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  • 令和5年の犯罪情勢(警察庁)/令和5年の特殊詐欺の認知・被害状況(警察庁)/食品ロス削減目標達成に向けた施策パッケージ(内閣府)/偽情報対策に係る取組集(総務省)

危機管理トピックス

令和5年の犯罪情勢(警察庁)/令和5年の特殊詐欺の認知・被害状況(警察庁)/食品ロス削減目標達成に向けた施策パッケージ(内閣府)/偽情報対策に係る取組集(総務省)

2024.02.13
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更新日:2024年2月13日 新着19記事

危機管理トピックス

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

警察庁
  • 令和5年の犯罪情勢
  • 犯罪統計資料(令和5年1~12月分【確定値】)
  • 令和5年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値版)
首相官邸
  • 外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議(第17回)
  • 共生社会と人権に関するシンポジウム 岸田総理ビデオメッセージ
消費者庁
  • 糖質カット炊飯器の販売事業者4社に対する景品表示法に基づく措置命令について
  • 新未来ビジョン・フォーラム 第7回情報交換会(2023年12月13日)
国民生活センター
  • 格安の排水管高圧洗浄サービスのはずが…思いがけない高額請求に
  • ご用心 災害に便乗した悪質商法 更新
厚生労働省
  • 2023年度第7回雇用政策研究会資料
  • 第9回 後発医薬品の安定供給等の実現に向けた 産業構造のあり方に関する検討会 資料
  • 「家事使用人の雇用ガイドライン」を策定しました
  • 第213回国会(令和6年常会)提出法律案
総務省
  • 西日本電信電話株式会社に対する行政指導
  • インターネット上の偽・誤情報対策に関する取組についての意見募集
  • 消費者保護ルールの在り方に関する検討会(第53回)

~NEW~
金融庁 第三者への資金移動が可能な暗号資産交換業者への不正送金対策の強化について
  • 現在、インターネットバンキングに係る不正送金事犯をはじめ、還付金詐欺や架空料金請求詐欺等をはじめとする特殊詐欺の被害金が、暗号資産交換業者あてに送金される事例が多発している情勢を踏まえ、2月6日、金融庁は下記の団体等に対して、警察庁と連名で、暗号資産交換業者あての送金利用状況などリスクに応じ、次の対策事例も参考にしつつ、利用者保護等のための更なる対策の強化を要請しました。
  • 暗号資産交換業者への不正な送金への対策事例
    • 振込名義変更による暗号資産交換業者への送金停止等
      • 暗号資産交換業者の金融機関口座に対し、送金元口座(法人口座を含む。)の口座名義人名と異なる依頼人名で行う送金については、振込・送金取引を拒否する。
      • この際、あらかじめ、ウェブページ等により利用者への周知を図る。
    • 暗号資産交換業者への不正な送金への監視強化
      • 暗号資産と法定通貨との換金ポイントとなる暗号資産交換業者との取引に係る取引モニタリングは、リスク低減措置の実効性を確保する有効な手法であることからパターン分析のためのルールやシナリオの有効性について検証・分析の上、抽出基準の改善を図るなど、暗号資産交換業者への不正な送金への監視を強化する。
  • 要請先
    • 一般社団法人全国銀行協会
    • 一般社団法人全国地方銀行協会
    • 一般社団法人第二地方銀行協会
    • 一般社団法人全国信用金庫協会
    • 一般社団法人全国信用組合中央協会
    • 一般社団法人全国労働金庫協会
    • 株式会社ゆうちょ銀行
    • 農林中央金庫
    • 株式会社商工組合中央金庫
  • 警察庁ウェブサイト
    https://www.npa.go.jp/bureau/cyber/koho/news/20240206.html

~NEW~
内閣府 第423回 消費者委員会本会議
▼ 【資料1】 食品ロス削減目標達成に向けた施策パッケージ(概要)
  • 2030年度までに2000年度比で食品ロス量を半減させる政府目標達成に向け、今回の施策パッケージに盛り込まれた施策を中心に、関係府省庁が地方公共団体や関係民間団体とも連携しながら来年度中に着実に実行し、来年度末に予定している「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」(2020年3月31日閣議決定)の見直しに反映させる。
  • 食品ロス量 ※コロナ禍影響年を除く直近5か年(平成27年~令和元年度)平均614万トン(家庭系:280万トン 事業系334万トン)
    • 2021年度:523万トン ※家庭系:244万トン 事業系:279万トン
    • 目標値:489万トン ※家庭系:216万トン 事業系:273万トン
  • 施策パッケージの主な内容とその後の施策の展開方向
    1. 未利用食品等の提供(食品寄附)の促進
      • 食品の期限表示の在り方
        • 期限表示の設定根拠や安全係数の設定等の実態調査、検討会を通じた「食品期限表示の設定のためのガイドライン」の見直し、その際「まだ食べることのできる食品」の取扱いについて具体的に検討[消]
        • 新たな期限表示ガイドラインを踏まえた施策の展開
      • 食品の提供に伴って生ずる法的責任の在り方を含めた食品提供を促進するための措置の具体化
        • 一定の管理責任を果たすことができる食品寄附関係者(寄附者、フードバンク等)を特定するためのガイドライン(食品寄附ガイドライン)の官民による作成(関連モデル事業の実施)[消、農、環、厚、こ、法]
        • 食品寄附関係者が加入しやすい保険の仕組みに関する官民協力の下での検討[消]
        • 食品関連事業者に対する税制上の取扱いや優良事例の周知・発信[農、消]
        • 一連の施策実行後、一定の管理責任を果たせる食品寄附関係者による食品寄附活動の促進による食品寄附への社会的信頼の向上し、その上で、食品寄附実態把握、社会福祉や食品アクセスの確保の観点からの食品寄附促進の必要性、社会全体のコンセンサス醸成等を踏まえ、食品寄附に伴って生ずる民事責任の在り方について最終受益者の被害救済にも配慮して法的措置を講じる
      • フードバンク団体等を介した食品提供円滑化の強化支援
        • 先進的なフードバンクへの輸配送等支援[農]、地方自治体や食品事業者、フードバンク、福祉に関する関係者等が連携して、買物困難者や経済的に困窮している者への食料提供を円滑にする地域の体制づくり支援[農,こ,厚]、食品の無償提供に関わる多様な主体のデータ連携に関するモデル事業の実施[消]、重層的支援体制整備事業等を活用したフードバンク団体等・地方自治体等の連携促進[厚]、食事の提供等を行うこども食堂の支援[こ]
        • 寄附食品の管理・流通体制の高度化、地域現場のニーズとの連携の取組の推進
    2. 外食
      • 食べ残しの持ち帰り促進
        • 消費者の自己責任を前提としつつ協力する飲食店等が民事・食品衛生上留意すべき事項を規定するガイドライン(食べ残し持ち帰りガイドライン)の策定(関連モデル事業の実施)[消、農、環、厚、法]
        • 食べ残し持ち帰りガイドラインを踏まえた食べ残し持ち帰りの意識変化の推進
    3. 食品廃棄物の排出削減の促進(事業系)
      • 企業の排出抑制の具体的取組の公表
      • 1/3ルール等商慣習見直し促進
      • 食品のリユース促進
        • 食品業界・消費者・行政が構成員となる「食品廃棄物等の発生抑制に向けた取組の情報連絡会」の設置、商慣習(納品期限、賞味期限の安全係数・大括り表示等)の見直し等に係る取組の促進[農]
        • 事業系食品ロス削減対策の更なる強化
    4. 食品廃棄物の排出削減の促進(家庭系)
      • 食品ロス状況把握と削減策促進
        • 家庭系食品ロス発生要因の分析、家庭系食品ロスの効果的削減策に関する手引きの作成[環]
      • 国民運動「デコ活」によるライフスタイルの変革促進
        • デコ活の推進、新しい豊かな暮らし製品・サービス実装支援、デコ活アクション呼び掛け[環]
        • 家庭系食品ロス削減対策の更なる強化
        • ライフスタイルの変革促進
      • 期限表示の正しい理解の促進
        • 賞味期限の愛称(「おいしいめやす」)の周知[消]
        • 期限表示の理解促進
    5. 食品廃棄物の排出削減の促進(その他)
      • 経済損失と環境負荷試算
        • 算出法確立 食品ロス量と併せて経済損失と温室効果ガス排出量の試算値を公表[消,農,環]
        • 期限表示の理解促進
      • 地域主体モデル事業取組強化
        • サーキュラーエコノミー地域循環モデル構築[経]、食品廃棄ゼロエリア創出[環]
        • サーキュラーエコノミー加速化、食品廃棄ゼロエリア創出
      • 学校,保育所,認定こども園,幼稚園への栄養教諭・栄養士等の配置拡大
        • 栄養教諭を中核とした指導の充実[文]、栄養教諭に係る定数改善と計画的な採用等の働きかけ[文]、保育所・認定こども園・幼稚園への栄養士・栄養教諭の配置支援[こ,文]
      • 国主催イベント等での削減取組
        • 2025大阪・関西万博啓発手法検討、資材開発[消]
        • 2025大阪・関西万博、園芸博会場での啓発
      • ICT等の活用
        • ICTを活用した売れ残り等の課題解決[農]、サプライチェーン効率化のための調査・実証・啓発[経]
  • フードバンク団体等を介した食品提供円滑化の強化支援
    1. 地方消費者行政強化交付金(消費者庁)
      • 地方公共団体が実施する食品ロス削減推進の取組として、フードバンクやフードドライブ活動等を支援する。
        • ※事業実施主体:都道府県・市町村
        • ※想定支援個所数:10自治体程度(フードバンク等支援関係)
    2. 食品アクセス緊急対策事業(農林水産省)
      • 円滑な食品アクセスを確保するため、地域の関係者(都道府県、市町村、社会福祉協議会、生産者、食品事業者、NPO、フードバンク・こども食堂・こども宅食等)が連携して組織する協議会の設置や地域における食品アクセスの現状・課題の調査、課題解決に向けた計画の策定・実行といったモデル的な取組を支援する。
        • ※事業実施主体:団体(都道府県、市町村、農業協同組合、消費生活協同組合、社会福祉協議会等)
        • ※想定支援個所数:10地域
    3. 共通API等を用いた地域単位での食品寄附データ統合モデル事業(消費者庁)
      • 企業や自治体、フードバンク、こども食堂などが有している食品寄附に係るデータについて、モデル地域において、APIを通じたデータ連携・マッチングを行い、データ連携によって食品寄附を促進するモデルケースを構築する。
        • ※事業実施主体:民間団体
        • ※想定支援個所数:1~2地域
    4. 食品ロス削減緊急対策事業 食品ロス削減総合対策事業(農林水産省)
      • 食品衛生管理水準の向上や効率的な配送システムの構築等フードバンク活動の強化に向け専門家派遣等のサポートを実施する。70団体
      • 大規模かつ先進的な取組を行うフードバンク等に対して、輸配送費、倉庫・車両等の賃借料、情報交換会の開催費等、先進的取組に必要な経費を支援する。31団体
        • ※事業実施主体:民間団体
    5. 税制上の取扱いの周知(農林水産省、消費者庁)
      • 食品寄附を行う場合の輸送費等のコストを損金算入できる税制上の取扱いを食品関連事業者等に周知する。
    6. 地域こどもの生活支援強化事業(こども家庭庁)
      • 多様かつ複合的な困難を抱えるこどもたちに対し、安心安全で気軽に立ち寄ることができる食事等の提供場所を設ける。
        • ※事業実施主体:都道府県・市町村
        • ※想定支援個所数:184自治体程度(地域子供の未来応援交付金、令和4年度実績)
    7. ひとり親家庭等のこどもの食事等支援事業(こども家庭庁)
      • 困窮するひとり親家庭を始めとする要支援世帯のこども等を対象とした、こども食堂、こども宅食、フードパントリー等を実施する事業者を対象として広域的に運営支援、物資支援等を行う民間団体の取組を支援し、こどもの貧困や孤独・孤立への支援を行う。
        • ※事業実施主体:民間団体
        • ※想定支援個所数:7団体程度
    8. 重層的支援体制整備事業(厚生労働省)
      • 地域住民が抱える様々な地域生活課題の解決に向けて、フードバンク団体等と、地方自治体(子ども・高齢者・障害者・困窮者支援の関係機関)や他の支援団体等との連携・協働を促進する。
        • ※事業実施主体:市町村(フードバンク団体やこども食堂等を含む様々な支援団体と連携)
        • ※想定支援個所数:重層事業実施自治体数(※令和5年度189)

~NEW~
国土交通省 国土交通本省災害査定官を石川県へ派遣し、今後の本格的な復旧に向けた技術的な助言を行います。~令和6年能登半島地震関連の災害緊急調査を実施~
  • 令和6年1月1日に発生した能登半島地震により被災した公共土木施設について、石川県からの要請を踏まえ、応急措置や今後の本格的な復旧に向けた復旧方針等に対する技術的な助言を行うため、国土交通本省災害査定官を石川県に派遣して災害緊急調査を実施します。今回は、1月12日に次いで2回目の調査となります。※災害緊急調査とは、広域にわたる災害や人的被害が発生している等の特別な災害において、地方自治体からの要請を踏まえ、本省から派遣された災害査定官が、現地の被害状況を迅速かつ的確に把握するとともに、被災した公共土木施設に対する応急措置及び復旧方針樹立の助言を行うものです。
  • 災害緊急調査
    • 派遣日程:令和6年2月13日(火)~15日(木)
    • 派遣先:石川県内の河川・道路等(調整中)
    • 派遣者:国土交通省水管理・国土保全局 防災課 総括災害査定官/災害査定官
    • 取材:
      • 報道関係者に限り現地の取材は可能です。(取材は下記問い合わせ先の石川県担当者にお問い合わせください)
      • 現地日程は、当日の天候状況等により、変更する可能性があります。
      • 現地での取材に当たっては安全に留意し、調査の支障にならないよう現地担当者の指示に従ってください。

