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危機管理トピックス

業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点(金融庁)/新しい資本主義実現会議(第14回)(内閣官房)/第56回労働政策審議会雇用環境・均等分科会(厚労省)/第188回労働政策審議会労働条件分科会(厚労省)

2023.02.20
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更新日:2023年2月20日 新着19記事

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【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • エヌエヌ生命保険株式会社に対する行政処分について
  • 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
  • 「監査上の主要な検討事項(KAM)の特徴的な事例と記載のポイント2022」の公表
内閣官房
  • 新しい資本主義実現会議(第14回)
  • 経済安全保障推進会議(第4回)
厚生労働省
  • 第56回労働政策審議会雇用環境・均等分科会
  • 第188回労働政策審議会労働条件分科会(資料)
  • 第2回今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会
経済産業省
  • 関西電力株式会社及び関西電力送配電株式会社から報告徴収命令に対する回答を受領しました
  • みなし小売電気事業者6社、一般送配電事業者6社及び沖縄電力に対して再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法に基づく報告を求めました
  • 九州電力株式会社、九州電力送配電株式会社、中部電力ミライズ株式会社及び中部電力パワーグリッド株式会社に対して再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法に基づく報告を求めました
総務省
  • 「リチウムイオン蓄電池に係る火災予防上の安全対策に関する検討会」の結果と今後の対応
  • 株式会社NTTドコモに対する電気通信事故に関する適切な対応についての指導

~NEW~
警察庁 犯罪統計資料(令和5年1月)
  • 令和5年1月の刑法犯総数について、認知件数は49,875件(前年同期42,206件、前年同期比+18.2%)、検挙件数は18,391件(19,244件、▲4.4%)、検挙率は36.9%(45.6%、▲8.7P)
  • 凶悪犯の認知件数は377件(317件、+18.9%)、検挙件数は295件(243件、+21.4%)、検挙率は78.2%(76.7%、+1.5P)、粗暴犯の検挙件数は4,404件(3,779件、+16.5%)、検挙件数は3,357件(3,177件、+5.7%)、検挙率は76.2%(84.1%、▲7.9%)、窃盗犯の認知件数は34,116件(28,493件、+19.7%)、検挙件数は10,802件(11,905件、▲9.3%)、検挙率は31.7%(41.8%、▲10.1P)、知能犯の検挙件数は3,465件(2,612件、+32.7%)、検挙件数は1,449件(1,350件、+7.3%)、検挙率は41.8%(51.7%、▲9.9P)
  • 詐欺の認知件数は3,170件(2,344件、+35.2%)、検挙件数は1,251件(1,107件、+13.0%)、検挙率は39.5%(47.2%、▲7.7P)
  • 万引きの認知件数は7,214件(6,871件、+5.0%)、検挙件数は4,295件(4,741件、▲9.4%)、検挙率は59.5%(69.0%、▲9.5P)
  • 特別法犯総数について、検挙件数は4,419件(4,738件、▲6.7%)、検挙人員は3,657人(3,857人、▲5.2%)
  • 入管法違反の検挙件数は310件(238件、+303.3%)、検挙人員は236人(182人、+29.7%)、軽犯罪法違反の検挙件数は506件(513件、▲1.4%)、検挙人員は501人(497人、+0.8%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は755件(705件、+7.1%)、検挙人員は613人(566人、+8.3%)、ストーカー規制法違反の検挙件数は77件(59件、+7.1%)、検挙人員は64人(43人、+48.8%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は238件(235件、+1.3%)、検挙人員は168人(199人、▲15.6%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は22件(20件、+10.0%)、検挙人員は2人(13人、▲84.6%)、銃刀法違反の検挙件数は350件(338件、+3.6%)、検挙人員は299人(299人、±0%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は45件(64件、▲29.7%)、検挙人員は26人(37人、▲29.7%)、大麻取締法違反の検挙件数は423件(394件、+7.4%)、検挙人員は315人(300人、+5.0%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は396件(578件、▲31.5%)、検挙人員は281人(364人、▲22.8%)
  • 来日外国人による 重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数39人(31人、+25.8%)、ベトナム16人(12人、+33.3%)、中国4人(4人、±0%)、インド2人(1人、+100.0%)、フィリピン2人(0人)、アメリカ2人(0人)
  • 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較の刑法犯総数について、検挙件数は667件(856件、▲22.1%)、検挙人員は371人(440人、▲15.7%)
  • 暴行の検挙件数は44件(55絵kん、▲20.0%)、検挙人員は41人(53人、▲22.6%)、傷害の検挙件数は66件(91件、▲27.5%)、検挙人員は68人(85人、▲20.0%)、脅迫の検挙件数は22件(30件、▲26.7%)、検挙人員は21人(31人、▲32.3%)、恐喝の検挙件数は24件(30件、▲20.0%)、検挙人員は22人(29人、▲24.1%)、窃盗の検挙件数は318件(440件、▲27.7%)、検挙人員は51人(60人、▲15.6%)、詐欺の検挙件数は118件(118件、±0%)、検挙人員は97人(91人、+6.6%)、賭博の検挙件数は0件(3件)、検挙人員は15人(26人、▲42.3%)
  • 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較の特別法犯について、検挙件数は232件(403件、▲42.4%)、検挙人員は150人(257人、▲41.6%)
  • 軽犯罪法違反の検挙件数は6件(7件、▲14.3%)、検挙人員は5人(6人、▲16.7%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は2件(2件、±0%)、検挙人員は2人(2人、±0%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は0件(2件)、検挙人員は3人(4人、▲25.0%)、銃刀法違反の検挙件数は2件(5件、▲60.0%)、検挙人員は2人(1人、+100.0%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は1件(12件、▲91.7%)、検挙人員は32人(44人、▲27.3%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は122件(236件、▲48.3%)、検挙人員は72人(147人、▲51.0%)、麻薬等特例法違反の検挙件数は4件(10件、▲60.0%)、検挙人員は0人(6人)

~NEW~
外務省 ウクライナにおける越冬支援のための追加的緊急無償資金協力
  • 2月14日、日本政府は、ウクライナにおける越冬支援として、約55万ドルの緊急無償資金協力を実施することを決定しました。
    1. 今回の支援では、国連プロジェクト・サービス機関(UNOPS)を通じて支援を行い、ウクライナ国家警察に対して反射材及びカイロを供与します。
    2. ロシアの攻撃により多くのエネルギー・インフラ施設が破壊され、ウクライナ各地において大規模な停電が継続しています。夜間は街灯が消え、交通事故も増えている中、本件支援は、厳しい冬の寒さの中で夜間の交通整理に当たる警察官や歩行者の安全性向上に貢献するとともに、屋外で活動する警察官の寒さの緩和につながるものです。
    3. 我が国として、引き続き、G7を始めとする国際社会と連携しながら、国難に直面するウクライナの人々に寄り添った支援を実施していきます。

~NEW~
内閣府 「アイヌに対する理解度に関する世論調査」の概要
  • アイヌの人々は、日本列島北部周辺、とりわけ北海道に先住し、かつては、狩猟・漁労・採集や交易を行い、独自の言語や文化を形成していましたが、北海道開拓時代に日本語教育や猟の制限などにより、アイヌの文化は深刻な打撃を受けました。現代では、衣食住などの日常生活において、他の日本人と変わらない様式で生活しています。最近では、民族共生象徴空間、愛称ウポポイなどを通じたアイヌ文化の振興と普及啓発が行われています。
  • あなたは、アイヌの人々やアイヌ文化に接したことはありますか。
    • ある 21.0%
    • ない 70.5%
  • 問2.あなたは、アイヌの人々に対して、現在は差別や偏見があると思いますか。(○は1つ)
    • あると思う 21.3%
    • ないと思う 28.7%
    • わからない 49.7%
  • 問3.差別や偏見があると思ったのはなぜですか。(〇はいくつでも)
    • 報道などを通じてアイヌの人々が差別を受けているという話を聞いたことがあるから 62.8%
    • 漠然と差別や偏見があるイメージがあるから 39.9%
  • 問4.差別や偏見の原因・背景は何だと思いますか。(〇はいくつでも)
    • アイヌの歴史に関する理解の不十分さ 78.9%
    • アイヌ文化に対する理解の不十分さ 75.4%
    • 行政や学校教育におけるアイヌの人々の理解を深める取組の不十分さ 61.3%
  • 問5.差別や偏見を無くすために必要なことは何だと思いますか。(〇はいくつでも)
    • アイヌの歴史・文化の知識を深めるための学校教育 79.2%
    • アイヌの人々への理解を深めるための啓発・広報活動 67.2%
    • アイヌの人々への差別に対応する専門の相談機関・施設の充実 35.2%
  • 問6.差別や偏見がないと思ったのはなぜですか。(〇はいくつでも)
    • アイヌの人々が差別を受けている場面を見たり、差別を受けている話を聞いたことがないから 67.4%
    • 今のアイヌの人々は、アイヌ以外の人々と同様に現代的な生活をしているから 51.1%
    • アイヌの人々もアイヌ以外の人々と同様に人権を保障されているから 41.5%
    • アイヌの人々に対する理解を深める取組の効果が出ているから 15.4%
  • 問7.あなたは、広く国民が、アイヌについて、関心を深めるためには、どのような方法による取組が効果的だと思いますか。(〇はいくつでも)
    • テレビ番組や新聞を利用した情報提供 74.3%
    • インターネットによる広報活動 41.3%
    • 民族共生象徴空間、愛称ウポポイをはじめとする博物館や体験施設などにおけるアイヌの伝統的家屋・食事・衣服・楽器の体験 40.4%
    • 講演会・シンポジウム・フォーラム・文化交流イベントの開催 31.7%

~NEW~
消費者庁 コンサートの提供事業者3社に対する景品表示法に基づく措置命令について
  • 消費者庁は、令和5年2月15日、コンサートの提供事業者3社(以下「3社」といいます。)に対し、3社が共同して提供したコンサートに係る表示について、それぞれ、景品表示法に違反する行為(同法第5条第1号(優良誤認)に該当)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令を行いました
  • 表示内容
    • 例えば、令和4年1月1日から同年5月18日までの間、オフィシャルウェブサイトにおいて、「会場の座席レイアウトはこちら」との記載と共にステージ、W会員シート、SS席、S席及びA席について会場内でのそれぞれの配置場所を図示した画像等を表示するなど、別表「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示媒体」欄記載の表示媒体において、同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、SS席を購入すれば1階アリーナ席、S席を購入すれば1階スタンド席、また、A席を購入すればバルコニー席又は2階スタンド席で本件役務の提供を受けることができるかのように示す表示をしていた。
  • 実際
    • SS席を購入しても1階スタンド席で本件役務の提供を受ける場合があり、S席を購入しても主に1階スタンド席後方でしか本件役務の提供を受けることができず、かつ、バルコニー席又は2階スタンド席で本件役務の提供を受ける場合があり、また、A席を購入してもバルコニー席で本件役務の提供を受けることはできず、かつ、主に2階スタンド席後方でしか本件役務の提供を受けることができないものであった。
  • 命令の概要
    • 前記表示は、前記のとおりであって、本件役務の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
    • 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
    • 今後、同様の表示を行わないこと。

~NEW~
国民生活センター 賃貸アパート退去時の原状回復のトラブルに注意
  • 内容
    • 事例 家賃6万5千円で2年間住んだ築30年のアパートを退去した。管理会社から、壁クロス張り替え代、床工事費、ハウスクリーニング代、エアコン洗浄費など約17万円の原状回復費用を請求され、家賃の日割り返金分と敷金との差額約5万円を支払うように言われた。ハウスクリーニング代とエアコン洗浄費は契約書に記載があるので払うが、壁や床は汚していないし、壁のクロスは入居時につぎはぎだらけだった。支払いたくない。(当事者:学生)
  • ひとことアドバイス
    • 賃貸住宅を退去する際の原状回復について、年月の経過による変化や普通に使っていて付いた傷などの修繕費用は、借主が負担する必要はないとされています。納得できない費用を請求された場合は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考に、貸主側に説明を求め、話し合いましょう。
    • 退去時だけでなく入居時も、貸主と一緒に部屋の状態を確認し、確認内容をメモしたり、傷や汚れの写真を撮ったりして記録に残しましょう。
    • 契約する際は、契約内容や特約などをよく確認しましょう。
    • 困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

