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危機管理トピックス

サイバー空間をめぐる脅威の情勢等(警察庁)/ニュースコンテンツ配信分野に関する実態調査(公正取引委員会)/生活困窮者自立支援及び生活保護部会(厚労省)

2023.09.25
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更新日:2023年9月25日 新着21記事

危機管理トピックス

【新着トピックス】

【もくじ】―――――――――――――――――――――――――

消費者庁
  • 訪問販売業者【株式会社エヌケージー及び株式会社野田建工】に対する行政処分について
  • 第4回「送料無料」表示の見直しに関する意見交換会(2023年8月10日)
  • インターネット通販における表示内容と消費者の心理的特性等に関する調査
  • 食品ロス削減啓発絵本の活用に係る調査報告書
  • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による消費行動の変化等に関する研究
国民生活センター
  • 棺内のドライアイスによる二酸化炭素中毒に注意
  • インターネットで予約したホテルや航空券のトラブル-キャンセル条件など、契約内容は自分自身でよく確認!-
厚生労働省
  • 麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動の実施について~薬物乱用の根絶に向けた啓発を強化します~
  • G20保健大臣会合/G20財務大臣・保健大臣合同会合(2023年)
  • 第25回 社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」(資料)
  • 働き方改革PR動画「はたらきかたススメ」シリーズ第4弾を公開~俳優・小芝風花さんを起用し、 建設業で働く方やドライバーへの時間外労働の上限規制の適用に向けて制作
経済産業省
  • 日本産業規格(JIS)を制定・改正しました(2023年9月分)
  • 「中小M&Aガイドライン」を改訂しました
総務省
  • 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-
  • 令和5年8月の熱中症による救急搬送状況
  • プラットフォームサービスに関する研究会(第47回)配付資料
国土交通省
  • 担い手確保の取組を加速し、持続可能な建設業を目指すために 建設産業の諸課題に対して早急に講ずべき具体策がとりまとめられました~建設業法等の改正も視野に、基本問題小委員会で中間とりまとめ~
  • 二輪自動車の後面衝突警告表示灯等の国連基準を導入します~道路運送車両の保安基準等及び保安基準の細目を定める告示等の一部改正について~

~NEW~
金融庁 「サステナブルファイナンス有識者会議」(第18回)議事次第
▼資料2 事務局説明資料
  • これまで頂いた主な意見
    • ネットゼロの実現は緊急的な課題であるが、サステナブルファイナンスは経済・社会の持続可能性に係る様々なテーマを包含するもの。生物多様性、人的資本、人権など、脱炭素にとどまらない「その他のESG課題」についても金融の役割を議論すべきではないか。
    • 様々なファイナンスの出し手を切り口に議論することも考えられる。例えば、スタートアップの文脈では、企業側のみならず、政府全体で進める資産運用立国とも関連するが、ファイナンスの出し手側である新興運用会社等の議論も重要ではないか。
    • 特に気候変動は世界的な課題であるが、各国の脱炭素に向けたアプローチは異なる。そうした中、アジアに適したアプローチを探るため、まずは、どのような課題やファイナンスの需要があるか、整理してはどうか。
    • SDGsに対する認知度は高まっている一方、ESG投資やサステナブルファイナンスに関する認知度は必ずしも高くない。サステナブルファイナンスに関する国内外の発信や人材育成を通じて、最終的な顧客や株主、預金者となる個人も含め、社会全体で認知・理解を浸透させることが重要ではないか。有識者会議の議論への若い世代の参画や、昨年公表したスキルマップの実現に向けた議論を検討してはどうか。
  • これまで有識者会議では、企業開示の充実、市場機能の発揮、金融機関の投融資先支援とリスク管理という3つの柱とその他の横断的課題について、関係者の取組状況の確認や、施策の提言等を行ってきた。
  • 第一報告書に記載された取組み・施策は着実に進展する一方、課題は多様化が見られ、考え方・取組みも深化が必要と考えられる。これまでの区分と異なる例えば以下の切り口で改めて議論し、今後検討を深めるべき領域・課題等を議論してはどうか。
    • サステナブルファイナンスの基礎となる考え方と手法、インフラ整備等
      • 基本的視座の深堀り:受託者責任との整合性(PRIレポート)
      • ファイナンスの手法とプレーヤー:インパクト投資、トランジションファイナンス、ブレンデッドファイナンス:金融機関、VC、CVC、アセットオーナー、アセットマネジャー
      • 投資の基盤となるインフラ整備の状況:ESGデータの集約、ESG評価・データ提供
    • サステナブルファイナンスの課題と更なる浸透
      • 多様化するESG課題:生物多様性、人的資本、人権、健康等のその他のESG課題
      • サステナブルファイナンスの更なる浸透:人材育成(若者)、国内外への発信強化
    • 国内外におけるサステナブルファイナンスの推進
      • アジアを含む世界の脱炭素の加速:アジアにおけるトランジションファイナンスの実装
      • 国内の各地域における推進:地域企業へのインパクト投資、脱炭素支援(トランジション計画の策定支援、開示)
  • 「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」(2022年6月)では、国際公約の達成と、わが国の産業競争力強化・経済成長の同時実現に向け、今後10年間に官民協調で150兆円規模のグリーン・トランスフォーメーション(GX)投資を実現することとしている。2023年2月には、「GX実現に向けた基本方針」を閣議決定し、「GX実行会議」における議論を踏まえ、今後10年を見据えた取組みの方針を取りまとめ。2023年5月には関連法案が国会で成立
  • 2021年11月3日、国際会計基準財団(IFRS財団)は、「国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)」の設置を公表。IFRS財団の拠点について、官民一体で積極的に働きかけ、東京のISSB拠点としての活用が決定。IFRS財団は、「全般的な開示要求事項」および「気候関連開示基準」について、2023年6月に最終化。また、2023年5月4日、ISSBの基準策定における優先アジェンダ(例:生物多様性、人的資本等)を決定するための市中協議を開始(コメント期限:9月1日)。日本では、「サステナビリティ基準委員会」が国内のサステナビリティ開示基準の開発および国際的な意見発信を担う。
  • 2023年3月に改正。「資産運用業高度化プログレスレポート2022」における実態調査の結果を踏まえ、「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」の一部改正案を策定し、ESG投信の範囲やESGに関する公募投資信託の情報開示、投資信託委託会社の態勢整備について、具体的な検証項目を定めた
  • 金融庁「ESG評価・データ提供機関に係る専門分科会」において、企業のESGの取組みを評価する「ESG評価機関等」について評価の透明性・公平性を確保するための「行動規範」の案を取りまとめ。併せて、評価を利用する機関投資家や、評価を受ける企業への提言と併せて、報告書として公表。(2022年7月)「行動規範」について、7月~9月に実施したパブリックコメントを踏まえ最終化(2022年12月)。
  • カーボンクレジット(CC)の国内取引は、現状、基本的には取引所を介さない相対取引で行われているものの、東証が2023年度中に正式にCC取引所を開設予定。GXリーグでは、第1フェーズ(2023-2025年)の削減不足分について、2026年夏頃までに市場で調達することを求める。省エネや森林保全由来のJクレジット等の供給量も増加していく見込みであり、CC市場での取引拡大が見込まれる。
  • 脱炭素等に向けた金融機関等の取組みに関する検討会報告書
    • 脱炭素への移行に向けた世界的取組みが加速する中で、企業と対話を行い資金供給を行う金融機関の役割が高まっている。一方で、金融機関が脱炭素に向けた戦略を検討し、企業と対話を行う際の実務的課題や留意点等は国際的にも模索の途上。金融庁の検討会で昨秋より議論を行い、6月27日、検討会としての報告書を取りまとめ・公表。
    • 報告書では、脱炭素への移行には、金融機関における継続的・実効的な対話(エンゲージメント)が重要である点を指摘し、移行の戦略と進捗を理解・促進する観点から、以下を金融機関への提言(ガイド)として提示
  • インパクト投資等に関する検討会報告書概要
    • 脱炭素や少子高齢化等の社会・環境課題の重要性が高まる中で、課題解決に資する技術開発や事業革新に取り組む企業の支援は喫緊の課題となっている。インパクト投資は「社会・環境的効果」(インパクト)と投資収益の双方を企図する投資として、国際的にも推進の重要性が指摘されている。
    • 金融庁が2022年10月に設置した「インパクト投資等に関する検討会」では、「インパクト投資」の基本的意義等について議論を進め、投資の要件、推進のための施策等と併せて取りまとめ、6月に報告書として公表。
  • 日本が中心となってインパクト投資を推進するよう、インパクト投資の基本的指針を策定する。また、投資家や企業等が参加し、事業評価に関するデータ整備や人材育成等を促進するための対話の場(コンソーシアム)を立ち上げる。加えて、日本政策投資銀行や自治体の推進策と協働し、投資実績の蓄積を図る。
  • 「社会・環境的効果」(インパクト)と「収益性」の双方の実現を図る「インパクト投資」の基本的な考え方等を「基本的指針案」として取りまとめ。最終化に向けて、市中協議を実施し、国内外の市場関係者に能動的に発信・対話を行う。

