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  • 令和5年における組織犯罪の情勢(警察庁)/SNS型投資・ロマンス詐欺の被害状況(警察庁)/デジタル空間における情報流通の健全性に関する基本理念(総務省)

危機管理トピックス

令和5年における組織犯罪の情勢(警察庁)/SNS型投資・ロマンス詐欺の被害状況(警察庁)/デジタル空間における情報流通の健全性に関する基本理念(総務省)

2024.03.25
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更新日:2024年3月25日 新着28記事

危機管理トピックス

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

警察庁
  • 令和5年における組織犯罪の情勢
  • 令和5年中のSNS型投資・ロマンス詐欺の被害発生状況等について
  • キャッシュレス社会の安全・安心の確保に関する検討会
  • 犯罪統計資料(令和6年1~2月分)
  • オウム真理教の危険性
内閣官房
  • 全世代型社会保障構築会議(第17回)議事次第
  • 指定行政機関の国民の保護に関する計画の変更について
内閣府
  • 第426回 消費者委員会本会議
  • 月例経済報告(月次)
  • 「社会意識に関する世論調査」の概要
国民生活センター
  • リーフレット「くらしの危険」【No.378】道路交通法の基準に適合しない電動アシスト自転車
  • 学生に広がる投資やもうけ話に注意
厚生労働省
  • 第6回外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会 資料
  • 労働災害発生状況
  • 第191回労働政策審議会労働条件分科会(資料)
経済産業省
  • 令和5年度「なでしこ銘柄」「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」を選定しました
  • 防衛装備の海外移転の許可の状況に関する年次報告書を取りまとめました
  • 「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令」が閣議決定されました
  • DXセレクション2024を公表しました!
総務省
  • デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会(第13回)配付資料 ※ワーキンググループ(第9回)合同開催
  • デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会 ワーキンググループ(第8回)配付資料
  • 利用者情報に関するワーキンググループ(第2回)
国土交通省
  • 「流域治水」ロゴマークを決定しました~ 流域のみんなが水害対策を取り組むきっかけに~
  • 日本全国の道路異状の通報がLINEアプリから可能となります~全国の道路を対象にLINEによる道路緊急ダイヤル(#9910)の運用を開始します~
  • 新たなトラックの標準的運賃を告示しました~運賃水準を8%引き上げるとともに、荷役の対価等を新たに加算~
  • まるっと減らそう、再配達!!~4月は「再配達削減PR月間」!受け取りは1回で!~

~NEW~
復興庁 第39回復興推進会議[令和6年3月19日]
▼ 資料1ー1 「第2期復興・創生期間」以降における東日本大震災からの復興の基本方針の変更について(案)(概要)
  • 現行の基本方針は、令和3年度から令和7年度までを第2期復興・創生期間と位置づけ、この期間の取組の方針等を定めるもの。
  • 上記基本方針において、「復興施策の進捗状況、原子力災害被災地域からの復興の状況を踏まえ、3年後を目途に必要な見直しを行うものとする。」とされていることから、今般、必要な見直しを行う。
  • 基本的な考え方
    • 現行の基本方針における整理
      • 地震・津波被災地域:第2期復興・創生期間に復興事業がその役割を全うすることを目指す
      • 原子力災害被災地域:(令和3年度からの)当面10年間、本格的な復興・再生に向けた取組を行う
      • 今回の見直しでは、第2期復興・創生期間の開始後に大きな進展のあった復興施策の状況や、自治体の状況等を踏まえて、令和7年度までの第2期復興・創生期間内での復興を見据えた修正を行う。
  • 主な見直し事項
    • 廃炉・ALPS処理水の放出関係
      • 廃炉の必要性、対策の進捗状況、放射線データ等について、迅速、的確かつ分かりやすい情報発信を行う旨を記載。
      • 燃料デブリ取り出しは世界にも前例のない困難な作業であり、国・東京電力・原賠廃炉機構が一体となり内外の技術的知見を集めた集中的な検討が必要である旨を追記。
      • 放出後の万全の安全性確保,モニタリングの適切な実施,科学的根拠に基づく透明性の高い情報の国内外への発信に政府全体で取り組む旨を追記。
      • 「水産業を守る」政策パッケージ(令和5年9月4日)も踏まえて風評対策、なりわい継続のための支援等に取り組む旨を追記。
      • ALPS処理水の海洋放出は長期間にわたることが見込まれるものであり、東京電力に緊張感をもった対応を求めていく旨を追記。
    • 「特定帰還居住区域」制度の創設関係
      • 令和5年6月に福島特措法を改正し「特定帰還居住区域」制度を創設したこと、また、同制度のもと、これまで4町の特定帰還居住区域復興再生計画を認定しており、これに基づき除染やインフラ整備等の避難指示解除に向けた取組を進めていく旨を追記。
      • 避難指示解除の時期等について、必要に応じ、除染等が進捗した地域から段階的に避難指示を解除することも検討する旨を追記。
      • それぞれの土地の状況や地元自治体の意向も踏まえ、帰還困難区域において、物理的な防護措置を実施しない立入規制の緩和を行うことを含め、住民等の今後の活動の在り方について検討を行う旨を追記。
    • 除去土壌等の最終処分・再生利用関係
      • 取組の安全性について、全国に向けた理解醸成活動を推進し、国民の理解・信頼の醸成につなげる旨を記載。
      • 除去土壌等の県外最終処分に向け、除去土壌の再生利用先の創出等のための政府一体となった体制整備に向けた取組を進める旨を追記。
    • 福島国際研究教育機構関係
      • 福島イノベーション・コースト構想を更に発展させ、福島をはじめ東北の復興を実現するための夢や希望となるものとするとともに、我が国の科学技術力の強化を牽引し、経済成長や国民生活の向上に貢献する、世界に冠たる「創造的復興の中核拠点」を目指してF-REIを設立。
      • 研究開発や産業化、人材育成等の取組を推進するとともに、機構の当初の施設について復興庁設置期間内での順次供用開始を目指し、早期に建設工事に着手するなど、さらに可能な限り前倒しに努める旨を追記。
      • 国内外への情報発信や広報活動などを積極的に行うとともに、自治体や関係機関等との広域連携を進める旨を追記。
    • 東日本大震災の記憶と教訓関係
      • 「復興の教訓・ノウハウ集」の海外を含めた普及・啓発、「復興政策10年間の振り返り」の関係者等への普及・啓発に努める旨を追記。

~NEW~
消費者庁 「車両用クレベリン」と称する役務の提供事業者10社に対する景品表示法に基づく措置命令について
  • 株式会社デンソー
    • 例えば、令和4年8月18日、同月26日及び令和5年10月18日から令和6年1月31日までの間、自社ウェブサイトに掲載していたリーフレットにおいて、「DENSO 車両用クレベリン 車内空間の除菌・消臭サービス 大幸薬品×DENSO 大幸薬品とデンソーの共同開発によるクレベリン(二酸化塩素ガス)を活用した車内除菌・消臭サービスです。」並びに「定期的な施工でクリーンな車内空間をキープ」、「施工目安 約3ケ月」、「点検整備・車検のタイミングで」、「季節の変わり目に」、「レジャーのあとに」及び「受験シーズンの送迎に」等と表示するなど、別表1「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示媒体」欄記載の表示媒体において、同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、本件役務を利用することで、車室内において約3か月有効な除菌効果等が得られるかのように示す表示をしていた。
  • 株式会社デンソーソリューション
    • 例えば、令和4年8月12日、同月18日及び同月26日に、自社ウェブサイトに掲載していたリーフレットにおいて、「DENSO」及び「除菌・消臭サービスメニュー 大幸薬品×DENSO 車両用クレベリン」並びに「車両用クレベリンの効果」並びに「洗えない車室内、シートを除菌 除菌・ウイルスの作用抑制」、「施工目安約3ヶ月」及び「友達・家族とのわいわいドライブの後に」との記載と共に、車室内の菌・ウイルスを除去するイメージ画像等を表示するなど、別表2「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示媒体」欄記載の表示媒体において、同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、本件役務を利用することで、車室内において約3か月有効な除菌効果等が得られるかのように示す表示をしていた。
  • トヨタカローラ札幌株式会社
    • 令和4年10月31日、令和5年1月30日及び同年4月19日から同年5月23日までの間に、自社ウェブサイトにおいて、例えば、「クルマの除菌・消臭『クレベリン』 大幸薬品×DENSO クルマの除菌 消臭『クレベリン』 二酸化塩素のチカラでウイルスや菌を99%除去!!」並びに「カローラ札幌の『クレベリン』でケアしましょう!!気になる車内をリフレッシュ!!」、「クレベリン(二酸化塩素)がウイルス・菌・悪臭成分を分子レベルで抑制」及び「除菌効果3ヶ月間!!」との記載と共に、クレベリン(二酸化塩素)がウイルス・菌・悪臭成分を分子レベルで抑制するイメージ画像等を、別表3「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、本件役務を利用することで、車室内において約3か月有効な除菌効果等が得られるかのように示す表示をしていた。
  • 埼玉トヨタ自動車株式会社
    • 令和4年11月9日及び令和5年1月30日に、自社ウェブサイトにおいて、「ウィルス対策は出来てますか?!」、「車内除菌・消臭メニュー デンソー クレベリン 車両用」、「車両用クレベリンとは? 大幸薬品とデンソーが共同開発したクレベリン(二酸化塩素ガス)を活用した車内除菌・消臭サービス」、「車両用クレベリン施工前イメージ」、「車両用クレベリン施工イメージ」及び「車両用クレベリン施工後イメージ」との記載と共に、本件役務の施工前、施工中及び施工後の車室内のイメージ画像並びに「クレベリン」及び「除菌・消臭(効果目安 約3か月)」と表示することにより、あたかも、本件役務を利用することで、車室内において約3か月有効な除菌効果等が得られるかのように示す表示をしていた。
  • トヨタモビリティ中京株式会社
    • 例えば、令和5年4月18日から同月25日、同月29日から同年5月16日及び同月24日から同年7月5日までの間、「太平通店スタッフブログ」と称する自社ウェブサイトにおいて、「除菌・消臭サービスメニュー 大幸薬品×DENSO 共同開発 デンソー クレベリン 車両用」並びに「洗えない車室内、シートを除菌 菌・ウイルス除去!」、「除菌効果3ヶ月間」及び「友達・家族とのわいわいドライブの後に」との記載と共に、車室内の菌・ウイルスを除去するイメージ画像並びに「染みついたタバコ臭・ペット臭を消臭」及び「お客さまを乗せる前に」との記載と共に、車室内にタバコ臭・ペット臭が染みついているイメージ画像等を表示するなど、別表5「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示媒体」欄記載の表示媒体において、同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、本件役務を利用することで、車室内において約3か月有効な除菌効果等が得られるかのように示す表示をしていた。
  • ネッツトヨタ高松株式会社
    • 令和4年10月31日、令和5年1月30日、同年4月19日から同年5月17日、同月19日から同月25日及び同月27日から同月28日までの間、自社ウェブサイトにおいて、例えば、「洗えない車内・シートを除菌」、「菌・ウイルス除去!」、「除菌効果3ヶ月間」及び「友達・家族とのわいわいドライブの後に」との記載と共に、車室内の菌・ウイルスを除去するイメージ画像並びに「染みついたタバコ臭・ペット臭を消臭」及び「お客さまを乗せる前に」との記載と共に、車室内にタバコ臭・ペット臭が染みついているイメージ画像等を、別表6「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、本件役務を利用することで、車室内において約3か月有効な除菌効果等が得られるかのように示す表示をしていた。
  • 東海マツダ販売株式会社
    • 令和4年12月20日及び令和5年1月30日に、自社ウェブサイトにおいて、例えば、「車両用クレベリン」及び「洗いたくても洗えない車内を除菌・消臭。『様々なウイルス・菌・ニオイを除去出来る』二酸化塩素の働きで、車室内をリフレッシュ。」並びに「クレベリンの効果 効果継続(目安):約3ヶ月」等と、別表7「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、本件役務を利用することで、車室内において約3か月有効な除菌効果等が得られるかのように示す表示をしていた。
  • 株式会社神戸マツダ
    • 令和4年12月20日、令和5年1月30日、同年4月12日及び同月19日から同年5月11日までの間、自社ウェブサイトにおいて、「車内除菌消臭」及び「悪臭物質や菌・ウイルスを破壊して快適な空間に」並びに「クレベリン」、「クレベリンは、(株)デンソーと(株)大幸薬品が共同開発した、二酸化塩素の働きによりウィルスの作用抑制・除菌・消臭ができる“衛生管理製品”です。施工後、効果は約3か月持続します。(目安です、使用環境により異なります)」、「〇洗えない車室内、シートを除菌」及び「〇染みついたタバコ臭・ペット臭を消臭」との記載と共に、クレベリン発生機の画像を表示することにより、あたかも、本件役務を利用することで、車室内において約3か月有効な除菌効果等が得られるかのように示す表示をしていた。
  • 株式会社広島マツダ
    • 令和4年10月31日、同年12月20日、令和5年1月30日及び同年5月16日から同月29日までの間、自社ウェブサイトにおいて、例えば、「車両用クレベリンとは…」、「クレベリンは、『様々なウイルス・菌・ニオイを除去出来る』という二酸化塩素の動きに着目し、ウイルスの作用抑制・除菌・消臭が出来る”衛生管理製品”です。」及び「マツダ純正 車内除菌サービスは、車両用クレベリンを使用し洗いたくても洗えない車内を除菌します。」並びに「車両用クレベリンの効果」及び「効果持続(目安):約3ヶ月」等と、別表9「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、本件役務を利用することで、車室内において約3か月有効な除菌効果等が得られるかのように示す表示をしていた。
  • 株式会社西四国マツダ
    • 令和4年12月20日、令和5年1月30日、同年4月12日及び同月19日から同年7月20日までの間、自社ウェブサイトにおいて、「クレベリン車内除菌」、「丸洗いできない車内、シートを除菌・消臭してみませんか?」及び「効果 約3ヵ月」と表示することにより、あたかも、本件役務を利用することで、車室内において約3か月有効な除菌効果等が得られるかのように示す表示をしていた。
  • 実際
    • 前記の表示について、消費者庁は、景品表示法第7条第2項の規定に基づき、10社に対し、それぞれ、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、10社から資料が提出された。しかし、当該資料はいずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。
  • 命令の概要
    • 前記の表示は、それぞれ、本件役務の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
    • 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
    • 今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、前記の表示と同様の表示を行わないこと。