~NEW~
警察庁 令和5年の犯罪情勢
  • 刑法犯
    • 刑法犯認知件数の総数については、平成15年から令和3年まで一貫して減少してきたところ、令和5年は70万3,351件4と、戦後最少となった令和3年から2年連続して増加し(前年比17.0%増加)、令和元年の水準に近づいており(令和元年比6.0%減少)、今後の動向について注視すべき状況にある
    • また、人口千人当たりの刑法犯の認知件数についても5.6件と、刑法犯認知件数の総数と同様に、戦後最少となった令和3年から2年連続で増加となり、令和元年の水準に近づいている
    • 認知件数の内訳を見ると、総数に占める割合が大きい街頭犯罪が、24万3,987件(前年比21.0%増加)と、伸び率が大きく、令和元年の水準に近づいている(令和元年比10.6%減少)。その中でも、自転車盗、傷害及び暴行については、新型コロナウイルス感染症の感染状況の変化等による人流の増加が一定程度影響したとみられる。また、侵入犯罪7の認知件数は5万5,269件となり、前年比で19.1%増加、令和元年比で22.3%減少となった。
    • 重要犯罪の認知件数について、令和5年は1万2,372件と、前年比で29.8%増加し、令和元年比でも25.0%増加となった。その内訳を見ると、不同意性交等及び不同意わいせつ並びに略取誘拐・人身売買がいずれも前年比及び令和元年比で増加となった。その背景には情勢の変化等、様々な要素があると考えられ、単純な経年比較はできないものの、不同意性交等及び不同意わいせつについては、刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律(令和5年法律第66号。以下「改正刑法」という。)により、構成要件の一部が変更されたことや、政府として性犯罪の被害申告・相談をしやすい環境の整備を強力に推進してきたこともあいまって、認知件数が増加したものと推認される。略取誘拐・人身売買については、通話・通信アプリを利用した手口による被害の増加が、前年からの認知件数増加の一因となっている。また、殺人及び強盗についても、前年比で増加となった。加えて、SNSで実行犯を募集する手口が特殊詐欺のみならず強盗等まで拡大しているほか、岸田首相に対する爆発物使用襲撃事件及び長野県中野市において、猟銃等を用いて警察官2人を含む4人を殺害する事案も発生している。
    • 財産犯の被害額の推移については、約2,519億円と前年比で56.7%増加している。その内訳を見ると、詐欺による被害額が約1,626億円と増加している(前年比85.4%増加)。また、詐欺による被害の増加については、インターネットを利用した詐欺の増加等が寄与している状況が認められた。
    • 刑法犯の検挙状況については、検挙件数は26万9,550件、検挙人員は18万3,269人と、共に前年(25万350件、16万9,409人)を上回った(それぞれ前年比で7.7%、8.2%増加)。少年の検挙人員は1万8,949人で、検挙人員全体の10.3%となった。一方で、刑法犯の検挙率は38.3%、重要犯罪の検挙率は81.8%、重要窃盗犯の検挙率は51.4%と、いずれも2年連続減少した(それぞれ前年比3.3ポイント、5.8ポイント、6.8ポイント減少)
  • サイバー事案
    • 近年、サイバー空間は、地域や年齢、性別を問わず、全国民が参加し、重要な社会経済活動が営まれる公共空間へと変貌を遂げた一方で、国内外で様々なサイバー事案が発生するなど、サイバー空間における脅威は極めて深刻な情勢が続いている。インターネットバンキングに係る不正送金事犯については、令和5年は発生件数が5,528件、被害総額は約86億円と急増し、いずれも過去最多となった(それぞれ前年比で386.6%、465.7%増加)。被害の大部分は個人であり、そのうち40代から60代の被害者が60.0%を占めている。インターネットバンキングに係る不正送金事犯の手口は様々であり、また、情勢や対策等に合わせて手口が変化することがあるが、令和5年においては、その被害の多くがフィッシングによるものとみられており、金融機関を装ったフィッシングサイト(偽のログインサイト)へ誘導する電子メール等が多数確認されている。
    • ランサムウェアと呼ばれる不正プログラムによる被害は全世界で深刻化しており、国内においては、令和5年中に警察庁に報告された企業・団体等におけるランサムウェアによる被害件数が197件と、前年比で14.3%減少したものの、依然として高い水準で推移している。加えて、データを暗号化する(ランサムウェアを用いる)ことなくデータを窃取し対価を要求する手口(「ノーウェアランサム」)が新たに30件確認されるなど、手口が巧妙化・多様化している実態がある。さらに、サイバー攻撃については、DDoS攻撃による被害とみられるウェブサイトの閲覧障害が複数発生し、一部の事案に関しSNS上でハクティビストや親ロシア派ハッカー集団からの犯行をほのめかす投稿が確認された。また、中国を背景とするサイバー攻撃グループ「BlackTech」(ブラックテック)による情報窃取を目的としたサイバー攻撃も確認された
    • 令和5年中に警察庁が検知したサイバー空間における探索行為等とみられるアクセスの件数は、1日・1IPアドレス当たり9,144.6件と過去最多(前年比18.6%増加)に上っており、その多くがIoT機器に対するサイバー攻撃やぜい弱性を有するIoT機器の探索行為であるとみられる
    • サイバー事案の検挙件数については、令和5年中は2,851件を検挙しており、その内訳を見ると電子計算機使用詐欺及び不正アクセス禁止法違反で全体の51.6%を占めている。また、令和5年における不正アクセス禁止法違反及びコンピュータ・電磁的記録対象犯罪の検挙件数は、それぞれ521件、997件であった(それぞれ前年比0.2%減少、5.2%増加)このほか、SNSに起因する事犯17の被害児童18数は1,663人(前年比4.0%減少)と、令和2年以降減少傾向にあるものの、依然として高い水準で推移している
  • 特殊詐欺
    • 特殊詐欺については、事件の背後にいる暴力団や準暴力団を含む匿名・流動型犯罪グループが、資金の供給、実行犯の周旋、犯行ツールの提供等を行い、犯行の分業化と匿名化を図った上で、組織的に敢行している実態にあり、令和5年の認知件数は1万9,033件、被害総額は約441.2億円と昨年に続き増加となり、深刻な情勢が続いている(それぞれ前年比で8.3%、19.0%増加)
    • 認知件数を犯行手口別に見ると、令和3年に急増した還付金詐欺の占める割合が減少した一方で、架空料金請求詐欺の占める割合が27.0%と大きく増加している。この架空料金請求詐欺について、被害者を欺罔する手段として犯行の最初に用いられたツールは、ポップアップ表示の割合が43.8%となっており、性別・年代を問わず被害が発生している。一方で、架空料金請求詐欺以外の特殊詐欺については、被害者は高齢女性が多くを占め、被害の大半は犯人からの電話を受けることに端を発している。
    • 令和5年における特殊詐欺の検挙件数は7,219件(前年比8.7%増加)、検挙人員は2,499人(前年比1.7%増加)と、いずれも前年を上回った。
    • こうした特殊詐欺事件の背後においては、SNSで特殊詐欺の実行犯を募集する者や、犯罪グループや特殊詐欺の実行犯に対して、預貯金口座や携帯電話を不正に譲渡する者、電話転送サービス等の提供を行ったり、電子マネー利用番号等の転売、買取等を行ったりしている悪質な事業者の存在が依然として認められる。
  • 人身安全関連事案
    • 人身安全関連事案のうち、ストーカー事案の相談等件数は1万9,843件(前年比3.7%増加)と、依然として高い水準で推移している。また、ストーカー事案の検挙件数については、ストーカー規制法違反検挙、刑法犯等検挙はそれぞれ1,081件、1,708件であり(それぞれ前年比5.2%、3.5%増加)、依然として高い水準で推移している。また、配偶者からの暴力事案等の相談等件数は増加傾向にあり、令和5年は8万8,619件と、前年比で4.9%増加し、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)の施行以降で最多となった。配偶者からの暴力事案等の検挙件数については8,636件(前年比1.2%増加)と、依然として高い水準で推移している
    • 児童虐待については、児童虐待又はその疑いがあるとして警察から児童相談所に通告した児童数は年々増加しており、令和5年は12万2,806人と、前年比で6.1%増加し、過去最多となった。その態様別では、心理的虐待が9万761人と全体の73.9%を占めている。また、児童虐待事件の検挙件数については、2,385件と、前年比9.4%増加し、過去最多となっており、その態様別では、身体的虐待が1,903件と全体の79.8%を占めている
    • これらを踏まえると、人身安全関連事案については、引き続き注視すべき情勢にある。
  • 体感治安
    • 前項までに述べたような指標からは捉えられない国民の治安に関する認識を把握するため、令和5年10月、警察庁において「治安に関するアンケート調査」を実施したところ、日本の治安について「よいと思う」旨回答した方は、全体の64.7%を占めた。その一方で、ここ10年間での日本の治安に関し、「悪くなったと思う」旨回答した方は全体の71.9%を占めた。
  • 犯罪情勢の総括
    • 戦後最少となった令和3年以降、刑法犯認知件数が2年連続で前年比増加となり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前の令和元年の水準に近づきつつある。また、重要犯罪罪の認知件数が既に令和元年を上回る数値となったほか、令和5年中には、国民に不安を与えるような事件等も発生した。加えて、インターネットを利用した詐欺の増加等を背景として、財産犯の被害額が増加するなど、今後の動向について注視すべき状況にある。
    • サイバー事案については、インターネットバンキングに係る不正送金事犯の被害が過去最多となったほか、国家を背景に持つ集団によるサイバー攻撃も確認されているなど、極めて深刻な情勢が続いている。
    • 特殊詐欺については、認知件数が3年連続、被害額が2年連続で増加したほか、全年代を対象とした架空料金請求詐欺の手口での被害が昨年比で大幅に増加するなど、深刻な情勢が続いている。
    • 人身安全関連事案については、ストーカー事案の相談等件数及び配偶者からの暴力事案等の相談等件数がいずれも前年より増加したほか、児童虐待又はその疑いがあるとして警察から児童相談所に通告した児童数が過去最多に上るなど、注視すべき状況にある。
    • また、前述のように複数の指標において、サイバー空間における技術・サービスをいわば犯罪のインフラとして悪用した事案の増加が認められた。
    • 以上を踏まえれば、我が国の犯罪情勢は、厳しい状況にあると認められる。
  • 今後の取組
    • 国民の安全・安心を確保するため、警察としては、我が国の社会情勢等が大きく変化している中、警戒の空白が生じることを防ぎ、直面する様々な課題に的確に対処するため、総合的な対策を、これまで以上に強力に推進する。特に、匿名・流動型犯罪グループに対し、部門や都道府県警察の垣根を超えて、戦略的な取締りを更に強化する。
    • 街頭犯罪をはじめとする国民に不安を与える身近な犯罪の抑止に向け、それぞれの地域における治安情勢等に応じ、地域社会や関係機関・団体等との連携の下、各種取組を推進するとともに、性犯罪に関しては、令和5年6月に公布された改正刑法及び性的姿態撮影等処罰法の内容、趣旨等を踏まえ、被害申告・相談しやすい環境の整備や、被害者の心情に配意した適切な捜査をより一層推進する。また、SNSで実行犯を募集する手口等による強盗等については、犯罪グループの実態解明に向けた捜査を含む効果的な取締りを推進するとともに、AIシステムを活用したサイバーパトロールを行うなど、インターネット上の違法・有害情報の排除に向けた取組等を推進する。
    • サイバー事案については、国家を背景に持つサイバー攻撃や被害が高水準で推移するランサムウェア事案等の脅威に対して、関東管区警察局サイバー特別捜査隊と都道府県警察とが一体となった捜査、実態解明等に取り組み、外国捜査機関等と連携した対処等を推進するとともに、脅威の深刻化に対応するための捜査・解析能力の高度化や事業者等と連携した被害防止対策を強力に推進する。特に、過去最多の被害を記録したインターネットバンキングに係る不正送金事犯については、最先端技術等の活用等によるフィッシング対策の高度化・効率化等、キャッシュレス社会の安全・安心の確保に向けた各種取組を推進する。
    • 特殊詐欺については、関係事業者等と連携し、高齢者宅の固定電話へのナンバー・ディスプレイ、ナンバー・リクエストや留守番電話設定の普及、国際電話番号を悪用した詐欺の増加に伴う国際通話ブロックの推進等、犯人からの電話を直接受けないための対策のほか、令和5年に急増した架空料金請求詐欺について高額の電子マネーを購入しようとする客への声掛け等、被害防止対策を強力に推進する。また、令和6年度から、発生地警察から依頼を受けた首都圏等の警察が自らの管轄区域内の捜査を責任を持って行う「特殊詐欺連合捜査班(TAIT)」を各都道府県警察に構築することにより広域的な捜査連携を強化する。さらに、電話転送サービスに係る悪質な電気通信事業者等、犯行ツールに係る悪質な事業者について、情報収集を強化し、あらゆる法令を駆使してその取締りを推進する。
    • 人身安全関連事案については、被害が潜在化しやすく、事態が急展開するおそれが大きいという特徴を踏まえ、関係機関と緊密に連携しつつ、被害者等の安全の確保を最優先に、関係法令を駆使した加害者の検挙等による加害行為の防止や被害者等の保護措置等の取組を推進する。
    • これらの取組を実効的に推進する上でも、所属・部門を超えたリソースの重点化や能率的でメリハリのある組織運営を一層図り、警察機能を最大限に発揮し、国民の期待と信頼に応えていく。

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警察庁 犯罪統計資料(令和5年1~12月分【確定値】)
  • 令和5年1~12月における刑法犯総数について、認知件数は703,351件(前年同期601,331件、前年同期比+17.0%)、検挙件数は269,550件(250,350件、+7.7%)、検挙率は38.3%(41.6%、▲3.3P)
  • 凶悪犯の認知件数は5,750件(4,437件、+29.6%)、検挙件数は4,832件(3,922件、+23.2%)、検挙率は84.0%(88.4%、▲4.4%)、粗暴犯の認知件数は58,474件(52,701件、+11.0%)、検挙件数は47,736件(43,499件、+9.7%)、検挙率は81.6%(82.5%、▲0.9P)、窃盗犯の認知件数は483,695件(407,911件、+18.6%)、検挙件数は157,115件(148,122件、+6.1%)、検挙率は32.5%(36.3%、▲3.8P)、知能犯の認知件数は50,035件(41,308件、+21.1%)、検挙件数は19,559件(18,809件、+4.0%)、検挙率は39.1%(45.5%、▲6.4P)
  • 詐欺の認知件数は46,011件(37,928件、+21.3%)、検挙件数は16,667件(16,084件、+4.0%)、検挙率は36.2%(42.4%、▲6.2%)
  • 万引きの認知件数は93,168件(83,598件、+11.4%)、検挙件数は62,675件(58,283件、+7.5%)、検挙率は67.3%(69.7%、▲2.4%)
  • 特別法犯総数について、検挙件数は70,046件(67,477件、+3.8%)、検挙人員は57,016人(55,639人、+2.5%)
  • 入管法違反の検挙件数は6,029件(4,201件、+43.5%)、検挙人員は4,228人(3,129人、+35.1%)、軽犯罪法違反の検挙件数は7,665件(7,888件、▲2.8%)、検挙人員は7,605人(7,820人、▲2.7%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は9,771件(9,800件、▲0.3%)、検挙人員は7,355人(7,526人、▲2.3%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は3,424件(3,066件、+11.7%)、検挙人員は2,658人(2,554人、+4.1%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は521件(522件、▲0.2%)、検挙人員は156人(164人、▲4.9%)、不正競争防止法違反の検挙件数は53件(70件、▲24.3%)、検挙人員は63人(82人、▲23.2%)、銃刀法違反の検挙件数は5,064件(5,164件、▲1.9%)、検挙人員は4,283人(4,552人、▲5.9%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は1,547件(1,063件、+45.5%)、検挙人員は894人(647人、+38.2%)、大麻取締法違反の検挙件数は7,708件(6,493件、+18.7%)、検挙人員は6,243人(5,184人、+20.4%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は8,160件(8,532件、▲4.4%)、検挙人員は5,727人(5,944人、▲3.7%)
  • 来日外国人による 重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数は742人(584人、+27.1%)、ベトナムは239人(183人、+30.6%)、中国は97人(94人、+3.2%)、ブラジルは49人(40人、+22.5%)、フィリピン29人(21人、+38.1%)、スリランカは27人(40人、▲32.5%)、韓国・朝鮮は25人(22人、13.6%)、インドは21人(14人、+50.0%)、パキスタンは16人(19人、▲15.8%)、バングラデシュは15人(7人、+114.3%)
  • 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は9,909件(11,306件、▲12.4%)、検挙人員総数は6,068人(6,155人、▲1.4%)、暴行の検挙件数は571件(616件、▲7.3%)、検挙人員は527人(602人、▲12.5%)、傷害の検挙件数は1,003件(1,012件、▲0.9%)、検挙人員は1,186人(1,142人、+3.9%)、脅迫の検挙件数は309件(364件、▲0.9%)、検挙人員は289人(370人、▲21.9%)、恐喝の検挙件数は352件(352件、±0%)、検挙人員は460人(453人、+1.5%)、詐欺の認知件数は1,600件(1,986件、▲19.4%)、検挙人員は1,332人(1,424人、▲6.5%)、賭博の検挙件数は45件(49件、▲8.2%)、検挙人員は152人(153人、▲0.7%)
  • 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は5,024件(5,528件、▲9.1%)、検挙人員は21人(27人、▲5.5%)、入管法違反の検挙件数は25件(20件、+25.0%)、検挙人員は21人(27人、▲22.2%)、軽犯罪法違反の検挙件数は71件(75件、▲5.3%)、検挙人員は55人(68人、▲19.1%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は67件(90件、▲25.6%)、検挙人員は65人(80人、▲18.8%)、暴力団員不動行為防止法違反の検挙件数は7件(3件、+133.3%)、検挙人員は5人(3人、+66.7%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は19件(19件、±0%)、検挙人員は34人(42人、▲19.0%)、銃刀法違反の検挙件数は104件(114件、▲8.8%)、検挙人員は80人(79人、+1.3%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は236人(189人、+24.9%)、検挙人員は102人(78人、+30.8%)、大麻取締法違反の検挙件数は1,065件(1,042件、+2.2%)、検挙人員は705人(619人、+13.9%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は2,769件(3,224件、▲14.1%)、検挙人員は1,912人(2,141人、▲10.7%)、麻薬等特例法違反の検挙件数は115件(151件、▲23.8%)、検挙人員は59人(77人、▲23.4%)

