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危機管理トピックス

女性版骨太の方針(内閣官房)/こども未来戦略方針(内閣官房)/防災白書(内閣府)/男女共同参画白書(内閣府)/消費者白書(消費者庁)/交通政策白書(国交省)

2023.06.19
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更新日:2023年6月19日 新着27記事

危機管理トピックス

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

金融庁
  • 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
  • 「トランジション・ファイナンスにかかるフォローアップガイダンス~資金調達者とのより良い対話に向けて~」の確定について
警察庁
  • 令和5年度国家公安委員会及び警察庁における政策評価実施計画
  • 犯罪統計資料(令和5年1~5月分)
内閣官房
  • すべての女性が輝く社会づくり本部(第13回)・男女共同参画推進本部(第23回)合同会議 議事次第
  • こども未来戦略会議(第6回)議事次第
首相官邸
  • 第7回 デジタル市場競争会議 配布資料
  • 犯罪対策閣僚会議
  • 「令和5年版水循環白書」をとりまとめました~新たなフェーズに入った水循環の取組の全国的な拡大を特集~
内閣府
  • 令和5年版防災白書
  • 男女共同参画局 男女共同参画白書
  • 宇宙基本計画
消費者庁
  • 令和5年版 消費者白書
  • 「消費者志向自主宣言のすすめ」ガイドブック(第2版)を掲載しました。
  • 消費者意識基本調査 令和4年度実施(令和4年11月調査)
国民生活センター
  • 国民生活 2023年6月号【No.130】(2023年6月15日発行)
  • 花火による子どものやけどに注意しましょう-3歳以下の子どもの事故が多く発生、着衣に着火した事例も-
  • 吹き出し口が溶けたヘアドライヤー(相談解決のためのテストからNo.177)
  • ふたに残った熱湯が漏れ出たステンレス製魔法瓶(相談解決のためのテストからNo.178)
  • 自宅を売っても住み続けられる? リースバックは慎重に検討して!
経済産業省
  • 不公正貿易報告書及び経済産業省の取組方針を取りまとめました
  • 「トランジション・ファイナンスにかかるフォローアップガイダンス ~資金調達者とのより良い対話に向けて~」を策定しました
国土交通省
  • 令和5年版 土地白書
  • 令和5年版 観光白書
  • 令和5年版交通政策白書

~NEW~
厚生労働省 第122回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和5年6月16日)
▼資料1 直近の感染状況の評価等
  • 感染状況や医療提供体制の状況等
    • 新規患者数は、4月上旬以降緩やかな増加傾向となっており、5類移行後も4週連続で増加が継続している。(6/5~6/11の定点当たり5.11人、前週比1.12)
    • 地域別の新規患者数は、36の都道府県で前週より増加傾向にあり、沖縄県で感染拡大の傾向がみられる。(6/5~6/11の定点当たり18.41人、前週比1.17)
    • 全国の年代別新規患者数は、80歳以上を除き前週より増加傾向にある。
    • 変異株の発生動向について、系統の割合が大部分を占めており、特にXBB.1.16系統は増加傾向、XBB.1.5系統は低下傾向、XBB.1.9系統は横ばいとなっている。
    • 新規入院者数や重症者数は、いずれも増加傾向となっている(直近のデータほど過小評価となっている点に留意が必要)。
    • 医療提供体制の状況について、全国的にひっ迫はみられないが、沖縄県の医療の状況には注視が必要。
    • 救急医療について、救急搬送困難事案数は、コロナ疑い、非コロナ疑いともに足元で増加となっている。
    • 夜間滞留人口について、5類移行後において、全国的に大きな増加はみられていない。
  • 今後の取組
    • 引き続き、感染動向等を重層的に把握し、特に、感染者数増加が継続する地域の医療提供体制を注視していく。
    • 地方自治体や医療関係者などと連携して、高齢者や基礎疾患を有する方など重症化リスクの高い方等について、ワクチン接種を行うとともに、感染拡大が生じても必要な医療が提供されるよう、幅広い医療機関で新型コロナ患者に対応する医療体制への移行を引き続き進めていく。
    • 手洗いや換気、マスクの効果的な場面での着用など、基本的な感染対策を周知する。
  • 今後の見通し
    • 過去の状況等を踏まえると、新規患者数の増加傾向が継続し、夏の間に一定の感染拡大が生じる可能性がある。また、感染拡大により医療提供体制への負荷を増大させる場合も考えられる。
    • 自然感染やワクチン接種による免疫の減衰や、より免疫逃避が起こる可能性のある株の割合の増加、また、今後の接触機会の増加等が感染状況に与える影響についても注意が必要

~NEW~
総務省 「Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会」 報告書(案)に対する意見募集
▼骨子(案)
  • メタバースへの潮流
    • コンピュータ上に仮想空間を作る試みは1980年代にはじまり、オンラインゲーム、SNS、オンライン会議サービスなどの要素も取り入れ、近年「メタバース」として注目を集めることとなった。
    • 仮想空間が最初に注目を集めたのは、2003年の「Second Life」であるとされる。3次元(3D)の仮想空間がインターネット上に構築され、仮想空間内の通貨を物理空間の通貨に変換することや、仮想空間上の土地の売買が行われた。
    • 2010年代後半以降、3Dのオンラインゲームである「Fortnite」(2017)や「あつまれどうぶつの森」(2020)等が、ゲーム自体の目的を超えたコミュニケーションツールとしても使われるようになり、これらが「メタバース」のサービスとして挙げられるようになった。
    • 2021年、SNS大手の「Facebook, Inc.」が、メタバース事業に注力するために社名を「Meta Platforms, Inc.」に変更すると発表。一般からの知名度が大きく上昇するとともに、メタバース事業に参入する企業が急激に増加。
  • メタバースに注目が集まる背景
    • 我が国ではモバイル通信の最大速度は30年間で約10万倍に、我が国のインターネットトラヒックは10年で約13倍に増加するなど、通信基盤が大きく発展した。
    • こうした通信環境の向上を背景に、Second Lifeが注目を集めた2000年代前半以降の十数年で、仮想空間の構築を担うクラウドの性能が向上。大量のデータを高速処理することにより、風景や動きなどの詳細な再現が可能となった。
    • 併せて、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を通じて高精細な3D映像の中にリアルタイムに「没入」することが可能となり、物理空間に類する感覚で仮想空間で長時間「生活」を楽しむことが可能となった。
    • また、「Web1.0」「Web2.0」に続く新しいインターネットの潮流として、分散型台帳・ブロックチェーン技術などを基盤とした非中央集権的な仕組みの「Web3」の概念が提唱されている。
    • メタバースにおいては、ユーザ自身がコンテンツや空間を作成・カスタマイズすることを可能としており、UGC(User Generated Content)を表現し、売買等を行う経済活動の場としても仮想空間が機能している。こうした性質からWeb3と併せて議論されることも多い。
  • 様々な利活用事例
    • メタバース等の仮想空間の利用分野や応用事例として、本研究会では以下のようなサービス等が主にプレゼンの形で紹介された。
      1. 仮想空間内におけるコミュニケーション、イベント等の開催
      2. テレワーク時にもオフィスのようなコミュニケーションが可能な「バーチャルオフィス」などのビジネス利用
      3. メタバース上での街の「デジタルツイン」としての再現(空間内で開催されるイベント等を通じてリアル空間への訪問を促す)
      4. 大学等における、メタバース上での講演やVR空間での授業等の開催
      5. 製造業や建設業をはじめとする産業分野でのデジタルツインやメタバース等の利用
      6. 仮想空間でのアトラクションやマーケットをユーザ参加型で開催することによる、経済活動や娯楽への活用
  • メタバースの市場
    • 全世界のメタバース市場は、2030年に2021年の約17倍、6788億米ドルに達すると予測されている。(うち、日本市場の比率はおおよそ1割前後と考えられる。)
    • オンラインゲームやそのインフラ等にかかわってきた企業を中心に様々なプレイヤーが参入し、市場競争が激化する中、ソニー、任天堂等の日本企業も参入し、我が国発のメタバースベンチャーも複数誕生している。
    • HMDを利用した没入型のメタバースサービスとして、同時接続数が2万ユーザを超えているものも出現。
  • メタバースに関する認知・利用状況
    • 2022年12月の我が国の調査では、「メタバース」を知っていると回答した者(「他者に説明できない」レベルで知っている者を含む。)は8割強に達し、「他者に説明できるほどよく知っている」と回答した者も12%弱に達している。後者は同年6月からの半年で2倍以上(4.5%→11.6%)に増加しており、「メタバース」の認知が着実に進んでいる。
    • 2022年12月現在で、メタバースを実際に利用したことのある者(利用経験者)は5.5%弱、うち月1回以上利用している回答者はその約1/3となっている。
    • メタバースの利用経験者の主要アクセス手段はスマホ・タブレットが6割、PC等の平面ディスプレイが2割であり、HMDからは2割となっている
  • メタバースに関する年代別、地域別の利用状況等
    • メタバースの利用経験がある割合は若年層ほど高く、20代以下では10%を超えている。また、認知度は若年層ほど高く、10代では「他者に説明できるほどよく知っている」と回答した者が20%を超えている。
    • 都市部(3大都市圏)と地方部(それ以外の地域)とを比較すると、同一年代では総じて都市部の回答者の方が理解率が高めだが、年代による差の方が顕著
  • 主な諸外国の動向
    1. 米国
      • 連邦議会調査局がメタバースへの期待や特徴、関連技術・企業の整理と共に政策課題をレポート。
      • コンテンツ・モデレーション、データ・プライバシー、大手企業によるメタバースプラットフォームの支配、デジタルデバイド等の課題を提起。
    2. 欧州
      • EUでは、EU理事会及び欧州議会が2022年に政策文書を公表、欧州委員会も2023年に策定予定。
      • EU理事会、欧州議会の文書それぞれにおいて、個人データやプライバシーが共通に挙げられたほか、前者では民主主義及び価値、安全性/セキュリティなどが、後者では競争環境や違法有害情報への責務等が挙げられている。
      • フランスでは、政府の委託により研究者グループが政策提言を公表、公的機関の関与なども含めたフランス独自の戦略の重要性を主張。
    3. 中国
      • 中央政府レベルでは、包括的な政策課題や戦略を包括的・明示的にまとめたものはなく、個別的な課題への対応方針等に留まっている。
      • 地方政府では、上海市がもっとも進んでいるとみられ、地域のDX推進の主要な要素の一つとしてメタバースを位置づけ、具体的な行動計画も策定。
      • 上海市 デジタル経済発展「第14次5か年計画」:メタバースを研究開発力強化と産業応用法の検討を行うべき先端技術分野として取り上げ、2025年に市場規模を3500億元(6.9兆円)に拡大し、10社以上の革新的リーディングカンパニー、100社以上の専門的ベンチャー企業を創出する等の計画の目標値を定量的に設定。
    4. 韓国
      • 国家戦略「メタバース新産業先導戦略」を2022年1月に発表。メタバースエコシステムへの投資やM&Aファンドも立ち上げ。
      • ソウル市は、本年1月、仮想空間上で行政サービスなどを提供するメタバース・プラットフォーム「メタバース・ソウル」プロジェクトを開始。
  • メタバース上での行為類型
    • メタバースに関する攻撃的行為としては、VRについての視界や機器、身体フィードバックに関する攻撃のほか、個人特定、ストーキング、人格のなりすまし、盗聴・盗撮等の他のユーザへの不正行為などが想定される。
    • 他方で、仮想空間内でアバターを利用して他者に干渉する行為などについては、生命への危険性や後遺症などの物理的観点からは物理空間とは大きく異なるため、心理的な観点と物理的な観点を分けて議論すべきことにも留意する必要がある。
  • アバターの権利性等に関する議論状況
    • メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題への対応に関する官民連携会議(以下「官民連携会議」という。)では5月に論点整理を実施。同論点整理においては、実在する他者の人物を模したアバターに関する肖像権、パブリシティ権のほか、創作されたアバターに関するこうした権利侵害の可能性についても議論を行い、関係者における今後の対応を整理している。
    • 例えば、実在の人物の肖像を模したアバターの作成・使用については、当該人物とわかる容貌のアバターが他者の意図により操作され、その姿が公開されることとなるところ、その心理的負担を考慮すれば、肖像権侵害に当たる場合が少なくないことが想定されるという認識を示しつつ、
    • 創作された他者のアバターの肖像、デザインの盗用に対しては、肖像権等については、アバターの容貌も、操作者(中の人)の人格と結びつくものとして、肖像権の対象となり得るかが、新たな議論の対象になるとしつつ、著作権に基づく対応として、二次創作者としての権利行使や独占的ライセンスを受けている場合の損害賠償請求、差止請求権の代位行使などの手段を挙げている。
    • また、アバター以外のメタバース内のアイデンティティや事物に関する法適用等についても同会議において議論が行われ、
    • 物理空間と仮想空間を交錯した知財利用の拡大に伴い、「現実空間のデザインの仮想空間における模倣、現実空間と仮想空間を横断した実用品デザインの活用」や「現実空間の標識の仮想空間における無断使用」等については、本年の通常国会における不正競争防止法改正案等による対応や、商標権者側の対抗策として、物理空間と仮想空間双方の商品について商標登録を出願する等の方策が有効である旨を挙げている。
    • 他方、NFT等を活用した仮想オブジェクトの取引に関する検討に際し、「購入したモノ」である仮想オブジェクトは有体物たる「物」への支配権である「所有権」の客体にはならないものと一般に解され、「保有者」が持つ権利についても、当該仮想オブジェクトのデジタルデータにアクセスし、利用することのできる「利用権」、すなわち契約に基づく債権と位置付けられ、その効力は契約当事者間のみにとどまるものと整理されている。
    • 今後、本研究会での検討結果を踏まえた取組を行うに当たっては、官民連携会議の論点整理を踏まえて政府や事業者で行われる対応と連携・協調して進めていく必要がある。
  • 複数人で扱う一つのアバターや法人アバター、NPCアバターが加害者となった場合の責任の主体
    • メタバース内ではユーザが事業者側の立場で働くことやUGCを提供する主体となることも多く、責任の在り方の明確化が重要。
    • 研究会においては、複数人で扱うアバターの問題行為について、共同不法行為や共同正犯といった考え方の適用も考えられるが、現時点では法的な結論を整理することは難しいかもしれないといった見解や、NPCアバターの動きを自動化したツール利用時に、特定の挙動を取ると必ず公序良俗に違反する行為につながる場合にはツール提供者に責任があるといった見解が示された。
    • 今後、事例を積み重ねていくことにより一定の整理が導かれた時点で、それをユーザに周知していくことが重要。
  • アバターと「中の人」のアイデンティティの関係の捉え方
    • メタバースで用いられるアバターについては、ユースケース毎にユーザからアバターへの「自己投射率」は異なり、さらにそれが第三者たる他のユーザからわかりにくいことを前提として議論する必要がある。
    • 例えば、他のアバターの容姿を無断で(スクリーンショットなどの機能により)「撮影」する行為は、仮にアバターの容姿が肖像権の客体となりえないものとしたとき「中の人」が存在する場合には、撮影された肖像は「中の人」の肖像であることに変わりはないため、実在の人物の生身の容姿を直接撮影する場合と同様に肖像権侵害となり得るとしても、「中の人」が存在しないのであれば同様の評価にはならないと考えられる。
    • Vtuberについては、特定の演者であるとわかる形で、演者の顔写真を公開したことにつき「中の人」の情報の暴露をプライバシー侵害と認めた事例や、音声や動きを反映している「中の人」に対する誹謗中傷を名誉棄損と認めた事例などが存在しており、「中の人」が存在するメタバース上のアバターに対する行為については、これらの裁判例と類する評価がなされると想定される。
    • 他方で、アバターとしての表情、動きなどの情報の暴露や、「中の人」との同一性が認められないキャラクターへの名誉棄損等の成立の有無など、将来的な課題も考えられる。
    • 「中の人」の存在の有無について、必要な場合に他のユーザが判別できることは重要であるとともに、ユースケースの必要性に応じ、物理空間の人物と「中の人」を正しく紐づけることも求められると考えられる。一方で、そうした情報をどの程度、どのような方法で他のユーザ等に開示するかについては、「中の人」自身にとってのプライバシー侵害その他の被害を招かないよう十分な検討が必要である。
  • 行為が行われるメタバース内の空間の公共性/プライベート性
    • 本研究会では、「なりすまし」を例に、他者のプライベートな環境内で表示される自己像をアバター本人が許容するものに限定する旨の法的義務を設けることは慎重に考えるべきという見解も示されている。
    • 他方で、こうしたプライベート性のないメタバース上の空間についても公道などと同じく撮影等を受忍すべきパブリックスペースと捉えるべきかは引き続き議論すべき課題との見解も示されている。
  • プライバシー情報の映り込みへの対処
    • 人の手やドローン等を用いて撮影したデータを利用して3Dモデルを構築する場合には、撮影データ内の人物や自動車等、プライバシー情報等の映り込みへの対処が必要。(付随対象著作物については著作権法に権利制限規定(第30条の2)が存在。)
    • 人的資源が潤沢でない場合やリアルタイムにデジタルツインを生成する場合等を想定した場合、例えばAIによる画像解析や画像加工等を利用した効率化等も重要となってくる。
  • 物理空間の建築物等に関するデータの取扱い
    • 物理空間の建造物及びその付帯物を3Dモデルとして再現する際には、空間の管理者や地権者等との合意を経た後に構築する場合が多い。
    • 一方で、建造物については人格権などの対象にならず、著作物性があるものについても著作権法第46条において権利制限規定も置かれているところである。
    • 円滑かつ安定的なメタバースビジネスを進めるために管理者や地権者等の理解は重要であることに留意しつつ、権利と利活用のバランスを図っていく必要がある。
    • この点で、地方公共団体が管理する既存データを構造化し公開する、国土交通省の「Project PLATEAU」の展開が進んでおり、これにより公開されたデータの活用が期待されるとともに、道路インフラ等の維持管理などに活用されるデジタルツインデータの標準化や管理者間での連携も有効であると考えられる。
  • ユーザの行動履歴等の取扱い
    • メタバースでは、仮想空間内で生じた事象の全てがデジタルデータとして表現されることを前提としていることから、プラットフォーマーやワールド提供事業者が、ユーザの行動履歴など、空間内で生成されたデータを包括的に取得し、保存することが技術的に可能。
    • 一方で、通信の秘密に係るデータについては極めて例外的な場合にのみ保存、管理が認められることに留意すべきである。
    • 電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン(2022年3月31日個人情報保護委員会・総務省告示第4号)第11条第2項では、「電気通信事業者は、利用者の同意がある場合その他の違法性阻却事由がある場合を除いては、通信の秘密に係る個人情報を保存してはならず、保存が許される場合であっても利用目的達成後においては、その個人情報を速やかに消去しなければならない」とされており、通信履歴等の通信の秘密に係る個人情報は、原則として保存が認められず、同意を取得する場合にも、原則として通信当事者の個別具体的かつ明確な同意がなければ、有効な同意を取得したとはいえないとされている。
    • こうした電気通信事業法や個人情報保護法等の法令の規定を遵守することと併せ、プラットフォーマーやワールド提供事業者による、どのようなデータが管理されているのか等についてのユーザへの説明が重要となる

~NEW~
金融庁 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
▼主要行等
  • 複雑な仕組債等に関する新たな自主規制ガイドラインについて
    • 2023年4月、複雑な仕組債等に関する日本証券業協会の自主規制ガイドラインが改正された(2023年7月1日施行)。
    • 新たな規則には、仕組債等の販売勧誘において最低限遵守すべきルールを厳格化しようとする趣旨の下、(1)販売勧誘態勢の検証に対する経営陣の関与、(2)リスク・リターンの妥当性の検証、(3)販売対象顧客の設定基準の厳格化など、幅広い事項について重要な見直しが盛り込まれていると認識している。
    • グループ内に仕組債を販売してきた証券会社を有する金融機関においては、新ルールの趣旨と内容を十分に理解いただいた上で、グループ全体として、販売勧誘態勢等の検証と実効的な見直しを確実に実施していただくとともに、必要に応じて銀証連携ビジネスの在り方等についても改めて検討いただきたい。
    • また、新たな規則は複雑な仕組債等の販売勧誘を対象としたものであるが、投資信託などの他の金融商品の中にも、一定程度複雑な商品性を有し、リスク・リターンやコスト等を理解することが必ずしも容易ではない商品があると承知。複雑な仕組債等に限らず、こうした商品についても、顧客本位の業務運営の観点から、必要に応じて販売態勢の検証をお願いしたい。
  • 企業間取引のデジタル化に向けた取組みについて
    • 2023年4月24日、全銀ネットにおいて、デジタルインボイスの標準仕様に対応した金融EDI情報標準「DI-ZEDI(ディー・アイ・ゼディ)」を制定・公表。
    • 「DI-ZEDI」はデジタルインボイスで用いる情報項目を、「DI-ZEDI」の情報項目としても取り込むなど、請求・決済間のデータ連携を念頭に置いた仕様。これは、政府として取組みを進めている、契約から請求・決済に至る企業間取引のデジタル化・データ連携に向けた取組みと連動する形で検討を進めていただいたもの。
    • 金融機関における取引先企業のDXや生産性向上といった観点から、こうした企業間取引のデジタル完結に向けた取組みは重要。特に、サプライチェーン全体のデジタル化を一気通貫で進めるためには、大企業にも取組みを進めていただくことが不可欠。主要行等においては、「DI-ZEDI」への対応を含め、取引先企業のデジタル化に向けたサービスの展開・導入支援といった取組みを進めていただきたい。
  • 内部監査について
    • 金融機関が持続可能なビジネスモデルを構築するためには、内部監査部門が、経営的な視点から実効的な監査を実施することが必要であり、金融庁は、長年にわたり、金融機関の経営陣に対して、内部監査機能の強化とともに、内部監査部門に優秀な人材を配置するよう求め続けてきた。
    • この点、金融庁が2019年に公表したペーパー(「金融機関の内部監査の高度化に向けた現状と課題」)では、特に大手行について、更に内部監査のレベルを向上させ、内部監査部門が信頼されるアドバイザーとして経営陣をはじめとする組織内の役職員に対し経営戦略に資する助言を提供することなどが期待されるとしている。
    • グローバルにも、内部監査部門に求められる期待は高まっており、各行とも、例えば、IT・データの活用やカルチャー監査、人材高度化など、それぞれ高度化に向け取組みを進めていると聞いているが、同ペーパーの公表から少し時間が経過したこともあり、内部監査を巡る現状と課題について、改めて各行と対話し、議論を深めていきたい。
  • ITガバナンスに関するディスカッションペーパー改正案のパブコメについて
    • 2023年4月24日、「金融機関のITガバナンスに関する対話のための論点・プラクティスの整理(以下、ディスカッションペーパー)」の改訂案を公表し、5月31日まで意見募集を実施している。
    • ITガバナンスは、経営者がITと経営戦略を連携させ、企業価値を創出する仕組み全体を指していることから、内部統制のみならず、収益を向上させる成長戦略の実現も含まれる。そのため、失敗を恐れずチャレンジを促すような企業文化の醸成が重要である。
    • 同時に、サイバーリスクを含め、ITリスクを適切に管理し、デジタル技術の恩恵を享受する上での前提となるセキュリティ確保も求められる。
    • 各金融機関においては、本ディスカッションペーパーを参考として、それぞれの規模・特性等に応じたITガバナンスを構築し、創意工夫を凝らしてDXに取り組んでいただくことを期待している。
  • 経済安全保障推進法に基づく基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する基本指針について
    • 2023年4月28日、経済安全保障推進法の「基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する基本指針」が閣議決定された。本制度は、金融を含む基幹インフラの事業者に対して、その重要設備の導入等に当たり、当局による事前審査を求めるものである。
    • 同日、金融庁を含む関係省庁は、特定重要設備の導入等に関する事前相談を受け付け、対象事業者を含む関係事業者等との恒常的な意思疎通を行うことを目的に、「相談窓口」を設置した。各金融機関においては、経済安全保障上のリスクへの対応を確保していくために活用していただきたい。
  • 2023年5月G7財務大臣・中央銀行総裁会議について
    • 2023年5月11日から13日に、新潟市において、G7財務大臣・中央銀行総裁会議が開催された。日本議長下のG7では、金融分野のプライオリティとして、(1)暗号資産・ステーブルコイン、(2)サステナビリティ開示、(3)トランジション・ファイナンス、(4)自然災害リスクファイナンスが議論されてきた。また、今般の一連の銀行破綻等を踏まえ、金融セクターの動向についても議論が進められてきた。
    • 会議終了後に発出された共同声明のうち、各金融機関に関連する金融セクターの動向、暗号資産、サステナビリティ開示、トランジション・ファイナンスについて紹介する。
    • 金融セクターの動向については、2008年の世界金融危機後に実施された金融規制改革に支えられ、金融システムが強靱であることが再確認された。その上で、引き続き警戒心を持って金融セクターの動向を監視し、金融安定及び金融システムの強靱性を維持するために適切な行動をとる用意があることが合意された。加えて、今般の銀行破綻等を踏まえて、銀行システムにおけるデータ、監督、規制のギャップに対処していくことが合意された。
    • こうしたギャップとして、例えば米国では、シリコンバレーバンク等の破綻の要因として、経営陣等が、規模が拡大し複雑化する中で、リスク管理を怠っていたことや、監督当局もそうした銀行の脆弱性の程度を十分に理解していなかったことなどが明らかにされている。今般の声明は、G7としてこうしたギャップがあることを認識し、それに対処することを一般論として示したものである。
    • デジタル化の進展等による金融分野を取り巻く環境の変化も踏まえ、FSB等が、金融システムに与える影響を分析することになっている。また、FSBにおいては、金融システムを強化するために優先的に取り組む事項を検討していくことになっている。
    • 暗号資産については、責任あるイノベーションを支援しつつ、暗号資産がもたらす金融安定及びマネロン等に関するリスクに対処するために、効果的なモニタリング、規制及び監視が極めて重要との認識が共有されている。その上で、FSBのハイレベル勧告等と整合的な形で、暗号資産やステーブルコインに関する効果的な規制監督上の枠組みを実施していくことにG7はコミットした。FATF基準の実施についても支持が表明されている。
    • サステナビリティ開示については、ISSBが2023年6月に気候変動開示基準等を公表予定であるが、G7はそれらの最終化を期待するとともに、次のテーマとして生物多様性と人的資本についてISSBが作業することを期待するとしている。
    • サステナブル・ファイナンスについては、トランジション・ファイナンスは経済全体の脱炭素化を推進する上で重要な役割を有しているとの認識が共有された。また、ファイナンスト・エミッション(投融資に係る温室効果ガスの排出量)に関しては、その軌跡を説明することや、フォワード・ルッキングな移行の進捗評価を可能にすることにより、トランジション・ファイナンスの促進に資する、情報の入手可能性と信頼性を強化することが慫慂された。
    • 2023年5月19日から21日には、広島でG7サミットが開催予定である。また2023年後半にかけて、G7以外の国際会議も多数予定されている。引き続き、各金融機関の意見もよく伺いつつ、国際的な議論に貢献していきたい。