~NEW~
警察庁 令和5年における組織犯罪の情勢
  • 暴力団構成員及び準構成員等(以下、この項において「暴力団構成員等」という。)の数は、平成17年以降減少し、令和5年末現在で2万400人となっている。このうち、暴力団構成員の数は1万400人、準構成員等の数は1万人となっている。また、主要団体等注2(六代目山口組、神戸山口組、絆會及び池田組並びに住吉会及び稲川会。以下同じ。)の暴力団構成員等の数は1万4,500人(全暴力団構成員等の71.1%)となっており、このうち暴力団構成員の数は7,700人(全暴力団構成員の74.0%)となっている
  • 匿名・流動型犯罪グループは、特殊詐欺をはじめ、組織的な強盗や窃盗、違法な風俗店、性風俗店、違法カジノ、違法なスカウト、ぼったくり、悪質リフォーム等に関わり、その収益を有力な資金源としている実態がうかがわれる。匿名・流動型犯罪グループの代表的な資金源となっている特殊詐欺や組織的強盗・窃盗等を敢行するに当たっては、SNS等を利用し、仕事の内容を明らかにせずに著しく高額な報酬の支払いを示唆するなどして、犯罪の実行犯を募集している実態が確認されている。また、募集に応募してきた者の個人情報を入手し、場合によってはその個人情報を基に応募者を脅迫するなどして、実行犯として犯行に加担させているだけでなく、実行犯に約束した報酬を支払わない事例が確認されている。特殊詐欺・強盗等の事件は、広域的に実行される上、首謀者や指示役が国外に所在するケースも珍しくなく、これら上位被疑者に捜査が及ばないよう、遠方から秘匿性の高い通信アプリを使用して実行犯に指示をするなどの特徴がみられる。匿名・流動型犯罪グループの中には、資金の一部を暴力団に上納するなど、暴力団と関係を持つ実態も認められるほか、暴力団構成員が匿名・流動型犯罪グループと共謀して犯罪を行っている事例もあることから、暴力団と匿名・流動型犯罪グループとの結節点の役割を果たす者が存在するとみられる。
  • 近年、暴力団構成員等(暴力団構成員及び準構成員その他の周辺者をいう。以下同じ。)の検挙人員は減少傾向にあり、令和5年においては、9,610人(-293人、-3.0%)である。主な罪種別では、覚醒剤取締法違反(麻薬特例法違反は含まない。以下同じ。)が1,912人(-229人、-10.7%)、詐欺が1,332人(-92人、-6.5%)、脅迫が289人(-81人、-21.9%)、暴行が527人(-75人、-12.5%)で、前年に比べそれぞれ減少した一方、強盗が237人(+91人、+62.3%)、大麻取締法違反が705人(+86人、+13.9%)、傷害が1,186人(+44人、+3.9%)、窃盗が889人(+42人、+5.0%)で、前年に比べそれぞれ増加している。暴力団構成員等の検挙人員のうち、構成員は1,974人(-155人、-7.3%)、準構成員その他の周辺者は7,636人(-138人、-1.8%)で、前年に比べいずれも減少している
  • 近年、暴力団構成員等の検挙人員のうち、主要団体等の暴力団構成員等が占める割合は約8割で推移しており、令和5年においても、7,773人で80.9%を占めている。なかでも、六代目山口組の暴力団構成員等の検挙人員は4,085人と、暴力団構成員等の検挙人員の約4割を占めている
  • 六代目山口組は平成27年8月末の分裂後も引き続き最大の暴力団であり、その弱体化を図るため、六代目山口組を事実上支配している弘道会及びその傘下組織に対する集中した取締りを行っている。令和5年においては、六代目山口組直系組長等7人、弘道会直系組長等11人、弘道会直系組織幹部(弘道会直系組長等を除く。)20人を検挙している
  • 暴力団構成員等の検挙状況を主要罪種別にみると、暴力団構成員等の総検挙人員に占める詐欺の割合は、過去10年にわたり10%前後で推移している。令和5年においては、13.9%と高い割合であり、詐欺による資金獲得活動が定着化している状況がうかがえる。特に、近年、暴力団構成員等が主導的な立場で特殊詐欺に深く関与し、有力な資金源の一つとしている実態が認められる。その他、金融業、建設業、労働者派遣事業、風俗営業等に関連する資金獲得犯罪が行われており、依然として多種多様な資金獲得活動を行っていることがうかがえる。
  • 令和5年における暴力団構成員等に係る組織的犯罪処罰法のマネー・ローンダリング関係の規定の適用状況については、犯罪収益等隠匿について規定した同法第10条違反の事件数が39件、犯罪収益等収受について規定した同法第11条違反の事件数が15件である。また、同法第23条に規定する起訴前の没収保全命令の適用事件数は19件である
  • 平成23年10月までに全ての都道府県において暴力団排除条例が施行されており、各都道府県は、条例の効果的な運用を行っている。なお、市町村における条例については、令和5年末までに46都道府県内の全市町村で制定されている。各都道府県においては、条例に基づいた勧告等を実施している。令和5年における実施件数は、勧告46件、指導1件、中止命令7件、再発防止命令5件、検挙20件となっている。
  • 警察においては、都道府県暴力追放運動推進センター(以下「都道府県センター」という。)、弁護士会民事介入暴力対策委員会(以下「民暴委員会」という。)等と連携し、暴力団員等が行う違法・不当な行為の被害者等が提起する損害賠償請求等に対して必要な支援を行っている。暴力団対策法第31条の2(威力利用資金獲得行為に係る代表者等の損害賠償責任)の規定に基づく損害賠償請求訴訟(平成3年9月からの累計。警察庁に報告があったもの。)については、令和5年末現在で65件提起されており、このうち、係争中が20件、和解等による解決が45件となっている。また、上記損害賠償請求訴訟のうち、特殊詐欺に関するものは20件提起されており、このうち係争中が6件、和解等による解決が14件となっている。
  • 令和5年中、警察及び都道府県センターに寄せられた、暴力団からの離脱に関する相談(暴力団構成員のほか、その家族及び知人等からの相談を含む。)の受理件数は464件(就労に関する相談及び脱退妨害に関する相談等を含む。)となっている。令和5年中、警察及び都道府県センターが援助の措置等を行うことにより暴力団から離脱することができた暴力団員は約310人となっている。令和5年末現在、警察、都道府県センター、関係機関・団体等から構成される社会復帰対策協議会に登録し、暴力団離脱者を雇用する意志を有する事業者(以下「協賛企業」という。)数は1,613社で、令和5年中、同協議会を通じて就労した者は26人となっている。また、令和4年2月に、警察庁において策定した暴力団から離脱した者の預貯金口座の開設に向けた支援策により口座開設に至った件数は、同月から同年12月末までに7件で、令和5年中は8件となっている。
  • 令和5年における薬物情勢の特徴としては、以下のことが挙げられる。
    • 薬物事犯の検挙人員は、近年横ばいで推移し、令和4年に減少傾向がみられたところ、令和5年は1万3,330人(前年比+1,188人、+9.8%)と前年より増加した。このうち、覚醒剤事犯の検挙人員は5,914人(同-210人、-3.4%)と前年よりやや減少し、第三次覚醒剤乱用期のピークであった平成9年の1万9,722人から長期的に減少傾向にある。大麻事犯の検挙人員は、平成26年以降増加傾向が続いていたところ、令和5年は6,482人(同+1,140人、+21.3%)と過去最多となるとともに、統計を取り始めて以降、初めて大麻事犯の検挙人員が覚醒剤事犯の検挙人員を上回った。
    • 営利犯検挙人員は、近年横ばいが続く中、1,301人(同+273人、+26.6%)と前年より増加した。このうち、暴力団構成員等によるものは349人(同+43人、+14.1%)とやや増加し、外国人によるものは338人(同+112人、+49.6%)と大幅に増加した。覚醒剤事犯の営利犯検挙人員は603人(同+153人、+34.0%)と前年より増加し、このうち、暴力団構成員等は220人(同+29人、+15.2%)と増加し3割以上を占めているほか、外国人も170人(同+73人、+75.3%)と前年より増加した。また、大麻事犯の営利犯検挙人員は、近年増加傾向がみられるところ、550人(同+114人、+26.1%)と前年より増加した。このうち、暴力団構成員等は112人(同+7人、+6.7%)とやや増加し、外国人は71人(同+31人、+77.5%)と増加した。
    • 薬物別総押収量は、覚醒剤が1,342.9キログラム(同+1,053.9キログラム、+364.7%)、乾燥大麻は784.5キログラム(同+494.9キログラム、+170.9%)といずれも前年より大幅に増加した一方、大麻濃縮物が35.7キログラム(同-38.3キログラム、-51.8%)と前年より大幅に減少した。
    • 以上のとおり、営利目的の覚醒剤事犯に占める暴力団構成員等の割合が高水準で推移していることや、外国人が営利目的で敢行した薬物事犯が大幅に増加している現状から、依然として、その背後にある暴力団や外国人犯罪組織等と薬物事犯との深い関与がうかがわれるところ、引き続き、密輸入・密売関連事犯等の営利犯の検挙による薬物供給網の遮断に取り組むこととしている。また、大麻事犯の検挙人員は過去最多を記録するなど、大麻の乱用拡大が顕著であることから、引き続き、厳正な取締りに加え、特に若年層による乱用防止を主な目的として、インターネット上での違法情報の排除や広報啓発活動を推進することとしている。
  • 覚醒剤事犯の検挙人員は5,914人と前年より減少した。同検挙人員は、第三次覚醒剤乱用期のピークであった平成9年の1万9,722人から長期的に減少傾向にあり、平成30年以降連続して1万人を下回っている。なお、同検挙人員のうち、暴力団構成員等は1,947人(構成比率32.9%)、外国人は521人(同8.8%)となっている。人口10万人当たりの年齢層別検挙人員は、20歳未満が1.6人、20歳代が6.5人、30歳代が9.3人、40歳代が10.4人、50歳代が7.6人、60歳以上が1.8人であり、最多は40歳代で、次いで30歳代となっている
  • 大麻事犯の検挙人員は、平成26年以降増加傾向が続いていたところ、令和5年は6,482人と過去最多であった。大麻の種類別の検挙人員は、乾燥大麻に関する検挙人員は5,070人(構成比率78.2%)、大麻濃縮物に関する検挙人員は665人(同10.3%)といずれも前年より増加した。また、大麻事犯の検挙人員のうち、暴力団構成員等は729人(同11.2%)、外国人は447人(同6.9%)となっている。人口10万人当たりの年齢層別検挙人員でみると、前年と比較して、20歳代以下の年齢層では大幅に増加、30歳代と40歳代が微増、50歳代以上の年齢層ではおおむね横ばいで推移した。最多は、前年に引き続き20歳代で、次いで20歳未満、30歳代となっており、これらの年齢層で同検挙人員の88.6%を占めている
  • 危険ドラッグ事犯の検挙状況は、平成27年のピーク以降、検挙事件数及び検挙人員の減少傾向が続いていたが、令和4年に増加に転じ、令和5年は375事件、424人とそれぞれ前年より大幅に増加した。適用法令別では、指定薬物に係る医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「医薬品医療機器法」という。)違反、麻薬及び向精神薬取締法違反のいずれもが大幅に増加した。危険ドラッグ事犯のうち、暴力団構成員等によるものは9事件9人、外国人によるものは41事件46人、少年によるものは32事件38人となっている。危険ドラッグ事犯のうち、危険ドラッグ乱用者の検挙人員は395人(構成比率93.2%)となっている。危険ドラッグ乱用者の年齢層別検挙人員は、20歳代以下が6割以上を占めている。また、年齢層別の構成比率を前年と比較すると、20歳未満の占める割合が増加、20歳代及び40歳代の占める割合が微増、30歳代及び50歳以上の占める割合は減少している。危険ドラッグ乱用者のうち、薬物犯罪の初犯者が318人(構成比率80.5%)、薬物犯罪の再犯者が77人(同19.5%)となっている。危険ドラッグの入手先別では、最多は密売人76人(構成比率19.2%)となっている。危険ドラッグ密輸入事犯の検挙状況は46事件、51人と前年からおおむね横ばいであった。仕出国地域別では、最多は台湾9事件、ベトナム9事件、次いでスロバキア6事件、アメリカ4事件となっている。
  • 薬物別の押収量は、覚醒剤が1,342.9キログラム、乾燥大麻が784.5キログラムとそれぞれ前年より大幅に増加した一方、大麻濃縮物は35.7キログラム、大麻樹脂は1.0キログラムとそれぞれ大きく減少した。また、主な麻薬では、MDMAが16万9,374錠、コカインが53.4キログラムとそれぞれ前年より大幅に増加した
  • 覚醒剤事犯の検挙人員の32.9%(1,947人)を暴力団構成員等が占めている。組織別では、六代目山口組、神戸山口組、絆會、池田組、住吉会及び稲川会の主要団体等で、覚醒剤事犯に係る暴力団構成員等の全検挙人員の77.7%を占めている。大麻事犯の検挙人員の11.2%(729人)を暴力団構成員等が占めている。組織別では、六代目山口組、神戸山口組、絆會、池田組、住吉会及び稲川会の主要団体等で、大麻事犯に係る暴力団構成員等の全検挙人員の77.9%を占めている。
  • 全薬物事犯の営利犯検挙人員(1,301人)のうち、外国人は338人(構成比率26.0%)を占めている。国籍・地域別では、最多はベトナム111人、次いで中国26人、メキシコ19人、アメリカ16人、ブラジル15人、カナダ13人、香港12人となっており、最多のベトナムが、外国人の全営利犯検挙人員の32.8%を占めている
  • 大麻乱用者の実態
    • 対象者が初めて大麻を使用した年齢は、20歳未満が52.5%、20歳代が35.1%と、30歳未満で9割近くを占める(最低年齢は11歳(1人))。初回使用年齢層の構成比を平成29年と比較すると、20歳未満が36.4%から52.5%に増加しており、若年層の中でも特に20歳未満での乱用拡大が懸念される。
    • 大麻を初めて使用した経緯は、「誘われて」が最多であり、20歳未満が79.1%、20歳代が70.2%と、特に若年層において誘われて使用する割合が高い。使用した動機については、いずれの年齢層でも「好奇心・興味本位」が最多で、特に30歳未満では約6割を占めるなど顕著である。また、同年齢層では、次いで「その場の雰囲気」が多く、比較的多い「クラブ・音楽イベント等の高揚感」、「パーティー感覚」と合わせてみると、若年層では、身近な環境に影響を受け、短絡的かつ享楽的に大麻に手を出す傾向がうかがわれる。30歳代及び40歳代の壮年層では、「ストレス発散・現実逃避」や「多幸感・陶酔効果を求めて」といった、薬理効果を求める動機が比較的多数を占めた。
    • 検挙事実となった大麻の入手先(譲渡人)を知った方法は、30歳未満で「インターネット経由」が3分の1以上を占め、その9割以上がSNSを利用していた。「インターネット以外の方法」では、全ての年齢層で「友人・知人」から直接大麻を入手しているケースが半数程度に上り、30歳未満では半数を超える。
    • 大麻に対する危険(有害)性の認識は、「なし(全くない・あまりない。)」が76.4%(前年比3.1ポイント低下)で、覚醒剤に対する危険(有害)性の認識と比較すると、昨年に引き続き著しく低い。また、大麻に対する危険(有害)性を軽視する情報の入手先については、引き続き、「友人・知人」、「インターネット」が多く、年齢層が低いほど「インターネット」の占める割合が高い傾向にある。
    • 大麻の使用を阻害し得る要因について、「警察に捕まるまでやめられなかった」との回答が全体の約半数(49.3%)で、いずれの年齢層においても最多を占めている。また、「配偶者以外の親族からの忠告・助言等」、「友人・知人からの忠告・助言等」及び「その他の者からの忠告・助言等」との回答が占める割合は、年齢層が低いほど高い傾向にある。
    • 大麻乱用者が感じている大麻の魅力は、いずれの年齢層においても「精神的効果」(リラックス効果・多幸感・陶酔感等)が最多となっており、全体の7割以上を占めている。一方で、20歳代以下の若年層においては、「かっこいい」との回答が比較的多く、20歳未満では約1割を占める。
    • 今回の実態調査では、大麻を使用し始めた経緯や動機、入手先、危険(有害)性に関する誤った認識の形成等多くの面で、前年に引き続き、若年層(30歳未満)の大麻乱用者の多くが身近な環境に影響されている実態が改めて裏付けられた。
    • また、大麻に対する危険(有害)性の認識を有さない者の割合が前年(79.5%)から僅かに低下したものの、依然として全体の8割近くを占めている実態も明らかとなった。
    • 一方で、20歳未満の年齢層において、大麻の使用を阻害し得る要因に関して、「配偶者以外の親族からの忠告・助言等」、「友人・知人からの忠告・助言等」及び「その他の者からの忠告・助言等」の占める割合が他の年齢層より高いことや、同年齢層において、感じている大麻の魅力について、「かっこいい」の占める割合が顕著に高いことなどから、少年等若年層と関係性を有する人物を含む周辺環境に着目した広報啓発活動等の重要性が再確認されるとともに、その有効性を示唆する実態がうかがわれた。
    • 引き続き、少年等若年層の周辺環境を健全化させるための総合的な施策が求められるとともに、大麻の供給源となる組織的な栽培・密売を厳正に取り締まり、SNSにおける違法情報の排除や大麻の危険(有害)性を正しく認識できるような広報啓発等を推進することが重要である。
  • 薬物密売関連事犯の検挙件数1,062件のうち暴力団構成員等によるもの(主たる被疑者が暴力団構成員等のもの)は343件(構成比率32.3%)となっており、同事犯の3割強は暴力団構成員等が関与している。また、薬物密売事犯の検挙人員のうち暴力団構成員等が267人(同34.8%)を占めており、同事犯で検挙された3人に1人以上が暴力団構成員等である。なお、覚醒剤密売事犯の検挙人員に占める暴力団構成員等の構成比率は50.8%と前年よりやや減少するも過半数を占めており、依然として、覚醒剤密売に係る犯罪収益が暴力団の資金源となっている実態がうかがわれる。主要団体等の組織別でみると、六代目山口組、神戸山口組、住吉会及び稲川会の4団体で、同事犯に係る暴力団構成員等の全検挙人員の71.0%を占めている。また、暴力団構成員等による大麻の密売関連事犯の検挙人員は、近年横ばいが続く中、86人(構成比率22.1%)と前年より増加した。
  • 薬物密売関連事犯の検挙件数1,062件のうち外国人によるもの(主たる被疑者が外国人のもの)は75件(構成比率7.1%)となっている。検挙人員でみると、同事犯の検挙人員(767人)のうち外国人が50人(構成比率6.5%)を占めている。また、外国人による覚醒剤密売関連事犯の検挙人員は22人(構成比率6.6%)、大麻密売関連事犯の検挙人員は17人(同4.4%)と、いずれも前年から横ばいであった。なお、麻薬及び向精神薬密売関連事犯の検挙人員は11人と前年と同数であったが、構成比率は24.4%と他の薬物と比べて高くなっている
  • 覚醒剤の密輸入事犯の検挙件数は200件と前年より大幅に増加した。検挙人員については、暴力団構成員等及び外国人はいずれも増加した。態様別では、国際宅配便利用の占める割合が前年より大幅に低くなった一方、航空機利用による携帯密輸入の占める割合は大幅に高くなっている。こうした状況の背景には、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い実施されていた入国制限の解除が影響したものと推認される。また、国内における根強い覚醒剤需要の存在に加え、国際的なネットワークを有する薬物犯罪組織が国内外に存在し、国内における覚醒剤取引を活発化させていることがあると推認される。押収量については、密輸入事犯の検挙件数の大幅な増加に伴い、前年より大幅に増加した。
  • 暴力団構成員等による薬物密輸入事犯の検挙人員は58人と前年よりやや減少した。同検挙人員の薬物別内訳をみると、覚醒剤事犯が51人(構成比率87.9%)、大麻事犯が2人(同3.4%)、麻薬及び向精神薬事犯が5人(同8.6%)と9割近くを覚醒剤事犯が占めており、最近5年間で最も高い割合となっている。組織別では、六代目山口組、神戸山口組、絆會、池田組、住吉会及び稲川会の主要団体等で、覚醒剤密輸入事犯に係る暴力団構成員等の全検挙人員の90.2%を占めている。なお、主要団体等では、最多は稲川会21人(構成比率41.2%)、次いで六代目山口組12人(同23.5%)、住吉会8人(同15.7%)、絆會3人(同5.9%)、神戸山口組2人(同3.9%)となっており、特に稲川会が覚醒剤密輸入事犯に深く関与し、有力な資金源としている状況がうかがえる
  • 令和5年における銃器情勢の特徴としては、以下のことが挙げられる。
    • 銃器発砲事件数は9件と前年と同数で、このうち暴力団構成員等によるとみられるものは3件であった。
    • 拳銃押収丁数は、長期的に減少傾向にあるところ、令和5年は349丁と昨年より増加した。このうち暴力団からの押収丁数は29丁と前年より減少した。
    • 以上のとおり、銃器発砲事件数は横ばいで推移したものの、暴力団による銃器発砲事件が発生したほか、依然として暴力団からの相当数の拳銃押収があるなど、平穏な市民生活に対する重大な脅威となっていることから、暴力団の組織防衛強化による情報収集の困難化や拳銃隠匿方法の巧妙化に適切に対応し、暴力団の組織的管理に係る拳銃の摘発に重点を置いた取締りを強化するとともに、インターネット上に流通する銃器に関する情報の収集に努めるなど、引き続き、関係機関と連携した活動等により総合的な銃器対策を推進していくこととしている。
  • 令和5年中の来日外国人犯罪については
    • 総検挙状況、刑法犯検挙状況、特別法犯検挙状況のいずれをみても、令和4年に比べ、検挙件数・人員共に増加した。
    • 総検挙状況を国籍等別にみると、総検挙件数はベトナムと中国の2か国で全体の約6割を占め、総検挙人員は同2か国で5割以上を占めており、いずれも令和4年に引き続きベトナムが最多となっている。
    • 総検挙人員11,534人の国籍等別の内訳は、ベトナム4,229人(構成比率36.7%)、中国2,008人(同17.4%)、フィリピン637人(同5.5%)、タイ585人(同5.1%)、ブラジル532人(同4.6%)等となっている。
    • 総検挙人員11,534人の在留資格別の内訳は「技能実習」2,692人(構成比率23.3%)、「短期滞在」2,122人(同18.4%)、「定住者」1,396人(同12.1%)、「留学」1,196人(同10.4%)、「技術・人文知識・国際業務」841人(同7.3%)等となっている。
    • 刑法犯の検挙件数・人員が増加した主な要因としては、ベトナム、フィリピン、韓国等による窃盗犯、中国、ベトナム、ブラジル等による粗暴犯が増加したことなどが挙げられる。
    • 特別法犯の検挙件数・人員が増加した主な要因としては、ベトナム、タイ等による入管法違反、ベトナム等による薬物事犯が増加したことなどが挙げられる。
  • 来日外国人で構成される犯罪組織についてみると、出身国や地域別に組織化されているものがある一方で、より巧妙かつ効率的に犯罪を実行するため、犯罪ごとに様々な国籍の構成員が離合集散を繰り返すなど、組織の多国籍化もみられる。このほか、面識のない外国人同士がSNSを通じて連絡を取り合いながら犯行に及んだ例もみられる。また、近年は、海外の指示役からの指示により国内の実行犯が組織的に窃盗(万引き)や詐欺等を敢行し、盗品等を海外に輸出したり、犯罪収益を海外に送金したりする事例が多数認められており、引き続き、国境を越えて敢行されている。
  • 総検挙状況を国籍等別にみると、総検挙、刑法犯、特別法犯のいずれもベトナム及び中国の2か国が高い割合を占めている。なお、令和5年6月末現在、在留外国人数のうち、永住者、永住者の配偶者等及び特別永住者を除いた者(約200万人)の国籍・地域別の割合は、ベトナム24.6%、中国22.1%、フィリピン8.1%、ネパール7.4%、インドネシア5.7%、ブラジル4.5%、韓国3.8%、ミャンマー3.3%、米国2.1%、インド1.8%、タイ1.8%、その他14.7%となっている(出入国在留管理庁統計を基に警察庁が集計)。
  • 総検挙人員を正規滞在・不法滞在別にみると、令和5年は、正規滞在の割合が全体の64.2%、不法滞在の割合が35.8%であった。不法滞在の割合は、令和3年から2年連続で減少していたが、令和5年は、令和4年に比べ増加した。また、総検挙人員の在留資格別の内訳(構成比率)は「技能実習」23.3%、「短期滞在」18.4%、「定住者」12.1%、「留学」10.4%、「技術・人文知識・国際業務」7.3%等となっている
  • 罪種等別の刑法犯検挙件数を国籍等別にみると、強盗及び窃盗は、ベトナム及び中国が高い割合を占めている。窃盗を手口別にみると、侵入窃盗及び万引きはベトナムが高い割合を占め、自動車盗はベトナム及びパキスタンが高い割合を占めている。また、知能犯のうち詐欺については中国及びベトナムが高い割合を占めている
  • 最近の来日外国人犯罪の特徴と手口の傾向
    • ベトナム人の男が海外に滞在するベトナム人の指示により、SNS上で通帳やキャッシュカードの売買を募集し、郵送された通帳等を買い受けた上、日本人の特殊詐欺組織に対し通帳等を売却していた事例。売却された口座は、特殊詐欺組織が詐取金振込先口座に使用していたとみられる。近年、ベトナム人によるSNSを通じた口座売買が多発傾向にあり、売買された口座等は、特殊詐欺を始めとした様々な犯罪で悪用されている。
    • 中国人の指示役から犯行指示や依頼人の人定等データの提供を受け、国内のアパートの一室などにおいて、運転免許証や在留カードを偽造していた事例。偽造身分証の製造役は不法残留者が多く、SNS等を通じて募集される。全国に所在する依頼人(ベトナム人等)に郵送され、偽造した身分証等は、携帯電話機販売代理店において携帯電話機等をだまし取る詐欺等に利用されるほか、不法就労者に対しても供給されるなど各種犯罪に使用されている。
    • カンボジア人の指示役が、SNSで国内の実行犯を募り、複数の実行犯は、車両を使用して太陽光発電施設まで向かった上、見張役と実行役に分かれ、工具等を用いて太陽光発電施設に侵入後、施設内の太陽光発電設備に接続されている銅線ケーブルを切断して、車両に積載し窃取していた事例。窃取した銅線ケーブルは、中国人の故買屋等に売却される。犯行グループはSNS等を通じて集められた不法残留者等で構成され、覚醒剤等の違法薬物を使用した上で犯行に及ぶ事例もある
    • 海外の指示役から国内の実行犯に不正に入手した他人名義のスマートフォン決済用バーコード画面が送付され、コンビニエンスストアにおいてスマートフォンにバーコード画面を表示させて加熱式タバコをだまし取る手口。だまし取った加熱式タバコは、輸出役に郵送された後、海外に輸出され、海外で売却される。
    • 地下銀行グループがSNSで国内の送金依頼人を募り、指定した口座に現金の振込みをさせた後、暗号資産運用グループを通じて暗号資産の運用を行うとともに、海外の銀行口座より送金先口座にネットバンキング等を用いて送金する手口。これまでは、受け取った現金を商品に替えて貿易会社を通じ送金する手口が多く認められたが、近年、暗号資産を用いて送金する手口が増加している。同手口は暗号資産の運用資金獲得を目的としており、送金依頼人から手数料を徴収しない傾向にある。
    • 海外に滞在する指示役が国内の実行役に犯行を指示して、警察に携帯電話機を紛失したとの虚偽の届出をさせるとともに、紛失補償サービスを申請させて代替機をだまし取る手口。実行役はSNS等を通じて集められ、犯行後、だまし取った携帯電話機を故買屋に転売する。近年、同種手口による犯行が全国的に発生しており、この手口のほか、偽造の身分証を用いて携帯電話機をだまし取る手口も多数発生している。
  • ベトナム人の在留者は、在留資格別でみると「技能実習」、「特定技能」及び「技術・人文知識・国際業務」が増加傾向にあり、一部の素行不良者がSNS等を介して犯罪組織を形成するなどしている。ベトナム人による犯罪は、刑法犯では窃盗犯が多数を占める状況が一貫して続いており、手口別では万引きの割合が高い。加えて、近年、知能犯が増加傾向にあり、携帯電話機販売代理店における携帯電話機詐欺事案等の発生も多数認められる。また、特別法犯では入管法違反が多数を占める状況が続いており、「技能実習」等の在留資格を有する者が、在留期間経過後、就労目的で不法に残留し、又は偽造在留カードを入手して正規滞在者を装うなどの事案が多くみられる。
  • 中国人犯罪組織は、地縁、血縁等を利用したり、稼働先の同僚等を誘い込むなどしてグループを形成する場合が多い。また、中国残留邦人の子弟らを中心に構成されるチャイニーズドラゴン等の組織も存在し、首都圏を中心に勢力を拡大させている。また、近年、中国人犯罪組織がSNS等で中国人等の在留者をリクルートし、犯罪の一部を担わせている例も散見され、中国国内の指示役の指示に基づき、リクルートされた中国人等の在留者が偽造在留カードの製造や不正に入手した他人名義のスマートフォン決済サービス情報を用いた詐欺を敢行するなどしている。指示役は中国国内に在留していることから、摘発されても同様の手口で中国人等の在留者をリクルートして犯行を繰り返すなど、高度に組織化されている傾向がみられる。
  • 犯罪インフラとは、犯罪を助長し、又は容易にする基盤のことをいう。来日外国人で構成される犯罪組織が関与する犯罪インフラ事犯には、不法就労助長、偽装結婚、偽装認知、旅券・在留カード等偽造、地下銀行による不正送金等がある。不法就労助長、偽装結婚及び偽装認知は、在留資格の不正取得による不法滞在等の犯罪を助長しており、これを仲介して利益を得るブローカーや暴力団が関与するものがみられるほか、最近では、在留資格の不正取得や不法就労を目的とした難民認定制度の悪用が疑われる例も発生している。偽造された旅券・在留カード等は、身分偽装手段として利用されるほか、不法滞在者等に販売されることもある。地下銀行は、不法滞在者等が犯罪収益等を海外に送金するために利用されている。最近5年間の犯罪インフラ事犯の検挙状況をみると、不法就労助長は、昨今の人手不足を背景とし、就労資格のない外国人を雇い入れるなどの事例が引き続きみられ、令和5年は、令和4年に比べ、検挙件数・人員共に増加した。旅券・在留カード等偽造は、就労可能な在留資格を偽装するためなどに利用されており、令和5年は、令和4年に比べ、検挙件数は減少し、検挙人員は増加した。偽装結婚は、日本国内における継続的な就労等を目的に「日本人の配偶者等」等の在留資格を取得するための不正な手段であり、令和5年は、令和4年に比べ、検挙件数は増加し、検挙人員は減少した。地下銀行は、最近5年間の検挙件数は10件前後で推移している。また、偽装認知は令和3年以降検挙がなく、令和5年も検挙はなかった。