~NEW~
警察庁 サイバー空間をめぐる脅威の情勢等
▼令和5年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について
  • 令和5年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威については、ランサムウェア被害が依然として高水準で推移するとともに、フィッシング被害等に伴うクレジットカード不正利用被害やインターネットバンキングに係る不正送金被害も急増しているほか、インターネット上では児童ポルノや規制薬物の広告等の違法情報や、自殺サイトや爆発物・銃砲等の製造方法、殺人や強盗の請負等の有害情報が氾濫するなど、極めて深刻な情勢が続いている。
  • 企業・団体等を対象とした不正アクセス等
    • 大手システム事業者、電子部品関連企業等に対する不正アクセスが確認されたほか、特定の事業者等に対する標的型メール攻撃が確認された。
  • DDoS攻撃による被害とみられるウェブサイトの閲覧障害
    • DDoS攻撃による被害とみられるウェブサイトの閲覧障害が複数発生し、一部の事案については、障害発生と同じ頃、SNS上でハクティビストや親ロシア派ハッカー集団からの犯行をほのめかす投稿が確認された。
  • フィッシングの報告件数の増加
    • 令和5年上半期におけるフィッシングの報告件数は、フィッシング対策協議会によれば右肩上がりで増加しており(前年同期比で17.9%増加)、クレジットカード事業者等を装ったものが多くを占めた。
  • クレジットカード不正利用被害額の増加
    • 一般社団法人日本クレジット協会によれば、令和4年のクレジットカード不正利用被害額は436.7億円であり、統計を取り始めた平成9年以降、過去最悪となった。また、令和5年第1四半期におけるクレジットカード不正利用被害額は、121.4億円で前年同期と比較して増加している(21.3%増加)。
  • インターネットバンキングに係る不正送金事犯による被害の急増
    • 令和5年上半期におけるインターネットバンキングに係る不正送金事犯による被害は、発生件数が2,322件(令和4年の年間発生件数と比較して104.4%増加)であり、年間の被害件数と比較しても過去最多となり、被害総額も約29億9,600万円(令和4年の年間被害総額と比較して97.2%増加)であり、年間の被害額と比較しても過去最多に迫る状況にある。
  • ランサムウェア被害の情勢等
    • 令和5年上半期におけるランサムウェアによる被害件数は103件(前年同期比で9.6%減少)であり、引き続き高い水準で推移している。手口としては、データの暗号化のみならず、データを窃取した上、企業・団体等に対し「対価を支払わなければ当該データを公開する」などと対価を要求する二重恐喝(ダブルエクストーション)が多くを占める。
    • ランサムウェアによる被害のほか、データを暗号化する(ランサムウェアを用いる)ことなくデータを窃取し対価を要求する手口(「ノーウェアランサム」)による被害が、新たに6件確認された。
  • サイバー事案の被害の潜在化防止
    • サイバー事案の被害については、社会的評価の悪化の懸念等から警察への通報・相談がためらわれる傾向にあり、いわゆる「被害の潜在化」が課題となっているところ、各界の有識者からなる「サイバー事案の被害の潜在化防止に向けた検討会」を開催し、被害の潜在化防止に関する今後の方策等について報告書を取りまとめ、令和5年4月に公表した。
  • 医療機関等との連携強化
    • 医療機関におけるランサムウェア等のサイバー事案に係る被害の未然防止、事案発生時における警察への迅速な通報・相談を促進するため、令和5年4月、公益社団法人日本医師会と覚書を締結した。また、令和5年5月、四病院団体協議会*2及び各国公私立大学病院に対してサイバー事案に係る連携強化に関する依頼を行った。
  • サイバー空間におけるぜい弱性探索行為等の観測状況
    • 警察庁が検知したサイバー空間におけるぜい弱性探索行為等とみられるアクセス件数は、1日・1IPアドレス当たり8,219.0件(前年同期比で5.4%増加)と、増加の一途をたどっており、海外を送信元とするアクセスが大部分を占めている。
  • インターネット上の違法・有害情報の実態等
    • インターネット上において、違法情報や、爆発物・銃砲等の製造方法等の重要犯罪密接関連情報*3が容易に入手できる状況にある。
  • サイバー事案の検挙件数
    • 令和5年上半期におけるサイバー事案の検挙件数は、1,181件であった。
  • 不正アクセス禁止法違反*6の検挙件数及び特徴
    • 令和5年上半期における不正アクセス禁止法違反の検挙件数は、188件(前年同期比で19.3%減少)であり、そのうち157件が識別符号窃用型で全体の83.5%を占める。
  • コンピュータ・電磁的記録対象犯罪の検挙件数及び特徴
    • 令和5年上半期におけるコンピュータ・電磁的記録対象犯罪の検挙件数は、403件(前年同期比で15.8%増加)であり、そのうち380件が電子計算機使用詐欺で全体の94.3%を占める。
  • フィッシングの状況
    • フィッシングとは、実在する企業・団体等や官公庁を装うなどしたメール又はショートメッセージサービス(以下「SMS」という。)を送り、その企業等のウェブサイトに見せかけて作成した偽のウェブサイト(フィッシングサイト)を受信者が閲覧するよう誘導し、当該フィッシングサイトでアカウント情報やクレジットカード番号等を不正に入手する手口であり、インターネットバンキングに係る不正送金やクレジットカードの不正利用に使われている。
    • 令和5年上半期のフィッシング報告件数は、フィッシング対策協議会によれば、53万804件(前年同期比で8万722件増加)で、右肩上がりで増加となった。また、フィッシングでかたられた企業等は、クレジットカード事業者、EC事業者を装ったものが多くを占めた。
  • インターネットバンキングに係る不正送金事犯におけるフィッシングの実態
    • 令和5年上半期におけるインターネットバンキングに係る不正送金事犯による被害は、2月以降被害が多発しており、発生件数は過去最多の2,322件、被害総額は約29億9,600万円である。
    • また、被害者の大部分は個人であり(96.8%)、そのうち40代から60代の被害者が約7割を占めている。
    • さらに、フィッシングの内訳を見ると、電子メールによる誘導が61%、SMSによる誘導が12%である。
  • クレジットカード不正利用の情勢
    • キャッシュレス決済等の普及に伴い、クレジットカード決済市場の規模が増加する一方、クレジットカード不正利用被害も多く発生している。一般社団法人日本クレジット協会(以下「日本クレジット協会」という。)で実施している国内発行クレジットカードの不正利用被害の実態調査によると、クレジットカード不正利用被害額は平成25年以降増加傾向にあり、令和4年の被害額については、436.7億円で統計を取り始めた平成9年以降、過去最悪となった。令和5年第1四半期(令和5年1月~同年3月)の被害額は121.4億円であり、前年同期比(令和4年第1四半期(令和4年1月~同年3月))では21.3%増加しており、厳しい情勢にある。
  • SIMスワップ対策
    • SIMスワップによる不正送金事案が増加していた状況を踏まえ、令和4年9月、総務省と連携し、携帯電話事業者に対して、携帯電話機販売店における本人確認の強化を要請し、令和5年2月までに、大手携帯電話事業者において同要請への対応を完了した。その結果、令和5年上半期におけるSIMスワップによる不正送金の被害が激減した。
  • クレジットカード番号等の盗用防止対策
    • クレジットカード不正利用被害の大部分が、クレジットカードの番号盗用によるものであり、フィッシング等によりクレジットカード番号等を窃取し、利用権者になりすます手口が主要な要因となっている。こうした情勢を踏まえ、クレジットカード番号等の不正利用の原因となるフィッシング被害が増加していることから、警察庁、経済産業省及び総務省は、令和5年2月、日本クレジット協会に対し、送信ドメイン認証技術(DMARC)の導入をはじめとするフィッシング対策の強化を要請した。
  • 外国捜査機関と連携したフィッシング事犯の検挙
    • サイバー特別捜査隊及び大阪府警察は、インドネシア国家警察と連携し、フィッシングツール「16SHOP」を用いて不正に入手したクレジットカード番号等を使用して通販サイトの商品を窃取するなどしたインドネシア在住の同国人被疑者を特定し、令和5年7月9日に同国国家警察が同被疑者を逮捕した。本件は、日本警察の捜査がフィッシング事犯に関する国外被疑者の検挙に結びついた初めての事案となった。
  • ランサムウェア被害の情勢等
    • ランサムウェアとは、感染すると端末等に保存されているデータを暗号化して使用できない状態にした上で、そのデータを復号する対価(金銭又は暗号資産)を要求する不正プログラムである。
    • 手口としては、データの暗号化のみならず、データを窃取した上、企業・団体等に対し「対価を支払わなければ当該データを公開する」などと対価を要求する二重恐喝(ダブルエクストーション)が多くを占める。
    • 感染経路は、令和4年に引き続き、ぜい弱性を有するVPN機器等や強度の弱い認証情報等が設定されたリモートデスクトップサービスが多くを占めた。
  • 被害件数
    • 企業・団体等におけるランサムウェア被害として、令和5年上半期に都道府県警察から警察庁に報告のあった件数は103件であり、令和4年上半期以降、高い水準で推移している。
  • 特徴
    • 二重恐喝(ダブルエクストーション)による被害が多くを占める
      • 被害(103件)のうち、手口を確認できたものは83件あり、このうち、二重恐喝の手口によるものは65件で78%を占めた。
    • 「ノーウェアランサム」による被害
      • ランサムウェアによる被害のほか、最近の事例では、企業・団体等のネットワークに侵入し、データを暗号化する(ランサムウェアを用いる)ことなくデータを窃取した上で、企業・団体等に対価を要求する手口(「ノーウェアランサム」)による被害が、新たに6件確認された。
    • 暗号資産による対価の要求が多くを占める
      • 被害(103件)のうち、直接的な対価の要求を確認できたものは22件あり、このうち、暗号資産による支払いの要求があったものは21件で95%を占めた
  • 被害企業・団体等の規模
    • 被害(103件)の内訳を企業・団体等の規模別*12に見ると、大企業は30件、中小企業は60件であり、その規模を問わず、被害が発生した。また、業種別*13に見ると、製造業は34件、サービス業は16件、卸売・小売業は15件であり、その業種を問わず、被害が発生した。
  • 感染経路
    • ランサムウェアの感染経路について質問したところ、49件の有効な回答があり、このうち、VPN機器からの侵入が35件で71%、リモートデスクトップからの侵入が5件で10%を占め、テレワーク等に利用される機器等のぜい弱性や強度の弱い認証情報等を利用して侵入したと考えられるものが82%と大半を占めた。
  • 復旧等に要した期間・費用
    • 復旧に要した期間について質問したところ、60件の有効な回答があり、このうち、復旧までに1か月以上を要したものが10件あった。
    • また、ランサムウェア被害に関連して要した調査・復旧費用の総額について質問したところ、53件の有効な回答があり、このうち、1,000万円以上の費用を要したものが16件で30%を占めた。
  • バックアップの取得・活用状況
    • 被害に遭ったシステム又は機器のバックアップの取得状況について質問したところ、62件の有効な回答があり、このうち、取得していたものが57件で92%を占めた。また、取得していたバックアップから復元を試みた57件の回答のうち、バックアップから被害直前の水準まで復旧できなかったものは45件で79%であった。
  • ランサムウェアと関連するリークサイトの状況
    • 令和5年上半期においても、ランサムウェアによって流出した情報等が掲載されているダークウェブ上のリークサイトに、国内の事業者等の情報が掲載されていたことを確認した。掲載された情報には、製品に関する情報や顧客の個人情報等が含まれていた。
  • サイバー特別捜査隊によるランサムウェア事案の実態解明等
    • サイバー特別捜査隊では、ランサムウェアが用いられた事案の捜査及び実態解明を推進している。ランサムウェアには様々な種類があるが、ランサムウェアの開発・運営を行う者(Operator)が、攻撃の実行者(Affiliate)にランサムウェア等を提供し、その見返りとして身代金の一部を受け取る態様(RaaS:Ransomware as a Service)のものが確認された。また、ランサムウェアの標的となる企業等のネットワークに侵入するための認証情報等を売買する者(IAB:Initial Access Broker)も存在する。このため、攻撃の実行者が必ずしも技術的な専門知識を有している必要はなく、同種のランサムウェアが用いられた事案であっても攻撃の実行者が異なる場合や、異なる種類のランサムウェアが用いられた事案であっても攻撃の実行者が同じである場合がある。
    • さらに、サイバー特別捜査隊の捜査により、ランサムウェアが用いられた複数の事案において、(1)侵入時、(2)侵入後、(3)攻撃実行時の各段階で共通してみられる攻撃者の手口についても明らかとなってきた。(1)~(3)のいずれかの段階で攻撃者の行動を止めることができれば被害は発生しないため、各段階において適切なセキュリティ対策を講じることで、ランサムウェアによる被害を未然に防止・軽減することができる
  • 海外を送信元とするアクセスが高水準で推移
    • 検知したアクセスの送信元の国・地域に着目すると、海外の送信元が高い割合を占めている。令和5年上半期においても、国内を送信元とするアクセスが1日・1IPアドレス当たり54.8件であるのに対して、海外を送信元とするアクセスが8,164.2件と、検知したアクセスの大部分を占めており、海外からの脅威への対処が引き続き重要となっている。
  • IoT機器を対象としたぜい弱性探索行為等
    • 検知したアクセスの宛先ポートに着目すると、ポート番号1024以上のポートへのアクセスが多数を占めており、全体のアクセス件数が増加する要因となっている。
    • IoT機器では標準設定として1024番以上のポート番号を使用しているものが多いことから、ポート番号1024以上のポートへのアクセスの多くが、ぜい弱性を有するIoT機器の探索やIoT機器に対するサイバー攻撃を目的とするためのものであるとみられる。
  • IoT機器に対する不正プログラムの感染拡大を狙ったと思われるアクセスの観測
    • 令和5年上半期において、国内を送信元とするMiraiボットの特徴を有するアクセスを宛先ポート別に見ると、5月中旬頃から宛先ポート52869/TCPに対するアクセスが増加していた。
    • このポートは、過去にMiraiの亜種が、家庭用ルーターやIPカメラ等のIoT機器に存在するぜい弱性を悪用して感染拡大を行う際に狙われたポートであることから、今回増加が観測されたアクセスについても、IoT機器に対して、Mirai等の不正プログラムの感染拡大を狙ったものであると考えられる。
    • IoT機器を利用する際は、適切なアクセス制御、初期設定のユーザ名及びパスワードの変更、セキュリティパッチの適用、サポートが終了した機器の更新等の対策を継続的に実施する必要がある。
  • VPN機器等のぜい弱性を狙ったと思われるアクセスの観測
    • 令和5年上半期において、ぜい弱性を有するVPN機器等を探索する目的と思われる複数種類のアクセスが断続的に観測された。
    • VPN機器等のぜい弱性を悪用されてネットワークに侵入された場合は、情報を窃取される、ランサムウェアの感染によりデータを暗号化されるなどの被害に遭う可能性がある。
    • 観測されたアクセスは、ぜい弱性公開後からごく短時間のみ観測されたものがある一方で、継続的に観測されたものもあった。
    • VPN機器等については、適切なアクセス制御やセキュリティパッチの適用等の対策を継続的に実施する必要がある。
    • また、セキュリティパッチ適用前にぜい弱性が悪用されてIDやパスワードが漏えいしている可能性も考慮し、パスワードの変更等を検討することも重要である
  • 令和5年上半期における違法情報の対処状況
    • 令和5年上半期におけるIHCの通報受理件数は192,591件であり、運用ガイドラインに基づいて192,654件を分析した結果、違法情報を13,875件、重要犯罪密接関連情報を172件、自殺誘引等情報を3,686件と判断した。違法情報と判断した通報のうち、通報前に削除された82件を除く1,584件を警察に通報し、削除依頼を行う前に削除されたもの等を除く1,106件についてサイト管理者等に対して削除依頼を行い、そのうち924件(83.5%)が削除された。
  • 犯罪実行者募集情報対策の推進
    • 近年、インターネット上において、犯罪実行者募集情報が氾濫している状況を踏まえ、警察庁では、令和5年2月、都道府県警察に対し、これらの投稿に関する情報収集を強化し、取締りや削除依頼、警告につなげるよう指示した。
    • また、令和5年3月、犯罪対策閣僚会議において、「SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン」が決定し、IHC及びCPCの効果的な運用により、犯罪実行者募集情報の排除に向けた更なる取組の推進等が示された。これを踏まえ、令和5年9月、IHC及びCPCの取扱情報の範囲に犯罪実行者募集情報を追加するとともに、同月、情報収集の体制強化・高度化を図るため、CPCにおいてAIシステムを導入し、犯罪実行者募集情報を含む重要犯罪密接関連情報や自殺誘引等情報に関するサイバーパトロールの高度化を図る予定である。
  • サイバー特別捜査隊によるランサムウェア事案の実態解明等
    • サイバー特別捜査隊では、ランサムウェアが用いられた事案の捜査及び実態解明を推進している。ランサムウェアには様々な種類があるが、ランサムウェアの開発・運営を行う者(Operator)が、攻撃の実行者(Affiliate)にランサムウェア等を提供し、その見返りとして身代金の一部を受け取る態様(RaaS:Ransomware as a Service)のものが確認された。また、ランサムウェアの標的となる企業等のネットワークに侵入するための認証情報等を売買する者(IAB:Initial Access Broker)も存在する。このため、攻撃の実行者が必ずしも技術的な専門知識を有している必要はなく、同種のランサムウェアが用いられた事案であっても攻撃の実行者が異なる場合や、異なる種類のランサムウェアが用いられた事案であっても攻撃の実行者が同じである場合がある。
    • さらに、サイバー特別捜査隊の捜査により、ランサムウェアが用いられた複数の事案において、(1)侵入時、(2)侵入後、(3)攻撃実行時の各段階で共通してみられる攻撃者の手口についても明らかとなってきた。(1)~(3)のいずれかの段階で攻撃者の行動を止めることができれば被害は発生しないため、各段階において適切なセキュリティ対策を講じることで、ランサムウェアによる被害を未然に防止・軽減することができる。
  • 外国捜査機関との連携
    • 米国でのランサムウェア事案について、サイバー特別捜査隊等の捜査において得られた情報をFBIに提供するなどの協力を行ったところ、令和5年5月、米国司法省から被疑者の一人を起訴した旨の発表があり、捜査に当たって日本警察の支援が有益であったとの言及があった。
  • 外国捜査機関と連携したフィッシング事犯の検挙
    • 警察庁では外国捜査機関等との連携を推進しており、クレジットカード情報等を窃取するフィッシングサイトの作成ツールである「16SHOP」を利用した犯罪の被害拡大に対処するため、サイバー特別捜査隊及び大阪府警察が「キングフィッシャー作戦」と呼称される作戦にインドネシア国家警察等と連携して従事してきた。
    • インドネシア国家警察に対して必要な協力を行ってきたところ、国内居住共犯者と共謀の上、上記フィッシングツールを用いて不正に入手したクレジットカード番号等を使用して通販サイトの商品を窃取するなどしたインドネシア在住同国人被疑者を、令和5年7月9日に同国国家警察が逮捕した。
    • 本件は、サイバー特別捜査隊と都道府県警察が初めて警察庁長官の態勢の指示に基づく合同捜査を行った事例であり、また、日本警察の捜査がフィッシング事犯に関する国外被疑者の検挙に結びついた初めての事案である
  • サイバー事案の検挙状況
    • 令和5年上半期のサイバー事案の検挙件数は、1,181件であった。
    • 令和5年上半期における不正アクセス禁止法違反の検挙件数は、188件と前年同期と比べて45件減少した。
    • 検挙件数のうち、157件が識別符号窃用型で全体の83.5%を占めた。
    • 「利用権者のパスワードの設定・管理の甘さにつけ込んで入手」が最多
      • 識別符号窃用型の不正アクセス行為に係る手口では、「利用権者のパスワードの設定・管理の甘さにつけ込んで入手」が61件と最も多く、全体の38.9%を占めており、次いで「他人から入手」が28件で全体の17.8%を占めた。
    • 被疑者が不正に利用したサービスは「オンラインゲーム・コミュニティサイト」が最多
      • 識別符号窃用型の不正アクセス行為に係る被疑者が不正に利用したサービスは、「オンラインゲーム・コミュニティサイト」が75件と最も多く、全体の47.8%を占めており、次いで「インターネットバンキング」が21件で全体の13.4%を占めた。
      • 令和5年上半期におけるコンピュータ・電磁的記録対象犯罪の検挙件数は403件で、前年同期と比べて55件増加した。
      • 検挙件数のうち、電子計算機使用詐欺が380件と最も多く、全体の94.3%を占めた

