に消費するが、サイバー・フィジカルシステムは、データに基づき、人やモノ等の流れの最適化を行い、エネルギーの効率的な利用、CO2削減、省エネを実現するとともに、新たな価値や課題解決策を生み出すものにもなる。このようなデジタル化によりもたらされるメリットは、電力を大量に消費することと比較するとあまりあるものとも指摘されている。
        • このため、サイバー・フィジカルシステムは、企業間、業界をまたいでシステム間をつなぐことを想定し、一システム一製品で動かすのではなく、一システムに複数の製品を使って束ねるような仕組みを前提に、アクチュエータまで含んだサイバー・フィジカルシステム全体の相互接続性を確保することが重要である。
        • 第1章で挙げた社会インフラの老朽化や人手不足、地球環境問題への対応等の課題は世界共通の課題でもあることから、グローバルな課題解決とともに市場獲得をも目指し、サイバー・フィジカルシステムの社会実装、海外展開の取組の加速が必要である。
        • デジタル変革のイノベーションを推進するに当たっては、スタートアップの力も欠かせない。このため、既存ビジネスの変革を目指すサイバー・フィジカルシステムの実現においては、イノベーションを生み出すスタートアップと、優れた技術や人材等のエコシステムをもちつつ、イノベーション実現へのスピード感をもった事業会社が連携した体制で推進することが有効と考えられる。
        • 第3章で述べたように、我が国では、スタートアップに対する事業会社や海外企業の投資、レイトステージの投資不足、M&Aが進まない等の指摘があるところ、令和4(2022)年11月、政府は2022年を「スタートアップ創出元年」と位置付け、日本国内のスタートアップを大幅に増やすための戦略とロードマップを示した「スタートアップ育成5か年計画」を発表した。ここでは、スタートアップへの投資額を2027年度に10兆円規模、スタートアップを10万社、ユニコーンを100社創出するという目標を掲げ、スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築、スタートアップのための資金供給の強化と出口戦略の多様化、オープンイノベーションの推進を柱に取り組むこととしている
      2. あらゆる企業のデジタル化への対応
        • デジタル化の進展により、大企業を頂点とした垂直構造から水平構造へ産業構造が変化しており、かつ企業間での情報共有や協業、グローバル化など、わが国のサプライチェーンを取り巻く環境は大きく変化している。
        • デジタル化の対応が遅れる地域の中小企業の多くは、高齢化・人手不足の問題に直面しており、地域の持続的成長、その先の再生に向けてサイバー・フィジカルシステムの実現による自動化等への対応が急務となっている。その際、地域のきめ細かいニーズに応えられる地域の情報通信産業がその推進役として積極的に取り組むことも求められる。
        • また、デジタル化は、生産性の向上だけでなく、サイバー攻撃への対応や環境対策、人権保護などの新たな価値観に基づく要請に応えていく土台でもあり、サプライチェーン全体で足並みを揃え、企業間を跨いで実現することが必要となっていることから、地域の中小企業を含む全ての企業において必須の対応である。
        • また、前項のサイバー・フィジカルシステムを進めるにあたっては、並行的にサイバーセキュリティの確保を図る必要があり、「サイバーセキュリティ戦略」(令和3年9月28日閣議決定)において掲げられた経営層の意識改革や中小企業におけるDX with Cybersecurityの着実な推進が重要である。
        • なお、DXは、従来のデジタル活用とは異なり、デジタルを活用して企業のビジネスモデルを変革し、新たな価値を創造することであることから、ビジネスとデジタル活用の両輪で進めなければならない。そのため、自社のDXを計画から実行まで企業内で業務として行う「内製化」の必要性について指摘されている。DXを実現する上で重視されているのがアプリケーション開発とシステム開発であり、まずは内製化の能力獲得を目指すべきである。そのためにはプログラミング言語などの専門知識を持つエンジニアが相当数必要であり、その人材確保には困難が伴う。このため、専門人材確保の代替手段として、できることに制約はあるものの、プログラミング言語などの専門知識がなくてもアプリケーション開発に参加できる「ノーコード(no-code)」や「ローコード(low-code)」と呼ばれている開発手法が急速な広がりをみせており、国内企業におけるノーコード ローコードのプラットフォームの導入に関する調査結果を見ると、37.7%の企業が「導入している」と回答がある。