~NEW~
警察庁 令和5年中のSNS型投資・ロマンス詐欺の被害発生状況等について
  • SNS型投資詐欺
    • 相手方が、主としてSNSその他の非対面での欺罔行為により投資を勧め、投資名目で金銭等をだまし取る詐欺(特殊詐欺又はロマンス詐欺に該当するものを除く。)
  • ロマンス詐欺
    • 相手方が、外国人又は海外居住者を名乗り、SNSその他の非対面での連絡手段を用いて被害者と複数回やり取りすることで恋愛感情や親近感を抱かせ、金銭等をだまし取る詐欺(特殊詐欺に該当するものを除く。)
  • 令和5年1月~12月の認知状況
    • SNS型投資詐欺 認知件数 2,271件 被害額 約277.9憶円
    • ロマンス詐欺 認知件数 1,575件 被害額 約177.3億円
    • 合計 認知件数 3,846件 被害額 約455.2憶円
    • SNS型投資詐欺、ロマンス詐欺ともに昨年下半期の増加が顕著
    • 1件あたりの平均被害額は1,000万円超
    • 被害者の念連想は、男性は50歳代から60歳代、女性は40歳代から50歳代が多い
    • SNS型投資詐欺はもちろんロマンス詐欺の多くでも、投資が詐取の名目となっている
  • 今後の対策
    • SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺については、具体的な捜査手法や抑止対策において特殊詐欺と共通する面があることから、特殊詐欺対策及び匿名・流動型犯罪グループ対策と一体的に対策を推進する
    • 警察庁においては、本年4月に新設予定の長官官房参事官(特殊詐欺対策及び匿名・流動型犯罪グループ対策担当)及び組織犯罪対策第二課が中心となって、刑事、組織犯罪対策、生活安全、サイバー等の関係部門による部門横断的な対策を推進する
    • 都道府県警察においては、本部に組織犯罪対策等を担当する参事官級の職員を長とする部門横断的な対策PTを設置するなどの体制構築を行った上で、捜査と抑止を含む総合的対策を一元的かつ強力に推進する
    • なお、令和6年3月5日付けで、都道府県警察に対し、体制構築及び対策強化を指示する通達を発出済み

~NEW~
警察庁 キャッシュレス社会の安全・安心の確保に関する検討会
▼ 報告書 本編
  • 令和5年のクレジットカードの不正利用の被害額は9月時点で401.9億円であり、前年同期比では30.1%増加しており、厳しい情勢にある。また、令和5年のインターネットバンキングに係る不正送金被害は、被害額・被害件数ともに過去最多と言う文言では表現し尽くせないほどの急増をみせている。そして、これら被害の要因の一つとして考えられるのがフィッシングであり、その報告件数も急増している状況にある。
  • これまで警察では、キャッシュレス社会の安全・安心を確保するため、国境を越えて敢行されるフィッシング事案等の捜査、実態解明、国際共同捜査の推進、被害実態・手口等を踏まえた対策の要請、関係機関等と連携した注意喚起の実施等によって、クレジットカードの不正利用や不正送金を実行した犯罪者の検挙、被害の未然防止・拡大防止等を推進してきている。
  • しかし、現下の情勢を踏まえると、官民連携を深化し、例えば、これまでの官民における情報共有スキームの転換や、生成AI等の先端技術の積極的な活用等、更に踏み込んだ先制的な対策を図る段階に来ていることに疑いの余地はない。そして、そうした対策強化の検討に当たっては、キャッシュレス社会のスキームや構造的課題を理解し、被害の具体的な発生状況、各事業者が保有する情報や対策の現状等を把握して、対策を強化するポイントを明確化するなど、様々なステークホルダー間での情報収集・意識共有が重要である。すなわち、警察部内の議論だけではなく、有識者による多様な観点や現場での経験からの議論が不可欠である。
  • 我が国における民間最終消費支出に占めるキャッシュレス決済比率は、決済におけるモバイル端末の利用拡大等に見られる「消費者のライフスタイルの変化」、AI、高速通信、ブロックチェーン等の「新たな技術の進展」、「社会全体でのデジタル変革」という3つの大きな環境変化も相まって、毎年確実に上昇を続けており、令和4年におけるキャッシュレス決済の比率は36.0%、決済額は111兆円となっている。クレジットカード決済に加え、コード決済の比率が顕著に増加していることも注目に値する。
  • 令和4年におけるクレジットカードの不正利用被害額は436.7億円で、そのうち番号盗用型の被害額は411.7億円であり、令和4年における特殊詐欺被害額(370.8億円)を上回っている。また、令和5年1月から9月におけるにおけるクレジットカードの不正利用被害額は401.9億円と、過去最多に迫るペースで増加している。こうした被害の内訳を見ると、クレジットカード番号盗用による被害が90%以上となっており、フィッシングサイト(偽のログインサイト)によりクレジットカード番号等の情報を盗み取る手口も確認されている。
  • インターネットバンキングに係る不正送金事犯については、令和5年は発生件数が5,578件、被害総額は約87億円と急増し、いずれも過去最多となった(それぞれ前年比で391%、474%増加)。被害者の大部分は個人であり、そのうち40代から60代の被害者が約6割を占めている。インターネットバンキングに係る不正送金事犯の手口は様々であり、また、情勢や対策等に合わせて手口が変化することがあるが、令和5年においては、その被害の多くがフィッシングによるものとみられており、金融機関を装ったフィッシングサイトへ誘導する電子メール等が多数確認されている。
  • フィッシング対策協議会によると、フィッシングの報告件数も右肩上がりで急速に増加しており、令和5年におけるフィッシング報告件数は1,195,973件と4年前の令和元年の約21倍となっている。フィッシングに悪用されるブランドは、クレジットカード、ECサイト及び金融機関が多くを占めていることを踏まえると、フィッシングが、前述したクレジットカードの不正利用やインターネットバンキングに係る不正送金の主要因の一つと見ることが極めて自然ではないかと考えられる。
  • インターネットバンキングに係る不正送金事犯においては、送金時の本人認証の強化策として一部の金融機関が導入しているSMS認証6を回避するため、一時期、SIMスワップと呼ばれる手口が利用されていた。SIMスワップとは、SMS認証を回避するため、例えば、店舗に赴き「SIMカード7を紛失した。」などと申し述べた上で、偽造した本人確認書類を提示してSIMカードの再発行を依頼し、不正にSIMカードを入手する手口である。犯罪者は、不正に入手したSIMカードのSMSに二段階認証として送付を受けた認証番号を使って、不正送金を行っていた。SIMスワップによるインターネットバンキングの不正送金被害が増加したことを踏まえ、警察庁において、令和4年9月、総務省と連携し、SIMカードの店舗での再発行時等における本人確認の強化を大手携帯電話事業者に対し要請した。その結果、令和5年1月以降、SIMスワップによる被害が激減し、令和5年5月以降、SIMスワップによる不正送金被害は確認されていない。
  • クレジットカードの不正利用事案やインターネットバンキングに係る不正送金事案の中には、被害金が暗号資産に交換され、移転される事案もみられており、サイバー特別捜査隊では不正な暗号資産取引を俯瞰的に分析することなどにより、実態解明の取組を推進している。また、令和5年7月、フィッシングサイト作成ツール「16SHOP」を用いた国際的なクレジットカード情報不正取得・利用事案について、サイバー特別捜査隊等がインドネシア国家警察と連携して捜査を実施し、インドネシア国家警察において、同国在住の被疑者を逮捕している。
  • ますます高度化・巧妙化する手口や複雑化・多様化するサービスの登場を踏まえると、キャッシュレス社会の安全・安心を確保するためには、これまでのように被害の状況や手口を基にした注意喚起や被害防止対策を行うだけでは足りず、サービスごとにきめ細やかな注意喚起を実施することに加え、例えば、事業者において犯罪者のフィッシングに係るコストを高めるセキュリティ対策を講じるなど、利用者が日常生活を営む中で意識しなくとも被害に遭わない環境整備を更に推進することが重要である。
  • 警察では、これまでサイバー空間の情勢等に応じ、被害の情勢や手口に関し注意喚起を実施してきた。しかし、こうした注意喚起は、その性質上、抽象的・総論的な内容に留まらざるを得ないが、サービスが多様化している中、注意喚起がサービスの利用者に正確に届いていない状況が生じていると考えられる。例えば、不正送金事犯が急増していることや、その対策として「メールに記載されているURLからアクセスしたウェブサイトにID・PWを入力しない」、「公式のウェブサイトやアプリからログインする」ことなどを示したとしても、インターネットバンキングの利用者において、自分に向けた注意喚起であることを正しく認識できない状況に陥っているのではないかと思われる。ただでさえ、こうした注意喚起には正常性バイアスが働き、自分が被害に遭う可能性を正しく理解できない場合がある。抽象的・総論的な注意喚起であればなおさらであろう。また、フィッシングを実行する犯罪者は、事業者が新たなサービスを開始したタイミングや税金・公共料金の支払時期を鋭敏に捉え、フィッシングサイトへ誘導するメッセージの内容や攻撃対象を変えるなど巧妙に犯罪を実行している状況が窺われる。こうした状況を踏まえると、様々な年齢層のサービスの利用者が自分のこととして危機感を持ち、フィッシングメール等に対する行動の変容を促すことができるよう、関係機関・団体や被害企業等、幅広い関係者で連携して注意喚起することで、話題性を高め、報道機関等に取り上げられるようにすることや、利用者の年代等に応じてタッチポイントが異なることを踏まえ、動画サイト、デジタルサイネージ等様々な媒体を効果的に活用するとともに、必ずしも一度で届くとは限らないことから繰り返し実施することにも配意する必要がある。このほか、例えばフィッシングメールの件名や文面、被害者のセキュリティ対策の実施状況等の具体的な事例を示すなどフィッシングの実態や特徴、サービスの内容等を踏まえた注意喚起を行う必要がある。
  • ひと昔前の「不自然な日本語」が混在していたものと異なり、最近のフィッシングメール等やフィッシングサイトは非常に巧妙に作成されており、その真偽を人間の目で判断することは困難であることが多い。また、フィッシングメール等は、「不正アクセスを検知した」、「取引を停止した」といった文面を採用することにより、利用者を不安にさせるなどして正常な判断能力を失わせ、「(フィッシング)サイトにアクセスして詳細な内容を確認しなければならない」といった心理にさせるようなものが多い。こうしたことから、フィッシング対策においては、被害者への注意喚起に工夫を凝らすだけでは十分ではなく、そもそもフィッシングメール等の真偽を利用者に判断させる状況に至る前に、技術的な対策により、利用者にフィッシングメール等が届かない環境や、利用者がフィッシングメール等に記載されているURLにアクセスしたとしても、フィッシングサイトにアクセスできない環境を整備することが肝要である。
  • DMARCの導入と並行して、フィッシングサイトをテイクダウン(閉鎖)する活動も、推進する必要がある。フィッシングメール等のURLにアクセスした場合であっても、既にアクセス先のフィッシングサイトがテイクダウンされていれば、被害に遭うことはない。フィッシングサイトのテイクダウンについては、警察庁において、金融庁と連携し金融機関に、また、経済産業省や総務省と連携しクレジットカード会社に実施要請を行っているが、引き続き、関係省庁等と連携し、関係団体等に対して、なりすまされている事業者等が自らのサービスの利用者保護の観点からフィッシングサイトのテイクダウンに取り組む必要性についても理解を促進し、テイクダウンを実施するよう働き掛けるべきである。
  • JC3では、専門的な知識を持たない人であってもプラットフォーム事業者等に対してテイクダウンの依頼(abuse通報)を行うことができるツール「Predator」を開発し、サイバー防犯ボランティア等に提供するとともに、令和6年2月から3月にかけてサイバー防犯ボランティア向けの「フィッシングサイト撲滅チャレンジカップ」(後援:警察庁、経済産業省)を実施するなど、フィッシングサイトのテイクダウンに関する気運を高める取組を進めている。警察としてもこうした取組を積極的に後押しし、より幅広い主体がフィッシング対策に参画できる環境を整備していただきたい。
  • フィッシングサイトにアクセスさせないための対策としては、1.1.2で掲げたフィッシングサイトの警告表示のように、フィッシングサイトを「ブラックリスト」化するほか、正規のサイトを「ホワイトリスト」化することも有効である。そうした観点からも、ID・PWの窃取を目的とするフィッシングへの対策として、パスワードレス認証である「パスキー(Passkey)」という技術が注目を集めている。
  • 現状では、EC加盟店等において、不正取引に関する情報を警察に提供することについて、利用規約等で第三者提供について同意を得ている場合であっても、利用者の個人情報及びプライバシーの保護への配慮等の観点から、極めて抑制的に行われているとの指摘がなされている。具体的には、チャージバック(クレジットカード会社がECサイト等での売上を取り消すこと)が確定した後に不正取引に関する情報を提供する場合など、不正取引が発生した時点から相当程度の時間が経過した後に実施していることが挙げられる。企業等において、利用者の個人情報及びプライバシーの保護に重点を置いて対応することはコンプライアンス確保の観点から不可欠である一方で、正確で具体的な不正取引に関する情報を警察や他の事業者に可能な限り早期に共有することが犯罪抑止の上で極めて重要であることからすると、改善の余地があるものと考える。例えば、EC加盟店等において不正取引が疑われる要素を検知した時点で、不正取引である蓋然性を速やかに確認し、蓋然性が高いものについて警察や他のEC加盟店等と共有するくらいのスピード感が必要であろう。
  • フィッシングによるものとみられるインターネットバンキングに係る不正送金事犯においては、ID・PWが窃取されたインターネットバンキングのアカウントから暗号資産交換業者の金融機関口座への不正送金が多数確認されている。警察庁によると、令和5年の不正送金に関する被害額(約87.3億円)の実に約半分が、暗号資産交換業者の金融機関口座に不正送金されていることが判明している。暗号資産交換業者においては、暗号資産のアカウントの名義と同一の名義による送金のみを受け付ける仕様としていることから、暗号資産交換業者の金融機関口座への不正送金は、被害者(不正アクセスされた金融機関口座)の名義から変更して行われる(異名義送金)が、一部の金融機関を除き、現在はこのような異名義送金を停止できていない。
  • 本検討会における議論を踏まえ、警察庁において、令和6年2月、金融庁と連名で、全国銀行協会等に対して、「暗号資産交換業者の金融機関口座に対し、送金元口座(法人口座を含む。)の口座名義人名と異なる依頼人名で行う送金については、振込・送金取引を拒否する」ことや、「パターン分析のためのルールやシナリオの有効性について検証・分析の上、抽出基準の改善を図るなど、暗号資産交換業者への不正な送金への監視を強化する」ことなど、利用者保護のための更なる対策の強化に取り組むよう要請している
  • フィッシング等により窃取されたコード決済サービスのアカウントが、コンビニエンスストアや薬局等の店舗で不正利用されることも増加していることから、コード決済サービスの不正利用の水際防止を目的として、事業者等において対策を講じる必要がある。
  • コード決済は店頭に犯罪者(出し子)が赴く必要があることから、防犯カメラの店頭や店外(駐車場等)への設置を推進することにより、こうした被害を含め、コンビニエンスストア等における犯罪の発生抑止が期待できる。また、実際に被害が発生した場合においても、防犯カメラの映像等が捜査において重要となるが、コンビニエンスストアの防犯カメラの映像の保存期間が短いために、被害状況が確認できなかった事例も確認されていることから、警察としても、業界団体と連携し、防犯カメラの設置や映像の保存期間の延長について働き掛けるべきである。
  • 警察において、フィッシングサイトの構築に関する傾向を基に、例えば同一IPアドレス上のサイトを自動収集できるツール等を活用して把握するなどにより、通報・相談等により情報提供されたフィッシングサイトだけでなく、未だ警察に通報等がなされていないフィッシングサイトについて把握して警告表示等を実施するなど、先制的なフィッシングサイト対策を行うことが望まれる。
  • フィッシングサイトのURL等の情報は、令和5年には警察庁からウイルス対策ソフト事業者等に約49万件提供している。こうした情報に関するフィッシングサイト該当性の判別は人の手によって行っており、フィッシング報告件数の増加に伴って警察庁における業務量が増大している状況である。また、(1)に記載した先制的なフィッシングサイトの把握を推進すると、今後は、ますます大量の情報について、フィッシングサイト該当性を判別することが求められる。こうした中、民間企業においてChatGPT等の生成AIを用いたフィッシングサイトの判別について研究が進められている。その研究結果を見ると、98%以上の高い精度で、フィッシングサイトの判別ができるとしているものも存在している。警察庁においても、こうした最先端の技術を積極的に活用し、業務の高度化・効率化を行うべきである。
  • おわりに
    • 官民連携の深化に当たっては、単に警察から事業者等に対応を求めるだけではなく、例えば、事業者等がその対応に関して利用者への説明責任を果たせるよう、要請の背景、合理的な理由、期待する効果等について丁寧に説明することや、所管省庁と連携して業界全体に向けて対応要請を行い、また、国民に対しても理解を求めることにより、個社ではなく業界全体として対応する機運を高めるなど、事業者等における対策を後押しする環境を整えることを忘れてはならない。
    • もちろん、事業者等において「提供サービスの環境浄化に努め、安心して利用できるサービスを提供することは企業等の社会的責任である」との意識を持つことは極めて重要である。「自助」だけでは限界があるが、「公助」や「共助」が「自助」に先んじることは決して健全なあり様とは言えないからである。各界に属する我々としても、民間企業等における社会的責任に関する意識の醸成に向けて、あらゆる機会を捉えて啓蒙していきたい。
    • また、グローバル化が加速度的に進む現代においては、地理的な制約を受けないサイバー空間の安全・安心の確保には、他の分野にも増して、国際連携の深化も不可欠な要素である。それには、各国の制度を踏まえて対応する必要があることから、サイバー警察にあっては、引き続き国際動向にも鋭敏であっていただきたい。
    • キャッシュレス社会の安全・安心の確保には、警察や関係省庁の「官」、民間企業や業界団体の「民」、そして「利用者」の三者が協働し、理解をはせつつも、時にお互いの立場からの意見をぶつけ合い、それぞれの責任を十全に果たし、「官民連携を深化」させること以外には実現できる道はない。多分に険しい道であることは想像に難くない。クレジットカードの不正利用やインターネットバンキングに係る不正送金が被害のピークを迎えては減少し再度増加したように、ゴールと見える頂を越えてはその先にも更なる頂が見えるといった行程の連続であろう。しかし、歩み続ける以外の選択肢はない。