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警察庁 令和5年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値版)
  • 認知状況全般
    • 令和5年の特殊詐欺の認知件数(以下「総認知件数」という。)は19,033件(+1,463件、+8.3%)、被害額は441.2億円(+70.4億円、+19.0%)と、前年に比べて総認知件数及び被害額は共に増加。
    • 被害は大都市圏に集中しており、東京の認知件数は2,920件(▲298件)、大阪2,649件(+585件)、神奈川2,024件(▲66件)、愛知1,357件(+377件)、埼玉1,338件(▲49件)、千葉1,310件(▲147件)及び兵庫1,213件(+139件)で、総
    • 認知件数に占めるこれら7都府県の合計認知件数の割合は67.3%(▲2.5ポイント)。
    • 1日当たりの被害額は1億2,089万円(+1,929万円)。
    • 既遂1件当たりの被害額は237.9万円(+19.3万円、+8.8%)。
  • 主な手口別の認知状況
    • オレオレ詐欺、預貯金詐欺及びキャッシュカード詐欺盗(以下3類型を合わせて「対面型特殊詐欺」と総称する。)の認知件数は8,896件(▲828件、▲8.5%)、被害額は191.7億円(▲13.4億円、▲6.5%)で、総認知件数に占める割合は46.7%(▲8.6ポイント)。
    • オレオレ詐欺は、認知件数3,946件(▲341件、▲8.0%)、被害額130.4億円(+1.1億円、+0.8%)と、認知件数は減少するも、被害額は増加し、総認知件数に占める割合は20.7%(▲3.7ポイント)。
    • 預貯金詐欺は、認知件数2,734件(+371件、+15.7%)、被害額34.3億円(+5.4億円、+18.7%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は14.4%(+0.9ポイント)。
    • キャッシュカード詐欺盗は、認知件数2,216件(▲858件、▲27.9%)、被害額27.0億円(▲19.8億円、▲42.3%)と、いずれも減少し、総認知件数に占める割合は11.6%(▲5.9ポイント)。
    • 架空料金請求詐欺は、認知件数5,136件(+2,214件、+75.8%)、被害額138.1億円(+36.3億円、+35.7%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は27.0%(+10.4ポイント)。
    • 還付金詐欺は、認知件数4,184件(▲495件、▲10.6%)、被害額51.3億円(▲2.4億円、▲4.5%)と、いずれも減少し、総認知件数に占める割合は22.0%(▲4.6ポイント)。
  • 主な被害金交付形態別の認知状況
    • 現金手交型の認知件数は3,458件(▲523件、▲13.1%)、被害額101.0億円(▲29.1億円、▲22.3%)と、いずれも減少し、総認知件数に占める割合は18.2%(▲4.5ポイント)。
    • キャッシュカード手交型の認知件数は2,999件(+328件、+12.3%)、被害額は42.2億円(+2.4億円、+6.0%)と、いずれも増加。一方、キャッシュカード窃取型の認知件数は2,216件(▲858件、▲27.9%)、被害額は27.0億円(▲19.8億円、▲42.3%)と、いずれも減少。両交付形態を合わせた認知件数の総認知件数に占める割合は27.4%(▲5.3ポイント)。
    • 振込型の認知件数は6,495件(+437件、+7.2%)、被害額は194.0億円(+88.8億円、+84.3%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は34.1%(-0.4ポイント)。
    • 現金送付型の認知件数は436件(+117件、+36.7%)、被害額は48.2億円(+9.7億円、+25.0%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は2.3%(+0.5ポイント)。
    • 電子マネー型の認知件数は3,343件(+1,927件、+136.1%)、被害額は21.3億円(+11.4億円、+115.0%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は17.6%(+9.5ポイント)。
  • 欺罔手段に用いられたツール
    • 被害者を欺罔する手段として犯行の最初に用いられたツールは、電話77.4%、ポップアップ表示12.2%、メール・メッセージ39.2%、はがき・封書等1.2%と、電話による欺罔が8割近くを占めている。
    • 主な手口別では、対面型特殊詐欺及び還付金詐欺では99.9%が電話。架空料金請求詐欺ではポップアップ表示が43.8%、電話が30.2%、メール・メッセージが25.5%。
  • 予兆電話
    • 警察が把握した、電話の相手方に対して、住所や氏名、資産、利用金融機関等を探るなどの特殊詐欺が疑われる電話(予兆電話)の件数は133,967件(+13,523件、+11.2%)で、月平均は11,164件(+1,127件、11.2%)と増加。
    • 都道府県別では、東京が26,130件と最も多く、次いで埼玉13,561件、大阪12,573件、千葉11,572件、神奈川8,012件、愛知7,928件、兵庫5,693件の順となっており、予兆電話の総件数に占めるこれら7都府県の合計件数の割合は63.8%。
  • 検挙状況全般
    • 令和5年の特殊詐欺の検挙件数は7,219件(+579件、+8.7%)、検挙人員(以下「総検挙人員」という。)は2,499人(+41人、+1.7%)と増加。
    • 手口別では、オレオレ詐欺の検挙件数は2,131件(+360件、+20.3%)、検挙人員は986人(+19人、+2.0%)と、いずれも増加。還付金詐欺の検挙件数は1,061件(±0件、±0.0%)、検挙人員は203人(+17人、+9.1%)と検挙人員が増加。
    • 中枢被疑者(犯行グループの中枢にいる主犯被疑者(グループリーダー及び首謀者等))の検挙人員は62人(+21人)で、総検挙人員に占める割合は2.5%。
    • 受け子や出し子、それらの見張り役の検挙人員は1,893人(▲24人)で、総検挙人員に占める割合は75.8%。
    • このほか、特殊詐欺に由来する犯罪収益を隠匿、収受した組織的犯罪処罰法違反で363件(+226件)、141人(+123人)検挙。
    • また、預貯金口座や携帯電話の不正な売買等の特殊詐欺を助長する犯罪を、3,803件(+162件)、2,798人(+27人)検挙。
  • 暴力団構成員等の検挙状況
    • 暴力団構成員等の検挙人員は404人(▲30人、▲6.9%)で、総検挙人員に占める割合は16.2%。
    • 暴力団構成員等の検挙人員のうち、中枢被疑者は24人(+7人、+41.2%)であり、出し子・受け子等の指示役は17人(+5人、+41.7%)、リクルーターは70人(▲9人、▲11.4%)。また、中枢被疑者の総検挙人員に占める暴力団構成員等の割合は38.7%と、・依然として暴力団が主導的な立場で特殊詐欺に深く関与している実態がうかがわれる。
    • このほか、現金回収・運搬役としては43人(+4人、+10.3%)、道具調達役としては6人(▲5人、▲45.5%)を検挙。
  • 匿名・流動型犯罪グループの動向と警察の取組
    • 近年、暴力団とは異なり、SNSを通じるなどした緩やかな結び付きで離合集散を繰り返す犯罪グループが特殊詐欺等を広域的に敢行するなどの状況がみられ治安対策上の脅威となっている。
    • これらの犯罪グループは、そのつながりが流動的であり、また、匿名性の高い通信手段等を活用しながら役割を細分化したり、特殊詐欺等の違法な資金獲得活動によって蓄えた資金を基に、更なる違法活動や風俗営業等の事業活動に進出したりするなど、その活動実態を匿名化・秘匿化する状況がみられる。
    • こうした情勢を踏まえ、警察では、準暴力団を含むこのような集団を「匿名・流動型犯罪グループ」と位置付け、実態解明・取締りを進めている。
    • 検挙事例 令和4年5月に発生した特殊詐欺グループ内でのトラブルを発端とした監禁事件の捜査を端緒として、同グループのリーダーの男(25)がSNSを利用するなどして実行犯を募集した上、高齢者のキャッシュカードを別のカードにすり替えて窃取するなどの手口で特殊詐欺事件を広域的に敢行していた実態を解明し、令和5年5月までに、同男ら37人を窃盗罪等で逮捕した(大阪、滋賀及び奈良)。
  • 少年の検挙状況
    • 少年の検挙人員は446人(▲27人、▲5.7%)で、総検挙人員に占める割合は17.8%。少年の検挙人員の71.5%が受け子(319人)で、受け子の総検挙人員(1,594人)に占める割合は20.0%と、受け子の5人に1人が少年。
  • 外国人の検挙状況
    • 外国人の検挙人員は124人(▲21人、▲14.5%)で、総検挙人員に占める割合は5.0%。外国人の検挙人員の54.0%が受け子で、24.2%が出し子。
    • 国籍別では、中国46人(37.1%)、ベトナム30人(24.2%)、韓国14人(11.3%)、フィリピン7人(5.6%)、タイ6人(4.8%)、ペルー5人(4.0%)、ブラジル5人(4.0%)、インドネシア2人(1.6%)、その他9人(7.3%)。
  • 架け場等の摘発状況
    • 犯行グループが欺罔電話をかけたり、出し子・受け子らグループのメンバーに指示を出したりする架け場等の犯行拠点について、国内では15箇所を摘発(▲5箇所)。*車両4・ホテル3・賃貸オフィス3・賃貸アパート2・賃貸マンション1・一般住宅1・民泊施設1
    • また、海外におけるこれらの拠点を外国当局が摘発し、日本に移送して検挙した人員については、令和5年中69人となっている。*検挙人数69人、うちフィリピン9人、カンボジア47人、タイ4人、ベトナム9人
  • 主な検挙事件
    • 令和5年2月から5月にかけて、フィリピン共和国に拠点を置いた特殊詐欺(キャッシュカード詐欺盗)事件の首謀者等とみられる4人を含む被疑者9人を、同国を退去強制後に順次逮捕(警視庁ほか)。
    • 令和5年4月、カンボジア王国に拠点を置いた特殊詐欺(架空料金請求詐欺)事件の被疑者19人を、同国を退去強制後に逮捕(警視庁ほか)。
    • 令和4年3月から5年6月にかけて、特殊詐欺(架空料金請求詐欺)事件の拠点を摘発し、6人を逮捕するとともに、犯行に利用されたIP電話回線を提供した事業者の経営者ら7人を逮捕(埼玉)。
    • 令和5年5月、特殊詐欺(架空料金請求詐欺)事件の被害金で購入された暗号資産を日本円に換金して隠匿していた事業者の経営者ら3人を逮捕(愛知)。
    • 令和4年2月に認知した特殊詐欺(還付金詐欺等)事件の被疑者として指定暴力団太州会傘下組員ら11人を順次逮捕するとともに、令和5年7月、中枢被疑者を逮捕(大分)。
  • 特殊詐欺に係る広域的な捜査連携の強化
    • 特殊詐欺は、全国各地で被害が発生しているにもかかわらず、その被疑者や犯行拠点の多くは首都圏をはじめとした大都市に所在していることが多く、捜査範囲が広域にわたることから、捜査をいかに効率的に行うかが課題になっていた。
    • 全国警察が一体となり効率的に捜査を進め、上位被疑者の検挙や犯行拠点の摘発につなげるため、令和6年4月から、他府県からの依頼を受けて管轄区域内の捜査を行う「特殊詐欺連合捜査班」(TAIT(タイト):Telecom scam Allianced Investigation Team)が各都道府県警察に構築されることとなり、令和5年12月、全国特殊詐欺取締主管課長等会議においてその方針が示された。
  • 関係事業者と連携した対策の推進
    • 金融機関の窓口において高齢者が高額の払戻しを認知した際に警察に通報するよう促したり、コンビニエンスストアにおいて高額又は大量の電子マネー購入希望者等に対する声掛けを働き掛けたりするなど、金融機関やコンビニエンスストア等との連携による特殊詐欺予防対策を強化。この結果、関係事業者において、22,346件(+3,616件、+19.3%)、71.7億円(▲8.5億円、▲10.6%)の被害を阻止(阻止率54.6%、+2.1ポイント)。
    • キャッシュカード手交型とキャッシュカード窃取型への対策として、警察官や金融機関職員等を名のりキャッシュカードを預かる又はすり替えるなど具体的な手口の積極的な広報を推進。また、金融機関に預貯金口座のモニタリングを強化する取組や高齢者口座のATM引出限度額を少額とする取組(ATM引出制限)等を推進(令和5年12月末現在、43都道府県、258金融機関)。
    • 還付金詐欺への対策として、金融機関に対し、一定年数以上にわたってATMでの振込実績がない高齢者のATM振込限度額をゼロ円又は極めて少額とする取組(ATM振込制限)(令和5年12月末現在、47都道府県、411金融機関)や窓口に誘導して声掛けを行うようにするなどの働き掛けを推進。また、金融機関と連携しつつ、還付金詐欺の手口に注目した「ストップ!ATMでの携帯電話」運動を全国で実施。
    • 現金送付型への対策として、宅配事業者に対し、過去に犯行に使用された被害金送付先のリストを提供し、これを活用した不審な宅配の発見や警察への通報等を要請するとともに、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会に対して、警察庁作成にかかる「空き家(空き部屋)悪用対策シール」を配付し、シールの活用による空き家(空き部屋)の悪用防止を働き掛ける取組を推進。このほか、コンビニエンスストアに対し、高齢者からの宅配便の荷受け時の声掛け・確認等の推進を要請。
    • 電子マネー型への対策として、コンビニエンスストアと連携し、高額の電子マネーを購入しようとする客への声掛け、購入した電子マネーのカード等を入れる封筒への注意を促す文言の記載、発行や申込みを行う端末機の画面での注意喚起等を推進。このほか、電子マネー発行会社に対して、不正な方法によって入手された電子マネーカードの利用を停止するなどの対策強化を働き掛ける取組を推進。
    • SNSを利用した受け子等の募集の有害情報への対策として、特殊詐欺に加担しないよう呼び掛ける注意喚起の投稿や、受け子等を募集していると認められる投稿に対して、返信機能(リプライ)を活用した警告等を実施(令和5年12月末現在、28都道府県)。
  • 「実行犯を生まない」ための対策~犯罪実行者募集への対処
    • 警察庁では、令和5年1月から同年7月末までに検挙した被疑者を対象として、その供述や証拠から受け子等になった経緯を集計したところ、「SNSから応募」が約半数を占めている実態が判明した。
    • 犯罪実行者募集の投稿については、従来から一部の都道府県警察において、事業者に対する削除依頼、返信(リプライ)機能を活用した投稿者等に対する個別警告及び実行犯募集に応募しようとしていることがうかがわれる者への注意喚起を推進しているところ、令和5年7月、人身安全・少年課では、少年が、社会的に「闇バイト」と表現されることがある犯罪実行者募集への応募をきっかけに犯行グループに使い捨てにされ、検挙されるまでの実態を取りまとめた「犯罪実行者募集の実態」を公表して、非行防止教室等の場を活用するなどして少年が特殊詐欺等に加担してしまうことなどがないよう広報啓発を強化している。
    • また、同年9月、警察庁の委託事業であるインターネット・ホットラインセンター及びサイバーパトロールセンターにおいて、その取扱情報の範囲に犯罪実行者募集情報を追加し、当該情報の排除に向けた取組を推進している。
  • 防犯指導等の推進
    • 特殊詐欺等の捜査過程で押収した名簿を活用し、同名簿に載っていた人に電話するなど注意を喚起する取組を推進。
    • 高齢者が犯人からの電話に出ないようにするために、固定電話の防犯機能強化に向けた対策を推進。具体的には、自動通話録音、警告音声、迷惑電話番号からの着信拒否等の機能を有する機器の設置、相手の電話番号を表示するナンバー・ディスプレイ等の導入や留守番電話の設定を通じ、知らない番号からの電話に出ない、国際電話番号の利用を休止するなどの対策を呼び掛ける取組を推進。
    • 地方創生臨時交付金における「重点支援地方交付金」の推進事業メニューに防犯性能の高い建物部品・固定電話機・防犯カメラの設置等が含まれていることを受け、同交付金を活用した防犯対策が適切に実施されるよう、地方公共団体との連携を推進。
  • 「被害に遭わない環境を構築する」ための対策~高齢者の自宅電話に犯罪グループ等から電話がかかることを阻止するための方策の推進~
    • 特殊詐欺として被害届を受理したもののうち、犯人側が被害者側に接触する最初の通信手段は77.4%が電話で、そのうちの90.5%が被害者の固定電話に対する架電であることが判明している。
    • NTT東日本・西日本では、特殊詐欺被害防止のため、令和5年5月から70歳以上の契約者及び70歳以上の方と同居する契約者の回線を対象に、ナンバー・ディスプレイ契約、ナンバー・リクエスト契約を無償化等する取組を実施しており、都道府県警察では、各種警察活動を通じて周知に向けた取組を行うとともに、その利用に向けた具体的な支援を行うなど、犯人側から電話がかかることを阻止するための方策を強力に推進している。
    • この結果、特殊詐欺への抑止効果が見込まれるナンバー・リクエスト契約数が、令和5年12月末時点で、前年同期に比べて約20万件増加(+150%)。
    • また、令和5年7月以降、国際電話番号を利用した特殊詐欺が急増しているところ、国際電話に関しては、KDDI株式会社、NTTコミュニケーションズ株式会社及びソフトバンク株式会社の国際電話三社が共同で運用している「国際電話不取扱受付センター」(連絡先0120-210-364)に申込めば、固定電話・ひかり電話を対象に国際電話番号からの発着信を無償で休止できる。都道府県警察では、同センターの周知及び申込み促進に向けた取組を行うとともに、手続が煩雑等の理由で申込みを控える高齢者世帯等に対しては、警察において可能な支援を行うなどの取組を行っている。
  • 犯行ツール対策
    • 主要な電気通信事業者に対し、犯行に利用された固定電話番号等の利用停止及び新たな固定電話番号の提供拒否を要請する取組を推進。令和5年中は固定電話番号866件、050IP電話番号7,302件が利用停止され、新たな固定電話番号等の提供拒否要請を6件実施。
    • 令和5年7月から、悪質な電話転送サービス事業者が保有する「在庫番号」を一括利用停止する仕組みの運用を開始。新規番号の提供拒否対象契約者等が保有する固定電話番号等の利用停止等要請を4事業者に行い、在庫番号3,270番号を利用停止。
    • 犯行に利用された固定電話番号を提供した電話転送サービス事業者に対する犯罪収益移転防止法に基づく報告徴収を3件、総務省に対する意見陳述を3件実施。
    • 犯行に利用された携帯電話(仮想移動体通信事業者(MVNO)が提供する携帯電話を含む。)について、携帯電話事業者に対して役務提供拒否に係る情報提供を推進(3,042件の情報提供を実施)。
    • 犯行に利用された電話番号に対して、繰り返し電話して警告メッセージを流すことで、その番号の電話を事実上使用できなくする「警告電話事業」を推進。
    • 総務省は、令和5年8月、携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律施行規則を改正する省令を公布し、令和6年4月から050IP電話についても同法に基づく役務提供契約締結時の本人確認を義務化。
  • 今後の取組
    • 令和6年4月から、特殊詐欺連合捜査班(TAIT)を各都道府県警察に構築し、全国警察が一体となった迅速かつ効果的な捜査を推進。
    • 特殊詐欺に深く関与している暴力団や匿名・流動型犯罪グループの実態解明と、あらゆる刑罰法令を駆使した戦略的な取締りを推進。
    • 海外拠点に関連する情報の一層の収集及び集約を行うとともに、外国当局との国際捜査共助を推進し、海外拠点の積極的な摘発を推進。
    • 「緊急対策プラン」等に基づき、関係行政機関・事業者等と連携しつつ、特殊詐欺等の撲滅に向け、取締り、被害防止対策、犯行ツール対策を強力に推進