~NEW~
金融庁 「トランジション・ファイナンスにかかるフォローアップガイダンス~資金調達者とのより良い対話に向けて~」の確定について
▼(別紙2)トランジション・ファイナンスにかかるフォローアップガイダンス(概要)
  • フォローアップガイダンスの位置づけ
    • 金融機関がトランジション・ファイナンス等を通じて実経済の脱炭素化に資する取組を促進するためには、資金調達者による信頼性が高いトランジション戦略の策定・開示とともに、資金供給者が資金調達者との対話を通じてその着実な実行を支援・促進することが重要。
    • フォローアップガイダンスは、トランジション・ファイナンスの信頼性と実効性を向上することを目的として、特に、資金供給後のトランジション戦略の着実な実行と企業価値向上への貢献を担保するために、金融機関向けに示した手引きである。
  • フォローアップガイダンスのポイント
    1. 資金供給者と資金調達者の関係
      • トランジション・ファイナンスのフォローアップにあたっては、資金供給者と資金調達者が対立構造にあるのではなく、双方の信頼関係を醸成し、脱炭素化に向けた次の適切な資金調達につなげていくための対話を目指すことが重要
    2. 読み手に期待すること
      • 幅広い資金供給者が想定読者になるが、特に債券投資家に発行体との対話の重要性・必要性を訴求
      • トランジション・ファイナンスの信頼性・実効性を高めるという目的を鑑み、資金供給者にはフォローアップの実績について積極的に発信することを期待
    3. トランジションは「動的」に捉える
      • 企業によるトランジションの取組は、その時点で最適な状況判断のもとでカーボンニュートラルという野心的な目標に向かい、トランジション技術等に対し投資を続けることであり、動的に捉えることが必要
      • フォローアップにおいては、事業環境の変化等を踏まえた上で、その時点においてトランジションの取組がベストエフォートであることを確認することが重要
    4. 実務者向けの手引き
      • フォローアップ時の確認事項をチェックボックス形式で一覧化
      • 分野別技術ロードマップのポイントを要約して付録。またフォローアップする企業や個別業界だけでなく、関連業界を俯瞰的に理解するためのポイントを整理
      • 債権投資家向けにボンドにおけるフォローアップの実践方法を掲載
  • フォローアップガイダンスの構成
    1. 本書の目的等
      • トランジション・ファイナンスの実行後に焦点を当て、脱炭素化に向けた取組(企業のトランジション)を促進し、トランジション・ファイナンスの信頼性と実効性の向上を目的とする。
      • 想定読者は、幅広い資金供給者が想定読者になるが、特に債券投資家に発行体との対話の重要性・必要性を訴求。
      • より債券投資家にとって実践的な内容となるように構成
    2. 本書の構成
      • 2部構成およびAppendixで構成。
      • 第1章ではフォローアップの定義と目的および基本的な考え方を説明、第2章にてフォローアップの際の実施事項やポイントをフォローアップの流れに沿って整理し、具体的なフォローアップのイメージができるよう想定される事業環境の変化をケーススタディとして掲載。
    3. フォローアップの定義と基本的な考え方
      • 定義:トランジション・ファイナンスの動的な性格に鑑み、資金調達者と資金供給者が、ファイナンス実行後の事後的な環境変化を踏まえて、定期的に進捗状況の確認や今後の進展のあり方等について対話することを指す。
      • 企業のトランジション(ネットゼロへの移行)の取組とは、その時点で最適な状況判断のもとで、カーボンニュートラルという野心的な目標に向かってトランジション技術等に対して投資を続けることである。
      • トランジションの取組は動的に捉える必要があることから、フォローアップにおいては、事業環境の変化等を踏まえた上で、その時点においてトランジションの取組がベストエフォートであることを資金調達者との対話により確認することが重要。
      • フォローアップ時に参考となる材料、留意事項(アセットの違い、資金使途特定型/不特定型、業界特性)について記載。
    4. 調達時 トランジション戦略等の認識の確認・共有
      • 企業が掲げるトランジション戦略やその前提となる業界特性等について、資金調達者・供給者の相互認識を確認・共有する。
    5. フォローアップ時 事業環境の変化を踏まえた、戦略・目標・対象事業に関する取組と今後の方針の確認
      • 資金調達者の取組状況を確認し、将来的な方針について双方の認識を合わせるための対話を行う際のポイントを記載。
      • 確認の対象となるのは主に資金調達者の戦略・目標・対象事業。資金供給者は当該実績が適切に開示されているかを確認。
      • 次に事業環境の変化を踏まえ、これまでの実績や今後の取組について共通認識を醸成するための対話を行う。
      • フォローアップ時の留意ポイントとして、「開示における競争上の観点」「一過性の事業環境変化に伴う影響」「GHG排出量の削減経路」「資金調達者の取組と今後の方針に重点を置いた確認」について記載。
    6. Appendix
      • フォローアップに向けた事前確認事項および、フォローアップ時の確認事項とポイント
      • 債券投資家向けボンドにおけるフォローアップの実践方法
      • 資金供給者が留意すべき業界特性

~NEW~
警察庁 令和5年度国家公安委員会及び警察庁における政策評価実施計画
  • 政策の体系
    • 基本目標1 市民生活の安全と平穏の確保
      • 業績目標1 総合的な犯罪防止に向けた取組の推進
      • 業績目標2 現場執行力の強化
      • 業績目標3 子供の性被害防止対策の推進
      • 業績目標4 外国人等との共生社会の実現へ向けた取組の推進
    • 基本目標2 犯罪捜査の的確な推進
      • 業績目標1 重要犯罪等の検挙向上
      • 業績目標2 政治・行政・経済の構造的不正の追及の強化
      • 業績目標3 科学技術を活用するなどした緻密かつ適正な捜査の推進
    • 基本目標3 組織犯罪対策の推進
      • 業績目標1 犯罪組織の存立基盤の弱体化
      • 業績目標2 特殊詐欺等の検挙対策及び被害防止対策の推進
      • 業績目標3 国際組織犯罪対策の推進
      • 基本目標4 安全かつ快適な交通の確保
    • 業績目標1 歩行者・自転車利用者等の安全確保
      • 業績目標2 運転者対策の推進
      • 業績目標3 道路交通環境の整備
    • 基本目標5 国の公安の維持
      • 業績目標1 重大テロ事案等を含む警備犯罪への的確な対処
      • 業績目標2 警察庁と都道府県警察が一体となった的確な警衛・警護の実施
      • 業績目標3 災害への的確な対処
      • 業績目標4 対日有害活動、国際テロ等の未然防止及びこれら事案への的確な対処
    • 基本目標6 デジタル社会の安全・安心の確保
      • 業績目標1 サイバー事案対策の推進
      • 業績目標2 サイバー空間の脅威への対処に係る基盤の強化
    • 基本目標7 犯罪被害者等の支援の充実
      • 業績目標1 犯罪被害者等に対する経済的支援・精神的支援等総合的な支援の充実
    • 基本目標8 警察活動の基盤の強化
      • 業績目標1 先端技術・デジタル技術等の活用による警察活動の高度化・合理化
      • 業績目標2 警察情報通信基盤の強化

~NEW~
警察庁 犯罪統計資料(令和5年1~5月分)
  • 令和5年1月~5月の刑法犯総数について、認知件数は271,850件(前年同期222,672件、前年同期比+22.1%)、検挙件数は101,802件(96,423件、+5.6%)、検挙率は37.4%(43.3%、▲5.9P)
  • 凶悪犯の認知件数は2,049件(1,709件、+19.9%)、検挙件数は1,709件(1,434件、+19.2%)、検挙率は83.4%(83.9%、▲0.5P)
  • 粗暴犯の認知件数は23,481件(20,273件、+15.8%)、検挙件数は18,765件(16,644件、+12.7%)、検挙率は79.9%(82.1%、▲2.2P)
  • 窃盗犯の認知件数は186,391件(149,950件、+24.3%)、検挙件数は59,574件(58,019件、+2.7%)、検挙率は32.0%(38.7%、▲6.7P)、万引きの認知件数は38,857件(35,235件、+10.3%)、検挙件数は24,895件(23,911件、+4.1%)、検挙率は64.1%(67.9%、▲3.8P)
  • 知能犯の認知件数は19,007件(14,623件、+30.0%)、検挙件数は7,356件(7,079件、+3.9%)、検挙率は38.7%(48.4%、▲9.7%)、詐欺の認知件数は17,523件(13,292件、+31.8%)、検挙件数は6,291件(5,908件、+6.5%)、検挙率は35.9%(44.4%、▲8.5P)
  • 特別法犯総数について、検挙件数は26,827件(25,662件、+4.5%)、検挙人員は22,103人(21,056人、+5.0%)
  • 入管法違反の検挙件数は2,206件(1,612件、+36.8%)、検挙人員は1,565人(1,211人、+29.2%)、軽犯罪法違反の検挙件数は3,090件(2,941件、+5.1%)、検挙人員は3,099人(2,921人、+6.1%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は4,038件(3,459件、+16.7%)、検挙人員は3,132人(2,648人、+18.3%)、ストーカー規制法違反の検挙件数は480件(392件、+22.4%)、検挙人員は397人(315人、+26.0%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は1,270件(1,306件、▲2.8%)、検挙人員は996人(1,076人、▲7.4%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は165件(183件、▲9.8%)、検挙人員は51人(74人、▲31.1%)、不正競争防止法違反の検挙件数は18件(25件、▲28.0%)、検挙人員は23人(26人、▲11.5%)、銃刀法違反の検挙件数は1,998件(1,920件、+4.1%)、検挙人員は1,664人(1,682人、▲1.1%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は453件(397件、+14.1%)、検挙人員は275人(233人、+17.5%)、大麻取締法違反の検挙件数は2,677件(2,292件、+16・8%)、検挙人員は2,192人(1,791人、+22.4%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は2,724件(3,369件、▲19.1%)、検挙人員は1,887人(2,288人、▲17.5%)
  • 来日外国人による 重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数226人(199人、+13.6%)、ベトナム70人(59人、+18.6%)、中国34人(32人、+6.3%)、ブラジル15人(13人、+15.4%)、フィリピン10人(7人、+42.9%)、スリランカ10人(22人、▲45.4%)、
  • 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は3,615件(3,593件、+0.6%)、検挙人員は2,206人(2,228人、▲1.0%)、強盗の検挙件数は30件(31件、▲3.2%)、検挙人員は74人(45人、+64.4%)、暴行の検挙件数は221件(249件、▲11.2%)、検挙人員は207人(239人、▲13.4%)、傷害の検挙件数は361件(388件、▲7.0%)、検挙人員は420人(412人、+1.9%)、脅迫の検挙件数は125件(143件、▲12.6%)、検挙人員は112人(143人、▲21.7%)、恐喝の検挙件数は134件(125件、+7.2%)、検挙人員は157人(164人、▲4.3%)、窃盗の検挙件数は1,635件(1,518件、+7.7%)、検挙人員は284人(306人、▲7.2%)、詐欺の検挙人員は682件(623件、+9.5%)、検挙人員は574人(487人、+17.9%)、賭博の検挙件数は9件(11件、▲18.2%)、検挙人員は40人(55人、▲27.3%)
  • 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は1,655件(2,246件、▲26.3%)、検挙人員は1,130人(1,520人、▲25.7%)
  • 入管法違反の検挙件数は4件(3件、+33.3%)、検挙人員は3人(8人、▲62.5%)、軽犯罪法違反の検挙件数は30件(34件、▲11.8%)、検挙人員は22人(30人、▲26.7%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は23件(38件、▲39.5%)、検挙人員は22人(34人、▲35.3%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は10件(13件、▲23.1%)、検挙人員は23人(29人、▲20.7%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は63件(77件、▲18.2%)、検挙人員は31人(28人、+10.7%)、大麻取締法違反の検挙件数は374件(374件、±0%)、検挙人員は245人(22人、+11.4%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は884件(1,320件、▲33.0%)、検挙人員は570人(849人、▲32.9%)、麻薬等特例法違反の検挙件数は45件(74件、▲39.2%)、検挙人員は22人(47人、▲53.2%)

~NEW~
内閣官房 すべての女性が輝く社会づくり本部(第13回)・男女共同参画推進本部(第23回)合同会議 議事次第
▼資料1-2 女性活躍・男女共同参画の重点方針2023(女性版骨太の方針2023)(案)
  • 企業における女性登用の加速化
    1. プライム市場上場企業を対象とした女性役員比率に係る数値目標の設定等
      • 企業における女性登用を加速化するための重要かつ象徴的な第一歩として、プライム市場上場企業に係る女性役員比率に係る数値目標を設定し、女性役員比率の引上げを図る。このため、令和5年中に、取引所の規則に以下の内容の規定を設けるための取組を進める。
        • 2025年を目途に、女性役員を1名以上選任するよう努める。
        • 2030年までに、女性役員の比率を30%以上とすることを目指す。
        • 上記の目標を達成するための行動計画の策定を推奨する。
      • また、コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクション・プログラムに基づき、女性役員比率の向上等、取締役会や中核人材の多様性向上に向けて、企業の取組状況に応じて追加的な施策の検討を進める。【内閣府、金融庁】
    2. パイプラインの構築に向けた取組の支援
      • 女性リーダー研修の更なる充実
        • 企業経営を担う女性リーダー人材の育成を目的とした企業横断的なネットワーク構築と勉強機会の提供として実施されている女性リーダー研修「Women’s Initiative for Leadership(通称WIL)」について、企業横断メンタリングプログラムの活用を含めた更なる拡充を行い、企業におけるパイプラインの構築を後押しする。【経済産業省】
      • リスキリングによる能力向上支援
        • リスキリングによる能力向上支援を図るため、雇用保険の教育訓練給付に関しては、高い賃金が獲得できる分野、高いエンプロイアビリティの向上が期待される分野について、拡充を検討する。【厚生労働省】
      • 企業による多様な人材が登用される環境づくりの推進
        • パイプラインの構築に当たっては、働き方や職種、過去の職務経験などの要素にとらわれず能力ある多様な人材が登用される環境づくりが重要であり、ジョブ型人事や多様な正社員制度の導入、職種を越えた登用やリスキリングの実施といった各企業の好事例を横展開するとともに、企業経営者(トップリーダー)が取組にコミットする場を設けることが有効である。あわせて、女性を始め登用される側の視点に立てば、リーダーを目指すことが可能だと感じさせる環境づくりが重要であり、育児や介護と両立している女性役員等多様なロールモデルの提示も進めていくべきである。このため、「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」や「人的資本経営コンソーシアム」等をそのような場として活用することを通じて、女性を含む多様な人材が登用される環境づくりを社会全体に浸透させるための契機とする。【内閣府、金融庁、経済産業省】
    3. アセットオーナー等機関投資家によるスチュワードシップ活動の実質化
      • 企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上のため、女性を含め、取締役会や中核人材の多様性を向上させることが重要であり、そのためには、運用機関のみならずアセットオーナーも含む投資家と企業の建設的な対話を促進することが重要である。年金等のアセットオーナーにおける体制の拡充等のスチュワードシップ活動の実質化に向けた課題の解決に向けて、運用機関・アセットオーナー等による取組を促進する。【金融庁】
    4. 5次計画における役員に占める女性割合に関する成果目標の策定
      • プライム市場上場企業を対象とした女性役員比率に係る数値目標の設定状況を踏まえ、令和5年中に、5次計画における令和7年までのプライム市場上場企業の役員(全体)に占める女性割合に関する成果目標を策定する。また、令和4年度に実施した「執行役員又はそれに準じる役職者」の女性割合の調査については、継続してフォローアップを行う。【内閣府】
  • 女性起業家の育成・支援
    1. 段階ごとの課題に対する有機的な女性起業家への支援
      • ロールモデルとなる女性起業家の創出、育成支援
        • 外部有識者からの推薦に基づいて選定された企業を、政府機関と民間が集中支援を行うプログラム(J-Startup)において、女性起業家の割合を20%以上とすることを目指す。また、起業を目指す若手人材などを世界のイノベーション拠点に派遣する事業において、女性起業家プログラムを創設する。このほか、未踏事業への女性応募拡大のため、女性修了生等による情報発信の機会強化を行う。【経済産業省】
      • 女性起業家のためのネットワーク等の充実
        • 各地のネットワーク間の情報・ノウハウ共有や、全国的な女性起業の機運醸成を目指して活動を行っている女性起業家支援機関のネットワークである「わたしの起業応援団」について、支援機関のスキルの見える化、地域金融機関との連携を含めた地域ごとの支援拡充を行うなど、女性起業家が活用しやすい仕組みを目指して取組を強化するとともに、スタートアップ支援政府機関プラットフォーム(Plus)とも連携して女性起業家に必要な支援を行う。また、Plusにおいては女性起業家の育成を支援する人材を育成するプログラムを推進する。
        • さらに、女性起業家のマッチングの場として、JOIC(Japan Open Innovation Council)による女性起業家ピッチやJ-Startup定例イベント(J-Startup Hour)での女性イベントを開催する。【金融庁、経済産業省】
      • 女性起業家による資金調達への支援
        • 女性の起業を後押しするため、引き続き、「女性、若者/シニア起業家支援資金」による資金調達支援を実施するほか、株式会社産業革新投資機構による女性キャピタリストを採用・育成する民間ファンドや女性起業家に積極的に投資する方針の民間ファンドへの出資等を促進する。【経済産業省】
    2. 女性起業家育成・支援のためのエコシステムの整備
      • エコシステムの現状の「見える化」のために、女性起業家の育成・支援に当たっては、女性起業家特有のニーズや悩みにも寄り添う観点から、ベンチャーキャピタリスト等の支援する側を含めたエコシステム全体におけるジェンダー多様性を向上させることも重要である。現状、エコシステムの実態を捉えた定量的なデータが不足していることから、実態把握に向けたパイロットのアンケート調査を実施し、対外発信する。【金融庁】
  • 男女がともにライフイベントとキャリア形成を両立する上での諸課題の解消
    1. 平時からの多様で柔軟な働き方の推進
      • 長時間労働慣行の是正
        • ライフイベントとキャリア形成の両立を難しくする最大の要因は、正社員としての働き
        • 方の前提となっている長時間労働慣行である。長時間労働慣行を是正し、労働基準法に基づく時間外労働の上限規制等の法定労働条件を確保するため、的確に監督指導を行うとともに、令和6年度からの全面施行に向け、企業における働き方改革推進のために、法制度の周知を徹底し、必要な支援を実施する。【厚生労働省】
      • 労働者に対する就業場所・業務の変更の範囲の明示
        • 転勤や業務の変更は、労働者のワーク・ライフ・バランスやキャリア形成を左右しうるものであり、労働契約関係の明確化により予見可能性を向上させることが重要である。このため、全ての労働契約の締結と有期労働契約の更新のタイミングごとに、「雇入れ直後」の就業場所・業務の内容に加え、これらの「変更の範囲」についても明示を求める、労働条件明示に関する新しいルールを令和6年4月より施行する。さらに、募集時においても同様の追加をする。【厚生労働省】
      • 投資家の評価を利用した両立支援の取組の加速
        • 女性活躍に優れた企業を中長期の価値を重視する投資家に魅力ある銘柄として紹介する「なでしこ銘柄」の調査項目に、1か月あたりの平均法定外労働時間等とあわせ、例えば「産休・育休から復帰後3年時の女性の就業継続率」等、両立支援に資すると考えられる設問を追加し、新たに両立支援に積極的に取り組む企業を選定することで、両立支援や子育て支援の取組を促していく。【経済産業省】
      • 多様な正社員制度の普及促進、選択的週休3日制の導入促進等
        • 正社員の働き方を変えることでライフイベントとの両立を容易にすることを進める一方で、希望する労働者が多様な働き方を選択でき、活躍できる環境を整備する観点から、短時間勤務や勤務地、職種・職務を限定した多様な正社員制度の導入・拡大を図る必要がある。このため、好事例の周知や専門家による導入支援等を行うとともに、企業が自らの雇用管理上の課題を分析・把握し、多様な正社員制度を含む様々なソリューションを選択・導入できるよう、新たに「課題分析ツール」の作成等を行う。また、多様な正社員制度を創設した上で、非正規雇用労働者の正規化を進める事業主に対する支援を強化する。さらに、選択的週休3日制について、好事例の収集・提供により、導入を促進する。【厚生労働省】
      • 勤務間インターバル制度の導入支援
        • 勤務間インターバル制度の導入率向上に向けて、令和5年度から開始した社会保険労務士等によるアウトリーチ型のコンサルティングについて、対象企業の募集をプッシュ型で行うとともに、コンサルティングを受けた企業が意欲を持って制度の導入準備を進められるよう、取組手法を工夫する。また、コンサルティングを受けた企業が勤務間インターバル制度を導入することによりどのような効果が生じたかを継続的に把握するとともに、把握した定量的な効果を制度導入のメリットとして発信する等、効果的な周知を検討する。【厚生労働省】
    2. 育児期における休暇取得や柔軟な働き方の推進
      • 男性の育児休業取得の促進
        • 国際的に見ても低水準にある夫の家事・育児関連時間を増やし、共働き・共育てを定着させていくための第一歩が男性育休の取得促進である。「男性育休は当たり前」になる社会の実現に向けて、官民一体となって取り組む。このため、制度面と給付面の両面からの対応を抜本的に強化する。【厚生労働省】
      • 育児期を通じた柔軟な働き方の推進
        • 育児期を通じて多様な働き方を組み合わせることで、男女で育児・家事を分担しつつ、育児期の男女がともに希望に応じてキャリア形成との両立を可能とする仕組みを構築する。
        • このため、好事例の紹介等の取組を進めるとともに、育児・介護休業法において、こどもが3歳以降小学校就学前までの場合において、・短時間勤務、テレワーク、出社・退社時刻の調整、休暇など柔軟な働き方を職場に導入するための制度を検討する。【厚生労働省】
        • 柔軟な働き方として、男女ともに、短時間勤務をしても手取りが変わることなく育児・家事を分担できるよう、こどもが2歳未満の期間に、時短勤務の活用を促すための給付を創設する。その際、女性のみが時短勤務を選択することで男女間のキャリア形成に差が生じることにならないよう留意し、給付水準等の具体的な検討を進める。【厚生労働省】
        • 上記の柔軟な働き方について、周囲の社員への応援手当支給等の体制整備を行う中小企業に対する助成措置の大幅な強化と併せて推進する。また、こうした支援に際しては、企業における育児休業制度への取組状況を勘案するなど、実施インセンティブの強化を図る。【厚生労働省】
        • こどもが病気の際などに休みにくい等の問題を踏まえ、病児保育の拡充と併せて、こうした場合に休みやすい環境整備を検討する。具体的には、こどもが就学前の場合に年5日間取得が認められる「子の看護休暇」について、こどもの世話を適切に行えるようにする観点から、対象となるこどもの年齢や休暇取得事由の範囲などについて検討する。【厚生労働省】
        • 次世代育成支援対策推進法の事業主行動計画に男性の育休取得を含めた育児参加や育休からの円滑な職場復帰支援、育児のための時間帯や勤務地への配慮等に関する目標・行動を義務付けるとともに、育児・介護休業法における育児休業取得率の開示制度の拡充を検討する。【厚生労働省】
    3. 仕事と介護の両立に関する課題への取組
      • 介護は始まる時期や介護の課題がいつまで続くかを事前に予測することが困難であり、労働者(とりわけ女性)が介護休業を取得した際に直接介護を担うと、休業期間が不足して離職につながるケースがある。このため、実際に家族が要介護状態になる前の段階で、仕事と介護の両立に関する「事前の心構え」と「基礎知識」の獲得を促す観点から、仕事と介護の両立支援制度の情報提供や、医療保険者等による介護保険制度の更なる周知について検討を進める。【厚生労働省】
  • 女性のキャリア意識をめぐる課題の解消
    1. 女性の視点も踏まえた社会保障制度・税制等の検討
      • 女性の経済的自立の更なる強化を図る上では、女性は働くとしても家計の補助であるという意識を変えていく必要があり、その前提として、女性のキャリア形成やライフスタイルの選択に及ぼす影響が中立的な制度・慣行を構築することが不可欠である。このため、「女性活躍・男女共同参画の重点方針2022(女性版骨太の方針2022)」Ⅰ(4)に示された観点を引き続き踏まえながら、女性の視点も踏まえた社会保障制度・税制等について検討を行う。【内閣府、関係府省】
      • また、いわゆる106万円・130万円の壁を意識せずに働くことが可能となるよう、短時間労働者への被用者保険の適用拡大、最低賃金の引上げに取り組む。さらに、106万円・130万円の壁について、被用者が新たに106万円の壁を超えても手取りの逆転を生じさせないための当面の対応を本年中に決定した上で実行し、さらに、制度の見直しに取り組む。【厚生労働省】
    2. 固定的な性別役割分担意識やアンコンシャス・バイアスの解消
      • 固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)の解消に向け、令和3年度から実施している調査の結果を踏まえた取組を着実に実施するとともに、地方公共団体や経済団体等を対象としたワークショップ等の啓発活動により、情報を発信する側の無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)の解消と、性別役割分担にとらわれない働き方を推進するため、広報担当や人事・業務管理に携わる管理職、さらには経営層の意識改革と理解の促進を図る。【内閣府】
      • 各都道府県教育委員会に対して、初任者研修や校内研修等において固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)を払しょくするための教員研修プログラムの活用を促すとともに、特に校長等の管理職や進路指導担当教員については、教職員支援機構の動画教材の活用等により、無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)を払しょくするための研修を受講するよう要請する。【文部科学省】
      • 学校現場において、男女の尊重や自分を大事にすることの理解、固定的な性別役割分担意識解消の理解を深める教育を推進するための教材、指導の手引き及び保護者向けの啓発資料を活用するよう各教育委員会に促す。また、児童生徒の固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)を解消するための取組や、幼児期からも同様に、固定的な性別役割分担意識等を植え付けることなく、女子の理工系分野での活躍など将来のあらゆる選択肢について自由な希望を抱くことができるようにするための教育環境の整備に資する取組を行う。【文部科学省】
    3. 個々の女性労働者のキャリア形成支援
      • 女性活躍を推進している企業の多くが抱えている「本人が現状以上に活躍したいと思っていない」「社内にロールモデルとなる女性社員が少ない」といった課題に対応するため、メンター制度の導入やロールモデルの育成、地域ネットワーク構築に関するマニュアル及び事例集を作成することで、女性労働者のキャリア形成支援を図る。【厚生労働省】
  • 非正規雇用労働者の正規化及び処遇改善等
    1. 非正規雇用労働者の正規化
      • 企業による正規化の促進
        • 「L字カーブ」の解消に向けては、妊娠・出産を契機に非正規雇用化する可能性がある正規雇用の女性の就業継続を支援するだけではなく、初職から非正規雇用で働く女性や過去に妊娠等を契機に非正規雇用化した女性を正規化するための取組も同時に進めていく必要がある。このため、非正規雇用労働者の正規化を進める事業主に対する助成を拡充し、非正規雇用労働者の正規化をより一層促進する。また、多様な正社員(勤務地限定、職務限定、勤務時間限定の正社員)への転換支援を強化するとともに、企業による非正規雇用労働者の正社員転換に係る取組状況の公表を促進する。【厚生労働省】
      • 女性非正規雇用労働者等のリスキリングの促進
        • 企業内の教育訓練についてみると、正規雇用労働者と比べて非正規雇用労働者に対して実施される割合は低いが、女性は男性に比べ非正規雇用労働者である割合が高い。このため、企業が雇用形態を問わず訓練を実施することを支援するとともに、リスキリングを行う労働者個人への支援を拡充する。また、リスキリングプログラムを受ける内容、進め方を、コンサルティングを受けながら適切に選択できるような環境整備を行う。【厚生労働省】
    2. 非正規雇用労働者の処遇改善
      • 同一労働同一賃金の遵守の徹底
        • 同一労働同一賃金の施行強化を図るため、労働基準監督署も活用して調査を行い、都道府県労働局に問題となりうる企業を報告する枠組みを整備したところである。令和5年3月から本格実施された同取組の賃金格差縮小等への効果を年内にフォローアップし、その後の進め方を検討する。また、労働基準監督署及び労働局による企業への一層の働きかけを行うことに加えて、更なる実効性確保のため、労働局における指導機能の強化を図ることで、同一労働同一賃金の遵守を徹底し、女性が多い非正規雇用労働者の処遇を改善する。【厚生労働省】
      • 行政機関で働く非常勤職員の処遇改善
        • 地方公共団体で働く非常勤職員について、ケアワーカーや男女共同参画センターの職員始め、地方公共団体の業務において重要な役割を果たしている会計年度任用職員に対し、勤勉手当の支給を可能とする「地方自治法の一部を改正する法律」(令和5年法律第19号)の令和6年4月の施行に向けて必要な助言を行う。【総務省】
  • 女性デジタル人材の育成等
    1. 女性デジタル人材育成に資するデジタルスキル標準等の活用促進
      • デジタルスキル標準やITパスポート試験の活用促進を引き続き図るとともに、地方公共団体による女性デジタル人材育成のためのセミナー等の取組においてこれらを活用する場合にも、地域女性活躍推進交付金を通じて支援する。【内閣府、経済産業省】
    2. 多様化する就労形態に関する知識向上を目的とした地方公共団体による取組の支援
      • フリーランスなどの新しい働き方の普及が進む中で、女性が自らのライフスタイルに合った希望どおりの働き方を選択するためには、多様化する就労形態に関する正確な知識が必要であるところ、そうした知識の向上を目的とした地方公共団体によるセミナー等の取組を地域女性活躍推進交付金により引き続き支援する。【内閣府】
    3. 「女性デジタル人材育成プラン」の実行
      • 今後の我が国を支える成長産業であるデジタル業界への女性の労働移動を支援し、また、デジタル分野におけるジェンダーギャップの解消のため、「女性デジタル人材育成プラン」に基づき、就労に直結するデジタルスキルの習得支援及びデジタル分野への就労支援を2022年度から2024年度末までの3年間集中的に推進する。プランの実施に当たっては、地域において地方公共団体や企業、男女共同参画センター、経済団体、大学等の関係機関が連携して積極的な取組を進めることが重要との認識の下、事例集の充実を通じて周知・啓発を行うとともに、地域のニーズを踏まえた地域女性活躍推進交付金における女性デジタル人材を育成するための支援メニューを始めとする財政支援その他の支援により、地域における取組を強力に後押しする。また、プラン策定の3年後の2024年度末を目途に効果を検証し、プラン全体の施策の在り方について必要な見直しを行う。【内閣府、関係府省】
  • ハラスメント防止対策
    1. 職場におけるハラスメントの防止と相談窓口の周知
      • 職場におけるハラスメントを防止するため、パンフレット等の作成・配布等により、テレワークやオンラインの場合も含め、ハラスメントを行ってはならない旨の周知を行うほか、中小企業を含む企業の経営者や人事労務担当者等を対象とする研修動画の配信や、12月の「ハラスメント撲滅月間」に集中的な広報・啓発を行う。
      • 男女雇用機会均等法等及びこれに基づく指針について、事業主が講ずべき措置の内容だけでなく、就職活動中の学生等への対応も含めた望ましい取組の内容を周知するとともに、非正規雇用労働者も含めて活用可能な外部相談窓口についての周知を徹底する。【厚生労働省】
    2. 就職活動中の学生に対するハラスメントの防止と適切な対応
      • 就職活動中の学生に対するセクシュアルハラスメントや教職員が学生に対して行うハラスメント等の防止のため、大学等の関係者が集まる各種会議等において、各大学における取組の好事例の発信や、相談窓口の周知等を一層強化する。【文部科学省、厚生労働省】
    3. 高等教育機関におけるセクシュアルハラスメントを含む性暴力等及びその他のハラスメントの防止に向けた取組の推進
      • 各大学及び高等専門学校等の高等教育機関におけるセクシュアルハラスメントを含む性暴力等及びその他のハラスメントについて、「セクシュアルハラスメントを含む性暴力等の防止に向けた取組の推進について(通知)」(4文科高第1246号令和4年11月22日文部科学省高等教育局長通知)を踏まえた取組を推進する。【文部科学省】