~NEW~
公正取引委員会 ニュースコンテンツ配信分野に関する実態調査報告書について
  • 調査趣旨等
    • 近年、ニュースコンテンツに係る消費者の接点として、新聞、雑誌等の既存のニュースメディアの利用が減少する一方で、インターネット上でニュースをまとめて表示するニュースポータルやインターネット検索のサービスなどのニュースプラットフォームの利用が増加している。
    • ニュースコンテンツが国民に適切に提供されることは、民主主義の発展において必要不可欠であり、また、消費者に情報を届けるという観点で、消費者における自主的かつ合理的な商品等の選択を通じた公正な競争環境の確保に資するものとしても重要である。この点について、ニュースプラットフォームを運営する事業者(以下「ニュースプラットフォーム事業者」という。)と取材に基づきニュースコンテンツを編集して提供する事業者(以下「ニュースメディア事業者」という。)との間の取引や、ニュースプラットフォームにおけるニュースコンテンツの利用の状況によっては、消費者が質の高いニュースコンテンツを享受することが困難になるおそれがあるなど、国民生活において重要な役割を担うニュースコンテンツの提供に影響を及ぼすとの懸念が指摘されている。
    • 公正取引委員会は、令和3年2月に公表した「デジタル広告分野の取引実態に関する最終報告書」において、ニュースメディア事業者とニュースプラットフォーム事業者との間の取引等に係る問題のうち、ニュースプラットフォームにおけるニュースコンテンツ利用の許諾料や検索サイトにおける表示順位に関しニュースメディア事業者から指摘のあった課題について、取引条件の明確化や、当事者間での適切な交渉の実施等が競争政策上望ましい旨を明示した。しかしながら、当委員会が、同報告書の指摘事項に関するニュースプラットフォーム事業者における取組の状況を把握するため、新聞、雑誌、テレビ放送の各事業者及び事業者団体等を対象として、令和4年8月から同年11月の間に実施したヒアリングでは、当委員会が指摘した課題について実質的な改善が進んでいないことがうかがわれた。
    • 以上の状況を踏まえ、公正取引委員会は、ニュースコンテンツ配信分野の取引実態を更に詳細に把握した上で、課題の解決に向けて、より実効性のある提言を行うことを目的として、ニュースコンテンツ配信分野に関する実態調査(以下「本調査」という。)を実施した。
  • 調査対象
    • ニュースプラットフォーム事業者とニュースメディア事業者との間の取引を中心に、ウェブサイトやアプリを通じた、文字情報によるニュースコンテンツの配信について調査を実施した。
  • 調査方法
    • ニュースメディア事業者及び消費者アンケート調査
      • 令和4年11月から同年12月にかけて、ニュースメディア事業者を対象として、アンケート調査を行った(回答者数:220者)。
      • また、令和5年2月に、携帯電話等で週に3日以上ニュースコンテンツを閲覧する人を対象として、アンケート調査を行った(回答者数:2,000名)。
    • 聴取調査
      • 65者(ニュースメディア事業者・事業者団体53者、ニュースプラットフォーム事業者7者及び有識者5者)に対してヒアリング等を行った。
    • 国際協力
      • 本報告書の取りまとめの過程において、米国連邦取引委員会、オーストラリア競争・消費者委員会及びフランス競争委員会との間でそれぞれ意見交換等を実施した。
  • 調査結果
    • 報告書本体、別紙及び概要参照。
  • 今後の取組
    • ニュースプラットフォーム事業者及びニュースメディア事業者が相互理解の下で、当事者間の交渉を通じて課題の解消に向けた取組が進められるよう、引き続き、必要なコミュニケーションを取りながら関係事業者における取組の進捗を注視する。今後の競争の状況によっては、取引等の公正性・透明性を高め、公正な競争環境の確保を図るために必要な更なる対応について検討を行う。
    • 著作権の問題が絡むことや、政府において競争上の懸念に対応するための検討が行われている分野があることから、引き続き、関係省庁等との緊密な連携・協力を図る。
    • 海外の各国・地域の競争当局等においても様々な取組が進められていることから、今後とも様々なレベルで各国・地域の競争当局との意見交換を行うとともに、ICN(国際競争ネットワーク)やOECD(経済協力開発機構)等の場も活用しながら、海外関係当局と継続的に連携し、競争環境の整備を図る。
    • 本報告書で指摘した行為を含め、ニュースプラットフォーム事業者に関する独占禁止法上問題となる具体的な案件に接した場合には、厳正・的確に対処する。
    • 実態調査において、デジタルプラットフォーム事業者の事業活動等の実態をより精緻に把握し、一層効果的な対応を講じることができるよう、本調査においても実施したデータ分析等に関して、スクレイピング技術等の新たな技術を活用した調査手法の検討や導入について、今後も積極的に取り組む。
    • 生成AIを始めとするAIの急速な普及に代表されるデジタル技術の進展により、ニュースプラットフォーム事業者及びニュースメディア事業者を取り巻く競争環境が更に変化していくことが見込まれるため、インターネットを介したニュースコンテンツの流通を含め、デジタル市場において、生成AI等が競争に与える影響について注視する。
▼報告書概要
  • ニュースポータルに係る課題
    • 取引の実態
      • 許諾料単価(1,000PV当たり)の平均は124円(最大251円、最小49円)。なお、ニュースメディアサイト上での広告単価(1,000PV当たり)の平均は352円。
      • ニュースポータルの閲覧数に占める、ニュースメディア事業者のウェブサイトへの送客数の平均割合は8.9%。
    • 一方的な契約変更等による著しく低い許諾料の設定
      • 許諾料の水準の決定根拠等について開示することが望ましい。一方的な契約変更等により著しく低い許諾料を設定する場合、独占禁止法上問題となり得る。
    • 送客に影響し得るレイアウト等の変更
      • 変更前に、事前に十分に説明することが望ましい。変更による送客減少後も十分協議せず取引条件を変更しない場合、独占禁止法上問題となり得る。
    • 主要ニュース表示欄の選定基準の恣意的な運用
      • 選定基準を具体的に明示し、変更時には事前に十分説明することが望ましい。明示した内容と異なる基準によりニュースコンテンツ掲載の機会を減少させた場合、独占禁止法上問題となり得る。
    • ニュースコンテンツの配信制限
      • 配信可能なニュースコンテンツの範囲を具体的に明示することが望ましい。事前に明示した範囲を超えてのニュースコンテンツ配信の制限、修正要請は、独占禁止法上問題となり得る。
  • インターネット検索に係る課題
    • アンケート結果
      • インターネット検索結果からニュースメディアサイトにアクセスしないことがある消費者は8割超。
      • 消費者がニュースコンテンツを探す際に利用するサービスは、Google検索が約28%、Yahoo!検索が約26%。
    • 検索結果におけるニュースコンテンツの利用
      • 著作権法を踏まえ、十分な交渉等を通じて共通認識が得られることが望ましい。著作権の行使が可能な場合に、一方的に著しく低い許諾料を設定等する場合、独占禁止法上問題となり得る。
    • インターネット検索結果におけるニュースコンテンツの自社優遇
      • ニュースメディア事業者が一次配信するものとニュースポータル事業者が二次配信するものを同等の条件で取り扱うことが望ましい。競争者の取引を妨害することにより、その取引機会を減少等させる場合には、独占禁止法上問題となり得る。
  • ニュースポータルの影響力
    • 消費者がニュースポータルで閲覧するニュースコンテンツを選択する際には、ニュースコンテンツの見出しが見やすい位置に表示されることが最も影響する。
    • ニュースポータル事業者は、ニュースを選別して目立つ箇所に表示する「主要ニュース表示欄」に掲載するニュースコンテンツの選定や表示方法を通じて、消費者によるニュースコンテンツの選択に対する影響力を有する。
    • 許諾料の設定方法の一つとして、PV数に契約で規定する1PV当たりの単価を乗じた金額を支払うものがあるところ、「中間ページ」と「詳細ページ」が設けられているニュースポータルでは、詳細ページのみがPV数の算定対象とされている場合がある。
    • ニュースポータルの「トップページ」を閲覧するにとどまることが多い消費者は5割近く、また、ニュースポータルの「中間ページ」まで閲覧するが、「詳細ページ」までは閲覧しない傾向の消費者は2割強。そのうち6割強は、知りたい内容が中間ページの記載で足りることを理由に挙げる。
    • ニュースポータル事業者は、中間ページの記載内容を通じて、消費者が詳細ページまで閲覧するか否かの選択に影響力を有する。
    • ニュースメディア事業者は、ニュースポータル事業者との契約において、送客への期待を最も重視しており(全体の29.8%)、実際に、ニュースメディア・サイトへの流入の39.5%を関連ニュースリンク由来のものが占める。
    • 消費者がニュースポータルで閲覧するニュースコンテンツを選択する際には、ニュースコンテンツの見出しが見やすい位置に表示されることが最も影響する。
    • ニュースポータル事業者は、関連ニュースリンクの表示位置の設定・変更により、消費者による関連ニュースリンクの利用に対する影響力を有する。
  • インターネット検索の影響力
    • 消費者がインターネット検索を用いてニュースコンテンツを探す際に、検索結果として表示されたニュースコンテンツを選択するか否かに最も影響するのは、ニュースコンテンツがニュース枠に表示されていることである。
    • 消費者の約5割は検索結果のニュース枠のみ、約3割は1ページ目まで、約1割は2ページ目までを閲覧することが多い。
    • インターネット検索結果の表示形式は、消費者によるニュースコンテンツの選択に大きく影響する。
  • インターネット検索事業者が有する二重の立場
    • 主なインターネット検索事業者は、ニュースポータルも運営しているところ、ニュースメディア事業者との関係では、競争者の立場、競争に影響し得るサービスの提供者の立場という、二重の立場を有する。
    • このような立場は、インターネット検索事業者が、インターネット検索結果の表示順位や検索結果の表示画面におけるニュース枠の利用により、競合する他社が配信するニュースコンテンツと比べて自ら配信するニュースコンテンツを優遇する、いわゆる自社優遇を行う誘因となり得る。
    • 競争者の立場
      • ニュースポータル事業者として、消費者に対するニュースコンテンツの配信に関して、他のニュースポータル事業者やニュースメディア事業者と競争関係にある。
    • 競争に影響し得るサービスの提供者の立場
      • インターネット検索事業者として、他のニュースポータル事業者やニュースメディア事業者が消費者に配信しようとするニュースコンテンツに関するインターネット検索結果を消費者に対して提供している。
  • 調査により明らかとなった取引実態
    • 1,000PV当たりの許諾料の水準は、2021年度は平均値が124円、最大値が251円、最小値が49円である。※ニュースメディアサイトにおけるデジタル広告に係る1,000PV当たりの広告単価の水準は、2021年度は352円である。
    • ニュースポータル事業者は、ニュースポータルから得られた広告収入をニュースメディア事業者に対する許諾料支払の原資としているところ、ニュースポータル上の広告収入総額に占める、ニュースメディア事業者への許諾料の支払総額の割合は、約8%から約50%とばらつきが見られるものの、ニュースポータル事業者1社当たりの平均値は2021年度は約24%。
    • ニュースコンテンツ利用の許諾料の支払対象となるページのPV数のうち、ニュースポータル上の関連ニュースリンクがクリックされた数の割合は、2021年度は9%程度
    • ニュースメディア事業者のウェブサイトへの流入量の推移を見ると、新聞及び放送においては2019年12月から2020年4月にかけて増加傾向が、雑誌においては同期間において減少傾向がみられた。
    • 当該ニュースポータル事業者がカノニカルタグの設置を開始した2019年11月以降のインターネット検索結果からニュースメディア事業者のウェブサイトへの流入量の推移に関して、ニュースメディア事業者全般において一貫して減少するといった傾向はみられなかった。
    • なお、グーグルは、同じウェブサイト内の別のページを正規とするカノニカルタグの設置は、当該ウェブサイトと他のウェブサイトとの間でのインターネット検索結果における相対的な表示順位に影響しないとしている。
    • スクレイピングによる自然検索結果の収集・比較
      • 公正取引委員会において、同じ検索エンジンを使用するYahoo!検索とGoogle検索について、約2週間にわたり、特定の検索ワード(検索回数が急上昇したワードとして紹介されているもの)における自然検索結果上位2ページ分のデータを抽出(スクレイピング)し、そこに表示されるYahoo!ニュースのウェブサイト及びニュースメディアサイトの数につき、比較を行った。結果は下図のとおりであり、今般分析を実施した範囲においては、比較した2つのインターネット検索結果に統計的に有意な差があるという結果にはならなかったことから、Yahoo!検索の自然検索結果表示において、Yahoo!ニュース上のニュースコンテンツを優先して表示しているとは認められなかった。
    • 経済分析の手法を用いた結果検証
      • 経済分析の手法を用いて、Yahoo!検索とGoogle検索との結果の差が統計的に有意といえるかどうかについての検証を実施した。その結果、統計的に有意な差があるとはいえないという結果となった。
  • 競争政策上(■)・独占禁止法上(★)の考え方
    • ■ニュースメディア事業者による許諾料の水準の妥当性の検証やニュースポータル事業者との円滑な交渉が可能となるよう、ニュースポータル事業者は、ニュースコンテンツの利用(中間ページを含む。)によって得られた広告収入等、許諾料の水準の根拠となるデータや、実際に支払われた許諾料の算定方法等の情報を可能な限り開示することが望ましい。また、ニュースメディア事業者においては、ニュースポータル事業者に対して、情報開示に係る具体的な要望を伝えることが重要である。
    • ■ニュースポータル事業者は、許諾料について、ニュースコンテンツの利用によって、ニュースポータルにおける広告収入以外に生じるニュースポータル事業者の収益への貢献の程度についても反映することが望ましい。
    • ★取引上の地位が相手方に優越しているニュースポータル事業者が、その地位を利用して、取引の相手方であるニュースメディア事業者に対し、一方的に契約内容を変更するなどして、著しく低い許諾料を設定することにより、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える場合は、独占禁止法上問題(優越的地位の濫用)となる。
    • ★独占禁止法違反行為の未然防止の観点からは、ニュースポータル事業者は、ニュースコンテンツ利用許諾契約の更新時において、ニュースメディア事業者から許諾料の水準について交渉の求めがあった場合には、許諾料の水準の決定根拠の開示を含め、ニュースメディア事業者との間において十分な協議が行われることが望ましい。
    • ■ニュースポータル事業者は、ニュースメディアサイトへの送客に影響し得るようなニュースポータルのレイアウト等の変更を行う場合には、取引先のニュースメディア事業者に対して、事前に、十分に説明することが望ましい。また、技術的に可能な場合には、ニュースメディア事業者ごとにその意向を踏まえてレイアウト等の変更を行うことが望ましい。
    • ★ニュースポータル事業者によるニュースポータルのレイアウト等の変更により、ニュースメディアサイトへの送客が減少した場合において、ニュースメディア事業者がニュースポータル事業者に対して、許諾料を含む取引条件の見直しを求めたときに、取引上の地位が相手方に優越しているニュースポータル事業者が、その地位を利用して、取引の相手方であるニュースメディア事業者に対し、取引条件の見直しのための交渉を拒絶し、十分な協議をしないまま、取引条件を変更しないことにより、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える場合は、独占禁止法上問題(優越的地位の濫用)となる。
    • ■ニュースポータル事業者は、主要ニュース表示欄に掲載されるニュースコンテンツの選定基準について、可能な限り具体的に明示することが望ましい。また、当該選定基準を変更する場合には、事前に、当該変更内容を示した上で、問い合わせ対応を適切に行うなどして、十分に説明することが望ましい。
    • ★取引上の地位が相手方に優越しているニュースポータル事業者が、その地位を利用して、あらかじめ明らかにされている選定基準とは異なる基準に基づいて主要ニュース表示欄に掲載するニュースコンテンツを選定し、取引の相手方であるニュースメディア事業者が提供したニュースコンテンツの掲載の機会を減少させることにより、当該ニュースメディア事業者に対し、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える場合は、独占禁止法上問題(優越的地位の濫用)となる。
    • ■ニュースポータル事業者は、掲載ガイドライン等の内容について、取引先のニュースメディア事業者に対して、可能な限り具体的に明示することが望ましい。また、掲載ガイドライン等を変更する場合には、取引先のニュースメディア事業者に対し、事前に、当該変更内容を示した上で、問い合わせ対応を適切に行うなどして、十分に説明することが望ましい。
    • ★取引上の地位が相手方に優越しているニュースポータル事業者が、その地位を利用して、取引の相手方であるニュースメディア事業者に対し、あらかじめ明らかにされている掲載ガイドライン等の範囲を超えて、ニュースポータルにおけるニュースコンテンツの二次配信を制限したり、ニュースコンテンツの表現方法等の修正を求めたりすることにより、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える場合は、独占禁止法上問題(優越的地位の濫用)となる。
    • ■消費者の閲覧情報の開示の実現に当たっては、ニュースメディア事業者においては、ニュースポータル事業者に対して、情報開示についての具体的な要望を伝えること、ニュースポータル事業者においては、ニュースポータル事業者における開示の方針について、実際にニュースメディア事業者との交渉等を行う現場担当者まで周知・徹底されることが重要と考えられる。
    • ■インターネット検索事業者によるスニペット等の形式でのニュースコンテンツの利用の在り方について、インターネット検索事業者とニュースメディア事業者の間における十分な交渉等を通じて、対価等の取引条件の設定を含め、共通認識が得られることが望ましい。
    • ★インターネット検索結果におけるニュースコンテンツの利用について著作権者による権利行使が可能となる場合において、取引上の地位が相手方に優越しているインターネット検索事業者が、その地位を利用して、取引の相手方であるニュースメディア事業者に対し、一方的に著しく低い許諾料を設定し、又は、無償で取引することにより、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える場合は、独占禁止法上問題(優越的地位の濫用)となる。
    • ■インターネット検索事業者は、インターネット検索の結果におけるニュース枠に掲載するニュースコンテンツや、自然検索結果として表示するニュースコンテンツについて、自社が二次配信するものとニュースメディア事業者が一次配信するものを同等の条件に基づいて取り扱うことが望ましい。
    • ★ニュースコンテンツを探す際に利用するサービスの市場において有力なインターネット検索事業者が、インターネット検索の結果において、自社のニュースポータルにおいて二次配信するニュースコンテンツを、ニュースメディア事業者が一次配信するニュースコンテンツに比較して消費者に訴求しやすい位置に表示して、ニュースメディア事業者と消費者との取引を妨害することにより、ニュースメディア事業者の取引機会を減少させる又はニュースメディア事業者を排除する場合には、独占禁止法上問題(競争者に対する取引妨害等)となる
    • ■インターネット検索事業者は、可能な限り、検索エンジンにおいて検索結果の順位を決定するために用いられる主要な事項(検索エンジンのパラメータ等)を開示することが望ましい。
  • 公正取引委員会の今後の取組
    • ニュースプラットフォーム事業者及びニュースメディア事業者が相互理解の下で、当事者間の交渉を通じて課題の解消に向けた取組が進められるよう、引き続き、必要なコミュニケーションを取りながら関係事業者における取組の進捗を注視する。今後の競争の状況によっては、取引等の公正性・透明性を高め、公正な競争環境の確保を図るために必要な更なる対応について検討を行う。
    • 著作権の問題が絡むことや、政府において競争上の懸念に対応するための検討が行われている分野があることから、引き続き、関係省庁等との緊密な連携・協力を図る。
    • 海外の各国・地域の競争当局等においても様々な取組が進められていることから、今後とも様々なレベルで各国・地域の競争当局との意見交換を行うとともに、ICN(国際競争ネットワーク)やOECD(経済協力開発機構)等の場も活用しながら、海外関係当局と継続的に連携し、競争環境の整備を図る。
    • 本報告書で指摘した行為を含め、ニュースプラットフォーム事業者に関する独占禁止法上問題となる具体的な案件に接した場合には、厳正・的確に対処する。
    • 実態調査において、デジタルプラットフォーム事業者の事業活動等の実態をより精緻に把握し、一層効果的な対応を講じることができるよう、本調査においても実施したデータ分析等に関して、スクレイピング技術等の新たな技術を活用した調査手法の検討や導入について、積極的に取り組む。
    • 生成AIを始めとするAIの急速な普及に代表されるデジタル技術の進展により、ニュースプラットフォーム事業者及びニュースメディア事業者を取り巻く競争環境が更に変化していくことが見込まれるため、インターネットを介したニュースコンテンツの流通を含め、デジタル市場において、生成AI等が競争に与える影響について注視する
      • ※本調査は、ニュースプラットフォーム事業者とニュースメディア事業者の取引等における公正性・透明性を高めるとともに、公正な競争環境を確保する観点から実施したものであるが、消費者が質の高いニュースコンテンツを持続的に享受することができる環境を維持・発展させていくためには、競争政策にとどまらず、関係者によるものを含め様々な取組が行われることが重要。