        • 平成30(2018)年9月7日、経済産業省が発表したDXレポートは、このまま企業のデジタルトランスフォーメーション(=DX)が進まなければ、データを活用しきれずデジタル競争の敗者、システムの維持管理費が高額化、セキュリティ事故、災害によるシステムトラブルなどの問題が加速度的に生じる事態になり、2025年以降、日本は最大で年間12兆円の経済損失が発生する可能性がある旨警告している。なお、大企業においても、製造工程も含めて、あらゆる業務プロセスにおいてDXの余地がある。
      3. 行政機関のデジタル化への対応
        • 行政機関のデジタル化については、政府は、令和5年通常国会にデジタル規制改革推進の一括法案を提出し、デジタル技術の進展を踏まえ(1)目視、(2)定期検査・点検、(3)実地監査、(4)常駐・専任、(5)書面掲示、(6)対面講習、(7)往訪閲覧・縦覧の7項目の見直しを実施し、これまでのアナログ前提の行政手続にIT化の道を開いた。
        • 今後、様々な行政手続等でデジタル化が進むことにより、国民は、デジタルとアナログの両方を選択することができるようになる。ただし、全ての国民にデジタル化への対応を強制することができないことから、国や自治体の行政機関側においては、両方の手続に対応することが求められ、相応の負担が増えることが予想される。
        • 昨今、国家公務員志望者の減少や若年職員の離職者の増加が続き、行政を支える人材の確保が危機的な状況になってきている。人事院が行う総合職新規採用職員アンケートによれば、国家公務員の志望動機は「公共のために仕事ができる」が約7割で1位となる中、優秀な人材を確保するために必要な取組についての回答は、「職場全体の超過勤務や深夜勤務の縮減を図る」が80.7%という結果が出ている。自治体も含め、行政機関において適切な政策決定をしていくには、必要な人材リソースが十分得られているかが重要となってくる。国や自治体自らにおいても、AIなど先端技術を活用し、人が集まりやすい、働きやすい環境になるようDXを実現する必要がある。また、適切な判断やよりよいデジタルの活用を進めていくには、専門性を持った人材を柔軟に登用できる仕組みが必要である。
    2. グローバル展開を前提とする技術・サービス開発の加速
      • 国内市場の縮小が見込まれる中、「新規市場の開拓」や「販路拡大」のため、地域の企業を含め「グローバル」が重要なキーワードとなってきている。
      • 日本のユーザニーズにあわせてカスタマイズされた日本型システムは、操作教育やマニュアルが必須であり、結果的に操作が複雑となり、保守コストがかかり、グローバル展開のハードルがあがる。このため、日本で企画・開発したシステムでも「グローバルで動かすこと」、「業務をシステムに合わせること」に視点を変える必要がある。また、グローバル市場向けに企画・開発するにあたり、国内法規制により日本向けにカスタマイズしなければならない場合、この日本の法規制がデジタル化の進展の中で真に必要な規制であるかどうかについて不断の見直しが必要となる。
      • 他国の企業では、グローバルでシステムが動くこと、システムを簡単に使えること、運用が容易であることを重視しており、パッケージの基本部分はカスタマイズせず、いかにスタンダードな仕組みにするかを重視している。
      • また、我が国は全国的にインフラが整っており、海外企業からみたらビジネスを展開しやすいフィールドであるのに対し、日本企業がグローバル展開するにあたっては、言語以外にも商習慣・文化・法律が異なること、あるいはサプライチェーン全体でグローバルに求められる行動規範があるなど、国内とは異なった課題やリスクへの対応が必要となっており、経済価値と社会価値を同時に追求していくことが求められる。このようなことも含め、グローバル展開していく際には、国・地域ごとに信頼できるパートナー企業が不可欠であることや、基盤となる事業の上に新たなビジネス展開を検討するなど、事業化に向けた全体設計が重要であるという指摘がある。