~NEW~
内閣官房 こども未来戦略会議(第6回)議事次第
▼資料1 「こども未来戦略方針」案
  • 「加速化プラン」において実施する具体的な施策
    • ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化や若い世代の所得向上に向けた取組
      1. 児童手当の拡充 ~全てのこどもの育ちを支える制度へ~
        • 児童手当については、次代を担う全てのこどもの育ちを支える基礎的な経済支援としての位置付けを明確化する。このため、所得制限を撤廃し、全員を本則給付とするとともに、支給期間について高校生年代まで延長する。
        • 児童手当の多子加算については、こども3人以上の世帯数の割合が特に減少していることや、こども3人以上の世帯はより経済的支援の必要性が高いと考えられること等を踏まえ、第3子以降3万円とする。
        • これらについて、実施主体である地方自治体の事務負担も踏まえつつ、2024年度中に実施できるよう検討する。
      2. 出産等の経済的負担の軽減 ~妊娠期からの切れ目ない支援、出産費用の見える化と保険適用~
        • これまで実施してきた幼児教育・保育の無償化に加え、支援が手薄になっている妊娠・出産期から2歳までの支援を強化する。令和4年度第二次補正予算で創設された「出産・子育て応援交付金」(10万円)について、制度化に向けて検討することを含め、妊娠期からの伴走型相談支援とともに着実に実施する。
        • 本年4月からの出産育児一時金の大幅な引上げ(42万円→50万円)及び低所得の妊婦に対する初回の産科受診料の費用助成を着実に実施するとともに、出産費用の見える化について来年度からの実施に向けた具体化を進める。その上でこれらの効果等の検証を行い、2026年度を目途に、出産費用(正常分娩)の保険適用の導入を含め、出産に関する支援等の更なる強化について検討を進める。あわせて、無痛分娩について、麻酔を実施する医師の確保を進めるなど、妊婦が安全・安心に出産できる環境整備に向けた支援の在り方を検討する
      3. 医療費等の負担軽減 ~地方自治体の取組への支援~
        • おおむね全ての地方自治体において実施されているこども医療費助成について、国民健康保険の国庫負担の減額調整措置を廃止する。あわせて、適正な抗菌薬使用などを含め、こどもにとってより良い医療の在り方について、今後、医学界など専門家の意見も踏まえつつ、国と地方の協議の場などにおいて検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずる。
      4. 高等教育費の負担軽減 ~奨学金制度の充実と「授業料後払い制度(いわゆる日本版HECS)」の創設~
        • 教育費の負担が理想のこども数を持てない大きな理由の一つとなっているとの声があることから、特にその負担軽減が喫緊の課題とされる高等教育については、教育の機会均等を図る観点からも、着実に取組を進めていく必要がある。
        • まず、貸与型奨学金について、奨学金の返済が負担となって、結婚・出産・子育てをためらわないよう、減額返還制度を利用可能な年収上限について、325万円から400万円に引き上げるとともに、子育て時期の経済的負担に配慮する観点から、こども2人世帯については500万円以下まで、こども3人以上世帯について600万円以下まで更に引き上げる。また、所得連動方式を利用している者について、返還額の算定のための所得計算においてこども1人につき33万円の所得控除を上乗せする。
        • 授業料等減免及び給付型奨学金について、低所得世帯の高校生の大学進学率の向上を図るとともに、2024年度から多子世帯や理工農系の学生等の中間層(世帯年収約600万円)に拡大することに加え、執行状況や財源等を踏まえつつ、多子世帯の学生等に対する授業料等減免について更なる支援拡充(対象年収の拡大、年収区分ごとの支援割合の引上げ等)を検討し、必要な措置を講ずる。
        • 授業料後払い制度について、まずは、2024年度から修士段階の学生を対象として導入した上で、本格導入に向けた更なる検討を進める。その財源基盤を強化するため、後述するHECS債(仮称)による資金調達手法を導入する。
        • 地方自治体による高等教育費の負担軽減に向けた支援を促す方策として、地方創生を推進するデジタル田園都市国家構想交付金において実施している移住支援について、大学卒業後に地方に移住する学生を対象とすることなどにより支援を強化する。
      5. 個人の主体的なリ・スキリングへの直接支援
        • 企業経由が中心となっている国の在職者への学び直し支援策について、働く個人が主体的に選択可能となるよう、5年以内を目途に、効果を検証しつつ、過半が個人経由での給付が可能となるようにしていく。
        • その際、教育訓練給付について、訓練効果をより高める観点から、補助率等を含めた拡充を検討するとともに、個々の労働者が教育訓練中に生ずる生活費等への不安なく、主体的にリ・スキリングに取り組むことができるよう、訓練期間中の生活を支えるための新たな給付や融資制度の創設などについて検討する。
      6. いわゆる「年収の壁(106万円/130万円)」への対応
        • いわゆる106万円・130万円の壁を意識せずに働くことが可能となるよう、短時間労働者への被用者保険の適用拡大、最低賃金の引上げに引き続き取り組む。
        • こうした取組と併せて、人手不足への対応が急務となる中で、壁を意識せずに働く時間を延ばすことのできる環境づくりを後押しするため、当面の対応として、被用者が新たに106万円の壁を超えても手取り収入が逆転しないよう、労働時間の延長や賃上げに取り組む企業に対し、複数年(最大3年)で計画的に取り組むケースを含め、必要な費用を補助するなどの支援強化パッケージを本年中に決定した上で実行し、さらに、制度の見直しに取り組む。
      7. 子育て世帯に対する住宅支援の強化 ~子育てにやさしい住まいの拡充~
        • こどもや子育て世帯の目線に立った「こどもまんなかまちづくり」を加速化させる。
        • その中で、理想のこども数を持てない理由の一つとして若い世代を中心に「家が狭いから」が挙げられており、また、子育て支援の現場からも子育て世代の居住環境の改善を求める声があることから、子育てにやさしい住まいの拡充を目指し、住宅支援を強化する。
        • 具体的には、まず、立地や間取りなどの面で子育て環境に優れた公営住宅等の公的賃貸住宅を対象に、全ての事業主体で子育て世帯等が優先的に入居できる仕組みの導入を働きかける。これにより、今後10年間で子育て世帯等の居住に供する住宅約20万戸を確保する。
        • さらに、ひとり親世帯など支援が必要な世帯を含め、子育て世帯が住宅に入居しやすい環境を整備する観点から、空き家の活用を促す区域を設定し、空き家の所有者へ活用を働きかけ、空き家の改修・サブリースを促進するとともに、戸建てを含めた空き家の子育て世帯向けのセーフティネット住宅への登録を促進することなどにより、既存の民間住宅ストックの活用を進める。これらにより、今後10年間で子育て世帯等の居住に供する住宅約10万戸を確保する。
        • あわせて、子育て世帯等が良質な住宅を取得する際の金利負担を軽減するため、住宅金融支援機構が提供する長期固定金利の住宅ローン(フラット35)の金利優遇について、ポイント制を活用し、住宅の広さを必要とする多子世帯に特に配慮しつつ、2024年度までのできるだけ早い時期に支援を大幅に充実させる。
        • これらの取組に加えて、こどもの声や音などの面で近隣住民に気兼ねせず入居できる住まいの環境づくりとして、集合住宅の入居者等への子育て世帯に対する理解醸成を図る。また、子育て世帯向け住宅の周知の強化や、子育て世帯に対して入居や生活に関する相談等の対応を行う居住支援法人に重点的な支援を講じることにより、住まいに関する支援を必要としながらも支援が行き届いていない子育て世帯への取組を強化する。
    • 全てのこども・子育て世帯を対象とする支援の拡充
      1. 妊娠期からの切れ目ない支援の拡充 ~伴走型支援と産前・産後ケアの拡充~
        • 妊娠から産後2週間未満までの妊産婦の多くが不安や負担感を抱いていることや、こどもの虐待による死亡事例の6割が0歳児(うち5割は0か月児)であることなどを踏まえると、妊娠期からの切れ目ない支援と産前・産後ケアの拡充は急務となっている。
        • このため、妊娠期から出産・子育てまで、身近な場所で相談に応じ、多様なニーズに応じた支援につなぐ「伴走型相談支援」について、地方自治体の取組と課題を踏まえつつ、継続的な実施に向け制度化の検討を進める。その際、手続等のデジタル化も念頭に置きつつ制度設計を行う。
        • 退院直後の母子に対して心身のケアや育児のサポートなどを行い、産後も安心して子育てができる支援体制の確保を図る産後ケア事業については、利用者負担の軽減措置を本年度から全ての世帯に対象を拡大して実施するとともに、支援を必要とする全ての方が利用できるようにするための提供体制の確保に向けた取組を進めるなど、子育て家庭の産前・産後の心身の負担軽減を図る観点から実施体制の強化等を行う。また、乳幼児健診等を推進する。
        • 女性が、妊娠前から妊娠・出産後まで、健康で活躍できるよう、国立成育医療研究センターに、「女性の健康」に関するナショナルセンター機能を持たせ、女性の健康や疾患に特化した研究やプレコンセプションケアを含む成育医療等の提供に関する研究、相談支援等を進める。また、2022年度から保険適用された不妊治療について、推進に向けた課題を整理、検討する。
      2. 幼児教育・保育の質の向上 ~75年ぶりの配置基準改善と更なる処遇改善~
        • 待機児童対策の推進により量の拡大は進んだものの、一方で、昨今、幼児教育・保育の現場でのこどもをめぐる事故や不適切な対応事案などにより子育て世帯が不安を抱えており、安心してこどもを預けられる体制整備を急ぐ必要がある。
        • このため、保育所・幼稚園・認定こども園の運営費の基準となる公的価格の改善について、公的価格評価検討委員会中間整理(2021年12月)を踏まえた費用の使途の見える化を進め、保育人材確保、待機児童解消その他関連する施策との関係を整理しつつ、取組を進める。
        • 具体的には、「社会保障と税の一体改革」以降積み残された1歳児及び4・5歳児の職員配置基準について1歳児は6対1から5対1へ、4・5歳児は30対1から25対1へと改善するとともに、民間給与動向等を踏まえた保育士等の更なる処遇改善を検討する。
      3. 全ての子育て家庭を対象とした保育の拡充~「こども誰でも通園制度(仮称)」の創設~
        • 0~2歳児の約6割を占める未就園児を含め、子育て家庭の多くが「孤立した育児」の中で不安や悩みを抱えており、支援の強化を求める意見がある。全てのこどもの育ちを応援し、こどもの良質な成育環境を整備するとともに、全ての子育て家庭に対して、多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での支援を強化するため、現行の幼児教育・保育給付に加え、月一定時間までの利用可能枠の中で、就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できる新たな通園給付(「こども誰でも通園制度(仮称)」)を創設する。具体的な制度設計に当たっては、基盤整備を進めつつ、地域における提供体制の状況も見極めながら、速やかに全国的な制度とすべく、本年度中に未就園児のモデル事業を更に拡充させ、2024年度からは制度の本格実施を見据えた形で実施する。あわせて、病児保育の安定的な運営に資するよう、事業の充実を図る。
      4. 新・放課後子ども総合プランの着実な実施~「小1の壁」打破に向けた量・質の拡充~
        • 保育の待機児童が減少する一方で、放課後児童クラブの待機児童は依然として1.5万人程度存在し、安全対策についての強化が求められるなど、学齢期の児童が安全・安心に過ごせる場所の拡充は急務である。
        • このため、全てのこどもが放課後を安全・安心に過ごし、多様な体験・活動を行うことができるよう、新・放課後子ども総合プラン(2019年度~2023年度)による受け皿の拡大(約122万人から約152万人への拡大)を着実に進めるとともに、放課後児童クラブの安定的な運営を図る観点から常勤職員配置の改善などを図る。
      5. 多様な支援ニーズへの対応 ~社会的養護、障害児、医療的ケア児等の支援基盤の充実とひとり親家庭の自立支援~
        • 経済的に困難な家庭のこども、障害のあるこどもや医療的ケア児、異なる文化的背景を持つこどもなど、多様な支援ニーズを有するこどもの健やかな育ちを支え、「誰一人取り残さない」社会を実現する観点から、それぞれの地域において包括的な支援を提供する体制の整備が求められる。
        • 2022年に成立した児童福祉法(昭和22年法律第164号)等の一部改正では、児童虐待の相談対応件数が増加を続けるなど、子育てに困難を抱える世帯が顕在化してきている状況を踏まえ、子育て世帯に対する包括的な支援体制の中核を担うこども家庭センターの設置や地域における障害児支援の中核的役割を担う児童発達支援センターの位置付けの明確化などが行われた。
        • また、こどもの貧困対策は、我が国に生まれた全てのこどもの可能性が十全に発揮される環境を整備し、全てのこどもの健やかな育ちを保障するという視点のみならず、公平・公正な社会経済を実現する観点からも極めて重要である。こどものいる世帯の約1割はひとり親世帯であり、その約5割が相対的貧困の状況にあることを踏まえれば、特に、ひとり親家庭の自立と子育て支援は、こどもの貧困対策としても喫緊の課題であると認識する必要がある。
        • こうした多様なニーズを有する子育て世帯への支援については、支援基盤や自立支援の拡充に重点を置き、以下の対応を中心に進める。今後、本年中に「こども大綱」が策定される過程において、更にきめ細かい対応について議論していく。
      6. 社会的養護・ヤングケアラー等支援
        • 子育てに困難を抱える世帯やヤングケアラー等への支援を強化する。児童福祉法等の一部改正により2024年度から実施される「こども家庭センター」の人員体制の強化等を図る。また、新たに法律に位置付けられる子育て世帯訪問支援事業について、支援の必要性の高い家庭に対する支援を拡充する。さらに、社会的養護の下で育ったこどもの自立支援に向け、学習環境整備等の支援強化を図る。
      7. 障害児支援、医療的ケア児支援等
        • 障害の有無にかかわらず、安心して暮らすことができる地域づくりを進めるため、地域における障害児の支援体制の強化や保育所等におけるインクルージョンを推進する。具体的には、地域における障害児支援の中核的役割を担う児童発達支援センターについて、専門的な支援の提供と併せて、地域の障害児支援事業所や保育所等への支援を行うなどの機能強化を行うとともに、保育所等への巡回支援の充実を図る。また、医療的ケア児、聴覚障害児など、専門的支援が必要なこどもたちへの対応のため地域における連携体制を強化する。こうした体制の強化が全国各地域で進むよう、国や都道府県等による状況把握や助言等の広域的支援を進め、地域の支援体制の整備を促進する。
      8. ひとり親家庭の自立促進
        • ひとり親家庭の自立を促進する環境整備を進めるため、ひとり親を雇い入れ、人材育成・賃上げに向けた取組を行う企業に対する支援を強化する。あわせて、看護師・介護福祉士等の資格取得を目指すひとり親家庭の父母に対する給付金制度(高等職業訓練促進給付金制度)について、短期間で取得可能な民間資格を含む対象資格に拡大するなど、より幅広いニーズに対応できる制度とする。また、養育費の履行確保のため、養育費に関する相談支援や取決めの促進についても強化を図る。
    • 共働き・共育ての推進
      • 男性育休の取得促進 ~「男性育休は当たり前」になる社会へ~
        • 国際的に見ても低水準にある夫の家事・育児関連時間を増やし、共働き・共育てを定着させていくための第一歩が男性育休の取得促進である。「男性育休は当たり前」になる社会の実現に向けて、官民一体となって取り組む。このため、制度面と給付面の両面からの対応を抜本的に強化する。
        • なお、こうした対応を図るに当たっては、各種施策によって、かえって女性側に家事・育児負担が偏ってしまうということのないように十分に留意しなければならない。
      • 制度面の対応
        • まず、制度面では、男性の育児休業取得率について、現行の政府目標(2025年までに30%)を大幅に引き上げる。具体的には、国・地方の公務員(一般職・一般行政部門常勤)について育児休業の内容にも留意しつつ、先行的に目標の前倒しを進め、公務員、民間の双方について、以下のように男性の育児休業取得率の目標を引き上げる。
        • 男性の育児休業取得率の目標
          • 2025年 公務員85%(1週間以上の取得率)、民間50%
          • 2030年 公務員85%(2週間以上の取得率)、民間85%
            • (参考)民間の直近の取得率:女性85.1%、男性13.97%
        • また、2025年3月末で失効する次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)を改正し、その期限を延長した上で、一般事業主行動計画について、数値目標の設定や、PDCAサイクルの確立を法律上の仕組みとして位置付けるとともに、今後の次世代育成支援において重要なのは「男女とも仕事と子育てを両立できる職場」であるという観点を明確化した上で、男性の育児休業取得を含めた育児参加や育児休業からの円滑な職場復帰支援、育児のための時間帯や勤務地への配慮等に関する行動が盛り込まれるようにする。あわせて、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号。以下「育児・介護休業法」という。)における育児休業取得率の開示制度の拡充を検討し、これを踏まえて有価証券報告書における開示を進める。
      • 給付面の対応
        • さらに給付面の対応として、いわゆる「産後パパ育休」(最大28日間)を念頭に、出生後一定期間内に両親ともに育児休業を取得することを促進するため、給付率を現行の67%(手取りで8割相当)から、8割程度(手取りで10割相当)へと引き上げる。
        • 具体的には、両親ともに育児休業を取得することを促進するため、男性が一定期間以上の「産後パパ育休」を取得した場合には、その期間の給付率を引き上げるとともに、女性の産休後の育休取得について28日間(産後パパ育休期間と同じ期間)を限度に給付率を引き上げることとし、2025年度からの実施を目指して、検討を進める。
        • 男女ともに、職場への気兼ねなく育児休業を取得できるようにするため、現行の育児休業期間中の社会保険料の免除措置及び育児休業給付の非課税措置に加えて、育児休業を支える体制整備を行う中小企業に対する助成措置を大幅に強化する。その際、業務を代替する周囲の社員への応援手当の支給に関する助成の拡充や代替期間の長さに応じた支給額の増額を検討する。あわせて、「くるみん認定」の取得など、各企業の育児休業の取得状況等に応じた加算等を検討し、実施インセンティブの強化を図る。
        • あわせて、男性育休の大幅な取得増等に対応できるよう、育児休業給付を支える財政基盤を強化する。
      • 育児期を通じた柔軟な働き方の推進 ~利用しやすい柔軟な制度へ~
        • 育児期を通じて多様な働き方を組み合わせることで、男女で育児・家事を分担しつつ、育児期の男女が共に希望に応じてキャリア形成との両立を可能とする仕組みを構築するとともに、好事例の紹介等の取組を進める。
        • こどもが3歳になるまでの場合においては、現行の育児・介護休業法上、短時間勤務を措置することが事業主に義務付けられており、フレックスタイム制を含む出社・退社時刻の調整等が努力義務となっている。これらに加え、新たに、子育て期の有効な働き方の一つとして、テレワークも事業主の努力義務の対象に追加することを検討する。
        • また、こどもが3歳以降小学校就学前までの場合においては、育児・介護休業法で、短時間勤務、テレワーク、フレックスタイム制を含む出社・退社時刻の調整、休暇など柔軟な働き方について、事業主が職場の労働者のニーズを把握しつつ複数の制度を選択して措置し、その中から労働者が選択できる制度(「親と子のための選べる働き方制度(仮称)」)の創設を検討する。さらに、現在はこどもが3歳になるまで請求することができる残業免除(所定外労働の制限)について、対象となるこどもの年齢の引上げを検討する。
        • あわせて、柔軟な働き方として、男女ともに、一定時間以上の短時間勤務をした場合に、手取りが変わることなく育児・家事を分担できるよう、こどもが2歳未満の期間に、時短勤務を選択したことに伴う賃金の低下を補い、時短勤務の活用を促すための給付(「育児時短就業給付(仮称)」)を創設する。給付水準については、男女ともに、時短勤務を活用した育児とキャリア形成の両立を支援するとの考え方に立って、引き続き、具体的な検討を進め、2025年度からの実施を目指す。その際には、女性のみが時短勤務を選択することで男女間のキャリア形成に差が生じることにならないよう、留意する。
        • 上記の柔軟な働き方についても、男性育休促進と同様に、周囲の社員への応援手当支給等の体制整備を行う中小企業に対する助成措置の大幅な強化と併せて推進する。
        • また、こどもが病気の際などに休みにくい等の問題を踏まえ、病児保育の拡充と併せて、こうした場合に休みやすい環境整備を検討する。具体的には、こどもが就学前の場合に年5日間取得が認められる「子の看護休暇」について、こどもの世話を適切に行えるようにする観点から、対象となるこどもの年齢の引上げのほか、こどもの行事(入園式等)参加や、感染症に伴う学級閉鎖等にも活用できるように休暇取得事由の範囲を見直すとともに、取得促進に向けた支援についても検討する。
        • また、仕事と育児の両立に取り組む労働者の心身の健康を守るため、企業における勤務間インターバル制度の導入やストレスチェック制度の活用など、労働者の健康確保のために事業主の配慮を促す仕組みを検討するとともに、選択的週休3日制度の普及にも取り組む。
        • こうした個々の制度の前提として、長時間労働の是正を始め、企業全体の働き方改革をより一層推進し、育児期の男女が共に職場からの帰宅後に育児や家事を行うことができるようにすることが重要である。このため、まずは、2024年度からの時間外労働の上限規制の全面施行に向け、法制度の周知を徹底し、必要な支援を実施するとともに、更なる長時間労働の是正に向けて、実効性を高めるための一層の取組を推進していく。このことは、家族介護や不妊治療など、様々な事情を抱える方々が、仕事との両立を可能とし、各自の能力を発揮することにもつながるものである。
      • 多様な働き方と子育ての両立支援 ~多様な選択肢の確保~
        • 子育て期における仕事と育児の両立支援を進め、多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットを構築する観点から、現在、雇用保険が適用されていない週所定労働時間20時間未満の労働者についても失業給付や育児休業給付等を受給できるよう、雇用保険の適用拡大に向けた検討を進める。失業した場合に生計に支障を与えるような生計の一端を担う者を新たに適用対象とし、その範囲を制度に関わる者の手続や保険料負担も踏まえて設定する。また、その施行時期については適用対象者数や事業主の準備期間等を勘案して2028年度までを目途に施行する。
        • 自営業・フリーランス等の育児期間中の経済的な給付に相当する支援措置として、国民年金の第1号被保険者について育児期間に係る保険料免除措置を創設することとする。その際、現行の産前・産後期間の保険料免除制度や被用者保険の育児休業期間の保険料免除措置を参考としつつ、免除期間や給付水準等の具体的な制度設計の検討を早急に進め、2026年度までの実施を目指す。

~NEW~
首相官邸 第7回 デジタル市場競争会議 配布資料
▼資料1:モバイル・エコシステムに関する競争評価の最終報告(案) 概要
  • スマートフォンが急速に普及し、90.1%の世帯に普及(2022年)
  • 1日当たりのインターネット平均利用時間もモバイルネットが平日、休日とも大きな伸び
    • 平日は、37.6分(2012年)→110.0分と約3倍(2021年)
    • 休日は、53.7分(2013年)→126.8分と2倍超(2021年)
    • モバイル・コンテンツ関連市場も拡大(7.7兆円超、対前年比108%)(2021年)
  • モバイル・エコシステムのレイヤー構造
    • 少数のプレイヤーのみ存在するOS、それを基盤として各レイヤー(アプリストア、ブラウザ等)が階層化する構造
  • モバイル・エコシステムの特性
    • ネットワーク効果:魅力的なアプリ等を呼び込むことでユーザーが増加。ユーザーが増加するとエコシステムに参加するアプリ・デベロッパ等がさらに増加
    • スイッチングコスト:UIデザインへの慣れ、データ移動、アプリ再インストールの手間によりユーザーがロックイン
    • 規模の経済性:開発コストの高さ
    • データの蓄積:他の事業者では得られないデータが各レイヤーで収集、利用。各レイヤーの競争力がさらに増加
      →高い参入障壁。少数のプラットフォーム事業者による寡占構造
  • モバイルOSは、iOS(Apple)とAndroid(Google)の寡占状態
    • 「モバイル社会白書2022年版」では最もよく利用するOSのシェアは、Androidが53.4%、iOSが46.6%(2022年)注)民間調査会社のモニターへの登録者を対象に、ウェブによるアンケート調査によって稼働台数を基準とするOSのシェアを算定
    • このように、日本で利用されるモバイルOSはAndroidとiOSの寡占状態となっており、この傾向に大きな変動は見られない
  • モバイル・エコシステム全体に関する認識
    • 現在のモバイル・エコシステムを大局的に見た特徴
      • エコシステムの主要な各レイヤーは、少数のプラットフォーム事業者による寡占状態
        • Google:モバイルOS、検索エンジン等の主要プロダクトをサードパーティに広く供給する戦略をとりつつ、各レイヤーで有力な地位
        • Apple:端末及びOSをベースに、プリインストールするソフトウェアなどの仕様を基本的に自社で決定するなど垂直統合型の戦略
      • プラットフォーム事業者は、各レイヤーでの強みをレバレッジにして、他のレイヤーにおける競争条件を規定する各種ルール等を事実上決定
    • 各レイヤー及びモバイル・エコシステム全体における様々な競争上の懸念
      • レベル・プレイング・フィールドの悪化(プラットフォーム事業者とサードパーティとの間、又はサードパーティの事業者間でのイコールフッティングにおける懸念)
      • プラットフォーム上の各プレイヤーのコストアップやバイアビリティの低下
      • 各レイヤー及びモバイル・エコシステム全体への排他的行為、参入抑制、技術革新等イノベーションを通じた競争圧力の排除
  • モバイル・エコシステム全体のあるべき姿とその実現に向けての方策のあり方
    • モバイル・エコシステム全体のあるべき姿
      • モバイル・エコシステム内の各レイヤーにおいて、多様な主体によるイノベーションと消費者の選択の機会が確保されること
      • モバイル・エコシステム全体及び各レイヤーに対して、各方面から競争圧力が働くことによって、技術革新等によるイノベーションが促されること。さらに、モバイル・エコシステムの現在の競争環境を大きく変化させるようなパラダイムシフトの可能性の芽を摘まない競争環境が確保されること
      • モバイル・エコシステムにおける各レイヤーが、他のレイヤーにおける競争に影響を及ぼす場合において、当該他のレイヤーにおいて公平、公正な競争環境が確保されること
      • 新たな顧客接点への拡張における競争において、モバイル・エコシステムにおける影響力をレバレッジとすることにより、公平、公正な競争環境が阻害されることのないようにすること
      • この際、セキュリティ、プライバシーの確保が図られること
    • その実現に向けての方策のあり方
      • 各レイヤーの特性や他のレイヤー又はエコシステム全体に及ぼす影響力に応じながら、対応を組み合わせる
        • 当該レイヤーにおける競争圧力を高める対応
        • 他のレイヤーへの行為や影響による懸念の除去のための対応
      • 対応の検討において十分配慮すべき事項
        • スマートフォンが多くの人々にとって不可欠なものとなっており、機微なものも含めた様々な情報を取扱うものであることから、モバイル・エコシステムにおいてセキュリティ、プライバシーの確保が図られることは極めて重要
        • 競争政策上の対応がセキュリティ、プライバシーに与える影響について十分に配慮する必要
  • 対応策を検討するに当たっての視点:現状修復の困難さ、今後のさらなる懸念
    • デジタル技術を用いた取引では、一般に取引参加に伴うコストが小さいため、ネットワーク効果が強く、急速に働く
      そのため、一度ティッピングが生じると一人勝ちの状態(又は寡占状態)になり、市場による治癒が困難