~NEW~
消費者庁 訪問販売業者【株式会社エヌケージー及び株式会社野田建工】に対する行政処分について
▼訪問販売業者【株式会社エヌケージー及び株式会社野田建工】に対する行政処分について
  • 詳細
    • 消費者庁は、屋根瓦のふき替え及び外壁塗装の工事等に係る役務の提供を連携共同して行う訪問販売業者である株式会社エヌケージー(以下「エヌケージー」といいます。)及び株式会社野田建工(以下「野田建工」といいます。)(上記いずれの事業者の本店所在地:大分県大分市)(注)に対し、令和5年9月21日、特定商取引法第8条第1項の規定に基づき、令和5年9月22日から令和6年12月21日までの15か月間、訪問販売に関する業務の一部(勧誘、申込受付及び契約締結)を停止するよう命じました。(注)各処分対象事業者については、同名の別会社と間違えないよう会社所在地なども確認してください。
    • あわせて、消費者庁は、エヌケージー及び野田建工に対し、特定商取引法第7条第1項の規定に基づき、再発防止策を講ずるとともに、コンプライアンス体制を構築することなどを指示しました。
    • また、消費者庁は、エヌケージーの代表取締役である野田武政(のだ たけまさ)及び同社取締役副社長である村上東洋一(むらかみ とよかず)に対し、特定商取引法第8条の2第1項の規定に基づき、令和5年9月22日から令和6年12月21日までの15か月間、前記業務停止命令により業務の停止を命ずる範囲の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含みます。)の禁止を命じました。
    • なお、消費者庁は、野田建工が勧誘目的の明示義務に違反する行為及び顧客が役務提供契約の締結を必要とする事情に関する事項につき、不実のことを告げる行為をしていたとして、平成30年10月30日、野田建工に対して業務停止命令等を行ったところです。

~NEW~
消費者庁 第4回「送料無料」表示の見直しに関する意見交換会(2023年8月10日)
▼一般社団法人セーファーインターネット協会提出資料(「送料無料」表示について)
  • 物流革新に向けた政策パッケージに関する認識
    • 我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議において令和5年6月2日に取りまとめられた「物流革新に向けた政策パッケージ」は、「2024年問題」をはじめとする我が国が直面する輸送力不足の解消が目的。
    • 「送料無料」表示の見直しは、「商慣習の見直し」の「担い手の賃金水準向上等に向けた適正運賃収受・価格転嫁円滑化等」の中で、「運賃・料金が消費者向けの送料に適正に転嫁・反映されるべきという観点から」取り組む旨記載(なお、消費者の行動変容が観点に含まれないことには違和感)。
    • SIA会員社においても、ECの市場規模拡大に伴い宅配便取扱実績が増加するなどしていることから、我が国物流の輸送力不足はインターネットにまつわる社会問題でもあると認識。
    • SIAの会員社においても、輸送力不足の解消につながる取組を行っているなど(後述)、物流業界の負担軽減に努めて参る所存。
  • 「送料無料」表示に関する認識
    • Eコマースにおける「送料無料」表示の意味合い
      • 「送料無料」表示の場合、(1)運賃全部を売主が負担するか、(2)運賃の一部または全部が商品価格に転嫁されている、のいずれか。(1)および(2)のうち商品価格に転嫁されない分が、売主の負担=買主へのサービス(なお、(1)は売主の利益を圧迫するため、一定の価格以上の商品を購入する場合のみ可能なことが多い)。
      • 以上の構図は、「送料●円」表記でも同じである。すなわち、「送料●円」表記は、必ずしも実際の運賃が●円という意味ではなく、運賃のうち●円はお客様に負担してもらうという意味であり、これを超えた分は売主の負担(買主へのサービス)。
      • 運賃のお客様への転嫁という意味では、送料無料も送料●円も大きな差異はないと考えられる。
    • 「送料無料」表示のメリット
      • 「送料無料」表示のある商品の方が、「送料●円」表示のある商品よりも注文が多い。
      • 一般的に、お客様にとって送料無料の商品同士の方が価格の比較がしやすい。
    • 「送料無料」表示のデメリット
      • お客様が配送をまとめるインセンティブがなくなり、配送ロットは小さくなる傾向。1回の注文あたりに占める物流コストが増大し、荷主の利益を圧迫する。
      • 多頻度少量の配送増加により、物流現場の業務負荷や、環境への負荷がかかる
    • 「送料無料」表示を見直すことにより、「運賃・料金が消費者向けの送料に適正に転嫁・反映される」ことになる根拠等を示していただきたい。
      • 運賃・料金が消費者向けの送料に適正に転嫁・反映されていない事実はあるのか。
      • 「送料無料」表示により、消費者が運賃・料金が発生していないという誤解をしているとの事実が前提になっているようだが、そのような事実は存在するのか。
      • 仮に、誤解をしているとして、この事実が、運賃・料金の消費者向けの送料への適正な転嫁・反映とどのように結びつくのか。
      • その他、「送料無料」表示が、運賃・料金の消費者向けの送料に適正に転嫁・反映されていない理由といえる根拠はあるのか
  • SIAの意見
    • 政策効果を立証できないなら、安易に「送料無料」表示の見直しを求めるべきでない。
    • 政策効果があるとして「送料無料」表示の見直しに取り組む場合には、以下の点に留意すべきである。
      • 国内で営業する全事業者が一斉に服するルールとすべき。「送料無料」表示のある商品の方が注文が多いことから、一部の事業者が「送料無料」表示を止めると、お客様は「送料無料」表示を継続する事業者に流れるおそれ。また、ストアは複数のモール等に出店する傾向があり、異なった対応は中小を中心とする出店者に負担となる。
      • 表現の幅は広く認めるルールとすべき。消費者が運賃・料金の発生を認識できる限り、各事業者のサービスに合った表現が許容されるべき。(例)「送料込み」「送料当社負担」「送料円」など
  • 会員社による輸送力不足の解消につながる取組例
    • Yahoo!ショッピング おトク指定便
      • 「おトク指定便」とは、消費者が急がない荷物は余裕のあるお届け日を指定すると、指定日によって「PayPayポイント」がもらえるサービス
    • Yahoo!ショッピング おトク指定便
      • 22/8/28~23/3/25まで実施した実証実験を経て、23/4/11から本格展開
      • 実証実験では、全体の注文者のうち、約半数の51%のユーザーが本サービスを利用
      • また、ストアを対象としたアンケート※では、出荷作業の逼迫に課題を感じ、本サービスを利用してみたいと答えたストアは、半数以上の55%