      • また、IoTやAIは、オープンなシステム、モジュール化を実現するため、既存のビジネス構造、市場を作り変えている。国を超えたオープンな水平分業の流れにシフトする中、すべてを自社で賄う「自前重視」では市場変化のスピードに間に合わない。人口減少が進む中で、国内企業で固まるのではなく、ボーダーレスに海外企業との連携も含め、共存共栄の関係を構築していくことも必要であるといった指摘がある。
    3. 能動的な標準化・ルール形成への関与
      • 新しい製品・サービスを普及させるには同時にルールの普及が重要である。
      • ルールの普及は、新技術であれば、認知度向上や新技術の客観的な証明になったり、あるいは自社製品の性能が充足する旨を国や自治体の規制・調達基準に引用されることで市場を獲得できるという側面がある。
      • 現下の国際情勢に鑑みれば、自由でオープンな国際社会、自由貿易体制からの変化の兆しがあり、我が国も、できあがったルールに従うといった受け身でいるわけにはいかなくなっており、より能動的かつ主体的に、国も含め企業のビジネスの実利も伴うような形で積極的にルール作りに関与し、技術や製品が正当に評価されるための土壌を整えることが重要である。
      • 標準化は、同一規格の財・サービスを普及させることで相乗効果を生み出し、市場拡大等の長所があるが、他社の参入が容易になり競争性が高まるなどの短所もあるため、何をどのように標準化するのかについて戦略を検討する必要があると言われている(いわゆるオープン&クローズ戦略)。つまり、標準化には、技術的側面からインターオペラビリティの確保を目的とするもの、必須特許等の知財確保を目的とするもの、あるいは最低限求められる品質を確保するものといったように様々な観点があることから、何のために標準化に取り組むのか、標準化が目的化しないよう常に念頭におく必要がある。
      • 標準化、ルール形成は、単にビジネス上の競争環境を整えるためだけではない。グローバリゼーションにより各産業のサプライチェーンは一国内にとどまらず国境を越えて世界中に広がっている中、様々なIoT機器やシステム間でデータを連携させる上で必要となる。地域、業種・業態などの壁を越え、言語や文化に依存せず、システム同士のフォーマット、プロトコル等の統一(インタフェースの相互運用性(interoperability)の確保)が必要となる。
      • インタフェースが国際標準化されることで、当該国際標準を活用する製品やサービス同士は相互運用性が確保されるため、優れた商品やサービスへの組み換えが容易、ユーザは常に最適なものを選択可能となること、また、インタフェースが標準化されていることで、誰でもオープンに開発に参加できる「オープンイノベーション」が促進されることが期待される
    4. デジタル空間を利用する社会の連携強化
      • 偽情報・誤情報は、サイバー空間や一部の年代に閉じた問題ではなく、現実世界も含めた社会全体の問題である。現状において、偽情報・誤情報対策に特効薬はなく、また、「アテンション・エコノミー」に対する解決策も見いだせていない状況である。
      • 偽情報・誤情報や誹謗中傷は増加しており、これらは、2030年に向けて飛躍的増大する見込みとも言われている。このため、今からできることから取り組んでいくことが重要である。
      • 我が国でもネット上の意見が現実の政治を動かした事例なども出始めており、様々な情報が飛び交う場を提供するプラットフォーム事業者においては偽情報・誤情報や誹謗中傷に関する問題の改善に向けた努力が求められる。
      • 拡散した真偽不明の情報等について、事実に基づいているかどうかを調べ、真実性等の検証結果を発表するといったファクトチェックの活動がある。
      • また、情報に記載された事実が正確かどうかについて、AIの力を使って自動的にユーザが誤情報を見分けるといったアプリケーションも登場し始めている。国民が安心してデジタル空間を利用できるよう、技術的な新しい仕組みを社会が実装していくことが求められる。
      • なお、ファクトチェックには、他者から反論を受けるほど自分の意志や考えをより強くしてしまうといった「バックファイア効果」もあるが、ファクトチェックの記事配信後は、ファクトチェック結果を広める動きもある。
      • プラットフォーム事業者がプラットフォーム上に流通する情報について外部の中立的な機関によるファクトチェックを活用するといった取組など、ステークホルダー間の連携も重要である。