~NEW~
国土交通省 「今後の自動車事故対策勘定のあり方に関する検討会」の最終とりまとめを公表します~自動車事故被害者支援対策及び事故防止対策の安定的・継続的な実施に向けて~
▼最終とりまとめ概要
  • 背景・必要性
    1. 自動車事故対策に関する現状の取組
      • 国土交通省において、「自動車事故対策事業」により被害者支援や事故防止を推進
    2. 現行制度を巡る課題
      • 介護者の高齢化や技術革新等により必要な支援が多様化
      • リハビリ機会の充実等による被害者支援のさらなる充実や先進的な安全技術の普及等による事故防止の一層の推進が必要不可欠
      • 一方、「自動車事故対策事業」は、法的に「当分の間の措置」と位置づけられ、積立金とその運用益のみを財源としているが、運用益に頼ったスキームは昨今の金利情勢により破綻しており、当該財源はいずれ枯渇し、継続が困難となるおそれ
    3. 一般会計からの繰戻しを前提として、「被害者支援」・「事故防止」を持続的に実施できる仕組みへの転換が必要
  • 令和4年自賠法改正と今後の課題
    1. 今後の被害者保護増進等事業の効果検証
      • 関係団体と中立的な第三者で構成される「被害者保護増進等事業に関する検討会」で毎年検証を実施
    2. 一般会計からの繰戻しへの対応
      • 令和3年12月の財務大臣・国土交通大臣間の遵守は最低限の前提
      • 全額の繰戻しに向け、繰入金の残高を早期かつ着実に繰り戻すことを強く求める
    3. 周知・広報
      • 自動車ユーザーの理解を得るための不断の取組みのなお一層の徹底、被害者へのアウトリーチ強化
  • 今後の被害者支援・事故防止対策の財源
    • 積立金を取崩すペースと自動車ユーザーの負担を勘案
    • 社会の大きな転換点となる2040年頃までの期間は、臨時的な歳出に備え必要な規模の積立金(500億円規模)を確保しつつ、引き続き取崩し
    • 1台当たりの平均的な年間賦課金額 125円程度
  • 今後の被害者支援・事故防止対策
    1. 治療・リハビリ機会の充実等
      • これまで十分な救済対策を講じることができなかった脊髄損傷者や高次脳機能障害者へのリハビリ支援施策を充実
    2. 先端技術への対応・被害軽減対策強化
      • 自動車アセスメントの充実等
      • 被害者支援と事故発生防止を「クルマの両輪」として実施
    3. 被害者やそのご家族が安心して生活できる社会を実現

~NEW~
金融庁 エヌエヌ生命保険株式会社に対する行政処分について
  • 金融庁は、本日、エヌエヌ生命保険株式会社(本店:東京都渋谷区、法人番号8010001009338、以下、「当社」という。)に対し、下記のとおり業務改善命令を発出した。
    1. 業務改善命令の内容
      • 保険業法第132条第1項に基づく命令(業務改善命令)
        1. 業務の健全かつ適切な運営を確保するため、以下を実施すること。
          1. 経営体制の見直しを含む経営管理(ガバナンス)態勢の抜本的な強化(今回の処分を踏まえた経営管理(ガバナンス)上の問題点に関する経営姿勢の明確化、及び今後のビジネスモデルのあり方に係る検討を含め、下記2~5を着実に実行するために必要となる態勢の整備・構築)
          2. 保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動による契約の特定、調査等、適切な顧客対応の実施
          3. 営業優先ではなく、コンプライアンス・顧客保護を重視する健全な組織風土の醸成
          4. 適切な募集管理・引受管理態勢の確立(代理店に対する十分な牽制機能の構築を含む)
          5. 適切な商品開発管理態勢の確立
        2. 上記1.に係る業務の改善計画を令和5年3月31日(金曜)までに提出し、ただちに実行すること。
        3. 上記2.の改善計画について、当該計画の実施完了までの間、3カ月毎の進捗及び改善状況を翌月15日までに報告すること(初回報告基準日を令和5年5月末とする)。
    2. 処分の理由
      • 当庁検査及び保険業法第128条第1項に基づく当社からの報告の結果、以下の問題が認められた。
        1. 経営管理態勢及び業務運営態勢の適切性
          • 当社は、中小企業向けの生命保険商品の販売に特化したビジネスを展開しており、事業保険の引受けを通じて、法人、経営者及び従業員等に対して経済的保障を提供し、個人生活や企業経営の安定を支えることを使命として掲げている。
          • しかしながら、取締役会等は、それを実現するための経営管理(ガバナンス)態勢及び業務運営態勢を適切に整備・構築しておらず、社内では、営業を優先してコンプライアンスや内部監査を軽視する企業文化・風土が醸成され、その結果、節税(課税の繰り延べ)を訴求した不適切な商品開発・保険募集が推進される事態を招いている。
        2. 保険本来の趣旨を逸脱した商品開発及び保険募集
          • 当庁では、令和元年2月の国税庁による法人税基本通達の改正に係る保険業界への周知以降、累次にわたり保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動を行わないよう注意喚起を行っているほか、同年10月に、「保険会社向けの総合的な監督指針」(以下、「監督指針」という。)の一部を改正し、法人等向け保険商品の設計上の留意点として、「保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動につながる商品内容となっていないか」という観点を明確化し、節税(課税の繰り延べ)を訴求した商品開発を含め、同活動を防止するための指針を示している。
          • しかしながら、当社は、こうした状況を認識しつつ、名義変更による法人から個人(経営者等)への資産移転を用いた節税ニーズに応えるために、低解約返戻金型の法人向け商品を開発していく方針を商品委員会の資料に明示的に記載して、経営陣の関与の下、組織的に開発・販売を決定するといった悪質性の高い事例が認められた。
          • また、上記の注意喚起や監督指針の一部改正後も、本社営業推進部門が全国の営業拠点に対して、税務上の損金計上を訴求した不適切な保険募集に繋がりかねない営業推進活動(営業ツールや研修ツールの提供等)を組織的・恒常的に行っている実態も認められた。
        3. 3線管理態勢の整備・確立
          • 当社は、第1線から第3線の各層において基本的な態勢を整備しておらず、以下のとおり、多くの問題点が認められた。
            • 保険募集・引受管理態勢(第1線)
              • 保険募集管理部門である営業管理部は、十分な人員が配置されていない中、節税を過度に強調した保険募集の防止策が実際に機能しているかの確認や、追加施策の検討を実施していない。その結果、当社の営業拠点・保険代理店では、社内ルールに反して私製の募集文書を用いた募集などが広く行われている実態が認められた。
              • また、引受審査を所管する契約部は、企業が保険契約者及び保険金受取人となり、従業員を被保険者とする事業保険の引受にあたって、従業員の遺族への弔慰金等の支払い財源確保という企業の保険加入の目的と保障内容が整合的かといった確認を行っていないなど、事業保険の引受審査に関して適切な確認・判断を行う態勢となっていない。
            • 法令等遵守態勢(第2線)
              • 取締役会は、当社における法令等遵守態勢を構築する上で基本となる方針を策定していない。また、コンプライアンス部は、当社にとって最も重要なコンプライアンスリスクである「保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動」に関するリスクへの対処をコンプライアンス・プログラムに掲げておらず、本社各部署・各営業拠点が自律的・計画的な法令等遵守の推進に取り組むことについて指示を行っていないなど、法令等遵守態勢の実効性が確保されていない。
            • 内部監査態勢(第3線)
              • 監査部は、前述の監督指針の一部改正といった外部環境の変化等をリスク・アセスメントにおいて洗い出しておらず、こうした募集活動を防止するために必要な態勢整備や内部統制の十分性等を監査していない。
              • また、営業拠点・保険代理店における保険募集管理態勢の妥当性・有効性等については、コンプライアンス管理部が検査により確認・評価しているが、営業現場の実態が十分に把握できていないにもかかわらず、監査部は、検査結果の報告を形式的に受領するにとどまり、検査の実効性等について評価を行っていない。
        4. 自主的な改善に向けた評価
          • 当庁からの保険業法第128条第1項に基づく報告徴求命令において、上記1.~3.のような保険募集の実態に係る調査結果や態勢上の問題点が適切に報告されておらず、当社における自主的な改善は十分に期待できない。
  • 以上より、当社の確実な業務改善計画の実施及び定着を図っていくためには当局の関与が必要と判断し、業務改善命令を発出した。