      • こうしたデジタルの持つ特性が、複数のレイヤーで複合的に発揮され、その結果、プラットフォーム事業者の地位が極めて強固で固定的なものとして確立されている状態
    • アルゴリズムの利用等により、ビジネス上の決定の過程がブラックボックス化(情報の非対称性)
      • プラットフォーム事業者は、モバイル・エコシステムの各レイヤーにおいて影響力を行使することが容易
    • デジタル技術を用いた取引は、事業者群と消費者群とで構成される両面市場が強いネットワーク効果によって大規模に形成されやすい。
      • 消費者に対しては低価格や無料で取引を提示する一方で、事業者サイドには不利な条件を提示。その間で、レントを享受可能
      • 消費者へのアクセスを掌握することで、事業者がロックインされ、事業者側からの治癒は困難
      • 消費者からは見えにくく、顕在化しにくいため、消費者側からの治癒も困難
        →市場機能による自然治癒に期待することは困難
    • 消費者の限定合理性(選択肢の認知の限界、現状維持バイアスによる選択・判断の合理性の制約)
      • モバイル端末の画面の小ささ、使用場面の特性(移動中など)と操作性の制約
      • 常時接続により、購買活動や決済にも結び付くことから、懸念はより強まる
        →プラットフォーム事業者が選択肢に対する制約や誘導を行う場合には、消費者の合理的判断の余地をさらに低下させる懸念
    • モバイル端末という顧客への常時接続が可能な強力な接点を活用して、モバイル・エコシステムにおける影響力を拡張
      • 消費者、事業者の活動への影響力をより深化させていくことが懸念
  • 新たな対応策の主な枠組み
    • 規制対象事業者
      • モバイルOS提供事業者は、モバイルOSを提供することによって、又はOSを含むモバイル・デバイスの設計を自ら行うことによって、各レイヤーにおける地位を獲得することが可能となるほか、様々な行為により、各レイヤーやエコシステム全体の競争環境に強い影響力を及ぼし、モバイル・エコシステムの形成、強化、固定化を実現
        →一定規模以上のモバイルOSを提供する事業者を規制の対象とすべき
    • 現状では、モバイルOS提供事業者がその地位をレバレッジにして、モバイル・エコシステムにおける各レイヤーにおいて有力な地位を得ている
    • しかしながら、行為類型によっては、モバイルOS提供事業者でない場合であっても、当該行為の主体が一定の規模以上のサービスを展開するに至れば、その有力な地位を背景に、同様の競争上の弊害が発生する行為を行い得ることも考えられる
    • このため、モバイルOSを提供していない事業者であっても、特定のレイヤーで、強固な地位を占める事業者が将来的に出現した場合において、競争上のイコールフッティングを確保する必要がある
      →規制対象行為の特性に応じて、アプリストア、ブラウザ、検索エンジンの各分野で一定規模以上のサービスを提供する事業者も規制の対象とすべき
  • 事業者による規制の遵守状況の報告書の提出、公表
    • 執行機関等において、遵守状況の把握が困難な場合も想定されるため、規制対象事業者による遵守状況の説明がなされることが重要
    • 新たな規制への遵守状況について、規制対象事業者自らが点検することによって、違反行為の未然防止が図られる
    • 遵守状況がステークホルダーにも周知され、ステークホルダーによるチェックが働く仕組みとすることも、規制を実効的に機能させる上で重要
      →規制対象事業者は、新たな規制の遵守状況について執行機関に報告書を提出、当該報告書は公表することとする
  • う回的行為への対応
    • 執行機関が指摘する行為類型の範囲外の行為によって、同種の競争上の弊害が生じない規律が必要
      →う回的行為を禁止する規律が必要

~NEW~
首相官邸 犯罪対策閣僚会議
  • 令和5年6月16日、岸田総理は、総理大臣官邸で第38回犯罪対策閣僚会議を開催しました。
  • 会議では、SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プランの進捗状況について議論が行われました。
  • 総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。
  • 「SNSを使って実行犯を募集する手口による、闇バイト強盗や特殊詐欺が発生しています。政府は、本年3月、犯罪対策閣僚会議において緊急対策プランを策定し、各種対策を全力で推進してきました。本日の会議では、この3か月間、プランに基づく取組が着実に進んでいることを確認いたしました。
  • しかしながら、強盗・特殊詐欺の認知件数は、昨年を上回るペースで推移しており、国民の皆様からは、この種の犯罪の被害に遭うのではないかという不安の声が、今なお聞かれます。そのような不安や心配を解消していくために、政府が一丸となって、取組を加速させる必要があります。
  • 具体的には、安易に闇バイトに加担すると重大な結果を招くことを周知するため、青少年への広報・啓発を推進するとともに、実行犯を検挙し、厳正に対処することにより、実行犯を生まないための対策を強化することが必要です。
  • 谷国家公安委員長にあっては、警察において徹底した取締りが行われるよう指導をお願いいたします。
  • また、関係閣僚にあっては、青少年が犯罪に加担することを防止するための対策を加速させるとともに、高齢者等が被害に遭わないよう、きめ細やかな防犯指導を行うなど、高齢者等に寄り添い、守る対策も引き続きお願いいたします。
  • さらに、犯行ツールへの対策も不可欠です。
  • 松本総務大臣を始め関係閣僚にあっては、関係業界と速やかに調整し、各種契約等の本人確認の義務化や本人確認に際してのマイナンバーカードの活用を推進するなど、携帯電話等の悪用防止に向けた対策の加速をお願いいたします。
  • 良好な治安を確保し、国民の皆様の安全・安心な暮らしを守り抜くことは、政府最大の責務です。
  • 各閣僚にあっては、国民生活の基盤である安全・安心な日本を守り抜くため、強い決意を持って、プランに基づく取組を徹底するようお願いいたします。」

~NEW~
首相官邸 「令和5年版水循環白書」をとりまとめました~新たなフェーズに入った水循環の取組の全国的な拡大を特集~
▼水循環白書の概要
  • 流域マネジメントの基本方針等を定める「流域水循環計画」は、69計画まで増加。
  • 水循環を取り巻く環境の変化に伴う新たな課題への取組、地域振興や地域づくりを課題に置いた取組、多数の地方公共団体等が主体的に参画・連携する取組等が展開されるなど、水循環の取組が新たなフェーズに突入。
  • 水循環を取り巻く課題の変化への対応
    • 流域治水など近年の施策を踏まえた取組(福島県)
    • 福島県の例
      • 頻発化、激甚化する水災害への対応など近年の水循環を取り巻く課題に対応するため、既存の流域水循環計画を改定。
      • 計画では、水災害リスク等を踏まえた地域の整備方針の検討、適切な避難行動の普及、定着等、流域に関わるあらゆる関係者が協働する流域治水の取組等を推進。
  • 地域振興や地域づくりを中心的な課題に置いた取組
    • 地域振興や地域づくりのため、水循環を地域資源として掘り起こして活用した取組(東京都八王子市)
    • 八王子市(東京都)の例
      • 八王子市は流域水循環計画に基づき、浅川の河川空間を活用。
      • 近年では「八王子水辺活動チャレンジ“ミズカツ”」と称して、ブランド化を目指しつつ、キッチンカーの出店、アウトドアグッズの物販など、民間の活力等も活用したイベントを開催し、多くの市民等が参加。
  • 多数の地方公共団体が主体的に参画・連携する枠組みの構築
    • 多数の地方公共団体が主体的に参画・連携して流域水循環協議会を設置した取組(長野県佐久地域)
    • 佐久地域(長野県)の例
      • 地下水の保全には、地下水盆を共有する自治体が連携して取り組む必要があることから、地下水等水資源の保全を目的に、12市町村からなる佐久地域流域水循環協議会を設立し、流域水循環計画を策定。
      • 同計画に基づき、行政、住民、団体等が一体となり、地下水を含む水循環の健全性の維持・回復等に関する取組を実施。
  • 若者や流域外の関係者との協働
    • 自由な発想による水循環を活用した地域振興等を目的に、流域内外の若者などを流域マネジメントの主体として位置付ける取組
    • 秋田県にかほ市の例
      • 流域内の高校生や秋田県、東京都の大学生がワークショップに参加し、水循環に関する構想を検討。この構想をベースに、流域水循環計画を策定。
      • 計画策定後、水循環に関するシンポジウムに、流域内外の若者が参加。その他にも、若者からは伏流水を使った特産品のアイデアが提案されるなど、参画が継続。
  • 地下水の適正な保全及び利用の取組事例
    • 令和5年3月に地下水マネジメント推進プラットフォームを立ち上げ。
    • 地下水の適正な保全及び利用を図るため、地下水マネジメントを推進する地方公共団体の取組を支援。
  • 国際連携の取組事例
    • 第4回アジア・太平洋水サミット
      • 令和4年4月に熊本市で第4回アジア・太平洋水サミットが開催。
      • 開会式には、天皇皇后両陛下がオンラインにて御臨席になり、天皇陛下はおことばを述べられ、記念講演を行われた。
      • 首脳級会合では、質の高いインフラ整備等による日本の貢献策として「熊本水イニシアティブ」を岸田総理から発表、また、水問題の解決等に向けた参加国首脳による共同決意声明である「熊本宣言」を採択。
    • 国連水会議2023
      • 令和5年3月に国連本部で国連水会議2023が開催。
      • 全体討議では、日本のコミットメントとして「熊本水イニシアティブ」により世界の水問題に貢献していくこと、日本の知見・経験を共有することを通じて健全な水循環の維持・回復に貢献することを上川総理特使から表明。
      • テーマ別討議3「気候、強靱性、環境に関する水」では、上川総理特使が共同議長として、セッションの議論を主導。日本の水防災の経験を活かし、世界における水分野の強靱化に向けた共同議長提言を取りまとめ。

~NEW~
内閣府 令和5年版防災白書
▼令和5年防災白書(全体版)
  • 我が国における気候変動とその影響
    • 我が国では、第1章第5節で述べた伊勢湾台風を始めとして、暴風、豪雨、洪水、土砂災害、高潮等の気象災害による被害が毎年のように発生している。
    • 近年では、令和元年東日本台風、令和2年7月豪雨等により大きな被害を受けており、令和4年度に入ってからも、令和4年8月の大雨、令和4年台風第14号、同第15号等により、被害が立て続けに発生している。近年の平均気温の上昇や大雨の頻度の増加など、気候変動とその影響が全国各地で現れており、我が国にとって重要な問題である。
    • 世界と日本の気温の長期的な変化を見てみると、世界の年平均気温は、様々な変動を繰り返しながら上昇しており、100年当たりで0.74℃上昇している。
    • 一方、我が国の年平均気温は、世界の平均気温よりも更に上昇の幅が大きくなっており、100年当たりで1.30℃上昇している。この100年の間、二酸化炭素などの温室効果ガスの増加に伴う地球温暖化や、数年から数十年程度で繰り返される自然変動の影響等により、確実に温暖化が進んでいると言える。なお、5年の移動平均推移を見ると、1980年代後半から平均気温の上昇速度が加速していることも見てとれる。
    • こうした平均気温の上昇と相関するように、全国的に大雨や短時間強雨の発生頻度も増加している。日降水量100mm以上及び200mm以上の日数は、この100年でともに増加傾向が見られる。また、1970年代後半から多くの地点で観測を開始したアメダスにおいては、おおよそ50年間で、1時間降水量50mm以上及び80mm以上の短時間強雨の年間発生回数は、ともに増加していることがデータで明らかとなっている。
    • さらに、日本近海における年平均海面水温は、100年間で1.24℃上昇しており、日本の平均気温の上昇幅と同程度となっている。海面水温の上昇は、一般に台風の勢力拡大に影響を与えるとされており、台風による被害拡大につながるおそれがある。
  • 大規模地震の切迫性の高まり
    • 政府の地震調査委員会は、主要な活断層や海溝型地震の活動間隔、地震の発生確率等を評価し、その結果を公表している。例えば、南海トラフ地震(マグニチュード8~9級)の30年以内の発生確率について、10年前の平成25年公表時は60%~70%であったのに対し、令和5年公表時では70%~80%との評価がなされており、時間の経過とともに地震の切迫性は高まっている。また、南関東地域の直下における、相模トラフ沿いのプレートの沈み込みに伴うマグニチュード7程度の地震については、特定の場所で繰り返し発生する地震として扱えないことから、30年以内の発生確率は、平成26年(2014年)公表時の70%程度から変化していない。しかし、関東エリアでは、これまで把握できているだけでも度々マグニチュード7級の地震が発生しており、加えて、関東大震災から現在までの100年は地震活動が比較的静穏に経過しているが、今後は比較的活発な時期を迎えるとの想定もあり、引き続き警戒が必要である。
  • 今後もさらに高まる自然災害リスク
    • この100年で気象災害の激甚化・頻発化が目に見える形で進んできており、地球温暖化の進行に伴って、この傾向が続くことが見込まれている。また、今後発生が想定されている首都直下地震や南海トラフ地震等の大規模地震や火山噴火への備えも怠ることはできない。
    • 我々は、今後もさらに高まる自然災害リスクと正面から向き合い、将来予測される被害を回避・軽減するために、あらゆる努力を行うことが求められている。
  • 治水対策や高潮対策による被害軽減
    • 自然災害から住民の生命・財産を守るため、我が国では全国各地において、河川整備やダム建設等の防災・減災インフラの整備が進められてきた。
    • まず、治水対策における防災・減災インフラの整備による被害軽減の実例について、静岡県伊豆半島を流れる狩野川を例にとって確認する。伊豆半島の天城山系の山々を水源に持ち、太平洋側では珍しく南から北に流れる狩野川は、千年以上も前から人々の暮らしの中心にあった。一方で、下流部に狭窄部を持つ地理的特徴と多雨地帯を流域に抱えていることから、古くから幾多の洪水を発生させており、特に昭和33年(1958年)9月の狩野川台風は、流域に未曾有の浸水被害をもたらした。
    • これを受けて、下流域の都市部を流れる狩野川本川の水位を低下させるため、中流で分流してそのまま海に注ぐ狩野川放水路が整備された。その後、この地域で大雨をもたらした令和元年東日本台風では、総降雨量が778mmを記録し、狩野川台風の総降雨量(739mm)を超える状況にあったが、狩野川放水路による洪水分派により狩野川本川の越水を防ぎ、人的・物的被害を大幅に軽減した。
    • 次に、高潮対策における防災・減災インフラの整備効果について、大阪市の事例を確認する。大阪市は、昭和36年(1961年)9月の第二室戸台風に伴う高潮によって大規模な浸水被害を経験しており、これを契機に、水門や高潮堤の整備、防潮堤鉄扉の設置などの高潮対策を実施してきた。第二室戸台風から半世紀以上が経った平成30年(2018年)9月の台風第21号において、大阪湾ではこれまでの最高潮位(第二室戸台風のTP+2.93m)を大幅に超過し、TP+3.29mを記録したが、大阪湾高潮対策で整備した水門、防潮堤鉄扉等の適切な操作により、大阪市街地における浸水被害は回避された(写真9)
  • 建物の耐震化の進捗
    • 次に、建物の耐震化に着目して、我が国の地震対策の取組を確認する。第1章第1節で見たように、関東大震災では、建物の倒潰とそれにより発生した火災等によって約10万5,000人を超える犠牲者が出た。第1章第4節で見たように、耐震構造化を考慮されていないビルが多数倒潰したことを受け、法令による地震力規定が制定された。その後の阪神・淡路大震災では、耐震基準を満たさない建物に特に被害が集中していたことから、耐震基準を満たさない建物の耐震化が促進された。
    • このような取組を踏まえ、我が国の建物の耐震化は着実に進捗している。例えば、住宅の耐震化率は、平成15年(2003年)が約75%、平成20年(2008年)が約79%、平成25年(2013年)が約82%、平成30年(2018年)が約87%と着実に上昇しており、東日本大震災では、耐震化された建物の多くは被害を免れているなど、耐震化の有効性が確認されている。将来想定される首都直下地震等の大規模地震に備え、耐震性が不十分な住宅を令和12年(2030年)までにおおむね解消するという目標を設定し、様々な公的支援を行いながら取組を進めている。
  • ハード・ソフト一体となった防災対策の推進
    • 激甚化・頻発化する自然災害に対応するため、我が国はこの100年で着実に防災・減災インフラの整備等が進められ、維持管理がなされてきた。そのため、前述した被害軽減の事例のように、昔なら大規模な災害が発生していたと思われる大雨や地震等であっても、防災・減災インフラの整備等によって災害発生が防止・軽減された地域も多々ある。また、このような地域の安全度向上に伴って、都市部では新たな住宅開発が行われ、また、周辺部では工場のための土地開発が進められるなど、国全体で土地利用の高度化が図られ、生産性の向上に寄与したことが、我が国の経済発展の一助になったとも言える。
    • しかし、ハード面の整備が進むにつれ、適切な管理を行わなければ、施設の老朽化や空き家の増加といった課題が生じる。また、国民の大多数が自然災害を直接経験することが少なくなり、また、それゆえに自然災害が遠い存在となった側面がある。「自分は大丈夫」、「自分の住む地域で災害は起きない」など、自然災害を自らのことと捉えられない、又は災害が発生するまで適切な防災行動を取る必要性を実感できない国民が増加している面も否定できない。
    • 今後も、防災・減災インフラの整備等を着実に進め、維持管理や老朽化対策を適切に実施することの必要性は論をまたないが、第1章第5節で述べたとおり、ハード・ソフトの様々な対策を組み合わせることで被害を最小化する「減災」の考え方を徹底し、防災教育や防災訓練といったソフト対策の取組についても、改めて強化していくことが求められている。
  • 今後一層進む東京一極集中傾向
    • 国立社会保障・人口問題研究所の地域別将来推計人口10によれば、東京圏の人口一極集中は今後更に進み、東京圏の人口割合は令和27年(2045年)には31.9%に達すると推計されている。南関東地域におけるM7クラスの地震の30年以内の発生確率が70%程度とされている中、首都直下地震等の巨大災害の発生に備えて、100年前の関東大震災当時よりも一層の対策が求められている。
  • 阪神・淡路大震災で注目された高齢者の災害関連死の問題
    • 戦後のベビーブームを経て高度経済成長が始まると、我が国は少産少死の社会に入ったが、高齢化率はしばらくの間は低位で推移していた。成長率の鈍化が生じた昭和後期には出生率の低下が進み、高齢化率もすう勢的に高まり始めた。
    • 阪神・淡路大震災が発生した平成7年(1995年)には14.6%と、その5年前から約2.5パーセントポイントの上昇を記録した。同震災では、避難の長期化などに伴ういわゆる災害関連死が課題となったが、その背景には高齢世代の急増があった。
    • なお、高齢化率は、地方圏が先行する形で上昇し続け、東日本大震災(平成23年(2011年))当時には、地方圏の高齢化率が24.7%(平成22年(2010年))に達していた。
  • 今後東京圏でも進む高齢化
    • 高齢化は今後も一層進むことが見込まれており、高齢化率の全国平均は、令和2年の28.6%が令和27年(2045年)には36.8%に上昇すると推計されている。特に地方圏の水準は高く、令和2年の31.0%が令和27年には39.3%に上昇すると推計されている。
    • 一方、東京圏の高齢化率は25.1%(令和2年(2020年))と、全国平均や地方圏と比べれば低いものの、今後は地方圏と同様に高齢化が進み、令和27年(2045年)には約33.7%に達すると推計されている。
    • このように、今後20年程度の人口動態予測を踏まえると、東京圏の人口の3分の1以上が高齢世代となり、さらに75歳以上の後期高齢者が増えるなど高齢者の高齢化も進むことが予測される。災害関連死の大半は高齢者の間で発生していることなどを踏まえると、首都直下地震等の巨大災害の発生時には、高齢者の心身のケアや避難の長期化を念頭に置いた避難生活の環境改善が一層の課題となる
  • 国民が取組に着手するためのきっかけづくりが必要
    • 近年は、地震災害に加え、台風、豪雨、土砂災害などの風水害が相次いでいるものの、国民による「自助」の取組の実施率が頭打ち傾向にある背景として、多くの国民にとっては報道で見聞きするだけであり、自らが被災者となる実感が得られないことから、災害の発生を契機とした国民の防災意識の高まりが得られにくくなっているとも考えられる。
    • 一方で、令和4年の調査では、「自然災害への対処などを家族や身近な人と話し合ったことがない」と回答した者(全体の36.9%)に対して、その理由を新たに聞いたところ(複数回答方式)、「身の回りで自然災害が起きたとしても安全だと思うから」や「身の回りで自然災害が起きないと思うから」との回答選択率は少なく、「話し合うきっかけがなかったから」の回答選択率が圧倒的に高かった(58.1%)。このことから、国民の多くは、自然災害のリスクを認識しているものの、着手の一歩を踏み出せない層が一定程度あることが分かる。
    • また、令和4年の調査で大地震に備えての対策について、「特に対策は取っていない」と回答した者は、回答者の13.9%に当たるが、これを回答者の属性別に見ると、地域別には、東京都区部の居住者では6.4%となっている。また、年齢階層別では18~29歳が17.2%、30~39歳が17.6%であるのに対して、70歳以上では11.4%となっている。このように、東京都区部の居住者や高齢者層の方が、その他の階層よりも対策を取っている者の割合が高い。このため、このような対象地域や年齢層による違いも意識した上で、まだ着手の一歩を踏み出せていない国民層に働きかける取組を強化していくことが求められる。
  • 地域における「共助」の取組の進展
    • 地域防災力の向上のためには、住民一人一人による「自助」の取組の促進に加えて、「自分たちの地域は自分たちで守る」という意識を持って「共助」の防災活動を行うことが重要である。このため、コミュニティにおける自主的な防災活動を支える自主防災組織の育成が進められており、その組織数及び活動カバー率は年々上昇している。
    • 一方で、地域防災力の中核を成す存在である消防団は、昭和40年(1965年)には約133万人だった団員数が、令和4年(2022年)には約78万人と、初めて80万人を下回った。また、団員構成の高齢化も進んでおり、昭和40年には10~30代が90.4%を占めていたが、令和4年には39.3%まで減少しており、女性や若者等幅広い住民の入団促進や、装備・教育訓練の充実強化に取り組んでいる。
  • 外国人の4割以上は東京圏に在住
    • 我が国に居住する都道府県別外国人数について100年前と比較すると、大正9年(1920年)には、兵庫県(約1万2千人)、神奈川県(約1万1千人)、福岡県、東京都(当時の東京府)(いずれも約9千人)の順に多く、東京圏在住の外国人人口割合は25.3%を占めていた。一方、令和2年(2020年)には、東京都(約56万4千人)、愛知県(約25万9千人)、大阪府(約24万2千人)、神奈川県(約23万1千人)の順となり、東京圏在住の外国人人口割合は41.6%まで高まっている。なお、都道府県別の外国人割合は、最も高い東京都において4%となっている。
  • 世代による情報入手手段には大きな違い
    • 世論調査において、防災に関して活用したい情報入手手段について質問したところ、近年はテレビという回答が最も多くなっており、平成29年(2017年)に実施した世論調査においても、全ての世代においてテレビと回答した人の割合が最も高かった。他方、令和4年(2022年)に実施した調査では、調査方法がそれまでと異なるため過去の結果との単純な比較はできないが、引き続きテレビと回答とした人の割合が81.7%と最も高かった。一方で、次のラジオ(48.3%)に続き、「Twitter、LINE、FacebookなどのSNSの情報」も36.9%と高かった。これを世代別にみると、18~29歳では、テレビ(73.8%)よりもSNSの情報(76.6%)の方がより高く、30~39歳では、SNSの情報(70.9%)はテレビ(71.4%)とほぼ同程度の高さとなるなど若い世代におけるSNS情報の活用が見てとれる。他方、年齢層が上がるにつれて、テレビと回答した人の割合が高まり、70歳以上では、その割合が91.9%に上っており、世代によって情報の入手手段も大きく変化していることが分かる。
    • このように、誰でも簡単に発信したり、情報を入手できる便利なツールであるSNSは、若い世代の主たる情報入手手段として活用されている。災害発生時には、被害の状況を迅速かつ正確に把握することが重要であることから、今後ともその特性を活かして活用していくことが期待される。他方、SNSは、意図的に、あるいは真偽不明のままに誤った情報が発信されるおそれがあるという課題も抱えている。災害時においては、このようなデマや誤情報による社会的混乱を防止するとともに、一人一人が注意しながら活用していくことが必要である。
  • 首都直下地震等の切迫する大規模地震への対策の推進
    • 関東大震災や阪神・淡路大震災、東日本大震災など、過去に発生した大規模地震では、建物の倒壊・火災による被害や、地震によって引き起こされた巨大津波による被害が突出している。
    • まず、地震の揺れによる建物の倒壊を防ぐためには、建物の耐震化を推し進めていくことが重要であるが、特に昭和56年(1981年)以前に建築された建物は、「建築基準法」に定める耐震基準が強化される前の「旧耐震基準」によって建築され、耐震性が不十分なものが多く存在する。政府は、耐震性が不十分な住宅の令和12年までのおおむね解消を目標に設定するなどし、耐震診断による耐震性の把握、耐震性が不十分な場合の耐震改修や建替えの励行、またそれらに係る費用の支援等の取組を進めており、その結果、我が国の建物の耐震化率は着実に上昇している。今後も、建物の所有者一人一人が耐震化の重要性を認識し、自らの問題として意識して対策に取り組むことが重要である。
    • また、東日本大震災では、東北地方の太平洋側を中心に、巨大な津波により壊滅的な被害が発生した。東日本大震災の教訓として、ハード対策だけでは災害は防ぎきれず、命を守るためには何よりも避難することが大切であることが広く認識された。そのためには、こどもからお年寄りに至るまで、災害を自分のこととして捉え、災害時には自らの判断で適切な防災行動が取れるよう、日頃から防災意識の向上に向けた取組を実践することが大切である。
    • さらに、関東大震災では、内務省等の庁舎が焼失するなど、政府自身が被災者となったことが初動の遅れを招いた。来るべき首都直下地震に備えて、政府業務継続計画等に基づき、迅速な初動体制の確立、非常時優先業務の実施等により、首都中枢機能の維持を図らなければならない。また、警察や消防、自衛隊の救助部隊の活動拠点や進出ルート等をあらかじめ明確にし、具体的な応急対策に関する計画を定めておくことや、首都直下地震の際に緊急災害対策本部の代替となる拠点を確保しておくことも重要な取組である。加えて、東京圏への人口の一極集中が進む中、首都直下地震により、道路交通の麻痺、膨大な数の避難者や帰宅困難者の発生、深刻な物資の不足等も想定される。このため、避難所における食料・飲料水等の備蓄の確保、一斉帰宅の抑制等の帰宅困難者対策、サプライチェーンの確保等にも取り組む必要がある。
    • 今後発生が懸念されている首都直下地震、南海トラフ地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震など、地震による被害の程度は、地震の発生時期や時間帯の前提条件により大きく異なるものの、甚大なものになると想定されている。一方で、災害対策を徹底し、適切な避難行動を取ることにより、地震による被害を最小化できることも併せて指摘されている。我々一人一人が対策の重要性を今一度認識し、建物の耐震化はもとより、適切な避難行動、自動車の利用の自粛、必要な水・食料等の備蓄といった防災対策に取り組む必要がある。
  • 気候変動に対応した風水害対策の推進
    • 我が国は、戦後まもなく、荒廃した国土の中で頻発する台風や豪雨により深刻な被害が発生したが、その後は、国や都道府県、市町村がそれぞれの役割の下、堤防やダム、下水道、港湾の整備等の対策を計画的に実施することで、地域の安全度を飛躍的に向上させてきた。第2章第2節での狩野川(静岡県)や大阪湾の事例が示すとおり、同規模の過去の台風による被害に比べて被害が大幅に軽減された地域もあり、これまでの風水害対策による被害軽減効果が確認されている。
    • しかしながら、気候変動等による災害の激甚化・頻発化により、国民への直接的な人的被害はもとより、住宅被害等の経済被害も増大し、これによる経済活動への影響など、社会不安も増大していることは確かである。
    • これまでの風水害対策は、過去の災害の教訓・反省を生かして対策が講じられてきたものであるが、各地で猛威を振るう台風や豪雨等は、気候変動の影響等によりこれまで経験したことのないような規模となっており、今後さらに強大なものになると想定されている。そのため、治水計画については、過去の降雨実績に基づく計画から、気候変動による降雨量の増加等を考慮した計画に見直す等の対応が図られている。
    • 我々は、より強大化する風水害の脅威を認識し、これまでの考え方に捉われずに、社会全体でこの危機に立ち向かうことが必要である。そのためには、社会のあらゆる関係者が、防災・減災を意識し、行動することが当たり前となる、防災・減災が主流となる社会の形成を目指して、国を挙げて災害対策に取り組むことが必要である。
  • 国土強靱化の推進
    • 気候変動の影響等により気象災害が激甚化・頻発化していることに加え、南海トラフ地震や首都直下地震等の大規模地震の発生も切迫している。また、高度経済成長期以降に集中的に整備されたインフラが、一斉に老朽化していることから、適切な対応を取らなければ、社会経済システムが機能不全に陥るおそれがある。このような危機に打ち勝ち、国民の生命・財産・暮らしを守り、災害に屈しない国土づくりを進めるため、国を挙げて防災・減災、国土強靱化の取組を強化し、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」(令和2年12月11日閣議決定)を着実に推進しなければならない。
    • その上で、これらの取組をより効果的・効率的に進めるためには、国の取組に加えて、各地方公共団体が、それぞれの地域で直面する自然災害のリスクを正しく分析し、地域の強靱化に計画的に取り組むことが必要である。また、行政と民間主体が連携し、民間投資を誘発する仕組みづくり等を行うなど、民間の活力を活かした国土強靱化に取り組むことも重要である。さらに、最新の技術やイノベーション等、防災分野においてデジタル技術を活用するなど、効率的に災害対応力向上を図ることも求められている。
    • 国土強靱化は国や地方公共団体のみならず、民間企業や個人も含めて全ての関係者が連携・協働しながら取り組むことが必要である。国土強靱化基本法が施行されて10年目を迎える中、国や地方公共団体での取組は進捗してきているが、民間企業や地域コミュニティ、また家庭や個人レベルにおいても、国土強靱化の必要性や効果について理解を深め、それぞれの地域、立場で実践していくことが必要である。
  • 被災者支援体制の充実
    • 関東大震災発災直後には、東京市において、当時の人口約248万人のおよそ4割に当たる推計100万人の避難者が発生したといわれている。13第2節で述べたとおり、建築物の耐震性等は関東大震災の時と比べると大幅に向上しているが、その後の急速な市街化の過程で生じた木造密集市街地における家屋倒壊や火災による延焼が懸念されるとともに、断水や停電などのライフラインへの被害によって、自宅への被害が軽微であっても在宅での避難生活が困難となる被災者が多数発生することが懸念される。
    • 関東大震災の発生時には、被害の甚大さと応急対策準備の不足のため、行政機関による迅速な応急対策を行うことができず、被災者支援の遅れや被害の拡大を招いた。国は、想定される首都直下地震、南海トラフ地震及び日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震への対策として、基本計画等を策定して応急対策準備を行うとともに、各種訓練等を通じてその実効性を高めるための計画の改善に努めている。
    • また、高齢化の進展や外国人の増加等の環境変化に伴い、関東大震災の発生時とは異なる新たな課題が生じている。さらに、女性やこども、障害者等も含めて、それぞれの被災者ニーズを踏まえた対応を進めていく必要がある。このため、災害時の情報提供、避難誘導及び避難所の生活環境向上を通じた災害関連死の防止など、災害時要配慮者をはじめとする被災者に対するきめ細やかな施策を、福祉等の関連施策との連携の下で進める必要がある。
    • さらに、災害の激甚化・頻発化が今後予想される中、行政による「公助」だけでは十分な被災者支援を行うことができない。このため、国民一人一人の「自助」の意識を高めていくとともに、「共助」の取組を促進するため、男女共同参画の視点を踏まえるとともに、NPO、ボランティアを始めとした様々な民間団体が参画するなど、多様な主体が連携した被災者支援体制を構築していく必要がある。加えて、東日本大震災や関東大震災の際に受けたような海外からの支援との連携も強化していかなければならない。
  • 情報発信の多言語化等
    • 関東大震災が発生した頃に日本の人口の約1,000人に1人の割合しかいなかった外国人は、現在では、約45人に1人の割合と大幅に増加している。また、日本に居住している外国人に加えて、旅行や仕事等で一時的に滞在している外国人もこの100年間で飛躍的に増加している。
    • このような状況下で災害が発生した場合、日本に居住している外国人や一時的に滞在している外国人も数多く被災者になることとなる。
    • その際、日本語という言語の理解が壁となって、外国人が災害発生時に迅速な避難行動を取れない、又は避難所等において十分な支援を受けられないといった事態は避けなければならない。このため、現在、関係省庁が連携して、多言語による情報発信の取組などを進めているところであるが、引き続き、外国人が必要な情報を容易に入手できるようにすることが重要である。
  • 防災におけるデジタル技術の活用
    • 関東大震災が発生した大正12年(1923年)は、まだラジオ放送が開始される前であった。また、地震により交通や電話などのライフラインも大きな被害を受けたために、新聞も発災後しばらく東京で発刊することができなくなってしまうなど、情報が流通しなくなってしまった。
    • しかしながら、災害発生後、人命救助などの応急活動や、避難所生活への対応等の被災者支援など、行政が的確な対応を行うためには、まず発生した災害による被害状況を迅速かつ正確に把握することが必要となる。
    • この100年の間、情報通信技術は飛躍的に進歩した。これまでも主要な情報伝達手段となる媒体は、ラジオ、その後テレビと移り変わってきたところである。そして現在、デジタル技術の進展により、インターネットやSNSの活用が個人の日常生活の中でも一般的となっている。政府としても災害対応に役立つ可能性があるデータのデジタル化を推進し、活用していくことは、災害による被害状況の把握に大きく寄与するとともに、国民への情報発信の際にも必要不可欠になっていると考えられる。
    • 政府では、デジタル技術を活用した情報収集や情報共有に取り組んでいるところであるが、デジタル技術は日進月歩であることから、今後とも更なる活用に向けた取組を進めていくことが必要である。