~NEW~
消費者庁 インターネット通販における表示内容と消費者の心理的特性等に関する調査
▼〔概要〕インターネット通販における表示内容と消費者の心理的特性等に関する調査
  • 調査対象であった表示内容8種は、クリック及び後悔のしやすさの観点から、3つのグループに分類することができる。
  • 表示をクリックしたことのある人の割合は少ないものの、後悔・トラブルを経験したことのある人の割合が30%を超え、かつ比較的購入金額も高いグループAの表示内容については、とりわけ注意が必要と考えられる。
  • グループAの後悔・トラブルの経験をしやすい消費者の主な特性として、「ハロー効果」(一般的に良いとされる外見や身分などの目立つ特徴に引きずられて人の評価を決めてしまう人物)が共通している
  • 心理特性の観点から、多くの表示内容に共通して、うつ傾向が高い者や喫煙者の場合に後悔・トラブルを経験しやすい。一方で、主観的な社会的地位が高い者や注意力が高い者ほど後悔・トラブルを経験しづらいことが分かった。
  • 多くの表示内容に共通して、リスキーな心理傾向を測るチェックシートの合計点数が高いほど、後悔・トラブルを経験しやすいこと等が分かった。
    • クリックする人は少ないが、後悔する人は多い表示
      • 周りの人に好かれ、依存する人物(期待を受けることが動機付けにつながる傾向がある)
      • 一般的に良いとされる外見や身分などの目立つ特徴に引きずられて人の評価を決めてしまう人物
      • 人生の意義が明確で、自己実現をしようと努力している人物(主観的幸福度が高い傾向がある)
      • 他人に対して誠実な人物
      • 一般的に良いとされる外見や身分などの目立つ特徴に引きずられて人の評価を決めてしまう人物
      • 楽観的で気持ちの切り替えが早い人物(主観的幸福度が高い傾向がある)
      • 周りの人に好かれ、依存する人物(期待を受けることが動機付けにつながる傾向がある。)
      • 一般的に良いとされる外見や身分などの目立つ特徴に引きずられて人の評価を決めてしまう人物
    • クリックする人、後悔する人ともに一定数いる表示
      • 他人を気遣う人物
      • 自分は所属するチームの意思に従わされていると感じる、リーダーや明確な役割分担がなくても個々のメンバーに任せればよいと考える傾向がある人物
      • 人生の意義が明確、自己実現をしようと努力している人物(主観的幸福度が高い傾向がある)
      • 利他的でボランティア精神が強い人物
      • 誇りを持ち、有頂天になりやすい傾向がある人物
      • 低確率を過小に評価し、高確率を過大に評価する傾向がある人物
      • 利他的でボランティア精神が強い人物
      • 周りの人に好かれ、依存する人物(期待を受けることが動機付けにつながる傾向がある)
      • 身近な大人から叱られた経験が多い人物
    • クリックする人は多いが、後悔する人は少ない表示
      • 低確率を過小に評価し、高確率を過大に評価する傾向がある人物
      • 利他的でボランティア精神が強い人物
      • 全ての表示内容において、20代男性の後悔・トラブル経験率が高い傾向が見られ、さらにリスキーな心理傾向を測るチェックシートの合計得点も高い傾向が見られた。※例示として「期間限定や先着順等、限定を強調する表示」の結果を示している。
      • インターネット取引に係る商品・サービス購入後の後悔・トラブル経験がある人は、欲しい商品・サービスが表示された際にクリックする可能性が高いことが示唆された。
      • 後悔・トラブルの経験率が高い表示に共通する心理的特性
      • 表示の種類によって、表示をクリックした人の割合及び後悔・トラブルに至った人の割合に違いがあることが分かった。
      • クリックしやすく後悔もしやすい表示は無かったが、「高額サービスの無料体験やキャンペーン表示」、「効き目を強調する表示」、「無料解約や返金保証をうたう表示」の3種は、商品の質に対する不満や、意図しない定期購入契約の締結といった後悔・トラブルの経験率が30%を超え、かつ比較的購入金額も高いことからとりわけ注意が必要と考えられる。
  • 後悔・トラブル経験がある人の特徴
    • デモグラフィックな属性の観点では、どの表示においても、20代男性での後悔・トラブル経験率が高い傾向が見られた。
    • また、「リスキーな心理傾向を図るチェックシート」の合計得点についても、20代男性において特に点数が高い傾向が見られた。
    • 心理特性の観点からは、うつ傾向が高い者や喫煙者の場合に後悔・トラブルを経験しやすい一方で、主観的な社会的地位が高い者や注意力が高い者ほど後悔・トラブルを経験しづらいことが分かった。
  • 「リスキーな心理傾向を図るチェックシート」の有用性
    • 統計解析の結果、「リスキーな心理傾向」を測るチェックシートの合計点数は、全ての表示において、後悔・トラブルの経験しやすさと有意に関係していた。
  • 啓発のアプローチ
    • うつ傾向の高い人には、日常の生活支援等を通して本人の精神状態を安定させることや、精神が不安定なときに契約しないよう見守るなど、その周囲の人を巻き込んだ啓発の必要性があるのではないかと推察される。
    • 過去にインターネット上の商品・サービスに係る表示に起因する後悔やトラブルの経験があり、そのことに自覚的であったとしても、なかなか行動は変えられないという実態がある可能性が考えられることから、仮想シミュレーション的な消費者教育を実施することにより、行動を変える練習を行っていくことが重要と示唆される。
  • リスキーな心理傾向を測るチェックシート(若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会(平成30年度)を踏まえ作成)
    • 消費者庁消費者行政新未来創造オフィスにおいて、1万人の若者を対象としたアンケート調査結果を分析し、だまされやすさ(契約への至りやすさ)をセルフチェックできる啓発物を作成。

~NEW~
消費者庁 食品ロス削減啓発絵本の活用に係る調査報告書
  • 子どもにとっての令和3年度絵本の難易度については、保護者のうち42.6%が「簡単だった」「やや簡単だった」と回答した一方で、12.0%が「やや難しかった」「難しかった」と回答した。また、幼稚園教諭は32.6%が「やや難しかった」「難しかった」と回答した
  • 保護者向けアンケートの結果、読み聞かせ後に自ら令和3年度絵本を読み返した子どもは44.3%、読み返さなかった子どもは55.7%であった
  • 令和3年度絵本の読み聞かせ後における子どもの行動変化について、保護者と幼稚園教諭にそれぞれ質問した。その結果、保護者のうち54.5%、及び幼稚園教諭のうち62.5%が、子どもに行動変化があった旨回答した。
  • また、保護者の回答を基に集計すると、令和3年度絵本の読み聞かせ後に、自ら読み返した子どもの60.3%に行動変化が見られた(図4)。また、自ら読み返さなかった子どもにおいても、50.0%に行動変化が見られた。
  • ここでの行動変化とは、「調理の手伝いをするようになった」「食べ物の大切さについて話すようになった」等、食品ロス削減への意識をはじめ、食べ物を大切にする心や、生産者・調理する人を思いやる心が養われたと思われる行動の変化のことをいい、その内訳は図5のとおりである。
  • 保護者のうち71.7%において、読み聞かせ後に食品ロス削減に向けた行動変化が見られた。行動変化の内訳は、図7のとおりである。
  • まとめ
    • 半数以上の保護者が、令和3年度絵本の読み聞かせ後に「調理の手伝いをするようになった」「食べ物の大切さについて話すようになった」等、子どもに食品ロス削減につながる行動変化がみられたと回答した。また、多くの子どもを一度に観察する幼稚園教諭からも同様に、子どもの行動が変化したと回答があった。
    • また、保護者についても、読み聞かせ後には「子どもや家族と食べ物の大切さについて話すようになった」「食材の生産者や生産地のことを考えるようになった」等、食品ロス削減につながる行動変化が確認できた。
    • 以上のことから、令和3年度絵本を用いた読み聞かせを行うことは、子どものみならず保護者に対しても、食品ロス削減への啓発として有効であることが示唆された。
    • なお、保護者向けアンケートには令和3年度絵本の感想を尋ねる自由記述の設問を設けた。その回答としては、食品ロス削減に関する親子でのコミュニケーションや、食事を食べきる頻度等が増加したといった好意的な感想が多かったものの、文章の多さや内容のわかりづらさを指摘する感想も見受けられた。また、幼稚園教諭においては、令和3年度絵本が子どもにとって難しいと回答した割合が保護者以上に多かった。令和3年度絵本の作成方針及び趣旨として「食べ物を大切にする」ことや「生産者や食事を作る人のことを思いやる」こと等があったことから、食事やおやつを作ってくれる母親をいたわり、父親と一緒に調理に挑戦する場面や、食べ物の生産・流通・消費といったサプライチェーンの流れ等の内容を表現した結果、伝える要素が多く、また物語も長くなったため、上記のような感想及び回答があったものと思われる。
    • 加えて、読み聞かせ後に、自ら読み返した子どもよりも、読み返さなかった子どもが多かったことについても、伝える要素が多いことや物語が長いことが1つの要因で、子どもの興味・関心が多少薄れてしまった可能性があることも考えられる。
    • これらのことから、令和4年度では、5~6歳の子どもにより興味・関心を持ってもらうこと、また啓発の効果をより高くすることを目指し、新たな絵本を作成し、その活用に係る調査を実施することとした。なお、令和3年度絵本は、5~6歳の子どもを対象年齢として想定していたものの、伝える要素の多さなどから、対象年齢を引き上げて啓発に活用することも可能ではないかとも推察される。

~NEW~
消費者庁 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による消費行動の変化等に関する研究
▼概要版
  • 2020年初め、新型コロナウイルス感染症の感染拡大初期において、日用品や食品等のパニック買いが世界的に見られた。日本でも同年2月-3月頃のマスク・トイレットペーパーの品切れや、同年4月の緊急事態宣言発令前後の食品・日用品の購入急増が報道されている。購入した商品は各世帯でどのように消費・備蓄されたのだろうか。本研究では、緊急事態宣言前後と感染拡大から約1年後の2時点についてとくしま生協組合員を対象として消費者の購買・備蓄行動に関する調査を実施した。約7,000名から回答を得、計量経済学を用いて分析したところ、調査地では近隣府県に比べ新規感染者数や死亡数は多くはないものの、年齢、所得、世帯規模、職業、不安等が過剰な購買行動に大きく影響することがわかった。
  • また、著者らは2021年3-4月にフィールド実験の手法を用いて3回にわたり備蓄に関する情報提供を行った。具体的には、専門家監修のもと、日用品・衛生用品・食品に関して、必要最低限の備蓄内容や個数、収納・保管の仕方、ローリングストック等に関するチラシを作成した。チラシは(1)意識高揚(2)具体的な知識(3)生協広告(4)消費者庁からの注意喚起事項で構成され、年齢・性別・所得階層に基づいて割り付けた4グループ(3つの介入群+統制群)に異なる内容を提供した。
  • 介入効果を推計したところ、介入群は、何をどれだけ備蓄するかについて、有意に意識を高め、知識と技能を得たことが分かった。また、「チラシを実際に読んだ」と回答した人ほど効果が大きかった。スキルや行動に関するアウトカムについては、全体的なインパクトはあまり大きくないことが判明した。これは、パンデミックの長期化に伴い統制群も備蓄品の管理について考えるようになったためや、デルタ株の拡大等により予防策が変遷してきたためと考えられる。
  • また、上述の2度の調査で回答を得た品目別の備蓄量についても分析を行った結果、統制群では、食品や日用品の備蓄量に有意に大きな変化が見られた。つまり、統制群の多くの人がこれらの品を多く購入したり、多く消費したと考えられる。一方、介入群では、水・飲料、米・乾麺、消毒薬で備蓄量の変化が有意に小さいことがわかった。この結果から、介入群では、備蓄量がチラシによる情報提供で推奨された量に近づいた傾向や、パニック買いを回避するためのレジリエンス(変化や困難に適応する力)や十分な備えができるようになった傾向が示唆される

~NEW~
国民生活センター 棺内のドライアイスによる二酸化炭素中毒に注意
  • 葬儀の際、ご遺体の保冷目的で棺(ひつぎ)内に置かれていたドライアイスによる二酸化炭素中毒が疑われる死亡事故の情報が消費者庁に寄せられています。当センターが行ったテスト結果を踏まえ、葬儀で棺に接する際に注意してほしいポイントをご紹介します。
  • 事故事例
    • 葬儀場において、ドライアイスを敷き詰めた棺桶の小窓を開けたそばで、意識不明の状態で発見され、搬送先の病院で死亡した。
    • 葬儀場において、ドライアイスを敷き詰めた棺桶内に顔を入れた状態で発見され、搬送先の病院で死亡が確認された。
    • 自宅において、ドライアイスを敷き詰めた棺桶内に顔を入れた状態で発見され、死亡が確認された。
  • 棺内にドライアイスを設置した際の二酸化炭素及び酸素濃度の測定
    • 棺の蓋を閉めた状態
      • 棺内にドライアイスを設置し、蓋を閉めた状態で棺内の濃度を調べました。
      • 二酸化炭素濃度は、テスト開始20分後には「ほとんど即時に意識消失」するとされる濃度(30%)を超え、4時間(240分)後には90%前後でほぼ一定となりました。
      • 酸素濃度は、テスト開始1時間後には「意識消失」するとされる10%程度まで低下しました。
    • 棺の蓋を開けた状態
      • 棺内の二酸化炭素濃度が90%前後でほぼ一定となった状態から、静かに蓋をすべて開けた時の濃度を調べました。
      • 二酸化炭素濃度は、蓋を開けた直後に約60%まで急激に低下しましたが、その後、低下は緩やかになり、約50分が経過しても「ほとんど即時に意識消失」するとされる30%以上を維持していました。
      • 酸素濃度は、蓋を開けた直後は約10%で、そこから緩やかに上昇し、50分後には約15%となりました。
  • 消費者へのアドバイス
    • ご遺体に話しかける等の際は、棺の中に顔を入れて高濃度の二酸化炭素を吸い込まないようにしましょう。
    • 室内に二酸化炭素が滞留しないよう、十分な換気を行いましょう。
    • 寝ずの番(線香番)を行う際は、万が一の場合に備え、一人にならず、なるべく複数人で見守りましょう。
    • 棺に顔を近づけて気分が悪くなったら、すぐに棺から離れて換気の良い場所に移動しましょう。異常があれば直ちに119番通報をしましょう。
    • 棺の窓や蓋の開閉等、棺を取扱う上で不明なことがあれば、葬儀業者に確認しましょう。