~NEW~
金融庁 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
▼主要行等
  • サイバーセキュリティ対策の強化について
    • サイバー攻撃の脅威は増大の一途を辿っており、金融セクターの内外で重大なインシデントが相次いでいる。サイバー攻撃の手口はますます巧妙化し、大手金融機関・中小金融機関を問わず、グループ会社やサードパーティ・サプライチェーンを経由したインシデントが発生している。
    • こうした状況を踏まえると、自組織だけではなく、グループ会社や委託先などを含めた対策が必要であり、また、境界防御だけを過信せずに、侵入を前提とした対策が以前にも増して重要となっている。
    • しかしながら、金融庁のサイバーセキュリティに関する金融機関への検査・モニタリングの結果を見ると、十分なリスク評価を行わないまま、境界防御を過信し、基本的な対策が講じられていない事例が散見されている。例えば、
      • セキュリティパッチが迅速に適用されていない事例、
      • OSが更新されていない、または、サポート切れのまま使用を継続している事例、
      • リモートワークなどの導入に伴い、外部ネットワークから内部ネットワークへのアクセスが可能となっているにもかかわらず、アクセス制御や認
      • 証機能が十分に堅牢なものとなっていない事例、
      • アクセス権が一元管理されておらず、その付与・抹消を含め、管理状況の把握が困難となっている事例
      • 特権アカウントについては更に厳格な管理が必要であるが、一元管理が行われていなかったり、そのログの監視・分析が行われていなかったりする事例
        が認められる。
    • 加えて、ガバナンスや内部統制について、
      • 中期経営計画、年次計画上のサイバーセキュリティの施策が進捗していないにもかかわらず、経営層が看過している事例、
      • 外部委託先を一元的に管理しておらず、サイバーセキュリティの観点から評価していない事例、
      • サイバーセキュリティに関する監査が形式的な確認にとどまっており、実効的な検証がなされていない事例
        等が認められた。
    • セキュリティ人材についても、外部からの採用と内部の育成の両方が必要であるが、人材市場が逼迫しているため、内部の人材に対し、内外の機会を含めてスキルを伸ばす機会を提供したり、インセンティブを与えたりなどの工夫が必要である。また、セキュリティは組織全体で実装しなければ効果がないため、IT・システム部門のセキュリティ人材の育成に加えて、経営陣を含め、非IT分野の役職員のセキュリティ教育も必要である。
    • サイバーリスクは金融セクターのトップリスクの一つであり、増大する脅威に対し、一層の対策が求められている。サイバーセキュリティの成熟度は、同じ業態でも差が見られる。また、成熟度の比較的高い金融機関でも引き続き改善すべき課題が認められる。サイバーハイジーンを実践しないこと、単なる技術上のリスクとして情報システム部門に任せきりにすることのリスクを認識の上、経営陣が率先して関与し、予算・人材育成を含め、組織全体での対応を推進していただきたい。
  • マネロン等リスク管理態勢の整備について
    • 金融庁では、2018年にマネロンガイドラインを公表し、金融機関に求められるマネロン対策等をより明確化するとともに、2021年から3年間の猶予期間を設け、全ての金融機関に対し、2024年3月までにガイドラインで求められる態勢の整備を完了するよう要請している。
    • これまでの検査・監督においては、達成率が高い金融機関では経営陣がマネロン対策等を経営課題として主体的に行動してきたことが確認されており、金融庁としては、各金融機関の経営陣の姿勢を注視している。
    • 態勢整備期限まで残すところ1年余りとなっており、経営陣においては、「他人事ではなく、我が事」として、自行/自社の態勢整備状況とマネロンガイドラインで求められる事項とのギャップを正確に把握し、組織を挙げて、必ず2024年3月までに態勢整備が完了するよう、早急に作業を進めていただきたい。
  • マネロン対策等のシステム共同化について
    • マネロン対策等のシステム共同化については、全国銀行協会を中心に、共同機関設立の準備が進められている。
    • 先般、全国銀行協会において実施した利用意向の確認では、非常に多くの会員行から共同機関を利用する意向が示されたと聞いている。金融庁としても、本取組みを通じて、銀行業界全体のマネロン対策等の高度化が図られることを期待している。
    • また、金融庁では、2023年1月16日、令和4年度補正予算で措置された「AIを活用したマネー・ローンダリング対策高度化推進事業」による補助金の公募を開始した。こうした予算措置も活用しつつ、我が国金融業界のマネロン対策等の高度化・共同化の取組みを積極的に支援していきたい。
  • オペレーショナル・レジリエンスに関するディスカッション・ペーパーについて
    • 金融庁において、2022年12月16日に「オペレーショナル・レジリエンス確保に向けた基本的な考え方」(案)を公表し、2023年2月16日まで意見募集(パブリック・コメント)を実施している。
    • 実態把握のため、全銀協や個別の金融機関にはヒアリングに協力いただき、御礼申し上げる。オペレーショナル・レジリエンス(業務の強靱性・復旧力。以下、オペレジ。)とは、想定外の事象が生じた場合であっても、金融機関が重要な業務を最低限維持すべき水準において提供し続ける能力のことである。国際的には数年前から議論されてきているが、昨今の感染症の拡大やサイバー攻撃、自然災害やシステム障害といった事象により、こうした能力の確保に向けた検討の重要性がより明らかになっている。
    • オペレジを実効性のある形で確保するためには、組織横断的な観点から、利用者目線も含めて検討し、業務継続に必要な経営資源(ヒト・モノ・カネ)を配置し、それを検証することが必要となる。そうした一連のプロセスにおいて、経営陣による主体的な関与とコミットメントが不可欠になる。
    • オペレジに係る実務や手法は発展途上にあり、国際的な議論も継続中であることから、金融庁としては、今後、各金融機関が抱える問題意識や悩み、対応状況、当局への期待などについて、率直な意見交換ができればと考えている。また、そうした意見交換を通じて、継続的に、課題の共有・設定や当局対応のあり方の検討を行っていきたい。
  • 令和5年度税制改正要望の結果について
    • 金融庁の令和5(2023)年度税制改正要望においては、NISAの抜本的拡充を始めとした「資産所得倍増プラン」関連、クロスボーダー取引に係る環境整備、保険、そして暗号資産などの項目を要望した。
    • その結果、2022年12月16日に公表された与党税制改正大綱においては、まず、NISAを抜本的に拡充し、制度を恒久化することが盛り込まれた。具体的には、
    • NISAを一本化して、つみたてNISAを引き継ぐつみたて投資枠と、一般NISAを引き継ぐ成長投資枠を設け、両者を併用可能とした上で、
    • 年間の投資額の上限をそれぞれ120万円と240万円に拡大することが盛り込まれている。合計で年間最大360万円まで投資できることになり、英国のISAを上回る水準となる見込み。
    • また、全体で1,800万円の非課税保有限度額(成長投資枠の非課税保有限度額は、その内数の1,200万円)を設けた上で、金融商品から得た利益が非課税となる期間を無期限とすることも盛り込まれている。
    • この抜本的拡充後の新しいNISAは2024年1月から施行予定であるが、2023年末までに現行の一般NISA及びつみたてNISA制度において投資した商品は、新しい制度の外枠で、現行制度における非課税措置が適用されることとされている。現行制度の投資分を新制度に移管する必要等がなくなるため、金融機関にとってもシステム負担が軽くなると考えられる。円滑な制度施行に向けて、各金融機関の協力をお願いしたい。
    • なお、「資産所得倍増プラン」においては、今後5年間で、NISAの総口座数を、現在の1,700万から3,400万に倍増し、NISAの買付額についても、現在の28兆円から56兆円に倍増することを目指すこととしている。
    • また、家計の安定的な資産形成の実現のためには、NISAの抜本的拡充・恒久化だけでなく、
      • 金融経済教育の充実や、
      • 金融機関等による顧客本位の業務運営の確保、
        も重要であり、この点についても各金融機関の協力は不可欠であると考えている。
    • 今回のNISA制度改正は抜本的な拡充であり、世の中の関心も高まっている。家計の安定的な資産形成を更に大きく前進させるためには、政府の取り組みだけではなく、利用者と日頃から接している各金融機関の対応や協力が非常に重要である。日本の金融市場と金融セクターの発展のために是非、協力をお願いしたい。
    • このほか、与党税制改正大綱においては、
      • 教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置の延長(3年)や、
      • 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の延長(2年)、
      • 海外ファンドとの債券現先取引(レポ取引)に係る非課税措置の延長(3年)、
      • 退職年金等積立金に対する法人税の課税の停止措置の適用期限の延長(3年)、
      • インフラファンドに係る税制優遇措置の延長(3年)、
        など、金融庁関係の他の重要要望項目も措置されることとなった。
    • 今後、これらの効果ある実施が重要であり、是非、協力をお願いしたい。
    • また、金融所得課税の一体化(損益通算範囲の拡大)については「意図的な租税回避行為を防止するための方策等に関するこれまでの検討の成果を踏まえ、総合的に検討する」と記載されており、今後、実現に向けて、必要な取組みを行っていきたい。
    • 全体として、今般の与党税制改正大綱は、金融庁の要望内容の多くが盛り込まれた、画期的な大綱となったと考えている。
  • サステナブルファイナンスの取組みについて
    • 2050年カーボンニュートラルの実現のためには、日本において今後10年間で官民合わせて150兆円の投資が必要と試算されている。
    • このうち民間金融の活用に関して、金融庁、経済産業省、環境省は、「産業のGXに向けた資金供給の在り方に関する研究会」において計5回にわたって議論を行い、2022年12月13日、その議論内容を施策パッケージとして取りまとめた。
    • 施策パッケージには、
      1. グリーン、トランジション、イノベーションへの投資を行う際の環境整備やブレンデッド・ファイナンスの開発・確立、
      2. 地域・中小企業のGX投資促進にむけた資金供給、
      3. GX投資促進等にむけた市場環境の整備、
      4. GXを実践する企業への新たな評価軸の構築やマクロでの気候変動分野への資金誘導策、
        といった内容を盛り込んでいる。
    • 特に、金融機関・投資家が多排出企業のトランジション活動を支援し投融資を行う場合に「ファイナンスド・エミッション」が一時的に増加してしまうという課題については、金融庁、経済産業省、環境省の3省庁共催の「トランジション・ファイナンス環境整備検討会」の下にワーキング・グループを設置して、考え方や国際発信の方法等を整理していく予定。また、金融庁では、2022年10月に立ち上げた「脱炭素等に向けた金融機関等の取組みに関する検討会」を引き続き開催し、2023年6月までに金融機関と企業の対話のためのガイダンスを策定する予定。引き続き、金融機関と緊密に連携したい。
    • また、GXを含む企業のESGに関する取組みを評価するESG評価機関等については、その評価手法の透明性や公平性のほか、利益相反の防止などのガバナンスの確保が課題となっている。こうした課題を克服するため、金融庁は、2022年12月15日、「ESG評価機関・データ提供機関に係る行動規範」を最終化。2023年半ば頃に行動規範を受け入れる機関の状況を公表することを目指している。
    • ESG評価やデータが信頼性をもって利用されていくためには、ESG評価・データ提供機関と評価の対象となる企業や投資家とのコミュニケーションが重要であるとの観点から、行動規範では投資家におけるESG評価の活用方法の開示等企業や投資家への提言もあわせて公表しており、各金融機関も参照いただきたい。
    • さらに、ESGに関するデータの中でも、特に気候変動関連データの提供・利活用の重要性が高まっており、データの提供側と利活用側が、互いのニーズや課題等について、双方向で情報・意見交換を行うことが重要。このため、金融庁、文部科学省、国土交通省、環境省は、産業界・金融界をメンバーとする「気候変動リスク・機会の評価に向けたシナリオ・データ関係機関懇談会」を設置し、2022年12月22日に初回会合を開催した。今後、必要な対応の方向性等について議論を行っていく予定であり、金融機関におかれても、気候変動開示等にあたりデータを利活用するうえで参考にしていただきたい。
    • 上記に限らず、今後、金融庁としては、先ほど述べた4つの柱の実現について、関係省庁と連携しつつ、具体的な政策をつめていくことになる。その最終目標は、民間資金も含めカーボンニュートラルに必要な資金を如何に円滑かつ恒常的に確保する仕組みをつくるかであり、実際のファイナンス業務の状況やニーズ、各金融機関の経営方針を踏まえた、効果のある施策を実施してくことが重要である。その点で、各金融機関との対話がますます重要となってくると考えているので、緊密な情報・意見交換に協力いただきたい。
  • 2023年の主要な国際動向について
    • 日本は2023年1月より、G7議長国を務めており、5月11-13日に新潟で財務大臣・中央銀行総裁会合が、19-21日に広島で首脳会合が開催される予定。
    • G7各国と緊密に連携し、業界の意見も踏まえながら、議論を進めていきたい。

~NEW~
金融庁 「監査上の主要な検討事項(KAM)の特徴的な事例と記載のポイント2022」の公表
▼別紙1 監査上の主要な検討事項(KAM)の特徴的な事例と記載のポイント2022
  • 強制適用会社(2021年3月期以降)の記載内容の変化
    • 強制適用会社で、2022年3月期から2022年6月期において有価証券報告書を提出した上場会社2,634社のうち、当期・前期2期分の有価証券報告書を提出している(監査法人等が交代している会社を除く)、KAMの見出しが一致している等の絞り込みを行った結果の1,390社のKAMにおいて、文字列類似度分析を実施。
    • 類似度は、6.3%から100%と幅があるが、半数以上が類似度75%以上であり、偏りが見られた。
    • 監査法人等の規模別(大手監査法人、準大手監査法人、中小規模監査事務所)で見ると(詳細は次頁)、
    • 類似度については、90%以上で見ると、中小規模の割合が最も多い。
    • 文字数については、中小規模が相対的に少ない傾向が見られた。
    • 文字数と類似度の相関関係は見られなかった。
  • 各監査法人等における記載内容の類似度比較
    • 特定の項目について、同一決算期における監査法人等毎のKAMの記載内容について、文字列類似度分析を実施。
    • 「監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由」については、監査法人等毎に類似度にややばらつきが見られ、B法人、C法人及び中小規模では平均値が相対的に高い結果となった。
    • 最大値については、A法人、B法人、C法人及び中小規模で類似度が90%超の事例が複数見られ、最小値については、C法人及び中小規模の繰延税金資産のKAMにおいて類似度の最低値が相対的に高い結果となった。
    • 「監査上の対応」については、監査法人等毎に類似度にややばらつきが見られ、B法人、C法人及び中小規模では平均値が相対的に高い結果となった。
    • 最大値については、A法人、B法人、C法人及び中小規模で類似度が90%超の事例が複数見られ、一部で類似度100%も見られた。
    • 最小値については、I法人及び中小規模の繰延税金資産のKAMにおいて類似度の最低値が相対的に高い結果となった。
    • 監査法人等毎の異なる会社のKAMに対して、類似度分析を行い、類似度の結果を「~25%以下」、「25%超~50%以下」、「50%超~75%以下」及び「75%超~」の4区分で階層化した。
    • 固定資産の減損に関して、「監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由」、「監査上の対応」ともに、B法人及びC法人におけるKAMの類似度「25%超~50%以下」が、他の監査法人等と比較し、相対的に高い割合となっており、監査法人内でのKAMの記載内容に高い類似性が見られた。
    • 繰延税金資産に関して、「監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由」、「監査上の対応」ともに、B法人及びC法人におけるKAMの類似度「25%超~50%以下」が、他の監査法人等と比較し、相対的に高い割合となっており、監査法人内でのKAMの記載内容に高い類似性が見られた。
    • 中小規模においては、類似度「75%超~」のKAMが全体の2割を占める結果となった。
  • KAMの個数
    • 2022年3月期におけるKAMの1社当たりの平均個数(連結)は約1.3個であった(2021年3月期とほぼ同じ)。
    • 業種別の内訳は、業種による大きな差異は見られなかった。
    • 売上規模別では、規模が大きくなるにつれて、KAMの平均個数が多くなる傾向が見られた。
    • 会計基準別では、最も少ない日本基準で平均約1.3個、最も多いUS-GAAPで平均約2.0個と差異が見られた。