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首相官邸 外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議(第17回)
▼ 資料1-1 技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議の最終報告書(概要)
  • 見直しに当たっての三つの視点(ビジョン)
    • 国際的にも理解が得られ、我が国が外国人材に選ばれる国になるよう、以下の視点に重点を置いて見直しを行う。
      • 外国人の人権保護
        • 外国人の人権が保護され、労働者としての権利性を高めること
      • 外国人のキャリアアップ
        • 外国人がキャリアアップしつつ活躍できる分かりやすい仕組みを作ること
      • 安全安心・共生社会
        • 全ての人が安全安心に暮らすことができる外国人との共生社会の実現に資するものとすること
  • 見直しの四つの方向性
    • 技能実習制度を人材確保と人材育成を目的とする新たな制度とするなど、実態に即した見直しとすること
    • 外国人材に我が国が選ばれるよう、技能・知識を段階的に向上させその結果を客観的に確認できる仕組みを設けることでキャリアパスを明確化し、新たな制度から特定技能制度への円滑な移行を図ること
    • 人権保護の観点から、一定要件の下で本人意向の転籍を認めるとともに、監理団体等の要件厳格化や関係機関の役割の明確化等の措置を講じること
    • 日本語能力を段階的に向上させる仕組みの構築や受入れ環境整備の取組により、共生社会の実現を目指すこと
  • 留意事項
    • 現行制度の利用者等への配慮
    • 見直しにより、現行の技能実習制度及び特定技能制度の利用者に無用な混乱や問題が生じないよう、また、不当な不利益や悪影響を被る者が生じないよう、きめ細かな配慮をすること
    • 地方や中小零細企業への配慮
    • とりわけ人手不足が深刻な地方や中小零細企業において人材確保が図られるように配慮すること
  • 提言
    1. 新たな制度及び特定技能制度の位置付けと両制度の関係性等
      • 現行の技能実習制度を発展的に解消し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度を創設。
      • 基本的に3年間の育成期間で、特定技能1号の水準の人材に育成。
      • 特定技能制度は、適正化を図った上で現行制度を存続。
        • 現行の企業単独型技能実習のうち、新たな制度の趣旨・目的に沿うものは適正化を図った上で引き続き実施し、趣旨・目的を異にするものは、新たな制度とは別の枠組みでの受入れを検討。
    2. 新たな制度の受入れ対象分野や人材育成機能の在り方
      • 受入れ対象分野は、現行の技能実習制度の職種等を機械的に引き継ぐのではなく新たに設定し、特定技能制度における「特定産業分野」の設定分野に限定。
        • 国内における就労を通じた人材育成になじまない分野は対象外。
      • 従事できる業務の範囲は、特定技能の業務区分と同一とし、「主たる技能」を定めて育成・評価(育成開始から1年経過・育成終了時までに試験を義務付け)。
      • 季節性のある分野(農業・漁業)で、実情に応じた受入れ・勤務形態を検討。
    3. 受入れ見込数の設定等の在り方
      • 特定技能制度の考え方と同様、新たな制度でも受入れ対象分野ごとに受入れ見込数を設定(受入れの上限数として運用)。
      • 新たな制度及び特定技能制度の受入れ見込数や対象分野は経済情勢等の変化に応じて適時・適切に変更。試験レベルの評価等と合わせ、有識者等で構成する会議体の意見を踏まえ政府が判断。
    4. 新たな制度における転籍の在り方
      • 「やむを得ない事情がある場合」の転籍の範囲を拡大・明確化し、手続を柔軟化。
      • これに加え、以下を条件に本人の意向による転籍も認める。
        • 計画的な人材育成等の観点から、一定要件(同一機関での就労が1年超/技能検定試験基礎級等・日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)合格/転籍先機関の適正性(転籍者数等))を設け、同一業務区分に限る。
      • 転籍前機関の初期費用負担につき、正当な補填が受けられるよう措置を講じる。
      • 監理団体・ハローワーク・技能実習機構等による転籍支援を実施。
      • 育成終了前に帰国した者につき、それまでの新たな制度による滞在が2年以下の場合、前回育成時と異なる分野・業務区分での再入国を認める。
      • 試験合格率等を受入れ機関・監理団体の許可・優良認定の指標に。
    5. 監理・支援・保護の在り方
      • 技能実習機構の監督指導・支援保護機能や労働基準監督署・地方出入国在留管理局との連携等を強化し、特定技能外国人への相談援助業務を追加。
      • 監理団体の許可要件等厳格化。
        • 受入れ機関と密接な関係を有する役職員の監理への関与の制限/外部監視の強化による独立性・中立性確保。
        • 職員の配置、財政基盤、相談対応体制等の許可要件厳格化。
      • 受入れ機関につき、受入れ機関ごとの受入れ人数枠を含む育成・支援体制適正化、分野別協議会加入等の要件を設定。
        • ※優良監理団体・受入れ機関については、手続簡素化といった優遇措置。
    6. 特定技能制度の適正化方策
      • 新たな制度から特定技能1号への移行は、以下を条件。
        • 技能検定試験3級等又は特定技能1号評価試験合格
        • 日本語能力A2相当以上の試験(日本語能力試験N4等)合格
          • ※当分の間は相当講習受講も可
      • 試験不合格となった者には再受験のための最長1年の在留継続を認める。
      • 支援業務の委託先を登録支援機関に限定し、職員配置等の登録要件を厳格化/支援実績・委託費等の開示を義務付け。キャリア形成の支援も実施。
      • 育成途中の特定技能1号への移行は本人意向の転籍要件を踏まえたものとする。
    7. 国・自治体の役割
      • 地方入管、新たな機構、労基署等が連携し、不適正な受入れ・雇用を排除。
      • 制度所管省庁は、業所管省庁との連絡調整等、制度運用の中心的役割。
      • 業所管省庁は、受入れガイドライン・キャリア形成プログラム策定、分野別協議会の活用等。
      • 日本語教育機関の日本語教育の適正かつ確実な実施、水準の維持向上。
      • 自治体は、地域協議会への積極的な参画等により、共生社会の実現、地域産業政策の観点から、外国人材受入れ環境整備等の取組を推進。
    8. 送出機関及び送出しの在り方
      • 二国間取決め(MOC)により送出機関の取締りを強化。
      • 送出機関・受入れ機関の情報の透明性を高め、送出国間の競争を促進するとともに、来日後のミスマッチ等を防止。
      • 支払手数料を抑え、外国人と受入れ機関が適切に分担する仕組みを導入。
    9. 日本語能力の向上方策
      • 継続的な学習による段階的な日本語能力向上。
        • 就労開始前にA1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)合格又は相当講習受講
        • 特定技能1号移行時にA2相当以上の試験(〃N4等)合格※当分の間は相当講習受講も可
        • 特定技能2号移行時にB1相当以上の試験(〃N3等)合格
          • ※各分野でより高い水準の試験の合格を要件とすることを可能とする(4、6に同じ)。
      • 日本語教育支援に取り組んでいることを優良受入れ機関の認定要件に。
      • 日本語教育機関認定法の仕組みを活用し、教育の質の向上を図る。
    10. その他(新たな制度に向けて)
      • 政府は、人権侵害行為に対しては現行制度下でも可能な対処を迅速に行う。
      • 政府は、移行期間を十分に確保するとともに丁寧な事前広報を行う。
      • 現行制度の利用者等に不当な不利益を生じさせず、急激な変化を緩和するため、本人意向の転籍要件に関する就労期間について、当分の間、分野によって1年を超える期間の設定を認めるなど、必要な経過措置を設けることを検討。
      • 政府は、新たな制度等について、適切に情報発信し、関係者の理解を促進する。
      • 政府は、新たな制度の施行後も、運用状況について不断の検証と見直しを行う。

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首相官邸 共生社会と人権に関するシンポジウム 岸田総理ビデオメッセージ
  • 皆さん、こんにちは。内閣総理大臣の岸田文雄です。「共生社会と人権」に関するシンポジウムの開催に当たり、一言御挨拶申し上げます。
  • 平成27年に国連で採択された持続可能な開発目標、SDGsでは、「誰一人取り残さない」との理念の下、17の目標が掲げられています。政府におけるSDGsの達成に向けた取組の一つでもある共生社会の実現は、我々の果たすべき重要な使命です。
  • しかし、残念ながら、我が国においては、雇用や入居などの場面やインターネット上において、外国人、障害のある人、アイヌの人々、性的マイノリティの人々などが不当な差別を受ける事案を耳にすることも少なくありません。
  • マイノリティの方々に対して不当な差別的取扱いを行ったり、不当な差別的言動を行ったりすることは、当然、許されるものではありません。
  • また、近年、外国にルーツを有する人々が、特定の民族や国籍等に属していることを理由として不当な差別的言動を受ける事案や、偏見等により放火や名誉毀損等の犯罪被害にまで遭う事案が発生しており、「次は自分が被害に遭うのではないか。」と、日々、恐怖を感じながら生活することを余儀なくされている方々もおられます。
  • 国会でも繰り返し申し上げてきたとおり、特定の民族や国籍の人々を排斥する趣旨の不当な差別的言動、まして、そのような動機で行われる暴力や犯罪は、いかなる社会においても決してあってはなりません。
  • 我が国は、「法の支配」や「基本的人権の尊重」といった普遍的価値を重視し、国際社会と共有してまいりました。我々が目指すべきは、全ての人が安全・安心に暮らすことができる「人間の尊厳」が守られた世界であって、これを脅かすことにつながる不当な差別や偏見に対しては、内閣総理大臣として、断固立ち向かってまいります。
  • 共生社会を実現するためには、他者との違いを理解し、そして互いに受け入れていくことが重要です。政府においては、不当な差別や偏見の解消に向けて様々な取組を行っています。その取組の一環として行う本日のシンポジウムは、「多様性と包摂性のある社会を目指して」をサブテーマに、共生社会の実現に資する様々な知識や気付きを得られる充実した内容となっています。是非、最後まで御視聴いただき、多様性に関する理解を深め、できることから第一歩を踏み出していただくようお願いいたします。
  • 政府においても、共生社会の実現に向けて、引き続きしっかりと取り組んでまいります。共に歩みを進めてまいりましょう。

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消費者庁 糖質カット炊飯器の販売事業者4社に対する景品表示法に基づく措置命令について
  • 消費者庁は、令和6年2月1日、同月5日、同月6日及び同月7日、糖質カット炊飯器又は炊飯調理器(以下「糖質カット炊飯器」といいます。)の販売事業者4社(以下「4社」といいます。)に対し、4社が供給する糖質カット炊飯器に係る表示について、それぞれ、景品表示法に違反する行為(同法第5条第1号(優良誤認)に該当)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令(別添1ないし別添4参照)を行いました。
  • 実際
    • 前記の表示について、消費者庁は、景品表示法第7条第2項の規定に基づき、4社に対し、それぞれ、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、4社から資料が提出された。しかし、当該資料はいずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。
  • 命令の概要
    • 前記の表示は、それぞれ、本件商品の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
      • ニトリについては、再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
      • リソウジャパンについては、再発防止策を講じて、これを役員に周知徹底すること。
      • Areti及びAINXについては、再発防止策を講じて、これを従業員に周知徹底すること。
    • 今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、前記表示と同様の表示を行わないこと。

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消費者庁 新未来ビジョン・フォーラム 第7回情報交換会(2023年12月13日)
▼ 【要旨】新未来ビジョン・フォーラム 第7回情報交換会
  • 関家フェローより、AIが雇用や労働者の未来に及ぼす影響について発表があった。その後の意見交換の内容は概ね以下のとおりであった。
    • 今後AI技術がさらに進化していく中で、労働者が既に獲得しているスキルが陳腐化し、仕事内容や求められるスキルは急速に変化していくことが予測されるところ、常に新しいことに関心を持ち、スピーディーに学習できる労働者に価値が見いだされる社会になるのではないか等の意見があった。
    • ウェルビーイングにおけるリスキリングの意義として、学習により自己の能力が改善されているという感覚を持つということ自体と、学習したことが仕事にいかされているということの2つの面があるのではないか等の意見があった。
    • AIの活用により、採用や異動におけるミスマッチを減らすことができるのではないか等の意見があった。
    • 何が自身にとっての幸せなのかは人生の中で変化していくものであることを踏まえると、定期的に幸せやありたい姿について見つめなおす機会を持つことが、キャリア形成だけでなく幸せな消費行動の実現においても重要ではないか。そうした機会の一つとして、キャリアコンサルティングが有用なのではないか等の意見があった。
    • 自身の価値感やキャリアを見つめなおす機会としては、ボランティア活動やプロボノ活動といった、本業とは異なる活動も有用ではないか等の意見があった。
  • 続いて塩崎フェローより、消費者データの収集と将来予測について発表があった。その後の意見交換の内容は概ね以下のとおりであった。
    • 未来の消費生活を予測するにあたっては、「長期トレンドの予測」(予測期間よりも長い期間の過去の傾向を見る)、「短期的な変化の観測」(リアルタイムに近い変化を観測する)、「突然変異のシミュレーション」(新型コロナ感染症の流行やシンギュラリティのような出来事が社会に与える変化について考える)という3つの観点が重要ではないか等の意見があった。
    • 「プレミアム消費」に分類されると考えられるエシカル消費という消費スタイルは今後増加していくことが予想されるが、「プレミアム消費」、「利便性消費」、「徹底探索消費」、「安さ納得消費」という4つの消費スタイルのセグメントに関する傾向分析の結果(塩崎フェロー提供資料9頁参照)に鑑みると、消費全体の在り方へそこまで大きな影響を与えることにはならないのではないか等の意見があった。
    • 消費行動において、情報や選択肢が多すぎることで、消費者が自分の価値観に基づいた選択ができなくなっている面があるのではないか等の意見があった。
    • 特定の消費スタイルと「幸せな消費」は直接結びつくものではなく、個人が自身の価値観に基づき自主的に選択した消費行動であれば「幸せな消費」であると言えるのではないか等の意見があった。
    • 日本の若者は将来に対して期待する割合が海外に比べるとものすごく低いというデータがあるようだが、政策や企業が、子供や若者が将来に期待できるような社会をつくることができるか、将来こんな未来があるということをちゃんと示してあげることができるかというところが非常に重要になってくるのではないか等の意見があった。