~NEW~
国民生活センター インターネットで予約したホテルや航空券のトラブル-キャンセル条件など、契約内容は自分自身でよく確認!-
  • 新型コロナウイルス感染拡大に伴う制限がなくなり、旅行をする機会が増えています。2022年度に全国の消費生活センター等に寄せられた旅行に関する相談をみると、OTA(Online Travel Agent:オンライン旅行取引事業者)の利用など、インターネットで予約した旅行に関する相談が増え、件数は2021年度に比べ約2倍に増加しました。
  • インターネットでの予約は便利ですが、「キャンセル料が100%かかる」等の条件が付いている場合があります。また、日本語表示のサイトでも運営事業者は海外の事業者である場合もあります。インターネットで予約する際は、契約内容や、事業者の問い合わせ先(カスタマー対応窓口)を自分自身でしっかり確認して利用しないと、思わぬトラブルにあうことがあります。
  • そこでインターネットで旅行を予約する際に注意すべきポイントや相談事例を紹介します。
  • 年度別件数:2018年度は4,600件、2019年度は6,198件、2020年度は4,742件、2021年度は2,306件、2022年度は4,488件です。
  • 旅行トラブル全体に占めるインターネット予約の割合:2018年度は49.7%、2019年度は49.9%、2020年度は49.4%、2021年度は46.1%、2022年度は51.9%です。
  • 相談事例
    • 航空券の申し込み内容を訂正したいが、「キャンセルして取り直す必要がある。キャンセル分の航空券の代金は返金しない」と言われた
      • 国内事業者が運営する旅行予約サイトから、国際線の航空券を予約した。その後、姓と名を逆にしていたと分かったので、旅行予約サイトに訂正を申し出るため架電したが、「キャンセルをして取り直す必要がある。キャンセル分の航空券の代金は返金しない。規約とおりの対応だ」と言われた。自分の確認不足だったことは否めないが些細なミスで全額返金されず、航空券の代金を二重に支払うことに不満だ。
    • その他、以下のような相談も寄せられています
      • ホテルの公式サイトから申し込んだ宿泊予約をキャンセルしたところ、宿泊予定日の1週間前に申し出たにもかかわらず、キャンセル料が宿泊料の100%かかると言われた。
      • 旅行予約サイトからホテルと航空券を予約しキャンセルしたところ、ホテルは無料でキャンセルできたが航空券はキャンセル料がかかった。
      • 予約した航空券が欠航となったが全額返金されない。旅行予約サイトと航空会社のそれぞれに問い合わせたが対応されない。
      • 返金を求めるため、旅行予約サイトにメールしても「24時間以内に返答する」という返信しか来ない。
  • 相談事例からみる特徴と問題点
    • 「キャンセル料が100%かかる」との条件になっている場合は返金されない。
    • 航空券と宿泊施設を同時に予約しても、キャンセル等の条件はそれぞれ異なる。
    • 旅行予約サイトを利用してトラブルにあった場合、対応してくれる事業者がどこかわからず、対応を求めても、適切な対応が得られないことがある。
    • 海外事業者が運営する旅行予約サイトの場合、コミュニケーションを取るのが難しい場合がある。
    • 海外事業者が運営する旅行予約サイトの場合、日本の法律等を用いた交渉が難しい場合がある。
  • 消費者へのアドバイス
    • 申し込みを完了する前に、キャンセル等の条件や契約内容をよく確認しましょう。
    • 申し込み後は、予約確認メールやマイページを確認しましょう。事業者に問い合わせを行う場合は、その内容を保管しましょう。
    • 旅行予約サイトを利用する前に、サイト運営事業者の情報を確認しましょう。
    • 不安に思った場合やトラブルになった場合は消費生活センター等に相談してください。
    • 消費者ホットライン「188(いやや!)」番
      • 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
      • 海外の事業者とのトラブルについては国民生活センター越境消費者センター(CCJ)でも相談を受け付けていますので、ご利用ください。

~NEW~
厚生労働省 麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動の実施について~薬物乱用の根絶に向けた啓発を強化します~
  • 厚生労働省は、都道府県と共催して、10月1日(日)から11月30日(木)までの2か月間、「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動」を実施します。
  • 令和4年の我が国の大麻事犯の検挙人員は5,546人で、過去最多を更新した令和3年に続く高い水準であり、「大麻乱用期」の渦中にあると言えます。このうち、30歳未満の若年層が約7割を占めており、若年層における乱用の拡大に歯止めがきかない状況です。
  • 麻薬、覚醒剤、大麻、危険ドラッグ等の薬物の乱用は、乱用者個人の健康上の問題にとどまらず、さまざまな事件や事故の原因になるなど、公共の福祉に計り知れない危害をもたらします。一度でも薬物に手を出さない・出させないことは極めて重要であり、国民一人ひとりの理解と協力が欠かせません。
  • この「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動」は、薬物の危険性・有害性をより多くの国民に知っていただき、一人ひとりが薬物乱用防止に対する意識を高めることにより、薬物乱用の根絶を図ることが目的です。
  • 「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動」の概要
    • 実施期間
      • 令和5年10月1日(日)から11月30日(木)までの2か月間
    • 実施機関
      • 主催:厚生労働省、都道府県
      • 後援:警察庁、こども家庭庁、法務省、最高検察庁、財務省税関、文部科学省、海上保安庁、公益財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センター
    • 主な活動
      • 厚生労働省と都道府県の共催による麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動
      • 地区大会の開催
      • 正しい知識を普及するためのポスター、パンフレット等の作成・掲示
      • 薬物乱用防止功労者の表彰

~NEW~
厚生労働省 G20保健大臣会合/G20財務大臣・保健大臣合同会合(2023年)
  • 2023年8月18・19日にG20保健大臣会合、8月19日にG20財務大臣・保健大臣合同会合が開催されました。
  • 8月18・19日にG20保健大臣会合、8月19日にG20財務大臣・保健大臣合同会合がインド・ガンディーナガルにて開催され、加藤勝信厚生労働大臣が出席しました。
  • 今回のG20保健大臣会合では「健康危機への予防・備え・対応」「安全で、有効な、質の高い感染症危機対応医薬品等へのアクセス」「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)と保健サービス向上のためのデジタルヘルス」の3つの議題について、議論が行われました。
  • 加藤厚生労働大臣は、G7長崎保健大臣会合とG7財務大臣・保健大臣合同会合の成果を踏まえ、世界中の人々の「より健康な未来に向けた協働」のために平時にも有事にも資するUHCを世界全体で達成できるよう、そのための取り組みをさらに進める必要があること、G20とG7の取り組みを連携させていくことが重要であることについてスピーチしました。

~NEW~
厚生労働省 第25回 社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」(資料)
▼(参考資料1)参考資料(「生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに関するこれまでの議論の整理(中間まとめ)」において示された検討事項への対応状況等について)
  • 自立相談支援機関における新規相談受付件数・自立支援計画(プラン)作成件数について、令和3年度の新規相談件数は前年に比べ減少しているものの、プラン作成件数は増加している。
  • 関係機関の狭間で適切な支援が行われないといった事例の発生を防止するとともに、深刻な困窮状態にある世帯など支援を必要とする人を早期に把握し、確実に相談支援につなげるため、平成30年改正法で「支援会議」を創設。一方、支援調整会議は、個々の生活困窮者の支援プランの決定等を行い、継続的な支援を行うことを目的とするものであり、目的や対象者の範囲等が異なる。
  • 平成30年改正で新設された支援会議については、設置済み・設置予定ありの自治体は増加傾向にあり、令和3年度においては約4割の自治体が設置済み・設置予定ありの状況。
  • 支援会議の設置率については、増加傾向であり、令和5年度に5割を超える見込み。就労準備支援事業及び家計改善支援事業の実施予定率については、令和6年度に約9割となる見込み。一時生活支援事業及び子どもの学習・生活支援事業については、微増しているものの、増加率は鈍化傾向。
  • 支援会議を設置しない理由として、「支援会議を設置せずとも既存の体制で関係機関との連携が取れている」ことを(最大の)理由として挙げている自治体が多い。潜在的な支援会議の活用場面については、約8割の自治体が「あった」と回答。このような場合においては、「会議の場以外の通常業務における情報交換等の中」や「支援調整会議」において対応している場合が多い。
  • 他方、このような支援会議以外の方法で対応した場合、約2割の自治体が「関係機関との連携等について困難や課題を感じたことがあった」と回答。その具体的な内容としては、本人同意が得られない場合には支援が困難、関係機関の協力を得ることや役割分担が難しい、機関によって認識や対応に差異がある、連携に時間を要する等が挙げられた。
  • 支援会議を設置するために必要な国・都道府県からの支援については、「ガイドライン等の文書による設置方法の明確化」や「ノウハウや事例の提供」との回答が多い。具体的なノウハウ・事例の中身については、「支援会議の立ち上げ時における具体的な検討・調整過程の事例」が最も多い。
  • 国・都道府県からの必要な支援がある場合、支援がある場合、約8割の自治体が支援会議の設置について「設置の意向がある」又は「検討したい」と回答。
  • 自立支援プログラムは、福祉事務所設置自治体の897自治体(99.0%)で策定している。そのうち、経済的自立に関するプログラムを策定している自治体数及び策定プログラム数は894自治体(全福祉事務所(906自治体)に占める割合98.0%、3,104プログラムとなっている一方で、日常生活自立・社会生活自立に関するプログラムを策定している自治体数及び策定プログラム数は経済的自立に関するものと比べ少ない状況。
  • 令和4年度(7月時点)の就労準備支援事業の実施自治体数は695自治体で、全体の約8割が実施している。事業を実施しない理由として、「利用ニーズが少なく事業化しにくい」ことを(最大の)理由として挙げている自治体が多い。事業化したいが何らかの課題により事業を実施しないことを最大の理由として挙げている自治体は約3割。
  • 潜在的な事業の対象者については、約76%の自治体が「いた」と回答。このような者に対しては、「自立相談支援事業における就労支援」や「他の支援事業・支援機関につないだ」ことで対応している場合が多い。他方、このような就労準備支援事業以外の方法で対応した場合、約半数の自治体が「支援内容や支援効果等について困難や課題を感じたことがあった」と回答。その具体的な内容としては、対象者像にあった適切な支援ができなかった、思うように効果が得られなかった、支援に時間と専門的な知識を要する等が挙げられた。
  • 事業未実施自治体のうち、約9割の自治体は広域実施の検討を行っていない。その理由としては、単独実施を想定している自治体を除けば、「近隣に連携できる自治体があるかどうか分からない」「事業運営や費用等に係る自治体間の調整等が困難」「広域実施の方法が分からない」等の回答が多い。
  • 事業を実施するためには、ノウハウ・事例の提供や委託先の開拓・調整等に関する支援を求める回答が多い。具体的なノウハウ・事例の内容については、「実施要綱や仕様書等の例」や「事業の立ち上げ時における具体的な検討・調整過程の事例」「近隣自治体における実施のノウハウや事例」の回答が多い。
  • 国・都道府県からの必要な支援がある場合、約8割の自治体が就労準備支援事業の実施について「実施する意向がある」又は「検討したい」と回答。
  • 令和4年度(7月時点)の家計改善支援事業の実施自治体数は712自治体で、全体の約8割が実施している。
  • 事業を実施しない理由として、「自立相談支援事業で対応可能」であることを(最大の)理由として挙げている自治体が最も多く、続いて「利用ニーズが少なく事業化しにくい」と回答している自治体が多い。事業化したいが何らかの課題により事業を実施しないことを最大の理由として挙げている自治体は約35%。
  • 潜在的な事業の対象者については、約85%の自治体が「いた」と回答。このような者に対しては、「自立相談支援事業」や「他の支援事業・支援機関につないだ」といった対応を行っている場合が多い。他方、このような家計改善支援事業以外の方法で対応した場合、半数以上の自治体が「支援内容や支援効果等について困難や課題を感じたことがあった」と回答。その具体的な内容としては、対象者像にあった適切な支援ができなかった、思うように効果が得られなかった、支援に時間と専門的な知識を要する等が挙げられた。
  • 事業未実施自治体のうち、約9割の自治体は広域実施の検討を行っていない。その理由としては、単独実施を想定している自治体を除けば、「近隣に連携できる自治体があるかどうか分からない」「事業運営や費用等に係る自治体間の調整等が困難」「広域実施の方法が分からない」等の回答が多い。
  • 事業を実施するためには、ノウハウ・事例の提供や事業実施の法的根拠の明確化(必須事業化)を求める回答が多い。具体的なノウハウ・事例の内容については、「実施要綱や仕様書等の例」や「事業の立ち上げ時における具体的な検討・調整過程の事例」「近隣自治体における実施のノウハウや事例」の回答が多い。
  • 国・都道府県からの必要な支援がある場合、約8割の自治体が家計改善支援事業の実施について「実施する意向がある」又は「検討したい」と回答。
  • 令和4年度(7月時点)の子どもの学習・生活支援事業の実施自治体数は712自治体で、全体の約66%が実施している。
  • 一時生活支援事業については、巡回相談等により、路上生活者や終夜営業店舗等にいる住居に不安を抱えた生活困窮者へアウトリーチを実施し、自立相談支援機関と連携の上、シェルター利用中に、課題の評価・分析を実施し、就労支援等を行うとともに、一定期間内に限り、衣食住に関する支援を行う。
  • 令和4年度(7月時点)のシェルター事業の実施自治体数は346自治体で、全体の約4割が実施している。令和4年度(7月時点)の地域居住支援事業の実施自治体数は54自治体。
  • 事業を実施しない理由として、「利用ニーズが少なく事業化しにくい」であることを(最大の)理由として挙げている自治体が最も多く、続いて「利用ニーズが不明」と回答している自治体が多い。事業化したいが何らかの課題により事業を実施しないことを最大の理由として挙げている自治体は約15%。
  • 事業を実施しない理由として、「利用ニーズが少なく事業化しにくい」であることを(最大の)理由として挙げている自治体が最も多く、続いて「利用ニーズが不明」「自立相談支援事業で対応可能」と回答している自治体が多い。事業化したいが何らかの課題により事業を実施しないことを最大の理由として挙げている自治体は約1割。
  • 事業未実施自治体のうち、9割以上の自治体は広域実施の検討を行っていない。その理由としては、「近隣に連携できる自治体があるかどうか分からない」「事業運営や費用等に係る自治体間の調整等が困難」「広域実施の方法が分からない」等の回答が多い。
  • 事業未実施自治体のうち、9割以上の自治体は広域実施の検討を行っていない。その理由としては、「近隣に連携できる自治体があるかどうか分からない」「事業運営や費用等に係る自治体間の調整等が困難」「広域実施の方法が分からない」等の回答が多い。
  • 事業を実施するためには、ノウハウ・事例の提供や委託先の開拓・調整等に関する支援等を求める回答が多い。具体的なノウハウ・事例の内容については、「事業の立ち上げ時における具体的な検討・調整過程の事例」や「実施要綱や仕様書等の例」「近隣自治体における実施のノウハウや事例」の回答が多い。
  • 事業を実施するためには、ノウハウ・事例の提供や委託先の開拓・調整等に関する支援等を求める回答が多い。具体的なノウハウ・事例の内容については、「事業の立ち上げ時における具体的な検討・調整過程の事例」や「実施要綱や仕様書等の例」「近隣自治体における実施のノウハウや事例」の回答が多い。
  • 国・都道府県からの必要な支援がある場合、約7割の自治体が一時生活支援事業の実施について「実施する意向がある」又は「検討したい」と回答。国・都道府県からの必要な支援がある場合、約8割の自治体が地域居住支援事業の実施について「実施する意向がある」又は「検討したい」と回答。
  • 支給決定件数について、平成27年度~令和元年度は、約4,000~7,000件で推移していたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響等により、令和2年度は約135,000件に急増、令和3年度は約46,000件、令和4年度は約24,000件。また、特例措置である再支給決定件数について、令和2年度は約5,000件、令和3年度は34,000件、令和4年度は約13,500件となり、生活困窮者の生活の下支えとして大きな役割を果たした。
  • 住居確保給付金の受給事由は、令和2年度は「休業等」が約64%を占めていたが、令和3年度は「離職・廃業」の割合が増加し約55%となった。
  • 生活保護法上、都道府県知事は、市町村長に対して、保護の実施等のため必要な助言その他の援助を行うことができることとなっている。他方、現状は、都道府県は市町村に対して、医療扶助の運用等に係る疑義照会があった際の回答対応に留まっているといった声が聞かれるところ。
  • 指定医療機関に対する個別指導は、関係機関からの情報提供や、社会保険診療報酬支払基金から提供される診療報酬請求データ等の分析結果等から得られる指定医療機関の特徴等を総合的に勘案し、個別に内容審査した上で対象医療機関を選定することとしている。このうち、診療報酬請求データについては、請求全体に占める被保護者に関する請求割合が高いことや、被保護者以外と比較して被保護者の診療報酬明細書等の1件あたりの平均請求点数が高いこと等を例示している。