~NEW~
内閣官房 新しい資本主義実現会議(第14回)
▼資料1 基礎資料
  • 先進国の1人あたり実質賃金の推移をみると、1991年から2021年にかけて、米国は1.52倍、英国は1.51倍、フランスとドイツは1.34倍に上昇しているのに対して、日本は1.05倍にとどまる。
  • 我が国と他の先進国等では、同じ職務であるにもかかわらず、著しい賃金差が存在し、特に高いスキルが要求される分野(IT、データアナリティクス、プロジェクトマネジメント、営業/マーケティング、技術研究、経営・企画等)では、その差が著しい。日本企業と海外企業との賃金格差が大きいため、職務毎の賃金格差解消が不可避。ポストコロナの人材不足の中で、日本企業から人材が奪われつつある危機的状況。年功賃金での対応は難しく、この賃金格差を無くすため、雇用制度の見直しが求められている。
  • 同じ国の中でも、他の先進国においては職務に求められるスキルに応じた賃金差がある。例えば、IT、データアナリティクス、プロジェクトマネジメント、技術研究といった高いスキルが要求される職種は高い賃金を獲得できている。これに対し、日本企業は、獲得したスキルに応じた賃金差が小さく、スキルの高い人材が報われにくい制度となっている。
  • 従来の我が国のメンバーシップ型の雇用制度においては、採用は新卒一括採用中心、異動は従業員の意向ではなく会社主導。企業から与えられた仕事を頑張るのが従業員であり、将来に向けたリ・スキリングが生きるかどうかは人事異動次第。構造的な賃上げの基礎となる従業員の意思による自律的なキャリア形成が行われにくいシステム。個々の職務に応じて必要となるスキルを設定し、スキルギャップの克服に向けて、従業員が上司と相談をしつつ、自ら職務やリ・スキリングの内容を選択していく制度に移行する必要。
  • 日本企業にアンケート調査すると、今後3~5年のうちに、管理職層を含めれば何らかの形でジョブ型への移行を検討する状況ではあるが、ジョブ型と”言い切っている”企業は管理職層で15%、非管理職層で8%にとどまっている。
  • 日本企業が、職務給(ジョブ型)への転換を考えざるを得ない理由は、グローバル市場での競争の中で、人材を確保するために必要と考えているところにある。
  • 職務給(ジョブ型雇用)の導入にあたっては、個々の企業特性に応じた導入の在り方があり、個々の企業に合った職務給(ジョブ型雇用)の導入方法を類型化して示すことが必要。具体的には、企業によっては、ジョブ型雇用(職務給)を一度にではなく、順次導入する。あるいは、その適用に当たっても、スキルだけではなく、個々人のパフォーマンスや行動の適格性を勘案するといった導入方法を類型化してモデルを示し、導入しやすくすることが必要。
  • 米国企業のAT&Tは、デジタル化などによる旧来事業の破壊的変化に対応して、大規模なリ・スキリングの取組を推進し、世界的で最も有名なモデルケースとなった
▼資料2 論点
  • 労働市場改革を進め、持続的に賃金が上がる構造を作り上げることが不可避ではないか。そのため、リ・スキリングによる能力向上支援、日本型の職務給の確立、成長分野への円滑な労働移動を進める、という三位一体の改革を、働く人の立場に立って進めることが必要ではないか。
  • 日本企業は、平均的には獲得したスキルに応じた賃金差が小さく、スキルの高い人材が報われにくい制度となっている。日本企業と海外企業の間に同じ職務であるにも関わらず、著しい賃金差が存在することに鑑みれば、これらの賃金格差解消が必要ではないか。
  • 「新卒一括採用」「会社主導の異動」「従業員は企業から仕事を与えられるもの」「リ・スキリングが生きるかどうかは人事異動次第」といった伝統的な日本の制度を見直し、個々の職務に応じて必要となるスキルを設定し、現在のスキルとのスキルギャップの克服に向けて、従業員が上司と相談しつつ、自ら職務やリ・スキリングの内容を選択していく制度に移行する必要があるのではないか。これにより、併せて、社外から経験者採用を行う門戸を開き、内部労働市場の創設と外部労働市場とのシームレスな接続が可能になるのではないか。
  • 国の学び直し支援策について、企業経由が中心となっている在職者支援を、自律的なキャリア形成を促すため、個人への直接支援中心に組み直す必要があるのではないか。他方で、事業環境の変化の下で、従業員のリ・スキリングは、企業経営側の責務であることの再確認が必要ではないか。
  • 労働者の生活安定性(セキュリティ)を維持しつつ、リ・スキリングを進めるため、海外と同様、我が国についても在職期間中のリ・スキリングの強化が必要ではないか。
  • 6月の指針においては、個々の企業の実情に合った職務給(ジョブ型雇用)の導入方法を類型化する必要があるのではないか。例えば、ジョブ型雇用(職務給)を一度にではなく、順次導入する。あるいは、スキルだけではなく、個々人のパフォーマンスや行動の適格性を勘案するといった導入方法も、バリエーションとして示すことに意味があるのではないか。
  • 日本には国家資格としてキャリアコンサルタントがあるが、求人・求職・キャリアアップに関する労働市場の情報を共有しているわけではないので、ハローワークや民間人材会社が有する求人・転職に関する基礎的情報を共有し、コンサルティングがしやすい環境を整備すべきではないか。また、構造的賃上げを進めるためには、官のハローワークにおいても、コンサルティング機能の強化が必要ではないか。
  • 労働移動に挑戦できる環境作りの視点に立つと、自己都合で離職する場合と会社都合で離職する場合の保護の差をどのようにするか、検討が必要ではないか。
  • 非正規労働者の賃金を上げていくためには、同一労働同一賃金制の徹底した施行が必要であり、本年3月から本格実施される労働基準監督署による調査の効果を見て、その後の進め方を検討すべきではないか。

~NEW~
内閣官房 経済安全保障推進会議(第4回)
▼資料1 セキュリティ・クリアランス制度等の整備に向けて
  • 経済安全保障推進法の附帯決議や国家安全保障戦略を踏まえ、セキュリティ・クリアランスを含む我が国の情報保全の強化に向けた検討を進める必要
  • 経済界からは、今後の海外事業の展開等を見据え、主要国の情報保全制度と整合性のある形での制度整備を求める声がある
  • いわゆる「セキュリティ・クリアランス」とは、国家における情報保全措置の一環として、(1)政府が保有する安全保障上重要な情報を指定することを前提に、(2)当該情報にアクセスする必要がある者(政府職員及び必要に応じ民間の者)に対して政府による調査を実施し、当該者の信頼性を確認した上でアクセス権を付与する制度。(3)特別の情報管理ルールを定め、当該情報を漏洩した場合には厳罰を科すことが通例。