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国民生活センター 格安の排水管高圧洗浄サービスのはずが…思いがけない高額請求に
  • 内容
    • 「排水管の高圧洗浄が3千円」と書かれた投げ込みチラシを見て、電話で依頼した。作業が行われたが約4万円を請求され、仕方なく支払った。その後同じ業者が訪れ「汚水升を変えた方がよい」と言われ、見積書を出された。契約してしまったが、約22万円と高いのでクーリング・オフしたい。(70歳代)
  • ひとこと助言
    • 低価格を強調した広告を見て、排水管の高圧洗浄を依頼したところ、業者からさらなる点検や工事等を勧誘され、高額な費用を請求されたという相談が寄せられています。
    • 点検や工事等に関する専門的な技術や知識がない消費者が、突然提案された作業の料金や内容の妥当性を判断することは難しいため、無理にその場で判断しようとせず、少しでも違和感を覚えたときは作業を断るようにしましょう。
    • 地域の工務店など、安心して依頼できる事業者の情報を日ごろから集めておきましょう。
    • クーリング・オフができる場合がありますので、困ったときは、早めにお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

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国民生活センター ご用心 災害に便乗した悪質商法 更新
  • 消費生活相談件数
    • 能登半島地震関連の相談件数 総件数:448件
      • ※全国の消費生活センター等で受け付けた分
      • ※2024年1月1日以降受付、2024年2月8日までのPIO-NET登録分
    • 上記のうち「能登半島地震関連 消費者ホットライン」で受け付けた相談件数 総件数:32件
      • ※2024年1月15日以降受付、2024年2月8日までのPIO-NET登録分
▼ 震災に便乗した悪質商法に注意
  • 事例1 見た目では自宅に被害はないが、訪問してきた工事業者に「このままでは危ない。すぐに工事が必要だ」と言われた。
  • 事例2 「保険金を使えばタダで住宅修理ができる」と言われたが本当か。
  • 事例3 役所を名乗り、義援金を集めると訪問されたが信用できるか。
  • ひとこと助言
    • 地震等の災害が起こると、その際の混乱や被災者を支援したいという気持ちにつけ込んだ便乗商法と疑われる相談が寄せられます。今後、トラブルが広がる可能性がありますので、注意が必要です。
    • 住宅修理等の勧誘をされてもその場ですぐに契約せず、複数の事業者から見積もりを取ったり、周囲に相談したりした上で慎重に契約しましょう。頼んでもいないのに押しかけてきて、しつこく勧誘する事業者には特に注意してください。
    • 「保険金が使える」と言われてもその場ですぐに契約せず、加入先の保険会社や保険代理店に相談してください。
    • 公的機関が、電話や訪問等で義援金を求めることはありません。募っている団体等の活動状況や使途をよく確認しましょう。
    • 困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

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厚生労働省 2023年度第7回雇用政策研究会資料
▼ 【資料2】2023年度 第7回雇用政策研究会 論点等
  • 地域の人手不足への対応
    • 地方では、若年者(特に女性)の東京圏への流出等による人口減少もあり、人手不足が深刻化している。
    • 人手不足状況下では、女性や高齢者などの潜在的な労働力の掘り起こしが重要。労働条件・働き方の改善を通じた、地域の潜在的な労働力の掘り起こしをしていくためには、どのような対応が必要か。また、UIJターンの促進や、テレワークや副業・兼業などを通じた地域外との仕事のマッチングの向上を図っていくため、どのような対応が必要か。
    • 加えて、特にマッチングという観点から、地方に魅力的な雇用の場を増やしていくことも必要ではないか。
    • 人手不足がより深刻な地域の中小企業においては、より柔軟な働き方を提供し、様々なバックグラウンドを持つ人が参加できる地域労働市場の構築が求められる。柔軟な働き方が可能な中小企業を増やし、求職者へ提示していくためには、どのような対応が必要か。
    • 地域の人手不足対策については、地域の実情にあった処方箋が重要と考えるが、地域のニーズに合った取組をどのように支援していくのが効果的か。
  • 外国人雇用への対応
    • 人手不足の進展に伴い、幅広い分野において外国人材が活躍をしており、アジア諸国の中においても、日本での就労ニーズの高まりがみられている。日本が外国人材にとって魅力的な労働市場となるよう、引き続き雇用管理改善に取り組んでいくことが求められる。
    • 雇用管理改善を通じ、外国人材の定着を図っていくため、どのような相談体制の整備を行っていくことが求められるか。特に、留学生の卒業後の就職・定着を促すため、関係機関、大学及び企業が連携しつつ、将来的なキャリアアップを見据え、どのような支援が必要か。また、外国人材の包摂という観点から、生活支援も含め、どのようなサポートが求められるか。

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厚生労働省 第9回 後発医薬品の安定供給等の実現に向けた 産業構造のあり方に関する検討会 資料
▼ 資料2 これまでの議論の整理等について
  1. 後発医薬品産業の在るべき姿の明確化
    • 全体的な考え方
      • 後発品産業の在るべき姿として、品質の確保された医薬品を安定的に供給できるよう、以下を目指すことと整理してはどうか。
        • 全ての企業において製造管理・品質管理体制が整っていること(製造管理・品質管理体制の確保)、
        • 収益と投資の好循環が確立しており、産業として持続可能な形になっていること(持続可能な産業構造)、
        • それぞれの企業において医薬品を安定的に供給できる体制が保たれるとともに、産業全体として必要に応じて増産を行う余力のある体制が確保できていること(安定供給能力の確保)
    • 製造管理・品質管理体制の確保
      • 後発品企業において、薬機法に照らし、製造に関する不適切事案が続いている現状を踏まえ、後発品への信頼回復のため、製造管理・品質管理に係る点検の強化に加え、例えば、企業の製造管理・品質管理に関する取組状況を可視化するなどの取組が考えられるのではないか。
    • 持続可能な産業構造
      • 産業として持続可能な構造とするため、
      • 少量多品目構造を適正化し、生産効率のよい体制とするためにはどのような方策があるか。
      • 後発品企業が安定的に収益をあげ、品質の確保された医薬品の供給に向けた投資を行う好循環を生み出すための価格や流通の在り方についてどう考えるか。
    • 安定供給能力の確保
      • 品質の確保された医薬品が安定的に供給されるために、それぞれの企業において医薬品を安定的に供給できる体制が保たれるとともに、産業全体として必要に応じて増産する余力のある体制が確保できている必要がある。
      • このため、例えば、安定供給を確保する観点からの取組を企業に求めるなど、平時から医薬品の安定供給を確保しつつ、感染症の発生時等の有事においても医薬品を安定的に供給する仕組みの在り方としてどのような方策が考えられるか。
    • その他
      • 品質の確保された医薬品を安定的に供給するための適切な体制構築が可能となるよう、企業間での連携・協力や、適正な体制構築を可能とする企業規模となることを推進するべきではないか。
      • また、これらに対する国及び都道府県の関与や支援はどうあるべきか。
  2. 安定供給等の企業情報の可視化
    • 品質が確保された後発品を安定的に供給できる企業が市場で評価され、結果的に優位となることを目指すという基本的な考え方に沿って、「中間取りまとめ」(次頁)の内容を踏まえ、以下のように企業情報公表の仕組みの創設等の取組を行うこととしている。
    • その上で、後発品の安定供給を確保する観点から、公表すべき情報の範囲や具体的な公表の方法など、今後の企業情報公表の在り方や、さらなる企業情報の活用方策等について、どのように考えるか。その際、中医協においては、今回規定した企業の評価指標・評価方法の妥当性や、その影響について今後検証を行うことを前提に薬価制度での試行的導入が了承されていることに加え、臨床現場にとって活用しやすい情報の早期公表、指標のさらなる活用等の指摘があったことも念頭におきつつ、引き続き検討を行うことが必要ではないか。
  3. 少量多品目構造の解消
    • 後発品企業においては、多くの企業が新規後発品を上市し、1社あたりの製造販売品目数が多品目となり、少量多品目生産が広がっており、こうした少量多品目生産においては、製造工程の複雑化に伴う製造の非効率や、生産管理体制のリソース不足、品質不良リスクの増大、緊急増産等の柔軟な対応が困難であることなどのデメリットがあることや、収益性の低下にもつながっていることが指摘されている。
    • 後発品業界全体の供給不安のひとつの要因と考えられる少量多品目構造の解消に向け、「中間取りまとめ」の内容を踏まえ、以下の対応を行うこととしている。
    • 薬価上の措置、薬事上の障壁解消等
      • 令和6年度薬価制度改革(次頁)において、後発品の新規収載時の薬価算定における、同時に収載される内用薬が10品目を超える場合に先発品の0.4掛けとする規定について、最近の新規後発品の収載時の品目数や収載直後の乖離率の状況を踏まえ、同時に収載される内用薬が7品目を超える場合に先発品の0.4掛けとすることとする(令和6年4月から運用開始予定)
      • 後発品の新規収載時に安定供給に係る責任者の指定を求めるとともに、収載後の各品目の供給実績の確認を実施する(令和6年度の後発品新規収載から運用開始予定)。
      • 既収載品目の統合に関し、企業間の品目統合を促進するため、製造方法等の変更管理における薬事手続において、欧米と同様の中等度変更事項及び年次報告を試行的に導入することとしている(令和5年10月「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」決定。令和6年度内に試行開始予定。)。
      • また、製造方法等の記載事項に係る通知の改正について、国際的に整合したリスクベースの変更管理が実現できるよう検討を進めている。
      • 少量多品目構造の解消に向けては、後述する「企業間の連携・協力の推進」等を進めていくほか、品目数の適正化に関して以下の論点が考えられる。
    • 薬価削除プロセスの合理化等
      • 薬価削除プロセスの合理化等について、引き続き検討することとしてはどうか。その際、OD錠の在り方等についても、製造効率化の観点から検討の対象としてはどうか。
    • 医療現場や流通への影響
      • 薬価削除プロセス等の検討に当たっては、医療上の必要性や後発品の流通に与える影響も考慮する必要があることから、「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」において、関係者の意見を踏まえ具体策の検討を行うこととしてはどうか。
    • 規格揃え原則の合理化
      • 後発品収載時は全規格を取り揃えることを原則としつつ、医療上の必要性等に照らして全規格を取り揃えることが必ずしも必要ではないと考えられる品目について、規格揃え原則との関係をどのように考えるか。その際、非汎用規格の製造を行う企業の取扱いなども含め、汎用規格と非汎用規格の切り口についてどのように考えるか。
  4. 生産効率の向上
    • 生産効率向上の取組周知
      • 自動車産業と比較して、後発品産業は受注生産や納期延長ができなかったり、原材料価格の高騰を価格に反映できないといった特徴があり、こうした点に留意が必要ではないか。
      • 共同開発をすると複数社が一つの工場に発注を集中させてできるだけ安く生産しようという動きが見られる一方で、どの会社のどの薬なのかというのを明確に識別できるよう刻印などを変えなければいけない。同じ工場で、同じ原薬と、同じ製法でつくっているにもかかわらず、違ったパッケージのものをつくるのは、生産上も非効率であり、医療関係者のほうでも別物として扱わなくてはいけないため管理上も非効率ではないか
    • 今後の対応の方向性
      • 後発品企業は品目数や供給数量が少ない小規模な企業が多く、限られた生産体制下で少量多品目生産を行う生産の非効率性が指摘されている。産業として持続可能な構造とするため、各後発品企業において生産効率の向上を図ることは重要である。
      • 生産効率の向上については、少量多品目構造の適正化や、後述する企業間の連携・協力等により対応可能な部分もあると考えられるが、そのほかには、以下の論点が考えられる。
        • 生産効率の向上の具体的な方策
          • 生産効率の向上を促進するため、例えば、業務改善に係る風土醸成や人材育成といった組織能力向上等に関する好事例の周知を図るなど、具体的な方策としてどのようなものが考えられるか
  5. その他(製造管理・品質管理体制の在り方)
    • 後発品企業は、国民にとって必要不可欠となった後発品について、品質を確保しつつ将来にわたって安定的に供給し続けることが求められる。医薬品企業として、製造管理及び品質管理の徹底は当然であるが、現状では、複数の後発品企業において製造管理及び品質管理の不備による薬機法違反が発覚し、これを端緒として多くの医薬品において出荷停止や限定出荷が発生するとともに、これが長期化し、国民に必要な医薬品が供給されない状況が続いている。後発品の安定供給や信頼回復等の観点からも、製造管理及び品質管理の徹底はまず最初に取り組まなければならない喫緊の課題である。
    • 後発品企業において、薬機法に照らし、製造に関する不適切事案が続いている現状を踏まえ、後発品への信頼回復のため、製造管理・品質管理の強化については、「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」において薬事監視の向上等について議論され、今後さらに後発品のGMP適合調査において重点的に調査すべき事項を整理し都道府県へ周知を図ること、令和5年度から、全国の製造所から相対的に高リスク製造所を抽出しPMDAと都道府県が合同で無通告立入検査を行う取り組みを開始する等薬事監視の質の向上を図る取り組みを進めることとしている。
    • その上で、製造管理及び品質管理体制の在り方について、以下の論点が考えられる。
      • 点検管理の更なる徹底
        • 後発品への信頼回復のため、製造管理・品質管理に係る自主点検の強化についてどのように考えるか。
        • 企業の製造管理・品質管理に係る取組状況を可視化することを検討してはどうか。
        • このような取組が、企業間の連携・協力を推進することにもつながるのではないか。
      • 効率的な品質の管理の推進
        • 効率的な製造管理・品質管理の推進のため、例えば、複数企業による品質管理業務の協業などの好事例の展開について検討してはどうか。
      • 品質管理を行う人材育成
        • 製造管理・品質管理を行う人材の育成・確保のためにどのような方策が考えられるか。
  6. その他(企業間の連携・協力の推進)
    • 後発品企業は品目数や供給数量が少ない小規模な企業が多く、限られた生産体制下で少量多品目生産を行う生産の非効率性が指摘されている。産業として持続可能な構造とするため、品質管理や営業等の面での企業間の連携・協力や役割分担、コンソーシアムや企業統合なども考えられるのではないかという指摘があることから、以下の論点について検討してはどうか。
      • 独占禁止法との関係整理
        • 企業間での品目統合や生産調整、コスト構造の共通化の在り方について検討する際、まずは独占禁止法上問題となり得る点について整理を行う必要があるのではないか。
        • コンソーシアム的な共同経営やM&Aの推進に当たって、独占禁止法との関係について整理を行う必要があるのではないか。
      • 委託製造における安定供給確保担保
        • 委託製造の場合について、安定供給にかかる企業間の役割の在り方を整理する必要があるのではないか。
      • 企業間の連携・協力の取組の推進
        • 企業間の連携・協力の取組を推進するため、政府としてどのような方策が考えられるか
  7. その他
    • その他、以下の論点が考えられる。
      • サプライチェーンの強靱化
        • 医薬品供給リスクの調査分析など現在行われている取組も踏まえ、後発品企業におけるサプライチェーンの強靱化について、どのような方策が考えられるか。
      • AGの在り方
        • 医薬品の供給不安が発生している現状においてAGが果たしている役割と、他の後発品の参入に与える影響等を考慮しつつ、AGの今後の在り方についてどのように考えるか。