~NEW~
厚生労働省 働き方改革PR動画「はたらきかたススメ」シリーズ第4弾を公開~俳優・小芝風花さんを起用し、 建設業で働く方やドライバーへの時間外労働の上限規制の適用に向けて制作
  • 厚生労働省は、このたび、俳優の小芝風花さんを起用した働き方改革PR動画シリーズ「はたらきかたススメ」の第4弾を公開しました。
  • この動画シリーズは、2024年4月から開始する建設業で働く方やドライバーへの時間外労働の上限規制の適用に向けて制作したものです。今回公開した第4弾では、建設業で働く方の働き方改革を進めるにあたって、工事を発注する方々をはじめ、皆さまに知っていただきたいことを取り上げています。
  • 厚生労働省では、今後も、働く方が働きやすい環境で、健康に働き続けられるよう、働き方改革を推進してまいります
  • 動画掲載先
  • ▼はたらきかたススメ特設サイト

    ▼厚生労働省YouTube(2分43秒)

~NEW~
経済産業省 日本産業規格(JIS)を制定・改正しました(2023年9月分)
  • 日本産業規格(JIS)とは
    • 日本産業規格(JIS:Japanese Industrial Standards)は、産業標準化法(JIS法)に基づく国家規格であり、製品、データ、サービスなどの種類や品質・性能、それらを確認する試験方法や評価方法などを定めています。
    • JISは、製造事業者やサービス事業者が、品質の良い製品やサービスを生産・提供することや、消費者等が、品質の良い製品やサービスを入手・利用すること等のために用いられています。
    • 関係府省では、技術の進歩や社会的環境の変化等を踏まえ、必要に応じて、JISを制定・改正しています。
    • JISの制定・改正は、経済産業大臣等の主務大臣により、日本産業標準調査会での審議・議決を経て行われます。(認定産業標準作成機関が作成したJIS案については、同調査会の審議を経ずに主務大臣が迅速に制定・改正を行います。)
  • 情報セキュリティのマネジメントシステムに関するJISの改正(JIS Q 27001)
    • 「情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)」の規格が、広く利用されています。2022年に、ISMSを規定する国際規格であるISO/IEC 27001が改訂されたことを受けて、対応するJISであるJIS Q 27001を改正しました。
    • 最新の国際規格とJISの整合が図られることにより、情報セキュリティを取り巻く技術や環境の変化への対応が可能となり、我が国の情報セキュリティの向上に一層寄与することが期待されます。
▼資料2.情報セキュリティのマネジメントシステムに関するJIS改正
  • サイバー攻撃の増加や、リモートワーク、クラウドサービスといった新たなツールの拡大などが進む中で、企業や団体は、新しい情報セキュリティの取組を求められています。そうした取組が十分な水準となり、継続的であることを担保するため、「情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)」の規格が、広く利用されています。2022年に、ISMSを規定する国際規格であるISO/IEC 27001が改訂されたことを受けて、対応するJISであるJIS Q 27001を改正しました。
  • 最新の国際規格とJISの整合が図られることにより、情報セキュリティを取り巻く技術や環境の変化への対応が可能となり、我が国の情報セキュリティの向上に一層寄与することが期待されます。
  • JIS改正の目的
    • 多様化する脅威に対するサイバーセキュリティ対策、クラウドサービスの利用、リモートワークの普及などの情報セキュリティを取り巻く技術や環境の変化を背景として、2022年10月に情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の要求事項を規定するISO/IEC 27001が改訂されたことを受け、これに対応するJISであるJIS Q 27001を改正しました。
    • JIS Q 27001 は、組織がISMSの確立及び実施、維持、継続的な改善を行うための要求事項や組織のニーズに応じた情報セキュリティのリスクアセスメント及びリスク対応を行うための要求事項を規定しています。ISMSは、組織の情報の機密性や完全性、可用性を保護し、事業の継続性を向上させるための基盤として、国内でも多くの組織で導入されており、本規格を認証基準とした、第三者による適合性評価も行われています。今後、改正されたJIS Q 27001に基づき、適合性評価が行われることになります。
  • JIS改正の主なポイント
    • 情報セキュリティ管理策の改正
      • JIS Q 27001 附属書Aで規定されている情報セキュリティ管理策(情報セキュリティに係る対策)を、新たな脅威、技術動向などを踏まえて改正しました。具体的には、以下のとおり、管理策の数は、新規追加や既存の更新・統合によって、改正前の114からの93に変更となり、管理策の分類は、14分類から、組織的管理策及び人的管理策、物理的管理策、技術的管理策の4分類に再整理されました。
    • ISO/IEC 専門業務用指針 第1部 附属書SLの改訂内容の反映
      • JIS Q 27001(本体)に、ISOマネジメントシステム規格(MSS)を作る上でベースとなるISO/IEC専門業務用指針 第1部 附属書SLの2021年の改訂内容を反映しています。
      • 具体的には、情報セキュリティ目的の監視や計画的なISMSの変更、外部から提供されるプロセス・製品・サービスの管理などに関する要求事項が追加されました。
  • 期待される効果
    • 本JISの改正により、国際規格との整合が図られるとともに、多様化する脅威に対するサイバーセキュリティ対策、及び、クラウドサービスの利用やリモートワークの普及など、情報セキュリティを取り巻く技術や環境の変化への対応が可能となります。この規格は、組織自体の情報セキュリティ要求事項を満たす組織の能力を、組織の内部で評価するためにも、外部関係者が評価するためにも用いることができることから、本JISの活用により、組織の情報の機密性、完全性及び可用性の保護、それによる組織の事業継続性の向上、さらには、我が国の情報セキュリティの向上や情報セキュリティ産業の発展等に一層寄与することが期待されます。

~NEW~
経済産業省 「中小M&Aガイドライン」を改訂しました
▼中小M&Aガイドライン(第2版)概要資料
  • 中小M&Aガイドライン(初版)策定から約3年が経過。この間、中小M&Aに関する行政・民間の取組にも一定の進展がみられ、中小M&Aは定着してきた。
  • 他方で、特に仲介・FA(フィナンシャル・アドバイザー)に関して、契約のわかりにくさや、担当者による支援の質のばらつき、手数料体系のわかりにくさ(最低手数料の適用)等の課題が見受けられるようになった。当該課題に対応するため、中小M&Aガイドライン(第2版)においては、特にM&A専門業者向けの基本事項※を拡充するとともに、中小企業向けの手引きとして仲介者・FAへの依頼における留意点等を拡充した。また、行政・民間における取組についても修正。
    • ※M&A専門業者は、マッチング支援やM&Aの手続進行に関する総合的な支援(マッチング支援等)を専門に行う民間業者(主に仲介者・FA)。金融機関、士業等専門家やM&Aプラットフォーマー等がマッチング支援等を行う場合にも、業務の性質・内容が共通する限りにおいて、準拠した対応を想定。
  • 「後継者不在の中小企業向けの手引き」等における改訂箇所
    • 仲介者・FAの選定
      • 仲介業務・FA業務の特徴等の見直し
    • 仲介契約・FA契約の内容
      • 直接交渉の制限に関する条項等、説明すべき重要事項の追加
    • セカンド・オピニオン
      • 類型の整理、セカンド・オピニオンの利点と留意点
    • マッチングにおける支援機関の活用
      • 依頼先の支援機関が単独/複数の場合の比較
      • 適切な候補先の紹介を受けられない場合の対応等
    • 仲介者・FAの手数料の整理
      • 最低手数料に関する事例の追加等
  • 「支援機関向けの基本事項」における改訂箇所
    • 支援の質の確保・向上に向けた取組
      • 契約に基づく義務の履行・職業倫理の遵守の必要性の明記
      • 質の確保・向上のため個々の支援機関・業界に求められる取組
    • 仲介契約・FA契約締結前の書面交付しての重要事項の説明
      • 書面に記載して説明すべき重要事項の項目の見直し
      • 説明の相手方・説明者・説明後の十分な検討時間の確保等
    • 直接交渉の制限に関する条項の留意点
  • 行政・民間における取組の推進
    • 行政の取組
      • M&A支援機関登録制度・情報提供受付窓口の開始
      • 事業承継・引継ぎ支援センターへの発展的改組等
    • 民間の取組
      • 自主規制団体であるM&A仲介協会による苦情相談窓口の開始
      • 表明保証保険等
  • 仲介者・FAの手数料の整理(最低手数料等)
    • 仲介者・FAの手数料については、依頼者である中小企業にとって、手数料(特に成功報酬)の算定方法の複雑さ、最低手数料の適用等の理由から、自己が負担する手数料を適切に把握することは必ずしも容易ではない。
    • 手数料については、レーマン方式によるものが多いが、「基準となる価額」については様々な考え方があり、採用される考え方によって報酬額が大きく変動し得ることから、「基準となる価額」の考え方・金額の目安や報酬額の目安を確認しておくことが重要であるなど、留意点を明記。
    • また、最低手数料を設定する仲介者・FAは多く、手数料に関しレーマン方式と最低手数料を併記し、最低手数料の分布や最低手数料が適用される事例を紹介(なお、本ガイドラインにおいて、仲介者・FAは手数料に係る重要事項を仲介契約・FA契約締結前に、書面交付して説明しなければならない、としている)
  • 支援の質の確保・向上に向けた取組
    • M&A専門業者について担当者によって支援の質にばらつきがあるなどの課題を把握。
    • 支援の質の確保・向上に関し、M&A専門業者には、依頼者との間の契約上の義務(善管注意義務・忠実義務)を履行し、職業倫理を遵守が求められることを明記した。
    • M&A専門業者が契約上の義務を履行し、職業倫理を遵守して支援を行うためには、(1)知識・能力の向上、(2)適正な業務遂行を図ることが重要。個々の支援機関・業界における取組が求められる。
  • 契約上の義務の履行・職業倫理の遵守
    • 善良な管理者の注意(善管注意義務)をもって業務を処理しなければならない。依頼者の利益を犠牲にして自己又は第三者の利益を図ってはならない(忠実義務)。(仲介者の場合)いずれの依頼者に対する関係でも公平・公正でなければならず、一方の利益優先又は一方の利益を不当に害するような対応をしてはならない。
    • 契約上の義務を負うかにかかわらず、職業倫理として、依頼者の意思を尊重し、利益を実現するための対応が求められる
  • 経営トップの意識
    • 代表者は「(1)知識・能力の向上」及び「(2)適正な業務遂行」を通じて質の高い支援をすることが重要である旨のメッセージ発信(例えば、経営理念や経営ビジョンにその趣旨を反映するなど)し、メッセージと整合的な取組を実施する必要がある。
  • 知識・能力の向上(取組例)
    • 必要な知識・能力の水準の明確化→人材育成(人材育成方針の策定・実施。社内研修・社外研修の受講支援。)
    • 知識・能力向上の取組・成果の適切な評価(人事評価の項目化、報酬・給与への反映。)
  • 適正な業務遂行を図ること(取組例)
    • 役員・従業員の適正な業務遂行確保(業務規程・マニュアル等の整備、経験者と共同で業務、社内相談窓口、依頼者からの苦情受付・対応等)
    • 外部委託先の適正な業務遂行確保(委託先の選定基準制定、依頼者の了承取得、委託業務の明確化、委託先への監督・指導、委託元による苦情把握等)
  • 他の支援機関(特に士業等専門家)との連携
    • M&A専門業者ごとの業務の範囲・内容等を踏まえて、他の支援機関と積極的に連携することが望ましい。
  • M&A仲介・FA業界の実務の発展に向けた取組
    • 可能な限り多くの仲介者・FAの積極的な関与の下、支援の質の底上げ等のため業界としての統一的なルール制定・遵守を期待。
    • 自主規制団体であるM&A仲介協会における、より一層の効果的な取組を期待。
  • 仲介契約・FA契約締結前の書面による重要事項の説明
    • 仲介契約・FA契約については、依頼者である中小企業にとって、契約の内容が多岐にわたる複雑なものであるなどの理由から、仲介とFAの違いや契約内容を理解することは必ずしも容易ではない。
    • 依頼者が契約内容を正しく理解した上で、適切な判断の下、仲介契約・FA契約を締結できるよう、M&A専門業者は、契約締結前に、契約に係る重要な事項を記載した書面を交付(電磁的方法による提供も可)して、明確な説明をしなければならない旨、明記した。また、説明すべき重要な事項を見直し、説明を受ける相手方、説明者、説明後の十分な検討時間の確保等も明記した。なお、参考資料として、重要事項説明書のひな形を併せて公表している。
  • 説明すべき重要な事項
    • 仲介者・FAの違いとそれぞれの特徴(仲介者として両当事者から手数料を受領する場合には、その旨も含む。)
    • 提供する業務の範囲・内容(マッチングまで行う、バリュエーション、交渉、スキーム立案等)
    • 手数料に関する事項(算定基準、金額、最低手数料、既に支払を受けた手数料の控除、支払時期等)
    • 手数料以外に依頼者が支払うべき費用(費用の種類、支払時期等)
    • 秘密保持に関する事項(依頼者に秘密保持義務を課す場合にはその旨、秘密保持の対象となる事実、士業等専門家や事業承継・引継ぎ支援センター等に開示する場合の秘密保持義務の一部解除等)
    • 直接交渉の制限に関する事項(依頼者自らが候補先を発見すること及び依頼者自ら発見した候補先との直接交渉を禁止する場合にはその旨、直接交渉が制限される候補先や交渉目的の範囲等)
    • 専任条項(セカンド・オピニオンの可否等)
    • テール条項(テール期間、対象となるM&A等)
    • 契約期間(契約期間、更新(期間の延長)に関する事項等)
    • (契約の解除に関する事項及び依頼者が仲介契約・FA契約を中途解約できることを明記する場合)当該中途解約に関する事項
    • 責任(免責)に関する事項(損害賠償責任が発生する要件、賠償額の範囲等)
    • 契約終了後も効力を有する条項(該当する条項、その有効期間等)
    • (仲介者の場合)依頼者との利益相反のおそれがあると想定される事項
  • 直接交渉制限に関する条項の留意点
    • 依頼者が、M&Aの相手方となる候補先と、M&A専門業者を介さずに直接、交渉又は接触することを禁じる旨(直接交渉制限)の条項における候補先については、基本的には、当該M&A専門業者が関与・接触し、紹介した候補先のみに限定すべきである。
    • また、直接交渉の制限の交渉については、依頼者の通常の事業を阻害しないよう、依頼者と候補先のM&Aに関する目的で行われるものに限定すべきである。
    • さらに、直接交渉の制限の期間については、契約終了後に依頼者が候補先と直接交渉してM&Aを成立させた場合には、テール条項により、M&A専門業者が依頼者に対して手数料を請求し得ること、仮に仲介契約・FA契約が終了した後にも制限が残る場合、(テール条項により発生する手数料を支払うことを覚悟した上で)M&Aを実行するといった、依頼者の自由な経営判断を損なうおそれがあること等を踏まえ、仲介契約・FA契約が終了するまでに限定するべきである。