~NEW~
厚生労働省 第56回労働政策審議会雇用環境・均等分科会
▼資料2 第4次男女雇用機会均等対策基本方針(骨子案)
  • 労働力の質的変化
    • 男性の勤続年数はほぼ横ばい、女性は上昇傾向。
    • 雇用形態別雇用者数は、正規の職員・従業員数については、男性はほぼ横ばい、女性は増加傾向。非正規の職員・従業員数については、男女とも増加傾向にあったが、令和2年及び令和3年の2年間はコロナの影響もあり減少。
    • 男性の約8割が正規の職員・従業員。女性の正規の職員・従業員の割合は約5割。また、年齢階級別の女性の正規雇用比率は20~29歳をピークに低下し、グラフがL字型となっている。
    • 職業別の雇用者数は、男性は「専門的・技術的職業従事者」が最も多く、女性では「事務従事者」が最も多くなっている。
    • 産業別の雇用者数は、男性は「情報通信業」及び「医療、福祉」が増加。女性は「医療、福祉」及び「教育、学習支援業」が増加。
  • 失業の状況
    • 失業率は、景気の回復を背景に改善傾向。雇用情勢は、コロナの影響により悪化していたが、緩やかに持ち直している。
  • 労働力需給の見通し
    • 令和元年の推計では、今後の就業者数については、経済成長と労働参加が適切に進まなかった場合、令和22年(2040年)には5,245万人に減少すると見込まれている一方、経済成長と労働参加が適切に進んだ場合には、令和22年(2040年)に6,024万人と、減少幅が縮小する見込み。
  • 労働条件
    • 男女間賃金格差は、徐々に縮小傾向にあるが、欧米諸国と比較すると依然として大きい。役職や勤続年数の差が主因。
    • 総実労働時間は男女ともに減少傾向にあるが、パートタイム労働者以外の一般労働者の総実労働時間は高止まり。依然、欧米諸国と比べると長時間労働者割合は高い。
  • 均等法等の施行状況等
    • 管理職に占める女性割合は上昇傾向にあるが、国際的に見ると依然水準は低い。
    • セクシュアルハラスメントや妊娠・出産・育児休業等ハラスメント、パワーハラスメント対策については、企業規模が小さくなるにつれて実施割合が低下。
  • 女性活躍推進法の施行状況等
    • 一般事業主行動計画の策定・届出率は、行動計画の策定・届出が義務となっている一般事業主のうち、常時雇用する労働者が300人を超えるものは令和4年12月末時点では98.0%、常時雇用する労働者が101人以上300人以下の事業主については同時点で96.4%となっており、制度が浸透・定着。また、行動計画の策定・届出が義務となっていない常時雇用する労働者が100人以下の事業主については、同時点で6,793社となっており、一定の取組はみられるものの、今後、一層の進展を期待。
    • えるぼし認定取得企業は令和4年12月末時点で2,030社であり、順調に増加。プラチナえるぼし認定取得企業は同時点で34社。
    • 令和4年12月末時点で、女性の活躍推進企業データベースにおいて23,876社が女性活躍推進法に基づく自社の情報を公表。
  • 育児・介護休業法の施行状況等
    • 育児休業制度の規定のある事業所割合は、令和3年度では事業所規模30人以上で95.0%と制度が浸透・定着。
    • 育児休業取得率は、女性ではおおむね横ばいで推移し、令和3年度では85.1%。男性は近年上昇傾向にあるものの13.97%と依然として低い。こうした状況も踏まえ、令和3年に育児・介護休業法を改正し、出生時育児休業制度の創設等を行い、段階的に施行。
    • 介護休業制度の規定のある事業所割合は、育児休業制度に比べるとやや低く、令和元年度では事業所規模30人以上で89.0%。
    • 介護休業取得者の男女別内訳は、女性は59.7%、男性は40.3%。
  • 次世代法の施行状況等
    • 次世代法の行動計画策定・届出を行っている企業の割合は年々上昇し、令和4年3月末時点では事業所規模101人以上で98.0%となるなど、制度の定着が進んでいる。
    • くるみん認定取得企業は令和4年6月末時点で3,861社であり、順調に増加。プラチナくるみん認定取得企業は同時点で491社。令和4年4月からはトライくるみん認定を創設。
    • 不妊治療経験者のうち16%(女性は23%)が不妊治療と仕事との両立ができずに離職している状況を踏まえ、企業の取組促進のため、令和4年4月よりくるみんプラス認定を創設。
  • パートタイム・有期雇用労働法の施行状況等
    • 働き方改革関連法によってパートタイム労働法をパートタイム・有期雇用労働法に改正。同一企業内の正規雇用労働者・非正規雇用労働者間の不合理な待遇差を解消し、多様で柔軟な働き方を選択できるようにすることを目指す。
    • 令和4年時点で、同一労働同一賃金に取り組んでいる又は取り組んだ事業所の割合は約63%。検討の結果、待遇の見直しは必要ないと判断した事業所及び異なる雇用形態が存在しない事業所を含めると約91%となり、着実に進展。
  • 企業の雇用管理の変化
    • 多様な働き方として、労働時間や職務・勤務地を限定した限定正社員の採用等を行う企業も。
    • コロナの拡大によってテレワークや在宅勤務等が浸透。
    • 男女労働者の意識の変化と就業パターン
    • 若者を中心に固定的な性別役割分担意識の解消が徐々に進展。
    • 女性が職業を持つことについての意識は、男女ともに「子どもができても、ずっと職業を続けるほうがよい」とする割合が最も高い。
    • 第一子出産後も就業継続している女性の割合は約7割と近年上昇傾向にあるが、就業継続を希望していながら離職を余儀なくされた女性も一定程度存在。
    • 一方、男性労働者の3割以上が育児休業の取得を望んでいるものの、職場が育児休業制度を取得しにくい雰囲気であること等の理由から取得が進んでおらず、女性と比較して低水準。
    • 夫の平日の家事・育児時間が長いほど妻の継続就業割合が高く、夫の休日の家事・育児時間が長いほど、第二子以降の出生割合が高くなっているが、夫の家事・育児関連時間は依然として国際的に見ると低水準。
  • まとめ
    • 均等法が昭和61年に施行されてから35年余り。数次の改正により、均等法制度上の男女の均等な機会及び待遇の確保は進展。加えて、女性活躍推進法の成立・改正で、女性活躍に向けての法整備も進展。
    • また、ポジティブ・アクションの推進、改正育児・介護休業法による雇用環境整備等の措置、仕事と生活の両立支援に向けた取組など官民をあげて多くの取組が行われ、女性の継続就業支援、男性の育児参加等への意識は改善してきている。
    • 一方で、依然として、男性と比べて女性の勤続年数は短く、管理職に占める女性割合も国際的に見ると低水準。
    • 他方、男性労働者は希望しているほど、育児休業の取得が進んでおらず、女性と比較して低水準。
    • 男女労働者ともに、希望する働き方の実現とキャリア形成、仕事と家庭の両立ができていない者が多い。
  • 施策についての基本的考え方
    • 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する施策は、「労働者が性別により差別されることなく、また、女性労働者にあっては母性を尊重されつつ、充実した職業生活を営むことができるようにする」という均等法の基本的理念にのっとって推進。
    • 過去4度の法改正を経て、法制度の整備は進展。
    • しかし、第1で見たように、均等法施行後35年を経てもなお実態面での男女の格差は残っている状況。
    • 背景には、
      • 就業継続を希望しながらも、仕事と育児の両立の難しさ等から出産、育児等により離職する女性が依然として一定程度存在していること
      • 長時間労働を前提とした働き方など、多様な事情を抱える労働者が活躍できる環境が整っていない場合が見られること
      • 仕事と家庭の両立への不寛容な職場風土などが男女労働者の両立支援制度の利用の障壁になっていること
      • 固定的な性別役割分担意識の存在やロールモデルの不在
    • こうした中で、女性の継続的なキャリア形成が困難となるなど、労働者が職業人生における明確な展望を描きつつ働き続け、その能力を伸長・発揮することについて、具体的な見通しを持ちにくいこと など。
    • 一方、今後の少子化の進展に伴う労働力人口の減少が見込まれる中、女性の就業率の向上や個々人の職業生活期間の長期化は喫緊の課題。
    • また、仕事と生活の関係の有様やこれらに対する考え方が多様化している中、男女労働者が共に性別にかかわらず主体的に働き方やキャリアを選択することができることが必要。
    • さらに、コロナの拡大によってテレワークや在宅勤務等が浸透したことで、働き方が多様化し、男女ともに仕事と家庭の両立がしやすくなったと感じる人が増加。こうした新たな働き方の広がりについても考慮が必要。
    • 以上を踏まえると、当面の間に採るべき施策の基本的考え方としては、法制上の機会均等の確保の上に、今後は実質上の機会均等の確保を目指すという観点から、以下のように整理。
    • まず、均等法に定められた性差別の禁止を始めとする規定の確実な履行確保を前提とした上で、男女ともに、様々なライフイベントがある中で、職業人生における明確な展望を描きつつ働き続け、その能力を伸長・発揮する環境を整備することが必要。
    • また、同時に、ワーク・ライフ・バランスを図るための環境整備を一層進めることが重要。
    • さらに、各企業における雇用管理制度及びその運用の見直しが不可欠。各企業の主体的なポジティブ・アクションの取組を一層促進していくことが重要。
    • 他方、まずは、妊娠、出産等を経ても継続して就業できる環境を整えることが必要だが、妊娠、出産等で離職する女性が一定程度存在するという現状においては、一旦就業を中断した者がそれまでの就業経験を生かして再就職・再就業できることが可能となる環境を整えることも重要。
    • なお、上記を推進するに当たっては、企業規模別等の実態に応じたきめ細かな対応を行っていくこと、また、正規の職員・従業員以外の労働者に対しても均等法等が適用されるものであることを十分に踏まえつつ対応することが必要。
    • こうした考え方に立って、本方針においては、男女雇用機会均等確保対策を中心としつつ、仕事と育児・介護の両立支援、就業形態の多様化等への対策等を定め、国はこれらの対策を総合的に推進。
  • 具体的施策
    1. 就業を継続しその能力を伸長・発揮できるための環境整備
      1. 公正な処遇の確保
        1. 均等法等の履行確保
          • 厳正・的確・迅速な行政指導の実施
          • 相談体制の整備
          • 紛争解決援助、調停制度の利用促進
          • 効果的な周知の実施
          • パート・有期労働者、派遣労働者等への対応
          • 間接差別となる措置の見直し検討
        2. ポジティブ・アクションの推進
          • 企業において男女労働者の間に事実上生じている格差の解消を目指して企業が積極的かつ自主的に雇用管理の改善に取り組むことが望ましい。令和4年4月からは、常時雇用する労働者数が101人を超える一般事業主については、女性活躍に関する行動計画の策定等が義務化。
          • 男女双方に対する雇用管理全般の見直しもポジティブ・アクションの手法の一つであるという認識の周知啓発も含め、女性活躍推進法を踏まえたポジティブ・アクションの取組を一層促進。
        3. コース等別雇用管理の適正な運用の促進
          • 均等法で禁止される間接差別及び「コース等で区分した雇用管理を行うに当たって事業主が留意すべき事項に関する指針」の周知徹底。
        4. 妊娠、出産、育児休業等を理由とする不利益取扱い行為の防止対策の推進
          • 不利益取扱いの禁止について周知徹底
          • 迅速な行政指導の実施
        5. 母性健康管理対策の推進
          • 母性健康管理措置の規定整備の促進
          • 迅速な行政指導
          • 相談から紛争解決までの迅速な処理
      2. ハラスメント対策の推進
        1. セクシュアルハラスメント防止対策の推進
          • 改正法(責務、協力応諾の努力義務等)の周知徹底、履行確保
          • 就活セクハラ対策の推進
        2. 妊娠、出産、育児休業等に関するハラスメントの防止対策の推進
          • 改正法(責務等)の周知徹底、履行確保
        3. パワーハラスメント防止対策の推進
          • パワーハラスメント防止措置が新たに義務付けられたことについて、中小事業主を中心に周知徹底、履行確保
        4. 総合的なハラスメント対策の推進
          • 各種ハラスメントへの一元的な相談体制整備の指導
          • 雇用環境・均等部(室)での相談対応、関係法令の履行確保
          • カスタマーハラスメント対策や性的志向・性自認に関するハラスメント対策の推進
          • フリーランスに対する相談支援等
      3. 女性活躍推進法の着実な施行
        1. 一般事業主行動計画策定の促進
          • 行動計画策定の手順や方法、好事例についてパンフレット等を通じた制度の周知、行動計画策定支援ツールの提供等
          • 行政指導等による履行確保、行動計画に基づく取組に関する助言等
        2. 女性の活躍状況に関する情報の公表の促進
          • パンフレット等を通じた情報公表方法等の周知
          • 女性の活躍推進企業データベースや「しょくばらぼ」の活用の促進
        3. 男女間賃金格差の縮小
          • 令和4年7月からの男女の賃金の差異の公表義務付けを契機として、男女の賃金の差異の要因分析や課題解決に向けた取組を支援
          • 求職者に対する周知啓発
        4. えるぼし認定、プラチナえるぼし認定取得の支援
          • 認定取得に向けた企業の取組促進
        5. 学生等に対するえるぼしマーク・プラチナえるぼしマークや女性の活躍推進企業データベースの周知
      4. ライフステージに応じた能力向上のための支援
        1. 学生に対する支援
          • 就職・就業に関する様々な情報提供等の支援
          • 女性の活躍推進企業データベースの周知
          • 労働に関する基本的知識の普及啓発
        2. 女性労働者等のキャリア形成に対する支援
          • 妊娠、出産等を経ても就業できる環境整備
          • 女性のキャリア形成支援
    2. 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現に向けた取組
      • 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現に向けた取組
        • ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた企業の取組支援、社会的気運の醸成
      • 仕事と育児の両立を図るための制度の着実な実施
        • 育児休業や短時間勤務制度等の普及・定着
        • 令和3年改正育介法の周知・定着、履行確保
        • 次世代法に基づく行動計画の策定促進
        • くるみん認定、プラチナくるみん認定、トライくるみん認定の取得促進
      • 仕事と介護の両立を図るための制度の着実な実施等
        • 介護休業制度等の仕事と介護の両立支援制度の周知・定着
        • 令和3年改正育介法の周知、定着、履行確保
      • 長時間労働の是正
        • 長時間労働是正に向けた取組強化、企業風土の改善
      • 両立しやすい職場環境づくりの促進
        • 各種助成措置の効果的な活用
        • 出生時育児休業制度の周知等も含めた男性の育児休業取得等の促進
        • 企業における具体的取組方法を示したモデルの構築・普及、コンサルティング
      • 不妊治療と仕事との両立支援
        • 企業や労働者向けマニュアル等の活用促進
        • 企業への助成措置
        • くるみんプラス認定の取得促進
    3. 多様な就業形態に対する支援
      1. パート・有期雇用労働対策
        • パートタイム・有期雇用労働法の周知徹底、着実な履行確保、働き方改革推進支援センター等を活用した周知、個別相談等
        • パート・有期雇用労働者と通常の労働者の職務の内容等の比較を可能にする職務分析・職務評価の周知、個別企業への導入支援
        • 無期転換ルールの適切な活用に向けた周知
        • 短時間正社員制度の一層の普及・定着
      2. テレワーク・在宅就業対策
        • 育児期・介護期の雇用型テレワーク、自営型テレワークについて、ガイドラインの周知啓発
      3. 再就職支援
        • 情報提供、相談支援等の充実
        • 母子家庭の母等に対する就業支援の推進
      4. 関係者・関係機関との連携
        • 労使団体との緊密な連携による雇用管理制度及びその運用の見直しの促進
        • 地方公共団体が行う関係施策との連携
      5. 行政推進体制の充実、強化
        • 雇用環境・均等部(室)等における労働相談の対応の一体的実施や個別の労働紛争の未然防止と解決の一体的実施、業務実施体制の整備・強化・効率化
        • 関係法令等の周知、実施等の際の情報技術の積極的活用