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警察庁 犯罪統計資料(令和6年1~2月分)
  • 令和6年1~2月の刑法犯総数について、認知件数は103,135件(前年同期97,770件、前年同期比+5.5%)、検挙件数は41,438件(38,954件、+6.4%)、検挙率は40.2%(39.8%、+0.4P)
  • 凶悪犯の認知件数は994件(718件、+38.4%)、検挙件数は814件(629件、+29.4%)、検挙率は81.9%(87.6%、▲5.7P)、粗暴犯の認知件数は8,496件(8,600件、▲1.2%)、検挙件数は7,005件(7,107件、▲1.4%)、検挙率は82.5%(82.6%、▲0.1P)、窃盗犯の認知件数は70,073件(66,592件、+5.2%)、検挙件数は24,348件(22,949件、+6.1%)、検挙率は34.7%(34.5%、+0.2P)、知能犯の認知件数は7,864件(7,081件、+11.1%)、検挙件数は2,865件(2,992件、▲4.2%)、検挙率は36.4%(42.3%、▲5.9P)、風俗犯の認知件数は2,371件(1,064件、+122.8%)、検挙件数は1,815件(968件、+87.5%)、検挙率は76.5%(91.0%、▲14.5%)
  • 詐欺の認知件数は7,150件(6,514件、+9.8%)、検挙件数は2,345件(2,564件、▲8.5P)、万引きの認知件数は15,892件(14,861件、+6.9%)、検挙件数は10,079件(9,413件、+7.1%)、検挙率は63.4%(63.3%、+0.1P)
  • 特別法犯総数について、検挙件数は9,165件(9,761件、▲6.1%)、検挙人員は7,476人(8,030人、▲6.9%)
  • 入管法違反の検挙件数は709件(688件、+3.1%)、検挙人員は509人(496人、+2.6%)、軽犯罪法違反の検挙件数は985件(1,100件、▲10.5%)、検挙人員は988人(1,094人、▲9.7%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は906件(1,631件、▲44.5%)、検挙人員は669人(1,276人、▲47.6%)、ストーカー規制法違反の検挙件数は177件(173件、+2.3%)、検挙人員は144人(142人、+1.4%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は612件(501件、+22.2%)、検挙人員は457人(377人、+21.2%)、銃刀法違反の検挙件数は624件(704件、▲11.4%)、検挙人員は552人(590人、▲6.4%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は187件(134件、+39.6%)検挙人員は107人(81人、+32.1%)、大麻取締法違反の検挙件数は1,020件(967件、+5.5%)、検挙人員は841人(767人、+9.6%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は1,050件(915件、+14.8%)、検挙人員は711人(608人、+16.9%)
  • 来日外国人による 重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数123人(80人、+53.8%)、ベトナム44人(29人、+51.7%)、中国17人(10人、+70.0%)、ブラジル8人(3人、166.7%)、フィリピン6人(3人、+100.0%)
  • 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は1,156件(1,683件、▲31.3%)、検挙人員総数は654人(896人、▲27.0%)、暴行の検挙件数は62件(97件、▲36.1%)、検挙人員は61人(85人、▲28.2%)、傷害の検挙件数は113件(161件、▲29.8%)、検挙人員は130人(171人、▲24.0%)、脅迫の検挙件数は36件(62件、▲41.9%)、検挙人員は37人(53人、▲30.2%)、恐喝の検挙件数は38件(64件、▲40.6%)、検挙人員は53人(65人、▲18.5%)、窃盗犯の検挙件数は574件(801件、▲28.3%)、検挙人員は91人(126人、▲27.8%)、詐欺の検挙件数は171件(294件、▲41.8%)、検挙人員は126人(220人、▲42.7%)、賭博の検挙件数は5件(2件、+150.0%)、検挙人員は9人(21人、▲57.1%)
  • 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は566件(634件、▲10.7%)、検挙人員総数は381人(399人、▲4.5%)、入管法違反の検挙件数は3件(0件)、検挙人員は3人(0人)、軽犯罪法違反の検挙件数は6件(17件、▲64,7%)、検挙人員は6人(12人、▲50.0%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は14件(11件、+27.3%)、検挙人員は10人(10人、±0%)、暴排条例違反の検挙件数は28件(2件、+1,300.0%)、検挙人員は31人(7人、+342.9%)、銃刀法違反の検挙件数は11件(9件、+22.2%)、検挙人員は6人(6人、±0%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は15件(17件、▲11.8%)、検挙人員は2人(7人、▲71.4%)、大麻取締法違反の検挙件数は95件(156件、▲39.1%)、検挙人員は62人(97人、▲3.1%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は308件(326件、▲5.5%)、検挙人員は203人(185人、+9.7%)、麻薬等特例法違反の検挙件数は13件(16件、▲18.8%)、検挙人員は3人(5人、▲40.0%)

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警視庁 オウム真理教の危険性
  • オウム真理教とは
    • オウム真理教(以下「教団」といいます。)は、麻原彰晃こと松本智津夫が教祖・創始者として設立した宗教団体で、かつて、同人の指示のもと、宗教法人を隠れ蓑にしながら武装化を図り、松本サリン事件、地下鉄サリン事件等数々の凶悪事件を引き起こしました。
    • 平成30年7月、一連の凶悪事件の首謀者であった松本をはじめとする13人に死刑が執行されましたが、その後も教団の本質に変化はなく、松本への絶対的帰依を強調する「Aleph」をはじめとする主流派と松本の影響力がないかのように装う「ひかりの輪」を名のる上祐派が現在も活動しています。
  • 教団による凶悪事件
    • 平成元年
      • 信者リンチ殺人事件、弁護士一家殺害事件
    • 平成6年
      • 元信者リンチ殺人事件、サリン使用弁護士殺人未遂事件、松本サリン事件、信者リンチ殺人事件、VX使用殺人未遂事件、VX使用殺人事件
    • 平成7年
      • VX使用殺人未遂事件、公証役場事務長逮捕・監禁致死事件、地下鉄サリン事件
  • 教団の勧誘活動
    • 教団は、毎年100人程度に上る多数の新規信徒を獲得しています。
    • 特に「Aleph」は、組織拡大に向け、教団に関する知識の少ない青年層(30歳代以下)を主な対象とする勧誘活動を積極的に行っており、あらゆる機会を設けて一般人と接点を持ち、教団名を秘匿したヨーガ教室などに誘って人間関係を深めた後に、教団に入会させています。
    • 事例 主流派「Aleph(アレフ)」による勧誘活動の例
      • 導入
        • 家族や知人への働きかけ、路上や書店における声掛け、SNSでの呼び掛け等により、教団による一連の事件を知らない青年層を中心に接近する。
      • 人間関係の構築
        • 連絡先を交換してカフェでのお茶会等に誘い、教団名を伏せた仏教の勉強会やヨーガ教室に参加させ人間関係の構築を図る。
        • サクラの信者1、2人が勉強会やヨーガ教室に参加して悩みを聞くなどし、一般参加者であるように装って被勧誘者の抵抗感を取り除く。
      • 入信
        • 教団名を徹底して伏せた上、一連の事件は国家ぐるみの陰謀と説明するなどして、教団に対するイメージを変化させていき、抵抗感がなくなったことを確認した段階で初めて教団名を告知して入信させる。
  • 動画ライブラリー
    • 勧誘手口についての説明動画はこちらをご覧ください。
▼ オウム真理教に騙されないで! 今も教団名を隠して勧誘を行っています(30秒ver.)
  • オウム真理教対策の推進
    • 警察では、凶悪事件を再び起こさせないため、教団の実態解明に努めるとともに、厳正な取り締まりを推進しているほか、住民の平穏な生活を守るため、地域住民や関係する地方公共団体からの要望を踏まえながら、教団施設周辺におけるパトロール等の警戒活動を行っています。
    • また、地下鉄サリン事件から時が経つに連れて、教団に対する国民の関心が薄れ、一連の凶悪事件に対する記憶が風化することなどにより、教団の本質が正しく理解されないことが懸念されることから、教団の現状等について、各種機会を通じて資料による広報啓発活動を行っています。

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内閣官房 全世代型社会保障構築会議(第17回)議事次第
▼ 資料2 全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)について
  • 働き方に中立的な社会保障制度等の構築
    • 国民の価値観やライフスタイルが多様化し、働き方の多様化もますます進んでいる中で、格差の固定化や貧困の防止を図り、社会の分断を防ぐ観点からも、働き方にかかわらずセーフティネットが確保され、誰もが安心して希望どおりに働くことができる社会保障制度等の構築を目指す。
    • 同時に、少子化対策の観点からも、子育て・若者世代が将来に展望を持つことができ、生涯未婚率の低下にもつなげられるよう、非正規雇用労働者を取り巻く課題の解決や、希望すれば誰もが主体的に成長分野などの企業へ円滑に移動できるような環境整備を図る。
  • 来年度(2024年度)に実施する取組
    • 労働市場や雇用の在り方の見直し
      • 「同一労働同一賃金ガイドライン」等の必要な見直しの検討
        • 「同一労働同一賃金」については、その履行確保に向けた取組を一層強力に推進するとともに、「同一労働同一賃金ガイドライン」を含めたパートタイム・有期雇用労働法の施行後の状況に関する調査結果を踏まえ、必要な見直しを検討する。
      • 「多様な正社員」の拡充に向けた取組
        • 勤務地等を限定した「多様な正社員」の導入拡大を図るため、企業が自らの雇用管理上の課題を分析・把握し、ステップを踏んで「多様な正社員」制度等を選択・導入できるよう、「課題分析ツール」の作成等を行う。
      • 非正規雇用労働者の待遇改善に係る取組状況に関する企業の取組の促進
        • 非正規雇用労働者の待遇改善に関する取組状況について、情報開示を行っている企業の事例を収集、整理した上で、好事例として横展開するなど、企業の取組の促進策を検討する。
      • 経験者採用(中途採用)に関する企業の取組の促進
        • 経験者採用(中途採用)に関する企業の取組状況について、非財務情報の開示対象に加えることも含め、企業の取組の促進策を検討する。
      • 三位一体の労働市場改革の推進
        • 賃上げを一過性のものとせず、構造的賃上げとして確固たるものとするため、(1)リ・スキリングによる能力向上支援、(2)個々の企業の実態に応じた職務給の導入、(3)成長分野への労働移動の円滑化、の三位一体の労働市場改革について、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」で決定した事項を、早期かつ着実に実施する。
      • 成長意欲のある中堅・中小企業のグループ化に向けた支援
        • 三位一体の労働市場改革の推進と併せて、成長意欲のある中堅・中小企業が、複数の中小企業をグループ化して経営資源を集約化するとともに、親会社の強みのある経営方針やシステム、人材育成の共有化等を通じ、グループ一体となって飛躍的な成長を遂げることができるよう検討を行う
  • 「加速化プラン」の実施が完了する2028年度までに実施について検討する取組
    • 勤労者皆保険の実現に向けた取組
      • 短時間労働者への被用者保険の適用に関する企業規模要件の撤廃
        • 週20時間以上勤務する短時間労働者への被用者保険の適用拡大について、報告書において「早急に実現を図るべき」とされたことを踏まえ、2024年末の結論に向けて企業規模要件の撤廃等について引き続き検討する。
      • 常時5人以上を使用する個人事業所の非適用業種の解消
        • 常時5人以上を使用する個人事業所の非適用業種の解消について、報告書において「早急に図るべき」とされたことを踏まえ、2024年末の結論に向けて引き続き検討する。
      • 週所定労働時間20時間未満の労働者、常時5人未満を使用する個人事業所への被用者保険の適用拡大
        • 週所定労働時間20時間未満の労働者について、報告書において「具体的な方策について、実務面での課題や国民年金制度との整合性等を踏まえつつ、着実に検討を進めるべき」とされたこと、また、常時5人未満を使用する個人事業所への被用者保険の適用拡大については、「被用者保険の適用を図る道筋を検討すべき」とされたことを踏まえ、2024年末の結論に向けて引き続き検討する。
      • フリーランス・ギグワーカーの社会保険の適用の在り方の整理
        • フリーランス・ギグワーカーについて、「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」に照らして、現行の労働基準法上の「労働者」に該当する方々については、「被用者性」も認められ、適用除外の対象となる場合を除いて被用者保険が適用される旨を明確化したところ、その適用が確実なものとなるよう、労働行政と社会保険行政との連携を図っており、着実に推進していく。
        • 上記以外の「労働者性」が認められないフリーランス・ギグワーカーに関しては、新しい類型の検討も含めて、被用者保険の適用を図ることについて、フリーランス・ギグワーカーとして働く方々の実態や諸外国の例なども参考としつつ、引き続き、検討を深める。
      • 年収の壁に対する取組
        • いわゆる「年収の壁」については、社会全体で労働力を確保するとともに、労働者自身も希望どおり働くことのできる環境づくりに向けて、当面の対応策である「年収の壁・支援強化パッケージ」を着実に実行する。
        • また、「年収の壁」を意識せずに働くことが可能となるよう、制度の見直しに取り組む
  • 2040年頃を見据えた、中長期的な課題に対して必要となる取組
    • フリーランス・ギグワーカーの社会保険適用の在り方も含めた勤労者皆保険の構築など、働き方に中立的な社会保険制度の在り方の検討
  • 「地域共生社会」の実現
    • 人口構造及び世帯構成が変化し、家族のつながりや地縁も希薄化し、移動手段の確保も困難となる中で、今後、更なる増加が見込まれる単身高齢者の生活について、住まいの確保を含め、社会全体でどのようにして支えていくかが大きな課題である。高齢者福祉、障害福祉、児童福祉、生活困窮者支援などの制度・分野の枠や、「支える側」、「支えられる側」という従来の関係を超えて、外国人も含め、人と人、人と社会がつながり、一人一人が生きがいや役割を持ち、助け合いながら暮らせる包摂的な社会の実現が必要である。そこで重要なのは、各種サービスの担い手等による連携の下、地域全体で、多様な困りごとを抱える人やその家族を包括的に受け止め、一人一人に寄り添い、伴走支援するという視点である。この伴走支援は、各種サービスにつなぐという役割のみならず、人と人とのつながりを創出すること自体に価値を有するものである。
    • 単身高齢者、生活困窮者を始めとする地域住民が安心して日々の生活を営むことができるよう、入居後の総合的な生活支援も含めて、地域住民の生活を維持するための基盤となる住まいが確保されるための環境整備が必要であることから、住まい政策を社会保障の重要な課題として位置付け、必要な制度的対応を検討していく。
  • 来年度(2024年度)に実施する取組
    • 重層的支援体制整備事業の更なる促進
      • 重層的支援体制整備事業について、より多くの市町村において実施されるよう、引き続き必要な対応を検討・実施する。
      • 2024年度に、令和2年改正法13附則で定められた、施行後5年を目途とした検討規定に基づく検討を行い、検討結果に基づいて必要な対応を行う。
    • 多様な専門性や背景を持つソーシャルワーカーの確保・活用のための取組
      • 重層的支援体制整備事業が未実施の市町村を対象に、包括的支援体制を構築することの意義等を習得するための研修の実施について検討を行う社会福祉士の活用状況等、実態を把握するために行った調査研究事業も踏まえ、社会福祉士の更なる活用について検討を行う。
    • 複数の分野にわたる専門的知識を習得できるような工夫の検討
      • 医療・介護・福祉の国家資格に係る複数資格の取得促進、地域共生社会を支える人材の養成に関する研修の開発など、一人の人材が複数の分野にわたる専門的知識を習得できるような工夫の検討を行う。
    • 社会保障教育の一層の推進
      • 報告書を踏まえて今年度に見直しを行った教材等を活用し、社会保障の意義・役割、負担と給付の関係等について周知を行う。
    • 住まい支援の強化に向けた制度改正
      • 単身高齢者、生活困窮者を始めとする住宅確保要配慮者が、民間賃貸住宅に円滑に入居し、安心して生活できるようにするためには、住まいの確保等に関する相談支援から、転居支援、住まいが定まった後の支援まで、切れ目のない支援体制の構築を図る必要がある。このため、「住まい支援システム」の構築に向けたモデル事業14も踏まえつつ、引き続き自治体の取組に対する伴走支援を行いながら、以下の必要な見直しを行う。
      • 住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会における中間とりまとめ案(令和5年12月5日)を踏まえ、住宅確保要配慮者への居住支援の充実、賃貸人が住宅を提供しやすい市場環境の整備、住宅確保要配慮者のニーズに対応した住宅等の確保方策、地域における住宅・福祉・司法と連携した居住支援の体制づくり等の観点から、住宅セーフティネットの機能の一層の強化に資する必要な制度改正の実施に向けて、関係省庁の連携の下、更なる検討を深めていく。
      • 単身高齢者を始めとする高齢者の安心な住まいを確保するため、総合的・包括的な住まい支援の更なる全国展開に向けた取組を推進する。
      • 生活困窮者自立支援制度については、社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会における取りまとめ及び上記検討会における中間とりまとめ案を踏まえ、総合的な相談支援、入居前から入居中・退居時の支援、住まい支援に必要な地域資源開発・環境整備を推進するため、自立相談支援事業の住まい相談機能の明確化、地域居住支援事業や重層的支援体制整備事業の活用等の見直しを実施する。
      • また、生活困窮者自立支援制度等の見直しの円滑な施行に向けて、総合的な相談対応や一貫した支援を行うことができる実施体制を整備し、見守り支援や地域とのつながり促進支援などを行う新たなモデル事業(令和5年度補正予算で措置した自治体への補助事業)を一部の自治体において実施し、全国的な住まい支援体制の構築に向けた課題を把握・整理し、必要な対応を行う。
  • 「加速化プラン」の実施が完了する2028年度までに実施について検討する取組
    • 孤独・孤立対策の推進
      • 孤独・孤立対策推進法15に基づき、孤独・孤立対策推進本部において新たな重点計画を作成するなど、孤独・孤立対策を安定的・継続的に推進していくとともに、当該法の施行状況等を踏まえ、施行後5年を経過した段階で、孤独・孤立対策の在り方について更なる検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づき必要な措置を講じていく。引き続き、地域における官・民・NPO等の連携を推進するとともに、2024年5月から毎年5月に開催される「孤独・孤立対策強化月間」においても、官民連携して孤独・孤立についての理解・意識や機運を社会全体で高めていくための取組を集中的に行っていく。
    • 身寄りのない高齢者等への支援
      • 高齢者を中心として単身世帯等の急増が確実に見込まれる中で、身元保証から日常生活支援、死後事務の処理に至るまで、広く生活を支えていくため、既存の各施策も踏まえた上で、必要な支援の在り方について検討を行う。
    • 社会保障教育の一層の推進
      • 社会保障教育の一層の推進のため、高校教員への意見聴取等を通じて現場の実態を把握しながら、教材の見直し等の必要な取組や効果的な周知を実施する
  • 2040年頃を見据えた、中長期的な課題に対して必要となる取組
    • 人口構造及び世帯構成が変化し、更に家族のつながりや地縁の希薄化が進むと考えられる中で、住まい支援にとどまらず、人と人、人と社会がつながり、一人一人が生きがいや役割を持ち、助け合いながら暮らせる包摂的な社会の実現に向けた検討

~NEW~
内閣官房 指定行政機関の国民の保護に関する計画の変更について
  • 令和6年3月19日の閣議において、厚生労働省及び国土交通省・観光庁の国民保護計画の変更について「異議がない」旨を決定
    • 武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律に基づき、全ての指定行政機関が、国民の保護に関する計画を作成し、その後も必要に応じて計画を変更しており、計画の作成及び変更に当たっては、内閣総理大臣への協議が必要とされている(軽微な変更を除く)。
    • 今般、厚生労働省、国土交通省及び観光庁から国民保護計画の変更について、内閣総理大臣への協議の申出があったところ、その内容について問題がないことから、「異議がない」旨の閣議決定を行った。変更内容の概要は別紙のとおり
  • 【厚生労働省】国土交通省へ移管される水道業務に係る事項の削除等
  • 【国土交通省・観光庁】厚生労働省から移管される水道業務に係る事項(水道用水の供給命令、給水制限、平素の備え、被災施設の復旧)の追加

~NEW~
内閣府 第426回 消費者委員会本会議
▼ 【資料1】 脱毛エステにおける倒産トラブル(国民生活センター提出資料)
  • 事例紹介
    • 【事例1】永久に通えるという脱毛サロンに昨年から通っていたが、事業者が倒産した。個別クレジットを組み、30万円のうち15万円ほど支払い済みだ。支払停止の抗弁書を送ると支払いが止められると思い、2か月前にクレジット会社へ送った。その後何も連絡がなかったが、先週突然、残金を振り込むようにとSMSが届いた。クレジット会社に電話すると、「抗弁書は届いているが、あなたは契約回数よりも多い6回施術を受けているので、支払いを止めることはできない」と言われた。未払いのままでいると信用情報に傷がついてしまうので、支払うつもりだが、本当に支払いを止めることはできないのか。(契約当事者属性:20歳代 女性)
    • 【事例2】11月にエステ店に出向き、脱毛エステの契約をした。料金約15万円は個別クレジットを組み、翌月から引き落としが開始される。ところがその翌月、破産管財人から、エステ店が破産したので施術を提供できないという内容のメールが届いた。まだ1回も施術を受けていない。支払いだけするのは嫌なので、いろいろ調べて、個別クレジット会社に支払停止の抗弁書を送った。他に対処することはあるか。(契約当事者属性:20歳代 女性)
    • 【事例3】数年前に脱毛エステを契約し、契約時に現金一括で約40万円を支払った。一生通い放題という条件で、これまで相当回数施術を受けている。最近倒産したと知り、驚いた。返金は諦めているが、今後代わりに施術をしてくれるような事業者はないのか。(契約当事者属性:20歳代 女性)
  • 相談事例から見た課題―脱毛エステ
    • 被害救済について
      • 過去の例を踏まえると、エステサロンが倒産した場合は消費者への返金は困難
      • なお、サービスを引き継ぐ事業者が現れれば、一部被害救済(一部サービスの継続提供等)が図られる
    • クレジット会社との交渉について
      • 脱毛エステの「通い放題コース」に見られる「有償」と「無償」に分かれた契約では、中途解約の精算時に「有償」期間が過ぎているとしてトラブルになりやすい
      • エステサロンが倒産した場合、この「有償」期間が過ぎているとクレジット会社に対し支払停止の抗弁を主張しても応じてもらえないケースがある
    • 消費者がこうした被害に遭わないための方策について
      • 特定商取引法の特定継続的役務では、「前受金保全措置」の有無を契約書面で記載することとなっているが、現状として、前受金保全措置自体を確保している事業者は少ない
      • 消費者が主体的に「都度払い」を選べるような販売方法であれば、前払金の返金トラブルは生じない
▼ 【資料4】 経済産業省説明資料
  • ヘルスケア分野におけるエビデンス構築に係る課題
    • 医薬品や医療機器に比して、ヘルスケア分野部の一部の製品・サービスでは、適切な提供体制の整備やエビデンスの構築・検証がされていないことがある。
    • そのため、事業者団体による適切なサービス提供に向けたガイドラインの策定、 アカデミアによる医学的エビデンスを整理した指針の策定、の両面からオーソライズする仕組みの構築を支援する。
  • 科学的有用性が担保されたサービスの社会実装
    • 質の高いヘルスケアサービスの社会実装を進めるため、業界団体・医学会による信頼性担保の基準を策定すると共に、基準に基づいたサービス開発を促進するための仕組みを検討。
  • 業界自主ガイドラインの策定
    • 業界自主ガイドライン・認定制度を策定する際の指針として、「ヘルスケアサービスガイドライン等のあり方」(平成31年4月策定、令和3年6月改訂)において、どの業種にも通じる重要な要素を明示。
    • 業界が自主的にルールを作り、利用者等が安心してサービスを選択できる環境が整備されることを目指す。
  • 業界自主ガイドラインに関する業界団体会合の開催
    • 業界自主ガイドラインの策定を行った、あるいは行おうとしている業界団体関係者に参加いただき、サービス標準化の活用類型の紹介や、「品質の確保されたヘルスケアサービスが選ばれるような環境づくり」に向けた業界団体同士のネットワーキングを行った。
    • アンケート結果を踏まえ、経済産業省としては次年度以降も業界団体会合の開催を検討したい。
  • アカデミア:予防・健康づくりに関する医学会による指針等の策定・普及
    • 【現状・課題】ヘルスケアサービスの利用者(企業、自治体、保険者、個人など)による適切なサービス選択や、サービス開発事業者による適切な研究開発に活用されるための専門的・科学的な情報が不足している。
    • 【今後の取組】各疾患領域の中心的学会によるエビデンスの整理および指針等の策定をAMEDにて支援するとともに、策定された指針等が、ヘルスケアサービス開発事業者やヘルスケアサービスの利用者に広く利活用される仕組みを構築するための検討を実施。