~NEW~
内閣府 男女共同参画局 男女共同参画白書
▼令和5年版(令和5年6月)概要
  • <特集>新たな生活様式・働き方を全ての人の活躍につなげるために~職業観・家庭観が大きく変化する中、「令和モデル」の実現に向けて~
    • 人生100年時代を迎え、我が国における家族の姿は変化し、人生は多様化している。しかし、我が国においては、有償労働時間が男性、無償労働時間が女性に大きく偏るなど、依然として、固定的な性別役割分担が残っている。
    • 近年、主に若い世代の理想とする生き方は、変わってきている。このような変化を捉え、我が国の未来を担う若い世代が、理想とする生き方、働き方を実現できる社会を作ることこそが、今後の男女共同参画社会の形成の促進において、重要である。このことが、家族の姿が変化し、人生が多様化する中で、全ての人の活躍にもつながるものと考えられる。
    • 今こそ、固定的性別役割分担を前提とした長時間労働等の慣行を見直し、「男性は仕事」「女性は家庭」の「昭和モデル」から、全ての人が希望に応じて、家庭でも仕事でも活躍できる社会、「令和モデル」に切り替える時である。
    • 人生100年時代を迎え、我が国における家族の姿は変化し、人生は多様化。昭和60(1985)年には全世帯の4割を占めていた「夫婦と子供」の世帯は、令和2(2020)年時点では全体の25%となり、単独世帯とひとり親世帯が全体の約半数を占めるようになった。
    • 男女別・年代別で見ると、男女ともに未婚により20代の割合が大きい。また、女性は配偶者との死別により70代以上の割合が大きい一方、男性は未婚により30~50代の割合が大きい。
  • 働き方や就業に関する意識の変遷、家事・育児等・働き方の現状と課題
    • 働き方や就業に関する意識の変遷
    • 1日の時間の使い方、家事・育児等・働き方の現状
    • 現行の家事・育児等・働き方が抱える課題
    • 世代によって、育ってきた社会・経済情勢は大きく異なり、働き方や意識も影響を受けていると考えられる。
    • 女性は、どの年齢階級においても就業率は上昇してきているが、35~44歳以上で、若い年代(25~34歳)と比べて非正規雇用割合が上昇する傾向が続いている。
    • 女性は、年齢階級が高い方が「子供ができても、ずっと職業を続ける方がよい」と考える傾向がある。また、同じ世代でも、年齢が上がるにつれて、そのように考える傾向が強くなる
    • 週間就業時間49時間以上及び60時間以上の就業者の割合を見ると、働き盛りと言われる30代後半から50代前半について、男性の場合は他の年代と比較して大きくなっているのに対し、女性の場合は、子育て期と重なることもあり、下の年代と比較して小さくなっている。
    • 妻の就業形態に関わらず、夫の帰宅時刻(平均)は妻よりも遅く、夕食開始時刻(平均)と近接していることから、夕方以降の家事・育児等は妻が主に担っていることが分かる。
    • 末子の年齢が6歳未満の共働き世帯の妻と夫の平日の生活時間を見てみると、家事関連時間は妻、仕事時間は夫に偏っている。
    • 女性の8割以上、男性の7~8割が、女性に家事・育児等が集中していることが、職業生活において女性の活躍が進まない理由と考えている。
    • 長期的には妻の家事関連時間の分担割合は減っているものの、令和3(2021)年時点で、6歳未満の子供を持つ妻・夫について、妻が無業(専業主婦)の場合は家事関連時間の84.0%、有業(共働き)であっても77.4%を妻が担っている。
    • ひとり親の女性は有配偶女性と比較して仕事時間が長く、6歳未満の子供を持つひとり親の女性は、6歳未満の子供を持つ専業主婦の約5割、共働き女性の約7割の時間しか家事・育児に充てられていない。
    • 長時間労働等の慣行は、男性の生活や健康にも影響を与えている可能性がある。
    • 男性自殺者数は長期的には減少傾向にあるが、女性よりも高い水準にあり、年齢階級別に見ると、40~50代の働き盛りの男性の自殺が最も多い。
    • 年齢階級別の正規雇用比率を見ると、男性は20代後半から50代までは7割を超えているものの、女性は25~29歳の60.0%をピークに低下し、年齢の上昇とともに下がる、L字カーブを描いている。
  • 根付きつつある新たな生活様式・働き方
    • 若い世代の生活様式・働き方についての考え方
    • 女性の働き方を取り巻く状況
    • テレワークを取り巻く状況
    • 育児休業を取り巻く状況
    • 家事・育児等を取り巻く状況
    • 子供がいる世帯では、女性は家事・育児時間を減らしたいと思い、男性は、仕事時間を減らし、家事・育児時間を増やしたいと思う傾向にある。若い世代でその傾向が強い。
    • 女性では、若い年代ほど、「長く続けたい」、「昇進できる」、「管理職につきたい」と考える割合が大きい。特に「昇進できる」「管理職につきたい」は、20代と40~60代で10%ポイント以上の差がある。
    • 男性では、「長く続けたい」とする割合は、若い人ほど小さくなっている。
    • 男女の家事・育児スキルの自己評価及び配偶者の実施する家事・育児への満足度を見ると、特に若い男性ほど自分の家事・育児スキルへの評価が高く、配偶者から見た満足度も高い。
    • 家事・育児等について、女性では年代が高い方が、男性では年代が低い方が、「自分が率先してするべきことである」と回答する割合が大きい傾向にある。
    • 同年代の男女で比較すると、50~60代では男女で10%ポイント以上差異があるが、年代が低くなるほど男女の差異が小さくなり、20代では、ほとんど差異が見られない(女性70.1%、男性69.8%)。
    • 男性が家事・育児等に積極的に参加するために必要なこととして、「男性が育児・家事などに参加することに対する男性自身の抵抗感をなくすこと」とする割合は、男性と比較して女性の方が大きい。男性は年齢が低いほど割合が小さく、若い世代ほど、家事・育児等への抵抗感が少ないことが分かる。
    • 「男性による育児・家事などについて、職場における上司や周囲の理解を進めること」、「労働時間の短縮や休暇制度、テレワークなどのICTを利用した多様な働き方を普及することで、仕事以外の時間をより多く持てるようにすること」は、男女ともに、年代が低い方が割合が大きい傾向にある。
    • 男性は年齢が低いほど、家事・育児参加に関しては抵抗を感じておらず、職場等、周囲の環境を改めることがより必要と考えている。
    • 育児休業取得の希望を見てみると、男性の場合は、20代の約3割が「2か月以上取得したい」としている。
    • しかし、実際の男性の育児休業取得者の取得期間を見ると、民間企業で約6割が1か月未満となっており、男性の育児休業の取得について、希望と現実には差があることが分かる。
    • 子供のいる男性のうち、育児休業取得経験のある男性の方が、育児休業取得経験のない男性と比較して、家事・育児スキルの自己評価が高い。女性の、配偶者(夫)が実施する家事・育児への満足度は、配偶者(夫)に育児休業取得経験がある方が高い傾向にある。
    • 非正規雇用労働者として働いている有配偶の20~30代女性は、上の年代と比較して、「仕事と育児・介護との両立に関して理解のある職場であれば」、「自分の家事・育児などの負担が軽くなれば」、「働く時間を調整しやすい・融通がきく仕事であれば」正規雇用労働者として働きたいとする割合が大きい。
    • 有業者で、平日にテレワーク(在宅勤務)をした人とそれ以外の人の生活時間の差(テレワークをした人の生活時間から、それ以外の生活時間を引いた差)を見ると、テレワークにより浮いた通勤の時間を、35~44歳女性は育児時間に、25~34歳、45~54歳、55~64歳の女性は、仕事時間に充てている。
    • テレワークをした男性は、65歳未満の全ての年齢階級で仕事時間が減り、家事・育児時間が増えている。
    • この3年間で最もテレワークが多かった時期の実施率は、女性19.4%、男性35.7%、この3か月間の実施率は、女性16.0%、男性30.4%と、女性の実施率は男性と比較して低い。
    • 雇用形態別に見ても、男女間で実施率に差がある。また、非正規雇用労働者は、正規雇用労働者と比較して実施率が低い。
  • 「令和モデル」の実現に向けて
    • 我が国の未来を担う若い世代が、理想とする生き方、働き方を実現できる社会を作ることこそが、今後の男女共同参画社会の形成の促進において、重要。
    • 新しい動きに気付き、制度・慣行を今の時代に合ったものに変え、新しい発想、新しい叡智を取り入れ、全ての人が活躍できる社会、「令和モデル」への転換の先にこそ、我が国の更なる成長がある。

~NEW~
内閣府 宇宙基本計画
▼宇宙基本計画(令和5年6月13日 閣議決定) 本文(概要)
  • 人類の活動領域が本格的に宇宙空間に拡大するとともに、宇宙システムが地上システムと一体となって、地球上の様々な課題の解決に貢献し、より豊かな経済・社会活動を実現。また、安全保障環境が複雑で厳しいものになる中、宇宙空間の利用が加速。
  • こうした宇宙空間というフロンティアにおける活動を通じてもたらされる経済・社会の変革(スペース・トランスフォメーション)が世界的なうねりとなっている中、我が国の宇宙活動の自立性を維持・強化し、世界をリードしていくことが必要。この実現のため、宇宙基本計画を改定。
  • 関係省庁間・官民の連携を図りつつ、予算を含む資源を十分に確保し、これを効果的かつ効率的に活用して、政府を挙げて宇宙政策を強化。
  • 目標と将来像
    1. 宇宙安全保障の確保
      • 宇宙からの安全保障:情報収集衛星や衛星コンステレーションによる情報収集等
      • 宇宙における安全保障:宇宙領域把握(SDA)体制の構築等
      • 宇宙安全保障と宇宙産業の発展の好循環
    2. 国土強靱化・地球規模課題への対応とイノベーションの実現
      • 通信:陸海空と宇宙がシームレスに繋がる
      • リモートセンシング:発災後、早期の被災状況確認による迅速な災害対応等を実現等
      • 衛星測位:準天頂衛星のcm級測位による自動化・無人化で労働力不足解決に貢献
    3. 宇宙科学・探査における新たな知と産業の創造
      • 生命の可能性等の人類共通の知を創出し、月以遠の深宇宙に人類の活動領域を拡大
      • 月面探査・地球低軌道活動における産業振興を通じて、段階的に民間商業活動を発展
      • 次世代人材育成と国際プレゼンス向上
    4. 宇宙活動を支える総合的基盤の強化
      • 他国に依存することなく宇宙へのアクセスを確保し、自立的な宇宙活動を実現
      • 衛星運用状況等の情報共有が進展し、スペースデブリの数が一定程度まで管理される
      • 技術・産業・人材基盤の確立
    5. →宇宙産業を日本経済における成長産業とするため、その市場規模を、2020年に4.0兆円から2030年代早期に2倍の8.0兆円に
  • 基本的なスタンス
    1. 安全保障や宇宙科学・探査等のミッションへの実装や商業化を見据えた政策
    2. 宇宙技術戦略に基づく技術開発の強化
      • 安保・民生分野横断的に検討、サプライチェーンも強化
    3. 同盟国・同志国との国際連携の強化
      • 国際的規範・ルール作り、我が国強み活かした協力等
    4. 国際競争力を持つ企業の戦略的育成・支援
      • 国際市場で勝ち残る意志と技術等有する企業を重点支援
    5. 宇宙開発の中核機関たるJAXAの役割・機能の強化
      • JAXAの戦略的かつ弾力的な資金供給機能を強化、産学官の結節点に
    6. 人材・資金等の資源の効果的・効率的な活用
      • 工程表・宇宙技術戦略で資源を効果的・効率的に活用
  • 具体的なアプローチ
    1. 宇宙安全保障の確保
      • 宇宙安全保障のための宇宙システム利用の抜本的拡大
        • 衛星コンステレーションの構築や情報収集衛星の機能強化、民間衛星、同盟国・同志国との連携強化等で隙のない情報収集体制を構築
        • 情報収集衛星の機能強化(10機体制が目指す能力早期達成)
        • 安全保障用通信衛星の多層化(耐傍受性・耐妨害性のある防衛用通信衛星の確保等)
        • 衛星コンステに必要な共通技術の確立
        • 衛星測位機能の強化
        • ミサイル防衛用宇宙システムに必要な技術の確立(HGVの対処能力の向上のための技術実証等)
        • 海洋状況把握等
      • 宇宙空間の安全かつ安定的な利用の確保
        • 宇宙システム全体の機能保証強化
        • 宇宙領域把握(SDA)体制の構築
        • 軌道上サービスを活用した衛星のライフサイクル管理
      • 安全保障と宇宙産業の発展の好循環の実現
        • 政府の研究開発・実装能力の向上
    2. 国土強靱化・地球規模課題への対応とイノベーションの実現
      • 次世代通信サービス
        • Beyond5G等次世代通信技術開発・実証
        • フルデジタル化通信衛星実装へ開発・実証(2025年度ETS-9打上げ)
        • 衛星量日暗号通信の早期実現へ開発・実証
      • リモートセンシング
        • 防災・減災、国土強靱化・地球規模課題への衛星開発・運用とデータ利活用促進(2029年度ひまわり10号運用開始、2024年度GOSAT-GW打上げALOS-3喪失に対して再開発の要否を含め検討、降水レーダ衛星開発等)
        • 衛星関連先端技術の開発・実証支援(2025年SAR衛星コンステ構築へ実証等)
      • 準天頂衛星システム
        • 7機体制の着実な構築と11機体制に向けた検討・開発着手(準天頂衛星システムの開発・整備・運用、利活用推進)
      • 衛星開発・利用基盤の拡充
        • 衛星データ利用拡大とサービス調達推進
        • 衛星開発・実証プラットフォームにおけるプロジェクトの戦略的推進
        • 宇宙機器・ソリューション海外展開強化
        • 異業種や中小・スタートアップ企業の参入促進
        • 衛星データ及び地理空間データプラットフォームの充実・強化
        • 宇宙天気予報の高度化・利用拡大(ひまわり10号への宇宙環境計測センサ搭載)
        • 宇宙太陽光発電の研究開発
    3. 宇宙科学・探査における新たな知と産業の創造
      • 宇宙科学・探査
        • 大型の海外計画参画と独創的・先鋭的技術によるユニークなミッションの創出(2024年度MMX打上げ)
        • 火星本星・小天体探査計画の検討と「月面における科学」の具体化
        • 獲得すべき重要技術の特定と強みである技術の高度化、強みとなる最先端技術の開発・蓄積、フロントローディングの推進
      • 月面における持続的な有人活動
        • アルテミス計画の下、2020年代後半の日本人の月面着陸、持続的な月面活動の推進(環境制御・生命維持技術、補給機、有人与圧ローバ、測位通信技術、月輸送技術等)
        • 月面開発工程の具体化に向けた構想策定と官民プラットフォームの構築
        • 将来市場形成に向けた規範・ルールの形成
      • 地球低軌道活動
        • 【ISS延長期間】
          • ISSの利用促進、ニーズ拡大策の推進
          • アルテミス計画等に必要な技術の実証
        • 【ポストISSを見据えた取組】
          • ポストISSの在り方の検討と、その在り方に応じた必要な技術の研究開発
        • 国際的・国内的な法的枠組みの検討
    4. 宇宙活動を支える総合的基盤の強化
      • 宇宙輸送
        • 基幹ロケットの継続的な運用と打上げの高頻度化などによる強化
        • 民間ロケットの開発・事業支援
        • 新たな宇宙輸送システムの構築
        • 宇宙輸送に関わる制度環境の整備
      • 宇宙交通管理及びスペースデブリ対策
        • 商業デブリ除去技術の実証
        • 軌道上サービス技術の開発・支援
        • 国際的な規範・ルール形成への参画
      • 技術・産業・人材基盤の強化
        • 宇宙技術戦略の策定・ローリング
        • 先端・基盤技術開発の強化(JAXA能力強化、資金供給機能強化)
        • 商業化に向けた支援の強化(定期的宇宙実証、放射線試験機会提供、開発プロセスのDX支援等)
        • 異業種や中小・スタートアップ企業の宇宙産業への参入促進及び事業化支援(JAXA出資・資金供給機能、SBIR制度等)
        • 契約制度の見直し(官民の開発リスク分担の必要な見直し、進捗に応じた支払手法の検討、物価・為替変動対応、民間の適正利益確保の施策等)
        • JAXAの人的資源の拡充・強化
        • 人材基盤の強化
        • 国際宇宙協力の強化
        • 国際的な規範・ルール作りの推進
        • 国民理解の増進

~NEW~
消費者庁 令和5年版 消費者白書
▼【概要】令和5年版 消費者白書
  • 2022年度に消費者庁に通知された消費者事故等は15,308件。内訳は、消費者安全法第12条第1項等の規定に基づき通知された重大事故等が1,351件。同法第12条第2項等の規定に基づき通知された消費者事故等が13,957件。このうち、「生命身体事故等」が4,914件、「財産事案」が10,394件。
  • 消費者安全法第23条第1項の規定に基づき、消費者安全調査委員会において調査を実施。2022年度は、2件について報告書を公表。関係行政機関の長に対して意見具申。
  • 2022年の消費生活相談件数は87.0万件で、前年より増加。一方で、架空請求に関する相談件数は約1.6万件と、直近20年で最少となった。商品・サービス別では、迷惑メールや不審な電話を含む「商品一般」に関する相談が最多。また、「基礎化粧品」や「エステティックサービス」といった美容関連の相談が増加。
  • 成年年齢引下げ前後に18歳・19歳の相談件数の大幅な変化はみられないが、2022年は「脱毛エステ」の相談が多くみられた。四半期別にみると、生活環境が大きく変化する4月から6月までの期間に相談件数が多くなる傾向。通信販売の「定期購入」に関する相談件数は過去最多。高齢者の割合も過去最高。SNS関連の相談件数は過去最多。幅広い年齢層でトラブルが発生しており、中高年の増加が顕著。2022年は50歳代が最多となり、2021年まで最多であった20歳代を初めて上回った。
  • 2022年の消費者被害・トラブル推計額(既支払額(信用供与を含む。))は約6.5兆円と前年より増加。高額案件において、旅行を含む「教養・娯楽サービス」や、健康食品を含む「食料品」の相談件数が増えたことが影響していると考えられる。また、購入した商品や利用したサービスで消費者被害やトラブルを経験した人の割合が、ここ数年増加傾向にあることも影響していると考えられる。
  • 高齢者の消費生活相談の傾向
    • 高齢者(65歳以上)の消費生活相談は、1年間で25万件程度(相談全体の約3割)。
    • 販売購入形態別では、「訪問購入」や「訪問販売」で高齢者の占める割合が高い傾向。
    • 商品・サービス別では、高齢者全体で「健康食品」が上位のほか、年齢層が高くなるほど「住宅修理関連」が上位になり、点検商法や次々販売の相談がみられる。65-74歳の女性では「化粧品」が上位になっている。
    • 高齢者の中でも、年齢層により消費者トラブルの傾向に違いがみられる。
  • 高齢者のインターネット通販等のトラブル
    • 高齢者のインターネットの利用頻度は、特に75歳以上で低くなる。
    • 2022年の高齢者の「インターネット通販」の相談件数は近年最多。65-74歳が3分の2を占める。
    • 高齢者の「定期購入」の相談件数は過去最多で、化粧品や健康食品のトラブルが65-74歳を中心にみられる。
    • 販売購入形態別にみる「インターネット通販」の割合は、65-74歳では4分の1以上を占めているが、年齢層が高くなるほど低下し、85歳以上では5%程度。
    • 高齢者はインターネット利用者とあまり利用していない人で違いがあり、それぞれの傾向に合わせた対策や取組が必要。
  • 高齢者のインターネット通販利用における意識や経験、健康への不安
    • 高齢者は「複数のサイトからの情報収集」や「口コミや評価」で気を付けている割合が低く、事前調査が十分ではない可能性。
    • インターネット通販の広告等で実際に購入等につながったり、困ったりしたことは、75歳以上では「解約が分かりにくい」や「勝手に不要なオプションがセットになっていた」が上位。
    • インターネットを利用している高齢者の中には、消費者トラブル防止の観点から、デジタルリテラシーの課題がある人が存在。
    • 高齢者は健康への不安を感じている。
    • 「健康食品」のトラブルに巻き込まれやすくなるおそれがある
  • 高齢者の性質と消費者トラブルとの関連
    • 消費者トラブルに遭うおそれへの不安を感じている人の割合は、年齢層が高くなるほど低下。
    • 一人暮らしの高齢者が増加しており、孤独・孤立によって消費者トラブルが顕在化しにくくなるおそれ。
    • 認知症等の高齢者は今後も増加する見込み。消費生活相談では、訪問販売や電話勧誘販売の割合が大きいことが特徴。
    • 高齢者にみられる性質により、消費者トラブルに巻き込まれやすくなるおそれがある。
    • 高齢者のぜい弱性には年齢差や個人差があり、多様な高齢者が存在。
  • 高齢者の性質と消費者トラブルとの関連
    • 健康に関する不安の高さ
    • 一人暮らしの高齢者の増加(孤独・孤立)
    • 認知症患者や判断力が低下した人の増加
    • 積極的な対応をしなくなる傾向(後述)
    • 消費者トラブルへの不安は低く、購入前の調査を十分に行わない傾向
    • デジタルデバイドやデジタルリテラシーの課題
  • 高齢者の消費者被害の防止に向けて~多様なぜい弱性への対応~
    • 消費者トラブルに遭った際、75歳以上は「事業者に問い合わせたり、交渉したりする」等、積極な対応をしなくなる傾向がある一方で、身近な人に相談する割合は6割を超える。
    • 高齢者一人一人の状況やぜい弱性に対応できる見守り活動が有効。地方公共団体に「消費者安全確保地域協議会」(通称「見守りネットワーク」)を設置し、行政だけではなく、民間事業者も含めた地域の様々な主体も参加することで、地域の身近な人との結び付きを強化する。
    • 見守り活動で、消費者被害の未然防止・早期発見や、孤独・孤立等が絡む複合的な課題への支援につなげる。
    • 高齢者の多様なぜい弱性やトラブル傾向に対応した注意喚起・消費者教育も必要。
    • 高齢者の身近にいる人や高齢者同士のコミュニティで利用されることを想定した消費者教育や情報提供のコンテンツ作りは、その地域の見守りへの活用を通して、見守り効果を高める可能性。
  • 高齢者の社会貢献活動への参画状況~「地域」と「高齢者の多様性」~
    • 社会貢献活動に参加している高齢者は約16%で、全体(約12%)よりも高く、地域の活動に参加している人が多い。
    • 興味はあるが取り組んでいない理由として、「健康上の理由、体力に自信がない」が高齢者で特徴的に高く、特に75歳以上で高い。65-74歳は、全体と同様に「時間や気持ちの余裕がない」と回答した人が最も多い。
    • 社会貢献活動への参画を促進するには、身近な「地域」という視点と健康状態等の高齢者の多様性に合わせた配慮が必要。
  • 高齢者のエシカル消費の活発な取組状況と更なる推進に向けて
    • 高齢者は、エシカル消費という言葉を知らない人が多い。一方、エシカル消費につながる身近な取組は活発。
    • サステナブルファッションについては、高齢者は全体よりも衣服を長持ちさせる取組に積極的。
    • 食品ロス削減については、高齢者の中でも特に65-74歳が活発。
    • 消費者教育により、エシカル消費という言葉や考え方を浸透させることで、こうした行動が環境問題や社会課題の解決につながることが認識されれば、高齢者の取組が更に活性化する可能性。
    • また、世代による取組状況の違いを踏まえてエシカル消費を推進していくことも重要。
  • 高齢者の社会貢献活動の促進に向けて~活動の在り方は様々~
    • 身近な「地域」への貢献意欲が高く、感謝の言葉や身近な人との結び付きがやりがいにつながる。
    • 高齢者の視点を製品・サービスの改善にいかしたり、高齢者同士が同じ目線で支え合う取組もみられる。
    • 高齢者の社会貢献活動を活発化するためには、身近な「地域」という視点と、社会貢献活動の在り方も様々であるという認識を持つことが重要。
  • 高齢者の社会貢献活動の促進に向けて~多様な活動を支える取組~
    • 時間や場所、スキル、有償無償等、高齢者の多様性に合わせた社会貢献活動とのマッチングを行う取組がみられた。
    • 海外では、高齢者の個々の資質に合わせたボランティア活動の紹介や、高齢者の視点や知見を積極的に行政に取り入れる取組も見られた。
    • 高齢者の多様性に合わせた支援と、そうした様々な活動があることの情報発信が必要。