~NEW~
厚生労働省 「家事使用人の雇用ガイドライン」を策定しました
▼ 【別添】家事使用人の雇用ガイドライン(概要版)
  • 作成趣旨・目的
    • 家事使用人の労働契約の条件の明確化・適正化、適正な就業環境の確保などについて必要な事項を示すガイドラインを作成しました。
    • 家事使用人を雇用する方や、これから雇用しようとする方は、労働契約を結ぶ際や、家事一般に従事させる際には、家事使用人と十分話し合った上で労働契約の内容を決定しましょう。詳しい内容は、『家事使用人の雇用ガイドライン』をご確認ください。
  • 対象者
    • 雇用主(ご家庭)
      • 家事使用人を雇用する方やこれから雇用しようとする方。
    • 家事使用人
      • ご家庭と直接労働契約を結び、ご家庭との雇用関係の下において、家事一般に従事する方。
    • 家政婦(夫)紹介所
      • 事業者として、家事使用人と雇用主(ご家庭)との間の労働契約成立をあっせんする機関。
  • 労働契約の条件の明確化
    • 雇用主は、家事使用人と話し合った上で、以下のような労働契約の条件(主なもの)を明確にしましょう。
    • 口頭で伝えるだけではなく、きちんと書面もしくは電子メールなどで明示することで、雇用主と家事使用人の間のトラブルを未然に防ぐことにつながります。労働契約書に記載された内容はお互いによく確認し、労働契約の条件に反することがないようにしましょう。
    • 雇用主の情報・就業場所・労働契約の期間・試用期間・業務の内容・就業時間・休憩時間・報酬等・退職に関する事項・休日・休暇
    • また、あらかじめ業務で求める水準を示して家事使用人と認識を合わせておくと、労働契約をめぐるトラブルを未然に防ぐことができ、より良好な雇用関係につながります・
  • 労働契約の条件の適正化
    • 雇用主が、報酬や就業時間、労働契約の期間などを適正な水準に設定することで、家事使用人が働きやすい環境の確保につながります。
      1. 報酬
        • 仕事の難易度や家事使用人の能力などを考慮し、最低賃金を下回るような低い水準となっていないかを確認し、家事使用人と話し合った上で、適切な水準となるようにしましょう。
      2. 就業時間
        • 1日当たり8時間、1週当たり40時間を上限とすることが望ましいです。過重労働とならないよう配慮してください。
      3. 労働契約の期間
        • 労働契約の期間を定める場合には、長くとも3年以内(満60歳以上の家事使用人の場合は5年以内)とすることが望ましいです。
      4. 労働契約の条件の変更
        • 家事使用人との合意が必要です。変更する内容と変更の必要性を説明し、十分話し合うことが重要です。
      5. 家事使用人が行うことができる業務
        • 家事使用人に行ってもらう仕事やその水準についてお互いに確認し、仕事で求める水準について合意した上で、仕事の範囲を明確にしましょう。法令上資格がないとできない業務は、有資格者である場合を除いて依頼しないでください。また、高度な家事業務や危険を伴う作業などについて、一律に要求することは適切ではありません。
  • 適正な就業環境の確保
    • 雇用主は、家事使用人が業務を行う上で不安に感じることがないよう、
    • 就業環境について労働契約を結ぶ前も結んだ後も話し合いの場を設けるとよいでしょう。
      1. 就業時間の管理
        • 家事使用人の就業日ごとの始業・終業時刻を確認して、記録し、お互いに確かめ、就業時間を適正に管理することが望ましいです。
      2. 就業場所の管理
        • 高所での作業など明らかに危険な作業はさせないよう注意しましょう。空調の温度・湿度は適切な設定にするなどして、就業中のケガが発生しないよう注意を呼びかけましょう。いつでもトイレを利用できるようにしておきましょう。泊まり込みや住み込みの場合は、寝具などを提供した上で、十分な広さの就寝場所を確保し、プライバシーに配慮しつつ、更衣室・浴室・シャワーなどの設備を家事使用人が使うことができるようにしましょう。
      3. 適切な業務内容と業務量
        • 業務を依頼する際は、あらかじめ決めた業務内容の範囲を超えないように気をつけましょう。新たに行ってほしい業務が発生した場合は、家事使用人と十分話し合った上で対応してもらうことが適切です。
      4. 介護保険サービスとしての訪問介護と組み合わせて利用する場合
        • 介護保険サービスと介護保険給付の対象ではないサービス(保険外サービス)を組み合わせて利用しているご家庭もあると思いますが、その場合に、介護保険サービスとしての時間と、家事使用人として行ってもらう業務を含む保険外サービスとしての時間とを明確に区分しつつ、全体の就業時間を踏まえた適切な就業・休憩時間の設定や休憩・休息時間の確保をするなど、過重労働とならないよう必要な配慮をしてください。
      5. 家事使用人からの相談や苦情を受ける担当者の明確化と解決
        • 雇用主は、家事使用人が働く上で困ったことを相談するためにふさわしい家庭内の相談者を事前に労働契約書に記載するなどして共有しておくとよいでしょう。なお、家政婦(夫)紹介所が家事使用人から相談や苦情を受けることもあるので、家政婦(夫)紹介所から連絡があった場合は協力して解決を図るよう努めてください。
      6. その他、就業環境に関する留意事項
        • 家事使用人に対するパワハラ、セクハラなどのハラスメントは絶対に許されません。また、トラブルを避けるためにも、金品や貴重品など、触れてはいけないものについては、雇用主自身で管理しましょう。雇用主は、家事使用人が就業場所などでケガなどをした場合、家事使用人とその原因及び補償について十分話し合いましょう。
  • 保険の加入状況の確認
    • 雇用主は、家事使用人または家政婦(夫)紹介所に対して、どのような保険に加入しているのかを事前に確認し、万が一の場合に備えておきましょう。
    • 家事使用人に関係する保険は、大きく分けて以下の2種類です。
      • 損害保険加入の有無
        • 就業先であるご家庭または第三者に対して、業務に関連して損害を与えた場合に備えるための保険。
      • 災害補償保険(労災保険の特別加入を含む)加入の有無
        • 業務が原因となって、自身がケガや病気をした場合に備えるための保険。

~NEW~
厚生労働省 第213回国会(令和6年常会)提出法律案
▼ 生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案の概要
  • 改正の趣旨
    • 単身高齢者世帯の増加等を踏まえ、住宅確保が困難な者への安定的な居住の確保の支援や、生活保護世帯の子どもへの支援の充実等を通じて、生活困窮者等の自立の更なる促進を図るため、(1)居住支援の強化のための措置、(2)子どもの貧困への対応のための措置、(3)支援関係機関の連携強化等の措置を講ずる。
  • 改正の概要
    1. 居住支援の強化のための措置【生活困窮者自立支援法、生活保護法、社会福祉法】
      • 住宅確保が困難な者への自治体による居住に関する相談支援等を明確化し、入居時から入居中、そして退居時までの一貫した居住支援を強化する。(生活困窮者自立相談支援事業、重層的支援体制整備事業)
      • 見守り等の支援の実施を自治体の努力義務とするなど、地域居住支援事業等の強化を図り、地域での安定した生活を支援する。
      • 家賃が低廉な住宅等への転居により安定した生活環境が実現するよう、生活困窮者住居確保給付金の支給対象者の範囲を拡大する。
      • 無料低額宿泊所に係る事前届出の実効性を確保する方策として、無届の疑いがある施設に係る市町村から都道府県への通知の努力義務の規定を設けるとともに、届出義務違反への罰則を設ける。
    2. 子どもの貧困への対応のための措置【生活保護法】
      • 生活保護世帯の子ども及び保護者に対し、訪問等により学習・生活環境の改善、奨学金の活用等に関する情報提供や助言を行うための事業を法定化し、生活保護世帯の子どもの将来的な自立に向け、早期から支援につながる仕組みを整備する。
      • 生活保護世帯の子どもが高等学校等を卒業後、就職して自立する場合に、新生活の立ち上げ費用に充てるための一時金を支給することとし、生活基盤の確立に向けた自立支援を図る。
    3. 支援関係機関の連携強化等の措置【生活困窮者自立支援法、生活保護法】
      • 就労準備支援、家計改善支援の全国的な実施を強化する観点から、生活困窮者への家計改善支援事業についての国庫補助率の引上げ、生活保護受給者向け事業の法定化等を行う。
      • 生活困窮者に就労準備支援・家計改善支援・居住支援を行う事業について、新たに生活保護受給者も利用できる仕組みを創設し、両制度の連携を強化する。
      • 多様で複雑な課題を有するケースへの対応力強化のため、関係機関間で情報交換や支援体制の検討を行う会議体の設置(※)を図る。
        • ※生活困窮者向けの支援会議の設置の努力義務化や、生活保護受給者の支援に関する会議体の設置規定の創設など
      • 医療扶助や健康管理支援事業について、都道府県が広域的観点からデータ分析等を行い、市町村への情報提供を行う仕組み(努力義務)を創設し、医療扶助の適正化や健康管理支援事業の効果的な実施等を促進する。
  • 施行期日
    • 令和7年4月1日(ただし、2(2)は公布日(令和6年1月1日から遡及適用する)、2(1)は令和6年10月1日)
▼ 雇用保険法等の一部を改正する法律案の概要
  • 改正の趣旨
    • 多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットの構築、「人への投資」の強化等のため、雇用保険の対象拡大、教育訓練やリ・スキリング支援の充実、育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保等の措置を講ずる。
    • 改正の概要
    • 雇用保険の適用拡大【雇用保険法、職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律】
      • 雇用保険の被保険者の要件のうち、週所定労働時間を「20時間以上」から「10時間以上」に変更し、適用対象を拡大する。
        • ※これにより雇用保険の被保険者及び受給資格者となる者については、求職者支援制度の支援対象から除外しない。
    • 教育訓練やリ・スキリング支援の充実【雇用保険法、特別会計に関する法律】
      • 自己都合で退職した者が、雇用の安定・就職の促進に必要な職業に関する教育訓練等を自ら受けた場合には、給付制限をせず、雇用保険の基本手当を受給できるようにする。
        • ※自己都合で退職した者については、給付制限期間を原則2か月としているが、1か月に短縮する(通達)。
      • 教育訓練給付金について、訓練効果を高めるためのインセンティブ強化のため、雇用保険から支給される給付率を受講費用の最大70%から80%に引き上げる。
        • ※教育訓練受講による賃金増加や資格取得等を要件とした追加給付(10%)を新たに創設する(省令)。
      • 自発的な能力開発のため、被保険者が在職中に教育訓練のための休暇を取得した場合に、その期間中の生活を支えるため、基本手当に相当する新たな給付金を創設する。
    • 育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保【雇用保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律】
      1. 育児休業給付の国庫負担の引下げの暫定措置(※4)を廃止する。
        • ※本来は給付費の1/8だが、暫定措置で1/80とされている。
      2. 育児休業給付の保険料率を引き上げつつ(0.4%→0.5%)、保険財政の状況に応じて引き下げ(0.5%→0.4%)られるようにする。
        • ※1・2により、当面の保険料率は現行の0.4%に据え置きつつ、今後の保険財政の悪化に備えて、実際の料率は保険財政の状況に応じて弾力的に調整。
    • その他雇用保険制度の見直し【雇用保険法】
      • 教育訓練支援給付金の給付率の引下げ(基本手当の80%→60%)及びその暫定措置の令和8年度末までの継続、介護休業給付に係る国庫負担引下げ等の暫定措置の令和8年度末までの継続、就業促進手当の所要の見直し等を実施する。
  • 施行期日
    • 令和7年4月1日(ただし、3(1)及び4の一部は公布日、2(2)は令和6年10月1日、2(3)は令和7年10月1日、1は令和10年10月1日)

~NEW~
総務省 西日本電信電話株式会社に対する行政指導
▼ 別紙
  • 事案発生の要因
    • 電気通信事業における個人情報等の保護に関するガイドライン(令和4年個人情報保護委員会・総務省告示第4号。以下「個人情報保護ガイドライン」という。)第13条第3項において、電気通信事業者は、個人データの取扱いを委託する場合は、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならないこととされている。
    • これを受け、貴社はProCX社との業務委託契約に当たり、「業務委託契約書」及び「お客様情報の管理に関する覚書」(以下「業務委託契約書等」という。)を締結しており、その中で業務の再委託の禁止や、委託先における再委託先での個人データの取扱い状況の検査、委託先における個人データの取扱いに係る安全管理措置の実施等の措置(以下「業務委託先の監督措置」という。)を規定していた(事業法第166条第1項の規定に基づく令和5年11月6日付けの報告徴収に対する同年12月8日付け報告書及び同年12月27日付け報告書)。
    • しかしながら、貴社は、BS社によるProCX社へのコールセンタシステムの提供が個人データの取扱いを伴う業務であり※3、ProCX社によるBS社の同システムの利用が、個人情報保護ガイドライン第13条第3項に規定する個人データの取扱いの委託に該当するにもかかわらず、その事実を認識することができず、業務委託契約書等にいう業務委託には含まれないとして運用してきており、業務委託先の監督措置の対象としていなかった。実際にも、貴社は、業務の再委託に当たらない場合には、個人データの取扱いの委託の有無や、委託が行われている場合の個人データの取扱い状況について「情報管理状況チェックシート」に基づく点検項目を設定しておらず、そもそも、ProCX社によるBS社のコールセンタシステムの利用に伴う個人データの取扱いの委託の事実を把握できていなかったとのことである(追加確認に対する令和6年1月19日付け貴社回答)。
    • また、貴社は、ProCX社と締結した業務委託契約において、個人情報の取扱いが発生する場合、貴社の事前の書面による承諾なく、第三者に開示等してはならないと規定していたが、ProCX社がBS社の提供するコールセンタシステムを利用するに当たり、個人データの取扱いの委託が行われていたにもかかわらず、ProCX社は貴社に対して、事前の承諾を得ていなかった。この理由について、令和6年1月19日付け貴社回答によれば、「(ProCX社は貴社に対して)業務の再委託を行っていない場合において、当社(貴社)に対し、個人情報の取扱いの再委託に係る事前の承諾を得る必要があることを適切に認識できていなかった(と回答している)」とのことであった。つまり、ProCX社によるBS社のコールセンタシステムの利用が個人情報保護ガイドライン上の個人データの取扱いの委託に該当するにもかかわらず、業務委託契約書等にいう業務委託には含まれていなかったことにより、こうした誤認が生じていたものと想定される。
    • 以上のとおり、貴社のテレマーケティング業務のProCX社への委託については、個人データの取扱いの委託先の必要かつ適切な監督が行われていなかったと考えられ、電気通信役務の利用者の利益の保護が適切に図られていないと認められる。
    • さらに、他の大口委託先について行われた緊急点検において、令和6年1月19日付け貴社回答によれば、「他の委託先においても、今回のProCXへの対応と同様」とのことであり、個人データの取扱いを伴う外部サービスの利用において、現時点で、個人データの取扱いの委託先の必要かつ適切な監督が行われていない状況にあると考えられ、電気通信役務の利用者の利益の保護が適切に図られていないと考えられる。
    • また、日本電信電話株式会社等に関する法律(昭和59年法律第85号。以下「NTT法」という。)において、貴社は、地域電気通信事業を経営することを目的とする株式会社とされ、その運営に当たっては、常に経営が適正に行われるように配意する責務が課されている。今回漏えいした個人データは、地域電気通信事業に係るものであり、業務委託先の必要かつ適切な監督が行われていなかったことにより、結果として、約120万件の個人データが漏えいしたことに鑑みれば、地域電気通信事業の経営の適正な実施への配意が十分ではなかったと認められる。
    • 以上のことは、事業法第1条並びにNTT法第1条第2項及び第3条の趣旨に鑑み、適切ではないと考えられる。
  • 電気通信役務の円滑な提供、利用者の利益の保護の必要性
    • 今般、漏えいした個人データは指定電気通信役務かつ地域電気通信事業に係る顧客データであるところ、高い公共性のある指定電気通信役務かつ地域電気通信事業について、その顧客データの取扱いの委託先の監督が必要かつ適切に行われておらず、利用者からの指定電気通信役務への信頼を失墜させることとなった。以上のことは、事業法第1条並びにNTT法第1条第2項及び第3条の趣旨に鑑み、適切ではないと考えられる。貴社は、高い公共性のある指定電気通信役務の提供や地域電気通信事業の経営のみならず、極めて公共性の高い基礎的電気通信役務の提供を行う電気通信事業者として、その利用者の利益が確実に保護されるよう、ProCX社を含む委託先に対する適切な監督を徹底の上、再発防止に努める必要がある。
  • 指導事項
    • 以上を踏まえて、下記の1及び2の事項について、令和5年12月27日付け報告書及び令和6年1月19日付け回答で報告のあった再発防止策を含む必要な措置を実施されたい。また、その実施状況について、令和6年3月29日までに報告するとともに、今後、このような事案が再発しないよう、同報告から少なくとも1年間は、四半期に一度、今後の取組状況について定期的に報告されたい。なお、今後新たな懸念が生じた場合等には、追加的な措置を実施する可能性がある旨を御承知おき願いたい。
      1. 本事案を踏まえた委託先の監督の見直し及び対策の強化について
        • 個人データの取扱いを委託する場合には、委託先において当該個人データについて適切に安全管理措置が講ぜられるよう、委託先に対する適切な監督を行うことが、電気通信役務の利用者の利益の保護の観点から必要である。この点を踏まえ、適切な委託先の選定、適切な委託契約の締結及び委託先における個人データの取扱状況の適切な把握が行えるよう、業務委託契約の内容の見直しや、定期点検の確保、適切な安全管理措置の確保、経営層を含めた適切な委託先監督の責任体制の構築等、必要な措置について検討を行い、再発を確実に防止するよう、実効的な対策を講じること。
        • 特に、個人データの取扱いを伴う外部サービスの利用について留意し、契約内容の見直し及び定期点検等、必要な措置について検討を行い、再発を確実に防止するよう、実効的な対策を講じること。
      2. 利用者対応の徹底について
        • 本事案において、貴社の利用者のうち約120万件の個人データが漏えいした又はそのおそれがあることを踏まえ、利用者の利益の保護の観点から、今後も利用者に対する本事案に関する適切な情報提供を継続するとともに、二次被害が発覚した場合等には適切な支援、対応を実施すること。