~NEW~
内閣府 月例経済報告(月次)
▼ 月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料(令和6年3月)
  • 日本経済の基調判断
    • 現状 【判断維持】
      • 景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。
      • (先月の判断)景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。
    • 先行き
      • 先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震の経済に与える影響に十分留意する必要がある
    • 政策の基本的態度
      • 30年来続いてきたコストカット型経済から持続的な賃上げや活発な投資がけん引する成長型経済へ変革するため、新しい資本主義の取組を加速させる。
      • このため、「デフレ完全脱却のための総合経済対策~日本経済の新たなステージにむけて~」(11月2日閣議決定)及びその裏付けとなる令和5年度補正予算を迅速かつ着実に執行するとともに、令和6年度予算及び関連法案の早期成立に努める。また、「被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージ」に基づき、令和6年能登半島地震の被災者の生活、生業の再建をはじめ、被災地の復旧・復興に至るまで、予備費を活用し切れ目なく対応する。
      • 日本銀行は、3月19日、金融政策の枠組みの見直しを決定し、引き続き2%の物価安定目標のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、短期金利の操作を主たる政策手段として、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営することとした。
      • 政府と日本銀行は、引き続き緊密に連携し、経済・物価動向に応じて機動的な政策運営を行っていく。
      • こうした取組を通じ、デフレに後戻りしないとの認識を広く醸成し、デフレ脱却につなげるとともに、新たな成長型経済への移行に向け、あらゆる政策手段を総動員していく
  • 賃金の動向
    • 2024年春闘(第1回集計)の賃上げ率は、定昇込みで5.28%、ベアで3.7%と、30年ぶりとなった昨年を大きく上回った。ベアは、中小企業でも3%近い伸びとなり、組合計のベースアップ額は、平均月1万円を超える水準に。
    • 賃金の改定は、昨年のパターンでは、5月頃から夏場にかけて実際の賃金支払に徐々に反映。現在、一般労働者の所定内給与の伸びは前年比1%台半ばだが、今後高まっていくことが見込まれる。
    • 昨年、3%以上の賃上げを行った中小企業は6割弱、うち価格転嫁ができた企業では7割強。すそ野の広い賃上げの実現のためには、重層的取引の先端に至るまでサプライチェーン全体での適切な労務費の価格転嫁と製品価格の設定が重要。
  • アメリカ経済の動向
    • アメリカの一人当たり名目GDPは約8.2万ドルで、日本の約2.4倍。長期的にみると実質GDPはおおむね2%以上の成長率で推移。足下では6四半期連続で2%以上のプラス成長が継続し、2023年は2.5%。2024年も2%程度の見通し。
    • 安定的な物価上昇と、それを超える名目賃金の上昇に支えられた個人消費の増加が、内需主導の経済成長をけん引。2008年の世界金融危機のような大きな経済的ショックに見舞われても、デフレには陥らず。
    • アメリカは世界の名目GDPの約25%を占める最大のマーケット。2023年の財輸入においては、カナダ・メキシコ・中国のシェアが全体の約4割。中国のシェアは、2001年のWTO加盟後に急上昇。2009年以降首位であったが、米中貿易摩擦を契機に、2023年のシェアは2位に低下。対内直接投資残高では日本は首位
    • コロナ禍後の就業者数をみると、55歳以上は伸びが停滞しており、外国生まれ労働者の増加にもかかわらず、労働供給の不足が継続。株価上昇を背景とした金融資産の増加がコロナ禍後の早期引退に繋がっている可能性。名目賃金上昇率は高水準で推移しており、物価上昇率は鈍化傾向にあるものの、金融政策に与える影響に留意が必要。
  • 物価の動向
    • 消費者物価の前年比は、昨年秋以降2%台で推移。なお、資源価格が落ち着く下で、電気・ガスの激変緩和事業の開始から1年が経過し、押下げ効果が薄まったことから、2月は上昇幅が拡大。一方、食料品は、値上げの一服から、引き続き上昇幅が緩やかに。
    • デフレに陥る前の1990年代前半以前は、サービスの物価上昇率は2%前後で推移。足下では、財の物価上昇が落ち着く一方で、一般サービスの上昇率が徐々に高まり、財の上昇率と同水準に。
  • 企業収益・業況・生産の動向
    • 昨年10-12月期の企業収益は、経常利益・営業利益ともに10-12月期として過去最高となるなど、総じて改善が継続。
    • 他方、1月の生産活動は、一部自動車メーカーの生産停止により低下。輸送機械では2月も減少が続く見込み。
    • 自動車産業は裾野が広く、関連品目の生産も低下。また、半導体品目の一部では、令和6年能登半島地震の影響も。
    • こうした中、1-3月期の大企業の景況感は、製造業で大きくマイナス。ただし、4-6月期以降の先行きは改善。
  • 個人消費の動向
    • 新車販売(消費に占める輸送機械の割合は2.6%)は、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響により、このところ弱い動き。
    • 国内旅行消費については、宿泊施設の稼働率は、コロナ禍の落ち込みから回復。一方、宿泊業の就業者数はコロナ禍前に戻っておらず供給制約。こうした中で、客室単価は上昇する一方、日本人宿泊者数はこのところ横ばいに。
    • 消費者のマインドや資産価値(株式等)に関する見方は改善が継続
  • 住宅建設の動向
    • 住宅の新設着工戸数は、持家を中心に弱含みが続く。長期的にみると、1960年代後半に住宅戸数(ストック)が世帯数を上回り、持家など戸建の住宅を中心に、新規着工戸数は減少トレンドにある。
    • 世帯構造の変化をみると、単身世帯等の割合が増加する一方で、夫婦と子供のいる世帯や三世代同居世帯など戸建住宅の需要層と考えられる世帯の割合が減少。
    • 建築費の高止まりの中で、戸建住宅の新設着工が減少する一方で、中古住宅の販売量は増加傾向。リフォーム促進等を通じた中古住宅流通市場の拡大も重要
  • 設備投資の動向
    • 2023年10-12月期の設備投資は、実質前期比プラス2.0%と上方改定、名目金額(年率換算)は1991年以来初めて100兆円を超えた。半導体や自動車関連で生産能力強化のための工場新設等の投資が実行され始め、契約金等の支払が進んでいる結果とみられる。
    • 他方、企業の高い投資計画に比べ、実際の投資の伸びは依然、例年より弱く、引き続き供給制約等の影響に留意が必要。2024年度の投資計画(2月15日時点調査)は、2023年度の高い実績見込み(9.3%)の後、前年度比7.5%の強い伸び。
  • 輸出入の動向
    • 財の輸出は、アメリカ向けは増加傾向が続く一方、欧州向けが弱く、アジア向けも持ち直しの動きに足踏み。
    • インバウンドについて、訪日外客数は2月として過去最高。一人当たり旅行消費額は欧州等からの旅行者が高い。
    • 財の輸入は、弱含み。紅海危機の影響により、1月は、欧州からの輸入について、海上輸送割合が高いワイン、化粧品、自動車部分品等の輸入が大幅に減少。
  • 韓国経済の動向
    • 韓国経済は、世界的な半導体需要の持ち直しにより、景気は持ち直しの動き。長期的にみると、1997年のアジア通貨危機後、安定的なマクロ経済環境の維持に努めたこともあって着実に成長し、2023年の一人当たり名目GDPは3.3万ドル。
    • 他方、合計特殊出生率は0.72と低く、人口は50年後(2072年)には約3,600万人に減少することが見込まれている

~NEW~
内閣府 「社会意識に関する世論調査」の概要
  • 「国を愛する」という気持ちについてうかがいます。あなたは、他の人と比べて、「国を愛する」という気持ちは強い方だと思いますか。それとも、弱い方だと思いますか。(○は1つ)令和4年12月/令和5年11月
    • 強い(小計)51.2%→51.4%(非常に強い8.8%→10.0%どちらかといえば強い42.4%→41.4%)
    • どちらともいえない37.5%→35.9%
    • 弱い(小計)10.3%→11.8%(どちらかといえば弱い7.7%→9.9%↑非常に弱い2.6%→2.0%)
  • あなたは、今後、国民の間に「国を愛する」という気持ちをもっと育てる必要があると思いますか。それとも、そうは思いませんか。(〇は1つ)
    • そう思う(小計)82.1%→82.0%(そう思う29.8%→30.8%どちらかといえばそう思う52.4%→51.2%)
    • そうは思わない(小計)16.8%→17.2%(どちらかといえばそうは思わない11.9%→13.5%そうは思わない4.8%→3.7%)
  • 国民は、「国や社会のことにもっと目を向けるべきだ」という意見と、「個人生活の充実をもっと重視すべきだ」という意見がありますが、あなたは、どのように思いますか。(〇は1つ)
    • 国や社会のことにもっと目を向けるべきだ(小計)58.4%→55.3%(国や社会のことにもっと目を向けるべきだ15.1%→16.6%
    • どちらかといえば国や社会のことにもっと目を向けるべきだ43.3%→38.7%↓
    • 個人生活の充実をもっと重視すべきだ(小計)39.9%→43.8%↑(どちらかといえば個人生活の充実をもっと重視すべきだ30.9%→34.2%↑個人生活の充実をもっと重視すべきだ8.9%→9.5%)
  • あなたは、日頃、社会の一員として、何か社会のために役立ちたいと思っていますか。それとも、あまりそのようなことは考えていませんか。(〇は1つ)
    • 思っている64.3%→61.4%
    • あまり考えていない34.1%→35.8%
  • 何か社会のために役立ちたいと思っているのはどのようなことですか。(〇はいくつでも)(上位3項目)
    • 自分の職業を通して41.1%→43.2%
    • 環境美化、リサイクル活動、牛乳パックの回収など自然・環境保護に関する活動35.2%→38.3%
    • 高齢者・障害者・こどもに対する身の回りの世話、介護、食事の提供、保育など社会福祉に関する活動31.8%→31.3%
  • あなたは、今後、日本人は、個人の利益よりも国民全体の利益を大切にすべきだと思いますか。それとも、国民全体の利益よりも個人個人の利益を大切にすべきだと思いますか。(〇は1つ)
    • 個人の利益よりも国民全体の利益を大切にすべきだ(小計)54.4%→53.2%(個人の利益よりも国民全体の利益を大切にすべきだ10.3%→9.5%どちらかといえば個人の利益よりも国民全体の利益を大切にすべきだ44.1%→43.7%)
    • 国民全体の利益よりも個人個人の利益を大切にすべきだ(小計)38.6%→39.6%(どちらかといえば国民全体の利益よりも個人個人の利益を大切にすべきだ33.1%→33.8%国民全体の利益よりも個人個人の利益を大切にすべきだ5.5%→5.8%)
  • あなたは、地域での付き合いをどの程度していますか。(〇は1つ)
    • 付き合っている(小計)55.1%→52.9%(よく付き合っている8.6%→8.6%ある程度付き合っている46.5%→44.3%)
    • 付き合っていない(小計)43.4%→44.4%(あまり付き合っていない33.1%→32.6%全く付き合っていない10.3%→11.8%)
  • あなたは、地域での付き合いは、どの程度が望ましいと思いますか。(〇は1つ)
    • 地域の行事や会合に参加したり、困ったときに助け合う29.5%→29.8%
    • 地域の行事や会合に参加する程度の付き合い28.1%→27.2%
    • 世間話をする程度の付き合い20.9%→18.6%
    • 挨拶をする程度の付き合い18.5%→21.1%
    • 地域での付き合いは必要ない1.5%→0.6%↓
  • あなたは、現在の世相をひとことで言えば、明るいイメージとしては、どのような表現が当てはまると思いますか。(〇はいくつでも)(上位3項目)
    • 平和である59.0%→58.4%
    • 安定している21.0%→19.0%
    • おもいやりがある19.6%→17.2%
    • 特にない20.0%→22.0%
  • あなたは、現在の世相をひとことで言えば、暗いイメージとしては、どのような表現が当てはまると思いますか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
    • ゆとりがない44.9%→46.4%
    • 無責任の風潮がつよい37.4%→38.8%
    • 自分本位である37.9%→36.5%
    • 不安なこと、いらいらすることが多い29.1%→30.4%
  • あなたは、日本の国や国民について、誇りに思うことはどんなことですか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
    • 美しい自然57.1%→58.3%
    • 治安のよさ61.2%→56.9%↓
    • すぐれた文化や芸術45.7%→47.5%
    • 長い歴史と伝統44.0%→47.5%↑
  • あなたは、現在の社会において満足している点は何ですか。(〇はいくつでも)(上位2項目)
    • 良質な生活環境が整っている40.7%→41.1%
    • 心と身体の健康が保たれる19.0%→20.0%
    • 特にない30.6%→30.5%
  • あなたは、現在の社会において満足していない点は何ですか。(〇はいくつでも)(上位5項目)
    • 経済的なゆとりと見通しが持てない62.5%→63.2%
    • 子育てしにくい27.7%→28.6%
    • 若者が社会での自立を目指しにくい30.0%→28.2%
    • 女性が社会での活躍を目指しにくい25.4%→26.2%
    • 働きやすい環境が整っていない26.2%→25.8%
  • あなたは、現在の社会に全体として満足していますか。それとも、満足していませんか。(〇は1つ)
    • 満足している(小計)52.4%→50.3%(満足している3.0%→3.4%ある程度満足している49.5%→46.9%)
    • 満足していない(小計)46.2%→48.4%(あまり満足していない35.9%→36.3%満足していない10.3%→12.1%)
  • あなたは、全般的にみて、国の政策に国民の考えや意見がどの程度反映されていると思いますか。(〇は1つ)
    • 反映されている(小計)26.6%→22.5%↓(かなり反映されている2.2%→1.1%↓ある程度反映されている24.4%→21.4%↓)
    • 反映されていない(小計)71.4%→75.7%↑(あまり反映されていない52.0%→49.6%ほとんど反映されていない19.5%→26.1%↑)
  • それでは、どうすればよりよく反映されるようになると思いますか。あなたのお考えに最も近いものをお答えください。(〇は1つ)
    • 政治家が国民の声をよく聞く29.2%→27.7%
    • 国民が国の政策に関心を持つ16.8%→16.8%
    • マスコミが国民の意見をよく伝える4.5%→5.3%
    • 国民が選挙のときに自覚して投票する14.1%→13.7%
    • 政府が世論をよく聞く15.3%→16.7%
    • 国民が参加できる場をひろげる11.2%→10.5%
  • あなたは、現在の日本の状況について、良い方向に向かっていると思われるのは、どのような分野についてでしょうか。(○はいくつでも)(上位3項目)
    • 医療・福祉25.3%→25.5%
    • 防災21.6%→24.1%
    • 治安21.8%→18.6%↓
    • 特にない24.9%→25.5%
  • あなたは、現在の日本の状況について、悪い方向に向かっていると思われるのは、どのような分野についてでしょうか。(○はいくつでも)(上位4項目)
    • 物価70.5%→69.4%
    • 国の財政61.3%→58.4%
    • 景気60.8%→58.1%
    • 経済力46.7%→46.7%

~NEW~
国民生活センター リーフレット「くらしの危険」【No.378】道路交通法の基準に適合しない電動アシスト自転車
  • インターネット通信販売サイトでは、道路交通法の基準に適合しない電動アシスト自転車が、自転車として道路を通行できるかのように販売されていることがあります。
  • 一般的に「電動アシスト自転車」と呼ばれるものは、人の力に対する補助力として電動モーターによる力が加わるものです。スロットルが取り付けられているなど、人の力ではなく、電動機により走行できる車両は、道路交通法の基準に適合しないため、自転車として道路を通行することはできません。
  • 基準に適合しない電動アシスト自転車で道路を通行すると、運転者が罰則の対象になります。
  • また、アシスト比率が道路交通法の基準を大きく超えていると急発進や急加速の原因になるほか、バランスを崩して転倒したり、人や物に衝突したりするなど、事故につながるおそれがあります。
  • 電動アシスト自転車としてインターネットで販売されていた10銘柄を調査
    • 10銘柄は国家公安委員会の型式認定を取得した旨の記載がなく、基準に適合しているかが不明であったもの
      • アシスト比率:アシスト力は上限値(人の力の2倍)を超えていないか、24km/hで「0」になるか
        • 10銘柄中9銘柄で上限値を超え、基準に適合していませんでした。
        • 10銘柄中6銘柄は、ほとんど人の力を要さずに加速し、24km/hを超えても電動力がアシストしました。
      • 表示:
        • 公道を走行できること、性能確認を行っていることを明記していても、基準に適合していない銘柄がありました。
      • スロットルの有無:スロットルが装着されている車両は、電動アシスト自転車に該当しない
        • 10銘柄中5銘柄でスロットル様のものが装着されていました。
        • 上記5銘柄中2銘柄では、スロットル様のものを操作すると加速しました。
  • 消費者へのアドバイス
    • 購入の際は、型式認定のTSマークやBAAマークを目安にしましょう
    • 購入前に「型式認定」を取得しているか調べましょう
    • 購入後にアシスト機能を停止する速度を変更出来ることや、スロットル付きから電動アシスト自転車に仕様変更できることをうたった商品に注意しましょう

~NEW~
国民生活センター 学生に広がる投資やもうけ話に注意
  • 事例
    • 友人に「会わせたい人がいる」と誘われ、喫茶店で会うことになった。同席した男性から、投資について説明を受け、その学習教材が入ったUSBメモリの購入を勧められた。代金は約60万円で、購入するかどうか答える前に消費者金融で借金して支払うことを勧められた。断り切れずに、その場でウェブ上で借り入れの手続きを行い支払った。さらに友だちを勧誘して契約させると紹介料として5万円もらえると聞いたが、自分には投資も勧誘もできないと思うので、クーリング・オフしたい。(当事者:学生)
  • ひとことアドバイス
    • 入学を機に始まった新生活で交友範囲が広がる中で、友人や先輩、SNSやサークルで知り合った人に、投資やもうけ話を持ち掛けられることがあります。これらの勧誘の特徴として、誰かを勧誘すれば報酬がもらえるマルチ取引(連鎖販売取引)に該当するものもあります。
    • お金がないと言うと、消費者金融などで借金して支払うよう言われることもあります。借金してまでの契約は絶対にしないでください。
    • 友人・知人を勧誘することで人間関係が破たんしたり、金銭トラブルが生じたりすることもあります。断りにくい状況でもはっきりと断りましょう。
    • 要件を満たせば、クーリング・オフや中途解約ができる場合があります。困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