~NEW~
消費者庁 「消費者志向自主宣言のすすめ」ガイドブック(第2版)を掲載しました。
▼1.消費者志向自主宣言のすすめ はじめての自主宣言ガイドブック
  • SNSや口コミサイトなどネット環境の進展により、事業者に対する消費者の目がますます厳しくなっており、事業者は、消費者からのフィードバックや評価をもとに、多様なニーズに合った商品・サービスを的確な手段やタイミングで提供しなければなりません。
  • また昨今は、CSR(企業の社会的責任)やCSV(共有価値の創造)といった事業者の社会貢献などに対しての関心が高まっているとともに、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた取組も求められています。
  • 消費者は企業活動へ参画する役割も担うようになり、事業者と消費者が共感しながら、より良い未来を目指していくことが求められます。
  • このような社会の変化に合わせて、事業者においては消費者志向経営を意識することが非常に重要になってきました
  • 消費者志向経営とは、「消費者」と「共創・協働」して「社会価値」を向上させる経営と定義されています。
  • ここでの「消費者」は現在の顧客に限定せず、事業者が提供する商品・サービスを将来利用する、又は関与する可能性のある主体(自社従業員、取引先、地域住民など)すべてを指しています。
  • 「共創・協働」とは、事業者が消費者との双方向コミュニケーションにより、消費者がわくわくする商品・サービス・体験を共有し、消費者とのWIN-WINの関係になることです。
  • このような関係を通して、事業者が地域や社会の課題解決に寄与し、社会全体の持続可能性を目指すことが、「社会価値」を向上させる経営と言えます
  • 社会的に有用で安全・安心な商品やサービスを開発・提供し、消費者の満足と信頼を獲得していかなければ、事業活動は継続できません。
  • そのためには、事業者は積極的に環境問題への貢献、地域社会の活性化など、自社が本業を通じてどのような社会を目指したいのかを示し、消費者に共感してもらうことが必要になります。
  • そして目標とする社会を構築していくために事業者は自らの社会的責任を自覚して事業活動を行う必要があります。
  • この未来につながる取組は国際的に取り組んでいる持続可能な開発目標(SDGs)とも関連深いものです。
  • 消費者志向経営がサステナブルな取組と言える理由がここにあります。
  • 消費者志向経営を推進する消費者庁では、消費者志向経営の活動を3つに分けています。1つ目は「みんなの声を聴き、かついかす
  • こと」2つ目は「未来・次世代のために取り組むこと」3つ目は「法令の遵守/コーポレートガバナンスの強化をすること」です。
  • 消費者が保護され、事業者がリスクを軽減する考え方を前提に、消費者は事業者と協働し、事業者は社会価値を創出していくことで、最終的な目的である「持続可能な社会への貢献」につながっていきます
  • 消費者志向経営に取り組むことで事業者側では、従業員のモチベーションアップやコンプライアンス意識が高まり、その結果、企業価値の向上といった効果が期待できます。
  • 一方、消費者側では、より安全で安心できる高い品質の商品やサービスを受けられますし、消費者のニーズがより反映されることで、消費の満足度が高まり、生活の質を高めることができます。
  • 事業者と消費者の相互の作用によって、事業者側にはイノベーション創出や、健全な市場育成に繋がり、消費も拡大し、最終的に経済の好循環が生まれていくことになります。
  • 消費者志向経営では、事業者へ消費者志向自主宣言とその経営を継続していくためのフォローアップを行う活動を呼び掛け、取組の普及を図っています。
  • 自主宣言・フォローアップ活動を実施した事業者については、取組内容を消費者庁のウェブサイト内にある推進組織のウェブページに掲載する広報活動を行っています。
  • また、年に1度、消費者志向経営優良事例表彰を行い、事業者の取組を消費者や社会へ広く発信しています。
  • さらに、自主宣言をした事業者を対象に月に1回程度、消費者志向経営に関する連絡会を開催しています。
  • 事業者同士等の情報交換を通して消費者志向経営の輪の拡大を目的としています。
  • 消費者志向経営の取組は、まずは「消費者志向自主宣言」をすることから始まります。あくまで各事業者それぞれの事情に応じて行う自主的な取組であるため、様式やその内容は様々です。大きな目標でありながら、事業者にあわせた非常に始めやすい取組です。また、一回の消費者志向自主宣言で終わるのではなく、フォローアップ活動として取組を見直し、改善する機会をつくる活動も行っています。
  • 事業者が消費者志向自主宣言を行い、そのフォローアップの活動に取り組むことは、自らの取組を消費者・社会に対して広く情報発信する機会となります。
  • 消費者志向自主宣言に共感する消費者を通じて、社会的評価の向上や新規顧客獲得といった事業に直接影響する外部的メリットが考えられます。
  • また、自主宣言に共感する従業員の仕事に対する誇りやモチベーションのアップにつながるだけでなく、従業員などのコンプライアンス意識の向上や、消費者トラブルの減少にも寄与し、内部的な効果も期待できます。
  • さらには、外部効果、内部効果の好循環が、中長期的には持続的な企業価値の向上につながります。
  • 自主宣言の手順は簡単です。事業者が各事業に合わせて自ら策定した目標を「自主宣言」として、各事業者のウェブサイト等で公表します。
  • 自主宣言を掲載したウェブサイトのURLを消費者志向経営推進組織のウェブサイトにある「自主宣言提出フォーム」に内容を記載し、消費者志向経営推進組織へ提出します。推進組織が不適当とする場合を除き、提出された情報が事業者名と共に推進組織のウェブページに掲載されます。
  • 自社のウェブサイトがない場合は、電子媒体(PDFファイル)による提出も受け付けています。フォローアップ活動についても同様です。
  • 自主宣言の内容に基づいて自社で取り組み、その取組成果や改善内容などを、自社のウェブサイト等で、定期的に公表します。
  • その取組成果や改善内容を「フォローアップ提出フォーム」で提出します。同様に提出された情報が推進組織のウェブページに掲載されます。
  • 自主宣言に向けて新たな理念を検討し、策定してももちろん良いですが、企業理念、企業倫理綱領、行動規範等において消費者志向経営に関連するものを既に掲げている場合は、それらを活用しても構いません。
  • また、企業理念などに掲げていなくても、なぜ事業をしているのか、またどういう会社になっていきたいのかが、まさに企業理念になります。そして、その内容を「見える化」するだけでも宣言に値する理念になります。
  • 見える化(=明文化)することで、消費者志向経営の理念を従業員や関係者と共有することができます。それは従業員にとって自社の強みや価値を知る機会になり、顧客や取引先に対しても自信をもって商品やサービスを提供することにつながります。
  • 消費者にとっては商品やサービスの魅力がよりわかりやすくなり、信頼感が増します。
  • つまり「見える化」することは、事業者と消費者との間でWIN-WINの関係に繋がる第一歩と言えます。

~NEW~
消費者庁 消費者意識基本調査 令和4年度実施(令和4年11月調査)
▼2調査結果の概要
  • 現在の生活への満足度を聞いたところ、「満足(『満足している』+『どちらかといえば満足している』)」の割合は61.0%となっている。一方、「不満(『どちらかといえば不満である』+『不満である』)」前回の調査結果と比較して、「不満」(21.2%→36.6%)が15.4ポイント増加している。
  • 現在の生活の程度を聞いたところ、「上」の割合が1.2%、「中の上」が14.8%、「中の中」が48.1%、「中の下」が26.8%、「下」が6.6%となっている。前回の調査結果と比較して、「中の上」(19.5%→14.8%)が4.7ポイント減少し、「中の下」(22.0%→26.8%)が4.8ポイント増加している。
  • 現在意識的にお金をかけているものについて聞いたところ、「食べること」の割合が32.8%と最も高く、次いで「貯金」(20.5%)、「医療」(18.4%)の順となっている
  • 今後(も)お金をかけたいと思っているものについて聞いたところ、「食べること」の割合が39.4%と最も高く、次いで「貯金」(38.9%)、「旅行」(35.7%)の順となっている。
  • 今後(も)節約していきたいと思っているものについて聞いたところ、「ファッション」の割合が55.2%と最も高く、次いで「有名人やキャラクター等を応援する活動(グッズ購入等)」(54.1%)、「通信(電話、インターネット等)」(52.5%)の順となっている。
  • 「当てはまる(『とても当てはまる』+『ある程度当てはまる』)」の割合が高い順にみると、「使い慣れた店舗・サイトを利用する」が74.6%と最も高く、次いで「買う前に機能・品質・価格等を十分に調べる」(63.1%)、「実際に商品の現物を確認してから買う」(57.5%)の順となっている。一方、「当てはまらない(『あまり当てはまらない』+『ほとんど・全く当てはまらない』)」の割合が高い順にみると、「家計簿やアプリで家計管理をする」が65.8%と最も高く、次いで「旅行や舞台鑑賞、コンサート等、体験にお金を使う」(52.5%)、「衝動買いをする」(47.0%)の順となっている。
  • 「当てはまる(『とても当てはまる』+『ある程度当てはまる』)」の割合が高い順にみると、「ものは大切に使い続けたい」が83.5%と最も高く、次いで「リスクはできるだけ避けたい」(78.0%)、「家族や友人・知人の役に立ちたい」(76.6%)の順となっている。一方、「当てはまらない(『あまり当てはまらない』+『ほとんど・全く当てはまらない』)」の割合が高い順にみると、「流行りのものは試してみたい」が41.9%と最も高く、次いで「健康よりも楽しみ(食事や遊び等)を優先したい」(31.3%)、「費やした時間に対する成果を重視する」(23.7%)の順となっている。
  • 「感じる(『とても感じる』+『ある程度感じる』)」の割合が高い順にみると、「将来の、筋力や体力の低下」が79.6%と最も高く、次いで「将来の、家計の状況」(72.6%)、「将来の、もの忘れ等の認知機能の低下」(71.0%)の順となっている。一方、「感じない(『あまり感じない』+『ほとんど・全く感じない』)」の割合が高い順にみると、「現在の、糖尿病やがん等の病気」が47.8%と最も高く、次いで「現在の、孤独感や孤立感」(45.6%)、「現在の、もの忘れ等の認知機能の低下」(33.9%)の順となっている。
  • ボランティア活動や社会貢献活動への参加状況について聞いたところ、「興味がある(『現在参加している』+『興味はあるが、現在参加していない』)」の割合は39.2%となっている。一方、「参加していない」の割合は57.2%となっている。年齢層別にみると、「興味がある」の割合は「60~69歳」(45.8%)が最も高く、次いで「15~19歳」(45.1%)、「50~59歳」(42.7%)の順となっている。
  • 普段、パソコンやスマートフォン等でインターネットをどの程度利用しているか聞いたところ、「利用している(『ほとんど毎日利用している』+『毎日ではないが定期的に利用している』+『時々利用している』)」の割合は78.8%となっている。一方、「ほとんど・全く利用していない」の割合は18.0%となっている。性別にみると、「利用している」の割合は「女性」(75.6%)より「男性」(82.2%)の方が高くなっている。年齢層別にみると、「利用している」の割合は「20~29歳」(98.2%)が最も高く、次いで「15~19歳」(97.1%)が高くなっている。一方、「80歳以上」(25.9%)が最も低くなっている。
  • インターネットでの商品・サービスの予約や購入をどの程度しているか聞いたところ、「週に1回以上」の割合が12.3%、「月に2~3回程度」が32.2%、「月に1回程度」が24.0%、「数か月に1回程度」が22.4%、「半年に1回程度」が4.2%、「1年に1回程度」が2.1%、「1年に1回未満」が1.7%となっている。年齢層別にみると、「週に1回程度」の割合は「30~39歳」(17.0%)が最も高く、次いで「40~49歳」(15.1%)が高くなっている。一方、「15~19歳」(4.9%)が最も低くなっている
  • インターネットでの商品・サービスの予約や購入について、実際に経験したことを聞いたところ、「商品・サービスが期待やイメージとは異なる」の割合が52.1%と最も高く、次いで「望まない広告メールが送られてくる」(47.6%)、「サイズや数量等を間違えて注文してしまう」(31.8%)の順となっている。
  • インターネットでの商品・サービスの予約や購入で、気を付けていることについて聞いたところ、「当てはまる(『とても当てはまる』+『どちらかというと当てはまる』)」の割合が高い順にみると、「口コミや評価を判断材料にする」が84.6%と最も高く、次いで「大幅に安く販売されている場合は注意する」(82.0%)、「複数のサイトから情報を集め、信頼できるか確認する」(79.0%)の順となっている。一方、「当てはまらない(『どちらかというと当てはまらない』+『全く当てはまらない』)」の割合が高い順にみると、「個人情報や履歴データ等の取扱いについて確認する」が46.8%と最も高く、次いで「安全性に関する情報(対象年齢や認証マーク、使用方法、成分、消費期限等)を確認する」(42.6%)、「取引条件や利用規約(解約や返品等)を確認する」(41.7%)の順となっている。
  • トラブルや被害に遭う不安の程度について聞いたところ、「不安を感じる(『非常に不安を感じる』+『不安を感じる』+『少し不安を感じる』」の割合は73.6%となっている。一方、「不安は感じない」の割合は11.7%となっている。性別にみると、「不安を感じる」の割合は「男性」(72.4%)と「女性」(74.8%)で大きな差異はみられない。年齢層別にみると、「不安を感じる」の割合は「50~59歳」(81.0%)が最も高く、次いで「30~39歳」(80.5%)が高くなっている。一方、「80歳以上」(52.6%)が最も低くなっている。
  • トラブルや被害に遭う不安を感じる理由について聞いたところ、「法律や契約に関する知識が乏しいため」の割合が65.1%と最も高く、次いで「情報があふれていて、正しい情報を判断しにくいため」(57.3%)、「専門的な知識が必要なものは、自分で判断しにくいため」(55.7%)の順となっている。
  • 商品の安全や事故防止、悪質商法や詐欺に関する情報を、どこから(何から)入手又は見聞きしているかを聞いたところ、「テレビ・ラジオ」の割合が84.8%と最も高く、次いで「家族や友人等、身近な人から得られる情報」(66.9%)、「インターネット(ニュースサイトやブログ等)」(61.0%)の順となっている。商品の安全や事故防止、悪質商法や詐欺に関する情報を、どこから(何から)入手又は見聞きしているかについて、「特にない」以外を選択した人のうち、一人当たりの回答した個数をみると、「4個」が17.9%と最も高く、「1個以上」は96.8%となっている。
  • 商品の安全や事故防止、悪質商法や詐欺に関する情報を入手又は見聞きしているもののうち、最も信頼しているものを聞いたところ、「テレビ・ラジオ」の割合が26.9%と最も高く、次いで「家族や友人等、身近な人から得られる情報」(13.9%)、「行政の情報発信(チラシや広報誌、公式サイトやCM等)」(12.0%)の順となっている。
  • 被害事例数826件を販売・購入形態別に分けたところ、「インターネット取引での通信販売(オークション・フリマを含む。)」の割合が50.7%と最も高く、次いで「インターネット取引以外の通信販売(カタログ通販・テレビショッピング等)」(17.3%)となっている。前回の調査結果と比較して、「店舗」(26.9%→15.1%)が11.8ポイント減少している。
  • 被害事例数826件をクレジットカード決済の有無で分けたところ、「なし(現金支払等)」の割合は27.2%となっている。「あり(一括支払)」(50.8%)と「あり(分割支払)」(5.6%)を合わせた「(クレジットカード決済)あり」の割合は56.4%となっている。前回の調査結果と比較して、「なし(現金支払等)」(32.6%→27.2%)が5.4ポイント減少している。
  • 被害事例数を商品・サービスの金額別に分けたところ、「10,000円~49,999円」の割合が20.9%と最も高く、次いで、「1,000~4,999円」(19.4%)、「5,000~9,999円」(11.1%)の順となっている。なお、平均金額は66,854円となっている。前回の調査結果と比較して、平均金額(99,546円→66,854円)は約33,000円減少している。

~NEW~
国民生活センター 国民生活 2023年6月号【No.130】(2023年6月15日発行)
▼命を守る行動計画-防災心理学の視点から-
  • 令和時代、日本は「大災害時代」になることが予想されています。地球温暖化が原因となって、毎年のように激しい風水害が日本を襲ってくるのです。令和を生きる私たちにとって、自然災害は「めったに起きないもの」ではありません。起きることを前提にして、「今回は!もしかしたら!」と思って避難などの対策を取らなければならないのです。しかし、なかなか人は避難しません。なぜ、人は避難しないのでしょうか。どうすれば命を守れるのでしょうか。心理学の立場から一緒に考えていきましょう。
  • なぜ避難できなかったのか?
    • 2018年7月、台風と梅雨前線によって、広島県・岡山県・愛媛県を中心に250人以上の人が亡くなる水害がありました。「平成30年7月豪雨」もしくは「西日本豪雨」と呼ばれています。この災害で、気象情報会社である株式会社ウェザーニューズが行ったアンケートを紹介します(ウェザーニューズ「減災調査2018」[調査期間:8月17~20日、回答数:7,889人])。
    • 「西日本豪雨の際に避難すべき状況だった」と回答した人のうち、実際に避難したのは16%、避難しなかったのは84%でした。避難しなかった人に「なぜ避難しなかったのか」を聞いたところ、家のほうが安全だと思った(49%)、自分の周辺は大丈夫だと思った(44%)、避難する間の道のりが怖かった(18%)などで(理由は複数回答)、避難すべき状況であったのに適切な判断ができなかったことがうかがえます。
    • この西日本豪雨について、広島県は住民の証言をまとめたパンフレットを作成しています。住民の声がまとまっている貴重な教訓集になっていますので、関心のある人は、ウェブサイトからダウンロードしてください。
  • うまく避難できなかった理由を見ると、
    • 危険を察知できなかった:きっと自分は大丈夫だと思った。だって、今までも大丈夫だったから。
    • 玄関へ行ったら既に床の下まで水が・・・玄関に行くまで危険なことに気づかなかった。
    • 避難することを決められなかった:一人では避難を決断できなかった・・・。周りの人が避難しないから大丈夫だろうと思った。
    • 避難先に行く途中にも、危険があった:避難しようと外に出ると道路に水があふれ、移動すること自体がとても危険だった。
    • 帰宅経路と自宅の安全性を十分に確認せず帰宅した:雨がやんだので、もう大丈夫だろうと思い自宅に戻ろうと帰路についたら、途中で水かさが増してきた。逃げられなかった。
      などが挙げられていました。
  • 避難できない3つの「考え方のクセ」
    • なぜうまく避難できなかったのでしょうか。先ほどの証言を見ていると、避難できなかった人には、3つの「考え方のクセ」にとらわれてしまった人が多くいたように思われます。心理学では、多くの人に共通する考え方のクセを「バイアス」と呼んでいます。
    • 1つ目は「正常性バイアス」です。普段とは違うことが起きていたとしても、大きな違いがなければ「特に変わったことはない」として心を安心させてしまい、考えることをやめてしまうクセです。窓から見た雨のようすが大したことがない、特に風が強いわけではない、家の中に浸水してくるような気配がなければ、天気予報で大雨になることが分かっていても「まあ大丈夫だろう」と心を平静に保ってしまい、その結果、対応が遅れてしまいます。危険と隣り合わせだったとしても「見た目」が大きく変わらないと、人はなかなか動かないのです。
    • 2つ目は「楽観主義バイアス」です。過去の経験から「今回もまあ大丈夫だろう」と楽観的に思い、考えることをやめてしまうクセです。これまで大きな災害に巻き込まれた経験がない人に限って、「今まで大丈夫だったのだから、今回も大丈夫。めったに起きないし、まさかこの地域に限ってそんなことは起きない」と、根拠なく考えてしまいがちです。もちろん「今まで起きなかったから、今回も起きない」という理屈はありませんので、ハザードマップなどで危険な地域に住んでいる人は、「今回は!もしかしたら!」と思わなければいけません。
    • 3つ目は「同調性バイアス」です。周囲の人たちの言動に、自分の考えを合わせてしまう考え方のクセです。人間は社会的動物ですので、集団の中で協調性を保ち、集団にいることで安心感を得ようとする傾向があります。自分自身が「もしかしたら」と思っていても、「家族もご近所も特に何もしていないみたいだし。まあ、取りあえずいいか」と思って、考えることをやめてしまうのです。逆を言えば、家族やご近所が「避難しよう」と言ってくれると、自分にその気がなくても「まわりが言うから」といって避難をする傾向があることが、西日本豪雨の被災者調査でも分かっています(関東学院大学・大友章司准教授の研究[2020年]による)
  • まずは簡単なことから始める
    • このような「考え方のクセ」は、人によって程度に違いはあるものの、生まれながらに持っていて、無意識に働いてしまうとなかなか逆らえないものと考えられています。しかし私たち人間は、知恵のある生き物です。このようなバイアスを乗り越えながら、水害時には命を守っていくために、どうすればよいのでしょうか。
    • 効果的な解決策を3つ、今回は取り上げたいと思います。1つ目は、まずは「簡単なことから始めてみる」ことです。いきなり「水害時の計画を立てる」といっても、時間もかかり面倒です。例えば、大雨が降ると、停電になることもあります。皆さんの家や会社には、停電になったときの懐中電灯はありますか。まずはどこにあるか探してください。もし見つかれば、動作確認をしてみてください。手回し式の懐中電灯などには、ラジオやスマホの充電といった、いろいろな機能が付いているものもあります。上手に使いこなすことはできるでしょうか。
    • 「20分くらいは時間がある」人は、ぜひ非常用持ち出し袋を出して、中身を確認してみてください。非常用持ち出し袋は、非常時に役立つものを入れる「何でも袋」ではありません。「避難所などの安全な場所に行って、そこで過ごし、1泊程度するために必要なものを入れる袋」です。非常時に「持ち出すための袋」として、重さも含めて中身を考える必要があります。現在の非常用持ち出し袋が、自分や家族にとって何点か、自己採点してみてください。
  • ハザードマップで「災害診断」をする
    • 次に、自分の体の状態を知る「健康診断」と同じように、自宅や関係者宅の状態を知る「災害診断」をぜひやってみてください。皆さんの自宅や地域では、地震、液状化、津波、火災、河川からの洪水、低いところでの浸水、土砂崩れ、火山噴火などの、どの災害にどれだけ弱いですか。「ハザードマップ」という災害時の危険性を教えてくれる地図を基に確認してください。ハザードマップは紙で配付されたり、自治体のウェブサイトで「ハザードマップ」と検索してデジタル版を見ることができます。
    • 災害時の地域は、いつもの見慣れた地域とは異なります。ハザードマップを見て、自宅が浸水する危険性があるならば「水平避難」、自宅が浸水しないのならば「垂直避難」を考えてください。2013年に災害対策基本法が改正され、特に水害の避難には「水平避難」「垂直避難」の2種類の避難があることが明記されました。水平避難は、従来からの避難方法で、避難所など指定された安全な場所に移動する方法、垂直避難は、自宅や近隣の水害の危険がない場所にとどまる方法です。
    • 私の知人の自宅は、ハザードマップでは自宅の水害の危険性がほとんどなかったので、「垂直避難」でしっかり自宅にとどまり、停電や断水を想定した備えで乗り切る計画を作るべきでした。しかしハザードマップを見ていなかったので、何も考えず水害時の避難所(公民館)までの避難計画を作っていました。しかも避難経路は3m程度の浸水が想定される河川のそばの道路でした。「まさか、こんなところが浸かるのか!」という知人の驚きの声が印象的でした。
    • 水害の危険がある立地ならば、普段から避難場所・避難経路を確認してください。そしてできれば散歩のときに併せて、避難場所への移動訓練をして、何分かかるか、避難経路にどんな危険があるかを確かめてみてください。
  • 避難を考える「避難スイッチ」
    • そして災害時の「行動計画」を考えましょう。最近は「タイムライン」という、時間経過とともに「誰が」「何をするのか」を事前に計画したものが地域や組織などで作られています。特に「避難スイッチ」といわれる「どのような情報が出たときに、避難(もちろん自宅が安全な場合は自宅にとどまる垂直避難)を考えて、安全をしっかり確保するか」を決めておきましょう。
    • 避難所が遠い、高齢者や乳幼児が家族にいるなど「避難に時間がかかる場合」、基本的には「警戒レベル3」(赤色)で「避難スイッチ」を入れてください。気象情報では、大雨警報、洪水警報、河川の氾濫警戒情報、避難情報では「高齢者等避難」という、避難に時間がかかる人について避難行動を開始する情報が該当します。警戒レベルは、黄色(レベル2)→赤色(レベル3)→紫色(レベル4)→黒色(レベル5)と上がります。短時間で避難所に行動できる、その場に留まれば安全を確保できるなど「避難にそれほど時間がかからない場合」には、「警戒レベル4」(紫色)が「避難スイッチ」の目安になります。レベル4では、高潮警報、土砂災害警戒情報、地域全員に避難行動を求める「避難指示」が該当します。
    • 気象情報・避難に関する情報は、時間とともにどんどん変わります。大切なことは、テレビのデータ放送や、地元気象台・自治体のウェブサイトなどを、常に開いた状態でチェックし続けることです。また気象庁の「キキクル」というサイトからは、地域のさまざまな危険性を知ることができます。図2をもとに、ぜひ「避難スイッチ」と「行動計画」を考えてみてください。

~NEW~
国民生活センター 花火による子どものやけどに注意しましょう-3歳以下の子どもの事故が多く発生、着衣に着火した事例も-
  • 夏の風物詩の一つである花火ですが、子どもが花火で遊んでいる際にやけどを負ったという事故が発生しています。主に一般家庭などで使用されることを目的とした花火は、正式には「がん具煙火」と呼ばれ、「おもちゃ花火」とも呼ばれています(本資料では、これらを「花火」とします。)。
  • 医療機関ネットワークには、花火で遊んでいる際にやけどを負ったという事故情報が2018年度から2022年度までの5年間で、60件寄せられています。事故に遭った被害者の半数以上は1~3歳児であり、年齢による傾向がみられるほか、中には着衣への着火を伴っていた事例もみられました。
  • そこで、医療機関ネットワークに寄せられた事故情報等を基に、花火による子どものやけどや着衣に着火する危険性に関するテストを行い、子どもに花火で遊ばせる際の注意点をまとめ、消費者に注意喚起することとしました。
  • 医療機関ネットワークに寄せられた事故情報
    1. 火花等によるやけどの事例
      • 公園で花火を実施中、手持ちの花火が着火した瞬間に驚き、花火を振り回して左腕に花火が貼り付いた。
      • 花火で遊んでいる最中に花火の火を掴(つか)もうとして受傷。
    2. 着衣等への着火を伴ったやけどの事例
      • 保護者が一瞬目を離している隙に左足の靴に火の粉がうつり、燃えていた。
      • 花火を振り回し、直後に風で火花がスカートに飛んで着火し、燃え上がった。
    3. 燃えカスによるやけどの事例
      • 線香花火の落ちた球を右手の指で触れてやけどした。
      • 手持ち花火が終わって下に落ちていたものを触って右手を受傷。

~NEW~
国民生活センター 吹き出し口が溶けたヘアドライヤー(相談解決のためのテストからNo.177)
  • 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
  • 依頼内容
    • 「ヘアドライヤーを使用したところ、吹き出し口が溶けた。吹き出し口が溶けた原因を調べてほしい。」という依頼を受けました。
  • 調査
    • 当該品は購入から約4カ月が経過した頃に、吹き出し口が溶けていることに気がついたとのことでした。
    • 当該品の外観調査を行ったところ、吹き出し口に溶融がみられ、吸い込み口に設けられたフィルターには埃(ほこり)による目詰まりが確認されました。
    • 当該品の吸い込み口に設けられたフィルターの清掃前と清掃後及び新品の同型品をそれぞれ3分間動作させ、吹き出し口の温度を比較したところ、当該品の清掃前は最高で132.7℃まで上昇しましたが、清掃後は最高で97.6℃となり、新品の同型品(最高95.0℃)と同等でした。
    • このことから、当該品はフィルターに埃が蓄積して風量が低下し、吹き出し口の温度が上昇したことによって溶融したものと考えられました。また、当該品の取扱説明書には吸い込み口をこまめに手入れする旨の記載がありました。
  • 消費者へのアドバイス
    • ヘアドライヤーの吸い込み口に埃が蓄積した状態で使用すると、風量が低下することにより温風が正常時よりも高温になり、吹き出し口の溶融ややけどの原因になることがあります。取扱説明書をよく読み、定期的に吸い込み口の清掃をするようにしましょう。