~NEW~
厚生労働省 第188回労働政策審議会労働条件分科会(資料)
▼資料No.4 研究者等に対する無期転換ルールについて
  • 無期転換ルールの概要
    • 有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルール。(労働契約法第18条:平成25年4月1日施行)
    • 通算期間のカウントは、平成25年4月1日以後に開始する有期労働契約が対象。平成25年3月31日以前に開始した有期労働契約は、通算契約期間に含めない。
    • 通算期間をリセットするクーリング期間(原則6ヶ月でリセット)の規定あり(第18条第2項)
  • 科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律による無期転換ルールの特例
    • 労働契約法上、有期労働契約が更新により通算5年を超えた場合には、労働者の申込みにより、無期転換できるが(無期転換ルール、労働契約法第18条)、大学等、研究開発法人等の研究者等については、「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律」において、無期転換の申込みができるまでの期間を、通算10年とする特例が定められている。
  • 研究者等のキャリアパス支援や雇用の安定化に関する取組
    • 文部科学省においては、研究者が安心して研究に専念できる環境を整備するため、以下のような取組を実施
      • ポストドクター等の雇用・育成に関するガイドラインに基づく取組の促進
      • 国立大学運営費交付金において、若手ポストの確保をはじめとした人事給与マネジメント改革等に積極的に取り組む大学へ重点的に配分
    • 直近では各機関に対し以下の依頼を発出するなど、労働契約法の趣旨等についての周知徹底を図るとともに各機関における適切な対応を依頼
  • 文部科学省「研究者・教員等の雇用状況等に関する調査」(令和4年度)結果(概要)について
    • 大学等及び研究開発法人の研究者、教員等について無期転換申込権発生までの期間(原則)5年を10年とする労働契約法の特例の対象者に関して、令和5年4月1日以降、本格的な無期転換申込権の発生が見込まれることを踏まえ、当該特例等に関する実態把握のための調査を実施。
    • 主な調査結果
      • 機関からの回答において、2022年度末で通算契約期間10年を迎える者(12,137人)について、2023年度以降も有期労働契約を継続するもしくは継続の可能性がある者(継続の場合、労働者に無期転換申込権が発生)が5,424人(44.7%)、未定の者が4,997人(41.2%)等となった。
      • 調査に回答のあった機関中、特例対象者に対し特例の対象となる旨を伝えている機関は、今後早期に伝える予定としている機関も含め432機関(88.5%)、特例対象者に対し制度の概要や無期転換申込手順を伝えている機関は、今後早期に伝える予定としている機関も含め416機関(85.2%)となった。(令和5年1月の追加調査結果も含む)
      • 研究者、教員等への調査の結果については、回答が任意であるため約6,900人からの回答となったが、その範囲において、無期転換を希望する者が3,814人であった。
▼参考資料No.1 今後の労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(報告)
  1. 労働契約法制
    1. 無期転換ルールについて
      1. 無期転換ルール
        • 制度の活用状況を踏まえると、無期転換ルールの導入目的である有期契約労働者の雇用の安定に一定の効果が見られるものの、制度が適切に活用されるよう必要な取り組みを更に進めることが適当である。
      2. 無期転換を希望する労働者の転換申込機会の確保
        • 無期転換ルールに関する労使の認知状況を踏まえ、無期転換ルールの趣旨や内容、活用事例について、一層の周知徹底に取り組むことが適当である。
        • 無期転換申込権が発生する契約更新時に、無期転換申込機会と無期転換後の労働条件について、労働基準法の労働条件明示の明示事項に追加することが適当である。
        • この場合において、労働基準法の労働条件明示において書面で明示することとされているものは、無期転換後の労働条件明示にあたっても書面事項とすることが適当である。
      3. 無期転換前の雇止め等
        • 無期転換前の雇止めや無期転換申込みを行ったこと等を理由とする不利益取扱い等について、法令や裁判例に基づく考え方を整理し、周知するとともに、個別紛争解決制度による助言・指導にも活用していくことが適当である。
        • 紛争の未然防止や解決促進のため、更新上限の有無及びその内容について、労働基準法の労働条件明示事項に追加するとともに、労働基準法第14条に基づく告示において、最初の契約締結より後に、更新上限を新たに設ける場合又は更新上限を短縮する場合には、その理由を労働者に事前説明するものとすることが適当である。
      4. クーリング期間
        • クーリング期間に関して、法の趣旨に照らして望ましいとは言えない事例等について、一層の周知徹底に取り組むことが適当である。
      5. 無期転換後の労働条件
        • 無期転換後の労働条件について、有期労働契約時と異なる定めを行う場合を含め、法令や裁判例に基づく考え方、留意点等を整理し、周知に取り組むことが適当である。
        • 無期転換後の労働条件について、労働契約法第3条第2項を踏まえた均衡考慮が求められる旨を周知するとともに、無期転換申込権が発生する契約更新時の無期転換後の労働条件等の明示の際に、当該労働条件を決定するにあたって、労働契約法第3条第2項の趣旨を踏まえて均衡を考慮した事項について、使用者が労働者に対して説明に努めることとすることが適当である。
        • 正社員への転換をはじめとするキャリアアップの支援に一層取り組むことが適当である。
      6. 有期雇用特別措置法の活用状況
        • 有期雇用特別措置法の特例について、特例の存在が十分に認知されていない現状があるため、一層の周知徹底に取り組むことが適当である。
    2. 労働契約関係の明確化について
      • 多様な正社員に限らず労働者全般について、労働基準法の労働条件明示事項に就業場所・業務の変更の範囲を追加することが適当である。
      • 労働契約法第4条の趣旨を踏まえて、多様な正社員に限らず労働者全般について、労働契約の内容の変更のタイミングで、労働契約締結時に書面で明示することとされている事項については、変更の内容をできる限り書面等により明示するよう促していくことが適当である。
      • 労働基準法の労働条件明示のタイミングに、労働条件の変更時を追加することを引き続き検討することが適当である。
      • 紛争の未然防止のため、多様な正社員等の労働契約関係の明確化に関する裁判例等を幅広く整理して明らかにし、周知徹底に取り組むことが適当である。
      • 就業規則を備え付けている場所等を労働者に示すこと等、就業規則を必要なときに容易に確認できるようにする必要があることを明らかにすることが適当である。また、就業規則の更なる周知の在り方について、引き続き検討することが適当である。
      • 短時間正社員については、処遇について、正社員としての実態を伴っていない場合には、パート・有期労働法の適用があり、均衡・均等待遇が求められることや、同法が適用されないそれ以外の多様な正社員においても、労働契約法第3条第2項による配慮が求められることを周知することが適当である。
    3. 労使コミュニケーションについて
      • 労使コミュニケーションに当たっての留意点や、適切に労使コミュニケーションを図りながら、無期転換や多様な正社員等について制度の設計や運用を行った各企業の取組事例を把握して周知することが適当である。
      • 過半数代表者の適正な運用の確保や多様な労働者全体の意見を反映した労使コミュニケーションの更なる促進を図る方策について引き続き検討を行うことが適当である。
  2. 労働時間法制
    1. 裁量労働制について
      1. 対象業務
        • 企画業務型裁量労働制(以下「企画型」という。)や専門業務型裁量労働制(以下「専門型」という。)の現行の対象業務の明確化を行うことが適当である。
        • 銀行又は証券会社において、顧客に対し、合併、買収等に関する考案及び助言をする業務について専門型の対象とすることが適当である。
      2. 労働者が理解・納得した上での制度の適用と裁量の確保
        • 対象労働者の要件
          • 専門型について、対象労働者の属性について、労使で十分協議・決定することが望ましいことを明らかにすることが適当である。
          • 対象労働者を定めるに当たっての適切な協議を促すため、使用者が当該事業場における労働者の賃金水準を労使協議の当事者に提示することが望ましいことを示すことが適当である。
          • 対象労働者に適用される賃金・評価制度を変更しようとする場合に、使用者が労使委員会に変更内容について説明を行うこととすることが適当である。
        • 本人同意・同意の撤回
          • 専門型について、本人同意を得ることや同意をしなかった場合に不利益取扱いをしないこととすることが適当である。
          • 本人同意を得る際に、使用者が労働者に対し制度概要等について説明することが適当であること等を示すことが適当である。
          • 同意の撤回の手続を定めることとすることが適当である。また、同意を撤回した場合に不利益取扱いをしてはならないことを示すことや、撤回後の配置や処遇等についてあらかじめ定めることが望ましいことを示すことが適当である。
        • 業務量のコントロール等を通じた裁量の確保
          • 裁量労働制は、始業・終業時刻その他の時間配分の決定を労働者に委ねる制度であることを示すことが適当である。
          • 労働者から時間配分の決定等に関する裁量が失われた場合には、労働時間のみなしの効果は生じないものであることに留意することを示すことが適当である。
      3. 労働者の健康と処遇の確保
        • 健康・福祉確保措置
          • 健康・福祉確保措置の追加(勤務間インターバルの確保、深夜業の回数制限、労働時間の上限措置(一定の労働時間を超えた場合の適用解除)、医師の面接指導)等を行うことが適当である。
          • 健康・福祉確保措置の内容を「事業場における制度的な措置」と「個々の対象労働者に対する措置」に分類した上で、それぞれから1つずつ以上を実施することが望ましいことを示すことが適当である。
          • 「労働時間の状況」の概念及びその把握方法が労働安全衛生法と同一のものであることを示すことが適当である。
        • みなし労働時間の設定と処遇の確保
          • みなし労働時間の設定に当たっては対象業務の内容、賃金・評価制度を考慮して適切な水準とする必要があることや対象労働者に適用される賃金・評価制度において相応の処遇を確保する必要があることを示すこと等が適当である。
      4. 労使コミュニケーションの促進等を通じた適正な制度運用の確保
        1. 労使委員会の導入促進と労使協議の実効性向上
          • 決議に先立って、使用者が労使委員会に対象労働者に適用される賃金・評価制度の内容について説明することとすることが適当である。
          • 労使委員会が制度の実施状況の把握及び運用の改善等を行うこととすること等が適当である。
          • 労使委員会の委員が制度の実施状況に関する情報を十分に把握するため、賃金・評価制度の運用状況の開示を行うことが望ましいことを示すことが適当である。
          • 労使委員会の開催頻度を6か月以内ごとに1回とするとともに、労働者側委員の選出手続の適正化を図ることとすること等が適当である。
          • 専門型についても労使委員会を活用することが望ましいことを明らかにすることが適当である。
        2. 苦情処理措置
          • 本人同意の事前説明時に苦情の申出方法等を対象労働者に伝えることが望ましいことを示すことが適当である。
          • 労使委員会が苦情の内容を確実に把握できるようにすることや、苦情に至らないような運用上の問題点についても幅広く相談できる体制を整備することが望ましいことを示すことが適当である。
        3. 行政の関与・記録の保存等
          • 6か月以内ごとに行うこととされている企画型の定期報告の頻度を初回は6か月以内に1回及びその後1年以内ごとに1回とすることが適当である。
          • 健康・福祉確保措置の実施状況等に関する書類を労働者ごとに作成し、保存することとすることが適当である。
          • 労使協定及び労使委員会決議の本社一括届出を可能とすることが適当である。
    2. 年次有給休暇について
      • 令和7年までに「年次有給休暇の取得率を70%以上とする」という政府の目標を踏まえ、年次有給休暇の取得率の向上に向け、好事例の収集・普及等の一層の取組を検討することが適当である。また、年5日以内とされている年次有給休暇の時間単位での取得について、年5日を超えて取得したいという労働者のニーズに応えるような各企業独自の取組を促すことが適当である。
    3. 今後の労働時間制度についての検討
      • 働き方改革関連法で導入又は改正された、時間外労働の上限規制、フレックスタイム制、高度プロフェッショナル制度、年次有給休暇制度等は、同法の施行5年後に、施行状況等を踏まえて検討を加え、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずることとされていることを踏まえ、今後、施行状況等を把握した上で、検討を加えることが適当である。
      • その際には、働く方の健康確保という原初的使命を念頭に置きながら、経済社会の変化や働き方の多様化等を踏まえ、働き方やキャリアに関する労働者のニーズを把握した上で、労働時間制度の在り方の検証・検討を行うことが適当である