~NEW~
総務省 インターネット上の偽・誤情報対策に関する取組についての意見募集
▼ 偽情報対策に係る取組集 Ver.1.0
  • ヤフー株式会社
    • 取組事例1:信頼性の高い情報の掲載
      • 課題
        • フェイクニュース等の流通は、ユーザの困惑、インターネット産業全体の信頼性棄損につながる。そこで、迅速かつ積極的に信頼できる情報を掲出することで、早期に、不確かな情報を打ち消すことを考えた。
        • 正確な情報の迅速な伝達は行っていたが、ファクトチェックに特化した記事の配信は少なかった。
      • 解決手段
        • Yahoo!ニュース個人:専門家の協力を得て、啓蒙啓発を企図した特設サイトやコンテンツを制作
        • Yahoo!ニュース:
        • 公共性の高い情報やデマを打ち消す情報を最も目立つ場所に掲載。コロナ関連の情報を集約した特設サイトで、デマへの注意喚起を行うコーナーを設け、ファクトチェック支援団体や官庁等へのリンクを設置。
        • 日本ファクトチェックセンターへの資金提供を実施。
        • ユーザの理解向上のため、特定分野の専門性を有するオーサーと契約を締結し、専門分野にかかる記事へ補足的な見解(オーサーコメント)を付加(専門家は、特定の分野における専門性、評判、知名度などを基準にした審査の上、選定。投稿は全件、担当者によるチェックを実施)。
        • Yahoo!知恵袋:新型コロナウイルス関連の投稿ページ上部に注意文言を掲出し、厚労省等の公的機関のHPを案内。
        • Yahoo!トップページ:生命財産に関わる重大事項については、メディアから提供を受けたコンテンツや情報集約した特設サイトに誘導。緊急時に首相会見等の動画の埋込みによる提供を行い、ユーザーが認知しやすい場所に掲載。災害時は、地震速報や地域ごとのアラート情報を掲出。いずれの情報もメディアや公的機関の情報源とすることで信頼性の高い情報の提供に努めている。
        • ファクトチェック関連団体企業と連携し、Yahoo!ニュースやタイムライン上へファクトチェック記事の掲載を実施(資金提供も行っている)。
    • 取組事例2:啓蒙啓発・リテラシー向上の取組
      • 課題
        • ユーザの偽情報へのリテラシー向上の取組の一層の推進が必要と考えた。
        • 教育現場での講座を行うにあたってのリソース確保が困難であったため、オンラインコンテンツを通じての啓発、リテラシー向上に寄与する企画を立案。
      • 解決手段
        • ユーザ自身のリテラシーを高め、根拠が乏しい情報やフェイクニュースを見分ける能力を身につけていただくため、以下の取組を実施。
        • 偽情報・誤情報等に惑わされないための学習コンテンツ「Yahoo!ニュース健診」を公開。
        • 大学と連携し、中高大の教育現場および社会人向けにフェイクニュース対策としてのリテラシー向上授業を継続して実践。
        • フェイクニュースに関するリテラシー向上のためのコンテンツを制作や、参議院選挙にあわせた「ネットリテラシー」をテーマとした特設サイトを公開。有識者へのインタビューを含む動画コンテンツも複数本制作し、メディア面からの誘導も強化。
    • 取組事例3:偽情報の削除
      • 課題
        • Yahoo!知恵袋やYahoo!ニュースコメントのようなCGMサービスにおいて、新型コロナウイルスやその治療法、ワクチン等の医療情報や、地震等の災害情報等の根拠なき投稿が散見されたため、そのような投稿を閲覧したユーザーに対して誤った情報を与えてしまう可能性がある。
        • 医療(健康)情報や災害情報のうち明らかな誤情報については、ユーザへの悪影響が生じる前に、迅速な対応が望ましい。
        • 個々の投稿について削除対象の線引きをすることは困難なため、まずは官公庁の情報に明らかに反する投稿の削除のみを実施することとした(現状は医療情報等のみを対象としているが、対象拡大も検討中)
      • 解決手段
        • Yahoo!ニュース:コメント欄への、新型コロナ関連のように健康被害等をもたらす可能性のある偽情報(厚生労働省HPにおける公表情報など反真実であることがファクトチェック済みの情報に限る)の投稿を禁止し、削除対象とした。削除対象は適宜見直しを行う。
        • Yahoo!知恵袋:医療情報や災害情報等について、明らかに事実と異なり社会的に混乱を招く恐れのある投稿について削除。
  • LINE株式会社
    • 取組事例1:啓発活動
      • 課題
        • 学校現場では、加速度的にICT教育に対するニーズが高まっている(主には情報モラル教育・情報リテラシー教育、情報活用能力の育成、デジタルシチズンシップ等)。
        • 学校現場には様々なニーズ(ネットトラブル回避に関する指導、GIGAスクール端末の利活用など)があるが、学びの時間の確保、指導者の育成等が追いついていない。
        • 学校現場で利用されることに主眼を置き、最低限の準備で始められ、また短時間での活用も可能な現場で使い勝手の良いカリキュラム・教材を開発することを目的とした。
        • 教材(GIGAワークブック)の活用が、情報モラル教育などに積極的に取り組んでいる指導者が存在する地域に限定されることなく、より多くの児童・青少年に対する学びの接点を作るためには、自治体(教育委員会)との連携が必要不可欠であった。
      • 解決手段
        • LINEみらい財団では、誰でも無償で利用可能な汎用版の教材(GIGAワークブックなど)をHPに掲載し、提供している。しかし、HP掲載のみでは我々からの働きかけが十分ではないため、自治体と連携して普及を図ることとした。
        • 教材については、連携する各自治体における導入のしやすさを考慮し、自治体ごとのデザインやオリジナルページ(各地域の情報モラル育成目標や調査研究結果など)を設けるパッケージを準備した。
    • 取組事例2:オープンチャット
      • 課題
        • インターネット上において、「LINEオープンチャットがデマやフェイクニュースなどの有害情報の温床となっている」かのような論調が見受けられた。
      • 解決手段
        • オープンチャット 安心・安全ガイドラインでは、「真偽不明の情報の拡散」を違反行為として禁止しており、デマやフェイクニュースに対する削除等の強化、ユーザへの啓発を積極的に行うこととした。
        • モニタリングでの取り締まりを強化するにあたり、デマやフェイクニュース該当性の判断が非常に困難なため、削除の基準を、(1)健康に深刻な被害をもたらす誤情報、社会的混乱が生じる恐れのある情報の投稿、(2)政府が公式に否定する情報の投稿、およびそのような主張を展開する投稿とした。
        • 新型コロナウイルス感染症に関する情報、投資アドバイスを装った詐欺に関する情報について、公的機関など信頼できる情報源などを掲載したトピックごとの専用注意喚起ページを作成し、公開。
        • 同様の事項について、オープンチャット公式お知らせにおける注意喚起を実施するとともに、フェイクニュースに関するキーワードを抽出し、画面を開いた瞬間に出現するポップアップによりユーザへの注意喚起を実施。
    • 取組事例3:LINE NEWS
      • 課題
        • ウクライナ情勢に関するフェイクニュースや情報戦については、合成写真や別の事案の動画を、今回の侵攻のものと誤認させるSNS投稿がネット上に拡散されていたり、ロシアとウクライナ双方から戦果報告がなされたりし(それぞれに都合の良い内容ではないかとの懸念あり)、ユーザがそれらを鵜呑みにして誤った情報を得てしまうことが懸念された。
        • LINE NEWSでは、信頼できる各種メディアと契約し、情報の正確さ・信頼性、その裏付けとなる取材体制について一定の担保がなされている。しかし、別の媒体で見聞きした情報をもとに不安に駆られたり、誤情報を信じたりしてしまうケースがあり得るため、対策を検討した。
        • ネット上に存在・拡散した情報の一つ一つを検証・裏付け取材していくことは、LINE NEWSの編集部だけでは限界がある
      • 解決手段
        • LINE NEWSにおいて、記事単体ではなく、信頼できる機関やサイトの情報を紹介したり、ファクトチェック活動をしている団体の活動への導線を設けたりすることで、ユーザの判断を助ける取組を行った。その過程で、「信頼できる機関やメディアはどこか、ファクトチェック団体の活動実績や内容が十分か」が課題となったが、中央省庁やNHK等のサイトやファクトチェックサイトを選定した。具体的には、
          • ウクライナ情勢に関する記事に、フェイクニュースや誤情報への注意喚起のコーナーを設置
          • 公的機関や信頼できるサイトを共有
          • ファクトチェック団体の活動を共有
        • LINE NEWSでは、ニュース記事や各種信頼できる情報をまとめており、ウクライナ情報についても日々更新を行っている。その中に「フェイクニュースや誤情報への注意喚起」のブロックを設け、信頼できる情報発信者として選定した公的機関やNHKをはじめとするサイト等を提示している。
    • 取組事例4:LINE NEWS
      • 課題
        • 新型コロナウイルス感染症の流行当初には、「マスクが品薄」などの不安が増幅し、SNSで情報が拡散され、店頭から実際に商品が消えるなど「デマがデマでなくなる状況」になった。
        • 新型コロナウイルス感染症の症状や治療法、ワクチンの副反応・効果などについても、各種の「実体験」をもとにした情報発信や、いわゆる専門家を名乗った者による情報発信が増えたことで、ユーザが「正しい情報」を判断することが難しくなっていた。
        • ユーザの「実体験」については、仮にそれが事実であっても、代表性や普遍性をもって語られてしまうため、「それが誤りである」というアプローチのみでは本質的な解決になり得ない。
        • 「デマ」についても、既に「デマではなく事実」という状況になれば、ただ否定するだけではなく、ユーザが判断できる材料を十分提供することや不安に駆られた際の心理的側面から解決することが必要。
        • NEWSグラフィティのテーマは編集部内で選定できるものの、ベースとなる情報や監修の信頼性確保が課題となった。
        • NEWSグラフィティのコンテンツ作成には、テーマ設定、デザイナーによるデザイン、動画化などの段階を経るため、完成までに一定期間かかってしまうことが課題であった。
        • 用意した啓発コンテンツをユーザにどのように届け切るかという部分も課題となった。
      • 解決手段
        • 解説のもととなる情報については、ウクライナ情勢に関する情報の取組みと同様に、信頼できるサイトの比較検討を行った。その上で、テーマによっては、中央省庁や報道機関、医師に監修を依頼した。
        • 日々最新のニュース記事に接している編集部員が「ユーザの関心を先回り」することで、より機動的な作成体制となるよう対応。
        • 新型コロナウイルス感染症に関する情報のまとめの作成や新型コロナウイルス感染症に関するNEWSグラフィティの配信、LINE NEWS上で最もユーザに見られるニュースタブトップ上への掲載のほか、YouTubeやTwitterなどへの投稿も実施。
        • ユーザの訪問を待っているだけでなく、LINE NEWSの強みであるLINE公式アカウントを通したプッシュ通知や、継続的に新型コロナウイルス感染症に関心があるユーザには都度送信するスマート通知などによって通知する取組みを行い、編集部発の情報伝達の後押しを図った。
  • Google LLC
    • 取組事例1:Innovation Nipponへの支援を通じた実態調査の実施
      • 課題
        • 偽情報・誤情報が世界的に問題になり、日本でも新型コロナウイルスやコロナワクチンに関する誤情報が拡散される中、社会全体における適切な対策を検討する上で、日本における実態調査が必要となった。
        • 偽情報・誤情報の現状を把握し、エビデンスベースの適切な対策の議論に貢献することを目指した。
      • 解決手段
        • 2019年度~2021年度の3年間でのべ15,000名以上(予備調査5万人以上)を対象に調査し、偽情報・誤情報に関する人々の行動を調査分析した。対象とした偽情報・誤情報分野は広範囲で、国内で広く拡散されたコロナワクチンデマも含む。
    • 取組事例2:セーファーインターネット協会への支援を通じた偽情報・誤情報対策の推進
      • 課題
        • 誤情報の拡散は、個人の意思決定を歪め、市民生活に大きな影響を与えるテーマに対して不適切な行動を取ったり、適切な行動を取らなかったりする原因となる。日本社会において、偽情報や誤情報に対して抵抗する能力の強化が急がれる。
      • 解決手段
        • 日本における偽情報・誤情報の流通抑制等のために、一般社団法人セーファーインターネット協会(SIA)に対し、Googleの慈善事業部門であるGoogle.orgが150万米ドルを支援することで、SIAによる以下の活動を支援。
          • ファクトチェック機関の設立(ファクトチェックの実施)
          • 日本の情報空間における偽情報・誤情報の動向(パターンや手法)の分析調査の実施
          • メディアリテラシー研修の実施、人材育成
          • 調査・研究活動、啓発活動、シンポジウムの開催等
    • 取組事例3:MAFINDOへの支援を通じたメディアとデジタルリテラシーの教育推進(インドネシア)
      • 課題
        • 現地の言語による信頼できる情報の不足、リテラシーの不足等がインドネシアにおけるパンデミックの状況を悪化させている。また、新型コロナウイルス感染症が発生したことで、特に講師や学生がパンデミック中に流布するフェイクニュースや誤った情報に対応できるよう、革新的で永続的、そして簡単にアクセスできる教育機会のニーズが急速に高まった。
      • 解決手段
        • Google.orgがMAFINDOのTular Nalarプログラムの立ち上げをサポートし、メディアとデジタルリテラシーの教育を通じて26,000人以上の講師、教員、大学生が偽情報や誤情報に対する耐性を身につけられるよう支援した。
        • Tular Nalar(「常識を広める」)は、デジタルリテラシーを通じて批判的思考を磨くための学習教材の提供に力を入れている。
        • プログラムを効果的に実施するため、カリキュラム、学習方法、ウェブサイトの各設計を周知するにあたって形
        • 成的調査を実施。また、ウェブサイトをより使いやすく、アクセスしやすいものにするために、設計前のテストやUX設計テストも実施。形成的調査の段階で得られた主要な知見をもとに、授業計画とともに、学生との学習プロセスをサポートする際にカギとなる教育者向けの動画8本を制作した。
        • 形成的調査:形成的調査はカリキュラム設計前に実施され、プログラムを効果的に実施し、講師がメディアリテラシーを教える際に直面する問題点を把握し、現在の学生のメディアリテラシーに対するニーズとギャップを見極め、様々なオンラインコースのモデルとeラーニングコンテンツをテストするために活用された。この調査活動には、講師、メディアやデジタルリテラシーの専門家、宗教指導者、市民社会、政府などが参加し、カリキュラムや学習方法、コンテンツなどを開発している。
        • カリキュラム開発:形成的調査から得られた情報、データ、視点は、様々な利用可能な教材にまとめられ、動画やオンライン学習プラットフォームのようにカリキュラム、学習方法、コンテンツに展開される。
        • 講師向けオンライン講座:メディアとデジタルリテラシーに関して利用できる教材について学習する約2.5時間のオンライン研修を実施し、インドネシアの23都市から講師が参加。
        • 学生向けオンライン学習:オンライン研修を受講した講師は、オンライン研修で得た知識を50人以上の学生に教授することが義務付けられている。
        • 教員向けウェビナー:インドネシアの23都市の高校教員(少なくとも3,200人)に対して実施
    • 取組事例4:ニュースおよび情報リテラシーに関するプログラムへの支援(インド)
      • 課題
        • 2016~2019年に、インドでは、ソーシャルメディアプラットフォーム上で配信された情報に扇動された暴徒により、30人以上が死亡した。2020年前半には、新型コロナウイルス感染症にまつわる噂や偽の治療法が中心的な話題となり、誤情報の問題を深刻化させた。
      • 解決手段
        • 拡大する誤情報の脅威に対処するため、Google.orgとGoogle News Initiativeの支援により、2020年、ニュースおよび情報リテラシーに関するプログラム(FactShala India Media literacy Network)を立ち上げた。このプロジェクトは、インドの非都市部や農村部の人々が、オンラインコンテンツを批判的に分析し、オンライン上に溢れる膨大な情報を取捨選択するために必要なスキルを提供する。
        • FactShalaの研修講師が使用するカリキュラムを準備するためのフレームワークの作成にあたっては、事前に、エンドユーザーが情報を評価し、特定のメッセージを信じたり却下したりする際の根拠と、ファクトチェッカーやジャーナリストが情報を検証する際に用いる手法とを比較して得られた調査結果の知見を活用した。
        • このプログラムでは、Tier 2、Tier 3の都市や町で、対象者に合わせたカリキュラムを提供した。
        • インドで用いられている言語が多様であることから、Google独自のTrain-the-Trainerモデルを用いて、少なくとも7つのインドの言語でカリキュラムを提供し克服した。
        • このカリキュラムは、世界およびインドのメディアリテラシー専門家から情報を得て、エビデンスに基づいて設計。この研修は、ジャーナリスト、ファクトチェッカー、メディア関係者、非営利団体職員、コミュニティや市民社会のオピニオンリーダーからなる253人の研修講師によって組織されている。
    • 取組事例5:ASEANデジタルリテラシー プログラム(ADLP)への支援を通じたデジタルリテラシー研修の提供
      • 課題
        • ASEAN諸国の一般市民のメディアリテラシーはまだ比較的低い。インターネットの利用が拡大し続ける中で、ニュース記事や個人情報の要求など、オンライン上で遭遇する情報を理解するための正しい批判的スキルを誰もが身につけることが重要。
      • 解決手段
        • ASEANデジタルリテラシー プログラム(ADLP)は、誤情報や偽情報への対処を目的としており、現地パートナーと協力してデジタルリテラシーの研修を提供する。このプログラムは、強力な啓発キャンペーンとしての要素も備えており、メディアや情報リテラシーの重要性がより多くの人々に理解され、デマやフェイクニュースの拡散を人々が防止できるようになることを目指している。具体的には、
          • 現地パートナーの協力を得たTrain-the-Trainerアプローチで1,150人の研修講師を育成する
          • 研修講師は将来、十分な教育を受けていない10万5,000人の学習者に研修を行う
          • 研修講師や学習者に対して無料の研修コンテンツをオンラインでも提供する
          • ASEAN Youth Advisory Groupの設立
          • 研究とカリキュラムの開発
  • Meta Platforms, Inc.
    • 取組事例1:一般的な考え方及び対応策
      • 課題
        • 過度な暴力描写はポリシーでの規定が可能だが、Misinformationは定義が困難であり、何かが真実であるか否か、またそれを決定する主体も明らかでなく、包括的な禁止事項を明示することができない。
        • 加えて、コミュニティ規定を施行するためのポリシーを策定しようとする際には、オープンなインターネットを守るため、表現、安全、尊厳、真正性、プライバシーなどの異なる基本的権利間のバランスを取ることが必要。
      • 解決手段
        • misinformationについてカテゴリを設定するとともに、対処法を示したガイダンスを作成し、以下に示す3つの戦略-1.削除、2.抑制、ii3.情報提供-に従って対処を行う。
          1. 「コミュニティ規定」に違反するmisinformation(差し迫った物理的な危害のリスクを直接助長する可能性が高いもの、政治過程の機能の妨害を直接助長する可能性のあるもの、人を欺くよう加工された特定のもの)は削除する。その際、知識と専門性を有する独立した専門家(人権団体や保健機関など)と連携し、コンテンツの真実性や、差し迫った危害のリスクを直接助長する可能性が高いかどうかを評価する。
          2. 「コミュニティ規定」に基づく削除の基準には当たらないものの、プラットフォームの信頼性と完全性を損なうような問題のあるコンテンツ(クリックベイトのような低品質のコンテンツや、第三者のファクトチェック機関によって否定されたコンテンツ)について、表示を抑制する。
          3. misinformationの拡散を防ぐため、ラベル付与、信頼性の高い正確な情報の案内、追加的文脈情報の通知、リテラシー教育の場を提供し、利用者が十分な情報を踏まえた上で意思決定できるよう、情報提供を行う。
    • 取組事例2:影響工作、組織的偽装行為への対策
      • 課題
        • 「影響工作」により、拡散されるコンテンツのほとんどは、明らかに誤った情報ではなく、権威ある者によって広められた場合には政治的な発言として受け入れられる場合もある。こうした工作活動の背後にいる行為者が、その背後にある組織の身元を隠したり、組織やその活動を実際よりも人気があったり信頼できたりするように見せたり、コミュニティ規定の施行を回避しながら、人を欺くような行動をしている。
        • 「disinformation」は、戦略的目標のために公的な議論を操作するための組織的な取組であり、騙すことを意図し、偽装的な行動を伴うものを指すこととする。戦略的目標のために公共の議論を操作したり誤らせたりすることを目的とした組織的な取組を表す「影響工作」(InfluenceOperations)や「組織的偽装行為」(Coordinated Inauthentic Behaviour)を含む。
      • 解決手段
        • 1.介入・妨害の抑止、2.misinformationとの戦い、3.透明性の向上という3つのアプローチで、disinformationに対して取り組むとともに、法執行機関、国家安全保障、調査報道、サイバーセキュリティ、法律、エンジニアリングなどの専門家を集め、不正なアカウントや行動の検出と拡散防止に役立つ大規模なソリューションを構築。
          • 1.介入・妨害の抑止のため、(a)政府、法執行機関、セキュリティ専門家、市民団体、ハイテク企業と知識の共有など協力関係の構築、(b)人材とツールによる調査業務の規模の拡大、(c)組織的偽装行為に係るポリシーの更新の継続を実施。
          • 3.透明性の向上のため、(a)政治的な広告、ページ、投稿の透明性を高めるツールや製品を導入し、利用者が自分たちに影響を与えようとしている主体を把握できるようにするとともに、組織的偽装行為の取組に関する報告書を定期的に発行。(b)組織的偽装行為に係るポリシー(CIBポリシー)において、プラットフォーム上で影響工作ネットワークを探知、特定、削除する方法を示すとともに、アカウントの保全性と実名の使用に係るポリシーに基づき毎日数百万の偽アカウントを削除。プラットフォームを悪用する偽アカウント阻止のため、アカウント作成のブロック、サインアップ時のアカウント削除、既存アカウントの削除措置を実施。
    • 取組事例3:透明性とコントロールにより利用者をエンパワーする試み
      • 課題
        • オンラインの安全性と、misinformationやdisinformationを含む有害なコンテンツに対処する最も効果的な方法は、自ら批判的に決定できるようにするツールとリソースを提供することで、デジタルにレリジエントな社会を構築することと信じている。
        • いかなる状況であれば安全性とセキュリティのリスクをもたらさないかを明らかにすることに努めるとともに、プラットフォームの努力を外部の目にさらすことで説明責任を促進し、Metaが下す決定に対して責任を負うことにつながる。
      • 解決手段
        • 利用者が目にする投稿について追加の文脈や情報を提供し、権威ある情報とつなげることにも重点を置いており、信頼性の高い正確な情報の案内、より多くの文脈の提供、虚偽の主張を繰り返し共有するページへの警告などの様々な措置を実施。
    • 取組事例4:みんなのデジタル教室・デジタルシチズンシップ
      • 課題
        • 人々が情報を批判的に評価し、十分な情報を踏まえた上で意思決定を行い、自ら誤りを正すことができるようなデジタルにレジリエントな(回復力の高い)社会を構築することが必要だと考えており、政府から産業界、市民団体、教育者、市民自身まで、あらゆるステークホルダーを巻き込んだ学際的な戦略が必要であるとともに、デジタルシチズンシップの概念を普及させるためには、資金やインセンティブといった形で、より多くの制度的支援が必要。
      • 解決手段
        • 日本の教育現場のニーズに合った授業を実施するため、企業と連携した授業づくりを専門とするNPO法人とコンテンツを共同制作。
    • 取組事例5:公正な選挙のための取組
      • 課題
        • デジタルプラットフォームがどのように選挙を守るべきか、広く合意された規範や法律がない中、政治広告の不透明性や国内の市民イベントへの外国からの干渉といった問題について対応。
        • 基本的には利用者と広告主に表現の自由を与えるべきだと考える一方、利用者や行動、何らかの結果(選挙など)に影響を与えかねない広告については一定のガイドラインが必要であることも認識。
      • 解決手段
        • 選挙を守るため、重要な期間だけでなく、年間を通じて1.干渉の防止、2.有害コンテンツの削除とmisinformationの削減、3.透明性の向上に取り組んでいる。
        • 透明性の向上として、選挙・政治的な広告主の検証、一般にアクセス可能な選挙・政治的広告に関する情報の格納、ページの透明性の確保、ニュースフィードのランキングのコントロールなどに取り組んでいる。
        • また、選挙または政治に関連する広告の掲載をする個人または団体の真正性と正当性を確認するための認証プロセスを設けている。