~NEW~
国民生活センター ふたに残った熱湯が漏れ出たステンレス製魔法瓶(相談解決のためのテストからNo.178)
  • 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
  • 依頼内容
    • 「ステンレス製魔法瓶を使用していたところ、ふたから熱湯がこぼれて手をやけどした。熱湯がこぼれた原因を調べてほしい。」という依頼を受けました。
  • 調査
    • 当該品は、内容量1.5Lの卓上ステンレス製の魔法瓶で、「お湯を注いだのち、残りのお湯の量を確認するため、ふた(中せん)を取り外したところ、ふたに残った10~20cc程度の熱湯が漏れて手の甲にかかり赤くなった。」とのことでした。
    • 当該品の同型品は、レバーを押すことで中せん内部のバルブが下がり水(湯)が出る構造でした。当該品の同型品及び構造の似た他社のステンレス製魔法瓶(参考品A~Cの3銘柄)に水を入れ、水を注いでいる最中にレバーから指を離すと中せん内部に水が残り、取り外した中せんを傾斜させると、いずれの銘柄でも注ぎ口や空気穴等から水が漏れ出ることが確認されました。
    • 水(湯)が残る場所を確認したところ、水(湯)を注いでいる最中にレバーから指を離すと、使用したすべての銘柄で、中せんの内部の空間に水(湯)が残ることが確認されました。なお、当該品の同型品及び参考品(3銘柄)の取扱説明書には、本体を傾けた状態でレバーから指を離すと、中せんに水(湯)が残ることが表示されていました。
  • 消費者へのアドバイス
    • レバーを操作して水(湯)を注ぐタイプのステンレス製魔法瓶の中には、本体を傾けて水(湯)を注いでいる際にレバーから指を離すと、中せんの内部に水(湯)が残ることがあります。この状態で本体や取り外した中せんを傾けると水(湯)が漏れ、熱湯等の場合はやけどを負う可能性もありますので、取扱説明書をよく読んで安全に使用しましょう。

~NEW~
国民生活センター 自宅を売っても住み続けられる? リースバックは慎重に検討して!
  • 内容
    • 4年前、所有していたマンションを売って、そのまま賃貸でそこに住み続けられる契約をした。売却金額は1千万円で、家賃の月額は9万5千円。当時の月収は、夫と私の年金で25万円以上あったが、しばらくして夫が亡くなり、年金が減って家賃の支払いが遅れるようになった。本日集金人がやってきて催促された。事情を話すと「払わないなら出て行ってもらう」と言われた。(70歳代)
  • ひとこと助言
    • 自宅を不動産業者に売却して代金を受け取り、同時に賃貸借契約を結んで、その後は家賃を払いながら同じ家に住み続ける「リースバック」という不動産取引があります。
    • リースバックで結んだ賃貸借契約においては、期間が定められる場合も多く、ずっと住み続けられる保証はありません。家賃が相場より高額に設定されてしまうことや、契約更新時に家賃が値上げされることもあります。また、経済的事情の変化により支払えなくなる事態が生じる場合もあります。
    • 自宅の売却はクーリング・オフができず、契約が成立してしまうと無条件で解除できません。メリットだけでなくデメリットやしくみもよく理解して慎重に考えましょう。
    • 不動産取引は複雑です。契約する前に家族など信頼できる方に相談し、一人で対応しないようにしましょう。不安な場合は、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

~NEW~
経済産業省 不公正貿易報告書及び経済産業省の取組方針を取りまとめました
▼2023年版不公正貿易報告書及び経済産業省の取組方針について(概要版)
  • 2022年7月に中国政府は政府調達法の改訂草案を公表。政府調達法の適用範囲が公共インフラ・公共サービスネットワークを運営する公益性国有企業に拡大している。また、付加価値比率ベースで国産比率が高い品目の優遇政策や国家安全に関する規定が追加されている。運用次第では、GATT第3条4項またはGATS第17条の内国民待遇義務や、これらの適用を受ける旨約束した自国のWTO加盟議定書における約束、RCEP協定第16.4条1項の透明性規律に抵触しうる。また中国が加入交渉中のGPA第4条無差別待遇との整合性が問題となる恐れもある。
  • 2023年5月にEUの炭素国境調整措置(CBAM)が規則として成立した。本件措置は、輸入品の炭素含有量に応じ、CBAM証書購入義務という形で賦課金を課すもの(同年10月から実施予定。ただし、2025年末までの移行期間中は、輸入者は、賦課金支払義務は負わず炭素含有量等の情報報告義務を負う)。炭素含有量の算定方法等の措置詳細次第では、輸入品が国産品より不利な立場に置かれ、内国民待遇義務との整合性が問題となりうる。GATT第20条の一般例外(有限天然資源保護に関する(g)号等)による正当化の可能性もあるが、そのためにはカーボンリーケージ防止という規制目的に対し適切な設計となっているかが問われる。
  • 2022年5月、特定有害物質禁止規則改正案が公表。改正案には、デカブロモジフェニルエタン(DBDPE)を用いた製品の輸入、販売等の禁止措置が含まれる。DBDPEの用途は電気電子製品、産業機械、自動車等、広範に及ぶところ、現時点でDBDPEの代替材の開発・生産の可能性が見通せない状況であるため、当該禁止措置が施行されれば産業界への影響は非常に大きい。一方、措置の目的が人の健康の保護や環境の保全であるところ、カナダ以外の国・地域ではDBDPEが規制されておらず、当該禁止措置の必要性に疑問がある。当該禁止措置が正当な目的の達成のために必要である以上に貿易制限的である場合は、TBT協定2.2条に違反する可能性がある。
  • 世界の活力の中核であるインド太平洋地域において、イノベーティブで、包摂的、持続可能な経済成長の実現に向けた経済枠組みとして、2022年5月にIPEFが立ち上げられ、全14か国の参加国とともに交渉を進めているところ。地域におけるハイスタンダードなルールと、協力を通じた具体的なメリットがバランスする枠組みの構築を目指す。(※)その後、2023年5月のIPEF閣僚会合において、「IPEFサプライチェーン協定」の実質妥結、「域内水素イニシアティブ」の立上げ合意に至った。
  • 経済的威圧をめぐる最近の議論
    • 2022年6月、骨太方針2022では、経済安全保障の徹底を掲げ、「経済的威圧への対応を含め、同盟国・同志国との連携を強化する」と記述。
    • 同年9月、G7貿易大臣会合で経済的威圧を初めてアジェンダ取り上げ、貿易関連の経済的威圧への深刻な懸念と連携した対応の探求を表明。なお、同年5月の日EU定期首脳協議や日米首脳会談でも、経済安全保障等にかかる連携・協力を議論。
    • 2023年4月のG7貿易大臣会合及び同年5月のG7広島サミットにおいて、経済的威圧への対応のための連携を強化し、G7を超えた同志国との協力も推進することを確認。
    • 経済的威圧行為の態様:関税引上げ、検疫措置、通関拒否、重要物資の輸出規制など
    • 経済的威圧措置に該当するかの判断:措置の背景にある二国間関係、措置を誘引する状況等も含む事実分析が必要。
    • 経済的威圧行為への対応:企業が自社のサプライチェーンの強靱化を進めることの支援、経済的威圧措置がそもそも発動されにくい国際環境づくりが重要。また、措置の影響を緩和する政策手段の検討も必要。経済的威圧措置が貿易措置である場合は、WTOを活用
    • WTOと経済的威圧:
      • WTOの場などで他国と連携し、是正を連携して求めることは、当該個別の措置の是正だけでなく、同様の措置の牽制につながりうる。
      • 貿易措置の経済的威圧目的自体をWTO協定により規律することはできない。しかし、こうした経済的威圧的措置は国際法(内政不干渉の原則)に反する可能性がある。他国における経済的威圧措置への対応(立法等含む)とその国際法的な整理も注視していく。
      • 第三国への経済的威圧措置に対し、有志国間でどのように協調して行動しうるかなどは、今後の課題。
  • 国産化と技術獲得
    • 近年、政府及びその関連部門の調達において国産品を優遇する措置が増加。外国企業の貿易・投資活動への障害となる上、企業の意向に反する形での技術移転の強要にも繋がりかねない。
    • 既存の通商協定にもこうした措置に関連する規律は存在するため、こうした規律の遵守を措置国に働きかけていく。
    • 同時に、多くの場合は政府調達が適用対象外である等既存のルールにも限界あることを踏まえ、新しい規範・ルール作りを模索していく必要。
    • 各国の動向
      • 中国※なお、調達する事務機器等で国産品優遇する国家標準を策定中との報道もある:
        • 政府調達全般における国産品の優先利用・国産化率の高い産品の優遇
        • 非公開の内部文書による国産品優遇
      • インドネシア:
        • 政府調達品について一定の国産化率を満たすことを求める国産品優先(P3DN)政策を実施。
    • 関連する通商法上の規律
      • ローカルコンテント要求関連:
        • WTO協定上の内国民待遇義務、中国加盟議定書上の国産品使用要求禁止
        • FTA・投資協定における国産品使用要求禁止、内国民待遇義務、公正衡平待遇義務
      • 技術移転要求関連:
        • 中国加盟議定書、FTA・投資協定におけるの技術移転要求禁止
  • 安全保障例外~GATT21条の解釈を巡る論点と最近のWTO先例
    • 2019年版・2020年版不公正貿易報告書のコラムの更新・再掲。
    • 2022年に安全保障例外に関する紛争解決パネルの判断の公表が相次いだほか、近年、各国の措置が安保例外により正当化されうるか否かについての加盟国間の意見対立も増加。
    • パネル先例の分析を中心に、安全保障例外に関する最近の議論状況(パネルの審査権限、及び該当条文の解釈)について整理する。
    • 言及予定のパネル先例
      • ロシアによる通過運送事件(DS512)(再掲)
        • ロシアの対ウクライナ輸入制限措置につき、GATT21条(b)(iii)での正当化を肯定。
      • サウジアラビアによる知財保護停止事件(DS567)(再掲)
        • 「カタール危機」に際してのサウジ政府の各種措置の安保例外援用可能性を議論。
      • 米国232条措置(DS544,552,556,564)
        • 米国の鉄鋼・アルミ製品への関税賦課につき、同21条(b)(iii)での正当化を否定。
      • 米国ー香港製品に対する原産地表示(DS597)
        • 香港製品への「China」産表示を義務づける米国法令につき、「国際関係の緊急時」(21条(b)(iii))に該当せず正当化を否定。
  • 不公正貿易報告書を受けた経済産業省の取組方針の概要(2023年6月16日公表)
    • 不公正貿易報告書は、1992年の創刊以来、30年間、一貫して「ルール志向」の概念を提示。我が国は、新しいルールの定立のための努力を行うともに、ルール不整合な他国の措置による自国の不利益を解消するためWTOの紛争解決手続を積極的に活用。
    • WTOの紛争解決システムは、2019年12月以降、上級委員会の不在が長期化する中、上訴することで紛争案件を事実上の塩漬け状態とする「空上訴」が積み重なっており、通商システムにおいてルールに基づくガバナンスが十分に働かなくなる危機。今後、DS機能回復に向けて最大限努力を続けるとともに、MPIA(日本は今年3月に参加)を活用し、WTOのDS制度の実効性を確保していく。
    • 近年、一部の新興国による非市場的な措置により、多角的自由貿易体制の基礎である競争基盤あるいは市場の機能が歪められかねないとの懸念。WTO、G7、三極貿易大臣会合などを通じ、公平な競争条件(level playing field)確保に向けたルール形成等の取組を更に進める。
    • さらに、いわゆる経済的威圧への懸念が高まっていることを踏まえ、かかる行動への評価・準備・抑止・対応に関する同志国との協力を強化していく。
    • 上記のシステミックな問題への対応に加え、2023年版不公正貿易報告書で指摘された政策・措置を踏まえ、特に、次頁の個別案件に優先的に取り組むこととしたい。
  • 2023年度の優先取組案件
    • 措置の制度設計や運用について特に注視が必要なものとして、中国の「政府調達法」と「事務機器に関する国家標準案」を追加した。
    • WTO紛争解決手続を開始したもの
      • 中国:ステンレス製品に対するアンチ・ダンピング(AD)措置【パネル】
      • 韓国:自国造船業に対する支援措置【協議】(国土交通省の取組を支援)
      • 韓国:ステンレス棒鋼に対するサンセット・レビュー【上級委】
      • インド:ICT製品に対する関税措置【上級委】
      • インド:熱延コイルに対するセーフガード(SG)措置【上級委】
    • WTO紛争解決手続の開始も視野に二国間・多国間協議を通じて問題解決を図るもの
      • 中国:AD措置の不適切な運用
      • 米国:1962年通商拡大法232条に基づく輸入制限措置
      • 米国及び新興国:サンセット・レビュー手続及び不当に長期にわたる対日AD措置
      • ※以下の案件については、新しいルールの形成も含めた対応を検討・実施していく
      • 中国:産業補助金
      • 中国:サイバー・データ関連規制
      • 中国:強制技術移転
      • ベトナム:サイバーセキュリティ法・個人情報保護政令案
    • WTO勧告の早期履行等を求めていくもの
      • ブラジル:自動車等に対する内外差別的な税制恩典措置
      • 措置の詳細や運用が不明であるものの貿易・投資への影響が大きく、その制度設計や運用について特に注視が必要なもの
      • 中国:政府調達法<新規>
      • 中国:事務機器に関する国家標準案<新規>
      • 中国:輸出管理法
      • 中国:標準必須特許を巡る訴訟における禁訴令の発出
      • 米国:ゼロイング(AD税の不適切な計算方式)(ターゲット・ダンピングを通じたゼロイングの濫用を含む)
      • 米国:電気自動車税制優遇措置
      • EU:炭素国境調整措置(CBAM)
      • インド:デジタル個人情報保護法案
      • インド:貿易救済措置の不適切な運用

~NEW~
経済産業省 「トランジション・ファイナンスにかかるフォローアップガイダンス ~資金調達者とのより良い対話に向けて~」を策定しました
  • 経済産業省は、金融庁、環境省とともに、「トランジション・ファイナンス環境整備検討会」(座長:伊藤邦雄一橋大学CFO教育センター長)を継続して開催し、トランジション・ファイナンスの信頼性と実効性を向上することを目的として、特に資金供給後のトランジション戦略の着実な実行と企業価値向上への貢献を担保するための手引きとして、「トランジション・ファイナンスにかかるフォローアップガイダンス ~資金調達者とのより良い対話に向けて~」を策定しました。
  • 経緯・背景
    • 2015年の「パリ協定」採択以降、カーボンニュートラル(以下CNと記載。)目標を表明する国や地域が増加し、世界的に脱炭素の機運が高まる中、日本においても、2030年度の温室効果ガス(GHG)46%削減、2050年CNの実現という野心的な国際公約を掲げています。
    • 世界でCNを実現するためには、すでにクリーンな技術として確立されている取組のみならず、イノベーションが必要となります。このため、一足飛びに脱炭素が困難な排出削減困難(hard-to-abate)なセクターの移行にかかる取組に対する資金供給、すなわち「トランジション・ファイナンス」が不可欠です。
    • 国内市場では世界に先んじて、トランジション・ファイナンスの活用に向けた環境整備を実施してきたところであり、2022年度末時点で累計約1兆円規模となっています。こうしたトランジション・ファイナンスを通じて金融機関が実経済の脱炭素化に資する取組を促進するためには、企業による信頼性が高いトランジション戦略の構築・開示とともに、金融機関が企業との対話を通じてその着実な実行を支援・促進することが鍵となります。
    • このため、トランジション・ファイナンス環境整備検討会において、トランジション・ファイナンスの信頼性と実効性を向上することを目的として、特に、ファイナンス実行後のトランジション戦略の着実な実行と企業価値向上への貢献のため、金融機関(特に債券投資家)向けに、「トランジション・ファイナンスにかかるフォローアップガイダンス~資金調達者とのより良い対話に向けて~」を策定しました。
  • ガイダンスの概要
    • 本ガイダンスは、トランジション・ファイナンスの実行後に焦点を当てており、資金供給者によるファイナンス実行後のフォローアップを通じて、資金調達者の脱炭素化に向けたトランジション戦略に沿った取組が促進されることを目指し、フォローアップの基本的な考え方やポイントについて、実務担当者が実践的に活用できるようにまとめています。具体的には、トランジション・ファイナンスに係る戦略・目標・対象事業の進捗を確認する際に考慮すべきポイントについて、記載をしています。
    • 本書は2部構成となっており、第1章にてフォローアップの定義と目的および基本的な考え方を示し、第2章では、フォローアップの際の実施事項やポイントをフォローアップの流れに沿って整理し、具体的なフォローアップのイメージができるよう、いくつかのケーススタディを掲載しました。また、巻末にAppendixを3つ補完しました。Appendix1には第2章2節以降の抑えておくべきポイントや確認事項については参照しやすいように一覧にまとめました。Appendix2にはローンとボンドにおいて資金調達者と資金供給者の関係性が異なることを踏まえ、ボンドに限定したフォローアップの実践方法をまとめました。Appendix3には、資金供給者が留意すべき業界特性について分野別技術ロードマップから抽出する形でポイントをまとめました。
    • なお、経済産業省では、トランジション・ファイナンスを普及させるため、基本指針に整合したファイナンス事例について、情報発信、第三者評価費用の負担軽減を行う事業を実施しております。今回策定したガイダンスは、こうした事業を通じて実施された各種ファイナンス案件において、まずは先行的に活用されることが期待されます。
▼トランジション・ファイナンスにかかるフォローアップガイダンス

~NEW~
国土交通省 令和5年版 土地白書
▼令和5年版土地白書について
  • 地価公示は、全国全用途平均・住宅地・商業地のいずれも2年連続で上昇し、上昇率が拡大。コロナ前への回復傾向が顕著。
  • 土地取引件数は、ほぼ横ばいで、3年前の水準で推移。
  • 「土地は預貯金や株式などに比べて資産として有利」とする割合が低下傾向。
  • オフィス(東京都心5区)の賃料は下落幅が鈍化、空室率はほぼ横ばい。物流施設(東京ベイエリア)の賃料は高水準、空室率は低水準。
  • 人口減少等を背景に、所有者不明土地等の外部不経済をもたらす土地の増加が懸念。データの連携基盤の整備を進め、インフラ整備・防災対策、土地の適正な管理、不動産流通等の各分野において、デジタル技術の活用が必要。
  • オープンデータ、ベースレジストリ
    • オープンデータへの取組により、国民参加・官民協働による諸課題の解決、経済活性化、行政の高度化・効率化等が期待。
    • 「ベース・レジストリ」を指定し、データベースの整備を進め、令和7年度に情報の一元管理を開始すべく、マスターデータの整備に取り組む。
    • 各地方公共団体が保有する都市計画基礎調査情報のオープンデータ化を推進。
    • G空間情報センターは、産官学の様々な機関が保有するデータを公開。令和5年1月には、登記所備付地図データの無償公開を開始。なお、登記所備付地図は、地籍図が最大の供給源となっており、地籍調査を推進している。
  • 3次元点群データ
    • 航空機や車両に搭載したレーザスキャナを用いて地形や建物等の位置や高さ等の情報を大量に集めることで、その形状を立体的に表現。
    • 3次元点群データを活用して作成される3次元地図は、都市開発や浸水想定、自動車の自動運転、ドローンの運行管理等の多様な分野での活用が期待。
  • Project PLATEAU
    • 全国約130都市の3D都市モデルのオープンデータ化を実現。データ仕様やプロジェクトの成果をガイドブックシリーズ等として公開し、地方公共団体における3D都市モデルの整備等を支援。
    • 今後、建築BIM及び不動産IDとの一体的な運用により、高精細なデジタルツインを構築し、都市開発・維持管理の効率化等を目指す。
  • 流域治水におけるDX
    • 気候変動による、水災害の頻発化、激甚化に対応するため、DXにより防災・減災対策の高度化・効率化を推進。
  • エリアマネジメントDX
    • 住民ニーズを的確に捉えたきめ細かい都市サービスを継続的に提供するため、身近な地域におけるまちづくり活動の高度化を推進。
  • 農林水産省地理情報共通管理システム
    • 農地の面積や所在地等の農地情報を一元的に管理する「農林水産省地理情報共通管理システム」(eMAFF地図)を開発。
    • 農地台帳、水田台帳等の農地情報を、農地の区画情報を基に作成したデジタル地図に紐付けることで、現場の農地関係業務を抜本的に効率化。
    • 将来的には、自動運転やドローン等を用いたスマート農業、衛星画像等による現地確認や火災状況の把握等の活用も検討。
  • 森林情報のデジタル化
    • 森林施業の集約化に向け、国・地方公共団体等の主体が保有する情報を一元的に管理し、地方公共団体間の連携、林業経営体へのデータ提供を効率的に行うため、「森林クラウドシステム」の仕様やデータ形式の標準化を行い、都道府県等によるシステムの導入を促進。
    • 森林クラウドシステムは、地域ごとの森林管理の特徴や関係者のニーズに応じてカスタマイズが可能。森林資源の管理に留まらず災害対策等への活用にも期待。
  • 不動産取引のオンライン化
    • オンラインによる重要事項説明や書面の電子化が進められている。
    • 不動産取引価格情報や防災情報等の不動産関連情報を地図上に重ね合わせる「土地・不動産情報ライブラリ」の構築に取り組んでいる。
  • 不動産DX
    • ITやAI等を用いて不動産業の新たなサービスを提供する不動産テックが普及。物件情報の発信等の不動産の流通ステージに応じた様々なサービスが提供されている。
    • 所有する不動産に応じた最適な活用法を診断するサービスも提供されており、不動産の有効活用につながることが期待される
  • 不動産流通分野で提供される不動産テックサービス例
    • 不動産価格の可視化・査定:マンションの売却価格をAIやビッグデータを駆使して複数の不動産会社に一括見積依頼を行うサービス
    • 最適土地活用診断:所有する土地に合わせた活用方法が簡単にわかる最適土地活用診断サービス
    • クラウドファンディング:インターネットを通じて個人を中心とした投資者から資金を集め、不動産への投資を行うサービス

~NEW~
国土交通省 令和5年版 観光白書
  • 世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響のあった2020年(令和2年)は大きく減少したが、2021年(令和3年)に大幅に回復し、2022年(令和4年)も伸びは緩やかになったものの引き続き回復した。IMF(国際通貨基金)によると、世界全体の実質経済成長率は3.4%となった
  • 2021年(令和3年)の各国・地域の国際観光収入は、米国が702億ドルで1位となり、フランスが406億ドルで2位、スペインが345億ドルで3位となった。日本は47億ドルで29位(アジアで6位)となり、2020年(令和2年)の15位(アジアで4位)から順位を下げた
  • 2021年(令和3年)の各国・地域の国際観光支出は、中国が1,057億ドルで1位となり、米国が569億ドルで2位、ドイツが478億ドルで3位となった。日本は28億ドルで41位(アジアで10位)と、2020年(令和2年)の25位(アジアで6位)から順位を下げた
  • UNWTO(国連世界観光機関)の2023年(令和5年)1月の発表によると、2022年(令和4年)の世界全体の国際観光客数は、前年の約2倍である9億1,700万人となり、新型コロナウイルス感染拡大の影響による減少から回復がみられた
  • 訪日外国人旅行者数は、2019年(令和元年)までは、ビザの戦略的緩和や訪日外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充、CIQ3体制の充実といった施策を進めるとともに、航空・鉄道・港湾等の交通ネットワークの充実、多言語表記をはじめとする受入環境整備、魅力的なコンテンツの造成、日本政府観光局等による対外プロモーション等により、過去最高を更新していたが、2020年(令和2年)及び2021年(令和3年)の訪日外国人旅行者数は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、水際措置の強化の継続などにより、年間を通じて大きく減少した。2022年(令和4年)の訪日外国人旅行者数は、6月の外国人観光客の受入再開後、10月の入国者数の上限撤廃、個人旅行の解禁、ビザなし渡航の解禁等の水際措置の大幅緩和等により大きく増加し、同年12月には2019年同月比で54.2%まで回復、年間では約383万人(2019年比88.0%減)となった。2023年(令和5年)も回復傾向が続き、4月は、2022年(令和4年)10月以降単月では最多の194.9万人となり、2019年同月比で66.6%まで回復した
  • 2022年(令和4年)の訪日外国人旅行者数を国・地域別にみると、アジア主要市場4からの訪日外国人旅行者数が279.1万人となり、全体の72.8%を占めた。
  • 東アジアでは、韓国が101.3万人と主要22市場5のうちで最も多く、台湾(33.1万人)、香港(26.9万人)と続き、全体の47.0%を占めた。
  • 東南アジアは、ASEAN(東南アジア諸国連合)の主要6市場6からの訪日外国人旅行者数が93.5万人となった。
  • 北米主要市場7からの訪日外国人旅行者数は37.9万人となり、このうち米国は32.4万人となった。
  • 欧州主要5市場8からの訪日外国人旅行者数は19.6万人となった。
  • オーストラリアからの訪日外国人旅行者数は8.9万人となった。
  • その他の地域では、南米が1.8万人、アフリカが1.5万人であった。
  • 2022年(令和4年)における訪日外国人旅行者による日本国内における消費額は、試算によると、8,987億円(2019年比81.3%減)となった。特に2022年(令和4年)以降の四半期毎の消費額の推移をみると、2022年(令和4年)10月の水際措置の大幅緩和以降、同年10-12月期においては2019年同期比で約5割まで回復、2023年(令和5年)1-3月期においては2019年同期比で約9割まで回復した。
  • 2018年(平成30年)以降の訪日外国人旅行者一人当たり旅行支出の推移をみると、2021年(令和3年)10-12月期の調査再開後、一人当たり旅行支出が増加した。これは新型コロナウイルス感染拡大防止のための渡航制限等により観光目的客が大きく減少したことから、親族・知人訪問や留学など中長期滞在者の割合が増加し、一人当たり旅行支出を押し上げたものと考えられる。その後、水際措置の段階的緩和に伴う短期の観光目的客の回復により、一人当たり旅行支出は低下傾向にあり、2019年(令和元年)に最大であった中国からの訪日旅行者数の動向など今後の傾向を注視していく必要がある。
  • 2022年(令和4年)の出国日本人数は、前年から増加し、277.2万人(2019年比86.2%減)となった。月別にみると、同年1月においては2019年同月比で約5%の回復となっているが、同年12月においては、2019年同月比で約25%まで回復している。また、2023年(令和5年)も回復傾向にあり、同年4月は、2019年同月比で約34%まで回復している。
  • 2022年(令和4年)の日本人一人当たりの国内宿泊旅行の回数は1.2回、日帰り旅行回数は1.1回、一人当たり宿泊数は1.9泊と、前年を上回った。
  • 観光に関連する産業である宿泊業、飲食サービス業、陸運業9、生活関連サービス業についてみると、宿泊業の売上高は、2022年(令和4年)3月のまん延防止等重点措置の全面解除以降、増加傾向にある
  • 民間調査会社によると、2022年(令和4年)の宿泊業(負債1,000万円以上)の倒産件数は76件(前年比11.6%減)となり、前年より件数は減少したものの、新型コロナウイルス感染症関連の倒産は55件と約7割を占めている。一方、旅行業の倒産件数も前年と比べて減少しており、そのうち新型コロナウイルス感染症関連の倒産が約9割を占めている
  • 労働需要の推移をみるため、雇用人員判断I.の推移をみる。雇用人員判断D.I.はプラスにおいては、人員が過剰と考えている企業の割合の方が高く、マイナスにおいては、人員が不足していると考えている企業の割合の方が高いことを示している。宿泊・飲食サービスについてみると、2023年(令和5年)3月調査では、まん延防止等重点措置の全面解除や全国旅行支援の開始、水際措置の大幅緩和等により、人員不足感が高まっている
  • 毎月の支給給与である現金給与総額について、宿泊業・飲食サービス業は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、2020年(令和2年)に大きく減少し、厳しい状況となったが、2021年(令和3年)10月からは回復傾向にある
  • 顕在化する観光産業の構造的課題-「稼げる地域・稼げる産業」への変革の必要性-
    1. 賃金・人員不足
      • 賃金(年間賃金総支給額)について2018年(平成30年)以降の推移をみると、宿泊業は2020年(令和2年)の362万円から減少傾向が続き、全産業との差が拡大している
      • 総務省「労働力調査」から宿泊業の雇用状況についてみると、2022年(令和4年)は、正規雇用者数が22万人(雇用者数の46%)、非正規雇用者数が26万人(同54%)となっており、全産業と比較して非正規雇用者の構成比が高い
      • また、厚生労働省「雇用動向調査」から2021年(令和3年)の宿泊業、飲食サービス業の入職率・離職率をみると、入職率は「生活関連サービス業、娯楽業」に次いで2番目に高く、また離職率は最も高くなっており、雇用の流動が激しいことがわかる
      • これら観光産業における賃金や雇用の構造的な課題により、人員不足が深刻化している。
      • 労働需給を示す雇用人員判断I.をみると、宿泊・飲食サービスについては、まん延防止等重点措置の全面解除や全国旅行支援の開始、水際措置の大幅緩和等により人員不足感が高まっている。
    2. 雇用の波動性
      • 新型コロナウイルス感染拡大前の宿泊業の月別雇用者数を日米で比較すると、米国は7月を山とする単峰型である一方、日本は多峰性を持った雇用形態となっている。
      • 日本では、旅行需要の季節変動が大きいため、需要拡大期に短期の雇用を増加させ接客等に対応する形態もみられる。このような雇用の波動性は、労働者の知識・スキルの継続的な蓄積による労働生産性向上の制約要因になっている可能性がある(図表Ⅰ-48)。
      • 一方、2020年(令和2年)から2021年(令和3年)にかけては、日本の宿泊業の雇用波動性は緩和している。新型コロナウイルス感染症で起きた環境変化である「旅行需要の分散化」(令和4年版観光白書)にも起因すると考えられる。
  • 観光GDPの国際比較による日本の課題-観光の付加価値の強化-
    • 付加価値額を高めるためには、売上高を増加させる必要がある。売上高は客単価と顧客数に分解できることから、客単価を上げること、顧客数を増やすことが取組の方向性となる。
    • まずは、単価を上げる方法として、商品・サービスの高付加価値化やブランド力の強化などが挙げられる。例えば、団体客向けの宿泊施設を、個人客に対応して改修し上質化を図るといった取組が考えられる。
    • 次に、顧客数を増やす方法として、新規顧客を獲得する、既存顧客のリピート率を上げる、稼働率を上げる(回転率を上げる)といった方法が考えられる。例えば、観光DXを推進し、高度な情報管理(宿泊事業の顧客予約管理システム(PMS)等)の導入により、機械化が可能な定型的業務を減らすとともに、需要に合わせて人員を効率的に配置することで、従業員がより多くの顧客に対応したり、接客時間を増やしたりすることが可能となる。合わせて顧客管理(CRM)を高度化させることで、顧客データに基づき、一人ひとりの顧客の嗜好に応じたきめ細やかで付加価値の高い接遇や宣伝により、顧客満足度の向上、ひいてはリピート率の向上による顧客数の増加が期待される。
    • また、観光地域づくり法人(DMO)を中心に、観光地の宿泊施設間で顧客データを共有し分析する「地域観光DX基盤」の整備により、閑散期の新規顧客開拓等が促進される。
    • 一方で、日本の観光産業の構造的課題として、旅行需要の季節変動による影響が大きい雇用の流動性や波動性を緩和し、観光の「稼ぐ力」を年間で安定化することが、雇用形態間の賃金格差を縮小し、魅力ある仕事として人手確保に寄与すると考えられる。
    • このため、増加する訪日外国人旅行者における市場別のマーケティングや、近隣客を対象にした国内のマイクロツーリズム(近隣観光)、働き方の多様化を踏まえたワーケーションのニーズ等を取り込むことで、需要の平準化、稼働率の安定化を図り、労働需要が安定化すれば、継続的な雇用が可能となり、デジタル人材育成など人的資本への投資が進み、更なる効率化、高付加価値化へとスパイラルアップすることが期待される。