~NEW~
厚生労働省 第6回外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会 資料
▼ 資料1 訪問系サービスなどへの従事について
  • 訪問介護等
    • ケアの質について
      • 訪問介護は、利用者と介護者が1対1で業務を行うことが基本であることを踏まえ、従事する訪問介護員等に対し、介護職員初任者研修等の研修修了や介護福祉士資格を義務付ける等、有資格者に限定している。また、訪問介護のサービス提供に当たっては、
        • 訪問介護計画の作成、利用申込の調整及び訪問介護員等に対する指示・業務管理等を行うサービス提供責任者(以下「サ責」という。)を利用者数に応じて配置することを基準とし、
        • 初回の訪問月においては、サ責による訪問介護又は訪問介護員等との同行訪問について、報酬上の加算を設けて、取組が進むようする
          など、利用者に対するケアの質を制度上担保する仕組みとしている。
      • さらに、定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び夜間対応型訪問介護は、訪問介護と同様、利用者の居宅への訪問に当たって有資格者が従事するなど、利用者に対するケアの質が制度上担保される仕組みとなっている。
      • 外国人介護人材の訪問系サービスの実施の可否を検討するに当たっても、こうした枠組みを前提としつつ、利用者に対するケアの質を担保していかなければならない。
      • サービス提供に当たっては、適切なアセスメントに基づき自立支援に向けて取り組むことが基本となるが、訪問系サービスでは、利用者の個々人の身体状況や居宅での生活実態等に即した対応が求められるため、利用者によって手順や方法が異なり、標準化しにくい支援であるということができる。また、介護は、コミュニケーションを前提として業務を行う対人サービスであり、利用者等と適切にコミュニケーションを行うため、日本語によるコミュニケーション能力が不可欠である。特に訪問系サービスでは、利用者やその家族の生活習慣等に配慮しつつ、家族のほか、ケアマネジャーなどといった多職種と連携しながら支援を行うことが求められる。利用者の意向等を踏まえつつ、支援を行うことについては、語学力と現場でのコミュニケーション能力は必ずしも一致するものでなく、サ責の指導等も受けつつ、現場での経験をつみながらレベルアップしていく側面もある。
      • 実際、介護福祉士資格を取得した外国人介護人材が訪問系サービスに従事している事業所に対してヒアリングした際も、例えば、
        • 利用者の特性(性格や障害の有無等)等も踏まえ、サ責の意見等も参考にしながら、訪問先を判断すること
        • 新人の訪問介護職員には、新規利用者のサービスには入らず、事業所の先輩職員が担当している利用者について同行研修なども行いながら、サービスを引き継ぐこと
        • 調理については、味付けの違いなど文化の差が生じるが、利用者と一緒に取り組んだり、事業所で日本食の味付け研修を実施するなどしていること
        • サ責による同行訪問も、外国人介護人材が積み重ねでスキルが身につくこと等も踏まえつつ、状況に応じて期間を設定すること
        • 業務上で困った内容があれば、訪問先又は訪問先から事業所に戻った際等に報告・相談できる体制を整備し、必要に応じてサ責等から助言・指導を行うことや、定期的な研修(ケーススタディ)を実施することなど事業所としての工夫がさまざまなされていた。
    • キャリアアップ
      • また、受入事業者へのヒアリングからもわかるように訪問系サービスに従事したい外国人介護人材も一定数いることから、日本人と同様に、訪問系サービスを含む多様な業務を経験し、キャリアアップに繋がるようにすることは、外国人介護人材にとって、我が国で長期間就労する魅力が向上することにも繋がりうるものと考えられる。
      • 先進的な受入事業者においては、介護職員初任者研修、実務者研修の受講などを組み込む形で、外国人介護人材のキャリアアップ、国家資格取得に向けた人材育成の取り組みがなされており、外国人介護人材が多様な業務を経験しながらキャリアアップし、日本で長期間働くことができるように事業者が中心となって関係者と連携しつつ、支援していくことも重要である。
      • そのため、日本人と同様に適切な処遇を確保し、日本人労働者の処遇・労働環境の改善の努力が損なわれないようにするとともに、介護福祉士の資格取得に向けた国家試験の受験・合格の後押しや就労環境の整備等の様々な支援について、多様な主体が連携して取り組むべきである。
      • なお、受入事業者へのヒアリング等では、アジア諸国においても、今後、高齢化が見込まれることから、日本における訪問系サービスでのキャリアは、今後母国に帰った後もその概念やサービス内容等が役に立つこともあるといった意見が出された。地域共生社会や地域包括ケアシステムの実現を目指す我が国の介護・福祉サービスをアジア諸国に広めていく上でも、その核となる訪問系サービスに従事してもらうことは重要である。
      • 訪問介護等については、有資格者である訪問介護員等の人材不足が深刻な状況であり、また、訪問介護員等の高齢化も進んでいるところ、必要なサービスを将来にわたって提供できるように対応していくといった視点も重要である。
      • このような状況も踏まえつつ、積極的に外国人介護人材を受け入れ、その希望等も踏まえながら、訪問系サービスを含む多様な業務を経験してもらうことが必要になってくる。この際、外国人介護人材を単なる日本人の穴埋めの労働力として受け入れることは適切ではなく、外国人介護人材のキャリアパス等にも十分留意しつつ、事業所によるきめ細かな支援が求められる。
      • 以上を踏まえると、外国人介護人材の訪問系サービスの従事については、日本人同様に介護職員初任者研修を修了した有資格者等であることを前提に、ケアの質や権利擁護等の観点から、以下のとおり、事業者に対して一定の事項について遵守を求め、当該事項を適切に履行できる体制・計画等を有することを条件として従事を認めるべきであり、国においては、適切な指導体制の確保やハラスメント対応等の観点から、受入事業者の遵守事項の履行体制の確保の確認や、相談窓口の設置、受入環境整備等を行うことが重要である。
    • 事業者に求める措置
      1. 受入事業者に対しては、下記(1)~(5)の事項を適切に履行できる体制・計画等を有することについて、事前に巡回訪問等実施機関に必要な書類の提出を求めることとしてはどうか。また、外国人介護人材の訪問先の選定に当たっては、当該外国人介護人材のコミュニケーション能力や介護の技術の状況、利用者の特性等を踏まえつつ、サ責等の意見も勘案し、判断するとともに、従事に際しては、受入事業者から利用者・家族に対して丁寧な説明を行うことなど、適切な配慮を求めることとしてはどうか。
        • 遵守事項
          1. 受入事業者が行う外国人介護人材への研修については、EPA介護福祉士の訪問系サービスで求める留意事項と同様に、訪問介護の基本事項、生活支援技術、利用者、家族や近隣とのコミュニケーション(傾聴、受容、共感などのコミュニケーションスキルを含む)、日本の生活様式等を含むものとすること。
          2. 受入事業者は、訪問系サービスの提供を一人で適切に行えるように、一定期間、サ責等が同行する等の必要なOJTを行うこと。回数や期間については、利用者や外国人介護人材の個々状況により、受入事業者により適切に判断する。
          3. キャリアアップに向けた支援が重要になるところ、受入事業者等は外国人介護人材の訪問系サービスを実施する際、外国人介護人材の意向等を確認しつつ、外国人介護人材のキャリアパスの構築に向けたキャリアアップ計画を作成すること。
          4. ハラスメント対策の観点から、受入事業所内において、以下等の必要な措置を講ずること。
            • ハラスメントを未然に防止するための対応マニュアルの作成・共有、管理者等の役割の明確化
            • 発生したハラスメントの対処方法等のルールの作成・共有などの取り組みや環境の整備
            • 相談窓口の設置等の相談しやすい職場環境づくり
            • 利用者・家族等に対する周知
          5. 外国人介護人材の負担軽減や訪問先での不測の事態に適切に対応が行えるように備える観点から、介護ソフトやタブレット端末の活用による記録業務の支援、コミュニケーションアプリの導入や日常生活や介護現場での困りごと等が相談できるような体制整備など、ICTの活用等も含めた環境整備を行うこと。
    • 国が行う取り組み
      • また、国においては、適切な指導体制の確保、ハラスメント対策等の人権擁護、キャリアアップ支援の促進等の観点から、以下(1)~(3)の取り組みを行うこととしてはどうか。
        • (1)受入事業者への遵守事項を含めた適切な指導体制の確保の観点から、巡回訪問等実施機関について、必要な体制強化を進めながら、提出された書類に基づいて、受入事業者への巡回訪問等を行うこととし、外国人介護人材の雇用管理状況、OJT等の実施状況、ハラスメント対策の対応状況、キャリアアップ支援の実施状況等、前述の遵守事項が適切に実施されているかどうか、事業管理者やサ責等から、確認すること。
        • (2)ハラスメントを防ぐなど、人権擁護の観点から、第3者による母国語による相談窓口を設けること。あわせて、相談内容やその対応結果を分析し、相談窓口の質の向上を行うこと。
        • (3)キャリアアップ支援の観点から、外国人介護人材が受入事業所で働きながら、介護職員初任者研修を修了しやすくするため、地域医療介護総合確保基金事業等を活用しながら、研修等の受講支援や資格取得支援の取り組みを促すこと。あわせて、介護職員初任者研修を修了しやすい環境整備を行うとともに、事業所等の好事例、課題を収集すること。
  • 訪問入浴介護
    • 制度上、介護職員初任者研修等の修了が求められていない訪問入浴介護については、複数人でのサービス提供が必要なサービスであり、現行認められている施設系サービスと同様、比較的適切な指導体制を確保しやすいが、こうした体制等を確保した上で、外国人介護人材が、職場内で実務に必要な入浴等の研修等を受講し、業務に従事することとする。
  • その他
    • 外国人介護人材の業務の在り方については、各在留資格の制度趣旨・目的に基づき検討され、各在留資格制度の関係法令等により施行がなされてきたところ、訪問系サービスなどへの従事においても、今後、具体的な制度設計が進められていくことになるが、これまでと同様に、制度趣旨・目的等を踏まえつつ、準備ができ次第、順次施行することが考えられる。
    • その中で、技能実習制度については、令和6年2月9日の「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」で政府方針(技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議最終報告書を踏まえた政府の対応)を決定した。これを踏まえて、3月15日には「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定された。同法律案では、新たに創設される育成就労制度は、原則3年以内の施行とされていることから、この状況にも留意する必要がある。
    • 現行の技能実習制度では、「本国への技能移転」という制度趣旨に基づき、技能移転の対象となる技能実習生の業務範囲を、必須業務、関連業務及び周辺業務に区分して規定しており、
      • 必須業務として、どの技能実習生も実施する身体介護業務を位置付け、
      • 関連業務及び周辺業務として、身体介護以外の支援等、必須業務に関連する技能の修得に係る業務等を位置付けている。
    • この点に関する見直しの方向性については特に留意する必要があり、仮に、現行の技能実習制度の下で、訪問系サービスなどへの従事に関して、具体的な制度設計を進める場合には、移転すべき技能等既存の制度との整合性について、一定の整理を行う必要がある

~NEW~
厚生労働省 労働災害発生状況
▼ 令和6年における労働災害発生状況について(3月速報値)
  • 死亡災害の発生状況
    • 全体
      • 死亡者数87人(前年同期比 +2人、 2.4%増加)
    • 業種別発生状況
      • 製造業 20人(前年同期比+4人、 25.0%増加)
      • 建設業 27人(前年同期比+2人、 8.0%増加)
      • 林業 3人(前年同期比▲2人、 40.0%減少)
      • 陸上貨物運送事業 13人 (前年同期比▲4人、 23.5%減少)
      • 第三次産業 19人(前年同期比+3人、 18.8%増加)
    • 事故の型別発生状況
      • 墜落・転落26人(前年同期比 +2人、 8.3%増加)
      • はさまれ・巻き込まれ16人(同▲4人、20.0%減少)
      • 交通事故(道路) 10人(同▲2人、16.7%減少)
        • ※ 以下、「激突され」、「転倒」、「崩壊・倒壊」の順
  • 休業4日以上の死傷者数
    • 全体
      • 休業4日以上の死傷者数12,246人(前年同期比▲8人、0.1%減少)
    • 業種別発生状況
      • 製造業 2,641人(前年同期比▲62人、2.3%減少)
      • 建設業 1,321人(前年同期比+2人、0.2%増加)
      • 陸上貨物運送事業 1,632人(前年同期比±0人、増減なし)
      • 第三次産業 5,818人(前年同期比+15人、0.3%増加)
    • 事故の型別発生状況
      • 転倒 3,826人(前年同期▲378人、9.0%減少)
      • 墜落・転落 1,979人(同+74人、3.9%増加)
      • 動作の反動・無理な動作 1,525人(同+137人、9.9%増加)
        • ※ 以下、「はさまれ・巻き込まれ」、「交通事故(道路)」、「切れ・こすれ」の順
        • ※ 令和6年1月1日から令和6年2月29日までに発生した労働災害について、令和6年3月7日までに報告があったものを集計したもの
        • ※ 新型コロナウイルス感染症のり患による労働災害を除いたもの

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厚生労働省 第191回労働政策審議会労働条件分科会(資料)
▼ 資料No.2 家事使用人の雇用ガイドライン
  • 一般のご家庭内で職業として行われる家事労働は、個人がそれぞれの事情に合わせて柔軟に働くことができる働き方として、社会的な関心が大きくなっています。
  • その一方で、家事一般に従事する家事使用人は、労働契約法の適用は受けますが、労働基準法の適用を受けないことや、業務内容や就業時間などの基本的な内容が不明確であるために契約をめぐるトラブルが発生するケースが見られること、また、就業中のケガに対する補償が十分ではないことなどの問題が指摘されています。
  • また、家事使用人は、家政婦(夫)紹介所を通じて、それぞれのご家庭のもとで働くケースが多いのですが、家政婦(夫)紹介所はご家庭に家事使用人を紹介し、雇用関係の成立をあっせんする機関であり、あくまでもご家庭が雇い主となります。しかし、雇い主であるという認識が十分ではないケースも一部に見られます。
  • こうした状況を踏まえ、厚生労働省では、家事使用人の就業環境の改善に向けて、雇用主であるご家庭が、家事使用人と労働契約を結ぶ際や、就業中に留意すべき事項を示した、この『家事使用人の雇用ガイドライン』を作成しました。
  • 家事使用人に仕事を依頼するご家庭は、労働契約を結ぶ際、また就業に際してこのガイドラインの内容を踏まえ、家事使用人と十分話し合った上で契約の内容を決め、適正な就業環境の確保に努めることが望まれます。家事使用人の皆さまも、仕事を受ける前に、このガイドラインの内容をよく知っておくことが望まれます。
  • さらに、家事労働においては、家政婦(夫)紹介所がご家庭と家事使用人を仲介することが多いことから、このガイドラインは、家政婦(夫)紹介所が果たすべき役割も示しています。
  • 家事使用人を雇うご家庭・家事使用人・家政婦(夫)紹介所など、関係者全員でこのガイドラインをご参照いただき、家事使用人が働きやすい環境の確保に努めていただくようお願いします。
  • 家事使用人を雇用する際の留意事項
    • 労働契約の条件を明確にしましょう
      • 雇用主は、家事使用人と労働契約を結ぶ際に、家事使用人と話し合った上で、例えば、次の事項(主なもの)を明確にしましょう。労働契約書の記載例を参考にしてください。
      • その際、口頭で伝えるだけではなく、きちんと書面、もしくは電子メールなどで明示することで、雇用主と家事使用人の間のトラブルを未然に防ぐことにつながります。
      • 雇用主は、あらかじめ決めた労働契約は守らなければなりません。労働契約書に記載された内容はお互いによく確認し、労働契約の条件に反することがないようにしましょう。
    • 労働契約の条件を適正にしましょう
      • 報酬の額は、同じような業務に従事する家事使用人の報酬や、仕事の難易度、家事使用人の能力などを考慮して決定しましょう。また、最低賃金を下回るような低い水準となっていないかを確認し、家事使用人と話し合った上で、適切な水準となるようにしましょう。
      • 報酬は、家事使用人に直接支払うことが原則です。なお、支払方法については、家政婦(夫)紹介所とも相談の上、決めることも可能です(紹介手数料は家政婦(夫)紹介所に支払う必要があります)。
      • 泊まり込みの場合は、休憩や食事の時間、入浴や睡眠の時間をいつ取ってもらうのかをあらかじめ決めておきましょう。24時間の対応を依頼する場合でも、就業時間は12時間程度までとし、夜間に何度も対応を要する場合には、昼間に仮眠時間を設けるなど、家事使用人が過重労働とならないよう配慮してください。また、雇用主のご家族を含め、複数人での交替制とすることも検討してください。
      • やむを得ず残業をしてもらう必要がある場合も考えられますので、あらかじめ労働契約書などで、残業の有無と、残業が想定される場合はその時間数を明確にしておきましょう。その上で、実際に残業が発生する場合には、家事使用人の都合を確認し、その同意を得た上で残業してもらうなど、あらかじめどのように対応するかについて決めておきましょう。
      • なお、1週当たり40時間を超えるようなフルタイムで働く方について、さらに残業をさせる場合には、残業時間は月45時間以内となるようにするなど、過重労働とならないよう配慮してください。
      • 同じ人に家事使用人としての業務と介護保険サービスの双方を行ってもらう場合には、家事使用人の過重労働を防止するため、雇用主はできる限り、介護保険サービスにより対応を依頼する時間も含めて、家事使用人としての就業時間が上記で示した就業時間におさまるよう、契約の段階で設定するなど、全体の就業時間を踏まえた就業時間や休憩時間を設定することが望ましいです。
    • 就業環境を整えましょう
      • 雇用主は、家事使用人が業務を行う上で不安に感じることがないよう、労働契約を結ぶ前も結んだ後も話し合いの場を設けるとよいでしょう。特に、業務で求める水準や労働契約の内容に関する事項については、常日頃から家事使用人とコミュニケーションをとることが大切です。
      • 雇用主は、家事使用人の就業日ごとの始業・終業時刻を確認して、記録し、就業時間を適正に管理することが望ましいです。また、記録した就業時間については、家事使用人の認識と齟齬がないか、お互いに確かめるのがよいでしょう。
      • 雇用主は、自身の家庭のどこで、どのような業務をしている時にケガが起きやすいかを考え、就業中のケガが発生しないように家事使用人に対して注意を呼びかけましょう。また、明らかに危険な作業(例えば、高木の剪定、高層マンションの外側の窓拭き、屋根の修理、外壁の塗装)はさせないよう注意しましょう。
      • 家事使用人に業務を依頼する際は、あらかじめ決めた業務内容の範囲を超えないように気をつけましょう。新たに行ってほしい業務が発生した場合は、家事使用人と十分話し合い、必要に応じて労働契約の条件を変更した上で対応してもらうことが適切です。
      • 雇用主は、日頃から話しやすい雰囲気づくりを心がけ、家事使用人が業務に関する相談などをしやすい環境を整えましょう。家事使用人から相談や苦情を受けた場合は、家事使用人と十分に話し合いを行い、雇用主が自主的に解決を図るよう努めましょう。雇用主は、家事使用人が働く上で困った際に、相談するためにふさわしい家庭内の相談者を事前に労働契約書に記載するなどして共有しておくとよいでしょう。
      • 家事使用人に対するパワハラ、セクハラなどのハラスメントは絶対に許されません。トラブルを避けるためにも、金品や貴重品など、触れてはいけないものについては事前に伝え、金庫などの鍵のかかる場所に保管するなどして、雇用主自身で管理しましょう。また、買い物などで財布を預ける場合は、出納簿を作成するなど、お互いが管理状況を確認できるように工夫しましょう。雇用主は、家事使用人が就業場所などでケガなどをした場合、家事使用人とその原因及び補償について十分話し合いましょう。
    • 労働契約の更新・終了の際には適切に対応しましょう
      • 家事使用人を期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という)で雇っている場合に、自動更新の労働契約を結んでいなければ、基本的には労働契約の期間の満了日に契約は終了します。
      • ただし、労働契約の期間について5年を超えて更新する際は、家事使用人が希望すれば、期間の定めのない労働契約(以下「無期労働契約」という)にすることができます(無期転換ルール)。有期労働契約の家事使用人が、雇用主(ご家庭)に対して無期転換の申込みをした場合に、無期労働契約が成立し、雇用主は断ることができません。家事使用人から無期転換の希望があった場合に適切に対応できるよう、こうしたルールも理解しておきましょう。
      • 家事使用人の家事能力や性格などに不満があるなど、辞めてもらいたいと思ったときでも、すぐに解雇や雇止めをするのではなく、まずは、家事使用人と十分に話し合った上で円満に解決できるように努めましょう。
    • 保険の加入やケガなどの発生状況について確認しましょう
      • 家事使用人に関係する保険には、大きく分けて以下の2種類が存在します。雇用主は、家事使用人または家政婦(夫)紹介所に対して、どのような保険に加入しているのかを確認しましょう。また、それをお互いに事前に確認し、万が一の場合に備えておきましょう。
      • 損害保険加入の有無 家事使用人が、就業先であるご家庭または第三者に対して、業務に関連して損害を与えた場合に備えるための保険。
      • 災害補償保険(労災保険の特別加入を含む)加入の有無 家事使用人が、業務が原因となって、自身がケガや病気をした場合に備えるための保険。

~NEW~
経済産業省 令和5年度「なでしこ銘柄」「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」を選定しました
  • 本日、経済産業省は、東京証券取引所と共同で女性活躍に優れた上場企業を「なでしこ銘柄」として合計27社選定しました。また、今回の選定から新たに、「共働き・共育てを可能にする男女問わない両立支援」が特に優れた上場企業を「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」として合計16社選定しました。
  • 「なでしこ銘柄」「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」とは
    • 「なでしこ銘柄」とは、女性活躍推進に優れた上場企業を、中長期の企業価値向上を重視する投資家にとって魅力ある銘柄として紹介することにより、こうした企業への投資家の関心を一層高め、各社の女性活躍推進に向けた取組を一層加速化させていくことを狙いとしています。
    • 選定にあたっては、企業の女性活躍推進に関する実態を把握するための「女性活躍度調査」に御回答いただいた結果を基に評価を行っています。
    • 企業価値向上につながる女性活躍のためには、「採用から登用までの一貫したキャリア形成支援」と「共働き・共育てを可能にする男女問わない両立支援」を両輪で進めることが不可欠であると考え、令和5年度の「なでしこ銘柄」では、「共働き・共育てを可能にする男女問わない両立支援」に関する設問を拡充し、評価の観点に加えました。
    • また、「共働き・共育てを可能にする男女問わない両立支援」が特に優れた企業を、新たに「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」として選定することとしました。
  • 「なでしこ銘柄」「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」選定企業
    • 令和5年度「なでしこ銘柄」および「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」の選定企業は以下のとおりです。
      • 「なでしこ銘柄」選定企業(計27社)
        • 2802味の素株式会社 食品
        • 2502アサヒグループホールディングス株式会社 食品
        • 5019出光興産株式会社 エネルギー資源
        • 5938株式会社LIXIL 建設・資材
        • 4911株式会社資生堂 素材・化学
        • 4922株式会社コーセー 素材・化学
        • 4519中外製薬株式会社 医薬品
        • 4523エーザイ株式会社 医薬品
        • 7259株式会社アイシン 自動車・輸送機
        • 5802住友電気工業株式会社 鉄鋼・非鉄
        • 6289株式会社技研製作所 機械
        • 6301株式会社小松製作所 機械
        • 6645オムロン株式会社 電機・精密
        • 9719SCSK株式会社 情報通信
        • 2181パーソルホールディングス株式会社 サービスその他
        • 9531東京ガス株式会社 電気・ガス
        • 9532大阪ガス株式会社 電気・ガス
        • 9104株式会社商船三井 運輸・物流
        • 9101日本郵船株式会社 運輸・物流
        • 8001伊藤忠商事株式会社 商社・卸売
        • 8252株式会社丸井グループ 小売
        • 2702日本マクドナルドホールディングス株式会社 小売
        • 7182株式会社ゆうちょ銀行 銀行
        • 8381株式会社山陰合同銀行 銀行
        • 8601株式会社大和証券グループ本社 金融(除く銀行)
        • 8750第一生命ホールディングス株式会社 金融(除く銀行)
        • 8801三井不動産株式会社 不動産業
      • 令和5年度「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」選定企業一覧
      • 7912大日本印刷株式会社 サービスその他
      • 7181株式会社かんぽ生命保険 金融(除く銀行)
      • 8604野村ホールディングス株式会社 金融(除く銀行)
      • 5831株式会社しずおかフィナンシャルグループ 銀行
      • 7186株式会社コンコルディア・フィナンシャルグループ 銀行
      • 5333日本ガイシ株式会社 建設・資材
      • 8053住友商事株式会社 商社・卸売
      • 9749富士ソフト株式会社 情報通信
      • 7911TOPPANホールディングス株式会社 情報通信
      • 2501サッポロホールディングス株式会社 食品
      • 2269明治ホールディングス株式会社 食品
      • 7908株式会社きもと 素材・化学
      • 4631DIC株式会社 素材・化学
      • 6869シスメックス株式会社 電機・精密
      • 4543テルモ株式会社 電機・精密
      • 1878大東建託株式会社
  • 令和5年度「なでしこ銘柄」レポート等公表資料
    • 今回のなでしこ銘柄に関する資料として、下記4点を経済産業省HPで公表します。
▼ 経済産業省「女性活躍に優れた上場企業を選定「なでしこ銘柄」」