~NEW~
総務省 統計局 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-
  • 高齢者の人口(人口推計、World Population Prospects)
    • 高齢者人口は1950年以降初めての減少。一方、総人口に占める高齢者人口の割合は29.1%と過去最高
    • 75歳以上人口が初めて2000万人を超える。10人に1人が80歳以上となる
    • 日本の高齢者人口の割合は、世界で最高(200の国・地域中)
  • 高齢者の就業(労働力調査、就業構造基本調査、Stat)
    • 高齢就業者数は、19年連続で増加し912万人と過去最多
    • 就業者総数に占める高齢就業者の割合は、13.6%と過去最高
    • 65~69歳、70~74歳の就業率は過去最高に
    • 日本の高齢者の就業率は、主要国の中でも高い水準
    • 高齢雇用者に占める非正規の職員・従業員の割合は76.4%と前年に比べ0.5ポイント上昇、一方で65~69歳では3年連続低下
    • 「医療,福祉」の高齢就業者は10年前の約2.7倍に増加
    • 高齢の就業希望者のうち、希望する仕事の種類は、男性は「専門的・技術的職業」が最も多く、女性は「サービス職業」が最も多い
    • 高齢者の有業率は、男性は山梨県が最も高く、女性は福井県が最も高い

~NEW~
総務省 令和5年8月の熱中症による救急搬送状況
  • 令和5年8月の全国における熱中症による救急搬送人員は34,835人でした。これは、8月の調査を開始した平成20年以降8月としては3番目に多い搬送人員となっています。
  • 全国の熱中症による救急搬送状況の年齢区分別、初診時における傷病程度別等の内訳は次のとおりです。
    • 年齢区分別では、高齢者が最も多く、次いで成人、少年、乳幼児の順となっています。
    • 初診時における傷病程度別にみると、軽症が最も多く、次いで中等症、重症の順となっています。
    • 発生場所別の救急搬送人員をみると、住居が最も多く、次いで道路、公衆(屋外)、仕事場(道路工事現場、工場、作業所等)の順となっています。
  • 熱中症は正しい知識を身につけることで、適切に予防することが可能です。予防対策として、エアコンや扇風機をためらわずに使用すること、こまめに水分補給を行うこと、屋外では帽子をかぶることなどに心がけてください。
  • 特に、こどもや高齢者は熱中症になりやすいため注意が必要です。こどもは大人に比べて暑さに弱いため、周りにいる大人が気をつけましょう。また、高齢者は暑さに対する感覚機能や体の調節機能が低下しますので、特に気をつけてください。
  • 消防庁では、熱中症予防啓発のコンテンツとして、「予防啓発動画」「予防啓発ポスター」「予防啓発イラスト」「予防広報メッセージ」「熱中症対策リーフレット」「予防啓発取組事例集」を消防庁ホームページ熱中症情報サイトに掲載しています。
  • 全国の消防機関をはじめ、熱中症予防を啓発する関係機関にも御活用いただけるよう、以下の消防庁ホームページに掲載していますので、是非御活用ください。
  • https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/post3.html#heatstroke04

  • 医療機関での初診時における傷病程度別の救急搬送人員
    • 軽症(外来診療)が最も多く23,456人(67.3%)、次いで中等症(入院診療)10,408人(29.9%)、重症(長期入院)768人(2.2%)の順となっています
  • 発生場所別の救急搬送人員
    • 住居が最も多く14,602人(41.9%)、次いで道路5,378人(15.4%)、公衆(屋外)4,386人(12.6%)、仕事場3,996人(11.5%)の順となっています

~NEW~
総務省 プラットフォームサービスに関する研究会(第47回)配付資料
▼資料1 利用者情報の取扱いに関するモニタリングについて
  • モニタリングの進め方
    • 具体的なモニタリングの進め方は、特に、昨年度の利用者情報WGにおけるヒアリング項目のうち、「デジタル広告市場の競争評価 最終報告」において確認するとされた項目等を中心にヒアリングを実施し、各事業者の取組状況の確認を行う。
    • 具体的には、事前に配布したヒアリングシートの回答を踏まえつつ、下記の項目についてヒアリングを実施。
  • 以下の各項目について、デジタル広告の観点における各社の取組について記載。
    1. 利用者情報の取扱いの状況について
      • 取得される利用者情報と取得場面
      • 取得した情報の加工・分析・利用
      • 利用者情報の第三者提供
      • 広告ビジネスモデルへの利用者情報の活用
      • 利用者情報に基づくプロファイリングセグメント化
    2. 利用規約・プライバシーポリシーについて
      • 利用者情報の取扱いに係るプライバシーポリシー
        • 利用者情報の取扱いに係るプライバシーポリシー
        • サービス開始前の通知公表・同意取得(導線・掲載)
        • プライバシーポリシーの変更に係る周知・同意取得
        • 利用開始後にも定期的に通知を行うなどの工夫
      • 透明性確保のための工夫
        • 透明性確保のための工夫や対処(ユーザーテスト実施他)
        • 同意取得や通知に当たっての具体的な工夫(階層的アプローチ、ダッシュボード、ジャストインタイム、アイコン等)
      • オプトアウト
        • オプトアウトを設けているか(方法・対象範囲等)
        • オプトアウトをしてもサービス利用継続が可能か
        • ダッシュボード等を設けているか(方法・対象範囲等)
        • オプトアウトに関する通知事項、導線
      • データポータビリティ
        • データポータビリティの取組(方法・対象範囲等)
        • 対象情報、方法、提供フォーマット、提供先、相互運用性等
        • 電磁的開示請求への対応、開示方法、提供フォーマット等
    3. 他アプリやサイトを経由した情報収集の状況
      1. 他アプリやサイトを経由した情報収集の状況
      2. 他アプリ提供社やサイト運営者に対する情報提供
      3. 情報収集モジュールやJavaScriptによる外部送信
      4. 3の場合の、他アプリ提供者やサイト運営者に対する情報提供
      5. 情報収集モジュールやJavaScriptについて、送信される情報の内容や送信先の変更等
      6. 複数の他アプリやサイトから収集した情報の管理
    4. 他社へのデータ提供、他社との連携の状況
      • 他社に対するデータ提供の状況
      • 他社との連携、留意点(利用者説明、安全管理等)
    5. サードパーティによる情報収集への対応
      • サードパーティによる情報取得に関する方針
      • クッキーの代替手段の情報取得の動きへの考え方
    6. PIA・アウトカムについての考え方
      • PIAの導入状況
      • 利用者情報の取扱いに関するアウトカムに係る検討
      • 利用者にPIAの結果やアウトカムを説明しているか
    7. 個人情報保護管理者の設置
      • 設置状況
      • 名称等
      • 業務内容

~NEW~
国土交通省 担い手確保の取組を加速し、持続可能な建設業を目指すために 建設産業の諸課題に対して早急に講ずべき具体策がとりまとめられました~建設業法等の改正も視野に、基本問題小委員会で中間とりまとめ~
▼【別紙2】中間とりまとめ(概要)
  • 建設業が持続的に発展していくには、新規入職を促進し、将来の担い手の確保・育成を図っていくことが不可欠。
  • 同時に、現下の課題である資材価格高騰や時間外労働規制に適切に対応しつつ、適正な請負代金・工期が確保された請負契約の下で、適切に建設工事が実施される環境づくりも欠かせない。
  • こうした問題意識の下、(1)請負契約の透明化による適切なリスク分担、(2)適切な労務費等の確保や賃金行き渡りの担保、(3)魅力ある就労環境を実現する働き方改革と生産性の向上、などの分野について、建設業法等の改正も視野に早急に講ずべき施策を取りまとめ。
  • 請負契約の透明化による適切なリスク分担
    • 発注者が、請負代金の中に含まれる予備的経費等の内容を詳細に把握することは困難であり、受発注者間で情報の非対称が生じている。
    • 価格変動等に対してどのようにリスク管理を行っていくかが契約上不透明な場合、受発注者間に認識の齟齬が発生。
    • 適切なリスク分担がなされない場合、契約当事者のみならず、その下請業者なども含めた建設生産システム全体に経営悪化や不良工事の発生といった悪影響が及ぶおそれがある。
      • 契約における非対称性の解消
        • 受注者によるリスク情報提供の義務化
          • 見積り時等に、建設工事に関するリスク情報の受注者から注文者への提供を義務化
        • 請負契約に予備的経費等に関する事項を明記
        • オープンブック・コストプラスフィー方式の標準請負契約約款の制定
      • 価格変動等への対応の契約上での明確化
        • 請負代金の変更について規定された民間工事標準約款の利用促進
        • 価格変動に伴う請負代金の変更条項を契約書上明確化
          • 法定記載事項として「価格変動等が生じた場合に請負代金額等をどのように変更するかについての定め」を明記
      • 当事者間のコミュニケーションと請負契約の適正化
        • 当事者間での誠実協議
          • 請負代金や工期に影響を及ぼす事象が生じた場合に契約の当事者間で誠実に協議を実施
        • 民間事業者への勧告等
          • 不当に低い請負代金での契約締結について、国土交通大臣等の勧告対象に、公共発注者だけでなく民間事業者も含める
          • 不適切な契約是正のため許可行政庁の組織体制を整備
  • 適切な労務費等の確保や賃金行き渡りの担保
    • 労務費等の見積りが曖昧なまま工事を受注した場合、適切な賃金の原資を確保できないおそれがある。また、技能労働者の賃金を能力や経験が反映された適正な水準に設定しようとしても、相場感が分からず取組が進まない。
    • 労務費は、短期的な市況の影響を受けやすく、累次の下請契約等が繰り返される中で、適切な工事実施に必要で、かつ、中長期的にも持続可能な水準の労務費が確保されにくい。この結果、現場の技能労働者への行き渡りも徹底されにくい。
      • 標準労務費の勧告
        • 適切な工事実施のために計上されるべき標準的な労務費を中央建設業審議会が勧告
      • 受注者における不当に低い請負代金の禁止
        • 労務費を原資とする廉売行為の制限のため、受注者による不当に低い請負代金での契約締結を禁止し、指導、勧告等の対象とする
      • 適切な水準の賃金等の支払い確保のための措置
        • 建設業者に、労働者の適切な処遇確保に努めるよう求める
        • 標準約款に賃金支払いへのコミットメントや賃金開示への合意に関する条項を追加
  • 魅力ある就労環境を実現する働き方改革と生産性向上
    • 適切な工期が確保されない場合、技能労働者の就労環境が悪化するおそれがあるのみならず、施工品質や安全面にも影響が生じる可能性がある。また、週休2日の実現や令和6年4月から適用される罰則付き時間外労働規制への対応が急務。
    • 働き方改革の推進には、事務作業等の効率化が不可欠であるが、これに効果を発揮する情報通信技術の活用が十分に進んでいない。このことは、施工体制管理のさらなる徹底を図る上でも課題。
      • 適正な工期の確保
        • 受注者による著しく短い工期の禁止
        • WLBを実現する働き方改革に関する施策検討
          • 工期に関する基準等の周知に加え、先進的取組の普及方策を検討
      • 生産性の向上
        • 建設工事現場を適切に管理するための指針の作成
          • ICTの活用等による現場管理のための指針を国が作成、特定建設業者に同指針に即した現場管理に努めることを求める
        • 監理技術者等の専任制度等の合理化

~NEW~
国土交通省 二輪自動車の後面衝突警告表示灯等の国連基準を導入します~道路運送車両の保安基準等及び保安基準の細目を定める告示等の一部改正について~
  • 後続車に衝突の危険を知らせる機能として、これまで四輪自動車に導入されている「後面衝突警告表示灯」について、我が国も参加する国連WP29での議論を経て、新たに二輪自動車等においても備付けを可能とする国連基準の改正が成立したところ、当該基準を国内の保安基準に導入するための所要の法令等の整備を行います。
  • 自動車局では、自動車の安全・環境基準等について、社会や技術の変化を踏まえ、国際的な整合を図りつつ、順次、拡充・強化等を進めています。
  • 今般、国際連合欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(WP29)において、「二輪自動車等の灯火器の取り付けに関する国連協定規則(第53号)」の補足改訂等が採択され、新たに二輪自動車等においても後面衝突警告表示灯の備付けが可能となったことから、我が国においても、改正された国連協定規則を保安基準に反映させることなどを目的として、保安基準の改正等を行います。
  • 主な改正の概要
    • 後面衝突警告表示灯(衝突するおそれがあることを、後続車両に知らせるために使用される灯火)について、二輪自動車及び二輪の一般原動機付自転車への備付けを可能とし、備えた場合の要件を規定する。
    • バックカメラシステムについて、認証の選択肢を拡げ、検査における手続きを簡素化し、安全なバックカメラシステムの普及をより一層図るため、国連協定規則(第158号)と調和させつつカメラ及びモニターの取付範囲の指定等を規定し、装置単位での認証を可能とする。併せて、車両後面に設置するカメラ等について、安全上支障が無く車体から突出するものについては車両寸法に含めないこととする。(別紙参照)
  • 公布・施行
    • 公布:令和5年(2023年)9月22日
    • 施行:令和5年(2023年)9月24日(1.(2)の装置認証については公布の日)

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