      • また、誰もが簡単に情報発信できるようになった一方、AI、ディープフェイク技術等の普及により、偽情報もますます高度化しており、また、ハッカーのような専門家でなく、一般人が社会の仕組みにダメージを与えるリスクが発生していることを加味する必要がある。
      • リテラシーが偽情報・誤情報の判断や拡散行動に大きく影響しているとも指摘されており、誰もが情報発信者になれる現代においては、国語や数学のように全ての人に欠かせないものとして、全世代に対するサイバー空間で活動する際のリテラシー教育が必要である。
      • 自由・責任・信頼があるインターネットの維持・推進のためには、各ステークホルダー間の連携、国際連携の強化が必要である。
      • 地政学的な緊張の中にあっても、インターネットは、引き続き、自由で分断のない、国境を越えてグローバルに流通可能な環境であり続けるよう努力すべきである。

~NEW~
国土交通省 国土交通省を名乗るフィッシングサイトに関する注意喚起
  • 国土交通省は4月25日、国土交通省を装ったフィッシングサイトを確認しました。不審なメール等を受信した場合には、各都道府県警察のフィッシング報告専用窓口に通報をお願いいたします。
  • 今般、国土交通省を装ったフィッシングサイトを確認しました。
  • 具体的には、スマートフォン等に
    • 「【国土交通省】重要なお知らせ、必ずお読みください。」
    • 「督促状で指定した期限までに未納の自動車税が納付されない場合、財産の差押えを行います。」
      などと記載したSMS(ショートメッセージサービス)が送信される事案が確認されています。
  • 当該SMSは、国土交通省をかたり、架空の「自動車税等お支払いサイト」といったサイトに誘導するものですが、自動車税の督促状や納付のお知らせ等を国土交通省から、お知らせすることはありません。
  • また、偽造されたシステム警告が表示され、偽のセキュリティアプリをダウンロードしてインストールを求められる場合がありますが、ダウンロードしないよう注意してください。
  • このような不審なSMSを受信した場合には、当該サイト等にアクセスをしたり、個人情報を入力したりせずに、各都道府県警察に設けている「フィッシング110番」から、フィッシング報告専用窓口に通報をお願いいたします。

~NEW~
国土交通省 ドローン情報基盤システムの一部機能において申請情報の閲覧が可能となっていた事象について
  • 航空局が運用するドローン情報基盤システムの一部機能において、システム上の不具合により、特定の操作状況において他者の申請情報が閲覧可能な状態となることが判明したため、直ちにシステム改修を行いました。同種事案の再発を重く受け止め、個人情報等の厳正かつ適正な管理を図り、適切なシステムの運用管理をより一層の徹底を図ってまいります。
    1. 概要
      • 昨日(5月2日)、ドローン情報基盤システム(以下「DIPS2.0」という。)の操縦者技能証明機能において、システム利用者より特定の操作を行うと他者の申請情報が閲覧可能な状態になる恐れがあるとの報告がありました。
      • これを受けて詳細な確認を行ったところ、操縦者技能証明に関する申請の一部について、特定の操作を行うと他者の申請情報(申請者の氏名、住所等)が閲覧可能となることが判明したため、直ちにシステムを停止し必要な改修を行いました。
    2. 対応状況
      • 本件はシステムの設計上の不具合によるものであり、昨日、当該不具合の確認後、直ちにDIPS2.0の運用を停止して必要な改修を行い、本日11時過ぎに運用を再開しました。
      • 本件不具合に伴い、最大で3件分の無人航空機操縦者技能証明に係る申請情報が他者に閲覧された可能性がありますが、現在のところ、本件に伴う個人情報の閲覧による情報の悪用等の報告はありません。
      • なお、本件は4月12日に発生した不具合事象と同一ではないものの派生するものであり、同種の不具合事象が発生し得るケースの精査が十分でなかったことに起因するものです。
    3. 今後の対応
      • 同種事案が再発したことを重く受け止めるとともに、個人情報等の厳正かつ適正な管理について、改めてシステム受注者への指導等をより一層徹底するとともに、発生理由を根本から精査の上、今後このような事態が決して生じないよう、万全を期してまいります。

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