~NEW~
国土交通省 令和5年版交通政策白書
  • 公共交通運賃への支出額は、都市部で多くなる傾向がある。一方で、2022年においては2002年と比較して全てのブロックで年間20%以上減少しており、家計の消費支出総額の減り方(2002年からの20年間で、全国平均で9.5%減少)より大きく減少している。これに対して、自動車等購入・維持費への支出額は、四国を除く全てのブロックで増加している。
  • 自動車分担率は、地方部の人口密度が低い都市ほど高く、かつ、経年的に高まる傾向が見られ、都市部を中心に人口密度の高い都市では、逆に自動車分担率が下がる傾向が見られる。
  • まちづくりに関する施策
    • 我が国の都市における今後のまちづくりは、人口の急激な減少と高齢化を背景として、高齢者や子育て世代にとって安心できる健康で快適な生活環境を実現することや、財政面及び経済面において持続可能な都市経営を可能とすることが大きな課題となっている。こうした課題に対しては、医療・福祉施設、商業施設や住居等がまとまって立地し、高齢者や子育て世代をはじめとする住民が公共交通によりこれらの生活利便施設等にアクセスできるなど、福祉や交通なども含めて都市全体の構造を見直し、「コンパクト・プラス・ネットワーク」の考え方でまちづくりを進めていくことが重要となっている。
    • 行政と住民や民間事業者が一体となってコンパクトなまちづくりを促進するため、立地適正化計画制度が整備されている。現在、全国の市町村において立地適正化計画の作成の動きが本格化しており、国はそうした動きに関する財政面・技術面での支援の充実を進めている。
    • さらに、近年AI、IoT等の新技術は目覚ましく進展しており、これらの技術をまちづくりに取り入れ、地域の課題解決・新たな価値の創出を図る「スマートシティ」の実現は、移動・物流を含めた都市活動の生産性の向上や、より豊かで快適な市民生活の実現を図るために重要である。先駆的な取組への支援、官民の知恵やノウハウを結集するための官民連携プラットフォームによる知見の横展開などを通じて、スマートシティの推進を進めている。
    • このように、まちづくり施策と連携しながら地域住民の自立した日常生活や社会生活の確保等を図るため、交通分野では、地域交通ネットワークの再構築、地域の実情を踏まえた多様な交通サービスの展開等が推進されている。
  • 観光立国の実現に向けた施策
    • 2016年3月、内閣総理大臣を議長とする「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」は「明日の日本を支える観光ビジョン」をとりまとめた。
    • 同ビジョンに基づき、すべての旅行者が、ストレスなく快適に観光を満喫できる環境を目指し、交通分野では、新幹線、高速道路などの高速交通網を活用した「地方創生回廊」の完備、地方空港のゲートウェイ機能強化とLCC就航促進、クルーズ船受入の更なる拡充、公共交通利用環境の革新等が推進されている。
    • また、2022年10月の観光立国推進閣僚会議において決定された「インバウンドの本格的な回復に向けた政策パッケージ」を踏まえ、訪日需要の回復に向けた復便等を促進するため、日本政府観光局(JNTO)を通じて航空会社・旅行会社との共同広告を実施するほか、交通事業者等が行うキャッシュレス決済対応等の交通利用環境の整備、国際線の受入再開に向けた利便性向上・受入環境高度化等への支援、地方空港における国際線再開・増便等の取組が進められている。
  • 防災・減災、国土強靱化に関する施策
    • 切迫する大規模地震災害、相次ぐ気象災害、火山災害、インフラ老朽化等の国家の危機に打ち勝ち、国民の生命・財産・暮らしを守り、社会の重要な機能を維持するため、「国土強靱化基本計画」に基づき、自助・共助・公助を適切に組み合わせ、ハード・ソフト一体となった取組が強力に推進されている。
    • 交通分野も、経済発展の基盤となるライフラインの強靱化の観点から、災害に屈しない国土づくりを進める上で重要な分野であり、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」等に基づき、関係する取組が進められている。
  • 交通事業等の動向
    • 2021(令和3)年の運輸業・郵便業(以下「交通事業」という。)の国内総生産は22.6兆円であり、我が国の国内総生産全体の4.1%を占めている。2000年からの推移を見ると、交通事業の国内総生産は、2007年までは2000年を上回る伸びを見せたものの、2009年に2000年を下回った。2012年には2000年を上回る伸びを見せたものの、2020年以降は新型コロナウイルス感染症の影響で大きく下回っている。
    • 2021年度末における段差解消率は93.7%、視覚障害者誘導用ブロックの整備率は42.8%、案内設備の整備率は76.9%、障害者用トイレの整備率は91.8%であった。なお、旅客施設におけるバリアフリー化については、2021年度から5年間を目標期間とする新たなバリアフリー整備目標を策定し、更なるバリアフリー化の推進に取り組んでいるところである。
    • 鉄軌道車両については、視覚情報及び聴覚情報を提供する設備を備えることや、一列車に二以上の車椅子スペースを設置すること、トイレを高齢者や障害者等の円滑な利用に適した構造とすること、連結部にはプラットホーム上の旅客の転落を防止するための措置を講ずること、乗車している号車等を文字及び点字で表示すること等が求められている。これらの基準に適合した鉄軌道車両数は、2021年度末で27,545両、適合率は52.4%であった。
    • ホームドアの設置番線数は、2021年度末時点、全国で2,337番線(1,002駅)と整備が進んできており、1日の平均的な利用者数10万人以上の駅では911番線(173駅)中406番線(127駅)となっている。
  • 自動車運送事業等の就業構造
    • 総じて中高年層の男性に依存した状態であり、平均年齢は全産業の平均よりも高く、女性の比率は概ね4%以下にとどまっている。また、全産業平均と比べ、労働時間は長く、年間所得額は低くなっている。こうした状況の背景として、不規則な就業形態、長時間拘束、力仕事などの過酷な労働環境により、若年層や女性から敬遠されてきたことに加え、経営者においても、高等学校等の新卒者に対する戦略的なリクルート活動や、女性を含めた従業者の労働環境の改善について十分な対応がとられてこなかったこと等が挙げられる。
    • 近年、産業全体では就業者数が順調に増加してきている中で、自動車運送事業等においては、労働力不足感の高まりや、バス・トラック等の自動車運転者の労働需給が逼迫しているにもかかわらず、就業者数はほぼ横ばいとなっている。こうした中、乗合バスでは運転者不足のため減便を余儀なくされる事業者もあるほか、宅配便事業でも配送業務における人手不足が深刻な問題となっている。
  • 維持が困難な鉄道路線の状況
    • 地方部においては、路線の廃止の動きも見られる。
    • JR西日本の三江線(江津駅~三次駅、108.1km)は、2018年4月1日に廃止されたが、それに先立つ2017年12月、沿線2県6市町は、交通事業者や地域住民と協議の上、三江線廃止後の新たな交通体系を決定した。これに基づき、三江線の代替交通手段となるバスの新設や、重複する市民バスやスクールバスの見直しがなされ、効率的な交通ネットワークへ再編された。
    • また、JR北海道は、2016年11月に、単独では維持困難な線区を公表し、各線区の置かれた状況や、地域にとってより効率的で利便性の高い交通サービスの在り方などについて、地域の関係者への説明・協議を行っている。なお、同社が鉄道事業廃止に向けて協議を行っていた石勝線の新夕張駅~夕張駅間(16.1km)は2019年4月1日に、札沼線の北海道医療大学駅~新十津川駅間(47.6km)は2020年5月7日に、日高線の鵡川駅~様似駅間(116.0km)は2021年4月1日に、留萌線の石狩沼田駅~留萌駅間(35.7km)は2023年4月1日に、それぞれ廃止された。
    • これらの廃線された線区においては、新たな交通体系としてバス路線が整備され、病院や商業施設への立ち寄りや増便など、実際に利用する地域住民のニーズにきめ細かく対応している。
  • 地域公共交通の「リ・デザイン」に向けた課題 対応の方向性 総論
    • これまでの交通政策をさらに強化・推進していくため、地域における協議会や計画の実効性を強化することが必要
    • 交通ネットワークの維持・改善のため、交通サービスの利便性が低い等の理由により顕在化していない移動需要の掘り起こしや新規需要の創出、交通を地域経営の一環として捉える視点が重要
    • 利用者の利便性向上や事業者の採算性向上のため、EV車両や自動運転といった新技術を活用することで付加価値を向上
    • 地域やその住民が、各々の地域の様々な課題を認識し、主体的に交通の在り方を考えることが重要。その際、地域公共交通を「共創」で「リ・デザイン」し、対症療法だけでない体質改善を進め、利便性・持続可能性・生産性の高い交通サービスを構築することが必要
    • このことにより、地方での暮らしに対する不安の解消や魅力あふれる地域づくり等を実現し、デジタル田園都市国家構想の実現にも寄与するとともに、高齢化や人口減少等に端を発した地域課題の解決にも寄与
  • サプライチェーン全体の徹底した最適化等による物流機能の確保
    1. 物流分野のデジタル化等の推進
      • 機械化・デジタル化を通じて物流分野における既存のビジネスモデルや働き方を変革する物流DXを推進するため、物流事業者等による省人化・自動化に資する機器の導入等を支援するとともに、サプライチェーン全体の輸送効率化を推進するため、関係事業者が連携したAI、IoT等の新技術の活用について実証を実施し、物流・商流データ基盤を活用した取組の社会実装を進めた。併せて、物流事業者におけるデジタル化に関する課題・解決の方向性・導入効果等を整理・発信した。
      • また、物流DXの前提となる物流標準化について、「官民物流標準化懇談会パレット標準化推進分科会」において、2022(令和4)年6月にこれからパレット化を図る事業者に向けた推奨規格等を中間とりまとめとして公表した。加えて、物流のあるべき将来像としての我が国におけるフィジカルインターネット実現に向けた議論を行い、2040年を目標としたロードマップを作成した。さらに、物流効率化を牽引する高度物流人材の育成・確保に向けて、官民一体でのシンポジウムの開催等情報発信の充実を図った。
    2. 物流の労働力不足対策の加速等
      • 2024年度より、自動車の運転業務の時間外労働について、罰則付きの上限規制が課されることも踏まえ、物流分野におけるトラック運転者の担い手不足、カーボンニュートラル等の課題に対応するため、2022年9月、経済産業省、農林水産省と国土交通省が連携し、「持続可能な物流の実現に向けた検討会」を設置した。同検討会では、物流事業者のみならず、着荷主を含む荷主企業や一般消費者も一緒になって、それぞれの立場で担うべき役割を再考し、物流を持続可能なものとする方策について検討を行っている。2023年2月に公表した中間とりまとめでは、これまで策定してきたガイドライン等について、インセンティブ等を打ち出して有効に機能するようにするとともに、規制的措置等より実効性のある措置も検討するべきとされた。これを受け、最終とりまとめに向けて、荷主企業や消費者の意識改革(物流に係る広報の推進等)、物流プロセスの課題の解決(労働時間削減に資する措置等)、物流標準化・効率化推進(省力化・自動化の推進等)について検討することとされた。
      • また、2023年3月に「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」が設置された。同会議においては、いわゆる「2024年問題」等への対応のため、商慣行の見直し、物流の効率化、荷主企業・消費者の行動変容を進めるため、緊急に取り組むべき抜本的・総合的な対策を「政策パッケージ」として取りまとめることとされた。
      • この他、トラック運送業界における働きやすい職場環境の整備に向けて、普及セミナー等を通じた荷待ち時間の発生件数が多い輸送分野の改善策をとりまとめたガイドラインの浸透や「ホワイト物流」推進運動を進めるとともに、トラック事業者が荷主等との交渉の際に活用可能な「標準的な運賃」の浸透等を図るため荷主向けリーフレットを配布するなど、商慣行の見直しも含めた取引環境の適正化等の推進を図った。また、運転者の労働時間や作業負担の削減に向けたコンテナ専用トラック等の導入を支援する制度を創設した。
      • 併せて、物流総合効率化法に基づき、荷主企業と物流事業者が連携した共同輸配送等の取組の支援に加え、その取組と合わせて導入する自動化機器等への補助制度を活用し、より効率的で持続可能な共同輸配送を推進した。
      • 再配達の削減に向けては、国や関係事業者等が連携し開催してきた「宅配事業とEC事業の生産性向上連絡会」や「置き配検討会」における検討などを踏まえ、宅配ボックスや置き配などの多様な受取方法を推進した。また、2022年4月には、「多様なライフスタイルをささえる持続可能な宅配の実現に向けた手引き」を公表し、宅配ロッカーの活用を含む、多様な受取方法や関係者の連携等により再配達を削減する取組を紹介し、普及に向けたポイントを整理した。
    3. 強靭性と持続可能性を確保した物流ネットワークの構築
      • また、新型コロナウイルス感染症対策としても有効な非接触化を、出入管理のセキュリティを確保しつつ行うため、PS(Port Security)カードの番号を用いたコンテナ搬出入情報等の電子化を推進したほか、強靱性と持続可能性を確保した物流ネットワークの構築を図るため、重要物流道路の機能強化等の産業の国際競争力に資するインフラ整備の強化等を推進した。
    4. 自動運転・隊列走行等の実現に資するインフラ側からの支援
      • 自動運転に対応した道路空間の基準等の整備を推進するため、自動運転車と道路との連携に関する官民共同研究を実施した。
    5. 内航フェリー・RORO輸送網の構築
      • 内航フェリー・RORO(ROLL-ON/ROLL-OFF)輸送網の構築に向けて、複合一貫輸送ターミナルの整備等を推進した。また、2024年度からのトラックドライバーの時間外労働の上限規制等により、労働力不足の問題が顕在化する中、情報通信技術等を用いた内航フェリー・RORO船ターミナルの荷役効率化などの取組を検討するため、2023年2月に「次世代高規格ユニットロードターミナル検討会」を開催した。
    6. 農林水産物・食品の輸出拡大
      • 2030年までに農林水産物・食品の輸出額を5兆円とする目標に向け、輸送網の集約、輸配送の共同化、日本式コールドチェーン物流サービス規格の普及促進、輸出に戦略的に取り組む港湾における温度・衛生管理が可能な荷さばき施設の整備への支援や輸出拠点となる港湾の環境整備等により、物流の効率化・高度化を推進した。
    7. 国際物流のシームレス化・強靱化の推進等
      • 日中韓物流大臣会合における合意に基づき、北東アジア物流情報サービスネットワーク(NEALNET)の加盟国・加盟港湾の拡大等、日中韓の物流分野における協力の推進について中韓と議論を進めた。2022年11月及び2023年3月には日中韓物流課長級会合を開催し、2021年に開催された第8回日中韓物流大臣会合で採択された共同声明及び行動計画の進捗状況や、第9回日中韓物流大臣会合に向けた今後のスケジュールについて意見交換を行った。
      • また、海上コンテナ輸送の需給逼迫やロシアのウクライナ侵略等による国際物流の混乱を踏まえ、船社・物流事業者・荷主団体等に対して現状や今後の見通しについて情報共有を行うとともに、外国政府に対して物流改善の働きかけ等を行った。さらに、我が国企業にとって代替的な輸送オプションを確保し、強靱なサプライチェーンの構築を図るため、従来の輸送手段・ルートを代替又は補完する輸送手段・ルートについて実態調査を開始した。
    8. 船員の働き方改革の推進、取引環境の改善等
      • 船員の労務管理の適正化を図るための仕組みの構築と各地方運輸局等への相談窓口の設置、船員の労務管理の適正化や取引環境改善に係る各種ガイドラインの活用促進、内航海運業界と荷主業界との対話を通じた連携強化、生産性向上に係るモデル事業の実証及び横展開等を行った。
    9. 気象データの利活用
      • 交通分野での生産性向上のため、幅広い産学官の関係者による対話を通じ、クラウド技術を活用した気象データ共有に向けた取組を推進するとともに、気象データ等を活用して企業におけるビジネス創出や課題解決ができる「気象データアナリスト」を育成する民間講座の認定等を通じ、気象情報や気象データの利活用を促進した。
    10. 北極海航路の利活用に向けた環境整備
      • 現下の国際情勢を踏まえつつ、北極海航路の利用動向等に関する情報収集を行った。
    11. KS/RA制度8における効率的な検査の在り方の検討
      • 国際機関の動きを注視しつつ、効率的かつ効果的な制度となるような検討を行うため、業界及び関係機関との意見交換を行った。
  • 交通インフラの耐震・津波・高潮・高波・浸水・土砂災害対策等
    • 鉄道、道路、港湾、空港、航路標識等の災害対策を推進した。
    • 国民の生命・財産を守り、社会の重要な機能を維持することができるよう、防災・減災、国土強靱化の対策として航路標識の耐災害性強化対策に係る整備を実施した。
    • 設計津波を超える大規模津波発生時に、防波堤が倒壊して、津波の到達時間が早まり被害が拡大する事態や、静穏度が確保できず荷役が再開できない事態を防止するため、「粘り強い構造」を導入した防波堤の整備を推進するとともに、津波発生時等に堤外地で活動する港湾労働者等全員の安全な避難を可能とするため、避難訓練の実施や避難施設の設置等のソフト・ハードを組み合わせた対策を促進した。
    • また、最新の地震被害想定等を踏まえ、大規模災害の緊急物資輸送、幹線物流機能の確保のため、ネットワークを意識した耐震強化岸壁の整備や臨港道路の耐震化等を推進した。
    • さらに、頻発化・激甚化する台風に伴う高潮・高波による港湾内の被害軽減を図るため、最新の設計沖波等で照査した結果を踏まえ、港湾施設の嵩上げ・補強等を推進した。
    • 鉄道の耐震対策については、2022年3月に発生した福島県沖を震源とする地震により軌道を支える桁が大きく沈下、傾斜した高架橋と同様の新幹線の高架橋の柱についての優先的な耐震補強等を促進することとした。
    • 空港については、地震発生後に緊急物資等の輸送拠点となることから、滑走路等の耐震対策や高潮・高波・豪雨等による空港施設への浸水を防止するため、護岸嵩上げ等の浸水対策を推進した。
    • また、津波被災の可能性のある空港において、津波被災後に早期に緊急物資・人員の輸送拠点機能を確保するため、地震・津波に対応する避難計画・早期復旧計画を策定し、計画に基づき避難訓練等の取組や関係機関との協力体制構築等の取組を推進した。
  • 無電柱化の推進
    • 良好な景観の形成や観光振興、安全で快適な通行空間の確保、道路の防災性の向上等の観点から、新設電柱の抑制、低コスト手法の普及、事業期間の短縮等により、無電柱化推進計画に基づき無電柱化を推進した。
  • 避難誘導のための多言語による適切な情報発信等
    • 鉄道については、鉄軌道事業者へ多言語掲示物作成システムの配布等、災害時における多言語案内体制の強化を行った。
    • また、2021年度に自治体等の実務者向けに観光危機管理計画策定ポイント等をまとめた「手引き」や災害等の非常時における訪日外国人旅行者の対応時に活用できる用語集(2021年3月)について周知を行った。さらに、日本政府観光局(JNTO)において、交通機関の運休、遅延等が発生した、あるいはそのおそれがある際、訪日外国人旅行者向けにHP、SNSを通じて、多言語で発信するとともに、24時間、365日多言語対応ができる訪日外国人旅行者向けコールセンターを運営した。
    • 船舶については、南海トラフ地震及び首都直下地震発災時において、実働三省庁(警察庁、消防庁、防衛省)の広域応援部隊の民間フェリーを活用した迅速な輸送を実現するため、2016年に「広域応援部隊進出における海上輸送対策について」をとりまとめ、日本海溝・千島海溝地震発災時の対応の追加を含め、全体的な見直しの検討を開始した。
    • バスについては、自治体と旅客自動車運送事業者等との災害時の緊急輸送等に関する協定の締結を促進することにより、活用可能な車両の確保等について、枠組みの構築を進めた。
    • 空港については、引き続き、「滞留者対応計画」を含む空港BCP9に基づき、空港関係者やアクセス事業者と連携し、多言語やSNS等による情報提供を含む災害時の対応を行うとともに、空港BCPの実効性の強化に向け訓練等を実施した。
  • 主要駅周辺等における帰宅困難者・避難者等の安全確保
    • 人口・都市機能が集積する大都市の主要駅周辺等において、大規模な地震が発生した場合における滞在者等の安全の確保と都市機能の継続を図るため、官民協議会による都市再生安全確保計画等の作成や同計画に基づくソフト・ハード両面の取組に対する支援を実施した。
  • 空港BCPの実効性の強化等
    • 空港BCPを実効性のあるものとするため、全国の95空港において、各種訓練等を2022年8月までに実施し、訓練や点検の実施状況等を確認するとともに、関係機関等で共有することで、空港BCPや訓練の見直しを推進した。
  • 災害発生時の物流機能の維持
    • ラストマイルの着実な輸送も含めた避難所への支援物資物流の円滑化に向け、「ラストマイルにおける支援物資輸送・拠点開設・運営ハンドブック」(2019年3月策定)について、感染症対策等の新たな課題への対応や、2020年4月に運用が開始された「物資調達・輸送調整等支援システム」の活用を念頭においた改訂を行った。
    • また、近年、豪雨や大雪等BCPが必要となる場面が多様化していることを踏まえ、大規模地震以外の災害等にも対応可能な「多様な災害に対応したBCP策定ガイドライン」の作成を行ったほか、物流事業者団体との災害時協力協定の締結等、災害時における円滑な支援物資物流の実現及びサプライチェーンの維持のための取組を行った。
  • 交通インフラの戦略的な維持管理・更新や老朽化対策
    • 交通インフラについての点検結果や社会情勢の変化等を踏まえた個別施設計画の適切な更新を促進するとともに、「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」(2020年12月閣議決定)も踏まえた「予防保全」への本格転換に向け、緊急又は早期に措置が必要と診断された施設に対する修繕等を集中的に実施した。また、「国土交通省インフラ長寿命化計画(2021年6月)」等を踏まえ、メンテナンスの生産性向上に向けた新技術等の導入促進、インフラストックの適正化に向けた集約・再編等に関する取組を推進した。
    • 道路については、2014年より全国の橋やトンネル等について国が定める統一的な基準により5年に1度の頻度で点検を行っており、2018年度末までに実施した一巡目点検の結果、橋梁では次回点検までに措置を講ずべきものが全国に約7万橋存在する。このうち、地方公共団体管理の橋梁では修繕が完了したものが約46%(2021年度末時点)にとどまることを踏まえ、「道路メンテナンス事業補助制度」により計画的かつ集中的に支援した。また、各都道府県に設置された「道路メンテナンス会議」を活用し効率的な修繕の実施に向けた情報共有を行うほか、直轄診断・修繕代行や技術力向上のための研修の実施等の技術的支援を行った。
    • 港湾については、平時・災害時の海上交通ネットワークの維持、港湾施設の安全な利用等を確保するため、係留施設等について老朽化対策を実施した。
    • 空港については、長期的視点に立ち策定した維持管理・更新計画に基づき、定期的な点検・診断を行うことで、施設の破損、故障等を未然に防ぐ予防保全型維持管理を推進するとともに、空港舗装面の点検、健全度評価及び劣化予測を行うため開発したシステムの運用を行った。また、各空港管理者が維持管理を着実に実施するため、維持管理に関する研修の内容充実や、新技術開発の状況等を共有する「空港施設メンテナンスブロック会議」を引き続き開催するとともに、空港管理者相互に情報の共有化を図るための空港施設管理情報システムを拡充し、維持管理に係る課題解決に向けた連携・支援を行った。
    • 鉄道については、予防保全に基づいた鉄道施設の老朽化対策として、老朽化が認められる施設の長寿命化に資する鉄道施設の補強・改良を推進した。
    • 自動車道については、予防保全型インフラメンテナンスへの転換を図るため、措置が必要な施設に対して修繕等を実施し、機能の回復を図った。
    • 航路標識については、航路標識の点検・診断を実施するとともに、点検・診断を実施したものについて、修繕・更新等の必要な整備を実施した。
    • 信号制御機については、老朽化したものの更新、長寿命化等による戦略的なストック管理、ライフサイクルコストの削減等を推進した。
  • 交通分野でのテロ対策の推進
    • 各交通事業者や事業者団体に対し注意喚起を促したほか、主に以下のようなテロ対策に取り組んだ。
      1. 鉄道におけるテロ対策
        • 2021年10月31日に発生した京王線車内傷害事件等を受けて同年12月3日にとりまとめた今後の対策等を踏まえ、各種非常用設備の表示を共通化するガイドラインの運用や、非常時の通報装置の活用や危険物の持ち込みについての利用者向けの呼びかけの実施等に取り組んだほか、車内防犯カメラの設置の基準化について検討を進めた。
      2. 自動車におけるテロ対策
        • 多客期におけるテロ対策として、車内の点検、営業所・車庫内外における巡回強化、警備要員等の主要バス乗降場への派遣、バスジャック対応訓練の実施等について関係事業者に対する要請を実施した。
      3. 船舶・港湾におけるテロ対策
        • 「国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律」(平成16年法律第31号)に基づく国際航海船舶の保安規程の承認・船舶検査、国際港湾施設の保安規程の承認、入港船舶に関する規制、国際航海船舶・国際港湾施設に対する立入検査及びPSCを通じて、保安の確保に取り組んだ。
        • また、警察や海上保安庁等も交えた保安設備の合同点検を実施し、一層の保安対策の強化を図った。さらに、出入管理情報システムによる効率的な出入管理の実施を推進するとともに、同システムの導入を拡大した。
        • 海上保安庁においては、多客期における旅客ターミナル、フェリー等の警戒強化を実施するとともに、官学民が参画する「海上・臨海部テロ対策協議会」を開催するなど、官民一体となったテロ対策を推進した。
      4. 航空におけるテロ対策
        • 「テロに強い空港」を目指し、全国の空港において従来型の検査機器からボディスキャナーや爆発物自動検知装置等の高度な保安検査機器への入れ替えを促進し、今後の航空需要の回復・増大に向け、航空保安検査の高度化を図った。2022年3月に施行された「航空法等の一部を改正する法律(令和3年法律第65号)」に基づく必要な航空保安対策を着実に実施するとともに、保安検査における国、地方公共団体、空港会社、航空会社、保安検査会社等の役割分担や保安検査の適正な費用負担の在り方等の中長期的な課題について、保安検査に関する有識者会議において諸外国の状況調査を踏まえた比較を行いつつ、検討を進めた。

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