~NEW~
総務省 消費者保護ルールの在り方に関する検討会(第53回)
▼ 資料1-2 ダークパターンとはなにか(武蔵野美術大学造形構想学部 教授・株式会社コンセント代表取締役社長 長谷川氏)
  • ダークパターンの種類
    1. 行為の強制(Forced Action)
    2. インターフェース干渉(Interface Interference)
    3. 執拗な繰り返し(Nagging)
    4. 妨害(Obstructing)
    5. こっそり(Sneaking)
    6. 社会的証明(Social Proof)
    7. 緊急性(Urgency)
  • ダークパターンの目的
    • より多く消費させる
      • 企業にとって収益の最大化
    • ユーザーからより多くの情報を引き出す
      • 同意を得た上で情報提供してもらうことが難しくなっているため、ダークパターンを用いてユーザーから情報を引き出す
    • サービスをより中毒性の高いものにする
      • より長くサービスを使ってもらう
  • なにを取り締まるべきか
    • パターン自体への法的対応(CCPA、FTC法)
      • 起こっている現象、行為のパターンを取り締まる
      • (おそらく)イタチごっこになるが、必要
      • 主観的な意図の証明は難しい
    • ユーザーが離れることで企業が改善する
      • 評判によってユーザーからの支持を失うことでの自浄作用
      • ユーザーのリテラシーに依存する:ユーザー教育が必要
    • 外部からの指摘
      • 専門家団体等のホワイトリスト作成
      • 実質的な影響力が課題
  • これからのダークパターン対応
    • 悪意を持った事業者
      • 規制とのイタチごっこ
      • 「膨大な情報に埋もれさせる問題」規制の難しさ
    • 多くの一般事業者
      • まだ認知が至っていない
      • 組織的な取り組みによって改善が見込める
  • まとめ 倫理的なデザインへの向き合い方
    • ダークパターン:ユーザーにお金を使わせ、個人情報を抜き取り、サービスにハマらせるために用いられる
      • EC以前からの商慣習に行動経済学の知見が加わり、グロースハックで加速した
      • これからの社会において、ますます広まっていく可能性がある
    • 「個々のデザイナの倫理観」と「システムとして防ぐ視点」が求められる
    • 「倫理的なデザイン」のためには、「ビジネス全体の意思決定として倫理的であること」が求められる観点を持つ必要がある
▼ 資料1-3 ナッジとダークパターンの小考察(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任准教授 クロサカ構成員)
  • ナッジだけでは効果が得られにくい?
    • 省エネ型の冷蔵庫・テレビ・エアコンという高額家電の消費をナッジが促進するかを検証した実験では、ナッジを適用したバナー広告やウェブサイト(ランディングページ)の効果が低いのではないか
    • 電力消費のピークシフトへの協力を求める際に、ナッジは最初は効果があるものの、その後は人々が慣れてしまい効果が低下する(持続的な行動変容には効かない)のではないか
    • ナッジを認知・啓蒙に用いながら、喚起された意識を行動・定着に結びつける「インセンティブ」との組合せが必要ではないか
  • 考察:ナッジとインセンティブの組合せの効果と課題
    • ナッジ単独のアプローチは「広告的」、ナッジとインセンティブを組み合わせたアプローチは「販売促進的」と言えるのではないか
    • 後者の方が消費者を識別したアプローチになるため、強い効果がある一方、リスクも生じやすいのではないか
    • ナッジ単独のアプローチ
      • 現在の料金プラン、利用実態(データ量、通話料)を示す
      • 他の(よりお得な)プランと比較できるようにする
      • 各消費者を区別しない広告的アプローチが働きやすく、広く認識されやすい
      • 誘導の効果が個別化されておらず抑制的なため、不利益変更が発生しにくい
      • 比較の理解に一定の関心や説明内容に対するリテラシーが消費者側に必要
      • 直接的な効果があまり期待できない可能性がある
    • ナッジとインセンティブを組み合わせたアプローチ
      • 現在の料金プラン、利用実態(データ量、通話料)を示す
      • 他の(よりお得な)プランと比較できるようにする
      • プラン移行のインセンティブを明確に提示する
      • 各消費者を識別した販売促進的アプローチが働きやすく、消費者自身が移行のメリットが理解しやすい
      • 誘導が相対的に強力で説得力がある
      • 消費者の識別やそれによるインセンティブが強く効き過ぎると、不利益変更への誘導が生じるリスクがある
      • 結果としてダークパターンに陥る可能性がある
  • 消費者がよりよい契約に適正に移行するためのインプリケーション
    • ナッジから分かること
      • 不満なくサービスを受けている間は、消費者が自分が契約をどのように履行しているのか、ほとんど自覚しない
      • しかしながら、そうした状態を認識してもらうためのナッジでは、認識や行動変容のレベルが上がらない
      • 契約後(1年程度経過時)や端末サポートが切れる等、消費者が「契約」を意識するタイミングでのナッジが重要
      • 前項のようなタイミングに、インセンティブを伴ったナッジを適正に行うことで、契約に係る行動変容を促す可能性がある
    • 回線契約の現実
      • 契約を見直すタイミングはたまにしか訪れない
      • 契約作業自体はライフサイクルの中ではほんの一瞬である
    • まずできることは何か
      • 契約時のナッジの提供:火災保険や自動車損害保険の契約時の申込書のように「インセンティブも含めて消費者が直感的に理解できる契約プランの比較」があってもいいのではないか
      • ただし広告的アプローチ、販売促進的アプローチのいずれも、ダークパターンへの留意が必要

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