~NEW~
厚生労働省 第2回今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会
▼資料1 第1回研究会の議論について
  1. 仕事と介護の両立を実現するための制度の在り方
    1. 介護休業
      • 介護休業については、取得しなくても他の仕組みを使って仕事と両立ができればよいので、取得率自体の向上のみを目指すことのないように注意が必要。
    2. 介護期の働き方(介護休暇や短時間勤務等の選択的措置義務、テレワークの在り方等)
      • 仕事と介護の両立支援制度は、法制度としては一通り整備されている。今後は、多様化していく介護に関する実情に対して、当事者がニーズに合わせて制度を組み合わせられるようにしていくことが重要ではないか。
    3. 介護に関する両立支援制度の周知の在り方
      • 介護の課題は突然直面することになるため、両立支援制度の情報提供については工夫が必要。例えば介護保険の被保険者になる40歳のタイミングでの周知や、ケアマネージャーからの情報提供などの手段も活用してはどうか。
  2. 仕事と育児の両立を実現するための制度の在り方
    1. 育児休業
      • 育児休業を取得しやすくするためには、代替要員の活用に関するノウハウの情報提供が重要。代替要員の雇用や派遣社員の受け入れのために、事前に企業内部の予算を用意することや、経験年数の長い社員の業務は、代替要員が直接代替することが難しいため、現場管理者による業務の組み替えることなどが必要である。
      • 両立支援制度が十分に手厚い中で、多子世帯で育児とキャリアの継続を両立することを考えると、育児休業や短時間勤務を長期間利用し続けるより、育児休業から早めに復職した後、局面で柔軟に休めるような制度の方が良いのではないか。
      • 有期雇用労働者の育児休業の取得を促進するに当たって、産前・産後休業が取得できるにもかかわらず実際に取得できていない現状があれば、育児休業も取得できていない可能性があるので、あわせて状況を確認していくことが必要。
    2. 子の看護休暇
    3. 子育て期の長時間労働の是正、柔軟な働き方(所定外労働の免除の在り方、短時間勤務・テレワークなどを組み合わせた柔軟な働き方の在り方等)
      • 育児期にかかわらず、全ての人の労働時間が短くなれば、育児休業などの両立支援制度を過度に活用しなくても両立が可能となる。職場全体の労働時間の見直しが必要ではないか。
      • フランスでは、育児期にかかわらず労働時間が短いため、夫婦共働きでも産休明けにすぐにフルタイムに復職することも可能であることも参考にしてはどうか。
      • 例えばサービス業等、所定の労働時間が育児の時間に重なっているという問題が生じている。育児期における労働時間の問題については、既に育児・介護休業法において所定外労働の免除等が課せられている時間の長さの問題と、時間帯の問題とは分けて議論すべきではないか。
      • テレワークは、育児期の働き方として積極的に位置づけてはどうか。その際、生産性の高い働き方、生活時間の多様性、テレワークのできない職種等での対応などの観点からの検討も重要。
    4. その他
      • 少子化対策の関連のみで両立支援策について議論していくと、方向を見誤るので留意が必要。両立支援の本質は、男女が望むキャリアの支援や子どもが健やかに育つ環境の整備であり、その基礎にジェンダー平等があるということを議論の前提としていくべき。
      • 職場の中で分断が起こらないよう、育児休業を取得する労働者や育児休業中の人をカバーする周りの労働者についての公平で透明性の高い人事制度、誰でも休める環境により、全ての人が自分のニーズを満たせる働き方を整備することが必要。法制度で対応できない部分もあるが、将来の課題として何ができるかを検討すべき。
      • 育児・介護休業法ですぐに対応できないかもしれないが、障害児を育てる親等の現状についても把握することが必要。
  3. 次世代育成支援対策の在り方
    • 「くるみん」のような認定制度が、企業の生産性、エンゲージメント・働きがいなどにどのような効果を与えたか、検証していくことが必要。
  4. その他
    • 育児や介護に関するサービスの変化や、職場の中での働き方、働く人自身の多様化を踏まえた上で、これからの両立支援の在り方を検討すべき。
    • 少子化の問題は、働き方、労働法制、教育制度、税制など、国の制度全般に関わる問題であるということは、背景にある課題として認識を持って検討すべき。広い課題も視野に入れながら、すぐにできること、将来に向けて課題として共有すること、その間で、将来につなげて何かできるかという工夫を考えていくことが必要。次世代法、女性活躍法、労働施策推進法などの在り方が参考になるのではないか。
    • 現在の働き方を前提に育児や介護のパターンが決まっていると、その働き方が継続できなくなる。育児や介護に合わせた働き方を選べるようにするという観点も必要ではないか。
    • 妊娠や家族に関する情報を打ち明けたくないと感じる方もいるので、プライバシーへの配慮や個人情報の管理という視点も重要。
    • 育児や介護を行う労働者本人の健康の問題という点にも配慮が必要であり、休暇制度の見直しや活用促進なども考えられるのではないか

~NEW~
経済産業省 関西電力株式会社及び関西電力送配電株式会社から報告徴収命令に対する回答を受領しました
  • 経済産業省は、本年1月16日(月曜日)に関西電力株式会社(以下「関西電力」という。)及び関西電力送配電株式会社(以下「関西送配電」という。)に対して、電気事業法第106条第3項の規定に基づく報告を求めていましたが、本日、両社から回答を受領しました。
    1. 背景
      • 本年1月16日、関西電力と関西電力送配電が併用している託送システムにおいて、一般送配電事業者が保有する新電力の顧客に係る非公開情報が、アクセス制限の不備により関西電力側から閲覧可能となっており、実際に多数の関西電力社員が同情報を閲覧していたという情報漏えい事案に関して、法令等遵守の観点から関西電力及び関西送配電に対し、電気事業法第106条第3項の規定に基づく報告を求めました。
      • 本日、経済産業省は、書面での回答を受領しました。
    2. 報告内容の概要
      1. 関西電力株式会社
        1. 法令等遵守体制の整備状況・法令等遵守体制を実効的に機能させるための取組
          • 経営理念及びコンプライアンスを主要な要素と位置づけた行動憲章の策定等の基本理念の整備
          • 社内サポート体制の強化、研修・トレーニングの強化など手順の整備
          • コンプライアンス、行為規制遵守に係る研修等
        2. 本事案が発生した原因分析及びそれを踏まえた改善策
          • (原因分析)
            • 不適切な行為を防止するためのチェック体制等の不十分さ
            • 円滑な顧客対応の優先、行為規制の理解不足
            • システムの信頼性の過信
          • (改善策)
            • 社長を本部長とする緊急対策本部を設置した上での改善策の具体化及び推進
            • 社外弁護士で構成されるコンプライアンス委員会での原因究明及び再発防止策の提言
            • 定期的な業務チェック、システムの総点検
        3. 法令等遵守の観点から懸念がある他の事案
          • 最終保障供給を受けている需要家情報を閲覧した事案
          • 電力取引報における不適切な取扱い
          • 再エネ業務管理システムへのアクセスに関する事案
      2. 関西電力送配電株式会社
        1. 法令等遵守体制の整備状況・法令等遵守体制を実効的に機能させるための取組
          • コンプライアンス意識浸透のための情報発信・啓発活動
          • 役員に対する年間約100時間程度のコンプライアンス・ガバナンス研修の実施
          • コンプライアンス相談窓口の周知活動
        2. 本事案が発生した原因分析及びそれを踏まえた改善策
          • (原因分析)
            • システム開発を行う情報子会社に発注する設計書への考慮漏れ
            • 一度開発したシステムへの過信、行為規制に関する対応内容の検証の不実施
            • 行為規制違反に対する重大性の認識の甘さ
          • (改善策)
            • システム設計時の指示の具体化(非公開情報の明確な定義等)
            • アクセスログの定期的なチェック等による行為規制の観点からの状況確認
            • 行為規制に関する社内教育の強化
        3. 法令等遵守の観点から懸念がある他の事案
          • 配電関係システムにおける不適切な取扱い
          • 電力取引報における不適切な取扱い
          • 再エネ業務管理システムに関する事案

~NEW~
経済産業省 みなし小売電気事業者6社、一般送配電事業者6社及び沖縄電力に対して再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法に基づく報告を求めました
  • 経済産業省が、一般送配電事業者である北海道電力ネットワーク株式会社、東北電力ネットワーク株式会社、北陸電力送配電株式会社、関西電力送配電株式会社、中国電力ネットワーク株式会社、四国電力送配電株式会社及び沖縄電力(送配電部門)に付与していた「再エネ業務管理システム(※1)」のアカウントを、各供給区域のみなし小売電気事業者7社(北海道電力株式会社、東北電力株式会社、北陸電力株式会社、関西電力株式会社、中国電力株式会社、四国電力株式会社及び沖縄電力(小売部門))の一部の社員が使用し、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(以下「再エネ特措法」)の認定事業者の情報の一部が閲覧していたおそれがある事案がありました。本件について、個人情報漏えいのおそれ(※2)があることが判明したことから、本日、再エネ特措法第52条第1項の規定に基づき、みなし小売電気事業者6社に対して、新たに報告を求めるとともに、一般送配電事業者6社の各社及び沖縄電力に対し、追加の報告を求めました。
    1. 報告事項
      • 2月15日(水曜日)に、北海道電力株式会社、東北電力株式会社、北陸電力株式会社、関西電力株式会社及び四国電力株式会社それぞれから、また、2月16日(木曜日)に、中国電力株式会社及び沖縄電力株式会社から、各一般送配電事業者(沖縄電力については送配電部門)に対し付与していた再エネ業務管理システムのアカウントを、上記みなし小売電気事業者6社及び沖縄電力(小売部門)の各社の一部社員が利用し、認定事業者の情報の一部を閲覧していたおそれがあるとの連絡がありました。
      • 実態把握のため、本日、再エネ特措法第52条第1項の規定に基づき、みなし小売電気事業者6社に対して報告するよう求めるとともに、一般送配電事業者6社及び沖縄電力株式会社に対して、2月10日(金曜日)に報告を求めていた(※3)事項に加え、本件に関する詳細な経緯等について追加的な報告を求めました。
      • 当省としては、報告を踏まえた実態把握を進めるとともに、今後、このような事態が生じないよう、再発防止を徹底してまいります。
        • ※1 経済産業省が保有し、再エネ特措法に基づく再生可能エネルギー発電事業計画認定情報等を管理する業務用システム。一般送配電事業者は自社供給区域の認定事業者の情報へアクセスできるアカウントが付与されています。なお、各一般送配電事業者管内の認定事業者の情報の件数は下記のとおりです。
          • 北海道電力ネットワーク株式会社 約7万6000件
          • 東北電力ネットワーク株式会社 約34万件
          • 北陸電力送配電株式会社 約6万6000件
          • 関西電力送配電株式会社 約60万件
          • 中国電力ネットワーク株式会社 約37万件
          • 四国電力送配電株式会社 約19万件
          • 沖縄電力株式会社 約4万6000件
        • ※2 現時点で漏えいのおそれがある個人情報は、システムに登録されている事業者の代表者等の氏名です。事業者が個人である場合には、氏名に加え、住所、電話番号、メールアドレスの漏えいのおそれがあります。
        • ※3 2023年2月10日経済産業省プレスリリース
    2. 再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法第52条第1項の規定に基づく報告徴収
      • 再エネ特措法においては、経済産業大臣の権限として下記のように規定しています。
        • 経済産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、認定事業者、一般送配電事業者、配電事業者、特定送配電事業者、送電事業者、小売電気事業者又は登録特定送配電事業者に対し、その業務の状況、認定発電設備の状況その他必要な事項に関し報告をさせ、又はその職員に、認定事業者、一般送配電事業者、配電事業者、特定送配電事業者、送電事業者、小売電気事業者又は登録特定送配電事業者の事業所若しくは事務所若しくは認定発電設備を設置する場所に立ち入り、帳簿、書類、認定発電設備その他の物件を検査させることができる。ただし、住居に立ち入る場合においては、あらかじめ、その居住者の承諾を得なければならない。