~NEW~
経済産業省 防衛装備の海外移転の許可の状況に関する年次報告書を取りまとめました
▼ 防衛装備の海外移転の許可の状況に関する年次報告書
  • 防衛装備の海外移転の個別許可に関する状況について
  • 令和4年度に、経済産業大臣が行った防衛装備の海外移転の個別許可は1,179件である。
  • これらを運用指針の類型に沿って分類すると、「平和貢献・国際協力の積極的な推進に資する場合」に該当するものが33件、「我が国の安全保障に資する場合」に該当するものが1,091件、「誤送品の返送、返送を前提とする見本品の輸出、海外政府機関の警察官により持ち込まれた装備品の再輸出等の我が国の安全保障上の観点から影響が極めて小さいと判断される場合」に該当するものが55件となる。
  • 「平和貢献・国際協力の積極的な推進に資する場合」に該当する海外移転は、中国国内での遺棄化学兵器処理事業の実施に伴うものや、シナイ半島でのエジプト・イスラエル間の停戦監視活動に伴うものである。令和4年度では、中国向けに31件、エジプト向けに2件が許可された。
  • 「我が国の安全保障に資する場合」に該当する海外移転は、国際共同開発・生産に関するもの、安全保障・防衛協力の強化に資するもの、自衛隊を含む政府機関の活動に関するものや邦人の安全確保のために必要なものなどの多岐にわたる。このうち、令和4年度では、
    • 国際共同開発・生産に関するものでは、米国向けに38件、英国向けに5件、インドネシア向けに4件、イタリア・英国、イタリア・英国・米国、イタリア・インドネシア・英国・ドイツ向けにそれぞれ2件、シンガポール向けに1件が許可され、
    • 安全保障・防衛協力の強化に資するものでは、米国向けに17件、フィリピン向けに5件、ウクライナ、UAE、英国・米国向けにそれぞれ1件が許可され、
    • 自衛隊を含む政府機関の活動に関するものでは、海外から購入している自衛隊の装備品に関する故障品の交換や修理のための購入元への一時的な輸出や、国内で製造する装備品の加工委託のための輸出等で1,012件が許可された。
  • 「誤送品の返送、返送を前提とする見本品の輸出、海外政府機関の警察官により持ち込まれた装備品の再輸出等の我が国の安全保障上の観点から影響が極めて小さいと判断される場合」に該当する海外移転は、誤送品(誤って我が国に輸出された他国向けの物品)の返送や借用品(国内で一時的に借用していた物品)の返送などで55件が許可されている。
  • 政府はこれまで、防衛装備の海外移転に関して、「武器輸出三原則等によらない」とする例外措置を講じてきた。移転三原則の策定以降は、このような例外措置を講じずに、国家安全保障会議での審議によって移転を認め得ることとした案件の概要を公表している。

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経済産業省 「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令」が閣議決定されました
  • 本日、「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令」が閣議決定されました。この政令は、第211回国会で成立した「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律」(以下「改正法」といいます。)の一部が令和6年4月1日に施行されることに伴い、関係政令の整備を行うものです。
  • 政令の概要
    • 原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施に関する法律施行令の一部改正
      • 改正後の「原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施及び廃炉の推進に関する法律」(以下「再処理法」といいます。)において政令委任事項としている、廃炉拠出金の延納の手続き等について規定します。
    • その他関係政令の一部改正
      • 改正法による名称変更や条ズレ等の反映といった所要の規定の整備を行います。
    • 経過措置
      • 改正法における経過措置として、改正前の再処理法の規定に基づき既に廃炉の実施に必要な費用に充てるために積み立てた引当金がある実用発電用原子炉設置者等は、改正後の再処理法の規定に基づいて使用済燃料再処理・廃炉推進機構が実施する廃炉推進業務に必要な費用に充てるため、経済産業大臣が定める額の金銭を年度ごとに分割して支払うこととされています。改正法において政令委任事項としている、当該金銭の延納の手続きについて規定します。

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経済産業省 DXセレクション2024を公表しました!
  • 経済産業省は、中堅・中小企業等のDX(デジタルトランスフォーメーション)のモデルケースとなるような優良事例を「DXセレクション2024」として選定し、本日、選定された32社を公表しました。
  • DXセレクションについて
    • DXセレクションとは、デジタルガバナンス・コードに沿った取組を通じてDXで成果を残している、中堅・中小企業等のモデルケースとなる優良事例を選定するものです。優良事例の選定・公表を通じて、地域内や業種内での横展開を図り、中堅・中小企業等におけるDX推進及び各地域でのDXの取組の活性化を目的として、2022年より開始した取組です。
    • これまでは、「地方版IoT推進ラボ」に参画している中堅・中小企業等の中から、各ラボが推薦する企業のみを選定対象としていましたが、今年度の「DXセレクション2024」においては、自薦・他薦を通じて全国の中堅・中小企業等からDXに関する優良事例を32社選定しました。
  • 選出方法
    • 応募実施方法
      • DX認定レベルを確認する調査項目への回答とともに関係機関※からの推薦を必要としましたが、応募時点でDX認定を取得済みである企業に限っては、当該調査項目への記載を免除した上で自薦での応募も認め、実施しました。
        • ※推薦者は、地方公共団体(都道府県、市区町村)、経済団体(全国商工会連合会、商工会連合会、商工会、日本商工会議所、商工会議所、全国中小企業団体中央会、都道府県中小企業団体中央会、全国商店街振輿組合連合会、都道府県商店街振興組合連合会)、金融機関(銀行、信用金庫、信用組合、日本政策投資銀行、日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、沖縄振興開発金融公庫、農林中央金庫)、独立行政法人、国立研究開発法人、報道機関、その他、被推薦者の地域における事業活動や経営の状況等を把握し、「DXセレクション」として選定されうる事業者を適切に推挙できる者としました。
    • 評価項目
      • DXセレクションの審査にあたっては、デジタルガバナンス・コードの以下の項目に対応する取組を評価しました。
      • 経営ビジョン・ビジネスモデル
      • 戦略
        • 組織づくり・人材・企業文化に関する方策
        • ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策
      • 成果と重要な成果指標
      • ガバナンスシステム
  • DXセレクション2024選定事業者一覧
    • グランプリ
      • 浜松倉庫株式会社 静岡県
    • 準グランプリ
      • 株式会社リノメタル 埼玉県
      • 株式会社トーシンパートナーズホールディングス 東京都
      • 株式会社西原商事ホールディングス 福岡県
      • 山口産業株式会社 佐賀県
    • 優良事例
      • 株式会社高山 宮城県
      • 株式会社ASAHI Accounting Robot研究所 山形県
      • 株式会社髙梨製作所 山形県
      • 福島コンピューターシステム株式会社 福島県
      • 有限会社永井製作所 群馬県
      • 田島石油株式会社 埼玉県
      • 鶴見製紙株式会社 埼玉県
      • 株式会社ヒカリシステム 千葉県
      • 旭工業株式会社 東京都
      • 株式会社ダブルスタンダード 東京都
      • 株式会社NISSYO 東京都
      • 武州工業株式会社 東京都
      • Jマテ.カッパープロダクツ株式会社 新潟県
      • 疋田産業株式会社 石川県
      • 株式会社ヤマサ 長野県
      • 協和工業株式会社 愛知県
      • 三共電機株式会社 愛知県
      • IXホールディングス株式会社 三重県
      • 有限会社ゑびや 三重県
      • 株式会社コムデック 三重県
      • 東邦電気産業株式会社 京都府
      • 日本ツクリダス株式会社 大阪府
      • 株式会社ミヨシテック 大阪府
      • 株式会社エヌエスケーケー 兵庫県
      • オカネツ工業株式会社 岡山県
      • 株式会社広島メタルワーク 広島県
      • 福岡運輸株式会社 福岡県

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総務省 デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会(第13回)配付資料 ※ワーキンググループ(第9回)合同開催
▼ 資料13-4デジタル空間における情報流通の健全性に関する基本理念(案)
  • 構成員からのこれまでのご意見を踏まえると、デジタル空間における「情報流通の健全性」に関する基本理念として、例えば以下のような項目が考えられるのではないか。
  • 今後、これらの項目を整理・階層化し、その結果を踏まえて情報流通の場としてのデジタル空間の在り方や情報流通の各過程(発信・伝送・受信)に関わるステークホルダーの役割・責務について検討してはどうか。
    • 表現の自由→デジタル・サイバー・青少年
      • 発信者・伝送者それぞれの表現の自由の保障 など
    • 知る権利→デジタル・青少年
      • 受信者における多様な情報へのアクセスの保障
      • 情報的に健康になろうとする者への機会保障 など
    • 法の支配・民主主義→サイバー・個人情報
      • ルールに基づく民主的なガバナンスの確立
      • 民主主義の過程における国民の自律的な意思決定の保護 など
    • 公平性
      • 情報の伝送過程における不当な偏りの抑止 など
    • 公正性→デジタル
      • コンテンツ作成にかけた「労力」への正当な評価 など
    • 発信主体の真正性確保
      • 発信主体の真正性を受信者において判断できる能力の支援 など
    • 信頼性のある情報の流通確保→デジタル・個人情報
      • アテンション・エコノミー下における信頼性の高いコンテンツの流通へのインセンティブ付与 など
    • リテラシー・責任ある発信→サイバー・個人情報・青少年
      • 受信者・発信者それぞれのリテラシー向上
      • デジタル・シティズンシップの涵養 など
    • 包摂性・脆弱な個人の保護→デジタル・青少年
      • 児童・青少年や高齢者の保護と情報流通への参画機会確保 など
    • 安心→デジタル・サイバー・青少年
      • 法令違反情報・権利侵害情報(誹謗中傷等)による被害の防止・救済
      • 偽・誤情報の拡散による社会的コスト・リスクの増加の抑制
      • 災害発生時等の社会的混乱その他フィジカル空間への影響の抑止 など
    • 安全・セキュリティ確保→デジタル・サイバー
      • サイバー攻撃・安全保障上の脅威等への対抗力の確保 など
    • オープン・透明性→デジタル・個人情報
      • 事業者による取組の透明性確保
      • 政府による事業者への働きかけの透明性確保 など
    • アカウンタビリティ→デジタル・個人情報
      • 事業者の発信者・受信者それぞれに対するアカウンタビリティ
      • 政府の事業者に対するアカウンタビリティ など
    • プライバシー保護→デジタル・個人情報
      • 個人の認知領域への侵襲抑止
      • 個人の自律的な意思決定の保護 など
    • 利用者データの保護→個人情報
      • 個人情報や個人情報以外の利用者データの適正な取扱い など
    • グローバル→デジタル
      • 分断のないデジタル空間の実現 など
    • 国際性→サイバー
      • 国際的に調和のとれたルール作り・運用
      • 政府・事業者を含めた国際連携の促進 など
    • マルチステークホルダーによる連携・協力→デジタル・サイバー・個人情報・青少年
      • 多様なステークホルダー間の情報共有その他連携した取組の促進 など
  • 情報流通過程全体に共通する高次の基本理念(例)
    • 表現の自由と知る権利の実質的保障及びこれらを通じた民主主義の実現
      • 自由な情報発信と多様な情報摂取の機会が保障され、国民の自律的な意思決定が保護されていること
    • 安心かつ安全な情報流通空間としてのデジタル空間の実現
      • 平時・有事(災害発生時等)を通じ、偽・誤情報や悪意ある情報の流通による権利侵害や社会的混乱その他のフィジカル空間への影響が抑止されるとともに、サイバー攻撃や安全保障上の脅威等への対抗力が確保されていること
    • 国内外のマルチステークホルダーによる国際的かつ安定的で継続的な連携・協力
      • デジタル空間に国境がないことを踏まえ、国内のみならず海外の事業者や政府を含むマルチステークホルダーが相互に連携・協力しながらデジタル空間における情報流通に関するガバナンスの在り方について安定的かつ継続的に関与できる枠組みが確保されていること
  • 情報発信に関する基本理念(例)
    • 自由かつ責任ある発信の保護
      • ジャーナリズムやリテラシーに裏付けられた責任ある発信が保護されていること
    • 信頼できるコンテンツの持続可能な制作・発信の実現
      • 信頼できる魅力的なコンテンツの制作・発信(ファクトチェックを含む)に向けたリソースが安定的かつ継続的に確保され、そうした活動の価値が正当に評価されていること
  • 情報受信に関する基本理念(例)
    • リテラシーの確保
      • 受信者において技術的事項を含むリテラシーが確保され、デジタル社会の一員としてデジタル空間における情報流通の仕組みやリスクを理解し、行動できること
    • 多様な個人に対する情報へのアクセス保障とエンパワーメント
      • 個人の属性・認知的能力や置かれた状況の多様性を考慮しつつ、あらゆる個人に対してデジタル空間における情報流通への参画機会が与えられ、意思決定の自律性が確保されていること
  • 情報伝送に関する基本理念(例)
    • 公平かつ多元的な情報伝送
      • 多元的で信頼できる情報源が発信する情報が偏りなく伝送されていること
    • 情報伝送に関わる各ステークホルダーによる取組の透明性とアカウンタビリティの確保
      • プラットフォーム事業者や政府を含む関係者の取組・コミュニケーションの透明性とアカウンタビリティが確保され、責任の所在が明確であること
    • プラットフォームが収集する利用者データの保護と個人のプライバシー保護
      • 個人情報を含む様々な利用者データの適正な収集・利活用とそれを通じた個人の意思決定の自律性が確保されていること