~NEW~
経済産業省 九州電力株式会社、九州電力送配電株式会社、中部電力ミライズ株式会社及び中部電力パワーグリッド株式会社に対して再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法に基づく報告を求めました
  • 経済産業省が、一般送配電事業者である九州電力送配電株式会社(以下「九州電力送配電」)に付与していた「再エネ業務管理システム(※1)」のアカウントを、九州電力株式会社(以下「九州電力」)の一部の社員が使用し、同様に、中部電力パワーグリッド株式会社(以下「中部電力PG」)に付与していたアカウントを、中部電力ミライズ株式会社(以下「中部電力ミライズ」)の一部の社員が使用し、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法の認定事業者の情報の一部が閲覧していたおそれがある事案がありました。
  • 本件について、個人情報漏えいのおそれ(※2)があることが判明したことから、本日、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法第52条第1項の規定に基づき、中部電力ミライズ及び九州電力に対して、新たに報告を求めるとともに、中部電力PG及び九州電力送配電株式会社に対し、追加の報告を求めました。
    1. 報告事項
      • 2月13日(月曜日)に、九州電力から、九州電力送配電に対し付与していた再エネ業務管理システムのアカウントを、九州電力の一部社員が利用し、認定事業者の情報の一部を閲覧していたおそれがあるとの連絡がありました。
      • また、2月14日(火曜日)に、中部電力ミライズから、中部電力PGに対し付与していた再エネ業務管理システムのアカウントを、中部電力ミライズの一部社員が利用し、認定事業者の情報の一部を閲覧していたおそれがあるとの連絡がありました。
      • 実態把握のため、本日、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法第52条第1項の規定に基づき、中部電力ミライズ及び九州電力に対して報告するよう求めるとともに、中部電力パワーグリッド及び九州電力送配電に対して、2月10日(金曜日)に報告を求めていた(※3)事項に加え、本件に関する詳細な経緯等について追加的な報告を求めました。
      • 当省としては、報告を踏まえた実態把握を進めるとともに、今後、このような事態が生じないよう、再発防止を徹底してまいります。
        • ※1 経済産業省が保有し、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法に基づく再生可能エネルギー発電事業計画認定情報等を管理する業務用システム。一般送配電事業者は自社供給区域の認定事業者の情報へアクセスできるアカウントが付与されています。なお、中部電力パワーグリッド管内の認定事業者の情報は約84万件、九州電力送配電管内の認定事業者の情報は約73万件です。
        • ※2 現時点で漏えいのおそれがある個人情報は、システムに登録されている事業者の代表者等の氏名です。事業者が個人である場合には、氏名に加え、住所、電話番号、メールアドレスの漏えいのおそれがあります。
        • ※3 2023年2月10日経済産業省プレスリリース
    2. 再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法第52条第1項の規定に基づく報告徴収
      • 再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法においては、経済産業大臣の権限として下記のように規定しています。
        • 経済産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、認定事業者、一般送配電事業者、配電事業者、特定送配電事業者、送電事業者、小売電気事業者又は登録特定送配電事業者に対し、その業務の状況、認定発電設備の状況その他必要な事項に関し報告をさせ、又はその職員に、認定事業者、一般送配電事業者、配電事業者、特定送配電事業者、送電事業者、小売電気事業者又は登録特定送配電事業者の事業所若しくは事務所若しくは認定発電設備を設置する場所に立ち入り、帳簿、書類、認定発電設備その他の物件を検査させることができる。ただし、住居に立ち入る場合においては、あらかじめ、その居住者の承諾を得なければならない。

~NEW~
総務省 「リチウムイオン蓄電池に係る火災予防上の安全対策に関する検討会」の結果と今後の対応
▼「リチウムイオン蓄電池に係る火災予防上の安全対策に関する検討会」の結果と今後の対応
  • 気候変動問題への対応として、我が国では、2050年までのカーボンニュートラル及び2030年度における温室効果ガス46%排出削減の実現に向け、再生可能エネルギー最大限導入のための規制の見直しや蓄電池の導入拡大などの投資を進めるとされています。
  • これを踏まえ、リチウムイオン蓄電池に係る火災予防上の安全対策について、「リチウムイオン蓄電池に係る火災予防上の安全対策に関する検討会」(座長:三宅 淳巳 横浜国立大学 理事・副学長)を開催し調査検討を行ってきました。
  • この度、報告書がとりまとめられましたので、当該報告書を踏まえ、以下のとおり対応することとしました
  • 報告書の主な内容とそれを踏まえた今後の対応
    1. リチウムイオン蓄電池を貯蔵する屋内貯蔵所に係る規制に関する事項
      1. 報告書の主な内容
        • 欧米で多く採用されているものと同等以上の放水性能を有するスプリンクラー設備が設けられ、貯蔵方法も同等であれば、リチウムイオン蓄電池を貯蔵する屋内貯蔵所の面積、階数及び軒高の制限を緩和しても火災安全性が確保されると結論付けられた。
      2. 報告書を踏まえた今後の対応
        • このことについて、速やかに政省令改正等を行い、法令上新たに規定することとする。
    2. 屋外に設置するリチウムイオン蓄電池設備に係る規制に関する事項
      1. 報告書の主な内容
        • JIS規格等に準拠していることなど一定の要件を満たすものについては、保安距離や保有空地について緩和することとされたほか、流出防止用の囲いの設置など危険物の流出リスクや可燃性蒸気の滞留を想定した規定を適用しないこと等とされた。
      2. 報告書を踏まえた今後の対応
        • このことについて、速やかに省令改正等を行い、法令上新たに規定することとする。
    3. その他リチウムイオン蓄電池に係る火災予防上の安全対策に関する事項
      1. 報告書の主な内容
        • (ア)車載用リチウムイオン蓄電池について、特定防火設備と同等以上の耐火性を有する布で覆うことにより、蓄電池ごとの指定数量の倍数(電解液量)を合算しないこととされた。
        • (イ)電解液の取扱いについては、消防本部等からの問い合わせがあれば、個別具体の状況に応じて回答することとされた。
        • (ウ)不燃性等の物品であって、設置されている消火設備により対応可能なものについては、屋内貯蔵所において危険物と併せて貯蔵できると結論付けられた。
      2. 報告書を踏まえた今後の対応
        • (ア)及び(ウ)については、地方公共団体や関係業界団体等に周知を図ることとする。

~NEW~
総務省 株式会社NTTドコモに対する電気通信事故に関する適切な対応についての指導
▼電気通信事故に関する適切な対応について(指導)
  • 貴社の提供する携帯電話のデータ伝送役務については、令和4年12月17日及び同年12月20日に、電気通信役務の一部の提供を停止させた事故が生じたところ、当該事故は、電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第28条及び電気通信事業法施行規則(昭和60年郵政省令第25号)第58条に規定する報告を要する重大な事故に該当するものである。
  • 当該事故は、貴社の報告によれば、同月17日には4時間54分の間、約242万人(推計)の利用者に対して、また同月20日には2時間2分の間、約69万人(推計)の利用者に対してデータ伝送役務が利用しづらい事象を生じさせており、携帯電話サービスが国民生活の重要なインフラとなっている状況を踏まえれば、社会的影響は極めて大きい。
  • このような重大な事故の連続的な発生は、利用者の利益を阻害し、かつ、社会・経済活動に深刻な影響を及ぼすものであることから、同様の事故を発生させないよう厳重に注意するとともに、再発防止の観点から、貴社から報告のあった再発防止策に加え、立入検査で判明した課題を踏まえ、下記の事項に取り組むよう指導する。
    1. 令和4年12月17日に発生した事故は、貴社の報告によれば、データ伝送役務を提供するネットワーク設備のハードウェア故障が生じたため、当該設備の予備系への切替えが行われなかったことが原因である。また、故障が発生した被疑設備の特定に時間を要したとともに、他設備への迂回措置に手間取ったことから、事故が長期化したものである。よって、再発防止策として報告のあった同種の設備に対する改善措置を着実に実施することに加え、データ伝送役務に係る設備を始めとする電気通信設備において想定されるサイレント故障等の様々なリスクに対する予備系切替えや迂回措置を確実なものにする取組を実施するなど、システムの信頼性及び健全性を総合的に評価することにより事故の未然防止のための対策を徹底すること。また、障害事象の検出、被疑箇所の特定及び復旧措置のそれぞれの迅速化・自動化を推進することで事故の長期化を防止する対策を徹底すること。
    2. 同月20日に発生した事故は、貴社の報告によれば、データ伝送役務を提供するネットワーク設備の増設作業の過程において、ヒューマンエラーにより設備間のネットワーク設定に誤りを生じさせたため、データ伝送役務を提供する一部のネットワーク設備の経路情報が消失したことが原因である。また、事故時の設備の切り戻し設定にも同じ誤りが含まれていたことから、迅速な切り戻しに失敗し事故が長期化したものである。よって、再発防止策として報告のあった設備の設定手順管理の厳格化などの改善措置を着実に実施することに加え、ヒヤリハット事例の分析・展開や社内規程の整備、事前検証環境の充実、外部連携による品質改革、専門の品質管理組織による内部牽制の導入など、組織横断的な品質管理体制を強化することで事故の未然防止のための対策を徹底すること。
    3. 携帯電話サービスが国民生活の重要なインフラとなっている状況を踏まえ、事故発生時においては、障害の状況やその代替手段、復旧の見通し等、利用者等が必要とする情報を迅速かつ分かりやすく提供できるよう、電気通信事故検証会議周知広報・連絡体制ワーキンググループが取りまとめた周知広報に関するルールを踏まえ、周知広報の実施体制を改善すること。
    4. 同様の事故の再発防止のため、当該事故における教訓を業界全体で共有することが不可欠であることから、事故の発生原因、措置状況、再発防止策等の詳細について、他の携帯電話事業者に説明し、情報共有する機会を早急に設けること。
    5. 貴社の報告は、当省総合通信基盤局電気通信事業部の「電気通信事故検証会議」が行う検証の対象とするが、同会議の分析・検証の結果、貴社の追加的な再発防止策が必要となった場合には、当該再発防止策についても併せて取り組むこと。
    6. 1~5の実施状況については、令和5年3月末までに、令和5年2月末時点における具体的な実施状況を報告するとともに、当分の間、3か月ごとに実施状況を取りまとめ、翌月末までに報告すること。また、今後、事故原因等に関して新たな事実等が判明した場合には、速やかに報告すること。
      • (注)6の報告内容については、非公表とすることにつき正当な理由がある部分を除き公表することがあるため、非公表を希望する部分がある場合は、理由とともに明示されたい。

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