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総務省 デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会 ワーキンググループ(第8回)配付資料
▼ 資料WG8-1 EU・豪州・ニュージーランド・英国における行動規範の策定状況(株式会社野村総合研究所 ご発表資料)
  1. DSAと行動規範の関係性
    • 前文第103項
      • 欧州委員会および理事会は、本規則の適用に資するため、自主的な行動規範の策定と、それらの規範の規定の実施を奨励すべきである。欧州委員会および理事会は、行動規範が、取り組んでいる公益目的の性質を明確に定義し、その目的の達成を独立的に評価する仕組みを含む、関係当局の役割が明確に定義されていることを目指すべきである。特に、安全保障、プライバシー、個人情報の保護への悪影響の回避や、一般的な監視義務を課すことの禁止に注意を払うべきである。行動規範の実施は測定可能であり、公的な監視の対象となるべきであるが、そのような規範の自発的な性質や、利害関係者が参加するかどうかを決定する自由を損なうことがあってはならない。特定の状況においては、超大規模オンラインプラットフォームが特定の行動規範の策定に協力し、遵守することが重要である。本規則のいかなる規定も、他のサービスプロバイダーが同じ行動規範に参加することにより、デューデリジェンスの同じ基準を遵守し、ベストプラクティスを採用し、欧州委員会および理事会が提供するガイドラインの恩恵を受けることを妨げるものではない。
    • 前文第104項
      • 本規則は、そのような行動規範のために考慮すべき分野を特定することが適切である。特に、特定の種類の違法コンテンツに関するリスク軽減措置は、自主規制および共同規制の合意を通じて検討されるべきである。また、情報操作や虐待行為、未成年者への悪影響など、システミックリスクが社会と民主主義に及ぼしうる負の影響についても検討すべきである。これには、意図的に不正確な、あるいは誤解を招くような情報を、時には経済的利益を得る目的で作成するためにボットや偽アカウントを使用するなど、偽情報を含む情報の増幅を目的とした協調的な操作が含まれ、これらは特に未成年者などサービスの受け手である弱者にとって有害である。このような分野に関連して、超大規模オンラインプラットフォームや超大規模オンライン検索エンジンによる所定の行動規範の遵守とコンプライアンスは、適切なリスク軽減措置として考えられる。オンラインプラットフォームまたはオンライン検索エンジンのプロバイダーが、そのような行動規範の適用への欧州委員会による招へいを適切な説明なしに拒否した場合、当該オンラインプラットフォームまたはオンライン検索エンジンが本規則の定める義務に違反したか否かを判断する際に、関連のある範囲で考慮されうる。
    • 前文第106項
      • 本規則に基づく行動規範(Codes of conduct)におけるルールは、「製品安全に関する誓約」、「インターネット上の偽造品販売に関する覚書」、「オンライン上の違法なヘイトスピーチ対策に関する行動規範」ならびに「偽情報に関する行動規範」など、欧州連合レベルですでに確立されている自主規制の取り組みの基礎となりうる。特に後者(偽情報に関する行動規範)については、欧州委員会のガイダンスに従い、欧州民主主義計画で発表されたとおり、偽情報に関する行動規範が強化された。
    • 第45条 行動規範
      • 欧州委員会および理事会は、特に競争法および個人情報の保護に関するEU法に従い、さまざまな種類の違法コンテンツおよびシステミックリスクへの取り組みという特定の課題を考慮しつつ、本規則の適切な適用に貢献するため、EUレベルでの自主的な行動規範の作成を奨励し、促進するものとする。
      • 第34条第1項の意味における重大なシステミックリスクが出現し、複数の超大規模オンラインプラットフォームまたは超大規模オンライン検索エンジンに関係する場合、欧州委員会は、関係する超大規模オンラインプラットフォームのプロバイダーまたは超大規模オンライン検索エンジンのプロバイダー、および他の超大規模オンラインプラットフォームのプロバイダー、超大規模オンライン検索エンジンのプロバイダーを招待することができる、適切な場合には、オンラインプラットフォームおよびその他の仲介サービスのプロバイダー、ならびに関連する管轄当局、市民社会組織およびその他の関連する利害関係者に対し、特定のリスク軽減措置を講じることを約束すること、および講じられた措置とその結果に関する定期的な報告枠組みを定めることを含め、行動規範の策定に参加するよう求めることができる。
      • 委員会および理事会は、行動規範が第1項および第3項に規定された目的を満たしているかどうかを評価し、行動規範に含まれる主要業績評価指標を考慮しながら、その目的の達成状況を定期的に監視および評価するものとする。両委員会は、その結論を公表しなければならない。委員会および理事会はまた、行動規範の定期的な見直しと適応を奨励し、促進するものとする。行動規範の遵守に組織的な不履行があった場合、委員会および理事会は、行動規範の署名事業者・団体に対し、必要な措置を講じるよう求めることができる。
  2. DSAと行動規範の関係性―(参考)リスク評価に関連する条項
    • 前文第84項
      • このようなシステミックリスクを評価する際、超大規模オンラインプラットフォームおよび超大規模なオンライン検索エンジンのプロバイダーは、関連する可能性のあるすべてのアルゴリズムシステム、特にレコメンダーシステムおよび広告システムを含む、リスクに寄与する可能性のあるシステムまたはその他の要素に焦点を当てるべきであり、関連するデータの収集および利用慣行に注意を払うべきである。また、コンテンツのモデレーションプロセス、技術ツール、割り当てられたリソースだけでなく、利用規約とその施行が適切かどうかも評価する必要がある。本規則で特定されたシステミック・リスクを評価する際、プロバイダーは、違法ではないが本規則で特定されたシステミック・リスクに寄与する情報にも注目すべきである。そのため、そのようなプロバイダーは、偽情報を含む、誤解を招く、または欺瞞的なコンテンツを広める、または増幅するために、そのサービスがどのように利用されているかについて、特に注意を払うべきである。アルゴリズムによる情報の増幅がシステミックリスクの一因となる場合、プロバイダーは、そのリスク評価にこれを適切に反映させるべきである。リスクがローカライズされている場合、または言語的な違いがある場合、それらのプロバイダーは、リスク評価においてこの点も考慮すべきである。超大規模オンラインプラットフォームや超大規模オンライン検索エンジンのプロバイダーは、特に、そのサービスの設計と機能、意図的かつしばしば協調的な操作とその利用が、どのようなものであるかを評価すべきである。
    • 第34条 リスク評価
      • 超大規模オンラインプラットフォームおよび超大規模オンライン検索エンジンのプロバイダーは、そのサービスおよびアルゴリズムシステムを含む関連システムの設計もしくは機能、またはそのサービスの利用に起因する、当組合におけるシステミックリスクを真摯に特定、分析および評価しなければならない。リスク評価は、第33条第6項第2号で言及されている適用日までに、また、その後少なくとも1年に1回、さらに、いかなる場合においても、本条に従って特定されたリスクに重大な影響を及ぼす可能性のある機能を展開する前に、実施しなければならない。このリスク評価は、そのサービスに特化し、システミックリスクに比例し、その重大性と蓋然性を考慮したものでなければならず、以下のシステミックリスクを含むものとする:
      • (以下略)
  3. DSAと行動規範の関係性―(参考)リスクの軽減に関連する条項
    • 前文第86項
      • 超大規模オンラインプラットフォームおよび超大規模オンライン検索エンジンのプロバイダーは、基本的権利を遵守しつつ、リスク評価で特定されたシステミックリスクを真摯に軽減するために必要な手段を展開すべきである。採用される措置は、本規則のデューデリジェンス要件を尊重し、特定された特定のシステミックリスクを軽減する上で合理的かつ効果的でなければならない。これらの措置は、超大規模オンラインプラットフォームまたは超大規模オンライン検索エンジンのプロバイダーの経済的能力、および基本的権利に対する潜在的な悪影響を十分に考慮し、そのサービスの利用に対する不必要な制限を回避する必要性に照らして、相応のものでなければならない。これらのプロバイダーは、表現の自由への影響を特に考慮すべきである。
    • 第35条 リスクの軽減
      • 超大規模オンラインプラットフォームおよび超大規模オンライン検索エンジンのプロバイダーは、第34条に従って特定された特定のシステミックリスクに合わせた、合理的、比例的かつ効果的な軽減措置を、当該措置が基本的権利に与える影響を特に考慮して、講じなければならない。かかる措置には、該当する場合、以下が含まれる:
        • (a)オンライン・インターフェースを含む、サービスのデザイン、特徴または機能を適合させること;
        • (b)利用規約およびその実施方法を変更すること;
        • (c)特定の種類の違法コンテンツに関連する通知の処理速度および質を含む、コンテンツ調整プロセスの適合。また、特に違法なヘイトスピーチやサイバー暴力に関して、適切な場合には、通知されたコンテンツの迅速な削除、またはアクセス不能化、ならびにコンテンツ調整のための関連する意思決定プロセスおよび専用リソースの適合を含む、コンテンツ調整プロセスの適合を行うこと;
        • (d)レコメンダー・システムを含むアルゴリズム・システムをテストし、適合させること;
        • (e)広告システムを適合させ、提供するサービスに関連する広告の提示を制限又は調整することを目的とした的を絞った措置を採用すること;
        • (f)特にシステミックリスクの検知に関して、その活動の内部プロセス、リソース、テスト、文書化、または監督を強化すること;
        • (g)第22条に従った信頼できる旗振り業者との協力、および第21条に従った裁判外の紛争解決機関の決定の実施を開始または調整すること;
        • (h)第45条および第48条にそれぞれ言及される行動規範および危機プロトコルを通じて、オンラインプラットフォームまたはオンライン検索エンジンの他のプロバ
    • ダーとの協力を開始または調整すること;
      • (i)サービスの受け手に多くの情報を提供するために、啓発措置を講じ、オンライン・インターフェースを適合させること;
      • (j)適切な場合には、年齢認証やペアレンタルコントロールツール、未成年者が虐待を通報したり支援を受けたりするのを支援するためのツールなど、児童の権利を保護するための的を絞った措置を講じること;
      • (k)生成または加工された画像、音声、映像であるか否かを問わず、実在する人物、物、場所、その他の実体または出来事に著しく類似し、真正または真実であるかのように人に誤認させるような情報の項目は、オンライン・インターフェースに表示される際、目立つマークによって区別できるようにし、さらに、サービスの受信者がそのような情報を表示できるような使いやすい機能を提供すること。
  4. DSAと行動規範の関係性―(参考)オンライン広告の行動規範に関連する条項
    • 前文第88項
      • 超大規模オンラインプラットフォームのプロバイダーや、超大規模オンライン検索エンジンのプロバイダーも、レコメンダーシステムをはじめとするアルゴリズムシステムをテストし、必要に応じて適応させるための措置を講じることに努めるべきである。パーソナライズされたレコメンデーションの悪影響を緩和し、レコメンデーションに使用される基準を修正する必要があるかもしれない。超大規模オンラインプラットフォームや超大規模オンライン検索エンジンのプロバイダーが使用する広告システムも、システミックリスクの誘因となりうる。これらのプロバイダーは、特定の情報に対する広告収入を中止するなどの是正措置、または権威ある情報源の可視性を向上させる、広告システムをより構造的に適合させるなどの他の措置を検討すべきである。超大規模オンラインプラットフォームおよび超大規模オンライン検索エンジンのプロバイダーは、特にシステミックリスクの検出に関して、その活動の内部プロセス又は監督を強化し、新たな機能に関連するリスク評価をより頻繁に又は的を絞って実施する必要があるかもしれない。特に、異なるオンラインプラットフォームまたはオンライン検索エンジン間でリスクが共有される場合、既存の行動規範またはその他の自主規制措置を開始または参加することを含め、他のサービスプロバイダーと協力すべきである。また、特に偽情報キャンペーンに関連するリスクについては、啓発活動を検討すべきである。
    • 前文第107項
      • オンライン広告の提供には、一般に、広告のパブリッシャーと広告主をつなぐ仲介サービスを含む複数の関係者が関与する。行動規範は、オンラインプラットフォームのプロバイダー、超大規模オンラインプラットフォームおよび超大規模オンライン検索エンジンの広告に関する透明性義務を支援し、補完するものでなければならない。これは、特に関連情報の伝達の様式に関して、これらの義務の遵守を促進し、強化するための柔軟かつ効果的なメカニズムを提供するためである。これには、広告の代金を支払う広告主が、オンラインプラットフォームのオンラインインターフェース上で広告を提示する自然人または法人と異なる場合に、広告主に関する情報の伝達を容易にすることを含むべきである。行動規範には、データの収益化に関する有意義な情報がバリューチェーン全体で適切に共有されることを確保するための措置も含まれるべきである。幅広い利害関係者が関与することで、行動規範が広く支持され、技術的に健全で、効果的であり、透明性の義務がその目的を達成するために最高レベルの使いやすさを提供することが保証されるべきである。幅広い利害関係者が関与することで、行動規範が広く支持され、技術的に健全で、実効性があり、透明性義務がその目的を達成するよう確保するために最高レベルの使いやすさを提供できるはずである。行動規範の実効性を確保するため、欧州委員会は行動規範の策定に評価メカニズムを含めるべきである。必要に応じて、欧州委員会は、欧州基本権機関または欧州データ保護監督機関に、それぞれの行動規範について意見を述べるよう求めることができる。
    • 第46条 オンライン広告における行動規範
      • 欧州委員会は、第26条(オンラインプラットフォームにおける広告)および第39条(オンライン広告の追加的な透明性)の要件を超えて、オンライン広告のバリューチェーンにおける関係者の透明性を高めることに貢献するため、オンラインプラットフォームのプロバイダー、およびオンライン広告仲介サービスのプロバイダー、プログラム広告のバリューチェーンに関与するその他の関係者、またはサービスの受け手を代表する組織、市民社会組織もしくは関係当局などのその他の関係するサービスプロバイダーによる、欧州連合レベルでの自主的な行動規範の策定を奨励し、促進するものとする。
      • 欧州委員会は、行動規範が、EU法および国内法、特に競争法およびプライバシーと個人情報の保護に関する法律に従って、オンライン広告における競争的で透明かつ公正な環境と同様に、すべての関係者の権利と利益を十分に尊重した効果的な情報伝達を追求することを確保することを目指すものとする。欧州委員会は、行動規範が少なくとも以下の事項に対処していることを確認することを目指すものとする:
      • (a)第26条第1項(b)、(c)および(d)に定める要件に関して、オンライン広告仲介業者のプロバイダーがサービスの受け手に対して保有する情報の伝達;
      • (b)第39条に基づき、オンライン広告仲介事業者が保有する情報をリポジトリに送信すること;
      • (c)データの収益化に関する有意義な情報;
      • 欧州委員会は、2025年2月18日までの当該行動規範の策定と、2025年8月18日までのその適用を奨励しなければならない。
      • 欧州委員会は、第1項で言及したオンライン広告のバリューチェーンのすべての関係者に対し、行動規範に記載されたコミットメントに賛同し、それを遵守するよう奨励しなければならない
  5. DSAと行動規範の関係性―(参考)欧州委員会におけるQ&Aでの言及
    • DSAに関するQ&Aの中で、「違法ではないが、有害なコンテンツへの対処」について言及している(以下、Q&Aより抜粋)
    • (違法ではないが有害なコンテンツに効果的に対処するには?)
      • 違法でない範囲で、有害なコンテンツを違法なコンテンツと同様に扱うべきではない。新しい規則では、表現の自由を完全に尊重した上で、違法なコンテンツを削除したり、削除を促したりする措置のみを課している。
      • 同時に、DSAは、偽情報、デマ、パンデミック時の操作、社会的弱者への危害、その他の新たな社会的危害といった体系的な問題に関しては、非常に大規模なオンライン・プラットフォームや非常に大規模なオンライン検索エンジンの責任を規制している。欧州委員会による指定後、少なくとも4,500万人のユーザーを抱える超大手オンラインプラットフォームおよび超大手オンライン検索エンジンは、毎年リスク評価を実施し、サービスの設計および使用に起因する対応するリスク軽減措置を講じなければならない。このような措置は、表現の自由の制限とのバランスを慎重に考慮する必要がある。また、独立した監査を受ける必要もある。
      • さらに、この提案では、サービス・プロバイダーが行動規範のもとで違法コンテンツの拡散や、子供や未成年者などサービスの受け手として弱い立場にある人々にとって特に有害な、操作的で虐待的な行為に関する悪影響に対処するための共同規制の枠組みを定めている。
      • DSAは、偽情報に関する行動規範の改訂や危機管理プロトコルなど、オンライン上の危害に関する共同規制の枠組みを促進している。

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総務省 利用者情報に関するワーキンググループ(第2回)
▼ 参考資料2-1第1回会合における構成員等からの主なご意見
  • 諸外国等の動向を踏まえた対応
    • 諸外国と比べ、日本の個人情報保護に関わる規律は、ハードローにおいては必要最低限のものとなっていることから、ソフトローの部分も含めてユーザ保護を考えていくことは重要。【生貝主査代理】
    • トラッキングに同意しなければサービスを使えないという、トラッキングウォールに対する諸外国の対応についても参照していくべき。【生貝主査代理】
    • プロファイリングのあり方については、GDPRは上乗せの規定があり、その点視野に入れるべき。【生貝主査代理】
    • 日本においては、GDPR適用開始後のプラクティスの変更があまり参照されていないので、見ていく価値があるのではないか。【生貝主査代理】
    • 日本の個人情報保護法制では青少年について特別な規定が置かれていないが、青少年や脆弱な個人の保護、要配慮個人情報の取扱いについて、ソフトロー面で考えていく必要があるのではないか。【生貝主査代理】
    • ダークパターンは利用者による意思決定を阻害していると考えられるが、そのことについてどう考えるか。【生貝主査代理】
    • サービスの性質(プラットフォーム系、プロファイリング系)やユーザ数に応じた規律強度の区分についても考えてもよいのではないか。【生貝主査代理】
    • プロファイリングやAIの位置づけをどう考えていくかについて、意識する価値があるのではないか。【生貝主査代理】
    • 英国においてモバイルエコシステムに関する検討が進んでおり、アプリストア一般の行動規範がある。今後の環境変化を見越して、アプリストアにおける規範についても検討する価値があるのではないか。【生貝主査代理】
    • 日本の法制度がグローバルに遅れている面があるので、あるべき姿を目指し補う必要がある。【寺田構成員】
    • EUでは同意の必須化、米国ではオプトアウトの必須化が進むほか、欧米や国際標準ではリスクマネジメントの考え方を重視する潮流がある。子供の情報も含め、グローバルでは規制強化が進んでいるところ、国内にもその潮流を取り込んでいく必要がある。【寺田構成員】
    • 海外のサービスを消費者や子供が安心して使えるように、海外の動向とも釣り合いを取りながら検討していくべき。【木村構成員】
    • 欧州はハードローとソフトローを使い分けているが、その使い分けを見つつ、SPIでも考慮していくべき。【江藤構成員】
  • 民間の取組を踏まえた対応-総論
    • AppleやGoogleがプライバシーポリシーに関するルールを設定しているのだから、SPIではプライバシーポリシー以外の方法での保護のあり方について考えるべき。ダークパターンの禁止、広告IDによる横断的なトラッキングをオプトインとすること、子供や脆弱性のあるユーザの情報の取扱いなど。【森構成員】
    • プライバシーの保護レベルについて、AppleやGoogleのプライバシーポリシーやiPhoneにおけるATTなどをデファクトスタンダードとしてベンチマークにするべき。モバイルエコシステムに関する検討が進んでいるが、プライバシーやセキュリティのための事業者の取組がベンダとの関係で競争阻害的であるという指摘がなされているところ、どのようなレベルが不当であるのか、今後議論になるのではないかと思う。iPhoneにおける保護レベルが切り下げられることがないようにするべき。【森構成員】
  • ダークパターン、プロファイリングについて
    • IDFAは利用者の同意を取っているものの、ダークパターンと見受けられるものがある印象である。どのようなものがダークパターンに当たるのか、SPIで例示しても良いのではないか。【太田構成員】
    • プロファイリングそのものが問題というわけではないが、例えばどういったプロファイリングをしてはいけないのかなど、例示する必要があるのではないか。【寺田構成員】
  • モニタリングについて
    • ログイン・非ログインユーザの違いについて強調されているが、アカウントの有無によっても違いが生じることについて留意が必要。【太田構成員】
    • 情報の取得にあたり同意を得ているものについて、有効な同意となっているか、モニタリングが必要ではないか。【太田構成員】
    • モニタリングを行う上では、KPIなどを設定して事業者を評価する必要があるのではないか。【寺田構成員】
    • 非ログインユーザについて、自身の情報を取得されたくないからこそ非ログインの状態で使っているユーザもいると考えられるので、オプトアウトや通知等の対応はログインしている場合と同等以上であるべきではないか。【寺田構成員】
    • 委託先管理について、明確な指針を設定してモニタリングする必要がある。【寺田構成員】
    • 現状ではモニタリングがうまく機能しておらず、これは広告事業者の保護を目的とした透明化法を根拠とするものであるため。これは利用者情報の保護とはマッチしないことから、利用者情報の保護を目的とした透明化法を作り、モニタリングを義務化するべきではないか。【森構成員】
  • その他
    • サードパーティークッキーをセキュリティ確保のために活用する場合など、セキュリティはプライバシーを一部阻害する側面もあると考えられるところ、どこまでがセキュリティのために必要なのかという点は議論・情報収集すべき。【太田構成員】
    • 法律上の義務がある事項と望ましいとされている事項は、区別して書き分ける必要がある。【寺田構成員】
    • 民間の事業者や団体は、グローバルの規制やApple・Googleの規制に合わせるだけでなく、消費者の意見や意識変化も取り入れながら取組を進めている。こういったことを後押しするような意識や根拠が必要なのではないか。【寺田構成員】
    • 事業者と利用者とでは情報格差があることから、相談先や対応方法について明記するべき。【木村構成員】
    • 事業者のイノベーションの観点からは、個々のアプリ提供者の競争力にも配慮する必要がある。その点、グローバルスタンダードに合わせる形とすることで、ソフトローにより事業者の競争力が削がれないよう留意する必要がある。【江藤構成員】

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国土交通省 「流域治水」ロゴマークを決定しました~ 流域のみんなが水害対策を取り組むきっかけに~
  • 国土交通省では、気候変動の影響により水災害の激甚化・頻発化が懸念される中、河川管理者が主体となって行う河川整備等の事前防災対策を加速化させることに加え、流域に関わるあらゆる関係者が協働して、様々な施策を総動員し水害対策を行う「流域治水」を進めています。
  • このたび、一人でも多くの方々に「流域治水」への理解や親しみをもっていただくことを目的に、公募作品の中から、流域治水のシンボルとなるロゴマークを決定しました。
  • 決定したロゴマークは、全国各地で流域治水を広く周知・PRするための広報活動に活用してまいります。
  • デザインメッセージ
    • 日本はどこに行っても川があり、水に囲まれています。資源でもありますが、災害も引き起こす川と共存して行かなければなりません。
    • 中央の図形は、多様な地域同士が行政界を超えて流域で連携していくイメージを重なりで表現しています。その周囲を囲むような円は、水災害対策により流域を守っていくことを、円の端の手は、このような対策は長年多くの人の手により進められてきたことや、これからも地域同士、住民同士が手を取り合って水災害に立ち向かっていこうという意志を表したものです。
    • また、さまざまな水滴の円は、協働して水害に対して備えていく国、自治体、団体、住民を表しています。

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国土交通省 日本全国の道路異状の通報がLINEアプリから可能となります~全国の道路を対象にLINEによる道路緊急ダイヤル(#9910)の運用を開始します~
  • 道路利用者が道路の異状等を発見した場合に、直接道路管理者に通報することができる道路緊急ダイヤル(#9910)について、令和6年3月29日から、全国の道路を対象にLINEアプリによる通報を開始します。
  • 道路緊急ダイヤル(#9910)では、道路の穴ぼこ、路肩の崩壊などの道路損傷、落下物や路面の汚れなどの道路異状を24時間受け付けています。
  • 令和5年11月より関東甲信地方において、LINEによる道路緊急ダイヤル(#9910)の運用をしていましたが、この度、令和6年3月29日から、全国の道路を対象にした運用を開始します。
  • 聴覚や発話に障がいがあり、音声による通報が困難な方であっても、LINEによる通報が可能となります。通報の流れは、別紙を参照してください。
    • 開始日時
      • 令和6年3月29日(金)正午
    • 使用方法
      • スマートフォンアプリケーション「LINE」に「国土交通省道路緊急ダイヤル(#9910)」の友だち追加をしてご利用ください。(友だち追加は右記の二次元コード読み取りからも可能です。)
    • 対象エリア
      • 全国の道路(高速道路、国道、都道府県道、市町村道など)
        • ※道路以外の通報や、私道など私有地の通報は対象外です。
    • その他
      • 電話による道路緊急ダイヤル(#9910)も引き続きご利用できます。
      • アプリの利用は無料です。ただし、通信方法によっては、別途通信料がかかります。

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国土交通省 新たなトラックの標準的運賃を告示しました~運賃水準を8%引き上げるとともに、荷役の対価等を新たに加算~
  • 令和2年4月に告示したトラックの標準的運賃について、運賃水準を8%引き上げるとともに、荷役の対価等を加算した、新たな運賃を告示しました。今後、関係省庁・産業界とも連携し、実効性の確保に努めるとともに、あらゆる手段を講じて、ドライバーの賃上げ原資の確保に向けて取り組んでまいります。
  • 背景
    • トラック運送業については、間近に迫る「2024年問題」も踏まえ、ドライバーの賃上げの原資となる適正運賃を収受できる環境の整備が急務です。
    • こうした中、昨年6月にとりまとめられた「物流革新に向けた政策パッケージ」において、トラックの標準的運賃について、荷主等への周知・徹底を強化するとともに、荷待ち・荷役に係る費用、燃料高騰分、下請けに発注する際の手数料等も含めて、荷主等に適正に転嫁できるよう、所要の見直しを図ることとされました。
  • 概要
    • 今般の見直しにあたっては、国土交通省において、昨年8月より、「標準的な運賃・標準運送約款の見直しに向けた検討会」を計3回開催し、同年12月、[1]荷主等への適正な転嫁、[2]多重下請構造の是正等、[3]多様な運賃・料金設定等を見直しの柱とする提言を公表しています。当該提言を踏まえた告示の見直し案について、本年1月10日付けで運輸審議会へ諮問しました。
    • 同審議会における審理及び2月29日付けの同審議会からの答申を踏まえ、本日、新たな運賃を告示したところです。
    • 今後、関係省庁・産業界とも連携し、実効性の確保に努めるとともに、あらゆる手段を講じて、ドライバーの賃上げ原資の確保に向けて取り組んでまいります。

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国土交通省 まるっと減らそう、再配達!!~4月は「再配達削減PR月間」!受け取りは1回で!~
  • 昨年6月に取りまとめた「物流革新に向けた政策パッケージ」では、令和6年度の再配達率を半減することとしております。このため、昨年に引き続き、本年4月を「再配達削減PR月間」とし、関係省庁や宅配事業者、EC事業者等と連携し、再配達削減に向けた取組みを強力に推進して参ります。
  • 近年、多様化するライフスタイルとともに電子商取引(以下EC)が急速に拡大し、令和4年度には、EC市場が全体で22.7兆円規模、物販系分野で13.9兆円規模となっています。また、ECの拡大に伴い宅配便の取扱個数は約50億個(令和4年度)となっています。
  • 国土交通省としては、宅配・EC事業者や関係省庁と連携し、消費者の意識改革と行動変容を通じ、再配達率半減に向けた取組が進むよう、スピード感を持って対応して参ります。
    • 関係省庁の取組【国土交通省・消費者庁・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・環境省】
      • 政府広報PR動画(https://www.gov-online.go.jp/useful/202402/video-278763.html)
      • HPやSNS等を通じた消費者への再配達削減の呼びかけ
      • 事業者や業界団体を通じた再配達削減の呼びかけ
      • 参加事業者のリストと取組内容を国土交通省HPに掲載
      • デジタルサイネージを活用した関連動画の放映
    • 宅配便・EC・通販事業者等の取組
      • 計50事業者以上が参画(3/19時点。別添参照)
      • HPに再配達削減PR月間の共通バナーを掲載
      • HPやSNSを通じ、消費者に対し再配達削減を呼びかけ
    • 呼びかける内容
      • 時間帯指定の活用(ゆとりある日時指定)
      • 各事業者の提供しているアプリ等の活用
      • コンビニ受取や置き配など、多様な受取方法の活用
      • 発送時に送付先の在宅時間を確認 など

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